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2019/02/28

お題「月末ですな/片岡審議委員高松金懇挨拶より/クオールズ副議長のバランスシート正常化プラン論点整理講演より」

イイハナシダナー
https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-villeroy-idJPKCN1QG2PT?il=0
2019年2月28日 / 05:01
マイナス金利、悪影響の緩和方法で検討必要=仏中銀総裁

〇言われてみれば月末なのですが

昨日の輪番。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of190227.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,500 2019年2月28日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,000 2019年2月28日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,300 2019年2月28日

ということで毎度のように同額実施となりましたが、昨日は輪番ちと弱めだったし、GCレポレートが積み前半なのに妙に金利上昇の巻となるし、微妙に微妙ではあるのですが、まあ水準的に言いましてもFEDが当分動かんもんね状態になっているという米国金融当局スタンスから見てもオペ減額するのはありちゃああり、というよりは期末月のギリギリになってオペ減額とかされたら迷惑なので、3月後半で減らすくらいなら最初のうちに減らしてちょと思いますし、まあどうせなら10年入札の翌営業日の輪番ってのしらっと止めるとか(ってべき論としてはやるべきだがやらないですかねえ)。

10年減額してちょと思う訳ですけど(というかこのままだと4月から市中消化での新発供給以上の買入になってしまいますがな)、まあどうせ減額しても今の外部環境だと金利が上がる話が中々出てこないですからのうと思いますし、どうせこの前計算しましたように、量的拡大をするという建付けは残っている以上、減額余地って残りそんなに無かったりするので(10年で500減らしたら残りバケットで800減らすのがたぶん最大に減らせる額と思う)、まあ慌てなくても良いのかもしれませんけどバランス的には10年の所は何とかした方が良いのですよねえ・・・・・・・・。

というただのメモでした。


〇なるほど完璧な作戦っスねーっ、不可能だという点に目をつぶればよおー

という小見出しで昨日の何イベントをネタにしているのかはすぐにお分かりになると存じますが、もちろんこちらになります。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2019/ko190227a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2019/data/ko190227a1.pdf
【挨拶】わが国の経済・物価情勢と金融政策
香川県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 片岡 剛士 2019年2月27日

引用は(そっちの方が楽なので)HTML版の方から行います。


・経済の見通し部分は当然ながらやや弱め

一応理屈のベース部分は読まないとさすがにアレですので『2.経済・物価情勢』の『(2)わが国の経済情勢』の途中から行きます。

『わが国経済の先行きについて、図表4で、本年1月の展望レポートにおける政策委員の経済見通しの中央値をみますと、実質GDPは、2018年度と2019年度が+0.9%、2020年度は+1.0%の成長が見込まれています。もっとも、私自身は、これよりも緩やかな成長ペースを見込んでいます。具体的には、2018年度は、海外経済の不確実性が増す中で、経済の回復ペースは緩やかなものにとどまり、年度成長率はゼロ%台半ばになるとみています。』

『また、2019年度および2020年度は、ゼロ%台後半の成長率になると予想しています。2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響については、需要変動の平準化措置がとられることなどから、家計の負担は2014年度の引き上げ時と比較すると小さいと見込まれますが、2014年度以降の消費の拡大テンポがかなり緩慢であることや、昨年から消費者態度指数など家計のマインド指標が低下を続けている2ことが気がかりです(図表5)。また、先に述べた世界経済の不確実性の高まりが、外需の鈍化予想を通じて企業活動を一定程度制約すると考えられるため、消費税率引き上げ以降の経済の持ち直しは緩慢なペースになると考えています。』

ということで物価見通しになりますが。


・物価のモメンタムが無いのではという理屈に関してはアタクシも同感な部分があったりしまして

『(3)物価の現状と先行き』に参ります。

『続いて物価動向についてみていきます。本年1月の消費者物価指数の実績は、図表6左図のとおり、生鮮食品を除く総合で前年比+0.8%の上昇となりました。内訳をみると、エネルギー価格の寄与が+0.4%ポイントと大きく、需給動向を直接的に反映する生鮮食品およびエネルギーを除く総合では、前年比+0.4%の上昇にとどまっています。図表6右図では、消費者物価の基調的な変動を表すいくつかの指標を示していますが、いずれも弱めの動きが続いています。』

とは言いましても実は直近に関しては刈込平均とか価格上昇と下落の品目比率とか改善していたりしますがそれはさておき。

『物価の基調的な変動に影響を及ぼす指標としては、マクロの需給ギャップと中長期的な予想インフレ率の2つが重要です。』

という話をしていまして、いやそこで執行部の理屈に乗るなよと思うのですが、そのあとの方では別の話が出てきます。それはもうちょい後に。

『図表7左図にある需給ギャップは、資本・労働市場の改善を受けて需要超過の状況が続いていますが、2018年7〜9月期には、自然災害の影響もあり需要超過幅がやや縮小しました。また、予想インフレ率については、図表7右図にある通り、弱めの動きが続いているとみています。』

『これには、過去、長期間にわたってデフレが続いたことや、足もとの物価の動きが弱いことが作用しているほか、日本銀行が掲げる2%の「物価安定の目標3」の実現に対する信認が十分に強まっていないことも影響していると考えています。』

置物理論の一丁目一番地がワークしていないだけだという気もしますがまあそこもさておきまして、

『物価の先行きについてですが、本年1月の展望レポートにおける政策委員見通しの中央値は、消費税率引き上げと教育無償化政策の影響を除いた場合には4、2018年度+0.8%、2019年度+0.9%、2020年度+1.4%となっています(前掲図表4)。弱めの物価情勢を受けて見通しの引き下げが続いていますが、2%の物価目標に向けたモメンタム(勢い)は維持されているというのが日本銀行の見解です。しかし、私自身は、2%に向けて物価上昇率が高まる蓋然性は現時点では低く、モメンタムも強まってはいないと判断しており、1月の展望レポートにおける一部の記述に賛成しませんでした。こう考える理由は、大きく4つあります。』

ということでこの理由ですけれども・・・・・・・・・

『1つ目は、現状、需給ギャップの拡大が物価の上昇に効きにくくなっている可能性があることです5。』

ってなっていて、挨拶要旨だとこの説明が何故か脚注になっているというのは何なんでしょと思う訳でして、せっかくなんだから脚注にしないで本文に入れて説明すれば良いじゃんと思いますし、何なら思いっきりスライドで説明してほしいと思うのですが、何でこの大事なポイントを詳説しないんだと不思議でしょうがないのですけどまあ脚注を見ますと、

『5 2016年後半から2018年にかけて、日本銀行スタッフ推計の需給ギャップは、供給超過の水準から1%台半ば程度の需要超過の水準まで拡大していますが、この間、生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数の前年比は、0.3%前後で大きく変化していません。』

って思いっきりイイハナシダナーと申しますか、不肖このアタクシもこちらの駄文で申し上げておりましたとゆーのは皆さまもご記憶にあられるかと存じますが(と無駄にアピるアタクシ^^)、折角なのでMPMの後の1/24に書きました駄文を再掲しますと、

(以下2019/01/24のアタクシの駄文から)
http://www.boj.or.jp/research/research_data/gap/index.htm/
需給ギャップと潜在成長率

こちらのデータを見ますと、日銀様謹製の需給ギャップに関しては、2017年2Q(暦年だよ)にはその2四半期前からの展開で0.26%→0.58%→0.95%と上がって来まして、その後1%台の需給ギャップを維持(2018年3Qは災害の影響で下がっているけど1.24%)し続けている訳でして、実は1年以上にわたって「マクロ的な需給ギャップがプラスの状態が続くもとで」というのが続いている訳ですわ。

でもってですよ、GDP見通しの方を見ますと概ね潜在成長率からやや上程度なので別にここから需給ギャップのプラスが加速する訳でもなく、しかも実際の物価に関して言えば原油の影響出てくるからその分での下押し圧力がありまっせ、という話になっている訳ですので、適合的期待形成に必要な「物価が上がるから物価が上がる」が中々上手くワークしにくいという状況になっている訳ですよ。
(以上2019/01/24のアタクシの駄文から)

ってことでして、まあどうせ執行部の理屈だと「需給ギャップのプラスが実際の価格設定行動に反映するまでタイムラグがあるが、ヒアリングなどのベースでは企業の価格設定行動に変化の兆しもみられるのでいよいよこれからです」という話になるんですけどね。まあ実際に金懇の席上でどういう説明の仕方をしているのかは分からんので何とも申し上げようがないですが、脚注にとどめておいたのはもったいない。

『2つ目は、需給ギャップの拡大基調が続かない可能性があることです。需給ギャップの拡大基調がさらに強まっていけば、企業はコスト上昇や労働市場の引き締まりをより反映するかたちで商品価格や賃金を引き上げ、家計が値上げを許容する動きもより進むことが見込まれます。しかし、私は、先行きの経済動向を踏まえると、需給ギャップの拡大基調が、この先、逆に弱まる可能性も相応にあると考えています6。』

そらそうですな。ちなみに執行部ベースの経済見通しでも19年度20年度は+0.9%ですから、潜在成長率は上回るけれども、需給ギャップのプラスが威勢よく拡大するようなペースの見込みになっていないのですから、メインシナリオがちょっと変調になっただけでも需給ギャップの拡大が弱まる目はありますな。

『3つ目は、これら2点を踏まえると、適合的な期待形成を通じた予想インフレ率の上昇が、実際の物価上昇率を押し上げる、という経路にも当面期待できないことです。』

全くで。

『そして4つ目は、政策委員の物価見通しの下方修正に対して金融政策が現状維持とされる状況が続く中では、物価目標実現への信認が強まるとは考えにくいため、信認強化を背景とした予想インフレ率の上昇がけん引するかたちでの物価上昇を見通すことも困難であることです。』

理屈はその通り。


・実に完璧な理屈なのだが肝心の実現可能性を説得できないのでは空理空論というか竹林の清談というか

ということで『3.金融政策運営』になりますが、政策の説明部分はどうでも良くて片岡さんの意見の部分を読むわけなので途中から参ります。

『こうした政策手段のうち、私は、長短金利操作とコミットメントの2つに対して反対しました。長短金利操作については、できるだけ早期に物価目標を達成するという政府との「共同声明」で謳われた日本銀行の責務に鑑みますと、私は、物価目標と実際の物価上昇率に相応の距離がある現状では、金融緩和を強化することで、需給ギャップの需要超過幅を一段と拡大させるよう働きかけることが適当であり7、』

とありまして、脚注7ですが、

『7 具体的には、10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、金融緩和を強化することが必要と考えています。』

となっております。でもってその続きですが、、

『併せて、予想インフレ率に働きかけるかたちでコミットメントを強化することも必要であると判断しました8。』

の脚注8は、

『8 具体的には、中長期の予想インフレ率に関する現状評価が下方修正された場合には追加緩和手段を講じるとのコミットメントが必要であると考えています。』

となっています。

『さらに、経済・物価情勢に対する不確実性が強まる中で、デフレからの完全脱却を目指すうえでは、これらに加えて、財政・金融政策のさらなる連携を図る工夫を講じることで、市場や経済主体の期待や予想に働きかけていくことも重要であると考えました9。』

でもってこの脚注9は、

『9 わが国では、1990年代半ば以降、デフレが長期化する中で、物価が上昇しないことを前提とした経済活動が合理的となり、そうしたもとで企業や家計のマインドが形成されてきたと考えられます。こうしたインフレ予想のアンカー(碇)を失った状況のもとで、2%の物価目標を達成・安定化するためには、金融緩和の強化のみならず、財政政策との連携(ポリシーミックス)をより強化することも重要であると考えます。』

とまあそういう話をしていまして、理屈は全く持ってその通りなので、まさに「なるほど完璧な作戦っスねーっ、不可能だという点に目をつぶればよおー」状態な訳ですな。

まず最初の追加緩和ですが、そもそも10年超の国債金利を引き下げるとどうして需給ギャップのプラス幅が有意かつ大きめに(大きめじゃないと意味ないでしょ)拡大するのかという点についてのメカニズムをきちんと説明して頂きたい訳でして、さっきの需給ギャップの話をすれば、2017年の年前半くらいから需給ギャップの改善が順調になってきたのですが、マイナス金利政策をぶっこんで金利がハチャメチャに下がったのっていつでございましたっけ、とか、足元だって10年以上の幅広い金利がホイホイと低下しているのですから、その前の経済見通しが執行部よりも弱気ですってのは何ですねんという風に逆ねじを食わせることも可能というお話。

でもってコミットメントに関しても同様で、そのコミットメントを入れることによってインフレ期待が高まるというのを示さないといけませんし、大体からして追加緩和(または緩和の強化と称する何か)をやっていても効いていないのに、今回「中長期の予想インフレ率に関する現状評価が下方修正された場合には追加緩和手段を講じるとのコミットメント」を入れたら急に信認が強化されるというのも話に無理があり過ぎる。

まあそれに加えまして、先般ご案内のように、アベノミクスの理論的バックボーンであらされまして、世界標準の金融政策理論にお詳しいハマコー大先生様までが2%早期達成とか知らんがなと仰せになっておられるような有様で、何をどうすると物価目標早期達成に向けた期待が高まるのか小一時間問い詰めたい訳でございまして、片岡さんにおかれましてはちょっとハマコー先生の首根っこ捕まえにいって自己批判とか札ぶら下げさせるとコミットメントの強化に繋がるのではないでしょうか(棒読み)。

財政云々に関してはまあ財政の使い方次第だとは思いますけど、そもそもこれまでだって何度か財政をふるまってみたものの、2014年の消費増税前の財政刺激なんかにありますように、結局単発で終わっている訳でして、財政と金融というのは話としては美しいですが、ちゃんとエビデンスのある政策デザインしないと、単に政権周りがばらまいてヒャッハーで終了になるんじゃネーノという感じですな。


・長期化しないための追加緩和、という理屈は正しいですよね

ということでその続き。

『なお、私は、物価目標の達成まで粘り強く現在の金融緩和を続けるという政策運営方針に関しても異論をもっています。』

ほうほう。

『大胆な金融緩和のもとで、需給ギャップが拡大した状態が長期化することは、その後の景気循環や金融循環の振幅を大きくするリスクがあるほか10、金融緩和が長期化すれば、先行きの経済が様々な不確実性に直面する期間も長くなることから、物価目標達成の不確実性も増すことに留意する必要があります。』

その通りですな。

『また、長期化するほど、出口戦略の負荷が高まりますし、金融緩和の副作用も累積的に高まります。』

イイハナシダナーという感じでして、副作用はないとか言いきって世間を驚倒させた某ジンバブエ大先生とは人間の出来が違うという点では評価ができる、というか某ジンバブエ大先生の出来が人間に達して(以下の部分は内務省検閲により削除されました)。

『私は、副作用への配慮は、早期の物価目標達成により緩和の長期化を防ぐという軸に沿って検討すべきであると考えています。』

なるほど完璧な作戦っスねーっ、不可能だという点に目をつぶればよおー。

・・・・つーことでですよ、そもそも確実に早期達成できるような政策手段(ただしジンバブエ理論のようなものは除く)があるんだったらとっくの昔にそういう政策をやっている訳でして、これだけ散々色々やって結局のところ物価目標早期達成どころか相変わらずの有様、という時点で異次元緩和のベースになっている置物ドクトリンが大間違いのコンコンチキである、というのをまずは認めて、ではどうしたら良いのかという事を泥にまみれて苦心惨憺してこそ政策担当者な訳でして、物価目標早期達成をする手段を確実に提示できないのに、追加緩和だコミットメントだと、まあ綺麗に言ってしまえば竹林の清談やっているだけだろいい加減にしろという所ではございます。

まあ何で清談で許されるかといえば置物が何の恥じらいも無く任期を全うした挙句に恥知らずにもロイターインタビューのようにしゃしゃり出てくるというような状況なところに問題がある訳で、どうせこうなるのですから、黒田さん続投じゃなくて「消費増税前に命懸けで2%達成」と言っていた本田悦郎大先生に総裁になっていただいて、そろそろリアルハラキリショーの準備ができますなあ、となってついでにリフレ派総勢も巻き添えにしてリアルハラキリショーでもマリアナ海溝ドラム缶片道クルーズツアーでも何でも良いのですが、とにかく政策担当者なのに清談ばっかりしてるとかいうのは西晋の王衍だけにしといてくれという感じではございますな。

とまあそんな金懇挨拶で結局アタクシも最後はいつも通りの悪態になるのでありましたとさ。


〇副議長講演ネタでとりあえず短い方の講演でクオールズ副議長のバランスシート話から

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/quarles20190222a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/files/quarles20190222a.pdf
February 22, 2019
The Future of the Federal Reserve's Balance Sheet
Vice Chairman for Supervision Randal K. Quarles
At the 2019 U.S. Monetary Policy Forum, sponsored by the Initiative on Global Markets at the University of Chicago Booth School of Business, New York, New York

・バランスシート話がここに来て重要な論点になりましたよとのっけからぶちかましキタコレ

『When I was asked to participate on this panel in the middle of last year, the prevailing metaphor regarding Federal Reserve balance sheet policy was "as boring as watching paint dry." Well, times have changed, and I commend the conference organizers for their foresight. Today I would like to discuss some of the recent decisions that the Federal Open Market Committee (FOMC) has made regarding the balance sheet and lay out a rough framework for some further issues that are on the horizon.1』

冒頭がいきなりこれで、昨年の半ばの時点ではオートパイロットなのでどうでも良いネタだったバランスシートの話がパネルセッションでお話する位のネタに昇格しましたぜということなのだが、実は「ところで何でそういうことになったの」というのは正直謎ですが、この前のFOMC議事要旨だったり、12月の会見とかを勘案するに、「バランスシート縮小は量的縮小」という(一部の)マーケットトークに対しまして、年末の株価大下げでパウエル(なのか執行部なのかは分からんけど)あたりがそのロジックを受け入れた結果、バランスシートランオフの停止に関してやたら早い時期にアナウンスすることになった、というところなのでしょうな。

12月の会見ではオートパイロットって言ってたくらいなので、その時点では今みたいなコンセンサスになっていなかったでしょうし、というか今日はネタにする時間が無いので後日ですけど、これ同じフォーラムの中で変態おじさんブラード総裁はバランスシート縮小の意味付けをそんなにするものではないというような話をおっぱじめておりまして、なんかこう暴れる株式市場を鎮静化させようとして量的引き締めというのに乗ってしまったという感じは思いっきりしますけどどうなんでしょうかね。

#でもって今度株式市場がホイホイ上がって昨年高値を抜いた時に何をしだすのかが楽しみな訳ですが

『In January, after much discussion, including in previous meetings, the FOMC announced its intent to continue operating in a framework of ample reserves.2 In this regime, active management of the reserve supply is not needed. The Federal Reserve controls the level of the federal funds rate and other short-term interest rates primarily through the use of administered rates, including the rate paid on reserve balances and the offered rate on overnight reverse repurchase agreements.』

『This regime is sometimes referred to as a floor system, because the administered rates place a floor under the rate at which banks and others will lend in the federal funds market. In adopting this framework, the Committee stated its intention to continue operating as it has for the past decade.』

つーことで今後はIOERとONRRPで制御しますということですが、RRPって当初はこれ永続的なファシリティにするという話では無かった筈なんですがしらっと変わっているような希ガス。まあいいけどさ。

『The announcement was an important step in our normalization process.』

今回のアナウンスはimportant stepなんですとよ。

『And we are now set up to make further decisions on the eventual size and composition of our balance sheet. Before providing more context on those decisions, let me first provide a little more detail around our decision to remain in the current framework of ample reserves.』

ということで今のフレームワークに関する説明が始まる。


・バランスシートの適正規模に関するお話:負債サイド編

『The most important factor in the decision was that the current system has worked very well.』

は良いのですが、アタクシ思うにIOER+RRPでの超過準備実質不胎化措置ってのは付利するんだからコストの掛かる話で、しかも超過準備を多めに残しておけばコストはその分余計にかかるんですけど、議会とか大丈夫なのかよ(金融機関に対する補助金云々という論点的に)とは思うのだが(株価が、って言えば黙るのかねえ)。

『It has supported the achievement of our dual-mandate objectives of maximum employment and price stability. And it has shown itself to be flexible and well suited to maintaining interest rate control through various changes in money markets, bank regulation, and the Federal Reserve's balance sheet. Since the FOMC began lifting interest rates in December 2015, money market rates have generally moved closely with the federal funds rate, which in turn has followed changes in administered rates.』

現行のフロアシステムの状態で金利コントロールできてまっせと。

『Now that the decision on the operating framework has been made, a natural next step is to contemplate the appropriate size of the Fed's balance sheet and reserves and the process for getting there.』

でもって次のステップは適正なバランスシート規模にすることですとな。

『In line with the requirements of operating with ample reserves--and boosted by the growth in nonreserve liabilities--the Fed will maintain a larger balance sheet and reserve supply relative to the pre-crisis period, with the goal of remaining on the flat portion of the reserve demand curve. I would note that reserves have already declined appreciably from their peak, falling by $1.2 trillion to a current level of around $1.6 trillion. At the same time, we have seen a substantial increase in our nonreserve liabilities, such as currency in circulation and the Treasury General Account balance.』

超過準備需要に関しては金融規制(主にLCR)によるものがありますが、財政要因(日本で言う政府預金)によるもの、銀行券の増発要因によるものから、リザーブじゃない負債に対する見合いの部分でバランスシートが以前よりも大きくなる必要もありまっせ、という話をしていまして、これは2月マネタリーポリシーレポートの方で説明があるので本当はそれも並列してネタにしないといかんのだがまあ今日は勘弁してつかあさい。

『In our statement on Policy Normalization Principles and Plans, we outlined an intention to hold no more securities than necessary to implement monetary policy efficiently and effectively.3 As the balance sheet continues to shrink, we are now in the process of determining that necessary size.』

でもって以前より申し上げておりますように、そもそも短期金融市場の誘導上必要なバランスシートにとどめますよという話をしていますが、ということで・・・・・・・・・・・


『Ultimately, the size of the balance sheet will be determined by a number of factors, including demand for nonreserve liabilities, such as currency (which has been rising), and, importantly, the quantity of reserves necessary to remain reliably on the flat portion of the reserve demand curve.』

てな訳で負債サイドの話からバランスシート適正サイズの話になる。

『Survey results suggest that banks have greatly increased their demand for reserves in the post-crisis period. Responses to the September 2018 Senior Financial Officer Survey report that banks would be comfortable with a level of reserves in the system in the neighborhood of $800 billion, taking into consideration the level of interest rates at the time.4』

金融機関にサーベイを行ったところ、今の(調査したのは9月)金利環境を前提にすると、超過準備がインターバンクで8000億ドルくらいあるのが望ましいという結論になっていたそうな。

『In part, this increased demand reflects a response to regulatory changes introduced after the crisis. These changes include, importantly, the Liquidity Coverage Ratio (LCR), which has improved banks' liquidity resilience by requiring firms to hold sufficient high-quality liquid assets to cover potential outflows during times of stress. Reserves, along with Treasury securities, are favored under the LCR, and, consequently, firms currently meet a sizable fraction of their LCR requirements by holding reserves.』

要因は各種規制によるものが大きいということで説明がありますな。

『Notwithstanding survey results, the level of reserve demand remains quite uncertain. It is possible that, over time, the preferences of banks will shift, or that demand will prove more price elastic than banks are currently expecting. As I have discussed previously, bank holdings of reserves to meet LCR requirements could shift toward Treasury securities, as aggregate reserves decline, without much upward pressure on the federal funds rate.5』

という結果は出ていますが、この超過準備需要に関しては状況が変化すると変化するものなので今はこれじゃなかろうかというのはあっても、未来永劫こうだという話ではありませんね、という説明でそらそうですなと思う。

『That said, even if uncertain, it is probably safe to say that reserve demand is much higher than before the crisis.』

とは言いましても、この前の金融危機以前よりははるかに大きいでしょうというのは確実に言えそうですな、だそうで。


『As we work to calibrate ample reserves, there are some tradeoffs that are worth noting.』

超過準備のトレードオフとな。

『For example, we could operate with a level of reserve balances at the lower end of what might be considered ample.
In that case, there would likely be occasions when unexpected declines in the supply of reserves or increases in the demand for reserves would require an open market operation to offset temporary upward pressures on the federal funds rate. Alternatively, we could operate with an average supply of reserves large enough to keep the federal funds rate determined along the flat portion of the reserve demand curve even with an unexpected shift in the supply of or demand for reserves.』

日々の資金需給に応じてオペレーションをするとか、または何かの事情で資金需要が高まった時にオペレーションをするとか、そういうのしなくても良い状態にする、というのは一つの手ではあります、とか説明がおっぱじまりまして・・・・・・・・

『This approach would be operationally convenient but would also leave the size of the balance sheet and reserves larger than necessary most of the time.』

十分な超過準備を積む方式はオペレーショナルには便利(というか楽)ですが、それだとバランスシートが大きなままで残ってしまうし、通常時に超過準備が無駄に多いという状況になってしまいます。

『In my view, it might be appropriate for us to operate somewhere in between these two extremes, with a sizable quantity of reserves large enough to buffer against most shocks to reserve supply. On those few days when that buffer is likely to be exhausted, we could conduct open market operations to temporarily boost the supply of reserves.』

よっていつでもオペ不要というような状況にするのも如何なものかと思う訳で、かといってカツカツにするのも大変なので、その中間あたり、つまり特別な需要のある時は短期オペ実施、位のバランスでどうでっしゃろと言っているので、言っていることは意外に穏当(というか何というか)。

『With so much uncertainty over the level and slope of the reserve demand curve, a degree of caution is warranted.』

とはいえよー分からん部分も多いので慎重にやっていきましょうと。

『As outlined in the minutes of the January FOMC meeting, the Committee has discussed ending the reduction in the Fed's aggregate asset holdings sometime in the latter half of this year, with still-ample reserves in the system.6』

はい。

『At that point, one option discussed, without any decision being made at this point, is to hold the level of total assets roughly fixed for a time. Even as the total size of the balance sheet remains fixed, the composition of the liabilities would gradually change, in part as demand for currency grows in line with the economy.』

『Over time, the gradual increase in nonreserve liabilities would displace reserves as the overall balance sheet remains fixed. This plan would substantially reduce the pace of the decline in reserves, allowing us to gradually approach our assessment of the appropriate amount of reserves for the efficient and effective implementation of monetary policy.』

『Of course, in the longer run, once we reach our preferred level of reserves, the balance sheet would have to resume growth to match a continued increase in demand for nonreserve liabilities.』

決まってはいないのだが討議された手段として、いったんこの程度、とバランスシートサイズを決め打ちして固定しておいて、どうせ時間の経過とともに銀行券が成長するからだんだん超過準備需給バランスが需要側に寄って来るので、そのあたりの様子を見ながら適正規模について考えて行けばエエンチャウノみたいなことになっているようですの。


・まとめの所で資産サイド編登場

『I would like to wrap up with a brief discussion of some of the other decision points we will encounter as we continue the process of normalizing our balance sheet.』

と来ましたが。

『In particular, what does the Committee judge to be normal in regard to the type and duration of assets that we will hold?』

アセットサイドの話キタコレ。

『On composition, in line with our previously announced normalization principles, I favor a return to a balance sheet with all Treasury securities, allowing our mortgage-backed securities (MBS) holdings to run to zero.』

つーことでクオールズ副議長は最終系はオールトレジャリーにする(MBSはゼロにする)のが望ましい、とまあ正論で来ましたですな。

『In those principles, we also state that while we do not expect sales of MBS as part of the normalization process, later we would be open to limited sales to reduce or eliminate residual holdings of MBS.』

とは言えその間でMBSは基本として売りはしませんよ、若干の売却を排除するものではないですけれども。だそうです。

『In regard to duration, moving to shorten the duration of our holdings could increase the Fed's ability to affect long-term interest rates if the need arose.』

資産サイドのデュレーションは短くしておいた方が、将来またFEDが長期金利に影響を与える(要はゼロ金利制約に引っ掛かった場合の話)必要が生じた場合に政策の発動余地が出来るので望ましいでしょうと。

『However, it might be preferable to have the composition of our Treasury holdings roughly match the maturity composition of outstanding Treasury securities, minimizing any market distortions that could arise from our holdings.』

正直この理屈はよーわからんが、米国債券市場に対して中立であるためには、保有米国債のデュレーションは発行済み米国債の平均デュレーション並みにしておいた方が良いってんだが、それより短期債中心にした方が良くねえかという気はするけどまあいいです。

『Over the course of our upcoming meetings, I look forward to what promises to be an interesting discussion on these issues with my colleagues.』

でその辺はこれから議論しまっせと。

『Finally, in assessing our balance sheet policy, it is important to point out that the Fed remains entirely focused on meeting its statutory dual-mandate objectives of maximum employment and price stability. The normalization of the balance sheet is not a competing goal. If ever it appears that our plans for the balance sheet are running counter to the achievement of our dual-mandate objectives, we would quickly reassess our approach to the balance sheet.』

まあ最後は普通に一般論でバランスシート正常化が目的な訳じゃないからヤベー事が起きたらその時はバランスシート政策を発動することだってありますよというお話で締めになるのでした。

ということで割とこう実務的というか、バランスシートでこれからも緩和だみたいな感じはないお話ではあったとゆー所だとはおもうのですが、ゴルディロックスヒャッハー相場には響かないという所でしょうな(個人の感想です)。

#短いもんで調子にのって全文引用してしまいました、汗




2019/02/27

お題「パウエル議会証言:証言テキストだけみると「当面動きませんもんね」なのは把握した」

既に話題ですがナンジャコリャ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201902/CK2019022602000147.html
「統計委員長 国会に協力しない」 総務省、無断で文書作成
2019年2月26日 朝刊

『総務省統計委員会の西村清彦委員長が多忙を理由に国会審議に協力しない意向を示したとする文書を、総務省職員が西村氏に無断で作成し、野党に示していたことが二十五日、明らかになった。西村氏は不快感を示し、石田真敏総務相は衆院予算委員会で陳謝した。』(上記URL先より)

官が民間人を勝手に悪党に仕立て上げるってどこの暗黒国家だよ・・・・・・・

〇先入先出法でパウエル議会証言

https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/powell20190226a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/files/powell20190226a.pdf
February 26, 2019
Semiannual Monetary Policy Report to the Congress
Chairman Jerome H. Powell
Before the Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs, U.S. Senate, Washington, D.C.

・現世利益重視なので金融政策の所だけ読むの巻

ということで『Monetary Policy』のところでございますが。

『Over the second half of 2018, as the labor market kept strengthening and economic activity continued to expand strongly, the FOMC gradually moved interest rates toward levels that are more normal for a healthy economy. Specifically, at our September and December meetings we decided to raise the target range for the federal funds rate by 1/4 percentage point at each, putting the current range at 2-1/4 to 2-1/2 percent.』

これまでグラデュアルに利上げしていってただいまFF誘導目標金利は2.25-2.50%ですよとな。

『At our December meeting, we stressed that the extent and timing of any further rate increases would depend on incoming data and the evolving outlook. We also noted that we would be paying close attention to global economic and financial developments and assessing their implications for the outlook.』

オートパイロットしてた時には全然強調していなかったのに急に「私言いましたよね」となるのがもうね。

『In January, with inflation pressures muted, the FOMC determined that the cumulative effects of these developments, along with ongoing government policy uncertainty, warranted taking a patient approach with regard to future policy changes.』

「warranted taking a patient approach with regard to future policy changes」の理由が「the cumulative effects of these developments, along with ongoing government policy uncertainty」で「these developments」ってのが何かといえば「global economic and financial developments and assessing their implications for the outlook」ですよって話で、海外経済と金融市場の動向ですので要するに株価ですが議会証言だけに「ongoing government policy uncertainty」とか入れてしまうのね。

『Going forward, our policy decisions will continue to be data dependent and will take into account new information as economic conditions and the outlook evolve.』

何がデータディペンデントじゃ株価ディペンデントだろいい加減にしろ、とは思いますがまあこう言い張るしかありませんわな。

『For guideposts on appropriate policy, the FOMC routinely looks at monetary policy rules that recommend a level for the federal funds rate based on measures of inflation and the cyclical position of the U.S. economy. The February Monetary Policy Report gives an update on monetary policy rules. I continue to find these rules to be helpful benchmarks, but, of course, no simple rule can adequately capture the full range of factors the Committee must assess in conducting policy.』

金融政策枠組み見直しの話だが「The February Monetary Policy Report gives an update on monetary policy rules」とかまた読み物が増えてしまうではないか、というか実際は先週出ているのですが他の講演などがあって盛大にパスしておったわ(大汗)。物件はこちら。
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/2019-02-mpr-summary.htm(サマリー)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/20190222_mprfullreport.pdf (全文)

でまあそれに加えまして上記の部分の中で政策ルールとかいう中でしらっと「no simple rule can adequately capture the full range of factors the Committee must assess in conducting policy」とか言っているのがアタクシには響いたわけでして、これはテイラールールとか修正テイラールールとかのようなルールベースの金融政策運営をしらっとdisっているいう読み方を最初にしたのですが、1秒考えてみるとこれはまた「オラ別に今後の政策運営に一貫した理屈を出してこないもんね」と開き直っているというか、今のこのブレブレモードを正当化したい心が出ているとか思ったら微苦笑を禁じ得ない。

『We do, however, conduct monetary policy in a systematic manner to promote our long-run goals of maximum employment and stable prices. As part of this approach, we strive to communicate clearly about our monetary policy decisions.』

とは言えさすがにお前ブレブレだろうと言われているのは認識しているでしょうからこういう話が次に来るわけですが、まず「communicate clearly about our monetary policy decisions」というのなら先の事を決め打ちした挙句にフラフラぶれるの止めろやとしか申し上げようがない。

『We have also continued to gradually shrink the size of our balance sheet by reducing our holdings of Treasury and agency securities.』

バランスシート縮小のお話。

『The Federal Reserve's total assets declined about $310 billion since the middle of last year and currently stand at close to $4.0 trillion.』

『Relative to their peak level in 2014, banks' reserve balances with the Federal Reserve have declined by around $1.2 trillion, a drop of more than 40 percent.』

この辺は計数の話。しかし縮小停止なんて基本的に引き締めじゃない話になるんだからそんなに早くに言う必要があったのかとは思う。

『In light of the substantial progress we have made in reducing reserves, and after extensive deliberations, the Committee decided at our January meeting to continue over the longer run to implement policy with our current operating procedure.』

1月に基本的な考え方を出しましたよと。

『That is, we will continue to use our administered rates to control the policy rate, with an ample supply of reserves so that active management of reserves is not required. Having made this decision, the Committee can now evaluate the appropriate timing and approach for the end of balance sheet runoff. I would note that we are prepared to adjust any of the details for completing balance sheet normalization in light of economic and financial developments.』

金利がメインツールって言うんだったら何でここまで鉦や太鼓を鳴らしてランオフの話をするねんという感じですが、あの時はハト色を出したかったんだからこういう見せ方をしたということですな。

『In the longer run, the size of the balance sheet will be determined by the demand for Federal Reserve liabilities such as currency and bank reserves.』

と言ってる割には相当の超過準備を残すということになっておりまして、いやまあそれはそれでも一つの考え方ですから否定はしないんですが、金利コントロールのために超過準備に付利を継続しないと行けなくて、超過準備の量が大杉勝男ということになりますと金融機関への補助金を何で出すんだという批判が出てくるリスクがありますし、だいたいからしてバランスシートをそれなりに縮小しておかないと、次にゼロ金利制約に引っ掛かるような事態になった時に、バランスシートの拡大の糊代を幾分か使ってしまった状態からのスタートになるので後が面倒だと思うんですけど・・・・・・・

『The February Monetary Policy Report describes these liabilities and reviews the factors that influence their size over the longer run.』

ということで「The February Monetary Policy Report」を読むという新たな宿題がががが。

『I will conclude by mentioning some further progress we have made in improving transparency.』

最後が「透明性」ですが確かに株価でブレブレなのは透明性高いわ(違)。

『Late last year we launched two new publications: The first, Financial Stability Report, shares our assessment of the resilience of the U.S. financial system, and the second, Supervision and Regulation Report, provides information about our activities as a bank supervisor and regulator.』

と思ったら最初に出てきたのはプルーデンスウィングの方の対外レポートでした。

『Last month we began conducting press conferences after every FOMC meeting instead of every other one.』

はっきり言ってこれはブレブレパウエルの元ではやらなきゃよかったという事になると思う。まあ個人的にはボラとネタが出ておもろいけど。

『The change will allow me to more fully and more frequently explain the Committee's thinking.』

もしかしてこれはパウエルがこれからも「more frequently」に考えを豹変するという含意か(違うと思う^^)。

『Last November we announced a plan to conduct a comprehensive review of the strategies, tools, and communications practices we use to pursue our congressionally assigned goals for monetary policy. This review will include outreach to a broad range of stakeholders across the country. The February Monetary Policy Report provides further discussion of these initiatives.』

『Thank you. I am happy to respond to questions.』

てなもんで、金融政策の先行きに関しては、まあ当面何もしないというのは分かりましたが、その先の方向性に関してはバランスシートの縮小をそのうち止めますという話はしたものの前のめり感に欠け、一方で利上げする雰囲気はこれまたないということなので、しばらく前のハト全開からアクセル緩めた感じなのはまあ株価が上がってきたことが背景にあるんじゃネーノとか思ってしまうのでした。


・金融政策部分が特に何もないので仕方がないから経済のパートも鑑賞

てな訳で読んで得られた結論が「こやつ当面何もしない気だな」というものになったので更に現世利益を求めて前半を鑑賞するのであった。

前半の『Current Economic Situation and Outlook』である。

『The economy grew at a strong pace, on balance, last year, and employment and inflation remain close to the Federal Reserve's statutory goals of maximum employment and stable prices??our dual mandate.』

マンデートほぼ達成だよというのは最近はいつもそれで説明が来ているので普通。

『Based on the available data, we estimate that gross domestic product (GDP) rose a little less than 3 percent last year following a 2.5 percent increase in 2017. Last year's growth was led by strong gains in consumer spending and increases in business investment. Growth was supported by increases in employment and wages, optimism among households and businesses, and fiscal policy actions.』

『In the last couple of months, some data have softened but still point to spending gains this quarter. While the partial government shutdown created significant hardship for government workers and many others, the negative effects on the economy are expected to be fairly modest and to largely unwind over the next several months.』

これまでは消費、企業投資、雇用と賃金の拡大、家計や企業の楽観的な見通し、財政支出などによって2%台後半の成長が続いていましたが、直近2カ月ほどは一部のデータが弱まっております。とは言え今年1Qも成長続きますし、政府機関の一部閉鎖は一時的には大きな影響がでるものの、経済全体への影響はさほど大きくなく、それほど長く残ることもないでしょう。

