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2018/07/31
お題「最後のお助け舟のような雰囲気のオペも打たれてMPMを迎えます」
ボランティア学徒動員と言い一々世間に無駄な負担を掛けないと気が済まないのかこの大会委員会は。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO33572460Q8A730C1PP8000/
五輪の暑さ対策 サマータイム案 「日常生活に大きな影響」 官房長官は慎重
2018/7/31付日本経済新聞 朝刊
『2020年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策のため、全国一律で時間を早める「サマータイム」の導入論が出ている。大会組織委員会の森喜朗会長が27日に安倍晋三首相に提案したが、菅義偉官房長官は30日の記者会見で慎重な考えを示した。五輪の競技時間を気温が比較的低い早朝にずらせるが、混乱を招く可能性もある。』(上記URL先より)
単にオリンピックが競技時間を早くすれば済むことだろうが馬鹿じゃなかろうか。わざわざ日本中の時計をずらさないと行けないオリンピック様ってそんなに偉大なのかよ(呆)。
〇結果的には「最後のお助け舟」になった面白指値オペ
・前場からカジュアルに0.105%で後場は0.105%→0.110%になりましてオペが入りましたが・・・・・・・・
一応この辺りを参考にしてますが、たぶん今日の場中に見ると今日のデータになっていると思います。
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_daytime
先物価格情報
昨日は先物4銭安の150.53でスタートしたのですが、その直後につけた150.54が結果的には当日高値。BBで10年カレント(他のもそうでしたが)が出合わないという中々お洒落な展開をしながら、債券先物ちゃんは10時前にヘロヘロと下がって来まして、オペ前は150.47とかそのあたりにいまして、それって先物ベースで10銭近い下げになりますけど、そうなりますと10年カレントって普通に考えても0.100%(0.5甘)だしもしかしたら0.105%(1甘)とかなんですけど指値どうするじゃろ・・・・・・・・・・
と思っていたら10時10分の指値は無し。ついでに短国買入が少なかったのですが、これは結果から見たら玉なし芳一だったのでそれを踏まえて2500億円だったんでしょうな、うんうん。
でもってオペなし〜となったちょっとあと(10時10分を少々過ぎたあと)にやっと10年カレントが0.105%が出合ってその時の先物が150.46-48位の居場所という感じになっておりましたので、まあ順当おぶ順当なのですが、金曜に引き続きの指値はどうするんじゃろうなあとか思っていたのに指値なしとはどういう事ぞという風情。
後場寄りで10年カレントが0.105%をまーたやっていたりして(ちなみに20年カレントは0.590%の0.5毛甘と10年対比今日もしっかり)いたのですが指値オペは動かざること山の如しという地蔵なのか風林火山なのかという状況の中、13時半近辺には先物が安値(当日それまでの安値で最後の最後にもうちょっと下がった)の150.45(-0.12)まで下がっていく中で10年カレント0.110%キタコレという事になりました。(なお20年カレントは0.595%)。
・・・・・・で、皆さん正座待機の14時はご案内の通り。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180730.htm
国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下)(注5) 2018年7月31日
(注5) 国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下)の固定利回較差は、0.005%。この結果、10年利付国債351回の買入利回りは、0.100%となる。買入金額に制限を設けずオファー。
キタ−−−−−−−−−(・∀・)−−−−−−−−−−−−−!!!!!!!!
ということで、金利水準0.100%での指値オペが来ましたが、金利止めたいのであれば前場に0.100%指しておけよという話であって、わざわざ0.110%まで上がっている中で0.110%ではなく0.100%での指値オペと来ましたので、さすがに市場の中の人たちもお察しという動き。
つまりですね、先物はこのアナウンス受けて戻ったのですが、150.45-46水準から150.49までしか戻らず、10年カレントはさすがに0.100%までは戻ったものの、そこから金利低下に突っ込むことはまるでなくて、延々と0.100%での出合いで推移するという状況になりまして、金曜とは違いまして指値オペオファーしてもオファー前の水準で推移した上に、引け際は先物滑って150.44/43の当日安値水準になって結局150.44とほぼ安値引けという結果になりましたな。
てな訳で大引けまでのロイターさんから一応引用しておきますね(俺様備忘用だが)。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1UQ2NA
2018年7月30日 / 15:19 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が続落で引け、長期金利は一時1年半ぶり0.110%に上昇
『<15:08> 国債先物が続落で引け、長期金利は一時1年半ぶり0.110%に上昇
国債先物中心限月9月限は前営業日比13銭安の150円44銭と続落して引けた。日銀金融政策決定会合の結果公表を31日に控えて、政策の先行きに対する不透明感から売りが先行した。日銀午後2時に固定利回り入札方式による国債買い入れ(指し値オペ)を通告すると、いったんは下げ幅を縮小したが、引けにかけては再び調整売りに押されて、安値圏で取引を終えた。(途中割愛)現物市場は軟調。日銀会合結果公表前に持ち高調整の動きが続いた。10年最長期国債利回り(長期金利)は一時同1.5bp高い0.110%と17年2月3日以来、約1年半ぶりの水準に上昇したが、日銀の指し値オペ通告を受けて、0.100%まで上げ幅を縮めた。』(上記URL先より)
となっていましたが、オペ前が・・・・・・・・
『 <13:44> 長期金利が1年半ぶり0.110%に上昇、指し値オペ催促相場の様相
10年最長期国債利回り(長期金利)が前営業日比1.5bp高い0.110%と17年2月3日以来、約1年半ぶりの水準に上昇した。日銀金融政策決定会合の結果公表を31日に控えて、短期筋から調整売りが出た。市場では、「日銀は10年債が0.105%をつけた27日に指し値オペを通告している。きょうも指し値オペを打たないと、整合性が取れない。指し値オペの催促相場の様相」(証券)との声が出ている。』(上記URL先より)
まあ金曜に0.105%つけたの前場の指値オペ無し後でして、実は金曜の後場一で入れてなかった時点でもうーむと唸っていたわけですから、何だか微妙感は漂っていたのですが、2時にやらなかったらどうするんじゃろという感じではありましたぬ。
・指値オペは「最後の最後の脱出チャンス」のように見えますがさて結果はどうなるか
指値オペの落札結果はオファーバック後に例によって迅速に公表されまして・・・・・・・・
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba180730.htm
国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下) 16,403 16,403
・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー
ということで来ましたよ1.6兆円ですよ大漁大漁。
・・・・・・・えーっとですな、金曜日は940億円の落札で多いのか少ないのか分からんというような話をしておりましたが、まあ昨日は誰がどう見ても大漁旗がはためく結果になっておりまして、これはもう「ロットで入れられる人が入れられるものを打ち込んできました」という奴になっておりまして、どうみてもフリークエント・ウィンド作戦です本当にありがとうございましたという状況(作戦名でレッツグーグル先生な)となりました。
まあ何だ、金曜の時点では今まで想定していなかった指値オペ金利の変更というので何ですかそれはとかゆーのもありましたが、さすがに2度目の0.100%がどこからどう見てもフリークエント・ウィンド作戦チックに出てきたらそらもうこの船に乗っておかないと脱出遅れ待ったなしということですが、しかしまあ随分入ったわというところで、これで今日SLFでカレント3銘柄がドカンと申し込みとかになったら日銀も大変ですな(事務方が)という所ではあります。
〇まあこれで今日は少なくとも10年指値オペの金利水準の引き上げ容認は出てくるでしょうがさて・・・・・・
とまあそんな訳でして、金曜日が下手したら最終便化と思ったらご丁寧にも月曜に最終便の最終便を出してくれまして、市場の方もさすがにこれは脱出最終便ということでドカドカと乗り込んできて満艦飾という状態になっております。
こうなりますと、本日「何もありませんオペ柔軟化とか何の話ですか?」となったら結果的に日銀が盛大に騙し討ちをしたことになる(その時は調節の方は「いやいや翌日の政策決定とか知りうる立場にありませんから」と言ってエクスキューズをすることになりますが、さすがにこれは市場局が市場から査問会議で自己批判をさせられるとかいうような熱い展開が予想されますので、なんかやるんじゃろというのがダンディールになっちゃいましたし、10年カレント3銘柄は外せる人はほとんど外してしまったでしょうから、まあ金利修正バッチコーイという形。
・・・・・・・何かね、それってちょっと微妙な感じもするのですけれども、とは言いましてもそもそも論として短期の政策金利と違いまして、長期の「金利のターゲット」ということになりますと、事前に十分に織り込ませるというのは不可能(その時点で売りまたは買い圧力が爆発して政策変更前の金利水準の維持が困難になるから)なので、事前織り込みをさせるとすれば今回みたいなかなーり営業局チックと申しますか、非常に微妙なテイストでの手法になるのかなあとか思いますし、そうじゃないなら完全奇襲攻撃で行くしかないという事になろうかと思われます。
むろん、このターゲットの金利がもっと短い期間だとちったあましとか、レンジを広めにしておいて次のレンジに移る時にスムージングできるようにする(レンジを重ねながら上げていくみたいな)とか色々な方法はあるのかもしれませんが、今回は何せ事実上のペッグというか金利上限ガッチガチ政策だったので、まあ修正するのは技術的には難しくて、なんかこうロジカルに考えた場合には釈然とはしない(というか政策ロジック的にはかなりハチャメチャ)のですが、技術的にはまあ何とかレンジ変更織り込みまでこぎつけましたなという感じで、感心するやら呆れるやらではございます。
〇ところでこんなに買って後はどうなるんだ????
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba180730.htm
国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下) 16,403 16,403
・・・・・・・ってよく考えたら長期輪番オペの4回分(4100×4=16400)という恐ろしい額になっておりまして、元々長期の輪番って10年カレントの発行よりも過大に輪番で吸い上げているゾーンなのですが、いくら明後日10年新発の入札があるとは言え、来月の輪番って何か毎回盛大に札割れとか札割れ寸前まで行かないかというオソロシスな状態。
しかも今回の買入ってカレント3銘柄(10Y349〜351)でこのロットな訳でして、まあ皆さん計算していると思いますが、ここまでの日銀の買入を含め、10年カレント3銘柄ってどんだけ日銀の持ちになっていて、市場の流通玉どんだけですねんということになりますと、非常にあばばばばーなものを感じる訳でして、もしかしたらどショート状態になっていて10年とか指値のつっかい棒外しても金利上がれないんじゃないの位の勢いになっておりますな、ナムナムナム(31日の銘柄別保有残高が楽しみだが恐ろしい)。
てな訳ですので、今日出てくると思われる輪番予定表(もよく考えたら手直しが入るかもしれませんね今回の措置の一環で)が従来通りだったとした場合、まずそもそも10年入札の前の日に長期輪番入れる訳に行かない(下手したら札割れする)ですし、大体からして長期輪番減額しておかないと長期が締まりまくって益々流動性が無くなるという事になるんじゃネーノという訳で、従来通りのオペ運営というのもこれまた難しいことになりましたなあ、と思いましたです、はい。
〇最初の変更後指値はどうするんでしょ(変更するとしての話)
・・・・・・・というのはまあちょっと考えてしまいますが、昨日の指値オペで状況が変わって、たぶんこの10年カレントって暫くは「売るに売れない」というか「ショート溜まり過ぎ」という状況になっていると思われますので、「0%程度」を変えるというのなら話は別ですが(それは基本的に無いと思うけど・・・・・・・)、つっかい棒外してもあまり叩けないのであれば、最初にレンジの上限金利と思われるようなレート(例えば0.25%とか0.30%とか)に思いっきり空打ちオペを打って「その範囲内で勝手にやってろ」攻撃をするのでもそんなに市場がいきなり金利急騰しないのかもしれませんな。
まあ当初は匍匐前進というか段階的にレンジ上昇を容認する形で指値ムービングとか思っていたのですが、それはそれでどういうタイミングでその金利になるのかというのが不透明にもほどがある(そんなのロジカルにできる訳がないので)ので、運営難しいわ〜調節担当大変だわ〜とは思っていたのですが、まあこれもどうなるとか「こうなったらこう」みたいなイメージトレーニングはしますけど、何事も決め打ち禁物ということで、フットワーク軽く出たとこ勝負って奴ですな、おらあワクワクして来ただ!!!!!!!!
〇なお政策ロジック的には説明不能の金利上昇容認&その他書き残したことを
ええまあそっちは今回知らんがなで、あくまでも「オペレーションのやり方の再確認」みたいな感じで行くのが一番良いと思いますが、物価見通しを下げる中でYCCの金利レンジを上方にも動けるようにする、というのはどこからどう見ても金融政策としてはロジックも蜂の頭も無い状態でありまして、そっちを変にロジカルに説明しようとすると多分ロジック崩壊になって後後に大きな禍根を残すことになるんじゃないかと思うので、ここは開き直るしかないかな、と思っています。
まーロジカルじゃないから円債や短期市場のドメドメ金利の村民の老若男女にしか分からん(下手したら若いのは分からんか、爆)という政策でもはや笑ってしまうしかありません。
あ、そうそう、そういえば今回の決定、説明読んだりしないといけないでしょうから、決定会合は遅くても12時10分までには終わらせて頂きたいと思います。場中はちょっと困るなあ(身勝手)。
あとね、今日の前場にもう一度チャレンジしたときなんですけど、実はここでさっき言い忘れたけど、「金曜と月曜は14時に指した」というのが効いてきまして、前場の放置プレイはアリエールということになるかもしれない(指すかもしれないけど)ので要注意ですわなー、と思います(だから皆さん昨日のに乗ったんだと思いますけど)。
ということで今日は何が飛び出すやら・・・・・・・・・♪
2018/07/30
お題「裏口から指値オペの柔軟化キタコレで結局またプレビュー雑談大会/日銀から面白いペーパー出てたのでメモ」
金曜からこの方話題になっておりましたが。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180727-00000006-mai-spo
<東京五輪・パラ>「授業避けて」国通知、ボランティア促す
7/27(金) 6:30配信
『通知では学生がボランティアをすることへの意義を説き、大会期間中は授業や試験を避けることを促した。』(上記URL先より)
・・・・・どう見ても志願兵の名を使った強制動員ですし、この調子だと企業に向けて徴用の「お願い」も出て来そうな勢いですが、徴兵や徴用って給与ちゃんと出るのに対してこっちはボランティアですよボランティア。
というかさ、「五輪の経済効果」っていうならちゃんと給与払えよ金がないならスポンサーから巻き上げろやそれが無理なら責任取ってIOCと招致委員会と東京都の職員と国家公務員全員無給で働けや一般ピープルに付け回しするんじゃねえよとまで言いたくなる(ただ働きしろとは言っていない^^)ような惨状で、上層部の判断の甘さのつけを一般人に払わせるとか、そういう無責任&下にしわ寄せ体制によって一回国家滅亡の危機まで行った筈の時代からまるで進歩していない・・・・・・・・・
#有楽町マリオンに「五輪のために皆働け」みたいな巨大なポスター設置待ったなし
〇意表をついた指値オペが来たわけですが読み筋を披露する前にだいたいその時の状況をば
昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180727.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2018年7月30日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,000 2018年7月30日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,100 2018年7月30日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注3) 30,298 2018年7月27日 2018年7月30日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2018年7月30日 2018年8月13日
国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下)(注4) 2018年7月30日
(注4) 国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下)の固定利回較差は、0.015%。この結果、10年利付国債351回の買入利回りは、0.100%となる。買入金額に制限を設けずオファー。
・・・・・・とまあこれだけ見ると指値オペが来ましたなあだけの話になりますが、まーその背景って考えますと中々味わいがありまする。
・前場は0.100%になってたのに指値を打たずに平然と放置プレー
例によってロイターさん
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1UN2H6
2018年7月27日 / 15:17
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小幅続落、長期金利0.095%に上昇
というのは大引けの見出しになりますが、そのちょっと前の所からお話がありましてですな、
『 <11:09> 国債先物が続落で前引け、長期金利は一時約1年ぶり0.105%
国債先物中心限月9月限は前日比6銭安の150円55銭と続落して午前の取引を終えた。前日の米債安に加えて、日銀が30─31日の金融政策決定会合で副作用軽減に向けて政策調整を議論するとの観測から、売りが先行した。
日銀は午前10時10分、中期・長期を対象に、利回り入札方式による国債買い入れを予定通り通告したが、市場の一部に期待があった固定利回り方式による買い入れ(指し値オペ)を見送ったことから、下げ幅を広げた。市場には「日銀が政策調整に向けて金利上昇を容認している」(証券)との見方が広がった。もっとも、前引けにかけて10年ゾーンなどに買いが観測されたことを受けて下げ幅を縮小した。
現物市場は軟調。日銀政策の調整を警戒して、長期・超長期ゾーンを中心に金利が上昇。10年最長期国債利回り(長期金利)は同2bp高い0.105%と17年7月7日以来、約1年ぶりの水準に上昇した後、0.100%に上昇幅を縮めた。30年債利回りは一時同2bp高い0.820%と2月8日以来約5カ月ぶりの水準に上昇した。』(上記URL先より、以下同様)
ということですが、金曜は先物は8銭安から始まって、なんか先週水曜以降って毎日後場途中から超長期(マーケットメーカーの20年カレントがショートになっているのが影響しているのかどうかはわかりませんけど)が妙にモリモリと値を戻して終了するという展開をしているのですが、その後場の地合いを忘れたかのように寄りでしらっと下がって始まるという謎展開(戻る方も謎だが寄りで一々下がるのも謎じゃ)となりましたが、金曜日は超長期が中々下がらん中で10年は割と叩かれるという日銀の姿勢をやっとこう試すような展開になっておりました。
でもって木曜も10年0.100%をつけてはいたのですが、木曜の場合は勢いこんでとりあえずつけてみましたというイメージ(個人の感想です)で、基本的には安値0.095%だった訳ですが、金曜の0.100%は割とちゃんと出合っていまして、0.100%が1.5毛甘なんですが、先物ちゃんは150.50台前半の水準で0.100%とかになっていまして、金曜は10年叩き料理っぽくなっておりました。
でもって輪番は最初に引用しましたように(そらまあ増額はせんわなと思いますが)中期長期ともに同額で実施してきまして、そこであれれ?と思ったのは指値オペを実施しなかったこと。
なにせ月曜日の指値は10年0.10%とか全然つかんじゃろという段階だったのに指値を行ったというのに、金曜はもう堂々と0.100%となっているのに指値無しとはどういうことじゃいとなりまして、暫くは値持ちしていたのですが、10時半ちょっと過ぎ位から先物150円50銭水準を割り込みに行くの巻。
でもって先物安値近辺の所では10年はとうとう2毛甘の0.105%になるわ、20年カレントは1毛甘の0.590%になるわ(と言っても20年カレントはその前も0.590%は普通にやっていたので別に安値更新はしていないので10年だけ)と中々アチャーな展開になりやがりましたが、まあ前場引けの所では10年0.100%になっておりましたな。
・前場の輪番は無事に通過して謎の超長期堅調からの指値オペ登場!
『<13:13> 日銀オペ結果は無難、10年債への影響限られる
指標10年351回債利回りは0.100%と横ばいでの推移を続けている。長期を対象にした日銀の国債買い入れオペの結果は無難な範囲に収まり、10年債に対する日銀オペ結果の影響は限定的とみられる。10年債の動きが鈍いのは「国債先物が小動きであることも影響しているようだ」(国内証券)という。ただ、日銀の指し値オペへの警戒はくすぶっている。長期と同時にオファーされた中期のオペは応札倍率が前回を下回った。「需給の引き締まりが意識される方向になるのではないか。中期ゾーンの金利上昇は抑制されそうだ」(同)との見方がある。』(最初のロイター記事URL先より)
でもって後場寄りでも特に指値がぶっこまれることもなく、オペ結果もまあ普通だったのですが、後場途中(13時半くらいだったかね)から先週後半の相場で毎度発生していた超長期謎の買い上がりがまーた発生しまして、20年カレント引け水準に戻るわ5年も確りしてくるわという謎展開になるも、10年は0.100%からやっと0.095%になりましたかね位の水準にあった訳ですな。
・・・・・・・でもってそこで再掲しますが14時の指値タイムに指値オペが登場したわけですよ。
(指値だけ)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180727.htm
国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下)(注4) 2018年7月30日
(注4) 国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下)の固定利回較差は、0.015%。この結果、10年利付国債351回の買入利回りは、0.100%となる。買入金額に制限を設けずオファー。
>10年利付国債351回の買入利回りは、0.100%となる
>10年利付国債351回の買入利回りは、0.100%となる
>10年利付国債351回の買入利回りは、0.100%となる
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)
ちょwwwwwwwwおまwwwwwwwww
んーっとですね、ここで指値入れるくらいなら前場の定例オペ時間に0.11%でオペ打てよとか言いつつレートが0.100%になっているじゃないですかやだーレートが変わっているわーとなりまして、これはなんぞという話になりますぞな。
ちなみにこれ打ち込まれた瞬間10年は0.090%になるわ20年は引け強水準が出合うわという事になってしまったのですが、次の所でなんとなくざっくり説明しますけど、見た瞬間に「これは指値オペの柔軟化の裏口入学wwww」と思ってしまう人もアタクシ以外にもいるようで(というか多分これシグナルだの猫の目だの怒りの積み下だのという営業局時代の残滓を見てた年寄りは大体同じ反応すると思うんですけれども)、その後は結局10年0.095%水準になって引けとなりました。
・指値オペには940億円の落札
結果の方は指値の結果だけ引用しますね。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba180727.htm
国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下) 940 940
14時オファーでオファーバックが15時半(結果がエライ勢いであっという間に出てきました)という指値オペとなりますと、元々ロングで持っていれば応札できますけど、よほどのオファーサイド突き抜けオペでもない限りはオペに入れたわフェイルだわという訳にもいかないので、まあ後場の遅い時間の指値オペでその時の実勢並みでビット入れられてもマーケットメーカーはちょっと厳しいでしょうから、まあ普通に持っていて売れる玉しか出てこないと思いますし、今の市場でロットを捌きに行くとそれだけで相場が動いてしまう事を勘案するとまあ入れようって人がいても良いと思ったのですが、この940億円が多いのか少ないのかはちょっとアタクシの判断材料が足りないので評価はパスしますけど、まあ今回は空砲になりませんでした、という結果でした。
〇「別に入れる必要もない」のに「わざわざ指値の水準を下げて」入れたという点から考えると・・・・・・・
でまあさっきも書きましたように、金曜の14時の時間って確かに10年は0.100%→0.095%になっていますけど、水準だけみたら月曜に指値入れた時よりも10年の金利高いんですから、そこだけを見ると指値入れても何らおかしくはないのですが、だったら前場入れないと話がおかしい訳で、中期長期だから輪番封鎖しに来る懸念はあまりないとは言え、輪番の具合などによっては0.11%とか抜きに行くリスクだってあったのに、まあいい度胸だわと思いながら前場と後場の寄り近辺をみていた訳ですよ。
でですね、金曜の場合は後場の途中(13時台)に超長期がやたら確りしてきていて、そっちが堅調(というか底堅いというか)に推移していて、まあ14時の指値やらなくても引けにかけてあんまり崩れるようなイメージは無かったと思うの。
という状況なのに、何故か14時に指値を打つ上にその指値の水準が0.100%と、10年の指値って今までずーっと出来上がりがカレントの0.110%になるように指値を打っていたのに、今回いきなりレートが0.01%引き下げの10年カレント0.100%になったのが大変に味わいがある訳ですな、うんうん。
まあこれって第一感でアタクシが思ったのは「これは営業局時代のオペをほうふつとさせるわ」という感想でございまして、「31日に指値オペの柔軟化あるで!」とか思っていたのですが、人と話をしているうちに「これってもう指値オペの柔軟化してるジャン!!」という事に気が付きまして、おーこれは指値オペ柔軟化の裏口入学じゃ何ちゅう手段じゃハーコリャコリャという話になるわけですな。
つまりですね、焦点になっている「10年レンジの柔軟化」ってのは要するに指値オペの打つ範囲を広くするって話なのですが、それって元より「0%程度」の中でどう運営するのかというのは本来ある程度の振れ幅があるという話であって、指値オペのレートは別に0.110%で硬直的に運営するものではない、というそもそも論に話を戻されますと、おおそうですね(棒読み)という話になる(なぜ棒読みかといえば、それは理屈はそうであっても運営が既に0.11%以内のペッグになってしまっているので、勝手に話を元に戻すのではなくちゃんと仁義を切ってから戻してくれないと「話が違う」となるから)のですよね。
とは言いましても、まあ0.11%の指値オペの金利水準を何の断りもなくいきなり引き上げたら、そらもう大騒ぎになってしまいますので、「指値オペの金利が可変であることを示しつつ、市場を混乱させない方法」ということで指値の金利水準を下げ、しかもその時点での実勢よりも若干なりとも高い金利でオペを打って金利押し下げでもないというのを示している、ということで、そういう意味なのか実際にどうよと言われますと「アタクシの個人の感想です(キリッ)」ではあるのですが、0.100%でオペを入れて、そんなに札も入らないタイミングを狙っていましたなさては、と思うとこれは中々巧妙。
・・・・・・・ではあるのですが、これ結局「オペで対話をする」って奴になっていまして、それは「オペに政策意図なし」という建付けとは違ってきますので、コミュニケーションとしては如何なものかと思う。まあこれって昔の営業局時代がオペで対話だったので、古き懐かしき時代ということで債券市場(というよりは短期市場ですけど)の老人会懐かしさに卒倒という感じではございます。
なお、「政策変更の思惑があるので牽制した」という後講釈コメントをするのがベンダーとかに流れていましたが、それは極めて素直に見るとそういう風に思えるかもしれませんが、小見出しに入れましたように、本来入れる必要のないタイミング(というのは少なくともその場中を見ていた人ならだれでも気が付く程度に明確、最初から指値オペ入れる気なら前場に0.110%を入れに行く方が普通オブ普通)であるし、実勢よりも低いレートではないところの範囲内で指値のレートをわざわざ変更した(単に金利上昇止めるだけなら別に0.110%で指せばよいし、そもそも金利上昇止めたいなら前場に指すでしょという話)というのには、何処からどう見ても「オペで対話」ってのをしていて、その対話というのを昔からの日銀のオペ話法から考えると今まで申し上げたように「指値の水準が変わりうる事はこれでお示ししましたよ」ということになるんですよね(だから直ぐに指値の金利が上がるかは分からんというのが困りものだが)。
〇しかしこれ31日どうする気なんじゃろうのう
金曜日にもプレビュー雑談しましたけれども、まあ展望レポートの物価見通し下げは来るのですけれども、じゃあ指値オペの柔軟化(=10年金利の現状からの振れ幅拡大容認)ってどうやって落とし込むのかはまあ正直「見世物」として楽しみにしております。
何回か申し上げておりますように、そもそも現在の金融調節方針として声明文にあるのは『10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。』となっている訳でして、すなわちこのゼロ%程度という「程度」については明示されていないので、別に0.110%でなければ行かんというものではなかったし、もうちょっと幅を持って動くことも最初のうちは想像されていたと思うのね。
・・・・・・・ということなので、まあ一番強烈なのは、声明文現状維持でオペに関する記載も特段無くて、何だよ何もないのかよと思っていたら後日になって何らかの調子で金利が上がった時に0.100%でも0.110%でも指値が入らずナンジャコリャーとなって梯子を盛大に外してくる形の「黙って柔軟化」という奴なのですが、まあここまで色々と騒ぎになった上に、金曜のオペで謎のメッセージを出した以上、明日のMPMこの辺りどスルーというのはさすがに許されんじゃろ。
とは言いましても、指値オペの水準に関してはそんなの一々政策委員会マターに落としていたら益々オペ運営がどうしようもなくなりますので、他に何かする(CP社債買入あたりは歴史的役割を終了しているので新規の買いはいい加減終了して将来的には残高ゼロにしてほしいのだが)のならまだ何か声明文に入れ込みようもありますが、「指値オペの発動水準は必ずしも固定的な金利水準で行うわけではない」というだけですと、声明文に入れるような話でもないし、そもそも決定事項ですら本来はない話で、「ただの確認です」という風に仕立て上げる(ので政策変更でもなければ微修正でもない)しかないかなーと思います。
一応過去の怪しげな政策修正があった時を確認するとだな、
2015年12月の「補完措置」は、
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2015/k151218a.pdf
当面の金融政策運営について
2015年12月18日 日本銀行
としていて、補完措置に関しては
『7.こうした方針に沿って「量的・質的金融緩和」を推進していくに当たっては、国債市場の動向や金融機関の保有資産の状況などを踏まえ、より円滑にイールドカーブ全体の金利低下を促していくことが適当である。また、「量的・質的金融緩和」のもとで企業や家計のデフレマインドは転換してきており、設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業も多いが、そうした動きがさらに広がっていくことが期待される。こうした観点に立って、日本銀行は、「量的・質的金融緩和」を補完するための諸措置を決定した(別添)。
』(2015年12月決定会合声明文より)
として別紙形式になっていましたが、決定内容を公表した時の表記は、
『当面の金融政策運営について(「量的・質的金融緩和」を補完するための諸措置の導入、12時50分公表)
[PDF 253KB]』(日銀のサイトより)
となっていたわけですな。
でもってこれが英語だと、
http://www.boj.or.jp/en/announcements/release_2015/k151218a.pdf
Statement on Monetary Policy
December 18, 2015 Bank of Japan
『7. In pursuing QQE according to the policy mentioned above, it is appropriate
to encourage a smoother decline in interest rates across the entire yield
curve taking into account developments in the JGB market and the situation
in financial institutions' asset holdings. Moreover, as conversion of firms'
and households' deflationary mindset has been progressing under QQE and
many firms have become proactive in making investment in physical and human
capital, it is desirable that these developments will become further widespread.
From this perspective, the Bank decided to adopt supplementary measures
for QQE (see Attachment for details). 』(2015年12月決定会合声明文英文版より)
となっていて、公表時の表記は
『Statement on Monetary Policy (Introduction of Supplementary Measures
for Quantitative and Qualitative Monetary Easing, Announced at 12:50 p.m.)
