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2018/09/28
お題「先般の総裁大阪講演にツッコミ(悪態)を入れてみる/FOMC冒頭説明鑑賞/その他少々」
こちらの講演まで確認している余裕がないので週末ちょっと見てみますかね。
https://jp.reuters.com/article/euro-asset-risk-idJPKCN1M72LE
2018年9月28日 / 04:32 /
ユーロ加盟各国、資産バブル発生リスクに備える必要=ECB専務理事
ここもとECBからこの手の話がちょこちょこ出るようになっているなあという
感じですがさて・・・・・・・・
多分物件はこちら
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2018/html/ecb.sp180927_1.en.html
The interaction between monetary policy and macroprudential policy
Speech by Peter Praet[1], Member of the Executive Board of the ECB, at
the Money, Macro and Finance Research Group Conference on the Resilience
of the Global Financial Architecture, London, 27 September 2018
〇大阪での総裁講演に悪態をついてみる
先日大阪での経済4団体相手の講演があった訳ですよ(議事要旨ネタを優先していたのでパスしていましたサーセン)。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko180925a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko180925a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
大阪経済4団体共催懇談会における挨拶
日本銀行総裁 黒田 東彦
2018年9月25日
でもって『2.経済情勢』は展望レポートのまんまの話ですし、『3.物価情勢』は同じく展望レポートで示されている言い訳なので全部すっ飛ばしまして『4.日本銀行の金融政策運営』なんですけどね。
・イールドカーブなのか10年金利なのかという論点
『最後に、日本銀行の金融政策運営の考え方についてお話しします。』
ということでお話が始まりまして、最初の方はどうでも良いのですが折角なので一応引用します。
『現在、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という枠組みのもと、強力な金融緩和を推進しています(図表7)。「長短金利操作」という点については、日本銀行は、2%の実現のために最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促すよう、短期政策金利を「▲マイナス0.1%」、10年物国債金利の操作目標を「ゼロ%程度」とする金融市場調節方針を掲げ、国債の買入れを実施しています。』
「2%の実現のために最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促すよう」って説明だと、均衡イールドカーブ(のようなもの)に対する適切な緩和度合いとしての最も適切と考えられるイールドカーブというのがあって、それに対して金利を誘導すべく長期国債の買入を行う、という話になると思うのですが、そうなりますと本来誘導すべきはイールドカーブ全体という話になりますけれども、現状そういう調節になっていましたっけ(10年をピン止めする運営ではないの?)という話ですし、大体からしてそうであれば何で10年金利の変動幅を拡大させるのが良しとなるのかとの説明が物凄く苦しくなると思うのです。
どちらかと言うと今やってるのって短期と10年金利を(10年はある程度)固定することによって10年近辺までの金利を抑えるという運営になっていると思うのでして、YCCって略称になっているからイールドカーブって言うのは分かるのですが、本来の題名とやっている運営の骨子ってあくまでも「長短(=10年と短期)金利操作」となっていて、カーブ全体なのかというとそこは微妙に違うんじゃないのと思うんだが。
『こうしたもとで、国債金利のみならず、企業向け貸出金利や社債の発行金利はきわめて低い水準で推移しており、銀行の貸出残高も増加しています。このほか、日本銀行は、株式市場におけるリスク・プレミアムに働きかけ、経済・物価にプラスの影響を及ぼしていく観点から、年間「約6兆円」の増加ペースで、ETF(指数連動型上場投資信託)の買入れを実施しています。』
もうこの辺は疲れたので突っ込まないけれども、社債とCPの買入はどうなってるの?
『先ほどお話ししたように、2%の実現には、これまでの想定よりも時間がかかると見込まれます。その一方で、需給ギャップの改善を起点とした物価の上昇メカニズムは、引き続き作動しています。こうした状況を踏まえ、日本銀行は、今後とも、強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが重要と判断し、7月の金融政策決定会合において、次のとおり、現在の政策の枠組みを強化することを決定しました(図表8)。』
金利変動幅拡大を容認したのに枠組み強化とはこれ如何にですけれども、この次にフォワードガイダンスの説明があってこれがまたブチ切れですよ。
・原理原則を逸脱した説明をしないで頂きたいのですが
『第1に、先行きの政策金利について、「フォワードガイダンス」という手法を取り入れました。具体的には、「2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する」ことを、対外的に約束しました。これは、2%の実現までに時間がかかるなか、単に「金融緩和を粘り強く続ける」と言うだけでは、金融政策に対する信認を十分に確保できないと考えたためです。これにより、「物価安定の目標」の実現に向けた日本銀行の政策スタンスに揺るぎがないことを、お分かり頂ければと思います。』
スタンスに揺るぎがないって言いましても実際に大口たたいて5年以上達成できていないのに信認もへったくれも無いんですけどそれは兎も角としてこの次の説明にブチ切れですよ。
『なお、この「フォワードガイダンス」については、「当分の間」が、どのくらいの期間を想定しているのか分かりにくいとのご指摘を受けることがあります。まず、文字通り、特定の期間を念頭に置いたものではありません。日本語では分かりにくいのですが、この部分の英訳は、「for
an extended period of time」となっています。これは、かつて外国の中央銀行もよく使っていたフレーズであり、相応に長い期間のイメージであろうかと思います。』
えーっとすいません、英文の講演とかレポートとか、海外相手の取引関連のものは別として、その他の日本銀行から発出している文書というのは日本文が正本であって、英文が出ているのはあくまでもオマケというか日本語が苦手な方に向けたサービス文書である、という建付けになっている筈でして、「英訳はこうです」という説明をするのはこの原理原則を逸脱した説明になりますし、そうなると今後日銀が政策決定や展望レポートなどで出してくる文章の中で、日本語と英語で表現のニュアンスが異なるように読めてしまう場合(日銀としては日本語も英語も同じ意味だ、というのでしょうが)どうすれば良いのかという事になりますので、この説明は非常に宜しくないし、将来に禍根を残す言い方だと思うんですけど。
『最近、米欧の中央銀行が金融政策の正常化を進めていることもあり、わが国でも、市場の一部で早期の利上げ観測が燻っていました。しかしながら、物価目標との関係で、米欧とわが国の置かれている状況は大きく異なります。この点を明確にするためにも、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持するという約束は、非常に重要であると考えています。』
日本語の文章を普通に解釈するとインチキガイダンスにしか読めないですし、だからこそ片岡委員と原田委員(こういう時だけ急に真面目な言い方になる^^)はあのガイダンスに反対したんじゃないですかねえ。
『もちろん、「当分の間」ですから、「いつまでも」という訳ではありません。そうであれば、コミットメントの実効性を確保するために、金利水準を維持する期間を、将来の特定の時期や具体的な物価指標に結び付けるべきとの考え方もあろうかと思います。しかしながら、先ほど申し上げたように、現在、わが国の経済・物価は様々な不確実性に直面している状況にあります。したがって、フォワードガイダンスの設計にあたっては、コミットメントの実効性確保だけでなく、先行きの政策運営の柔軟性を確保することも、バランスよく考慮することが必要です。』
でもって更に説明がグダグダになっているのは、この部分になると結局元のインチキガイダンスとしての説明に戻っていることでして、「相応に長い期間」(この「相応」ってのも変な言い方ですが)継続するのに「柔軟に対応」って直前との整合性がおかしいんですけどとしか申し上げようがない。
『この点は、他の中央銀行のフォワードガイダンスでも同様です。すなわち、導入当初の早い段階では、相対的に政策運営の柔軟性を重視し、わが国と同様、経済情勢やリスク評価といった定性的な条件を示しつつ、金利水準の維持などにコミットするのが一般的となっています。』
は????
・・・・・・・でですね、とにかく声明文英文バージョンを説明で持ってきたのは悪手にも程があって、こういう説明を行うためのツールである、というのであれば、正本と同様の扱いをすべきであって、英文の声明文も政策委員会・金融政策決定会合の議決事項として扱わないとマズイんじゃないでしょうか、という議論になったらどうしますねんと思う訳ですよ。でもってそんなことしてたら決定会合無限にオワランチ会長になってしまうんですけどそれで良いんですかと小一時間問い詰めたい訳です。
という訳で、説明で英文を出すというのを今後も行うようだと、声明文の日本語と英語と両方とも見ながら前回と比較だの英単語の使い方についての解釈方法のお作法のコンセンサス作っていかないと行けなくなるんで、まあそれはそれでネタとしては面白いですけれども、実際にMPM結果見てポジション判断しないといけない人には確認すべき変数が大杉勝男になるので勘弁して頂きたいんですよね。
これ単に「目標達成までの期間が今の見込みだと相当長くなりそうなので、「当分の間」というのは相応に長い期間になるものと見られます」という説明にとどめておいて頂きたかったと存じます、と無駄に理屈を捏ねておりますが、どうもアタクシこの手の「何が正本なのですか」とかいう話になると血圧が上昇しやすい仕様なので致し方なしということで。
・金利とかの柔軟性確保の話も何かこういわれると唸る
『「フォワードガイダンス」の導入に加え、7月の決定会合では、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の持続性を強化するための措置を決定しました。』
はあそうですか。
『金融緩和を粘り強く続けるというからには、それに耐え得るだけの具体的な工夫が必要です。』
それは元々の設計に問題があっただけの事ではないでしょうか???????????
『例えば、先ほど述べたとおり、現在、10年物国債金利の操作目標は「ゼロ%程度」ですが、そのもとで、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうることを示し、金融市場調節をより弾力的に運営していくこととしました。』
ここがさっきの部分の説明との整合性どうなっているんだよという話で、早期達成のために適切なイールドカーブがあるんだったらその通りにコントロールすれば良いだけでして、何もそこから変動させ得るという風にする必要はないとなりますので、「イールドカーブコントロール」という概念についても何かこうふわふわしてるよね、というお話になりますな(だから規制金利にしろと言っている訳ではなくてロジックがあちこちで綻んでいる事に悪態を垂れているだけですので念のため^^)。
『「長短金利操作」、いわゆる「イールドカーブ・コントロール」は、わが国の金利を低位で安定させるために不可欠な手段ですが、一方で、その強力さゆえに、国債市場の金利形成が幾分硬直的になり、市場取引の減少も目立つ状況となっていました。今回の措置は、適切なイールドカーブの形成を促しつつ、こうした金融緩和に伴う副作用を軽減することにより、結果として、政策の持続性強化に繋がるものと考えています。』
別にそれで持続性強化に繋がるとも思えんが。
『また、同様の観点から、ETFの買入れについても、年間「約6兆円」という残高増加目標を維持しつつ、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうることを明らかにしました。』
うーんこの。
・我田引水キタコレ
『こうした政策決定から2か月近くが経ちましたが、これまでのところ、株価や為替は総じて落ち着いており、私どもの政策意図は、市場参加者に誤解なく受け止められたと理解しています。』
まあ上記部分の説明もアタクシのような円債村のジジイからすると血圧が急上昇しますが、株価や為替に向けた説明だと思えば順当オブ順当。
『この間、国債市場では、一頃よりも取引が活発化し、値動きも幾分増してきました(図表9)。8月に実施したアンケート調査によれば、約3年振りに、債券市場の機能度が「改善した」と答えた先の割合が、「低下した」と答えた先の割合を上回りました。もちろん、例年夏場は、市場取引が細りやすく、実勢を見極めにくい時期ですので、市場機能の回復度合いについては、これからも、しっかりと確認していきたいと考えています。』
政策変更した直後に実施したサーベイ捕まえて成果を誇られましても・・・・・・・・・・・・
・ということで最後になりますが
『私は、毎年この時期に、皆さまの前でお話しする機会を頂いており、2013年4月の総裁就任以降、今回で6回目ということになります。6年前は、景気回復が緒に就いたばかりで、デフレ克服も見通せませんでした。そうした経済・物価情勢のもとでは、大規模な政策を思い切って実施する必要があり、取るべき政策とその考え方はシンプルで明確でした。』
そら置物直線一気理論に則って話を単純化していたんだからそうなのですが、「取るべき政策」をちゃんと取っていたんだったらとっくの昔に2%物価目標達成していた筈なんで、この「取るべき政策」というのは「取った政策」の間違いではないでしょうかと小一時間問い詰めたい。
『そうしたもとで、この5年間、わが国は息の長い景気回復を続け、企業収益は過去最高となり、雇用環境も大幅に改善しました。賃金や物価も、持続的に下落する状況ではなくなり、上昇基調に転じています。もっとも、「物価安定の目標」である2%の実現には、想定よりも時間がかかっています。』
物価目標達成したら何もかも好転するというのが置物理論だったのですけれども・・・・・・・・
『このように大きく改善しつつも、やや複雑な経済・物価の展開のもとでは、金融政策もまた、様々な情勢を総合的に勘案して運営していくことが適当であると考えられます。強力な金融緩和を続けていくうえで、効果と副作用の両方をバランスよく考慮していく必要がある状況になってきているということです。今回の政策対応は、まさに、こうした考え方に即したものですし、国民経済の健全な発展に資する観点から物価の安定を目指す日本銀行の姿勢は、全く変わりません。』
「効果と副作用の両方をバランスよく考慮していく必要がある」政策なのに何で枠組み強化なの???
『今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、中央銀行としてなし得る最大限の努力を続け、わが国の企業活動をしっかりとサポートしていく方針です。』
ということでまあ何だかなあという講演ではありますが、ツッコミどころは兎も角新ネタには乏しいのは最近の黒田総裁の会見見るとどう見ても5年前とかQQE2直後のような状況からすっかり魂が吸い取られたような抜け殻モードになっているので致し方なしということで。
なお証券大会での挨拶というのもありますがどうでも良い内容なのでURLだけ貼っておきます。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko180927a.htm/
〇国債市場の流動性指標(メモだけ)とオペ雑談メモ
http://www.boj.or.jp/paym/bond/ryudo.pdf
・・・・・・・まあ何ですな、直近データが8月末になっている図表を見ると7月に一回電気ショックでピクリと動いたけどまたナマコ相場になっているという図の方が多いような気がしますが、先般超長期後半輪番減額100億円ぽっちで盛大に瞬間動いたのでまた改善するかもしれませんな(棒読み)。
それからまあさすがにこの前やってアレだけ動いたから昨日はやらんかと思ってはいたものの(本当)、案の定超長期輪番は昨日はいじって来ませんでしたな。
でもって本日は月末恒例のオペ日程発表ですけれども、今回は超長期の25年超に関してはさすがに500億円をレンジの下限にするって訳に行かないでしょうから、100億円を下限にするというのが本命でしょうけれども、ここで月4回にすると中々面白くて、月4回で10−25を1800→2000にして、25−40を500→600にするとあら不思議。超長期前半がなんと月に1000億円も減額できますわよ奥様、というのが出来そうにも思えますが、同じ手を2か月連続でやるとさすがにメディアも報道の仕方を考えてくると思うのでお勧めはしないけど面白いので推奨(何という無責任)。
まあ為替も株も今の情勢が日銀ニッコリの展開なので、ここは減らし時ではあるので意表をついて中期とか長期を減らしても良いとは思うのですが、あんまりアグレッシブと言われると困るでしょうから穏便に来るんでしょうな。
あと、日程公表しないというのも選択肢としてはあるんですけれども、それよりも減額する方が本質的な話ではあるとおもうので、まあそっちは減額しないんだったら程度に思いますです。そもそも回数が大杉栄だし、入札の翌日に当該ゾーンの輪番オペってどう見ても日銀引き受けです本当にありがとうございましたという奴なのですから、大概に是正すべき話だと思いますけどね。
〇FOMC会見のパウエルさんの説明は前任や前々任とは雰囲気が違ってこれはこれで味わいがある件について
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180926.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference
September 26, 2018
会見の部分ももう出ているのですが、本日は冒頭説明部分だけで勘弁していただきとう存じます。
・対外アピールの工夫というか何というか
『CHAIRMAN POWELL: Good afternoon, everyone. Thanks very much for being
here. I am going to start with an overview of how my colleagues and I see
the economy, what we decided today, and a bit about our expectations for
the months ahead.』
ということで始まるのですが、
『Our economy is strong. Growth is running at a healthy clip. Unemployment
is low, the number of people working is rising steadily, and wages are
up. Inflation is low and stable. All of these are very good signs. Of course,
that’s not say that everything is perfect.』
とまあここまでは普通に従来の方々でも言いそうですが次が味わいがある。
『The benefits of this strong economy have not reached all Americans.』
まだスラックがあるとか、まだ賃金の伸びが弱いとかいうのではなくて、「all
Americans」をスコープした言い方を最初から持ってくるのはパウエル節なのか政治圧力を意識せざるを得ないためなのか。いずれにせよ面白いですなと思いましたよいきなりここで。
『Many of our country’s economic challenges are beyond the scope of the
Fed, but my colleagues and I are doing all we can to keep the economy strong,
healthy, and moving forward. That is the best way we can promote an environment
in which every American has the opportunity to succeed.』
全ての問題に対処はできないけど、FEDが「an environment in which every
American has the opportunity to succeed」をプロモートするように努力している、とかこういう政治性というか一般向けを強く意識した言い方をする(せざるを得ない)のは従来とは一味違う(今までの人もこの手の話を全くしなかったという訳ではないが、こうやって頭からぶちかましてくるという感じはあまり無かった)ですな。
しかも・・・・・・・・
『Each time my colleagues and I meet, we face the same question: How can
we set policy to best support job growth and low, steady inflation? For
many years, this question called for very low interest rates to help an
economy that had been damaged by the deep financial crisis that gripped
the world 10 years ago. As the economy has steadily gained strength, the
Fed has been gradually returning interest rates closer to levels that are
normal in a healthy economy. We took another step on that path today, with
a quarter-point increase in short-term interest rates. These rates remain
low, and my colleagues and I believe that this gradual return to normal
is helping to sustain this strong economy for the longer-run benefit of
all Americans.』
と、ここでの説明の最後にも「benefit of all Americans」とか入れているのがチャーミング。
でもって更に、
『As I mentioned, 10 years have now passed since the depths of the financial
crisis--a painful part of our history that cost many Americans their jobs,
their homes, and, for some, their hopes and dreams.』
とか続けていまして、政策の中身の説明の前に延々とこの演説がある、というのは今までの方々との違いという感じですな。以下一応引用しておく。
『In addition to holding interest rates low to support the recovery, we
have also taken many steps to make the financial system safer. In particular,
we are holding the largest banks to much higher standards in the amount
of capital and liquidity they hold, and in the ways they assess and manage
the risks they take. I am confident that the system today is stronger and
in a far better position to support the financial needs of households and
businesses through good times and bad. We continue to work to sustain these
fundamental improvements while also ensuring that regulation is both effective
and efficient.』
基本的には大勝利宣言チックな説明にはなっています。
『Now, let me go into more detail about the developments that motivated today’s policy decision.』
2ページ目中段に入ってやっと政策の説明になる(なお冒頭説明は3ページと少々)。
・経済雇用物価情勢の説明が先に入ります
『Both household spending and business investment are expanding briskly,
and the overall growth outlook remains favorable. Several factors support
this assessment: Fiscal policy is boosting the economy, ongoing job gains
are raising incomes and confidence, and overall financial conditions remain
accommodative. These conditions are consistent with our Summary of Economic
Projections for this meeting. The median of Committee participants’ projections
for the growth of real GDP is 3.1 percent this year and 2.5 percent next
year.』
まずは経済の現状の説明とSEPの成長見通しの説明をしていますが、まあ強いですねというのと、財政の話は引き続き行っていますなという感じで。
『Job gains averaged 185,000 per month over the last three months, well
above the pace needed in the longer run to provide jobs for new entrants
to the labor force. The unemployment rate stood at 3.9 percent in August,
and has been near that level since April. Smoothing through month-to-month
variations, the labor force participation rate remains about where it was
in late 2013--a positive sign, given that the aging of our population is
putting downward pressure on participation. We expect the job market to
remain strong. And the median of Committee participants’ projections for
the unemployment rate later this year is 3.7 percent, and a bit lower than
that in 2019.』
イエレン議長はSEPの説明は独立して行っていましたが、パウエルさんは各項目の話にSEPの説明を入れているのは違いますな。労働市場に関してはパーティシペーションの話を毎回しております。
『Overall consumer prices, as measured by the price index for personal
consumption expenditures (PCE inflation), increased 2.3 percent over the
12 months ending in July. The core price index, which excludes the prices
of energy and food and tends to be a better indicator of future inflation,
rose 2 percent over the same period.』
『The FOMC seeks, and expects to see, inflation remaining near our 2 percent
longer-run objective on a sustained basis.』
でもって次が物価ですがどう見てもマンデート達成です本当にありがとうございました。
『At any given time, inflation may be somewhat above or below 2 percent.
For example, the recent rise in oil prices has pushed inflation a little
above 2 percent, but we expect this to be transitory, as is reflected in
our projections. The median projections for both the overall and core inflation
measures remain very close to 2 percent across the whole projection horizon.
』
ということで物価もマンデート達成継続の見通しですからこれは大勝利。
・利上げの説明があっさり味なのは「予想通りのパスなので予定通り利上げしました」だからでしょうな
続いて金利引き上げに関して。
『Today the Committee raised the target range for the federal funds rate
by 1/4 percentage point, bringing it to 2 to 2-1/4 percent. This action
reflects the strength we see in the economy, and is one more step in the
process that we began almost three years ago of gradually returning interest
rates to more normal levels.』
とありまして(昨日引用しましたが)この後に“the stance of monetary policy
remains accommodative.”を削除した件の説明がありますけど、ここにありますように、今回の決定は「one
more step in the process that we began almost three years ago of gradually
returning interest rates to more normal levels」となっていますので、政策金利の水準はまだnormalの前段階であって、accommodativeである、という事になると解釈すべきだと思うのよね。ただ一方で現状及び見通しがどう見てもマンデート達成なのだから、政策スタンスはaccommodativeである必要はないので削除、でもって水準がaccommodativeなのの修正については急ぐ必要はないけど引き続きやっていきますよ、というのが今回のメッセージだと思うので、利上げ打ち止め示唆ヒャッハーと言って喜ぶのはどうかと思うし、大体からして成長率が長期ロンガーランに収斂していくという見通しになっている中で政策金利見通しを中立金利よりも大きく逸脱させた予想を出すのは整合性取れないから打ち止め予想になるの当たり前じゃんと思うんだが、こうなってくるとドットチャートの弊害が出てくるわなと思う、というのは昨日も申し上げた通りです。
『Looking ahead, today’s projections show gradual interest rate increases
continuing roughly as foreseen in June. The median of the participants’
views on appropriate policy through 2020 are unchanged since the June meeting.』
微妙に「打ち止め時の金利」の意見が割れて来てはいますがそこはスルーしてますな。
『These projections play an important role in our work.』
ほう。
『My colleagues and I believe it is useful to communicate our views on
likely prospects for the economy and for policy.』
とはいうものの、経済見通しは兎も角中立状態になった後の金利見通しというのはどうかと思う。
『We are well aware, however, that the economy regularly surprises, and
that even the most carefully constructed projections are highly uncertain.
The projections about the appropriate path of policy assume that the economy
evolves broadly in line with the projections for growth, unemployment,
and inflation. If the economy were instead to falter, lower interest rates
would be appropriate. Conversely, if inflationary pressures were to rise
more than expected, higher interest rates would be appropriate. Right now,
as our statement indicates, risks to the economic outlook appear roughly
balanced.』
まあ一般的な話をしていますが、「見通し通りに行っているので淡々と利上げしましたよ」というお話もしてますな。
・昨日引用した部分の再掲になります
その次がこれです。
『Readers of the FOMC statement likely noted that the Committee dropped
a sentence that indicated that “the stance of monetary policy remains
accommodative.” This change does not signal any change in the likely path
of policy; instead, it is a sign that policy is proceeding in line with
our expectations. We still expect, as our statement says, “further gradual
increases in the target range for the federal funds rate,” and this expectation
is reflected in the projections that I just discussed.』
経済物価情勢がin line with our expectationsだから削除しました、ということで、つまりは先ほど申し上げたようにマンデート達成状態なのに緩和スタンスはおかしいじゃろという話で、それを外すチャンスだったということなんでしょうな、うんうん。
『Thanks very much. I’m happy to take your questions.』
ということで、最初のメッセージ部分が長かったのですが経済物価情勢とか政策とかの説明が超あっさり味という感じでした。
2018/09/27
お題「FOMCである」
気が付けばもう半期末だし今年も4分の3が終了することに震えるアタクシ(−−;
〇FOMC声明文は「緩和的」削除以外は実質全文一致で利上げとな
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20180926a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20180801a.htm(前回)
と思いっきり出オチしておりますが、まあそうは言いましても確認はしておきましょう。
・第1パラグラフ:現状認識部分事実上全文一致
全部まとめてだと長くなって比較しにくいのでぶつ切りにはします。
『Information received since the Federal Open Market Committee met in August
indicates that the labor market has continued to strengthen and that economic
activity has been rising at a strong rate. 』(今回)
『Information received since the Federal Open Market Committee met in June
indicates that the labor market has continued to strengthen and that economic
activity has been rising at a strong rate.』(前回)
8月とまるで同じ認識。
『Job gains have been strong, on average, in recent months, and the unemployment
rate has stayed low. Household spending and business fixed investment have
grown strongly.』(今回)
『Job gains have been strong, on average, in recent months, and the unemployment
rate has stayed low. Household spending and business fixed investment have
grown strongly.』(前回)
強い認識のままですな。
『On a 12-month basis, both overall inflation and inflation for items other
than food and energy remain near 2 percent. Indicators of longer-term inflation
expectations are little changed, on balance.』(今回)
『On a 12-month basis, both overall inflation and inflation for items other
than food and energy remain near 2 percent. Indicators of longer-term inflation
expectations are little changed, on balance.』(前回)
物価についても大勝利の認識ですし、あとでネタにしますがSEPでの物価見通しも前回同様に大勝利の香り漂うものとなっています。
・第2パラグラフ:先行き見通しも同じでして
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster
maximum employment and price stability.』(今回)
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster
maximum employment and price stability.』(前回)
最初の護符のようなものはいつも同じ。
『The Committee expects that further gradual increases in the target range
for the federal funds rate will be consistent with sustained expansion
of economic activity, strong labor market conditions, and inflation near
the Committee's symmetric 2 percent objective over the medium term. Risks
to the economic outlook appear roughly balanced.』(今回)
『The Committee expects that further gradual increases in the target range
for the federal funds rate will be consistent with sustained expansion
of economic activity, strong labor market conditions, and inflation near
the Committee's symmetric 2 percent objective over the medium term. Risks
to the economic outlook appear roughly balanced.』(前回)
徐々に利上げしていくことの正当性についての文言と、リスク認識がバランスというのも同じ、というかこのパラグラフは完全全文一致。
・第3パラグラフ:金融政策スタンスが緩和的であるという文言を削除した訳ですが
『In view of realized and expected labor market conditions and inflation,
the Committee decided to raise the target range for the federal funds rate
to 2 to 2-1/4 percent.』(今回)
『In view of realized and expected labor market conditions and inflation,
the Committee decided to maintain the target range for the federal funds
rate at 1-3/4 to 2 percent. The stance of monetary policy remains accommodative,
thereby supporting strong labor market conditions and a sustained return
to 2 percent inflation.』(前回)
ということで、今回は「The stance of monetary policy remains accommodative」が抜けたのですが、これを物凄くハト派的に無理くり解釈すると「FEDは政策金利水準が緩和的な水準ではないと表明したので、利上げ打ち止めが近いぜヒャッハー」となりますが、SEPで示されている中立金利水準はもうちょっと上ですし、ドットチャートも割と来年の利上げがやる気元気井脇になっていますので、まあさすがにここの文言をドロップさせたからと言って利上げ打ち止めとか言い出すのは無理があると思います。あと、これドロップさせた後半には「sustained
return to 2 percent inflation」というのもあるのですが、一方で見通しの方を見ると物価って先行きずーっと2%の所になっていまして(ここの文言はセット販売になっているからあまり変な読み方しない方がよいとはおもいますが)、文言ドロップによって2%達成しましたぜヒャッハーと言っている、とも言えるのではなかろうかと。
ちなみに会見冒頭ステートメントでは(PDF出てくるのが遅かったのでまだちゃんと読めてないんですが)、最後の部分でパウエル議長このように説明しています。
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180926.pdf
『Readers of the FOMC statement likely noted that the Committee dropped
a sentence that indicated that “the stance of monetary policy remains
accommodative.” This change does not signal any change in the likely path
of policy; instead, it is a sign that policy is proceeding in line with
our expectations. We still expect, as our statement says, “further gradual
increases in the target range for the federal funds rate,” and this expectation
is reflected in the projections that I just discussed.』(上記URL先のFOMC後会見より)
緩和的云々の文言削除は「政策が我々の想定通り進んでいる」というサインであって、先行きの金融政策に関しては引き続き「さらなる緩やかな金利引き上げ」を見込んでいます、だそうですな、まあ当然ですが。
でもって今回は何せ現状判断文言と先行き判断文言(1パラと2パラ)の変更を事実上全然行わないで利上げしていますので、それはつまり「想定通りに経済が進んでいるので予定通り利上げしましたよ」ということでもありまして、パウエル議長の上記の説明と同じメッセージになっている、とまあそんな感じではないでしょうか。
・第4パラグラフ:これまた全文一致
このパラグラフは毎回全文一致モードなのでここが全文一致はあまり驚かない。
『In determining the timing and size of future adjustments to the target
range for the federal funds rate, the Committee will assess realized and
expected economic conditions relative to its maximum employment objective
and its symmetric 2 percent inflation objective. This assessment will take
into account a wide range of information, including measures of labor market
conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations,
and readings on financial and international developments.』(今回)
『In determining the timing and size of future adjustments to the target
range for the federal funds rate, the Committee will assess realized and
expected economic conditions relative to its maximum employment objective
and its symmetric 2 percent inflation objective. This assessment will take
into account a wide range of information, including measures of labor market
conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations,
and readings on financial and international developments.』(前回)
今後の政策運営においては状況を見ながらやっていきますよ、という大体お経のような文言ですな。
・第5パラグラフ:全員賛成ですな
『Voting for the FOMC monetary policy action were: Jerome H. Powell, Chairman;
John C. Williams, Vice Chairman; Thomas I. Barkin; Raphael W. Bostic; Lael
Brainard; Richard H. Clarida; Esther L. George; Loretta J. Mester; and
Randal K. Quarles.』(今回)
『Voting for the FOMC monetary policy action were: Jerome H. Powell, Chairman;
John C. Williams, Vice Chairman; Thomas I. Barkin; Raphael W. Bostic; Lael
Brainard; Esther L. George; Loretta J. Mester; and Randal K. Quarles.』(前回)
今回からクラリダさん参加。
ということで、まあ見事に全文一致モードの中での利上げということですので「予定通り、問題なし(キリッ)」という感じでしょうか。
〇SEP:2019年のドットは相変わらず市場よりも上なのですがさてどうなるやら
今回
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20180926.pdf
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20180926.htm
前回6月
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20180613.pdf
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20180613.htm
・成長率見通し(手抜きの為中央値で勘弁、左から2018、2019、2020、2021(新設)、ロンガーラン)
Change in real GDP 3.1 2.5 2.0 1.8 1.8
June projection 2.8 2.4 2.0 n.a. 1.8
今年の数字が若干上がっているのですが、その先についてはそんなに上がっていなくて、2021年には潜在成長率並みの成長という巡航速度になりますってDSGEモデルで回して予想しましたっぽい数字になっているのは美しい。
・失業率見通し(数字の内訳は同様です)
Unemployment rate 3.7 3.5 3.5 3.7 4.5
June projection 3.6 3.5 3.5 n.a. 4.5
こちらはロンガーランを下回る水準が延々と続く、ということなのですが、その次にありますように物価は横ばいなのでして、実は自然失業率の推計がおかしいのではないかという気が思いっきりするのですけれども、まあ最近これで出てくるのが仕様なのであまり驚かない。
2021年の失業率が若干上がっていますが、それでもロンガーランの4.5%よりも低いんですよねー。
・物価見通し
PCE inflation 2.1 2.0 2.1 2.1 2.0
June projection 2.1 2.1 2.1 n.a. 2.0
どう見ても大勝利宣言です本当にありがとうございました。
・FF金利見通し
Federal funds rate 2.4 3.1 3.4 3.4 3.0
June projection 2.4 3.1 3.4 n.a. 2.9
まず中央値だけを見ますと、前回とほぼ同じですなあとか、2021年は2020年から横ばいですなあとか、ロンガーランがほんのちょっとだけ上がっているじゃんというのがありますが、これはドットチャートを見た方が良かろうという感じなのでそれを鑑賞するとちょっこすイメージが微妙に変化する。
ドットチャートを見ますと・・・・・・・・・
2018年:
年内利上げ回数で
利上げ無し:4名
あと1回:12名
となっていて、4名も利上げなしがいるのかとは思う訳ですが、そうは言いましても6月時点では年内利上げ1回以内(=今回までで打ち止め)というのが7名で2回が7名(+3回という変態が1名)いましたので、まあこの程度のハト派がいるのはこんなもんでしょう(なお人の入れ替わりがあって全員同じ人ではないことは留意が必要)。
2019年:
まず最初に再確認しておくと、絶対利上げ反対マンという変態仮面ブラード総裁というのがいて、この人はロンガーランの数字も出さないでドットプロットは常に「今の金利から梃子でも上げない」という人なのでこの人は基本的に変態仮面扱いであんまり数に入れないで考えます。
でもって2019年年末の水準として札が多く入っているのは、
2.75-3.00%:4名
3.00-3.25%:4名
3.25-3.50%:4名
となっていて、これを年内あと1回利上げの所からスタートさせるとそれぞれ来年の利上げ回数が2回、3回、4回となりますので(実際には来年5回という変な人がいて、一方で今年利上げ無しの人の中で来年3回(だから今年と来年年3回ということか)という人がいるのですが)、市場の織り込みが来年はたぶん2回となっていまして、それよりは強いという感じです。
・・・・・・とは言いましても、この分布自体は前回のSEPでも概ねこんなもんだった(人の出入りを勘案するとほぼ変わっていないといっても良さそう)ので、FOMC的には前回と同じ見通しを出しているという感じで、「2018年の年内あと1回率の高まり」というのがまあ言えそうです。
2020年:
こちらの数字は割と味わいがあって、ドットチャートのこぶになっているのが、
3.00-3.25%:4名
3.50-3.75%:6名
となっています。前の所からの推移でみると、「来年2回」と言っている人は「再来年1回」に移行している感じで、来年3回の人が「再来年1回」と「2回」に半々に割れて、来年4回の人は「再来年1回」となっているという数字になっています。
前回の場合は、このこぶが3.25-3.50と3.50-3.75の所に並んであったので、「中立金利よりも若干高い所で止める」意見がちょっこす割れてきたような感じがして味わいがあるなあと思いましたです(メディアンは同じだけど)。
2021年:
2021年の経済物価見通しだと成長率は中立、失業率は中立より低くて物価は2%マンデート達成となっていますので、2020年から横なのかなと思ったらさに非ずというのも味わいがあって、2021年のドットを見ると2020年からは政策金利を「引き下げる」という人と「横ばい」の人と「引き上げの人」が入り乱れている感じになっていますが、全体的にみると「2020年からはちょっと下げます」という人がやや多くなっています。
中央値は3.4%になっていて2020年から横ばいなのですが、子細に見るとそんな感じになりますので、そらまあ中立金利より上げた状態になっていたらいずれ中立金利へということになりますので、そういう数字になるのは順当ちゃあ順当ですけれども、イメージとしては「巡航速度にもっていったら若干中立金利に近づけてみましょう」みたいなイメージをもっているんでしょうなという(表現が下手ですいません)感じです。
ロンガーラン:
これ人の入れ替わりの影響がありそうですが、基本的には2.50-3.00の間に収斂してきたなあというイメージで、さらに言えばやや低めの人が上がってきて、概ね3%行くか行かないかというのがロンガーランの金利ですよ、という話になったということでしょうな。
ということで声明文が変更無し無しの利上げだったのでプロットを何となく真面目に見てしまいましたが、このプロットも何かコミュニケーションツールとしてどうなのよという感じがする(当初はこれがある種時間軸ガイダンスみたいな感じだったけれども、マンデート達成して中立スタンスになったら先行きのガイダンスとか出さない方が却って無難だと思うので)のですけどどうでしょう。
#その他もろもろネタは明日ということで勘弁、なお本日は中期超長期輪番ですな。
2018/09/26
お題「7月決定会合議事要旨鑑賞会」
さてどうなるのでしょうかねえ。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180926/k10011643871000.html
東京五輪・パラ きょうからボランティアの募集
2018年9月26日 4時03分
〇7月会合議事要旨が出ましたが何と申しますかですなあ・・・・・・・・
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2018/g180731.pdf
政策委員会金融政策決定会合議事要旨(2018年7月30、31日開催分)
・経済物価情勢の点検部分から
例によって例のごとく執行部報告の辺りは全部スルーしまして、『U.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要
』の途中から参ります。
海外の所は特におもろい話があるわけでもないのでパスしますが、しらっとそのあとのところに、
『わが国の金融環境について、委員は、きわめて緩和した状態にあるとの認識で一致した。委員は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで、企業の資金調達コストはきわめて低い水準で推移しているほか、大企業、中小企業のいずれからみても、金融機関の貸出態度は引き続き積極的であるとの見方を共有した。』
積極的なあまりに不動産関連いやなんでもないです。
『この間、何人かの委員は、わが国の国債市場では、このところ長期金利の変動幅がさらに縮小し、取引高の減少傾向が目立っていると指摘した。』
というのが一応入っていて、政策見直しの背景を説明していますという感じですな。
『以上のような海外の金融経済情勢とわが国の金融環境を踏まえて、わが国の経済情勢に関する議論が行われた。』
ということですが、全体感としては、
『わが国の景気について、委員は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大しているとの見方で一致した。何人かの委員は、わが国の実質GDP成長率は、1〜3月に9四半期ぶりのマイナスとなるなど、一時的に足踏みしたが、4〜6月はプラス成長に復する蓋然性が高いとの見方を示した。』
『ある委員は、マクロ的な需給ギャップが改善を続ける中、最近では、供給制約の強まりを意識して、原材料や部材の前倒し発注や在庫の積み増しを図る企業が増えてきていると述べた。』
そうなの?
