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2018/08/31
お題「鈴木審議委員会見/月末ですが輪番世間話」
8月が終わりますが、あのMPMから1か月が経ったということですね。
〇鈴木審議委員会見
内容と全然関係ないですけど、沖縄だからなのか日銀のトップページで写真出ている鈴木さんの服がお洒落な色合いで良いですね。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180830a.pdf
・副作用への対応に関して
実質1番目になる質問(最初のは「今日はどうよ」という奴で長々と答えるのが仕様)がいきなりこれ(^^)。
『(問) 委員は、本日の挨拶の中で、累積していく副作用が顕現化した際に手遅れになるリスクがあるということに言及されましたが、これは、副作用が顕現化する前に何かしら予防的な行動を起こすべき、そういったふうに理解するべきなのでしょうか。また、もしそうであれば、具体的に起こすべき行動について何か想定されるものがあるか、教えてください。』
これはまた直球ですがそのお答え
『(答) 金融政策がもたらす影響については、それが累積していくとその先に副作用が顕現化する可能性がある、ということが考えられますが、顕現化するのがいつ頃かという点については、様々な要因やその時点での市場環境にも影響されるものですので、一概に申し上げることは非常に難しいと思います。』
そらそうよ。
『ただ、本日の挨拶でも言及しました通り、累積していく政策の副作用については、どこかの時点で顕現化してしまいますと、その時点では上手く対処することが難しくなること、あるいは手遅れになるリスクがあるということに、十分注意を払う必要があると考えています。』
折角だから手遅れになるのは何故かというのをもう少し丁寧に説明頂きたかった。
『この点、少なくとも現時点において、わが国の金融機関は、全体として資本、流動性の両面で強いストレス耐性を備えており、金融システムの安定性も維持されているものと考えています。』
今やばかったら時すでにお寿司なんてもんじゃねえですからね。
『ただ、金融政策の効果がもたらされる時間軸だけではなく、副作用が累積していく時間軸についても複眼的な視点で捉えつつ、政策運営に努めていく必要があるであろうと思います。』
副作用の累積>効果の累積のだったらどうするんじゃろ。
『金融緩和という意味では、長い期間にわたり行っており、その累積する影響への対応という点では、例えば他の条件を考慮しなければ金利を上げるということも考えられるかもしれませんが、それによる改善効果も累積的なものと考えられます。従って、極めて近い将来において何らかの影響が起きるという場合には、その時点で何か動いても手遅れになる可能性があるのではないか、といった趣旨で申し上げています。』
これはまた禅問答チックな説明になっていますが、この「金利を上げる」に関しては債券市場はまるで反応していなかった(そら臨時輪番からの1カ月地蔵モードでこの前のアナウンスはただの口先だけだったのかと小一時間、とフンガー状態になっていますから残念ながら当然)のですが、為替市場とかは反応してたことになっていたようですね。
でまあこの物凄い禅問答ですが、金利を上げることの評価について、「それ(金利をあげること)による(副作用の)改善効果も累積的」なので「極めて近い将来に副作用が顕現化すると思って金利を上げても時すでにお寿司(とは鈴木さんは言いませんかそうですか)なので、その前にプリエンティブに対応しないといけません」というのを一応オブラートに包んだ言い方をして説明しているように見えますがどうなんでしょうかね。
・副作用の質問は続く
次の質問は市場機能の方。
『(問) 長期金利についてお伺いしたいのですが、7 月の金融政策決定会合を受けてその変動幅を倍にするということになったわけですけれども、これでその手遅れとなるリスクというものが一定程度回避されたというふうに考えるのが正しいのでしょうか。また、ご講演の中のお言葉を借りると、「金利は市場で決まる」というようなお話もされていましたけれども、そうお話しされている以上、例えば鈴木委員としてはもう少し幅があってもよいのではないか、そういうお考えなのか、その点を確認させてください。(後半割愛)』
という質問なのですが・・・・・・・・
『(答) 今回、長期金利の水準について、「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」ことをお示ししていますが、これは、今までも長期金利は変動しうるということではあったわけですが、かなり硬直的な動きであったことに対して、物価見通しの面で
2%の「物価安定の目標」の実現にはこれまでの想定よりも時間がかかることが見込まれることに伴って、政策の持続性の強化と、市場機能を改善させていきたいといった趣旨から、従来、結果的にプラスマイナス
0.1%程度であったものを、その倍程度まで変動を許容するということです。これは、
「ゼロ%程度」という操作目標を変えるものではありませんので、金利水準の引上げを意図しているわけではありません。従って、いわゆる金融機関の収益であるとか、金融仲介機能に対して直接的にプラス効果があるという内容ではないと考えています。(後半割愛)』
と、金融仲介機能の方に関する答えになっていて話がかみ合っていないのですが、つまり市場機能がどうのこうのの話に関しては、定性的に市場が活発化しないとまずいんじゃネーノというような感じなのはあっても、じゃあ市場の水準がどうのこうのとかボラがどうのこうのとか、そういう話を量的に考えてどうの、というほどの具体的なのは無いのかなあとか思ってしまいますな。
まあしかしですな、そもそもが日銀買いすぎでガチガチにしているんで、そこから市場機能が出て緩やかに市場が動くようになるなんちゅうような思うつぼの展開にはなる訳もなく、ガチガチに固めていたギブスを突如外してみたらそら筋力落ちてるんだからガクガクしちゃいますよねというところで、やはりリハビリ(資産買入の段階的な減額)から行かないと、と隙あらばすぐにそっちの話をするアタクシ。
・仕方がないので市場機能の直球質問
次の質問である。
『(問) 今の質問に関連して、国債市場の機能の問題なんですけれども、7 月末の前後には商いも活発化したと思いますが、その後は、薄商いが続いていると見受けられます。ではこの修正が果たして十分だったのかという点を、今の市場の動きと合わせてどうみていらっしゃいますでしょうか。
』
たぶんさっきの質問はこういう趣旨だったと思うの。
『(答) 7 月の末の政策決定でございまして、それからまだひと月も経っていないという状況です。実際、7
月の末には、メディアの皆様方の報道もあり、比較的ボラタイルに動いていたものが、その後は少し落ち着いているということかとみています。これが十分なのか、十分でないのかというのは、もう少し評価には時間がかかるのではないかと考えています。
』
「メディアの皆様方の報道もあり」にワロタ。とりあえずノーコメントですかそうですか。
・ガイダンスはやはりガバガバガイダンスということで
いやまあ当初よりアタクシはインチキガイダンスと勝手に命名しているのですがインチキガイダンスというと悪態成分が強いのでもう少しマイルドな言い方にしてみようかと工夫をしてみました!!!!!
でもってそのガバガバガイダンスがガバガバか否かという質問がありますが、折角なので例のフォワードガイダンスの文言を見ながらこの質疑を鑑賞しましょう。
『日本銀行は、2019 年 10 月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。
』(2018年7月31日金融政策決定会合声明文より)
でもって質問。
『(問) フォワードガイダンスの話なんですけれども、 「当分の間」は今の低金利の水準を続けると謳っていますけれども、景気変動の一例として消費増税というのを挙げていて、普通に考えると、消費増税が実施されて、その影響を見極めるまでの期間を「当分の間」は示すのではないかと思うのですけれども、市場の中でも色々な見方があります。この「当分の間」というのは、委員としてはどうみていらっしゃるのでしょうか。』
まあもとよりガイダンスの文言が悪文だからこういう読み方が可能になるのですが、ここで現国講座宜しくガイダンスの構文を読むと、主語と述語は「日本銀行は想定している」であって、何を想定しているのかといえば「現在のきわめて低い長短金利の水準(ここは「現在の」を水準に掛けるかきわめて低いに掛けるかの係り受けに解釈の余地があるがそれはさておき)」であって、その期間は「当分の間」であって、その前のは全部ただの修飾文言、と構文解釈をするのが現国の試験的には正しいと思うのですがさて・・・・・・・・・・・
『(答) そういった質問は以前にもあり、カレンダーベースの話ではないとのコメントもあったと思いますが、「当分の間」という文言については、特定の期間を念頭に置いているものではありません。』
キタコレ。
『直近の展望レポートで示されているように、経済・物価の先行きについては様々な不確実性が存在するわけで、日本銀行として
2%の実現に向けた政策運営スタンスの信認を確保するというフォワードガイダンスの趣旨に照らして、先々の金利水準の変更は、その不確実性を踏まえて慎重に判断していくということです。』
先行きの不確実性を踏まえて慎重に判断するって今までとどこがどう違うのかと小一時間。
『そうした不確実性の中の、当然考えられる大きなものというのが、2019 年 10
月に予定されている消費税率引上げの影響ということですので、 「当分の間」というのが、具体的にどれぐらいかということについて、厳密に特定の期間を念頭に置いてはおりません。』
ってまあここは執行部説明を説明しているから仕方ない面はあるのですが、さっきの金懇挨拶で「前回増税より大きくない可能性も相応にあります」ってなっているものがなぜ大きな不確実性になるのか、となるとまあ論理的じゃないですよねということになりますな。だいたいからして展望レポートの見通しを見れば2019年度以降って徐々にオリンピック関連の需要が落ちてきて設備投資サイクルも循環的にピークアウトの可能性がある中で海外が主なドライバーになって引っ張っていくという絵になっているんですから、メインの不確実性は海外じゃろという話で、どう見てもこれは2019年10月というのを見せて目くらましをしたかっただけですな、とまあそういう話になります(結果的に向こう1年政策金利水準上げられないことになるじゃろ、というのはもちろんありますが)のでやっぱり時期を設定したものではなくてガバガバフォワードガイダンスである、ということですな。
なお話が微妙に逸れますが、英文だと主語が頭で次に動詞が来るから語順通りに読んでいってもそんなに構文解釈にあまりぶれが生じないのですが、日本語の構文って主語が頭で述語がケツで、形容詞の係り受けが複雑なので、字面を頭から読んでいると構文を読み間違えるリスクがあるし、どこからどう見ても日銀はそこを狙ってインチキ文章を構成する事が度々あるので注意しないといけませんな。
・銀行経営に関して
『(問) 先程のお話の中で、銀行の自己資本に関しては現状では大丈夫とか、流動性の面においても大丈夫ということですけども、足許、銀行だけではなくて他のところも結構リスクテイクをして、マネジメントが中途半端になって、損失吸収力が下がっているという見方もあるんですけれども、そうなってくると資本を崩したり準備金を引き当てたりして、結果として銀行の自己資本が毀損されると思われます。そうなると、日銀が目指している物価の安定、金融システムの安定に関して相当大きな影響があるかと思うのですけども、その点に関して現状どういうふうに思っていらっしゃるのか聞きたいです。
』
まあふわっとした質問ですが。
『(答) 直近の金融システムレポートにおいても、地域金融機関等が過度のリスクを取っていないかなどを定期的に点検している状況です。確かに、一部の金融機関に関して、そういったことを原因として多少問題があるといったことが報道でも出ていますが、この点、いわゆる金融システム全体、金融機関全体においては、足許において資本・流動性面で問題があるという内容ではございません。ただ、将来そういったリスクがあるということについては、時間の経過とともにそういうものが高まっていくと認識していますので、より一層注意深くみていく必要があるということだろうと考えています。』
まあこれはこれ以上答えようがないか。
・ETF買入に関して
最後の質疑、って結局最初のを除いて全部ネタにしてしまいましたな。
『(問) ETFについてですけれども、7 月末に資産価格のリスク・プレミアムへの働きかけを適切に行うという文言が加わっておりますが、──やや抽象的だという受け止め方もありますけども、──ここの意図しているところといいますか、ETFについての副作用等について鈴木委員はどういうふうに考えを整理していらっしゃるのか。』
そら質問しますわ。
『それから、8 月に入ってから、若干買入れのペースが落ちているというふうな観測もありますけれども、「上下に変動しうる」というのは、年
6 兆円というのを長い目でみれば逸脱することはないということなのか、状況によっては、長い目でみても
6 兆円を下回るようなことが続いてしまっても構わないというようなものなのか、その辺りの考えの整理についてお聞かせください。』
その答えですが、
『(答) ETFの買入れは、おっしゃられるように、株式市場におけるリスク・プレミアムに働きかけることを通じて、経済・物価にプラスの影響を及ぼしていく観点から行っているものです。私も、具体的にリスク・プレミアムが今幾らになっているかなどをしっかりとみていきたいと考えていますが、ご案内のように、リスク・プレミアムは、例えば数字上での計測というのも、単一の基準に基づいて判断するというのは難しく、かつその計測の仕方によって数値が相当異なる、という特性があります。』
さいですな。
『目に見える金利水準といったものとはかなり違っており、多くの市場参加者と同様に日本銀行においても、株価の変動、企業収益、配当の動向、様々な指標を踏まえながら総合的に判断していくということです。副作用という観点についても、メディア等で色々と言われていますように、色々なプラスやマイナスがあるわけです。』
まあ難しいのは分かる。
『また、買入れ額については、持続性の観点も持ちつつ、市場の状況に応じて買入れの金額が上方にも下方にも動くとしています。もちろん株式市場が色々と混乱する場合には、従来申し上げているよりも大きな金額になる可能性がありますし、少ない金額になることもあります。持続性という言葉自体は、どちらの方向かというのが大体想像して分かるのではないかと思います。』
と禅問答っぽく締めていますが、まあ単純に「今の調子だったら減っていくかもしれませんね、ああその代わり大きく下がってきたら買入増えますよ」という話で良いと思う。
・総じて見ましてこれは「金持ち喧嘩せず」って奴ですなと思ったのですが
実質的に前任の石田審議委員と比べると鈴木さんの説明や発言は(麿ドクトリンの「物価は経済の体温」とかしらっと埋設地雷をぶっこんでいますけど)基本的には割と穏当でそこまで踏み込んできてはいないのですけれども、これって石田さんの時にはQQEだQQE2だと「体温を無理矢理上げる民間の謎療法」を繰り返していた時代でありましたので、ある程度踏み込んで悪態ぶっこまないといけない状態だったというのがあって、その一方で今の状態って物価目標達成時期は別に急がなくなってしまいましたし、資産買入の柔軟化には着手していますし、副作用に関する目配りも(少なくとも口の上では)ちゃんとするというような感じになっていますので、そういう意味ではいわゆる「金持ち喧嘩せず」って状態になっている訳で、何も過激に暴れなくても方向性に関しては(物凄く遅々としているのでその間に死人が出たら困るのですが)一応向かうべきところに向いている、ということで余裕の穏当説明という感じなのかな、とは思いましたが、まあ実際はどうなんでしょうかというのはよーわからんっすな。
#とまあそういうことで
〇月末で輪番あれこれの雑感的な世間話
・今日の減額ありやなしやとか今日の紙とか
水曜の超長期輪番は同額でしたが、今日は中長期輪番の予定になっていて、短国がそうですし昨日の2年もそうですけれども、短い所って玉無し芳一モードで、それも国債というモノが足りん的な感じでの強さになっているので中短期の輪番も減らせやと思いますし、長期輪番はもとより10年新発の毎月の発行額よりも多い買入している上に先月末から今月頭に掛けて指値と臨時輪番で2兆円吸い上げているので、いい加減減らしてくれませんかねえというのはあるのですが、水曜の超長期で地蔵だったのに今日やるというのはあんまり期待しちゃいけないんでしょうなあ、とは思いますけどよーわからん。
あと今日は相変わらずの月末17時というプレミアムフライデー(死語)という経産省様御推進の国策に反するタイミングでの9月のオペ予定公表がございますが、とりあえずあと100億円しか減額予知がない超長期後半のレンジを拡大して減額示唆してくるのですかねえ位は注目されるんでしょうかよくわかりません。
・・・・・・と申しますか、そもそも従来のQQE+YCCでは(YCCになった時に勢いが落ちましたとはいえ)一応は「できるだけ早期に達成するから頑張るでー」だったのに対して、柔軟化措置自体が「政策が長期化しそうなので柔軟化措置」ということですので、そういう文脈で言えばオペ運営手法(誘導水準がどうのこうのみたいな話ではなくて実務的な面、という意味です)に関しては従来の方式をそのまま踏襲していくってのはちと違うんじゃネーノという理屈(屁理屈と言われそうですが)も成立するような気がする訳で(個人の感想です)、そうなると紙の方に関しても少しやり方をいじっても罰は当たらないんじゃネーノという気はだいぶするわけでして、細分化しているのをもう少しざっくりさせるとか、事前公表の日程を出すの止めるとか(その代わり回数はいじらん)、予見可能な範囲でのボラみたいなのが出るような方法ってないもんかね、とは思います。
とは言いましても、だいたい債券市場の中の人たちが考える時間感覚やオペの出し入れ感覚と、実際にオペの出し入れを見てて想定される日銀の中の人たちが考えているであろう感覚ってそこそこずれていると思われますので、その結果として大体今までも「やると思ったらやらないし、やらないと思ったらやるし」みたいな毎回吉本新喜劇のお約束のズッコケみたいな感じになっているのは否めないので、そういう意味では今のガチガチも仕方ない面はあるんですけど。
でまあ昨日も申し上げましたが、直近では柔軟化という話が出たし、オペの持続性強化というのが出た訳で、今の買入を長期化させたかったらどこからどう考えても日銀の買入シェアを落としていく必要があるのは自明オブ自明なのだから、そうなるとロジカルに考えれば輪番減額(だから本当は長期輪番を減額しないといけないのだが政策目標に入っているところなのが微妙というのもある)が出てくるだろうと待っていたら、結局1か月地蔵かよしかもちょっと金利上がっただけで臨時輪番打ちやがって、ということで、昨日も書いていた「ベンダー等に出てくる市場の方々のコメントの温度」が日ごとに目に見えて辛辣悪態モードになってきておりまして、まあ日銀からしたら1か月くらい様子見たって良いじゃんという所だと思うのですけれども、円債市場の方々そこまで気が長くないのですよね・・・・・・・・・・
つーことで結局結論は無いし予想不能の世界ではあるのですが、まあいずれかの時点でもっと買入は減るものだとは思うのですが、いつどう出てくるかはさっぱりワカランチ会長(なので市場の方も地蔵化する、という弊害も発生していると思う)ではあります。
・ところでちょっと前の記事ネタなんですが(輪番応札に関して)
しばらく前に記事になっていたのをスルーしていました(汗)が、
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34447600S8A820C1EE8000/
オペ「ただし書き」ににじむ日銀の苦悩
経済
2018/8/23 5:30日本経済新聞 電子版
『「日銀を当てにしたオペ(公開市場操作)への応札は禁止」 長期国債の買い入れオペの対象者に対して日銀の金融市場局は8月、通知にこんな内容の「ただし書き」を付け加えた。「金利を低位に抑えつつも変動幅を拡大する」という難題を課された市場局の苦悩がにじむ。ただし書きは以下の2点だ。ひとつは国債補完供給を前提とした国債買い入れオペの応札はしないこと、そしてもうひとつは補完供給を前提にした国債応札があった(以下有料会員向け記事になります)』(上記URL先より)
ということで、要するに輪番オペに玉の手当ての当ても無いのに空でぶっこむなというお話で、そらまあSLFにバンバン行かれたというのがこの前あったので言いたくなるのは分かるがちょっと待って欲しい。
・・・・・・たぶんこういうのって指値オペとかが特にそうなると思うのですが、入るのが確実なのにレポの手当てしないで端からSLFで行くから知らんがなとか言いながら入れる、という話が該当すると思うのですが、特に指値オペの場合、金利上昇を止めるという明確な意思があって行うわけですから、その場合ってSLF上等でぶっこんで来るような特攻ショートをバンバン作らせることがまさに金利上昇を抑制する効果がある訳で、MPMの結果出て踏み上げになったのってどう見てもノアの箱舟第2便(なお結果的にノアの箱舟だったかはアレですが)の1.6兆円応札のせいでしょ(そもそもアレが効いて今も金利上がらんのだし)と思うわけでして、んなもんSLF使わせたっていいんだし、フェイルチャージだってバンバン取ってしまえば潜在的な踏み要因が出来るのだからエエジャン、とは思うのですがどうなんですかね。
まあそれ以前の問題として、元SC々レポしていて保有残あるので輪番に入れたらレポのロールが切られたとか、買った玉入れたらフェイル食らったとか、最初その気があった訳でもないのに結果的に輪番入れた銘柄SLFで行かざるを得なくなるというような事案もあると思うので、これって言いたいことはわかるのだが実際にはどうやってそれを判別するんじゃろ、というのも正直よくわからんですな。
まーこの辺は伝統的な金融政策、つまりインターバンク市場の資金需給調節によってインターバンク市場の金利を制御していた時と、債券市場の制御というのが技術的に違う部分がある中で、元々のインターバンクの調節(もとはといえば輪番も「成長通貨の供給」だった訳ですし)でのしきたりとの整合性という技術的な話と言ってしまえばそれまでの話なのでしょうが、中々難しい問題もあるなあとかこのネタで思ったのを今更ですがオペ雑感の1つとして。
2018/08/30
お題「鈴木審議委員沖縄金懇挨拶/超長期輪番減額なしと」
8月も終わりが近いですなあ。今年も3分の2が終了か(大汗)。
〇鈴木審議委員沖縄金懇は派手なヘッドラインになるのを避けている風情が
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko180829a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko180829a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
沖縄県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 鈴木 人司
2018年8月29日
・経済見通しについては展望レポート通りという感じですが・・・・・・・・・
『国内経済の現状と先行き』のところですが、そんなに変わった話はしていませんの現状認識部分は全部すっ飛ばして結論だけ鑑賞。
『先行きのわが国経済については、緩やかな拡大を続けるとみられます。2018年度は、海外経済が着実な成長を続けるもとで、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられます。企業の成長期待の高まりやオリンピック関連投資の本格化、人手不足に対応した省力化投資の増加など、設備投資は増加を続けると予想されます。また、個人消費も、雇用・所得環境の改善が続くもとで、緩やかな増加基調をたどるとみられるほか、海外経済の成長を背景に、輸出も基調として緩やかな増加を続けると考えられます。』
『2019年度から2020年度については、資本ストックの蓄積やオリンピック関連需要の一巡による設備投資の減速が見込まれるほか、2019年度下期には消費税率引き上げによる一時的な個人消費の落ち込みも予想されますが、輸出の増加にも支えられ、景気の拡大基調は続くことが見込まれます。』
どう見ても展望レポート通りです本当にありがとうございました。
『具体的に、日本銀行が7月に発表した展望レポートにおける政策委員の成長率見通しの中央値では、2018年度はプラス1.5%、2019年度、2020年度はプラス0.8%となっています(図表6)。なお、2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響については、駆け込み需要とその反動、および実質所得の減少効果という2つの経路による経済への影響が考えられますが、足もと政府による各種の負担軽減策等も進められており、2014年度の前回増税時と比べて小幅な影響に止まる可能性も相応にあるとみています。』
結論の所では微妙なものを打ち込んでいまして、「消費増税の影響が前回よりも小幅に留まる可能性が相応にある」となりますと、先般のフォワードガイダンスで出ていた「消費増税の影響が不透明だから今の金利を」という部分との整合性についてどのように理解すれば良いのでしょうか、というのがだいぶ気になるところではありますな。
・物価目標の考え方のお話でも静かに埋設地雷を入れておりまして・・・・・・・・・
『物価の現状と「物価安定の目標」の考え方』というのが次の小見出し。
『こうしたもとで、物価情勢についてみますと、生鮮食品を除く消費者物価(コアCPI)の前年比は、本年2月にプラス1%まで上昇した後、一旦は鈍化したものの、エネルギー価格の上昇もあって、足もとでは幾分持ち直しています(図表7)。』
はい。
『物価は、「経済の体温」とも呼ばれます。物価上昇率が、高過ぎず、低過ぎず、一定の水準で安定することは、日本経済全体を動かす原動力となると考えられます。例えば、人々が生み出す製品やサービスの付加価値が高まり価格が上昇する、すなわち物価が緩やかに上昇する環境においては、企業収益についても潤っていくことが考えられ、その場合には企業で働く労働者の賃金も増え、家計所得もまた潤うこととなります。』
名目増えても実質で増えないと潤わないんですけどね。
『家計が潤えば、人々がさらに企業の製品やサービスへの支出を増やすと考えられますので、企業収益が一層潤う――こうした好循環の流れをつくっていくことが重要ではないかと考えています。』
リフレ日銀の中の人となって説明するから仕方ないのはあると思うのですが、別に物価が上がるからと言って実質ベースではアカンがねというケースだってある訳でして、名目が適度のプラスという状態は、世の中の経済活動において名目ゼロ制約があるので、名目が適度にプラスで推移しておかないと色々な調整が難しくなって経済が停滞し易くなるから、という所にあって、好循環の流れ自体は実質の所がちゃんとワークしないとアカンのとちゃいますか、とは思います。
とは言いましても鈴木さん最初に「物価は経済の体温」と言っているのがお洒落な訳でして、つまり置物リフレ理論に見られます「インフレ2%達成で世の中が良くなる」というインフレ至上主義に対して「いやお前体温だけ無理矢理上げたって意味ねえだろ」というのを「経済の体温」という言葉でしらっとdisっていますが、さてこの言葉どこかで聞いたことあるなあと思えば、あの人もこのような説明をしていました。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/ko111222a.htm/
【講演】グローバリゼーションと人口高齢化:日本の課題
日本経済団体連合会評議員会における講演
日本銀行総裁 白川 方明
2011年12月22日
その中の『緩和的な金融環境を成長につなげる必要性』という部分の頭から3つの段落が実に心に響くわけでして、以下上記URL先の当該部分のうち、中心になります最初から2番目の段落をちょろっと引用してみましょう。
『しかし、実質成長率は上がらず単に物価だけが上がっても生活水準は上がりませんし、財政バランスも改善しません。問題はどのようにして実質成長率を上げるかということです。過去の経験をみても、実質成長率が上がる中で、物価は遅れて上昇しています。たとえて言えば、物価は経済の体温であり、成長力は経済の基礎体力に当たります。基礎体力を改善せずに、体温だけを単独に引き上げることは無理ですし、仮に一時的に成功したとしても副作用が発生します。実際、日本のデータをみると、潜在成長率と予想物価上昇率の間には高い相関関係が観察されます(図表14)。』(直上のURL先、2011年12月22日白川日銀総裁(当時)講演より)
・・・・・・・・・この「経済の体温」フレーズは麿の説明をおもいださせようという鈴木さんの高度な埋設地雷設置技術と見ました。やはり大手銀行でトップマネジメントまでいかれる方は技術が卓越してるわ。
埋設地雷の次は穏当な話でして、
『では、その「経済の体温」はどの位がちょうど良いのか、ということですが、日本銀行では、これを「2%」とし、「物価安定の目標」と位置付けています。理由としては、第1に、消費者物価の統計上、数字が実勢よりも高めに出やすいという上方バイアス、すなわち「くせ」が指摘されていることがあります。また、第2に、中央銀行はインフレやデフレに対し、政策金利の上げ下げで対応していますが、金利を上げていく場合には、かなり高い金利まで引き上げが可能な一方、金利を下げていく場合には、大幅なマイナス金利は困難であるという政策対応の非対称性があります。このため、中央銀行としてはデフレ方向に向かった場合に金融緩和で適切に対応できるよう「のりしろ」を確保しておく方が望ましいと考えられます。さらに、主要な先進国では、物価安定の定義として「2%」が用いられており、これがグローバル・スタンダードとなっています。色々と申し上げましたが、人間の体温と同様、物価上昇率についても一定の基礎体温を維持しておくことが重要であり、それが「2%」というのが主要中央銀行のコンセンサスでもある、と考えられます。』
まあ穏当なのですが、経済の体温というのを強調して、ただ体温上げれば良いって話じゃねえよというのを言外に打ち込んでいるのがチャーミングです。
・物価が上昇するメカニズムの話は基本的に展望レポート通り
次が『物価・賃金に対する考え方』という小見出しになりますが、そもそも展望レポートちゃんの方が物価がとにかく上がるんですという大本営モードからしょんぼりモードに変わってしまいましたので、無理のある説明をあまりしなくて良くなった、というのもあるのか鈴木さんの説明も穏当に展望レポート通りの風情。一応引用します。
『続いて、物価や賃金の情勢について、マクロ的な需給ギャップや予想物価上昇率の動向を切り口に、ご説明したいと思います。』
『まず、マクロ的な需給ギャップの動向についてですが、労働需給の着実な引き締まりや資本稼働率の上昇を背景に、プラス幅が拡大しています。この点、本来であれば、需給ギャップの拡大は物価上昇圧力をもたらし、タイムラグを伴いつつもコアCPIが上昇していくことが想定されますが、現状では物価はなかなか思うようには上昇していません。』
『その背景には、後述するように、本格的な賃金上昇の実現に時間がかかっていることに加え、少子高齢化の中での家計の将来不安が依然根強く、有体に申し上げれば「財布の紐が固い」、値上げに対する許容度が高まらない、ということが挙げられます。』
『実際、原材料費や人件費の上昇を受けて、昨秋以降、外食や運輸等のサービス業を中心に値上げに踏み切る企業もみられ、本年入り後も業務用ビールや一部食品等をはじめとした値上げが行われていますが、それらの取組みが企業業績の改善に結び付くケースはまだそう多くはなく、消費者心理を計りかねている企業が少なくないように見受けられます。こうしたことが、企業の慎重な価格設定スタンスにつながっていると考えられます。家計の不安を解消するためには、賃上げによる所得面の改善が直接的な方法ですが、間接的には、年金制度や他の社会保険制度といった枠組みを通じて、国民にとって安心感の持てる制度設計を図っていくことも重要と考えられます。』
将来問題はまあ物凄く困難だと思いますよ。大体からしてねんきん定期便見るたびにいや何でもないです。
『賃金面についてみますと、人手不足が深刻さの度合いを高めている割には名目賃金が伸び悩んでいます。こうした背景には、正規雇用者の側で賃上げよりも雇用の安定を優先する傾向がみられることや、企業側でも中長期的なリスクを踏まえ慎重な賃金設定スタンスを維持していることが考えられます。また、人手不足感が強まる中、労働供給の賃金弾力性が高い女性や高齢者の労働参加が増えていることも挙げられます。このような状況のもとで、物価の影響を除いた実質ベースの賃金も伸び悩んでいます。』
『今後、物価が上昇していったとしても、賃金が上昇しなければ、国民経済に負担がかかることも考えられますので、「物価安定の目標」を達成し、国民経済の健全な発展に資するためには、ただ「物価だけが上がれば良い」というものではなく、賃金の動向についても注視し続けていかなければなりません。』
でもって次がインフレ予想。
『次に、中長期的な予想物価上昇率をみますと、足もとは横ばい圏内で推移しています(図表8)。予想物価上昇率は、理論的には、過去(現実)の物価上昇率に基づく「適合的な期待形成」と、日本銀行が「物価安定の目標」の実現に強くコミットし金融緩和を推進していくことに伴う「フォワードルッキングな期待形成」に影響されることとなります。わが国では、予想物価上昇率が現実の物価上昇率に引きずられる傾向が強いとみられることを踏まえると、現実の物価を上昇させていくこととともに、日本銀行が引き続き「物価安定の目標」の達成に向けて強力なコミットメントを維持し続けることが重要です。』
これは執行部説明通りですなあ。
『これらによって、少しずつでも企業や家計の予想物価上昇率が押し上げられていけば、それが現実の物価上昇率へもフィードバックされ、物価上昇率が徐々に高まっていくと考えられます。』
この説明きくたびに毎度ホンマカイナと思ってしまいますけどね。
『このように、様々な要因が複合的に作用していることで、物価は、堅調な経済・雇用情勢に比べると、弱めの動きが続いています。もっとも、コアCPIは本年2月までの間に19か月連続で横ばいないし改善を続けてきたことも事実です。決して楽観視はできませんが、先行きについても、景気の拡大基調が続く中で、物価の上昇を遅らせてきた要因の多くは次第に解消していくとみています。』
執行部の願望を代読中。
『すなわち、本年の春闘の結果からも、企業における賃上げの動きが徐々に裾野を拡げつつあることが窺われますので、技術進歩の影響等は先行き強まる可能性もありますが、労働需給が引き締まった状態が続くもとで賃金上昇率の高まりはより明確化していくとみられます。』
おう俺様の賃金いやなんでもないです。
『こうしたもとで、外食等のサービス業でみられ始めているように、販売価格の上昇圧力も強まっていくとみられるほか、人手不足を背景とした物流コストの増加は、インターネット通販企業と小売業との競争環境を緩和させる方向に作用すると考えられます。また、労働生産性の上昇や非正規雇用者の賃金水準の高まりが正規雇用者の賃金にも波及していけば、家計としても値上げを許容し易くなると考えられます。』
結局賃金なんですよね。
『先程、中長期の予想物価上昇率は横ばい圏内にあると申し上げましたが、日本銀行による「生活意識に関するアンケート調査」の結果では、「1年後」の物価が現在と比べて「上がる」と回答した人の割合は上昇傾向にあり、人々の物価の見方に変化の兆しもみられ始めています(図表9)。』
それはたぶん家計を防衛的にする効果の方が大きいとおもいます。
『これらを踏まえますと、現時点ではなお力強さに欠けてはいますが、「物価安定の目標」に向けたモメンタム自体は維持されており、コアCPIの前年比については、これまでの想定よりは時間がかかるものの、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられます。具体的な数値で申し上げると、7月の展望レポートにおける政策委員見通しの中央値は、2018年度にプラス1.1%、2019年度には消費税率引き上げによる直接的な影響を除いたベースでプラス1.5%、2020年度には1.6%となっています(図表6)。』
はいはい大本営大本営。
・金融政策運営における留意点という話
ということでメインイベントの『3.金融政策運営』ですけど、最初の『「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」について』はどうでもいいので次の『金融緩和の継続にあたっての視点』を拝読。
『このように強力な金融緩和を息長く継続していくにあたっては、重要となる視点が2つあります。まず第1に、日本銀行の先行きの「物価安定の目標」の実現に向けた政策運営スタンスをより明確にし、金融緩和が長期化する中にあっても、政策に対する信認の確保を図るということです。こうした観点から、先日の金融政策決定会合において、政策金利の「フォワードガイダンス」を導入しました。「日本銀行は、2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。」ということを明確に約束することで、「物価安定の目標」の実現に対するコミットメントの強化につながると考えています。』
さっき消費増税の影響が少ない可能性も相応にあるって説明がありましたが・・・・・・・・・
『第2に、物価上昇に時間を要し、金融緩和の継続が先行きも見込まれる中にあっては、金融政策が国債市場や金融機関へ与える影響について、一層目を凝らしていく必要があります。どんな良薬にも副作用があるように、金融政策がどこでどのようなかたちで影響を及ぼしているかを、虚心坦懐に見極めていくことは、政策を継続していくうえで重要な観点です。』
キターーーーーー(゚∀゚)ーーーーーーー!!
と言っても元々これが当たり前で、副作用はない(キリッ)とか言い切るどこぞのお方の方がトンチキなんですけどね。
『(1)金融政策の国債市場等への影響』
『そこで、まずわが国の国債市場をみますと、足もとこそ7月31日の日本銀行の政策決定を受けて多少の動きを取り戻してきていますが、市場機能という観点では、その低下が懸念される事象も見受けられます。具体的には、国債取引量の低下に伴い、新発10年債の業者間取引が不成立となる日が、本年に入ってから過去にないペースで発生しています。』
昨日モナー。
『また、長期金利には、様々な経済的要素を反映するバロメーターとしての側面もあるわけですが、米国等の海外長期金利が上昇する局面においても、わが国の長期金利が殆ど反応しない、といったことが見受けられるようになりました。市場関係者からは、売り手と買い手による「公正な価格形成機能」や経済のバロメーターとしての「シグナリング機能」といった本来の市場機能が低下しているのではないか、と危惧する声も聞かれています。長く市場実務に携わってきた私の経験から申し上げますと、金利は市場で決まるものであり、イールドカーブ・コントロールのもとにあっても、日本銀行はその金利操作目標に向けて市場を通じて誘導を図っていくという点は変わりません。ただ、一定の狭い価格レンジの中で取引が長期間続いてきたことにより、様々な投資家やアービトラージャー、スペキュレーター等で構成される市場参加者の数や、取引のインセンティブが限定的となってきたことが、足もとの国債市場で起きていることの背景の一つとして考えられます。』
円債村離村者相次ぎ廃村の危機ですし、村民は出稼ぎすれば飯は食えますけど肝心の村が完全になくなったら戻るも蜂の頭も無いのですよ。
『こうしたことを踏まえ、先日の政策決定では、10年物国債金利の操作目標を従来の「ゼロ%程度」としつつ、そのもとで「金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」ということをお示ししました。この場合の変動幅としては、「イールドカーブ・コントロール」導入後の金利変動幅である、概ね±0.1%の幅から、上下その倍程度に変動しうることを念頭に置くことになるかと考えられます。こうした変動幅は、足もとの主要国の10年物国債金利の動向からみても、許容範囲であるとみています(図表10)。』
ところが輪番減らさないし2日動いただけでビビって臨時輪番入れるもんだから元に戻ってしまったんですが。
『この点、これまでよりも金利水準が少しでも上昇することがあれば、金融緩和の効果が減殺されるのではないか、との議論もあるかと思います。もっとも、現状では、大手金融機関の新規貸出は、個人向け、法人向けともに短期金利ないしは短期金利連動型の貸出が多く、中長期の資金調達手段である社債についても、銀行・保険会社の発行分も含めた国内普通社債の発行残高は60兆円前後の規模で推移しています。今回の措置に伴い金利変動幅が拡大し、10年物国債金利が多少上昇しても、金融機関の貸出や社債市場へ与える影響は限定的と考えられます。』
総括的検証でやったはずなんですよねこのネタは。
『むしろ、金融緩和政策の持続性の強化という効果が期待されます(図表11)。なお、今回の措置は金利水準の引き上げを意図しているわけではありませんので、金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施していく方針であることについても、付言させて頂きます。』
ここの鈴木さんの説明にもありますが、「海外金利が上がってそれにつられて金利が上がってくれると助かる」というお話になっております次第で、まあ世の中そう日銀の思惑通りに動かんわ、というのもありますが、YCCぶっこんだ頃には「海外金利が上がる中で日本の金利が上がらないので金利差で緩和効果が拡大」という説明をしていた筈で、そことの整合性is何処?という気はしますが、もう最近の金融政策運営に過去との整合性を詰めても暖簾に腕押し糠に釘(だけど一々ツッコミは入れていくスタイル)なんですよね。
『また、現状、ETF(指数連動型上場投資信託)やJ-REIT(不動産投資法人投資口)については、保有残高がそれぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行っていますが、これらについても、資産価格のリスク・プレミアムへの働きかけを適切に行う観点から「市場の状況に応じ、買入れ額は上下に変動しうる」こととし、政策の柔軟性・持続性の向上を図っています(図表11)。』
刺激的な発言は避けて通っていますね。
『(2)金融政策の金融機関への影響』という小見出しですが、まあこれも全く仰る通りだわさ。
『国債市場等への影響に加え、低金利が続くことに伴う金融機関への影響についても、しっかりとモニタリングをしていくことが重要です。金融機関では、債券や株式投信等の益出し、与信費用の戻入によって最終利益を支えている先もみられますが、この間の決算動向をみますと、いずれの業態でも、国内貸出利鞘の縮小に伴い資金利益が減少しているほか、米国長期金利の上昇を受けて債券等の評価損益が悪化しています。』
まあファンディングコスト逆ザヤじゃなければいいんじゃないでしょうかねえとは思うけど。
『この点、金融機関では、大手行を皮切りに、AIの活用や様々な省力化技術の導入によって効率化の取組みが進められており、経費の削減による収益力向上の余地もまだ残されていると考えられますが、そうした効果が顕現化するには時間がかかる可能性もあります。』
そらかかるじゃろというか寧ろ初期投資で金掛かる。
『金融政策は、金融機関のために行うものではないことは言うまでもありません。もっとも、金融政策の効果を経済に波及させていく役割を担うのは金融機関となりますので、地域金融機関も含めた金融機関の経営状況がどう推移していくのか、また、そのことが金融システムや金融仲介機能へどう作用していくのかを、引き続き注視していくことが重要と考えています。』
全く持ってこれに尽きる話で、金融政策の波及メカニズムが金利を通じた実体経済への働きかけなのですから、この説明通り、という話にはなるのですが、何せQQEぶち込んだ当初の置物リフレメカニズムによりますとマネタリーベース直線一気理論でインフレ期待を上げると全てが好循環となっていて、そこに金融システムは介在はしているのですが主役にはなっていませんでしたからね。
・副作用は顕在化したら時すでにお寿司論
『今後の金融政策運営に向けて』ですけどね。
『ここまで申し上げてきた金融政策の目的とその効果、そして国債市場や金融機関への影響も踏まえた上で、今後の留意点について、お話ししたいと思います。まず、金融政策では、常に中長期の効果と副作用の比較衡量に基づいて慎重な判断を求められることとなるわけですが、累積していく政策の副作用については、将来どこかの時点で顕現化してしまいますと、その時点ではうまく対処することが難しくなることや、手遅れとなるリスクがあることに、十分注意を払う必要があります。』
全く仰せの通りです。
『金融政策による効果がもたらされる時間軸に加え、その副作用が累積していく時間軸についても複眼的な視点で捉えつつ、両者を比較衡量しながら政策運営を図っていくことが重要です。少なくとも現状においては、わが国の金融機関は全体として資本、流動性の両面で強いストレス耐性を備えており、金融システムの安定性も維持されているものと考えていますが、イールドカーブの適切な形成にあたっては、2016年9月の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入の際にも示されておりますとおり、経済・物価・金融情勢を踏まえて判断していくことが適切と考えております。』
金融情勢を踏まえた「イールドカーブの適切な形成」の判断というのがしらっと入っているものの、まあすぐにどうこうとは中々いかないと思いますけど、次のFSRの時期に向けてどういう判断(たぶんFSRで堂々と問題ありますやばいですとは出てこないと思うけどリサーチ結果のフィードバックが政策判断にどのような影響を与えていくか行かないかというような観点から)出るのかね、とかまあそんなことを思ったりします。
『今後も、現状の金融緩和政策を息長く続けていくもとで、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、「物価安定の目標」に向けたモメンタムをしっかりと維持すべく、適切な政策運営に努めて参りたいと考えています。』
あとは沖縄県経済の話になるのでパスします。
〇ところで超長期輪番減額しませんでしたなあ
昨日の輪番オファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180829.htm
国債買入(残存期間1年以下) 500 2018年8月30日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,800 2018年8月30日
国債買入(残存期間25年超) 600 2018年8月30日
・・・・・・ああはいはいそうですかそうですか。
つーことで超長期輪番減らすなら昨日じゃろとは思ったのですが、あんまり期待していなかったけどやっぱり同額でしたかそうですかという所で、昨日は超長期の輪番が何か知らんけど弱めだったのでそのあと超長期が甘くなったりはしていましたが、10年カレントは華麗にBBさん出合いなし(2年と5年もそうでしたっけ)という結果で、先物日中値幅は4銭で日中売買高は18128枚とかもうねという感じでして、何せ今週は債券先物大先生におかれましては日中値幅が月曜3銭火曜5銭水曜4銭という泣けてくる動きで、時事通信砲直前の週の相場を思い起こさせる動き(というか動かん)になっておりますな、ナムナムナム。
なんちゅうかですな、まあ上記の鈴木さんの金懇での説明からも垣間見れますけれども、たぶん日銀ちゃんとしては「海外金利が上がって円安株高になって国内金利上がる」とか「経済指標が良くて国内金利が上がる」みたいな姿で美しい金利上昇みたいな事案が起きて頂きたいと思いながらオペ地蔵モードになっているのでは無かろうか、という風情が漂ってくるわけですが、実際問題としてはガースー先生の携帯料金のアレとか、まーたCPIがアガランチ会長なネタがホイホイ打ち込まれる中でそう簡単に金利が「自然に」上がるかよと思いますし、だいたいからして自然に上がろうにも日銀買いすぎ(特に直近は指値と臨時輪番で長期を2兆円余計に買っている訳ですし・・・・・・・)ですからねえ、と思う次第な訳で、それがなくても大体からして買入が発行以上の年限とかある訳ですから、まあ相応の強いネタが無いとねえ・・・・・とか思いますがどうでしょうかね。
でもってですな、まあたぶん日銀的には「自然に金利が上がるのはある程度容認する」という意味で柔軟化と言っているんでしょうが、アタクシ思いまするに「それ以前の問題でおめーらが不自然な勢いで買入をしているのに自然な金利上昇も蜂の頭も無いんだから買入の勢いを下げろやゴルァ」と存じますのですけど、その辺がたぶん市場現場職人(というほど職能があるかどうかは聞かないでください)と日銀様との間の温度差って奴でして、「自然な金利上昇を容認」「レンジを多少柔軟化」と来たらそら当然減額じゃろと思う市場ちゃんは既に輪番の度に減額マダーとなっていますし、まあ8月頭の当初だとアレでしたけれども、その後海外金利も落ち着いて国内金利も落ち着いているとなればだんだん減額マダーが増えてくるので、ベンダーでの何とかストな方々のコメントが段々とげとげしくなってきているのが実に味わいがあるという所です。
で「なんだよ絶好の減額タイミングなのに減額しないのかよ」と思っていると後の方で思い出したように減額が出てきたりする、という感じで市場と微妙なリズムのずれを毎度感じるところでして、何だよやらんのかよ、と思っていたらいきなりやる、みたいな(月末月初の指値もそうでしたけど)感じで一々市場がズッコケてしまうように見えるので「なんかさっぱりわからん」となってくるんですよねーとは思うのであります。異論はあると思うけどアタクシの雑感雑談としてはそんな感じかな〜。
2018/08/29
お題「ジャクソンホールパウエル講演の飛ばしたところを読み直します(すいません)」
いろいろとワヤ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34663670Y8A820C1MM0000/
障害者雇用水増し3460人 国の機関の8割、雇用率半減
経済 2018/8/28 10:04 (2018/8/28 11:48更新)
『加藤勝信厚生労働相は28日の閣議後の記者会見で、「障害者施策を推進する立場として深くおわびを申し上げる」と頭を下げ、「今年中に法定雇用率に満たない人数を雇用するよう努力してもらう」と述べた。』(上記URL先より)
取り締まる側の政府サイドがインチキとかどこの後進国だよというのもあるけど、更に「今年中に雇用するよう」とか物理的に見てどう考えても無茶なことをその場しのぎで言い出すスタンスに一段の絶望を感じざるを得ない。
〇毎度のように今日は輪番ですがメモ
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20180828.htm
流動性供給(第268回)入札結果
1. 発行日 平成30年8月29日
2. 応募額 額面金額で1兆1,298億円
3. 募入決定額 額面金額で4,997億円
4. 募入最大利回格差 +0.005%
5. 募入最大利回格差に係る案分比率 70.9090%
6. 募入平均利回格差 ▲0.001%
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20180828a.htm
流動性供給(第268回)入札において追加発行した国債の銘柄
ということで15.5年超の超長期対象でテールが6糸流れた〜ということで売買するネタにはなったようで、先物の日中値幅は5銭でしたが売買高は22375枚で月曜よりもだいぶマシではありました(まあ動かんのは動かんのだが)。銘柄構成云々は普段から詳しくチェックしていないので今回はパスする(そのうち時間を見て色々と研究してみるかもしれない(するとは言っていない)です)。
でもって今日は超長期輪番様があるのですが、減額するなら今日(月内最終なので)ではあるんですけどどうなるんでしょうかね。輪番に関しては「日銀の理屈」と「市場から見て順当と思われる動き」の間に齟齬があるなあとは先月の時事通信砲以降のプライスアクションと日銀オペの入れ方を改めて時系列で整理していくと思うわけでして、「何をどうしたいのか」というのが(日銀に言わせればディレクティブの10年0%程度を維持するため、なのですが)難解にもほどがある(午前に市場が0.105%なのに指値やらないで午後になって突如0.100%の指値を入れてくるとか)というのはあるんですよね。まあ文章にするとニュアンスが伝わりにくいと思うのですけれども「こういう時にはこうする」というロジックベースでやってくれれば別にオペの日程事前公表しなくたってそれだけで無駄なボラが出るみたいなことはないと思うのですが、「何でそうなるの」という部分が最終的なところのどこかで市場の中の現場職人が考えるリズムと合わない(物凄く感覚的な表現でお前は何を言いたいんだというツッコミを頂きそうですが、アタクシの表現力が足りなくて甚だ申し訳ありません)んですよ兎にも角にも。
つーことで、今週残り2回の輪番でどこかを減額(するならとりあえず超長期じゃネーノとは思うが、本来は10年も減額せんと先月から今月に余計に買い過ぎてしまっているから帳尻が)するのかどうかも壺振り並みに結果が読めないですけど、まーとりあえずあんまり期待せずに10時10分を待ちたいと思います。
〇再びジャクソンホールのパウエル議長講演は波風立たせないよう全方位に配慮した産物のように思えますが・・・・・・
月曜日にネタにしたジャクソンホールのパウエル講演ですけど、なんか人様のレポートとかみていると解釈が結構割れていますので、実はまあここそんなにシャカリキになってよまんでええじゃろとすっ飛ばした部分を改めて読むことにします。なにせ月曜日にネタにした際にはお題に「パウエル議長のジャクソンホール講演は特にビックリするようなものではないと思う」と堂々と申し上げたわけですし(超大汗)。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20180824a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/files/powell20180824a.pdf
August 24, 2018
Monetary Policy in a Changing Economy
Chairman Jerome H. Powell
At "Changing Market Structure and Implications for Monetary Policy,"
a symposium sponsored by the Federal Reserve Bank of Kansas City, Jackson
Hole, Wyoming
月曜は「今回の金融政策調整局面に至る間(つまりリーマンショック以降今まで)の中で、スターのシフト(=ここでいうスターはいわゆる長期的な均衡値の話で、均衡金利水準とか均衡成長率とか均衡失業率とかの話ですので、経済の構造変化に伴う長期均衡値の変化という話ですな)がどのように起きましたか」というお話で、その結論部分を再掲しますと、
(月曜の駄文より)
『These shifts in the stars generally reflect analysts' attempts to square
their estimates with arriving macroeconomic data. For example, as the unemployment
rate fell toward, and then below, estimates of its natural rate, many expected
inflation to move up. When inflation instead moved sideways, a reasonable
inference was that the natural rate was lower than previously thought.
Further, over this period, GDP growth was slower than one might have expected
based on the rapid decline in unemployment and the well-known relationship
between output and unemployment known as Okun's law. Put another way, labor
productivity growth consistently disappointed, which raised the question
of whether that shortfall was temporary--perhaps due to headwinds from
the crisis--or was part of a new normal.』
色々と例を出していますが、要するに従来の法則を当てはめて機械的に考えるのはイクナイという話ね。
『These assessments of the values of the stars are imprecise and subject
to further revision. To return to the nautical metaphor, the FOMC has been
navigating between the shoals of overheating and premature tightening with
only a hazy view of what seem to be shifting navigational guides. Our approach
to this challenge has been shaped by two much discussed historical episodes--the
Great Inflation of the 1960s and 1970s and the "new economy"
period of the late 1990s.』
つーことで、その構造変化に伴う中立水準の動きについて自分らはリアルタイムで分かる訳では無いの、政策とその反応を見ながら対応していくしかない、ということで、まあ慎重そうに話をしているって感じではあります。
(ここまで月曜の駄文再掲)
となっていまして、でもって話はその先に行くのですがそこをすっ飛ばしたので改めて鑑賞(すいません)。
・長期均衡水準の計測値に頼ることの弊害とインフレ期待のアンカーについて
『Shifting Stars and the Great Inflation』という小見出し。
『While the crisis and its aftermath have been extraordinary in many ways,
the shifting of the stars is not one of them. Figure 2 illustrates the
Congressional Budget Office's (CBO) current estimate of movements in the
natural rate of unemployment and potential GDP growth from 1960 to 2000.5
Viewed against the ups and downs observed over these four decades, the
recent shifts in longer-run values are not all that dramatic.』
図表2というのはPDFの方で見ていただければと思いますが、自然失業率と潜在成長率の推計値の推移を1960年以降の数字を出していて、確かに動いているわという図表です。
『Of course, these CBO estimates benefit from many years of hindsight,
whereas monetary policy must be based on assessments made in real time.