[PDF 32KB]』(日銀の英文サイトより)
ということで、「Supplementary Measures」なのですが、ただしこの時は「より円滑にイールドカーブ全体の金利低下を促していく(to
encourage a smoother decline in interest rates across the entire yield
curve)」というお題目を入れていたのでして、今回柔軟化するとなるとこの言い方は普通は使わん(大体からして総括検証したのでそういう理屈にはならん)と思うの。
さらに古いのだといきなりそこから10年前に戻ります(^^)。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2005/k050520.htm/
当面の金融政策運営について
2005年 5月20日 日本銀行
『なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。また、資金供給に対する金融機関の応札状況などから資金需要が極めて弱いと判断される場合には、上記目標を下回ることがありうるものとする。』(2005年5月決定会合声明文より)
というこの「また」以降が当座預金残高下限割れ容認(そして資金不足日に供給オペを打たないでわざと30兆円割り込みに行った時の駄文は昔のを見るとありますが、出来レースでわざと割りやがってと憤慨しているのが今でもつい昨日のように思い出されます^^)の文言でして、公表時の表記は、
『当面の金融政策運営について(現状維持、なお書き修正) 』(日銀のサイトより)
でしたが英語の方がですな・・・・・・・
http://www.boj.or.jp/en/announcements/release_2005/k050520.htm/
Announcement of the Monetary Policy Meeting Decisions (May 19, 20)
May 20, 2005 Bank of Japan
『Should there be a risk of financial market instability, such as a surge
in liquidity demand, the Bank will provide more liquidity irrespective
of the above target.When it is judged that liquidity demand is exceptionally
weak considering such factors as responses of financial institutions to
the Bank's funds-supplying operations, there may be cases where the balance
of current accounts falls short of the target.』(2005年5月決定会合声明文英文版より)
でして、ところでこの「When it is judged」って誰がjudgeするんだよ結局恣意的じゃねえかとか言っていたら本当に恣意的にわざと割り込みに行くというプレイが出たのが懐かしいですが、この発表に関しては、
『Announcement of the Monetary Policy Meeting Decisions (unchanged with
amendment to the proviso) 』(日銀の英文サイトより)
unchanged with amendment to the provisoって何だよそれというもうねという感じです。
・・・・・・・ということでですね、まあ「指値オペの固定金利化回避」はしらっとやったのですが、見せ方はどういうのが出てくる(もしかしたら出てこない)のかというのは楽しみ(もはやヤケクソ)です。
なお朝刊にそういう記事があるみたいなので慌てて追記しますと、
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33550070Z20C18A7NN1000/
日銀、緩和副作用を点検 30日から決定会合
経済 2018/7/29 20:00日本経済新聞 電子版
ってのが朝刊にあるようですが、副作用論から入ってくるのはちょっと日銀にリスク有ると思うんですけどね・・・・・・
〇しかしオペどう運営していくんじゃろ
まあ何ですな、この「オペ可変」というのですけれども、そういわれてどうも思い出すのは昨年1月のお話でして、これまた当時は増減もあり得る、と言っていた輪番オペで中期の輪番を1回スキップするというプレイをやったら大騒ぎになったという事案(それが翌月の頭の10年入札の翌日に0.150%まで10年が叩かれてランボー怒りの0.110%指値オペとかいう売り方消毒オペに繋がる)を思い出すわけでありまして、可変は可変でも良いんですけど、可変となると急に輪番1回飛ばしてみるみたいな、いきなり極端な(と市場が思う)事を炸裂させてくる謎のセンスがある中で、指値オペとか飛び道具中の飛び道具、あるいは割と最終兵器に近いものが、可変利回りでホイホイと打ち込まれるようになるというのもオソロシスというか市場のボラは出るかもしれませんが更に無茶苦茶というか理不尽な市場になりそうですし、介入する調節担当部部局だって運営するの大変じゃろとしか思えませんな。
といってまさかMPMでレンジを出すというわけには行かない(今回は「0%程度」に関しては変更しないと思われまして、つまりは「政策変更なしだけどオペに関して念のため確認しておきますね」というような感じになるとみているので)し、これはしばらくの間「指値はどこだ」という混乱の仕方をする訳で、それは確かにボラは出るのですが、もうどこからどう見てもそれは健全な市場の姿ではありません、と思いますので、何だかなー感は否めないまま明日を迎えるのでありました。
#まあ指値オペが無いとした場合の10年の適正な位置がどこなのか、というのを考えた方が生産的な気がします
〇ちょっとだけメモ(実質的なFSR別紙のペーパー)
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/wp18j07.htm/
株主構成の変化が地域銀行の経営に与える影響
『要旨
本稿では、2010年度から2016年度の上場地域銀行を対象に、外国機関投資家の株主としてのプレゼンス拡大が銀行経営に及ぼす影響について、収益力と株主還元策(配当支払いおよび自己株買い)という二つの観点から分析する。分析結果によると、近年の外国機関投資家比率(株主に占める外国機関投資家の割合)の上昇は、収益力に対しては、これまでのところ明確な影響を及ぼしていることが確認できない。一方、株主還元策に対しては、具体的に以下の二つの方向で影響を及ぼしている可能性がある。第一に、外国機関投資家比率の上昇は、地域銀行に配当支払いの積極化を促す方向に作用している。第二に、外国機関投資家比率の上昇は、地域銀行に自己株買いの積極化を促す方向にも作用している。このように、銀行株主における近年の外国機関投資家のプレゼンス拡大は、地域銀行に積極的な株主還元を促す方向に作用しているとみられる。』
ということでこれってこの前のFSRでも指摘されていた話で、「収益力に対しては、これまでのところ明確な影響を及ぼしていることが確認できない。」とはしているけれども、後半にありますように、外国機関投資家の株主比率が上がって収益の社外流出圧力が高まっている、ということですので、それはすなわち資本基盤が弱くなる(というと言い過ぎかも知れないが充実しないという意味な)圧力が常にかかっているというお話だったりするのですよね。まあ面白いと思うので、金融政策一段落してからネタにすると思います。
本文はこちらだがまだちゃんと読んでいない
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18j07.pdf
2018/07/27
お題「またも円債世間話/ECBはメモだけ(詳しくは週末読む)」
段取りが悪くてECBネタが・・・・・・・・・(汗)。
#円債村が活気づいているのでおじいちゃん村の話ばっかりですいませんすいません
〇第1回戦終了とか言ったらいきなり第2回戦をやるとな(あちゃー)
またまた昨日の債券市場ちゃんなんですけどね。
・前打ち報道が多少出るでござるの巻
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-07-25/PCCOUS6K50XX01
銀行が日銀にマイナス金利の社債オペ中止要請、減益圧力ー関係者
中道敬
2018年7月26日 5:30 JST 更新日時 2018年7月26日 10:14 JST
『日本銀行が異次元緩和の一環として、社債オペレーションでマイナス金利で買い取ってきたことを不服だとして、金融機関が非公式に日銀に対し、これを中止するよう求めていることが、事情に詳しい複数の関係者の話で分かった。銀行の貸出金利に低下圧力が掛かるのが理由だという。』(上記URL先より)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3341617025072018MM8000/
ETF、購入配分見直しへ 日銀、緩和副作用に配慮
経済 2018/7/26 0:02日本経済新聞 電子版
『日銀は31日の金融政策決定会合で年6兆円買っている上場投資信託(ETF)の購入配分の見直しを検討する。個別株の価格形成への過度な影響を抑えるため、東証株価指数(TOPIX)連動型ETFなどを増やし、日経平均株価連動型ETFの購入額を減らす方向で議論する。』(上記URL先より)
あと、時事通信があるんですけれども、ニュースはインターネット版の時事通信のページだと記事が拾えなかったので残念ながらリンクとか貼れないのですが、水曜の夜に20日に出した記事(のうち後に打った方)の焼き直しみたいな記事が出てきましたでござるの巻でして、「指値オペ水準の柔軟化で10年金利の振れ幅を拡大する」というような観測。
・・・・・・でまあ何ですな、昨日ってブラックアウト初日でして、ブラックアウト初日にメディアが政策に関して何かを打ってくる場合って、基本的にはメディアの記者の方々やらデスクの方々の琴線に触れるサムシングがあってというケースが多いと思われます(ただし某B社の某H高氏の署名記事の場合は別)ので、それが3つ出てきた(某B社も今回はH高氏ではないし^^)というのは、まあその周囲の方々が見るに「何かあるかもしれない」と思っているということなんでしょうなあとは推測されます。
とは言いましても、上記の記事って基本的に調節技術マターの話で、指値オペの水準に関しては本来は別に11bpである必要はなくて、「0%程度」をどう解釈するかの話であって、さすがにそれが▲0.5%〜+0.5%だと何ぼ何でも「操作付き」にならんじゃろというようなお話であって、まあもうちょっと狭くしたら別に「程度」でいけるんじゃないでしょうかねというものだと思われるのですが、何せ昨年2月に市場のその時の金利水準よりも低い0.11%で指値ぶっこんで売り方は消毒だヒャッハーというのをやっただけに、以降この水準を動かすのが政策的意図があるような解釈になってしまったのが不幸の始まりで、昨年2月に0.2%くらいまで容認しておけば別に今こんな話をせんでも良かっただけのお話ではありますが、まあ仕切りなおすならちょっと整理しないと、という感じになるけど、本来は調節の中での技術的な範囲内の話。
日経のETF配分見直し云々って、そもそも225型のETFを買い過ぎてアカンという話になってTOPIX型も買うようにして、というのは以前から続いている流れで、従来の流れの継続上にある話なので今更その話を仰々しくぶち上げても何だかなー(ETFの馬鹿買入そのものがやって良いのかという話になるならまた別の話だが)というだけの話で、それをわざわざMPMで議論するような話じゃねえだろという世界。
ブルームバーグの記事ですが、オペの買入金利に関しては場合によっては日銀が募入にふさわしくない価格(あるいは金利)の場合は募入としない事ができますし、社債ではやってないですが他の買入オペでは発動事例がカジュアルにありますので、これまた調節の所で出来る話ではあるのですが、まあどこで切るのかというのの判断基準が(なお別に判断基準は公表する必要はない)どうだかね、というのはあるかもです。まあそれよりも「お願い」とやらのピントがズレていて、「日銀がマイナス金利の社債を買うと貸出金利に影響して」とかお前そういうものの言い方をして政策論として世間に通ると思っているのかと小一時間問い詰めたい次第でございまして、政策論として文句を言うのであれば、「社債買入はそもそもリスクプレミアムの正常化を企図したオペレーションであると認識しているが、最近の社債買入では国債の流通利回りよりも低い水準で購入している例があるように見受けられる。これは日銀の社債買入がリスクプレミアムをマイナス水準で購入している、ということを意味するのだが、そうなると金融政策の本来の趣旨を逸脱したものとなっているのではないか、是正されたい」という筋から文句を言うものであって、俺様の収益が減るから何とかしろとかいうロジックで話をしに行っても知らんがな強欲ジジイおととい来やがれこのスットコドッコイということになるだけじゃろどういう要請の仕方してるんだよセンスねえなあ(なお途中の伝言ゲームの中で話がこうなってしまっている可能性もあります)という感じですな、うんうん。
・・・・・・・・と前振りが長くなりましたが、よーするにこの前打ち報道って(今日何かまた出てたらゴメンやでですが、一応朝日と読売とNHKのサイトは確認した)、中身がそもそもバラバラですし、全部「実はそれって調節マターの問題で政策論じゃないですよね」という話になっているのが味わいというか特徴がありまして(とアタクシは解釈したのですけど)、この前打ち行った3社にしてもそんなに本質的なところでの政策の話が出てくるこたあねえだろ、と思いつつも、まあ何らかのものが出てくるかもしれませんなあと思ったので前打ち、ということになったんでしょうなあと勝手に想像するのでありました。
・しかし何だよ寄りから反応するなよフラグ建築士になったじゃねえか
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1UM2MT
2018年7月26日 / 15:15
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、長期金利0.085%に上昇
ということですが、上記URL先の寄り付きの方を参考にしますと・・・・・・・・
『<08:56> 国債先物が反落で寄り付く、長期金利は3日ぶりの0.090%に上昇
国債先物中心限月9月限は前営業日比19銭安の150円59銭と反落して寄り付いた。前日の海外市場で、トランプ米大統領とユンケル欧州委員長が貿易障壁の削減に向け取り組む方針で合意したことを受けて、米債が下落した流れを引き継いだ。また、引き続き日銀政策の不透明感も上値を重くしている。10年最長期国債利回り(長期金利)は同2.5bp高い0.090%と日銀が「指し値オペ」を実施した23日以来3日ぶりの水準に上昇している。市場では「日銀緩和の副作用軽減策に関する報道が相次いでいる。前日はいったん買われたが、イールドカーブの落ち着き所を見極めないと、投資家も買いに動けない状況だろう」(証券)との声が出ている。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、寄りでいきなり下で始まってナンジャソラと思ったら前打ち報道が色々と出てきて何かの政策での動きがあるかも知れませんねだったらやっぱり金利上昇ですかねえという事になった、としか思えない動きで、だったら前日のあの超長期フラットニングして戻る盛大な勢いは何だったのかと小一時間問い詰めたいのですが、まあ「第1回戦終了」とか朝駄文で書いたアタクシ盛大なフラグ建築士になって涙目というところではありました(涙)。
でもって、
『<10:19> 日銀が指し値オペを見送り、国債先物は軟調
日銀は午前10時10分の金融調節で、市場の一部に期待があった固定利回り方式による国債買い入れ(指し値オペ)の通告を見送った。朝方の取引で、10年最長期国債利回り(長期金利)が一時0.090%と日銀が「指し値オペ」を実施した23日の水準に上昇していた。国債先物は軟調。中心限月9月限は一時前日比20銭安の150円58銭と朝方に付けた安値(150円57銭)に迫った。』(上記URL先より)
指値オペやらないとな、と思ったのですが、市場ちゃんも市場ちゃんで、そこから0.11%を突っかけに行くような勢いの良さはまるでなく、その後後場もう一回やっていって14時に後場の指値も無いじゃんということになった瞬間に債券先物150.51まで下がったのですが、すぐにモリモリと盛り返してしまいまして・・・・・・・・・
『<15:11> 国債先物は反落、長期金利0.085%に上昇
長期国債先物は反落して引けた。前日の米債安や日銀の金融政策に対する思惑から売りが優勢になった。現物債市場でもポジションを調整する動きが強まり、金利に上昇圧力がかかった。イールドカーブはベア・スティープ化した。超長期債利回りは2月上昇以来の高水準を付けた。ただ、終盤にかけて押し目買いが入り、金利の上昇が抑制された。2年利付国債の入札は低調な結果になった。相場の地合いが悪化する中、様子見となった市場参加者が増えた。長期国債先物中心限月9月限の大引けは、前営業日比17銭安の150円61銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比2bp上昇の0.085%。一時昨年7月7日以来の高水準となる0.100%を付けたことで、一部に「指し値オペ」への警戒が浮上したが、日銀は通告を見送った。』(上記URL先より)
0.100%確かにマークはしてましたけど、まあとりあえずつけてみました感の強い出合いで、基本的に昨日の事実上一番金利の高い所は0.095%じゃねえのかと思われる(個人の感想です)水準ですが、引けから引け後にかけて例によって例のごとく超長期ゾーンが盛り返すという何か前日もやったぞという展開になっておりまして、指値も入らんのに日々モリモリと盛り返すって押し目買い意欲が強いと言ってしまえばそれまでですが、まあ何か凄いな(色々な意味で)と思う相場ではございましたです、はい。
・まあしかしとりあえず・・・・・・・・・・・・・・
まあやるにしてもそんな抜本的な話(10年の目標水準を上げるとか短期化するとか、マイナス金利を撤回するとか)はできないでしょという感じにはなっていると思うのですが、仮に10年指値をもう少し広めの所において、市場による多少の金利の上下は容認して、市場の価格発見機能を活用していく、みたいな理屈を出すにしても、これどうやって発表に落とし込むのか物凄く難しいですよね。
さきほど申し上げましたように、まあ本来建付け上で言えば指値オペの金利水準がしらっと変更になっても別にそれは調節マターではあるので、今回現状維持とか言って別に何も言わないのに0.11%になっても指値打たないというダマテンというのは建付け上可能なのですが、これだけ0.11%でオペ連発して事実上のペッグ状態にしてしまったものをダマテンで変更するのはさすがにちょっとお前は何を言ってるんだという話になりますが、かといって元々調節マターの話を一々決定会合議決内容として落とし込んでしまうと、今度は逆に調節の方がガチガチに縛られてしまう(それこそオペの増減とかまで合議事項とかになったら大変)ことになるので屁理屈作文教室は非常に難しい。
だいたいからして今回って多分物価見通し下げる訳で、物価見通し下げながらオペの柔軟化という口では死んでも言わないでしょうが事実上の10年金利上昇容認(ただしまあ上がっても最大で20bpとかの話だとおもうので達観すれば誤差の筈だが絶賛ペッグ政策中なので誤差とは言えない動きではある)となるので、理屈の整合性をどうするのかが難しい。
まあ整合性取るなら「それはそれとして市場の価格発見機能は大事なので、0%程度という目標は変わらないですが、その中である程度の金利の上下の振れが起きても問題ないと考えます」とかいう形で「市場機能」で話をするしかないでしょうな。これがまた金融機関の負担が云々とか言い出すと話がややこしくなる訳で、物価見通し下げているのに金融機関お助けの為に長期金利上昇容認とか言語道断という話になるので、たぶんそういうことは日銀は言ってこないと思うのですが、普通に何とかストとかが言い出しそうでそれはまた先行きのコミュニケーション悪くなるから変な言質を出さない方がよいと思うのですが、さてどうなるのやら。
まあこれだけ騒いで実は何もなかった、というのが最大のズッコケなのですが、そこまで含めまして来週火曜日は面白くなってまいりました(不謹慎)。
なお、例えば10年20〜30bpとかいう水準だと、マイナス金利ぶっこむ前の10年がだいたいそんな感じ(最後の方追加緩和観測で下駄履いているけど)で、そこからベースレートの違いと、金融政策の時間軸の違いを考えると、なんとなくイメージがつくんじゃないでしょうか、とだけ申し上げておきます。
〇おお時間がないECBはメモというか備忘だけ
http://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2018/html/ecb.mp180726.en.html
PRESS RELEASE
Monetary policy decisions
26 July 2018
こっちは現状維持、という話だけのようですな。
『At today’s meeting the Governing Council of the ECB decided that the
interest rate on the main refinancing operations and the interest rates
on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged
at 0.00%, 0.25% and -0.40% respectively. The Governing Council expects
the key ECB interest rates to remain at their present levels at least through
the summer of 2019, and in any case for as long as necessary to ensure
the continued sustained convergence of inflation to levels that are below,
but close to, 2% over the medium term.』
at least through the summer of 2019の表現も前回と同じ。
『Regarding non-standard monetary policy measures, the Governing Council will continue to
make net purchases under the asset purchase programme (APP) at the current
monthly pace of ユーロ30 billion until the end of September 2018. The Governing
Council anticipates that, after September 2018, subject to incoming data
confirming the Governing Council’s medium-term inflation outlook, the
monthly pace of the net asset purchases will be reduced to ユーロ15 billion
until the end of December 2018 and that net purchases will then end. The
Governing Council intends to reinvest the principal payments from maturing
securities purchased under the APP for an extended period of time after
the end of the net asset purchases, and in any case for as long as necessary
to maintain favourable liquidity conditions and an ample degree of monetary
accommodation. 』
でもって今回仕事が早くてもうQ&Aつきになっている。
http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2018/html/ecb.is180726.en.html
PRESS CONFERENCE
Mario Draghi, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 26 July 2018
・・・・・・・のですが時間が無いので(大汗)こちらは週末に読むと致しまして(は良いのだが月曜火曜は日本ネタでつぶれるかもしれないから事前に用意した方が良いのかな)、とりいそぎロイター記事の引用でお茶を濁す。
https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-0726-idJPKBN1KG23I
2018年7月26日 / 23:42 /
ECB総裁、金融政策の道筋維持 来年10月の利上げ観測支える
『ECBが来年10月に利上げに踏み出すとの市場の観測を支える発言となった。ECBはこの日開催した理事会で、主要政策金利も予想通り据え置き、リファイナンス金利を0.00%、限界貸出金利を0.25%、中銀預金金利をマイナス0.40%とした。
ドラギECB総裁は理事会後の記者会見で景気に比較的明るい見通しを示すとともに、債券買い入れプログラムを年内に終了する方針を再表明し、金利が「2019年夏」まで現行の過去最低水準にとどまるとの見通しを維持した。
市場では現在、ECBが来年10月に10ベーシスポイント(bp)の利上げを実施するとの見方を完全に織り込んでいる。
ドラギ総裁は「市場の期待に関して言えば、ECB理事会の予想とうまく整合性が取れている」と述べた。』(上記URL先より)
2018/07/26
お題「第1回戦終了のようで/決定会合プレビュー雑談」
お、おぅ・・・・・・・・・
https://www.asahi.com/articles/ASL7S56FJL7SUTIL043.html
「閣僚に関するため」公開請求、文書ごと漏らす 金融庁
2018年7月24日18時55分
『情報公開制度を所管し、請求内容の漏出防止を指導する総務省のトップが自ら漏らしていたことに加え、金融庁が閣僚に関するものであることを理由に他省庁に決定通知書まで渡していたことが明らかになり、制度の信頼性が大きく揺らぐことになった。』(上記URL先より)
プーチン寿司の世界いや何でもないです。
〇盛り上がったと思ったらどうも第1回戦は終了のようで(2回戦があるとは言ってない)
昨日の債券市場ちゃんですが、まあ朝から先物ちと上がってスタートしましたねとか思っていたら20年カレントとか0.590%(引け)から始まったと思ったらすぐに0.585%になりまして、20年0.60%ってキリの良い所ですから(なおキリの良いところ以外の根拠はない)月曜火曜辺りに打診買いみたいな感じで入っていたらよーしパパ水準来たから第2弾打診買いやるぞーとかいうのに対して、火曜日の引け近くのマーライオンチームの対決ファイッ!!という相場展開がみものだと正座で待機していたおじいちゃん肩透かしの巻という風情。
でもって輪番ですが、
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180725.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,100 2018年7月26日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,800 2018年7月26日
国債買入(残存期間25年超) 600 2018年7月26日
オファーは全部同額。これで先週減額したばかりの超長期輪番を増額して来たら爆笑の発作が起きるところでしたが、さすがにそのような事は起きずに同額実施で、個人的にほほーと思ったのは指値やらないのねという所で、どうせ実害無いんだから念のためやっておけば良いのにとか思ったのですが、輪番同額オファーでも相場が崩れることはないという読みだったので指値打たずに淡々とオペ実施。確かに相場が崩れることもなく推移しましたので、恐れ入りましたという感じではありまして、前場引けの段階では10年カレントが5糸強で20年カレントが2毛強とかちゃっかりフラットニングしているのがオシャレという感じで輪番を迎えるのでした。
でもって結果。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba180725.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 12,095 4,104 -0.009 -0.007 59.5
国債買入(残存期間10年超25年以下) 4,021 1,803 -0.019 -0.014 11.5
国債買入(残存期間25年超) 1,103 601 -0.024 -0.011 98.1
10−25は超長期のどこを入れるのかによって違ってくるのですが(とは言っても超長期の10年ちょっととかのオフザランとか入れるほど浮動玉ねえじゃろ)、足切りの1.9強が20年カレント並みで平均が1.4強だからこんなもんちゃあこんなもんなのですかね、よー知らんけど。
25年超に関しては平均1.1強で足切り2.4強なので、どうしても入れたい人の必殺札は入ったと思うのですが、ゆうて600億円のオファーを埋めるほどの必殺もありませんでしたので足切りは普通になりました、という結果ですので、何だ別にそこまでして入れる玉がないんじゃん(・・・・・・となると前日の引け際のあの売り込みは何だったのかと小一時間問い詰めたくなりますが、まあ昨日は昨日で今日は今日みたいな話はよくあることなのであまり深くは悩まない^^)ということになって後場寄りで更に相場ちゃん上昇の巻。
でもって月曜日と火曜日にありました「戻ったところでこれ幸いとばかりに出てくる超長期叩き料理」のお時間は昨日はありませんで、何も出ない中で確りのまま超長期フラットニングして終了の巻。
ということでまーた人のふんどしでロイターさん。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1UL2FM
2018年7月25日 / 15:13 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続伸、イールドカーブがブル・フラット化
『<15:09> 国債先物は大幅続伸、イールドカーブがブル・フラット化
長期国債先物は大幅続伸で引けた。前日の米債高を受けて買いが先行。日銀の金融政策に対する思惑もあり、値動きはやや荒くなったが、総じて買いが優勢になった。現物債市場では、日銀オペ結果を好感した押し目買いが超長期債に入ったため、イールドカーブがブル・フラット化した。中長期ゾーンともに強含みで推移した。長期国債先物中心限月9月限の大引けは、前営業日比19銭高の150円78銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比1.5bp低下の0.065%。』(上記URL先より、以下同様)
ということでブルフラットなのですが、超長期が主役の日くらいは超長期の最終気配とか記事にしていただくと誠にありがたく存じますけどどうでしょうかねえ。
『<12:43> 超長期債利回りに低下圧力、日銀オペ好感で押し目買い
超長期債利回りに低下圧力がかかっている。超長期を対象にした日銀オペの応札倍率が前回を下回ったことで需給の引き締まりが意識されているという。特に、前回4倍台と高水準にあった残存25年超の応札倍率が「今回は1.84倍と低水準となったことが材料視されている」(国内証券)との見方がある。40年債利回りは前引け段階で0.935%だったが、足元ではオペを好感した押し目買い入り、0.910%に低下している。国債先物中心限月9月限も前引けの150円71銭から上昇幅を拡大して一時150円79銭まで買われた。』(上記URL先より)
ということでロイターさんの市況解説ニュースは上記URL先を見ていただくと分かりますが、後場は輪番受けた寄り付き動向のあと大引けの話となっておりまして、後場は同じ地合いで進行したというのが伝わって参りますな(^^)。
〇ところで今月会合はどうなるんでしょうかねえ(ほぼ妄想の世界なので念のため申し添えます^^)
ということでプレビュー雑談だがかなり妄想の世界なので話半分以下に聞いていただいてツッコミ叩き台にでも。
おそらくなんですけどね、今回って・・・・・・・・
「今回展望レポートで物価見通しが下方修正されて2%達成時期が2020年度に先送り」
ってのは衆目の一致するところで、うっかりしたら2020年度も微妙に届かないみたいな絵が出てきても別に驚かないと思うのですけどまあそれはさすがにやりすぎですか。
それから最近の日銀(政策委員会の中でも執行部寄りの人)からの情報発信として、
「金融政策運営に関しては副作用の累積化も配慮する必要がある、という情報発信を強調しだしている」
という話もしていると思うのね。たぶんここまでが一致点。
でもって、この2つを合計すると「異次元緩和政策は想定よりも長期化する(とっくの昔に当初想定よりも長期化していましたが更に長期化する)」「長期化すると副作用が累積するので却って目標達成の阻害要因になる可能性が出てくる」という話ですから、別に「異次元緩和の内容を一部修正して副作用が累積しにくいようにする」というのは普通に考えられる話なのですな。
この間、物価のモメンタムとか言っているのがどこからどう見てもアレな上に、コアコアCPIとか相変わらず0%台前半でヒーコラ言っている訳でして、少なくとも「出口方向」での政策修正は無理無理無理、ということで市場が少々舐め腐っていた面はあるのですが、よくよく考えてみますと、物価のモメンタムが維持されているという大本営発表するにも、さすがに見通し下げないとまずかろうという状況になっているのであれば、どこかで「異次元緩和政策の長期化への備えをしておかないとまずかろう」という話になってくると思うし、ちょうど時事通信砲の出た日の全国CPIがしょんぼりしちゃいますなあという数字だった訳ですから、「物価の見通しが下がるので異次元緩和政策うの長期化対応が必要になる」というのは確かに話の筋としてはあったと思うのですな。
とは言いましても、政治スケジュール(本当は金融政策考えるときにそういうものを考慮する必要はない筈なのですが、現実問題として考慮したかのような動きが多いので考慮せざるを得ない)を勘案すると、9月MPMは自民党総裁選挙にもろ被りですから、まあ何か修正する(出口でない方にしても)としても10月MPMの展望レポートだわなという話になりますし、直近のCPIで少し変わってきた可能性はありますが、この前までだと年末にかけてはCPIそこまで失速しないから「勝った振りをする方向での見直し」というのがワンチャンできるかもしれないのが年末年始位という読み筋もあって、そんなこんなで7月というのは如何にも早い、という感じだったと思うの。
然るに、7月の時点でもう物価は早期達成の実質的な降参モードに入って(4月に2%達成時期見通しの文言削除したのですから降参はやりやすくなっている)実質的に早期達成諦めた(ただし政府との共同声明の関係上諦めたとは言わない)ので異次元緩和長期化策を更に練りまっせということであれば、それはそれで確かに有りという事になりますので、7月に何かやるとか何かの方向性を示していく、というのは話として無い訳ではないのですが、ちょっとまあ(アタクシも含めまして)皆さんその「諦めの政策修正」がそんなに早いとは思ってなかったという感じだったのでしょうか。ただまあ「どう見ても追い込まれて諦め」よりは若干でもプリエンティブに動いた方が「攻めた」感が(諦めだけど)出るのでベター、といえば確かにそうなのかも知れんなあとは思うのでした。
でまあ何をするって話なのですが、そもそも「異次元緩和の長期化による副作用」というのの定義がこれまたフワッとしているので、市場の主に何とかストの皆様がああでもないこうでもないとオモシロ(失礼)レポートを出しておられたりする訳ですが、定義がフワッとしているだけに何が何やらという感じになっています。
まあ異次元緩和の長期化による副作用ってアタクシ思うに@金融仲介機能が弱まることによって、そもそもの金融政策によるトランスミッションメカニズムが効かなくなってくること、A低金利政策の長期化によって金融不均衡が拡大して将来の金融システムの脆弱性が高まること、だと思うんですよね、たぶん「政策目標達成の為」という点で言えば主に@で、Aはマクロプルーデンス的な観点になるのでもうちょっと間接的な感じ。
市場機能云々とか、イールドカーブがというのは市場の中の人としては大事な話なのですが、統制経済で世の中回すわ自由経済から離脱するわとかまで開き直られてしまえば、別に市場機能とか知らんがなとか言われましても文句も言えずに職探しという事になりますので(^^)、そっちの話ってのは(イールドカーブに関しては金融仲介機能が弱まる系の話で意味があるとは思いますが)副次的なことになるんジャマイカと。
・・・・・・・で、それに対応して何をする??となると、マクプル的にはリスク性資産買入の見直し(ETFはいきなり止めるわけにもいかないからせいぜいレンジ化できれば御の字でしょうし、そちらは後回しになるような気もする、まあ一番アカンヤツだとは思うけど)、社債とCPはまあお察しの状態なのでここの見直し、金融仲介機能に関しては物凄くファジーなので、これが非常に難しくて、本当はマイナス金利を撤回した方がエエンチャウノと思うのですが、どうもそういう話だけは全然出てこないというのは昨日も申し上げた通りなので、どうしたら金融仲介機能の弱まりを緩和することができるか、という理屈を捏ねていかないと行けないと思うの本来だったら。
ただ、そういう見直しじゃなくて割と簡単にできるのは、「長期国債ターゲットのレンジをちょっとだけ拡大」という奴でして、そもそもYCC入れた時にはこの政策は長期金利ペッグ政策な訳ではなくて、総括的検証の結果、「金融緩和はやり過ぎてもいかんし、足りなくてもいかんのであって、物価目標の早期達成のためには最適な緩和度合いというのが常にあるので、その最適な緩和度合いを達成するためのイールドカーブを作っていきますよ」という話だったのですが、昨年1月から2月にかけてのアレの時に0.11%指値オペをぶち込んでしまったために0.11%上限のペッグ政策になってしまった、という経緯がある訳ですよ。
ということですので、元に戻って考えてしまえば、0%という中で±0.2%とかもしかしたら0.3%(0.5%はさすがにやりすぎ)の幅で金利が動くのって別に許容しておけばよいじゃんというのは、運営上可能ではあるのですが、今それを調節がやると明らかに政策的意図があるという風に市場が受け止めてしまうので、「それは違いますよ」というのを本当は紙に書くとややこしいことになるので書かない方が良いのですが、まあ何らかの形で示してオペレーションの柔軟化をする、というだけならそもそも政策の微修正にすらなっていないという話にもなりますので、今回やるとしたらその辺で落としどころを探るのかなあ、と勝手に妄想はしているのですけれども、あくまでも超妄想の世界なので外れても一切知りませんし、妄想の内容も事前のお断りなく勝手に変更することもありますので一つよろしくお願いいたします。
・・・・ただね、この「YCCの元に戻って」というのもかなり理屈として苦しいのでして、YCCになって以降、カーブをコントロールしているのか10年をピン止めしているのか、ペッグなのかフロート誘導なのか、とかいうような話って毎度のごとく曖昧になったままで、その場その場では話の筋が通ったオペレーションが出てくるのですが、トータルしてみるとところでどうなんでしたっけみたいな感じが強い、というのがYCC以降の仕様になっているので、本来はその辺のロジックから再構築していくことが必要になるのですが、「そうします」と言って夏の間に考える、となった時に市場がどう暴れる(暴れないかもしれないけど)のかも難しくて、まあ結局のところ出たものを見て考えていくしかないのかな、という無責任な感想になるのでした。
2018/07/25
お題「ひたすら市場雑談を繰り広げるの巻で誠に相済みませんm(__)m」
さ あ も り あ が っ て ま い り ま し た!!!!!