『別のある委員は、当面の不確実な要素として、7月の豪雨や全国で続く記録的な猛暑が景気に与える影響に留意する必要があると述べた。』
まあこれは良いとしまして、次が需要項目の話になりますが、途中をすっ飛ばして雇用と消費の辺りでも。
『雇用・所得環境について、委員は、労働需給は着実な引き締まりを続けており、雇用者所得もこのところ伸びを高めているとの認識を共有した。』
アタクシの(以下自主規制)。
『複数の委員は、6月短観の雇用判断DIや、最近の失業率等の動きをみると、引き続き、人手不足感は強まっていると述べた。ある委員は、今後ともパートの賃金上昇が続いていけば、中小企業や若年層を中心に、正規雇用者の賃金にも波及していくとの見方を示した。』
『そのうえで、この委員は、こうした動きは既に外食等でみられ始めており、今年の春闘でも、大企業に比べて中小企業のベースアップ率の高さが目立っていたと指摘した。』
何っつーかホンマカイナという感じではあるのですが、この賃金への波及ってのもそれが恒常的な所得増加期待に繋がらないのであれば、その意味するところは小さいのではないかという気がせんでもないわけですよ。昔と違って先行き給与がまあ何となく増加するだろうなあという(漠然としたものであっても)ある種コンセンサスみたいだった時(アタクシが小僧の時代)と現在とでは若い衆の財布の紐の締まり具合って圧倒的に違う(まあワシらおよびそれ以上の世代がザルだっただけですが)と思うのよね。
なお昨日は狙ったかのように(というか狙ってるんでしょうが)スタッフペーパー(というかメモというか)というのが出ておりました(たぶんネタにしている暇がないので詳しくは下記URL先を見てちょということで)。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab18j04.htm/
失われた賃金インフレ?:賃金の下方硬直性と自然失業率の推計
岩崎雄斗、武藤一郎(日本銀行)、新谷元嗣(東京大学)
『個人消費について、委員は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加しているとの認識を共有した。先行きの個人消費について、委員は、雇用者所得の増加や株価上昇による資産効果に加え、耐久財の買い替え需要にも支えられて、緩やかな増加傾向を辿るとの見方で一致した。』
ここの実感が全然ないんですがそれはアタクシのせいですかそうですか。
『ある委員は、雇用者所得が着実に増加する中、個人消費も徐々に加速していくと期待しているが、わが国では、高齢者比率が高いこともあって、米欧に比べ、所得増加に対する消費の感応度が低いことには留意を要すると指摘した。』
>所得増加に対する消費の感応度が低い
>所得増加に対する消費の感応度が低い
>所得増加に対する消費の感応度が低い
いやまあそうでしょうなとは思いますが、QQEぶっこんで最初の数年ってやたらめったら「賃金動向が重要」ということを話していまして、QQE2だってあれは翌年の春闘というか定例給与改定時期を前にしてインフレ期待が下がられると困るから追加緩和した、という説明になっていたのに、物価目標が全然行かなくなってくるころになって何を今更感は拭えないのであります。
・ということで展望レポートの検討部分に
『2.経済・物価情勢の展望 』である。最初は成長率の話なのでスルーして物価の話、というかほぼ物価の話しかしていないのだが、元々この会合では「物価が上がらないことに関する詳しい討議が行われるでしょう」とか最初の方はそういう話だったんですな思い出せば(そのあとの時事通信砲が全部持って行ってしまいましたが)。
『続いて、委員は、わが国の物価情勢について議論を行った。まず、経済・雇用情勢の改善に比べて物価が弱めの動きを続けていることについて、委員は、その背景には、基本的には、長期にわたる低成長やデフレの経験があるとの認識を共有した。』
つまりインフレ期待に直接働きかける政策に失敗したと。
『何人かの委員は、実体経済の強さに比べて賃金・物価が上がりにくいという現象は主要先進国に共通しているものの、わが国では特にこれが顕著であり、その背後には、こうした日本特有の経験が大きく影響しているとの見方を示した。』
『そのうえで、委員は、1990 年代後半の金融危機以降、長く厳しい調整局面を経て、日本経済には、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が組み込まれているとの認識で一致した。
要するに適合的期待形成ですな。
『この点に関し、多くの委員は、企業の賃金設定スタンスがなお慎重であり、正規雇用者を中心に本格的な賃金上昇に時間がかかっているとの見方を示した。複数の委員は、賃金上昇の鈍さに加え、先行きの経済成長や社会保障制度に対する慎重な見方などから、家計の節約志向は根強く、値上げに対する許容度の高まりは遅れていると述べた。何人かの委員は、こうした状況のもとで、企業は、慎重な価格設定スタンスを維持していると指摘した。』
そらおめー賃金の恒常的な上昇がビルトインされていない状況でちょっと給与が上がったからって言ってすかさずヒャッハーって支出するかよと思いますし、教育関連費用って信じがたいほどのインフレになっているし(国公立大学の授業料を見ただけで卒倒しそうになる)、年金支給開始年齢がどうのこうのとか生涯現役とか言われるように、年寄りになっても働けとか言われる中で誰が財布の紐ホイホイ緩めますねんということでして、なんかこう金融政策でヒャッハーみたいな話では如何ともし難いものが色々とあると思うの。
『こうした要因に加え、何人かの委員は、わが国の企業は、非製造業を中心に生産性引き上げの余地が大きいほか、近年のデジタル技術の進歩も、生産性向上に向けた取り組みを促進していると指摘し、こうした状況が、企業によるコスト吸収と慎重な価格設定を可能にしている面があると述べた。また、多くの委員は、労働力が弾力的に供給されていることも、賃金の上昇ペースを抑制していると述べた。このほか、何人かの委員は、近年のインターネット通販の拡大等によって、流通業を取り巻く競争環境は一層厳しさを増しており、これが、消費者の低価格志向とも相まって、物価の下押し要因になっていると述べた。』
この辺は展望レポートで言い訳していた奴ですな。
『一方、他の何人かの委員は、通販の拡大や公共料金・家賃の鈍い動きは、特定部門に固有のいわゆる「部門ショック」であると指摘し、これらは短期的な物価下落要因とはなり得るが、長期的には、人々の実質所得を増加させ、他のサービス等への需要を高めることになるため、その影響は次第に減衰していく性質のものであるとの見方を示した。』
個別物価と一般物価を混同した議論である(キリッ)って話は出てこないのかよ(影響が出ることは認めているので)。
『次に、委員は、先行きの物価動向について議論を行った。ある委員は、団塊の世代が
70 歳代に差しかかり、労働参加の高まりによる賃金抑制効果も限界を迎えることになるため、早晩、非正規を中心に賃金上昇率は加速してくるとの認識を示した。』
とてもそんな気はしないし、海外からの労働者移入に物凄い勢いで熱心な現政権をみていると益々そういう話にはならんと思う。五輪もボランティアだしさ。
『何人かの委員は、既に外食等でみられるように、今後は、コストプッシュ圧力を企業内で吸収できず、販売価格に上乗せする動きが拡がっていくとみられると述べた。』
まあその分節約するだけですけどね!
『また、複数の委員は、非正規の賃金水準の高まりは、正規雇用者にも波及していくと見込まれるほか、それが家計の値上げ許容度の高まりに繋がれば、企業による値上げがより受け入れられやすくなると指摘した。』
この辺の議論が全体的にホンマカイナ感が非常に強いんですけど。
『こうした議論を経て、大方の委員は、景気の拡大基調が続き、プラスの需給ギャップが維持される中、企業の慎重な賃金・価格設定スタンスや家計の節約志向など、これまで物価の上昇を遅らせてきた要因の多くは、次第に解消していくとの見方を共有した。』
企業のスタンスにしても家計の節約にしても、現在の状況が持続的であって、先行きの恒常所得期待が高まるっていう期待が盛り上がらないような状態なので難しいんちゃいますかねえ。
『もっとも、何人かの委員は、長年にわたって醸成されたデフレマインドの転換には相応の時間を要するほか、現実の物価に影響を受けやすい人々の予想物価上昇率が、急速に上昇することも考えにくいため、先行き、物価上昇ペースは緩やかなものにとどまる可能性が高いとの考え方を示した。』
まあそうでしょうな。
・展望レポート的な物価先行きの結論は
『以上のような議論を踏まえ、大方の委員は、先行き、企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化し、中長期的な予想物価上昇率も徐々に高まってくるとみられることから、消費者物価の前年比は、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくとの見方を共有した。』
除く片岡さんな。
『もっとも、これらの委員は、2%の実現には、これまでの想定より時間がかかる見込みであり、2018
年4月の展望レポートの見通しと比べても、見通し期間の物価上昇率は、下振れているとの認識で一致した。』
『さらに、委員は、消費者物価の前年比が2%に向けて上昇率を高めていくメカニズムを、一般物価の動向を規定する要素に基づいて改めて整理した。』
展望レポートの時にも同じツッコミをしたような気がしますがまた読みますか。
『まず、マクロ的な需給ギャップについて、大方の委員は、労働需給の着実な引き締まりや資本稼働率の上昇を背景に、プラス幅を拡大しているとの認識で一致した。先行きについても、大方の委員は、わが国経済が緩やかな拡大を続けるもとで、需給ギャップは
2018年度にプラス幅をさらに拡大し、2019 年度から 2020 年度についても比較的大幅なプラスで推移するとの見方を共有した。』
でもってその次の期待インフレの話。
『また、中長期的な予想物価上昇率について、大方の委員は、先行き上昇傾向を辿り、2%に向けて次第に収斂していくとの認識を共有した。』
はいはい大本営大本営、というかそもそも物価上昇率2%って何なんでしょという話でもあるんですけどね。
『その背景として、これらの委員は、@「適合的な期待形成」の面では、需給ギャップの改善に伴い、実際に価格引き上げの動きが拡がっていけば、これが、現実の物価上昇率の伸びを通じて、予想物価上昇率を押し上げていくと期待されること、A「フォワードルッキングな期待形成」の面では、日本銀行が「物価安定の目標」の実現に強くコミットし金融緩和を推進していくことが、予想物価上昇率を2%に向けて押し上げる力になると考えられることを指摘した。』
後者のAに関しては5年以上出来ていないものをなぜできると思うのかと問い詰めたいのだが、それを否定してしまうと話の土台が崩れてしまうので、ご神体の如く奉らないといけないというこの残念な状況。
『こうした見方に対し、一人の委員は、今後、需給ギャップのプラス幅が一本調子で拡大するとは見込みにくく、予想物価上昇率も弱めの動きを続けていることから、現状の政策のもとでは、2%に向けて物価上昇率が徐々に高まる可能性は低いと述べた。』
これは明らかに片岡さんなのですが、この片岡さんの反対意見にも味わいがありまして、片岡さんここでの反対の中に期待インフレは金融政策で頑張ってもそれだけでは上がらないという成分は入れていないというのが大変に味わいがある訳で、そらまあ置物先生一派のマネタリーベース直線一気理論ってマネタリーベースを直線一気で期待インフレ率が上がるってのをベースにしていますので、ここで片岡さんが物価見通しに反論する際にも、期待インフレは追加緩和をすれば上がるという理論を持ち出すしかない訳でして、そら追加緩和しろと言ってもスカタンな提案しか出てこないで提案芸人になるわな、というところですな。
『この間、ある委員は、展望レポートなどでは、物価は、経済全体の需給ギャップや中長期的な予想物価上昇率といったマクロ的な要因によって決定されると整理しているが、人々の間では、個別価格の影響やインターネット通販の拡大等の部門ショックに基づく説明も根強くみられると述べた。』
これジンバブエ先生じゃないかと思うのですが・・・・・・・・・・・
『そのうえで、この委員は、こうした認識のギャップを埋めるため、日本銀行としても、物価の決定メカニズムについて、丁寧な説明に努めることが必要であるとの見解を示した。』
って言ってるんだが、その前の議論でも延々と「人々の間では〜」の説明が続いていたし、展望レポートでの説明でも思いっきりそういう話になっているんですけど、これ議論をそのままうっちゃって結論を持って行ったのか、そもそも議論にならない議論だったのでスルーされただけなのかというのが興味深いですが、まあこれまでの議事要旨や金懇挨拶などを見るに後者のような気がしますけどね。
『この点に関し、別のある委員は、経済を長期的に捉えれば、需給ギャップと予想物価上昇率によって物価が決まるという考え方は妥当するが、金融政策のスコープとして数年程度の時間を意識した場合、部門ショックによる物価の変動なども無視できない影響を及ぼし得ることに留意する必要があると述べた。』
>金融政策のスコープとして数年程度の時間を意識した場合
これはまたジンバブエ先生に対していいイヤミだわと思いますし、QQE2の時だってあれ表向きの説明は原油価格の急落という部門ショックを背景にしてインフレ期待の低下を防ごうとして行ったんですよね。
でもって上ぶれ下ぶれの話はさておきまして次に行きます。
・金融政策運営に関する部分は執行部の屁理屈に思いっきり乗っかっている(2名反対あるけど)図が見えますな
『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要 』に参ります。
『金融政策の基本的な運営スタンスについて、大方の委員は、「物価安定の目標」の実現にはこれまでの想定より時間がかかるものの、2%に向けたモメンタムは維持されていることから、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが適当であるとの認識を共有した。』
モメンタムとは??(ちなみに日銀の理屈によれば需給ギャップと期待インフレです)
『多くの委員は、現在の強力な金融緩和のもとで、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態をできるだけ長く続け、2%に向けたモメンタムを途切れさせないことが、結果的に、経済や金融情勢の安定を確保しつつ、「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現することに繋がるとの認識を示した。』
まあこれ自体は理屈として成り立つのでしょうし、たぶん高圧経済アプローチみたいな吹かし方しても物価への感応度が低いとなると金融不均衡の方が先に出てくるでしょうからそれがマズイというのもわかるのですが、この「クロ的な需給ギャップがプラスの状態をできるだけ長く続け」ってのは景気の山も作らないという話になってしまいますので、それって「実感なき景気回復」が長続きするだけの結果になりゃせんかという気もする。
『何人かの委員は、強力な金融緩和をさらに継続していくためには、これに伴う副作用にも十分配慮し、その影響を可能な限り軽減すべく、政策枠組みに見直しの余地がないかどうか、点検することが必要であると述べた。』
まあ要するに今の政策だと効果と副作用のバランスが悪い(というか効果って何ですかねえとか思うけど)ので見直す、というのが本音の所であって、「需給ギャップがプラスの状態をできるだけ長く続け」とかいうのはその本音をそのままぶち込むと身も蓋も無いのでパイ仕立てにして料理してお出ししているというだけのお話ではありますな、うんうん。
『これに対し、一人の委員は、物価上昇率が伸び悩んでいる現状では、金融緩和を息長く続けるための対応ではなく、息長くならないように金融緩和自体を強化すべきであると述べた。』
これは片岡さん、理屈はその通りなのだが、今まで置物緩和政策をしていてまるでダメだったのですから、新しいアプローチで出すなりしないとただの「負けたと言わなければ負けではない」とか言いながらスッテンテンになるまでスロット回す目もガラス玉状態になっている人の戯言にしかならないのが残念なところです。
さてその続きに参ります。
・フォワードガイダンス部分の話
『こうした議論を経て、』
議論を経ているのでしょうか?????
『委員は、強力な金融緩和をさらに継続していくにあたって点検すべき課題について議論を行った。』
・・・・・・・・・。
『大方の委員は、「物価安定の目標」の実現に、これまでの想定より時間がかかることが見込まれる中にあっては、目標実現に向けた政策運営スタンスに対する信認を確保するような施策が重要であるとの認識を共有した。』
この「政策運営スタンスに対する信認を確保するような施策」ってのも何だかなあと字面を見ると改めて思う謎理屈。
『この点に関し、ある委員は、海外中銀の例にもあるような、将来に向けて政策金利を低位に維持することを約束するフォワードガイダンスを導入することを検討してはどうか、と述べた。』
いよっ!総か(爆発音の為以下聴取不能)。
『複数の委員は、物価の見通しが下振れするこのタイミングでフォワードガイダンスを導入し、目標実現に対するコミットメントを強化することは適切であると指摘した。』
物価が行かないって話を同時に出すのに「目標実現に対するコミットメントを強化」とはこれ何の判じ物????てか以前だったらその辺は「目標達成の時期がこのままだと後ずれするから追加緩和をしました、その結果見通しは変わりません」って話だったのに、そらまあ後ずれ後ずれを経ているから今更そんな説明できないのもわかるけど、さすがにこれで「コミットメントを強化」というのは図々しい。
『この間、一人の委員は、フォワードガイダンスの設計にあたっては、低金利政策の継続を約束するだけでは現状追認以上の効果があるかどうか疑問であり、むしろ、総需要やインフレ期待を刺激し、金融緩和が長期化することを食い止める内容とすることが重要であると述べた。』
これまた片岡さん、言ってることは仰せの通りだが問題は片岡さんの言うような手段が見えてこないことで、それだと意味なし論になる。
・YCCの金利変動幅拡大の話
『続いて、何人かの委員は、この先、金融緩和をさらに継続していく際は、金融市場調節や資産の買入れをより弾力的に運営するなどして、緩和の長期化に耐え得る枠組みを構築していく必要があるとの認識を示した。』
ここからは金利の話。
『ある委員は、イールドカーブ・コントロールの導入当初から、ある程度の金利変動は想定していたが、結果的に、市場における長期金利の形成は幾分硬直的になっていると指摘した。そのうえで、この委員は、「ゼロ%程度」という操作目標等の骨格は維持したうえで、実際の長期金利は、上下双方向にある程度変動しうることを示してはどうか、との意見を述べた。』
元々導入当初はもっと動くもんだという感じも漂っていたんですが、中期輪番スキップとか無謀なことをして相場が荒れた時に中途半端な輪番増額で更に火に油を注いだ挙句にいきなりインザマネーの10年指値オペを入れて鎮火させようというドタバタやったのがアカンかった。
『何人かの委員は、そうした長期金利操作の弾力化は、市場機能の維持・向上に資するとして、この意見を支持した。一人の委員は、現状より金利が幾分上昇するようなことがあっても、経済・物価への影響は限定的とみられる一方、金融仲介機能への累積的な影響の軽減と政策の持続性強化に効果が見込まれるとの認識を示した。そのうえで、この委員は、主要国の最近の長期金利の動きを参考にすると、わが国でも、±0.25%程度の変動を許容することが適切であると述べた。』
一人の委員って鈴木さんですかねえ。
『別のある委員は、イールドカーブ・コントロール導入後の金利変動幅である概ね±0.1%をベースとしつつ、上下その倍程度に変動しうることを念頭に置くことが適切であると述べた。』
その倍という意味はわからん。25の方が分かりやすい(市場の人的には)。
『これらの意見に対し、一人の委員は、中長期の予想インフレ率が弱い現時点で、長期金利が上昇しうることも許容する政策調整を行うと、実質金利が上昇し、物価の伸び悩みを助長しかねないとの見解を示した。』
まあこれは良いんですけど、次にジンバブエ節登場。
『別のある委員は、長期金利の上昇を望む市場参加者の中には、運用金利だけが上昇し、為替も株価も債券価格も動かず、企業の借入れ意欲も低下しないと期待する声もあるが、経済全体をみればそのようなことはありえないと述べた。』
えーっとすいません、これ主な意見に記載されたのと同じなのですが、主な意見の方はジンバブエ先生がお手ずから書くものですから勝手に修正できないのは分かりますけれども、議事要旨に残すほうにはせめて「債券価格」という部分は削って頂きたかったと思うのですが駄目だったんでしょうか?????
どこの世界に「長期金利が上昇して債券価格が動かない」という珍世界があるのか、証券外務員2種試験から出直して頂きたいと心の底から思うのであります。
・政策金利残高の扱いやETFのオマケ感が非常に強い件について
その次が、
『この間、ある委員は、マイナス金利導入後の経験から、現状程度の短期市場金利を維持するうえで、現在の
10 兆円規模の政策金利残高は不要であることが明らかになってきていることから、これを減額することも考えられると述べた。このほか、何人かの委員は、ETFやJ−REITの買入れについては、現在の買入れペースを維持しつつ、より弾力的に買入れを行い、政策の持続性を高めていくことが考えられるとの意見を述べた。ある委員は、ETFの買入れをより円滑に行う観点から、銘柄別の買入れ額についても見直す余地があると指摘した。』
となっているのですがこのオマケ感の強さェ・・・・・・・・・・・・・
・ガイダンス文言と金利幅の検討部分があるので鑑賞しませう
延々と引用しているだけなのですが色々と悪態ついていたら時間が無くなって来ましたのでガイダンス文言の部分と金利の部分の検討部分を鑑賞して終了しますね。
『執行部が提示したフォワードガイダンスの案について、多くの委員は、2%の実現に向けたコミットメントを強化し、政策運営に対する信認を確保する観点から適切であるとの認識を示した。この間、ある委員は、金融政策は、物価目標との関係がより明確となるガイダンスの方が望ましいとの見解を示した。』
この辺はさっきもやったのでパス。
『これに対し、別のある委員は、コミットメントの実効性確保と政策運営の柔軟性確保という、フォワードガイダンスに求められる2つの要請を踏まえると、執行部案は、現時点では、バランスのとれたものであると述べた。』
それだと強力なコミットメントにならないのですが、何でコミットメント強化になるんでしょうかという話だが、まあそこは誤魔化しているというインチキガイダンスなので致し方なし。
『ある委員は、物価見通しが下振れる中にあっては、金利を長く低位に維持することは自明であり、敢えてフォワードガイダンスを導入する意味はないのではないかと述べた。』
本当はそうです。
『これに対し、複数の委員は、わが国では、物価が弱めで推移しているにもかかわらず、事あるごとにいわゆる出口観測が高まるのが実情であり、今回のガイダンスには、こうした見方への対応としての効果も期待されるとの認識を示した。』
たぶんならないと思うし、大体からし出口云々っていうのは、海外勢は「海外中銀が出口だから」みたいなナイーブな話をするようだが国内勢からしてみたら「2%どう見ても行かないのに弊害がどんどんたまっているんだから何とかしやがれコノヤロー」ということでの出口なので、話の筋として海外にはこれで効果期待できるけど国内には違うと思う。
『続いて、多くの委員は、現在の金融緩和の持続性を強化する措置について、執行部が示した内容に沿って検討することが望ましいとの認識を示した。ある委員は、長期金利は、「上下にある程度変動しうる」とする案に賛成したうえで、金利水準が一人歩きするリスクがあることから、変動幅についての言及は慎重に行うべきとの認識を示した。』
アタクシもそう思うのですが、実際は違いましたな。
『別のある委員は、「ある程度変動しうる」という文言は曖昧で解釈の余地が大きいため、実際のオペレーション次第では、金利が必要以上に上昇しうると述べた。そのうえで、この委員は、そうした場合には、実体経済が改善したとき、国債買入れ額を増額して、長期金利をゼロ%に維持すれば緩和効果が強まるという、現在のイールドカーブ・コントロールが想定している効果を阻害するおそれがあると指摘した。』
まあその理屈も理屈としてはわかるが、実際に金利が上がって悪影響出るのですかという問題がそもそもある(というか前の方でそういう指摘をしている委員もいたわけで)。
『こうした意見を踏まえ、ある委員は、イールドカーブ導入以降の金利動向を考慮し、長期金利の変動幅として、これまでの概ね±0.1%の幅から、上下その倍程度に変動しうることを念頭に置くことが大方の委員の合意となるのであれば、本日の議長による記者会見でこれを明らかにしてはどうかと提案した。大方の委員は、これに賛意を示した。』
声明文で出さないで会見で出すってのも何だかなあとは思うけど。
『なお、ある委員は、長期金利変動幅の弾力化は、市場から利上げを意図したものと誤解されるおそれがあり適切でないと述べた。』
言いたいことはわかる。
『この点に関し、何人かの委員は、そうした誤解を防ぐためにも、経済・物価情勢等から乖離して金利が急速に上昇した場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施し、金利の安定に努めることが必要との認識を示した。』
ということで、何人かが誰なのかは知らんけど、こういうのがあったから臨時輪番やったんでしょうなあというのをお伝えするような書かれ方になっているのが味わいがあるというものです。
以下もう少しありますがアタクシの時間の方が無くなってきたのでこれで勘弁(しかも昨日は総裁講演があったのですが時間ないのでそっちも勘弁な)。
2018/09/25
お題「輪番減額雑談大会」
FOMCという大ネタ前にネタとな。
〇超長期輪番減額キタコレ
・輪番減額超長期後半100億円減額でどどーんとスティープ
金曜の債券市場ちゃんはご案内の通りですが超長期輪番減額。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180921.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,000 2018年9月25日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,500 2018年9月25日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,800 2018年9月25日
国債買入(残存期間25年超) 500 2018年9月25日
・・・・・・・・・ということで超長期25年〜の輪番が600億円→500億円に減額になった訳ですが、色々と今回は債券市場的には奇襲要素があったと思われまして、
ロイターさんから。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1W72LO
2018年9月21日 / 15:27 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落で引け、長期金利は1カ月半ぶり0.130%に上昇
このお題は大引けの時のお題ですけれども、前場引けの市況後講釈では、
『 <11:20> 国債先物は反落、20年債が昨年4月以来の0.645%を付ける
国債先物は反落で午前の取引を終えた。前日の米債高の流れを引き継ぎ短期筋からの買いが先行。中盤は日銀オペへの期待から強含みで推移していたが、日銀が「残存25年超」のオファー額を前回から100億円減額して500億円にすると、マイナス圏に沈んだ。
現物債市場では、金利に上昇圧力がかかった。40年債利回りは1.025%と昨年11月2日以来、30年債利回り0.885%と昨年10月23日以来、20年債利回り0.645%と昨年4月6日以来の高水準に上昇した。オファー減額に意外感があり、売り圧力が強まった。
長期国債先物中心限月12月限の前引けは、前営業日比9銭安の150円09銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比1bp高い0.125%と8月3日以来の水準に上昇した。』(上記URL先より)
とまあそういう訳でして、25年超の減額が出たあとは当たり前ですが超長期の後ろの方中心にヘロヘロになりまして、オペオファー後は20年1甘30年2甘みたいな感じでスティープしまして、前場引けにかけて先物や10年も下がるけど後ろは更に下がるでござるの巻。
輪番結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba180921.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 8,082 3,003 0.001 0.003 23.8
国債買入(残存期間3年超5年以下) 8,533 3,506 0.003 0.004 35.0
国債買入(残存期間10年超25年以下) 5,690 1,802 0.021 0.025 15.7
国債買入(残存期間25年超) 2,208 502 0.038 0.040 80.5
超長期前半が2.5甘平均2.1甘足切り、超長期後半が4甘平均3.8甘足切りという事で、超長期輪番の結果はまあ当然ちゃあ当然ですがうーんこのという結果になっていたようで、結局引けは
『 <15:15> 国債先物は反落で引け、長期金利は1カ月半ぶり0.130%に上昇
国債先物中心限月12月限は前日比13銭安の150円05銭と反落して引けた。前日の海外市場での米債高の流れを引き継いで買いが先行したが、日銀が午前10時10分に通告した中期・超長期を対象にした4本の国債買い入れのうち、「残存25年超」の区分で100億円の減額に踏み切ると、短期筋から調整売りが出て、マイナス圏に沈んだ。20日の20年債入札翌日、26日の40年債入札を控えるタイミングで、超長期の減額に踏み切ったことに、意外感を持って受け止めた参加者が多かった。
午後の取引では、日銀買い入れ結果が需給の緩みを映した内容だったことで、一時150円ちょうどと、中心限月ベースで8月3日以来、約1か月半ぶりの水準まで値を下げた。市場では、円安・株高に振れている局面なだけに、さらなる減額を警戒する声が出ている。
現物市場は軟調。前場に10─20年ゾーンに国内勢から押し目買いも観測されたが、午後に入ると超長期を中心に売られた。40年債利回りは同5.5bp高い1.045%と2017年11月1日以来、30年債利回りは同4bp高い0.890%と17年10月23日以来、20年債利回りは同2.5bp高い0.645%と17年4月6日以来の水準に上昇。10年最長期国債利回り(長期金利)は同1.5bp高い0.130%と8月3日以来の水準を付けた。』(さきほど引用したロイターニュースURL先より)
つーことで売買参考統計値ベースでは、金曜って先物は13銭安の150.05円ですが、2年が▲11bp(引け)で5年が▲6bp(0.5毛甘)、10年12.5bp(1毛甘)、20年0.645%(2.5毛甘)、30年0.885%(3.5毛甘)、40年1.040%(5毛甘)とか(全部単利ベースで5糸刻みに丸めています)華麗にスティープニングしてしまいましたの巻と相成りました。
まあしかし25年超100億円って月に500億円でして、それって30年国債入札の第U非価格一発でぶれる額じゃんと毎度のように申し上げる訳でして、今月はそれよりも中期と長期の輪番で掛け算スキームを使って長期なんて月額1500億円も減額したのに無反応だったじゃないですかと言いたくはなりますが、まあそうは言いましても元々超長期の後ろは買入額が月3000億円だったのが今回月2500億円になったということですから、それはもう17%削減ですよと言ってしまえばデカい額にはデカい額というのはありますけれども、まあそれよりも奇襲攻撃成分が債券市場的には強かったということでしょうな。
・債券市場的には奇襲ですわなあ
まあ市場の皆様の方が(アタクシも市場の片隅で呼吸させていただいていますが)お詳しいのでアタクシが書くのもなんですが、今回に関しては幾つか奇襲っぽい理由はありまして・・・・・・・・・・・
まずは「ゾーンは微妙に違うけど入札の翌日だった」ってのですかね。まあそもそも論から言いますと入札の翌日に輪番をやるというのは日銀引き受けとどこがどう違うのかと言いたくはなる話なので、入札の翌日とか入れるなよという話もあるのですが、マネタリーベースに残高目標があった時には国債入札の翌日に輪番を入れておかないと、後からでは買いにくくなるという問題もあった(何じゃその問題って、という話だが仕方ない)ので、入札の翌日に輪番ぶっこむというのがお約束になりそのうち日程公表するようになったので、まあこれはこれで行われているのですが、入札の翌日の輪番を増減額されてしまいますと、国債入札を入れるマーケットメーカーとしては、入札時点で見込んでいる需要が突如変化することを意味する訳ですな。
でもってそらまあ需要なんちゅうのは水準が変わったり割高割安が変わったりしたらコロコロと変わるものではあるのですが、額を決めて成行買いの当局というのがいきなり変わってしまうのは「えー」という奴でございます。でまあ今回は100億円だから確かに誤差は誤差なのですが、同じことを他の入札の時にもやられるとなると、「今後も入札翌日の輪番が減らされる可能性がある=いきなり日銀に梯子を外されるリスクがある」ということになりますので、100億円の需給ということだけではなくて、これはまあいうなれば国債入札に対するリスクプレミアムが拡大したための売り、と強引にこじつけてしまうとそういうこじつけが出来るような気がしますがどうでしょう(個人の感想です)。
あと奇襲感があったのは、これまた個人の感想ですってのが付きますけど、8月に何もしない居て。9月は前月末の回数変更からの掛け算攻撃による「実は減額なのにニュースワイヤーに減額と書かれないようにしながら減額」という隠密減額という慎重な減額を行った(まあ結果的には10年月額1500億円だから割とアグレッシブ(従来比)には減らしているのですけど)という奴でして、寧ろ8月の方が臨時輪番一発の効果で金利が落ち着いていたので、そこで減額するのかと思ったら減額しないでいたので、これはかなり慎重にやってくる、つまりは次の減額は10月頭じゃないのかねーと思っていて、しかも先週の場合は18日にも超長期の輪番があって、寧ろ20年入札前の輪番を減額してくれれば入札前に水準訂正が起きて皆さんニッコリというのもあって、もし月中に減額というのであれば18日を期待していたのではなかろうか(なおアタクシはその前あたりから相場が地蔵で日銀が地蔵だから動かなくなって市場機能の低下が云々とはなどと悪態をついていたことから分かるように、どうせ今月はなくて10月頭に何か減らしてくれるかなあ位にしか考えていませんでした)と思うので、そちらの文脈からしても市場としては奇襲って感じでございましたわな、と思うのでした。
あとそれからそれから、足元に来て米国長期金利が久々に明確な形で10年が3%に乗ってきたというタイミングでもありますので、債券市場ちゃん米国長期金利上昇をまるで気にせずだわ、ジャパンの株式市場インデックスがホイホイと上昇しているのもまるで気にせずだわという不感症ナマコ相場になっていたとは言いましても、そらまあ一応外部要因的には金利上昇材料なので、別に金利が足元で下がって居たわけでもないし、10年は0.110%-0.115%という水準で別に金利低下モードでもなんでもなく、寧ろ何で金利上がらんのじゃこのナマコめ!という風情ですので、YCCと銘打っている以上、そういう金利上昇圧力のある中で何も市場が予想している訳でもないタイミングで何かするというのもちょっこす意外という感じでしたが、まあ今回の奇襲によるご教訓的に実はこの発想も違うんじゃネーノということになったような希ガス(後述します)。
・当日の市場の反応としては金利はあがったものの株高円安で日銀大勝利
ということで突如日銀が(債券村の村民からしたら)奇襲攻撃を加えてきて超長期方面が「薙ぎ払え!」状態になってしまいまして、って絶対水準の値幅的にはそういうほどの反応ではないのですが、最近ナマコ相場の地蔵相場で値幅が全然なかったのでこれだけ動かされると相対的に見たら薙ぎ払えだし、しかも前日に20年国債入札があって、この地蔵相場で落札分フルヘッジしているマーケットメーカーとか(そもそもがこの市場状況なのでフルヘッジできんじゃろ)かなり少ないと思いますので、そらもう村民の皆さんが灯油屋のトラックに一斗缶持って並んでる所に突然火炎放射器攻撃されたようなもんですからそらアカン(ガソリン引火という程ではない、よー知らんけどな)ということで、100億円の減額でこの有様ということになったのですが・・・・・・・
https://jp.reuters.com/article/idJPL3N1W72R7
2018年9月21日 / 15:47
東京マーケット・サマリー・最終(21日)
『<外為市場>
ドル/円 ユーロ/ドル ユーロ/円
午後5時現在 112.69/71 1.1772/76 132.68/72
NY午後5時 112.48/51 1.1775/78 132.46/50
午後5時のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べてドル高/円安の112円後半。前日112円半ばの壁を上抜けたことで上昇に弾みがついたものの、リスクオンの環境下でドルと円が同時に売られているため、クロス円の上昇幅に比べてドル/円の上昇は限られた。とはいえ目線は上向きで113円台が視野に入ってきた。』(上記URL先より)
『<株式市場>
日経平均 23869.93円 (195.00円高)
安値─高値 23764.05円─23971.41円
東証出来高 20億7835万株
東証売買代金 3兆9626億円
東京株式市場で日経平均は6日続伸した。前日の米国株市場でダウが最高値を付けたことで投資家心理が好転。朝方から買いが先行した。後場は中国株の上昇や為替の円安推移などを横目に一段高となり、上げ幅を300円近くまで拡大する場面もあった。』(上記URL先より)
米国はもとよりそうですが、欧州だって直近はやや正常化バイアスっぽい情報発信が出ていたという中なので、金融政策の正常化コースってネタには反応してもよいような気がしますが、外国為替市場ちゃんでは最近ジャパンの金融調節ネタで反応するのをすっかり止めている(まあ今に始まった話ではないけど)ようでございますし、この前の掛け算スキームでの減額の場合はそもそもジャパンの債券市場は反応しなかったので為替市場が反応しようと思ってもしなかった(しかもニュースワイヤーのヘッドラインは「増額」だったし)のですが、今回は減額した上に超長期の金利が盛大に(というほどでもないが)上がっているというのに為替も株もまるでその動きを無視して、ここもとの流れを継続した結果、当日は超長期輪番を減額して日本の金利が上昇したのに円安株高と来たもんですからこれはどう見ても日銀金融市場局大勝利です本当にありがとうございましたという風情。上手いのかツキがあるのかはよくわかりませんけど、債券村の村民のうちマーケットメーカーが盛大に焼かれてしまいましたが(投資家はたぶん柔軟化が始まったのに金利が上がらなくてそろそろブーブー文句を言い出すころだし、今回は期末直前じゃないところの金利上昇だから会計的に困るというような事情も回避されてニコニコしているように思えますけれども実際はよー知らん)、他市場の反応がこれだと日銀としては無事にオペ減額いけましたで、というお話ですな、うんうん。
・となるとこれ発動基準が・・・・・・・・・
とまあそういう訳でオペ減額でナマコ市場に電気ショックが急に来たわけですが、「株高円安の流れが続いたので日銀大勝利」ということを考えてみますと、何のことはない「米国金利が上昇している時の方が輪番減額をやりやすい」ということになるのでして、えーっとすいませんあのYCCってのやっていると思うんですけど外部環境的に金利が上がりやすい方が輪番減額しやすいってナンジャソラという事になるんですが、今回のオペ減額のタイミングを見るとそうなっている、というのがまあ実務的にはよくわかるのですが、理屈の上でどうなのよというのは?????が頭の上を飛び交うのであります。
あとですね、よくよく考えてみれば(というか18日に減額とか全然想定していなかったのでよくよく考えるも蜂の頭も無いのですがアタクシの場合は・・・・・)、18日って金融政策徹底会合初日でして、別に輪番オペが入るくらいですからMPMの初日だから変更しないというのは特にないのでしょうけれども、「輪番オペを減額したら長期金利やら超長期金利やらが上昇した」ということになりますと、特に10年超の金利を下げろという追加提案をしている方もそうですし、まあそれ以外の置物一派の皆さんからMPMで何か難癖をつけられるというリスクも多分にありますなあとか思いますと、市場が全織り込みしていて減額しても全然反応しないというのであれば別でしょうが、そうでもない輪番減額というのはそれなりにリスク(何のリスクだといわれると以下自主規制という感じですが)になりますので、そらまあ避けるわなと。
てなことを考えると、輪番を隙あらば減らすけど、株安や円高にはしたくない、という観点からすればこのタイミングだったのかな(FOMC以降は状況が変わっているかもしれないのと、中間とは言え期末直前にいじられるのはそれなりに困る人もいるので)とは思うのですが、しかしYCCの理屈から言うと何だかなー(外部環境が変わっているので適正なイールドカーブの水準が変化したっていいじゃないかYCCだもの、という屁理屈は可能だけど)とは思う次第ですな。
あと、今回は「何かのお約束」化しているものを一個外してみました、という意味はあるのかも知れないとは思う所でして、何か「お約束」みたいになってしまっているものが多いと、オペの硬直化につながるという話ではあるので、そのあたりはあるのかねという気もする(個人の感想です)のだが、まあ色々と雑談ばっかりですいませんでしたという所です。
来月は超長期レンジいじるか、回数4回にするか微妙ですよね、4回にするのもありかも。
2018/09/21
お題「安倍ちゃん3選ですがゲルも善戦とな/総裁定例記者会見」
https://jp.reuters.com/article/idJPL3N1W64X7
2018年9月21日 / 01:25 /
ユーロ圏金融・債券市場=伊国債利回り上昇、ディマイオ氏が予算案で不一致なら政権離脱を表明
ま た イ タ リ ア か !!!!!
