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2020/12/30
お題「円債市場ちゃんの死に様がある意味活写されていますな/久々に白井さんを見かけたので雑談」
何となく字面で言っていることは伝わる(自由時報電子版より)
https://news.ltn.com.tw/news/politics/breakingnews/3395120
將官晉升》罕見! 軍醫系統同時5人晉任少將
2020/12/29 10:50
『國防部29日舉行110上半年陸海空軍將官晉升布達典禮,國軍台中總醫院院長洪恭誠(左起)、國防醫學院預防醫學研究所所長洪乙仁、國防醫學院三軍總醫院松山分院院長高中錚、國軍花蓮總醫院院長戴明正、國軍高雄總醫院左營分院院長陳盈凱等5位軍醫少將晉任。(記者羅沛コ攝)』(上記URL先の最初のサムネの写真の説明より)
台湾で国軍の医官が5名同時に少将(軍医少将)に昇任するという人事が行われました、というのようでして、新型コロナの封じ込めに成功している台湾ならではのニュースでございますな(記事本文見ると新型コロナ肺炎の対応についての功績が説明されているように読めました)110ってのは民國110年ってことかいな(2021年が民國110年)。
一方の日本はこの有様であり彼我の差は当然の結果であります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fcb1026dba1d1be683d621e96fd685388bba5981
小池都知事 小中学生を動員≠オ医療従事者に感謝の年賀状プラン 案の定ブーイング
12/21(月) 17:50配信
〇債券市場参加者会合の議事要旨をちょっと真面目に読んでみたけどやっぱり市場は腐海の海にズブズブと・・・・・
https://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond2012.pdf
2020 年 12 月 28 日
日本銀行金融市場局
「債券市場参加者会合」第 12 回議事要旨
何せ昨日も一昨日も横綱の売買高が11000枚ソコソコという事で、いいから今日は半ドンにしやがれ(多分システム更改しちゃったからもう半ドンとか出来ないんですよね)と思う今日この頃でございます(なお半ドンの弊害は債券の一般売買とかオプションやってる方は半ドンなのに短期デスクだけは締まる時間がズレてしまう(いつもズレるんですが半ドンだと特に差が出るから)所ですな、うんうん)が、さてまあこの3か月ほど主要カレントの居場所が動かん(特に20年まで)という素敵な相場でしたが皆様のご意見や如何に?
『1.開催要領
(日時)
銀行等グループ 12 月 9日(水)15 時 30 分から
証券等グループ 12 月 9日(水)17 時 20 分から
バイサイドグループ 12 月 10 日(木)15 時 30 分から
(形式)オンラインテレビ会議・電話会議
(参加者)「債券市場サーベイ」等に参加する金融機関の実務担当者
(本行出席者)金融市場局長、金融市場局総務課長、同市場調節課長、同市場企画課長 』
ほうほうそうですかそうですか。
『2.本行からの説明等
? 本行より、@債券市場サーベイおよび東京短期金融市場サーベイの結果、A国債市場の流動性、B最近の市場動向と市場調節について説明した。
』
そういやサーベイを読んだような気がするのだがネタにした気があんまりない(特に短期)。
『3.参加者の意見
・ 上記説明の後、意見交換を実施した。会合参加者から聞かれた主な意見は以下のとおり。』
ということで・・・・・・・・・
・年末年始大して時間ないけど改めて悩んでみたい何で長期化せんのよの件
『最近の債券市場についての見方』ってのが最初に来ますが、
『・ 国債増発による影響を懸念していたが、前回会合(6月)以降、日本銀行によるイールドカーブ・コントロールにより
10 年金利がゼロ%近傍の狭いレンジで推移しているほか、20 年金利も銀行勢の旺盛な投資需要を背景に横ばい圏内で推移している。日本銀行の買入れが相対的に少ない
30 年などの超長期ゾーンは、7月以降の国債増発や海外金利上昇の影響もあり、幾分金利水準を切り上げている。』
まあそうですなと思いますが、マクラに「国債増発による影響を懸念していたが」ってありますけど、今金利上がって困る人ってそらまあトレーダー目先ロングだと困るとかそういうのはあると思いますけれども、そもそも論としてマーケットメーカーは知らんが、リアル資金投資してるサイド的に円債がパンパンのロングで金利上がったら死亡という人っておらんじゃろと個人の感想です的には思うのですよ、毎度申し上げてますけど。
『・ 政府の経済対策に伴い預金取扱金融機関へ預け入れられる預金が増加していること等から、国債での余資運用ニーズが高まっている。
・ 超長期ゾーンにおいては、生命保険会社の安定的な需要が存在することに加え、地域金融機関や海外投資家の取引が増加している。』
まあ海外ちゃんはジャパンの投資家がヘッジ付き円投外債買ったりするのとは投資行動違うと思うので海外ファクターって準備需要みたいなもの以外ってそんなに安定的には考えていないのですけど(個人の偏見です)、資金循環的にも、金利の絶対水準がやや足りない(あと20〜30有ればもうちょっとこう絶対水準需要がバカスカ出てくると思うんだがアタクシが思ってるだけですかそうですか)ので買いが手控えられ気味という時間帯が長いが故の実質的なバイサイドのショートポジションみたなのも含めて、普通に今長い所をホイホイだしてもエエヤンと思うのですが、この調子だと大して長期化しないみたいな感じでエエのかそれとは思いますよね。
って全然日銀云々と関係ないですけど、ここで長期化、というか膨れ上がった短国の方が気になっておりまして、日銀が買うからヘーキヘーキとか言いますけど、そうは申しましてもどうせ21年度だってコロナで補正1本ぶっこんだ後、衆院選終わったらどうせ今度はポストコロナ(ウィズ・コロナかもしれないけど)社会の為の経済対策とか何とか言いながら21年度2発目の補正とか出るでしょ、と思いまするに、今年度の補正による短国大増発は緊急避難で仕方ない面はあったのですが、21年度当初の時点で短国からのシフトを進めておかないと、緊急避難場所が千客万来満員御礼状態になっている所で大型補正キタコレになったらそっちの方がヤバかろうと思うんすけどね。
何でそんなに増発にビビるのかが良く分からん(と死亡フラグを来年に向けて建築なう)。
・うちの債券市場ちゃんが息をしていないの!!!の部分ですがちょっと引っ掛かるのがあった。
次の『債券市場の機能度・流動性についての見方』の最初の意見に初見で盛大にズッコケたんですが。
『・政府の緊急事態宣言発出中は市場参加者の業務運営体制の変更(在宅やバックアップサイトでの勤務等)により、債券市場の機能度・流動性は大幅に低下した。その後、市場参加者が新たな業務運営体制に習熟してきたこともあり、夏場以降、債券市場の機能度は概ね新型コロナウイルス感染症拡大前の水準に復している。』
いやーこの意見なんすけど、初見でこの文字列を出されると「えーっとすいません、別に相手はガースーじゃないんだから忖度報告しなくっても良くってよ」とか血圧が上がりかけたのですが、よくよく見たらこの方は債券市場における事務周りとかがスムーズに回っているか、即ち債券市場ちゃんにおいて事務処理能力がボトルネックになって取引が阻害されることが無くなった、という話をしているだけである、と二度見した時にやっと気が付いて、危うく変な悪態をつかずに済みましたですあっはっは。
まあキーワードが「機能度」だから機能度って入れたんだと思うのですが、これはあくまでも事務周り面での話であって、市場の価格発見機能とかそういう意味での機能じゃないよね、と思いまするに、ちょっとこれは発言の趣旨をもうちょっと踏まえて差し上げてください、って思ったのだが、まあ実際に忖度ヨイショ発言だったらさすがにちょっとお前という話っす。
まあ事務周りのボトルネックは解消されたんですけど、肝心の取引の方が低調低調あんど低調な訳でございまして、現実問題としては以下の意見にありますように、
『・市場参加者の売買が国債発行入札と国債買入オペのタイミングに集中しているため、セカンダリー市場の取引は低水準となっており、債券市場の流動性は十分とはいい難い。』
という事になっておりまして、ロットが捌けない→普段の取引が控えられる→益々ロットが捌けなくなる、の悪循環に陥っているというかもうアリジゴクから抜けられんじゃろと思いまするに、市場の価格発見機能の部分って、マイナス金利YCCでの金利水準が問題だのの以前に、とにかくセカンダリー市場での日銀のプレゼンスがデカすぎというのも相まっている訳で、これいずれは正常化しないといけない市場機能なのに、ドンドン壊死して行っているという実感しかないので非常にマズイと思う。もしかしたら3次補正とか来年度とかの国債市中消化において、あまり長期化が進まない状況になっているのが、単に発行サイドがビビっていただけではなくて、市場が壊死してきているからだというのであれば物凄くアカン事だと思うのよね。
『・株価や海外金利が変動する局面にあっても、円債市場は安定的に推移したと評価できる一方、ボラティリティが低水準であることは、取引活性化の観点からは必ずしも好ましいとはいえない。』
日経平均が700円上昇する中で横綱が数銭しか動いていない相場に昨日はアタクシも泣いた。
『・発行からある程度期間が経過した一部の既発債は、需給が特にタイト化している。 』
そらまあ日銀があんだけ買うわ投資家はセカンダリー売買低調だわですからシャーナイですな。
『・ 日銀ネットの操作が必要な国債発行入札と国債買入オペへの応札を在宅で実施可能となれば、業務運営体制の一層の向上に繋がるだろう。』
まあ何ですな、アタクシは20世紀脳なので専用線と専用端末じゃないという今の日銀ネットですらすげえええええと思うのですけど、まあ気持ちは良く分かります。ただまあ東証が1日止まっただけでこの世の終わりを招いた戦犯であるかのような非難と処分を食らっておられるという事案が発生しているだけに、あんまりその辺を日銀に求めるのは難しいんじゃないかなあ、と思います。
・オペ運営に関する意見を見ますとまあアレだ
『市場調節運営等』ですけどね。
『・ 新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴い、補正予算・来年度予算にかかるさらなる国債増発観測もあるなかで、引き続き、柔軟かつ機動的なオペ運営および市場参加者との密接なコミュニケーションをお願いしたい。』
『・ ボラティリティが上昇する予兆を捉えた際には、機動的なオペの調整により、過度な金利変動を未然に抑制していただきたい。』
ってのが堂々と出てくるのを見ておじいちゃんはちょっと悲しかったんですけど、いやまあ立場によって意見違うかも知れんけど、今のこの状況の中でしたら「ボラティリティ上等だぜドーンと掛かって来やがれ」となって頂きたいんですけど「市場」の中の人だったら、という位のパッションは持っていたいもんです。勿論その次に、
『・ 債券市場の低すぎるボラティリティに対して、オペ頻度引下げや買入れ日程上の工夫に加え、月間購入額の減額も必要ではないか。
・ 超長期ゾーンの中でも、20 年債や 40 年債については、投資家需要が旺盛であり、需給が逼迫している。市場機能度を改善させる観点から一段と柔軟なオペ運営を期待している。
・ CP・社債等買入れについては、無理に残高上限の達成を目指すのではなく、あくまでもバックストップとしての位置付けでの運用を続けることが、市場の安定に寄与すると考えられる。』
というような一連の意見がありますので、最初の2つが市場の平均的見解とはあんまり思いたくは無いのですけど、まあ市場の流動性やら価格発見機能が落ちているどころか市場の壊死が静かに進行しているというのは、上の方の2つの意見にも表れている(別にこういう意見を言うのが悪いとか怪しからんとかいう価値判断をアタクシはしないように心がけたいです、まあ一つの意見としては有りですからね)んじゃないのかなあ、とまあそういう風に思いました。心配し過ぎかも知れんけどさ。
『今後の債券市場の見方・リスク 』の部分はどうでも良いので割愛します。
〇うっかり日経を読んでしまったので昨日の日経雑感
昨日は1面にアレな物件があったとの読者様の報告を受けてコンビニにひとっ走りして日経新聞を査収したのですがこれは頭がクラクラ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF157Q10V11C20A2000000
中銀、格差・環境にも配慮を 慶大教授・白井さゆり氏
展望 コロナ時代(2)
2020年12月29日 2:00 [有料会員限定]
でまあ有料会員限定というだけに記事ちゃんの方は、
『新型コロナウイルス禍に対応した世界的な金融緩和は経済を下支えした半面、資産バブルや格差の拡大も助長した。気候変動といった新たな政策課題も浮上するなか、中央銀行は今後どう動くべきか。元日銀審議委員の白井さゆり・慶大教授に聞いた。』
『――中銀のコロナ対応をどう評価しますか。
「積極姿勢が目立ったのは欧州中央銀行(ECB)だ。足元の総資産は7兆ユーロ(880兆円強)とコロナの流行前から5割増えた。欧州連合(E...』(以上上記URL先より)
という所で終わっておりますのでシャーナイからさっき申し上げたように駅売り(コンビニだけど)の日経を大枚はたいて絶賛査収して来たわけですが、一番吹いたのは、『2%の物価目標を見直し、持続可能な成長につながる金融政策を探る時期が来るのではないか』(2020/12/29日経新聞朝刊1面より)との御託宣。
さて、ここで白井大先生の過去のMPMにおける重要な投票行動を再確認してみましょう。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130307a.pdf
当面の金融政策運営について
201 3 年 3 月 7 日
日本銀行
『(注1)白井委員より、基金の長期国債の買入れについて、「期限を定めない買入れ方式」を速やかに導入し、「金融調節上の必要から行う国債買入れ」と統合する議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:白井委員、反対:白川委員、山口委員、西村委員、宮尾委員、森本委員、石田委員、佐藤委員、木内委員)。』
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k141031a.pdf
「量的・質的金融緩和」の拡大
2014年10月31日
日本銀行
『(1)マネタリーベース増加額の拡大(賛成5反対4)(注1)』
『(注1)賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、宮尾委員、白井委員。反対:森本委員、石田委員、佐藤委員、木内委員。反対した委員は、これまでの金融市場調節方針を維持することが適当であるとした。』
『(2)資産買入れ額の拡大および長期国債買入れの平均残存年限の長期化(賛成5反対4)(注2)』
『(注2)賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、宮尾委員、白井委員。反対:森本委員、石田委員、佐藤委員、木内委員。反対した委員は、これまでの資産買入れ方針を維持することが適当であるとした。』
・・・・・・・まあ何ですな、最もアレだったのは2013年3月決定会合の提案でして、白井大先生、ここで突如置物理論に乗り換えたのか、マネタリーベース直線一気理論ちっくな提案をまだ白川体制の中でぶっこんでくる、という小早川秀秋もビックリの提案を行いまして(なお宮尾さんはこの会合で金利政策ガイダンス文言の変更を提案していますが、その提案自体は1月の物価安定目標の導入時から連続して提案しています、為念)、まるで敵国の軍隊に攻め込まれた所で急に今までの同僚を全員逮捕投獄して占領軍に差し出すことによってポイント稼ぎをするという露骨にも程があるプレイをしてまだそれなりに活発に生きていた債券村の人々が呆れ果てた、という事案ですわな。
しかも金融政策で格差拡大がどうのだの環境問題だのとか、どうせこれも2013年3月7日の所業と同じくただ単に時流に乗りに行くというパティーンである訳でして、何せQQE2、という黒田緩和が引くに引けなくなった泥沼への道と迷走をひた走るきっかけとなった、日華事変だか南部仏印進駐だかの時に、白井さんが反対側に付けばQQE2は突撃出来ず、もっと持続性のある金融緩和が出来たかもしれないターニングポイントだったのに、ここでもきっちりとQQE2サイドについていますが、結果はどうだったかと言えば申し上げるまでもなし。
つーことでですな、いや別に2%見直しをすべきってんだったらそれでもいいんですけど、その前にご自身が今の金融政策のテイタラクへの流れを作る張本人であったという事を踏まえた言及と言うものをして頂きたいと思いますし、まあそういうの考えてもないでしょうから中央銀行のミッションとしてそれが適切なのか怪しい環境問題だのについても中央銀行ガーみたいな乗るしかないこの時流に、という話をいけしゃーしゃーとするんでしょうなあ(個人の感想です)と思うし、日経も何でまたこのお方を「展望
コロナ時代」の2人目に呼ぶのよどういう人選の感覚してるのよ、とは思いました。
まあ何ですな、そんな訳で時流にいっちょかみの皆様が寄ってたかって「中銀、格差・環境にも配慮を」みたいな話をぶっこんでくるようになっている、という現象を見事に活写したものとしてはこの人選は秀逸と言えば秀逸なのですが、どうせ日経の事ですからそんな晒し上げみたいな発想はないでしょうからね、と思うのでした。何せ日経ちゃんは先日のMPM後の見直し云々に関して(会見QA読みたくて翌日の朝刊を駅(コンビニ)売りで買いましたが)、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK148E30U0A211C2000000
[社説]効果的な金融政策へ幅広く課題さぐれ
社説
2020年12月18日 19:10 [有料会員限定]
とか何とか仰せでしたが、見直しを限定的ではなく幅広く行えみたいな話がイケシャーシャーと書いてあったと思いますが、今まで散々っぱらQQEやらQQE2やら2%目標やら絶賛しておった話との整合性はどうなっているんでしょうかねえという所ですのでまあね。
などとまた変な悪態を書いてしまいました年末だというのに年末気分じゃないから平常運転平常運転。
〇年末のご挨拶
年末ったって単に木金が休みなだけでGWより短いわ、という風情ですけど、まあ何というか今年はバタバタしているうちに終わってしまいましたな、来年は良い年になりますようにm(__)m
2020/12/29
お題「オペ紙(1−3減額)/札勘動画キタコレ/12月会合主な意見を鑑賞」
これはまたしらっとチャーミングな記事
https://www.tokyo-np.co.jp/article/76979
<東京五輪>医師ら5000人を無償で確保できるの? コロナ延期前の計画変えず…医療界に困惑広がる
2020年12月28日 15時08分
無償どころか有償でも確保できない気がするんですが上級国民の楽しみと利け…ゲフンゲフンの為に必要不可欠な東京五輪様のためには汝人民勤労奉仕しやがれということですねわかります。
まあ何ですな、学徒動員(下手したら高校生も含め)を大々的に掛けて30分くらいビデオ見せて「必要な研修は行った」としておけば頭数は揃うんでしょうね、頭数だけは(吐血)。
〇1−3年の輪番が若干減額とな(オペ紙)
・1−3年の輪番が若干減額ねえ
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201228c.pdf
長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の月間予定(2021年1月)
0−1年:1000-2000、月2回(変更なし)
1−3年:3000-6000、月5回(3500-6500から変更、回数は変更なし)
3−5年:2500-6000、月5回(変更なし)
5−10年:2500-6000、月5回(変更なし)
10−25年:500-2000、月2回(変更なし)
25−40年:0-500、月2回(変更なし)
物価連動国債:300、月2回(変更なし)
変動利付国債:500、隔月1回(変更なし)
まあこれは素直に1−3の輪番が1回500億円、月額で2500億円減額になりますよ、という話だと思いますが、何せ昨今の債券市場様は昨日も金曜も先物様の売買高が1兆1000だの3000だのとかいう大変にセクシーな状況になっておられますもんで、ここで1−3減額して何でしたっけ状態というか超長期を減らせ超長期をとか思ったりしますが、まあそれは兎も角としてまるでウゴカンチ会長になって(輪番が地蔵と化したら債券市場も地蔵の度合いが更に高まった希ガス)おりました輪番ですが、ちょっとでも動いた事だけは評価しておこう(謎の偉そうモード)という所ですかね、よくわかりません><
・ドルオペは外部的に変化が無いのでオファーも同様に実施
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201228b.pdf
米ドル資金供給オペレーションのオファー日程(2021年1月〜3月)
こちらは今回3月オファー分が追加されました。1週間物と3か月物が毎週火曜日にオファーされますフルアロットメントで実施しますまでは同じ。適用金利に関してはFED次第とは言いましても、さすがにこれ6中銀協調なので黙って引き上げ(臨時措置解消)という訳には行かないような気がしますが、たぶん金利を幾らに設定するかは形式上はFEDの一存で可能なんですよね。
・CP社債買入も買入オファーのペースは同じ
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201228a.pdf
CP・社債等買入のオファー日程(2021年1月〜2月)
今回追加されたのは2月日程(一々細かく違うのでめんどいですな、笑)ですが、臨時措置の期限延長だの買入枠の流用可能だのとぶっこんでおりましたが、買入のオファー自体はペース金額ともに同じですね。
・新コロオペオファー日程早速延長分全部乗せキタコレ
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201228d.pdf
新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーションの実施スケジュールについて
こっちは9月までの延長が決定した途端に早速9月までのオファー日程をぶっこんで来る、というのがなんかお洒落ですね。ああそれから、
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201224a.pdf
新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーションの実施結果
2020 年 12 月 24 日
日 本 銀 行
『2.貸付予定総額
貸付予定総額 99,697億円
(参考)貸出残高(注) 516,246億円』
51.6兆円かよという所でありますが、これ奨励付利金だけで年間ゲフンゲフンという話になりますけど、何ちゅうかそらまあ一応大義名分はあるにせよ、何で日銀のオペ先の金融機関だけこういうの受けられますねんというのは何だかなーっていうアレは拭えませんけれども、マイナス金利政策が預金金融機関への金融機関課税みたいなもんだから相殺してまっせとかいうのは分かるけど、制度の建付け上この調整(?)によってマイナス金利適用の偏在が起きている筈だし、大体からしてそこまでして維持しないと行けないマイナス金利政策って何なのよ、と小一時間問い詰めたい。
・・・・・・のですが、何の法則だったか忘れましたが、官僚組織は仕事を作る習性があってしかもそれが常に肥大化するとかいう感じで、このオペに加えて地域金融機関特別付利までぶっこんでくるし、何とかワークショップはホイホイ実施しますし、まあ仕事がホイホイと増えて結構な話でおじゃりますなあとか何とか申しあげたくなりますな。
〇「にちぎん・学びの部屋」キタコレ!!!!!!
なおこういう仕事はドンドンやって欲しいですな、と言い出すアタクシの判断基準も我ながら謎ですが(^^)。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201228e.htm/
お札の数え方に関する動画「おうちで、さつかん」の掲載について
2020年12月28日
日本銀行
『日本銀行では、学習用資料リンク集「にちぎん・学びの部屋」に、お札の数え方に関する動画「おうちで、さつかん」を掲載しました(「さつかん」とは、お札を数えることです)。是非ご覧ください。』
にちぎん・学びの部屋』
ということで学びの部屋に参りますと、
https://www.boj.or.jp/announcements/education/kyoiku.htm/
にちぎん・学びの部屋
『バーチャル親子見学会
夏休みや春休みに実施していた親子見学会の一部を、自宅で体験していただけるようにしましたので是非ご利用ください。』
とありますので親子見学会に行くと体験できるのか楽しそうだなという所ですが、
『おうちで、にちぎん(オンライン本店見学)
ご自宅等から日本銀行本店本館(国指定重要文化財)内の新見学コースをお楽しみいただけるよう、3D・VR映像を活用したオンライン本店見学「おうちで、にちぎん」を公開しています。
おうちで、さつかん(お札の数え方に関する動画<YouTubeにリンク>)(注)
ご自宅等から、お札の数え方等を学ぶことができます。
(注)2020年12月28日に追加掲載しました。
こづかい帳のつくりかた(知るぽるとウェブサイトにリンク)
おこづかいの記録のつけ方を学ぶことができます。
銀行券の偽造防止
日本銀行券の偽造防止技術などを学ぶことができます。』
てなのがありまする。ようつべちゃんへのリンクは上記URL先から飛んでちょと思いますのでこっちでは貼りませんので悪しからずご諒承賜ればと損じますが(汗)。
・・・・・・でまあようつべの場合は会社のPC環境だと閲覧不可とかいう場合も多々あると存じますので、まあ個人デバイスでご自宅などで見てちょと思います。引用は当該ようつべ画面になりますが、
『日本銀行 / Bank Of Japan
480 回視聴 2020/12/27』(今朝時点)
『BOJchannel【日本銀行動画チャンネル】
チャンネル登録者数 1490人』(今朝時点)
チャンネル登録1490人しかいないのに480回視聴というのが多いのか少ないのか良く分からんでございますが、こちらの札勘画像、札勘用模擬紙幣(要はただの紙)でやっていまして、横勘がどっちで行くのかと見ていたら5×20で勘定していました(0.25倍速でゆっくり見たので間違えてはいない)。不肖このアタクシも金貸しの手先をやっていたので札勘のようなものは出来る(早く正確に出来るとは言っていない)のですが、アタクシが小僧の時代は5×20と4×25の方式があって、銀行によってどっちを使うかのお作法がある、とか言うのを聞いておりましたな。でもって日銀は5×20ですかそうですか、などと思いながら札勘動画を朝っぱらからチェックしてしまいました。まあこっちの方が正直有意義ですな(爆)。
なお、縦勘はともかく横勘で手の動かしかたとかをこうやってきちんと言語化して説明をされたことが無かったので(何か先輩の手の動きを見ながら見様見真似でやってた記憶が)、特に横勘での扇開きの所、言語化されてて「おー」と思いました。
ところで日銀動画チャンネルちゃんですけど、
『BOJchannel【日本銀行動画チャンネル】チャンネル登録者数 1490人』(人数は今朝時点)となっておりまして、まあゆうとるアタクシもチャンネル登録してないので人の事は言えないのですが、ECBの公式がチャンネル登録4.79万人(人数は今朝時点)となっておりまして(アタクシもECBはチャンネル登録しています)、まあ総裁会見ライブ配信したら一気に人数増えるじゃろとは思ったが、よく考えたらザパニーズで会見やってるからワールドワイドでは視聴されないのかな、などと思いますが、なんか動画チャンネルのトップを見ると一部の動画だけ突如1万再生とかになっていまして、もしかして学校教材か何かで使われてるのかな、とは思いましたが、他にも色々と面白そうなのが満載みたいです(ってアタクシもチャンネル登録していない時点で見ないで話をしているのがバレバレですが、笑)ので年末年始などのお供に如何でしょうか。
〇12月会合主な意見ですが・・・・・・・・・・
さて有意義じゃない方の確認である(悪態)。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2020/opi201218.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2020 年 12 月 17、18 日開催分)
・今回は政策点検だのというのがあるから物価の言及が少ないのはまあシャーナイか
『T.金融経済情勢に関する意見』ですけど、最初の『(経済情勢)』はすっ飛ばしますとして、次の『(物価)』は9人いて政策の数値的目標は2%物価安定目標なのにコメントが5つしかねえよとは思いますが、まあ今回は政策点検の話があるからそっちまでコメントしている字数が無い、というのも分かるのですけど、まあ寂しいは寂しいですな。一応全部並べておく。
『・消費者物価の前年比は、当面、マイナスで推移したあとは、一時的な下押し要因が剥落し、経済が改善していくもとで、プラスに転じ、徐々に上昇率を高めていく。』
はいはい大本営大本営。
『・消費者物価は、Go Toトラベル事業の影響などもあって、当面はマイナスで推移するものの、特定部門における一時的な価格変動を除いてみると、価格引き下げの動きが拡がっている状況にはない。』
そういや基調的な物価のネタをまだぶっこんでおりませんでしたが(明日駆け込みでぶっこみます)。直近で最頻値が10月+0.3→11月+0.1に落ちていたり、上昇品目−下落品目が10月18.4→11月11.1とか、状況が今年の7月8月アゲインになってきているようにも見える(1か月だけなら誤射かも知れない理論は一応成立するにしても)のですが、なぜこの話は大本営強気に言い切れるのかが良く分からん。
『・先行きの消費者物価は、緩やかに上昇していくとみられるが、感染症による経済の下押しが当面続くことを考えると、2%の実現には、かなりの時間がかかることを覚悟する必要がある。』
はい。
『・ 現段階では、再びデフレ的な状況になっているとは判断していないが、先行き、企業や家計の物価観が改善していくかどうかは全く予断を許さない。』
そもそも改善すると思っているのがいやまあいいです。
『・ 現在の物価は一時的要因でマイナスに転じているが、中長期のインフレ予想も弱含んでおり、デフレ再燃のリスクは相応に残っている。為替をはじめとする金融市場急変のリスクにも引き続き注意が必要である』
「デフレ再燃」ってのが(昨日も申し上げましたが)何ちゅうかこのアレでして、物価は経済の結果によるもんじゃろと思うので、デフレ再燃のリスクとか言う前に経済状況のリスクだと思うんですけどね。あと金融市場急変のリスクって正直そんなに危機意識持つ必要あるのかね〜とはアタクシは能天気に思っているのですが、とここで年末年始相場に華麗にフラグを建築してみる。
・政策点検の部分を鑑賞するのである
『U.金融政策運営に関する意見』ですが、割とウケたのは今回コーナーが3つあって、
『(新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムの延長等)』
『(2%を実現するためのより効果的で持続的な金融緩和の点検)』
『(その他)』
となっていましたが、ちょっとYCCの時の主な意見とかを見ると、「総論」から各論(YCCとオーバーシュート型コミットメント)に入っているのですが、(ちなみにこちらです→https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2016/opi160921.pdf)もういきなり総論の方が「その他」扱いになっているのはちょっとウケました。いやまあどうでも良いと言ってしまえばそれまでですが。
『(新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムの延長等)』ですけど、まあ特に読むべきものは無くて、ノーズロで長期化すべきではない、というような意見が出ていないのが寂しいですなあと思いましたが、これはきっと「ノーズロで長期化すべきではないのは自明であるから主な意見に出すまでの事もない」というのがコンセンサスになっているからだ、という風に認識しておきます(棒読み)。
でもって『(2%を実現するためのより効果的で持続的な金融緩和の点検)』だが、全部は読まないですが幾つか。
『・今回の点検では、現在の枠組みのもとで実施している政策の運営面に焦点を当てることが適当であり、来年3月会合までの期間を念頭に作業するのが良い。』
単に運営面の工夫するだけなのに何で3か月も掛かるんでしょうか、おじちゃんさっぱり理解できません。
『・感染症の抑制と経済活動の両立というウィズ・コロナのもとでの状況を踏まえ、2%の物価安定目標をどのように実現していくかについて、議論を整理していく必要がある。』
このお方、似たような趣旨で毎回意見が出ているのだが(主な意見とか議事要旨とか)、結局何が言いたいのかさっぱり分からないので頼むから詳細を出してくれ。フワフワした抽象的な事を評論家みたいに話すんだったらワシでも出来るわ。
『・「物価安定の目標」達成に向けてどのような戦略をとるべきか、改めて総合的に検討することが必要である。』
むしろそれは戦術なのであって戦略と言っている時点で戦略目標が間違っているという潜在意識が浮き彫りにされているようで中々チャーミングだと思いました。
『・「物価安定の目標」を実現し、デフレに戻らないために、戦略、手段、コミュニケーションを点検すべきである。バブル崩壊以後、日本経済は回復の兆しが見えるたびに頓挫することを何度も繰り返してきた。再びデフレに陥ると、雇用の増加といった経済の前向きの動きは後退し、日本経済が浮上する機会は失われる。デフレに決して戻さないという決意のもとで、点検作業をすべきである。』
まあどうせ置物一派という感じですが、そもそものアジェンダセッティングがおかしいのとチャイマスカとか、置物理論がそもそも間違えてませんですかねえとか、まあそういう話が無いのに手段がどうのこうの言われても知らんがなというか、お前らの理論でもう直ぐ8年目に突入するのに2年で2%は全然行かないという時点でちょっと考えろやヴォケ以外の感想は無い。
『・「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みはうまく機能しているので、これを見直す必要はない。2%の「物価安定の目標」をはじめ、我々がコミットしている点も維持すべきである。』
と思うなら点検に反対したら良いのではないか(なお点検云々は議決事項ではなかったようで賛否とかが入っていないから実際にこの人が反対したかどうかは分からん)と思いますがね、いやマジでこの通りだと思うなら「点検を行う、というような公表を行うと現政策の信認を損なうリスクがあり殊更にそのようなアナウンスを行うべきではない」とか書いて欲しかったんですが。
『・資産買入れを含めた金融緩和策の効果と副作用を点検し、必要に応じて持続性や効果を高める改善を図るべきである。』
仰る通りなのですが、このような意見が出ている時点で毎回の会合では何をしているのかと小一時間問い詰めたい。
『・ETFについては、当面積極的な買入れを維持するとともに、金融緩和が長期化する中、財務の安定性にも配意し、市場の状況に応じた柔軟な調整の余地を探るべきである。』
うーんこのという感じで、日銀財務の話よりも大事な論点があると思うし、そっちを前面に出さないと政策議論としての話に説得力が無いと思うんだが・・・・・・・・・・
『・イールドカーブ・コントロールやETF等の資産買入れについて、柔軟な運営により持続性を高めつつ、起こり得る経済・物価・金融情勢の変化に対して、効果的に対応できるよう備えておくことが必要である。』
しかしまあ何ですな、誰か直球で「株価は高値だから買入拡大ペースを緩めるのも一方」位のタマ投げてこんかね、とは思うのですが投げませんですねえ。
『・イールドカーブ・コントロールの運営については、国債増発に伴い市中における金利リスク量の増加と需給の緩みが生じ得ることを踏まえる必要がある一方で、イールドカーブの緩やかなペースでのスティープ化は金融緩和の長期化と金融システムの安定の両立の観点から望ましい面もある。こうした中、より丁寧できめ細かなコントロールが必要になっていく。』
鈴木さんですな、うーん何ちゅうかまあうーんコメントに困るんだよなー、という感じです。
#って結局最初の以外全部引用してしまいましたな
という所で本日は勘弁。
2020/12/28
お題「黒田総裁経団連講演ネタの続き/その他少々」
そういう問題ではないのだが・・・・・・・・
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020122700276&g=pol
自民党の二階幹事長、大人数会食批判に反論
2020年12月27日19時54分
『自民党の二階俊博幹事長は27日放送のBS朝日番組で、自身を含む菅義偉首相らとの大人数会食に批判が出ていることについて「会食を目的にやっていない。意見交換を考えてやっている。全く無駄なことをしているわけではない」と述べ、反論した。』(上記URL先より)
有意義なら昼にスナックで大人数カラオケやってても良いという話でございますかそうですか(杉様が「忘年会」「野球の話をしていた」と仰せになっておられたような気がしますが)、というか上級国民様がこうやって(他にもあちこちで開き直り発言が散見されるが)いるのに何でワイら人民はああだこうだ言われにゃならんのよ、って話でしょうな
コロナの件では、特に最近ですけどコロナ対策でどうのこうのとか国民に仰せになっている側から上級国民様は重要な事をしているので治外法権と言わんばかりのこの説明ばっかり見せられる訳で「美しい国日本」とは何だったのかいうか、この調子で上級国民がほざいているとマジで日本のモラル崩壊に繋がり兼ねないので国賊とかいうレベルを超えてて此奴らもはや第五列ですな。
唯一の救いは時事通信の写真選定が秀逸なことですな(救いになっていない)。
〇黒ちゃん経団連の年末講演の続きだが「成長力強化」というのでしたら・・・・・・・
金曜はアレでおしマイケルにしようかとも思いましたが思い直して続きを。あとHTMLバージョンも出ていますのでHTMLの方から引用します。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/ko201224a.htm/
【講演】
感染症への対応と中長期的な日本経済の課題:ポストコロナも見据えて
日本経済団体連合会審議員会における講演
日本銀行総裁 黒田 東彦
2020年12月24日
でもって金曜は経済の話と金融政策の話の部分までネタにしましたが案の定の内容ということで残念でしたが、その次が『4.ポストコロナも見据えた日本経済の成長力強化』って小見出しで、まあ他の話は何を言っても空しいだけなので、そういう意味ではここは力が入っていると思いますということで鑑賞して進ぜようではないか。
・のっけから中々笑かして頂けるのがもうね
『新型コロナウイルス感染症の大流行は、今なお世界経済に甚大な影響を与えており、わが国でも多くの方々が懸命な努力を続けています。』
なお政治家が(以下略)。
『まず、危機からの脱却のためにすべきことは、感染症の封じ込めと経済活動の両立です。同時に、こうした時だからこそ、危機を乗り越えた先、すなわち、ポストコロナも見据えて、日本経済全体で取り組むべき課題を考え、そして、今回の経験から得られた知見も活かしつつ、しっかりと取り組んでいくことが重要です。』
いやー実に良い事を仰るんですが、だったら何で正常化後の政策に関して質問をすると「全く考えていない」とか言い出すのか1ミクロンたりとも理解できないのですがどうなっているんでしょうか??????せめて「将来においては必要な議論だが今その話をすると混乱を招くので差し控える」で良いと思うし、それ以前の問題としてFEDとかは全然出口と関係ない時期において「出口においてどうのこうの」みたいな議論をしてリリースをしてたわけですよ、結果として順序とかはその時に出したのと違っていましたが、政策割り当ての論点などから見たら良い話だったし、大体からして出口近くにそういう話を公表するとまさにエライコッチャになりますので、だったら今のうちに議論してこうですよって塊を出した方が良いと思うんですけどねえ。
・・・・・ということで掴みから盛大に爆笑させて頂きました。令和の爆笑王降臨。
・黒田日銀の中ではどっこい死なない置物理論キタコレの箇所が次に来る
『バブル崩壊や金融危機の経験を振り返ると、大きなショックの後には、低成長が長引くという問題がしばしばみられます(図表9)。例えば、バブル崩壊後や90年代後半の金融危機の後の日本、また、リーマン・ショック後の先進国全般が、そうした問題を経験しています。』
さいですな。
『低成長が長引くと、事後に対応する社会的コストが大きくなることは、デフレに苦しんできた日本経済をみれば明らかです。』
何故そこでデフレの話になる??というかそもそも苦しむデフレって1920年台大恐慌みたいなレベルのデフレなら兎も角、それよりも低成長で苦労したんだろ何でここでデフレとか言い出すかね、という事で、まあ何だかんだ言いましても置物理論は黒田日銀の中では死にませんなあ、と更にゲッソリーヌになりながら先に進む。
・ショック対応の話と長期的な話は別というのは仰せの通りではありますけどね
『こうした経験を踏まえて、今回、各国の政府・中央銀行は、感染症のショックが、長い期間、後遺症として経済に影響を及ぼし続ける、いわゆる「scarring
effect」を、できるだけ回避するために、懸命に取り組んでいると言えます。』
ということになっているのだが、どう見ても「ショック対応」と「その後の対応」について欧州はちょっとアレだが、米国に関しては明らかに「ショック対応はしますよ、でもバジョット・ルール方式で対応しますね」であって、ショック対応としては「scarring
effect」とやらを軽減しようとしていますが、その後のノーズロ対応に関しては歯止めが掛かっていると思うのですけどね。
『一般的に、経済の成長力は、「労働投入」と「資本投入」に加えて、技術進歩を示す「全要素生産性」の3つの要素によって規定されます。そのうえで、大きなショックの後に低成長が長引く理由としては、(1)ショック時の失業増加などが、回復期の労働投入にも影響を及ぼす「履歴効果」、(2)設備投資の抑制による「資本投入の停滞」、そして、(3)「技術進歩の停滞」、の3要因に整理されることが多いと思います。』
うーんこの。
『感染症の影響が収束した後に、しっかりとした成長経路に復していくためには、こうした問題に対処することが大事です。そこで、この3つを軸に、中長期的な視点から重要と思われる課題についてお話したいと思います。』
ということなのですが、以下の話に関してはまあ黒ちゃんだか日銀の中の方々だか知りませんけど、一応思い入れはありそうなので敬意を表してご紹介しますけど、いやだからその一方で何でもかんでも延命するスキームみたいなのをぶっこんだら、そらまあショック対応には必要なのですが、もう少し長期的に見た時に産業構造の転換とかそういうのを阻害する要因になっていて、それが日本の潜在成長力の長期低迷に繋がってませんかねえ、とかいうとシバキ脳とか言われそうなのですが、これ程度問題の話で、ジャパンの場合はその辺のバランスが悪くて、労働者はこの20年位やたらシバカれるのに何でこうなる、という風に思っているうちにこっちもジジイになってしまいましたが(涙)、何がどうだか分からんのだが、なんかがおかしい気がする。
ということで以下を折角なので鑑賞して進ぜよう。
・労働者のスキル維持向上云々の話だが何か肝心なものが抜けている希ガス
最初は『労働投入:労働者のスキル維持・向上』です。
『最初に、労働投入です。労働投入に関する経済危機の「履歴効果」とは、雇用調整によって失業した労働者が、スキルを低下させてしまうことや、労働市場から退出してしまうことで、その後の労働投入に影響が残ることを指します。』
はい。
『この問題は、欧米で指摘されることが多いですが、わが国でも、いわゆる「就職氷河期」世代の問題が、20年近く経った現在でも、なお議論されていることを考えれば、注意が必要なことが分かります。』
うーんソコデハナイ感がありますが、就職氷河期世代がどうのこうの話をしたがるの置物大先生なので、何ちゅうかこんなところにも置物の影が。就職氷河期だから云々よりも有効な職業訓練みたいなのを社会的にぶっこまない(いやまああるのは知ってますが人口に膾炙してるか問題とか活発に皆が利用するのか問題とか)で個別企業にやらせるという労働政策の一方で使い捨てみたいな使い方する企業がありーのそれを止めない労働政策ありーのとかの話で、世代がどうのこうのの話ではないと思うの。
『この問題を大きくしないためには、ショックの発生時に失業者をできるだけ増やさないことが重要です。』
一定のセーフティーネットと職業訓練の充実(ってちなみに今日この後読書室でご紹介しますが金融DX関連の本を紹介する中で北欧の事例が出ていてそっちに盛大に影響を受けている説があるのですが自分^^)とかいう話になるような気が。いやまあそれ一朝一夕にできないから急場はしょうがないけど。
『今回、各国が取り組んでいる、雇用維持や事業継続の支援策は、こうした労働投入の履歴効果の問題に対応する観点でも有効です。日本でも、政府の雇用調整助成金や持続化給付金、政府・日本銀行の資金繰り支援のもと、企業や金融機関の取り組みによって、大規模な失業や倒産の増加は起きていません(図表10)。』
などと言ってたら次の所でそういう話はさすがに出てくる。
『ただし、より長い目でみれば、労働投入の面で、さらに求められることがあります。それは、企業が雇用する労働者のスキルを、経済構造の変化に対応できるように、進化させていくことです。感染症を契機に、ビジネス環境の大きな変化に直面している現在、既存のスキルを維持するだけでは、十分な競争力が保てません。感染症の流行前でも、適切な人材の不足が、業務拡大のボトルネックとなったことがよく聞かれました。現在も、デジタル化の取り組みが進む中で、IT人材の不足が、喫緊の課題とされています。こうしたもとで、大きな変化に果敢に対応していくために、企業内教育によるスキル向上はもとより、他業種との人材交流によって新たなスキルの吸収を進める企業もみられています。これまでも、企業の皆様は、構造変化に対応した雇用者のスキル向上に努めてきましたが、こうした取り組みを一段と進めていくことが重要です。』
ちょwwwおまwwwwww
いやまあこれ相手が経団連だから経営者はかくあるべしって話をしているのでしょうけれども、そのスキル向上の部分ってもっと大々的に政府部門が労働政策としてぶっこむべきなんじゃネーノというか何というかで、企業に任せっぱなしだと市場の失敗みたいな事になると思うし、そうなってしまっているのがジャパンのありようなんじゃネーノと思うんですけどね。まあ話の趣旨は分かるのだが結論になんか抜けがあるなと思うのでした。
あと、まあそういう事ならば日銀のコロナ対策ちゃんも「必要ならば継続します」とか言ってるのではなくて「あくまでも時限措置なのでこの時間を利用して改善してちょ」という話をした方がエエンチャウノとは思いましたです、まる。
・結局高貯蓄率大勝利になってしまった面を説明せんでもエエじゃろうにと思いましたが
次が『資本投入:設備投資による資本ストックの蓄積』である。
『次に、資本投入についてです。資本投入の面で、大きな危機の後に低成長が長引く要因として指摘されるのが、必要な資本ストックの蓄積が阻害されることです。すなわち、危機に伴う収益悪化や、経済の不確実性の増大、資金調達環境の悪化などから、設備投資が過度に抑制され、また、その後も企業の慎重な姿勢が続き、資本蓄積が長期間停滞することです。』
ほうほうそれでそれで?