『The job market remains strong. Monthly job gains averaged 223,000 in 2018, and payrolls increased an additional 304,000 in January. The unemployment rate stood at 4 percent in January, a very low level by historical standards, and job openings remain abundant. Moreover, the ample availability of job opportunities appears to have encouraged some people to join the workforce and some who otherwise might have left to remain in it. As a result, the labor force participation rate for people in their prime working years??the share of people ages 25 to 54 who are either working or looking for work??has continued to increase over the past year. In another welcome development, we are seeing signs of stronger wage growth.』

雇用はひたすら威勢のいい話が続き、しかも最後には「we are seeing signs of stronger wage growth」とまで来ました。

『The job market gains in recent years have benefited a wide range of families and individuals.』

雇用の話そこで止めても良いのに更にこういう言い方をするのはパウエルの「あまねくすべてのアメリカンに景気回復の恩恵が行くように」みたいなよく言う話の一環でありまして・・・・・・・・・・

『Indeed, recent wage gains have been strongest for lower-skilled workers. That said, disparities persist across various groups of workers and different parts of the country. For example, unemployment rates for African Americans and Hispanics are still well above the jobless rates for whites and Asians. Likewise, the percentage of the population with a job is noticeably lower in rural communities than in urban areas, and that gap has widened over the past decade.』

黒人とかヒスパニックとか田舎とかにはまだこの雇用改善が届ききっていませんよという話をしとる訳で。

『The February Monetary Policy Report provides additional information on employment disparities between rural and urban areas.』

マネタリーポリシーレポートそんなネタもぶっこんでいるのか。

『Overall consumer price inflation, as measured by the 12-month change in the price index for personal consumption expenditures (PCE), is estimated to have been 1.7 percent in December, held down by recent declines in energy prices. Core PCE inflation, which excludes food and energy prices and tends to be a better indicator of future inflation, is estimated at 1.9 percent.』

物価の話、PCEコアは直近+1.9%ですよと。

『At our January meeting, my colleagues and I generally expected economic activity to expand at a solid pace, albeit somewhat slower than in 2018, and the job market to remain strong. Recent declines in energy prices will likely push headline inflation further below the Federal Open Market Committee's (FOMC) longer-run goal of 2 percent for a time, but aside from those transitory effects, we expect that inflation will run close to 2 percent.』

エネルギー要因でヘッドラインのインフレは若干下がりますが、基調は2%近くで推移すると見ていますと。

『While we view current economic conditions as healthy and the economic outlook as favorable, over the past few months we have seen some crosscurrents and conflicting signals.』

この小見出し部分は7パラグラフあって、さっきの所までで5パラグラフあったのですが、ここから残り2パラグラフが威勢の悪い話になります。「some crosscurrents and conflicting signals」ですとな。

『Financial markets became more volatile toward year-end, and financial conditions are now less supportive of growth than they were earlier last year.』

一発目に「年末にかけて金融市場がボラタイルになって、金融環境が昨年頭と比較して緩和的じゃなくなった、とか来る時点で株式市場に弱いパウエル大先生というのがあからさまになっていてむしろ清々しい位の勢い。

『Growth has slowed in some major foreign economies, particularly China and Europe.』

普通こっちが先だろうと思うのだが、どうみてもパウエル先生のウエイト付けは株式市場が優先のようですし、そうなって来ますと株価が上がってきたときにこのオッサンが何を言い出すかが今から楽しみで仕方ないので次のFOMCに向けてゴルディロックスヒャッハー相場期待。

『And uncertainty is elevated around several unresolved government policy issues, including Brexit and ongoing trade negotiations. We will carefully monitor these issues as they evolve.』

ブリクジットとか貿易摩擦とかは不確実性の元、ということでこれらの動向に注意しますとな。

『In addition, our nation faces important longer-run challenges.』

経済のパートの最後の所はいきなり長期的な課題の話になっとる。

『For example, productivity growth, which is what drives rising real wages and living standards over the longer term, has been too low. Likewise, in contrast to 25 years ago, labor force participation among prime-age men and women is now lower in the United States than in most other advanced economies.』

『Other longer-run trends, such as relatively stagnant incomes for many families and a lack of upward economic mobility among people with lower incomes, also remain important challenges. And it is widely agreed that federal government debt is on an unsustainable path.』

生産性の伸びが弱くて実質賃金が中々上がらんし生活水準の向上ペースも弱まるというのが構造的に続いています、から始まって、プライムエイジ層の労働参加率が長期的に落ちている話とか、社会のモビリティーが下がっている話とかをしとえいますし、その後には財政赤字の拡大という話までしております。議会証言なだけに。

『As a nation, addressing these pressing issues could contribute greatly to the longer-run health and vitality of the U.S. economy.』

でもってそういうのに対処していってメイクアメリカグレイトアゲインということですかそうですかという所ですが、お話の方はここで終わってさっき引用した後半に移りますので、さきほどの金融政策で「動かんけど別にハトハト感もそこまで・・・・」という印象でしたが、こちらも似たようなもんで、先行きの懸念要因の話もちゃんとしているのですが、景気は調子宜しいですがなという話の方が多いという感じでして、まあどうせ株が上がってホッとした結果こういうお話になっていた(株が弱かったらもっとニュアンスがハトに寄っていたのではないかと思料)という所で、質疑応答とかわからんのでアレですが、まあ議会証言自体は「何もしませんよ」の確認にとどまったという感じではないでしょうかね、と思うがどうっすか。

#バランスシートプランの方は比較的早めに出てくると思いますが、為念


#ということで副議長講演とかの大ネタが後回しで恐縮至極







2019/02/26

お題「FEDネタの積りがロイターの釣り針に引っ掛かってしまうのでした」

ふむふむ。
https://www.nikkei.com/article/DGXLAS3LANY01_V20C19A2000000/
米国株、ダウ一時170ドル強上昇、対中関税引き上げ延期を好感
国際・アジア2019/2/25 23:43

『25日の米株式相場は続伸して始まった。午前9時35分現在、ダウ工業株30種平均は前週末比172ドル33セント高の2万6204ドル14セントで推移している。トランプ米大統領が24日、中国製品への関税引き上げの延期を表明した。米中貿易交渉の合意に向かっているとの期待が高まり、幅広い銘柄に買いが優勢となっている。』(上記URL先より)

この調子で株式市場がホイホイ上がって昨年の9月10月の水準になった時にFRBがどういうことになるのか見てみたいので面白いからもっと株価上がれや(理由不謹慎)。


〇格調高く(かどうか知らんが)FEDネタをやろうと思ったら格調低い釣り針登場とな

せっかくFRBの政策ネタがふんだんに打ち込まれているのにこんな釣り針に俺様がクマー。

https://jp.reuters.com/article/interview-hamada-idJPKCN1QE02R
2019年2月25日 / 10:15 /
インタビュー:無理に物価2%目指す必要ない、消費増税に一定の理解=浜田参与

もうね、題名だけで盛大な出オチという凄まじい物件ですが、置物インタビューと言いハマコーインタビューと言いロイタージャパンは釣り針を垂らしてくるの趣味なんですかねえ。

ということで謹んで拝読。

『[東京 25日 ロイター] - 安倍晋三首相のブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授はロイターとのインタビューに応じ、アベノミクスによって完全雇用に近い状況が実現している中で、日銀は2%の物価安定目標を無理に目指す必要はない、との見解を示した。インタビューは22日に実施した。』(上記URL先より、以下同様)

まあお察しの内容。

『浜田氏は、日銀による大規模な金融緩和をはじめとしたアベノミクスの推進によって、日本の雇用情勢が大きく改善したと評価した。もっとも、デフレ脱却に向けて日銀が掲げている2%の物価安定目標は、依然として実現が見通せない状況にある。』

という事に対しまして・・・・・・・

『この点について浜田氏は「国民生活にとって望ましいのは、物価が上がることではない。同じ経済状態であれば、物価が下がった方が国民生活のためには良い」とし、「雇用情勢が大きく改善しているのに、『物価が上がっていない』と批判するのは、アベノミクスをおとしめるための手段だろう」と語った。』

あ・・・ありのまま今起こった事を話すぜ。「デフレ脱却を看板にしたアベノミクスの理論的支柱の大先生がいつのまにか『物価が下がった方が良い』と言い出した」な・・・何を言ってるのかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった・・・(ポルナレフのアスキーアート略)。

『そのうえで日銀が掲げる物価2%目標について「絶対に必要というものではない」と指摘。』

まあ最近この先生からは何回も聞いておりますので驚きませんけれども、このようなご立派な方が東大の経済学部で教鞭を取って日本のエリート様の養成をかつてされておられたかと思いますと、そりゃ日本もコケるわなと思う訳ですよ。

『現在の1%程度の物価上昇率でも「完全雇用に近い状態を達成できている」と雇用を重視し、「国際情勢が波高く、目標を取り下げる必要はないが、物価目標自体をあまり重要視せずに、少し様子をみていくということで十分ではないか」との認識を示した。』

毎度おなじみのダイヤモンドの歴史的インタビューですが、いつも賃金のところばかりを引用しておりますので折角ですから別の部分を引用しますとですな、

https://diamond.jp/articles/-/30804?page=3
2013.1.20
浜田宏一・内閣官房参与 核心インタビュー
「アベノミクスがもたらす金融政策の大転換インフレ目標と日銀法改正で日本経済を取り戻す」

そこの小見出しに『インフレターゲットは次善の策目標は3%でもよいのではないか』とかあるのがもうねという感じですけれども、どこに行ってしまったのでございましょうかねと思いますが、置物一派の方々のご感想はどうなっているんでしょうかというか、2%早期達成のために追加緩和と仰せになっている片岡審議委員様におかれましてはこのお話をどのように受け止めておられるのかお伺いしたいという所でございます。

なお浜田大先生といえば先般こんな企画があったそうですな。
https://www.city.koriyama.fukushima.jp/163000/koryu/global_symposium.html
更新日:2019年2月7日
浜田宏一氏講演会&ミニコンサート
-日本の経済成長とグローバル教育、そして朝河貫一博士と現在の国際情勢-

・・・・・・・・・・(−_−メ

まあ何ですな、最近ずっとこういう話をこの爺さんはしているので別に驚きは無いですし、まあ見ればその時にはトサカに来ますが正直はいはいおじいちゃんさっきは全然別の話をしていたのよ忘れちゃダメでしょさあこれからお昼ご飯の時間ですよってなもんで、憐憫の情まで起きてくるモードだし、とりあえず経済学会におかれましてはこの爺さんを主君押し込めでもして黙らせておかないと経済学のレピュテーションがドンドン低下するのでちょっと何とかした方が良いとは思いますが、アタクシは経済学方面には特にオブリゲーションも思い入れもございませんので、とりあえず経済学の理論では云々というのは物事を言いくるめるのには便利だけど以下暴言につき自主規制ということだと理解するのに役立ったという感じですな。

まあ気にすべきなのはこの爺さんの発言が爺さんの脳内だけのものなのか、どこかの意向を挺しているのかという問題な訳でして、そのあたりを勘案して何らかの政策的インプリケーションがあるのでしたら引き続きチェックが必要ですし、ただの爺さんの妄言なのでしたらば、端的に申し上げてこんなおじいちゃんを晒し者にして見世物小屋状態にするの(本人は1ミリもそう思ってないでしょうけれども)褒め殺しというかある種のイジメみたいなもんだからインタビューとかしないで静かにして差し上げろと思うのでございました。

でもってとりあえずジジイは麿総裁に五体投地して謝れとだけは申しておきますけどね。


〇追加緩和云々というのが最近よく出る訳ですが(総裁インタビュー記事メモ)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13905743.html
(インタビュー)異次元緩和、どこへ行く 日本銀行総裁・黒田東彦さん
有料記事 2019年2月23日05時00分

朝日新聞本紙の掲載記事だから有料という理屈は分かるけど、こういう政策にかかわるインタビューというのは内容をあまねく知らしめるというのも大手報道機関としてはやってほしい所でありまして、せめて主な趣旨でもネットに出せと思いますが、記事は空しく、

『日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁が始めた大規模な金融緩和が6年に及ぼうとしている。「物価上昇率2%」の目標は達成できず、長引く超低金利で金融機関の経営悪化も目立つ。米中貿易摩擦で世界の景気拡大には陰りが出て、米国は利上げ休止に動いた。難しくなる政策のかじ取りを黒田総裁に聞いた。』(上記URLより)

で無料公開部分は終わっていて、ほかの関連記事でも
https://www.asahi.com/articles/ASM2P52H2M2PULFA017.html
難しくなる政策のかじ取りどうする 黒田日銀総裁に聞く
有料会員限定記事
聞き手 東京本社経済部長・丸石伸一 2019年2月23日09時00分

てなもんでまあ似たようなもんですな。

・・・・・・ということで記事内容に関してはスルーしますが、ここもと妙に追加緩和云々って言い出してるのって、まあ別に追加緩和するという話ではなく、というかやれるもんならやってみやがれコノヤローという感じで、寧ろ追加緩和して金融株爆下がりして円高が更に進んでしまって何やってるんだいとなった挙句に金融システムがあじゃぱーみたいな状況が発展してマイナス金利政策の罪の深さが顕在化して、置物一派を含む異次元緩和が社会的に抹殺される位になってくれないと物事改善しないんじゃないか位の焦土思想になりかかっているアタクシがいるのですがそれは兎も角。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-24/PNEO2Q6KLVR401
米中、為替条項での合意の履行巡り週末も貿易協議継続
Saleha Mohsin、Jenny Leonard
2019年2月24日 10:41 JST 更新日時 2019年2月25日 5:30 JST

『米中両国はワシントンでの貿易協議で、為替条項での合意の履行という非常に重要な問題で意見が一致しておらず、交渉を続けている。事情に詳しい関係者4人が明らかにした。合意履行が実現すれば、中国が人民元相場を切り下げないという公約に従うのを確実にすることになる。ムニューシン財務長官は22日、米中閣僚級の2日間の協議後に中国との為替条項での合意がこれまでで最も強固なものだと称賛したが、詳細には言及していない。中国製品への関税引き上げを回避するための幅広い貿易合意を求めて、閣僚級協議は延長され、週末も交渉を続けている。』(上記URL先より)

ってのがありますように、ここもと米国の貿易協議関連で為替条項を貿易合意にぶち込んで来るという動きがありますが、もとより貿易協議に為替を絡めてくるの米国の仕様みたいなもんで、別に今に始まった話ではなくて以前より為替合意をぶちこもうとする米国に対してそれはアカンとするのが日本という図式だったと思いますし、米国は中国との交渉が一段落するとTAG交渉ということで日本に矛先が来るということになる順番だと思うのですよ。

でもってその時に為替合意交渉がどうのこうのという話が皮切りになって為替市場の方で円高攻撃が来ると防ぐ手段があんまりないという状況だし、日銀に追加緩和余地なし(まあ実際問題無いんですけど)ということになりますとそらもう円高攻撃祭りキタコレになり兼ねませんから、ここらあたりで追加緩和だって出来ますがなという煙幕を張っておこう(実際はハッタリにも程がある)となるのはそんなに変な話ではありませんな、という風に考えるとまあここもと急に言い出しているのは米中交渉の期限をにらんでスケジュールから逆算して、ということなのかも知れないなあ、と勝手に思ってみましたがどうでしょうかね。

つまり、アタクシが勝手に妄想する読み筋では、別に物価目標の達成が更に遅れそうでどうのこうのとか、1−3もマイナス成長になったら需給ギャップの改善でという「物価上昇のモメンタムは維持されている」という言い訳がそもそもできなくなるとか、そっちの方面を考えた追加緩和発言という訳ではない(だいたいからしてそっち方面で効く追加策は無いし多分逆噴射になってしまう)ので、要するにただの空砲ではないかと(個人の感想です)。


〇調節懇、とは言わなくなりましたが要するに調節懇が先週有りましたな

最近はこの辺の会議体に関して懇談会という言葉を使わなくなりましたなあとか思うのですが、まあそれはそれとしまして。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2019/rel190225a.pdf
「市場調節に関する意見交換会」の概要

『日本銀行では、「市場調節に関する意見交換会」(2019年2月)を下記のとおり開催しました。

1.開催要領
(日時)2019 年 2 月 22 日(金)17 時 30 分から
(場所)日本銀行本店
(参加者)全オペレーション対象先の市場部門担当役員または実務責任者
(日本銀行出席者)金融市場局長、総務課長、市場調節課長、市場企画課長

2.内容
(1)金融市場局長挨拶
(2)日本銀行からの説明
・最近の金融市場の動向および市場調節の運営(資料1)
(説明者)市場調節課長
・国債市場の流動性・機能度(資料2)
(説明者)総務課長
・わが国における金利指標改革の取組み(資料3)
(説明者)市場企画課長 』

ということで会合があったようですが、資料1の『最近の金融市場の動向 および市場調節の運営』というのをチラ見しますと、

(図表2)
適用金利別の当座預金残高
(1)マクロ加算残高等の上限値と「完全裁定後の政策金利残高」
(2)マクロ加算残高等の「余裕枠」と政策金利残高

(図表3)
無担保コール・GCレポ

(図表4)
国庫短期証券

(図表5)
長期金利

ってな感じで図表が続いておりまして、いやまあ元々が調節懇だし調節といえば短期市場のオペレーションの話だから短期市場→長期市場という順の話になるのは分かるのですが、現状は調節と言ったって短期の方でやってるのって短国買入と3カ月に1回変更するマクロ加算掛け目とひたすらロールされる共通担保オペという図で、メインになってるの長期国債買入なんですからメインの方を先にしてもエエジャンとか思ってしまいましたがまあ別にどうでも良いです。

というのはですね、一番最初に出てくる「適用金利別の当座預金残高」って確かにこれはこれで重要ではあるのですが、政策目的という意味では運営すべき金利水準がきちんと張り付いているのは「長期金利」であって、マクロ加算残高に関しては「日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。」という短期金利のディレクティブの趣旨に沿う程度に金利が推移すれば良いという解釈になるはずなので、そこまでガチガチに考えるもんでもないような気がするのですが、最初に「適用金利別の当座預金残高」の図表をみせられるとそこに重要な意味があるのではないかというようなことを考える面白い人が出てくるのではないかと思うのですよね。まあ急に図表の順番変えてもそれはそれで物議なので変えないというのもわかるけど。

てな割としょうもないことは気になりましたが、特段これによって何か調節が云々という話ではない(そもそもそういう会合でもない建付けの筈だし)のでこのネタはメモだけということで。


〇きゃあFRBネタをやっている時間がない

てな訳で本来は格調高く(かどうか知らんが)今日も昨日のFRBネタの続きを繰り出そうかと思っていたのですが、と申しますのは昨日ネタにしかけたクオールズ副議長の講演があった「2019 U.S. Monetary Policy Forum, sponsored by the Initiative on Global Markets at the University of Chicago Booth School of Business, New York, New York」では他にもバランスシートの話やら金融政策枠組みの話やらでFED高官発言の宝庫だったりしまして、これはもうアタクシまっしぐらという好餌が目の前に散布されておりますのですな。

でもってその辺のネタは明日以降にジャンジャン投下できればと存じますが、しかしまあ見てますとバランスシート話に関しても割と統制が取れているというか、パウエルFRBになってからこの方、それまでの百家争鳴FRBから急に高官発言に一定の統制が取れる(一部変態仮面のような例外は無くはないですが)ようになっておりまして、そこもまた見ものという感じではあります。

そしてこの統制のとれてる問題ですけれども、統制取れてるのはそれはそれで一つの見識なのですけれども、問題は毎度申し上げているように肝心のトップがブレブレなので、下手に統制が取れている分だけ極端から極端に振れて市場のノイズを増幅する装置になっている(ので株が上がると楽しみだなあと理由が不謹慎ですが思う次第で)わけですし、適当にハト派とタカ派の両極を置いて、そこから適宜グラデーションしておいた方が期待の極端な遷移が起きにくくなってエンチャウノと思うのと、昨年9月10月の「ロンガーランの金利よりも上まで上げることも」発言と言い、今回のバランスシート見直しのフライング攻撃と言い、とにかくパウエルFRBは極端に振れるし、先行きの事はデータディペンデントと言ってるのにも関わらずやたら将来の事を決め打ちしてコミュニケーションをとるので、その「極端から極端」感を増幅していると思うのでありました。

という愚感想だけで本日は勘弁してつかあさい。






2019/02/25

お題「FEDのバランスシート話」

知事選よりも得票が多かったのか・・・・・・・・
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6315053
辺野古埋め立て「反対」が7割超え 知事の得票上回る43万票 
沖縄県民投票、投票率は52.48%
沖縄タイムス

〇FRBバランスシート話その1:FOMC議事要旨より

金曜日に続きをしますと言っておいて結局例によって週初になってしまう辺りがもうね。

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20190130.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20190130.pdf
Minutes of the Federal Open Market Committee
January 29-30, 2019

金曜の続きで『Long-Run Monetary Policy Implementation Frameworks』という小見出しですが、こちらがバランスシートコーナーになります。

『Committee participants resumed their discussion from the December 2018 meeting of the appropriate long-run framework for monetary policy implementation.』

討議しましたと。

『At the January meeting, the staff provided briefings on the effectiveness and efficiency of the Committee's current operating regime and on options for transitioning to the longer-run size of the balance sheet.』

ということで議論したのはバランスシートネタ。

『The staff noted that the Committee had previously indicated that, in the longer run, it intends to operate with no more securities holdings than necessary to implement monetary policy efficiently and effectively.』

政策運営を有効にする以上の無駄な資産を持たないことは既に確認済み。

『In considering the effectiveness of the operating regime, the staff observed that over recent years, the Federal Reserve had been able to implement monetary policy in an environment with ample reserves by adjusting administered rates--including the rates on required and excess reserve balances and the offered rate at the overnight reverse repurchase agreement facility--without needing to actively manage the supply of reserves.』

最近は超過準備のある中でIOERとONRRPで短期市場コントロールが出来ておりますとな。

『Over this period, the effective federal funds rate was generally steady at levels well within the Committee's target range despite substantial changes in the level of reserves in the banking system and significant changes in money markets, regulations, and financial institutions' business models.』

この間超過準備の水準が大きく振れてたし、金融機関の超過準備預金の運営方法なども変わっていますが(背景には流動性規制などの変化がある)実効FF金利はターゲットレンジに収まっております。

『In addition, other money market rates generally moved closely with the federal funds rate. The current regime was therefore effective both in providing control of the policy rate and in ensuring transmission of the policy stance to other rates and broader financial markets.』

他の短期金融市場商品も概ねFF金利の近所で価格形成がされており、今の方法がFF金利に対するコントロールが出来ていること、および(短期金融市場商品の金利概ねFF水準で形成されていることから)金融政策のトランスミッションメカニズムも効いています。

ということで最初のスタッフ報告の時点で「今も順調だよ」という話をしておるわけですなこれが。

・・・・・・しかしもう記憶が怪しいのでアレですが、昔々その昔ってFEDの金融調節って結構雑で実際のFF金利って割とぶれていた(けど別に他の市場金利はそんなに変な事にはならなかった)という記憶があるのですが(だいたい前世紀の話なので記憶が怪しい)。

『The staff briefing also included a discussion of factors relevant in judging the level of reserves that would support the efficient implementation of monetary policy.』

どの程度のリザーブが適切なのかという話。

『The staff suggested that maintaining a buffer of reserves above the minimum quantity that corresponds to the flat portion of the reserve demand curve could reduce the size and frequency of open market operations needed to maintain good control of the policy rate. The aggregate level of reserves had already declined by $1.2 trillion from a peak level of $2.8 trillion reached in October 2014; the decline stemmed from both reductions in asset holdings and increases in nonreserve liabilities such as Federal Reserve notes in circulation.』

準備預金に対する需要曲線に変化が生じており(要するに超過準備需要が発生しており)まして、ある程度超過準備のバッファーを持っておいた方が日々のオペレーションをしなくて良いですなあという観点でのお話のようで。ちなみに超過準備はピークの2.8兆ドルから1.2兆ドルになっていますよと。

『Some recent survey information and other evidence suggested that reserves might begin to approach an efficient level later this year.』

今年後半には超過準備のバッファーとして必要な水準(オペをバンバン打たないでファシリティで金利を維持するのに最低限必要とみられる水準)になるとな。

『Against this backdrop, the staff presented options for substantially slowing the decline in reserves by ending the reduction in asset holdings at some point over the latter half of this year and thereafter holding the size of the SOMA portfolio roughly constant for a time so that the average level of reserves would fall at a very gradual pace reflecting the trend growth in other Federal Reserve liabilities.』

ということでスタッフは年後半に資産の削減をストップして超過準備の削減ペースを下げるというオプションを呈示しました。

『The staff also described options for communicating plans both for the operating regime and for the completion of the normalization of the size of the balance sheet.』

バランスシート正常化に関する具体的なプランとな。

『If the Committee reached a decision to continue using its current operating regime, announcing this decision after the current meeting would help reduce uncertainty about both the long-run implementation framework and the likely evolution of the balance sheet.』

年後半の資産削減ストップするならこのFOMCでアナウンスするのが良い、という説明をしているのですが、何で今回なのかさっぱり分からんというか、何ちゅうかこれ執行部(というかパウエル)の腰が盛大に砕けて(株安とか大統領とかありそうですが)、とは言え12月に利上げしたばっかりだし、SEPの出る会合でも無いので、バランスシートの話をしてハト的な色を出したい、というパウエル爺さんの意向に忖度してこういう説明をしているとしか思えん。

『In addition, the Committee could revise its previous communications to make clear that it was flexible in its approach to normalizing the balance sheet and was prepared to change the details of its balance sheet normalization plans in light of economic and financial developments if necessary to support the FOMC's broader policy goals.』

柔軟化と言う名の腰砕け。

『The staff noted that, after the end of asset redemptions, the Desk could reinvest principal payments received from holdings of agency MBS in Treasury securities as directed.』

償還再投資で何を買うかは「as directed」としてさすがにそれはスタッフで決め打ちしたらアカンわな。

『Participants noted some of the key advantages of the Federal Reserve's current operating regime, including good control of the policy rate in a variety of conditions and good transmission to other money market rates and broader financial markets.』

ここから参加者の議論。

『They observed that a regime that controlled the policy rate through active management of the supply of reserves likely would have disadvantages.』

何でや!他の中銀普通にオペレーションしてるだろうし、大体からしておまいらも昔はシステムレポだのマッチドセールだの(カスタマーレポとかもありましたな)やってただろう何でdisadvantagesなんだよと小一時間。

『In particular, the level and variability of reserve demand and supply were likely to be much larger than in the period before the crisis, and stabilizing the policy rate in this environment would require large and frequent open market operations.』

超過準備需要が昔より多いのでバランスシート多めでよかばいというのは分かりますが。

『Participants judged that, in light of their extensive previous discussions, it was now appropriate to provide the public with more certainty that the Federal Reserve would continue to use its current operating regime.』

何で今公表するかは結局謎。

『Choosing an operating regime would also allow the Committee to move forward on related issues, including plans for concluding the normalization of the size of the balance sheet. Participants emphasized the importance of describing their chosen operating regime in clear terms to enhance public understanding.』

引き締め方向じゃないものを事前に決め打ち公表する意味は市場動向とトランプ先生に腰が砕けたパウエル爺さん要因以外に考えられませんが。

『Participants discussed market commentary that suggested that the process of balance sheet normalization might be influencing financial markets.』

バランスシートに関するコメントの市場への影響について討議したキタコレ。

『Participants noted that the ongoing reduction in the Federal Reserve's asset holdings had proceeded smoothly for more than a year, with no significant effects on financial markets.』

今年1年削減に関して特に影響もなく推移しておりました。

『The gradual reduction in securities holdings had been announced well in advance and, as intended, was proceeding largely in the background, with the federal funds rate remaining the Committee's primary tool for adjusting the stance of policy.』

事前に案内したし、市場金利もコンロールされているという事で推移しておりましたが・・・・・・・・

『Nonetheless, some investors might have interpreted previous communications as indicating that a very high threshold would have to be met before the Committee would be willing to adjust its balance sheet normalization plans.』

some investorsを引き合いに出していますがどう見ても昨年秋以降の問題ってバランスシートじゃなくて金利の正常化に関する説明がボロボロと変わったこと(急に無駄に強気になったこと)じゃろとは思いますが。

『Participants observed that, although the target range for the federal funds rate was the Committee's primary means of adjusting the stance of policy, the balance sheet normalization process should proceed in a way that supports the achievement of the Federal Reserve's dual-mandate goals of maximum employment and stable prices.』

バランスシート削減はテクニカルだという説明でおっぱじめたはずなのだが何故か意味のある話扱いになってしまい、これその場は凌いでいますがたぶん後で面倒なことになると思う。

『Consistent with this principle, participants agreed that it was important to be flexible in managing the process of balance sheet normalization, and that it would be appropriate to adjust the details of balance sheet normalization plans in light of economic and financial developments if necessary to achieve the Committee's macroeconomic objectives.』

「if necessary to achieve the Committee's macroeconomic objectives」だから今回公表したって話にしていますがどう見ても株価と以下同文。

『Almost all participants thought that it would be desirable to announce before too long a plan to stop reducing the Federal Reserve's asset holdings later this year. Such an announcement would provide more certainty about the process for completing the normalization of the size of the Federal Reserve's balance sheet.』

どう見ても株価と以下同文。

『A substantial majority expected that when asset redemptions ended, the level of reserves would likely be somewhat larger than necessary for efficient and effective implementation of monetary policy; if so, many suggested that some further very gradual decline in the average level of reserves, reflecting the trend growth of other liabilities such as Federal Reserve notes in circulation, could be appropriate.』

銀行券見合いの分を考えると銀行券が伸びたらバランスシートは将来はその分拡大という話までしておるのだが、そもそも超過準備を思いっきり置いて運営して、預金ファシリティで金利を止めようとしている運営なのに銀行券見合い云々って考えをする必要は無かろう(そこたぶん誤差)と思うんですけどねえ。

『In these participants' view, this process would allow the Federal Reserve to arrive slowly at an efficient level of reserves while maintaining good control of short-term interest rates without needing to engage in more frequent open market operations.』

でもってオペはしないで超過準備とファシリティでコントロールと。

『A few participants judged that there would be little benefit to allowing reserves to continue to fall after the end of redemptions or that this approach could have costs, such as an undue risk of volatility in short-term interest rates, that would exceed its benefits.』

昔は実効FF金利って平気でぶれていたけど特に問題なかったんですが・・・・・・・

『These participants thought that upon ending asset redemptions, the Federal Reserve should begin adding to its assets to offset growth in nonreserve liabilities, so as to keep the average level of reserves relatively stable.』

『A couple of participants suggested that a ceiling facility to mitigate temporary unexpected pressures in reserve markets could play a useful role in supporting policy implementation at lower levels of reserves.』

何かやたら短期金利が上がらんように何かしたいというのは分かる。

『Participants commented that, in light of the Committee's longstanding plan to hold primarily Treasury securities in the long run, it would be appropriate once asset redemptions end to reinvest most, if not all, principal payments received from agency MBS in Treasury securities.』

再投資で何を買うか話。

『Some thought that continuing to reinvest agency MBS principal payments in excess of $20 billion per month in agency MBS, as under the current balance sheet normalization plan, would simplify communications or provide a helpful backstop against scenarios in which large declines in long-term interest rates caused agency MBS prepayment speeds to increase sharply.』

『However, some others judged that retaining the cap on agency MBS redemptions was unnecessary at this stage in the normalization process. These participants noted considerations in support of this view, including that principal payments were unlikely to reach the $20 billion level after 2019, that the cap could slightly slow the return to a portfolio of primarily Treasury securities, or that the Committee would have the flexibility to adjust the details of its balance sheet normalization plans in light of economic and financial developments.』

『Participants commented that it would be important over time to develop and communicate plans for reinvesting agency MBS principal payments, and they expected to continue their discussion of balance sheet normalization and related issues at upcoming meetings.』

償還再投資のMBSの部分をどうするのか(MBSに再投資するかとか削減スピードの調整とか)に関しては意見は出たけど今後の課題。

『Following the discussion, the Chairman proposed that the Committee communicate its intentions regarding monetary policy implementation and its willingness to adjust the details of its balance sheet normalization program by publishing a statement at the conclusion of the meeting. All participants agreed with the proposed statement.』

ということでFOMCの時にでた『STATEMENT REGARDING MONETARY POLICY IMPLEMENTATION AND BALANCE SHEET NORMALIZATION (Adopted January 30, 2019)』になります。



〇FRBバランスシートネタその2:クオールズ副議長のバランスシートに関する講演・・・・・・と思ったがイントロだけで

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/quarles20190222a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/files/quarles20190222a.pdf
February 22, 2019
The Future of the Federal Reserve's Balance Sheet
Vice Chairman for Supervision Randal K. Quarles
At the 2019 U.S. Monetary Policy Forum, sponsored by the Initiative on Global Markets at the University of Chicago Booth School of Business, New York, New York

えーっとすいません時間の都合上ちょっと本日パスモードで誠に申し訳ございません。

でまあこちらなのですが、基本的には今回出てきたバランスシートプランの説明になっていますが、将来的なバランスシートの姿という話をしている中で、「最終的には米国国債オンリーのポートフォリオにしますし、平均残存はマーケットニュートラルという意味で(という理論はワケワカランけど)発行平均残存程度で推移させるもんじゃろ」という話をしているのがほほーと思いましたです、はい。


〇あとこれもほほうという講演でしたですな(これまたメモ、クラリダ副議長講演)

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/clarida20190222a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/files/clarida20190222a.pdf
February 22, 2019
The Federal Reserve's Review of Its Monetary Policy Strategy, Tools, and Communication Practices
Vice Chair Richard H. Clarida
At the 2019 U.S. Monetary Policy Forum, sponsored by the Initiative on Global Markets at the University of Chicago Booth School of Business, New York, New York

ちなみにアタクシが見たどこぞの相場後講釈だとこれが債券買い材料にってのがあった気がするのですが、いやまあ別にタカ派ではないのはそうなのですが、別に殊更ハト派って話か???とは思うのでした。これまたオモロイと思ったので明日以降。

なお、クラリダさんとクオールズさんの講演は割と(今回だけかもしれませんが)平易な書き方で読みやすいです。







2019/02/22

お題「引き続きFOMC議事要旨の鑑賞でも」

ECBの議事要旨というのも出ているのですがそっちは本日勘弁して頂いて(汗)。
https://www.ecb.europa.eu/press/accounts/2019/html/ecb.mg190221~0f3dd919fa.en.html
Account of the monetary policy meeting of the Governing Council of the
European Central Bank, held in Frankfurt am Main
on Wednesday and Thursday, 23-24 January 2019

〇1月のハト転換を正当化するような屁理屈を後付けで繰り出しているように見えました(個人の感想です)

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20190130.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20190130.pdf
Minutes of the Federal Open Market Committee
January 29-30, 2019


・何か市場の概況報告部分が妙に自分らの政策転換を正当化するための屁理屈っぽいのですが

昨日も申し上げましたが、1月なので年次更改の色々な決定部分がやたら一杯あるのが1月FOMCの仕様でして、その次に『Developments in Financial Markets and Open Market Operations』というのが続くのですがそちらを読んでみますね。

『The deputy manager of the System Open Market Account (SOMA) provided an overview of developments in U.S. and global financial markets.』

ということで事務方によります金融市場の概況説明なんですけどね。

『Financial markets were quite volatile over the intermeeting period. Market participants pointed to a number of factors as contributing to the heightened volatility and sustained declines in risk asset prices and interest rates over recent months including a weaker outlook and greater uncertainties for foreign economies (particularly for Europe and China), perceptions of greater policy risks, and the partial shutdown of the federal government.』

何か物凄い勢いで金融市場で大変なことが起きましたみたいな説明になっているのですな。

『Against this backdrop, market participants appeared to interpret FOMC communications at the time of the December meeting as not fully appreciating the tightening of financial conditions and the associated downside risks to the U.S. economic outlook that had emerged since the fall.』

ナンジャソラという感じなのですが、この背景には12月のFOMCでのコミュニケーションが金融環境のタイトニング(ってこれ株が下がっているって話です)と秋以降の米国経済見通しのダウンサイドリスクを軽視しているのではないか、という風に市場に理解されたから、とかいうお話になっております。

でまあそうは言いますがおまいら12月にいつも通りの正常化の一環として利上げしたのに何をゆうとるんだという話で、だったら12月利上げするなよというお話になる訳ですが、これは結局のところ1月FOMCで盛大にハト派方面にポッキリと折れたことを正当化するための言い訳をしているだろうという感じはするわけですよ(個人の感想です)。

つまりですな、まあイエレン時代までは割とこうやっていることに筋を通してやっていこうというのがあった訳ですが、パウエルになって「やりたいこと先にありきでそれに理屈を後付けする」というスタンスがかなり明確化した、という事じゃろとか勝手に解釈しているんですが。いやまあもとより金融政策当局の決定ってロジカルじゃないというか急に理屈がすっ飛ぶことはあるのですけれども、パウエルFRBの場合はこれがちょっと行き過ぎになっていて、自分らが利上げしておいて「市場がこのように解釈しているのでこうなった」とか何をゆうとるんじゃという報告が上がって来る辺りがインチキ感漂う人たちになりましたなあと思うのです(個人の偏見です)。

てな悪態はさておき続き。

『In addition, some market reports suggested that investors perceived the FOMC to be insufficiently flexible in its approach to adjusting the path for the federal funds rate or the process for balance sheet normalization in light of those risks. 』

some market reports suggestedってのも何だかなーと思いますが、「FOMCが金利パスやバランスシートのパスに関してフレキシブルではないと市場の投資家が懸念しているという指摘が市場からある」とかゆうとるのですが、そもそもおまいら正常化プロセスやっていてSEPでドットチャート出しているし、だいたいからして12月に利上げしたじゃろという話だし、むしろ「中立金利が2.5-3.5%」とかやたら広いレンジ出す方が却って混乱きたすわと思うのですが、まあ何だかなあという感じ。

でもってバランスシートの方は会見でオートパイロットと言ってましたし、だいたいからしてイエレンのバランスシートの縮小ロジックでは適正な規模にバランスシートを縮小するのに関しては政策のツールじゃないので淡々とやって行きますよという話をしていたのであって、そこに政策的なインプリケーションは乏しい、という話をしていたのに、直近のFOMC議事要旨で急にバランスシートの縮小に関して意味付けのあるような議論が出てきてわざわざテーマにしていったのはお前らだろういい加減にしろということで、要はこの部分ってバランスシート縮小の終了を行うのがやたら前倒しになることの言い訳だわな、と思うのでありました。

『The deterioration in risk sentiment late in December was reportedly amplified by poor liquidity and thin trading conditions around year-end.』

はあそうですか。で次のパラグラフ。

『Early in the new year, market sentiment improved following communications by Federal Reserve officials emphasizing that the Committee could be "patient" in considering further adjustments to the stance of policy and that it would be flexible in managing the reduction of securities holdings in the SOMA.』