#まあ盛り下がっているともいえるのですがゲロゲロゲロorzorz
〇止まったかと思ったらまたコケるとかもうね(相場雑談メモ)
・40年入札が強かったのですが途中から超長期大反転ゲロゲロマーライオンとな
昨日の債券相場ちゃんですが、出だしは大体ヨコヨコって感じで始まったのですが、まあ確かに朝から20年カレント1甘(0.570%)→1.5甘→1甘とか(その間大して先物とか10年とかは振れていない)やっておりましたので後から思えば微妙っちゃあ微妙だった訳ですが、前場引けにかけては先物確りしてきて7銭高(150.63)で引けて10年カレント0.5強(0.075%)だの20年カレント引け(0.560%)だのになっていた訳ですな。
でもって40年国債入札は一応市場予想とされる数字はベンダーベースだとだいたい0.895%の所という感じだったのですが結果は、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20180724.htm
6. 応募額 1兆3,193億円
7. 募入決定額 3,995億円
8. 応募者利回り (募入最高利回り)0.880%
9. 発行価格 額面金額100円につき97円33銭
10. 募入最高利回りにおける案分比率 36.6400%
いやーダッチ入札恐るべしという結果になりやがりまして、まあ元々40年どころってマーケットメーカーのショートが埋まっていなかったところではあるのですが、そうは言いましてもこの状況下(政策見直しがどうのこうのと言われる中で金利が足元ホイホイと上昇する状況)においてよーやりますなあという結果なので、これは強いニーズがどこかにありましたなあという結果となりまして、落札結果発表後しばらくは後ろが強くなって来まして順調に推移していますなあこれは相場の下げも1日で一旦止まって様子見でございますかそうですか駄文のネタにならんなあ(不謹慎)とか思っておった訳ですけれどもその後13時半とかその位からいきなり長いところがコケだした訳ですな。
でもって引けにかけてそのコケ度合いが加速しやがりまして、0.880%で入札をした筈の40年カレント引けにかけてドンドン甘くなって最後確か0.945%とかまで叩く勢いとなっておりまして、あの入札結果は一体全体何だったのかという非常に宜しくない展開になったのでありました。
なお売買参考統計値ちゃんのほうですと40年新発の平均値単利は0.939%で単価が95円98銭となっておりまして、入札が97円33銭ですので1円35銭ほど食らっているというオソロシスな結果な上に、債券先物ちゃんの方はといえば前場引けの150円63銭に対して大引けが150円59銭なので4銭しか下がっていないとか10年カレントの売買参考統計値の平均値単利が0.080%なので前場引けから0.5毛しか金利上がっていないとか、甚だあばばばばーな相場展開となった次第。
というわけでベンダーの方々もさすがに後講釈に困る訳でして・・・・・・・
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1UK2E0
2018年7月24日 / 15:17
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が小反発で引け、長期金利は横ばいの0.080%
『<15:10> 国債先物が小反発で引け、長期金利は横ばいの0.080%
国債先物中心限月9月限は、前日比3銭高の150円59銭と小反発で引けた。朝方は、前日の米債安や40年債入札を警戒した売りが先行。日銀政策を巡る不透明感も上値を重くした。一方で、日銀が23日、指し値オペで金利上昇をけん制する姿勢を示したことで、下値で買い戻しが入った。事前に警戒感があった40年債入札結果は順調で国債先物は一時上げ幅を広げたが、買いは続かなかった。
現物市場は超長期ゾーンが利回り上昇。国内勢から買いが入る場面はあったものの、午後終盤にかけて調整売りに押された。一方、中期ゾーンはしっかり。10年最長期国債利回り(長期金利)は同横ばい0.080%。』(上記URL先より、以下同様)
大引けの超長期の出合いとかが(TRADEWEBの気配はあるけど)無いのが残念なのですが、最後はもう「国内勢から買いが入る場面はあったものの、午後終盤にかけて調整売りに押された。」としておりますが、別に晒しあげるつもりじゃなくて皆さん解釈に困っていたというのが如実に分かるのがその前の時間帯の記事でして、
『<14:30> 超長期ゾーンが軟調、入札結果を受けて調整売り
超長期ゾーンが軟調。40年債入札結果は順調な内容となったが、「日銀の政策不透明感が晴れず、一本調子の金利低下に慎重な姿勢を示す業者からの調整売り」(国内金融機関)に押されている。40年債利回りは一時前日比2bp高い0.930%、30年債利回りは同2bp高い0.795%、20年債利回りは同1.5bp高い0.575%にそれぞれ上昇した。』(上記URL先より)
まあこの時間で40年0.930%とかだったのが引けでもう一段売られていたわけですが、入札結果がかなり強かったのに「入札結果を受けて調整売り」とか中々混乱しているのが(何度も言うようですが別にロイターさんに悪態ついている訳ではなく)「何が何だかわけがわからない・・・・・・」という状況を示していて実に味わいがありまする。
でもって入札直後は、
『<12:52> 40年債入札結果は順調、ショートカバーや押し目買いで需要
財務省が午後0時35分に発表した40年利付国債(利率0.8%)の入札結果で、最高落札利回りは0.880%(発行価格は97円33銭)となった。応札倍率は3.30倍と前回(3.92倍)を下回った。
市場では、入札結果について「強い内容。40年11回債は国債補完供給でまとまった額が落札されているように、品薄感から一定のショートカバー需要があったのだろう。その背景の一つに、前日からの金利上昇局面で投資家からの押し目買いがあったのではないか」(国内証券)との声が出ている。
入札結果を受けて、国債先物が強含み。中心限月9月限は一時前日比11銭高の150円67銭に上昇。前場に0.900%を付けていた40年11回債は、一時ビッドの気配が引いた。』(上記URL先より)
ってな状況だった訳で、後場途中から一変しましたという訳ですな、というのはご案内の通りでお前今更昨日の相場概況を人のふんどし使ってドヤ顔で説明するんじゃねえよと言われそうですが、まあ何か月か後になるとすっかり記憶が無くなってしまうおじいちゃんなので備忘メモとしているということで勘弁してつかあさい。
・しかし10年カレントの10bpを試すのではなくて超長期が大滑りとは・・・・・・・・
しかしまあ何ですな、時事通信砲からこの方、政策修正本当にあるかどうかはともかくとして、これまで政策修正とかせんじゃろできんじゃろ政治日程的にも9月までどう見たって動けないし、大体からして物価が全然アガランチ会長になっている中で政策修正する大義名分無いし、金融機関の為に金融政策をやっている訳ではないとか大見得切っていた黒田総裁が金融政策の副作用論をベースにして政策修正するタマじゃねえだろ、などという感じで政策修正全然ないわという風に思っていた所に奇襲攻撃食らいましたという相場展開になっている訳ですな。
でもって、本来この政策修正の時ってまあ普通に考えると10年のターゲットの方を修正するという事になるので、そうしますとイールドカーブ上政策的に抑え込んでいた10年金利部分が修正されるってことになるので10年売りの他年限堅調とかになって10年0.11%に向けてホイホイとカーブ修正が入るのかねとか思ったらさに非ずのこの展開。
まあ月曜の途中までは度肝を抜くほどのスティープしていなかったのですが、指値オペ出て戻った後に後場から超長期の叩き料理が始まって昨日は昨日で入札で戻ったと思ったらもっと盛大な叩き料理になるという展開でして、まあ金利水準を調整するかも知れないというのですからロングになっていたのの外しが来るので金利が上がるというのは分かるのですが、10年が10bp全然突っかけに行かないのにここまで親の敵のごとく叩かれるのis何?という所ではありますな、うんうん(個人の感想です)。
でまあ何でそうなってますかといえば要するに「ロングが超長期ゾーンばっかりに溜まっていたのでそのロスカット的な動きが先行している」という話になると思うんですが、確かにまあここもと何かグローバルフラットニングみたいなバズワードもあった訳で、米国様は利上げするけど物価がそこまで加速しないのでフラットニングとか、日本も物価が全然アガランチ会長なので政策の修正すらできませんし政策は長期化するしで金利上がりそうもないからそうなると絶対水準があって金利低下余地があるのは長い方になるからフラットニング〜みたいな感じで、超長期のロングとかフラットニングが思っていた以上に溜まっていましたというお話なんですかねえ(個人の感想です)ということになるんでしょうか、よー知らんけど。
そういう背景があって、しかも絶対水準がここらに来ないとちょっと買いにくいですなあというような方々の手が出しにくい水準までフラットニングが進んでいる中でカレント0.5割れで20年国債入札やっているのにヘッジがそこまで入っていた感じもしなかった先々週というのがあって、その後もカレント0.5割れで推移しているけど金利が上がるような感じも無かったところに時事通信砲が登場してロングの投げ→40年国債入札で40年のショートが埋まってさらに超長期がロングになってしまって外しみたいな需給先行という相場なんでしょうかねえとは思うのでした。普通に考えるとさっきも申し上げたように政策変更があるなら10年カレントの割高修正が起きる筈なのにそっちがさほど叩かれないで超長期が叩かれるというのは相場道は奥が深いですなあというところで(違うかな??)。
・まー色々と思考実験というか妄想というかが色々と出ますな
でまあ色々な予想というか思考実験というか妄想が飛び出してきて、ベンダーでも色々なオモシロネタが出てくるという素敵な展開になっていますが、さすがにそれは筋が違うだろというのがいくつか出ていましたなあという感じで、まあ思考ネタとしては面白いですが、基本的に今度修正をやろうとする場合って「異次元緩和政策を長く続けるために無理をしない」というのが前提にあるのであって、長期金利引き上げるけど言い訳の為に何かするとか、銀行お助けの為に何かするとか、そういうのが前面に出るような施策は筋が違うと思う(具体的に何の思惑に対して言っているのかはお察しください)ので、まあそれは無いというイメージなんですよね。
あと、一連の流れの中で「マイナス金利撤回」だけは誰も予想(というか妄想)していないのが面白いのですが、まあマイナス金利は異次元緩和政策の一環の中でもこれだけ異彩を放つ政策でして、異次元緩和言いましても実はそのほとんどが「従来やっていた政策の規模をでかくした」というもので次元は別に違わなかったのですが、そういう中で後から突っ込んだ政策とは言えマイナス金利政策というのはそれまでやっていた政策とは全く次元が違うので、そういう点では「真の異次元」と言えるもの(ただし欧州で実施済みでしたけど)ではございますので、割とマイナス金利政策にはこだわりがありそうなんだな〜ってのをメディアも市場もイメージとして読み取っているが故のマイナス金利撤回予想が無いという事なのかね(かなり妄想寄りの個人の感想です^^)とか思うと中々味わいがあります。
・しかしこんなことになるなら・・・・・・&YCC政策修正の難しさ
まあ何ですな、市場にこんな奇襲攻撃が来るとは予想してませんでしたのでシャーナイナイなところではあるのですが、足元のこの展開って「政策修正は当分先」「物価も上がらんしこりゃダメだ」みたいなのが蔓延して超長期のロングが実は積みあがっていましたという所の反動と勝手に解釈しているのですが、そうなってみますと、もうちょっとこの金利がホイホイと下がる中で輪番って減額して金利の低下を抑制しておいた方が、無駄なロングが積みあがらくて、その分反動も小さかったのかとか思うと、もうちょっと輪番って積極的に減らしてもよかったんじゃないのですかねえ(しかもこの金利上昇の中で(10年金利じゃないから目立っていないので反応していないというのもあるのかも知れませんが)為替ちゃんが大して円高反応をしない事が面白いですなあと思う所ではありまして、まあ超足元だけの近視眼的な雑談ではあるのですが、輪番って減らせそうなときにはホイホイと減らして歩いた方が何かと後の捌きがやりやすくなるんじゃネーノとか思ったです、はい。
あとですね、まあ昔から指摘する人は指摘していたとおもいますが、政策修正と言いましても、短期金利の修正と違いまして、長期金利ターゲット政策というのはその修正を事前に織り込ますとか、市場との対話をするってのは困難(短期だとポジションって精々3カ月程度で消えるポジションなのですけれども、10年は何せ10年続くポジションですから)というのがこの一件でかなり明確になったでしょと思う次第でございまして、YCC政策の枠組みが今後どうなるか分かりませんけれども、仮にレンジ化したとしてもそのあと修正する際ってのは結果は同じことになって、事前に何か織り込みに行くとこの有様(まあ10年指値ぺが毎日バカスカ応札されるみたいな地獄の黙示録みたいな相場展開じゃないので全然大したことないといえば大したことないのですけれども・・・・・・・)ということで、今後の出口(があるかどうか知らんけど)に向けたテストケースになったのかも知れませんな。
・さて今日は長期超長期輪番
まあ10年の指値は一緒に打っておいても別に構わんとは思うのですが、それ以外(超長期の増額とか)やりだすとコミュニケーションが一段とややこしいことになりそうだし、昨日の引け味が余りといえば余りなので何か淡々とやってて大丈夫なのか的なのもあるでしょうし、いやーこれは中々難しい上に、結局全部結果論というのが輪番の恐ろしい所ではございますなあ(完全に傍観者モードの発言と化しているように見えるのは気のせいです!!!)という所ではあります。
#ということで今日もとりとめのない雑談で恐縮至極
2018/07/24
お題「指値オペ実施キタコレということで関連メモと雑談でも」
唯一ネ申・・・・・・・・・
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180723-00000208-sph-soci
政治活動家の又吉イエス氏、20日に左腎がんで死去…74歳
7/23(月) 20:33配信
体調不良で政治活動停止というニュースは聞いておりましたがそうでしたか・・・・・・・
#どんな方なのかという一端は「僕とイエスと掘っ立て小屋」で検索するアルよろし
〇空砲指値を打ったものの空砲だけにその後は・・・・・・・・・
・俺様相場メモ的な何か
相場メモは正確性を期するよう努力していますが、記載されている事に関しての事実との一致は全く保証いたしません(変なところあったら教えてジェネラル!)。一応ロイターさんの記事とか東証の債券先物日中チャートとかを参考にしながら記憶ベースでの俺様メモですのでよろしくお願いいたします(と最初にヘッジクローズ)。
昨日の先物日中4本値(と言ってもこれ場中にクリックすると今日の値段が出てしまうと思うので四本値を下に貼っておく)。
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_daytime
2018/07/23
日中取引
始値:150.45 (08:45)
高値:150.74 (10:14)
安値:150.36 (08:45)
終値:150.56 (15:02)
前日比:-0.41(-0.27%)
売買高:61,510
ということで前日イブニング(正確に言えば当日分の夜間取引という言い方になるんですかね)の終値が150.49でしたので、若干低い所から始まったと思ったら何せ寄りと安値の間に1分間無いというお洒落な値段の付き方しまして最初10年8bpとかですかとか思ったら9bpとかもマークして(勢いでつけてみた感はなくはないのだがよーわからんので何とも)、20年カレントも0.535%とか0.545%とかその辺になってましたが、そらもうここもとって10年の方はともかくとして、20年とか30年とかそっちの方はじりじりとフラットニングして水準的に買うのはかなーりためらわれるような所に来ておりましたことですし久々にちったあ見れる水準になったぜヒャッハーということで何ぼ何でも買いが入ったと思われるような戻し方をしてみたものの、まあ金利が上がったネタがネタなだけにここでいきなり全力買いをするのはさすがにどうか(水準も足りないことですし)ということになりますから、買いも打診的にならざるを得ないでしょう(ただ打診だけでもここまでのフラットニングで地蔵になっていた人が多いからそれなりの量になったでしょうな)ということで一巡したらオペ待ちになりますなということで先物で言えば60銭とか61銭の辺りがピークで若干だれてオペ待ち。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180723.htm
国庫短期証券買入 10,000 2018年7月24日
国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下)(注3) 2018年7月24日
国債買入(残存期間1年以下) 500 2018年7月24日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2018年7月24日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,000 2018年7月24日
(注3) 国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下)の固定利回較差は、0.080%。この結果、10年利付国債351回の買入利回りは、0.110%となる。買入金額に制限を設けずオファー。
でもってこの時直近の10年カレントは多分7.5bpとかその辺で、安値の9bpよりは戻していまして、どう見ても空砲です本当にありがとうございましたという指値になっていて、何じゃエライビビっとるなあとか傍目には思ったりもしたのですが、まあその後の後場を見るとやったのもまあ分かるかな、という感じです(その話は次に)。
でまあどこからどう見ても空砲なのですが、何か知らんが一呼吸位おいてから先物とかモリモリ上昇して上記の東証4本値にありますように高値150.74とか付けて、オペ直前から見ると20銭まではいかないけど20銭近くの上昇とか威勢の良い話をやるの巻。10年カレントは先物がモリモリ戻る中で6.5bpくらいまで戻るわ(と思ったらそのあと6bpにもなった)20年カレントは0.525%まで戻るわとなって、おお空砲でそこまで戻るのか、というかそもそも11bpの指値入れてくるの当たり前じゃん(今回のように観測報道が出て市場が動くようなときであれば、もし11bp越えて金利が上昇するのに入れなかったら観測報道容認という風に市場が捉えるので、それは調節担当部局が勝手に政策意図を示す格好になってしまうので入れてくるのは自明、ただ11bp付く雰囲気も無いのに入れてきたのはほほーと思いましたが)という話なのにおお戻す戻すとか思っていたらさすがにそのあとは頭打ちに。
でもってオペ結果と言っても昨日の輪番は中期短期と指値オペなので、指値オペは当然のごとく空振りの巻となり(ちなみにしらっと短国買入は増えていたような・・・・・・)、
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba180723.htm
国庫短期証券買入 31,373 10,001 0.005 0.007 83.4
国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下) 0 0
国債買入(残存期間1年以下) 2,716 501 0.025 0.025 92.9
国債買入(残存期間1年超3年以下) 11,041 2,501 0.015 0.015 55.2
国債買入(残存期間3年超5年以下) 10,344 3,003 0.021 0.023 39.0
後場はどうなったのかというと、先物はそんなに(前場ほどは)動かなかった(前場の売買高が43784枚で後場の売買高が17726枚ってのが中々)のですが、何か取引中盤以降長期とか超長期とかじりじりと甘くなってきて、前場のバランスよりもスティープ気味になっていたので、ちょっと長い所に売りでも出たのかもしれませんし、さすがに今日の40年にヘッジを入れようというのがあったのかも知れませんですなあという展開になって、まあ後場の長い所のパッとしなさを見ますと、前場あの時点で指値入れるのはちょっと時期尚早かとも思ったのですが、あの時点で入れないと日銀政策変更で世紀末救世主伝説ヒャッハーとか言って売り込む向きが出てきて、却って止めるのが面倒になる、という判断になったんでしょうかね、とも思います。前場の時点では何で入れるんじゃ早いなとは思ったものの、後場の長い所の重さからはそんな感じを受けました(個人の感想です)。
ということでロイターさん
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1UJ2IT
2018年7月23日 / 15:22 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が大幅反落、長期金利一時0.090% 日銀が5カ月ぶり指し値オペ
『<15:15> 国債先物が大幅反落、長期金利一時0.090% 日銀が5カ月ぶり指し値オペ
国債先物中心限月9月限は前営業日比41銭安の150円56銭と大幅反落で引けた。日銀が金融緩和の持続性向上策の検討に入ったことが明らかになり、政策の先行きに不透明感が浮上。ポジションがややロングに傾いていた海外勢などからまとまった売りが出た。朝方の取引開始直後に一時150円36銭と、中心限月ベースで2月5日以来の水準に下落した。
これに対して日銀は午前10時10分、予定通りに「残存1年以下」(買入予定額500億円)、「残存1年超3年以下」(同2500億円)、「残存3年超5年以下」(同3000億円)の国債買い入れオペを通告。同時に「同5年超10年以下」を対象に指し値オペを通告したことで、相場はいったん下げ渋る場面もみられた。指し値オペは2月2日以来。
現物市場は超長期ゾーンを中心に利回りが上昇。日銀政策への懸念から、フラット化を巻き戻す動きや、24日の40年債入札を警戒した売りが出た。10年最長期国債利回り(長期金利)は一時同6bp高い0.090%と2月2日以来の水準に上昇したが、午後3時10分現在は0.080%で推移。
<14:35> 24日に40年債入札、日銀政策不透明で慎重な見方も
24日に40年債入札が実施される。発行予定額4000億円程度で、5月債(第11回債)のリオープン発行。入札は利回り競争入札によるダッチ方式となる。
日銀が金融緩和の持続性向上策の検討に入ったことが明らかになったことを受けて、市場では金融政策先行きへの不透明感が浮上しており、入札に慎重な見方が出ている。「投資家需要が見えなければ、業者も応札に慎重にならざるを得ないだろう」(外資系証券)という。
しかし、40年11回債は日銀の保有比率が高く、需給は引き締まっている。「一定のショートカバー需要はあるだろう。入札はダッチ方式であるため、流れて落札利回りが上昇すれば、水準を重視する投資家の買いも入るのではないか」(証券)として、押し目買いに期待する声もある。40年11回債利回りは前営業日比9.5bp高い0.900%で推移している。』(上記URL先より)
・指値は「意思」か???
いやまあこれは中の人じゃないから憶測するしかないんですけど、今回の指値オペに関しては「今の政策はYCCで10年を0%近辺にするという建付けなのだからその通りにしました。指値の0.11%というのはここのところずっとこの水準でやっているので、指値の金利水準を上げるのは何らかの政策的意図があると世の中に誤解される可能性があるのでやりません、ああそれから0.11%を今回やったからと言っても、政策を決めるのは調節担当部署じゃなくて政策委員会ですから(企画局とかそういう話はここでは触れません^^)、来週の政策委員会・金融政策決定会合で政策の変更が出るかどうかという話とも直結しませんよ何か勘違いしないで下さいね」ということであって、それ以上でもそれ以下でもないと思うの。
ということで指値オペで意思を示したとか報道に違和感を表明したというのは「今の調節方針を堅持する」という意味での意思だったら調節の意思として指値はメッセージではありますが、報道に違和感的な政策にかかわる部分に関しては知らんがななので、昨日11bpで指値打っておいて来週政策調整があってもそれはそれという話になるというのが建付けになりますな、うんうん。
〇ところで7月に何かやるんですかねえという雑談(なお全然まとまっていない)
整理すると
・何かやる(=長期の誘導目標変更するとかその手の話)
・政策の見直しを含めた政策の在り方を次回決定会合までにまとめるように議長指示が出る(=総括検証パターン)
・何もしないけど会見で「異次元緩和の長期化は待ったなしなので長期的に持続可能な枠組みを考えて行かないと」とか言い出す
・本当の本当に何もしない
まあ最初のと最後のは分かり良いのですが、何かやると言いましても現実問題として何をしますねんという話になるともうちょっと頭の整理が必要であります正直。
でですね、「議長指示」というのだけはちょっと厳しいかなと思うところでありまして、それをやってしまうと誰がどう見ても「10年金利の誘導水準に変更が加えられるでしょ」という風に思うわけで、そうなりますと次回MPMまでの1か月半(9/18-19)の間、10年カレントに物凄い勢いでの売り圧力が掛かるので、たぶんYCCの建付けがオペレーション技術的に持たないと思うの。それこそカレント3銘柄(ポートに沈んでいるのまで全部引っぺがして)発行量全部買ってしまえばそこの金利は止まるというかそもそも市場取引が存在しなくなりますが、そもそもYCCの結果10年カレント近辺って割高になっているので、その割高修正待ったなしとかなって周辺とのカーブの整合性取りにいくことになる圧力をオペで何とかしろとか無理ゲーだし、腕力で何とかしたとして、そのあとやっぱり買い過ぎで需給がおかしくなって市場のイールドカーブ形成が無茶苦茶になるリスクがあると思うの。
いやまあ3番目でも似たようなことになるかも知れないですし、もしかしたら上記の2番目3番目でオペレーションが持たないほど10年カレントに売り圧力が来るというアタクシの読みが大外れしているかもしれないので頭の体操中なのであります。
・・・・・・・などと申していますが、しかしながら未だに「何でこんなに急に慌てて修正論議ってことになるんだ」というのは謎でして、まあ1から100までベンダーがぶっ飛ばしている飛ばせホーマーズ状態なのかも知れませんけど、もし色々な修正を検討していて7月に何かやりますって話ですと、何で唐突に急いでやることになってしまったのかが、やっぱり昨日も申し上げたように謎ではあります。まあ幾つかこれなのかもねという読み筋が無いことはないですがまだ全然整理できてないし、頭の体操も日ごろの運動不足が祟って筋肉痛を起こしそうなので、とは言っても期限は来週火曜ですからせっせと考えてみたいと思います。
2018/07/23
お題「7月会合で政策見直しかもというニュース登場とな/CPIェ・・・・とか指標金利改革とかFSR別冊とかの雑談メモ」
7月会合で云々の話でも聞いてやろうかと思ってモーサテを久々に確認しに行ったら前半15分間一言も話題にならなかったという事実は何を意味するのでしょうか・・・・・・・・・・・・
#その前に経済指標ネタと金利指標ネタ
〇金利指標見直しとな
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180720e.pdf
2018 年 7 月 20 日
「日本円金利指標に関する検討委員会」の設立について
というのが来ました。
『今般、グローバルな金利指標改革の動向、および、本邦におけるこれまでの取り組み(TIBOR
改革や日本円のリスク・フリー・レートの特定など)を踏まえつつ、金融市場参加者や金利指標ユーザーが、金融商品や取引の性質に応じて円金利指標を適切に選択し利用していくうえで必要な検討を行うために、「日本円金利指標に関する検討委員会」が設立されることとなりました。
本検討委員会では、円金利指標の選択が各種金融商品や金融取引に与える影響の大きさに鑑み、円金利指標(円
LIBOR、日本円 TIBOR、ユーロ円 TIBOR およ びリスク・フリー・レート)の利用者となりうる金融機関、機関投資家、事業法人等幅広い市場参加者や金利指標ユーザーにご参加いただき、検討が行われる予定です。』
ほほう。
『1.開催頻度 2か月に1回程度(第1回会合は 8/1 日に開催予定)
2.開催場所 日本銀行本店
3.参加者 金融機関、機関投資家、事業法人等
4.事務局 日本銀行金融市場局市場企画課
5.内容
@ 円金利指標の適切な選択と利用に関する基本的な考え方の整理
A @を踏まえた具体的課題とその対応策の整理
B @およびAにもとづく円金利指標の利用を可能とする枠組みに移行するための計画の策定
6.その他 議論の概要および関連資料については、日本銀行ホームページで公表する予定』
でまあ内容の
@ 円金利指標の適切な選択と利用に関する基本的な考え方の整理
A @を踏まえた具体的課題とその対応策の整理
B @およびAにもとづく円金利指標の利用を可能とする枠組みに移行するための計画の策定
って奴なのですが、金利指標に関してはリファレンス方式の指標に恣意的な操作が見られましたということで色々と問題になって今に至っていますが、言い出しっぺというか震源地の英国とかそれを踏まえたFSBとかも当初やたら実レート主義に走ってみたらやっぱりそれはそれで別の弊害が出るとか、中々味わい深いことになっている訳ですよ。
でまあこういうの常に不具合修正を怠らない、というのは良いことではあるのでそこまでは否定しないんですけれども、だいたいこういうのでグランドデザインまで変えてしまおう、といった形になると、結局「その時の市場を取り巻く環境に対して最適化されたスキーム」で物事を考えてしまうことになるのって否めないと思うのよね。然るにジャパンの場合って何せ大規模緩和にYCCとか市場機能を叩き壊す動きをやっているし、短期市場の金利はまだ動いているとは言え、金利観とかまるで関係なく日銀当座預金の3層構造(正確には基礎残高に含まれる法定準備預金部分も含めると4層構造)の裁定が資金繰り動向によって起きているという話で、統制の効いた市場の状態でグランドデザインに着手すると(未来永劫この市場なら別にそれでも大丈夫でしょうが普通に考えて)将来の金融正常化の時にフィットしないものが出来上がる可能性が高いと思うの。
ということで、やるなら金利があった時代の既存の枠組みの修正みたいな方向でやった方が多分レジリアントなものを作りやすいと思うのですが、FSBとかIOSCOとかあの辺が教条的にやっている(ように見える)のが困りもの(なお日銀はその教条的なのに対してはいやそれは現実的に問題ありまっせみたいな話をしているようなのでいいぞもっとやれと思いますが)ではありますな。
といういつもの悪態な訳でした。
〇これは大変に素敵なものが出ておりますな(FSR別冊)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsrb180720.htm/
2017年度の銀行・信用金庫決算
『要旨
2017年度の銀行・信用金庫決算の特徴は、次の3点である。
第一に、当期純利益は、大手行では増益となり、地域銀行と信用金庫では減益幅が縮小した。いずれの業態でも、国内貸出利鞘の縮小や、米国債の売却損の増加等が利益を押し下げた一方、低水準の信用コストが下支えするもとで、株式売却益の増加等が利益を押し上げた。
第二に、基礎的収益力を示すコア業務純益は、地域銀行ではほぼ前年並みとなったものの、大手行と信用金庫では引き続き減少した。いずれの業態でも、国内貸出利鞘の縮小に伴い資金利益が減少した。資金利益への依存度が高い地域銀行や信用金庫では、金融機関間の基礎的収益力のばらつきが拡大してきている。
第三に、金融機関の財務の健全性は全体として維持されている。自己資本は、内部留保の蓄積から、大手行を中心に引き続き増加した。』
「基礎的収益力を示すコア業務純益」とか「金融機関間の基礎的収益力のばらつきが拡大」という辺りが気になりますが、本文はこちら。
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsrb180720.pdf
2017年度の銀行・信用金庫決算
なおまだ精読できていませんのと本日はより大ネタがあるのでパス。
〇CPIェ・・・・・・・・・・
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
2015年基準 消費者物価指数 全国 平成30年(2018年)6月分 (2018年7月20日公表)
4月以降の各指数の前年同月比%
総合
1.1 0.6 0.7 0.7
生鮮食品を除く総合
0.9 0.7 0.7 0.8
生鮮食品及びエネルギーを除く総合
0.5 0.4 0.3 0.2
・・・・・・・・コアコア下がって+0.2%まで来ておりまして、年度頭から順調に伸び率を低下させて0%に向かって勝利の大行軍をしているようにしか見えないのですが、このどこがどうモメンタムは維持されているのか小一時間問い詰めたいですな、南無南無。
〇ということで週末の引け後とかにいきなり登場の政策見直し観測記事ですがな
・時事通信とロイターの報道キタコレ
時間的には時事通信の方が先だったようです(違ったらご指摘キボンヌ)。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018072001101&g=eco
日銀、長期金利目標の柔軟化検討=一定程度の上昇容認−7月末会合で議論
『日銀が、大規模な金融緩和策で「0%程度」としている長期金利の誘導目標の柔軟化を検討することが20日、分かった。一定程度の金利上昇を容認する。物価の伸び悩みで日銀が掲げる2%の物価上昇目標の実現が展望できない中、現在の緩和策は一段と長期化する見通し。金融機関の収益悪化や国債取引の低迷など副作用を軽減しつつ、緩和長期化に備えるのが狙いだ。』(上記URL先より、以下同様)
物価が伸び悩んでいるというのはCPIでも見事に示されているのですが、伸び悩んでいるなら静観連絡船、という訳にもいかないのでしょうかちょっとよくわからない理屈ではある。
『7月末に開催する金融政策決定会合で検討する。ただ日銀内には長期金利目標の引き上げに慎重な声もある。会合では具体策をめぐり突っ込んだ議論となりそうだ。(2018/07/20-22:08)』(上記URL先より)
でもってロイターからも見直しの観測記事。
https://jp.reuters.com/article/boj-idJPKBN1KA217
2018年7月20日 / 23:40 /
日銀が金融緩和の持続性向上策を議論へ、長期金利目標の柔軟化など=関係筋
『[東京 20日 ロイター] - 日銀は30、31日の金融政策決定会合で、鈍い物価動向を踏まえ、物価2%目標の実現に向けて金融緩和策の持続可能性を高める方策の検討に入った。金融緩和政策の長期化が避けられない情勢の中、金融仲介機能や市場機能の低下など副作用の強まりに配慮し、現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール政策、YCC)付き量的・質的金融緩和における長期金利目標やETF(上場投資信託)など資産買い入れ手法の柔軟化などが選択肢になるもようだ。金融緩和を縮小する出口政策や金融政策の正常化とは異なり、物価2%目標の実現という日銀のコミットメントと整合的な方策を検討する。複数の関係筋が明らかにした。』(上記URL先より、以下同様)
とまあそういう訳で、
・長期金利0%目標を引き上げる
・目標0%のままだけどより柔軟に対応すると言ってレンジを拡大する
・特に額がでかいETF買入を年間6兆から見直す(6兆円上限みたいな感じですかねえ)
・CP社債の買入に関しても見直しがあるかもしれません
とかそんなのが文面からは漂ってまいります(あとに出てきますよ)。
ロイターさんの続き。
『物価2%目標の実現に向けて進めている現在の金融緩和策も、さらなる長期化は避けられない情勢で、超低金利政策の継続に伴う金融機関収益の減少を通じた金融仲介機能への影響や、国債取引の減少など金融市場の機能低下といった副作用の蓄積への懸念も強まりつつある。』
(上記URL先より)
そらそうよなのですし、もしかしたら足元のCPIが益々鈍化しているので、その点を踏まえて「政策効果をより高めるには副作用を軽減しないといけない」というような超越屁理屈をもって、「副作用の軽減策なので金融緩和の強化」として「金融緩和の強化について」というお題で見直しを打ってくるというハイパー屁理屈をやってくるという方法しか文脈上はできないと思う。
『このため会合では、緩和長期化による副作用にも配慮しながら、緩和策の持続可能性を高める方策が議論となる公算。』(上記URL先より)
それが今申し上げた屁理屈ね。
『具体策はこれから詰めるが、YCC政策のもとで現在ゼロ%程度となっている長期金利目標や、一部で市場の価格形成を歪めているとの指摘もあるETFなど資産買い入れの手法を柔軟化することが検討されるもようだ。』(上記URL先より)
まーしかしこれを現時点で通す理屈ってのもかなりアクロバットだと思うのですが、コアコアが順調(?)にダメダメになっていく中では、もはや「情勢が好転しているので一部微修正」という理屈を繰り出してくる望みがなくなってきたので、出せるうちにプランBを出そう、ということなのかも知れません。タイミング的にはCPIが出てFSR別冊で金融機関決算分析が出ている(中身ちゃんとよんでませんすいません)というのがなんともではございます。
いやね、正直夏は何ぼ何でも無理だろと思っていて、今回の決定会合は無風で詰まらんなあ物価の理屈ったって出しようがないんだしさあと思っていたのですが、ここで2社が打ち込んでくると俄然注目度が高まるの巻で、ナマコ相場でナマコになっていた皆さんも目は覚める(ただしこれどう出てくるのかがまだ読めないので決め打ちできる訳もなく、決定会合まで様子見地蔵を決め込む人は多いと思う)でしょうな。
・日経は様子見姿勢ですかね&そもそもブラックアウト前ですが&債券先物夜間取引ェ・・・・・・・・・・
1日置いて昨日の日経。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33257750R20C18A7EA3000/
金融政策、副作用に配慮検討 緩和持続へ板挟み
2018/7/22 1:31日本経済新聞 電子版
『日銀の金融政策が伸びない物価のもとで、板挟みになっている。2%の物価安定目標は遠く、30〜31日の金融政策決定会合では長引く緩和の副作用にどう配慮すべきかを検討する。金融機関の負担を無視できないためだが、金利の調整を視野にいれると円高を招きかねず、金融緩和の本来の目的であるデフレ脱却に逆風になる。終わりがみえない緩和は不安が尽きない。』(上記URL先より)
この先の有料会員記事は有料会員記事だけにスルー致しますが、時事やロイターのように割と決め打ちチックな観測記事(というのも日本語としてどうかと思いますが^^)よりはだいぶ穏便ですな。
まあそもそも論として足元ブラックアウト前となってまして、なんかドカンとかますのならブラックアウト入った所でガツンとかますというのがメディアの仕様だと認識しているので、今回のはそういう流れからすると割とこう通常パターンから外れている格好。
もちろん、昔の緩和縮小時(福井の俊ちゃん)時代だと「事前に鉦や太鼓で色々とアナウンスしたり観測報道が出たり」という形で「地ならし」を行っていってショックを抑えるというのが仕様で、それこそFEDなんて今回物凄い勢いで長い時間の地ならしをして、途中で地ならしに失敗してテーパータントラムを起こす始末だったのですが、日銀の場合はYCCで長期金利を抑えているだけに、基本的に「事前の地ならし」というのは技術上の多大なる困難を発生させることになる、具体的には「地ならし中で政策変更前の時点における金利防衛でとんでもない買入をしないといけなくなるのだがそれは良いのか」というお話。
というわけでイブニング。
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_night
長期国債先物
18年9月限 07/23
寄付:150.97(15:30)
高値:150.98(15:46)
安値:150.41(01:21)
終値:150.49(05:22)
前日比(金曜の引け比):-0.48
売買枚数:20,897
ということで、盛大に48銭も下がっていますので、10年スライドで下がってくれば0%台後半に突入してさあ指値の姿勢を問う、ということなってくるのですが、まーここで金利が上がって例えば10だの11だのになっても11bpの指値を入れないとなるとそらもうあばばばばーとなりますのですが、まあこんな記事出たら止めないわけには行かないので、これはMPMまで面白展開になるかもしれませんが、しかし10年を敢えてそこで突撃していく人っているのかね(ガイジン先生がやりそうではありますが国内にそういうのいるのかね、という感じはあるので)とは思います。まあネタがネタだけに朝から押し目買い殺到とかにはならないで様子見しましょとはなると思うのですが(いきなり押し目買い殺到したらビビる)、さあどうなるんでしょうね。
他にもいろいろと思う所はあるのですが、頭が整理できていないので今日はこの程度で勘弁。
ああそれから一応、
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018072100577&g=eco
事前に申し上げない=日銀総裁、長期金利目標の柔軟化報道で
『ブエノスアイレス時事】日銀の黒田東彦総裁は21日午前(日本時間同日夜)、記者団に対し、日銀が「0%程度」としている長期金利の誘導目標の柔軟化を検討しているとの一部報道について、「事前に予測めいたことを申し上げるのは適切でない」と述べ、具体的な言及を避けた。(以下割愛)(2018/07/21-23:33)』(上記URL先より)
というのは当然オブ当然ですな。
2018/07/20
お題「輪番減額も金利低下キタコレ!!/通貨の強制減価というのは机上の空論にも程があるじゃろ」
最近の政治家先生はどこまで脇がガバガバなのかと小一時間。
https://www.asahi.com/articles/ASL7L5FH9L7LUTIL03W.html
野田氏側、金融庁に説明要求 仮想通貨調査対象業者伴い
2018年7月19日05時00分
『朝日新聞が情報公開請求をして開示された文書などによると、同社に通告が出された数日後の1月中旬、野田氏の事務所が金融庁に説明を求めた。「相談者」として企画会社の関係者が同席することも伝えたという。開示文書では、説明を求めた人物は黒塗りだったが、関係者などによると野田氏の秘書だという。』(上記URL先より)
やはり情報をホイホイと捨てるとかそういうのはイカンですよね、と思うのでありました。なお『この企画会社(東京都)は昨年10月から独自の仮想通貨を販売。有名芸能人も関わるなどして話題を呼んでいた。』(上記URL先より)なのでお察しですな。
そして釈明がこれまた毎度おなじみのアレ。
https://www.asahi.com/articles/ASL7M3CY3L7MUTIL00P.html
野田総務相「圧力ではない」 金融庁への説明要求認める
2018年7月19日11時44分
『野田聖子総務相の事務所が、金融庁の調査対象だった会社の関係者を同席させたうえで金融庁の担当者に説明させていた問題で、野田氏が19日、総務省で記者団の取材に応じた。事実関係を認めたうえで、「仮想通貨交換業の一般的な説明を受けただけで、圧力ではない」などと釈明した。』(上記URL先より)
往生際の悪い言い訳キタコレ!!!!!!