『ここで、わが国企業の設備投資スタンスを振り返ってみたいと思います(図表11)。わが国では、バブル崩壊後、デフレが続くもとで、企業が設備投資に消極的な状況が長く続きました。しかし、昨年この場でも述べたように、ここ数年は、高水準の収益も背景に、企業の投資スタンスが、確実に積極化してきました。そうしたもとで、本年入り後、感染症のショックに見舞われました。確かに、積極的な投資を行ったうえで手許に残っていた高水準の貯蓄が、今回のショックの影響を和らげた面もあります。しかし、重要なことは、そうした経験に基づいて、過度に投資スタンスを慎重化させることは、将来の競争力の差となって現れるということです。』
でもそもそも高水準の貯蓄が無かったら死ぬんじゃあダメじゃん。
『企業の皆様は、この点を十分に認識していると思います。企業の方からは、リーマン・ショック後の大幅な投資抑制が、その後の競争力低下に繋がった経験を踏まえ、今回、必要な投資は続ける、という声が少なからず聞かれます。』
『ポストコロナも見据えると、感染症の流行前にみられていた、未来に向けた投資を積極的に行うという、前向きな流れを途切れさせないことが大事だと考えています。』
うーんこの無理矢理な展開という感じですな。どうせアピールするなら「今回のようにショックの中でも金融面では政府日銀は手厚いサポートを行うので、企業経営者の皆様は安心して競争力・成長力の強化に前向きな設備投資を継続して下さい」という方がエエンチャウノとは思いましたですが、まあこういうしかないのかなあ、しゃーないかなー。
・成長投資の話も何かちょっと・・・・・・・・
3つ目の最後が『技術進歩:成長投資の継続』です。
『技術進歩も重要な要素です(図表12)。危機の後に、技術進歩が停滞し、経済全体での生産性の伸びが低迷するという例は、リーマン・ショック時をはじめ少なからずみられます。この背景には様々なことが考えられますが、1つには、企業の研究開発投資の不足が挙げられます。』
ほうほう。
『研究開発投資が消極化すると、先端技術の導入が遅れることで、イノベーションが生まれにくくなります。このように、技術進歩には、中長期的な視点での成長投資と、そのもとでの革新的な取り組みが必要です。』
ですな。
『この点、現在の厳しい経済環境のもとでも、企業をはじめ、わが国の様々なレベルにおいて、一段とデジタル化を推進しようとする動きが進んでいることは、注目すべき兆候です。』
うーん間違ってはいないと思うんだがなんかちょっと違う気がするんですけど、おじちゃん頭が弱いのでうまく言語化出来ない。
『実際、企業のソフトウェア投資は、設備投資全体と比べて堅調なスタンスが維持されています。企業の皆様が、こうした成長投資を通じて、イノベーションを産み出していく姿勢を維持しているのは、大変心強いことです。』
節子、それ省力化投資や。イノベーションチャウで。
・・・・・と申し上げてみましたが、いやまあどうなんでしょうね、なんか技術進歩に成長投資というのとちょっと違う気がしますわ。
『以上、中長期的な視点に立って、わが国経済を持続的な成長経路に戻していくために重要なポイントを、「労働投入」、「資本投入」、「技術進歩」という3つの観点でお話しました。もちろん、感染症の問題が収束した後の、いわゆるニューノーマルの経済がどのような姿になるのか、現時点では、誰にも分かりません。しかし、過去にもこの場で述べてきたように、大きな変化に直面した時に、一歩先んじて行動し、チャンスに変えることで、企業は大きく成長することが可能になります。持続可能な開発目標(SDGs)の実現という観点から取り組みが進む、環境問題も同様です。多くの企業が、環境問題に取り組まれているのは、社会的な要請に応えることはもちろん、将来の新しい社会における競争力向上にも繋がると考えてのことだと思います。企業の皆様には、未来の成長力を高めるための視点を持って、様々な課題に果敢に挑戦していただくことを期待しています。』
SDGsの話を無理矢理入れていたり、なんかいい話をしている筈なんだが微妙にコレジャナイ感があるんだよなー。ということでこのコーナー終了であとは結語なのでパスします。
〇例の地域金融機関特別付利制度の要綱が来ましたな
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201225g.pdf
2020 年 12 月 25 日
日本銀行
「地域金融強化のための特別当座預金制度基本要領」の制定等について
『日本銀行は、本日の政策委員会・通常会合において、地域金融機関が将来にわたり地域経済を適切に支え、金融仲介機能を円滑に発揮していくための経営基盤の強化に資する観点から、下記の諸措置を講ずることを決定しましたので、お知らせします。』
『1.「地域金融強化のための特別当座預金制度基本要領」を別紙1.のとおり制定すること。
2.「系統中央機関の会員である金融機関による地域金融強化のための特別当座預金制度の利用に関する特則」を別紙2.のとおり制定すること。
3.1.および2.の実施に関し、日本銀行法(平成9年法律第89号)第43条第1項ただし書きおよび同法第61条の2の規定に基づき、別紙3.および別紙4.のとおり財務大臣および金融庁長官に認可を申請すること。』
という訳で相変わらず通常会合扱いなんですね、と思ってそういえば通常会合扱いと言えば株式買入(ETFではないよ)の時ってどうだったけと一々調べに行くのがアタクシの仕草なのですが、こちらは何せまだ残高があるので要綱その他の物件も残っている(というか新法以降のアーカイブは割と普通にある)のだ。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2002/fss0210a.htm/
「株式買入等基本要領」の制定等について
2002年10月11日
日本銀行
でまあ何でこれを見たかったかと言うと、この時も通常会合マターで要綱も通常会合だったですねえというのがあって、あとは所管部署がどこになるのかというのも見たかったのですけれども、この時は局跨ぎの案件になっていた(そもそもが考査局とかあって今の局室体制と違うんでまあ何ですが)ようですが今回は金融機構局様のお名前しか出てこない感じですかそうですか、この違いis何なんでしょうかね。まあ株式の場合は日銀が株を保有するということで日銀の経営指標に影響出るとか、そもそもこの時は「金融システムの安定」(上記URL先の文書を読んでちょ)というのが濃厚だったとか、そういうのがあるのかねとは思うが最早18年も前の事なのでちょっと。
でもって要綱は良いとしまして、ポイントとかいうのが出ている。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201225f.pdf
「地域金融強化のための特別当座預金制度」のポイント
(2020 年 12 月 25 日更新)
『1.環境認識
・地域金融機関の経営環境は、人口減少などの構造要因や低金利環境の継続に加え、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、厳しさを増している。
⇒ 地域金融機関が将来にわたって地域経済をしっかりと支えていくために、経営基盤強化に向けた取り組みを後押しする制度を導入することを決定。
2.制度の概要
・地域経済を支えながら経営基盤強化に取り組んだ地域金融機関に対し、当該地域金融機関が保有する日銀当座預金に上乗せ金利(年+0.1%)を支払う。
・3年間(2020〜22 年度)の時限措置。』
ということで出た時と同じ話(当たり前だが)ですが、 まあ何と申しますかこの要件のうち、@のOHR改善よりもAの経営統合の方が優遇期間金利適用期間が長い(@は年々数字がキツくなるのに対してAは統合しちゃえば後は3年間ホイホイと優遇金利が適用される)という時点でナンジャソラという感じですし、
『(1)対象先
・地域銀行、信用金庫(日本銀行の取引先)
―― 日本銀行の取引先ではない協同組織金融機関(信用金庫、信用組合、労働金庫、農・漁協等)は、それぞれの系統中央機関経由で本制度を利用することを可能とする(以下「系統スキーム」)。』
経営統合あり気みたいな制度と組合金融機関って相性悪いだろ(株式会社とチャイマスから)とか、まあそもそも何で地域銀行だけなのよとか、まあ色々とあるのでは以前も話をしたと思いますし、大体からしてこれまで経営努力をしてきて現時点でOHRが低い(改善している)所はこの制度適用を受けるのが大変とかいうのって何だよそれという感じでして、同業態全体の対比でOHRが優秀な所に報奨出すんじゃなくて、今まで水膨れ経営していたところが改善した方がオイチイ目を見るというのは非常に釈然としませんわな、そらまあどっかで線引きが必要なのは分かるけどさ。
でまあこれ既に経営指標が良い所も、こういう制度がぶっこまれたら何か対応しないといけなくなるので、その辺の企画部門の皆様におかれましては報奨は貰えないわ余計な仕事は増えるわとか、割と有難迷惑な話ですなナムナムナム。
〇年末も近いので急に読書室(DX金融2題)
DX金融2題と聞くだけで何の本かはお察しかと存じますが(^^)。
・「デジタル化する世界と金融 北欧のIT政策とポストコロナの日本への教訓」(中曽宏監修 山岡浩巳・加藤出・長内智著)金融財政事情研究会
副題の通りでございまして、スウェーデン、フィンランド、エストニアのIT政策とか金融のDX事情とかの話がありまして、最初に巻頭言っぽいのがあって最後にまとめがある、という構成になっていますので、どこの章から読んで行ってもよろしいかと思います。昨年9月にこちらの方々などが北欧諸国の金融DX状況の視察団ということで見に行って来た状況と、各国のそこに至る経過とかのお話でオモロイと存じますです、はい。
ちなみに全編上質な紙にカラー刷りになっていまして、確かにカラー刷りじゃないとこれは色々な写真が多いので見れんわなとは思いましたが、その分お高くなっておりますので念のため申し添えます。
ISBN978-4-322-13558-9 C2033 \2800E
・「金融の未来 ポスト・フィンテックと「金融5.0」」山岡浩巳(金融財政事情研究会)
ということできんざいの回し者かと言われそうですがまあそこは華麗にスルーして頂きまして、こちらは金融市場局長、決済機構局長を務められた山岡さんの本で、経済金融のDXの話(特に金融+情報という最近の流れなど)でもあるのですが、マネーの前史についての説明もあります。全くの金融初心者だと難易度がやや高い(きんざいの本だけに)かも知れませんが、マネー(お金)というもんが何ですか的なところから掘り返して俯瞰できるので前半の部分も何気に良いかと。
ISBN978-4-322-13537-4 C2033 \1600E
・・・なお、金融DXとはまるで関係ないですが、先日某都内の某大型書店で麿ブックが依然として平積みになっていたのでほほうと思って奥付を見たら「2019年11月19日 第5刷発行」とあって貫禄の麿クオリティキタコレと嬉しくなりました。なおアタクシは置物日記の方で引っ掛かってしまい麿とかの方があんまり読めていないという如何なものかという事に気が付くのでありました、ダメじゃん。
2020/12/25
お題「いろんなワークショップとか何とかが投下されてますな/経団連での年末黒ちゃん講演である」
こんなビックウェーブ(かどうか知らんが)があったのに気が付くのが遅れた。
https://jp.reuters.com/article/toshiba-meti-harvard-idJPKBN28X0PW
2020年12月23日4:11 午後UPDATED
今夏の東芝株主総会、経産省参与がハーバード大基金に干渉=関係者
『今年の東芝の株主総会は、物言う株主の外資系ファンドが社外取締役候補を独自に提案し、会社側と対立した。東芝の議決権4%超を保有するハーバード大基金は大株主の1人として動向が注視されていた。関係者3人によると、ハーバードは経済産業省参与に5月に就任した水野弘道氏から説明を受け、議決権行使を断念した。ハーバードはその後に独自の調査を行い、水野氏の説明には法的な根拠がないと認識したという。』(上記URL先より)
経産省参与って誰やねんと思ったらあの水野弘道さんじゃあーりませんか。
大門先生がこれをネタにすると共産党員がコーポレートガバナンスについて政府統制に反対する方向で物申す、とかいう物凄くシュールレアリズムな世界が発生するので是非一丁。
なお皆様ご案内の事とは存じますがご参考までに。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58434770U0A420C2000000
米テスラ、GPIF元幹部の水野氏を社外取締役に
自動車・機械 2020年4月24日 7:09
『水野氏がCIOだった19年12月、GPIFは株式の借り手がどう議決権を行使するか見通せないことなどを理由に、信用取引で空売りを行う投資家への外国株の貸し出しを停止すると発表した。世界の機関投資家に影響を与える判断で、マスク氏は「ブラボー、正しいことだ! 空売りは違法にすべきだ」とツイッターで評価していた。』(上記URL先より)
〇別にやるなとは言わないけどこう連発されると・・・・・・・
・気候関連も結局お付き合いどころか熱心にですかそうですか
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201224b.htm/
気候関連金融リスクに関する国際リサーチ・ワークショップの開催について
2020年12月24日
日本銀行金融機構局
ECBがギャースカ言ってると思ったら今回は売電がケリーを起用して環境どうのこうのということで、今後しばらくは環境だのなんだのというのがムーブになるというのは分かりますが、
『近年、世界的に気候変動に対する関心が高まるなかで、中央銀行や金融監督当局、さらにそれらが参加する国際会議等において、気候変動が金融安定を損ねるリスク(気候関連金融リスク)を巡る議論が活発化している。』
っていう話だが、そらまあ明日海水面が10メートル上昇したら標高の低いところにあるデータセンターとかが死ぬので決済が回らなくなる可能性があってシステミックリスクとかそういう話はあるんでしょうが、「気候変動が金融安定を損ねるリスク」ってナンヤソラというのは思いっきり思う。
だってさ、気候変動に伴う云々って別に今日の明日に突如に映画「ザ・デイ・アフタートモロー」がやってくるようなもんじゃなくて、時間をかけて影響が出てくるもんなんで、起きうる事象は計測できるじゃろうし、もちろんそれによってオランダ一国全部水没的な災厄はあってじゃあどうするのどうしようもないじゃん的な話はあるでしょうけれども、むしろそれ社会構造に関わるリスクで、金融安定を損ねるリスクって真面目に意味不明で、仕事作るための問題意識設定かよと悪態の一つもつきたくなるんですが、
『日本銀行は、気候変動に関して、2019年にNGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)に参加する等、国際会議や各国当局、金融機関を含めた関係者との意見交換等を進めてきている。そうした活動の一環として、日本銀行金融機構局は、2021年3月25日と26日の2日間に亘り、気候関連金融リスクに関する国際リサーチ・ワークショップを開催することとした。』
やるのはやったらとは思いますがワークショップ開催かよ。
『同ワークショップには、内外の学者、中央銀行、金融監督当局をはじめとする政府機関、国際機関や金融機関等の関係者がオンライン形式で参加し、気候関連金融リスクについて、学術論文の報告や、金融システム関連政策面の取り組みに関する議論を行う予定である。
当日の議論の内容については、概要を取りまとめたものを、後日、当ウェブサイトに掲載する。』
ということで何が出るんだかまあ見てやろうじゃないのとは思いますが(悪態をつきつつ当局様が鉦や太鼓で音頭を取って踊りを始めると民間人たるアタクシどもは踊りを無視するわけにもいかない、というのが民間人の悲しい習性なのですよ)、気候変動リスクに関する議論自体はそらそれで社会への変容みたいな事を招く話だから重要で、そっちの議論は大いに進んで頂きたいとは存じますが、それに「金融安定を損ねるリスク」とか言って中央銀行がいっちょ噛みするのは甚だ理解致しかねるところではございます。
・・・・・などと債券村(出稼ぎもしますが)の片隅でウジウジと申し上げておりますが、なんか本件妙に気合が入っておられるようで、同時にこんなもんがぶっこまれております。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2020/rev20j16.htm/
気候関連金融リスクに関する国際的な動向
―金融システム面での新たな議論―
『要旨』
『近年、世界各地で深刻な気象災害が発生していること等を背景に、世界的に気候変動に対する関心が高まっている。気候変動は社会・経済に広範な影響を与え得ることから、国際的に、金融システムへの悪影響、いわゆる気候関連金融リスクに関する議論や取組みが活発化している。気候関連金融リスクの把握は、気候変動そのものの不確実性の大きさや時間軸の長さ等から従来の金融リスクとは異なる難しさを有しており、各国・地域の金融当局や金融機関を中心に、その波及経路の特定やリスク計測手法の構築といった試みが進められている。』
まあその手の話がああだこうだ書いてありますが詳しくは読んでないのですけど、まあざっと読んだ限り「金融安定リスク」を持ち出すのって気候変動のムーブメントに中央銀行がいっちょ噛みしたい為にする議論なんじゃないっすかねえ、という疑念はあんまり晴れないんですけどね。
『本稿では、気候変動問題と金融の関わりを議論したうえで、気候関連金融リスクの特徴とその把握等に向けた取組みについて、国際的な動向を紹介する。』
ということでまあこちらでは国際的な動向を紹介しています。本文ね。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2020/data/rev20j16.pdf
気候関連金融リスクに関する国際的な動向
─ 金融システム面での新たな議論 ─
さらに気合が入っているのは
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2020/wp20e08.htm/
気候変動と金融システムの相互作用:先行研究のサーベイ
ナンジャソラという感じですが、本文は表紙から72枚組だったりする。
https://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2020/data/wp20e08.pdf
How Does Climate Change Interact with the Financial System? A Survey
すげえええええという所ですが、日本語版ダイジェストもあるようです(もはやその前でめげたので年末年始に読む(優先度は低いけど)ことにします)。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2020/data/wp20e08.pdf
気候変動と金融システムの相互作用:先行研究のサーベイ(概要)
こちらはプレゼンテーション形式で表紙含め28枚組のスライドになっています。
いやまあ別に研究するなとは言いませんけど、気候変動の前にマイナス金利政策がもたらす金融システムへの悪影響とか、各種リスク性資産購入によるクレジットスプレッドへの影響や、欧米対比低水準となっている貸出金利(スプレッド)という構造が金融システムの脆弱性をもたらすリスクの影響とか、そういうものに関しまして是非こちらの気候変動金融リスクとやらの研究位の勢いで稠密な研究をして頂きたいと思うので、なにとぞそちらの方も伏して宜しくお願い申し上げる次第(土下座)。
・こういうのも別に趣旨が悪い訳ではないんだが中銀の仕事なのかねとは思う金融高度化センターネタ
https://www.boj.or.jp/finsys/c_aft/aft201224a.htm/
地域活性化ワークショップ 第1回「地域医療の持続可能性向上に向けた取組み」を開催
2020年12月24日
日本銀行金融機構局
金融高度化センター
『金融高度化センターでは、標記テーマのワークショップをオンライン・ライブ配信で開催しました(参加者:約150名)。』
ということで、
『金融機関を取り巻く環境が大きく変化する中、持続可能なビジネスモデルの再構築に向けての動きが加速しています。中でも、地域を基盤とする金融機関にとって、高齢化や人口減少を背景に大きな変革を迫られている地域経済の活性化は、経営基盤の強化に直結する重要な課題です。こうした分野における金融機関の先進的な取組事例の紹介や参加者との意見交換を通じて、地域経済の活性化のために地域金融機関が果たすべき役割について有益な視点を提供することを目的に、「地域活性化ワークショップ」を連続開催します。』
うーんこの。
『地域活性化ワークショップの第1回目では、「地域医療の持続可能性向上に向けた取組み」を取り上げました。医療機関は人口減や高齢化による医療需要の構造変化に直面しており、経営が悪化している先もみられます。また、財政悪化を受けて、公的支援のみで地域医療を支えていくことも難しくなってきています。こうした中で、新型コロナウイルス感染症が拡大し、医療機関経営のさらなる悪化が懸念されています。地域住民にとって不可欠な地域インフラである医療機関の持続可能性向上に向けて、地域金融機関がどのような役割を果たせるか、本ワークショップで議論しました。』
中央銀行の仕事とは到底思えないんですが。というか「金融高度化」ってこういう話だったっけ。
『ワークショップの模様については、以下をご参照ください。』(貼るのめんどいからリンクは見に行って下さい)
ってあって真面目にやってるのは分かるんだが、一方で例のアレでOHR改善だ合併しろだの話がぶっこまれてみたりしてますし、それ以前の問題のそもそも論としてマイナス金利以下同文がある訳で、何と申しますか粒粒のミクロでみたら仰せ御尤もで結構な事をしているとは思うんですが、政策全体のデザインというものが無い(有ればあんな昭和温泉旅館どころか九龍城塞張りの政策枠組みにならんじゃろ)ので、何ちゅうかこのミクロの部分での努力がマクロ政策対応の所でぶっ飛んでしまい、しかも日銀の仕事は基本政策面ではマクロ政策だろ、とか思ってしまうと関係各位の努力は良く分かるんですけど何だかね〜となってしまうアタクシなのでございました。
つまり「金融高度化」は良いんですがその前にマイナス金利がもたらす金融システムへの(以下同文)。
ちなみに高度化センター様こっちのネタも実施予定ですな。
https://www.boj.or.jp/finsys/c_aft/aft201222a.htm/
第2回SDGs/ESG金融に関するワークショップ「SDGs/ESG金融に関する金融機関の取組み」の開催について(オンライン・ライブ配信)
2020年12月22日
日本銀行金融機構局
金融高度化センター
『日本銀行 金融機構局 金融高度化センターでは、2021年1月27日(水)、標記テーマの金融高度化ワークショップをオンライン・ライブ配信で開催することとします。』
まあこっちの方がまだマクロ寄りではありますが、でもまあ中央銀行のする話なのかね国連なり関連機関にやらせておけばエエンチャウノとは思いますがね。
ESGに関しては米国ERISA法の解釈でESGファクターを考慮することに対する収益インパクトへの説明をどうのこうのが最近また少し変化したとか何とか聞いたような気がしますが、一方で売電政権になりますとこのネタは売電政権ホイホイと食いつきそうなので一層のムーブにはなるでしょうな。
ちなみにSDGsに関しては普通に普遍的な価値観を示しているものだと思ってますので、あとはこの普遍的な価値観をどうやって有効な形で具体策に落とし込むのか、ということなので、なんか形だけ整えてやったふりしてウマーとかにならないようにして頂きたいもんだという感じではありますな、はい。
〇ほぼ完全にスルーされていたような気がする今回の経団連総裁講演
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko201224a1.pdf
感染症への対応と中長期的な日本経済の課題:ポストコロナも見据えて
日本銀行総裁 黒田 東彦
・年末恒例行事で吉例でございますので・・・・・・・・
『日本銀行の黒田でございます。本日は、わが国の経済界を代表する皆様の前でお話する機会を賜り、誠に光栄に存じます。1年の最後に、この場所でお話させていただくのも、今年で8回目となります。』
ということなので過去の軌跡を確認いたしましょう。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_all/index.htm/
講演・挨拶等
年別一覧
「日本経済団体連合会審議員会」で検索しても良いのですが、こちらの講演は年末に行われる
のが仕様になっておりますので、年別一覧をポチっとなとしていっても見やすい。
2013年12月25日 黒田総裁 【講演】「デフレ脱却の目指すもの」(日本経済団体連合会審議員会)
2014年12月25日 黒田総裁 【講演】「『2%』への招待状」(日本経済団体連合会審議員会)
2015年12月24日 黒田総裁 【講演】「転換点を迎えて」(日本経済団体連合会審議員会)
2016年12月26日 黒田総裁 【講演】「世界経済の新たなフェーズと日本経済の課題」(日本経済団体連合会審議員会)
2017年12月26日 黒田総裁 【講演】「人手不足を越えて:持続的経済成長への展望」(日本経済団体連合会審議員会)
2018年12月26日 黒田総裁 【講演】「わが国の経済・物価情勢と今後の展望」(日本経済団体連合会審議員会)
2019年12月26日 黒田総裁 【講演】「好循環の持続に向けて」(日本経済団体連合会審議員会)
2020年12月24日 黒田総裁 【講演】「感染症への対応と中長期的な日本経済の課題:ポストコロナも見据えて」(日本経済団体連合会審議員会)
・・・・・・・感染症のせいにしてしまって今までの事をリセットしてしまいましょう、というのが見て取れますが、ついでに申し上げると今回は「中長期的な課題」とか言い出しまして、まあ展望レポートの見通し期間中に2%に近づく(1%台後半)という物価見通しを出すのを放棄したのでその時点からそうだと言ってしまえばその通りではあるのですが、遂に「中長期的な」課題とか言い出しているのは、もはや目先の話(少なくとも過去の経団連講演の題目は「近い将来」にフォーカスしているというのはお分かりになるかと存じます)はスルー、即ち2%物価目標の早期達成というのも早期達成じゃないというのを正式に降参しに行く布石が打ち出されていますな、という風に勝手気ままな解釈をしましたが、まあそこまでではないにせよ、「早期達成」は封印したいんでしょうから、総裁会見で質問される各位に於かれましては必ず「早期達成はどこに逝ったんでしょうか?」と質問をして差し上げて古傷を毎回掘り返して差し上げないと不親切というものです(白目)。
・まあ正直読みどころが碌に無いのだがちょっとだけ経済の部分でも
でもってさっきのマクラの続き。
『その中でも、本年は、新型コロナウイルス感染症というショックによって、社会・経済を巡る環境変化が特に大きい1年となりました。そこで、本日は、感染症の影響を中心に、今年の経済の動きを振り返ったうえで、この先の経済・物価の見通しについてお話し、日本銀行の政策対応の考え方についてご説明いたします。政策運営についての説明では、先週の金融政策決定会合で示した、より効果的で持続的な金融緩和を実現していくための点検にも言及したいと思います。』
3か月近くも時間をかけてこれからゆっくり点検するというのに、何でそんな前広に話ができるんでちゅかねえ(棒読み)という感じでして、先般の会見でも点検するのを決めうちしまくっていて、それを3か月もかけるの何なんだよと思うし、3か月も掛ける割に事前にやらない事が決まっている(人はそれを茶番ともいう)んだったら一々こういう場で熱心に説明というかプレイアップする必要ねえだろ、と思うので、この辺のコミュニケーション戦略はたぶん元々の所で何か勘違いしてるんじゃないかなあという疑念をぬぐえないアタクシ。
『そして、最後に、今回の危機を乗り越え、その経験を将来の成長に繋げていくために必要なこと、すなわち、中長期的な視点でポストコロナも見据えた時に、日本経済全体として取り組むべき課題について、お話したいと思います。』
2%物価安定目標を早期に達成すればいいんじゃないですかねえ(鼻ホジホジ)。
んな訳で『2.コロナ禍における経済・物価情勢と先行き見通し』って章に入って最初の小見出しが『(経済に現れる感染症の影響)』ですが大体想像が出来る話なので全部飛ばそうかと思ったのですが、最後のはちょっとクスっとなったので引用。
『このように、感染症のショックが及ぼす影響は、企業の業種や規模、消費者の年齢などの属性によって均一ではなく、大きなばらつきを伴っています。そのことは、特に今次局面では、集計値や平均値だけではなく、経済主体の属性毎の状況も含めて、丁寧に経済情勢を点検していく必要があることを示していると考えています。』
なるほどその通りですね!!!!ところで総裁、金融システムの問題に関してですが、システムというのは弱い一か所が切れると影響が連鎖する可能性がありますので、やはり同様に「集計値や平均値だけではない」観点で金融システムの安定性と現政策のコンフリクトについてご考慮頂くのが宜しいかと思いますが如何でございましょうか。
などというしょうもない事を考えてしまった(いちゃもん脳)。『(経済の先行き見通し)』に行きますと、当たり前ですが「コロナ次第」という話。引用するまでもないかもしれませんが一応引用しておきます。
『続いて、先行きのわが国経済の見方です。中心的な見通しでは、感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、海外経済の持ち直しにも支えられて、緩やかながらも改善基調を辿ると予想しています(図表4)。春先に比べると、多くの国で、感染対策と経済活動のバランスを意識した対応が行われています。もちろん、感染症の影響が続くもとでは、経済の回復ペースは、緩やかなものに止まらざるを得ません。しかし、春以降の経験を活かして、的を絞った感染予防策をとりながら、社会全体で新しい生活様式に適応していく中で、経済活動の水準が徐々に高まっていることも確かです。先行きも、メインシナリオとしては、こうした動きが続くと考えています。』
まあ寧ろこれは経済見通しよりも、感染症対策の方での政府の動きはこういう認識が政府部内での共通認識としてベースにあってそこから対策が出てきているんだろうね、とか何とか思う今日この頃。
『もっとも、こうした見通しについては、不確実性が高く、下振れリスクの方が大きいと認識しています。このところ伝えられるワクチンに関する前向きな動きに勇気付けられるのは確かですが、ワクチンが広く普及するにはなお時間を要しそうです。一方、足もとをみると、世界的に感染拡大が続いており、わが国でも再び感染者数が増加している点には注意が必要です。また、感染症の影響が収束するまで、成長期待が大きく低下せず、金融システムの安定性が維持されるかについても不確実性があります。引き続き、内外経済の情勢をしっかり点検していきたいと思います。』
でもって次に物価がありますけど、まあこっちもいつも通りなのでパスして金融政策へ。
・結局点検結果は資産買入の手直しで終わりそうですね
『3.日本銀行の金融政策運営』になりますが、これまた最初の『(感染症への金融政策面での対応と金融情勢)』はパスします。
次に『(「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」の延長)』があるのですが、そこの説明も先般のMPMとMPM後の会見での説明と全く同じなので、引用するとアタクシがまた同じ悪態を付きまして皆様のお目汚しになると存じますのでこれまたパス。
という訳でしょーがねーなー点検を点検するかという話なのですが・・・・・・・・・・・
『(より効果的で持続的な金融緩和のための点検)
第2に、2%の物価安定目標を実現する観点から、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行うこととしました。その結果は、来年3月の会合を目途に公表します。』
『日本銀行は、2013 年から大規模な金融緩和を実施しています。』
「大規模な金融緩和」というのはQQEの事を指すのですが、この言い方だとまるでその前には金融緩和していなかったかのようにも見えるのが結構カチンと来るアタクシ。いや前から散々緩和しててそれを更に超拡大しただけやんお前、とは思うけど先に行きます。
『開始から年を経過した 2016 年の夏には、その効果について、「総括的検証」を実施しました。検証の結果としては、第1に、大規模な金融緩和のもとで、それ以前の極端な円高や株安が是正されるなど、金融環境が大きく改善したこと、第2に、これが企業収益の改善や経済活動の押し上げに繋がったことを確認しました。この点、経営環境がそれ以前と比べて大きく改善したことは、皆様の実感にも合うのではないかと思います。』
とか偉そうに言ってるんですがよく考えたら金融政策の実体経済に対する波及にはタイムラグがある訳で、その点はどうなのという話ですが、この言い方だと金融市場を動かしたから効いたの一点張りにも見えてきて、なんか3月点検を前に年末年始は総括検証を批判的に再度読み直さないといけないなあ、などと思いました。
『一方で、物価面では、第1に、消費者物価は総じてプラス圏で推移し、「物価が持続的に下落する」という意味でのデフレではない状況を作り出すことができましたが、目標とする2%を実現することはできなかったこと、第2に、長きにわたるデフレの経験によって定着してしまった、物価が上がりにくいことを前提とした人々の考え方や慣行を転換するには、なお長い時間がかかるであろうとの結果を得ました。』
『また、金融緩和が、金融機関の収益や生命保険・年金などの業務に累積的にマイナスの影響を与え、ひいては金融仲介機能に悪影響を与え得るという問題点も明確になってきました。』
とまあ話はやっぱりしょうもないいつもの話が続く。
『こうした検証結果を踏まえた政策的な対応として、2016 年9月に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入しました。この枠組みは、緩和の効果だけでなく副作用にも配慮しながら、適切な水準に金利をコントロールしていくことで、大規模な金融緩和が作り出している良好な金融経済環境、皆様にとっての良好な経営環境を持続していこうというものです。』
ええいクッソ長い、ここからやっと点検になる。
『今回の点検もこうした問題意識の延長線上にあります。「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は、導入後4年間、コロナ禍のこの
10 か月を含めて、適切に機能してきましたので、この枠組みを見直す必要はないと考えています。』
じゃあ点検するとかわざわざアナウンスする必要あるのか?????とかの各種ツッコミはこの前ほぼ網羅しましたので割愛します(^^)。
『この枠組みのもとで、その運営の仕方や、ツールとしての各種の資産買入れなどの施策について、所期の効果を発揮しているか点検します。』
ちょっと待て、機能しているのに効果発揮してないんだったらそれは機能しているとは言わんだろ・・・・・・・
『そして、2%の「物価安定の目標」の実現に向けて、より効果的で持続的な金融緩和を続けていくうえで、さらなる工夫があるのであれば実施したいと思います。』
つまり早期達成は諦めたと。
『キーワードは「効果的」と「持続的」です。』
もうこれ資産買入いじるって言ってるようなもんですな。
『まず、コロナ禍の影響でさらに長丁場とならざるを得ない中で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を持続していく工夫が求められます。』
確か早期達成できる外部要因の言い訳にしてはいけないって置物が言ってたと思うんだが。
『また、ただ長く続けられればよいというものではありません。』
ワロタ。
『長く続けることで仕組みが硬化してしまっては、何にもなりません。』
つ鏡
『今回のコロナ禍でも明らかなように、この先も様々なショックが起こるでしょう。起こり得る経済・物価・金融情勢の変化に対して、必要な時に効果的な対応を行えるような機動性を備えておく必要があります。』
だったらマイナス金利撤回とかしろよと思うんだがそれはしないのがこれまた意味不明。
『経営者の皆様には当たり前ということかと思いますが、いかなる施策にもコストがかかります。この点は、金融政策も同様です。低金利の継続によって金融機関の収益には負の影響がありますし、長期国債やETFなどの各種の資産買入れは、市場機能に影響します。こうした「コスト」ないし「副作用」はできるだけ抑える必要があります。』
でもマイナス金利は撤回しないんだから資産買入(ETF、国債はどういじるか難しいんだが)をいじるというか実質買入ペースを落とすとなりますがな。
『一方で、コストを抑えるだけでは経営目標は達成できません。いかに少ないコストで大きな効果を生むかが経営なのだと思います。』
コスト対策で行っている新コロオペですが新コロが片付いてきた、というステータスになって、特にFEDがコロナ緊急なんとかを撤収した場合にこのコスト対策をどうするのかが結構キモくなってきそうですね。
『無駄や非効率は避けなければなりませんが、』
あの温泉旅館九龍城砦金融政策をやっている方がこれを言うのはさすがに鏡を進呈したくなるwww
『コスト・副作用を抑えることが、私どもの点検の重点ではありません。むしろ副作用を抑えながら、より効果的に金融緩和を実施し、目標である経済と物価の安定を実現するにはどうしたらよいか、というフォワードルッキングな方向で点検していきたいと考えています。』
でもって「副作用を抑えながら」というのがありましたけどさてコロナオペ、という話がありますな、と思いましたが、最後のフォーワードルッキングですがあの温泉旅館以下同文という所ですね!!!!!!
という所で時間が来ましたが最後は中長期的などうのこうのになります面白かったら週明けに。
2020/12/24
お題「10月会合議事要旨ネタなのですが何かエライあっさり味になってしまいまして恐縮至極」
今愛知県が熱い、というか寒い。
https://www.nagoyatv.com/news/?id=004248
”宴会”した議員らが謝罪「コンパニオンはコロナ感染対策のため」と説明 愛知県西尾市
2020年12月22日 14:20(12月22日 15:40〜放送 メ〜テレ『アップ!』より)
『「議員が立ったり座ったりするのは感染しやすいのではということで、席を立たずにコンパニオンにビールや焼酎を運んでもらうことで、以前のようにマスクなしではなく、議員がコロナにならないようにという配慮でした」(小林敏秋
会長)』(上記URL先より)
https://www.chunichi.co.jp/article/174188
大村知事リコールに「無断で名前使用」 現職市長、県議ら証言
2020年12月22日 05時00分 (12月22日 05時02分更新) 会員限定
『愛知県議の神谷和利氏(自民、豊田市)は、不正な署名が含まれている疑いをインターネットで知り「解職を求めていないのに名前があったら困る」と市選管に個人情報の開示を請求。名前があると連絡を受け、「刑事告訴も頭にある」と憤った。同様に名前があった杉江繁樹県議(同、常滑市)も「真相を究明してほしい」と警察に被害を伝えたという。』(上記URL先より)
この前の河村名古屋市長と言い、愛知県が妙に目立っとるがね。
〇議事要旨をネタにしたのだが議事要旨がスカスカなだけにスカスカに、と責任転嫁モードのアタクシ
ほいな。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2020/g201029.pdf
政策委員会 金融政策決定会合議事要旨
(2020年10月28、29日開催分)
最近とみにこの議事要旨ちゃんがその前(というかだいぶ前)に出てくる「主な意見」の箇条書きを羅列したような物件になっておりまして甚だ遺憾の極みですな。というかこれ新日銀法の中でのロジ部分での欠陥なんですけど、MPMの議事要旨を決定会合の議決事項にしちゃっているもんだから、次回にならんと出てこない、という中々遺憾なつくりになっておりまして、しかも法令明記事項なので法改正しないと動かせないという悲しい作り。
議事要旨なんだからその承認は通常会合で行えるようにすればだいぶ楽になるとか、まあ新法になった時に今までやってなかったことを色々とぶっこんだので、やってみてロジ的にこりゃイカン(決定会合の回数だって法令をだいぶ豪快に解釈しているんですけど)というのはあると思いますので、この際追加緩和の振りしてロジ部分だけチマチマ直した日銀法改正案を出して「日銀法改正」ってフラッシュでAIマシーンをダマクラカスというのは如何でしょうか(無理筋)。
・あ、SKEW指数の話が無くなった
『U.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要』を拝読します。
『1.経済情勢』の『国際金融市場について』のところですけど、毎度ナンジャコリャとしつこく申し上げている部分がちょっと変わっていました。
『国際金融市場について、委員は、経済活動の再開が進むもとで、米国を中心とした企業業績の回復期待が高まっていることなどから、ひと頃の緊張は緩和しているとの認識で一致した。もっとも、委員は、内外経済の不透明感が強いもとで、世界的に感染拡大が続いており、引き続き、神経質な状況にあるとの見方を共有した。このうちの何人かの委員は、感染症の影響以外にも、米国大統領選挙や、英国とEUの通商交渉など、国際金融市場に影響を及ぼし得る様々な不確実性があるとの認識を示した。一人の委員は、米国市場において、低格付け社債の動向などに留意する必要があると述べた。』
と来まして最後が毎度これなのですが・・・・・・
『別の委員は、市場参加者のリスク認識の偏りを示す指標について、ドル/円のリスクリバーサルでは円高警戒感が高まっていると指摘した。』
おや??9月会合議事要旨を見ますと、
『また、別の委員は、市場参加者のリスク認識の偏りを示す指標について、株式市場のSKEW指数は高止まっており下方のテールリスク(大幅な株価下落)が意識されているほか、ドル/円のリスクリバーサルでは円高警戒感が高まっていると指摘した。』(9月会合議事要旨より)
となっておりますな。いやまあアタクシSKEW指数とか見ない(正直VIXでギャーギャー言うのも下らんと思っているがあんまりそういうのを言って回ると各方面に喧嘩を売って回るだけの結果になるのであんまりデリバというかオプション指数絡みの事で一々噛みつかないようにはしているのですが)ので実際の数字がどうなっているのか知らんけど、この指摘している委員様がどなた様だか存じませんが、SKEWもそうですけど、あんまりアタクシ為替に詳しくはないので知らんですけど、たぶんこのリスクリバーサルってドル円実需の構造上片サイドに恒常的に寄りやすいとかそういう事があるんジャマイカと思うんですけど、毎度毎度同じように「円高警戒感が高まっている」って指摘してて碌すっぽ為替が動いていない、という実績が存在する時点で、なんか普通は考え直しそうなもんだと思うんですが、いやマジでこれ誰が指摘してるのか物凄い興味があるので、10年後の楽しみにしようと思います。
なおSKEWを見てないのでこの10月会合時点でSKEWがどうなっているのかとか興味ない(って端末チョコチョコ叩けば出てくるような気がします(CBOTだかで上場されてる)けど、それすらする気が起きん)のですが、もしこれSKEWが下がっているので指摘するの止めたんでしたら、アタクシ的な感覚では「恒常的に下にティルトしていたSKEWの形状が変わっているのは市場のコンセンサスに変化が起きている」と思ってそっちの時こそ警戒するもんじゃネーノとか思うんですけどね。まあどうでも良いですが毎回オモロイのでついネタにしてしまいますわ。
・政策先にありきなのは大体察するのだがなぜそうなる????
さてこの経済情勢のパートですが、その中で金融情勢に関する部分がありましたのですが・・・・・
『わが国の金融環境について、委員は、全体として緩和した状態にあるが、企業の資金繰りに厳しさがみられるなど、企業金融面で緩和度合いが低下した状態となっているとの認識で一致した。一人の委員は、短観の資金繰り判断DIは、中小企業を中心に引き続き厳しさがみられており、売上げの減少や予備的需要などによる資金需要は継続していると述べた。』
ほえ????と思いまして思わず9月短観(この会合時点での最新短観)を見てしまいました。
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2016/tka2009.pdf
短 観(概要)―2020年9月―
第186回 全国企業短期経済観測調査
6ページ(PDFの6枚目)の右側が『6.企業金融』って所なんですけど、そこの表の一番上に『資金繰り判断(全産業)』ってあって、中小企業の所を見ると、DIは『2020年9月調査』ってので+2となり、6月調査の▲1からプラテンしているんですよね。でまあ釈迦に説法ですが、ご案内の通りこの数字は『(「楽である」-「苦しい」・%ポイント)』でございますから、マクロ的に見れば普通なんですよ普通。でもって全規模合計でも+5な訳でして、どこがどう「短観の資金繰り判断DIは、中小企業を中心に引き続き厳しさがみられており」なのか小一時間問い詰めたいと・
でまあ一人の委員だけならまだしも、「委員は、全体として緩和した状態にあるが、企業の資金繰りに厳しさがみられるなど、企業金融面で緩和度合いが低下した状態となっているとの認識で一致した。」ってなっているんだが、短観の資金繰り判断DIみたらどこがどう厳しさが見られるのかという話になる訳で、何のためにお前ら短観調査しているのかという世界なんですけど何なんスかね。
いやあのですね、そらまあ確かに+2だったら51%の人が楽で49%の人が苦しいと言ってるんだから厳しさがみられているって言い方は出来るかも知れませんけど、マクロ的に見て厳しい訳ではない、という数字をこの短観ちゃんは出している訳でして、コロナオペを(どうせこの時点でも既に)継続する気が満々なのは分かるのですけれども、結論の為に現状認識の説明がこうなってしまうのはちょっとどうなのと思います。
「金融面では政府の企業向け資金繰り支援政策と本行による金融機関向け資金繰り支援促進政策が効果を発揮して足もとの資金繰りの面では全体として厳しくはないものの、今後の売り上げの減少や予備的需要になどによる資金需要は継続している上、各種政策によって下支えされているものであり、依然として警戒を要する」とかそういう判断になるんじゃないの???と思うんですけど、ほら最近アタクシ今回の黒ちゃんの会見で「雑」ってイチャモン付けていますが、こういう所でも「雑」なんだよなーって思う今日この頃です。
あとですね、こうやって粗雑な説明をされてしまいますと、政策委員会が「こうでござる」と説明しているものについて、一々こっちは眉に唾つけて読まないと行けなくなりまして、今回だって議事要旨のこの程度の記述を読むのに一々9月短観を引っ張り出して数字を確認しに行かないといけなくなるとか、無駄な手間が掛かって極めて遺憾なんですよね。少なくとも麿までの頃にこんな雑な物件は出してこなかったと思うに、元々のトンチキ理論を正当化する為に色々とヘナチョコやっているうちに日銀の本体までトンチキに汚染されてきたんじゃなかろうかと心配する者であります、と謎のストーカー愛を表明してどうする自分(^^)。
・政策論の部分もあんまり盛り上がっていないが一応例の点検の布石が書かれている
展望レポートの検討部分はまあ正直言って見るべきところも無いので盛大に飛んで『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』に飛びますが、これもまた最初の部分とかいつも通りのクッソ面白くない話ばっかりなので途中から参ります。
『委員は、金融政策運営に関連する各種の留意点についても議論を行った。』
やり過ぎに注意した方が良いと思いますがそんな話は当然していない。
『ある委員は、足もと、無担保コール翌日物金利の上昇圧力が幾分高まっていることについて、他の中央銀行が緩和姿勢を強める中、本行の緩和姿勢が後退しているといった誤ったメッセージと市場に受け取られないよう、コミュニケーションには十分留意する必要があるとの認識を示した。』
そもそも論としてコール市場自体が現状ではマイナス金利政策と当座預金の三層構造によって「人為的に作られた」市場なのであって(というとコール市場関係者から盛大に石が飛んできそうなのですが、汗)、そこの金利がゼロ近くになったからと言って中期以降の国債金利が盛大にプラスになるとかそういう話ではないので、ここの金利形成に関しては、ここの金利でメシを食っている人には重大事象ではあるのですが、そこが(そらまあ恒常的に盛大なプラスとかになったら話は違うかも知れませんが現状程度の)多少上昇圧力がかかったからと言って10年の金利が跳ねるみたいな話にならん以上、まあ別に華麗にスルーしておけばエエンデネエノとは思うんですけどね。いやまあ短期的にはここのコールとレポと短国との辺りの関係が従来と違ってきてる(ように見えますがそんな感じですよね??)のって物凄くオモロイ論点ではあるのですが。
つーかそもそもコール高止まりするのってコロナオペでマクロ加算どころか特別付利をオペ先に大盤振る舞いして、政策金利残高のしわ寄せが一部の業態に偏るという傾向が一段と強くなっているからなんだから問題だと思うならコロナオペ縮小すりゃエエヤン(鼻ホジホジ)。
『別の一人の委員は、10 年物国債金利はゼロ%程度を維持しつつ、イールドカーブの超長期の部分が緩やかなペースでスティープ化することは、金融機関の運用収益の確保に繋がり、金融緩和の長期化と金融システムの安定の両立の観点からも望ましいと述べた。』
たぶん鈴木さんだと思うのだがこの理屈は筋悪というのは先般の鈴木さんの金懇ネタの時に申しあげたとおり。そもそも論として市場の景況感や物価観が強気化すれば金利は上がるものなので、そこを人為的にどうこうという発想が筋よろしくない。
『また、この委員は、ETFや J−REITについては、当面積極的な買入れを維持する必要があるが、金融緩和の長期化が展望される中、資産価格のプレミアムへの働きかけが真に必要なタイミングでの買入れが困難にならないように、政策の持続力を高める工夫の余地を探るべきと述べた。』
ま、鈴木さんは金懇でもこの話をしていましたし、12月会合でご案内の点検ちゃんが登場しまして、そのキーワードが政策の持続力、ということで点検の結果出て来るものの本命がこれというのがまあお察しできますね!!!!!基本的には鈴木さんの金懇を読み直して他に無いか確認するという作業が必要かな、とか思いましたので今度出る主な意見に合わせてちょっと見直しでもしようかと思います。
『その他の留意点として、一人の委員は、企業の資金繰りをしっかり支えることは有益である一方、危機対応が長期化するほど持続的な成長に向けた構造改革を遅らせるといった可能性には留意すべきであると述べた。』
という割にはコロナオペはノーズロで半年延長されるのでした。
『別の委員は、感染症の抑制と経済活動の両立といった、ウィズ・コロナの視点から、2%の「物価安定の目標」の実現に向けた政策対応について議論を整理していく必要があると述べた。』
何を言いたいのかわからんが点検の布石なのは分かった。
『また、一人の委員は、今後、仮に感染が再拡大し経済が下押しされると、物価上昇率がマイナス圏で推移する期間が長期化し、デフレが定着する可能性があるため、金融政策運営上、注意を要するとの見方を示した。』
そもそも下押しされなくてもGOTOだ携帯電話だとデフレ政策連発で来年のCPIマイナス長期化待ったなしなんですけど・・・・・・・・・・
『更に、ある委員は、企業による付加価値の創出に向けた取り組みを支援するため、M&Aのための資金調達や投資非適格企業による起債などを含め、より多くの成長投資資金が企業に流れる仕組みの整備を支援することが重要であると述べた。』
という話はまあ論点としては結構なのですが、そもそも戦後からの政策として貸出金利を低めに統制するという政策からの流れがあって海外対比でみてクッソ低い貸出金利設定になっている部分から手を付けて行かないと行けない話なので、これは残念ながら今のようなご時世でぶっこむ話にはなり得ないと思います。この辺アタクシも色々と考えているんですけどまあいずれ何かのネタの折に。
・・・・・でもってあとは決定事項があって片岡さんの反対があって、ということで終わっておりまして、何ちゅうかこのあっさり味という感じでして、かつてのジンバブエ木内合戦みたいなのが無いので拍子抜けしてしまいますな。
という感じで無茶苦茶あっさり味になってしまいましたが、これでも読み直しながらなんか他にネタは無いかとか探してたけどやっぱりネタがないスカスカ議事要旨だったということで本日は勘弁してくんなまし(汗)。
2020/12/23
お題「総裁会見続きで点検で何が出るのかを確認したら殆ど何も出ないに等しそうなのは把握した(ETF柔軟化だけじゃな)」
クッソうける・・・・・・クッソうける・・・・・・・何故か目から汗が
https://news.yahoo.co.jp/articles/96a7059dc1284cd4041555c6001afcd3ffc04342
菅首相「年末年始で拡大を食い止める決意」
12/22(火) 21:41配信
『菅首相は22日、都内で講演し、新型コロナウイルス対策をめぐり、「年末年始で何とか感染拡大を食い止める決意だ」と強調しました。』(上記URL先より)
決意で感染拡大を制圧できるんだったら今頃2%物価目標も達成しとるわ以外の感想が起きませんが、きっと2%達成に向けた決意が日銀には足りないんですよ(白目)。
〇黒ちゃん総裁会見の続きであるが結局この点検は3か月前に鳴り物入りで出す話ではないということですな
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk201221a.pdf
昨日はオープニングリマーク(とかそういう正式なものでは無いのであくまでもオーラルの物件だからFEDやECBとは違うが)にネチネチと理屈を捏ねているうちに時間を全部費消する、という書いててまあそうなるだろうなあと思った展開になってしまいましたので、本チャンの質疑を拝読しましょう。
『(問) いわゆるコロナオペの半年延長についてお伺いします。これまでのコロナオペの効果と延長の狙いに加えて、14
日の短観でも示されました足許の企業の資金繰り状況をどのようにみていますか。』
この質問、素直に聞いているんだったらまあ普通の質問なのですが、「短観で示されている企業の資金繰り判断DIはガバガバなのですが何で延長するんですか」というのを雅な話法によって聞いているんですとマジでオモロイのですがその辺は良く分からん。
『(答) 日本銀行が、新型コロナウイルス感染症への対応として、企業等の資金繰りを支援するために行っている「特別プログラム」は、政府の施策や金融機関の積極的な取組みとも相俟って、効果を発揮しています。CP・社債の発行や銀行借入などの外部資金の調達環境は、緩和的な状態が維持されています。』
ほう。
『もっとも、12 月短観の資金繰り判断DIは、感染症拡大前の水準をなお下回っており、企業等の資金繰りには依然として厳しさがみられます。』
えーっとすいません、感染症拡大前って経済が好調(実際には昨年後半から短観ベースで見れば製造業が下向きになりだし、非製造業に波及しだしている時だったし、物価はご案内のように一段と怪しくなってこれは追加金融政策しないとそろそろ申し開きが立たないのでは、と言われていましたけど)という扱いだったと思うのですよね。
でもってコロナでマクロの経済がコロナ前よりは宜しくない、という状態であることは日銀の情勢判断でも示されていると思うのですが、何で「コロナ前」まで戻さにゃいかんのよという話で、経済状況が悪化して資金繰りに影響する分を経済状況が悪化する前まで個別の資金繰り支援うんたらとか言うようなミクロ介入政策で戻したらそれは金融機関に過剰なリスクを負わせることになると思うんですけどねえ。
なお
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/yoshi/tk2012.htm/
短観(要旨)(2020年12月)
『資金繰り判断DI(全産業)
表 資金繰り判断DI(全産業)
(「楽である」−「苦しい」・%ポイント)
2020年9月調査 2020年12月調査 9→12月変化幅
大企業 10 11 +1
中堅企業 7 10 +3
中小企業 2 4 +2
全規模合計 5 7 +2』
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/yoshi/tk1912.htm/
短観(要旨)(2019年12月)
『資金繰り判断DI(全産業)
(「楽である」−「苦しい」・%ポイント)
2019/9月 2019/12月 9→12月変化幅
大企業 22 21 -1
中堅企業 22 22 0
中小企業 12 11 -1
全規模合計 16 16 0』
となっておりますので確かにコロナ前よりは資金繰り判断DIが弱いのだが堂々のプラスでマクロ的には「楽である」という状態なんですよね〜。でもって昨日も悪態ついたので繰り返しになりますが、これ以上の部分ってのは個別のミクロである金融機関に対する貸出促進政策をするのではなく、マクロ経済の安定化、即ち追加金融緩和でマクロ的に解決する問題ですわな。
でもって、まだECBの場合は担保政策の緩和とかは残していますが、でもまあ主体となっているのは低金利継続とPEPPの延長(と同時にその分に対応した枠拡大だがペースが微妙に下がっている)になるので、マクロ政策が主体になっていますし、FEDの場合はそもそもが議会がおかわりしない限りは自分からMSLFとかを延長する訳ではない(上にムニューシンのイヤガラセがありましたが)ので、こちらも基本的に先般の政策だってマクロ政策の延長であり、まあFEDの場合はAPPを「市場の安定化」とか言っておきながら「マクロ政策」に切り替えて誤魔化しているインチキ面が多大にありますが、まあそれにしてもFEDだって主体は「コロナの急性ショック対策としての個別政策から、アフターコロナまで見据えたマクロ経済安定化政策」に切り替わっている訳ですよ。
然るに、日銀ちゃんの場合は、何を血迷ったのか従来から2%物価安定目標達成のためといってぶっこんでいた政策まで全部ひっくるめて「新型コロナ感染症対応の3本の鉛筆」にぶっこんでしまう、というプレイに打って出まして、結果としては欧米の中銀がマクロ安定化政策主体に舵を切り直しているのに、盛大にパンデミック対策という名目に全振りしてしまったので、戻すに戻せない(だから3月に点検とやらをする、ということなのかとも思いますが)というやることなすこと一々裏目に出るのがマジ受ける。
さてそんな悪態はさておき続き。
『先行きも、感染症への警戒感が続くもとで、経済の改善ペースは緩やかなものにとどまり、企業等の資金繰りにも、当面、ストレスがかかり続けることが予想されます。こうした情勢を踏まえて、今回の会合では、引き続き、企業等の資金繰りを支援していく観点から、「特別プログラム」の期限延長と運用の見直しを決定しました。日本銀行としては、今後も、企業等の資金繰りをしっかりと支援していきたいと思います。』
まあ同じツッコミになりますが、先行きが「経済の改善ペースは緩やかなものにとどまり」だったら企業支援じゃなくてマクロ政策になりますよねーということで、屁理屈の作りが杜撰ですな。
・当たり前だが謎の点検に関する質問が相次ぐので鑑賞鑑賞
次の質疑は昨日引用した地域金融機関支援云々なので割愛しますが、その次から例の点検に関する質疑が相次ぐのでした、当たり前だな。
『(問) 金融緩和の点検なのですけども、総裁はYCCもマイナス金利も枠組みは変更しないということなのですが、では、各種施策を点検するということなのですが、今の時点でこれからということだとは思うのですが、こういうところを点検したいというものがあれば、教えてください。(後半割愛)』
さて何でしょうかね、ということですが・・・・・・・・・
『(答) まず、2%の「物価安定の目標」を実現するため、より効果的・持続的な金融緩和をもたらすために、現在行っている政策の点検を行うということです。あくまでも、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のフレームワークは変えませんし、2%の「物価安定の目標」などのコミットメントも変えるつもりは全くありません。』
点検をするのに何で見直さないのか意味不明にも程がありますが、目標のコミットメントの前にYCC+QQEへの言及が先に来ているというのが割とウケる訳でして、つまりは黒ちゃんがこれまで俺様政策としてぶっこんできたことを否定されるのは耐えられない、という心の声が反映されているものかと勝手に愚考しております(個人の感想です)。
『ただその中で、具体的なイールドカーブ・コントロールの運営の仕方や資産買入れの方式などについて、これまでの経験、検討を踏まえて更に必要な分析を行い、一層の改善、より効果的かつ持続できる運営といいますか、資産の買入れの仕方などがあれば、そういったものを忌憚なく検討して、取り入れていきたいということです。』
ってこれ普通に「リスク性資産の買入方法を見直して一段と柔軟化します。もし出来るならYCCの長期金利ターゲットの年限も変えるかも知れませんね」って言ってるようにしか見えませんが、何で結論が先にあるのに3月まで時間が掛かるのかさっぱりワカランチ会長。
というかですね、この程度の話だったら1月会合で行けるじゃろと思うし、物価が行かないことに関する点検がどうのこうの仰せですが、そもそも論として経済物価情勢に関する詳しいアセスメントを展望レポートの時にしているんですから、本来物価が行かない事に関してどういう経済の構造によってメカニズムがワークしないのか、というような事をするんだったら1月に出すもんだと思うんですがね。
だいたいからして「今の枠組みを是とするので1ミリも話を聞く余地はない」のに「具体的な手段は忌憚なく検討する」っておかしいだろそれ。
『従って、現在の金融緩和の出口を探るとか、金融緩和を弱めるなどといったつもりは全くなく、むしろ、より効果的に金融緩和ができるような点検を行っていきたいと考えています。(後半割愛)』
素直に追加緩和すればいいんじゃないですかねー(超棒読み)。
・理屈の整合性くらい頼むから取ってください説明が無茶苦茶過ぎます
更に質問は続くのだがこの質疑応答の応答が酷すぎて見てらんない。
『(問) 今回の金融緩和の点検というのは、ECBやFEDのようなレビューと近いものになるのか、あるいは、伺っていると運営の仕方、買い方の工夫といったオペとか買入れのペースの調整のような、ファインチューニング的なもののようにも聞こえるのですが、どちらにより性質が近いものなのかという点を教えてください。(後半割愛)』
次の質問がこれです。そらそう聞くわというか珍しく話が繋がっていて結構結構。
『(答) ご案内の通り、日本銀行は 2016 年 9 月に「総括的な検証」を行い、金融緩和のフレームワークを見直して、より効果的な仕組みにしました。』
プププ。
『そこで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のフレームワークを導入したわけです。その後の状況をみる限り、この基本的なフレームワークは十分機能していると思いますが、』
しつこく言うが機能してるなら物価安定目標が達成できないとおかしい。まさかとは思うが日銀執行部は「長期金利が上がっていないから十分機能している」とか思っているなら、それはまさに政策が効果を発揮しないから長期金利が上がらない訳で、本当の本当に物価がホイホイ上がって、物価安定目標の達成が確実視されるような段階が見えてくれば、その時に市場からの怒涛の国債売り圧力に対してどうするのか、というのがYCC運営での難問な訳ですよ。
でもってその辺に対して問題が生じる可能性が高い、って議論の上判断しているのを議事要旨などで示しているのがFEDな訳でして、そもそも規制市場でもない限り、10年金利のターゲット(長期均衡金利以外の水準へのターゲットな)とか実務的に無理(出口で枠組みが爆発炎上するから)と考えた訳ですよFEDちゃん。
つまり、長期金利がアガランチ会長なのは物価が上がらんこともありますし、物価目標達成が全然見通せないと市場が思っている、即ちインフレ期待の方も上げれてないので、そういう意味ではYCCだけではなくて、QQEの中にあるオーバーシュート型コミットメントだって盛大に空振りしている証拠がこの長期金利水準なのに、どの面下げて「十分機能している」とか言うのか小一時間問い詰めたい。
豪州だってYCCやってるじゃん、と言われそうですが、あれは「3年金利」なので、つまりは「向こう3年間はインフレターゲットの達成が見通せる状況が来るとは思えないのでどうせ政策金利も今の見通しだと上げられませんわテヘペロ」っていう話であって、そういう意味ではジャパンのYCCって向こう10年以下同文って意味になるんですが宜しいのかなそれで??
いかんいかん悪態ばっかり言ってるんだが、とにかくロジックの崩壊を恥ずかしげもなく堂々と押し出して来るのが無茶苦茶トサカにくるのでついいちゃもんになってしまいますな。
『先ほど来申し上げている通り、新型コロナウイルス感染症の影響などもあって、2%の「物価安定の目標」の達成がやや遅れる可能性があるということは、』
おいこら、全部コロナのせいにする積りのようだがコロナ関係なく物価安定目標達成が遅延しまくってただろうがこのイカサマ野郎。
『こういった金融緩和措置が更に長く続けられるということになります。』
続け「ざるを得ない」じゃなくて「続けられる」とか言ってるのがもう馬鹿かとアホウかと。
『そうしたもとで、副作用があるのではないかということについて、イールドカーブ・コントロール自体は副作用も考えつつやるということになっていますので、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のフレームワークは変える必要がないですし、』
「副作用を考えながら政策をやっているので大丈夫」って頭に虫でも沸いてるのかという理屈で、効果と副作用を比較衡量した結果副作用が大きいと判断しても枠組み変えないっていう理論は面白過ぎて目を疑います。
『2%の「物価安定の目標」の実現に向けて色々とコミットしていることも変える必要がないのですが、』
だったらそもそも何の点検するんだよおいこら。
『おっしゃるように、そのフレームワークのもとで、様々な資産買入れやイールドカーブ・コントロールの運営についても十分点検していく、より効果的、持続可能なものにするという観点から点検していきたい、ということです。』
まあ何ですな、このハチャメチャな説明(なおアタクシはライブで聞いてないですサーセン)の会見要旨を作った事務方の中の人はこの文章を作成しながら何を思ったのでしょうか、心中察するに余りありますというか、月曜に出る会見要旨割と時間遅めだった印象があるんですけどやはり・・・・・・・
『FRBが政策のフレームワークをレビューし、ECBも今レビューしていますので、もちろんそうした情報は十分得ていくつもりですが、そういうものよりも、おっしゃったようなものだとお考え頂いた方が良いと思います。(後半割愛)』
ということで、この時点で「まあ大したもんは出る訳ございませんよ〜」って言ってるんでしょうというのが良く分かります。でもって大したもんが出ない割にはクッソ時間が掛かるのは、米国大統領就任後の状況を見たいというのと、新型コロナ感染症冬の陣の動向を見たいという事で、手直しした途端に外部環境が急変して手直しの手直しに追い込まれるのが馬鹿馬鹿しいから1月MPMは回避する、という読みに確信が持てるというものです。
・枠組みは意地でも見直さないのは分かったがこの説明だとマジで何も出てこないっぽい
ちょっと飛んで点検に関する質問アゲインなのですが順当だが良いツッコミが来ているので鑑賞、というかなんだやっぱり日銀記者クラブの面々やれば出来る子じゃん普段からこの調子でやって下さいよろしくお願いいたします。
『(問) 今回の金融緩和の点検について、お伺いします。まず、今回大枠、フレームワークは変更しないということですけれど、その理由について伺いたいと思います。』
これは期待の持てる質問(^^)。
『つまり、2013 年 1 月に 2%目標を決めてから、間もなく 8 年経とうとしているわけですけれども、その間
2%が達成できなかったということもあるかと思います。』
キタコレ!
『となると、既存のフレームワークそのものが、2%を目指すうえで最適なのかというところから議論するということも発想としてはあり得ると思うのですが、それはせずにファインチューニングにとどめるといいますか、ファインチューニングということを目指されるのはなぜなのかについてお聞かせください。』
(;∀;)イイシテキダナー
『また、今回は既存のメニューを点検していくということかと思いますけれども、その結果として足らざる部分で、何か新しい施策ですね、新しいオペを追加するとか、資産購入の対象、範囲を拡大するとか、そういった新しいメニューを追加するということもあり得るのでしょうか。』
さてそのお答え。
『(答) 2%の「物価安定の目標」を 2013 年 1 月に掲げて以来、8 年近く、7
年以上経っています。ただ、2%が達成できていないということだけをとると、実は主要国の中央銀行はみんなそうなのです。』
米国は2%が見えてきて出口政策に着手しましたし、そもそも「他国が出来ていないのだから自国が出来ていないのは当然」という理屈がおかしいし、だったら「世界的に達成できないということは、そもそも2%というセッティングに問題があるのではないか」という問題意識に到達しないとおかしいのだが、何故か他の要因のせいにして金融政策のせいにしない、というのはかの置物大師匠様であらされる所の岩田木久扇大師匠が常日頃から(ただし2年で2%達成できないことが判明するまでの期間ですが)仰せになっていたと存じますけど、まあその言い訳が始まる。
『それは、リーマンショックの影響があり、足許ではまたコロナショックがあり、様々なことが重なっている面もあります。』
負け犬のオーボエですな。
『2016 年 9 月の「総括的な検証」でも述べたように、金融緩和政策自体は間違っていないので、それを更に効果的なものにするために、従来の「量的・質的金融緩和」に替えて「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」にして、今日まで来ております。』
で????
