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2021/03/31

お題「気候変動リスクネタ早速投下とな/きさらぎ会での黒ちゃん講演は新味無いと思いました」

ほうほうそうですかそうですか。
https://jp.reuters.com/article/ny-forex-idJPKBN2BM317
2021年3月31日5:12 午前
米景気回復期待でドル上昇、対円で1年ぶり高値=NY市場

『ドルは対円で0.5%高の110.35円。昨年3月以来、初めて110円台に乗せた。ユーロは対ドルで0.4%安の1.1715ドル。一時は1.1711ドルと、昨年11月初旬以来の安値を付けた。市場は労働省が4月2日に発表する3月の雇用統計に注目。ラボバンクの外為ストラテジスト、ジェーン・フォーリー氏は「市場では雇用統計に対し楽観的な見方が出ている。ドルが力強く下支えされる公算は極めて大きい」と述べた。

ドル/円 NY午後4時 110.33/110.36』(上記URL先より)


〇分析は良いのだがどうしてそういう結論になるのでしょうか(気候変動ネタの日銀謎の前のめり)

こんなん出てましてね。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2021/wp21j03.htm/
水害が企業財務に与える影響に関する定量分析
2021年3月30日
山本弘樹*1
仲智美*2

著者の方は金融機構局の方ということで、先日のは海外のなんちゃらネットワークの脱炭素ネタでございましたが、今度は気候変動によって水害が増えるとどうたらこうたらの分析。

まずは上記URL先に『要旨』ってのがあるので拝読するとですね、

『本稿では、水害が多いというわが国の自然災害面のリスク特性を踏まえつつ、気候関連金融リスクの基礎研究の蓄積に貢献する観点から、水害が企業財務に与える影響を定量的に分析する。』

ということで世界的なアレの一環の話。

『水害は局地的なイベントであることから、被災企業が財務面でどのような影響を受けたかを的確に分析するには高い精度と細かい粒度のデータが必要であり、先行研究に対しては、データの精度と粒度に課題があるとの指摘がある。本稿では、その課題を踏まえて、わが国のほぼ全ての水害に関して、被災した面積や建物の棟数などの被害状況を市区町村ごとに記録した「水害統計」と、個別企業レベルの財務データを組み合わせることで、先行研究よりも細かい空間スケールから、より高い精度で、水害が企業財務に与える影響を分析した。』

はあそうですか。

『分析の結果、水害が企業財務に与える影響について、以下の3点が明らかになった。』

ほうほうそれで?

『第一に水害は製造業や中小企業を中心に利益率に負の影響を与える。』

そらそうだ。

『第二に水害の利益率への影響は短期に収束する。』

そらまあアトランティス大陸が水没しましたみたいな話じゃなければそうでしょうけど。

『そして、第三に企業利益への負の影響は、水害経験頻度が低い市区町村に所在する企業ほど大きい傾向がみられる。』

そら水害対策してなかったら被害が大きいがな、ということでまあ分析を一生懸命しているのはよく分かるのですが、要旨だけ見てると努力と研究内容は良く分かるが、まあそうですねって結果なので、折角ですからハザードマップでもつけて解説してみたらどうでしょう、と思うのですが、例の中央銀行のお仕事を増やして民間の経済活動に無駄に介入しようプロジェクト(個人の偏見です)の一環なので、結語を見てはあああああああああ????と声が裏返るアタクシ。いわく、

『金融機関は、水害による企業財務の悪化が、これまで以上に生じ得る可能性に十分に注意しつつ、そのリスク特性を考える際、貸出先企業の属性が影響することを念頭に、リスク管理の枠組みを整備し、実践していくことが有益である。』

????????????????

いやあのですね、金融機関に何求めてるのって話でして、金融機関のデータセンターやら重要な拠点などが水害の刑を食らった時のためにリスク管理(というか危険分散)しろとかそういう話なら兎も角、何で金融機関が与信先の水害リスクについてああだこうだと言われないと行かんのよという話で、そーゆーのは実際に被害食らう債務者の方がもっと甚大な被害にあうんですから、その個別債務者レベルで危険分散の措置とか水害に対する物理的な対策取るとか損害保険を付保するとか、そういう行動を取りましょうねってハザードマップ公開しながらお話していくのがどこからどう見ても本筋の話で、何で金融機関が「リスク管理の枠組みを整備し、実践していく」とかになるんでしょうかねえ。

というかですね、「リスク管理の枠組みを整備し、実践していくことが有益である。」っての、そら水害リスクに関する対応、という意味ではやらないよりはやった方が有益だとは思いますけど、その枠組み整備して実践する、っての無料で出来るもんじゃなくて、経営資源をそこに割かないといけない話な訳でして、気候変動リスクがどうのこうのでああだこうだって件に関して、この水害云々の分析してそれに完璧に対処しました(キリッ)っていう間に無茶苦茶コスト掛かるんだったらそれは費用対効果という面ではマイナスであり、部分最適を求めに行って全体のバランスをおかしくする、というジャパニーズカンリョークオリティーそのものズバリにも程があるお話ではなかろうか、とまあ斯様思う訳ですよ。

いやね、別にその手前までの分析は物凄い面白いし色々とやっておられると思うのですが、政策当局(このペーパー自体は「個人の見解であり日銀の見解でも部局の見解でもない」ではありますが)が分析の結果として部分最適解の政策(と言ってもマクロ金融政策じゃなくてこれはプルーデンス政策)インプリケーションを出してくるってのは物凄い勢いでズッコケてしまう訳で、こういうの元にまた余計な仕事増やさんでくれよと思うのですが、どうせコスト感覚の無い中央銀行の皆様におかれましては、何でもかんでも金融機関は完璧にやれという部分最適をすべてのマターに押し付けて仕事をした気になるんだろうな、と思うととりあえず欧州金融当局は地獄の火の中に投げ込まれるべきであると突発性又吉イエスになって演説を始めたくなりますなマッタクモウ。

・・・・・・・などと本文に触れずに物凄い勢いでトサカに来ている(まあ文章の勢いほどトサカに来ている訳ではないが)次第ですが、研究するのは研究するので結構なのですが、それをプルーデンス政策に実践する際に、何でもかんでも対応させようという部分最適の合成みたいなことをしたら、金融機関が個別プルーデンス項目対応に経営資源をアホほど取られてしまい、リスク回避のために使っている経営資源のコストの方が実際に発生するリスクで発生し得る損失よりも大きくなりました、みたいな阿呆な事になりかねないと思いますし、そもそも論としてこの水害リスクみたいなネタってリスク項目を見つけてこようと思えばジャンジャン項目が出てきそうで、新しい項目だけにベネフィットがあります的なアピールがしやすいもんだから、嬉々として民間に押し付けてきそうでヒジョーに今後もこのネタで金融機関に対してコストベネフィット丸無視の「新しいリスクへの管理体制構築」とかいうのを振って来る悪寒がするのでありました、ナムナム。


本文はこちら。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2021/data/wp21j03.pdf
水害が企業財務に与える影響に関する定量分析

まあ分析の所は何かまあ良く調べましたねって感じなのですが、そもそもの話の始まりは毎度おなじみ欧州お得意の気候変動が金融政策に云々の話なので、以下本文の頭の部分、『1. はじめに』から引用。

『近年、地球温暖化に伴う気候変動の進行を背景として、その影響と対策を巡る議論が、世界的に活発化している。文部科学省と気象庁が合同で実施した調査によると、地球温暖化に伴う気候変動の一つとして、わが国では、大雨や短時間強雨の頻度が大幅に高まるなど、雨の降り方が極端になってきている(文部科学省・気象庁[2020])1。』

『可住地域面積が狭く、かつ河川の勾配が急である地理的条件も手伝って、わが国では、台風や洪水、地滑りといった水害関連の災害件数が自然災害全体の 7 割以上を占めている(図表1)2。そのもとで、雨の降り方が極端になってきていることと軌を一つにして、単位面積あたりの水害被害額がここ 10 年増加傾向にある(図表2)3,4。』

と来てからの、

『こうした傾向は、地球温暖化に伴う気候変動の進行に伴い、今後さらに強まる可能性が高い。』

キタコレ。

『この点を巡って、気候変動に関する政府間パネルは、温室効果ガス排出量の国際合意(いわゆる「パリ協定」)を達成するような対策がとられる場合(「RCP2.6シナリオ」)や、追加的な対策がとられなかった場合(「RCP8.5 シナリオ」)など、4 種類の温室効果ガス排出シナリオを想定したシミュレーションを実施し、いずれのシナリオのもとでも、世界の平均気温は今世紀末にかけて上昇すると結論づけている(IPCC[2013])。』

『わが国では、文部科学省と気象庁が RCP2.6 シナリオと RCP8.5 シナリオを想定したシミュレーションを共同で実施し、今世紀末にかけて、わが国の年平均気温は約 1.4 度から 4.5 度上昇し、豪雨発生回数も有意に増加すると予測している(文部科学省・気象庁[2020])。』

『国土交通省は、これら 2 つのシナリオの下では、洪水発生頻度が 2 倍から 4 倍程度に増加するとの試算結果を示しており、わが国においても、地球温暖化に伴う水害発生リスクの趨勢的な高まりが懸念される状況にある(国土交通省[2019])。』

こういう分析をぶん回すの楽しそうですね(棒読み)。でまあここまでがマクラでしてこの次に金融政策がどうのこうのという話になる。

『世界の金融関係者の間では、こうした気候変動の進行が、金融機関の健全性や経営、ひいては金融システムの安定性にとって重大なリスクになり得るとの認識が急速に広がりつつある。こうしたリスクは、一般に「気候関連金融リスク」と呼ばれ、その波及経路や計測手法などを巡る議論が、金融関係者の間で活発に行われるようになってきている 5。』

でもって脚注の5が、

『5 日本銀行は 2019 年、気候関連金融リスクの分析や対応の検討等を目的とした、中央銀行及び金融監督当局の自主的な集まりである「気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS、Network for Greening the Financial System)」に新たに参加し、気候変動を巡る議論への一層の貢献に努める方針である。気候関連金融リスクを巡るこれまでの国際的な議論や先行研究の概要については、芝川・仲・小林[2020]、Furukawa et al[2020]を参照。』

となっていまして一昨日ネタにしたNGFSキタコレとなるんですが、よくよく考えてみますと「金融機関の経営にとってのリスクガー」とかいうのも本末転倒感の漂う話で、いやそんなこと気にする前に自然災害対策の充実をするにはどうしたら良いか、とかそういう話をした方がエエンチャウノと思う訳でして、金融機関経営よりも先に自然災害被害を抑制するための方策を考えるのが筋だし、そら確かに中央銀行からすると気候変動による自然災害リスクが高まるからって話をしても金融機関の経営がどうのこうのだたら金融機関になんかやらせる、というような事しか直接的には出来ないという事なんですが、先ほども申しあげましたように、そういうので自然災害の増大が懸念されるのであれば、もっと直接的に災害対策に社会的な資源を突っ込むべきであって、金融機関のリスク管理に資源を突っ込んでいく話は二の次になると思うんで、そういう二の次な問題に対してクソ真面目に対応させるために費消される資源を別の所に振り向けた方がエエンチャウノかね、とまあさすがにそういう風に思うんですよね。

さて本文に戻る。

『気候関連金融リスクは、気候変動による物理的な変化が、企業や家計に経済的損失をもたらす「物理的リスク」と、気候変動問題に対応する政策・技術・消費者の選好の変化等が企業や家計に経済的損失をもたらす「移行リスク」に大別される。』

はい。

『水害は、被災した借り手(企業や家計)の返済能力を低下させることなどを通じ、貸し手の金融機関の健全性に悪影響を及ぼし得ることから、物理的リスクの代表例と整理されている。先に述べたとおり、水害はわが国で発生する自然災害件数全体の 7 割以上を占め、かつその発生リスクが気候変動によって趨勢的に高まることが懸念される状況にあることから、一部の金融機関は、重要な気候関連金融リスクの分析として、水害に伴い想定される与信関係費用を試算し、公表し始めている 6。』

ちなみに脚注6は

『6 例えば、3メガ行は水害等を対象に物理的リスクが与信ポートフォリオに与える影響等をシナリオ分析して試算した結果を対外公表している。』

銀行としてはそれ以上やることが無いんですが、政策当局の場合は銀行のケツ叩くよりも先に自然災害の被害を減らす面に社会的資源を投入する、という選択肢を取る話をするもんじゃないのかねーと思う。

『気候関連金融リスクの分析は世界的にも緒に就いたばかりであり、その特性を的確に把握し、管理していくことを目標に、新たな知見が蓄積されている段階にある。こうした流れのなかで、本稿では、自然災害の中でも水害が多いというわが国のリスク特性を踏まえつつ、気候関連金融リスクの基礎研究の蓄積に貢献する観点から、水害が企業財務に与える影響を定量的に分析する。』

ちなみに分析自体はまあ何か良く調べてますなあとは思うのですが、何ちゅうかこの「中央銀行が気候変動リスクに対応してどうのこうの」ってのって、そら世の中資源が無限であれば対応するべきだと思うのですが、より直接的な問題に対処するための資源を使ってしまう(泥棒が入った時の被害シミュレーションばっかりせっせと計算して肝心のセキュリティー強化まで手が回らなくなる、みたいなサムシング)ことになりゃあせんかね、というのが懸念される所で、いや別に気候変動リスクを丸無視して良いとかいう話ではなくて、もっと他に資源を割いて対応することがあるんじゃネーノって思うのですが、何せインフレーションターゲッティングのフレームワークでマクロ経済の安定化が図れて中銀段階でマクロ経済の安定化ができまっせという従来の図が見事に音を立てて崩壊しているのが欧州であり日本(日本はもっと前から崩壊してますが)であり、なので中銀が金融政策面で打つ手が無くて暇なので頭の良い人達がヒマを持て余して仕事を作ろうとするからこうなる(個人の偏見です)という所で。



〇きさらぎ会での黒ちゃん講演であるが全く新味のないつまらん話を堂々垂れ流せるのはある意味才能ですよ

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko210330a.htm/
【講演】
より効果的で持続的な金融緩和
きさらぎ会における講演
日本銀行総裁 黒田 東彦
2021年3月30日

本文は今のとところHTML版はまだのようでPDF版のみ。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko210330a1.pdf
より効果的で持続的な金融緩和
── きさらぎ会における講演 ──
日本銀行総裁 黒田 東彦

そもそも「より効果的で持続的な金融緩和」という時点で語義矛盾が発生していて、より効果的な金融緩和をするのであれば当然ながらその効果が発現する期間が従来のそれよりも短くなる、ということになりますのでその時点におきまして、より持続的な金融緩和である必要はないんですよね。まあそこをどう屁理屈を駆使しているか、という屁理屈鑑賞会となります。

でもって小見出しにも書きましたように、今回はまあ色々と説明をしているのですが、基本的に上手い事言った積りか的なサムシングは無く(だからベンダーのヘッドラインでもあんまり取り上げられませんでしたよね)、非常にこうおもんなくて、突発性大滝秀治状態になって「つまらん!お前の話はつまらん!!」と叫びたくなる物件に仕上がっておりますけど、こういうの上手い事言おうとしないってえのも一種の才能で、上手い事言ってブーメランが刺さりまくって衣川の弁慶仁王立ち状態になるよりはマシ、とばかりにこういう感じでの話をするあたり、残り2年間何もしないで逃げ切る気が満々、というのだけは把握しました。


・・・・だと話が終わってしまいますが気を取り直して。

最初のご挨拶と経済物価情勢の話はまあどうでもよいので点検会合に関する説明と思しき部分となりますところの『3.「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の継続 』から参ります。


『ここからは、「より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検」についてお話します。』

どうぞ。

『日本銀行では、2%の「物価安定の目標」を実現するため、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで強力な金融緩和を続けています。今回の点検では、この枠組みのもとでの経済・物価動向と政策効果について確認するところから始めました。』

はい。

『「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は、2016 年9月に導入した金融政策の枠組みです(図表3)。これは、「イールドカーブ・コントロール」と「オーバーシュート型コミットメント」の2つを主な内容としています。』

『まず、「イールドカーブ・コントロール」は、長短金利の全体、つまりイールドカーブを操作目標とする金融市場調節の枠組みです。金融緩和の効果だけでなく、副作用にも配慮しながら、適切な水準に長短金利をコントロールしていくことを狙いとしています。』

えーっとすいません、YCCは2%を出来るだけ早期に達成するのが狙いで、金利水準云々はその狙いの為の手段に過ぎないんですけど、という時点でコリャダメダ感が漂う。

『次に、「オーバーシュート型コミットメント」は、物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を維持する約束です。ここでは、物価上昇率の「見通し」ではなくて、「実績値」に基づいて金融緩和の継続を約束している点がポイントです。』

実績どころか願望込みの展望レポートの見通しベースでも2%をカスリもしないのにポイントもヘチマもあったもんじゃありませんけどね!!!!!

『この非常に強力なコミットメントにより、予想物価上昇率に関する期待形成を強めることを企図しています。また、このコミットメントは、物価上昇率の実績値が目標を下回る期間が続いた場合には、そうした状況を埋め合わせるべく、物価上昇率が目標を上回る期間を長めに保つように金融緩和を行う、「埋め合わせ戦略」の考え方を実践するものです。』

まあいつも通りの説明なんですが、こういうのを何の恥ずかしげもなく平然と公衆の面前で説明できるような人間になれないからアタクシは市場の片隅で悪態つく位しか能が無いんですねわかります。

『今回、経済モデルを用いて点検し、この戦略をとることが、金融政策運営として適切であることを改めて確認したところです。』

まあどうせ手前味噌分析なのだがちゃんと読まないとな〜(まるで気乗りがしない)。

『このように、「イールドカーブ・コントロール」と「オーバーシュート型コミットメント」は、車の両輪であり、どちらも不可欠な要素です。』

とのことですが、そもそも論としてYCCぶっこんでから長期国債買入について「年間80兆円」と言いながら最後の方になると年間10兆円切る程度まで日銀保有の長期国債残高の伸びを落としているという事実がある訳ですし、更に申し上げますと最近ではコロナオペとして物凄い勢いでMBが増えておりますが、コロナオペ自体はコロナリスクが軽減されたら終了して然るべきもので、あれは期間1年以内のオペと決まっております(今は6か月でオペオファーしてますが)ので、このオペが終了した暁にはMBの前年比マイナスがオペが全部期落ちする頃には鮮明になって来ると思うんですけど、一時はすっかり形骸化した筈のMBコミットメントがここに来て急にフレームアップされているの???ってのも良く分からんですなあ。


『そのもとで、名目金利から予想物価上昇率を差し引いた実質金利を低位で推移させることを起点に緩和的な金融環境を実現し、経済・物価に好影響を及ぼすメカニズムを想定しています。』

置物フローチャートを出せ置物フローチャートを。


『この枠組みの導入以降の経済・物価動向を振り返ってみると、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は想定されたメカニズムに沿って効果を発揮してきました。』

じゃあ物価目標を達成したんですね!!!!!!!!!!!!!!!!∫dx

『わが国の名目金利は、イールドカーブ・コントロールのもとで、きわめて低位に抑えられています。』

それは手段です。

『予想物価上昇率が「量的・質的金融緩和」の導入前を上回る水準で推移する中、実質金利ははっきりとしたマイナス圏で推移しています。』

予想物価上昇率が2%に上がらないと成功した事にはならないし、実質金利を低くするのはただの手段です。

『低い実質金利は、資金調達コストの低下や良好な金融資本市場を通じて、金融環境を改善させています(図表4)。実際、銀行貸出やCP、社債の発行残高は増加を続けています。金融資本市場では、為替相場は総じて安定的に推移し、株価は上昇基調を辿りました。そうしたもとで、経済活動は押し上げられ、企業収益や雇用環境が改善しました。』

それは2%物価安定目標を達成するための前提となる話に過ぎませんが、その状況をもってしても2%にならないというのは手段が不足しているんじゃないですかねえ(棒読み)。

『マクロ的な需要と供給のバランスを示す需給ギャップは、2017 年にはっきりと需要超過に転じた後、プラス幅を拡大しました。こうした中で、デフレ期にはみられなかったベースアップが7年連続で実現するなど、賃金も緩やかに上昇し、基調的な物価上昇率はプラスの状況が定着しました。』

でも2%行ってないですよね、ということで何が「所期の効果」なのかという何時もの説明に一々いちゃもんつけてみました。まあ言い訳自体はいつも通りですね!!!!!!

『「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が、経済・物価を押し上げる効果を発揮したことは、経済モデルを用いた分析でも確認できます(図表5)。』

出たなインチキ分析。

『日本銀行の強力な金融緩和が導入されなかった場合の仮想の実質GDPや消費者物価の推移をシミュレーションすると、実績値は仮想値に比べて、実質GDPの水準で平均+0.9〜+1.3%程度、消費者物価の前年比で平均+0.6〜+0.7%ポイント程度、それぞれ高いという結果となりました。金融緩和による押し上げ効果がそれだけあったことを示しています。』

だったら緩和を3倍にすれば良いのではないでしょうか??????というか片岡さんそれ提案してみてよ!!!!!

『以上に加えて、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで、経済活動が活発化し、労働需給がタイト化したことを背景に、女性や高齢者の労働参加が進み、企業が労働生産性を向上させたことも、重要な変化です。』

人口動態を丸無視しているのが酷い。

『こうした変化は、人口減少という問題に直面し、経済全体の生産性向上の必要性のある日本経済にとって、望ましいことです。良好な経済情勢が続く中で、日本経済の中長期的な課題についても、前向きな動きが進みました。』

これはひどいwwwwwww

この後は曳かれ者の小唄です。

『もっとも、物価上昇率が高まりにくい状況は続いています。その大きな理由は、わが国では、予想物価上昇率に関する複雑で粘着的な適合的期待形成のメカニズムが根強いことにあります。』

それをぶち破るために異次元緩和を実施して期待に働きかける政策したんじゃなかったんでしたっけ???

『この点について、点検で幾つかの分析を行っていますが、要するに、予想物価上昇率が、実際の物価上昇率だけでなく、過去の経験やその過程で培われた規範などにも、強い影響を受ける、ということが示されています。つまり、長期にわたるデフレの経験によって定着した、物価が上がりにくいことを前提とした人々の考え方や慣行の転換には、時間がかかるということです。』

でまあこれもいつも通りの説明になっていますが、こうやって悪態をつきながら引用していると良いこと(???)に気が付くんですけどこの理屈ですけどね、

『しかし、このことは、人々が実際に物価上昇を長く経験すれば、物価上昇が徐々に人々の考え方の前提に組み込まれていく可能性が高いことを示すものでもあります。』

って最近ずーっといってるんですが、これってよくよく考えてみたら(よくよく考えなくてもそうなんですが)、

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k120214b.pdf
「中長期的な物価安定の目途」について
2012年2月14日
日 本 銀 行

『3.「中長期的な物価安定の目途」は、日本銀行として、中長期的に持続可能な物価の安定と整合的と判断する物価上昇率を示したものである。この「中長期的な物価安定の目途」について、日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラスの領域にあると判断しており、当面は1%を目途とすることとした。従来は、「中長期的な物価安定の理解」として、中長期的にみて物価が安定していると各政策委員が理解する物価上昇率の範囲を示していた。 』(この部分だけ直上URL先、2012年2月公表の「中長期的な物価安定の目途」について、から引用)

ってあります麿ドクトリンの「まずは1%を目指して、そこまで達成した所で今度は2%に向けてどうすべきかとかそういうのを考えて行く」というのとゆうとることが変わらんやん!!!!!という話になっておりまして、8年間時間を空転させた挙句に麿ドクトリンかよという所で木戸銭返せっていう心境ではございますが、その間の国際的な日本の経済的地位の低下とか、全然進まない社会保障問題とか、そういうのだけはジャンジャンと時間の空転と共にアレ化しているのではないか(個人の感想です)ってなもんでもうねという所ではあります。

なお、曳かれ者の小唄は以下延々と続きますが、従来の見苦しい説明を繰り広げているだけであります上に、アタクシの方が例によって例の如く時間がアレになって参りましたので、まあ続きは多分やらない(米国ネタがそろそろ色々と出ているので整理しないとです)と思いますけどネタにしたくなったらネタにします。







2021/03/30

お題「主な意見は技術論と本末転倒論ばっかやな/泥沼の金融政策の目くらましシリーズキタコレ」

もうこの歳になると期末とか言われてもはあそうですかってなもんですが、日銀ちゃんは期末の帳尻の如く最近の流行ものに関してあれこれぶっこんでくるんですが、もはや政策は打つ手が無いのを屁理屈捏ねて誤魔化すだけなので何か前向きっぽい方に注力しだしてねえか??????????

とは言え政策周りの「主な意見」があるので鑑賞鑑賞。

〇結局のところ「点検」は戦術または戦闘の点検であり戦略の点検では無かったと

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2021/opi210319.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2021 年 3 月 18、19 日開催分)

・相変わらず物価の意見は5つしかないのか

『T.金融経済情勢に関する意見』の『(物価)』の話なのですが、相変わらず意見が5つしか無くて、まあ一応政策委員の頭数の半分は超えているだけマシではありますが、

『・ 消費者物価の前年比は、当面、マイナスで推移した後、経済が改善し、原油価格下落の影響なども剥落していくことから、プラスに転じ、徐々に上昇率を高めていく。』

はいはい大本営大本営。

『・ 消費者物価の前年比は、エネルギー価格などの一時的なマイナス要因を除けば、小幅のプラスを維持しており、経済の落ち込みに比べると底堅い動きが続いている。』

はあそうですか、だってコロナショックはテンポラリーじゃないのかね。

『・ 付加価値の減少に繋がる値下げの動きは拡がっていないが、物価の低迷が長引くリスクに注意が必要である。』

ってそもそも盛大なマイナス金利だのYCCだのというトンチキ金融緩和政策をしているのに、何で物価の低迷が長引くリスクに注意必要、で話が終わるんでちゅかねえ。

『・ 欧米においてはインフレ率の上昇を警戒する議論がみられており、わが国でもアフターコロナの物価動向については、上下両方向のリスクを丁寧に検証する必要がある。』

別に日本の場合は上はリスクにならんと思う。

『・ 先行き経済は回復するものの、引き続きわが国の物価の動きは弱いとみている。インフレ予想は弱含んでおり、賃金も上がりにくく、各種部門ショックが物価を当面下押しするリスクが大きい。欧米とは異なり、日本ではインフレリスクよりも依然としてデフレリスクの方が高い。』

何となくこれは片岡さんの気がします。

・・・・・でですね、まあ何と申しますか、「金融政策の効果で物価が上昇する」って話に全然ならないで、もう端から「物価があがりませんなあ」という話だけで終わっている次第。片岡さんだけは「だから追加緩和」となるので、その点で言えば筋が通っている(ただし追加緩和をして物価がホイホイと上昇するコレ!という施策を示せない時点で論外おぶ論外なので結局ほかのドテカボチャと同じではあるんですけどね、あっはっは)けど、まあ端から全然物価目標を達成しようというパッションが感じられません、赤点再履修。


・点検の意見がうじゃうじゃあるのだがそもそも論が碌すっぽ無い件について

『U.金融政策運営に関する意見』ですが点検のお話ばっかりなのはまあ良いんですけど、今回の「主な意見」を見て泣きたくなったのは、この点検の部分がこういう更生になっていましてですね、

(点検関係:総論)意見5つ
(点検関係:イールドカーブ・コントロールの運営)意見5つ
(点検関係:ETF等の買入れ)意見5つ
(点検関係:オーバーシュート型コミットメント)意見4つ
(点検関係:その他)意見3つ
(その他)意見1つ(追加緩和しろという片岡さんの意見)

となっていまして、使われている紙幅もそうなんですが、こいつら政策各論の話ばっかりしていて、そもそもこの政策を継続していて全然物価が上がろうともしないしインフレ期待も上がらんのに、政策の建付けがこれで良いのか、という話が全然出てこないというのがもうねという話。

いやまあ確かに執行部は「今の政策が適切なのを前提に点検」とかいう科学的思考が欠如しているけど政治的思考が大変に素敵な態度で点検をぶっこみに来まして、まあその前の会合とかで目だった文句が出てないから今回は各論話ばっかり、ということではあるのですが、それにしてもこの人たちもうちょっとそもそも論で暴れてくれんもんなのかね、とガックシ来るのでありまする。

でまあその時点でつまらんけど読んでみる。総論って奴ね。

『・ 「点検」の結果を踏まえると、「物価安定の目標」の実現のためには、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みのもとで、強力な金融緩和を継続していくことが適当である。』

というこの屁理屈なのだが、読む気が起きないのだがこの屁理屈を捏ねてくる以上、こっちも点検資料を精読してネチネチツッコミを入れないとアカンという事ですな。

『・ 今回の対応は、政策の持続性を高めるほか、機動的かつ効果的に対応できるようになる点で、金融緩和の枠組みの強化になる。』

さすがにこの理屈は吹いた。茶を返せ。

『・ 「点検」での政策効果の分析によって、現行の金融緩和を長期的に継続すべきであることが確認された。今回の政策対応によって、「物価安定の目標」の実現のために必要な政策の持続可能性と機動性が確保できたことは大きい。この政策枠組みが、今後数年間、金融緩和政策の基本的指針となることを期待する。』

おんどれらはこの政策を今後数年間続ける気かよ・・・・・・・・と思うのだが、まあこういうのが死亡フラグのような気もしますので、こんな籠城戦で全員餓死するような政策続くぐらいなら総攻撃食らって早期に落城してくれた方が死なないで済む人も出るかも知れないと期待したい(終末思想)。

『・ 極めて緩和的な金融環境を今後も長期に亘り維持する必要があると同時に、現在の政策の枠組みを一段と安定的に維持できる形にしておくことが、将来に亘り金融緩和を約束するうえで重要である。』

そもそもあの付利制度で政策が長期化できるとか思うのが意味不明なんですが、政策委員会の皆様は金融機関に特別付利をくれてやったら文句言わなくなるから長期化できる、とかそういうしょうも無い事しか考えていないのではなかろうか、という嫌な予感がします。そういう話じゃないと思うんだよなー。

でもって最後は片岡さん。

『・ 早期に「物価安定の目標」を達成することが、金融緩和の副作用を抑える最善の処方箋である。追加緩和に際して副作用が懸念されるのであれば、その緩和措置を予め示すことも考えられる。』

副作用を抑える最善の処方箋は良いんですが肝心の「早期達成の処方箋」をそこの屏風から出していただけませんかねえ片岡さん。せめて議論のたたき台になる具体的な提案位してくれませんかねえと思いますけれども、まあ2か月散々考えて満を持して出すのが「15年金利を0.2%未満に抑える」だった片岡大先生だけに、どうせ計量モデルを適当に数字いじってグチャグチャ計算する位しか知見が無いので大所高所っぽい話をして馬脚を現さないようにしている、というのが見え見えなのがちゅらい。


・YCCの運営に関する意見を見ているとガックシとしかこない

各論見ても本質的にはおもんないのですが鑑賞物としては笑えるので鑑賞鑑賞。『(点検関係:イールドカーブ・コントロールの運営)』である。

『・ 金融仲介機能への影響に配慮しつつ、機動的に長短金利の引き下げを可能にする「貸出促進付利制度」は、利下げの可能性を限定的にみている市場参加者の認識を改めてもらううえでも有効である。』

だったらお前政策金利下げてみたらどうなの?????

『・ 副作用への対応の観点から、金利引き下げ時の対応を具体的に明記することや、長期金利の変動幅を緩和政策と整合的な範囲で明示することで、透明性を高める必要がある。』

そもそもベースが完全に屁理屈化している時点で透明性もへったくれもない。出直してこい。

『・ 長期金利が上下 0.25%程度動きうるフレキシビリティは、収益機会が失われていたアービトラージャーやスペキュレーターが債券市場から退出することを防ぎ、市場が持つ価格安定化機能を維持する観点からも望ましい。』

もうそんな人たちはこのような鉋屑しかない市場から殆ど退出(先週からずっと先物の出来高2万枚割れだし、何なら点検会合の前日にあった日経の情報(2字伏字)報道の日以外は限月交代要因以外で2万枚超えてませんがな)してるし、大体からして「市場が持つ価格安定化機能を維持する観点」ってお前何言ってるのって話で、市場機能って経済合理的に動く市場によって資源配分が効率的かつ適正に配分される可能性がほかの制度に比べて一番高い、ってことじゃねえのかと思う。

まあ何ですな、上記のような認識で「値段が動いて欲しいが大きく動くと困る」みたいな虫の良い事ばっかり考えるから、突然変なリーク記事ぶっこませて強引に相場を動かしてみたり、それで相場が動くと今度はあっという間にビビリになって反対方向のリーク記事だったり発言だったりをぶっこんで、という具合に結果的に「中央銀行が自ら債券市場を振り回しに行っていて、しかも何をやりたいのかがさっぱり分からん不規則振り回しをやるから参加者が疑心暗鬼になる」という前代未聞の面白相場になるんだと思います。


『・ 長期金利の変動幅の上限については、新たに導入する「連続指値オペ制度」も駆使して、厳格に対応することが適当である。』

まあこれは誰かの意見ではあるので全員の見解では無いのですが、声明文の表現だと、「イールドカーブ・コントロールについて、平素は柔軟な運営を行うため、長期金利の変動幅は±0.25%程度であることを明確化する。同時に、必要な場合に強力に金利の上限を画すため、「連続指値オペ制度」を導入する。」となっておりまして、25bpは「程度」になっていた筈なんですが、この意見を見ますと、以前までよりもよりYCCのレンジについてより厳格に運用しようって話になっておりまして、1月の時点での時事通信砲は何だったのかと小一時間問い詰めたい次第。

結局今回の「明確化」でレンジが却ってガチガチになった(まあどうせ25bpとかそう簡単に行かないから実務上はどっちでも同じだけど)、という話になっていまして、いやあの直前まで出ていた「柔軟化」は何だったのかという話になりますし、まあ一事が万事と申しますか、こういう辺りが「日銀が何の為に大仰な「点検」をしたのかが未だに全く分からん」という所以だと思うのであります(個人の感想です)。


『・ 感染症の影響が続くもとで、当面は、イールドカーブ全体を低位で安定させることを優先した運営が適当である。』

まあ何ですな、そもそも点検会合を実施するとぶち上げた時点では(既に感染者数の拡大が始まっていましたけど)緊急事態宣言が再発出されて2カ月以上引っ張られるとは思ってなかったというのがありまして、結局緊急事態宣言中(全面解除は決まっていましたが)にこの点検結果を出す羽目になっている時点でまあ「負け」確定だった訳で、そもそも論として「点検」がアフターコロナに向けた論点整理にならないと行けないのに、タイミングをフライングしてしまった(理由には腹話術人形が退任して言う事聞かなさそうなリフレ馬鹿が入って来る、というのはあるにせよ)せいで、何とも中途半端な論点整理になってしまって、結局前向きな話にならなかった、というのがある訳でして、まあこの意見はこの意見でそうですね〜としか言いようのない話であって、そういうタイミングに点検会合をぶっこみに行ったのが間違いでしたな、というのが良く分かるというものです。



・ETFの所は読む価値が無いのですがオーバーシュート型コミットメントの所は笑える

ということで『(点検関係:オーバーシュート型コミットメント)』に参る。

『・ 「点検」の結果として、2%の「物価安定の目標」に向けて、金融緩和は長期化すると考えられる。金融緩和の長期継続を明確にするうえで、「埋め合わせ戦略」としてのオーバーシュート型コミットメントは非常に重要である。』

そもそも「長期化すると考えられる」というのと「メイクアップストラテジー」ってのが根本的に矛盾しているお話な訳ですよ。つまりですね、メイクアップストラテジーでございって威張れるのって、要は物価目標を超過達成するような流れになってもある程度ペイシャントに対応しますよ(その時に本当に耐えれるのかはまた別の論点として思いっきり存在しますがまあここでは措くことにする)ってえお話な訳ですよ。

然るに、この人たちは「そもそも達成まで死ぬほど時間が掛かる」という認識で政策の手直しをしている訳でして、その時点で「メイクアップストラテジー」も蜂の頭もあったもんじゃない訳でございまして、早期達成するからメイクアップストラテジーをビルトインしておくことによって市場が早期の緩和解除で走り出さないようにする、という効果を期待できますけれども、そもそも当分達成しないとか言ってる中央銀行がメイクアップとか言ってもただのギャグにしか見えなくて、物価目標達成に向けた中央銀行の信認を毀損する(もうないから毀損のしようが無い説はあるが)のではないでしょうか。

『・ 今回の「点検」で得た知見を基に、オーバーシュート型コミットメントのもと、金融緩和を忍耐強く続けていくとのメッセージをしっかり伝えることが肝要である。』

いや真面目な話、達成まで長期化するってのとメイクアップストラテジーって看板はそれだけで語義矛盾しているんだから、そういう余計なことは言わない方が良いんじゃないですか、というような話にはならんのか、と思うのですが、これがまた執行部ちゃんは日銀スタッフの優秀な頭脳を駆使して屁理屈を「点検」で作り上げて、メイクアップストラテジーが有効、とかいうゴミクズのような分析結果を出してきやがるもんですからこういう話になっちゃうんでしょうね、とまあ思いました(点検にこの分析もある)。


『・ 「埋め合わせ戦略」としてのオーバーシュート型コミットメントは、緩和の長期化を意味する。デフレのリスクの方を懸念せざるをえない現状では、出口には容易には向かわないという日本銀行の強いコミットメントを示す役割を担っている。』

おんどれらがコミットをすべきなのは物価目標の達成であって、緩和政策の長期化を強くコミットした!とか威張られましても困るんですが・・・・・・・・・・・・・

『・ 「埋め合わせ戦略」を掲げていれば物価目標が達成されるわけではない。コミットメントを、戦略実現に向けた具体的な行動が伴う形へと修正することが適当である。』

最後にやっとまともに近い意見が出たのだが、肝心のアクションプランが無いですな、残念無念。


・何だかねえという「その他」の部分

その他と言っても最後のその他は片岡さんの話で、お前の主張は分かったから期待される政策波及経路を示した具体的提案をしやがれ以外の感想は無いんですが、その前の『(点検関係:その他)』も何だかなあという感じ。

『・ 金融緩和の長期化が想定される中、政策の効果と合わせて、時間の経過とともに累積していく金融システムへの副作用もつぶさに評価していく必要がある。このため、金融機構局に対して、金融政策決定会合における定期的な報告を求めることが適当である。』

お前ら普段からつぶさに評価してるんじゃ無かったの??????という所でして、まあ今までどうせ碌にそういうの考えていなかったのと思いますし、大体からして金融緩和の副作用ってそれ以外にも「金融不均衡」の話がありまして、そっちは金融市場局マターの部分と、金融機構局マターの部分が一部オーバーラップしていると思うんだが、たぶんこの人たち「金融機関収益」以外の金融緩和長期化の副作用を知らんのだろうなあ、と思われますな。

『・ 金融システムの安定への配慮は、金融機関の収益に配慮するというわけではなく、効果的な金融緩和を機動的に行うためのものである。』

前段と後段がまったく意味が繋がっていない、義務教育からやり直せ。

『・ 2%の「物価安定の目標」の必要性やその実現に向けたメカニズム、そのもとでの各種施策の位置付けについて、国民の理解深耕に繋がる情報発信や広報活動が重要である。』

>国民の理解深耕に繋がる情報発信や広報活動

えーっとそれは何ですか会合で議論すべきものが正式なルート(例えば政策委員の個別の金懇などの講演機会)などで出てくるのではなく、謎のリーク記事っぽいのが出て見たり、挙句の果てにはこれから始まる決定会合というタイミングで後付けで見たらドンピシャの内容が経済クオリティペーパー(笑)にすっぱ抜かれる、というような事でしょうか???????????

・・・・・等というイヤミはさて置きまして、今回の「主な意見」でこの点検会合に関わる無茶苦茶な事前報道合戦に決定会合当日開始直前のすっぱ抜き記事発生とか、情報管理の意味からもガバナンスの意味からもガバガバにも程がある醜態を見せ、市場は一々それに振り回されて交通事故みたいな食らい方した参加者(特にマーケットメーカーにとって理不尽極まりない動きでしたからねえ)も多かったと思うのですが、その件に関して大本営はまあ言わないのは順当としても、他の審議委員は何をやってるんだよこの能無し共がと小一時間問い詰めたい訳でして、まあ恐らく何も指摘する奴はおらんだろうなあと思ってたから驚きはしませんけど、これって要は社外取締役が経営監視を出来ていないし、何も言わないもんだから幕僚が勝手に関東軍する訳だし、ちょっとヒラ審議委員(と若田部さん)舐められすぎてませんかねえ、とあんまり誰も言ってくれないからしつこく申しあげるのでございましたとさ。

まあそんな感じで、相変わらず見るに堪えない主な意見でして、まあポンコツばかり送り込んで来る政府が悪いんですけど、もうちょっとまともにならんもんですかねえこの議論・・・・・・・・・・・


〇帳尻物件でもあり政策回りがアレだから前向きなのがこちらとばかりに・・・・・・(メモメモ)

何か知らんけどここ数日で昨日ネタにした「気候変動問題」と「中央銀行デジタル通貨」「金融のデジタルトランスフォーメーション(何でDXというのか良く知らん)」ネタでバンバンと物件が投下されているので後日の我が備忘用にメモだけしておきます。

・気候変動リスク問題

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210325d.htm/
NGFSによるレポートの公表について
2021年3月25日
日本銀行

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko210325a.htm/
【挨拶】
気候関連金融リスクへの取り組み―中央銀行の視点から―
日本銀行金融機構局主催気候関連金融リスクに関する国際リサーチ・ワークショップにおける開会挨拶の邦訳
日本銀行総裁 黒田 東彦
2021年3月25日


・CBDC

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210326a.pdf
「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会」の設置について
2021 年 3 月 26 日
日本銀行

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko210326a.htm/
【挨拶】
中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会における開会挨拶
日本銀行理事 内田 眞一
2021年3月26日

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210326b.pdf
事務局説明資料(第1回中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会


・DX

https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsrb210329.htm/
デジタル時代の地域金融
2021年3月29日
日本銀行金融機構局

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2021/rev21j02.htm/
(日銀レビュー)わが国の銀行におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)
2021年3月29日
日本銀行金融機構局


・・・・・・・・うーんこのという感じですが、まあ泥沼インパールというかガダルカナルというか、第一次大戦の塹壕戦というかスターリングラード以降の独ソ戦のドイツ側というか、という感じの敗戦処理をしておりますあばばばばーの金融政策回りよりもなんか前向きっぽくて先行きに色々な楽しい光景がありそうに思える(楽しい光景があるとは言っていない)ので、そっちで何かポイントを稼ごうとしておりますな。まあ何ちゅうか気象変動ネタにぶっこみに行く欧州もマイナス金利政策が抜くに抜けなくなってスタックしておりますけれども、戦局の泥沼状態の目くらましになると良いですね(白目)。






2021/03/29

お題「唐突ですがNGFSのレポート(のサマリー)が火の玉ビーンボールっぽかったのでネタにしてみました」

ほうほう。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210328/k10012941311000.html
「都県またいだ行動控えて」新型コロナ 感染者増加傾向の東京
2021年3月28日 19時29分

というかですな、この週末とかも集団飲み会でウェーイってのが物凄い勢いで散見されているんですけどにゃあ。まあ非リア充のアタクシには縁が無いですが。

#なお、東京都知事は聖火リレーの出発セレモニーに福島県入りしていました


〇金融政策でやることもないですからと言って中央銀行が盛大なミクロ資源配分に介入するっていうのは(気候変動)

こんなんありました。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210325d.htm/
NGFSによるレポートの公表について
2021年3月25日
日本銀行

『NGFS(Network for Greening the Financial System)は、3月24日、以下のレポートを公表しました。

詳細につきましては、以下をご覧ください。

"Adapting central bank operations to a hotter world: Reviewing some options"
(原文 [PDF] <外部サイトへのリンク>)』

https://www.ngfs.net/sites/default/files/medias/documents/ngfs_monetary_policy_operations_final.pdf
Adapting central bank
operations to a hotter world
Reviewing some options
March 2021

何か物凄くビジュアルとかカラーとかを使っているのでやる気満々だ、というのは把握したが、これがまた読もうという気が全然起きないので、と言いつつ最初のエグゼクティブサマリーの所の小見出しとテーブルだけ見るだけでも何か割とエゲツナイ事が書いてありますなあとは思った次第なので軽くサマリーの小見出しだけ並べてみます。

『Executive summary

・The context calls for concrete action
・Central banks can adapt their monetary policy operational frameworks to reflect climate-related risks
・The menu of options available to central banks to factor climate-related risks into their operational framework is potentially large』

となんかアクションしろアクションしろ、とアクション仮面状態になっておられますが、この3つ目の小見出しの中に何かかなりエゲツナイテーブルがありまして、それがまさに「The menu of options available to central banks to factor climate-related risks into their operational framework is potentially large」だそうなんですが、そのこんなテーブルTが高めのビーンボールしかも剛速球という感じです。

でもってその前にそこのテーブル出す直前の本文(ちなみに本文5ページ、PDFの6枚目)にはこんなのが書いてある。

『Based on the available literature and expert analyses, the review by the NGFS group of experts focuses on nine stylised options across these three main policy fields (Table 1).』

『They were chosen because they are relevant to multiple central banks and relate to existing tools. Some options represent a greater departure from standard central bank operational policies than others. 』

目立つテーブルを掲げておいて「Some options represent a greater departure from standard central bank operational policies than others.」もあったもんじゃないわと思いますが、何ちゅうかまあ欧州っぽいわなという事で。

『Depending on their mandate, legal environment and individual assessment, certain central banks may not find some of the stylised options to be feasible. The review therefore contains neither recommendations, nor indications of members’ preferences.』

ということで、以下のような政策オプションの具体的なものをお示しいたしましたが、法域によっては法制度の建付け上フィージブルではない中央銀行もあると思いますので、以下のテーブルに掲げた政策オプションというのは、別に我々が推奨するものでもなければメンバーの選択肢がこうですよというインディケーションでもありません、ということですが、これがまあぶっこんで来るのが炎のビーンボールという感じです、以下鑑賞しませう。


『Table 1. Selected stylised options for adjusting operational frameworks to climate-related risks』

でもってこのフレームワークですが。

『Credit operations a』『a  Credit operations are widely used to provide aggregate liquidity and usually take the form of collateralised lending.』

ということでまずクレジットだそうですが、

『(1) Adjust pricing to reflect counterparties’ climate-related lending』

とナンジャソラというお題の解説が、

『Make the interest rate for central bank lending facilities conditional on the extent to which a counterparty’s lending (relative to a relevant benchmark) is contributing to climate change mitigation and/or the extent to which they are decarbonising their business model. 』

と思いっきりミクロの資源配分に中央銀行が関与しろ、とかいう計画経済にも程があるのが出てきていまして、ソビエト連邦もニッコリ(違)。

『(2) Adjust pricing to reflect the composition of pledged collateral』

どう見てもミクロ資源配分介入です本当にありがとうございました。

『Charge a lower (or higher) interest rate to counterparties that pledge a higher proportion of low-carbon (or carbon-intensive) assets as collateral or set up a credit facility (potentially at concessional rates) accessible only against low-carbon assets. 』

何ちゅうかね、いや別に環境問題おろそかにしろとは言わないけど、金融機関の貸出資産の内容によって取り扱いに差をつける、というのがそらまあ当該金融機関が思いっきり全部賭博に突っ込んでいるとかそういうのなら仕方ないけど、カーボン何とかの部分だけ切り取ってそこに貸している金融機関はevilだから待遇を悪くしろって何なのと思うのですが、まあ中央銀行の皆様がインフレ目標云々におきまして結局フリードマン的な「物価は貨幣現象だから貨幣をコントロールする中央銀行によってコントロールできて、その物価が安定すればマクロ経済が安定するからめでたしめでたし」というような考えが打ち砕かれて財政エモン助けて〜になってしまい、お蔭で金融政策の存在意義は何でしょう、となってヒマになった頭の良い人が仕事作りに行ってるのは分かるんですけど、それにしましても何かしれっと飛んでもない資源配分介入をしようとしてないですかねえ。

『(3) Adjust counterparties’ eligibility』

『Make access to (some) lending facilities conditional on a counterparty’s disclosure of climate-related information or on its carbon-intensive/low-carbon/green investments.』

いやこういうのは金融政策でやっていく、というのはどうなのよと思うのでありまして、中央銀行が勝手にやるんじゃなくて、ちゃんと議会とかで民主的プロセスを通過してやって良し、となってから(まあEUは議会とかでやってはいますからプロセス経てるって言い出しそうですが)だし、フワッとした話じゃなくて個別規制の問題を明確にしてからの方がと思いますけどね。

・・・・・などと言ってはおりますが、まあこういう締め付けをしようとしているんだから、というのがこうやってどどーんと出てくると(これは中銀アクションであって規制ではないけど事実上の)規制を食らう側は先回りして対策することになりますので、まあそういうの狙ってるんでしょこのペーパー。


2つ目が『Collateral b』と来まして、客注bが『b Collateral policy defines the range of assets that can be pledged to secure central bank credit operations, as well as the risk control measures that apply to them.』と来ていますので、

『(4) Adjust haircuts c』

脚注cに『c Annex 1 expands upon the different approaches for haircuts and valuation adjustments.』とあるが、そっちまでは見ません。

『Adjust haircuts to better account for climate-related risks. Haircuts could also be calibrated such that they go beyond what might be required from a purely risk mitigation perspective in order to incentivise the market for sustainable assets.』

その手の企業向け債権の担保としてのヘアカット率を上げる、とかそういう価値判断を中央銀行がして良いんですかねえ的な(民主的なプロセスを経て議決されて法律なりなんなりで出すのが筋ちゃいますかねえ的な)物件がこれでもかと登場するのがおそロシア。

『(5) Negative screening』

ヘアカットだけでは飽き足らすネガティブスクリーニング来ました。これはソ連邦もニッコリ(違)。

『Exclude otherwise eligible collateral assets, based on their issuer-level climate-related risk profile for debt securities or on the analysis of the carbon performance of underlying assets for pledged pools of loans or securitised products. This could be done in different ways, including adjusting eligibility requirements, tightening risk tolerance, introducing tighter or specific mobilisation rules, etc.』

何かもう産業狙い撃ち政策にしか見えないし、これFEDが乗って来るとは到底思えない・・・・・・・・・・

『(6) Positive screening』

おまけにポジティブスクリーニングと来ました。

『Accept sustainable collateral so as to incentivise banks to lend or capital markets to fund projects and assets that support environmentally-friendly activities (e.g. green bonds or sustainability linked assets). This could be done in different ways, including adjusting eligibility requirements, increasing risk tolerance on a limited scale, relaxing some mobilisation rules, etc.』

気候変動に対する対策に取り組む企業への債権に対して優遇措置を取るとか、まあ何ちゅうかそういうのをやるなら議会を通してやるべきで中央銀行が勝手にやるのってそれ有司専制にも程があると思うんですけどねえ。まあ欧州様(どうせこういうの言い出すの欧州じゃろ)の考えることは良く分からん。

『(7) Align collateral pools with a climate-related objective』

ナンヤソラ。

『Require counterparties to pledge collateral such that it complies with a climate-related metric at an aggregate pool level.』

何ちゅうかこれ気候変動リスク対応ってのを利用して中央銀行が民間活動に無茶苦茶に介入して計画経済チックなことをする官僚統制経済を狙ってるんじゃねえのか位の感じがして来まして、こいつら気候変動リスクに対応したいんじゃなくて単に民間を支配したいだけ何でねえのなどという邪推が・・・・・と朝からお客様が来たようで(以下通信が途絶える)。


・・・・・・・さて気を取り直して3本目の柱ですが、『Asset purchases d』というモロなのが登場。脚注dを見ますと、『c Annex 1 expands upon the different approaches for haircuts and valuation adjustments.』だそうだがアネックス1は読んでない(見ただけ)なのでパス。

『(8) Tilt purchases』

『Skew asset purchases according to climate-related risks and/or criteria applied at the issuer or asset level.』

どうせ気候変動リスクに対するアカン企業の債権は買うなという話だろと思ったらその通りの説明。

『(9) Negative screening』

『 Exclude some assets or issuers from purchases if they fail to meet climate-related criteria. 』

まあ担保の話と同じ話ですが、まー何ちゅうか炎のビーンボールというか炎のワイルドピッチというか、割ととんでもない火の玉ストレートを放り込んできやがっているのよね。


さてこの図表の次が、

『・Four criteria can help review the menu of options available to central banks』

という小見出しになっていまして、本文をちょっと読むと、

『Assessing different climate-related adjustments to monetary policy operations is difficult because of the heterogeneity of central bank operational frameworks.』

そもそも中央銀行が職分としてやるべき矩がどうのこうのとかいうような発想は無いのは把握した。

『Regardless of these differences, the potential adjustments to central bank operations can be assessed against four general principles (see Table 2).』

『These are: (1) Consequences for monetary policy effectiveness; (2) Contributions to mitigating climate change; (3) Effectiveness as risk protection measures; and (4) Operational feasibility.』

『Depending on their mandate and on the course of action chosen, central banks may assign different weights to these four principles.』

となっていますが、本文7ページになんか外人の好きそうなデザインの表があってそれがテーブル2なのですが、

『Table 2. Simplified comparative assessment of the selected generic options under review』

となっていまして、上記の4つの観点に立った時にさっき並べていた推奨でも行動規範でもないみたいな言い方をしながら投げ込んだ火の玉デットボールの9項目を上記の(1)〜(4)のマトリックスにぶっこんでいる、ということで、どう見てもお前ら推奨しまくってるだろうという気はだいぶしますな。

ちなみにその4つのポイントの最後の「フィージビリティ」の締めが、(本文7ページ、PDF8枚目)

『All in all, adjusting central bank operational frameworks to more adequately reflect climate-related considerations is feasible. Yet the climate-related adjustments of central bank operations have to overcome a range of practical and analytical challenges, including data gaps and uncertainties with regard to risk quantification. There is a priori no “one size fits all” option that clearly maximises the benefits across all four principles listed above.』

ということで結局お前ら推奨してるじゃんとか思いました、まる。


でもってその後ですが小見出しは、

『・Enhanced disclosure of climate-relevant data is instrumental to support central banks’ actions 』

とかいうのがありまして、その次に、

『・To take action, central banks must decide on some strategic issues』

ってのが来るんですが、ここにある『Figure 1. Strategic choices for adapting monetary policy operational frameworks to climate-related risks』ってのがまた何かどこぞのコンサルが書きそうな絵になっているのが味わいがあります。

なお、その小見出しの所が最後になるんですが、その本文の冒頭が、

『Central banks can formulate a clear strategic view on their tolerance of climate-related risks and decide how forward-looking they wish their frameworks to be. 』

金融政策はバックワードルッキングばっかりしてるのにフワッとしたものにはフォワードルッキングが出来るんですね!!!

『Central banks need to form a clear opinion surrounding the appropriateness of various climate-related metrics in order to adjust their operational frameworks. At the current juncture, in the absence of reliable and commonly agreed ways of putting a price tag on climate-related risks, central banks wishing to act may have no choice but to consider using non-financial climate-related metrics as a pragmatic starting point.』

『Central banks should develop policies to monitor and manage issues surrounding data quality and availability. The limited availability and accuracy of relevant data is currently constraining virtually all climate-related risk metrics. 』

という訳でフィギュアー1になるのですが絵なので引用はしません(みてちょんまげ)。更にこの最後の所だけ本文を読みますと、

『Against this backdrop, central banks face some trade-offs when dealing with climate-related risks. On the one hand, central banks have to operate within their specific legal framework, and as publicly accountable institutions, they have to provide rigorous evidence in support of all actions they take - this may lead them to taking a cautious approach to adopting policies for new risk drivers such as climate change.』

『On the other hand, central bank balance sheets might already be exposed to climate-related risks, which is why early action to mitigate them would be called for in the interests of the prudent risk management of public funds.』

うーんこの。

『Owing to the heightened uncertainty surrounding the exact timing and magnitude of climaterelated risks’ materialisation, the optimal policy for many central banks is likely to be to adopt gradual, predictable, precautionary risk protection measures. This approach should be in line with, and conducive to, emerging best practices.』

何ちゅうかこのマクロ経済のコントロール力の限界が露呈して存在意義出そうとして統制経済方面に走ってねえかという気がだいぶする物件に見えてしまうのですが、最初のサマリーだけしかワシも正直読んでない(しかも斜め読み)のですが、この調子で本文が延々とあるのかと思うと頭がクラクラするんだがまあそういう事のようです。


・・・・・・とか書いてたら時間が無くなったのでこれで勘弁して頂きますが、まあどうせ金融政策ちゃんの方は地蔵だし、FEDが何かやる(のを示唆する)にしたってどんなに早くてもジャクソンホールくらいまでは何もないでしょうし、それよりも日銀が2015年12月の二の舞をやらかしそうな方が早く来るかもしれないですけど、まあいずれにしても目先ネタはあれども結論は「金融政策は地蔵」なのでこっちもついうっかりこういう流行りのネタに飛びついてみました、という感じでございました(大汗)。






2021/03/26

お題「総裁会見ネタの残り(2%関連)/1月会合議事要旨/季刊「にちぎん」から攻めの企画キタコレ」

これは見事な伝統芸能コンテストorz
https://www.asahi.com/articles/ASP3T4QKGP3TUTFK00F.html
聖火リレー「始まったら、もうやめられない」 政府高官
2021年3月25日 14時21分

あれ?去年途中で止めてましたよね???