〇自民党総裁選があったのでメモでも
https://www3.nhk.or.jp/news/special/jimin_sousaisen_2018/
安倍ちゃんが勝つのが端から分かっている案件なので、今回はその前のゴリゴリ締め付けとか、その結果がどう(党員票に)出たかとかが大変に興味があったのですが。
安倍ちゃん:党員票224
ゲル:党員票181
となりましてほぼ45%をゲルが確保というのが大変に味わいのある数字で、安倍ちゃん陣営って7割くらい取ってゲルを潰すつもりでいたのにこれですかそうですかという結果で、そういや直前には2012年総裁選挙でのゲルの党員票が55%だったのを例に55%目標とかいうのが安倍ちゃん陣営方面から出ていたみたいですが、いや現職が出てその目標はねえだろという話でして、まあ大善戦にも程がある結果になって潰れるという話じゃなくなったわなとか思うのでした。
でまあこの結果を受けて安倍ちゃんが何かこう抑制的になるかというとそうはならないでしょうし、寧ろこれから負けた県連への締め付けとかおっぱじめてしまったりすると自民党の足腰ドンドン弱くなってしまいまして、いやまあそれ自体は自業自得なので勝手にどうぞなのですが、またぞろどこかの公選知事みたいなニセモノが出てきて変なブームを起こしたりしたら非常に宜しくないので、寛容と忍耐と謙虚で進んでいただけると大変ありがたいのですが、全然期待しておりません(涙)。
しかしまあ何ですな、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180920/k10011636751000.html
自民 総裁選 安倍首相3選の見通し 小泉氏は石破氏投票の意向
2018年9月20日 4時45分
『小泉氏としては、みずからの態度表明が選挙の情勢に影響を与えるのは本意でないとして、党員票の投票が締め切られ、ほとんどの国会議員も態度を決めたこの時期まで、明らかにしなかったものとみられます。』(上記URL先より)
・・・・・・・・ってお前何様の積りだよというのもありますし、だいたい党員票の推移ってある程度類推できるでしょうから、その結果ゲルがそんなに負けないのを見越した時点(安部ちゃん陣営の55%云々だって直前に急に出てきてた筈)で言い出すとか究極の風見鶏かつ全方面にエエカッコシイをするという卑しさが出ていて、正直これが将来の首相候補とかマジで(今はまだネタの段階)言われたらもうダメだろと思うわ、ということで今回だいぶ評価下げたと思うんですがどうなんでしょうかね。
でまあ岸田さんに関しては・・・・・・・・・なんでしょうね、佐藤栄作さんが自民党総裁4選を狙って出てきたときの前尾繁三郎さんに思いっきり被ってしまいますな。もう次は無理でしょご苦労様でした。
〇総裁記者会見はまあ特にねぇ・・・・・・・・・・・
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180920a.pdf
・国債市場機能回復に関して
最初の質問がこれとな(質問の後半はETF買入のペースについてですが割愛します)。
『(問) 前回 7 月の会合で政策の修正を行われて、長期金利の変動幅を倍程度に拡げられました。その後
1 か月半が経過しましたが、これによって国債市場の機能改善といった効果は出ているのでしょうか。(後半割愛)』
『(答) 7 月の金融政策決定会合後の国債市場をみると、一頃よりも取引が活発化し、国債の値動きも幾分増していると思います。また、日本銀行が
8 月に実施したアンケート調査では、約 3 年ぶりに、債券市場の機能度が「改善した」と答えた先の割合が、「低下した」と答えた先の割合を上回る結果となりました。』
>日本銀行が 8 月に実施したアンケート調査では
>日本銀行が 8 月に実施したアンケート調査では
>日本銀行が 8 月に実施したアンケート調査では
http://www.boj.or.jp/paym/bond/bond1808.pdf
債券市場サーベイ
<2018年8月調査>
回答期間:2018年8月8日〜8月16日
>回答期間:2018年8月8日〜8月16日
>回答期間:2018年8月8日〜8月16日
>回答期間:2018年8月8日〜8月16日
えーっとすいません、まあ既にこの時には臨時輪番ぶっこんだ後ですけど、一応政策変更(日銀の定義上では前回のは政策変更ではないです、為念)した週の翌週からが回答期間なんですからその時点で改善の傾向がみられない方が絶望的なので、改善したという答えが増えましたとか威張られても困るんですけど。
『もっとも、例年夏場は、市場取引が細りやすく、実勢を見極めにくい時期であるため、このタイミングで、今回の措置の効果を評価するのはやや性急かと思います。』
おう9月になってすっかり動かなくなってるわ。
『日本銀行としては、今後、国債買入れを弾力的に運営していく中で、経済・物価情勢等に対する市場参加者の見方を反映し、従来よりも柔軟に金利が形成されることなどを通じて、国債市場の機能度が向上していくことを期待しています。(後半割愛)』
そもそもYCCやっているのに「経済・物価情勢等に対する市場参加者の見方を反映し、従来よりも柔軟に金利が形成される」というのが定義からして寝言な訳で、YCCみたいな統制政策やってたら市場の機能度は落ちる一方だしそれは累積的に悪化するわとしか申し上げようがないのですが、まあ市場現場職人のような現場仕事していない方々にそのような肌感覚は共有してくれんわなとそこはもう正直絶望している自分がいる。
・副作用論の質疑は多かったですけど
『(問) 大規模金融緩和に伴う副作用についてお尋ねします。総裁はこれまで金融仲介機能について特に問題は生じていないとの認識を示していますが、今後、例えば景気が悪化した際には不良債権の増加などに伴って一気に金融仲介機能の悪化が顕現化する懸念も指摘されています。そうした事態にも備えて、更なる副作用への対策や予防措置をとる必要がないのか、現時点での総裁のお考えをお願いします。』
実は今回どうでもいいと思っていたので会見のライブ放映聞いてなかったんですが(こら)、今後景気が悪化した際に不良債権が出て大変になるっていうんだったら今から緩和強化しろとかそういう話になるし、今の緩和政策が効いて物価目標達成みたいな話になっていたら貸出資産は(利鞘問題はさておき与信先の質という点で)内容が改善するのだから、質問の聞き方が悪い。
もし将来の話を絡めるならば、そもそも今の政策が長期化して全然物価目標が達成できていないという状態だが、これで海外経済の悪化などが来た時に次の手段ってあるんですかというような話をするもんじゃないかと思いますし、金融機関の不良債権云々で聞くなら、先般のスルガ銀行さんの例を出して、緩和政策の長期化によって有価証券投資や貸出で無理をした結果として金融機関の資産の悪化が起きて問題になりませんか、という質問をした方が良いと思う。
・・・・・・・・よってこの質問の答えはまるでどうでもいい一般論にされているので回答割愛。
でまあそういう質問もございましてですね。
『(問) 副作用の話もありましたが、個人の不動産運用を巡って、不適切な改竄があったとして一部の地方銀行が問題になっています。ある意味では銀行経営、あるいは個人の不動産運用が、低金利環境が長引く中で、銀行によっては無理のある運用となり、そこに向けて貸し出さざるを得なくなったような気がしています。金融機関、特に地方銀行経営、あるいは不動産向けの貸出等について、リスクの高まりは感じられないでしょうか。』
質問するならこうでしょ。
『(答) ご指摘のように、特に地域金融機関においては、この 15 年、20 年、地域の人口が減り、企業数も減っていることから、基礎的な収益力が低下しています。』
と、今のQQEだけじゃないよ、というのをアピールする回答をしていますが、これはそういう想定問答がずっぽりと用意されているという感じでして、FSRでもだいたい「構造的に問題があって全部わしらのせいにされても困りますもんね」という説明になっているのですが、まあ民間の方から見ましたら、経済政策社会政策の失敗によって人口動態がこの有様になり、地方経済の構造的な厳しさを招いているんだから、権限範囲が違うと言っても政策立案遂行サイドである日銀ちゃんから「うちだけのせいじゃないもんねー」と言われましても、お前は自分の庭だけ綺麗にしていればそれで済むとでも思ってるのかこの(自粛)という話になりますわなあ。
『それに対応して、貸出や有価証券運用でリスクテイクを若干強化する、積極化しているということは事実です。収益力向上に向けた取組みを行っていることは、ある意味で当然なのですが、他方でまた当然のことながら、そうした取組みは適正に行う必要があり、金融機関で適切な経営管理体制、特にリスク管理体制を整備していくことが必要だと思います。』
適正にとか言ってるけどお前ら「ポートフォリオリバランス効果」とか言って無かったかと小一時間問い詰めたい。
『これは直接的には金融庁の仕事かもしれませんが、日本銀行としても考査・モニタリング、あるいはセミナーの開催等を通じて、金融機関の収益力向上、そのためのリスク対応力強化に向けた取組みを後押ししていきたいと思っています。』
まあスルガ銀行を絶賛いやもうどうでもいいです。
『住宅、貸家業向けの貸出については、ご案内の通り、実際には金融機関による貸家業向け貸出は、2017
年度以降は伸びが鈍化してきています。特に地域銀行においては、相当減らしてきているようです。その背景には、色々な事情がありますが、金融機関側で、こうした貸家業向けの貸出についてやや慎重化してきているということだと思います。これは、ある意味で適切な動きだと思います。金融システムレポートでもご覧頂けますように、貸家業向け貸出は依然として伸びており、マイナスになっているわけではないので、その辺りは十分注視していきたいと思いますが、現時点で金融機関、特に地域金融機関による貸家業向け貸出が、全体として過大というか、異常に増えて大きな問題になっているとは思っていません。』
ん?そうなの????
・安倍ちゃん麻生さん発言に関して
そらまあ聞かれるわですが、答えは予想通りの暖簾に腕押し糠に釘。
『(問) 昨日、麻生財務大臣が、閣議後の会見で気になる発言をされています。本当に物価上昇率
2%になるなんていうことを、責任を感じて不必要なことをやるのは止めた方がいいということに関しては、政府・日銀の両方で一致をしていました、とおっしゃっています。これはつまり、2%というのは達成しなくてもよいという認識を、早い段階から政府・日銀で持っていたということなのでしょうか。』
イイハナシダナー。
『(答) 麻生大臣の発言が報道されていることは知っていますが、詳細は承知していません。』
聞いてないで逃げましたね。あの発言が財務省での大臣記者会見でやっているんだったら記録が残る筈なのでそれを突き付けてもう一度質問ですね。
なお、以下はお経を読んでいるにすぎませんが折角ですのでお経を引用しておきます。
『2013 年 1 月の政府と日本銀行の「共同声明」にも謳われていますように、政府と日本銀行は、デフレ脱却と持続的な成長のために様々な政策的努力をしています。日本銀行としては、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するために金融緩和を大胆に行ってきています。確かに、2013
年 4 月に「量的・質的金融緩和」を導入した際、2 年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現しようということで始まったわけですが、2014
年の夏以降、原油価格が大幅に下落したことから、足許の物価上昇率が下がり、それがいわゆる適合的期待という形で中長期的な物価上昇の予想にも影響を与え、全体として
2%の「物価安定の目標」がいったん遠のきました。他方、様々な金融政策上の措置を講じることを通じて、再び物価上昇率は上昇してきているわけですが、依然として生鮮食品を除く消費者物価の上昇率は、1%を若干下回ったところで推移しています。時間がかかっていることは事実ですが、私どもとしては、2013
年 1 月の金融政策決定会合の決定あるいはそれを踏まえた政府との「共同声明」に謳われている通り、引き続き
2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成すべく金融緩和を続けるという点に変化はありません。ただ、当初
2013 年 4 月に考えていたよりも時間がかかっており、従って粘り強く金融緩和を続けて、2%の「物価安定の目標」を達成する必要があると考えています。』
次の方どうぞ、ってなもんですな。
『(問) 安倍総理が自民党総裁選の候補者討論会の中で、異次元緩和から出口に向かうことについて、次の総裁任期のうちにやり遂げたいという発言をしています。これから
3 年で異次元緩和の幕引きというのができるのかどうかというところが疑問なのですが、どうなのでしょうか。
』
『答) 総理の発言について具体的にコメントすることは差し控えたいと思いますが、政府と日本銀行はこの
5 年間、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のために必要な政策を実施してきています。』
必要なのをやったら2年で出来るんじゃなかったでしたっけ??なお以下は九官鳥でも回答可能な話をしておりますが九官鳥先生の発言を鑑賞しましょう。
『そのもとで、ご承知のように雇用や企業収益その他を含めて、わが国の経済情勢は大きく改善していますし、物価についても、既に物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなっています。ただ、2%の「物価安定の目標」はまだ実現できていませんので、日本銀行としてはその実現に全力を尽くしてまいりたいと思っています。もちろん、2%を達成しても今の異次元の金融緩和をずっと続けるということはないわけで、あくまでも 2%を達成して、そういった状況にしていく必要があると考えています。』
・フォワードガイダンスに関して
『(問) 前回の金融政策決定会合で、フォワードガイダンスという考え方、概念を新しく打ち出されてきたと思います。正直やや分かりにくいところがあるというか、国内外の投資家と話していても、それ以前にも例えばオーバーシュート型コミットメントみたいな言い方もしているので、前回からフォワードガイダンスという概念が入ってきて何がどう変わったのか、市場関係者の解釈にもまだばらつきがあるように感じられます。前回導入されたフォワードガイダンスの意味合いについて改めて伺います。
』
これは良い質問ですし、ぶっこんだ政策ってその場では勢いで説明されちゃうから、しばらく時間をおいて「ところでアレは何だったの」と振り返るというのはいいことだと思うの。
『(答) 2 年前にイールドカーブ・コントロールという形で、それまで長期国債の買入れ目標を金融調節の基軸にしていたところを、長期国債の買入れによってではありますが、金融緩和の
1 つの大きな柱を量から金利の方に移し、非常に上手く機能しました。』
>非常に上手く機能しました
目標達成しないのに上手く機能したとか威張られても困るんですが。
『もともと「量的・質的金融緩和」が始まった時から、大量に国債を買うことによって直接的に長期金利を下げ、それが投資や消費にプラスの影響を及ぼして、経済の刺激になり、景気の拡大につながっていくと説明していましたが、調節方針自体は量でやっていました。それを
2 年前に金利の方に、長短金利のコントロールという形にして、量はそのために必要なだけ買うこととしたわけです。』
この理屈結局量なのか金利なのかを有耶無耶に誤魔化してますよね。
『そうしたもとで、今の金融緩和のフレームワークの 1 番大きな柱はイールドカーブ・コントロールですが、それに加えてオーバーシュート型コミットメントというものも同時に入れたわけです。イールドカーブ・コントロールという形で長期国債の買入れ自体は内生変数になるのですが、経済活動や物価に対する影響の大きな柱であるマネタリーベースは、物価上昇の実績値が
2%を超えるまで拡大を継続する、一種のオーバーシュートをさせるというコミットメントを一緒にセットしました。』
内生変数なのに何で80兆円だの現在程度の買入だのって入れてるんですかねえ。
『フォワードガイダンスは、イールドカーブ・コントロールの長短金利について、早々に引き上げるのではないかとか、出口がそろそろといった意見も内外にあったため、2%の目標にはまだ遠いのでそういうことはしない、2019
年 10 月の消費税率引き上げは、経済・物価の不確実性の 1 つの要素ですが、それを含めて全体として不確実性が残っている間は、当分の間、非常に低い政策金利と
10 年物国債の操作目標をこのまま低位で続ける、ということを明確にするために付け加えたコミットメントです。』
まあこの曖昧な説明。
『それによって、全体としての金融緩和のコミットメントを強く、より長く持続させて、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成しようという姿勢を示したものです。』
「2%の目標にはまだ遠いので」って思いっきり言っているのに、それが「できるだけ早期に達成しようとする姿勢」になるというのも矛盾にも程がある。
『確かに、3 つ要素があるので、どういう関係なのか聞かれることはありますが、今申し上げたような形でできておりまして、それら全体として強力な金融緩和を粘り強く続けるというコミットメントを示しているとご理解頂きたいと思います。』
まあ一応アタクシもこの中身はそういう説明なのは分かるのですが、昭和の温泉旅館状態の建て増しに次ぐ建て増しをやっていて全体として何が何だか分からんけど何か緩和をやってますなみたいなことになっているのはもうどうしようもない状態ですわな。
#ということで大した話も無いのでこんなもんで
2018/09/20
お題「決定会合は地蔵だが円債も地蔵ですな」
相変わらず焦げ臭いですな。だからこそこの前のECB定例理事会後の会見でもイタリーの質問がホイホイ出ていたんでしょうけれども。
https://jp.reuters.com/article/italy-budget-idJPKCN1LZ28O
2018年9月20日 / 01:19
イタリア、赤字増やしてでも歳出拡大認めるべき=ディマイオ副首相
『ポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」を率いるディマイオ氏は「公約を守るために2、3年も待つことはできない。財政の目標とは、市場を安心させることではなく、イタリア国民の生活の質を改善することだ」と語った。同時にトリア経済・財務相に「全幅の信頼」を置いているとも強調した。政府筋によると、トリア経済相は来年度の財政赤字を対国内総生産(GDP)比で2%以内に抑えたい意向。一方、複数の関係筋によると連立与党は赤字比を2.5%まで容認すべきと主張している。来年度予算の赤字目標の設定期限は今月27日となっている。』(上記URL先より)
焦げ程度なのか火を上げるのかどうなんでしょうかねえ。焦げ程度で勘弁シチリア島。
〇米債3%でも株価連日の爆騰でもMPMでもウゴカンチ会長ェ・・・・・・・・・
まあMPMは動かなかったから材料にならんといえばそうかも知れんが。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1W52Q9
2018年9月19日 / 15:18 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小幅続落、長期金利0.115%に上昇
『<15:09> 国債先物は小幅続落、長期金利0.115%に上昇
長期国債先物は小幅続落で引けた。前日の米債安の流れを引き継いで売りが先行。日経平均株価の上昇が勢いを増すと、売り圧力が強まる場面があった。終盤にかけて株価の上値が重くなると、買い戻される展開となり下落幅を縮小した。
現物債市場では、超長期・長期ゾーンの利回りに上昇圧力がかかった。長期ゾーンは先物に連動し、超長期ゾーンは翌日に20年債入札を控えた持ち高調整がみられた。政策の現状維持を決定した日銀金融政策決定会合は材料視されなかった。
長期国債先物中心限月12月限の大引けは、前営業日比4銭安の150円16銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比0.5bp上昇の0.115%。一時0.120%と8月3日以来、約1カ月半ぶりの水準に上昇した。』(上記URL先より)
って解説だと何か動いたように見えますが、150.10円(-0.10)で先物始まって、10年カレント0.120%(1毛甘)で始まっておーと思ったらそこから先物碌すっぽ下がらんというのを見てこりは動かんとか思っていたらまー案の定で、20年カレントとかも最初0.625%(1毛甘)をつけたものの前場中にさっくり0.620%(0.5毛甘)に戻ったりと、ここのところそうですけど、海外市場(米債か為替)でなんとなく数銭程度はオーバーナイトから値を動かして始まった場合でも、寄りの時点で材料消化終了モードになっておられることが多いわけよ。放れにつくったってまあ寄りで(飛ぶ場合は)飛んでそこでおしマイケルなのですから付くにも付けませんというか、そもそも10銭は放れじゃねえわとも言えますので、結局米債3%で株は一時平均株価23842円とかまでやっていてこの1週間でどんだけ上がってますねんという状況にも関わらず円債貫禄のウゴカンチ会長過ぎて泣けてくる。
しかしまあ何ですな、市場機能への懸念で金利変動の柔軟化、というお題目が来たので喜んで、これは日銀が本格的にオペをバンバン減らしたりして市場にボラと金利上昇ネタを与えてくれるのかと喜んでいたら、逆に臨時輪番で盛大に止めた後は減額も目立たないように実施する攻撃という感じで、別に日銀がボラを下さるわけではないと知ってしまって更にガックシという風情の円債市場になってしまいまして能生騒動(=レッツグーグル先生)かよという感じではございます。
まあこれって色々な所に気を使って、過去との整合性とかを考えて情報発信しているのは分かるんですが、先般の政策の見直しって「実際問題としてあんたら何をやるためにこの措置を入れて、その結果どうしようとしているの??」というのが有耶無耶なふわふわした状態で説明を繰り返していて、その背景には政策運営の本質的な部分を色々と変えているのに建物(政策枠組み)の元々の部分を壊さないで増築に増築を重ねているから、複雑怪奇になってしまっているという根本の問題があって、輪番の運営がどうのこうのだけの話じゃないと思うんですよね。
どうも今回のは「時間稼ぎをしたい」というと「色々と撤収するための道具は用意してみた(撤収は全然しない)」ということで、本質的に何かを能動的にやりたいというような事ではないので、輪番も超スローペースじゃないと減らないという事になるんでしょうな、とは理解したつもりですが、これ円債村の村民以外に説明しろと言われてもこっちも説明できんわという話だと思う。
まあ「金利が上がらない程度に輪番を減らしていく」という感じになるんでしょうから、そうなりますと精々月末の所での回数いじりとか、月初に輪番を微減させるとか位しかネタはなさそうですし、金利がこれでも一応既往から見たら高い水準にあるという状態だと中々減額しにくいでしょうし、まあこれはもうFOMCでドカンと一発ロンガーランとか中立金利水準に関して威勢の良い話でもぶち込まれてこないことには動かん(昨日の相場を見るとそれでも動かなさそうな絶望感を感じますが)のではないでしょうか。
#などと泣き言を言っていたら7月には時事通信砲がありましたが、次回MPMは10月末ェ・・・・・・・・
〇決定会合レビューと言っても地蔵オブ地蔵なので市場もそら地蔵になりますわ
はいはい現状維持現状維持。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180919a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2018/k180731a.htm/(前回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807a.htm/(7月展望レポート基本的見解)
・現状維持は申すまでもないので経済物価情勢認識を確認するとこれもまた現状維持ェ・・・・・・・・・
『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善基調を維持するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。この間、住宅投資は横ばい圏内で推移している。公共投資も高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっている。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。』(今回)
『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善基調を維持するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。この間、住宅投資は横ばい圏内で推移している。公共投資も高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、0%台後半となっている。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。』(7月展望レポート)
7月声明文だと物価が上がらん理由は云々というのがありますので、展望レポート基本的見解の現状認識を比較してみるのが吉なのですが、まあ見事なことに全文一致(正確にはCPIの所で「以下同じ」が入っているだけ違いますが、以下同じなのは以下この文書が続くからであって他の意味はないから全文一致と同じ)というもうこのね。
『先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。』(今回)
『先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。2018年度についてみると、国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。』(7月展望レポート)
展望レポートだと先の年度の話までしていますが、声明文だと基本的に向こう半年とかその程度のタイムホライズンでの先行きの話をするのが基本になる(それ以外の話もある時はあるけど)ので、2018年度の所を引用してみますとこれまた実質全文一致。
『輸出も、海外経済の着実な成長を背景として、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。』(今回)
『輸出についても、海外経済の着実な成長を背景に、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。』(7月展望レポート)
これまた事実上の全文一致。
『消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる(注2)。』(今回)
『先行きの物価を展望すると、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態が続くもとで、企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化し、中長期的な予想物価上昇率も徐々に高まってくるとみられる。この結果、消費者物価の前年比は、これまでの想定よりは時間がかかるものの、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。なお、今回の物価の見通しを従来の見通しと比べると、下振れている6。』(7月展望レポート)
展望レポートと声明文という字数制限の違う物件につき表現が違いますが、前回の見通しと同じ話をしておりますな。で何時になったら上がるんでしょうかねえ。
でもってリスク要因。
『リスク要因としては、米国のマクロ政策運営やそれが国際金融市場に及ぼす影響、保護主義的な動きの帰趨とその影響、それらも含めた新興国・資源国経済の動向、英国のEU離脱交渉の展開やその影響、地政学的リスクなどが挙げられる。』(今回)
『第1に、海外経済の動向である。具体的には、米国のマクロ政策運営やそれが国際金融市場に及ぼす影響、保護主義的な動きの帰趨とその影響、それらも含めた新興国・資源国経済の動向、英国のEU離脱交渉の展開やその影響、地政学的リスクなどが考えられる。』(7月展望レポート)
これまた前回は政策決定があって書くことがいっぱいあったので声明文にリスク要因が掛かれていませんので展望レポートから引用していますが、展望レポートのほうでは当然ながら、「消費増税の影響」というのもその次の要因に入れているのですよね。もちろんこれまでは「展望レポートと声明文では字数が違うから、声明文の方には先行きリスクの中でメジャーリスクを入れるよね、ということで納得していたわけですけれども、えーっとすいませんフォワードガイダンスとの整合性はどうなっているんでございましょうか????????