・・・・・・などと思いながらロイターのネット版見たらなんですかこれは。
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-fed-idJPKBN1K92N6
2018年7月20日 / 02:51 /
トランプ米大統領、FRBの利上げ「喜ばしくない
全方位に喧嘩を売るのは笑ってみていたが中央銀行に喧嘩を売るのは通貨制度の根幹に関わってくるのでさすがにお前は馬鹿かという話になるんだがまあ馬鹿なので今まで言わなかったのは単に他に気を取られていただけなのかもしれませんがこれは続報待ち。
〇超長期減額(6カ月ぶり今年2回目)キタコレとなるも・・・・・・・・などのオペ雑談
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180719.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,100 2018年7月20日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,800 2018年7月20日
国債買入(残存期間25年超) 600 2018年7月20日
社債等買入 1,000 2018年7月25日
社債等買入があるのは後程ですが、まずは超長期輪番で、どこら辺がコンセンサスだったのかよくわかりませんが、まあやるとして一番市場の平均値が嬉しいと思うのが「両方100ずつ減額」だったので市場がニッコリの回答。
そして輪番減額したら当然ベンダーにはフラッシュでるわ某ブルームバーグテレビ(APAC向けなので英語)では毎度のように「BERAKING NEWS」とか言って出るわだったのですが、その結果はご案内の通り。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1UF2J9
2018年7月19日 / 15:17
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反発、長期金利0.035%に小幅低下
『<15:14> 国債先物は反発、長期金利0.035%に小幅低下
長期国債先物は反発して引けた。前半は株高が影響して売りが優勢だったが、中盤以降は株式市場が軟化すると、買い戻す動きが強まった。現物債は小動き。日銀は超長期を対象にしたオペでオファー減額に踏み切ったが、事前に観測が出ていたため、市場は冷静に受け止めた。「残存10年超25年以下」対象の日銀オペが需給の引き締まりを意識させる結果になったため、20年債利回りは低下基調になった。長期国債先物中心限月9月限の大引けは、前営業日比7銭高の150円94銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比0.5bp低下の0.035%。』(上記URL先より)
という結果ですし、オペ通知直後の市況解説では、
『<10:19> 日銀が超長期の国債買入を減額、材料出尽くしで買い戻し
日銀は午前10時10分に通告した国債買い入れで減額に踏み切った。「残存10年超25年以下」のオファー額は1800億円、「残存25年超」は600億円といずれも前回から100億円減額した。一方、同時に通告した「残存5年超10年以下」のオファー額は4100億円と前回から据え置かれた。市場では、「日銀は減額で急激なフラット化をけん制したのだろう。超長期を中心に事前に減額観測が出ていたため、相場への影響は限定的。むしろ、日銀の通告後は、悪材料出尽くしで超長期ゾーンに買い戻しが入っている」(国内証券)との声が出ている。20年債は0.485%、30年債は0.680%と前日引け水準まで戻した。また、40年債利回りは前日比0.5bp低い0.790%に低下した。』(上記URL先より)
となっています。まあ今回はオモロイ見世物になると思って何とはなしにみておったのですが、オペ減額キター!!という所で債券先物はまるで反応しないでその直前が前日比変わらずの所にいて、値段が動くのかと思ったらこれがまたまるでウゴカンチ会長というオソロシスなことになり、動かんというのを見て反応したのかどうかは知りませんがドル円為替は寧ろ若干の円安に振れる有様。
その後朝方0.490%(5糸甘)で出合っていた20年カレントは0.485%(引け)に金利が下がるといういやおまいら一応100ずつの減額って想定の満額回答だろ何でそこで買いに転じるとか思いましたが、まーアタクシが昨日の駄文でも申し上げるくらいですから、輪番減ってもゾーンで100なら今の投資家動向からして需給が崩れる懸念なしバッチコーイ!となっていたということでしょうか、40年とかも強くなっていましたもんね。
となってきたので先物も上昇して3銭高(1日の値幅が5銭行くか行かないかという相場を見慣れると一方方向に3銭も動くと暴騰暴落した気分になるのが目の慣れという奴)とかなりやがりまして、輪番結果は案の定確りで後場になったら20年カレント0.480%(5糸強)になるという有様。
・・・・・・・・という訳で、先般来やっていた減額は実際問題としては指値オペとセットで増額したときの後処理モードだったのですが、これで1月以来のちゃんとした(というか何というかな)減額ということになりましたが、市場ちゃん何の反応もないし為替は適当にぶれていたけど別に輪番で動いた訳でもなさそうだし、債券市場に関しては20年とか寧ろ手前対比でフラットニングするというこの強さということで、これは調節部署大勝利としか申し上げようがありませんおめでとうございます。
ただまあこれでもフラットニングするということは、日銀の減額が足りないよいうことなのではないかということでもありまして(^^)、日銀様に置かれましては今のような状況、つまり減額しても話が出口政策云々にならん時には、まあ超長期とか将来のこと考えたら持たない方が良いに決まっているのでもっと減らしてちょと思います。
減額が出口と直結して話にならないような状況というのは物価が上がらんし先行き物価上昇で何かあるのでは的な感覚を市場が全然持っていない時、ということになるのですが、それよりも為替の反応の方が気になるという風にしか思えないスタンスで減額をしていますので、そうなると国内というよりも海外中銀動向ということで、特にここからはECBだと思うのですが、今後ECBの緩和正常化が具体化していくと、またぞろ為替市場のガイジンちゃんがECBの次は日銀だぜヒャッハーとか言い出すので、まーその前に減額しておいたら、と思ったりはしますが、あまりバンバン減らすと15年超の金利をどうのこうのという名言を残しておられる提案芸人先生なども偉い人の一角を占めているだけに難しいですかね。
それから皆さん既に指摘していますが、
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180629h.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について
の(別紙)の方にあるレンジなんですけど、
10 年超 25 年以下 1,500〜2,500 程度
25 年超 500〜1,500 程度
となっておりまして、さすがに1800と600だと特に25年超の方はレンジ変更する必要あるんじゃないのという雰囲気がプンプンと漂ってくるのですが、これはこれで変更すると「変更だー」と欧州の外人様が元気に活動しておられる(ただし7月末なので居ないのはおおかろう)時間帯に出てくるの巻(ただし展望レポートとぶつかっているのでそのドサクサに紛れ・・・・・ないかやっぱり)でございますのでさてどうするんでしょ、とは思います。
まあ何ですな、姑息に下限だけ下げて上限そのままという作戦は考えられますのでそうするのかなとは思いますが、あと1回は減額できる(500だから)と思って何もしないという風になるのかも知れませんなあってのは為替の反応を相当恐れている場合だと思う(債券はさすがにここのレンジを月末にいじられたからと言って反応するのは素人じゃろ)ので、その辺が見ものです。なお一番やっていはいけないのは「程度なので」とか言いながらレンジを下(量の少ない方)にブレイクすることで、上(量の多い方)にブレイクするのは金利上昇圧力の対応だから良いんですけど、「程度」とあってもこれをブレイクするというのは闇討ちにもほどがあるのでそれは止めてねと減額万歳しながらも申し上げるのでありました。
・・・・・・話変わって社債オペ
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba180719.htm
社債等買入 2,229 1,001 -0.149 -0.119 96.1
今日付けの売参(なので昨日の引け)を見ますと中期利付国債の残存1年から3年の辺りの引けが概ね残存2年くらいまでが▲0.135%近辺、残存3年の辺りで▲0.120%から▲0.115%辺りとなっていまして(平均値単利)、お値段前日と同じとかになっているので、一昨日の引けもまあそんなもんじゃろという状況。
という中での社債オペ平均▲0.119%の足切り▲0.149%というのは、4月5月の社債買入の時のように露骨に国債マイナス利回りとなっている訳ではありませんが、平均レベルでほぼ対象年限の中の長い方の国債の金利並みということですので、国債とのスプレッドが露骨にマイナスになっている訳ではありませんが、まあそうはゆうてもこれですとほぼ国債並みの金利で社債を日銀がホイホイとお買い上げしているという事になります。
毎度毎度しつこく申し上げていますが、社債買入(CP買入もそうですが)はリスクプレミアムが無駄についているものを減少させて、本来あるべき社債発行コストにすることによって企業の財務に無駄な負担が掛からないようにし、それによって企業活動の活発化を促したり、金融政策のトランスミッションメカニズムを円滑に作用させる、というものであって、「国債よりも低い金利で社債をホイホイと買い上げる」というのはその趣旨からしてさすがに如何なものかという話でして、何でこのオペの歴史的意義がもうなくなったという話(必要になったらまた再開すればいいだけの話じゃん)にならんのかが不思議でしょうがないのですが、おまらちゃんと市場見て政策やってるのかと小一時間問い詰めたい所です。
〇普段こういうのはネタにしないのだが色々と味わいの深い例なので日経経済教室なんぞをネタに
日本経済新聞朝刊本紙の「経済教室」って割と玉石混交だったりするのですが、今なお一部のマニアのみで語り草になっているのは伊藤ニャンコ先生の面白提案(当座預金残高目標達成を容易にして金融緩和効果を出すためには当座預金付利すればいいではないか、というそれは先生利上げになりますってネタ)がございましたけれども・・・・・・・・・・・
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO33102890Y8A710C1KE8000/
物価と企業行動(上) 価格転嫁しやすい環境カギ
渡辺努 東京大学教授
経済教室 コラム(経済・政治) 2018/7/19付日本経済新聞 朝刊
『ポイント
○価格据え置きでは果敢な商品開発期待薄
○消費税率の小幅引き上げ繰り返しも一案
○デジタル通貨導入なら銀行券減価も可能
異次元金融緩和の開始から5年が過ぎた。今も消費者物価上昇率はゼロ近傍で推移しており、デフレ脱却を果たせていない。だが5年間の緩和を通じ、デフレの仕組みについて見えてきたこともある。最も重要な教訓は、デフレの原因は需要サイドでなく供給サイドということだ。』(上記URL先より、以下の部分は会員のみとなります)
てな訳で、あまりにもネタになっていたので乗るしかないこのビックウェーブに!!ということで日経本紙を拝読した訳ですが、前半の方の分析はまあちゃんと見てませんけど、なんかこう微妙にキャッチーな言葉や話を入れて一般受けを狙っている感があってうーんこのという感じですがそこはまあスルー。
でもって最後の『○デジタル通貨導入なら銀行券減価も可能』という奴なんですが、まあ日経のネット版で「続きは有料会員のお方向け」となっているので趣旨だけ簡単にかいつまんで渡辺先生の主張を確認しますと、
・次の危機への備えに対してクルーグマンが提唱する調整インフレという方法がある・しかしもっと直接的な方法があり、それは現在の通貨の価値を将来の時点で強制減価させること・紙の通貨だと難しいが、デジタル通貨化して、デジタル通貨の付利を使えば次の危機の強力な備えになる
とまあそんな話をしていて、まあこの先生は物価統計の分析は素晴らしいのですが、政策提言をすると話がいきなり現実を超越したハチャメチャな話になってしまうという特性があって、いやまあ別にこの先生がどうでもいい方ならスルーするんですけど、「もともは日銀で長年経済分析やっていて物価統計には詳しい方で総務省の統計委員会などにも参加されている」という華麗な肩書がついているので、そんじょそこいらの野良評論家が何か言うのとは重みが違うちゅうことだし、あまり変な事言い出すと日銀のレピュテーションにも関わってくると思うので軽くいちゃもんをつける訳よ。
えーっとですな、そら通貨を減価したらそのものズバリで「貨幣価値の低下」ですから物価上昇することが出来るんですけれども、それって要するに貨幣改鋳で出目を出して、それを財政支出に充てるというお話になる訳でして、そういうのを秩序立って抑制的に為政者が未来永劫実施できるという担保がどこにもなく、むしろ歴史的には出目活用の財政支出が野放図になって財政インフレを招いて通貨秩序の混乱によって一般人民に災厄を及ぼし、ひいては為政者のためにもならんわ、ということがあるので、財政出している所と通貨発行している所を分離して、特に通貨発行しているところに関しては民主主義国家であれば民主主義政治の政治的な要求からの分離を制度上行って(本当に実質的な意味で分離されているかどうかは微妙だけど理念や建付けとしてはそうなっている)いる、というのがそもそもの中央銀行制度における通貨発行権の位置づけではないでしょうか、と思うわけですよ。
つまり、強制通貨減価制度なんて設けたところで、それが為政者の打ち出の小槌化しないためにどういう制度的な担保を作るのか(現実問題として無理だと思う)というデザインを考えなかったら何の意味もないどころか、泥棒野郎みたいなのが大喜びしてこういうのに乗っかってきて打ち出の小槌ヒャッハーだぜ小槌を振って利益誘導し放題だぜウヒョーとかなるだけの話なのであって、そうなったら普通に通貨制度が崩壊してそれこそ「日本国が勝手に価値を下げるような通貨ではなく大事な貯蓄や日常の取引は安全安心な人民元を使うのが賢い家計管理!!」みたいな話になるだけじゃろお前は何を言ってるんだという風に思うんですけど、どうもこう学者先生というのは「前提条件がある」というのをすっかり忘れた議論を平気でしてくる(学者先生というよりは経済学者特有の現象に思えるので、誰かが言ってましたが、馬鹿のオリンピックでもやっているのか経済学者って奴ですよね)のって何なんでしょと思うのです。
まあ何だ、お願いだから元日銀の肩書でこういう日経新聞というようなちゃんとした場で馬鹿言うの止めてくれませんかねと切に願うのですが。そもそも渡辺先生、この前は「物価目標0%で出口着手」って言ってて、それに対してアタクシ悪態をついた筈なのですが(しかもわずか1カ月前ですがな)、まあその時の話とこの話って整合性付けようと思えば付けられる(と思う)のですけれども、それにしてもキャッチーなことを言おうとするあまりに、何ぼ何でもジンバブエ理論まで持ち出してくるとは恐れ入りましたというお話でございます。
なお前回の悪態は
http://www.doramemon7743.sakura.ne.jp/doramemon1806.html#180620
のちょっと先でまとめています。
まあ先生におかれましては物価統計の問題点とか、物価統計をどう実態に近いものを表すように改善していくか、というようなお話を金融関係のみならず、一般ピープルに向かっても説明していくようなことで優秀さを発揮していただければ良いと思うんで、ぜひそっちの方で頑張って頂きたいと思うし、チャラチャラとメディアに登場して謎の政策論を語ってしかも迷走とかいうのは止めて頂きたいものでございますです、いやマジで。
2018/07/19
お題「リーマン予見できない云々はちょっと酷でしょ(の続編)/さあ超長期輪番/超乾物ネタですがFOMC会見からメモ程度に」
最初は以下の話をマクラにするつもりだったのに書いているうちに血圧が上がっちゃったのでよーしパパ小見出しつけるぞ!となりまして、のっけから生産性のない悪態(いつもそうではないかというツッコミはジャンピング却下^^)で恐縮ですが・・・・・・・・・
〇後講釈もあまりに恣意的だと有害になるという例ですなあ
昨日の朝は某ブルームバーグのリーマンショック云々ニュースに悪態をついた訳ですが、よくよく確認しますと昨日のメディアでは結構同じトーンの物が多くてもうトサカに来てしまうわけですよこの暑い中でトサカに来るとか勘弁島倉千代子なんですけどね。
・・・・・・・などと思いつつニュースヘッドライン見てたらこの話に相当するヘッドラインを見つけてもうぶち切れですよ。
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/nms/news/post_159008/
リーマン危機想定できず
7月18日(水)
『リーマンショックの危機を想定できていませんでした。』(上記URL先より、以下同様)
たぶんこれはテレビでの内容を文章に落としていて、まあテレビだから最初に結論を一言で持っていくという特性上こうなるのでしょうが、もうここでぶち切れですよ。
いやまあ昨日(というか一昨日)のメディアは大所でもこんな感じの話が多かったりして読めば読むほど頭が熱中症という感じになった訳ですが、モーサテって「経済の今をいち早く知る」とか何とかそういう事で、金融経済に興味のある方とかで見てる人が多いと思う(なおアタクシはつまらなくなったので最近ほぼ見ない)ので、こういう雑な歴史認識で報道されると、10年前から金融市場にどっぷりと漬かっていたようなクソジジイであれば「いやそのりくつはおかしい」とツッコミをしながら見れると思いますが、そうじゃない人の方が世の中的には多いんですから、天下の日経系列のモーニングサテライトという経済専門ニュース番組がこう言っている、となるとそのまま認識してしまう人が多くなるリスクがあるんで、こういうのはマジで勘弁して頂きたい。
#まあ番組みてない癖に悪態というのもなんですがそれだけの期待はしているんですな
『日銀はきのう2008年1月から6月の金融政策決定会合の議事録を公表し、6月の会合で当時の白川総裁が「大手金融機関が突然破綻するという意味での最悪期は去ったのだろう」と述べ、3ヵ月後の9月に起きた「リーマンショック」を予測できていなかったことが明らかになりました。』
いやさすがにこれは白川さんに酷な言い方にも程がある訳で、昨日も申し上げたように1997年の日本の金融危機状態の教訓として、「短期金融市場で突如デフォルトが発生すると市場の流動性が瞬時に干上がるので連鎖が起きるリスクが高い」という話で、だからこそ特に短期金融市場に絡んでいる金融機関に関しては、突然殺すのではなくて、穏便に市場から退出して頂いてから死んでいただく、というのが重要ですよというのを日銀は何度も国内外に発信していて、まあその話を米国当局も聞いているから大きな金融機関を突如コカすようなことをしないで事態を解決していくでしょう、という見通しだったと思うのよね。
しかるにポールソンの禿野郎が(以下は昨日も申し上げたので途中割愛)というやらかしをしまして、あの有様ですよマッタクモウ。
『ただ一部委員からは金融危機をもたらした「サブプライムローン問題が最悪期を脱したと言い切るだけの根拠は乏しい」と言った意見も上がっていました。当時は原油高によるインフレへの警戒も強く、会合では金融危機に備える具体的な議論には至っていませんでした。』(以上上記URL先より)
って言いますが、こういうのって後になると勝手に言える話ではあっても、危機の中においては当局の情報発信というのも中々難しいものがあって(分かりやすいのは戦前の昭和金融危機におけるトリガーに結果的になってしまった片岡直温蔵相発言とか、まあ蔵相発言無くても結局は危機になったと思うけど)、他国の状況で危機をあおりまくるような情報発信をして良いものかという話は当然ながらあるし、まあ当時は逆さ絵FRB議長が金融恐慌の研究で著名な方だっただけに、危機対策も考えているだろう的な安心感はあったと思うの。
#そういや危機じゃない時に賢島あたりで「リーマン級の危機」などと(爆発音)
でまあ当時のアタクシの駄文とかをご参考に(過去ログ見てちょ)して頂きますと、コケたあとに金融危機でよくあるパターンの「カウンターパーティーリスクへの認識が極端に上昇」というのが出てきて、金融環境が思いっきり引き締まった、具体的にジャパンの場合で言えばオープン市場の金利はGCレポレートが上昇したことによって上昇して、CPの金利とかももろに上昇するわアベイラビリティは下がるわというような事が起きやがった点については、打つ手がちと遅れたんじゃないのというような話であれば文句のつけようとしては(まあそちらも中々すぐに対応しにくいのは分かりますけど、あれは市場から悲鳴が上がっていたので把握できないことは無かったはず)あるとは思うので、本来話をすべきなのは次回公表分の方だと思うのね。
つまりですね、あのリーマンショック後にオープン市場の流動性が干上がって取引金利が上昇した影響ってのが(特に短期資金の部分で市場調達の多かった非金融機関にとっては)その後の資金調達を考える上での教訓になった(つまり保守的な資金繰りになった)とゆーことで、その結果融資チャネルを使った形での金融政策が、資金循環上元々効きにくいところに更に効きにくくなったんじゃないのという直観的なイメージはあるのですが、まあ実際に事業会社さんの皆様がどのようにその辺を捉えているのかは不勉強にしてよー存じませんのであくまでもそれはお話の世界ですが、そんなに外していないと思う。
まあしかし何ですな、リーマンを突如コカしたとかいうのは米国金融当局の大チョンボな訳で、そんなもんが予想できなかったからケシカランという報道を後付けで行うのは如何なものかと思う訳で、しかも他のアジビラみたいな新聞が書いているならともかく、天下のモーサテがこれではちょっとアレというのと、今さら言いがかりにも程がある方向から麿が叩かれてしまうのはあまりにもカワイソスなので、ついつい悪態を申し上げた所存であります。
でもって米国当局といえば大爆発炎上した後にTARPとかQE1とかぶっこんできた速さは米国当局の動き良かったとは思うのですが、大爆発炎上で欧州と日本は盛大にもらい火となって盛大に焼けてしまいましたので、「リーマンショック後の対処が素晴らしい米国当局」とか言われましても、自作自演じゃねえか(しかも周囲を巻き込んで盛大に炎上したので周囲は大迷惑)という風にしか思えんわ、とは常々思っていたりするところではございます。
〇さあ今日は皆さんお楽しみの超長期輪番ですよ!!
でもって例によってロイターさん(IEで見るとアドがやたら多いせいで重くてかなわん)
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1UE2DY
2018年7月18日 / 15:20 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は下落、長期金利0.040%に小幅上昇
『 <15:09> 国債先物は下落、長期金利0.040%に小幅上昇
長期国債先物は下落して引けた。円安の進行、株高が影響して、朝方から弱含みの展開となった。もっとも、下値では好需給を支えに買い戻す動きもあり、狭い値幅で推移した。出来高も厚みを欠いた。現物債市場では、先物安に連動する格好で金利に上昇圧力がかかった。流動性供給(対象:残存5年超15.5年以下)入札は強めの結果になった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券除外の影響は限られた。長期国債先物中心限月9月限の大引けは、前営業日比3銭安の150円87銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比0.5bp上昇の0.040%。』(上記URL先より)
しかしこの10年カレントって基本的に0.040%の出来値ばっかり見えるのですが、何故か毎度引けが0.035%になっているので毎日金利が小幅上昇しているようにヘッドラインではなってしまうのですが、実際問題として10年まるでウゴカンチ会長になっておりまして今に始まった話ではないですが地蔵相場恐るべし(先物の値幅も昨日は4銭一昨日は5銭でしたっけ)ではございます。
でもってそんな中ですが本日は超長期と長期の輪番が予定されている日でして、長期輪番は本来今のレベルどう見ても買い過ぎです本当にありがとうございましたではあるのですが、そうは申しましてもカレントの出来値が4bpとかになっている中で減額するのは大義名分に乏しいのでこちらは同額、問題は超長期輪番でして、なんだかんだ言いながら毎日匍匐前進しつつ偶に入札イベントとかあって入札がお強くなると突撃することもあるという感じでじりじりとフラットニングをする中、さてどうするんでしょという感じですな。
例によって例のごとくで、アタクシ今日の超長期輪番に関しての市場コンセンサスを不勉強にして存じ上げませんので、同額なのか減額なのかとかいう予想ができない(たぶんコンセンサス通りにやってくると思う)のですが、今の地合いで超長期前半後半ともに100億づつ減額しても市場に跳ねないどころか下手したら輪番堅調になって何だまだニーズがあるじゃんヒャッハーとなりそうな気がする(個人の感想です)ので、今週は言っても地合いが堅調と来ていて、よー知らんですけど多分今は超長期輪番減額バッチコーイ!みたいな感じだと思うので絶好の減らしどころ。
というような話しかすることの無い悲しい円債市場ではございますな(涙)。
〇唐突ですがハイパー虫干し乾物ネタの6月FOMC会見からちょっとメモを
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180613.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference June 13, 2018
・「走りながら考える」というスタンスが明確というお話
質疑の中でいくつかあったのですが、ここから物価が上がっていくという見通しの中で結局どないすんねんという質問に対する答えがパウエルFRBのスタンスを示しているなあ、というのがございましたので、それをネタにしておかないとと思っていたのですが乾物になってしまっていたので唐突ですが今更。
『DON LEE. Just a follow-up on-Don Lee from the L.A. Times. On both inflation
and unemployment, the new projections-for unemployment lower than before
and inflation higher. And how much is the Fed willing to accept that’s
an overshoot for both of those before it affects policy? 』
この前の質問がだいぶ前にネタにしましたパウエル議長の「(失業率がこんなに下がっているのに賃金が上がらんのが)ちょっとしたパズルだ」という発言の出た質疑でして、こちらはそのフォロー質問。
『CHAIRMAN POWELL. You mentioned that unemployment moved down and inflation
moved up by truly small amounts. If you look at the Summary of Economic
Projections, things are moving by just a tick or even a semitick between
now and March. And you asked, you know-I mean, I think we take a longer-run
view that we’re shooting for-we’re aiming for-2 percent inflation-inflation
around 2 percent. We know that it’ll be above or below. We’re not going
to-we didn’t overreact, I think, to inflation being under 2 percent. We
won’t overreact to it being over 2 percent. And I think we’ll always
be using our tools to move inflation in the direction of the target, if
it-if it leaves-if it moves away from the target persistently, as I mentioned.
』
前振りがクソ長い(会見慣れの問題はあると思うのと、一部だけ切り取られるのを警戒しているから一々そもそも論から始まるんだと思う)です。
『In terms of unemployment, you know, you have to acknowledge that we are-no
one really knows with certainty what the level of the natural rate of unemployment
is, the rate that is sustainable over a long period of time.』
そもそもNAIRUの位置は事前に分からんぞな、ということで・・・・・・・・・
『And we know that probably that rate has declined as the U.S. population
has become more educated, as it has become older. Older and more educated
people have lower unemployment rates. We don’t know this with precision.
So we have to be learning as we go.』
この「we have to be learning as we go」ってのがパウエルFRBの特徴になるんだと思います。もともとイエレン姐さんとか逆さ絵おじさんとかはエコノミストというか学者系というかなので、この辺りは何らかの仮説をベースにああでもないこうでもないという説明をするから、まあその長い期間にわたる説明の整合性問題はさておきますと、場面場面では明晰な説明をするのですが、パウエルさんの場合は「learning
as we go」で行く、という説明なので、ちょっと説明が訳分らんですがなみたいな場面がホイホイと出てくるんだろうなあ、と思いました。
『We’ve got to be looking at data and informed by what’s coming in. And
as I mentioned, I think at the last press conference, estimates by the-by
members of the Committee have moved down by a full percentage point since
maybe 2012 as we’ve learned-as unemployment has dropped and inflation
hasn’t really reacted. So I can’t give you a precise number, but I just-you
know, we will be very much informed by incoming data. And this uncertainty
is why-the fact that we live in that uncertainty is why we’ve been gradually
raising rates.』
ということで、データ見ながら判断ということですが、ただこの部分で何とかストとかも結構騙されている(というか勘違いしている)感があるのは、だからと言ってプリエンティブに行動しないという訳ではないこと。
『We’re not waiting for inflation to show up. We’re going ahead and moving
gradually and rying to navigate between two risks, really. One would be
moving too quickly-inflation never gets back to target if we do that. And
the other is moving too slowly, and then we have-we have too much inflation
or financial instability, and we have to raise quickly. And that can also
have bad outcomes.』
これも毎度出てきますが、この部分を強調しているのですから、結構市場の方でも言われているような「走りながら考えるんだったら物価が上がるのを見極めるために利上げを中立金利に来る途中で止めるのではないか」というのはちと違うんじゃないかと思う(中立金利に来たらスパッと止めるとは思うし、近くなったら止めるのもありかもしれないけど、今はまだ中立金利らしきところから1%下なのでちょっと・・・・・・・・・)。
という単なるメモでしたしかも干物オブ干物。
2018/07/18
お題「10年前の議事録ネタと思ったらアレなのを見つけた/パウエル議会証言はまあこんなもんではないかと」
ほほう。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180717-00000048-jij-pol
懇親会中も「万全対応」=写真公開には注意―安倍首相
7/17(火) 11:29配信
盛大な宴会で飲みながらでも出せる万全の指示ですかそうですか・・・・・・・・・・
〇10年前の議事録キタコレと思ったらアレな記事に頭を抱えつつ思い出し世間話の巻
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2008/gjrk.htm/
金融政策決定会合議事録等(2008年1月〜6月開催分)
2018年7月17日
日本銀行
本日、以下の資料を公表しました。
金融政策決定会合議事録等(2008年1月〜6月開催分)
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2008/index.htm
ということでさあ来ましたよーというお話ですが、何せこちらの議事録は「画像データ」でPDFにしているというお洒落な物件になっておりますので、ネタにしようとするとタイプ打ちという難行が待っていまして、これがかなり死ねるので(もしかしたらスキャナーで自動認識させてからどうのこうのという方法があるのかも知れないが、このためだけに環境整えるのは不経済にも程があるので老化防止のために人力モード継続の所存)、次回の2008年後半の時にでもせっせと夜なべをしてタイプ打ちしようかと。
なお後から見ると何か大変だったんだなーと思いだすのはアタクシの過去の駄文のこの辺り。http://www.doramemon7743.sakura.ne.jp/market-leamanbunkrupt.html(URLの名前のリーマンのスペル間違っているというツッコミはしないように)なんかもう毎日ヒーコラする中で書いていましたなあと思うし、もう10年かよと思うと老人益々老いやすく学全然成らぬという風情ではあります。
・・・・・・などという債券市場お達者クラブな話はさておき、昨日はこのニュースヘッドラインに血圧をあげた方も多いかと思いますし、こういう馬鹿ヘッドラインは殲滅対象になるのでネタにでも。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-07-16/PBSGJ46TTDS201
リーマンショック前夜、白川日銀の情勢判断に甘さ−08年上期議事録
日高正裕、竹生悠子
2018年7月17日 8:50 JST
『リーマン・ショック前夜に経済の不透明感が強まる中、政治混乱の末に就任した日本銀行の白川方明総裁は、日本への影響を限定的と見ていた。情勢判断の甘さが初動の遅れにつながり、日銀は長く続く円高との戦いに巻き込まれることになる。日銀が17日、2008年1月から6月に開いた金融政策決定会合の議事録を公表した。』(上記URL先より、以下同様)
情勢判断に甘さ?????
『野党が参院の過半数を占めるねじれ現象の中、武藤敏郎副総裁の昇格が否決され、08年3月に任期満了した福井俊彦総裁の後任人事は難航。結局、先に承認された白川副総裁が昇格する形で決着した。米国で住宅バブルが破裂し、証券化されたサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅ローン)の不良債権化を受けて大手証券ベアー・スターンズが破たんするなど、国際金融市場は騒然としていた。』
騒然としていた????
『白川総裁は4月30日の初会合で、情勢を「世界中を覆っている不確実性という霧」に例え、最大の下振れリスクを米国経済や国際金融市場の動揺と指摘。米国経済について「住宅価格については下げ止まりの兆候が全く見られていない。当面は、実体経済と金融の負のフィードバック(相互)作用に注意しながら見ていく必要がある」と警戒感を示した。』(以上上記URL先より)
ということで、まるで麿がトンチキだったような記事になっていますが、ここでECBの金融政策を確認してみましょう。
http://www.ecb.europa.eu/stats/policy_and_exchange_rates/key_ecb_interest_rates/html/index.en.html
Key ECB interest rates
2008の9 Jul.ってところをみますとどう見ても利上げしているとしか思えませんが、後出しじゃんけんで言うにしたって「リーマンショック前夜、白川日銀の情勢判断に甘さ」はさすがにねえだろとしか申し上げようがない。
だいたいですな、1997年からの日本の金融危機とその時に起きた問題を考えれば、決済システムに深く関連している金融機関を突然コカすと大変なことになるってのは教訓になっていた筈(日銀もそういう話は海外に発信していた筈)でして、ポールソンのウスラハゲが突然大きめの金融機関を突然死させるとか普通予想できんわという話であって、それを言い出したら逆さ絵バーナンキのウスラハゲも恐慌の研究が聞いてあきれるわ(まあリーマン突如コカしたのはバーナンキは関与できてなかったとは思うけど)というお話で、この時点で「情勢判断の甘さ」とか言うのはさすがに言う方の神経を疑うレベルでして、この記事書いた皆様におかれましては肥溜めに頭から突っ込んで10年間くらい反省をしていただきたいし、控えめに言って可及的速やかに天寿を全うして頂きたく存じます。
いやマジであのポールソンの判断が余りといえば余りだったんですけどすっかり忘却の彼方に行くもんなんですかねえ・・・・・・・・
〇パウエル議長の議会証言ですが公開部分はそんなに長くないのでざっと読んでしまえホトトギス
https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/powell20180717a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/files/powell20180717a.pdf
July 17, 2018
Semiannual Monetary Policy Report to the Congress
Chairman Jerome H. Powell
Before the Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs, U.S. Senate, Washington, D.C.
ということで議会証言来ましたというところですが・・・・・・・・
まずは『Current Economic Situation and Outlook』から。
『Since I last testified here in February, the job market has continued
to strengthen and inflation has moved up. In the most recent data, inflation
was a little above 2 percent, the level that the Federal Open Market Committee,
or FOMC, thinks will best achieve our price stability and employment objectives
over the longer run. The latest figure was boosted by a significant increase
in gasoline and other energy prices.』
雇用は順調で物価は2%近いよ、とは言っても足元はガソリンとかエネルギーの上昇で下駄履いてますと。
『An average of 215,000 net new jobs were created each month in the first
half of this year. That number is somewhat higher than the monthly average
for 2017.』
という最初の前振りのあと、労働市場の解説になる。
『It is also a good deal higher than the average number of people who enter
the work force each month on net. The unemployment rate edged down 0.1
percentage point over the first half of the year to 4.0 percent in June,
near the lowest level of the past two decades.』
『In addition, the share of the population that either has a job or has
looked for one in the past month--the labor force participation rate--has
not changed much since late 2013. This development is another sign of labor
market strength. Part of what has kept the participation rate stable is
that more working-age people have started looking for a job, which has
helped make up for the large number of baby boomers who are retiring and
leaving the labor force.』
一部人口動態の影響はあるものの、それにしても雇用に関する各種指標は良いという解説。
『Another piece of good news is that the robust conditions in the labor
market are being felt by many different groups.』
更に労働市場の改善に関する話。
『For example, the unemployment rates for African Americans and Hispanics
have fallen sharply over the past few years and are now near their lowest
levels since the Bureau of Labor Statistics began reporting data for these
groups in 1972. Groups with higher unemployment rates have tended to benefit
the most as the job market has strengthened. But jobless rates for these
groups are still higher than those for whites. And while three-fourths
of whites responded in a recent Federal Reserve survey that they were doing
at least okay financially in 2017, only two-thirds of African Americans
and Hispanics responded that way.』
different groupsというのは人種の話ですな。非白人の雇用も改善とな。
『Incoming data show that, alongside the strong job market, the U.S. economy
has grown at a solid pace so far this year.』
経済に関しても雇用と同様に先行きも力強い成長が見込めますとな。
『The value of goods and services produced in the economy--or gross domestic
product--rose at a moderate annual rate of 2 percent in the first quarter
after adjusting for inflation. However, the latest data suggest that economic
growth in the second quarter was considerably stronger than in the first.
The solid pace of growth so far this year is based on several factors.
Robust job gains, rising after-tax incomes, and optimism among households
have lifted consumer spending in recent months. Investment by businesses
has continued to grow at a healthy rate. Good economic performance in other
countries has supported U.S. exports and manufacturing. And while housing
construction has not increased this year, it is up noticeably from where
it stood a few years ago.』
年率2%超の成長を続けるとみられますし、足元はさらに強いということで、景気ドライバーの話に関しては昨日ネタにしたFOMC議事要旨などでもあったような話っすな。
『I will turn now to inflation.』
ここからは物価。
『After several years in which inflation ran below our 2 percent objective, the recent data are encouraging.』
最近のデータはencouraging来ました。
『The price index for personal consumption expenditures, which is an overall
measure of prices paid by consumers, increased 2.3 percent over the 12
months ending in May. That number is up from 1.5 percent a year ago. Overall
inflation increased partly because of higher oil prices, which caused a
sharp rise in gasoline and other energy prices paid by consumers. Because
energy prices move up and down a great deal, we also look at core inflation.
Core inflation excludes energy and food prices and generally is a better
indicator of future overall inflation. Core inflation was 2.0 percent for
the 12 months ending in May, compared with 1.5 percent a year ago. We will
continue to keep a close eye on inflation with the goal of keeping it near
2 percent.』
ヘッドラインの説明をしたあとコアの話をして、こちらに関しては「今後の動向を見守る」とそこまでの進軍ラッパモードではないようで。
『Looking ahead, my colleagues on the FOMC and I expect that, with appropriate
monetary policy, the job market will remain strong and inflation will stay
near 2 percent over the next several years. This judgment reflects several
factors.』
その適切な金融政策とは何ぞやという感じですが。
『First, interest rates, and financial conditions more broadly, remain
favorable to growth. Second, our financial system is much stronger than
before the crisis and is in a good position to meet the credit needs of
households and businesses. Third, federal tax and spending policies likely
will continue to support the expansion. And, fourth, the outlook for economic
growth abroad remains solid despite greater uncertainties in several parts
of the world.』
緩和的な金融環境、金融システムの健全性、減税と財政の効果、海外経済の堅調さが経済をサポート。
『What I have just described is what we see as the most likely path for
the economy. Of course, the economic outcomes we experience often turn
out to be a good deal stronger or weaker than our best forecast. For example,
it is difficult to predict the ultimate outcome of current discussions
over trade policy as well as the size and timing of the economic effects
of the recent changes in fiscal policy. Overall, we see the risk of the
economy unexpectedly weakening as roughly balanced with the possibility
of the economy growing faster than we currently anticipate.』
最後に貿易戦争の不確実性について言及するものの、まあ全体は威勢がよいですな。
後半は『Monetary Policy』
『Over the first half of 2018 the FOMC has continued to gradually reduce
monetary policy accommodation. In other words, we have continued to dial
back the extra boost that was needed to help the economy recover from the
financial crisis and recession. Specifically, we raised the target range
for the federal funds rate by 1/4 percentage point at both our March and
June meetings, bringing the target to its current range of 1-3/4 to 2 percent.