〇総裁定例会見ネタの鑑賞のこりちょっとだけ

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2021/kk210322a.pdf

・ワイもよくわかんなかった理由は説明を見てもよくわからない(ETF買入)

こんな質問がありました(後半は昨日ネタにした奴で「付利の充実で貸出インセンティブが大事というならそもそもマイナス金利要らなくね??」という実に良い質問)。

『(問) ETF、J−REITについては、機動的な買入れをするということだと思うのですが、そうだとすると、上限の 12 兆円、J−REITでいうと1,800 億円を撤廃するという考え方もあると思うのですけれども、これを残した理由は何でしょうか。(後半割愛)』

全く仰せの通り。この12兆円維持って訳分らんですよね。12兆円ってのはレギュラー枠の6兆円+コロナ臨時拡大の6兆円で、ベースの6兆円の数字を外してるのに12兆円維持ってナンジャラホイ以外の何物でもない。

『(答) 昨年 3 月、新型コロナウイルス感染症の影響で市場が非常に不安定化したときに、ETF・J−REITの買入れの上限を倍増し、ETFについては 12 兆円としました。そのとき、年換算で約 12 兆円くらいのペースで買い入れていたと思いますが、それによって、あのような市場の不安定化もかなり急速に収束しました。今後感染症の収束があったとしても、どのようなショックが来るか分からないので、あのときに最大限の効果があった 12 兆円という上限を維持して、その中でメリハリを利かせて、必要に応じて弾力的、柔軟に、ETF・J−REITを購入することにしたものです。』

何で12兆円なのかの説明(屁理屈にも値しない理屈)にはなっていますが、上限を設定しないで買うーの方が分かりやすいんじゃないですか、という質問の答えにはなっていません。

『上限の数字を示さないことで、特にETFやJ−REITの買入れがより柔軟に行えるということはなく、十分な大きさの上限を示すことにより、その範囲でかなり大胆かつ大規模に購入する姿勢を示したとご理解頂きたいと思います。(後半割愛)』

基本的に更問いが出来ないから惜しいというか、こういうの1から100まで関連する更問いのエビデンスを用意しておかないと咄嗟に出てこないのですが、もし更問いができて、この屁理屈に切り返すとしたら「じゃあ何でコロナ対応の時に国債買入に関しては80兆円の目途を削除したんですか?」ですかね。どう答えたんだろう(何となく思いつくが、日銀の優秀なる屁理屈大魔王の使徒たる皆様の繰り出す理屈はアタクシ如きでは思いつかない秀逸なものでございますからにゃあ)。



・黒田VS雨宮ネタ

『(問) 先ほどの国会答弁の話でちょっと恐縮なのですが、総裁の発言の直後に、副総裁が、また変動する方が望ましいという逆方向にみえるような発言をされて、我々ちょっとびっくりしたわけです。このときの発言を、総裁はどのようにみておられたのかということと、今回、±0.25%というのは決して拡大ではないと総裁は説明されましたが、一種、二人の発言を踏まえると、折衷案みたいな形にもみえるのですが、その辺もご説明頂ければと思います。』

折衷案に見えますよね〜。

『(答) 私の発言も、雨宮副総裁の発言も、何か矛盾したことを言っているとは考えていませんし、今回、±0.25%程度ということで、従来申し上げていた±0.1%の上下倍程度というものを以前よりも明確化した、そして公表文にも明らかにしたということで、明確化であるととらえています。』

という回答になっています。確かに「緩和効果を損なわない範囲において市場機能によって金利が動くのは望ましい」という意味では「矛盾」はしていないのですが、まあこれどう見てもその中にある「思想」は一致してないよねと思う訳ですよ。

つまり、黒ちゃんは多分動かんでもエエし別にまあ屁のような動きならどうぞって話だと思うのですが(個人の妄想です)、雨宮さんの場合は何か動いた方が良いの方に力点があって、まあそれはそれでどっちもアリなのでしょうけど、変な不規則発言で自分の思いに持って行こうとするの勘弁してほしいですよね。

ということで、まあ黒田VS雨宮ってえ事ではないとは思うのですが、ただまあその市場が動く動かんに関しては温度差あるだろうなあとは思いました(ただの個人の妄想ですが)。


・意外に2%行くのか質問が多くてそっちの方は結構結構

今回は目くらましのテクニカル修正が鬼のように入って未だに全部消化できていない(自分が直接やっている訳でもない分野のオペ変更とかまで手が回らん)という所ですが、総裁会見ではそのテクニカルに引っ張られないで2%目標はどうなった的なそもそも論のぶっこみが多かったのは大変にイイハナシダナーと思いました。

『(問) 物価上昇率 2%が実現できていないことについて、2016 年の総括的検証では、原油価格や消費税率の引き上げなどの外的要因を具体的に挙げています。一方で、今回はデフレマインドからの脱却は時間がかかるということを書いていますが、どれくらい時間がかかって、いつ 2%の目標を達成できるのか、例えば総裁の任期は 2023 年 4 月までですが、それまでに達成できるのかなど、改めて見通しを教えてください。(後半割愛)』

この施策をぶっこんで2%達成は出来るんですか?の後に出てきた他の方の質問である。

『(答) 「総括的な検証」のときも、基本的なこととして、どこの国の中央銀行もそうですが、需給ギャップとインフレ期待の二つの要素によって、物価上昇率が規定されています。そうした中で、わが国の場合は、インフレ期待の形成過程が、実際の物価が上がってくるとインフレ期待も上がり、物価が下がるとインフレ期待も下がってしまい、例えば米国のように 2%のところにインフレ期待がアンカーされているところと若干違うことを指摘しています。一時は、実際の物価上昇率も 1.5%程度、インフレ期待も 1.5%程度になったのですが、その後、物価上昇率がかなり下がってしまいました。その非常に大きい要素は原油価格であり、ご案内の通り 120 ドルくらいから一時 30 ドルを割る程度まで大幅に下がり、消費者物価の上昇率を大幅に引き下げました。それが適合的期待という形でわが国のインフレ期待自体も引き下げて、物価の上昇率を引き下げてしまいました。ただ、そのもとでも、一時的な要因を除けば、プラスの物価上昇率は今まで維持されているわけです。そういう意味で、「総括的な検証」の時と現在とで、違ったことを言っているわけではありません。』

クドクド言い訳をしておりますが原油のせいだそうです。その原油下落を受けてQQE2を実施した筈なのですが、こういう言い訳をするということはQQE2は所期の効果を発揮しなかった、という事になるはずなのですが、日銀のインチキ理屈によるイカサマ分析をすると、毎度の事でございますが(実はモチベーションが沸かないので点検のイカサマ分析を細々見れてないけど見なくてもどうせ分析ロジックはアレでしょということで)、どうせイカサマ分析では「このQQE2が無かったらこんなに酷いことになっていました、それを防いだのでこれは有効」とかいう何時ものイカサマ分析をしている筈なのです。

このイカサマ分析(いや確かちゃんとした名前があった筈だが)ちゃんですが、「他の方法は無かったのか」というケース分析をしている訳では無くて「やらないよりはマシだった」という結果しか導き出されない筈なのですが(しかもその導出もどうせパラメーター舐め舐めなのでお手盛りなんですけど)、何故かこれで分析したことになっているという、優秀な頭脳の使い方を間違えており国家的な損失であると思うのですけど、まあそういう屁理屈が今回も展開されているのでしょう(個人の妄想です)。

『ただ、インフレ期待の形成過程について、今回、かなり詳しく分析し、適合的期待形成の中身をよくみてみると、粘着的な要素がかなり大きいことが明らかになったので、その点を指摘しています。』

は?????8年もたって今更気が付いたとかお前ら何やってるのこのスットコドッコイ。

『いずれにしても、ご案内の通り、欧米も含めて、実はリーマンショック後、殆ど 2%に達していないわけです。』

物価は貨幣的現象ではなかったのかと存じますし、大体からしてとなりの車が駐禁違反をしているからと言って自分が駐禁違反をして良いという理屈は1ミクロンも成立しないのですから子供のような言い訳見苦しいから言うの止めた方が良いと思います。もしそれを言うならば「世界的に物価が上がりにくくなっている構造的な変化が起きている可能性もあります」位にしておけよと思うのですが、物価が上がらんのを構造のせいにすると、今度は置物直線一気理論の元となるミルトン・フリードマンの「物価はいついかなる時も貨幣的現象」(って本当にそう言ってたのか実は原典にあたったことがなくて置物連合会が説明しているのを見ているだけなんですが、汗)がただの机上の空論であったことを認めることになるので、この見苦しい「となりの車が交通違反しているからワイもやって良し」という言い訳を繰り返すんですよねー。

『わが国の場合も、依然として 2%に達していないことは事実ですが、点検の分析の中であるように、これまでやってきた金融緩和、特に「量的・質的金融緩和」や「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は、効果がなかったということではなく、需給ギャップを縮め、あるいは縮めるだけではなく、むしろプラスにして大きくして、そしてGDPをこれらの金融緩和がない場合よりも引き上げました。』

でも物価が上がらなかったら所期の効果は発揮していないって言うと思います。

『物価上昇率も、金融緩和がない場合よりもかなり引き上げられたとの分析結果も出ています。』

他の緩和方法を使った方が良かったのではないか、との分析が無いので却下。ちなみに(細かく見てませんけど)確か今回のこの分析、金融緩和として使っている変数がマネタリーベースじゃないんですよね、金利でやっている訳で、だったらMBのオーバーシュート型コミットメントって何の意味があるの????って話になりますよねー。しかもあれをメイクアップとか言ってるし。

『点検でも詳しく申し上げている通り、「量的・質的金融緩和」や「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組み、2%の「物価安定の目標」、オーバーシュート型コミットメント、基本的にこれらを続けていくことが適切ですが、その中で、イールドカーブ・コントロールの運営について、若干の改善や改正を今回の点検を踏まえて指摘したということです。(後半割愛)』

つまり戦略の失敗を戦術どころが現場の戦闘レベルで何とかしようという施策な訳で、実にこうジャパニーズトラディショナルスタイルであるとしか申し上げようがございません。

しかしまあ何ですな、答えが苦しいからなんですけど、まあクッソ長い説明をしますなあという感じで、もう次回の展望レポート会合とか「で、2%は何時行くんですか??」「緩和政策を継続するのは当然でも中身を変えた方が上手く行くって検討を何でしないんですか???」とかで攻め立てた方がオモロイかもしれませんね。


んでもって後の方。

『(問) 物価安定目標に対するスタンスについて伺います。昨年 4 月の時点で、物価のモメンタムはいったん失われたと言及されていると思います。足許は、個別要因とはいえ実際に物価は下がっている状況です。指摘されているような粘着的な適合的期待形成の観点からいうと、コロナ後にもモメンタムすら戻らない惧れについてどのように考えていらっしゃいますか。そもそも異次元緩和によって2 年間の達成を目指していたけれど、今や黒田総裁の任期後も物価標には長く到達しない見込みもあるというのが実情かと思うのですが、物価目標との距離というのを冷静にどのように考えていらっしゃいますか。』

と来ました黒ちゃんの回答。

『(答) 2%の「物価安定の目標」は堅持していますし、できるだけ早期に実現すべく大胆な金融緩和を進めてきたわけです。現時点で 2%の「物価安定の目標」が達成されていないことは事実ですが、これまで行ってきた金融緩和、特に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が間違っていたということではなく、そうした金融緩和がない場合に比べれば、かなり物価上昇率を引き上げていたことも明らかになっていると思います。』

詭弁キタコレですな。「もっと他に良い方法があり、それを採用すれば物価目標達成に近づくことができたのではないか」という設問に対する答えになっていませんよね。なぜかというと毎度日銀の分析が「この政策をしなかった場合どうなっていたか」との比較(その比較も毎度のパラメーター舐め舐めの我田引水比較を高級な数学的手法でデコレーションしたものですけど)でしか無いから。

『引き続き、粘り強く金融緩和を続けて、2%の「物価安定の目標」を達成したいと考えています。そのためにも、今回、金融緩和の持続性と機動性をより高める工夫をしたということです。』

なぜジャパニーズの皆さんは「上手く行かなかったので他のやり方を考えてみる」とならないのか。


さらにこの質疑にこんなのがおっかぶさってくる、いいそもっとやれ。

『(問) 先ほどの 2%の目標達成に関連してお伺いします。今回の点検結果は2%の物価目標に向けた最終的な対応決定ということでよいのでしょうか。それとも、今後も定期的に今回のような点検を重ねていくのでしょうか。』

もうやめて!!にちぎんのライフはとっくにゼロよ!!!!!(いいぞもっとやれ)

『また、今回の政策点検によって、どれくらい目標達成が近付いたとお考えでしょうか。2022 年度というのは0.7%予想でしたが、2023 年度予想では目標達成に向けて確実にステップアップできるのか、また総裁任期中に目標達成、もしくはそれに近い状態に持っていけるのか、総裁の考えをお伺いします。』

あ、昨日申し上げた「こう質問したらエエヤン」の「今回の政策点検によって、どれくらい目標達成が近付いたとお考えでしょうか」がありましたね。サーセンサーセン(見事に見落としてた)。

『(答) 2%の「物価安定の目標」の達成は、日本銀行法に定められている物価の安定という使命に則したものであり、これを堅持するという方針に全く変わりはありません。』

目標を堅持するとマントラを唱えていれば目標が達成できるんだったらアタクシも明日から「俺は石油王になる」って毎日唱えましょうかねえ。

『ただ、今回の点検でも示したような様々な要因があることも事実ですので、それに対応すべく、』

対応してねえじゃん。

『より持続可能で機動的な金融政策運営を行うために、イールドカーブ・コントロールやフォーワードルッキングなコミットメントを維持しつつ、その中で、資産買入れについて、より持続可能で機動的な形に修正したということです。2%の「物価安定の目標」に向かって着実に進んでいけると考えています。』

で時期は早まったのか早まっていないのか、回答しないで逃げるとは卑怯なりって感じですね。


・・・・・・ということで2%目標との関連の質問はとにかく言い逃れに終始(するしかないのも事実ですがw)しておりましたな、という事です。



〇1月決定会合議事要旨

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2021/g210121.pdf

・貸出支援基金の継続の所で何か一応レビューがあるじゃん一言だけだけど

何か議論もなくノーズロで延長してるんじゃないでしょうかっていう『U.貸出支援基金の今後の取扱い』って所ですが・・・・・・・

『1.執行部からの説明

貸出支援基金(成長基盤強化支援、貸出増加支援)は、幅広く利用されている。引き続き、金融機関によるわが国経済の成長基盤強化および貸出増加に向けた取り組みを促す観点から、これらの措置を1年間延長することとしたい。ついては、「貸出支援基金運営基本要領」の一部改正等を行うこととしたい。

2.委員会の検討・採決

採決の結果、上記案件について全員一致で決定された。本件については、その骨子を対外公表文に記載するとともに、その詳細については、会合終了後、執行部より適宜の方法で公表することとされた。 』

となっております。例えば2019年の時の延長では、

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2019/g190123.htm/(2019年1月決定会合議事要旨)

『II.貸出支援基金等の今後の取扱い

1.執行部からの説明

貸出増加や成長基盤の強化に向け、金融機関と企業・家計の前向きな行動を引き続き促していくとともに、復興に向けた被災地金融機関の取り組みへの支援を継続する観点から、「貸出増加を支援するための資金供給」、「成長基盤強化を支援するための資金供給」、東日本大震災および熊本地震にかかる「被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション」等の措置について、受付期間を1年間延長することとしたい。ついては、「貸出支援基金運営基本要領」の一部改正等を行うこととしたい。

2.委員会の検討・採決

採決の結果、上記案件について全員一致で決定された。本件については、その骨子を対外公表文に記載するとともに、その詳細については、会合終了後、執行部より適宜の方法で公表することとされた。』(この部分だけ直上URL先の2019年1月開催の金融政策決定会合議事要旨より引用)

ってな感じで、ノーズロ感満載の記述だったのですが、今回は執行部の説明に初めて「貸出支援基金(成長基盤強化支援、貸出増加支援)は、幅広く利用されている。」って状況報告らしきものが存在したので毎年同じようについてた悪態が回りまわって聞こえてくれたかとか思っちゃったりもしますけれども、「幅広く利用されているから延長」ってのも何だかなーという感じで、この制度が貸出金利を無駄に下げる効果を発揮して、却って信用仲介機能を悪化させる、つまり金融機関の貸出利鞘云々もさることながら、この手の貸出金利を低く抑えてしまうような政策の存在によって、他の主要国と比較した時の信用リスクスプレッドが目の玉ひんむく程のカンナクズスプレッドになってしまい、その結果としてリスクマネーの流入を妨げており、市場を通じた資源の適正配分が進まない、とかそういうテーマに即した話というのは起きない、というのはまあアカンですなと思いますが、それを言い出すとこのオペやる意味どころか逆効果じゃね??って方向なのでまあそうは来ないでしょうなあとは思うけど。



・展望レポートに関しては読む価値を感じないので点検会合の前乗り部分について

『W.金融政策運営に関する委員会の検討の概要 』の点検会合前乗り部分を鑑賞、ということで、FOMCの議事要旨だと経済物価情勢の点検をちゃんと見るのに自分の所の中銀だと読まないという現象がもうねwww

『委員は、「2%の『物価安定の目標』を実現するためのより効果的で持続的な金融緩和の点検」についても議論を行った。議論に先立ち、議長は、執行部に対し、点検作業の主なテーマについて説明するよう指示した。』

から始まるんですが、これがクッソ長くて、だったら1月会合で発表しろよ馬鹿と思ったわ。

『執行部は、次のとおり説明を行った。@「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が金融環境や経済・物価に及ぼした効果について、点検する。その際、イールドカーブ・コントロールの運営や資産買入れなどの効果に加え、最近の物価変動のメカニズムについても点検を行う。A金融緩和が金融仲介機能や金融市場の機能度へ与える影響についても改めて点検する。』

その際他の選択肢が無かったのかは点検しないんですねわかります。

『委員は、執行部から説明のあった点検作業のテーマは適切なものであるとの認識を共有した。』

だれか「そんなお手盛り点検をしても時間の無駄だから今すぐ止めろやヴォケ」というような発言は無かったということですね、残念残念。

『ある委員は、大規模な金融緩和が金融環境や経済・物価情勢に及ぼした効果について、2016 年に実施した「総括的検証」を踏まえつつ、イールドカーブ・コントロールの運営や資産買入れなどの施策が所期の効果を挙げているか、点検する必要があるとの見解を示した。』

物価目標全然行ってないんだから所期の効果は上がっていないと思うのですがそれ以上何を点検するんでしょうか????

『一人の委員は、金融緩和が金融仲介機能や金融市場の機能度へ与える副作用についても、その累積的な性質を念頭に置きながら、改めて点検すべきであるとの認識を示した。』

定量的なの出せねえだろと思ったらなんかヘナチョコお手盛り分析があったような気がするが、とにかく見苦しくって見る気が中々起きないものを大量に作成して「ワシらこのロジックだもんね」とぶっこむ張居正スキームを採用するという画期的な手段に出ているので実に困る。

『そのうえで、委員は、点検では、副作用をできるだけ抑えながら、より効果的な金融緩和を実施するために、費用対効果の面でより効果的な運用ができないか模索する必要があるとの見解を共有した。』

マイナス金利止めたらクッソ下らない色々な面倒なものが簡素化されて物凄く効率がよくなるし、不毛なマイナス金利の押し付け合いの為に各金融機関が貼り付けている人員含めた経営資源をもっと前向きな所に投入できるようになると思うので、本当の本当に真面目な話、マイナス金利政策って金融機関収益云々以前の問題で、不毛な分野に各金融機関の経営資源を張り付けることに繋がっていて、それこそ大きく出れば日本の潜在成長力にマイナスにしか作用していないと思うんですがねえ。

『一人の委員は、経済の回復に想定以上に時間を要することを踏まえ、より持続的で効果的な政策対応を行う観点から、政策効果の整理と点検は重要であると述べた。この委員は、その際、金融緩和の効果として、物価だけでなく、雇用や需給ギャップの改善など経済全体への効果を総合的に評価すべきであると付け加えた。』

業務目標を碌すっぽ達成できなかったから定性評価を無理矢理膨らませて人事評価シートを書いている目標未達マンの姿が目に浮かんで思わず号泣しそうになりました!!!!!!!

『また、委員は、点検においては、平素の政策運営で持続性を高めると同時に、情勢変化に応じて機動的に対応できるようにするにはどうすればよいのか、考える必要があるとの認識で一致した。』

いやお前ら「必要な政策は全部打った」でQQE始まったの忘れてるんか????

『一人の委員は、これまで必要な修正を加えながら、現在でも有効に機能している政策の大枠は維持しつつ、イールドカーブ・コントロールやETF等買入れにおいて、より弾力的でメリハリのある運用が重要との見解を述べた。』

戦略の失敗を糊塗しつつ現地軍を督戦すれば何とかなると思っている参謀本部のゴミクズ将校みたいですね。

『ある委員は、イールドカーブ・コントロールについては、過度なフラット化の回避や、必要な時に躊躇なく金利を引き下げられる工夫がないか、ETF等買入れについては、一段と弾力的な買入れを行い、大きなショックが発生した時には大規模な買入れを実行できるような工夫がないか、検討に値するとの見解を示した。』

そもそも大規模な買入をすれば物価が上がるんだったら大規模な買入をすれば良いだけの話だし、そうじゃありませんよショックが発生したらこれこれができるように工夫、ってのも何ちゅうか阿呆な話で、そんなの臨時会合召集してちゃちゃっと決定すれば済む話だし、だいたいからして平常時からショックに備えたバズーカ打てるようにするってえの、よくよく考えてみたらその運用を判断するのが現場になるって話だったら、ショックを判断するのが現場ということで、それ金融政策としてのガバナンスが出来ているのかという話だし、ショックだ発動!を政策委員会が決めるのであれば(本来こっちですわな)、別に臨時でMPMを召集して決定すれば良いだけの話なので、平時からショックに用意して事務方で出来るようにしておくという発想は、事務方に核発射ボタンを渡しているようなもんでダメだろ、という気がしてきました。

『別の委員は、10 年物国債金利が、現行の金融市場調節方針と整合的なかたちで、上下にある程度の範囲で変動することは、市場機能を通じて金融機関の運用ニーズを満たすことで金融システムの安定に資すると述べた。』

そもそも市場機能ってのはそういう矮小な話なのではなくて、市場機能を通じて資源配分をすることが、計画経済のような他の手段と比較した場合、もっとも有効に機能するから市場経済ってのは大事だよね、というのが市場機能って話だと思うのですが、どうも単なる値段が動く動かないの話ばっかりしてるの何なんでしょうね、とは毎度思います。だから「市場機能を通じて金融機関の運用ニーズを満たす」とかいうトンチキな話になるんだよなー。

『この委員は、企業・家計による資金調達の多くは短期金利に連動しており、長期金利の影響を受けるものの割合は高くないことから、長期金利が変動しやすくなった場合でも、経済活動に与える影響は限定的であると付け加えた。』

家計の場合住宅ローンを固定で借りるとそうじゃない気もするのだがまあいっか。

更に話は続くんだが、これだけ論点出してるんだったら1月に結果だせたんとチャウのかね??????

『更に、委員は、点検の重点は副作用対策ではなく、副作用に配慮しながら如何に効果的な対応を機動的に行うかにあるとの認識で一致した。』

いやあのすいません。そういうのを副作用対策って言うんじゃないでしょうか??????????????

『複数の委員は、運用面の見直しや副作用への対応が、金融緩和姿勢の後退と誤解されないよう、適切にコミュニケーションすべきであると指摘した。』

不適切なコミュニケーションが連発されましたが。

『このうちの一人の委員は、2%の「物価安定の目標」の意義を再確認し、緩和的な金融政策のレジームを維持すべきであると強調した。』

維持したら達成するの??

『別の委員は、点検と合わせて、2%の「物価安定の目標」の達成に向けた今後の戦略を検討することが必要であると述べた。 』

検討してる感じは無かったですね!!!!!!!



・点検云々の後の議論(?)も何かおかしいぞこれ

その次の部分もナンジャソラのオンパレードになっています。

『以上の点検に関する議論のほか、委員は、金融政策運営に関連する各種の留意点についても意見を述べた。』

から始まる部分です。

『ある委員は、研究開発投資や事業ポートフォリオ改革、デジタル化、脱炭素化への取り組みといった、未来の成長のための企業行動を後押しすることが重要であると述べた。』

大きなお世話だしだいたいお前らがミクロの資源配分に介入すると非効率の塊ばっかり作ってるんだよという認識が無いのが困る。

『そのうえで、この委員は、デフレには絶対に戻さないという断固たる意志を示すとともに、中長期的な成長力を高める政府の取り組みと緊密に連携して、企業経営者の予見性を高め、企業や家計の成長期待を高めていくような政策運営上の工夫を検討することが重要であると指摘した。』

なるほど、予見性を高めるということでしたらば、いつ達成できるかさっぱりわからない物価安定目標を取り下げて別の予見可能な目標を掲げた方が良いんじゃないでしょうかねえ!!!!!!!!

『これに対し、一人の委員は、金融緩和は、成長力や生産性の上昇をサポートするものだが、金融政策が構造面の課題に直接的に対処することは容易ではないとの見方を示した。』

後半は然りなのだが前半はダウト。

『この間、ある委員は、日本銀行の金融市場調節の実施回数は高止まりしており、金融機関を含め、実務的な負担が重い状況にあると指摘したうえで、政策の理論的なイノベーションはもとより、政策の実務面でも、デジタル化などによるイノベーションが欠かせないと述べた。』

そもそも政策の理論的イノベーションっていうだけで爆笑の発作が起きるのだが、デジタル化などによるイノベーションの調節って何だよそれ。


・・・・・・という訳で、万策尽きて暇なのか何だか知らんけど、しょうもない話しかしとらんなあと思うのでした。



〇季刊「にちぎん」が思いっきり攻めている件について

昨日は皆様、日銀の新着を見て爆笑の発作を起こされたのではないかと存じます。

『 3/25(木)公表資料・広報活動 【対談】経済アナリスト・獨協大学経済学部教授 森永卓郎氏vs片岡審議委』

・・・・・・この文字列だけで破壊力抜群ですが、「にちぎん」に掲載された記事がPDFで見れるという親切設計になっておりますので下記URL先を開けてみますと、もう最初のサムネの破壊力が更に高まるというものです。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210325a.pdf
対談「隣人を助ける原理」に基づいた小規模分散経済へ転換せよ

ってな訳で、イロモノとイロモノが満面の笑みをたたえて悪魔合体ということで、まあ何ちゅうかなのですが、冒頭の小見出しが『エコノミストの役割は「一歩先」を示すこと』ってありまして、一歩先を示したら「15年国債金利を0.2%未満にするように追加金融緩和」なのかと大変感心してしまいました。

でまあ内容は何かモリタクを元部下の片岡さん(何ちゅう組み合わせですねんと思ったらそういう背景で、イロモノがイロモノを養成したのかとゲンナリですけどね)がヨイショしているモリタク独演会(まあそもそもこの対談自体がゲスト様の独演会企画だからそこはしゃーないけど)になっていましたが、読んでてクッソわらったのはモリタクが『私は昔から人と群れません』(3枚目の最上段14行目)とか寝言を仰せの所でして、お前散々っぱらテレビだの雑誌だのに芸人状態で出演してしょうもない話としょうもない芸ばっかりしてる癖になーにが「私は昔から人と群れません」だよ。

ちなみに、モリタク先生におかれましては「デフレ脱却国民会議」で検索すると人と群れておられる事案が見られると存じます。まあここに名前連ねてるのは置物やらヨーイチやらとゆかいななかまたちリストでもありますので、読み物をするときのネガティブスクリーニングに便利なので中々結構でして、ウィキペデイアの方はちゃんと残っていて頂きたいものだと存じます。

しかしこの対談、「にちぎん」の編集が攻めているにも程があるわと思いますが、なにせ「にちぎん・学びの部屋」に堂々と「5分で読めるマイナス金利」をぶっこんで来るだけに良い感じで轟け恋のビーンボール!って感じで実に良いです(マジで褒めてる)。








2021/03/25

お題「貸出促進付利制度に関するある疑問点/総裁会見から少々」

https://www.yomiuri.co.jp/sports/sumo/20210324-OYT1T50180/
5場所連続休場の横綱鶴竜が引退…「鶴竜」親方に
2021/03/24 13:53

5場所連続休場で引退する横綱がいるようですが、大口叩いて達成すると抜かした目標の達成している筈の時から数えて6年連続で目標未達の中央銀行総裁が日本にはいるのですけどねえ。ああその前に2年で達成しなかったら辞任って言っててその後3年間のうのうとお勤めになった副総裁がいますけどね!!!!


MPMレビュー雑談はボチボチ成敗しますが、まあこれがアタクシ気になって仕方ないので、という物件の雑談から参ります。


〇実を申せばこれも気になるんですよね(貸出促進付利制度)

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k210319b.pdf
より効果的で持続的な金融緩和:政策面での対応

こちらの右側にある「貸出促進付利制度」ですけど、特別付利対象になるのがコロナオペになるというのは現状がそうだから良いんですけど、更に今回特別付利の上乗せがぶっこまれているんですよね。

『貸出促進のための資金供給の残高に応じて、インセンティブを付利(短期政策金利と連動)

―― 金利引き下げ時の金融機関収益への影響を貸出状況に応じて和らげる
―― 各カテゴリーの付利水準・対象資金供給は今後の状況に応じて、MPMで変更』

となっているんですが、ここで物凄くアタクシが引っ掛かっているのはここです。

カテゴリーI
(適用金利)
0.2% カテゴリーUより高い金利
(対象貸出)
コロナオペ (プロパー分)

カテゴリーU
(適用金利)
0.1%
(対象貸出)
コロナオペ (プロパー分以外)

・・・・・・うーんこのという感じでございまして、さてこのコロナオぺ、当初は企業金融対策として通常の企業向け貸付債権と社債を担保として行うってそれ既存のオペの振り替えなんですけど何がコロナオペ??という感じで始まって、最後には「中小企業対策」っぽい大正義な物件として発展していきました、とまあそういうオペなんですよね。

最初はこんな物件でした
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200316e.pdf
新型コロナウイルス感染症にかかる企業金融支援特別オペの導入について
2020 年 3 月 16 日
日本銀行

この時は、

『新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動への影響を踏まえ、企業金融の円滑確保に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持する観点から、民間企業債務の差入担保の範囲内で資金供給を行う特別オペを導入する。』

ということで、金融機関の保有する担保のうち、民間企業債務(社債、CP含む)に関する部分にマクロ加算2倍ボーナスを付ける(特別付利は無いので、実質的には同額ボーナスマクロ加算みたいなもんですが)という物件でしたが、んなのでは札が集まらんと見た日銀は・・・・・・・・

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200427b.pdf
新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペの拡充について
2020 年 4 月 27 日
日本銀行

この時に担保範囲を拡大して『幅広い民間債務(住宅ローン債権信託受益権、資産担保債券等)を対象担保に追加する。』となって、えーっとすいませんそもそもABSはまだしも、RMBSってそれコロナと何の関係ありますねん、という物件になったのですが、いずれにしてもそれだけでは札が集まらずに量が稼げないということで、

『本オペの利用残高に相当する当座預金に+0.1%の付利を行う。』

ということで、マクロ加算2倍+1倍分はゼロ金利ボーナスじゃなくて10bpボーナスにして札を集めようとしたらまあホイホイと札が集まった訳ですよ。だってコロナ全然関係なくても民間債務だとこの担保に使えるんだもん。

でもって更に今度は、

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k200522a.pdf
中小企業等の資金繰り支援のための「新たな資金供給手段」の導入
2020年5月22日
日本銀行

ってことで、

『2.対象となる適格融資

(1)制度融資
緊急経済対策における無利子・無担保融資や新型コロナウイルス感染症対応として信用保証協会による保証の認定を受けて実行した融資

(2)(1)に準じるプロパー融資

プロパー融資のうち、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業等に対して行う、融資条件面で(1)に準じる融資(1先当りの上限:1,000 億円)』(ちなみにこの1000億円の上限はその後のMPMで撤廃されています)

ということで、「中小企業"等"の資金繰り支援」というのが入って(これも10bpボーナス付き)いる訳ですけれども、まあこういう流れを見ていてさっきのカテゴリーを見ていると「?????」となってしまうんですよね。さっきのカテゴリーを再掲すると、

カテゴリーI
(適用金利)
0.2% カテゴリーUより高い金利
(対象貸出)
コロナオペ (プロパー分)

カテゴリーU
(適用金利)
0.1%
(対象貸出)
コロナオペ (プロパー分以外)

ってなってるじゃないですか。でもって一連のコロナオペの最後にぶっこんできたのってこの「中小企業"等"の資金繰り支援」なのですが、何故か知らんけれども上記の「中小企業"等"の資金繰り支援」ではカテゴリーとしてどう見てもメインカテゴリーの振りをしている(1)よりも(2)の方が今回の貸出促進付利制度のスキームでは高率奨励付利をもらっているんですよね。

そらまあ金融機関が信用リスクをより大きくとっているのは保証協会保証付きとか地方自治体の紐付き制度融資よりはプロパー貸しであるので高率適用、っていう理屈は一つの理屈としては分かるんですが、ただまあそれが元々のこのコロナオぺの制度の趣旨からしてどうなのよ、ってのをアタクシは問題視している、ということで、まあ我ながら理屈にうっせえわという感じでしょうけどそういう事なのよ。

つまちですね、そもそもこの一連のコロナオペの中において、「貸出に直接紐付きの形でのバックファイナンスっぽい日銀資金供給」部分って「中小企業"等"の資金繰り支援」と銘打って導入した物件な訳ですよね。

だったら「中小企業"等"の資金繰り支援」の(1)の方が本来メインになるはずで、(1)に高率適用をするのが筋論として然るべきではないかと思いますし、大体からしてアタクシも金貸しの手先をしていたから何となく想像はつく(ただし手先をしていたのは大昔なので状況は違うかもしれんけど)けど、普通に考えて「制度融資に融資条件面で準じるプロパー融資」などという融資をする相手って中小企業よりも寧ろ大きな企業相手になりそうな気がするんですけれども、何故か中小企業向け制度融資ではなくて、プロパー融資の方が優遇されるの???と思うのよ。

要するに日銀ちゃんとしてはそもそもこの制度導入した時に本当の本当に「中小企業の資金繰り支援をしよう」と思ってたのか???ってこと。

昨年5月に導入して、その時に既存の企業金融支援と一体運用となった今回のコロナオペですけれども、少なくとも「中小企業の資金繰り支援」を謳って、そこに有利なバックファイナンスを付けよう、っていうんでしたら、普通に考えて制度融資分に対して高率奨励付利を適用すべき、って思いつく筈だと思うのに、見た目上はメインじゃないプロパー融資の方に高率適用という時点で、まあ昨年5月に「中小企業」を持ち出したのって、FEDが中小企業向けローンファシリティとかをぶっこんでいるのに対抗するためなのか、世間様にいい顔をしたいからなのかは知りませんが、「中小企業支援」はただの見せかけの看板でしたの?って突っ込まれたらどう答えるんだよという制度設計になっている辺りが日銀らしからぬ(あるいは黒田体制以降の日銀らしい、とも言えます)所業ですなという事でありまする。

どうせまあ「プロパー融資」の方が残高でかいとかそういう事情があるんだろうとは邪推するところではあるのですけれども、中小企業向けじゃない融資がマジェマジェされていそうな「プロパー融資」の方に高率適用とか、要は昨年5月の「中小企業"等"の資金繰り支援」も日銀的に見てたのは「等」の方だったんですねーというのがバレバレになってしまうって間抜けにも程があるのですが、何でこういう設計になってしまったんでしょうかねえ。過去との整合性もうちょっと考えてよと言いたい。


・・・・・とまあ重箱の隅とか言われそうな部分をクドクドと申し上げていますが、要は特に黒田体制の途中からの日銀ってこの事案が一事が万事って感じでして、「政策を入れた時の意図とか目的とかをすっかり忘れて全然違う政策手段にすり替えて運用している」という事をアタクシは問題視したいる訳ですな。

つまり、政策の所期の目的がこうであり、それに対してこの政策を割り当てるとこのような波及経路から効果が出てくる、みたいなことをキチンとやらないで、何でもかんでもノーズロでホイホイと政策の中身をドンドン変質させていって、そもそもこの政策って何のために導入したんだっけという点をグジャグジャにして次から次へと施策を流用することばっかりやっているから、そら何年やっても政策が良くならん訳で、そういうスタンスで政策のガワが同じなのに中身がコロコロ変質するような事をしているのに「点検」とかワイのヘソが茶を沸かすわという話なんですよ所詮は。

いやーそんな訳であの点検の参考資料って読む気が中々起きないのですが、何せ日銀のヤローは今回の「点検」を張居正スキーム(先日申し上げたネタね、公文書全部送り付けて言官が批判してきたら該当公文書の内容を言わせて言えなかったら怠慢の廉で杖刑にしてぬっころすという荒業)として使う気満々(そらまあ杖刑にはされないけど、笑)という事ですので、実にこう読む気が進まないのですが読まざるを得ないんですけど、何せこちとら無学と来ているのでキツー。


ええ、まあこのカテゴリー分けの話だけでここまでああでもないこうでもないと悪態こねくり回す自分も大概に頭のネジのどっかがおかしいんじゃないかという自覚はあるんですけど、とにかくコロナオペの有り方に対して優遇すべきカテゴリーが筋論として違くね??というアタクシの金旋ちゃいます琴線に触れるパターンであります所の気持ち悪い適用の仕方と思ったので・・・・・・・・・・


なお、更にもう一つ申し上げると、このオペって「コロナオペとして一体運用」になっているので、いわゆる制度融資に関する部分とプロパー部分がどの位の割合で混ざっているのかとかそういうのが非公表だし、大体からしてその内訳報告させてるのかが???だったりするのですが、改めて報告ということになるのでしょうな。


〇総裁会見である

さてそんな感じで分かったような分からんような論点でネチネチと申し上げたところで今更ですが総裁定例会見。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2021/kk210322a.pdf

最初の説明がクッソ長くて、超長期金利の過度の低下がどうのこうのと仰せの中、MPM後に盛大に20年がフラットニングしてて、しかもベアフラなら話はまだ分からんでも無い所、カレント40bp台に突っ込んでいるのにブルフラはするわツイストフラットはするわという相場で、m9 (^Д^)プギャーってネタを書こうとおもっていたら昨日の途中までは栄耀栄華を誇っていた20年が途中から失速して引けでは残念(?)ながらフラットニングになっていなかったのが残念無念。

でまあそのクッソ長い(それだけ今回の会合でクソ細かいネタをバカスカぶっこんでいる、ということで、戦術というよりも戦闘レベルが優秀なのに戦略がタコというトラディショナルジャパニーズオーニゼーションな日銀ちゃんに余計な工夫のお時間を与えるとあれもこれもと無戦略にぶっこんで来る典型でしたわ何で最初の説明が3ページ半もあるねんですがもうすっ飛ばしてその先から行きます。


・YCCの所は結局何のために「明確化」したのかという根拠が薄弱だし何もしない方がマシだったようで

『(問) 今回、長期金利の変動幅を、±0.25%程度と明確化しました。これまで、±0.1%の倍程度ということでしたので、拡大したと受け取れるのですが、総裁は、5 日に国会で長期金利の変動幅について、拡大する必要があるとは考えていないと述べていましたが、今回拡大した背景について、説明をお願い致します。』

そら聞くわ、というかこの答えにあるように「拡大した訳ではない」のであれば、そもそも論として明確化をする必要もなかった筈で、「拡大」の話を火消し、即ち「緩和の後退ではない」を強調しようとして説明を行った結果、今度は連日の20年ブルフラット、と言いたいけど昨日の取引中盤以降フラットニングが一服したのは惜しいかなって感じですが、まあ結局てめえらで火付けをしたら燃えすぎて火消しのためにいろんなもんぶちまいたら今度は燃えなかった草木まで枯れちゃいましたみたいな、実に悲しい流れだった、というのがこれまでの動きと今週の流れですよねー。


『(答) 金利の変動は、一定の範囲内であれば、金融緩和の効果を損なわず、市場の機能度にプラスに作用します。この点は、今回の点検で改めて定量的に確認したところです。』

これも確認しないと行けないのか。でも何で「定量的」なんだよという感じで、金利の変動だって、その背景が今回みたいな「中央銀行マニュピレーション」だと、どこからどう見ても市場の機能度って下がる訳でして、現に(期末で投資家が動かん要因はあるにせよ)MPM後の債券市場って先物の出来高も碌すっぽ伴わない中でエライ勢いで超長期のカーブがフラットしたり、昨日の後場以降みたいに急に戻ってみたりとしているのって、「中央銀行マニュピレーションで振り回された結果、市場参加者(というかマーケットメーカー)が経済物価情勢などのような要因ではない超人為的な予見不可能要因が相場を動かすというリスクを鑑みると、まともにマーケットメークしてて突発的中銀マニュピレーションに引っ掛かって思わぬ損を出したらアホクサ、となるからそらリスク取らなくなるし、マーケットメーカーがリスクを取れない状態だとちょっとしたオーダーフローで値段がすっ飛ぶし、イールドカーブもグニャグニャ動いてしまうのでヘッジが効きにくくなるし、とかになるのですが、まさにそれを具現化した相場がMPM直前直後くらいから一層顕著になってきている、という状況ですよね。

然るに、この人たち「定量的」分析(実はチラ見したけど読む価値がアレと判断して熟読していない)で何か「変動がプラス」とか寝言を抜かしているのですが、んなもん経済物価情勢とその先行きに対する参加者の多様な考え方がぶつかり合って出来る価格変動と、中央銀行が火付けと火消しのマッチポンプマニュピレーションをやって出来る価格変動を一緒くたにするとかアホの極みにも程がある訳で、そんなトンチキ点検をベースにこの決定したのかよと思うとおじちゃん悲しくなるわ。

『こうした観点から、2018 年 7 月に「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を行った際に、市場機能の維持と金利コントロールの適切なバランスを取るため、長期金利の変動幅については、「概ね±0.1%の幅から、上下にその倍程度変動し得る」こととしました。』

「しました」のにディレクティブに記載されていないとは何ぞ。

『今回、長期金利の変動幅を「上下に±0.25%程度」と明示したのは、これまでやや幅を持って表現していたものを明確化するもので、変動幅を拡大したわけではありません。』

ぷぷぷ。

『なお、2018 年 7 月に「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を行った後、いったん長期金利の変動幅が拡大し、国債市場の機能度は改善したのですが、その後、変動幅が結果的に狭くなるということが起こりました。』

そらオメーらがあっという間に指値オペぶっこんだうえに、物価目標が待てど暮らせど達成できないからだろ。

『そうしたもとで、金利の変動は一定の範囲内であれば、金融緩和の効果を損なわずに市場機能にはプラスに作用するという点検の結果を踏まえ、市場機能の維持と金利コントロールの適切なバランスを取る観点から、長期金利の変動幅を明確化することが適当だろうと考えたわけです。』

そもそも「明確化」したらファジーさが無くなる分だけ動きにくくなる筈なんですけどね。いや真面目な話、30か20にするならまだ話はわかる(30なら拡大だし20ならギチギチに行きまっせ宣言だし)のですが、25とか出してきた挙句に「明確化」とか言う位なら端から「従来通りで何ら変更はありません」のままで良かったんじゃないでしょうかね。まあこのプラマイ25は普通にチョンボだと思う。



・マイナス金利に果たして緩和効果があるのでしょうかねえ

この質問した人、わざと言ってるのか素で言ってるのかが良く分からんですが、何気に良い質問になっとる。

『(問) 短期金利に連動する「貸出促進付利制度」を、今回導入しました。いわゆる副作用を抑制する策だと思いますが、マイナス金利の緩和効果を相殺することにならないでしょうか。この辺りのお考えをご説明願います。』

まあ素で聞いているにしても実は辛辣な部分があって、「そこまでしてマイナス金利を深堀りしてなんか意味があるんですか?」という風に言い換え可能な質問ですし、まあそういう観点から答えが注目されますが黒ちゃんのお答えは以下の通り。


『(答) この「貸出促進付利制度」は、金融機関の貸出を促進する観点から行っている各種の資金供給について、「短期政策金利」と連動するインセンティブを付与するものです。』

はい。

『具体的には、金融機関の貸出を促進する観点からバックファイナンスを行っている各種の資金供給について、その残高に応じて一定の金利を付利し、その付利金利が「短期政策金利」と連動するようにする制度です。』

ここで話がさっきのアタクシの粘着悪態ネタになりますが、上記のような認識をしているのに、何であの制度の趣旨として看板に掲げている「中小企業向けコロナ対策関連の制度融資や保証協会保証付き融資」に高率適用をしないんでしょうかねえ、って思う訳ですお。

『追加緩和によって「短期政策金利」を引き下げる場合、本制度によって付利金利が引き上げられ、金融機関の貸出を更に促進する仕組みになっています。従って、この「貸出促進付利制度」は、マイナス金利のもとで、金融機関の貸出を促進することで金融緩和の効果をより浸透させることを狙いとしており、マイナス金利政策と整合的であり、むしろ、これを補完するものです。』

『インセンティブを付与して、貸出を促進させて、金融緩和効果をより浸透させるというものであると考えています。』

「金融機関の貸出ルートが金融緩和効果を浸透させる」というのであれば、別にマイナス金利の深掘りをしないでも金融機関向け特別付利のレートを単独でもっと引き上げれば良いだけの話だし、もしくはECB方式で資金供給レートをどマイナスにしておけば良くて、何もマイナス金利の方をどうにかする必要はないんじゃないですかねえ、って思うのですけど・・・・・・・・・・・


さらに次の人がこの制度の無理矢理感を指摘してまして、

『(問)(前半割愛)また、付利制度について、金融機関の収益の悪化を和らげる、影響を和らげるという意味では、これはいわゆる日銀による補助金というか、やはりマイナス金利を深掘りするために金融機関に補助金を出すということであれば、緩和の限界に直面しているのかといった辺りの認識を伺いたいと思います。』

まあ普通にそういうツッコミが来るわな、緩和の限界、とか質問すると木で鼻をくくった答えしか返ってこないのを承知で聞いてやがるなこ奴。


『(答) (前半割愛)それから、この新しい付利制度は、長短金利を更に引き下げる必要が出たときに、政策金利は今の−0.1%を更に深掘りすることになるわけですが、一方で金融機関の収益に一定の影響を与えるとよく言われており、その結果として金融機関の貸出が制約されることのないように、むしろこうしたインセンティブを付けることにより、金融機関が一層貸出をしやすくすることを狙っているわけです。金融緩和に限界がある、マイナス金利の深掘りはできないとおっしゃる向きがありますが、私どもは、そういうことはなく、むしろ今回の付利制度によって長短金利を更に引き下げることがより機動的に可能になったと考えています。』

まあこれ見て思い出すのは2015年12月に行われた「補完措置」ですよね。あれってQQEやって一瞬良い感じになってきたのですが、次第に魔法の効果が薄れて政策がカボチャ化してきたときにQQE2をぶっこんだもののイマイチの結果となり、おまけに大風呂敷広げ過ぎたから買入系のオペレーションが限界になり(当預付利10bpあるのに短国の金利がマイナスに突っ込むとか)、という中で「QQE政策の限界」という話(でもよく考えたらあの時の限界話ってオペレーショナルな限界であって今の方がもっと本質的な限界になってますよね)があって、それに反発するかの如く「補完措置」を取った訳ですよ。

でもってその補完措置ぶっこんだら、思いっきり逆効果で「限界が明らかになった」とかいう話になり、それにブチ切れたんんだか何だか知りませんが、いきなりそれまでやらないと言ってたマイナス金利政策を1月末に唐突にぶち込んで来る、という結果になったんですよね。

ということで、今回のこの当預の措置って「限界でないことを見せようとしている」という点で2015年12月の「補完措置」導入に極めて似ているのが実はヤベーと思っていまして、アレと同じパティーンですと、4月の決定会合でまさかのマイナス金利深堀りに追い込まれるの巻になるんじゃネーノという、根拠は何も無いのですが、轢死もとい歴史は繰り返すの法則を思い出してガクガクブルブルしている次第なのですよね。まあやれるもんならやってみろというヤケクソな思いもあるけど。


・これは良いそもそも論

次の質問が素晴らしい(この前申し上げたようにショパンの事情で会見見てる暇が無かったので、ベンダーのニュースを後から読んでも(なお土曜の朝刊は買ってない)質問の方がどういうの出たのかってイマイチよくわからんのですよこれがまた)。

『(問) 今回の一連の政策パッケージといいますか、政策修正に絡むことなのですが、今回の措置で緩和を長持ちさせるということになるかと思いますが、それで本当に物価は上がっていくのでしょうか、2%を目指していくのでしょうか。』

イイシツモンダナー。

『足許、今日のCPIも弱かったですが、総裁の、物価を今回の措置で押し上げることができるのかというところの自信の程といいますか、そういったところを教えてください。』

挑発しとるなwww

『次に、今の緩和策が、株とか為替、金利とか市場の安定にはつながっているのですが、今そちらの方により重点が置かれてしまっている、物価が弱いから緩和を続けるというよりも、どちらかというと、市場の安定とか、そこを崩してはいけないので、緩和をちょっとやめられなくなっているのではない7かという見方もあるかと思います。この点について、総裁のご見解を教えてください。』

見方もあると思います。じゃなくて、「そちらばかりを見て物価目標の早期達成という本来の目的を忘れているように見えます」位ぶっこんでしまって良くってよ。


黒ちゃんのお答えですが、クソ長い時点で「説明が苦しい」というのが眺めただけでもわかりますが。

『(答) まず、公表文でも点検の背景説明等でも述べています通り、2%の「物価安定の目標」は堅持していますし、これをできるだけ早期に実現する観点から、引き続き粘り強く金融緩和を続けていきます。』

「早期に実現する観点から、引き続き粘り強く」という時点で語義矛盾してますね!!!!

『そういう意味で、今回、金融緩和をより効果的に、また持続的にするための様々な工夫をしたということです。』

「早期に実現する観点」だったら別に持続的にする工夫は要らないと思います!!!!!!!!!!

『点検の中でも申し上げているように、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は、想定されたメカニズムに沿って、金融緩和を改善させ、需給ギャップのプラス幅拡大、それからプラスの物価上昇率の定着という効果を発揮してきたことを確認しています。』

以下ゴミのような言い訳文言が続く。割愛と言いたいが答弁の見苦しさを鑑賞するのも一興なので以下ダラダラと引用して進ぜよう。

『同時に、わが国では、予想物価上昇率に関する複雑で粘着的な適合的期待形成のメカニズムが根強いということを主因に、物価上昇率が高まるのに時間がかかっていることも改めて確認されました。もっとも、このことは、人々が実際に物価上昇を経験すれば、物価上昇は徐々に人々の考え方の前提に組み込まれていくことを意味しているわけでもあります。実際に、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで経済活動が活発化する中、デフレ期にはみられなかったベアが実現するなど、賃金は緩やかに上昇し、基調的な物価上昇率はプラスの状況が定着したわけです。』

『今回の対応で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の持続性や機動性が増したと考えており、こうしたもとで、強力な金融緩和を粘り強く続けることによって、2%の「物価安定の目標」は達成できると考えています。』

質問する人、惜しいのは「物価目標達成できるか」と聞いていることでして、それを聞いたら元々(嘘八百であっても)達成するという話をしているのでこういう答えになってしまいます。こういう時にお勧めしたいのは「この措置によって物価目標の達成時期が早まる、と理解すればよろしいでしょうか」と聞くと苦しい答えをせざるを得なくなる(うっかり「早まる」とか答えると4月展望レポートの数字が出た時に「前回の会合後の会見で早まると言ってたのに何で今回1年延長した見通し期間中に達成しないんでしょうか」とツッコめる)ので、そこが惜しかったですね。

『 また、足許、特に新型コロナウイルス感染症の影響に対する対応として、「特別プログラム」と、国債買入れやドルオペ等による円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、それからETF・J−REITの大幅な買入れによって、企業の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めているわけです。これは 2%の「物価安定の目標」を差し置いて良いということではなく、むしろそういう形で経済の安定維持を支援することによって、経済の回復と「物価安定の目標」の達成をより可能にしていくというものです。足許での市場安定の対応と「物価安定の目標」の達成は、全く矛盾するものではなく、いわば表裏一体といいますか、足許の状況のもとで 2%の「物価安定の目標」を達成するためにも、こういった形で企業の資金繰りを支援し、金融市場の安定維持をすることは必要だと考えています。』

ってコロナオペやらコロナ対策買入を別に今回強化してないのに何言ってんだか・・・・・・・・


・唯一あったガバナンスに関する質問

正直この問題は物凄く重要だと思うのですが、まあ今回の事前報道合戦のお先棒担いでるのがメディアだから質問しない、ってことなんでしょうが、報道合戦に参加しなかった所の所属の人が悪態ついたってエエヤンと思うのですが、まあ何と申しますかこのお家の事情みたいなのがあるのですかねえと頭がクラクラしてくる次第で、これは金融ファクシミリ新聞さんに奮闘してガバナンス問題を追及してもらうしかないですかねえ。

『(問) バックワードルッキングな話になって恐縮ですが、総裁は 3 月 5 日に国会で変動幅について、はっきりご自身のお考えとして、「適当とも必要とも思っていない」ということをおっしゃいました。個人的には総裁が決定会合前にああいったことをおっしゃるということはすごく珍しいことだと思いました。というのも、ヨーロッパなどでは以前、総裁が先に政策を言ってしまって何かボードが形骸化するとか、色々なことがあったと思いますが、総裁は何かそこについての狙いはあったのでしょうか。』

「狙いはあったのでしょうか」というのがかなりのイヤミ質問なのでこの質問した方は大人の制約があるかどうかは知らんが、まあよくやったと褒めてつかわす(突発性ウエメセ)。

『(答) 私の記憶では、確か質問された方が、前に私が申し上げた±0.1%程度、その上下倍程度ということを、±0.2%とおっしゃって、色々とお話しされました。今回、申し上げている通り、基本的に±0.1%程度に縮んでいるものの倍程度の変動としてきたことを、より明確化したということです。そのように申し上げたことは、変動幅が拡大するということではないとの趣旨でして、そうしたことは、そもそも議論にもなっていませんでしたので、そのように申し上げただけです。』

ほーん(棒読み)。

『そうしたうえで、何か点検の結果を先取りして申し上げることはできませんと常に申し上げていたところです。』

「できません」とは「不可能」の意味なのか「可能だけどやらない」の意味なのか、いやーどっちなんでしょうかねえ(棒読み)。


と言ったところで時間が(汗)。ETFの方はめんどいですし、テクニカルな質問も全部スルーしました。






2021/03/24

お題「パウエル議長の議会証言は従来通り威勢の良い経済と地蔵の政策コンボ/ETF買入関連のフォローアップが来ました」

ほうほうそうですかそうですか。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/93113
自民が会食自粛を緩和、大人数でなければ 二階幹事長「同志を信頼する」
2021年3月22日 22時01分

上級国民の同志は信頼するので自粛を緩和、下民どもは信用ならんので上級国民の邪魔をしないで大人しく自粛していろということですねわかります。


〇パウエル議長の議会証言(コロナ対策の報告会議)

https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/powell20210323a.htm
March 23, 2021
Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act
Chair Jerome H. Powell
Before the Committee on Financial Services, U.S. House of Representatives

Chair Powell submitted identical remarks to the Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs, U.S. Senate, on March 24, 2021.