The Great Inflation period vividly illustrates the difficulties this difference
raises.』
当然ながらこの数字は後付けで出てくるものなので、実際にはこの数字が後付けで見てドカドカと動く時代というのは金融政策の運営って難しいよね、というお話ですから、まあ今の政策運営につなげた話ではあります。
『Around 1965, the United States entered a period of high and volatile
inflation that ended with inflation in double digits in the early 1980s.
Multiple factors, including monetary policy errors, contributed to the
Great Inflation.』
てな訳で1965頃〜1980頃の大インフレ時代のお話。
『Many researchers have concluded that a key mistake was that monetary
policymakers placed too much emphasis on imprecise--and, as it turns out,
overly optimistic--real-time estimates of the natural rate of unemployment.6』
『Figure 3 compares the CBO's current view of the natural rate of unemployment
in that era with an estimate by Athanasios Orphanides and John Williams
of the rate as policymakers perceived it in real time. From 1965 to the
early 1980s, this real-time estimate of u* was well below where hindsight
now places it. The unemployment rate over this period was generally well
above the real-time natural rate, and contemporary documents reveal that
policymakers were wary of pushing the unemployment rate even further above
u* (figure 4, top panel).7 With the benefit of hindsight, we now think
that, except for a few years in the mid-1970s, the labor market was tight
and contributing to inflation's rise (figure 4, lower panel).』
図表の4が一番わかりやすいのですが、当時考えていた自然失業率水準が、実は後になってみたらもっと高かったという状況になっていて、その結果金融緩和度合いが当時当局が金融政策を運営しているときに比べて緩和度合いが高すぎたために、インフレーションが高進したというお話でありますな。
『It is now clear that the FOMC had placed too much emphasis on its imprecise
estimates of u* and too little emphasis on evidence of rising inflation
expectations. The Great Inflation did, however, prompt an "expectations
revolution" in macroeconomic thinking, with one overwhelmingly important
lesson for monetary policymakers: Anchoring longer-term inflation expectations
is a vital precondition for reaching all other monetary policy goals.8』
当時は自然失業率(u*ね)との乖離という所に重点を置きすぎて、インフレ期待が上がっていったことに関しての配慮が足りなかったため、金融政策が過度に緩和的になってしまいましたという所見のようですな。
『When longer-term inflation expectations are anchored, unanticipated developments
may push inflation up or down, but people expect that inflation will return
fairly promptly to the desired value. This is the key insight at the heart
of the widespread adoption of inflation targeting by central banks in the
wake of the Great Inflation.』
そういうことを受けてインフレ期待のアンカーという面からのインフレーションターゲッティング政策が70年代の大インフレ時代の反省として導入されるようになりましたよと。
『Anchored expectations give a central bank greater flexibility to stabilize
both unemployment and inflation. When a central bank acts to stimulate
the economy to bring down unemployment, inflation might push above the
bank's inflation target. With expectations anchored, people expect the
central bank to pursue policies that bring inflation back down, and longer-term
inflation expectations do not rise. Thus, policy can be a bit more accommodative
than if policymakers had to offset a rise in longer-term expectations.』
まあここの読みようで物凄いハト派講演とかいう人が居そうな感じですが、インフレ期待がアンカーされていれば、失業率を下げようと思って多少物価の上振れを許しても、アンカーが外れなければインフレは高進しにくいので、インフレ爆発を気にせずに緩和的な政策運営をできる、とは言ってますが、それは今時点での話ではないと思うん
ですけどね。
・グリーンスパン時代
『Shifting Stars and the "New Economy" of the Late 1990s』
『The second half of the 1990s confronted policymakers with a situation
that was in some ways the flipside of that in the Great Inflation. In mid-1996,
the unemployment rate was below the natural rate as perceived in real time,
and many FOMC participants and others were forecasting growth above the
economy's potential.』
1990年代のニューエコノミー時代の話。
『Sentiment was building on the FOMC to raise the federal funds rate to
head off the risk of rising inflation.9 But Chairman Greenspan had a hunch
that the United States was experiencing the wonders of a "new economy"
in which improved productivity growth would allow faster output growth
and lower unemployment, without serious inflation risks. Greenspan argued
that the FOMC should hold off on rate increases.』
グリーンスパンが「米国はニューエコノミーになって自然失業率より低い失業や潜在成長よりも高い成長でもインフレ高進のリスクは低いから利上げしないよん」って言ってた時代。
『Over the next two years, thanks to his considerable fortitude, Greenspan
prevailed, and the FOMC raised the federal funds rate only once from mid-1996
through late 1998.10 Starting in 1996, the economy boomed and the unemployment
rate fell, but, contrary to conventional wisdom at the time, inflation
fell.11』
さいでしたな。
『Once again, shifting stars help explain the performance of inflation,
which many had seen as a puzzle. Whereas during the Great Inflation period
the real-time natural rate of unemployment had been well below our current-day
assessment, in the new-economy period, this relation was reversed (figure
3). The labor market looked to be tight and getting tighter in real time,
but in retrospect, we estimate that there was slack in the labor market
in 1996 and early 1997, and the labor market only tightened appreciably
through 1998 (figure 4).』
『 Greenspan was also right that the potential growth rate had shifted
up. With hindsight, we recognize today that higher potential growth could
accommodate the very strong growth that actually materialized, let alone
the moderate growth policymakers were forecasting.12』
図表2と3を見た方が早いのですが、要するにこの時期ってのは後付けで見ると、長期均衡失業率が当時の推測値よりも実際は高く(経済にスラックがあったので)、一方で長期均衡成長率も上がっていたので、ニューエコノミーで金融政策維持ってのが結果として正解だったというお話。
『The FOMC thus avoided the Great-Inflation-era mistake of overemphasizing
imprecise estimates of the stars. Under Chairman Greenspan's leadership,
the Committee converged on a risk-management strategy that can be distilled
into a simple request: Let's wait one more meeting; if there are clearer
signs of inflation, we will commence tightening.13』
ということでここでグリーンスパンを褒めている辺りもこれはハト派来たでという読み方はできると思うのですけど、でもこれって「今出ている長期均衡水準の推計を過度に信頼しないで、それよりも実際の経済動向を見ながら政策運営をするのが大勝利への道」というお話をしているんだと思う。
『Meeting after meeting, the Committee held off on rate increases while
believing that signs of rising inflation would soon appear. And meeting
after meeting, inflation gradually declined.』
『In retrospect, it may seem odd that it took great fortitude to defend
"let's wait one more meeting," given that inflation was low and
falling. Conventional wisdom at the time, however, still urged policymakers
to respond preemptively to inflation risk--even when that risk was gleaned
mainly from hazy, real-time assessments of the stars. With the experience
in the new-economy period, policymakers were beginning to appreciate that,
with inflation expectations much better anchored than before, there was
a smaller risk that an inflation uptick under Greenspan's "wait and
see" approach would become a significant problem.』
でまあここでもグリーンスパンの"let's wait one more meeting,"
が奇妙な不屈の精神に見えたでしょうが、結果的にはインフレ期待がアンカーされている中では良い手段でしたという話をしているので、まあここを読んで、かつ今のインフレ期待がアンカーという話を見るとキタコレとなるのですが・・・・・・・・
・ハト風味のドサクサに紛れて金融不均衡のネタが地雷のように埋設されている
次が『Risk Management in the Face of Shifting Stars』である。
『Given what the economy has shown us over the past 15 years, the need
for the sort of risk-management approach that originated in the new-economy
era is clearer than ever before. That approach continues to evolve based
on experience and the growing literature on monetary policy and structural
uncertainty.』
ほうほうそれでそれで?
『Experience has revealed two realities about the relation between inflation
and unemployment, and these bear directly on the two questions I started
with.』
『First, the stars are sometimes far from where we perceive them to be.
In particular, we now know that the level of the unemployment rate relative
to our real-time estimate of u* will sometimes be a misleading indicator
of the state of the economy or of future inflation.』
長期均衡水準の計算はリアルタイムでは非常に難しいので、それを前提にした(修正テイラールールみたいな)政策判断は如何なものかというのが第一なのですが・・・・・・・・・
『Second, the reverse also seems to be true: Inflation may no longer be
the first or best indicator of a tight labor market and rising pressures
on resource utilization. Part of the reason inflation sends a weaker signal
is undoubtedly the achievement of anchored inflation expectations and the
related flattening of the Phillips curve.14』
しらっと「Inflation may no longer be the first or best indicator of a tight
labor market and rising pressures on resource utilization.」とあるのがこれまたキタコレでして、
『Whatever the cause, in the run-up to the past two recessions, destabilizing
excesses appeared mainly in financial markets rather than in inflation.
Thus, risk management suggests looking beyond inflation for signs of excesses.』
つーことで、経済の過剰はインフレという形で問題が出るのではなく、金融市場に問題が出るのです、という話が思いっきりある訳でして、これはマクロプルーデンス攻撃キタコレなのですよね、と思うのですがどうでしょ。
『These two realities present challenges. The literature on uncertainty
reviewed at the 2003 symposium--and much refined since then--provides important
advice for how policy should respond, although not yet, in my view, an
explicit recipe or rule that a prudent central bank should follow.15 The
literature on robust rules, such as so-called difference rules, for example,
supports the idea of putting less emphasis on the level of unemployment
relative to u*.16 The FOMC's practice of looking at a broad range of indicators
when assessing the state of the labor market has explicitly been part of
the FOMC's Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy since
its inception in 2012.17 We have greatly expanded the scope of our surveillance
for signs of labor market tightness and of destabilizing excesses more
generally.』
要するに「多くのデータを見て総合的に判断するもので、単純な一部の経済指標でのルールベースのような金融政策をとるわけではない」という話をしていると理解しましたけどどうっすかね。
『The risks from misperceiving the stars also now play a prominent role
in the FOMC's deliberations. A paper by Federal Reserve Board staff is
a recent example of a range of research that helps FOMC participants visualize
and manage these risks.18』
ほうほう。
『The research reports simulations of the economic outcomes that might
result under various policy rules and policymaker misperceptions about
the economy. One general finding is that no single, simple approach to
monetary policy is likely to be appropriate across a broad range of plausible
scenarios.19』
『More concretely, simulations like these inform our risk management by
assessing the likelihood that misperception would lead to adverse outcomes,
such as inflation falling below zero or rising above 5 percent.』
ジョンテイラー涙目。
『Finally, the literature on structural uncertainty suggests some broader
insights. This literature started with the work of William Brainard and
the well-known Brainard principle, which recommends that when you are uncertain
about the effects of your actions, you should move conservatively.20』
『In other words, when unsure of the potency of a medicine, start with a somewhat smaller dose.』
黒田日銀涙目・・・・・と思ったのですが置物リフレ理論によれば絶対に効く世界標準の薬でしたね!!!!!
『As Brainard made clear, this is not a universal truth, and recent research
highlights two particularly important cases in which doing too little comes
with higher costs than doing too much.』
とは言っても「出し惜しみ」もよくないということで・・・・・・・
『The first case is when attempting to avoid severely adverse events such
as a financial crisis or an extended period with interest rates at the
effective lower bound.21 In such situations, the famous words "We
will do whatever it takes" will likely be more effective than "We
will take cautious steps toward doing whatever it takes." The second
case is when inflation expectations threaten to become unanchored. If expectations
were to begin to drift, the reality or expectation of a weak initial response
could exacerbate the problem.22 I am confident that the FOMC would resolutely
"do whatever it takes" should inflation expectations drift materially
up or down or should crisis again threaten.』
危機対応においてはやることは何でもやるというスタンスが重要と。
『In addition, a decade of regulatory reforms and private-sector advances
have greatly increased the strength and resilience of the financial system,
with the aim of reducing the likelihood that the inevitable financial shocks
will become crises.』
まあそれはそれとして金融危機のリスク自体は以前より減りましたね。
・・・・・・っつーので月曜に引用した『The Current Situation』に戻るのですが、ハトっぽい話をしつつ、しらっと金融不均衡の話をするとか、危機対応の話をするとか、どうもこう全方面に話をして無難にまとめようとしたら、あちこちでキャッチーなフレーズが入りまくって却って色々な解釈ができてしまうま、という感じのようにはアタクシは思いましたが、まあ読みようは色々とあると思います。
2018/08/28
お題「俺達の債券相場完全復帰ですなあ/アマゾン効果に関するジャクソンホール講演から少々(メモ程度ですけど)」
この方の言葉選びのセンスは何でそうアレなのかと。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018082600374&g=pol
「薩摩・長州で新時代」=安倍首相
(2018/08/26-19:20)
『出馬表明に先立つ26日午後、鹿児島県鹿屋市の会合で講演した首相は「しっかり薩摩藩、長州藩で力を合わせて新たな時代を切り開いていきたい」と力を込めた。』(上記URL先より)
・・・・・・それはつまり藩閥政府作って身内だけで回すんですか、ああそういえば官営事業を仲の宜しい政商さん向けに払い下げとかありましたなあ、などと突っ込まれるような例えをわざわざする辺りが(たぶん本人に自覚は全然なくて言ってると思うの)何ともまあ。
〇先物値幅3銭キタコレということで雑談雑メモ
うむ。
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_daytime
日中取引
18年9月限 08/27
始値:150.48 (08:45)
高値:150.49 (08:45)
安値:150.46 (08:54)
終値:150.49 (15:02)
前日比:+0.04
売買高:10,347
これだけ見ると高安9分でつけて終了みたいに見えますが、一応は日中高値も安値も何回かつけているのではありますが、それにしてもまーた値幅3銭とかやっておりまして、売買高も前場後場ともに5000枚カツカツという大変に素敵な相場になっておりまして、えーっとすいませんYCC政策の持続性強化を今回は施策の一つの柱(もう一つの柱はフォワードガイダンスの導入)として打ち込んだ筈なのに、これ7月の半ばに1週間の間先物がほとんど150円90銭台とかやっていた(金曜の引け近くにやっとブレイクした奴な)時を思い出す俺たちの債券市場が完全に帰って来ました状態になっているんですがもうねという所でして、盛大に結果論ですがやっぱ臨時輪番が完全に相場を止めやがったという風情になっておりまして、ちょっと動いたからと言ってすぐにビビってしまう(昨年2月の指値もそうですが)からこうなるんじゃとゆー所ですな、ナムナム。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1VI2IP
2018年8月27日 / 15:18
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が小反発で引け、長期金利は横ばいの0.095%
『 <15:08> 国債先物が小反発で引け、長期金利は横ばいの0.095%
国債先物中心限月9月限は前営業日比4銭高の150円49銭と小反発して引けた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のジャクソンホールでの講演の影響は限られた。好需給環境を支えに、朝方に強含んで取引が始まった後は、150円40銭台後半の狭いレンジでの値動き。手掛かり難のなか、日経平均株価が堅調に推移したことや9月にかけて日銀の買入減額リスクが意識されたことで、上値を買い進む動きは見られなかった。現物市場は閑散。10年最長期国債利回り(長期金利)は同横ばいの0.095%で推移。』(上記URL先より)
ということで相変わらず超長期ちゃんのお話がありませんが、何もネタが無くなると海外にしろ国内にしろ微妙にフラットニングしたがるようで、超長期ちゃんはウゴカンチ相場の中で微妙にフラットしていたと思いますが、まあ買い進むパワーもなく推移という感じですな。でもって個人の勝手な感想なのですが、どうせ輪番って減額しないとそもそも政策の持続性が確保しにくくなるから、債券市場の中の人って基本輪番はどこかで減らしてくるとは思っている訳でして、上記ロイター記事の中にもありましたけど、その輪番減額をとっととしないから市場が上値追えない部分というのもあるんじゃネーノと存じます(個人の感想です)次第。つまりなんだかんだいって一番のプレイヤーになっている日銀の動きがあると思われるのにいつやるか状態になっていたらそら他の人たち様子見になるわな、ということでありまして、本当に動かないんだったらそれは材料にならないから良いのですが、いつ動き出すか分からん大仏がいるという状態だと周囲が動きようがなくなるんですがそれはというお話だと思うのよねー、ということで今週の輪番はとっとと減額してくださいしないなら当分そのままです宣言でもしてくださいよろしくお願いしますと申し上げたくなりますな、うんうん。
〇ジャクソンホール周りから少々ネタでも
https://www.kansascityfed.org/publications/research/escp
Economic Policy Symposium Proceedings
The Federal Reserve Bank of Kansas City hosts dozens of central bankers,
policymakers, academics and economists from around the world at its annual
economic policy symposium in Jackson Hole, Wyo.
ということで右の方にある『2018: Changing Market Structure and Implications
for Monetary Policy』っつーのをポチっとなとしますとプログラムらしきものが出てくるわけですが。
https://www.kansascityfed.org/publications/research/escp/symposiums/escp-2018
Changing Market Structures and Implications for Monetary Policy
・アマゾン効果の講演とディスカッションとな
2日目の朝っぱらから『More Amazon Effects: Online Competition and Pricing
Behaviors』というお題の物件がありまして、
Author: Alberto F. Cavallo | Paper | Handout
Associate Professor Harvard University
Discussant: Yuriy Gorodnichenko| Remarks
Professor University of California-Berkeley
ってのがありまして、アマゾン効果で物価がどうのこうのというのがございまして、確か置物直線一派の皆さんにおかれましては一般物価と個別物価を混同するのは馬鹿位のお話をしていたと存じます(ソースにWikipedia使うのはさすがに恥ずかしいので使いませんが「デフレーション」でWikipedeiaを見ると大変に心温まる記述がございます)、ついに中央銀行のシンポジウムでこういう話が堂々とネタになるとは、という所ですが、まあこの手の「新しい経済の理論(というほどでもないが)」って米国が今までの説明に困った場合のみ新しい理論になって、それ以外の国が何か言っても「世界標準の経済学ではない異端あるいは馬鹿」という扱いになるのが非常に納得がいかないのですが、何故か経済学という学問はそのような仕様になっているようですなあ(偏見)。
という訳で上記のペーパーがこちら(少々重いのでご注意下さい)
https://www.kansascityfed.org/~/media/files/publicat/sympos/2018/papersandhandouts/825180810cavallopaper.pdf
More Amazon Effcts: Online Competition and Pricing Behaviors
Alberto Cavallo Harvard Business School & NBER
This version: August 10, 2018
拍子にある『Abstract』を拝読(ちなみにこのフォントですが、日本語環境のANSI(要するにMS標準装備のテキストファイル)にコピペすると「f」が文字化けする(しかも何故か一部のfだけ)という七面倒臭い仕様になっているので、引用しながら直していますが直し忘れた時に謎の?が出てくるのでfだと思ってください。
『I study how online competition, with its shrinking margins, algorithmic
pricing technologies, and the transparency of the web, can change the pricing
behavior of large retailers in the U.S. and affct aggregate infation dynamics.』
アマゾン効果と言われるものによってインフレの挙動に変化が生じているというお話だそうな。
『In particular, I show that in the past 10 years online competition has
raised both the frequency of price changes and the degree of uniform pricing
across locations. These changes make retail prices more sensitive to aggregate
“nationwide” shocks, increasing the pass-through of both gas prices and
nominal exchange rate fuctuations.』
オンライン販売によって価格の改定の度合いと改定の頻度が高まって、それによって小売業の価格形成に影響を与えるようになった、というのと、その価格改定の頻度によって、コストの転嫁速度が速くなっているというお話になっていまして、「エネルギーを除くコアインフレ」に対する疑問をぶつける結論にもなっているのがチャーミング。
なので『I Introduction』だけ読みますとですな(と言っても長い)、
『Online retailers such as Amazon are a growing force in consumer retail
markets. Their share of sales continues to grow, particularly in the US,
prompting economists to wonder about their impact on infation. Much of
the attention among central bankers and the press has been on whether the
competition between online and traditional retailers is reducing retail
markups and putting downward pressure on prices.1』
オンライン販売がリテール価格全般に与える影響は最近の注目ですよと。
『This “Amazon Effect” could help explain the relatively low levels of
infation experienced by the US in recent years, but the lack of firm-level
costs and price information makes it empirically hard to distinguish from
other forces. Furthermore, while potentially sizable, there is a limit
to how much markups can fall. Will the Amazon Effects disappear when that
limit is reached? Or are there longer-lasting effects of online competition
on infation dynamics?』
アマゾンエフェクトについてはその要因分解も難しいし、今後どうなっていくのかとかも考察するのは難しいですが、まあその辺の調査と考察というお話っすな。
『In this paper I focus instead on the way online competition is affcting
pricing behaviors, such as the frequency of price changes or the degree
of price dispersion across locations. Changes in the way these pricing
decisions are made can have a much more persistent effect on infation dynamics
than a one-time reduction in markups.』
オンライン販売の影響でリテイラーに対しても価格引き下げ高まる圧力が掛かる上に持続的な影響があるようで。
『In particular, I focus on two pricing behaviors that tend to characterize
online retailers such as Amazon: a high degree of price fexibility and
the prevalence of uniform pricing across locations. When combined, these
factors can increase the sensitivity of prices to “nationwide” aggregate
shocks, such as changes in average gas prices, the nominal exchange rate,
or import tarifs. 』
ガス価格と名目為替レートと輸入関税の変化が価格設定に影響を与えやすくなっているらしいっすな。
『To document these new trends in US retail pricing behaviors I use several
micro-price databases available at the Billion Prices Project (BPP) at
Harvard University and MIT.2 An advantage of these data is that they are
collected in large brick-and-mortar retailers that also sell online (“multi-channel
retailers”), at the intersection of both markets. These firms still concentrate
the majority of retail transactions and are sampled accordingly by the
Bureau of Labor Statistics (BLS) in the construction of the the Consumer
Price Index (CPI).3』
『For this paper, I enhanced the BPP data by scraping a random subset of
Walmart’s products, collecting their country of origin information to
run exchange-rate pass-through regressions, and automatically searching
product descriptions on the Amazon website to construct a proxy for online
competition at the level of the individual good. I also collect prices
simultaneously in more than one hundred zip-codes to compare the extent
of uniform pricing in Amazon and other large U.S. retailers. 』
この辺りは使ったデータの紹介。
『I first show that the aggregate frequency of price changes in multi-channel
retailers has been increasing for the last 10 years. The implied duration
for regular price changes, which exclude sales and temporary discounts,
has fallen from 6.7 months in 2008-2010 to approximately 3.65 in 2014-2017,
a level similar to what Gorodnichenko and Talavera (2017) found for online-only
retailers in the past. The reduction is particularly strong in sectors
where online retailers tend to have high market shares, such as electronics
and household goods.』
オンライン販売のシェアが高い商品(電化製品と日常家庭用品)の販売価格改定頻度が影響を受けやすいとな。
『To find more direct evidence of the link of these changes to online competition,
I use a regression of individual products sold on the Walmart website from
2016 to 2018 and show that those goods that can be easily found on Amazon
tend to have implied durations that are 20% shorter than the rest. These
results are consistent with intense online competition, characterized by
the use of algorithmic or “dynamic” pricing strategies and the constant
monitoring of competitor’s prices. 』
ウォルマートオンラインショップのデータを使ってみた場合も同じような結果が出たそうな。
『I then focus on the prices of identical goods across locations. Nearly
all retailers that sell online tend to have a single-price or “uniform
pricing” strategy regardless of the location of the buyer. Uniform pricing
has been documented before separately for online and offine retailers by
papers such as Cavallo et al. (2014) and DellaVigna and Gentzkow (2017).
I go a step further and make a direct comparison by collecting prices in
multiple zip codes for Amazon and three large traditional retailers in
the U.S.: Walmart, Safeway, and Best Buy. I show that the degree of uniform
prices in these firms is high and only slightly lower than in Amazon, and
nearly all of the geographical price dispersion is concentrated in the
Food and Beverages category. I then use Walmart’s grocery products to
show that those goods found on Amazon are more likely to have a higher
share of identical prices and lower average price difference across locations.』
地域差とかがあるかということで色々と調べている過程の説明が中々楽しい。
『These results are consistent with recent evidence by Ater and Rigbi (2018)
suggesting that the transparency of the web imposes a constraint on brick-and-mortar
retailers’ ability to price discriminate across locations.』
でまあ結果は案の定先行研究と同様に米国の幅広い地域に影響しているとな。
『Next, I discuss potential implications for pass-through and infation.』
ほうほう。
『Retailers that compete online and adjust their prices more frequently
and uniformly across locations can be expected to react faster to nationwide
shocks. Consistent with this hypothesis, I use Walmart microdata for 2016-2018
to find that online competition increases the short-run pass-through into
prices coming from gas prices and exchange rate fuctuations.』
ほうほう。
『Using a longer time series of sectoral price indices and a matched-product,
cross-country dataset, I further show that the degree of sensitivity of
prices to exchange rates has been increasing over time and is approaching
levels previously only seen for tradable imported goods “at-the-dock”.
Overall, these results suggest that retail prices are less insulated from
this type of aggregate shock than in the past.』
「国全体に掛かる価格ショック」としてのガス価格と為替レートが物価にパススルーされやすいんだそうです。
以下の部分は先行研究の紹介とペーパーの構成のご紹介になっていて、そのあとが本論ですがそこまで読むほどの知能は持ち合わせていませんので誰か読んだら教えてくださいよろしくお願いします(平伏)。
・この話について置物リフレ理論的にどうなのよという見解をお伺いしたい
今回はECBから偉い人(理事会メンバー)が誰も来ないというプレイが炸裂していまして、さっきのプログラムを見ますとBOEからはチーフエコノミストのハルデーン(ホールデンかな)さんが『Panel
on Changing Market Structure and Implications for Monetary Policy 』ってパネルに登場しているのと、ブンデスバンクの副総裁が『Competition,
Stability, and Efficiency in Financial Markets』ってパネルに登場しているのがあって、あとはカナダ中銀のポロス総裁がパネルに出ているようですが、我らが日本銀行からは確か置物2世大先生様がご出席されていたと思うのですが、何しに行かれたんでしょうかねえ・・・・・・・・・・
まあそれはそれとして、どうせそろそろ金懇もあるでしょうから誰かアマゾン効果について一般物価と個別物価は完全に別という置物理論からみたご意見について質問して頂きますと誠にありがたく存じます(^^)。
2018/08/27
お題「パウエル議長のジャクソンホール講演は特にビックリするようなものではないと思う」
なんじゃこりゃ
https://www.asahi.com/articles/ASL8T7G7XL8TUTFK00L.html
石破氏、キャッチフレーズ「正直、公正」を封印へ
岩尾真宏
2018年8月25日23時01分
『自民党総裁選(9月7日告示、20日投開票)に立候補する石破茂・元幹事長は25日、立候補表明時に掲げたキャッチフレーズ「正直、公正」を今後使わない考えを示した。「安倍晋三首相への個人攻撃」との反発が党内に根強いことから、支持拡大のため封印したとみられる。』(上記URL先より)
もしやこれはあの伝説のラジオ・エレバン(銃声)
〇パウエル議長のジャクソンホール講演
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20180824a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/files/powell20180824a.pdf
August 24, 2018
Monetary Policy in a Changing Economy
Chairman Jerome H. Powell
At "Changing Market Structure and Implications for Monetary Policy," a symposium sponsored
by the Federal Reserve Bank of Kansas City, Jackson Hole, Wyoming
・冒頭部分普通に景気の良い話
『Thank you for the opportunity to speak here today. Fifteen years ago,
during the period now referred to as the Great Moderation, the topic of
this symposium was "Adapting to a Changing Economy." In opening
the proceedings, then-Chairman Alan Greenspan famously declared that "uncertainty
is not just an important feature of the monetary policy landscape; it is
the defining characteristic of that landscape."1 On the doorstep of
the period now referred to as the Global Financial Crisis, surely few,
if any, at that symposium would have imagined how shockingly different
the next 15 years would be from the 15 years that preceded it.』
『Over the course of a long recovery, the U.S. economy has strengthened
substantially. The unemployment rate has declined steadily for almost nine
years and, at 3.9 percent, is now near a 20-year low. Most people who want
jobs can find them. Inflation has moved up and is now near the Federal
Open Market Committee's (FOMC) objective of 2 percent after running generally
below that level for six years. With solid household and business confidence,
healthy levels of job creation, rising incomes, and fiscal stimulus arriving,
there is good reason to expect that this strong performance will continue.』
経済の状況はご覧の通りよろしいです、というお話を最初にぶち込んでおりまして、
『As the economy has strengthened, the FOMC has gradually raised the federal
funds rate from its crisis-era low near zero toward more normal levels.
We are also allowing our securities holdings--assets acquired to support
the economy during the deep recession and the long recovery--to decline
gradually as these securities are paid off. I will explain today why the
Committee's consensus view is that this gradual process of normalization
remains appropriate.』
今回は何で今のような(出口)政策をゆるゆると行っているか説明しましょう、だそうな。
『As always, there are risk factors abroad and at home that, in time, could
demand a different policy response, but today I will step back from these.』
ということで・・・・・・・・・・・・
・金融政策で直接どうこうしにくい構造的要因問題キタコレ
『In keeping with the spirit of this year's symposium topic--the changing
structures of the economy--I would also note briefly that the U.S. economy
faces a number of longer-term structural challenges that are mostly beyond
the reach of monetary policy.』
キタコレ。
『For example, real wages, particularly for medium- and low-income workers,
have grown quite slowly in recent decades. Economic mobility in the United
States has declined and is now lower than in most other advanced economies.2
Addressing the federal budget deficit, which has long been on an unsustainable
path, becomes increasingly important as a larger share of the population
retires. Finally, it is difficult to say when or whether the economy will
break out of its low-productivity mode of the past decade or more, as it
must if incomes are to rise meaningfully over time.』
構造変化によって賃金んが上がらなくなってみたり生産性の伸びがよくなかったり、というような話から始まりまして、経済の「モビリティ」に変化が生じていてこれまた生産性の向上を抑制しますという点や、財政制約に関してが構造要因だそうな。
『My FOMC colleagues and I believe that we can best support progress on
these longer-term issues by pursuing the Federal Reserve's mandate and
supporting continued economic growth, a strong labor market, and inflation
near 2 percent. The topic of managing uncertainty in policymaking remains
particularly salient. I will focus today on one of the many facets of uncertainty
discussed at the 2003 symposium--uncertainty around the location of important
macroeconomic variables such as the natural rate of unemployment. A good
place to start is with two opposing questions that regularly arise in discussions
of monetary policy both inside and outside the Fed:』
『1. With the unemployment rate well below estimates of its longer-term
normal level, why isn't the FOMC tightening monetary policy more sharply
to head off overheating and inflation?』
『2. With no clear sign of an inflation problem, why is the FOMC tightening
policy at all, at the risk of choking off job growth and continued expansion?』
これらの構造要因に関しては金融政策をマンデート達成に向けて運営して言ってサポートしますが、それはそれとしまして今FEDには二つの相反する質問があると思いますのでそこにお答えすることから始めないとね。だそうで。質問が、
1.自然失業率を大幅に下回る失業率の中で引き締めしないと物価が上昇しすぎるのでは
2.インフレの明確な動きが見られない中でなぜオーバーキルの可能性がある引き締めをするのか
の二つと。
『These questions strike me as representing the two errors that the Committee
is always seeking to avoid as expansions continue--moving too fast and
needlessly shortening the expansion, versus moving too slowly and risking
a destabilizing overheating.』
これらの質問は政策対応が早すぎてもいけない遅すぎてもいけないに通じる話。
『As I will discuss, the job of avoiding these errors is made challenging
today because the economy has been changing in ways that are difficult
to detect and measure in real time. I will first lay out a standard view
of a handful of basic relationships that are thought to reflect key aspects
of the underlying structure of the economy. I will then use that framework
to explain the role that structural change plays in our current policy
deliberations, focusing on how that role has been shaped by two historical
episodes.』
で、この点どういう対応をしていくか、というお話をしますよと。
・スタンダードな分析
『Conventional Views of Macroeconomic Structure』って小見出しになる。
『In conventional models of the economy, major economic quantities such
as inflation, unemployment, and the growth rate of gross domestic product
(GDP) fluctuate around values that are considered "normal," or
"natural," or "desired." The FOMC has chosen a 2 percent
inflation objective as one of these desired values. The other values are
not directly observed, nor can they be chosen by anyone. Instead, these
values result from myriad interactions throughout the economy. In the FOMC's
quarterly Summary of Economic Projections (SEP), participants state their
individual views on the longer-run normal values for the growth rate of
GDP, the unemployment rate, and the federal funds rate.』
伝統的な政界のお話ですな。長期的な均衡水準に関してはSEPのようなもので出していく形で示しています(直接リアルタイムで計測できないから)。
『These fundamental structural features of the economy are also known by
more familiar names such as the "natural rate of unemployment"
and "potential output growth." The longer-run federal funds rate
minus long-run inflation is the "neutral real interest rate."
At the Fed and elsewhere, analysts talk about these values so often that
they have acquired shorthand names.』
これらの数値は一般的に自然失業率だの潜在産出成長率だの自然利子率だのというようなものですよね、と。
『 For example, u* (pronounced "u star") is the natural rate
of unemployment, r* ("r star") is the neutral real rate of interest,
and Π* ("pi star") is the inflation objective. According to
the conventional thinking, policymakers should navigate by these stars.3
In that sense, they are very much akin to celestial stars.』
これらをなんちゃらスターと表記してああでもないこうでもないと話をしますわな。
『For example, the famous Taylor rule calls for setting the federal funds
rate based on where inflation and unemployment stand in relation to the
stars.4 If inflation is higher than Π*, raise the real federal funds rate
relative to r*. The higher real interest rate will, through various channels,
tend to moderate spending by businesses and households, which will reduce
upward pressure on prices and wages as the economy cools off. In contrast,
if the unemployment rate is above u*, lower the real federal funds rate
relative to r*, which will stimulate spending and raise employment.』
そういうの使ったのがテイラールールだよと。
『Navigating by the stars can sound straightforward. Guiding policy by
the stars in practice, however, has been quite challenging of late because
our best assessments of the location of the stars have been changing significantly.』
ところが最近は環境の変化でこの均衡水準が変わっている、ということで次の小見出し。
・均衡水準の変化が起きているので政策対応の実務は・・・・・・・・・・・
次が『Shifting Stars during Normalization 』という小見出し。
『In December 2013, the FOMC began winding down the final crisis-era asset
purchase program. Asset purchases declined to zero over 2014, and in December
2015, the FOMC began the gradual normalization of interest rates that continues
to this day. As normalization has proceeded, FOMC participants and many
other private- and public-sector analysts regularly adjusted their assessments
of the stars (figure 1).』
金融ショックに対して資産買入などを行ったのですが、この間に均衡水準に変化が起きていますと。
『Many projections of the natural rate of unemployment fell roughly 1 full
percentage point, as did assessments of the neutral interest rate. Estimates
of the potential growth rate of GDP slipped about 1/2 percentage point.』
自然失業や自然利子率が1%、潜在成長は0.5%ほどFOMC参加者の間でさがっています。
『These changing assessments have big implications.』
ビックインプリケーション来ました。
『For example, the 1 percentage point fall in the neutral interest rate
implies that the federal funds rate was considerably closer to its longer-run
normal and, hence, that policy was less accommodative than thought at the
beginning of normalization. The 1 percentage point fall in the natural
rate of unemployment implies at present that about 1.6 million more people
would have jobs when unemployment is at its longer-run level.』
自然利子率が1%動いたとなると今の金利はより中立に近く(この辺がハトって評価になったのかな、と思う)、緩和政策の初期においては緩和度が少なめであったということを意味します、とかそういう話を雇用の方でもしています。
『These shifts in the stars generally reflect analysts' attempts to square
their estimates with arriving macroeconomic data. For example, as the unemployment
rate fell toward, and then below, estimates of its natural rate, many expected
inflation to move up. When inflation instead moved sideways, a reasonable
inference was that the natural rate was lower than previously thought.
Further, over this period, GDP growth was slower than one might have expected
based on the rapid decline in unemployment and the well-known relationship
between output and unemployment known as Okun's law. Put another way, labor
productivity growth consistently disappointed, which raised the question
of whether that shortfall was temporary--perhaps due to headwinds from
the crisis--or was part of a new normal.』
色々と例を出していますが、要するに従来の法則を当てはめて機械的に考えるのはイクナイという話ね。
『These assessments of the values of the stars are imprecise and subject
to further revision. To return to the nautical metaphor, the FOMC has been
navigating between the shoals of overheating and premature tightening with
only a hazy view of what seem to be shifting navigational guides. Our approach
to this challenge has been shaped by two much discussed historical episodes--the
Great Inflation of the 1960s and 1970s and the "new economy"
period of the late 1990s.』
つーことで、その構造変化に伴う中立水準の動きについて自分らはリアルタイムで分かる訳では無いの、政策とその反応を見ながら対応していくしかない、ということで、まあ慎重そうに話をしているって感じではあります。
・時間がないのでいきなりワープ
このあと、『Shifting Stars during Normalization 』、『Shifting Stars and
the "New Economy" of the Late 1990s』、、『Risk Management in
the Face of Shifting Stars』よいうのがあって、本当は読まないといけないのですが、時間の関係で手抜きしまして結論にワープ。
『The Current Situation』
『Let me conclude by returning to the matter of navigating between the
two risks I identified--moving too fast and needlessly shortening the expansion,
versus moving too slowly and risking a destabilizing overheating.』
ほいな。
『Readers of the minutes of FOMC meetings and other communications will
know that our discussions focus keenly on the relative salience of these
risks. The diversity of views on the FOMC is one of the great virtues of
our system. Despite differing views on these questions and others, we have
a long institutional tradition of finding common ground in coalescing around
a policy stance.』
合議が良いという話はわかったのでその次は?
『I see the current path of gradually raising interest rates as the FOMC's
approach to taking seriously both of these risks. While the unemployment
rate is below the Committee's estimate of the longer-run natural rate,
estimates of this rate are quite uncertain. The same is true of estimates
of the neutral interest rate. We therefore refer to many indicators when
judging the degree of slack in the economy or the degree of accommodation
in the current policy stance. We are also aware that, over time, inflation
has become much less responsive to changes in resource utilization.』
ふーん。
『While inflation has recently moved up near 2 percent, we have seen no
clear sign of an acceleration above 2 percent, and there does not seem
to be an elevated risk of overheating. This is good news, and we believe
that this good news results in part from the ongoing normalization process,
which has moved the stance of policy gradually closer to the FOMC's rough
assessment of neutral as the expansion has continued.』
2%超えても加速はしない、というのもハト扱いできるとは思いますが、寧ろ「利上げ速度を上げません」って話のような気がします。
『As the most recent FOMC statement indicates, if the strong growth in
income and jobs continues, further gradual increases in the target range
for the federal funds rate will likely be appropriate.』
『The economy is strong. Inflation is near our 2 percent objective, and
most people who want a job are finding one. My colleagues and I are carefully
monitoring incoming data, and we are setting policy to do what monetary
policy can do to support continued growth, a strong labor market, and inflation
near 2 percent.』
ということで(議事要旨でもそうでしたが)マンデートほぼほぼ達成という状態なので、中立水準への金利引き上げはホイホイとやっていく、あとは知らん。ということになっているんでしょうな。
2018/08/24
お題「FOMC議事要旨の続き/その他少々」
ひとさまのツイッターランドで話題になっていたのの受け売りで恐縮ですが。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/082000851/?P=2
消費者物価指数より「動学的価格指数」の導入を
バブル期の失敗を繰り返す日銀異次元緩和
澁谷 浩
2018年8月23日(木)
『筆者は、1990年以降のバブル崩壊時、資産価格を理論的に組み込んだ動学的価格指数を支出関数最小化問題の解として具体的な方程式の形で導出し、それを「動学的均衡価格指数(DEPI)」と名付けた(注1)。そして、DEPIによるインフレ率に基づいて、1990年のバブル発生前には過剰な金融緩和、そしてバブル崩壊後には過剰な金融引締めをすることによって、日銀は誤った金融政策を遂行していたことを示した。』(上記URL先より)
ということで資産価格を金融政策の判断の中に入れる、というのは金融不均衡の発生に関して注意するという今の金融政策運営の主流と同じ話で、その趣旨自体はわかるのですが、出てきている指数の推移をみてドン引きですよ。上記ページにもありますけれども、拡大すると下記のようになっていて・・・・・・・・
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/082000851/?SS=nboimgview&FD=-1041774028
こんなド派手に動く指標を使って効果にラグの発生する金融政策判断にどうやって使うのか実務的な事を少しは考えてからドヤ顔をして頂きたいと思うのですが、経歴の方を拝見するとこれでプリンストンのPh.Dだそうで、経済学者というのはアホウの見本市でもやっているのかと小一時間(単にメディアに嬉々として年中登場する「学者」がアレなだけでちゃんとしている人はちゃんとしていると信じたいのですが何せメディアに嬉々として出てくるのが目立ちますからねえ)。
ちなみに昨日は全部読めたのですが、今朝になったら2ページ目までしか読めないので、そのあとどういう話をしているかはパスですけど、どのように使っていくのかというお話はあまり具体的なものは無かったですな。
すいませんどうでもいいネタでしたが前置きが長くなりましたけど昨日の議事要旨ネタの続きから。
〇FOMC議事要旨昨日の続き(でもインスタント系の読み方で恐縮ですが)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20180801.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20180801.pdf
Minutes of the Federal Open Market Committee
July 31-August 1, 2018
『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』からですが、
引き続き逆順で読むという相変わらずなパターンで参ります。
『Participants discussed the economic forces and risks they saw as providing
the rationale for gradual increases in the federal funds rate as well as
scenarios that might cause them to depart from this expected path.』
リスク認識の話をしているようですが・・・・・・・・・・
『Among other factors, they pointed to uncertainty about the appropriate
level of the federal funds rate over the longer run and to constraints
on the provision of monetary accommodation during ELB episodes as reasons
for proceeding gradually in the removal of accommodation.』
ここに謎に入っているのが「中立金利が低下しているとみられる(ただし推計には不確実性がある)中でゼロ金利制約によって金融政策で打つ手が難しくなるという事を考えると、今後もゆっくり利上げするのがよろしい」みたいなのが入っていて何じゃらほい(逆順から読んでいるから前との整合性に後で気が付くという問題点がこの読み方にはあるのだがレッツ手抜き読み)ですけれども、昨日引用したように最初の所で「ゼロ金利制約化における非伝統的金融政策の作用と効果」みたいな話(だいぶフワッとした話ですけど)をしているのを踏まえると、将来中立まで金利持って行った後に何かの経済ショックで緩和しないといけなくなってまたゼロ金利制約になるのを相当意識しているようですな。
『Some participants noted that stronger underlying momentum in the economy
was an upside risk; most expressed the view that an escalation in international
trade disputes was a potentially consequential downside risk for real activity.』
数名(Some)の参加者が堂々アップサイドリスクを主張する中、ほとんど(most)の参加者は貿易戦争の与える影響をダウンサイドリスクとしてみている、というのはまあ妥当なのですが、何故かこの妥当な所を好感??したような後講釈が目立っていて、うーんどうなんでしょうとは思います。
『Some participants suggested that, in the event of a major escalation
in trade disputes, the complex nature of trade issues, including the entire
range of their effects on output and inflation, presented a challenge in
determining the appropriate monetary policy response.』
数名の指摘になっていまして、「the complex nature of trade issues, including
the entire range of their effects on output and inflation,」が適切な金融政策の判断に対して「a
challenge」と言っているのは、関税合戦とかで物価は上がる中で貿易戦争の影響で経済が弱まるという状況が発生した場合、金融政策判断としてどうするのかという話で、まー物価上昇がエスカレーションしていくとなりますと引き締めせざるを得なくなるようにも思えますが、物価上がってインフレ期待のアンカー外れるのかどうか次第かな。
その前のパラグラフに参ります。
『With regard to the medium term, various participants indicated that information
gathered since the Committee met in June had not significantly altered
their outlook for the U.S. economy.』
中期的な見通しに変化はないですよとな。
『Many participants suggested that if incoming data continued to support
their current economic outlook, it would likely soon be appropriate to
take another step in removing policy accommodation.』
9月利上げ予告ホームランですがまあこれは市場も織り込んでいるので無問題。
『Participants generally expected that further gradual increases in the
target range for the federal funds rate would be consistent with a sustained
expansion of economic activity, strong labor market conditions, and inflation
near the Committee's symmetric 2 percent objective over the medium term.
Many participants reiterated that the actual path for the federal funds
rate would ultimately depend on the incoming data and on how those data
affect the economic outlook.』
こちらのパラグラフは先々の政策金利がどうのこうのという話でしたが、結局のところ「中立金利まではあげまっせ」という話を強調しているようにしか読めないのであって、昨日も申し上げたのをしつこく繰り返しますと、9月で利上げ一旦打ち止めとか12月で利上げ一旦打ち止め、みたいな話で解釈するのはポジショントークにしても無理筋じゃねえのという気はするのですけどねえ。
でもってその前のパラグラフ。
『Participants generally judged that the current stance of monetary policy
remained accommodative, supporting strong labor market conditions and inflation
of around 2 percent. Participants agreed that it would be appropriate for
the Committee to leave the target range for the federal funds rate unchanged
at this meeting.』
これ逆順引用しているから変な感じになっていますが(すいません)今回は政策金利据え置き→ところで先行きの政策金利は、というような話で実際にはつながっているということですにゃ。
ではその前。
『Participants generally characterized inflation as running close to the
Committee's objective of 2 percent, and most of those who expressed a view
indicated that recent readings on inflation had come in close to their
expectations.』
どう見ても大勝利宣言間近です本当にありがとうございました。
『Consistent with their SEP submissions in June, several participants remarked
that inflation, measured on a 12-month basis, was likely to move modestly
above the Committee's objective for a time. Others pointed to some indicators
suggesting that long-term inflation expectations could be below levels
consistent with the Committee's 2 percent inflation objective.』
6月のSEPでの見通し(ファンチャートを見れば良いようですな)と同様に、数名(several)の参加者は今後2%を若干上回るインフレでの推移を想定している一方で、他の人たちは幾つかの指標をみると長期的なインフレ期待が2%を若干下回っている可能性があるのではと指摘している、とありますな。
ただ、その割にはさっき引用したそのあとのパラグラフにおいて、中立金利水準まで上げていくのにはあまり抵抗がなくて、ただそこに向けて緩やかに上げれば、みたいな話になっているので、だから利上げ打ち止めしろというような話でもなさそう。まあインフレ期待については細かい数字でどうのこうのという話じゃなくてもうちょっとふわっとした社会的ノルムみたいなものだと思うので、この辺はマンデート達成なのに何で緩和的な環境なのか、というツッコミに対する申し開きのようなもののような気もしますが気のせいかもしれ
ません。
でもって更にその前。
『In their consideration of monetary policy, participants discussed the
implications of recent economic and financial developments for the economic
outlook and the associated risks to that outlook.』
またリスクの話だがこちらはもうちょっと近い話ですかね。
『Participants remarked on recent above-trend growth in real GDP and on
indicators of resource utilization. Some commented that consumer spending
had been quite strong in the second quarter, confirming their impressions
that the first-quarter weakness had been temporary. Several participants
also pointed to the continued strength in business fixed investment, although
the persistent weakness and the risk of a further slowdown in residential
investment were also noted.』
個人消費は一時落ち込んだけどやっぱり戻ったし、企業の固定資産形成も強いとな。ただ住宅投資は相変わらず弱めなのでちと先行きリスクあるんでネーノみたいな話のようで。
『A few participants suggested there could still be some labor market slack,
citing recent increases in labor force participation rates relative to
prevailing demographically driven downward trends; the participation rate
of prime-age men, in particular, was still below its previous business
cycle peak. Other participants judged that labor market conditions were
tight, pointing to other data, including job quits and openings rates,
and anecdotes from contacts.』
労働市場には依然としてスラックが残っている、というのと労働市場がタイトですよというのの両論併記。
大体この辺で終わろうかなと思ったがもうちょっとだけ遡上してみる。
『Participants remarked on the extent to which financial conditions remained
supportive of economic expansion. Over the intermeeting period, only a
small change in overall financial conditions occurred, with modest movements
on net in equity prices and in the foreign exchange value of the dollar.
The yield curve had flattened further over the intermeeting period.』
今回ファイナンシャルコンディションに関して特段変わった話は無かったですな。イールドカーブの話は先の方(昨日ネタにした部分)でありましたが。
『Participants commented on a number of risks and uncertainties associated
with their outlook for economic activity, the labor market, and inflation
over the medium term.』
経済の不確実性についての話。まあ何で今回こんなに小分けしてるの、というのはあって、だからハトっぽくも見えるちゃあ見えるかなとは思うのですが、リスクの話ってのは文脈で言えば修飾語みたいなもんで、主文の部分では物価目標達成大勝利みたいな話になっているので、まあ表現のバランス取りに行ってるというのはあるのではないかと思うのですがどうでしょうかね。
『They generally continued to see fiscal policy and the strengthening of
the labor market as supportive of economic growth in the near term. Some
noted larger or more persistent positive effects of these factors as an
upside risk to the outlook. A few participants indicated, however, that
a faster-than-expected fading of the fiscal impetus or a greater-than-anticipated
subsequent fiscal tightening constituted a downside risk.』
財政に関しては上ぶれリスクとみるのと、思ったほどでないとか出た後さっさと引っ込められて財政の崖ができる方が下振れリスクというのと両方いますな。
『In addition, all participants pointed to ongoing trade disagreements
and proposed trade measures as an important source of uncertainty and risks.』
貿易戦争動向メジャーリスクなのはまあそうでしょうな、ここだけは全員一致ですもんね。
『Participants observed that if a large-scale and prolonged dispute over
trade policies developed, there would likely be adverse effects on business
sentiment, investment spending, and employment. Moreover, wide-ranging
tariff increases would also reduce the purchasing power of U.S. households.