In addition, last October we started gradually reducing the Federal Reserve's
holdings of Treasury and mortgage-backed securities. That process has been
running smoothly. Our policies reflect the strong performance of the economy
and are intended to help make sure that this trend continues. The payment
of interest on balances held by banks in their accounts at the Federal
Reserve has played a key role in carrying out these policies, as the current
Monetary Policy Report explains. Payment of interest on these balances
is our principal tool for keeping the federal funds rate in the FOMC's
target range. This tool has made it possible for us to gradually return
interest rates to a more normal level without disrupting financial markets
and the economy.』
最初のパラグラフは今やっている話の説明なのでまあスルー。
『As I mentioned, after many years of running below our longer-run objective
of 2 percent, inflation has recently moved close to that level. Our challenge
will be to keep it there. Many factors affect inflation--some temporary
and others longer lasting. Inflation will at times be above 2 percent and
at other times below.』
Our challenge will be to keep it thereというのはほほうという感じ。
『We say that the 2 percent objective is "symmetric" because
the FOMC would be concerned if inflation were running persistently above
or below our objective.』
2%はシンメトリックというのは一種マジックワードですな。
『The unemployment rate is low and expected to fall further. Americans
who want jobs have a good chance of finding them. Moreover, wages are growing
a little faster than they did a few years ago. That said, they still are
not rising as fast as in the years before the crisis. One explanation could
be that productivity growth has been low in recent years. On a brighter
note, moderate wage growth also tells us that that the job market is not
causing high inflation.』
賃金の上げが弱い点も「インフレが加速しない」と前向きにとらえるとな。
『With a strong job market, inflation close to our objective, and the risks
to the outlook roughly balanced, the FOMC believes that--for now--the best
way forward is to keep gradually raising the federal funds rate. We are
aware that, on the one hand, raising interest rates too slowly may lead
to high inflation or financial market excesses. On the other hand, if we
raise rates too rapidly, the economy could weaken and inflation could run
persistently below our objective. The Committee will continue to weigh
a wide range of relevant information when deciding what monetary policy
will be appropriate. As always, our actions will depend on the economic
outlook, which may change as we receive new data.』
金利の引き上げは今後も必要ですが、早すぎても遅すぎてもいけないし、物価だけではなくて色々な指標をみていくし、経済の見通しは今後のデータ見ながら修正することもあるから常にデータディペンデントですよと。
『For guideposts on appropriate policy, the FOMC routinely looks at monetary
policy rules that recommend a level for the federal funds rate based on
the current rates of inflation and unemployment. The July Monetary Policy
Report gives an update on monetary policy rules and their role in our policy
discussions. I continue to find these rules helpful, although using them
requires careful judgment.』
ということでこれはMonetary Policy Reportを見ろという事か・・・・・・・・・・
てな訳で、全体的に特に新しい話をしたわけでもなく、別に先行きに慎重な訳でもないですな、やや自信ニキと思うけど利上げ前のめり感も特に出さないですし、まー無難にかつ威勢よくまとめた感じかな。
なお市場ちゃんの反応も
https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPL4N1UD5AM?il=0
2018年7月18日 / 06:33 /
UPDATE 1-米国株式市場=ダウ4日続伸、FRB議長の議会証言や企業決算を材料視
ということのようで。
2018/07/17
お題「今週の一番のネタは19日ですかね(笑)/虫干しネタで6月FOMC議事要旨」
まずこの話は日銀の執行部の皆様にご質問した方がよろしいかと存じます。
https://jp.reuters.com/article/fsa-local-banks-idJPKBN1K3105
2018年7月13日 / 17:29 /
地銀の4分の1超、金利50BP上昇でコア業純上回る含み損=金融庁
含み損はあくまでも含み損であって、その時点で受け取り金利対比の期間収益がプラスかマイナスか、過去稼いでいた金利収入はどうなっているのか、というのを無視して証券会社のディーリングポジションみたいな言い方、はさすがにしていないと思うのですが(メディアがキャッチーなところだけを切り取っているだけと信じたい)。
〇順当に超長期輪番は同額でしたがさて・・・・・・・・・
金曜の輪番オファー。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180713.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,100 2018年7月17日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,900 2018年7月17日
国債買入(残存期間25年超) 700 2018年7月17日
まあ順当は順当でしたが超長期の金利低下に対しての対処は特になしということで輪番同額オファーだった訳ですが、相場ちゃんの方は・・・・・・・・・・
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1U92NW
2018年7月13日 / 15:19
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が小幅安で引け、長期金利は0.040%に上昇
『<15:10> 国債先物が小幅安で引け、長期金利は0.040%に上昇
国債先物中心限月9月限は前日比2銭安の150円90銭と小幅安で引けた。朝方は日銀の国債買い入れで需給が引き締まるとの思惑から買いが先行した。一方で、円安・株高の進行で高値警戒感が意識され、午後にかけて短期筋の売りが出て弱含んだ。3連休を控えて積極的にポジションを傾ける市場参加者はみられず、小幅な値動きに終始した。現物市場は持ち高調整主体の動きで閑散。10年最長期国債利回り(長期金利)は同0.5bp高い0.040%に小幅上昇。』(上記URL先より)
ってな訳でしたが、例によって例のごとく売買参考統計値見に行きますと新発351回の平均値単利が0.035%(前日比変わらず)って先週の木曜もいやなんでもないですけれども、まあ何はともあれ引け変わらず(売参ベースな)になっていて、同じく平均値単利で20年165回は0.485%の変わらず、30年59回は0.680%の変わらず、40年11回は0.800%のこれまた変わらずですかそうですか、という引けにされていますな。
まあアレですわ。金曜は前場の時点では毎度のウゴカンチ会長で前場例によって日中3銭値幅とかやっておりまして、この調子なら1週間の値幅が150円90銭台で全部収まるとかいう珍記録を作るんじゃないかとワクワクしていたのですが(なおワクワクしているけれども市場を見る目つきは死んだ魚のような状態ですが何か?)、惜しくも(?)引けにかけて150円90銭を割り込んでしまいまして、「1週間の値幅が堂々の10銭未満」という貫禄の大記録(かどうか知らんし過去どうだったかは調べる気も起きなかったので調べてないので誰か好きな人調べてちょ)となるかと悲しみを籠めながら相場ちゃんをチラ見していた(凝視していると厭世的になるので凝視しないのが重要)のですけどね。
・・・・・・・という相場がウゴカンチ会長という与太話もさることながら、今週は19日木曜に超長期の輪番がございまして、今月5回超長期輪番ある中で、入札の翌日にあたっているのが3回、月初という何かのトラウマに触れる時期設定になっているのが1回と来ていまして、超長期輪番の減額が一番やりやすいのが19日となっております。でもってどこからどう見ても相場のネタが全然ない(米債が3.0%か2.6%のどちらかをぶち抜きに行く以外に動くネタってあるのかよと小一時間)今日この頃になっておりますので、超長期輪番超長期輪番と毎日呪文でも唱えて木曜日を待つというスタイルになってくるのではないでしょうか(他にネタないもん)。
つーかですね、政策の持続性という意味では輪番減らした方が良いし、イールドカーブが無駄に寝て誰得な訳ですし(除く片岡提案芸人)、超長期をポートに抱えておくとちゃんとした出口の時に色々と面倒なことを引き起こすことになりますから持たないに越したことは無いんだし、ついでにドサクサに紛れて平均買入年限の縛りも外し済みなのですから、超長期輪番なんぞはホイホイと減らしておくに限るとは思うのですよね。しかも海外中銀の出口ネタが下火になっている今がチャンス!と思うのですがねえ。
〇PD資格は停止するけど入札資格は停止しないとな
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1U93KE
2018年7月13日 / 17:59 /
〔マーケットアイ〕金利:三菱UFJMSのPD特別資格を停止、価格競争入札は応札可能
ということで、財務省からも出ておりましたが。
https://www.mof.go.jp/jgbs/topics/press_release/20180713.html
平成30年7月13日
財務省
三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社に対する国債市場特別参加者の特別資格の停止について
『今般、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社による長期国債先物に係る相場操縦の事実が認められたことを踏まえ、同社に付与された国債市場特別参加者の特別資格を、平成30年7月18日から平成30年8月17日までの間、全部停止する。
○ 国債市場特別参加者の特別資格
・第T非価格競争入札、第U非価格競争入札への参加
・流動性供給入札への参加
・買入入札への参加
・国債市場特別参加者会合への参加 等』
1カ月停止でPDの特権に関する部分だけ停止で入札参加はアリという扱いですかそうですかとなりますと、他人様のお話なので知らんですけど、応札義務だの落札義務だのの方はどうなるのですかね、まあ入札できないみたいな強烈な事にはならんかったですのう。
〇ひたすらいまさらジローなネタで恐縮ですが6月FOMC議事要旨
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20180613.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20180613.pdf
いまさらジローですいませんすいません。
『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の前半をすっ飛ばしておりましたのでそこの確認でございまする。
『In conjunction with this FOMC meeting, members of the Board of Governors
and Federal Reserve Bank presidents submitted their projections of the
most likely outcomes for real GDP growth, the unemployment rate, and inflation
for each year from 2018 through 2020 and over the longer run, based on
their individual assessments of the appropriate path for the federal funds
rate. The longer-run projections represented each participant's assessment
of the rate to which each variable would be expected to converge, over
time, under appropriate monetary policy and in the absence of further shocks
to the economy.』
『These projections and policy assessments are described in the Summary
of Economic Projections, which is an addendum to these minutes.』
最初のパラグラフは「皆さんの検討を反映してSEPを作ったよ〜」というお話。
『In their discussion of the economic situation and the outlook, meeting
participants agreed that information received since the FOMC met in May
indicated that the labor market had continued to strengthen and that economic
activity had been rising at a solid rate. Job gains had been strong, on
average, in recent months, and the unemployment rate had declined. Recent
data suggested that growth of household spending had picked up, while business
fixed investment had continued to grow strongly. On a 12-month basis, overall
inflation and core inflation, which excludes changes in food and energy
prices, had both moved close to 2 percent. Indicators of longer-term inflation
expectations were little changed, on balance.』
meeting participants agreed that〜以下の部分が声明文第一パラグラフのお話。
『Participants viewed recent readings on spending, employment, and inflation
as suggesting little change, on balance, in their assessments of the economic
outlook.』
最近のデータは見通しを変えるものではない。
『Incoming data suggested that GDP growth strengthened in the second quarter
of this year, as growth of consumer spending picked up after slowing earlier
in the year. Participants noted a number of favorable economic factors
that were supporting above-trend GDP growth; these included a strong labor
market, stimulative federal tax and spending policies, accommodative financial
conditions, and continued high levels of household and business confidence.』
景気の押し上げ(潜在成長よりも強いGDP状態の)要員は労働市場の強さ、連邦政府の減税と政府支出拡大の政策、金融環境の緩和的な状態、家計と企業の高いコンフィデンスです。
『They also generally expected that further gradual increases in the target
range for the federal funds rate would be consistent with sustained expansion
of economic activity, strong labor market conditions, and inflation near
the Committee's symmetric 2 percent objective over the medium term. Participants
generally viewed the risks to the economic outlook as roughly balanced.』
よって利上げしても問題はなく、経済のリスクは上下にバランスしているそうな。
『Participants reported that business fixed investment had continued to
expand at a strong pace in recent months, supported in part by substantial
investment growth in the energy sector.』
ここから第4パラグラフになるのですが、企業の設備投資の所でエネルギーセクターによる投資がデカくて、それがけん引役の一部になっているというのがほほーと思いました(そこまで細々と米国経済指標を確認していないのがバレバレとか言われそうですが勘弁してつかあさい)ですよ。
『Higher oil prices were expected to continue to support investment in
that sector, and District contacts in the industry were generally upbeat,
though supply constraints for labor and infrastructure were reportedly
limiting expansion plans.』
原油先高期待はエネセクターの投資を後押ししますし、最近は労働力やインフラの制約条件が設備投資を抑制せざるを得ないというような状態になっているとの声も地区連銀のヒアリングでは上がってきているとか中々景気の良い話。
『By contrast, District reports regarding the construction sector were
mixed, although here, too, some contacts reported that supply constraints
were acting as a drag on activity. Conditions in both the manufacturing
and service sectors in several Districts were reportedly strong and were
seen as contributing to solid investment gains.』
建設業に関しても需要はあるけど労働力の制約とかの供給制約が効いている面があるそうな。
『However, many District contacts expressed concern about the possible
adverse effects of tariffs and other proposed trade restrictions, both
domestically and abroad, on future investment activity; contacts in some
Districts indicated that plans for capital spending had been scaled back
or postponed as a result of uncertainty over trade policy. Contacts in
the steel and aluminum industries expected higher prices as a result of
the tariffs on these products but had not planned any new investments to
increase capacity. Conditions in the agricultural sector reportedly improved
somewhat, but contacts were concerned about the effect of potentially higher
tariffs on their exports.』
貿易戦争の影響は企業の先行き不透明感を高めているそうで、アルミ産業とか直撃弾食らっているし、一方で農業はウマーとかあるようですな。
『Participants agreed that labor market conditions strengthened further over the intermeeting period.』
5パラ目からは労働市場。
『Nonfarm payroll employment posted strong gains in recent months, averaging
more than 200,000 per month this year. The unemployment rate fell to 3.8
percent in May, below the estimate of each participant who submitted a
longer-run projection.』
これはこれとしまして・・・・・・・・
『Participants pointed to other indicators such as a very high rate of
job openings and an elevated quits rate as additional signs that labor
market conditions were strong. With economic growth anticipated to remain
above trend, participants generally expected the unemployment rate to remain
below, or decline further below, their estimates of its longer-run normal
rate.』
NFPと失業率以外の中身も宜しいのでこれからも改善見込み。
『Several participants, however, suggested that there may be less tightness
in the labor market than implied by the unemployment rate alone, because
there was further scope for a strong labor market to continue to draw individuals
into the workforce.』
複数名(Several)の参加者は失業率だけで見るよりは労働市場がタイト化していない可能性を指摘してます。
『Contacts in several Districts reported difficulties finding qualified
workers, and, in some cases, firms were coping with labor shortages by
increasing salaries and benefits in order to attract or retain workers.
Other business contacts facing labor shortages were responding by increasing
training for less-qualified workers or by investing in automation.』
つーことで6パラ目は労働スキルワーカーを求める企業とのミスマッチ問題。ミスマッチあるから機械投資をしている向きもある、ってどこかで聞いた話ですなあ。
『On balance, for the economy overall, recent data on average hourly earnings
indicated that wage increases remained moderate. A number of participants
noted that, with the unemployment rate expected to remain below estimates
of its longer-run normal rate, they anticipated wage inflation to pick
up further.』
お賃金の上昇が依然モデレートだけどそのうち上がるでしょうとの見込み。
『Participants noted that the 12-month changes in both overall and core
PCE prices had recently moved close to 2 percent.』
7パラ目が物価。
『The recent large increases in consumer energy prices had pushed up total
PCE price inflation relative to the core measure, and this divergence was
expected to continue in the near term, resulting in a temporary increase
in overall inflation above the Committee's 2 percent longer-run objective.
In general, participants viewed recent price developments as consistent
with their expectation that inflation was on a trajectory to achieve the
Committee's symmetric 2 percent objective on a sustained basis, although
a number of participants noted that it was premature to conclude that the
Committee had achieved that objective.』
2%に向けて確実に上昇しているけれども、「a number of participants noted
that it was premature to conclude that the Committee had achieved that
objective」と大勝利宣言するのは時期尚早との話で、これはFOMCでの会見でも強調されていましたな。
『The generally favorable outlook for inflation was buttressed by reports
from business contacts in several Districts suggesting some firming of
inflationary pressures; for example, many business contacts indicated that
they were experiencing rising input costs, and, in some cases, firms appeared
to be passing these cost increases through to consumer prices.』
物価上昇圧力に関するアネクドータルな報告も上がっています。
『Although core inflation and the 12-month trimmed mean PCE inflation rate
calculated by the Federal Reserve Bank of Dallas remained a little below
2 percent, many participants anticipated that high levels of resource utilization
and stable inflation expectations would keep overall inflation near 2 percent
over the medium term.』
現状ではまだコア指数や刈込平均が2%行ってないけどここから行くでしょというのが大勢見通し。
『In light of inflation having run below the Committee's 2 percent objective
for the past several years, a few participants cautioned that measures
of longer-run inflation expectations derived from financial market data
remained somewhat below levels consistent with the Committee's 2 percent
objective. Accordingly, in their view, investors appeared to judge the
expected path of inflation as running a bit below 2 percent over the medium
run.』
『Some participants raised the concern that a prolonged period in which
the economy operated beyond potential could give rise to heightened inflationary
pressures or to financial imbalances that could lead eventually to a significant
economic downturn.』
一方で、これまで2%割れが長かったのでインフレ期待が下がっている可能性があるのでは、という指摘をする向き(インフレ上振れ容認派ですな)と、潜在成長率よりも高い状況を続けて物価の上ぶれや金融不均衡の発生を懸念する向きも。
『Participants commented on a number of risks and uncertainties associated
with their outlook for economic activity, the labor market, and inflation
over the medium term.』
次のパラグラフは先行きリスク要因。
『Most participants noted that uncertainty and risks associated with trade
policy had intensified and were concerned that such uncertainty and risks
eventually could have negative effects on business sentiment and investment
spending.』
貿易戦争の影響をその影響を気にした企業センチメントがリスクと順当な指摘。
『Participants generally continued to see recent fiscal policy changes
as supportive of economic growth over the next few years, and a few indicated
that fiscal policy posed an upside risk.』
財政は上振れリスク。
『A few participants raised the concern that fiscal policy is not currently on a sustainable path.』
財政政策の持続性が無い点を懸念して指摘する人が複数とはイイハナシダナー。
『Many participants saw potential downside risks to economic growth and
inflation associated with political and economic developments in Europe
and some EMEs.』
欧州やEMの影響を懸念する方は多いようで。
『Meeting participants also discussed the term structure of interest rates
and what a flattening of the yield curve might signal about economic activity
going forward.』
金融政策の話の前の最後の部分は何とイールドカーブネタ。
『Participants pointed to a number of factors, other than the gradual rise
of the federal funds rate, that could contribute to a reduction in the
spread between long-term and short-term Treasury yields, including a reduction
in investors' estimates of the longer-run neutral real interest rate; lower
longer-term inflation expectations; or a lower level of term premiums in
recent years relative to historical experience reflecting, in part, central
bank asset purchases.』
短期金利上げているんだから基本手kにフラット化しやすくなるのだが、他の色々な要因によって長期金利が上がりにくくなっている、というのが前提にありまして、
『Some participants noted that such factors might temper the reliability
of the slope of the yield curve as an indicator of future economic activity;
however, several others expressed doubt about whether such factors were
distorting the information content of the yield curve.』
市場が見る将来の経済に関する不安感を示したものでは、という意見に対して、いやあまりそういうのを過大に読み取ることはないんじゃないのという意見が対立するとな。
『A number of participants thought it would be important to continue to
monitor the slope of the yield curve, given the historical regularity that
an inverted yield curve has indicated an increased risk of recession in
the United States.』
まあよく見ていきましょうという折衷的なまとめですな。
『Participants also discussed a staff presentation of an indicator of the
likelihood of recession based on the spread between the current level of
the federal funds rate and the expected federal funds rate several quarters
ahead derived from futures market prices. The staff noted that this measure
may be less affected by many of the factors that have contributed to the
flattening of the yield curve, such as depressed term premiums at longer
horizons.』
「イールドカーブと先行きのリセッション確率」とかスタッフが計算しているのか。何かこう「お、おぅ」という感じではあるのだが。
『Several participants cautioned that yield curve movements should be interpreted
within the broader context of financial conditions and the outlook, and
would be only one among many considerations in forming an assessment of
appropriate policy.』
そらそうよということで、市場のメッセージを過大評価すべきではないとアタクシも思う。そんな中でこんなのが直近ニュースにありましたな。
https://jp.reuters.com/article/kashkari-yield-curve-idJPKBN1K62KZ
2018年7月17日 / 04:46 /
米利回り曲線平坦化、一段の利上げに理由ないこと示す=ミネアポリス連銀総裁
「一段の利上げに理由ないこと示す」まで来ちゃうと過大評価だと思うんだが・・・・・・・・・
#虫干しネタで恐縮至極
2018/07/13
お題「20年入札雑談メモ/ECB議事要旨はハト風味を強調しておりますな」
まあ何だ、
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201807/0011437300.shtml
2018/7/11 21:33神戸新聞NEXT
豪雨警戒中に自民飲み会 写真投稿議員の地元で批判の声
この西村さんの一連の言い訳がありえないヘボで話をややこしくしているんですよね。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180709-OYT1T50065.html
自治体どう反応したか、検証が大事…西村副長官
2018年07月09日 23時52分
自分は仕事してます感を出した言い訳をして自ら火にガソリンをくべるスキルは大したもんです(棒読み)。なお他にも見苦しい言い訳がありますがパス。
〇20年入札強いけど10年は4bpとなりますと・・・・・・・
昨日は20年入札ちゃん。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1U82LB
2018年7月12日 / 15:17 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は変わらず、長期金利は0.040%に小幅上昇
『<15:10> 国債先物は変わらず、長期金利は0.040%に小幅上昇
国債先物中心限月9月限は前日比変わらずの150円92銭で引けた。朝方から、1ドル112円台と円安に振れたことや日経平均株価の上昇を受けて上値の重い展開が続いた。警戒感があった20年債入札が順調な結果になると、小幅高まで強含む場面があったが、一方で高値警戒感が上値を抑制。前日終値を挟んだ上下4銭の値幅で小動きに終始した。現物市場はまちまち。新発20年債入札結果が順調だったことで、ショートカバーの動きから20年債や30年債が買われる場面があったが、10年ゾーンは上値が重かった。10年最長期国債利回り(長期金利)は同0.5bp高い0.040%に小幅上昇。』(上記URL先より)
でもって超長期ちゃんは、
『<14:02> 新発20年165回債は0.490%に低下、13日の日銀買入待ち
新発20年165回債は、入札結果発表後の流通市場で、0.490%と落札利回り(平均0.492%、最高0.494%)を下回る水準で出合いを付けた。入札結果が順調だったことで、いったんショートカバーの動きが先行。「利回り低下を追いかけて買う動きはないが、13日に予定されている日銀の買い入れを控えて、売りが出にくい状況」(証券)という。』(上記URL先より)
てなことでしたので、まーたカーブの長いところがフラットニングということになっている訳でございますな。なんか20年がアセットスワップベースでどうのこうのでお安いだの何ですかその評価とか色々と思う所はあるのですがその辺の話は頭をもうちょっと整理してから(なお今の書きっぷりで分かると思いますが、ASWベースで云々ってマーケットメーカーのヘッジとか、そういうので勝負するとかいうのなら分かるのですが、金利リスクを抑えてリターン確保できるので推奨スキームみたいな説明をされるとちょっとねえという話になりますがまだ整理できていない)。
でまあ本日はこれまた入札翌日なので超長期輪番があるのですが、10年の位置が4bpとかになっている中で超長期の方は相対的にホイホイと強くなっていく訳でして、元々YCCやって超長期のカーブは過度にフラットさせないという事にしている訳ですが、さて10年の位置がここで輪番減らせますかというのは論点としては難しいお話ではございますがさてどうなるのやら。まあ今日は普通に同額でやるでしょうし、大体からして輪番減額期待も無いでしょうから(で良いんですよね?)普通に通過していくんでしょうけれども。
債券市場ちゃん他にやることもなさそうなので(って我ながら変な言い方ですが^^)ここから何かやるなら超長期のフラットニングでもやっていく位ということになりそうですが(フラグではない)、仮にそうなった場合ってYCC的に見て超長期のカーブをどう日銀はお考えなのでしょうかみたいな感じに債券市場がなってくるとそれはそれで面白いかなとは思います。つまり10年の金利がそんなに下がらずに超長期が強くなっていくという形ですな、10年がバンバン強くなれば減額もしやすいですがそうでないとモロに日銀のカーブに関する考え方ご表明みたいになってしまいかねないので。
とは言いましてもそんな気合をもって買い上げていくような気力が市場にみなぎっているとも思えないのが残念なところで、これが1年くらい前だったら日銀フラットニング容認だぜヒャッハーとか言って買い上げる人が出て来そうなのですが今はちょっと・・・・・・・・・
〇ECBの議事要旨が出ているので他の未消化ネタを無視していきなり直近ネタに飛びつく(しかもインスタント読み)
ということで計画性もへったくれもないのでありました(汗)。
http://www.ecb.europa.eu/press/accounts/2018/html/ecb.mg180712.en.html
Account of the monetary policy meeting
こちらは毎度なのですが、ある程度真面目に読もうと思った場合は最初の『1.
Review of financial, economic and monetary developments and policy options』を真面目に読んでおいて、その次の『2.
Governing Council’s discussion and monetary policy decisions』の前半の議論の方は適当に斜め読みしてから(何故かというと大体「執行部の報告通りであると委員は合意した」の連発なので)『Monetary
policy stance and policy considerations』を読むと大体良い。
・・・・・のですが、インスタント読みの場合はこの『Monetary policy stance and
policy considerations』だけを読むことになるのですが、結局最初の方で執行部報告(プラート理事とクーレ理事の現状分析と考え方の説明)を前提にした話があるので、ちと微妙な読み方になってしまうのが難点ではあるものの、インスタントなんで勘弁して頂くとして。
『With regard to the monetary policy stance, members widely shared the
assessment provided by Mr Praet in his introduction that, in spite of the
recent moderation in activity, the incoming information remained consistent
with continued solid and broad-based economic growth in the euro area.
However, the short-term growth outlook was widely regarded as subject to
some downside risks and uncertainties, notably related to the threat of
increased protectionism, geopolitical tensions and renewed financial market
risks in the euro area. Nevertheless, risks to the growth outlook were
still assessed to remain broadly balanced in the medium term. Overall,
the underlying strength of the economy, together with well-anchored longer-term
inflation expectations and increasingly emerging price pressures, provided
grounds for confidence that inflation would continue to move along a sustained
adjustment path in the period ahead, even after a gradual winding-down
of the net asset purchases.』
まあ一応このように「widely shared the assessment provided by Mr Praet in
his introduction」とかなっている後にthat以下で概要は書いてあるのでそれはそれで良しとして読むわけですが、経済は足元で若干足踏み気味なのもあるけど、先行きに関して堅調に推移するでしょうと想定しますああそれからそうは言いましても先行きの不透明要素は大きいので中期的に見た場合のリスクもありますねとかそういう話が前提ですな。
『In their assessment of the extent of progress towards a sustained adjustment
in the path of inflation based on the three criteria of convergence, confidence
and resilience recalled by Mr Praet in his introduction, there was broad
agreement among members that substantial progress had been made, although
some uncertainties continued to prevail. It was again underlined that the
assessment was probabilistic in nature and that the likelihood of inflation
being on a sustained adjustment path had clearly increased over time.』
物価が先行き目標(2%に近いけど若干程度低い水準)に行くという見通しの確信度は高まっているそうな(まあそうじゃないとこの前の決定は出せないけど)。
『As regards the convergence criterion, the staff projections indicated
that headline inflation and inflation excluding energy and food would reach
1.7% and 1.9%, respectively, in 2020, a trajectory that had become increasingly
entrenched over a number of projection exercises. This was seen to confirm
that inflation was well on course to converge to levels below, but close
to, 2% over the medium term.』
『Confidence in the expected inflation path was bolstered by diminishing
uncertainty around the inflation outlook, as reflected in the narrowing
dispersion of distributions around inflation forecasts, surveys and market
expectations, in an environment in which deflation risks had essentially
disappeared. Moreover, while measures of underlying inflation remained
muted overall, continued economic growth above potential - with high levels
of capacity utilisation and a progressive tightening in labour markets
indicating supply constraints might increasingly come into play - increased
confidence that price and wage pressures would strengthen further over
time, lending support to continued inflation convergence.』
でもって引用した後半の方は何で先行きの自信ニキが高まっていくかというお話をしていますが、結論的なところでは経済の稼働レベルが上がってきてスラックが解消されていき、潜在成長率を上回る成長が続くと見込まれる中で、徐々に賃金や物価の上昇圧力が高まっていくでしょうというどこかで聞いた理屈になっておりますわな(まあどこかの国と違ってユーロ圏は賃金上がるんでしょうけど)。
『Regarding the resilience criterion, it was widely noted that inflation
convergence was becoming increasingly self-sustaining and its reliance
on the contribution of the net asset purchases was gradually waning, although
it continued to depend on an ample degree of monetary accommodation overall.
In this context, it was underlined that the monetary policy stance remained
very supportive of continued economic expansion and a gradual increase
in inflation in the euro area.』
「it was underlined that the monetary policy stance remained very supportive
of continued economic expansion and a gradual increase in inflation in
the euro area.」ということで金融緩和がこの状況を支えていますというのを強調していくのが出口模索と言ってもユーロ圏が米国とは基本スタンスがだいぶ違っているところで、この先もそういう話が連発されるので市場の評価が「ハト派的」ってなったんだとおもうのですがどうでしょうかね。
ここまでが前振りでこの先が政策スタンスの話。
『On the basis of this assessment, members expressed unanimous support
for the monetary policy proposal put forward by Mr Praet in his introduction.』
ということで、
『This included confirmation of continued net asset purchases under the
APP at the current monthly pace of ユーロ30 billion until the end of September
2018 and the anticipation that, after September, subject to incoming data
confirming the Governing Council’s medium-term inflation outlook, the
monthly net asset purchases would be reduced to ユーロ15 billion until
the end of December 2018 and would then end.』
『At the same time, it was also widely agreed that monetary policy accommodation
had to remain ample, which called for confirming the forward guidance on
the reinvestment of the principal payments from maturing securities for
an extended period of time, while providing greater clarity on the expected
future course of policy interest rates by enhancing the forward guidance
on rates through explicit date-based and state-contingent elements.』
執行部提案は要は決定事項で出てきたとおりのお話ではあるのですが、微妙にフワッとしている「フォワードガイダンス」ですけれども、執行部提案として出ているこの部分を見ますと、金利については「
explicit date-based and state-contingent elements」によるガイダンスだそうな。
ってアタクシ的にはナンジャソラという感じは否めなくて、「明確な日付ベース」なのに「状況に応じて」対応するとなりますとそれはガイダンスであってガイダンスではないというか、コミットメントじゃないのにコミットメントっぽくしているという奴になりまして、そらまあ見通し通りにインフレ加速しないまま推移すれば別にこれでも問題ないのでしょうが、インフレが加速するとか、別の副作用対応とかいうことになると、このガイダンスはさっくりと反故にされる物件になるので、それをガイダンスと笛や太鼓で宣伝するのもどうなのかとは思ったりもするのですが、まあ市場というか一般的にはそれよりも利上げできないんじゃネーノという見方の方が大きいでしょうから別に実害がないのかもしれませんな。まあ微妙だと思う。
『This entailed the expectation that policy rates would remain at their
present levels at least through the summer of 2019 and in any case for
as long as necessary to ensure that the evolution of inflation remained
aligned with the Governing Council’s current expectations of a sustained
adjustment path.』
コミットメントではなくexpectationをガイダンスと言い切ってしまうのってどうなのかとは思いますけどね。
『The anticipation of the end of the net purchases by the year-end was
seen to be fully consistent with previous communication by the Governing
Council, which had made the horizon of the net asset purchases conditional
on the extent of progress towards a sustained adjustment in the path of
inflation. Accordingly, with the substantial progress achieved, as also
reflected in the inflation outlook contained in the recent Eurosystem staff
projections, announcing the end of net purchases was widely regarded as
following the gradual and predictable pattern of past recalibrations of
the monetary policy stance, including the removal of the APP easing bias
and the previous gradual reductions in the monthly pace of net asset purchases.
』
資産買入の停止は前回のECB会合でのコミュニケーションに整合的ですよと。
『Furthermore, given prevailing uncertainty, it was considered prudent
to leave the end of net asset purchases still conditional on incoming data
confirming the medium-term inflation outlook and to highlight the Governing
Council’s commitment to providing sufficient monetary stimulus for as
long as necessary. At the same time, it was noted that a winding-down of
net purchases by the year-end was fully reflected in prevailing market
expectations.』
でもってこの終了に関してもconditional on incoming dataですので状況によっては変えるかもしれませんとしているから何かの時に対応できるし、市場もこの辺は全部織り込んでいるので無問題。
『There was wide agreement among members that an ample degree of monetary
stimulus was still needed to support the further build-up of domestic price
pressures and headline inflation developments over the medium term. As
remaining uncertainties surrounding the inflation outlook still called
for caution, it was widely felt that monetary policy had to remain patient,
prudent and persistent.』
まあ慎重ですよね、という印象を与える記述で、引き続き緩和的なスタンスが必要という話をしているのですが、書きっぷりがやたら慎重スタンス系ですよね。
『Accordingly, it was argued that credible and effective forward guidance
should be provided on the use of the remaining policy instruments, notably
reinvestments and the evolution of policy interest rates, in order to accompany
the sustained convergence of inflation towards the Governing Council’s
inflation aim. At the same time, it was considered necessary to retain
sufficient flexibility and optionality for monetary policy in the period
ahead, and the importance of data-dependency in determining the ECB’s
policy stance was underlined.』
本来はガイダンスの方のフレキシビリティってインフレが加速した時には反故にする的なものの筈なんですが、こちらのように先行き警戒感を満載にして記載するとフレキシビリティが金利維持の延長の方角で見えてくるのが(まあそれを狙っているんでしょうけど)ECBクオリティ。
『On this basis, members unanimously agreed with the proposal made by Mr
Praet in his introduction to reconfirm the forward guidance on the Governing
Council’s reinvestment policy, while enhancing the forward guidance on
policy interest rates.』
という前提のもとでガイダンスに合意したとな。
『On reinvestment, the Governing Council reiterated its intention to maintain
its policy of reinvesting the principal payments from maturing securities
purchased under the APP for an extended period of time after the end of
the net asset purchases, and in any case for as long as necessary. It was
highlighted that the future reinvestments of the principal payments from
maturing securities would imply a continued sizable presence of the Eurosystem
in euro area securities markets, thereby contributing significantly to
favourable liquidity conditions and the overall accommodative monetary
policy stance.』
APPの償還再投資を継続するから緩和効果が出ますよ話ですな。
『The enhanced forward guidance on policy rates via explicit date-based
and state-contingent elements was seen to provide greater clarity on the
future path of policy interest rates, thereby anchoring policy rate expectations
more firmly to support the financial conditions underpinning a continued
convergence of inflation towards the Governing Council’s inflation aim.』
『The strengthening of the forward guidance on the ECB’s policy rates
was viewed as underlining their pivotal role as the tool of choice for
adjusting the monetary policy stance in the future. In this regard, reference
was made to the developments in policy rate expectations over recent months,
which already indicated the market’s perception of the predominant role
of the policy rates as the instrument for steering and communicating the
monetary policy stance.』
表現的にexpectationをガイダンスと言ってしまうのはさっきも申し上げたようにインチキ臭いところではあるのですが、こうやって出てくる対外説明に関しては緩和効果の強調オンパレードになっているので、先行きのことはわからんけど足元では「緩和スタンスを強調しながらとりあえず資産買入は止めてみました」という感じで、金利に関しては全然前のめりじゃないですよ、というのをアピールしているということだと思います。
『Overall, the proposed formulation, indicating the Governing Council’s
expectation that policy rates would be kept at their present levels at
least through the summer of 2019 and in any case for as long as necessary
to ensure that the evolution of inflation remained aligned with a sustained
adjustment path, was seen to strike a good balance between providing sufficiently
precise guidance and maintaining adequate flexibility. The proposed state-contingent
component of the forward guidance on policy rates was widely seen as underlining
the gradual and data-dependent approach to policy normalisation.』
データベースでステートコンティンジェントだけど明示的な日付ベースってナンジャソラではありますが、
ってさっきも言いましたなすいません。
『In this regard, explicitly linking a first policy rate rise to inflation
evolving along a sustained adjustment path was seen as consistent with
the ECB’s forward-looking and medium-term-oriented monetary policy strategy
and would underscore the credibility of the Governing Council’s commitment
to its price stability objective.』
まあとにかく、引き締め感をだしたくない、というのはヒシヒシと伝わってくる書きっぷりですな、と思うのでありました。以下もうちょっとあるのですが、言ってることは基本的にここまでの話の繰り返しでして、時間もなくなってきたので(そっちが主因だろとか突っ込まないように)以下の引用パスしますが、とりあえず今回は「やたらめったら緩和継続感を出しまくりながらAPPの拡大停止まではやってみた」という感じで、とにかくハト風味を前面にだしているなあという感じ(まあ大体ハト風味の事が多いのだが今回は買入停止をしたので特に強調しているかな)ではございました。
2018/07/12
お題「20年入札ですなということで世間話/今更ネタですが6月FOMC議事要旨(しかも明日に続く)」
とりあえず暴れてないと気が済まないジジイですな。
https://jp.reuters.com/article/nato-summit-trump-spending-idJPKBN1K12OJ
2018年7月12日 / 03:36 /
トランプ米大統領、防衛費GDP比4%への拡大要請 NATO首脳会議
〇さて20年入札(と言っても別に大したネタはない)
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1U72NK
2018年7月11日 / 15:15 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小幅続落、長期金利6月14日以来の0.040%に上昇
『<15:10> 国債先物は小幅続落、長期金利6月14日以来の0.040%に上昇
長期国債先物は小幅続落で引けた。米国が2000億ドル相当の中国製品に対する追加関税を表明したことを受けて、米中貿易摩擦が激化するとの警戒感が強まり、株安を手掛かりにした買いが優勢になる場面があった。一方、日銀が長期を対象にして実施したオペで需給の緩みが確認されると戻り売りに押された。
現物債市場も弱含み。長期ゾーンは先物同様に日銀オペ結果を受けて軟化した。超長期ゾーンは翌日の20年債入札を前にした業者の持ち高調整がみられた。
長期国債先物中心限月9月限の大引けは、前営業日比1銭安の150円92銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比0.5bp上昇の0.040%と6月14日以来の高水準になった。』(上記URL先より)
他にはこんなのも。
『<14:02> 超長期ゾーンは弱含み、あすの20年債入札前の持ち高調整
超長期ゾーンは弱含みで推移している。あすの20年債入札を前にした業者の持ち高調整とみられている。5日に実施された30年債入札が強い結果だったため、20年債入札も新発債評価から一定の投資家需要を集めるとの見方がある。ただ、「新発債ベースで節目の0.5%を上回る水準で入札を迎えたいところで、さらなる調整が欲しい」(国内金融機関)という。』(同様に上記URL先より)
ということで、先週木曜の30年入札は償還延びるマジックによってカレント0.70%台ではあったもののカツカツ0.7%という所で入札をやりまして入札強くてあっさり味で2bpくらい強くなるでござるの巻となったのですが、その後長いところはまあ強めは強めだと思うのですけれども、だからと言って相場をホイホイ持ち上げるようなドライバーにもならないし、別に超長期の輪番が強くなるという程の事も無かったし、ということでカレント50割れで20年の入札をやるんかいなという状況になってしまいましたな。
まあゆうて50bpならニーズが集まるとかいう、確かあんさんたち半年くらい前まではカレント60bpになったら買いなのだが水準が中途半端とか言ってて、年度頭からこの方はカレント55bpくらいになったら買いが入るのかなあとか言ってて(まあ実際そこに来たら入ってさっくり切り返してしまったので事実でしたけど)、カレント50とはたまげたなあみたいな感じだったのですがさすがに50割れが続いてきたので突如見ている節目が変わるの法則登場というような風情のようで。
でまあ四半期入札の発行日が全部T+1になった関係で、四半期末月20日に償還を置いている中長期国債に関しては償還が延びるのが今までの3・6・9・12から1・4・7・11にかわりましたが、「T+1になったら翌日の輪番に新発が入れられるので業者が入札しやすくなる」というようなレポートがよく散見されます。でまあ事実関係としてそれはそうですなというのは有りますけれども、今までの場合「四半期入札末入札の新回号の時は入札翌日に輪番にぶっこめないので、その分慎重に入札をする(場合もある)」というのがありました関係上、入札の際に特に投資家の買いが見えにくい水準になった場合というのは、本来買いに来る人であるところの投資家が買いに行くような水準(絶対水準またはイールドカーブ上の割高割安の観点から)を意識して入札を流して、落札水準を調整して販売しやすくするわけなので、別にその水準を誤らなければそれはそれで悪い入札ではない、と思うのよ。
然るに、今回からは新回号でも入札即輪番という事になりましたので、そうなりますと入札翌日に輪番入れられるからまあいっかということで確かに「入札入れやすくなる」のはそうかも知れんが、入れやすくなる分だけ応札が強くなってしまって、落札水準が輪番狙いの分だけ強くなってしまって誰得(財務省得)な入札になって新発が輪番以外であんまり捌けないから重くなってそのものズバリか他の年限かにしわ寄せが来るという図になって来だしているような気がせんでもない。まあ今日の20年とその後次第ですが。
あと以前だと四半期新回号って四半期末に出るから、輪番入れられるようになるまでの期間が掛かる他に期末越えのSCレポリスクが発生する場合がある(いつも発生するとは言ってない)ってのもあった気がしますな。いずれにせよパターン変わったので何らかの変化はあるんでしょうなとおもうのでした。
〇1週間前に出たものを今更えっちらおっちらと読みだすという誠に申し訳ないFOMC議事要旨
日銀がオモシロ金懇をそこにぶつけるのが悪い(^^)。
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20180613.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20180613.pdf
ということで6月FOMC議事要旨ですが、何せ現時点で9月の利上げはほぼ皆さん織り込んでいて、12月はまあ色々と意見はあるにせよ、どっちにしたってここから秋口に向けての物価動向次第ということになりますので(関税のせいで悪い物価上昇になった時にどうするのかは難しいが)今から決め打ちしてヒャッハーするほどの事でもなく、というのがだいたい米国長期債が動くけど結局レンジを抜けない背景でしょ、と勝手に解釈して、だったらまあ急がなくても良し(ただの言い訳)ということですな!!!!