・という訳でフォワードガイダンスの扱いがですなあ
前回は「政策金利に関するフォワードガイダンスを入れました」ってな形でどどーんと出した訳ですけれども、今回はこのフォワードガイダンスがどういう扱いになったかと言いますと・・・・・・・
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。』(今回)
と来ましてその直後に、
『政策金利については、2019年 10 月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している(注3)。』(今回)
とここに入れ込んできました。でもってそのあとが、
『今後とも、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』(今回)
となっていますので、前回のが、
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』(前回)
ですから、この中のMB拡大(オーバーシュート型コミットメント)の次にくっつけましたという展開。
・・・・・・・・・でまあそれ自体はまあそう来るかな、とは思ったんですが、ただまあこの部分に載せられますと、その前にあるオーバーシュート型コミットメントが「何でしたっけそれ」くらいの扱いになってしまっている中に打ち込まれてしまっているので、前回どどーんと前面に出して「これが日銀のやる気元気井脇だ」くらいの勢いだったのに、一瞬にして後方に下がりましたなあというのがある訳よ。
しかもですよ、声明文のリスク要因は相変わらずの「海外」な訳でして、消費税云々は展望レポートではリスク要因に入れているから勿論リスクはリスクなんですが、メジャーリスクとして声明文に載せるほどでもないものを不確実性の中に入れたフォワードガイダンスって一体全体何ですねんと思う訳よ。
でね、マネタリーベース拡大方針に関しては今の決定事項うち資産買入の中で自動的に拡大になるから、オーバーシュート型コミットメントがケツに来るのは構成上そうかなとも思うのですが、金利に関する話はYCCという形で金利の決定をしているんだから、
『(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成7反対2)(注1)
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。
短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし1、買入れ額については、保有残高の増加額年間約
80 兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施する。』(今回)
というのの次にでもぶっこんでおけばフォワードガイダンスとしてのやる気一杯に見えるのではないでしょうか、と思うわけで、例えば今適当に拾ってみましたが、
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20100127a.htm
『The Committee will maintain the target range for the federal funds rate
at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions,
including low rates of resource utilization, subdued inflation trends,
and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally
low levels of the federal funds rate for an extended period. 』(2010年1月FOMC声明文より)
という感じでガイダンス文言は金利の決定文言にそのまま乗っけているもんなのがFOMCしぐさな訳で、一方で思いっきり遠いところにあるのってまあガイダンス文言自体がインチキガイダンスですよと言ってるようなもんですなあ、などというのは何かアタクシの性格に問題がありそうな解釈ですかそうですか。
まあこちとら来年10月(もっと先か)までテコでも金利水準変えないとか言われたら飢え死にしちゃいますからガイダンス文言はバンバン空文化して頂いて結構なのですけれども、何だかなーという思いもそれはそれである、という所ではございます。
〇当預新規先とな
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180919a.pdf
「補完当座預金制度の利息の計算方法における新規先に関する特則」の制定等について
・・・・・・・はてと思ったら、
http://www.boj.or.jp/paym/torihiki/index.htm/
日銀当座預金取引・当座貸越取引
の『当座預金取引の相手方に関する関連公表資料』に、
当座預金取引の相手方に関する関連公表資料
掲載日 資料名
2018年 8月10日 株式会社ローソン銀行との当座預金取引の開始
ってあるのでそうですなというお話でしたがメモだけ。
2018/09/19
お題「ナマコ相場の円債ですなあ/MPMプレビュー世間話/エバンス総裁講演から」
今日はもう水曜日で来週は月末半期末でございますかそうですか。
〇いろいろとネタは出てきたようにも見えますが円債ェ・・・・・・・・
・米債10年3%とな
https://jp.reuters.com/article/idJPL3N1W45AG?il=0
2018年9月19日 / 05:17
米金融・債券市場=FRB利上げにらみ利回り上昇、社債大量発行も寄与
ということで以下記事部分の冒頭の引値の数値を引用します(一部割愛)
30年債 16時14分 3.2006%
前営業日終値 3.1370%
10年債 16時12分 3.0551%
前営業日終値 3.0010%
5年債 16時12分 2.9428%
前営業日終値 2.9020%
2年債 16時10分 2.8071%
前営業日終値 2.7860%
10年の昨日の終値って3.00%でしたっけ何か2%台じゃなかったけとか思いつつも、まあ明確に今日は3%乗せてきて戻って来ましたのですが、最近は米債が上がろうと下がろうと為替は反応するけど肝心の円債ちゃんは反応しないという相場になってしまいまして、まーたすっかり戻っているのですが何ぼ何でも米債3%を見て何かナマコの円債も感じるところがあって頂きたいと無痛無感覚円債を見て思うのですがさてどうなるやら。
記事ちゃんを一応見ますと、
『米金融・債券市場では国債利回りが上昇した。今週は社債の発行が相次ぐことに加え、米連邦準備理事会(FRB)が今後さらに利上げを実施するとの観測が一段と織り込まれつつあることを背景に、10年債と30年債の利回りはともに約4カ月ぶりの高水準を付けた。トランプ米大統領は前日、2000億ドル相当の中国製品に対し10%の関税を課すと発表。これに対し中国財政省はこの日、計画通りに約600億ドル相当の米国製品に関税を課すと表明し、米中間の緊張が高まっている。ただ通商問題による米債券市場への影響は軽微だった。』(上記URL先より)
昨日ネタにしましたドラギ総裁の会見もそうなんですけれども、足元の(日本は知らんが)主要国の中央銀行って「物価が威勢よく強い訳ではないから利上げ路線をそんなにバシバシ行う訳にもいかないけれども、その一方で金融緩和ゴルディロックス相場ヒャッハーってなって資産市場のどこかで妙なバブルが発生すると、バブルの後始末がくそ面倒なので利上げするぞという雰囲気を出してヒャッハー相場にならないようにしたい」という感じで情報発信をしているようにアタクシ的には思えてならない(個人の感想です)訳でして、一方で金利ちゃんの方はといえば(日本はナマコだが)主要国の金利市場ってだいたい「中立金利が低下」とか「フィリップスカーブが立ってこない」とかその辺のネタを餌にして長期金利はアガランチ会長でカーブはフラットニングという図をやっていたと思うの。
でもってまあ長期金利がアガランチ会長自体は恐らく中央銀行的には過度な引き締めにならないから別に文句は無いんでしょうけれども、そうは言ってもこの長期金利がアガランチ会長になった時に資産市場のゴルディロックス相場発生というのになるのはアカンので適当に(長期金利が爆騰しない程度に)牽制球を放り込むという時間帯で、もしこれが例えばFOMC前に長期金利がもっとホイホイ上昇してこの前の3.15%とか抜けそうなとかになってくると、今度は「長期均衡金利の低下」という話を説明にもって行って無秩序な金利上昇を抑えに来るとかいう動きかなー(個人の感想です)と。
・安倍ちゃんの先週金曜の発言とか昨日の市場メモとか
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1W42OV
2018年9月18日 / 15:21
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、超長期債利回りが上昇
『 <15:12> 国債先物は続落、超長期債利回りが上昇
長期国債先物は続落して引けた。国内連休中の海外市場で、米10年債利回りが一時3.022%と約4カ月ぶりの水準に上昇したことを手掛かりに売りが先行。安倍晋三首相が自民党総裁選の討論会で、次の任期中に、日銀緩和出口への道筋を付けることに意欲を示したことも一部で材料視された。』(上記URL先より)
と後講釈して頂くと何となく動いた感があるのですが、昨日の場合は寄り付きで6銭下げてスタートしておりますので、最後が7銭安という時点でまあお察しのごとくで、日本株がよーわからんのだがホイホイと上昇する(マジでわからんのだが理由を教えてジェネラル!)のも丸無視ですし、海外材料に安部ちゃんネタでも残念それは寄りで終了だというこのナマコ相場ェ・・・・・・・・・
というかですな、昨日ネタにするの忘れてましたが、安部ちゃんの討論会での発言が出た時って為替市場はきっちりと反応しているのですが、肝心の債券市場は「できる訳ないじゃん」と見事に完全スルーを決め込んでいて、土曜の朝刊で産経が1面トップ記事で堂々と出口戦略がどうのこうのというのが出てきて「あーそうですかねー」ってなもんでしょうかねえ、よー知らんけど。
『もっとも、長期を対象にした日銀オペが無難な結果に収まったことで、売り込まれる地合いにはならず底堅く推移した。大幅高となった日経平均株価の影響も限られた。現物債市場は、オペ結果が弱くなった超長期ゾーンの金利に上昇圧力がかかった。20日に実施される20年債入札も意識された。米国が対中追加関税を発表したことで、安全資産の国債を選好する流れが一部でみられたが、金利を低下させるまでには至らなかった。長期国債先物中心限月12月限の大引けは、前営業日比7銭安の150円20銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比0.5bp上昇の0.110%。』(上記URL先より)
つーことで、そらまあ「デフレ脱却を推進しているんだから、脱却して物価目標達成するようになりたい」んですから、そら早いうち、しかも(また再選規定を変えるのではという気がしますが今のところは一応)次の3年で終了なんですからその間に目鼻はつけて大勝利と言いたいでしょうね、程度のお話しか意味はないと思いますので、安部ちゃんネタは話5分の1くらいに聞いておかないとちょっと・・・・・・とあたしゃ思いますけどどうでしょうかね。
〇MPMプレビュー雑談だが雑談はなくトサカに来る物件(麻生発言)のメモを置いておく
そういや今日は決定会合2日目になりますので、なんか紙が出てきてそのあとクソ面白くもない会見で、最近は風呂上がりのジジイのようにスッキリとして覇気も気迫も感じられない黒田総裁の落語が聞ける訳ですが、まあ今回はさすがに前回の「柔軟化」のあとの状況を見ながら様子見ですよ様子見、で終了でしょうな。
あとは物価に関して、携帯電話の料金がどうのこうのだの、またぞろ上がらんネタが出てくる中で、2%物価目標の看板を残しながら、「ところで真の物価ってなんでしたっけ」みたいな方向に今後話を持っていくのが一番穏当な着陸方法な気はするんですが、そういう話って出てくるのかなあ位の興味はある。
でまあその2%目標ですけれども、昨日の読売のこの記事でまた血圧上昇ですよ。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20180918-OYT1T50074.html
物価目標「2年以内無理」当初から認識…麻生氏
2018年09月18日 16時44分
『麻生財務相は18日の閣議後の記者会見で、日本銀行の黒田東彦総裁が就任直後の2013年4月時点で、物価上昇率を2%とする目標を「2年程度」で実現するとしたことについて、「『2年以内』というのはまず無理ですよ、と(政府と日銀で)お互いに認識していた」と述べた。』(上記URL先より)
出来るって自信満々に言っていたのは嘘だったということですか。
『日銀の金融政策の実現性に、財務相が当初から強い疑念を持っていたことを明らかにした形だ。麻生氏は「2%を掲げるのはいいが、責任を感じて、何か不必要なことをやるのはやめた方がいいということで(政府と日銀は)一致していた」とも語った。』(上記URL先より)
定例記者会見だったら質疑応答が近いうちに財務省のホームページに載るかなとか思うわけなので、中身はまた後日確認したいというか、きっちり後々に残る形になるのでぜひ確認したいのですが、えーっとつまり置物リフレ副総裁は就任当初から嘘つきだったということになりますが、そうしますと全財産没収くらいしないといかんのではないかと申しますか、任命責任というのは(国会が同意しているから国会のせいでもあるけど)どうなるんでしょうかというか、もう何だよこの欺瞞はとしか申し上げようがないので、おそらくこの麻生発言に対するネタで今日の総裁記者会見は最初から最後まで進行するのではないかと思いますが、最近の黒田さんの枯れっぷりが今日はエンジン全開になるか、そのまま枯淡な味で棒読み答弁を繰り返すか、まあそれが楽しみ(全然楽しくない)というところではあります。
ただまあ麻生閣下も最近は発言が何だかなーというのが多くて、モウロいやなんでもないです。
〇シカゴ連銀エバンス総裁の先般の講演ネタである
https://www.chicagofed.org/publications/speeches/2018/09-14-2018-monetary-policy-road-ahead-fort-wayne-in
Last Updated: 09/14/18
Monetary Policy: The Road Ahead
A speech presented on September 14, 2018, before the Northeast Indiana Regional Economic Forum in Fort Wayne, IN.
この前もエバンス総裁の講演ネタをやりましたが、以前はハト派分類だったエバンス総裁はすっかり中心に寄っていますし、寧ろタカ派に近い感じになっておりますなという事ですが、ちょっと今日は最初の雑談で時間配分をしくってしまいましたので簡単バージョンで(と言っても講演自体そんなに長くないし難しい言葉は無いので読むのは読みやすい)。
・お題は中立金利が下がっている中での将来の金融政策である
『Introduction』の中でも景気の話がありまして、
『First, let me give you a preview of some of my comments: The U.S. economy
is firing on all cylinders, with strong growth, low unemployment, and inflation
approaching our 2 percent symmetric target on a sustained basis.1 I expect
this good performance to continue over the next few years. While there
are some risks to the outlook, I see them as being balanced.』
米国経済は全部のシリンダーがファイヤーしているそうな。なんだその強気。
『Given the strong growth fundamentals and positive inflation outlook,
it is time for the Fed to return to the conventional monetary policymaking
of yesteryear. Such policy will rely on gradual adjustments in interest
rates to meet our mandated objectives of maximum employment and 2 percent
inflation, rather than the unconventional tools we had to use in response
to the financial crisis and ensuing Great Recession.』
なので伝統的金利政策に戻るべきということでそういう話がこの後の経済の説明の中で出てくる。
『There is an important caveat, however. As I will discuss in more detail,
the longer-run normal level of interest rates-what economists call the
neutral level-is noticeably lower today than it was during earlier times
of conventional monetary policymaking. This means we don’t have the same
capacity to cut interest rates in response to adverse economic shocks as
we did in the past. And if we run out of such room, then we may again have
to turn to unconventional tools such as large-scale asset purchases and
forward guidance about the funds rate to provide monetary accommodation.
So, we aren’t quite going back to the same old monetary policy world that
we had in the past. My son might refer to this as a “remix.”』
しかし中立金利が低下しているので、大きなショックが起きた時の対処として金利政策が実質ゼロ制約に引っ掛かりやすくなるのに注意しながら運営しないといけないし、なった時には非伝統的政策をしないといけませんねというお話。
・経済物価情勢に関しては強気でメジャーなリスクは貿易戦争
でもって最初の本論の『The current economic situation and outlook』なんですが、この前ネタにしたエバンス総裁の講演と同様に物凄い勢いで威勢の良い話をしていますが、個別項目でほほーと思ったところを多少引用します。
『Business capital spending has been another source of strength in the
economy, having risen more than 6-3/4 percent at an annual rate over the
first half of the year. Moreover, forward-looking indicators-such as the
backlog of unfilled orders for capital goods and upbeat business sentiment-point
to a continuation of robust gains in investment. Likewise, my business
contacts in Indiana and elsewhere report solid momentum in capital expenditures
in the near term, but there are concerns that continued uncertainty over
the international trade situation may impinge on some firms’ investment
plans further out in the future.』
企業の資本投資が強さのもう一つの要因(一つは良好な雇用環境と家計資産のバランスシート改善を受けた個人消費)だそうで。ただ貿易戦争の行方に関しては懸念材料あり。
『Of course, recent fiscal policy actions also are influencing the economy.
There are many details in the Tax Cuts and Jobs Act (TCJA) of 2017 and
the Bipartisan Budget Act (BBA) of 2018 to evaluate. For the tax act in
particular, there are a variety of channels that influence spending, and
its overall effect on GDP growth is highly uncertain. That said, most analyses
find that the two fiscal policy changes should boost aggregate activity
by a moderate amount in the near and medium terms; but the longer-run effects
are likely to be relatively small.』
トランプ税制に関しては足元をブーストするものの長期的に見た影響は相対的に小さいでしょうとな。
経済のまとめ(途中物凄い勢いで割愛しています)。
『To sum up, I expect the economy to expand at a solid rate over the next
several years; the unemployment rate to decline somewhat further; and inflation
to edge up a bit above 2 percent-but certainly not to anything high enough
to be inconsistent with our symmetric 2 percent target. Let me also note
that my economic outlook is generally in line with those of my colleagues
on the FOMC as indicated by the median of the projections we all submitted
during our last regular quarterly forecasting exercise this past June.2
In other words, we are more or less singing the same tune.』
だそうで、まあ強いですし、エバンス総裁は概ねSEPの中心にいるという事のようです。
・金利は中立よりもマイルドに上の水準に置くというイメージ
これもこの前ネタにした講演で言ってましたので簡単に。『A return to conventional monetary policymaking』から。
『To put the projected interest rate path in perspective, note that in
our quarterly forecasts each FOMC participant also writes down where the
federal funds rate should settle at when policy is neutral-that is, when
policy is neither expansionary nor contractionary. Most FOMC participants
put this neutral federal funds rate somewhere in the range of 2-1/2 to
3 percent. This means that the 3 to 3-1/2 percent level of the funds rate
projected for 2019 and 2020 is mildly restrictive. Given an unemployment
rate forecast below the natural rate, such a policy stance would be quite
normal and consistent with some moderation in growth and a gradual return
of employment to its longer-run sustainable level.』
SEPの中心的なところでしらっと話をしていますが、中立金利が2.5-3%くらいで、SEPで見ているFF金利が2019年2020年で3-3.5%なので「mildly
restrictive」なのだが、そもそもこの時点で失業率が構造失業率水準を下回っているという状況になっている(見通し)ので、政策スタンスとしては極めてノーマルである、ということでして、もちろん先に行けばどういう風に変わるかというのはありますが、エバンス総裁の見立てだと失業率が構造失業率を下回る中では中立からちょっと上に金利をセットするのは当たり前ですがな、というお話ですな。
・中立金利が低い中での政策は何が有効かというお話や先般のパウエルのジャクソンホール講演の評価など
『Low equilibrium interest rates are challenging』というのが最後ですが、
『There is, however, an important difference between the conventional monetary
policy of today and conventional policy prior to the Great Recession. That
is, the neutral interest rate-the rate when policy is neither expansionary
nor contractionary?is a good deal lower than it used to be.』
つーことで、中立金利が低くなっている理由の説明がありますが、
『The reasons for the slowdown are well known. Growth in the labor force
has moderated with slower population growth and a downtrend in labor force
participation. Furthermore, labor productivity has been disappointing,
especially when compared with the large gains seen in the second half of
the 1990s and the early 2000s. These realities will likely be with us for
a long time. I should note, too, that the U.S. isn’t alone here; most
advanced economies are facing similar situations.』
(1)人口動態の変化によるレーバーフォース拡大の鈍化、(2)生産性の伸びが弱い、ただしこれは世界的な問題ですよ。
『As I mentioned before, at the Chicago Fed, we see the longer-run U.S.
growth potential at a bit under 2 percent. I hope this assessment turns
out to be too pessimistic. Higher sustainable growth would be great. However,
we can’t get there without boosting the underlying trends in labor input
or productivity. As a nation, we should work on public policy that could
be effective in doing so. But such policies are clearly outside the realm
of monetary policy.』
潜在成長率がシカゴ連銀の試算だと2%ちょっと切るくらい、この引き上げは金融政策以外の経済政策の世界。
『There are other reasons why the neutral interest rate is lower now. One
is the large demand-from both domestic and foreign sources-for U.S. Treasuries
and other high-quality assets. And, of course, low inflation also reduces
the neutral nominal interest rate.』
世界的に安全資産需要が高いこと、インフレが低いのもその理由、ということで・・・・・・・
『This new reality has important implications for monetary policy. When
the economy is hit with disinflationary shocks, the Fed provides offsetting
stimulus by reducing its main policy tool, the federal funds rate. But
there is a limit to how far the funds rate can be cut without causing large-scale
counterproductive disruptions in short-term money markets. Some central
banks found they could take their policy rates a touch negative, but not
very much so; in the U.S. we think this so-called effective lower bound-or
ELB-on the funds rate is essentially zero.』
ということで中立金利が低いから政策金利のゼロ制約に引っ掛かりやすくなりますねああそれから米国の場合はマイナス金利は無理でしょという話をしていますな。
で、金利が低くなっているから対応余地が狭いといかそういう話は当然続くのですが、ホンマカイナと思いながらほほーと思ったのはこの次。
『With this in mind, it’s clear that a lower neutral interest rate will
mean that monetary policy will have less headroom to provide adequate rate
cuts when large disinflationary shocks hit the economy. Between the mid-1980s
and early 2000s, we typically reduced short-term policy rates something
in the neighborhood of 500 basis points when mitigating economic downturns.
Today, given a neutral federal funds rate in the range of, say, 2-1/2 to
3 percent, we simply do not have that kind of rate-cutting capacity. So,
unfortunately, the risks of returning to the ELB are higher than we would
like. Although it’s very hard to estimate, nearly 20 years ago one well-known
study put these risks at about 15 percent; work done in 2017 put the odds
today closer to 40 percent .3』
金利水準が5%とかだったときはゼロ金利制約に引っ掛かる確率は15%ほどだったのですが、今やその確率は40%になったそうな。
でもってそのような時にはLSAPをしますよねーという話があるのですがそこは飛ばしてほほーと思ったのはその次。
『While these tools proved useful, they are not perfect substitutes for
our usual interest rate policy. Indeed, there is a good deal of research
going on today in academia and in central banks on alternative frameworks
that might improve the performance of monetary policy in a world with higher
risks of returning to the ELB.4 But there are no panaceas. Alternatives
may lessen the odds of hitting the ELB, but they cannot drive them to zero.
And whenever we are at the ELB, the question of alternative policy tools
becomes relevant again.』
LSAPがあるけど万能ではないということなのですが・・・・・・・・
『Personally, the most important lesson I learned from our experience at
the ELB is that policymakers have to promise to use all available means
to bring inflation and employment back to their objectives within a reasonable
period of time. And, crucially, this promise must be credible. Failing
to back it up with actions and communications all along the way would have
rendered our unconventional policies stillborn and ineffective. We must
remember this lesson for any future encounters we may have with the ELB.』
ということで、先行きの政策に関する「promise」が重要(フォワードガイダンスと言っていないのが味噌だと思う)でこれが効くというのがエバンス総裁の主張で、それはなるほどとは思うが、時間的不整合の問題に関してもうちょっと突っ込んだ考察を頂きたいと思う。
『Indeed, the FOMC has made clear that it stands ready to use alternative
policies if needed. In an addendum to our Policy Normalization Principles
and Plans made a little over a year ago, the Committee stated it would
be ready to use its full range of tools if future economic conditions warranted
more accommodative policy than could be achieved by use of the federal
funds rate alone.5 You can find this point reiterated in the minutes of
our meeting last month.6 And in his Jackson Hole address in August, Chair
Powell reiterated the importance of the “do whatever it takes” approach
to policy when faced with difficult situations such as the risk of a protracted
period at the ELB or if inflation expectations were to move into material
conflict with our inflation objective.7 』
ジャクソンホール講演でパウエルが危機対応の話としてバーナンキの「do whatever
it takes」スタンスを称賛したのも同じ話である、という説明をしていまして、あの講演出た時にはバーナンキ称賛→緩和スタンス→ゴルディロックスヒャッハーとかなっていたように記憶していますが、やはりそうじゃないよねという話で、将来オブ将来の話として、非伝統的政策を使わないといけない際にはドドーンとぶっこんでいきまっしょい!という話なだけで、今の政策云々ではない、ということをエバンスさんが説明しましたな、という所ではないでしょうか(個人の感想です)。
2018/09/18
お題「ECB総裁会見は緩和(というかゴルディロックス)ヒャッハー的なのには冷や水ではありましたな」
ふーん。
https://jp.reuters.com/article/ny-forex-idJPL3N1W34QN?il=0
2018年9月18日 / 05:20
UPDATE 1-NY外為市場=貿易問題受け円上昇、ポンド・ユーロ高
『ニューヨーク外為市場は、トランプ米大統領が引け後に対中関税を巡る方針を公表する見通しとなったことを受け、円がドルに対して上昇した。ブレグジット(英国の欧州連合離脱)交渉を巡る期待感からポンドやユーロが対ドルで値上がりした。トランプ氏の方針表明予定が伝わり、ドルは対円で取引時間中の安値を更新した。』(上記URL先より)
とか言いましてもまあ112円割れ程度なんですよね。
〇ドラギ総裁会見Q&Aネタで勘弁ということで
円債ちゃんもすっかりいつもの相場になってしまいまして市場機能の低下を懸念するとは何だったのかと小一時間問い詰めたい状態ですが問い詰めるネタも無いので欧州ネタに逃避するの巻。
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2018/html/ecb.is180913.en.html
Mario Draghi, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 13 September 2018
INTRODUCTORY STATEMENTの方は金曜にやりましたが、こちらはそういう程無茶苦茶強いというものでもなくて、大体従来通りの話をしているという感じでしたが市場ちゃんの方はそういう反応でもなかったので会見を(って遅いわと言われそうですがまあ勘弁してちょ)。
・経済はポテンシャル以上の状況とな
最初の質疑。
『You've decided to reduce bond purchases from October. But you've still
left the ending of the programme at the end of the year open to or dependent
on the incoming data. Could you walk us through the arguments behind that
decision; why leaving the ending of the programme still open?』
買入のエンドはまだデータ次第と言ってるがどうなってますねんという質問と、
『Based on the forecast you've received today and the discussion that you
had, would you say that the output gap in the eurozone is already closed
or is close to being closed this year? Or we'll still have to wait for
that to happen next year?』
需給ギャップはどうなっていますかという質問ですが、そのお答え。
『The answer to your second question is that we have seen growth rates
now for some time above growth potential.』
ほほうポテンシャル以上とな。
『To the first question, basically we haven't discussed this. My reading
is here: we will reduce the monthly pace until the end of December. We
anticipate that, subject to incoming data confirming our medium-term inflation
outlook, we will then end net purchases. I think that's the text, that's
what we've discussed; we haven't elaborated on that. But let me make clear
that it's - when we stop, this doesn't mean that our monetary policy stops
being accommodating. The amount of accommodation will remain very significant,
through our reinvestment policy and through our forward guidance and interest
rates.』
ということで、「データ次第」と言っているけど、まあそれ自体は枕詞みたいなもんで、現実問題としてデータを見ながらエンドを先送りすべきかとかそういう検討している訳ではない、とまあ順当といえば順当なお答え。
・物価目標達成に自信ニキキタコレ
ステートメントの方をネタにした時にも物価の先行きリスクに関して今回は下向きリスクが消えてきたとかいうような堂々の言及がしらっと入っていましたが、次の質疑でもまあ強い話をしておる。
『Your new economic forecasts suggest that inflation will hover around
1.7% for the next two and a bit years; is that consistent with these mandates
and the decision to phase out QE?』
『In relation to that: shouldn't the ECB be aiming for an overshoot on
inflation rather than an undershoot given that it's been below target for
so long?』
後半の質問はちと話が先走り過ぎとるのだが、前半の質問の答えもこれは強い。
『The answer to the first question is, yes, it's consistent.』
キタコレ。
『We have seen convergence and that's what the discussion today confirms.
We are seeing convergence of the inflation rate to our aim. We have confidence
that this is happening, confidence based first and foremost on our monetary
policy, which remains accommodative and second, on the underlying strength
of the economy. The ever-improving conditions of the labour market - we’ll
maybe elaborate on that. But certainly the last number is also quite significant.
The latest number about employment, it says that 9.2 million jobs have
been created in the euro area since 2013 and rising wages. We are confident
that our present monetary policy stance is consistent with our aim.』
We are confident that our present monetary policy stance is consistent
with our aimだそうなので、これまたエライ威勢が宜しいお答えになっております。
『Second point: our objective is an inflation rate which is below, but
close to 2% over the medium term; we stay with that, that's our objective.』
後半の質問にはまあこうとしか答えないでしょうな。
・新興国懸念に関してはあまり問題にしていなくてやはり懸念は貿易戦争の拡大
ちょっと先の方に飛びまして、
『You've mentioned increasing risks concerning emerging markets. The currency
crises in Argentina and Turkey seem to have contagion effects on other
emerging markets. How much of a threat is that for the eurozone economy
and the world economy?』
『The current problems in the emerging markets seem to be related at least
partly also to the tightening of monetary policy in the US and the withdrawal
of liquidity. The ECB also anticipates to stop net purchases next year.
What kind of risks do you expect when the two main central banks reduce
liquidity?』
新興国がリスクとのことですがどの程度の認識でしょうかああそれからそもそも新興国があばばばばーになっているのって主要国の金融政策が流動性を吸収に掛かるからと指摘されてますけどそれでもQE拡大停止するんでしょうかねえという質問ですが。答えが割と大演説。
『Well, considering the first questions, the increased uncertainties in
some emerging markets is certainly one factor that adds to the general
uncertainty in world markets. But having said that, so far the spillovers
from Turkey and Argentina to other countries have not been substantial.』
確か市場後講釈ではこれに反応したという事になっていたと思いますが、それもそうかも知れんけど(今回新たにぶっこんできたリスク要因が新興国経済だったので、ぶっこんできた文言に対して「大したことはない」と言い切ってしまいますと何だそんなもんなのかよとなるので)、寧ろこれ冒頭の2本の質疑(さっき引用した奴)の方にも反応してるんじゃないかという気がします。
『Once again as we've seen two or three years ago with similar crises in
emerging markets, once again it is shown that the countries that are most
vulnerable to contagion are the countries which have the weakest fundamentals;
namely high current account deficit, high inflation, high budget deficit.
Other emerging market countries that have better fundamentals have not
been affected. I think that's one key consideration which is also, in a
sense, seen from the perspective of the eurozone reassuring. So far we've
seen quite limited contagion at least in the aggregate.』
今問題になっているのはそもそもが弱体オブ弱体の国なので他のファンダメンタルズが比較的マシな国に影響するところは比較的小さいし、ユーロゾーン全体に悪影響というような事ではないとな。
『Now, of course we can have individual situations of significant exposure
to local crises. That's different because that would affect individual
entities, but not in the aggregate.』
ただし個別ではこれらの国に大きなエクスポージャーを持っているケースもあるので、それはそれで別問題として個別の機関の問題として扱うが、全体の問題にはならないと。
『Now, I think I listed three sources of uncertainty.』
3つの不確実性の源だそうな。
『One is the general change in the situation of emerging markets, which
by the way doesn't include only Argentina and Turkey because big changes
are also happening in China of a different kind, however, not financial
stability-related.』
新興国全体の問題に広がるケース。
『The second source of uncertainty is indeed the potential - we haven't
seen much of it yet but it's one of the risks we're looking at, we are
certainly monitoring - the potential financial market volatility generated
by changes - gradual, at measured pace as you know - changes in monetary
policy in the main jurisdictions. This is one potential risk of enhanced
financial volatility and we're also monitoring that.』
金融市場の大きなボラティリティに繋がるケース。
『Certainly the major source of uncertainty that we see in global output comes from the rising protectionism.』
保護主義の広がりキタコレ。
『That is the major source of uncertainty which, by the way, is reflected
in the current macroeconomic projections only to the extent of the measures
that have been implemented already.』
そりゃそうだと思いますが、major source of uncertaintyだそうで。
『The current projections do not reflect measures that have been announced,
measures that have been threatened. Clearly, there we have to look at basically
three factors that may make this uncertainty more severe.』
より問題が大きくなる要因が3つだそうでまた3つかよという感じですが。
『One is clearly, we have to see, we have to assess the extent of an escalation;
that is one factor that certainly we have to look at.』
エスカレートするケース。
『The so-called confidence effects; besides the effects on prices and tariffs
and quotas and volumes, trade and so on, what is going to be the effect
on general confidence of an extended trade war? That is certainly a second
factor.』
貿易戦争が与える(企業や家計の)信頼感に与えるケース。
『The third factor which makes any assessment quite difficult is to assess;
what are the implications on the international value chain of changes in
tariffs of a broad and significant proportion?』
貿易戦争で世界貿易の全体が低下することが3番目だそうな。
でまあこの貿易の方はさておいて、その前までの威勢の良い話ってのはドラギ俊彦先生のことですから、市場があまりにも楽観(金利も上げないしうっかりしたらまだまだ緩和来るで状態)に傾いているので、まあ自信ニキを示して冷やしてみましたということなのかなあとか勝手に妄想していますが、実際どうなのかはよくわからん。
・償還再投資に関しては特に新たな話はしてないそうな
『I'd like to ask about whether or not there was any discussion - or even
a discussion of when you will have a discussion - on the reinvestment policy.』
『I'd also be interested in your personal view of this idea floating around
of an “Operation Twist”-style operation that could perhaps be tailored
to the needs of specific eurozone member states.』
オペレーションツイスト方式でのQE継続ちゅうのはちょっとと思いますが。
『Now, frankly we haven't discussed and we haven't - as I said last time,
we haven't even discussed when we are going to discuss it. Now, having
said that we have two meetings before year-end. So we either discuss next
time or in December. It's just a matter of - we'll take this decision in
the coming days, really. It was going to be at the level of committees
first and foremost because it'll have to be prepared - properly prepared.
Other than that, as you've seen from my reading, the reinvestment statement
is exactly the same as before.』
資産買入の拡大が終わってから考えていくような話なので特になんも議論していませんとな。
『Now, we haven't discussed either the “Operation Twist” or whether to
reinvest in different maturities. I think what I said last time - and I
can confirm that even though we haven't discussed, I believe the Governing
Council would be pretty unanimous on that - is that the capital key will
remain the guiding principle.』
オペレーションツイストみたいなことは特に考えておりませんよ買入はあくまでもキャピタルキーで実施ですがな。
・イタリアに関する質疑
オペレーションツイストがどうのこうのみたいな質問が出る背景はイタリア懸念ということのようで。
『Even if it looks open-ended, let's say that QE is about to end and there is growing confusion in Italy I think about what QE has been really all about. Some people think that QE is a sort of securities markets programme and that the end of QE will mean that Italy in particular will be abandoned, left alone to fight against attacks of speculators. I don't know whether you want to comment on what QE is really all about.』
QE拡大停止するとイタリア問題が拡大しないかという質問だが、まあ聞く方の理屈はわかるがそれはECBにおんぶにだっこにも程がある理屈ではないかという希ガス。
『It's actually a comment made on other occasions in different contexts.
The mandate of the ECB is price stability in the medium term. QE has been
one of the tools we used to pursue this task. In the past the ECB was asked:
why are we keeping, for example, interest rates negative and we are depriving
the savers from their income? Or why are we hurting insurance companies,
banks, through low interest rates? As always answered, the mandate of the
ECB is not to protect bankers' profits or insurance companies' profits.』
ECBは物価安定目標を達成するために政策をやっているのであって個別機関に対してどうこうということをしている訳でもないし、預金者や銀行を痛めつけようとして政策をしている訳でもありません、と来ていますので続きは明らかですが、
『In this case, responding to your question, it's not to ensure that government
deficits would be financed under all conditions. Our task is to pursue
price stability.』
物価目標達成のために必要な政策をやっているだけです(キリッ)だそうです。
その後でも質問がありまして、
『(前半割愛)The second question is about Italy and it's about the fact
that bond yields have risen in recent months. How's that affecting financing
conditions at large in Italy and in the periphery?』
イタリアに関して金利上がっているんですがというツッコミに対しては、
『(前半割愛)The second question was about Italy. Let me say something
I was about to say before when I was asked about Italy. First of all, words
in the last few months have changed many times. What we are now waiting
for is facts, and the main fact is the draft budget law - and not only
that - and the subsequent parliamentary discussion.』
財政に関する議会の審議状況を確認したいとのこと。
『We have to see how that is and then savers, capital markets, investors
will formulate their view. Unfortunately we've seen, as you said before,
that words have created some damage. Interest rates have gone up and they've
gone up for households and they've gone up for firms. By the way, this
is another interesting point: all this hasn't created much of a spillover
to other euro area countries. It's remained, at least so far, pretty much
an Italian episode.』
イタリアは政治家の発言とかで金利があがったりしているけれども、他の欧州諸国にスピルオーバーが発生していないのが今回は目立つそうな。
『Now, having said that we have to basically be aware that the Italian
Prime Minister, the Italian Minister of the Economy, the Italian Foreign
Affairs Ministers have all said that Italy is going to respect the rules.』
ということで首相や財務相や外相の動きには注意をしているそうです。
・ESTARに関して
『Today there has been a recommendation by the private sector group to
take the ESTER as a new euro risk-free rate. I'd like to know if the ECB
is endorsing that decision.』
『Secondly I'm wondering about the fallback rate. As far as I know, the
ECB was trying to deliver ESTER as a fallback rate in case the private
sector could not agree on a new benchmark rate. Now thequestion is: if
ESTER will become the new EONIA, what will be the fallback rate after our
banks need a fallback rate when they use such a systemic benchmark?』
まあ金融政策とは直接関係ないですが、ベンチマークレートをどうするのかという話です。
『Today just not long ago the private sector working group has recommended
to use the euro short-term rate - that's why it's called ESTER - the euro
short-term rate as an alternative free rate as a replacement for EONIA
that no longer meets the criteria of the EU benchmarks regulation.』
『It will see its use restricted as of the January 2020. So we welcome
this decision, because also it brings the euro area closer to other jurisdictions
where this issue's been addressed already.』
2020年の頭から使うという話になっておりますが。
『Of course we want to state clearly that the private sector plays the
dominant role in ensuring a smooth transition, but this transition's just
started. There is a subgroup of the working group led, by the way, by a
former colleague of mine in the Executive Board and a countryman of Mr
de Guindos, Mr Gonzalez-Paramo, that actually will oversee exactly the
point that you raised; namely what should be done to ensure the robustness
of the contractual arrangements that are based on other benchmark rates
on Euribor and EONIA?』
『So we can't say much about the future of Euribor because that depends
very much on the administrator of Euribor and on the regulators; namely
ESMA and FSMA.』
移行とかその辺に関する話はこれからということですな。
#欧州出稼ぎモードで円債ネタなしですなあ(涙)
2018/09/14
お題「ECBは波乱なしの平常運転(ただし会見は見てない)/バーナンキェ・・・・・・・・・・」
9月の連休というのは中間期末の営業日が減るということなので何とも微妙な。
〇ECBは「見通し通り」路線も新興国リスクを加えつつしらっと物価のリスク認識を下げております
https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2018/html/ecb.mp180913.en.html
Monetary policy decisions
『At today’s meeting the Governing Council of the European Central Bank
(ECB) decided that the interest rate on the main refinancing operations
and the interest rates on the marginal lending facility and the deposit
facility will remain unchanged at 0.00%, 0.25% and -0.40% respectively.
The Governing Council expects the key ECB interest rates to remain at their
present levels at least through the summer of 2019, and in any case for
as long as necessary to ensure the continued sustained convergence of inflation
to levels that are below, but close to, 2% over the medium term.』
金利は据え置き、ガイダンス文言も据え置き。
『Regarding non-standard monetary policy measures, the Governing Council
will continue to make net purchases under the asset purchase programme
(APP) at the current monthly pace of ユーロ30 billion until the end of
this month. After September 2018, the Governing Council will reduce the
monthly pace of the net asset purchases to ユーロ15 billion until the end
of December 2018 and anticipates that, subject to incoming data confirming
the medium-term inflation outlook, net purchases will then end. The Governing
Council intends to reinvest the principal payments from maturing securities
purchased under the APP for an extended period of time after the end of
the net asset purchases, and in any case for as long as necessary to maintain
favourable liquidity conditions and an ample degree of monetary accommodation.』
10月からのテーパリング第2弾の予定にも変更はなし。買入資産残高の維持は「for
an extended period of time」の間実施する(資産規模縮小は先の話)というのも同じ。
でもって会見ですが、
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2018/html/ecb.is180913.en.html
PRESS CONFERENCE
Mario Draghi, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 13 September 2018
今朝は早くもQ&Aが出ている(会合によってQ&Aの出るタイミングにムラがあるのがECBクオリティ)ようですが、そこまで全部読むのはパスという事でINTRODUCTORY
STATEMENTから。
最初の挨拶は飛ばして、
『Based on our regular economic and monetary analyses, we decided to keep
the key ECB interest rates unchanged. We continue to expect them to remain
at their present levels at least through the summer of 2019, and in any
case for as long as necessary to ensure the continued sustained convergence
of inflation to levels that are below, but close to, 2% over the medium
term.』
金利の話。
『Regarding non-standard monetary policy measures, we will continue to
make net purchases under the asset purchase programme (APP) at the current
monthly pace of ユーロ30 billion until the end of this month. After September
2018, we will reduce the monthly pace of the net asset purchases to ユーロ15
billion until the end of December 2018 and we anticipate that, subject
to incoming data confirming our medium-term inflation outlook, we will
then end net purchases. We intend to reinvest the principal payments from
maturing securities purchased under the APP for an extended period of time
after the end of our net asset purchases, and in any case for as long as
necessary to maintain favourable liquidity conditions and an ample degree
of monetary accommodation.』
資産買入の話、でこの二つは声明文と同じ話。
『The incoming information, including our new September 2018 staff projections,
broadly confirms our previous assessment of an ongoing broad-based expansion
of the euro area economy and gradually rising inflation.』
今回リバイスされたスタッフ見通しを含めて、最近の経済指標は概ね従来の見通しをコンファームするものである。
『The underlying strength of the economy continues to support our confidence
that the sustained convergence of inflation to our aim will proceed and
will be maintained even after a gradual winding-down of our net asset purchases.』
よって資産買入のテーパリング(とは言わないでワインドダウンと言ってますが)は予定通り行うのが妥当。
『At the same time, uncertainties relating to rising protectionism, vulnerabilities
in emerging markets and financial market volatility have gained more prominence
recently.』
『Significant monetary policy stimulus is still needed to support the further
build-up of domestic price pressures and headline inflation developments
over the medium term. This support will continue to be provided by the
net asset purchases until the end of the year, by the sizeable stock of
acquired assets and the associated reinvestments, and by our enhanced forward
guidance on the key ECB interest rates. In any event, the Governing Council
stands ready to adjust all of its instruments as appropriate to ensure
that inflation continues to move towards the Governing Council’s inflation
aim in
a sustained manner.』
不透明要因があるので引き続き顕著な金融刺激が必要で、そのため資産買入に関しては拡大停止しても残高規模を維持するし、金利に関してもフォワードガイダンスに示した通りに低水準を維持します、というお話ですが、これを前回の冒頭ステートメントと比較してみましょう。
前回のECB
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2018/html/ecb.is180726.en.html
こちらの第4パラグラフ目になりますが。
『While uncertainties, notably related to the global trade environment,
remain prominent, the information available since our last monetary policy
meeting indicates that the euro area economy is proceeding along a solid
and broad-based growth path. The underlying strength of the economy confirms
our confidence that the sustained convergence of inflation to our aim will
continue in the period ahead and will be maintained even after a gradual
winding-down of our net asset purchases. Nevertheless, significant monetary
policy stimulus is still needed to support the further build-up of domestic
price pressures and headline inflation developments over the medium term.