Further negative effects in such a scenario could include reductions in
productivity and disruptions of supply chains.』
貿易戦争はこのような色々なリスクがありますよというお話。まあ仰せの通りという感じですがきちんとぶち込んでいるのは懸念を表明しているというのを明確にしたいからですわな。
『Other downside risks cited included the possibility of a significant
weakening in the housing sector, a sharp increase in oil prices, or a severe
slowdown in EMEs.』
他のリスクとしては住宅セクター、原油価格の高騰、新興国の大きな落ち込み、だそうな。
よーしパパあと一つだけ引用するぞー、ということで、このパラグラフの前は物価の話なのですが、そこはさっき引用した物価ネタをもうちょっと詳しくしている話なので割愛して、お賃金の話をしているところをば。
『Many participants commented on the fact that measures of aggregate nominal
wage growth had so far picked up only modestly.』
中々アガランチ会長とな。
『Among the factors cited as containing the pickup in wage growth were
low trend productivity growth, lags in the response of nominal wage growth
to resource pressures, and improvements in the terms of employment that
were not recorded in the wage data. Alternatively, the recent pace of nominal
wage growth might indicate continued slack in the labor market.』
単に上昇が遅れているだけなのかまだスラックがあるのか、どちらなんでしょうねというお話。
『However, some participants expected a pickup in aggregate nominal wage
growth to occur before long, with a number of participants reporting that
wage pressures in their Districts were rising or that firms now exhibited
greater willingness to grant wage increases.』
ただ、数名(some)の参加者は自分らの地区連銀から上がってくる企業のお話からすると、賃金引き上げて人員確保しようという動きが目立ってきているので、そろそろ賃金上がるんでねえのという指摘をしている、ということですが、まあ引き続きこちらについてはあまり活発に上がるとは見ていない(見ていたらもっと中立までの利上げを急ぐことになる可能性が高まりますわな)ようです。
とまあそんなところで(^^)。
〇これはまた興味深いレポートが
http://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/japanese/18-J-17.html
第二次世界大戦中の日本における闇価格の形成について-ヘドニック・アプローチに基づく推計-
鎮目雅人
闇価格とかマル公(公定歩合ではない方)とかマル停とか聞くだけで物凄い勢いで釣られてしまうアタクシなのですが、HTMLの方はエグゼクティブサマリーって奴ですな、引用します。
『本稿では、第二次世界大戦中ならびに同戦後の財価格の変動を継続的に捉えるための試みとして、いくつかの財について、既存の戦後闇価格データに接続可能な戦時中の闇価格に関する時系列データを新たに作成する。』
キタコレ。
『具体的には、5品目の財(米、甘藷、馬鈴薯、鶏卵、砂糖)について、価格算出にあたり品質調整を行う手法であるヘドニック・アプローチを用いて、取引当事者の属性や取引場所などの違いが価格に与える影響を調整することにより、できるだけ偏りの少ない闇価格データを推計する。』
ほほう。
『その結果をみると、各財の闇価格は大戦中から上昇が加速し、大戦末期には四半期ベースの前期比換算で+40%から+80%の高い上昇率を記録したこと、戦時体制に入る前の1934年時点の水準との比較では、終戦前後にはすでに50倍(甘藷)〜800倍(砂糖)以上にまで上昇しており、戦時中の方が戦後の上昇幅より大きいこと、品目によって上昇時期にばらつきがあり、米や砂糖は大戦中、いも類や鶏卵は終戦直後が上昇率のピークであったこと、農村部との比較では、都市部の方が闇価格の水準は概ね高めであったこと、等が分かる。』
ということで本文はこちら。
http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/18-J-17.pdf
第二次世界大戦中の日本における闇価格の形成について-ヘドニック・アプローチに基づく推計-
これは中々興味深く拝読いたしましたが、戦後割と早い時期に出てきている小説とかにおける戦時中の話を読みますと(当時なら実際に経験しているし読者も戦争切り抜けてきた人たちだからそこまで荒唐無稽な話は書けないわな)、食料品以外で闇物資で重要だったのって繊維製品らしいので(例えば獅子文六の「大番」とかその描写があったりしますよー)、データが取れるのかどうか知りませんが(物凄い大変そう)、繊維製品の闇価格とかの推移も見てみたいとは存じます(無茶振り)。
〇その他メモメモ
・社債オペ金利(ちと前の話ですが)メモだけ
忘れる前にメモメモ
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba180821.htm
社債等買入 2,230 750 -0.049 -0.036 35.0
今回は珍しくも国債よりも高い利回りで決着していまして、単に需給的な問題(入れられる銘柄が多かったとか買い入れ予定額が元々750億しか無いから入れる方が空振りリスク回避で金利高めにしたとか)のような気もしますが、まあいずれにせよこのオペほど今更何の意味があってやっているのかさっぱり分からんものも無いので、とっととリスクプレミアムに関する考え方をまとめて頂きたいものだと思うのでした、あああとCPもな。
・円金利指標ねえ
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180823a.pdf
「日本円金利指標に関する検討委員会」第1回議事要旨
まあ何だ、やりたいことの趣旨自体は分かりますし、そもそもがFSBとかIOSCOとかその辺の話と連動した国際的な話なので日本だけ知らんがなそんなもんという訳にもいかないでしょうし、こういう指標金利があった方が色々な意味で便利だったり楽だったりするのもわかるのですけれども、個別性の高い短期資金取引を市場ベースでレジリアントかつロバストな指標にするってのがそれ自体に無理があるんじゃないのかね、というのはいつも通りのツッコミなのですが、気が向いたらツッコミをしてみますけど忘れないようにURLだけおいておきました。
2018/08/23
お題「8月FOMC議事要旨(たぶん明日に続くと思う)」
おーこれは石田さん。
https://jp.reuters.com/article/boj-ishida-interview-idJPKCN1L708V
2018年8月22日 / 12:33 /
インタビュー:物価2%達成前の政策変更ありうる=石田元日銀委員
ではあるのですが今朝は議事要旨ネタとかがあるのでパス。
〇その前に市場メモだけ
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1VD2M1
2018年8月22日 / 15:18
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利0.095%に上昇
『長期国債先物は続落で引けた。日銀の国債買い入れオペへの期待で、9月限は一時150円58銭と、7月31日以来約3週ぶりの水準に上昇した。ポジションがショートに傾く参加者が買い戻しを余儀なくされたとの見方も出ていた。しかし日銀オペは弱めの結果となり、中盤以降は戻り売りが優勢になった。日経平均株価が堅調に推移したことも売りを誘った。現物債市場でも超長期債中心に金利への上昇圧力が強まった。日銀オペ減額への警戒がくすぶっている。イールドカーブはベア・スティープ化の形状。』(上記URL先より)
ナンジャソラという展開ではございましたが、昨日は長期超長期輪番の方は減額もなく普通に実施された訳ですけれども、超長期輪番10-25年の結果がパッとしないというか封鎖気味だったことから、結局20年カレントとか取引終盤では0.615%水準ってそれは一昨日の引け水準とか昨日の入札前の水準(入札はそこから強くなった訳ですが)ではあーりませんかというレベルになりやがりまして、前日に入札を強めにしてエッサホイサと強くしたのは何だったのかと小一時間問い詰めたい相場展開。
まあロイターさんも後講釈書くのに苦労しますなあと思いますが、日銀の買いオペの期待とかやるの予想されている訳ですし、増額とかする可能性ゼロの中で期待もへったくれもないところにきて、オペ減額への警戒ってのも当日のオペ同額で実施されているし、減額警戒するなら前場じゃネーノとか、まあ後講釈に困っているお姿がありありで誠に同情申し上げます(なので別に悪態ついているつもりはないのでよろしゅうに)って感じではございます。
つーてまあ一応輪番結果は
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba180822.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 13,436 4,013 0.001 0.001 65.7
国債買入(残存期間10年超25年以下) 6,760 1,819 -0.002 -0.002 77.9
国債買入(残存期間25年超) 1,578 606 0.000 0.002 10.2
国債買入(物価連動債) 1,293 251 -0.160 -0.208 52.2
で20年165回の一昨日引け(昨日付け)の売参は0.600%なので別に損こいて輪番にぶっこんでいる訳でもないちゃあそれまでなんですけど、そのあとあっさり味で超長期がコケるとかどうもこうよーわからんですのうという相場(まあいつも分からないんですけどね!!!!)ではございます、という俺様備忘メモだけ置いておく。
〇FOMC議事要旨である
例によって寝起きでざざーっと目を通したという奴なのでインスタント系で勘弁。
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20180801.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20180801.pdf
Minutes of the Federal Open Market Committee
July 31-August 1, 2018
・最初に何か面白そうなのがあるので釣られてみるクマー
いつもだとインスタント読みを開始するのですが、珍しく頭から斜め読み(読んでいるとは言っていない)したら『Monetary
Policy Options at the Effective Lower Bound』という文字列を議事のスタート部分で見つけたのでそちらに食いついてみる。
『The staff provided a briefing that summarized its analysis of the extent
to which some of the Committee's monetary policy tools could provide adequate
policy accommodation if, in future economic downturns, the policy rate
were again to become constrained by the effective lower bound (ELB).5』
将来またゼロ金利制約になった時にどういう政策手段があるのかというブリーフィングだそうな。
『The staff examined simulations from the staff's FRB/US model and various
other economic models to assess the likelihood of the policy rate returning
to the ELB and to evaluate how much additional policy accommodation could
be delivered by the current toolkit.』
ほうほう。
『This toolkit included threshold-based forward-guidance policies, in which
the Committee communicates that the federal funds rate will remain at the
ELB until either inflation or the unemployment rate reaches a certain threshold,
and balance sheet policies, involving increases in the size or duration
of the Federal Reserve's asset holdings.』
経済指標、というか物価と失業率の水準をスレッショルドにしたフォワードガイダンス(なので今日本や欧州がやっているのとは別、過去米国が実施したのはスレッショルドっぽいけれども水準決め打ちではなかったのでそれとも違うと思うので「current
toolkit」では無いと思うんだが、まあ変形バージョンってことですかねえ)とか資産買入、FEDの保有国債の年限を伸ばすとかその辺のツールに関する検証というか何というかのようでございますな。
『The staff's analysis indicated that under various policy rules, including
those prescribing aggressive reductions in the federal funds rate in response
to adverse economic shocks, there was a meaningful risk that the ELB could
bind sometime during the next decade.』
向こう10年とかいうタームで考えると経済ショックなどの対応でまたゼロ金利制約に引っ掛かるリスクはあるとな。
『That analysis also implied that threshold-based forward guidance and
balance sheet actions could provide additional accommodation that could
help support economic activity and mitigate disinflationary pressures in
these episodes. In the model simulations, because of unanticipated shocks
and lags in the transmission of the effects of monetary policy actions
on economic activity and inflation, the effectiveness of monetary policy
in general, including forward-guidance and balance sheet policies, was
limited in mitigating the initial downturn in the economy.』
スレッショルドベースのフォワードガイダンスやバランスシート政策はディスインフレ圧力に対しての有効なツールなのですが、政策効くのにはラグがある関係上、ショック対応では効果は限定的ですがなと。
『The staff noted that there was considerable uncertainty surrounding the
estimated effects of those policies on the economy; in addition, estimates
of how frequently the ELB could bind in the future differed across the
models that the staff examined.』
とは言いましても次の時に同じショックがやって来て同じ状況な訳は無いので同じツールで良いのかは留保が付きまっせ。
『In the discussion that followed the staff's briefing, participants generally
agreed that their current toolkit could provide significant accommodation
but expressed concern about the potential limits on policy effectiveness
stemming from the ELB.』
でもってFOMC参加者の議論。ゼロ金利制約になった時に使ったツールは政策の限界という問題に対処できるよ。
『They viewed it as a matter of prudent planning to evaluate potential
policy options in advance of such ELB events. Many participants commented
on the monetary policy implications of the apparent secular decline in
neutral real interest rates. That decline was viewed as likely driven by
various factors, including slower trend growth of the labor force and productivity
as well as increased demand for safe assets.』
何でこんな話が出てきたかの背景がここで何となく見えてくるのですが、多くの参加者が指摘する云々の後にありますように、構造的要因を背景に自然利子率というか中立金利というかが低下しているので、金利ツールという政策の糊代が少なくなっている故に、ゼロ金利制約に引っ掛かる可能性が高まっているのだからこそ、ゼロ金利制約でギャーとか言う前にこういう議論をしておこう、というお話。
まあこの部分って(議事要旨の後の方に別の型で話が出てきますが)、緩和政策の正常化のゴールが見えてきたので、「その先」を考えておこう、という話をしていますので、これをハト派的に読もうと思えば「FEDは将来の利下げ後の非伝統的政策導入の可能性も考えて議論しているぜヒャッハーイールドカーブフラットからインバートだ」というだいぶこじつけっぽいですが、そういう読み方も可能(でもその前に中立スタンスまで戻すんだからもっと利上げをするんですけどねえ)というネタですな、うんうん。
『In such circumstances, those participants saw monetary policy as having
less scope than in the past to reduce the federal funds rate in response
to negative shocks. Accordingly, in their view, spells at the ELB could
become more frequent and protracted than in the past, consistent with the
staff's analysis. Moreover, the secular decline in interest rates was a
global phenomenon, and a couple of participants emphasized that this decline
increased the likelihood that the ELB could bind simultaneously in a number
of countries. A few other participants raised the concern that frequent
or extended ELB episodes could result in expectations for inflation that
were below the Committee's symmetric 2 percent objective, further limiting
the scope for reductions in the federal funds rate to serve as a buffer
for the economy and increasing the likelihood of ELB episodes.』
でもってなんかこの辺は雑多な言いたい放題コーナーになっているようですが、中立金利低下によって金融政策がガンガンゼロ金利制約に引っ掛かる可能性があるという状況の弊害とかいう話になっておりまして、それも世界的にそうだし、ガンガン引っ掛かるようになるとそもそもインフレ期待が下がってしまうんじゃないのとか、まあ皆さん色々と議論していますが・・・・・・・・・・・
『Fiscal policy was viewed as a potentially important tool in addressing
a future economic downturn in which monetary policy was constrained by
the ELB; however, countercyclical fiscal policy actions in the United States
may be constrained by the high and rising level of federal government debt.』
将来起こる可能性がある経済のあばばばばーに対しては財政政策が潜在的に重要なツールになるのではないか攻撃キタコレという感じですが、まあそれをすると今度は財政赤字が増える件が問題になる、っつー話になっていますな。まあそうやって財政ホイホイだしてたらジャパンみたいになるかも知れず、意外にこの辺りは難しいんじゃないかなと思ったりもする。もうちょっとジャパンの例をきちんと分析するのが吉な気がするんだが。
『A couple of participants saw macroprudential and regulatory policies
as tools that could be used to mitigate the risk of financial imbalances
inducing an economic downturn in which the ELB constrained the federal
funds rate.』
マクプルや規制によって金融不均衡を拡大させないのも重要ではないかとの指摘も一部(2名)から。
『Participants generally agreed that both forward guidance and balance
sheet actions would be effective tools to use if the federal funds rate
were to become constrained by the ELB. In the Addendum to the Policy Normalization
Principles and Plans statement issued in June 2017, the Committee indicated
that it would be prepared to use its full range of tools, including altering
the size and composition of its balance sheet, if future economic conditions
were to warrant a more accommodative monetary policy than can be achieved
solely by reducing the federal funds rate.』
利下げしてから非伝統的ツールを使うんじゃなくて併用というのは検討に値するとの指摘が多いようですな。
『However, participants acknowledged that there may be limits to the effectiveness
of these tools in addressing an ELB episode. They also emphasized that
there was considerable uncertainty about the economic effects of these
tools.』
とは言えそもそもゼロ金利制約の中での政策そのものが有効性が限定的だったという認識をしているようで、どこぞの中銀が涙目になりそうな議論ですし、there
was considerable uncertaintyというFEDの認識に対してマネタリーベース直線一気置物理論の方々は如何に反論するでしょうかねえ(棒読み)。
『Consistent with that view, a few participants noted that economic researchers
had not yet reached a consensus about the effectiveness of unconventional
policies.』
そらそうなんだが身も蓋もない(^^)。
『A number of participants indicated that there might be significant costs
associated with the use of unconventional policies, and that these costs
might limit, in particular, the extent to which the Committee should engage
in large-scale asset purchases.』
どこぞの中銀の方々や置物一派の皆さんは目を皿のようにして読んで頂きたいわけですが、非伝統的手段の活用においては「significant
costs」があるかも知れないので、特に大規模資産買入に関してはその程度について注意することによってコストを軽減することができるかも知れない、という指摘を数名の方がしているんですがどう見ても遠い東の方に向かって(多分無意識に)砲撃しています本当にありがとうございました。、
『While the Committee's current toolkit was judged to be effective, participants
agreed, as a matter of prudent planning, to discuss their policy options
further and to broaden the discussion to include the evaluation of potential
alternative policy strategies for addressing the ELB. Building on their
discussions at previous meetings, participants suggested that a number
of possible alternatives might be worth consideration and agreed to return
to this topic at future meetings.』
治において乱を忘れず、というのもありますでしょうし、実はFEDって出口の時も物凄い前の時点から出口のツールだの方法だのの話をしていまして、確かにこの手の話って経済が変調になってから始まったように見せると、早速市場がクレクレになったり変な思惑が出たりするので、今まだ正常化が終わっていない段階で将来の経済の悪化に対応する手段についてこのように研究と議論をしていますよ、というのを頭出ししておく、というのはFEDのパターン(実際にはこのようなだいぶ前での議論の通りに実施する訳ではないのは今回の出口戦略で見せた通り)ですなあと、どこぞの中央銀行と比較してコミュニケーションポリシーちゃんとしてるじゃんこの辺に関しては、と思うのでありました。
『Several participants indicated that it would be desirable to hold periodic
and systematic reviews in which the Committee assessed the strengths and
weaknesses of its current monetary policy framework.』
政策のプロコン議論ってぶっこんだ後に堂々とやると市場に変な思惑を招くので、まずは事前にというのもわかりますし、泥縄対応にならないためには(まあ実際問題FEDも結構泥縄対応していたし、そもそもリーマンを突然死させたのが悪いんでそこまで褒め上げるのもどうかと思うけど)こういう話が必要ですな、とどこぞの泥縄中央銀行と比較して思うのでした。
・思いの外大漁だったので肝心の本文は今日は超インスタントで(たぶん明日に続く)
ということで思いの外面白かった(斜め読みって読もうと思ったコーナーに関して(だから最初から飛ばしている部分もあってよく読み落とす)各パラグラフの最初の単語幾つかを見て飛ばす位の勢いじゃないと読めないので読んでみて面白いとついついノリノリで読みふけってしまうのがアタクシのアカンタレな仕様)ので時間が無くなってしまいましたので以下簡単に。
毎度の『Committee Policy Action』の手前から逆順に読んでいくの巻です。
『Many participants noted that it would likely be appropriate in the not-too-distant
future to revise the Committee's characterization of the stance of monetary
policy in its postmeeting statement.』
ほうほう。
『They agreed that the statement's language that "the stance of monetary
policy remains accommodative" would, at some point fairly soon, no
longer be appropriate.』
比較的近い時期のどこかで"the stance of monetary policy remains accommodative"
が不適切な表現になる、つまり政策スタンスが中立になるとの認識キタコレですな。
まあこれは「そろそろ利上げ打ち止めヒャッハー」と反応する向きもあるでしょうが、SEPのドットとの整合性を考えたら「25bpずつ残り4回利上げしまっせ」と言っている訳ですから、これをもって12月で利上げが終わるとか12月の利上げはしないとか言い出すのはさすがに解釈に問題ありと言わざるを得ない。
『Participants noted that the federal funds rate was moving closer to the
range of estimates of its neutral level. A number of participants emphasized
the considerable uncertainty in estimates of the neutral rate of interest,
stemming from sources such as fiscal policy and large-scale asset purchase
programs. Against this background, continuing to provide an explicit assessment
of the federal funds rate relative to its neutral level could convey a
false sense of precision.』
中立金利に近くなっている、という認識はあるものの、一方でそもそも中立金利の計測には幅があるので、今の時点の金利が中立に対して幾らずれてる的なのを決め打ちしてしまうのは間違いの元なのでイクナイという話もしていますな。
その前のパラグラフ。
『A couple of participants commented on issues related to the operating
framework for the implementation of monetary policy, including, among other
things, the implications of changes in financial market regulations for
the demand for reserves and for the size and composition of the Federal
Reserve's balance sheet.』
FEDのバランスシートとか銀行の所要準備に関して変えたらどうなるのかという話のコメントとな。まあ2名の指摘だが。
『These participants judged that it would be important for the Committee
to resume its discussion of operating frameworks before too long. The Chairman
suggested that the Committee would likely resume a discussion of operating
frameworks in the fall.』
何かこの辺に関して秋口から議論開始するようですな。逆順に読んでいるからこれだけだと微妙に何のこっちゃではあるのですが。
という訳でその前のパラですが、
『Participants also discussed the possible implications of a flattening
in the term structure of market interest rates.』
イールドカーブのフラットニングに関する議論とな。
『Several participants cited statistical evidence for the United States
that inversions of the yield curve have often preceded recessions. They
suggested that policymakers should pay close attention to the slope of
the yield curve in assessing the economic and policy outlook.』
『Other participants emphasized that inferring economic causality from
statistical correlations was not appropriate. A number of global factors
were seen as contributing to downward pressure on term premiums, including
central bank asset purchase programs and the strong worldwide demand for
safe assets. In such an environment, an inversion of the yield curve might
not have the significance that the historical record would suggest; the
signal to be taken from the yield curve needed to be considered in the
context of other economic and financial indicators.』
数名(Several)の参加者はイールドカーブのインバートが発生した後にリセッションが起きているという事を重視すべきなのでカーブ動向大変重要という主張をしているのですが、他の参加者は、イールドカーブがフラットしやすい理由が国債への需要の高まりに加えて中銀が買入を行っていることを含め、以前と違って構造的にあるんだからカーブのインバートでリセッション来る!みたいなのは短絡的ではなかろうかそれよりもちゃんと経済データや他の金融状況を見る必要があるのではという話で、後者の方が頭数は多そうですがアタクシも後者だな、とは思う。
なおここで時間が尽きたようなので残りは明日にでも(汗)。
2018/08/22
お題「カプラン総裁が政策の中立スタンスへの移行とマンデート達成を割と明示的に示すの巻/その他少々」
日経にはイブニングスクープってカテゴリがあるのか。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34398450R20C18A8MM8000/
スルガ銀、不適切融資1兆円 書類改ざんなど
【イブニングスクープ】
スルガ銀問題 金融機関 南関東・静岡 2018/8/21 18:00日本経済新聞 電子版
『シェアハウス投資に絡む不正融資を巡り、スルガ銀行の第三者委員会が実施した調査の概要が21日、分かった。審査資料の改ざんなど不適切な行為に基づく融資が1兆円規模にのぼるとした。スルガ銀は第三者委の調査結果を受けて、経営責任の明確化を含めて抜本的な体制刷新を迫られる。』(上記URL先より)
詳しい記事は例によって有料ページの方になるようですな。
そしてこれは1年前のアレ。
https://jp.reuters.com/article/japan-fsa-idJPKBN1860P0
2017年5月10日 / 16:34 /
厳しさ増す地銀、サービス業への貢献で収益確保を=金融庁長官
つまりはマネタリーベース直線一気置物理論で物価目標達成できないのを正面切ってゴメンナサイしないためにQQE2だのマイナス金利だの戦線を無駄に拡大して緩和を拡大した黒田日銀が悪いよという話になる訳ですな。置物一派は可及的速やかに(内務省検閲により削除^^)。
それはそれとして、
https://jp.reuters.com/article/analysis-mobile-phone-idJPKCN1L60VB
2018年8月21日 / 18:50
焦点:官房長官発言で携帯各社に激震、狭まる値下げ包囲網
まーた物価目標未達の要因が出てくるわけですが、特殊要因で値下がりしているだけの一時的な話なのでモメンタムは維持されていることには変わりない(キリッ)ということになるんでしょうが、いずれにせよ緩和政策を更に続けないといけなくなるので拡大規模はこっそりと修正していく(維持するだけでも超絶緩和なんだから)のが急がれますな。
〇20年国債入札でフラットニングとな
まあお約束ちゃあお約束ですが・・・・・・・・
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1VC2KZ
2018年8月21日 / 15:15
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小反落、ブル・フラット化の形状
『<15:12> 国債先物は小反落、ブル・フラット化の形状
長期国債先物は小反落で引けた。前日の米債高に加えて、東京市場で円高・株安が進行したことを受けて、朝方は一時150円55銭と7月31日以来3週間ぶりの水準に上昇した。その後は、日経平均株価がプラス圏に浮上すると、戻り売りに押された。現物債市場では、超長期債が強含みで推移した。20年債入札を順調にこなしたことからショートカバーや生保など投資家の実需が入った。イールドカーブはブル・フラット化の形状。長期国債先物中心限月9月限の大引けは、前営業日比1銭安の150円50銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比変わらずの0.090%。』(上記URL先より)
まあダータのページに細かい話載せてられっかという事かも知れませんが、20年と30年の利回りは何のかんの言って動くので、って話はこの前もしましたな(汗)。最近は米債にも連動してるんだかしてないんだかという風情で先物上がって始まったよとか思ったらそのあと全然伸びなくて10年は引けのまんまで、とか言っているうちに先物5銭弱のマイナスからの10年5糸甘の9.5bpとかで入札のお時間。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20180821.htm
6. 価格競争入札について
(1)応募額 3兆7,551億円
(2)募入決定額 8,058億円
(3)募入最低価格 98円05銭(募入最高利回り)(0.610%)
(4)募入最低価格における案分比率 15.0048%
(5)募入平均価格 98円10銭(募入平均利回り)(0.607%)
ベンダー報じる市場事前予想が足切り98円ちょうどなので165回債の引け0.615%よりも強めという所でしたが、それよりも強い所で薄め按分で切れましたのでまあ堅調、とか思っておりましたらさっくり0.610→0.605と金利下がって、後場の終盤近くになってきたら0.600%になるわ30年40年も強めになるわのフラットニングとなりまして、まあここ数日超長期が先物の上げに全然ついて行かないという形で事前調整は進んでいたのでその分を取り返しに行きましたという結果になっているのですが、先回り買いが入って高値入札をして華麗に上でロングが残るみたいな面白(不謹慎)展開にならないし、カーブは何気に準備と修正で動きましたが、そこで20年カレント0.6割れが華麗に出合って盛り上がる(ある意味盛り下がる)というようなデルタ的な派手なのも無いという何と申しますかな入札ではございますな。
つーことで結局一番ボラを与えてくれそうなイベントがまるで無事に通過してしまいましたので、これはもう輪番の上げ下げ(というか下げ)以外に今月の相場ネタがないわ(ジャクソンホールは何も出てこないと見た)とがっくり(何でじゃ)するのでありました。ナムナム。
〇カプラン総裁のエッセイである
まずはロイターさんの記事から。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-kaplan-0821-idJPKCN1L61SW
2018年8月22日 / 02:11 /
米FRB利上げ、打ち止めまであと3─4回=ダラス連銀総裁
『ダラス連銀公表の論文の中で、自身が判断する中立金利は2.5─2.75%程度とした上で「金利はあと3─4回の利上げで推定中立水準に到達する見通しだが、到達した時点で一服し、経済見通しやイールドカーブなど各種要素を検討し、それから適切となり得る追加対応を決定したい」と述べた。』(上記URL先より)
・・・・・・・・4回上げたら2.75−3.00にならんかと思うのだが、実際にどういう話をしているのか確認しようと思ったらあったのでちと確認。
https://www.dallasfed.org/news/speeches/kaplan/2018/rsk180821
Where We Stand: Assessment of Economic Conditions and Implications for Monetary Policy
August 21, 2018
最初のマクラの所に、
『The purpose of this essay is to discuss economic conditions in the Eleventh
District and the U.S. I will also discuss the implications of this assessment
for the stance of monetary policy in the U.S.』
とあるので金融政策に関するお話がありますよと。
・米国経済に関してはどう見てもマンデート達成です本当にありがとうございました
『Economic Conditions』の最初が『The Eleventh District』という小見出しで、地区連銀総裁なので当然なのですがダラス連銀のシマ(テキサスとルイジアナの北半分とニューメキシコの南半分)の経済の話をしているのですが、何分にも寝起きインスタント読みのためにここはすっ飛ばして米国全体の話に。
『U.S. GDP is estimated to have grown at a 3.1 percent annual rate over
the first half of 2018. Rising consumer spending accounted for a little
less than half of this growth, and unusually strong contributions from
nonresidential business investment (approximately 1.2 percentage points)
and net exports (approximately 0.5 percentage points) also contributed
to growth.』
消費の伸びが若干減速するものの住宅以外の企業の投資や輸出が経済をけん引しておりまして結構結構。
『Dallas Fed economists forecast full-year GDP growth of approximately
3 percent. Based on this forecast, we expect the headline unemployment
rate to reach 3.7 percent by year-end. In addition, we expect that headline
personal consumption expenditures (PCE) inflation will remain in the neighborhood
of the Federal Reserve’s 2 percent target during the remainder of 2018.』
ダラス連銀の見通しによると今年の米国の実質成長率は3%程度で、年末時点での失業率が3.7%、PCE物価指数は2%の近くで今年は推移し続けるでしょう。
『The unemployment rate currently stands at 3.9 percent. Despite job growth
averaging 224,000 per month over the past three months, the unemployment
rate remains the same as in April due to a strong flow of net entrants
into the labor force. While our economists are hopeful that a strong labor
market might continue to draw in new entrants who are currently out of
the workforce, it is our base-case view that the current rate of labor
force growth is unlikely to continue and that the unemployment rate will
continue to decline, reaching 3.5 percent by the second quarter of 2019.』
労働市場に関しては物凄い景気の良い話になっていて、新規雇用が月22万ペースで増える中で失業率が下がらないのは労働市場への参入が威勢よく増えているからで、来年半ばには失業率3.5%行くのがベースラインシナリオだとな。
『In short, it is our judgment that we are in a tight labor market and
are already past the level of full employment in the U.S. This tightness
is likely to increasingly constrain economic growth.』
労働市場がタイトになっているうえに更にタイトになると、供給制約の面から成長を抑える要因になってきますね、というくらいのこの威勢のよさ。
『Currently, the headline PCE inflation rate stands at approximately 2.2
percent for the 12 months ending June 2018. As mentioned earlier, Dallas
Fed economists expect inflation to remain around the Federal Reserve’s
longer-run PCE inflation target of 2 percent through the end of the year.』
PCE物価指数(コアではなくヘッドラインの方で話をしている)は今年は2%近辺で推移するでしょうと。
『The Dallas Fed tracks a number of measures beyond headline inflation
to gauge overall inflation trends. In particular, Dallas Fed economists
have developed the Trimmed Mean PCE inflation rate, which is a core inflation
measure that, each month, excludes the most extreme upward and downward
price movements. This measure now stands at 1.9 percent, and we expect
it to reach 2 percent by the end of 2018.』
ダラス連銀がお得意の(他の連銀高官もよく引用しているし、FOMC議事要旨にも出てきますな)PCE刈込平均指数は現在1.9%で、年末には2%に到達するでしょうと。
『Due to the tight labor market as well as higher input costs, it is my
view that cyclical forces are creating upward pressure on inflation. However,
I also believe that strong structural forces (discussed below)-particularly
automation and globalization-are helping to mute the inflationary impact
of these cyclical forces. These crosscurrents are worth keeping in mind
as we continue to consider the appropriate stance of monetary policy. 』
シクリカルには物価に上昇圧力があるけど、構造的(機械化とかグローバル化)に物価が抑えられる要因があるので、そこまで物価は上がらんでしょという見立てで、まあこれはどう見てもマンデート達成モードですから、政策スタンスは中立に戻すべきという話になる訳で・・・・・・・・・・
・マンデート達成してるんだから政策スタンスは中立までは戻しましょうという順当な結論
でもって次の『Implications for Monetary Policy』というのが1パラグラフ3行だけあるのですが、
『Based on this forecast, it is my judgment that the Federal Reserve is
meeting its full employment and price stability objectives.』
「Federal Reserve is meeting its full employment and price stability objectives」ですかそうですか。
『As such, we should be removing accommodation in a gradual manner in order to get to a neutral policy stance.』
って話ですが、6月FOMCでのパウエル議長会見だとまだ勝利宣言をするには早いみたいな感じでの話をしていましたけれども、こちらは堂々の大勝利宣言キタコレという事になっておりまして、9月FOMCの所ではどうせ利上げするんですけど、大勝利が出るのかどうかの興味が野次馬的にはありますな。まあパウエルさんその辺は「キャッチーなことは言わないけれども実務的に積み上げていく」という感じに今のところは見えるお方なので、余計な大勝利宣言はしないけど淡々と中立金利に向けてあげていくって格好にして、地区連銀総裁などが大勝利宣言をするのに任せておくという感じになるんでしょうかね、よー知らんけど。
・大勝利は良いのだがどこが中立かというお話が中立金利に関して
そして次の小見出しが『The Neutral Rate』である。
『The neutral rate of interest is the federal funds rate at which monetary
policy is neither accommodative nor restrictive. It is a theoretical concept,
meaning that it can’t be directly observed-it must be inferred from market
and other economic data. Economists’ views on this rate are necessarily
estimates and inherently uncertain. However, while theoretical, estimates
of the neutral rate are critical to assessing and making decisions regarding
the stance of monetary policy.』
中立金利の説明ですな。
『My own view, informed by the work of my colleagues Evan Koenig at the
Dallas Fed [7] as well as John Williams of the New York Fed and Thomas
Laubach at the Federal Reserve Board, [8] is that the longer-run neutral
real rate of interest is in a broad range around 0.50 to 0.75 percent,
or a nominal rate of roughly 2.50 to 2.75 percent.』
実質で0.5-0.75%、物価上昇率をのっけた名目で2.50-2.75%程度ではないかとのお答えですが、ウィリアムス副議長の名前が出てくるのが味わいがある。
『With the current fed funds rate at 1.75 to 2 percent, it would take approximately
three or four more federal funds rate increases of a quarter of a percent
to get into the range of this estimated neutral level. 』
何となく3回の気がするのですがなぜ4回も入るのでしょうかね。まあ計測誤差あるからという話なのかもしれん。(ちなみに6月SEPでロンガーランのFFを2.50-2.75に入れているのは1名います)
『At this stage, I believe the Federal Reserve should be gradually raising
the fed funds rate until we reach this neutral level. At that point, I
would be inclined to step back and assess the outlook for the economy and
look at a range of other factors-including the levels and shape of the
Treasury yield curve-before deciding what further actions, if any, might
be appropriate.』
そこまで金利上げたらそのあとどうするかは状況を見て判断、なのですがイールドカーブ名指し来ました。
・イールドカーブに注目とな
この次のコーナーが『Beyond 2018』ってなっていて、小見出しが『1. Demographics』、『2.
Lagging Education and Skill Levels』、『3. The Potentially Unsustainable
Path of U.S. Government Debt to GDP』という風になっていますので、小見出しからお察しのように長期的な課題とか潜在成長率の今後に関連する話になるのですが、目先の金融政策に関する部分に浅ましく反応するアタクシとしてはそこは華麗にスルーしまして、最後のコーナー『Where
We Go from Here』に参ります。
『When I joined the Fed in September of 2015, the federal funds rate was
0.0 to 0.25 percent. This rate had not been adjusted since late 2008. The
Fed’s balance sheet stood at approximately $4.5 trillion.』
『Since that time, the Fed has been able to gradually remove accommodation
and implement a plan to reduce the size of its balance sheet. Over this
period, the unemployment rate has moved down substantially and inflation
is now running at approximately 2 percent.』
『At this juncture, the challenge for the Fed is to raise the federal funds
rate in a gradual manner calibrated to extend this expansion, but not so
gradually as to get behind the curve so that we have to play catch-up and
raise rates quickly. Having to raise rates quickly would likely increase
the risk of recession.』
この辺が前振りですけれども、FEDの正常化に関して「but not so gradually
as to get behind the curve so that we have to play catch-up and raise rates
quickly」という話をしているんすけど、単に物価が構造的に上がりにくいとか成長率が構造的に上がりにくい状況だったからビハインドしても大丈夫だったというだけの話のような気もしないでもなくて、今回の正常化のプロセスが他で使い物になるのかどうかってよくわからん面があるような無いような(個人の感想です)。
『As I judge the pace at which we should be raising the federal funds rate,
I will be carefully watching the U.S. Treasury yield curve.』
と、ここで米国債のイールドカーブの話が登場。
『Currently the one-year Treasury rate is 2.44 percent, the two-year is
2.61 percent and the 10-year is 2.87 percent.[21]』
はい。
『My own view is that the short end of the Treasury curve is responding
to Federal Reserve policy expectations. The longer end of the curve is
telling me that, while there is substantial global liquidity and a search
for safe assets, expectations for future growth are sluggish-and this is
consistent with an expectation that U.S. growth will trend back down to
potential.』
まあ別にカプランさんだけじゃなくてそういう解釈になると思う。
『Overall, the shape of the curve suggests to me we are “late” in the economic cycle.』
ほう。
『I do not discount the significance of an inverted yield curve-I believe
it is worth paying attention to given the high historical correlation between
inversions and recession.』
逆イールドの後のリセッションがどうのこうのキタコレ。
『I will also be closely monitoring global financial and economic developments
and their potential impact on domestic financial and economic conditions.
As global financial markets and economies have become increasingly interconnected,
the potential for spillovers to the U.S. is greater than in the past.』
お前ら他国からの影響言う前に自分の方の影響をもうちょっと考えて政策やれよな、と昔から言われていたと思うんだがまあ何だかなーというこの一文。
『That is, global economic and financial instability has the potential
to transmit to domestic financial markets, potentially leading to a tightening
of financial conditions which, if prolonged, could lead to a slowing in
U.S. economic activity.』
だと思うんだったら中立よりも金利上げた方が良いんじゃないですかねえ(だから4回も含めているのかも知れないですけど)という風にも思ったりする訳で、他国の金融緩和による金融不均衡の波及を懸念するんだったら、それはたぶん米国の正常化がビハインド・ザ・カーブになっている影響があるってお話じゃネーノとは思うがまあその辺は論点が色々とありそう。
『Based on these various factors, as well as the current strength of the
U.S. economy and my outlook for economic conditions over the medium term,
I believe it will be appropriate for the Fed to continue to gradually move
toward a neutral monetary policy stance.』
さっきと同じ話で中立スタンスまで政策を戻すべきという結論。
『I believe that this gradual approach to removing monetary policy accommodation
will give us the best chance of managing against imbalances and further
extending the current economic expansion in the U.S.』
今のやり方だとインバランスなどは起きにくいとの事で、ついしばらく前に高圧経済アプローチとか言ってた国の中央銀行の中の人たちとは思えんというか、まあしらっとこういうのは変わるもんですなあ(そら中立に戻せって話しているのに高圧経済もへったくれもないのは当たり前だが)というのもありますし、そういう点からしますと、中銀の長期間に渡るコミットメントとかそういうのって実は裏にステートコンティンジェントな面が必ずあるので、あまりまともに信用してしまうのはどうなのよ、というお話でもあるわなあ(別にカプランさんの信用云々の話ではないので念のため)とか思いながらとりあえずインスタント読みの巻でした。
2018/08/21
お題「20年入札ですが・・・・・/また虫干しでBOEネタを少々」
また言ってるのか・・・・・・・
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-fed-idJPL3N1VB50C?il=0
2018年8月21日 / 05:29
EXCLUSIVE-トランプ米大統領、FRBの利上げ「気に入らない」
〇さて20年入札ですが
うーんこの。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1VB2DO
2018年8月20日 / 15:08
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が続伸で引け、長期金利は横ばい0.090%
『<15:04> 国債先物が続伸で引け、長期金利は横ばい0.090%
国債先物中心限月9月限は前営業日比7銭高の150円51銭と続伸で引けた。朝方は売りが先行する場面があったが、日経平均株価が上値を重くしたことを受けて短期筋の買い戻しが入り、一時150円54銭と7月31日以来、約3週間ぶりの水準に上昇した。現物市場は閑散。21日の20年債入札を控えて積極的な買いが手控えられた。10年最長期国債利回り(長期金利)は朝方に一時同0.5bp高い0.095%に上昇したが、その後は0.090%に水準を戻した。』(上記URL先より)
ってなっているのですが、超長期ちゃんも動かんとなってやがりまして、何か知らんが先物ばっかりホイホイと堅調という新手のパターンで20年入札前に20年の水準を相対的に訂正するという事になってしまいましたな。
たぶん新発がショート銘柄になっている筈なので20年カレントを無理くり甘くして・・・・・というよりは今回の場合は先物(とか中短期)が確りしている中で長いところが置いて行かれているようなので、入札前に無理に弱めにしているという感じでもなく(個人の感想です)、これだと新発のショートカバーは来るにしても別に頑張って上の方で入札してしまうような感じにもならんのかなあとか変なフラグを立てると先回り買いが朝から入ったりするんでしょうかねえ、もうちょっと事前に動くのかと思ったのですが。
つー訳で、市場世間話をしようにも20年入札前も事前準備っぽいのとか先回りっぽいのが全然ないというこの活力無し無し相場に戻ってしまいまして、臨時輪番一発があんなに効いたのか(円金利の動きが止まる→アメリカの金利もウゴカンチ会長になる→円金利が海外要因で動くネタが無くなる)という辺りは結果論なのでよくわからんのですが、まあとりあえず臨時輪番一発ぶち込むわ、その他の輪番は全然減額しないわ、長期輪番は事実上増額になってしまっているわ(5−10年は一応4000億円に減額になりましたが、その前の時点で指値で1.6兆円買っているうえに臨時輪番で4000億円買っているのだから輪番減額200回分でチャラですからねえ)となっている訳で、そもそも先般のMPMでは政策の持続性を高めるために資産買入の柔軟化を行う、つまり買入ペースを幾分か緩めて買入が市場に与えるプレッシャーを軽減することによって政策の持続性を担保するという話になっていたのに、結果的に輪番増えておりますが何ですかそれはという状況になっているので、そら市場がウゴカンチ会長にもなるわなという所ですな、うんうん。
まーそうは言いましても今日の入札が余程の高値入札にでもなれば別ですが(たぶんそんな盛り上がりはなさそうに思えますがどうでしょうかね)、そうでもないと明日の輪番が減るとも思えませんし、まあ減額するなら最終週といういつものパターンではあるのですが、まーた足元ドル円が110円接近とかしていると輪番いじれなくなるのが日銀の仕様なので、これはウゴカンチ会長ですわという所でしょうかね・・・・・・
〇久々に虫干し企画のBOE
日銀の翌日に利上げ打ち込むの巻だった英国ちゃんですけど。
・サマリーを鑑賞
https://www.bankofengland.co.uk/monetary-policy-summary-and-minutes/2018/august-2018
Monetary Policy Summary and minutes of the Monetary Policy Committee meeting
『The Bank of England’s Monetary Policy Committee (MPC) sets monetary
policy to meet the 2% inflation target, and in a way that helps to sustain
growth and employment. At its meeting ending on 1 August 2018, the MPC
voted unanimously to increase Bank Rate by 0.25 percentage points, to 0.75%.
』
『The Committee voted unanimously to maintain the stock of sterling non-financial
investment-grade corporate bond purchases, financed by the issuance of
central bank reserves, at £10 billion. The Committee also voted unanimously
to maintain the stock of UK government bond purchases, financed by the
issuance of central bank reserves, at £435 billion.』
ということでご存知かつ市場予想通りに利上げ&資産買入はそのままとしてきた訳ですが。
『Since the May Inflation Report, the near-term outlook has evolved broadly
in line with the MPC’s expectations. Recent data appear to confirm that
the dip in output in the first quarter was temporary, with momentum recovering
in the second quarter. The labour market has continued to tighten and unit
labour cost growth has firmed.』
利上げしてるのだから当たり前ではあるのですが、1Qに生産が弱めだったのは一時的だったし、労働市場は引き続きタイトになってULCは拡大していますよと。
『The MPC’s updated projections for inflation and activity are set out
in the August Inflation Report and are broadly similar to its projections
in May.』
物価の見通しに関しては今回インフレーションレポート出していますが、5月のと同じような見通しですということで、
『In the MPC’s central forecast, conditioned on the gently rising path
of Bank Rate implied by current market yields, GDP is expected to grow
by around 1-3/4% per year on average over the forecast period. Global demand
grows above its estimated potential rate and financial conditions remain
accommodative, although both are somewhat less supportive of UK activity
over the forecast period.』
『Net trade and business investment continue to support UK activity, while
consumption grows in line with the subdued pace of real incomes.』
英国の場合は消費が引っ張るというよりも海外が引っ張ってくれるという絵をかいていますが、この消費に関しても微妙ちゃあ微妙な前提があるので後程。
『Although modest by historical standards, the projected pace of GDP growth
over the forecast is slightly faster than the diminished rate of supply
growth, which averages around 1-1/2% per year. The MPC continues to judge
that the UK economy currently has a very limited degree of slack. Unemployment
is low and is projected to fall a little further. In the MPC’s central
projection, therefore, a small margin of excess demand emerges by late
2019 and builds thereafter, feeding through into higher growth in domestic
costs than has been seen over recent years.』
以前はスラックについて色々と言っていたわけですが、当然ながら利上げ開始しているので英国経済のスラックは限定的、という話になっています。
『CPI inflation was 2.4% in June, pushed above the 2% target by external
cost pressures resulting from the effects of sterling’s past depreciation
and higher energy prices. The contribution of external pressures is projected
to ease over the forecast period while the contribution of domestic cost
pressures is expected to rise.』
日銀が涙しそうなCPIだし、今後は国内のコスト圧力も高まるでしょうという見通しですな。
『Taking these influences together, and conditioned on the gently rising
path of Bank Rate implied by current market yields, CPI inflation remains
slightly above 2% through most of the forecast period, reaching the target
in the third year.』
金利を徐々に上げていく(ただし市場の織り込み程度となっているのでそんなにホイホイ上げない)と当面は2%ちょい上程度で物価が推移するでしょうと。
『The MPC continues to recognise that the economic outlook could be influenced
significantly by the response of households, businesses and financial markets
to developments related to the process of EU withdrawal.』
ブリクジットへの懸念での企業や家計行動に注意、というのが最近のお約束(そらそうだ)になっていて、これがあるからそんなにホイホイと正常化できませんよという理屈になっておるのだが・・・・・・
『The Committee judges that an increase in Bank Rate of 0.25 percentage points is warranted at this meeting.』
『The Committee also judges that, were the economy to continue to develop
broadly in line with its Inflation Report projections, an ongoing tightening
of monetary policy over the forecast period would be appropriate to return
inflation sustainably to the 2% target at a conventional horizon. Any future
increases in Bank Rate are likely to be at a gradual pace and to a limited
extent.』
まいど強調していますが、『at a gradual pace and to a limited extent』とか言いながら利上げをしていくので、米国みたいにターミナルレートに向かってあげていきまっせという感じを出さない(だいたいからして年2回くらいの利上げしか市場も見てないはずだし)という感じなんですよね。
・住宅価格下落の影響が気になりますな
https://www.bankofengland.co.uk/-/media/boe/files/monetary-policy-summary-and-minutes/2018/august-2018.pdf
Monetary Policy Summary and minutes of the Monetary Policy Committee meeting ending on 1 August 2018
というのがミニッツになりますけど、こちらの『Money, credit, demand and output』を見ていますと消費のところが多少もにょる所がございましてですな、
『15 One feature of the MPC’s recent forecasts had been the expectation
that the rotation in demand away from household consumption and towards
net trade and business investment would continue. Some data for the first
half of the year had run counter to that view. Recent official data suggested
that net trade had subtracted from growth in the first half of the year
and that business investment had fallen in Q1. However, surveys of UK export
orders had remained buoyant. Although uncertainty about Brexit was weighing
on business investment, surveys were consistent with modest growth. 』
基本的に海外と企業のところは強めで見ていますが・・・・・・・
『16 Despite a significant fall in mortgage interest rates in recent years,
the housing market had remained subdued. Annual inflation in the UK House
Price Index published by HM Land Registry had fallen to 3.0% in May from
3.6% in April and was six percentage points lower than in late 2014.』
ということで英国の場合は不動産が(その前に盛大にバブっていたのですから順当ちゃあ順当ですが)モーゲージ金利下がっても住宅価格が下がるの巻(2014年水準から英国全体では6%の下げ)となっておりましてですね、
『The number of residential property transactions had dropped by nearly
6% in the year to June and remained more than 20% below the average in
the decade prior to the financial crisis.』
取引も低調。
『Slow growth in real per capita incomes was likely to be part of the explanation,
but the contrasting performance of London and the rest of the UK had also
been striking.』
実質所得の伸びがあまり強くないのは理由の一つにはなるのですが、それにしても市況がパッとせん訳ですよ。
『17 The decline in both house price inflation and housing activity had been particularly marked in London.』
そら(ロンドンの不動産爆上げだったんだから)そう(住宅価格の下落が顕著になる)よ。
『Several factors set London apart and might account for this divergence
in behaviour. Measures of affordability, such as house prices relative
to household incomes, were especially elevated in London. The recent weakness
in London house prices might therefore mark an adjustment to more sustainable
levels. Given its relatively high level of house prices, London was also
likely to have been disproportionately affected by regulatory and tax changes
since 2014.』
住宅価格が下がる→逆資産効果→せっかく減税とかしているのに個人消費に結びつかない、とか味わいがある。
『18 The MPC judged that weakness in the London housing market was unlikely
to have significant spill-overs. Nonetheless, the MPC expected only a modest
housing market recovery, with annual house price inflation settling at
around 3% and the number of transactions rising only gradually.