『このフレームワーク自体は、特に新型コロナウイルス感染症の影響のもとでも十分機能していますし、基本的に間違っていないと思っています。』
ちょっと待て、何で新型コロナ感染症の元で十分機能って理屈になるんだ。それは感染症対策の各種施策の話だろ何政策をごっちゃにしてるんだよ、と言いましてもそもそも3本の鉛筆で政策を闇鍋状態にしているのでありますが。
『ただ、そのうえで、諸外国も同様ですが、わが国も、この感染症の影響もあって、2%の「物価安定の目標」を達成する時期がかなり先になってきていることは事実であり、』
感染症のせいにして誤魔化していますし、他国が行ってないからというのは理由になりません。
『そのもとで、より効果的な持続可能な金融緩和手段・措置が何かということは、十分検討する価値があると思いますので、そういうことをしようということです。』
どういうことだよ・・・・・・・・でもってこの次にまたパワーワードというか3月の結果をゲロるような発言が来る。
『「総括的な検証」のようなフレームワーク自体を見直すものではありませんが、その中で、現下の状況に鑑みて、FRBやECBのレビューなども十分情報収集しつつ、必要な点検を行ってまいりたいと思っています。』
結論としては何も出ないということで、これは昨年10月にぶっこんできた言い訳の書であるところの、
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2019/rel191031e.pdf
「物価安定の目標」に向けたモメンタムの評価
程度の物件が出てきて、あとはETFがあって、運が良ければYCCの年限短期化をしてくれると、とりあえず赤飯位炊いて祝っても良いのですが、よく考えてみたらどうせ「緩和の後退」と言われるのが目に見えている中で年限の短期化をする根性は無いでしょうし、そんな根性があればとっくの昔にマイナス金利を撤廃しているでしょ、と思います、ナムナム。
『そうした中で、新たな政策手段を導入するかどうかは、点検した結果次第です。』
だったら何でアレもしないこれもしないとか言うのよ????と思うが、どうせこの「手段」ってのはETF無制限買入(買うとは言っていない)とかそういうのを入れるかどうかという話っしょ。
『いずれにしても、2%の「物価安定の目標」の実現に向けて金融緩和を行っていくうえで、更なる工夫ができるのであれば実施したいと思っています。』
ということで、まあ大したものをやらなくて、単に「モメンタムの評価」みたいな言い訳の書を作る時間にかこつけて1月〜3月をやり過ごして行く、という事なんでしょうな。
・年限短期化について直球質問がきたら弾丸ライナーで「やりません」との打ち返しが来ております
年限短期化の露骨な質問キタコレなのがその次の人。後半はETFの質問をしているのだが微妙に論点がズレているので割愛します。
『(問) まず、点検について、まだ発表されたばかりで何か具体的なことが決まっていることはないと思いますが、総裁が再三、超長期金利のところはもう少し上がってもいいとおっしゃっていて、日銀も「総括的な検証」でそういった結果を出されています。よくご存知のように、RBAなどは
3 年物をターゲットとして、FEDの議論もどちらかというと短いものの方が良いのではないかという議論がありました。総裁は、10
年ではなくて、それよりも短いところをターゲットにするということについてどのようにお考えになっていますか。(後半割愛)』
質問の中でしれっと「まだ発表されたばかりで何か具体的なことが決まっていることはないと思いますが」というこっちの方は割と分かりやすいぶぶ漬け話法どすな。
『(答) イールドカーブ・コントロールは適切に機能していますので、枠組みを変更する必要はないと考えていますが、』
この連呼、見ているうちにこっちの方が息苦しくなってまいりますわ。
『具体的な運営については、より効果的で持続的な金融緩和を実現する観点から点検の対象となります。』
はいはい。
『イールドカーブの水準・形状については、これまで二つのことを述べてきました。うち一つは、「総括的な検証」で超長期金利の過度な低下は、保険や年金などの運用利回りの低下などの影響を及ぼす可能性があると指摘したわけですが、現在でもこうした認識に変わりはありません。他方で、現在は、新型コロナウイルス感染症の拡大が経済に打撃を与える中で、債券市場の安定を維持して、イールドカーブ全体を低位で安定させることが大事な状況であるとも考えています。』
はあそうですか。
『そうした中で、イールドカーブ・コントロールの運営の仕方について議論をしていくことになると思いますが、ご指摘のようなことを今考えているかというと、特に考えてはいません。(後半割愛)』
ということで、結論としては「年限の短期化もしない」ということなので、どこからどう見てもETFとJ−REITの手直し(無制限買入と言いながら高値水準では買い増しをしないで下がったら買うよと口で説明するの巻)をしておしマイケル。あとは去年の10月に出てきた例のアレみたいな言い訳の文書が出るだけ、という事になるようですな。
・ということで点検ですがこの予定される内容だったら黙っていた方がマシだったとしか思えん
・・・・・・えーっとですな、結局その程度しかやらない積りだったら何も笛や太鼓を打ち鳴らしてわざわざアナウンスする話だったのか、と甚だ疑問に思う訳でして、余計なノイズをまき散らすだけの結果になるんだし、大体からして現状は政策対応のステージが金融政策対応じゃなくて財政等の政府による個別対応を中心にしながらやっていくステージになっているのであって、何も中央銀行がここで出しゃばる必要が全くないんですが、日銀は何のアピールをしたいんでしょうかねえ、雉も鳴かずば撃たれまいって言葉をクリスマスプレゼントにお贈りしたいんですけどね。
ということで点検の質疑だけ拾いまくって最後の点検関連質問だが、
『(問) まず、点検ですが、これまで総裁は、16 年のような総括検証は必要ないとおっしゃってきました。今、なぜこのタイミングで点検が必要なのかについて、改めてお伺いします。足許で、物価上昇率が日銀の想定以上に下落しているということが影響しているのでしょうか。(後半割愛)』
この質問に対する黒ちゃんの答えが紋切り回答にも程がある点に滋味があります。
『(答) なぜ、この段階で点検かというのは、先ほど来申し上げているように、2%の「物価安定の目標」の達成がやや先になっているという状況で、これは新型コロナウイルス感染症の影響が大きいわけですが、そういうもとで、より効率的、効果的な金融緩和、持続可能な金融緩和というものを、現在のオペレーションを点検して必要なら改善していくことをしようということです。(後半割愛)』
何ちゅうかですね、いや勿論黒ちゃんのような高級な人士の方のお心を推察するなどというのは失礼にも程があるのは承知しておりますが、まあ凡下のアタクシが勝手に推測するに、ワシはこんな事やりとうなかったんじゃ的なサムシングを感じない事も無いんですけどさて・・・・・・・・・・・・・・
とか何とか言っているうちに時間が例によってアレになりましたが、まあ他の質疑は別にどうということもありませんので(偏見)、点検のところを見て回りましたが、これはもう結果はお察しだし、何でわざわざ事前アナウンスしたんだかさっぱり意味がワカランチ会長である、というムーブを示していると思いました(個人の感想です)。
2020/12/22
お題「黒田総裁記者会見ですが珍しく冒頭説明にネチネチ突っ込んでみる企画」
これはひどい。
https://mainichi.jp/articles/20201221/k00/00m/040/170000c
名古屋市長、分散初詣呼びかけ 自身は普段通り年始に「行かせて」
毎日新聞2020年12月21日 17時46分(最終更新 12月21日 19時46分)
『名古屋市の河村たかし市長は21日の記者会見で、初詣は密を避け「日時に配慮して分散参拝を」と呼びかけた。一方で自らの対応を問われると、普段通り年始に熱田神宮(同市)などに初詣をすると表明。「なるべく地味にやる。ぜひ行かせてほしい」と述べた。』(上記URL先より)
市長様の初詣の邪魔だから一般人は来るなとか清々しいまでの人間の屑だし、ガースーの会食は一応仕事だからと言えるだけまだマシ(忘年会って杉様が無邪気に言ったのがまあトンチキでしたわな〜)で、このウスラバカはただの我儘ですが、さてこれに神罰が下せるかどうか、熱田神宮の真価が問われるという恐ろしい事態発生。
なお記事の次の段落を見ますと、
『河村市長は例年、正月に神宮を参拝し周辺で年初の街頭演説をしている。』(上記URL先より)
ということでそもそもお前の目的は参拝じゃなくてパフォーマンスだろとしか申しあげようが無いんですけどね。
〇さて総裁会見のテキストが出てきたがこれは・・・・・・・・・・・
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk201221a.pdf
総 裁 記 者 会 見 要 旨
―― 2020年12月18日(金)
午後3時半から約60分
・普段は飛ばすのだが冒頭説明に相当する答えの部分で今回の政策を確認してみるが論理性の無さに泣けてくる
小見出しがなげえよ、という所ですが。
『(問) 本日の金融政策決定会合の決定内容について、ご説明をお願いします。とりわけ、物価安定目標の実現に向け、持続的な緩和政策の点検についてお願いします。この点検に当たっては、現状政策の枠組みを変更しない、とあえてうたっておられます。点検結果を、今後の政策運営にどのように活かしていかれるのか、また、なぜこのタイミングで決定されたのか、ご説明をお願いします。』
良いかな良いかな。
『(答) 日本銀行は、新型コロナウイルス感染症の影響により、経済・物価への下押し圧力が長期間継続すると予想される状況のもとで、経済を支え、2%の「物価安定の目標」を実現する必要がある、との認識から、本日の決定会合において、次の二つのことを決定しました。』
と説明しているのだが、コロナが思ったよりも長期化するというのは兎も角、だったら現状認識とか見通しとかもうちょっと声明文の所でいじるんじゃないでしょうか、殆ど判断変えていないですよね、という時点でまあ色々と変なのですが、まずは新コロ延長話。
『第一に、「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム(特別プログラム)」について、期限を半年間延長し、2021
年 9 月末までとするとともに、運用面の見直しを行うことを全員一致で決定しました。見直しの具体的な内容は、CP・社債等の増額買入れについて、それぞれ
7.5 兆円ずつとしていた追加買入枠を合算し、市場の状況に応じて、CP、社債いずれにも配分し得る形とすること、』
「市場の状況に応じて」って言ってるけど、CPと社債じゃあ年限も全然違うし、だいたいからして日銀のポジションに残る期間も違う、即ち日銀の負うクレジットリスクの量が全然違う訳でして、しかもそのクレジットリスクというのは、それが顕在化すれば究極的に国民負担になり得るものなのですから、社債の追加買入枠が7.5兆である、と決定したのに勝手に流用可、というような建付けに変更するのは何なんでしょうね。ちゃんと正面切って説明すべき問題を誤魔化しているとしか思えませんが、まあ誤魔化し説明は黒田日銀になってから(正確には黒田日銀が目標達成できなくなって迷走しだしてから)の仕様とは言え良いんですかねえ〜。
『また、新型コロナ対応特別オペの対象となる中小企業等向けの新型コロナ対応融資のうち、プロパー融資について、一金融機関当たりの上限1,000
億円を撤廃すること、の二点です。』
これは中小企業融資の促進というよりも大企業向け融資への報償になりませんかねえ、というツッコミは昨日もしたのでまあ良いとしまして。
『今回の措置は、先行きの経済の改善ペースが緩やかなものにとどまり、企業等の資金繰りにも、当面、ストレスがかかり続けると予想されるもとで、引き続き、企業等の資金繰りを支援していく観点から決定したものです。なお、今後の感染症の影響を踏まえ、必要があれば、更なる延長を検討します。』
と言う事なのですが、そもそも論として急激な需要ショックとそれに伴う金融環境のタイト化に対応するために企業金融向けの優遇措置を臨時でぶっこむ、というのはまあ(本来はFEDみたいにバジョット・ルールを念頭に置いてやるべきものだと思うがそこはさて置くとしても)勘弁するとしましても、「先行きの経済の改善ペースが緩やかなものにとどまり」っていう判断をしていると言う事は、それ即ちしばらく前から黒ちゃん始め各政策委員の皆様が講演や会見でご指摘されておられる「リクイディティーの問題からソルベンシーの問題になる」という話ですよね景気が弱くて企業金融のストレスが、ってのは。
つまりですね、問題が企業のソルベンシーに移行するステージにおいて、そのままノーズロで何でもかんでも融資を延長延長ってやっていくのってえのは、それこそまさに震災手形の二の舞コースという話になりませんですかねえ、というツッコミをしたい訳でして、いや現状認識がコロナショックの影響が強く残っていて金融収縮による企業金融へのストレスが継続している、というのであれば特別措置延長も然るべきだと思うのですが、今回出した理屈をそのまま援用しますと、景気が下向くたびに企業金融特別何とかを実施しないと話がおかしくなるとかそういう事になって、いやその理屈はどうなのよ、とまあそのように思うのでありますがどうでしょうかねえ(理屈こね太郎の感想です)。
ということで、コロナによる景気がどうのこうのという理屈を出すんでしたらば、それは普通にマクロ政策としての金融緩和措置を実施すべき(なお有効な手段が皆無なのは言うまでもありませんけれどもそこは意地悪爺さんなのでスルーする)という話であって、ことさらに企業金融だけを取り上げるのはマクロ政策運営をする中央銀行として筋が通ってませんな、というお話でありまして、単純に「新型コロナ感染症の再拡大が想定以上に大規模になっていることから臨時措置を延長することにしました」と言って継続すべきものであって、景気が云々という理屈を出すならマクロ政策で対応しろと小一時間問い詰めたいので今回の総裁の理屈はザル認定。
んじゃまあ次は例の点検。
『第二に、本日の会合では、2%の「物価安定の目標」を実現する観点から、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行い、来年
3月の会合をめどにその結果を公表することを決定しました。以下、その趣旨について敷衍して説明します。』
ほーん。
『2016 年 9 月の「総括的な検証」を経て導入した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は、現在まで適切に機能しています。』
適切に機能しているんだったら何でそこから4年も経過して物価目標達成どころか1%にもろくすっぽ届かないんでちゅかねえ、という話はさておきまして、
『感染症への対応についても、この枠組みのもとでの「3つの柱」による強力な金融緩和が効果を発揮しています。』
ほうほうそうですか。
『しかし、感染症の影響により、この先、経済・物価への下押し圧力は長期間継続し、』
えーっと、物価目標達成のために導入したYCC+QQEは適切に機能して、かつ感染症への対応でも適切に機能しているのでしたら、何で物価への下押し圧力が長期間継続するんでしょうか?????????????
『2%の「物価安定の目標」の実現には時間がかかることが予想されます。』
コロナの前からそうじゃん。
『こうした状況を踏まえ、2%の「物価安定の目標」を実現する観点から、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行うこととしました。』
適切に機能している、ってんだったら別に変更の必要は無いんだし、そもそもあんたら物価安定目標を早期に達成させるというのは変わっておらず、今の政策が早期達成に対して適切な政策だって言い張っていたんですから、「効果的」という方はまあ点検して工夫しようってんだから話は分からんでもないけど、「持続的な金融緩和を実施していく」って何ですのという事でして、「より効果的な〜金融緩和を実施していく」のに何で持続的じゃないとダメなんですか??早期達成するために効果的な手段を考えようっていうのにその時点で何で持続的とかいう話になるんですか?????
・・・・・・などと理屈コネコネしておりますめんどくさい人ですが、さてもうちょっと現世利益的な問題としてじゃあ何を見直すつもりなのかという説明が以下続きますよん。
・そもそも見直しをするのに事前にこれはやらんとか排除するもの大杉栄で悪態後に一応考察しておく
さてじゃあ何をするんでしょうかね。
『具体的には、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みを前提としたうえで、イールドカーブ・コントロールの運営や資産買入れなどの各種の施策について、点検を行います。』
いやあのですね、2%物価安定目標を達成するために点検を実施するんでしたら、そこがゴールなので、まあゴールポストを動かすのは無し、という所までは分かるのですが、手段については普通スクラッチで見直すもんじゃないですかねえと思いますし、まあこのスットコドッコイの言うようにYCC+QQEが有効で効果がアリアリで物価安定目標の早期達成のために良い手段だったとしても、もしかして点検したらもっと良い手段だってあるかも知れないじゃないですかねえ。新しい手段に切り替えたからといって前の手段が1から100まで全部駄目ということには成らないと思うのですが、これはもう昨今の政権と同様に、「謝ったら死ぬ病」の重篤な症状に至っているとしか思えません。是非黒ちゃんにおかれましては転地療養をお勧めしたい。ADB総裁返り咲きなんていかがでしょうかねえ。
『これまでも随時見直しを行ってきましたが、』
そうそう、そもそも政策の効果点検とか必要な施策についてとか、特に最近のMPMでは片岡大先生様が毎度反対提案をしている位なのですから、当然ながら毎回カウンターアーギュメントとしての具体策についての検討までやっておられる筈でございまして(超棒読み)、毎度の会合でその点では深みのある議論がなされているのでしょうから(ウルトラ超棒読み)、何も3月会合まで引っ張る話でもないと思うんですけどねえ〜♪
『点検の結果、2%の「物価安定の目標」の実現に向けて効果的・持続的に金融緩和を行っていくうえで、更なる工夫ができるのであれば、実施したいと思います。』
点検するのに建屋の方は相変わらず昭和の建て増し建て増し温泉旅館状態あるいは往年の苗場スキー場のレイアウトといった趣の中、建て替えはしないで更に建て増しをしようってんですからもう何だかねとしか申し上げようがありませんが、まだこの時点では「YCC+QQE」だけ残るという言い方だからマイナス金利撤廃あるで!と思ったのですが次の部分でガックリ。
『なお、当然のことながら、これまで日本銀行がコミットしている点、すなわち
2%の「物価安定の目標」やそれに向けたオーバーシュート型コミットメントを見直すことはありません。』
物価安定目標を見直さない、というのは分かるがオーバーシュート型コミットメントって物価安定目標の達成に対する強いコミットメントを具体的に示して、それをもってインフレ期待を2%にアンカーさせに行く為の施策なのであって、それ即ちインフレ期待をアンカーさせに行くのにオーバーシュート型コミットメントよりも有効な政策手段があるならば変更して然るべきものの筈なのでして、まあさっきのYCC+QQEを見直さないって時点で論理性が著しく欠如しているのは言うまでもありませんが、この部分においても「2%の「物価安定の目標」を実現する観点から、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検」を行うという話なのに「謝ったら死ぬ病」の症状が顕在化している、という事が分かるかと存じます。
『また、金利水準については、「現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移する」という方針であり、マイナス金利を見直すということもありません。(以下は経済物価情勢の説明部分になるので割愛します)』
というのもこれまた今まであんさんらの言ってた話はどこに逝ったのという所でございまして、以前「リバーサル・レート」の話をしておられたかと思いますが、低金利政策というのは一種の未来から力を前借する政策なのであって、その前借効果が逓減していくと、低金利によるデメリットというのも当然ある訳で、そのデメリットの方が大きくなる可能性がより超低期になれば高まる、というのがリバーサル・レートのコンセプトなのですからして、当然ながらマイナス金利政策の導入(マイナス金利はYCCの前ですがな2016年1月末というか2月というか)からの時間の経過があるのですから、この間にリバーサル・レートが上昇している可能性もありますよ、と言う事を排除するのはおかしいですよね、という事になりますし、端から排除するんだったら以前リバーサル・レートの話を持ち出していたのは何のためだったんですかとツッコミたくなる次第でございますな。
・・・・・とまあ悪態ばっかりついていますが、要は「オーバーシュート型コミットメントを見直さない」ってのはこれを見直すとマネタリーベース置物理論が完全に無かったことになるので、リフレ派とか言って政策委員やっているお歴々はどの面下げて政策委員を続けるんでちゅかねえ〜って話になりますし、2015年12月会合でQQEの補完措置とか言ってぶっこんだ政策がQQEの限界を示したものとか言われてブチ切れて後先考えずに導入したとしか思えない「マイナス金利政策」については黒ちゃんにとってはこの撤回は謝ったら死ぬどころかポツダム宣言受諾で絞首刑待ったなしという認識なんでしょうなあという位に撤回する気が無い、ということで、じゃあ何を手直すのと。
でまあ考えられるのは一番簡単なのがETFとJ−REITの買入で、これを輪番と同じで「買入額に制限を設けない」という無制限買入みたいな言い方にして、実際には株価が盛大に下がったら買入はするけど平成バブル後の戻り最高値更新ヒャッハーとかやっている時には買入はしませんがな勝手にやってくれ、という方式にする、という事でしょうな。
・・・・・・でもそれってなにも3月まで引っ張ることは無いわけで、そんなの別に事前アナウンスせんでもエエンチャウ位の話だし、引っ張るにしたって1月会合で十分ジャンと思うので、これで3月にこれだけしか出なかったら笑い死にしないように注意しないといけませんね!!!!!!!!!
と言いましても、他に何があんのというと、じゃあYCCは残すとして「長期金利」を10年じゃなくて5年に短縮するとかくらいしか思い浮かばないのですけれども、まあそれをやったからどうなのというのはあるにせよ、短期が▲10bpなんですから5年は▲10bpよりも低い金利水準にする訳はさすがに無いと考えれば、現在見事にエグれてしまっていてよく考えたらグロ画像みたいな国債のイールドカーブの形状がちったあ是正されて頂くとアリガタヤと思うのですが、そこで片岡さんがMPMで妖術を駆使して10年→15年とかにしたらマジ受けるので3月に向けて片岡様におかれましては妖術と黒魔術の習得を推奨したい。
あとはまあ何かしょうもないガイダンスとかの見直し位しか考え付かなくて、そうじゃなかったら何かオモシロ新機軸が出るかもしれませんが、所詮元の建屋を残してグロ建築の上塗りになるような機軸になってしまうに100大須ういろうと言った所ですな。
てな訳でまさかのオープニング説明の所を読みまくってしまったら時間が(しかもこれ経済物価情勢を完全スルーしているんですがががががが)という所なのですが最初の方でもう一つオモロイの(婉曲表現)があったので紹介して続き(やるかどうかわからんが)は明日にでも。
・地域金融機関向け支援策は付利はするけど収益支援では無いとな????
実はこの冒頭説明の次の質疑が割といい感じの皮肉が入っていて良き哉でしたが時間が無いので本日は飛ばして次に。
『(問) 先月の通常会合で決定された「地域金融強化のための特別当座預金制度(特別当座預金制度)」についてお伺いします。一定条件を満たした地銀などに対する特別付利については、日銀は金融政策ではなくプルーデンス政策である、また政府の認可事業であるという立場をとっています。』
さいですな。
『一方、市場では、マイナス金利政策の副作用を和らげる効果を狙っているとか、日銀の判断で金融機関を選んで、事実上の補助金を出すことは中銀の裁量を逸脱しているといった批判があります。こうした批判に対する総裁のご見解をお願いします。』
あっはっは。さて回答ですが、
『(答) 「特別当座預金制度」は、金融政策としてではなく、金融システムの安定確保という日本銀行の目的達成の観点から、地域金融の強化が必要と判断して実施するものです。』
ほうほうそうですかそうですか。地域「金融」の強化ね。
『そのうえで、本制度では、経営基盤の強化に向けた取組みを実際に行った地域金融機関に限って付利を行うこととしており、個別先への収益支援が目的ではなく、そうした前向きな取組みを行うインセンティブを与える仕組みです。』
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)
付利をするのに収益支援ではないとは中々オモロイ理屈でして、経営努力した地域金融機関に対して収益支援をしようってのがこの制度じゃないのかねと思いますが、単にインセンティブを与えるだけでしたらば、偉大なる黒田東彦主席の肖像画ブロマイドを100万枚進呈するとか、偉大なる黒田晴彦主席のピンバッジを100万個進呈するとかでもした方が宜しいのではないかと(鼻ホジホジ)。
『従って、あくまでも、金融政策としてではなく、金融システムの安定確保という観点から地域金融の強化が必要と判断して、導入することを決めた制度です。』
強化するのに努力した先に収益支援するだけの意味であってマイナス金利の負担軽減を意図している訳じゃないんだったら、何で「当座預金残高の付利」になるのかもまあ謎ちゃあ謎な訳ですけれども、何ちゅうかもう理屈に無理があり過ぎますし、大体からして別に金融システムって考えたら地域金融機関以外だって強化した方が良いんですから、だったら何で全金融機関を対象にしないんでしょうかねえ、とか何とかまあ色々とツッコミを入れたくなるわけでして、なんか説明もかなり強引な香りが・・・・・・・
という所で時間と量の関係で今朝はこの辺でご勘弁賜りたく。
2020/12/21
お題「ノーイベントの筈のMPMでしたが何か妙なイベントがありましたな」
この記事ですけどね。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201220/k10012774591000.html
博士課程学生支援 約7000人に1人当たり年間290万円程度支給へ
2020年12月20日 17時49分
この記事、徹頭徹尾理工系の話ししかしていなくて、人文系の博士課程はどうなってるんだと小一時間問い詰めたいと申しますか、そういう即物的な発想しかしないからアカンのやろうと思うのよ。即物的な物だけ一生懸命ってのはハリボテ建築みたいなもんじゃねえのと思うんだけどなあ。
ま、碌なことをしない経済学という以下の部分は自主規制されました。
〇案の定の6か月延長だが別件の方が話題を掻っ攫うまさかのイベント会合(声明文)
どうでも良いのだが先週のどこか(木曜か金曜)に日銀サイトのサブメニュー(というのか、「金融政策」とかとクリックしたときに出てくる画面)のデザインが割と盛大に一新されたようですな。以前のよりもメニューの並び方が見やすくなっていまして、これはアタクシ的にはグッドデザイン。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k201218a.pdf(今回)
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k201029a.pdf(前回)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2010a.pdf(前回展望レポート)
でまあ政策の方は衆目の一致する予想通りに各種コロナ施策を半年間延長となった訳ですが、まあ一応景気判断とかも確認して参りましょうず。
・経済の現状認識については変化はないがよくよく考えたら都合の良いようにミクロとマクロを使い分ける日銀ちゃん
『わが国の景気は持ち直しているが、新型コロナウイルス感染症への警戒感が続くなかで、先行きの改善ペースは緩やかなものにとどまると考えられる(別紙)。そうしたもと、当面、企業等の資金繰りにはストレスがかかり続けるとみられる。こうした情勢を踏まえ、日本銀行は、引き続き、企業等の資金繰りを支援していく観点から、新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムについて、期限を半年間延長するとともに、運用面の見直しを行うこととし、本日の政策委員会・金融政策決定会合で、以下の決定を行った。なお、今後の感染症の影響を踏まえ、必要があれば、さらなる延長を検討する。』(今回)
企業金融の金融環境を改善するため、とのことですが、日銀短観を見ますと企業金融面のDIはユルユルにも程がある訳で、企業金融がひっ迫して金融環境が引き締まっているので緩和措置を行う、というのは理屈としては非常に良く分かるのですが、そもそも企業金融がマクロ的ガバガバな中で行っている措置を延長する、というのがどうなのかという話であって、勿論ミクロ的には企業金融が厳しいところもある、というダイバージェンスがあるのが今回のコロナ危機の特徴であるからして、つまり日銀はマクロ的にガバガバになるまでの措置をするのではなく、あくまでも政府によるミクロ策で対応し、日銀はそのバックストップとして構えて行く、というFED方式じゃないと過剰な企業金融の緩和による将来的な副作用を助長するんじゃないですかねえ。
などといつものように悪態をついておりますが、ちなみに今回は柄にもなく記者会見要旨みたくて土曜日に日経朝刊を買って確認したら、ちゃんとその趣旨の質問をしている記者さんがいたみたいでエライエライ。なおその質問に対して日経朝刊記事によりますと黒ちゃんは「指摘は全くあたらない」とかどこのガースーだよという回答をしていていやはや何とも。
つーことなので景気判断とやらは別紙とかいうのになる、ナンノコッチャ。展望レポートの基本的見解が比較対象になります。前回は展望回だったから景気判断に関する文言は声明文ではなくて展望の基本的見解ですな。
『わが国の景気は、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、持ち直している。』(今回)
『わが国の景気は、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、経済活動が再開するもとで、持ち直している。』(前回展望)
ほうほうそうですかそうですか、これ経済活動の引き締めみたいなのが起きつつありますけれども、前回うっかり「経済活動が再開するもとで」とか入れてしまっているので、逆に言うと公衆衛生上の措置が厳格化した場合には判断を下げないと行けなくなるんですけどさてどうなるやら1月展望は。
『海外経済は、一部で感染症の再拡大の影響がみられるが、持ち直している。そうしたもとで、輸出や鉱工業生産は増加を続けている。』(今回)
『海外経済は、大きく落ち込んだ状態から、持ち直している。そうしたもとで、輸出や鉱工業生産は増加している。』(前回展望)
まるで日本は感染症再拡大の影響がみられないかのようなこの大本営発表振り。何ちゅうかこうソ満国境線にソ連軍がジャンジャン増員されているのに攻め込まれていないので問題ないという認識をする位の感じが漂いますが、日本の方が1か月少々遅れてきているんだから一応こういう話にはなるのだがそれで良いのか?
『また、企業収益や業況感は、大幅に悪化したあと、徐々に改善している。設備投資は減少傾向にある。雇用・所得環境をみると、感染症の影響が続くなかで、弱い動きがみられている。』(今回)
『一方、企業収益の悪化を背景に、設備投資は減少傾向にある。雇用・所得環境をみると、感染症の影響が続くなかで、弱い動きがみられている。』(前回展望)
いやまあ確かに短観のDIの戻りはやたら強かったのですが、他は普通に悪化してないかね。
『個人消費は、飲食・宿泊等のサービス消費は依然として低水準となっているが、全体として徐々に持ち直している。住宅投資は緩やかに減少している。公共投資は緩やかな増加を続けている。』(今回)
『個人消費は、飲食・宿泊等のサービス消費は依然として低水準となっているが、全体として徐々に持ち直している。住宅投資は緩やかに減少している。公共投資は緩やかな増加を続けている。』(前回展望)
ここは同一文言。
『わが国の金融環境は、全体として緩和した状態にあるが、企業の資金繰りに厳しさがみられるなど、企業金融面で緩和度合いが低下した状態となっている。』(今回)
『この間、企業の業況感は、大幅に悪化したあと、幾分改善している。わが国の金融環境は、全体として緩和した状態にあるが、企業の資金繰りに厳しさがみられるなど、企業金融面で緩和度合いが低下した状態となっている。』(前回展望)
業況感の所は文章の構成上前回と今回で置き場所が違いますが、さっきありましたように今回は12月短観を踏まえて上方修正(前回の直近短観は9月短観)になっています。
でね、まあ今回措置延長をしているから「企業の資金繰りに厳しさがみられるなど」っていう話をしていますし、「企業金融面で緩和度合いが低下した状態となっている」ってありますが、先ほども申し上げましたが日銀短観見たら金融面においてはマクロ的に見れば緩和度合いが低下どころかガバガバ金融緩和という数字が並んでおり、要はコロナ直撃弾によって需要が飛んでしまった業種が集中して食らっている、という現状だ、ってえのは衆目の一致するところ。
然るに、まあ日銀のいつものしぐさではあるのですが、例えば企業収益や業況感の話をしている時には改善というようにマクロ的に完全している話をおっぱじめ、片やてめえらの打ち込んだ政策の話をする時は、全体的な金融環境がガバガバな話ではなくて、ミクロ的にしんどいセクターの状況を捕まえて緩和措置をガバガバと延長する、というアクションをしている訳でして、屁理屈ぶっこむにしましてももう少しエレガントな屁理屈にならないんでしょうか、と不肖このアタクシは思うのでした。
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、感染症や既往の原油価格下落、Go
Toトラベル事業の影響などにより、マイナスとなっている。予想物価上昇率は、弱含んでいる。』(今回)『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、感染症や既往の原油価格下落、Go
Toトラベル事業の影響などにより、小幅のマイナスとなっている。予想物価上昇率は、弱含んでいる。』(前回展望)
これ「予想物価上昇率は弱含んでいる」っての延々出し続けているのですが、半年以上も弱含んでいたら普通予想物価上昇率の引き上げを狙った措置を追加するもんじゃないでちゅかねえ(ニヤニヤ)。
・先行き見通しにも変化なし
『2.先行きのわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果にも支えられて、改善基調を辿るとみられる。もっとも、感染症への警戒感が続くなかで、そのペースは緩やかなものにとどまると考えられる。』(今回)
『先行きのわが国経済は、経済活動が再開し、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果にも支えられて、改善基調を辿るとみられる。もっとも、感染症への警戒感が残るなかで、そのペースは緩やかなものにとどまると考えられる。』(前回展望)
感染症への警戒が「残る」から「続く」に昇格しておりますよって本来ならばニアータームの見通しは下げてもおかしくはないのですがこっちの方は維持するんだよなー。まあそう来るのはこっちも織り込んでいますが。
『その後、世界的に感染症の影響が収束していけば、海外経済が着実な成長経路に復していくもとで、わが国経済はさらに改善を続けると予想される。』(今回)
『その後、世界的に感染症の影響が収束していけば、海外経済が着実な成長経路に復していくもとで、わが国経済はさらに改善を続けると予想される。』(前回展望)
はいはい変化なし変化なし。
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、当面、感染症や既往の原油価格下落、Go
Toトラベル事業の影響などを受けて、マイナスで推移するとみられる。その後、経済の改善に伴い物価への下押し圧力は次第に減衰していくことや、原油価格下落の影響などが剥落していくことから、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラスに転じていき、徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(今回)
『消費者物価の前年比は、当面、感染症や既往の原油価格下落、Go Toトラベル事業2の影響などを受けて、マイナスで推移するとみられる。感染症の影響から、経済活動の水準が低い状態が続くもとで、景気感応的な財やサービスの価格が下押しされるほか、既往の原油価格下落も、エネルギー価格を通じて消費者物価を押し下げると考えられる。そうしたもとで、中長期的な予想物価上昇率も、引き続き弱含むと考えられる。
その後、経済の改善に伴い、物価への下押し圧力は次第に減衰していくと予想される。加えて、原油価格下落の影響なども剥落していくとみられる。そうしたもとで、消費者物価の前年比は、プラスに転じていき、徐々に上昇率を高めていくと考えられる。中長期的な予想物価上昇率も、再び高まっていくと考えられる。』(前回展望)
物価ですけど、前回のは展望レポート基本的見解から取っているので説明がやや長めになっておりますが、まあ基本的にゆうとることは同じです。こちらに関しましてもふと我に返って読んでおりますと、先行き上がる、という予想はあるものの、コロナのドサクサ以降はこの「先行き上昇するメカニズム」の説明が割愛されるようになっておりまして、声明文でも展望でもまるでこの説明が無いのに何故か上がるという事になっております。
まあ何ですな、ニューケインジアンによるDSGEモデルだか何だかアタクシは学が無いので存じ上げませんけれども、まさかとは思いますがそのモデルによると長期的に見た場合に経済は長期均衡水準に収斂されるから物価も長期均衡水準であるところの2%に向けて上昇する、とか言うようなメカニズムになってねえか大丈夫かおまいら、等と思いながら鑑賞するのでした。
・リスク認識に変化は無し
『3.リスク要因としては、新型コロナウイルス感染症の帰趨や、それが内外経済に与える影響の大きさといった点について、きわめて不確実性が大きい。特に、このところの内外における感染症の再拡大による影響に注視が必要である。さらに、感染症の影響が収束するまでの間、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下せず、また、金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されるかについても注意が必要である。』(今回)
『上記の中心的な経済の見通しについて、感染症の影響が収束するまでの間は、特に以下の3つのリスク要因(上振れないし下振れの可能性)に注意が必要である。』(前回展望)
『第1に、新型コロナウイルス感染症による内外経済への影響である。』(前回展望)
『第2に、企業や家計の中長期的な成長期待である。』(前回展望)
『第3に、金融システムの状況である。』(前回展望)
内訳については引用するとくどくなりそうだから割愛しましたが言ってることは前回展望と同じ。
・・・・・・・・・ということで、まあほぼほぼ経済物価見通しは不変という認識の中で企業金融云々の措置を延長することになりましたとさ半年間。
・でもって半年間延長だがどさくさに紛れて社債の枠が事実上増枠になってるのはどういう認識なんだよ
声明文の項番1に戻る。
『(1)CP・社債等の増額買入れ(全員一致)
CP・社債等の増額買入れの期限を半年間延長し、2021 年9月末までとする。CP・社債等買入れについては、引き続き、合計約20兆円の残高を上限に買入れを実施するが、このうち、追加買入枠については、CP等と社債等の合計で15兆円とし、市場の状況に応じて、それぞれに配分することとする1。』
『1 従来、追加買入枠は、CP等、社債等、それぞれに 7.5 兆円としていた。なお、追加買入れ枠以外のCP等、社債等については、それぞれ約2兆円、約3兆円の残高を維持する。』
おいこらちょっと待て。
https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2020/ac201210.htm/
営業毎旬報告(令和2年12月10日現在)
コマーシャル・ペーパー等2 4,552,261,272
社債3 6,428,122,419
CPの買入って既に堂々のクソマイナス利回りなのだが、営業毎旬だとタイミングによりけりなのですけど、直近の営業毎旬見たら増枠分がカジュアルに大余りになっているのだが、これCPがこのまま推移したら社債を事実上増枠するのかよおいこらふざけるなという感じなんですが。まあ社債も余っていますけど、こっちは買入が累積していくと当分落ちないのを買っている(最低でも1年だからね)から残高増えるんだよなー。
ということで、短観のCP発行環境のDIがガバガバなんてもんじゃねえぞ、というような状況で社債のスプレッドもあの状況な訳でして、つまりはまあCPや社債を発行するというような直接金融に出てこれるレベルのお方って、一部盛大に食らった業種を除けばどこがどうファイナンス(売り上げ減の話をしている訳ではないので念のため申し添えます)タイトなのかさっぱり理解致しかねる状況の中、本来の意味で資金繰り支援したかったら直接金融の市場をこれ以上ガバガバにするのは弾の使い方まちごうとらせんかと思うのですけどねえ。
・このプロパー融資云々の上限の意味が良く分からんが中小企業金融支援の建付けから逸脱してるなあとは思う
『(2)新型コロナ対応金融支援特別オペ(全員一致)
新型コロナ対応金融支援特別オペの期限を半年間延長し、2021 年9月末までとする。あわせて、民間金融機関が独自に行っている中小企業等への新型コロナ対応融資を一層積極的に支援するため、同オペの対象となる適格融資のうち、プロパー融資にかかる一金融機関当たりの上限(1,000
億円)を撤廃することとする。』(今回)
これ最初見た時に「金融機関が行っている新型コロナ対応融資のうち、プロパー融資の場合は1先辺り1000億円を超える部分は適格融資としての対象にはしない」と思ったのですが、よくよく見ますと「1金融機関辺り」になっていましたな。
まあこれに関しては、例えば大規模な金融機関さんですと、「新型コロナ対応サービスレート融資」みたいなプロパー融資を大企業さんにぶっこんでいる場合であっても、全部で1000億円までしか新コロオペで10b付利(゚д゚)ウマーという事にならない、という建付けになっている、という風に理解していたのですが、この上限を撤廃することによって、どっかの大手航空会社さんにドカンと融資をしました、みたいなのも全部新コロオペ対象にぶっこめる、とまあそういう話になるんでしょうかねえ、何だか良く分かりませんが。
まあ何ですな、毎度申し上げていますが、大体からしてこの10bpを拾いに急に与信スタンスが変更されるというような目出度い話が金融機関の方にある訳ではなく(当たり前ですが10bpが天から降って来る有難い措置にいちゃもんを付ける対象金融機関などというものは存在しないので口では思いっきりヨイショをするのでこれがまた話をややこしくするしメディアが翼賛報道しかしなくなる、ってのが頭痛いですけど)、しかも今回はこのプロパー枠撤廃ですけど、元々この新コロオペって貸出債権とか中小企業向け制度融資残高だけじゃなくて、社債も対象になっておりまして、社債を買って担保にホイホイ持ち込めば6Mの10bp付利(゚д゚)ウマーって事にもなっております訳でして、この新コロオペって設立の趣旨として表向き謳っているのと、実際にこれで支援されているのは何なのか、という設計上のイカサマはちょっと酷いんじゃないの、とは思うのですが、何せこの措置は10bpボーナスプレゼント(゚д゚)ウマーの方々が「これはおかしい」とか言い出さないというのが何ちゅうかかんちゅうかなものを感じますですわよ、はい。
以下の決定事項、政策のガイダンス文言は前回会合と同じなのですが、一々引用していると無駄にクソ長くなるので割愛して最後の謎の見直しの方まで飛びます。その前に反対芸人の反対芸を鑑賞しましょう。
・なんだ片岡さんやればできるじゃん(反対芸人の芸風を鑑賞)
ということで例の謎の見直しの前に反対芸の鑑賞コーナー。
『(注1)賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員、安達委員、中村委員。反対:片岡委員。片岡委員は、物価下押し圧力の強まりへの対応と、コロナ後を見据えた企業の前向きな設備投資を後押しする観点から、長短金利を引き下げることで、金融緩和をより強化することが望ましいとして反対した。』(今回)
『(注1)賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員、安達委員、中村委員。反対:片岡委員。片岡委員は、今後の物価下押し圧力の強まりへの対応と、企業・家計の金利負担軽減を企図して、長短金利を引き下げることで、金融緩和をより強化することが望ましいとして反対した。』(前回)
状況が変化する中、反対理由が同じとか芸がないだろ常識的に考えて、みたいな悪態が通じたのかどうかは存じませんが、今回反対理由の1つが、「企業・家計の金利負担軽減を企図して」から「コロナ後を見据えた企業の前向きな設備投資を後押しする観点」に変化しております。工夫の跡が見られますねヨシヨシヨシと言いたくなりますが、惜しいのは「コロナ後を見据えた企業の前向きな設備投資を後押しする観点」で利下げするんだったらそれ感染症の再拡大真っ最中の今ではなくて、もう少し状況が落ち着いて世の中の雰囲気が「よーしパパアフターコロナの新しい生活に合わせるぞー」って感じになった時の方が理由としては良さげな気がするのが惜しい。まあアフターコロナに向けてプリエンティブに対応したい、って事でしょうから(と優しく解釈)抜作先生という程でもないですけどね。
『(注2)片岡委員は、デフレへの後戻りを回避するためにも、財政・金融政策の更なる連携が必要であり、日本銀行としては、政策金利のフォワードガイダンスを、物価目標と関連付けたものに修正することが適当であるとして反対した』(今回)
『(注2)片岡委員は、新型感染症の深刻な影響を念頭におくと、財政・金融政策の更なる連携が必要であり、日本銀行としては、政策金利のフォワードガイダンスを、物価目標と関連付けたものに修正することが適当であるとして反対した』(前回)
こちらも「新型感染症の深刻な影響を念頭におくと」から「デフレへの後戻りを回避するためにも」に変化していて工夫の跡がみられてヨシヨシヨシと頭をナデナデしたくなる所ではあるのですが、甚だ残念なことに政府が率先して携帯電話通信料を下げるわGOTOキャンペーンで値下げ需要喚起策を取るわ薬価は下げるわといった具合で盛大にミクロ介入を行っておりまして、しかもそれが揃いも揃ってデフレ政策なのでありまして、その時点で「デフレへの後戻りを回避するためにも、財政・金融政策の更なる連携が必要であり」という文言が空虚にも程があるとしか申し上げようが無いのが残念無念といったところでございましょう。政府がそもそもデフレ政策を行っている中でこの文言は虚しさ爆裂。いやまあ政府の施策ちゃんは片岡さんのせいじゃないからどうしようもないので、ここは一丁首相官邸前で請願文書を奉呈しながらハンストなり年越しテント村でもおっぱじめるなりしたら如何でしょうか?
という訳で今回の片岡さん、何の心境の変化かちったあやる気(??)を出して反対文書を練って来ましたね、おーヨチヨチよくやったぞよ。
〇さて謎の見直しですがまあ大体記者会見の方でゲロってますわなあという茶番おぶ茶番だし色々ロジカルにアレ
でまあ今回のメインイベント??は声明文項番4ですわ。
『4.新型コロナウイルス感染症の影響により、経済・物価への下押し圧力が長期間継続すると予想される状況を踏まえ、経済を支え、2%の「物価安定の目標」を実現する観点から、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行うこととした。その際、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みは、現在まで適切に機能しており、その変更は必要ないと考えている。この枠組みのもとで、各種の施策を点検し、来年3月の金融政策決定会合を目途にその結果を公表する。』(今回声明文)
???????????????
何かしょうもないポンチ絵も登場しています。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k201218b.pdf
12/18日決定のポイント
何で同系色の色ばっか使うんだよというポンチ絵で、どうもこう3本の鉛筆といい、中学校の美術の成績が常に3(5段階)しか取った事の無い不肖このアタクシでももうちょっと何とかならんのかと思ってしまう絵心ェ・・・・・・・・
『・ 感染症の影響により、経済・物価への下押し圧力が長期間継続
・ そのもとで、経済を支え、2%の「物価安定の目標」を実現する必要』
あっそう。でもってポンチ絵の方は前半は今やった話だが後半は、
『2%を実現するためのより効果的で持続的な金融緩和の点検
・ 「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みは変更しない
・ 各種の施策を点検し、3月会合を目途に結果を公表』
・・・・・・・全く意味がわからん。いや書いてある文字は分かるんですけれども、お前ら普段から政策の点検を行っているだろうし、しかも政策の大枠のパラダイムシフトをする訳でもない、というのを最初から明言しているという「見直し」な訳ですよ。
で、パラダイムの見直しもしなけりゃ政策の根本的な枠組みも変更しない、と来ているのでしたら、そんなの別に普段から政策の点検を行っているんだから別に勿体をつけなくたって今回一緒に出せば済むことだし、要綱の変更とかのロジがめんどいとかだったら次回会合でも仕方ないかも知れないけど、別に事前にアナウンスするような事でもないだろうし1月会合でやれば良いじゃん、というお話な訳です。
つまりですね、金融経済状況の現状認識と先行きの点検に加えて、現在行っている政策の効果や副作用の点検、というのも通常の金融政策運営の中で普通に実施する話なのでありますから、政策の大枠(それこそ2%物価目標とか)を変えない範囲内での政策運営手法のファインチューニングなどというものはいつもの決定会合でポーンと出て然るべき物なのですよね。然るに今回事前アナウンスするわしかも3月まで出ない、とかこれって自分等が普段の金融政策決定会合で真面目に点検とか議論とかしてないと盛大に白状しているようなもんで、何もやってないんだったら全員今までの報酬全額返上して坊主になって詫びろやこのカカシ委員会のクソがと小一時間罵倒したくなるお話でございますわな。
いやね、大きな枠組みを見直さないと思うのでちょっと時間をくれ、とか経済構造の変化に加えて今回のアフターコロナの時代も見据えて、金融政策の基本的な考え方について再考を要するし、政策についてもスクラッチであり方を考えたい、結果として現状政策の維持になるかもしれないが、そういうのを出すからよろしくね、とか言うのならまだ分からんでもないですが、今度は逆の話になるんですが、3か月如きで纏まる話なのか、というのもありますが、より時間をかけてああだこうだ話をする、という形にしないと、極めて近い将来の金融政策変更という思惑に繋がってしまいますから、そういう話をするんだったら、もうちょっと時間をかけて実施し、現状の政策運営に直接大きな影響を与えないかも知れませんって所をアピールした方がエエンチャイマスノ(FEDもECBもストラテジックレビューは1年とか時間を置いていた訳で)とも思う訳ですよ。
・・・・・・てなそもそも論はさておきまして、仕方が無いので土曜日の日経朝刊を見ましたら会見一問一答が出ていた(というかそれ目当てに買った)のですけど、そちらでの説明を読みますと
・2%目標は見直さない
・マイナス金利政策は見直さない
・QQE+YCCは見直さない
ってあって、臨時措置を除けばあと見直せるのリスク性資産の買入の所だけじゃん(QQE+YCCにオーバーシュート型コミットメントを含まない、と解釈すればマネタリーベース拡大方針の見直しが出来ますけど多分そこはそうじゃないでしょ、と思う)ということで、CP社債ETFリートってそれだけかよという話だし、まあ常識的に考えて株価がこの有様なのにETFを量縛りでバカスカ買いまくるのがおかしいでしょ、という話になるから、これはまあETF買入の柔軟化、とか言いながら株価が下がったら買入ぶっこむ用意はある(キリッ)って言いながら、追加買入を極力減らしていきましょう、という話をしている以外にちょっと順当に考えつくものがありませんな。でもって柔軟化を前面に出すとアレだから輪番の目途と同じで「上限撤廃」とか寝言を言って減らすんでしょうけど。
詳しくは本日会見要旨が日銀ちゃんから出たらまあ再度確認します。
でもって3月会合とかいうケッタイな時期まで引っ張るのは、どうせETF買入が「上限撤廃・柔軟化」される時期までの間に市場が織り込んで日銀が何を言っても無問題、という状況にしたい、ということなのでしょうけれども、そういう変なスケベ根性があると、この3月会合まで待つという行動が盛大な死亡フラグになり兼ねませんので、相場状況の良いうちにそういうのはやって欲しいと思います。
まあいずれにせよ壮大な茶番だわな。と思いましたです、はい。
2020/12/18
お題「パウエル会見の冒頭説明を鑑賞の巻だがここも普通に淡々としたもんですな」
これは進次郎も裸足で逃げ出す進次郎構文
https://www.asahi.com/articles/ASNDK5V2GNDKUTFK018.html
首相の「誤解」の意味は 官房長官、繰り返し問われ反論
2020年12月17日 18時05分
『重ねて記者が「大人数で食事していた事実はあるが、『国民が誤解』とはどういう意味か」とただすと、加藤氏は「そこに留意するよりも、むしろ、そうしたさまざまなご指摘を受けて、首相が大いに反省しているとおっしゃっている。まさに、その気持ちが全てではないかと思う」。結局、「誤解」が意味するところを説明することはなかった。』(上記URL先)
・・・・・・・ワロタ(ワロエナイ)ですが、まあこの人たち別に今に始まった訳ではなくて、一昨年の西日本豪雨時の赤坂自民亭を思えばまあそんな感じっしょと(吐血)。
〇パウエル会見である
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20201216.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference
December 16, 2020
・なぜかここで日銀プレビュー雑談をぶっこんでおくアタクシ
今朝見たらQ&A付に昇格している(ってかまあ向こうの昨日の日中に更新してると思います)がQ&A全部は多分リームーだしどうせ今日の日銀は延長とかやるけど、その他飛んでもないものとかをぶっこんで来る時間帯ではない(今は中銀のターンではなくて財政のターンだし、ジャパンの場合は財政のターンなのに財政はあらぬ方向にばっかり炸裂すっるというのが何ともかんとも)ので、アタクシの想像を絶するトンチキでなければコロナ対策延長でしょうな。
しかしまあ何ですな。先日ネタにしましたようにECBのラガルド総裁は緊急施策に関して「全体的に集団免疫を獲得したと判断されるような時」を出口の目途にしておりまして、FEDに関しては政策金利は物価に紐付けしておいて、APPに関しては例の「until
substantial further progress has been made toward the Committee's maximum
employment and price stability goals.」と無茶苦茶フニャフニャな言い方をしていますが、少なくともAPPに関してはアフターコロナにおけるニューノーマルになる頃にはまあ外しそうな感じ。基本的には社会経済活動の中で(他のが来たらしょうがないがCovid-19要因の)ロックダウンアゲインが起きないと見極める所を念頭に置いていそうに声明文の方では読み取れました(個人の感想です)が、どうせジャパンの場合は「新型コロナ対策という事ですが、ワクチンの開発なども進んで今後新型コロナの現在のような形での感染などが防げるようになった時にはこの政策は全て見直すということで宜しいでしょうか?」とか聞いても「今は拡大しているのでそのような問題については考えていない」とか、ふざけた回答しか出てこないに100忘年会と言った所ですな。
・・・・・すいません危うく今日がMPM2日目なのを忘れそうになっていたので(大袈裟)。
・オープニングリマークの方ですがとりあえず雇用と物価のパートを見る
最初の方の全体観の話ですけれども、何せ総括判断が11月FOMCと文章が盛大に一致しているので、まあそこはぶっ飛ばすけれども、さすがに雇用と物価はマンデートなので別書き部分があるからそこから読みますのでいきなり最初の1ページはぶっ飛ばす。
『In the labor market, more than half of the 22 million jobs that were
lost in March and April have been regained as many people were able to
return to work. As with overall economic activity, the pace of improvement
in the labor market has moderated.』
回復中だが足元の回復はややモデレートになっているぞな、という全体観。
『Job growth slowed to 245,000 in November, and while the unemployment rate has continued
to decline, it remains elevated at 6.7 percent. Participation in the labor
market remains notably below pre-pandemic levels. Although there has been
much progress in the labor market since the spring, we will not lose sight
of the millions of Americans who remain out of work.』
改善したとは言え失業率6.7%は依然として高水準な上、労働参加率がパンデミック前と比較して低水準にいる、としながらパウエル議長の時代になってこの「we
will not lose sight of the millions of Americans who remain out of work」的な「マクロの改善だけ見るのではなくて、そのマクロの中にも格差があって、その格差の弱い部分も注目しないと行けない」という話をするのは特にパウエルさんになってからの特徴。
いわゆるSDGs的なノーワンリーブビハインドの観点で話をしているのか、そうじゃなくて単純にこの数年(パンデミック前)の景気拡大が格差の拡大を助長しているという認識があって、その格差拡大をちょっと看過しにくくなっている、という文脈でこういう話をしているのか、はたまたホワイトハウスが五月蠅いから「我々もオールアメリカンズに目配りしています」を強調することによって政治的批判を回避するためなのか、というのは判断がつきかねますけれども、まあ何はともあれまたこの話が現状認識の締めで来ています。
でもって先行き。
『Looking ahead, FOMC participants project the unemployment rate to continue
to decline; the median projection is 5 percent at the end of next year
and moves below 4 percent by 2023. The economic downturn has not fallen
equally on all Americans, and those least able to shoulder the burden have
been the hardest hit. In particular, the high level of joblessness has
been especially severe for lower-wage workers in the service sector, and
for African Americans and Hispanics. The economic dislocation has upended
many lives and created great uncertainty about the future. 』
こちらでもマクロ的な改善見通しを出した後にコロナの影響が一様ではないから始まっていつもの社会的マイノリティーが厳しい環境に置かれている中で云々の話で締めています。
お次が物価だが。
『The pandemic has also left a significant imprint on inflation. Following
large declines in the spring, consumer prices picked up over the summer
but have leveled out more recently. For those sectors that have been most
adversely affected by the pandemic, prices remain particularly soft. Overall,
on a 12-month basis, inflation remains below our 2 percent longer-run objective.