This support will continue to be provided by the net asset purchases until
the end of the year, by the sizeable stock of acquired assets and the associated
reinvestments, and by our enhanced forward guidance on the key ECB interest
rates. In any event, the Governing Council stands ready to adjust all of
its instruments as appropriate to ensure that inflation continues to move
towards the Governing Council’s inflation aim in a sustained manner.』(この部分だけ前回ECBでの冒頭ステートメントより引用)
面倒なので一気に引用しましたが、不確実性の所が前回は「global trade environment」とトランプのアホウが馬鹿踊りをしている件についてのみ言及していましたが、今回は「vulnerabilities
in emerging markets and financial market volatility」というのが入っていまして、新興国市場があばばばばーになって経済に悪影響だったり、市場が大暴れだったりというのを不透明要因にぶっこんできているのが特徴的。
#まあECBに関してはお隣のトルコがあの有様だからということなのでしょうが、それはそれとして新興国があちこちであばばばばーとか言ってる割には米国様は米国様一人勝ちみたいな風情で相場が展開されているの何なんでしょうかね
今回のステートメントに戻りまして、
『Let me now explain our assessment in greater detail, starting with the
economic analysis. Euro area real GDP increased by 0.4%, quarter on quarter,
in the second quarter of 2018, following growth at the same rate in the
previous quarter.』
昨年の後半3四半期が0.7%で今年に入ってからは前半の2四半期が0.4%の成長ですな。
『Despite some moderation following the strong growth performance in 2017,
the latest economic indicators and survey results overall confirm ongoing
broad-based growth of the euro area economy. Our monetary policy measures
continue to underpin domestic demand. Private consumption is supported
by ongoing employment gains, which, in turn, partly reflect past labour
market reforms, and by rising wages. Business investment is fostered by
the favourable financing conditions, rising corporate profitability and
solid demand. Housing investment remains robust. In addition, the expansion
in global activity is expected to continue, supporting euro area exports.』
前回は昨年の成長が強かった反動とか一時的なサプライサイドの要因とか言い訳していましたが、今回はあっさり味で言い訳はしないで先行きは行けまっせという話にとどめていますな。
『This assessment is broadly reflected in the September 2018 ECB staff
macroeconomic projections for the euro area. These projections foresee
annual real GDP increasing by 2.0% in 2018, 1.8% in 2019 and 1.7% in 2020.
Compared with the June 2018 Eurosystem staff macroeconomic projections,
the outlook for real GDP growth has been revised down slightly for 2018
and 2019, mainly due to a somewhat weaker contribution from foreign demand.』
輸出の影響で成長率見通しが微妙に引き下げ。
『The risks surrounding the euro area growth outlook can still be assessed
as broadly balanced. At the same time, risks relating to rising protectionism,
vulnerabilities in emerging markets and financial market volatility have
gained more prominence recently.』
リスクの話はさっきあった通り。
『According to Eurostat’s flash estimate, euro area annual HICP inflation
was 2.0% in August 2018, down from 2.1% in July. On the basis of current
futures prices for oil, annual rates of headline inflation are likely to
hover around the current level for the remainder of the year. While measures
of underlying inflation remain generally muted, they have been increasing
from earlier lows. Domestic cost pressures are strengthening and broadening
amid high levels of capacity utilisation and tightening labour markets,
which is pushing up wage growth.』
ヘッドラインのインフレーションは石油価格の上昇で下駄を履いていて、基調的なインフレは上昇傾向にあるもののまだそこまでではない。ただし物価上昇圧力は賃金の上昇圧力や経済のスラック解消によって高まっているとな。
『Uncertainty around the inflation outlook is receding. Looking ahead,
underlying inflation is expected to pick up towards the end of the year
and thereafter to increase gradually over the medium term, supported by
our monetary policy measures, the continuing economic expansion and rising
wage growth.』
物価に関しては今回「Uncertainty around the inflation outlook is receding」という一文をぶっこんで来まして(前回は物価に関する不確実性の記述無し)、物価の先行きにはしらっと自信ニキなところを示していまして、新興国や市場のボラティリティーとか入れながらもこちらのほうではしらっと自信ニキという割とチャーミングなことをしていますな。
以下はマネタリーの話と毎度出てくる構造改革およびバランスの取れた成長に必要な財政政策という話をしているので、割愛しまして、今回は不確実性の要因を増やしてきたのと、物価の先行き見通しに自信を示したことが変わりましたかねという点のように思えます。
〇バーナンキェ・・・・・・・・・・・・
リーマンお父さん10年という事で色々と特集されていますが、むしろ債券市場老人会のジジイとしては10年も経過しているという事実にそらワシも老いぼれるわけだわと思うのであります(涙)。
ということでリーマン回顧みたいな記事を見ていたらこれでもうブチ切れですよ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-09-13/PEZEZX6JTSE901
10年前の金融危機対応でミス認める−バーナンキ元FRB議長
Rich Miller
2018年9月13日 16:08 JST
『2006−14年に米連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めたベン・バーナンキ氏は、10年前の金融危機対応で当局者に2つの致命的なミスがあったとの認識を示した。大きな破壊力を持った危機の到来を予測できず、それがどれほど大きな経済的ダメージをもたらすか過小評価していたという。』(上記URL先より、以下同様)
ほうほう。
『バーナンキ氏は、この主題を巡る13日公表の論文の内容を短編ビデオで説明し、「危機それ自体がどれほど広範囲で破壊的なものであるか誰も予想しなかった」と述べた。その後のリセッション(景気後退)が深刻化した主因として、08年のリーマン・ブラザーズ・ホールディングス経営破綻で金融システムを飲み込んだパニックを挙げた。』
>誰も予想しなかった
>誰も予想しなかった
>誰も予想しなかった
おめーよー、短期金融市場に思いっきり入っている金融機関をいきなりコカしたらどうなるかって日本が1997年にさんざんやっただろういい加減にしろこのハゲと思ったら、ちょうどタイミングよく本邦から中曾さんの回顧が日経ちゃんに載っていまして・・・・・・・・・
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35270300S8A910C1MM8000/
「危機は姿を変え現れる」 日銀・中曽宏前副総裁
リーマン危機10年 当事者の証言4
リーマン10年 金融最前線 経済・政治
2018/9/13 2:00日本経済新聞 電子版
『中曽宏日銀前副総裁(64)は1997〜98年の日本の金融危機で信用機構課長として最前線に立った。97年秋、三洋証券の法的整理は金融機関が資金を貸し借りする短期市場の大収縮を招いた。大手証券のリーマン・ブラザーズが破綻すれば市場の大混乱は明らかだった。日本の教訓を米当局に説き、ベアー・スターンズと同じくリーマンを公的救済すべきだと求めてきた。』(上記URL先より)
例によって以下の部分は会員向けになっておりますので以下引用致しません(というかできません)が、ちゃんとこちらにありますように、「97年秋、三洋証券の法的整理は金融機関が資金を貸し借りする短期市場の大収縮を招いた。大手証券のリーマン・ブラザーズが破綻すれば市場の大混乱は明らかだった。日本の教訓を米当局に説き、ベアー・スターンズと同じくリーマンを公的救済すべきだと求めてきた。」と言っているわけでありまして、逆さ絵の言う『危機それ自体がどれほど広範囲で破壊的なものであるか誰も予想しなかった』とか何を世迷いごとをいってるんだよ日本から警鐘ならしまくってただろいい加減にしろこのウスラハゲお前の髭を全部抜いたろうかこのヴォケというお話な訳ですよ。
という訳で、バーナンキ危機脱出に手腕とか言われますが、元々危機を大規模に爆発炎上させたのはこいつとポールソン財務長官が能天気だったからな訳で、お前は何を言ってるんだと思ったので雑談ということで。
#他に多少のネタあったのですが練りが足りないので書きかけて止めてしまったので本日は寝起きECBで基本勘弁ということで(すいません)
2018/09/13
お題「ブレイナード理事講演は長期均衡中立金利以上へのFF金利引き上げに向けた理屈を思いっきり示していますが」
毎勤統計キタコレ。
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/448833/
統計所得、過大に上昇 政府の手法変更が影響 専門家からは批判も
2018年09月12日 06時00分
あちこちで指摘してるのちょこちょこあったんですけどこうやってドドーンと出るとそれはそれで。
でもって相場は地蔵だわ中銀は今月のアクション待ちだわと来たらFEDの人たちの講演くらいしかネタがないんですがそれは(計数ネタは下調べ(と出来上がりの確認)に時間を食うので中々)、と思ったら中立金利ネタが降って来ましたのでさっそく釣られクマー。
〇ブレイナード理事講演である
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/brainard20180912a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/files/brainard20180912a.pdf
September 12, 2018
What Do We Mean by Neutral and What Role Does It Play in Monetary Policy?
Governor Lael Brainard
At the Detroit Economic Club, Detroit, Michigan
・どうでも良い小ネタですが
最初の挨拶。
『It is a pleasure to be in Detroit. I started my career working here in
the Motor City, and I have followed the fortunes of this area with interest
ever since. A few years ago, I visited some of Detroit's neighborhoods
with our local officials at a time when damage from the crisis was still
pervasive. While challenges remain in many of the city's neighborhoods,
since that time the metropolitan area overall has seen signs of a rebound
in business activity and investment, and the unemployment rate has continued
to trend downward, recently falling to 4.3 percent.1』
ということで、デトロイトで社会人のキャリアを始めたんだそうで、そこの掴みから金融危機からの脱却でこの町もだいぶ良くなりましたよねという金融政策の宣伝に話をつなげるの巻ですな。
『This is similar to the nation's economy more broadly. While challenges
remain for many, aggregate growth is strong, and the economy is meeting
our full employment and inflation objectives. Given the outlook, it comes
as no surprise that the Federal Open Market Committee (FOMC) has been gradually
raising interest rates from crisis-era lows and sees further gradual increases
as likely to be appropriate in its most recent statement.2』
『Before discussing the outlook, it might be useful to first explore some
concepts that are important in informing the path of rates.』
ということでお話が始まりますが。
・自然利子率の推計がどうしたこうしたという説明ですが・・・・・・・
最初が『What Is the Neutral Rate of Interest?』という小見出しで、定義の話をしているのですが、こちらでは、
『Focusing first on the "shorter-run" neutral rate, this does
not stay fixed, but rather fluctuates along with important changes in economic
conditions. For instance, legislation that increases the budget deficit
through tax cuts and spending increases can be expected to generate tailwinds
to domestic demand and thus to push up the shorter-run neutral interest
rate. Heightened risk appetite among investors similarly can be expected
to push up the shorter-run neutral rate. Conversely, many of the forces
that contributed to the financial crisis--such as fear and uncertainty
on the part of businesses and households--can be expected to lower the
neutral rate of interest, as can declines in foreign demand for U.S. exports.』
『The longer-run federal funds rate estimated by FOMC participants in their
Summary of Economic Projections (SEP) meets the definition of a longer-run
equilibrium rate of interest.5 It is worth highlighting that the longer-run
federal funds rate is the only neutral interest rate reported in the FOMC
projections. But the shorter-run neutral rate, rather than the longer-run
federal funds rate, is the relevant benchmark for assessing the near-term
path of monetary policy in the presence of headwinds or tailwinds.』
てな話をしていまして、短期的な均衡金利と長期均衡金利のコンセプトを分けて説明していて、短期的な均衡金利は色々な条件で変化するのでそれに対応しつつ、長期均衡金利に関してはより構造的な話ですよああそれから長期均衡金利はSEPで示しているロンガーランのFF金利ですね、というようなお話をしていますが詳しい引用はパスしまして次の『Estimating
the Neutral Rate of Interest』に。
『Similar to other equilibrium macroeconomic concepts such as potential
gross domestic product (GDP) and the natural rate of unemployment, the
shorter- and longer-run levels of the neutral rate are not directly observable,
so they must be estimated or inferred from the movements of variables that
are observed, such as market interest rates, inflation, the unemployment
rate, and GDP.6』
直接計測できませんというのは順当。
『In recent years, considerable work has derived estimates of the longer-run
equilibrium rate, in some cases using statistical techniques that can be
thought of as capturing the highly persistent component of the neutral
rate. The central tendency of those estimates suggests that the longer-run
trend rate is in the range of 2.5 to 3.5 percent in nominal terms.7』
最近の研究の結果概ね名目で2.5%〜3.5%程度が長期的な均衡金利なのではなかろうかとなっています。
『This range lines up well with the most recent median estimate of the
longer-run federal funds rate in the FOMC SEP, which is just below 3 percent.
By these estimates, the longer-run neutral rate has fallen considerably
from the estimated range in earlier decades of 4 to 5 percent.8』
でもって昔より下がりましたねああSEPで出してるのは3%ちょっと下ですよ。
『Turning to the shorter-run neutral rate, although the estimates are model
dependent and uncertain, we can make some general inferences about its
recent evolution that are largely independent of the details of specific
models.9』
短期的な均衡金利推計のお話です。
『Estimates suggest the shorter-run neutral rate tends to be cyclical,
falling in recessions and rising during expansions, and our current expansion
appears to be no exception.10』
景気循環に応じて上下するもんだそうな。
『Last year, the unemployment rate returned to pre-crisis levels, which
required real interest rates that were below zero for nearly 10 years.11
This year, the unemployment rate has fallen further, and job market gains
have gathered strength, at the same time that the federal funds rate has
increased. This combination suggests that the short-run neutral interest
rate likely has also increased.』
なんちゅうか理屈の為の理屈みたいな説明ですな。
『If, instead, the neutral rate had remained constant as the federal funds
rate increased, we would have expected to see labor market gains slow.
That inference is consistent with the formal model estimates, which indicate
that the shorter-run neutral rate has gone up as the expansion has advanced.』
えーなになに、自然利子率が一定のまま推移する中でFF金利を上げたら、労働市場は減速する筈なんですが、FF金利を上げていく中でも労働市場が改善しているのは、経済の拡大に伴い短期的な均衡金利が上昇したからである、って話になっているのだが、なんか理屈を捏ねまわすのには便利な話だが、これは政策判断を正当化するためのツールになりそうな悪寒が極めて漂う説明になっているのは気になります。
『This is also suggested by the observation that overall financial conditions,
as measured by a variety of indexes, have remained quite accommodative
during a period when the federal funds rate has been moving higher.』
金融環境も緩和的なままなのでまさにそうでしょう、だそうな。
・長期均衡金利以上に利上げしようというコンセプトががっつり登場してきます
『In the latest FOMC SEP median path, by the end of next year, the federal
funds rate is projected to rise to a level that exceeds the longer-run
federal funds rate during a time when real GDP growth is projected to exceed
its longer-run pace and unemployment continues to fall.』
今年ではなく来年年末のSEP予想の話が来ましたな。
『The shift from headwinds to tailwinds may be expected to push the shorter-run
neutral rate above its longer-run trend in the next year or two, just as
it fell below the longer-run equilibrium rate following the financial crisis.』
経済が向かい風から追い風になるので長期均衡金利以上の政策金利になりまっせ。
『Notably, the sizable fiscal stimulus in the pipeline is likely to continue
to bolster the short-run neutral rate over the next two years.』
そこに財政刺激も出てきますからそらもう更に上振れですよ、だそうな。
『The relatively rich level of current asset valuations relative to historical
levels is another factor that could push the short-run neutral rate above
its longer-run value.』
でもってここがキタコレなのですが、資産価格というか資産のバリュエーションというかの資産市場の話が登場しておりまして、資産価格のバリュエーションが上昇しているのも短期的な均衡金利を長期的な均衡金利よりも高くする、とか思いっきり言っておりまして、
『As was noted in the recent FOMC minutes, corporate credit spreads are
very narrow, and equity valuations are elevated relative to historical
patterns, even after taking into account the low level of interest rates.12
Business and consumer confidence is high, which is also consistent with
a higher shorter-run neutral rate of interest.』
って思いっきり社債スプレッドだの株価だのが出てきていて、こいつらのバリュエーションが高いことは均衡金利を引き上げる効果があるってそれ姐さん思いっきり資産バブル警戒利上げの話をしてるじゃないですかやだー、というところまでで『Estimating
the Neutral Rate of Interest』の小見出し終了。
・見通しについて
次の小見出しが『The Outlook』ですがこちらは簡単に引用します。
『So far, the data on inflation remain encouraging, providing little signal
of an outbreak of inflation to the upside, on the one hand, and some reassurance
that underlying trend inflation may be moving closer to 2 percent, on the
other. Core personal consumption expenditures (PCE) prices have increased
2 percent over the past 12 months, consistent with the FOMC's objective.
Survey measures of inflation expectations remain stable in the lower end
of the historical ranges, while market-based measures of inflation compensation
remain stable at levels above the lows seen in 2016. With various measures
of underlying trend inflation having come in below our 2 percent objective
over a sustained period, it is important to sustainably achieve inflation
around 2 percent to prevent an erosion of underlying trend inflation the
next time the economy faces a downturn and the federal funds rate hits
its lower limit.14』
物価についてはマンデート達成状態という感じの評価ですわな。労働市場については言うまでもないので引用すっ飛ばしています。
『The past few times unemployment fell to levels as low as those projected
over the next year, signs of overheating showed up in financial-sector
imbalances rather than in accelerating inflation.』
でもって次に来るのがファイナンシャルインバランスキタコレなのでして。
『The Federal Reserve's assessment suggests that financial vulnerabilities
are building, which might be expected after a long period of economic expansion
and very low interest rates. Rising risks are notable in the corporate
sector, where low spreads and loosening credit terms are mirrored by rising
indebtedness among corporations that could be vulnerable to downgrades
in the event of unexpected adverse developments.』
『Leveraged lending is again on the rise; spreads on leveraged loans and
the securitized products backed by those loans are low, and the Board's
Senior Loan Officer Opinion Survey on Bank Lending Practices suggests that
underwriting standards for leveraged loans may be declining to levels not
seen since 2005.』
どう見ても金融バブル警戒です本当にありがとうございました。
『While tightening resource utilization and loose financial conditions
present upside risks, recent foreign developments present downside risks.』
一方で海外動向が下振れリスク要因としています。まあ当然ちゃあ当然ですが。
『Trade policy has introduced uncertainty. Growth in Europe and Japan has
moderated from its strong pace of last year, and political risks have reemerged
in countries such as Italy. China is contending with deleveraging and deceleration
as well as a challenging trade environment. As U.S. growth has pulled away
from foreign growth, in part reflecting fiscal policy divergence, expectations
of monetary policy divergence strengthened, contributing to upward pressure
on the dollar earlier this year.』
『The resulting currency adjustments are compounding challenges faced by
some emerging market economies, along with a complicated and unpredictable
trade environment and gradually increasing interest rates. Although capital
flow reversals have been contained to several notably vulnerable countries
so far, I am attentive to the risk that a pullback from emerging markets
could broaden.』
ドル高による新興国への悪影響も指摘していますな。
・ということで利上げは長期均衡金利以上に
次の小見出しは『The Path of Policy』である。
『What are the implications for policy?』
ってそれは長期均衡水準以上に利上げしまっせというのがインプリケーションなのではないかと・・・・・・・
『Over the next year or two, barring unexpected developments, continued
gradual increases in the federal funds rate are likely to be appropriate
to sustain full employment and inflation near its objective. With government
stimulus in the pipeline providing tailwinds to demand over the next two
years, it appears reasonable to expect the shorter-run neutral rate to
rise somewhat higher than the longer-run neutral rate.』
キタコレ。
『Further out, the policy path will depend on how the economy evolves.』
何かその直前までキタコレな長期均衡水準以上に上げまっせという話をして最後は「depend
on how the economy evolves」ってのも何だかなあという説明ではありますが。
『These developments raise the prospect that, at some point, the Committee's
setting of the federal funds rate will exceed current estimates of the
longer-run federal funds rate.』
と思っていたらやっと「SEPで示しているロンガーランFF金利以上にどこかの時点で利上げする」というのが出て来まして、先般ヘッドラインに出ていたボスティック総裁とかは「長期均衡金利まで上げたらいったん様子見」とか言っていて、変態仮面ブラード先生はまあ外れ値としておいとくとして、ハト派分類の人でも長期均衡金利までは上げる話になっているような感じですと、今って「長期均衡金利まで上げて止めるか、もうちょっと上げるか」くらいの話にFOMCの方ではなっていませんかねってイメージのわく講演などの出方なんですけど、たぶん米債市場そこまでの構えができていない気がします。
・イールドカーブのフラット化やインバートはタームプレミアムのせいだからヘーキヘーキ
『Indeed, the median projection in the SEP has this property. This raises
the possibility of a flattening or inversion of the yield curve in the
event that term premiums do not rise from their currently very low levels.15』
イールドカーブの話が出てきましたな。
『Like many of you, I am attentive to the historical observation that inversions
of the yield curve between the 3-month and 10-year Treasury rates have
had a relatively reliable track record of preceding recessions in the United
States.16』
と言いつつも・・・・・・・・・・
『But unlike these historical episodes, today the current 10-year yield
is very low at around 3 percent, which is well below the average of 6-1/4
percent during the decades before the crisis.』
ほうほうそれでそれで?
『Part of the reason the 10-year Treasury yield is unusually low is that
market expectations of interest rates in the longer run are themselves
quite low, as discussed earlier. Another important reason the 10-year Treasury
yield is very low is that the term premium has fallen to levels that are
very low by historical standards.』
出たなタームプレミアム。
『According to one estimate from Federal Reserve staff, the term premium
has been slightly negative until very recently and remains very low.17
By contrast, it was close to 100 basis points when the spread between the
3-month and 10-year Treasury yields was at its peak of 325 basis points
in early 2010. This may temper somewhat the conclusions that we can draw
from historical yield curve relationships characterized by a substantially
higher term premium. If the term premium remains very low, any given amount
of monetary policy tightening will lead to an inversion sooner so that
even a modest tightening that might not have led to an inversion historically
could do so today.』
イールドカーブのフラット化やインバートがリセッションの前兆として騒がれておりますが、そもそもの長期均衡金利が下がっていることに加え、タームプレミアムが縮小し、寧ろマイナスになっている可能性もある、という状態で、過去のタームプレミアムが大きい時代とは違うので、そこまで大きく懸念することではないのではないか、というのがブレイナード理事の説明のようですな。
『One reason the term premium may be lower than in the past is the changed
correlation between stock and bond returns, likely associated with changes
in expected inflation outcomes.18 The other driver of the low level of
the term premium globally is the asset purchases of central banks in several
major economies.19 In this case, if the term premium rises as the effect
of asset purchase programs diminishes, the effect may be to forestall an
inversion of the long-dated yield curve.』
でもってタームプレミアム縮小の理由は株式と債券の間のリターンの関係が変わっていること、世界の中央銀行が金融政策で国債の買入をやってプレミアムを下げていることがあるでしょうと。
『It is worth highlighting that the flattening yield curve suggested by
the SEP median is associated with a policy path calibrated to sustain full
employment and inflation around target. So, while I will keep a close watch
on the yield curve as an important signal on financial conditions, I will
want to interpret yield curve movements as one of several considerations
informing appropriate policy.』
ということで、イールドカーブに関しては「as an important signal on financial conditions」としてみるそうな。
『Indeed, the possibility that the projected policy path may have unintended
consequences is one of the compelling reasons for raising interest rates
gradually. The gradual pace of interest rate increases anticipated in the
SEP median path should give us some time to assess the effects of our policies
as we proceed.』
『While the information available to us today suggests that a gradual path
is appropriate, we would not hesitate to act decisively if circumstances
were to change. If, for example, underlying inflation were to move abruptly
and unexpectedly higher, it might be appropriate to depart from the gradual
path. Stable inflation expectations is one of the key achievements of central
banks in the past several decades, and we would defend it vigorously.』
現在ではグラデュアルに金利を引き上げていくことが適切と考えているが、必要な時には必要な行動をします、と言っているのですが、何故かその「必要な時の具体例」がなんと「インフレが高進したとき」という利上げの方で来ているというのがこれまたエライ勢いで金利タカ派ですな。
ただまあここからはかなりの妄想になりますけれども、その前のほうで「金融不均衡」「アセットバブル」を警戒しているというのが前面に出ていましたので、これって「ゴルディロックスヒャッハー相場にしないためにタカスタンスを見せて市場に一定の警戒を与えるようにして資産市場をけん制するためにも強気スタンスを押し出す」ということなのかもしれないなあとは思ったりもするのでした。
最後が『Conclusion』
『Our challenge is to sustain full employment and inflation at 2 percent,
which is likely to warrant continued gradual increases in the federal funds
rate. With fiscal stimulus in the pipeline and financial conditions supportive
of growth, the shorter-run neutral interest rate is likely to move up somewhat
further, and it may well surpass the longer-run equilibrium rate for some
period.』
『Beyond the near term, how much the neutral rate is likely to rise and
whether it flattens or moderates further out will depend on a variety of
developments--such as whether fiscal stimulus is extended or expires, whether
foreign and trade risks grow or recede, and whether financial system vulnerabilities
extend.』
『As such, the gradual pace of rate increases implicit in the SEP's median
policy path incorporates a degree of caution, which is appropriate, in
my view.』
つーことで、目先に関しては中立金利よりも高くする話なのですが、その先財政刺激分の剥落とか、資産市場の調整とかが起きるのを警戒しているので、むやみやたらと引き締めスタンスなのではなくて、足元の無用な財政刺激と金融市場の楽観を警戒しています、という趣旨でお話をしているように見えました。
2018/09/12
お題「30年国債入札で公表遅延事案とな/オペネタもしばらく無さそうなのでNY連銀のブログ(?)からというヒマネタモード」
昨日の日経朝刊でしたけど。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35173000Q8A910C1EA1000/
「石破氏出馬、退陣要求だ」 (ルポ迫真)
自民党総裁選 政治
2018/9/11 2:00日本経済新聞 電子版
いやあの任期満了したら選挙するの当然で、選挙なんだから対抗馬が出るの当たり前だと思うのですが、記事にある「私にとって最後の総裁選だ」ってのが別の意味に読めてしまうわこの題名だと。
〇30年国債入札ェ・・・・・・・・・・・
以下人のふんどしを借りまくっておりましてロイターさん誠に恐縮でございます。
昨日の債券市場。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1VX2MJ
2018年9月11日 / 15:37 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が反発、長期金利は横ばい0.110% 30年債入札順調でフラット化
ちょいと下の方からになりますが、
『 <12:45> 30年債入札結果発表を午後1時に遅延、入札事務に支障
財務省は、午後0時35分に予定していた30年債入札結果の発表を午後1時に遅延することを明らかにした。入札事務に支障が生じているため。入札結果発表遅延による相場への影響は「ほとんど出ていない」(外資系証券)という。』(上記URL先より、以下同様)
ということで30年国債入札結果発表が13時に遅延という謎のプレイが登場しまして、こんなん今みたいにウゴカンチ会長相場だからまあゆうて別に大したことは無かった(上記記事の通り)のですが、世が世ならそれだけで債券相場振り回されるモードになって、しかも入札した人の中でまあ投資家は別に構わんのですが、マーケットメーカーで札入れる人って札が予定通り入っているか入っていないかでポジションが変わるガンマショート状態になっているのでそこで上下に振らされると中々キツイんですが、などというような事もありますので、30年とか思いっきりデュレーション長いので25分遅延するとそれはそれで痺れるのでまあ極力そういうの無いに越したことはありませんな。
とは言いましても、よく考えたら世が世ならの時は結果発表もっと遅かった(記憶のかなたに14時台というのがあるのですが気のせいかもしれない、ジジイだけに)ので、まあ13時でもそんなもんちゃあそんなもんですし、対顧やってたらある程度コスト払って必殺で入れるわとか、そういや最近は平均預かりとか無いんでしたっけとか、いろいろと昔と違っているので、こういう時のお作法も違うんでしょうなあとか老人茶飲み話のような感想を思いつつ13時。
『 <13:19> 30年債入札結果はしっかり、利回り高止まりで一定需要
財務省が午後1時に発表した30年利付国債の入札結果は、最低落札価格が96円70銭(最高落札利回り0.838%)となった。平均落札価格は96円71銭(平均落札利回り0.838%)で、落札価格の平均と最低の開き(テール)は1銭と前回(6銭)から縮小。応札倍率は4.23倍で前回(4.68倍)を下回った。市場では、しっかりした入札結果と評価されている。「日銀主導で金利が上昇することは想定しにくいことに加え、外部環境を踏まえると、金利は現行水準から上昇方向よりも低下方向に動く可能性が高い。30年債は利回りが高止まりしており、ある程度買わざるを得なかったのだろう」(証券)との声が出ている。入札結果を受けて、国債先物に買い戻しが入った。中心限月12月限は一時前日比5銭高の150円29銭に上昇。30年債利回りは同1.5bp低い0.830%に低下した。』(上記URL先より)
ということで事前予想よりもやや高い足切り(と言ってもまあ前場引けで5糸強の0.84%くらい)で30年国債でテール1銭かよってなもんで、そら30年フラットニングしますわというお話ではありますが・・・・・・・・・・
『 <14:22> 入札結果発表の遅延、財務省は「インフラ面は問題なし」と説明
財務省は、きょう行われた30年債入札の結果発表が遅延したことについて「入札事務における一連処理の中で支障が生じた。システムなどのインフラ面に問題があったわけではない」(理財局)と説明した。財務省は、30年債入札の結果を当初予定していた午後0時35分から午後1時に遅らせて発表した。』(上記URL先より)
ほうほう。
https://jp.reuters.com/article/30-year-bond-bid-idJPKCN1LR0A8
2018年9月11日 / 14:02 /
30年債落札は三菱UFJMS証2900億円、メリルリンチ日本証757億円=市場筋
『市場関係者の推計によると、30年利付国債入札における大口落札先は以下の通り。三菱UFJモルガン・スタンレー証2900億円、メリルリンチ日本証757億円、大和証347億円、SMBC日興証242億円、シティグループ証200億円、ソシエテ・ジェネラル証148億円、みずほ証138億円、クレディ・スイス証131億円、東海東京証113億円、クレディ・アグリコル証56億円、岡三証16億円──などになった。』(上記URL先より)
まあこれ推計値って味わいのある数字で別に公式なものではないので、合計が全然足りないのですけれども、まあこのリストを見ると何かいつも名前が出る人の中で誰かいませんねえ(常に名前を出さない人もいる)ということでまあお察しという事で結果発表の遅延になったという話ですかねえという所ではあるのですが、まあその要因があって上記の結果ですからニーズやっぱり強いじゃんという事ですな。というか直近30年とかはそれなりに調整していたのが功を奏したという感じですかねえ、よくわからんけど。
ということで、まあ変なこともありましたが最終は・・・・・・・・・
『<15:22> 国債先物が反発、長期金利は横ばい0.110% 30年債入札順調でフラット化
国債先物中心限月12月限は前日比6銭高の150円30銭と反発して引けた。朝方は先物限月交代に絡む持ち高調整の取引に加えて、30年債入札を控えて前日終値付近で方向感に欠く展開となった。30年債の入札結果が、業者のショートカバーや投資家の需要で順調となったことを受けて買いが優勢となり、一時150円30銭に上昇。引けにかけてそのまま高値圏で推移した。』(最初のロイター記事URL先より、以下同様)
とまあそういう訳ですが、
『現物市場は総じて閑散。10年最長期国債利回り(長期金利)は同横ばいの0.110%で推移した。超長期ゾーンは堅調。順調な入札結果を受けて買い戻しの動きが強まった。40年債利回りは一時同2bp低い0.960%、30年債利回りは一時同1.5bp低い0.830%、20年債利回りは一時同1bp低い0.605%に低下し、イールドカーブはフラット化した。』
ということで華麗にフラットニングしましたが、何せ前場は30年入札だから関係ないと言ってしまえばそれまでではあるものの、入札日だというのに10年とか5年とか例によって例のごとくカレント銘柄出合いなしとか、まーたこの相場かよという展開にはなっておった訳ですけどな。
『財務省は、30年債入札の結果を当初予定していた午後0時35分から午後1時に遅らせて発表した。市場では、一部引受業者の落札額が不明だったことで「あくまでも推測に過ぎないが、業者のシステム入力などの入札事務作業の過程で、何らかのミスがあったのではないか」(外資系証券)との見方が出ている。午後の取引で買い戻しの動きが強まった要因の一つに、こうした入札に絡む動きがあった、との観測もあった。』
つーことで、謎の結果発表遅延というのがありましたが、まあそれで相場が荒れたりしないのが今の相場なんですなあとか思ってしまったので後日の為にロイターさんのふんどしを借りまくってメモをしておきました次第でございます。ロイターさん恐縮です。
〇NY連銀ブログからネタでもというほぼヒマネタモードですいません
どうせ決定会合は動かないしFOMCは再来週だしECBもしばらくは様子見でしょうからこれがまた中央銀行ネタがネタなし芳一という感じですが、オペに関しては月初に減額なのに増額という掛け算スキームで華麗に減額しちゃったのでこれまた今月はどう見てもネタなしというこの困ったちゃんモードということで、ローゼングレン総裁の講演スライドでもネタにしようとしたのですが、PCちゃんがあまりご機嫌が宜しくないので軽いページの方でニューヨーク連銀の方から少々。
・輸入関税は貿易赤字を削減するのかというお題
ニューヨーク連銀のホームページ
https://www.newyorkfed.org/
から、今ですとこの右側の所に『Do Import Tariffs Help Reduce Trade Deficits?』などという素敵な文字列があるのでそこをポチっとなとしますと、
http://libertystreeteconomics.newyorkfed.org/2018/08/do-import-tariffs-help-reduce-trade-deficits.html
Liberty Street Economics
AUGUST 13, 2018
Do Import Tariffs Help Reduce Trade Deficits?