という話をしていた割には、最終的にそのようなスピルオーバーは限定的で、住宅市場も回復するでしょうとかいう結論になっているのはうーんこのという感じなのですが、「物価高の資産バブル崩壊」とか英国って以前の緩和局面(リーマン以降)でも「資産価格が調整して労働市場が弱い中で物価だけはホイホイ上がっているので、インフレ目標から上ぶれしても金融政策を締めれない」という現象が生じていたのですが、今回はまあ労働市場が今の所タイトとは言え、ちょっとこちらの影響がどうなるのというのは気になるし、まあそのせいで中々金利もホイホイ上げれない面はあるかなあという気はしました。
なお、住宅云々は後の『The immediate policy decision 』での情勢分析みたいなパートでは特段言及されていませんのでそこまで気にする必要はないのかもしれないんですけど、やっぱり資産価格云々という話になると気になるもんで・・・・・・・
2018/08/20
お題「リッチモンド連銀バーキン総裁講演は成長力強化の必要性とかどこかで聞いたようなネタですな/市場メモ」
お盆も明けたというのに夏休みの宿題(意味深)が着手できない皆さんおはようございます。
#お前は何だというツッコミはしないようにorz
〇円債金利上がらんくなりましたなあ(下がるとは言ってない)
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1V82BS
2018年8月17日 / 15:09 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が反発で引け、長期金利は横ばい0.095%
『<15:05> 国債先物が反発で引け、長期金利は横ばい0.095%
国債先物中心限月9月限は前日比11銭高の150円44銭と反発して引けた。日銀の国債買い入れで需給の引き締まりが意識されて買いが先行。短期筋が買い戻す動きが加わって、一時150円48銭まで上昇した。現物市場は閑散。中短期ゾーンを中心に短期筋の買いが入った。一方、21日に入札を控える超長期ゾーンには調整売りが出た。10年最長期国債利回り(長期金利)は同横ばいの0.095%。』(上記URL先より)
うーんこのという感じですが、中期と変国の輪番で需給の引き締まりとか言われましてもそれは何でしょうかという気はするんですが、それよりも短国がここのところ強いのって影響してないですかねえ、よー知らんけど。
『短期金融市場で、無担保コール翌日物の加重平均レートはマイナス0.06%台前半と前日(マイナス0.067%)に比べて上昇する見通し。週末要因で資金調達意欲がややしっかり。ユーロ円3カ月金利先物は小動き。新発3カ月物国庫短期証券(TB)の入札結果で、最高落札利回りはマイナス0.1563%、平均落札利回りはマイナス0.1643%と前回(最高:マイナス0.1543%、平均:マイナス0.1635%)に比べて低下した。最高落札利回りは3カ月物入札で4月19日以来、約4カ月ぶりの低水準。』(上記URL先より)
てなことになっていまして、長い所のネタでキャッキャウフフ言っている間に短国って金利がしらっと低下している訳でして、マクロ加算減額関係ないやんという状況になっているのは、金利じゃなくて国債というブツが必要な方のニーズが高まるということで、よー知らんですけど例えばの話先月のMPM前に登場した0.100%指値のお助け船(お助けとは言っていない)にウチの可愛い長期国債ちゃんを乗船させちゃったら国債が足りなくなっちゃったの先生!どうしたらいいの!!となってさあ短国とかまあ世の中そんなに単純な話ではないと思いますが、まあ今回スクラッチで入れたら金利が結構上昇するネタをぶち込むのに色々と謎の地ならしなんだかよく分からんプレイを打ち込んだ結果、めでたくも相場は動かなかったという結論になるので短期的には日銀大勝利ですが、前後で長期国債を吸い上げ過ぎた感はあって、バーベル宜しく短国の方にしわ寄せがきているので短国買入バンバン減額してこの際0にしましょう(提案)。
しかしまあ何ですな、金曜も先物が後場にホイホイと上昇するような感じで強くて、そらまあ明日20年入札あるから分からんでもないですが、それにしても20年金利がサガランチ会長化して推移したり、目先の需給なのかMPM前後で大きく動いた人の整理なのか何が何だかパズルみたいな相場ですなあとか思うのでありました。まートルコだ何だというのもヘッドラインでは動くけど結局円の市場に関してはレンジをぶち抜けるでもなくですし、やはり主要国が今示している近い間の金融政策運営に関して、やっぱりそうはならんのではなかろうかみたいなサムシングが加わるまでは、地政学ネタがよほどファンキーなことにならない限り(だいたいからしてトランプって朝鮮半島問題だって明日にでも空爆かますんじゃないか位の勢いでロケットマンだの何だの言っていたのにコロッとアレですから良くも悪くも理想の為に死ぬようなタイプじゃないのでどこかで有耶無耶になるのではないかと勝手に妄想)まーた各市場において(米国債とかもまさに最近円債病が伝染した症状が出ているようですが)ナマコ相場化という感じなんですかねえ、よー知らんけど。
〇ここで唐突にリッチモンド連銀のバーキン総裁講演ネタを投下
リッチモンド連銀といえば前任がラッカー総裁というウホウホタカ派おじさんでしたが、バーキン総裁は今の所特に暴れん坊将軍という感じもないですけど、それは今の環境が利上げ路線になっているからなのかも知れません。
ということで、
https://www.richmondfed.org/press_room/speeches/thomas_i_barkin/2018/barkin_speech_20180808
Unlocking Our Potential
Tom Barkin
Aug. 8, 2018
Tom Barkin President, Federal Reserve Bank of Richmond
Washington Lecture Hall Hotel Roanoke Roanoke, Va.
図表を含む全文はこちら・・・・・と言おうと思ったら図表が無かったです(笑)
https://www.richmondfed.org/-/media/richmondfedorg/press_room/speeches/thomas_i_barkin/barkin_speech_20180808.pdf
Unlocking Our Potential Thomas I. Barkin President, Federal Reserve Bank
of Richmond
Hotel Roanoke, Washington Lecture Hall Roanoke, Virginia August 8, 2018
HTMLの方だと最初にまとめみたいなのがあったり、動画が視聴可能になっていたりで、PDFの方は無くても構わんという感じなので、以下HTML版の方から引用します(まあどっちでも同じですが)。
『Highlights:』ってのを見ますとですな、
『・The economy looks quite strong at present. GDP growth is solid, unemployment
is low, payroll employment is growing quickly and inflation is firming
toward the Fed’s 2 percent target.』
経済物価状況については自信満々。
『・Underlying this growth has been strong consumer and business confidence.
At the same time, consumers and businesses are concerned about the future.』
とは言いましても経済をけん引する起業活動や個人消費に関して、この人たちのコンフィデンス的には先行きを懸念しているというのは事実。
『・Growth is critical to the future, as it creates more room for rates
to rise, improves fiscal health and creates better lives for people in
need. Our growth potential may be low due to slow population and productivity
growth. That creates challenges for monetary policymakers.』
経済成長すると色々と結構なのですが、人口(労働力人口の事でしょう)や生産性の向上ペースが弱いことから、経済の成長力が弱くなってきており、これによって金融政策にも運営上の課題が起きますよ。
『・One strategy for boosting growth might be to target segments of the
population where labor force participation is relatively low. Another strategy
is to invest further in workforce development.』
それ金融政策関係ないやんという話になりますが、成長力強化のために何しないとイカンかという話になって、労働参加率の向上とか、労働者へのスキル向上のための教育などの投資を拡大すべきである、というもはや金融政策ではない話となっておりますな。
・学者出身じゃないのでというお話がマクラに来る
『I came to Richmond after a 30-year career in consulting at McKinsey,
where I served as chief financial officer, chief risk officer and led our
offices in the Southeast. So while I’m new to “economics” in the sense
that I don’t have a Ph.D., I’m not new to the economy. I’ve spent my
professional life helping firms make decisions about hiring, compensation
and prices, and I’ve made a lot of those decisions myself. (I’m also
not new to the Fed; I served on the Atlanta Fed’s board from 2009 to 2014,
including two years as chair.)』
つーことで、
https://www.richmondfed.org/about_us/our_leadership_governance/president
Thomas I. Barkin
こちらにもありますが、バーキン総裁元々マッキンゼーの出身で学位はローで取っている方だったりするので、まあこんなマクラが冒頭の部分に入る訳ですな。前振りな話ですが。
・経済認識は足元自信満々モードですが不確実性の認識に関しては気にしているようですな
お話の最初は『Today』という小見出しで経済物価情勢の認識について。
最初が『GDP Growth』ということで成長見通し。
『In the 1970s, economist Arthur Okun invented the Misery Index, the sum
of the inflation and unemployment rates. At its peak in 1980, the index
was almost 22 percent. Today, it’s about 6 percent. The economy is strong.』
冒頭から悲惨指数(インフレ率+失業率)からお話をおっぱじめるとか割りとユニークに入ってきますな。
『What’s contributing to that? Let’s start with growth. Real GDP grew
at about 2.6 percent last year and topped 4 percent in the second quarter
of this year. Underlying that growth, in my view, is confidence. Small
business optimism is historically high, and the University of Michigan’s
Index of Consumer Sentiment is as high as it’s been since the early 2000s.
We’ve had fiscal stimulus in the form of tax cuts and the omnibus bill.
There’s a sense that we’re in a deregulatory moment. People have jobs,
and the markets are strong. Overall, it’s starting to feel like we’ve
got some tailwinds rather than headwinds.』
説明の方は普通に経済に強気で見ているというお話で、
『That said, I’m with the Fed now, so I have to be cautious. And certainly,
tariff concerns are making people more nervous than they did a few months
ago.』
貿易戦争問題の影響への懸念と、まあオーソドックスに来ます。
『In the Michigan Survey, the number of households that mentioned tariff
concerns has more than doubled since May. In another survey conducted by
the Conference Board, we’re seeing a large gap open up between people’s
perceptions of today and their expectations for tomorrow. We’ve also got
supply chain constraints, geopolitical instability, market volatility and
the potential effects of higher interest rates.』
「market volatility and the potential effects of higher interest rates」とかしらっと入れ込んできておりまして、景気には強気だけど先行きに関しては「we’re
seeing a large gap open up between people’s perceptions of today and their
expectations for tomorrow.」という部分にもあるように、どうも先行きの不確実性への懸念が経済主体の行動にどう影響してくるのかを気にしている感がある。
『At least for now, though, businesses and consumers seem to be looking
through these risks. Many people are forecasting growth in the high 2s,
or even 3 percent, for the remainder of the year.』
したがってその点を指摘しつつも、成長見通しのメイン自体はSEPと同様な感じ。
・労働市場のお賃金が上がらん理由が先進国共通っぽくて味わいがある
次が『Labor Markets』である。
『One reason they’re doing so is the strength of the labor market. The
economy has added an average of more than 200,000 jobs per month since
the start of the year. That’s a very large number; for perspective, the
“breakeven” to keep up with our country’s population growth is around
80,000 - 100,000 jobs per month. Strong job growth has contributed to unemployment
below 4 percent, in the range of our lowest levels since the late 1960s.
At the same time, companies still want to hire - at 4.3 percent, the job
vacancy rate is higher than the unemployment rate and about the highest
it’s been since the Bureau of Labor Statistics started tracking the data
in 2000. Vacancies are especially high in fields such as nursing, skilled
trades and truck driving.』
色々なデータを上げて労働市場が強いと仰せです。
『In short, the labor market is really tight. And we all were taught that
when the labor market is tight, companies raise wages. To date, however,
wage growth has been modest. Why?』
お賃金が上がらないのはなぜでしょう攻撃キタコレ。
『One thing I’ve been hearing is that companies don’t think, from a competitive
standpoint, that they can raise prices or capture enough productivity to
compensate for higher wages. So they’re trying different strategies, such
as outsourcing and offshoring, retraining existing employees or just delaying
filling jobs. Some firms are also expanding their hiring pool; for example,
I spoke with one firm that’s relaxed its view on hiring people with criminal
records. 』
1つには競争が激しいのでお賃金上げにくい。
『In addition, until recently, turnover hadn’t escalated significantly,
perhaps because employees were still experiencing a “hangover” from the
Great Recession that reduced their confidence in switching jobs for a modest
pay increase. This is a trend I’m watching closely, because until turnover
becomes a consistent issue, businesses are unlikely to give the significant
across-the-board wage increases that drive significant moves in overall
wages.』
好況になれば転職して増俸ニキというのがもっとホイホイ出てくるのだがそれがイマイチとな。
『We’re also hearing increasingly about businesses finding innovative
ways to give workers more nonwage compensation - everything from flexible
work hours to culture improvement efforts to one contact who has started
beer cart Fridays. (As an aside, beer cart Fridays are often seen as a
leading negative economic indicator.) Of course, these practices aren’t
all free, but it’s possible employers have found that, at least for now,
such benefits are a less costly way than direct compensation to increase
employee satisfaction and reduce turnover.』
働き方改革じゃないですけど、無給のお休みだのフレックスタイム方式の拡大などの方法を駆使して賃金の支払いを増やさないように色々と工夫しているところが増えているそうな。
・物価はそんなに上がらんよ2%程度で安定するよだそうな
次が『Inflation and Monetary Policy』である。
『Let’s turn to inflation. We’re coming off a fairly long stretch where
inflation ran below the Fed’s 2 percent target. The numbers have firmed
around our target in recent months, but it’s reasonable to ask why we’re
not seeing more inflation, given not only the tightness of the labor market,
but also commodity cost pressure in places like pulp, steel and oil. 』
物価に関しては今後そんなにホイホイと上がっていく訳ではありませんとな。
『Part of the answer, as I mentioned, is that many firms don’t think they
can pass on higher costs to consumers. There are a number of reasons for
this, including the buying power of big-box retailers, the price transparency
provided by the internet and competition from lower-priced imports.』
価格競争が激しいので企業の価格設定がそこほど強気にならん。
『Another factor keeping inflation in check is that people believe the
Fed is going to keep inflation in check. The 1970s taught us that inflation
expectations play a large role in determining future inflation. Currently,
multiple measures of inflation expectations are holding steady in line
with the Fed’s 2 percent target.』
インフレ期待がアンカーされているから、というのは雨人じゃないアタクシからはあそうですか以外の感想はない。
・金融政策ですが
『So now I imagine you’re wondering, is the FOMC going to keep raising
rates? And if yes, how far and how fast?』
キタコレ。
『I’m not going to tell you - and in fact, we don’t know yet, because
it will depend on incoming data. But I can tell you about the underlying
thinking.』
ほうほうそれでそれで??
『The case for further gradual rate increases goes like this: Although
the FOMC has begun raising interest rates, they are not yet back to normal
levels. It is difficult to argue that lower than normal rates are appropriate
when unemployment is low and inflation is effectively at the Fed’s target.』
いやあの分からんとか言われましても・・・・・・・・
『In addition, we don’t want to risk the credibility of our commitment to low and stable inflation.』
ほほう。
『That means when the economy calls for moving back to normal levels, as
do the conditions I just described, we should follow through. Given the
strength of the underlying economy and the recent additional fiscal stimulus,
the risk of normalization is reduced. How high rates will ultimately need
to rise depends on economic growth: The higher the underlying growth prospects,
the higher the policy rate - which brings me to the topic of tomorrow.』
ということで、まあ明言した結論はないのですが、まず財政パッケージキタコレによって利上げに関するリスクは低下している(ので予定通りに利上げできまっせ)ということがあって、最終的にどこまで上げるのかは経済の成長力に依存する、とだけ答えて、その成長力を高める政策が必要ですよという話にもっていって、水準とかに関しては知らんがなというかとぼける、というスタンスでやってきている訳ですな、うんうん。
・しかしまあどこでも最近は「成長力を高める」って話になりますな
でもって後半が『Tomorrow』という小見出しになりまして、
『In my former life as a consultant, it was my job to find opportunities
for improvement. So let me do a bit of that now.』
ということで成長力を高める話のコーナーですが、
『Despite the fairly rosy picture I just painted, I’m concerned about our economy’s ability to keep growing.』
米国の成長力低下を懸念と。
『That’s because the math of growth is pretty simple: We need more people
to work, and/or we need them to be more productive.』
そらそうよ、ということで以下『The Labor Force and Productivity』、『Challenges
for Policymakers』、とありますが、最初の所の箇条書きのまとめに沿っていまして、レーバーフォースを拡大するための方策を取っていきましょうというのと、労働者のスキルアップのためには労働者への教育が重要ですよ、という話を主眼に説明をしているのですが、基本的に特に突拍子の無い話がある訳でもなく、ごくごくオーソドックスな話をしていますので時間の関係上後半は割愛しますが、しかしこの講演って物価が2%行っている部分を外して読むとどこぞの日銀でも話をしだしそうなネタになっているのがニャンともな味わいを感じましたです、はい。
2018/08/17
お題「今更ネタで日銀のドサクサでスルーしていた特に市場インパクトも無かった7月ECB会見から少々/動かん円債市場メモ」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34204650W8A810C1CR0000/
主力の学生、確保に悩み 東京五輪のボランティア
社会2018/8/16 9:30
『組織委は今夏、全国各地の大学で説明会を開くほか、活動を分かりやすく紹介したチラシを30万部配布する。東京都は女優の広瀬すずさんを起用したPR映像を制作。「皆さん、青春のど真ん中に五輪、パラリンピックがやってきます」と呼び掛ける内容で、9月下旬からはテレビCMとして放送する。』(上記URL先より)
そんな宣伝をするお金があるならボランティアじゃなくて普通にアルバイトを雇えばよいのではないでしょうか(棒読み)。てか足代と宿代くらい出せやトンチキ野郎。
〇益々いつものパターンに(市場雑談)
うむ。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1V72IV
2018年8月16日 / 15:12 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が反落で引け、長期金利は0.100%に上昇
『<15:06> 国債先物が反落で引け、長期金利は0.100%に上昇
国債先物中心限月9月限は前日比7銭安の150円33銭と反落して引けた。前日の米債高に加え、朝方は日経平均株価が大幅安でスタートしたことことから買いが先行し、一時150円49銭と8月1日以来約2週ぶりの水準まで買われた。しかし、上値を買い進む動きが見られず、午後に入ると、利益確定売りに押された。現物市場は軟調。午後の取引開始直後に発表された5年債入札結果は、ショートカバー需要などに支えられて無難だったが、利回り低下を追って買い進む動きは見られず、中長期を中心に短期筋の調整売りが出た。10年最長期国債利回り(長期金利)は同1bp高い0.100%に上昇した。』(上記URL先より、以下同様)
つーことでまあそもそもそこまで波乱にならんじゃろという5年の入札でほぼ事前予想通りの結果が出てまあ堅調ですねとなっても上に行かず、と言って別に下をぶっ叩くわけでもないのですけれども、入札でロングが増えた分だけ上値が重くなって、後場終盤にちょっと下がって終了の巻ではあるのですが、結局同じようなところに戻ってくるというのが何かこうウゴカンチの風格を示していますな。
それはそれとして上記ロイターさんの記事の続き。
『短期金融市場で、無担保コール翌日物の加重平均レートはマイナス0.06%台と前日(マイナス0.052%)を下回る見通し。準備預金の新積み期に入り、資金の調達意欲は弱まった。日銀はきょうから、当座預金のうちゼロ金利が適用されるマクロ加算残高算出のための基準比率を変更。これを受けて、マイナス金利が適用される政策金利残高が減少するとみられるが、取引に目立った反応はなかった。ユーロ円3カ月金利先物は動意薄。1年物国庫短期証券(TB)の入札結果はしっかり。』(上記URL先ロイター記事より)
前回の積み期間(7/16-8/15)ではマイナス金利適用残高の平残が23兆3210億円だったというのが業態別当座預金残高の方で出ていましたが(その前の月は25兆1520億円)、こちらは5兆に減らしても特に影響なしというか、最近短国のレートが何気に確りになっていますので、とりあえず短国買入削減をもっとしましょうねということでしょうかね。
ちなみに昨日は
https://jp.reuters.com/article/boj-policy-modification-idJPKBN1L10DD
2018年8月16日 / 14:22 /
インタビュー:日銀は正面から副作用議論を=早川元日銀理事
って奴が別の某ベンダーでロイターインタビューとして紹介されたときに、
『早川氏は、具体的な変動幅が声明文に示されていないことや、年間80兆円めどと明記されている国債買い入れ額が足元で50兆円を下回る水準に減少している事実を踏まえれば、「0.2%は金科玉条ではない。様子を見ながら0.3%や0.4%への上昇を容認することも考えられる」との見方を示した。』(上記URL先より)
という部分をヘッドラインにしたら反応したような気が線でもないというような事案がありましたが、べき論としては誠に仰せの通りなのですが、どうせ今の日銀の体制って(別に今に始まった訳ではないし、日銀だけじゃなくてジャパンの組織の大問題点だと思うのですが)「間違えを認めたら死んでしまう病」の重症患者になっているので、その事実を踏まえたうえで、そうはいっても今回の措置にあるように、「やっちまったなあ」という意識はあると思われますから、そういう場合に日銀はどのような屁理屈を繰り出すことによって「間違えを認めないでしらっと政策を転換することができるのか」という屁理屈のロジック構成シナリオとして考えられるもの、それからそれを繰り出す時間軸を外部環境(政治スケジュールと経済物価の推移)から考えてどういう風になっていくのか、という辺りをぜひとももと中の偉い人におかれましてはシナリオ書いていただけると示唆することが多いのではないかと思われますので宜しくお願い申し上げますm(__)m
〇結局虫干し企画なのだが今更ジローのECBドラギのオッチャン会見から
先月のネタですが何せこの時期は日銀で毎日泡を吹きながらヒャッハーと言ってたもんで(大汗)。
http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2018/html/ecb.is180726.en.html
PRESS CONFERENCE
Mario Draghi, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 26 July 2018
この時の市場の反応は「やっぱり利上げは来年の10月だよね」という話で、その他もろもろも特に変化はなく、だいたい予想通りの無難な内容、という感じでの反応でしたな。と思いつつこちらを確認するとやはりまあそんな感じではあります、で話を終わらせてしまうと駄文のネタになりませんので主にQ&Aの方から。
・と言いつつINTRODUCTORY STATEMENTの経済のアセスメント辺りをば
INTRODUCTORY STATEMENTの4パラと5パラから。
『While uncertainties, notably related to the global trade environment,
remain prominent, the information available since our last monetary policy
meeting indicates that the euro area economy is proceeding along a solid
and broad-based growth path.』
冒頭から「不確実性の最たるものはトランプ」を頂いているので、最初のぶちかましの所でECBは不透明感の強さを感じている、という印象を与えているのですが、そこから続く文章は割と景気に強気だったりする。
『The underlying strength of the economy confirms our confidence that the
sustained convergence of inflation to our aim will continue in the period
ahead and will be maintained even after a gradual winding-down of our net
asset purchases.』
買入のテーパリングしても物価は見通しパスに乗ってくるよ〜とこちらも自信ニキ。
『Nevertheless, significant monetary policy stimulus is still needed to
support the further build-up of domestic price pressures and headline inflation
developments over the medium term. This support will continue to be provided
by the net asset purchases until the end of the year, by the sizeable stock
of acquired assets and the associated reinvestments, and by our enhanced
forward guidance on the key ECB interest rates.』
『In any event, the Governing Council stands ready to adjust all of its
instruments as appropriate to ensure that inflation continues to move towards
the Governing Council’s inflation aim in a sustained manner.』
でも金融緩和はばっちりと必要だし調整が必要な時にはズバッと調整しますぜガハハハハという話はしとる。
『Let me now explain our assessment in greater detail, starting with the
economic analysis. Quarterly real GDP growth moderated to 0.4% in the first
quarter of 2018, following growth of 0.7% in the previous three quarters.
This easing reflects a pull-back from the very high levels of growth in
2017 and is related mainly to weaker impetus from previously very strong
external trade, compounded by an increase in uncertainty and some temporary
and supply-side factors at both the domestic and the global level.』
足元ちと減速しているが昨年の反動の部分と一時的な要因だよ。
『The latest economic indicators and survey results have stabilised and
continue to point to ongoing solid and broad-based economic growth, in
line with the June 2018 Eurosystem staff macroeconomic projections for
the euro area.』
先行きは自信ニキなんですよね。
『Our monetary policy measures, which have facilitated the deleveraging
process, continue to underpin domestic demand. Private consumption is supported
by ongoing employment gains, which, in turn, partly reflect past labour
market reforms, and by growing household wealth. Business investment is
fostered by the favourable financing conditions, rising corporate profitability
and solid demand. Housing investment remains robust. In addition, the broad-based
expansion in global demand is expected to continue, thus providing impetus
to euro area exports.』
経済のコンポーネントに関しても強気の見方を示していて、「経済には強気で物価にも強気」なのだが、物価がそこまでホイホイと上がってこないのでこれ幸いとばかりに緩和スタンスを強調しても(インフレ圧力が無駄に高まることがないので)ウマーという認識になっているのものと思われまして、だいたい質疑もその線で話が進んでいますので質疑から少々。
・償還分の再投資の質問がかなり多いですな
『(前半割愛)The second question is a 'did you discuss' question: did
you discuss your reinvestment policy today and if so, could you give us
any kind of colour about this discussion? What decisions need to be made
and when should we expect a decision on reinvestment policy?』
というのが一発目にあるのですが、今回の会見でアタクシ的に一番目立ったのがこの償還再投資に関する質問で、何人かが色々と聞いておりました。
『Draghi:(前半割愛)On the second question, no, we didn't discuss the reinvestment policy today.』
という質疑応答で収まる訳もなくちょっと先に行きますと・・・・・・・
『(前半割愛)My second question: I know that you mentioned you didn't
discuss reinvestment policies, but could you give us a broad outline on
sort of your red lines where reinvestment policies won't change in the
second phase when the net asset purchases are over?』
ほうほう。
『Draghi:(前半割愛)Now, on the reinvestment, we haven't discussed it.
Certainly, just to make it clear, the capital key remains our anchor in
what we do on reinvestments, just to clear the slate from any doubt. That's
it.』
ということで再投資する際に上限とか比率とかの問題に変化があるのか(あったら各国別構成が変わってしまうという事でしょうな)というのが注目点としてデカいようで、この先にはこんな質問が。
『You mentioned the capital key as an anchor for the reinvestment purchases.
There will be a revision of the capital key; I think next year it's due.』
ほうほうなるほどなるほど。
『You can easily compute something like those countries which have had
more growth in the past, they will have bigger share of the capital then
in the future. What implications would this have for the reinvestments,
or would this affect the reinvestment of bonds then?』
という質問に対しては・・・・・・・・
『Draghi: I'm sorry, we haven't discussed that at all so I can't answer
this question now. We actually haven't discussed anything about reinvestment
policy, but you can have another question if you want.』
とかもう質問するなというスタンスになり、最後になった質問では、
『My first one is also on reinvestment. You stressed several times that
you didn't discuss it today. In June you said that you have to decide on
that in the next couple of months. I guess you would subscribe to the fact
that it's a very important point, so why didn't you discuss it today? Is
the Governing Council not wasting time when it comes to deciding on reinvestments?
Related to that, very general: should we see reinvestment as a pure technical
process, or is it something that could also be used to give monetary -
an additional monetary impulse?(後半割愛) 』
おう向こう数カ月で決めるとかゆうとったやろいい加減に答えろやという質問が飛ぶ中、
『Draghi: I'll answer the second question, because the first question has
a quick answer; we haven't discussed it. We haven't discussed it even when
to discuss it. (後半割愛)』
というのはワロタです。
・フォワードガイダンスは「日付ベース」であるが「条件ベース」でもあるとかしらっとお答えのドラギ先生
あんまりネタになっていなかったと思いますがこれはほほうと思いましたよ。
『You've suggested that interest rates will stay below zero for the next
year or so. How comfortable are you making those kind of predictions or
forecasts so far into the future given inflation is already above target
and you sound relatively confident about the outlook for the economy and
inflation?(後半割愛)』
『Draghi: On the first question, let me stress that our enhanced forward
guidance, which is both date-based and state-contingent, conveys the Governing
Council's expectations that key ECB interest rates, as I said in the Introductory
Statement, will remain, we expect them to remain at their present levels
at least through the summer of 2019 and, in any case, for as long as necessary
to ensure the continued sustained convergence of inflation to levels that
are below but close to 2% over the medium term.』
一文がなげえよと思いましたが、どさくさに紛れて今回のフォワードガイダンスについて「both
date-based and state-contingent」とか言っていまして、まあドラギはそこまでタカ方向に舵を切る意思はなさそうではありますけれども、state-contingentというのを入れているのは、よーするに物価上昇圧力が予想以上になったら日付ベースはああであっても実際には変わるかも知らんからね、という話をしらっとぶち込んでいる訳で、たぶんそれはバイトマンとかタカ派の方々の主張という事になると思うのですが、そうはいってもそこは話をしておかんと、ということなんでしょう。
まあ元々、ここの分にもあるように、ガイダンス文言自体は「the Governing Council's
expectations」であってコミットメントでも何でもないから、そもそもがstate-contingentであり、ただ現時点での予想という意味で言えばdate-basedなものが出てくる、というお話なんですよね。まあ日銀は今回これを参考にしただろうなあというのはよくわかる(というか煙幕張るならこういう方法になるので大体中銀文学者なら誰もが考え付くんじゃないかという事かも)。
『Now, this enhanced forward guidance has been very effective, as broadly
reflected in surveys, market commentary and market prices, in aligning
expectations of the future rate path with the anticipations of the Governing
Council. At this stage we don't see the need to modify or to add new language
to our forward guidance on rates.(後半割愛)』
ということで、今の市場の反応には満足してるってんですから、まあだいたいあまり引き締めマンじゃない(と今の所は見られている)ドラギ先生的には市場の方が「ああ言ってるけど早期利上げあるで」とか言い出されたら困るでしょうからそういうことなのですが、最後の所もガイダンスに対して「At
this stage we don't see the need to modify or to add new language」とか言ってますので、まあ要するにそういうことで、別にコミットメントでも何でもないまさに「今の時点でのガイダンス」という説明をしているのですが、ただそういう風に正面切っていったら当然市場の怪しからん反応が起きますから微妙な言い方をしているということですな。
・この質疑も味わいが(正本は何か問題)
『(前半割愛)Secondly, some people have said there's a little bit too
much ambiguity about the phrase 'through the summer'. The changes to some
of the translations of the monetary policy statement have raised these
issues again. Would you care to clarify just what is meant by 'through
the summer'? Is it at least until the end of the summer when rates are
expected to remain on hold until? Or is it at least until the summer of
next year? 』
ガイダンス文言とかに関して、ECBなので各国版が出ていてバージョンによって微妙にニュアンスが違うようにも取れるんだがどれが正解なのか?という質問。
『Draghi: First of all, I'll address first the second question. Let me
clear: the only version that conveys the policy message is the English
version.』
ですよね。
『We conduct our Governing Council in English and agree on an English text,
so that's what we have to look at.Now, as you've seen, the term structure
of money market rates reflects the - it reflects two things; reflects the
pure expectations of the future path of the policy rates, but reflects
also the uncertainty that surrounds the evolution of the economy. 』
『As I think I said last time, as far as pure expectations are concerned,
they are very well aligned with the anticipation of the Governing Council
that policy rates will remain at their current levels through the summer
of next year. Surveys of market views confirm this very tight alignment.
Then you have the uncertainty component in the term structure; this of
course tends to be more variable and shifts with risk perceptions. What
we see is that this component now may have increased since our June announcement
due to various factors, including the state of the debate on trade.(後半割愛)』
市場金利の話はまあスルーしますが一応引用してみました。
#ということで少々引用という感じで恐縮です(しかも超昔の物件)
2018/08/16
お題「輪番は同額でしたな(メモ)/お盆企画(嘘)の展望レポート鑑賞ファイナル」
市況コメント確認の為にロイターさんみてたんですけどね。
https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPL4N1V6590?il=0
2018年8月16日 / 05:33 /
米国株式市場=下落、S&Pは6月以来の大幅な下げ 貿易懸念などで
ほうほうそうですか、とか思いながら債券の方をチェックしようとこっちを見に行ったわけですよ。
https://jp.reuters.com/investing
マーケット
いつもだとその中の「金利・債券」ってののニュース一覧を見に行くのですが、ふとその下の「ビデオ」ってのが目に入ったのですが、アタクシが今見ている時点での状態なので時間が経つと変わってしまうと思うのですが、
ビデオ
NY株反発、トルコリラ巡る懸念緩和で(14日)
NY株続落、トルコ通貨危機不安で(13日)
NY株下落、トルコ不安で米銀行株下落 (10日)
って実際は動画リンクと題名が横に3つ並んでいるのですが、全部トルコが材料というのはまあその通りではあるのでしょうが、何か笑ってしまいました。
〇輪番は減額しませんでしたかそうですか
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1V62KA
2018年8月15日 / 15:12 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反発で引け、長期金利は0.095%に小幅低下
『<15:08> 国債先物は反発で引け、長期金利は0.095%に小幅低下
国債先物中心限月9月限は前日比10銭高の150円40銭と反発して引けた。前日の米債安を受けた短期筋からの売りが先行したが、下値を売る動きはみられず、売り一巡後は小幅高水準まで買い戻しが入った。日銀は午前、長期・超長期を対象にした国債買い入れを予定通りに通告。長期対象の買い入れ結果が需給引き締まりを映す内容となったことに加えて、日経平均株価が軟調に推移したことから、午後の取引では一時150円41銭まで上げ幅を拡大した。現物市場は底堅く推移。引けにかけて長期ゾーンを中心に押し目買いが観測された。10年最長期国債利回り(長期金利)は同0.5bp低い0.095%と2営業日ぶりに0.1%を割り込んだ。』(上記URL先より)
まあ何ですな、昨日に関してはどうせやんねえと思いましたが輪番オペのオファーが、
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180815.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2018年8月16日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,800 2018年8月16日
国債買入(残存期間25年超) 600 2018年8月16日
と案の定の同額オファーとなりまして、市場機能に配慮して柔軟化するんだったらとっとと減額しろよとは思うものの、まあ根本的には債券市場なんぞ知ったことかというのが黒田日銀のベースにございますので(と思いっきり不信感がある)、まあこんなもんでしょ。というか為替とか株が動くとヤベーという事でしょうから、こういう参加者が少ない時に下手に動くのはリスク有るってことでしょうし、それはまあ分かる。
ということで最大の材料もなくなりまあ動かん動かんと思って、念のため日中チャートを再確認してみますと(今日の取引時間始まると下記リンク先は今日の日中分になるのでご注意くらはい)、
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
長期国債先物(夜間除く) 18年9月限
取引日 2018/08/15
立会区分 日中取引
始値 150.29 (08:45)
高値 150.41 (14:59)
安値 150.27 (08:45)
現在値 150.40 (15:02)
前日比 +0.10 (+0.06%)
取引高 24,056
こちらは日中の価格足が見れるのですが、後場って寄った直後に37銭になって、その後は35銭から37銭というか、
13時45分過ぎくらいからは先物36銭と37銭しかついていない時間が一時間ほど続いて、引け前15分くらいでホイホイ上昇して高値引けした、というような日中足になっておりまして、最後に動いたのですがまあ途中全然動かん相場で、前場が実質30銭〜34銭、後場が最後の15分除きで35銭〜37銭とかでして、この前も申し上げましたが結果論としては臨時輪番が効きすぎたなという所でして、「市場機能を自然な形で復活させたい」というのが日銀の希望なのはよくわかるのですが、ちょっとこれはやってしまいましたなあ感がありますが、まあ今日の5年とかどうせそんなに影響ないでしょうから、来週の20年をちったあ楽しみ(?)に待つしかないっすな。
〇お盆企画(嘘)の展望レポート基本的見解鑑賞関連
要人発言も無ければ相場も動かん(というか毎日の相場ネタがトルコか米中で、日本の金融政策ネタは相場ネタとしてはあっという間に賞味期限が切れてしまったので毎度のネタなし芳一モードに戻ってしまいましたな残念無念)ので虫干し企画でゴメンナチャイ。まあ虫干しばっかりなのも何なんですが、しばらくは改めて見直してみました系が続きそう。
ああそうそう雑談ついでになりますが、カンサスシティ連銀のサイトにありますけど、
https://www.kansascityfed.org/publications/research/escp
Economic Policy Symposium Proceedings
と中々風光明媚なお写真が出てきますが、
『The 2018 Economic Symposium, “Changing Market Structure and Implications
for Monetary Policy,” will take place August 23 - 25, 2018. (The program
will be available at 6 p.m., MT, August 23, 2018).』
ということで、今年のお題は“Changing Market Structure and Implications
for Monetary Policy,”で、何かどういう話になるのかよく分からんですけど、非伝統的政策の積み重ねで市場構造が変わったので、伝統的政策を実施するにも昔とは違う事をしないといけませんよねー的な話をするんでしょうかねえと思うわけでして、「何でグローバルに物価が上がらないのか」とか「雇用と物価の関係は」みたいな重い話ではなくて、そらまあオペレーション運営的には重い話ではあるのですが、政策インプリケーションのあるようなネタは飛んでこないでしょうなあと思わせる物件になっております。
というかこういう中銀フォーラムで直接的に直近の政策運営に関わるインプリケーションとか出すもんでは以前は無くて、バーナンキ(でしたっけ、汗)が講演でぶち上げるとか、直近だったらECBのシントラでやっているフォーラムでドラギがぶち上げるとか、そういう事すると暫く注目会合扱いされるようになるんですが、まあ大体このジャクソンホールの風景を見れば本来はお察し会合の筈なんですけどにゃあ(なおシントラもリゾート地)。
ということで、そもそもあまり話題にならなくなってきてますが、今回のジャクソンホールも割とノーマーク(そもそも主要中銀が目先の政策の方向性をがっつり示しているというのもあると思う)になるんでしょうな)ですの。
#なおよく間違えますように、アタクシは当初マイケルジャクソン(またはジャクソン5)の記念ホールだと思っていました
という雑談はさておきましてお盆企画のまとめで。
経済・物価情勢の展望(2018年7月) 基本的見解
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807a.htm/(HTML版)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807a.pdf(PDF版)
経済・物価情勢の展望(2018年4月) 基本的見解
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1804a.htm/(HTML版)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1804a.pdf(PDF版)
・リスク要因の物価のお話から
まあ元々昨日ネタにしましたように、インフレ期待が2%で定着する為のパスがだいぶナローパスにもほどがあるのですが、それはさておきまして『(2)物価のリスク要因』。
『以上の要因のほか、物価の上振れ、下振れをもたらす固有の要因としては、第1に、企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向が挙げられる。予想物価上昇率は、先行き上昇傾向をたどるとみているが、企業の賃金・価格設定スタンスが積極化してくるまでに予想以上に時間がかかり、現実の物価が弱めの推移を続ける場合には、「適合的な期待形成」を通じて、予想物価上昇率の高まりもさらに遅れるリスクがある。』(今回)
『以上の要因のほか、物価の上振れ、下振れをもたらす固有の要因としては、第1に、企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向が挙げられる。予想物価上昇率は、先行き上昇傾向をたどるとみているが、企業の賃金・価格設定スタンスが積極化してくるまでに時間がかかり、物価が弱めの推移を続ける場合には、予想物価上昇率の高まりが遅れるリスクがある。』(前回)
既に「予想以上に時間が掛かる」というリスク要因が明らかになったので見通しを下げて政策の手直し(メンテナンス)を行った訳ですが、ここから更に予想以上に時間が掛かった場合って政策対応どうするんでしょ。
と言いましても、元々の話だと日銀って実は手の打ちようがなくて、単に「需給ギャップがプラスの状態を長く続ける」しかないのですな。理論上は「コミットメントの強化でフォワードルッキングな期待形成に働きかける」のもあるのですが、それやって悉く空振りなんですから無理無理無理。
『第2に、マクロ的な需給ギャップに対する価格の感応度が低い品目があることが挙げられる。公共料金や家賃などの鈍い動きが、先行きも、長期間にわたって、消費者物価上昇率の高まりを抑制する可能性がある。また、流通形態の変化や規制緩和等によって企業の競争環境が一段と厳しくなる場合には、差別化の難しい財・サービスを中心に、価格押し下げ圧力が予想以上に長く作用する可能性がある。』(今回)
『第2に、マクロ的な需給ギャップに対する価格の感応度が低い品目があることが挙げられる。公共料金や一部のサービス価格、家賃などは依然鈍い動きを続けており、先行きも消費者物価上昇率の高まりを抑制する可能性がある。また、差別化の難しい財・サービスの価格についても、流通形態の変化や規制緩和等によって競争環境が一段と厳しくなる場合には、消費者物価上昇率の高まりを抑制する可能性がある。』(前回)
ドサクサに紛れてこちらにも「公共料金や家賃などの鈍い動きが、先行きも、長期間にわたって」とか長期間に渡ってアガランチ会長の文言をぶち込んできていまして、中々悲しい出来栄えになっております。
『第3に、今後の為替相場の変動や国際商品市況の動向およびその輸入物価や国内価格への波及の状況は、上振れ・下振れ双方の要因となる。』(今回)
『第3に、今後の為替相場の変動や国際商品市況の動向およびその輸入物価や国内価格への波及の状況は、上振れ・下振れ双方の要因となる。』(前回)
ここなんですけど、全く持ってその通りなのですが、追加緩和ネタが乏しい中でうっかり原油が下がってしまったりしたら「原油価格の影響の2次的効果を抑制」とか言いながら追加緩和した時との整合性を問われる事態になるので、その時にどうやって対応するのかというのも中々のみどころ。
・金融政策運営
ということで最後の『4.金融政策運営』になります。
『以上の経済・物価情勢について、「物価安定の目標」のもとで、2つの「柱」による点検を行い、先行きの金融政策運営の考え方を整理する10。』(今回)
『以上の経済・物価情勢について、「物価安定の目標」のもとで、2つの「柱」による点検を行い、先行きの金融政策運営の考え方を整理する8。』(前回)
これはまあどうでも良い。
『まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、消費者物価の前年比は、これまでの想定よりは時間がかかるものの、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(今回)
『まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、消費者物価の前年比は、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。』(前回)
悲しい。
『経済・物価のリスク要因については注意深く点検していく必要があるが、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されていると考えられる。これは、(1)マクロ的な需給ギャップがプラスの状態が続くもとで、企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化してくるとみられること、(2)中長期的な予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移しており、先行き、実際に価格引き上げの動きが拡がるにつれて、徐々に高まると考えられること、が背景である。』(今回)
『企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっている点は注意深く点検していく必要があるが、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されていると考えられる。これは、(1)マクロ的な需給ギャップが着実に改善していくなかで、企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化してくるとみられること、(2)中長期的な予想物価上昇率は、このところ横ばい圏内で推移しており、先行き、実際に価格引き上げの動きが拡がるにつれて、着実に高まると考えられること、が背景である。』(前回)
しらっと(2)の方が自信度を下げているのが残念無念。
『次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて点検すると、経済の見通しについては、2018年度はリスクは概ね上下にバランスしているが、2019年度以降は下振れリスクの方が大きい。物価の見通しについては、中長期的な予想物価上昇率の動向を中心に下振れリスクの方が大きい。』(今回)
『次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて点検すると、経済の見通しについては、2018年度はリスクは概ね上下にバランスしているが、2019年度以降は下振れリスクの方が大きい。物価の見通しについては、中長期的な予想物価上昇率の動向を中心に下振れリスクの方が大きい。』(前回)
こちらは同じ。まあ現状認識と中心的な見通しを下げているんですよね今回は。
『より長期的な視点から金融面の不均衡について点検すると、これまでのところ、資産市場や金融機関行動において過度な期待の強気化を示す動きは観察されていない。また、低金利環境が続くもとで、金融機関収益の下押しが長期化すると、金融仲介が停滞方向に向かうリスクや金融システムが不安定化するリスクがあるが、現時点では、金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどから、そのリスクは大きくないと判断している。』(今回)
『より長期的な視点から金融面の不均衡について点検すると、これまでのところ、資産市場や金融機関行動において過度な期待の強気化を示す動きは観察されていない。また、低金利環境が続くもとで、金融機関収益の下押しが長期化すると、金融仲介が停滞方向に向かうリスクや金融システムが不安定化するリスクがあるが、現時点では、金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどから、そのリスクは大きくないと判断している9。』(前回)
こちらも同じですが、そもそも金融不均衡とか金融仲介機能とかの問題ってのは顕在化したらその時点であばばばばーなので、これって表現的にこうするしかないのかも知れないけれども、本来はこの手のリスクにはフォワードルッキングで対応する(物価は今の状況だったらビハインドで運営しても物価が上昇しにくい構造があるから問題ないという評価で行けると思うけど、金融は別にそういうもんじゃないし、寧ろ大規模金融緩和を継続している中でビハインドで対応していたら気が付けば血の池地獄になっているということですからねえ)という話なので、ここのアセスメントの説明ってのもどうなのかねとは思う。そういう意味では「政策の持続性担保」というのは金融面での不均衡拡大に対してフォワードルッキングで対応しているという面はあるので、そこは評価したいのですけど、この手の文章に中々出てこないというのもどうなのとは思う。
#まあ誰か審議委員に鉄砲玉になってもらってその辺の話をすれば良いと思うんですが
『金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。』(今回)
『金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。』(前回)
オーバーシュート型コミットメントですな、よく見るとこれも2層構造になっています。
『政策金利については、2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。』(今回)
フォワードガイダンスは今回新設。別にカレンダーベースでも何でも無い説は当初から申し上げております通り。
『今後とも、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』(今回)
『今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』(前回)
声明文でもありましたが、「金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに」というのが入っているのが一応「金融不均衡や仲介機能へのリスクへのフォワードルッキングな対応」の心が入っているのかなーと解釈したくもなりますが、まあそれはちょっと希望的観測。
ということで夏休み企画(アタクシが夏休みとは言っていない)の虫干しにも程があって誠に恐縮でした。
2018/08/15
お題「性懲りもなくお盆企画の展望レポート鑑賞会(その3)」
ほほう。
https://mainichi.jp/articles/20180814/k00/00m/010/061000c
安倍首相
講演で「公平な行政」訴え 石破氏を意識
毎日新聞2018年8月13日 19時06分(最終更新 8月13日 22時43分)
ほうほうそうですかそうですか公正な行政ですかそれはそれは。
〇今日は輪番に注目(というかそれしかネタがない)っすかねえ
今週に入って順調に先物の日中値幅が10銭以内モードとなってきてBBでのカレントの出合いも見られなくなってくる俺達の債券市場になっておりますが・・・・・・・・・・
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1V52SS
2018年8月14日 / 15:21
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、超長期・長期ゾーンが軟化
『<15:14> 国債先物は反落、超長期・長期ゾーンが軟化
長期国債先物は反落して引けた。トルコ中銀の流動性供給策発表やアルゼンチンの緊急利上げなどで、トルコ発の新興国不安がいったん和らぎ、リスクオフの流れが一服。前日の海外市場で米債が下落したことに加えて、東京市場でも日経平均株価の上げ幅が前日比400円超となったため、短期筋の売りが優勢になった。もっとも、買い戻す動きもあり、一方的に売られることはなかった。現物債は、先物にほぼ連動した展開となり、超長期・長期ゾーンが軟化した。長期国債先物中心限月9月限の大引けは、前営業日比8銭安の150円30銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比0.5bp上昇の0.100%。』(上記URL先より)
たぶん20年と30年の大引けも入れた方がニュース的な価値が上がると思うのでロイターさんに聞こえるかどうか知らんけど提案してみたい訳ですが、それは兎も角として月曜はエッホエッホと20年だか30年だかが確りしてフラットニングした相場ちゃんだったのに昨日は昨日であっさり30年とか前日の上げをお返ししてしまう下げとかになっておりましたようで、何だよフラットニング攻勢しないのかよつまらんなあ(無責任)とか思いつつも、一応今日の超長期輪番減額を警戒しているちゅうことですかね。
でもって仮に輪番減額した場合(リスクオフモードが一服しているときの方が何故か輪番の減額が入りやすいので)に別にバカスカ金利が上がるという話ではないわけですよね。金融政策の持続性という意味で考えた場合。だいたいからして今回の物価降参によって、緩和政策自体は「2%の達成時期は明示していない、つまりその気になれば10年後、20年後ということも可能だということだ」状態になっている訳でして(正面切っては言わないから変な情報発信になって話が複雑骨折するんですが)、そうなると仮にどこかでマイナス金利撤回とかになったとしても(撤回しないと今の政策の持続性は担保できないと思う)、ベースレートゼロ状態がずーっと続くんですから、そらまあ短期金利の期待を積算していけば本来はフラットニング圧力がががるもので、そこを政策的に輪番やって抑え込んでいる分があるので、それが減るかもということでスティープしたりもするんですが、本来はどうなのよという議論になるんジャマイカと思うの。
まあ大体「マイナス金利導入前の時点」で2016年の1月とか2015年の12月とか、その辺のカーブを何となく意識しながら、そこに時間軸長期化の補正とかを目の子で掛けて考える、というような感じでイメージしている方が多いんジャマイカと思うのですが、この辺をきちんと均衡イールドカーブでも期待仮説+リスクプレミアム+インフレ率的な奴でも何でも良いのですが、本来この辺のカーブにあって、日銀の買入でこの程度抑えられているので、ここの輪番がある程度解放されるとカーブのフェアバリューはこの辺みたいなのを分析してる人っていませんかね(日銀の中ではやってそうな気がする)とか。アタクシが不勉強にもほどがあるので誰かが既にレポートとか書いているのに気が付いていないだけかもしれませんが。
という訳で話が逸れましたが今日は長期超長期の輪番で超長期輪番減額してくるかが注目になるんでしょ。本来は長期の方がバランス的に気持ち悪いので減らしてほしいのですが・・・・・・
〇お盆企画シリーズの展望レポート鑑賞会(その3)
お盆なのでやむなしというか、盛大に動いた2週間半は何だったのかという感じで、3年に1回の祭りが終わったら皆居なくなってしまった限界集落を呆然と見守るおじいちゃん状態ではあります。
経済・物価情勢の展望(2018年7月) 基本的見解
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807a.htm/(HTML版)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807a.pdf(PDF版)
経済・物価情勢の展望(2018年4月) 基本的見解
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1804a.htm/(HTML版)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1804a.pdf(PDF版)
・物価に関する分析の所の続きから
『(i)物価上昇に時間を要している背景7 』に続く引かれ者の小唄第2弾でありますところの、『(ii)物価上昇率が高まるメカニズム
』から参ります。
『このように、複数の要因が複合的に作用してきたことから、物価上昇率の高まりには時間を要しているが、最近では、業種や規模を問わず幅広い企業で、販売価格の引き上げに向けた動きがみられ始めている。また、積極的な設備投資計画からも窺われるように、経済・雇用情勢が持続的に改善するもとで、企業の将来に対する見方も変化しつつあるとみられる。』(今回)
という言い訳を入れつつ、
『先行きを展望すると、景気の拡大基調が続く中で、物価の上昇を遅らせてきた要因の多くは次第に解消していくと考えられる。技術進歩の影響などは先行き強まる可能性もあるが、労働需給が引き締まった状態が続くもとで、賃金上昇率の高まりはより明確化していくとみられる。こうしたもとで、外食などのサービス業で既にみられ始めているように、販売価格への上昇圧力は強まっていくとみられるほか、人手不足を背景とする物流コストの増加は、インターネット通販企業のコスト面での競争力を弱めることを通じて、小売業との競争環境を緩和させる方向に作用することも考えられる。さらに、労働生産性の上昇や非正規雇用者の賃金水準の高まりが、正規雇用者の賃金に波及していけば、家計の値上げ許容度も全体として徐々に高まり、企業による値上げはより受け入れられやすくなるとみられる。また、高齢者の労働参加の高まりを支えてきたいわゆる団塊世代が70歳代に達しつつあることなどを踏まえると、労働参加の高まりが賃金を抑制する効果も緩やかになっていくことが予想される。』(今回)
とまあそういう話になっているのですが、労働生産性の上昇って言ってますけど、やっていることは、前の分析の所でもあったように、サービスレベルを低下させて設定価格を維持するみたいな話になっていて、それでは物価は上がらんじゃろと思うし、最後の部分に関して言えば、年金の支給レベルが将来に渡って削減される方向(最低水準部分は下がらんとは思うけど)になっている上に、年金支給開始年齢を隙あらば引き上げようとしている今の政策の方向性から考えると、高齢者の労働参加って今後よりいっそう高まると思いますし(とか書いていて自分の将来を想像して悲しくなってきたから益々節約しないといけませんな)。
まあそれ以前の問題として今の労働力をもっとこき使おうとか、外国人労働者をいわゆる技能労働じゃない部分も受け入れようとか、オリンピックで徴用もといボランティアこき使おうとかいうような施策ばっかりぶっこんでくる政府が労働者の賃金が恒常的に上昇していくような施策打つわけないじゃないですかヤダー。
・・・・・・という「じっと手を見る」系の雑談はさておきまして、ここからが前回と一応の比較ができるところ。
『このように、消費者物価の上昇を抑制してきた要因が次第に解消し、その前年比が2%に向けて徐々に上昇率を高めていく姿を、一般物価の動向を規定するマクロ的な需給ギャップや中長期的な予想物価上昇率などに基づいて整理すると、以下のとおりとなる。』(今回)
『消費者物価の前年比が2%に向けて上昇率を高めていくメカニズムについて、物価上昇率を規定する主たる要因に基づいて整理すると、』
そういえばここで「一般物価の動向を規定するマクロ的な需給ギャップや中長期的な予想物価上昇率など」とあるので、先般決定会合で物価の話をするのに個別物価の足し算や特殊要因を持ち出すのは馬鹿(意訳)というような意見があったのだなあと思うのですが、まあ実際は分析にありますように「など」が思いっきり効いている、という訳でして、そういう意味で(昨日ネタにした「も」もそうなのですが)、まあ何というかまた妙な文学を入れていますなという感じです。前回は「主たる要因」として需給ギャップ、予想インフレ、(ちょっと張り出しみたいな扱いで)輸入物価、と列挙していたんですよね。
『第1に、労働や設備の稼働状況を表すマクロ的な需給ギャップは、労働需給の着実な引き締まりや資本稼働率の上昇を背景に、プラス幅を拡大している。先行きについても、わが国経済が緩やかな拡大を続けるもとで、マクロ的な需給ギャップは2018年度にプラス幅をさらに拡大し、2019年度から2020年度についても比較的大幅なプラスで推移するとみられる。このように、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態が続くもとで、企業の賃金・価格設定スタンスが積極化し、家計の値上げ許容度が高まっていけば、実際に価格引き上げの動きが拡がっていくと考えられる。』(今回)
『第1に、労働や設備の稼働状況を表すマクロ的な需給ギャップは、労働需給の着実な引き締まりや資本稼働率の上昇を背景に、着実にプラス幅を拡大している。先行きについても、わが国経済が緩やかな拡大を続けるもとで、マクロ的な需給ギャップは2018年度にプラス幅をさらに拡大し、2019年度から2020年度についても比較的大幅なプラスで推移するとみられる。』(前回)
成長率自体は2019年度から2020年度にかけて潜在成長率並みで推移するし、設備投資とかが出てきているから強いですグヘヘヘヘという話をしている割にはこっちは「比較的大幅なプラス」なのね。むしろ今回の政策決定での説明を是とすると、あまり大幅な需給ギャッププラスの状態を継続するんじゃなくて、需給ギャップが適度にプラスの状態を長めに続けていくことによって、徐々に適合的期待形成が引きあがっていってインフレ期待をアンカーさせる、というアプローチになってきたような説明になっていると思うので、大幅な需給ギャッププラスの状態を継続させるのって安定的に達成することに反しないかと思うんだが。「物価安定目標2%」って理念的に言ったら需給ギャップがゼロの状態の時のインフレ率が2%って話なんだが。
まあここの需給ギャップの話はよくよく聞かないと(単にアタクシの頭が悪いだけだと思うので別に日銀に教えてもらう程の話ではないと思うけど)何か微妙に妙な感じがするんですよね。
『第2に、中長期的な予想物価上昇率は、足もとは横ばい圏内で推移しているが、先行きについては、上昇傾向をたどり、2%に向けて次第に収斂していくとみられる。この理由としては、まず、「適合的な期待形成」9の面では、先ほど述べたように、実際に価格引き上げの動きが拡がっていけば、これが、現実の物価上昇率の伸びを通じて、予想物価上昇率を押し上げていくと期待される。また、「フォワードルッキングな期待形成」の面では、日本銀行が「物価安定の目標」の実現に強くコミットし金融緩和を推進していくことが、予想物価上昇率を2%に向けて押し上げていく力になると考えられる。』(今回)
『第2に、中長期的な予想物価上昇率は、2015年夏以降、弱含みの局面が続いていたが、最近は横ばい圏内で推移している。先行きについては、上昇傾向をたどり、2%程度に向けて次第に収斂していくとみられる。この理由としては、(1)「適合的な期待形成」7の面では、マクロ的な需給ギャップが改善していくなかで、企業の賃金・価格設定スタンスも次第に積極化し、現実の物価上昇率も着実に伸びを高めると考えられること、(2)「フォワードルッキングな期待形成」の面では、日本銀行が「物価安定の目標」の実現に強くコミットし金融緩和を推進していくことが挙げられる。』(前回)
言っていることの基本は同じなのだが、前提条件として「実際に価格引き上げの動きが拡がっていけば」とか出ているのが実に物悲しいというか友蔵心の俳句というか何というか。
『第3に、輸入物価についてみると、最近の原油価格の上昇は、2018年度の消費者物価の押し上げ要因として作用するが、その影響は緩やかに減衰していくと予想される。』(今回)
『第3に、輸入物価についてみると、最近の原油価格の上昇は、2018年度の消費者物価の押し上げ要因として作用するが、その影響は緩やかに減衰していくと予想される。』(前回)
これは同じ。
・今回は物価の見通しの最後にさらにおまけが
『この間、先ほど指摘したように、最近になって顕著となっている女性・高齢者の労働参加の高まりや、企業の生産性向上によるコスト上昇圧力の吸収に向けた取り組みの強化は、短期的には賃金や物価の上昇圧力を弱める方向に作用するとみられるが、より長い目でみれば、上昇圧力を高める方向に作用していくと予想される。』(今回)
何じゃこの言い訳はという奴が続きますが。
『すなわち、こうした動きは、労働人口の減少といった構造的な問題を軽減し、日本経済全体の生産性を高め、成長力強化に繋がる可能性がある。人口減少などを理由に期待成長率を低めにみる企業経営者も少なくないだけに、経済全体の成長力が高まっていけば、企業の支出行動が積極化していくことが期待できる。』(今回)
えーっとですね、だったら最初の「2年程度を念頭にできるだけ早期に」というのは何だったのかと小一時間黒田総裁様に問い詰めたい(その時の決定者は黒田さんしか残っていませんからねえ)。これって「物価上昇が遅れていてもそれは全てが悪い訳ではなくて、場合によってはこのように中長期的には良いこともある」って思いっきり言っている訳で、まあそれはどう見ても仰せの通りですが、「短期間に達成する」と息巻いていた置物リフレ理論の皆さんはこの部分を見て何で憤死しなんでしょうかね。
『また、日本経済の成長力の高まりとともに、自然利子率が上昇すれば、日本銀行による金融緩和の効果も高まっていくと考えられる。』(今回)
この部分とYCCでの理屈の整合性はどうなっているんでしょ(YCC入れた後からこの文章が入っているから意味があるはずなんだが)とは思う。
・リスク要因に「トランプ」を入れましたな(ただしトランプとは書いていない^^)
『3.経済・物価のリスク要因』に参ります。『(1)経済のリスク要因』
『上記の中心的な経済の見通しに対する上振れないし下振れの可能性(リスク要因)としては、以下の4点がある。』(今回)
『上記の中心的な経済の見通しに対する上振れないし下振れの可能性(リスク要因)としては、以下の4点がある。』(前回)
『第1に、海外経済の動向である。具体的には、米国のマクロ政策運営やそれが国際金融市場に及ぼす影響、保護主義的な動きの帰趨とその影響、それらも含めた新興国・資源国経済の動向、英国のEU離脱交渉の展開やその影響、地政学的リスクなどが考えられる。』(今回)
『第1に、海外経済の動向である。具体的には、米国の経済政策運営やそれが国際金融市場に及ぼす影響、新興国・資源国経済の動向、英国のEU離脱交渉の展開やその影響、地政学的リスクなどが考えられる。』(前回)
「保護主義的な動きの帰趨とその影響」とトランプリスクを綺麗に言い換えています。あと今回「マクロ政策運営」と言葉が変わっているのはなんでじゃろ。まあこの辺をゴリゴリ突っ込んでも特に何か深い意味はないと思うけど。
『第2は、2019年10月に予定される消費税率引き上げの影響である。駆け込み需要とその反動や実質所得減少の影響は、消費者マインドや雇用・所得環境、物価の動向によって変化し得る。』(今回)
『第2は、2019年10月に予定される消費税率引き上げの影響である。駆け込み需要とその反動や実質所得減少の影響は、消費者マインドや雇用・所得環境、物価の動向によって変化し得る。』(前回)
でもって今回声明文にまで登場しましたが、しかしながらよくよく考えてみればこの前5%→8%に上げたばっかりなので、「直近に実例があるのに影響が不透明」ってナンジャラホイ感は強くて、ただの言い訳にしているだろうと小一時間問い詰めたい。
『第3に、企業や家計の中長期的な成長期待は、少子高齢化など中長期的な課題への取組みや労働市場をはじめとする規制・制度改革の動向に加え、企業のイノベーション、雇用・所得環境などによって、上下双方向に変化する可能性がある。』(今回)
『第3に、企業や家計の中長期的な成長期待は、少子高齢化など中長期的な課題への取組みや労働市場をはじめとする規制・制度改革の動向に加え、企業のイノベーション、雇用・所得環境などによって、上下双方向に変化する可能性がある。』(前回)
『第4に、財政の中長期的な持続可能性に対する信認が低下する場合、人々の将来不安の強まりやそれに伴う長期金利の上昇などを通じて、経済の下振れにつながる惧れがある。一方、財政再建の道筋に対する信認が高まり、将来不安が軽減されれば、経済が上振れる可能性もある。』(今回)
『第4に、財政の中長期的な持続可能性に対する信認が低下する場合、人々の将来不安の強まりやそれに伴う長期金利の上昇などを通じて、経済の下振れにつながる惧れがある。一方、財政再建の道筋に対する信認が高まり、将来不安が軽減されれば、経済が上振れる可能性もある。』(前回)
ここは同じです。なお財政再建の道筋への信頼よりも年金制度の信認が高まった方がいやなんでもないです。
・・・・・・ということで、お盆シリーズだけに本当は今日で終了するつもりだったのですが、下準備不足と微妙な出遅れのため、リスク要因物価編と金融政策運営の所を残してしまいましたすいませんすいません。
#7月のみはお盆時期があるから良いですが、やはり他の時は土日祝日にやっていかないと無理がありますな展望レポート鑑賞は
2018/08/14
お題「本日もお盆企画で展望レポート基本的見解鑑賞会(その2)で勘弁してちょ」
おじちゃん頭が悪いのでさっぱりわからんのだが。
https://jp.reuters.com/article/lila-halts-downward-spiral-idJPKBN1KY23F
2018年8月14日 / 04:30
トルコリラ、中銀流動性供給策などで一時下落に歯止め 売り圧力なお存在
『エルドアン大統領の金融政策などへの影響が主な懸念要因となり、トルコリラは年初から対ドルで40%を超えて下落。前週10日には最大18%下落し、トルコへのエクスポージャー懸念から欧米の株式市場でも売りが広がった。
アナリストは、景気の過熱、および2ケタ台に載せているインフレ率の引き下げに向けトルコが利上げを実施していないことがこうしたことの背景にあるとし、こうした危機的な状況が発生する下地はかなり前から存在していたと指摘している。』(上記URL先より)
という状況で自国通貨の流動性供給を強化して何で通貨防衛策とみなされるのかさっぱり理解できないんですが(むしろインフレ拡大じゃろ)誰か教えてジェネラル!!