The median inflation projection from FOMC participants rises from 1.2 percent
this year to 1.8 percent next year and reaches 2 percent in 2023.』
コロナの影響を直撃したセクターにおける価格設定があばばばばーになっているのが特徴的、というコメントを入れていますが、あとはSEPで示されているマクロ見通しベースの話を淡々と行っているの巻という感じで、こっちは(雇用の所での社会的マイノリティーの格差に対する熱い言及と比較して)物凄いあっさり味でして、こんなにあっさりでエエンカともアタシャ思ってしまいますがまあいいです。
・経済先行き見通しは全部パンデミック次第なので中銀としては期限の延長以外は地蔵タイムに突入宣言っすな
『As we have emphasized throughout the pandemic, the outlook for the economy
is extraordinarily uncertain and will depend in large part on the course
of the virus.』
そら(パンデミック次第だから)そう(先行きは極めて不確実)よ。
『Recent news on vaccines has been very positive. However, significant
challenges and uncertainties remain with regard to the timing, production,
and distribution of vaccines, as well as their efficacy across different
groups.』
最近のワクチンのニュースは「very positive」と大きく出るも、すかさずワクチン接種のタイミング、生産、出回り状況、そもそも皆にこれが効くのか否か、っての分からんからまあそれ次第っすよねー、となっております。まあ奇跡的にワクチンが万人に効きまくって雨公の感染者が劇的に減ってくれば世の中一気に変わると思いますがさてどうなることやら。
『It remains difficult to assess the timing and scope of the economic implications
of these developments. The ongoing surge in new COVID-19 cases, both here
in the United States and abroad, is particularly concerning, and the next
few months are likely to be very challenging.』
よってパンデミックのワクチンちゃんの効果の経済へのインプリケーションがどうなるかとかいうのはもう状況次第としか申しあがようがない、という説明でして、そらまあラガルドちゃんもそうでしたが、初期段階における流動性懸念とか、過剰なリスク認識による市場におけるリスクプレミアムの過度な拡大(まあこの過度ってのはじゃあ何をもって適度なのか、ってプロブレムがあるから微妙ちゃあ微妙な論点ですが)的な市場機能による資源の適正配分機能が失敗している状態を是正する、というのに成功したら、その分は引っ込めておかないと今度はその施策が逆に作用して資源の適正配分を阻害することになりますから、という辺りの発想は根底に流れていると思うの(個人の印象です)。
『All of us have a role to play in our nation’s response to the pandemic.
Following the advice of public health professionals to keep appropriate
social distances and to wear masks in public will help get the economy
back to full strength. A full economic recovery is unlikely until people
are confident that it is safe to reengage in a broad range of activities.
』
以前のような行動様式が取れるようになるまではフルエコノミックリカバリーって訳にはいかんでしょ、という見通しで、まあそうですねという話で、結局パンデミックの話しかしていないという中銀地蔵タイム(施策の足を伸ばすのはやるとして)宣言みたいなもんでしょこの「先行き経済見通しが全部パンデミックの話ししかしていない」ってのは。
・SEPは新機能(?)の説明だけして見通し数値の説明が無いとな
『As we previously announced, we are now releasing the entire package of
our SEP materials at the same time as our FOMC statement. Included in these
materials are two new exhibits that show how the balance of participants’
assessments of uncertainty and risks have evolved over time.』
まだちゃんと読み込めてないのだが正直新しいリスクバランスチャートはちょっとうーんという感じもするんだがまあ後で細かく読んでみておく。
『Since the onset of the pandemic, nearly all participants continue to
judge the level of uncertainty about the economic outlook as elevated.
In terms of risks to the outlook, fewer participants see the balance of
risks as weighted to the downside than in September. While a little more
than half of participants now judge risks to be broadly balanced for economic
activity, a similar number continue to see risks weighted to the downside
for inflation.』
と、そのリスクバランスの分布を説明したあと(って読んでる方としてはどうせ地蔵モードだし大体からして金融政策で追加の趣向とか打つだけ無駄玉だと思うのであんまりここのバランスを今回は重視する必要はない、と勝手に判断してどスルー気味です)、いつもだったら実質GDP見通しと失業率見通しと物価見通しのメディアンがこれこれで前回から幾ら動きましたという話があるのに、今回はその説明無し無しになっておりまして、ちったあ説明せえやと思うのですが、説明しない辺りに「パンデミック出たとこ勝負だけど基本は地蔵ですよ地蔵」という気概(?)を感じましたがアタクシの気のせいかもしれませんね!!!!
#ちなみに引用ぶっ飛ばしたところでも特に数字の説明はありませんでした
・政策金利とAPPのガイダンスの話だが声明文通りの説明しかしとらんな
『The Fed’s response to this crisis has been guided by our mandate to
promote maximum employment and stable prices for the American people, along
with our responsibilities to promote the stability of the financial system.
As noted in our Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy,
we view maximum employment as a broad-based and inclusive goal. Our ability
to achieve maximum employment in the years ahead depends importantly on
having longer-term inflation expectations well anchored at 2 percent.』
この部分は前振りのお経。
『As we reiterated in today’s The Fed’s response to this crisis has been
guided by our mandate to promote maximum employment and stable prices for
the American people, along with our responsibilities to promote the stability
of the financial system. As noted in our Statement on Longer-Run Goals
and Monetary Policy Strategy, we view maximum employment as a broad-based
and inclusive goal. Our ability to achieve maximum employment in the years
ahead depends importantly on having longer-term inflation expectations
well anchored at 2 percent.』
ってこれもお経だった。
『As we reiterated in today’s statement, with inflation running persistently
below 2 percent, we will aim to achieve inflation moderately above 2 percent
for some time so that inflation averages 2 percent over time and longer-term
inflation expectations remain well anchored at 2 percent. We expect to
maintain an accommodative stance of monetary policy until these employment
and inflation outcomes are achieved. With regard to interest rates, we
continue to expect it will be appropriate to maintain the current 0 to
1/4 percent target range for the federal funds rate until labor market
conditions have reached levels consistent with the Committee’s assessments
of maximum employment and inflation has risen to 2 percent and is on track
to moderately exceed 2 percent for some time.』
政策金利を維持しました、という決定事項の話をしているんだが、決定事項の話よりも前回から何の変化もないガイダンス文言を読み上げている方が長いという棒読み感横溢する説明。
で、やっとお待ちかねタンホイザのAPPに関する説明が来る。
『In addition, as we noted in today’s policy statement, we will continue
to increase our holdings of Treasury securities by at least $80 billion
per month and of agency mortgage-backed securities by at least $40 billion
per month until substantial further progress has been made toward our maximum
employment and price stability goals. We believe the increase in our balance
sheet this year has materially eased financial conditions and is providing
substantial support to the economy. 』
昨日は額に関してとっさに間違えたらアカンと思って不足はしてないでしょとか雑に書いてしまいましたが(確認する時間がもったいなかったです、誠に面目ない)、結局の所ほぼ現状ペースを維持しますよということで、その時期に関しては声明文に書かれている謎ガイダンス文言を入れています。でもってこのオープニングリマークでは(順当ではありますが)「substantial
further progress has been made toward our maximum employment and price
stability goals」の「substantial further progress」とは何ぞや、ということについて明確な言質をビタ1文字も入れず、すぐに「今年行ったAPPは金融環境の改善に寄与し、結果としては経済活動のサポートになりました(ので今後も続けるよ)」という話をしてAPPの話はこれだけというあっさり味説明っすな。
・アウトカムベースのガイダンスねえ・・・・・・・
政策スタンスのガイダンスの話はまだ続くのだが。
『Combined with our forward guidance for the federal funds rate, our enhanced
balance sheet guidance will ensure that the stance of monetary policy remains
highly accommodative as the recovery progresses.』
今回のAPPに関する措置は「enhanced balance sheet guidance」ということになっております。
『Our guidance is outcome-based and is tied to progress toward reaching our employment and inflation goals.』
ちょwwww
いやまあ確かに「経済活動の結果を見て判断」という意味では「outcome-based」ではあるのですが、問題はこのガイダンスって「tied
to progress toward reaching our employment and inflation goals」ってあるけど、その「progress」が何だか示されていなくて、結局ここのジャッジメンタルなものが残る訳でして、いやまあ言葉の定義の問題になっちゃうからあまりグダグダ言うのも屁理屈合戦になってしまうので避けたいのですけれども、「progress」についての部分にジャッジメンタルな成分がある以上、「outcome-based」という文言から想像されるような「何々の経済指標が何か月連続で何ぼかのスレッショルドより改善するまで」みたいな完全なバックワードルッキングのガイダンスにはなっていなくて、ジャッジメンタルな部分でプリエンティブに対応することも可能になっている、という作りなんですよね。
まあ株が下がるとビビって泡吹いてなんか出てくるの巻という成功(?)経験が長いからどうしてもこれを受け取る側もついハト派バイアスかけて読みたくなるのは分かるんですが、本当の本当に長期間の金融緩和を確約したとか、APPに関しても時間軸が大きく伸びたみたいなのは、まあそう読みたければ確かにそう解釈もできるんですけど、実はジャッジメンタルなのをしらっとぶっこんでいるだけに、やるかどうかは兎も角、割としれっと梯子を外すのも可能なつくりになっているのはご留意頂きたいと思います(個人の感想です)。
『Thus, if progress toward our goals were to slow, the guidance would convey
our intention to increase policy accommodation through a lower expected
path of the federal funds rate and a higher expected path of the balance
sheet. Overall, our interest rate and balance sheet tools are providing
powerful support to the economy and will continue to do so.』
必要ならば追加緩和がどうしたこうしたといういつものアレですな。
つーことでして、まあ昨日も申し上げましたが、この政策に関しては最初に試練が来るのがコロナ解決時、次に試練が来るのは物価がホイホイ上がりだした時で、この2つの前提条件が居座っているうちはFEDとしては地蔵緩和を続けるしかないということだと思います。
・各種緊急ファシリティと財政について
次に割と延々と緊急ファシリティと財政の話があります。めんどいので最初のパラ丸ごと引用して終わりにしておきます。段落分けはしますが。
『The Federal Reserve has also been taking broad and forceful actions to
more directly support the flow of credit in the economy for households,
for businesses large and small, and for state and local governments. Preserving
the flow of credit is essential for mitigating damage to the economy and
promoting a robust recovery. Many of our programs rely on emergency lending
powers that require the support of the Treasury Department and are available
only in very unusual circumstances, such as those we find ourselves in
today.』
『These programs serve as a backstop to key credit markets and have helped
to restore the flow of credit from private lenders through normal channels.
We have deployed these lending powers to an unprecedented extent, enabled
in large part by financial backing and support from Congress and the Treasury.』
『Although funds from the CARES Act will not be available to support new
loans or new purchases of assets after December 31, the Treasury could
authorize support for emerging lending facilities, if needed, through the
Exchange Stabilization Fund. When the time comes, after the crisis has
passed, we will put these emergency tools back in the box.』
『As I have emphasized before, these are lending powers, not spending powers.
The Fed cannot grant money to particular beneficiaries. We can only create
programs or facilities with broad-based eligibility to make loans to solvent
entities with the expectation that the loans will be repaid. Many borrowers
are benefiting from these programs, as is the overall economy. But for
many others, getting a loan that may be difficult to repay may not be the
answer.』
『In these cases, direct fiscal support may be needed. Elected officials
have the power to tax and spend and to make decisions about where we, as
a society, should direct our collective resources. The fiscal policy actions
that have been taken thus far have made a critical difference to families,
businesses, and communities across the country. Even so, the current economic
downturn is the most severe of our lifetimes. It will take a while to get
back to the levels of economic activity and employment that prevailed at
the beginning of this year, and it may take continued support from both
monetary and fiscal policy to achieve that.』
つーことで各種緊急ファシリティに関しては財政様のパワーが必要ですわねという話をしてますし、危機終了後にはとっとと撤収という話もしてますし、これらのプログラムはバックストップということで、どこぞの中央銀行のように率先してクレジットスプレッドを叩き潰しに行く話もしない、という事になっておりますな、うんうん。
#結局QAまで届きませんでしたサーセン
2020/12/17
お題「だいたいFOMC:真価が問われるのはコロナのゴールが見えてくるときですね!!」
ほうほうなるほど。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201216/k10012767901000.html
5人以上の会食 菅首相「誤解を招くという意味で真摯に反省」
2020年12月16日 19時42分
上級国民様である我々は下々向けのルールなど守る必要が無い、という当たり前のことに対する誤解が蔓延しているので反省をしているんですねわかります。
それが何より証拠には♪っと
https://www.tokyo-np.co.jp/article/74717
自民、夜の会食中止相次ぐ 首相への批判念頭か
2020年12月16日 20時33分 (共同通信)
『自民党二階派と岸田派は16日、それぞれ17日開催を予定していた派閥の忘年会の中止を決めた。二階俊博幹事長と佐藤勉総務会長ら党総務会メンバーによる18日夜の会食も取りやめとなった。いずれも新型コロナウイルスの感染拡大を受けた対応。党関係者が明らかにした。菅義偉首相や二階氏らによる大人数会食が批判されていることも念頭にあるとみられる。』(上記URL先より)
中止を決めたのは「16日」ですからどう見ても「新型コロナウイルスの感染拡大を受けた対応」ではありませんよねー。さっすが上級国民様は違いますねー。それから「念頭にあるとみられる」とか共同通信は何でこんな腑抜け腰抜けの忖度報道をするんですかねー。共同通信も上級国民なのかな〜(ゲス顔)。
〇FOMCの前にメモですが(外為特会からの謎のドル購入)
??????????
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201216c.pdf
2020年12月16日
日本銀行
財務省(外国為替資金特別会計)からの米ドル資金の買入について
『今般、日本銀行では、新型コロナウイルス感染症にかかる状況も踏まえ、国際金融協力や金融機関に対する外貨資金供給のより円滑な遂行に備える観点から、別紙要綱のとおり財務省(外国為替資金特別会計)から米ドル資金(60億米ドル程度)を買い入れることとしましたのでお知らせします。』
お馴染み財務省様
https://www.mof.go.jp/
のサイトを見ても一読して見える所に関連するリリースが無いから何のこっちゃという感じで特段フォローの報道も見当たらなかった(ような気がするがあったらゴメンよ)ので何が何やら良く分からんのですが、何かの拍子に緊急でファンディング市場がスクイーズ食らった時にドル現先オペでもやるとかいうのかも知れませんが、それだったらその時に外為特会から金借りるなりすりゃエエヤンと思うので、どう見てもこの言い訳は言い訳用の言い訳でしょうが、まあ屁理屈に関しては我々凡下よりも1日の長どころか100年の長がある日銀様の事ですから、これをうっかり財務省証券にしてしまって、「緊急資金供給のために保持しているなら何で中銀デポになってないんでしょうか」というようなツッコミはされないものと信じております。
・・・・・・でもってまあ良く分からんので続報待ちですけど、だいたいこういうのが出てくると会計上のサムシングなのか、インチキの前触れなのかどっちかになりますので、インチキの前触れにならないことを祈念致します。続報が出たら(少なくとも明日のMPM後の総裁記者会見ではなんか質問が飛ぶと思いますが)また考察してみます。
〇寝起きでFOMCだがその前に緊急スワップファシリティ協定延長について
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20201216c.htm
December 16, 2020
Federal Reserve announces the extension of its temporary U.S. dollar liquidity
swap lines and the temporary repurchase agreement facility for foreign
and international monetary authorities (FIMA repo facility) through September
30, 2021
For release at 2:00 p.m. EST
FOMC結果と同時に出ていますが、
『The Federal Reserve on Wednesday announced the extension of its temporary
U.S. dollar liquidity swap lines and the temporary repurchase agreement
facility for foreign and international monetary authorities (FIMA repo
facility) through September 30, 2021. These facilities were temporarily
established in March 2020 to ease strains in global dollar funding markets
resulting from the COVID-19 shock and mitigate the effect of such strains
on the supply of credit to households and businesses, both domestically
and abroad. Extensions to both facilities through March 2021 were announced
on July 29, 2020. A further extension of these facilities will help sustain
recent improvements in global U.S. dollar funding markets by serving as
an important liquidity backstop. In addition, the FIMA repo facility will
help continue to support the smooth functioning of the U.S. Treasury market
by providing an alternative temporary source of U.S. dollars other than
sales of securities in the open market.』
『The extension of the temporary swap lines applies to all nine central
banks previously announced on March 19 and extended in July. These swap
lines allow the provision of U.S. dollar liquidity in amounts up to $60
billion each for the Reserve Bank of Australia, the Banco Central do Brasil,
the Bank of Korea, the Banco de Mexico, the Monetary Authority of Singapore,
and the Sveriges Riksbank (Sweden) and $30 billion each for the Danmarks
Nationalbank (Denmark), the Norges Bank (Norway), and the Reserve Bank
of New Zealand.』
てな訳で、主要6中銀間の事実上常設ファシリティになっている(とは言っても一応1年延長方式で、1月のFOMCで殆ど自動的に継続の決定がされておりますけど)物件とは別に、その他の中銀との分に関してはコロナ緊急対策でぶっこんでいましたが、3月末までの期日になっていたのを9月末まで延長となっています。次の声明文にありますように、引き続き非常時モードランプは点灯しておりますのでこれは順当、だと思ってここの文章は目を泳がせただけなので、実は細かい所で見落としがあったらゴメンよというか後で目を皿のようにして再確認はしておく。
ではFOMC声明文とSEPですが、まあ無風っちゃあ無風。
〇ガイダンスの変更だけじゃなくてAPP買入ペースを明確化したのか(声明文)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20201216a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20201105a.htm(前回)
・第1パラグラフ:非常時モード信号は継続して点灯中
『The Federal Reserve is committed to using its full range of tools to
support the U.S. economy in this challenging time, thereby promoting its
maximum employment and price stability goals.』(今回)
『The Federal Reserve is committed to using its full range of tools to
support the U.S. economy in this challenging time, thereby promoting its
maximum employment and price stability goals.』(前回)
パンでみっく以来のこの1パラは継続して点灯中、そらそうだ。
・第2パラグラフ:現状認識部分は全文一致
実は資産買入のガイダンス以外全部全文一致なんですけどまあ吉例(?)につき一応確認。
『The COVID-19 pandemic is causing tremendous human and economic hardship
across the United States and around the world. Economic activity and employment
have continued to recover but remain well below their levels at the beginning
of the year.』(今回)
『The COVID-19 pandemic is causing tremendous human and economic hardship
across the United States and around the world. Economic activity and employment
have continued to recover but remain well below their levels at the beginning
of the year.』(前回)
まあ以下全文一致が続くのですが念のため確認確認(目検したあと、テキストに落とすときにHTMLだとパラグラフの中に改行が無いからベターっと上下比較で再確認してます)。
『Weaker demand and earlier declines in oil prices have been holding down
consumer price inflation. Overall financial conditions remain accommodative,
in part reflecting policy measures to support the economy and the flow
of credit to U.S. households and businesses.』(今回)
『Weaker demand and earlier declines in oil prices have been holding down
consumer price inflation. Overall financial conditions remain accommodative,
in part reflecting policy measures to support the economy and the flow
of credit to U.S. households and businesses.』(前回)
ということで現状認識は11月頭のFOMCと同じです。
・第3パラグラフ:というか先行き認識も全文一致とな
『The path of the economy will depend significantly on the course of the
virus. The ongoing public health crisis will continue to weigh on economic
activity, employment, and inflation in the near term, and poses considerable
risks to the economic outlook over the medium term.』(今回)
『The path of the economy will depend significantly on the course of the
virus. The ongoing public health crisis will continue to weigh on economic
activity, employment, and inflation in the near term, and poses considerable
risks to the economic outlook over the medium term.』(前回)
先行きはコロナ次第でっせ、ということでリスクは物凄い勢いでありまっせということです。まあとりあえずの所これで行く事になりますし、あとで述べますように資産買入のオモシロガイダンスをぶっこんできましたけど、まあ政策の真価が問われるのはこのコロナちゃんが落ち着いて株価ちゃんだけじゃなくて実体経済がヒャッハーと申しますか、まあ要するに公衆衛生上のロックダウンが再再度だか再再再度だか知りませんが、ぶっこまれる懸念がCovid-19の世界ではキニシナイ!となった時ですよね。その時に何が起きるのかが今から楽しみです。
・第4パラグラフ:国債とMBS買入のガイダンス変更、買入ペースの明示化
さて本命はここ。
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(今回)
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(前回)
これはただの呪文。
『With inflation running persistently below this longer-run goal, the Committee
will aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time
so that inflation averages 2 percent over time and longer-term inflation
expectations remain well anchored at 2 percent.』(今回)
『With inflation running persistently below this longer-run goal, the Committee
will aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time
so that inflation averages 2 percent over time and longer-term inflation
expectations remain well anchored at 2 percent.』(前回)
2%ゴールを下回っていた期間が短かったのでモデレートりーに2%を多少上回る程度の物価上昇をするのが望ましいですなあ(都合よくモデレートりーに上がったら無問題だが勢いよく物価が上がりだすと結構な試練が待っているのですがさてどうなることやら・・・・・)という毎度の文言も同じ。
『The Committee expects to maintain an accommodative stance of monetary policy until these outcomes are achieved.』(今回)
『The Committee expects to maintain an accommodative stance of monetary policy until these outcomes are achieved.』(前回)
今回は(声明文の変更箇所がここしかないので)ガイダンス部分を細々切って比較しておきましょう。まずはこれが「緩和的なスタンス継続のガイダンス」ですな。
『The Committee decided to keep the target range for the federal funds
rate at 0 to 1/4 percent and expects it will be appropriate to maintain
this target range until labor market conditions have reached levels consistent
with the Committee's assessments of maximum employment and inflation has
risen to 2 percent and is on track to moderately exceed 2 percent for some
time.』(今回)
『The Committee decided to keep the target range for the federal funds
rate at 0 to 1/4 percent and expects it will be appropriate to maintain
this target range until labor market conditions have reached levels consistent
with the Committee's assessments of maximum employment and inflation has
risen to 2 percent and is on track to moderately exceed 2 percent for some
time.』(前回)
政策金利、現状の「FF金利0〜25bp」の維持と、今後のガイダンス文言ですがこれも見ての通り同じ。次が今回の出し物。
『In addition, the Federal Reserve will continue to increase its holdings
of Treasury securities by at least $80 billion per month and of agency
mortgage-backed securities by at least $40 billion per month until substantial
further progress has been made toward the Committee's maximum employment
and price stability goals.』(今回)
『In addition, over coming months the Federal Reserve will increase its
holdings of Treasury securities and agency mortgage-backed securities at
least at the current pace 』(前回)
前回は「現状のペースで向こう数か月間SOMAにおける国債とエージェンシーMBSの買入残高を拡大する」だったのが、今回は「現状のペース」→「米国債が月に少なくとも800億ドル、エージェンシーMBSが月に少なくとも400億ドル」に変更しているのですが、不覚にも不肖このアタクシ、まさか数字を明示してくるとは思っていなかったのでこれが多いのか少ないのか瞬時に判断できないけど、過去のQEの数字からしたらこれならまあ不足はないんですよね。
でもってガイダンス期間の方ですけれども、「今後数か月」→「until substantial
further progress has been made toward the Committee's maximum employment
and price stability goals.」となっていまして、っていきなり英語を貼るなと言われそうですが、まあこれ強化といえば強化なのですけれども、うっかりワクチンが盛大に効いてしまって、数か月後になったらCovid-19?ああなんかちょっとタチの悪い流行性感冒の事ね?薬飲んで寝てれば大丈夫ですよそれよりもスポーツシーズンも始まるしトーキョーでオリンピアもあるぜハンバーガーでも食うか!!とかいうヒャッハー状態になってしまった場合は、さっくりと「substantial
further progress has been made」と大勝利宣言と共に買入のペースを落とすのも可能(やるとは言ってない)な設計になっています。
どうせ会見のQAでゴリゴリとツッコまれていると思いますけれども、問題はこの「substantial
further progress」をどう定義するのかという話ですが、どうせこれ明確な定義(例えばCovid-19の感染者数がどうのこうのみたいな物件)を入れる訳が無い(あるんだったらこのガイダンス文言を入れる時点でこういう表現はしない)というのは明白でございまして、しかもこの「progress」ってなんじゃいという感じではありますな。
つまりですね、昔のQE(QE3でしたかな)の時にその終了条件として「substantial
improvement in the outlook for the labor market」というのを入れておりましたのは懐かしい話なのですが、この時も結局フワフワした定義ではあったものの、顕著な改善までは時間があるじゃろとか言ってるうちにスタイン理事が登場して盛大に締めてきて、それに逆さ絵おじさんが乗って(というよりは逆さ絵の作戦だったのだとは思いますが)、あっという間に今度は正常化にグイーンってなっていましたが、この時の文言が「improvement」で今回はそれを使わずに「further
progress」と最早インプルーブメントですらない文言を使って参りましたな。
ということで、まあどう読むかは主観的要素が強くなるというか、おそらくこれはFOMCパーティシパントの皆さんが好き勝手言っていく中で色々な解釈が出てくるという話になってくるんで、まあ現状のようにロックダウンだ何だとやっているうちはそらまあ目先に「substantial
further progress」はやってこないですけれども、その辺の一連のそれが解除方向になって来ると、まあ解釈が割れたり要人発言でまた思惑が出たり(要人発言では除くタカ芸人とハト芸人、変態仮面は基本変態仮面なので本来はスルーでも良いような気がしますがまあエッジの効いた話(婉曲表現)をするからやっぱり反応するかな)となって、さあおもしろくなってまいりました状態になるのではないか、と今から楽しみにしているから早くCovid-19引っ込めやこのカス、などと思うアタクシでした。
・・・・・・すいません政策ネタらしい政策ネタが久々にあったのですっかり興奮してしまいました、声明文に戻ります。
さっきのガイダンス文言の続き(実は前月分はこの部分一文だったので文の途中からになります)は、この資産買入の効用についての説明。
『These asset purchases help foster smooth market functioning and accommodative
financial conditions, thereby supporting the flow of credit to households
and businesses.』(今回)
『to sustain smooth market functioning and help foster accommodative financial
conditions, thereby supporting the flow of credit to households and businesses.』(前回)
言ってることは「smooth market functioning and accommodative financial conditions」ではあるのですが、現場的感覚から言わせて頂きますと「市場があばばばばーだから適宜介入するお!」とやっている時ならこのsmooth
market functioningってのはメイクセンスするんですが、月額定額方式(SOMAのホールディングスが定額方式なので買入自体は償還再投資の分だけブレますけど)にしちゃいますと、ジャパンの例を見ればわかるように、必ずしもsmooth
market functioningにならないと思うので、この理屈は適当な所で引っ込めた方がエエンチャウノとは思います。ただし、1パラの所で非常時シグナルを点灯している状態なので、その状態であればsmooth
market functioningってのを入れていてもまあ不思議じゃないと言う事になります、と思う。
・第5パラグラフ:先行きの金融政策スタンスは状況を総合的に見ながら判断しますよという文言は全文一致
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on public
health, labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations,
and financial and international developments.』(今回)
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on public
health, labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations,
and financial and international developments.』(前回)
「The Committee would be prepared to adjust(キリリッ)」って部分も最近はすっかりお経と化してしまいましたなあ、ナムナム。
・第6パラグラフ:全員一致ですかそうですか
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Michelle W. Bowman; Lael Brainard; Richard H.
Clarida; Patrick Harker; Robert S. Kaplan; Neel Kashkari; Loretta J. Mester;
and Randal K. Quarles.』(今回)
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Michelle W. Bowman; Lael Brainard; Richard H.
Clarida; Mary C. Daly; Patrick Harker; Robert S. Kaplan; Loretta J. Mester;
and Randal K. Quarles. Ms. Daly voted as an alternate member at this meeting.』(前回)
前回はカシュカリ僧正がお休みでデーリーさんが代打でしたが今回は代打無しで全員一致ですね。
〇SEPは経済見通しが上がっているのとロンガーランの金利が同じなのと・・・・・
はいはいSEPSEP。
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20201216.pdf(今回)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20200916.pdf(前回)
予告通り(というか前日になんかこんな表をだしまっせみたいなのがあったんだが華麗に見落としてましたサーセン)に今回は17ページ組とか出してきやがりまして、今後はこれも精読せんといかんのだが、昔のバージョンと同じものが最初の方にエグゼクティブサマリーの積りだか何だか知らんけどぶっこんである親切設計。
という訳でペタペタ磔をするのに便利なのはHTMLなのHTMLバージョンを・・・・・・
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20201216.htm
December 16, 2020: FOMC Projections materials, accessible version
と思ったらこっちも少し長くなっているのですが、PDF版を網羅しているのかとかその辺の話は寝起きの初見で確認している暇はない(早起きしろというツッコミは寒いので華麗に却下でお願いします^^)のでパスしますが、何かとりあえず色々なもんが貼ってありますね。用があるのは最初の所ですけど。
・成長率見通しを上げ、長期均衡成長率が微妙に下げとな
『Table 1. Economic projections of Federal Reserve Board members and Federal
Reserve Bank presidents, under their individual assumptions of projected
appropriate monetary policy, December 2020』
って所ですが、例によって手抜きなのでMedianで参ります。
以下全部左から2020、21、22、23、ロンガーランで上が今回下が前回9月、になります。
Change in real GDP
-2.4 4.2 3.2 2.4 1.8
-3.7 4.0 3.0 2.5 1.9
Unemployment rate
6.7 5.0 4.2 3.7 4.1
7.6 5.5 4.6 4.0 4.1
PCE inflation
1.2 1.8 1.9 2.0 2.0
1.2 1.7 1.8 2.0 2.0
GDPは上方修正、ただし長期均衡成長率の数字が下がっているのは味わいがあります。
失業率は改善方向への修正、これまた味わいが深いのは、23年の失業率って自然失業率としてみている数値よりも低くなっているのですが、一方で次に出すFF金利見通しは相変わらずほぼコンセンサスになっているのが「2023年末でも0.00-0.25%」になっていまして、フィリップスカーブとは何だったのかと小一時間問い詰めたい、ではなくて(^^)、フィリップスカーブは死んだ、という認識を示していますわな。まあそもそもロンガーランゴールあんどストラテジーのベースの考えが労働需給とインフレのリンケージが極めて弱いという前提に立っているんだから当たり前ちゃあ当たり前。
物価についてはほぼ前回並みの予想。
でもって政策金利ですが最早手前の部分どうでもよいので2023年末とロンガーランですが、
2023年末
0.00-0.25%:13名→12名
0.25-0.50%:2名→3名
0.50-0.75%:1名→1名
1.00-1.25%:0名→1名
1.25-1.50%:1名→0名
見通しを上げた事に素直に(?)修正したの1名だけですし、タカ派仮面は下げてる(タカ派仮面は2022年の数字も25bp下げたので利上げ開始時期を半年くらい後ずれさせたイメージですかね、まあ同でも良いですが)ということでまあ動かん動かん。
ロンガーラン
2.00%:1名→1名
2.25%:3名→3名
2.275%(実際は2.25-2.50でしょうね):1名→1名
2.50%:8名→8名
2.75%:1名→1名
3.00%:2名→2名
ということで、今回ロンガーランは見事に動いてません、なおいつものことですがロンガーランの合計が合わないのは変態仮面ブラード先生がロンガーランの数字を出すのは無意味として出さないからです。
・・・・・・ということで、まあ結論は「コロナちゃんが解決しそうになるまでは平和だけど、それが見えて来ると面白くなって来るんじゃないですかねえ」という事に尽きると思いますが、会見は全然見てない(見てる余裕はない)ので、あくまでもこれはここまでを見たアタクシの感想ということでよろしゅう。
2020/12/16
お題「3次補正雑感/そういえばMiFID2雑談/ラガルド会見より」
そういえば国営放送世論調査でこのようなのがありましたが、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201215/k10012763511000.html
東京五輪・パラ 「中止すべき」が「開催すべき」を上回る
2020年12月15日 5時02分
百合子大先生様によりますと近視眼的な見方だそうですよ!!!!
https://news.yahoo.co.jp/articles/7c3ee6b9ea7a19bf55c0d2ee61b22e016becf4e6
小池都知事、五輪開催を強調 AFPインタビュー
12/15(火) 20:14配信
『また来年に延期された東京五輪の開催に、今では国民の多くが反対していることは認識しているものの、そのような懸念は払拭(ふっしょく)できるとの考えを示し、「国民や都民の皆さんは現在を見ています。私たちは将来に備えてのことを考えています」と述べた。』(上記URL先より)
百合子大先生様は将来に備えてのことを考えているとのことですので、さぞかし将来を備えて感染症対策を進めていたと思うのでちゅけれども、だったら何で感染症第3波が起きているんでちゅかねえ??????
・・・・・・ということで、ガースーがグダグダなのを見て我らが百合子様の鼻が段々高くなってきていますが、百合子様が調子に乗ると例の「排除します」みたいに高転びに転ぶのが伝統芸なのでいつやらかすか楽しみに(楽しくないけど)しております、ナムナム。
〇第3次補正予算も相変わらずオマケの方がでかいパンデミック対応予算ですなあ(溜息)
はいはい閣議決定閣議決定。
https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2020/hosei1215.html
令和2年度補正予算(第3号)
令和2年12月15日
・令和2年度一般会計補正予算(第3号)フレーム(PDF:53KB)
・令和2年度一般会計補正予算(第3号)等について(PDF:60KB)
・令和2年度補正予算(第3号)の概要(PDF:226KB)
・(参考)令和2年度租税及び印紙収入補正後予算額概算(PDF:50KB)
でまあ閣議決定の段階だと概要の説明って箇条書きペーパーが出てくるので鑑賞鑑賞。
・コロナと関係ないし本予算でやるのが筋じゃねえのかってのをここぞとばかりにぶっこむのは・・・・・・
令和2年度補正予算(第3号)の概要(PDF:226KB)ってのを拝読する。
https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2020/hosei021215b.pdf
令和2年度補正予算(第3号)の概要
・・・・・相変わらずナメトンノカという予算でして、この補正の中でコロナ対策と言えるのがどんだけあるのかって話をなんか以前の補正予算でもしたような気が全力でするのですが、今回も中々素晴らしいラインアップになっていまして、
『T.新型コロナウイルス感染症の拡大防止策 43,581億円』
ということでそもそも4.4兆円しかない上に、
○ 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の延期に伴う感染症対策等事業〔959億円〕
○ アフリカ、中東、アジア・大洋州地域への国際機関等を通じた支援〔792億円〕
とか微妙なものがありますけれども、まあ何せ19兆円とか大風呂敷な予算の多くが
『U.ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現 116,766億円』
『V.防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保 31,414億円』
という事になっておりまして、感染症対策に全力を投入するとか何とか仰せになっている割には随分とこれまたそうじゃない所に予算を付けておりますが、という物件ですし、そもそも感染症が一定の片付き(やや悪性化しやすい通年ベースのインフルエンザ、というレベルになって生活が元に戻る、位をアタクシはイメージするんですがまあ人によってそこは違うでしょうね)を示す前に何がポストコロナだよ今補正で慌ててぶっこむ必要があるのかと小一時間問い詰めたい。
まあ何ですな、コロナ感染症に対して国民の何とかを守る(キリリッ)とか言っている中でぶっこんで来る補正予算のコロナ対策が全体の4分の1以下とかどんなギャグだよと申しますか、この予算出してコロナ対策ガーとか最早「寝言は寝て言え」という煽り文句がこれほどしっくり来るものがあろうか、って感じですのう(個人の感想です)。
何かUの一部には雇用助成金だの資金繰り支援だのが並んでいるのはあるのですが、そもそものお題が「ポストコロナ」になっているのでどういう使い方をするんだという感じですし、『1.デジタル改革・グリーン社会の実現
28,256億円』に至っては、それ後年度負担にもつながる話だろ本予算でやれやヴォケとしか申し上げようがないというか、お前らそのうち本予算10兆円で補正予算200兆円とかそういう予算組みだすんじゃねえかと小一時間問い詰めたくなりますわな。
感染症直接対策にリソースを全振りしたくなくて、コロナのドサクサで好き勝手に予算を付けまくりたい、というのだけは良く分かりますが、まさに火事場泥棒という風情で情けなくなって参ります。
・カレンダーベース市中発行額は据え置きとな
でもって国債発行関連はカレンダーベースに関して年度内は据え置きですかそうですか。
https://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2020/201215.html
令和2年度国債発行計画等を変更しました
令和2年12月15日
財務省
『本日閣議決定された令和2年度第3次補正予算に基づき、次のとおり令和2年度国債発行計画及び令和2年度政府保証債発行予定額を変更しましたので、お知らせします。
令和2年度国債発行予定額(3次補正後)(PDF:137KB)
令和2年度カレンダーベース市中発行額(3次補正後) (PDF:117KB)
※令和2年度カレンダーベース市中発行額については、2次補正後から変更ございません。』
だそうで発行予定額ちゃんを確認すると、
https://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2020/issuanceplan201215.pdf
令和2年度国債発行予定額
年度間調整を使って納めたって所ですかの。まあ今年度の話よりも今年度1次補正以降の増発分を短国に盛大に振っている分を来年度以降どうするのって話ですの。単純に考えて来年度の発行でも更に短国に振ろうとしても、来年度は早速今年度の短国を借り換えしないといけなくなるんですから、単純に考えて後ろを増発せんとアカンのとチャウかと思うのですがさてどうするんでしょうかね。
しかしこれだけ後付けで補正予算ぶっこまれてしまいますと、当初発行計画と話が全然違ってくるので、これが恒常化してしまうのもイクナイとは思うんですけどね。
〇ちょっとネタにするのを忘れていましたがMiFID2雑談
まあこれ自体は既に6月くらいには緩和する話が本決まりになるでしょうねという風になっていたので、織り込み済みの事項が正式に決まったというだけではありますけど。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-12-10/QL2YXRT1UM1301
MiFID2緩和、EUが無料リサーチ容認−経済回復促す狙い
Silla Brush
2020年12月10日 14:52 JST
『欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は9日、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた経済の回復を促す配慮から、EUの金融・資本市場の包括的な規制、第2次金融商品市場指令(MiFID2)を一部緩和すると発表した。』(上記URL先より)
このネタを見て例のLIBOR梯子外し攻撃を思い出すのですけれども、欧米(だいたい欧州)発の理念と意識だけは立派なスタンダードってのも、連中はそれを押し付けて回っても自分の都合が悪くなるとあっさりと知らんぷりする訳でございまして、まあ何と申しますか向こうの持って来るスタンダードを国内に適用した時にライバル国との競争上どう作用するか、とかそういう面ではいやまあ勿論御当局様におかれましては色々と交渉していると思うのですが(MiFID2はさすがにジャパンのスタンダードには全然馴染まなかったのでスルーで結構でしたけど)、まあ今後ともこの手の「正面切って反対しにくい高邁な理念と共にぶっこんでくる物件」というのの動向はオモロイ事が起きるでしょうなあ、などと思ったり思わなかったり。
〇FEDとか日銀ネタとかが始まる前にラガルド会見ネタを成敗成敗
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2020/html/ecb.is201210~9b8e5f3cdd.en.html
INTRODUCTORY STATEMENT
PRESS CONFERENCE
Christine Lagarde, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB
Frankfurt am Main, 10 December 2020
ということで質疑応答のパートを成敗してみます。
・9か月延長と若干のペースダウンの理由についての説明が無駄に大演説
『I’d like to ask how did you arrive at ユーロ500 billion in nine months,
if you could give me a bit of a run down, what were the alternatives on
the table, what was the discussion and in the end was it a unanimous decision?(後半割愛、というか次に))』
何でペースが若干落ちる形での延長になったの?とか全員一致なの?とかそういう質問に対して
突如演説が始まる。
『Lagarde: Let me just sum up what we have decided and then I’ll go into
the actual description of the package and the reasons behind it.』
いまさっきイントロダクトリーステートメントで話をしたのにまたサムアップするとな。
『What we have decided, as was anticipated as a result of the last October
monetary policy discussions, is a recalibration of those instruments that
we determined were most effective under the current pandemic circumstances.
And it is with that in mind that we decided to concentrate the recalibration
on PEPP, a temporary targeted and flexible asset purchase programme that
is specifically designed for the pandemic; on TLTRO III which is intended
to provide as much refinancing as possible to those banks that are lending
to the economy; and to offer a very attractive rate for those that actually
comply with the objective. The threshold is to at least maintain, if not
increase, lending to the economy. And then of course we also decided on
all the measures that come with it, in particular the extension of the
term during which the pool of collateral is enlarged and taken into account
for the purposes of TLTROs. And then also the extension of our swap and
repo lines and so on and so forth.』
ちょwww何がサムアップやねん最初の説明と同じじゃろ。
『So let us take the duration first:』
期間延長については、
『there was a discussion as to how long the extension should be and why
should there be an extension in the first place? Well, because clearly
we are facing circumstances that are more difficult in the short-term and
that difficulty has been caused by the second wave and the containment
measures that have been taken as a result of that second wave. I think
it’s fair to say that we all had anticipated that there would be a possible
second wave. It was actually embedded in previous projections.』
期間延長の主要因はコロナ第2波で第2波があることは予想しておりましたが・・・・・・
『However, the depth of it, the duration of it and the containment measures
associated with it were not anticipated to the extent that they actually
occurred and are still taking place. So, it was sensible to extend [the
PEPP programme] because of the impact that it has on the economy in the
short order. And I remind you that the fourth quarter is going to be negative,
-2.2% we believe, and it’s going to carry into the first quarter of 2021.』
ただその第2波が予想よりもやや大きかったですね、ああそれから4Qの成長率はあばばばばーの見込みですよ。
『And why did we decide on nine months? Well, it’s fairly simple:』
やっと来た、前置き長すぎなんですが、まあこれはアタクシのような凡下でもそうですけど、説明が苦しい時にはそもそも論から持ち出して話を長くして煙に巻いて誤魔化そう、としたくなるのが人間の常(でもってそれのせいで余計な事を言って墓穴を掘るので、想定問答棒読みで突っ走る黒ちゃんの方がトータルすると利口なんでしょうね、とは思う)なので、まあそういう事だろうなあというのは把握した(個人の感想です)。
『we are, fortunately, economists. In addition to having all the economic
knowledge and being able to anticipate, we also have to be very aware and
attentive to health literature and the forecast that scientists have regarding
immunity in respect to the roll-out of vaccinations. That’s how we came
up with this nine months’ extension because we have good reasons to believe
so - you read the same material.』
えーっとですな、9か月延長した理由は、ワクチンが大量生産(roll-outってそういう事っすよね)されて、「scientists
have regarding immunity」だから科学者が新コロ免疫ができるようになったと判断できる時期、ってえのを勘案したので、というお話でして、そうなりますと今回は延長の結果2022年3月まで、ということになりますので、それは即ち来年1年はまだまだコロナちゃんがアイヤーである、という事を前提にした話ですよということなのか(と思ったらどうもその先を読むとちょっと違うみたいです、後述)って感じですが、確かに早速生産が遅延してみたり、やっぱりもうちょっとチェックするぜとかゆー話もぶっこまれているし、大体からして最初のワクチン投与された先行組に効果がホンマにあるんかいな的なサムシングもあるし、まあそら時間が掛かるだろうし、3月にしてるのは一冬越えることを目途にしてるのかな、とか思ったら後の部分を見るとそうでもなさそうなのがアレですが以下続きます。
『We try to make sense of all of that. We have good reasons to believe
that by the end of 2021, with all the uncertainty associated with it, let’s
face it, that we will have reached sufficient herd immunity.』
「sufficient herd immunity」ってのの「herd」が群集とか集団と群れとかいう意味みたい(手元のデイリーコンサイス英和辞典によると)なので「十分な集団免疫」ということになりますな。まあつまり通年性インフルエンザみたいな格付けになったら、って話っすな。
『Also to hope that by the end of 2021 the economy will begin to function
under more normal circumstances and that in particular the service sector
will no longer be impaired by a lot of this social distancing and these
restrictions that apply at the moment and do not facilitate the growth
of the sector.』
でまあその位で話を止めても良いと思うのだが何か無駄に長広舌が続く。なぜか知らんが集団免疫は2021年の終わりまでにはがっつりと出来ていて、その頃には過剰なソーシャルディスタンシングとかやらんで済むようになって、経済もピックアップするし、ソーシャルディスタンシングをもろに食らった分野も回復が始まるでしょう、だそうでして、
『So, that takes you into the beginning of 2022 where the economy really
begins to recover seriously, where recovery takes root and where we are
essentially two years after the beginning of COVID. So, I think you combine
all that and we arrive at this extension by nine months.』
ということで、新コロの影響を脱して経済が立ち上がりだすのが再来年2022年の頭位になると見込まれて、それを勘案して2022年3月末まで措置を延長しました、って説明でして、従来この手の延長は腰だめの数字でテキトーにぶっこんで、理屈にならない理屈でその期間の説明をするのが中央銀行しぐさとして著名ですが、何と科学的根拠(?)を持ち出して説明したのはワロタのだが、山のように前提を置いているから突っ込まれても困るとかいうので大演説してるんですかねえ、良く分からん。
『Now, the volume of additional purchases that we have considered is clearly
intended to deal with our focus, which is to preserve favourable financing
conditions and that is really what is guiding our action going forward.』
買入ペースの根拠と言われましてもそんなものは無いので「clearly intended
to deal with our focus(キリッ)」とか偉そうな言い方をしながらも、結局の所定量的な根拠などないのですから「必要と思われる額がこれです」と言い張るしかありませんなあっはっは。
『That will lead us to purchase in a slightly different way than we have
in the past as you will have noted in my reading of the introductory statement.
There we state very clearly - I think it’s at the top of page two for
those of you who have it - we say we will conduct our purchases under the
PEPP to preserve favourable financing conditions over this extended period,
that is our objective. 』
ペースが若干落ちた理由について説明しているのですが、こっちでも「we state
very clearly」とかさっきと同様に「クリアリーにこれです」と言っているこれがただの定性的フニャ子フニャ夫な説明になっているのがワロエル。
『We will purchase flexibly according to market conditions and with a view
to preventing a tightening of financing conditions which is inconsistent
with countering the downward impact of the pandemic on the projected path
of inflation. So, it’s all nicely embedded in that long and fairly complicated
sentence but that is what has driven our calibration of the additional
PEPP that we have decided.(後半割愛)』
ファイナンシャルコンディションを悪化させないため、というのがあって、まあそう言ってくれればまだ分かるのですけれども、これ多分「ペースを落としてもファイナンシャルコンディションを悪化させないと思うので、落とせるときにペースを落としてみました」ってコンポーネントだけを言ってしまうと、出口が意識されてしまって市場があばばばばーになるリスクを避けたい、って事なんでしょうかね、とは思いましたが、それにしましても期間9か月だけは何となく根拠がありますが、他は根拠レスって感じです。でもまあ今申し上げましたように、コロナ緊急対策でぶっこんだ分は、多少引いても市場がコケないのであれば、引けるもんは引いておこうという意思はあるんだなあ(というか何があっても引かない黒田日銀が頭沸いてるんだが)という風にアタクシは思いましたが、まあそこは異論もあるでしょうね、とは存じます。
・だったらなぜ為替レートに言及したし
なお今の質疑、質問の後半がありまして、
『(前半割愛)Second question again is about the appreciation of the euro,
it’s an issue that’s come back over the last two months. What was your
discussion about the exchange rate, what was the nature of the discussion,
if you could give me a bit of colour on what was said, what were the concerns
expressed on the foreign exchange rate.』
わざわざ政策決定事項公表文書の中にまでぶっこんでいるのでしたらそれはこう聞くわな。ところが回答なんですけど・・・・・・・・・
『Lagarde: (前半割愛)Now, you wanted to understand our discussions about
the rate. Let me just remind you of our position. We do not target exchange
rates. But clearly the exchange rate, and in particular the appreciation
of the euro, plays an important role and exercises downward pressure on
prices, so we monitor it. We will continue to monitor it very carefully
going forward.』
ちょwwwおまwww
いやまあ主要国の中央銀行ですからこういう回答になるのはそら分かるのですけれども、だったら何で決定事項の公表文でもイントロダクトリーステートメントでも為替市場にわざわざ言及するんだよというお話でして、せめてもう少し説明せえやと思うのですがここは超紋切り回答ですね。
しかしこの一発目の質疑を見て思うのですが、ラガルド先生、「clearly」って説明の中に入れている部分が悉くこの質疑応答部分のロジックが苦しそうな部分で使っている、というのに味わいを感じますね。
・ソルベンシー問題への発展になるかどうか
こんなのがありました。
『So, I have two questions. You must have read the Bank of International
Settlements’ quarterly report as well, where they say that they are seeing
a risk of a solvency crisis. I would like to hear from you whether you
think that’s a risk in terms of the next phase of that crisis we are currently
in.(後半割愛)』
IMFが今後は企業のソルベンシー問題に徐々にステージが変わっていくと仰せだが見解如何?
『Lagarde: On your first question, I think that the monetary policy that
we have decided as well as the fiscal measures that have been decided at
member state level as well as at the European regional levels are working
hand in hand, contrary to previous crises. They have managed to provide
enough income and enough support by way of guarantees, by way of moratoria,
in order to help the economy from all sectors to go across the pandemic
and sort of cross that bridge with appropriate support in order to avoid
the catastrophic fallout had there been none of that support.』
やたら前置き説明がくどいのが今回の会見の特徴。
『I think that in that respect monetary policy has played a significant
role in supporting all sectors of the economy and making sure that credit
flows through the economy and that there is no major fallout in terms insolvency.