これがまた吹いたわけですが、例のパウエルちゃんの"patient"発言以降市場がFRBがフレキシブルに対応すると認識してくれて市場のセンチメントが改善しましたとか言われましても・・・・・・・・・・・・・

『On balance, stock prices finished the period up almost 5 percent while corporate risk spreads narrowed, reversing a portion of the changes in these variables since the September FOMC meeting.』

9月FOMC以来の市場の悪化が反転しましたよだそうで涙ぐましい。次のパラグラフですけど。

『The deputy manager reported results from the Open Market Desk's latest surveys of primary dealers and market participants. Regarding the outlook for policy, the median path for the federal funds rate among respondents had shifted down about 25 basis points relative to the responses from the surveys conducted ahead of the December meeting.』

プライマリーディーラの市場金利見通しが25bp下がったと。

『Moreover, the average probability that respondents attached to an increase in the target range as the next policy action declined and the corresponding probabilities they attached to the possibility that the target range would be unchanged or lowered at some point this year increased.』

次回利上げタイミングの見通しも遅くなったと。

『Concerning expectations for the FOMC statement, many survey respondents anticipated the retention of language pointing to the likelihood of "some further gradual increases" in the target range for the federal funds rate but many also expected the statement to emphasize patience or data dependence in the conduct of policy.』

『Consistent with recent communications that the FOMC would be flexible in its approach to balance sheet normalization, the survey results also suggested that the respondents anticipated that the Committee would slow the balance sheet runoff in scenarios that involved a reduction in the target range for the federal funds rate.』

FOMCステートメントの文言削除期待とかバランスシート縮小停止期待も出てきましたとな。

次は短期金融市場の話。

『In reviewing money market developments, the deputy manager noted that federal funds continued to trade at rates close to the interest on excess reserves rate. Moreover, no signs of reserve scarcity were evident in the behavior of the federal funds rate; the correlation between daily changes in reserve balances and the federal funds rate remained close to zero.』

市場のFF金利はほぼIOER金利水準で取引されていて、日々の超過準備の振れに対してFF金利が反応するという状況ではない、ということですが、まあそれなのに何でバランスシート縮小にタイトニング効果があるねんとは思うのですが・・・・・・・・・・

『In other markets, repurchase agreement (repo) rates spiked at year-end, reportedly reflecting strong demands for financing from dealers associated with large Treasury auction net settlements on that day combined with a cutback in the supply of financing available from banks and others managing the size of their balance sheets over year-end for reporting purposes.』

年末にレポ金利がスパイクしましたがこれは年末要因。

『The deputy manager noted that the Federal Reserve Bank of New York was planning to release a notice in early February for public comment on plans to include new data on selected deposits in the calculation of the overnight bank funding rate (OBFR). In addition, the staff had begun work aimed at publishing a series of backward-looking average secured overnight financing rates (SOFR) as a further step to support reference rate reform. The staff planned to solicit public feedback on this effort later this year and initiate publication of these averages by the first half of 2020.』

これは指標金利改革の話で、FF金利に変わるかどうかはよーわからんですが、翌日物銀行ファンディング金利というのと翌日物の平均金利(何日間かの実績平均みたいなやつ)を集計する件のお話です。

『Following the briefing, participants raised a number of questions about market reports that the Federal Reserve's balance sheet runoff and associated "quantitative tightening" had been an important factor contributing to the selloff in equity markets in the closing months of last year.』

でまあここ見て?????と思った訳ですが、市場のレポートなどでは昨年年末にかけての株式市場の下げについて、FRBのバランスシート縮小が「量的引き締め」になっているのでそれが重要なファクターとして下げに寄与したみたいなのが多く指摘されている、という点についてFOMC参加者の方からスタッフブリーフィングの後に質問がありましたってのがありましてですな、

『While respondents assessed that the reduction of securities held in the SOMA would put some modest upward pressure on Treasury yields and agency mortgage-backed securities (MBS) yields over time, they generally placed little weight on balance sheet reduction as a prime factor spurring the deterioration in risk sentiment over that period.』

バランスシートの縮小によって国債やMBS金利にやや上昇圧力はかかると思うけど、バランスシートの縮小が市場のリスクセンチメント悪化の主要因になっているとは思えません、ってお答えになっていて、それはそれで妥当なんだが、逆に何でFOMCの参加者がそんなに気にするのかがよー分からん、というかだからこそビビって急にバランスシート縮小停止の話をおっぱじめたんだなあ、と思いました(個人の感想です)。

『However, some other investors reportedly held firmly to the belief that the runoff of the Federal Reserve's securities holdings was a factor putting significant downward pressure on risky asset prices, and the investment decisions of these investors, particularly in thin market conditions around the year-end, might have had an outsized effect on market prices for a time.』

とは言いましても一部の投資家ではランオフの進行でリスクオフみたいなことをしている向きもある、つー話なんだが、そもそもバランスシート縮小には政策インプリケーション無いと言いながらオートパイロットでやっていたのを急にネタにしだしたのFOMCじゃねえかという気もするし、何だかなあ感はある。

『Participants also discussed the hypothesis that investors may have taken some signal about the future path of the federal funds rate based on perceptions that the Federal Reserve was unwilling to adjust the pace of balance sheet runoff in light of economic and financial developments』

金利のペースは調整するのにバランスシートはオートパイロットという事に対して市場が反応してるんじゃなかろうかみたいな議論もしてたのか。

『By unanimous vote, the Committee ratified the Desk's domestic transactions over the intermeeting period. There were no intervention operations in foreign currencies for the System's account during the intermeeting period.』

これはいつもの「前回FOMC以降に行われた市場調節に対しての承認をしました」というお話です。


でもってこの次に『Long-Run Monetary Policy Implementation Frameworks』というのがありまして、

『Committee participants resumed their discussion from the December 2018 meeting of the appropriate long-run framework for monetary policy implementation. At the January meeting, the staff provided briefings on the effectiveness and efficiency of the Committee's current operating regime and on options for transitioning to the longer-run size of the balance sheet.』

ということでロンガーランのバランスシートがどうのこうのの話がおっぱじまる訳ですが、ちょいと今朝は寝坊気味でして時間が無くなってしまいましたのでバランスシートのお話はまた後日(気が向いて時間があったら週末に更新するかもしれませんが多分土日になるとぐうたらになるのでやりません)。





2019/02/21

お題「1月FOMC議事要旨:目先的には新規材料ないけど読みどころは結構あると思います」

これは読むところが多いという感じです(寝起きの感想です)。なお直接何か政策見通しの見方に変化があるという論点ではありませんので、そーゆー意味では慌てて読まなくても良いのかもしれませんが・・・・・・・・・

〇てな訳でFOMC議事要旨である

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20190130.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20190130.pdf
Minutes of the Federal Open Market Committee
January 29-30, 2019

・まずはいつものインスタント読み

『Committee Policy Action』の手前から逆順で読んでみます。これが『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』のケツのパラグラフです。

『A few participants expressed concerns that in the current environment of increased uncertainty, the policy rate projections prepared as part of the Summary of Economic Projections (SEP) do not accurately convey the Committee's policy outlook.』

数名の参加者による懸念呈示ということですが、不確実性が高まっている中で今出ているSEPの政策金利ドットチャートはFOMCの今時点での見通しを正しく示していないのではないか、と仰せになっております。まあ要するに12月のドットよりも下がってるって現象ではあるんでしょうけれどもそんなの3カ月に1回更新なんだから仕方ないじゃんと思いますけど、今回はそれに加えてSEPの見せ方に関する指摘に続きます。

『These participants were concerned that, although the individual participants' projections for the federal funds rate in the SEP reflect their individual views of the appropriate path for the policy rate conditional on the evolution of the economic outlook, at times the public had misinterpreted the median or central tendency of those projections as representing the consensus view of the Committee or as suggesting that policy was on a preset course.』

SEPで出している数値は個別の参加者が個別のビューを元に積み上げて作ったものなので、「メディアン」とか「大勢見通し」というのは別に単一のシナリオに則ったものではなくて、ただの平均値だよーん、という事実はあるのですが、(そらまあシャーナイのですけれども)メディアンとか大勢見通しがあたかもFOMCの中心的な見解として、一定の見通しをベースにして作っているかのように見られ、そこで示されている政策金利見通しが先行きの政策を決め打ちしているように誤解されているのではないか、という数名の参加者による指摘。

まーそらそうなのですが、元々SEPって金融緩和の時間軸を出したり、金利正常化を穏健にやっていきますというような市場の政策金利期待形成の安定化のために(とは明言しては居なかったとは思いますが)ぶっこんできているものなのでありまして、この性質上「決め打ち要素」がコミュニケーションとして出てきてしまうのは致し方ないとも思われるわけですよこれが。

『However, some other participants noted that the policy rate projections in the SEP are a valuable component of the overall information provided about the monetary policy outlook.』

他の人たちは「そうは言ったって別に3カ月ごとに改定するからエエヤン」という話ではあるのですが、緩和継続の時間軸とか正常化のゴールまでの時間を示すみたいな時にはこのチャート快適であっても、3年後の経済がどっちに転んでいるか分からんという(まあ普段から分からんですけど)中で政策金利が既に中立的(とはアタクシ思わんが)な状態にいるのであれば、理念的に言えばSEPのドットチャートは「知らんがな」と記述するのが一番適切なんですよねえ、とは思うので、今後このSEPの「政策金利見通し」の部分の扱いはまー変化あるでしょうなと思います。経済物価見通しとは別の図表という仕立てになっているのでそこだけ取り払うというのはアリなんでしょうし、本来はその辺の政策金利見通しなんちゅうのは市場のレッセフェールに任せておけば良いのですが、たぶんそれは当局者は今の方法に慣れ過ぎているので何か示唆を出して政策効果を出したくなると思うので、まあ何が出るのか(もしくは変化が無いのか)お手並み拝見ですわな。

と、いきなり最終パラグラフ(しかも目先の政策運営に関係ないネタ)で早速長広舌になってしまいましたけれども、その前のパラに参ります。

『Participants observed that a patient posture in these circumstances was consistent with their general approach to setting the stance of policy, in which they were importantly guided by the implications of incoming data for the economic outlook.』

これ逆順に読んでいるのでアレなのですが、「in these circumstances」は当然ながらそれまでの部分で議論されて来た経済物価金融情勢に関するお話で、ここまでの議論を踏まえると今後の政策金利に関しては「patient」スタンスで望むのがよろしいという見方をしましたと。

『Some participants noted that, while global economic and financial developments had been important factors leading to a patient monetary policy posture, those developments mattered because they affected assessments of the policy rate path most consistent with achievement of the Committee's dual-mandate goals of maximum employment and price stability.』

複数名の参加者は特に海外経済と金融市場が先行きのPatientなスタンスを続けるときの重要な先行指標になりますと仰せのようで。

『Many participants observed that if uncertainty abated, the Committee would need to reassess the characterization of monetary policy as "patient" and might then use different statement language.』

でもって多くの参加者は先行きの不透明感が減少したら、この「patient」を別の言葉に置き換えることを検討すべきではないでしょうか、という話もしているようでして、いやまあそれはそれで言いたいことは分かるんだが「不確実性があるから当分利上げしませーん」までは良いのですけれども、「不確実性がなくなったら利上げするのかしないのか」という話になった時に、最近だとSFデイリー総裁とか(他もいる)がそうですが、不確実性なくなっても物価が跳ねなければ利上げしなくてエエンチャウノみたいな話が出てきたりしていて、この辺り「不確実性」なのか「物価」なのか、どちらを政策スタンス反応関数にしているのかが判然としないコミュニケーションをするFEDの要人がいるのが話がややこしくなるというか極端から極端に振れる要因でもあるような気がします。ここの字面だけ見ると「不確実性が除去されたらまた利上げだぜヒャッハー」と読めてしまう。

とは言え前からの文脈をみないといかんのでその前のパラグラフ。

『Participants noted that maintaining the current target range for the federal funds rate for a time posed few risks at this point.』

今の政策金利レベルのままで暫くウゴカンチ会長になっても現時点ではリスクはすくない(ので現状水準をPatientに維持という話になる訳じゃな)とな。

『The current level of the federal funds rate was at the lower end of the range of estimates of the neutral policy rate.』

だけ見るといやいやお前らの推測値が違ってたらダメじゃんとなりますがさすがにそこはフォローがある。

『Moreover, inflation pressures were muted, and asset valuations were less stretched than they had been a few months earlier.』

金利が何となく低いような気もするんだが物価上昇圧力が弱いってえことは現状の政策金利水準がそれほどの大緩和的な状況じゃないのでpatient無問題ってお話に関してはまあこれは結果から後付けした中立金利水準とは?って話から出てくる理屈になるのでまあ分かる。でもって後半の「asset valuations were less stretched than they had been a few months earlier」という所にはしらっと地雷が埋め込まれている感はありまして、つまりは資産価格市場が以前のようにヒャッハーヒャッハー言っていないので政策スタンスがpatientでもヨロシという話なのですが、これは裏を返せばFEDがハト派に転換したぜゴルディロックス相場ヒャッハーヒャッハーとなって来るとファイナンシャルインバランス懸念隊が登場して来るという話でもある訳ですな。

『Many participants suggested that it was not yet clear what adjustments to the target range for the federal funds rate may be appropriate later this year; several of these participants argued that rate increases might prove necessary only if inflation outcomes were higher than in their baseline outlook. Several other participants indicated that, if the economy evolved as they expected, they would view it as appropriate to raise the target range for the federal funds rate later this year.』

でもって次の部分はのっけから「多くの参加者は年後半(later this year)に政策金利の調整(要は利上げ)が適切かどうかについてまだ判然としないのではないかと示唆した」ってなっていますので、まあ現時点では6月FOMCまでの利上げは無かとよというお話ではありますな。

そしてその中でも意見が分かれていて、複数名(several)の参加者は「物価がベースラインの見通しより上振れたら利上げするけどそうじゃなかったら利上げせんでよかろうよ」ということで今の状況が既に中立状態であるのではということをベースにしているのに対して、他の複数名の参加者(Several other participants)は経済情勢がベースラインシナリオ通りに推移した場合は年後半の金利調整が適切である、という見方を示す(ただしこの感じだとダンマリさんが結構いそうですな)ということで意見が分かれていまして、これを利上げ無し意見あるぜ!と読むのか利上げ意見あるぜ!と読むのかはそこまでの織り込み方次第という感じでしょうかねえ、よー知らんけど。


てな訳でまたパラグラフを一つ遡る。

『Participants pointed to a variety of considerations that supported a patient approach to monetary policy at this juncture as an appropriate step in managing various risks and uncertainties in the outlook.』

逆順に読んでいるので恐縮ですがこの辺から政策決定とか声明文とかの話の部分で、ここはまたもしつこく(というかしつこいのは文章的に言えばここから先のほうですが)patient approachに関する議論。

『With regard to the domestic economic picture, additional data would help policymakers gauge the trajectory of business and consumer sentiment, whether the recent softness in core and total inflation and inflation compensation would persist, and the effect of the tightening of financial conditions on aggregate demand.』

国内では物価の上昇と市場のインフレ期待が若干鈍化したこと、企業と家計のセンチメントが弱まっていること、「tightening of financial conditions」が需要に与える影響、と言っていますが最後のは要するに「株が下がると消費などに悪影響」って話ですからね、FED語の場合。

『Information arriving in coming months could also shed light on the effects of the recent partial federal government shutdown on the U.S. economy and on the results of the budget negotiations occurring in the wake of the shutdown, including the possible implications for the path of fiscal policy.』

今後は政府閉鎖の影響も出てくるでしょうなあと。

『A patient approach would have the added benefit of giving policymakers an opportunity to judge the response of economic activity and inflation to the recent steps taken to normalize the stance of monetary policy.』

よってpatientなアプローチをしておくのが適切じゃろうと。

『Furthermore, a patient posture would allow time for a clearer picture of the international trade policy situation and the state of the global economy to emerge and, in particular, could allow policymakers to reach a firmer judgment about the extent and persistence of the economic slowdown in Europe and China.』

貿易戦争の影響がどうなるのかというのの判断をするのに時間が必要、というのに加え、欧州と中国の経済減速がどの程度のものになり、その持続性がどのくらいなのかというのを確認したいのでpatient、というお話になっておりまして、さっき引用した「不確実性が除去されたら利上げじゃろ」という話の不確実性に関してはまあこの辺りの状況の推移を今後どう判断するのか、という事になるんでしょうなあ、というのは把握した。

でもってまあ株価とかそういうのは兎も角として、中国と欧州の経済というのはちょっとあばばばばー感もあったりするというような評価になってきているっつーか、ご本尊の欧州がECB高官方面を中心にあじゃぱー発言を行っていますので、まあそうだとすれは慎重スタンス継続ってことにはなりそうですが、さっき引用していた部分にありますように、不確実性が消えたらとか、物価とアセットプライスが落ち着いているからヘーキヘーキという部分などは、しらっと利上げアクセル踏みなおすときの言い訳というか地雷というかが埋め込まれている感もある(個人の感想です)ので、まあ目先どうこうという話はないですがちょっと気にはなる。

もう一丁戻って今回の政策決定、というか声明文の検討部分まで読んでおきましょう。

『Based on their current assessments, all participants expressed the view that it would be appropriate for the Committee to maintain the target range for the federal funds rate at 2-1/4 to 2-1/2 percent.』

Based on their current assessmentsについてはその前を読んでくらはい。

『With regard to the Committee's postmeeting statement, participants supported a proposed change in the forward guidance language that would replace the previous guidance referring to "some further gradual increases in the target range for the federal funds rate" with an indication that, in light of "global economic and financial developments and muted inflation pressures," the Committee would "be patient as it determines what future adjustments to the target range for the federal funds rate may be appropriate."』

『Participants also supported a proposal to remove from the statement the characterization of risks to the economic outlook as "roughly balanced."』

ということで、1月は声明文もションボリーヌモードになってハトの軍団大襲来で南海ホークスは撃退されてしまった訳でございますが、このように変更するのが適切という結論になりました、ってのがありますな。


・バランスシートに関して読んでおいた方が良さそうな部分(あとで読んでネタにします)

今回の議事要旨は1月なので定例の議決事項が延々と冒頭にあるのですが、その直後になりますところの、『Developments in Financial Markets and Open Market Operations』というのと、『Long-Run Monetary Policy Implementation Frameworks』の所では現状のFF金利コントロールの状況に関するああでもないこうでもないというお話から始まり、今後のバランスシートをどうするんじゃろうかのうというような件に関する連銀スタッフの現状報告や、参加者の議論の話が割と延々と載っていまして、こっちをネタにしようかと一瞬思ったのですが、まあ通常の手抜き読みの方を優先させてしまいましたら何のかんの言って時間が無くなって来ましたので本日はこっちはパスということでご勘弁願いとう存じます。






2019/02/20

お題「何でまた今回は追加緩和ネタに反応するんじゃろ/日銀WPから(ただの要旨紹介)/メスター講演(のイントロ)」

トランプの相手として勝負になる(勝つとは言ってない)タマが登場しました。
https://jp.reuters.com/article/usa-election-sanders-idJPKCN1Q8254
2019年2月20日 / 02:02
サンダース議員、再び米大統領選出馬へ 「多数のための政府を」

なおサンダースになったらなったでそれはそれで左のトランプちゃんということになるでしょうから(個人の感想です)結局アレなのはカワランチ会長のような気が。

〇追加緩和ネタに久しぶりの反応キタコレ

ご案内の通りですけど昨日の国会。
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-idJPKCN1Q80FY
2019年2月19日 / 15:11
物価目標達成に必要なら追加緩和、効果・副作用のバランス考慮=黒田日銀総裁

『[東京 19日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は、19日の衆院財務金融委員会で、円高の進行が日本の経済・物価に悪影響を与え、2%の物価安定目標の達成に必要と判断されれば「追加緩和を検討していくことになる」と語った。前原誠司委員(国民)の質問への答弁。』 (上記URL先より、以下同様)

「前原誠司委員(国民)の質問への答弁」ってまた元ネタがこいつかよ・・・・・・・・

『金融政策運営は「為替相場にリンクしたかたちで行っていない」としながら、「為替の変動が経済・物価に与える影響はあり得る。それも1つの要素として、経済・市場の動向を見ながら金融政策を運営していくことは不可欠だ」との認識を示した。』

今まででも定例記者会見で追加緩和の余地とかに質問されて手段はあるだの何だのという話は出ていたのですが、基本市場ちゃんはスルーというのが仕様だったと思うのですけれども・・・・・

『追加緩和の具体的な手段として、長短金利目標の引き下げ、資産買い入れの拡大、マネタリーベースの拡大ペースの加速をあらためて挙げたが、その際には「効果とともに金融仲介機能や市場機能に及ぼす影響もバランスよく考慮する必要がある」と指摘。「政策のベネフィットとコストを比較衡量しながら、その時々の状況に応じて最善・最適な方法を検討していく」との考えを示した。』

てな訳で、現実問題としては金利方面で出来ることって無いに等しいというか、ただのヤケクソ自爆攻撃になるような物件しか無いでしょうし、そもそも円高になる→マイナス金利深堀りする→金融株阿鼻叫喚→日本株下落→更に円高、という地獄の火の中に投げ込まれるだけの展開しか想定できませんけれども、まあ今回は何故か「円高」をテーマに質問が来てて、しかも米国の利上げがちょっと止まっちゃいましたねという状況だったり、欧州経済がここもとアレ感が強まる中でリスクオフの可能性がーとか考えると為替の円高が気になる昨今、ということでもあったのか、単にタイミングの問題だけなのか、まあ何が何だか知りませんが、このニュース出た瞬間にドル円は10銭くらい反応してたし、株もちょっとだけ反応してたし、債券市場ちゃんは何気にまーた強くなるの巻。

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N20E2AW
2019年2月19日 / 15:16 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が小幅続伸で引け、長期金利は-0.035%に低下

『 <15:09> 国債先物が小幅続伸で引け、長期金利は-0.035%に低下

国債先物中心限月3月限は前日比3銭高の152円90銭と小幅続伸して引けた。前日の米国市場が休場で外部環境からの手掛かりに乏しい中、朝方は20年債入札を控え上値の重い展開となった。事前に慎重な見方が一部に出ていた20年債入札が、期末に向けた残高確保の動きなどの好需給要因に支えられて無難な結果となると徐々に買い圧力が増し、国債先物は一時152円92銭まで水準を切り上げた。現物市場は終盤にかけてしっかり。20年債入札をこなすと長期・超長期ゾーンに買いが入り、イールドカーブはフラット化した。10年最長期国債利回り(長期金利)は同1bp低いマイナス0.035%に低下した。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、

『黒田東彦日銀総裁が19日の衆院財務金融委員会で、物価安定目標の実現に必要なら追加緩和を検討すると発言をした。現行の大規模な国債買い入れを軸とする異次元緩和の副作用を踏まえると、有効な緩和手段に乏しいとの見方が出ているが、「仮に追加緩和に踏み切った場合、一段とフラット化する可能性がある」(国内金融機関)との声が出ている。』

てな訳で、為替ちゃんと株式ちゃんは反応は一時的でしたけれども、債券市場ちゃんの方はその後のイブニングで先物153円キタコレとなっているのがアジャパーな訳でして。

https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_day_through

日通し
長期国債先物 19年3月限
取引日02/20

始値 152.90 (15:30)
高値 153.00 (23:04)
安値 152.88 (15:54)
現在値 152.96 (05:24)
前日比 +0.06
取引高 5,840

なおデータはイブニングセッションの引け前にテキトーに取ってますのでそこは勘弁ということでよろしくお願いしたい訳ですが、年初の1月4日に日中152.99のザラ場高値やっておりましたが、イブニングではありますが153円キタコレとなりまして、誰得追加緩和にも程があるというのに追加緩和ワッショイ先物とかもうねという所ではあるのですが、まあ先物が上がりやがってアチャーというよりも、ところで何で今回急に変なものでも食ったかのように急に反応してますねん、という方が興味があるのですが、まあ何がどうしてこうなっているのかはさっぱりワカランチ会長でございますし、買い上げているお方にでも聞くしかありませんですなー(投げやり)。

まあアレですな、当然ながら追加緩和とかしても誰得緩和にも程がありますし、それよりも何よりも問題なのは追加緩和をしたからと言って別にインフレ期待がホイホイ上がる訳ではないですし、ついに置物リフレ理論の総帥であらされますところの置物木久扇大師匠様に於かれましても堂々と「金融緩和だけではインフレ期待が上がらない」と仰せになっている訳で、追加緩和をして物価が上がったりインフレ期待が上がったりするとかいう図が無いのに追加緩和するのはただの日銀の面目玉以外の意味は無いんですけど、それにしてもこのタイミングで急に反応する市場ちゃん(何となく国内じゃないのかなあとかも思いますけど)というのが不思議ですし、反応の持続性がどうなのかという話は今後の相場を見ないと何とも言えませんけれども、この先追加緩和リスク(もはや債券市場からしたら追加緩和期待とは呼ばない方が良いと思う)を意識した動きが継続とかになりますと、相場ちゃんは自己実現をしていくものなので、なんか変な雰囲気になりやしないか、とまで杞憂だと良いんですが、まあ気持ち悪いものを感じました。

しかし元ネタが前なんとかさんの質問だったというのが実にムカつくわけでして、本当にこやつはろくなことしねえわと血圧の上がること夥しいのでありました。


〇これは面白そうなペーパー

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2019/wp19j01.htm/
情報技術革新・データ革命と中央銀行デジタル通貨
2019年2月19日
柳川 範之
山岡 浩巳

上記ページの紹介文章の最後に『本稿の内容と意見は筆者個人に属するものであり、所属機関の公式見解ではない。』とありますように、これもスタッフペーパーの扱いになりますけれども、著者がスタッフというにはちょっと大物になりますところの柳川先生とこの前まで決済機構局長だった山岡さん、というのに反応してしまう訳ですが(^^)、上記URL先はご紹介ページですので、そちらの『要旨』を拝読。

『情報技術革新やキャッシュレス決済の世界的な拡大、暗号資産の登場といった環境変化の下、「中央銀行も新しい情報技術を活用し、一般の人々が現金の代わりに使えるようなデジタル通貨を発行してはどうか」といった議論が、世界的に注目を集めている。』

中銀デジタル通貨キタコレですけれども、アタクシは古臭いだの何だの言われるかもしれませんが、キャッシュレス云々ってのは究極的には「管理をする人たちに都合の良い制度」であって、政策当局的にはオイチイ話ではあっても、管理される側って通常使いでメリットがあるように見えても、全部管理されて全部捕捉されることというのはやはり恐ろしいものであるという認識ではあるんですよね。まあそんな方面の話ではなくて、現行の金融政策や決済のありかたとの関係はどうなのよというのが主な論点になっているようですが。

『日本銀行を含む多くの主要中央銀行は、現時点では銀行券を代替するようなデジタル通貨を発行する計画はないと表明している。もっとも、スウェーデンやウルグアイの中央銀行のように、デジタル通貨の発行の是非に関する具体的な検討や試験的な発行を進める中央銀行もみられている。』

さいですな。

『中央銀行によるデジタル通貨の発行は、支払決済の効率性への影響に加え、銀行による資金仲介や流動性危機などへの影響、金融政策の効果波及経路への影響など、広範な論点を含む。また、いずれの論点も、マネーの機能を再考し、その将来像を考える上で、重要な示唆を与えるものである。デジタル情報技術は、マネーの可能性を拡げるものといえる。この中で、従来からの支払決済手段としての機能に加え、支払決済に付随するさまざまな情報の媒介や取引の実行など多様な機能を備えたマネーが、今後も登場してくることが想定される。』

まあそうかも知れんが全部が一元的にネットワークに載ってしまうのってちょっと・・・・・・・・

『このようなもとで、中央銀行デジタル通貨や、さらに将来のマネーのあり方を考える上では、支払決済の効率性や金融構造への影響などに加え、経済社会における情報やデータの利活用のあり方や、支払決済インフラが持つ「ネットワーク外部性」などの観点からの考察が重要となろう。』

てな締めになっていますが、

『キーワード 中央銀行デジタル通貨、技術革新、支払決済、マイナス金利』

としらっとマイナス金利の話もあったりしまして、アタクシもまだ目を泳がせた程度なのですが、まあ面白そうではありますのでネタというか備忘用にメモしたという感じですな。

全文はこちらになります。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2019/data/wp19j01.pdf
情報技術革新・データ革命と 中央銀行デジタル通貨

ちなみに柳川先生と山岡さんの共著で出ている日銀ワーキングペーパーシリーズは去年もあって、
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2017/wp17j01.htm/
ブロックチェーン・分散型台帳技術の法と経済学
2017年3月23日
柳川範之
山岡浩巳

全文はこちら
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2017/data/wp17j01.pdf

というのがありますです(ネタにした覚えはない)、はい。


〇メスター総裁講演があったようで(とりあえずメモ程度ですが)

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-mester-idJPKCN1Q8263
2019年2月20日 / 02:07 /
年内多少の利上げ必要、バランスシート縮小見送り可能=連銀総裁

『[ニューアーク(米デラウェア州) 19日 ロイター] - 米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は19日、年内の利上げはおそらく必要との認識を示した。同時に年末までバランスシートの縮小を見送ることは可能とも指摘した。 』(上記URL先より、以下同様)

ほほう。

『前月の連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、次の動きが利上げもしくは利下げになる可能性があるとのガイダンスが削除されたことについては「正常化」に向けたシフトの一環と説明。世界経済の減速や米中通商協議など成長に対するリスクが顕在する一方で、経済は引き続き堅調に推移する見込みとした上で「FRBは年内おそらく多少の利上げを迫られると思う」と語った。』

『FRBが抱える4兆ドルを超えるバランスシートについては、年末まで縮小を停止することは可能と表明。縮小を停止しても景気の押し上げにはつながらず「全般的に経済に重大な影響は生じない」との見方を示した。また保有証券については国債のみとし、期間が短めの銘柄に重点を置いたポートフォリオが望ましいとした。』

まあ利上げ云々も勿論ですが、こっちのポートフォリオ構成どうするのかってのも気になるところではあるのですが、短めの国債オンリーってのはまあ非常にノーマルというかオーソドックスな線だけど、MBSの買入が残るとか米国市場が期待しているのかどうかがよー分からんのですけど、もうちょっと緩和感のある(というと何か妙な表現ですが)ポートフォリオを期待しているのだったら米国市場ちゃんがションボリーヌになってしまう可能性もあるのかなと思ってみたり。


でもって講演の方はこちらでしてですね(長いのでリンクは途中の所までですがちゃんと飛びます)、
https://www.clevelandfed.org/newsroom-and-events/speeches/sp-20190219-transitions-the-economy-monetary-policy-and-policy-communications
Transitions: The Economy, Monetary Policy, and Policy Communications
02.19.19 Loretta J. Mester
Lyons Companies and the Center for Economic Education and Entrepreneurship, Alfred Lerner College of Business and Economics, University of Delaware, Newark, DE

金融政策の話と金融政策コミュニケーションの話をしているので、まあ一応読んでやるかという感じではあるのですけれども、時間も無いので超絶手抜きスキームで最後の『Summary』を読む。

『In summary, 2019 will be a year of transitions for the economy, for monetary policy, and for monetary policy communications.』

と割と大上段モードなのでまあ読んでみましょうかねえとか思う訳なのですな。

『In my view, the most likely case this year is that the economy will transition toward a more sustainable pace of growth, with continued strength in labor markets and inflation near 2 percent.』

「economy will transition toward a more sustainable pace of growth」とかホンマカイナという感じではあるのですけれども、先般ニュースヘッドラインになっていたSF連銀のデーリー総裁も「2.0%成長に1.9%の物価水準だと利上げ不要」とか言ってまして、デイリー総裁の場合は、成長が潜在成長率程度で物価がロンガーランゴールの近辺だからそれは利上げせんでエエジャロという話だ、というロジックだと思うのですが、メスター総裁に関してはアタクシ今回の講演本文の方は目を泳がせた程度なので恐縮なのですが、ただまあ「a more sustainable pace of growth」というのは経済が潜在成長率程度の成長を続けるので安定して成長するパスですよ、という話を意味していると勝手に思いますので、確かにまあSEPがそんな感じではありますが、どうもFEDは今の所「今年は安定モード」という認識を基本的に共有しているんだろうなあ、というのは把握しました。

『But we must remain attentive to several risks to the outlook, including the slowdown in global growth, uncertainty over trade policy, tighter financial conditions, and the changes in business and consumer sentiment.』

これまたFEDの中心的見解と同じような話ですかな。

『We are transitioning toward normal monetary policymaking where the future path of policy is determined by how changes in economic and financial conditions affect the medium-run outlook and risks around that outlook.』

でもって金融政策はノーマルな政策決定、即ち先行きの金融政策に関しては経済がどうなっていくのか、中期的な見通しやリスク認識がどうなのか、という点を考えて行っていく、というステージに変化しつつある、ということなので、これまた中心的見解と同じような説明ですが、正常化モードの終了が近いですよという認識を示していますわな。

『With the federal funds rate now at the lower end of the range of FOMC participants’ estimates of its longer-run neutral level and with monetary policy neither ahead of nor behind the curve, we can take the time to make that assessment.』

「we can take the time to make that assessment」と様子見姿勢可能攻撃来ました。

『Our monetary policy communications are also transitioning with less emphasis on forward guidance about future interest rate moves and more focus on the economic and financial information that affects our medium-run outlook and on how policy is likely to respond to changes in the outlook and risks.』

ということで、フォワードガイダンスなどのような決め打ち政策ではなくて状況に応じて変化、ということですが、まあそうなりますとドットチャートとかどこからどう見てもコミュニケーション上の阻害要因になりますなあとか思うのですけれども、まあそのあたりの話に関してはこの『Summary』の小見出しの前のパラグラフにあったりするようでごじゃいますが、ちょっと本日はパスということで(サーセン)。


ということで、記事に載っている部分の鑑賞を全然していないという誠に恐縮なメモでした、予告編ということで勘弁。

#置物日記日記はどうしたというツッコミはしない方向でお願いいたします(−−;





2019/02/19

お題「ロイターの置物インタビューで湯気ポッポー/輪番の減額余地雑談というありきたりなヒマネタ/その他少々」

久々にトサカパワーが出てきたので置物日記を読み直すモチベーションが出てくるというものです(^^)。

〇ロイターの置物インタビューで爆釣でしょうなこりゃ

これはまたひどい釣りインタビューなのですが釣りじゃなくてマジなのが情けない
https://jp.reuters.com/article/interview-boj-iwata-idJPKCN1Q70B3
2019年2月18日 / 14:00 /
インタビュー:脱デフレへ財政・金融協調を、増税撤回は不可欠=岩田前日銀副総裁

『[東京 18日 ロイター] - 岩田規久男・前日銀副総裁は、ロイターとのインタビューに応じ、デフレ脱却には、10月に予定されている消費税率引き上げを撤回するとともに、国債発行を財源として若い世代に所得分配する財政拡大が不可欠と訴えた。財政と金融の協調によって財政資金を日銀がファイナンスし、お金が民間に流れ続けることをコミットすることで、デフレマインドの払拭が可能になると語った。インタビューは15日に行った。』(上記URL先より、以下同様)

ジンバブエキタコレですが、以下盗人猛々しい発言が続きますので鑑賞しましょう。

『前回の消費増税の教訓から「日銀の金融超緩和政策だけではインフレ予想を上げることができず、2%の物価安定目標の達成に失敗する可能性が極めて高い」との認識を示し、「財政と金融が一致協力して、お金を民間に流すことを真剣に考えるべき」と強調。』

>日銀の金融超緩和政策だけではインフレ予想を上げることができず
>日銀の金融超緩和政策だけではインフレ予想を上げることができず
>日銀の金融超緩和政策だけではインフレ予想を上げることができず

何で副総裁を辞任しなかったんですか??????????という話ですし、

>財政と金融が一致協力して、お金を民間に流すことを真剣に考えるべき

って資金循環考えたら財政が出せといえば話は済むだけのことだし、中央銀行って基本的に資金需給に対して事後的に対応する(量的緩和できるのは金利がゼロになっているか、FRBみたいに超過準備をIOERによって金利付けて事実上の不胎化するからであって、中央銀行が行えるのは金融緩和で間接的に民間の資金需要を促すということですがな)訳ですが、まあこういう説明を相変わらずするからこそ「預金が仕入で貸出が販売」という複式簿記も資金循環も裸足で逃げ出す超理論をMPMで出してくる政策委員が出てくるということでしょうな。

『リフレ派の中には、変動相場制の下では財政政策よりも金融政策の方が有効などとするマンデル・フレミング理論を重視する声があるが、「14年度の消費増税の結果は、マンデル・フレミング・モデルが通用しなかったことを示している」と指摘。』

>マンデル・フレミング・モデルが通用しなかったことを示している
>マンデル・フレミング・モデルが通用しなかったことを示している
>マンデル・フレミング・モデルが通用しなかったことを示している

マンデルフレミングなんて強い前提条件を置かないと成立しない座学の世界でそんなのがまともに通用するとか信奉してたのおまえら置物リフレ一派(とそれにコロッと騙されていた方々)だけじゃろという話のでお前らがそもそもゴミクズって話だ。

『こうした対応は、日銀による財政資金のファイナンスとの批判が強まる可能性がある。岩田氏は「今の政策はすでに財政ファイナンス。これ以外にデフレから脱却できる方法はない」と述べ、物価2%目標が歯止めになるため「ハイパーインフレになる心配は、まったくない」との見解を示した。』

えーっと、財政ファイナンスを無限に続けたらどこかでタガが外れるだろうし、その時には(基本的に止められなくなりますが)物凄い勢いでそれまでの政策を反転させるので、とんでもない軋轢が発生するということになります、というのが「2%インフレ目標が歯止めになる」という話になる訳で、まあ端的に言って政策要路の方々のリアル首チョンパ位の覚悟が無いと止められないというような政策が必要になりますけれども、2年で達成しなければ辞任すらできなかった上に反省も無くいけしゃあしゃあとこんなゴミクズカスダニ発言をしているようなクソジジイがそのような覚悟も胆力もある訳が無い訳で、できもしない事を根拠に「心配はまったくない」とか貴様の首の上にある物体は橙か何かの正月飾りかと小一時間問い詰めたい。

『そのうえで、このまま消費増税を実施すれば「黒田東彦日銀総裁は、10年かけても物価2%が達成できなかった駄目な総裁で終わってしまう」と述べるとともに、』

>10年かけても物価2%が達成できなかった駄目な総裁で終わってしまう
>10年かけても物価2%が達成できなかった駄目な総裁で終わってしまう
>10年かけても物価2%が達成できなかった駄目な総裁で終わってしまう

このまま達成しなかったら黒田さんがダメな総裁というのだったらば、お前は2年で達成すると大口を叩いて白川さんたちを石持て追い出しておいて5年かけても達成できなかったゴキブリにも劣る副総裁だろいい加減にしろ。

・・・・・・・などとついトサカに来てしまう訳ですが、この大先生の置物日記日記の続きはどうしたとのご指摘は大変に恐縮するところでございましたが、このインタビュー記事を見てまた血圧ゲージが上がって来ましたので、このトサカパワーを使ってまた置物日記を読まないといけませんね!!!!!