Mary Amiti, Mi Dai, Robert C. Feenstra, and John Romalis
まあ先月の物件なのは勘弁して頂くとしまして、これはまたチャーミングなお題の小文ですな。
ちなみにこちらのページは、右の方に『About the Blog』って説明がありますが、
『Liberty Street Economics features insight and analysis from New York
Fed economists working at the intersection of research and policy. Launched
in 2011, the blog takes its name from the Bank’s headquarters at 33 Liberty
Street in Manhattan’s Financial District.』
名前は住所から取ったんですね。
『The editors are Michael Fleming, Andrew Haughwout, Thomas Klitgaard,
and Asani Sarkar, all economists in the Bank’s Research Group.』
『The views expressed are those of the authors, and do not necessarily
reflect the position of the New York Fed or the Federal Reserve System.』
まあこの辺はお約束。
ということでお題の内容を鑑賞しませう。
『Import tariffs are on the rise in the United States, with a long list
of new tariffs imposed in the last few months-25 percent on steel imports,
10 percent on aluminum, and 25 percent on $50 billion of goods from China-and
possibly more to come.』
輸入関税バンバン来るでという状況ですが・・・・・・・・・
『One of the objectives of these new tariffs is to reduce the U.S. trade
deficit, which stood at $568.4 billion in 2017 (2.9 percent of GDP). The
fact that the United States imports far more than it exports is viewed
by some as unfair, so the idea is to try to reduce the amount that the
nation imports from the rest of the world.』
『While more costly imports are likely to reduce the quantity and value
of imports into the United States, the story does not stop there, because
we cannot presume that the value of exports will remain unchanged.』
そら報復関税来ますからねえ。
『In this post, we argue that U.S. exports will also fall, not only because
of other countries’ retaliatory tariffs on U.S. exports, but also because
the costs for U.S. firms producing goods for export will rise and make
U.S. exports less competitive on the world market.』
と思ったら報復関税のみならず、そもそも輸入品のコストが上がることによって輸出品の価格にも影響を与えるので、その分でも米国製品の競争力が下がる、という指摘がキタコレとなっております。
『The end result is likely to be lower imports and lower exports, with
little or no improvement in the trade deficit.』
ということで、最初にいきなり出オチのごとく結論があって、これはトランプ先生にマッコウクジラで喧嘩売ってますわというのが実にお洒落ですな。では分析をみましょう。
『One way to see that higher import tariffs will reduce exports is to look
at the experience of countries that have changed their import tariff rates.
China reduced its import tariffs when it joined the World Trade Organization
(WTO) in December 2001.』
つーことで輸入関税の引き下げを行った国の例として中国をだしております(上記URL先にはこのちょっとしたに図表がありますので見てちょ)。引き下げはWTOに言われたわけですけどね。
『Although China had lowered its tariffs prior to that time, in 2000 they
were still fairly high, averaging 15 percent. By 2006, this average tariff
rate had fallen by 40 percent, to 9 percent.』
2000年には15%だったのですが2006年には9%にしたそうな。
『We can see from the chart below that the growth rates of both China’s
exports and its imports increased enormously (more than 25 percent on average
per year) following its WTO accession, with both growth rates more than
doubling in the five years after China joined the WTO, compared with the
five years prior to joining.』
2001年を100にした輸出入のチャートを見ると確かにこれは凄いです。
『Of course, we cannot tell from this chart what caused the increase in
exports. Many reforms were taking place in China at that time in addition
to trade liberalization.』
ただ他の要因もありますよね、というはそらそうですな。
『In order to identify the effect of lower import tariffs on China’s exports,
recent research has turned to using highly disaggregated Chinese firm-level
data with information on all the products a firm imports and exports.』
ほほう。
『The research shows that between 2000 and 2006 (the period for which detailed
firm-level data are available), China’s imports increased and so did its
exports.』
企業レベルでのデータを見ましたと(ただし2000〜2006)。
『Focusing on China’s exports to the United States, our research paper
(“How Did China’s WTO Entry Affect U.S. Prices?”) shows that by lowering
its own tariffs on imported inputs, China reduced its production costs
and increased productivity, enabling Chinese firms to enter the U.S. export
market and compete with other firms.』
「“How Did China’s WTO Entry Affect U.S. Prices?”」ってリサーチペーパーを見に行く方が吉のようですが、
https://www.newyorkfed.org/research/staff_reports/sr817.html
それはさすがに今回はパスします。
『With a fall in production costs, Chinese firms charged lower prices on
goods exported to the United States and increased their U.S. market shares.
A large part of the market-share gains stemmed from new varieties of goods
exported by Chinese firms entering the U.S. export market. 』
ということで、
『The link between lower input tariffs and stronger export growth can be
seen in the chart below. Chinese firm-level exports to the U.S. are aggregated
into two groups: the group of Chinese industries that experienced large
tariff cuts on imported inputs (specifically, average tariff cuts above
the median, equal to 4.6 percentage points or 43 percent), and the group
of industries that experienced input tariff cuts below the median, with
both indexed to 100 in 2001.』
『We can clearly see that Chinese exports to the United States grew much
more rapidly in industries that experienced the largest drops in input
tariffs. 』
「can be seen in the chart below」ってのはURL先見に行ってくらはいと存じますが、こちらでは輸入関税の引き下げが平均より大きかった関連産業と平均より少なかった関連産業の輸出がどう延びているかというのを出しているようで、輸入関税下がる→関連商品の生産コストが下がる→輸出競争力が高まる→ウマー、ということになっているそうな、まあ微妙にホンマカイナ感はあるのだが、直観的にはまあそうかなと。
『The evidence from China’s experience strongly suggests that a country
that increases its tariffs is likely to not only reduce its imports but
also reduce its exports.』
ということでトランプ先生に喧嘩を売っているのもお洒落ですが、そのエビデンスを中国の例にとっているのもこれまたチャーミングな文章ではあります。
『Many large exporters are also large importers that depend on imported
inputs for production of their exports. Even if U.S. exporters switch to
domestically produced inputs their costs will still rise, because competing
domestic suppliers will be able to increase their markups in the industries
that are protected by higher tariffs.』
『For example, with a 25 percent steel tariff, domestic steel producers
can increase their markups and still stay competitive. It is the U.S. exporters
that rely on these inputs that will be adversely affected. And this is
even before we take into account the cost to exporters from the retaliation
by other countries.』
ということで、輸入関税上げてその結果国内から調達するようになったとしてもそれはどう見てもコスト高です本当にありがとうございましたというお話。
『While we cannot predict the size of the trade deficit, what seems clear
from our analysis is that import tariffs will reduce both imports and exports.』
というイイハナシダナーな結論な訳ですが、そら最後にディスクレーマー入りますわ。
『Disclaimer
The views expressed in this post are those of the authors and do not necessarily
reflect the position of the Federal Reserve Bank of New York or the Federal
Reserve System. Any errors or omissions are the responsibility of the authors.』
と言いましても、この政権に対する忖度無しという素敵な物件が出てくる辺りが米国だなーと思うのでありますが、その一方で(爆発音の為以下聴取不能)。
ちなみにその前の奴がこんなので、まあ面白そうなネタを小文で掲載しているので面白そうですな。
http://libertystreeteconomics.newyorkfed.org/2018/08/how-do-the-feds-mbs-holdings-affect-the-economy.html
AUGUST 08, 2018
How Do the Fed’s MBS Holdings Affect the Economy?
Antoine Martin and Sam Schulhofer-Wohl
2018/09/11
お題「市場メモ雑談/ローゼングレン総裁(ボストン)とエバンス総裁(シカゴ)は利上げの終点が高いかもですな」
9.11ェ・・・・・・・・・・・・・
〇市場メモというかまあ動かんのだが
うむ。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1VW2SA
2018年9月10日 / 15:16 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が小幅続落で引け、長期金利0.110%に上昇
『<15:04> 国債先物が小幅続落で引け、長期金利0.110%に上昇
国債先物中心限月9月限は前営業日比4銭安の150円34銭と小幅続落して引けた。前週末の海外市場で堅調な8月米雇用統計でインフレ懸念や利上げ継続観測が高まり米債が下落。その流れを引き継いで売りが先行した。もっとも、日経平均株価が上値を重くする中、安寄り後は下げ渋る展開。9月限は12日に取引最終日を控えて持ち高を調整する動きが出ていた。現物市場は閑散。11日に30年債、13日に5年債と相次ぐ入札を前に調整圧力がかかった。10年最長期国債利回り(長期金利)は同0.5bp高い0.110%に小幅上昇。』(上記URL先より、以下同様)
というか雇用統計があって平均賃金が遂に上がりだしたんじゃなかろうかこれはインフレ圧力ですよヒャッハー、というのが頭をよぎる雇用統計様でそら米金利も上昇しますわという動きだった訳ですが、と言いましてもまだ10年で2.94%とかだとインパクト無くて、3.2%くらいまで来ないと本格的にキタコレというレンジぶち抜け感は出てこないのですが、まあそうは言いましてもUSTがそこそこ売られているというのに不動の円債様5糸しか動かんとなという毎度のクオリティ。
昨日のオペオファー。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180910.htm
国庫短期証券買入 7,500 2018年9月11日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,000 2018年9月11日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,500 2018年9月11日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,500 2018年9月11日
何かアタクシ若干目を疑ったのですが、どこぞのベンダーみてたら「輪番オペの額が注目」とかいうヘッドラインがあったのですが、いや中期と長期の輪番の額は先週変更したばっかりなんですが何で注目しないといかんのじゃと小一時間と申しますか荷物をまとめて実家に(以下自主規制)。
まあ何ですな、輪番いじるのに関しまして、これは別に今に始まった話ではなく昔からですし、むしろ柔軟化しますよというニュアンスが漂う政策決定をした今回からはその昔からのが引っ張られて話がヤヤコシヤになると思うのですが、何と申しますか、輪番の上げ下げする際に、「金利水準を見て上げ下げに入ってくるのかと思えばそうでもない」というのが市場ちゃんが従来から現在に至るまで一々輪番の額でピーチクパーチクとなるところなのでありまして、現在どういう基準でその辺を考えているのか、というのが非常に見えにくいので、日銀の玉がいつ飛んでくるのかがさっぱり分からずに、そのため却って市場が動きにくくなっているというもんだとおもうの。
つまりね、YCCって最初の触れ込みだと均衡イールドカーブみたいなのがあって、そのカーブに対して適切な緩和度合いというのがあって、しかもその適切な緩和度合いというのは年限によっても異なっているから、必ずしも均衡カーブからパラレルに下方シフトさせたものではないよ(具体的には中短期は下方シフトさせるが超長期はそこまで下方シフトさせる必要はないというように)というのがあって、その望ましいイールドカーブってのは上下に幅のあるものだから、その幅を大きく逸脱して来たら国債買入を上げ下げして調整しますよ、ただし10年0%程度というのがあるから水準としてはそこからの幅もった水準だよ、というような感じの話の筈なのね。
しかしながら、よくよく考えてみたら今回は前回までとの間に断絶が入っているというのは分かるのですが、金利もっと低い時に買入減らさないのに金利がここに来て買入を実質減らしてみる、みたいなことが起きているし、超長期とかもカレント0.5%割れでも減額をしてこなかった(そのあとは時事通信砲撃からの金利上昇になりましたが)とか、市場に対応して反応しているのかと思えばそうでもないんですよね(金利が上がった時の止める方はやってるけど)。
でもって政策の持続性を確保するために、というのが前面に出てきた今回の変更措置があるので、まあその変更を踏まえてやっていきますよ、だったらそれはそれで話は分かりまして、政策の持続性を確保しようと思ったら今の買い方が大概に買いすぎですし、既に残高これだけ積んでいるのでそれを加味したら買入ペースはもっとバンバン落とさないとアカンという話になると思うのですが、その割にはえらいチンタラとしかペースが落ちてこない訳ですが、まあそれはそれとしましても何となくカレンダーベースっぽく減額するというのはそれはそれで分かるのですが、元々のYCCだの均衡カーブからの適切な緩和だのという話を残したままでこれをやっていくと、これまたロジックがわけわかめとなりますので、まあそういうような背景もあって「輪番が何考えて動いているのか傍から見たら分かりにくい」という話になって、市場も輪番を気にしないといけないので動けん、ということになるのではないかなーと(個人の感想です)。
ところで短国ですが、
『短期金融市場で、無担保コール翌日物の加重平均レートはマイナス0.05%台前半から半ばと前週末(マイナス0.053%)並みか、前週末をやや下回る見通し。マイナス0.03─マイナス0.075%を中心に取引された。ユーロ円3カ月金利先物は強含み。日銀の国庫短期証券(TB)の買入結果は弱めとなった。』(最初のロイター記事URL先より)
てなことで短国買入7500億円なので増額ちゃんですが、先週が2500億円だったので6Mと1Yのある時は7500億円で3Mの時は2500億円というパターンで来てくれると買入残高の方も減ってきますし、短国も担保だの何だのニーズはありますので、3Mが使いやすくなりますので結構なお話ではあるかと存じます。オーバーシュート型コミットメントの関係でそんなに威勢よくは減らせないでしょうが、短国買入はMB数値目標自体は無くなっているのですから、まあやっている意味がないオペではありますわ、うんうん。
〇マクロ加算比率来ました
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180910a.pdf
日本銀行当座預金のマクロ加算残高にかかる基準比率の見直しについて
『日本銀行は、日本銀行当座預金のうち、ゼロ金利が適用されるマクロ加算残高の算出に用いる基準比率(「補完当座預金制度基本要領」4.(3)イ.に定める基準比率)について、次のとおり定めることとしました。
2018 年 9 月〜11 月積み期間:34.0%(注)
これにより、日本銀行当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高(金融機関間で裁定取引が行われたと仮定した金額)は、上記3積み期間において、平均して
5 兆円程度となる見込みです。
次回は、2018 年 12 月〜2019 年 2 月積み期間に適用する基準比率を 2018 年
12月 10 日 17 時に公表する予定です。』
ということで、前の四半期積み期間が元々30.5%だったのを7月末の変更によって33.0%に引き上げたのですが、今回はそこから1%引きあがって34%ですかそうですかということですが、まあこちらは想定される資金需給から逆算しているので他意は無いと思います。実際は買入ペースが変わるとマイナス適用部分に影響が出る(財政ぶれてもそうですけど)こともありますかなというお話ですので、まあ買入は確りと減らして頂きたいもんだとは思います。
〇FOMC近くなってFEDの人がお話をしているようで
FED高官のお話って、よくWSJにインタビューが出てくるのですが、これを見に行こうとすると無情のログイン画面が出て続きが読めないというのが仕様で、連銀のサイトの方に行ってみようとするとWSJへのリンクが貼ってあってお前らこっちみろ状態になっていたりして中々悲しいのでございますが。
・ボストン連銀ローゼングレン総裁の最近の講演
これは講演じゃなくてインタビューですが。
https://jp.reuters.com/article/frb-boston-idJPKCN1LQ0G4
2018年9月10日 / 14:36 /
堅調な景気で「制約的」金利が妥当な可能性=米ボストン地区連銀総裁
『[ボストン 10日 ロイター] - 米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は、金利「正常化」に向け議論を始める時だとし、これまでの低金利支持から引き締め政策支持に姿勢を転換した。』8日に行われたロイターとのインタビューで、金利は「制約的」である必要がないだけでなく、定義的にも上昇している可能性があるとの見方を示した。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、
『総裁は「インフレの上振れ圧力と2%の達成、すでにタイトな労働市場を考慮すると、インフレが持続的に目標を上回り始めた状況となる。政策の正常化と、おそらくは穏やかに制約的な政策が議論されることになる」と述べた。現在四半期に1度となっている緩やかな利上げペースを速める必要はないと指摘。安定したペースは早めに利上げを開始したため許されており、景気の引き締まりに対応するため早期に利上げする必要性を回避しているとの見方を示した。』(上記URL先より)
もともとローゼングレンさんは金利引き上げ容認、ただしペースは4半期ごとのゆっくりで十分だが、ターミナルレートは3%よりも上に見ていそう、という方なので、まあタカハト分類すれは今の基準ならタカになると思いますので、別にサプライズではありませんけど。
https://www.bostonfed.org/news-and-events/speeches/2018/opening-remarks-boston-feds-62nd-economic-conference.aspx
Welcome and Opening Remarks
By Eric S. Rosengren
September 6, 2018
こちらのページに行くとプレゼンテーション(をPDFにしたもの)のリンクがあって、プレゼンしか読めないのでまあ今度ネタにするかもしれませんが、基本同様の話をしています。
・シカゴ連銀エバンス総裁の最近の講演を超手抜き読み
https://www.chicagofed.org/publications/speeches/2018/09-0302018-back-to-the-future-monetary-policy-argentina
Last Updated: 09/06/18
Back to the Future of Monetary Policy1
A speech prepared for September 3, 2018, for the Central Bank of Argentina
Money and Banking Conference, Dealing with Monetary Policy Normalization,
in Buenos Aires, Argentina.
アルゼンチンの中銀コンファランスとかコンファランスやってる場合かおまいらというところでの講演があった訳ですが、まあ挨拶っぽいお話でそんなに長くないけど超斜め読み。
『Introduction』ですけど、最初が非伝統的政策の導入をした時の背景みたいな話をしていまして、その結論は。
『This lesson is important to remember because in our current environment
of lower trend growth and low equilibrium real interest rates, the effective
lower bound looms closer than should feel comfortable. Despite our best
efforts, we will likely have to resort to alternative policies again in
the future.』
『Now, having said all of that, after a protracted period of slow and uneven
progress, over the past few years the U.S. economy has finally returned
to a path with strong growth fundamentals and inflation closer to target
on a sustainable basis. Monetary policy needs to be recalibrated accordingly,
and this is well under way in the U.S. We are well past the time when out-of-the-box
thinking was needed to provide monetary accommodation, and we are pretty
much back to monetary policy that is conventional, standard, mainstream-whatever
you want to call it-with the important caveat of a higher risk of hitting
the ELB.』
ということで、トレンド成長率の低い中では今後もゼロ金利制約に引っ掛かって非伝統的政策にかかることもありますでしょうなと言いつつ、足元に関しては伝統的政策への回帰だぜヒャッハーという話をしとりまして、
次の『A description of conventional monetary policymaking』は手抜きですっ飛ばして『Monetary
policymaking is finally returning to normal』というのを見ますと、
『Today, long after the financial crisis and the Great Recession, we find
ourselves stepping back into this role of supporting actor: With the unemployment
rate at 3.9 percent and core inflation at 2 percent, our job is to facilitate
the long-run, sustainable achievement of maximum employment and price stability.』
マンデート達成大勝利宣言キタコレ。
『Given the outlook today, I believe this will entail moving policy first
toward a neutral setting and then likely a bit beyond neutral to help transition
the economy onto a long-run sustainable growth path with inflation at our
symmetric 2 percent target.』
大勝利なので・・・・・・・・・・
『Of course, we may need to tighten somewhat further if currently unexpected
tailwinds emerge that push the economy well beyond sustainable growth and
employment levels, potentially leading to unacceptably high inflation beyond
our symmetric objective.』
unexpected tailwinds(トランプ財政とかでしょうし、ド本命は賃金上昇でしょう)が来たら「need
to tighten somewhat further」来ました。
『For example, we might discover that we underestimated the forward momentum
imparted by earlier monetary accommodation. Another possibility might be
that we experience greater-than-expected fiscal impetus from the recent
tax cuts and spending increases in the U.S. that is not accompanied by
gains in the economy’s underlying productive potential.』
物価のモメンタムやら財政の影響を弱めに見ている可能性だってあるから注意しなきゃとな。
『Conversely, the emergence of currently unexpected headwinds could dictate a shallower policy path.』
ここまで強気ネタぶっこんでいるので中和剤投下。
『One example would be if continued uncertainties over the international
trade situation generated adverse effects on business sentiment and spending.
Another downside risk is that the firming in inflation expectations could
stall out before expectations are clearly centered about 2 percent-as such
an alignment is a necessary condition for sustainable achievement of our
symmetric 2 percent inflation objective.』
貿易戦争の影響とインフレ期待が本当に2%で安定しているのかの確認は必要と来ていますが、まあ基本的な話は強めの話をしていまして、エバンスもキタコレという感じではあります。
なお、この話は次に『Low equilibrium interest rates are challenging』『The
future of conventional monetary policy』とあって、そっちの話の方がメイン(お題もそうですし)なのですが、現生利益に影響する方を速攻超斜め読みということで勘弁してつかあさい。
2018/09/10
お題「片岡審議委員会見は皆を唸らせる独自理論を出すでもなく根拠の乏しい残念な説明に終始するのでした」
スルガ銀行のこれですが、
https://www.surugabank.co.jp/surugabank/kojin/topics/180907.html
第三者委員会の調査報告書の受領と今後の当社の対応について
2018年9月7日
9月7日 第三者委員会から「調査報告書」を受領いたしましたので、お知らせいたします。
ということで第三者委員会の報告書の要約版を見ている分にはひでーなーとか思ってみるという感じでしたが、全文の方を読んでいるうちにさすがに気分が悪くなるレベルになりまして、週末にじっくりと拝読いたしましたが何かの駄文ネタにするという気分が沸かなくなるような代物でして、こんな銀行が存在していたのかよいうのもありますが、これもし自分が普通の銀行員でこの銀行にいて、気が付いたら勤務する銀行がこうなっていた、なんてことになったらどうするんだろうとか思うと慄然とするものがございます。
つーわけでニュースではご案内の事と思いますが、上記URL先にリンクがございますので、まあ歴史的なレベルでこれはキテイルとしか申し上げようがないので(なお全文は300ページを超える大作になります)お時間のある時に是非ご覧になられることをお勧めしますが、今申し上げましたように精神が結構削られると思いますので気力体力の充実している時に読むのがお勧め。
・・・・・・・・でですね、このアパマン融資(というと本来のアパマン融資に風評被害な気がするくらいのアレ融資なんですけど)何気に結構前から色々と綻びがあったというのが第三者委員会の報告書に出ているのですが、この状況について監(以下の部分は内務省検閲によって削除されました)。
さていつものリンクを貼っておくとしますか。
https://jp.reuters.com/article/japan-fsa-idJPKBN1860P0
2017年5月10日 / 16:34 /
厳しさ増す地銀、サービス業への貢献で収益確保を=金融庁長官
〇片岡審議委員会見である
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180907a.pdf
例によって例のごとく最初の質疑は「今日は如何でしたか」という話に地元経済の話が加わったりするので最初2ページ分くらいはそれで潰れてしまいますが全部割愛しましてその次の質問から。
・しょっぱなからグダグダ会見の香りがただよう質疑
『(問) 本日の懇談会の中で、7 月末の政策修正に関して、「必要なのは枠組み強化ではなく、追加緩和だ」と言っていたと思いますが、この背景や理由について改めて伺いたいと思います。』
ほうほう。
『また、先日の政策修正を受けて、特に金融機関などからは利鞘の拡大にあまり効果がないとして、もう一歩の修正を求める意見が早くも出てきていますが、こうした状況をご覧になられて、どのような対応・議論が必要であるとお考えですか。』
でもって片岡さんの答え。
『(答) 最初のご質問につきましては、講演の要旨にもある通り、私自身は物価のモメンタムが2%に向けて着実に改善しているとは現時点では言い難いと思っています。』
その説明が謎の直線一気理論というのがオソロシスとしか申し上げようが無いですし、だいたいからしてあの金懇挨拶に出ていた図表9「物価上昇の勢い(インフレ率の2%到達確率)」ってあれ単に直近の物価動向が上向きなのか下向きなのかを増幅して表示しているだけの代物にしか見えないんですけど。
『7 月の政策決定会合の内容につきまして、確かにフォワードガイダンスを導入することは非常に重要だと感じていますが、現状2%の物価安定に向けて、足もとの物価上昇が非常に緩やかな状況の中で、約束という意味では物価や予想インフレ率、GDPギャップといった目標に直接的に関係する指標に紐づけたフォワードガイダンス、コミットメントが望ましいのではないか、という理由で反対しました。』
これは経済指標ひも付きのコミットメントならば追加緩和になりうるという説明で、まあだいたい一般的にはそうなのでしょうが、問題なのは「今までこの政策5年もやってきてしかもそれを拡大しているのに戦線を拡大したら目標達成するというのはなぜなんでしょうか」という問いが出てくることでして、それに対するお答えはない訳ですよ。
まあ言ってみれば日中戦争(日華事変)始めて短期で決着とかいってたのにドンドン長期化して泥沼化した挙句にそっちを全然解決しないままに戦線を拡大して仏印進駐した挙句に日米開戦とかやっちゃう昭和軍部の姿が目に浮かぶわけで、金懇講演の方でも申し上げましたが、こんなのに付き合わされて最後は国土焼亡とか勘弁してほしいんですけど。
『長短金利操作につきましては、今回、国債市場等の状況もあって、一部弾力化するという話がありましたが、現時点では、私自身は、物価の見通しが後ずれする中で、金利の弾力化を図るよりも、むしろ金利をより低下させる追加緩和といった政策対応が必要であるとして反対しました。』
おうてめえそれやったら何で物価2%が早期に達成するんだよ説得力のある説明してみろやゴルァ。
『2点目の副作用についてですが、色々な意見があると思います。現状につきましては、金融市場等の動向をみますと、私自身は特段の副作用が起きているとはみておりません。』
副作用のところですが、普通はここで金融システムに問題が起きていないとか、金融機関の資本基盤に問題がおきている向きはないとか、そういう話をするところなのですが、「金融市場」とか言っちゃう辺りが非常にいい感じで金利市場に対して喧嘩を売っていまして、喧嘩を売るなら売るで、図表9のような意味不明の直線一気理論じゃなくてちゃんとした理論で喧嘩を売っていただきたいものだという感想しかございません。
・今回の政策は緩和の強化か後退か
次の質問である。
『(問) 講演で、長期金利の変動幅を広げたことについて、「金融市場で長期金利の上昇期待が強まる場合に、『ゼロ%程度』の操作目標が徐々に有名無実化し得るのではないか、といった懸念がある」とおっしゃっています。また、フォワードガイダンスについても、「物価見通しや、2%目標に相応の距離がある現状からの合理的帰結と言え、これに現状追認以上の効果があるのか判然としない」とおっしゃっています。』
ほうほう。
『今回の政策については、金融市場でも緩和の強化なのか、正常化に向けた動きなのか、よく分からないという声が非常に強いのですけれども、片岡委員ご自身、緩和の強化というよりは、緩和の後退とご覧になっているのでしょうか。また、こうした有名無実化するような政策とか、単なる現状追認以上の効果があるのか分からないようなフォワードガイダンスを入れるという提案が、なぜ執行部からなされ、マジョリティがこれに賛成したのか、反対した片岡委員ご自身は、どうしてこういう政策が決まったのか、日銀の真の意図は何なのかということを、どのようにお考えでしょうか。』
なるほど。
『(答) 1点目のご質問ですが、私自身は、緩和の強化でも、緩和の後退でもないと考えております。』
え???????
『これは、ステートメントに「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」という文言がありますが、あくまで緩和の枠組みの強化であると認識しています。』
いやあの金懇での説明は金利が上下に変動しうる件については効果を減殺する可能性があるとしていて、ガイダンスはインチキガイダンスって言っているんですから、それだったら片岡さんはこの措置を緩和の後退と解釈しないとロジカルじゃないんですが何でそこで急に公式見解のステートメントの話をするのかさっぱり意味が分からないんですけど頭大丈(内務省検閲)。
『2点目につきましては、他の政策委員の方の議論の内容等について、この場で申し上げるのは適当ではないと思います。私自身の考えにつきましては、7
月の政策決定会合のステートメントに、反対事由も含めて書かれていますので、それ以上のお話はないとご理解頂ければと思います。』
他の委員の分に関して答えられないのは仕方ないですが、自分の反対の方は金懇で説明した話を敷衍して説明すればいいのに何で説明しないのか、というのが疑問になりますよねー。
・この質問は目からウロコ
次の質問から。
『(問) 講演の中で、「息長くならないように金融緩和自体を強化すべきだ」と指摘されていると思います。長期金利に関しては、「上下に変動することが効果を減殺するのではないか」と指摘されていますが、一方で、ETFに関しては、6兆円の買入れ額は上下に変動し得るということに賛成されています。この違いについてご説明を頂きたいのと、上下に変動し得ることに賛同された背景として、どういうことを考えているのか、あわせて教えてください。』
おーこれは目からウロコが落ちる質問、というかその発想は無かったです凄い。
『(答) ETFに関してですが、ETFの年間買入れ増加額の目標値は約6兆円で変わっていません。ただ、買入れ額は、市場の動向に応じてその目標から上振れたり下振れたりすることがあり得ることを明確にしたわけです。ETFの買入れについては、株式市場におけるリスクプレミアムへの働きかけを通じて、経済・物価にプラスの影響を及ぼしていく観点から実施しているものです。このため、買入れ額の増減は、リスクプレミアムの状況に応じて変動し得ると考えています。』
いやだからそれを柔軟化するのは緩和の後退にならないのですか?という質問なのですが、この棒読み感あふれる回答は何なんでしょうか。
・質疑が全然かみ合っていないのですが
でもって次の質問。
『(問) 基本的な考え方を教えて頂きたいのですが、片岡委員としては、物価上昇率2%というのは、何が何でもスピード重視で早く達成すべきだというお考えでしょうか。つまり、そうすることによって、今後副作用と呼ばれるものが多少大きくなるとしても、それはやむを得ないことだという考え方なのか、その辺りを教えてください。』
まあそういう説明していましたよね。それにこちらとしてもとっとと2%達成できるなら別に追加緩和して頂いてもケツが明確に分かっているというのなら対処のしようがあるのですが、いままでそうやって1ミリも達成していないのにこれから追加緩和しますとか言ってもヘソが茶を沸かすだけの話です、ということですわな。では片岡さんのお答え。
『(答) 先ほど、ご質問の中でも申し上げました通り、金融市場等の現状をみますと、特段、問題が生じているとは考えておりません。』
質問に答えていないんですが。
『また、将来につきましては、経済というのは生き物ですので、様々な不確実性がある中で、当然起こり得るリスクには対処していくわけですが、逆に言うと、どんな状態が起こり得るのかは、今の段階で確たることは申し上げられないと思います。』
マネタリーベースを拡大して強力なコミットメントを行えばインフレ期待が2%に引きあがって早期にインフレ目標が達成できる、と自信満々に堂々と言ってのけていたんですけど置物リフレ一派の皆さんは。
『こうした中で、私個人としては、金融システムへのリスクが金融政策によって起こり得るのであれば、最大のリスクは、デフレを長期化してしまうことだと思います。』
お前は何を言ってるんだ。
『デフレが長期化すれば、当然、投資やお金の流れは停滞しますし、お金を借りたい人がたくさん出てくる状況にはなりません。ですから、こうした状況をできる限り是正していくためには、早期にデフレからの脱却を図っていくべきだと考えています。』
説明が支離滅裂なんですけど大丈夫でしょうかこの先生、ということで最後の一言だけで済む話を途中に意味不明の説明を繰り返すという辺り、読んでる方が甚だ頭が痛くなってまいります。
・副作用論とか言われても分からないだろ(笑)
でもって次(とか言ってなんだかんだ全文引用モードじゃなこれ)。
『(問) 副作用について、リーマンの時もそうだったと思いますが、結局、現状は大丈夫だったけれど、その後にバブルが破裂したり、リーマンショックが起こったりしています。日銀は物価の安定とともに金融システムの安定も使命だと思います。現状ではこれといった副作用は見受けられないということですが、現状は平気でも、先行きに金融の不均衡や銀行収益の下押しが見えない段階で蓄積された結果、金融システムが壊れれば、2%の達成時期も後ずれしてしまうと思います。その辺に関してもう一度お伺いしたいと思います。』
金融の不均衡という意味では金融市場じゃないけどスルガ銀行の一件も単なる特殊例とするのではなく、金融機関の収益環境からの動きが極端ではあるが出てしまった例として考えないといかんのではないかとも考えられませんですかねえ、などとは思いますけどね(個人の感想です)。
『(答) 先行きについては、ご指摘の通り色々な状況が想定されると思いますので、データや金融市場の動向等をみながら適切に判断していく必要があります。これはリーマンショック云々に関わらず、常に重要であると思っています。そうした中で、私自身は現状の数字をみながら、副作用については、まだそうした兆候が具体的に出てきている状態ではないとみています。』
状況を分かって言ってるとは思えないところが頭が痛い。
・追加緩和をすると効果が出る背景説明が当然ながら根拠なし
次の質問でついに「でもってお前の理論で何で効果が出るんだよ」攻撃が満を持して登場。
『(問) 講演でも追加緩和の具体的な措置について述べられていますが、現状でも
10 年債はゼロ%近傍であり、追加緩和の余地は乏しいのではないか、あるいは実施したところで実体経済に影響は及び難いのではないかという意見があります。この点、片岡委員自身としては、追加緩和の余地はまだまだ十分にあるとお考えでしょうか。また、その実体経済への効果についてはどのように考えていらっしゃるのか、波及経路もあわせてお聞かせ下さい。』
波及経路キタコレ。
『(答) 決定会合のステートメントにも記載されていますが、私は 10 年以上の幅広い国債金利の一段の引下げと、予想物価上昇率の下振れに対して追加緩和を約束するコミットメントを導入するように申し上げています。』
はい。
『ご質問では、金利の話のみをおっしゃっていたと思いますが、私個人としては、政策手段である金利の引き下げと、物価2%を達成するという、現状の物価動向にあわせた強いコミットメントの合わせ技が効果をもたらすと考えています。』
早速話を誤魔化して参りました。つーか「下振れしたら追加緩和する」ってコミットメントって「今追加緩和して将来効かなかったら追加緩和のおかわりをするよ」って話をしているだけであって、追加緩和して効かなかった場合にさらにそこに同じような追加緩和をして効くのか、そもそも論としてこれだけ緩和政策をして累積的に緩和を拡大しているのに対して全然効いていないのにこの線上で追加緩和をしてなぜ効くのか、というのがさっぱり分からないのですが、ではその点について説明があるかどうか以下拝読しましょう。
『10 年以上の幅広い国債金利の引下げにつきましては、設備投資や住宅投資を刺激すると考えています。』
その根拠がありません。今までそれをやらないでいたのならまだしも、超長期の金利とかもっと低かったことがありますし、しかもこの辺りの話は総括的検証によって「効果よりも弊害が大きい」という分析になっているので、そもそもこのおじさんはこの話をするなら総括的検証を否定する根拠を示してから提案して頂かないと政策委員会の過去の決定事項と流れを戻すのは無理があるんですけどねえ。
『政府が、例えば、賃上げ等に前向きな企業を税制面から支援することを決めていますが、金利を低下させることで、こうした政府の財政政策を側面から支援する相乗効果も期待されます。』
お前は何を言ってるんだ。
『それから、超長期ゾーンにおける海外との金利差が拡大しますので、他の条件が一定であれば、為替を通じたチャネルも期待できると思います。』
お前は何を言ってるんだ。
『以上申し上げた様々な経路を通じて、需給ギャップの拡大を経て、物価上昇率を押し上げることになると考えています。』
その経路はまさかとは思いますが片岡審議委員の想像上の経路なのではないでしょうか?????
『コミットメントの強化については、インフレ目標政策への信認を強化することを通じて、予想インフレ率の上昇に繋がり得ると考えています。』
いままでつながっていないのに何でつながるんでしょうか??????????