But this is a risk that is clearly looming on the horizon and that is precisely
the reason why we, ourselves, encourage fiscal authorities to avoid the
fiscal, the cliff effect that would result from a removal and a withdrawal
of the fiscal measures.』
でもって結局何を言いたかったかというと、上記の質問に対しては財政政策大事だよね間違っても急に財政引くんじゃねえぞ、と仰せになっています。
『And that is also the reason why we have decided to recalibrate our two
key instruments, the PEPP and the TLTRO in order to make sure that we continue
to provide the necessary support to credit, to make sure that financing
conditions remain favourable to all sectors of the economy in order to
go across the pandemic until such a time when immunity is sufficient. This
is in order to reach a situation where the economy actually picks up and
recovers in a sustainable fashion.』
『So, I think that one of the reasons we are acting in that respect now
is precisely to avoid that potential risk and to take those companies,
those corporates, those entrepreneurs, those households to the other side
of the pandemic and to the other side of the economic consequences resulting
from the pandemic.(後半割愛)』
でまあ長広舌振るっていますが、質問にあるソルベンシー問題へのステージ入り云々という話は見事にスルーしていて、財政の重要性の話をする一方で、ワシらは流動性供給とか金融緩和とかでサポートしてそっち方面で変なことが起きないようにするもんね、と役割の線を引いていまして、そらまあ中銀が需要を直接創出できないんですからそらそうよではあるのですが、パウエルみたいに「中銀はレンディングパワーはあるけどスペンディングパワーはない」みたいな言い切り方もしないで躱している印象です。
ということで見事に無回答の上に質問を利用して財政出せ出せアピールの巻でした、ちゃんちゃん。
・マイナス金利深堀に関して
今の質問の後半です。
『(前半割愛)And then I also have another question on why you didn’t
touch the rate, which clearly would have dragged the rates lower into negative
territory. But looking at the package, which kind of touched almost every
instrument, why didn’t you touch the rate?』
利下げは????と来ましてその回答がこちら。
『Lagarde:(前半割愛)Now, on your issue of the rate, I want to first of
all point you to a clause that you know well, which is, I think, on page
one of our introductory statement. It indicates very clearly - and that’s
part of our forward guidance, as you know - when I read the first sentence
you understood clearly that we decided to keep the key ECB interest rates
unchanged.』
clearly連呼ワロタですが、ガイダンスが機能しているので良いみたいですよ。
『And then I followed with: “We expect them to remain at their present
or lower levels until we have seen the inflation outlook robustly converge,
etc.” So both routes are indicated clearly in this forward guidance and,
of course, interest rate movement, particularly the deposit facility rate,
is part of our toolbox. And as we have said for all our instruments, we
stand ready to continue to recalibrate, adjust and use all tools available
in the toolbox.』
政策金利はガイダンスの示す期間の間現状水準またはそれよりも低く、必要な時には必要なツールを使います、と申し上げている通りですがな、ということでアタクシ思いまするにこれは利下げする気は全然ねえな、という事になると存じますが、まあそれは個人の感想ですなので別の見解もあろうかとは思いますけど、何かこの言い方だと下げる気は全然ないって感じじゃないかと。
#もうちょっと無くはないのですが多分最初の2つの質問(今ネタにした奴)で主要ポイントは入っているとは思いましたけど後日追加でネタにするかなとも思います
2020/12/15
お題「毎度の短観私家版分析:コンポーネントがそんなに冴えないのに業況判断は威勢よく改善とな」
竹槍でドンと突き出す二分五厘ですねわかります。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201215/k10012764561000.html
GoToトラベル全国一時停止へ 地域限定の対応から方針転換 政府
2020年12月15日 4時44分
令和の竹槍は内閣支持率のようですがドンと出たのがGOTO一時停止なんてケチな事を言わず、この際盛大に内閣支持率を下げて夢の消費税減税ですよリアル二分五厘くらい逝っちゃいましょう(誇大妄想)。
令和の竹槍はこちら。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201214/k10012763501000.html
菅内閣「支持する」42% 先月より14ポイント下落 NHK世論調査
2020年12月14日 19時00分
『NHKの世論調査によりますと、菅内閣を「支持する」と答えた人は、先月の調査より14ポイント下がって42%で、「支持しない」と答えた人は、17ポイント上がって36%でした。』(上記URL先より)
上場初値からの盛大なナイヤガラとな。
〇短観毎度の私家版分析なのだがDIと個別コンポーネントの整合性が妙な希ガス
短観概要
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2016/tka2012.pdf
ちな前回
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2016/tka2009.pdf
・先行きDIの達成度合い
(9月時点) (12月時点)
現状→12月予測 現状→3月予測
製造業大企業 ▲27→▲17 ▲10→▲8
製造業中堅企業 ▲34→▲30 ▲17→▲17
製造業中小企業 ▲44→▲38 ▲27→▲26
非製造業大企業 ▲12→▲11 ▲5→▲6
非製造業中堅企業 ▲23→▲25 ▲14→▲17
非製造業中小企業 ▲22→▲27 ▲12→▲20
まずは前回の短観私家版分析モドキの駄文で書いたものを再掲しますと、
(9月短観の時の駄文ここから)
まあ6月短観は比較対象が3月短観でしたが、その3月短観って調査期間が2/25〜3/31だったので、一斉休校要請であばばばばーとかやりだした時期で、前回は思いっきり比較にならんという物件になっておりました。でもって今回なのですが、これまた6月と9月だと全然コロナちゃんのステージが違っていますので、その辺を頭に入れながら考えますと、今回は「6月時点では先行きDIを見るとお先が真っ黒クロスケという感じになっていた時よりはお先は真っ暗じゃなかった」という点では目出度しめでたしではありますな・
ということで、皆さん6月時点よりは現状の業況判断が改善している、というのは結構は話ではあるのですが、非製造業の中堅と中小って先行き見通しが現状よりも悪化になっているのが、何となくイメージは分かるのですが、ちょっと微妙っちゃあ微妙ですけど、この辺りはもう少し細かい業種別とかのを見てみると良いのかねとは思って見たには見たのですが、まあその辺はパスさせてくんなまし。
一応6月に見てたほど悪くならなかったし、先行きも反転して少し状況がマシになってくる、という見通しになっているので、この数字自体はたぶん悪くはないという評価になると思うのですが、今申し上げたように非製造業の中堅中小が「現状より悪くなる」という見通しになっているのは気になりますな、という感想ですね。
(9月短観の時の駄文ここまで)
こちらの短観ですが、まあ駄文書くときに前回の所から引っ張り出して(表モドキの部分とか前回のを貼ってから数字をチマチマ直しているのだ)書いていて、今回もこれ書きだしてから前回のを開けたら前回の短観の時にも『「雰囲気改善する中で実態ベースはあばばばばー」って感じですかしらこれ』(前回短観時の駄文小見出し)とか書いていたのを思い出しました。
と申しますのは、今回の短観もさっきの小見出しに在りますように、全体のDIは割と盛大に改善(と言ってもマイナスですけど)している中で、個別コンポーネントを見ると別にそんなに強くないどころか、設備投資計画とか盛大に下方修正されていたりして、コンポーネントを見ると何でこんなに堅調な結果になりますねんという感じに見えるんですよね。本職の方々がどういう解説するのかワカランチ会長だからアタクシの言ってること外してたらゴメンやでですけど。
ただまあ何ですな、企業活動を個人の消費活動に置き換えるのは例えが強引にも程があるのでございますが無理矢理生活に置き換えて考えますと、まるで年末感覚が漂ってこないのは忘年会とかいうものがまるっきり無いからですけれども、じゃあ忘年会無いからといってよーしパパ家で贅沢するぞーとはならん(ですよね?)訳で、マインドはマインドなんだけど、じゃあそれが消費行動に出るのかというとそこは別、とかそういう事だと思えば、まあ確かにコロナちゃんがただの通年性インフルエンザただし感染力高めなので注意しましょうねなお罹患した場合にはこのお薬飲んで1週間安静にしてちょ、となってくれれば、所得が減っていなければ少しはペントアップもあるのかね、と思ってしまいますが、もしかしたら「所得が減っているのでコロナもあるし丁度良いのでダウンサイジングすればまあ大丈夫じゃん」という意味合いで個別コンポーネントと業況感の整合性が取れてない、となるとペントアップなどというものは無い、とかそういう話になるざますわな。うーん分からん。
まあいずれにせよ、今回の短観業況感DIという鏡のページを見ますと、「前回の先行き改善見込みよりも上振れて改善している」という中々素晴らしい結果になっています。普通は先行きDIが控えめに出てそれに対して上振れなんですが、今回は先行きも割と盛大に改善してみている中で改善していたのは結構な話でした。
とは申しましても今回の先行きDIは前回ほどの威勢のよさは無いです。これは回答期間が
『11月11日 〜 12月11日』となっていて、前半2週間で8割以上の回収とかいう風に聞いた覚えがあるのでその傾向で来てるんだとしますと、2週間目とかになると例の3連休という時期でして、米国大統領選挙で売電勝利ヒャッハーとかやっていた時期とは言え、国内コロナちゃんが暗雲垂れ込めだした時期という感じなので、ちょっと先行きには(9月の時のように暗雲が晴れる期待がモリモリというのとは違う罠)慎重という感じですけれども、でもでも今とまたステージが違うという感じなので、今だとまた違って出てくるのかどうなのか、というのは知ることは出来ないですけど知りたいなあとは思います。
・・・・・なんか無駄にダラダラ書いてしまった。次行きます。
・雇用判断DI(ここの数値はマイナスが大きい方が雇用情勢的には良い)
(9月時点) (12月時点)
現状→12月予測 現状→3月予測
製造業大企業 +6→+2 +4→±0
製造業中堅企業 +8→+3 +4→▲1
製造業中小企業 +14→+7 +5→+1
非製造業大企業 ▲12→▲13 ▲13→▲14
非製造業中堅企業 ▲15→▲17 ▲19→▲21
非製造業中小企業 ▲19→▲23 ▲24→▲25
(9月短観の時の駄文ここから)
これなんですけど、製造業に関して言えば現状判断の数値が、引き続き余剰側ではあるものの、前回対比でみると改善している、というのは良い傾向なのですが、そうは言いましても、「6月時点での予測指数達成度合い」で言えば全部未達になっていまして、これ即ち6月時点での計画対比で見たら人があまってるじゃんという話になっている訳ですからそう考えると「想定よりも(回復が遅れているのか何なのかはさておき)人員余剰が続いていますな」という状態な訳ですよ。
まあグローバルな大企業の話だと話題性もあってニュースに載りやすいから、というのはありますけど、ここもとその手の所でもグローバルに人員が減るだの何だのという大変に威勢のよくない話が出ている最中だったりしますので、この雇用の所は雰囲気が悪いような気がします。
非製造業でも引き続きトータルは不足方向に振れていますが、非製造業の場合は元々不足幅が拡大するという見込みになっていたのが、逆に出ていて人出不足幅が縮小しているというのがもうねという感じです。
(9月短観の時の駄文ここまで)
個別コンポーネントの巻ですが何故かアタクシ雇用の方から見てしまう(普通の分析をするなら次に来るのは設備投資計画です、汗)のですが、こちら見て(ノ∀`)アチャーとなったのは、DIの数値自体は改善しているのですが、製造業大企業と製造業中堅企業のところが「前回見通しよりも雇用判断DIが弱め」ということでして、いやまあ先行きに関しては皆さん現状よりもタイトになる(プラス側の場合は余剰が縮小の方が正しいけど)という見通しになっているのですが、製造業の大企業と中堅企業がイマイチというのは気になるところです。
・前回および前々回に引き続き企業金融も確認
資金繰り判断(全産業)
(「楽である」-「苦しい」・%ポイント)なので+の方が良い数字。
9月時点→12月時点
大企業 +10→+11
中堅企業 +7→+10
中小企業 +2→+4
製造業 +4→+6
非製造業 +7→+8
今回もまた改善しているんですが、逆に言いますとこれだけ改善しているのでしたらば、企業金融に関する一時的な施策とやらで日銀様が行っている各種施策につきましては別に急に全部止めろとは申しませんけど、段階的縮小を考えて行かないといかんのではないでしょうかね。米国とかただのムニューシンのイヤガラセから端を発したかもしれませんけど、パンデミックバックストップを外す方向性になっているという中、またぞろ拡大した風呂敷を畳まないまま今回のパンデミックでまた更に大風呂敷を広げておるジャパンですが、そういう事ばっかりやってると潜在成長率が更に米国対比で割負けしそうな悪寒しかしませんけどねえ。
金融機関の貸出態度判断(全産業)
(「緩い」-「厳しい」・%ポイント)なので+の方余裕ぶっこき状態な数字。
なお、金融機関の貸出態度が緩いのが必ずしも良い事ではないと思うので良い悪いとは言わない。
9月時点→12月時点
大企業 +16→+15
中堅企業 +21→+20
中小企業 +20→+19
製造業 +18→+17
非製造業 +20→+19
前回はこれ以上ユルユルになられても困るみたいな事を申し上げましたらそれが聞こえたのか(大嘘)若干下向きになったのですが、達観してみればこりゃまあ緩いわなと思います。
物凄く無理矢理な屁理屈を捏ねるとしますと(なので話10分の1くらいで)、金融機関の貸出態度がピークアウトしている、と無理矢理解釈(こんなのは数四半期見ないと分からんからこの時点で屁理屈であるとご認識くらはい)しますと、この要因がリアルに企業業績の悪化からの財務バランスの悪化を反映したものなのか、さもなくば金融機関が今後の収益状況や引き当て状況を勘案した結果を反映したものなのか、とか考えて、仮に後者だとすれば、企業金融無理矢理支援策を延々と継続した場合、延命はすれども業績は改善せず、または金融機関の財務基盤悪化からの貸出態度の引き締め、などが起きた時に次の一手が無くなってしまう訳でして、全体的な企業金融が大幅緩和なうちに段階的撤収以下同文という感じで思うのですが(かなり強引な屁理屈です)どうですかね。
借入金利水準判断(全産業)
(「上昇」-「低下」・%ポイント)
(9月時点) (12月時点)
現状→12月予測 現状→3月予測
大企業 +2→+4 +1→+4
中堅企業 ▲1→+3 ▲1→+4
中小企業 ▲6→▲1 ▲4→+2
製造業 ▲2→+2 ▲2→+2
非製造業 ▲4→+1 ▲2→+2
この辺は前々回からちゃんと見だしているので、まあ数字を見てぼーっとする位の話ですが、たぶん先行きの見通しが上昇傾向になっているのはこの統計の癖のように思えます。企業的に一応借入金利については堅め(この数字は数字がでかい方が上昇なので企業金融的には数字が小さい方が良い)に予想していたものの、思ったほど金利は上がりませんでしたね、って結果ですのでここも良好。よってこの辺の短観の数字を見るに、またまた日銀ちゃんの「企業金融緩和はワシが育てた」が登場しながら、企業金融が十分に緩和的なら臨時施策の調整を行って将来に向けての縮小を考える、などというような殊勝な発想が今の日銀にある訳は無し(緩和の大風呂敷だけ広げて風呂敷がズタボロになると次の風呂敷を出してというのを繰り返して壮大な粗大ゴミの山を築いて後任に放り投げるというのだけは把握した)なのでまあ今回のMPMでどうせ延長するんでしょうけど風呂敷の拡大以外はしないっしょ。と悪態。
CPの発行環境(全産業)<発行企業ベース>
(「楽である」-「厳しい」・%ポイント)
3月時点→6月時点→9月時点→12月時点
大企業 +30→+8→+15→+20
何で6月にそんなにドロップしたのか、の方が不思議ちゃんとは前回も書きましたが、まあ今回短観の時点で+20だわCP買入は昨日もマイナスレートだわということで、日本銀行金融政策委員会におかれましては、どうせCP買入のペース落とす気が無いでしょうけれども、別に買入ゼロにしろ(本来ゼロで然るべきだがまあシャーナイ)とは言わんけど、せめてアホ増額した分の半分でも減らせよという感想しか沸いてこない。
・設備投資計画
例によってグラフの貼り付けスキルが無いのでグラフを見てちょという感じですが、今回もきっちりと下方修正されていまして、過去のと比較できるから目検で見てたんですが、やっぱこれは弱いんじゃないでしょうかと思うのですが、何せ前回の展望レポートの所ですっかり「設備投資が底堅いから経済はコケません(キリッ)」って主張をこっそりと引っ込めているだけに、まあどうせここが弱いからとツッコミを入れても日銀的にはあんまり痛くなさそうなのが誠に遺憾の極みですな。うんうん。
・これは死亡フラグか否か(金融機関の業況感)
しばらくすっ飛ばしていましたが久々に確認。
業況判断DI
(9月時点) (12月時点)
現状→12月予測 現状→3月予測
銀行業 ±0→▲5 +9→+3
協同組合金融業 ±0→±0 +2→▲3
金融商品取引業 ±0→±0 +18→+25
保険業 +5→+5 +7→+2
貸金業等 ▲10→▲20 +5→▲10
これ前回の時ネタにしなかったのが惜しかったのですが、銀行業から金融商品取引業までDIが見事にプラマイゼロになっていて、何か絵的に面白かったですねという所(やる夫のAAとか言っても分からんですかそうですか)ですけれども、今回は現状が物凄い勢いでプラスになっておりまして(貸金業等のプラテンは何なの??)、一瞬フラグかと思いますけど、まあ先行きに関しては現状よりも慎重な見方になっているから基本的にそこまでの死亡フラグではない、と認定。
ただしですね、この金融商品取引業の物凄い勢いでの足もと改善から直線番長(直線じゃないけど)かと言わんばかりのこの勢いのある先行き期待の数字を見ると、死亡フラグの香りしかせんので勘弁して下さい。
・鳴り物入りで導入されたのに今やすっかり日銀が言及しなくなった企業の物価見通し
ええもう昔はこれ鳴り物入りで導入して、中小企業の物価見通しを捕まえて「大企業の物価見通しはエコノミストとか市場の予想に引っ張られるからクソであり、真のインフレ期待は中小企業の物価見通しにあり(キリリッ)」とか言って、わざわざ本編の翌日に出すとかやっていたのですが、今や日銀の偉い人がこの数字をとっ捕まえてコメントしてるの見たことが無い、という悲しい人生をたどるこの計数・
めんどいので前回のコピーに今回のを加えるから堂々の8四半期分の数字です。
販売価格見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 3月:0.8%→6月:0.7%→9月:0.6%→12月:0.6%→3月:0.2%→6月:-0.3%→9月:-0.2%→12月:-0.1%
3年後 3月:1.2%→6月:1.2%→9月:1.0%→12月:1.0%→3月:0.9%→6月:0.5%→9月:0.6%→12月:0.6%
5年後 3月:1.5%→6月:1.5%→9月:1.3%→12月:1.4%→3月:1.4%→6月:1.2%→9月:1.2%→12月:1.3%
大 企 業 製 造 業
1年後 3月:0.1%→6月:0.1%→9月:0.1%→12月:0.0%→3月:-0.3%→6月:-0.5%→9月:-0.4%→12月:-0.3%
3年後 3月:-0.3%→6月:-0.1%→9月:-0.1%→12月:-0.2%→3月:-0.3%→6月:-0.6%→9月:-0.5%→12月:-0.5%
5年後 3月:-0.5%→6月:-0.3%→9月:-0.3%→12月:-0.3%→3月:-0.3%→6月:-0.5%→9月:-0.5%→12月:-0.6%
大 企 業 非製造業
1年後 3月:0.5%→6月:0.6%→9月:0.4%→12月:0.4%→3月:0.1%→6月:0.0%→9月:0.1%→12月:0.3%
3年後 3月:0.9%→6月:1.0%→9月:0.8%→12月:0.8%→3月:0.7%→6月:0.7%→9月:0.8%→12月:0.6%
5年後 3月:1.0%→6月:1.1%→9月:1.0%→12月:1.0%→3月:1.0%→6月:1.1%→9月:1.3%→12月:1.1%
製造業が改善しているんだが非製造業がしらっと下がっているし、製造業にしても5年後は下がっていますな、ナムナム。
物価全般見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 3月:0.9%→6月:0.9%→9月:0.9%→12月:0.8%→3月:0.5%→6月:0.3%→9月:0.3%→12月:0.3%
3年後 3月:1.1%→6月:1.0%→9月:1.0%→12月:1.0%→3月:0.8%→6月:0.7%→9月:0.6%→12月:0.7%
5年後 3月:1.1%→6月:1.1%→9月:1.1%→12月:1.1%→3月:1.0%→6月:0.9%→9月:0.8%→12月:0.9%
やったね!ちょっとだけ改善しているよ!!!!!!(棒読み)と言っても見ればお分かりのように2019年頭から見ると下がっているんですよね、ナムナムナム。
物価全般見通し
中小企業 製 造 業
1年後 3月:1.1%→6月:1.0%→9月:1.0%→12月:0.9%→3月:0.6%→6月:0.3%→9月:0.3%→12月:0.3%
3年後 3月:1.2%→6月:1.1%→9月:1.1%→12月:1.0%→3月:0.9%→6月:0.7%→9月:0.7%→12月:0.7%
5年後 3月:1.2%→6月:1.2%→9月:1.2%→12月:1.2%→3月:1.1%→6月:1.0%→9月:1.0%→12月:1.0%
中小企業 非製造業
1年後 3月:1.1%→6月:1.1%→9月:1.1%→12月:1.0%→3月:0.7%→6月:0.4%→9月:0.4%→12月:0.4%
3年後 3月:1.2%→6月:1.2%→9月:1.1%→12月:1.1%→3月:0.9%→6月:0.7%→9月:0.7%→12月:0.8%
5年後 3月:1.3%→6月:1.3%→9月:1.2%→12月:1.2%→3月:1.1%→6月:1.0%→9月:0.9%→12月:1.0%
(9月短観の時の駄文ここから)
いやー殆ど横ばいで良かったですね〜絶対水準はこうやって見ると昨年の頭から見たらかなり悲しいことになっておりますし、問題はここからディスインフレ政策に舵を切ったとしか思えないガースー効果がどう出てくるのか(強盗キャンペーンとかでの数字上の物価下げとかは多分この企業の物価見通しの方では反映してこないと思うのよね直感ですけど、まあ携帯一発でCPIは兎も角としてこういうのはそんなに下がらんとは思うが上がる話ではない)楽しみにしたいと思います。
(9月短観の時の駄文ここまで)
って書きましたが、まあ実際に携帯だGOTOだのドタバタはここからですし、特にGOTOはこれだけ急に上げ下げされて需要の山と谷を無茶苦茶作るような事をすると、谷の方で需要喚起しないとって話になって値下げ圧力につながりそうな悪寒はだいぶするんですけどさてどうなるんでしょうということで、まるで前回と同じ感想でしたな、とおもいました。
しかしまあ何ですな、特にGOTOトラベルに関してはまさかの年末年始全国適用外を突如ぶち込む、という攻撃で、元々GOTO関係なく行く予定だった人だったらキャンセルしない(でも値下げを見込んでいつもより張り込んでしまっていたりしたら死亡ですよね)のかも知れないですけど、今更キャンセルして年末の予定をステイホームにするにしたって、代替品のお節予約とか今からじゃ間に合わんじゃろとか、年末年始客向けに用意する食材とかがどういう運命を辿るのか、とか色々と落涙を禁じ得ない訳で、決めるなら少なくとも1か月前にプリエンティブに決めてくれという話ではありますな。まあ今の政治家先生は何でも上げ膳据え膳で段取りとかロジで頭を悩ますようなことはしないからこういう無茶ぶりばっかりするんでしょうけどね。
と最後はどうでもいい話になってしまいましたが、本日は短観私家版拝見だけで終わってしまいました、うーん毎度の事ながら前日に用意した方が良かったか・・・・・・・(反省が足りない)。
なお、編集していて気が付いたのですが、仕入販売価格判断の所をうっかりすっ飛ばしておりましたのですが(すいません)、こちらはマージンが微かに変化してないことはない、程度であんまり特徴的なものは無かった(のでうっかり飛ばしたんですすいません)です。
2020/12/14
お題「本邦PEに関するスタッフペーパーとな/ラガルド会見冒頭ステートメントを確認の巻」
いつまで交渉期限の先送りしてるんだか・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201213/k10012762591000.html
イギリスとEU 交渉継続で合意 自由貿易協定などめぐり
2020年12月13日 22時29分
EU以外との貿易協定が着々と進んで来るとまあ別に勝手にやってればあ〜という感想しか沸かなくなっている今日このごろ。
〇なぜ話がその方向になるし・・・・・・・(まあメモみたいなもん)
https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2020/ron201211a.htm/
わが国におけるプライベート・エクイティ・ファンドの可能性
―アイデアとコミットメントのあるファイナンスへの期待―
ってのが出てたんですよ。まあ日本の場合は何せ貸出金利が絶望的に低いので、そもそも論としてハイイールドだのブライベートデットだのとかいうのを作ってもたぶんリスクリターンプロファイルが全然おかしくなると思われる(個人の偏見です)次第でございまして、そら国内の運用資金が外クレに行くわなという話(外クレの方がスプレッド全然違いますからねえ)となり、まあそうやって銀行借入のスプレッドがぶっ潰れておりますと中々PEというのも、という感じではありますけれども。
『要旨』を拝読。
『わが国企業は、人口減少の逆風にさらされる中、グローバル化やデジタル化、ポストコロナ時代の経済構造変化に適応することが求められている。1990年代後半以降、企業は負債の圧縮を進め、自己資本比率を高めてきた。これにより危機への耐久力を高めた一方、事業改革に資本を有効活用できているかというと疑問が残る。』
そらそうなんだが資本を有効活用した結果何かのショックで一撃で飛んだら何の意味も無いんだから中央銀行様にウエメセで有効活用云々とか言われると多少トサカに来る。
『また、経営者の高齢化が顕著に進む中で、多くの企業で事業承継が喫緊の課題であり、これを機に企業再編が広範に進む可能性が高まっている。こうした下、事業改革のアイデアとコミットメントを有する金融の役割が一層重要になる。』
うーん何でしょうね、何ちゅうかこの地域金融機関がどうのこうのみたいな例のアレっぽい話になっておりまして。
『本稿では、そうした機能を提供する主体の一つとして、プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)の可能性に注目したい。』
まあ何ですな、事業継承的なニーズは以前よりもあるんじゃねえのとは思いますし、その中でエグジットがあるんだったらPE形式でやりましょうとかそういうのは有りますわな。
『わが国におけるPE市場は、欧米に比べ歴史が浅く、投資案件のトラックレコードが少ない。このため、PEファンドを通じた企業再編の効果の実証分析は非常に限定的であった。もっとも、ごく最近の先行研究および本稿における実証分析によれば、限られたサンプルながらも、PEファンドを通じた企業再編は、総じて、従業員数を削減することなく、売上高を増加させる形で、従業員一人当たりの付加価値の増加が期待できることが示唆される。』
『分析結果は、個々のケースによるため幅を持ってみる必要があるが、これまでの投資実績において、コストカットだけではなく、投資先企業におけるビジネスのやり方を改善することで、付加価値の向上が達成されたことを映じているとみられる。こうした取り組みが拡がれば、わが国経済の生産性向上にも資すると考えられる。』
うーんこのという感じですな。事業がアカンタレだから部門効率化してどうのこうのという話と事業継承をするために売り先探す的な話だと、そもそも話のスタートの筋が違うんだから、そら事業継承系の事案みたら「従業員数を削減することなく、売上高を増加させる形」になることだってあるでしょうし、何ちゅうか「PEファンドでやったから上手く行った」みたいな結論先にありきっぽい香りを感じるんですけど。
『そのためには(1)PEファンドがもたらしうる経済メリットに対する認知度向上やデータ分析の蓄積、(2)機関投資家によるPEファンドへの投資拡大、(3)事業再編にかかるプロ人材の確保・育成、に取り組んでいくことが必要であろう。』
いやあのですね、そういうのはビジネスチャンスがあると思えば参入来るんですから、何ちゅうかこういうのに「取り組んでいくことが必要」とか言って妙な介入を政府サイドが行ってしまうと、却って変な歪みというか、経済合理性に乏しい意味不明案件が増えて却って市場の成長を阻害するんですけど何でこういうの言い出すのかねえと思う訳ですよ。それから「認知度向上」とか言ってる(本文にもあるんですが)のですが、そんなのは上手く行くと思えば特に事業継承系だったら取引金融機関が勝手に話を持って行くでしょうし、何も日銀やら政府やらが音頭を取ってなんかせんでもヨロシわと。おんどれらがやるのは市場の失敗に対するケアとか、悪徳業者の排除とか、税制その他のネックを除去なり軽減するなりとか、そういう方に頑張って頂きたい訳ですけどね。
まあ地域金融機関に向けた付加価値の何とかとかそういう説教をしようという意思がプンプンと伝わってくるのですけれども、まあ中身自体はまあそうだと思えばそうですよね程度ではあるかな、って感じです。
https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2020/data/ron201211a.pdf
わが国におけるプライベート・エクイティ・ファンドの可能性
―アイデアとコミットメントのあるファイナンスへの期待―
これ別に「現状について」みたいなお題にすればそこまでトサカには来ないのですが、題名が何のウエメセだか提灯だかという題名なのが、メディアとかにはウケるのかもしれんけど、ちょっとシラケてしまうんですよね(一々ややこしい性格のアタクシもどうかと思いますかそうですかそうですか^^)。
まあアタクシが妄想を逞しくして思いまするに、これはスタッフペーパーではあるものの、政策的なアナウンスっぽいサムシング成分というか下心というか、まあそういうのが根底にあるのか出すときにそういう風味を付けられたんんだかその辺は分かり兼ねますが(かなりの妄想成分入りですので念のため申し添えます)、まあいずれにせよ何かピュアに現状分析をしてれば良いのに変なメッセージ性を籠めるから却って題名の所で損している(お子様向けっぽく見えてしまう)感じがするのですよね、勿体ない。
てな訳ですので、現状のご紹介という点ではそうですねーって感じではあるので一読はオヌヌメしておく。
〇ECBラガルド会見だが冒頭のステートメントはまあ政策公表文のトーン通りですわな
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2020/html/ecb.is201210~9b8e5f3cdd.en.html
INTRODUCTORY STATEMENT
PRESS CONFERENCE
Christine Lagarde, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB
Frankfurt am Main, 10 December 2020
・見通しが変わったんだか変わってないんだかを曖昧にしながら政策をぶっこんでみましたの巻
最初のご挨拶の次から。
『While the rebound of economic activity in the third quarter was stronger
than expected and the prospects for the roll-out of vaccines are encouraging,
the pandemic continues to pose serious risks to public health and to the
euro area and global economies. The resurgence in COVID-19 cases and the
associated containment measures are significantly restricting euro area
economic activity, which is expected to have contracted in the fourth quarter
of 2020.』
これですね、金曜にネタにした政策突っ込む声明文の中でも現況説明がありましたが、この説明ってよくよくみますと(というかよくよく見なくてもそうなんですが)、「コロナの再拡大とかそれによる公衆衛生措置とかによって経済活動は抑制され、先行きの不透明感が一段と高まっている」という線で説明はしているのですが・・・・・・・
『While activity in the manufacturing sector continues to hold up well,
services activity is being severely curbed by the increase in infection
rates and the new restrictions on social interaction and mobility.』
『Inflation remains very low in the context of weak demand and significant
slack in labour and product markets.』
『Overall, the incoming data and our staff projections suggest a more pronounced
near-term impact of the pandemic on the economy and a more protracted weakness
in inflation than previously envisaged.』
『In view of the economic fallout from the resurgence of the pandemic,
today the Governing Council recalibrated its monetary policy instruments
as follows:』
これ先行きに関しては「a more pronounced near-term impact of the pandemic
on the economy and a more protracted weakness in inflation than previously
envisaged.」ということで、当初見通しよりもコロナの影響が大きくてアカンとは言っているのですが、あくまでも「near-term
impact」の話ですよという事になっていて、先行きの見通しってそもそもこの部分で決め打ち見通し文言を入れていないので何とも言い難い面はあるのですが、「先行きの不確実性が一段と高まる」という文脈で説明をしてきている訳なんですよねこれがまた。
よって今回の措置って「recalibrated its monetary policy instruments as follows」ではありますけれども、利下げとかAPPペース拡大とかいうのではなくて、既存の措置を横に伸ばしたという形にしていて、まあ良く言えば追加緩和と言いながらも本格的な緩和カードを温存した形、悪く言えばただの問題先送りになっている、という感じではないかと評価してるんでしゅアタクシは。
・目先のパンデミックで目くらましをしていますが何のことはない中期的見通しは不変だったりする
as followsで番町皿屋敷かと言いたくなるほど施策の話がならんでおります(なお今回の皿の枚数が8枚になっておりましたがこれが9枚ならばガチで番長皿屋敷になる所でしたな、あー危ない危ない)ここの説明に関しては基本的に金曜日にネタにした政策決定の声明文での説明と変わらんのでパスしてまずはその政策導入のまとめ部分。ま、基本的にここまでは公表文にあった話なので最初は重複になります。
『The monetary policy measures taken today will contribute to preserving
favourable financing conditions over the pandemic period, thereby supporting
the flow of credit to all sectors of the economy, underpinning economic
activity and safeguarding medium-term price stability.』
『At the same time, uncertainty remains high, including with regard to
the dynamics of the pandemic and the timing of vaccine roll-outs. We will
also continue to monitor developments in the exchange rate with regard
to their possible implications for the medium-term inflation outlook.』
『We therefore continue to stand ready to adjust all of our instruments,
as appropriate, to ensure that inflation moves towards our aim in a sustained
manner, in line with our commitment to symmetry.』
ここまでは政策公表の文書の中にありました通りでございます。為替に言及しているけれども既存政策のヨコ(ちなみにPEPPとか若干買入ペース落ちるんちゃいますかしら)なので為替市場からは完全にスルーされて木曜の夜は前日の1.20台(と言っても後半ですけど)から1.21台(と言っても前半ですけど)に対ドルでユーロが上がったのは落涙を禁じ得ませんでした。
さてその次。からが経済物価情勢のアセスメントなので、
『Let me now explain our assessment in greater detail, starting with the economic analysis.』
となります。以下鑑賞。
『Following a sharp contraction in the first half of 2020, euro area real
GDP rebounded strongly and rose by 12.5 per cent, quarter on quarter, in
the third quarter, although remaining well below pre-pandemic levels. The
second wave of the pandemic and the associated intensification of containment
measures observed since mid-October are expected to result in a renewed
significant decline in activity in the fourth quarter, although to a much
lesser extent than observed in the second quarter of this year.』
『Economic developments continue to be uneven across sectors, with activity
in the services sector being more adversely affected by the new restrictions
on social interaction and mobility than activity in the industrial sector.
Although fiscal policy measures are supporting households and firms, consumers
remain cautious in the light of the pandemic and its ramifications for
employment and earnings. Moreover, weaker balance sheets and uncertainty
about the economic outlook are weighing on business investment.』
結局大部分の要因がパンデミックによる公衆衛生上の措置に伴う経済活動の制限とかパンデミックによる企業や家計活動の慎重化、という線でまとまっておりますが、しらっと後半の最後の方では企業の投資活動に悪影響を与える要因について、「weaker
balance sheets and uncertainty about the economic outlook」ということで、この「weaker
balance sheets」は例えば前回のINTRODUCTORY STATEMENTですと冒頭に、、
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2020/html/ecb.is201029~80b00b5789.en.html
『Moreover, weaker balance sheets and increased uncertainty about the economic
outlook are weighing on business investment. 』(この部分だけ直上URL先の10月会合後のINTRODUCTORY
STATEMENTの冒頭部分から引用)
とかありまして、毎度この部分を問題にしていまして、だからファイナンシャルコンディションを改善するためにこの施策が必要でっせ、という理屈に話をつなげているようには見えます。
『Looking ahead, the news of prospective roll-outs of vaccines allows for
greater confidence in the assumption of a gradual resolution of the health
crisis. However, it will take time until widespread immunity is achieved,
while further resurgences in infections, with challenges to public health
and economic prospects, cannot be ruled out.』
先行きも思いっきりワクチンの話になっていまして、ワクチンキタコレはイイハナシダナーだが先行きはまだまだ、という話。
『Over the medium term, the recovery of the euro area economy should be
supported by favourable financing conditions, an expansionary fiscal stance
and a recovery in demand as containment measures are lifted and uncertainty
recedes.』
って中期的な見通し自体(まあこの説明を見通しというのか、というのはさて置いて)は変えていないので、現行の政策を横に伸ばすにしました、って事でっしゃろ。即ち・・・・・・・
『This assessment is broadly reflected in the baseline scenario of the
December 2020 Eurosystem staff macroeconomic projections for the euro area.
These projections foresee annual real GDP growth at -7.3 per cent in 2020,
3.9 per cent in 2021, 4.2 per cent in 2022 and 2.1 per cent in 2023.』
12月なので四半期のスタッフ見通し改定ですが、
『Compared with the September 2020 ECB staff macroeconomic projections,
the outlook for economic activity has been revised down in the short term,
but is seen to broadly recover to the level projected in the September
baseline scenario over the medium term.』
となっていて、目先は下方修正だけど中期的なベースラインシナリオには変化がない、という形にしておりまして、そうなりますと本格的(?)な追加金融緩和は別にせんでもエエジャロという話になって、政策を引き延ばす攻撃になりましたよ、ということで話の整合性は取られています。
次は見通しに対するリスクの話です。
『Overall, the risks surrounding the euro area growth outlook remain tilted
to the downside, but have become less pronounced. While the news about
the prospects for vaccine roll-outs in the near future is encouraging,
downside risks remain related to the implications of the pandemic for economic
and financial conditions.』
先行きリスク認識もダウンサイドには寄っているけれども、別に物凄く下げたりしてはいないし、そもそも説明にあっさり味感がある。
あとは物価。
『According to Eurostat’s flash estimate, euro area annual inflation remained
unchanged at -0.3 per cent in November. On the basis of oil price dynamics
and taking into account the temporary reduction in the German VAT rate,
headline inflation is likely to remain negative until early 2021.』
ドイツ様は付加価値税を期間限定で下げたのか。
『Thereafter, it is expected to increase owing to the end of the temporary
VAT reduction in Germany and upward base effects in energy price inflation.』
『At the same time, underlying price pressures are expected to remain subdued
owing to weak demand, notably in the tourism and travel-related sectors,
as well as to low wage pressures and the appreciation of the euro exchange
rate. Once the impact of the pandemic fades, a recovery in demand, supported
by accommodative fiscal and monetary policies, will put upward pressure
on inflation over the medium term. Market-based indicators and survey-based
measures of longer-term inflation expectations remain at low levels.』
ほぼ見通しに変化はなく(足元の変化はあるけど)結局パンデミックから立ち直ったら金融緩和と拡張的な財政にサポートされて物価も上昇基調になるでしょう的な話。
マネタリーアナリシスの所はぶっ飛ばしまして最後にいつもの財政と構造改革。
『Regarding fiscal policies, an ambitious and coordinated fiscal stance
remains critical, in view of the sharp contraction in the euro area economy.』
もう財政に下駄預けてます位の言い方ですね。
『Fiscal measures taken in response to the pandemic emergency should, as
much as possible, be targeted and temporary in nature. At the same time,
weak demand from firms and households and the heightened risk of a delayed
recovery in the light of the new lockdowns owing to the second wave of
the pandemic warrant continued support from national fiscal policies. 』
『The three safety nets endorsed by the European Council for workers, businesses
and sovereigns provide important funding support in this context.』
さっきしれっと流してしまいましたが、コロナの影響は一様ではないというような話の伏線もここできっちり回収しているのがお洒落ですね。パンデミックに対応する財政は「should,
as much as possible, be targeted and temporary in nature.」だそうで。
『The Governing Council recognises the key role of the Next Generation
EU package and stresses the importance of it becoming operational without
delay. It calls on Member States to deploy the funds for productive public
spending, accompanied by productivity-enhancing structural policies. This
would allow the Next Generation EU programme to contribute to a faster,
stronger and more uniform recovery and would increase economic resilience
and the growth potential of Member States’ economies, thereby supporting
the effectiveness of monetary policy in the euro area. 』
『Such structural policies are particularly important in addressing long-standing
structural and institutional weaknesses and in accelerating the green and
digital transitions.』
ということで最後はいつものEUの構造改革に関する話でした。
#月曜なので(?)こんな所で勘弁
2020/12/11
お題「冬時間なので寝起きでECB(リリースだけだから夜読めるじゃないかというツッコミはパス)」
アタクシこの界隈でのお仕事のスタートは証券決済業務から入ってることも影響してか決済周りの話も好きなんですけど、さすがにここまで来ると初見では分からん(なんせ一般債が登録済証の時代でしたんでハイテクはワカランチ会長)のですが、ここに来てこのフォーラム良い勢いでぶっこんできていますよね。
https://www.boj.or.jp/paym/iso/iso_panel/isop201127.htm/
「ISOパネル(第1回):LEI(Legal Entity Identifier、取引主体識別子)の活用拡大の方向性」をオンライン開催
2020年11月27日
日本銀行決済機構局
https://www.boj.or.jp/paym/iso/iso_panel/isop201207.htm/
「ISOパネル(第2回):金融サービスの通信メッセージ標準(ISO 20022)が展望する将来」を開催
2020年12月7日
日本銀行決済機構局
勉強しようかなとは思うのだが如何せんワシの知識が石器時代ェ・・・・・・・
さて昨晩はECBなんですが、冬時間になるとラガルド会見とか見ていると寝不足の刑に処せられてしまいますので、うっかり病気になれないこのご時世において睡眠不足はアカンので寝起きで見るしかないでしょうと堂々と寝起きでECBの巻になるのでした(汗)。
〇政策決定に関して声明文より
では声明文。
https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2020/html/ecb.mp201210~8c2778b843.en.html
PRESS RELEASE
Monetary policy decisions
10 December 2020
一部箇所で前回声明文を参照しますのでその部分は『』(前回声明文)としております。なお前回声明文はこちら。
https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2020/html/ecb.mp201029~4392a355f4.en.html
・パンデミック再拡大による経済のフォールアウトに対応
『In view of the economic fallout from the resurgence of the pandemic,
today the Governing Council recalibrated its monetary policy instruments
as follows:』
予告ホームラン自体は前回会合でぶっこんでいたので、何らかのおかわりが出るのは明らかでしたけれども、今回「アディッショナルイージング」とか「ファーザーイージング」とは言わずに「リカリビレート」というのはいきなり最初からちょっと読んでて「ん?」と思った。さては金利はいじってないな、とまあこの文字を見ると瞬時に浮かぶくらいには文学者です。でもって今回の決定要因は「economic
fallout from the resurgence of the pandemic」ということでパンデミックの再拡大による経済のフォールアウトに対応したという順当な言い訳になっております。
・金利は変更なし、金利に関するガイダンス文言も変更なし
『First, the interest rate on the main refinancing operations and the interest
rates on the marginal lending facility and the deposit facility will remain
unchanged at 0.00 per cent, 0.25 per cent and -0.50 per cent respectively.
The Governing Council expects the key ECB interest rates to remain at their
present or lower levels until it has seen the inflation outlook robustly
converge to a level sufficiently close to, but below, 2 per cent within
its projection horizon, and such convergence has been consistently reflected
in underlying inflation dynamics.』
後半のガイダンス文言、前回が以下のようになっていまして、
『The Governing Council expects the key ECB interest rates to remain at
their present or lower levels until it has seen the inflation outlook robustly
converge to a level sufficiently close to, but below, 2% within its projection
horizon, and such convergence has been consistently reflected in underlying
inflation dynamics.』(前回声明文)
前回と文言一致なのも確認できます。
・PEPPは500億ユーロ拡大、期限を9カ月延長、償還再投資は1年延長
『Second, the Governing Council decided to increase the envelope of the
pandemic emergency purchase programme (PEPP) by ユーロ500 billion to a
total of ユーロ1,850 billion. It also extended the horizon for net purchases
under the PEPP to at least the end of March 2022.』
パンデミック購入プログラムちゃんですけど、増額の方は(ユーロってのワシの作業環境だと外字になってしまうので手で直しているのは察してください)数字が書いてあります。500億ユーロ拡大しました。足の方は何か月とは書いていませんが、これまでのケツとして書かれていたカレンダーデートが2021年6月末だったので、プログラムが9か月延長。
『In any case, the Governing Council will conduct net purchases until it
judges that the coronavirus crisis phase is over.』
というのガイダンスというか何というかな文言も同じです。前回声明文ではここの部分が一文になっていて、『The
Governing Council will conduct net asset purchases under the PEPP until
at least the end of June 2021 and, in any case, until it judges that the
coronavirus crisis phase is over.』(前回声明文)となっています。
でまあこれパンデミック続いているうちはあんまり気にならんのですけれども、運よくパンデミックがお薬チューで普通のタチがちょっと悪い通年性インフルエンザに降格した場合って、「少なくとも〇〇まで」というのと「いずれにせよコロナちゃんの危機フェーズが終わったと判断されるまでは続けるよ」との間に無茶苦茶距離が出てしまう、ということも考えられるわけなのですが、その時はここをどう折り合い付けるのか、という時間的整合性の問題が生じる気がするんですが、なにせ元々の足が結構後ろにあるので延長するとなるとこうなるのかも知れませんが、まあその時はお手並み拝見という感じで生温かく見守って参りましょう。
『The Governing Council also decided to extend the reinvestment of principal
payments from maturing securities purchased under the PEPP until at least
the end of 2023. In any case, the future roll-off of the PEPP portfolio
will be managed to avoid interference with the appropriate monetary policy
stance.』
PEPPで購入した分の債券償還再投資については、従来2022年末までの償還分は再投資しますよ云々となっていたのですが、こちらはしらっと1年延長して2023年末までになりました。その後のロールオフは状況を慎重に見極めながら行いますようっかりそのせいで意図しない金融引き締めにならないようにしないといけませんね、というのは従来通り。
・TLTRO3の拡充(別途リリース出ているから後で再度)
『Third, the Governing Council decided to further recalibrate the conditions
of the third series of targeted longer-term refinancing operations (TLTRO
III). Specifically, it decided to extend the period over which considerably
more favourable terms will apply by twelve months, to June 2022. Three
additional operations will also be conducted between June and December
2021.』
TLTROについては別途リリース出ています。詳しくはそちらで参りますが、12か月物のTLTRO3を出すんですと。
『Moreover, the Governing Council decided to raise the total amount that
counterparties will be entitled to borrow in TLTRO III operations from
50 per cent to 55 per cent of their stock of eligible loans.』
TLTROの一行辺りの利用限度額を拡大しています。もう少し細かい話は別途のリリースにありますが、元々2019年2月28日時点での適格ローンの残高の50%が上限だったのを55%に上げましたって話で、これがどの程度のスケール感なのかは不覚にもそこまで詳しくないので誰かちゃんと解説してるっしょ(と手抜き、まあ調べられるもんなら調べるけど今すぐは勘弁)。
『In order to provide an incentive for banks to sustain the current level
of bank lending, the recalibrated TLTRO III borrowing conditions will be
made available only to banks that achieve a new lending performance target.』
これによって金融機関に貸出のインセンティブを更に与えますよって話。金利についてはこっちは書いていないので従来通りの扱い(段階料率適用で最優遇金利は▲100bpでのお貸出)の筈。
・本年4月に決定した適格担保基準の一時的緩和措置を2022年6月まで延長
『Fourth, the Governing Council decided to extend to June 2022 the duration
of the set of collateral easing measures adopted by the Governing Council
on 7 and 22 April 2020.』
担保基準緩和のケツについては4月の声明文を見ないと分からんのですが4月22日の方をみたら(7日の方は期限が明示されていなくて、パンデミック終わったらとだけあって、年内には詳しく足決めますというやっつけ感満載のリリースだった)2021年9月末までの措置だったので、これは要するにPEPPとケツを合わせています。まあパンデミックプログラムの一環ということならさもありなん。
『The extension of these measures will continue to ensure that banks can
make full use of the Eurosystem’s liquidity operations, most notably the
recalibrated TLTROs. The Governing Council will reassess the collateral
easing measures before June 2022, ensuring that Eurosystem counterparties’
participation in TLTRO III operations is not adversely affected.』
でもってTLTROにぶっこんでいるのは適格担保なので、担保基準の緩和が解除されてしまうと、担保差し替えをしないといけなくなる可能性がありますんで、基準解除に際しては前広に周知を行うし、TLTROの運営に悪い支障を起こさないように注意しますよ、とのお告げ。
・PELTROを追加実施
『Fifth, the Governing Council also decided to offer four additional pandemic
emergency longer-term refinancing operations (PELTROs) in 2021, which will
continue to provide an effective liquidity backstop.』
ペルトロちゃんですね。2021年に追加で4本実施だそうな。詳しくは別途リリースあるので後程。
・APPに変更なし
「第6に!」とか最初にあってだんだんうんざりしてくるんですが・・・・・・・・・・・
『Sixth, net purchases under the asset purchase programme (APP) will continue
at a monthly pace of ユーロ20 billion. The Governing Council continues
to expect monthly net asset purchases under the APP to run for as long
as necessary to reinforce the accommodative impact of its policy rates,
and to end shortly before it starts raising the key ECB interest rates.』
『The Governing Council also intends to continue reinvesting, in full,
the principal payments from maturing securities purchased under the APP
for an extended period of time past the date when it starts raising the
key ECB interest rates, and in any case for as long as necessary to maintain
favourable liquidity conditions and an ample degree of monetary accommodation.』
従来型APPにつきましては、月間20億ユーロのペースでネット買入を拡大する、という部分につきましては従来と同じでございまして、あとAPPのガイダンス文言も前回と同じです。
・これ「第7に!」で入れるネタかよと思いながら・・・・・・・
「第7に!」とか朝から読んでてゲッソリーヌになってしまいますわ奥様。
『Seventh, the Eurosystem repo facility for central banks (EUREP) and all
temporary swap and repo lines with non-euro area central banks will be
extended until March 2022.』
ユーロ圏内各国中銀とのレポファシリティとユーロ通貨は使ってないけどユーロ加盟諸国の緊急スワップおよびレポラインについては2022年3月末まで延長とかこれ何か月延長とか調べるの時間がもったいないからパス。
・まだあるのかよということですがこれも入れるネタかよって感じ
『Finally, the Governing Council decided to continue conducting its regular
lending operations as fixed rate tender procedures with full allotment
at the prevailing conditions for as long as necessary.』
通常のMROなどの資金供給オペレーションにおいて、「固定金利、貸出額はご希望額全額」方式を当面の間は継続しますよ、という奴です。
『Separate press releases with further details of the measures taken by
the Governing Council will be published this afternoon at 15:30 CET.』
そうっすか。
・能書きの部分でしらっと為替レートに言及するのがお洒落
でもってここからやっと能書き。
『The monetary policy measures taken today will contribute to preserving
favourable financing conditions over the pandemic period, thereby supporting
the flow of credit to all sectors of the economy, underpinning economic
activity and safeguarding medium-term price stability.』
『At the same time, uncertainty remains high, including with regard to
the dynamics of the pandemic and the timing of vaccine roll-outs. We will
also continue to monitor developments in the exchange rate with regard
to their possible implications for the medium-term inflation outlook.』
『The Governing Council therefore continues to stand ready to adjust all
of its instruments, as appropriate, to ensure that inflation moves towards
its aim in a sustained manner, in line with its commitment to symmetry.』
背景説明に関しては基本的に今まで言ってる話と大差なくて、コロナの再拡大であばばばばーの中先行きも五里霧中でございますなあやっぱりワクチン様のロールアウトの動向を見るのは大事ですよね、ああそれからワシらは今後も必要ならば必要な措置をバシッと取りますけえの〜、という話をしているのですが、その中でしらっと(パラグラフを分割したので2番目という言い方にしますけど実際は引用部分全部が1つのパラです)2番目の後半に、
「We will also continue to monitor developments in the exchange rate with
regard to their possible implications for the medium-term inflation outlook.」
とか為替(要はユーロ高)けん制発言があるのですが、じゃあ牽制するのは良いんですけど別に利下げしてないし、買入は拡大したけどAPPのペースとかも別に上げてないよな、という所でして、まあ言ってはいるものの・・・うーん、って感じでしょうな、これでユーロがどう反応したかとかは会見もセットで見ないと行けないのだが、当たり前のように前段階で力尽きているのでありました(すいません)。
〇一応同時リリースの2本(詳細版)について
・1年ものペルトロを4本追加の件
https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2020/html/ecb.pr201210~8acfa5026f.en.html
PRESS RELEASE
ECB extends pandemic emergency longer-term refinancing operations
10 December 2020
『ECB to offer four additional pandemic emergency longer-term refinancing
operations in 2021 allotted on a quarterly basis, each with a tenor of
one year.』
『Additional operations provide liquidity backstop to preserve the smooth
functioning of the money market during the extended pandemic period.』
1年もののPELTROを4本ぶっこみますよということで、これによりバックストップを提供するよ、という触れ込みだが常設ファシリティじゃない(しかも週1くらいなら兎も角四半期1回の)ものをバックストップというのも何だかね、とは思わんでもないが一応作りはそんな雰囲気で作っています。
『The Governing Council of the European Central Bank (ECB) today decided
to offer four additional pandemic emergency longer-term refinancing operations
(PELTROs) on a quarterly basis during 2021. Each operation will have a
tenor of approximately one year. These operations will serve as a liquidity
backstop to the euro area banking system and contribute to preserving the
smooth functioning of money markets during the extended pandemic period.』
とは言えそういう触れ込みになっているのでそういう説明になっている。
『The PELTROs will be conducted as fixed rate tender procedures with full
allotment. The operations will be offered at accommodative terms. The interest
rate will be 25 basis points below the average rate applied in the Eurosystem’s
main refinancing operations (currently 0%) over the life of the respective
PELTRO.』
『The PELTROs will be conducted in accordance with the indicative calendar shown below.』
こちらは申込額フルアロットメント、期間は1年ちょいで、四半期末近く(のファンディングが逼迫する可能性がある時)に実施して、期限は1年後の四半期末になっていまして、まあ一応四半期末のファンディング逼迫の可能性に配慮したものになっています。金利はMRO−25bpなので今なら▲25bpですからバックストップ。
表はめんどいので割愛。
・TLTRO3の延長に関して
https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2020/html/ecb.pr201210_1~e8e95af01c.en.html
PRESS RELEASE
ECB prolongs support via targeted lending operations for banks that lend
to the real economy10 December 2020
『Extension by an additional 12 months, to June 2022, of period of favourable
interest rates for banks that lend to the real economy』
『Three additional three-year operations in June, September and December 2021』
『Borrowing allowance raised to 55% of eligible loans』
ということでこの辺はさっきのリリースにありましたが、来年の6、9、12月に3本の3年ものTLTRO3を追加で実施するそうな。
『The Governing Council of the European Central Bank (ECB) today decided
on modifications to the terms and conditions of the third series of targeted
longer-term refinancing operations (TLTRO III).』
はい。
『The extension of the pandemic-related low interest rate period, the addition
of three more operations and the increase in the amount that can potentially
be borrowed under TLTRO III will preserve the very attractive funding conditions
that over the past few months have supported banks’ efforts to keep credit
flowing to the real economy in a time of high stress.』
『This will help banks to secure the liquidity they need to extend loans
to households and firms on very favourable lending terms.』
貸出をせっせと拡大する銀行に対するインセンティブでっせという毎度の説明ですな。
『For the period from 24 June 2021 to 23 June 2022, the interest rate on
all outstanding TLTRO III operations will remain 50 basis points below
the average rate applied in the Eurosystem’s main refinancing operations
over the same period. The interest rate on the main refinancing operations
is currently 0%. For counterparties whose eligible net lending between
1 October 2020 and 31 December 2021 reaches the lending performance threshold,
the interest rate applied on all TLTRO III operations outstanding over
the period from 24 June 2021 to 23 June 2022 will be 50 basis points below
the average interest rate on the deposit facility prevailing over the same
period, and in any case not higher than -1%. The deposit facility rate
is currently -0.5%.』
『The lending performance threshold that needs to be met in order for a
participating counterparty to attain the minimum interest rate on TLTRO
III operations over the extended period of reduced interest rates is set
at 0% between 1 October 2020 and 31 December 2021. The new evaluation period
provides further incentives for banks to maintain the level of credit support
that they have provided since the start of the pandemic.』
ゴテゴテとありますが、要するにこれ貸出増加の実績に応じて金利が段階適用されて、最優遇レートは▲100bpになるってお話ですが、設定金利の水準自体は従来通りになっている筈です(詳細検証はしていないけど変えていたら何かもう少し説明があるはずだと思うので、ちがったらゴメンよ)。
『Three new TLTRO III operations with a maturity of three years will be
allotted in June, September and December 2021. These new operations will
ensure that counterparties can flexibly benefit from the prolonged support.