・まずは金融政策判断に関する辺りをば
いつものように『Participants' Views on Current Conditions and the Economic
Outlook』をケツの方から読むというインスタント方式は同じにしましてまず金融政策アクションに関する部分以降最後までを見ます(ので全部逆順で見る訳ではない)。こちらの10パラグラフ(ちなみに全部で14パラあります)から最後まで。
『In their consideration of monetary policy at this meeting, participants
generally agreed that the economic expansion was progressing roughly as
anticipated, with real economic activity expanding at a solid rate, labor
market conditions continuing to strengthen, and inflation near the Committee's
objective.』
経済が予想通りに進んでいて経済の拡大もソリッドで労働市場はさらに強くなって物価も目標に近くなっていますということなので・・・・・・・
『Based on their current assessments, almost all participants expressed
the view that it would be appropriate for the Committee to continue its
gradual approach to policy firming by raising the target range for the
federal funds rate 25 basis points at this meeting.』
票決は全員一致でしたが、賛成しているのはalmost all participantsなので(どうせブラードおじさんがそうでしょうけれども)利上げを殆どの参加者が賛成したと。
『These participants agreed that, even after such an increase in the target
range, the stance of monetary policy would remain accommodative, supporting
strong labor market conditions and a sustained return to 2 percent inflation.』
利上げしても金融政策スタンスは依然として緩和的云々はいつもの話。
『One participant remarked that, with inflation having run consistently
below 2 percent in recent years and market-based measures of inflation
compensation still low, postponing an increase in the target range for
the federal funds rate would help push inflation expectations up to levels
consistent with the Committee's objective.』
反対していたの1名ですからまあ変態仮面のブラードおじさんだと思われますが、反対理由について「長期間に渡って物価が2%より低い水準で推移していたことを踏まえると、世の中のインフレ期待を引き上げる必要があって、そのためには利上げを延期すべき」という理由になっています。
インフレ期待を上げるためというのは割と新手の反対(さすがにブラードといえども現状で物価が2%に行くと思えないから反対というのは無理があるんでしょうな)理由だった気がする(詳細に確認したら報告しますが、というか読むだけ読んでお前ちゃんと確認しないのかとツッコミを入れられるとぐうの音も出ないのだが、最初に読んでいるときにフンフンと流していた(どうせマイナー意見だから)というのはありますすいませんすいません)のですが、しかしこの「低い物価水準が長かったのでインフレ期待が下がっている可能性」っていうのは、日銀がお得意とする言い訳の「適合的期待形成」から来ているんじゃないのかという風に思いっきり思ってしまう(実際はどうだか知らんけどブラードさんは日本にも割とホイホイ来ていたし、一部のマニアに名を知られた複数均衡論ネタも日本の状況を素材にしたもの)がどうなんでしょ。
ただですね、物凄く直観的な話になって恐縮なのですが、庶民オブ庶民のアタクシの直観的な感覚ですと、「適合的期待形成」と言っても、たぶんそれって「何%」みたいな細かい数字で期待があるかというとそういうのでもなくて、今のような状態だと「物価が上がらん」「物価が上がる」というデジタルな面があるんじゃネーノと。辛うじて昭和の最後の方の記憶がありますが、高インフレの時の適合的期待だって「物価がホイホイ上がる」「物価がそんなに上がらない」みたいなもんで、前者が2桁のインフレ、みたいなもんなんじゃないかな、と思うの。
そうなると、ブラードさんの言ってるのも分からんでもないのだが、2%と1%の間にどういう違いがあるのやらというお話なのであって、現実に2%に来ているのにインフレ期待が低いかもしれないから吹かし続けるというのはやはり上ブレをした後の処理コストを考えると政策実務として微妙な気はするなあと思う(これが物価言ってない中で見込みで中立近くまで上げるというのならブラードの話に分が高いように思えるけど)。まあ感覚的な雑駁な話ですいません。
話戻って次のパラグラフ。
『With regard to the medium-term outlook for monetary policy, participants
generally judged that, with the economy already very strong and inflation
expected to run at 2 percent on a sustained basis over the medium term,
it would likely be appropriate to continue gradually raising the target
range for the federal funds rate to a setting that was at or somewhat above
their estimates of its longer-run level by 2019 or 2020.』
経済がalready very strongで物価はexpected to run at 2 percent on a sustained
basis over the medium termとか自信ニキ満々で中立金利まで徐々に利上げ、もしかしたらそれよりもうちょっと上まで行っちゃうかも、とお強い。SEPがそう書いてあるから織り込み済みは織り込み済みですけれども、皆さんの勝手な置きなだけでなく、議論としてもそういうのがあったという事なので、まあ普通にタカ風味は高い書きっぷりになっておりますが、何せ足元ではトランプ大先生の角兵衛獅子が大エンターテイメントとなっていますので一時的な反応はしたけどそんなに反応していませんわ。
『Participants reaffirmed that adjustments to the path for the policy rate
would depend on their assessments of the evolution of the economic outlook
and risks to the outlook relative to the Committee's statutory objectives.』
状況に応じて先行きのやりかたは変えますよというのを確認した、ってのは当たり前の話。ブラードは利上げ反対だからさておき、ここを見ますと中立金利までの利上げは、大した問題が起きないのであれば、淡々とやっていく(よってあと4回の利上げは四半期ごとにやっていく)という意思表示をしているようには読めるのですが、まあトランプがアレなのでそこのリスクを考えたら手が止まるんんでネーノという見解もあるでしょうな。
『Participants pointed to various reasons for raising short-term interest
rates gradually, including the uncertainty surrounding the level of the
federal funds rate in the longer run, the lags with which changes in monetary
policy affect the economy, and the potential constraints on adjustments
in the target range for the federal funds rate in response to adverse shocks
when short-term interest rates are low.』
徐々に利上げしていくことのメリットについてああでもないこうでもないと。
『In addition, a few participants saw survey- or market-based indicators
as suggesting that inflation expectations were not yet firmly anchored
at a level consistent with the Committee's objective. A few also noted
that a temporary period of inflation modestly above 2 percent could be
helpful in anchoring longer-run inflation expectations at a level consistent
with the Committee's symmetric objective.』
サーベイとか市場のBEIとかを見ているとインフレ期待が2%でアンカーされているかどうか微妙な面があるので、2%を少々超えるインフレを容認するのが2%インフレ期待をアンカーさせるのに役立つのではないか、という話ですが、こちらはa
few participantsということになっていて、いやもうちょっとそういうのがいるのかなと思ったのですが、そんなに多くないんですねという風に思いました。
『Participants offered their views about how much additional policy firming
would likely be required to sustainably achieve the Committee's objectives
of maximum employment and 2 percent inflation. Many noted that, if gradual
increases in the target range for the federal funds rate continued, the
federal funds rate could be at or above their estimates of its neutral
level sometime next year.』
今後の利上げに関しては(会見の冒頭説明もそうなっていましたが)「federal
funds rate could be at or above their estimates of its neutral level sometime
next year」だそうなので、年4回ペースで上げて行って中立の所で止めるのか、中立の手前からペースを落とすのか知らんですけれども、何せここから5回利上げをすればだいたいabove
their estimates of its neutral levelになるはずなので、(3回では足りん)、まあこの先もホイホイと四半期ごとに利上げしますよとここでも言ってるんですよね。
『In that regard, participants discussed how the Committee's communications
might evolve over coming meetings if the economy progressed about as anticipated;
in particular, a number of them noted that it might soon be appropriate
to modify the language in the postmeeting statement indicating that "the
stance of monetary policy remains accommodative."』
6月声明文で「"the stance of monetary policy remains accommodative."」を削ったのはそういうことですと。
『Participants supported a plan to implement a technical adjustment to
the IOER rate that would place it at a level 5 basis points below the top
of the FOMC's target range for the federal funds rate.A few participants
suggested that, before too long, the Committee might want to further discuss
how it can implement monetary policy most effectively and efficiently when
the quantity of reserve balances reaches a level appreciably below that
seen recently.』
これはテクニカルなIOERの話ですが、もともと超過準備がさほど多くなければIOERが短期市場金利の下の方の止まりどころとして機能する預金ファシリティであって、ONRRPを使うのはフェデラルファンドの外側に運用圧力がある短期資金がうじゃうじゃいる(投資信託とファニーメイみたいなの)ので、IOERでは(金融機関のバランスシート制約もあるので)運用圧力を吸収しきれないから、な訳ですから、まあ本来の姿にこちらも徐々に戻ってきている(ただし先は長い)ということでしょうな。
#その他の話は明日以降ボチボチと(大汗)
2018/07/11
お題「生活意識アンケートはまあよさげじゃないですかね/さくらレポート関連は不動の地蔵モードのようで」
通常だと有料会員向け記事だらけで中身が実質読めない中国新聞さんが現在電子版を無料公開していまして朝刊紙面も読めます。今のところだと7/7土曜日以降の朝刊本紙バックナンバーも読めますので、広島・山口中心の記事になりますが今回の豪雨被害の大変さが伝わって参ります。
http://www.chugoku-np.co.jp/
〇生活意識アンケートは一目割とよさげな結果に見えるのですが
http://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki1807.htm/
「生活意識に関するアンケート調査」(第74回<2018年6月調査>)の結果
全文はこちら
http://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki1807.pdf
ということで『1.要 旨 』ってある図表付きの辺りからホイホイ確認しておく。
・景況感
まずは『1-1. 景況感等』の『1-1-1. 景況感 』だが、説明見ると、
『景況感のうち、現在(1年前対比)については、「良くなった」との回答が減少したものの、「悪くなった」との回答も減少したことから、景況感D.I.は改善した。先行き(1年後)については、「良くなる」との回答が減少したこと
から、景況感D.I.は悪化した。 なお、現在の景気水準については、「良い」、「どちらかと言えば、良い」との
回答の合計が増加し、「悪い」、「どちらかと言えば、悪い」との回答の合計は減少した。』
とありまして、先行きのDIは定義上悪化しているのですが、内訳的にみると「悪い」が増えた形での悪化ではなくて、「良い」が減少している形なのでそんなに度肝を抜くような悪い話ではないですし、現状判断の方は上記のように改善していて、「悪い」がガッツリと減っている形なので、これはまあ良い感じではないかと。
という風に前回対比の切り取りでは言えるんで、おお何だ個人の景況感堅調に推移してるじゃないか、とは思うのですが、もうちょっと長期時系列という意味で考えますと、このアンケート全文の2ページ目にこの回答の内訳などがあって、そこに長期時系列のグラフもありまして、そこを見ているとこの景況感DIってここ1年ちょいくらいって達観してみるとウゴカンチ会長とも読める状態。
となりますと、景況感即インフレ期待という話ではありませんが、そうは申しましても(消費増税の下駄分があるにせよ)インフレ期待が一瞬上がった時期の近い所ってこの景況感ももっと高い所にありまして、その後こちらがコケている間にインフレ期待がどうのこうのでQQE2とか言い出していたことを思いますと、まあ直近で見る分には悪くない結果ではあるものの、この程度の景況感の状態だと2%まで物価を上昇させるというのには無理がありそうじゃなという気も沸き起こってくる結果ではあります。
・金利の所はあまり真面目に見る必要はないんでしょうな
『1-1-3. 金利水準 』ですけど、
『金利水準についての見方は、「金利が低すぎる」との回答が減少し、「金利が高すぎる」との回答が増加したことから、金利水準D.I.はマイナス幅が縮
小した。 』
でもって過去3回(なので半年前以降)の結果も出ているのですが、この間って別に金利が動いたような事も無かった、というのが正直なところだと思うのですが、この3回の間で回答の方は微妙に上がったり下がったりしてて、これは何か意味があるような感じには見えない。
・何せ今回は暮らし向きにかかわる部分が改善しとる
『1-2. 暮らし向き、消費意識 』本文5ページである。
『1-2-1. 現在の暮らし向き 』
『現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりが出てきた」との回答が増加し、「ゆとりがなくなってきた」との回答が減少したことから、暮らし向きD.I.は改善した』
ほほう。
『1-2-2. 収入・支出 』
『収入については、実績(1年前対比)は、「減った」との回答が減少し、「増えた」との回答が増加したことから、現在の収入D.I.はマイナス幅が縮小した。先行き(1年後)についても、「減る」との回答が減少し、「増える」との
回答が増加したことから、1年後の収入D.I.はマイナス幅が縮小した。 』
おう何だよおまいら景気良いじゃねえかよ(じっと手を見る)。
でもって暮らし向きと収入が上記のような結果になっていればそらそうよということで・・・・・・・・
『支出については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が増加したものの、「減った」との回答も増加したことから、現在の支出D.I.は横ばいとなっ
た。先行き(1年後)は、「増やす」との回答が増加したことから、1年後の支
出D.I.はマイナス幅が縮小した。』
とまあ威勢の良い見通しになっておりまして、この辺だけで判断しろと言われますと、まさしく「モメンタムは維持されています(キリッ)」という感じですし、収入が増えましたという回答からの今後は支出を増やすかもモードというのは日銀が泣いて喜ぶ「所得から支出への前向きの循環が働いてくる」というのを絵にかいたような内容なのでこれは日銀大本営も歓喜の内容。
しかもですな、
『今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視することは、「収入の増減」と
の回答が最も多く、次いで「今後の物価の動向」、「余暇・休暇の増減」といった
回答が多かった。 商品やサービスを選ぶ際に特に重視することは、「価格が安い」との回答が最も多く、次いで、「安全性が高い」、「長く使える」、「信頼性が高い」、「機能が良い」といった回答が多かった。』
後半の「選ぶ際に重視すること」の方は相変わらずの低価格志向全開という感じになっていて残念感が漂うものの、先行きの支出に対して収入が増えるなら支出増やすわ的な流れになっているのもこれまた日銀大本営がニッコリするような感じではございまして、今回の生活意識アンケートって消費者態度の面ではここ数回の中では一番前向き解釈が可能な感じになっておりまして、賃金の上昇がタイムラグを伴って効いて来ました!みたいなお絵かきをするのには絶好のお絵かき材料なのでは、と思うし、まあお絵かき云々を別にしても、前向きの循環メカニズムが動き出すというのは勇気づけられる結果と解釈できるでしょうな。
・雇用環境は大体そんなもんじゃろ
『1-2-3. 雇用環境 』は9ページ。
『1年後を見た勤労者(注)の勤め先での雇用・処遇の不安については、「かなり感じる」との回答が減少し、「あまり感じない」との回答が増加したことから、
雇用環境D.I.は改善した。 (注)勤労者:会社員・公務員(会社役員を含む)およびパート・アルバイトなど。
』
本文をご覧になるとこの引用しているところの下にグラフがのっかっているのでビジュアル的に分かりやすいと思いますが、どこからどう見ても改善している内容です。皆さん威勢がよろしゅおすなあ(じっと手を見る)。
・なお物価観ェ・・・・・・・・・・・・
本文10ページが『1-3. 物価に対する実感 』である。
『1-3-1. 現在の物価 』
『現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)との回答が 減少した。』
お、おぅ・・・・・・・・・
『1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答
を求めたところ、平均値は+4.6%(前回:+5.8%)、中央値は+3.0%
(前回:+5.0%)となった。』
これはまた華麗な物価上昇鈍化なのですが、10ページ下の図表辺りを見ますと、
『<1年前に比べ現在の物価は何%程度変化したと思うか> 』という図表がありまして、いちいち図表をコピーしませんけど、今回下がってアチャーではあるものの、水準的には前々回12月調査の時の状況に戻ったという感じです。
次が『1-3-2. 1年後の物価 』
『1年後の物価については、『上がる』(注)との回答が増加した。 1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値
による回答を求めたところ、平均値は+4.4%(前回:+4.5%)、中央値
は+3.0%(前回:+3.0%)となった。』
「上がる」が増加したのですがインフレ期待(のような感じにしている数値)の実数はカワランチ会長と。
『1-3-3. 5年後の物価 』
『5年後の物価(注1)については、『上がる』(注2)との回答が増加した。
これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うかにつ
いて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.0%(前回:
+4.0%)、中央値は+2.0%(前回:+2.0%)となった。』
こちらも上がるが上昇するも数値の結果は同じというなんとも微妙な出来栄え。
『1-3-4. 物価上昇・下落についての感想 』
『1年前と比べて物価が『上がった』(注1)と答えた人(約7割)に、その感想を
聞くと、約8割の人が「どちらかと言えば、困ったことだ」と回答した。』
この困ったことというのがもうちょっと減る(どうせこれは強烈なバイアスが掛かってくると思うので8割とか出るのも致し方ない面はあるが)と話に上がって来そうな感じですよね。
『1年前に比べて物価が『下がった』(注2)と答えた人(2.8%)に、その感想
を聞くと、「どちらかと言えば好ましいことだ」との回答が4割台後半、「どちら
かと言えば、困ったことだ」との回答が2割台半ばとなった。』
こっちは好ましいが増えているのですが、まあこのご時世で「物価が下がった」と答える方がちょっとどうなのか(そもそも2.8%しかいませんよね)と思うのであまり参考にする気は起きない。
とまあそんな感じで。
〇支店長会議は政策動かんというインプリケーションですかねえ
・挨拶は事実上の前回対比全文一致
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/siten1807.htm(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/siten1804.htm/(前回)
比較しますと、
『(1)わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。先行きについては、緩やかな拡大を続けると考えられる。』(今回)
『(1)わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。先行きについては、緩やかな拡大を続けると考えられる。』(前回)
『(2)物価面をみると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっている。先行きについては、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。』(今回)
『(2)物価面をみると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%程度となっている。先行きについては、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。』(前回)
『(3)わが国の金融システムは、安定性を維持している。金融環境は、きわめて緩和した状態にある。』(今回)
『(3)わが国の金融システムは、安定性を維持している。金融環境は、きわめて緩和した状態にある。』(前回)
『(4)金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』(今回)
『(4)金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』(前回)
・・・・・・・とまあそういうことで物価の現状の数値(これは事実に基づくものなので変わるのは順当)のところ以外は全文一致というこのやる気のなさ。
さらにさくらレポートですけど、
概要
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer180709.htm/
全文
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer180709.pdf
でもって概要(HTMLの鏡の方)の最初を見ますと、『(1)各地域の景気の総括判断』ってことで、
『各地域の景気の総括判断をみると、6地域(北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、九州・沖縄)で、「拡大している」、「緩やかに拡大している」としているほか、3地域(北海道、東北、四国)では、「緩やかな回復を続けている」等としている。この背景をみると、海外経済の着実な成長に伴い、輸出が増加基調にある中で、労働需給が着実に引き締まりを続け、個人消費が改善するなど、所得から支出への前向きな循環が続いていることが挙げられている。』
『前回(2018年4月時点)と比較すると、全ての地域で総括判断に変更はないとしている。この間、近畿では「一部に地震の影響がみられるものの、緩やかに拡大している」としている。』
>全ての地域で総括判断に変更はないとしている
・・・・・・・・・どう見ても無風です本当にありがとうございました。
2018/07/10
お題「うっかり忘れておりましたので先生の石川金懇での会見を鑑賞の巻」
デービス辞任っつーのが昨日の(日本時間の)朝に出てるわとか思ってたら早速尻馬に乗ったのかどうか知らんがこのオッサンが来たか。
https://jp.reuters.com/article/britain-eu-johnson-idJPKBN1JZ1V4
2018年7月9日 / 23:54
ジョンソン英外相が辞任、首相の柔軟路線に反対 EU離脱案の行方混迷
・・・・・とは言えポンド相場とかには関係するけど別にそれでリスクオフだの何だのという話になる訳ではないのですけれども。
〇ジンバブエ先生の金沢金懇の記者会見ネタをうっかり忘れていたので鑑賞会
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180705a.pdf
・ちゃんと想定問答通りに答えているじゃないですか!
実質最初の質問がこれ。
『(問) 日本銀行の政策を受けて、石川県を含めて北陸の金融機関について、経営の現状をどのようにご認識されているかについて教えて下さい。』
文句を言う金融機関は無知蒙昧とか言い出したら凄いのだがそこまでの事はなく・・・・・・・
『(答) 当地の金融機関経営の現状についてですが、北陸地域の地域銀行および取引先信用金庫
21 行庫の 2017 年度の決算をみますと、コア業務純益、当期純利益ともに減益となるなど、厳しい収益環境が続いています。低金利環境が継続する中、金融機関間の競争の激化もあり、貸出金利息が減少したことが主な背景です。』
『こうした収益環境を踏まえ、当地の金融機関では、収益力を高めるべく、引き続き店舗体制の見直しや人件費の抑制などの経費削減に努めるとともに、事業性評価に基づくいわゆるミドルリスク先向けの融資やコンサルティング業務の強化、各種手数料の引上げなど非金利収入の増加にも取り組んでいます。経費削減や非金利収入の強化に向けての取組みは、金融機関の基礎的収益基盤の強化につながるものであり、また、事業性評価に基づく融資は、適切なリスク管理のもとで行われれば、地域経済の振興にもつながり得るものです。私どもとしては、こうした取組みの進展をしっかりとモニタリングしていきたいと考えています。』
・・・・・・ってまんま想定問答集通りじゃないですかということで、どうせならここだけメカっぽい喋り方とかして頂けると大変に面白い(不謹慎)のですが、金懇挨拶の方でも副作用云々の話のところだけ突然変なものでも食ったかのように普通の事を言い出していまして、レナードの朝(ってネタがだいぶ古いか)かよと思ってしまいましたが、まあこっちは想定問答なんでしょうと邪推。
・失業率に関する質疑の説明が途中から少々残念な感じになるのだが
『(問) 2 点、お伺いします。1 点目は、本日の懇談会の挨拶要旨では、2%の物価目標達成に向けて失業率がさらに低下する必要があるというご指摘がありましたが、現状
2.2%とかなり低くなっている中で、原田委員としては、具体的にどの程度の水準まで下がっていけば物価に波及していくというようにお考えなのか、教えて下さい。(後半割愛)』
まあこれなんですが、結局のところ自然失業率(らしきもの)って事後的にしか分からないというだけの話なので、具体的にって言われても知らんがなと答えるのが一番穏当な答弁だと思うのですよ。でもって・・・・・・・・
『(答) まず、物価と失業率の関係ですが、それは本日の挨拶要旨の 17 ページにフィリップス・カーブが描いてありますが、これに則っていくと、失業率が
2%半ばよりも更に低くなる過程で、物価が順調に上がりだしても不思議ではないということです。』
まあここまではその通りですな。なお話は脱線しますけど、フィリップスカーブって別に確固たる法則でもなんでもなくて、単に過去こうなっていたからという話で、んなもん前提が変わったら関係だって変わるのだから、本当はフィリップスカーブを持ち出して「こうなる筈」という前提で政策判断をするものではないと思う(屁理屈つけるには便利な概念だけど)の。
『まず、ある時期まで、3.5%程度が構造失業率で、それを下回れば物価上昇率が徐々に高まっていくと考えられていたことは誤りです。』
この「構造失業率」って物価上昇率がどうのこうのという話とリンクさせているんだから「自然失業率」ではないのかと思うので、こっちの頭の中では自然失業率に変換して話をする。
『次に、失業率がどのくらいであればよいかというと、2.5%前後であれば、そろそろ物価が上がるのではないかと、私は思っていたのですが、最近の動きをみますと、更に失業率が下がらないと物価が上がらないのではないかと思っています。その理由としては、構造失業率が更に低くなっている可能性があるということです。』
結局フィリップスカーブは過去の経験的な関係をプロットしただけの話なのでこれはまあ仰せの通り(ただ失業率と物価とのラグがどうなのというのもあると思うのですが)。
『本日の挨拶要旨でもその理由について色々なことを述べています。1つだけ申し上げると、現在、労働者に占める中高年の比重が高くなっており、若者の比重が低くなっています。そうしますと、昔は若者の比重が高いので、若者の失業率が高いことから、昔の失業率は高いのです。』
うーんこのという感じでして、構造失業率に関しては先生の言うように若者が多いと上がるという話もある一方で、年齢が上がるにつれ雇用のミスマッチが発生しやすくなるので構造失業率を引き上げる要因になるというような説明もありまして、必ずしも中高年比率が上がったから構想失業率が下がるというものではないように見られまして、どうも大先生は金懇挨拶の方もそうなんですが、説明とかたとえ話とかに工夫の余地が多分にある気がするんですが。
でまあ「昔は若者の比重が高いので、若者の失業率が高いことから、昔の失業率は高いのです。」って思いっきり言ってるんですが、労働力調査の長期時系列とか見ると、季節調整済みの失業率って昭和の円高不況とか言われてた時でも失業率って2%台だったのですが。いやもちろん物価水準違うんですけど、なんかこうもうちょっと丁寧な説明してくれんのかねと思う。
『ところが、現在、若者の比重が低くなっているので、需給に対して同じくらいの圧力をかける失業率がもっと低くなっている可能性があります。これを前提として、1992
年の失業率を2017年の年齢構成に合わせて失業率を計算すると1.9%になります。これは、構造失業率がもっと低いかもしれないということを示唆する
1 つの試算になります。そうしますと、失業率は更に下がっていく必要があります。』
最後の結論の一文はまあ良いんですが、その前の計算もどういう根拠でやっているのかがよく分からんですし、1992年辺りって確かに除く生鮮の年平均物価指数を前年比でみると2%少々の上昇になっている(2015年基準の長期時系列データ見に行って計算してみたのだがそれで良いのかは知らん)のですが、そこと比較する理由もよく分からん(物価と失業率の関係にラグがない前提になってねえかという気がする)ですし、わざわざ持ち出している話で却って話が訳分らなくしておりますので、このような謎説明するんだったらもっと単純に失業率と物価上昇率の関係は定量的なものが事前に決まっているというようなものではないので、実際のデータを見ながら判断していかなければならず、今のところはまだ自然失業率に達していない可能性があると考えていく必要があるのではないか、くらいにとどめておけばいいのに、いちいち「ある時期まで、3.5%程度が構造失業率で、それを下回れば物価上昇率が徐々に高まっていくと考えられていたことは誤りです。」とか(定義上これは自然失業率の事だと思うけどそれは兎も角)喧嘩を売ることもないと思うんだが。
『それから、その時の物価上昇率がどのくらいかということも重要です。日本銀行の色々な資料で繰り返し述べられていることですが、物価上昇率は、需給ギャップと期待物価上昇率で決まるということです。』
マネーの量で決まるんじゃなかったのかよ!!!!!
『その期待物価上昇率は、過去の物価上昇率に引きずられて決まると日本銀行は述べています。』
ところで先生の意見は????とツッコみたくなるのですけど。
『そうすると、その時の物価上昇率がどのくらいであるかが大事です。例えば、物価上昇率が
1%半ば以上になって、かつ、失業率が構造失業率を多少割るようなところ、具体的に言うと、かなり
2%に近い、あるいは 2%を割るような失業率までいけば、物価上昇率が 2%になるのではないかと考えています。(以下割愛)』
という説明なんだが、その物価上昇率が1%半ばになるためのメカニズムはどうなるのという話を寧ろ聞きたいんですが(何となくそれらしい質疑は後にあるけど)。
・しかしこの先生講演がアレで会見が想定問答というのは中々不思議ちゃんではある
次の質疑なんですけどね。
『(問) 2 点、お伺いします。1 点目は、4 月の展望レポートで物価目標の達成時期が削除されまして、本日の挨拶要旨でも触れられておりましたが、今、「できるだけ早期に」というのは、どれくらいの期間を指す、あるいはそれに期限があるのかどうか、お考えをお聞かせ下さい。
』
意地悪な(^^)
『もう 1 点は、最近の決定会合では金融緩和の副作用についての議論がなされているかと思いますけれども、本日の懇談会では、むしろ金利を引き上げると民間銀行は打撃を受けるというような発言をされていたかと思いますけれども、物価目標が実現していない状態でも、副作用の高まりを理由にした金利引上げなどの政策調整はあり得るのかどうかということについて、お考えをお聞かせ下さい。
』
どうせなら「民間銀行は打撃を受ける」という根拠をもう少し分かりやすくメカニズムと共に説明していただけませんでしょうかの方が面白かったと思う。
『(答) 物価が 2%程度に達する時期の見通しを削除した理由と、それから「できるだけ早期に」とは一体どういう意味かというご質問かと思います。削除した理由については、この挨拶要旨の中で述べている通りですが、展望レポートでの記述は単に見通しを述べているものであって、物価は色々な要因で決まりますので、この見通しを削除したということが政策とダイレクトに結び付いているわけではないということです。』
>物価は色々な要因で決まりますので
マネーの量という話は何処へ??????
『それから「できるだけ早期に」というのは、まさに「できるだけ早期に」なのですが、その時に大事なことは物価上昇のモメンタムが続いているということだと思います。今の経済情勢をみれば、一時、物価上昇率が低下するような局面もあったわけですが、直近の東京都の物価などをみますと、そういうことはないのではないかと考えています。それから失業率は下がっており、需給ギャップも益々逼迫の方に進んでいるので、モメンタムが失われているということはないと考えています。
』
ということで、さっきのもそうですが、金懇挨拶の方では盛大にオモシロ原稿を披露して頂いているにもかかわらず、会見の方では時折想定問答のまんまじゃんというのがありまして、いやまあ勿論決定会合で執行部案に賛成しているんですから別に執行部のイタコでも良いんですけど、金懇挨拶があれだけのオリジナリティを発揮されているというのにこの答えは何事ぞと思ってしまいます。
『もう 1 つは、金融政策の副作用ですが、これは当たり前のことを言っているだけです。つまり、金融緩和政策の効果と副作用を常に点検するということは、当たり前のことでありまして、あらゆる政策については、そういうものだと思います。』
・・・・・( ゚д゚)
先生!どうしちゃったんですか!!!!異次元緩和に副作用なしというあの威勢のよさは何処へ!!!!
『実際にどうするかは、具体的に考えてみないといけないわけで、効果の方は本日の挨拶要旨で述べていますように、生産性も上がっていますし、女性の労働参加率も上がっていますし、あらゆる面で日本経済にとってよいことが起きています。財政収支も結果としてよくなっています。よいことはこれだけあります。そう考えますと、副作用は効果に比べて非常に小さい。従って、私としては現在の政策を引き続き続けていくことが大事だと考えていますが、副作用が非常に大きいということを具体的に指摘されれば、また考えなければいけないと思っています。』
何かこの成果とされるものも労働参加率上がっているの世帯収入が足りなくて参加しているんだったら別に良い話とも思えませんがとかツッコミどころはあるのですが、それよりも副作用って顕在化する頃には時すでにお寿司なのであって、その部分をフォワードルッキングに点検していくのがあんたらの仕事でしょというお話なので、まあこの辺になると本来の先生に戻ってジンバブエ節になっているので安心(????)する訳ですが、何はともあれこの先生の副作用への認識が一時が万事という感じがするのですが、金融政策って実体経済に対して効いてくるルートを考えれば当然ながら政策の効果が出てくるまでにタイムラグがあるんだから、政策対応はフォワードルッキングに行っていくべきもの(と言いながら現実にはだいたいビハインドするんですけどまあそれは兎も角として)、という原則論がすっぽりと抜け落ちているように思えますな。
・オーバーシュート型コミットメントの説明が妙なんですが
『(問) 2 点、お伺いします。1 点目は、挨拶要旨の 18 ページの先程もお伺いした件ですが、理屈がよくわからないのですが、
「オーバーシュート型コミットメント」がある限り、物価上昇率が 2%を超えて安定するまで緩和を続けられることが基本だと思うのですが、失業率が
2%になるまで金融緩和を続けるべきだと申し上げている訳ではない、ということは、原田委員が想定されている中で、失業率が
2%まで下がらなくても、何か他の現象で物価上昇が安定的に 2%になるということを考えられているのでしょうか。(後半割愛)』
これはそもそも論として失業率と物価上昇率の関係に安定した何かが存在するわけではないのだから当然でしょ、という答えで済むと思うのですが、妙な質問に対して妙に答えるのが物凄く謎。
『(答) まず、最初の「オーバーシュート型コミットメント」と現在の緩和的金融政策をどこでやめるのかということですが、物価上昇率が
2%にいっていなくても、同じ政策を続けていれば、2%を突き出て、突き出るのは目標ですから突き出るのですが、突き出過ぎてしまうという可能性は当然あります。米国の場合を考えても、突き出ています。』
???????????????????
「米国の場合を考えても、突き出ています」って何のこっちゃなのですが。
『突き出る前に、これまでの緩和から、緩和を弱めるないしは引締めの方向に動いているわけです。』
???????????????????