ということで同じ議会証言を今日もする(下院→上院の順のようだ)そうですが。

・議会をヨイショすることに余念がないパウエルおじちゃん

『I would like to start by noting the upcoming one-year anniversary of the CARES Act (Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act). With unanimous approval, Congress provided by far the fastest and largest response to any postwar economic downturn, offering fiscal support for households, businesses, health-care providers, and state and local governments. This historically important legislation provided critical support in our nation's hour of need. As the virus arrived in force, our immediate challenge was to limit the severity and duration of the fallout to avoid longer-run damage. At the Fed, we also acted with unprecedented speed and force, using the full range of policy tools at our disposal.』

今回のはCARESActによる何とかファシリティの報告とかもありますし、まあ別に普通の挨拶ではあるんですけど、とりあえず言うのはタダとばかりに(かどうかは知らんが)コロナ対策の立法措置をバンバンやってもらってアリガトンという話から入りますな。


・経済の状況は良くなったけど緩和はバンバン継続でっせとの話を早い段階で入れておくの巻

でもって、

『Today the situation is much improved. While the economic fallout has been real and widespread, the worst was avoided by swift and vigorous action-from Congress and the Federal Reserve, from across government and cities and towns, and from individuals, communities, and the private sector. More people held on to their jobs, more businesses kept their doors open, and more incomes were saved.』

と皆様の尽力で状況が非常に良くなってきましたと言いながら、

『But the recovery is far from complete, so, at the Fed, we will continue to provide the economy the support that it needs for as long as it takes.』

という形でパラグラフを締めていまして、ここもとの議長の得意技(ってよく考えたらFOMCのQAネタがまだだわ、汗)であります所の、経済状況については物凄い勢いで威勢の良い事を言うけど、必ずその締めに「完全な回復からは程遠いので我々は最大限のサポートを行う」と入れて、市場が走らないようにドウドウと手綱を引く、というスタイルを継続しています。

とは言いましても、元より金融政策って効果が出るのにラグがある、ということになっている訳で、実を申せば「完全回復」までフルスロットルで大緩和をしていたら、どう見てもオーバーランです本当にありがとうございましたという事になってクラッシュしてしまう訳ですので、どこかでこれをジャガーチェンジしないといけなくなる時期があると思うのね。あのバーナンキをもってしてもジャガーチェンジしてテーパータントラムになった訳ですから捌きがムツカシヤ、というかバーナンキだって出口ヘーイとかやったのに、何でパウエルがまるでやらないとか思えるのよという気もしますが、議長の顔が変わると前の話を忘れる、という良くも悪くも健忘症なのが市場クオリティと言ってしまえばそれまでか。


・個別の話も含めて兎に角経済に関しては非常に威勢の良い話をしております

でもって威勢の良い話をしながら、「でも結局コロナちゃん次第」という説明も従来の芸風。

『As we have emphasized throughout the pandemic, the path of the economy continues to depend on the course of the virus. Since January, the number of new cases, hospitalizations, and deaths has fallen, and ongoing vaccinations offer hope for a return to more normal conditions later this year. In the meantime, continued social distancing and mask wearing will help us reach that goal.』

このコロナちゃん次第ですよの話をする中で、必ずと言っていいほど「social distancing and mask wearing will help us reach that goal」という話を入れて来るのがパウエルさんの割とお洒落な粘着部分で、この文言を見ると「おーしおし、良く我慢できたでちゅねえ」と頭をナデナデしたくなる(ならないです)訳で、パツキンヅラへの婉曲なイヤミがタラタラと流れ出るのがパウエルさんの人間味があってよろしい(ナンノコッチャ)。

コロナちゃん次第、といいながらも今回は次のパラグラフで、

『Indicators of economic activity and employment have turned up recently.』

とぶっこんでいるので経済に関しては強気化していますの。

『Household spending on goods has risen notably so far this year, although spending on services remains low, especially in sectors that typically require in-person gatherings. The housing sector has more than fully recovered from the downturn, while business investment and manufacturing production have also picked up.』

まあこの辺はこういうセクターが強いですお!という話ですね。

『As with overall economic activity, conditions in the labor market have recently improved. Employment rose by 379,000 in February, as the leisure and hospitality sector recouped about two-thirds of the jobs it lost in December and January.』

労働市場の状況も最近改善しているよ、だそうです。

『The recovery has progressed more quickly than generally expected and looks to be strengthening. This is due in significant part to the unprecedented fiscal and monetary policy actions I mentioned, which provided essential support to households, businesses, and communities.』

威勢の良い事を言いながら議会へのヨイショ言及も忘れないパウエルさんさすがです。


・とは言え全員が回復ヒャッハーな訳ではないので、というお話

『However, the sectors of the economy most adversely affected by the resurgence of the virus, and by greater social distancing, remain weak, and the unemployment rate-still elevated at 6.2 percent-underestimates the shortfall, particularly as labor market participation remains notably below pre-pandemic levels.』

一方でセクターごとにはコロナ直撃で未だに青息吐息なところもあるし、失業率に関しては隠れ失業まで考えると状況は数字ほど良くない、と来ました。

『We welcome this progress, but will not lose sight of the millions of Americans who are still hurting, including lower-wage workers in the services sector, African Americans, Hispanics, and other minority groups that have been especially hard hit.』

でもって毎度お得意の「オールアメリカン」に対する回復の恩恵を、という話になるんだが、インフレが上昇してくるとこのオールアメリカン論法、低所得者の方が物価上昇の被害が大きいだろというツッコミが飛んでくると割と簡単に自分の首を絞める可能性がありますね。ただまあその論法に乗っかってしらっと緩和縮小を図るという作戦だったら別にそれはそれで有りかもしれませんね。


・各種ファシリティの実施状況報告コーナーですが見事な抜かず(ちょっと抜いてるけど)の宝刀ぶり

『The Federal Reserve's response has been guided by our mandate to promote maximum employment and stable prices for the American people, along with our responsibilities to promote the stability of the financial system.』

ここはただの呪文。

『When financial markets came under intense pressure last year, we took broad and forceful actions, deploying both our conventional and emergency lending tools to more directly support the flow of credit. Our actions, taken together, helped unlock more than $2 trillion in funding to support businesses large and small, nonprofits, and state and local governments between April and December. This support, in turn, has helped keep organizations from shuttering and put employers in both a better position to keep workers on and to hire them back as the recovery continues.』

ここからCAREActに伴う各種ファシリティのお話。

『Our programs served as a backstop to key credit markets and helped restore the flow of credit from private lenders through normal channels. We deployed these lending powers to an unprecedented extent last year. Our emergency lending powers require the approval of the Treasury and are available only in very unusual circumstances.』

我々のバックストップの貸出パワーが必要なのは「only in very unusual circumstances」です、と来てからの、

『Many of these programs were supported by funding from the CARES Act. Those facilities provided essential support through a very difficult year. They are now closed, and the Federal Reserve has returned the large majority of the Treasury's CARES Act equity, as required by law. Our other emergency lending facilities are following suit imminently, although we recently extended the PPPLF (Paycheck Protection Program Lending Facility) for another quarter to continue to support the PPP (Paycheck Protection Program).』

PPPLFは延長しましたが他のは閉店しましたよ、ってことで欄外に『Summary of Section 13(3) Facilities Using CARES Act Funding』の表があって、それを見ますと各種ファシリティのピーク時残高は、

CCF:141億ドル
MSLF:166億ドル
MLF:64億ドル
TALF:41億ドル

だそうで、碌すっぽ抜かずの宝刀でバッチリと止まったという格好になっております。まあ使い勝手の問題とかあったんでネーノという気もしないでもないですし、実際にローンチする頃にはクレジットのアイヤー状態が一巡した後というのもあるとは思いますが、量ガーとか言ってる置物一派はちょっとお前らモノを少しはその乾燥ヘチマ脳で考えてみろやと小一時間。

『Everything the Fed does is in service to our public mission. We are committed to using our full range of tools to support the economy and to help assure that the recovery from this difficult period will be as robust as possible on behalf of communities, families, and businesses across the country.』

『Thank you. I look forward to your questions.』

と来ましたので、メインはコロナファシリティの話ですが、その間にきちんと「緩和継続アピール」を入れるのと経済見通しの威勢のよさの話をしているのですが、この説明の中で何気にチャーミングなのは物価の話を綺麗にスルーしていることで、物価上昇ネタで突かれるのもアレなんだよなーってなもんでしょうか、と思ったら質疑応答では突っ込まれてるのね。ロイター記事より。

https://jp.reuters.com/article/USA-ECONOMY-YELLEN-POWELL--idJPL4N2LL46E?il=0
2021年3月24日5:23 午前
再送-UPDATE 1-米インフレ、コロナ禍後も制御可能 FRB議長が議会証言

『[ワシントン 23日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は23日、イエレン財務長官と共に下院金融サービス委員会で証言を行い、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後の物価上昇が手に負えなくなり、破壊的なインフレの発生につながることはないとの見解を示した。委員会ではメンバー数人が物価上昇に懸念を表明。これに対しパウエル議長は「今年はインフレが上向いていくと予想している」としたものの「特に大きな上昇にも、根強い上昇にもならない」とし、問題になった場合は「FRBに対応する手段がある」と述べた。』(上記URL先ロイターニュース記事より)

まあ何ですな、アタクシはそのメリケン国のインフレがどういう感じかとか国民感情的にどうなんでしょとかいうのはメリケン人でもない上にそもそも北米大陸とか人生の中で足をあんまり踏み入れてないので良く分からんというドメドメおじさんなのでこの辺の感覚はちょっと良く分からんのですけれども、まあ早速議会方面からは物価上昇放置プレイはアカンという意見がまだメジャーじゃなさそうではありますが、既にでだしているという辺り、今後のかじ取り難しかろうと思うのでありました。


ということで役に立ちそうな気がしたのでFEDネタを先にやるというこの日銀スルーモードですが、あとは日銀MPMレビューがオワランチ会長雑談(マジで会見まで書いてる時間無さそう、涙)。



〇ETF買入の変更は4月1日からキタコレ&よく考えたら「別に定める日」とかいう条項があったわ、からの・・・・・・・

おう!
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210323d.pdf
ETFの買入れの運営について

『日本銀行は、2021 年3月 18・19 日の政策委員会・金融政策決定会合において、「指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」の一部改正を決定しました。これを受け、ETFの銘柄別の買入額を見直し、2021 年4月1日から以下のとおり買入れを運営することとします(注 1)。』

えーっとですね、これ見て思い出したんですが、というか決定会合の結果出て公表文読みだして「なるほどこれ読まないと実務的な点が分からんわ」と思って読みだしたら膨大な量で泣きそうになった物件、というのがあるのですよねこれがまた。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210319c.pdf
「貸出促進付利制度基本要領」の制定等について
2021 年 3 月 19 日
日本銀行

『日本銀行は、令和3年3月18・19日の政策委員会・金融政策決定会合において、より効果的で持続的な金融緩和を実施していく観点から、下記の諸措置を講ずることを決定しましたので、お知らせします。』

『記』

とあるのですが、実はこれが7本もあって、MPMの後これを読みだしたら頭がウニになってしまうんですよ。曰く、

『1.「貸出促進付利制度基本要領」を別紙1のとおり制定すること。』

『2.「新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーション基本要領」(令和2年3月16日決定)を別紙2のとおり一部改正すること。 』

『3.「補完当座預金制度基本要領」(平成28年1月29日決定)を別紙3のとおり一部改正すること。』

『4.「補完当座預金制度の利息の計算方法におけるマネー・リザーブ・ファンドに関する特則」(平成28年3月15日決定)を別紙4のとおり一部改正すること。』

『5.「指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」(平成25年4月4日決定)を別紙5のとおり一部改正すること。』

『6.「設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するための指数連動型上場投資信託受益権買入等に関する特則」(平成28年3月15日決定)を別紙6のとおり一部改正すること。』

『7.日本銀行法(平成9年法律第89号)第43条第1項ただし書きおよび同法第61条の2の規定に基づき、別紙7および別紙8のとおり財務大臣および金融庁長官に認可を申請すること。』

『以 上』

とありまして、今回の新型付利に関してもそうなのですが、とにかく仕組みが複雑になってしまっているので、たぶんこれ実際の当事者が自分のセクション読むだけでも軽く死ねる文章になっていまして、例えば4番でMRF特則の一部手直しをしているんですが、まず一読してもどこがどうなっているのかを理解するのに時間が掛かりますぞなという感じ。どうも読んだ結果、従来のマクロ加算残高にアドオンされる形で、MRFで運用しきれなくて(商品の性格上マイナス金利で運用する訳に行かないので)ゼロ金信に残った額の実績に応じて一部をマクロ加算に入れてお助けのアドオンをするぞ、という内容である(と思う)というのが腑に落ちるまで5分以上はああでもないこうでもないと文章を何度も読み返さないといけない、という飛んでもない代物に出来上がっているんですよね今回の措置。

でもってこのうち別紙5なんですけど。

「指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」中一部改正

『○ 3.を横線のとおり改める。

3.買入対象

国内の金融商品取引所(以下「金融商品取引所」という。)に上場されている指数連動型上場投資信託受益権等であって、次に掲げる要件をすべて満たすもののうち、買入対象とすることが適当でないと認められる特段の事情がないものとする。

(1)指数連動型上場投資信託受益権にあっては、東証株価指数(TOPIX)、(引用者追記:ここから取り消し線が入る)日経平均株価(日経225)またはJPX日経インデックス400(JPX日経400)(引用者追記:取り消し線ここまで)に連動するよう運用されるものであること
(2)略(不変) 』(この部分次も含めて別紙5な)

ってあって、その不測に、

『(附則)

この一部改正は、総裁が別に定める日から実施する。 』

ってあるので、確かに即日適用じゃない(ちなみにMRF特則も即日適用じゃないです)のは、実はMPM直後にこれを読んだときには把握していたんですけど、昨日ああやってアタクシが書いてしまっておりますように、というか報道の方でも「あれ??」って報道だった通り、他にも複雑怪奇な政策がごちゃごちゃ入っているから表のポンチ絵みたいに全員注目!ってなっている紙に書いてないものまで一々覚えてられんわという事でありまして、いやまあ忘れるこっちがアカンと言ってしまえばそれまでではあるのですが、今回はシェフの欲張りサラダよろしく何でもかんでも一気に突っ込んでしまっているので、自分に直接関係するパートを見るだけでも精いっぱいだし、その上何が何だか良く分からん施策がほかにもある、となると、特に株系の方は日銀のこの複雑怪奇な文書を読み慣れていない訳ですから、そら日経225型の買いらしきフローを見て「あれれ?」と思う罠、という所です。

でもって別紙7にありますが、

『(財務大臣宛認可申請書)
財務大臣 麻生 太郎 殿
日本銀行総裁 黒田 東彦

政第 号
令和3年3月 日

指数連動型上場投資信託受益権等買入等実施要綱の一部変更に関する件

より効果的で持続的な指数連動型上場投資信託受益権等の買入れを実現する観点から、平成22年10月28日付財理第4641号・金総第3907号認可に基づいて行う指数連動型上場投資信託受益権等の買入れ等の要綱を別紙のとおり一部変更することと致したく、政策委員会の議決を経て、日本銀行法第43条第1項ただし書きの規定に基づき、認可申請致します。以 上』(ここは別紙7な)

ってあるように、ETF等の買入に関しては許認可事項になるので、実施を新たにするのもそうですが、変更をするにも財務大臣の認可が必要なので、ロジ的に即日適用ってのは難しいんでしたので、前の規定が生きていて、だから前場トピが1.1%下がったから買いが来た、みたいな事のようなのですが、そんなの一々全部把握できるわけねえだろこんなに広範囲に影響のある手直し(しかも政策変更でもないのに手直しだから更に七面倒臭い)しやがってコノヤローって感じで、政策ぶっこむ前のコミュニケーション(とガバナンス)も無茶苦茶でしたけれども、シェフの欲張りサラダ欲張りすぎの巻で、これちょっと一遍にぶち込み過ぎにも程があったんじゃないでしょうか、とまあ斯様思う訳ですし、大体からしてこんなネタでこれだけの量を書くとかどういう事ですねんと思うし、大体からして今日書こうと思ってた他のネタが書けない(昨晩書いておけば?というツッコミはしないで下さいサーセン反省してます)じゃないですかああああああ!!!

・・・・・・思わず半泣き状態になってしまった、反省はしていない。

ところで何ですな、別紙5に戻りますけれども、

『○ 4.を横線のとおり改める。』のところ、さすがにこれ(取り消し線)とかで引用していると訳が分からなくなりますので、変更後の文章を載せてみます。

『4.買入方式

(3)指数連動型上場投資信託受益権等の買入れは、市場の状況に応じ、本行が定める基準に従い、必要に応じて、受託者に行わせるものとする。 』(別紙5です、これは変更後の部分のみを引用しましたので地の取り消し線入りの新旧比較部分を引用者が編集しております、念のためご了承ください)


『○ 附則中2.を横線のとおり改める。

2.4.(3)に定める基準その他この基本要領の実施にあたり必要となる事項については、総裁が定める。また、総裁は、この基本要領に基づく買入れが必要になったと認める場合には、直ちに政策委員会の委員に報告するものとする。 』(同じく別紙5です、こちらは文言が追加になっておりますが、追加後の文章となるように引用者が編集しております、念のためご了承ください)

とありまして、要するに「市場の状況に応じて必要に応じて」買入を入れる、ということで、従来の方法は「受託者に進捗させる」だったので、つまりは元々は(基準はブラインドおぶブラインドなのでさっぱり分からんけれども)基準があってそれに沿って機械的に買っていくというものでしたが、今回は買入を行うことが必要と認める場合には政策委員会の委員に報告、という規定になっていて、いやこれ例えば総裁が決めるの??とか、権限移譲はどういう風になってるの???とか、ガバナンス的にそれで良いの??とか、いろいろとなんかファジーにした結果、一々何か物議を醸しだしそうな要綱になって事務方大変だなと思うのでありました。

まあ昨日も書きましたけど、改めて要綱読むとすげえ書きっぷりになってるなあと思ったので・・・・・・・・・・・


#ということで、なんとここで時間が怪しくなってきたので泣く泣く終了というか、ちょっと今晩は夜なべして書き溜めして明日の朝はドバーっと出す感じで考えております(考えているといったが出すとは断言していない)。








2021/03/23

お題「オペ関連とMPMレビュー雑談の続き」

特にネタにはしませんがこのペーパー、謎に実用的で何で金融研究なのよという感じがしましたです、はい。

https://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/japanese/21-J-01.html
スマートフォン端末におけるセキュリティ上の脅威と対策:権限昇格攻撃と悪性Webサイトへの誘導に焦点を当てて

全文は上記URL先に行くとありますぞな。


〇社債オペを減額したりETFを早速買ったり何をしたいんだかさっぱりワカランチ会長

・社債買入3-5年のオファーが早速半減もそもそも札が無いのでした

昨日のオペオファー(買入系全部)

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of210322.htm
国庫短期証券買入 15,000 2021年3月23日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 4,000 2021年3月23日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,700 2021年3月23日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,200 2021年3月23日
国債買入(物価連動債) 300 2021年3月23日
社債等買入(残存期間3年超5年以下) 750 2021年3月25日

短国はさておきまして、輪番は全部前回と同じなのは良いとしまして、3−5年の社債買入減額が早速キタコレ!!ということで良いぞもっと減らせとアタクシもニッコリ。

ご案内の通り、オペ紙段階では
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210226a.pdf
CP・社債等買入のオファー日程(2021年3月〜4月)

3−5年の社債買入は1500の予定だったので半減キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!って所で実にイイハナシダナーではあるのですが・・・・・・・・

社債買入の落札結果
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba210322.htm
社債等買入(残存期間3年超5年以下) 1,618 750 0.008 0.019 47.3

ちょwwwwwwww応札額wwwwwwwwww

前回の3−5年社債買入の結果が2,776/1,500の応札/落札でレートが平均0.034/足切り0.015(按分あり)だったので、札は減るわレートは下がるわで、そら買入オファー減額するわというか、そもそもこのオペを9月まで続ける意味is何????という感じになっているのが実にあばばばばーではあるので、減額は妥当おぶ妥当なのでした。

まあ真面目な話、何であの時に半年も一気に延長したんだかというか、「コロナオペ」を半年も延長しないといけない状況だと思ってるんだったら何でそのコロナ真っただ中の3月に「点検」をしないといかなかったのか、そらまあ腹話術審議委員が退任して言う事聞かなさそうな置物残滓が入って来るから、というお家の事情があったのは分かるんですが、何ちゅうかQQEが迷走しだしてからの日銀って「個別対応としてはやってることの意味は分かるんだが、政策全体の整合性を考えていないから広げた大風呂敷の右と左でやってることが矛盾している」というのが起きて、その収拾にまた追われて話を更にややこしくする、というのをやった挙句に、遂にペラ1では絶対説明できないような複雑怪奇な政策をぶっこんで来るという羽目になってるんだよなー、とまあ斯様に思うのでありました(個人の感想です)。

そもそもコロナ対応の臨時買入の話って、やらなくても市場が沈静化するのであれば無理に買入をする必要が無い、というたぐいの物(買入系のみならずドルオペが典型、なお日銀はすっかりドルオペの話をしなくなっていますなあ)なのに、コロナ対応3本の鉛筆をぶっこんだ時に額をアピールするとか変な事をするから話がややこしくなるのですが、額のアピールは「日銀もFEDやECBに負けない対策をしています」って日銀の保身的アピールのために必要(既にあの時点で市場は落ち着きだしていたので別に市場的にはどうでも良かったけどどうせあの方面とかその方面とかにアピールがということで)だったってえ事でしょうが、兎に角反射神経だけは無駄に良いので、脊髄反射のように色々な目くらましをしてくるのですけれども、その場その場での局面だけで最適化するから整合性が無茶苦茶になるんです。

という悪態はさておきその一方で・・・・・・・・・・


・ヘイヘイピッチャービビってるよビビってるよーなETF買入

クッソワロタ。
https://jp.reuters.com/article/boj-etf-idJPKBN2BE0WR
2021年3月22日5:31 午後
日銀、22日に通常のETFを501億円購入 前場のTOPIX1.11%安

『[東京 22日 ロイター] - 日銀は22日の東京株式市場で、通常のETF(上場投資信託)を前回3月5日と同額の501億円買い入れた。J-REITの購入は見送った。設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業のETFは、前回19日と同額の12億円を買い入れた。前場のTOPIXは前営業日比1.11%安だった。』(上記URL先より)

えーっとすいません、金曜に終わったばかりのMPMで買入に関しては大暴落でもしたら買うけど上で買う事は無いって趣旨の政策手直しをしてませんでしたっけという話なのですが、


https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD00045_S1A320C2000000/
日銀、日経平均型ETFも購入か 見直しは4月から
NQNスペシャル
2021年3月22日 18:07 [有料会員限定]

『日銀は22日、上場投資信託(ETF)501億円を購入した。買ったのは11営業日ぶりだ。19日まで開いた金融政策決定会合で、原則年6兆円とする目安を削除し、買い入れ対象を東証株価指数(TOPIX)連動型のみにすると決めた。日銀買いの変化に注目が集まるなか、22日は日経平均株価連動型も購入したとの声が聞かれる。』(上記URL先より)

・・・・・・なんのこっちゃというか、政策決定したら(ロジ的に間に合わないものなら仕方ないけど)即時適用が日銀の政策決定時の基本の筈なんですが、何でETF買入だけこうなるのよというか、まあヘイヘイピッチャービビってるの方もどうかとは思うのですが、日経記事の報じる(と言っても詳しくは有料会員限定の所にあるので、日経に課金するのを蛇蝎の如く嫌っているアタクシは読めませんので良く分からんが)話だとこっちの見直しは4月からってナンジャソラというか、別に4月からなら4月からでも良いんですけど、ちゃんとアナウンスしないとふつう今までの方式だったら即時適用だと市場は考えるのですから、そういう大事なこと(トレーダー的に、だけど)はちゃんと言ってくれないと困るんですけどねえ。

ちなみに今日そこまで手が回るか分からん(という位にツッコミどころが満載の点検会合になっているのが草も生えないのですが)のですが、総裁会見の冒頭説明で黒田総裁は、

『また、ETF買入れについては、個別銘柄に偏った影響ができるだけ生じないよう、今後、指数の構成銘柄が最も多いTOPIXに連動するもののみを買い入れることとします。』(3/19総裁定例記者会見より)

って言ってまして、ふつうこの言葉を真に受けると、「4月から変更」とは思わないのが日本語としての常識的解釈だと思うので、この部分ちゃんと説明していないのは不適切じゃないのと思いますので、日経の記事通りなら説明不足に関する弁明を求めたいし、日経の記事が違うのであれば違うということをアナウンスした方がよろしいんじゃないですかねえ、と思いますけどどうでしょうかね。


でさっきネタにした社債買入との整合性って話で、まあ社債買入も単に札が無いから減らしただけのような感じではあるのですが、この2本のオペをぼけーっとみていると、一方で社債買入を減額しているのに、もう一方で日経平均ベースで2日で1000円、と言ったって元値が3万円なので4%行かない程度の下げだし、そもそもNTの修正が起きているのでトピベースで見たら2日で1%ちょいしか下げてないし、という程度の下げで早速ビビって買いが入るし、という風にしか見えん訳で、この人たちは一体全体何をしたいんだ、というのがさっぱり訳分らなくなるわけですよ。

いやまあこの辺事務方の方はディレクティブ通りにやっているとかそういう話になるんでしょうし、あんまり事務方が怪しからんという話でもないと思うのですが、特にETFに関しては元数字の6兆円買入というのが削除され、しかも買入をするのがどういう時なのか、というのの定量は無くても良いけど定性的にもファジーオブファジーな説明しか無いわけで、のっけからこれだと今後のETF買入の運営で買っても買わなくても色々とごちゃごちゃ言われまくる展開が今から目に浮かんできて、そういうのは日銀の信認を無駄に毀損するリスクをはらんでいると思うので(個人の感想です)、大丈夫かねと心配しているアタクシなのでした、というメモメモ。



〇MPMレビュー雑談はさらに続く


・ところでポンコツ共はガバナンスの役に立ったのかねと思ったらやはりポンコツはポンコツなのでした

再度声明文
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k210319a.pdf
より効果的で持続的な金融緩和について

まだ本文の項番3なのですが(涙)。

『3.先行きの金融政策運営方針

日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。』

しつこく申し上げるがこのどこが「メイクアップストラテジー」なのか一切分からん。大体からしてQQEぶっこんでから8年というもの(以下同じ悪態なので割愛)。

『引き続き、@新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、A国債買入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、Bそれぞれ約12兆円および約1,800億円の年間増加ペースの上限のもとでのETFおよびJ−REITの買入れにより、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていく。』

『当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している(注2)。』

ということですが、反対票というのがいつものようにあるので脚注を見てみましょう。

『(注1)賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員、安達委員、中村委員。反対:片岡委員。

片岡委員は、物価下押し圧力の強まりへの対応と、コロナ後を見据えた企業の前向きな設備投資を後押しする観点から、長短金利を引き下げることで、金融緩和をより強化することが望ましいとして反対した。』


『(注2)片岡委員は、デフレへの後戻りを回避するためにも、財政・金融政策の更なる連携が必要であり、日本銀行としては、政策金利のフォワードガイダンスを、物価目標と関連付けたものに修正することが適当であるとして反対した。』


このポンコツども使えねー。事前の報道合戦に決定会合初日開始前(初日の開始は14時からでした)の日経新聞によるどう見ても(4文字伏字)です本当にありがとうございましたの件がどっからどう見てもガバナンス上問題ありまくりで、そういう不適切なプロセスを経たこの会合自体が不適切なので反対、とかぶっこんで歴史に名を残してほしかったんですが、まさかアタクシが押し掛け弟子になるからって嫌われたんですかねえヤダー(自意識過剰)。

というかですね、置物残滓の皆様におかれましては、かつて麿総裁時代にこの手の抜き記事が出た時にそれこそ腐れ日銀は腹を切って(伏字)べきである位の物凄い勢いで罵倒していたんですが(まあその時はそういう抜きが発生することに対してワシも憤慨して別に一緒だった訳でもないけど結果的には一緒に罵倒状態だった気がしますけど)、今回の一連の事前報道に加えて、決定会合初日開始前の日経新聞の決定打的なスクープ記事に関して、あの時にあれだけ怒っておられた置物一派(まあ置物ご本人というよりは他のネットリフレの方々でしたけど)が今回のこのプロセスに何も言わないとは情けないとしか申し上げようがない。

更に無慈悲な砲撃をすると、企業経営者出身のお方もおいでだと存じますが、今回の流れって取締役会で決定すべき事項が役会プロセスを経ないでホイホイと表に出てきて、しかもその通りのものが最後に役会に出てくるというようなお話で、それって取締役と執行役の牽制が効いてないって事になると思うので企業のガバナンス的にアカンじゃろ、とツッコんで頂きたいんですけどねえ。

・・・・などと書いているうちにこんなのを思い出してしまった。
https://www.boj.or.jp/finsys/c_aft/aft201222a.htm/
第2回SDGs/ESG金融に関するワークショップ
「SDGs/ESG金融に関する金融機関の取組み」の開催について(オンライン・ライブ配信)
2020年12月22日
日本銀行金融機構局 金融高度化センター

金融高度化とか大きなお世話の話をする前にてめえの会社のガバナンスに関するESGレポートでも出した方がエエンチャウノという所ですなあっはっは。

・・・・・・ということで政策委員会が役会としてのガバナンスとして機能をしていないのが良く分かりましたが、後でネタにする(今日間に合うかは知らん)けど総裁記者会見でがバンスやプロセスについてどこの記者も質問しない(一部事前報道に関するものもなくは無かった程度)ということで、何ちゅうかこの手のプロセスとかガバナンスに関する意識って全体的に低いんだよなー(この事案に限らず世の中の風潮的に)って残念に思うのであります。朝日と道新には期待してたんだけどなー。



〇背景説明は全編に渡って結論先にありきの説明なんだが熟読するのが割とホネだったりするけどちょっとだけ

声明文の別紙1で点検結果の話をして、その結果この政策は継続する/一部運営面の工夫をするのが適切だからこうしました、という風に背景説明を書いてある物件です。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k210319c.pdf
より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検
【背景説明】(注)

本文10ページ、補論16ページ、図表24ページの堂々たる物件ですが、これみた瞬間に明の万暦帝時代初期の張居正宰相のエピソードを思い出したので手元にある陳舜臣さんの「中国五千年」から引用しませう(^^)。

明の朝廷には言官という、うるさいグループがいます。言論を役目としているのです。張居正が思い切ったことをするには、言官の口を封じなければなりません。彼はあらゆる公文書を言官に送り届け、言官が意見を呈出すると、「それについて某月某日の某号の上奏分を読んだか?」と質問し、もしその内容を知らなければ、怠慢のかどで杖刑を加えます。杖で打たれるのですが、死んでしまうことが多いのです。膨大な公文書にぜんぶ目を通すのは不可能なことで、以後、言官は口を閉ざしてしまいました。(陳舜臣著「中国五千年(下)講談社文庫(ISBN4-06-184562-4 C0122)、277ページより引用、アタクシの手元にあるのは1995年2月発行の第1版第16刷)

という事で遂に張居正スキームキタコレとか思いましたが(嘘)、時間をかけて頑張って読めば良い話ではあるのですけど量だけはエライ勢いであるのと、こちとらどうせ結論ありきで書いてるだろうからツッコミどころはどこだと思いながら読むのでしんどいったらありゃしません(笑)。


でもまあとりあえず斜め読みしていてこの部分はおかしいだろと思ったのを一つだけ今日はピックアップしておきます。本文4ページで、本文3ページから始まる『3.「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の政策効果』の所の『(3)金利低下が経済・物価に影響を及ぼす経路』という多分一番ポイントになるんじゃネーノという論点を引用します。

『(3)金利低下が経済・物価に影響を及ぼす経路』

『金利低下が経済・物価に影響を及ぼす経路としては、第1に、資金調達コストを通じた波及経路がある。実際、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで、貸出金利はしっかりと低下しており、CP・社債金利はきわめて低い水準で推移している(図表5)。』

『第2に、金融資本市場を通じた波及経路がある。金利の低下は、良好な金融資本市場を通じても、経済・物価に影響を及ぼす。なお、貸出などの取引では、マイナス圏での金利水準で取引が行われることは多くないが、金融資本市場では、相対的に、マイナス圏の金利水準であっても取引は行われやすいため、金融資本市場を通じた波及経路は、名目金利の実効下限制約に服しにくい点が指摘できる(前掲図表3(1))。』

さてここからが問題。

『以上のことを確認するため、多変量自己回帰(VAR)モデルを用いて、金利低下が、需給ギャップを改善させる効果の波及経路について、分析を行った(図表6)。』


図表6ってのはページ数で言うと本文35ページ、PDFの36枚目位になるんですけど、そこの図表から引用しますと(図表を貼るスキルは無いので説明のボックスを引用するんですが)、

『金利低下の波及経路』

『〇係数制約付き多変量自己回帰(VAR)モデルを用いて、金利低下がどの経路を通じて需給ギャップを押し上げているかを推計した。具体的には、波及経路((2)のシャドー部分、変数E〜G)それぞれについて、他の経路の係数をゼロとする制約を付して推計することで、当該経路の押し上げ効果を算出している。

○ 金利低下が需給ギャップを改善させる波及経路は、資金調達コスト経路が3割強、金融資本市場経路(為替、株価)が5割強となっている。』

となっているんですが、その下にあるボックスをみると、

『(1)モデル概要

下記8変数の係数制約付き多変量自己回帰(VAR)モデルを推計

@ 需給ギャップ、A 金利(3か月物)、B 金利スプレッド(2年物−3か月物)、C 金利スプレッド(5年物−2年物)、D 金利スプレッド(10 年物−5年物)、E 総資金調達コスト、F 円の名目実効為替レート、G 株価

推計期間は 1998/1Q〜2019/4Q。ラグは1期。累積5年間の需給ギャップ押し上げ効果で算出。』

とある(ちなみにE〜Gは下線付きゴシック体)のですが、えーっとすいませんそもそもこのパラメーターを選択した根拠は何ですのんという感じでして、多変量自己回帰モデルとか言われましても無学のアタクシには良くワカランチ会長ですが、これって別に相関さえあれば因果関係なくても結果出てくるんチャウのという気が思いっきりするんですが、計量経済学にお詳しい方のご見解プリーズ。

とまあそういう分析をした結果本文の方に戻りますと、

『その結果、資金調達コストを通じた経路が3割強、金融資本市場を通じた経路が5割強の影響を与えていることが示された。この結果については、幅を持ってみる必要があるが、金利低下は、資金調達コストと金融資本市場の双方の経路を通じて、経済・物価に影響を与えていることが確認された。』

という結論になっていて、ナンジャソラ感が拭えないのですが、なんかインチキ臭い気が直感的にする分析が「今の政策による金利押し下げが効いている」という話(そういえばMBは??)になっているので、どうもこの根幹っぽい部分が????なのに分析全体としてどうなんよという気がします、とだけ今日の所はツッコミをしておきます。

てな所で時間が無くなってしまって案の定記者会見が放置プレイになりましたが、まあ明日記者会見ネタを入れながら、FEDの方が大事なのであんまり日銀の方に生産性の無いツッコミを入れるのは(最終的には全部網羅したいと思いますが)ボチボチとゆっくりやろうかと思います。








2021/03/22

お題「MPMレビュー話の続きをお送りいたします(声明文項番2と別紙3)」

土曜の午前に意気揚々と(な訳でもないですが)更新しましたが後が続かないのがドラめもんクオリティ。ということで土曜の続き(サイトの方も今日は土曜の書き物のケツにこちらを付けます)になります。

さて、まあ土曜日は声明文の項番1とポンチ絵で話が終わってしまいましたので項番2から参ります。なお点検については何ちゅうかまあ今回のは点検の結論を見れば「結論先にありきで大型モデルを回して出す」という研究者としては最もダメだろと思いますが、サラリーマンというのは辛いものでございまして、ポンニチ銀行におかれましては結論先にあり気の点検をするという作業を行わないと仕事を干(ここで銃声と共に通信が途絶する)。


〇ということなので(どういうことだ)声明文の続きをボチボチと

今回の声明文
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k210319a.pdf

1月展望レポート基本的見解
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2101a.pdf
(経済物価情勢のアセスメント比較のために)

んじゃまあ項番2の政策の所ですけどね。

・プラマイ25bpの立ち位置と脚注の削除について

項番2の『2.当面の金融政策運営』である。

『経済・物価の現状と見通しは、別紙3のとおりである。これらを踏まえ、日本銀行は、当面の金融政策運営について、以下のとおり決定した。』

別紙3はのちほど。

『(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成8反対1)(注1)

次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。

短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。』

こっちにはプラマイ25bp程度に関する記述が無くて、ついでに言えば脚注にも無いという事になっております。あとそれから今回はここの長期金利の部分に従来あった脚注『1 金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する。』というのがしらっと削除されています。

もともとプラマイ25の前は何も書いてなくて、今回は声明文の別項にプラマイ25として「明確化」という話なのですが、その割にはこっちの方には書いてないというのも何ちゅうかこの不思議ちゃんなのですが、「明確化はしたけどやっぱり自分の手は縛りたくない」という思いが反映されてるんですかねえ、まあ次回の決定会合で25bpがどこに記載される(または記載されない)のかというのは拝見しておきたいなと思います。

あと、なんか良く分からん連続指値オペとかいうやる意味あんのか只の普通の指値で良いじゃんオペとかが出来たからとかいう理由で削除したのかねとは思ったけど、脚注1の『1 金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する。』が削除されたというのは、これは意地悪い言い方をすれば、プラマイ25bpの間で推移する分については放置プレイを決め込む、という風にも読めるのですが、そういう理解でエエンカイナ??ちょっと米国金利上昇したら誰かアタックしてみてよ(自分はやらないという浅ましさ)。


・コロナ後のCP社債買入は残高がしらっと減少することを切に希望したい資産買入の書きっぷり

『(2)資産買入れ方針(全員一致)

長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。

@ETFおよびJ−REITについて、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて、買入れを行う。』

12兆と1800億円が「上限」ってえのも何だかなあという感じで、むしろ「必要な際には上限を設けず買入を行う」にした方がカッケーとか思います。だいたいからして元々の6兆とかが(本来は目標数値の筈だったがいつの間にやら)目安数値になっていて、元の6兆ってのは別に上限じゃなかったのに、プラスコロナの6兆円と共に合わせて突如上限化した訳ですな。

ということで、この数値の根拠is何??と思うのですが、まあこの数値の根拠について質問しても、「上限まで買う訳でもないのでとりあえず現状の数値を入れました」という根拠レスな回答が期待されますのでそういうことやぞという事ですな。

しかしまあ何ですな、ついこの前コロナ対策3本の鉛筆の時に「ETF12兆円!」とか鉛筆に思いっきり数字を入れてアピっていたというのにこの有様な訳ですけど、そもそも論に立ち返ればETF(社債もそうだけど)を始めとしたリスク性資産の買入というのは「リスクプレミアムの過大な拡大が金融政策のトランスミッションメカニズムを阻害する(=利下げしてもリスクプレミアムが上がって実際の貸金の金利が上がる、というリーマンショックみたいな時)事案に対処する」ものでありますので、元々のそもそも論に立ち返れば「リスク性資産の追加買入が行われないというのは市場にそのような問題が生じていないという事で実に素晴らしいんです!!!」という話の筈だったんですが、黒ちゃんになってから調子に乗って拡大しまくるから収拾つかなくなって、今回のどさくさで事実上のテーパーリング(とは言えETFとREITは償還が無いから残高が死んでも減らない)が出来ますね、というかそれくらいやってくれないと点検会合やった意味が1ミリもアタクシには感じられないからいいから買入止めろやコノヤローって感じですな。


『ACP等、社債等については、2021 年9月末までの間、合計で約20兆円の残高を上限に、買入れを行う。』

でもってこっちですが、これはコロナまでの増加の方はそのまま残していますが、コロナ後の話を書いていない、という中々お洒落な物件になっておりまして、これもゴムのへたったパンツの如くズルズルと買入拡大とか年限拡大とかの話ばっかりしていましたが、これを機に残高が漸減する方向になっていただけるとこれは思いっきり評価してつかわすので、とにかく頼むからこのリスク性資産の所だけでも改善してくれないと、50ページになんなんとする膨大な結論先にありきというへっぽこ分析をさせられました日銀の中の人や、今般の(企画演出日本銀行としか思えん)馬鹿事前報道合戦で振り回された市場の中の人が浮かばれませんので、せめてこれだけでも改善しろやというお話ですな、うんうん。



・経済物価情勢では企業部門を中心にコンポーネントベースでは現状判断が引きあがっている(全体感は横ばい)んですがねえ

では別紙3に飛びましょう。『経済・物価の現状と見通し』ってお題が付いてます。

『1.わが国の景気は、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している。』(今回)
『わが国の景気は、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している。』(1月展望基本的見解)

基調判断不変。

『海外経済は、一部で感染症の再拡大の影響が残るものの、持ち直している。そうしたもとで、輸出や鉱工業生産は増加を続けている。また、企業収益や業況感は全体として改善している。』(今回)
『海外経済は、一部で感染症の再拡大の影響がみられるが、持ち直している。そうしたもとで、輸出や鉱工業生産は増加を続けている。また、企業収益や業況感は、大幅に悪化したあと、徐々に改善している。』(1月展望基本的見解)

企業収益や業況感の所の判断が「徐々に改善」→「全体として改善」に引き上げ。全体としてというヘッジクローズがあるのですが、今回のケースでは単なるヘッジクローズだけではなくて、回復状況がアンイーブンであることも反映させた表現だと思いますので、その点で言えば寧ろ「コロナ直撃弾を食らっているところはアカンタレが続いているものの、そうじゃないところの企業収益や業況感は改善してまっせ」という話ではありますな。

『設備投資は、一部業種に弱さがみられるものの、持ち直している。』(今回)
『設備投資は、業種間のばらつきを伴いながら、全体としては下げ止まっている。』(1月展望基本的見解)

ということで設備投資の持ち直し、こちらコロナの前からそうでしたが、設備投資が出ているのが頼みの綱みたいな説明が割と長い期間続いているので、ここの判断を全体として持ち直しに上げているので、まあ総括判断横ばいとかさっきのヘッジクローズなんかから見るよりもエンカレッジングであるという評価だと思われますな、というか外需が上向きそうだしワクチンの接種は始まったしで、ここで判断上がらなかったら泣くわという所ではありましたが。

『雇用・所得環境をみると、感染症の影響から、弱い動きが続いている。個人消費は、飲食・宿泊等のサービス消費における下押し圧力の強まりから、足もとでは、持ち直しが一服している。住宅投資は緩やかに減少している。公共投資は緩やかな増加を続けている。』(今回)

『雇用・所得環境をみると、感染症の影響から、弱い動きが続いている。個人消費は、基調としては徐々に持ち直しているが、足もとでは、飲食・宿泊等のサービス消費において下押し圧力が強まっている。住宅投資は緩やかに減少している。公共投資は緩やかな増加を続けている。』(1月展望基本的見解)

前回会合からの比較だと個人消費の判断は下げざるを得ないので下がっていますが後はヨコ。

『わが国の金融環境は、全体として緩和した状態にあるが、企業の資金繰りに厳しさがみられるなど、企業金融面で緩和度合いが低下した状態となっている。』(今回)
『わが国の金融環境は、全体として緩和した状態にあるが、企業の資金繰りに厳しさがみられるなど、企業金融面で緩和度合いが低下した状態となっている。』(1月展望基本的見解)

何ちゅうかこのファイナンシャルコンディションとかの話なんですが、企業の資金繰りに厳しさって言ったってリーマンショックの時のような金融ショックじゃない状況において、企業のソルベンシーがアイヤーだから金融環境が厳しいとか言われましても、金融政策というのはリクイディティを供給することは出来てもソルベンシーをお助けすることは出来ない、というのがウォルター・バジョットの世界からのコモンセンスな訳でして、企業の資金繰り云々の話がソルベンシー由来だったら金融環境云々の方にこれ記述する意味あるんかいな、とは毎度思うのですよ。まあ確かに日銀の場合はETFは買うわ社債は買うわという思いっきりミクロの資源配分に介入どころかお助けしているという無茶苦茶な中央銀行なのでこういう書き方もありなのかも知れんが、流動性の問題と企業収益の問題はきちんと分けてくれないとアカンよね、と思いますし、こういう書き方するんだったら「じゃあ企業のソルベンシー問題で日銀は何かお助けでもするんですか???」って借問さえた時にどうしますねん、と思う。

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、感染症や既往の原油価格下落の影響などにより、マイナスとなっている。予想物価上昇率は、弱含んでいる。』(今回)
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、感染症や既往の原油価格下落、Go Toトラベル事業の影響などにより、マイナスとなっている。予想物価上昇率は、弱含んでいる。』(1月展望基本的見解)

予想物価上昇率も毎会合毎に「弱含んでいる」となっていますね。何だかんだ言って日銀が「2年で2%」的な覇気を出すどころか、ここの現状判断見ると基本的には横ばいとは言え、中身の方は企業部門中心に現状判断を引き上げている筈(個人消費は足もとの部分に関しては感染症蔓延予防措置によるテンポラリーな落ち込み、ということになるはずなので)なのです。

然るに、FEDやECBちゃん(ECBはそこまで威勢良くはないですけど)のように、今月の政策決定会合において経済の現状認識や先行き見通し、あるいは先行きのリスクアセスメントの部分を上方修正しながらも、「そうは言っても政策は地蔵(キリッ)」とぶっこんでくるのに対しまして、上記のように経済情勢の現状認識をコンポーネントでみれば一応引き上げになっているという判断をしながら、何故かマイナス金利深堀対策とか負け戦対策の話を嬉々として(かどうか知らんが)行い、しかも物価目標達成は更に長引くのでこのような長期戦対策(になっているのかどうかは怪しいが)をしました!!ってアピールしている、というこの日銀の敗北主義者的なアナウンスメントが期待形成にマイナスなんじゃないですかねえと小一時間問い詰めたくなる(督戦隊を後ろに用意させながら)というのは土曜日も申し上げた通りです。


んじゃ項番2の先行きの方。

『2.先行きのわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、外需の回復や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、改善基調を辿るとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、外需の回復や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、改善基調を辿るとみられる。』(1月展望基本的見解)

はい同じ。

『もっとも、感染症への警戒感が続くなかで、そのペースは緩やかなものにとどまると考えられる。特に、目先は、昨年秋以降の感染症再拡大の影響から、対面型サービス消費における下押し圧力は続くとみられる。』(今回)
『もっとも、感染症への警戒感が続くなかで、そのペースは緩やかなものにとどまると考えられる。特に、当面は、感染症の再拡大の影響から、対面型サービス消費を中心に下押し圧力の強い状態が続くとみられる。』(1月展望基本的見解)

同じなのか。ワクチンの事くらい書いて差し上げれば良いのに・・・・・・・・・・

『その後、世界的に感染症の影響が収束していけば、海外経済が着実な成長経路に復していくもとで、わが国経済はさらに改善を続けると予想される。』(今回)
『その後、世界的に感染症の影響が収束していけば、海外経済が着実な成長経路に復していくもとで、わが国経済はさらに改善を続けると予想される。』(1月展望基本的見解)

これも同じ。でまあ前からこういう書き方しているんで今更突っ込むのも何ですが、そもそも論としてこの先行き見通しの最後の部分の「海外経済が着実な成長経路に復していくもとで」ってのが割と悲しくて、FEDは当たり前としてもECBにしても基本的には域内の自律回復の話をしながら「何か海外(米国)が上振れて外需が上振れてくれそうですね」という感じで話をするんだが、日銀って徹頭徹尾外需頼みの書き方しかせんのよね(個人の偏見です)。つーかQQE始めた頃はインフレ目標2%達成で自律回復みたいな話(置物理論がそもそも2%達成すると何でも解決タマゴン(古すぎて知らんか)という理論だったし)だったと思ったんだが。


『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、当面、感染症や既往の原油価格下落の影響などを受けて、マイナスで推移するとみられる。その後、経済の改善に伴い物価への下押し圧力は次第に減衰していくことや、原油価格下落の影響などが剥落していくことから、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラスに転じていき、徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(今回)

『消費者物価の前年比は、当面、感染症や既往の原油価格下落、Go Toトラベル事業の影響などを受けて、マイナスで推移するとみられる2。感染症の影響から、経済活動の水準が低い状態が続くもとで、景気感応的な財やサービスの価格が下押しされるほか、既往の原油価格下落も、エネルギー価格を通じて消費者物価を押し下げると考えられる。そうしたもとで、中長期的な予想物価上昇率も、引き続き弱含むと考えられる。

その後、経済の改善に伴い、物価への下押し圧力は次第に減衰していくと予想される。加えて、原油価格下落の影響なども剥落していくとみられる。そうしたもとで、消費者物価の前年比は、プラスに転じていき、徐々に上昇率を高めていくと考えられる。中長期的な予想物価上昇率も、再び高まっていくと考えられる。』(1月展望基本的見解)

展望レポートなので期待インフレの話に言及している分長くなっています。声明文で触れていないのは別にそこから逃げている訳ではなくて、声明文の体裁上書いていないだけの話で他意は無かった筈。でもってここの見通しは(願望見通しだから変わりようがないけど)変わってませんね。



『3.リスク要因としては、新型コロナウイルス感染症の帰趨や、それが内外経済に与える影響の大きさといった点について、きわめて不確実性が大きい。さらに、感染症の影響が収束するまでの間、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下せず、また、金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されるかについても注意が必要である。』(今回)

『上記の中心的な経済の見通しについて、感染症の影響が収束するまでの間は、特に以下の3つのリスク要因(上振れないし下振れの可能性)に注意が必要である。

第1に、新型コロナウイルス感染症による内外経済への影響である。(詳述部分引用割愛)
第2に、企業や家計の中長期的な成長期待である。(詳述部分引用割愛)
第3に、金融システムの状況である。(詳述部分引用割愛)』(1月展望基本的見解)

まあ同じですね。なおよくよく考えたらリスクアセスメントが上がっただの下がっただのって記載せんのけ??


・・・・・・・とまあそういう事で、全くもって点検の他に余計なもんを色々とぶっこんで来るし、しかもまあこの制度が読み込んでも良く分からん(業務上の事務連絡出てくるの待った方が良い位の複雑怪奇さ)という代物なので、MPMレビューは明日も続くし大体からして今日は会見テキストが出ます。

とは言いましても、土曜にも申し上げましたが、この施策ってどこからどう見ても「黒ちゃんの任期残り2年間は何もしないで地蔵のままやり過ごす」というスキームに打って出ますというのを満天下に表明したようなもんで、もっと大事なのはFEDちゃんの方であってパウエル会見ネタとかその他FEDネタの方が重要でそっちをフォローしないと行かんじゃないの!!!とか思うのですが、まあ今回の茶番点検は茶番としての芸術点が割と高いので、芸術鑑賞としてボチボチ成敗して参ります。









2021/03/20

お題「土曜の午前ですが点検会合レビュー雑談(の一部)をお送りします」

今日は土曜日祝日のような気もするのですが余計なもん色々とぶっこまれたらさすがに更新しない訳にも行かず、というとカッコイイのですがおじいちゃん休みなのに早起きしちゃったから景気づけに更新をする所存。

さて決定会合の結果、出たのはアタクシの手元の走り書きだと12時39分。

声明文
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k210319a.pdf
より効果的で持続的な金融緩和について

フリップ芸のポンチ絵
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k210319b.pdf
(参考)より効果的で持続的な金融緩和:政策面での対応

自分たちの政策が効果があったという言い訳と今回の施策の屁理屈のベースになっている背景説明
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k210319c.pdf
より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検 【背景説明】

単に長期国債のレンジとETF等だけにすりゃ良いのにこっちの余計な仕事を増やす大きなお世話の要綱改定
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210319c.pdf
「貸出促進付利制度基本要領」の制定等について

ということで何か紹介文に余計なノイズが入っているような気がしますがキニシナイ!!


〇結局MPM開始直前に出ていた日経報道通りじゃねえかよ&見苦しい言い訳&余計な施策付とな

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k210319a.pdf
より効果的で持続的な金融緩和について

でまあ思いっきり出てきたのが「10年のレンジがプラマイ25bp程度」ってのと「ETFの買入の変更」にその他諸々なんですけど、これ木曜日に日経に出てたのと同じでして、何ですかねこのドッチラケ振りはという感じでありまして、きょうび新興国の金融政策だって正式アナウンスが出る前のフライングとか出てこないというのに、日本の中央銀行って未開国家なんですかねと思いますし、文春にばっかり名を成さしめているど腐れメディアもこんな所でハッスルしているヒマがあったらもっと大事なことを報道しやがれよどうせ正式発表になったら分かる話じゃねえかよと小一時間問い詰めたいし、まあ国辱にも程があるというのは金曜日に(朝飯時にスカトロ文言を連発するな飯食えなくなるだろうというご指摘を各方面ら賜りまして誠に恐れ入りますがあんまり反省はしていない)申しあげましたので、会見ネタ(ショパンの事情で昨日の会見はスルーしてしまったもんでテキスト見てから反応する)の時にでもその辺の続きは。


ということでまあ色々な物件が出ていたわけですが、案の定背景説明が図表込み表紙込みのPDFで52枚もありまして、しかも今回の背景説明の見苦しいのはこれまでの政策の各パーツの効果があった、みたいな話をしていて、この分析を基にして今回の施策を出しましたみたいな感じの作りになっていることなんですよね。

細かいパーツのこれが効いただのあれが効いただのというのは言い訳にも程がある訳で、前任を石持て追い出して2年で2%だから2倍だとか寝言をほざいてぶっこんだ政策が遂に8年経過となって、まるっきり物価目標が達成できていないという時点で政策が所期の目的を達成できていないのですからその時点でゴミな訳で、ゴミはとっとと放り投げてスクラッチで政策組み直せやと思う訳ですが、従来の政策は間違っていなかったという事にしたい黒田一味のふんどし担ぎの為に個別パーツのこれが効いただのあれが効いただの言ったって、それは「個別の戦闘に勝ったって戦争で負ければ意味が無い」のであり、まあ表紙含めて52枚組もなーにやってるんだか、という感じでございまして、そういう生産性の無い事ばっかりやってるからダメなんだよてめえらは、と思うのですが、何せふんどし担ぎ共は今後ここの分析とやらを振りかざして屁理屈を捏ねて来る(ただ屁理屈の都合が悪くなると即座に言及を停止するのがいつもの事なので今回もそうなるに1万ジンバブエドル)ので、仕方ないからまあ読む所存ですがこっちまでまだ手が回らんので施策の大枠に関してとりあえず祝日の起き抜けにノコノコ書いてみる所存である。


でまあそんな訳でございますので、今回は面白ポンチ絵と共に、付利の所だのなんだの色々といじくりまわして来やがりまして、そういうの期末に突っ込むなよ(まあ施行自体は一番早いのでも4月積み期間からだから期末に影響はせんけど)という話で、今回色々と細かいのをボコボコぶっこんでいるのって、そういうので目くらましをしようとしてるんじゃないかと邪推したくなるような感じですなあっはっは。



〇もう声明文の題名からしてワロスワロスなのですが何のために今回の施策をぶっこんだんでちゅかねえ

だいたいからして声明文の題名が最早ギャグの世界
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k210319a.pdf
より効果的で持続的な金融緩和について

「より効果的で持続的な金融緩和について」って何ですかそれという感じでして、まあ大体からしてここの所の題名は面白文学と化しているんですけど、黒ちゃんのたうち回りの軌跡を確認するとこうなります(コロナの時は追加緩和と言い切ってたので割愛)。

2018年7月の題名「強力な金融緩和継続のための枠組み強化 」(レンジ拡大とフォワードガイダンスの時)
2016年9月の題名「金融緩和強化のための新しい枠組み:「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」」(YCC導入)
2016年1月の題名「「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入 」(マイナス金利政策)
2015年12月の題名「当面の金融政策運営について(「量的・質的金融緩和」を補完するための諸措置の導入、12時50分公表) 」(補完措置導入)

でその前がQQE2になる訳ですが、遂に今回は「政策の強化」とか「強力な緩和」とかいう文言が入っていない訳ですよ。でもって今回の本文の1ポツを見ましても、

『1.より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検

日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行った(別紙1)。その結果、基本的な政策の考え方としては、2%の「物価安定の目標」を実現するため、持続的な形で、金融緩和を継続していくとともに、経済・物価・金融情勢の変化に対して、躊躇なく、機動的かつ効果的に対応していくことが重要であると判断した。』

ということで、何の為に突っ込んだ政策なのかもイミフという素敵な話になっております。と申しますのは、先ほどの題名列挙でお分かりのように、YCC導入の時もレンジ拡大の時もこのように声明文の頭の部分では「強力な緩和」とかそういう文言があったんですよね。

2018年7月
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180731a.pdf

『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、強力な金融緩和を粘り強く続けていく観点から、政策金利のフォワードガイダンスを導入することにより、「物価安定の目標」の実現に対するコミットメントを強めるとともに、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の持続性を強化する措置を決定した。』(ここだけ直上URL先の2018年7月決定会合声明文より引用)

2016年9月
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921a.pdf

『2.これらを踏まえ、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、上記2つの政策枠組みを強化する形で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定した。その主な内容は、第1に、長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、第2に、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」である。』(ここだけ直上URL先の2016年9月決定会合声明文より引用)

なんせYCC導入の時には「できるだけ早期に実現するため」までありましたけど、いずれにしましても「強力な緩和」というような力強い文言を入れながら施策を入れていまして、少なくともここの文言を見ると、実際にそれが効く効かないはさて置き(というか効かないんだが)、2%物価目標の早期達成(18年の時点で早期が抜けていますが、笑)の為に強力な金融緩和をするからその措置、という話になっておりましたけど、遂に今回はその覇気すらなくなるという状況。

つまりですね、この施策って2%物価目標達成に向けて何の意味あんの????って話で、これを入れた結果として物価目標達成が早まるとかパスを強固にするとかいうのなら施策入れる意味わかりますが、そうじゃないんだったら要するにおめーらが全然物価目標行かないという政策の失敗を誤魔化すために(そもそも「点検」が誤魔化しなんですけど)目くらまししただけじゃろ、という事なんですが、はてさて会見でその辺の話が出たのかどうか(ガチで知らんし会見QA見るためだけにコンビニにひとっ走りして日経に課金する気は無いので)という所ではありますな。



〇マイナス金利深堀可能な変更だけ実施するとかナンノコッチャにも程がある

とまあ休日なのを良い事に時間を気にせず書いていると悪態が終わらんので次に行きますが。

『こうした観点から、以下の対応を行うこととした。』

『@金融仲介機能への影響に配慮しつつ、機動的に長短金利の引き下げを行うため、短期政策金利に連動する「貸出促進付利制度」(別紙2)を創設する。』

ということでこれがまたクソヤヤコシイ制度変更をしてきたのですが、さっきの声明文項番1の後半の方を改めて確認しますと、

『2%の「物価安定の目標」を実現するため、持続的な形で、金融緩和を継続していくとともに、経済・物価・金融情勢の変化に対して、躊躇なく、機動的かつ効果的に対応していくことが重要であると判断した。』

って書いてあるのですよね。でもって2%の物価目標を早期に達成するという意思があって、政策金利の引き下げが有効なツールであるというのであれば、「躊躇なく、機動的かつ効果的に対応していく」ためのツールを入れたんだったらとっとと利下げすればあ(鼻ホジホジ)と思う訳ですよ。早期達成に向けてプロアクティブに必要な政策手段を総動員するってのがQQEの精神じゃなかったでしたっけ?????