Participants in the operations announced today will, on a quarterly basis
starting in June 2022, have the option of withdrawing from or reducing
the amount borrowed in the new TLTRO III operations, before maturity.』
3年貸出だけど借入人は期日前返済が可能です、というのも同じ作り。
『For banks that reach the lending performance threshold of 0% between
1 October 2020 and 31 December 2021, the interest rate applied after 23
June 2022 will be the average interest rate on the deposit facility over
the life of the respective TLTRO III operation. For banks that do not reach
this lending performance threshold and that participate in TLTRO III operations
conducted in the period to March 2021, the interest rate applied after
23 June 2022 will remain the rate established in accordance with the Decision
of 30 April 2020 (ECB/2020/25). For banks that do not reach the lending
performance threshold and that participate in the new TLTRO III operations
in June, September and/or December 2021, the interest rate after 23 June
2022 will be the average rate applied in the Eurosystem’s main refinancing
operations over the life of the respective TLTRO III operation. The interest
rate applied before 24 June 2021 will remain the rate established in accordance
with the Decision of 30 April 2020 (ECB/2020/25).』
この辺は適用金利の計算タイミングとかの話だと思うので引用だけはしたが細かく読んでる時間が無いのでパス。
『The maximum amount that counterparties will be entitled to borrow is
raised from 50% to 55% of their stock of eligible loans as at 28 February
2019 for all future TLTRO III operations, starting from the March 2021
operation. The amount that counterparties can borrow under each future
TLTRO III operation is reduced by any amounts that they have previously
borrowed under any TLTRO II or TLTRO III operations that are still outstanding.』
でもって最後に声明文でもあった借入限度額の拡大に関する部分がありました。
『These changes to the terms and conditions of TLTRO III will apply to
all TLTRO III operations and will be implemented via a fourth amendment
to the Decision of the ECB of 22 July 2019 on a third series of targeted
longer-term refinancing operations (ECB/2019/21), as amended by the Decisions
of the ECB of 12 September 2019 (ECB/2019/28), 16 March 2020 (ECB/2020/13)
and 30 April 2020 (ECB/2020/25). The amendment will be published on the
ECB’s website and subsequently in the Official Journal
of the European Union.』
今回の施策はいついつに制定したもののリバイスですよとかそういうのがあるがここを全部見に行くのどう見ても時間が無いので引用だけ備忘用にしておく感じです、すいません。
・・・・・・とここで時間が無いので会見は週明けにでも(汗)。
2020/12/10
お題「金研のペーパーでマニアックなのを鑑賞したのだが市場の中の人が読むには趣味の世界過ぎですな(大汗)」
おぉ、もう・・・・・・・・・
https://this.kiji.is/709300056060477440
看護師の7割超が精神的負担
北海道、ボーナス大幅減
2020/12/9 16:36 (JST)
コピーライト 一般社団法人共同通信社
急場は自衛隊にお願いするのは仕方ないとしても、根本的な部分が改善されないと如何ともし難いし、うっかりすると馬鹿知事共は自衛隊出動依頼をして仕事をした気になっていそうなのがオソロシス。
〇金研から直近出てきた物件が面白そうだがまだ大して読めてないのでメモだけ
https://www.boj.or.jp/research/imes/dps/dps20.htm/
金融研究所ディスカッション・ペーパー・シリーズ
2020年収録分
『日本銀行金融研究所ディスカッション・ペーパー・シリーズ(DPS)は、金融研究所スタッフおよび外部研究者による研究成果をとりまとめたもので、学界、研究機関等、関連する方々から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。』
ということで直近の3発を見ますと、
2020-J-20/情報技術 菅和聖
機械学習システムの脆弱性とセキュリティ・リスク:「障害モード」による分類と今後へのインプリケーション
/機械学習システム、障害モード、セキュリティ・リスク、脆弱性 2020年12月 9日 670KB
2020-J-19/金融史 山ア翔平、小池良司
都市銀行・地方銀行の歴史的財務データ:明治期を中心に
/長期時系列、都市銀行、地方銀行、預金銀行化 2020年12月 9日 720KB
2020-J-18/経済 松本英彦 新興国における外貨準備の蓄積の費用・便益について
/外貨準備、国際資本移動、通貨危機、経済成長、新興国、小国開放経済モデル 2020年12月 9日 1,332KB
ちなみに2日にも出ているのですが、これはまた全般的に現世利益にならなさそうだがオモロそうなネタがぶっこまれていますが、まあ機械学習云々はアタクシちょっとその方面には頭が弱いにも程がありますので回避致しますが、19番と18番が個人的に興味津々。
・これはまたマニアが喜びそうなネタ
つーことでJ−19ちゃんですが。
https://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/japanese/20-J-19.html
都市銀行・地方銀行の歴史的財務データ:明治期を中心に
山ア翔平、小池良司
という時点でだいぶ熱いのですが、
『本稿では、わが国銀行の財務データを都市銀行・地方銀行ごとに1870〜80年代まで遡及し、現在まで連続する長期時系列の整備を試みた。具体的には、都市銀行・地方銀行ごとに、貸出、預金、自己資本、有価証券の計数について、既存の歴史統計と個別銀行の歴史資料を用い、一部を試算しつつ遡及した。』
都市銀行と地方銀行っていったって現在の都銀には戦前からの大銀行と戦後に大銀行化した銀行があるじゃんとかいうような話は当然網羅されています。
『また、貸出変化率、預貸率、自己資本比率について、明治期を中心に概観した。』
ほうほう。
『貸出変化率は、都市銀行・地方銀行のいずれでも、松方デフレ期(1881〜85年)は伸び悩み、続く1886〜90年の企業勃興期には堅調に増加するなど、景気動向に沿った動きを示していた。』
そらそうでしょうな。
『預貸率および自己資本比率をみると、1880年代では都市銀行・地方銀行ともに自己資本を主な貸出原資とした財務構造が確認できた。加えて、1880〜1920年頃にかけて、預金の増加と預金への貸出原資のシフトによる預貸率・自己資本比率の低下が都市銀行で先行する一方、地方銀行では十数年ほど遅れたことが確認できた。』
ってのを見ますと毎度「預金通貨は準通貨で信用創造がどうのこうの」とか言いたくなってしまいますが、ただまあそもそもこの時代の場合は通貨が本位通貨だったり、そもそも論として貸出を行うと費消されてしまうんですけど(費消するために借入起こすんだからそれは当たり前)、民間貯蓄の蓄積が無い、と良く言われる訳ですが、じゃあその準通貨どこに逝きますねんとか、その辺の事を掘り下げるのはこちらのペーパーとは別の話になってしまいますからアレですが、最近の仮想通貨だ中銀デジタル通貨だというような話をしだすと、通貨とか準通貨とかがどうなっていますかみたいな話をきちんと掘り下げて自分の中でクリアにしておかないと、それこそCBDCが実際に経済というか決済システムとか通貨システムにどういう影響を与えるのか(「単に銀行券がデジタル化されるだけだよ」という人もいれば、なんかアタクシ思っているし、たぶんそういう論点があると思うんですが「預金通貨からのシフトが起きると金融システム自体に大影響与えるんじゃないの」とか、まあ色々とある訳で)とか、そういう事ももうちょっとクリアになるかな、とか何とか思います。
と思いっきり話が逸れてしまいましたが本文がこちら。
https://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/20-J-19.pdf
都市銀行・地方銀行の歴史的財務データ:明治期を中心に
でまあ本論は本論で面白い(とは思うのだがマニアにしか面白くないですかそうですか)のですが、まあ本論の前の定義の所を引用してペーパー執筆者様にはやや申し訳ないのですが、「昔はこんな銀行があってのう」などと言いながら若い衆に内心「はいはいおじいちゃん昨日もその話をしたでしょお薬の時間ですよ」とか思われている老人会の皆様(アタクシを含む)が泣いて喜ぶ歴史的定義の部分を折角なのでベタ引用。
『3 都市銀行・地方銀行の区分の意義と本稿における定義』っておい本文4ページ(PDF8枚目)でございます。
『ここで、都市銀行・地方銀行という区分で現在から明治期まで遡ることの意義を確認する。現在では、都市銀行を大手金融グループ単位で、地方銀行を第二地方銀行と併せて、それぞれ捉えることが多いため、都市銀行・地方銀行の区分を用いる意義は小さいようにみえるかもしれない。しかし、大手金融グループや第二地方銀行の区分は明治期まで遡及できない4。』
脚注4を見ましょう。
『4 大手金融グループに繋がる長期信用銀行は 1952 年以降、信託銀行は 1948
年以降の制度であり、これらの前身(特殊銀行、信託会社)とは性質が異なり不連続である(図
1、右上・右下の黒実線)。第二地方銀行の前身である無尽会社は、法的に金融機関と位置づけられた1915
年より前の実態は不明である(図 1、下部の黒実線)。4.1 節でも後述する。』
図1とか4章とかは貼り付けませんので後で皆さんで見てちょ。
『一方、都市銀行と地方銀行の区分は明治期まで遡及余地がある。また、現在でも金融庁の銀行免許や、日本銀行の金融統計で用いられている。ゆえに、長期時系列を作成するうえで有用な区分と考えられる。』
ほう。
『次に、都市銀行と地方銀行の定義を巡る歴史的経緯を確認したうえで、本稿における都市銀行・地方銀行の定義を説明する。』
キタコレ。
『全国銀行協会調査部の職員らが執筆した北原編[1966]3〜86 頁および全国地方銀行協会[1961]3〜8
頁によれば、都市銀行・地方銀行の概念・名称が確立したのは 1950 年代である。』
あたくしも誕生してませんわ。
『この歴史を概観すると、まず 1880 年頃に当時の銀行業界団体(択善会)が、大都市所在の銀行と地方所在の銀行とを区別し、前者を「都府銀行」、後者を「地方銀行」と呼んだ。両者には、都府(東京・大阪・京都・名古屋・新潟など人口稠密地)に所在した銀行と、都府の銀行に銀行券交換等の事務を委託した地方の銀行という、所在地の違いがあった。』
択善会キタコレ。渋沢栄一翁の評伝とか読むと登場しますな。
『のち、明治末期から昭和初期(1910〜30 年代)には、規模の概念が加わり、大都市所在の大規模銀行と「地方銀行」(それ以外の中小銀行)とを区別する考えが、銀行業界や政府に広まった。明治末期には日露戦争後の財政整理のため国債引受シンジケート銀行団が結成され、これに参加した大都市所在の大規模銀行は「シンジケート銀行」と呼ばれた。』
そもそも若い衆は国債引受シンジケート団というのが戦後復活して平成の時代まで存在したとか知らんじゃろ(ジジイのウザいドヤ顔)。
『しかし、第一・三井・三菱・安田・住友からなる通称「五大銀行」以外のシンジケート銀行団参加銀行は、1910〜30
年代で変遷があった5。』
脚注5も見ましょう。
『5 北原編[1966]は、五大銀行以外の都市所在銀行を「亜大銀行」「有力銀行」として地方銀行・五大銀行から分けた計数を示している。しかし、これら区分の内訳構成は明治期から昭和期で変わっており、長期時系列として利用できない。』
ほうほう。で続き。
『のち、1942 年に大蔵省が戦時統制のため「都市大普通銀行」「地方銀行」の区分を定めた際には、都市大普通銀行は五大銀行に加え三和・東海・神戸・野村(のち大和)ほか
4 行6、』
6ってのは脚注です。
『6 三和は 1933 年に大阪所在の 3 銀行、東海は 1941 年に名古屋所在の 3 銀行、神戸は
1936 年に兵庫県所在の 7 銀行が、それぞれ合併し誕生。野村の創業は 1918 年ながら
1927 年より前は小規模だった。ほか 4 行は、十五(1943 年に帝国[第一・三井が
1943〜48 年に統合]に合併)・第百(同年三菱に合併)・日本昼夜(同年安田に合併)・昭和(1944
年安田に合併)で、いずれも五大銀行に合併された。』
これはマニア歓喜の涙。
『、地方銀行はこれら以外の銀行とされた。1945 年の敗戦後、五大銀行・三和・東海・神戸・野村に他業態の系譜をもつ
4 行(協和・東京・勧銀・拓銀)7が順次加えられ、1953 年には 13 大銀行を都市銀行とする概念が定まった。』
ということでやっと都銀13行が出てきました。ここまで来ると年寄りが空で言える世界。ちなみに脚注7は、
『7 協和は旧貯蓄銀行、東京・日本勧業・北海道拓殖は旧特殊銀行。』
ですな。
『しかし、全国地方銀行協会[1961]および日本銀行『本邦経済統計』(のちの『経済統計年報』『日本銀行統計』)は、この歴史的経緯を踏まえつつ、1944
年以前の都市銀行を次のように定義している。』
ほう。
『まず、『本邦経済統計』は、地方銀行は都市銀行を除く普通銀行8と定義しつつ、』
脚注8は
『8 普通銀行は、銀行法による銀行(信託銀行・長期信用銀行を除く)。』
です。
『都市銀行については、1945〜53年には、上述の都市大普通銀行と同じ銀行を8〜13大銀行と定義している。』
ふむ。
『しかし、1933〜44 年には五大銀行に三和を含めた通称「六大銀行」、1930〜32年には五大銀行と定義している。そして、全国地方銀行協会[1961]は、『本邦経済統計』の
1930〜32年の定義を用いて、1929年から 1893年までの地方銀行を遡及している。同様に、後藤[1970]も『本邦経済統計』と同じ定義で
1929年から 1896 年までの都市銀行・地方銀行を遡及している。つまり、全国地方銀行協会[1961]、後藤[1970]および『本邦経済統計』は、1944
年以前について、東海・神戸など都市所在の非五大(非六大)銀行を地方銀行に含めている。(詳細は後述
4.1 節)。』
三和銀行(三十四+山口+鴻池)の扱いが微妙ですな。
『これに対し、石井[1970]は、全国地方銀行協会[1961]の統計が五大銀行を都市銀行とみなしたことは本来実証すべき命題を実証していないと批判する。』
この辺から更にマニアな話になる。
『具体的には、石井[1970]は、1884〜1930年の全国 179行について、ほぼ 5年毎に預金額でみて銀行規模が十分大きいかを都市銀行の基本的な基準(併せて営業基盤の広狭、本店所在地を追加的な基準)と定義する。』
ほう。
『次に、基準に照らし、1895 年に東京、1905 年に大阪、1910 年に名古屋所在の銀行がそれぞれ他行より規模を拡大させ、その他の中小銀行から分かれ都市銀行として進化(分化)したと論じる。』
へー。
『そして、各年・各行の比較から、1895 年に 9 行、1905 年に 17 行、1910 年に
22 行がそれぞれ都市銀行の規模に達していた、逆に草創期の三菱・住友は小規模で
1884・1890 年の都市銀行は第一・三井 2 行のみだった、と主張する。』
第一と三井(一時期合併して帝国銀行)が何故戦後中位行になっとるのか、とかいう話は本稿の話とは違いますが歴史的には興味のある話。
『この点を確認するため、石井[1970]別表のデータを用い、図 2 で石井が都市銀行とした主な銀行(在東京・大阪・名古屋の銀行)と五大銀行の規模を比較する。』
『確かに、安田銀行(図 2、太実線枠の領域)の 1890〜1919 年をみると、1890〜1904
年は第三・第百・十五・鴻池銀行、1915〜19 年は浪速・三十四・山口銀行などを度々下回る。これらを都市銀行に含めなければ、大規模な銀行を都市銀行と考える概念と矛盾する。』
『他方、長期時系列のどの年からどの銀行を都市銀行に含めるかを客観的に定めるのは容易でない。石井[1970]288
頁も「預金額いくら以上をもって都市銀行とみなすかについては客観的な基準は求めにくい」としている。こうしたもとで、規模の大きないくつかの銀行を大銀行とみなす定義は海外文献でも用いられており9、著しく主観的ともいえない。』
脚注9ですがこういのもあるんですね。この翻訳版ってどこかにあるかしら。
『9 世界の銀行史を概観した Green[1989]翻訳版 143〜177 頁で、主要国(英、独、米、仏)の大銀行の記述をみると、上位何行を大銀行とするかは国・時期ごとに区々である。グリーンは、1900
年頃の英国は上位 10 行・ドイツは 8 行としつつ、最終的に 1930 年頃までに成立した
3〜6 行(英はバークレイズ等 5 行、独はドイツ銀行等 3 行、米はチェイスナショナル等
6 行、仏はクレディリヨネ等 3 行)を大銀行としている。』
とまあクッソマニアックな話になっておりますが、ただの引用大会(しかも完全な趣味の引用)になっておりまして甚だ恐縮ですがこの項の最後になります(なおこの次の4章がまた歴史マニア?が喜ぶ説明です)。
『そこで、本稿では、石井[1970]276 頁が、三菱銀行に同じ経営の第百十九国立銀行(1885
年より三菱が経営、1898 年に三菱銀行へ統合)を含めて規模を評価している点に着目する。』
『三菱と同様、第三銀行は、1877 年の設立時より安田善次郎氏が経営(のち 1923
年に安田銀行へ統合)し、安田銀行と経営者が同じだった。この点に鑑み、安田銀行に第三銀行を含めた規模を
1884〜1930 年でみると(図 2、太実線枠・太破線枠の領域)、安田銀行の規模は「都市所在の非五大銀行」(第百・鴻池など)を安定して上回る。』
安田とか言われてピンと来るのは年寄りの証拠(^^)。
『他に、住友銀行や三菱銀行(含む第百十九)をみると、草創期と一時の例外(1904
年の鴻池銀行と 1925 年の十五銀行が三菱を上回る)を除き、都市所在の非五大銀行を安定して上回る。』
『安田銀行に第三銀行、三菱銀行に第百十九国立銀行をそれぞれ含めたのち、都市所在銀行を五大銀行と非五大銀行に区別することは、大規模な銀行を都市銀行とする概念と整合的である。』
ほうほう。
『五大銀行に属する個別銀行を調整することで、既存統計に沿いつつ石井[1970]の批判にある程度答えられると考えられる10。上記の考えから、本稿では、全国地方銀行協会[1961]、後藤[1970]および『本邦経済統計』と同様に、1944
年以前の都市銀行は五大(六大)銀行11、地方銀行は都市銀行以外の普通銀行、とする定義を用いる。ただし、五大銀行に含まれる安田・三菱の計数は調整する。詳細は
4 節で説明する。』
脚注10と11ね。
『10 なお、粕谷[2020]166〜179 頁は、預金、店舗展開の広狭、社債引受、外国為替取扱の指標にクラスター分析を行い、戦前期の有力銀行の抽出を試みている。他方、本稿では、店舗展開などの基準は長期時系列の遡及へ活用できなかった。今後の課題としたい。』
『11 三和は、3行合併で新設された 1933年から五大銀行並みの規模を維持し続けた。他方、前身の
3 行(三十四・山口・鴻池)は、経営が異なる別銀行で、1932 年以前の各 3 行は一時の例外を除き五大銀行の規模を下回った。1933
年以降の三和を都市銀行に含める(かつ 1932年以前の 3 行は含めない)ことは、大規模な銀行を都市銀行とする概念と矛盾しない。』
よく考えたら三和銀行もピンとこない若い衆がいるのかな。とか思いつつ超マニアな引用大会をしてしまいました。
・あとこっちもおもろかったのだが引用のし過ぎで時間と量がアレなので(新興国の外貨準備ネタ)
https://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/japanese/20-J-18.html
新興国における外貨準備の蓄積の費用・便益について
松本英彦
『本稿では、近年大きな関心を集めている新興国による外貨準備の蓄積に関する文献を展望する。』
政井審議委員辺りが一番食いつきそうなネタですね!!!!!
『初めに、外貨準備の蓄積が大きな関心を集めた理由として、2008年の世界金融危機の際に多くの国で外貨準備による介入が経済の安定化に貢献した事実と、アジアの新興国が従来適正とされた量をはるかに上回る量の外貨準備を蓄積している事実を紹介する。』
ほうほうほう。
『続いて、新興国が外貨準備の蓄積を進めた理由として指摘されている、将来の危機に対する予備的動機と、輸出主導の経済成長という動機について、主要な実証論文と理論モデルを紹介する。』
これはアジア通貨危機の影響(というかトラウマ)が大きかっただろうな、と思ったらその話は当然のように本文で論考されています。
『また、外貨準備の保有・蓄積に伴うコストについてもこれまでの研究を紹介する。最後に、外貨準備の適正な保有量を測る基準に関して、学界と国際通貨基金から提示されているいくつかの基準を紹介する。』
とは言え外準をフレキシブルに動かすとかいうのは中々難しい話ですから、あまりその経済状況に応じて適切な規模とやらが盛大に可変になってしまうような推計をされても、それは実践上意味が乏しくなると思いますので(なお外貨準備をフレキシブルに動かすどころが中銀が為替投機をして大儲けして首相もニッコリとかしてたら調子に乗って最後はEMS危機というかポンドの暴落ですっ飛ばしたマレーシア中銀(なのでニッコリしてたのはマハティールな)というのがありました)、まあ実務との整合性まで考えると難しいと思いますよね適正量の推計っての。
ということで本文はこちら。
https://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/20-J-18.pdf
新興国における外貨準備の蓄積の費用・便益について
これもオモロイなと思って読んだのと、まあこっちの方が普通に現世利益に通じるネタだと思いますけど、どうせ今晩はECBで来週はFOMCだ日銀だ(日銀は金曜日に結果が出るのでネタにするのは月曜以降になりますが)と来るので、暫くは現世利益ど真ん中ネタが出来ると思うからまあ興味のある方は読んでくんなまし(ざっと読んだだけですが面白そうな感じはしました)という所で。
#本日は引用大会(しかもマニア向け過ぎてアレ)で誠に恐縮至極
2020/12/09
お題「景気ウォッチャーは既に第3波>第2波までは見てるんでしょうね/PD懇関連は議事要旨がやたら充実しているのでした」
おんどれが迷惑かけたと言って謝罪する相手は国民じゃこのクソボケ。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020120801105&g=pol
西川内閣参与が辞任 「自民党や政府に迷惑掛ける」
2020年12月08日19時52分
・・・・などと思いながら記事を拝読したら前農相の方の記事へのリンクがあったので華麗に踏んでみたらこんなのがあったのか気が付かなんだ。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020120500475&g=soc
業者幹部「お礼してある」 養鶏の国際基準案で依頼―吉川元農水相疑惑・東京地検
2020年12月06日07時07分
『前代表が現金を渡す際、協議中だった鶏の国際飼育基準案が日本の業者に不利にならないよう依頼し、その後「お礼をしてあるので厳しい話にはならない」と周囲に語っていたことが5日、関係者への取材で分かった。』(上記URL先より)
えーっと、それは普通に受託贈収賄ど真ん中発言で間抜けすぎまずが、貰った方は「そのような認識は無かった」で押し通すしかなさそうですけどさてどうなる。
〇景気ウォッチャーェ・・・・・・・・
はーい。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2020/1208watcher/bassui.html
令和2年11月調査結果(抜粋):景気ウォッチャー調査
『今月の動き(11月)』である。
『11月の現状判断DI(季節調整値)は、前月差8.9ポイント低下の45.6となった。』
ということで(図表見ればわかりますが図表形式でHTMLに乗っかっているので、しれっと後でURL載せますがPDFの方から貼っておりまする)6月からの推移が、
38.8→41.1→49.3→54.5→45.6
となっていて、物凄い勢いで元の木阿弥感が出ておりますが、何せこの調査は11月とあるのは11/25〜月末となっておりまして、まあこの時点で既に我慢の3連休だの勝負の3週間だのとなっていましたが、先週から今週にかけてはコロナ的には一段悪化という感じで実際はどうなのかね、とは思います。一応これ集計上の定義としては「3か月前と比較して」と言う事になっていますが、こういうご時世だと「3か月前」といわれても多分イメージは直近と比較しているようには思えますな。
『家計動向関連DIは、飲食関連等が低下したことから低下した。企業動向関連DIは、製造業等が低下したことから低下した。雇用関連DIについては、低下した。』
シャーナイ。
『11月の先行き判断DI(季節調整値)は、前月差12.6ポイント低下の36.5となった。』
こっちの方がえげつない。6月からの先行き判断DI(こちらは集計上の定義としては「2、3か月後の見通し」ですがまあそこまで細かく切って考えないでしょうね答える方としては)の推移なんですけど、
44.0→36.0→42.4→48.3→49.1→36.5
7月は第2波ちゃん到来してた中で、除く東京でGoToトラベルヒャッハーとかが始まったところだった(しかし今にして思えば南関東1都3県って通勤通学で普通に生活圏内にある(神奈川の県西とか千葉の安房あたりは別かも知れんが)のに何で東京だけ除外になったんだんでちゅかねえ)次第ですので、まあゆうてみればピークアウトの所って感じでもあったので、本当に本当の(ノ∀`)アチャーってのはもうちょっと水準が低いとかになるんかいな、とは思いましたが、いずれにせよあっという間に7月の第2波ピーク時点での先行き見通しまで落っこちてしまいましたな。これは第3波の方が深刻になるというのを早速見ているからこその急落なんでしょうね、ナムナムナム。
#人出に関しては7月よりも今の方が多いとは思うけど移動はしても買い物しなけりゃね
『家計動向関連DI、企業動向関連DI、雇用関連DIが低下した。』
そらそうよ。
『なお、原数値でみると、現状判断DIは前月差7.5ポイント低下の46.1となり、先行き判断DIは前月差12.3ポイント低下の36.1となった。』
『今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさが残る中で、持ち直しに弱さがみられる。先行きについては、感染症の動向に対する懸念が強まっている。」とまとめられる。』
11月末時点だとどう見ても第3波です本当にありがとうございましたという風情になっている筈ではあるのですが、なんかこの「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさが残る中」ってそらまあ定義上はそういう話になるんでしょうし、おおごとになりだしたのゆうて最後の10日位からなので、「コロナ感染症の再拡大の影響」と書かないということなのかなとは思いますが、そうぶっこんでこない辺りに大本営発表の香りを感じ取るべきなのか、はたまた未だにクソ粘りしてGoToキャンペーンをぶっこみ続け(予備費をこのタイミングで投入するとか、競馬なり競輪なりで負け続けた挙句に最終レースで有り金勝負とかいうようなヤケクソ感しか漂いませんけれども)る官邸様を慮って、あるいはうっかり「感染症の再拡大」とか書いて話題にされるのを回避するという安全運転(誰に対しての安全運転だよ・・・・・)のせいなのか知らんですけど、この結果の総括に「感染症再拡大」と書かないのが物凄い勢いで味わいがあるなあと(個人の感想です)。
各地域のコメントなども含めた総括表はこちらです。これアタクシのPC環境(ブラウザーはEdge)で開けゴマとやると、創角ポップだか何だか知らんけど、物凄いファンシーなフォントで開いてしまうのは毎度なんでじゃろうかのうと思ってしまいます。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2020/1208watcher/watcher1.pdf
景気ウォッチャー調査
Economy Watchers Survey
令和2年 11 月調査結果
『III.景気判断理由の概要』の所からちょっとだけ。
『全国』のコメントですが、
現状では、
『〇=観光客を中心に週末の人出が多い。11 月の3連休は特に良く、観光客が多く今年最高の人出となり、タクシーも大変忙しくなった。ウィークデーは少しずつ回復傾向にある(北陸=タクシー運転手)。』
ということで我慢の3連休とは何だったのかという話はありますが(ってかそんなの2日前に言われたって困りますがな、とは思いますけど)、一方で
『▲=11 月 10 日以降の新型コロナウイルス感染者増加に伴い、来客数が激減している。防寒アウターなどの必要性が高いアイテムのニーズはあるが、日々の購買人数は減っている(東北=衣料品専門店)。
▲=新型コロナウイルス感染拡大の第3波により、客足も少ない。忘年会も早くから中止が進んでいる(甲信越=高級レストラン)。』
とまあそらそうよというのがありまして(これ家計部門です)、先行きの方では
『▲=当地域でも今まで以上に新型コロナウイルスの感染者数が増加しているため、当社の重要な客である、高齢者の来店がますます減ることが予想される(近畿=百貨店)。』
『×=新型コロナウイルスの感染拡大により、キャンセルが相次いでいる。忘年会、新年会の書き入れ時に相当なダメージとなっており、先行きが全くみえず不安である(四国=一般レストラン)。
×=新型コロナウイルス流行の第3波により、宿泊のキャンセルが増えてきた。飲食においては、忘年会、新年会の予約がほぼない(沖縄=観光型ホテル)。』
とか悲しい話がありますな。企業動向の方でも輸送業者とかは宅配増えるかもねというのはあっても、
『〇=新型コロナウイルスの影響で、今後も巣籠り需要が増加するため、日用品や食品関係の荷動きが活発になる(中国=輸送業)。』
『▲=年末年始の一番出荷が多い時期に、ますます悪化する新型コロナウイルスの影響で、他県との人の移動が制限される上、業務店、飲食店からの受注も大幅に減少すると考えられる(甲信越=食料品製造業)。』
とかなっていまして、まあそうでしょうなという感じ。細かく見て行くとキリがないのですけど、地域別の所で北海道ちゃんを見るとこんなのがありまして、
『×:新型コロナウイルス感染者数が拡大しているなか、宿泊予約、宴会予約、レストラン予約の取消しが相次いでいる。札幌市がGo
To Travelキャンペーンの対象から外れたことで利用客の減少が一層加速している傾向にある(観光型ホテル)。』
ということですが、GoToトラベルに対する期待が物凄い勢いで記載されていた時期(確か7月)があって、こりゃすげええええええとか思ってネタにした覚えがありますけれども、何ちゅうかこの反動の凄さというのもありまして、この手の施策って確かに大々的にやりたくなるのも分かるのですけれども、あんまり大々的にぶっこんでしまうと反動がでかくなりすぎということでありまして、何と申しますかもうちょっとこう程々というのを考えて、とは思うのですが、昨日出てきた「経済対策」もやたら額だけは盛大に張り込んでおりまして、たぶん全然反省せずに負けたら倍プッシュを続けるんだろうなあとガクブルしております。
〇PD懇とかの議事要旨を改めて拝読
次回のPD懇は来週じゃなくて金曜ですねすいません。でまあ昨日経済対策が出たんで補正予算に絡むどうのこうのという話になるんですかね、よー知らんけど。
さて議事要旨でもない超要約版をネタにして終わったつもりにするのもアカンと思うのでこれを確認。
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/201126.html
国債市場特別参加者会合(第91回)議事要旨
・財務省の説明部分が充実しとる(超要約版対比)
こんなに長い説明をしているのか(確かにまあ配布資料は大作でしたが)なるほどと思いながら。
『〇令和3年度国債発行計画等の策定に向けた現状と課題について、理財局から以下のように説明を行った。』って所を後日の為に貼り付けておくの巻。
『・令和3年度国債発行計画等の策定に向けた現状と課題について、国の債務管理の在り方に関する懇談会の資料等を用いて説明し、11月4日に開催された国の債務管理の在り方に関する懇談会において委員からいただいた意見を紹介する。』
なるほど。
『(新型コロナ対応後の国債発行を取り巻く現状と課題)』ということですが、
『・1次・2次補正で約100兆円の増額をしたことで、発行総額は約253兆円と過去最大規模となっている。その調達に当たっては、短期債を中心に増額を行ったところ。留意すべきこととしては、短期債は来年度に償還が到来するため、借り換える必要がある。』
そらそうよ。
えーっとですな、来年度の当初発行計画が増発かどうかとか、3次補正で増発があるかどうかとか、そういう話で一応ベンダーとかに何とかストコメントみたいなのがヘッドラインで飛び交う今日この頃ではあるのですが、そもそも論として補正での増発分を盛大に1年短国に依存してしまっておりまして、でもって短国って何だかんだ言いましてもマイナス金利残高の存在と日銀ちゃんの短国買入ちゃんの存在によって市場インパクトを目先は吸収しちゃっておりますのでありまして、この短国になっちゃってる部分をどうするのか、という問題がデカいので、3次補正分の増発がどうなるとかいうのをああだこうだ論議するのって、そこから見たら屁(でもないけどさ)みたいな話のような気がするんですよね。
まあその部分が真の意味で市場トークになっていればもうちょっと超長期の金利がブレブレしても良いと思うのですが、先生!大変なの!!うちの円債市場ちゃんが息をしていないの!!!!(AA割愛)というのが延々と続く(何気にこの四半期って主要年限のカレントどころも先物も殆ど動いていない(20年だけ少し強くなった)という状況でお蔭でネタが無くて困る)という市場ちゃんなので、たぶんそこで相場は動かん(そら増発分全部20年にするとか無茶やれば別だけど)と思うのよね。
あと1年短国に振っているのって2次補正って予備費10兆をはじめ、使い残しそうな種類の物件も転がっておりましたので、何も2次補正を全部中長期に振ることもあるめえ、というのもあったと思いますが、今後の予算がどういう感じになっていくか次第で(前広にアナウンスみたいなものはあるのでしょうけど)盛大に拡張してしまった短国の処理も決まって来るとは思います(個人の妄想です)のですが、結局のところ別に財政赤字ちゃんが縮小する訳もないので、いずれは長い所に振る話になると思うの。
『・イールドカーブは、コロナ前と比べると若干、ベアスティープ化している形。』
この辺は在り方懇の資料に沿った展開ですな。
・内閣府の中長期試算に基づいて国債発行額の将来推計を行っているが、令和3年度以降も令和2年度の2次補正後発行計画の年限構成割合を維持したものとして試算すると、来年度以降も、それなりの規模で短期債の発行が続いていくこととなり、その結果、今後も借換債の金額ひいては全体の発行総額が同程度の水準で続いていくという見込みになっている。』
>令和3年度以降も令和2年度の2次補正後発行計画の年限構成割合を維持したものとして試算すると
いやいやいやいやいや、さすがにそれは無いでしょwww
『・したがって、今後、様々な経済状況などを見ながらではあるが、コロナが落ち着いて、発行総額を減少させていけるようなフェーズになった場合においては、今回、増額した短期債の減額を通じて、借換債発行額の抑制に努めながら、市場のニーズを踏まえた発行年限割合等を考えていく必要があると考えている。』
何かこんなに市場に配慮だか何だか知らんけど、マイルドな言い方せんでもと思うのですけど、もしかして増発で金利上がるのを嫌がっているので、こういうマイルドな言い方になったのかな???と思わんでも無いわけです。まあ何でしょうかね、アタクシ的には超長期増発で金利ドーンと行ってみようや、と言いたくなるりますし(自分勝手な言い分ですので念のため申し添えます)、こんなサービスステージのうちに20年でも30年でも40年でもコスト確定させて借り換えの心配も盛大に先に送ればエエヤンとか思うのですけれども、そのコストも払いたくないのか、どうせ日銀の政策が変わらんうちはリファイに困ることもないだろうから今超長いのを出す必要が無いと思っているのか、よー分からんですけれども、この部分を見ると増発ネタで金利が上がって欲しくないんだろうなあというのは伝わる。
『・コスト・アット・リスク分析を行って、コロナ前とコロナ後の発行計画でコストとリスクにどのような変化があったかを見たところ、今回、100兆円規模の大増額をしたことにより、結果的にコストとリスクがともに増加するという結果になっている。』
当たり前だw
『ただ、短期債を中心に増額したことで、コストの平均値は思ったほど増えていない一方、借換えに伴う今後の金利変動リスクの方は大きく増えている、という格好になっている。』
これ大本営だからこうしか言わないですけれども、短期債依存体質の最大のリスクは金利変動よりもリファイナンスであって、リファイが効かなくなって飛んでもない高金利でリファイする破目になって利払い費急増でアジャパーという意味では「金利変動リスク」というのも厳密には間違ってはいないけど、「金利変動」が何によって起きるかって観点からしたらやっぱり最大のリスクは財政懸念からのリファイだと思うんですけど、たぶんモデルにぶっこんで計算とかするのに馴染まないですからねえ・・・・・・・・・
『・基本的にはコストとリスクはトレードオフの関係にあるが、今回は両方とも増えている。これは、発行総額自体が大きく増えたことによるものであり、今後、増大したコストとリスクを両方とも縮小していくという観点からは、まずは国債発行総額全体を抑制していくことが大前提になる。その中で、市場ニーズを踏まえた発行年限を考えていくことが重要。』
まあ財務省がいくら抑制と言っても火事場泥棒とばかりに国土強靭化とかコロナちゃうやろというのをぶっこんで来る政府与党にはかないませんな、ちーん。
『・前倒債の活用については、これまでリーマンショックや東日本大震災等、様々なショックがあったときには、短期的に国債を増額しなければならないことがあるわけだが、発行総額が急激に変化する状況においても、前倒債を活用することによって、カレンダーベース市中発行総額は急激に変化しないよう努めてきたところ。今後もこうした前倒債の機能を踏まえて国債発行を考えていく必要があると考えている。』
前倒し云々でどうにかなるレベルを越えそうな悪寒。
『・日本銀行の国債買入比率を見ると、イールドカーブ・コントロールの導入後、基本的に国債買入比率は低下傾向にあったが、足元では、特にイールドカーブ・コントロールの対象である10年以下の部分は、短期的に買入比率が増加しているのが見て取れる。他方、10年超の部分はそれほど大きな変化はなく、トレンドが維持されている。こうした日本銀行による金融政策、国債買入の考え方・スタンスが国債市場や金利に与える影響にも留意する必要がある。』
何を留意したいのかが良く分からんが、恐らく何を留意したいのかはお伝えしたくないんでしょうね!!!!!!
『・銀行は、近年、国債の保有比率を減らしてきたが、足元では下げ止まってきているように見え、直近では少し反転し増加している。これは、担保需要の増加が寄与していると考えられる。』
コロナオペェ・・・・・・・・・・
『・生命保険会社については、2025年のICS(国際資本基準)導入に向けて資産と負債のデュレーション・ギャップを埋める観点から、超長期債に対するニーズが一定程度存在すると考えられる。その中で、2025年に向けた買入ペースがどうなっていくのか、あるいは、2025年以前と以後で、どのようなニーズの変化が出てくるのかといった点も注視していく必要があると考えている。』
この辺りはあんまり昔から変わっていない。
『・新型コロナ発生後、政府の緊急事態宣言に伴い、出勤制限やテレワーク等が行われたことや、投資家のリスク回避的な急激な動きが見られたことがあり、国債市場でも不確実な状況が見て取れた。今後も、今回のような異例な事態が起きることはあり得るということを前提にして、そうした状況下においても着実に国債の発行・消化ができるよう、それぞれの立場でBCP体制の強化を意識していく必要があるのではないかと考えている。』
これは先般の超要約版の時にも債務の在り方懇の座長会見の引用でネタにしました話に繋がりますな。
ついでに『(国の債務管理の在り方に関する懇談会[11月4日]における主な意見)』も。まあこれ自体はそんなにPD懇ネタでも無いとは思うけど。
『・発行年限構成について、今後は、短期債に発行を寄せ過ぎている状況を平準化していくフェーズであるが、超長期ゾーンの発行に関しては、その需要は今後も拡大していくものの金利リスク量という点で十分な配慮が必要といった意見や、今後新規国債の発行が減少する中においては、今回大量発行した短期債の償還を進め、平均償還年限の長期化を進めることになると思われるといった意見をいただいた。』
普通はそう考えるでしょうな、とは思う。
『・財政規律について、国の競争力としての経常収支と財政規律という意識を官民ともに持つことが重要であり、今後の追加的な対応余地を持ち得るために、財政規律も含めたメッセージを市場からも発出していくことが重要であるといった意見や、国債発行に当たって市場のニーズも見ながら、発行に係るコストとリスクのバランスを取っていくことが望ましいが、同時に、財政規律に対する姿勢について国内外から誤解を招かないよう、丁寧なコミュニケーションを意識するべきといった意見をいただいた。』
まあそうは言いましても政府与党以下同文。
『・その他、新型コロナに伴う緊急事態宣言の下で市場の不確実性が高まったことも受け、官民共にBCP体制の強化に取り組む必要があるというご意見をいただいた。』
『・今後、第3次補正予算が編成され、その規模次第では更なる市中増額の必要が生じる可能性があること、また、令和3年度では今年度増額した短期債の償還・借換が到来する分、借換債発行額が増大することも踏まえ、皆様と丁寧に対話を行いながら、国債発行計画の策定を行ってまいりたい。』
ということでございますが、以下参加者(PDの皆さん)の意見のコーナーがあってこれがまた飛んでもなくクッソ長いのですが、気が付けば時間が無いという誠に申し訳ない事態ですが、今日は引用大会と言いつつ引用する時になるとまーたついうっかり読みだしてしまうというパターン(部屋の整理をしている筈が気が付いたら昔の本やら昔の新聞(押し入れの下敷き的なアレ)を読みだすのと同じですという人間の進歩がないアタクシです)に陥ってしまいましたですな、反省反省。
2020/12/08
お題「鈴木審議委員金懇会見ですが一々長い説明なので引用大会に(汗)」
ソースが産経独自なだけに多少割り引く必要はあるんだが。
https://www.sankei.com/economy/news/201207/ecn2012070014-n1.html
〈独自〉国境離島旅行に5000円補助 政府検討 GoToとの併用も
2020.12.7 18:14
国境離島の振興自体は寧ろもっとやれと思うんだが奥尻島の新コロ感染がエライコッチャになっているこの時期に打ち出すというのは何ぼ何でも絶望的なセンスの無さを感じてしまいますな。何ちゅうかこの内閣、出す施策そのものの一つ一つはそこまで無茶苦茶ではない(=アベノマスクみたいなアホ成分は少ない)のですが、グラウンドデザインが出来ていないのでやってることが全体とすると支離滅裂なのと、状況判断がおかしい(致命的だが)ので出すタイミングを間違えて良い政策も馬鹿政策になってしまうのかな、などと中間評価として思うのでした。
〇鈴木審議委員記者会見ですが何か色々と微妙
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk201204a.pdf
こちらも8ページ中最初の質疑応答がほぼ2ページ分ありまして、そこから先をネタに致しますです。あと質問に対する答えが基本的にクッソ長いんですよね、雨宮さんのもそうでしたが、雨宮さんの場合は昨日も申し上げましたが基本的にサービス精神が旺盛(福井の俊ちゃんとはまた別路線のサービス精神かな、と思いまする)なのでベシャリーヌとなってしまうのはまあ分かるのですが、鈴木さんまでこの長さってのはオモロかったです。
もしかして実はアタクシそんなにリモート会議みたいなのの経験がそこまで多くないので良く分からんのですが、対面じゃないと相手の反応とかが対面より見にくくなるから、説明せねば!となって話が長くなる傾向が、とかそんな感じなんでしょうかねえ、よー知らんけど。
・やはり特別当座預金制度の質問が金融機関再編話と共に登場
『(問) 地銀再編についてお伺いします。先日、日銀として経営統合などを決めた地銀に対して金利を上乗せするという制度を発表されました。本日、福島県内の地銀と信金のトップの方が出席されていますが、これについて何かご意見などがあったのかどうか教えてください。』
というよりも挨拶要旨で何で今回の特別付利制度の話が無かったのか、というのを聞いて欲しかったのですが、次の回答にありますように、冒頭の質疑応答(というよりも委員による今回の金懇報告コーナー)で、懇談の中で特別付利制度に関するコメントをもらった云々という話をして、一応専守防衛という感じで予防線は張ってあります。
『(答) 冒頭の懇談会の内容でも申し上げましたが、「地域金融強化のための特別当座預金制度」について、将来にわたって地域経済をしっかり支えるための日本銀行から地域金融機関への応援と受け止めているといった前向きな、ポジティブなご評価を頂きました。』
ええまあここ普通にしらっと読み流すと「はいはい茶番茶番」とか冷笑系で読んでしまいますけれども、ここで三回転半捻り月面宙返りをしながら読みますと・・・・・・・・
「応援と受け止めている」って金融機関の方々が仰せな訳ですが、政策としての中身に云々じゃない時点で何ちゅうかこの答えからは「今日はええ話を聞かせてもらいましたな〜。ほなぶぶ漬けでもおあがりやす〜(ニッコリ)。」みたいなオーラを感じてしまうのですけれども、まあよく考えてみれば鈴木さんも金融機関出身ですからして、そのニュアンスを受け止めたうえで、あえて「前向きな、ポジティブなご評価」と言っているのではなかろうか、などと勝手に捻くれて読むと味わいが出てくる、と無理矢理味わいを絞り出すの巻。
『更に、地域金融強化の観点とは異なりますが、4 名くらいの方々から中小企業等に対しての資金繰り支援をサポートするための新型コロナ対応特別オペについて、必要があれば延長もしてほしいといった声も頂きました。』
なるほどそうですか。まあ別にこれ単にマクロ加算2倍2倍と付利がオイチイだけの話ではあるんですがね(それが何より証拠には単にマクロ加算2倍2倍だった時には大して残高が無かったので付利をセットにしたら爆発的に残高が伸びたんですからにゃあ)。
なお、質問者が更にこういう質問をしたのですが、
『(問) ポジティブな評価を受けたということですが、それは地銀、信金、それぞれ両方とも同じような受け止めということでしょうか。』
『(答) そのとおりです。』
ここで支店長からの助け舟登場。
『(植田支店長) 若干、補足させて頂きますと、ご質問の冒頭で地域金融機関の再編に関連してとありましたが、今、鈴木から申し上げたのは、今回の「地域金融強化のための特別当座預金制度」について、地域金融機関への応援と受け止めているとの前向きな声を頂いたということです。再編そのものについてのご発言はありませんでした。』
とまあそういう訳で、支店長登場したのは、この質疑応答を「金融再編を日銀が促したことに対して県内の金融機関トップがポジティブに受け止めました」って記事にされたら色々と不具合が生じる惧れがあるから慌てて(かどうか知らんが)高速船で助け舟が登場した訳でして、植田支店長のこのフォローですが、まあそらそうだと言う話ではあるものの、先週の金懇シリーズで昨日もネタにしましたように雨宮さんのガードがやたら固い(ただし雨宮さんなので謎の大演説みたいなのをする辺りが何も答えんわとなると通り一遍の紋切り回答しか行わない黒田総裁との違いですね)というのも含めて勝手に妄想をすると、やはりここに来てあまり新聞記事ネタになるような悪目立ちをしない方が得策、と雨宮さんが判断(黒ちゃんはそんな気は使わないでしょうし若田部さんはそもそもそういうのが理解できないでしょうし、なので雨宮さんと特定)してかなりその辺を注意するような風潮になっているのかも知れませんね、とか何とか思いました。
・ETF買入に関する質問の回答に味わいがあったり無かったり
次がETFの質問であるがこの質疑応答は。
『(問) ETFの購入についてお伺いしたいのですが、午前中のお話の中で、持続力・柔軟性を高める必要があるというようなお話があったかと思います。既にETFの購入はかなり柔軟に行われていると思いますが、これを更に柔軟にする必要性はあるのでしょうか。また、それはどのような方法を想定されていますか。』
割とこの質問優秀だなと思ったのは「柔軟に」という鈴木さんの説明をそのままバズワード化して使っていて、増やすだの減らすだのというような直接的かつ刺激的な文言を回避してることですかね。まあこれが黒ちゃん相手だったら逆に直接的に聞きに行かないと紋切り回答で終わってしまうのですが、鈴木さんだけに婉曲表現を使って質問をした方が、却って踏み込んだ答えが出てくるかと思ったりしたんですかね、まあそこまで考えているのか考えてないのかは分からんけど。
でもってお答え。
『(答) ETFの買入れは、株式市場のリスク・プレミアムに働きかけることを通じて、金融市場の不安定な動きなどが、企業や家計のコンフィデンスの悪化につながることを防止することによって、経済・物価にプラスの影響を及ぼしていくことを目的としています。』
それは金懇挨拶で聞いた。
『今回のコロナ禍においても感染症の影響で、2 月下旬以降、いったん市場は大きく不安定化したわけですが、日本銀行によるETFの買入れは、市場の不安定な動きを緩和する一定の効果があったと認識しています。』
それも金懇挨拶で聞いたが、2月の下旬からどんだけ株価が上がってると思ってるんだ〜などと血圧を上げる前に次の文章を読む。
『ETFの買入れを適切に行うために、様々な工夫は今までも行ってきました。例えば、個別銘柄の株価に偏った影響ができるだけ生じないように、幅広い銘柄から構成されるTOPIXに連動するETFの買入れウエイトを高めてきました。あるいは、コーポレートガバナンスの面でも、スチュワードシップコードの受入れを表明した投資信託委託会社により適切に議決権が行使される扱いとなっています。』
前置きが長い。
『また、ETFの買入れの持続性を高める観点から、市場の状況に応じた柔軟な買入れを行っているというところです。こうしたもとで、ETFの買入れは、これまで大きな役割を果たしてきており、引き続き必要な施策であると考えています。』
というこの部分も金懇挨拶にありましたが、ここでアタクシは挨拶の方でガッカリしたのは先週申しあげた悪態の通りでございます。
『そのうえで、本日の挨拶でも述べたところでありますが、感染症の影響もあって、金融緩和の更なる長期化が展望される中、資産価格のリスク・プレミアムへの適切な働きかけが真に必要なタイミングでの買入れが困難になることがないよう、政策の持続力・柔軟性を高める工夫の余地を引き続き探っていく必要があると考えています。』
ここまでが金懇挨拶というのが何ともかんともですけれども。
『申し上げるまでもなく、国債等には期日がありますが、ETFには期日がありませんので、そうしたことを考えたうえで、持続力・柔軟性ということについて様々な工夫が必要であろうと考えています。』
っというのが最後にありまして、この最後の部分だけ金懇挨拶のテキストに無かった部分でございますけれども、物凄く奥歯にものの挟まったような言い方をしているんですけれども、要は「買ったETFの残高は減らないんだから調子に乗って買いすぎると下がって本当に買わないといけなくなった時に買えなくなるだろ」という事を言いたかったんでしょうな、とは思ったのでさすがに鈴木さん12兆円ペースで買い続けとかこの株価水準ではアホの所業である、という認識はあるようでホッとしました。
でまあこれが武闘派の審議委員だったら「株式市場のリスクプレミアムが過剰に拡大することを抑制するというETF買入の本来の在り方から考えれば、足もとの市場環境においては買入を抑制的に運用しても良いし、状況の変化で改めて買入を積極的に行うべき時の為にもその方が良い」位の話はするように思えますし、まあヒラ審議委員が何言ったからとしても一々市場ちゃんが反応しないのではなかろうか、とは思うものの、ここまでオブラートに包みまくってその上にパイ生地を乗せたかのような言い方をするのは、やっぱり日銀目立たないように作戦の一翼を担っているのかも知れませんな、とは思ったので先週はかなりボロクソ言ったかも知れない(あれでもワイは抑制的な積りだが客観的評価は別でしょうからね)のですが、まあ苦渋の婉曲表現ってのもあるかな、とは少し鈴木さんに同情する所もあるかなと勝手に妄想しました。
・特別付利制度の再度の質問に謎の大演説ですが言い回しにナントカ問答(蒟蒻問答ではない)の香りが・・・・・・・
この会見、質疑応答数が少ないのですが、まあ一応聞くべきポイントは抑えているとは思うんですが、特別付利制度に関しては再編ネタになってしまうのって、そらまあメディアとしてはそっちの方がヘッドラインとしてインパクトがあるって事だからシャーナイとは思うのですが、これ本筋は経営体力強化の話で、そこで出てくるのが経費削減でOHRだの経費率だのという話ですから、「地域金融機関を応援しているかも知れんけど、地域経済の中でそれなりに大きな規模のある金融機関が一斉に経費削減の取り組みを強化したら地域経済にデフレーショナルに働かんか」という道筋から質問する記者はおらんのか、とは思います(想定問答は想像つくけどね)。
『(問)(前半割愛)もう一つは、地域金融機関向けの特別付利の制度についてですが、収益力向上に加えて、再編ということも条件に掲げています。改めて委員は、金融界ご出身のお立場から見て、地銀のやはり再編の必要性みたいなもの、数が多すぎるという声もありますが、再編を更に促していく必要性があるとお考えなのかどうかについてもお聞かせください。』
回答が無駄にクソ長いんですがまあ引用してみようではありませんか、前半(感染症拡大と新コロオペ延長に関する質疑部分)を割愛してこれですからね。
『(答)(前半割愛)それから、「地域金融強化のための特別当座預金制度」ですが、これまで他の審議委員や昨日も雨宮副総裁が話をしており、同じようなことを申し上げることになろうかと思いますが、地域金融機関が将来にわたって地域経済をしっかりと支えて、金融仲介機能を円滑に発揮していくための経営基盤の強化に資する観点から、金融システムの安定確保のための政策として、導入したものです。』
皆さんそうなのですが、物凄く概念的な話をこれだけ引っ張って説明しているという時点でまあ色々と微妙ではありますよね、ミクロの話なら兎も角として、基本的にマクロ政策をやる日銀がその金融政策をシンプルに説明できないというのは何ぞやとは思う。
『新型コロナウイルス感染症の拡大が続くもとで、わが国の金融機関は、企業や家計の資金繰りを積極的に支援し、経済を支えています。もっとも、やや長い目でみると、低金利環境の長期化に加えて、人口減少や成長期待の低下などの構造要因を背景にして、金融機関の国内預貸業務の収益性は低下を続けており、特に地域金融は、そうした影響を強く受けていると思います。今後、感染症の拡大が想定以上に長期化するなど収益力の低下が継続する場合には、金融仲介機能の円滑な発揮が妨げられる可能性もあります。』
『こうしたもとで、地域の企業や家計が活力を高めて、地域経済ひいてはわが国経済が持続的に発展していくうえでは、地域金融機関が、将来にわたって地域を支えていくための十分な資本と収益力を確保するとともに、地域が抱える課題を解決する付加価値の高い金融サービスを提供していくことが重要です。』
雨宮さんの説明とまるで同じ説明してやがるんですがさては想定問答集を棒(爆発音)。
『以上の認識を踏まえて、日本銀行は中央銀行の立場から、こうした地域金融機関の経営基盤強化に向けた取組みを後押しするため、一定の要件を満たした地域金融機関に対して当座預金への追加的な付利を行うという制度を、3
年間の時限措置として導入することが適当と判断しました。この制度が多くの金融機関に利用されて、地域における金融仲介機能の十分な発揮と金融システムの安定確保に資するものになることを期待しています。』
1ミリも踏み込んだ説明をしないでこれだけの話をできるのもさすが優秀な想定問(再度の爆発音)
『また、金融機関が多すぎるのではないかといったお話がありましたが、欧米の国と比べて、単純に多いということではないと思います。しかしながら、競争の激化とともに、過去
9 年、10 年という期間にわたって、貸出金利鞘は低下し、そして、いわゆる預貸率という数字もどんどん悪化していくような状況の中にあります。』
預貸率云々は政府が財政赤字をバンバン拡大してるからだと思います。
『これまでは、金利の低下による債券の評価益が益出しに使えることがあったり、経済が順調な中において与信費用の戻りがあったわけですが、そうしたことが非常に厳しくなり、そして与信費用も今後は悪化する可能性もあります。』
なるほど。ちなみにFSRを見ると上記の件に関連して割とチャーミングな試算があるのですが、下準備する暇があったらいずれその辺でも。
『そうした中で、本日の懇談会において金融機関の代表の方々もそうですし、私どもが定期的にコミュニケーションしている金融機関も、今回、企業あるいは個人の方々の資金繰り支援、企業の存続と雇用の維持のために非常に積極的にやっておられると思います。』
ほうほう。
『欧米は貸出に対しての積極度合いが日本と違って厳しいスタンスを取っているのですが、わが国はそうではありません。』
ちょwwwwそれ昨日引用した雨宮さんの会見と同じ話じゃんwwwwさてはおまいら想(爆発音)
『ただし、先ほどのような収益環境が今後も続くことが想定される中においては、更なる経営基盤の強化が不可欠ということで、中央銀行としても、プルーデンスの政策として背中を押すという形の施策をやっていると認識しています。』
ということで、結局大演説をぶっかましてはいるものの、じゃあ何であの仕組みなのとかそういうのはさっぱりワカランチ会長なのでした。問題意識は問題意識で良いんですけど、それがなぜ政策としてあの格好になったのか、という点を掘り下げて説明して頂きたいんですけどねえ。
・超長期の話は色々と謎な説明である
『(問) 午前の講演で、イールドカーブの超長期部分のスティープ化が緩和長期化と金融システムの安定の両立には望ましいと、こういうふうに指摘されておられます。現在のイールドカーブの水準について、今後更にスティープ化が必要とお考えでしょうか。また、スティープ化のために超長期国債の買入れについて、一段の減額の必要性とか、その金融調節上の対応について、どのようにお考えでしょうか。』
そらそう聞くわな。でもってその答えがまた長くて、この長い回答の連発で記者の皆様毒気を抜かれたのかどうか知りませんが会見はこの質疑でおしまいとなっています。
『(答) 午前中の資料の中でも申し上げていることの背景になりますが、感染症の影響で企業等の資金需要が高まる中で、日本銀行からの資金供給手段としては、新型コロナ対応支援特別オペがありますが、これは貸付期間が
6 か月と短期です。足もとの残高は 51 兆円程度かと思います。』
何の話を始めるのかと思えば・・・・・・・・・・
『これに加えて、感染症拡大以前から行っている貸出増加支援オペの残高も増加しており、足もとでは約53
兆円程度かと思います。』
はい。
『こちらは貸付期間が 4 年で長期でありますが、運用サイドでは一般的に長期固定金利での貸出ニーズは必ずしも高くないことから、このオペを利用した金融機関では、いわゆる「Asset
Liability Management」上、金利のショートポジションが構築されることになります。』
はい??