「引締めの方向に動いている」って何を指して言ってるんでしょうか?FEDの説明を尊重すれば金融政策は依然として緩和的という事になるんですが、もしかして今の話ではなくて大昔の話をしているんでしょうかとは思うのですが、今のFEDならば物価が目標をアンダーした状態が長く続いたあとからの正常化だから日本の例との比較にまだ意味があるんですが、もっと大昔のインフレ時代の話を持ち出すのは比較する意味がないと思う。
『ですから、日本においても当然そういうことはあり得る。つまり、2%を超えて物価が順調に上がっていくことが確認できれば、実際に
2%を超える前から、金融緩和の程度を弱めることは十分あり得るということです。(後半割愛)』
「2%を超えて物価が順調に上がっていくことが確認できれば、実際に 2%を超える前から、金融緩和の程度を弱めることは十分あり得る」ってこれ会見要旨作ったスタッフの方もお手上げになったのかなと思いますが、話が前と後で矛盾していまして、2%超えていくことが確認できたら、その時は既に物価は2%を超えているので超える前から金融緩和の程度をどうやって緩めるのかさっぱり分からんという事で、どうも先生オーバーシュート型コミットメントが腹落ちしていないのではないかと(^^)。
まあそこはご愛嬌としまして、「実際に2%を超える前から〜」という結論はその通りなので良いのですが、さっきの構造失業率(たぶん自然失業率と話がごっちゃになっている)の説明もそうなのですが、途中の説明が何かこう訳分らんので読んでいて何のこっちゃ感が強まるんだと思う。
・これは蒟蒻問答にも程がある
さっきの質問の後半。
『(問)(前半割愛)もう 1 点は、挨拶要旨の 12 ページの銀行経営が苦しいのは資金需要に対して供給が多過ぎるからだということですが、一部には日本銀行の大胆な金融緩和の表れではないでしょうか。あるいは、地銀等の数が多くて競争力がなくて、もっと合併等で数を少なくするべき、効率を上げるべき、ということなのでしょうか。』
最後の部分はひっかけ質問だがそれには乗らなかったようで何よりなのだが・・・・・・・・・・
『(答)(前半割愛)もう 1 つの銀行経営の問題ですが、まず事実として、借りる人に対して供給が多いというのは、これはマクロの関係を述べたものでありまして、資金の需要に対して資金の供給が多過ぎるということです。』
はあ。
『これ自体は、もう何十年ものトレンドとして続いているものです。こういう状況を日本銀行が作ったというわけではなくて、むしろ金融緩和政策をしているからこそ、資金需要が増えているわけです。』
???
『つまり、設備投資が増えれば当然資金需要が増えますから、トレンドとして資金需要が減っている中で、日本銀行の金融緩和政策によって、少しは資金需要が増えているということだと思います。』
??????
『従って、日本銀行の政策によって、資金供給が過大になったということはないと考えています。銀行の数とかそういうことではなくて、マクロ的にみた資金の需給のことを申し上げたということです。』
さっぱり意味がわからん・・・・・・・・
他にもちょっとだけ質疑有る(あと再掲になるから引用しないけど神だの何だのの質疑はこの前ネタにしましたよね)のですがまあこんなところで。しかし金懇挨拶に比べて想定問答チックな受け答えがあちこちに見らえる中で一部ジンバブエ節がある、というのが何か面白いというか何というか。
・・・・・・などと楽しく(?)鑑賞していたら他に色々とネタがたまっているというのに(大体からしてFOMCの会見も途中だというのにミニッツは出るわBOEのミニッツはあるわ生活意識アンケートは出るわ日銀から色々なペーパーは出るわと8月のネタ枯れ前に怒涛の快進撃でネタが投下されとる)ついうっかり先生の会見という基本的に政策インプリケーションがなさそうなもので時間が終了してしてしまいましたすいませんすいません。
2018/07/09
お題「オペはそのまま同額実施でしたの/金懇を空気扱いしたので会見はちょっとネタにしてみた政井審議委員会見」
何という被害(涙)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180708/k10011522221000.html
豪雨 88人死亡 4人重体 58人不明
2018年7月9日 0時44分
〇オペは同額で実施でしたな
オペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180706.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2018年7月9日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,000 2018年7月9日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,900 2018年7月9日
国債買入(残存期間25年超) 700 2018年7月9日
ということで中期超長期とどっちもその気になれば減額できそうな年限のオペで、超長期は30年入札でヒャッハーとなって明確に節目抜けてきたところでしたので、減らすなら減らしどころでしょうと思って駄文でもネタにしたのですが、まあ普通に同額でのオファーと来ました。
一応「入札の前日にやる奴と翌日にやる奴は基本減額しない(増額は別の話)」というようなパターンはありましたので、抜けたからと言って即減額という期待が盛り上がるという程でもない(そもそも大量落札した業者はどうせロングで持っているので減らされると「聞いてねえよ」状態になる)ところではあったのですが、まあ一応強含みモードで20年カレント5糸強とかやっていく訳ですな。
落札結果も超長期の方は特に変なのでもなかった(と思ったのだがどうなのですかね)んですけど、金曜は後場から株が一段高のホイホイリスクオンみたいになっていたし、雇用統計もある週末だしということなのかどうかは知りませんけれども、結局引けに向けては20年カレント引けとかになってあまり盛り上がりも盛り下がりもない結果に。
ということでロイターさん。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1U22OA
2018年7月6日 / 15:17 / 3日前
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小幅続伸、長期金利変わらず0.030%
『 <15:10> 国債先物は小幅続伸、長期金利変わらず0.030%
長期国債先物は小幅続伸して引けた。米中の貿易戦争への懸念からリスク回避の流れを意識した買いが先行。終盤にかけては、日経平均株価が上昇幅を拡大したことから上値が重くなった。現物債市場では、超長期債利回りが日銀オペ通告を受けて一段と低下する場面があったが、過度な金利低下を修正する調整もみられた。中期ゾーンは日銀オペ結果で需給の緩みが確認されたことから利回りに上昇圧力がかかった。長期国債先物中心限月9月限の大引けは、前営業日比2銭高の150円97銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比変わらず0.030%。』(上記URL先より)
とまあそんなことになりましたが、雇用統計で米債がアレですし、今日は輪番もございませんですのでさてどうするんでしょうかねえとは思うものの、今回は超長期ゾーンの金利が節目抜けたところで何かするかどうかはちょっと気にしていたのであらそうですのという感じではありました。
http://market.jsda.or.jp/html/saiken/kehai/downloadInput.php
売参だと長期超長期は40年のケツ以外は基本が引けになっていますの。
入札の直前直後の輪番額はいじってこないという法則(?)に則って同額ってやつだったのかなあとは思うのですが、まあよくよく考えてみれば新発入札の翌日に新発が輪番で入れられるという時点でおまいら長期国債の事実上の引受じゃろという世界なので、減額しない不文律も蜂の頭もないだろという事ではありましたなとふと気が付きましたけれども、超長期の輪番って将来の出口でも長期にわたる日銀の不稼働ゴミ資産になる物件ですし、イールドが過度に寝ると碌な事にならないというのが総括的検証の結果(なお提案芸人片岡先生の主張は真逆)も考えますと、超長期こそ減らせるときに減らしておいた方がよいと思うのですが、何せ超長期輪番は年の頭の営業日に減額したら、それまでの減額で何も言われていなかったのに対して、あたかもリバーサルレートだの微妙なテイストの執行部からの情報発信が話題になっていた上に、海外中銀の正常化(特にECB)が話題になっていた時だった所に来て、あの時点では国内の物価も春先から夏にかけて堅調に推移して、秋から年末にかけて強含む(なおそこでピークアウトするのだが)という見通しが割とコンセンサスだったと思いますので、これはキタコレみたいな話が盛り上がって2月の頭に指値オペやる破目になった、という事案がございますので、同じことを2度やるともう馬鹿かと阿呆かととか言われるので慎重になるんでしょうかねえと勝手に妄想を逞しくするのでございました。
ただまあ何ですな、この水準で減額しない、となった後に月末近くに減額(今月の日程だと今週も超長期入札の翌日だし、25日も40年の翌日なので減額しようと思ったら19日しか減らしどころはないのだが)するとなった時にめでたく(かどうか知らんが)金利が下がっていれば良いのですが、そうじゃないとまーたこの「減額の発動基準が分からん!」と大滝秀治状態になるので減らしにくくしちゃいましたねという気はせんでもない。
・・・・・・と、ここでは超長期減額を前提に話をしていますが、そもそも減額するのは中期とか長期だ、と言われてしまうとはあそうですかという話になりますし、大体からして発行対比で見て一番買い過ぎなのは長期(10年ターゲットだから仕方ない面はあるにせよそれにしても極端に多い)ではありますけれども、海外の金利もあんまりこう上昇モードじゃない時にせっせと減額チャンスではあると思います(7月輪番減額(って元に戻しただけだが)もしたので注目度下がってるし)が、さてどうするんでしょう。
超おまけですけれども。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2017/k171031a.pdf
『反対:片岡委員。片岡委員は、イールドカーブにおけるより長期の金利を引き下げる観点から、15
年物国債金利が 0.2%未満で推移するよう、長期国債の買入れを行うことが適当であるとして反対した。』(上記URL先の2017年10月金融政策決定会合声明文の脚注より)
ここで売買参考統計値を見ますと、残存15年の辺りの平均値は・・・・・・・
超長期国債 145 2033/06/20 0.256 0.235
超長期国債 146 2033/09/20 0.262 0.240
超長期国債 147 2033/12/20 0.271 0.250
右が複利で左が単利。残存15年ちょっと割れのSL145回は単利0.235%ですねこれはもう2%物価目標へ驀進だーということですなおっほっほ。
〇政井審議委員会見である
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180706a.pdf
・持続可能な金融緩和がどうのこうの
実質最初の質問(なのだが後半は地域経済の質問という優しい質問になっている)から。
『(問) 2 点お伺いします。1 点目は、これまでも政井委員は、経済・物価・金融情勢についてきめ細かに検討していく必要性をずっとご指摘されていました。今回の講演で「持続可能な形での金融緩和」という言葉を使われていますが、この「持続可能なもの」とはどういったものをイメージされているか、お聞かせ下さい。(後半割愛)』
というのが来ましたがさてどんな答えが出るかと思いますと・・・・・・・・・
『(答) まず「持続可能な形」についてですが、2016 年 9 月の金融政策決定会合において総括的検証というものを行い、金融政策については、操作目標を国債の保有残高の増加ペースから、金利へと変更して今の政策の持続性を高めました。講演の中でも申し上げましたが、デフレマインドの払拭に、非常に時間がかかっているという状況のもとで、2%の「物価安定の目標」を実現するには時間がかかりそうだという中で、さらに効果をみていくために、今の政策であるQQEの導入から
5 年も過ぎているということもあり、累積的な効果とその副作用について、従来以上にみていく必要があると考えています。そのうえで、毎回の金融政策決定会合において、2%に向けたモメンタムを維持するという観点から、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、総合的に判断して、最適と考えられる政策を判断していくということです。
』
「累積的な効果とその副作用について、従来以上にみていく必要があると考えています」というのがほほーと言いたい所ではあるのですが、その部分は既に雨宮副総裁が先般のメディアでのインタビューで思いっきり言及していたところなので残念ながらこの回答を見ても空気感しか漂ってこない。
後の方ではこんな質問も。
『(問) 持続可能な形で強力な金融緩和を長く続けることが適当、ということに関してお聞きします。持続可能な形で、とおっしゃっているということは、今の形はそれほど持続可能ではない、あるいは持続可能ではなくなる可能性が近い将来あるとお考えなのかをお聞かせ下さい。』
ワロタ。
『また、今の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という枠組みに何か技術的な問題があるということをおっしゃっているのではなくて、副作用が累積的に大きくなってくる可能性があるので、そういった副作用に対応してより持続的な形で、ということをおっしゃっているのかどうかということをお聞かせ下さい。』
なるほどこれは中々。
『(答) 現在の政策に関しては、総括的な検証を経た上で、より強力な金融緩和を続けることを可能な形にしている、ということです。』
より強力な金融緩和????
『ただ、QQEを開始して 5 年が経ったところであり、効果も累積的に出てきている反面、副作用の方も累積的な部分もあろうと思いますので、その
2 つを毎回の金融政策決定会合の場で、従来以上に仔細に検討をした上で、効果と副作用との総合的な判断で、その時その時の経済、物価、金融情勢に合わせて、最も適切である政策を判断していくということに尽きると思います。
』
効果も累積的に出てきている?????
ということですが、まあ要するに副作用が拡大しているかという事に関して別に何らかの意見がある訳ではなくて、思いっきり単に執行部(というか雨宮副総裁)が言ってますんで言ってますという感がヒシヒシと伝わってくるこの空気感たるや。
・まあだいたいこんな調子の質疑が続くんですが・・・・・・・・・・・・
ちょっと前の質疑に戻る。
『(問) 2 点お伺いします。4 月の展望レポートで、物価目標の達成時期の記述が削除されましたが、この場合、「できるだけ早期に」というのは、政井委員の中でどれくらいの時間を指すのか、期限はあるのか、どういったお考えを持っていらっしゃるのかをお聞かせ下さい。』
『もう 1 点は、本日の講演の中で、「オーバーシュート型コミットメント」について、2%目標の手前で緩和を止めることはないという決意の表れだとおっしゃっていますが、息の長い緩和を続けるために、緩和度合いを調整するということはあり得るのか、ゼロ%にするとしている長期金利の操作目標を修正することは想定されるのか、ということをお聞かせ下さい。』
だいたいお察しの答えが返ってくるかと思ったら案の定過ぎる答えしか返ってこないのがマサイクオリティ。
『(答) 4 月の展望レポートの時に、2%の達成時期の記述の削除については、先月発表した議事要旨において、「大方の委員は、2%程度に達する時期が具体的な達成期限ではないことを明確にするため、今回の展望レポートから、そうした時期に関する記述をとりやめることが適当であるとの見解を示した」とある通りだと思います。』
『加えて、私自身は、2%の実現の可能性やその可否に人々や市場の関心が過度に集中する結果、どうしても俯瞰的な議論になりにくいという感想を持っており、日本銀行のコミュニケーションにとってプラスではないと感じていたため、これに賛成したということです。』
は???
『2%の「物価安定の目標」の実現するタイミングについては、その時々の経済状況・金融情勢などによって変わってくるため、一概にこうだと申し上げるというのは極めて困難だと考えています。』
さすがにここまでくると岩田木久扇師匠の就任記者会見やら国会答弁を引用する気力も失せそうになりますが「期限を切ったコミットメント」が期待の形成に重要である、という最初の建付け自体は死んでない(ゴメンナサイと謝罪すれば死ぬのですが)のにこの開き直りようったらもうね(なお政井さんは総括的検証の直前に入っているからだいぶ免除されるのではないか、という考え方はなくもないけど、就任するときにQQEやマイナス金利に賛成してるから受けたんでしょと小一時間問い詰めたい)という所ではありますが、まあ執行部がそもそもそういう説明なので致し方ない。
『なお、今月の金融政策決定会合は、展望レポートを取りまとめるという月、会合でもありますので、先行きの経済・物価見通しとその背後にあるメカニズム、リスクの評価などを詳しく議論して、政策委員の見通しを今月末にお示しすることになろうかと思います。
』
「先行きの経済・物価見通しとその背後にあるメカニズム、リスクの評価などを詳しく議論して」とあるのは(しばらく前にベンダーに出てました例の話ですけれども)、政策変更への布石あるいは地ならしが伴うようなものになる可能性は皆無とは言えないですし、こうやってわざわざ空気の人が言及しているというのは執行部イタコ芸の一環としてはちょっと気にならんこともない。
2点目の途中で修正の話ですが、この答えがこれがまた・・・・・・・・・
『2 点目については、本日の講演でも申し上げたとおり、経済情勢ひとつとっても、例えば貿易の保護主義的な動きの見通しについて、アメリカでもベージュ・ブックの中で一部の企業から懸念の声が上がっているとか、本邦でも、まだハードデータとしてはなかなか確認がしにくいものの、――今日の会合でも現場の声として、見通しがしづらいとか不確定要素が高まったという声もあり、私自身もそのように考えていますが――実際に企業の皆様からもそういう懸念の声が上がっています。経済ひとつとっても、非常に先行きの見通しがしづらい中において、将来の政策について、こういう状況になればこうであろうといった話をするのは極めて難しいというのが、正直なところだと思います。そのうえで、経済状況、金融情勢、市場の状況といったものも含めて総合的にその時々で判断をしていくということに尽きるのではないか、と考えております。』
いやその後半だけで済むんですけど何でその前半の長々としたの入れる???って感じです。強いて言えば「その時になってみないと分からないので」だけの説明だと「状況次第では事前調整もあり得る」の方にバイアスがかかったヘッドラインが出るから、その前に「経済の先行きは不確実」というのをアッピールしておくことによって中和するという話法になっているんだろうなというのは把握した。
・モメンタムの説明だがこれがまた長い
『(問) 本日の講演の中では、4 月にみられていた物価の想定よりも若干弱めだが、モメンタムはしっかりしているとされています。ここのところ皆さんは、モメンタムは維持されている、とずっと言われていますが、これだけ物価が下がってきていて、予想インフレ率が上がっていない中、モメンタムは平気、となることが理解できません。何をもってモメンタムは維持されているというのか、今のモメンタムが強まっているのか弱まっているのかも含めてお伺いさせて下さい。』
という質問に対する答えがクソ長くなっております。
『(答) 総合的にみれば、物価上昇に向けたモメンタムは引き続き維持されていると私自身も考えており、過度に悲観する必要はないと考えています。』
ここからが長い。
『その理由としては、基本的に資本とか労働の稼働率を示すマクロ的な需給ギャップは改善方向を続けていますし、そのもとで現実の物価が弱めの動きとなっているのは、例えば成長期待であるとか、インフレ期待というのが恐らく十分に高まっていないということが背景にあると考えています。』
それはモメンタムが維持されているとは言わないのではないか??
『様々な現場の企業からの話を総合して考えると、成長期待は改善方向にあるとみてよいだろうと考えています。』
お、おぅ。
『この数年、例えば企業にとっては、原材料コストや、宅配便などの貨物輸送コストといったものが揃って上昇しており、実際、企業物価指数や企業サービス価格指数などは、上昇トレンドにあるとみてよいと思います。』
それはコストプッシュというのではないでしょうか?
『この間、労働需給の引き締まりを背景に人件費も増加傾向を辿る中にあって、全体でみれば、過去最高水準の収益が企業として確保されているということは、企業がコストをその努力により吸収できているということでもあるので、日本経済にとってはポジティブなことと捉えています。このことは、わが国企業の労働生産性が上昇しているということなので、成長期待にもプラスに働くと判断しています。』
何かそういう説明になっているのだが労働分配が下がっているとかそういう話にならんと計算が合わん気がするんですが・・・・・・・・
『期待されている水準でのインフレ期待の安定化には、確かに時間がかかっていますが、日本銀行の金融政策のもとで、少なくとも下がる方向ではないと判断しています。人々のインフレ期待が、2%程度にアンカリングされているとみられているアメリカですら、2%のインフレ率の軌道に戻るのに相応に長い時間が掛かっており、それを考えてみれば、長きにわたるデフレを経験した日本で時間が掛かるというのは、仕方がない面もあるのではないかと思います。』
ということで、元々「欧米と違っているのでガツンと異次元緩和をしないといけない」といっていた理屈は完全に消失しているのが分かると思います。
『いずれにしても、日本経済にとって必要なのは、インフレ期待が 2%程度でアンカリングされることだと考えており、そのためには、日本銀行の「物価安定の目標」の実現に向けたコミットメント、強力な金融緩和もあって需給ギャップが改善して現実の物価が上昇すること、官民の成長力の向上に向けた取り組みも奏功して成長期待が高まること、このいずれもが大変重要だと考えています。この観点からも、これからも経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、持続可能な形で、強力な金融緩和を息長く続けていくことが適当だと考えています。』
ということでまあ長いけど結局想定問答の世界の中ですけど、ここもと「成長力の向上」というネタがよく日銀執行部サイドから出るようになったなあと思われましてそこはちょっと気になります。
・市場機能云々
『(問) 10 年物の国債の業者間取引で、このところ取引が成立しない日が目立つようになっていると思いますが、金融緩和がマーケットに与える副作用についてはどのようにご覧になっているのかを教えて下さい。』
ほうほうそれでそれで?
『(答) マーケットの日々の動きについて、何かコメントをするのはあまり適切ではないと考えていますが、全体的に取引量やボラティリティの低下した状態が続いていることは認識しています。もっとも、その背景としては、例えば、アメリカの長期国債のボラティリティもこのところ低下気味であることも考えると、どういった要因がどの程度働いているのかということは、単純にはなかなか測れないと思っています。』
>例えば、アメリカの長期国債のボラティリティもこのところ低下気味
これは斬新な言い訳(執行部の言い訳なのかどうかは知らん)。
『私自身のキャリアにおいて、長らく市場に携わってきましたので、市場で取引を実際に肌で感じている方々の声の重要性は、強く認識しています。日本銀行が金融政策を行うに当たっても、マーケットインテリジェンスと言いますけれども、金融市場の参加者の皆さんの知見を活かして、市場に関する情報収集や分析が不可欠だと考えています。また特に、現行の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の推進に当たっては、大規模な国債の買い入れを実施していますので、市場の流動性への影響も含めて、国債市場の動きを今後も丹念にみていく必要があると考えています。実際、この間も、執行部の方で市場参加者と意見交換を行う機会を増やしたり、新たな分析手法を拡充したりと、努力してもらっているところです。
』
棒読み感が強い。
『最近では、ビッド・アスク・スプレッドなど、日本の国債市場についても、市場の流動性に関して改善方向を示す指標も一部ではある一方で、国債市場の機能度が低いというサーベイ結果もあり、国債市場の動向については、引き続き多面的な観点から点検をしていくことが肝要だと思います。現場では引き続き、そういった市場参加者との対話を行いながら、オペの運用面について必要な工夫を行ってもらうなど、市場の安定に努めることも重要なことだと考えています。』
そしてこのあちゃー感なのですが、ビッド・アスク・スプレッドって市場が死んで動かない統制相場になったら勝手にスプレッド縮小するんで、改善を示すとか単純なもんじゃないんですけどねえと言いましてもまあそら市場ったって債券の人じゃないから分からんわなーという所でございましていやはや何とも。
〇おまけメモ
なんかこんなのがある。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180706c.htm/
BISグローバル金融システム委員会報告書「低金利長期化の金融安定へのインプリケーション」の公表について
要旨の日本語を斜め読みした感じでは「だから何なのよ」という気がしたけど。
#しまった!ジンバブエ先生の質疑ネタを忘れてた!!!!
2018/07/06
お題「超長期の金利が節目を明確に割って低下してきました/政井さん金懇はまあネタなし/大先生会見からちょっとだけ」
今日もまたネタが輻輳しておりまして、FOMC議事要旨という大ネタがあるのですが、他のジャパンなネタがあるので議事要旨ネタは週明けで勘弁してつかあさい(そのかわりインスタントじゃなくて精読する)。
〇動かん動かんと言っていた円債市場に明確な同意が来てさて輪番
・30年国債入札でヒャッハー!
キタコレ!
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20180705.htm
30年利付国債(第59回)の入札結果
6. 価格競争入札について
(1)応募額 2兆8,210億円
(2)募入決定額 5,633億円
(3)募入最低価格 99円85銭 (募入最高利回り) (0.706%)
(4)募入最低価格における案分比率 31.2024%
(5)募入平均価格 99円90銭 (募入平均利回り) (0.704%)
ベンダーとかの報じていた市場の事前予想だと足切りが99.75レベルという事になっていたと記憶しておりますが、落札結果はきっちりうえで切るわ、おまけに応札倍率は5倍超だわと大変に威勢の良い入札になりましたなと思ったらこれですよ。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1U12E2
2018年7月5日 / 15:25 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小幅続伸、超長期債利回りが2016年12月以来の低水準
『<13:10> 超長期金利が低下、30年債入札好調でショートカバー
超長期ゾーンが堅調。新発30年債入札が強い結果となったことで、想定通りに落札できなかった業者からのショートカバーの動きが出ている。市場では「入札結果は最低落札価格が事前予想を上回り、かつ応札倍率が5倍を超えた。外債の投資環境が良くないことを踏まえると、一部最終投資家からの需要があったのではないか」(証券)との声が出ている。
新発30年(59回)債利回りは0.685%と平均落札利回り(0.704%)を下回る水準で推移。また、既発30年(58回)債利回りは同1.5bp低い0.675%に低下した。』(上記URL先より)
からの引けが
『 <15:15> 国債先物は小幅続伸、超長期債利回りが2016年12月以来の低水準
長期国債先物は小幅続伸して引けた。前日の米債市場が休場のため国内要因で動く展開となり、前場は30年債入札を前にしたヘッジがやや優勢となった。入札は想定以上に強い結果で、先物は後場は底堅く推移した。
現物債市場では、堅調な30年債入札を受け超長期ゾーンにショートカバーが入り金利が急低下。20年債、30年債、40年債の利回りはいずれも2016年12月以来の低水準を付けた。』(上記URL先より)
ということで、超長期の後ろの方はここもと妙に確り目で推移して30年カレント0.6%台で入札ですかと思ったらよく考えたら(よく考えなくてもそうですが)今回から新発になるの四半期末月じゃなくてその次でしたわということで、ただのカレント錯覚なのですが3か月分のカーブ分だけイールドがお安く行けますので一応0.7%台なんですがでも昨日までのカレント債は0.6%台なんですが、などと言いながら入札を迎えたというのにこの華麗なる落札結果。
20年カレントとかも落差結果出たところで0.485%→0.480%→0.475%というヒャッハーな流れになりまして、いままでウゴカンチ会長とか地蔵とか悪態ついてすいませんでしたという久々の明確な動意がキタコレとなっております。まあこういう時はさあ盛り上がって参りました!!!!となる、と言いたいのですが、なんか押し目待ちに押し目無しの典型になっている話ですし、大体からして金利下がって嬉しい話もあまりないと来てますから、相場は皆が困る方向に行くの法則通りの展開と言えるでしょうな。
売買参考統計値の平均値単利を比較いたしますと、
http://market.jsda.or.jp/html/saiken/kehai/downloadInput.php
一昨日の引け(7/5公表ってやつ)
20Y-164 0.485%
30Y-58 0.690%
40Y-11 0.835%
昨日の引け(7/6公表ってやつ)
20Y-164 0.475%
30Y-58 0.665%
30Y-59 0.680%
40Y-11 0.810%
ということで華麗に後ろがブルフラットしておりますし、20年カレントも30年カレントも明確に大台替わりしちゃいましたな、ということでやっと動いたと思ったらタイミングがまーた「償還年限が伸びる新発が出るから新銘柄の新簿価で入れやすいし見た目利回りの見栄えがいい(ただの錯覚ですけど)」のところに来やがったかと様式美の世界になっているのがなんとも。
まあ米国のヘッジコストがあれだから海外行きにくい資金がどうのこうのとか、日銀の政策調整をするにももうちょっと物価が確りしてこないと言い訳が出来ないという中で政策調整はそう簡単なものじゃないよね、とか何とか色々と後付け理屈は相場が上がってくると沸いて出てくると思うので、それはそういうもんということですが、しかしまあここで超長期の金利低下とかこの誰得金利低下ではありますが、まー皆が困る方に行きますのう。
・さて輪番をどうするかということですが・・・・・・・・・・・・・
本日の輪番予定は中期と超長期となっておりまして、30年入札でヒャッハーとなりまして節目を明確に抜けてきた、という意味では勢い付きだしたところでの輪番でさてどうなるのでしょうか、というお話ではありますな、うんうん。
現在って超長期は10-25が1900億円、25-40が700億円っちゅう買入オファーになっている訳ですが、YCCでは10年を止めますというのはある一方で、総括的検証での説明を元にすると、「適正なイールドカーブ」というのもあって、超長期の金利に関しては下がったからと言ってそれが企業の借り入れ意欲を必ずしも強く促さず(促すのは中短期の金利低下の場合)、金利の低下度合いによっては、生命保険、年金基金などの資金運用に悪影響を与えることから、保険契約者の受け取り低下とか、年金財務の悪化とかの弊害もあり、それが看過できない水準になるかもしれない。とまあそういう整理になっておりますので、20年とか30年とかも知らんがなというのではなくて、話の筋からしたら過度な金利低下は抑制しにいくという話になる。
でもってそれはそれとして考えた場合でも、金利低下している時で、かつその背景が何らかの急性リスクオフみたいな話な訳でもなく、まあ自然体(全然動かなかった中なので唐突感はなくはないとしましても)での金利低下ということでありますので、「金利が下がったら買入減額」というのはこれ理屈としては普通にありでしょうし、最初のロイターさんの記事でも「新発30年債入札が強い結果となったことで、想定通りに落札できなかった業者からのショートカバーの動きが出ている。(さっきのロイター記事より)」ってな話ではありますので、超長期ゾーンの需給もタイトになっているのであれば、まあ市場がタイトな中で漫然と同じ買入をする必要もありませんですよね、ということになるんですけど・・・・・・・・・・・
とは言いましても、6月の減額って単にその前増やしたのを戻すという作業だったのですが、今回は年初の超長期減額以来の「さて減らしますよ」に(やった場合は)なりますので、そこをやることが出来るのかニヤニヤしながら注目ということですなー(^^)。
コンセンサスがどっちなのかはわかり兼ねますが、多少減額しても困る人いないでしょ、というか寧ろ両バケットとも100億だけ減額〜!とかやったら輪番別に滑りもしないで「減額されたものの需要の強さが改めて確認された」とか言い出してさらにブルフラットするんじゃネーノ位の勢い(目先の勢いにすぐ釣られクマー人間ですすいませんすいません)となるんじゃないかというのに1万ジンバブエドルという感じで(^^)。
〇政井審議委員講演は空気過ぎてネタにする気が起きんのだが一応ネタにする
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko180705a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko180705a1.pdf
・ものの見事に展望レポートや執行部見解を棒読み
・・・・・・・・うーんこのという感じでして、まあだいたい想定はしているのですが、それにしましてもアイヤーというこの空気っぷりが凄くて、執行部のお話をそのまま口伝朗読しているんじゃないかというような物件に仕上がっております。
よってマジでネタにするところがないのですが、仕方がないので『3.強力な金融緩和を息長く続ける必要性』以下を引用してみる。
・政策調整論に関して
『こうした日本銀行の強力な金融緩和は、きわめて緩和的な金融環境の実現を通じて所期の効果を発揮しているとはいえ、経済の着実な改善度合いに比べて、現実の物価上昇がなお力強さに欠けていることもまた事実です。』
『デフレマインドが想定以上にしつこいことが分かってくる中で、日本銀行の金融政策に対しては次のようなご意見を聞くことが多くなっていると感じます。まず、そもそも2%の「物価安定の目標」は必要ないのではないか、といったご意見です。また、2%の目標を目指すにせよ、強力な金融緩和の継続に疑義を示す向きがあります。例えば、金融機関の収益への配慮等から、金利水準を調整すべきではないか、といった声があります。1点目については、後ほど詳しくお話することとし、まず2点目についてお話します。』
だそうですので調整論に関して。
『毎回の金融政策決定会合では、(1)貸出・社債金利への波及、(2)経済への影響、(3)金融機能への影響など、経済・物価・金融情勢を総合的に勘案したうえで金融市場調節方針を決定しています。2016年9月の「総括的な検証」でもお示ししているとおり、金融政策の運営にあたり、金融仲介機能や広い意味での金融機能への影響は考慮すべきポイントです。現実に、銀行間の競争激化のほか、強力な金融緩和などが貸出利鞘の縮小圧力となっていることには留意が必要だと思います。』
はあそうですか。
『もっとも、金融機関の預貸利鞘は90年代以降、低成長に伴い趨勢的に縮小傾向となっており、その意味でかねてより金融機関経営の課題でした(図表12)。さらに、フィンテックをはじめとする技術革新や人口・企業数の減少といった環境変化に対する中長期的な取組みが喫緊の課題となっています。このような金融機関経営に影響を及ぼす構造的な問題と、金融緩和に伴う影響は、区別して分析・議論すべきであると考えています。』
つまり、日銀だけのせいじゃなくて経済の構造問題によるものだから全部うちらのせいにされても知らんがな、というのが最近の理屈なのですが、構造問題はそうかもしれませんが、昨日の駄文でも申し上げましたように、金融仲介機能を経由した金融政策の実態経済への波及、という中において、マイナス金利とか極端な低金利というのは金融仲介主体に対する課税に他ならない(金融仲介主体の向こう側に対して安易にマイナスチャージをすることができないし、ゼロ金利にしても金融仲介主体そのものの費用を出さないといけない)のであって、そこについてはどうなのよ、というのにはしらっとスルーするのが日銀クオリティという感じですな。
『日本経済は、ようやく「物価が持続的に下落する」という意味でのデフレではなくなったところですので、デフレからの脱却を確実にしておくべきだと考えています。もちろん、日本銀行は物価だけが上がれば良いと考えている訳ではありません。2%の「物価安定の目標」が成長力の強化とともにあることは、2013年の政府・日本銀行の共同声明2でも強調されている通りです。』
そら良いんだがそもそも2年で達成するといった物価が全然上がらないんですけど。
『また、「量的・質的金融緩和」を導入した月の翌月(2013年5月)の講演においても、中曽副総裁(当時)が、「私たちが目指す『物価安定の目標』とは、企業収益や雇用・賃金の増加を伴いながら実体経済がバランスよく改善するという好循環の中で達成されるべきものです」と話しています3。他方、後に詳しくお話するとおり、確実なデフレからの脱却は日本経済にとって積年の課題であり、きわめて重要だと考えています。』
と来てからの・・・・・・・・・・・・
・まあここは含意があるかもですな
直後にこのような説明が。
『デフレマインドが根強い状況のもと、2%の「物価安定の目標」の実現には相応の時間がかかることも念頭に置く必要があります。強力な金融緩和が長期化しつつある中、経済・物価・金融情勢について従来以上に肌理細かな検討を行いつつ、持続可能な形で強力な金融緩和を息長く続けることが適当と考えています。』
>2%の「物価安定の目標」の実現には相応の時間がかかることも念頭に置く必要があります
できるだけ早期に達成とは何だったのかという話ですが、まあこういう線で長期的に持続可能な適正な規模の緩和政策を行う、という考えで何らかの調整というのは(蓋然性は別として仮に打ち込んでくるのであれば、ですけれども)理屈として使ってくるんだろうなあというのは把握した。
〇ジンバブエ先生の会見を鑑賞しようと思ったら時間があまりないので今日は一部だけ
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180705a.pdf
・藁人形論法に対して直球を投げ込む記者現る
質疑の最後から2番目ですが見た瞬間吹いたわwwww
『(問) 挨拶要旨の 20 ページでは、色々な神話、伝説、歌舞伎の話をされていて、この
3 つの話はいずれも、日本銀行が神に挑戦した人間のような存在であるという批判があることを前提に、こういう話を出されているのかどうかを教えて下さい。』
文脈はそうですよね。
『また、そういう批判があるとすれば、誰がどういう風な批判をしているのか具体例を挙げて頂きたい。』
これはクソワロタwwwwwwwwwww
『と言いますのは、インパール作戦に例えた話などは、具体的にそういう批判をされている方も注で書かれているので、具体的にどういう批判があるのか教えて頂けますでしょうか。』
さらに無慈悲な追い打ち。
『そうして頂けなければ、この 3 つの話をよく分かっている方々も、原田委員が何に対してどういった批判をされているのか全く分からないため、ここのところの解説を含め、誰のどのような批判に対しての反論なのかをご説明下さい。』
これはまた見えない敵と戦うジンバブエ先生に水ぶっかけるような質問で実に素晴らしい。
先生のお答え。
『(答) まず、QQEというのは、異常な金融政策であって、そういう異常なことをやるべきではない、というようにおっしゃっている方がたくさんいらっしゃるので、それに対して、そういうことはありませんと述べたわけです。』
自分らでも(正式文章ではいわないけど)異次元とかいってませんでしたっけ、いやまあいいけどさ。
『ここでは色々と述べているため分かりにくかったかもしれませんが、挨拶要旨の20
ページの下から 3 行目の最後に、「貨幣に関わる金融政策は、神のものではなく人間のものです。人間のものであれば、理論と事実に基づく議論を避けるべきではありません」と述べています。』
はあ。
『つまり、こういう異常なことはもうやめろとかいう議論ではなく、効果と副作用とか、どういう効果があるのかとか、そういうものを具体的に認識して議論したほうがよいのではないかと申し上げているわけです。』
効果と副作用を比較衡量しないで止めろとかやれとかいう人がいるとは到底思えませんが、まさかとは思いますがこの「議論」というのは大先生の想像の中にのみある「議論」なのではないでしょうか???