いや勿論今回の各種施策によって物価目標の達成が近づくからオーバーキルせんでも良かろうと思うのでマイナス深堀等は見送るってんでしたら話はまだ分からんでもないのですが(棒読み)、なんかそんな雰囲気は項番1の文言から漂ってこないですよね。

・・・・・ということはこの施策って「追加緩和をせざるを得ない状況になった時の為の施策」という話になると思うのですが、それって思いっきり敗北主義者にも程がある話で、物価目標の早期達成に向けた施策を打ち込みますのでよヨロシク!!じゃなくて先に負け戦の準備をしておいて、いやまあそれ自体はするなとは言わないですけれども、負け戦の準備をしたことを思いっきりアピールされましても、それって敗戦思想を振りまいているだけであって、それこそフォワードルッキングな期待形成に悪影響与えませんかねえ(棒読み)というお話。

だいたいからしてさっきも申し上げましたように、今回の施策が「緩和政策が長期化」すなわち「物価目標の達成時期が遅れる」というのをアピりながら別に早める対策をするでもなく打っているかのような説明になっているうえに、負け戦の時の準備だけは万端余念なくてそれを自慢気にアピってたら、それはどこからどう見てもインフレ期待の形成に悪影響ですよね〜。何やってるんだか。

まあ何ですな、この付利制度の変更をして適用になるのが4月積み期間だから今回は下げられない、という事情であって、4月会合では華麗に物価早期達成に向けて追加金融緩和をしますって事だったら(適切かどうかは兎も角筋論としては)筋の通った話になりますがさてどうなるんでちゅかね。



〇25bp程度は「明確化」であって「小幅拡大ではない」とな

んじゃ次。

『Aイールドカーブ・コントロールについて、平素は柔軟な運営を行うため、長期金利の変動幅は±0.25%程度であることを明確化する。同時に、必要な場合に強力に金利の上限を画すため、「連続指値オペ制度」を導入する。』

「明確化」だそうです。元々総裁の会見でのオーラルだけ(ただしその発言自体は会見要旨にありますので文字に残っている)だったものですが、プラマイ20じゃなかったようですね。

でも総裁会見のオーラルの方がどう見ても解釈の幅が残るものだし、そもそもが総裁会見のオーラルなので、別にその数字がディレクティブに載っていたわけでもないのでありますからして、「明確化」した方が普通に考えて運営が硬直化するだろと思うのですが、何故かこれが「柔軟な運営」になる日銀の発想は良く分からんのですが、まあ頭の良さでは天下人レベルの日銀の皆様がそう言うんですからそういうことなんでしょうかねえ、頭のよろしいお方はむつかしいことをいわはりますなあ(突発性エセ京都人)といった風情で。

ところで『連続指値オペ制度』っての変更された要綱のどこにも見当たらないんですが、と思ったらオペ運営に関する紙が後から出ていてそっちにあったわ。後出しすんなや。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210319d.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について


〇リスク性資産の買入が減りそうなのは良いんだが従来のとのコミングルが酷すぎ

『BETFおよびJ−REITについて、新型コロナウイルス感染症の影響への対応のための臨時措置として決定したそれぞれ約12兆円および約1,800億円の年間増加ペースの上限を、感染症収束後も継続することとし、必要に応じて、買入れを行う。』

その後の記載とポンチ絵を見たら元々あった方のメドが撤廃されるとのことですが、元々の上限の方はコロナ対策で入れた6兆と元々の6兆円なのに、何の断りもなくいきなりこれが恒久的な上限になるというのは理屈が無いにも程がある。コミングルというより闇鍋みたいな感じですが、とにかくこの人たちティンバーゲンルールを丸無視して次から次へと前の施策を流用して行くの酷くねえかと思う。

このネタは社債も含めて次のセクションで。


〇ディレクティブには25bpを書かないとかいうのも不思議な話

『2.当面の金融政策運営

経済・物価の現状と見通しは、別紙3のとおりである。これらを踏まえ、日本銀行は、当面の金融政策運営について、以下のとおり決定した。

(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成8反対1)(注1)

次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。

短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。』

おや?25bpの文言は入らないんですね。そうなるとこの25ってのはどういうステイタスなんでしょうね、中々訳分らん。


〇しらっとリスク性資産の買入を減らそうとしているように見えるのは評価して進ぜよう(ウエメセ)

『(2)資産買入れ方針(全員一致)

長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。

@ETFおよびJ−REITについて、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて、買入れを行う。

ACP等、社債等については、2021 年9月末までの間、合計で約20兆円の残高を上限に、買入れを行う。』

ということで、どさくさに紛れてETFと同時にCP社債も従来の量的な目標を撤廃しております。これは80兆円文言の再来キタコレということで、なし崩し的にフェードアウトするんでしたらまあ評価して進ぜよう。


情勢判断の部分は今朝はパスさせていただきまして次にポンチ絵の方に参ります。


〇遂に公式の方で「FEDはワシが育てた」が登場するとは世も末である

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k210319b.pdf
より効果的で持続的な金融緩和:政策面での対応

2ページ目のこれは呆れた。

『オーバーシュート型コミットメント

・ このコミットメントが実践している「埋め合わせ戦略(makeup strategy)」は適切。』

なにがどう適切なのかはどうも点検の資料の方に書いてあるっぽいのですが、そもそも論としてオーバーシュート型コミットメント、さっき引用したYCC導入時の声明文の中にもありましたように、

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921a.pdf

『2.これらを踏まえ、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、上記2つの政策枠組みを強化する形で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定した。その主な内容は、第1に、長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、第2に、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」である。』(ここだけ直上URL先の2016年9月決定会合声明文より引用)

「消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する」のどこがどうメイクアップストラテジーなのかと小一時間問い詰めたい訳でして、最初の定義の時点でそんな話してなかったくせにFEDが導入したら急に「FEDはワシが育てた」とかノムさんの耕した後を収穫して「ワシが育てた」とか仰せだった某氏もビックリなのですが、某氏の場合はちゃんとリーグ優勝とか実績があるからワシが育てたも愛嬌の一種ですけど、何も達成していない日銀がしゃしゃり出てきてワシが育てたとか下衆にも程があると申し上げておりましたがまさかの公式に登場ですよ公式に。

だいたいからしてですな、FEDの「メイクアップストラテジー」がほうほうなるほどそうですか、ってなるのはその前に物価マンデート達成してた実績があったし、直近だって物価マンデートに近い所まで行ったりしてるという実績があるのでメイクアップストラテジーとか言うと成程2%超えてもゼロ金利継続ねおっけーあいがっといっと!となるのですが、四半世紀に渡って2%行ってないし、画期的な施策ということになっているQQE様をぶっこんで8年経過しても2%をかすりもしないという素敵な実績をお持ちの日本銀行様が「メイクアップストラテジー」とか、共通一次模試で半分も取れない多浪生なのに「まあ本来は東大理1が目標だが東大理3レベルまでは持って行くぜ」と公言するようなもんで、「お兄ちゃん下らないこと言ってないでお願いだから勉強してよ!」と家族に泣かれるのが関の山という所ですな。

まさかとは思いますが、メイクアップというのですから向こう25年くらい4%CPI目指すとか、とうとうヤケクソになって年率100%のインフレを1年間ぶっこみに行くとか、そういうのが日銀のメイクアップストラテジーなんですかってツッコミを入れたくなりますが、そう考えますとジンバブエ理論を提唱していたジンバブエ大師匠はオーバーシュート型コミットメントを実践しようと提唱していたのかもしれませんね(全然違う)。

まあいずれにしても、まるで物価目標達成の実績が無いのにメイクアップストラテジーとか言い出すの誇大妄想にも程があるので、普通にオーバーシュート容認くらいに控えめに言っておいた方がエエンチャウのと思うのですけどねえ。


〇ふーん機構局が報告するんだ〜

ポンチ絵1ページ目の左の下の方にあったが、

『展望レポートを決定するMPM(年4回)において、金融機構局から金融システムの動向について報告』

ってのがあります。決定会合議事要旨例えば現在取得可能な直近の者は12月会合になりますが、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2020/g201218.pdf

こちらの本文だと1ページ、PDFの3枚目に『(執行部からの報告者)』てのがあって、理事と企画局はさて置きますと、金融市場局長、調査統計局長、調査統計局経済調査課長、国際局長、の報告というのがあるのですが、機構局からの報告というのは無かった(何か個別に特別事案がある場合は別だと思うのですが定例報告で出てくるわけではない)ので、一応金融システムの動向について報告というのが入ったのねとは思いますが、今までが何せあのスタイルだっただけに俄かにこれで金融システムの動向がどうだからこうとか言い出すとかは期待しません。


とまあそんな所でとりあえず。続きは土日中に入れるかどうかは不明です(^^)。






2021/03/19

お題「情報漏洩もどきでフィナーレという国辱点検会合のようなのでまた悪態ですサーセン」

これはまたホンモノの逸材あらわる
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210317-OYT1T50265/
「ワクチンは殺人兵器」「闇の勢力が計画」…県議が接種しないよう呼びかけ
2021/03/18 13:00

『斉藤県議は同県坂井市選出。1999年に初当選し、6期目。県議会議長や自民党県連幹事長などを歴任した。』(上記URL先より)

三下のポンコツ議員かと思ったら福井県議会議長経験者がホンモノとは・・・・・・・

ところでこのニュース、URLを見て虚構新聞かと思ったら京都新聞じゃないですか。
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/531807
「GoToトラベル」4月部分再開目指す 政府、5月中には全国拡大案も
2021年3月18日 17:55

何ちゅうかこの不屈の根性をもっと別の所で発揮して頂きたいんですけど。


〇書く価値無いわとか言ってたがさすがにこれはトサカに来ざるを得ない

お漏らしがダダ漏れで糞尿まみれの点検会合ですが、毒を食らわば皿までとばかりに最後の最後に情報漏洩もどきレベルかよというのを疑わせるような日経記事が登場するとなりますとさすがにこれはトサカに来ざるを得ない。

・スカトロうんこ糞尿国辱決定会合のフィナーレ(始まる前でしたが)を飾るのは日経でした

ご案内の通りの日経新聞(電子版)記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF1818B0Y1A310C2000000/
日銀、長期金利変動を小幅拡大 緩和継続へ政策修正議論
金融機関
2021年3月18日 12:00 [有料会員限定]

ということで何と決定会合初日の12時なので、初日って基本午後から(出席者の都合によりけりっぽいけど14時か15時かってところだった筈)開始なので、開始前の政策決定会合の議案らしきもの(議案とは言っていない)がここまで具体的に出るとなると、これはお漏らしどころか情報漏洩でしょうかと疑いたくなる(情報漏洩とは言っていない)事案が発生しておりまして、お漏らし満艦飾のスカトロ決定会合のフィナーレ(始まる前だけど)を飾るにふさわしいうんこ記事を書いてるのがこれまたうんこ新聞という辺りに落涙を禁じ得ません。

ということでワイは日経への課金は必要最低限に抑える無料無会員なので全員に公開部分だけしか読めないが、まあだいたいそこで話はわかるかな。

『日銀は18日午後から19日まで開く金融政策決定会合で、金融緩和策の一段の長期化を見据えた政策修正を議論する。長期金利の誘導策は変動を認める幅を現状より若干広げ、プラスマイナス0.25%程度とする方向。低金利環境を維持しつつ市場機能も働きやすくし、金融機関の収益改善につなげる。上場投資信託(ETF)の買い入れは年6兆円とする目安をなくし、市場の混乱時にのみ購入する姿勢を明確にする見通しだ。』(上記URL先より)

さすがに決定会合開始直前にこういうの出てくるのはアホかという話だし、ここまで具体的に出されて「いやこれは記者の観測記事です」というのはちょっとというか、記者の予想記事なら予想記事(「当社はこのように分析している」系の書き方)をするもんだと思うので、もうふざけるなという世界。


いやーもうお漏らし合戦(各社とも「当社の分析によれば」ではなかったですからね!)の挙句に情報漏洩疑惑の起きかねない記事で止めというのは酷いですし、大体からしてFEDとかECBとかBOEとかでこんな事前お漏らしうんこ合戦みたいな事案は起きません次第でありまして、とても主要国の中央銀行とは思えないこの醜悪な状況、海外から見たらどういう反響なんだろうと思いますが、いやまあ確かに従来も〇高砲みたいなサムシングはありましたけれども、今回のうんこ漏れ漏れ合戦はさすがにアタクシの記憶レベルでも前代未聞レベルになっておりまして、これは世界に恥をさらして回る国辱レベルの金融政策決定会合になり下がった次第でございまして、こんなんダダ流れさせる方もさせる方だし報道する方も皆で寄ってたかって国益を損ねる売国奴集団かよと小一時間問い詰めたい。



・元々0.25だと思っていたアタクシなので念のため過去のアレを再確認

昨日の市場ちゃんですが、出たタイミングが上記記事のタイムスタンプにありますように、株式の前引け後の空白時間にぶっこんできましたので、真っ先に為替が反応したんですが、「0.25%なら現状追認ジャン何で小幅拡大なんだよ」とか言ってるうちにホイホイと盛大に反応していて、これ「小幅拡大」に馬鹿アルゴが脊髄(アルゴだから脊髄ないけど)反応したんじゃろうなあとは思ったのですが、債券先物が35銭くらいオーバーランチでギャップダウンして始まる程の話なのかよと草も生えない状態でしたな。最後まで市場を振り回しやがってこの野郎って感じです。

ロイターちゃんから。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N2LG17E
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落で引け、日銀関連報道で午後に一時急落
2021年3月18日3:22 午後

『<15:10> 国債先物は反落で引け、日銀関連報道で午後に一時急落

国債先物中心限月6月限は前営業日比7銭安の151円13銭と反落して取引を終えた。米連邦公開市場委員会(FOMC)後の米金利上昇が限定的だったことで買い先行で始まったが、午後は、日銀が長期金利操作の許容変動幅を拡大する方向との報道で一時急落した。』(上記URL先より、以下同様)

はい。

『日本経済新聞は18日、日銀が今回の金融政策決定会合で、長期金利の誘導策として変動を認める幅を現在のプラスマイナス0.2%程度から若干広げ、プラスマイナス0.25%程度とする方向だと報じた。』

そもそも「プラスマイナス0.2%程度」って0.25まで含まれると思ってたんだが、よく考えたら0.25%程度ってのも最早何が何だか分からんな。しかし30bpって記事が以前でていたのに今回これってのはMPM初日だから確定報道なんだろみたいな考えと、ぐるぐるとお漏らしが回りまわって結局0.3%にはしないのかなみたいな感じだったからなんですかねえ、よくわからん。

『ただ、金利上昇圧力は限定的で、10年最長期国債利回り(長期金利)は前場の0.085%から後場は一時、0.115%に水準を切り上げたが、終盤は0.100%(前日比1.0bp上昇)に水準を戻した。』

ということですが、そもそも声明文にあるのは、

1月決定会合声明文
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k210121a.pdf

『長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとする1。』(直上URL先の直近1月決定会合声明文より)

としか書いてない訳で、20bpと決め打ちしているのは、このレンジ拡大のような事をした2018年7月の決定会合における黒ちゃんの記者会見に遡る訳でして、

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180801a.htm/
総裁記者会見要旨
2018年7月31日(火)
午後3時半から約60分

冒頭説明から。

『なお、長期金利の変動幅については、「イールドカーブ・コントロール」導入後の金利変動幅、概ね±0.1%の幅から、上下その倍程度に変動し得ることを念頭に置いています。もっとも、金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する方針であり、金利水準が切り上がっていくことを想定しているものではありません。』(直上URL先の2018年7月決定会合終了後の総裁定例記者会見より、以下同様)

質疑から。

『(問)(前半割愛)もう1つ、先程、金利が上下に変動することについて、倍程度というお言葉がありましたが、これは要するに、−0.2%から+0.2%までの変動で推移するように操作するということでよろしいでしょうか。』

『(答)(前半割愛)2番目の、長短金利の幅が上下に変動し得ることについては、国債市場の機能度を高めるためにある程度の変動を容認するということであり、従来±0.1%くらいの狭い幅で動いていましたが、その倍くらいの幅を念頭に置いて考えていくということです。ただ、先程も申し上げていますように、金利水準の上昇や引上げを意図しているわけではありませんので、金利が急上昇したような場合には、迅速にオペなどで対応していくということです。金利水準を引き上げようという意図は全くありません。』

「従来±0.1%くらいの狭い幅で動いていましたが、その倍くらいの幅を念頭に置いて」なのであって、「倍」と言い切っている訳では無いので0.2%となっていた訳ではない、と思ってその時も「これは普通0.25%くらいまで容認するじゃろ」とか書いた覚えが思いっきりあるアタクシ。

まあいずれにせよ0.20%がかすりもしなかったので分からなかった上に、このレンジ決めた後の2019年8月下旬には10年カレント▲25bpをぶち抜いて金利が下がったのに別に何もしなかった(実際は「しない」のではなく「対処不能」って所だと思いますが)という実績がある訳で、そもそもプラマイ20なのかというのもかなりファジーになっていた訳ですが、これを声明文に書いて金利上がる方は何だかんだ言っても指値だの何だのあるけど、何かの拍子にまた金利下がって▲25bp抜きに行きそうになったら売りオペでもするんかいなとかそっちの担保をしてくれませんかねえ(超棒読み)って風情ではありまして、小幅拡大とか言ってるのかなり雑な説明に見えますな。



・市場機能とか言いながら市場を叩き壊して回っている日銀クッソワロスwww

しかしまあ何ですな、まあこの前の黒ちゃんの国会答弁とかは半期報告で日程が事前に決まっている国会での発言だってことで、そらまあこの時間帯にパブリックな発言機会があるというのは分かる話ですが、決定会合初日でたぶん会合開始前の時間帯しかもランチタイムにこんな不意打ちぶっこんでくるとか予想しろというのが無理な話。

そらまあ地区連銀総裁が好き勝手発言する米国もいつ何が飛び出るのかイマイチ良く分からんのですけれども、ただあれは(ハンフリーホーキンス法に基づく議会証言とFOMC後の議長会見を除けば)全て「ワシゃあ個人的にこう思うんじゃがのう」というお話なのでありまして、クラリダやウィリアムズと言えども「次回のFOMCでの執行部議案はこのような事を考えています」という発言ではない訳ですよ(とは言え重さが違うから能天気ウイリアムズは別だがクラリダの発言ってハッチャケ発言は無いですよね)。

然るに、今回の報道って全部「関係者によると」ばっかりで、そらまあ関係者という名前のこたつ記事に過ぎない案件もあろうかと存じまが、なんかやたらと個別具体的なお話ばっかり登場するし、しかもそのお話が右に火を付けてみたと思ったら消化して左に火をつけるみたいな、市場の反応を確認しようとして観測気球あげてるのかよというような、と言えばまあ少し綺麗な言い方になりますけど、まあこっちとしては日銀が市場に対して嗜虐的に振舞って市場が右往左往するのを楽しんでいる虐待行為って風情(個人の偏見です)とか思ってしまう訳ですよいやマジで。

ということでですな、今回の点検会合を巡る一連の不規則報道合戦とそれに振り回される市場ちゃんってのを見てますと、まあ自国通貨の国債市場だから参加せざるを得ない分は参加しますけど、これ通常の神経があったらこんな理不尽な理由でボラが出る市場とかヘッポコ市場にも程があるし、そんな市場に力入れて参加しようとは思わんじゃろという事になって行きかねないお話な訳ですよ。というか今回だって散々振り回されてマーケットメーカーとか大迷惑だったと思うし、アクティブに動くポートとかも納得行ないんじゃないかと思うのね。

でですよ、そういう事をしている日銀が「市場機能の維持」とか抜かすのがもうヘソが茶を沸かすレベルのはいはいワロスワロス状態なのですが、そうやって市場を叩き壊してしまうと、そらまあ今の市場統制政策やっている分には日銀が右向け右っていったら動く方がやりやすいかも知れませんけど、いずれどこかで正常化(アタクシが生きている間に正常化しなかったら北門前に化けて出てやるわ)する筈なのですが、その時にどうせ国債発行残高が減っている訳でもないのでありまして、国債消化する市場ちゃんが脳死状態になっていてこの大量発行受け止められるのかよという意味においてもちょっと酷いんじゃないの今回の一連の動きは、と思うのでありますがどうでしょうかね。


・MPMは合議制の会合なんですけど他の審議委員がポンコツだから舐められてるんだぞ分かってるかオイ

って小見出しのまんまの話ですが、いやまあ過去にもお漏らしチックな記事が一斉に出てみたいな事案はあったりもしましたが、このような勢いでボロボロと出るわ挙句の果てには情報漏洩を疑いたくなるようなレベルの記事まで出るわ、というのはさすがに前代未聞(アタクシの記憶の中で)でございます。

でね、こんな惨状になってるのって他の審議委員が馬鹿にされているという事でもあって、そら何も無しのスクラッチで1から会議する訳にも行かないのは分かるけど、このようなレベル感でホイホイとお漏らしが出ちゃうのって合議制の会議で政策決定をしているのかよと論難されても文句の言えないレベルじゃろ(FEDだって勝手に意見が出るけどさっきも言ったように「個人的見解」の披露合戦なのである意味書く参加者の意見発表大会が表に出るみたいなもんだから話のレベルが違う)と思う訳ですよ。

つまり、日本銀行の運営における客観的(というか民主的というか)なガバナンスを効かせるために政策委員会ってのを政策委員呼んで実施していて、通常の業務運営マターは通常会合、金融政策運営に関しては金融政策決定会合で決定しているのでありますが、現業の実務的問題ではない、金融政策の運営という議案においてこんなに事前に「こういう方向」みたいなのがポンポンと出てくる(繰り返すがこれが政策委員の皆さんが「個人的見解」として披露するのがポンポン出るってんだったらそれはそれでアリなお話)というのは、そもそもこの組織、政策委員会のガバナンスが効いてないにも程があるんじゃありませんかねえ、というのを疑いたくなるってお話な訳ですよ。

とまあそういう訳でございまして、過去ここまで酷いお漏らし大会が無かった(書いてる人の記憶ベース)ことを勘案するに、これって現在の政策委員というかヒラ審議委員の面々が完全にポンコツだと舐められているからこういうことになるって話に他ならない(というのは個人の感想ですので念のため申し添えます)訳でございますので、ちょっとお前ら骨のある所見せてみんかいと存じますのよあたしゃ。誰かちょっと根性出して「今回の政策決定に至るプロセスにはガバナンス上の問題があるので執行部案には賛成致し兼ねます、よって反対」位ぶっこんで見やがれというか、そうやって反対ぶっこんで頂いたらアタクシ弟子入りさせて頂きますわって迷惑だからいりませんですかそうですか。

昔はもうちょっと武闘派みたいな審議委員とか理路整然とぶった切る(鉈だったり剃刀だったりしますが)審議委員とかが居たのですけれど、この一連の報道みて執行部にカチコミ掛ける審議委員とかおらんのかねと悲しくなって来るのですが、まあこれ承認してるのは議会だけどノミネートしてるの政府というか最近だと官邸方面と目されておりますけど、究極的にはポンコツばかり選ぶボンクラ官邸がアカンという話ではあるのですけど、まあちょっとポンコツの皆さん根性というものを出して何でしたら採決に応じられないとか言ってフィリバスターやって頂いても良くってよ(何時までも結果出ないと死ねるけど今回は許す)。



・なお会見はあまり期待できないがお漏らし合戦に不参加の面々の頑張りに期待したい

ということで、まあこれ市場を振り回して遊んで何が楽しいのという話もさることながら、問題なのは日銀法の建付けで想定している筈のガバナンスが効いているのかが疑わしいと思われてしまうような(一応オブラートは入れてみた)事案に成り下がってしまっているというのがこれまたアカン事だと思うんですよね(あくまでも個人の感想です)。確かにまあカボチャと議論してもしょうがないというのは主な意見だの議事要旨だの見るとお気持ちとして非常によく分かるのですが、ボードがカボチャ畑だからと言ってどスルーして良いとかそういうものでは無いわけでして、そういう意味で今回の総裁記者会見って25bpがどうの(本当に25が出るのかねと今でも思うけど)とかイールドカーブがどうのだとかETFがどうのだとか、そういう質問の前に日銀のガバナンス問題に突っ込む記者さん出でよと思うのよマジで(あくまでも個人の感想です)。

とは言いましても、お漏らし祭りに加担しているメディアにその質問しろというのは記者が堂々の自社批判をパブリックにする、という話になり兼ねませんのでそらまあ期待できないのは最初から分かっている話となりますと、さすがにこれだけバカバカ記事が出てくるとどこが参加してないのか良く分からなくなって参りましたが、朝日(毎日と読売もかな)は参加していないと記憶しているし、朝日の某氏と言えば毎度黒ちゃんに喧嘩を売るのが芸風になっておりますので、まあ是非このガバナンス問題をぶっこんで頂ければアリガタヤと思いますし、あと期待できそうなのって北海道新聞さん辺りのブロック紙さんかなとか思うのですが、会見でその辺に関連する質疑が全くなかったりしますとちょっと悲しいですな。



・・・・・とまあそういう訳で、ただのアタクシの悪態大会になってしまいまして誠に申し訳ないのですが、書いておかないと数年経過するとすっかり何が何だったのか忘れてしまいますので、俺様備忘録として残させて頂ければ、と斯様思いまして書かせて頂きました。お付き合いいただきまして恐縮至極。







2021/03/18

お題「声明文とSEP(除くドットチャート)は何気に強気になっているようなのですけど・・・・・・」

ほうほうそうですか(呆)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210318/k10012920971000.html
日銀 きょうから金融政策決定会合 金融緩和策を「点検」
2021年3月18日 6時06分

『日銀は18日から金融政策決定会合を開き、金融緩和策の「点検」を行います。焦点となっているETF=上場投資信託の買い入れについては、年間12兆円という上限は残す一方、市場の動向によってより柔軟に対応できるよう、年間6兆円としている目安はなくす方向で議論する見通しです。』(上記URL先より、以下同様)

焦点だったのかよETF。

『その一環として、(引用者追記:ETFの)年間およそ12兆円という購入額の上限は残す一方、原則、「年間およそ6兆円」としている購入額の目安は、なくす方向で議論することにしています。』

これはワロタ。ニュース読んでる人もナンノコッチャって感じだったでしょうね、はー禅問答禅問答(コロナで6兆おかわりをしたはずなのに元の6兆撤廃して何で出来上がりがそのまま12兆なんだか・・・・・・・)。

#もはや一々ネタセクションに置く気もおきないので今日の世間話マクラということで


〇例によって寝起きでFOMC:先にレビュー雑談を(ただし声明文とSEP読んだだけの段階)

今日はやる気(?)を出してラジオも聴かずに黙々とドキュメントチェックを行ってから、うーん微妙なんだけどSEPの物価失業見通しの所は何気に強くなってるんだよなー、とか思いながら答え合わせ(??)をしたら何で「早期利上げ観測後退でドル安」とかになってるのよという感じで、メリケンの皆さんはどういうもんが出てくると思ってたんだよと小一時間。

#まあ向こうのそういうレポートとか見ないワシもワシなんですが

ということで先に書いておくと、SEPでアタクシが注目したのはエコノミックプロジェクションのところで、メディアンベースの数字だけで話をするのも何ですが、メディアンの数字でコアPCEが予想期間のすべてで2%超えになっていることと、失業率予想がロンガーランを下回る時期が前倒しになっていることが「ほー」と思った訳でして、これ即ち2022年にはマンデート堂々の達成という予想になっている(あくまでもメディアンの話ですが)図になっていまして、前回のSEPではこの達成時期が2023年になっていたのよ。

なお会見の方までまだ手が回っていないのでアレなのですが、確かにドットチャートの方は前回よりも2023年中に利上げの人が増えた(5人→7人)とは言え、23年末まで利上げしないの人が依然として11人いるからヘーキヘーキって事なんでしょうけれども、うーんそれでいいのかーという気はするのよね。

つまりですね、マンデート達成じゃーと言っている中で、物価の上昇速度が上がって来れば、従来の「物価は勢い込んでアガランチ会長なのだから多少の上振れヘーキヘーキ」という理屈の前提が大丈夫かねという話になる(実際にどうなのかは後になってみないと分からないですけれども、インフレが高進してしょみーんを殺しにかかるFEDは地獄に落ちるべきとかいう話になってしまったら後悔先に立たず覆水盆に返らずな訳でして、結局どこかでエイヤーのプリエンティブな判断をしないといけなくなるから)ので、22年中にマンデート水準に来ているという状況下でいつまでも平然とFFゼロ金利を継続できるのかというのはまあ微妙なんじゃネーノとは思ったり思わなかったり。

てなわけで、確かに今すぐに利上げがどうだのという話にはならんので、そらまあ別にここから親の敵みたいに売り込む必要はないと思うのですが、ゆうて長い方の金利まで下がるかというとそういう話じゃないし、だったら株とか為替ってFOMCは強めって反応するのかなとか思って答えを見たらダウ上昇ドル高でアタクシの修行が足りないにも程があると思いましたが、10年金利は若干とは言え上昇っぽいのでちょっとホッと(??)しました。

というのがレビュー雑談ですすいませんすいません。以下肝心の声明文比較とSEP比較。


〇声明文:足元の判断をガッツリ引き上げも先行きはコロナ次第で誤魔化すの巻

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20210317a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20210127a.htm(1月)

・第1パラグラフ:これが最初にあるのは「コロナモードである」というシグナルの筈

コロナモードになってから1パラ目にこれがぶっこまれているのですが、今回も継続。この前のバイデンさんのテレビ演説だかでの話をそのまま真に受けると、独立記念日の式典辺りで「今日はステイツの独立記念に加えてコロナからの勝利を記念する歴史的な日になりました」とか言い出すんだと思うので、まあそこまでは素直にコロナモードって言っておくんでしょうし、それ以降になると「まだコロナの影響が残る」とは言うにしてもあんまりコロナモードを前面には出せなくなるよね、とか妄想しています(個人の妄想です)。

すいません雑談が過ぎました。

『The Federal Reserve is committed to using its full range of tools to support the U.S. economy in this challenging time, thereby promoting its maximum employment and price stability goals.』(今回)

『The Federal Reserve is committed to using its full range of tools to support the U.S. economy in this challenging time, thereby promoting its maximum employment and price stability goals.』(1月)

いつも通りです。


・第2パラグラフ:全体観は上げるわ物価の記述の所もしらっと変わっているわ

『The COVID-19 pandemic is causing tremendous human and economic hardship across the United States and around the world.』(今回)
『The COVID-19 pandemic is causing tremendous human and economic hardship across the United States and around the world.』(1月)

いつも通り。

『Following a moderation in the pace of the recovery, indicators of economic activity and employment have turned up recently, although the sectors most adversely affected by the pandemic remain weak.』(今回)
『The pace of the recovery in economic activity and employment has moderated in recent months, with weakness concentrated in the sectors most adversely affected by the pandemic.』(1月)

全体観に関して引き上げになっていますな。コロナで食らっている人が大変、というのは同じです。

『Inflation continues to run below 2 percent.』(今回)
『Weaker demand and earlier declines in oil prices have been holding down consumer price inflation.』(1月)

物価の記述が無茶苦茶シンプルになっていまして、そのどさくさに「Weaker demand」の文言が削除されておりまして、弱い需要で物価が押し下げ、を意味する記述が無くなっているので結構「おー」と思ったという事でアタクシ的にはここも注目しました点です。

『Overall financial conditions remain accommodative, in part reflecting policy measures to support the economy and the flow of credit to U.S. households and businesses.』(今回)
『Overall financial conditions remain accommodative, in part reflecting policy measures to support the economy and the flow of credit to U.S. households and businesses.』(1月)

ファイナンシャルコンディションがどうのこうのという話はいつも通り。でまあいつも通りですが米国様のシャレオツなところは、この良好なファイナンシャルコンディションについて「in part reflecting policy measures」ということで、どこぞの国やどこぞの地域連合と違って「ワシが育てた」という記述にはならない事ですな。


・第3パラグラフ:先行きの所はバイデン予算云々の話は華麗にスルーしてコロナ次第文言を継続

ここを見た時は何だ慎重ジャンと思ったけどSEPの方が結構強かったので、今回は声明文まで威勢よくするのは(足元で金利も上昇していることだし)刺激的になるから避けましょうってなったんでしょうね(SEPの成長見通しの今年の所が盛大に上がっているのでバイデン予算はそこで反映されている)。

『The path of the economy will depend significantly on the course of the virus, including progress on vaccinations. The ongoing public health crisis continues to weigh on economic activity, employment, and inflation, and poses considerable risks to the economic outlook.』(今回)

『The path of the economy will depend significantly on the course of the virus, including progress on vaccinations. The ongoing public health crisis continues to weigh on economic activity, employment, and inflation, and poses considerable risks to the economic outlook.』(1月)

よって「コロナの状況によっては先行きの見通しに顕著なリスク」の文言も残しています。全文一致ですが、ここはまあ慎重に置いたということで、一応市場に気を使っているのは把握した。


・第4、第5パラグラフ:政策運営関連に関する文言は全文一致

まずは4パラ。

『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run. With inflation running persistently below this longer-run goal, the Committee will aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time so that inflation averages 2 percent over time and longer-term inflation expectations remain well anchored at 2 percent. The Committee expects to maintain an accommodative stance of monetary policy until these outcomes are achieved.』(今回)

『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run. With inflation running persistently below this longer-run goal, the Committee will aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time so that inflation averages 2 percent over time and longer-term inflation expectations remain well anchored at 2 percent. The Committee expects to maintain an accommodative stance of monetary policy until these outcomes are achieved.』(1月)

緩和的なスタンスを取る、のガイダンス部分までがこれ。

『The Committee decided to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and expects it will be appropriate to maintain this target range until labor market conditions have reached levels consistent with the Committee's assessments of maximum employment and inflation has risen to 2 percent and is on track to moderately exceed 2 percent for some time.』(今回)

『The Committee decided to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and expects it will be appropriate to maintain this target range until labor market conditions have reached levels consistent with the Committee's assessments of maximum employment and inflation has risen to 2 percent and is on track to moderately exceed 2 percent for some time.』(1月)

ここが政策金利のガイダンス。

『In addition, the Federal Reserve will continue to increase its holdings of Treasury securities by at least $80 billion per month and of agency mortgage-backed securities by at least $40 billion per month until substantial further progress has been made toward the Committee's maximum employment and price stability goals. These asset purchases help foster smooth market functioning and accommodative financial conditions, thereby supporting the flow of credit to households and businesses.』(今回)

『In addition, the Federal Reserve will continue to increase its holdings of Treasury securities by at least $80 billion per month and of agency mortgage-backed securities by at least $40 billion per month until substantial further progress has been made toward the Committee's maximum employment and price stability goals. These asset purchases help foster smooth market functioning and accommodative financial conditions, thereby supporting the flow of credit to households and businesses.』(1月)

APPのガイダンス、と全部同じです。


次の5パラは「色々な状況を見て適宜適切に判断しますよ」という話でこれも全文一致です。

『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take into account a wide range of information, including readings on public health, labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial and international developments.』(今回)

『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take into account a wide range of information, including readings on public health, labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial and international developments.』(1月)


・第6パラグラフ:票決は全員一致

そりゃそうだ。

『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John C. Williams, Vice Chair; Thomas I. Barkin; Raphael W. Bostic; Michelle W. Bowman; Lael Brainard; Richard H. Clarida; Mary C. Daly; Charles L. Evans; Randal K. Quarles; and Christopher J. Waller.』(今回)

『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John C. Williams, Vice Chair; Thomas I. Barkin; Raphael W. Bostic; Michelle W. Bowman; Lael Brainard; Richard H. Clarida; Mary C. Daly; Charles L. Evans; Randal K. Quarles; and Christopher J. Waller.』(1月)


〇ディレクティブでONRRPの1先辺りの限度額が拡大になっています

たぶんFF市場とかの事情で基本政策意図はない筈なんですが、米国の短期市場まで日ごろ細かく見ている訳ではないのでそこらへんは詳しい方に解説キボンヌ。

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20210317a1.htm
Implementation Note issued March 17, 2021

前回のはこちら
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20210127a1.htm

ディレクティブの中で、ONRRPに関する記述がありますが、そこが

『・Conduct overnight reverse repurchase agreement operations at an offering rate of 0.00 percent and with a per-counterparty limit of $80 billion per day; the per-counterparty limit can be temporarily increased at the discretion of the Chair.』(今回)

前回が30ビリオンでして、今回増額になっております。なお他の部分の変更はありません。



〇SEP:ドットはまあこんなもん、見通しの所はちょっと強気じゃんと思ったのですが

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20210317.pdf
Summary of Economic Projections

貼り付け等に便利なHTMLバージョンはこちら。
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20210317.htm
March 17, 2021: FOMC Projections materials, accessible version

・経済物価見通し:従来の2023年マンデート達成が1年繰り上がりですわよ(ただしメディアンベース)

『Table 1. Economic projections of Federal Reserve Board members and Federal Reserve Bank presidents, under their individual assumptions of projected appropriate monetary policy, March 2021』の例によってメディアンしか見ない手抜きっぷり。

メディアンの数字で、2021、22、23、ロンガーランの数字です、以下同様。

(成長率)
Change in real GDP 6.5 3.3 2.2 1.8
December projection 4.2 3.2 2.4 1.8

足もとを盛大に上げたのはバイデン予算を織り込んだのね。23年が下がったのが良く分からんがゲタの影響とか??

(失業率)
Unemployment rate 4.5 3.9 3.5 4.0
December projection 5.0 4.2 3.7 4.1

アタシャ何気におーと思ったのですが、ロンガーランよりも低い水準の失業率ってのが1年前倒しで達成になっているんですよねこれ。

(ヘッドラインの物価)
PCE inflation 2.4 2.0 2.1 2.0
December projection 1.8 1.9 2.0 2.0

(コア物価)(コア物価はロンガーランの記述無し)
Core PCE inflation4 2.2 2.0 2.1
December projection 1.8 1.9 2.0

何気に全期間で2%超過となっておりまして、物価が落ち着いて推移するから利上げしない、というドットチャートになっているのですが、まあ何と申しますかな訳ですよ。


・ドットチャート

2021年末:全員が現状維持
22年末:現状維持が14人、利上げが4人(前回は17人全員が現状維持)
23年末:現状維持が11人、利上げが7人(前回は12人が現状維持、利上げが5人)
ロンガーラン:2.25%に1票増えただけでその他のドットに変化なし

ということでして、まあこっちは経済物価見通し程には威勢よくなっていない、ということで、これは毎度おなじみ「フィリップスカーブのフラット化で物価がアガランチ会長」というのを反映すればその通りということになる(だってインフレが高進しないんだったら別にいいじゃんって話だから)のですが、これは前提にフィリップスカーブは死んだまま、というのがあるのでございまして、はてさてその辺どうなのよとかそういう話は会見のQAで出ているかも知れませんが、今朝は
そこまで寝起きで読む余裕は無いのでご勘弁頂きとう存じます。

ではまあそんな所で。





2021/03/17

お題「フィンテック何とかでの黒ちゃんご挨拶雑談/ラガルド会見その3:定量的な話をひたすら回避して禅問答に持ち込むスキームのようで」

あらま。
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-eu-astrazeneca-idJPKBN2B81XX
2021年3月16日11:11 午後
EU、アストラワクチン「効果がリスク上回る」 18日に調査結果

「今の政策を変える必要はない」という結論が先にある「点検」を行う中央銀行(以下いつもの悪態なので割愛されました)。


〇黒田総裁のフィンテック系でのご挨拶(まあ暇ネタ系ですが)

昨日の黒ちゃんは国会には出るわリモートとは言えちゃんとしたセミナーでの基調挨拶みたいなのはするわとオイソガシヤだったようですな。でもって国会の答弁はたぶんやっと安定してきた感じだったのかあんまりヘッドラインをヒャッハーとにぎわすことも無かったようです。

でもってこちら。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko210316a.htm/
【挨拶】
情報システムと金融システムの融合、アズ・ア・サービスの先にあるもの
FIN/SUM(フィンサム)2021における挨拶

日本銀行総裁 黒田 東彦
2021年3月16日

話の都合上最後のCBDC(順番を忘れたら「セントラルバンク」と頭で唱えると「CBDC」と間違えずに言えるのでお勧め、ってそんなのやってるのおじいちゃんだけですよ朝のお薬まだ飲んでないでしょ、と言われますとぐうの音も出ない)のところからまずは。

なお、PDFバージョンもありますが、HTMLバージョンの方がコピペが楽なので上記HTMLから引用しております。

・CBDCの話は良いんだが最後のオチはどうしてこうなった

『中央銀行デジタル通貨』って小見出しから。

『最後に、中央銀行デジタル通貨(CBDC)について、一言触れておきたいと思います。日本銀行では、昨年10月に「中央銀行デジタル通貨に関する取り組み方針」を公表したあと、この方針に沿って、実証実験に向けた準備を進めてきました。この春からはいよいよ実験を開始する予定です。』

ほうほうそうですかそうですか。

『日本銀行として、現時点でCBDCを発行する計画はないとの考え方に変わりはありませんが、決済システム全体の安定性と効率性を確保する観点から、今後の様々な環境変化に的確に対応できるよう、しっかり準備しておくことが重要であると考えています。将来、CBDCが必要になった時点で初めて検討を開始するということでは適切でないとの考えは、海外の中央銀行においても共有されています。』

そらそうだ。

『ちなみに、国際決済銀行(BIS)が最近行った調査によれば、65の対象中央銀行のうち、86%が何らかの形でCBDC発行のメリット・デメリットを分析しており、60%がCBDCに関する概念実証やパイロット実験について検討しています。日本銀行としては、デジタル社会の到来という大きな変化を迎える中、中央銀行マネーをどのような形で提供していくべきか、今回のテーマになぞらえれば、「セントラルバンキング・アズ・ア・サービス」(Central Banking as a Service)のあり方について、この機会にしっかりと検討しておきたいと考えています。』

ちょwwwww最後のオチwwwwwwwwwイミフにも程がある。


・アズ・ア・サービスとかいうお話

という訳で最初に戻る。『アズ・ア・サービスの拡がり』という小見出し。

『今年のFIN/SUMのテーマは、「フィンテック・アズ・ア・サービス(Fintech as a Service)、デジタル社会のプラットフォームを目指して」です。』

開催はアナウンスされていたので知ってた。

『この「アズ・ア・サービス」(as a Service)という用語は、最近、いろいろなところで目にします。その使われ方は、製品機能のサービス化、平たく言えば、顧客に商品を売り切る「販売」に対し、顧客が必要な時に「サービス」として提供するビジネスモデルのことを指しているようです。』

というのは??

『例えば、ソフトウエアサービスは、購買と利用の組み合わせで成り立っていました。しかし、ネット化した社会では必要な時に必要なサービスを呼び出せばよく、スマートフォンでレストランを予約する際には、予約サービスのみを享受しています。企業活動においても、会計経理サービス、受発注・請求サービス、顧客管理や営業支援サービス、人事労務管理サービスなど、多様な業務アプリケーションが、必要な時に呼び出される「ソフトウエア・アズ・ア・サービス」(Software as a Service)として提供されています。』

つまり弥生会計のパッケージをインストールして使うのではなくて、外部サーバーで使うとかそういう話か。

『こうした動きは、ソフトウエアにとどまりません。車を所有せずに移動サービスを購買する「モビリティ・アズ・ア・サービス」(Mobility as a Service)、』

タクシーやレンタカーとどこが違うのか良く分からん。

『サーバーなどITインフラのハードウエアを所有せずに利用サービスを購買する「インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス」(Infrastructure as a Service)など、』

何か車輪の再定義みたいな話ですな。まあ通信の速度と安定性が高まったから行けるやんとなった、という話ではあるけど。

『経済のサービス化の流れにも乗って、様々なアズ・ア・サービスが次々に登場しています。これらを総称して「エヴリシング・アズ・ア・サービス」(Everything as a Service)という言い方もあるそうです。』

なのは分かったのだが、日本銀行ってあーた決済システムとか通貨システムとかの根幹を扱う所なのに、「セントラルバンキング・アズ・ア・サービス」とかお前それ職務放棄じゃねえのと小一時間問い詰めたいのですが、何をどうしたいのかが良く分からん。フワフワした話は良いから具体的に何がどうとかそういう話をしてくれ。

・・・・・・・まあ何かアタクシが壮大な勘違いをしているような気もするのですが、勘違いなら勘違いでご指摘頂きまして理解できれば見解を改めるに憚ることは全くございませんのですが、何ちゅうかこの挨拶、物凄くフワフワした話をしている感があって、何ちゅうかこう「軽薄」って感じなんだよなーと思うアタクシはどうせ昭和のアナクロ爺さん(拗ね気味)。

しかしまあ何ですな、

・既存インフラ提供者へのただ乗り推奨っぽい文章の流れがワタシが軽薄さを感じる所以でして

『金融におけるアズ・ア・サービス』って小見出しの最初なんですけどね。

『アズ・ア・サービスは、金融でも一つの流れとなっています。銀行や証券、保険などの金融ビジネスは、大規模な固定費を要し、かつ、厳格な規制の遵守が求められる産業です。それゆえ、これを一から作り直すのではなく、例えばフィンテック事業者がオープンAPIを通じて預金口座サービスや融資サービスといった伝統的な金融機関のサービスを活用することで、新しい顧客サービス、便利で快適な利用体験を作り上げる動きが主流となりました。』

と、サラッと言ってるけどそれって莫大な固定費を掛けて厳格な規制を順守している既存インフラにただ乗りをするのを推奨してるかのような話で、何だったら中央銀行としてこれらインフラに乗っかって来るサービスに対して銀行は使用料とかバンバン取ってインフラ維持費用を回収するようなビジネスを検討するのはどうでしょうか、とかそういう話にはならんのね。

『スタートアップ企業にとどまらず、通信・メディア・交通・EC(電子商取引)といったコアビジネスを持つ大企業や、大規模な顧客層をタッチポイントとして抱えているネットビジネス企業など、その担い手も多岐にわたっています。逆に、金融機関がフィンテック事業者の持つサービスを積極的に取り込む動きもあります。今年のFIN/SUMのテーマになっているフィンテック・アズ・ア・サービスでは、金融機関がフィンテック事業者の先進的なeKYCや不正利用検知サービスを自社のアプリで利用する事例などが登場してきました。』

と、なんかサラリと流されているのですが、既存インフラにただ乗りするビジネスモデル(別にフィンテックが悉くそうだとか言ってるわけでも何でもないのでその辺は念のため申し添えます)が発展するという事になった場合、既存インフラの維持コストの負担だけ押し付けられて、挙句の果てに維持できなくなったりすると碌でも無い事になってしまう訳で、その辺りを目配りして政策的に維持すべきインフラに対する手当が必要ならば先手を打って手当てをする、というのが政策当局のお仕事であって、「アズ・ア・サービス」は民間にやらせておけば良いし、当局が「セントラルバンキング・アズ・ア・サービス」とか軽薄な事言ってるんじゃねえよ、とまあそんなことは思いました(個人の大いなる偏見です)。


てなわけで、アタクシ申し上げたいのは別にフィンテックが良い悪いとかそういう話ではなくて、中央銀行様というか政策当局様におかれましては、フィンテックの発展について研究するとかいうのはもちろん必要なのですが、それは一緒になってビジネス云々とか言うのではなくて、技術発展に伴う金融システムへの影響とか決済システムへの影響とか、アンチマネロンなどの最近強化中の金融活用に関する問題とか、その手の考察を聞きたいんですよね。

いやまあ勿論その手の情報発信も時々日銀からも(他の国際機関や中銀からも)出ているので、日銀がそういうのをおろそかにしている、とは思っていないのですが、何ちゅうかいやまあお祭りのオープニングセレモニーだからってことなのかも知れないけど、中銀のトップが出張って話をするにしてはちょっと浮かれポンチじゃないのかね、と思ったのでメモ代わりに置いておきます。



〇ラガルド会見ネタの続きである(ひたすら明示的な数字を避けながら延々と定性的な話をする禅問答を鑑賞)

今回は金曜にMPMの2日目が設定されていて、点検会合が重そうだったら土曜日に駄文更新かなーとか思っておりますが、どうせ「点検」の方は物凄い勢いで色々なものが出る(多分展望レポートの全文クラスの物量は間違いなくあって、下手したらそれより多いかも、と思っています)のでしょうが、政策の方がETFと長期金利のレンジだけで何も無し、とかだったら静かに椅子から崩れ落ちたまま立ち直れないかも知れないのでその時はパスの所存。

ということで本日もECBですが、今日はECBのトップを見ると
https://www.ecb.europa.eu/home/html/index.en.html
INTERVIEW
Pandemic requires extensive policy support

Monetary and fiscal support can be quite extensive as it is only for a short period of time, says Chief Economist Philip R. Lane to the Financial Times. It is important that we don’t amplify the temporary losses in the pandemic by being too reluctant with our policy support.

とかいうのが大々的に出てきて、何ちゅうかこの渾身頭脳って感じのレーン専務理事のご尊顔を拝することが出来まして、内容的にはまた例によって金融政策は地蔵です財政もちゃちゃっと出してねよろしく、という物件だと思う(読んでないけどサムネの上記文章で想像はつく)のですが、ラガルド総裁の会見もまあそういうのが基本トーンという感じですな。

#ちなみにこのサムネ、他の時でもそうですがカーソル持って行くと少しアップになるのが何だかなと

という訳で今日は無理矢理まとめてみる。積み残しが出来たらすまん。

https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2021/html/ecb.is210311~d368d7151a.en.html
INTRODUCTORY STATEMENT
PRESS CONFERENCE
Christine Lagarde, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB
Frankfurt am Main, 11 March 2021

・イントロダクトリーステートメントの最後の部分で財政政策によるサポートを連呼するの巻

昨日の続きからちょっと飛ばして。

『Regarding fiscal policies, an ambitious and coordinated fiscal stance remains critical in view of the sharp contraction in the euro area economy. To this end, support from national fiscal policies should continue given weak demand from firms and households relating to the ongoing pandemic and the associated containment measures.』

コロナで食らっている企業や家計に財政サポートを出すのが重要、と来まして、

『At the same time, fiscal measures taken in response to the pandemic emergency should, as much as possible, remain temporary and targeted in nature to address vulnerabilities effectively and to support a swift recovery.』

同時にこれらの措置は極力一時的措置で、ターゲットを絞って行い、速やかな回復をサポートするものであるべき、と長期的な財政ダダ漏れ状態という話とは一線を画すポーズは示しています。まあ実際にどういう肚なのかは知らんけど。

『The three safety nets endorsed by the European Council for workers, businesses and governments provide important funding support.』

んでもって労働者、企業、域内地方政府や域内のへっぽこ国家向け、という3つのセーフティネットが、資金繰りのサポートに重要ですとな。さらに次のパラグラフに入り、

『The Governing Council recognises the key role of the Next Generation EU package and stresses the importance of it becoming operational without delay.』

返す刀で今度は「Next Generation EU package」の話だがこれはそんなに即効ネタではなかったはずで、

『It calls on Member States to ensure a timely ratification of the Own Resources Decision, to finalise their recovery and resilience plans promptly and to deploy the funds for productive public spending, accompanied by productivity-enhancing structural policies.』

『This would allow the Next Generation EU programme to contribute to a faster, stronger and more uniform recovery and would increase economic resilience and the growth potential of Member States’ economies, thereby supporting the effectiveness of monetary policy in the euro area. Such structural policies are particularly important in addressing long-standing structural and institutional weaknesses and in accelerating the green and digital transitions.』

とまあ中長期的な話からのグリーンとDXネタ来たよという締め方になっていますが、さっきのレーン理事のアレもそうですが、フィスカルサポート重要アルネという話をバンバンぶっこんでおりますのがECBのここもとのパターンでして、まあ好意的に見れば高圧経済っぽい話なんですが、単に金融政策の追加で打つ手がこっちもねえだろ、というのがあって、そこからの財政ですよって話ではなかろうかと読んでしまうのがアタクシの性格のアレな所です。


・質疑応答が全般的にクッソ長いのですがその中の禅問答をご紹介しましょう

最初の質問で当然ながら「顕著に」とは何ぞやと聞かれるのでありました。

『You announced that the ECB will significantly increase bond buys over the next two months. Given the inbuilt flexibility that you have, what has kept you from increasing the purchases so far?』

そもそもフレキシビリティあんだから何で今まで増加しなかったの?からの、

『My second question would be: you said “significantly”. Could you perhaps quantify that for us a little bit? Where does it start? At ユーロ25 billion a week or closer to ユーロ30 billion a week?』

significantlyとはどの程度の額をさすのか???

と、まあ順当な質問がきちんと一発目に入るのが実に結構。でもって回答がこれまた一々長広舌(これワシ思うに、会見場だと質問しようとしてそわそわしてたりハヨセエヤという顔をしている人が目の前にいるのでプレッシャーがあるのですが、ユーチューブだのテレカンだのみたいなのだと、そういう「聴衆の集団的なプレッシャー」がないから長広舌になるんじゃマイカ、という仮説を立てておりますが、そもそもミーが質問されるような偉い人じゃないのでよくわからん)なのよ。

『Your first question is really why did we not start a bit earlier?』

はいそうです。

『I think the answer to that is that of course we have flexibility but we made a commitment back in December that we would preserve favourable financing conditions that would entail tightening that would prevent us from actually following the inflation path that serves for us as the anchor of our policies.』

『You have on the one hand flexibility, you have on the other hand a commitment to preserving favourable financing conditions and a clear link to the inflation outlook.』

すげえ禅問答なのだが、オペ運営で増加させるのではなくて今回は政策判断だ、ということのようなのですが、そもそもファイナンシングコンディションを緩和的にしておくような買入をするっての前からそうじゃんという話で、だったら別に今回こういう決定せんでもPEPPの買入ペース上げれた筈なんですが、という質問に対する答えをこういう話にしておりますな。

『This is clearly a monetary stance decision and therefore one that requires the Governing Council to be involved. Given that we were a few days away from Governing Council meeting on monetary policy, number 1, 』

『and that we were a few days away from having the projections provided by ECB staff, we thought it would certainly be a better idea to do the analysis or the joint assessment that we want to conduct in order to determine what kind of significant increase, as you rightly said, would be needed in order to respond to the commitment that we made.』

まあ何ですな、PEPPのペース拡大をする判断としては、政策委員会に上がってきた状況を見て「これは顕著に拡大すべきと政策的に判断した」って事を言いたいんでしょうが、だったら何で現場にフレキシビリティがあるのか訳分らんということで、結局イマイチ答えにはなっていない感じですが、要は「政策としてPEPPのペースを拡大した」って打ち上げたかった(でもPEPPのエンベロープは増やさない)だけという事ですの。


後段の質問への回答。

『Do I have a number in mind to explain significant?』

はいそうです(これ単に確認しながら説明しているだけで、別にオラついている訳ではない(と思う)ので念のため)。

『The answer to that is no, and no for a very specific reason:』

案の定の数字的定義なし攻撃。

『it's that we want to deliver on our commitment. That commitment made in December, as I said, was to preserve favourable financing conditions. Point number 1.』

『Point number 2: we have full flexibility under PEPP. That is the cornerstone of PEPP. But to actually assess jointly favourable financing conditions, determine their favourability in relation to the inflation outlook, we are not bound by any particular, specific number.』

PEPP買入は「フェーバーなファイナンシングコンディションを維持する」という定性的な話なので定量的な買入数字を示すものでは無い、とか何とかそんな話をしてますな。

『So what the Governing Council has decided is to - and I'll read exactly the sentence because I don't want to stray away from what was decided, by total consensus by the way - “The Governing Council expects purchases under the PEPP over the next quarter to be conducted at a significantly higher pace than during the first months of the year.” So this is what has been decided by consensus of the Governing Council.』

『Significant increase of the purchases. We are looking at a time horizon of a quarter, which conveniently coincides with the staff projections that we receive on a quarterly basis and which will enable us to actually identify whether the financing conditions have evolved, remained favourable and actually help us to counter any downward pandemic effect on our inflation path.』

でもって今回はその維持のために向こう3か月間はシグニフィカントに拡大、と言ってますが、ここで聞かれもしないのに何で四半期ごとかという説明があって、四半期ごとにマクロ経済見通しを改定しているから、というこれはまあこれで理屈としては有りな話をしています。

でもってこれで普通だと回答が終わるのですが、ここからラガルドさんの演説が開始されます。

『Now, I'm also happy to explain exactly what we mean by financing conditions and favourable financing conditions, because I know that this was a question that many of you had.』

聞かれる前に先に回答しちゃうよ!ということで「financing conditions」と「favourable financing conditions」とは何ぞやについて演説開始。

『Shall I do that? Yes, and I am sorry if I'm stealing the thunder of some of those who wanted to ask that question, but I know that it's a question that is on your mind.』

ワロタ。

『When we measure financing conditions, I use two words that some of you found either questionable or a bit strange. I use the word “holistic” and I use the word “multifaceted”. It wasn't a fancy or a tantrum on my part; it was very targeted at particular indicators. 』

ということで、ファイナンシングコンディションを計測するときのキーワードはホリスティックとマルチファシッティドだそうですわよおくさま。

『So let me take you through the holistic first. What we mean by holistic is that we cover the whole chain of transmission from the upstream stage where you find the risk-free interest rate, where you find the sovereign yields, to the downstream aspect of the credit terms. That clearly includes a multiplicity of rates that we all look at as well. It has to do with a stage where monetary policy acts with a lag.』

『Upstream, essentially down to risk-free interest rate, sovereign yields, it's a segment that actually responds quite rapidly which is measured on an ongoing basis, and where our monetary policy can be most efficient.』

『That's not enough. What's important is that actually financial institutions, those that provide financing to the economy, actually use those rates to determine the credit terms that they are then going to offer. That upstream is clearly an important component but it is not the component of our assessment of the financing conditions, which is why I use the word holistic.』

クッソ長い説明ですが、どうも(ソブリン)金利が高すぎるのはダメ、でも金融機関のファンディングコスト(要はクレジットスプレッドなのかリスクプレミアムなのか知らんがその辺)が上がっていてもダメという話が前者。

『We go from upstream to downstream and the second word that I used, which is “multifaceted”, was also apparently a bit of a puzzle for some. Well, multifaceted, we organise information in a multidimensional form that might be more convenient for some of you, where each indicator can be studied in its own right, and assessment is not based on an aggregated synthetic measure.』

要は多面的に見るということのようですね後者は。ただまあ本当に言いたいのはこの先にあって、

『We don't operate mechanically; we look at all the indicators, we focus indeed on what is upstream because that's where we can act and that's where banks and providers of financing actually take their cue about the credit terms that they're going to offer. It's also important to be multifaceted because there are some downstream components that are not necessarily going to be influenced by upstream movement. Take for instance some fiscal measures that have rightly been decided, such as providing moratorium or guarantees. If that was withdrawn, well, clearly it will have an impact on the downstream aspect of the indicators.』

あーだこーだと言ってますが、要するに機械的にやらない=ジャッジメンタルにやるし数値的な基準とか一切無いからな、という話をしたいようですね。

『In the same way, our TLTRO is also helping the downstream aspect of what we are looking at. That's the reason why we look at financing conditions, looking at the upstream, the downstream but looking at them in their own right in a holistic way, all of it, the whole transmission chain, and each and every one of them because they might respond differently depending on what is addressed to them.』

ファイナンシングコンディション話のついでにTLTRO3の話が出てました。イヤークッソ長い。


と思ったら・・・・・・・・

『Now, the second question of course is: how do we assess favourability?』

そういやまだあったけど、さっきの玉虫色にも程がある説明と大いに重なっておりますね。

『Well, if you look carefully at the introductory statement, we refer to a joint assessment of how financing conditions and our inflation outlook have evolved since the last time we identified favourability and concluded with our assessment. We look at the main drivers of course, so concerning the anchor that I have used as well the last time we had the press conference, it's the inflation outlook.』

『The assessment of the financing conditions, determination of how favourable they are is going to be done in conjunction with the inflation outlook. The compass that we have, another word that I used as well, is the financing conditions. So we use all that and with a bit of good work, good analysis based on projections and this joint assessment, our monetary policy will contribute to taking the economies across the bridge of the pandemic that we are suffering from and have been suffering from for the last year or so.』

ファイナンシングコンディションがインフレ見通しに対して悪影響を与えない状況が望ましい、という分かったような分からんような説明をしていまして、まあこんな感じで今回の会見は延々とファジーな答弁に終始している、という感じでございました。

・・・・・・ああ案の定最初のQAのところで時間切れでしたが、まあ大体全般のトーンはこんなもの、あと見るところはYCCかどうかの話しとかかな??まあ上記のように「定量的なものは無い」という話のオンパレードな時点で、ECBは(実際に腹の中でどう思っているかはともかくとして)表面的にはYCCだのYCTだのというような市場の数値に関してスペシフィックナンバーを意識する動きはしてませんよ。という話をするのは当然ですよね。続きは再確認して重要そうなのがあったら(いやまあ全般重要なのですが基本は最初の質疑でだいぶ言われている)後日追加します。






2021/03/16

お題「日銀とFEDのプレビュー世間話/ECB定例理事会後の会見ネタ(その2)」

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210315b.htm/
おこづかいの使い方や記録のつけ方について学べる動画「親子で学ぶ、おこづかい教室」の掲載について
2021年3月15日
日本銀行

『日本銀行では、学習用資料リンク集「にちぎん・学びの部屋」に、おこづかいの使い方や記録のつけ方について学べる動画「親子で学ぶ、おこづかい教室」(協力:金融広報中央委員会)を掲載しました。是非ご覧ください。』

にちぎん・学びの部屋
https://www.boj.or.jp/announcements/education/kyoiku.htm/

親子で学ぶ、おこづかい教室(協力:金融広報中央委員会)
(1)全編、(2)前編、(3)中編、(4)後編<YouTubeにリンク>(注2)(本チャンのページではリンクがあります。こっちは入れませんでした)
(注2)2021年3月15日に追加掲載しました。

ご自宅等から、おこづかいの使い方や記録のつけ方について学ぶことができます。

ということですが中々手作り感があって(褒めてる)ほのぼの(?)とする地味なページに仕上がっておりますな(褒めてる)。「全編」じゃなくて分割の方を見に行くとまだ30人くらいしか見ていないようなのでレッツ訪問!