しかしまあこの置物の発言、非常に腹立たしいにも程がある訳ですが、置物大先生におかれましては可及的速やかに天寿を全うして頂きたいものだと切に願う次第ではあります。


〇冷静に考えるとそんなにもう輪番減額余地ってなかったりするのではないかという雑談

さてトサカパワーの方はいったん封印致しまして米国も休場なので世間話でも。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of190218.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,500 2019年2月19日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,000 2019年2月19日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,800 2019年2月19日
国債買入(残存期間25年超) 500 2019年2月19日

昨日は中期超長期輪番でしたが、

https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N20D28A
2019年2月18日 / 15:20
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸で引け、一時1カ月半ぶり高値 長期金利-0.030%に低下

『 <11:10> 国債先物が続伸で前引け、新発10年353回債は取引成立せず

国債先物中心限月3月限は前営業日比7銭高の152円90銭と続伸で午前の取引を終えた。前週末の米国市場がリスクオンの流れとなり、米債は下落したが、期末に向けた残高確保の動きなど良好な需給環境が意識されて、朝方から強含みの展開。日銀が午前10時10分に通告した中期・超長期を対象にした国債買い入れで、一部に警戒感があった減額が見送られると、一時152円91銭と前週末高値まで買われる場面があった。』(上記URL先より)

てな感じで、まあ日計りとかそういう短期的な世界の話ではありますが、一々輪番減額無かったのでちょっと動くみたいな謎反応しているのが先週来の仕様みたいになっていますな。まあそんなこと言いましても超長期前半の減額をしてその時とその後は確かにスティープしました(というかその前の3連休前の金曜のフラットニングソイヤソイヤ相場がナンジャソラという感じではあったのですが)けれども、結局先週も週末になってまーたフラットニングとなってしまって達観してみれば結局はそんなに大きな変化がないという状況な訳で、減額してそうなのですから減額なしだからと言ってホイホイ買うもんかね、とは思いますが、まあ日計り感覚だったら別に有りですかね、よー知らんけど。

という話は兎も角として、そもそも輪番ってここから先どの位減額余地あったっけというただの世間話なので、おもいっきり(個人の感想です)って話(てか大体個人の感想の話ばっかりしているんですが、汗)ではありますがちょっと考えてみた、というか昨日うっかり減額されたら(よほど金利低下圧力強くない限りは月に2発もやらんじゃろとは思うのでやらないと思ってたが)ネタにならなくなってしまうので一応早めに出しておくか、とは思うので出してみるの巻。


えーっとですな、この前も計算したのを駄文に書きましたが、1月末現在の日銀保有国債残高明細から計算していきますと(以下の数字は全部額面ベースです)、2019暦年の償還予定額は506,243億円、1月に前月末対比で保有残高がネットで43,429億円増えていますので、残り11か月の買入が45兆円で国債増加がチャラとなりますから、どこをどう逆立ちしても買入はそれ以上には今の政策枠組み(の中にあるオーバーシュート型コミットメントという面倒なものがあるということ)を前提にすると絶対に減らせないというのは誰でもわかる話ですな、うんうん。

でもって固定金利共通担保オペとか、貸出支援基金等の残高がぶれることを考え、ついでに短国買入をもうちょっと減額することを前提に置いた場合(1月末の短国買入残高は82,815億円)、その分のバッファーが必要になりますし、あとは完全に形骸化していますが「国債買入残高80兆円拡大」という空証文とは言えども存在するということを考えますと、まあ出来上がりで長期国債増加がどんだけ減らしても10兆円は必要でしょうし、特に根拠はないけど15兆円程度の拡大まで下げるのが限界じゃないのかね、とか思ったりするわけですよ。

そうなりますと、今の買入(超長期前半減額後ベース)が月間で61,700億円(1年以下の買入は償還になるので除外、変動利付は月500で便宜的に計算)となる訳ですので、残り11か月で679,200億円の買入(変国の偶数月分調整後ベース)となり、1月の増加分を合わせると年末の長期国債増加の着地見込みが216,386億円だったりして、意外に減額余地が少ないという話になりますわな。

ここで各バケットの来年度発行におけるカレンダーベース市中発行額との対比を見てみますと現状は、

1−3年:買入額14,000、発行額20,000
3−5年:買入額16,000、発行額19,000
5−10年:買入額21,500、発行額21,000
10−25年:買入額7,200、発行額9,000
25年超:買入額2,000、発行額9,000

なので、発行額対比でみた場合の買入がどこからどう見ても過大なのが5−10年で、あとは中期後半と超長期前半が発行額の8割買っている計算になりますな、うんうん。

・・・・・・・と考えた場合、本当は長期も発行の8割くらいまで減らせやとは思うものの、そこまで減らそうとすると今から1回辺り800億以上減額しないといけないので中々ハードですが、まあ500減らして3800×5にすれば発行額の9割まで来るので少しはマシになるかなという感じ。ただ10年はコントロールゾーンなのであんまり派手に減らせないし減らすと何やってるんだとなるから難しいのですが、まあ今の買入明らかに10年の所のバランスが悪いので金利がマイナスで推移しているうちに減らすチャンスはチャンスなんですよね(いっぺんに500とか無理でしょうが)。

ということで勝手読みにも程がありますが10年輪番をここから500億まで減らしたとして月額買入が59,200億円まで減るので、2019年の買入拡大がこの時点で188,886億円になりますな。

あとは中期後半と超長期前半のどちらかが削減候補という感じで、将来のバランスシートの事とか、プラス金利への投資したい債券投資家への給餌という意味では超長期前半もうちょっと減額できませんかねえと思いますが、どちらも月4回のバゲットになっていて、両バゲットで合わせて800億円減額すると月額買入が56,000億円まで落ちまして、そうなると2019年の買入拡大が153,686億円となるのでここが限界点という感じでしょうな。

それから2020年の償還が1月末時点で507,556億円ありまして、ここの数字は2年のオフザランとかぶっこまれると今から若干増える余地があるので、そこも考慮しないといけなくて(ってまあその時に同じ政策やっているかどうか知らんですけど)、まあそれも含めて一番絞っても10年で500億円、他バゲットで合計800億円程度が絞りに絞ったところになると思うので、そんなこんなを考えますと積極的に減額ガーとか言ってももうそんなに減らんがな、とは思ったりしますな。まあ超長期前半あと500とか減ったら買入銘柄のデュレーションが更に短くなって日銀もこっそりとニッコリ、皆が参戦している20年の需給が少しは改善して(何となく焼け石に何とやらの悪寒もしますが・・・・・・・)投資家もニッコリ、ということにならないですかねえとかただの願望トークをしたくなりますが、まあいずれにせよ各バゲットであと1回程度(細切れで減らせば10年とか2回できそうですが、そもそも下げるにしても3800まで下げないで4000で止まるような気もするし)やったらかなりカツカツに近くなるんジャマイカと思うので、先週超長期前半を割と不意打ちに減額したからと言って、毎回輪番の減額可能性ガーというのはまあ落ち着けという話になると思うのですがどうでしょうかねえ(個人の感想です)。

という世間話なのでした。


〇FSBが今年の行動計画だしてますな

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2019/rel190218a.htm/
金融安定理事会による「2019年の作業計画」の公表について
2019年2月18日 日本銀行

『金融安定理事会(FSB)は、2月12日、「2019年の作業計画」(原題:FSB work programme for 2019)を公表しました。

詳細につきましては、以下をご覧ください。

プレス・リリース
(原文 <金融安定理事会ウェブサイトにリンク>) (金融安定理事会ウェブサイトにリンク)
「2019年の作業計画」(原文 <金融安定理事会ウェブサイトにリンク>)』

とまあそういう訳で、「2019年の作業計画」ってのがこいつ。
http://www.fsb.org/wp-content/uploads/P120219.pdf
FSB work programme for 2019

項目が、

Addressing new and emerging vulnerabilities in the financial system
Finalising and operationalising post-crisis reforms
Implementation of reforms
Evaluating the effects of reforms
Reinforcing outreach to stakeholders

でまあ英文で本文5ページもありやがるのでいきなり寝起きで読むようなものではないですし、そもそも背景の話をちゃんと分かっていないとああだこうだ言える話ではないのですが、最初の『Addressing new and emerging vulnerabilities in the financial system 』の小見出しを更に見ると、

Assessment of vulnerabilities.
FinTech.
Cyber resilience.
Non-bank financial intermediation.
Accounting and audit.

ってのがありまして、Non-bank financial intermediationの辺りは現世利益的には影響しそうですなあというのと、次の『Finalising and operationalising post-crisis reforms 』の小見出しが、

Building resilient financial institutions.
Ending too-big-to-fail (TBTF).
Making derivatives markets safer.
Promoting resilient non-bank financial intermediation.

とかありまして、まあこの辺の話って急に出てきた話ではなくて既存の話の今後の計画という話ではあるので別に何か新規のニュース性ある訳ではないのですが、いずれ市場ちゃんの方にも影響してくるネタなのでちゃんと確認をしておかないといけませんなあ、という自戒のネタとしてメモを置いておく、というだけの話でしたどうもすいません。

まあしかしFSBとかIOSCOとか言われますとどうも座学で突っ走って碌な事しやがらねえ(個人の偏見です)という印象が強いのですが、相変わらずブイブイ言わせていますなマッタクモウ。


〇これもメモだけですが(日銀の金融高度化セミナー)

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2019/rel190215d.htm/
AIを活用した金融の高度化に関するワークショップ(第3回「信用評価」)を開催
2019年2月15日
日本銀行金融機構局 金融高度化センター

『日本銀行では、金融業界においてAIに対する関心の高まりや実際の取り組みが急速に広がっていることを踏まえ、「AIを活用した金融の高度化に関するワークショップ」を本年9月より開催しております。

2019年2月18日、日本銀行本店にて、第3回会合を「信用評価におけるAI活用の可能性」をテーマに開催します。

本ワークショップの関連資料については、以下をご参照ください。なお、ワークショップの模様については、後日掲載します。』

ということで資料のリンクがありますが、資料については引用してネタにするのはアカンタレという話だったと思いますので、まあ読んでちょとしか申し上げようがないですが、こういうのでどこまでできるんでしょうかねえというのは、金貸しの手先であったこともあるアタクシ(しかも大昔のオールドタイプ)としては興味はあるとゆーか、まあ盲信しないでちょと思いながら眺めるという感じではございます。






2019/02/18

お題「デギンドスECB副総裁の講演なんぞを鑑賞してみるの巻」

忖度がどうのこうのとか言う以前の問題でこれわwwwww
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190217/k10011818241000.html
統計不正 当時の担当者「数値復元指示するも実施を確認せず」
2019年2月17日 17時40分

『その中で、毎月勤労統計調査への認識について「雇用保険や労災保険の給付額に反映されるということは報道を見て初めて知った。さまざまな政策に関係する重要な統計だということは知らなかった」と証言しました。』(上記URL先より)

アイヤー!!!!

〇ECBもまあ利上げする気はないのをアピールしておりますなあ

例によって先週のネタで恐縮ではございますが。
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2019/html/ecb.sp190211~6b70b3a599.en.html
The euro area: current status and the monetary policy stance
Remarks by Luis de Guindos, Vice-President of the ECB, at Deusto Business School, Madrid, 11 February 2019

デギンドス副総裁の講演でございまして、謎の箇条書き攻撃なのですが長くないのでサラサラと参りますが。

・出オチで物凄い勢いで弱い話が連発するという事で

『Recent economic developments』というのが最初にありまして、

『・Euro area data have been weaker than expected in recent months.』

一番最初に出てくるのが何せこれ。

『In fact, industrial production growth fell in the second half of 2018 and the decline was widespread across sectors and most major economies. Business investment weakened. On the external side, euro area trade disappointed, with noticeable declines in net exports.』

鉱工業生産は落ちているし幅広いセクターで多くの主要国で落ちていて、企業の投資は弱まっていて、ユーロ圏のネット輸出は顕著に落ちていてdisappointedですよ、とかもう出オチがこれですよ先生。

『・As a result, economic growth turned out to be weaker than expected: euro area real GDP increased by 0.2% quarter-on-quarter in the last two quarters of 2018, down from 0.4% in the first two quarters (on the basis of preliminary figures). 』

という結果として成長は見通しよりも弱かったと。

『・Factors of idiosyncratic nature have been pulling growth down as well. These relate to temporary issues in the automotive sector due to new regulation, street protests and weather conditions. While there is uncertainty about the magnitude and persistence of these factors, near-term growth in the euro area is likely to be weaker than previously anticipated.』

特殊事情(自動車の新規制と天候要因)除いてもやっぱり以前の見通しよりも弱いですよ。

『・Turning to the global environment, global growth is showing signs of a maturing economic cycle.』

海外経済は成長サイクルの終了が近くなってきたという兆候が出ているそうな。

『Global activity is still expanding, but growth in important euro area trading partners, such as China, has been moderating. This has been feeding through to lower euro area exports. Indeed, a large part of the growth slowdown in the third quarter of 2018 came from a weaker contribution from net exports.』

海外経済は成長が続いているものの、ワシらのメインパートナーの中国は減速してきていると。

『・Moreover, geopolitical uncertainties, the threat of protectionism, vulnerabilities in emerging markets and financial market volatility have proven to be more persistent than initially foreseen. In Europe in particular, the state of play of the Brexit negotiations is adding to the uncertainty.』

おまけに貿易戦争だのEM市場の脆弱性だの金融市場のボラだのブリクジットだのの問題がありますよ。

『・All these elements have increasingly weighed on economic sentiment and are now reflected in moderating business and consumer confidence.』

これらが経済のセンチメントに影響を徐々に与えてきており、企業と家計のコンフィデンス低下に表れている。

『・Headline inflation figures have also been declining: HICP inflation decreased to 1.4% in January, from 1.6% in December, mainly due to falling energy prices. Looking ahead, headline inflation is likely to decline further over the coming months on the basis of the financial market’s outlook for oil prices.』

総合物価は原油の影響でここもと下がっていますと。

・・・・・・・とまあ威勢の悪い話をこれでもかと行っておりますがここからフォローが入る。


・借入コンディションがーという話をする中ですと緩和の調整って中々踏み出しにくいかもですなあ

その続きになりますけど。

『・Sound factors of resilience are however in place.』

やっと明るい話。

『The euro area expansion is expected to continue, supported in particular by favourable financing conditions, further gains in employment, rising wages and lower energy prices.』

経済のサポート要員は、借入コンディションが良い、雇用が拡大する、賃金が上がる、エネルギー価格の下げ、だそうな。さっきはインフレの話でエネルギー要因の話をしてましたけどな。

『・In fact, bank lending rates to euro area firms and households remain close to historically low levels. The most recent bank lending survey confirms that credit standards remain favourable and loan demand continues to increase. Together with solid earnings expectations and firms’ balance sheets, these favourable funding conditions should support business investment.』

今言った項目の説明ですけれども、銀行貸出に関しては企業や家計への貸出金利の水準がヒストリカルローレベルですよああそれから最近のサーベイを見ると貸出態度は好ましい状態だし、ローンの需要は拡大を続けている、という話をしていますな。でもって企業のバランスシートが好転しているので、企業の投資をサポートしている、とまあそんな話。

でまあどの辺までが大本営発表なのかはともかくとしまして、この話をジャパンに置き換えた場合、貸出金利ってこれ以上下がるんでしたっけという話だし、資金需要自体が盛り上がらないし、企業のバランスシート改善は(危機が大昔だから)とっくの昔に改善しているのですよねー、とか考えると、貸出ルートで金融緩和効果とか言うのがユーロ圏対比ワークしにくいというのではないかと思うと、益々マイナス金利の意味とは何ぞやという話になりますわな、と思いました。

『Labour market dynamics remain strong, with euro area unemployment at 7.9% in December, its lowest level in more than ten years.』

失業率7.9%で低いというのも何だかという感じではありますが。

『Rising wages should continue to underpin household income and private consumption.』

お賃金が上がっているそうな。

『Lower energy prices are supporting real incomes and should provide an additional impetus to domestic demand.』

エネルギー価格の低下はコストの低下から需要の拡大につながるというのはまあそうでしょうな。

でまあこの銀行貸出の所を思いっきり説明している、というのを見ますと今の緩和政策に関しての見直しをするにしても銀行貸出チャネルを冷やさないというようなことを考えていくのかなあとか思ったりするとどうするんでしょうかねえとは思います。


・物価については割と元気な話が

続いて物価のお話。

『・Turning to inflation, high levels of capacity utilisation should continue to strengthen labour cost pressures.』

稼働率が高いレベルにあるので賃金の押し上げ圧力になるでしょうとな。

『Growth in compensation per employee increased to 2.5% in the third quarter of 2018, having increased steadily since 2016. Growth in negotiated wages also picked up in the course of 2018.』

2018年の3Qは2.5%上昇だの、労使交渉による賃金も上がっているだの威勢の良い話で結構なことで。

『Moreover, wage growth has become increasingly broad-based in recent years. This, together with our monetary policy measures and the ongoing economic expansion, is expected to translate into higher underlying inflation over the medium term.』

ということで物価に関しての先行きはちょっと威勢がよくなって経済のアウトルックの所は終了するので、前振りと後半のバランスをとっているというのはありますが、賃金が上がっているというのが物価の方ではポイントのようですな。


・政策スタンスは思いっきり「俺動かないもんね」モード

次が『Monetary policy stance』である。

『・In this environment of downside risks to the growth outlook, the Governing Council decided at its last monetary policy meeting in January to retain its policy stance, confirming the enhanced forward guidance on policy rates and reinvestment.』

1月は据え置きでしたよああそれからガイダンスを確認しましたねと。

『・The Governing Council carefully reviews all incoming data with regard to their possible implications for the medium-term inflation outlook. More concretely, we continuously assess whether inflation is converging towards our inflation aim - that is to levels of below, but close to, 2% - in a sustained manner.』

今後もデータを慎重に見ながらマンデート達成に向けて頑張りますよ、とまあこの辺は普通のご挨拶でございますが、「carefully」とか入れるのが慎重感を出すの巻。

『・Although near-term growth is likely to be weaker than foreseen, in our view, the conditions for ongoing economic growth remain in place - supportive financing conditions, favourable labour market dynamics and rising wage growth. These will continue to underpin the euro area expansion - and thereby contribute to gradually rising inflation.』

近いタームの見通しは以前よりも弱くなっているけれども、さっき言った要因にサポートされて経済の成長と物価目標の安定的な達成に向けて進むそうな。

『・At our meeting in January, we kept our current policy configuration in place. At the same time, we acknowledged that persistent uncertainties and signs of lower than expected near-term growth call for increased caution.』

1月会合において先行きの不透明感と近いタームの成長が見通しよりも弱いことに関してより警戒を要するという認識を行いましたと来まして・・・・・・・・

『・Significant monetary policy stimulus remains essential to support the further build-up of domestic price pressures and headline inflation developments over the medium term.』

Significant monetary policy stimulusが必要というのはいつもの話ではあります。

『・Indeed, the end of our net purchases in December last year does not imply that our monetary policy has become less accommodative.』

ほほうという感じですが、12月の買入拡大停止は金融政策の緩和度合いを下げたわけではないと来ました。

『In fact, ample monetary policy accommodation is still provided by our forward guidance on the key ECB interest rates, which is reinforced by our forward guidance on the reinvestments of the sizeable stock of acquired assets.』

でもって緩和効果に関して金利と資産買入のフォワードガイダンスをぶっこんでいるのでそれが効果を出しています、だそうです。

『・The formulation of our forward guidance on our policy rates is crucial. There is the date-based element - that interest rates are expected to remain at their present levels “at least through the summer of 2019”.』

『But, in addition, there is a state-contingent element - that rates will remain unchanged “in any case for as long as necessary to ensure the continued sustained convergence of inflation to levels that are below, but close to, 2% over the medium term”.』

このフォワードガイダンスですけれども、2019年夏まで今の金利を継続という日付ベースのものがあるのに加え、物価目標達成に必要な限り継続する、という状況ベースのものもあります(から別に夏で終わる訳ではない、と言いたいんでしょ)とな。

『・The date-based element ensures that our stimulus is not weakened by premature expectations of a rate hike.』

『The state-contingent element, in turn, ensures that the stance will continue to evolve gradually and in a data-dependent manner, is consistent with a forward-looking and medium-term-oriented monetary policy strategy, and underscores the credibility of the Governing Council’s commitment to its price stability objective.』

日付ベースに関しては早期の利上げ期待が起きて緩和効果が落ちないようにしており、条件ベースの部分に関しては金融政策がデータディペンデントでフォワードルッキングかつ中期的な見方で運営していまっせという話をしております、だそうな。

『・Likewise, our reinvestment policy will ensure that the stock of assets on our balance sheet remains in place for a long period and continues to support our accommodative stance. 』

バランスシート縮小は利上げ後相当たってからですよ。

『・Indeed, we intend to continue reinvesting, in full, the principal payments from maturing securities purchased under the asset purchase programme for an extended period of time past the date when we start raising the key ECB interest rates, and in any case for as long as necessary to maintain favourable liquidity conditions and an ample degree of monetary accommodation.』

よって当面償還再投資を実施して金融緩和効果を出しますよ、という説明ですな。でもって最後が、

『・In addition to maintaining this accommodative stance, the current environment underlines the need for a monetary policy stance that is patient, persistent and prudent to guarantee the return of inflation to our aim in the medium term.』

「patient, persistent and prudent」とかご丁寧に3つも形容詞並べている次第で、出オチの部分とこの結論部分で金融政策動く気ありませんよーという見せ方を思いっきりしておりますわな、というのは把握した。


・欧州の外にいる人の現世利益にはあまり関係ないが経済統合と金融統合に関して

最後が『Economic and Monetary Union governance』という小見出しで、利上げするかなどの金融政策ネタとは直接関係ないけど参考までに。

『・The monetary policy measures the ECB has introduced since 2014 have been essential in supporting the robust recovery and paving the way for inflation to return towards our objective.』

で?

『・This year, we are celebrating the 20th anniversary of the euro. In the two decades of its existence, the euro, underpinned by Economic and Monetary Union (EMU), has been a powerful tool of integration. But it has also faced a crisis so severe that its very existence was at times questioned. This sparked a thorough revision of our institutional framework, in the broader context of the international response to the global financial crisis.』

ユーロの20年、ということでECB高官のその手のスピーチは色々とあったりするのですが、これがまた高踏的な話とかされてしまうと所詮大学受験英語だけのドメドメおじさんのアタクシとしては困るので読んで(というよりは見て)泡を吹いていたりするのですよね。

『・The architecture of EMU is still incomplete in many ways. Ensuring its longer-term resilience requires joint efforts at both the national and European levels.』

でまあその「Economic and Monetary Union」は道半ばですと。

『・At the national level, we need to pursue reforms that promote sustainable economic convergence, and increase the growth potential and resilience of local economies.』

本当にそんなことできるのかいなと思いますが、各国が「sustainable economic convergence」の改革をするのが重要なんですと。主権国家がそういうのを本当にできるのか、というと国民国家で出来るのかよとは思うのですがまあそれはそれとして。

『・At the European level, I welcome the agreement reached by the Euro Summit in December last year on a euro area budgetary instrument aimed at fostering competitiveness and convergence.』

思いっきりどスルーしておりましたが、12月のユーロサミットに関する話ってこの統合に関するネタではよく引用されているようです。

『This could help the implementation of structural reforms and strengthen resilience in the euro area. However, the euro area would also benefit from a common stabilisation function - which is not foreseen under the December agreement. Such an instrument could provide macroeconomic support in the event of euro area-wide recessions, thereby maintaining convergence and reducing the burden on monetary policy.』

はあそうですかとしか申し上げようがないのだが。

『・With a predominantly bank-based financial system, completing the banking union also remains a key priority. Agreeing on a backstop to the Single Resolution Fund through the European Stability Mechanism is an important step in this direction.』

でもってここからは銀行同盟の話。European Stability MechanismによるSingle Resolution Fundでのバックストップを作るちゅう話で・・・・・・

『・Political momentum is also needed to agree on the missing third pillar of the banking union, the European Deposit Insurance Scheme (EDIS).』

銀行同盟の3番目の柱でユーロ圏の預金保険スキームというのがまだ合意に達していませんとな。

『There were calls to first reduce risks in the banking sector before starting to share them, and considerable risk reduction has indeed taken place in recent years. EDIS would mitigate the risk of financial fragmentation by providing an identical level of depositor protection across the euro area. With the end goal of a fully fledged EDIS, the ECB welcomes the establishment of a high-level working group to agree on the path we need to follow to achieve this goal.』

そらまあそれが出来れば統合が物凄いことになりますけれども、それってさすがにちょっと相当ハードルが高くありませんかね、というかコア国だけで先にやるとかいうのはまあ今となってはできないでしょうけれども、まあ色々な国があるのにこの面まで含めた銀行同盟ってのは難しくねえか、とは思う、理想は理想で分かるけどさ。

『・Furthermore, we need to continue making progress in deepening the Single Market, including by developing a genuine capital markets union (CMU). Deep and well-integrated cross-border funding would improve the private sector’s capacity to absorb local shocks, reducing the burden on fiscal policies. Here as well, renewed ambition is needed. Revamping the CMU agenda can play an important role in adapting the EU’s financial architecture in view of Brexit. It can also enhance the EU’s attractiveness to international investors, and thus help to strengthen the international role of the euro.』

市場統合に向けてcapital markets unionの構築も重要ですよ、というのだが理想は分かるが現実問題としてどうなのよとは思う。まあ志は分かるけど。

『・These reforms not only address the weaknesses of the institutional framework, they also ensure that the euro will be able to face tomorrow’s challenges. As leaders renewed their political commitment to strengthen EMU at the Euro Summit in December, we need to capitalise on this commitment and translate it into concrete policy actions ahead of the upcoming European elections.』

ということで、なんかとりあえず威勢がいいことだけは把握しました。

#結局全文引用になってしまいました、汗







2019/02/15

お題「例によって米国連銀高官発言ネタばっかりでサーセン(ブレイナードとハーカー)」

ほうほう。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190215/k10011815561000.html
統計不正 首相秘書官「調査方法に問題意識」 野党が追及
2019年2月15日 4時19分

『厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の調査方法をめぐって、4年前に、当時の総理大臣秘書官が、厚生労働省に問題意識を伝えていたことが明らかになりました。野党側は、アベノミクスの成果を示そうと実質賃金が高く出るようにするためだったのではないかなどとして、引き続き、追及することにしています。』(上記URL先より)

「アベノミクスの成果を示そうと実質賃金が高く出るようにする」との指摘ですが、ここでアベノミクスの理論的支柱であらされるところのハマコー大先生のお言葉を確認してみましょう。

https://diamond.jp/articles/-/30804?page=6
2013.1.20
浜田宏一・内閣官房参与 核心インタビュー
「アベノミクスがもたらす金融政策の大転換インフレ目標と日銀法改正で日本経済を取り戻す」

『物価が上がっても国民の賃金はすぐには上がりません。インフレ率と失業の相関関係を示すフィリップス曲線(インフレ率が上昇すると失業率が下がることを示す)を見てもわかる通り、名目賃金には硬直性があるため、期待インフレ率が上がると、実質賃金は一時的に下がり、そのため雇用が増えるのです。こうした経路を経て、緩やかな物価上昇の中で実質所得の増加へとつながっていくのです。』(上記URL先より)

つまり実質賃金が「一時的に下がる」のは理論的に当然なので野党のツッコミは的外れなんです(キリリッ)!・・・・・・・・・ナ、ナンダッテー!!!!!!!!!!!

#実際問題としては手抜きしたのを誤魔化そうとしてドンドングダグダになるという相場関係者からみたら一番の悪事例なだけだと思うのですけどねえ


〇バランスシートのランオフに関して先打ちする必要ってあるのかねと思うのだが・・・・・・

今朝はこんなのが出てきてましたな。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-brainard-idJPKCN1Q32JH
2019年2月15日 / 02:56 /
米FRB、年内にバランスシート縮小終了の見通し=ブレイナード理事

『ブレイナード理事はCNBCとのインタビューで「バランスシートの正常化プロセスは目的通りの効果を発揮した」と指摘。その上でバランスシート戦略が金融政策に逆行することは望んでいないとし、FRBがこれまで実施してきた毎月数百億ドルの縮小は「おそらく年内に終了するだろう」と語った。』(上記URL先より)

CNBCなので(WSJとは違って)特に会員とかじゃなくても読める記事があるだろうと思ったら案の定ありました(なお動画は2分44秒の物件(ちなみに広告が30秒も入る)でインタビューの一部分だけのようです。一応複数回聞いてみましたが経済の見方と見通しの所で話が終わっていますので)。

https://www.cnbc.com/2019/02/14/fed-gov-brainard-downside-risks-have-definitely-increased-on-the-economy.html
The Fed
Fed Gov. Brainard sees 'downside risks' increasing, says balance sheet runoff should end this year
Jeff Cox@JeffCoxCNBCcom

『Federal Reserve Governor Lael Brainard said Thursday she's growing more concerned about economic growth, particularly the impact that the global slowdown will have on the United States.』

『Speaking the same morning that U.S. retail sales numbers came up well short of market expectations, the central bank policymaker said she's watching the developments in an economy that has otherwise looked strong.』

特に海外経済動向を中心に経済の下振れ懸念とな。

『"Downside risks have definitely increased relative to that modal outlook for continued solid growth," she told CNBC's Steve Liesman during a "Squawk on the Street" interview.』

「definitely increased」キタコレなのですが、記事の後の方にもありますけれども、実際には画像のほうでも「経済はソリッド」というのは言っています。

最近FEDの高官この"crosscurrents"をよく使いますな。直訳だと「逆流」になると思いますが、どういうコメントをしているかというと、記事の構成がそうなっているのでしゃーないのですが最後の方にこのように引用されていまして、

『Looking at specific areas of concern, Brainard cited the U.S-China trade conflict as well as the uncertain future for Brexit negotiations and China's economy, though she said "domestic momentum has been pretty solid."』

「domestic momentum has been pretty solid」は画像の方でも確認できました。

『"We are a very international economy," she said. "Our financial system in particular has shown itself to be very responsive to earnings abroad, to financial conditions and volatility abroad. So, yeah, I'm very attentive to the international outlook."』

ということで、海外経済と海外金融市場の動向に注意している、というような話を画像のほうでもしていましたので、まあそういう感じなのかなと。

でもって金融政策のほうですけれども(引用がちょっと前の方に戻ります)、

『The Fed said after its January meeting that it would be "patient" regarding further interest rate hikes. Brainard endorsed that approach, particularly considering "crosscurrents" that are building up for growth, especially in the global economy outside the U.S.』

『"Back in December, I had already noted that crosscurrents were increasing and that tailwinds were dying down, and I think that is even more true today because of those downside risks that are gathering," she said.』

出たな「私言いましたよね」。だったら何で利上げ賛成したんだよと小一時間問い詰めたい。

『On the Fed's "patient" policy, she said, "I think we're in a good place today. I'm comfortable waiting and learning. We want to see the data as it comes in, but you know in terms of let's be on hold for now while we learn about what's going on in the economy, I think it's the right place to be."』

だそうな(この辺りは画像の方には無いのですが、まあこの辺りでインチキ書く必要もないし質問している記者も議長会見でおなじみの方なのでここに書いてある発言部分は基本額面通り読んでいて大丈夫だと思います)。まあブレイナード理事がこうなのですから、とりあえずは追加利上げに関しては動けないという感じなのでしょうな。

でもってバランスシートに関して。

『She also indicated that the Fed probably should be nearing the end of the program to reduce the bond holdings on its balance sheet, which had once stood at $4.5 trillion and is now closer to $4 trillion.』

ほうほう。

『"My own view is that the balance sheet normalization process should probably come to an end later this year," she said.』

ということで、まあ現状の実効FF金利の状況を考えると、確かにIOERがFF市場金利のフロアに効いている感じがする(あまり詳しくないので細かく見ている訳ではないので詳しい所は米国のFF市場に詳しい人に小一時間レクを頂きたい所ではありますが、汗)のですが、まあIOERを残しておいておけば行けそう、というような段階には近づいてきたってな認識なんでしょ。

ただし、これネックとしてはIOERを出すことによってFEDから民間金融機関に対して付利金利を払うというのが恒常的に行われる訳でして、それはバランスシートが大きければ大きいほど支払額が大きくなるという事でもありまして、えーっとそれって米国議会ちゃんが問題にしませんかねえとかいうのもちょっと思う次第。オペ技術的には超過準備の存在はIOERを使えば短期市場金利がゼロに向けて降下することは避けられるので事実上の不胎化が可能という話ではあっても、それにはコストが掛かるというお話。しかもこれはFEDの場合という事になりますが、既にIOERの水準が高い所まで来ていて、超過準備見合いの保有長期資産の利回り対比でどうなのよというのもあると思いますし、さらにイールドカーブがどフラットなので今後再投資を再開したとしても超過準備見合いの長期資産の利回りでIOERの利息が出せるのかが怪しい訳で、まあそっちの面ではマズーな論点がありそうな悪寒はします。

あと、あたくし小見出しで申し上げましたが、バランスシートのランオフ停止ってのは別に引き締めじゃないのですから、何もこんなに早くアナウンスする必要はない訳でして(ランオフ開始は方向が引き締めだから事前にアナウンスしておかないとショックになるけど)、むしろ事前にランオフ停止の可能性をアナウンスしてしまうと、緩和的な期待が市場に盛り上がってしまって、ごく普通のランオフ停止をしたつもりが「失望」とか「引き締め的」とか言われて市場にお代わりを催促されるクレクレモードになってしまうのではないか、というのも懸念されるところではあるんですよね。

まあアレです、ここまで早いうちからランオフ停止の示唆とかおっぱじめているのってもしかしてランオフ停止と利上げ再開がセットになって来るんじゃないかなあとかアタクシの霊感が申しているのですが(^^)、それは兎も角としましても、とにかくパウエルFRBは何をするにしても「事前に決め打ちしすぎ」という感じでして、昨年10月の「中立金利よりも利上げするかも」からの盛大な腰砕けと先般のハト派全振りモードとか、最近のバランスシートの話にしましても、何せ事前に決めうちして色々なことを言い過ぎな訳でして、そういうのは余計なことは言わないで、市場に勝手にやらせておけば良いものだと思うのですけれども、市場の先回りというか市場に自分から先の事を織り込ませようとした結果、途中で状況が変わった時に「客観的に見たら君子盛大に豹変」という見え方をする動きになってしまうのではないで
しょうか、とか思ってしまいますです、はい。


〇昨日のハーカー総裁講演:やや景気には楽観的かなという感じ

https://philadelphiafed.org/publications/speeches/harker/2019/02-13-19-jewish-business-network
Jewish Business Network Luncheon
Presented by Patrick T. Harker, President and Chief Executive Officer
Federal Reserve Bank of Philadelphia
Philadelphia, PA
February 13, 2019

究極の手抜きをすると小見出しの『Rates』というところだけ引用すればヨロシ(ちなみに後半は生産性向上のための労働者スキル向上という話なので経済物価に関してはこの小見出しより前の所を読めばよい)。

『With a temperate climate for inflation; continued strength in the labor market; very slight downside risks; solid, but moderate growth projections for the next couple of years; and, of course, a climate of uncertainty, I continue to be in wait-and-see mode.』

wait-and-see modeとな。

『Or, to use the word of the moment, I see patience as a virtue.』

patience as a virtueとかもう全員これなのでいくら何でもこの状況では一番早くても6月まで動けないでしょうし、その次のSEP付きFOMCが9月(SEP無しは7月)ですから・・・・・・となるんでしょうね(個人の感想です)。

『My own view is that one rate hike for 2019 and one for 2020 are appropriate.』

ということで昨日のニュースヘッドラインにもあった通りで、あと2回利上げというのは一方で言っている次第。そらまあ中立金利の考え方を単純に適用しても3%だってどうなのよとは思ってしまいますし、2.5%で止めるのはちょっとなんでしょうなとは思われますからねえ。

『As ever, that’s my current stance, and my views will be guided by data as they come in and events as they unfold. I know some people wish that Fed officials would retire the metaphorical pencil we use in our forecasts and be more forceful in our estimates. And I’m happy to use a pen … so long as it’s filled with erasable ink. We have to make policy decisions in context, and I’ve shared my outlook given the landscape on February 13, 2019. If we had a perfectly functioning crystal ball, those predictions would be infallible - and I’d be playing the lottery a lot more.』

ああだこうだと比喩的な表現をしていますが、要するに今はこう考えていますが、ワシらだって先の事をすべて分かる訳じゃないですけん状況に応じてスタンスは変わりうるぞな、というヘッジ発言をしているように見えます。


でもってその前の部分は手抜きなので逆順に読むとして物価の所を。昨日のCPIでの反応もそうですけど恐らくここから米債市場が反応するのは物価(と賃金)が思わぬぶれ方をしたときが一番インパクトありそうな気がします。

『Inflation』

『Inflation is running around our preferred 2 percent target. For several years, it was persistently low, finally moving up to our goal last year. I see inflation running slightly higher than 2 percent for this year and next.』

普通に中心的な見方。

『As Fed watchers well know, when we say our goal is 2 percent inflation, we don’t mean the sweet spot is exactly 2 percent all the time; it’s our medium-term average. While I would be concerned if it rose significantly above that marker, running slightly above, as I predict we will this year and next, is not something that provokes concern, particularly after a sustained period of underperformance.』

物価が多少の上下をしても別に2%ピンポイント政策じゃないんだから気にしなくてよろしいとのお告げ。

『Importantly, I’m focused on core inflation, which strips out volatile elements like food and energy, giving a better understanding of the fundamentals. Headline inflation is likely to suffer with fluctuations in energy prices, but those are transient and do not have a marked effect on the underlying measure.』

コアインフレに注目している、というお話をしていまして、まあそれはそうだということで特に変わった話はしていませんが、物価が多少ぶれても細かいこたあいいんだよという話をしているのは、当たり前ちゃあ当たり前ですけれども、多少市場が反応しそうなのを意識しているのかどうかという所ですかな。

『What I’m watching most closely is inflation’s trajectory: what direction it’s headed and how fast. Right now, we’re not seeing significant upward pressure, and it’s not on an accelerated path; if anything, it’s edging slightly downward. If that scenario changes, the data will guide my views.』