『予想インフレ率が上昇しますと、他の事情を一定とすれば、実質金利が低下することになりますので、現状の金利水準のままだとしても、金融緩和の効果が一段と強まります。それが現実の物価上昇率を押し上げ、適合的な期待形成を通じて、予想インフレ率がさらに押し上げられるといった形で、相乗的に物価上昇圧力が強まるとみています。』
最初の前提がダメなので話にならん。
・質疑の終盤でイケズな記者のイケズ質問が飛んでくる
質疑はなお続く。
『(問) 短期のマイナス金利の深掘りについては、これまで意見等で言及されていないほか、ETFについても金額の拡大について意見を出されていないかと思いますが、これらのコストベネフィットのバランスについてどのようにお考えで、なぜ意見として出されていないのか、この辺りの判断をお聞かせ頂けますでしょうか。』
コストとベネフィットのバランスとか考えているわけないだろういい加減にしろ(^^)。
『(答) それらについては、現状賛成しておりますので、賛成している以上の理由はございません。ステートメントに書いてある事項に基づいて判断しており、それについて賛成しているとご理解頂ければと思います。
』
ほーらやっぱり。
『(問) 講演の中で、来年の消費増税の景気への下押し圧力と、貿易摩擦が及ぼす世界経済のリスクを挙げられています。来年の日本経済の先行きについて少し下振れリスクがあるということだと思いますが、そうしたリスクを考えると、来年以降、景気を支えるための追加緩和の必要性は高まっていくのでしょうか。また、そうであれば早めに対応するべきなのか、それとも、リスクがどれくらい出るかをよく見極めてから動くべきなのか、その点をお伺いします。』
何故か最後の方に割と真面目な質問。
『(答) 将来の不確実性が増しているという話は、講演の中で申し上げたとおりです。私自身、そうした状況も踏まえつつ、足もとの物価動向、ないしは先行きの物価をみておりますので、その判断のもとで、どういう政策が望ましいか申し上げているとご理解頂ければと思います。』
折角の質問なのにお前は何を言ってるんだ。
『(問) 先ほどから副作用の話が色々出ていて、また同じ話で恐縮ですが、一般的に副作用と言われるもので、地域金融機関などの収益下押しの影響があると思います。現在その数値をみるとそういう状況にはなっていないといったご発言がありましたが、例えば、どのような状況になれば、地域金融機関への影響・副作用が出ていると言えるのか、あるいは長期金利なり国債市場がどうなれば副作用が起きていると言えるのか。なかなか定量的に言えないかもしれませんが、何かメルクマールのようなものがありましたら、教えて頂ければと思います。』
そんなの分かってるわけないのに質問するとかさっきのコストとベネフィットもそうですが記者の方が中々のイケズで大変に素敵な質問ですな。答えの方は・・・・・・・
『(答) ご指摘のお話については、色々なデータ、状態、数字を総合的にみていく中で、判断していくものだと思います。ただ、少なくとも、金融仲介機能が著しく阻害されている状態というのは、当然ながら好ましい状態ではないと思っています。』
ほらやっぱり。
#最後の質疑は割愛します
あと、土曜日(実際は金曜の夜)に片岡さんの金懇挨拶鑑賞会をひっそりと実施いたしましたので、そちらと金曜の駄文もそのまま下につけておきます(長くなりまして恐縮です)。
#PCのご機嫌はだいぶよくなったけどまだ微妙かもorzorz
2018/09/08
お題「片岡審議委員金懇挨拶ネタ」
とりあえずPCのご機嫌を取るためにブラウザーをクロームに交換してみたらご機嫌が麗しい模様(^^)。
〇片岡審議委員金懇は時折いいことを言ってるのだが根本部分がダメなのでダメっすなあ
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko180906a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko180906a1.pdf(全文)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko180906a2.pdf(図表だけ)
金懇挨拶なだけに日銀の公式見解に関しても説明しているのですが、まあそこはパス致しまして片岡さんの見解部分を拝読する訳ですが・・・・・・・・・・・
・消費増税の影響についての説明が微妙な件について
『2.経済・物価情勢』の途中からで、まずは片岡さんの成長見通し。
『わが国経済の先行きについて、図表4にお示しした本年7月の展望レポートにおける政策委員の経済見通しの中央値をみると、18年度に+1.5%、19年度と20年度に+0.8%の成長が見込まれています。私自身は、これよりも幾分緩やかな成長ペースを見込んでいます。18年度は、企業の業績やマインドの改善を背景とした設備投資の増加や、海外経済の拡大を背景とした輸出増などを主因に、実質GDPは1%程度の成長となるとみています。19年度には、先ほど述べた世界経済の拡大ペースの鈍化や、同年10月の消費税率引き上げなどを受けた内需の悪化によって0%台後半まで減速し、さらに、20年度は0%台半ばの成長率にとどまると予想しています。』
とまあここはまあそうですかって話ではあるのですが、せっかくなので引用しておくとしまして、この続きが消費増税の影響なんですけど・・・・・・・・・・
『さて、将来の成長率を見通すにあたり重要となる国内経済イベントの1つが、19年10月に予定されている消費税率の引き上げです。次回の消費税率引き上げは、前回の14年時と比べ引き上げ幅が小幅で、かつ軽減税率が導入される予定であることもあり、家計の直接的な負担に限れば影響は小さいと言えるのかもしれません。』
『しかし、図表5左図のとおり、家計消費は、前回の消費税率引き上げから4年が経過した現段階で、ようやく引き上げ1年前の13年4月時点の水準まで回復した状況です。』
という説明なんですけど、図表5というのを上記のPDFの方から見ていただきますと、図表5というのが『消費税率引き上げ前後の家計消費』となっていて、左の方が『消費税率引き上げ前後の消費動向』となっていまして、内閣府の消費総合指数を使っているんですね。でもってこちらでは1997年(3%→5%)と2014年(5%→8%)の前1年の所を100にして指数化した推移を出している訳ですよ。
そうしますと、片岡さんが上記のように仰せのように、確かに「家計消費は、前回の消費税率引き上げから4年が経過した現段階で、ようやく引き上げ1年前の13年4月時点の水準まで回復した状況です」なのはその通りではあるのですが、1997年の場合はいったん落ちた後に割と威勢よく上がっている図になっていまして、そうしますと「3%の引き上げだと影響が長いけれども2%の引き上げだと影響が大したことがない」という風にも見えてしまう訳で、その次で
『また、図表5右図に示した消費活動指数の形態別実質消費の推移をみると、耐久財やサービス消費は振れを伴いながら増加しているものの、飲食料品や衣料品などを含む非耐久財消費は低迷が続いており、家計消費には依然として脆弱性が残っていると私自身はみています。こうした状況が続く中では、税率引き上げの影響を過小評価することはできません。』
って言ってますが、2%な上に軽減税率もあるんだから前回よりも影響大きくないかもしれませんねという見解に対しては何の答えにもなっていないのですが・・・・・・というのがありますし、だいたいからして、図表5の左のグラフを見ますと、2014消費増税の1年前が100で引き上げ直前が104.9で引き上げ直後が96.8になっていまして、それはすなわち消費動向で見れば2013年度の上げってのは消費増税の駆け込みで全部説明が出来てしまうというお話になりまして、置物リフレ理論の先生方が仰せの「QQEで効果がありました」というのがまるで認められないというのも言えませんかねえ大丈夫なんでしょうか、とまあそう思ってしまう訳ですな。これがツッコミどころその1。
・物価の基調的な上昇力の説明も雑なんですが・・・・・・・・・・
『(2)物価の現状と先行き 』のところなんですけどね。
『続いて、わが国の物価動向についてみていきます。7 月の全国消費者物価指数の実績は、図表6左図のとおり、生鮮食品を除く総合で前年比+0.8%上昇しました。しかし、エネルギー価格上昇の寄与が+0.5%ポイントと大きく、需給動向を直接的に反映する、生鮮食品とエネルギーを除く総合では、前年比+0.3%にとどまっています。』
ということで図表6『消費者物価の動向』になるんですけれども、
『物価情勢を判断するにあたっては、振れの大きい一部品目を除いた基調的な変動を把握することが重要です。図表6右図では、消費者物価の基調的な変動を表す様々な指標を示していますが、今年3月以降いずれも低下基調にあり、私は、物価の基調的な上昇力が弱まっているとみています。』
別にアタクシも物価の基調が強いとは思いませんが、この説明がこれまた雑で、上記で説明されている図表6右図ってのが『基調的なインフレ率』なんですけど、見ればお分かりのように、刈込平均値と加重中央値に関しては直近ボトムアウトしているようにも見える訳でして、(上昇品目比率−下落品目比率は下がっている)もうちょっと丁寧に説明していただかないと困るんですけど、と思ったんですけどねえ。
・追加緩和が必要という理屈が惜しくも机上の空論なんですけど・・・・・・・・・・
『3.金融政策運営』の前半は政策委員会で決定した政策の説明になっていますのでまあどうでもよくて、後半の『(2)「物価安定の目標」達成のために必要な政策』が片岡さんのお話になる訳ですな。
『以上ご説明した「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」に対して、私は、物価が伸び悩む現状や今後のリスク要因を考慮すると、金融緩和自体を強化することが望ましく、長期金利操作の弾力化は「ゼロ%程度」の誘導目標を不明確にするとして反対しました。これに関連して、次の3つの論点を挙げたいと思います。』
ということで
『1点目は、政策委員の物価見通しが引き下げられる中で行うべき政策は、追加緩和であり、金融緩和継続のための枠組み強化ではないと考えることです。』
ということで、この部分の結論部分まで一旦ワープしますと、
『物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するという政府との「共同声明」でも謳われた日本銀行のミッションに鑑みると、物価が伸び悩み、不確実性の拡大が懸念される中では、金融緩和を息長く続けるための枠組みの強化ではなく、逆に息長くならないように金融緩和自体を強化して、経済や物価への働きかけを強めることが重要です。』(これとこの次の引用部分はその前の引用部分と連続していませんので念のため)
とまあそう仰せになっていまして、そらまあ「逆に息長くならないように」できればそれに越したことは無いのですが、結局言っていることが、
『具体的には、10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げることで、需給ギャップの拡大ペースを高めて、賃金や価格設定に対する家計・企業の行動変化をさらに強く後押しする施策が必要であると考えています。』
と思いっきりそれは既に実施したのに全然行ってない話なんですがというネタしか出てこないのが残念なのですが、元に戻りまして更に引用しますと、
『現行の金融緩和を粘り強く続けることが望ましいという判断が正当化されるためには、現行の金融緩和の度合いが物価目標の達成に見合うだけの強力なものである必要があります。この判断の鍵となるのが、現行の政策のもとで物価のモメンタムが強まってきたのか、今後強まっていくのかという点です。』
ほうほう。
『まず、モメンタムを、需給ギャップと予想インフレ率の2つの指標から検討しますと、需給ギャップは今後もプラスを維持するかもしれませんが、19年以降に成長率が鈍化していく見通しのもとでは、その拡大ペースにはブレーキがかかることが見込まれます。予想インフレ率は、物価上昇率が弱めの中では、適合的な期待形成を通じて弱めの動きを続けると考えられます。したがって、現行の政策のもとで、今後モメンタムが強まっていく可能性は低いと考えています。』
とまあここまではまだ鑑賞に堪えうるのですがこの次が置物リフレ一派だけのことはある物件が炸裂するのだ。
・直線一気理論キタコレ!!!
この直後に脅威のオモシロ理論が登場するのである。
『物価のモメンタムについては、物価上昇の勢いそのものがどの程度であれば目標に到達しうるのか、という別の観点からも検討可能です。』
『図表9は、統計的手法を用いて「2年後までにインフレ率が2%に到達する確率2」を試算したものです。』
??????
『過去1年間の物価上昇率の平均的なトレンドが先行きも続くとの前提で試算した2%到達確率は、5月以降に低下しており、物価上昇の勢いはやや衰えていると考えられます。また、生鮮食品とエネルギーを除く物価上昇率から同じ要領で計算した2%到達確率は、2016年央以降、ほぼゼロ%となっており、過去1年ほどの物価上昇の勢いは、ほとんどがエネルギー価格によるものでした。つまり、現行の政策のもとでは、物価のモメンタムが目標を早期に達成できるほど十分に高まってはいないと判断されます。』
>過去1年間の物価上昇率の平均的なトレンドが先行きも続くとの前提で試算した2%到達確率は
>過去1年間の物価上昇率の平均的なトレンドが先行きも続くとの前提で試算した2%到達確率は
>過去1年間の物価上昇率の平均的なトレンドが先行きも続くとの前提で試算した2%到達確率は
直線一気理論キターーーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーー!!!!!!!!!
ちなみに図表9というのは『物価上昇の勢い(インフレ率の2%到達確率)』となっているのですが、その図表の脚注説明を見ますと、
『(注)確率過程がある閾値に初めて到達する時点がワルド分布に従うことを前提に、閾値を2%、2年後を基準として、それまでにインフレ率が2%に到達する確率を試算。インフレ率が、過去1年間の平均的な上昇ペースと同じペースで今後も上昇すると仮定した場合の2%到達確率によって、物価上昇の勢いを評価した。』
ってなんか尤もらしくするために確率分布とか使って計算していますが、要するに前提が「インフレ率が、過去1年間の平均的な上昇ペースと同じペースで今後も上昇すると仮定した場合」でありまして、さすがマネタリーベース直線一気理論のリフレ大先生一派だけのことはあると感心してしまいました。
・・・・・・でまあ百兆歩ほど譲って直線一気理論で計算した2%到達確率云々なのですが、その図表9を見れば分かりますように、QQE政策をぶっこんでおまけにQQE2もぶっこんでマイナス金利までぶっこんで都合5年経過しているのに、2%到達確率って途中でちょろっとパルスのように上がっているだけですし、しかも2%到達確率最近でもいったん上がって100%になっているのにすかさず下がっていて、この確率計算に何の意味があるのかさっぱり分からないという代物で、この図表に何の意味というか、「物価上昇の勢いそのものがどの程度であれば目標に到達しうるのか、という別の観点からも検討可能です。」って全然検討可能じゃないですよね2017年度には出口政策だったじゃんこの確率が正しければというお話でして、まるで政策判断とか検討に使えないもの出してお前は何を言ってるんだと小一時間問い詰めたい訳ですな。
でまあ今も申し上げましたが、片岡さん「追加緩和しろ」って言ってますが、QQE以降政策を拡大しながら5年経過して結局物価のモメンタムが片岡さんの説明通りなら高まっていないという状態なのに、これから追加緩和(しかも10年以上の金利を引き下げることを促す(のとコミットメント強化というのがあるがそれはこの次にご紹介します)という従来の延長線上)してなぜ目標が達成できるのか、という説得力のある話は1ミリも存在しなくて、単に「勝つまで続けて負けたといわなければ負けではない」というだけのインパール牟田口理論かお前はというお話だけというのは実に情けないというか頭が以下自粛というかという感じではあります。
・弾力化はインチキというのは分かるがそもそも金利下げても今まで達成していないんですけど・・・・・・・
第一の論点というのでツッコミどころは終了しているのですが、その先も一応鑑賞しませう。
『2点目は、長期金利がある程度上下に変動することを許容する政策変更を、物価見通しが引き下げられる現時点で行う必要がないと考えることです。』
政策変更じゃないって決定ですけどね!!!!!
『当該政策変更については、金融市場で長期金利の上昇期待が強まる場合に、「ゼロ%程度」との操作目標が徐々に有名無実化しうるのではないか、といった懸念が個人的にはあります。仮に予想インフレ率や物価自体が十分に引き上がらない中で一時的にせよ金利が上昇していくことになれば、「物価安定の目標」の達成が後ずれしかねません。』
金利がもっと低かった時に物価目標達成してないし直線一気理論に確率分布のフリカケをした図表9でも2%達成確率上がっていなかったと思いますが。
『さらに言えば、長短金利操作は、長期金利に上昇圧力がかかる局面で長期金利をゼロ%に留めることで緩和効果が強まるというのが利点の1つですが、弾力化はこうした効果を弱めると考えられます。』
まあその点の理屈はわからんでもないが、政策のフィージビリティの観点が無いので赤点再履修。
・フォワードガイダンスがインチキという説明はまあ仰せの通りですな
唯一まあそうですなと言える場所もあるのでご紹介しておきましょう。
『3点目は、先行きの政策変更に関するコミットメントやフォワードガイダンスでは、足元のインフレ率と2%の目標に相応の距離がある現状を考慮に入れると、物価に対する金融政策の働きかけを明確にし、目標達成に向けた強い意志を示すことが重要であると考えることです。』
まあそうなんですが問題は金融政策単体で達成しようとシャカリキになっても労多くて効果なしという点なのですが、そこに関しては金融政策真理教なので鰯の頭も信心な方にとっては馬耳東風でしょうな。
『確かに予想インフレ率が弱めの動きを続けている現状を踏まえると、コミットメントを強化することが望ましいと考えられます。しかし、今回導入されたフォワードガイダンスの「当分の間、きわめて低い長短金利の水準を維持する」という記述は、政策委員の物価見通しや、足もとの物価上昇率と2%の目標に相応の距離がある現状からの合理的帰結と言え、これに現状追認以上の効果があるのか判然としません。』
現状からの合理的帰結で現状追認である、というのは誠に仰せの通りではありますので、要はインチキフォワードガイダンスだと喝破している点は見解一致ですのう(^^)。
『むしろ、フォワードガイダンスは、物価に対する働きかけを強化する観点から、物価上昇率、あるいは予想インフレ率や需給ギャップとの関係が明確となる形で設計すべきであると考えています。』
まあそれが本来のガイダンス、というよりはむしろ「コミットメント」にしないといけないという説明で、そらそうよと思いますが、もし今の時点でQQEとか全然やってないというのならばこの話もまだ「未知数だけど試してみよう」という話なのですが、5年間以上散々やって途中で強化に次ぐ強化をして結局全然達成できてないどころか色々な軋みも出てくるという状況の中、今更追加緩和とかお前は何を言ってるんだという話なのに、「負けと言わなければ負けない」という超理論で突き進むこの人たちは何なんでしょうかねえと思いますし、こんな馬鹿に付き合って滅亡するの真っ平御免被るんですけど・・・・・・・・・・
てな話を書いていたら入力したものが見事に飛んでしまって金曜の朝はこちらの部分が掲載できませんでした、と金曜の夜にひっそり更新してみます(日付は土曜にしてますが実は金曜の夜に追記しました^^)。
#うむ、PCのご機嫌がよくなったようで、リフレ一派の呪いは外れたようだな(違)
2018/09/07
お題「PC不具合により本日はただの市場メモだけになりまして、片岡審議委員金懇ネタは来週か土日にでも致します。」
ほうほうこれはこれは
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-williams-rates-idJPKCN1LM2XR
2018年9月7日 / 04:28 /
米経済は極めて良好、段階的な利上げ継続へ=NY連銀総裁
『[バッファロー 6日 ロイター] - 米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は6日、米経済は「極めて好調」な状況にあり、連邦準備理事会(FRB)は段階的に利上げを継続していくことが可能との見解を示した。また、FRBの主要責務の観点から、インフレ動向および労働情勢は「最高」の状況にあると述べた。』(上記URLより)
たぶん講演記録は出ると思うのですが、
https://www.newyorkfed.org/
だとまだみつけられませんでして、出てきたらネタにするかもしれません。なお超どうでもいいのですが、バッファローと聞いてウィリアムス総裁の写真をみてたらバファローズポンタを・・・・・・・・・
〇長期輪番4500億円で実施も金利が低下して今月の減額大作戦大勝利の巻
昨日の輪番ですが、4500億円実施じゃろというコンセンサスの中、朝っぱらから10年5糸強の0.105%からスタートするなど堅調ですぜガハハという感じでやっておりまして、さて輪番オファーですけれども・・・・・・・・・
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180906.htm
国債買入(残存期間1年以下) 500 2018年9月7日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,500 2018年9月7日
国債買入(物価連動債) 250 2018年9月7日
短期と物国は良いとしまして長期輪番4500億円で月額1500億円、前回までのペースに引き直すと1回250億円の減額を実施しましたが、既にコンセンサスオブコンセンサスだったようで、先物微動だにせずというより寧ろ上昇の巻となりまして、先物が7銭高だの8銭高だのやっているときに20年カレントは0.605%の1毛強だわ10年は引き続き5糸強の0.105%だわとかという展開になっておりましたな。
でもって輪番後の後場も先物更に上がっていましたが、引けにかけては20年カレントが5糸強に後退したりしてまして、輪番減ったのにヒャッハーも変だわなという風情なのかどうなのかは存じませんがまあそんなところで。
ということで日銀今回は月額ベースで2000億円の輪番減額を行ったということになりまして、一応昨日アタクシが計算したので間違っていなければ、だいたい来年(暦年)の輪番ペースが年間30兆円程度の残高増加くらいのところまで落ちてきた、とは言いましても返す刀で7月末から8月にかけて2兆円買入拡大してました(指値と臨時輪番)のでストック的にどうなのよというのはありますけど、今回は「四則演算ができないベンダーに目くらましを行う」という新手の技で無風の減額を行うことが出来て大変に結構でございました。
しかし相変わらずベンダーヘッドラインは「日銀、国債買入を増額」で一発目を打ってきている訳でして、お前ら荷物まとめて帰れやちょっと義務教育からやり直して来いと小一時間問い詰めたい。
なお、ネットの方のブルームバーグさんですと、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-09-06/PELUWO6KLVR501
日銀国債買い入れ、長期オペ500億円増額−中期と同様に月間減との声
2018年9月6日 10:14 JST
とかいうお題になっていましたが、惜しくも最初のフラッシュは月額減の文言は無かったし、「との声」じゃねえよただの事実関係だろとツッコミを入れたくなりますが、クイックさんの方でも同様に「日銀、国債買入を増額」でヘッドラインを打っていましたので、とりあえず悪態は聞こえていないことを確認できたという感じですかそうですか(^^)。
一応ロイターさん
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1VS2VV
2018年9月6日 / 15:12
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、長期金利0.105%に低下
『<15:09> 国債先物は続伸、長期金利0.105%に低下
長期国債先物は続伸で引けた。長期の日銀国債買い入れでオファー額に不透明感があったことから模様眺めのスタートになった。大方の市場参加者が想定していた4500億円で通告されると、国債先物は強含みで推移。オペ結果が強めになると、上昇幅を拡大した。日経平均株価が軟化したことも買いを誘った。12日に取引最終日を控えて限月交代に絡む持ち高調整の動きもみられた。現物債市場では、超長期・長期ゾーンの利回りが低下。超長期ゾーンには、生保や年金勢などの実需が入っているとの観測が出ていた。イールドカーブは平坦化の形状。
長期国債先物中心限月9月限の大引けは、前営業日比7銭高の150円39銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比0.5bp低下の0.105%。日銀の片岡剛士審議委員は6日、横浜市で講演し、物価が伸び悩む現状で「行うべき政策は追加緩和」との認識を示した。また、記者会見では、「7月末の政策修正は、緩和の強化でも後退でもない」「国債市場で特段の副作用が起こっているとはみていない」などと発言したが相場への影響は限られている。』(上記URL先より)
なお、ロイターさんはネット版の方では『 <10:13> 日銀が国債買い入れを通告、「5年超10年以下」は月間で事実上の減額か』(上記URL先より)となっていますな。フラッシュどう打ったかはしらん。
〇片岡審議委員金懇は時折いいことを言ってるのだが根本部分がダメなのでダメっすなあ
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko180906a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko180906a1.pdf(全文)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko180906a2.pdf(図表だけ)
と、ここでお詫びなのですが、本日アタクシのPCが何かの呪いにでも罹ったかのように不調おぶ不調(なお買って1年しないうちにこれかよと大変に憤慨中なう)で、せっせと作成した文章が作成途中で飛んでしまって、片岡さんの金懇ネタ部分が綺麗に飛ぶという鬼のようなプレイが発生してしまいました。
書いていることは頭の中には入っているのですが、今更時間も無いので続きは後程(一番早くても今晩です、トホホ)となりますが、まあ図表を見ながら(PDFで見た場合の)本文の3ページ、4ページ、8ページの辺りがツッコミどころという感じになりますので、よろしくお願いいたします。
#たぶん一時的な何かのようだと思うのですけれども、どうも日系ノートパソコンとは相性が悪いのでまたBTOパソコンの仕入れを検討しないといけませんが物入りェ・・・・・・・・・・・・・・・
2018/09/06
お題「今日もオペ関連の雑談と計数雑談」
天変地異頻発(涙)。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/timeline/hokkaido_shindo6k/
ニュース特設 北海道震度6強
そして働き方改革()ではこれですかそうですか
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35011340V00C18A9MM8000/
70歳雇用、努力目標に 多様な働き方へ政府検討
経済 政治 2018/9/5 18:01日本経済新聞 電子版
『政府は高齢者が希望すれば原則70歳まで働けるよう環境整備を始める。現在は原則65歳まで働けるよう企業に義務付けており、年齢引き上げの検討に入る。』(上記URL先より)
政府「希望すれば70歳まで働ける」
???「長時間労働は強制ではなく従業員の希望による自主的判断である」
こうですか、わかりません(><)
〇10年入札も無事でこれは4500億円待ったなしですわ
・入札無事通過で日銀大勝利キタコレ
昨日の債券市場ちゃん。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1VR2OU
2018年9月5日 / 15:20
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、長期金利0.110%に低下
『 <15:12> 国債先物は続伸、長期金利0.110%に低下
長期国債先物は続伸で引けた。前日の米債安の流れを引き継いで売りが先行。10年債入札を前にしたヘッジもみられた。入札を無難にこなすと、終盤にかけて買いが優勢となり強含みで推移した。現物債市場では、超長期債利回りに低下圧力がかかった。最終投資家などの実需が観測されていた。長期ゾーンは小動き。あすの長期を対象にした日銀オペに対する不安は後退しているが、オファー額を確認するまでは動きにくいとの声があった。長期国債先物中心限月9月限の大引けは、前営業日比5銭高の150円32銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比0.5bp低下の0.110%。』(上記URL先より)
とまあそういうことで、昨日は10年入札だというのに寄ってから1時間以上先物の日中値幅が2銭しか無くて輪番が動いてもナマコ相場とはオソロシスという展開になりましたが、まあさすがに前場中盤以降は10年カレントなども出合いがつきまして値動き値動き、ではあったのですが、前場引けで先物150.30(+0.02)とちゃっかり前日比強で引けておりまして、10年カレントは引けの0.115%となっていましたな。
でもって入札結果が、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20180905.htm
6. 価格競争入札について
(1)応募額 8兆1,053億円
(2)募入決定額 1兆7,822億円
(3)募入最低価格 99円86銭 (募入最高利回り)(0.114%)
(4)募入最低価格における案分比率 57.5664%
(5)募入平均価格 99円87銭 (募入平均利回り)(0.113%)
ってな結果で、足切りの市場予想とされていたのが99.86水準だったので足切りドンピシャで、アベレージがその1銭上というのですから、まあ事前通りで無難ちゃあ無難ですけれども、別にこう強いぜヒャッハーと踏みあがるような水準でもねえわなという平和な結果。
落札結果後まあ先物も1銭反応しましたかね位の反応で新発は0.115%が出合ってみたものの、時間の経過とともに超長期が引っ張っているのかどうか知りませんけど長い所とか先物が堅調モードになって大引け直前に高値つけて(引けはそこから2銭下がってたけど)20年カレントや10年カレントは5糸強になっておりましたのでロイターさんの通りという感じではございます(当たり前だけど)。
しかしまあ何ですな、さっきのロイターさんの記事に戻りますと、
『<14:31> 国債先物は底堅い、あすの長期対象オペ買入額への不安後退
国債先物は底堅い。中心限月9月限は前引けの150円30銭近辺で推移している。10年債入札を無難に通過したことに加え、あすの長期を対象にした日銀オペに対する不安が後退しているとの指摘がある。市場では「中期の買い入れ額がオファー額レンジの中央値だったことから長期も同様に中央値の4500億円を見込んでいる」(外資系証券)という。仮に中央値での買い入れが続いた場合、9月の月間買い入れ額は、8月を1500億円下回ることになるが、「相場にある程度織り込まれているのではないか。長期金利に上昇圧力がかかったとしても大きく上昇することはなさそうだ」(同)との指摘がある。』(最初のロイターニュース記事URL先より)
ということになりまして、月額1500億円減額がコンセンサス状態になっておりますが、10年入札は無事に終了するわ引けでは入札レベルよりも強くなっているわとなりましたので、どう見ても日銀完全勝利ということで、これはもう4500億円で平然と輪番が行われて、何事もなかったかのように減額オペを普通に通過してめでたしめでたしとなる、ということでございますねわかります。
・それは良いのですが幾らなんでもこれは無いと思うんですけど
でまあそれはそれでいいんですけど、昨日引用した日経のフラッシュですが、朝刊本紙のほうでは、
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO34988920U8A900C1EN2000/
中期債買いオペ増額 日銀、金利上昇一服も
2018/9/5付日本経済新聞 朝刊
『日銀は4日実施した国債買い入れオペ(公開市場操作)で、中期債の買い入れ予定額を前回から増額した。9月は中期債と長期債のオペ回数を減らす方針を示しており、1回あたりの購入量を増やさなければ月間買い入れが大幅に減る可能性があった。市場では減額への警戒が弱まり、中期債や長期債の利回り上昇(債券価格は下落)が一服した。』(上記URL先より、記事のこの先は有料会員向けです)
おいおいおい、輪番回数減額してレンジ拡大している時点で「1回あたりの購入量を増やさなければ月間買い入れが大幅に減る可能性があった。」ってそりゃそうだけど、そんなプレイが出る予想誰か現実的な予想としてしていたかよ(当てるつもりの無い妄言ならともかく)と小一時間問い詰めたい訳で、2年前に中期の輪番をダマテンでスキップしたらいきなり相場大混乱して4毛もインザマネーの指値オペを10年入札の翌日に打たなければいけなくなったという事案があったのに、中期と長期の輪番をいきなり両方とも1回スキップとか、突如超積極的になってそんな大博打するとかいうのは与太話の世界だろうよ。
とか思っていたら某ベンダーでどこぞの誰かさんが同様にオペ同額だったら大幅な削減になるところ、レンジの中心で安心感とかいうコメントをしていたのを見てのけぞってしまいましたが、おまいらそんな威勢のいいオペ減額だったらもっと売り込んでるだろいい加減にしろと申しますか、ここに来て4500がコンセンサスなのでオモシロコメントを入れて目立とうというのか知りませんが、さすがに同額で実質スキップの可能性もあったのにとかギャグ以外で説明する方は今すぐ荷物をまとめて実家に帰って義務教育からやり直して頂きたいと深くお願いいたしたくなるレベルで、なんかこうオペネタってどうしてそう妄想全開系のコメントを本職がホイホイと出すのかとゆー所ではありますな。
・さてここで調子に乗って4500からさらに削るか
という問題についてはさすがにまあ調子に乗り過ぎて金利が上がったら「日銀がオペを使って長期金利を能動的に引き上げた」という絶好の突っ込まれ処を提供することになるので、そら4400とかにして金利が絶対に動かんという自信があるんだったらやってくるのかも知れませんし、もしかしたら市場ちゃんのほうが「4400で打っても金利が上がらないという見通しなのか、日銀もヒアリングとかして綿密に調査した結果だろうからこれは売り込むと実は食らうのではないか」とか思い出して金利が上がらなかったりするかも知れませんので、というのが市場ちゃんの訳の分からんところではあります。
まあ今回も四則演算が不自由で義務教育からやり直して頂きたいと切に願うベンダー様は4500でも4400でも「輪番増額」とヘッドラインを堂々と流すでしょうし、そうなれば変態アルゴも反応しないでしょうし、国内の投資家の皆様はどうせ「オペ減額で金利が上がったら絶好の押し目買いなので狙ってまっせ」状態の人が多いでしょうから、ということになるんでしょうかねえ。
#とか何とかいったらいきなり1.2倍ニキの4800で打ってきて金利低下ヒャッハーとかなったら笑う
結局こんなのは出たとこ勝負にも程があるのでまあ妄想って感じですけど、たぶん4500億円で実施しても特段金利が跳ねるようなことにはならないでしょうなあという市場のコンセンサスは形成されているんじゃなかろうか(個人の感想です)とは思うのでした。
〇輪番いじったあとの買入関連の計数を久々に確認してみる
使う素材
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/index.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/index.htm/
営業毎旬報告
ついでに短国も見たので
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/index.htm/
日本銀行による国庫短期証券の銘柄別買入額
今回の集計って8/31現在の計数が出ているのですが、8/31の輪番オペ分がこの集計上では捕捉されていない(受渡が9月だから当たり前)なので、その分(額面9523億円)補正を入れながら計算しております為念。
あと以下の数字はアタクシが手作業(と言っても表計算ソフトは使っていますが)でヘコヘコやったものなので、数字の正確性については本人が正確と思っていますが無担保無保証ノークレームでお願いいたします。素材上に示したから自分で計算してね。(個別の国債の銘柄別の償還日を知りたかったら日証協の売買参考統計値がエクセル形式で出せるのでそこからデータを拾ってくればヨロシ)
・年間買入ペースについて
こちらは昨年12月末と8月末(補正後)を比較すると、
額面ベース(銘柄別残高)で32兆3249億円
簿価ベース(営業毎旬、ただし31日の分は額面ベースで補正)で32兆4567億円の増加になっていますな。
でもって今月以降の買入が中期は一昨日の通り、長期輪番4500億円でやって、10月以降も同じペースだったとして、月額の買入は6兆8000億円(1年未満をゼロでカウントして変動利付は平準化しています)、昨年末対比での買入増加は48兆6137億円となると思われます。
で来年の買入ペースはといえば償還引くと増加が29兆9788億円で額面で30兆円カツカツなので簿価にすると若干上に振れると思うのでもうちょっと上にはなると思われますが、計算あっているかどうかは保証しません(自分で検算はしたけど)。
・どの年限が買入過大なのか
というのはまあいつも通り5−10年という答えになる訳で、カレンダーベース市中消化の90%までフローの買入を抑制しよう、と思った場合、中期と超長期は今のペースでも収まる計算になりますが、長期は1回3900億円水準まで買入を下げないと市中消化の9割レベルにならないというこの買入過大状態。しかも来年度ってどうせカレンダーベースの市中消化って減るんでしょと思いますと、まあもっと輪番減らせやという話になると思います。
・おまけで短国
短国は直近で買入額面が15兆5876億円までへっているのですが、未だに金利水準は強くて▲14だの▲15だのとかになっている次第。以前はもっと買うまで金利ぶち下がりはしていなかったのですが、まあマイナス金利前の話とマイナス金利後の話を比較するのは条件が違うから何なのですが、それにしても市場をいったん壊すと不可逆的な変化が一部または全部に生じてしまうというようなもののあわれといった風情を醸し出しておりますな、ナムナム。
今月の償還は計算間違えてなければ3兆5840億円ではありますが、まあこの短国の強さなら買入少なめでやっていっても大丈夫そうですなとは思います(金利が上がればさっくり増額すれば良いだけの話だし)、しかし減らしても減らしても政策金利残高適用金利よりも深いマイナスというのが続きますなあ短国ちゃんは・・・・・・・・・・
2018/09/05
お題「中短期オペが小幅ですけど減額来ましたな」
昨日の朝刊一面だったようですが
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34935010T00C18A9MM8000/
首相「生涯現役」へ3年で改革 本社インタビュー
自民党総裁選 経済 政治 2018/9/4 2:00日本経済新聞 電子版
『最初の1年で生涯現役時代にふさわしい雇用制度を構築し「次の2年で医療・年金など社会保障制度全般にわたる改革を進める」と強調した。』(上記URL先より)
死ぬまで働かされて年金は知らんし働けなくなった奴の医療は知らんということですかそうですか、と僻みたくなるのはアタクシの目が濁っているからですね!!