『そうしたポジションを活用することで、金融機関は利回りが高い超長期国債をより多く購入できる可能性があるということだと思います。』
何ちゅう所から攻めてくるのやら。
『このために、超長期の金利が徐々に上昇していくことは、金融機関の運用収益の改善につながり、金融システムの安定維持に有効であり得るということです。』
ちょっと待って意味わかんない、と思ったら更に説明がある。
『もう少し説明すると、貸付期間 6 か月の新型コロナ対応特別オペ残高が 51
兆円、これは現在価値の概念を捨てると、1 年物換算で半分の 25 兆円程度ということになるかと思います。一方で、貸出増加支援オペの
4 年の 53 兆円は 1 年物換算ですと 212 兆円となりますので、こちらは貸出がごく短期であった場合に、単純に
20 で割ると 10 兆円の 20 年債が購入できるということかと思います。』
お、おぅ・・・・・・・・・・・
『従って、預金金融機関はあまり長い物を購入するということはないのですが、本行のイールドカーブ・コントロールのもとで
10 年までは利回りがないので、そうした長いところを買う余地があるということだろうと思います。』
ALMとか言いながらデュレーションマッチングの話をしているのか何が何だか良く分からん。何となく言いたいことは分かるのだが、そうなのか???という所でして頭の中に???が飛び交う。
『本行のイールドカーブ・コントロールは、申し上げるまでもなく、当座預金残高の政策金利残高に−0.1%のマイナス金利を適用し、そして
10 年の国債金利をゼロ%程度にするということで、それを超える長い期間については具体的なターゲットは置いていないわけであります。ただし、これまで総裁の記者会見でも申し上げているとおり、超長期金利のフラット化、過度な低下があった場合には、年金保険等の運用難が国民の感情にも消極的なものを与えるということで、過度なフラット化は望ましくないと申し上げてきた経緯があります。』
えーっとすいません、民間の貯蓄性を有する保険商品が売り止めとかそういう話はありますが、年金の運用云々の話って短期的に出てくるの毎度株式等の評価損益の話の方がでかいと思うんですけど、という訳で、この取って付けたような「年金保険等の運用難が国民の感情にも消極的なものを与える」って屁理屈そろそろやめませんかね。
『そうしたことで金融市場局におけるオペでは、長いところも対象にしているので、そういったことに対して影響を与え得るところは、あるということだと思います。現状がどうかというか、そういう長いところのレートがどうあるべきかというのは、金融政策の中では特に決めておりませんので、これは主観的な感想になりますが、イールドカーブ・コントロールを導入して半年程度経った頃と現在を比較すると、30bps
程度低いのではないかと考えています。』
はあ。
『そうした中で、今後ということでは、この 1 年以上の間で米国金利が低下し、国内勢にとっても日本国債のニーズが高まっている、あるいは生命保険業界では経済価値ベースでのソルベンシー規制が入ることから、超長期債のニーズがあります。一方で、海外の投資家は為替裁定取引を通じて日本国債を長期まで買っていましたが、その裁定取引のニーズ、チャンスがなくなっているので、そちらのニーズは弱いのかもしれないと思います。』
『コロナ対応での財政資金は短期国債で支えてきましたが、その借換えがもう少し長い物になる可能性もあり、そういった様々な構造の中において、金融機関、そして生保、年金等の国民の資金の運用にもう少し金利が高い物があった方が、金融システムの安定と金融政策の長期化に望ましいのではないかと個人的な私見を申し上げたものであります。』
うーんこの理屈はちょっと・・・・・・・・・・
#凄まじく回答が長いのが多かったのでただの引用大会になってしまいましたすいません他のネタもスルーモードですね
2020/12/07
お題「雨宮副総裁金懇会見はサービスフレーズ一切なしというある意味珍しいパターンでしたがさて・・・・・・」
うーん。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201205a.pdf
職員の新型コロナウイルスへの感染について
2020年12月5日
日本銀行
窓口とかに居て一見のお客さん(って日銀の窓口に用がある時は一見さんでも本人確認みたいなのが必要な手続きだと思うんですけど)に注意喚起の為というのでしたら分かるんですけど、別にそういう必要が無かったら今時一々こんなに大々的に公表しなくても接触者になり得る関係各位に注意喚起すれば良いのではないかと思うんですが駄目なのかなあ・・・・・・・・
〇雨宮副総裁金懇会見は1ミリもサービス発言をしないぞという気概に溢れる物件
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk201203a.pdf
雨宮副総裁記者会見要旨
―― 2020年12月2日(水)
午後2時30分から約30分
(秋田市・東京間オンライン開催)
・冒頭の回答に8ページ中2ページをぶっこむの巻
最初の質疑ですが、いつもの「今日のまとめ」にご当地経済も含めた質問になっているせいもあるのですが、
『(問) まず、本日午前中の秋田県金融経済懇談会で、経済界の代表ら 10 名の方と意見交換されました。どのような議論がありましたか。次に、秋田県は日本最速のペースで人口減少が進んでいます。秋田県経済が人口減少という課題を乗り越えて発展していくには、何が必要だとお考えでしょうか。』
という質問がありまして、この回答(長いので割愛します)が延々と2ページ以上に渡って登場するというこの長さ。まあ一応人口減少の答えが半ページ位あるのですけれども、それにしても30分中ここだけで4分の1以上使っているというのがもうねという感じですが、引用はしません(^^)。
でまあ何気にこの質問(最初の質問は基本的に地元の新聞社です)がおもろかったのは、意見交換をした人数が「10名」とあったことで、普段この人数が何人とかそのようなお話はこのような会に一生無縁な市場の片隅おじさんとしてはワカランチ会長なので、この10人がいつも通りなのか少ないのかは分からんのですが、対面じゃないと10人でもそこそこ大変かも知れませんね、よー知らんけど。
・地域金融機関向け特別付利制度に関して
最初の幹事質問の次(なお総裁会見だと最初の次も幹事社だったりする)の質問はご当地質問に加えて特別付利制度の話キタコレ。
『(問) 県内企業は幅広い業種で新型コロナウイルスによる打撃を受けています。こうした状況に対し、県内の金融機関に期待することをお聞かせください。また、「地域金融強化のための特別当座預金制度」について、県内の金融機関が置かれている状況を踏まえて、その狙いをお聞かせください。』
さて・・・・・・・・
『(答) 本日の懇談会でも金融機関の方々から、金融情勢について詳しい説明を伺いました。秋田県経済でも、新型コロナウイルス感染症の影響が相当大きく影を落としており、県内では、売り上げの減少に直面している企業等の借入需要が高い状況が続いていると伺いました。こうした中で、県内の金融機関は、政府や日本銀行による様々な支援策も利用しつつ、これに積極的に応えてきているとのことでした。実際にデータをみると、県内の
9 月の貸出の前年比は2.8%と、2015 年以来の伸びとなっています。また、経営環境が変化した県内企業の支援を目的に資本性ローンの扱いも始まるとのことで、県内の金融機関は金融仲介機能を発揮して、地域経済を支えることに大きく貢献していると思います。更に、県内の金融機関は再生可能エネルギーの関連産業などの新しい地域産業の育成に努めておられるほか、高齢者が元気に暮らせるようなまちづくりということで、地域の再開発支援も行っているとのことです。また、最近では、地方銀行と信用金庫、信用組合の間でM&Aや人材紹介にかかる連携協定が締結され、高齢化が進む秋田県内企業の事業承継に向けた支援も進められているとのことです。私どもとしては、こうした金融機関の取組みを通じて、地域が活性化し、金融と実体経済活動が相互に支えあう形で秋田県経済が発展していくことを期待しています。』
長いっす。ちなみに最初の質疑の説明もまあこんな調子でした。
『そのうえで、私どもの制度について申し上げますと、秋田県の金融機関は今回の難局に積極的に対応されていると思いますが、長い目でみると、低金利環境の長期化に加え、人口減少や成長期待の低下などの構造要因を背景に、国内の預金・貸出業務の収益性は低下を続けています。秋田県では、全国で最も早いペースで人口減少が続いており、県内の金融機関の経営環境が厳しさを増しているとのことですので、私どもとしては、地域の企業や家計が活力を高めて、地域経済が持続的に発展していくうえでも、地域金融機関が十分な資本と収益力を確保することや、地域の課題を解決するような付加価値の高い金融サービスの提供をしていくことが重要と思っています。』
前置きがなげえええええ、という感じですが、しかしまあ別に揚げ足を取る気はないのですが、「地域の企業や家計が活力を高めて、地域経済が持続的に発展していくうえでも、地域金融機関が十分な資本と収益力を確保することや」って言いましても、そもそも金融業って実体経済が成長する中でその分け前を頂く(マクロ的に成長していなくても成長している産業なりに金融仲介機能を提供すれば良い、と思うんだが)ということですので、全然成長していないのに金融機関が十分な収益力を確保する、ってえのも土台話に無理があるような気がします。
まあそれはさておき中々制度の具体的な話にならんが更に説明は続く。
『そうした地域金融機関の経営基盤強化に向けた取組みを後押しするために、今回の新しい制度を導入したということです。』
で?
『もちろん、秋田県の金融機関の皆さま方もこうした様々な起業や創業支援を通じて積極的に取り組んでおられますし、店舗の統廃合による経営効率化も着実に進めていると認識しています。日本銀行としては、今回、私どもが導入を検討している制度がこうした取組みを後押しすることを期待している状況です。』
という事で回答が終わっておりますが、しかし雨宮さんの上記の色々な取り組みを支援する話ってえのと、特別付利制度でメルクマールになっている「経費削減や金融機関の統合」というのはそらまあ「金融機関の経営強化」という話では繋がるかも知れんけど、だったら上記の色々な取り組みを支援した方が話がスッキリしてねえかと思ったが、それをやると成長基盤強化などのオペがMPMマターであるのと同じ理屈になってしまうので、MPMマターになってしまう、というのがまあ執行部としてはお困りになる所ですねわかります。
ていうか地域の活性化支援だの成長分野(?)の再生エネルギー産業に対する取り組みだの、その手の話は収益につながる話として民間がやるのを邪魔しないのが本来のありかたで、どうもミクロ介入大好きガースー先生の影響だか何だか知らんですけど、あんまり中銀がミクロの細かい部分に介入するのってのは市場の失敗に対する介入と、預金通貨を提供している金融機関に対する必要な管理監督部分(預金通貨提供者が放漫経営されるとマネーの問題になるのでアカンから)にとどめるのが本来の筋なんじゃねーのとは思いますけどね。
まあそんな話は兎も角として、何でOHRなのかとか何で経費率なのかとか、何で再編するのか、という話は「金融機関の経営強化」というフワッとした話でお茶を濁されるのでした。
・話はコロナオペの方になってしまいましてオペ延長ですが今月MPMでしょどうせ
雨宮さんの説明が兎に角クッソ長い(今引用した部分までで8ページ中3ページ半)のに毒気を抜かれたのか次の質問ではここに食い下がるのではなくコロナオペの話になるのでした。
『(問) 日銀による新型コロナの「特別プログラム」について伺います。午前中の懇談会でも雨宮副総裁は言及されていましたが、感染症の影響を踏まえてこの期限の延長というのを必要があれば考えていきたいとおっしゃっていたと思います。今、コロナの感染が再拡大している中で、現時点でこのプログラムの延長の必要性をどのように考えていらっしゃるのでしょうか。関連して、菅首相が、来週にも追加経済対策を策定するという方針を示しているわけですが、日銀としても
12 月の決定会合で延長というのを決めれば、政府・日銀一体となって、コロナに立ち向かっていくという姿勢を示すことにもつながると思うのですが、今回の会合で延長を決める可能性がどの程度あるのかについて、伺えればと思います。』
そういや次のPD懇が確か来週に実施とかいうのが金曜のベンダーに出ていたと思いますが、そうなると経済対策あんど3次補正案が出てくるのももう直ぐだし、ちょうどMPMも来週だから、コロナ対策の3次補正が出てくればコロナ対策として銘打っているオペを延長する大義名分と演出効果(笑)が出ますので、まあそうなると12月MPMでしょうな。ただし3次補正だの経済対策だのが間に合わない場合は日銀が単独で飛び出すことになってしまう話でして、どうせ3月末まである話なので1月のMPMで延長でも良い話だとは思いますが。
『(答) 私どもは、この春から行っている「3つの柱」に基づく金融緩和策がしっかりと効果を発揮していると思いますので、現在の措置をしっかり実施していくということが基本になると思います。ご指摘にもありましたが、世界的に新型コロナウイルス感染症の拡大が収まっていないといいますか、再拡大しており、先行きは不確実性が非常に高いです。当座、企業の資金繰りについては、相当の手当てがなされていますが、景気の回復テンポが非常に緩やかでかつ不確実性が高い中では、おそらく企業金融にストレスがかかる状況が続くと思います。従って、当面、この感染症の帰趨や、その経済や金融に対する影響を注視しながら、「特別プログラム」についても、必要と判断すれば、期限の延長をする考えです。タイミング等々についてのご質問がありましたが、現段階では引き続き感染症の動向やその影響をしっかり見極めながら、適切に判断していきたいと思っています。』
「その影響」というのは政府のコロナ追加対策のことですねわかります。
『(問) コロナ対策ですけれども、単純な延長ではなくて、制度自体の更なる拡充の必要性について、副総裁はどのようにお考えでしょうか。』
更なる拡充って今さら何をするのやら。
『(答) 今申し述べた通り、この企業金融を支援する政策については、新型コロナウイルス感染症の動きや企業金融の動向を踏まえて検討していきたいと思っています。具体的な政策の内容に触れることは控えますが、感染症の動向や経済・企業金融に与える影響、これまでの制度の利用状況を踏まえて、適切に判断していきたいと考えています。』
見事に無回答ですな。ちなみに大体雨宮さんの講演だの会見だのってのには1か所以上はサービス箇所がある、というのは雨宮さんのキャラクターによるものではなかろうか等と勝手に妄想をしていますけど、まあ大体サービス箇所があるんですが、今回の金懇挨拶にしろこの会見にしろ、とにかく今回の雨宮さんの特徴ってのは「サービス部分が皆無」という所に尽きるかと思います。その理由はよくわかりませんが、まあコロナ3本の鉛筆だのなんだのってやってた時期にちょっと調子に乗ってアピールし過ぎたのをもう少し抑えめにしようとしているのかな、などと勝手に妄想しております。
・特別付利制度設計の狙いについて再質問が飛んでもまるっきりさっきと同じ回答が返って来るの巻
とやってから特別付利に話が戻る。
『(問) 副総裁も先ほど触れられましたが、今の景気の現状、足もとのコロナ感染症の動向について、午前中の懇談会の中でもありましたが、下振れリスクみたいなものを可能性としてどれだけ高くみているか、金融政策に与える影響も踏まえて教えて頂ければと思います。また、秋田の質問でもありましたが、地銀支援制度についてです。秋田県以外にも、全国を踏まえて、改めて日銀としてこの政策の導入の目的についての副総裁のご所見と、正式な案の決定は大体いつ頃を目指していらっしゃるのか、その辺りについてもお伺いできればと思います。』
回答のうち前半部分に掛かるものはめんどいから割愛な。
『(答)(前半割愛)「特別当座預金制度」の狙いですが、この間、新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中で、わが国の金融機関は家計や企業の資金繰りを積極的に支援して経済を支えてきていると思います。この点は二つの比較で極めて明確で、一つ目は、リーマンショック後と比べて頂ければ、貸出や社債・CPの発行高の伸びが全然違いまして、今回、金融仲介機能がきちんと機能していることが分かると思います。』
ていうか今回は金融ショックからのショックじゃないんだから。
『二つ目は、欧米と比べても、例えば、金融機関の貸出態度のアンケート等をみても、欧米は金融機関の貸出態度が厳しくなっています。それと比べて、日本は非常に積極的に資金需要に応えており、企業アンケートでも貸出態度は緩和的です。』
うーんこの。
『これらの意味で、リーマンショック後と比べても、あるいは欧米と比べても日本の金融仲介機能が今回は発揮されていると言えると思います。』
ということだが、それは「リスクに見合った信用スプレッドを取っていない」という事でもあるので、「欧米と比べて金融仲介機能が発揮されている」と言われるとそこまで言うのは言い過ぎじゃないのかと思うし、その一方でさっきの部分では「金融機関は十分な資本と収益力を」って話をしていまして、まあ何だかなあというお話である。
『ただし、長い目でみると、低金利環境の持続や人口減少、成長期待の低下といった構造要因の中で、地域金融は非常に難しい環境が続くわけです。地域の経済が活力を高めるためには、地域金融機関は二つの条件を満たす必要があり、一つは地域経済を支えるための十分な資本と収益力を確保すること、もう一つは地域の課題を解決するための高度な金融サービスを提供していくことだと思います。』
とか何とか言ってたら「十分な資本と収益力を確保」って言ってましたわw
『その二つを支えるのが経営基盤の強化であり、私どもとしてはこうした地域金融機関の経営基盤強化に向けた取組みを後押ししたいという狙いで今回の措置の導入を決定したということです。』
ということでさっきと同じことの繰り返しなのでした。ナンジャソラという感じですが以下時期の話。
『タイミングについては、骨子を発表して、今、これを利用される可能性のある地域金融機関の皆さまと色々議論しているところですので、できるだけ早期に実現したいと思っています。』
・LIBOR梯子外され案件について
『(問)(前半割愛というか次に)次に、話が全く変わるのですけれども、LIBORについてお伺いします。IBAが、ドル建てLIBORにつきまして、3
か月物などの終了時期を予定されている 2021 年末から 1 年半延期するという案を示しましたが、副総裁の受け止めと、円LIBORにつきまして、延期の可能性と是非について、現時点でどのようにお考えか、お願い致します。』
これはタイムリーな質問ですな、いいぞもっとやれ。
『(答) まず、LIBORの方からお答えしますと、ご指摘の通り、関係当局とLIBOR運営機関が新しいステートメントを公表し、円などの
4 通貨については、LIBORの公表が 2021 年末で公表停止になり、ドルLIBORについては、2023
年 6 月まで、一部の公表を継続する方針が示されました。』
既報の通り。
『ドルLIBORは取引高が巨額で複雑な取引が多いといったことを踏まえた判断と思われ、若干延期はされる可能性がありますが、基本的には最終的には公表が停止されるということです。』
ほうほうそうですかそうですか(棒読み)。ところで昭和の温泉旅館金融政策も「基本的には」で何かならんもんですかねえ、とほぼ言いがかり難癖状態でも噛みつくのを忘れないアタクシ。
『ドルLIBORについて、2021 年末以降も公表が続けられる可能性があるとしても、各国関連当局の公表によるとその適用対象は限定的に扱われるとのことです。従って、市場関係者、あるいは企業も含めて、今までLIBOR取引を利用してきた機関の方々は、これで猶予ができたと思わず、円滑な移行に向けてしっかり取り組むべきとの状況は変わらないと申し上げておきたいと思います。』
だいたいからしてこの間にコロナがあったんだから延長したってエエヤンと思うのですが、何でこう一度決めると状況の変化を無視して特攻しようとするのでしょうか。
『私どもとしても金融庁とも連携しながら、市場参加者や関係者の皆さまの移行対応をしっかりサポートしていきたいと思っています。(後半割愛)』
サポート=ケツ叩きですね、わかります。まあ欧米当局勝手に梯子外しやがってふざけるな、とはさすがに言えないのでまあこうしか言いようがないのは仕方ないかな。本当は「日本でもコロナの影響などで困難な場合などの措置を検討」くらい言って欲しいのだがジャパンクオリティなのでそれは無いでしょうね・・・・・・・
・特別付利制度に関連してマイナス金利深堀の質問をしたら斜め上の方から大演説が飛んでくるの巻
でもって最後(ってよく見たら殆ど引用してしまいましたが)ですが、今の質問の前半で特別付利制度に関連してマイナス金利深堀論について否定的な文脈で質問をしていたのですが、それに対して雨宮さん謎の大演説を始めるの巻、というのがある意味今回の白眉。
『(問) まず、追加付利の制度ですが、やはり導入の背景には、金融システムの将来的な警戒感といったこともあると思うのですけれども、そうした状況の中では、何かあったときにマイナス金利の深掘りをするとやはり副作用が強まるということで、なかなかそういう選択肢は難しいのではないかという指摘もありますが、この金融政策との関係について、どのようにお考えでしょうか。(後半割愛)』
『(答)(前半割愛)「特別当座預金制度」と金融政策との関係ですが、これはあくまでプルーデンス政策で、金融政策とは一線を画した政策です。これは日本銀行法で、法律上、制度上も明確になっており、日本銀行法の15
条に政策委員会が決めるアイテムが並んでいるのですが、15 条の 1 項が金融政策関連で、これは金融政策決定会合で決めなさいとなっています。15
条の 2 項は、そのほかのプルーデンス政策や国際金融関係などが入っており、これは通常会合でとなっています。通常会合、金融政策決定会合という名前は法律には書いていませんが、これは明確に分かれています。分かれているのは、決して法律、制度上分かれているから分かれているということではなく、その根拠があり、三つくらい申し上げます。』
何で急にこの話になるんだ????いやまあ特別付利と金融政策を絡めて質問したから、というのは分かるんだけど、何もこんな説明しろって質問では無かったと思うのですが。
『まず一つは、金利を付ける、あるいは量を増やすという政策についても、目的が市場全体の金利誘導のためにするのか、そうではない目的かによって違います。』
ん????
『二つ目に、そもそも金利全体に影響を及ぼすかどうかという点では、今回の特別付利の制度は、金融市場全体の金利形成に影響を及ぼす可能性は極めて小さいと考えられます。』
そうかねえ?
『三つ目に、仮になんらかの影響があったとしても、金融調節面でその影響を十分オフセットできますので、その意味で、これは金融政策とは全く一線を画した政策であります。』
まあマクロ加算の掛け目を調節すればって事だとは思うけど。
『ちなみに、中央銀行の政策は、ある意味で究極を言えば、いわゆるベースマネーやセントラルバンクマネーと言われるお金の量を増やしたり減らしたりすることで、それでしかないのです。』
LLRは???と思ったら中々謎な説明になっとる。
『その手法を金融市場全般の金利形成に影響を及ぼそうとすると金融政策になりますし、例えば、最後の貸し手機能も日本銀行の資金の供給に端を発するので、実は手段は同じ部分があるわけです。』
そらまたエライ極端な言い方。
『ただし、目的や効果の出し方が違ってくるわけで、それで明確に制度も法律も分かれているのです。もし影響が出たらという議論をしだすと、例えば、最後の貸し手機能を発揮するために、個別の資金繰りに窮した金融機関に大量に資金を供給すると、その他の条件を一定にしてみれば、市場に対する資金供給なので、金利に影響を及ぼすかもしれないのです。』
『では、LLRを金融政策決定会合で決めますかと言えば、これは違う仕組み・仕立てになっています。そういう考え方でこれまでも、例えばLLRの実行や、金融機関からの株式の買入れという政策、劣後ローンという政策は、通常会合で決めてきていますので、その意味で金融政策とは一線を画した政策であると思います。』
てな次第で思いっきり斜め上の大演説を行ってこの会見が締まっているのですが、よくよく見ると大演説をした結果、結局マイナス金利の深掘りの話を一切していない、ということに気が付くわけでして、これは大演説をして煙に巻いて有耶無耶にする忍法蒟蒻問答の巻っすかねえ・・・・・・・・・・・・・
でもって、この大演説もそうですが、特別付利制度に関する質疑でも一般論をひたすら大上段から振りかざすだけにとどめていまして、兎に角「サービス一切なし」というのが凄い特徴がありまして、今回は公式見解から靴半分足りとも踏み出さない、という気概(?)を感じる金懇挨拶&会見でしたが、これが何を含意するのか、というのはちょっと妄想はしているものの、ほぼ妄想のレベルが陰謀論の世界に留まっているのでさすがに開陳するのはハズいのでもう少し脳内で練ってみます。
〇鈴木審議委員会見と思ったら時間が(すんません)
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2020/kk201204a.pdf
鈴木審議委員記者会見要旨
―― 2020年12月3日(木)
午後2時30分から約25分
(福島市・東京間オンライン開催)
えーっとすいません。雨宮副総裁の会見要旨ですが見解をまるで踏み出していないですねはいおしまい、とする積りでいたのにいざ引用をおっぱじめたらああだこうだといつものをやってしまって、完全に計画がズレてしまって時間が無いので明日やりますが、この「25分」ってのがかなりお察しではありました(ただし要旨の分量自体は上記の雨宮さんのとほぼ同じ)が、会見でちったあはっちゃけてくれるかと期待しました(実は期待してなかったけど)けどまあとりあえず今回は無茶苦茶慎重という感じでして、これが鈴木さん単独要因なのかとも思うのですけど、よく考えてみたら雨宮さんも上記の調子だったということを合わせると、もしかしたらもしかするのかしら、とか何とか思ったり思わなかったり、という所ではございます。
2020/12/04
お題「鈴木審議委員金懇挨拶ですが総じておとなしい(婉曲表現)内容ですのう」
事象から得られている結論がおかしくねえか??
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201204/k10012745171000.html
新型コロナ感染拡大抑制 若い世代の移動自粛が必要 専門家指摘
2020年12月4日 5時51分
『新型コロナウイルスに感染した人のうち、県を越えた移動をした人は、県を越えた移動をしていない人に比べて、他の人に感染させた頻度が高いという解析結果が、3日開かれた厚生労働省の専門家会合で報告されました。』(上記URL先より、以下同様)
なるほど。
『感染拡大をさらに抑えるには、移動が活発な若い世代に移動を自粛してもらう必要があることを示しているとしています。』
節子、それ若い世代のせいやない、広範囲の移動のせいや・・・・・・・・・・・
〇鈴木審議委員金懇挨拶ですが鈴木さんも地蔵化してしまったのかしら
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/ko201203a.htm/
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko201203a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
福島県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 鈴木 人司
2020年12月3日
こちらはHTML版とPDF版が同時公表になっているのでHTMLの方から引用します。
・全体の感想ですが鈴木さんのイキの良さがだいぶ弱っていますので残念無念
えーっとですな、何と申しますかせめてETFの所くらい、鈴木さんだったら執行部じゃないんだからもうちょっと言ってよという感じだったのですが、ETFの買入がこの期に及んで必要とか言ってる時点で赤点再履修という感じで(せめて言わない位にしておいてよ)まあガックシという感じですし、他の所でもちょこちょこと???なのがあってうーんこのという感じがしました。まあ何となく前回の金懇挨拶とかも覇気(婉曲表現)が無かったのでこうなるかなとは思いましたけど。
でもって今日は会見要旨が出ますが、金懇挨拶の方は抑制しておいて会見ではっちゃける、という荒業を使う審議委員の方も歴代何人かおいででして、そういう技でもかましてくるかとはあんまり期待しませんでしたが一応期待したものの、ヘッドラインを見る限り(ってそもそもあんまりヘッドラインが出てなかったけど)も別に弾けている感じは無かったと思いますが、まあその辺は本日会見要旨が出てくるからそっちを見ながらという事で。
では金懇挨拶です。
・経済物価情勢と実施している金融政策の説明部分は大本営発表で何故か地域金融機関云々の話が完スルー
ということで、金懇挨拶の方は『1.はじめに』『2.最近の経済・物価情勢』『3.金融政策運営』の部分まで大本営発表通りになっておりまして、特段オリジナルな見解も無いという代物になっておりますので別に読むところもございませんよって全部飛ばします。
でまあ全部飛ばすと残りの章が『4.低金利環境の長期化が見込まれる中での金融政策』『5.おわりに ―― 福島県の経済について ――』となっているので、アタクシの方でネタにするのは第4章のみ、という悲しい事になってしまいますが、更にこの金懇挨拶の中で物凄くアタクシが気になったのは、「地域金融機関向けの例のアレに関連した説明が1行も存在しない」ということでありまする。ちなみに『3.金融政策運営』の方は3本の鉛筆による金融政策運営がどうしたこうしたという話しかございませんので、なんと完全スルーというマジカルプレイに出ております。
このマジカルプレイ、鈴木さんは何の意図でこの完スルーという荒業に出たのか良く分かりませんけれども、むしろこの案件、金融機関出身者の方にご説明を頂きたい案件だと思うのに話さないって物凄く不思議でして、いや真面目にこの背景どうなってるの???というのは読了後に何か話が抜けている気がして頭を2回くらい捻って気が付きまして、マジで何だかワカランチ会長・・・・・・・・・
・物価上昇を阻害する要因の話がなんか妙なんだが
てな訳で『4.低金利環境の長期化が見込まれる中での金融政策』のみ鑑賞(ちなみに福島の話をする中でも地域金融機関支援云々の話は無かったです為念)なのでした。
『このように強力な金融緩和のもとで低金利環境が長期間続くことで、その効果が現れてきていたわけですが、一方で、「量的・質的金融緩和」の導入から7年半が経ったものの、先行きのコアCPI上昇率の見通しは2022年度でも+0.7%程度と目標値からは遠く、金融緩和のさらなる長期化が確実な情勢です。このように物価上昇により多くの時間を要するとみられる背景には、需給ギャップによる下押し圧力が当面働くことや、消費者物価の上昇率がマイナスで推移するとみられる中、適合的期待形成を通じて中長期予想インフレ率が弱含むことなどがあります。そうしたものに加え、国民生活の目線から私が注視していることを3点お話ししたいと思います。』
ほうほうそれはそれは。ということで小見出し『物価上昇を抑制しうる要因』になる。
『1点目は賃金についてです。』
おちんぎんキタコレ(じっと給与明細を見る)。
『連合の発表によると、本年の春闘において7年連続のベアが確保されました。しかし、その水準は7年間の平均でも約0.5%と、「物価安定の目標」と比較すると小幅にとどまっています。感染症の影響により企業収益が悪化している中、残念ながら来年度に賃上げのペースが勢いを増す可能性は高くないと見込まれます。また、先ほども触れたように、冬季賞与も厳しいものになるとみられることもあり、賃金には当面下押し圧力が続くと考えられます。』
ナムナム。
『加えて、一律的な定期昇給に代えて業績評価を導入する動きや、終身型雇用からジョブ型雇用への移行などによる雇用流動化の動きが拡がりつつあります。』
はい。
『こうした動きは、企業やわが国経済が生産性を高めていくうえで、中長期的には望ましく、また必要なものでもあります。』
そこは本当にそうなのかというのはもっと社会全体のデザインとかによって異なって来ると思うが、その辺はさて置きまして次。
『しかし、その一方で、年齢を重ねるごとに賃金上昇を安定して実感できる制度が失われていくことが、平均賃金や消費性向に対してマイナスの影響を及ぼすことがないか、気懸りな面もあります。』
え????????
えーっとすいません、今の若人をみておりますととっくの昔に消費性向にマイナスの影響を及ぼしておりますけれども・・・・・・・・・・・・
『2点目は、地価の下落です。』
???
『9月に発表された基準地価は、全国平均で前年比▲0.6%と3年ぶりの下落に転じました。感染症の影響による訪日客の激減や、外出自粛が原因と言われています。土地は株式よりも総資産額が大きいことに加え、個人による保有の割合も高いことから、消費者マインドへの影響が心配されるところです。』
米国とか欧州の一部みたいにホームエクイティが拡大したからよーしパパフォードの大型バン買っちゃうぞーとかそういう消費行動をジャパンの一般国民がするとは思われませんのですが・・・・・・・・・・・
『3点目は、多くの消費者が予期せぬ所得減少に直面したことが、先行きのマインドに及ぼす影響です。これまで、若年層や中年層にとっては将来に十分な年金を受け取ることができないかもしれないという年金不安が、高年齢層にとっては、医療費の増加や、想定以上の長生きによって貯蓄が不足する「長寿リスク」が、それぞれ消費の抑制に繋がっている可能性が指摘されてきました。』
『今回のコロナ禍を経て、感染症拡大等の影響により予期せずして将来の所得が減少するリスクが新たに加わってしまったことで、家計の貯蓄性向がさらに高まり、消費の下押し圧力となることが危惧されるところです。』
まあこれだけは分からんでもないけれども、そもそも論として家計は以前より防衛的な行動をしていたでしょうと思いますし、貯蓄性向とかあのあたりは所得が伸びないというか2極化に近い事になってしまうと、所得低くてそもそも貯蓄どころの場合ではないみたいな人も増えるので、まあこの辺り見て行くのマクロデータだけだと足りないかもしれませんね。
とか何とかございまして、3番目のはまあ良いとして、1番目の「マイナスの影響を及ぼすことが無いか気がかり」とか何時の時代の話をしているんだと小一時間だし、2番目の地価の話ってホームエクイティみたいなのがない日本の一般ピープルの個人消費に当てはまるんけ???という感じでして、いやまあ地価云々ってのは土地持ちお大尽様とかの資産効果がマクロ統計としての個人消費には跳ねるんじゃなかろうかとは思いますので、マクロの消費には効くかも知れませんが、鈴木さんこの小見出しの前で話している「国民生活の目線から私が注視していること」っているお題から勘案するとだいぶズレを感じるんですけどねえ。
・金融緩和の持続力という話だがうーんまあこんなもんかね
次の小見出しが『金融緩和の持続力・柔軟性』ですので少しは期待して読むわけですが・・・・・・・・
『このように、感染症の影響もあり「物価安定の目標」の達成までにより多くの時間を要すると見込まれる状況にある中、今後の金融政策運営に当たっては、金融緩和の持続力・柔軟性が改めて重要になってくるものとみています。こうした観点から、私が考えていることをお話ししたいと思います。』
ほうほう。
『金融緩和政策が効果を持続していくうえでは、金融システムの安定が不可欠です。私はこれまで、金融政策運営に当たっては「物価の安定と金融システムの安定を両立させる」という視点が特に重要であるとの考えを繰り返し強調してきています。これは、金融危機を通じて明らかとなったように、ひとたび金融システムが不安定化してしまうと、そのもとで物価の安定を確保することは非常に困難であり、手遅れになってしまうためです。』
さいですな。
『これまでのところ、日本銀行や政府の政策対応に加え、金融機関が資本・流動性の両面で相応に充実した財務基盤を備えていたことから、円滑な金融仲介機能が発揮されています。しかし、貸出金利の低下や信用コストの増加によって、今後金融機関の経営体力がさらに低下していくと、金融仲介機能の円滑な発揮が妨げられ、実体経済にも下押し圧力が及ぶリスクがあります。』
まあそうは言っても信用コスト上昇が起こるかもしれない要因が新型感染症なだけに日銀は何をするのかというと治療薬開発でもしますか???ってなもんでまあ打つ手はない。
『この点、貸出金利については、地域における人口や企業数の減少により新たな資金需要が限られるもとで低金利環境が長期化する中、金融機関同士の競争の激化もあり、きわめて低水準となっています。』
ここでちょろっとだけ例の地域金融機関なんちゃらがらみっぽいのがあるがこれ以上の話はない。
『さらに、企業の資金繰り支援として現在行われている無利子・無担保の貸出は、感染症による影響が収束した後も含めて、今後実行される一般の貸出に対してスプレッドの下押し圧力となる可能性がある点には留意が必要です。』
と思うならせめてCP社債買入拡大とかいう大企業優遇施策は縮小(ゼロにして欲しいがまあ今すぐゼロにしろとは言わん)した方がよいんじゃないでしょうか、大体からしてFSR(そういやネタにしてない)の分析でもリーマンショックの時は大企業がもろ被りだった影響って今回のコロナでは中小企業の方が厳しいって見立てになっておりましたですよね。リソースを中小企業金融支援に全振りした方がエエンチャイマスかね。
『また、信用コストについては、感染症で資金繰りが悪化した企業を金融機関が積極的に支援していく中で、そのうちの一定割合が不良債権化することで、増加していく可能性があります。』
まあでもこれはある程度甘受すべき話。
『これまでのところ信用コストの発生状況は、リーマン危機後に生じたものほど深刻な状況にはなっていないようですが、感染症が企業の売上や収益に与える影響が長期に及ぶ可能性もある中、引き続き注意が必要です。』
ってアセスメントは日銀の大本営発表としていつもこうなっているのですが、ちょっと捻って考えてみるとここも妙な部分があって、というのは信用コストが発生しないのは企業の資金繰り支援で延命されているということではあるのですが、資金繰り支援で延命する場合に、本質的にソルベントじゃない所までジャンジャン支援している結果そうなっている、というのであれば将来に大きな過剰を残すことになるんで、信用コストが全然増えないのを喜ぶのもどうかと思う。
『さらに、感染症の拡大以前から、金融緩和の長期化により貸出利鞘や国債での運用利回りが低下する中で、金融機関が、信用リスクが相対的に高い企業への貸出や高リスクの海外資産への投資を積極化する動きがみられていたことも、先行きのリスク要因とみています。』
それはもっと言ってあげてください。まあそういうのをポートフォリオリバランス効果とか連呼していましたけれども最近すっかり言わなくなりましたな。
・超長期の説明は明らかに筋が悪い、赤点再履修
さらに話は続く。
『このような状況の中で金融機関が財務の安定性を維持していくうえでは、超長期金利の動向が重要となってきます。』
唐突にこれが出てくるwwwww
『すなわち、金融機関は、預金や日本銀行のオペ等を用いて資金を調達し、貸出や国債等でその資金を運用しています。』
まあ貨幣内生とか外生とかの話になるのでアレですが、金融機関は貸出を行うと同時に預金が立つ(でまあ立った預金は普通債務者は金を使うために借りているので費消されるので他行預金になれば預金は落ちますけど)ので、この説明も微妙なんですよね。すなわち金融機関預金は準通貨として機能しているんで。
『その際、短期の調達と長期の運用という、調達と運用の期間の差が基本的な収益源となります。』
信用リスクプレミアムは???????
『やや専門的な言葉になりますが、「Asset Liability Management」という考え方のもとでは、この差は金利変動リスクに該当し、銀行はこのリスクを取ることで、収益を得ています。』
信用リスクプレミアムは??????
『金融機関は貸出を増加させていますが、長期固定金利での貸出の割合は一般的にそれほど大きくないことから、満期の長い国債を保有する動機は強いと考えられます。』
えーっと、商業銀行の預金は流動性預金での調達が多いですし、定期性預金での調達ったって10年定期とかそんなに太宗じゃないと思うのですが・・・・・・ってまあこれは流動性預金の底だまり部分が実質的に長期定期性調達だって話とかをすっ飛ばしているので、なんかこれ単独で切りだすとナンジャコリャ感が否めない。
『イールドカーブ・コントロール導入の背景には、イールドカーブの過度なフラット化が、広い意味での金融機能の持続性への不安感をもたらすことや、年金・保険の運用難などを通じて消費者マインドに悪影響を及ぼすことを避ける目的もありました。』
まあね。
『その後、半年程度かけて超長期金利は上昇しましたが、足もとでは当時よりもやや低い水準となっています。』
物価目標全然達成しそうもないんだから仕方がありません。
『10年物国債金利はゼロ%程度を維持しつつ、イールドカーブの超長期の部分が緩やかなペースでスティープ化していくことは、金融機関の運用収益の改善に繋がり、金融緩和の長期化と金融システムの安定の両立の観点からも望ましいのではないかと考えています。』
いやそれは本末転倒の議論であって、日銀の金融政策運営が適切に機能して2%物価安定目標の達成に対する市場の信認が発生してくれば、長期、超長期の金利は自然に上昇するものであって、ただ今の日銀としてはプレマチュアーに金利水準全般が上昇するのは好ましくないと思っているので、10年金利にやや幅を持ちながらも金利目標を設定している、という話なので、「金融緩和を長期化したいから超長期金利があがるべき」というのはいくら何でもそれは論点として筋悪過ぎてちょっと残念にも程がある。
・ETFェ・・・・・・・・・・・
『次に、資産買入れ策の持続力・柔軟性についてお話ししたいと思います。』
はい。
『日本銀行では、「物価安定の目標」を実現するための政策枠組みの一つの要素として、株式市場やREIT市場のリスク・プレミアムに働きかけることを通じて、経済・物価にプラスの影響を及ぼしていくことを目的として、ETFやJ-REITの買入れを行っています。』
はい。
『こうした買入れは、金融市場の不安定な動きなどが、企業や家計のコンフィデンスの悪化に繋がることを防止することにより、企業や家計の前向きな経済活動をサポートする効果を発揮してきました。今般の感染症の影響により金融市場が不安定化した局面でも大きな役割を果たしたことは、さきほどご説明したとおりです。』
はあそうですか。
『また、「物価安定の目標」の実現になお時間を要する中、ETFやJ-REITの買入れは、引き続き必要な措置です。』
はい???????????????????
『感染症の影響もあり、金融緩和のさらなる長期化が展望される中、資産価格のリスク・プレミアムへの適切な働きかけが真に必要なタイミングでの買入れが困難になることのないよう、政策の持続力・柔軟性を高める工夫の余地を探っていく必要があると考えています。』
何となくこの部分で少し弾力化の話をしているものの、まあこれだと「コロナで経済の先行きは不透明感が物凄く強いという中でコロナ前の水準をはるかに上回る株価になっているのにETF12兆円の買入は必要です」と言っているようにしか見えないのでまあアカンわな、と思いました。
・最後の成長力の話もうーんこのという感じで
最後に『成長率を高めていくために』というのがあるが結局そこにも地域金融機関向けナントカの話はない。
『このように、金融緩和の長期化が展望される中で政策の持続力・柔軟性を高めていくことが重要となってきていると考えているわけですが、同時に「物価安定の目標」の達成に向けて、わが国の成長力を高めていくことも重要です。この点、「社会や企業が成長戦略の実現により経済構造を変化させることを通じてわが国の経済成長率を高めていくうえで、金融政策はどのような貢献ができるか」という視点も重要になってきていると考えます。』
大きなお世話をしない方が良いし、資源の分配機能を歪めるようなリスク資産の過剰な買入をしない方が良いんじゃないでしょうかねえ。
『感染症の影響による落ち込みから回復していく過程にあるわが国の経済にとって、当面は、政府や日本銀行が現在行っている様々な施策により、企業の事業継続と雇用維持を支えていくことが不可欠です。もっとも、その過程では、生産性の低い事業がそのままの形で維持されたり、本来であれば廃業しているはずの非効率な企業までもが延命されたりすることで、長い目でみて、わが国経済の生産性の伸びに重しとなるという副作用が生じる可能性もあります。』
やっと同じ意見が出てきましたな。
『このため、デジタル化や労働市場の流動化などの推進に向けて社会が変化していくことや、企業が確りとした成長戦略を描き生産性の高い事業に資本を振り向けていくことの重要性が一層高まっていくものと思います。』
何故そっちに話が行く??さっきの続きで話をするなら「コロナ対策での緊急措置については感染症の経済への影響が相応に緩和される中で規模を縮小しながら対応していくことになるでしょう」にならんのか????
『感染症拡大以前より、少子高齢化などの構造的な課題を抱えるわが国にとって、潜在成長率の趨勢的な低下は大きな課題でした。感染症により、わが国経済は大きな痛手を被りましたが、感染予防を意識した生活様式に対応したビジネスが拡大していることやリモートワークの普及が加速していること、またそうしたことも背景にデジタル化推進の機運が高まっていることなどは、中長期的な視点に立てば、成長率を高める方向にわが国の経済を変化させていく原動力にもなるものと考えられます。』
最初の「金融政策はどのような貢献ができるか」の話は何処へ?????
『日本銀行としても、当面は企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持のための金融政策に全力を注ぐ必要がありますが、中長期的には、わが国の社会や企業による構造改革や成長戦略を金融面で支えていくことも大切です。』
結局支えるんかい。
『その際、緩和的な金融環境を維持することで、企業がリスクを取って変化に挑戦できる基盤を維持していくことはもちろんですが、同時に、金融機関の目利き力や市場メカニズム等を通じて、成長分野への企業の投資を促すことで潜在成長率を高めていくという視点も重要であると考えています。』
うーんこの、ということでこのコーナーは終了するのでした。片鱗にちょっといい話もあるんだが総じてなんか切れが悪いしピントがボケてる部分があって残念無念、と辛口評価。
〇雨宮さんの記者会見ネタが・・・・・・・・・
いや実は今朝ちょっとPCのご機嫌が麗しくなかった時間帯があって、本当は雨宮さんの会見まで成敗する予定だったのですが時間切れですすいません。まあ今回は金懇と同じくという感じで、一歩たりとも大本営発表から踏み込まないぞ!という気概(ナンジャソラ)を感じる内容でしたが月曜に鈴木さんの会見と共に成敗致します。
2020/12/03
お題「雨宮副総裁の秋田金懇で地域金融機関向けなんちゃらの説明があるかと思えば・・・・・・」
さすが河野センセイ本領発揮www
https://www.asahi.com/articles/ASND17GNMND1UTFK01Y.html
「菅内閣で言い訳通用しない」河野氏、環境省職員に迫る
坂本純也
2020年12月1日 22時57分
題名の時点でパワハラ臭満載ですが、さらに記事冒頭が・・・・・・・・
『河野太郎行政改革相は1日、再生可能エネルギーの規制改革に関する作業チームの初会合で、風力発電所の運転開始の手続きの簡素化を慎重に進める方針を説明した環境省の職員に対し、「そういう認識なら(菅義偉)総理に頼んで所管官庁を変えてもらうことになる」と迫る場面があった。』(上記URL先より)
>(菅義偉)総理に頼んで所管官庁を変えてもらうことになる
>(菅義偉)総理に頼んで所管官庁を変えてもらうことになる
>(菅義偉)総理に頼んで所管官庁を変えてもらうことになる
パワハラな上に虎の威を借る何とやらという小物感満載なのが凄いですが、だったら河野先生に於かれましては原発ゼロが出来ない理由の説明をして頂きたいと思いますけれども、あれは初入閣の時にブログを削除したので無かったことになっているんですね!!!!!
あの時点でこりゃ駄目だと思っていた通りの展開なのに世論調査的に人気があるってのが割と絶望的ですが、パワハラしないだけ進次郎の方がマシに見えるという恐ろしいエッシャーの騙し絵。
〇雨宮副総裁の秋田金懇(ただしリモート)は別に新しい情報は無いようですが肝心な新しい情報もないというアレ
ん?HTML版同時公開ではないとな??
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/ko201202a.htm/
【挨拶】最近の金融経済情勢と金融政策運営
秋田県金融経済懇談会における挨拶
日本銀行副総裁 雨宮 正佳
2020年12月2日
さては同パターンで裏読みされるのを回避しやがったなとか思いましたがまあ気にせずにPDFバージョンの方を拝読。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko201202a1.pdf
・経済情勢の説明と先行き見通しは展望レポートの通りである
という小見出しだけで終わりにしても良いのですが、まあしょうがないから先行きだけ引用します。まずは海外部分。『2.経済・物価情勢』の『(経済情勢)』ですが、
『先行きの海外経済については、感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、積極的なマクロ経済政策にも支えられて、改善を続けるとみています。ただし、感染症への警戒感が残るなかでは、そのペースは緩やかなものにとどまると考えられます(図表4)。IMFが
10 月に公表した世界経済見通しも、同様の考え方のもとで、2020 年は、前年比▲4.4%と大幅なマイナスとなるものの、2021
年は+5.2%とプラス成長に復するとの見方が示されています。もっとも、海外経済の回復は一様ではなく、感染症の状況によって左右される状況が続くと考えられるだけに、下振れリスクを意識しながら、引き続き、海外経済の動向を注視したいと思います。』
ただの展望レポートの説明のようですな、ということで国内ですが、実は需要項目別に一応先行き説明が入っているんですけど、めんどいのでパスしてまとめ部分だけ。
『以上をまとめますと、先行きのわが国経済は、経済活動が再開し、感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、緩やかながら改善基調を辿るとみています。また、その後、世界的に感染症の影響が収束していけば、海外経済が着実な成長経路に復していくもとで、わが国経済はさらに改善を続けると予想しています。』
『もっとも、以上の中心的な見通しについては、不確実性が高く、下振れリスクの方が大きいと認識しています。世界的に感染拡大が収まっておらず、わが国でも再び感染者数が増加しています。感染症の帰趨やそれが内外経済に及ぼす影響については、きわめて不透明感が強く、今後の情勢をしっかりと点検していく考えです。』
まあどうせ記者会見で直近のコロナワクチンの影響とかも質問されているでしょうが(ヘッドラインしか見ていないのであまり気にしていない)、とりあえず決め打ちしたくないというのは把握した。
でですな、この決め打ちしないのは多分両面あって、追加金融緩和をすると言っても何せご案内の通りでネタは無い(コロナオペの延長を追加的な金融緩和措置と言い張るくらいしかないでしょ)ですし、一方で今の政策も本当はどこかで臨時措置分だけでも引けやと思うし、ここまで株が戻ってETF買入12兆円じゃねえわと思うのですけれども、何せ一度出すと引っ込めるのが下手というよりも、出したものを引かない?引かないのか?引きたくも無いのか?引く度胸も無いのか?というのが黒田日銀クオリティなので、実はコロナが収束とかいう事になって来る(あるいは季節性インフルと並列した通年性通常インフルみたいな扱いになる)と、今度はコロナ対策とか言ってぶっこんだ施策を引く度胸が無いので試練に立たされてしょんべんチビってしまうので、Good方面への決め打ちもしたくないんですよね分かります。
・・・・・ということで見通しに関しても展望レポート以降の情勢変化を踏まえたなんかは特にない(だって今は何でもコロナだから先行き分からんと言って置けば何も動かなくて良いという政策判断をしなくて良いという点で超心地よい状態ですからね)ということになっておりますが、はてさてコロナワクチンの今後の影響や如何にという所で。
・物価情勢の説明をちゃんとしているではないですか!!!!!(ただし展望レポート通り)
次が『(物価情勢)』という小見出しでして、しばらくの間執行部およびそれに近い方面からの情報発信において物価情勢の説明が遂に無くなって、2%の早期達成とかをすっかり諦めて最早その辺の話をフェードアウトしているだろうとかグチャグチャと悪態をついておりましたところ、今回はちゃんと物価情勢の説明をしているのがチャーミングですが、ただこれ展望レポートでの説明とまるで同じで特段のアップデートもないんですけど、さすがにスルーしまくっている件は突かれると気になるんですかねえ(ニッコリ)。
『続いて、物価情勢です(図表9)。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、マイナスで推移しています。もっとも、これには、既往の原油価格下落がラグを伴って電気代などのエネルギー価格を押し下げていることや、Go
Toトラベル事業による宿泊料の割引が消費者物価統計に反映されていることも寄与しています。』
はい。
『実際、こうした一時的な要因を除くベースでみると、このところゼロ%台前半で推移しており、経済の落ち込みの大きさに比べると、底堅い動きとなっています。』
って説明で、これは毎度総裁会見などでも説明している最近のバージョンなのだが、よくよく考えてみますとコロナ前にQQEのお蔭で経済回復とかイキっておられたときにも物価が上がっておりませんでしたので、別に金融政策が当を得ているとかそういう要因だけではなく、単に(欧米でも見られるように)経済の需給ギャップに対する物価の感応度が小さくなっているだけなのではないでしょうか???、という点については華麗にスルーするのが相変わらずの狸説明だわと思うのでした。物価上がらない時にはあれだけグダグダ言い訳をしていたのですから、同じ理由で物価が下がってないだけなんじゃないでしょうかねえ?????