特に上昇圧力は感じていません、なので賃金次第って感じですかね。

でもってその前の雇用の所はパス(1行コメントで話のテーマはそのあとのスキルの話になっている)して成長の所を。

『Growth』

『Starting with GDP, I see growth a bit above 2 percent for this year, returning to trend of around 2 percent some time in 2020. While some may view that growth rate as disappointing, it reflects structural, slow-moving forces - like demographics, muted growth in the labor force, and lower productivity growth - rather than any temporary headwind. So I still see the outlook as positive: The U.S. economy continues to grow in what is on pace to be the longest economic expansion in our history.』

基本的には強いと。

『I should also deliver the caveat that those projections are for the year as a whole. I expect Q1 of this year to come in closer to 1.5 percent; there are multiple contributing factors here, not least being that first quarters have seen low or negative growth for several years running, enough to have essentially become the norm. That should balance out as growth picks up in the following quarters.』

今年の1Qは弱めだと思うが気にすんなと。

『PCE remains the primary driver of real GDP growth, and household spending continues at a strong, sustained pace.』

家計消費は順調。

『Businesses, on the other hand, have reported an increase in uncertainty and a decrease in confidence. Coupled with tighter financial conditions, the investment outlook is not quite as rosy as last year. It’s certainly not a dire one, but the specter of uncertainty does cast a shadow, and the ambiguity of the current climate appears to be having a dampening effect.』

企業のコンフィデンス低下が気になりますが今の所重大な問題ではないけど気にしていると。

『I am also monitoring international influences, including the outlook for growth abroad and trade developments.』

貿易戦争は気になるわなそりゃ。

『On balance, the potential risks tilt very slightly to the downside, but I emphasize the word “slight.” It’s a gradient measured by a protractor rather than one apparent to the naked eye.』

下振れリスクに関してはダウンサイドだけど「very slightly」だとな。

『Overall, the economy remains in good shape.』

つーことでブレイナード理事よりも楽観的という感じになっていますな。









2019/02/14

お題「短国買入5000億円ですな/日銀から英文だけスタッフペーパー登場/地区連銀総裁発言クリップ(備忘メモだけ)」

ほほう。
https://www.asahi.com/articles/ASM2D6F8NM2DUCVL03V.html
著作権侵害、スクショもNG 「全面的に違法」方針決定
有料会員限定記事
上田真由美 2019年2月13日17時09分

『著作権を侵害していると知りながら、インターネット上にある漫画や写真、論文などあらゆるコンテンツをダウンロードすることを全面的に違法とする方針が13日、文化審議会著作権分科会で了承された。「スクリーンショット」も対象となり、一般のネット利用に影響が大きいことから反対意見が出ていた。』

『メモ代わりにパソコンやスマートフォンなどの端末で著作権を侵害した画面を撮影して保存する「スクリーンショット」もダウンロードに含まれる。』(以上上記URL先より)

「家宅捜索だ!PCのCドライブのインターネット一時ファイルフォルダを改めさせてもらう!」で悪質認定して即タイーホ可能な条文に落とし込まれないことを祈るしかないですがさて・・・・・・

〇短国買入5000億円ですがあまり深読みしない方が吉かと

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of190213.htm
国庫短期証券買入 5,000 2019年2月14日

という事で先週が2500で今週が5000なのですが、最近は短国買入も輪番とかMBとかに絡めてどうのこうのという講釈が出ていて何だかねえと思う訳ですが・・・・・・・・

でもって結果。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba190213.htm
国庫短期証券買入 21,174 5,000 0.021 0.025 82.9

ということですが、今月は以前申し上げましたように日銀の過去の短国買入の償還が18,471億円あるので、2500×2+5000×2で来た場合でも一応は残高が減るという月ではございますし、先週は6Mと3Mの入札があって、以前の短国買入って6Mと1Yの入札があった後は買入が多い、というパターン化されたものがあったりしてましたとか考えると、まあ5000でもおかしくはないですし、実際に結果が上記のように応札2兆とかあって引け甘の結果になっていますので、これは単に短国市場の需給的に5000入れておいてもよかろうという感じなんだとアタクシは勝手に想像していて、あまり政策インプリケーションをこの短国買入に求めるのもどうなのかなあとは思います(個人の感想です)。

ただまあ先週の3Mも▲21.58/▲20.12の結果で、先々週金曜日の▲26.53/▲23.07からはだいぶマシになったとは言え、相変わらずの▲20bp台で、うーんこのもうちょっとそこの金利上がった方がYCCの建付け的にエエンチャウノとアタクシ的には思うので、別に少し需給悪いの放置しとけば良いじゃんとか思ったりはするのですけどね。あとちなみにご存知とは思いますが、YCCの建付け的には「短期は▲10bp」ですが、その短期は「政策金利残高の付利金利」なので国債金利とは言っていないので、実はYCCでの短期の国債金利水準がどのへんなのかというのは意図的に曖昧になっていて、10年は国債金利水準となっているというヤヤコシヤなシステムになっていたりします。まあさすがに短国▲50bpとかはやりすぎじゃろという事になるんでしょうけれども。

あと、当座預金残高との絡みでどうのこうのという説も見たような気がしないではないのですが、政策金利残高に関してはマクロ加算の掛け目を出すときにこの位みたいな話をしていますが、別にその金額が重要なのではなくて、マイナス金利政策を維持するため、つまりコール市場(とかレポ市場など)辺りの金利水準がマイナス金利状態を維持できるような状態になっていれば政策的には問題がない(誘導しているのは金利だから)のであって、寧ろ政策金利残高が少なくても市場金利がマイナスになる方が金融機関に余計な負担を掛けないのでオッケーという話になると思うので、あくまでも市場金利の方を見ながらやっていると思うのですが、これまた個人の感想って奴で、実際にはこの辺の解説って日銀もしない(まあ聞く人もいなさそうだけど)ですし、あんまりガチガチに定義すると自分の手足を縛られることになるから多分意図的に曖昧にしているんだと思います、よー知らんけどな。

いちおうロイターさんの記事も。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N2081KE
2019年2月13日 / 11:38 /
〔マーケットアイ〕金利:短国買い入れ結果は弱め、業者から在庫調整の動き

『<11:36> 短国買い入れ結果は弱め、業者から在庫調整の動き

日銀が発表した国庫短期証券(TB)の買い入れ結果は、案分利回り格差がプラス0.021%、平均落札利回り格差がプラス0.025%となった。買入予定額5000億円に対して、応札額は2兆1174億円、落札額は5000億円。応札倍率は4.23倍と前回(4.46倍)から低下した。市場では、買い入れ結果について「弱め。業者から在庫調整を目的に幅広く入ったのではないか」(国内金融機関)との声が出ていた。』(上記URL先より)

短国買入の場合は買入額が可変なので「応札倍率」を前回と単純に比較するのは意味がないですから止めた方が良くて、単に応札額を比較した方が良いのではないか(と昔から思っていましたが、あまりこの辺をネタにする機会も最近無かったので偶々今回苦言を呈しておきますよ)ってところではありますが、まあ弱めの結果ということで。


〇日銀お得意の英語のペーパーキタコレなのですが

http://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/english/19-E-02.html
Negative Interest Rate Policy and the Influence of Macroeconomic News on Yields
Rasmus Fatum, Naoko Hara, Yohei Yamamoto

何か最近は日銀の英語ペーパーが出て、その題名に政策が絡みそうなのを見るととりあえず脊髄反射してしまうのが仕様になっているという中々悲しい習性が出来ておりますが(汗)。

『We consider the influence of domestic and US macroeconomic news surprises on daily bond yields over the January 1999 to January 2018 period for four advanced Negative Interest Rate Policy (NIRP) economies -- Germany, Japan, Sweden, and Switzerland. Our results suggest that the influence of macroeconomic news surprises is for all four countries under study during the NIRP period non-existent or noticeably weaker than during the preceding Zero Interest Rate Policy (ZIRP) period. Our results are consistent with the suggestion that NIRP is characterized by a lower bound that is no less constraining than the zero lower bound that characterizes ZIRP.』

・・・・・・・英語が難しいですがな。

全文はこちら(当然英語)。
http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/english/19-E-02.pdf
Negative Interest Rate Policy and the Influence of Macroeconomic News on Yields

でもってそこの最初の『1. Introduction 』ってところを読みますと(以下引用は上記URL先の全文から)、

『We investigate the effects of domestic and US macroeconomic news surprises on bond yields over the January 1999 to January 2018 period for four advanced negative interest rate policy (NIRP) economies - Germany, Japan, Sweden, and Switzerland. We focus on the possibility of time-variation in the influence of news surprises coinciding with changes in the country-specific domestic monetary policy stance.』

というのはさっきのところにもありました。

『Recent contributions by Swanson and Williams (2014a,b) suggest that the influence of macroeconomic news on bond yields varies with the monetary policy stance.1 Specifically, Swanson and Williams (2014a,b) compare the sensitivity of yields to news surprises when the monetary policy stance is conventional, i.e. when interest rates are above zero or above ultra-low levels, to when monetary policy is constrained by the zero lower bound or characterized by ultra-low rates.』

『They find that yields respond less to news surprises during the latter policy regime and suggest that the extent to which news respond is indicative of the extent to which monetary policy is constrained.』

アタクシの頭が悪いのでアレなのですが、どうも市場金利が経済ニュース(のうちのサプライズニュース)に反応するかしないかという現象に関して、当然ながら通常の金利上げ下げ政策をやっている時は経済ニュースがサプライス→今後の金融政策スタンスへの影響があるで→市場金利が反応、となるのに対して、ゼロ金利制約に政策金利が引っ掛かって来ると、金利政策の変更が難しくなるので反応が小さくなるという先行研究があるようです、みたいな文章だと思ったのだが正しいかどうかは読んで判断してください、というか教えてちょ(無責任)。

『Taking our cue from Swanson and Williams (2014a,b), our research objective is two-fold.』

ほほう。

『First, we attempt to shed light on whether the influence of news is different during the NIRP period compared to during the preceding zero interest rate policy (ZIRP) period.』

これを発展させて(なのかどうかよくわからんが)ゼロ金利VSマイナス金利で確認してみましょうと。

『Second, in doing so we seek to provide insights on whether the NIRP regime can be considered more or less constraining than the zero-lower bound associated with the preceding ZIRP regime.』

それによってゼロ金利とマイナス金利ではどっちの方が経済のサプライズニュースに市場が反応するかを確認してみましたと。

『In addressing the first part of our research objective we attempt to make a specific contribution to the literature on macro news and asset prices while addressing the second part of our research question allows us to attempt to contribute to our understanding of NIRP and the lower bound constraint associated with NIRP.2 』

ということでこの点を調べるために・・・・・・・

『To facilitate our investigation we employ a data set of interest rate series consisting of daily zero-coupon government bond yields with medium- and longer-term maturities ranging from 1 to 10 years in conjunction with a comprehensive set of date-stamped United Stated (US) and non-US macroeconomic announcements and preceding survey expectations. Our full sample spans the 1 January 1999 to 31 January 2018 period.』

こんなデータを使いましたという話ですな。

『Our empirical analysis of the time-varying effects of macro news surprises on bond yields follows the two-step procedure described in Swanson and Williams (2014a,b). We consider for each country three different monetary policy regimes (conventional, ZIRP and NIRP) and we choose for each country the first regime as our normalization sub-sample.』

『While our focus is on daily frequency estimations we also carry out our empirical analysis using monthly frequency series. To provide additional insights we also investigate the effect of macroeconomic news surprises on the yield curve.』

でもって通常の金利政策やっていた時をサブサンプルとして、ゼロ金利、マイナス金利(やった国の場合)の期間に分けて確認しましたよって話のようで。

『Overall, our results suggest that the influence of macroeconomic news surprises is for all four countries either noticeably weaker or non-existent during the NIRP period than during the preceding ZIRP period.』

ゼロ金利政策の時期よりもマイナス金利政策の時期の方がサプライズニュースに対する市場金利の反応が全てのケースについて小さいと出ました(ってのはさっきのサマリーにもありますが、あれだけ見ても何が何やらだったので泣きながら本文を読んでいるのが実態なのですけど、大汗)。

『This is an important finding as it indicates that bond yields in NIRP countries are less hinged on fundamentals compared to during normal or ZIRP regimes.』

マイナス金利政策を行うと(実質ゼロ金利状態も含めた)ゼロ金利政策レジーム時期よりも市場が経済のファンダメンタルズに対して反応をしにくくなっていることを示唆する重要な知見が得られたそうな。

『Furthermore, it is a finding that is at a minimum consistent with the suggestion that NIRP is associated with a lower bound that is no less constraining than the ZIRP lower bound.』

頭が悪いので英語の書きっぷりが難しいのですけれども、この結果の方から考えると、マイナス金利政策だからゼロ金利制約をぶち破ったという訳でもないのじゃないの、という話になるような気がするのですが、もう少し分かりやすい英語で書いて下さい頭悪くて読めません(と自分の頭の悪さを無理難題に転嫁する)。

なお以下はロバストネスチェックをこのように行いましたという話と、2章以下の本文構成に関する部分になりますのでパスします。でもってこれが何か裏読みするネタになるかどうかは知らん(がマイナス金利政策によって市場が経済に対してゼロ金利政策の時にも反応しないのに更に反応しなくなるというのは分かったような気がする)。


〇FEDの高官が色々仰せのようなのですが時間が無いので備忘メモだけ置いておく

・ボスティック総裁

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-bostic-idJPKCN1Q21ZD
2019年2月14日 / 00:39 /
米FRB、不用意に景気弱めない姿勢重要=アトランタ連銀総裁

『総裁は当地で開かれた銀行会議で「過度に速く走らず、用心しないまま不用意に経済を制限せず、弱めないよう行動することが重要だ」と指摘。企業の間に警戒感が広がっているとし、「中立(水準)へと急ぐ必要はなく、時間をかけることは可能」と述べた。 総裁は先月、年内の利上げ回数が最大1回となる公算が大きいと予想。この日も経済成長率が2.5%なら、引き続き1回がモデル予測とした。』(上記URL先より)

今の所アトランタ連銀のサイトには関連するスピーチが載っていないです。


・メスター総裁

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-mester-idJPKCN1Q22G3
2019年2月14日 / 03:24
賃金上昇はプラスの兆候、不健全な物価上昇にならず=米連銀総裁

『米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は13日、賃金の上昇は前向きな兆候で、不健全な物価上昇にはつながらない可能性があると述べた。ややタカ派的と見なされている同総裁が賃金上昇がインフレに及ぼす影響についてトーンを和らげたことは、FRBが利上げに関して様子見姿勢に転じたことと重なっている。 』(上記URL先より)

こちらは講演テキストが出ていまして、
https://www.clevelandfed.org/newsroom-and-events/speeches/sp-20190213-the-outlook-for-the-economy-and-monetary-policy
The Outlook for the Economy and Monetary Policy
02.13.19 Loretta J. Mester
University of Kentucky Gatton College of Business and Economics, 2019 Economic Outlook Conference, Lexington, KY

最初に『The remarks on the national economy and monetary policy are the same as those delivered February 12, 2019.』とありまして、前日も同じ内容の講演をしていました(が今日はパス)。


・ハーカー総裁

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-harker-idJPKCN1Q22FX
2019年2月14日 / 03:24 /
米FRB、今年と来年各1回の利上げ適切=フィラデルフィア連銀総裁

『米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は13日、連邦準備理事会(FRB)が利上げに忍耐強く対処し、「様子見」アプローチをとる中、今年と来年にそれぞれ1回の利上げが実施される可能性があるとの見通しを示した。ハーカー総裁は、米経済はおおむね良好な状況にあり、見通しに対する下振れリスクは極めて小幅とし、「19、20年にそれぞれ1回の利上げが適切だ」と語った。』(上記URL先より)

こちらも講演テキストが出ていまして、連銀サイトのほうでは、
https://www.philadelphiafed.org/publications/speeches/harker/2019/02-13-19-jewish-business-network
Jewish Business Network Luncheon
Presented by Patrick T. Harker, President and Chief Executive Officer
Federal Reserve Bank of Philadelphia
Philadelphia, PA February 13, 2019

とあるのですが、これまた今日はパスということで勘弁してくらはい。








2019/02/13

お題「超長期輪番減額とな/忘れた頃にやってくる/パウエル議長講演は目先の金融政策には関係ないですな」

一時流行して収まったと思ったら第2次流行のバカッターですが。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190213/k10011812671000.html
従業員の不適切行為の動画 外食チェーンやコンビニが対策強化
2019年2月13日 3時58分

もしかしてインスタ映え狙いで傍から見たら結構危険な写真を撮る(以前はそういうのはせんかったやろという奴)ようになっているのがここ1、2年くらいで流行っているのって影響してませんかねえ、とかツイッターもインスタもやっていないアタクシは思うのですけど、よー知らんけどな。

〇超長期輪番減額キタコレ

昨日は今月一発目の超長期輪番だった訳ですが、
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of190212.htm
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,800 2019年2月13日
国債買入(残存期間25年超) 500 2019年2月13日

おー減額来たじゃんということになりましたが、輪番減額したからと言いましても前場の引けでは前日比7銭安程度の反応だったりしまして、むしろ株高円安に反応したという図で後場の下げという風情ではありましたが、いずれにせよ他市場が全然反応していないのでまたまた日銀大勝利の図になっているのが中々。

ということでロイターさんから。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N20726K
2019年2月12日 / 15:32 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が反落で引け、長期金利-0.020%に上昇

『<15:19> 国債先物が反落、長期金利-0.020%に上昇 株大幅高や日銀減額を嫌気

国債先物中心限月3月限は、前営業日比16銭安の152円67銭と反落して引けた。前週末に上昇した反動や日経平均株価は500円を超す大幅な値上がりとなったことから、利益確定売りが優勢となった。日銀が午前、超長期を対象に実施した2本の国債買い入れで、「残存10年超25年以下」のオファー額を1800億円とし前回から200億円を減額した。「円安・株高方向に振れる中で、日銀は前週末にかけて進んだ急ピッチなフラット化の流れをけん制したかったのではないか。外部環境の不安定を背景に、現行の買い入れペースが当面維持されるとの見方に傾斜していた市場に、ややサプライズ感があった」(証券)との声があった。』(上記URL先より、以下同様)

まあアタクシも正直1−3月は過去2年間輪番で動いたせいで無駄に注目されて波乱を呼んだという鬼門の時期なので、そこは避けて今回は動かさないで次の減額は3月末に出てくる4月輪番予定かなとか思っておりましたが、まあ為替も110円に乗ってくれたことでもありますし、大体からして輪番云々がほかの市場の話題から飛んで行ってしまっているし、円債ちゃんの金利は自然落下っぽく低下しておりましたので、減らすには減らせたと思うのですが、12月末から1月の動かざること山の如し+10年に手厚い措置継続ということで、まあそんなに頑張らないかなあとか思っておりましたが、為替が110円になった途端に減額とかゆー風に見えるタイミングでの超長期前半の減額というのはチャーミングですな。

とは言いましても、マイナス金利に突っ込んでいる10年を含む長期輪番の方を減額するのではなくて超長期前半の減額で来ているのも中々味わいがあって、10年減額をすると「10年マイナス金利の牽制」という話になりやすくなるのですが、超長期の方なので直接的にそういう訳でもありませんという話だし、現状で買入が新発の供給対比で大きいのは相変わらず長期輪番の所なので、買いすぎが相変わらずの長期を減らさないで超長期を減らしてくるというのはバランスとしてはどうなのよ、という感はありますが、そこはもちろんYCCのターゲット対象の10年で動かないという事によって政策委員会方面から余計なことを言われないし、超長期は何のかんの言いましても運用という意味では辛うじて金利が存在するゾーンなので、ここの金利が下がり過ぎると円金利での運用そのものがあばばばばーになるので、サーチフォーイールドの動きからアカンタレな方向に運用が追いやられるとゆー問題もありますので、こっちを減らした方が全体的な幸福度(というか何というか)は高いし、10年に直接影響する訳でもないので(影響しないとは言っていない)こっちで来ましたってなもんでしょうかね、よー知らんけど。

これで更に長期輪番を減額してくると更にやる気満々でござるという話になるのですが、まあそこまでやるとさすがに他市場が気が付いてくるリスクがあるからそこは減額して来ないんじゃないでしょうかね(個人の感想なので当たるも八卦当たらぬも八卦ですよ)。

でまあ今回の減額で全体的な買入額自体がどうなるかと言いますと、200億円×4回なので月800億円の減額だから年間で見たら1兆円にもならないということで、額はそんなに稼げない(減額方向で)のですが、平均残存(ちなみに平均残存の縛りはもうありません)の短縮化には寄与しますので、日銀にとってもニッコリという事なのではないかと思います、よー知らんけど。ちなみに今回の減額措置でアタクシの試算によりますと、2019年暦年の国債買入額面の増加は22兆5,186億円→21兆6,386億円になります(数字は細かいですがどうせ細かい所はズレるので結局概算になるんですけどめんどいので表計算ソフトで計算したのをそのまま使ってしまいました、汗)が、超長期は元よりだいぶ減らしているゾーンなので1回の減額による影響もあまり出ない所ではあります。意味としてはこっちの方は買入国債の平均残存を短くするという日銀的にはたぶん重要な意味があるのですけどね。

でまあ量減らしたかったら長期と中期なんですけど、中期は兎も角として長期輪番をいついじってくるのか、またはいじってこないのかというのは、長期輪番だけ入札翌営業日の買入有り、というのをいじってくるのが先なのか減額が先なのかとか、まあ連想ゲームとしては中々楽しいネタではありますが、そこを一生懸命考えるのはトレーディング目線では大事だと思うのですが、そこまでトレーディングタッチで売買する訳ではない人だとそこを考えている時間は別の事を考えた方が良さそうですな、うんうん(何かに対するイヤミ)。


〇ノンコール忘れた頃にやってくる

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-12/PMTR8G6VDKHU01
サンタンデール銀、AT1債の早期償還見送り−予想外の決定に動揺も
Tasos Vossos、John Glover
2019年2月13日 4:06 JST

『スペインのサンタンデール銀行は12日、最もリスクの高い銀行債であるその他ティア1(AT1)債の繰り上げ償還オプションを行使しないと発表した。3400億ドル(約37兆5600億円)規模に上るAT1債市場に動揺が広がる可能性がある。』(上記URL先より、以下同様)

キタコレ。

『サンタンデールの広報担当者は電子メールで、「経済性の評価と全ての投資家の利益のバランスを考えなければならなかった」と決定の背景を説明した。同行は3月12日の繰り上げ償還オプションを行使する場合、この日が最終通知期限だった。今回対象となったのは15億ユーロ(約1880億円)の偶発転換社債(通称CoCo)で、表面利率6.25%。』

つーことで、まあそういう作りなのでそういう事もある訳ですが、しばらく無かったので動揺が広がるとかいう話になるのでしょうな。

『調査会社クレジットサイツのアナリスト、パオラ・ビラスキ氏はサンタンデールの発表前、早期償還見送りなら「AT1市場全体で著しくスプレッドが拡大するだろう」とし、「繰り上げ償還見送りが織り込まれていたとは全く思わない」との見方を話していた。』

つーことでこちらはこの先どう言う影響がありますかね、そもそも市場の動向を見ないと何ともでございますが、コール付きで行使されるのを当然のように前提にして話をするのはアカンという当たり前の話をどの程度スルーしていたか、とかそういうお話の世界なので、まあとりあえずアタクシはこの方面そんなに詳細に色々と詳しい訳でもないので論評はパスしてメモだけということにしておきます。

なおサンタンデールのサイトを見に行ったのですが、アタクシの探し方が悪かったのかAT1債に関する物件を見つけられませんでした(まあコールしないだけだから黙っていればノンコールではあると思いますが)。


〇パウエル議長講演は政策には関係ないお話ではありますが

https://jp.reuters.com/article/powell-speech-idJPKCN1Q1260
2019年2月13日 / 02:43 /
米景気後退の可能性低い、地方は経済繁栄の実感ない=FRB議長

『[イッタベナ(米ミシシッピ州) 12日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は12日、米経済がリセッション(景気後退)に陥るリスクは現時点では高まっていないとの認識を示した。パウエル議長はミシシッピバレー州立大学での質疑応答で「リセッションに陥る可能性が高まっているとは感じていない」と述べた。』(上記URL先より)

ということで講演はこちら。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20190212a.htm
Encouraging Economic Development in High-Poverty Rural Communities
Chairman Jerome H. Powell
At “Rural Places, Rural Spaces: Closing Financial Services Gaps in Persistent Poverty America,” a policy forum sponsored by Hope Enterprise Corporation, Mississippi Valley State University, Itta Bena, Mississippi

主催者の「Hope Enterprise Corporation」ってこれまた大きく出た名前だなとか全然関係ないところで反応してしまいましたが(^^)。

小見出しが、
Challenges and Opportunities in Poor Rural Communities
Education and Workforce Development
Entrepreneurship and Small Business Development
Access to Financial Services
Conclusion

となっていまして、最初にまとめの方を引用すると、

『Conclusion』

『To summarize my main points today, people in rural communities who are struggling with persistent poverty need access to high-quality education from preschool through college. They need support for their aspirations to own their own businesses. And they need access to safe and affordable credit.』

ということで、小見出しの2番目から4番目にある教育や起業、金融サービスへのアクセスが米国の田舎だと色々と障害があって、その障害があることが田舎の貧乏モードからの脱却を難しくしている面がありますがな、という話をしていたようですな。

『I will conclude where I began, by applauding both MVSU and Hope for their long-standing contribution toward bettering the lives of the people of Itta Bena and similar rural communities.』

これはご挨拶。でもって最初の小見出し見ますとですな、

『Challenges and Opportunities in Poor Rural Communities』

『Today, data at the national level show a strong economy. Unemployment is near a half-century low, and economic output is growing at a solid pace.』

というのが最初にあって、ここの所が記事のヘッドラインになったんでしょうな、というお話ですし、質疑応答があったようなので(当然ながら内容は公表文の方には無いです)そこでも話があったのでしょうが、とは言いましてもこれは話のマクラみたいなもんで、

『But we know that prosperity has not been felt as much in some areas, including many rural places.』

と話が続きます。でもって、

『The Federal Reserve can help by carrying out our monetary policy mission of supporting maximum employment and price stability. We also support strong communities by conducting research, promoting community development, and enforcing laws like the Community Reinvestment Act, which helps ensure that people have adequate access to financial services wherever they live. We not only work with communities, we are in communities, through the presence of our 12 regional Reserve Banks.』

ということで「米国の方々にあまねく経済成長の成果をお届け致します」という話をするのはパウエル議長の仕様になっていますし、まあここは折に触れて話をするので、パウエル議長的にはこの辺りの話ってのは強調したいんでしょうかねえ、とか何とか思ったりはします。

まー以下目先の金融政策とは関係ない話ですが、こういう話は外国人であるところのアタクシ、しかも金融関係の商売やっていると中々良く分からん話なので引用しておきますとですね、

『Poverty remains a challenge in many rural communities. Indeed, 70 percent of the 473 "persistent poverty" counties in the United States are rural.2』

ほほー。脚注2は

『2. As defined in PL 115-31 as counties where 20 percent or more of the population live in poverty as measured by the U.S. Census Bureau in the 1990 and 2000 decennial censuses (for more information, see https://www.census.gov/programs-surveys/saipe/guidance/model-input-data/decennial.html) and the 2011?2015 American Community Survey.』(一応リンク貼っておきました)

とございます。そこまで見に行っている暇はないですし、現生利益的にはあまり関係ないですが、どこかで見ておこうかなとは思いましたです。

『Unemployment and mortality rates remain high in these communities. Along with lower incomes and wealth, the rate of business start-ups in these areas is lower. And their residents have less access to financial services.』

ってのが小見出しにあったネタ。

『Many of these disparities have existed for generations, and in some places have roots in a history of discrimination.』

ほうほう。

『These areas also generally lack diverse industries and employment options and often have suffered from a decline in a traditional industry.』

だからこそトランプ先生が受けた訳なんでしょうからね。

『In Appalachia for instance, timber, coal mining, tobacco, and textiles have long been in decline.3 Likewise, the number of jobs in agriculture and low-skilled manufacturing, mainstays of the Delta's economy, is decreasing as a result of automation and outsourcing.4』

だそうで、以下さっきの小見出しに沿って話が進んでいきますがまあ目先の金融政策とかには関係無いのでパスします。

#ということで本日は小ネタメモモードで恐縮至極




2019/02/12

お題「ブラード総裁の利上げ反対理論を久々に鑑賞/短期リファレンス金利関連のネタを鑑賞(というほどでもない)」

ジンバブエ先生の時代では無いということですね(違)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190212/k10011811571000.html
268万%のインフレに 政治的混乱続く南米ベネズエラ
2019年2月12日 4時32分

〇変態仮面ブラード先生毎度の利上げ反対論ですが

https://www.stlouisfed.org/news-releases/2019/02/07/bullard-three-themes-monetary-policy-2019
St. Louis Fed's Bullard Discusses Three Themes for Monetary Policy in 2019

プレゼン資料はこちら(URLが長いのでハイパーリンクは途中までにしていますが飛ぶはず)。
https://www.stlouisfed.org/~/media/Files/PDFs/Bullard/remarks/2019/bullard_st_cloud_state_university_7_february_2019.pdf
Three Themes for Monetary Policy in 2019
James Bullard President and CEO
The 57th Winter Institute St. Cloud State University Feb. 7, 2019 St. Cloud, Minn.

ブラードさんの場合説明資料を何回か使いまわして数か月(早い時は1か月)くらいでバージョンが変わって話をするというパターンなので時々確認しておけばという感じではあります。まあこの方基本的に変わったことを言うのを趣味にしているという感じなのですけれども、たまにヒット作が出るので確認しておくのと、直近ではパウエル先生の盛大な腰砕けでブラード先生の時代が到来の悪寒もあるので確認確認。

ということで以下基本的に最初のHTML先の方がサマリーなのでそっちから引用します。

『St. Cloud, Minn. - Federal Reserve Bank of St. Louis President James Bullard discussed “Three Themes for Monetary Policy in 2019” at St. Cloud State University’s 57th Winter Institute on Thursday.』

先週のネタで恐縮ですが(汗)今年の3つのテーマだそうな。

『The first theme was related to low market-based inflation expectations. Bullard noted that the Federal Open Market Committee (FOMC) may miss its 2 percent inflation target on the low side for the eighth consecutive year in 2019 based on current readings of market-based inflation expectations.』

市場のインフレ期待が低い(ので利上げはケシカランという毎度の主張に行きつく)という話ですな。

『The second theme was related to the very weak feedback from labor markets to inflation. “Labor markets have been performing well, but the feedback from labor markets to inflation has weakened considerably in the last two decades,” he said. 』

労働市場が極めてタイトな状態なのですが物価に反映しない(ので労働市場がタイトであっても利上げはケシカランという話)ですの。

『The third theme was related to the flattened yield curve. “The Treasury yield curve has flattened significantly, and a meaningful and sustained yield curve inversion would send a bearish signal for the U.S. economy,” he said.』

国債市場のイールドカーブがフラット化しているというのは米国経済への弱気なシグナルを市場が送っている(ので利上げはまかりならんという話)ではあります。

・・・・・・・ということで、まあこの時点でお察しだとは思いますが、中身をちょっと見てみますとですな、


『Market-Based Inflation Expectations Are Low』という小見出しになります。

『Bullard pointed out that the FOMC has missed its personal consumption expenditures (PCE) inflation target on an annual basis every year since 2012.』

ほう。

『“Market-based measures of inflation expectations suggest that financial markets believe the FOMC will again miss its PCE inflation target to the low side in 2019 and, indeed, for the next five years,” he said.』

なんつーかTIPSの利回りで市場のシグナルがーというのも何だかなとは思うのですが・・・・・・・・

『He noted that market-based measures of inflation expectations provide an important benchmark for current monetary policy.』

重要なベンチマークだと言っているのがどうもねとは思う。

『These expectations take into account all available information affecting the likely evolution of inflation going forward, he explained.』

ということですが、さっきクソ長いURL付けたプレゼン資料の方を見ますと、プレゼン資料の7ページ目(表紙が1ページで振っているので7枚目でもありまする)に、『Real-time inflation expectations are low』というグラフがありまして、そのReal-time inflation expectationsのグラフでプロットされている物件が
「5-Year,5-Year Forward Breakeven Inflation Rate Minus 30 bps」
「5-Year Breakeven Inflation Rate Minus 30 bps」
「2-Yrar Inflation Compensation, Continuously Compounded Zero-Coupon Yield Minus 30bps」
という物件なのですが、これは1月のブラード総裁の講演で今年の金融政策のテーマみたいな話をしておりまして(なおその時にはネタにしておりませんでしたスイマセン)、

https://www.stlouisfed.org/from-the-president/speeches-and-presentations/2019/perspectives-on-2019-monetary-policy
Perspectives on 2019 Monetary Policy
January 10, 2019

の時にも同じグラフを出してインフレ期待が急速に下がっているという図を示したのですけれども、今回はそのグラフの中で「Jan.4,2019:Chairman Powell's remarks in Atlanta」という線を思いっきり引いていまして、そこからインフレ期待が上がりましたよという図を出しています。ちなみにこの「マイナス30bp」というのは何ぞやと言いますと、TIPSの利回りはCPIベースになっていて、PCEインデックスはCPIベースよりも30bpほど低く出てくるのでFRBの物価目標のPCEインデックスベースに直すのに30bp引くという理屈になっております(ナンヤソラという感じはしますが)。

でですな、まあこの数字使うのが妥当なのかという話はさておきましても、1月頭のパウエル議長の発言で市場のインフレ期待が回復しました(キリッ)という説明をしているのはいいのですが、思いっきり下がって思いっきり戻っているのって「2年のインフレ期待」と定義されているものだし、そもそも出している時系列が2018年の頭からという怪しげな物件になっているのがこの先生の自由自在な部分があります。

というのはですな、さっきURL付けました1月10日に行われた講演の方ですと、データが12月28日まででの同じグラフを出しているのですけれども、そっちでは足元の部分を「Low and declining」としていまして(1月から戻ったのですからそれはあっている)、そっちの時系列は2014年からですし、しかもこの2014年からの中だと、そもそもこの時系列が実際のインフレ推移とどういう関係があるのやらというような感じを思いっきり示す物件(まあ見てくらはい)になっておりまして、どうもこのオッチャン足元でFRBのスタンスが打ビッシュになったのでここぞとばかりに直近の実績を出して来て自慢モードになっている感が高いですな。


次の小見出しが『Feedback from Labor Markets to Inflation Is Weak』でして、これはまあこの人毎度毎度言っているお話ですけど。

『Bullard noted that U.S. monetary policymakers and financial market participants have long relied on the Phillips curve-the correlation between labor market outcomes and inflation-to guide monetary policy.』

フィリップスカーブがワークしないというネタは大体金融政策ハト派の人およびとりあえずハトっぽい話をしたい時にハト派じゃない人も言い出す毎度のお話。

『“However, these correlations have broken down during the last two decades, so they no longer provide a reliable signal,” he said. “Policymakers have to look elsewhere to discern the most likely direction for inflation.”』

であるのでインフレについてみるべきである、という結論になっていまして、ご丁寧にも今回のプレゼンの11ページでは「but feedback to inflation is weak」としてフィリップス曲線の傾きが下がっているというのを1980年代からの時系列で出しているのですが、脚注のソースが『Source: J.H. Powell, “Monetary Policy and Risk Management at a Time of Low Inflation and Low Unemployment,” remarks delivered at the 60th Annual NABE Meeting “Revolution or Evolution? Reexamining Economic Paradigms,” Boston, Mass., Oct. 2, 2018. Last observation: 2017.』になっているのは芸が細かい。

なお、『Note: Rolling 20-year window estimates and confidence bands; negative of the Phillips curve slope portrayed.』ということで、2010年代には傾きがマイナスになっていた可能性の時期もありまっせということで直近では傾きが0.1以下のプラスという状態になっている、という話なので、労働市場がタイト化しても物価はアガランチ会長、という話なのですが、しかしそれだとデュアルマンデートの達成に当たって何しますねんというのがよく分からんというか、物価目標を達成するための政策とその波及経路に対して、最大雇用を達成するための政策とその波及経路is何という話で、フィリップスカーブが使えない、という話になると今みたいに雇用が強くても物価が上がらんという状況なら問題ないですが、物価が上がって雇用があばばばばーだったらどないしますねんという話になるような気がするんですけれどもどうするんでしょうかねえ・・・・・・・・・・・・


でもって次は『Yield Curve Inversion Threatening』でして、

『Bullard then discussed the yield curve, which has flattened significantly. He noted that various measures of yield spreads are all trending toward inversion.』

ということで、プレゼンの14ページ目が「The yield curve has been flattening」という見出しではあるのですが、そこで使っているのが「10年国債金利マイナス1年金利」となっていまして、それはイールドカーブというのかというツッコミをしたくなるのですが、そら直近低いわというものでして、その次のページが「Various measures are all trending toward inversion」となっていて、10年−1年と5年−2年と「Fed near-term forward」ってので、この「Fed near-term forward」というのが

https://www.federalreserve.gov/econres/feds/files/2018055pap.pdf
Finance and Economics Discussion Series Divisions of Research & Statistics and Monetary Affirs Federal Reserve Board, Washington, D.C.
The Near-Term Forward Yield Spread as a Leading Indicator: A Less Distorted Mirror
Eric Engstrom and Steve Sharpe

という物件から取っているようなのですが、これは不勉強にして知らなかったので今度読んでみるかもしれません。まあいずれにせよイールドカーブがフラット化していて、もうすぐインバートという話をしていましてですな、

『An inversion would suggest that financial markets expect less inflation and less growth ahead for the U.S. economy than does the FOMC, which influences the short end of the curve, he explained. He added that inversions have been associated with recessions in the postwar U.S. data.』

市場の金利がインバートしているのは市場の先行き景気期待の悪化を示しているし、第2次大戦後の米国のデータからもリセッションの前兆の事が多いでっせというお話なのですが、これ結局のところ市場のインフレ期待と市場のカーブの話をしている時点で、「市場に振り回されている」あるいは「市場のデータを都合よくつまみ食いしている」のいずれかという感は強くて、ちなみにブラード先生の場合、基本的にこの方物価が上がりだすと急にタカ転換してくるので、たぶん市場のデータを都合よくつまみ食いしている感じではあるのですが、まあ足元では「それ見たことか」という感じでお鼻がピクピクしてるんだろうなあと。

その結果『Conclusion』としては、

『“Market-based signals such as low market-based inflation expectations and a threatening yield curve inversion suggest that the FOMC needs to tread carefully going forward,” Bullard said.』

ということで市場の話を自己主張の正当化に使う訳ですが、ただまあこの方の場合はパウエル先生と違いまして株式市場を引き合いに出してこないのでまあいっかとは思いますけど、市場が自分の説明に都合よく動き出すと市場の動きを中心にして正当化に使ってくるというのも何だかなあという感じはします。