「欲しいものを先に買ってしまうと、後で必要なものを買えなくなるかも知れません」という言葉に(前編の1分ちょいの所にあるよ)身につまされました(吐血)。


〇一応うんこ会合とかFOMCとかの雑談メモ

・うんこ点検会合ですが

https://jp.reuters.com/article/boj-ycc-idJPKBN2B7134
日銀点検、YCCとETF購入の手法改革が焦点 緩和長期戦に備え
2021年3月15日7:04

ということでロイターちゃんがまた書いてますが、昨日の公共放送ニュースと似たような感じで、遂に始まっても居ない決定会合のまとめに入るという風情になってまいりまして、決定会合で討議すべき問題が何で決定会合のだいぶ前にメディアでまとめ記事になってしまうのかと小一時間問い詰めたい訳で、これがまた(そういうのも良くは無いんだけど)タカ派とハト派の政策委員が勝手に講演などで喋って丁々発止みたいな中でこの辺が妥当なのかね、みたいな市場ちゃんの認識が出来て来る、みたいなのだったらもうちょっと建設的な気がせんでもない(まあそれもおかしいけど)ですけど、今回のってお漏らしが断続的に出てきて、しかもそのお漏らしが何か出たと思ったらその火消しお漏らしみたいなのが出てくるという風情なのが非常にトサカに来るわけですな。

んじゃ一応記事を拝読。

『[東京 15日 ロイター] - 日銀は18―19日に開く金融政策決定会合で示す政策点検で、イールドカーブ・コントロール(YCC)の運営や上場投資信託(ETF)など資産買い入れ手法の見直しを行う見通し。長期金利の許容変動幅を示した上で、緩和効果を損なわない範囲で金利の上下動を容認することや、市場が落ち着いている時にはETF買い入れを控える半面、ボラティリティが高まる局面では買い入れ額を大きく増やすことなどが主眼となりそうだ。』(上記URL先より、以下同様)

だそうですが、そもそもYCCって導入した時の10年金利はもうちょっと動いても然るべき(そもそも均衡イールドカーブ自体が幅のある概念なのだから動かない方がおかしいという発想)という話だったのに、自分で中期輪番を突如スキップして相場が大荒れになったのにビビって10年指値を変な所で入れるからああなった訳ですし、リスク性資産の買入は本来量的目標なのではなく、過度なリスクプレミアムが金融緩和の波及効果を阻害するからそれを除去するというものなので、市場が落ち着いている時は云々ってのも今更何を言うの世界ですな。

でまあこの「自分で動かしにかかってビビって止めて却って後をやりにくくしている」というのを今回もやりそうですなあというのが実に香ばしい訳で、その辺りが記事にもありますけど、

『YCCの運営を巡り、長期金利の誘導目標ゼロ%に対して日銀が許容する変動幅については、18年7月に黒田東彦総裁が示した「おおむねプラスマイナス0.1%の倍程度」を維持した上で、声明文に「上下0.2%程度」と具体的な数字を明記する可能性がある。』

いやー自分のお漏らしで相場を散々振り回しておいて結局自分でレンジの明示化という後で自分の首を絞める明確化をせざるを得なくなるとかうんこダダ漏れ中央銀行にふさわしいうんこ施策で実にあばばばばーである。


『これまでの基準は黒田総裁が会見で示したものにすぎず、声明に明記することにより日銀の意図がより市場に伝わりやすくなるメリットがある。ただ、日銀内には具体的な数字を示すと、柔軟な市場調節に支障が出るといった警戒感もある。』

そもそも「柔軟な市場調節」とは何ぞや。

『日銀では、長期金利が昨年後半、非常に狭いレンジで停滞していたことを問題視する声がある一方、許容レンジを広げることが「緩和の後退」と受け止められることへの警戒感もある。雨宮正佳副総裁は8日の講演で「金利の大幅な変動は、望ましくない結果をもたらす可能性があるが、一定の範囲内であれば、金融緩和の効果を損なわずに、国債市場の機能度にはプラスに作用する可能性がある」と指摘。市場機能を回復するため、緩和の効果を損なわない範囲内で金利の上下動を容認する可能性を示唆した。そうした姿勢を声明に明記することにより、金利が上下により動きやすくなるよう国債買い入れオペの手法を工夫する余地が広がる。』

従来の「口頭で黒ちゃんがいっただけの10bpの概ね倍程度」が「声明文に明記されたレンジ」になったらどこからどう見てもそれは「レンジの固定化」であって、上下に動きにくくなるだろう、とアタクシの感覚では思うのですが、日銀ってどういう感覚してるんだ???????????????

とまあそんな感じですが、一応こうまとめに入ってきた感があって、いやあのすいません決定会合って何のためにやってるんでしょうか?????という疑問が強まるのですが、そらまあ「15年金利を0.2%未満で」とかいうような高度な計算をするくらいしか能の無い置物残滓くらいしかカウンターが居なかったら緊張感もヘチマも無いわなと思いますので(個人の偏見です)まあこうなる訳です。

でもって昨日も申し上げましたが、事前に散々報道されてしまうとなんか変なスイッチが入って意地でも何かサプライズを入れたくなる、というのがここ暫くの日銀の変な風習なので、謎の変化球だけは注意しておかないとではあるのですが、ただまあそういうのって「どうせ此奴らこれ以上の事は出来ないだろ」と馬鹿にした場合に飛んでくるタマではあるので、今回みたいにお漏らしの末のスカトロ祭りになった会合でどんなゴミ玉が飛んでくるのかは想像がつかんですな。

・・・・・・ところでETFの12兆円文言削減は良いんですけど、コロナ対策3本の鉛筆で自慢している数字との整合性ってどうするんでしたっけ???????????

まあこのクッソしょうもない点検会合、商売だから仕方ないですけど何とかストの皆さん「茶番であって本質的に何か変わることは無いので考える暇があったら来期の計画に向けたアクションプランでも作っている方が生産的ですよ」などという暴言も言えないので、ああでもないこうでもないとまあご苦労なことですわと思うのでありました、日銀が悪いよ日銀が。


・FOMCは普通に考えて無風だと思うのだが

https://jp.reuters.com/article/ny-forex-idJPL4N2LD4JK
UPDATE 1-NY外為市場=ドル上昇、FOMC控え警戒感
2021年3月16日6:05 午前

『クラレイティFXのエグゼクティブディレクター、アモ・サホタ氏は「FOMC待ちとなる中、相場は様子見気分が強い。米連邦準備理事会(FRB)がイールドカーブについて討議するか、長期債利回りの上昇に対処するかが注目される」とし、FRBが何も行動しなければ「ドル上昇に拍車が掛かる可能性がある」と述べた。』(上記URL先より)

そうなの???という感じなのですが、そもそもFEDは現状地蔵モードのスタンスを変えていない訳ですし、そうは言ってもつい先日1.9兆ドルのバイデン財政砲撃が装填された訳ですし、ワクチンちゃんもまあ米国は順調、おまけにお国柄なので欧州や日本などと違ってそらもうワクチン接種進んで来たらヒャッハーヒャッハーとステイツの皆さんお祭りモードになるじゃろ、という見込みもあるようには思えますので、さすがに成長率見通しは上方修正するじゃろと思うの。

でですな、そうは言っても地蔵は強調したいから、従来だったら「コロナの先行きや影響がワカランチ会長で不確実性が強いです(キリッ)」って説明していたけれども、そもそも予算成立を受けたテレビ演説でバイデンさんが「5月1日までには全成人に注射チュー」とか「今度の独立記念日はコロナからの解放記念日にもなる」とか威勢の良い事を言いまくっている中で、「コロナの不確実性は下方に大きい」とか言うのはバイデンさんにケチ付けて回っているようなもんですから、そういう話は(全然しないとは言わんが)今回は普通に考えると下方リスクがでかいとはフレームアップせんじゃろと思うの。

よって今回は「マンデート達成までの距離がまだまだ長いから政策は地蔵」というのを強調してくるだけでしょと思う訳ですし、まあそれに加えて今の長期金利上昇って多分に「一時的と言ってるけど本当に強めの物価が出てきて強めに推移しだしたらFEDも緩和縮小に動かざるを得なくなるんじゃねえの」ってのがベースにある、と勝手に理解していますので、地蔵を強調したいのであれば、「物価がアガランチ会長だよ」というのを強調してくるんだと思いますし、それで本来は長期金利上昇の牽制にはなる筈なのですが、何分にも市場ちゃんの方が最近は世界的にクレクレタコラ状態になっておりますので、この記事のアホさんのように当局様のお墨付きクレクレとか言い出す次第で、そこの温度差をどうするのというのはムツカシヤ。

とはいえ、ガキンチョのクレクレを全部聞いていたら碌な大人に育たないのと同様、市場のクレクレを全部聞いていたら何時まで経っても正常化できなくなりますし、大体からして資源の適正配分という自由市場の重要な機能が壊れてしまい兼ねませんので、まあ別に実体経済の方が上振れして推移している分には地蔵を強調するだけにとどめるんじゃないでしょうかねえとは思いますが、あとはFEDの中の人の胆力の問題なのでよー分からんですね。

というプレビュー世間話でした。まあ他に追加するような話も無いと思うので、あとは木曜の朝に寝起きで声明文をSEPを見てのお楽しみという感じですな。


〇ECB定例理事会後のラガルド会見ネタ(その2):経済見通し横ばい、物価は足元だけ上げるも地蔵を強調

しょうもない雑談はさておきラガルドラガルド。

https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2021/html/ecb.is210311~d368d7151a.en.html
INTRODUCTORY STATEMENT
PRESS CONFERENCE
Christine Lagarde, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB
Frankfurt am Main, 11 March 2021

昨日はちょこまか細かい凡ミスがありまして(単語のコピペミスとか15日金曜日とかイミフな間違い書いてました)申し訳ありませんでした。日曜の夜にエンジン入れてみても月曜の朝はまだダメっすね。


・もうちょっとだけイントロダクトリーステートメントから

昨日の続きで施策の部分ぶっ飛ばしてその先から参ります。

『Let me now explain our assessment in greater detail, starting with the economic analysis.』

て奴ね。

『Following the strong rebound in growth in the third quarter of 2020, euro area real GDP declined by 0.7 per cent in the fourth quarter. Looking at the full year, real GDP is estimated to have contracted by 6.6 per cent in 2020, with the level of economic activity for the fourth quarter of the year standing 4.9 per cent below its pre-pandemic level at the end of 2019.』

ここは成長率の実績の話。

『Incoming economic data, surveys and high-frequency indicators point to continued economic weakness in the first quarter of 2021 driven by the persistence of the pandemic and the associated containment measures. As a result, real GDP is likely to contract again in the first quarter of the year.』

足もとのデータを見るに今年の1Qはコロナ再拡大のせいで成長率はまた下向きになる見込み。

『Economic developments continue to be uneven across countries and sectors, with the services sector being more adversely affected by the restrictions on social interaction and mobility than the industrial sector, which is recovering more quickly. Although fiscal policy measures are supporting households and firms, consumers remain cautious in the light of the pandemic and its impact on employment and earnings. Moreover, weaker corporate balance sheets and elevated uncertainty about the economic outlook are still weighing on business investment.』

コロナからの回復はunevenであって、財政政策がそれに対応しています、って言っていますが、この財政の話は後でも出てくるんだが割と強調しているの巻。でもって企業の投資を抑制しているものにコロナによる先行き見通しの不確実性と共に「weaker corporate balance sheets」を入れているのが欧州独自。

『Looking ahead, the ongoing vaccination campaigns, together with the gradual relaxation of containment measures - barring any further adverse developments related to the pandemic - underpin the expectation of a firm rebound in economic activity in the course of 2021.』

『Over the medium term, the recovery of the euro area economy should be supported by favourable financing conditions, an expansionary fiscal stance and a recovery in demand as containment measures are gradually lifted.』

先行きは目先はワクチンとか公衆衛生政策とかの状況、その先は財政と金融の効果と金融政策によって支えられるファイナンシングコンディションが効果を発揮するでしょう、という見通し。

『This assessment is broadly reflected in the baseline scenario of the March 2021 ECB staff macroeconomic projections for the euro area. These projections foresee annual real GDP growth at 4.0 per cent in 2021, 4.1 per cent in 2022 and 2.1 per cent in 2023. Compared with the December 2020 Eurosystem staff macroeconomic projections, the outlook for economic activity is broadly unchanged.』

という訳で今回のスタッフ見通しは成長率概ね前回と同じ。

『Overall, the risks surrounding the euro area growth outlook over the medium term have become more balanced, although downside risks remain in the near term. On the one hand, better prospects for global demand, bolstered by the sizeable fiscal stimulus, and the progress in vaccination campaigns are encouraging. On the other hand, the ongoing pandemic, including the spread of virus mutations, and its implications for economic and financial conditions continue to be sources of downside risk.』

リスクバランスについては上方修正していて、リスクは「have become more balanced」になっています。見通しは引き上げないけれどもリスク認識は改善してて、ワクチン接種の他に「外需の上振れ」をぶっこんでおりまして、これは後で質疑応答の方にもあったんですが(質疑応答を全部明日までにやり切れる自信が無いのでチョイチョイ言及しておきます、汗)、バイデンプランの1.9兆ドルに関してはマクロ見通しには入れていない(ECBの決定に対して米国の予算成立が間に合っていないので)とのお告げでした。なお、ラガルドさんは会見で「ゆうてこれは米国の内需物が多いので過大に期待してはアカン」と釘は差してますけどね。


でもって物価の方は足元を上昇修正していますが、先行きの見通しが変わっていなくて、足元の上昇はテンポラリーです(キリッ)って話をしています。一応自分の後日用に引用だけはしておきます。

『Euro area annual inflation increased sharply to 0.9 per cent in January and February 2021, up from -0.3 per cent in December. The upswing in headline inflation reflects a number of idiosyncratic factors, such as the end of the temporary VAT rate reduction in Germany, delayed sales periods in some euro area countries and the impact of the stronger than usual changes in HICP weights for 2021, as well as higher energy price inflation.』

一時的要因を並べております。

『On the basis of current oil futures prices, headline inflation is likely to increase in the coming months, but some volatility is expected throughout the year reflecting the changing dynamics of the factors currently pushing inflation up. These factors can be expected to fade out of annual inflation rates early next year.』

原油の影響と先行きについてですな。

『Underlying price pressures are expected to increase somewhat this year due to current supply constraints and the recovery in domestic demand, although pressures are expected to remain subdued overall, also reflecting low wage pressures and the past appreciation of the euro.』

基調的物価については若干強まると見ているものの、賃金上昇圧力が低くてユーロが強い、ということでここでユーロ高への言及が出てきていますが、その影響で基本的にアガランチ会長であると。

『Once the impact of the pandemic fades, the unwinding of the high level of slack, supported by accommodative fiscal and monetary policies, will contribute to a gradual increase in inflation over the medium term. Survey-based measures and market-based indicators of longer-term inflation expectations remain at subdued levels, although market-based indicators have continued their gradual increase.』

市場のインフレ期待は若干あがったけどサーベイベースの方は相変わらずの低空飛行だと。

『This assessment is broadly reflected in the baseline scenario of the March 2021 ECB staff macroeconomic projections for the euro area, which foresees annual inflation at 1.5 per cent in 2021, 1.2 per cent in 2022 and 1.4 per cent in 2023. Compared with the December 2020 Eurosystem staff macroeconomic projections, the outlook for inflation has been revised up for 2021 and 2022, largely due to temporary factors and higher energy price inflation, while it is unchanged for 2023.』

よってスタッフ見通しの方は足元が上がるものの2023年が変わっていない、という結果になっていますが、これは要するに「物価は上がっても一時的だよ」という話をしていますし、まあそもそもが1.5だの1.2だの1.4だのという年間見通しを置いているので、マンデート達成だの出口政策だのという話になりようがない、というのがメッセージということになるでしょうなあ、と思いました。


という訳で何かQA行く前に2日使ってしまって甚だ恐縮なのですが、まあ一応引用はしていないけどQAで何の話をしているのかはちょこちょこ入れているので勘弁してちょという所で、時間がちと無くなったので今朝はこれでご勘弁願いとう存じます(平蜘蛛の如く平伏)。





2021/03/15

お題「前代未聞のダダ漏れ会合ダダ漏れの総仕上げに公共放送キタコレ/ECB定例委員会後のラガルド会見より(その1)」

ほうほうそうですかそうですか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/52241d155ab9ca69334d312112ed911b5f34dfd8
〈独自〉政府、21日で緊急事態宣言解除へ 1都3県
3/13(土) 22:30配信

この前は数値が下がっていたのに延長しましたがさて今回は・・・・・・・・・・

『一方、新規感染者数は下げ止まって「横ばいから微増傾向」(西村康稔経済再生担当相)に転じている。感染力が強いとされる変異株は全国的に広がりをみせており、主要駅や繁華街での人出増も懸念材料だ。』

『とはいえ、政府や専門家の間では、現在の対策ではこれ以上の改善は見込めないとの見方が強い。関係閣僚の一人は「宣言はもう効かない。早く解除するしかない」と語る。厚生労働省に助言する専門家組織が11日に行った非公式の会合では、主要メンバーから「もう打つ手がない」との意見が出たという。』(上記URL先より)

前回の延長は数値はセーフでも謎の根拠、今回の解除は打つ手が無いので解除するとかとても科学的ですね!!!!!


〇ダダ漏れ点検会合の集大成来ました(公共放送ニュース)

満を持して真打ちが登場の巻。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210315/k10012915161000.html
日銀 金融緩和策の「点検」結果公表へ
2021年3月15日 4時53分

『日銀は今週開く金融政策決定会合のあと、金融緩和策の「点検」の結果を公表します。マイナス金利を含めた金利水準をさらに引き下げる余地があることを明確にするなど、2%の物価目標の実現に向け今の緩和策の効果と持続性を高める方針を示したい考えです。』(上記URL先より、以下同様)

ということで、なんか週末もお漏らし(?)が出ておりまして、今週木曜からの点検会合、前代未聞のスカトロ決定会合となりましたが(お食事中の方すいません)、まあこうやって真打ちが満を持して登場したのでもう見苦しいを通り越して何かの趣味でもあるのか今の執行部はと疑ってしまうレベルの糞尿会合の事前報道もう良いから打ち止めてくれませんかねえという風情。

『日銀は、2%の物価上昇をめざして大規模な金融緩和を続けていますが、新型コロナウイルスの影響で目標の実現が一段と厳しくなっていることを踏まえ、今週19日まで2日間開く金融政策決定会合で今の緩和策を点検しその結果を公表します。』

2019年には既に戦況が悪化していたことを華麗にスルーして全部コロナのせいにするスキームを採用するのも間違いないようですね。まあ以前からそういう言い訳になっているので別に驚きませんけれども、そもそもそこをスルーする「点検」って鉛筆舐め舐めにも程があるし、どうせこれ日銀の超優秀なるエコノミスト軍団の方々が分析するんでしょうけれども、そもそも19年の時点でアカンとなっていた、という事実をスルーして分析してて恥ずかしくないの??と小一時間問い詰めたい。

『この中では、短期金利をマイナスにし、長期金利はゼロ%程度に抑える今の枠組みは維持したうえで、今後必要な場合はマイナス金利を含めた金利水準をさらに引き下げる余地があることを明確にしたい考えです。』

最初の頃からのお漏らし物件ですが、これはまあどさくさに紛れて量の拡大とリスク性資産の買入規模拡大を選択肢から除外する(従来は「3方向」と言っていましたからね!!)という毎度お馴染みの「一部撤退するのを誤魔化すために一か所で攻勢の構えを見せる(攻勢に転じるとは言っていない)」というパターンで、YCCぶっこんだときに量的拡大に関して80兆円文言を残して3方向とか言いつつ量の方を形骸化させたパターンでござる。今回は追加緩和手段としての量とリスク性資産をしれっと削除するけど、単に削除したら緩和の後退って言われかねないのでマイナス金利深堀するぞ深掘ずるぞとマントラを唱えて実際は深掘しない、というパターンですね。

『その際、金融機関の収益の悪化など、マイナス金利の副作用対策も合わせて示す方向です。』

「その際」ということですので、「マイナス金利を深堀する際には副作用対策を示します」という話であって、先日出てた三層構造の見直しだ何だという話ってのはあくまでも「次に政策金利を変更する際に」という話になるんでしょう、今回変更する意味が無いので変更せんじゃろ(個人の感想です)。

『また複数の株式でつくるETF=上場投資信託の買い入れについては、株価が安定している際は買い入れを抑える一方、大きく下落した局面では積極的に買い入れるなどメリハリをつけた運用方法を議論する方針です。』

そもそも論として「過剰なリスクプレミアムの発生による金融政策波及効果の阻害を抑止する」のが目的なのに量を目標に置いている時点で脳味噌が糞便にも程があるのですが、メリハリとか言われてこれをどうディレクティブに落とし込むのかの方がマニア的には楽しみにしています。クッソ玉虫色表現でディレクティブに落とし込まれても現場が困るんですがどうするんでしょうかね。

『さらに、長期金利についてはゼロ%程度を起点に、一定の範囲内で変動することを認める姿勢をより明確にする方向で議論される見通しです。』

次に話題にしますけど、ECB辺りが「特定の数値を念頭に置いて金利市場に介入する訳ではない、YCCとかはやっていませんしターゲットも無いです」って言いきり、米国も一時話題になっていたYCTとかまあ全然そんな雰囲気は無く、こういうのは「積極的曖昧さ」で通していくというのがトレンドとなる中、我らが日銀ちゃんは何故かレンジを示すようにするんでしょうか(という報道もありましたが)という感じですよねこの部分。今更レンジを明示する(かどうかは知らんけどもしやるんだったら)とはまさしく野村克也さん張りにバッカじゃなかろかルンバ♪って言いたくなりますね。

これ以上引用すると全文引用になってしまって申し訳ないので最後だけ割愛しますが、まあ「効果を高めて持続性を高める」とか意味不明な話をしないといけない時点で話がオワットル次第で、マイナス金利政策とYCC止めて、その代わりに現実に2%行くまで政策変更しませんよ今後のMPMは直近の経済情勢と先行き見通しの話だけしてますから何も期待しないでねって言ってればエエヤンと思ったが、そんなことをしたら毎回毎回クッソ下らない屁理屈を捻りだす仕事とか、現実を直視しないで情勢分析をして展望でもないしもしかしたら願望にすらなっていない鉛筆舐め舐めレポートを出すとか、その手の政策周りの崇高な仕事が無くなってしまいますし、何もしてないとか言われたくないからやってるふりする為に色々とぶち込むんですね!!!!


とまあ悪態ばっかりですが、まあ真面目に纏めると、(1)金利を自分から上げに行くような事はしないし言わない、(2)ETFはこの流れを幸いにしてしらっと事実上の買入増加停止近くまでペースを落とすがそうは口には出さない、なお不幸にも株が下がるとどうせビビって買入をするのでそんなに期待してはいけない、(3)副作用対策とかマイナス金利深堀とかいうのはただの「負け戦を誤魔化すために無意味な所で攻勢の姿勢だけみせる」というパターン、ただしうっかり攻勢の姿勢を見せたが為に将来の自爆の種を撒くというのも日銀の伝統芸能なので短期的には無視するけど中期的には死亡フラグのリスクあり、という所ですね。ただ、これだけ事前に糞便まみれになりますと、変に意地を張って「とにかく報道されていないことをやろう」とか考えて訳の分からんものが出てくる可能性があって、ここまで事前にお漏らしまくって事前報道通りだと沽券に関わるも蜂の頭も無いと思うのだが、そういう謎の最後っ屁みたいなのはアリエールし、まあ出たら盛大に爆笑する準備は出来ておりますので楽しみにしています!!!!!!!!


〇ECBの会見はオモロかったが一つ一つの質疑応答がクッソ長い(ラガルドの演説ェ・・・・・)

https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2021/html/ecb.is210311~d368d7151a.en.html
NTRODUCTORY STATEMENT
PRESS CONFERENCE
Christine Lagarde, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB
Frankfurt am Main, 11 March 2021

ECBのサイトってなんかしょっちゅうリニューアルしやがってやっと慣れたと思ったら今回また変更になっていますが、まあ作り自体は調べものとかに便利になった(前のは明らかに改悪という感じのUIになっていた)ので結構なのですが、ECB今に始まった事では無いのですが、サイトに出ている会見とか講演とかをPDFバージョンで提供してくれないので、HTMLを印刷するっきゃないのですけど、サイトデザイン変更したらアタクシの環境(Win10標準環境でOSはEdge(Chromeも使うけど)普段使いはEdge)で印刷しますと、このページがA4紙の20枚(最後の2ページはゴミなので実際は18枚組になる)とかいう代物になります(以前の倍くらいの枚数)。まあ字のサイズはほぼ変わらん(若干大きくなったかも)のですが、行間が無茶苦茶空いているので書き込みとかには便利は便利です。

という雑談は兎も角、まずはイントロダクトリーステートメントを真面目にちょっと確認。


・全体感について

最初の挨拶を飛ばして2パラ目から。

『While the overall economic situation is expected to improve over 2021, there remains uncertainty surrounding the near-term economic outlook, relating in particular to the dynamics of the pandemic and the speed of vaccination campaigns. The rebound in global demand and additional fiscal measures are supporting global and euro area activity. But persistently high rates of coronavirus (COVID-19) infection, the spread of virus mutations, and the associated extension and tightening of containment measures are weighing on euro area economic activity in the short term.』

『Looking ahead, the ongoing vaccination campaigns, together with the envisaged gradual relaxation of containment measures, underpin the expectation of a firm rebound in economic activity in the course of 2021.』

経済のアセスメントと先行きですが、コロナ次第だよというのはいつも通り。ただまあ一応改善の度合いはより確実になってきているという全体感ですな。

『Inflation has picked up over recent months mainly on account of some transitory factors and an increase in energy price inflation. At the same time, underlying price pressures remain subdued in the context of weak demand and significant slack in labour and product markets.』

物価に関しては目先は一時的要因で上昇するけど基調が強くなった訳ではない、という説明をこの先でも一貫して行っています。まあそもそも論として米国の場合はヒャッハー感の強い状況でマジモンのインフレに関してもチラチラと気になるんでしょうけれども、欧州の場合はそこまで威勢が良くないので、米国のように市場のインフレ期待が突っ走る、というような事にはなかなかならんし、早期解除懸念的なもんもそんなに出てこないという意味で、市場に煽られて政策運営に苦労するという事はなさそうですから、ある意味やりやすいという面はあると思います。後で出てくるけど物価見通しは2023年の所を1%台前半で置くことによりまして、目先の物価上昇はテンポラリーを強調できるし、それやっても別に不思議じゃないので、まあ今ECBが一番この手の情報発信はやりやすい(政策的に上手く行ってるかは別問題よ)感じですね。

『While our latest staff projection exercise foresees a gradual increase in underlying inflation pressures, it confirms that the medium-term inflation outlook remains broadly unchanged from the staff projections in December 2020 and below our inflation aim.』

ということで、数字は後から出てきますが中長期的に見た見通しは前回と変わらんと。


・ファイナンシングコンディションがどうたらこうたらだが頑として具体的数値等は出さないのでした

次のパラグラフ。

『In these conditions, preserving favourable financing conditions over the pandemic period remains essential. Financing conditions are defined by a holistic and multifaceted set of indicators, spanning the entire transmission chain of monetary policy from risk-free interest rates and sovereign yields to corporate bond yields and bank credit conditions.』

今回のイントロダクトリーステートメントとその後の会見、当然このファイナンシングコンディションに関して、適切な水準って何ぼですねんどうやって判断しますの?という質問が手を変え品を変え出てくるのですが、最初にこの答えを上記のように定義していまして、まあ要は

Financing conditions are defined by a holistic and multifaceted set of indicators

なのですが、じゃあこの意味何ぞやということで会見のQAで何回か説明入っています。ちなみにアタクシの手元にあるデイリーコンサイス英和辞典(20年くらい前に買った奴)では「holistic:全体論的な、全体的視野からの、全身の」と仰せでして、「mmultifaceted」はそのものずばりの単語が無いのですが、「mmulti-faceted」に分解すると、「facet:(他動詞の場合)小面を刻む」」で接頭語の方は「多くの」という意味でして、まあつまり全体的に色々なインディケーターを見ながら判断しますよ、という思いっきりファジーな説明になっております。そら質問が飛ぶわという感じですね。

『Market interest rates have increased since the start of the year, which poses a risk to wider financing conditions. Banks use risk-free interest rates and sovereign bond yields as key references for determining credit conditions. If sizeable and persistent, increases in these market interest rates, when left unchecked, could translate into a premature tightening of financing conditions for all sectors of the economy. 』

『This is undesirable at a time when preserving favourable financing conditions still remains necessary to reduce uncertainty and bolster confidence, thereby underpinning economic activity and safeguarding medium-term price stability.』

年初からの市場金利上昇がファイナンシングコンディションに対するリスクを高めているので、これをそのまま放置プレイするのは望ましくない、ということなのですが、じゃあ金利が年初の時点まで下がるのを企図しているんですかという質問がQ&Aにあったのですが、その質問には「具体的な数値がある訳ではない、あくまでもholistic and multifaceted set of indicatorsである(キリリッ)」という答えに終始しているので、まあ何と申しますか何が何やらという感じではあります。

ちなみにどこぞの中央銀行のように、最初曖昧にしておく筈が途中から妙に具体的に個別の数字を出すようになってしまい、今度はそれに亀甲縛りになってしまって更に自分の首を絞める、という変な趣味の集団もありますが、ラガルドさん威勢の良い事を言いながらも具体的数値的言質はまるで与えない、という辺りが中々オモロかったですよこの会見。


・以下が決定事項ですが買入拡大は「1月対比」ではなく「今年に入ってからこれまで対比」みたいですサーセン

『Against this background, the Governing Council decided the following:』

『First, we will continue to conduct net asset purchases under the pandemic emergency purchase programme (PEPP) with a total envelope of ユーロ1,850 billion until at least the end of March 2022 and, in any case, until the Governing Council judges that the coronavirus crisis phase is over. Based on a joint assessment of financing conditions and the inflation outlook, the Governing Council expects purchases under the PEPP over the next quarter to be conducted at a significantly higher pace than during the first months of this year.』

PEPPのエンベロープは増やさないのですが、これについても質疑応答で質問出てて、「今の所盛大に余っていることだし別に増やさんでも暫く行けるやろ、ああ必要なら増やすし、逆にファイナンシングコンディションがファーバーという状況でエンベロープ余るのはそれはそれで有りだからな」という回答をしていました。

でもってこの「the Governing Council expects purchases under the PEPP over the next quarter to be conducted at a significantly higher pace than during the first months of this year.」なのですが、金曜日に見た時に「the first months of this year」のmonthsが複数形なのを見事に見落としておりまして(所詮そのレベルの英語力ということで伏してお許しを)、1月のペースとか思いっきり書いておりましたが、複数形なのでこれは1月限定な訳ではありません。でもって質疑応答を聞いている(時間が掛かるんですが、このページを全部印刷して、ラガルドの会見の場合はECBのユーチューブチャンネルで見れますので、ユーチューブを聞きながら印刷した文字を読んでいくのが割と楽(印刷の枚数が増えた分読みやすくなったのもあるのよ、前のだと細かいからながら読みしにくい)なので足湯にでも漬かりながら小一時間聴くのがオヌヌメ)と、結局の所「直近3カ月のペースに対して」みたいですが、何かまあ1月から3月前半までのペースっぽい言い方もしていて、具体的な数字を聞かれると「先ほど来申し上げておりますようにファイナンシングコンディションの判断はholistic and multifaceted set of indicatorsなので具体的な数値じゃないざますわよオホホホホ(超意訳)」と言ってすり抜けてしまうので、そう考えるとそもそも論としましてそこの1か月なり3か月なりをあまりゴリゴリ考えてもシャーナイのでありました。

でもってその買入に関する説明がもうちょっとある。

『We will purchase flexibly according to market conditions and with a view to preventing a tightening of financing conditions that is inconsistent with countering the downward impact of the pandemic on the projected path of inflation.』

どのように買入しますか、という話に関してですが、最初の時点でお察しの通り「パンデミックによってもたらされる物価の先行きの下方リスクに対抗するために必要な緩和的なファイナンシングコンディションがタイト化してしまわないように柔軟に買入を行います」という禅問答メソッドになっております。

『In addition, the flexibility of purchases over time, across asset classes and among jurisdictions will continue to support the smooth transmission of monetary policy.』

なんかもうファジーにも程がありますが、「金融緩和政策の波及メカニズムを維持するために買入をフレキシブルに行います」とのお告げで、これどうやってディレクティブに落とし込むんだか。

『If favourable financing conditions can be maintained with asset purchase flows that do not exhaust the envelope over the net purchase horizon of the PEPP, the envelope need not be used in full. Equally, the envelope can be recalibrated if required to maintain favourable financing conditions to help counter the negative pandemic shock to the path of inflation.』

さっき申し上げました「PEPPのエンベロープに関しては必要な環境を整えるためのものなので、状況が好転すれば別に全部使い切る事は無いし、足りないとなったら拡大しまっせ」という話ですね。

でもってちょっとその部分端折っちゃいましたけど、今回って買入拡大が「the next quarter」なんですが、Q&Aでの説明の感じですと(ってQ&Aネタまで全然間に合わないので引用しないで「ワシは見た」みたいな書き方するのもなんですが今回のQ&AってAが兎に角一々クッソ長いのでネタにすると無駄に長くなる悪寒がするのでネタバレをバンバン先にしちゃいますけど)「明日(3/15金曜日)から拡大しまっせ〜」ということのようです。でもって何で「3か月」なのかという事に関しても(ほぼ聞かれもしないのに)ラガルドさんが会見で説明していたのは、「ファイナンシングコンディションを含めた色々な状況について、ECBのスタッフが整理して経済物価見通しを出すのが3か月に1回なので、基本的にそこに合わせて3か月にしました」という説明をしておりました。

でもってターゲットは何だとかいうような質問に対してはさっき申し上げたような感じで、ひたすらファジーな話を延々と展開しておりまして、尻尾を掴ませない説明に終始しておりまして、うーんこのミラクルファジーという感じではございました。それこそアナウンスメント効果が効いて金利がアガランチ会長になったら実弾を碌に使わずに(゚д゚)ウマー位に考えているのかも知れませんね。


以下はその他の変更なし政策の話があって、いつもの話があるのですが、最後の財政云々の話が長くなっているのと、欧州の成長戦略?だか何だかへの言及(質疑応答でもそのネタ飛んでた)がやや多めだったかなという感じです。

あと、これまた質疑応答ネタを先出ししちゃいますと、こちらの決定ではバイデンプランの1.9兆ドルは見通しに含めていないそうです。ただまあこれを含めると劇的に改善するかという点については「まあ国内向けが多いですからねえ、でも米国ちゃんの需要が強くなると欧州としては外需が良くなるよね」みたいな感じで話をしていたように見えました。


とまあそんな感じで続きはたぶん後日(とか言ってるうちにFOMCが来てその後スカトロ会合が来るんだが)。




2021/03/12

お題「何だか点検会合方面がダダ漏れの症状を起こしていますね/ECBは「PEPPのペースを3か月間拡大」という変化球放って来ました」

去年も花粉は大概だった筈なのだがコロナの方に気を取られてましたようで、我に返った今年の花粉がちゅらい・・・・・・・・・

〇何かのプレイかというようなダダ漏れ点検会合とか情けないの一言に尽きる

えーっとですね、昨日の駄文でオペ紙がど〜のこ〜のって雑談したじゃないですかあたくし。でまああれって実は一昨日にブルームバーグの毎度おなじみMPM前の記事ちゃん出てたの知らんまま書いておりまして(ナマケモノ)、あらあらこんな記事あったのねと驚く昨日のワシ。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-03-10/QPQTHVDWLU6J01
日銀、国債金利がより柔軟に動く方法を政策点検で検討−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2021年3月10日 22:06 JST

22時に出すな22時にw

『日本銀行内部では、来週に発表する金融政策の「点検」に関連し、国債金利がより柔軟に動きやすくなる方法が検討されている。事情を知る複数の関係者が明らかにした。』(上記URL先より、以下同様)

ナンジャソラという感じですが、YCCを止めれば柔軟に動くと思います!!!!!!!!!!

『関係者によれば、月末に開示される運営方針の公表項目の一部を修正するなど国債買い入れオペの見直しも議論の対象になるという。』

いやまあワイもオペ紙がどうのこうのってマーケットトークをちょっと聞いてはいたのですが、まあこの「事情を知る複数の関係者」とは何ぞやという毎度のBBGモード。

『イールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)の下でゼロ%程度に誘導する長期金利の変動幅(上下0.2%程度)の拡大は必要ないとの指摘も出ている。一方、現段階では選択肢としては排除されておらず、金融政策決定会合でも議論される見通し。』

そもそも変動幅ディレクティブに無いんですから拡大も蜂の頭も無いという話は昨日申しあげた通りでございます、ちょっと飛ばして最後のはワロタ。

『複数の関係者によると、コロナ禍でイールドカーブを低く抑えることが重要であり、市場機能のためには一定の範囲内で金利がこれまでよりも上下に変動することが望ましいという基本的な見解は正副総裁で一致しているという。』

黒田総裁と雨宮副総裁の間で金融政策に関する主導権争いガーみたいな話が出てくるとアカンじゃろ、ということで火消し??をしているのか、単にアタクシみたいな門外漢(関係者って別に門外漢でも関係者で括れますからにゃあ)が外野から言ってるのかはよくわからんです。

ただまあオペ紙の話に関しては生産性の無い話にも程がある(そもそもマイナス金利の押し付け合い自体が社会的にみたら人的資源の浪費にも程があるわという話もしましたが)というのは昨日申し上げた通りなのですが、どうもこう日銀は自分が介入して動く相場の事を「市場機能」と勘違いしているようで、ちょっと3日位肥溜めにでも漬かって考えを改めた方がエエンチャウノとは思いますが、そこに追い打ちをかけるように昨日はロイターが追撃。


https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2L92AQ
2021年3月11日5:46 午後
日銀、当預3層構造の修正検討 長短金利の下げ余地明確化=関係筋

ちょwwwwwww

『[東京 11日 ロイター] - 日銀は18、19日の金融政策決定会合で示す金融政策の「点検」で、長短金利の引き下げが経済状況が悪化した際のツールの1つであると明確に位置付けるとみられる。同時に、長短金利に引き下げ余地があることを示すため、当座預金の3層構造の見直しを検討する見通しだ。複数の関係筋が明らかにした。』(上記URL先より、以下同様)

お、こっちの方が具体的。

『日銀はこれまでも声明文で、感染症の状況を注視しながら必要であれば躊躇なく追加の金融緩和措置を打ち出す方針を示し、政策金利についても「現在の水準またはそれを下回る水準で推移すると想定している」と明記してきたが、市場では金融仲介機能に悪影響が及ぶとの観点から日銀にはマイナス金利の深掘りは難しいとの見方が多かった。雨宮正佳副総裁は8日の講演で「長短金利の引き下げは、金融仲介機能に及ぼしうる影響にも配慮しつつ実施できるようにしておくことが適当だ」と指摘。政策点検を踏まえ、声明文でスタンスを明確化し、マイナス金利の導入で打ち出した3層構造を修正することを視野に入れる。』

一応「マイナス金利の深掘りをメインに」みたいなお漏らし?ニュースがだいぶ前に出ていましたが、その具体策みたいな感じです。

とは言いましても「金利引き下げの余地を明らかにするために3層構造の見直しをする」って物凄い勢いで本末転倒の香りしかしないんですし、だいたいからして現状って3層どころか軽く計算して6層構造くらいになってるだろと思うんですが、どういう直し方するんでしょ???こんなのマイナス金利政策解除して全部一本化(または所要準備だけ無利息)になるまで何もできないと思っていたわ、よー考えるなあ生産性の無い事をという点では感心するやら呆れるやら。

『コロナの感染拡大を受けた政府・日銀の政策対応で、銀行の貸出は堅調に推移している。しかし、収益面への配慮から当座預金残高の3層構造のうちマイナス金利適用残高を減らすなどの措置を打ち出す可能性がある。実際に金利の引き下げを実施する際には、さらなる副作用軽減策を打ち出す構えも示す見通しだ。』

何をやってもマイナス金利政策を維持するためには結局どこかにマイナス金利の皺寄せをしないといけなくて、じゃあどうなるかというと投信や年金で支払準備というか流動性部分というか、その所のキャッシュに利下げに伴うどマイナスチャージを被せて来るってのが、まあマイナス金利導入当初にMRFの事を完全にスルーして(後から事の問題に気が付いたようでMRF特則を入れてきましたが)いた位なので、まあ投信や年金という究極的には個人マネーからの収奪をしてくるんでしょうなあと思うのだが、何せ目立たないので中々話題にならないのがおじちゃん悲しいですよね。ナムナムナム。

それに、銀行の当預のマイナスチャージを極力回避するって言ったってマイナス金利政策でマーケットの金利自体は下がるんですから、その結果運用環境は悪化するんで、お為ごかしに副作用対策とか言ってる自体がちゃんちゃらおかしいし、だいたい副作用対策しなきゃいけないような政策を実施する意味って何なのという感じでして、その場の勢いでマイナス金利をぶっこんで全然物価目標早期達成に資さなくて副作用の方は徐々に顕在化していってる時点で「ちょっと試してみたけどイマイチなんで別の方策考えますねテペヘロ」とならずに、ぶっこんだマイナス金利政策が正しいという事にするための日銀というか黒ちゃんの体面の為だけに更にグジャグジャにするとか、なるほど満州での張作霖の影響を排除するために満州事変やってた筈なのに気が付けば米国に原爆落とされる国だわというのが良く分かる。

『長期金利の許容変動幅については「おおむねプラスマイナス0.1%の倍程度」(黒田東彦総裁)を拡大することに慎重な声が目立つ。米国の長期金利が上昇する中、許容変動幅を拡大すれば日本の長期金利に一段と上昇圧力が掛かるリスクがある。日銀では、3月期末に向けて株安・債券安になることへの警戒感が強い。日銀は国債買い入れオペを工夫することで金利が上下しやすくする手法を模索するとみられる。』

買い入れオペに工夫ってそういう生産性の無い工夫とかしてる暇があったら日銀の優秀な頭脳をコロナ治療薬の研究にでも使ってほしいんですがいやマジで馬鹿馬鹿しいんで勘弁してほしいんですけど、前日のブルームバーグニュースのお漏らし記事のフォローみたいな感じになっていて、この後ETFの話があるんですが割愛しますけど、まあ何となくここまでのお漏らし大全というような記事に仕上がっております。


今回の流れ、点検がどうのこうのというのが出て暫くはまあ平和でしたが、例の時事通信砲の辺りから色々と話がおかしくなりだして、遂には正副総裁が消火弾打ち込んだり、打ち込んだ消火弾が変な爆発したのを見て更に消火弾を打ち込んだりというドタバタの挙句に、関係者談という形でのお漏らしダダ漏れ状態で、何と申しますかもうお漏らしまみれのスカトロ点検会合(お食事中の方には伏してお詫び申し上げます)という実に見苦しい汚辱にまみれた決定会合を来週に迎えることになりそうなのですが、真面目な話こんな事やってて恥ずかしくないの日銀さんは????と小一時間説教をかましたい所でございまして、一応10数年(斜めから軽く見てるのを加えればもうちょい長いかも)に渡って何となく日銀を眺めておりますアタクシと致しましても、ここまでグダグダのスカロトプレイになった金融政策決定会合って見たことない訳でございまして、とりあえずこのお漏らしだらけの決定会合関係者一同肥溜めに1週間くらい漬かってコミュニケーションポリシーについて考え直された方が宜しいのではないか、と左様に思うのであります。

・・・・・どうしてこうなったんでしょうかね、なんかもうただただ悲しい決定会合って感じです。


〇寝起きでECB(夜なべ可能の筈ですがそこは突っ込まないで)だがこれは蟻地獄への第一歩になるやらならぬやら

最近またECBページのデザインを変えてて、デザインにやっと慣れたと思ったらリニューアルするのって年寄りには辛いので勘弁してほしいのですが、トップページから「記者会見」っての見に行ったらOn-demand video of the press conferenceというページに飛んだのはエエンジャガ、ラガルドさんカッケー派のアタクシもドン引きするラガルドさんの巨大サムネが登場するのは如何なものかと。
https://www.ecb.europa.eu/press/tvservices/webcast/html/webcast_pc_youtube.en.html
On-demand video of the press conference

挙句の果てにページの一番下に『Are you happy with this page? Yes No』ってアンケートがあるのは何のプレイかと思ってしまいました。

という雑談はさておき。

・決定事項公表文

https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2021/html/ecb.mp210311~35ba71f535.en.html
Monetary policy decisions
11 March 2021

『The Governing Council took the following decisions:』と最初に来た時点で長いわこれと予想できますが長い。

『First, the Governing Council will continue to conduct net asset purchases under the pandemic emergency purchase programme (PEPP) with a total envelope of ユーロ1,850 billion until at least the end of March 2022 and, in any case, until it judges that the coronavirus crisis phase is over.』

と言いながらペースが落ちている件については何ですねんという話ですけど、

『Based on a joint assessment of financing conditions and the inflation outlook, the Governing Council expects purchases under the PEPP over the next quarter to be conducted at a significantly higher pace than during the first months of this year.』

借入環境と物価見通しを合わせて判断した結果、政策委員会はパンデミック緊急プログラムに基づく買入を、次の四半期(だから4−6月期)には本年1月の買入よりも「a significantly higher pace」で行うことを想定(expects)している、だそうな。ちなみにこのexpectsは現時点でこう思っているという言い方で、まあ基本的にこう言ってそこまで無茶ぶりな梯子外しはしてこないのがECBの基本仕様ですが、必ずこのようにコミットではない言い回しをして逃げ道を作っているのはECBのパターンです。まあここまで言って、しかも3か月如きですので梯子は外さんとは思いますが。

あと一応のポイントは「financing conditions」という言い方で、ファイナンシャルコンディションではない事かな。

『The Governing Council will purchase flexibly according to market conditions and with a view to preventing a tightening of financing conditions that is inconsistent with countering the downward impact of the pandemic on the projected path of inflation.』

これがまたエライ勢いで文学的な言い方ですわなと思いますが、この盛大な買入拡大(ただし3か月限定パーチェス)は金利の上昇によって借入環境が悪化するとインフレ目標達成の弊害になるから、というのが理由になっておりますけど、まあ何と申しますかの世界で、景況感の改善によって市場金利が上昇するのが怪しからんとか言われましても、その景況感の改善自体がマジモンの景気改善によるものであれば、それを中銀が買入で阻止するというのは何でじゃろというか、お前らの景気見通しはどうなってるんだよという話でもあって、FEDもだいぶその傾向が見られてきていますが、ここに来て「実際に状況が改善して来た時のハンドリングでアリジゴク」というパターンに嵌る可能性が出てきて他人事として眺める分には実に素敵な見世物が始まった(超不謹慎発言)という感じは漂ってまいります。

『In addition, the flexibility of purchases over time, across asset classes and among jurisdictions will continue to support the smooth transmission of monetary policy.』

PEPPの部分(恒常的な買入ではなくて臨時の方、ということで原則を踏み外すことを正当化する訳ですね)での買入に関しては法令による資産保有割合の上限とかよりも、当該国の金融緩和効果がスムーズに行き渡ることを鑑み柔軟に実施します。ということで要するにPEPPでは大正義国じゃない所の国債買入ウェイトを上げるよ、とは言ってるものの、まあ実際どうでしたっけというお話で、その辺ってここの表現が文学的であるように、結局口で言うものの実際はムニャムニャ的なアレになりそう。

『If favourable financing conditions can be maintained with asset purchase flows that do not exhaust the envelope over the net purchase horizon of the PEPP, the envelope need not be used in full. Equally, the envelope can be recalibrated if required to maintain favourable financing conditions to help counter the negative pandemic shock to the path of inflation.』

望ましい借入環境が維持できるのであれば、PEPPの買入枠(全部で1850ビリオン)を全部使う事も無いし、もっと買わないとアカンとなったら増額見直しするよ、とまあある意味当たり前の話。

『The Governing Council will continue to reinvest the principal payments from maturing securities purchased under the PEPP until at least the end of 2023. In any case, the future roll-off of the PEPP portfolio will be managed to avoid interference with the appropriate monetary policy stance.』

PEPPで購入した債券の償還再投資に関する説明と、将来の再投資停止に関する話は従来通りです。ここまでがPEPPの話。


『Second, net purchases under the asset purchase programme (APP) will continue at a monthly pace of ユーロ20 billion. The Governing Council continues to expect monthly net asset purchases under the APP to run for as long as necessary to reinforce the accommodative impact of its policy rates, and to end shortly before it starts raising the key ECB interest rates.』

次はPEPPじゃなくてAPPの方。こちらに関しては従来通りの政策を継続するって話じゃな。

『The Governing Council also intends to continue reinvesting, in full, the principal payments from maturing securities purchased under the APP for an extended period of time past the date when it starts raising the key ECB interest rates, and in any case for as long as necessary to maintain favourable liquidity conditions and an ample degree of monetary accommodation.』

APPで購入した債券の償還再投資に関する説明についても従来通りですね。これが2番目。


『Third, the interest rate on the main refinancing operations and the interest rates on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged at 0.00%, 0.25% and -0.50% respectively. The Governing Council expects the key ECB interest rates to remain at their present or lower levels until it has seen the inflation outlook robustly converge to a level sufficiently close to, but below, 2% within its projection horizon, and such convergence has been consistently reflected in underlying inflation dynamics.』

政策金利は据え置き、先行きの金利は少なくとも維持するし、物価目標達成のために必要であれば引き下げる、というのも毎度おなじみ・

『Finally, the Governing Council will continue to provide ample liquidity through its refinancing operations. In particular, the third series of targeted longer-term refinancing operations (TLTRO III) remains an attractive source of funding for banks, supporting bank lending to firms and households.』

TLTRO3を始めとする資金供給プログラムに関しても同じ話で、引き続き潤沢な流動性を供給するし、TLTRO3については銀行貸出をサポートするために銀行ウマーな条件での貸出を続けるよと。

『The Governing Council stands ready to adjust all of its instruments, as appropriate, to ensure that inflation moves towards its aim in a sustained manner, in line with its commitment to symmetry.』

必要ならば躊躇なく必要な措置を取ります(キリッ)ってこでまた毎度おなじみ。

『The President of the ECB will comment on the considerations underlying these decisions at a press conference starting at 14:30 CET today.』

ということで会見なのですが、

https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2021/html/ecb.is210311~d368d7151a.en.html
INTRODUCTORY STATEMENT
PRESS CONFERENCE
Christine Lagarde, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB
Frankfurt am Main, 11 March 2021

アタクシが見ている時間(東京時間の朝)だとまだQ&Aがアップされていなくて、最初のイントロダクトリーステートメントしか出てないんですが、政策の説明に関しては見た感じ声明文からあんまり踏み込んでいなくて、辛うじて経済アセスメントの直前の部分にこういうのがあるくらいですかね。

『Preserving favourable financing conditions over the pandemic period for all sectors of the economy remains essential to underpin economic activity and safeguard medium-term price stability. We will also continue to monitor developments in the exchange rate with regard to their possible implications for the medium-term inflation outlook.』

ユーロ高についてもしれっと言及してますが、パンデミック時期におけるファイナンシングコンディションの悪化はイクナイ、という話をしていますし、まあさすがに次の四半期は買入増やすとは言ってますが、「パンデミック時期における」なので(だからPEPPペース拡大で対応するんですが)これパンデミックフェーズが終わってアフターコロナだという事にしてしまうと別に知らんがな状態に出来る言い方でもあって、まあECBの場合はドイツのバイトおじさんみたいにやかましいのがいるからこの程度でしか落としどころが無いということで、まあそういう事だぞとは思いました。

『We stand ready to adjust all of our instruments, as appropriate, to ensure that inflation moves towards our aim in a sustained manner, in line with our commitment to symmetry.』

へいへいそうだっかという感じで、ここは毎度同じ話なのですよね。でまあその前には決定事項の説明があって、一つなんちゃら〜みたいな説明はあるのですが、声明文の範囲内から飛び出した説明は無かったので、結局は質疑応答をおまいちゃんとみておかないとはどういう事やというツッコミにすいませんと土下座して終了という事で(大汗)。会見は週末読む(断定調)。




2021/03/11

お題「ウィンドウズアップデートのせいでPCが不機嫌なので雑談大会ですいません」

うーん3月11日。

〇ストーリーありきニュースキタコレ(審議委員人事おまけあんど・・・・・・)

いや確かにそうなんだけどさあ・・・・・・・・・
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF0954X0Z00C21A3000000/
日銀審議委員、運用会社から初登用 野村アセット中川氏
経済 2021年3月9日 21:00 [有料会員限定]

『政府は9日、日銀の次期審議委員に野村アセットマネジメント最高経営責任者(CEO)兼社長の中川順子氏を充てる人事案を国会に提示した。6月29日に任期満了となる政井貴子審議委員の後任で、運用会社の出身者が日銀の政策委員会に入るのは初めて。日銀の金融緩和の手段で上場投資信託(ETF)購入の重みが増すなか、運用大手の経営者の知見を生かす狙いもありそうだ。』(上記URL先より、以下会員限定になります)

さてここで野村HDの有報置き場をご紹介しておきましょう。
https://www.nomuraholdings.com/jp/investor/library/report/#re02

有報へのリンクを貼っても良かったのですが、さすがにクッソ重いので自粛しますけど、例えば2019年3月期の野村HDの有報を見ますと、取締役、執行役員のご紹介部分がありまして、本文97ページ(PDFだと100ページ目)に執行役のご紹介があって、その中に中川さんの略歴が記載されている訳ですよ。でもって中川さんの略歴拝見すると、(途中の中抜けはさておき)キャリアの殆どが野村證券さんでして、しかも偉くなったの財務関連にしか読めませんで、アセマネにお越しになられたのは専務として2017年4月にご就任されて以降、という訳でございます。

でまあ翻って日経の記事を見ると、なんか思いっきり「運用会社から初登用」ってあって、いや確かに見た目はそうだけどホンマにソウケエ???って感じでして、これどう見ても上記記事(って全文読んでないから趣旨が良く分からんけど)の中にある、「日銀の金融緩和の手段で上場投資信託(ETF)購入の重みが増すなか、運用大手の経営者の知見を生かす狙いもありそうだ。」っていうETF買入というメディア的にオイチイネタを絡めたストーリーあり気だろとしか申し上げようのない書き方。

いや勿論経営者4年もやっているので運用業界に関する知見はお持ちだろうなあというのは思うのですが「運用会社から登用」って言葉から出てくるイメージとは違くね???というか、それ言い出したら前の石田審議委員はリース会社(三井住友F&Lと合併前の三井住友銀リースの経営者5年やった後に審議委員)から登用だし、その前の野田審議委員は不動産会社(清和興業と中央不動産の経営者3年やった後に審議委員)からの登用になるんですけど、なぜそうはならないのかこの記事書いたお方に小一時間問い詰めたい。


・・・・・・ということでですね、いやまあ重箱の隅をつついてどうする、というツッコミはあろうかと存じますが、これって実は今回の点検会合で起きそうな問題点にも繋がるネタでして、そんじょそこらのヘッポコ新聞なら兎も角、天下の日経新聞様の報道が「ストーリー先にありき」で話をおっぱじめる、というこの図式を見ますに、日銀ネタとして市場的にはもう細かいもんしか出ねえだろという感じの筈になっている点検会合ですけれども、日経新聞様に「ストーリー先にありき」で「キャッチーな物語に乗せてニュースを作る」をやられてしまいますと、先般の黒ちゃんと雨宮さんの国会答弁&講演での火消しと火消しの火消しが「黒田総裁の2期目の任期も半ばを過ぎたこの時期に金融政策を巡って総裁と副総裁の主導権争いが起きている」とか面白おかしく書くとそらもうアクセス集めてウハウハ、ということになる訳でございまして、この点検会合、何が出る(出ない)にせよ、「黒田VS雨宮の主導権争いは黒田(雨宮)の勝ち」みたいな面白ストーリーが作れるわけですよ。一本でっち上げろと言われれば簡単にこたつ記事が書けそう。

だいたいですね、20bp云々っての声明文にもディレクティブにも明記されている数字ではなくて、あくまでも総裁会見での口頭のお話(と言ってもその口頭が会見要旨として紙に残るけど)ですし、最初の10bpだって単にあれ謎の中期輪番スキップで相場を自分で壊してビビった日銀が急に指値オペぶっこんできた為に発生したようなもんだし、そこの部分を殊更国会で発言してしまう黒ちゃんも黒ちゃんだし、黒ちゃん発言が効きすぎたのにビビったのは分かるんですが、雨宮さんも何も「個人的見解」とか言わないで、「私の発言の趣旨と総裁の発言の趣旨は同じである」とか堂々と煙に巻いてしまえばよい(昨日申し上げたように元々この両者の発言、完全にコンフリクトしている訳では無いのだがヘッドラインのインパクトが強烈過ぎた)とは思ったんですけど、まあこうなってしまいますとアフターフェスティバルなので如何ともし難い。

いずれにしましても、この点検会合、どうせ大したものが出ない(だしにくい)とは思うのですが、ストーリー先にあり気の報道に会合後も振り回されそうな悪寒がだいぶして参りました、というのを申し上げておこうかという次第でございまする(いつの間にか最初から話が変わってるとかいうのはキニシナイ)。

まあいずれにしましても、大正義日本経済新聞様が面白こたつストーリー先にありきで記事とか書かれてしまいますと、こちとら若い衆に日経読んで勉強しろとか言えなくなってしまいますので、甚だ遺憾の極みに存じます次第でありまして、いやあの一応(購読してないのであまり偉そうな事も言えませんが)天下の大正義日本経済新聞様なんですから、もうちょっとこう経済のことフラットに報道して頂けないでしょうかねえ、と日経新聞様には期待するところがある訳でございます。なおアタクシ現在は日経ちゃん駅売りすら購入していません(ごくまれに昼休みにコンビニに朝刊買いに行く程度でその時の目的は話題の毒電波経済教室を読んで電波浴をするため)。


〇社債買入が減額になっていましたな(火曜日の話)

日銀マッチポンプとは言え久々に円債ちゃんが派手に動いてたので出遅れましたが(大汗)、社債買入減額が火曜日にありましたなすいませんすいません。

火曜日の社債買入だけ引用
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of210309.htm
社債等買入(残存期間1年以上3年以下)(注4) 2,000 2021年3月12日

ご案内のように先月末に出ていた予定表では、
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210226a.pdf
CP・社債等買入のオファー日程(2021年3月〜4月)

1−3年の社債買入は2500億円/月となっておりましたが、減額キタコレとなっておりまして、いやーめでたいめでたいとか思ったら何のことは無いこの結果ェ・・・・・・・・・・・

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba210309.htm
社債等買入(残存期間1年以上3年以下) 2,475 2,001 -0.093 -0.085 45.4

ちょwwww2500オファーなら札割れwwwwwwwww

足切りも▲9.3bpとかでして、いやまあ別に企業様の方がマイナス9bpの社債を発行している訳では無いのでそれはそれなんですけど、これそれこそストーリー先にありきで煽り記事書こうと思ったら「日銀は結果的に特定企業への無利子融資を行った上に、補助金まで出しているのだが、議会の議決を通らない形でのこのような行動は、議会制民主主義における政府の活動範囲を逸脱した「関東軍」的な行動ではないかとの議論を呼びそうだ」とか何とか煽る事が出来る訳でして、いやまあ社債買入の1−3年毎度マイナスなんで何を今さらとは言われそうですが、まあここまで下がるとちょっとねえ。

というわけで札も無いのは分かっているので減額した、ということなのでしょうが、まあそう考えまするにコロナ対策3本の柱とか言ってますけど、社債買入の臨時増額もうイラネだろと申しますか、こういうの何で個別の状況が改善したからそこの部分は臨時措置終了しますって出来ないの日銀は、と毎度の如く思う訳でして、何故かそういうツッコミに対してはいつも日銀って「この政策は一体として効果を発揮しているパッケージ」みたいなヘナチョコ理屈を繰り出してくるんですよね。

マジでもう前倒しで臨時措置(というかそもそも社債買入要らねえだろ制度の趣旨からしたら今のクレジットスプレッドのどこにリスクプレミアムがあるのかと小一時間問い詰めたい)の社債の所だけ削除しろよと思うのですが、どうせこれもオファー額を漸減させて行って、気が付いたら1−3年が元の数字に戻って3−5年が500とか200とかになっていて、有耶無耶のうちに事実上臨時措置を閉店、という措置を取るんでしょうなあと思うのでありまして、80兆円文言みたいなもんですわな、と思います。

でもって毎度申し上げておりますが、仮にそうなるとそらまあ事実としてだいぶマシになるからそれはそれで結構なのですが、80兆円文言も然りで、結局落とし前をつけないでなあなあのうちに誤魔化してしまう、というのをやってしまうと、政策の何が良くて何がアカンかったかということもきちんとしない、ということにつながる訳でありまして、だからこう牛の涎かというようにダラダラと無意味になったり寧ろ有害になっても「一度始めたものが終わらない病」になるんですよねえと思うのでした。

まあ減額自体は現場の判断として妥当オブ妥当で、アカンのは政策決定のほうで落とし前つけないままなあなあで誤魔化すという姿勢の方ですよ、というのは念のため繰り返しておきます。


〇マクロ加算比率とかその他雑談雑感(点検絡み)

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210309a.pdf
日本銀行当座預金のマクロ加算残高にかかる基準比率の見直しについて

『日本銀行は、日本銀行当座預金のうち、ゼロ金利が適用されるマクロ加算残高の算出に用いる基準比率(「補完当座預金制度基本要領」4.(3)イ.に定める基準比率)について、次のとおり定めることとしました。

2021 年3月積み期間:15.5%

これにより、日本銀行当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高(金融機関間で裁定取引が行われたと仮定した金額)は、5兆円程度となる見込みです。』

3月積み期間は国債償還要因があるから掛け目上がりましたですなという理解で良かったと思うのですが、このマクロ加算に関しても、マイナス金利政策をぶっこんだ時の直前1年間の平残が基準残高になっているのって、そこからこれだけ時間が経過する中で、それでエエのかというのは毎度思うし、だいたいからしてMRF特則とかあの時から株価どんだけ上がってると思ってるんだよ何でMRFという証券総合口座の待機資金、即ち株式などの購入予定資金を預かる機能のある資金に対してマイナスチャージするんだよ日銀は証券投資を阻害する気かふざけんな、などと言っても(残高はデカいし利用者はものすごく多いものの超地味なだけに)全然皆様に注目されないので何故か相変わらず基準残高が昔のまま、という理不尽極まりない状況になっておりますけど、この基準残高の基準年見直しってのは日銀としてどう考えているんでしょうかねえ、というのはよくわからん。

まあ基準年見直しをしたらしたで、今度はマクロ加算部分での裁定取引をやっていた人達的にはナンジャソラというか、話の前提がちゃぶ台返しになってしまうのでそれもまた面倒ということなんでしょうけれども、MRF特則の基準年が全然変わらんというのだけはどう見ても理不尽だし、そこだけ直す分にはそこまで他に巨大な影響でないだろ、と思うのですけれども、見直ししませんですかねえ。


という事を書きながら思い出したのですが、そういや輪番に関しても市場機能云々の観点からオペ紙の見直し(日程出さないとか)というネタもどこかからちらっと聞いた気がするのですけれども、何か日銀って「市場機能」と言った時に「とりあえず市場の人間に仕事があれば」みたいな意味での市場機能維持というのが頭にあるっぽくて、いやまあそら完全統制市場にして人員が全員離村したら困るのでその趣旨も分からんでもないのですが、さはさりながら、輪番オペの日程出さないとなって、そうは言っても今の市場って日銀様が超ドミナントプレーヤー(除く超長期後半)となっている中だと、オペの日程出さないとなると、今度はオペの日程の当てっこゲームが始まる訳ですよ多分。んでもって予想があたった外れたで市場が動いたり、何とかストのお仕事が出来たりするのですけど、それって冷静に考えると何の生産性も無い話でありまして、寧ろそういうゲームに金融業界の人材を貼り付けてしまうのって社会的な損失じゃねえのと思ってしまう程度には人間が達観してきましたアタクシ。

まあそれを言い出すとそもそも「マイナス金利の押し付け合い」によって市場機能のようなものが発生しているというお話にもつながるのですが、市場機能ってえのはそうじゃなくて競争的環境による資源の適正配分を行うことによって、もっとも効率的な資源配分を達成するために市場機能を使う、というものではなかろうか、とまあ斯様思う次第で、なんかこう小手先の話で仕事を作って市場機能でございと威張られましてもねえ、とは最近とみに思うようになる程度にはアタクシもジジイになりましたという世間話でした。


本日はウィンドウズアップデートがバックグランドで走りやがったせいでPCちゃんが言う事をあんまり聞いてくれなかったりする時間があって、なんかこうただの雑談ばっかりしか書きませんで誠に申し訳ございませんでした(ジャンピング土下座)。






2021/03/10

お題「PDイジメをするから5年国債流れちゃったじゃん/政井審議委員の後任人事(野村AM中川さん)/LIBORあと9か月」

一般客とは???
https://www.asahi.com/articles/ASP3955CPP39UTQP00T.html
東京五輪、海外一般客の受け入れ断念へ 日本側が方針
会員記事
2021年3月9日 17時21分

『大会関係者によると、海外在住者向けの一般チケットは100万枚程度を確保済み。菅義偉政権は東京大会で海外観客を受け入れ、新型コロナウイルスで激減したインバウンド(訪日外国客)回復のきっかけにする考えだった。だが、現在は外国人の新規入国を原則認めておらず、変異株も広がるなど、世論の不安も大きいことなどから、断念へと傾いたという。』(上記URL先より、以下同様)

なるほどシャーナイじゃろ、と思うのだが記事の最初の方にはしらっと・・・・・・・・・・・

『一方、国際オリンピック委員会(IOC)はスポンサー関連の招待客らが入国、観戦できるよう要望しており、日本側が検討を続けているという。』(上記URL先より、以下同様)

ん???????ん??????????