〇ということで20年カレント0.6割れとな(メモ)
うむ。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1V42IM
2018年8月13日 / 15:14
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が続伸で引け、長期金利は約2週ぶりの0.095%
『 <15:10> 国債先物が続伸で引け、長期金利は約2週ぶりの0.095%
国債先物中心限月9月限は前営業日比11銭高の150円38銭と続伸して引けた。前週末の海外市場でトルコ経済への懸念などを背景にしたリスク回避姿勢が強まり、安全資産とされる米債が上昇したことを受けて短期筋の買いが先行した。東京市場でも円高や株安が進んだことから、一時150円39銭まで上げ幅を広げた。現物市場は長期・超長期ゾーンを中心に堅調。同ゾーンに一部国内勢とみられる買いを観測。10年最長期国債利回り(長期金利)は同0.5bp低い0.095%と8月1日以来、約2週間ぶりに0.1%を割り込んだ。一方、16日に5年債入札を控えている中期ゾーンは上値が重かった。持ち高を中期から超長期に入れ替える動きも出ていた。』(上記URL先より)
最後の「持ち高を」云々ってホンマカイナとは思いますが、まあとりあえず昨日は20年カレントの付値が0.590%(2毛強)とかになっておりまして、先物ちゃんは引けで11銭高なんでここもと先物ちゃんの踏みという感じでしたが昨日は華麗にブルフラットとなりまして、とりあえず日銀長期金利上昇容認でヒャッハーと叩いていた方々が踏み上げられていますなあという風情なんですかね、よー知らんけど。
でまあこうなって来ますと金利だけ見ると明日の輪番絶好の減らし時ではあるのですが、大体毎度おなじみのごとくリスクオフムードで金利が下がってくると輪番を減らしてこないというのがこれまでの日銀の仕様になっていまして、とりあえず市場の注目はリスクオフの方なんだし、日銀発の為替動向じゃないんだから輪番減らせば良いじゃんとかアタクシなんぞは外野で勝手に思うのですけれども、どうも輪番減らして円高が進むのを非常に気にしているようで、こういう時に輪番減らさないもんだからリスクオフ金利低下の勢いつけちゃって後から反動が来るというのの繰り返しをやっているようにも思える訳でして、1月みたいにてめえが輪番減らしたのが材料にされて円高になった時はしゃーないと思うけど、そうでもないんだったら輪番減らせば良いじゃんどうせ方向性として政策を長続きさせたいんだったらオーバーシュート型コミットメントに反しない程度に輪番バンバン減らしておけばと存じますし、今般の政策調整(というか何というか)前後であれだけ国債買入を追加でしないと収まりが着かなかったわけですから、経済物価情勢が好転したときの金利上昇圧力に対して国債買入増加しないといけない事考えたら今輪番減らさないで何時減らすのよ?とは思うけど、たぶんリスクオフ円高なので輪番減らせないに100エルドアン。
〇お盆企画で(嘘)今般の展望レポート基本的見解を今更熟読(その2)
経済・物価情勢の展望(2018年7月) 基本的見解
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807a.htm/(HTML版)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807a.pdf(PDF版)
経済・物価情勢の展望(2018年4月) 基本的見解
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1804a.htm/(HTML版)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1804a.pdf(PDF版)
まあトルコがどうしたとか言われましても知見は無いのでそういう話は出てくるニュースをほうほうと見ていくしか無いので(大汗)、昨日の続きで勘弁。
・現状認識の所は声明文比較でもやりましたので何ですがまあ念のため
『1.わが国の経済・物価の現状』は6月声明文と比較する方が現状認識比較としては適切かもしれませんが、それはこの前の声明文鑑賞の時にやったので今回は展望レポート4月との比較で。
『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。』(今回)
『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。』(前回)
同じと。
『海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善基調を維持するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。この間、住宅投資は横ばい圏内で推移している。公共投資も高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。』(今回)
『海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善基調を維持するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。住宅投資は弱含んで推移している。この間、公共投資は高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。』(前回)
住宅投資以外同じとな。
『わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、0%台後半となっている。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。』(今回)
『わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、1%程度となっている。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。』(前回)
物価の現状の所が違いますがまあこれは事実の部分なので、ということで全然認識が変わっていないのでした。
・景気の認識が変わらんのに物価が下がるのでこの後言い訳が出る訳ですが
次の『2.わが国の経済・物価の中心的な見通し』の『(1)経済の中心的な見通し』である。
『先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。2018年度についてみると、国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。』(今回)
『先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。2018年度についてみると、国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。』(前回)
これまた同じ。
『すなわち、設備投資は、緩和的な金融環境のもとで、景気拡大に沿った能力増強投資、オリンピック関連投資、人手不足に対応した省力化投資を中心に、増加を続けると予想される。個人消費も、雇用・所得環境の改善が続くもとで、緩やかな増加傾向をたどるとみられる。公共投資は、2017年度補正予算やオリンピック関連需要もあって高めの水準を維持すると予想している。輸出についても、海外経済の着実な成長を背景に、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。こうしたもとで、2018年度は、潜在成長率3を上回る成長を続けると見込まれる。』(今回)
『すなわち、設備投資は、緩和的な金融環境のもとで、景気拡大に沿った能力増強投資、オリンピック関連投資、人手不足に対応した省力化投資を中心に、増加を続けると予想される。個人消費も、雇用・所得環境の改善が続くもとで、緩やかな増加傾向をたどるとみられる。公共投資は、既往の経済対策による押し上げ効果が緩やかに減衰するものの、2017年度補正予算やオリンピック関連需要もあって高めの水準を維持すると予想している。輸出についても、海外経済の着実な成長を背景に、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。こうしたもとで、2018年度は、潜在成長率3を上回る成長を続けると見込まれる。』(前回)
前回との違いは公共投資の「既往の経済対策による押し上げ効果が緩やかに減衰するものの」が抜けているだけですし、こちらも主文は同じなので結局のところ同じ。
『2019年度と2020年度については、内需の減速を背景に成長ペースは鈍化するものの、外需にも支えられて、景気の拡大基調が続くと見込まれる。』(今回)
『2019年度と2020年度については、内需の減速を背景に成長ペースは鈍化するものの、外需に支えられて、景気の拡大基調が続くと見込まれる。』(前回)
こちらが鏡(概要)にもありました謎の「も」追加。じゃあ外需以外ってナンジャラホイと思われますが、その説明はこの先を読んでも前回と文言が同じなので何だか分からないのですが、外需じゃなかったら内需でしょうし、昨日も申し上げたように不確実性の所に消費増税云々を入れているだけに外需がドライバーと言ってしまうと声明文との整合性が妙なことになる(整合性が取れないとまでは言わないけど)ので入れたんでしょうなあ。
『すなわち、個人消費は、2019年10月に予定されている消費税率の引き上げの影響4から一時的に減少に転じるなど、2019年度、2020年度ともに緩やかな増加ペースにとどまると予想される。もっとも、海外経済の着実な成長を背景に、輸出は増加基調を維持すると見込まれる。この間、設備投資は、景気拡大局面の長期化による資本ストックの積み上がりやオリンピック関連需要の一巡などから、2020年度にかけて増勢が徐々に鈍化していくとみられるが、輸出の増加を起点とした投資需要の高まりもあって、増勢鈍化のペースは緩やかなものになると予想される。』(今回)
『すなわち、個人消費は、2019年10月に予定されている消費税率の引き上げの影響4から一時的に減少に転じるなど、2019年度、2020年度ともに緩やかな増加ペースにとどまると予想される。もっとも、海外経済の着実な成長を背景に、輸出は増加基調を維持すると見込まれる。この間、設備投資は、景気拡大局面の長期化による資本ストックの積み上がりやオリンピック関連需要の一巡などから、2020年度にかけて増勢が徐々に鈍化していくとみられるが、輸出の増加を起点とした投資需要の高まりもあって、増勢鈍化のペースは緩やかなものになると予想される。』(前回)
まるで文言一致なのに何故「も」が入ったのかと小一時間。
『なお、今回の成長率の見通しを従来の見通しと比べると、概ね不変である。』(今回)
『2019年度までの成長率の見通しを従来の見通しと比べると、海外経済の上振れなどを背景に、幾分上振れている。』(前回)
・自然利子がどうしたという話が何故か中心的な見通しから外れて別の所に行っている件について
この続きですけどね。
『こうした見通しの背景となる金融環境についてみると、日本銀行が「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を推進するもとで、短期・長期の実質金利は見通し期間を通じてマイナス圏で推移すると想定している5。また、金融機関の積極的な貸出スタンスや社債・CPの良好な発行環境が維持され、企業や家計の活動を金融面から支えると考えられる。このようにきわめて緩和的な金融環境が維持されると予想される。』(今回)
『こうした見通しの背景となる金融環境についてみると、日本銀行が「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を推進するもとで、短期・長期の実質金利は見通し期間を通じてマイナス圏で推移すると想定している5。また、金融機関の積極的な貸出スタンスや社債・CPの良好な発行環境が維持され、企業や家計の活動を金融面から支えると考えられる。このようにきわめて緩和的な金融環境が維持されると予想される。』(前回)
これもまた全文一致。
『この間、潜在成長率については、政府による規制・制度改革などの成長戦略の推進や、そのもとでの女性や高齢者による労働参加の高まり、企業による生産性向上に向けた取り組みなどが続く中で、見通し期間を通じて緩やかな上昇傾向をたどるとみられる。』(今回)
『この間、潜在成長率については、政府による規制・制度改革などの成長戦略の推進や、そのもとでの女性や高齢者による労働参加の高まり、企業による生産性向上に向けた取り組みなどが続くもとで、見通し期間を通じて緩やかな上昇傾向をたどるとみられる。それに伴い、自然利子率も上昇し、金融緩和の効果を高めると考えられる。』(前回)
ということで、今回「それに伴い、自然利子率も上昇し、金融緩和の効果を高めると考えられる。」というのが中心的な見通しから脱落していまして、じゃあこれがどこにあるかと言いますと、次の『(2)物価の中心的な見通し』の物価が上がらん言い訳コーナーと今後上がるであろうメカニズムの説明という願望丸出しのコーナーがあるのですけれども、そこの最後の最後にワープしているのですよね。つまり、『(ii)物価上昇率が高まるメカニズム
』の最後の部分が、
『この間、先ほど指摘したように、最近になって顕著となっている女性・高齢者の労働参加の高まりや、企業の生産性向上によるコスト上昇圧力の吸収に向けた取り組みの強化は、短期的には賃金や物価の上昇圧力を弱める方向に作用するとみられるが、より長い目でみれば、上昇圧力を高める方向に作用していくと予想される。すなわち、こうした動きは、労働人口の減少といった構造的な問題を軽減し、日本経済全体の生産性を高め、成長力強化に繋がる可能性がある。人口減少などを理由に期待成長率を低めにみる企業経営者も少なくないだけに、経済全体の成長力が高まっていけば、企業の支出行動が積極化していくことが期待できる。また、日本経済の成長力の高まりとともに、自然利子率が上昇すれば、日本銀行による金融緩和の効果も高まっていくと考えられる。』(今回展望レポート本文8ページ)
という話になっていまして、従来は中心的な見方、すなわち見通し期間中に潜在成長率が上がっていく中で自然利子率も低下して金融緩和効果が高まるとなっていたのですが、今回はメインシナリオではなくて先行き願望コーナーの方に移動になっていますので、これはすなわち見通し期間中の話ではないかも知れない、としらっと腰が砕けているというのを示していますので、つまりは時間が掛かりますよというアッピールだったりするんでしょうな。
あと話は別なんですけど、毎度の決まり文句「それに伴い、自然利子率も上昇し、金融緩和の効果を高めると考えられる」というのもホンマカイナという理屈で、総括的検証を踏まえたYCC政策においては、金融緩和度合いに関しては「適切な度合い」を維持することによって金融緩和効果が最大限に高まる(=足りないのはいかんがやり過ぎると副作用とのバランスがおかしくなる)、という理屈、つまり概念的に言えば均衡イールドカーブがあって、それに対してイールドカーブの各年限において適切な金融緩和度合いを達成するためにYCCをやっているのですから、自然利子率が上昇したら適切な金融緩和度合いを維持するためにYCCで誘導する金利を引き上げないといけないのですから、この言い方ってよくよく考えたら妙なのですが、これYCC導入後の2016年10月の展望レポートから使われている表現で(それまでは「潜在成長率については、見通し期間を通じて緩やかな上昇傾向をたどり、中長期的にみた成長ペースを押し上げていくと考えられる。」だった)、今更気が付くなよとか言われそうなのですが、この理屈がイマイチよくワカランチ会長ではある。まあどうでも良いのかも知れんが。
・物価の見通しが盛大に低下
次が『(2)物価の中心的な見通し』である。
『わが国の物価は、マクロ的な需給ギャップが需要超過となるもと、前年比プラスの状況が続いている。もっとも、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると、企業の慎重な賃金・価格設定スタンスなどを背景に、なお弱めの動きを続けている。こうした中、中長期的な予想物価上昇率は横ばい圏内となっており、その高まりが後ずれしている。』(今回)
『消費者物価の前年比は徐々にプラス幅を拡大しているが、エネルギー価格の影響を除くと0%台半ばにとどまっており、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると、なお弱めの動きが続いている。』(前回)
言い訳が増えています。でもって前回はこの直後に物価がイマイチの背景がちょろっとあったのですが、今回は残念ですという説明が延々と続くので先にこっちが来る。
『先行きの物価を展望すると、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態が続くもとで、企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化し、中長期的な予想物価上昇率も徐々に高まってくるとみられる。この結果、消費者物価の前年比は、これまでの想定よりは時間がかかるものの、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。なお、今回の物価の見通しを従来の見通しと比べると、下振れている6。』(今回)
『先行きの物価を展望すると、消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。』(前回)
「これまでの想定よりは時間がかかるものの」、「徐々に」とかもうドンドン残念な見通しに。まあ数値が数値ですからにゃ。
・言い訳コーナー:物価が上がらん背景
今回のは長いから前回の方をまず見まして、
『この背景としては、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が企業や家計に根強く残っていることが影響している。企業は、人手不足に見合った賃金上昇をパート等にとどめる一方で、省力化投資の拡大やビジネス・プロセスの見直しにより、賃金コストの上昇を吸収しようとしている。このように、労働需給の着実な引き締まりや高水準の企業収益に比べ、企業の賃金・価格設定スタンスはなお慎重なものにとどまっている。もっとも、パート時給がはっきりとした上昇基調を続けているほか、仕入価格の上昇などもあって、企業のコスト面からみた価格上昇圧力は高まっている。』(前回)
今回は堂々の『(i)物価上昇に時間を要している背景7 』となっているのはご案内の通り。
『2013年4月の「量的・質的金融緩和」導入以降、わが国の経済・雇用情勢は大きく好転し、マクロ的な需給ギャップも、はっきりと改善した。こうしたもとで、エネルギー価格の影響を除いた物価上昇率はプラス圏での推移が定着しており、わが国は、「物価が持続的に下落する」という意味でのデフレではなくなった。』(今回、以下暫くは今回展望レポートより)
何つーかさ、まあQQE自体が政治的な大人の事情があるから体面上成果を強調しないと反省もできないというのは分かるんですけど、分析の際に政治的な大人の事情を入れてこういうのを入れてしまうと政策の効果に関して素直な分析ができなくなると思うので本当はこういうの一々エクスキューズ入れない方が良いと思うし、今現在の人たちはこういう政治事情を斟酌して読むから別に実害無いけど、後世の人たちがこう言うのを読むときに、政治的とか忖度的なサムシングによって効果を強調するようなまとめ方しちゃうと政策の効果を読み誤ってしまうので、つまりは身を張って行った政策の教訓が残らない(寧ろ変な教訓になってしまう)と思うし、フィードバックループによって政策が進化していくというプロセスを放棄しているというか、戦訓を次に生かさないで同じ失敗を繰り返すというか、まあそういう極めてジャパン的なことになってくると思うのよね、いやマジで。
『もっとも、経済・雇用情勢の改善に比べて、物価や予想物価上昇率の改善ペースは、緩慢なものにとどまっている。この背景には、基本的に、長期にわたる低成長やデフレの経験があると考えられる8。』
『1990年代後半の金融危機やその後の世界金融危機を含む厳しい調整局面を経て、企業の慎重な賃金・価格設定スタンスや値上げに対する家計の慎重な見方、言い換えれば、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が経済に組み込まれ、その転換に時間を要している。加えて、非製造業を中心に生産性を引き上げる余地が大きいことや、デジタル化といった近年の技術進歩などは、経済が拡大する中にあっても、企業が値上げに慎重なスタンスを維持することを可能にし、分野によっては競争環境を厳しくしている面もあるとみられる。』
いまさら何を仰せで、というかそれ麿の時に言ってたじゃん。
『このように、低成長やデフレの経験が生産性向上余地の大きさなどと相俟って、わが国では、物価のマクロ的な需給ギャップへの感応度が高まりにくく、適合的な期待形成の力が強い予想物価上昇率も上がりにくい状況が、想定以上の期間にわたって、続いていると考えられる。こうした物価や予想物価上昇率が上がりにくくなっている要因を、家計や企業の行動面から整理すると、以下のとおりとなる。』
期待に直接働きかける政策とは何だったのかと小一時間。
『第1に、企業の賃金設定スタンスがなお慎重であり、本格的な賃金上昇の実現に時間がかかっている。パート時給ははっきりとした上昇基調を続けている一方、正規雇用者の所定内給与は伸び悩んでいる。これには、低成長下での雇用調整の経験もあり、正規雇用者が賃金引き上げより雇用の安定を優先する傾向が根強いことも影響している。企業側も、中長期的な成長期待が十分に高まらないこともあって、賃金の引き上げにはなお慎重である。さらに、最近になって女性や高齢者の労働参加が一段と高まっていることは、家計全体の所得増加に繋がる一方、賃金そのものに対しては、弾力的な労働供給を通じて、上昇ペースを緩める方向に作用している。これらは、マクロ的な需給ギャップが改善しても賃金が上昇しにくい要因となっているほか、予想物価上昇率が高まりにくい一因ともなっている。』
『第2に、家計の値上げに対する許容度が明確には高まっていない。本格的な賃金上昇の実現に時間がかかっていることに加え、先行きの経済成長や社会保障制度に関する慎重な見方が根強いことも、値上げ許容度の高まりの遅れにつながっている面があると考えられる。』
『第3に、仕入価格が上昇し、賃金コストが緩やかながら着実に増加しているもとでも、企業の価格設定スタンスはなお慎重である。家計の値上げに対する許容度が明確に高まらない中、デフレ下での価格競争の経験もあって、マクロ的な需給ギャップが改善するもとでも、値上げによる顧客離れを警戒する企業はなお少なくない。こうしたもとで、企業は、省力化投資の拡大やビジネス・プロセスの見直しなど、コスト上昇圧力の吸収に向けた取り組みを強化している。非製造業を中心に生産性を引き上げる余地が大きいことや、近年のデジタル技術の進歩が、企業のこうした取り組みを可能にしている面もあるとみられる。』
『第4に、競争環境が厳しさを増していることに伴う価格押し下げ圧力が、いくつかの分野で働いている。例えば、携帯電話関連で断続的な値下げがみられているほか、スーパーなどでは、インターネット通販の拡大等を背景に、慎重な価格設定スタンスが続いている。これらは、一般的には、特定部門に固有のショックであり、その影響は長期的には減衰していく性質のものと考えられる。ただし、最近では、デジタル技術の進歩もあって、こうした動きが幅広い分野で継続的に発生しており、消費者の根強い低価格志向や適合的な期待形成メカニズムと相俟って、長期にわたり一般物価の押し下げ圧力として働いているとみられる。』
これって結局のところ背景にあるのは家計の賃金が上がらんことと、それに付随して恒常的な所得上昇期待が起きていないことにあるのですからして、賃金が恒常的に上がるようなシステムを作ることに尽きるんじゃないでしょうかと思うんですが、ちょっと賃金に上昇圧力が掛かるとすぐにそれを抑制するような政策ばっかり打ち出してくるのは何なんでしょ。
しかしこちらでも「一般的には、特定部門に固有のショックであり、その影響は長期的には減衰していく性質のものと考えられる。ただし、最近では、デジタル技術の進歩もあって、こうした動きが幅広い分野で継続的に発生しており、消費者の根強い低価格志向や適合的な期待形成メカニズムと相俟って、長期にわたり一般物価の押し下げ圧力として働いているとみられる。」って思いっきり個別物価の足し算に関して幅広い分野で継続的に発生してるから長期にわたり一般物価の押し下げ圧力になるって話をしているのに、先般の金融政策決定会合主な意見の中で「個別物価の足し算で考えるのは馬鹿(意訳)」という意見を出しているどこの誰かは存じませんが政策委員の誰かさんは豆腐の角に頭をぶつけて以下自粛。
『このほか、以上とはやや性質を異にするが、消費者物価指数において相応のウエイトを持つ公共料金や家賃などが鈍い動きを続けていることも、物価の上がりにくさに影響していると考えられる。』
ということで、中途半端で恐縮ですが時間配分間違えてここで時間切れになってしまったので相場ちゃんで何事も無ければ(海外リスクオフに関してはミーはよくわからないザマスなのでメモだけして華麗にスルーの方向で勘弁)以下明日に続くでござるの巻(すいませんすいません)。
2018/08/13
お題「夏休みシリーズ(夏休みとは言っていない)で展望レポート基本的見解比較鑑賞会(その1)」
なんつうかさ、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180807/k10011568231000.html
えっ!サマータイム?
2018年8月7日 20時16分 東京五輪・パラ
とか言って良識派ぶっちゃってるけどお前らついこの前、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180807/k10011567031000.html
NHK世論調査 死刑制度は存続58% 廃止7%
2018年8月7日 5時53分
『東京オリンピック・パラリンピックの暑さ対策として夏に生活時間を早める「サマータイム」の導入に「賛成」が51%、「反対」が12%、「どちらともいえない」が29%でした。』(上記URL先より)
って弊害について何の説明もしないで世論調査取って圧倒的賛成を出して安倍ちゃんや森元爺さんの背中を押しておいて、いざ動き出してから「問題点を指摘」とかただのアリバイ野郎にも程がある訳で、「こんな問題点があるんです」って先にちゃんと報道しろやこの太鼓持ち(しかもそのあと良識派の振りをするから更に質が悪いというか卑怯者というか)以外の感想が起きないんですけど。
〇何か先物が踏み上げっぽくお戻りのようですが(メモ)
毎度ロイターさんで誠に恐れ入ります。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1V12MI
2018年8月10日 / 15:16 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅反発、長期金利は0.100%に低下
『[東京 10日 ロイター] -
<15:10> 国債先物は大幅反発、長期金利は0.100%に低下
長期国債先物は大幅反発して引けた。前日の米債高を受けて買いが先行。日銀オペが無難な結果に収まると上昇幅を拡大、株安も買いを誘い一時150円30銭まで買われた。2018年4─6月期の実質国内総生産(GDP)は前期比プラス0.5%、年率換算でプラス1.9%となり、市場予想を上回ったが、相場への影響は限られた。
現物債市場では、超長期ゾーンが強含みで推移した後、終盤にかけて戻り売りがやや優勢になった。長期ゾーンは先物高を受けてしっかりだったが、節目の0.1%を下回る展開にはならなかった。りそなホールディングス・チーフストラテジストの梶田伸介氏は、長期金利について「今は0.1%程度で落ち着いているが、いずれ0.2%を試すことになるだろう。タイミングは米長期金利が再び上昇する時とみている。ファンダメンタルズに基づいた金利上昇であれば、日銀も無理に金利を抑え込まないのではないか」とみている。長期国債先物中心限月9月限の大引けは、前営業日比20銭高の150円27銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比1bp低下の0.100%。』(上記URL先より)
とまあそういうことで、昨日は中期超長期の輪番でしたが無事(?)輪番の減額もございませんで、一段と堅調になってオペ結果もよろしゅおすえという事でブルフラットしそうになるのですが、フラット仕掛かると超長期の叩き料理が出るちゅうのは何でじゃろと思ったりもしますが、まあどうもここもと「現物強くなってきたと思うと叩きが入る(ただし相場を下げるほどではない)」というのがあって、結局先物ばっかり踏みあがったような感じで終了するの図となっているように見えるのですがそういう理解でよいんでしたっけ???
まあ今月の場合はあと入札の大物は来週の20年だと思う(5年は額は多いのですがちょっと)のですけれども、この20年がどうせ165回で出てくるのでしょうが、ショートが溜まっている銘柄となりまして、ショート銘柄の入札といえば今月頭の10年を思い出す訳で、来週火曜まで何がどうなるか分からないですけれども、変に超長期踏み上げ入札とかやるとまーた怪我人が出るのではないかとその辺を心配しつつも、来週の事なので知らんがな(というか予測不能)とゆー所ではあります。
まあ何ですな、水曜の輪番で(本当に減額した方が良いと思うのは発行と買入のバランスから考えたらどこからどう見ても長期ですけれども10年ターゲットなので下手に減額できない)超長期の輪番減額してくるかどうか位しか今週は相場の見どころもなさそうですので(除く海外要因だがもとより海外ってあんまり関係ないからなあ〜)すけど、市場機能回復というのを考えているんだったら、とりあえずは超長期のところ、あと地味に短国の買入も減らして(最終的にはゼロまで)行くのは後々の政策を考えてみてもやっておいた方が良い方向性だと思うんですけどね(ただしこの後々の政策というのはアタクシの願望というかべき論での話な)。
という備忘メモでした。
〇展望レポート基本的見解を比較するでござるの巻シリーズ(その1)
HTML版マジ便利。
経済・物価情勢の展望(2018年7月) 基本的見解
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807a.htm/(HTML版)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807a.pdf(PDF版)
経済・物価情勢の展望(2018年4月) 基本的見解
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1804a.htm/(HTML版)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1804a.pdf(PDF版)
夏休みヒマネタ企画という訳ではありませんが(−_−)展望レポート基本的見解をこの期に及んで比較確認しましょうという企画でござる。
#別に満を持してネタを取っていた積りではないのだが相場が動くわ臨時オペやるわで振り回されました
・鏡に現れる謎の「も」について
最初の『概要』が鏡って奴ですな。箇条書きの最初の所から。最初が経済見通し。
『日本経済の先行きを展望すると、2018年度は海外経済が着実な成長を続けるもとで、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、潜在成長率を上回る成長を続けるとみられる。』(今回)
『日本経済の先行きを展望すると、2018年度は海外経済が着実な成長を続けるもとで、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、潜在成長率を上回る成長を続けるとみられる。』(前回)
2018年度の見通しは同じ。
『2019年度から2020年度にかけては、設備投資の循環的な減速や消費税率引き上げの影響を背景に、成長ペースは鈍化するものの、外需にも支えられて、景気の拡大基調が続くと見込まれる2。』(今回)
『2019年度から2020年度にかけては、設備投資の循環的な減速や消費税率引き上げの影響を背景に、成長ペースは鈍化するものの、外需に支えられて、景気の拡大基調が続くと見込まれる2。』(前回)
2019年度から2020年度に関しては従来は「外需に」でしたが今回から「外需にも」となっておりまして、この「も」とは何ぞやという話ですけれども、いわゆる一つの困った時に使う「等」みたいな奴かしらと1つには思う所ですが、他に想定できるのが、今回声明文のフォワードガイダンスの中に「2019年10月に予定されている消費増税の影響」というのを不透明要因の例に入れているんですが、前回の見通しのままだと、「そもそも2019年度から2020年度に関しては外需が成長ドライバーになっているという成長見通しになっているのに、何で消費増税が不確実性の代表みたいな形で入れるんでしょうか重要なのは海外じゃないですか」というツッコミを受けることを想定して、「も」というのを入れて、外需だけではなくて国内要因も成長のドライバーとして働くので、その国内要因に影響を与える消費増税の影響というのは大きな不確実要因になるんですよー、という説明をできるように「海外だけではなく国内も」というニュアンスを読み取れるような「も」をぶっこんできたのでは無かろうかと愚考。
・物価は言い訳シリーズ
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラスで推移しているが、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると、弱めの動きが続いている。これに伴って、中長期的な予想物価上昇率の高まりも後ずれしている。』(今回)
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっていることなどを背景に、エネルギー価格の影響を除いてみると、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べて、弱めの動きが続いている。』(前回)
政策運営的な屁理屈(やってることがジンバブエ先生も気が付レベルのくロジック崩壊なので政策ロジックとは言わずに屁理屈と言います)からしますと、上記のこの状況ってどこからどう見ても今までの説明だと「モメンタムが弱まっている」としか申し上げようがないですが、まあそこまでは言わないで、かつこれだと手ぶらで帰るわけにもいかないから、ってな話なので今回ゴテゴテと政策いじったのですけれども、別に降参するなら次回の展望レポートで降参してもよかったと思うのですが、今回降参した理由については正直言って未だによくわからん。どうせ降参しないと持たないからどこかで降参というのは読み筋にあったけど、今回慌てて降参した理由を強いて考えれば、賃金と新年度入りの価格改定が弱い→企業のインフレ期待がまるでアガランチ会長→パトラッシュもう疲れたよほらそこにルーベンスの絵が(以下略)、という事なんですかねえ。めげるの早かった気がするけど。
『経済・雇用情勢の改善に比べて、物価上昇率の高まりに時間を要している背景には、長期にわたる低成長やデフレの経験などから、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が根強く残っていることがある。こうしたもとで、企業の慎重な賃金・価格設定スタンスや家計の値上げに対する慎重な見方が、明確に転換するには至っておらず、分野によっては競争激化による価格押し下げ圧力が強い。企業の生産性向上余地の大きさや近年の技術進歩などが、それらに影響している面もある。』(今回)
これは言い訳コーナーのサマリーですが、この辺の話って全部麿総裁が仰っていたことではないでしょうか・・・・・・・
・高圧経済アプローチとの関連(再掲みたいなもんなので恐縮至極)
『もっとも、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態が続くもとで、企業の賃金・価格設定スタンスが次第に積極化し、家計の値上げ許容度が高まっていけば、実際に価格引き上げの動きが拡がり、中長期的な予想物価上昇率も徐々に高まるとみられる。この結果、消費者物価の前年比は、これまでの想定よりは時間がかかるものの、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(今回)
『もっとも、マクロ的な需給ギャップが改善を続けるもとで、企業の賃金・価格設定スタンスが次第に積極化し、中長期的な予想物価上昇率も高まるとみられる。この結果、消費者物価の前年比は、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。』(前回)
今回の物価見通しに関しては(声明文でも同じ記述になっているので再掲みたいになって恐縮至極ですがここはポイントになりうると思うので見るたびに申し上げますが)、先行きの所が、「需給ギャップが改善を続けるもとで」→「需給ギャップがプラスの状態が続くもとで」、となっているのは、これはまあ心を籠めているのか籠めていないのかによって評価は分かれるのですが、もしこの表現変化に「心が籠っている」としますと、一応「できるだけ早期に達成」という看板は表面上一応残してはいるのですが、QQE導入当初のような「経済をバンバン吹かしてインフレ期待を気合でシフトアップして2%早期達成だぜヒャッハー」というアプローチが、途中のYCCでトーンを変えたとは言え引き続き高圧経済アプローチっぽいのは残っていたのに対して今回の文言変更で「無理に経済を吹かして物価をガツンと上昇させるのではない漸進的なアプローチ」ということで、それこそ佐藤さんや木内さんの言ってた「フォーキャストベースのターゲット」「中長期的アプローチ」になっている訳ですな。
そうなるとどうなっていくかといえば、元々強引にヒャッハーという政策の残滓があちこちにあるのが現状の政策な訳ですが、これを徐々にマイルドにしていく(別に緩和を止める訳ではない)というアプローチが是なのであって、追加緩和とか通常だったらあり得んですし、金利ターゲットだってあれ2019年10月という言葉に思いっきり何とかストの皆さん乗っかって超強力緩和で政策見直し無しとか言っている人多いけど、政策をマイルドにしていくという基本線をここで示しているのですし、大体からしてあの文言は「当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。」が主文ですので、引っくり返そうと思えば簡単にひっくり返る代物で、今すぐに引っくり返すわけではないでしょうけれども、消費増税の影響を見極めるには2020年前半(キリッ)とか言ってそこまで信用するのは(今までさんざん梯子外しをしてきた日銀を簡単に信用するのかねという文脈から)ナイーブにも程があるわと思いますが。
・鏡の残りになります
『従来の見通しと比べると、成長率は概ね不変、物価については下振れている。』(今回)
『2019年度までの見通しを従来の見通しと比べると、成長率については、幾分上振れている。物価については、概ね不変である。』(前回)
ご案内の通り。
『リスクバランスをみると、経済については、2018年度はリスクは概ね上下にバランスしているが、2019年度以降は下振れリスクの方が大きい。物価については、下振れリスクの方が大きい。物価面では、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されているが、なお力強さに欠けており、引き続き注意深く点検していく必要がある。』(今回)
『リスクバランスをみると、経済については、2018年度はリスクは概ね上下にバランスしているが、2019年度以降は下振れリスクの方が大きい。物価については、下振れリスクの方が大きい。物価面では、マクロ的な需給ギャップが改善を続け、中長期的な予想物価上昇率も次第に高まるとみられるもとで、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されているが、なお力強さに欠けており、引き続き注意深く点検していく必要がある。』(前回)
物価についてもご案内の通り。
・金融政策運営に関してが鏡から抜けていますががががが
いやまあ字数の関係でこれを入れると鏡が1枚紙にならない、というのは分かるのですが、脚注を次のページの脚注にしちゃえば1枚紙になると思いますけど、何故か今回は金融政策運営に関しては本文金融政策運営の話、つまり第一の柱、第二の柱の点検の後にある本文最終部分のところの記述だけになっております。
『金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。』(今回・該当箇所は本文10ページになります)
『金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。』(前回)
ここまでは一緒、つまりオーバーシュート型コミットメントは残っているのですが、最近はこれも声明文の項番5には乗っかっていますが、最初のYCCぶっこんだときには「強力なコミットメント(キリッ)」っていう物件になっていたのに鏡から外れるとはずいぶんとぞんざいな扱いじゃあーりませんか強力なコミットメントなんだったらちゃんと最初の皆さんが真っ先に見る鏡に入れておかないといけないんじゃないですかー(棒読み)という風情でございまして、まあYCC導入したときに鳴り物入りで入れておいてほとぼりが冷めたらこの程度の扱いにしている、という辺り、今度ぶち込んだフォワードガイダンスの将来の姿を想像できるのではないでしょうか、などと煽り成分がだいぶ混入していますが、そんなことを言ってみますがどうっすか皆さん。
『政策金利については、2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。』(今回・該当箇所は本文10ページになります)
これはそのフォワードガイダンス。
『今後とも、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』(今回・該当箇所は本文10ページになります)
『今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』(前回)
でもってこちらも既に話題になっているのでご案内の通りですが、今回はしらっと「金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに」というのが入っていまして、元々この「リスクの点検」は毎回やっている話なので、入れるまでもなく当たり前のことなのですが、この文言を殊更にぶち込んでくる時点でまあお察しという奴ですわな、という事でもあるのですが、今回もしかしたら金融政策の部分を鏡からしらっと外しているのは(次回は入れてくると思いますけれども)、声明文の項番5も同様にこの文言が入っているので声明文の方で気が付かれるっちゃあ気が付かれるのですが、あれは今回政策決定だのなんだのがあってクソ長くなっているので最後の所まで一見してたどりつきにくいのですが、展望レポートの鏡は分量が同じなので目立つかな、とか邪推したのですが邪推ですかそうですか。
#ということで基本的見解本文は何も相場がなければ明日以降に続きます(大汗)
2018/08/10
お題「30年国債入札でもウゴカンチ会長とな/遅くなりまして今更ですが6月会合議事要旨(ほぼ俺様備忘録ですな)」
ほほう。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-evans-idJPKBN1KU2I8
August 9, 2018 / 8:36 PM
米経済は好調、最大で年内あと2回の利上げ妥当=シカゴ連銀総裁
『インフレは2%に向け上昇しており、同水準近辺で推移すると予想する十分な根拠がある」とし、一部当局者が懸念するように低下に転じたり、FRBが一段と速いペースでの利上げを余儀なくされるほど加速することはないとの認識を示した。
さらに、失業率は低水準にとどまり、国内総生産(GDP)伸び率は少なくとも来年まで2.5─3%になるとの見通しを示した。
「経済は非常に良好な局面にあり、金融政策決定にとっても非常に良い時期だ」とした。』(上記URL先より)
以前はハト派最右翼(なおブラードという極右がいるのですが極右過ぎて外れ値おじさんになってしまっており、常識的見解の中ではエバンスでしょという感じ)でしたが、基本的にFEDのハト派って「物価重視派が上がらん物価を見てハト派になっている」という類のお方が多いので、まあ物価がこんな感じになってくるとこうなるわな、とは思いますが、どうせ9月利上げでしょとか思っている上に日本の方が急に動いたのでちょっと最近米国をスルー気味でいかんですな(大汗)。
〇30年国債入札でしたが俺たちの債券市場は安定のクオリティ
・30年国債入札という割とイベントなイベントでウゴカンチ会長キタコレ(俺様備忘録)
ロイターさんのネットのサイトを見たら見方が悪いのか大引け前の記事しか取れなかったのでこいつで勘弁。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1V02H6
2018年8月9日 / 14:48
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は前日終値付近、金利先高観が残り買い手控え
『 <14:39> 国債先物は前日終値付近、金利先高観が残り買い手控え
国債先物は小動き。中心限月9月限は前日終値(150円10銭)付近で推移している。事前に警戒感があった30年債入札結果が順調となったことで、結果発表直後はいったん買い戻しが入ったが、上値を買い進む動きは見られず、伸び悩んでいる。市場では「日銀が10年金利変動幅について0プラスマイナス20bp程度への拡大を打ち出して以来、金利先高観が意識されている。10年金利は現行水準(0.110%付近)からの低下余地は小さいとの見方が浮上。30年債は水準感からいったん買いが入ったが、局面変化にはなりにくい」(国内金融機関)との声が出ている。』(上記URL先より)
きのうは30年国債入札だった訳ですが、前日まで超長期の後ろの方を中心に弱くて、先物とか10年とかはサガランチ会長化というかウゴカンチ会長化する中においてヘロヘロ相場になっておった訳ですが、昨日はのっけから20年カレント前日比強とかでおっぱじまって(ただし20年165は業者のショートが深いと思うので微妙な値動きになる点留保が入りますけど)おりまして、何だ今日は入札がコケてゲロゲロマーライオンとかにはならんのかと思っておりましたが。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20180809.htm
6. 価格競争入札について
(1)応募額 2兆7,437億円
(2)募入決定額 5,864億円
(3)募入最低価格 96円35銭(募入最高利回り)(0.853%)
(4)募入最低価格における案分比率 73.4502%
(5)募入平均価格 96円41銭(募入平均利回り)(0.850%)
市場の事前予想とか言われていた足切り水準よりやや強くて、平均は6銭上だからまあ堅調な入札ということで、落札結果発表後に先物買われてみたり超長期ゾーン確りしてみたりはしたものの、強くなった側から戻り待ちの売りでも出るのか単に叩いているだけなのか知らんですけど、結局そこから伸び切らずということで、大イベントの30年国債入札が強めなんだけどそこからまるで盛り上がらないという安定のウゴカンチ債券市場にさっくりと戻ってしまうまの巻と
なるこの相場よ。
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_daytime
長期国債先物 18年9月限 08/09
寄付:150.11 (08:45)
高値:150.14 (12:39)
安値:150.06 (10:33)
終値:150.07 (15:02)
前日比:-0.03 売買高:24,606
ということで先物ちゃんは値幅8銭と順調にウゴカンチになってきましたし(大体からして日中足の方を見ればわかりますが、高値の14銭って30年入札結果を受けてちょっと超長期が強くなった時に勢いでつけた髭みたいな高値でほとんど滞留していないし、安値も前場につけてますがほとんど滞留していませんで、実質値幅は7銭〜12銭の5銭幅)、30年入札でこれですと次のイベントは20年入札で、まあこいつの場合は20年165回債のショートがたまっていると思われるので、それなりにぶれる入札にはなると思われますが何せ再来週のイベントですのでこれはいけませんな。
・本日は超長期輪番ですが・・・・・・・・・
本日の予定だと中期と超長期の輪番となっていまして、入札翌日の輪番で果敢に減額してくるか??と言いますとまあそもそも2日に10年臨時輪番をぶち込んできただけに、ここで超長期輪番を減らすとお前は金利を下げたいのか上げたいのか分からんと小一時間問い詰められる展開が予想されますので、まーこんなところで勝負はしてこないでしょうとは思うのですけれども、結果的にみたら2日の臨時輪番がやたら効果を発揮しまして、せっかく動くようになった相場がまーたウゴカンチ会長になってしまうという事になっちゃいましたので、ボラ万歳という発想からはおうとっとと超長期輪番減額しろやゴルァと言いたいのですが、
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180731i.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について
MPMと同時に出したこやつで各年限のレンジをいじらない、という事をしやがっているので、超長期25年超の買入ってレンジが『500〜1,500
程度』のままになっていて、現在600億円なので減額余地が100億円しかないという割と役立たず状態。まあ10−25の方も『1,500〜2,500
程度』のままにしてやがるので300億円しか減額余地がないので、割とこうつかえねーなー状態ではあるのですが、「長期は臨時輪番」「超長期は減額」とかになりますと、先般の雨宮副総裁の京都金懇での会見にありました、
『最短期物と 10 年物という 2 つのピボットを前提として、どのような金利形成が行
われるかは、基本的にはマーケットにお任せするものだと思っていますので、
もっと大きくなるべきだとか、あるいはこうあるべきだという判断を事前にしているわけではありません。』(8/2雨宮副総裁京都金懇記者会見より)
という話に割とマッチしたオペレーションになるのですけれども、というのは単にウゴカンチ相場だとつまらんというのと、緩和長期化から超長期フラットするとつまらんという願望成分が大幅に入っているように思えますのでまあ勝手な願望ではありますが(汗)、そんな形になると円債市場の中の人的には美しいという話になりますが、まあ緩和っぽいプレゼンをして政策ぶっこんだ舌の根も乾かぬうちに(しかも臨時輪番入れちゃったし)輪番減額したら円債市場以外の人たちが「支離滅裂な思考・発言」と思ってしまうでしょうから(華麗にスルーされると良いのですがそうもいかんでしょ)、まあほとぼり冷めるまで輪番減らしにくいでしょうなあとは思う。
ただ流れとしては上記の雨宮さんの発言にあるように、超長期の価格形成は基本市場にゆだねるという方向性は示されているとは思うんですけど、例によって時間のかかる話だったりなんでしょうな。
#しかし臨時輪番効きすぎでしたなあ、結果から見たら・・・・・・・・・
〇いまさらですが6月会合議事要旨
政策をいじった(というよりも今回って本来はオペレーション運営の話での手直し+ガイダンスなので政策変更ではないのですがまあそれは兎も角として)後になると基本的に証文の出し遅れな議事要旨になってしまう、というのが実に残念無念なのですが、日銀法上議事要旨が政策委員会・金融政策決定会合の議決事項になってしまっているので致しかない。
議事要旨を承認するためだけ(政策は現状維持で経済物価のアセスメントは行わない)の政策委員会・金融政策決定会合(だから会見無し)みたいなのをする(通常の政策委員会の時についでに実施)のはさすがにイカサマ度が高杉晋作でダメでしょうなあ・・・・・・・・・・・
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2018/g180615.pdf
政策委員会 金融政策決定会合 議事要旨
(2018年6月14、15日開催分)
表紙に『本議事要旨は、日本銀行法第 20 条 第1項に定める「議事の概要を記載した書類」として、2018
年7月 30、31 日開催の政策委員会・金融政策決定会合で承認されたものである
。』とある通りで。
・お賃金お願いだから上がってちょというのは把握した
『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』から少々ということで国内経済の雇用の所から。
『雇用・所得環境について、委員は、労働需給は着実な引き締まりを続けており、雇用者所得もこのところ伸びを高めているとの認識を共有した。何人かの委員は、失業率が
2.5%程度の低い水準で定着する中、正社員の有効求人倍率が過去最高を更新するなど、労働市場は一段とタイト化していると指摘した。』
ほうほうそうですかところでアタクシのいや何でもありません(手を見ながら)。
『ある委員は、失業率がここまで低下しているにもかかわらず、物価が弱めの動きを続けていることや、人手不足を補う形で労働市場に参入する人が増えていることを踏まえると、わが国の構造失業率は、2%前後である可能性があるとの見方を示した。』
まあそうかも知れませんね。というか労働市場に潜在的な参入者が控えているということは実力ベースの失業率がまだ高いという話になるんかね。まあどちらがどうとかいうほどの意味はなくて要は賃金が上がりにくいという結果から見ていく話でしょうな。
『何人かの委員は、労働需給の引き締まりが続く中、非正規雇用者の賃金がはっきりと上昇し続けていることは、明るい材料であると指摘した。そのうえで、一人の委員は、こうした動きが、正規雇用者の賃金に波及してきてもおかしくないが、今年の春闘をみても、
ベースアップ率は昨年を若干上回る程度にとどまるなど、賃金上昇ペースの緩慢さはなかなか変わらないと述べた。別のある委員は、現状、賃金水準が低い産業や職種で人手不足が深刻化している一方、賃金水準の高い分野では相対的に人手が余剰傾向にあることが、賃金上昇圧力を全体として抑制している可能性があるとの見方を示した。』
まあそうなんでしょうな。
『先行きの雇用者所得について、委員は、労働需給の着実な引き締まりが 続き、企業収益も改善するもとで、着実に増加を続けるとの見方を共有した。』
『ある委員は、家計の消費活動を刺激するためには、労働生産性の引き上げにより、物価上昇率を上回る賃上げを実現していくことが重要であり、「働き方改革」の影響についても、そうした観点からみていく必要があると述べた。』
とは言いましても何かこう賃金が上がりそうになると外国人単純労働者受け入れだの残業放題法案だのというような使用者寄りの施策が飛び出すのは何なんでしょうかね。
まあこの辺の話が7月会合での賃金が上がりにくいので物価が上がりにくいというまとめに繋がっている伏線ですよと。
・物価の議論パートがクソ長い件について
『物価面について、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、 このところ伸び率が幾分縮小しており、0%台後半のプラスとなって
いるほか、消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比も、企業の価格引き上げの動きが限定的であることなどから、0%台前半のプラスにとどまっているとの見方で一致した。』
からの議論パートがやたら長くて、4月会合では14行1段落だったのが6月会合時点でこんなに議論していましたよというアピールキタコレで、51行4段落になっているんですな、先に出してくれよという感じっすけど(無理だけど)。
『新年度入り後、消費者物価が伸び悩んでいることについて、何人かの委員は、春先までの円高や振れの大きい一部品目の下落といった短期的な要因が影響しているほか、消費者の低価格志向などを背景に、小売業を取り巻く競争環境が激しさを増していることが、年度替わりの価格改定の動きを鈍
らせた可能性があると指摘した。』
『また、何人かの委員は、やや長い目 でみると、賃金や物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が
企業や家計に根強く残っていることも、物価が弱めの動きを続けている 要因として、引き続き影響しているとの見方を示した。ある委員は、賃
金より雇用を優先する労使間の交渉スタイルや、顧客離れを警戒した 企業の慎重な価格設定スタンス、さらには公共料金の設定方針など、
長期にわたる低成長やデフレの経験によって醸成されたある種の社会的モードが、物価上昇を抑える方向に作用していると述べた。』
ノルムじゃなくてモードと来ましたか、という話はさておき、年度替わりで価格テーブルが碌すっぽ変わらなかった為にガックシとなっているのがよく伝わって参りますが、もっとその話を事前にアピって頂ければ7月20日の時事通信砲までノーマークという事は無かったんですよねえ。
『もっとも、これらの委員を含む多くの委員は、マクロ的な需給ギャップの改善は、引き続き、賃金・物価の上昇圧力として作用しているとの認識を示した。何人かの委員は、サービス業を中心に、企業が賃金コストの上昇等を販売価格に反映させる動きもみられており、外食や宅配などの価格は、前年比プラス幅が着実に拡大していると付け加えた。』
これも展望レポートで示されていたお話。
『この間、ある委員は、過去の景気後退のもとで定着した非効率なビジネス・モデルの見直しなどが、経済の供給面の拡大に繋がっており、
これが、短期的には、需要増に伴う物価上昇圧力を緩和する方向に作用していると述べた。』
「非効率なビジネス・モデル」ってエライ言われようですが、サービスの過剰品質ってやつですな、おもてなしおもてなし。
『先行きについて、大方の委員は、消費者物価の前年比は、マクロ的 な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを
背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めてい くとの見方を共有した。』
あっそう。
『そのうえで、このうちの一人の委員は、労働市場の逼迫感は増しているものの、企業は慎重な賃金・価格設定スタンスを崩していないことから、「物価安定の目標」の達成にはなお時間がかかるとの認識を示した。』
キタコレ。
『別のある委員は、人件費に加え、原材料価格や宅配便、貨物輸送の価格など、企業のコスト面からみた価格上昇圧力は揃って上昇している一方、これを吸収するための生産性引き上げ余力は次第に小さくなっていることから、いずれ、コスト上昇分が企業の販売価格に反映されてくるとの見通しを述べた。』
人件費は雇用者所得に跳ねるから良いけど他はただのコストプッシュインフレで誰も得しない奴じゃないですかやだー。
『この間、予想物価上昇率の動きについて、委員は、横ばい圏内で推 移しているとの認識を共有した。ある委員は、物価が足もとやや伸び
悩んでいることについては、一時的な要因も相応に影響しているため、 今後、伸び率は回復していくと見込んでいるが、わが国の場合、実際の物価上昇率が低下すると、それに応じて予想物価上昇率も低下する傾向があることから、引き続き十分注意してみていくことが必要であると指摘した。』
アカン。
『こうした議論を経て、何人かの委員は、最近の賃金・物価の弱さの 背景や、これが予想物価上昇率に及ぼす影響などについて、今一度し
っかりと分析していく必要があるとの認識を示した。また、何人かの 委員は、次回7月の金融政策決定会合において、「展望レポート」を
取りまとめるにあたっては、こうした物価の見通しと、背後にあるメ カニズムやリスク評価などを詳しく議論し、その内容を丁寧に説明していくことが重要であると述べた。
』
なんだちゃんと出てるじゃん。(主な意見でもそういうの入れている人はいましたけど)
・これが先に出ていたらノーマークにはならなかったですよね・・・・・・・・
『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』
まあ既にご案内の通りだと思いますが、俺様備忘録なので引用しておきます。途中から。
『続いて、委員は、金融政策の基本的な運営スタンスについて議論を 行った。大方の委員は、2%の「物価安定の目標」の実現までにはな
お距離があることを踏まえると、「物価安定の目標」に向けたモメン タムをしっかりと維持するために、現在の金融市場調節方針のもとで、
強力な金融緩和を粘り強く進めていくことが適切であるとの認識を 共有した。』
『一人の委員は、「物価安定の目標」の実現に資するため、 現在の金融政策の運営方針を継続し、経済の好循環を息長く支えてい
くべきであると述べた。また、ある委員は、2%に向けたモメンタム は維持されているとはいえ、2%の実現までには相応の時間を要すると見込まれることから、その効果と副作用の双方を丁寧に点検しなが
ら、持続可能な形で強力な金融緩和を息長く続けていくことが必要で あると指摘した。』
『別のある委員は、最近の物価の伸び悩みは、単純な 需要不足だけが理由であるとは考え難いことから、短期間で需要を無理に押し上げるような政策は必ずしも適当ではないと述べた。そのう
えで、この委員は、現在の緩和的な金融環境を粘り強く維持することが重要であり、そのためには、経済・金融環境に深刻な歪みが生じることがないよう注意しながら、持続性に十分配慮した政策運営を行うべきであるとの見解を示した。』
「短期間で需要を無理に押し上げるような政策は必ずしも適当ではない」も主な意見にありましたが、この人政策調整の話を思いっきりしてるじゃないですかー。
『この間、一人の委員は、物価上昇率が 伸び悩む中、わが国の金融システムや海外経済の先行きを考えると、
追加緩和の実施により、できるだけ早期に物価安定の目標を達成する ことの重要性が高まっていると述べた。』
これは片岡さん。いやまあ追加緩和して物価がちゃっちゃと上がって今の政策が出口に向かえるならそれが一番いいんですけど、どこからどうみてもこれまでの経緯を考えたらなる訳ないから苦労しているんですけど、そこを覆す理論が無いと何を言ってもただの座学の議論(筋は通っているけど)。
『こうした議論を踏まえ、多くの委員は、強力な金融緩和を継続する 場合の効果と副作用について、金融仲介機能や金融システムに及ぼす
影響も含めて、多面的な点検・評価を継続していくことが重要であると指摘した。』
多くの委員かよ!!!!