『“Through its normalization program, the FOMC has already been sufficiently pre-emptive over the last two years to contain upside inflation risk.”』

インフレ上昇のリスクに対して既にプリエンティブに対応してきていた、という話にしていて、金融不均衡の蓄積に関する話は基本全然してこない、というのもこの人の特徴的なところでして、アタクシの加齢が入っている記憶だとブラード総裁ってずーっと金融不均衡の話をしてこないで来ている人なので毎度こういう結論になるのですが、寧ろブラードさんには「低インフレ下の金融不均衡蓄積」という方面の話に手を付けてくれないかねとは思うのですけど、まあそれっていちばんの難物なのかもしれませんね。


〇暫くスルーしていたのですが今回は色々と充実していたことに今更気が付きました

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2019/rel190208a.pdf
「日本円金利指標に関する検討委員会」第5回議事要旨
(2019年1月18日(金)16時00分〜17時20分、日本銀行本店会議室)

ということで実際には資料とかは既に出ていたのですが、18日に行われたときのお知らせが、

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2019/rel190118d.htm/
「日本円金利指標に関する検討委員会」第5回会合を開催
2019年1月18日 日本銀行金融市場局

『本日、「日本円金利指標に関する検討委員会」第5回会合を開催しました。

本日の会合資料等および最新の参加者リストは 「日本円金利指標に関する検討委員会」に掲載しているほか、本日の会合の模様については、後日、「議事要旨」のかたちで掲載する予定です。』

となっていて、「日本円金利指標に関する検討委員会」の所にリンクがひっそりとおいてあるだけという物件になっていました。でもってまあこのリンク先なんですけど、

http://www.boj.or.jp/paym/market/jpy_cmte/index.htm/
日本円金利指標に関する検討委員会

とありまして、『公表資料』の2019年1月18日分を見ると、

2019年 1月18日 第5回会合資料1「金利指標をめぐる各国および国際的な動向」 [PDF 368KB]
2019年 1月18日 第5回会合資料2「ISDAにおけるフォールバックの検討状況」 [PDF 364KB]
2019年 1月18日 第5回会合資料3「ターム物金利構築に関するサブグループからの報告内容」 [PDF 282KB]
2019年 1月18日 第5回会合資料4「貸出サブグループからの報告内容」 [PDF 210KB]
2019年 1月18日 第5回会合資料5「債券サブグループからの報告内容」 [PDF 401KB]
2019年 1月18日 第5回会合資料6「企業会計基準委員会(ASBJ)への働きかけについて」 [PDF 93KB]
2019年 1月18日 第5回会合資料7「今後の検討に向けた方向性」 [PDF 268KB]
2019年 1月18日 第5回会合資料8「対外情報発信について」 [PDF 132KB]

とありまして、めんどいので一々リンク貼りませんけれども、資料がやたら充実していて、まあ金利スワップとかLIBORベースの変動金利ものとかをやっている方々と「企業会計基準委員会」という文字がありますように銀行およびスワップを使っている企業の会計の方々にとっては当事者おぶ当事者ですからご案内の話なのだと思うのですが、読みながらほほうと思いつつも実際にこの辺の詳しい話にはアタクシ不案内なので、アタクシ如きがこれを説明するというのは不遜にも程があるので誰か教えて下さいというか誰か解説してくださいというか、債券何とかストの皆様に於かれましてはオペ予想がどうのこうのとかいう話をしている暇があったらこういうのを解説して頂きたいものだと存じます(お前が勉強して説明しろというツッコミはしないように)


ということで本日はそういうアタクシのアレにより議事要旨ちゃんのほうですが、

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2019/rel190208a.pdf(URL再掲します)
「日本円金利指標に関する検討委員会」第5回議事要旨
(2019年1月18日(金)16時00分〜17時20分、日本銀行本店会議室)

最初の方の話はスルーして途中から。

『・国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)より、デリバティブ契約においてLIBOR等が公表停止となった場合におけるフォールバック・レートの計算手法にかかる市中協議の結果について説明が行われた。』

資料もありますけど、まあしかし何で短期市場がISDAのケツ拭きせにゃならんのよという気はする。

『・「ターム物金利構築」、「貸出」、「債券」の各サブグループの議長および通貨スワップ等ワーキンググループの取り纏め役などから、これまでの検討状況等について報告が行われ、その後、メンバーによる意見交換が行われた。』

つーことで、

『・「ターム物金利構築」サブグループの議長からは、O/N RFR複利(前決め・後決め) にかかる公示を前提とした際の要件案や、ターム物RFR金利(スワップ・先物)にかか る算出手法や金利構築に向けて必要な施策などについて報告された。「貸出」および「債券」のサブグループの議長からは、それぞれ貸出・債券におけるフォールバックおよび 会計上の論点について報告された。

ヘッジ会計の継続適用の可否に関連して、事務局より、金融庁とともに企業会計基準委員会に対して説明を実施したことが報告された。

これらの報告を受け、議長から、市中協議の実施に向け、各サブグループで認識された主な課題にかかる今後の検討の方向性について説明が行われ、新規取引における代替金利指標への早期移行や、既存取引における円LIBORの公表停止を前提としたフォールバック条項の事前の導入等が重要との認識が共有された。

メンバーからは、ヘッジ会計の継続適用について、「顧客の資金調達ニーズに応えつつ、適切なALM運営を行うためにも、早期に方向性が示されることを期待している」との意見(金融機関メンバー)や、「事業運営上で重要な論点であり、継続適用が可能と なるよう、今後も関係者間で協議・連携を進めてもらいたい」(事業法人メンバー)と の発言があった。』

ということで、これ一番重いのが会計の所だろうなあというのは何となく想像は付くところで、ヘッジ会計云々とかの話ってアタクシそんなに詳しい訳ではないですが、ここらへんの所ってそもそもが制度の方が実取引の進展に全然ついていけてないように思える(個人の感想です)ので、資料の方を見てもこれは大変だろうなあとか思うのでありました。

貸出は基本相対の話だから何とでもなるでしょうが、ISDA絡みと債券もまあ面倒な香りがしますな。

・・・・・・というのは兎も角として、せっかくなのですからこの資料とかに関してって今後は出た時にどどーんと目立つようにトップページの方にリンクを入れればもっと注目されるのではないでしょうか、とは思ったのですが、関係者だけ分かっていればよいと言ってしまえばそれまでかも知れませんけれども、一応どこにどう影響するのかとか考えるネタになるんじゃないかなとは思いました。



2019/02/08

お題「ハイパー虫干しネタでFOMC会見質疑から少々(すいません)」

これ昨日の早朝には出ていたニュースですけど、あまりその時には目立ったヘッドラインになっていませんでしたけど、ニュース見た瞬間に「これは汎用度の高い煽り文句なのに何で話題にならん」と思ったら続々とニュースネタになっていて大変に心温まるものを感じました。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-06/PMICOPSYF01Z01
離脱あおった英政治家、地獄に落ちて当然−EU大統領が痛烈批判
Ian Wishart
2019年2月7日 0:01 JST 更新日時 2019年2月7日 3:07 JST

『トゥスク大統領はアイルランドのバラッカー首相とブリュッセルで開いた共同記者会見で、「英国のEU離脱を安全に実現させる計画を描くこともせずに離脱支持を言いはやした人たちは、地獄に落ちても当然なのではないかと思う」と語った。』(上記URL先より)

実際に何を言っているのかと思って見に行ったわけですが・・・・・・・・
https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2019/02/06/remarks-by-president-donald-tusk-after-his-meeting-with-taoiseach-leo-varadkar/
Remarks by President Donald Tusk after his meeting with Taoiseach Leo Varadkar
(URL長いのでリンクは途中までにしてますけどちゃんと飛びます(筈です))

会見の一番最後で捨て台詞キタコレという感じでして、

『By the way, I've been wondering what that special place in hell looks like, for those who promoted Brexit, without even a sketch of a plan how to carry it out safely. Thank you.』

「special place in hell」って公式文書でこれわ・・・・・・・・・・・(^^)。

「2%物価目標を安全に実現する計画を描くこともせずにリフレ政策支持を言いはやした人たちは地獄に落ちても当然なのではないかと思う」ですねわかります。


〇いまさらながらのFOMC会見ネタで恐縮ですが(大汗)

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20190130.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference January 30, 2019

映像の方は
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcpresconf20190130.htm

で見れるのですが、パウエルおじちゃんになってから会見時間が45分(最初の説明含む)少々に減っていまして、おじちゃん早口すぎとか思う(今回にしても会見の冒頭説明が9分33秒くらいあるのに47分で終了)次第ですけどね。


・この説明だと将来利上げする時に無茶苦茶困ると思うんだが

最初の質疑でもうベタ降りぶりが凄いのですが、

『HOWARD SCHNEIDER. Howard Schneider with Reuters. So you've said many times recently that policy was still accommodative and that it needn't be so. You've said recently that policy -- the state of the policy was still accommodative and that the economy didn't require that any more. Is that still the case? If so, how do you justify the removal of the need for some further interest rate increases? Basically, are we at neutral now or does the economy still need accommodation? 』

現状が緩和的なのかそうじゃないのか、という質問って要するに中立金利に対して今の金利はどうなんですか、という質問になるのですが、

『CHAIRMAN POWELL. We think that our policy is at the appropriate point right now. We think our policy stance is appropriate right now -- we do. We also know that our policy rate is now in the range of the Committee's estimates of neutral. So we'll be -- again, we think our policy stance is appropriate. 』

っていうことで、最初に「our policy is at the appropriate point right now」って思いっきり言っちゃっていまして、昨年10月の発言は何だったのかと小一時間という感じになるのですが、この説明も何だかなと思うのは、そのあとの説明が「our policy rate is now in the range of the Committee's estimates of neutral」なので「policy stance is appropriate」って言っていることでして、この説明って確かに逃げ口上は色々とあって、「中立と考えるレンジの中での調整だから金利引き上げましたが金利水準としては適正」とかそういう言い方をすれば利上げはできるのですけれども、現時点で「適正」とか言いきっちゃった後に利上げしますよとなりますと、それは普通に受け止めたら「引き締めスタンスに転換」って解釈されるのは必定だし、当然その線からツッコミを受けるでしょうな、と思うのですよ。

でもってそこを回避するにはもうちょっと「中立金利のレンジ」というのを強調した方がエエンチャウノとも思いますが、ただまあそのレンジが1%も幅があるとなると、「適正水準」が1%のレンジということになりますので、「中立金利水準内の調整」なのに政策金利の上下が1%あるとかナンヤソラという話になってしまいますし、いずれにせよ「中立金利」を1%幅のレンジで説明するというのは途中でしらっと水準変更するには便利かも知れませんが、何を基準に金利の上げ下げするんだよという話になった時に整合性のとれる説明ができるとは到底思えん。


そして後の方(ちなみに19ページ)にも直球質問がありまして、

『PAUL KIERNAN. Hi, Chairman. Paul Kiernan from Dow Jones Newswires. I know where the FOMC participants' estimates for the long-run interest rate are. They're all above 2-1/2 percent. Right now, we're between 2.25 and 2-1/2. So I think a key question right now is, is policy accommodative at this moment? Are we looking at staying accommodative for some time, or has your estimate of neutral come down in light of the recent volatility in markets? Thanks. 』

多くのFOMC参加者の推計するロンガーランFF金利が2.5%を超えているのだが、今の政策金利は緩和的なのかどうかという評価を聞きたいし、金利を暫く動かさないというのは「暫く緩和的な状態であることを容認」なのか「中立金利が下がった(ので今の金利が中立金利で適切)」のかちょっと説明しろやという質問。

ちなみにこの質疑はさっきの画像だと38分くらいの所にあるのですが、質疑応答の表情が中々味わいがあります。

『CHAIRMAN POWELL. So the range of estimates on the Committee starts at 2-1/2 percent and that's kind of roughly where we currently are. And as I've said a couple of times, when you get to that range -- you know that we can't directly observe the neutral rate. We only know it by its works. And so we have to put aside our own priors of what that rate might be and let the data speak to us. So we can do that. We're in the range. There are a number of Committee members who are, you know, right around that range. And I think we're watching to see.』

ひたすら「レンジ」で逃げようとしますがパウエルの目がやや泳ぎ気味なのがワロエル。

『We don't -- again, I think that our policy stance today is appropriate for the state of the economy. That's my feeling. We're going to be watching data to see whether that's right and we're also going to be watching data to see how these crosscurrents resolve themselves and how the U.S. economy performs this year.』

この「That's my feeling.」ってところでカメラがPAUL KIERNANさんの方に戻っていまして、「お前は何を言ってるんだ」というような冷ややかな表情で議長を見ているような図になっている(個人の主観です)のがなんとも味わいがありました。これ作ってるのFRBのスタッフだと思うのですが狙ってやっているのだったら更に味わいがあるんですけどどうでしょうかねえ(^^)。

しかしマジでこの「レンジ」で押し通すのは明らかにマズイと思うんですけれども大丈夫かね・・・・・・・・・


・物価が動くかどうかいう話に関しては(市場的な)一つの落とし穴になるかもですが

ちょっと先の質疑になりますが、

『SAM FLEMING. Thanks. Sam Fleming from the Financial Times. The Fed has linked its commitment to patience in part to subdued inflation outcomes. Would you be comfortable with continuing patience even if there are modest, if transient, overshoots to the inflation target by core inflation? How sensitive are you right now to developments in core inflations when determining the next move? Thanks.』

ということで直球の物価での質問がありまして(そのあとの方でもあるのでそっちも引用します)、まあ確かに物価が落ち着いているからというのもpatientが可能の理由にしているのですよね。

『CHAIRMAN POWELL. You know, generally speaking, we think the outlook is favorable and we think that these crosscurrents that I referred to, these risks, are going to be with us for a while. We think our stance is appropriate. We think there's no pressing need to change our policy stance and no need to rush to judgment there.』

今は動いていないからそう言えるのですけど。

『I would say that we'll be looking at a full range of data and that will include inflation data. It will include all data relevant to our dual mandate of stable prices and maximum employment. Remember that our inflation objective is a symmetric one, meaning that we are -- we're always trying to get to 2 percent and we don't look at -- we look at inflation equally on both sides. So I can't get into specific hypotheticals but I do believe that we have a symmetric objective and I believe we'll act that way. 』

ということで、まあ物価が上がってきた場合に関しては「物価がー」と言ってしまえは政策の変更は正当化されるのでFRBの方の説明はそんなに難しくはないのですが、何気に市場もFEDも物価が上がらんで今の所で推移する、というのを前提に思いっきり置いていますし、ここしばらく無風おぶ無風で推移しているからスルーされています(お賃金の上げが加速しないし)けれども、物価が動くというのは市場としてはノーケアーだけにリスクはリスクなのかなあとか思ったりしました。

ちなみに後の方(10ページ)でこんな質疑もありまして、

『BINYAMIN APPELBAUM. Binyamin Appelbaum, New York Times. I am struggling a little bit to understand what has changed since we sat here with you six weeks ago. You've said today that you think that inflation would be the reason that the Fed would need to continue raising rates. Has the inflation outlook shifted that dramatically in the last six weeks? Can you speak specifically to why you've moved from a posture of saying we expect to keep raising rates this year to a posture of standing still? 』

まだ利上げするぞと言ってたのに豹変したようですが物価の見通しには何か変化あったんでしたっけとか意地悪質問。

『CHAIRMAN POWELL. I'd point to a couple of things. First, the narrative of slowing global growth continues, if you will. The incoming data have shown more of that. We've seen that both in China and in Western Europe, and so that's an important -- that has important implications for us and that story has -- let's just say it continues.』

『And in addition -- I mean, I think important -- possibly less important now, probably less important now but has been the shutdown, which will leave some sort of imprint on first quarter GDP. We don't know the ultimate resolution of it. If that's all there is and the shutdown is gone and there isn't another shutdown, then we'll get most of that back in the second period -- second quarter.』

『So those things -- in addition, you know, you have to look back. Financial conditions began to tighten in the fourth quarter and they now have persisted and remain tighter -- significantly tighter, let's say -- than they were and that's something that we have to take into account as well. So that's where we are.』

ということで、説明が経済のリスク(海外経済と政府閉鎖)の話とFinancial conditionsという要するに株価の話になっていて、物価の見方がどうなったのという質問の答えになっていないのがなんとも。


・バランスシートの資産サイドの話は一応ありましたな(汗)

今回はバランスシート絡みの質疑が多くて、それだけでかなりの分量のネタになるといえばなるのですが、とりあえずはこの部分だけほほーと思ったのでネタにしておきます。9ページの所なんですけどね。

『NICK TIMIRAOS. Thanks. Nick Timiraos of the Wall Street Journal. Chairman Powell, I want to follow up on Steve's question. The size of the balance sheet obviously matters a great deal but so to, if you follow the arguments that were made when the Fed was purchasing these assets, does the duration of those holdings.』

バランスシートの資産サイドの質問ですな。

『So once you are -- once you reach the terminal level of reserves and you have to reinvest maturing mortgage-backed securities into treasuries, it will matter a great deal of course where along the curve the Fed resumes those reinvestments. And so I wonder, what does your staff research show about the degree of accommodation that would be provided by either moving to the front end of the curve and holding or investing perhaps in shorter maturity assets versus the other approach that was identified in the December meeting minutes, which would be to simply reflect issuance of the outstanding treasury maturities? And which approach do you think is more appropriate in the current environment?』

バランスシートのサイズもそうだが、最終形で何を持っているのか、長期債/短期債とか、MBSの保有なのかUSTの保有なのか、というのについて突っ込んでいるのはこの質疑でしたが、ただまあ昨日もちょっとネタにしたように、バランスシートの最終の資産の話って連銀高官からあんまり出て来てない印象がある(見落としているだけかも知れんが)。

でもって議長のお答え。

『CHAIRMAN POWELL. These are great questions. Let me say that the question of the ultimate composition of our balance sheet in the longer run is a very important one and it's one that we see ourselves as coming to, you know, fairly soon, as in coming meetings. It won't be the first thing we work on but it will be one of the first things that we try to resolve. We had discussions at one of the last two meetings on this and we haven't come to a judgment on that and, you know, I wouldn't comment beyond saying that we understand that's a key question and there are, you know, there are issues to be decided. There are benefits and costs to doing -- to taking different approaches and I wouldn't want to prejudge them today. 』

「ultimate composition of our balance sheet in the longer run is a very important one」って言ってるので、まあさすがにバランスシートの負債サイドだけでしらっと話をスルーしようとしている訳ではないのは分かったのですが、逆にこういう説明をするということは、MBSの残高をゼロにしないとかそういうのも考えているとかいう話もあるのかなとか思うし、MBS市場とかは期待しちゃいますわな。

ただまあ説明見るとまだ何も決まっていないようですし、さっきも申し上げましたが、他の連銀高官から資産サイドにフォーカスしたトークが出てきていないということは、そこの資産サイドでリスクの高めのものを残しておいて緩和効果的なのは次の利下げサイクルの所まで温存なのかも知れず、なんかいずれはこっちの話題も市場で思惑が盛り上がるのかなあとか思うのでありました。

#時間の関係でこんなもんで勘弁ですし超虫干しネタで誠に申し訳ございません

#円債ちゃんがこの有様だと中々国内ネタがですなあ、と愚痴っておく




2019/02/07

お題「天候の特殊要因と消費という日銀ペーパーを鑑賞/FEDのバランスシート話で気になる点があるのですが・・・・・」

さて・・・・・・・・・
https://www8.cao.go.jp/hoppo/henkan/02.html
2月7日とは 2月7日は「北方領土の日」

〇特殊要因の評価という話題についても考えてしまった日銀レビューシリーズネタ

先週末に出ていた物件ですけど。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2019/rev19j01.htm/
天候データを用いた個人消費の分析

ここの『要旨』だけみると、

『個人消費は、天候などの一時的要因の影響を受けるため、そうした要因を除いた基調を判断することには難しさが伴う。そこで、本稿では、日本全体の天候を包括的に表す指標として「マクロ・ウェザー・インデックス」を作成し、天候要因が個人消費に与える影響を分析した。その結果、降水量の増加が個人消費を下押しすることや、気温上昇が夏場にはプラス、冬場にはマイナスの影響を及ぼすことに加え、形態別や品目別に影響が異なることが確認された。』

って話ですが、雨降れば消費が落ちるし夏暑ければ消費増えるし冬寒ければ消費増えるだろ当たり前じゃんという要旨になっているのですが、中身は(日銀レビューシリーズなので一般ピーポー向けに簡単になっていますが)ちょっと考えさせられるものが、という雑感モードで恐縮なんですけどね。

ということで本文はこちら。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2019/data/rev19j01.pdf
天候データを用いた個人消費の分析

以下はこちらの本文から引用します。でもって最初のエグゼクティブサマリーに関してはさっき引用したHTMLの「要旨」とまるで同じ(そういう建付けで作っている)なので何打よその順当な結論、という話になってしまいますが中身を見ると味わいがある。

まずは『はじめに』から。

『景気の基調を判断するうえで、GDP において最も大きな割合を占める個人消費の動向を把握することは重要である。もっとも、個人消費は、多くの一時的な要因の影響を受けることから、リアルタイムで基調を見極めることには難しさが伴う。実際、各種の販売・供給統計を合成した消費活動指数の動きをみると、均してみれば緩やかに増加しているものの、月々の動きは相応の振れを伴っている(図表 1)1。 』

ということで図表1は上記URL先を見てちょという所ですが、季節調整かけてるのにビュンビュン降れているのは見て取れます。

『個人消費に影響を与える一時的な要因としては、百貨店によるセールの実施やゴールデンウィークの日並びなど、様々なものが挙げられるが、 天候はその最たるものといえる。』

ほうほう。

『実際、天候が個人消費に影響するとの声は、企業等からも多く聞かれている。例えば、内閣府が実施している景気ウォッチャー調査のコメントをみると、天候によって、売上や客足が変動しているとの指摘が多くみられる(図表 2)。具体的には、夏場の猛暑によって、飲料やエアコンの販売量が伸びているといった声や、冬場に例年対比暖かくなったことによって、冬物衣料を買い求める顧客が減少したといった声が聞かれている。こうした声は、同じ気温上昇でも、夏場には消費を押し上げる一方、冬場には押し下げ要因となるなど、天候の影響が時期によって異なることも示している。』

そらそうですな。

『海外でも、天候は、マクロ経済の基調判断を難しくさせる要因として認識されている。例えば、 2013 年末から 2014 年初にかけて発生した米国の 寒波の影響について、当時のイエレン FRB 議長は、 以下のように述べていた2。

足もと数か月の指標が著しく弱いことを受けて、我々は経済見通しを大きく修正すべきか判断する必要に迫られている。国内各地における異例に厳しい冬の天候により、この判断は難しくなっているが、 FOMC の同僚と私は、足も との弱さのかなりの部分が天候に関連していると基本的に考えている。』

ご丁寧にも脚注でちゃんと原文を紹介しているのが偉いと思ったので折角だから脚注を引用します。

『2 2014 年 4 月のスピーチ "Monetary Policy and the Economic Recovery" での発言。原文は、"In recent months, some indicators have been notably weak, requiring us to judge whether the data are signaling a material change in the outlook. The unusually harsh winter weather in much of the nation has complicated this judgment, but my FOMC colleagues and I generally believe that a significant part of the recent softness was weather related." 』

ということで・・・・・・・・

『この寒波の経験も受けて、FRB では、天候が個人 消費に与える影響の分析が、一段と進んでいる3。 日本銀行においても、都道府県別のデータを用い て気温や降水量が個人消費に与える影響を分析した例があるが、財の消費に焦点を当てており、 サービス消費の分析は対象外であった4。』

へー、と思ったら脚注が『4 2016 年 4 月の「経済・物価情勢の展望」の BOX4 を参照』でした。わずか3年前なのにもう忘れとる(言われて何となく思い出した)。

『そこで、 本稿では、FRB での分析に倣い、天候要因がわが国の個人消費に与える影響について、新たな分析を試みた。』

ということで次の部分の小見出しが『マクロ・ウェザー・インデックスの作成』になりまして、

『東京と大阪を例として、気温の平年差と降水量の平年比をみると、都市間で連動する場合が多い一方で、異なる動きをする局面も相応にみられる (図表 3)。』

まあ図表3をみてちょ。

『例えば、西日本を中心に豪雨が発生し た 2018 年 7 月の降水量をみると、大阪では平年の倍以上の降水量を記録したのに対し、東京では 平年を下回った。このように、天候は地域ごとに 異なるため、本稿では、都道府県ごとの天候デー タ5 を人口で加重平均した「マクロ・ウェザー・ インデックス」(以下、MWI )を作成した(図表 4)6。』

ほっほー。

『天候データは、過去の同月平均からの乖離 をとることで、天候の季節性を除去している。このため、MWI は、プラスであれば平年対比で降水量が多いことや気温が高いことを示すことになる。 』

でもって最近このインデックスがどう動いたとかいうのが本文になりますが、そっちは飛ばして図表4の方の説明を読みますと、

『・各都道府県の天候データについて、過去の同月の平均から乖離をとり、その標準偏差で基準化した後、各都道府県の人口で加重平均。

・なお、各天候要因を基準化する際は、地球温暖化による気温上昇のトレンドを可能な限り除去するため、後方10年移動平均を使用。標準偏差は 2000/1月以降の天候データから算出。

・天候データは、気温と降水量を使用』

という計算(式は貼り付けるスキル無いから本文見てちょ)をしているのですな。


でもってとりあえず最初の結論になりますところの『天候が各種の消費に与える影響』という小見出しが次になるのでそこを見ますと・・・・・・・・・

『ここでは、MWI を用いて、天候が個人消費に与える影響を分析する。天候要因としては、降水量のほか、気温については、夏場(5〜8 月)と冬場 (11 月〜1 月)の 2 つの変数を用いる。これは、 景気ウォッチャー調査のコメントにもみられる ように、気温が個人消費に与える影響は季節に応じて異なるためである9。』

ほほう。

『計量的手法としては、 様々なものが考えられるが、ここでは、分かりやすさの観点から、単純な回帰分析の結果を紹介する。具体的には、消費活動指数ないしはその内訳である形態別・品目別の消費の前月比を被説明変数、@降水量、A夏場の気温、B冬場の気温の前月差等を説明変数として、最小二乗法による回帰分析を行った(図表 6)10。』

割とシンプルですな。

『なお、この回帰分析に よる結果は、多変量自己回帰(VAR)モデルと呼ばれる時系列モデルによる結果と概ね整合的である(BOX を参照)。 』

ってあるのですが、このBOXが本文の後のページにありまして、

『BOX VARモデルによる分析 』

『本文で行った回帰分析では、天候が個人消費の水準に与える影響は同月に限られる(翌月にはもとの水準に戻るため、消費の伸び率をみると翌月に反動が出る)ことを前提としているが、現実には翌月以降の水準に影響する可能性もある。また、回帰分析では、生鮮食品の価格などをコントロール変数として加えているが、これは天候が生鮮食品価格などを通じて与える影響を無視していることと同じである。』

ふむ。

『そこで、 ここでは、こうしたより複雑な影響を勘案可能な VAR モデルを用いて分析する。』

ほうほうそれでそれで?

『使用した変数は回帰分析と同じであり、天候関連の変数として、@降水量、A夏場の気温、B冬場の気温の3 つを用いた i。天候の変化に対する消費活動指数の反応(インパルス応答)をみると(BOX 図表 1)、 降水量が増加した月には、消費活動指数の伸び率が有意に低下するものの、翌月には反動から上昇する。 気温の変化の影響も同様であり、回帰分析の結果が概ね頑健であることが確かめられた。』

『ただし、冬場に気温が変化した場合は、翌月の反動が弱いという結果も得られた。この点は、暖冬などでコートなどの需要がいったん失われると、同じ冬の間に取り戻すのは難しいことを示唆している。』

とか中々オモロイです。さて本文に戻りまして、

『分析結果をみると、消費活動指数全体では、降水量、夏場の気温、冬場の気温のいずれもが、有意な影響を及ぼしている。影響を及ぼす方向を確認すると、降水量の増加と冬場の気温上昇は消費を減少させる一方、夏場の気温上昇は消費を増加させる。また、夏場の気温は、冬場の気温の倍以上の影響を与えるとの結果となっている。』

直観的に正しいように思えますな。

『形態別にみると、耐久財については、影響の方向は消費活動指数全体と同じものの、有意なのは夏場の気温だけである。』

これはオモロイ。

『もっとも、より細かい品目ごとに推計を行うと、家電では、夏場だけでなく冬場の気温も有意に影響するとの結果が得られる。この背景としては、夏場の気温が上昇する と、エアコンや扇風機などの消費が増えることや、 冬場の気温低下によって、エアコンやストーブなどの暖房器具の消費が促されることが考えられ る。なお、自動車では、降水量が有意に影響して おり、雨天の日には、自動車販売店への客足が減少することが背景にあると考えられる。』

(^^)。

『非耐久財11についても、その内訳項目である飲食料品と衣料品も含めて、基本的には、降水量の増加と冬場の気温上昇は消費の押し下げ、夏場の 気温上昇が消費の押し上げに寄与することが確認できる。降水量の増加は、スーパーや百貨店、 衣料品専門店への客足減少を通じて、飲食料品や衣料品の販売を減少させることが背景にあるとみられる。また、冬場の気温低下は、鍋物用の食材や、コートなどの冬物衣料の販売を増加させると考えられる。 』

(^^)(^^)。でもって問題のサービスはどうなのよということですが次にありまして、

『この間、サービスについてみると、全体では、 降水量のみが有意となっている。もっとも、品目別にみると、外食需要は、夏場の気温が上昇した際に増加しやすいとの結果が得られている。一方、 タクシーの利用については、降水量の増加と夏場の気温上昇が、有意にプラスに影響している。これについては、普段は徒歩で移動する人でも、雨の日や夏の暑い日にはタクシーを利用するようになることが背景にあると考えられる。このほか、 旅行と娯楽では、降水量の増加が、外出意欲を減退させることで、消費を下押しすることが示唆される。また、娯楽については、冬場の気温上昇が 有意に押し上げに寄与しており、冬場の暖かい日には外出が促進されることが背景にあるとみられる。』

(^^)(^^)(^^)。

ということで結論部分に行くわけですが、小見出しの『最近の個人消費に対する天候の影響』になります。

『ここでは、消費活動指数全体を被説明変数とした推計結果をもとに、天候が過去 1 年程度の個人消費にどのように影響してきたかを分析する(図 表 7)。分析結果をみると、個人消費の月々の変動に対し、天候要因が相応の説明力を有していることが確認される。 』

ということで内容がありますがそこはパスして、

『天候要因を取り除いた消費活動指数の水準を みると(図表 8)、月々の振れが幾分均されている。 このように、本稿の手法は、個人消費に影響を及ぼす天候要因を把握するだけでなく、基調を判断するうえでも有用である。もっとも、天候要因を除いた消費活動指数についても、引き続き振れは 大きく、基調判断を行っていくうえでは、天候以外の要因にも注意を払う必要があることも示唆 している。』

つーことで最後のまとめ『おわりに』ですが、

『本稿では、都道府県ごとの天候データを統合することで、日本全体の天候を表す指標である MWI を作成し、天候が個人消費に与える影響を分析し た。分析の結果、降水量の増加が個人消費を下押しすることや、気温上昇が夏場にはプラス、冬場にはマイナスの影響を及ぼすことに加え、形態別や品目別によって影響が異なることが確認された。』

『本稿で作成した MWI は、天候要因を取り除くことで、個人消費の基調判断の正確性向上に資するものである。もっとも、天候要因を除いてみても、消費の月々の振れは大きく、基調判断を行っていくうえでは、天候以外の要因にも注意を払う必要がある。例えば、セール日程や休祝日の日並びに加えて、乗用車の人気車種の販売開始スケジ ュールを把握しておくことなども有用である。こうしたことから、個人消費の基調を判断するうえでは、データや企業からの聞き取り情報など様々な要素を活用していく必要がある。』

というのが結論でして、まあアタクシのような素人さんにはオモロイ分析と妥当な結論が出てますなとか思ってしまいますけど、なんかかなりの部分を盛大に引用してしまいまして誠に恐縮ですが、しかしこうやって細かいコンポーネントを分析していくと「真の基調とは何ぞや」という話って中々難しいものがあるんじゃないかなーと思ったりするのです。

まあ浅学菲才のアタクシが申し上げるのも恐縮なのですが、こうやって細かいコンポーネントを突き詰めていくと特殊要因が外れて行って「真の基調」を得ることに近づくのではないか、とも思うのですけれども、一方でそういうのを全部取っ払って行ってしまうと、散々っぱら削ぎ落されていった結果、支出側の反対になりますところの家計の可処分所得推移を見れば良いとかそういう風になってしまうのではないか、とか素人目に考えてしまったりもする次第でして、特殊要因とは言え、耐久消費財とかだったら天候特殊要因が本来の需要を前倒しするとか、そういう効果とかもあったりして、実はトレンドの中にも特殊要因が色々と混じっているんじゃないのでしょうか、とかいうような話を考えてしまったりすると頭がいい感じでウニになって来るのでありました。

消費とかはわかり良いですけれども、まあその点で言えば物価がもっと「真の物価」って何ぞやの世界になるという話は多く指摘されていると思いますが、特殊要因と言われるもののどこからどこまでが特殊要因なのか、とか言い出すとまあキリがなかったりするんだろうなあと思いますし、この「マクロ・ウェザー・インデックス」にしたって、個別の天候要因をウェイトかけて指数化している時点で個別性が一部削ぎ落されているようにも思えますし、何といいますかこういう分析って、もちろん精緻化できるに越したことはないのでしょうが、精緻化した先に見える光景ってどんなもんになるんじゃろうなあというのはよくわからん、とアタクシはど素人の感想レベルで恐縮ですが思ってしまったりします。


〇バランスシートの金利に対する影響のレポートがあるという記事を見て飛びついたのですが・・・・・・・

こんな記事がありましてね、
https://jp.reuters.com/article/-idJPL3N20135W?il=0
2019年2月7日 / 05:21 /
米FRBの資産縮小、金利上昇に重要な役割=カンザスシティー連銀報告

『[6日 ロイター] - 米カンザスシティー地区連銀は6日に公表した報告書で、米経済の一部が減速の兆しを見せていることを踏まえると、連邦準備理事会(FRB)のバランスシート縮小が借り入れ金利に上昇圧力をかけるのに重要な役割を果たしているとの見解を示した。』(上記URL先より、以下同様)

タカ派の連銀にしては珍しい。

『FRBは2017年第4・四半期にバランスシートの正常化に着手。大量に買い入れた債券の保有を減らす、いわゆる量的引き締めを開始した。 こうしたなかエコノミストや投資家の間で、FRBが国債とモーゲージ担保証券(MBS)の保有を減らすことで、銀行準備が過度に速いペースで目減りしており、FRBの利上げの影響が増幅されているとの懸念が出ているほか、一部アナリストは、フェデラルファンド(FF)金利上昇の原因はFRBのバランスシート縮小にあるとの見方を示している。』

ってな話になっているのでカンサスシティ連銀のサイトに行ってみたのですけどね・・・・・・・・

https://www.kansascityfed.org/en/publications/research/er/articles/2019/1q19smith-do-changes-reserve-balances-influence-fed-funds-rate
Do Changes in Reserve Balances Still Influence the Federal Funds Rate?
A. Lee Smith, Senior Economist
February 06, 2019 | Declining reserves have placed upward pressure on the federal funds rate in recent years despite the payment of interest on reserve balances.