〇ほらだから言わんこっちゃない(5年入札雑感)

昨日の債券市場ちゃん、例によってロイターさんから(毎度サーセン)。

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N2L70ZW
2021年3月9日3:18 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落で引け、一段と強まった日銀点検の不透明感

『<15:10> 国債先物は続落で引け、一段と強まった日銀点検の不透明感

国債先物中心限月3月限は前営業日比9銭安の151円05銭と続落して取引を終えた。3月の日銀点検への不透明感が一段と強まり、売りが優勢となった。10年最長期国債利回り(長期金利)は同1.5bp上昇の0.125%。

マーケットの、長期金利操作の変動許容幅拡大に対する思惑は、黒田東彦総裁の5日の発言でいったん萎んだが、雨宮正佳副総裁の前日の発言で再び盛り返してきている。ただ、市場では「日銀は何がしたいのかわからなくなった。見方は市場の中でも分かれている」(国内銀行)との声も出ている。』(上記URL先より、以下同様)

うーんどうなんでしょうな、やりたいこと自体は多分一昨日の雨宮さんの奴だと思うんですけどね。まあ昨日の相場ちゃんに関しましては「日銀点検に対する不透明感」というのはまあ確かに大分類でいえばその通りなんですけど、それだけを理由にするのはミスリードのような気がするんだよな〜。

つまりですね、

『本日実施された5年債入札も応札倍率が低下し、テールが拡大と低調だった。「3月日銀点検への不透明感が強まったことで、投資家はすぐに必要ではないようなポジションを構築しにくくなった」(国内証券)という。』

という書き方になっておりますがまあその5年入札、昨日は5年入札だったのですが、これまた良く分からんかったけど前場から5年じゃなくてカーブの後ろの方が弱くて、先物よりも後ろが弱いベアスティープモードで5年の入札に突入、というか金曜の(ノ∀`)アチャーから月曜大引けまでの謎の超長期堅調は何だったのかと小一時間なのですが、まあ何にせよ前場が終了して、ベンダーのヒアリングベースの足切りコンセンサスが100円79銭か78銭かといった所。

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20210309.htm
5年利付国債(第146回)の入札結果

6.価格競争入札について
(1)応募額 6兆6,855億円
(2)募入決定額 2兆568億円
(3)募入最低価格 100円74銭(募入最高利回り)(-0.054%)
(4)募入最低価格における案分比率 18.1264%
(5)募入平均価格 100円78銭(募入平均利回り)(-0.062%)

アイヤー!テールが8糸ということですし、ベンダーヒアリングの落札価格市場予想ベースがアベレージになっていますので、これは典型的な流れ入札、ということで相場ちゃん一旦売られましたが、なんか先週金曜はそうでもなかった気がしますが、昨日に関してはチーペストの金利がプラス圏に入って来る所までが下がり処という感じで、その後まあ相場自体は持ち直してくれましたが、まあ要するに5年入札とかいう本来そんなにイベントリスクになりにくい所が入札流れるの巻となった訳ですな。

でですよ、まあ確かに(別に上記のコメントの人をけなしている訳ではないので念のため)上記記事コメントのように「3月日銀点検への不透明感が強まったことで、投資家はすぐに必要ではないようなポジションを構築しにくくなった」という話は無くも無いでしょうが、そもそも点検の不透明感以前にそういうイベントがあるというのが売買せんわなとなりますし、更に今は期末前で普通の3月決算ポート系だと決算の着地に対応するポートの調整とかの方が忙しい時間帯に突入している筈で、昨年のコロナのような事が起きるともちろん着地もへったくれも無くなるのですけれども、まあその位の予想外大変動でも起きない限り、よーしパパ点検会合に向けてポジションメークするぞーとは普通ならん訳で(なる人もいると思うし勇壮で宜しいとは思いますけどまあ普通はならんでしょ)、そもそも論としてこの時期の投資家アクティビティが弱いのは仕様というものです。

ということで、まあアタクシが指摘したいのは、金曜の黒ちゃん発言に対して月曜特有の寝ぼけマナコで血圧だけアイヤーと上げながら書いておりました国会での黒ちゃん発言に対する悪態な訳でございまして、あの発言ってプライマリーディーラーが一番地獄を見るであろうタイミングを狙いすましたかのような所でぶち込んできていた訳でございまして、おかげでオーバーランチで5毛飛ぶわ先物の高安1円9銭もやるわとなり、更にそこに追い打ちをかけるかのようにレインボー雨宮副総裁が火消しの火消し発言を行うという七色の変化球をノーサインで放り込んでくるもんだから魔球を取れずに盛大なパスボールで二塁三塁ランナー堂々の生還でまた失点、という踏んだり蹴ったり(投げたり)というプレイを連日日銀がやっている訳ですよ。

んでもって月曜日に「PDをなぶり殺しするような事やって何が楽しいんですかあんたら統合政府の借金の金策で働いてるの誰だと思ってるんですか」という趣旨の悪態を申し上げた、という次第でございますが、まあ昨日の5年はさっそくその効果(??)が出やがったなという所でございまして、PDの皆さまを思いっきり殺しにかかる日銀様の口先介入という華麗なプレイで思いっきり重軽傷を負ってしまって(轢死した方が居ないことを望む)、弱ってしまった所に事前アナウンス日程だから仕方ないけど無慈悲に入札日程がやってくるので、そらあーたPDの体力削げば入札は流れやすくなるわな、というお話でして、これ要するに黒ちゃんの国会答弁からの流れによって発生した人災みたいなもん。

しかも明日は20年国債の入札もある訳でして、まあその辺は今日の米債次第とかでなんとかなるかもしれませんけれども、5年入札ごときで8糸も流れた入札を見せつけられると大丈夫かよ(ま、皆が大丈夫かよと言ってる入札は何とかなるの法則はあるけどさ)というお話になる訳です。


ということでですね、クドクドと何を今さらという話を申し上げましたが、要するにPDぶち殺すようなコミュニケーションポリシーを調子に乗ってぶっこんでおりますと、それは国債の安定消化に対する危険度を高める可能性が出てくるということであり、(まあ毎度流れてくれた方が民間的には(゚д゚)ウマーな面はあるけど)それって下世話な言い方をすれば財務省がカチコミに来るような事である、というのをもうちょっと日銀は感じて頂かないと、この異例極まる財政状況も含めた緩和政策の出口の時点で、市場が当局に反旗を翻してエライコッチャになり兼ねんと思うので、もうちょっとこうコミュニケーションポリシーを考え直して頂きたいものです。

なお、「黒ちゃん発言自体は別に金曜日の債券市場をぶっ壊すつもりで言ったのではない」という言い訳が飛んできそうなので先に断っておきますと、そういう言い訳が通じるのは未就学児童の場合に限られまして、「女性差別の積りは無かった」って言い訳しかしなかった森元首相と同じですぞ、という風に申し上げておきたいと存じます。



〇政井審議委員の後任に野村の中川順子さんとな

6月末まで任期があるからもうちょっと先かと思ってましたが、まあよく考えたら後ろになると政局がどっち転んでるか分からんのですよね。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-03-09/QPMM0DDWX2PZ01
日銀審議委員に野村アセットの中川順子氏、金融に通じた実務家
伊藤純夫、占部絵美、延広絵美
2021年3月9日 11:09 JST 更新日時 2021年3月9日 11:57 JST

『政府は9日、日本銀行審議委員の候補に野村アセットマネジメント最高経営責任者(CEO)兼社長の中川順子氏(55)を充てる国会同意人事案を衆参両院に提示した。任期は5年。6月29日に任期満了の政井貴子審議委員の後任となる。両院で与党が多数を占めており、政府案が可決される見通しだ。

中川氏は2019年4月に野村アセット初の女性社長となり、来月1日付で会長に就任する。野村ホールディングスでも初の女性執行役や財務統括責任者(CFO)に就いた。』(上記URL先より)

いやーこのフラッシュ見てホッとしましたですわ。アタクシどうせまたしょうもない女性経済学者が出てくると予想していて、なんとなく候補になりそうな方の一人がロイターインタビューでトンチキ発言しているのを見て(ノ∀`)アチャーと思いつつどこかでネタにしようかとニュースのクリップだけしてたんですけど使わないで済むかな、とにっこりするあたくし。

ちなみに話は脱線しますが、金融政策の話をさせると電波浴比率が非常に高くなるのになぜか東大の経済学部長とかいう物凄い肩書の人が今月号の証券アナリストジャーナルで電波ゆんゆんの金融政策ネタをぶっこんでいまして、その辺と絡めて日本の経済学者はアカンという話をしながら突発性秦の始皇帝になって以下自主規制、というネタを温めていたのですが孵化しないでそのままお蔵入りになりそうですな、学者審議委員が増えないということになりましたので(^^)。


まあ兎にも角にも、普通の話を普通にすることが出来て、普通の判断を下していただける方が普通の論議をしていただく、という行為こそが今の日銀政策委員会に求められている訳で、政策決定会合の主な意見にしろ議事要旨にしろ、見た感じどう見てもまともな議論が成立しているとは思えないという惨状おぶ惨状でありますので、企業経営者としての常識的かつ地に足のついて論議を鈴木審議委員、中村審議委員と共にリードして頂き、勝手に暴れる置物一派や、屁理屈の蟻塚を大構築して金融政策の昭和温泉旅館化ばかり推進する執行部を、常識人トリオ(今勝手に命名した)が牽制機能を果たして頂きたく、心より祈念する所ではございます。


ちなみに新法以降の日銀政策委員では野村出身が過去2名(水野さんと木内さん、水野さんは直前は外資ですけど野村が長かったので野村認定)おいでですが、お二方共に野村のリサーチ部門バリバリのお方でして、本人が意図したのか意図しないのかはともかくとして、お二方ともに面白審議委員になってしまいましたが、今回はリサーチ部門の方では無いので、中川さんの場合は面白審議委員には進まないかなー、とは勝手に想像しております。まあ詳しくは存じ上げませんけど、野村で役員にまでなられる方ですから色々と切れ者なんでしょうなあとは思うボンクラナマクラそもそも竹光のアタクシでした。

まあ何にせよ変な馬鹿学者が出てこなくて良かったよかった。


〇ところで黒ちゃん発言なのですが・・・・・・・・・・・

金曜の黒ちゃん発言、雨宮さんが火消しの火消しの積りで月曜日に「黒田さんの個人的見解ではないか」みたいな言い方をしていましたが、ここで日銀法の関連条文を確認してみましょう。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=409AC0000000089
日本銀行法(平成九年法律第八十九号)
(平成27年8月1日(基準日)現在のデータ

『第七章』に『国会に対する報告等』ってのがあるじゃないですか。こちらを見ますと、


(国会への報告及び出席)
第五十四条 日本銀行は、おおむね六月に一回、政策委員会が議決した第十五条第一項各号に掲げる事項の内容及びそれに基づき日本銀行が行った業務の状況を記載した報告書を作成し、財務大臣を経由して国会に提出しなければならない。

2 日本銀行は、前項の報告書について、国会に対し説明をするよう努めなければならない。

3 日本銀行の総裁若しくは政策委員会の議長又はそれらの指定する代理者は、日本銀行の業務及び財産の状況について各議院又はその委員会から説明のため出席することを求められたときは、当該各議院又は委員会に出席しなければならない。

(業務概況書の公表)
第五十五条 日本銀行は、各事業年度に係る財務諸表について第五十二条第一項の承認を受けたときは、遅滞なく、当該事業年度に係る業務概況書を作成し、これを当該財務諸表及び当該事業年度の決算報告書とともに公表しなければならない。

とまあこのように定義されていまして、

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko210305a.htm/
【概要説明】
通貨及び金融の調節に関する報告書
衆議院財務金融委員会における概要説明
日本銀行総裁 黒田 東彦
2021年3月5日

ということで、金曜の例の発言は衆院財務金融委員会で行われた訳ですが、これ日銀法54条の中で明示的に日本銀行の職務として規定されている報告の中での国会質疑だった訳ですよね。

まあそんな所で何で点検の質問をするんだか前なんとかさんの意味も良く分からん所ではありますけれども、それは兎も角として、要はこれってFEDで言うハンフリー・ホーキンス法に基づく議会証言と同じような建付けのものであって、そういう所で「in my opinion」の断りもなくいきなり個人的見解を披歴した、っての、これ雨宮さん火消ししてる積りで何かもっとヤバい事を言ってませんかねえ、と斯様に思う訳ですよ。

普段日銀がホイホイ呼ばれているのは54条の3に基づくものだと思うので、通常の参考人質疑に関してもそらまあ法令に基づく質疑応答ではあるのですが、今回の黒ちゃん発言は54条の1に伴い発生する54条2の行為に他ならないので、いつもの国会答弁とは重みが違う筈だし、官僚のほぼトップまでやられたお方が、そういう「法令的に特別の扱いになっている物件」の重みを知らん訳が無いと思うのでありまして、そう考えますとなんか黒ちゃんは黒ちゃんで確信犯で言っている(決定会合で決定すべき事項について事前に政策委員会議長が勝手にその方向性について発言する、というのがおかしいだろというもっと大事な論点もありますがとりあえずパスするとして)んじゃネーノって感じもするんですよね。普通に黒ちゃんこの半期報告の法令上の重みを分かっている筈なので。


ま。雨宮さんも「動いて良い」とは言ったものの、「金融緩和効果を妨げない範囲で」と留保している訳ですから、別に黒ちゃんと雨宮さんの主張が真っ向からコンフリクトする訳でもなくて、10年金利の変動についての考えは従来通りだが、経済物価情勢が改善していく中において、長期以降の金利が多少上昇しても金融緩和効果は損なわれない、と言っていると考えてしまえば宜しいと思う。

つまり、経済物価情勢が進展してくると、いわゆる均衡イールドカーブ(名目)は上方シフトしてくるのが然るべきであり、かつ現在のYCC政策は金融緩和政策の継続をコミットしていますが、その際に金利、特に超長期のが低下しすぎることによって均衡イールドカーブから大きく下方に逸脱した場合、金融緩和効果を却って損ねる可能性がある、という整理になっているので、その意味で特に超長期などの金利は均衡イールドカーブの上方シフトに伴い、上昇して然るべき、というお話になるのでございますが、この「均衡イールドカーブ」の概念って物凄く説明(またの名を屁理屈)上便利なツールになっていまして、均衡イールドカーブ論を使えばあなたもワタシも政策屁理屈インチキ作文入門編くらいは簡単に合格できそうですな、あははのは。

何を言ってるのか分からなくなってしまいましたが(笑)、よーするに黒ちゃんと雨宮さんの発言って確かにヘッドライン的にはマッコウクジラでそら市場がアップセットするわと思いますけれども、完全にコンフリクトする話をしている訳ではない、というのと、火消ししたいのは分かるけど雨宮さんの黒田発言に対する個人的見解云々の部分は言い過ぎでしょ、という事ですな。


〇LIBORあと9か月っすなあ・・・・・・・・・・

雨宮さんネタで出遅れてしまいましたが。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210308a.htm/
LIBORの公表停止時期の公表及びシンセティック円LIBOR構築に関連する意図表明を受けての今後の対応について
2021年3月8日
日本銀行

『LIBOR運営機関であるICE Benchmark Administrationは、2021年3月5日、米ドルの一部テナーを除き、現行のパネル行が呈示するレートを一定の算出方法に基づき算出するLIBOR(以下、「パネルLIBOR」)については、2021年12月末をもってLIBORを公表停止する旨発表しました。また、同日、FCA(英国金融行為規制機構)は、日本円LIBORの一部のテナーについては、2022年1月以降の1年間に限り、市場データを用いて算出する擬似的なLIBOR(以下、「シンセティックLIBOR」)を構築するための権限を行使することについて市中協議を行う意図を表明しました。』

シンセティックLIBORってのオモロイ表現ですね。

『上記を踏まえ、本邦における今後のパネルLIBORからの移行対応及びシンセティック円LIBORに対する日本銀行及び金融庁の考えについて、各業界団体を通じて金融機関に通知しました。』

ということで通知書はこちら。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/data/rel210308a.pdf
LIBOR の公表停止時期の公表及びシンセティック円 LIBOR 構築に関連する意図表明を受けての今後の対応について

この文書はお名前が局長名になっていますし、右上を見ると

金総政 第933号
金監督 第285号
日金 第106号
日市 第66号
令和 3年 3月 8日

となっているので、金融庁と日銀の局が発出している文書の扱いですな。でまあ本文はさっきのHTMLのご紹介ページと同じことを言っているので別紙の方を拝読。

『1.円建てパネル LIBOR の公表停止予定時期である 2021 年 12 月末に向けた対応』

はいはい対応ですよ皆さん。

『LIBOR 参照の既存契約における LIBOR の恒久的な公表停止に向けた基本的な対応は、代替金利指標への「移行」、あるいは「フォールバック」条項の導入である。』

そらそうだ。

『今般、米ドルの一部テナーを除き、パネル LIBOR については、2021 年 12 月末をもって公表停止されることが明確化された。これを踏まえ、各金融機関においては、日本円金利指標に関する検討委員会(以下、「本邦検討委員会」という。)が 2020 年 8 月に公表した「LIBOR の恒久的な公表停止に備えた本邦での移行計画」(以下、「本邦移行計画」という。)及び各金融機関が策定した移行計画に則って、可能な限り早期に移行またはフォールバック条項を導入すべく、顧客への説明及び契約改定に向けた顧客交渉を進めることが重要である。』

物価目標が行かない事や財政健全化が絶賛大後退することは物凄い勢いでコロナのせいにするんですから、こっちもコロナのせいにして粘れませんでしたかねえああそうですね国際的取り組みですからそんな甘えは罷りならんですねどうもすいません。

『一方、FCA より、日本円については、2022 年 1 月以降の 1 年間に限ったシンセティック LIBOR の構築に向けた権限行使を行うことについて市中協議を行う意図が表明されたが、英国議会に 2020 年 10 月に提出された法案は、現時点では成立していない。仮に法案が成立したとしても、英国においてはシンセティック LIBOR の利用は時限的なものであり、かつその利用は、真に移行が困難な既存契約(以下、「タフレガシー」という。)に限定される見込みとなっている。』

なるほど。

『従って、LIBOR からの移行対応に当たり、シンセティック LIBOR に安易に依拠せずに移行に向けた対応を継続することが重要であり、本邦移行計画で対応の目安として示された、2021 年 6 月末までの円 LIBOR 参照貸出・債券の新規取引・発行の停止、2021 年 9 月末までの既存の円 LIBOR 参照貸出・債券の顕著な削減に向けて、引き続き努力することが求められる1。』

まあそういう事になるわな。野良LIBORを勝手に作るのはダメですかそうですか(まあそれだったら契約をフォールバック条項を導入した方が早いわな)。

何か気のせいだったらスマンのですが、どこぞのベンダーかなんかでチラ見したような気がするんだが、指標金利改革に関連してシンセティックLIBORが暫く出るから(だったかな?)クレジットリスクのかく乱要因がどうのこうのなのでクレジットリスクにポジティブ、みたいな落語をどこかで見たような気がして、勘違いだったらスマンのだが、指標金利云々でクレジットリスクに影響は与えんだろうよ(価格形成に影響を与える、というのなら分かるけど)と思って、オモロイ事言わはりますなあ(婉曲表現)と思ったりしましたです。


『2.シンセティック円 LIBOR の利用について 』

基本使うな、でしょうと思ったらまあその通り。

『FCA は、今後、英国議会における法案審議の結果、また、シンセティック円 LIBOR の構築に向けた権限行使を行うことについての市中協議の結果を踏まえ、実際にシンセティック円 LIBOR を構築するかどうかを判断する予定である。従って、現時点においてシンセティック円 LIBOR の利用について検討することは時期尚早であるが、仮に構築される場合の対応として、以下のとおり、現時点の金融庁及び日本銀行の考えを示す。』

はい。

『(1)シンセティック円 LIBOR の新規契約・取引での利用に当たっての考え』

『上記1.のとおりシンセティック LIBOR の利用はタフレガシーに限定される予定であるとともに、シンセティック円 LIBOR の公表期間は 1 年間に限定されている。従って、円 LIBOR からの秩序ある移行を進めるためには、円 LIBOR 参照契約を着実に削減することが重要であって、シンセティック円 LIBOR は、いわばセーフティネットとして利用されるべきものであることから、これを参照した新規の契約・取引を行うべきではない。』

そらそうだ。

『(2)シンセティック円 LIBOR の既存契約・取引での利用に当たっての考え』

あんまりあてにするんじゃねえ、ですよね。

『FCA は、英国においては、シンセティック LIBOR の利用をタフレガシーに限定する予定である。タフレガシーの対象については、今後、FCA が、シンセティック円 LIBOR の構築に向けた権限行使に関する市中協議とは別途の市中協議を開始する予定であるが、英国検討体が 2020 年 5 月に公表した「タフレガシーの特定」に関する報告書においては、適切かつ頑健なフォールバック条項が導入されていない LIBOR 参照契約で、LIBOR 公表停止日までに契約の修正(事前移行あるいは適切かつ頑健なフォールバック条項の導入)を行うことが実務上困難な可能性があるもの、あるいは、ヘッジ関係等で他のタフレガシー取引とのつながりがあるものとされている。』

「ヘッジ関係等で他のタフレガシー取引とのつながりがあるものとされている。」というのは何となくのイメージは出来るけどイマイチ詳しくないのでわからん、まあゴテゴテ仕組みになっていてほぐせないようなもんなんでしょうかね、ナムナム。

『また、本邦検討委員会は、2021 年 2 月に公表した「英国金融行為規制機構(FCA)の市中協議文書へのコメントレターの発出について」において、移行又は頑健なフォールバック条項の導入を通じて、既存契約・取引に関する移行対応を積極的に進めるべきであるとしている。その上で、現時点では移行対応が困難な既存契約・取引はまだ確認されていないが、今後、移行対応が本格化していく中で、一部の既存契約・取引において、やむを得ず移行対応が遅延するリスクや不確実性を排除し得ないとしており、シンセティック円 LIBOR をこうしたリスクや不確実性への備えとして位置づけている2。』

要するに当てにするな使うなと。

『従って、上記を踏まえれば、本邦においても、シンセティック円 LIBOR の利用は、上記1.の対応をしっかりと進めたもとで、真に移行が困難な既存契約に限定され、いわばセーフティネットとして利用されるべきものである。また、シンセティック円 LIBOR の公表期間は1年間に限定されていることにも留意すべきである。』

物凄い勢いで強調しているということは以下自主規制。

『加えて、シンセティック LIBOR は、パネル LIBOR とは算出方法が異なるため、その経済価値が変わり得るものであることについて、関係当事者間で認識を共有しておく必要がある。』

そらそうだ。

『なお、本邦検討委員会においては、2021 年 12 月末までに円 LIBOR から移行対応を進めることができない潜在的なタフレガシーの性質について考察することを視野に、今後、幅広い市場参加者との間で、上記のリスクや不確実性について議論を深めていく3とのことであり、これは上記で示した点を前提に議論がなされると理解している。』

ということでペタペタ貼りましたが、なんかこう色々と年末がスケジュールに見えてきて線表の線のケツが年末になっているようなToDoリストになっていくような時期になりまして、こんな感じでこれでもかと移行ネタを強調されているというのは・・・・・・・・・・






2021/03/09

お題「雨宮副総裁講演と質疑応答で金曜の勝負(?)は振り出しに戻るの巻ですかそうですか」

今度は産経がこういう記事を出すのか・・・・・・・
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/210308/mca2103080623009-n1.htm
ファイザー「首相と交渉を」 返答に関係者絶句、政府主導権取れず難航
2021.3.8 06:23

直接的にガースーアカンとは言ってないものの、微妙なガースーdis感のある記事、朝日や毎日が出すのは別に驚かないのですが、読売とか産経が出してくる辺りには何かキナ臭いものを感じないでもない今日この頃。


〇雨宮副総裁の講演は金曜の黒ちゃん答弁で勝負あったと思いきや・・・・・・・・・

まずは講演の本チャンから。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko210308a1.pdf
ウィズコロナ、ポストコロナの金融政策
―― 読売経済フォーラムにおける講演 ――
日本銀行副総裁 雨宮 正佳


・点検は「ポストコロナの金融政策に向けた話」なのか??????

最初のご挨拶部分の途中から参りますが、

『さて、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し始めてから約1年になります。わが国でも先月からワクチンの接種が開始されるなど、前向きな動きもみられています。もっとも、感染症は、引き続き、社会経済活動に大きな影響を及ぼしており、この先も、経済・物価への下押し圧力は長期間継続すると予想されます。』

米国を見てると上振れリスクを見出している感もありますが。

『そうしたもとで、経済を支え、2%の「物価安定の目標」を実現する必要があります。』

ほう。

『そのために、まずは、感染症への対応が大事であり、「ウィズコロナ」の金融政策として、昨年3月以降、強力な金融緩和措置を実施しています。』

はあそうですか。

『また、「ポストコロナ」も見据えて、やや長い目でみると、2%の「物価安定の目標」を実現する観点から、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくことが課題となります。』

ほうほうそうですか。

『日本銀行では、そのための点検を行い、来週の金融政策決定会合で、結果を公表する予定です。』

え?????

これ日本語の繋がりが曖昧なので困るのですが、「”そのための”点検」というのが何を意味しているのかがこう書かれると「ポストコロナも見据えた政策の為の点検」と読めてしまうのですが、そうなりますと点検で出すものが目先の話じゃなくなってきまして、なんか話が違くね???という気がするのでまずアタクシここを読んで唸るの巻だったんですよ。

『そこで、本日は、まず、経済・物価情勢と日本銀行の感染症対応についてお話したうえで、今回の点検作業について、その問題意識や考え方を少し詳しくご説明したいと思います。』

ということでまあ後を見れば分かると言ってしまえばそれまでですが、ここをちょっと掘ってみるとこのような感じかな、ということで(^^)。

12月MPM声明文
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2020/k201218a.htm/

『新型コロナウイルス感染症の影響により、経済・物価への下押し圧力が長期間継続すると予想される状況を踏まえ、経済を支え、2%の「物価安定の目標」を実現する観点から、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行うこととした。その際、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みは、現在まで適切に機能しており、その変更は必要ないと考えている。この枠組みのもとで、各種の施策を点検し、来年3月の金融政策決定会合を目途にその結果を公表する。』(この部分だけ上記12月MPM声明文より)

この説明だとポストコロナのうんたらかんたらという話ではなくてあくまでも過去と足元の話という感じがするんですが、更に雨宮さんの今回の講演テキストが英文もある(実際は本チャンが日本語なので英文は参考資料)のですが、これを見ると更に味わいがある訳でして・・・・・・・・・

今回の講演の英文バージョン(参考版)
https://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2021/data/ko210308a1.pdf
Monetary Policy during and after the COVID-19 Era
Speech at the Yomiuri Economic Forum in Tokyo (via webcast)

『It is almost a year since the onset of the novel coronavirus (COVID-19) pandemic. Positive steps have been taken, such as the start of the vaccination rollout in Japan last month. That said, COVID-19 has continued to have a significant impact on social and economic activities, and economic activity and prices are projected to remain under downward pressure for a prolonged period.』

米国を見てると上振れリスクを見出している感もありますが。

『In this situation, it is necessary for the Bank to support the economy and thereby achieve the price stability target of 2 percent.』

ほう。

『To this end, it is important to first respond to COVID-19 and, as monetary policy measures during the COVID-19 era, the Bank has been conducting powerful monetary easing since March 2020.』

はあそうですか。

『From a somewhat long-term perspective, while also looking ahead to the post-COVID-19 era, the Bank's challenge is to conduct further effective and sustainable monetary easing with a view to achieving the price stability target of 2 percent.』

ほうほうそうですか。

『The Bank is currently conducting an assessment in this regard and plans to make public its findings at the Monetary Policy Meeting (MPM) to be held next week.』(英文部分のみ上記URL先の本講演英文版より、
入れてる合いの手はさっきと同じにしてみました^^)

え?????

・・・・・・英文の「The Bank is currently conducting an assessment in this regard」ってのもナンジャソラという感じで、何だよその「in this regard」という感じですが、これは何を指すのかが翻訳しても分からんようにしているなという風情でして、まあ基本的に点検って過去の政策評価だけ出して、まああとはETF出しておしまいのしょうもない物件になるのかと思わせておりましたが、この部分だけ見ていると何だか変なもん出てくる可能性は無くはないですな。

ただまあ「ポストコロナ」の政策の話をするにはちょっとどころではない時期尚早感があって、なんせ19日ってまだ南関東1都3県に緊急事態宣言が出ている状態なのに、何がポストコロナだよという感じでして、これはまあ12月MPMの時点で年初からいきなり緊急事態宣言だわ3月中旬までひっぱるわとは想定しにくかったから仕方ないのですが、この物言いを見ていると当初のシナリオは年初になって暫くするとワクチンキタコレとなって、もう今頃は接種が始まっていて、3月の時点ではさあポストコロナだぞーとか言ってる、というシナリオだったので、こういう言い方をしているのかな〜などと思うのでありました(個人の妄想です)。

まーポストコロナの金融政策というネタはそらまあ魅力的なんですが、7月展望レポート位まで引っ張った方がエエンチャウノとは思うのですけどね・・・・・・・・・・

でまあ経済物価情勢の話はどうでも良いので全部飛ばす(そもそも講演の方でも字数を割いているのは点検のお話)として点検のお話というメインイベントに参ります(今のは前座)。




『3.「点検」の問題意識と考え方』という小見出しである。まあ昨日はベンダーフラッシュ出たとたんにこっちを熟読しだした方のほうが多いのではないかと(^^)。

『ここからは、「より効果的で持続的な金融緩和のための点検」についてお話します。』

キタコレ!

『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」を実現するため、2013 年4月の「量的・質的金融緩和」の導入以降、大規模な金融緩和を実施しています。2016 年9月には、「量的・質的金融緩和」のもとでの経済・物価動向や政策効果に関する「総括的検証」を行い、検証の結果を踏まえ、新たな枠組みである「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入しました。大規模な金融緩和により、経済・物価情勢は改善し、デフレではない状況となりました。しかし、2%の「物価安定の目標」の実現には至っていません。また、昨年春以降の感染症の影響により、経済・物価の下押し圧力はこの後も暫くの期間は継続し、2%の目標の実現には時間がかかることが予想されます。』

そもそも感染症無くても2019年には基調的な物価が下向きを始めていたという事実に関してはすっかりスルーして全部感染症のせいにして誤魔化すのは日銀クオリティなので致し方ないのですが、点検している中でもそのスタンスで点検されると、結局ポストコロナの政策とか言ったって2019年に何で下押しモードになったのかの検証をしないとまたまた無駄玉を打つだけのことになりそうですね!!!!!

『こうした状況を踏まえ、2%の目標を実現する観点から、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行うこととしました。』

ということで、

『点検の考え方のポイントは3つあります。』

はい。

『第1に、2%の「物価安定の目標」の実現のためには、引き続き、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで、緩和的な金融環境を継続させていくことが適当であるということです。』

そもそもQQE+YCC(+マイナス金利政策)で全然達成への道が進まなかったし、2019年には基調的な物価が下振れを始めていたという事実がある訳なので、本来はコロナ無くても行かないという状況だった訳でして、コロナで誤魔化すのではなく、本来点検すべきなのは2019年に基調的な物価が下振れをしだしたという点についての点検、すなわち現政策の枠組みが本当に適切か、という点から掘り下げる必要がある筈なんですが、まあそれをしない時点で今回の点検が無理矢理屁理屈満艦飾になるのは自明オブ自明。

『そのためには、第2に、平素は政策のコストを出来るだけ抑える運営で持続性を高めることがポイントになります。』

そもそも物価目標を達成しよう!として政策をしているのに、端から「持続性を高める」というのが変な話しなのは毎度申し上げております通り。

『それと同時に、第3に、経済・物価・金融情勢の変化により、必要が生じた場合には、機動的かつ効果的に対応できるようにしておくことが重要です。』

これも変な話で、もともとQQEぶっこんだときには「必要な政策は全て投入したのでこれで早期達成です」という話をしておっぱじめた訳で、なんだかんだと色々と手直ししていますが、元々の「全部ぶっこむ」思想のQQEをそのまま踏襲している時点で何出し惜しみしてるの???という感じだし、「機動的かつ効果的に対応できるようにしておくことが重要」って必要な政策を必要な時に実施するの当たり前で、殊更にこう言う必要は本来どこにも無い次第、即ちこれは「日銀に打つ手なし」というのを認めているようなもん、とまあそういう話ですが、まあこの辺の悪態は今に始まった話ではないのでさっくりと(??)次に進みます。

『以下では、これらの3つのポイントに沿って、お話したいと思います。』


・YCCの長期金利目標は10年ピンポイントなのかカーブ全体なのかという論点

最初のポイント『(1)金融緩和の継続』になりますが、どさくさに紛れて色々と妙なフレーズがある。まずはYCCの長期金利目標の扱いの表現が妙。

『最初に、第1のポイント、すなわち、緩和的な金融環境を継続させていくための枠組みである、現在の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」についてお話します。この枠組みは、「イールドカーブ・コントロール」と「オーバーシュート型コミットメント」を主な内容としています。まず、「イールドカーブ・コントロール」は、主として短期金利を操作対象としていた伝統的な手法とは異なり、長短金利の全体、つまりイールドカーブを操作目標とする金融市場調節の枠組みです。』

>つまりイールドカーブを操作目標とする金融市場調節の枠組みです

???????

「長短金利操作」って短期はまあ良いとして長期って10年をある程度固定するという枠組みじゃなかったんでしたっけ????と思いますし、大体からして「長短金利の全体、つまりイールドカーブを操作目標とする」んでしたら、そもそも市場機能がどうのこうのだの超長期金利の水準がどうのこうのだのというのが矛盾してませんかねと思いますし、「イールドカーブを操作目標」だったらせめて均衡イールドカーブのイメージ(別にピンポイントじゃなくてレンジでもファンチャートでも良いんですけど)を出すのが筋ってもんじゃないですかねえ・・・・・・・・

ということで何か雨宮さんの講演、流して読むとどうでもよい感じなのですが、細々つついてみると何ちゅうか説明が自由自在応用自在にも程があって、いやだからどっちですねんという話なんですが、恐らく雨宮さんのことですからその場その場で「10年ピンポイント」と「イールドカーブ全体」を都合よく使い分けるという七色の変化球スキームを採用しているんでしょうけれども、雨宮投手にノーサインで七色の変化球放られますとキャッチングミスやらパスボールやらが頻発するので勘弁して下さい。

しかもこの直後に、

『金融緩和の長期化が見込まれるもとで、緩和の効果だけでなく、副作用にも配慮しながら、適切な水準に長短金利をコントロールしていくことを狙いとしています。』

と言ってる時には「長短金利」なので10年ピンポイントっぽい言い方になっているということで、七色の変化球どころか変化球が途中で更に変化する位の変幻自在の妖術使い恐るべし。


・「オーバーシュート型コミットメント」が「メイクアップストラテジー」になっている件について

ではその次。

『次に、「オーバーシュート型コミットメント」は、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を維持するという約束です。これにより、予想物価上昇率に関する期待形成を強めることを企図しています。』

ここまではまあ良いとして、

『このコミットメントは、物価上昇率の実績値が目標を下回る期間が続いた場合には、そうした状況を埋め合わせるべく、物価上昇率が目標を上回る期間を長めに保つよう金融緩和を行う、「埋め合わせ戦略」という考え方を実践するものです。』

ちょwwwwおまwwwwwwww

さてここでオーバーシュート型コミットメントを導入したYCC導入時の声明文を確認してみましょう
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921a.pdf
金融緩和強化のための新しい枠組み:「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」
2016年9月21日  日本銀行

『具体的には、第1に、「フォワード・ルッキングな期待形成」を強めるため、オーバーシュート型コミットメントを採用することとした。「物価安定の目標」の実現とは、物価上昇率が、景気の変動などを均してみて、平均的に2%となることを意味する。現在の実績および予想の物価上昇率が2%よりも低いことを考えれば、「物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する」と約束することで、「物価安定の目標」の実現に対する人々の信認を高めることが適当であると判断した。』(この部分だけ直上URL先の2016年9月MPM声明文より引用)

・・・・・・別にこれ「そうした状況を埋め合わせるべく、物価上昇率が目標を上回る期間を長めに保つよう金融緩和を行う、「埋め合わせ戦略」という考え方」でも何でもなくて、単に2%を上回るまで実施と言っているだけなんですが、いつの間にそういう話になったかと言えばご案内の通りで先般のFEDによるジャクソンホールでのロンガーランゴールの文章書き換えに伴う、

『FRBも、昨年夏に、この「埋め合わせ戦略」の採用を表明しており、日本銀行の考え方と軌を一にしています。』

という「FEDはワシが育てた」という謎の自己アピールの話の元になっていて、まあ今に始まった説明では無いのですが、こういうのまでちゃっかり入れてくるアピール大好きっ子なのですよね黒田日銀って。まあアピールはどうでも良いから早く2%物価目標達成してマイナス金利とかYCCとかリスク性資産買入とかそういう金融そのものが収益上がらなくなるようなヘッポコ状態を解消してくれませんかねえ。



・先般片岡さんの金懇で出てたのよく考えたら日銀の元からの謹製図表でした謹んでお詫び申し上げます

でもって次はYCCは効いた、というアピールコーナー。

『「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は、想定されたメカニズムに沿って効果を発揮してきました(図表6)。』

だったら何で2%達成しないんですかねえコロナ云々は導入後3年半後くらいなんで本来その前に達成してて然るべきじゃないですかねえ、と言っても馬の耳に念仏なのでいつもの見苦しいアピールを見る訳ですが。

『わが国の名目金利は、イールドカーブ・コントロールのもとで、海外金利が上昇した局面でも、きわめて低位に抑えられました。』

それは他国が金融緩和政策の効果が出て緩和政策の目標達成が視野に入る中で日本だけ政策目標を全然達成しないから、という理由に他ならないのであってそれを自慢されるのはちょっと・・・・・・・・・

『予想物価上昇率が「量的・質的金融緩和」の導入前を上回る水準で推移する中、名目金利から予想物価上昇率を差し引いた実質金利はマイナス圏で推移しました。』

でもってこの予想物価上昇率、図表6にありまして、よくよく見ましたらこのグラフ、脚注に『2. 中央図の合成予想物価上昇率は、企業・家計・エコノミスト(コンセンサス・フォーキャスト)のインフレ予想を合成したもの。各主体のインフレ予想として、企業は短観、家計は生活意識アンケート、エコノミストはコンセンサス・フォーキャストを使用。』とありまして、先日片岡さんの金懇の時に野良指標とか申し上げましたけれども、言われてみれば展望レポートとかで何か謎に入れてる物件だったわという事で。

いやまあ言い訳をしますと(汗)、最近の展望レポート(全文バージョン)って図表が別になってなくて本文中に埋め込んでいる体裁なので図表だけじっくり読むのを怠っていましてすっかり忘れてまして、そういやこんなのあったわというのを思い出したんですが(おじいちゃん記憶が怪しいでちゅよと言われますな、涙)、ここに野良指標とか申し上げまして伏してお詫び申し上げますが、まあゆうてこの数字を政策判断で使っているとも思えなくて、これが本当にインフレ予想を示しているのかという話になるとその検証をしたようなペーパーもあんまり見た覚えが無くて(基調的な物価に関するレポートは散々幾つも見ているけど)、結局この指標は何なのか、というのは良く分からんですないやマジで。

ということで片岡さんには大変失礼いたしましたと申し上げつつも、転んでもタダでは起きないこのアタクシ、改めて片岡さんの金懇について思いまするに、あの指標だけオリジナル性あるのかと思ったら無いという事になりますと、何のことは無い片岡さんの金懇ネタって経済情勢の説明部分殆ど日銀公式だし、オリジナルなのは謎の「感染症の影響を組み込んだモデル」だけかよ(しかも内容が分からん)という事でして、いやまあ大体想像は付くのですが、あの中で己を貫き通すってえのは余程の実力または胆力(あるいはその双方)が無いと大変なんだろうなあと思う次第で、そらもう日本最高級の頭脳が揃ってるのは真面目な方ではリサーチペーパー、インチキな方では政策関連の文章を見れば良く分かりますし、まあそう考えるとジンバブエ大師匠(もはや置物よりもステージが上がっている)は真似をする気は1ミクロンも起きませんけれども、凄い(別の意味ですが)人ですなあと改めて感心する次第、と変な所に砲撃を加えるアタクシでございました。


・その他アピールはすさまじくどうでも良いので引用だけ

以下続くんですが、政策の成果アピールになると置物一派の説明のようになっていまして、「それは分かったんですが本来の政策目標の2%物価安定目標はどうなったんですか???」というと本来はぐぬぬとなる筈な無駄な説明を延々と展開する日銀公式。

『低い実質金利は、資金調達コストの低下や良好な金融資本市場などを通じて、金融環境を改善させました(図表7)。CPや社債の発行金利はきわめて低い水準となっているほか、貸出金利も既往ボトム圏で推移しています。金融資本市場では、為替相場が総じて安定的に推移し、株価は上昇基調を辿りました。この結果、経済活動は活発化しました(図表8)。需給ギャップは、2017 年にはっきりとしたプラス、すなわち、需要超過に転じた後、プラス幅を拡大しました。企業収益が増加し、雇用環境も改善しました。失業率は、約 30 年ぶりとなる2%台前半まで低下し、有効求人倍率も全ての都道府県で1倍を超えました。こうしたもとで、デフレ期にはみられなかったベースアップが7年連続で実現するなど賃金も緩やかに上昇し、基調的な物価上昇率はプラスが定着しました。また、人手不足が深刻化した結果、女性や高齢者の労働参加が進み、企業は労働生産性を向上させました。このように、良好な経済情勢が続き、その中で、日本経済の中長期的な課題についても前向きな動きが進みました。』

他の要因による寄与がある筈なのに全部金融緩和の功績にする(労働関連)とか、どう見てもコロナ前からコケ出してるのをスルーする(基調的な物価)とか、まあ無理矢理にも程がある説明をするのは見苦しいにも程があるのですが、とにかく成功したことにしないと死んでしまう病に罹患しているのでこれが平常運転になるのですが、そもそも戦況判断に私情だの政治判断だのを混ぜ混ぜしてしまって敗戦への道、というのは昭和日本以来の伝統芸能なので如何ともし難い。


・オーバーシュート型コミットメントは何のために存在するのかを問うた方が良いと思うのだが

『もっとも、物価上昇率が高まりにくい状況はなお続いています。その基本的な背景は、わが国では予想物価上昇率の形成が「適合的」であること、すなわち、実際の物価上昇率に影響を受ける傾向が強いことにあります。』

以下クドクドと言い訳のような説明が続くのですが、そもそも論として「オーバーシュート型コミットメント」を入れているのはインフレ期待引き上げの為、という話なのに、適合的期待形成の話を思いっきりしている時点で話が矛盾しているにも程があって、まあこれがコミットメント導入した時点(つまり総括的検証を行った結果オーバーシュート型コミットメントを導入した、という時点)であればまだ「やってみないと分からん」ということでチャレンジしてみました、という事で説明はつくのですが、このコミットメントを導入して早4年半が経過している訳で、最後の1年はコロナのせいにするにしたって、3年半の間結局インフレ期待が明示的にこのコミットメントで上方トレンドを描いたとは到底言えないし、そもそもさっきの「図表6」の真ん中にある「予想物価上昇率」を見たって碌すっぽ上がってないどころか2019年下がってるだろ、という状況な訳でございますので、本来ならば今回の「点検」ではオーバーシュート型コミットメントがこのままで良いのか、という事も点検されるべきなんですよね。

然るに、以下延々と言い訳は続くものの、「オーバーシュート型コミットメントはインフレ期待の引き上げに不十分なので別の方策を考えるべき」というような話は1ミリも出現しないというのがよくよく考えてみれば驚異的でして、さらに持続性云々とかそっちの話でもこの「MB増加方針を維持するとインフレ期待が高まる」というマネタリーベース置物直線一気理論の最後の残滓部分に関する扱いが何も無い、というのが中々お洒落でございまして、これは置物理論の最後の残滓なので残しておかないと置物一派が暴れだすと困るとかそういう配慮でもしているのか、あるいはもう点検すらしないでどスルーして空文化を狙っている(80兆円みたいに)のか、とかまあ楽しい妄想は尽きないというものです。

以下ウダウダと期待インフレが上がらんのは適合的期待形成、という話が続きますのでベタ引用しておきます。

『これは、実際の物価上昇率が低い場合、予想物価上昇率の引き上げに時間がかかることを意味します。さらに、この「適合的期待形成」は、その時点の実際の物価に影響を受けるだけではなく、過去の経験やその過程で培われた規範などにも影響を受けるため、より複雑で、粘着性が高いことも分かってきています。つまり、長期にわたるデフレの経験によって定着した、物価が上がりにくいことを前提とした人々の考え方や慣行の転換には、時間がかかるということです。』

時間が掛かるのは分かったがQQEから8年は掛かり過ぎじゃないでしょうかねえ。しかも8年たっても梃子でも動かんのですが。

『これに加えて、弾力的な労働供給や企業の労働生産性の向上は、日本経済全体にとってプラスの動きですが、物価については上昇を抑制する方向に作用しました(図表9)。先程申し上げたとおり、2010 年代半ば以降は、人手不足が強まるもとで、女性や高齢者を中心に労働参加が加速しました。このことは、人口減少に直面するわが国にとって望ましい動きです。その際、こうした労働者が働きやすい環境の整備も併せて進んだこともあって、賃金の大幅な上昇を伴わずに、多くの労働者が新たに労働市場に参加することとなりました。また、企業は、省力化・効率化投資などにより労働生産性を高めました。こうした取り組みは経済全体の生産性を向上させる前向きなものですが、コストの上昇圧力を吸収し、物価が上がりにくい要因となりました。』

毎度の説明ですね、しかしこういう動きがあるのに潜在成長率が上昇しているように見えないのはどうしてですかしら。それとこれとは別者なんですかねえ、アタクシ馬鹿だからわかんないんですけど。

『もっとも、こうした物価上昇率が高まりにくい状況は、時間はかかるかもしれませんが、経済活動が活発化するにつれ、いずれは解消に向かうものと考えられます。』

さすがにQQEから8年なのにまだこういう言い方をするのは空しくならんのかねと思うのだが今を生きる黒田日銀は過去何年の実績とか言われても知らんがななんですね分かります!!

『労働供給には限界がありますので、人手不足が続けば、賃金の上昇圧力は高まっていきます。』

いやあの労働需要の方も限界があると思うんですが・・・・・・・・・・・・・

『また、「適合的期待形成」メカニズムが根強いということは、人々が物価上昇を実際に経験すれば、そうした物価上昇が人々の考え方の前提に組み込まれやすい、つまり予想物価上昇率も上がっていく可能性が高いということを意味します。』

これも2014年辺りの物価上昇が結局消費を抑制することによってその後の価格設定行動にマイナスの影響を与えてコケてしまいました、という実績があったような気がするんですが・・・・・・・・・・

『このように、2%の「物価安定目標」を実現していくためには、現在の金融政策の枠組みのもとで、緩和的な金融環境を粘り強く継続させていくことが適当だと考えます。』

だそうです。では次の奴が一番の市場的注目ポイント(って前振りが長いですねすいません)。


・YCCは結局レンジ拡大は明言しないけどアフターコロナではもっと動いて良いという意味かこれは

ということで市場の現世利益話であるところの『(2)持続性を高める運営』に参ります。

『そこで、点検の2つ目のポイントである、金融緩和の持続性を高める政策運営について、イールドカーブ・コントロールを例にみていきたいと思います。』

「イールドカーブ・コントロールを例に」という表現がチャーミングですね。雨宮さんお茶目。

『イールドカーブ・コントロールは、これまで、海外金利の上昇や国債発行の増加などにより金利上昇圧力が高まる局面でも、柔軟な国債買入れを通じて、緩和的な金融環境をもたらす適切なイールドカーブを安定的に実現してきました。長短金利のコントロールが可能であったのは、日本銀行が、きめ細かく国債買入れのオペレーションを実行してきたためです。その際、特定の金利水準で無制限に国債を買い入れる「指値オペ」といった強力なツールも、必要に応じて活用してきました。』

はあそうですか。

『このように、長短金利をきわめて低位で安定的に推移させる効果に必然的に伴う副作用として、イールドカーブ・コントロールは国債市場の機能度に影響を及ぼします(図表 10)。実際、イールドカーブ・コントロールの導入後、多くの指標が、国債市場の機能度が低下したことを示しています。』

市場機能度キタコレなのですが、さっき前の方で「長短金利の全体、つまりイールドカーブを操作目標とする金融市場調節の枠組み」をしている、と言っているのに何で市場機能の事を気にする必要がありますねん、という話になるのですが、これが七色の変化球の雨宮投手のレインボークオリティ。

『こうしたもとで、市場機能の維持と金利コントロールの適切なバランスを取ることが、イールドカーブ・コントロールの持続的な運営の観点から重要になります。』

そもそも金融緩和を長期化させる工夫よりも早期達成の(以下同文)。

『そうした工夫の余地はあると考えています。』

おや????