『対面型サービス需要の大幅な減少は、人々の感染症への警戒感に起因するところが大きく、こうしたサービスの価格を下げたとしても需要が増えにくい状況にあると考えられます。』
とか言ってますが、対面型サービス以外はどうなんでしょうかということで、値下げして需要喚起とかいうニュース、ちらほらと年末商戦に向けて出ているように見えますけどね。
『また、政府の大規模な所得支援策が、家計の支出や物価を下支えする方向に働いています。このため、現時点では、デフレ期にみられたような企業が値下げにより需要喚起を図る行動は広範化していません。』
でもってまあこれ出るたびに同じ悪態を書いていますが、そもそもGOTOキャンペーンが「値段を下げて需要を喚起しよう」って施策ですし、しかも(ここでは感染症との関係云々はさておきまして)このキャンペーン、まーたノーズロモードで更に延長するとかいう話が思いっきり出ているという状況でして、こんなの瞬間的な需要喚起策でやるから良いのであって、恒常化したら単に割引慣れしてしまって、キャンペーン終了後に需要維持のための価格低下圧力を高めることになるだろ常識的に考えて、ということでありまして、まあこの現状認識時点で既に大本営発表にも程があるのですが、大本営発表をしているということは2%とツッコまれると突っ張って来ると言う事になりますね。即ち、
『先行きについては、消費者物価の前年比は、当面、マイナスで推移すると考えています。もっとも、その後は、経済の改善に伴い、物価への下押し圧力は次第に減衰していくと予想しています。また、原油価格下落やGo
Toトラベル事業の影響といった一時的な物価押し下げ要因は剥落していきます。』
となる訳ですな。
『そうしたもとで、消費者物価の前年比はプラスに転じていき、徐々に上昇率を高めていくと考えています。このように、今のところ、物価が全般的かつ持続的に下落していくリスクは高くないとみています。』
しかしこういう言い方をしているんだが、そもそも物価は確かに上がらん時代が長いのだが、別に世界大恐慌みたいな強烈な物価下落とか起きた訳ではないですし、「全般的かつ持続的に下落していく」ってほどに物価下がっていましたっけ????というのもありまして、この辺もよくよく考えてみるといつのまにやらしらっと話をすり替えてきているような気がしてきた。
『ただし、雇用・所得面の弱さがしばらく続くことや、わが国に根強い適合的なインフレ予想形成のもとで、実際の物価下落が人々の物価観に影響を及ぼす可能性があることなどを踏まえると、物価の動向には、引き続き注意が必要であると考えています。』
ってサラッと流しているけど、どう見ても適合的期待形成から見て今の政権のデフレ政策はアカンヤロ(携帯電話に加えて薬価までぶっこんできましたわな)と思いますが、そこはまあ突っ込むわけにもいかないというのが実に残念なところなのですが、そうやってガースーさんになってデフレ政策実施で梯子外されているのに、屋根の上で2%の纏を振り回してていていてーいとかやっていないと行けない日銀も哀れと言えば哀れ。
・ノーズロで臨時措置延長していく話なのは想定通りだが一応ツッコミは入れてみる
でもって次が金融政策でして『3.日本銀行の金融政策運営』という章に参ります。
『続いて、金融政策運営についてです。』
『日本銀行は、3月以降、感染症への対応として、「3つの柱」による強力な金融緩和措置を実施しています(図表
10)。具体的には、第一に、企業等の資金繰り支援のための新型コロナ対応特別プログラム、第二に、金融市場の安定を確保するための国債買入れやドルオペなどによる潤沢かつ弾力的な資金供給、そして、第三に、資産市場におけるリスク・プレミアムに働きかけることを目的としたETF・J−REITの積極的な買入れ、の3つの措置を講じています。』
図表10は惜しくも3本の鉛筆になっておりませんで、例の実績値も書かない物件になっておられます。やっぱり鉛筆はこっぱずかしいんですかね。でまあいつもの話なのですが、一応背景説明をしてるので拝読。
『感染症への対応として、金融政策運営の面では、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持の2つが大事だと考えており、「3つの柱」の狙いもそこにあります。』
コロナ前の水準を大幅に上回っている株式市場の市場安定維持をするんだったらETF買入は普通ゼロにしておくもんじゃないですかねえ。
『すなわち、感染症の流行が続くもとで、金融面から重要になるのは、感染症の影響を受けた企業等が、資金繰り面から困難に陥ることを防ぎ、将来、感染症の影響が収束していく局面で、速やかに事業を再開していく環境を整えることです。企業等の資金繰り支援はこうした観点から必要な対応です。』
というのは分かるのですが、当然ながら企業ちゃんというのは赤字垂れ流していても資金繰りさえ回ればお父さんにはならないという仕様になっておりますので、味噌も糞も資金繰り支援をしておりますと、本来ならば金融機関の与信審査機能でも金融市場の市場機能でもよいですけど、そういうのがワークして赤字垂れ流しで回復の見込みもないお方はご退場賜ることになるのですけれども、そらまあ何でも資金繰り支援しだすとそういうのもワークしなくなるわけですよ。
とは言いましても、まあこのコロナショックみたいな時にそこを一々選別している場合では無いのですから、一時的には味噌も糞も支援する結果になるのはこれはまあ政策の受忍すべきコストである、というのも分かりますので、そらまあ大規模資金繰り支援をするのは結構なのですけれども、問題はそれをノーズロで継続して何でもかんでも支援していくと、それは震災手形の二の舞という奴になりますよって、このコロナ対策支援なんちゃらかんちゃらというのは、引き時をどうするのかというのが政策の肝になるはずなんですね、然るに、ちょっと途中をぶっ飛ばしてこの章の最後を見ますと・・・・・・・・・
『もっとも、先行き、景気の改善が緩やかなもとでは、当面、企業金融へのストレスはかかり続けるとみられます。また、内外の金融市場の不安定化につながりかねない要因として、感染症の状況を含め、様々な不確実性があります。従って、引き続き、「3つの柱」による現在の金融緩和措置をしっかりと実施していくことが重要と考えています。そのうえで、感染症の経済・金融面への影響には大きな不確実性があることから、日本銀行としては、当面、感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じていく方針です。また、「特別プログラム」は、2021
年3月末までの時限的な措置としていますが、今後の感染症の影響等を踏まえ、必要と判断すれば、期限を延長する考えです。』
となっておりまして、まあ(財政の方もそうですが)コロナで不確実というのをこれ幸いとばかりに財政金融垂れ流し政策を何の検証もなく継続されますと、それはまたぞろ「3つの過剰」(って懐かしいな聞いたことない若人の方が多いかも)みたいなものからの究極的には経済の成長力を引き下げることになるんですがこれが、という所なんですが、まあそんな見地の話を今の政府日銀がやるとも思えない(政策委員会の中だったら櫻井さんと鈴木さんがしてくれそうな気がしたんですが、櫻井さんは退任を前に急にポンコツ連隊長になってしまったので鈴木さんに期待したいけどどうかなあ)ので、こういう感じになるのは想定の範囲内ではあるのですが、早い所ワクチン活躍してこの辺りの白黒つけて貰いましょうという感じっすな。
・ちょっと待て何で臨時措置の政策効果のグラフがそれになる
さてこの金融政策の話ですが、現在の政策が効果を発揮しておりますという説明が今引用して途中すっ飛ばした所にありまして本文7ページ(PDFファイルの8枚目)。
『現在の強力な金融緩和措置は、政府の施策や金融機関の取り組みとも相俟って、効果を発揮しています。内外の金融市場は、依然、神経質な状況ですが、ひと頃の緊張は緩和しています。企業の資金繰りには、なお厳しさがみられますが、悪化には歯止めがかかっています。銀行借入やCP・社債発行といった外部資金の調達環境が緩和的な状態を維持していることが、企業等の資金繰りを支えています(図表
11)。資金調達コストは低水準で推移しています。また、銀行貸出残高の前年比は6%程度と、約
30 年ぶりの高い伸びとなっており、CP・社債合計の発行残高の前年比も、10%を超える高めの伸びが続いています。』
と説明を見ていると何の変哲もない説明に見えるのですが、この図表11というのがPDFの18枚目(と言っても最後のはスライドを連続してPDFにしているのでページの切れ目が良く分からんと思う)なのですが、『金融環境』ってお題になっているのは良いんだが、何で2009年からの長期時系列を出しているのかと小一時間問い詰めたい訳でして、そら2009年だとリーマンショックの年だから年の頭の政策金利は0.5%なのでそこから長期時系列取ったら左のグラフの『資金調達コスト』は下がるわと思いますが。
つーかそれよりも今回の政策効果の話をするんだったら、せめて直近2年間位の推移にしておくとかしてくれないと、10年超の時系列取られると直近の政策での効果(確かにCP金利とか今般コロナショックで一旦上がったのが下がったりしている図が見えるのだがこのグラフでは分かりにくいじゃろ)が分からんぞなもしという風に思うんだがナンジャコリャ状態。
あと、ちょっとクソ細かく確認していないのですが、この資金調達コストの部分、銀行貸出金利の数字がフローベース(新規約定金利)なのかストックベースなのかが微妙に謎なんですが(時系列データで新規/長期/国内銀行、ストック/長期/国内銀行の平均貸出金利を見ても一目良く分からん)グラフの注釈の方に新規なのかストックなのか書いてないの不親切設計ですぞ。
という細かい方はさておきましても、何かこの部分で長期時系列グラフをぶっこんで来るのは意味不明でした。
・肝心の地域金融機関支援うんたらかんたらの説明が・・・・・・・・・・・・
さて、本当は今回の講演で聞きたかったのは『4.地域金融強化のための新たな制度』のところなので、そこを章の頭から勇躍引用するのですが・・・・・・
『さて、今回、日本銀行の金融緩和措置や政府の資金繰り支援策が効果を発揮している大きな要因の一つとして、金融システムが全体として安定性を維持し、金融仲介機能が円滑に発揮されていることが挙げられます。この点は、金融面から実体経済への下押し圧力が高まったリーマン・ショック時との大きな違いです。リーマン・ショック以降、金融システムの頑健性を高める努力が続けられてきたなかで、金融機関が資本・流動性の両面で相応に強いストレス耐性を備えていることが効を奏しています。今後も、金融面からの下支え機能が発揮されると考えていますが、経済主体の課題が、流動性から支払い能力の問題にシフトしていく中で金融システムに影響を及ぼす可能性もありますので、今後の動向を注視していきたいと思います。』
これは寧ろ前の章の最後に入れてくれ。
『円滑な金融仲介機能という点に関連して、地域金融強化のための新たな制度についてお話しします(図表 12)。』
キタコレ!!!!!!!
『円滑な金融仲介機能は、経済の持続的な成長を実現するうえできわめて重要です。こうした認識のもと、日本銀行では、先般、地域金融機関が将来にわたり地域経済をしっかりと支え、金融仲介機能を円滑に発揮していくための経営基盤の強化に資する観点から、一定の要件を満たした地域金融機関に対し当座預金への追加的な付利を行う制度を導入する方針を決定しました。』
おうおうおう!!!!!
『これまでも申し上げたとおり、感染症は国内外の金融経済に大きな影響を及ぼしていますが、金融システムが全体として安定性を維持するもとで、金融機関は積極的に企業や家計の資金繰り支援を行い、わが国経済を支えています。もっとも、やや長い目でみると、低金利環境の長期化のほか、人口減少などの構造要因を背景に、国内預貸業務は収益性の低下が続いています。』
それはさっきも聞いた。
『地域金融は、こうした構造要因の影響を特に強く受けているほか、感染症の影響もあって一層厳しさを増しています。さらに、地域経済を取り巻く環境は、SDGsに対する社会的要請の高まり、デジタル・トランスフォーメーションや働き方改革の加速などにより、足もと大きく変化しつつあります。』
はい???
『こうした環境のもとで、地域経済が持続的に発展していくためには、それを支える地域金融機関の経営基盤の強化が一層重要になっています。もっとも、その具体的なあり方は、あくまで各金融機関の経営判断です。この点、経営統合も一つの選択肢ですが、単独で、あるいは、他業態とのアライアンスを組むことなどにより経営基盤の強化を進めていくこともあり得ます。本制度でも、収益力強化と経費削減の双方を考慮できる指標の改善を主な要件としているところです。』
はい??????
『大事なことは、感染症の影響など、経営環境が厳しさを増すもとで、地域金融機関が、経営基盤の強化を着実に進めながら、将来にわたって地域経済をしっかりと支えていくことです。』
はあそうですか。
『以上の認識も踏まえ、この度、本制度を導入する方針を決定しました。』
おいwww
『日本銀行としては、本制度が多くの地域金融機関に利用され、地域経済を支える取り組みを後押しするものとなることを期待しています。』
ということでこの章は終わってしまいまして、結局のところ何も説明していないのと同じという実に残念な結果になっております。何でOHRや経費率を使ったのか、何で特別付利をするのか、それがどのような効果を期待しているか、とかそういう説明は全部すっ飛ばして一般論でおしマイケルという事で片付けられてしまいましたとさ、ナムナムナム。
2020/12/02
お題「パウエル議長議会証言/LIBORェ・・・・/短国買入増額とな」
ほうほう年齢と基礎疾患の有無で足切りときましたな。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201202/k10012741461000.html
Go To東京発着「利用自粛呼びかけ」 都は事業者等に協力要請へ
2020年12月2日 4時54分
『また、自粛を求める対象に基礎疾患のある人が含まれていることについて、旅行会社の担当者は「客の個人情報に入りこむことなので、事業者が確認するのはハードルが高い」と話し、旅行会社が確認する場合には手続きを定めたガイドラインが必要だと訴えていました。』(上記URL先より)
確かに基礎疾患云々ってそれ個人情報の中でも要配慮個人情報(金融機関向けのガイドラインだとセンシティブ情報っすかね)になるような気が思いっきりしますわな。
さてここで原点に立ち返ってこちらの予算措置時点での能書きを再確認しましょう。
https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2020/sy020407/hosei020420b.pdf
令和2年度補正予算(第1号)の概要
2ページ目に『“Go To”キャンペーン事業(仮称)〔16,794億円〕』というのがありますが、よくよく見ますとその事業のカテゴリーが『(3)次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復』となっておりますが、この理屈からすると「次の段階」というのは第〇波っていってる間は該当しなくてその時期になるとストップするのは自明、みたいな気が全力でするんですけれども(個人の感想です)、だから「第三波ですか」とか質問されても回答をしないんですねガースーさんは。
〇パウエル議長議会証言ですが「金融政策は今の状況を引っ張るだけ」というスタンスの確認はできたかな
https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/powell20201201a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/files/powell20201201a.pdf
December 01, 2020
Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act
Chair Jerome H. Powell
Before the Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs, U.S. Senate, Washington, D.C.
エンバーゴが昨日の午後4時半(日本の朝6時半)だったのですがその時間から新ネタを読むのはちょっと勘弁ちゃんでござりまする。つーことでご案内とは思いますが拝読。冒頭はご挨拶とかいつもの話(ワシらは経済の為にどうたらこうたら的な話)なのでパスして本論っぽい所から。
・経済の見方は慎重だが別に先行きが暗いとも思っていなさそう
4パラ目からスタートします。
『Economic activity has continued to recover from its depressed second-quarter
level. The reopening of the economy led to a rapid rebound in activity,
and real gross domestic product, or GDP, rose at an annual rate of 33 percent
in the third quarter. In recent months, however, the pace of improvement
has moderated.』
4−6の経済の盛大な落ち込みから7−9は年率33%の急回復をしたけれども、ここ数カ月の改善ペースはモデレートになっている。
『Household spending on goods, especially durable goods, has been strong
and has moved above its pre-pandemic level. In contrast, spending on services
remains low largely because of ongoing weakness in sectors that typically
require people to gather closely, including travel and hospitality.』
家計消費を見ると特に耐久財消費が強くて、パンデミック前の水準よりも強く推移する一方で、対面サービスや旅行などの感染症直撃業態への消費はあばばばばーのままである。
『The overall rebound in household spending is due, in part, to federal
stimulus payments and expanded unemployment benefits, which provided essential
support to many families and individuals.』
家計消費の全般的なリバウンドを支えた要因の一つとしては、政府による財政支出拡大と、失業保険給付の拡大があり、これが多くの家計や個人に対してエッセンシャルなサポートになりました。
・・・・・・まあパウエルとしてはコロナ追加予算を出して経済の下支えをして欲しいし、相手が議会上院だから政府の施策の効果ですよってのを前面に出してくるのは理の当然という感じは勿論するのですが、ここでどこかの立派な機械なのに操縦士がポンコツな中央銀行の場合は「景気回復はワシも育てた」とかアピールを始めちゃうだろうなあと考えてしまうと味わいがある。
でもってその次に労働市場の話を開始する。ここのパラグラフが妙に長いから丁寧に状況を説明しているのかと思ったらまあ丁寧ちゃあ丁寧だがその方向性がちと別のレベルの丁寧さです。
『In the labor market, more than half of the 22 million jobs that were
lost in March and April have been regained, as many people were able to
return to work. As with overall economic activity, the pace of improvement
in the labor market has moderated.』
マクロ的には威勢よく改善しているものの・・・・・・・
『Although we welcome this progress, we will not lose sight of the millions
of Americans who remain out of work. The economic downturn has not fallen
equally on all Americans, and those least able to shoulder the burden have
been hardest hit. In particular, the high level of joblessness has been
especially severe for lower-wage workers in the services sector, for women,
and for African Americans and Hispanics. The economic dislocation has upended
many lives and created great uncertainty about the future.』
丁寧になってるのはこの部分のせい。まあこれ自体は皆様何度も見ておられると思いますのでいつものアレという奴でございますが、社会的に弱い立場のカテゴリーに居る人達には労働市場回復の恩恵が回ってきていない、という話で、パウエルさんになってからこのインクルージョンの話をよくするようになっていまして、当初はトランプ対策で叩かれにくくするためにポリティカリーにコレクトな話をついでにぶっこんで置くのが良いとの判断でもあるのか、とか思ったのですが、どう見てもトランプが死に体になっている現状でもこの話を懇々と行うというのは、SDGs的なインクルージョンを考えているのか、それとも単に緩和を引っ張りたいからマクロの数字の改善だけでは良しとしないという言い方になっているのか、うーんどうなんでしょうかね。
まあただ一つ思うのは、労働需給のギャップに対する物価の反応が上にも下にもお地蔵さんになっているという現状の経済の姿を勘案した場合、従来なら即インフレになった労働需給の改善し過ぎ(というか逼迫というか)状況を放置していてもインフレにならないんだったら、別に労働需給が盛大に逼迫するまで放置しても大丈夫だし、その方が皆さんハッピーでしょ、というのが背景にあると思うので、まあよくこの部分が「労働市場を重視」って評されるのですけど、物価が反応しないから労働需給のギャップは不足に多少振れても(振れ過ぎると今度は企業方面から苦情が来る)別に問題ない、という認識となっている、というだけのことであって、何らかのスイッチが入ってまた労働需給と物価がビビットに反応するようになったら、完全雇用状態を待たずして緩和政策の正常化に着手するようになると思うんで、あくまでもマンデートは物価の方に軸足を置いてる、とアタクシは解釈しているんですがイマイチこの理屈ウケませんな(別にこの辺の話題でウケを取る気はないのですけど、笑)。
『As we have emphasized throughout the pandemic, the outlook for the economy
is extraordinarily uncertain and will depend, in large part, on the success
of efforts to keep the virus in check.』
でまあこの部分から先の辺りがヘッドラインになっていましたが、先行き経済はパンデミックの状況次第なので不確実にも程があるよ、ウィルス対策の進展に掛かっていますね、と来まして、
『The rise in new COVID-19 cases, both here and abroad, is concerning and
could prove challenging for the next few months.』
内外での最近のコロナ絶賛拡大は懸念事項で、the next few monthsにおける困難な課題である、とまあ少なくとも年内とか来年の1Q位まではアカンじゃろ的な見方が来ました。
『A full economic recovery is unlikely until people are confident that
it is safe to reengage in a broad range of activities.』
そらそうよという感じですが、A full economic recoveryは人々が多くの活動をしても大丈夫、と安心するまでは無理でしょとのことですが、米国様におかれましてはロックダウン的な措置はバシバシと行われている一方で、ちょっとソースが咄嗟に見つからないのですが、ファウチ博士が感謝祭休日で米国人が盛大に動いていたことに対して激おこぷんぷん丸だったとかいうニュースを見たりしておりますと、アタクシ雨人じゃないからさっぱり分からんのですが、感染は拡大しているけど引き続きヒャッハーとお出掛けはしているとか、そういう感じなんですかねえ何だか良く分からん。
というかですな、ワクチン接種開始→よーしパパもうコロナに掛かる心配がないそ→ヒャッハーからの結局感染、みたいなトンチキな事になる(まあ重症化を抑制すればエエ話ではあるのかなとは思いますけれども)ような気もします。と申しますのは急に私的な話になりますが、何を隠そう不肖このアタクシはインフル予防接種を再開した時(10年近く前)、「これでインフルに罹らないぜヒャッハー」となっていたらきっちりとインフルに罹った(ただし高熱は出ず)というつうこんのいちげきを食らったというプレイをやったもんで、雨人もやるかな〜って思っただけの話ですけどね。
与太話はさて置いてその次のパラグラフ。
『Recent news on the vaccine front is very positive for the medium term.
For now, significant challenges and uncertainties remain, including timing,
production and distribution, and efficacy across different groups.』
ワクチン開発に関する話が来ました。
『It remains difficult to assess the timing and scope of the economic implications
of these developments with any degree of confidence.』
でまあヘッドラインはここですかね、という感じですが、そらまあパウエルとしてもワクチン注射が始まったぜヒャッハーで大楽観という訳にも行かないし、そもそも論としてそういう威勢の良い話をしてしまいますと、ただでなくさえ株価とかのリスク資産がヒャッハーしている中なので、盛大におかわりをした分だけでも金融緩和を引くんチャイマスカという話からの金利(長期金利)上昇というのは、本当の本当に大丈夫そうならそら構わんでしょうけれども、今の段階でそれを食らうのはイクナイ、と判断してるんでしょうね。当たり前ちゃあ当たり前だが。
・・・・・ということで経済認識の部分はここでおしマイケルなのですが、慎重な見方をことさらに強調していますけれども、まあそこは先般の議事要旨と同様に「今の政策枠組みを当分は引っ張っていって様子を見て行きたいので、変に楽観的な言い方をして緩和縮小の思惑が出られると困る」という事を意味しているんじゃなかろうか、とアタクシは思います(個人の感想です)し、まあ逆に言えばお先真っ暗だと思っていたらもうちょっとこうエンカレッジングな話をして雰囲気をチアアップしようとするんジャマイカと思う訳で、先行きに関してそこまで悲観していないからこその慎重さ、とも言えそう、政策の説明部分がこの後にありますが明示的な追加緩和の話も無いし(個人の妄想です)。
・政策の説明部分はコロナお助け法の予算による施策という話を連呼するの巻
『The Federal Reserve's response has been guided by our mandate to promote
maximum employment and stable prices for the American people, along with
our responsibilities to promote the stability of the financial system.
We have been taking broad and forceful actions to more directly support
the flow of credit in the economy. Our actions, taken together, have helped
unlock almost $2 trillion of funding to support businesses large and small,
nonprofits, and state and local governments since April. This, in turn,
has helped keep organizations from shuttering and has put employers in
both a better position to keep workers on and to hire them back as the
economy continues to recover.』
ここからFEDの施策が〜という話になります。最初のパラグラフはまあいつものマクラみたいなもんです。
『These programs serve as a backstop to key credit markets and have helped
restore the flow of credit from private lenders through normal channels.』
これらのプログラムは「重要なクレジット市場のバックストップとして機能している」というのを毎度と同じですが説明している訳でして、バックストップどころかジャンジャン買い上げていやもういいです。
『We have deployed these lending powers to an unprecedented extent. Our
emergency lending powers require the approval of the Treasury and are available
only in very unusual circumstances, such as those we find ourselves in
today. Many of these programs have been supported by funding from the Coronavirus
Aid, Relief, and Economic Security Act (CARES Act), and I have included
detailed information about those facilities in my written testimony.』
これまたいつもと同じで、ワシらの施策は議会様が決定されたCARES Actに伴う予算措置によって財務省様から与えられたバジェットをパワーの源にしておりますので、という説明をしていて、議会様相手にさすがに露骨には言えないんでしょうが、「だからおまいら追加予算通せや」というアピールでしょうな(個人の妄想です)。
『The CARES Act assigns sole authority over its funds to the Treasury Secretary,
subject to the statute's specified limits. The Secretary has indicated
that these limits do not permit the CARES Act-funded facilities to make
new loans or purchase new assets after December 31 of this year. Accordingly,
the Federal Reserve will return the unused portion of funds allocated to
the lending programs that are backstopped by the CARES Act in connection
with their termination at the end of this year.』
この前ムニューシンのイヤガラセを食らった件も含めて期限とかの話。
『As the Secretary noted in his letter, non-CARES Act funds in the Exchange
Stabilization Fund are available to support emergency lending facilities
if they are needed.』
Exchange Stabilization FundはCARES Actとは別もんなのでまだ続きまっせ。
『Everything the Fed does is in service to our public mission. We are committed
to using our full range of tools to support the economy and to help assure
that the recovery from this difficult period will be as robust as possible
on behalf of communities, families, and businesses across the country.』
とありまして、ここが締め台詞なのですが、ここを見ますと「using our full
range of tools to support the economy」とは言うものの、必要ならば追加緩和(キリッ)みたいな話は避けて通っていまして、
まあFEDとしては財政の方でサポートをしてくれやという財政方面に丸投げスタンスになっておりますぞな、というのは把握しましたし、まあイエレンさんが財務長官やるし、元々民主党は財政出す方(共和党は締める方だったのでトランプが外れ値)なので、金融政策に過剰な負荷をかけてくるとは踏んでいないんでしょうかね、よー知らんけど・
『Thank you. I look forward to your questions.』
とあって、この後に『Summary of Section 13(3) Facilities Using CARES Act
Funding』ってのがありますが、こちらは実績報告になります。
〇LIBORェ・・・・・・・・・・
さて昨日は日銀ちゃんから出てきた指標金利改革の話をヒーヒー言いながら鑑賞しましたが、なんとこんなニュースが。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-11-30/QKM4ERT0AFBD01
ドルLIBORの一部、終了時期の1年半先延ばしを検討
William Shaw、Liz McCormick、Craig Torres
2020年12月1日 0:12 JST 更新日時 2020年12月1日 7:03 JST
ちょwwwwwwおまwwwwwwwww
『ドル建てロンドン銀行間取引金利(LIBOR)を管理するICEベンチマーク・アドミニストレーションは、指標金利として重視される3カ月物などドルLIBORの一部について、終了時期を1年半先延ばしすることを検討している。』
『ICEベンチマークは30日の発表文書で、3カ月物と6カ月物、12カ月物のドルLIBORを2023年6月末まで存続させる計画を検討しているとした。今回の発表は翌日物LIBORの終了延期にも道を開くものとなっている。こうした動きについての観測が強まったことで、ユーロドル先物の取引は活発になった。』(上記URL先より)
おいこらちょっと待てwwwwwwwwということで上記URL先の記事にリンクが張ってあるので踏んでみるとこうなった。なおURLがあり得ないほどクソ長いので、画面表示がおかしくなるとアカンのでハイパーリンクは最初の所までにしておく。
https://ir.theice.com/press/news-details/2020/ICE-Benchmark-Administration-to-Consult-on-Its-Intention-to-Cease-the-Publication-of-One-Week-and-Two-Month-USD-LIBOR-Settings-at-End-December-2021-and-the-Remaining-USD-LIBOR-Settings-at-End-June-2023/default.aspx
ICE Benchmark Administration to Consult on Its Intention to Cease the Publication of
One Week and Two Month USD LIBOR Settings at End-December 2021, and the
Remaining USD LIBOR Settings at End-June 2023
『LONDON--(BUSINESS WIRE)-- Intercontinental Exchange, Inc. (NYSE:ICE),
a leading operator of global exchanges and clearing houses and provider
of mortgage technology, data and listings services, announces that ICE
Benchmark Administration Limited (IBA) will consult on its intention to
cease the publication of the one week and two month USD LIBOR settings
immediately following the LIBOR publication on December 31, 2021, and the
remaining USD LIBOR settings immediately following the LIBOR publication
on June 30, 2023. This follows the announcement on November 18, 2020, that
IBA would consult on its intention to cease the publication of all GBP,
EUR, CHF and JPY LIBOR settings immediately following the LIBOR publication
on December 31, 2021.』
他通貨は2021年末で終わりにするけどUSDは一部を廃止するけど継続もするとな、という感じでございまして、なんか事の経緯にあんまり詳しくないので貼っておくだけにしておきますが、何ちゅうかこうさすが欧米人というか、そもそもこの手の改革物件が出てきたときに日本だけクソ真面目に杓子定規対応で完全対応しようとする間に、本来の本家本元の方が色々な骨抜き的回避策を出してくる、というのは本件以外でも見たことがあったような無かったような、というお話でありまして、いやまあそういうインチキ対応をしろとまでは言いませんけれども、結局改革云々言ってる連中って最初無茶ぶり(FSBが当初「短期の指標金利はトレーダブルレートじゃないと罷りならん」とか無茶言うなよというのを押し通して来てたりしましたよね〜)をする割にはいきなり梯子外しみたいな事をしてくる訳でして、もうちょっとこうしたたか(意味深)な対応というのも考えてもエエンチャウノとは物凄い勢いで個人の妄想の世界でありますので話10分の1くらいでお願いしたいのですが、まあ何だかな〜というニュースでございました。
〇動かない相場の中で短国買入ェ・・・・・・・・・・・・・・(メモ)
昨日のこれはウケた。
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of201201.htm
国庫短期証券買入 30,000 2020年12月2日
まあ先週やたらと短国がヘロヘロだったので増額したんでしょうけれども、その前の週が3、6、12の揃い踏み入札週の後で2.5兆の買入で今週は3だけの週の後で3兆円というのが何ともアクティブと申しますか、中長期の輪番は全然動かんのに対して短い所はイールドも動くし日銀も動くという感じでしょうか、よくわかりません><;
2020/12/01
お題「指標金利改革関連またペーパー来ました/グローバル企業の資金繰り分析に関する日銀レビューから」
ガースーさんって一度出したものを引っ込めるのが下手っぴ過ぎる。
https://this.kiji.is/706038026406462561
GoToトラベル感染主因、証拠ないと首相
2020/11/30 16:02 (JST)11/30 16:20 (JST)updated
コピーライト一般社団法人共同通信社
どうしても一旦止めたくないというのは伝わって参りますが、主因じゃなければセーフとかいうのは公衆衛生政策的にどうなのかと思うし、フェイルセーフの考えで行くもんジャマイカと、つーかおまいら前こんな話してたじゃん。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200421/k10012397941000.html
緊急事態宣言から2週間 接触8割減へ一層の協力求める 首相
2020年4月21日 10時54分
緊急事態宣言での接触8割減は経済とのバランスで過剰だったので是正しました、みたいなレビューでもあったのなら兎も角、あれはあれで正しい処置で、っていう感じで「間違えたら死ぬ病」をやっているからドンドン話がグダグダになってくるんですが、そういえば日本銀行とかいう所でやっている金融政策も「間違えたら死ぬ病」に基づき(以下割愛)。
〇指標金利改革キタコレ
この前FSBの紙が出ていましたが日銀ちゃんから昨日は膨大な紙が。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel201130c.htm/
「日本円金利指標の適切な選択と利用等に関する市中協議(第2回)」の取りまとめ結果の公表について(日本円金利指標に関する検討委員会)
2020年11月30日
日本銀行金融市場局
『「日本円金利指標に関する検討委員会」(事務局:日本銀行)は、本日、「「日本円金利指標の適切な選択と利用等に関する市中協議(第2回)」取りまとめ報告書
[PDF 613KB] 」を公表しましたので、お知らせします。』
キタコレ。
『「金利指標改革」は、2014年以降、金融安定理事会(FSB)の提言をもとに、金融商品・取引の性質に応じた適切な金利指標の使い分けの実現を目的に進められてきました。しかしながら、LIBORが2021年末をもって恒久的に公表停止されるリスクが高まっていることから、最近では、LIBORの公表停止に備えた対応を中心に検討が進められています。』
はい。
『こうしたなか、「日本円金利指標に関する検討委員会」は、円LIBORを参照するキャッシュ商品におけるフォールバック時の具体的な取り扱い等に関する意見を幅広い関係者から募集するため、「日本円金利指標の適切な選択と利用等に関する市中協議(第2回)」
[PDF 859KB] を公表し、2020年8月7日から9月30日まで意見を募集しました。』
『第2回市中協議には、金融機関・機関投資家・事業法人等、幅広い業種から意見が寄せられました。本報告書は、これらの意見をもとに、市中協議の結果を取りまとめたものです。関連資料を含む詳細につきましては、「日本円金利指標に関する検討委員会」をご覧ください。』
ということで報告書ちゃんはこちら。
https://www.boj.or.jp/paym/market/jpy_cmte/cmt201130b.pdf
「日本円金利指標の適切な選択と利用等に関する市中協議(第2回)」取りまとめ報告書
『「日本円金利指標に関する検討委員会」(以下「検討委員会」)は、円LIBORを参照するキャッシュ商品におけるフォールバック時の具体的な取り扱い等に関する意見を幅広い関係者から募集するため、「日本円金利指標の適切な選択と利用等に関する市中協議(第2回)」(以下「第2回市中協議文書」)1を公表し、2020年8月7日から9月30日まで意見を募集しました。本報告書では、第2回市中協議文書に対して寄せられた意見をもとに、市中協議の結果を報告しています。このほか、フォールバック・レートとしてTIBORを選択した際のスプレッド調整手法についての検討結果などを示しています。』
ということで始まり始まり。
『2. 市中協議の結果』ですが今回の主なネタはフォールバックレートの話みたいですな。でもって最初に貸出が来て次が債券になるんですね。
のですが、まあ意見出さなかったアタクシが言うのも非常に心苦しいのですが、そもそも論として「間に合わなかった場合のフェイルセーフ」というのが省政令で行けるのかどうか分からんのですが、確か本家の英国でもLIBOR廃止に関わる市中の手続きが間に合わなかった場合にどうする(銀行に無理矢理LIBORを出させるがそれは以前のLIBORとは責任範囲違いますがな、でしたっけちゃんと確認していない(毎度この話の度に確認しておけば良かったと後悔する)のですけど)的な法令だか何だかをしらっと作っていたような気がするんですが、何故か知らんがジャパンの場合はこの手の制度改革をやると、その瞬間に必ず新しいものに変換され、ヘッジあるいはフェイルセーフのために制度改正をする前の状況を残しておこうという話にならん、というのがザパニーズクオリティ。
まあ「間に合わない場合の逃げ道を作っておくとそれに頼って制度改革が遅れるから間に合わない場合を想定しないで制度設計をする」という気概は良く分かるし、まあ逃げ道残しておくと面倒だから逃げ道条項を使って以前のままでやっちまうよーというぐうたら二等兵が続出すると思うから確かにそうなんですけど、フェイルセーフは甘えみたいな風潮は何とかならんのかと。
でもってフォールバックレートですが、
『貸出のフォールバック・レートは、以下のウォーターフォール構造とすること。
第1順位 ターム物リスク・フリー・レート
第2順位 O/N RFR 複利(後決め)
第3順位 貸付人が、〔関連監督当局等による推奨内容又は市場慣行を適切に考慮したうえで〕適当と認め、借入人に通知するレート』
うーんこの第3順位、と思うが案の定コメントが。
『市中協議の結果、検討委員会の上記推奨内容に賛同する先が大多数を占めました(図表2−2)。』
『一方で、反対した先からは、@第3順位について、公平性の観点から、貸付人と借入人の双方の合意を前提とするべきとの意見6、A現行の事務・システムとの親和性の観点等から、TIBOR
をウォーターフォール構造に含むべきであるとの意見が寄せられたほか、B指標算出の透明性の観点から、O/N
RFR 複利(後決め)を第1順位とするべきとの意見もみられました。』
@はまあ分かる。脚注では
『6 上記推奨内容は、第3順位のフォールバック・レートの決定にあたって、借入人に異議権を与えることを妨げるものでありません。もっとも、その場合、ウォーターフォール構造の最後まで至ってもフォールバック・レートが決定されないリスクがある点には留意が必要です。』
ってあるんですが、これワイが借入人だったら、「日銀は「決まらんから貸付人が決めて良い」というとは何という金融機関寄りの発言をしやがる」とムキーっとなると思うんですけど。まあ最後の最後の手段じゃないですかねえこの方式って。
まあ3順位までしか作らないならこうなるのかとは思うのですが、債券の方は5順位まで用意しているのに、貸出は何故かこの3順位目に必殺項目をぶっこんでしまって終わりにしているのって何ででしたっけ。
債券が5段階あるのは、話のレベルが違うかも知れんけど時価算出とかその手の時にプライスヒエラルキーって5段階くらいまでは作っておくもんだと思うので、なんとなく既存のシステムとの親和性が高そうに思えるのですが、貸出の場合は5順位までヒエラルキー作ってシステム組むの死ねるとかそういう事もあるのかも知れないので素人はうっかり口を出さない事にしておきます。
Aも話としては分かる、というか今回はTIBORからのみなし変換式の話も市中協議文書の中にあるという親切設計で、本来だったら既にビンテージのあるTIBORを(特に貸出については)後継金利にした方が頑健性高いと思うんですが、債券と別ではアカンのかな。
Bも言いたいことは物凄く分かるというか、ONRFR複利後決めを海外とか使う方向じゃなかったっけ。
『なお、賛同した先からも、ターム物リスク・フリー・レートの頑健性向上に向けた取り組みの重要性を指摘する意見や、O/NRFR
複利(後決め)への対応に伴う負担を懸念する意見が寄せられました。』
後決めの問題点は後決めなので困るということですな(禅問答)。
『債券のフォールバック・レートは、以下のウォーターフォール構造とすること。
第1順位 ターム物リスク・フリー・レート
第2順位 O/N RFR 複利(後決め)
第3順位 当局関連委員会※により推奨された指標
(※)「中央銀行ないし関連監督当局が推奨ないし事務局を務める委員会」を指します。
第4順位 代替されるべき指標のフォールバック・レートとして ISDA 定義集が定めるもの
第5順位 発行体等が選定する指標』
なるほどと思ったがこれでは3順位以下がシステムにどうやって乗せるのとか思ったが、基準金利の所を緊急事態の時には手で入れるようにすれば良いのか、よーわからん。
『債券のフォールバック・レートについては、ほとんどの先が、現行の事務・システムとの親和性や海外検討体での検討との平仄の観点から、検討委員会の推奨内容に賛同しました。』
海外との平仄だったらONRFR複利後決めの気がするがまあいいです。
『一方で、反対した先からは、指標算出の透明性の観点から、O/N RFR 複利(後決め)を第1順位とする意見が寄せられました。』
さっきと同じ人やな。
『なお、貸出の場合と同様に、賛同した先から、ターム物リスク・フリー・レートの頑健性向上に向けた取り組みの重要性を指摘する意見や、O/N
RFR 複利(後決め)への対応に伴う負担を懸念する意見が寄せられました(図表2−4)。』
なるほど。でもってスプレッド調整の話とかそこらへんは飛ばしまして、『(4)
ターム物リスク・フリー・レートの頑健性向上に向けた取り組み』ってのに参ります。
しかしまあ何ですな、別にどうでもいい話ではあるんですが、何で日本のRFRって「TORF」とかいう豆腐みたいな名前になったんですかねえ。豆腐だと直ぐに型崩れしちゃうんで頑健性を感じないんですけどもうちょっとこう頑丈なネーミングにならんかったのとか勝手なことを言う外野ですいませんすいません。
『第2回市中協議文書において、検討委員会では、ターム物リスク・フリー・レートの頑健性向上に向けて、その裏付け取引である日本円
OIS 取引の活性化に向けた取り組みが重要と整理しました。日本円 OIS 取引を活性化するうえで、市場参加者が取り組むべき課題等について、主として以下のような意見が寄せられました。』
・・・・・・え?そんなの「マイナス金利政策の解除」の一択じゃないの???と思ったのですが、というかここだけでも個人の資格(さすがに会社としては出すのはちょっと・・・・・)で「マイナス金利の解除と物価目標の達成」とか書いたらどうされただろうか、と思ったがまあ真面目な意見が。
『(i) O/N RFR 複利(後決め)を参照するキャッシュ商品の増加』
『OIS 取引はキャッシュ商品のヘッジ手段としての利用が想定されるため、O/N
RFR複利(後決め)を参照するキャッシュ商品を増加させることが、ヘッジニーズの拡大を通じて
OIS 取引の活性化につながるとの意見が寄せられました。これに関連し、O/NRFR
複利(後決め)を参照するキャッシュ商品の取引に向けた事務・システム面での更なる対応や、それをふまえたテストトレードの必要性を指摘する意見がありました。』
だって政策金利が動かないのにヘッジニーズも蜂の頭もないじゃろ、などと台無しな事を言ってはいけません。
『(ii) 市場参加者による OIS 取引の積極化
金融機関や事業法人を含めたより多くの市場参加者が、OIS 取引を行うための態勢整備をまずは進めるべきとの意見もみられました。
具体的には、金融機関(セルサイド)への期待として、事業法人等を含む幅広い顧客に対して、LIBOR
スワップの代替取引としての OIS 取引を積極的に提案すべきとの意見がありました。
一方で、顧客たる事業法人(バイサイド)の取り組みにも期待する意見がありました。すなわち、マーケットメイカーたるディーラーが気配値を呈示するだけでは、OIS市場の活性化には限界があるため、事業法人等を含む幅広い市場参加者が
OIS 市場に積極的に参加すべきとの意見がありました。この点、市場慣行の更なる整備などといった面で公的なサポートを求める意見もみられました。』
だって政策金利が動かないのに以下同文。
『(iii)気配値を呈示し易い環境の整備
OIS 取引の気配値を呈示するディーラーの環境整備に対する意見もみられました。具体的には、@ディーラーの呈示する気配値がターム物リスク・フリー・レートの水準に影響を与えうることから、その運営機関となることが想定される株式会社
QUICKを中心にガバナンス体制を整備し11、ターム物リスク・フリー・レート算出の透明性を確保していくこと、AOIS
取引とターム物リスク・フリー・レートを参照する取引の双方を行う場合などには、利益相反が潜在的に生じうること等から、金融監督当局が指針等によってディーラーの責任範囲を明確化することを要望する意見が寄せられました。』
何かこの項目、さらっと流されているのですが、いろいろとややこしい論点が伏在しているようにアタクシには読めるのでございますが、何ちゅうかこういうのを見ると、確かにONRFR複利の方がレジリアントだし透明性高そうな感じはするんですよね、翌日物のファンディング市場っていうのはさすがに最後の最後まで残る市場だと思いますので・・・・・・・・・・(正直前決めの方が事務負担は楽だが前決め後決めのタイムラグの問題があるのはこれも政策金利が動くようになると問題になるでしょうから難しい話ではありますな)
まあとりあえず関係各位におかれましてはお疲れ様というか、これからの方が本格的に疲れると思いますが、何にせよ究極的にはキメの問題なので、出来るだけ現状からの継続性を確保するのと、指標金利の頑健性を確保するのが先にあって、できればまあ指標金利改革の趣旨に則れば価格形成の透明性があるべきとかそういう話だということですかね。
以下色々と海外動向の話しやら今後の移行に向けた線表などもあったりしますが、まあとりあえずメモということで。
〇日銀レビューですがFSRで国内企業の話があったのに対してこちらはグローバル企業ですか
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2020/rev20j15.htm/
新型コロナウイルス感染症拡大のグローバルな企業債務への影響
2020年11月30日
国際局 赤穂憲夫、上田一希、長安誠也、乗政喜彦
えーっと結局ネタにしていないままスルーを続けている(要因にフォント問題があって下準備するのがめんどくさい、というぐうたら要因がありますサーセン)FSRでも今回感染症の国内企業への影響について超丁寧な分析をしているのがあって、FSRと言いつつ今回は金融機関よりもこっちの分析の方がメインじゃネーノ位の勢いの物件があるんですよね。
概要
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr201022b.pdf
だと「2.国内信用」とある部分で8ページ(PDFの9枚目)から16ページ(17枚目)まで。
本文
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr201022a.pdf
だと『W.金融システムのリスク・脆弱性』の『1.国内の信用リスク』で、ページで言うと35ページ(PDFの40枚目)から49ページ(54枚目)と、
『BOX2 感染症の拡大が企業の資金繰りに及ぼす影響:リーマンショック期との比較分析』
98〜100ページと、
『BOX4 企業の資金繰りを明示的に勘案したデフォルト率モデル』
104〜106ページ
になります、という豪華シリーズなのですが、こちらの謹製は金融機構局ちゃんでして、今回は国際局ちゃんの謹製レポートということになりまして、ボードメンバーの皆様がポンコツぶりを発揮しておられる中、このように分析をされておられるというのはスンバラシイ話(ガチで褒めてる)なのですが、まあ折角優秀なスーパーコンピューターがあっても使い方がポンコツだとポンコツなプロダクトが出てくる、という昭和温泉旅館金融政策とこの差よと思いながら眺めるのでありました。
ということで国際局謹製レポート、と言っても日銀レビューなので簡単版ではありますけれども、当然これが出てくる裏にはもっといろいろなリサーチがあるんでしょうなあと思いますですよ。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2020/data/rev20j15.pdf
新型コロナウイルス感染症拡大のグローバルな企業債務への影響
んでまあ最初のHTMLの所にもありましたが、こちらも最初にエグゼクティブサマリーがあるのでそこを引用します。
『新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、グローバルに企業の売上は大幅に減少している。本稿では、個別企業の財務データやアナリストの業績予想を利用し、売上の減少が企業の資金需要を高め、企業の債務水準にどのような影響を及ぼすか、分析を試みた。』
ほう。
『その結果、北米を中心に、対面型のサービス業などで、少なからぬ企業の有利子負債比率が高まるリスクがあることが示された。』
そらそうよ。
『これまでのところ、政府の支援に加え、中央銀行による迅速かつ強力な政策等もあって、国際金融市場は安定を維持しており、企業は必要な資金を調達できている。』
資金繰りが回れば目先はつぶれないけど赤字垂れ流していたらいずれ赤字補填資金が必要になるんですが。
『世界経済が緩やかな改善基調を辿るもとで、先行き企業の財務は緩やかに改善していくと見込まれるが、感染症の影響の収束まで時間を要する可能性があることを踏まえると、引き続き、その動向を注視していく必要がある。』
と思ったらそうは露骨に書きずらいのか、オブラートに包んだサマリーですな。という訳で本文を拝読などと思ったのですが、まあ手法的には基本的にFSRでのアプローチと似ていて、恐らくこういうアプローチをするのが基本分析なんだろうなあ(無知でサーセン)という話ですので、今日はパスしますというか、よく考えたらこっちをネタにしつつFSRの国内信用の部分をネタにすればよかったのかと書きながら今更しまったと思ったがそれ始めると時間が無いし、大体からして構想を練らないといけないので本日はご勘弁くださいということで一気に結論部分にワープします。レビューの4ページの右側下半分以降になります。
『(シミュレーション結果)
シミュレーション結果について、まず、企業の資金繰りへの影響をみると、2020
年末には、資金不足に陥る企業の割合は、北米では 40%近くとなるほか、新興国でも
20%程度となり、追加的な資金調達が必要となる企業が増加する可能性が示唆される(図表
7 上段)。』
アイヤー!!!
『次に、資金不足に陥った企業が、銀行借入・社債発行等の負債で資金を調達する場合について、有利子負債比率を試算する(図表
7 下段)。2020年末で資金不足となる企業に限定してみた場合、北米企業の有利子負債比率の中央値は、2019
年末時点の 30%弱から、小規模で収益性の低い企業の財務悪化を主因に、80%程度まで急上昇し、IMFの警戒水準で「高い」とされる閾値を上回る。』
Oh・・・・・・
『また、分布をみると、中央値でみれば「高い」警戒水準には至らないものの、欧州やアジア大洋州の新興国、その他新興国でも、「高い」警戒水準を超える有利子負債比率となる企業が相応に存在する。』
ほう。北米の方が凄いのか。
『こうしたシミュレーション結果は、売上減少に端を発した資金繰りの問題が、十分な政策対応が実施されなければ、ソルベンシーの問題に変遷するリスクがあることについて、引き続き警戒する必要があることを示している。』
ということですが資金繰り支援は出来るでしょうが収益の補填には限界があると思うんじゃが、そうなりますとゲフンゲフン。
『なお、ここで試算した有利子負債比率の前提としては、資金不足額を埋めるに当たって、売掛金や棚卸資産を一切現金化できないと想定しているが、実際には、それらの一部は現金化できる可能性もあるため、結果については幅をもって解釈する必要がある。』
でもサマリーの方では対面型のサービスが大変とか言ってたような気がしますがキニシナイ。
さて次がその肝心要のソルベンシーの話。
『(北米での業種別ソルベンシーの状況)
続いて、今回の感染症拡大による売上減少ショックが、業種別にみて不均一なストレスとして企業財務に影響している点を確認する。こうした業種別にみたショックの差異を捕捉可能な点が、個別企業の財務データを利用する利点の一つである。以下、有利子負債比率の水準が大幅に上昇し、「高い」警戒水準となった「北米」を対象に、業種毎の影響について掘り下げて分析する。』
でまあ業種別の話分析とかもFSRでもやっていましたが、こちらでも大体直感的にワシらが思うのと同じ結果です。
『今回の感染症拡大の経済への影響は、いわゆる対面型サービスの分野に強く表れている。これは、公衆衛生上の措置によって物理的に対面での商業活動に制限が課されたことや、感染症の拡大により家計マインドが慎重化し、個人消費にも影響を及ぼしたことによる6。』
『業種別にみたシミュレーション結果も、こうした経済への影響と整合的な形となっている。』
『すなわち、資金不足から有利子負債比率が大幅に高まる企業がとくに多い業種は、@移動制限の打撃を強く受ける「航空」、A対面を中心とした「消費者サービス(含むカジノ等の娯楽施設)」や「商業サービス」となっている(図表
8)。』
そらそうよ。
『このように、一部の業種で企業の資金繰りやソルベンシーについて一定の注視が必要であるとの点については、国際機関等による先行研究とも整合的な結果である7。』
次に『(新興国の企業債務を巡る留意点)』というのがあるのでオモロイと思い拝読。
『最後に、新興国の企業債務について付言する。今回のシミュレーションでは、北米対比でみれば有利子負債比率は低めにとどまっているが、グローバル金融危機以降、新興国の企業債務も増加してきた点には変わりはない。特に、新興国の企業部門では、ドルを中心とする外国通貨建てで、海外の投資家に対する債券発行や、海外の銀行からの借入れにより、ここもとの企業債務が増加してきている点が、先進国とは異なるリスクとして指摘されている(図表
9)。』
なるほど。
『すなわち、国際金融市場におけるストレスが高まる局面では、通貨価値下落や資本フロー逃避が発生すると、上記の企業部門の返済能力は著しく低下する点に留意する必要がある8。』
通貨危機からのアレですねわかります。
『さらに、新興国では、@先進国対比で政府の財政支援余力が小さく9、企業部門の資金繰りやソルベンシーの悪化に対する支援にも限界がある点、A感染症拡大以前から経常赤字や外貨準備の不足等への懸念が高まっている地域もみられる点、B固有の地政学的なリスクを抱える地域もみられる点などから、先進国とは違った、新興国固有のリスクについても留意する必要がある。』
ということで、結果としてはまあそうですねという話ではありますが、この辺を指摘しているのはなるほどと思いました。ということで結論項に参ります。『おわりに』って所で本文6ページ目の左下の方から。
『本稿では、感染症拡大に伴うショックが、企業部門の資金繰りやソルベンシーに及ぼす影響について、個別企業の財務データを用いて、シミュレーションを試みた。シミュレーションからは、感染症の拡大による売上減少が、対面型のサービス業を中心に、企業の財務動向に影響を及ぼしうることが示された。』
ちなみにさっき飛ばしてしまったがFSRでも個別企業の財務データを用いてシミュレーションしてます。
『以下、本稿の留意点について 3 点述べる。』
ほう。
『1 点目は、繰り返しになるが、これまでのところ、先進国の政府によるかつてない規模の財政支援もあって、財務が本シミュレーションで示したほどは、悪化していない企業も多いとみられることである。また、金融監督面等での施策や中央銀行による強力な金融緩和もあって、国際金融市場は安定を維持しており、感染症の影響で財務状況が悪化した企業も含め、これまでのところ、企業部門では必要な資金を、借入れや社債発行により十分に調達できている。』
『実際、マクロでみた貸出は前年比プラスが続いているほか、米欧を中心に社債の発行額も、4
月以降、既往ピークを超える水準で推移し続けている。』
『世界経済が持ち直しに転じるもとで、企業の売上や収益は改善に転じているとみられ、先行きも経済の改善基調が続けば、感染症による企業財務への下押し圧力も次第に薄れていく可能性が高い。』
最初の点は明るい留意点ですけど、経済の改善基調が続けば、というのがありましてこの伏線があっという間に回収されてしまうのがチャーミングなのですががが。
『2 点目は、本稿の分析は、データの制約から大企業に限られている点である。外食や小売、娯楽といった対面型サービスに属する業種では中小企業の占める比率が高く、こうした企業の財務状況も感染症拡大で大きな影響を受けていると考えられる。米国や欧州では、社債スプレッドが縮小傾向にあるなど、市場環境は引き続き緩和的であるが、中小企業向けを中心に銀行の貸出スタンスは慎重化してきており、その影響にも注視していく必要がある10(図表
10)。』
なるほど。でもって早速の伏線回収が来ます。
『3 点目は、本年秋口以降、米欧を中心に感染症が再拡大していることも踏まえると、先行きも、世界経済の動向を巡っては、不透明感が高い状況が続くと考えられる点である。』
あちゃー。
『さらに、こうした状況下、各国政府による企業支援策がどのように変わっていくのか、という点についても、不確実性が大きい点にも留意が必要である。』
おーのー。
『したがって、企業の資金繰りやソルベンシーについては、上記ファクターの影響も含め、先行きも丁寧に点検していくことが重要と考えられる。』
まあ色々とヤベー奴じゃん、ということですねわかります。
#何か今日も引用大会でしたなすいません