でまあこちらはご紹介のページですが引用しますと、

『Over the past decade, the implementaton of U.S. monetary policy has changed significantly. Rather than adjusting the quantity of reserves in the banking system, policymakers now primarily use the interest rate paid on reserve balances, the IOR rate, to bring the federal funds rate within the target range. However, the recent rise in the federal funds rate relative to the IOR rate has raised questions about the primary drivers of the spread between the federal funds rate and the IOR rate in the Federal Reserve’s new operating framework.』

ただの前置き。

『A. Lee Smith examines the role declining reserve balances have played in influencing the federal funds-IOR spread. He finds that declining reserve balances have placed upward pressure on the federal funds rate in recent years despite the payment of interest on reserve balances. His findings suggest that the funds rate may continue to move higher relative to the IOR rate as reserve balances decline, potentially motivating further adjustments to the implementation of U.S. monetary policy.』

ということで、なんかロイターの記事だとミスリードのような気がしますが、本チャンのペーパーは
https://www.kansascityfed.org/~/media/files/publicat/econrev/econrevarchive/2019/1q19smith.pdf
Do Changes in Reserve Balances Still Influence the Federal Funds Rate?
By A. Lee Smith

でそこそこの量があるので残念ながら寝起きで読むような量ではないのですけれども、ざっと見た感じ上記引用部分にもありますように、「バランスシートサイズを縮小したらIOER(何故かIORとペーパーでは表記)に対して実効FF金利が上昇してきました」ということで、そら(超過準備が減ってフェデラルリザーブシステムから漏出する資金が減るのだから)そう(銀行間金利のフロアとしてIOERが機能しやすくなる)よという話をしているような感じで、なんかこうロイターの記事チャウやろと思いました。


でまあ思いました、という話もそうなのですが、アタクシここもとのFEDのバランスシートの話を見てて思うのは「負債サイドの話ばっかりしている」のが気になる点でして、この人たち緩和政策をしている時に、(まあバーナンキが言ってたんですけど)バランスシートの資産サイドに意味があって、それによる緩和効果がどうのこうの、という話をしていたのですが、今バランスシートのランオフを止めるの止めないのの話をする中で、(腹の中でどう思っているのかは別として表面上は)あくまでも負債サイドにおけるFF金利のコントロール、つまり超過準備バランスの話をしているというのが微妙に何じゃろなと思っているところでして、だから何なのと言われますとまだ頭の中が整理しきっていないのでこういうインプリケーションじゃなかろうか、という話にまとまってこないのですが、何かこの非対称性には意味が出てくるときがあるように思えます、というだけのお話でした。

このリーさんのペーパーについては後日読めたら読みたいとは思いますけど。


#という雑談大会で恐縮至極



2019/02/06

お題「計数ネタを少々/カプランとメスターの発言等がありましたのでインスタント手抜き読みで確認」

えーっと・・・・・・・・
https://this.kiji.is/465351838882022497
首相、データ修正問題ないとの認識
2019/2/5 12:012/5 12:07updated
コピーライト一般社団法人共同通信社

『安倍首相は衆院予算委で、厚労省が不正な抽出調査を行っていた毎月勤労統計で昨年、担当者が全数に近づける修正をひそかに行っていたことについて「(それ自体が)間違った行為というのはいかがなものか」と問題ないとの認識を示した。』(上記URL先より)

答弁の想定問答作ってる人ちょっと出て来なさい。

〇計数世間話

・MBに関して月次で云々という必要はないと思いますけど念のため

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mb/mb.htm/
マネタリーベース(1月)
2019年2月4日 日本銀行

PDFだとこれですな。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mb/base1901.pdf
マネタリーベース(2019年1月) Monetary Base (January 2019)

でもってこちらでも良いのですが、時系列の数値はエクセルの方で見れますので、そちらを見ますと『(注)季節調整済計数については、2018年分のデータが揃ったことに伴い、定例の季節調整替えを実施。』とかありましたので、エクセルの数値の方を見ますと、

   マネタリーベース マネタリーベース(季節調整済)
2018/11 5,013,302    5,027,804
2018/12 4,970,034    5,009,879
2019/01 4,997,797    5,008,110

ということで(PDFの方では前月比の増減%で出ています)ここ2カ月前月比ではマイナスという状態でMBは500兆円の所で止まっているような図になっております。でまあその点を早速ネタにしている何とかストとかいるみたいなのですけど、元々量的目標って「年間何兆円」という形でのコミットメントになっていたのですから、オーバーシュートコミットメントに関しても概ね前年比でプラスならエエンチャウノという風に思います、と先日も申し上げましたが、妙にここと絡めておまけに短国買入の話も混じってああでもないこうでもないというのが多いので念のため。(なお原数値ベースでは1月は増加していますな)

   マネタリーベース マネタリーベース(季節調整済)
2017/11 4,725,834     4,743,917
2017/12 4,741,265     4,774,490
2018/01 4,772,595     4,781,358

前年同月の数値は念のため上記の通りですが、別にこの伸び率が上がったり下がったりしたからと言ってコアコア物価がそれに対して反応しているって訳でもない訳ですし、大体からしてインフレ期待はフォワードルッキングじゃなくて適合的なんですから、何のためにオーバーシュートコミットメントがあるのやらという所ですが、これまで無くしてしまうと置物直線一気理論がすべて無かったことになりますので(ついでに置物一派も無かったことにして頂きたいもんですけど)、まあ面目玉で残っているという奴でしょうな、ナムナム。


・長期国債残高と今年の見込みアップデート

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/index.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高

前回との差分計算してどの銘柄が入ったかとかいうような分析はすっかりさぼっていて誠に恐縮ではございますが、銘柄別残高から計算して長期国債残高見込みを計算するのは一応継続しているので今回も。

暦年ベース2019年の償還額面が506,243億円となっています(1月償還の2銘柄が償還になって、1年以内短国の1000億円(1004億ですちなみに)分が全部乗っかってきた)のですが、買入予定額に関しては例によって1年以内をゼロで考えて、変動利付を月500億円換算すると月間買入が62,500億円で、残り11か月になりますが変国の買入は偶数月なのでその補正を入れると年間残り買入が688,000億円。差分は181,757億円になりますが、12月末と1月末の国債残高の差分を見ると額面ベースで43,429億円(営業毎旬だと45,479億円)あるので、それが乗ってきて、結局のところ暦年2019の国債買入増分は225,186億円になります(12月末時点で計算したときは225,023億円でほぼ動かんのですが、それはまあ当たり前)。

ちなみに2020年暦年に関しては1−3年の輪番の効果で償還が増えているので、今の見込みだと償還予定額が507,556億円(12月末時点で計算したときは496,006億円なので1兆くらい増えている)となっていまして、これがどういうペースで増えていくかにもよりますが、ほぼ19年並みの償還に落ち着くとすれば今のペースで国債買入をやっていれば新規国債発行増加額以内の買入増額に抑えることができますかなあとか思いながら見ておりまする(ただし10年輪番は何とかしてほしいものですが・・・・・・)。


・短期国債残高関連

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/index.htm/
日本銀行による国庫短期証券の銘柄別買入額

12月末の市中からの買入残高が額面ベースで89,357億円、1月末が82,815億円になっていますので、積極的な買入がどうのこうのとかなっていましたが残高自体はちゃっかりと前月比▲6,542億円と減額になっておりますな。

でもって今月の償還が18,471億円なのに対して今月1発目の短国買入は2500億円で来まして、まあ別にジャカジャカと短国買入を増やす必要もなさそうな需給のようには思えますので、今月も普通に償還超になるでしょうが、2500×4だと7兆円台前半まで減ってしまいますがさてどうなるやら。3月も15,694と償還があって、3月(というより2月の後半以降でしょうが)は需給が基本的に良いのでここでもうちょっと短国買入が減るかもしれませんな。なおここの短国もマネタリーベースがどうのこうのという話は言われますけれども、結局1月だってカジュアルに残高減らしていますし、MBの平残前月比季節調整済みは1月も減っていて、本当の本当にMBの前月比を気にして買入を増やしているんだったらもうちょっと増やしてくるかも知れない訳でして、たぶんそこまで細かくは気にしていないのではないかとアタクシは思っているのですけどどうでしょうかね。


〇昨日のFED関連だとこんなのがあったようで(カプラン総裁とメスター総裁)

・カプラン総裁のコメント

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-kaplan-idJPL3N20033O
2019年2月6日 / 03:24
FRB、見通しつくまで金利据え置き望ましい=米ダラス連銀総裁

『[5日 ロイター] - カプラン米ダラス地区連銀総裁は5日、国内経済の見通しがつくまで連邦準備理事会(FRB)は金利を据え置くべきとの考えを示した。総裁は連銀ウェブサイトに掲載する論文の中で「FRBが忍耐を行使し、経済見通しが一段と明瞭になるまで追加措置を控えることが賢明と考える」とした上で「今年前半の間に一層明確になると予想される」と述べた。』(上記URL先より)

https://www.dallasfed.org/research/economics/2019/0205
The Value of Patience
Robert S. Kaplan
February 05, 2019

論文というよりはエッセイっぽいですが超越手抜きで現世利益の所だけを見るというインチキ読みをしようかと思いますが、リードがあるのでそこくらいは読みましょうか。

『In the January 2019 meeting, the Federal Open Market Committee (FOMC) left the federal funds rate unchanged in a range of 2.25 to 2.5 percent and communicated that it “will be patient” as it determines what future adjustments to the target range for the federal funds rate may be appropriate.』

「as it determines what future adjustments to the target range for the federal funds rate may be appropriate」なので将来のFF金利の調整が適切なのかどうか判断できるまではペイシャントであるのが望ましいって話ですな。でもって手抜きマンなので小見出しの『Implications for Monetary Policy』から読む。

『I believe the Federal Reserve has made good progress in achieving its dual-mandate objectives of maximum sustainable employment and price stability. In addition, we have made progress in normalizing monetary policy and in reducing the size of our balance sheet.』

はい。

『I am mindful of the fact that GDP growth is made up of growth in the workforce plus growth in productivity. The current economic expansion has now lasted for nearly 10 years, and we are likely somewhat late in the business cycle, with relatively less spare labor-force capacity to help support continued robust growth.』

まあサイクルの終盤に来ている、と言われてはや何年(3年くらいかな?)という感じではありますが。

『I believe that the Treasury yield curve is sending cautionary signals regarding expectations for medium- and longer-term GDP growth.』

米国債市場の価格形成がそこまで考えてるのかと言うとやや眉唾ではある。雰囲気はそうだけど。

『These sluggish expectations are reflective of key structural headwinds discussed in this as well as previous essays, which include: 1) aging-population demographics that are likely creating slower workforce growth, 2) limited improvements in productivity growth due in part to lagging education and skill levels in the U.S., and 3) high levels of corporate and federal government debt in the U.S. that are stimulative on the way up but can create impediments to growth if debt levels need to be moderated.』

この構造的問題云々ってカプランのエッセイは何かネタにした気がするがパッと思い出せない(日々の整理を怠っているとこうなる、反省)。

『Further, it is our view at the Dallas Fed that globalization is likely an opportunity to achieve higher levels of economic growth and that some resolution of current trade tensions is critical to seizing this opportunity.』

というのでこの小見出しが終わっており何じゃそらですけれども続きがある。小見出し『The Value of Patience』とかまんま過ぎてワロタ。

『Based on these various factors, and in light of the uncertainties described in this note, I believe it would be prudent for the Fed to exercise patience and refrain from taking further action on the federal funds rate until the economic outlook becomes somewhat clearer. I expect we will get some further clarity during the first half of 2019.』

今年前半の間には先行きの不透明感がやや払拭してくるのでその時点で今後の金利アクションを考えるべきで、それまではストップしましょうとな。

『In addition, it is my expectation that inflation readings will remain somewhat muted in 2019.』

ほほう物価が今年はやや弱含むとな。

『As I mentioned earlier, it is my view that the structural forces of automation, technology-enabled disruption and globalization will continue to offset, at least in part, the cyclical pressures created by a historically tight labor market. As a result, I believe the Fed has the luxury of being patient over the next several months. Exercising patience will be critical if we are to achieve our dual-mandate objectives of maximum sustainable employment and price stability.』

ということでこれだけ見るとその後利上げするのかしないのかが判然としないのですが、ざっくりと前の方を読むと物価は(ここにも書いてますけど)そんなに上がらんという見通しを示していて、ファイナンシャルインバランスの話には触れていないようなので、そこまで利上げするという感じではないですが、ただまあ利下げするような話はしていませんなという感じです。初見の感想で恐縮ですが。


・メスター総裁はもうちょっと利上げっぽいのですがこれはパウエル言い過ぎの修正鉄砲玉なのかどうか

https://jp.reuters.com/article/frb-cleaveland-idJPKCN1PU03I
2019年2月5日 / 10:03 /
FRBの様子見姿勢を支持、成長続くなら利上げ必要に=クリーブランド地区連銀総裁

昨日の日本時間の昼間出てましたが華麗にスルーされていましたな。

https://www.clevelandfed.org/newsroom-and-events/speeches/sp-20190204-perspectives-on-the-economic-outlook-and-monetary-policy
Perspectives on the Economic Outlook and Monetary Policy in the Coming Year
02.04.19 Loretta J. Mester
The 50 Club, Cleveland, OH

ここを見ると『(Audience Q&A Transcript) 』などという物件もあるので面白そうですが、全然見ている時間もないのでこれまた上記講演の現世利益部分だけ斜め読み。

最後の小見出し『Monetary Policy』である。

『Let me conclude with a few more remarks on where monetary policy goes from here. Since December 2015, when the expansion was well underway, the FOMC has been gradually moving the policy rate up from the extraordinarily low level that was needed to address the Great Recession. Our policy rate is now at the lower end of the range of FOMC participants’ estimates of its longer-run neutral rate, a level that neither stimulates nor restricts the economy and is consistent with maximum employment and price stability, and our most recent policy rate increases are still working themselves through the economy.』

公式見解通りではありますが今の金利水準は「the lower end of the range of FOMC participants’ estimates of its longer-run neutral rate」だそうですわよ奥様。

『In addition, we have also been letting the longer-term assets that we purchased to add accommodation during the recession gradually roll off the Fed’s balance sheet, and we have made considerable progress in bringing bank reserves down to more normal levels. As the FOMC announced last week, we plan to continue to use our current operating framework for implementing monetary policy, and at coming meetings, we will be finalizing our plans for ending the balance-sheet runoff and completing balance-sheet normalization.』

「at coming meetings, we will be finalizing our plans for ending the balance-sheet runoff and completing balance-sheet normalization」というのも公式見解通りですが、しかしバランスシートのランオフに関してこんなに早い時期に止めるのかよ、とは思いっきり思う(次に買入をやらなければいけなくなった時に糊代が無くて大変だと思うんだが)のですけどまあそういう事だそうで。

『With respect to our monetary policy goals of price stability and maximum employment, the economy is in a very good spot. Growth is slowing from an above-trend pace, and labor markets are strong. While the unemployment rate is lower than the level that is sustainable in the longer run, inflation is near 2 percent and does not show signs of appreciably rising.』

はあそうですか、でもってこの先に「私のビュー」が来ます。

『In my view, monetary policy does not appear to be far behind or far ahead of the curve. This environment gives us the opportunity to continue to gather information on the economy and assess our forecast and the risks, before making any further adjustments in the policy rate. If the economy performs along the lines that I’ve outlined as most likely, the fed funds rate may need to move a bit higher than current levels. But if some of the downside risks to the forecast manifest themselves, and the economy turns out to be weaker than expected and jeopardizes our dual mandate goals, I will need to adjust my outlook and policy views.』

両論併記だが「見通し通りだったら金利はneed to move a bit higher than current levels」だそうですので、これはパウエル腰砕けの中和剤投下なのかどうか。

『While I cannot predict what the future will bring, there is one thing I can say with certainty: My colleagues and I on the FOMC will strive to bring the best analysis and judgment to our monetary policy decisions, doing our part to support a healthy economy on behalf of the public.』

まあいいんですけど、「strive to bring the best analysis and judgment to our monetary policy decisions」をした結果があのブレブレかよと小一時間問い詰めたいのですが、まあそこまで読むと裏読みのし過ぎだと思いますけれども、わざわざこう言っているというのは、パウエル先生のブレブレコミュニケーションに対してお前ら何やってるんだよというのは意識してるのかとは思いました。


・そういやこんなのもありましたな(トランプとパウエルのお食事会)

https://jp.reuters.com/article/trump-powell-idJPKCN1PU06B
2019年2月5日 / 11:18 /
パウエル米FRB議長とトランプ大統領が会食、経済情勢など協議

『FRBによると、夕食会は「トランプ大統領の招待によるもので、最近の経済情勢や成長・雇用・インフレの見通しに関して話し合った」。 パウエル議長は「金融政策に関する自身の見通しについては言及せず、政策の先行きは今後発表される経済情報、およびその見通しへの影響次第と強調」し、「入念かつ客観的、そして政治色のない分析のみに基づいて決定を下すとの方針を説明した」という。』

『FRB議長は財務長官とは定期的に協議するが、大統領との会談はそれほど頻繁には行われない。パウエル議長が1年前に就任して以来、議長とトランプ大統領が直接協議するのは今回が初めて。』(以上上記URL先より)

サムネの写真が何かこう意気揚々のトランプに委縮したパウエルという感じで写真の選定にロイターの悪意を感じますにゃ(^^)。





2019/02/05

お題「雨宮副総裁金懇会見は追加措置も副作用対応調整もやる気無し無しというのは把握した」

何となくバックグラウンドで動いているアンチウィルスソフトの影響の気もするのですが、最近ゼッコーチョーだったPCちゃんが今日は朝からご機嫌があまり麗しくないので本日は少々簡単で勘弁。

#メーカー保証期間が切れると機嫌が悪くなるジャパニーズPCェ・・・・・・・・(前もそんな感じ)

〇雨宮副総裁金懇会見は肝心なところは答えない攻撃ですな

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2019/kk190201a.pdf

・最初は超どうでも良いのですが

冒頭の質疑は実質的には「今日はこんな話をしました」という報告のパートなのですけれども、そちらを見たらこんなのがありましてですね、

『一方、直面する課題としては、殆どの出席者の方々が人手不足と後継者難の深刻化というお話をされていました。特に、若年層が山口県外に就職先を求め、県内の地場企業では新卒者の採用が非常に困難化しているというお話を多く伺いました。同時に、こうした人手不足に対しては、行政、経済界、金融界が連携して、特に山口県にある企業の知名度や認知度を向上させるとか、 あるいは省力化・省人化投資を促進するといった取組みを進めているほか、女性や高齢者の就業拡大にも取り組んでいるという話をお伺いしました。』

・・・・・・・給与引き上げろよ、と思わず突っ込んでしまいました。いやまあどうでも良いのですが。


・追加緩和に直結する質疑では論点を巧みに外して答えるという追加緩和やる気なしモード

冒頭説明のあとの最初の質疑が山口県の質問でこれもお約束ネタなのでその次に参ります。

『(問) 2 点ほど伺います。まず、講演では、携帯通信料や教育無償化の物価への影響について、状況次第では一時的ショックにとどまらない可能性もあり、 特殊要因の動向について適切に情報発信していくとおっしゃっていたと思います。この適切に情報発信していくというのは、どういったことを考えられているのか、具体的に何かあればその点を教えてください。』

確かに。

『もう 1 点は、昨日、FRBが利上げの一時停止を表明しました。これに伴って、日米の金利差の関係から、円高圧力が今後高まっていくことも想定 されます。円高が進むと輸出産業を中心に日本経済への影響も考えられるわけですが、日本銀行として考え得る対応や日本経済への影響をどう考えるか、コメントをお願いします。 』

円高対応についての質問ですな。でもってこの答えなんですけどね、

『(答) まず、物価の特殊要因に関する情報発信については、講演でも申し上げましたが、来年度は消費税率の引き上げ、教育無償化、あるいは、まだ固まっていませんが携帯通信料の引き下げなど、物価に影響を与える様々な要因が想定されています。こうしたものは、基本的には一時的な──1 年経ってみれば前年比の影響は消える──要因です。大事なのは物価の基調判断であり、一時的な要因が物価の判断や金融政策の判断に影響を与えるということではありません。』

はい。

『ただし、日本の物価予想の形成は、現実の物価に非常に影響されやすいため、一時的な要因で物価が下落すると、それが人々の物価予想に影響を与える可能性は十分あります。そうした点を中心によくみていくということです。』

インフレ期待キタコレ、と思わせる説明になるのですが・・・・・・・・

『具体的には、例えば今回の展望レポートでも、いくつかの要因については、物価に対する寄与を脚注でお示ししています。それぞれの個別要因について、物価にどの程度影響があるかをこうした形式でお示しすると同時に、それが物価の基調判断にどのような意味合いを持つかといったことも、展望レポートや講演、あるいはこうした記者会見など、色々な媒体を使いながら丁寧にご説明していくという趣旨です。』

何故かそのあとの具体的な話がインフレ期待に与える影響がどうのこうのという話を微妙に回避して説明(たぶん「物価の基調判断にどのような意味合いを持つか」というのにインフレ期待が入っているとは思うのですけれども・・・・・・)する辺りが雨宮さんのスルースキルの高さという所ですな。

でもって後半の質問に対する答えがワロタという感じなのですが、

『FRBの今回の決定の件は、特にご質問のあった為替レートについて言いますと、為替レートは短期的には色々な要因で動きます。FRBの今回の決定について言えば、確かに内外金利差の縮小の可能性を意識する見方もあるでしょうが、一方で今回の判断を通じて、米国経済の堅調さが更に確実となる、あるいは米国経済が下支えされるということであれば、むしろドルの需要増に結び付くという見方もあるでしょうから、一概には言えないということだと思います。いずれにせよ、FRBの適切な金融政策運営を通じて、米国経済の堅調さが維持される、あるいはしっかりと下支えされることは、日本経済にとっても良いことだろうと考えています。』

円高になったら政策対応どうするの、という質問に対して見事に筋違いの方向から回答を丁寧に行う、というプレイを繰り出しておりますが、追加緩和対応に直結するような質問に関してはその論点は華麗にスルーする、という辺りに「追加緩和はしませんよ」という姿勢が出ていますなあと思いました。


・副作用対応に関しては話をしょぼい論点に押し込めるの巻

次の質疑とその次の質疑が副作用云々。

『(問) 講演の中で、雨宮副総裁は、金融緩和に伴う副作用の蓄積にも留意しないといけない状況とおっしゃっていました。世界経済の先行き不透明感が高まっている中で、今後の追加緩和の時期や規模についても、副作用に留意しないといけない状況とお考えでしょうか。黒田総裁の就任当初の頃と比べて、追加緩和に関する考え方に何か副作用との絡みで変わりはあるのでしょうか。』

2014年の追加緩和と今のスタンスが違っているということは副作用意識ですね、ということを婉曲表現で質問しておりますがこの答えはというと、

『(答) 私どもとしては、金融政策運営に当たっては、2%の「物価安定の目標」の実現に向けたモメンタムを維持するために、経済・物価・金融情勢を踏まえて、追加緩和も含めて、適切な政策調整を行うということをずっと申し上げています。経済・物価・金融情勢を判断するという中には、政策効果のプラス面とマイナス面をバランス良く判断するということが当然含まれていますので、今この段階でそうした基本的な政策運営スタンスに変化はありません。 引き続き効果・副作用をバランス良く評価しながら、粘り強く強力な金融緩和を続け、情勢に応じて必要な政策の調整を行うという考え方も変わりありません。』

見事なゼロ回答。

『(問) 昨年末以降、リスク回避的な動きもあり、金融市場では長期金利ですとか超長期金利が低下し、イールドカーブがかなりフラット化していると思います。金融情勢を踏まえた動きではあるかと思うのですが、この状況が長く続くことの効果ですとか、デメリット・メリットのバランスについてどのように考えるか、お考えをお聞かせください。』

と来ましたが、

『(答) ご案内の通り、昨年 7 月の新たな枠組みの中で、長期金利の変動をより弾力化する措置を講じました。長期金利は、ゼロ%程度という目標を中心として、より弾力的な市場変動を許容していく方針のもとで、昨年の夏以降、いっ たん上昇し、その後また下がり、今少し戻るなど、変動が大きくなっています。市場機能という面で言えば、副作用にも配慮しながら、粘り強い金融緩和を続けるという方向で政策効果が表れてきている範囲内だと思っており、これまでの長期金利やイールドカーブの変動が、現段階における効果と副作用の私どもの判断を変えるということではないと思っています。引き続き、こうした弾力的な金利変動を許容しつつ、強力な金融緩和を継続していく方針です。』

ということで質問の方は低金利が進むことの副作用の話をしていますが、そこには華麗に答えずに「市場機能」の方で副作用対策が上手くいっているという自画自賛攻撃をしておりまして、まあ結局のところ「副作用対応」とか言っても肝心のマイナス金利とYCC撤回という話にはならないで、市場機能の方に問題を押し込んでしまって、そっちの対応をしているので副作用対応万全にやっている(キリッ)という話になっているというこの状況ェ・・・・・・・


・なお総括検証第2弾をやる気も無いようですな

『(問) 重ねて物価についての質問ですが、展望レポートの物価の下方修正で、 目標とする 2%との乖離が更に広がったという点がありました。昨年 7 月に物価の伸び悩みの原因の説明をされましたけれども、それで今十分なのかという点です。先程の特殊要因の適切な情報発信だけではなくて、例えば本日の「主な意見」では、長短金利の水準あるいはマネタリーベースと物価上昇率等の関係について、更なる分析と検討が必要ではないか、という意見もあったと思い ます。物価 2%について、もう一度、昨年 7 月より踏み込んで考えてみる、そういう機会は必要ではないでしょうか。』

物価が中々上がらん理由という言い訳とその対策としての柔軟化というのは頂戴しましたが、そこから別に何か大きな改善をしたわけでもないですし、そもそもYCC導入して2年半とかになんなんとする訳でございますので、そろそろまた検証した方が良いのではないでしょうか、とまあアタクシも思いますが。

『(答) そもそも物価動向の評価ですとか、その背後にある要因等の分析、あるいは政策と物価の関係──今ご指摘の、例えば金利と金融の量と物価の関係等──については、私どもはずっと継続して研究をして、その研究成果をもって決定会合で議論するという取組みを続けてきています。』

まあ分析しても達成しないんだったらただの結果の出ない努力なんですけどね。

『状況に応じて、節目節目で大きな取りまとめの議論──例えば今ご指摘の昨年の検討もそうですし、2016 年の「総括的な検証」もそうですけれども──をする場合もあります。 継続的な議論と大きな取りまとめを組み合わせながら検討していくということですが、現段階では、まずは昨年のフレームワークと考え方、物価の上昇にどうしても時間がかかるという分析内容を踏まえながら、毎回の政策決定会合で議論していくことが基本になると考えています。』

つまり総括的検証などという敗戦分析はしないということですね、わかります。


・もしかしてそれは屏風の中の虎なのではないでしょうか??????

次の質問も副作用の質問ですが飛ばしましてその次の質問がちょっと謎だったので何故か質問の方がネタになってしまうの巻。

『(問) 講演の中で、政策効果のベネフィットとコストの両方をよく吟味しながら、強力な金融緩和を押し進めていきます、とありました。非常に素朴な疑 問なのですが、ベネフィットとコストという言い方を日銀幹部の方が最近よく お使いになります。これは効果と副作用というのと何か違うのでしょうか。よく日銀の下心というか、裏の裏を読み取ろうとするエコノミストなどは、このコストという言葉が、副作用よりも強いのではないのかと、つまりより副作用に意識を高めているのではないかと勘繰る向きもあります。効果と副作用と違うのか、同じであれば何でカタカナばかり使うのか、というのが 1 つ目の質問 です。(後半割愛、というか後ほど) 』

・・・・・( ゚д゚)

不肖アタクシ不勉強にして知らないのかと思って他の方にも少々聞いてみたのですが、そんなこと言ってるエコノミストってマジでいるのかどうかというのが全然わからなかった(ついでにそういうコメントでもあるかと思ってロイターとブルームバーグを何となくそれっぽいキーワードで検索掛けてみたんですが・・・・・)のですが、いやマジでどこのどなた様がそのような事を仰せなのかマジで分からんので誰か知ってたら教えて頂きたいですし、まさかとは思いますがそのエコノミストは質問者の想像上の存在に過ぎないのではないでしょうか、とかまで考えてしまいました。

えーっとですな、不肖アタクシも一応日銀ネタに粘着してはや10年以上という感じになっておりますけれども、だいたい説明とか発言とかの中でカタカナ語というか英語というかを使う場合って大別すると3つのケースがあると思うのね。

その1は「金融経済の用語として英語の方が日本語よりもニュアンスが分かり良い(あるいは嵌る日本語がない)」という奴でして、よく出てくるので言えば「フォワードルッキングな期待形成」みたいなのとか、まあこういう会見ではあんまり出てこないかもしれないですが海外の中銀がよく使う単語で言えば「resilient」とか「robust」とかそういう奴。イールドカーブコントロールとかもそうですなよく考えたら。

その2は「誤魔化したいとき」という下心のある時でして、そういう点からして「コスト」と「副作用」だったらアタクシ思うに日本語の「副作用」という方が問題ありありというニュアンスが強いので、表現的に「コスト」よりも「副作用」の方が普通に強いと思うので、そもそも質問者のいうエコノミスト氏の指摘も訳分んないです。だって「コスト」というと例えば仕入みたいに、「必要な費用」的な前向き(というのか何というのか)な意味合いだってあると思うのですが、「副作用」というとお薬の副作用で体調不良みたいな碌でもない話になるんじゃないの、と思ったのでそもそもこの質問者の質問もワケワカランのですが、基本英単語を持ち出してくるのは丁寧な説明のために止むを得ない場合じゃなければ誤魔化しに掛かっているというのが10ウン年日銀の言動を見ていての感想なんですけどね。

ああすいませんその3ですが、その3のケースは「福井俊彦」になりますのでよろしくご確認の程をお願いいたします(゚д゚)。

という訳で寧ろ「副作用」というどぎつい言葉を使わないで説明するのは政策のマイナス面をオブラートにくるみたいから、ということだと思っているので雨宮さんもナンジャソラと思ったのではないかと勝手に想像しますが、そのお答えはこうなっています。まあそうだわな。

『(答) まず、効果と副作用対コストとベネフィットについては、少なくとも金融政策決定会合でそういう議論をしたことがないので、個々の委員がどう判断しているか私はわかりませんが、私は違いはないと思っています。(後半割愛、というか次にやります) 』


・追加緩和手段の「応用系」とはこれ如何に

この質問ですが後半がありましてそちらをば。

『(問) (前半割愛)もう 1 つは、日銀はこれまでも、追加緩和の手段として、また量を拡大するとか、資産買入れを拡大するとか、長短金利を下げるとか、そういう手段があるということは、黒田総裁も言っていますが、これまで色々な緩和一辺倒の手段をやってきた中で、なかなか手段が限られてきているというのは、少なくとも日銀の外では、非常に一般的な見方だと思います。そうした中で、一つの考え方として、最近、日銀OBやエコノミストの一部から、金融機関にマイナスの金利で日銀が資金を供給する、マイナス金利での資金供給というやり方が合理的ではないかという指摘というのか、提案もありますが、これについてどのようにお考えか、この 2 つをお願いします。』

ちなみにマイナス金利の貸出とかいうのは超過準備付利の政策金利よりも低い金利で担保のある限り貸してくれるのでもない限りただの迷惑(貸出金利低下圧力が更に掛かって金利下げた方のやられの方が鼻糞みたいな額のマイナス金利の貸出での収入よりも圧倒的にでかいから)なので合理的でも何でもないですし、そんなことするくらいならマイナス金利深堀した方がまだ潔いと思いますけどね。

『(答)(前半割愛)2 つ目は、具体的な金融政策の手段について、細かくコメントすることは控えさせて頂きますが、追加緩和については、2016 年 9 月にイールドカーブ・コントロールを導入したときに申し上げた通り、いくつかの手段があります。それぞれの手段の単独か、あるいは組合せか、あるいはその応用系も含めて、色々な可能性は排除せずに検討していくということに尽きます。』

「その応用系も含めて」というのは割とサービス発言で、この会見って基本的に物の言い方は丁寧だし、説明も丁寧なのですが、よくよく見てみるとゼロ回答で実は木で鼻をくくる回答ばっかりしているのですけれども、やっとサービスキタコレという感じですわな。まあ応用系ったって何かある訳でもなくて、残弾ナシって言いたくないだけなんでしょうけれども、まあここはサービス発言になってしまっているので喜んで食いついたレポートが出ていたような出ていなかったような。


・最後に秀逸な質疑がありました

でもってちょっと飛んで最後なんですけどね。

『(問) 2 点あります。1 点目は、人々のデフレマインドの払拭には時間がかかるとおっしゃっていて、5 年前にQQEを導入するときにも、デフレマインドは常に日銀の懸案事項だったと思うのですが、5 年前にQQEを導入したときよりも、やっぱり色々やったけど本当に払拭が難しいということでしょうか。 6 年間政策をやってみて、こういう結論に至った経緯について雨宮副総裁ご自身の印象というか、日本固有の部分がどのくらいあるのか、他の国も低インフレで悩んでいる国も多いと思いますのでお答えください。(後半割愛)』

イイシツモンダナー(;∀;)

『(答) まず 1 つ目から申し上げますと、もともとデフレマインドということを含めて、人々の物価観や期待インフレ率は、これまでの経済学では、なかな かクリアカットに分析されてはいません。人々の物価観がどのように形成され、 どういう政策でどういう風に変わるのか、変わらないのか、中にはそもそも政策で変えることはできないという見方もあります。理論的にも実証的にも、 人々の物価観をどう捉え、それがどう影響するかということは、大変難しく、 いわば未開の分野なのです。』

世界標準の金融政策を実施すれば簡単に達成するという話は無かったことになっているようです。

『しかし、その一方、物価は需給ギャップや為替レート、原油価格だけで単純に決まるのではなく、人々の物価観が非常に重要だということは、世界的に共有されてきています。中央銀行や学者も、その研究を色々と深めています。実際、私どもも、この 6 年間の政策の経験、物価や期待インフレ率の実際の動きをみながら、新たな知見を蓄積し、新しい気付きも含めて、まだ研究を深めている段階と思っています。その意味では、6 年前と比べてどうかと言えば、6 年間やってみて、やはり物価や物価観、期待インフレ率というのは非常 に複雑な現象であるということに、私自身は改めて思いを致しているという面はあります。(後半割愛)』

木鼻質疑応答が続いていましたが最後に急に真人間になったかのようなイイシツギダナーになっているのですけれども、いやあのすいません雨宮さんの仰せになっていることは以前から麿総裁が仰せになっておられたことだと思うんですけど・・・・・・・・・・・・・・・


#微妙な虫干しシリーズになってしまってすいませんです




2019/02/04

お題「FOMC会見の冒頭説明の腰砕けっぷりを鑑賞するの巻」

一連のニュースを見ればそうなるでしょうなとは思いますが。
https://jp.reuters.com/article/idJP2019020301001860?il=0
主要ニュース(共同通信)2019年2月4日 / 02:17 /
北方領土の日「不法占拠」使わず
共同通信

何だよその腰砕けとしか思えませんけどねえ。

〇パウエル議長の腰の砕け方が意味不明に凄いという今更のネタ(FOMC会見)

出遅れましたが。
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20190130.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference January 30, 2019

質疑応答で弱気のコメントとかいうのではなくて、今回はオープニングリマークの時点で腰が盛大に砕けまくっているというのが凄くて、質疑応答でしたらば勢いで不規則発言しちゃいましたテヘペロで済ますことも可能(無理があるけど)ですけど、オープニングリマークの方で話をしている訳で、これは声明文とかよりは軽いと思いますけれども、文書としては重みがあるのですが、その中で何度も「利上げはしませんバランスシートの縮小ももうすぐおしマイケル」とか言っている訳でして、ここまで決め打ちする理由もメリットもさっぱり分からん思うし、だったら12月の利上げの時に工夫のしようがあるだろうと思いますし、それ以前に昨年の10月は何なのというお話。

まあそれでも声明文とかの辺りだとだいぶ降参モードではあるものの、一応復帰する余地がない訳でもなかったように見えますが、このオープニングリマークは完全に方針転換しました(と言っても利下げはしませんが)って内容になっているのですが、ここれ本当の本当に利上げ止めて中立金利なのかと小一時間問い詰めたいですし、もう何だかねという代物。

まあ何ですな、このパウエルという爺さん、調子がいい時は調子に乗ってノリノリなのですけれども、ひとたび状況が不利になると急にうろたえてオロオロとするって風情でして、しかも逆さ絵やイエレンみたいに(一応は)理屈のベースを持っている人と違って肝心の心棒が入っていないのでちょっと砕けると完全に腰折れしてしまうという事ですので、これは今後も波乱を起こしまくる人になりそうだし、はっきり言って迷惑なので早期退任して頂きたいものだと思います。

というのがオープニングリマークの概ねの感想なのですが以下引用してみませう。

『CHAIRMAN POWELL: Good afternoon, everyone, and welcome. I will start with a recap of our discussions, including our assessment of the outlook for the economy, and the judgments we made about our interest rate policy and our balance sheet. I will cover the decisions we made today, as well as our ongoing discussions of matters on which we expect to make decisions in coming meetings.』

「ongoing discussions of matters on which we expect to make decisions in coming meetings」とは何ぞやという話ですが、これは後で出てくるけどバランスシートの話で、なんかランオフ(縮小)をそのうち止めますよその計画を近々出しますよって言っている。

『My colleagues and I have one overarching goal: to sustain the economic expansion, with a strong job market and stable prices, for the benefit of the American people. The U.S. economy is in a good place, and we will continue to use our monetary policy tools to help keep it there. The jobs picture continues to be strong, with the unemployment rate near historic lows and with stronger wage gains. Inflation remains near our 2 percent goal. We continue to expect that the American economy will grow at a solid pace in 2019, although likely slower than the very strong pace of 2018. We believe that our current policy stance is appropriate at this time. 』

だと思ってるんったら正常化中止するなよ・・・・・・・・・・ということで言い訳コーナーが物凄い勢いで腰砕け。

『Despite this positive outlook, over the past few months we have seen some cross-currents and conflicting signals about the outlook.』

おうてめえ「over the past few」に見通しに対する宜しくない指標が出ているっていうんだったら12月のFOMCは何だったんだよ、というお話で何ぼ何でも先月利上げしておいてからのこれは酷い。

『Growth has slowed in some major foreign economies, particularly China and Europe. There is elevated uncertainty around several unresolved government policy issues, including Brexit, ongoing trade negotiations, and the effects from the partial government shutdown in the United States.』

政府閉鎖以外は今に始まった話ではない。

『Financial conditions tightened considerably late in 2018, and remain less supportive of growth than they were earlier in 2018.』

この人たちのいう「Financial conditions」は一般的な中銀がよく言うファイナンシャルコンディションではなくてただ単に「株価」であることは言うまでもありません、さすがに散々見ているのでこれは例えばクレジットアベイラビリティとかのような債券の人が考える奴ではないのは把握しております。

『And, while most of the incoming domestic economic data have been solid, some surveys of business and consumer sentiment have moved lower, giving reason for caution.』

いやね、ハードデータは強いけれどもサーベイデータなどのセンチメントが悪化しているから、という理由だったら「次回の利上げについてちょっとだけ様子見します」というのであればまあ分からんでもないですが、以下出てくる話はどこからどうみても「利上げは諦めました、バランスシートのランオフもそんなにやりません」という全面降伏宣言で、どこからどう見ても整合性が取れない。

しかも更にビックリしてしまったのは先週末の雇用統計でして、いやまあこれだけ腰の砕けた話をするのだったら、(FOMCの時点で雇用統計の内容はFOMC内では共有されている筈)雇用統計が大幅に悪くてまあ仕方ないのかねえというような結果になっているとかいうのならともかく、別に弱くもない雇用統計(寧ろ強い)を見せられてしまいますと、このジイサンは何にションベンチビッているのかがさっぱり分からないのですがががが。

『We always emphasize that our policies are data dependent. In other words, as economic conditions and the outlook evolve, we take that new information into account in setting our policies.』

ハードデータがソリッドだと言っているのですけど・・・・・・・・

『We are now facing a somewhat contradictory picture of generally strong U.S. macroeconomic performance, alongside growing evidence of cross-currents. At such times, common sense risk management suggests patiently awaiting greater clarity--an approach that has served policymakers well in the past. With that in mind, I’d like to spell out how the Federal Open Market Committee (FOMC) has been thinking about these issues.』

「somewhat contradictory」程度でガラッと態度を変えるのがデータディペンデントは何ぞやという感じですが、この豹変を「common sense risk management」とか言っているのが凄くて、お前は相場でもやっているのかと小一時間問い詰めたい。

もともとおまいら「正常化への途上」って説明をして今でも途上の筈だし、そもそも論からして物価目標と潜在成長率から考えて、安めに見積もったって物価が1.8%で潜在成長率が1.5%だとしたら中立金利3.3%になる訳で(まあ普通は2+2ですけど)中立金利より全然低い所でいきなり止めるのが「common sense」の一環とか言われましてもヘソが茶を沸かしてしまいます。

しかしまあ何ですな、パウエルって(今回の会見でもそうですが)従来の人たちと違って「USAのオーディナリーな人々に対して」とか言いながら分かりやすいコミュニケーションをみたいなのをしていたと思いますが、芯が無くていきなりこんなところで盛大に腰が砕けるのを「common sense risk management」とか言い出すのを見るとイエレンの方が何ぼかよかったと思いますし、パウエル議長におかれましては可及的速やかに天寿を全うして頂くことを願って止みません。

とか悪態ばっかですが続きます。

『At our December meeting, we noted the solid outlook for steady growth, vigorous job creation, and price stability. We also stressed that the extent and timing of any rate increases were uncertain, and would depend on incoming data and the evolving outlook. We therefore said that we would be paying close attention to global economic and financial developments and assessing their implications for the economic outlook. 』

「We also stressed that the extent and timing of any rate increases were uncertain,」って12月に威勢よく利上げしておいてお前は何を言ってるんだというか、両建てしておいて「さきほど申し上げたように」とか言い出すインチキオジサンにも程がありますが、「we would be paying close attention to global economic and financial developments and assessing their implications for the economic outlook」ってのもまあ弱気ですよね。

『Today, the FOMC decided that the cumulative effects of those developments over the last several months warrant a patient, wait-and-see approach regarding future policy changes. In particular, our statement today says, “In light of global economic and financial developments and muted inflation pressures, the Committee will be patient as it determines what future adjustments to the target range for the federal funds rate may be appropriate.”』

まあ「wait-and-see approach regarding future policy changes.」っていうですから利上げしませんという話だし「patient」ってのも利上げしませんの意味って位置づけにされますわな。

いやですね、これがまだ逆に12月の時点で「幾らかの更なる利上げが適切」って文言を残しておいて、今回にしても「幾らかの更なる利上げが適切」だけれども先行きが不確実なので暫くの間利上げは様子を見る、というようにしておけば全面降伏にならないんですが、昨年10月に「中立金利よりも利上げするかも」とまで言っておいて半年しないうちにこの有様というのはあまりにも酷いですし、コミュニケーションが極端から極端に振り過ぎだわ。

『This change was not driven by a major shift in the baseline outlook for the economy.』

お前ナメトンノカ。

『Like many forecasters, we still see “sustained expansion of economic activity, strong labor market conditions, and inflation near … 2 percent” as the likeliest case. But the cross-currents I mentioned suggest the risk of a less-favorable outlook.』

これ株がホイホイ戻りだして急に元気になって利上げ再開とか言い出したら「前回利上げ止めたのはあくまでも先行きの見通しに若干微妙なのがあったので様子見しただけで経済が強いということは変化ない」とか言い出して再開するかも知れませんが、まあその時にはコミュニーション面でFEDの信認が思いっきり落ちているでしょうな。

『In addition, the case for raising rates has weakened somewhat. The traditional case for rate increases is to protect the economy from risks that arise when rates are too low for too long, particularly the risk of too-high inflation.』

インフレが高進しそうもないので利上げを止めてもよいとかいう屁理屈を出してきているのだが、元々その辺気にしないで利上げ路線やっていただろうがいい加減にしろという感じですが、さっきの「コモンセンス」と同様にこのジジイは後ろめたい所があるようで、ここでも「The traditional case for rate increases」とか言い出す始末。

まあ何ですな、どこかでは「世界標準の金融政策」とか言ってインチキ吹き込んだ挙句に中央銀行の要職を占めて何もしないで置物になるわ達成しなければ辞任するといって辞任しないわというのが居ましたが、こうやって「コモンセンス」だの「トラディショナル」だのを連発するあたり、このジジイもインチキを自覚しているんじゃなかろうかとか思ってしまうのでした。

『Over the past few months, that risk appears to have diminished. Inflation readings have been muted, and the recent drop in oil prices is likely to push headline inflation lower still in coming months.』

物価が上がりそうもなくて、しかも最近の原油価格が下がっているからだって。

『Further, as we noted in our post-meeting statement, while survey-based measures of inflation expectations have been stable, financial market measures of inflation compensation have moved lower. Similarly, the risk of financial imbalances appears to have receded, as a number of indicators that showed elevated levels of financial risk appetite last fall have moved closer to historical norms.』

インフレ期待に関してもまあこれは使いようの話ですが、リスクアペタイトが最近さがってヒストリカルな通常の状態に近づいてきたって説明もナンジャソラで、今回こうやって腰を砕くと再度ゴルディロックスヒャッハー相場になるんですがお前は何を言っているのかと。

『In this environment, we believe we can best support the economy by being patient in evaluating the outlook before making any future adjustment to policy.』

言い訳色々としていますが、今までそういう状態で普通に利上げしていたので、ここまで腰砕けになる理由って自分で作った株式市場などのボラにションベンちびった以外の理由が考えられませんな。

『Let me now turn to balance sheet normalization. Over its past three meetings, the FOMC has held in-depth discussions on the final stages of this process. Today, we made some important progress in clarifying the path forward, as summarized in the Statement Regarding Monetary Policy Implementation and Balance Sheet Normalization that we released with today’s FOMC statement. 』

以下はバランスシートの話。

『The Committee made the fundamental decision today to continue indefinitely using our current operating procedure for implementing monetary policy.』

「fundamental decision」とか一々話が大きい。

『That is, we will continue to use our administered rates to control the policy rate, with an ample supply of reserves so that active management of reserves is not required. This is often called a “floor system” or an “abundant reserves system.” Under the current set of operating procedures, as outlined in the implementation note released today, this means that the federal funds rate, our active policy tool, is held within its target range by appropriately setting the Federal Reserve’s administered rates of interest on reserves, as well as the offer rate on the overnight reverse repo facility, without managing the supply of reserves actively.』

いやまあ米国FF市場そこまで詳しくないからアレなんですが、ONRRPは補完的おぶ補完的措置であって、超過準備が大杉栄でIOERだけだと超過準備の不胎化ができなくて短期市場金利のコントロールを失うからぶっこんだシステムであって、IOERとディスカウントウィンドウのような貸出ファシリティで挟むのが短期市場のコリドア形成なのですから、この説明は何かちょっとおかしくねえかと思う。基本ONRRPがない状態で短期市場のコントロールを失わないレベルに持っていくのが「適正な超過準備のもとでのコリドアシステム」じゃないのか??????