『金利の大幅な変動は、望ましくない結果をもたらす可能性がありますが、一定の範囲内であれば、金融緩和の効果を損なわずに、国債市場の機能度にはプラスに作用する可能性があるからです。』

この辺が後でネタにする質疑応答(だと思う)編で登場する話じゃ。

『2018 年7月の金融政策決定会合において、金利が経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるという点を明確にしたのは、まさにこうした狙いによるものです。その後、実際の金利変動のレンジが再び狭くなることもありましたが、この考え方自体は、今も変わりがありません。また、超長期金利の過度な低下は、保険や年金などの運用利回りの低下などの影響を及ぼす可能性があるとの認識にも変わりはありません。』

『もっとも、現在は、感染症の影響が経済に打撃を与える中で、債券市場の安定を維持し、イールドカーブ全体を低位で安定させることが重要な状況であり、当面、この点を念頭にイールドカーブ・コントロールの運営を行っていく必要があると考えていることも申し上げておきたいと思います。』

金融緩和の効果を損なわないならば動いて良いのに当面は動いてはいけない、とか禅問答にも程がありますが七色の変化球なので仕方ありません。

で、「持続性」ネタはYCCの話だけ(オーバーシュート型コミットメントは完全スルー)なので、もうこの部分で何かは言う(変更するとは言っていない、というか多分目先変わらないけど将来はみたいなのがオーラルで言われれば出すくらいでしょうね)かもね、という予告ホームランというか予告ワイルドピッチというか、ですね。


・利下げの話が出るのだがどう見てもハリボテです本当にありがとうございました

話は『(3)機動的かつ効果的な対応』に入ってしまいます。

『最後に、3つ目のポイントである、情勢の変化に応じた機動的かつ効果的な対応について、お話します。金融緩和を粘り強く続けるためには、持続性を確保する手立てに加え、実体経済や金融市場に大きなショックが加わるなど、必要な場合に、効果的な対応を行えるような機動性を備えておくことが重要です。2つの例を挙げたいと思います。』

またも例を挙げたと言いながら予告ビーンボールを放る雨宮投手キタコレ。

『第1に、長短金利の引き下げです。追加緩和の手段として、長短金利の引き下げは重要な選択肢の一つです。日本銀行では、感染症の影響に注意が必要な間、長短金利の水準については、「現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移する」という指針をはっきりと示しています。すなわち、必要な時に、長短金利の引き下げを的確に行う方針です。』

と言っておいてからの・・・・・・・・

『もっとも、さらなる低金利は、金融仲介機能に影響を及ぼす可能性があります。さらに、市場には、そのことを理由に、長短金利の引き下げは困難との見方があるのも事実です。』

で、ここで置物一派なら「市場は間違い」と言い出すのですがそうはならない雨宮さん。

『これらの点を踏まえると、長短金利の引き下げは、金融仲介機能に及ぼしうる影響にも配慮しつつ実施できるようにしておくことが適当だと考えられます。また、こうした認識を市場参加者や様々な経済主体と共有することによって、追加緩和の選択肢としての長短金利の引き下げの実効性を、より高めることになるものと考えています。』

訳:利下げはやるやる詐欺


・ETFは概ね衆目の一致するところに収斂していますね

『第2に、ETF・J−REITの買入れです。これについては、昨年春の感染症への対応の経験が参考になります(図表 11)。当時、金融市場が大きく不安定化したことを受けて、日本銀行では、ETF・J−REIT買入れの年間増加ペースの上限を約12兆円および約1,800億円としたうえで、積極的な買入れを行うこととしました。思い切った買入れは、大幅に悪化した市場心理を緩和するという点で、大きな効果を発揮しました。』

単にメリケンが戻ったから戻っただけのような気がしますがキニシナイ!!

『ETF・J−REITの買入れの目的は、株式市場などのリスク・プレミアムに働きかけることを通じて、金融市場の不安定な動きなどが、企業や家計のコンフィデンス悪化に繋がることを防止することで、経済・物価にプラスの影響を及ぼしていくことにあります。民間のサーベイをみても、日本銀行のETF買入れについては、株価が下落し、ボラティリティが高まるなど、市場が不安定な局面では、市場にとってプラスと評価されています。』

これは「市場が安定している分には減らしても良い」というのが言外に籠められているのは良く分かりますね!!!!!

『昨年春のケースも含め、これまでの経験から、金融市場が不安定化した際に大規模な買入れを行うと効果が大きいということが分かってきています。局面による効果の違いをさらに分析したうえで、必要な時に、思い切って積極的な買入れを行うことで、最大限の効果を上げる運営を行っていくことができないか、考えたいと思います。メリハリのある買入れを行うことは、金融緩和の持続性を高めることにもつながると考えています。』

というか言外もへったくれも無かったわwwww


・最後の部分はワロタわ

最後の所の最後の部分だけベタ引用しておくわwwww

『さて、2013 年に「量的・質的金融緩和」を導入して約8年が経過しました。長期戦になっていますが、この間に経済が大きく改善し、デフレではない状態になったのは確かです。枠組みに磨きをかけ、粘り強く緩和を続ければ、2%の「物価安定の目標」の達成は可能だと考えています。』

「枠組みに磨きをかけ」は大草原不可避wwwwwwwwwwwww

『また、日本銀行が導入したイールドカーブ・コントロールの背景にある考え方や、オーバーシュート型コミットメントによって実践している「埋め合わせ戦略」は、他国の中央銀行でも検討の俎上に上がっています。先進国が、低成長、低インフレ、低金利という共通の課題を抱える中で、金融政策の有効性や信認を高めるための工夫を、日本銀行を含め多くの中央銀行が追求しています。他国における成果も参考にしながら、日本銀行の使命である物価安定の実現のため、今後も建設的な議論を行っていきたいと思います。』

米国は何か出口の方に行けそうな感じがしますのであんまり大口叩かない方が良さそうな気もします。



〇雨宮さん質疑応答ェ・・・・・・・・・・・・・・

サムネがどアップ過ぎなんですが・・・・・・・・・・
https://jp.reuters.com/article/masayoshi-amamiya-boj-idJPKBN2B00MV
2021年3月8日4:57 午後
金利、緩和効果損なわれない範囲で上下に動いていい=雨宮日銀副総裁

ちょwwwwww

『[東京 8日 ロイター] - 日銀の雨宮正佳副総裁は8日、読売新聞社主催のオンライン講演会での質疑応答で「緩和効果が損なわれない範囲内で、金利はもっと上下に動いてもいいのではないか」と述べ、長期金利の変動幅拡大は必要ないとする黒田東彦総裁とは異なるスタンスを示した。』(上記URL先より、以下同様)

これ出たとたんにイブニングの先物がスルスル下がって151円ドタまで下がってしまい、木曜の引け水準まで戻ってしまって金曜の相場は何だったのか(ただしこの間カーブはフラットしているのでそういう意味では完全に元の木阿弥になった訳ではない、というか下でフラットするのは分かるが昨日とか何であの水準でフラットニングするのよというのも謎相場ですけど)という感じですな。

『日銀は長期金利の誘導目標をゼロ%とする一方、市場機能維持の観点から「おおむねプラスマイナス0.1%の倍程度」(黒田総裁)の変動を許容してきた。18日からの金融政策決定会合での政策点検の結果、日銀が変動幅のさらなる拡大を容認するのではないかとの観測から長期金利は上昇してきたが、5日に黒田総裁が変動幅を「拡大する必要があるとは考えていない」と言明すると長期金利は急低下した。』

これはご案内の通り。

『雨宮副総裁は質疑応答で、黒田総裁の発言について「(長期金利の変動幅拡大の是非について)点検の中で議論になると前置きした上で、自身の考え方として発言したもの」と指摘した。』

ちょっと待て、国会に出席したの半期報告のためなんだから、その場合の発言は「組織としての日本銀行」として発言するもんじゃないのか????個人的見解を何の断りもなく出して良いのか????という感は物凄くするわけでございまして、火消しの火消しとか初めて見たわと思うのですが、そういう火消しの仕方をすると大門先生(金曜のは衆院財務金融委員会で大門先生は参院なのでセーフという説はあんまり無い)が国会軽視って言ってツッコミを入れるぞ、と思ったのですが、結局不規則発言だったのか確信犯火消し発言(火消しのし過ぎで反対側に大爆発しましたが)だったのかが良く分からんままというこの盛大な何だかなー状態でした。

まあ「もっと動いて良い」というのは講演の本文を見るとそれはそうなんだろうなあ(ただい今動いて良いのかというとそれは別でポストコロナになったらもっと動いて良い、みたいなニュアンスは感じたけど)と思うので、そこ自体は雨宮さんの質疑応答での説明は講演本文テキストと整合性は取れてるな、とは思いました。


ということで、本来は金曜の黒ちゃん発言で勝負あったと思ったのに質疑応答での雨宮さんの発言で何故か延長戦に突入してしまったので致し方なく雨宮さんの講演を熟読する企画になってしまいました。



2021/03/08

お題「ヘイヘイ中銀ビビってるよビビってるよ(米国はどうなのかね)」

まあ何ですな。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fd4288bd34fa148ab818cc71965ba77c9d499326
住民女性「町が壊れた」返礼品バブル霧散…寄付39億円一転、廃業続々
3/7(日) 12:56配信
最終更新:3/8(月) 4:41
読売新聞オンライン

贈収賄とか虚偽報告とか言うのがアカンですけど、そもそも論として、

『町が返礼品の発送などを委託していた一般社団法人「なはりの郷」の集配所。かつて返礼品を運ぶトラックなどが行き交っていたが、今は取り消し前に寄付を受けていた返礼品の発送とわずかな通販商品を扱うだけだ。今も返礼品用の段ボール箱が山積みになっている。キンメダイの干物などの返礼品を製造していた漁師町の女性グループは、事業が継続できなくなり、昨年10月に施設を閉鎖した。』(上記URL先記事の2ページ目より)

って本来ちゃんと競争的な商品が出来ているなら返礼品用途の注文無くても商売としてやっていけば良い訳ですが、こうなっているってのは即ち補助金目当てに本来競争力の無い商品をせっせと作っていた、という話に他ならなくて、

『返礼品に専念するため、本業を中断する業者もあった。冷凍コロッケなどの返礼品を納入していた料理店もその一つ。ピークで売り上げは年3000万円に達し、男性店主(66)は「あの頃は返礼品と名前がつけば何でも売れた」と振り返る。』(上記URL先記事の1ページ目より)

ということで税金使って地場産業の競争力を低下させるわ既存基盤を毀損するわと大変に素敵な事案に落涙を禁じ得ません。何となくのイメージですが、GOTOも然りでこれバンバンやるとマジで競争力の無い観光地だらけになるんじゃないでしょうかねえとか思ったです。なお、この制度の肝いりと言えば(銃声)。

#これを安倍ちゃんも熟読の読売新聞が報じているのに何気に味わいがある


〇へいへいFEDがビビってる・・・・・・のかな?????

週末はタカ派系の方に喋らせて火消しに余念が無いFED。

・メスター総裁(記事が一言記事なので全文引用して申し訳ない)

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-mester-idJPKCN2AX2HI
2021年3月6日6:35 午前
米経済、目標達成にほど遠い 当面緩和策必要=クリーブランド連銀総裁

『[5日 ロイター] - 米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は5日、米国債利回りのこのところの急上昇は力強い経済成長への期待を反映しているとの見方を示しながらも、経済の現状は完全雇用と物価安定というFRBが担う2つの責務達成に程遠いとの見方を示した。』(上記URL先より、以下同様)

こういう相場の時にはタカ派がちょっと中和発言をすると効きやすくて、この後ニュースを引用しますが変態仮面ブラードとボスティックというタカ的な事を言いそうな方に発言ネタを振る、というのは基本的な対話仕草ではあります。

『メスター総裁はCNNインターナショナルに対し、景気回復の裾野が広がる必要があるとし、「政策に関する自分自身の見方に基づくと、回復の裾野を広げるには当面、緩和策を維持する必要がある」と述べた。』

ということで、詳しいの(手抜きのため)見てないのですが、基本的に「地蔵モードの強調」をしたということで、現状の長期金利上昇に関しては市場の景況感を反映、というのはまあ同じ話ではあっても、その間に「マンデートへの距離」を強調することによって火消しっぽい作品に仕立てているようでございます。


・変態仮面ブラード総裁

しかしまあブラード総裁も極東の債券市場の片隅に居るチンピラに変態仮面と言われているとは思っていないでしょうな。

https://jp.reuters.com/article/usa-bullard-idJPL3N2L3456
2021年3月6日5:00 午前
UPDATE 1-米国債利回り上昇、景気見通し改善を反映=セントルイス連銀総裁

『[5日 ロイター] - 米セントルイス地区連銀のブラード総裁は5日、米長期債利回りのこのところの上昇は景気見通しの改善を反映しているとの見方を示した。』(上記URL先より、以下同様)

このヘッドラインだけ見ると長期金利上昇どうじょっぽいのですが、一応後付け講釈的なのを見た感じだと、その後にある「金利上昇のおいたが過ぎた場合はお仕置きが待っている(超意訳)」の方に反応していたようですが。

『ブラード総裁はシリウスXMラジオのインタビューに対し、懸念すべき特定の水準は念頭に置いていないとした上で、米10年債利回りはパンデミック(世界的大流行)が始まる6カ月前の水準に戻りつつあるにすぎないと指摘。「まだかなりの低水準にある」と述べた。』

ちょwwwwwオメーその間に短期金利幾ら下げたと思ってるんだよwwwwww

『その上で「パニック的な動きがあれば留意するが、現時点ではそのような動きは出ていない」と指摘。償還期限が長い国債の買い入れに軸足を傾ける「オペレーションツイスト」をFRBが近く実施して、国債利回りの上昇を抑制する必要はないとの考えを示し、「現時点でこれ以上ハト派的になる必要はない」と語った。』

うーんこの。まあ「パニック的な動きがあれば留意するが」の方に反応したみたいなのを別のソースからは見た気がするんですが、まあいずれにしましても基本は地蔵、でもって市場が先走るほどにうちんちは前のめりにはなっていないよ、という話がぶっこまれている訳でして、それをタカ派方面から出すので効く、という形になっていて、どこぞの中銀のように右向け右、なお一部反対する人は全部外れ値、って情報発信をしているとある日突然豹変することになって、ジャガーチェンジの度に市場は振り回されるわ暴れ市場でけが人は出るわ、ジャガーチェンジするから前との整合性が無茶苦茶でコミュニケーションポリシーもグジャグジャになるわ、という事になりますので、まあこうやって幾つかに分かれていると振り付け(をしているのかどうかは兎も角として)やりやすいわなと思うのでありました。

でもってツイストについて否定的ということですが、たしかエバンスも別にそれは今やることではないだろ的な話をしていまして、まあやるならテーパーおっぱじめるときに事前織り込みが足りなくてタントラムっぽくなった時にはいはいドウドウとやるものであって、今ぶっこむとテーパリングをやりにくくするだけでしょう、という辺りはちゃんと認識してるっぽいですね。


・ボスティック総裁

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-bostic-idJPKCN2AX2H9
2021年3月6日6:25 午前
米経済なお苦境、FRBは必要な限り支援策維持=アトランタ連銀総裁

『[5日 ロイター] - 米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は5日、米経済はなお苦境から脱していないとの見方を示し、労働市場が力強さを増し、平均インフレ率が長期目標を達成する軌道に乗るまで、連邦準備理事会(FRB)は支援策を維持すると述べた。』

『インフレ期待の高まりともみられる国債利回り上昇に対応するためにFRBが行動を起こす必要があるかとの質問には、インフレは今のところ懸念ではないとし、物価上昇の兆候を引き続き監視していくと語った。』(以上上記URL先記事より)


まあアレです、米国様の金利上昇の背景が米債の中の人じゃないからイマイチ良く分からんところがありまして、現状の経済状況の大幅改善っぽい動きを見てFEDのスタンス大丈夫か、と思って売られてるんだったらそれは売られ過ぎという話で、別にFEDのスタンス自体は同じだし当分この調子なので今すぐに何かの地ならしとかするとは到底思えんのよ。

ただその一方で、物価が上振れした時にFEDのスタンスがどうなるのか、というのはこれまた別で、実際に上振れしたとき、今の所「上振れても一時的」「多少のオーバーシュートは寧ろ結構結構」と言っているスタンスを維持できるか、というのはその時点での基調的な物価をどう見るのかという話しと、先行きの物価見通し的に望ましくないインフレにならないで済む自信があるのか、という所になってくるのでして、その際にどうするのかはまだ見えないけど、今の物価がFEDの考えるよりも持続的かつ幅をもって上昇し得る、という見方に自信ニキだったらそらまあ盛大に売り込みに行ってもエエジャロと思うけど、さすがにそこまでの確信犯で売っている人はいないんじゃないかなーと思っております。


・イエレン財務長官

https://jp.reuters.com/article/usa-treasury-yellen-idJPKCN2AY04P
2021年3月6日12:10 午後
米長期金利上昇、インフレ懸念でなく回復期待を反映=財務長官

これは「インフレ懸念は無い」という話をしたいんだと思うのですが。

『[ワシントン 5日 ロイター] - イエレン米財務長官は5日、米長期国債利回りの上昇はインフレ懸念の高まりではなく、市場参加者がより強い回復を期待している兆しだという考えを示した。PBSニュースアワーとのインタビューで、「米連邦準備理事会(FRB)が長期的な平均インフレ率として掲げる2%のインフレ目標を上回って物価が上昇すると市場が見込んでいるとは考えていない」と語った。』(上記URL先より)

これは「インフレ懸念がある訳ではない」の続きに「だからFEDは政策を変更するとは思えません」というのを言外に籠めているという感じですが、ただまあ金曜の全体感的にはヘイヘイピッチャービビってるよビビってるよーとベンチ(どこのベンチだよ)から野次を飛ばしたくなる風情になっておりますな。

ただまあ何ですな、市場というのは「スタンスは変わらないし長期金利のプレマチュアーな上昇はイクナイと思っているので口先介入はするけど政策は地蔵」という中銀仕草が続くと徐々に野次のレベルがヒートアップしてきてヘイヘイヘーイと勝手に暴れたり、口先介入が効かなくなったりとか色々な弊害が起きるので口だけ介入もほどほどに。



〇黒田総裁の国会発言はあまりにも酷すぎるわ

昨日の昼休み中、国会でこのような事案が発生した訳でして。

https://jp.reuters.com/article/idJPT9N2KO00J
2021年3月5日12:29 午後
BRIEF-黒田日銀総裁:長期金利変動幅、拡大する必要があるとは考えない

おいこらてめえ何言ってるんだよという話ですが、

『[東京 5日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は5日の衆院財務金融委員会に出席し、前原誠司委員(国民民主党・無所属クラブ)の質問に答えた。』(上記URL先より、以下同様)

誰が質問したのかと思ったらまたこれかよよ大体これは昔から日銀ネタで碌なことしない(例の共同文書も最初に作ったのこれの代でどんだけこれが禍根残したかと小一時間)んで出てくるんなよボケ大体なんでお前が点検会合の質問する必要があるんだよ

『* 黒田日銀総裁:日本の長期金利、米金利上昇など反映して幾分上昇している
* 黒田日銀総裁:日銀、長期金利変動幅プラスマイナス0.1%の倍程度想定 私は変動幅大きくするのが適当と考えない
* 黒田日銀総裁:現在は感染症が経済に影響与えており、債券市場のイールドカーブ低位安定する必要ある』

てなのがあって、この「変動幅大きくするのが適当と考えない」というのが後場寄り前にぶっこまれて来たので、オーバーランチで5毛ほどふっ飛ばされまして、ちょうど符号がプラマイ逆じゃんという有様になってしまいました。

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N2L31KY
2021年3月5日3:19 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は急反発で引け、日米中銀トップ発言で乱高下

『<15:10> 国債先物は急反発で引け、日米中銀トップ発言で乱高下

国債先物中心限月3月限は前営業日比50銭高の151円50銭と急反発して取引を終えた。一時151円88銭まで上昇し、安値からの日中値幅は1円9銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は同5.0bp低下の0.085%。一時0.070%と2月15日以来の低水準を付けた。日米中央銀行のトップ発言で現物、先物とも乱高下した。』(上記URL先より、以下同様)

日本は分かるが米国???と思ったらこういう事のようで。

『5日の円債市場は売り先行で始まった。パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長が4日の講演で、最近の米国債利回りの急上昇について「注目に値し、留意している」としつつも、「無秩序な」動きとも、FRBによる介入が必要とも考えていないとし、「FRBの現在の政策スタンスは適切だ」と述べるにとどめたためだ。』

何ちゅうかこれで売られる米債の方がクレクレ病になっているだけなので何かパウエルカワイソスという気もしますが、まあしかし変な口先で市場を操ろうとするようになると、日本のようなオッペケペーな事になるのでありまして、ホンモノは違いますよホンモノは。

『しかし、午後0時過ぎに黒田東彦日銀総裁が衆院財務金融委員会で、長期金利変動幅について「拡大する必要があるとは考えていない」と発言したことで、相場は一変。先物はプラス圏に急浮上、長期金利は急低下した。パウエル議長発言を受けて金利先高観が強かっただけに、ポジションの急速な巻き戻しが起きたとみられている。』

これとこの次のコメントは変だろと思います。先に引用しますけど。

『市場では「3月の日銀点検に対しては様々な予想が出ているが、世界的な金利上昇局面の中で長期金利の変動許容幅拡大というのは数少ない市場のコンセンサスだった。それが覆されたことで、マーケットは非常に混乱している」(国内証券)との声が出ていた。』

え????ワシ別に長期金利の変動許容幅って明示的に拡大すると思ってなかったし、後出しじゃなくてそういう話をぶっこんでた積りだったんですけど、というか「ここまで金利が上がったら今更金利上昇の後押しする必要ないんだから変動幅の話しないんとチャイマスカ」という意見って他でも見た気がするんでこの後講釈はおかしい。


寧ろ金曜の場合って、その前突如謎のブルフラットをして大丈夫かおい何でこんなに居所変えて入札するんだよ、という木曜の30年国債入札が華麗に流れて、まあその後金利が上がったのを見て株が下がったのを見て金利がちょっと落ち着く、というマッチポンプのような相場をやっていたところ、木曜夜の米国金利上昇で心折れて前場で投げが入り、おまけに中長期の輪番オペがあってその分もオーバーランチでロングの外しだかショートだかは兎も角、日銀様の債券ご購入(10年まで)が入っている、という状況で行われた発言なので、一気に踏みを誘発したんでしょという市場のポジション状況がこの発言の効きを更に大きくしたんジャマイカと思うの(個人の感想ですのでその他ご意見募集中)。

あとは確か前場(朝一からやってた)にはそんな話してなかった(今申し上げる話ではない、みたいな言い方)ような気もするし、なんか色々な意味でアレにも程がある発言であって、しかもまあ確かに変動幅容認に関しては容認するしないというよりも、スティープ化策みたいな話とか、その手のも含めて「より長い所の金利が上昇して然るべき」って情報発信がその前から行われていて、おまけに前日の30年入札がコケて心折れながら金曜の前場に外していたであろう、という状況になっていたからこそのオーバーランチで5毛飛ばすわ、その後も後場中盤以降は先物の板がスッカスカの中で盛大に動いて金曜の高安1円越えとか無茶苦茶な大荒れ相場になってしまいました。


あのですね、昔もそういや「10年国債入札の前場が引けた後に臨時会合実施のアナウンス(この時の臨時会合は緩和方向確定なので入札前にヘッジを入れた分が全部上に持っていかれてPD即死案件)」というPD即死案件がありましたが、今回も30年国債入札の投げが終わって長期ゾーン含む輪番オペのオファーバックを締めてから結果発表前というタイミングで金利が下がるような不規則発言をしている訳して、これを木曜日の30年国債入札落札結果発表3分後にでも言えばPD全員(空振りした業者除く)ハッピーだから市場の憤激を買わずに済んだかもしれない(なお品が無いのでそれも良くないとは思うけど)のですが、まあ何でそう絶妙に一番PDが食らうタイミングでこういう発言するのかなと、そのタイミングの悪い方の絶妙さにあきれてしまいます。

しかも今回に関しては「点検会合やるよ〜」から先月以降謎のお漏らし報道みたいなのが散見されまして、いかにもイールドカーブが立つべきとか市場が動くべきとか、そういう情報発信を散々した挙句にいきなり全部をひっくり返す、それも決定会合で討議の結果そういう決定になったのならまだしも、思いっきり不規則発言だわ、始まっても居ない決定会合の討議内容に関して予断を与える発言を思いっきりするわと、コミュニケーションとしてもう無茶苦茶としか申し上げられませんこのスタンス。

結果として事前報道した報道機関は思いっきり梯子外されてしまいましたし、PDが食らったのは今申し上げた通り。全方面に喧嘩売って何が楽しいんだかよくわかりませんが、例の「意見に反対する官僚は左遷した(キリッ)」みたいな小物に権力持たせると何とかに刃物状態になるみたいなアレなんですかねえ日銀ちゃんは、マジでお前らPDに喧嘩売ってるのと小一時間。

まー日銀が市場を振り回しまくっているというふざけた笑えないお笑い相場を12月の点検発表以降やって、この調子だったらETF以外に何も出てこんじゃんというか、ETFもこの調子で株が下がっていくと出来なくなりそうで面白いからもうちょっと下がってもエエンヤデとまで思ってしまうこのマッチポンプ、いやーひどいひどい。

大体ですな、日銀だって大きな目で見れば政府部門の一翼な訳ですが、ジャパンの政府というのは大借金をしていて、その借金も借り換え借り換えを行いながらしかも絶賛拡大中、という状況にあるのですが、その金策において機能を果たすPDを一々なぶり殺しにするような情報発信してて、そらあんたらは人がギャーとかグエーとかのたうち回るの見ても見世物位にしか思えないでしょうが、市場やPDを殺したら究極的にはおめえらの金策が回らなくなるかも知れんのだぞ、というような意識が基本的に1ミリも無いんだなあ、と大変に遺憾の念を禁じ得ない発言ではありました。


いやーでもこの国会発言、さすがに次の点検会合の会見で記者から集中砲火を浴びせられないと日銀記者クラブも存在意義ねえぞというか、普段からユルユルの質問ばっかしてっから舐められるんだぞ、と斯様思いました(と何故か記者クラブまで砲撃する意味不明のアタクシ)。


・・・・・・・ということで、これではもう点検会合って本当の本当に茶番というか、お茶すら出ないものになりそうで、12月に3月の話をする、というのがどんだけヘッポコであったのか、という事を示す事案となったようでございます。とにかくひどい。

ま、足元の市場動向にビビったとかだと思うけど、10年の20をかすっても居ないで戻ってまた上がった程度の所でビビるというのが何時もの「自分で動かしに行ってその動きにビビって狼狽火消しを行ってPD殺しをする」という日銀クオリティを示しやがったということではありますが、せめて金懇でヒラ審議委員が示唆するとか、そういうやりようをしないで、いきなり国会で総裁が言っちゃうって何なんよとも思ったりしますが、まあずっとトサカに来ているので何かちゃんとまとまってなくてスイマセン。



2021/03/05

お題「パウエル発言(といっても本チャンが見つからないのでメモ)/円債ェ・・・・・・/片岡さん会見特に見るものは無いですな」

はい。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210305/k10012898191000.html
緊急事態宣言 1都3県 21日までの2週間延長 きょう決定へ
2021年3月5日 4時43分

『菅総理大臣は4日、参議院予算委員会で「もう解除のところまで来ているが、病床の状況がまだ厳しい状況にある中、2週間の時間をいただければ大幅に改善できるという判断だ。2週間程度、国民に協力してもらえれば収束に向かうことができる」と述べました。』(上記URL先より)

何ちゅうかこの理由付けもうちょっと何とかならんの??エンドになる時の基準がさっぱりワカランチ会長。


〇パウエルちゃんそこまでど牽制球は投げなかったのですかね(なお詳細は分からん)

うーんこの。
https://jp.reuters.com/markets/bonds
金利・国債
情報は20分以上の遅れで表示しています。

米国債10年利回り US10YT=RR +1.543 +0.073

ってこれ「米国」ての見ると10年の所平然と違う数字が出てくるので何か当てにならんにも程があるんですがせめてタイムスタンプ入れてくれれば。ってインターネッツにダータで出してるのにそこまでの水準を求めるのも何ですけど、まあこれだけ「金利」が注目されるようになったんだし、もうちょっと充実できんのかなとは思う(ちなみにブルームバーグはタイムスタンプ入りの数字が見れるのですけど、トップページからそこに行くのが難易度高いのよ、株価と為替はあっという間に探せるのに)。

という話は兎も角として、ブルームバーグちゃんの方を見ても10年1.53%みたいに書いてあったので大体そんなもんかと思いつつパウエルちゃんのお言葉ですけど・・・・・

ロイターさん記事。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-powell-idJPKCN2AW2KP
2021年3月5日3:55 午前
米FRB議長、「辛抱強く」対応と強調 現行政策は「適切」

そらそういうだろうよと思うのですが、誠に怪しからんことに本件に関してはFRBのサイトにパウエル発言みたいなのが掲載されていないですし、この企画は記事中にもありますけど、WSJの関連セミナーと聞いた時点でどうせ内容が有料会員でしか見れんじゃろと思いましたし、そもそも論としてFRBとして物凄く重要なのであればFRBのサイトに何らかの形で出すだろと思う所出てない、ということは新しく突っ込んで来るものは無いんじゃなかろうか、という結論になりそうですが一応保留はしておきます。

『[ワシントン 4日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は4日、FRBの「政策スタンスは適切」とし、最大雇用達成まで現行の緩和的な政策を維持すると再表明した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が終息し、景気が上向けば、FRBが緩和維持の確約を堅持しない可能性があるとの市場の見方をけん制する内容となった。』(上記URL先より、以下同様)

うーんこの。まあその辺は当初予想通りの話でして、恐らく問題は債券市場に対するコメントなのですがそれは記事のケツの方にありますですぬ。

でもってこの「コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が終息し、景気が上向けば、FRBが緩和維持の確約を堅持しない可能性があるとの市場の見方をけん制する内容となった。」って辺りが(これ元記事書いてるのどうせ米国の方だと思うので仕方ないのですが)ベンダーの注目ポイントが微妙に変で、「景気が上向けば」ではFEDはスタンスを変えてこないのは自明であって、問題は「物価上昇が起きた時にFEDはその胆力を本当に維持できるのか」という点であり、そのベースになるのは「この先に起きると想定されている物価上昇が本当にただの一時要因に留まるのか、ちょっと続いたり上ぶれした時にFEDが耐えられるのか、あるいは物価上昇でUS一般民の生活ガーという批判が発生した時に政治的に耐えられるのか」という論点だと思うのよね、昨日も言ったからしつこいと言われそうですが繰り返し強調したいアタクシ。

『パウエル議長は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)主催の米経済に関する会合で講演し、新型コロナウイルスワクチン接種の展開や政府の財政支援を踏まえ、FRBの二大目標である最大雇用と物価安定目標の達成に向け「近い将来一段の進展を遂げると考える十分な根拠がある」と述べた。』

この「一段の進展」ってのがどういうワーディングだったのか良く分からんですが、それこそこの一段の進展ってのは利上げには関係ないけど、APPの拡大ペースの現状維持に関わる部分のガイダンス文言に近い(まさか同じ言葉は使ってないと思いますが)ので、これまた唸る話ではあるんですよね。ま、ウイリアムズじゃないのでうっかり八兵衛はやらないと思いますが。

さすがに全文引用は申し訳ないので一部飛ばして問題の債券市場の所に参りますが、

『最近の米債利回りの急上昇については「注目に値し、留意している」としつつも、「無秩序な」動きとも、FRBによる介入が必要とも考えていないとした。』

うーんこの。まあディスオーダリーじゃなかったらエエンジャロ、という認識なんだろうなあというのは分かるし、たぶんテーパータントラム起こさないためには徐々に金利上げておいた方がエエジャロ位の認識でいる(ベースには強い経済への見通しがある)という感じでしょうかねえ、あんまり強い調子で債券市場をけん制して逆に金利が急低下されても困るとか思ってるのかな。

ということで、別に「金利を下げたい」とは思って無さそうで、「そうは言っても急騰は困る」とかまあ虫の良い事考えているという感じですし、そういう観点からしたら目先ツイストオペとかねーだろ(やるならテーパリングしながら長期にシフトするみたいなマッチポンプっぽい使い方ではなかろうかという気がしますが根拠はただの霊感なので根拠レス)とは思うのでした。

まあこの口先の警戒だの注目だのってのは、あんまりやり過ぎるとどこかの誰かさんによる「躊躇なく追加緩和」並みに言葉が軽くなって後々のコミュニケーションポリシーで死ぬので用法容量は適切にして使わないとアカンですな。

とか言いながらよく見たら寧ろこっちの方が情報量が多かった気がしますがもうここまで書いたのでめんどいからリンク張るだけにしておくわ。

https://jp.reuters.com/article/powell-highlights-idJPKCN2AW2K9
2021年3月5日3:51 午前
情報BOX:パウエルFRB議長の発言要旨



〇何なのこの円債ちゃん(涙)

おーまいがー。

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N2L210I
2021年3月4日3:14 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落で引け、30年債入札低調で超長期金利が上昇

『 <15:10> 国債先物は続落で引け、30年債入札低調で超長期金利が上昇

国債先物中心限月3月限は前営業日比12銭安の151円00銭と続落して取引を終えた。10年最長期国債利回り(長期金利)は同2.0bp上昇の0.135%。米長期金利の上昇再開への警戒感が残る中、30年債入札が低調となり、超長期ゾーン中心に金利が上昇した。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、まあ何と申しましても昨日は30年入札とそれに伴うカーブちゃんでございましたなと思いますが、

『本日実施された30年債入札の結果は、応札倍率が低下しテールは拡大した。金利水準が4日前場段階で0.690%と、ピークの0.765%(2月26日)から低下しており、「金利面の魅力が落ちていた一方、先行きの金利先高観が根強い中で、慎重な応札になったのではないか」(国内証券)との見方が聞かれた。』

だったら何で水曜日に盛大にフラットニングしたのか小一時間問い詰めたい。上記記事にありますように前場引けの時に1.5毛甘(より気持ち強い気がしたが)でしたが足切りが2.5毛甘水準ということで、30年だけに1毛流れても20銭とかあるので見た目のインパクトェ・・・・・・・

『後場は、株安が一段と進行したこともあって、円債先物は下げ幅を縮めたが、低調な入札を受けて超長期債が軟化。ただ、今晩のパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の発言(米国時間4日正午ごろからウォール・ストリート・ジャーナル・ジョブズ・サミットで講演)を控えることもあり、様子見ムードも出ていた。』

株の方もナンジャソラという動きでしたが、とにかく円債ちゃんは水曜までの戻りで超長期がやたら威勢よくフラットしておりまして、あまりにも意味わからないのでこれロングの外しじゃないと売り向かえんわという風情でしたが、昨日になったらこの有様でベアスティープとかもう訳が分からんのですけれども、まあこれも3月会合とかいう市場の状況なんぞ知った事かという気概に溢れたタイミングに「点検」をぶっこんでくる日銀ちゃんのせいで、ただで無くさえ決算の数字固めで動きにくい人が(銀行業態中心に)それなりに居て投資家のアクティビティが強くない中で、さらに「点検」という結果出るまで投資家動けんがなモードの物件を不用意にぶっこんで来てたというのが(ノ∀`)アチャーな訳ですね。と八つ当たり(別に当たらなくても良いのだが)。

『TRADEWEB
     OFFER  BID   前日比 時間
2年   -0.125 -0.118  -0.005 15:02
5年   -0.075 -0.068   0.001 15:02
10年   0.129  0.136  0.017 15:09
20年   0.513  0.52   0.033 15:10
30年   0.707  0.715  0.034  15:00
40年   0.747  0.755  0.032  15:05』

20年カレントの50bpってキリが良い数字のようでなんかそうでもなくて、この水準って毎度毎度真空地帯のように抜けますの。寧ろ前後の40bpと60bpの方が座りが良い感じっすね。


〇片岡審議委員会見もまあ市場はスルーでしたけど鑑賞鑑賞

https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2021/kk210304a.pdf
片岡審議委員記者会見要 旨
―― 2021年3月3日(水)
午後2時30分から約30分
(前橋市・東京間オンライン開催)


・微妙な質問に対して片岡さんなんかYCCの原則論を丁寧に説明しているぞ

最初の幹事社質問の答えが延々と続いて丸々2ページ半という時点で読む気力が萎えるのだが心に無知もとい鞭を入れて3ページ目半ばの質問を読んだのだが何だかなあという質問で腰が砕けるのですが回答がオモロイのでネタにします。

『(問) 講演の中で、金利の引き下げについての言及があったかと思います。委員は、かねてより金利の引き下げが必要であると主張されてきたようですが、一方で、マーケットでは、マイナス金利の深掘りというのは副作用が大き過ぎて実際には実行し得ないのではないかと、そのような見方が有力になっているように思われます。』

とまあここまでは良いんだが、

『これは日銀と市場とのコミュニケーションが上手くいっていないことのあらわれではないかと思うのですが、この点についての委員のご意見をお伺いできればと思います。』

????????????????????????

そもそもマイナス深堀って言ってるの片岡さんなので「片岡さんと市場のコミュニケーション」なのでは無かろうかと思うのですが、何ですかこの質問。

・・・・・・と思って先を読むの止めようとしましたが回答の方が質問の意図と全然違って面白いのでご紹介。

『(答) 私自身、直近の金融政策決定会合でも、金利を短期、長期の両方において、より低位に推移するような形で運営したほうが良いのではないかということを申し上げておりますけれども、これ自体は、現行のイールドカーブ・コントロールの枠組みのもとで、より緩和的な基調を強めた方が、2%の「物価安定の目標」を早期に達成できるのではないかという観点から主張しているということです。』

この次が中々結構な話を始める。

『より具体的に申し上げますと、現行のイールドカーブ・コントロールの枠組みは、経済を加熱も停滞もさせない、という意味での均衡実質イールドカーブとの対比において、現状のイールドカーブがどの程度の形で推移するか、それによって緩和度合いを測るということなのですが、』

おー来たよ(ロングランで言えば均衡実質というのは分かるんだが、YCCのターゲット水準は名目金利だから均衡実質と言うのはちょっとミスリードっぽい気がする)均衡イールドカーブ!!!

『現状の均衡イールドカーブとの対比でいうと、実際のイールドカーブをより低位に推移させたほうが良いのではないかというのが、私自身の基本的な認識です。』

おー、一番YCCの当初の説明に則しているじゃん!!!!!!と思う訳で、この均衡カーブの話、もうすっかり執行部の方はしていなくて、つまり執行部の皆さん「理屈と膏薬は後からついてくる」って奴でぶっこんでいる中でこうやって突っ込むのは結構な事です。

ただですね、片岡さん緩和提案するんだったら、そもそも理屈が崩壊気味のYCCに乗るよりは、例えば量で勝負みたいな別の土俵から勝負した方がエエと思うのよね、YCCの土俵に乗っていると、屁理屈を捏ねさせると当代超一流の日銀屁理屈部隊に中々勝てん気が。向こうが持ってくる屁理屈を受けながら返す刀で技を掛けるんだったら向こうの土俵に乗らないと行けないのですが、こっちから攻めるときに何も向こうの土俵で勝負せんでもエエと思うよ。とか何故か片岡さんに肩入れしているような言い方になってしまいました(別に肩入れはしてませんので為念)。

『こうした低金利を続けるということになると、特に金融機関の方々にとってそれは貸出金利の低下につながりやすいということは、ご指摘の通りだと思います。こういう低金利環境が長く続けば、金融機関の利鞘縮小にもつながり、ひいては、金融仲介機能にも悪影響が及ぶのではないか、こういうご指摘があることは重々承知しています。ただ、私自身は、そうした金融仲介機能が、近い将来、現行の日本銀行が行っている金融政策によって毀損されるのではないか、ないしは、私が主張しているような政策を行うことによって金融仲介機能が損なわれるのではないか、とは考えていないということです。』

物価目標を早期に達成すれば政策が正常化できるから、という説明でエエンチャウノ??片岡さん妙な所で律義に受け止めて説明するから何言ってるのか良く分からなくなってしまうような希ガス。

『先ほど、コミュニケーションという話がご質問として出ましたが、こうした認識に対して、それは民間ないしは市場の方々がそのように理解していないのだからコミュニケーションの問題であると言われれば、その通りと言わざるを得ないと思います。しかし、そうした、誤解というわけではありませんが、考え方に対して、日本銀行としての金融政策の考え方をしっかりと説明していくという趣旨も含んだ形で、今回、点検作業を行っていますし、その結果を次回の金融政策決定会合で公表していくという流れになると私自身は認識しています。』

うーんこのという感じでしたが、均衡イールドカーブ持ち出して利下げの正当化説明してたのが新鮮(新鮮ってのもアレですが、笑)ですなあと思ったので。


・成長投資の所の質疑

まあ片岡さんの場合、政策の主張が中心的見解からの外れ値になってしまっているので、そういう意味では質疑が盛り上がってくれないのはシャーナイのですが、上記質疑の後関連して政策金利引き下げに関する質疑があるもののクッソ面白くもないので全部ぶっ飛ばして成長投資がどうのこうのと金懇にあった件の質疑があったので鑑賞鑑賞。

『(問) 成長投資の関連で伺います。講演の中で、金融緩和によって成長投資を後押しすることは、感染の拡大と必ずしもトレードオフの関係にはないと言及されていると思うのですが、ここでおっしゃる成長投資のイメージをまずお聞かせ頂きたいのと、この成長投資の後押しに向けて更に取組みを模索する必要性についてどのようにお感じでしょうか。』

何かこの会見、質問の言葉遣いとか丁寧なんだが割とこう砲撃力の高い質問が多かった気はします。

『(答) 成長投資云々について、現状がどういう局面にあるのかということをまず認識しておく必要がある気がします。特に、コロナの状況があり、そこから徐々に感染の状況が変わっていくという局面においては、やはり日本経済ないしは世界経済、社会といったものの様相がこれまでとは大きく変わってくるのではないかと認識しています。』

ほう。

『同じようなことは、例えば、スペイン・インフルエンザが蔓延した第一次世界大戦直後辺りでも、やはり日本の社会・風俗みたいなものは様相が大きく変わってきたということがあります。』

ほう??

『ですから、良くも悪くも状況が変わってくるということは頭に入れておく必要があると思います。そうした変化に経済として対応していくためには、私自身は、やはり設備投資が必要であるし、そうした新しいものに対応していこうという企業の方のマインドを、金融政策の側からしっかり後押ししていくことが必要であると考えています。』

なんのこっちゃ。

『もちろん、コロナ禍の状況においては、足許、資金繰り支援策を中心として、何よりも現状をどうしたら良いかというところに注力すべきなのは当然だと思います。しかし、段々新型コロナウイルス感染症の動向が長期化する中で、ワクチン等の導入も進み始め、先行きについても展望が少し見え始めてきているという状況においては、特に企業の方の前向きな設備投資の動きをサポートしていくことが必要であるという認識です。』

そらそうなんだが、だから緩和的な金融政策を継続すれば良いだけの話であって、それ以上日銀がミクロの資源配分に踏み込みに行く必要があるのかと小一時間問い詰めたい。

『ですので、あえて対象を絞るわけではなく、例えば、巷で言われている情報化といったものに対する投資もそうですし、その他、企業が新たな挑戦をしたいということであれば最大限それをサポートしていきたいということを申し上げている次第です。』

民間がちゃんとやりますんで余計なことはせんでヨロシがな、としか申し上げようがない。

・・・・・でまあしかし思うんですけど、同じようにマーケットエコノミストストラテジスト的な存在で執行部に割と盾ついて(というと語弊があるが)おられた佐藤さんや木内さん(木内さんの場合は割とどころの騒ぎでは無かったが)と比較するのが佐藤さんや木内さんに失礼極まりないレベルに見えてしまう(あくまでも個人の感想及び偏見です)のって、まあ確かに置物リフレ理論が机上の空論であることが明白になっている中でそれに乗っているせいもあるんですけど、やっぱりこう何と申しますか、人間挑戦する心と挑戦する行動は必要であるけれども、知足ってのもまた重要なファクターですなあとか思ったりする訳で、今回の金懇テキストとか実にこう残念極まりない物件ではございましたが、こういうの残酷に見せつけてしまうってのは他山の石としたいものだと思うのであります。

その意味では最後まで突き抜けて己を通したジンバブエ大先生は別に評価はしないけど大したタマだったと申しますか、要は置物一派もうタマが無いのかねってな感じなので、野口先生の巻き返し(???)を期待したい(まあ暴れた挙句に追加緩和が通ったりされても色々とアレですが、笑)所ではございます。




2021/03/04

お題「エバンス講演と思ったら音声しか無かったわ/円債ブルフラットで20年50あっさり割れ/片岡さんの金懇だが覇気がない覇気が」

衆議を尽くして機関決定したものに対して組織としての行動を取らないとか逆の事をおっぱじめる、という意味ならそうかも知れんけど、どう見てもこれは・・・・・・・・・・・
https://jp.reuters.com/article/suga-parliament-idJPKCN2AV092
2021年3月3日12:24 午後
政策に反対する官僚の更迭は当然=菅首相

『[東京 3日 ロイター] - 菅義偉首相は3日の参院予算委員会で、自身の著書で触れている官僚への人事権行使に関し、政策に反対する官僚の更迭は当然だと説明した。』(上記URL先より)

ま、そういうんでしたら当然失敗の責任はトカゲのしっぽ切りでは済まない、というのが理屈として出てくるんですけど、そっちの方になると急に(爆発音)。


〇何か本邦の審議委員様の講演があった気がするがエバンスエバンス

うーんこの。

https://jp.reuters.com/markets/bonds/us
金利・国債
情報は20分以上の遅れで表示しています。

米国債2年 利回り US2YT=RR
+0.127 +0.004
米国債5年 利回り US5YT=RR
+0.700 +0.023
米国債10年 利回り US10YT=RR
+1.448 +0.033
(ちなみにこれは今朝の5時半くらいにコピペしたものです)

ということですが、茄子がまた下げとるやんとか思いながらもSPはそこまででも無いから米国当局的にはキニシナイのかどうかは良く分からんですけど。


でもってデーリー講演の俺様解釈は昨日致しました通りでして、まあアタクシここもと大体その辺が一番気になるってえのは「米国が近い先の所で諸々の要因で昨年対比の物価指標が強くなるけど、これが本当の本当にテンポラリーなのか??」という話でありまして、それを知りたいのでポチポチと何とかストのコメントを見て回るのですけれども、皆さん「FRBのスタンスは変わらず金利の引き上げだけじゃなくてテーパリングも急いでいない」という話ばっかなのよね。

でですな、んなこたあ分かっているのであって、大体からして先月辺りまでは(昨日も申しあげましたが)テーパリングを早めにみたいなのって変態仮面ブラード先生以外誰も言わなくて、ローゼングレン総裁とかまで思いっきり慎重だった訳ですから、「見通し通りに物価が推移するなら」テーパリングが実施されるのって精々来年の頭からスタートじゃろ、とは思うし、利上げなんぞそこからまた先、となるは言われんでも分かっとるわという話。

いやそうじゃなくて問題は足もとで起こる予定らしい米国様の物価上昇が、思ったより持続的になってしまったときには、今の「ロンガーランストラテジー」でみている大前提の「経済の需給ギャップ、特に労働市場のひっ迫度合いに対する物価の反応が極めて弱い」というフィリップスカーブのフラット化の部分がホンマカイナという話になりますと、そらまあ今の感じなら2%台前半程度の物価指数では鼻歌混じりだと思うのですが、それが持続性を持つだけでなく更にクイクイと上昇しだした時に、話の前提が大丈夫か的な事になったら今までの話が全部ちゃぶ台返しになる(ちなみにデーリーとかでもそうですし皆さん言ってるし、ストラテジーの方にもあるけど、「顕著なインフレ圧力が無い状況下において」アベレージターゲットの考えに基づくオーバーシュートはキニシナイ、っていうのが前提だからな)可能性があるし、大体からしてCPIでも何でも良いですけど、3%台とか見えてくるような状況になって、更に一次産品価格とかの上昇を伴うような状況で政治的に持つのか、というのもあるでしょ、とか思うのよね。

てな訳で昨日も申し上げたと思うのですが、FEDのスタンスがどうのこうのの前に、頼むからその米国物価情勢に関する分析をキチンとした物件を見たいと思うのですが、何かそれ以前の所でああでもないこうでもないという話をしている段階のようですな。


・・・・すいません花粉症で機嫌が悪いのでつい前置きが長くなりました。


でもってエバンス総裁ですが。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-evans-idJPL3N2L1482?il=0
2021年3月4日5:05 午前
UPDATE 1-米経済、今年は「力強く」回復 失業率低下へ=シカゴ連銀総裁

とりあえずデーリーとエバンスは発言頻度がそこそこあるのと、あんまりタカハトしない(以前はエバンスはハト派分類だったと思いますが、この人は基本的に物価動向を思いっきり重視するので、そういう意味では今後FEDがアンダーライングの物価動向をどのように判断していくか、という面でのベンチマークになる可能性があると思ってる。ちなみにブラードも物価重視なのですがブラードの場合は変態仮面なのでちょっと)ので良いチェックポイントになります。

と思ってシカゴ連銀のサイトに行ったのですが、
https://www.chicagofed.org/publications/speeches/2021/current-state-economic-recovery
Last Updated: 03/03/21
The Current State of the Economic Recovery

CFA Society Chicago’s Distinguished Speaker Series: President Charles Evans

March 3, 2021 recording of President Charles Evans' moderated conversation with CFA Society Chicago. President Evans spoke on “The Current State of the Economic Recovery.”

アカン動画やないか!!!!!!!!!冒頭の司会のお言葉を聞いたらウェビナー開催した物件の録画のようで、もしかしたらこのCFAソサエティーシカゴのサイトに内容が出ているかも知れないのですが、46分22秒もある(1分半くらいの所から始まる。どうもQA方式で話をしているっぽい)ので断念するけど土日にでも見る気力が起きたら見る(よくあるパターンだとしれっと同じお題で別の所で講演したりしてくれるので、それを期待しているのがある)ということで(エバンスさんの発音がくっきりしていて、使っている単語は講演で出てくるものが殆どですから、スーパードメスティックおじさんのワイでも何とかついていける、なんか面白そうな感じはしますよ)元のロイターさん記事に戻りますと。

(再掲)
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-evans-idJPL3N2L1482?il=0
2021年3月4日5:05 午前
UPDATE 1-米経済、今年は「力強く」回復 失業率低下へ=シカゴ連銀総裁

『失業率については、現在の6.3%から年末までに5%に近い水準に低下すると予想。ただ全般的な失業率には取り残された多くの人々が反映されていないとし、こうした人々を含めた場合、失業率は現時点で9%、もしくはこれを超える水準にあるとの考えを示した。』(上記URL先より、以下同様)

『物価については、経済が急速に成長したとしても、インフレが過度に上昇する可能性はほとんどないと予想。インフレ率が3%に達した場合は「異例」だが、達したとしても短期間で4%に向かわない限りは問題にならないとの見方を示した。』

というベースラインになっているのは皆さん共通で、問題はこれが本当の本当に大丈夫かという話で、ここの部分はさすがに物価動向の分析が必要になると思うし、FRBのスタッフは総力挙げて確認していると思います。

『FRBはインフレ率が高すぎる場合と低すぎる場合の双方に対応する手段を持ち合わせているとしながらも、低インフレへの対応の方が難しいと述べた。講演後に記者団に対し、このところの国債利回りの上昇は景気回復をおおむね反映したものとの見方を示し、「見通しは良好な軌道に乗っており、これが市場に織り込まれていると思われる」と述べた。』

ということで、まあ株が盛大に下がれば別かも知れんけど現状ではそんなテコ入れしてこんじゃろ、オーラルで「ワシらの政策は地蔵なのを分かったうえでおまいら債券売ってるの(オラオラ調)」というようなのはぶっこんで来るかも知れんとは思うのですけどね。

#ちなみに駄文書きのBGMにして半分くらい流してましたが色々と面白そうな感じはしますが、手が止まってしまうので26分くらいの所で止めちゃいましたけど(汗)、割と色々なポイントを網羅しているっぽくて、これ文字起こししたらおもろいんじゃないかな(するとは言っていない)


〇ブルフラットェ・・・・・・・・・(円債ちゃん)

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N2L10YU
2021年3月3日3:19 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小反落で引け、ブレイナードFRB理事発言で金利低下

まずこの見出しで???なんだが、ブレイナードってとっくの昔からFEDの中心よりもハト側に踏み込んだ話をしているので、この人がハト話をするのは平常運転の仕様であって、ブレイナードで相場が動くのはハトな事を言わなくて驚き桃の木山椒の木の場合じゃろ、と思うのですが。

『<15:10> 国債先物は小反落で引け、ブレイナードFRB理事発言で金利低下

国債先物中心限月3月限は前営業日比2銭安の151円12銭と反落して取引を終えた。あすの30年債入札を控え上値が重かった。一方、10年最長期国債利回り(長期金利)は同1.0bp低下の0.115%と2月24日以来の低水準。ブレイナードFRB(米連邦準備理事会)理事の発言が材料視され、長いゾーンに金利低下圧力がかかった。』(上記URL先より、以下同様)

マジかよと思う訳で、そもそもブレイナードは執行部の中心的見解をコメントしていない(だいたいからしてロンガーランゴールの説明している時もブレイナードは書いてもいないことに踏み込んで俺様説明をしていたんですけど)ので、いやまあ民主党政権の手先からのお言葉、という解釈は可能なので無視して良いわけでもないのですが、さっきのエバンスの記事でも(引用しなかったけど)別に長期債の買入を増やすこたあねえだろ発言している訳で、これをネタにしてブルフラットしたというのは草も生えんwww

『TRADEWEB
    OFFER  BID   前日比  時間
2年  -0.121 -0.114   0.005 15:02
5年  -0.076  -0.07   0.004 15:02
10年  0.113  0.12   -0.006 15:02
20年  0.48  0.488   -0.022 15:10
30年  0.673  0.68   -0.029 15:04
40年  0.715  0.723   -0.037 15:04』

20年の50bpが大した抵抗もなく抜けてアイヤーって感じでしたが、戻る方も何だよこの速度と無抵抗主義という風情でして、いやあのすいません今日30年入札あるはずなんですけどと思いながら何だよこのブルフラットということで何か先週から今週に掛けて変な幻術でも見ているんじゃないかという円債相場様なのでありました。だれか幻術の種明かししてくれませんかマジで分からん(号泣)。


〇さて片岡さんの金懇だがドンドン見るところが無くなってしまっておじちゃんは悲しい

片岡さん群馬金懇(ただしリモート)
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko210303a.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 群馬県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──
日本銀行政策委員会審議委員
片岡 剛士

・謎のコンポジット野良指数キタコレ

『2. 経済・物価情勢』というのが最初(最初は挨拶ですけど)にありますが、『(1) 海外経済の動向 』と『(2) わが国の経済情勢 』は読まなくてもヨロシ。物価は片岡さんの主張があるから敬意を表して読んで進ぜよう。

『(3) 物価の現状と先行き』って小見出し、本文10ページ(PDFの11枚目)です。

『続いて、物価情勢をみてまいります。図表 11 左図に示した本年1月の消費者物価指数の実績値は、生鮮食品を除く総合で前年比−0.6%、生鮮食品およびエネルギーを除く総合で前年比+0.1%となりました。右図では消費者物価の基調的な変動を示す指標の動きをまとめています。刈込平均値のマイナス幅は一頃より拡大し、その他の指標においてもプラス幅が縮小しているように、物価の基調は緩やかに低下しています。』

そうですね。

『物価の先行きについてですが、本年1月の展望レポートにおける政策委員見通しの中央値では、前掲図表4のとおり 2020 年度−0.5%、2021 年度+0.5%、2022 年度+0.7%と、徐々に上昇率が高まっていく予想となっています。もっとも、図表 12 で、物価の基調的な変動に影響するマクロ的な需給ギャップと中長期的な予想インフレ率をみますと、左図の需給ギャップは、2020 年4〜6月期に4%超の供給超過となった後、供給超過幅は縮小したものの、依然として大きな供給超過の状況が続いています。また、予想インフレ率は、右図のとおり、2019年末以降、低下しています。』

との事なのですが、ここの右図とは何ぞやと申しますと、本文11ページに『図表 12 需給ギャップと予想インフレ率』ってのがあって(ちなみに片岡さん最近何故か金懇テキストが本文図表形式じゃなくて本文中に図表を埋め込む形になっていて、まあ個人的には見やすくて結構結構)左に『需給ギャップ』というのがあるのですが、右にあるのがその予想インフレ率で、その名も何と『合成予想物価上昇率』です。

このグラフ3本の線があって、凡例を見ますと、
・企業・家計・専門家(QUICK調査)の予想物価上昇率を合成
・企業・家計・専門家(コンセンサス・フォーキャスト)の予想物価上昇率を合成
・企業・家計・専門家(インフレ・スワップ・レート)の予想物価上昇率を合成

とありますんですよ。でもってじゃあこの各主体の予想物価上昇率は何ですかという話がグラフの脚注にあるのですけれども、

『(注)各主体のインフレ予想として、企業は短観(販売価格DI)、家計は生活意識アンケート(−5%超+5%未満の回答を集計)、専門家はQUICK調査、コンセンサス・フォーキャスト、インフレ・スワップ・レートをそれぞれ使用。(出所)Consensus Economics「コンセンサス・フォーキャスト」、QUICK「QUICK 月次調査<債券>」、Bloomberg、日本銀行』

ってあって、生活意識アンケートのプラマイ5%を除外する理由は何なのとか、短観の販売価格DIを使う理由は何なのとか、そもそも他のものだってある(短観だったら企業の物価見通し取ってますよね)とか、大体からして販売価格DIって現状の話じゃないの(先行きDI使ってるのかも知れないけど)とか、しかも3本の線の違いが単にクイックとコンセンサスフォーキャストとインフレスワップレートを比較するって何の意味があるの(もし3つ出すなら企業とか家計とかの参照指標を別の物件にしたもので集計した方がまだ色々と読み取れるんじゃないでしょうかねえ・・・・・・・・)とか、もっとそもそも論的にこの数値が本当にインフレ期待を説明出来ているのか、とかそういう話が全部スッコーンと抜けているので、単なる俺様野良指数にしか見えないんですけど、もしかしてアタクシが不勉強なだけで何かオーソライズしたようなペーパーでもあったのでしたら申し訳ないのですけどね。

いやそらまあ金懇の場でこの合成指数の説明しだしたらそれだけで話が終わってしまうから仕方ないのは分かるけど、こういうの出してくれるんでしたら片岡さんとしてバックグラウンドのペーパーほどちゃんとしてなくても良いと思いますが、なんかその考察に至った解説を別途出して欲しいなーと思うのでありました。これそのまま各3主体の数値出してグラフに乗っけてくれた方が良いと思うんだが・・・・・・・・・・・・

『感染症の収束が見通せない中で経済の回復ペースが緩慢である可能性を念頭におくと、需給ギャップが需要超過に転じ、予想インフレ率が上昇することで、物価上昇率が勢いをもって2%の「物価安定の目標」に近づいていく状況を見通すことは、現状、難しいと考えています1。』

なお、この結論に関しては同意します(^^)。


・片岡さん渾身の謎のモデルが登場していますよ!!!!!!