〇中期輪番を減額してきましたが市場は反応せず日銀大勝利とな
・しらっと減額しましたが・・・・・・・・・
昨日は注目の輪番ということで、輪番オファー前はカレント銘柄の出合い見事に無しという大変に素敵な材料待ちだった訳ですな。
輪番オファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180904.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,000 2018年9月5日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,500 2018年9月5日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,800 2018年9月5日
国債買入(残存期間25年超) 600 2018年9月5日
ということで、超長期輪番は同額、中期輪番に関しては1−3は1.2倍なのかレンジの中心なのかは一致するのでワカランチ会長としまして、3−5を1.2倍ではなくそれよりも少ない3500にしてきました。
つーことで月額ベースで500億円の減額となった訳ですが、まあ月間500ですと従来の6回ベースで考えた場合1回100億も減っていませんがなという額で誤差っちゃあ誤差ということもありますので、中期後半単体で見た場合はどおってことは無いのですが、同じロジックで長期輪番を行うと、月額ベースで1500億円、従来の6回ベースで考えた場合250億円の減額になるので、4100→3750という減額になりまして、翌日(つまり今日)に10年入札控える中でこの減額ってどうよという風になるのかと思いきやですな・・・・・・・・
何せ10年とか20年とかのカレントが全然出合いない(前場中結局出合いなかった)ので先物でも参考にするしかないのですが、オペオファー前が前日比若干高の水準になっていたわけですが、1銭くらい下がるかどうかという感じにはなったものの、その後先物は上昇っぽくなって、というほど値幅は伴っていませんけれども、数銭上昇という感じになりまして、何だよ翌日の10年入札を警戒して金利が上がるとか反応しないのかよ輪番月間1500億円減額が見えてるんですよと思いましたが、その後も相場ちゃんは堅調推移の巻。
他市場では債券相場が無反応なのと、別の理由もあったのではないかと思われる節もありまして(後述)、これまた無反応ということで、オペ減額で為替が動くとか金利が動くとかいうような事態が発生しないという日銀大勝利の展開キタコレという動きに少々ビックリしましたですよあたしゃ。
輪番そんなに強くなかったと思うのですが、後場になると10年20年カレントとかにも出合いが出て何と前日比5糸強の水準(10年で0.110%)なんぞになるという事案が発生しまして、「オペ減額したのに金利は上がらんどころかむしろ下がる」という日銀大勝利にも程がある展開になっておりまして実に味わいの深い展開になっているのでありました。
引けのところで10年カレントは結局引け出合いに戻っていましたが(先物も上昇を消して2銭高とかの水準まで戻っていましたし)、いずれにせよ「オペ減額で金利も為替も無反応」という日銀調節部門大勝利となったのは目出度いのですが、しかしまあ何と申しますか・・・・・・
・朝三暮四のエテ公も裸足で逃げ出すベンダーヘッドラインとそれを熟知した(?)日銀の作戦勝ち(かもしれない)
とりあえずネットで見るとこんな感じですけど。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASS0IMB02_U8A900C1000000/
債券11時 先物が小反発、日銀オペ買い入れ増額「予想通り」
2018/9/4 11:24日本経済新聞 電子版
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-09-04/PEI9P46TTDS101
日銀が国債買い入れを増額、1−3年と3−5年を500億円ずつ
2018年9月4日 10:23 JST
英文のヘッドラインとかまでめんどいので見てなかったわけですが(手抜き)、そもそもの時点で日本語のベンダーヘッドラインが揃いも揃って「日銀、国債買入を増額」というヘッドラインでして、(上記URL先だと月額で減額みたいなのは記事の中に書いてあったりするけれども、最初に打ち込んでくるのは単にヘッドラインだけですし、ヘッドラインの方ではいつまで経っても「月額ベースでは減額」というのが全然でないままで終始しておりましたので、これは前後の事情を把握してないでスクラッチで見たら「日銀が国債買入を実質減額しました」と理解するのはどう見ても無理じゃろ、というヘッドライン。
えーっとですな、1−3年の方は2500×6=3000×5ですし、3−5年の方は3000×6>3500×5なんで国債買入は1−3年が同額、3−5年が減額という事になるのがどう見ても正しい、というかですな、年4回各10円配当していた会社が年2回各15円配当予定に変更とか発表した時に「何とか会社が5円増配の発表」とか金融商品取引業者が推奨レポートだしたら有利誤認でお縄先生待ったなしという世界になるんですけれども、ベンダーというのは四則演算しなくても務まるんですかそうですか随分と結構な商売でございますなあと感心するやら呆れるやら。
そらまあベンダーヘッドラインで「減額」というのがドカンと出なければ他市場も反応しない(そもそも論としては貿易戦争だの新興国通貨だのの方が為替方面の目下の重要材料であって、日銀のオペ自体が材料にならない可能性も有ったと思うのでどの程度このヘッドラインの意味があったのかという論点も大有りではござる)し、日本語がそうなのに英文で減額が出る訳もないからアルゴみたいな人(が円債先物に居るのかどうか知らんけど)も反応しませんわということですな。
・・・・・・・うーんさては日銀はこのベンダーヘッドラインの性格を熟知していて、3000×6を3500×5にしても「国債買入増額」と書かれるのでヘーキヘーキという技を使い、いずれは主要全年限4回にしてまたしらっと実質減額しているのに増額とヘッドラインに入れ込ませていこうと考えているのでしょうか(同じ手を何度も使うと効力が無くなるリスクはあるのでそう安易には来ないでしょうけどね^^)とか、まあ日銀の作戦勝ちということで、大変に恐れ入りましたと素直に降参するしかございません(何を降参するのかはさておいて)。
・事前織り込ませ(????)の勝利かもしれないとかその他少々
先ほども申し上げたように昨日の場合は中期そのものは大した減額ではないのですが、長期の方がそれなりの減額になるという所がアレでして、何せ2月に増額した長期輪番を4500→4300→4100と減額するのが、金利上昇を受けて指値やるのとセットで増やしたものを戻すだけだというのに物凄い勢いで慎重にやっていたのに今回サックリと250億円減額するんかいなという発想もありましてあたしゃ4800なのかと思っておりましたが、(木曜にならんと分からんけど)これだと4500がコンセンサスになってこの金利水準ですよという話だと思うので、既に織り込んでしまったというような感じになっている、という理解であっていると思うのですが(違っていたらご指摘頂きますとアリガタヤなのですけど)、まあそんな感じで何と事前織り込みモードとなっているのが日銀ウマーの展開。
まーよくよく考えれば月曜に金利が上がっているので、月曜の時点で織り込んでしまったということなのかも知れませんが、減額を事前に微妙に織り込ませておいて、実際に減額したときには金利がほとんど無反応(まあ今回の場合は元々市場が「はよ減額せえ」状態になっているので、待ち構えていた面もあるので次回以降同じ手が使えるかという再現性には乏しそうですけど)という風になればウハウハだなと思う訳ですよ。
ともうしますのはですね、
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20180901-OYT1T50001.html
日銀総裁「利上げ長期間しない」政策修正1か月
2018年09月01日 06時09分
『日本銀行の黒田東彦はるひこ総裁は31日、金融政策の修正から1か月にあたり、読売新聞の単独インタビューに応じた。短期金利をマイナス0・1%、長期金利を0%程度に操作している現在の目標について、「けっこう長い期間にわたり、上げるという考えはない」と引き上げを明確に否定した。政策修正は、金融政策を正常化させる布石ではないとの考えも強調した。』(上記URL先より)
記事の本チャン部分は有料会員向けになっていてリードの部分しかネタにできませんけれども、まあシャッチョサンがこういう風に「金利を上げる訳ではない」と言いまくっている中で、オペ運営によって「日銀が能動的に金利を上げている」という風に見られてしまうというのは如何にもマズーという話なのは一般企業に置き換えて考えてみたってまあ分かるでしょというお話ではありますので、「緩和政策を長期的に持続可能にするには買入拡大ペースを落とさないといけないので減額しましたけど金利は上がらなかったでしょ」となるべきであって、社長はああ言ってるけれども現場では勝手に逆をやっていましたとかになるのはアカンじゃろってなことになりますので、そう考えると今回の減額(明日の長期輪番を4500でやるかどうかはまだ分からんけど)の大勝利振りが際立つというものであります。
つーかね、この一連の動きって結局のところ上記の総裁インタビューの文脈にある「日銀が能動的に金利を上げようとしているという風になるのは宜しくない」という点を軸に考えてみれば、まあそうですなという感じにはなるのでして、つまりは昨日「よーしこれで長期輪番実質1500億円減額だぜヒャッハー」とか言って債券市場が売り込みに行かなかったというのも偶然(月曜に既に金利が上がっていたので)なのかどうかは知らんですけど結果的にスマッシュヒットになって、これは木曜日に4500億円で打ちやすくなりましたというウィンウィンの関係(ナンジャソラ)になったという事で実に美しい。
・・・・・・とか何とか言ってたら今日の10年入札が滑ってしまってやっぱり減額しにくくなりましたというオチになったらそれはそれでショボーンですけれども、まあ同額の4800億円をやらなくても、4600とか4700とか刻みようもありますし、その辺は今日の入札見て微調整可能ではあるのでしょうが、四則演算スキームで無風のまま減額という新手の技を見せていただきましたというのが昨日の市場雑談という感じでございました。
・なお一応市場概況をロイターさんから
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1VQ2D6
2018年9月4日 / 15:28 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が小反発で引け、長期金利は横ばい0.115%
『<15:20> 国債先物が小反発で引け、長期金利は横ばい0.115%
国債先物中心限月9月限は前日比2銭高の150円27銭と小反発して引けた。日銀が前週末に公表した9月国債買い入れ方針を受けて、日銀買い入れに対する不透明感から安寄りした。ただ、下値を売り込む動きはみられず、小幅高に転じた。日銀は午前10時10分、中期・超長期を対象に国債買い入れを通告。オファー額は日銀が前週末に示したレンジの中央値で想定通りの内容となったことに加えて、日経平均株価が上値の重い展開を続けたことで、買い戻しが入った。現物市場は閑散。5日の10年債入札や6日の残存5年超10年以下の国債買い入れでオファー額を見極めたいとして、見送りムードが広がった。「入札と買い入れといった需給イベントを通過し、10年債利回りが落ち着く水準を見極めたい」(国内金融機関)との声が出ている。10年最長期国債利回り(長期金利)は同横ばいの0.115%。』(上記URL先より)
ということですが、ロイターでは、
『<10:35> 日銀が中期の国債買入を増額、3年超5年以下の月間買入は減額へ』(上記URL先より)
って禅問答みたいな題名(ヘッドライン自体がこれで打たれたかどうかは残念ながら存じ上げません)になっていますが、そこの記事を見ますと、
『1回のオファー額レンジの中央値でオファーされたことになる。このペースで買い入れた場合、「残存3年超5年以下」の月間買い入れ額は8月を下回ることになる。ただ「減額幅が500億円と大きくはなく、市場への影響は限られる見込み。保守的なオペ通告とみてよさそうだ」(国内証券)という。』(上記URL先より)
となっているのが「ほえ?」という感じなのですが、保守的なオペだったら実質同額の3600億円で打ってくるもんじゃないのと思うわけで、アタクシは回数削減のドサクサで減額とか一粒で二度美味しい攻撃頑張ってるじゃんと思いましたし、寧ろ何で3500未満になると思ったのか小一時間問い詰めたいですし、同じ理屈で4500未満にするような積極的減額はよほど調子に乗ったらやるかも知れない(世の中に絶対はありませんからねえ)と思うんですけどねえ・・・・・・・・・・・・
〇市場機能度がどうしたこうした
http://www.boj.or.jp/paym/bond/bond1808.pdf
債券市場サーベイ <2018年8月調査>
一昨日出ていたのにネタにするの忘れてましたサーセン。
・・・・・・・と申しましてもあんまりネタも無くて、
回答期間:2018年8月8日〜8月16日 調査対象先数:67先
となっているので、政策修正来ましたからの臨時オペ入れられてあれれ相場がウゴカンチに戻っているじゃあーりませんかという期間内の回答となっていますが、まあ今回は夏休み時期がぶつかっているので恐らく回答期間の早めに答えている人が多いでしょうから、まだ動くかもという時の回答の方が多い気がするのは個人の感想です。
ということでまあ見るものもそんなにないですが・・・・・・・・・
(1)貴行(庫・社)からみた債券市場の機能度(注)
というのが▲45→▲39になっていますが、「高い」というのは相変わらず0社(当たり前だ)なので、ダメダメダメなのかダメダメなのかとかそういうレベルでの話であることは変わらないのですが、寧ろこれは次回以降の回答推移がどうなるかを見たいと思います(つーても次回は11月調査になるからまた世の中違うのかもしれませんけど)。
2018/09/04
お題「今日の輪番が一大注目材料とな/その他少々雑談」
また台風かよ・・・・・・・・・
〇減額期待が多いようですがさて・・・・・・・・
毎度で恐縮ですがロイター解説より。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1VP2H0
2018年9月3日 / 15:21
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が反落で引け、長期金利は1カ月ぶり0.115%に上昇
『 <15:10> 国債先物が反落で引け、長期金利は1カ月ぶり0.115%に上昇
国債先物中心限月9月限は前営業日比13銭安の150円25銭と反落して引けた。日銀が31日に発表した9月国債買い入れ方針が「事実上の減額」となるとの見方から売りが先行し、一時150円20銭と8月10日以来と約3週ぶりの水準に下落した。その後は、4日に予定されている中期・超長期対象の国債買い入れでオファー額を確認したいとして、積極的な売買が手控えられた。』
『日銀の黒田東彦総裁は都内で講演を行ったが、「取引所や市場などのシステムに関する内容が多く、特段材料視されなかった」(証券)との声が出ていた。現物市場は閑散。日銀買い入れ減額を警戒した調整売りが出た。10年最長期国債利回り(長期金利)は同1.5bp高い0.115%と8月3日以来約1カ月ぶりの水準に上昇した。』(上記URL先より、以下同様)
ということで昨日の債券市場ちゃんは10年1.5甘の0.115%水準に金利が上昇しまして終了の巻となった訳ですが、朝からずっとそんな感じで推移してまして、ナンジャソラという感は拭えないのですが、同じく上記URL先の大引け前の記事を引用致しますと、
『日銀は31日に発表した9月国債買い入れ方針で、中期と長期を対象に通知回数を5回と従来から1回減らした。一方で、1回オファー金額として示されたレンジ上限をいずれも1000億円引き上げた。レンジの中央値を前提にした場合、月間買入額は「3年超5年以下」「5年超10年以下」で事実上の減額になる。』
っていう事で、確かにベンダーやらレポートやらで出てくるので多いのが上記記事のように「次のオファー額はレンジの中央値になるので減額ヒャッハー」という内容が多いのですがうーんそれはという感じはだいぶするんですけどねえ。
というのはですよ、確かに中期と長期って直近ではレンジの中央値での買入をしていますが、もともと長期だってこの前の臨時輪番のドサクサに4100→4000にしたばっかりで、その前は別にレンジの中央値でやっていたわけではないですし、超長期とかレンジの中央より少ない方でホイホイと買入をしている訳でして、これが新しく出たレンジが100億単位まで刻んでいるんだったらそらまあその中央値での買入をするというメッセージ性は強く出るのですけれども、拡大したあとのレンジが500億円単位のままだし均等に1000億円増額となっている訳で、細かくだしている訳でもないレンジの中央で来ると喜ぶのはちと違和感が。
・・・・・・・とまあそんなことになりましたので、今日は中期超長期輪番が予定されている訳ですが、中期前半は元々が2500なのでレンジ中央の3000億円で実施すると普通に1.2倍になるから月額買入総量には変化が起きないという形になりますが、中期後半はもとが3000億円なので、月額買入総量同じだと1.2倍で3600億円になるところですが、これがレンジの中心になる3500億円になるかどうか、というこの100億円ぽっちの動向が物凄い勢いで注目されるという事になったようでワロタという感じです。
ちなみにこんなの予測不能なのですが、アタクシは最初にこのレンジの表見た時には割とすんなり1.2倍で実施するんだろうなあという発想に立ち至ったので、寧ろレンジの中央で減額ヒャッハーという各種コメントが多い方にぐぬぬと思ってしまいました。
・・・・・・と申しますのは、減額する気なら先月市場が待ち構えているときに減額しておけばすんなり行く訳ですし、今月やるにしたって別に回数そのままで(日程きついけど)減額するチャンスはあるじゃんと思う次第で、回数いじって実質減額みたいな手の込んだことする必要はないのでは無かろうか、とまあ思いますし、長期輪番が臨時輪番のどさくさで減額しましたけど、今後一々減額の度に何かのどさくさにまぎれないといけない、というのも後々運営やりにくくなるんじゃネーノとは思うのですよアタクシは。
まあ今後も何かのどさくさに紛れて減額していく、という精神でやっていくというのであればはあそうですかとは思いますが、一々目くらましネタを入れないと減額できないんだと先々大変でしょうな。
でまあ昨日は10年が0.115%になった訳ですが、これは当然ながら「レンジの中央でやると月の買入がトータルで1500億円減額だぜヒャッハー」という話でやっているというのと、それに便乗して入札セットアップという所だと存じますが、そらまあ発行額対比のバランスから言って長期は買い過ぎにもほどがあると思うので減額した方が良いとは思いますが、この回数変更を利用して減額するにしても、もしかしたら申し訳程度に4000→4800ではなくて4700とかになるかもしれないとは思うのですが、6回ベースの250億円減額っていうのはこれまでの減額(というか2月に輪番増額したのを元に戻す過程)での1回の戻しよりも多い減額になりますし、おまけに(もちろん明日の入札を通過しないと分からんにしましても)10年は直近安値水準に接近しているという状態になっている中で、ドドーンと減額大サービス、というのは「日銀が金利を上げに行っている」という話にされてしまうとまああまりイクナイという感じも致しますが、いずれにせよ今日の中期輪番でだいたい読めてくるでしょうなあとは思います。
#なお額的に言えばそれって第U非価格入札一発でぶれるのではという気もしますが・・・・・・・(汗)
まあしかし何ですな、YCCぶっこんだ時もぶっこんだときにはエライ勢いで緩和的な話をしていたので安心して(かどうかは知らんが)10年ホイホイ買っていたら月末(と言ってもMPMからそんなに日が経っていない訳ですが)ちかくに輪番減額されたり翌月も輪番減額されたりみたいな積極プレイが飛び出した、という事例もありますので、実際にオペ打たれてみないとよくわからん面がある、というのもこれまた思いますので、まあ出てから考えるしかないという風に思います。ただ何と申しますか、8月あれだけ減額バッチコーイ状態になっている市場があって、他市場もそんなに注目していないと思われるところだったので、8月の月中は減額のチャンスだったと思われる(日銀的にはどうか知らんが債券市場的にはそう思われる)ところで地蔵モードだったのに、ここで月が替わった途端に豹変して積極減額というのは、(基本的に輪番減らせと思うから歓迎はするけど)結局あんさんら減額積極的なのか消極的なのかよくわからん、という話になるので、また話がややこしくなりそうな気はしますがさてどうなるやら。
ちなみに短期を最初のURL先のロイターさんの記事から。
『短期金融市場で無担保コール翌日物の加重平均レートはマイナス0.05%台前半と前週末(マイナス0.055%)をやや上回る見通し。月末要因で取り需要が弱かった前週末に比べて資金調達意欲がしっかりと示され、マイナス0.035─マイナス0.075%を中心に取引された。ユーロ円3カ月金利先物は小動き。国庫短期証券(TB)の買入結果は弱含み。』(最初のURL先ロイター記事より)
ということで短国買入の結果は弱含み(そら2500ですからねえ)ではありますが、だから短国が盛大に弱くなるかと言いますと元々が需給良くて堅調なところですから別にコケる訳でもなしということでしょうか。まあ需要確りですよねー。
〇色々なもんやりますなあ
こんなん出てました。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/wp18j08.htm/
機械学習による景気分析
―「景気ウォッチャー調査」のテキストマイニング―
調査統計局の方が研究したようですが、機械学習で分析出来たら自分らの首が飛ぶじゃん大丈夫かよとか思いながら、内容まで精読できておりませんのでご紹介ページだけご紹介の巻。
上記HTMLの『要旨』から。
『本稿では、景気ウォッチャー調査のテキストデータに対し、統計的言語処理と機械学習の手法を用い、3つの分析を行った。』
ほうほう。
『第1に、過去対比で相対的に出現頻度が高い特徴語に対する共起ネットワーク図により、景気変動要因を効果的に可視化した。』
『第2に、ナイーブベイズ分類器を用い、テキストデータから物価動向を表す指数を構築した。この指数は、インフレ率の先行指標として有用であることが分かった。』
『第3に、予想インフレ率やインフレ率に対して説明力がある単語を、ランダムフォレストの変数重要度を基準に抽出した。これにより、物価変動の要因を理解するうえで有益な情報が得られることが分かった。』
おじちゃん無学だから書いてある字面は読めても何言ってるんだかさっぱりワカランチ会長ですが、ご興味のあるかたは本文を熟読されたし(なおアタクシはまだ碌に読めてませんので誰か解説してくれるとアリガタヤとクレクレ状態)。
本文はこちら
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18j08.pdf
・・・・・・・・・・しかしまあ何ですな、人の所の調査を使った機械学習よりもどうせなら展望レポートの予測精度(爆発音の為以下聴取不能)。
〇いやまあ呼ぶのもわかるし話すのもわかるのですが物凄い勢いで茶番になるんですがそれは
さっきのロイターさん記事で「影響ありませんでした」という講演はこちら。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko180903a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko180903a1.pdf
【講演】
ポスト金融危機の先物市場
株価指数先物30周年記念シンポジウムにおける基調講演
日本銀行総裁 黒田 東彦
2018年9月3日
・・・・・・・・ええまあこういうイベントだから日銀総裁お呼びするのもわかるし、お呼ばれされたら講演するのもわかるんですけれども、国債の大量買入れで債券先物の受渡最割安銘柄を散々っぱら締め上げてしまうわ、YCC政策で相場を動かなくしてしまうわ、まあこれは株の方のイベントだけど、株の方だってETF買いまくるからインデックスばかり買われるための歪みみたいなのがどんどん高まってくるわ、というようなプレイをしている張本人が講演するとは何事ぞという感じで、途中はどうでも良くて最後の所でもうヘソが茶を沸かしますよ。
ということで『3.終わりに』から。
『本日の講演では、グローバル金融危機以降の大きな環境変化が、先物取引にもたらす新たな潮流と課題について、金融規制の強化、技術革新の進展、資産運用としての先物取引の拡大という3つの切り口から、お話ししました。ここで述べた課題は、いずれも容易に解決できるものではありません。しかし、市場関係者がこれらの課題にしっかりと対峙し、新たな環境に適応していくことは、これまでの30年間と同様、先物市場が長年にわたり発揮してきた機能の維持、発展に繋がるものと確信しています。』
はあそうですか。
『先物市場は、日本銀行にとって、経済や企業業績に対する市場の見方・センチメントを理解する上でも、貴重な情報を与えてくれます。日本銀行としても、日本の先物市場が、さらに効率的かつ安定的な市場として発展を遂げるよう、調査研究や内外の議論への参画等を通じて、中央銀行の立場から後押ししていきたいと思います。』
いやその前に大量資産買入はよ止めろやとしか申し上げようがない訳で、こういうのを茶番と言います。
・・・・・・で終わらせるのもなんですのでHFT関連の部分でも読みながら雑感を。
『技術革新の進展』ってところね。
『第2の点は、金融の技術革新がもたらす影響です。例えば、近年の目覚ましい情報通信技術の発展を受け、取引注文処理が飛躍的に高速化しています。東京証券取引所の株式市場においては、2010年1月に稼働した「アローヘッド」と呼ばれる新取引システムにより、1000分の1秒という、人間の能力ではとても追い付かないスピードで注文処理を行うことが可能となりました。こうした技術革新を背景に、自動化されたアルゴリズムに従って、きわめて高速・高頻度で小口売買を繰り返す取引、いわゆるHFT(High
Frequency Trading)を行うプレイヤーのプレゼンスが高まっています。例えば、株式市場におけるHFTのシェアについては、地域によっても多少の幅はありますが、米国では5割程度、欧州は4割程度に達しているとの見方があります。わが国でも、HFTのシェアは高まっており、東京証券取引所の株式市場において、コロケーションエリアからの約定件数は、4割程度を占めています(図表3)3。株式先物においても、高速取引に対応したシステムの導入などを背景に、HFTのシェアは、高めの水準に達していると考えられます。』
という話ですけどね。
『HFTに対するポジティブな評価を整理すると、HFTは、ビッドアスクスプレッドのアービトラージを狙い、「売り」と「買い」の双方で膨大な注文を出すことから、他の投資家に対し「受動的なマーケットメイク」を行う役割を担い、市場流動性を改善させているとの見方があります。また、僅かでも価格が上がれば売り注文を行い、僅かでも下がれば買い注文を行うため、理論上は株価変動を抑制し、ボラティリティを低下させる役割も期待されます。実際、HFTのプレゼンスが高まる中で、市場流動性の向上やボラティリティの低下が進んでいるとの実証分析もみられています4。』
ほうほう。
『一方、アルゴリズムが想定しないような急激なショックが生じた場合において、HFTは市場流動性の供給を不安定化させ、むしろボラティリティの拡大を助長するとの見方があるのも事実です5。さらに、アルゴリズムのヒューマンエラーなどをきっかけに、合理性を欠いた取引が大量に実行されてしまうリスクを懸念する声も聞かれます6。』
でもって、
『このように、現時点では、HFTに対する評価は必ずしも全面的にポジティブなものとはいえません。HFTのプレゼンス拡大が、単に処理スピード競争を助長するのではなく、適切なアービトラージ活動の活発化とマーケットメイクを通じ、市場の効率性と流動性の向上に資する方向に働くよう、施策や取組みを考えていくことが重要です。例えば、一方向に偏った取引アルゴリズムやプログラム・システム等の誤作動により、高速・高頻度の取引が価格変動を拡大させるリスクを放置しますと、市場の不安定性を構造的に高め、ひいては、リスク移転や価格発見の機能を弱めることにも繋がります。決して容易ではありませんが、これらの問題に対する防止措置をしっかりと検討することが肝要です。』
だそうで、
『以上述べた課題への具体的な対応は、HFTに対する規制の動向などにも左右され、一概に取引所だけが行うものではありません。しかし、HFTの到来とその影響の拡大を受けて、金融の技術革新に対する取引所の自主規制や管理・モニタリングの役割が、一段と重要になっているように思われます。』
あのですね、だったら処理速度落として対処するって選択肢だってあるでしょと思うわけで、取引所が何だか知らんけどあちこち上場とかして自分の所の取引量拡大で収益拡大だぜヒャッハーとかやるからこういう話になるんじゃろと思うとかいうとカビの生えたジジイとか言われそうですが、かつての日本の取引所の気配制度とかあれはあれで小口投資家の参加をしやすくするという意味では良いシステムだったと思うのでして、全部昔に戻すの無理なんですけど、何でも高速ヒャッハーというのはどうなのか、というのはかつての債券先物のシステム変更で債券市場が酷いことになったという時代(ちなみに20世紀の出来事です)の記憶が今でも残っている債券市場老人会の老人のたわごとって言われるんでしょうけど、なんかこう高速化ばっかじゃなくてどこかでバランス取れよと思うのですが、取引所自体が取引量拡大とか、何でも上場させちゃうとか、営利方面に傾斜するという仕組みになっているのから変えていかないとまずいんじゃねえの、とは思ったりしますけどあまり賛同されませんかそうですか。
2018/09/03
お題「9月のオペ運営予定は微妙なクセ球を放って参りましたな」
いやー9月になっちゃいましたね〜。
〇材料キタコレ(輪番予定発表)
・オペ待ちは良いとして短国確りですよね
金曜日の債券市場ちゃんは注目は場中の輪番と引け後の輪番予定以外になんかありましたっけ(東京都区部CPIとかありましたが)状態でしたが、まあその前の水曜に超長期絶好の減額どころだと思ったら減額しやがらなかったので期待薄とか思っていたら、
輪番オファー(輪番のとこだけ)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180831.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2018年9月3日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,000 2018年9月3日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2018年9月3日
ということで引き続きの地蔵モードとなっておりまして、他にネタがないもんだから債券市場ざまもこの有様。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1VM2VL
2018年8月31日 / 15:06 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が反発で引け、長期金利0.100%に小幅低下
『 <15:03> 国債先物が反発で引け、長期金利0.100%に小幅低下
国債先物中心限月9月限は前日比7銭高の150円38銭と反発して引けた。前日の海外市場で、米中摩擦懸念やアルゼンチン中銀の利上げなどを手掛かりに、安全資産とされる米債が上昇したことを受けて買いが先行した。』(上記URL先より、以下同様)
つーより前日に訳分らんのに13銭も下がった分の反動じゃろという気がする次第で、むしろ木曜の13銭下げとは何だったのか(金曜に輪番が変わる期待だったらしいという後付け講釈だったような気がしますが)という感じで。
『日銀が中期・長期を対象に実施した国債買い入れ結果は無難だったが、今夕に発表される「当面の長期国債等の買入れの運営について」で9月分の買入方針を見極めたいとして、午後にかけて積極的な取引は手控えられた。現物市場は総じてしっかり。日銀が実施した国債買い入れでオファー額が据え置かれたことで、減額を警戒した参加者から買いが入った。10年最長期国債利回り(長期金利)は同0.5bp低い0.100%。』
でもっていつも引用しませんが短期ちゃん。
『短期金融市場で無担保コール翌日物の加重平均レートはマイナス0.05%台半ばと前日(マイナス0.050%)に比べて低下する見通し。月末要因から、一部金融機関で積極的な調達を手控える動きが出て、弱含みの展開。ユーロ円3カ月金利先物は動意薄。新発3カ月物国庫短期証券(TB)の入札結果で、最高落札利回りはマイナス0.1463%、平均落札利回りはマイナス0.1531%と、前回(最高:マイナス0.1463%、平均:マイナス0.1551%)に比べて横ばい圏。』(以上上記URL先より)
前回と比べて横ばい圏ではあるのですが、短国がここのところずーっと強めに推移しているなーという感じでして(水準に目が慣れてしまっているのですが)、なんかよーわからんけど需要がずっと強めなので供給あっても金利がアガランチ会長となっていまして、何か短国に関しては需給構造変化でもしているのかよーわからんですが、妙に堅調ですわなーと思うのですけれども思っているだけでよくわからんので現象面だけでどうもすいません。
さてまあそんな前振りはさておきまして肝心のオペですよオペ。
・中長期の回数調整で来るけど超長期25年超は変更なしですかそうですか
今回登場の物件
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180831e.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について
なお前回
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180731i.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について
のっかけら冒頭文言に謎(でもないけど)のニュー文言が来ました。これまでは・・・・・・・・・
『日本銀行は、長期国債等の買入れについて、当面、以下のとおり運営することとしました(2018年8月1日より適用)(注)。
── 次回公表は2018年8月31日17時を予定。』(前回)
(注)に関しては前回についてはMPMで色々なのを出してオペについても政策変更はしていないけど声明文文言の変更があったりしたので、MPMと同時に出しました、ということを書いているだけの話ですのでこちらはまあ良いとして、まあここの所ずーっとこの表現で日付だけ違う、という内容だったわけです。ところが今回は・・・・・・・・・・
『日本銀行は、長期国債等の買入れについて、弾力的に実施することとしており、当面、以下のとおり運営することとしました(2018年9月3日より適用)。
── 次回公表は2018年9月28日17時を予定。』(今回)
なんか今回『弾力的に実施することとしており』というのがサクッと入っているのですが、弾力的に実施することとしていたのは前回MPMからなので、先月公表のところからだったと思うのですが、先月はこの文言が入っていなくて、今月になってサクッと入ってくる上に、注目の別紙の方を見ますと・・・・・・・
(前回表記)→(今回表記):実際はレンジには「程度」が入っていたりするが引用上はパスしておきます
1年以下
100〜1,000、月2回→ 100〜1,000、月2回
直近買入額は500億円
中期前半(1-3)
2,000〜3,000、月6回→ 2,000〜4,000、月5回
直近買入額は2500億円
中期後半(3-5)
2,500〜3,500、月6回→ 2,500〜4,500、月5回
直近買入額は3000億円
長期(5-10)
3,000〜5,000、月6回→ 3,000〜6,000、月5回
直近買入額は4000億円
超長期前半(10-25)
1,500〜2,500、月5回→ 1,500〜2,500、月5回
直近買入額は1800億円
超長期後半(25-40)
500〜1,500、月5回→ 500〜1,500、月5回
直近買入額は600億円
物価連動
250、月2回→ 250、月2回
直近買入額は250億円
変動利付
1,000、偶数月1回→ 1,000、偶数月1回
直近買入額は1000億円
ということで、超長期いじってくるのでもなく、金額減らすのでもなく、今回は「回数を減らしてレンジを上の方に拡大する」というプレイが登場しました。
まー確かに今月って正味4週間しかない所に来て、3連休が2回入るので実営業日が18日しかなくて、その中に入札とMPMがあるから、雨天中止が大量にあったセントラルリーグの日程の如く過密スケジュールになって、下手したらダブルヘッダーバッチコーイ状態(は今の所回避されているようですが)という話になりますが、まあ別に輪番だったら3ゾーン一発でやっても先発投手2枚準備する必要もないので(ナンジャソラ)ぶっこんでも良いのではとか思いましたが、この「日程がキツイからオペの回数を減らしました」攻撃は営業日の少ない所を狙ってやってきましたなという感じです。
でもって今回は「回数減らす」攻撃をぶっこんできた訳ですが、さっきの「弾力的に実施することとしており」というお洒落な文言とのコラボレーションという意味で考えるというのも、無駄な勝手読みにもほどがありますが、まあ好き勝手に妄想成分全開で解釈しますと、「日程がキツイからテクニカルに回数を減らしたような雰囲気を出していますが、よくよく見れば「弾力的に運用」と言い出した時にこの回数削減をしているのですから、これは「弾力的なオペ運用開始」の一環ですわ」と物凄い勢いでだいぶ妄想寄りの都合の良い解釈をするとそのように解釈ができますな(個人の感想です)。
つまり、日程がキツキツなのにかこつけてしらっと回数減額をした、ということになるのですが、まあそうは言いましてもまさか回数減らしても1回の買入額がそのままとかいう訳はないと思われます(間違って同額だったら債券村は狂喜乱舞してエエジャナイカ踊りを3日3晩踊り続けるんじゃないでしょうかねえ)ので、実際に買入の額自体が減るのかという話になるとこれがまただいぶ????な感じではありますけれども、まあ何か弾力化してみた、という心は伝わりました。
・でもってこれ今後どうなるんじゃろという雑感を幾つか
つーことで今回はオペ回数の削減をして、主要3年限(細分化してみれば5年限)の輪番買入が全部月5回に減りまして、とは言っても今月はそれでもいっぱいいっぱいになりますが、これが来月も同じ頻度になるのであれば(まあ基本的に「臨時で何かやったものを戻すことはあっても、普段は何かやったらそれは継続する」というのが今まで見ていたオペの仕様だと思うので、たぶん来月も主要3年限月5回になるんじゃネーノとは思いますけど(個人の感想ですし今の見方も正しいと本人が思っているだけかも知れん))、「入札も輪番も無い日」というのがもう少し増えるのかもしれませんな。
なにせ最近は入札か輪番くらいしか材料というものがない、というただの官製需給相場になっている(この前動いたのだって政策変更がどうのこうのという話ですからねえ)のですが、もうちょっとまともに市場が動くようになるには、本来というかそもそも論で考えれば「入札も輪番も無いから今日は皆さんの需給で動くんですね」ということになっていくのが市場の価格発見機能って奴ではありますから、回数減るってのはその点では方向性としては1つの考え方(もう一つの考え方は対象全年限を営業日毎均等割りして毎日同じにしてしまってイベント化しないのと1回の買入を減らすという方法だが実務運営的な実用性に欠けるので却下)ではありますが、元々日銀が盛大に買っていること自体には本質的な変化が無いので、買入のインパクトが増える分だけ他の日が地蔵相場になりやすくなるのかも知れないし、始まってみないと何ともですな。
でもって買入の額ですけれども、いままで6回だったものが5回になるのですから、1回の買入額が直近から見て1.2倍になっていれば同額で、まあさすがにそれより増えることは無いでしょうが、減らすというのも何かまた目立つことになるから、そんなに減額は期待しないで待っている(でも減額してちょとは思う)という感じでしょうかねえ、よー知らんけど。でまあ明日さっそく中期と超長期があって、長期が木曜に実施されますので、ここの額が注目材料ではございますな。
#しらっと中長期は1.2倍ニキにしながら超長期を減額したりして(^^)
・とりあえず匍匐前進しかもノロノロモードというのは把握した(個人の感想です)
まーしかし結局8月は柔軟化弾力化するという触れ込みに対して地蔵モードだった訳ですが、月末に回数変更をいう変化球を入れる中で「弾力化」をわざわざ書き込むという辺りに何となくまあ匍匐前進してますよ的な成分が混じっているような混じっていないような、という感じにんまりましたが、この調子だと日銀ちゃん動いても月1回とかそんな感じになるんじゃろうなあという風に思われる(個人の感想です)のですが、その調子でのんびり対処しているうちに円債村の方が勝手に自主廃村してしまうリスクというのもあるのではないかと思ったりしまうのでうーんこのとは思いますが、まあゼロ回答よりは全然マシなので、今後どうなっていくのか見ながら改めて評価しようかなーとか考えておりますです、はい。
ま、お題にも書きましたが、今回は微妙なクセ球で来たという感じですが、七色の変化球の筈が全部棒球で大炎上ノックアウトとかにならないようによろしくお願い申し上げますm(__)m
ということでただの雑感で恐縮至極。