『As the minutes of our recent discussions have indicated, the FOMC strongly believes that this approach provides good control of short-term money market rates in a variety of market conditions and effective transmission of those rates to broader financial conditions. 』

よってなんかここは変。

『Settling this central question clears the way for the FOMC to address a number of further questions regarding the remaining stages of balance sheet normalization. The decision to retain our current operating procedure means that, after allowing for currency in circulation, the ultimate size of our balance sheet will be driven principally by financial institutions’ demand for reserves, plus a buffer so that fluctuations in reserve demand do not require us to make frequent sizable market interventions.』

『Estimates of the level of reserve demand are quite uncertain, but we know that this demand in the post-crisis environment is far larger than before. Higher reserve holdings are an important part of the stronger liquidity position that financial institutions must now hold. Moreover, based on surveys and market intelligence, current estimates of reserve demand are considerably higher than estimates of a year or so ago. The implication is that the normalization of the size of the portfolio will be completed sooner, and with a larger balance sheet, than in previous estimates.』

ひたすらバランスシートの負債サイドからの説明しかしていない(以下も同じ)というのも特色があって、いやだったらMBSとUSTの構成はどうするんだとかそういいう話は無くて、超過準備がどの位必要なのですか的なネタで延々と引っ張っています。まあ金融機関の予備的な超過準備需要が金融危機前よりも高くなっているという辺りはそうなんでしょうなあと思いますけど。

『In light of these estimates and the substantial progress we have made in reducing reserves, the Committee is now evaluating the appropriate timing for the end of balance sheet runoff. This decision will likely be part of a plan for gradually reaching our ultimate balance sheet goals while minimizing risks to achieving our dual mandate objectives and avoiding unnecessary market disruption. We will be finalizing these plans at coming meetings.』

「In light of these estimates and the substantial progress we have made in reducing reserves」っていう程減らしたのか??????という気はしますが、思いっきり「the Committee is now evaluating the appropriate timing for the end of balance sheet runoff」と買入停止の時期を検討するとまで言い切る必要があるのかいなとは思うけどまあそう言っていますし、その計画について「We will be finalizing these plans at coming meetings」とまで言い切って大丈夫かねとは思うのだが(これで実は市場で期待しているより削減しますよとか言ったら言わない方が良かったという事になってまたまた信認問題になると思うのだが)。

『The process of balance sheet normalization is unprecedented. Throughout this process we’ve attempted to lay out our plans well in advance, and we’ve been willing to make changes as we learn more about the process. The implementation and normalization statement released today is intended to provide some additional clarity regarding the conditions under which we might adjust our plans. The statement makes three points: 』

バランスシート正常化のポイントだとさ。

『First, as we’ve long emphasized, the federal funds rate is our active monetary policy tool. Second, as far as the particular details of normalization are concerned, we will not hesitate to make changes in light of economic and financial developments. This does not mean that we would use the balance sheet as an active tool, but occasional changes could be warranted. 』

金利がツールですよは良いのですが、2番目の「we will not hesitate to make changes in light of economic and financial developments」っての今後どんだけ景気が悪化とかショックが起きると思ってるんだよという話でして何でそうちびっているのかがよく分からん。

『Third, we repeat a sentence of the normalization principles we adopted in June 2017. While the federal funds rate would remain our active tool of policy in a wide range of scenarios, we recognize that the economy could again present conditions in which federal funds rate policy is not sufficient. In those cases, the FOMC would be prepared to use its full range of tools, including balance sheet policy.』

これで2017年の文言が生きているというのも何だかねえ。

『Times of economic uncertainty put a premium on the clarity and predictability of FOMC policy.』

どう見てもお前さんが一番ブレブレで「clarity and predictability」が無いんだが。

『We are committed to clearly explaining what we are doing and why we are doing it, both regarding the path of rates and also regarding management of the balance sheet. We believe that this transparency is how we can best contribute to macroeconomic stability.』

『Thank you. I would be glad to take your questions. 』

ということで本日はオープニングリマークに悪態で勘弁ということで。




2019/02/01

お題「輪番据え置き/雨宮副総裁金懇は要は何もしませんよという説明/1月会合主な意見で久々に新手の魔球が投じられる」

ほーん。日ソ共同宣言からのあれは何だったんでしょうかねえ・・・・・・・・
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190129-OYT1T50091.html
北方領土の日、「島を返せ」たすきの使用中止
2019年01月30日 20時53分

『北海道根室市は2月7日に開催する「『北方領土の日』根室管内住民大会」で、例年、参加者が着用している「島を返せ」と書いたたすきの使用を取りやめることを決めた。はちまきも「返せ!北方領土」から「平和条約の早期締結を」などに変更する。』(上記URL先より)

そもそも全千島列島は千島樺太交換いやまあいいです。


〇輪番予定は変更なしですが1月2月は鬼門という前例がありましたからまあシャーナイか

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2019/rel190131d.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について

0−1年:100-1000、月2回(変更なし)
1−3年:2500-4500、月4回(変更なし)
3−5年:3000-5500、月4回(変更なし)
5−10年:3000-6000、月5回(変更なし)
10−25年:1500-2500、月4回(変更なし)
25−40年:100-1000、月4回(変更なし)
物価連動国債:250、月2回(変更なし)
変動利付国債:1000、隔月1回(変更なし)

ということで変更なし。まあ1月輪番日程出すときに10年過保護政策(入札の翌営業日の輪番オペというのを5−10年だけ継続するのみならず、入札前の年初1営業日目の1月4日に5−10年の輪番を入れた)を出した時点で、まあ2月もやる気ないわなという感じだったのでこれはこれで順当でしょう。

何せ2017年(1月に中期輪番を突如スキップして相場が壊れて2月の10年入札の翌日に後場寄りでインザマネーで指値オペをやるというプレイに追い込まれるの巻)、2018年(年末に減額するチャンスが何度もあったのに放置した挙句に年初一発目の超長期輪番を減額してリバーサルレートとかその手のネタと相まって相場が壊れて2月頭に中期輪番増額をして更にその後指値と長期輪番増額をする破目になるの巻)、と1月2月の輪番は鬼門オブ鬼門になっておりますので、今回何かやって変な目が出たら仏の顔もスリータイムスって奴になるでしょうからそら動かんのも致し方なし、とか言ってますがどう見ても組織上のマターです本当にありがとうございましたという所ですわな。

まー問題は2月末に動いてくるかどうかという所ですけれども、とりあえずパウエル大先生のハト派全振りという訳の分からんプレイが出ましたので3月相場で米国金利が大上昇ってのもないでしょうからやりやすいちゃあやりやすいとは思いますが、金融機関ちゃんが期末の着地を意識するところで日銀がわざわざボラを作りに行くこともないとも思うので、まあ動きに行くという感じにはならないような気がしますが単なるアタクシの山勘なので全くあてにしないでください。


〇雨宮副総裁の山口金懇は要するに「どっちも動かんもんねー」であるのは把握した

雨宮副総裁金懇登場の巻。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2019/data/ko190131a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 山口県金融経済懇談会における挨拶 ──


・政策の追加措置はやらないもんねーというのを混ぜ込むというプレイが出ております

『日本銀行は、先週開催された政策委員会・金融政策決定会合において、2020年度までの経済・物価見通しを「展望レポート」として取り纏め、公表いたしました。本日は、その内容をご紹介しながら、わが国の経済・物価に対する日本銀行の見方と最近の金融政策運営について、ご説明します。』

ということですし、雨宮副総裁ですからまあどう見ても展望レポートのまんまの説明をするのですけれども、隙あらば微妙なメッセージを混ぜ込んでくるのが雨宮さんらしいっちゃあ雨宮さんらしいですというのがありまして・・・・・・・・・・・

『2.金融経済情勢 』のところですけど、

『今年は、年明けから、株式市場や為替市場が大きく変動して始まりました。』から始まりまして、年末にかけての市場変動の話をしているのですが、その続きにちゃっかりと、

『もっとも、後ほどご説明しますように、これまでのところ、わが国および米欧ともに、実体経済は総じてみれば着実な回復を続けており、企業収益の見通しも引き続きしっかりしています。その意味で、この間の市場の動きは、先行きの不確実性の高まりに対してやや過敏に反応している面があるのかもしれないと考えています。しかし同時に、金融市場は実体経済を映す鏡とも言われます。金融市場の発するシグナルも念頭におきながら、経済情勢を慎重に点検することは大事です。』

ということで、市場の動きに配慮しているというメッセージは入れながらもしれっと「先行きの不確実性の高まりに対してやや過敏に反応している面があるのかもしれないと考えています。」などと入れていまして、その次が経済の現状の話になって上記のように威勢の良い話になる、と来ておりまして、まあこういう感じで入れ込んできて「追加の緩和措置はやらんもんねー」というのをひそかにアピールするというのがチャーミング。

よって経済見通しの結論は当然ながら展望レポートのメインシナリオ通りで、

『先行きのわが国経済も、拡大基調を続ける可能性が高いと考えています。日本銀行では、2020 年度までの見通し期間を通じて、毎年1%程度の成長が続くと予想しています。日本銀行では、わが国の経済が長い目でみて実現できる成長率、いわゆる潜在成長率を1%弱とみていますが、これと概ね同じ伸び率です。日本経済は、当面、その実力どおりの堅調な伸びを続けるというのが、私どもが想定しているメインシナリオです(図表6)。』

となるのですが、潜在成長率並みの成長が続く程度なのになぜ物価が2%に向けて力強く上がっていく見通しになっており、モメンタムが維持されているという認識になるのか、という点については当然ながら華麗にスルーされるのは言うまでもありません。


・リスクはひたすら海外となっているのですが金利のフォワードガイダンスとの整合性is何処??

でもってその続き。

『もっとも、こうしたメインシナリオに対しては、海外経済の動向を中心に、下振れリスクが強まっていることに十分な注意が必要です。』

というリスク認識の話ですが、

『海外経済については、総じてみれば着実な成長が続くというのが現時点での基本的な見方です。ただ、昨年前半までの「世界同時成長」という姿と比べれば、地域間の成長率にばらつきが生じているほか、先行きに対する不透明感も強まっています。国際機関や主要な中央銀行も、同様の見方を示しています。今月公表されたIMF(国際通貨基金)の最新の見通しでは、2019 年、2020 年の世界経済の成長率は、それぞれ前年比3%台半ばの高めの伸びが見込まれていますが、昨年 10 月の前回見通しからは、幾分下方修正されています(図表7) 。また、IMFは、米中貿易摩擦の影響などから、世界経済がダウンサイドリスクに直面しているとも指摘しています。 』

『米中の貿易問題については、新年入り後も両国間で協議が行われていますが、先行きの展望が描きづらい状態が続いています。今後、各国の貿易活動に対する直接的な影響のみならず、企業の投資マインドや国際金融市場におけるリスクセンチメントの悪化などを通じて、その影響が拡大する可能性もあります。』

『また、中国経済については、貿易摩擦の影響だけでなく、当局が進めてきた信用面の過熱抑制策の影響などから、このところ、景気の減速を示唆する材料が増えてきています。機動的な財政・金融政策により、中国経済の成長ペースが大きく鈍化するリスクは小さいとみていますが、当地を含め、わが国は中国との経済的な結びつきが強いだけに、その動向を丁寧にみていきたいと考えています。』

『このほかにも、海外に起因するリスクには様々なものがあります。トルコやアルゼンチンなど、一頃懸念された一部新興国からの資本流出が、最近落ち着きをみせていることは明るい材料ですが、英国のEU離脱交渉の展開はなお不透明です。こうした海外経済を巡る不確実性の高まりを背景に、金融市場で不安定な動きが続いているのは、冒頭申し上げたとおりです。』

『日本銀行としては、企業や家計のマインドに与える影響を含め、内外市場の動向についても、引き続き、目を凝らしてみていきたいと考えています。』

という締めなのですが、金利のフォワードガイダンスの方では「政策金利については、2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。」と毎度仰せだというのにこのリスクの話で延々と海外の話を詳細にするだけで消費税のショの字も出ないとはこれ如何にという所ではございますな、結局あれは2019年10月と言いたかっただけちゃうんかと。


・物価が中々上がらん理由の整理は当然展望レポート通りですが一応引用

『3.物価情勢 』から。

『もっとも、こうした賃金・物価の改善ペースは、想定していたよりも緩やかなものにとどまっています。消費者物価の前年比は、プラスで推移していますが、なお0%台後半であり、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べて弱めの動きが続いています。この要因は、大きく2つあると考えています(図表 10)』

『第1に、景気が拡大し、需要超過の状態が実現しても、物価がスムーズに反応しないことです。』

普通に致命傷ですな。

『理論的には、需要が供給を上回れば、人やモノが不足し、賃金や物価は上昇します。実際、先ほどご説明したように、賃金を中心に、こうした動きが表れてきてはいるのですが、景気の改善テンポに比べれば、その動きは緩慢です。』

その通りで。

『特に正規雇用者の所定内給与の上昇率は伸び悩んでおり、本格的な賃金上昇に時間を要しています。』

お、そうだな(じっと手を見る)。

『また、労働需給の変動に敏感なパート労働者の時給は、年率2%台半ばの高めの伸びを続けていますが、パートへの依存度が高いサービス業の価格もはっきりとは上昇していません。』

全くで。

『労働コストの高まりにもかかわらず、企業が値上げを回避することを可能としている背景として、わが国の場合、非製造業を中心に、省力化投資などを通じて労働生産性を引き上げ、賃金コストの上昇を吸収する余地が大きいことが指摘されています。デジタル化などの近年の技術進歩が、企業の生産性向上の取り組みを後押ししている面もあります。このように、景気が拡大する中にあっても、賃金や物価を上がりにくくする様々な要因が存在し、それらが複合的に作用しています。その解消には時間がかかっており、先行き、こうした価格押し下げ圧力が予想以上に長く作用する可能性もあります。』

この理屈もホンマカイナという感はするんですが、まあそういう整理になっていますな。

『物価上昇が緩慢であることの第2の要因は、予想物価上昇率がなかなか高まってこないことです。』

致命的ですな。

『予想物価上昇率とは、企業や家計が経済活動を行う際に前提とする先行きの物価見通しです。人々の物価観と言い換えることもできると思います。この予想物価上昇率と実際の物価上昇率は、相互に影響し合います。』

すっかりフォワードルッキングな期待形成の話をしなくなっているのがチャーミング。

『例えば、現在の物価が上昇すれば、それをみた企業は、そうした物価上昇が将来も続くと予想し、自らが生産・販売する財やサービスの価格を引き上げることを検討します。家計も、先行きの物価上昇を予想すれば、それに見合う賃金の引き上げを求めると考えられます。このように、2%の「物価安定の目標」の実現には、長期にわたるデフレのもとで定着した「物価は上がりにくいもの」との人々の物価観の転換が必要です。』

『しかし、これまでのところ、緩やかな物価上昇にもかかわらず、予想物価上昇率は横ばい圏内にとどまっており、物価観の転換、言い換えればデフレマインドの払拭に時間がかかっています。 』

ってこれ「物価が上がらないと物価が上がらない」という理屈になるので、そうなると何らかの形でフォワードルッキングな期待形成に大きく影響を与えるべし、ってなるのですが、まあそれやって既に失敗している次第。

・・・・・・・しかしまあ何ですな、

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k120214b.pdf
「中長期的な物価安定の目途」について

『3.「中長期的な物価安定の目途」は、日本銀行として、中長期的に持続可能な物価の安定と整合的と判断する物価上昇率を示したものである。この「中長期的な物価安定の目途」について、日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラスの領域にあると判断しており、当面は1%を目途とすることとした。従来は、「中長期的な物価安定の理解」として、中長期的にみて物価が安定していると 各政策委員が理解する物価上昇率の範囲を示していた。』(2012年2月14日公表の上記URL先にある「中長期的な物価安定の目途」文書より)

ってのが麿時代にあった訳ですが、「当面は1%を目途」にしておけばとっくの昔に当面の目途は達成できましたって大勝利宣言できていた訳でして、大勝利宣言をしたうえで、まだ中長期的な目途には距離がありますが、このためには日本経済の基礎的な成長力の強化を伴う必要があり、その成長力強化に寄与するためにも日本銀行は緩和的な金融政策を継続(と言っても当然ながら政策金利はプラス)していく、とか何とか言って無理の出ない運営が出来ていましたなあ、と思いますし、大体からして現時点で何だかんだと言いながらコアコアが0%台半ば程度でまあそんなにウゴカンチ会長であるということを考えると、今の経済の実力だと「とりあえず1%」ってまあそんなもんだったんジャマイカという話になりますなあ、などと思ったり思わなかったり。


・副作用に留意というのは「追加緩和をやりません」というための方便だというのは把握した

『4.日本銀行の金融政策運営 』ですけどね、

『続いて、日本銀行の金融政策運営についてご説明します。これまで述べてきたとおり、景気の拡大に比べて物価は弱めの動きを続けており、予想物価上昇率の高まりにも想定以上の時間を要しています。長期にわたる低成長やデフレのもとで形成された人々の物価観が変わっていくには、それなりの時間が必要なのだと実感しています。しかも、これまで以上に、金融緩和に伴う副作用の蓄積にも留意しなければならない状況です。』

って言ってるんですけど、

『こうした金融経済情勢のもとで、「物価安定の目標」を実現していくには、現在の強力な金融緩和を粘り強く続け、物価上昇の原動力であるプラスの需給ギャップをできるだけ長く持続させることが大事であると考えています。』

と続くのであって、しかもその先だって、

『このような考え方に基づき、日本銀行は、昨年7月の金融政策決定会合において、主に2つの政策決定を行いました。まず、現在の強力な金融緩和を粘り強く続ける姿勢を明確にするため、「政策金利のフォワードガイダンス」を導入しました(図表 11)。これは、将来の政策金利の水準をあらかじめ約束することで、金融緩和の持続に対する市場の信認や期待を高める政策手法です。』

長期化すると副作用が蓄積するって言ってるのに金融緩和の持続への期待を高めてしまったら、それは副作用が直撃する金融機関の行動を「将来の副作用に備えなければいけない」という風にさせてしまうと思う次第でして、金利のフォワードガイダンスって要は長期金利が将来の金利調整の思惑から大きく跳ねると困るから導入した物件だし、そっちの考えが先に来ている時点で「金融緩和に伴う副作用の蓄積にも留意」とかリップサービスにも程があるというお話ではありますわな。

ちょっと飛びまして、

『次に、政策の持久力を強化するための措置を講じました。現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくためには、それに伴う負の影響、いわゆる副作用を抑制していくことが必要となります。昨年前半、国債市場では、日本銀行による大規模な国債買入れのもとで、金利形成が硬直的になるなど、市場機能の低下を懸念する声が増えました。こうした状況を踏まえ、7月の決定会合では、金融市場調節や資産買入れをより弾力的に運営することを決定しました。』

って話ですが、そらまあ市場機能の話もありますけれども、副作用の本命ってマイナス金利とかYCCとかいう極端な政策によって、ただでなくさえ収益環境が厳しい金融機関に対して急速に首を絞めに行くという副作用が絶賛蓄積中という話なのですからして、これをもって副作用抑制とか威張られましても、という所ではあるのですけれども、まあこの辺りもリップサービスというお話ではあります。

しかし笑ってしまいますのは、またちょっと飛びますと、

『7月の政策決定から半年が経過し、副作用の軽減という所期の効果が実現しているとともに、金融市場の安定化にも一定の効果を発揮していることが確認できています。』

とか仰せですが、4月に出てくるFSRでの分析を見ると副作用の蓄積が更に高まっていると存じます。でもってこの続きが、

『フォワードガイダンスの導入以前、市場参加者の間では、「日本銀行が、近い将来、政策金利を引き上げるのではないか」との見方も少なくなく、これが市場の不安定化に繋がることもありました。7月以降、そうした見方は急速に減少しており、強力な金融緩和を継続するという日本銀行の方針は、一段と浸透してきています。』

ってんですからまあ何もする気はありません、と言っているんでしょうな。

・・・・・・なお、金融機関収益の話がその次にあるという建付けで、副作用論をするんだったらどう見ても優先順位が逆です本当にありがとうございましたという所ではあるのですが、

『なお、強力な金融緩和がもたらす影響という点では、金融機関の収益や金融仲介機能との関係がよく議論になります。日本銀行も、低金利環境や金融機関間の厳しい競争環境が続くもとで、金融機関収益の下押しが長期化すると、金融仲介が停滞方向に向かうリスクや金融システムが不安定化するリスクがあることは、十分認識しています。現時点では、金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどから、こうしたリスクは大きくないと判断していますが、今後とも、考査やモニタリングなどを通じて、最新の状況把握に努めるとともに、必要に応じ金融機関に具体的な対応を促していく方針です。』

と棒読み感溢れる展望レポート通りの説明になっておりますので、まあそういうことですなという所で。



〇1月決定会合主な意見が色々と頭がクラクラする件について

何かついこの前12月決定会合議事要旨で同じような小見出しを書いた記憶があるのですががががが。

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2019/opi190123.pdf
金融政策決定会合における主な意見 (2019 年 1 月 22、23 日開催分)1


・経済情勢に関する意見でへんてこりんなのがあったので紹介

基本的に『T.金融経済情勢に関する意見』はどうでも良いのでスルーするのですが、読んでいて微妙に???印が頭の中を飛び交ったのがあるので引用。『(経済情勢)』の方から。

『・株価は実体経済の変化を増幅して伝えるものだが、最近の株価下落は、世界的な実質成長率の低下をある程度予想している。 この背景には、今や世界第2位の輸入市場となった中国経済の停滞がある。僅かずつ低下するGDPではなく、輸出入の動きをみれば、この点は明らかである。』

えーっとですな、「株価は実体経済の変化を増幅して伝えるものだが」って書き出しだったら株価の動きに過剰に反応しないとかそっちになるような気がしますし、「GDPではなく輸出入の動き」ってGDPの数字と輸出入の数字って出てくるタイミングが違う(GDPの方が後から出るしそもそも後から遡及改定されたりする)のですが、何つーかこの意見何を言ってるんだかよくわからん・・・・・・・

と思ったのでネタにしただけですさあ次、次。


・QQE2全面否定キター!!

『(物価)』にも素敵な意見がありました。

『・既往の原油価格下落や教育無償化といった特殊要因は、物価を 一時的に下押しするとみられるが、中長期的には、実質所得の拡大を通じて物価の押し上げ要因となり得る。この点について 明確な対外説明が必要である。』

ついこの前(1月22日)にもネタにしたので皆様の記憶に新しいと思いますし、お前はしつこいと言われるのは分かっておりますが、さてここでいわゆるQQE2の時の声明文を再度確認してみましょう(^^)。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k141031a.pdf
「量的・質的金融緩和」の拡大
2014年10月31日
日本銀行

『2.わが国経済は、基調的には緩やかな回復を続けており、先行きも潜在成長率を上回る成長を続けると予想される。ただし、物価面では、このところ、消費税率引き上げ後の需要面での弱めの動きや原油価格の大幅な下落が、物価の下押し要因として働いている。このうち、需要の一時的な弱さはすでに和らぎはじめているほか、 原油価格の下落は、やや長い目でみれば経済活動に好影響を与え、物価を押し上げる方向に作用する。しかし、短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがある。日本銀行としては、こうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持するため、ここで、「量的・質的金融緩和」を拡大することが適当と判断した。』(2014年10月31日金融政策決定会合の声明文より)

ということでして、やや長い目で見れば押し上げ要因になるのは承知の上で「押し上げ介入」よろしく追加緩和(まあ押し上げ効果はそもそも無かったのですけどそれはさておき)をした訳ですが、今回はモメンタムは維持されている、と言って追加緩和はしておりませんので、つまり2014年の追加緩和に効果が無かったので今回無駄玉になるから追加緩和はしなかった、という整理になりますが問題ないという事ですな、うんうん。

でまあ当時の人じゃないから知らんがな、という言い訳をしようと思っても黒田総裁が同じなんだよな・・・・・・


・片岡さんの意見だと思いますが・・・・・・・・・

例によって例のごとくで『U.金融政策運営に関する意見』を見ると幾つか申し上げたくなるのがありまして、

『・経済・物価の下方リスクが顕在化するならば、政策対応の準備をしておくべきである。現状、物価上昇率の目標値への到達が 遠ざかっているのであるから、何か大きな危機が起きるまでは行動しない、という態度は望ましくない。むしろ、状況の変化 に対しては、追加緩和を含めて迅速、柔軟かつ断固たる対応を取る姿勢が望ましい。』

とのことで、こちらはこの前12月議事要旨でも追加緩和話をしていて、そこで悪態を申し上げた通りで、追加緩和をするとなると副作用の蓄積をより加速することになるんですけれども、本当の本当に早期達成できるという確証のある政策は打ち出せるのでしょうかねえ、出せないんだったらただの机上の空論だし、それこそ「日本人は草食なのだからジャングルの草を食べればよい」とか言って碌な兵站確保もしないでインパールに突っ込ませていった牟田口廉也もかくありなんというだけの話なんですよね。

・・・・・・でですな、それはそれとしまして「何か大きな危機が起きるまでは行動しない、という態度は望ましくない」とは大変に立派なお話でございまして、マイナス金利政策のような極端な政策の長期化によって色々と弊害が出てきているというのに、今の日銀はそれこそ「何か大きな危機が起きるまでは行動しない」としか申し上げようがないスタンスを丸出しにしているのですけれども、折角このような良いことを仰せなのですから、極端な金融緩和政策の弊害の方でも同じように「何か大きな危機が起きるまでは行動しない、という態度は望ましくない」と喝を入れて頂きたいものだと願って止みません。


・何か最近無駄に細かい話に走っている気がするのである意味心配なのですが・・・・・・・・・

『・金融機関が保有する国債の残高は、資金調達などの担保として必要な最低水準に近付きつつあると考えられる。日本銀行が既に買い入れてきた長期国債のストックの大きさも踏まえると、 現状の国債買入れオペの運営には相応の見直し余地があると考えられる。』

事実関係として担保繰りがしんどいとかそういうのはあると思われますし、しらっと貸出支援とか微妙に減っているのって保有有価証券を担保に出して固定化させてしまう余裕がないとかそういうのがあるんだろうなあーとは何となく想像は付くのですけれども(ただ「資金調達などの担保」というと超過準備あれだけあるのに何で資金調達???となると思うので表現も工夫が必要な気がするんですが、為替決済担保とかその他もろもろの担保繰りってことだと思うので「など」が入っているんだと思いますけどね)、担保が足りないのであれば、別に恒久措置じゃなくて時限措置でも良いですけれども、担保政策の方で対応できるものはすれば良くて、担保がどうのこうのというのを前面に出してオペ運営の見直しというのはちょっと筋違いな印象がぬぐえない。

まあ何となく誰が言っているのか想像つきますし、そのお方からしたら金融機関の置かれている状況とかまるで理解しない(どころかこの後に基本的な事もわかっていないスットコドッコイも登場する有様)トンチキの巣窟で大変だとは思うのですが、何かちょっと変調な気がする(10年後に議事録見ないと言ってる文脈が理解しにくい話の持って行き方だし)のでちょっと心配です。


・これはワロタ

順序から行きますとこの小見出しの最後になってしまいますが、次のトンチキ見物の前に最後にあったこの見解もワロタです。

『・長短金利の水準あるいはマネタリーベースと物価上昇率等の関 係について、さらなる分析と検討が必要である。』

この人が皮肉で書いたのかマジで書いたのかによって評価が180度異なるので論評はしませんけどまあワロタです。


・貫禄の本格派が新魔球を引っさげて颯爽と登場の巻に金融市場(の一部地域)にざわめきが走る

本格派のアレといえば言うまでもなくあの方でいらっしゃいますが、今回はまた新しい魔球を引っさげて堂々のマウンド捌きでございまして、金融市場(の一部地域)も騒然とする意見が開陳されました。

『・「量的・質的金融緩和」導入前後での預金と貸出の推移をみると、預金は引き続き増加傾向にあるが、貸出は横這いから緩やかな増加に転じている。この貸出の変化は「量的・質的金融緩和」の成果である。こうした中、金融機関の利鞘が縮小しているのは、貸出が増えている以上に預金が増えているからである。預金を製品、貸出を売上と考えれば、両者の差は在庫となるが、必要なのは製品の在庫調整である。』

>預金を製品、貸出を売上と考えれば
>預金を製品、貸出を売上と考えれば
>預金を製品、貸出を売上と考えれば

・・・・・( ゚д゚)

>必要なのは製品の在庫調整である
>必要なのは製品の在庫調整である
>必要なのは製品の在庫調整である

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

えーっとすいません、預金と貸出ってバランスシートの左右にあるものなのでして、銀行の場合は預金は負債の部になって貸出は資産の部になるのですけれども、預金が「製品」という資産になるのも目を疑うのですけれども、「売上」ってそれはそもそも貸借対照表を構成する科目ですらないのですが、何をどうすると「預金を製品、貸出を売上と考え」ることができるのでしょうかと小一時間問い詰めたいですし、だいたいからして日銀の審議委員ってのは企業体で言えば取締役に相当するのですけれども、取締役がバランスシート分からなくて経営者が務まるかという話ですし、まあご想像のお方でしたら既にその審議委員4年近くやっていると思うのですが・・・・・・・・(ついでに言えばリフレ派の某先生辺りはよく「バランスシートでわかる」みたいな本を出していたりしてたと思いますけどねえ)

まあ何ですな、一応一万歩譲って「預金を仕入、貸出を売上と考え」ならばそれらしいお話になるのですけれども、これまた信用創造を理解していないという誠に残念なお話でございまして、預金金融機関が貸出を行うためには別に何かの原資が必要な訳ではなくて、銀行が貸出を行えば銀行から見れば資産サイドに貸出金、負債サイドに預金が発生するのでして、仕入売上という話にはなりませんし、そうやって貸出をすると預金が見合いで発生するからこそ「信用創造」って言うんですよねー。いやまあ銀行実務や複式簿記やっていなくて机上の座学だけやっていると誤解するお話ではありますけれども、このお方って日銀の政策委員を何年もやっていて未だに理解できないというのはホームラン級のアレではなかろうかと申し上げたくなりますにゃ。


でもってその後の決め台詞「必要なのは製品の在庫調整である」って奴ですけど、「製品の在庫調整」というのは文脈から行きますと、製品というのが預金なのですから「預金を減らせ」という話をしているのだと思います。なお、「貸出を増やせ」と言っているのかも知れませんが、今申し上げましたように預金金融機関が貸出金を増やすと預金が両建てで増えますし、仮に借り入れた企業がその資金を使ったりしたとしてもその時にはその企業が支払いを行った取引先の預金に化けるだけですので、残念ながらマクロ的に見た場合、預金は減らないんですよねー(ノンバンクが貸出をするときに自分の保有する銀行預金を原資にしたら預金が減るのですが、その減った預金は借入企業の預金になるのでマクロ的にはやっぱり預金は減りません、残念!)。

でもってですな、その「預金を減らせ」ってことですけれども、まず現状日本の金融機関は預金を能動的に減らすってことはできないですし、それ以前の問題としてある銀行が顧客の預金を排除して他行に預金をシフトさせたとしても、その他行の預金が増えるだけなので、マクロ的に言えば預金は減らないという誠に残念なお話になる訳ですな。

じゃあ何が起きたらマクロ的に預金が減るかと言いますと、資金循環的な考え方からしますと、民間部門でマクロ的な資金が不足するような方向の動きがないといかん訳ですから、現状の日本の資金循環を考えますと、誰がどう見ても政府部門の資金不足を民間に転嫁する、すなわち財政を思いっきり引き締めることをしないといけない、とまあそういう事になるのですが、それが必要と仰せなのでしょうか?????????????

なお、資金循環関係なく「製品の在庫調整」とやらをする方法が1つございまして、それは、「銀行預金から日本銀行券(つまり現金)へのシフトを起こす」というのをすれば、民間部門から政府部門への資金移転を伴うことなく銀行預金を減らすことが出来ます。なお、この場合「電子マネー」のようなものを使ってしまいますと、電子マネー見合いの部分は銀行預金として存在することになってしまいますので、ガチで全部現金決済、貯蓄は現金でタンスに入れるなり壺に入れるなりする、というプレイが必要になりますなうはははは。

ということですので、「必要なのは製品の在庫調整である(キリッ)」と仰せであれば、まず隗より始めろという良い言葉もありますので、ジンバブエ大先生(あ、言っちゃった^^)におかれましては、お持ちの金融機関口座は全部解約して頂きまして引き出し、これからは給与も現金で支給、預貯金は禁止でタンスなり甕なり百歩譲って銀行の貸金庫(口座無い人に貸金庫はよー貸さんでしょうが)でも良いですが、とにかく現金で保有する、という生活を実践して頂きたく存じます。ああそれから電子マネーはさきほど述べた理由により「製品の在庫調整」にマイナス寄与してしまうので使用禁止となりますし、現金から他の資産にシフトさせるとその現金が誰かの銀行預金に化けてしまって「製品の在庫調整」にマイナス寄与するので、資産も全部現金、というのを実践して頂きますと、まあこの主な意見で述べられている本格派のアレにも説得力が出てくるというものです(^^)。

・・・・・・ということで、最近は大先生の切れ味が若干鈍ってきたかと心配していましたが、久々の本格的な新魔球が飛び出しまして、その魔球っぷりにもうメロメロですよ!!!!!!!!という感じで昨日は腰が抜けそうになりましたとさ、という何の政策インプリケーションも無い無駄話でございました。