『何人かの委員は、わが国の金融機関は充実した資本基盤 を有していることもあり、現時点で金融仲介機能に支障は生じていな
いが、金融機関の収益動向がその経営体力に及ぼす影響は累積的なも のであるため、今後とも、低金利環境の継続が金融機関収益や金融仲
介機能に及ぼす影響をしっかりと点検していく必要があるとの認識 を示した。この点に関し、一人の委員は、金融機関では、保有有価証
券の評価損益が悪化し、低収益店舗の減損リスクも生じてきていると したうえで、金融政策の継続にあたっては、その効果と副作用の二つ
の時間軸を意識し、副作用が顕在化する前から対応を検討しておくこ とが必要であると述べた。』
前にも申し上げたと思いますが、副作用が顕在化するということはすなわちその時点で行っている金融政策のプロコン上、コンの方が大きくなっていて、やればやるほどマイナス状態、つまり現政策が無効になっているという事になってしまいますから、顕在化する前にフォワードルッキングで手を打たないといけないのですな。
『これに対し、別のある委員は、金融仲介機 能の中核は、預金を集めて貸出を行うことであるが、国内銀行の平均預貸率が7割以下であることなどを考慮すれば、低金利が銀行経営の
悪化を通じて金融仲介機能を低下させ、却って金融緩和効果を削ぐと いう見方には疑問があると述べた。』
はいはいジンバブエジンバブエ(面倒なのでツッコミはしない)。
『このほか、何人かの委員は、日本銀行による大規模な国債買入れが、国債市場の流動性や機能度に及ぼす影響について言及し、最近、こうした影響が様々な形で目に付くようになってきていると述べた。この点に関し、ある委員は、このところ、国債市場では、米国金利等の動きに対する感応度が低下している
ほか、新発債の業者間取引が不成立になる日が増えてきていると指摘 した。』
『別のある委員は、次回の金融政策決定会合では、最近の物価動 向に関する分析に加え、強力な金融緩和を継続することに伴う国債市場への影響などについても、合わせて点検・議論していくことが必要
との認識を示した。 』
それは議論したのかどうかよくわからんですな7月主な意見だと。議事要旨を待ちますか。
その次に情報発信がどうのこうのというのがあるけど、イマイチ面白くないのでパスしますが、まあこれが出た時に皆さん指摘されていたと存じますが、これを出してくれたら7月会合はもうちょっとマークするという感じになっていた、とも言えますが、あまり早くに出ていたら10年10bp攻撃隊が大坂夏の陣のごとく攻め込んできて金融市場局ちゃんが支えきれずに落城して紅蓮の炎に包まれていた可能性もあるので難しいところではございますな。
#来週は展望レポートの中身の確認とか最近スルーしていた海外中銀シリーズとかでお盆ウィークを乗り切る予定です^^;
2018/08/09
お題「決定会合主な意見を鑑賞してみました」
ほーら来た。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180808-00000025-sph-soci
東京五輪終わっても「サマータイム」恒久的運用へ 議員立法による成立を目指す
8/8(水) 6:15配信
この前の「定額残業させ放題プラン」法案とこれが実はセットということですな、ナムナム。
あと、全然話は違いますが先日の桑原理事の講演。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko180803a.htm/
【挨拶】
金融ビジネスにおけるチャットボットの活用
〜新しいコミュニケーション・サービスの現状とその可能性〜
第6回FinTechフォーラム
・・・・・・・・政策委員会の中にもチャットボットに置き換えいやなんでもありません。
6月会合議事要旨ネタとか、展望レポート基本的見解の詳細チェックとかネタがあるのですが、(大体からしてECBとBOEも放置プレイしている)例によって先に来たネタを消費して古いネタはしらっとふなずし状態にしておりまして恐縮至極。
〇政策変更もあったことだし主な意見を鑑賞しませう
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2018/opi180731.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2018 年 7 月 30、31 日開催分)1
・物価の部分が降参モードな件
『T.金融経済情勢に関する意見 』の『(物価)』の所ですけどね、最初の2つは大本営発表(展望レポートに示されている公式見解)だからまあ良いんですけどその次から。
『・消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、緩やかにプラス幅の拡大を続けていくとみられる。しかし、その動きは弱く、かつ不安定であるため、2%に達するには暫く時間がかかると見込まれる。』
『・ 需給ギャップのプラス幅が、今後一本調子で拡大するとは見込みにくく、予想インフレ率も弱めの動きが続いている。現行の政策のもとでは、インフレ率が2%に向けて徐々に上昇率を高めていく可能性は低い。』
・・・・・ほほう。
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2018/opi180615.htm/
金融政策決定会合における主な意見
(2018年6月14、15日開催分)
でHTML版が出ているのですが、こっちでは片岡さん以外の弱気気味の人って他に1名で、どうもいけませんなあ次回点検しましょうというのが1名という感じだったんですよね。
『・労働市場の逼迫感は増しているものの賃金の上昇圧力は弱く、企業も慎重な姿勢を崩していないことなどから、「物価安定の目標」の達成にはまだ時間がかかると考えられる。7月の展望レポートを作成する次回会合では、物価に関する分析と議論を深める必要がある。
・次回展望レポートに向けて、最近の賃金・物価の弱さの背景やこれが予想物価上昇率に及ぼす影響について、今一度しっかりと分析していくことが必要である。』(この2つは6月会合主な意見)
となっていたのが上記のようになってきたという感じですかねえ、よくわからんけど。
ということで今回の主な意見の物価部分に戻りますけど、その次には「物価が上がってこないことが一概に悪い訳ではない」という話でして、
『・ 労働力率や労働生産性の改善といった経済の供給面の拡大が、 足もと、賃金・物価の上昇圧力を緩和する方向に作用している。
もっとも、こうした変化は、国民経済の健全な発展に資するものであり、また長い目でみれば、経済の成長期待を高め、デフレマインドの希薄化等を通じて、賃金・物価の上昇方向にも寄与し得る。現状を過度に悲観すべきでない。』
『・ 量的・質的金融緩和政策の開始後、当初想定していた以上に、 生産性と雇用が改善している。生産性の上昇と雇用の拡大は、
中長期的には人々の投資意欲や支出意欲を高め、物価上昇にもつながるものだが、それには時間がかかる。生産性の上昇は、
短期的には、物価上昇率を抑制することになる。』
まあそれはそれで仰る通りのお話ではありまして、このご意見はご意見で分かるんですけど、だったらそもそも論として「2%の物価安定目標を”できるだけ早期に”達成する」という看板について議論をしろよと言いたくなるんですが、そっちの話をしないというのはどういう事やと小一時間問い詰めたい。
で、この次なんですが多分ジンバブエ先生と思われる意見がありまして、これはこれでネタになるのですが、毎度の如く後の方で「ジンバブエスペシャル」をやりますのでそちらで改めて(^^)。
・金融政策運営の意見は色々な論点を含んでいますな
でもって次の『U.金融政策運営に関する意見 』ですけどね。
『・「物価安定の目標」の実現には時間がかかるものの、2%に向けたモメンタムは維持されていることから、現在の強力な金融
緩和を粘り強く続けていくことが必要である。』
『・「物価安定の目標」の実現に向けて、強力な金融緩和を長きにわたって持続可能な形とすることが重要である。』
という辺りははいはい大本営大本営という奴なのでスルー致しまして、この先が色々な論点の話があって中々味わいがあります。次の意見。
・高圧経済アプローチとの関係
『・経済の需給が適度に引き締まった状態をできるだけ長く維持することが重要である。そのためには、金融緩和政策の長期化に伴う副作用に十分配意し、その影響を可能な限り軽減すべく、政策の枠組みに見直しの余地がないか、真摯に点検を続けていくことが肝要である。』
前回も「短期間で需要を無理に押し上げるような政策は適当ではない。」という意見があったので同じ人だと思いますが、これはいわゆる高圧経済アプローチとは一線を画すアプローチですが、この意見の賛同者はどのくらい居るのやら。ただまあ政策自体はだんだんそうなっていますよね。
・フォワードガイダンスに関して
次の意見はフォワードガイダンスに関して。
『・「物価安定の目標」の実現に向けた揺るぎない姿勢への信認を確保するため、政策金利のフォワードガイダンスを導入し、目標実現に対するコミットメントを強化すべきである。
』
『・新たなフォワードガイダンスの導入によって、金融緩和の枠組みを一層強化することはきわめて重要である。』
あのガイダンス文言に関しては、だいたい何とかストの方々のご意見などを見ておりますと、2020年くらいまでは金利を上げない、という風に(ある意味素直に)解釈してるのってエコノミスト系の方が多いなあと思うのですが、あの文言はあくまでも「現時点での想定」ですし、大体からして日銀はこれまで何回も君子豹変しているので現時点での想定なんぞは将来の時点では屁とも思わずに君子豹変するでしょ、とか思うのが多分ポジション持っている人とかそういうのに近い人で、何でそう考えるというと何度も君子豹変をしてて(QQE2では国会で追加緩和否定したし、マイナス金利導入前んもマイナス金利を否定していたくらいなので端から信用するという発想が起きないし逃げ口上入りのガイダンスとか信用するのがナイーブ、と考えてしまうと思うんだがどうですかねえ)ナンジャソラーという目にに遭っているから確約になっていないものなんぞ信用できるか(そもそも確約っぽく言ってても「あれはあの時の判断」ですからね)というスタンスになるんだと思います。
まあ強化ということになっている人もいるということですな。ジンバブエ先生反対してたけど。
・これはまた痛烈なのですが・・・・・・・・・・
次のには思わずのけぞった。
『・政策は結果によって判断される。物価の動向が弱い今は、コミットメントを強化すべき時である。今回の政策措置が実際に物価上昇率を高めることを期待するが、その効果についての検討は不断に行っていくべきである。
』
>政策は結果によって判断される
>政策は結果によって判断される
>政策は結果によって判断される
・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー
えーっとですね、そのご意見は御尤もなのですが、結果を全然出していない人が決定会合の中にいると思うんですけどね、政策委員会・金融政策決定会合の議長って言うので、まずは目の前の議長を吊るし上げて頂きたいと思うんですけどね。
強化すべき時である」とはありますが、「今回の政策措置が実際に物価上昇率を高めることを期待する」ともしていますので、反対の2名じゃないように思えますし、コミットメン強化とか言っているから、もしかして若田部副総裁だったりしたらオモロイのですけれども、もしリフレ派トリオのうちの誰かが仰せなのでしたら、まず行うべきは先代置物大先生の首から「政策の結果が出せずに自己批判」とか書いたプラカードを下げて頭に同じこと書いた三角帽子を被せて市中引き回しの上コンコルド広場(以下自粛)。
・この意見にアタクシは賛成しないけどこれは筋が通っている
次のはガイダンスに反対した人の意見ですな。
『・金融緩和を息長く続けるための枠組みの強化ではなく、息長くならないように金融緩和自体を強化することが必要である。フォワードガイダンスは、総需要やインフレ期待を刺激し、金融緩和が長期化することを食い止める観点から設計することが重要である。』
>息長くならないように金融緩和自体を強化することが必要
>金融緩和が長期化することを食い止める観点から設計することが重要
これは仰せの通り。まあ緩和強化しても無駄玉なんでロジックはこれで正しいけど実際には用のない話なのが残念ですけど、本来のQQEならこれが筋で短期決戦のレジームだった筈なのをいつの間にか長期戦にしているというのは如何なものかと。
つまり、短期間で達成するからこそ、多少強引な緩和政策を実施しても、金融緩和が短期間で済むので多少の弊害が出てもそれが累積して悪影響ってことが無い訳ですが、QQE政策は元々短期間に達成するという設計で作り、それをQQE2で更に強化した挙句に、乾坤一擲の大作戦でマイナス金利を導入した、という形になっている訳ですよね。
でまあそのうちYCC導入で量的拡大のうち長期国債の部分だけはQQE2前のペースにまでは戻せましたけれども、依然としてマイナス金利は続いていますし、それ以前の当初のQQEから見たら同じ政策が続いているようなもんですので(当座預金目標は無くなったけど)、そもそもQQEの枠組みをガラッと変えないと長期戦に耐えうるものにならんのですよね。ただこの人のいう「金融緩和が長期化することを食い止める観点から設計」をやっても上手く行きそうもないというのがこれまでの政策運営で結果が出ているのが大問題なので実践的ではないので1ミリも賛成はしませんが、言ってることの筋が通っていることは認めます。
この筋の通り方は片岡さんかな、と勝手に想像しましたがどうでしょうかね。
・金利変動許容とかETFの弾力化に関する意見
という話がここから始まりまして、まずは穏健派の見解になります。
『・金融緩和の継続が見込まれる中、政策の枠組みを、それに耐えうる形に仕立て直すため、長短金利操作や資産の買入れをより弾力的に運営していくことを検討すべきである。』
弾力化来ました。
『・長期金利の変動幅については、「イールドカーブ・コントロール」 導入後の金利変動幅、概ね±0.1%の幅から、上下その倍程度に変動しうることを念頭に置くことが適切である。』
2倍キタコレ。
『・長期金利操作の弾力化は、市場機能の維持・向上に資すると考えられる。現状より金利が幾分上昇しても、経済・物価への影響は限定的とみられる一方、金融仲介機能への累積的な影響の軽減と政策の持続性強化に効果が見込まれる。主要国の足もとの長期金利の動向を参考にすると、わが国の金利操作にあたっ
ても±0.25%程度の動きを許容することが適切と考えられる。』
25bpキタコレと思いますが、しらっと「現状より金利が幾分上昇しても、経済・物価への影響は限定的とみられる」とあるのがチャーミング。まあその通りだわな。
『・長期金利の変動幅として、概ね±0.1%の幅から、上下その倍程 度に変動しうることを念頭に置くことが大方の委員の合意となるのであれば、記者会見でこれを明らかにしてはどうか。
』
まあ良いんですけどこれ主な意見で書く話か????
『・中長期の予想インフレ率が弱い現時点で、長期金利が上昇しうることも許容する政策調整を行うと、実質金利が上昇し、物価の伸び悩みを助長しかねない。』
これは反対した人の意見のように見えるので、片岡さんかジンバブエ先生だと思うのですが、まあ言ってることは分からんでもないが、そもそも論としてマイナス金利導入とかやって長期金利が盛大に下がった時に別に物価が上がった訳ではありませんので、だったら金利上がっても多少なら物価にそんなに影響無いんじゃないの?というさっきの意見の方がエビデンスがあるように見えます。
『・ETFの買入れ額の柔軟化は、政策の持続性を強化しつつ、効果的な買入れを可能とするため、適切である。 』
これまた柔軟化容認と。
『・今回の「枠組み強化」により、「物価安定の目標」の実現のため のコミットメントが一層強化されると考える。 』
『・今回の「枠組み強化」は、ある程度の弾力性を持って運営するという量的・質的金融緩和の元来有する意図を徹底することにより、政策の持続性と柔軟性を高めて、金融緩和の長期化に備えるものである。こうした措置は「物価安定の目標」の実現に
向けた道程をより確実にするものである。』
この辺はいはい大本営大本営という感じですな。
でもって次のが後のスペシャル版送りなので一個飛ばしてその先の意見をば。
『・金融緩和の継続にあたっては、その効果と副作用という二つの 異なる時間軸の双方を複眼的に捉え、重視すべきリスクの点検を行いつつ、経済・物価・金融情勢に応じた柔軟な対応を図ることが重要である。』
これまた穏健派キタコレでして、実質最後(そのあとは政府の出席者)の意見ですが。
『・ 金融システムや市場機能に関する評価を行うにあたっては、個別の指標を取り上げるのではなく、「物価安定の目標」といかに
整合的に評価するかという観点から、議論を深めていく必要がある。』
・・・・・・うーん言いたいことは何となく分からんでもないのですが、「「物価安定の目標」といかに
整合的に評価するかという観点」というのはちょっと禅問答過ぎると思う。
・ジンバブエ先生はやはりジンバブエ先生でしたか
ということで今回のジンバブエスペシャル。明らかにこれジンバブエ先生だろうというのが2つありまして、句読点含めると合計266文字になると思うので、ちょっと外している可能性もありますが、まあそれはそれとしてジンバブエ先生らしいのがございましたので、やはり先生は先生だったかなと。
まずは物価の所ですけど、
『・物価動向について、展望レポートでは、マクロの需給動向と中長期の予想インフレ率で決まると整理している。一方、人々の間では、個別価格の足し算や構造的要因による説明も根強くみられる。こうしたギャップを埋めるため、丁寧な説明が必要である。』
ちなみに何でこれをジンバブエ先生だと思ったかというと、「個別価格の足し算」という如何にも小馬鹿にしたような表現をしているからでして、こういう棘のある物言いはジンバブエ先生の真骨頂だが違ったらゴメンやで。
・・・・・・は良いんですけど、今回出ている物価の行かない理由のお話となりますところの
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180731f.pdf
経済・物価情勢の展望(2018 年 7 月)
─ 賃金・物価に関する分析資料* ─
を見ますと、
『(資料1)最近の労働供給の増加と賃金動向 』
『(資料5)競争激化と部門ショック 』
『(資料6)公共料金と家賃の動向 』
という辺りが思いっきり「個別価格の足し算」の話とか「構造的要因」の話で説明しているんですけれどもおまい人(執行部というか事務方というか)の話を聞いてねえだろというのが実にジンバブエ先生らしい。
あとね、政策の所でジンバブエスペシャルとしか申し上げようがないものがありましてですな、こっちは自信をもってジンバブエ先生と判断したのですが、
『・量的・質的金融緩和政策を実施していなければ、金融機関の貸出の増加も信用コストの低下もなく、債券や株式の売却益も小さくなった可能性がある。金利を上げても、為替も株価も債券価格も動かず、企業の借入れ意欲も低下せず、ただ運用金利だけが上昇すると期待する声もあるが、経済全体をみればそのようなことはありえない。』
ちなみに何でジンバブエ先生かと(割と自信をもって)思ったかといえば、前半の「量的・質的金融緩和政策を実施していなければ、金融機関の貸出の増加も信用コストの低下もなく、債券や株式の売却益も小さくなった可能性がある。」という言い方がそうなのと、後半の文章と前半の文章が論理的に繋がっていないのがもうねという感じで、こちらはさすが先生という所ですな。
でもって後半の文章を再度確認しましょう。
『金利を上げても、為替も株価も債券価格も動かず、企業の借入れ意欲も低下せず、ただ運用金利だけが上昇すると期待する声もあるが、経済全体をみればそのようなことはありえない。』
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)
えーっとすいません、「(この時の金利はたぶん政策金利という意味だと思う)金利を上げて債券価格が動かなくて運用金利が上昇する」とはどのような事象となるのでしょうかと思うのですが、たぶんこの答案ですと証券外務員も銀行業務検定も合格しないと思われますけれども、何で経済学の博士号が授与されるのかさっぱり理解致しかねます。
しかしまあ何ですな、「金利を上げても、為替も株価も債券価格も動かず、企業の借入れ意欲も低下せず、ただ運用金利だけが上昇すると期待する声もあるが」って債券価格云々は論外なのでさておくとしましても、馬鹿緩和の一部手直し(出口ではない)をして単に金利だけ上がってくれるという期待をしている人とかいねえだろという事で、相変わらずの藁人形論法でこの人は誰と戦っているのかと不思議で仕方がないです。
寧ろマイナス金利導入前後の事象である金利は下がったけど円高株安、というのの逆が起きてもおかしくないとか、主な意見のさっきの所にありましたように、そもそも少々の金利上昇なら経済に対する悪影響が軽微だろというような見方はありますが、「金利だけ上がって他が動かない」とかそんな期待する奴は居ないだろいい加減にしろということで、やはりジンバブエ先生はジンバブエ先生でした。先週のMPMで褒めて損したわw
しかしまあ何ですな、「(政策)金利を上げて運用金利が上昇するのに債券価格が動かない」っていやまあ人間ですから凡ミスというのは起こるのですが、凡ミスするにしたって普通は符号のプラスマイナスを取り違えみたいなのはあっても、金利を上げてどうのこうのの話をするのに債券価格を出して来るというのはあり得ない種類のミスなのですが、まあエコノミストだったり学者だったりはしても、マーケットとか全く興味がなくて、最近は何か経済学博士の俺様に下らんいちゃもんをつけてくるハエのようなのがマーケットとかいう所にいやがるわ汚らわしい連中だくらいにご認識されておられるのですかねえとかハエの一派と致しましては思いたくなってしまう次第ですが、マジでこの先生債券の基本を理解しようとかしないで政策論を何年もやっているのかよと悲しくなってくるのでありました。
まあ「人の話を聞かない」「藁人形論法を駆使して謎の自説を開陳」という平常運転を確認できましたという感じっすな、トホホ。
#つーかこれ議長(黒田総裁)が編集(単に箇条書きの順序をいじっているだけで中身はいじらないですけれども)の時にさすがに指摘して差し上げろと思うのですが・・・・・・・・・・・・・
そして恐る恐るこの英文版(英文は政策委員の人が書いている訳ではなくて、日銀事務方の翻訳によります筈です)を見るとこうなる。
http://www.boj.or.jp/en/mopo/mpmsche_minu/opinion_2018/opi180731.pdf
『Without implementation of QQE, there would have been a possibility that
(1) neither an increase in lending nor a decrease in credit cost among
financial institutions would have materialized and (2) realized sales gains
on bonds and stocks would have been smaller.』
というのが前半。
『Some expect that, in the case of a rise in interest rates, only the rates
on investment will increase without any changes in foreign exchange rates
as well as prices of stocks and bonds, or a decline in firms' willingness
to borrow. However, this will not happen if we consider the economy as
a whole. 』
そらまあ勝手に削る訳には行かんから「bonds」とか入っちゃうなあと思いますが、この珍説が世界に向けて発信されていると思うと頭がクラクラしますな。
2018/08/08
お題「MPMレビュー雑感がまだ続くというか雑感が後から後から湧いてくるんですが」
本当にやるのかよ・・・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20180807/0016224.html
五輪サマータイム「党で議論を」
08月07日 11時50分
『これに対して安倍総理大臣は、「サマータイムの導入は国民の評価が高いと聞いている。内閣としても考えるが、まずは党の方で先行して議論してもらいたい」と述べ、自民党内でまず議論を進める考えを示しました。』(上記URL先より)
>国民の評価が高いと聞いている
実際にどういう影響が出るかというのを詳しく説明してから再調査すると結果はだいぶ変わってくると思いますけど。まあしかしこれはサマータイム反対でゲル先生行けるじゃないですか!!
〇順調にナマコ相場ェ・・・・・・・・・・
よし!先物の日中値幅が10銭を切ったな!!orz
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_daytime
先物価格情報
長期国債先物 18年9月限 08/07
寄付:150.15 (08:45)
高値:150.16 (08:55)
安値:150.07 (12:32)
終値:150.14 (15:02)
前日比:+0.01
取引高:23,312
債券先物の日中足(上記URL先って各種先物の日通しと夜間と日中を選択して4本値や清算値その他が見れるのですが、表の一番左が先物の商品名になっていてそこをクリックすると日中足(日通しなら日通しの日中足)が見れるようになっています、前から申し上げてますけど念のため再度)を見ますと昨日は寄りから前場引けに向けて何となく弱含みになって、後場の寄り直後から何となく盛り返してきて終了という超のんびりとした行ってこい(ちなみに高値は0855のほかに大引け直前にも同値をマークしています)となってまして、この値幅なので現物ちゃんも10年カレントとか日中での出来値ベースで5糸しかウゴカンチ会長になっておりますな。
でもってロイターさん。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1UY2F1
2018年8月7日 / 15:14 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が小幅続伸で引け、長期金利は0.105%に上昇
『<15:09> 国債先物が小幅続伸で引け、長期金利は0.105%に上昇
国債先物中心限月9月限は前日比1銭高の150円14銭と小幅続伸で引けた。前日の米債高を受けて買いが先行。日経平均株価が堅調に推移したことで小幅安まで軟化する場面があったが、下値では買い戻しが入った。手掛かり難で、前日終値付近で方向感に欠く動きが続いた。』(上記URL先より、以下同様)
・・・・・・と書くと何かアクティブに動いている感じがするが、出来高とか先物の感じとかだと単にナマコがノロノロと動いているだけで叩いても反応しないので誰も叩きにすら行かないとゆー感じの希ガス。
『現物市場は調整含みの展開。9日に30年債入札を控えていることに加えて、10年債が6日の取引で一時0.100%と節目水準まで低下したことで、積極的な買いが手控えられた。10年最長期国債利回り(長期金利)は一時同1bp高い0.110%に上昇したが、その後は0.105%で推移している。10年物価連動国債(表面利率0.10%/23回債リオープン)の入札は、事前調整が奏功して無難な結果となった。』
物価連動国債の入札がありまして、一時は日銀様のQQEでキタコレとかになったり、QQEで物価が今後上がっていくんだからポートフォリオにぶっこむのが大正義という風潮が何となく起きたりもしたのですが、日銀のデコスケが「2年で2%(しかも置物が最初に言っていたのは2年も掛からん、という極めて威勢の良い話)」とかいうのをすっかり降参してしまった直後のぶっこくということですが、まあ元々ニーズが盛り上がらない入札だと事前に変に盛り上がることもないですから淡々と調整して淡々と無難な結果になって淡々と(以下自粛)。
まあとりあえずぶっこくでそこまで波乱になるというのも無いので、元々昨日はあまり相場が動きにくいというのはあったと思いますが、今日は長期の輪番があるので減額したらオモロイのだが臨時オペやった舌の根も乾かぬうちに減額とかやったらどう見てもマッチポンプです本当にありがとうございましたとなって値動きは出るけど流動性が無くなるのでさすがに減額しないのが吉だと思う。ネタ的には減額して動くか動かないか見てみたいけど(不謹慎)まあちょっとね〜とは思いますので、まあオペ不変で考えればこれまた動きようがなくなってくる(米債はあるけど3%乗ってないとインパクトが弱いですな、まあ30年の準備とかはあるか)と思うのですがさてどうなるやら。
〇声明文が悪文のせいで英文版がとばっちりというメモ
今般のMPMですけれども、実際には「政策を長持ちさせるために馬鹿緩和の度合いをちょっとだけ緩めてみるよ」なんだけど従来の筋論で言えば追加緩和のところにそーゆー事をするのは説明が苦しくなるのでプレゼンで盛ったら債券市場がショートに傾いていたのでエライ反応をしましたね、というのを昨日申し上げたと思いますがその続き。
えーっとですな、読者様からのご指摘がありまして、声明文の英文バージョンの長期国債80兆円のところもアレですなあというお話だったりしまして、そこをちょっと確認。
声明文今回
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180731a.pdf
英文版
http://www.boj.or.jp/en/announcements/release_2018/k180731a.pdf
声明文前回
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2018/k180615a.htm/
英文版
http://www.boj.or.jp/en/mopo/mpmdeci/state_2018/k180615a.htm/
昨日の再掲になりますけれども、お題がそもそも
日本語:強力な金融緩和継続のための枠組み強化
英語:Strengthening the Framework for Continuous Powerful Monetary Easing
になっていて、これって昨日も申し上げましたが、日本語の方で「撤退」を「転進」というような大本営話法を使っておりますので、それを素直に英文にすると上記のようになってしまうんですなという感じではありますが、英文のお題は「金融政策を継続するための政策枠組み強化」ってニュアンスは分かりやすくなっていますな、という点で若干工夫は入れているとは思うのですが、そうは言っても何か強いわなと思ったのですが、それよりも長期国債の所。
日本語:
『長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし1、買入れ額については、保有残高の増加額年間約
80 兆円を めどとしつつ、弾力的な買入れを実施する。』(今回)
『長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。』(前回)
となっていて、確かに今回って日本語の方で80兆円文言が括弧書きから主文に「昇格」しちゃっているんですよね。ただ、国内債券やっている人からしても、それなりに興味を持ってみていた他市場の人からしても、既に「80兆円は空文化している」という認識にあったから、この文章自体が「80兆円がメドなのに弾力的な買入」とかもはや日本語になっていないのはとりあえずキニシナイ!というスタンスになっていたし、大体からして今回の措置で長期国債買入ペースが上がる訳でもない、ってえのは共通認識としての前提だったから「へんてこな文章だなあ」と思いつつも軽いイヤミが飛んでくる程度の話だったと思うのよ。
英語:
『The long-term interest rate: The Bank will purchase Japanese government
bonds (JGBs) so that 10-year JGB yields will remain at around zero percent.
While doing so, the yields may move upward and downward to some extent
mainly depending on developments in economic activity and prices.1 』(今回)
『The long-term interest rate:The Bank will purchase Japanese government
bonds (JGBs) so that 10-year JGB yields will remain at around zero percent.』(前回)
まず前半の所だけ比較していますが、「その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし1」っていうのが確かにこれは何ぞという話なので、英文に直すとナンジャソラという文章になっているのですが、これは日銀の英文に訳する人が悪いのではなくて、元々の声明文が論理的になっていないのだから元々の声明文を作っている方が悪い(これは強調しておく)。
そして買入に関する部分。
『With regard to the amount of JGBs to be purchased, the Bank will conduct
purchases in a flexible manner so that their amount outstanding will increase
at an annual pace of about 80 trillion yen. 』(今回)
『With regard to the amount of JGBs to be purchased, the Bank will conduct
purchases at more or less the current pace -- an annual pace of increase
in the amount outstanding of its JGB holdings of about 80 trillion yen
-- aiming to achieve the target level of the long-term interest rate specified
by the guideline.』(前回)
いやまあ実は声明文見た時に英文もできれば読む、というのはやっているのですが、さすがにこの前の時は詳細な前回比較とかする暇もない盛り沢山だったのでアレでしたが、これ前回の英文と比較すると、なんか今回はちゃんと80兆円アバウトの買入をやるかのように見えてしまいますわなと思う次第。
これはそもそもの日本語の声明文で80兆円文言が主文に入っていて、そこに「弾力的な買入」というのがあるのは「in
a flexible manner」という形で示しているので、声明文を英訳するとこうなってしまうのは誠に御尤もなのですが、「80兆円文言は空文」という暗黙の了解を前提にしないとこれだと買入80兆に向けて頑張るように見えてしまうので、そら海外とかアルゴとかが妙に反応しちゃうわなと思ってしまいますので、まあ今の政策そのものが建て増しに建て増しを重ねた違法建築状態の温泉旅館状態になっているので、それに合わせて声明文が悪文化してロジカルじゃなくなって翻訳困難になるという構図なのですが、これはまあ今回の決定が建て増しの上に更に建て増しを行ってもはや何が何だか分からないキメラ状態になっている事の1つの良い(というか悪いというか)象徴なのではないか、とまあ斯様に思いましたので、読者様のご指摘に感謝しながらメモをさせていただきましたです、はい。
〇ところで何で2019年の消費増税が・・・・・・・・・・・・・・・・・
これもまあメモ程度なんですけどね。
例のフォワードガイダンス。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180731a.pdf
『(1)政策金利のフォワードガイダンス(注1)
日本銀行は、2019 年 10 月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維
持することを想定している。』
とあるんですけど、展望レポート基本的見解で見通しって出しているじゃないですか(詳しいの今回まだやっていませんねすいません)、こちらを見ると・・・・・・・・・・・
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807a.pdf
『2019 年度と 2020 年度については、内需の減速を背景に成長ペースは鈍化するものの、外需にも支えられて、景気の拡大基調が続くと見込まれる。すな
わち、個人消費は、2019 年 10 月に予定されている消費税率の引き上げの影響4から一時的に減少に転じるなど、2019
年度、2020 年度ともに緩やかな増加ペースにとどまると予想される。もっとも、海外経済の着実な成長を背景に、
輸出は増加基調を維持すると見込まれる。この間、設備投資は、景気拡大局面の長期化による資本ストックの積み上がりやオリンピック関連需要の一巡などから、2020
年度にかけて増勢が徐々に鈍化していくとみられるが、輸出の増加を起点とした投資需要の高まりもあって、増勢鈍化のペースは緩やかなものになると予想される。』(展望レポート基本的見解本文2〜3ページより)
ちなみに前回はここ「外需にも」じゃなくて「外需に」だったので別の要素も入っているという話になるんですけれども、この成長見通しを見ると基本的に外需がメインドライバーになって、そこに設備投資とかの投資が補助エンジンになって拡大基調になるって言ってるんですよね。
一方で経済(成長)のリスク要因って、展望レポート基本的見解を見ると、
『上記の中心的な経済の見通しに対する上振れないし下振れの可能性(リスク要因)としては、以下の
4 点がある。第1に、海外経済の動向である。具体的には、米国のマクロ政策運営やそれ
が国際金融市場に及ぼす影響、保護主義的な動きの帰趨とその影響、それらも
含めた新興国・資源国経済の動向、英国のEU離脱交渉の展開やその影響、地
政学的リスクなどが考えられる。 第2は、2019 年 10 月に予定される消費税率引き上げの影響である。駆け込み需要とその反動や実質所得減少の影響は、消費者マインドや雇用・所得環境、物価の動向によって変化し得る。
』(展望レポート基本的見解本文8ページより)
とあって、相変わらず1番目が海外経済になっていまして、そら成長のメインドライバーが海外なんだから海外が想定からぶれたらリスクですよね、という話になりますと、フォワードガイダンスで言っている不確実性云々って何なんでしょうかという話になる訳で、もともと成長のメインを海外に置いているのに何で消費増税をわざわざ挙げるというのがあまり論理的ではないように見えてしまいますな。
いやまあもちろんどうせ2019年10月と言いたかったんでしょという話なのですが、それにしてはガイダンス文言が見通しベースになっていて時間的コミットメントでも指標ひも付けコミットメントでもないというまあこちらもキメラオブキメラになっていまして、まーそんだけ色々な反対をまとめながら政策の撤収戦への風穴を開けるのは苦労したんでしょうなあ、と評価する気持ちもありますが、ただまあロジックは相当ボロボロになっているので、今後更にどうするかは知らんですけれども、何をする(しない)にせよ、説明はどんどん訳が分からなくなりますな、これ円債やってない人に論理的に説明しろと言われても無理だもん・・・・・・・・・
ということで雑感大会ですいませんでした。
2018/08/07
お題「改めてMPMレビュー雑談(オペとか見せ方の話)」
今話題のこれ、産経報道の追随がまだ無い(ような気がする)ので、観測気球かも知れんが。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180806-00000011-san-pol
サマータイム導入へ 2時間繰り上げ 臨時国会で議員立法 2年限定
8/6(月) 7:55配信
『政府・与党は、平成32(2020)年の東京五輪・パラリンピックの酷暑対策として、夏の時間を2時間繰り上げるサマータイム(夏時間)導入に向け、本格検討に入った。与党はお盆明けにも制度設計に入り、秋の臨時国会への議員立法提出を目指す。平成31、32両年の限定導入となる公算が大きい。複数の政府・与党関係者が明らかにした。』(上記URL先より)
このネタしばらく前に出てお蔵入りになったもんだと思った。競技云々の理由だったら単に競技時間をずらせば済む話で、交通機関には臨時対応が必要かも知れんがそれはちゃんと補助金出して対応を依頼することにすりゃ良かろうよ。2年間限定で2時間時計をずらすとかアホの極みなので、何ぼ何でもこれは話を潰すための当て馬だと思いたい。
#マジでやるとか言い出したら内閣支持率が盛大に低下するんじゃねえの??
それから、誰とは言わないけど経済効果とか恥ずかしげもなく口にする何とかストってそらまあ何とかストも商売の一環だからしかたない面はあるにせよ、提灯持ちするにしたってちったあ仕事を選べよお前言ってて恥ずかしくないのかと思いますが、まあリフ(爆発音のため聴取不能)。
〇飛び道具が効きすぎて今度はウゴカンチ会長の香りが漂ってまいりましたが(フラグ建築ではない)
・俺たちのウゴカンチマーケットが返ってきた(勘弁してください)!!!!!!