次が『3. 金融政策運営』でして、

『以上の経済・物価見通しを踏まえつつ、現在の金融政策の概要についてご説明します。そのうえで、金融政策運営に対する私の考えを述べたいと存じます。』

ということなので大本営発表部分は全部割愛して片岡さんの説明を見るんだがこれがちょっとねえという出来栄え。

『(2)金融政策運営に対する私自身の考え』って小見出しで早くも本文13ページになっておりまする。

『私は、以上ご説明した感染症への対応策については賛成しましたが、長短金利操作とコミットメントの2つには反対を続けました。資金繰り支援策や流動性供給だけではなく、物価下落圧力を可能な限り抑制し、日本経済が力強い成長軌道に復することを支援する政策が必要であると考えたためです。』

仰ることは良く分かります(賛成するとは言ってない)。

『まず、感染者数の増減とそれを受けた公衆衛生上の措置が経済・物価に影響する波及経路について、私なりの考え方をご説明します。』

ほう。

『感染者数の増加等は公衆衛生上の措置の強化につながり、公衆衛生上の措置の強化は、それ自体が民間消費の抑制につながるほか、消費者心理の悪化や金融経済を巡る不確実性の高まりを介しても民間消費や企業の設備投資を縮小させ得ます。それらは、需給ギャップを供給超過方向に悪化させ、物価の低下圧力として作用します。』

別に私なりの考えもへったくれも無いと思う実に普通の話ですが、この次の部分で片岡さん渾身の物件が登場。

『こうした経路を想定したモデルを構築し、これまでの感染状況をもとに先行きを展望すると、物価が停滞するリスクは一段強まったと推計されます。』

おおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!

と思ってワクワクテカテカしながら次を見る。

『感染再拡大によって、需給ギャップが需要超過方向に回復するタイミングが遅れることで、物価に下押しの圧力が掛かる期間が、感染再拡大がない場合より長期化すると予想されます。』

ん?

『さらに、適合的な期待形成の度合いが強いわが国の物価予想を前提とすると、物価上昇率の停滞する期間が長期化するほど、予想インフレ率は上昇しにくくなります。』

ん??

『このように、感染拡大が繰り返されると、需給ギャップと予想インフレ率の双方に悪化方向の圧力が掛かることで、物価が停滞する期間が長期化すると予想されます。』(ここでそのモデルを使った云々の話は終わって次の段落は政策の話になる)

ちょwwwおまwwwwwwwww

えーっとすいません、何のモデルだか知らんのですが、それ別に計量モデルみたいなの回さなくても定性的に十分に説得的に説明できるじゃろという話で、せめて「このような感染状況の場合はこうなる」みたいな結果を数字で出した表でも頂ければと思うのですが、これだったら「モデルを構築し」とか変なアピールをする必要あるのけ?????としか申し上げようがないんですけど。

#まさかとは思いますがこの片岡さん渾身のモデルが「15年金利を0.2%未満にする」という政策提案に・・・・・・(^^)


・緩和策の具体論が皆無なの勘弁して頂けませんかねえ

ということで渾身の謎モデルが何だか分からないまま話は続く。

『このような認識を前提とすると、私自身は、金融政策においては、長短金利操作とコミットメントに関して緩和を強化することが必要であると考えています。』

はい。でどう強化するの??

『長短金利操作に関しては、コロナ後を見据えた前向きな設備投資など成長投資を後押しする観点から、積極的に国債を買入れ、長短金利を引き下げることが適当です。』

そもそも長短金利が下がると設備投資や成長投資が出る理屈プリーズだし、どの辺の金利をどう下げるのかという話もして頂いて議論のテーブルに乗せてくれないとブラッシュアップも出来ないと思うんですが、何で出し惜しみするんでちゅかねえ、執行部提案だったらそらMPMにならんと出てこないけど、別にヒラ審議委員の提案だったら個人的見解でもうちょと具体的にぶっこんだってエエヤンと思うが、まあこの辺は言うなとか言われているのかも知れないのでその辺はあまりゴリゴリは言わないことにします(言ってるけど)。

『金融緩和によって成長投資を後押しすることは、感染症の拡大と必ずしもトレードオフの関係にはないと考えています。』

「コロナ後を見据えた設備投資などを後押しする」って言ってるんだから別にこんなエクスキューズしなくて良いと思うんだが何か妙なエクスキューズですな。

『また、コミットメントについては、デフレへの後戻りを回避するためにも、財政・金融政策のさらなる連携が必要であり、日本銀行としては、政策金利のフォワードガイダンスを物価目標と関連付け、具体的な条件下で行動することが約束されている強力な内容に修正することが適当と考えています。』

でいつものように話が終わっているのですが、この内容について何で一言も具体的に言おうとしないのかが物凄く謎で、まあやっぱり言うなみたいなのがあるのかも知れないから片岡さんのせいだけじゃないかも知れないけど、別にこの程度の話だったら普通にこういう公式の場でどういうような提案をしたいのかとか話してくれれば、そこから議論が広がるんじゃないかと思うし、毎度反対して意見出しているのに具体的な施策が分からんという状況を明確化すること自体が市場へのノイズになるとは思えないので、是非とも片岡さんにおかれましてはこの内容について説明してほしいなと思います。まさかとは思いますが(以下自粛)。


最後の点検に関するコメントはまあどうでも良い事を話しているので引用だけ。

『なお、「より効果的で持続的な金融緩和を実現するための点検」ですが、私自身がまず必要と考えるのは、長短金利操作、リスク資産の買入れ、フォワードガイダンスおよびオーバーシュート型コミットメントのそれぞれについて、経済や物価に与える効果などをしっかりと分析・検証することです。』

『そのうえで、感染症の拡大により経済・物価への下押し圧力が長期間継続し、物価目標達成への道筋が見えなくなっている状況を踏まえ、現在の施策を丹念に点検し、分析・検証と合わせて、今後の戦略を検討・説明していくことが必要であると考えています。』

『政策委員会の一員として、「物価安定の目標」の達成・維持に向けて、引き続き最大限の努力をしてまいります。』

はあそうですかってなもんですが、悲しいのは政策全般に関する話がこれでおしマイケルになっていることで、折角反対芸人を貫いているんですからもっとこう反対する思想というかパッションというか、そういうのをぶつけて頂きたいんですよね、まあパッションが行き過ぎてジンバブエ大先生になられても困る(ネタ的には困らない)ですけど。

ということで片岡さんの今回の金懇、覇気がまるで無くて正直この前の中村豊明さんの金懇の方が35万倍位おもろかったんですけど片岡さんどうしたんすか?????


〇理事発令(メモメモ)

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210303a.htm/
理事の発令について
2021年3月3日
日本銀行政策委員会室

『次のとおり発令がありました。

高口 博英
日本銀行理事に任命する

令和3年3月3日
財務大臣 麻生 太郎

なお、衛藤公洋理事は、3月2日任期満了により退任しました。』

金融機構局長の高口さんが理事大阪支店長、後任の金融機構局長が正木さんという異動になっていましたな。衛藤さんお疲れさまでした。

#なお今年は4月に吉岡理事の任期が来ますが、来年内田理事と山田理事の任期になるという時の進み方にビビっておりましたです







2021/03/03

お題「ブレイナード理事講演ではなく敢えてデーリー総裁講演の方を読むの巻/その他少々」

ほうほうそうですか
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20210302/1000061036.html
辞退のボランティアに意向確認へ
03月02日 06時32分

『東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森前会長の発言を受けて活動を辞退すると連絡した東京都のボランティアについて、都は再び戻ってきてほしいとしていて、今後、活動に参加するかどうか意向を調査することにしています。』(上記URL先より)

解約した筈なのにいつまで経っても解約が終わらないサブスクのフォームみたいですね。しかし解約しても個人情報残されて追いかけられるとか中々営業熱心なサブスク(棒読み)。

いやまあ「1年延長で進学とか就職とかの変化もあったと思いますが大丈夫でしょうか?」を聞いて回るなら分かるんだが・・・・・・


〇ブレイナードとデーリーが発言をしておりましたがとりあえずデーリーを見てみた

・ブレイナード理事は平常運転のハトのようですが要確認ではある

ブレイナード理事の方の記事。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-brainard-idJPKCN2AU2J9
2021年3月3日5:24 午前
FRBは忍耐強く対応へ、米経済見通し改善も=ブレイナード理事

『[ワシントン 2日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事は2日、米経済見通しが著しく改善したものの、FRBは「忍耐強く」対応し、政策変更の検討を始める前に雇用や物価目標が達成に向けた軌道に乗ることを確実にする必要があるとの見解を示した。』(上記URL先より、以下同様)

ということでして、まあブレイナードがハト寄りの発言をするのは仕様なので平常運転でして、寧ろタカ派な事を言い出すと腰を抜かしてビビらないといけないのですけれども、まあ特に昨日の米債が暴れているでもなさそう(ってチラ見しただけですけど)なのでキニシナイという感じ。ただ、

『また、債券市場の動きを緊密に見守っているとし、このところの利回り上昇が継続し、経済活動を阻害し始めれば懸念すると語った。』

って言ってるけど、じゃあ何をどう懸念するのよというのは気になるので後で読む。今回のは原稿テキストがこちらにあるので読める訳ですな。

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/brainard20210302a.htm
March 02, 2021
U.S. Economic Outlook and Monetary Policy: An Update
Governor Lael Brainard
At the C. Peter McColough Series on International Economics, Council on Foreign Relations, New York, New York (via webcast)

そんなに長くなさそうなのでいつもならここで寝起き投下と行くところですが、どうせハトの人がハトの話をする分には仕様なので後回しにしてデーリーさんの方を先に確認するのが吉、と勝手に判断してデーリーさんの方に行く。


・SF連銀デーリー総裁ですが地蔵強調のハトですが物価上振れを結構意識してんじゃんと思いました

関連記事はこちら。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-daly-idJPL3N2L043G
2021年3月3日4:43 午前
米インフレなお低水準、緩和策「当面」必要=SF連銀総裁

『[2日 ロイター] - 米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は2日、インフレがなお過度に低水準にあり、失業が高止まりする中、金融政策は「当面」は緩和的であり続ける必要があるとの認識を示し、連邦準備理事会(FRB)の緩和策で望まざるインフレ高進が発生するとの懸念を一蹴した。』(上記URL先より)

ほうほう一蹴したとな、ということでこちらも発言があるので確認する。

(URLが長いので途中までしかハイパーリンクを貼っていませんがちゃんとこのアドレスに飛ぶ筈)
https://www.frbsf.org/our-district/press/presidents-speeches/mary-c-daly/2021/march/lessons-from-history-policy-for-today/
Lessons from History, Policy for Today
Economic Club of New York Virtual Webinar
New York, NY
By Mary C. Daly, President and CEO, Federal Reserve Bank of San Francisco
For delivery on Tuesday, March 2, 2021 2:00 P.M. EST

こちらの講演、要所にグラフがあって、そのグラフの小見出しを見ればその時点でお察しの内容になるので小見出しを並べるとこうなります。

・Maximum employment is a moving target
・Inflation has rarely surpassed 2% in recent years
・Job losses more severe for low-wage workers
・Investors are not worried about inflation

と来ていまして、これはどう見てもタカの香りは皆無という物件に仕上がっておりまして、一回投げさせておいてからその後にハト系をぶっこんで来るという陽動作戦している訳ではないでしょうが、まあ火消しの意味はあるんじゃろ、とは思いました。


・・・・・でまあアタクシのインチキ英語力と心眼によりますと題名にあるように過去のノーマルの話とニューノーマルの話をして、そのニューノーマルを受けて先般ロンガーランゴール&ストラテジーの見直しを行った、という話が大体メインの話になっておりまして、前半がそういう意味ではマクラで、後半の小見出し、『Adapting for Today』からが本題ですな。

『The lessons of the last decade and projections of our future conditions tell us that, for the foreseeable future, the Federal Reserve will face an uphill battle using conventional monetary policy to keep the economy healthy, the labor market strong, and inflation at our 2 percent goal.5』

『The Federal Open Market Committee’s new policy framework is an explicit recognition of these realities.6 It reflects the learnings of current and past FOMC participants, as well as inputs from our year-long review process that included evidence from research and feedback from the businesses and communities we serve.7』

ニューノーマルに対応すべく今般見直しをしましたよ、でもってその内容はということで、

『The resulting revised framework reemphasizes our commitment to maximum employment and stable prices and makes changes to our policy strategy that will make each of these goals easier to achieve.』

ということで最大雇用と物価安定の定義についてとなってまず雇用から、小見出しが『Clarifying Maximum Employment』です。

『Starting with maximum employment, the new framework states that policy decisions will be informed by “assessments of the shortfalls of employment from its maximum level” rather than by “deviations from its maximum level.” In other words, in the absence of inflationary pressures, we will not pull back the reins on the economy in response to a strong labor market.』

まあこの辺も従来より言われている話ですが、In other words以下にあるように「インフレーショナリープレッシャーが無ければ強い労働市場に向けた政策(要は緩和的な金融政策)を引き戻す予定はございません」だそうです。

『The statement also emphasizes that maximum employment is a broad and inclusive goal. In assessing whether it has been reached, there is no single number that tells the story. Instead, we will examine a wide range of indicators-measures like unemployment, labor force participation, job finding, and wage growth-across a broad distribution of workers.』

最大雇用の概念は単に失業率だけではなくてブロードりーでインクルーシブな概念です、というのもいつもの話。

『As we apply this strategy, our most important virtue will be patience. We will need to continually reassess what the labor market is capable of and avoid preemptively tightening monetary policy before millions of Americans have an opportunity to benefit. These efforts are critical to support the broad economy and aid the inclusion of historically less advantaged groups, including people of color, those lacking college degrees, and others who face systemic barriers to equitable employment and wages.8』

でもってこのストラテジーの重要な要素は「ペイシャンス」と来て、より幅広い人に恩恵をもたらすためにはペイシャントであるべき(=緩和を引っ張るべき)、って話をしているのでまあハトなのですが、それやると資産価格の高騰を促して格差拡大するからどうなのよ、という質問には死んでもお答えしないのがFEDクオリティで次の物価になる。小見出しが『Getting to 2 Percent Inflation』ですが、

『Regarding price stability, the new framework reaffirms the committee’s commitment to a 2 percent inflation objective but adds that this means achieving inflation that averages 2 percent over time. To achieve this, the FOMC will employ flexible average inflation targeting. Specifically, following periods when inflation is below 2 percent, appropriate monetary policy will aim to move inflation above 2 percent for some time.』

この部分はアベレージターゲットの説明ですね。

『This will ensure that inflation expectations remain well-anchored at 2 percent, even when policy is more frequently constrained by the zero lower bound. This approach helps put a floor under inflation expectations, enhancing our ability to achieve our full employment and price stability goals.』

アベレージターゲットによってインフレ期待を2%にアンカーさせるんです、という話も今まで通り。

『Practically, the new framework allows us to retain our vigilance against inflation that is too high, while improving our ability to keep inflation from falling too low. It applies the lessons from all of our history and recognizes that persistent misses on either side of the target can leave lasting damage on expectations and the economy.』

でもって新しいフレームワークではインフレが低い状態が続いた後ではインフレの多少の上振れは容認するというのが現実解であることを示しました、それによってインフレ期待の低下を防ぎます(キリッ)ってなお話。まあそもそも「インフレ期待」なのではなくて重要なのは「名目所得の恒常的な上昇期待」であって物価なのではないと思うんですけど、特にRANKじゃないHANKモデルな一個人として思いまするに、とか何とかいうツッコミはここでしてもシャーナイのでしない(してるけど)。

とまあニューフレームワークの説明をしていますが、説明自体はよくよく見るといつも通りの説明に終始していまして(当たり前だが)別に踏み込んでいる訳でもないように見えますが、「our most important virtue will be patience」とか「new framework allows us to retain our vigilance against inflation that is too high」とかキャッチーな言い方をしているのが印象的で、これはヘッドラインで切り取られるのを意識した作文じゃん、とか中央銀行文学鑑定士2級のアタクシは心が濁っているので直ぐに思いついてしまう次第。

いやまあこの前のクラリダもそうですし、最近のFOMCミニッツなんかも特にその傾向が顕著だなと感覚的に思うのですけれども、市場のコントロールというのを気にしだして、FEDちゃん言葉を弄するようになってきたなーという感じでして、これはかつてのアラン・ブラインダー副議長の言う「自分の尾を追う犬」という円環性の問題にいよいよ本格的に突入してきた感もありまして(個人の偏見です)、そうなると自分の作った相場を見ながらタコ踊りを始めて、そのタコ踊りに市場が振り回されるので更なるタコ踊りが投下される、という見ている分には面白いのですが当事者的には寿命が縮まったり伸びたりする現象が発生するんジャマイカ、と考えるに、日本は残念ながら知らんけど米国の市場はさあおもしろくなってまいりました!って事になるかも知れないね、とちょっと心が波立つのアタクシ(個人の感想です)。


でもって次の小見出しがじゃあ今どうなのよという『An Unwanted Test』という小見出し。

『Although the evolution of the framework I just described predates the pandemic, it is exactly what we need to support the economy through this difficult time. In addition to its wrenching toll on health, the virus has severely depressed economic activity. Millions of workers remain unemployed and hundreds of thousands of businesses shuttered, some of them permanently. Digging beneath the aggregate numbers shows that a disproportionate share of affected workers come from the lower half of the wage distribution.9』

ってあってその次に例の『Job losses more severe for low-wage workers』というグラフが出てきますように、ここではコロナの影響が特に低賃金労働者にシビアーだよという話で、まあそれをどげんかせんといかんバイという話をしたいようですが、この辺も最近のFEDど真ん中の説明ですね。

『Consistent with historical barriers to education and employment, these losses are also concentrated among communities of color.10』

だそうです。でもって次がインフレの話。

『Inflation has also been pushed down by the pandemic. After falling sharply last year, it has improved as the economy has rebounded. But COVID-sensitive sectors remain a drag on overall inflation.11 And even when those sectors have fully recovered, it will likely be some time before inflation is sustainably back to 2 percent.』

「And even when those sectors have fully recovered, it will likely be some time before inflation is sustainably back to 2 percent」ということで経済が完全に回復しても物価が安定的に2%になるにはお時間が少々かかりまっせ、というお話で兎に角利上げ系の話は浮上させませんよという意図は良く分かった。

『Getting fully past this crisis and back on track to achieve our dual mandate goals will require monetary policy to be accommodative for some time. We must make sure that everyone who lost their job or left the labor force to care for children or other family members has an opportunity to return.12 We also need to offset the downward inflation pressures created by the pandemic and get back to moving inflation towards our average 2 percent goal.』

でもってどっちのマンデートにしてもフルに達成するためには「monetary policy to be accommodative for some time.」ですよという話をしております。

『And this brings me back to the fearful swirl about spikes in inflation and the need to preemptively offset them. Of course, we need to be vigilant against all the risks in the economy, but we also must weight them by their likelihood and expected cost. As for the likelihood of runaway inflation, I don’t see this risk as imminent, and neither do market participants.』

物価が多少上がるとインフレを懸念するかもしれませんけれども、現状それは真のリスクではないし、早期に緩和縮小して対処しなくてもそのコストは大したことないでしょ、ということで現状維持の話をしております。

ただまあ笑えるのはここで「neither do market participants」とか仰せでして、いやそこ気にしてるから金利上がったんとチャイマスカと思うのですが、そこでデーリー先生持ち出してきたのが『Investors are not worried about inflation』といって出してきた市場価格のグラフでして、そこで米国30年債の利回りとか2年30年の金利差とかそういう都合の悪いものは出してこないで、TIPS市場から計測される5年後の期待インフレと5年先の5年期待インフレの推移を出してきて「ほら落ち着いているでしょう」としている辺りがインチキっぽくて爆笑の発作を禁じ得ない。

『Instead, I view the recent rise in inflation compensation to roughly 2 percent as encouraging and in line with our stated goals. It suggests that our commitment to flexible average inflation targeting has already gained substantial credibility.』

更に最近の物価上昇に関してですが、テンポラリーを強調するかと思えばそうではなくて、エンカレッジングサインですけれども既にフレキシブルアベレージターゲットですから多少上振れでも無問題、という説明になっています。

よくよく考えたらさっきの所でも「物価が多少上振れるのを放置してもコストは小さい」とか言っていまして、この辺りはまあこの正直者!って感じがしますが(個人の妄想です)、デーリー総裁さすがに足元の物価上昇が本当の本当にテンポラリーで済まない可能性も見て「上振れ上等」の方を強調しだしたのかなーとか思ったりもしますので、そういう点では米国の何とかストに期待したいのは(ってここで言っても無駄ですが)足もとで起こる物価上昇のコンポーネントを真面目に分析してちょんまげ、って話だとは思うのよね。

『But what about the costs? The memory of the 1970s and 1980s and the painful correction it required looms large. But that was more than three decades ago, and times have changed. Today, the costs are tilted the other way. Running inflation too low for too long can pull down inflation expectations, reduce policy space, and leave millions of Americans on the sidelines along the way.』

というのでこのコーナーを締めていて、あとはクロージングになるのですが、更にこのように「物価が上振れた時のコスト」の話をして「今は過去のグレートインフレーションと違っていて、むしろ下に振れた時のコストが非常に大きいというのが明らかになっているニューノーマルだから物価上昇のコストを騒ぐことは無い」と締めていますので、まあ足もとでいきなり債券市場がゲロゲロマーライオンになって色んなものがダイナシーになってしまうのは避けたいからハトな話をしていますが、何気にこうやって「物価上振れのコストは大したことないんだから多少の物価上振れは上等上等」を連呼されますと、逆に虚勢っぽく見えてしまって「ヘイヘイピッチャービビってるよビビっているよー」と野次を飛ばしたくなるのはアタクシだけですかそうですか。

てな訳で、まあハトの話はしているんですが物価に関しては上振れの可能性を従来よりも多分に見積もっている感じがするので、実際に物価が上振れした際にどの程度の胆力で対応できるのか、というのが楽しいみどころになりそうな気がします。いやーこれは夏からの相場が楽しみ楽しみ(超不謹慎)。


〇またMMF改革やるのかよ・・・・・・・(呆)

ほいな。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210302a.htm/
金融安定理事会によるG20財務大臣・中央銀行総裁へのレターの公表について
2021年3月2日
日本銀行

『金融安定理事会(FSB)は、2月26日にテレビ会議形式にて開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議にあわせて、議長名でのレターを発出しており、2月25日、当該レターがFSBウェブサイトより公表されました。本レターでは、新型コロナウイルス感染症に関する脆弱性への対応やノンバンク金融仲介の強靭性強化、クロスボーダー送金の改善、気候関連リスクの理解深耕等、FSBの2021年の作業計画における主要な取組みについて言及されています。』

ということで物件をチラ見したのですが。
https://www.fsb.org/wp-content/uploads/P250221.pdf
To G20 Finance Ministers and Central Bank Governors
24 February 2021

なんかまあ今年の取り組み計画みたいな話をしているようですが、その中の2ページ目の真ん中をどどーんと占める『Increasing the Resilience of Non-bank Financial Intermediation』を見て呆れるアタクシ。

『One area where we have already begun to draw lessons is NBFI. Our Holistic Review of the Market Turmoil in March 2020 is the basis for a comprehensive and ambitious work program for strengthening the resilience of NBFI. My November 2020 letter to G20 Leaders highlighted the key areas of this work program, including: examining and addressing specific risk factors that contributed to amplification of the shock; enhancing understanding of systemic risks in NBFI; and investigating policies to address systemic risks in NBFI. This work remains a top priority.』

『A key deliverable this year will be policy proposals to enhance the resilience of money market funds (MMFs). The March 2020 market turmoil highlighted some structural vulnerabilities in MMFs (particularly non-government MMFs) stemming from liquidity mismatches and from investors’ perception of these funds as being cash equivalent, both of which may have reinforced redemption dynamics. Identifying policy options to enhance MMF resilience will include consideration of the appropriate structure of the sector and the role of potential vulnerabilities in the underlying short-term funding markets. We are working in close collaboration with SSBs and will provide a consultative report to the G20 in July with policy proposals to enhance MMF resilience, and a final report in October.』

次のパラグラフは別の話題なのでパスしますが、要は今般のパンデミックで解約が来てファンディング市場の脆弱性の元になったMMF、特にノンガバメントMMFについて改革します、ってんですけど、お前ら前にMMF改革やって特にノンガバのMMFについてはコンスタントNAV使うなだの、平均残存期間短くしろだの色々とぶっこんで来ただろという感じで、だいたいからしてあの対応で色々と更に規制がきつくなったわとか言ってたらマイナス金利政策によってジャパンのMMFは悉く償還の刑になってしまいましたのですが、しかしまあここの文章のメイン部分、

「The March 2020 market turmoil highlighted some structural vulnerabilities in MMFs (particularly non-government MMFs) stemming from liquidity mismatches and from investors’ perception of these funds as being cash equivalent, both of which may have reinforced redemption dynamics. Identifying policy options to enhance MMF resilience will include consideration of the appropriate structure of the sector and the role of potential vulnerabilities in the underlying short-term funding markets」ってお前ナメトンノカというか、マチュリティミスマッチがアカンとかいうんだったらじゃあMMFは全部オーバーナイトで運用しろって話かよと小一時間問い詰めたい訳で、それ殆どマチュリティートランスフォーメーションの否定みたいな理屈繰り出してるんだけど分かってもの言ってますかとゆー世界だと思うのよね、などとトサカに来てしまうのですが、ここまで来るとそもそも純粋なリテールMMFのガバメントオンリー以外やるなみたいな話になってしまい兼ねないのですが、その辺どういう落としどころを考えているのか知りたいですの。と思ったら7月にG20にプロポーザルが来てファイナルレポートが10月に出るそうで。


〇昨日も盛大な戻りで抵抗なく抜けた20年50bpに戻るとか何ですか

というネタもあったのだが時間が無いのでロイターだけ貼っておく。

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N2L01JH
2021年3月2日3:18 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続伸で引け、長期金利は0.125%に低下

『 <15:08> 国債先物は大幅続伸で引け、長期金利は0.125%に低下

国債先物中心限月3月限は前営業日比33銭高の151円14銭と大幅続伸して取引を終えた。市場では、米金利が落ち着きを取り戻す中、日銀がイールドカーブコントロール(YCC)の長期金利の変動幅を現在も重視しているとの一部報道が材料視されたとの指摘が出ている。現物の新発10年物国債利回り(長期金利)は同2.5bp低下の0.125%。』(上記URL先より、以下同様)

ってあって、

『ブルームバーグは前日夕方、関係者の話として「日銀は長期金利誘導目標のゼロ%から上下0.2%程度の変動許容幅を引き続き重視しており、3月の『政策点検』前の期間でも0.2%に達する前に国債買い入れオペを行って抑制に動く可能性がある」などと報じた。』

ってのがあったそうだが、どうせまたブルームバーグのこたつ記事だろと思って(個人の偏見です)読んでないので内容は良く分からんけど(すいませんすいません)、抑制しておいて翌日にレンジ拡大したら大爆笑以外の何物でもないので下品に口先介入でもしたのけ??とか思ったが、それだけでブルフラットはせんじゃろと思いますし、大体からして米国に釣られては分かるけどさすがに何でそんなに盛大に売るのという感じの後の戻りで、しかも売られている時にベンチマーク部分が特に最後の方は売り込まれているのに戻りは超長期かよ、と昨日はナンジャソラ状態でした(超大汗)。

最後の方はまた先物が怒涛のがぶり寄りで結局引けのカーブ的には先物が一番強かったと思いますが、10年以降は後ろの方が強かったと思うので、よーワカランチ会長ですわなので備忘メモということでとりあえず残しておく。


『TRADEWEB  OFFER BID   前日比 時間
2年     -0.126 -0.119  -0.005 12:57
5年     -0.082 -0.075  -0.014 15:02
10年     0.12  0.128  -0.021 15:05
20年     0.499 0.506  -0.025 15:08
30年     0.699 0.706  -0.023 15:04
40年     0.749 0.757  -0.023 15:04』。







2021/03/02

お題「米国債券市場ってFEDのコメントちゃんと伝わっとるのけ??等の相場備忘メモ/その他少々」

本音がポロリキタコレwwww
https://this.kiji.is/739045775761768448
反対した課長「左遷した」と首相 過去の総務省人事で、衆院予算委
2021/3/1 18:03 (JST)3/1 18:21 (JST)updated
コピーライト 一般社団法人共同通信社

『菅義偉首相は1日の衆院予算委員会で、総務相当時にNHK改革に反対した担当課長を異動させた人事は「左遷」だったと述べた。経緯を記した首相の著書を基に、野党から「意見が対立した官僚は更迭された」と指摘され、「感情で人事をしたことはない。そうでなければ本に左遷したことを書くわけがない」と色をなして反論した。長男正剛氏による違法接待の追及が続き、思わず本音を漏らした格好だ。』(上記URL先より、以下同様)

決定事項に逆らって怠業したとかなら兎も角、意見段階の時点で対立したら異動ではなく「左遷」とか感情の籠った対応を受けるってんだったら、そらもう忖度茶坊主低能人間しか残らんわバッカジャネーノと思うのですが、そう考えますとまさかとは思いますが今の霞(内務省検閲により削除されました)。

『立憲民主党の山井和則氏は、正剛氏の誘いを総務官僚側は断れなかったとして「人事制度の乱用で官僚に忖度が広がっている」と問題点を指摘した。』

と思ってるんでしたら「内閣人事局廃止法案」出して元に戻すようにして頂きたいのですが、そっちの話は進まないのかね(この事案自体は直接的に内閣人事局マターではないと思うけど)。


〇ほうほう一旦落ち着きましたか(市場メモ)

やっとこう市場ちゃんが動くので備忘メモが書けるというものです(さすがに1毛くらいしか動かん相場ちゃんだと書こうにも良く分からんのですよ)。


・雨公10年金利金曜に続いて月曜も(若干)低下ですかそうですか

https://jp.reuters.com/article/-idJPL3N2KZ4BP?il=0
2021年3月2日5:22 午前
米金融・債券市場=利回り低下、市場とFRBの見方一致で安定化

市場とFRBの見方一致で安定化ってナンジャラホイな感じですがまあ読んでみる。

30年債 15時11分 2.2266% 前営業日終値 2.1820%
10年債 15時10分 1.4513% 前営業日終値 1.4560%
5年債  15時09分 0.7169% 前営業日終値 0.7760%
2年債  15時01分 0.1250% 前営業日終値 0.1450%

ってなっていて(上記URL先の記事にある表を一部割愛しています)、30年の金利は上がっている気もするんですがベンチマークが横這いで、何はともあれ先週木曜にあばばばばーの元になった5年が盛大に持ち直しているのでまあ気分的には低下ってことですね。記事を拝見すると、

『米金融・債券市場では、連邦準備理事会(FRB)当局者からインフレ懸念の緩和に向けた発言が相次いでいることを背景に、2営業日連続で10年債利回りが低下した。ただ米経済指標が堅調だったことで、低下ペースは鈍化した。』(上記URL先より、以下同様)

つーかFEDはずっと「目先物価は上昇圧力があるけど、その要因は昨年コロナで落ちた分の前年比効果と、コロナによる一部サプライチェーンの毀損が続くことによる一時的なコストプッシュと、原油等の商品価格上昇による一時的な現象の合わせ技なので、ここで物価が上昇してもすぐに金利を変えることは無いし、大体からしてワシらは昨年8月のロンガーランゴールの変更により多少のインフレ上振れは容認しているので多少物価が上振れるのは無問題」って言い続けている訳なのですが・・・・・・・・・

『この日はリッチモンド地区連銀のバーキン総裁がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、米経済の「地平線に光」が見えるとしながらも、インフレは問題化する水準まで上昇しないとの見方を示した。』

リッチモンド連銀のサイトに行ったけど残念ながらそれらしき物件は無く、WSJはこういう記事を有料読者にしか開放していないのが仕様なので端から探さない(CNBCとかだと読めるんだよなー)のですが、一応ロイターさんの断片報道はあるので後程。

『ブリン・マウワー・トラストの債券部門責任者、ジム・バーンズ氏は「物価は短期的に上昇するとFRBが完全に認識しているということが市場で消化されつつある」とし、「市場の見方とFRBの考えが再び一致したことで、先週のようにボラティリティーが高い状況にはならないだろう」と述べた。』

おいこらちょっと待て、お前らあれだけ散々FOMC後の会見でパウエルが強調して、他の(ネタ芸人じゃない)FED高官も強調していて(ついこの前まではローゼングレンとかジョージとかの名うてのタカ派まで利上げは全然先よという話をしていたんですけど)るってえのに何で「市場の見方とFRBの考えが再び一致したことで」とか(日本語訳の巧拙によるので本当にこんなウエメセなのかはワカランチ会長ですけど)上から目線で偉そうに(かどうか知らんが)コメントがシジョーの方から出てくるのよ、単にオメーらがFEDが何度も強調しているの見てねえだけなんとチャウの????

『先週は景気回復期待が膨らんだことなどで、10年債利回りUS10YT=RRが1.614%と、約1年ぶりの水準に上昇。その後はやや低下したものの、年初からはまだ50bp程度高い水準にある。この日発表の米経済指標では、供給管理協会(ISM)の2月の製造業景気指数が60.8と、2018年2月以来、3年ぶりの高水準を付けた。価格指数が86.0と、08年7月以来の高水準となったことについて、ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミストのサラ・ハウス氏とティム・キンラン氏は「インフレ圧力の高まりが改めて示された」としている。』

まあ実際問題として目先のテンポラリーな上昇なのか、実はアンダーライングのインフレが強くなっているのか、という問題があって、テンポラリーだしヘーキヘーキとか言っていたら実は基調が強くなっていて、インフレ期待も上振れしてしまう、などという可能性も無いわけではないので、そういうのを意識すべきなのかどうか、というのを分析して頂くのが何とかストのお仕事だとは思いますし、そっちの方で実はFEDが考える目先の物価上昇圧力はテンポラリーってのが違うんジャマイカって事で金利が上昇してたんだったら寧ろ「FEDと市場の見方に差がある」という話になって然るべきなのですが、まあこうやって中期の所が盛大に戻ってくるのを見ますと、別に市場ちゃんもそこまでのインフレを見てるわけでもないわな、という話になりますがさてどうなんでしょうかね。

まあアタクシは詳しくないから分からんけど、1月の小売や生産の指標が強くて、2月もISM製造業が盛大に強いと来ていまして、FEDの認識でも1月時点のFOMC声明文やミニッツに製造業セクターの強さについて特筆していましたんで、そこからワクチン接種進んでおまけに大型財政が投下されるのですから、テンポラリーで済むのかねという気はせんでもないところではあるのですけれども、何せ今の主要国の金融当局はフィリップスカーブは死んだとばかりに需給ギャップに対する物価の感応度低いんだからヘーキヘーキ、というのを信じすぎのようにも見えます(個人の感想です)けれども、単にフィリップスカーブがフラット化したのはその間に財政が抑制的だったからだけなのかも知れず、財政がウヒョー持ってけドロボー状態になった時にどうなるのかはこれからワタクシたちが見れるので楽しみではありますな。


・バーキン総裁発言

エルメスみたいな名前の総裁ですがただのオッサンです。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-barkin-idJPKCN2AT3DM
2021年3月2日3:37 午前
FRBの金利ガイダンスは明確、市場は注目を=リッチモンド連銀総裁

こちらリッチモンド連銀のサイトにある最近のスピーチ(https://www.richmondfed.org/press_room/speeches)の辺りを見た(なおリッチモンド連銀のサイトはちょっと検索に困るインターフェースをしているので慣れが必要)のですが、特に掲載は無かったので止むを得ずロイターさんの記事を。

『[ワシントン 1日 ロイター] - 米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は1日、投資家は将来の利上げや債券購入ペース変更の時期を先読みするのではなく、米連邦準備理事会(FRB)の「明確」な政策ガイダンスや経済情勢の動向に焦点を当てるべきとの認識を示した。』(上記URL先より、以下同様)

ナンジャソラ。先読みしてポジショニングするのが市場なんですがオッサン頭大丈夫かと言いたくなるんですけど何せ本編が無いので実際にどういうニュアンスなのか分からんので判断は保留。

『バーキン総裁は、長期利回り上昇の要因は成長・インフレ加速見通しへの反応で、現時点で投資に影響していないと指摘した。』

うーん何か別に牽制しているような言い方に見えないんだがWSJの原典にどうせ当たれない(有料会員じゃないから)ので何ともかんともですけど、この部分だけ切り取ると木曜日のタカ派3連発とそこまで変わらんような。

『積み上がった需要や高水準の貯蓄を踏まえ、物価が春に上昇する可能性があるとしつつも、インフレ期待は妥当とされるレンジを超えて高まっておらず、依然FRBの目標を若干下回っていると述べた。』

という感じですと新しい話をしている訳でもなさそうなのですが、まあ威勢よく叩き売り過ぎたんで落ち着いたのか、最初の「明確なガイダンス」が思いっきり強調されたのか、何だか良く分からんところではありますが。

というかですね、米国ちゃんなんですけど、ウィリアムズという発言の軽いのが誠にアレではございますけれども、基本的に先週の木曜ってタカ派連銀総裁(と芸人ブラード総裁)が3人同時に発言してるけどタカ派ならこのくらいは普通に言うだろという内容だし、バーキンのもその「先読みするな」とかいう無茶ぶりな発言が牽制の意図だというのは何となく読めるのですけれども、そうは言っても景気は宜しい物価は上がってもテンポラリーって従来のFEDの中心的な見方を説明しているだけで、たしかここからブレイナードとパウエルが講演とかあったような気がしますが(ブレイナードは昨日もしてるけどお題がストレステストとかの方なので一旦パス)、どうせブレイナードなのでハト発言をするでしょうし、パウエルは安全運転に努めるでしょうし、とは思うのですが、一々反応するんかねこの米国債券市場は、という事で、相場っつーのは不思議ちゃんですなあと毎度思うのでありました。


・ジャパンはブルフラットとな

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N2KZ1LE
2021年3月1日3:22 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅反発、米金利上昇一服で買い戻し 長期金利は0.150%

『<15:11> 国債先物は大幅反発、米金利上昇一服で買い戻し 長期金利は0.150%

国債先物中心限月3月限は前営業日比19銭高の150円81銭と大幅反発して取引を終えた。前週末に米金利上昇がひとまず一服したことを受け、終日、買い優勢の相場展開となった。現物市場の10年物国債利回り(長期金利)は、同1.0bp低下の0.150%。』(上記URL先より、以下同様)

ということでしたが、

『現物市場では、その他の新発債利回りも総じて低下。2年債は前営業日比0.5bp低下のマイナス0.120%、5年債は同1.0bp低下のマイナス0.065%。20年債は同2.5bp低下の0.530%、30年債は同3.0bp低下の0.725%、40年債は同3.0bp低下の0.780%だった。』

となりまして、途中までは先物ちゃんとか10年が強かったと思うのですが、後場途中からは後ろが強くなってきて何とブルフラットということで、いやまあ確かに先週末の米国もブルフラットしておられましたのでブルフラットでも良いのかも知れませんが、下げるときに先物10年が下げておいて戻りでブルフラというのはどうしたんすかねとは思いました、まあそれまでが盛大に叩き料理になっていたと言ってしまえばそれまでですが。

『TRADEWEB  OFFER  BID  前日比 時間
2年    -0.121  -0.114  -0.004 15:05
5年    -0.067  -0.06  -0.011 15:07
10年    0.143  0.15  -0.015 15:02
20年    0.524  0.531  -0.026 15:07
30年    0.723  0.73  -0.027 15:09
40年    0.773  0.781  -0.033 15:06』

で米国債券様がまあ堅調で帰ってきて10年入札ですかそうですかという話ですが、0.1台乗ってるんですから何とかなるんでしょうかね、絶対水準的に全然調達コストに見合わないからモチキラーの人は引き続き後ろの方にしか行かんのはこの程度の水準では変わらん気もするけど。



〇債券市場サーベイは何かタイミングが合わんですのう

https://www.boj.or.jp/paym/bond/bond2102.pdf
債券市場サーベイ <2021年2月調査>
回答期間:2021年2月1日〜2月5日
調査対象先数:69先

ということで投下されましたが、何せ回答期間が2/1〜2/5だったので例の時事通信砲の前(時事通信砲は2/10の夜中)で、回答は案の定の結果でありますな。

(1)貴行(庫・社)からみた債券市場の機能度(注)
(注)債券市場の機能度は、(2)@〜Fの質問項目への回答内容等を総合的に勘案して、ご回答下さい。

機能度判断DI
(現状)
前回:-25
今回:-24
(3か月前と比べた変化)
前回:+3
今回:0

(2)債券市場の機能度・流動性に関する各論
@貴行(庫・社)からみたビッド・アスク・スプレッドについてご回答下さい。

ビッド・アスク・スプレッド判断DI
(現状)
前回:+5
今回:+4
(3か月前と比べた変化)
前回:+14
今回:+2

B貴行(庫・社)の取引頻度についてご回答下さい。

取引頻度判断DI
(現状)
前回:-22
今回:-18
(3か月前と比べた変化)
前回:-4
今回:+5

とまあそんな感じになっていまして、前回調査が11月なので11月頭で点検会合とかそんな物件の話もなく、まあ政策は地蔵だし何もないですね〜ってタイミングで、2月の頭だと12月の点検会合アナウンスのビックラが一巡して「まあゆうてなんか出るのかねETFはさておき」というような感じだった時じゃなと。

でもってこれ惜しいのが次が5月になるので、点検会合の結果が反映されるのはもう一巡してそうなこと。もちろん4月の展望レポートでオモシロ見通しでも出してくれるとか、予算も通って五輪も(ピー)でガースー先生もあばばばばーで選挙に向けて新しいトップが出てきたよ〜みたいな流れになっていると色々とあるのかも知れませんけど、なんかこの調査タイミングって微妙な端境期なので季節要因は排除されてて良いんですけど、村全体が端境期になると動かんという状態になっているので中々悲しい結果しか出てきませんな。

なお、2月頭で取引頻度あがっているのは決算に向けた調整が始まるからだとは思うんですがどうでしょうかね。


〇指標金利改革うんちゃら

https://www.boj.or.jp/paym/market/jpy_cmte/cmt210301a.pdf
「日本円金利指標に関する検討委員会」第19回議事要旨
(2021年2月3日(水)、書面開催)

『・ 英国金融行為規制機構(FCA)による、「新たなArticle 23Dの下でFCAが権限を行使することに関連する政策についての市中協議」について、事務局より、正副議長が中心となり、メンバーの確認を経て作成されたコメントレターが報告された。

・ 事務局より、検討委員会としてFCA宛にコメントレターを発出することが提案され、メンバー間で合意された1。』

で、脚注にありますように、レターの方は
https://www.boj.or.jp/paym/market/jpy_cmte/cmt210203c.htm/
英国金融行為規制機構(FCA)の市中協議文書へのコメントレター発出について(日本円金利指標に関する検討委員会)
2021年2月3日
日本円金利指標に関する検討委員会

なので既知のお話でございます。一応備忘でメモだけ。






2021/03/01

お題「月末オペ関連と金曜の相場備忘録/日銀金研ペーパーより(この前の続き)」

へいへいそうだっか
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210228/k10012889621000.html
緊急事態宣言 首都圏除く6府県 きょうで解除
2021年2月28日 5時25分

年末年始は発令しないとか歓送迎会シーズンは発令しないとかいうこの宴会脳っぽいタイミングに味わいが(床に穴が開いて吸い込まれる)。


〇さすがにオペ紙は変わらずで社債買入のコロナ臨時分の減額継続とな

・さすがに輪番はいじらず(ということは増額も行わず)

金曜もあの相場ちゃんでしたのでそらいじらんわなとは思いましたが
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210226c.pdf
長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の月間予定(2021年3月)

先月がこちら
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210129d.pdf

一瞬日付の関係で3−5年が少ないのかと焦りましたが(なおその前にベンダーフラッシュを見ているから勘違いなのは分かっていた)、単に一桁の日付に実施される回数が1回違っているので幅が違っているのでした(笑)。

0−1年:500-1500、月2回(変更なし)
1−3年:2500-5500、月5回(変更なし)
3−5年:2000-5500、月5回(変更なし)
5−10年:2500-6000、月5回(変更なし)
10−25年:500-2000、月2回(変更なし)
25−40年:0-500、月2回(変更なし)
物価連動国債:300、月2回(変更なし)
変動利付国債:500、隔月1回(変更なし)

前回華麗に中期を減額しましたけど、まあ水準が水準になっているから今ここで減額はあり得んし、増額するケースがあったとしてもそれはオペ紙ではやらんで輪番オファーで増額するじゃろ、と勝手に思うのでありました。

しかしまあ何ですな、金曜日とか「指値マダー」みたいなトークは流行っていたと思うのですけれども、だいたい毎度の事になるのですが日銀のオペ関連って、動かそうと思って何かやると思った以上に動いてしまい、それに慌てて今度は指値だのなんだのぶっこんで止めるのですが、それをするとまたぞろそこが止まり処になって動かなくなってしまい、市場機能ガーと文句が出る、という事案を中期輪番スキップ、レンジ拡大前後の大騒ぎ、という事例で2回ほど見た訳でして、コロナショックみたいな外部ショックでの対処はやらんとアカン面はあるのですが、それ以外のケースって日銀が自分で動いて作ったボラボラ相場を強引に止めてウゴカンチ会長相場にしてしまう、という自作自演臭の強い事案になりがちでして、まあ今回は米国発と言ってしまえば米国発なのですが、「点検」という余計な物件があって、点検云々の所からカーブが立ちだしていたとゆーのもあるのではてこの結末はどちらになるのやら。

指値ぶっこんでしまうと、そこに変な壁が出来てしまいますので、まあ指値はやらんに越したことはないとは思うのですが(ガチガチに統制したいなら指値するでしょうけど)、この辺から先は日銀の胆力次第となるので正直良く分からん。ただまあ過去は自分で火付けして燃え方が凄すぎて今度は強力消火器登場、というのがパターンではあったので、この相場を自分で火付けしたと思っているかどうかに寄りそうな気がします(個人の感想です)。


・ドルオペはそのまま継続

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210226b.pdf
米ドル資金供給オペレーションのオファー日程(2021年3月〜5月)

1月末発表分
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210129c.pdf

こちらは毎週火曜日に1Wと3Mがオファーされるというのに変化はないですな。大型連休が入るところに特段の補正は掛かりません(GW跨ぎの所は日数が長くなって補正)というのも平常運転。


・社債買入はコロナ臨時分の減額が継続されるようで

まあ既に減額されましたので特にサプライズでもないと思いますが。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210226a.pdf
CP・社債等買入のオファー日程(2021年3月〜4月)

1月末発表分
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210129b.pdf

CP6000億円、社債1−3年2500億円、3−5年1500億円となって、3−5年は先般減額したのをそのまま継続ということですので、玉が無いんんだかレートが低い(前回は減額したけど結局落札利回りは低下しました)ので減額したんだかという感じですが、いずれにせよ社債のレートがアホほど低くて貸出金利のスプレッドも他の主要国と比べると薄いにも程があるという本邦に於いて、このオペなんか意味があるんかいなという悪態は積極的に申し続けておきたいし、貸金のスプレッドが鉋屑だからリスクマネーが流れてこない、というのはあると思うんだよなー。


まあいずれにしましても、月末前に債券市場ちゃんがあばばばばーになってしまったので、特に今回は面白変更とかをする余地が無くて残念無念(ソウジャナイ)という所でした。


〇結局金曜はETF発動したですかそうですか(ただのメモ)

https://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_etf.htm
指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果ならびにETFの貸付結果
最終更新日:2021年02月26日

2月のを見ますと金曜の所に燦然と輝く通常ETF買入501億円、ということで1月28日以来の買入になっておりますが、何だよ日経27000円台まで静観しねえのかよとか思いながら結果を眺めるのでありました。


〇一応金曜の債券ちゃん備忘メモ

しかしまあ何ですな、金曜日は久々に「米国の長期金利が上昇して米株安になったことを受けて日本の株式市場も〜」と長期金利が国営放送ニュースの市況数字報道のマクラになる、という数年に1度クラスの快挙(怪挙)になりまして、普段出稼ぎに余念がなくても急にこういう時になると円債村村民として金利とは何ぞやとか言い出すアタクシではありますが(アカン)、備忘メモにロイターさんの毎度の記事を引用する安直極まりないスタンス。

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N2KW2A4
2021年2月26日3:33 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続落、米金利上昇が波及し長期金利は5年ぶり高水準

『[東京 26日 ロイター] -
<15:11> 国債先物は大幅続落、米金利上昇が波及し長期金利は5年ぶり高水準

国債先物中心限月3月限は前営業日比25銭安の150円62銭と大幅続落して取引を終えた。前日の海外市場で米10年物国債利回りが一段と上昇して1.6%台に乗せたことが相場の重しとなった。現物市場の10年物国債利回り(長期金利)は、同2.0bp上昇の0.160%。取引時間中には0.165%と、日銀がマイナス金利政策を導入した2016年1月29日以来、5年1カ月ぶりの高水準を付ける場面もあった。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、まあ米国ちゃんが一旦落ち着いた(というか金曜の米国って5年入札が流れてゲロゲロマーライオンになっていたみたいですが、30年とかはそこまで上がっていなかった上に、そもそもFEDはテーパリングはやれるもんならやるでしょうけど、利上げはよーやらんので中期の叩き売りは何ぼ何でもちょっと早かったですかねえ)ようなので今日はどうなるんですかの。

でまあ金曜日は指値だの臨時だののトークもあったようですけど、(引用しないけどこの記事でもコメントがある)20bpで云々ってのも実際にそこまで来たらどうなるのかってのも謎で、20bpっての別に会見でそれっぽいことを言っているだけで、声明文の方では特にそれに関する表記がある訳では無いし、だいたいからして長期金利が下がっている時も別に止めに掛からなかった(金利下がる方の止める手段が無いのはあるが)んですから、まあこの辺は物凄くファジーな世界で、一日一善という感じで1bpとかチンタラ金利が動く所を止めに行く必要あるんですか、というのは良く分からん所ではありまする。

『現物市場でカレント債利回りは、ロングエンドが総じて上昇。20年債は前営業日比0.5bp上昇の0.555%、30年債は同0.5bp上昇の0.750%、40年債は同1.5bp上昇の0.810%。一方、2年債は同1.5bp低下のマイナス0.120%、5年債は同横ばいのマイナス0.055%だった。』

2年の入札が確りだったですからぬ。

『TRADEWEB
    OFFER   BID    前日比  時間
2年   -0.123  -0.113   -0.012 15:11
5年   -0.057  -0.05    0.003 15:11
10年   0.155  0.162    0.021 15:07
20年   0.549  0.557    0.006 15:05
30年   0.748  0.755    0.01  15:07
40年   0.805  0.814    0.018 15:11』

うーんこの。寧ろ横綱から10年が弱いと表現した方が正しい気がするんですけど、という風に思いますと、最初点検でスティープ米国30年債金利上昇でスティープという感じではあったのですが、この金利上昇、先週の後半くらいからはイールドカーブのスティープニングという「金融政策が当面地蔵の中で景況感物価感が先走るのでより長い金利が上昇」という動きよりは「ベンチマークの所が叩き売られて金利上昇」という風情になっている感はする(って後付けで言っても何の意味もないと言われるとぐぬぬとなってしまうのですが、汗)次第でございますが、戻る時にどっちから戻るのかは観測しないと行かんですかね〜。


〇頭出しだけして放置プレイになっております例の件ですがちょっとだけ続きを

すいませんすいません。
https://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/japanese/kk40-1-3.html
HANK研究の潮流:金融政策の波及メカニズムにおける経済主体間の異質性の意義
岩崎雄斗、須藤直、中島誠、中村史一

本文はこちら。
https://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/kk40-1-3.pdf

以下本文の方から引用します。

・金利政策の効果を過大に見積もっているのではというお話(のように読めた)

例によって数式とか見ても分からんのですが、数式が満載の『4. HANK モデルにおける金融政策の波及メカニズム』という所を拝読してみるという無謀な所業に出るアタクシ。

『(1) 波及メカニズムの要因分解』ってのがPDFの14枚目(本文のページは「金融研究」のページが採番されているのでトンチキなページ数になってしまいます)にありまして、まあそこのオイラー方程式とか言われましてもオイラさっぱり分からない(という小学生並みのダジャレを言いたかっただけ)のでその式から導出される部分を定性的に理解してみようというアタクシ。

『イ. 金利に対する感応度』ってのが15枚目にありましてですな、

『(13) 式のオイラー方程式が成立することからわかるように、一般的な HANK モデルにおいても、異時点間代替のメカニズムに従って消費する家計は存在する。(26) 式における Jnc0 の家計がこれに該当する。これらの家計は、RANK モデルの代表的個人と同様、金利が下がると(上がると)、足許の消費水準を引き上げる(引き下げる)。』

参照している式とかが沢山あって全然引用しないので何が何やらという場合は本文を見てちょんまげなのでございますが、そういうのを盛大にスルーして考察というか結論部分だけを強引に読むのがドラめもんクオリティ(アホです)。

『もっとも、HANK モデルでは、固有ショックなどの将来の所得流列に伴う不確実性と、(11) 式の借入制約の 2 つにより、金利低下に対する消費の増加幅が抑制される場合がある。これは、予備的貯蓄のメカニズムによる。このメカニズム自体は、将来所得に不確実性があるもとで、家計がこの不確実性を望まない限り、すなわち、限界効用関数が凸関数である限り、RANK モデルのもとでも生じるが13、HANK モデルでは、不確実性が借入制約と複合的に作用する結果、より際立つ形で現れる14。』

脚注14は

『14 所得の不確実性に関する HANK モデルと RANK モデルのもう 1 つの違いとして、前者がマクロショックだけではなく固有ショックを組み込んでいるため、各家計が直面する所得の不確実性が相対的に大きい点が挙げられる。これは、現実の経済における各人の所得変動がマクロの所得変動よりも大きいことを反映したものであり、モデルにおける予備的貯蓄の影響を高める方向で作用している。』

ということで、ここの中々難しい文章ですが、アタクシが何となく理解したつもりになっているのは、代表的個人みたいなのが、金利下がると異時点間代替によって将来の需要分を消費しまっせ、というモデルに関しては実はそう話は簡単ではなくて、金利が下がるような環境下においては、所得の不確実性が高まると予備的な貯蓄需要が高まるので、異時点間代替が発生しにくい、あるいは発生しない、という事が起こり得る、というお話ですな。

『この点について確認するために、t 期の金利低下に伴って家計 j が消費 Cj,t を増加させる場合を考える。なお、簡単化のため t 期の家計 j には、借入制約は制約的でないとする。消費の増加に対応する形で当期の貯蓄 Bj,t は切り下がるが、これは、t + 1 期以降において、借入制約の (11) 式が制約的になる可能性を高める方向に作用する。借入制約が制約的になるということは、制約式が等式で成立する期の消費水準が、所得と資産の水準に上限を抑えられて非連続的に減少することを意味し、家計は、こうした事態を回避しようとする。不完備市場のもとでは、借入制約のリスクに対する唯一の事前の備えは貯蓄であり、結果的に、t 期における消費 Cj,tの増加幅(貯蓄 Bj,t の減少幅)は、借入制約がない場合と比べて小さくなる。』

どう見てもお経です本当にありがとうございましたという風情ですが(涙)、たぶん家計における借入ってのは代表的個人のようなモデルのように金利感応的にホイホイと制約無く借入を増やしたり減らしたりできるという訳ではないのですから、その制約があるとある分だけ金利感応度って下がるよね、って話をしているんだと思いましたがどうっすかね。

『ロ. 所得に対する感応度(限界消費性向)』という小見出しに進みますと、

『RANK モデルでは、異時点間代替が金融政策の波及メカニズムにおいて中核的な経路であり、所得を通じた間接効果は限定的となる。それは、家計が、異時点間にわたる消費についてオイラー方程式に沿って平準化する結果、金融政策による一時的な所得増の効果が各期で均されることによる15 。』

よく考えたらこの時点で所謂代表的個人みたいなモデルって話が結構無理あるよねと思う次第でして、

『他方で、HANK モデルでは、借入制約により消費の平準化ができない家計や、平準化こそできているものの予備的貯蓄から消費が低水準に抑えられている家計がおり、こうした家計に対しては、当期の所得上昇が大きな消費喚起効果を持つ場合がある。』

この時点で何となくお話の筋が見えてくるのですが、この話は金融政策よりも財政などの所得政策の方が効くやん、という話に繋がる話でして、マネタリーベース直線一気理論で物価目標を達成してマイルドインフレ状態にすれば諸々の問題は解決しまっせ、という魔法の杖みたいなどこぞの理論とは全然違う話になっているものが金研の「金融研究」で紹介されているのが味わいが深い。

『図 5 は、標準的な HANK モデルを用いて、限界消費性向を、各家計が当期に保有する実質資産額の関数として表したものである。なお、高所得(低所得)の家計とは、当期において一時的なプラス(マイナス)の固有ショックが発生している家計のことである16 。図から示されるとおり、まず、限界消費性向は、低所得の家計で保有する資産が最小値である B を取るとき、最も高くなる。(14) 式が示すとおり、このときには借入制約は制約的に作用しており、当期の実質資産額の限界的な増加は、制約式の右辺の上昇を通じて、この制約を直接的に緩和するためである。保有資産額が B を超える領域では、限界消費性向はすぐに 0 になるのではなく、資産額の増加とともに減少する。これは、上述の予備的貯蓄と逆方向のメカニズムが働くことによる。すなわち、当期の実質資産額の限界的な増加は、将来時点において借入制約に陥るリスクを減少させることで、予備的貯蓄の誘因を抑え、消費を喚起する効果を持つ。もっとも、保有資産額が一定水準を上回ると、こうした効果は大きく減衰する。』

『なお、2 節の HANK モデルでは、借入制約の存在が家計間の限界消費性向の違いを生んでいるが、限界消費性向に影響を与える要因として、他の要因を挙げる分析もある。例えば、Kaplan, Moll, and Violante [2018] は、不動産や年金資産など、積み増しや取崩しに金銭的・時間的な費用が発生する非流動性資産を保有している家計にとっては、金利に応じた消費の平準化というオイラー方程式で描写される消費行動が最適ではないことを理論的に示したうえで、こうした非流動資産を一定額保有する家計も、限界消費性向が高くなりうることを指摘している17 。』

ほぼお経なのですが(涙)、この辺は所得の方じゃなくて資産価格の方からのアプローチで、資産価格が上昇した場合に予備的貯蓄需要が発生しないとか、その手の話をしているようですが、非流動性資産を保有している家計は云々の部分とかまさにそうで、メリケンは知らんけどジャパンの人が401kでぶっこんでいる資産価格が仮に上昇したからと言ってよーしパパ盛大に消費するぞーとはならんと思うのでして、まあ色々とムツカシヤとは思うのですが、金利が資産価格からのルートで波及する(というか制約条件を緩和する)という話をしていたりしていて中々オモロイ(ような気がする)。

ってな感じの考察が続きますが時間が無いので続きは明日以降。