先物価格情報
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_daytime
例によって例のごとく寄り付きが始まるとこの出てくるのが日付変わってしまいますので昨日のをコピペしておきますと・・・・・・・・・・
日中長期国債先物(ちなみに上記URL先にある表の「長期国債先物」をクリックすると下のURL先のように日中足が出てくるという割と優れものの物件です、リアルタイム的には20分くらいディレイなので使いにくいですが後から見るには結構。惜しいのは1日しか見れないことですけど)
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
ということで改めて。
18年9月限 08/06
寄付:150.20 (08:45)
高値:150.23 (08:57)
安値:150.13 (15:02)
終値:150.13 (15:02)
前日比:+0.01
取引高:21,205
見れる場合は(今日寄ったらたぶん見れるのは今日の日中足)日中足を見ていただきますと、寄り後高値近辺まで行ったものの10時ちょいすぎに150.16−19のレンジにどっぷりと嵌って引け近くにちょっと下がって150.13ということで、値幅10銭はあるのですが別にその中でホイホイと動いた感もなく、板も3桁枚のバイカイが入るようになっていまして、出来高の方は2兆ですけど、前場後場展開すると後場の出来高1兆円割れだった筈。
・・・・・・とまあそういうことで俺達の債券市場が帰ってきた!!!!!!orzorzorzという風情を醸し出しております昨日の債券市場、まあ2週間ビュンビュンと相場が動いてくれましたので、良いリハビリと言いたいのですが、なんかこのまままた動かなくなるのではないかという悪寒が漂ってくるレナードの朝。
金曜日の駄文で、「正直オペの入り方と今日のオペの打ち方まで見て行かないと評価ができない」とか申し上げた臨時輪番オペちゃんなんですけどね、まあどこからどう見てもこいつが無駄に効果を発揮しやがったという感じで、「日銀の金利誘導レンジを確認するぜヒャッハー」といってバイクに乗って走り回るモヒカン売り方が日銀火炎放射器で焼かれたものの、じゃあ10年の水準を切り上げて買うのかというとそういう人もおらずで、昨日の10年新発とか最初5糸強で始まったけど途中から引け出合いになって延々と引け出合いだけという相場になっておりましたようで、「市場機能に配慮した政策の見直し」を行ったのに、臨時輪番が効きすぎてまーたナマコ相場に戻ってしまうというこの残念感とか思っちゃうわけですな。
#とか言ってたら何かの拍子にまた動くかも知れないから1日の動きで嘆くのも早計だけど
まあ動かなければ悪態、動けば悪態ということで、儲かっていない人はブーブーと豚舎状態になり、儲かっている人はひっそりとニヤニヤして黙っている、というのが市場ちゃんによくある話なので、結局どっちに転んでも文句を言われるのは日銀オペレーション担当部局でご愁傷さまですというところですが、まあ政策委員会がこういう政策やれって言うんだからそのケツ拭きをしているだけなのでご愁傷さまだが別に同情はしない(^^)。
・木曜の臨時輪番は目先の市場を落ち着かせましたがさて・・・・・・・・・・・・
という訳で改めて木曜の臨時輪番を冷静になった(つもりでいるのは本人だけだけど)ところで考えてみますと、まあこの辺りが気になるというか論点なのかな、と思うのですけど他にツッコミどころとかあると思いますので、ツッコミ入れてたたき台にして頂けると恐悦至極。
まあ米国雇用統計で米債が暴れなかったという要因もあるのですが、いずれにせよ昨日が終わった時点で(なおイブニングの先物もそんなに動いていないし出来高も5000枚行かないくらい)落ち着いてきたような感じですので、まあ結果的に木曜の臨時輪番一発で相場のボラを一気に下げた感は高く、「エライ効いたな」という印象は強くなったと思うのですけどどうでしょうか。
もちろん、これって今申し上げたように米国金利がそのあと上がらずに下がったとか、金曜の長期輪番が普通に確りしていたとか、そういう要因もあるので、本当の本当に再現性のある話なのかは微妙ではあるのですが、まあ市場の中の人たちに「エライ効いた」という印象を持たせたので、そうなると「金利上昇アタッカー来ても日銀が14時の臨時輪番をぶち込んでくるとピタッと止まってしまうからこれは売り込めませんわ」という風になってしまい、よー売りにくくなってナマコ相場化という風になりやすくなるのかなーとか思うのでした。
・・・・・・・・ということですので、木曜の臨時輪番って目先の相場を落ち着かせる意味では大勝利にも程があるのですが、目先に大勝利したからと言って中期的に大勝利なのかというとそうでも無い(ように思える)のでその辺でも。
・ところで発動基準ってどうなの???からの派生話
今回の臨時輪番ですけれども、何で入りましたねんという話になりますと、そらもう雨宮副総裁の京都でのモガモガフゴフゴというのはさておきまして、ブルームバーグさんの記事を見ますと、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-08-02/PCTIPZ6S972H01
日銀:予定外の国債買い入れ実施、不透明感強まったとの市場の声も
山中英典、野沢茂樹
2018年8月2日 14:23 JST 更新日時 2018年8月2日 17:09 JST
『日銀金融市場局は「このオペはこのところの長期金利の動き等を踏まえ、10年物国債金利の操作目標をゼロ%程度とする金融市場調節方針をしっかり実現するよう実施したもの」としている。』(上記URL先より)
となっておりますな(報道発表はあるっぽいのだが一々これは日銀のサイトにアップされないのでニュースベンダーで確認するしかない)。
さて改めて今回決定になった長期金利の誘導に関する声明文の記述を再掲すると、
『長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし1、買入れ額については、保有残高の増加額年間約
80 兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施する。』
1は、
『1 金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する。』
となっている訳ですな、でもってこの1についてはその後も総裁や副総裁の会見で示されていましたとなっていますし、「ゼロ%程度」は変わっていませんよ、とまあそういう整理になっている訳ですよこれがまた。
そんな中で木曜の臨時オペは、先ほどご紹介したブルームバーグニュースの記事によりますと、「このオペはこのところの長期金利の動き等を踏まえ、10年物国債金利の操作目標をゼロ%程度とする金融市場調節方針をしっかり実現するよう実施したもの」となっていまして、さてこれは「ゼロ%程度という”水準”に対して当時の水準がケシカラン」だったのか「”金利が急速に上昇する”という事象がケシカラン」だったのかがワカランチ会長な訳ですな。
でもって更にこの声明文における「金利振れ幅容認」ですけれども、その振れ幅容認というのは声明文にあるように、「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」と言っている訳でして、さらに「今までの2倍程度」とか微妙な表現ですが、まあ±0.20%台のどこかだろう(±0.30%だと2倍程度というのには無理がある)という変動許容幅があるのに、その手前で牽制を入れているというのは何でじゃろ、とか考えると割とこれややこしい話になるんですよね。
まずですな、「水準」で打っているんだったら、これって実は変動可能なバンドっていっぺんに拡大するんじゃなくて徐々に拡大しようとしているの????とかいう話であるとすれば、臨時輪番砲がどの水準で入ってくるのかが分からんので変にポジション傾けられませんなあ(売り方はいつ火炎放射器飛んでくるか分からんし、買い方もいつ梯子を外されるか分からん)という事になってしまうと思うんですよね。
それから「変動幅」だとすれば、まーその前の日に先物大引け83銭安の日中出来高77,951枚とかやっていたからというのは分からんでもないのですが、それとてMPM結果で踏み上げ大会やったから勢い付いてしまったというのもありますし、大体からして普段動いてないナマコ相場ばっかりやっているからビビるけど、普通はこういう値動きだと何か動きましたねーガハハくらいの話になると思うので、この程度で動いたとか言われても困るのですが、しかしながらこの程度でも「動いた」という扱いで止めに掛かるんだったらやっぱり市場ってウゴカンチなんだよね、というお話になってしまうと思うの。
ただ、上記ブルームバーグニュースでの市場局のコメントでは、その辺を全部ぼかして説明していますし、間違っても京都にいるおじさんに忖いやなんでもないですが、まあ毎度おなじみの「総合判断」になっている訳でして、ここでもう一つの論点というか何というかになる訳ですよ。
つまりですね、声明文にありますように、「金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるもの」となっているのが輪番オペ運営上のコミュニケーションでぜぇぇぇぇぇぇぇったいに今後ネタにされると思うのですが、この文言を素直に読み込むと、「経済物価情勢が好転したときに上がる金利上昇は”変動しうる”金利上昇である」が「思惑的、投機的な動きで上がる金利上昇は”迅速かつ適切に国債買入れを実施する”」ってことを言ってますよね??????ってことなわけですよ、うんうん。
するってーと先週木曜の臨時輪番14時実施というのは、日銀から見たら怪しからん金利上昇であって、止めに掛かったのですが、将来のどこかで例えばCPIが強いデータになったり、GDPが強いのが出てくるとか、そういう事が起きて市場の金利が上昇するのは「経済・物価情勢等に応じ」た金利上昇なので変動しうるもので止めに掛からん(ただし0.2%台のどこかでは指値を実施)とかなりますと、その発動は誰がどうやって判断するんですかというのもありますし、大体からしてその基準なんぞ決められるわけがないだろいい加減にしろというお話でもありまして、そもそも中でやってる人たちだって一々「これは思惑的、投機的」とか「これは経済物価情勢を反映した」とか評価不能なんですから(念のため申し上げると経済データその他をぶっこんで「長期金利予測モデル」とかいうのを作っている業者や投資家はいますけど、その予測モデルが以下内務省検閲により削除されましたな訳ですから)、それってどうするんでしょというのは物凄く難しいと思うのだがどうするんでしょうかいやマジで。
・・・・・・・・とか何とか考えますと、日銀の指値砲に続いて登場した新兵器臨時輪番砲が、指値砲は海岸要塞砲みたいな感じで基本はそんなに動かないと思うのですが、新兵器の臨時輪番砲って狙撃兵というか迫撃砲というか、まあどういう感じで飛んでくるのか分からんので、これは市場ちゃんも動くに動けませんわという感じで効きすぎてしまっている感isあって、市場機能の低下を懸念というのはどこに行ったのかと小一時間というのがありますな、うんうん。
そして動くかもとなった時なのですが、その前がウゴカンチ会長になっていると、結局動くときにまーた先般の時事通信砲による市場の動きみたいな感じで、ポジションがある程度溜まったところで動き出してさてどうするんでしょとかになりそうな気がする(個人の感想です)訳で、目先は良いのだがこれ今後のオペどうするんだろというのもあるし、早い段階で臨時輪番入れてしまったので、通常のオペを減額しにくくなってしまった(減額すると8/2の輪番は何だったのかという話になる)ともいえるのではないかと存じますです、はい。
〇オペのコミュニケーションついでに今回公表分のコミュニケーションメモ
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180731a.pdf
強力な金融緩和継続のための枠組み強化
英文はご案内の通り、
http://www.boj.or.jp/en/announcements/release_2018/k180731a.pdf
Strengthening the Framework for Continuous Powerful Monetary Easing
・・・・・・・・orzorz
まあ何ですな、今回は実質的に緩和度合いを緩める(緩めないと長持ちしないから、なお本当に長持ちさせたければマイナス金利を撤回しないと本質的に改善しない)措置なのですが、そう言ってしまうと身も蓋も無い上に、そもそも「物価見通しを下方修正して(しかもかなり)いる」というのがあるので本来なら追加緩和なのだがやっても無駄なうえにデメリットばかりが炸裂するっていうので「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」とか言ってますな。
でもね、これ「強力な金融緩和」ってのは「今の金融緩和」な訳で、実際にはこの題名って「現在の金融緩和を継続するために枠組みを手直ししました」っていうのが実態に添っている訳でして、どう見てもお前は話を盛っているだろうと小一時間なのですが、まあ「物価見通し結構な下方修正」とセットなので威勢よく言わないと格好がつかない、というのは分かる。
・・・・・・・いやだから分かるんですけど、それにしても火曜日の公表時って緩和バイアスを強調した発言とか見せ方が派手過ぎたと思う次第で、状況としてその前の時事通信砲その他で市場の織り込みが行われ、あまつさえ前日のノアの箱舟最終便オペによって1.6兆円の売りがぶち込まれたところだったので、そういう意味では政策修正をめちゃくちゃ織り込んでいたという市場のポジション状況だった訳で、そこでああいう見せ方したら踏み上げにもなるわなと思うし、あそこで踏み上げさせたからその反動もでかくなった、というのはだいぶあると思う。
もちろんこの政策を事前織り込み皆無のスクラッチで打ち込んできた場合、それ以前の所で20年カレント0.5%割れとかやっていた訳でしたから、思いっきり金利が上がっていた可能性が高く、だからこそああいう見せ方で臨んできた、というのはよーくわかるのですが、なんかここに関しては織り込みが進み過ぎて意図しない反応になったんじゃないのかなあ(その後のも含めて)と思います。
まー難しい話ではあるのですが、ただこの出し方(特に英文)は何ぼ何でも盛り過ぎだと思うし、そのヘッドラインで脊髄反射する人がいる(最近は脊髄じゃなくてCPUですかそうですか)と思うので、盛るのもほどほどに、と思うのでありました(個人の感想です)。
2018/08/06
お題「総裁会見から(別途第2部あり)」
えーっと・・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180804/k10011563031000.html
ロシア軍 択捉島に戦闘機を試験配備か
2018年8月4日 7時25分
プーチン先生との個人的信頼関係いや何でもないです。
〇総裁会見を確認の巻
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180801a.pdf
・「幅は2倍」って最初の幹事社質問の時に自分から説明しているのね
最初の幹事社質問は、
『(問) 昨日と今日の決定会合で「量的・質的金融緩和」の持続性を強化する措置の導入を決められたと思いますが、その理由と狙いを総裁からご説明頂けますでしょうか。』
ということで普通の質問なのですが、その答えの中に・・・・・・・
『(答)(前半割愛)長短金利操作、いわゆる「イールドカーブ・コントロール」に関しては、短期金利・長期金利とも、基本的に、これまでの水準か
ら変更ありません。すなわち、短期金利については、日本銀行当座預金のうち政策金利残高に−0.1%のマイナス金利を適用する方針を維持することを決定
しました。長期金利についても、10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、
長期国債の買入れを行う方針を維持しました。』
『その際、長期金利については、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動し得ることを示すとともに、買入れ額については、国債保有残高の増加額年間約
80 兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施するとの方針を決定しました。なお、長期金利の変動幅については、
「イールドカーブ・コントロール」導入後の金利変動幅、概ね±0.1%の幅から、上下その倍程度に変動し得ることを念頭に置いています。もっとも、金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する方針であり、金利水準が切り上がっていくことを想定しているものではありません。(後半割愛)』
ということで、思いっきり最初の時点で答えているというのが何だかなーとその時は思ったのですけれども、結局翌日になって金利が上がったじゃないですか、あの時にも指値入れずに済みましたし、木曜に謎の臨時輪番入りましたけど、やっぱり指値じゃなかったのですけど、これって「2倍程度」が無ければもうちょっと指値入れろよ感が市場に漂ったのではないか(たぶん木曜の指値まで通過したところで見てみれば、指値を途中で入れないとドンドン下(というか金利の上)を試しに行くって感じにならないですし、指値なくて怪しからんって感じにもなっていないような気がする。
まあ何ですな、せっかく声明文に入れなかったのだから、そこは質問されたら何となく答えるけど(どうせ質問されるから同じという話はあるけどね)最初から答えに行ったのはちょっと勿体無かった感もある。まあ少なくとも金曜の市場まで見た感じではこれを言って調節は上手く回っている感があるので結果オーライではありますが。
・この説明は苦しい
まあ声明文と展望レポートを見れば実際には降参しているのに降参していないかのごとく説明をしないといけないから仕方ないんですけどね。
『(問) 展望レポートで示された物価上昇率の見通しは、2020 年度にかけて
徐々に上昇していくとのことですが、2020 年度でも、政策委員の中央値ですが、
1.6%にとどまっています。総裁は前回展望レポートを発表された 4 月の記者会見で、2019
年度頃に 2%程度に高まっていくのではないかというお考えを示されましたが、現時点で、2%はいつ頃達成するとお考えでしょうか。』
『もう 1 つ物価に関連してですが、物価上昇率の見通しを引き下げたのですから、本来であれば、追加の金融緩和を検討してもよいのではないかと思います。追加の金融緩和をしなかった理由と、どのような状況になれば追加金融緩和を行うお考えか、その
2 点をお伺いします。』
これは容赦ない質問www
『(答) 本日の展望レポートで示しましたように、わが国の物価は、経済・雇用情勢の改善に比べて弱めの動きが続いており、中長期的な予想物価上昇率の高まりも後ずれしていることから、前回の展望レポートの政策委員の見通しと
若干異なり、今回、政策委員見通しの中央値では、消費者物価の前年比が見通し期間終期の2020
年度でも、1%台半ば、1.6%となっています。』
で???
『もっとも、先行き、景気の拡大基調が続く中で、これまでの物価の上昇を遅らせてきた要因の多くは次第に解消していき、実際の価格引上げの動きが進むとともに、中長期的な予想物価上昇率も徐々に高まっていくとみていま
す。従いまして、これまでの想定よりも時間が掛かって見通し期間を超えることにはなりますが、消費者物価の前年比は、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくことが展望できると考えています。』
それは普通「展望できない」というのではないでしょうか?????
『第 2 点については、』
って思いっきり次の話になっておりますので、つまりこれは2%達成はいつかするとは言っているがその時期は明らかにしていない、すなわち百年後になるかも知れない、とかそういう話だわな。
『賃金・物価が上がり難いことを前提とした考え方や慣行が根強く残るもとでは、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を長く続けて
2%に向けたモメンタムを維持することが、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期かつ確実に実現することにつながるのではないかと考えています。』
アプローチが完全にQQEじゃないですよねというツッコミは声明文の方でも行った(5日付け、という奴をご確認ください)のですが、まあどう見ても達成時期が中長期的になっているのに「できるだけ早期」を残して説明しているもんだからもうねという感じ。
『この点、現状 2%に向けたモメンタムはしっかりと維持されているとみています。まず、その需給ギャップがプラスの状態が続いているもとで、企業
の賃金・価格設定スタンスが次第に積極化するとみられているほか、中長期的
な予想物価上昇率も実際の価格引上げの動きが拡がるにつれて、徐々に高まると考えています。こうしたもとで、消費者物価の前年比は、想定よりは時間が
掛かるものの、先程申し上げたように、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えています。』
これは展望レポートにある通りだがホンマカイナという話。
『また、現在の「イールドカーブ・コントロール」の枠組みには、名目金利が一定でも、予想物価上昇率が高まれば、実質金利が低下して企業や家計
の需要を刺激する効果が強まるというメカニズムも内在しています。従って、現時点では、追加緩和は必要ないと考えています。』
ってこれ言わずもがなの話で、肝心の予想物価上昇率は上がっていないんですし、そもそも物価がアガランチ会長になっているんだったら実質金利が上がっている可能性が無いですかという話になるから、実質金利論の話はしない方が吉だと思う。
ちなみにちょっと後の質疑で、
『(問) 先程、物価 2%の達成時期についての質問があり、徐々に 2%には向かっていくということでしたが、具体的な達成時期は分からないということでしょうか。』
という死者に鞭打つような質問がありますが、そのお答えは、
『(答) あくまでも政策委員の見通しの中央値でお示ししているところですが、2019
年度で 1.5%、2020 年度で1.6%ですので、従来、政策委員の中央値が示 していた2019年度頃に2%になるという見通しが後ずれしているのは事実です。具体的にいつ
2%になるかということは、前回以降、他の中央銀行と同様に具体的なカレンダーを示すことはしていませんが、この展望レポートの記述と政
策委員の見通しの中央値で推し測って頂けると思います。』
えーっと、達成時期を出さないのは「他の中央銀行と同様」とかお前は何を言ってるんだという話で、お前の口はQQE導入の時に「2年程度を念頭に」を連発していただろうがいい加減にしろという話ですな。
・ フォワードガイダンスの文言が曖昧にもほどがある件について
次の質問がガイダンスと金利水準に関する質疑でまずはガイダンス部分を引用します。
『(問) 今回導入された枠組みについて、いくつか確認させてください。まず、1
つ目のフォワードガイダンスですが、当分の間、現在の極めて低い長短金利水準を維持するということは、いわゆる短期金利を−0.1%、長期金利をゼロ%程度という金利水準を、2019
年 10 月に予定されている消費税の影響を見極められるまで続けるという意味でしょうか。(後半割愛)
』
『(答) まず、フォワードガイダンスについては、2019 年 10 月の消費税率引
上げに伴う影響や、その他の経済・物価の不確実性を考慮して、当分の間、現在の非常に低い長短金利を維持することを決めたわけです。この点は、まさにフォワードガイダンスとして示している通りで、
「当分の間」とは、英訳で「for an extended period of time」という言い方をしています。これは外国の中央銀行などがよく使う言い方ですが、当分の間というのはそういった感じであり、様々な不確実性を考慮して、現在の極めて低い長短金利を維持していくという
ことです。(後半割愛)』
だからこの説明だと「現在の極めて低い長短金利」というのが今の短期マイナス10bp(正確には「政策金利適用残高に対する適用金利」なので短期がマイナス10という訳では必ずしもない)長期0bpなのかどうかというのも微妙(「現在の水準を維持」なのか「低い水準を維持」なのかで話が変わって来ちゃうから)なので、もうちょっと明確に説明してほしかったですな。
とは言いましても、そもそもがこの答えにあるように「タイムコミットメントではない」という具合ですし、大体からしてガイダンス文言の書き方が「現在の見通しベース」になっているので、そこの金利に関する係り具合を気にする必要はないといえば無いのですけどね。
・金利の適用幅に関しておよび「引き上げではないが引き上げ」というこの謎理屈
『(問) (前半割愛)もう 1 つ、先程、金利が上下に変動することについて、倍程度というお言葉がありましたが、これは要するに、−0.2%から+0.2%までの変動で推
移するように操作するということでよろしいでしょうか。』
『(答)(前半割愛) 2 番目の、長短金利の幅が上下に変動し得ることについては、国債市場の機能度を高めるためにある程度の変動を容認するということであり、従来
±0.1%くらいの狭い幅で動いていましたが、その倍くらいの幅を念頭に置い て考えていくということです。ただ、先程も申し上げていますように、金利水準の上昇や引上げを意図しているわけではありませんので、金利が急上昇したような場合には、迅速にオペなどで対応していくということです。金利水準を引き上げようという意図は全くありません。』
変動を容認するのに引き上げないとか説明が難しすぎて(日銀文学的に整理はできるのはアタクシもわかっていますけれども)まあ普通に訳分らんよねという話。
なお、アタクシ的には「2倍程度」なので実際には0.25%くらいまではオッケーだけど、2倍といった手前3倍になる0.3%水準はさすがにマズーだろうなあというのがイメージなんですけど、これは実際にそこまでアタックが入らんことにはニャンとも。
・フォワードガイダンスの質問は多いのですがこの2点でも
そらまあ今回のガイダンス文言は何ですねんということで質問が多いのですが、その中から2つほど引用してみます。
『(問) 今回、フォワードガイダンスと長短金利操作の手法を変えるわけですが、将来的に
2%の物価上昇に向かってどのように寄与していくのか、波及経路をもう少し具体的に教えて頂けますでしょうか。』
『(答) フォワードガイダンスは、欧米の中央銀行でも使われていましたが、日本銀行としては、金利に関するフォワードガイダンスは初めて導入します。』
??????????????????????
えーっと、時間軸ということで、ゼロ金利政策の時も量的緩和政策の時も政策継続期間に関して物価指標にある程度紐付けた(最初のゼロ金利政策の時は裁量部分が強かったけど)のはあったんで、これは誇大宣伝にも程があると思う。しかも今回のって何かにひもが付いているコミットメントですらなくて、現在の予想ベースの話ジャン。
『極めて大幅な金融緩和を、従来考えられていたよりももう少し長く続けるということを示し、それに対する信認を確保する観点から導入しました。』
ちなみに信認もへったくれも市場ちゃんの方はとっくの昔に「どうせ物価いかないんだから政策は長く続くでしょ」と思っているのですが。
『これにより、早期に出口に向かうのではないかとか、金利が引き上げられるのではないか、という一部にあったマーケットの観測を完全に否定できると思いますし、』
早期に出口とか考えてないだろと思いますし、金利は今回の措置で上昇容認だろいい加減にしろ。
『何よりも、経済・物価の不確実性を踏まえて、当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持するということは、思い切ったとは自分では言いませんが、
かなりしっかりしたフォワードガイダンスだと思います。』
だったら何でジンバブエ先生が反対したんでちゅかね〜♪
でもって別の質問。
『(問) フォワードガイダンスについてお伺いします。初めて導入されたとい
うことですが、「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」と
いうのは、これまで言ってきたことと、実はあまり変わっていないのではないかという気がします。総裁として、具体的にどのような状況になれば長短金利
を引き上げていくことになるのかということについて、お考えをお聞かせください。』
『(答) 従来から申し上げている点は、今回の公表文の最後のところに出ていますように、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続
させるために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続するということです。それとともに、消費者物価の前年比上昇率の実績値が安定的に
2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続するということ を申し上げているわけです。』
これはオーバーシュート型コミットメント。
『ただ、長短金利の水準については、具体的なことは申し上げていませんでした。ここではっきりと、極めて低い長短金利を当分の間維持するとしたことは、今の
2 つの点に加えて、明確な金融緩和持続、2% の「物価安定の目標」の目標に向けて金融緩和を持続していくことに対する信認を確保するため、コミットメントを強めたということだと考えています。』
って話なんですが、元々物価見通しが上がらんという状況ならば必然的に既往の政策が長期化されるので、質問した人の疑問と同じで、元よりこんなの入れなくても最初からそういう話だろという事であって、何でこういう文言を入れたのか、というと結局のところ「見通しを下げているのに金利の上昇容認やらETFの買入ペース鈍化容認をしているというそれは緩和度合いを下げる可能性のある政策をした」ということなので何か帳尻を合わせに行かないとマズイ、という事で入れていて、帳尻だからこそ何か定量的なコミットメントをしている訳ではなくて。「維持することを想定している」という文言にしている、ということですわな。
・何でこの時期??
『(問) なぜこのタイミングで政策変更することになったのでしょうか。』
いやーあっはっはっは。
『(答) 実体経済が極めて順調に拡大している中で、足許の物価上昇率が──一時的な要因もあったとは思いますが──弱まって、2%の達成時期が後ずれする状況でしたので、賃金・物価の上昇、特に物価の上昇がやや弱めであった理由やメカニズムを詳しく展望レポートで解明するとともに、賃金・物価が今後上昇していくメカニズムを分析しました。』
それはもしかしたら@実体経済が極めて順調に拡大していると言っているのが間違い、A今の日本経済において物価は実体経済の状態を示すものではなくなっているので、そもそも論として物価安定目標を達成するために金融政策を実施しているのが間違い(実体経済の好調さを維持する政策をしていればよくて物価は極端なことになっていなければよい)、のいずれかなのではないかと思ってしまいますが・・・・・・・・・
『いずれにせよ、これまで考えられていたよりも、現在の金融緩和を長く続ける必要があるということです。』
ほう。
『単に長く続けます、というだけでは、金融政策に対する信認を十分確保する観点からは不十分な可能性がありますので、金利に関するフォワードガイダンスの導
入と、現在の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の持続性をはっきりと
強めるような措置を導入したということです。』
という苦しい説明になっていますが、そもそも声明文項番4に、
『こうした対応は、経済や金融情勢の安定を確保しつつ、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現することに繋がると考えている。』(今回声明文の項番4)
とありますからして、つまりは「経済や金融情勢の安定を確保しつつ」という話であって、それを伴いながら長く続ける、ということは緩和度合いを高めて更に金融政策面から押し上げの圧を高める、というのの逆をやりますよという話だし、実際に出てきている施策自体がそういうものになっていまして、「短期間で達成するアプローチ」を放棄した結果がこれであって、では何で放棄したかというと降参したからであって、降参するなら早い方がマシということですな、ってしつこいですかそうですか。
・副作用の対処はフォワードルッキング&国債市場の機能度だと???
今回ってよーするに「短期間で達成するのはもう降参したし政策を吹かしたところで短期間で達成するのは無理だから、それよりも長期戦に備えて全開フルスロットル状態を何とかしないとエンジン焼けてしまうがな」という話ですから、今副作用が出ている(エンジンが焼けている)訳ではないが、このままだとエンジン焼けてしまいます(つまりフォワードルッキング)のでアクセルベタ踏みを緩めようって事なのでしょう。
つまりですね、
『(問) 今回の枠組み強化ですが、現在の超低金利政策が長期化した場合には、副作用についても累積的に積み上がっていくとの問題意識はお持ちだと思います。この点については、今回、金融緩和がより長期化することにあたってどの程度議論されたのでしょうか。また今回の対応は、そうした副作用対策という観点は込められているのでしょうか。』
これまた無慈悲な砲撃。
『(答) 金融仲介機能について、現時点で、全体として大きな問題があるとはもちろん考えていません。これは累次の金融システムレポートでも示されている通りです。ただ、ご指摘のように、低金利環境が長期化するもとで、将来、金融仲介が停滞方向に向かうリスクはあり得ると考えています。』
足元では問題ないけど将来問題になり得るので対処って「副作用対応ではない」と言ってるけど、フォワードルッキングに副作用対応しているんですよね。だいたいからして物価の見通し下げているのに金利が上がったりETFの買入ペースが下がったりですからね。
『特に、国債市場の市場機能については、かなり低いというサーベイ結果もありますし、長期金利の変動幅が非常に縮小して、取引高が減少傾向にあることも指摘されています。』
・・・・・・・・・・・・!!!!!
黒田総裁ってずーっと債券市場に関しては「機能度は維持されている(キリッ)」って話をしていて、それに関する質問が飛んでくると寧ろ市場のチンピラゴロツキどもは俺様の偉大な金融政策を自分の小さな損得だけで考えて文句を言って全く度し難いゴキブリにも劣る存在、くらいの説明しかしてなかった(なおこの部分は長きに渡って酷い目にあっているため大幅に僻みが入っております^^)のに何ですかこの説明は。
『今回、若干ですが変動し得るとしたことは、金利形成の柔軟性を高めることを通じて、こうした市場機能への影響を軽減することに資するのではない
かと考えています。』
まあ市場を壊すと後々面倒なことになる、というのが理解されたのならばそれはそれで結構なのですが、金利などというものは資本の自由化国際化と共に自由金利化していきましたが、戦後日本って昭和の終わりまで金利は統制金利で、金利の市場といえば加入者電信電話債券の流通市場とかそういう時代もあった訳でございますからして、市場機能云々というのは資本規制などを辞さずという覚悟があれば別になくても構わない(まあ現実に無理があるからこうなるんですけど)のかも知れない話で、いきなりここに来て市場機能がという話になるのもQQE導入当初の威勢のよさからの降参という事になるんでしょうな。
・ETFに関しても・・・・・・・・・・
『(問) 今回政策を修正した理由について伺います。当初は 2 年で実現するという考えのもと、短期決戦で異次元緩和を始めたわけですが、ここまで物価
2%の実現が見通せないとなると、前提が変わってしまって、今までのやり方では
間違っていたということなのでしょうか。また、今回の措置により持続性を強化したということですが、具体的にどの部分で持続性が増したのでしょうか。』
ちなみに最初が、
『(答) 間違っていたとは全く思っていません。』って言ってて、その後改善した話を延々としていますが、普通は目標未達だったら何かの間違いがあったと考えるのが普通で、最初からできもしない目標を掲げて途中までできたから良し、とするなどという事を営業の現場で実施したら血の雨が降ると思いますが、まあそれは兎も角としてETFの話。
『(途中から) また、ETFについても、元々約 6 兆円ということで、リスク・プレミアムに働きかけるということでやっていますが、そうした観点からすれば、必要に応じて
6 兆円を上回ったり下回ったりすることはあり得るわけです。そうしたことは、ETFの買入れ自体をより効果的にできるという意味でも効果があると思います。』
まあそれは分かった(なおリスクプレミアムの話は質問があったが蒟蒻問答に終始している)。
『それから、買入れの中身について、よりマーケットを広くカバーしているTOPIXの買入れを拡げました。カバレッジの狭いところで
買っていますと、いくつかの株について浮動株が薄くなってしまうことも起こりかねませんので、より持続性の高い形で買い入れることで、全体として「量的・質的金融緩和」の枠組みの持続性をより高くし、強化したということです。』
今までは黒田のおじちゃん「買いすぎとは全然思っていない」「株式市場の時価総額からみたら屁のような額」「ETFが足りないなら編成すればいいじゃないか」という説明だったのが一夜にしてこの豹変、つまりジャガーチェンジをしている訳でして、なんか変なもんでも食ったんではないかと非常に気になりますな(^^)。
まあこんな感じですかねえ・・・・・・・・・・
2018/08/06(その2、その2なのでラベルはつけていません)
お題「雨宮副総裁講演は執行部による論点整理」
寧ろ総裁会見よりこっちの方が・・・・・・・・(^^)。
〇雨宮副総裁会見である
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko180802a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko180802a1.pdf
(PDFは図表付きです)
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 京都府金融経済懇談会における挨拶 ──
日本銀行副総裁 雨宮 正佳
・物価の上がらない言い訳が割と短めに書いてあるのでこちらで確認
『2.わが国経済の動向』の次が『3.物価情勢』でして・・・・・・・・
『このように、この5年間で、わが国の経済・物価は着実に改善しました。しかしながら、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べて、わが国の物価は弱めの動きを続けており、日本銀行が目標としている、前年比+2%の物価上昇率は達成できていません。このため、日本銀行では、今回の「展望レポート」を取りまとめるにあたり、こうした物価の伸び悩みの背景や今後の見通しについて、集中的に分析しました。以下では、その内容をご紹介しながら、わが国の物価情勢について、やや詳しくお話ししたいと思います。』
ということですが、最初に『(1)なぜ、2%の物価上昇を目指すのか?』というのがあって、説明はいつもの@ボスキンバイアス、A政策対応の糊代、B名目為替レートの安定、となっているのでいつも通りなのですが、一々これを入れているのは「そんなに時間が掛かるんだったらそもそもこの物価安定目標がおかしいんじゃネーノ」に対する反論をしたい、というだけのお話であることは把握できますな(−−;
でもって次が『(2)なぜ、物価は伸び悩んでいるのか?』でして、これは展望レポートネタということになりますけれども、
『もっとも、こうした2%の物価安定目標の実現までには、なお道半ばの状況です。経済が大きく改善しているにも関わらず、なぜ物価が伸び悩んでいるのか、今回の「展望レポート」では、その要因についてかなり詳しく分析しています。本日は、そのエッセンスをご紹介したいと思います。』
まあ実は大きく改善していないんだったりして。
『物価の改善ペースが緩やかなものにとどまっている背景としては、大きく2つの要因があると考えています。1つは、長期にわたる低成長やデフレの経験から、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が、企業や家計に根強く残っていることです。もう1つは、生産性向上余地の大きさや近年の技術進歩などにより、企業が値上げを極力抑える取り組みが可能となっていることです。これらの要因を、家計や企業の行動面から整理して、具体的にご説明したいと思います。』
最初のはQQEで何とかするという話だし、次のは一般物価と個別物価は違いますよアプローチだったような気がするんですけどどうなったのでしょうかね。展望レポートの方での説明だと長いのでちょうど良いからこちらを鑑賞。
『第1に、人手不足という割には、本格的な賃金上昇の実現に時間がかかっています。特に、労働者の大宗を占める正規雇用者の所定内給与は伸び悩んでいます。この1年間の伸びは、前年比0.5%程度にとどまりました(図表4)。相対的に賃金水準が高い正規雇用者は、賃上げよりも、雇用の安定を優先する傾向が強いと言われていますが、長期にわたる低成長の下で、厳しい雇用調整を経験したことで、こうした傾向が、今なお根強く続いているのだと考えています。』
という説明になっているのですが、そもそも論として正規雇用者の雇用ってそんなに安定しているのかというと、そこらじゅうで聞くリストラやら中高年賃下げだのの話を聞くに昔のような安定は無いようにも思えまして、なんちゅうかこのまあ言いたい趣旨は分かるのですが、この説明を聞いていると「そら日銀さんのような親方日の丸の方はそうかも知れんけど民間はだなあ」と言いたくなるのは構造不況業種にうっかり勤務しているお前が悪いですかそうですか。
『このほか、働き手の多様化も賃金の動きに影響しています。近年の女性や高齢者の労働参加の高まりは、長い目で見れば、生産年齢人口の減少というわが国が抱える課題を解決するために不可欠な動きですが、短期的にみれば、人手不足の状況を緩和し、その分、賃金の上昇を抑制する方向に働くことになります。』
とか言ってますが、外国人労働者を単純労働者分野にも開放しようとか、だいたいそっちの方向で賃下げ圧力掛けてるのって経済界の(内務省検閲により以下削除)。
『第2に、家計の値上げに対する許容度が明確には高まっていないことが、物価上昇を抑制する要因として作用しています。日本銀行のアンケート調査によれば、家計の値上げに対する許容度は、2013年の「量的・質的金融緩和」の導入以降、以前よりも一段切り上がりましたが、その後、さらに高まるといった状況にはなっていません(図表5)。』
何か違和感あるぞと思って図表5を見たのですが、「その後、さらに高まるといった状況にはなっていません」というより消費増税後落ち込んでいたりして、一段切りあがったというのかこれは(まあ言えなくもないけど)という図になっている(そもそも生活意識アンケートの当該項目を使うのって適切なのかどうか怪しいんですが)んですがそれは。
『その背景には、先ほど述べた第1の理由、すなわち、本格的な賃金上昇の実現に時間がかかっていることなどが影響しているとみられます。』
そらそうよ。
『第3に、企業の価格設定スタンスがなお慎重であることも、物価の上昇を抑制しています。緩やかとはいえ、賃金は上昇しており、原油などの商品価格も上昇傾向にありますが、価格引き上げに伴う顧客離れを警戒する企業は、こうしたコスト上昇圧力を、省力化投資の拡大やビジネス・プロセスの見直しによって吸収しようとしています。建設や小売、宿泊・飲食といった人手不足が深刻な業種ほど、ソフトウェア投資に熱心ですし、セルフレジや自動注文システムの導入などによって、人件費の上昇をカバーする企業も少なくありません(図表6)。近年のIT技術の進歩が、こうした取り組みを可能にしている面もあります。』
結局のところ成長期待が無いんですよね。
『以上、企業における慎重な賃金・価格設定スタンスや、値上げに対する家計の慎重な見方について、ご説明してきました。こうした考え方や慣行は、長期にわたる低成長やデフレの経験によって醸成されたある種の社会的モードともいえるものであり、その解消にはなお時間がかかっているのだと考えています。』
QQEで期待に直接いやなんでもないです。
『このほか、企業の競争環境が厳しさを増していることの影響も、無視できないと考えています。例えば、スーパーなどの小売業では、インターネット通販の拡大等を背景に、慎重な価格設定スタンスが続いています(図表7)。いわゆる「アマゾン効果」と呼ばれるものであり、IT技術の急速な進歩は、ここでも物価上昇の抑制要因として作用しています。』
って説明なのだが、一般物価と個別物価は違うって話で、以前よく「中国などからの輸入品で100円ショップが興隆を極めておりますがこのような効果も物価を上げない背景にあります」というような話を黒田以前の日銀が行うと、置物直線一気理論の皆さんが揃って「一般物価と個別物価を混同している無知蒙昧にもほどがある説明で、日銀は自分たちの無為無策の言い訳にしているだけ」と口を極めて罵っておられましたが、置物リフレ一派の皆様の所感は如何に???
・モメンタムの言い訳キタコレ
でもって『(3)なぜ、先行き物価は上昇していくのか?』についてはもう何度も出ている話で新しいメカニズムはないのですが(無いのに何で今回は行くんでちゅかねえ)、モメンタムに関する説明が中々斬新。
『このような物価の基調を規定する要因について、日本銀行では「モメンタム」という言葉を使って評価しています。「モメンタム」という言葉を辞書で引くと、「勢い」とか「はずみ」といった、短い時間をイメージさせる意味が並んでいますが、金融政策の目的は長い目でみた物価の安定ですから、私どもにとっての「モメンタム」は、少し長い時間軸で評価することになります。』
だったらモメンタムとかいう言葉を使わない方がよいと思います。
『具体的には、物価の基調や趨勢を規定する主な要因、すなわち「マクロ的な需給ギャップ」や「中長期的な予想物価上昇率」などの動向を様々な指標や情報を活用しながら点検し、モメンタムが維持されているかどうかを総合的に判断することになります。』
元々モメンタム自体は「2年を念頭にできるだけ早期に」の時から使っているのですよ。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k141031a.pdf
QQE2ってやつですな。こちらの項番2の最後が、
『日本銀行としては、こうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、好転している期待形成の
モメンタムを維持するため、ここで、「量的・質的金融緩和」を拡大することが適当と判断した。』(2014年10月31日決定会合声明文より)
となっていまして、その時に使っていた時に「少し長い時間軸」でしたっけ??????と小一時間問い詰めたくなってしまうのですが、延々と使ってしまって引くに引けないこの用語ってなもんですな、はいはいワロスワロス。
・さすがに政策運営に関しては柔軟な説明をしています
『4.日本銀行の金融政策運営』の途中から。
『その際、私どもとしては、2つの問題に対応する必要があると考えました。ひとつは、2%の物価安定目標の実現に向けた政策運営スタンスに対する信認をしっかりと確保していくことです。もうひとつは、金融緩和の継続が見込まれる中にあっては、金融市場への影響などにも配慮しつつ、金融緩和効果を低減させない形で、現在の金融緩和措置の持続性を強化する必要がある、ということです。』
黒田総裁の会見よりは少し踏み込んでますね。
『これら2つの問題に対応するべく、日本銀行は、新たに、強力な金融緩和の枠組みを強化する幾つかの措置を決定しました。時間も限られていますので、本日は、その中でも、特に重要なものに絞ってご紹介したいと思います(図表11)。』
しかしこの「超絶緩和を若干緩める」のが「緩和の枠組み強化」という(仕方ないのは分かるけど)謎の説明よ・・・・・・・・
『第1に、日本銀行は、2%の実現を目指す姿勢に揺るぎがないことを示すため、政策金利の「フォワードガイダンス」を導入しました。耳慣れない言葉だと思いますが、「フォワードガイダンス」とは、金融政策に対する市場の信認や期待を高めるために、将来の政策運営方針をあらかじめ示すという方法です。今回、日本銀行は、「2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する」ことを、対外的に約束しました。2%の実現見通しが後ずれしたからといって、金融緩和の手を緩めることはないということを、改めて申し上げておきたいと思います。』
>2%の実現見通しが後ずれしたからといって、金融緩和の手を緩めることはない
いやそこは追加緩和じゃないの、と言いたくなりますが、追加緩和は端から頭にないのがよく分かります。
『第2に、日本銀行は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の持続性を強化するため、各種の施策を実施することとしました。例えば、先ほど、10年物国債金利の操作目標を「ゼロ%程度」と申し上げましたが、そのもとで金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうることを改めて示しました。ある意味では、強力な金融緩和の帰結とも言えるのですが、このところ、わが国の国債市場では、長期金利が幾分硬直的となっているほか、取引高も減少傾向を辿るなど、市場機能の低下に対する懸念が徐々に強まっています。』
ついこの前まで問題ないって言ってたじゃないですか。
『この先、金融緩和を続けていくことを踏まえると、こうした懸念がさらに強まることがないよう、経済・物価の見方などを反映して長期金利がある程度変動することを許容し、市場機能を維持することが必要と判断しました。ただし、長期金利の操作目標は「ゼロ%程度」から変えていません。金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する方針であり、金利水準が切り上がっていくことを想定しているものではありません。また、同じく政策の持続性を強化する観点などから、ETFの買入れについて、年間「約6兆円」という買入れ目標を維持しつつ、市場の状況に応じて買入れ額は上下に変動しうることを明らかにしました。』
ふーん。
『このような一連の措置の狙いは、緩和の副作用にも目配りしつつ、強力な金融緩和を持続させることです。この持続性という観点を踏まえれば、全体として金融緩和効果は強化されることになると考えています。』
ということでこれって最近お蔵入りしたように見える「リバーサルレート論」の変形バージョン以外の何物でもないというのが分かると思いますが、リバーサルレートとか言い出すとまた物議をかもすのでそうは言わないで同じ質の話をしている訳ですな、まあこれが執行部見解ということでしょう。
〇会見からちょっとだけ
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180803a.pdf
もしかしたら追加するかも知れませんが取り急ぎ。
・超長期は今後放置プレイの方向に長い目では向かっていくですかそうですか
『(問) 今のお話と関係するのですけれど、10 年物に関しては上下 0.2%だと
いうことは、超長期に関しては、普通、ボラティリティから考えれば、10 年債よりも幅が広くなって自然かなと思うのですけれど、その辺のスティープ化と
いうか、20 年、30 年、40 年は、10 年の幅よりも大きく動いても自然だし、それほど実体経済に大きな影響がないのか、その辺のところをお伺いしたいのですが。』
総括的検証でも超長期はそこまで影響大きくないという話になっておりました。
『(答) そこは基本的にはマーケットが判断することだと思います。「イールドカーブ・コントロール」の基本的な考え方ですが、我々は元々、イールドカー
ブ全体をある程度の幅をもって適切な姿に誘導する時に、あらゆるタームの金利をファインチューニングすることはできないわけです。そこで、大きなイールドカーブのうちピボットとなる、オーバーナイトという最短期物と、取引量
の多い 10 年物の 2 つの重要な点を選んでコントロールして、その 2 点のレンジと整合的なイールドカーブが形成されることを想定しているわけです。』
均衡イールドカーブの概念はどこへ???
『最短期物と 10 年物という 2 つのピボットを前提として、どのような金利形成が行われるかは、基本的にはマーケットにお任せするものだと思っていますので、
もっと大きくなるべきだとか、あるいはこうあるべきだという判断を事前にしているわけではありません。』
ということで方向性として超長期は放置プレイにもっていこうということですね、わかります。
・臨時輪番オペ
『(問) 決定会合の前後、特に終わった後から、長期金利が上昇圧力を強めていると思いますが、この辺りの評価を頂ければと思います。
』
『(答) 足もとの市場動向について、直接コメントすることは差し控えたいと思います。皆さんのご関心としては、今回の政策の結果を最近の市場がどのよ
うにみているかということもあるのだろうと思いますが、まだ導入して数日で
すので、これがどのような受け止められ方をしていくかについては、もう少しマーケットの動向をみながら判断していきたいと思います。いずれにせよ、評
価は時期尚早だと思いますが、金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切
に国債買入れを実施する方針で臨んでいるということです。 』
いっていること自体はまあそうですね、という話ですが、この会見が・・・・・・
―― 2018年8月2日( 木)
午後2時から約30分 於 京都市
となっているのは味わいが深いですかそうですか(^^)。
#とまあそんな感じで3日分くらい一気に投下しましたがまだ投下足りない。(下に昨日日付の第3部あり)
2018/08/05
お題「景気認識、物価認識、物価見通しなどを声明文と展望レポート基本的見解で確認」
さてさて、MPMの後にネタが色々と出てしまったのでそっちを先に処理するという事になってしまって整理整頓が追いついていませんでしたが、不覚にも土日に更新しないでまとめて月曜の朝に投下(手間を省くために日曜の夜に一部投下しています)の巻となりました。
〇まずは声明文からというお前は何をやっているんだ状態ですが
今回声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180731a.pdf
強力な金融緩和継続のための枠組み強化
今回の展望レポート基本的見解
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807a.pdf
前回声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180615a.pdf
当面の金融政策運営について
4月展望レポート基本的見解
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1804a.htm/
木曜にネタにした時には政策の内容を確認した時点で話が終わってしまい(だって盛りだくさんにも程があるんですもん)、おまけに木曜には謎の臨時オペが実施されてしまいましたのでそれがまたネタという事になって渋滞オブ渋滞となっておりました。
でもってまずは声明文の後半からというおいおい状態ですけどすいません。
・景気認識は展望レポートで確認します
声明文項番3は景気認識の話なのですが、今回は物価が行ってませんアチャーという話が途中から始まっておりますので、景気認識に関する部分は展望レポート基本的見解になります。
『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。』(今回展望レポート)
『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。』(前回声明文)
『海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。 そうしたもとで、輸出は増加基調にある。国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善基調を維持するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。この間、住宅投資は横ばい圏内で推移している。公共投資も高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。』(今回展望レポート)
『海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善基調を維持するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。住宅投資は弱含んで推移している。この間、公共投資は高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。』(前回声明文)
ということで、景気の基本認識に関してはほぼ同じでして、住宅投資の所が弱含みから横ばい圏内になっただけで他は同じになっています。
『わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、0%台後半となっている。
予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。』(今回展望レポート)
『わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっている。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。』(前回声明文)
ということで景気認識の現状部分って何気に殆ど同じなんですよね。
『先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。2018年度についてみると、国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。』(今回展望レポート)
『先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。』(前回声明文)
同じですな。
『輸出についても、海外経済の着実な成長を背景に、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。』(今回展望レポート)
『輸出も、海外経済の着実な成長を背景として、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。』(前回声明文)
こちらも同じ。
『先行きの物価を展望すると、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態が続くもとで、企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化し、中長期的な予想物価上昇率も徐々に高まってくるとみられる。この結果、消費者物価の前年比は、これまでの想定よりは時間がかかるものの、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(今回展望レポート)
『消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる(注2)。』(前回声明文)
ということで、景気認識にはほぼ変化がないのに物価の見通しだけかわっているというオモシロMPMになりまして、ナンジャソラという感じですが、ここで声明文に戻ります。
・物価の見通しを下げた理由は声明文(というか展望レポートですが)の項番3
今回声明文の項番3を引用します。
『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大しており、労働需給も着実な引き締まりを続けている。一方、物価は、経済・雇用情勢に比べて弱めの動きが続いている。』(今回声明文)
ちなみに今回声明文の「着実な引き締まり」に関しては前回の展望レポートでも同じ記述がありますので、今回特に判断を変えている訳ではありません。でもって物価が弱めの動き、と言っていますが展望レポート基本的見解にありますように特に判断が凄い下がっている訳ではなくて、「本来は上がっているはずなのに上がっていない」と言いたいんでしょうかねえ。
『その背景には、本日公表した「経済・物価情勢の展望」で示したように、企業の慎重な賃金・価格設定スタンスや値上げに対する家計の慎重な見方の継続といった要因が複合的に作用しており、2%
の「物価安定の目標」の実現には、これまでの想定より時間がかかることが見込まれる。』(今回声明文)
まあ良いんですけどね、もともと「インフレ期待に直接働きかける金融政策」というのを鳴り物入りで実施した訳で、5年以上経過して今更お前は何を言っているんだと小一時間ですわな。
『もっとも、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることにより、消費者物価の前年比は、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(今回声明文)
これまで上手くワークしていないのに今後ワークする理由は如何にという感じですが、毎度毎度のご説明は「いやもうもうすぐ行きますよ」の連発でここまで来ていて、そのたびに「今度は上がるような要素が」みたいなアネクドータルな話をするというのが仕様になっております。
でもって物価がアガランチ会長の話は
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180731f.pdf
賃金・物価に関する分析資料
および展望レポート基本的見解の4ページに『@物価上昇に時間を要している背景7
』という小見出しがありまして、そこから先がアガランチ会長の言い訳になっておりまして、そのあと何で上がるんじゃと小一時間問い詰めた結果は展望レポート基本的見解の6ページから『A物価上昇率が高まるメカニズム』というのがありまして、まあそこを鑑賞すると説明がありますが、上記の分析資料ってこれまで出てきていたスタッフペーパーの焼き直しのように見えるのですが何か新しいのありましたっけ?
〇物価が上がらん理由と物価が上がるメカニズム
つーことで展望レポート基本的見解の4ページから6ページの辺りの説明を確認しておきましょう。『@物価上昇に時間を要している背景7』ですな。
『2013 年4月の「量的・質的金融緩和」導入以降、わが国の経済・雇用情勢は大きく好転し、マクロ的な需給ギャップも、はっきりと改善した。こうした
もとで、エネルギー価格の影響を除いた物価上昇率はプラス圏での推移が定着しており、わが国は、「物価が持続的に下落する」という意味でのデフレではなくなった。』(今回展望レポート、以下暫く同様)
もともと物価が「持続的に下落する」ってほどのデフレだったか???という気はせんでもないがそれはそれとしまして次。
『もっとも、経済・雇用情勢の改善に比べて、物価や予想物価上昇率の改善ペースは、緩慢なものにとどまっている。この背景には、基本的に、長期にわたる低成長やデフレの経験があると考えられる8。1990年代後半の金融危機やその後の世界金融危機を含む厳しい調整局面を経て、企業の慎重な賃金・価格
設定スタンスや値上げに対する家計の慎重な見方、言い換えれば、賃金・物価
が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が経済に組み込まれ、その転換に時間を要している。』
それを金融政策で何とかするのがQQEだったと思うのですが、何とかできていないのを所与として言い訳話をされましても困るんですが。
『加えて、非製造業を中心に生産性を引き上げる余地が大きいことや、デジタル化といった近年の技術進歩などは、経済が拡大する中に
あっても、企業が値上げに慎重なスタンスを維持することを可能にし、分野によっては競争環境を厳しくしている面もあるとみられる。』
『このように、低成長やデフレの経験が生産性向上余地の大きさなどと相俟って、わが国では、物価のマクロ的な需給ギャップへの感応度が高まりにくく、
適合的な期待形成の力が強い予想物価上昇率も上がりにくい状況が、想定以上の期間にわたって、続いていると考えられる。』
てかさ、そういう話は白川時代に物価が中々上がらんことの説明で同じような話をしていたと思うのですけどね。
『こうした物価や予想物価上昇率 が上がりにくくなっている要因を、家計や企業の行動面から整理すると、以下のとおりとなる。』
ということで・・・・・・・・・・
『第1に、企業の賃金設定スタンスがなお慎重であり、本格的な賃金上昇の実現に時間がかかっている。』
『第2に、家計の値上げに対する許容度が明確には高まっていない。』
『第3に、仕入価格が上昇し、賃金コストが緩やかながら着実に増加している もとでも、企業の価格設定スタンスはなお慎重である。』
『第4に、競争環境が厳しさを増していることに伴う価格押し下げ圧力が、い くつかの分野で働いている。』
ということで、中身の部分は敢えて飛ばして箇条書きみたいにして引用していますが、この4つを並べて見せられると、まあ物凄く端的に言えば「賃金が上がらん」ということだし、企業と家計の行動が防衛的になっているのっていうのは要は「本当に景気がよいと思ってない」って話ですよね、としか思えんのよね。
あとしらっと、
『このほか、以上とはやや性質を異にするが、消費者物価指数において相応の
ウエイトを持つ公共料金や家賃などが鈍い動きを続けていることも、物価の上がりにくさに影響していると考えられる。』
ってのも入れていますな。
でもって『A物価上昇率が高まるメカニズム 』ですけど、
『このように、複数の要因が複合的に作用してきたことから、物価上昇率の高まりには時間を要しているが、最近では、業種や規模を問わず幅広い企業で、
販売価格の引き上げに向けた動きがみられ始めている。』
じゃあ何で物価上がらないのでしょうか???
『また、積極的な設備投資計画からも窺われるように、経済・雇用情勢が持続的に改善するもとで、企業の将来に対する見方も変化しつつあるとみられる。』
じゃあ何で賃金上がらないのでしょうか???
『先行きを展望すると、景気の拡大基調が続く中で、物価の上昇を遅らせてきた要因の多くは次第に解消していくと考えられる。技術進歩の影響などは先行き強まる可能性もあるが、労働需給が引き締まった状態が続くもとで、賃金上昇率の高まりはより明確化していくとみられる。』
ふーん。
『こうしたもとで、外食などのサービス業で既にみられ始めているように、販売価格への上昇圧力は強まっていくとみられるほか、人手不足を背景とする物流コストの増加は、インターネット通販企業のコスト面での競争力を弱めることを通じて、小売業との競争環境を緩和させる方向に作用することも考えられる。』
うーんこの。
『さらに、労働生産性の上昇や非正規雇用者の賃金水準の高まりが、正規雇用者の賃金に波及していけば、
家計の値上げ許容度も全体として徐々に高まり、企業による値上げはより受け入れられやすくなるとみられる。また、高齢者の労働参加の高まりを支えてきたいわゆる団塊世代が
70 歳代に達しつつあることなどを踏まえると、労働参加の高まりが賃金を抑制する効果も緩やかになっていくことが予想される。』
希望的観測のような希ガス・・・・・・
『このように、消費者物価の上昇を抑制してきた要因が次第に解消し、その前年比が2%に向けて徐々に上昇率を高めていく姿を、一般物価の動向を規定するマクロ的な需給ギャップや中長期的な予想物価上昇率などに基づいて整理すると、以下のとおりとなる。』
とまあそういうことで、「マクロ的な需給ギャップ」と「中長期的な予想物価上昇率」と「輸入物価」の話があるのですが(引用していると大概に長くなるので割愛しますが)まあ大体いつも通りの話をしていましてですな、
『この間、先ほど指摘したように、最近になって顕著となっている女性・高齢者の労働参加の高まりや、企業の生産性向上によるコスト上昇圧力の吸収に向けた取り組みの強化は、短期的には賃金や物価の上昇圧力を弱める方向に作用するとみられるが、より長い目でみれば、上昇圧力を高める方向に作用していくと予想される。』
『すなわち、こうした動きは、労働人口の減少といった構造的な問題を軽減し、日本経済全体の生産性を高め、成長力強化に繋がる可能性がある。人口減少などを理由に期待成長率を低めにみる企業経営者も少なくないだけに、経済全体の成長力が高まっていけば、企業の支出行動が積極化してい
くことが期待できる。また、日本経済の成長力の高まりとともに、自然利子率
が上昇すれば、日本銀行による金融緩和の効果も高まっていくと考えられる。』
結局何か本当に物価が上がるんか、という感じで結局のところ「より長い目でみれば」物価が上がりますよというお話になっているのがうーんこのという感じではありまする。
〇でもって声明文に戻ってガイダンス導入とかの部分(項番4)
『こうした認識のもとで、日本銀行は、政策金利のフォワードガイダンスを導入するとともに、金融市場調節や資産の買入れをより弾力的に運営していくことにより、
「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の持続性を強化し、需給ギャップがプラスの状態をできるだけ長く続けることが適当と判断した。』(今回声明文、以下暫く同様)
フォワードガイダンスは木曜日に申し上げましたように、そもそもジンバブエ先生が思いっきり反対に回っていますように、まあインチキガイダンスでございますし、「「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の持続性を強化し、需給ギャップがプラスの状態をできるだけ長く続けることが適当」という事ですけれども、そもそも論としてYCC政策の持続性を強化すると何で需給ギャップがプラスの状態が長く続くのかというのもあまり論理的では無いと思うのですけどね。
『こうした対応は、経済や金融情勢の安定を確保しつつ、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現することに繋がると考えている。』
でまあここの、「経済や金融情勢の安定を確保しつつ」というのにも味わいがあるなあとは思うのですけれども、「経済の安定を確保しつつ」という事は、ゆうてみれば「経済を吹かすんじゃないアプローチ」という話になるのですが、それって元々のQQEの時のアプローチと全然違うじゃんという話になるんですよね。経済を無駄に吹かさないで巡行速度でやっていくという話になるんですが、それっていうのはつまり「馬鹿緩和の度合いを緩める」という話になるので(まあ実際にそういう政策になっていますけど)、従来は物価の見通しが下がるのであれば追加緩和じゃーという所になる話が緩和度合いを緩めるという話になるんですから、それはどう見てもQQE的なアプローチは敗北ですという話をしていると思うんですよね。
そして「金融情勢の安定を確保しつつ」というのはさてどういう事やという話ですが、それも結局のところ馬鹿緩和の度合いを緩めるという話なのですが、では何で金融情勢の安定を確保しないと行かんのかという話になると、金融政策のトランスミッションメカニズムが結局のところ金融チャネルですよね、ということになるのでしょうけれども、それもまた「期待に直接働きかける」政策は上手くいかなくて、従来通りのトランスミッションメカニズムしか使えないというお話になっているのでこれまたQQE的なアプローチが敗北しているっちゅう話になりますよねー、と思うのですがどうでしょうか。
〇オーバーシュート型コミットメントは同じ
項番5ですけれどもね。
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるま
で、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、金融政策運営の観点から
重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』
となっていますが、こちらは従来通りになっていまして、金利のフォワードガイダンス(なおインチキガイダンスですけど)とオーバーシュート型コミットメントという組み合わせになっているというこの複雑さ、という感じではありますな。
・・・・・・・ということで、声明文のうち政策変更にかかわる部分以外だけ見ただけでもこの有様ということで、今回は随分とまあ色々なものをぶっこんできましたという感じなのですが、正直「何でこの時期??」というのは疑問だと思うのですが、結局のところ「物価が思うように上がらないので降参しました」と解釈すれば、そらまあ降参するなら降参は早めにやっておかないと火だるま度合いが上がるだけだという事だと思えばそんなもんなのかな、とも思うのでありました。
2018/08/03
お題「ネタの順序が前後しますが昨日の14時打ち込み輪番でちょっとだけ愚感想を」
次から次へとネタが飛んでくる日銀、ついこの前まで地蔵だったので、駄文のネタにもならず、ずーっと駄文の方が海外中銀ネタばっかりだったことを考えますと円債がネタの宝庫というのは実に楽しいのですが、このクソ暑い中物凄い勢いで千本ノック打ち込まれますとこっちがグロッキーですわwwwwwwww
・・・・・・ということでネタが滞貨状態になっておりますので、この週末はさすがに更新の所存ですし、土曜の朝から頑張りたいのですが、もはやこの疲弊状態で土曜の朝起きれる気もしないのでまあ土日のどこかだと思ってつかあさい(なお土日に更新が無かったからといってそのまま永眠しているわけではありません^^)。更新した場合も月曜の駄文には一緒に並べておきます。
〇まーた新手の飛び道具が飛んできたわけだが(10時10分じゃなくて14時の競争入札オペ)
・まずはその背景で10年入札が滑るの巻
引用の都合によりロイターさんの記事は昨日の最後の奴を貼っていますが。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1UT2WX
2018年8月2日 / 16:04 /
〔マーケットアイ〕金利:夜間国債先物は底堅い、日銀オペ結果を材料視
こちらの午後の方はさておきまして、昨日の債券市場ちゃんって朝一瞬先物が下をやっていたりしてましたけど、基本的に先物がモリモリと戻る感じでして、一方で超長期が(どうも前日の夜からだったようですが)ヘロヘロになっていて、10年が0.130%(0.5毛甘)やってるときに20年が0.620%(2.5毛甘)とかになっておりまして、超長期ちゃんは置いて行かれる中で先物はホイホイと上昇の巻という展開になっておりましたわな。
まー今週はMPM結果出て火曜日は盛大な踏み上げ大会、水曜は何か知らんが一転して売りなおしで踏み上げた分全部戻しておまけにそれよりも安い、ときていまして、その間に10年カレント3銘柄のSLFが盛大に出るとか月曜の指値1.6兆円の影響もありということで、昨日は朝っぱらから先物が盛大に独歩高みたいになっていたのって、まあ簡単に言ってしまえば他に売るものがない(実弾無いしレポも大変なので)ので、現物が売れないなら先物を売ればいいじゃないの、とかのマリー・アントワネットもご指摘の通り(大嘘)、じゃあ先物売りヒャッハーと来ていたものの、昨日に関しては10年新発国債の入札があって、この入札はSLF見ればお察しのショートカバーニーズがあるんだからうっかりすると入札強くて売り方は消毒だヒャッハーとなるかも知れないというイメージは常にあるでしょうから、まあとりあえずは踏みから入ってみたみたいなアレだと思われます。
でもって定例の輪番は予定されていませんでしたので指値オペのお時間、という事になりますけど、こちらに関しても順当に指値オペなしですが、指値オペが無かったからと言って大きな反応もなく(瞬間芸でちょっと動いていたけど本質的な動きになっているとは思えん)推移しました。
・・・・・・・・なのはまあ良いんですけどね、やっぱこれ今後の相場という意味ではどうなのかと思うのが債券先物ちゃんで、昨日もオペオファーが想定されるタイミングやその前後って債券先物の板に入っている注文の枚数が2桁億円とかのスケールになっていまして、昨日は終日そんな感じで推移しておりまして、「値動きはするようになったけれども板がスッカスカ」という状況になって来ているというのも何だかなーとは思う。
でもって前場引けはさっきのロイターさん記事より。
『<11:20> 国債先物が反発で前引け、長期金利は横ばいの0.125%
国債先物中心限月9月限は前日比15銭高の150円01銭と反発して午前の取引を終えた。前日の米債安や10年債入札を警戒した売りが先行したが、売りは続かずに上昇に転じた。前週から大きく売られた反動もあり、短期筋の買い戻しが入った。現物市場は、前日に売り込まれた中長期ゾーンに買い戻しが入った。10年最長期国債利回り(長期金利)は朝方の取引で、一時0.145%と17年2月3日以来、約1年半ぶりの水準に上昇した後、0.120%まで水準を下げ、0.125%で前引けとなった。一方、超長期ゾーンは軟調。20年債利回りは一時同2.5bp高い0.620%と17年7月12日以来、30年債利回りは一時同3.5bp高い0.840%と18年1月19日以来の水準に上昇した。』(最初に出したURLロイター記事より、以下同様)
ちなみに0.145%はマークしていますが、寄りから先物がひょいと下がった辺りで勢いでついたお値段で、じゃっかんフライング気味の香りもするのであまり参考にしない方がよいかもしれません。
『雨宮正佳日銀副総裁は京都市内での講演で、今回の一連の措置について、全体として金融緩和効果は強化されることになるなどと述べた。市場では「31日の金融政策決定会合や黒田総裁の発言を再確認する内容」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券・シニアマーケットエコノミストの六車治美氏)として、特段材料視されなかった。』(上記ロイター記事より)
でもって本来今朝のネタにすべき雨宮副総裁の京都金懇があったのですが、まあこちらに関しましては「執行部としての整理はこのようになっています」というのを整理良く並べているので、論点の整理にはちょうど良いし、微妙にスルーしている話題とかもあって味わいが深い。
ただまあ突拍子もない話があるわけでもなく(雨宮さんだから当たり前ですが)よって市場は反応のしようが無かったのはその通り。
『財務省は午後10時半、10年債入札を通告した。利率0.1%で、第351回債のリオープン発行となった。10年351回債は品薄感が強いため、ショートカバー目的の業者主導の応札に支えられるとの見方が出ている。』(上記ロイター記事より)
・・・・・・・・という入札でして、後場の寄りでも10年351回は寄り前に0.120%(0.5毛強)が出合ったりしていまして、前場引け近くの所では0.125%(引け)だったので何だ入札やっぱ堅調ジャンとか思っていたら5分後に出てきたのは・・・・・・・・・・・
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20180802.htm
6. 価格競争入札について
(1)応募額 7兆7,698億円
(2)募入決定額 1兆8,613億円
(3)募入最低価格 99円62銭
(募入最高利回り) (0.138%)
(4)募入最低価格における案分比率 48.9994%
(5)募入平均価格 99円74銭
(募入平均利回り) (0.126%)
・・・・・・ということで足切りが12銭も流れやがりまして、市場の事前予想とか言ってベンダーにでていたのが足切り99円73銭くらい(意見は割れてたみたいだけど)だったので、平均はまあ良いとして足切りが盛大に流れましたぞなもしという結果。応募は7.8兆円あるんだからお前らどんだけ下に札流したんじゃという感じですが。
またまたロイターさんから。
『<12:50> 10年債入札結果は弱め、長期金利に上昇圧力
財務省が午後0時35分に発表した10年利付国債の入札結果で、最低落札価格は99円62銭(最高落札利回り0.138%)、平均落札価格は99円74銭(平均落札利回り0.126%)となった。落札価格の平均と最低の開き(テール)は12銭と前月債(2銭)から拡大。応札倍率は4.17倍と前回(4.37倍)を下回った。
岡三証券・債券シニアストラテジストの鈴木誠氏は「入札結果は弱めになった。金利上昇懸念がある中、投資家と業者ともに動きづらかったようだ」と指摘した。入札結果を受けて、国債先物は一時マイナス圏に沈んだ。10年最長期国債利回り(長期金利)に上昇圧力がかかり、0.135%で推移している。』(最初に出したURLロイター記事より)
ということで、まあ入札滑ったのですが、結局のところは0.130-0.135%辺りで推移していましたし、まあこの水準でも別に指値って入れることはないよな〜総裁が2倍って言っちゃったもんな〜とかおもっていたらこれですよ。
・競争入札の長期輪番を臨時オファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180802.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2018年8月3日
・・・・・・・・・・お、おぅ
でまあこれ受けて相場戻ったのは当然なのですが、オペを見ますと色々と謎な点があって、市場の方々は(というかアタクシが、というのを主語をでかくしていっているのではないかとか突っ込んではいけません)色々な意味で????????になる訳ですな。
まあ色々と可能性は考えられまして、順当に考えると・・・・・・・・・・・
「これは10年新発が流れたから相場止めようとしているんだろうな」
→その割には新発351が買入対象外(こちらのページだと表示ないですがオペ先通知やベンダーから出てくる)になっている。相場の下げを止めたいなら新発入らんと意味ないのでは????
「声明文にあった「急速な金利上昇」に対応したんだろうなあ」
→まあそれは話として分かるのだが、当局の立場から見て云々というのはさておき、市場の見方であれば、この程度の価格変動は流動性がある市場でも普通に動くもんで、この程度の動きで一々反応されたらタマランチ会長ですわ
「指値入れないのかな??」
→まあこれは市場の人の中でも答えが出そうですが、この水準で指値を入れていますと、結局のところ昨年の11bp指値の二の舞になってしまって、以降の運営を難しくするから指値をこんなところでいれないというのは分かる
・・・・・・のですが、何故か何とかスト方面からは「0.15で最初の指値」「いや0.18で」みたいなお話をする向きもいるようで、それをやると変えにくくなるので、まあ総裁会見で出てきた2倍水準(実は20である必要もなくて20台後半まで行かない程度だと思っている)まで指値入れないんじゃないかなと思います。
でもってこの評価なんですけど・・・・・・・・・・
「正直オペの入り方と今日のオペの打ち方まで見て行かないと評価ができない」
という代物だと思っていまして、昨日のオペの結果を見ると、
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba180802.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 12,710 4,003 -0.024 -0.019 91.4
結果多少強めではありますが、6−8年辺り入れてくればこんな感じになるでしょうし、札も割れるのか(351が入らないから)とか思っていたら1.27兆円もはいってきまして拍子抜けという感じでした。
これがですよ、もし盛大に札割れとか札割れ寸前みたいな結果になった時の対応も見たかったんですけど、それは@金利の低い方での足切り除外、A翌日の輪番減額、とうコンボでして、短国買入では実績ありますが、今のQQEになってから先で輪番で金利が低い方での除外というのをまだやっていないという事実があって、これがもし札無しで足切り除外とかすると、良い前例ができるじゃんと思ったわけなんですよ。しかも「昨日札が全然なかったから減額」とか堂々とできるという、そこまで考えてやっていたら見事な捨て石という奴。
ただまあ結果が上記のようになったので、今日は素直に4000億円(という「しらっと減額」も面白いですが、100億減らすためにその40倍の臨時オペ打っているんだから、別に減らすのを目的にしているわけではないでしょう)でやるのか、4100億円でやるのか、まあ4000にしても誰も怒らないとは思いますが・・・・・・・・・・・・
ただね、もしこのオペを「市場の急速な金利上昇に対応している」んだとすると(ちなみに日銀の市場局の発表(ベンダーなどに出ている)はそうなっていなかったと思う)、それはどうなのというのがありまして・・・・・・・・・・・
つまりですね、こうやって「急に飛び道具が飛んで来やがるしかも日銀というまるで読めないファクターで」というのが、市場のマーケットメーカーに対して「ポジションテイクしにくい」とか「飛び道具リスクに対してオファービットを広げて対応」というような話になると、市場機能を回復させる(とは日銀は言ってないけど)趣旨の施策をしているそばから、また流動性を下げて板をスカスカにする(スカスカなので値動きはビュンビュンする可能性がある)というのはどうなのよと思うわけで、もちろん必ずそうなるかも今後を見ないと何とも言えませんけど、もしかするとそうなってしまう可能性もありまして、そういう可能性をわざわざ作りに行くのってどうなのよという「地獄への道は善意で作られている」ってパターンだったりすると泣けてくるというお話。
現にまた昨日は元々先物の板が薄かったですが、オペオファー以降さらにスッカスカになって先物だけはビュンビュン値動きしていたので、これが常態化すると大昔の運用部ショックの前みたいなもんで、いざという時に捌けないマーケットってのになってしまうかも知れない(がそれは今後次第なので今確定的に悪態は付かない)とかその辺が一番気になります。
#あるいは値動きによって戻りかけた円債村出稼ぎ人が流動性の無さに呆れてまた離村とかね
・・・・・・・という訳で、なんか市場の話だけで言えば別に入れることないのになーというオペがまたも打ち込まれ、ちょっとこうやりにくくなったかなとは思います。今日のオペとかどうやっていくのかとかその後の結果とかも見ながら影響を考えたいと思います。
#オペ話だけで恐縮至極
2018/08/02
お題「寝起きでFOMC/決定会合レビュー関連その他」
日銀が超大ネタ(しかも難解ホークス)を打ち込んでくる中で大変にシンプルな声明文を打ち込むFEDの優しさにワイ歓喜の涙www
〇寝起きでFOMCであるが声明文はシンプル
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20180801a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20180613a.htm(前回)
・第1パラグラフ:景気の現状判断を引き上げて更に結構な感じに
『Information received since the Federal Open Market Committee met in June
indicates that the labor market has continued to strengthen and that economic
activity has been rising at a strong rate.』(今回)
『Information received since the Federal Open Market Committee met in May
indicates that the labor market has continued to strengthen and that economic
activity has been rising at a solid rate.』(前回)
「economic activity has been rising at a strong rate」と今回solidから引き上げて来ましたよヒャッハー。
『Job gains have been strong, on average, in recent months, and the unemployment rate has stayed low.』(今回)
『Job gains have been strong, on average, in recent months, and the unemployment rate has declined. 』(前回)
失業率の所はベクトルとしては横になっていますが、水準が良い状態でのstayなので無問題。
『Household spending and business fixed investment have grown strongly.』(今回)
『Recent data suggest that growth of household spending has picked up,
while business fixed investment has continued to grow strongly.』(前回)
企業の経済活動に関しては元々強い認識なのを維持して、家計消費に関して今回判断を盛大に上げてきて、前回は持って回ったような言い方だったのが企業と同様に「grown
strongly」とシンプルに強い認識で来ましたのでこれは経済に自信ニキでパウエルおじさんもニッコリ。
『On a 12-month basis, both overall inflation and inflation for items other
than food and energy remain near 2 percent. Indicators of longer-term inflation
expectations are little changed, on balance.』(今回)
『On a 12-month basis, both overall inflation and inflation for items other
than food and energy have moved close to 2 percent. Indicators of longer-term
inflation expectations are little changed, on balance.』(前回)
物価に関してもこれまたキタコレなのでありまして、前回は「have moved close
to 2 percent」だったのですが、今度は「remain near 2 percent」になっていまして、物価に関してもマンデート達成と言いたくなる(ただし大勝利宣言にはまだ慎重ですけど)表現に近づけています。
・・・・・・・ということで経済の現状認識を示す第1パラグラフは今回結構強気にしていまして、一方でご案内の通りで今回は政策金利維持ですので、これは9月(25-26)に利上げをしますよと予告ホームランをしているようなもんですな。ホワイトハウスのアホウに向けて「経済はこんなに強いんじゃこれ以上吹かしたらバブルになるわヴォケがバブル稼業のおめーのポジショントークにつきあえんわこのスットコドッコイ」と言ってるのかどうかは存じません(^^)。
・第2パラグラフ:見通しの方は同じですな
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster
maximum employment and price stability. The Committee expects that further
gradual increases in the target range for the federal funds rate will be
consistent with sustained expansion of economic activity, strong labor
market conditions, and inflation near the Committee's symmetric 2 percent
objective over the medium term. Risks to the economic outlook appear roughly
balanced.』(今回)
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster
maximum employment and price stability. The Committee expects that further
gradual increases in the target range for the federal funds rate will be
consistent with sustained expansion of economic activity, strong labor
market conditions, and inflation near the Committee's symmetric 2 percent
objective over the medium term. Risks to the economic outlook appear roughly
balanced.』(前回)
まるで全文一致っすな。
・第3パラグラフ:こちらも政策アクションのところ以外で一致なので実質的に全文一致
『In view of realized and expected labor market conditions and inflation,
the Committee decided to maintain the target range for the federal funds
rate at 1-3/4 to 2 percent.』(今回)
『In view of realized and expected labor market conditions and inflation,
the Committee decided to raise the target range for the federal funds rate
to 1-3/4 to 2 percent.』(前回)
前回利上げして今回現状維持だからここの文言が異なるのは当たり前。
『The stance of monetary policy remains accommodative, thereby supporting
strong labor market conditions and a sustained return to 2 percent inflation.』(今回)
『The stance of monetary policy remains accommodative, thereby supporting
strong labor market conditions and a sustained return to 2 percent inflation.』(前回)
ということで事実上全文一致。
・第4パラグラフ:先行きの金融政策に関しての文言も見事な全文一致
『In determining the timing and size of future adjustments to the target
range for the federal funds rate, the Committee will assess realized and
expected economic conditions relative to its maximum employment objective
and its symmetric 2 percent inflation objective. 』(今回)
『In determining the timing and size of future adjustments to the target
range for the federal funds rate, the Committee will assess realized and
expected economic conditions relative to its maximum employment objective
and its symmetric 2 percent inflation objective.』(前回)
『This assessment will take into account a wide range of information, including
measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures
and inflation expectations, and readings on financial and international
developments.』(今回)
『This assessment will take into account a wide range of information, including
measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures
and inflation expectations, and readings on financial and international
developments.』(前回)
はいはい全文一致全文一致ですので「既定路線を継続しまっせ」というメッセージではあります。
・第5パラグラフ:全員一致はまあ順当でしょ
『Voting for the FOMC monetary policy action were: Jerome H. Powell, Chairman;
John C. Williams, Vice Chairman; Thomas I. Barkin; Raphael W. Bostic; Lael
Brainard; Esther L. George; Loretta J. Mester; and Randal K. Quarles.』(今回)
『Voting for the FOMC monetary policy action were Jerome H. Powell, Chairman;
William C. Dudley, Vice Chairman; Thomas I. Barkin; Raphael W. Bostic;
Lael Brainard; Loretta J. Mester; Randal K. Quarles; and John C. Williams.』(前回)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomc.htm
ウィリアムスがNY連銀に出た後がAlternate Membersの中でカンザスシティ連銀のジョージ総裁が投票メンバーに回っているのか。
ということで、まあこれは「当機は目的地に向けて順調に飛行中です」ってことですから、フライトプラン通りに次回は利上げしまっせということです、としか読めないと思うのですがどうでしょうかね。
#しかしどこかの中央銀行のふんどしのように長くバブル期建設の温泉旅館のごとく複雑怪奇なMPMステートメントに対して当機は順調に飛行中なFOMCの声明文のシンプルな事よ(昔シンプル→金融危機でふんどし化→徐々にシンプルに回帰、ですけどね)という所で(−−;
〇決定会合レビューネタがまた続く:声明文比較と今回の政策ロジックに関して
お前はまだそんなところで引っ掛かっているのかと言われますとぐうの音も出ないのですが(涙)。
今回声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180731a.pdf
強力な金融緩和継続のための枠組み強化
今回の展望レポート基本的見解
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807a.pdf
前回声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180615a.pdf
当面の金融政策運営について
題名を盛っている件につきましては後程(^^)。政策をいじっている話の部分以外を確認しないといけませんな。
・景気認識の部分
今回は項番3、前回は項番2に該当。
『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大しており、労働需給も着実な引き締まりを続けている。』(今回)
『わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。』(前回)
総括判断は同じなのですが・・・・・・・・・・・・
『一方、物価は、経済・雇用情勢に比べて弱めの動きが続いている。その背景には、本日公表した「経済・物価情勢の展望」で示したように、企業の慎重な賃金・価格設定スタンスや値上げに対する家計の慎重な見方の継続といった要因が複合的に作用しており、2%
の「物価安定の目標」の実現には、これまでの想定より時間がかかることが見込まれる。もっとも、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることにより、消費者物価の前年比は、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(今回)
ということで、思いっきり言い訳大会になっております。前回6月声明文における物価見通し部分を引用しますと、
『消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの 改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる(注2)。
』(前回、こちらは項番3)
となっていて、ここの(注2)が片岡さんが「行くかヴォケ」と反対しているところですが、今回は確か展望レポートの方で反対している(と総裁が会見で言ってた)ので、こちらは重複になるからパスしたとかそういう話なのか、「徐々に」と時間軸が長くなったからスルーしたのかはイマイチ分からん。
なお、この比較にありますように、物価の見通しに関しては展望レポートにもありますように盛大に引き下げております。でもって労働需給の引き締まり云々ですが、これは(引用先増やし過ぎるとめんどいので割愛しますけれども)4月展望レポート(基本的見解)の2ページ冒頭の『1.わが国の経済・物価の現状
』から見ますと、同様に『労働需給は着実な引き締まりを続けている。』(4月展望レポート)となっているので、ここの認識は前回と同じとみて良いと思います。
需要項目別の話が声明文から抜け落ちている(入れるとクソ長くなるから割愛しただけで他意は無いと思う)ので展望レポートを確認しますと、
『海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。 そうしたもとで、輸出は増加基調にある。国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善基調を維持するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。この間、住宅投資は横ばい圏内で推移している。公共投資も高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を
反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。』(今回展望レポート)
『海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。そうしもとで、輸出は増加基調にある。国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善基調を維持するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。住宅投資は弱含んで推移している。この間、公共投資は高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調に
あり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。』(前回)
住宅投資の判断が引きあがった以外は同じですな。
『わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、0%台後半となっている。
予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。 』(今回展望レポート)
『わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっている。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。
』(前回)
金融環境と物価の話は同じですな。
・今回の政策導入の理屈が何ともかんとも
項番4は
『こうした認識のもとで、日本銀行は、政策金利のフォワードガイダンスを導入するとともに、金融市場調節や資産の買入れをより弾力的に運営していくことにより、
「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の持続性を強化し、需給ギャップがプラスの状態をできるだけ長く続けることが適当と判断した。こうした対応は、経済や金融情勢の安定を確保しつつ、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現
することに繋がると考えている。』(今回)
ということで今回の政策導入にあたっての理屈(屁理屈)でござりますな。そうなると項番1とお題も見て進ぜようという話になりまして・・・・・・・・・
『強力な金融緩和継続のための枠組み強化』というのがお題。
『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、強力な金融緩和を粘り強く続けていく観点から、政策金利のフォワードガイダンスを導入することにより、「物価安定の目標」の実現に対するコミットメントを強めるとともに、「長短
金利操作付き量的・質的金融緩和」の持続性を強化する措置を決定した。』
とありますので、理屈としては「フォワードガイダンスを入れるとコミットメントが強まる」ということになっていますが、昨日アタクシが初めて絶賛(という程の事でもないですが)したジンバブエ大先生のフォワードガイダンス文言反対理由にもありますように、こちらのガイダンス文言って、政策継続の時期に関する具体的な記載がない癖に、「リスク要因の一つ」とか言って消費増税の時期を入れるという目くらましをやっている辺りがよく言えば巧妙ですが率直に申し上げてインチキなところで有利誤認を狙っているだろおめーという要素が入っている分タチが悪いのですが、それはそれと致しましても、タイムコミットメントでも指標ひも付きでも無い上に、よくよく見れはこれ「現時点での予想」となっておりますので、これで「コミットメントを強める」とか言われましてもお前は何を言ってるんだというツッコミがもうちょっと多方面から飛んでくるかと思ったら意外に飛んでねえじゃんという気はします。
まあ何ですな、「「物価安定の目標」の実現に対するコミットメント(実現するとは言っていない)」と補記すればなるほどそんなもんかいな、とはなると思いますのでそういう事にしておきますが、そもそも何でこのコミットメントをすると物価が上がるのかという理屈が根拠薄弱すぎる訳でして、YCC導入時に「強力なコミットメント」としてぶっこんだオーバーシュート型コミットメントを入れても物価が思うようにアガランチ会長という残念な実績が既に示されているというのが惜しい訳でして、そういう実績がなくてスクラッチでこれを入れてきてコミットメント強化と言われると何となくそうかなと思うかもしれませんが、これが、オーバーシュート型コミットメントと比較してどこがどう違うから効果が出るのかという論点は盛大にスルーしたままになっているのが実に味わい深い。
なお、ツッコミが少なくとも市場方面からろくすっぽ飛んでこないのは、そもそも論として今回の政策ロジックはさておいて、実施したことに関しては市場がニッコリ(ETFだって最近は株の方からも弊害指摘ありますもんね)というものなので、札付きの悪党が珍しく近所のどぶさらいを手伝っているのを見て文句を言わないのと同じようなもんだとイメージして頂ければ宜しいのではないかと思ったのですがどうなんでしょうかね(^^)。
でもって、今回は「長短 金利操作付き量的・質的金融緩和」の持続性を強化する措置を決定した」ということで、この「政策の持続性が強化されるので政策枠組み強化」という大変に苦しい理屈を唱えていますが、ここについてもそこまでゴリゴリと看板倒れだの誇大広告だのと言う人が市場方面からあまり出てこない(ように見える)のは、さっきと同じ理屈だと思います。
だってさ、「持続性強化」でやっている事って長期金利水準の弾力化という名前の上昇容認幅拡大と、ETF買入額の弾力条項導入という名前の減額可能性導入と、政策金利適用残高の削減ということで、債券にしろ株にしろ短期にしろ、金利が下がるような話ではなくて上がるような話だし、株の需給を締めるペースを下げる(可能性がある)話でもあるので、これを緩和の枠組み強化というのは、まあそういうだろうと予想していたので誰も驚かないですが、まあ良くもまあ盛りましたなあという所ではあります。
・副作用論:足元で副作用は発生していないけど・・・・・・・・・・・・
今回声明文の項番5、前回でも項番5になります。
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。』(今回)
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるま
で、マネタリーベースの拡大方針を継続する。』(前回)
オーバーシュート型コミットメントに関しては同じです(そらそうだ)。注目点はその次。
『今後とも、金融政策運営の観点から 重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安
定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。 』(今回)
『今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う(注3)。
』(前回)
>金融政策運営の観点から 重視すべきリスクの点検を行うとともに
>金融政策運営の観点から 重視すべきリスクの点検を行うとともに
>金融政策運営の観点から 重視すべきリスクの点検を行うとともに
・・・・・・・・ほほう。
これって本来もとより毎回行っている(金融政策第一の柱、第二の柱による点検ですから)のですけれども、わざわざ今回ぶっこんできた、というのに意味がありまして、ちょっと今日そこまでやっていると間に合わない(これは久々の土日更新待ったなしかも知れないけど後のネタとの兼ね合いで考えます)のですが、今回の展望レポートでは別に副作用に関して現状何かあるというような話とか、認識を変えたというような感じでも無かった筈なんですが、今回政策変更(表面上は現状維持+ガイダンス強化のセットで事実上は金利上昇容認)にあたってリスク点検を行った結果このような結論になりましたよ、と言わんばかりの入れ方という風に読める訳ですよ日銀文学的には(個人の感想です)。
ということは、今回金融政策運営上で点検したら何かこりゃ宜しくない的なものがあって、でも足元ではないというのですから、このまま継続していくとリスクが増えるのでそうなる前に火の手が上がらないようにしておきましょう的なサムシングが、という理屈になってくると思うのですが(個人の感想です)どうなんでしょうかねえと思います。
まあ何ですな、冷静に考えてみますと「金融政策の副作用」ってのってそれが顕在化したときに、副作用軽減のためにどうのこうのと言いましても(もちろん程度問題というのはありますけど基本的に考えて)、副作用が発生して不具合があるからどないかせんといかん、ってなっているという事は、そもそもその時点で金融政策の枠組みが効果を表していないという状況に陥っているという事になりますので、実を言えば副作用が顕在化したときに手を打つといっても、その時には時すでにお寿司だし、既往政策が無効化しているということにもつながるのでアカンがなという事になっているんですから、副作用点検して顕在化しましたマズイですよねーとかのんびりビハインド・ザ・カーブをしている場合ではないんじゃないですかね。
でまあ今回この文言が入りましたので、まあさすがに副作用の話を気にして先回りして軽減策打っておかないと、という感じも総裁会見の方からもせんでもない(なお時間がなくて総裁会見の話ができない模様)ですし、まあそういう事になったんでしょうな。正面切って言わないのは面目玉とかアベノミクス看板政策だからとかその手の(以下自粛)。
〇ところで何ですかこの相場は
ハチャメチャにもほどがあるんですが、
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_daytime
先物価格情報 日中
18年9月限 08/01
150.49 (08:45)
150.52 (08:45)
149.85 (14:40)
149.86 (15:02)
-0.83 77,951
例によって寄ってしまうとこの日中見ても今日のになると思いますが、昨日はまあ前場途中から先物の板がスッカスカになってドタバタ動いて(基本的に落ち着いている感じの時には板が戻るのですが、動き出して特に下がってくると板が急速にスッカスカになって値段がホイホイと動くという傾向があったと思う)しかも8兆円近い出来高とかこれは懐かしい市場機能ですぜ旦那さん(かどうかは知らんが)。
正直何が何なんでしょとか、カレントのSLFがどうしたこうしたとか、今日の10年どうするんじゃろとか、そういう話は盛沢山あると思うのですが、これまた時間がないのとそもそも事象について頭が整理できているかとなると怪しいにも程がある(脊髄反射はしているけど脳が反射しているのかが我ながら正直謎^^)ので書き物は後でまとめてになるかもですね。
まあとりあえず「事前報道で織り込みに行く」→「前日の指値オペで逃げ場を作ってあげたら逃げるだけではなくショートまで参戦」→「実際は金利が上がる話をオブラートとデコレーションでくるみまくったので海外中心(???)にヒャッハーとなって踏み踏み大魔王」→「踏んでショートが成敗された後に冷静になって考えたらこれ金利が下がる話じゃないし寧ろ上がる方で見た方がエエンチャウノ」→「改めて売りなおしで叩くのもう先物じゃろ」→「案の定指値も無しですなあヒャッハー」
・・・・・・・こうですか、わかりません(><)
しかしまあ何ですな、従来だと金利上昇容認的な円金利上昇だと円高攻撃だったのですが、昨今は円債が売られると米国国債先物などが(向こうの夜間取引で)ホイホイ売られて米金利の方が盛大に上がってしまうのでドル高になって、それを見て日本株が上がる(金利が上がるので銀行なども上がる)という日銀バカヅキにも程がある展開になっているのが実に味わい深いものを感じます(^^)。
備忘用にロイターさん
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1US2OK
2018年8月1日 / 15:38 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が大幅反落で引け、長期金利は1年半ぶり0.120%
『<15:13> 国債先物が大幅反落で引け、長期金利は1年半ぶり0.120%
国債先物中心限月9月限は前日比83銭安の149円86銭と大幅反落で引けた。日銀が長期金利の上昇を容認する姿勢を示したことで、短期的な金利先高観が浮上。2日の10年債入札を控えて調整売りが広がった。急激な金利上昇に対して日銀が固定利回り方式の国債買い入れ(指し値オペ)を見送り、静観スタンスを取ったことに加えて、日経平均株価の上昇も売りを誘い、一時149円85銭と中心限月ベースで17年7月12日以来の水準に下落した。
現物市場は入札を控える長期ゾーンを中心に軟調。10年最長期国債利回り(長期金利)は同7.5bp高い0.120%と17年2月3日以来の水準に上昇した。また、中期・短期ゾーンにも短期筋からの売りが出た。日銀が8月積み期以降、当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高を現在の平均10兆円程度から減少させる見通しであることから、「イールドカーブの基点である翌日物金利が上昇すれば、2年債や5年債も水準訂正を余儀なくされるとの思惑が出ていた」(国内金融機関)という。』(上記URL先より)
先物とか10年の下げの間に5年もちゃっかり怪しげになっていますが、まあ厳然としてマイナス金利自体は存在しますので、この辺ってどういう落とし前になるのかというのも結構気にはしています。
#ということで総裁会見までたどり着けず誠に申し訳ございません
2018/08/01
お題「決定会合レビュー」
すいません盛り沢山すぎて1日で全部まとめきれないと思いますので今朝はたぶん自分で一番大事なところと思われるのを書き殴っておきます(超大汗)。
〇政策に関して:変更はしていないけど懸案に盛大に風穴を開けたのは評価高いと思う
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180731a.pdf
強力な金融緩和継続のための枠組み強化
どうせ表題は盛るのが皆さん想定していたと思いますので、出た瞬間誰もこの表題は気にしていなかったと思います(ワタクシもそうです、笑)が、この盛り方と内容のギャップがまー苦労しましたねえという感じではあります(割と褒めている)。
以下政策に関する部分を声明文順とは順不同で愚感想をば。
・長期金利振れ幅容認
『(2)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成7反対2)(注2)
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。
短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし1、買入れ額については、保有残高の増加額年間約
80 兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施する。』
1は、
『1 金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する。』
という部分が長期金利振れ幅容認でして、短期の所は同じ(実は政策金利残高適用部分が変わっているのでこれもポイントになるのだが後程)なのですけれども、この長期金利については以前からこの政策にお付き合いしている身としてはまあそうですかねとか思いますが、これ冷静になって見るとスクラッチでこの文章みたらお前は何を言っているんだという書きっぷりですわな。
「10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。」
→看板としては政策変更なし
「その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし1、」
→長期金利振れ幅容認だが幅は明記しない(なお総裁会見で±20か±25かその辺のような説明あり)
「1 金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する。」
→これはいまさらジローの話で、昔からそうじゃんというのをわざわざ入れている
「買入れ額については、保有残高の増加額年間約 80 兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施する。」
→もはや何を言っているのかという書き方ですが、これを従来の表現と比較しましょう。
『買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約
80 兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。』(6月決定会合声明文より)
ということで、今回は「金利操作方針を実現するよう運営する」が「弾力的な買入れを実施する」になったので、「80兆円メドなのに弾力的」とかもはや何を言っているのかという表現になっていますが、元より80兆円メド自体が空文化しているのですが、残しておかないとマネタリーベース直線一気理論の残滓の皆さんがうるさいので残したという妥協を行った(と勝手に妄想していますが)ので寿限無寿限無な表現になりましたが、買入に関してもより減らしうる(減らさないと政策が長持ちしない)のを明確化したということになったとみられます。
#なお輪番予定に関してはいじってこなかったのですがその話まで間に合うかどうか(汗)
でですね、今回はとにもかくにも「0.11%指値オペ」で事実上のペッグに近いような状態になっていた長期金利のレンジを動きうると「MPMの声明文に記載しているのにレンジは声明文で示さない」というのは、昨年1月から2月にドタバタして0.11%指値オペをぶっこんでしまい変えられなくなってしまった態勢を立て直したので大変結構だったと思います。
#総裁会見で数字は言わなかったけど「以前の2倍」とか言ってしまったのは残念ですが仕方ないかな〜
・ETF買入にも弾力条項とは中々やりますがどうせならCP社債もだなあ・・・・・・・
でまあ今回って長期金利の振れ幅容認だけではなく色々とドサクサに紛れてぶっこんでいるのがアタクシ的に評価が高い訳でして・・・・・・・・・
『長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。
@ ETFおよびJ−REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、
年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする。2』
2については
『2 2015 年 12 月に決定した「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を対象とするETFの買入れについては、これまでどおり、年間約
3,000億円の買入れを行う。』
でもって今回ぶっこんできたのは、
「その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする」
となっておりまして、「資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて」というもののこの資産価格のプレミアムとは何ぞやとか言うのが物凄い勢いで曖昧でして、どういう基準で発動するのかというのがよー分からんというブラックボックスなのですが、とりあえず「6兆円」にも風穴開けたのはおーと思いましたよ。
でもってこちらは会見での話になるので明日以降とはなりますが、総裁会見での説明を聞く限りにおいては、ETFの大量買いの副作用的な話を何気にしておりましたので、とりあえずは量が莫大になっていてどう見てもアカンヤツやとなっているETFについて6兆円縛りの呪縛を少しだけ軽減(上下するとか言っても国債のように金利縛りな訳ではないので6兆円のつもりが1兆円でしたテペヘロとは行かないと思うので上下も限定的ではあるんですけど)した訳で、株式の方に手を入れれたのはおーよく頑張ったじゃんとか思うのですがどうでしょうかねえ。
ただ惜しいのは、
『A CP等、社債等について、それぞれ約 2.2 兆円、約 3.2 兆円の残高を維持する。』
となっていまして、「資産価格のプレミアム」という意味で言えば株式よりもどこからどう見ても問題になっておりますCP社債(特に明確な国債マイナス金利での日銀買いなんぞが発生している社債)はスルーというのは何だよ残念とは思いますが、ここをいじると政策枠組みにかかわってくるという事でして、一方で今回って柔軟化とかしている部分って(表面上は)政策枠組みをいじらないで柔軟化している、という形をとっているのでして、まあそういう意味で出来なかったのかというのもあるのですけどね。
・政策金利残高の削減
『2.日本銀行は、1.の措置と合わせて、以下の実務的な対応を行うこととした。
(1)政策金利残高の見直し
日本銀行当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高(金融機関間で裁定取引が行われたと仮定した金額)を、長短金利操作の実現に支障がない範囲で、現在の水準(平均して
10 兆円程度)から減少させる。』
「長短金利操作の実現に支障がない範囲で、現在の水準(平均して 10 兆円程度)から減少させる」ということですが、具体的な額については明記していませんで(明記すると後でいじるのに議決が必要だから順当)、
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180731g.pdf
日本銀行当座預金のマクロ加算残高にかかる基準比率の見直しについて
『これにより、上記積み期間において、日本銀行当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高(金融機関間で裁定取引が行われたと仮定した金額)は、5兆円程度となる見込みです。
』
という物件に関してもこれドサクサに紛れて良くぞぶっこんできたという感じでして、まあすぐにどうこうという話ではないですし、「長短金利操作の実現に支障がない範囲で」というのがあるからさすがに極端なことはできないのですが、実を言えば政策の短期金利の部分って「日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。」となっているだけなので、この政策金利適用残高をジャンジャン削減して1億円とかにしちゃうと(しないですけど)マイナス金利政策と言いつつマイナス金利じゃないという珍現象を起こすことも可能、と言われると困るので「長短金利操作の実現に支障がない範囲で」というのを入れているのだと思いますが、これとて短期金利の水準とかイールドカーブの起点の短国利回りとかに関して何かこれではないとイカンという話をしている訳ではない(基本的にはマイナス金利適用が▲0.10%なのでそこと国債の裁定が働いてほしいというのはあると思いますし、極端な話プラスに突っ込まれるとさすがに言い訳しにくくなると思うけど、別にマイナス維持してればいいじゃんという議論もあり得る)ので、ここもテクニカルと言いつつしらっと風穴を開けている感はある。
実際は金融機関間での基礎残高およびマクロ加算残高の完全裁定が行われるわけではないので、業態別当座預金残高を見ればわかりますように、現状で20兆円台程度のマイナス金利適用がありまして、5兆円にしたからプロラタで減るのかとかそういう話は人様の懐具合全部に詳しくないのでよー分かりませんが、まあプロラタで減ったとして(直観的にそこまで減らないと思うけど)その分金融機関全体から日銀が召し上げているマイナス金利適用部分が減るので、これは金融機関もニッコリの作戦。
あと実務というか市場的に言えば、たぶんこの程度減らしても金利がボコボコ上がるというようなことはない(皆さんの懐具合を勘案してやってるはずだから)のでしょうが、一方でマイナス金利適用残高がトータルで減ることによって、おそらくは短国とかの金利が「一段の低下をしにくくなる」んじゃネーノという気はするのですが、直観的にそう思っているだけなのでよー知らんけどな、というヘッジクローズを入れておく(^^)。
・ETFの日経トピ配分
『(2)ETFの銘柄別の買入れ額の見直し
ETFの銘柄別の買入れ額を見直し、TOPIXに連動するETFの買入れ額を拡大する。』
こちらも説明書きが出ていまして、
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180731h.pdf
今後の ETF の買入れの運営について
『3 指数(TOPIX、日経 225、JPX 日経 400)に連動する ETF を対象に、銘柄毎の時価総額に概ね比例するように買入れる額』が3
兆円→1.5 兆円、
『TOPIX に連動する ETF を対象に、銘柄毎の時価総額に概ね比例するように買入れる額』が
2.7 兆円 →4.2 兆円、
になっているのですが、こちらは多分事前報道で出ていたために織り込み過ぎていた(それこそTOPIX全振りになってしまうのでは見たいな感じですかねえ、よーわからんけど)せいか出た後に225買いトピ売りになっていたのはご愛嬌。
・・・・・・フォワードガイダンスの話が飛んでいますが、と思われると存じますがこの次に申し上げます。
〇フォワードガイダンスの解釈は分かれそうですがアタクシはインチキガイダンス説を取ります
今回「新機軸」で出たのは声明文項番1番の(1)でして・・・・・・・
『(1)政策金利のフォワードガイダンス(注1)
日本銀行は、2019 年 10 月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。』
となっているのですが、この「2019 年 10 月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ」という目くらまし文言があるので「時間的に2019年度くらいまでは政策金利変更なし」(消費増税の影響が分かるのに半年はかかるでしょうから)という風にも読めますし、まあそういう印象は狙っていると思いますが、あくまでも時間は「当分の間」ですし、この当分の間ってのは日銀文学上は年スパンとかそこまで長い期間の話でも無い筈なので、これはインチキフォワードガイダンスですな。
・・・・・・ただまあ総裁会見でも「長い期間」を強調していましたし、今この時点では政策変更していないのですし、大体からして展望レポート(どう見ても今朝は書くのが間に合わない)で物価見通し下方修正してとうとう「見通し期間の全期間にわたって2%到達が見込めない」という残念な見通しになった訳ですから、そらまあ長い期間ですよ〜という話になるのですが、これはあくまでも・・・・・・
「日本銀行は〜想定している。』
となっているのであって、文章上は「現在の予想ではこうなっています」というだけの話なので、あっさり反故にすることは可能で、これってドラギのインチキガイダンスと同じな上に、ドラギのインチキガイダンスは期間を一応は明示している(来年夏とかですけど)のに対して、こちらは書いてあるのは期間のように見えて期間じゃなくて、不確実性のファクターなので、極端なケース「消費増税やっぱ無し」とかなったらいきなり条件が変わってしまうというかなり将来いじることが可能なふわふわガイダンス。
まあ結果的に物価が全然アガランチ会長で何もできないまま推移して、ということになる可能性は高そうなのですけれども、それはそれこれはこれという事でありまして、これってインチキガイダンスにも程があるのですとは思うのですが、そらまあ展望レポートで心が折れる中でいきなり長期金利引き上げじゃあという元気はないでしょうな。という話。
〇結局のところ風穴を開けるために・・・・・・・・
でまあ今回の決定ですけど、10年指値オペの柔軟化、ETF買入の弾力条項導入、政策金利残高の削減とぶっこんで風穴を開けた(ただちょっと穴が開いただけですけど)という意味では、総括検証とYCC導入の時にも似ている感じはしないでもない(そこまで言うと過大評価になりそうですが)訳で、その風穴開けるに際して、(1)置物理論に対する懐柔、(2)ぶっこんだ際に長期金利がスパイクする懸念への対応、というのがあって、(1)では80兆円の文言残したり、インチキフォワードガイダンス入れているし、(2)では声明文の中の「金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する。」といういまさらジローな文言入れるとかがあったんじゃないですかねえ、とかなり積極評価バイアスが掛かっている気もしますが、まあそういう評価をしてみます。
あとは今後の運用次第という事になってくると思いますが、よくよく考えてみればYCCの時もやたらと緩和姿勢を強調してハトっぽい話をしていたのに時間の経過とともに梯子を外しにいった、という先行事例がある点については、留意すべきだと思います。
〇ジンバブエ先生が今回まともな反対理由で反対している!!!!!!!!
瞠目したのは脚注。
『(注1)原田委員は、物価目標との関係がより明確となるフォワードガイダンスを導入することが適当であるとして反対した。』
『(注2)(前半割愛)原田委員は、長期金利が上下にある程度変動しうるものとすることは、
政策委員会の決定すべき金融市場調節方針として曖昧すぎるとして反対した。』
インチキフォワードガイダンスであるという指摘とか注2の方に関しても(アタクシ的に賛同はしないけど)話としては筋の通った反対をしていまして、ジンバブエ大先生やればできるじゃんというか、この暑さでスイッチが治ったのかと思ってしまうのがあったのはおーと思いましたよ。皆さんスルーしそうなので書いておくよ!!
〇国債補完供給ェ・・・・・・・・・・
時間がないので詳しい(かどうか知らんが)講釈は後日
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba180731.htm
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 14,246 13,589 -0.600 -4.761
(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却銘柄は、
2年利付国債370回(31億円)、10年利付国債305回(106億円)、10年利付国債349回(1,634億円)、
10年利付国債350回(3,766億円)、10年利付国債351回(7,964億円)、20年利付国債146回(10億円)、
30年利付国債37回(1億円)、30年利付国債52回(2億円)、30年利付国債54回(75億円)です。
ってちょっと待て10年カレント3銘柄のSLFが1634+3766+7964億円ってどうなってるんじゃああああ!!!
というのが昨日の相場のポイントにもなると思うのですが、惜しくも時間切れになってしまいますのでこちらに関してはどうせ誰か解説してくれるでしょう。後で俺様用に備忘するけどね。
でまあそら10年金利上がらんどころか下がるわと思ってしまいましたが、うーんこのという感想等は明日以降(明日はFOMCあるんだよなー、汗)。
#ということで表面をなぞっただけで恐縮至極なのですがすいませんこんな大ネタが今回のMPMで出るとは7月20日まで思っていませんでしたので段取りというものがありましてですなあ・・・・・・・・