『確かに、最後の結論のところで、この下から 3 行目のところで段落を入れればもっと分かりやすくなったと思います
』
ならねえよ。
ということで、見えない敵と戦う大先生の巻でしたが、その他の質疑は時間の都合上週明けにでも。
2018/07/05
お題「原田審議委員様の石川金懇スペシャル見世物でござる(なお政策インプリケーションは一切ない)」
今回はPCが壊れることもなく大先生の金懇を迎えることができたのですが、大先生の金懇は回を追うごとに凄いことになっておりまして、ここまで来ますと何度読んでも読解(理解ではない)致しかねるレベルなのですが、自らに茨の鞭を打つ心持で何度も読んで見ましたがこれは大変。
というような前口上はともかくとしてジンバブエ大先生の謎講演を鑑賞するのも苦痛かも知れませんがやはりネタにせざるを得ませんので頑張ってネタにしてみましょう。
〇ジンバブエ大先生の金懇挨拶は最早遠い世界に行ってしまわれたという感想がががががが
てなわけで大先生今回は石川県に降臨あそばされまして
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko180704a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 石川県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──
というのが投下されたのですが、遂に何度読んでも凡下のアタクシには理解致しかねるという大変にアレ振りが極まったアレな物件が投下されてしまったので、理解しようと努力しつつ読んだ結果をネタに致したく存じます。
・どうでもいいがのっけからいつもの金懇と違うんですけど
最近の金懇なんですけどね、
先日の布野さん宮城金懇
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko180704a.htm/
先日の櫻井さん群馬金懇
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko180524a.htm/
とありますように、実は最近の政策委員の方の金懇挨拶とか講演ってだいたいHTML版と図表込みのPDF版が鑑賞できるようになっているんですよ。然るに大先生の金懇なんですが、
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko180704a.htm/
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
石川県金融経済懇談会における挨拶要旨
とあるのですが、本文は記載されていなくてPDFを読め、という仕様になっておりまして、開けた瞬間に物凄い違和感を感じたのですが、よくよく考えてみますと、英語の挨拶の時に邦訳が付いていないとこんな感じになったりもするので、これはきっと日銀のサイト運営上は日本語ではないし邦訳もない挨拶という理解になっているのだ、と思ったら何となく納得をしてしまいましたが、マジでそんな含意があったらウケるわとか下らんことを考えてしまう位に大変にアレな挨拶ではございます。
・目標は達成していないが成果を強調とな
まあいつものことですけど。『はじめに』の途中から。
『日本銀行は2%のインフレ目標達成を目指して2013年4月から量的・質的金融緩和政策(QQE)を導入、その強化を図って参りました。』
『その結果、生産、雇用、投資、輸出、財政状況などほとんどの経済指標が改善しています。』
と、目標は達成していないけど経済指標が改善しています、という説明はいつもの話なのですが、インフレ目標を達成しようとして投下した政策でその目標を達成できていないのに経済指標が改善している、という説明になっているのですが、それって本当に金融政策の効果なのかという話でありまして、他の要因が主因で改善しているのではないか、というような突っ込みに対する説明をしないまま、指標が改善したものに関しては金融政策の効果という事にしているのが毎度とはいえさすがに頭がクラクラする訳ですな。
つーことでちょっと先に行きまして『1.金融緩和政策と5年間の成果 』に参りますが、
『この4月に日本銀行が大胆な金融緩和政策、量的・質的金融緩和政策を導入してから5年間となりました。そのため、多くの新聞、雑誌でこの5年間の金融政策が様々な観点から評価されました
1。』
ちなみにこの脚注には、
『1 例えば、朝日新聞「大規模緩和5年、膨らむ「副作用」」(2018 年 4 月
4 日) や毎日新聞「試練の再始動」(2018 年 2 月 17 日、18 日、20 日、政策編は
2018 年 4 月 10 日、11 日、12 日)。 』
とあるのですが、どうも大先生におかれましては、どこかの誰かさんが藁人形論法とか言っているらしいことを気になさっておられるのかどうか存じませんが、今回はできるだけリファレンスをつけるようにしている辺り大変に味わいの深いものを感じる次第でございますがそれは兎も角として、
『しかし、その評価には、2%の物価目標が達成できていない、金融緩和の危険に対処できていないのではないかと問うものが多かったように思います。
』
この「金融緩和の危険」ってそもそも日本語として非常に妙ですし、大体からして「金融緩和の危険に対処できていない」とかいう言い方する人っているんですかと小一時間ですが、それはまあともかくと致しまして、
『私は、以前から繰り返し、金融緩和政策が雇用を継続して改善してきたこと、実質
GDP の成長率も名目 GDP の成長率も引き上げてきたこと、物価上昇率も2%には届いておりませんが、前年比で見てマイナスからプラスの領域に引き上げてきたことを説明してまいりました。本日は、まず、金融緩和政策が生産性、より広い意味で、日本の人々の能力を引き出してきたことに重点を置いてお話ししたいと思います。
』
ということで今回は「金融緩和政策で生産性が向上した」ということで成果を説明していまして、その生産性向上の話も何か微妙なテイストを醸し出しているのですが、それ以前の問題としての突っ込みどころがあったりするのでそこを拝見する訳ですな。
・そもそも「金融政策で生産性が向上する」というパスの説明もなく生産性が向上したといわれましても
『生産性の改善』という小見出しの冒頭なんですけどね、
『大胆な金融緩和政策の発動以来、生産性が上昇しています。しかし、実は、経済学の教科書には、金融政策は、短期的には実質変数−実質
GDP、生産、雇用などに影響を与えることができるが、長期的には名目変数−名目
GDP、物価、為替レートなどにしか影響をあたえることができないと書いてあります
2。 』
ふーん。
『ではなぜ、経済学に反して、金融政策によって生産性が上昇したのでしょうか。』
ほうほう。
『その理由は、ここで経済学が焦点を当てているのは超長期の生産性の上昇率の違いによって生じる生産性のレベルの違いだからだと解釈すべきかもしれません。』
???
なお、以下の部分引用上はぶつ切りにしていますが、一連の文章ですので念のため先に申し上げます。
『国ごとの生産性の違いを概括的に示す一人当たり実質購買力平価GDPを見ますと、もっとも貧しい国と最も豊かな国の間で
100 倍以上の違いがあります。』
何でそこで話が飛ぶの??
『この違いを金融政策の差異で説明できないのは当然です。』
はあ。
『しかし、私がここで問題にしているのは、金融政策がうまくいけば、10 年間、あるいはそれ以上の期間にわたって1%成長ではなく2%成長を実現できたかもしれないということです。』
????????????
『その理由として、まず短期的には稼働率の上昇があります。』
話が飛びまくり。
『不況になって注文が減れば、工場の生産は低下する一方、労働者を簡単に解雇することはできませんから、労働生産性は低下します。好況の時には、この逆のことが起きます。』
以下説明が続くのですが、もはや何を言っているのかがさっぱりわかりません。
・・・・・・・でまあそれは兎も角として、結局何で金融政策で生産性が上がるか、というパスの説明になっていないんですよね。大体からして稼働率ジャンジャン上がっているのに生産性が上がらんから物価が上がらんのではないか、というような議論が海外では行われている(それこそ昨日ネタにした先般のFOMC後のパウエル議長の会見でもありましたように)訳で、何で生産性が高まるのかという話が全然説得力がない訳ですよ。
でまあそもそも生産性の話になっているのだがその説明で大丈夫かというのもある(直観的に違和感があるのだが何せアタクシは無学なもんで相当入念に調べものしないとその辺正確に突っ込むことができ兼ねますので誰か代わりに突っ込んでちょと思うわけですが)のですが、さっきの最初の所に戻りますと、
『大胆な金融緩和政策の発動以来、生産性が上昇しています。』
ってありますが、
「NHK大河ドラマ「八重の桜」の放映以来、生産性が上昇しています。」(ちなみに八重の桜は2013年の大河^^)から文章を始めても別に構わん訳で、因果関係の説明をきちんとしてくれませんと、ただの疑似相関なのかどうかがわからんのですけど・・・・・・・・・・
・そもそも生産性の説明に関してもこれで良いのかが超謎なんだが
でまあそのあとの説明もツッコミどころがありそうなのですが、とりあえず本文4ページに参りまして、
『図1とその付表は、OECD の推計した労働生産性、全労働時間当たりの実質購買力平価
GDP を G7 諸国で比べたものです。』
となっていて、『図1 主要国の生産性』というのがあるのですが、そもそもこの図1を見ますと、別に「大胆な金融緩和政策の発動以来、生産性が上昇しています。」ではなくて、基本的にトレンドに乗って生産性(ということになっているもの)が上昇していまして、そこに「QE導入」「QE解除」「QQE導入」とか区切りはありますが、その導入だの解除だのの前後で日本の生産性(ということになっているもの)が屈曲しているようなこともなくて、何がどう金融政策の効果なのかさっぱり分からん訳ですな。
でもって図表の次に説明があるのですが、
『図と表に見ますように、2012 年以降の生産性伸び率は日本が G7諸国のなかでカナダと並んで高く、米国よりも高くなります。時系列で見ますと、過去10年の平均よりわずかですが高くなります。』
とあるのですが、QQE導入は2013年なのでありまして、一般的に金融政策というのは実体経済に影響を及ぼすためにはタイムラグがある、という風に認識されていると思うのですが、ジンバブエ大先生の新ジンバブエ理論によりますと、QQE政策というのは時空を遡って労働生産性を高める効果があったという説明になるのですが、ジンバブエ大先生の中の時空が不思議な亜空間になっているのではないかと心配申し上げさせていただきます。
しかもその次に、
『これでは、QQE 導入後の日本の生産性の上昇はわずかだと思われるかもしれませんが、これまで世界の中で低かった日本の上昇率が高くなったのです。リーマンショック後、世界的に生産性が低くなる要因があったにもかかわらず、日本の生産性が高くなったと評価しても良いのではないかと思います。
』
と訳の分からん説明をしているのですが、図1を見ていただければわかりますように、ジンバブエ先生の定義する生産性という点ではそれこそリーマンショック直撃の米国は普通にトレンドもって上昇してたりしまして、別に他国と比べて物凄く伸びているようには全然見えないですし・・・・・・・・・
『しかし、労働生産性では、評価に歪みが出る可能性があります。なぜなら、企業は生産性の高い人から順番に雇っていく傾向があるからです。すると失業率の高い国では生産性が高くなります。』
となっていて、
『実際、失業率の高い国の生産性は高い傾向があります。イタリアもフランスも日本より生産性が高いですが、その失業率はそれぞれ
11.3%と 9.4%です(2017 年、IMF, World Economic Outlook Database)。』
って説明しているのですが、一方で図表1の年平均成長率(生産性)という図表がありまして(というかそれ見なくても図表1のグラフの線を見ればわかりますが)、イタリアもフランスも生産性の伸びという意味では日本よりも低くなっていまして、「失業率の高い国では生産性が高くなります」という説明と整合性が取れないように思われるのですが、何が何だかわかりません(><)。
でもってついでにその続きですが、
『しかし、失業率が高いとは、働きたいのに働けない人がいるということです。これは不幸なことです。失業率が低い、働きたい人がすべて働けた方が良いに決まっています。』
なるほど、と思わせておきながら・・・・・・・・
『そこで、生産年齢人口一人当たりの実質購買力平価 GDP という指標を考えてみました。』
????
『これですと、働きたい人が働いていれば高く、働いていなければ低くなり、歪みは小さくなるはずです。』
えーっとすいません、生産年齢人口一人当たりだったらそれは人口動態に依存する指標になるようにしか見えないのですけれども・・・・・・・・・・・・
とまあそういう訳で、何が何だか分からん説明がもうちょっと続くのですが、もはや何が何だかわからないのでこの辺でこの部分の鑑賞は一旦終了しまして(識者のツッコミを願いたい)次の章に参ろうかと存じます。次の章は『2.金融政策に対する批判への若干の反論
』となりまして本文8ページになります。
・・・・・・ああそれから、前回の福島金懇でも生産性がどうのこうのという話をしていたのですけれども、言ってる話の意味があるのかというツッコミは行っておりまして、(ちょうどPCが壊れて新機種導入とかやっていた時期なので日が飛んでいるのですが)2017年12月06日の駄文(http://www.doramemon7743.sakura.ne.jp/doramemon1712.html#171206)にその辺のツッコミを行ったのがありますが、今回は他のツッコミもありますのでこの辺で次に。
・インパール作戦ではないという説明なのだが単にインパール作戦の説明をしてどういう意味があるのやら
『以上述べましたように、金融政策は確かな効果を上げているのですが、なぜか現在日本銀行が行っている政策への批判は絶えません。』
そら目標達成してないんだから批判は絶えないわな。
『その中で、QQE はインパール作戦のようなもので、一刻も早く撤退すべきだという方もいます 6。』
なお、ここの脚注に選ばれるという栄誉に浴したのは、
『6 例えば、加藤出「戦争末期と重なる日銀徹底抗戦 黒田総裁が狙うは「一撃
講和」か」『DIAMOND online』2016 年 3 月 4 日。熊野英生「出口の迷路 金融
政策を問うE インパール作戦から早く撤退を」『エコノミスト』2017 年 11 月
14 日号。 』
となっていまして、アレに批判的に引用されるというのは金鵄勲章キタコレということで出さん熊野さん金鵄勲章受章おめでとうございます(^^)。
『インパール作戦とは、1944 年3月から7月初旬まで展開された、ビルマから進軍してインド北東部の都市インパール攻略を目指した作戦のことです。これは莫大な犠牲を出して惨憺たる失敗に終わり、無謀な作戦の代名詞としてしばしば引用されています。途中食糧はなく、餓死者を続出し、敵戦闘機に襲撃され、マラリアに罹病し、参加人員
10 万人のうち戦死者3万人、戦傷および戦病のため後送されたもの2万、残存兵力5万のうち半分以上も病人という状況に陥り、日本軍は壊滅的打撃を受けました
7。』
はあそうですな。
『しかし、QQE はほとんどの経済指標を改善させているのです。QQE を日本軍のインパール作戦と比べるのは比喩のつかい方として誤りだと思います。
』
藁人形キタコレとしか申し上げようがありませんが、インパールに喩えているのって、目標達成できないのにドンドンと戦線を拡大し、しかも確たる戦略も実はなくて机上の空論だった辺りとかを指摘していると思う(まあそういう点ではガダルカナルの方が似ているのかも知れませんが、インパールには戦争末期に戦局打開のためにとか言って軍事的観点を無視して突撃していったというのがQQE突撃に似ているというのもあるでしょうなあ、と思ったりする)のでありまして、これまるで反論になっていないのがもうねという感じです。
・対話ができないのでこじらせてしまったようでご愁傷さまです
次の小見出しが『市場との対話とは何か』でありますが、ここがまた色々と頭がクラクラとしてくる。
『関連して、金融政策の運営には、市場との対話が重要とよく言われます。QQE
に批判的な方々とも対話しないといけません。』
何か「対話」をリアルで会話するのと勘違いしていないか????
『通常、対話というものは、真実を探求するか、あるいは、相手の死活的利害がどこにあるのか、自分としてどこまで妥協できるかを値踏みするものでしょう。しかし、市場との対話とは、通常の意味での対話とは異なっています。』
前段の「QQE に批判的な方々とも対話しないといけません。」というのと、後段の「市場との対話とは、通常の意味での対話とは異なっています。」というのが思いっきり話の方向性が逆、つまり、前段の批判的な方々との対話云々というのはどう見ても通常の意味での対話という語義で使っているようにしか見えないのに、その後段では通常の意味での対話と異なっていると言っている時点で頭がクラクラとしてきます。
『抽象的な市場というものがある訳ではなく、そこに集まっているのは利害関係者であり、真実を求めている訳でもありません。』
???????????????????
この時点でお前は何をいっているのだという話なのだが、金融政策が実体経済に波及するトランスミッションメカニズムの中で、市場金利やら資産価格やらを通じたルートがあるので、金融政策の波及効果をより効率的とか高くするとかそういうためにも、金融政策の意図するところとか、どういうロジックや政策反応関数で政策を行っているのかというのを説明する、というのが市場との対話という論点で、市場が金融政策運営をどう考えているのかというのが市場動向として示されるものをフィードバックしながらコミュニケーションを考えていく、ってな話(ただし一々反応しすぎるとアラン・ブラインダーのいう「自分の尾を追う犬」になる可能性があるから要注意)という話だと思うのですよ。
というかですね、
『しかも、様々な利害関係者がいる訳で、市場の統一された利益がある訳でもありません。利害関係者の意見を聞かないで政策を行えば、独りよがりになって無用な混乱を生むでしょうが、利害関係者の言うとおりにすれば良いものでもありません。』
って結局「通常の意味での対話」になってるじゃんとしか申し上げようがないですし、大体からして政策批判の中には「物価目標行ってないじゃん」のほかに「累積的に副作用がたまっていくので政策を長期化するなら長期化に耐えられる建付けにしたらどうでしょう」という論点を提示している訳でございまして、まさに「独りよがりになっていませんか?」という指摘をしている中で「利害関係者の言うとおりにすれば良いものでもありません(キリッ)」と言っている辺りが独りよがりというものではないでしょうか。
まあそんなことより、ジンバブエ大先生の話がエクストリームなアレ方向に旅立ってしまわれているので、会話が成立し得無い状況になっているので、大先生が単にこじらせてしまっているだけにしかこのくだりを見ると思えないわけですな。
・藁人形だったり生兵法だったりする大先生の真骨頂が出て参りました!!!!
でもってその続き(文章としては連続していますよん)
『市場は金利の早期引き上げを求めていると言われることがありますが、実際に金利を引き上げれば、債券価格と株価の下落、円高で企業の経営が悪化し、信用コストが増大して、金融機関は大きな打撃を受けるでしょう。』
えーっとすいません、マイナス金利導入した時には円高と株安が発生しましたけど、ということでして、こんなのはその時の状況にもよるし、大体からして「過ぎたるは及ばざるが如し」でも「総括的検証」でも「リバーサルレート」でも何でもいいですが、金利引き下げの効果と副作用を比較衡量したら実は経済状況によっては副作用の方がでかい場合がある、というのが総括的検証であり、それに関連したリバーサルレート論などでありますので、そのあたりに則って、実は今のレートがリバーサルレートを下回っているんじゃネーノ的な微調整という話がある、というような背景を全無視する辺りが藁人形論法のお得意な大先生の真骨頂炸裂という感じですし、だいたいからして金利を上げろとかいう向きだって、政策金利を3%上げろとか10%上げろとか言っている訳ではないのに、上記のように言い切れるのがおっちゃん大丈夫っすかと申し上げたくなるのだが、何せMPMの主な意見にまでこうやって寄稿なされているのが明らかなだけに想定の範囲内だが頭が痛い。
『また、短期金利を上げても長期金利が上がるとは限らず、長短スプレッドはむしろ縮小してしまう可能性もあります。これは現在の米国で起きており
8、2006 年以降の日本で起きたことです。』
『金利を上げるとイールドが立つ、長短金利差が拡大すると多くの市場関係者が考えているのは、2016
年 1 月 29 日、マイナス金利を導入したときにイールドが寝たことの逆が起きると期待しているからだと思われます。』
藁人形キタコレ!!!
えーっとすいません、そのあとYCCになっているので前提条件は変化していまして、当然ながら今時点では「金利を上げるとイールドが立つ」とか言いましてもそれはやり方によって違ってきますし、そもそも10年の目標を今仮に30bp引き上げたとすると、瞬間的にはイールドが立つ可能性もありますが、暫く経過したら単に10年どころのカーブ修正になって、10年20年ってフラットすると考えるのが普通の発想だと思うのですが、ジンバブエ先生の仰る「多くの市場関係者」というのはどこの誰のことでしょうか????????????
いやまあ例えばマイナス金利そのままで10年目標30bpにしたら、そら短期と10年のイールドは立ちますが、それは政策的にそうしているだけの話なんですけど、もしかしてそういう事を指して「金利を上げるとイールドが立つ」とか言ってるんでしょうかねえ・・・・・・・・・・・・
『しかし、事実を見ると金融引締めでイールドが寝た場合が多いのです。』
でもって以下一生懸命金融緩和や引き締めとイールドカーブの話をしているのですが、最後に、
『すなわち、短期金利を上げた時、イールドが寝るか立つかは、その時々の経済情勢や市場の金融政策への見方によって異なります。短期金利を上げればイールドが立つと思うのは誤りです。』
とドヤ顔(かどうか知らんが)でまとめてますが、そんなのはお前に言われんでも債券市場の人間ならわかっとるわ(分からないのは駆け出しの小僧だけです)という話を一生懸命している辺りに落涙を禁じ得ません。
・さらに藁人形は続いた挙句に何か自爆しているんですが
『市場関係者が中央銀行との対話で求めているのは、政策の先行きを示して欲しいということだと思います。』
えーっとすいません、中央銀行との対話で別にそんなもん求めていませんが。求めているのは「中央銀行が経済物価情勢や金融情勢に対してどういう考えでいるのか」「その考えが金融政策にどのような反応関数として作用するか」という話であって、後は市場の方で経済物価動向やら金融動向を各人が判断して、先行きの見通しを立ててポジションの構築を行い、それがアグリゲートされたものが市場の価格形成として示される、ということになりますので、別に「明日は何をやる」みたいなのを事前に示せとか規制金利じゃないんだから言う必要もないんですが、あああと重要なのは「突然不意打ちで政策のロジックやら反応関数を変更しないでいただきたい」ということですな黒田総裁。
とまあそういうことでこの時点でストローマンスキームにも程があるのですが、
『しかし、中央銀行は、物価や景気の指標を見て、すなわちデータに基づいて政策を行っている訳ですから、カレンダーベース、すなわち経済状況にかかわらず事前に特定の時期に例えば
0.25%ポイントずつ金利を引き上げるなどという形で政策の先行きを示すことは一般にはできません
9。ただし、将来の経済指標の予測がある程度確実にできるようになれば、それに応じて先行きの政策を示唆することができるようになるのかもしれません。FRB(連邦準備制度)は、米国経済はそのような状況にあると考えているのだろうと思います。』
お前に言われんでも分かっとるわ。
『予想物価上昇率が2%にアンカーされている米国では、将来の物価の予測もより確実に行うことができ、したがって、政策の先行きを示すことができるのかもしれません。しかし、米国でも、ドット・チャートに示される政策の先行きは外れることが多く、無用の混乱を呼んでいるとの批判もあります
10。』
ちなみにブラード(ドットチャートでロンガーランを出さないおじさん)の発言を引用していますが、別に無用の混乱生んでいるという程の事もないだろ少数意見を持ち出して話をするなよヴォケというのもありますが・・・・・・・
『予想物価上昇率が 2%にアンカーされていない日本の現状では、将来の政策をカレンダーベースで示すことは、一層困難であると思われます。中央銀行は、市場とは対話すべきですが、その政策は、物価安定と国民経済の健全な発展、金融システムの安定性を目指して行うべきものと思います。
』
えーっとすいません、QQE導入の時に「2年程度を念頭にできるだけ早期に物価目標を達成する」ってリフレ派の置物大先生様が提唱したんじゃなかったでしたっけ?????
しかも脚注9でも、
『9 一橋大学大学院商学研究科の国際シンポジウム「中央銀行行動と金融政策:世界経済と日本」(一橋講堂、2017
年 5 月 12 日)で、イスラエル中央銀 行総裁を務めたジェイコブ・フレンケル氏は、中央銀行の政策はデータベースでなければならず、カレンダーベースであってはならないと強調していた。』
となっていましたが、とにかく2年で2%という達成期限をやたら強調し、そのために追加緩和(バズーカU)までやっていた中央銀行とはこれ如何にという感じっすな。
という訳で最後に盛大な自爆オチで締める辺りがさすがのジンバブエクオリティ(だいたいQQE批判だって「金融政策は物価安定と国民経済の健全な発展、金融システムの安定性を目指して行うべきもの」という観点で批判しているんですが頭沸いてるのかというお話でもあります)ですわな。
・銀行経営に対する批判があるのだが言っていることの意味が分かりません><;
次の小見出しが『金融緩和政策と銀行経営』という読む方からしたらそんな餌に俺様が釣られクマーって奴ですが、まあきっちりと釣られクマーになって参りましょう。
『市場関係者の一部ですが、銀行経営者も、QQE の生み出した低金利によって銀行経営が苦しくなっており、これが
QQE の副作用と主張します。』
元々金融業、なかんずく預金金融機関となりますと、業務の性質上国内をドミナントな市場としてやっていくことになりますので、国内の経済という意味で言えば何せ人口が縮小する中で虞や虞や汝を如何せんというモードである中で、マイナス金利だの極端なイールドカーブのフラット化だのが一気にとどめを刺しに行っている、というような状況な訳です。
いやもちろん日銀の金融政策が効果を発揮して物価目標2%を達成して経済もそれに見合った持続的な強めの成長がつづくようになれば、そら国内の金融だってパイが増えていくことになりますので、政策がちゃんと効いて、その結果として正常な状態(と言われる状態)に戻るのであれば、そら目先多少の赤が出ても先行きの見通しが立つんですが、それが何も立っていないで牛の涎みたいにダラダラと緩和政策垂れ流して何言われてもモーモー(モメンタムは維持されている)としか言わないんですからそら批判が出るわな。
『銀行経営者は、民間銀行のビジネスモデルは、正の金利を前提として、高い長期金利と低い短期金利の差で利益を得るもので、QQE
は、それを否定するものだと言います。』
えーっと、だれがそんな説明しているのか見せていただきたいと思ったら案の定脚注が無い訳でして、まさかとは思いますが、貴方様のいう「銀行経営者」はあなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか。
そもそも金融機関は満期変換のほかにもクレジットスプレッドがありますし、リレーショナルバンキング(そういや最近あまり目立たなくなったなその言葉)による融資先企業の付加価値向上への取り組みなど、色々なことをやっているのですけど。
『これは、仕入れ価格と販売価格を決めてもらわなければ商売ができないと言っているのに等しいことになります。』
?????????????????????????????
全く持って話が繋がっていないのですが、どこの銀行経営者が短期金利と長期金利の水準を日銀が決めてもらわないと商売ができないと言っているのでしょうか?????????
『しかし、あらゆるビジネスは変動するコストと売り上げの差から利益を得るものです。』
この人は一体何と戦っているのでしょうか??まさかとは思いますが戦っている相手はあなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか???
・さらに話は続くのだがもうね・・・・・・・・
『銀行経営が苦しいのは、借りる人がいないからです。』
そもそもリフレ政策を達成したらハッピーハッピーという話になっておりまして、しかも政策の効果は出ている(物価目標は達成していないけど)という事のようですが、景気が良くなって安定的な経済成長を(名目でも)するようになるんだったら「借りる人がいない」って事態にならないんじゃないでしょうか?????借りる人がいないのは需要が足りないのか供給が過剰なのかなので、政策が大きな効果を上げたとかいうのは言いすぎなんじゃないですかねえ。からです」というような状況になっている
『マクロ的に見れば、日本の企業は十分すぎる現預金を持っているのですから、借りる必要はありません。日本の企業は、2018
年3月末で 261兆円もの現預金を持っています(日本銀行「資金循環統計」民間非金融法人企業)。資金需要に対して、供給が多すぎるのです。』
えーっとすいません、その資金を供給することによって経済に影響を与えて金融政策の目標を達成しようとしていると思うのですが、「資金需要に対して、供給が多すぎるのです」とか言われてしまいますと大先生様におかれましては金融政策で実体経済の何をどう動かそうとしているのかっての分かってやっているんですかと小一時間問い詰めたい。
『さらに、前述のように、実際に金利を引き上げれば、債券価格と株価の下落、円高で企業の経営が悪化し、信用コストが増大することで、民間銀行は大きな打撃を受けるでしょう。また、短期金利を上げればイールドが立つかどうかも分かりません。
』
また異世界ファンタジー世界の話をしていますし、大体からして「短期金利上げてイールド立てろ」とか言ってる人見たことない(イールド立てるためにマイナス金利解除して長期の目標金利を上げるとか10年目標から5年目標にする、という形にする、という話はあるけど、あくまでも総合的なセットでのお話ですわな)ので、これまたジンバブエ先生が想像上の存在に対して戦っておられるのではないかと危惧されます。
『さらに、金融緩和を続けていくと、民間銀行だけでなく、将来、日銀の財務が悪化して大変なことになる、という議論もあります。しかし、そのようなことはありません。これについては、すでに説明していますので、ここでは申し上げません
11。 』
日銀の財務云々に関しての話ももちろん福島金懇であったのですが、この部分のツッコミは12月11日の駄文(この時は途中でPCが壊れていて更新できなかったお詫びがてら、やたら日数を取って下調べを入念に行ってツッコミをする、という企画で物凄いシリーズ企画になってしまいました)の方でネタにしておりますのでご参照ください。http://www.doramemon7743.sakura.ne.jp/doramemon1712.html#171211
・何と一か所だけ大先生がレナードの朝状態になっておられるように見えます
その次の章は『3.最近の経済情勢と物価の展望 』でして、
『これまで長期的な経済情勢についてご説明して参りましたので、これからはやや短期的な状況についてお話ししたいと思います。』
ということでお話がありますが物価の話はスルーしていることは言うまでもありませんので読んでもツッコミをする気力が湧きおこってこないのですが、その最後の方にFSRの記述を援用してこんな説明があります。
『図には、日米ユーロ圏の株価と PER(株価収益率)の両方を示しています。これを見ますと、日本の株価の回復は米国に到底及ばず、株価収益率は
14 倍程度と大きく上昇している訳ではありません。』
『本行の FSR(Financial System Report)、『金融システムレポート』( 2018
年4月号)(30-33 頁)を踏まえても、』
・・・・・・まずここで結構びっくりしまして、この先生FSR読んだのかおお感心感心と思いましたが、読んだのでしたらQQEからの一連の政策により金融機関の収益状況の悪化が加速しているという分析辺りもご覧になられると今までお話をしていた部分の説明も少しは変わるのではないでしょうかと思いますが、どうせ大先生の場合は自説に都合の悪い部分は読んでも認識できないというような面白パターンなんでしょとは思われますな。
『資産市場は全体として大きな不均衡が蓄積されてはいないと判断できますが、最近の株価、不動産業向け貸出の対
GDP 比率、金融機関の貸出態度判断 DI など一部の指標では、上昇テンポが速かったためにトレンド範囲の上限近くなっています。金融不均衡の兆候がないか、不断に点検していくことは必須のことと思います。』
>金融不均衡の兆候がないか、不断に点検していくことは必須のことと思います
大先生の金懇挨拶の中で全面的に同意する箇所が発生するとはこりゃビックリ。
・2%物価は2%台前半の失業率が続くと行くんだって
『2%物価目標達成への道筋 』というところですが、
『先ほど、消費が弱いと申し上げましたが、物価もそうです。しかし、景気回復が続けば、雇用が逼迫し、やがて物価は上昇していくはずです。
』
とありまして、以下延々と失業率ベースのフィリップスカーブの話をして、要は現状(直近で2.3%)程度の失業率が続けば物価は上がっていきます、という話をしていまして、ここのところはああそうですかそうなるといいですねえという話しかしようがないのですが、メカニズムの中にインフレ期待が高まっていくという話が見事なまでに存在しないのは何なんでしょうあんさんたち期待に直接働きかける金融政策という画期的なものを行ったんじゃなかったでしたっけとツッコみたくなりますが、この部分は全面的に飛ばして最後に登場するメインイベントジンバブエ原田レスラーリングで大暴れの巻を鑑賞して不毛なツッコミ大会の締めが近づいてまいります。
・認知的不協和から神の世界を語りだすというまさかの展開
次の小見出しは『QQE に対する認知的不協和 』です。本文19ページ。
『私には、QQE に反対している人々の態度には認知的不協和と言われるものがあると思えます。認知的不協和とは、マーケティングでも使われる心理学の用語ですが、自分の認識と新しい事実が矛盾すると不快に思うということです。その場合、少なからぬ人々は、新しい事実を否定することによって不快感を軽減しようとします。』
マネタリーベースを増やしたら物価目標が達成できるはずが全然達成できなくてくやしいのうくやしいのう。
『QQE で経済は良くならないという自分の強い認識に対し、現実に経済が改善しているという事実を突き付けられたとき、その事実を否定、または、今は良くても将来必ず悪化すると主張して、不快感を軽減しようとするわけです。』
元々QQEやった時は物価安定目標2%を早期に達成すると経済の色々な問題が解消されますという触れ込みでやっていた筈なのですが、その話はどこに行ったのでしょうか、ああそれから大先生景気サイクルって言葉ご存知でしょうか???
『例えば、将来、金融緩和の出口で大変なことになるという主張も、将来の可能性を述べて、不快感を軽減しようとしているものです。現在ではなくて、将来のことですから、当面、不快感を味わわなくてもよいことになります。』
何か凄い理屈過ぎて浅学菲才の凡人でありますところのアタクシには何をおっしゃっているのか理解致しかねますが、将来の可能性を述べて不快感を軽減しようということは、この前どこかの誰かさんが「国難突破解散」とか言っていましたが、あれももしかして認知的不協和の一種だということになるのでしょうか???
まあいずれにせよ金融政策のみならず心理学におかれましても深い造詣をお持ちになっていらっしゃるとか、大先生におかれましてはそんじょそこらの市場のチンピラゴロツキが遠く及ばない知見をお持ちでいらっしゃるというのは把握いたしました(完全なる棒読み)。
しかしメインイベントだけにこの程度で終わらなくて、前回の福島金懇も泣いて逃げ出すようなお話がここから始まるのであります。
『さらに、金融緩和政策の手段そのものを否定しようという心理もあるように思います。大胆な金融緩和は危険であり、そのような手段を取るべきではないというのです。』
まーた見えない敵との戦いを行っていますが、「実体経済主体との金融取引において名目ゼロ制約がある中で、市場金利をマイナスにするという行為は、市場金利を実体経済に仲介していく金融部門に対する事実上の課税に他ならないので、金融政策のトランスミッションメカニズムを本質的に阻害することにならないのか」という批判なら普通にあると思いますけどね。
『人間は、太古からこのような感情をいだいていたのかもしれません。』
?????????
『神話は、神に挑戦した人間たちの悲劇を繰り返し描いています。バベルの塔、太陽に近づいたイカロス、土で作られ、命を与えられたゴーレムが破滅を導いた神話です。QQE
に反対する人々は、QQE も神の領域を侵すものだと言いたいのかもしれません。
』
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)
『また、歌舞伎の 雷神不動北山桜には、朝廷が、邪悪な心を持った 早雲王子を皇位から遠ざけるため、鳴神上人に寺院建立を約束に、本来は女子として生まれるはずの子を超人的な力−変成男子の行法―により世継ぎの皇子として誕生させたという話があります。ところが、朝廷は、上人は自然の摂理を侵したとして、寺院建立の約束を反故にしてしまいます。しかし、QQE
は自然の摂理を侵すような方策でしょうか。 』
・・・・・(;゚д゚)(;゚д゚)(;゚д゚)(;゚д゚)(;゚д゚)(;゚д゚)
『ローマに税金を払うべきか否かを問われたイエスは、銀貨に皇帝の肖像が彫られていることを人々に確認させた後に、「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返せ」と言われました。貨幣に関わる金融政策は、神のものではなく人間のものです。人間のものであれば、理論と事実に基づく議論を避けるべきではありません。』
・・・・・(゚д゚)(゚д゚)(゚д゚)(゚д゚)(゚д゚)(゚д゚)
そもそも大先生のお話が理論と事実に基づく議論になっていないようにしか思えないのですが、どうもジンバブエ大先生は大先生なだけに遂に今回の金懇ではついに神まで持ち出してこられました。あーありがたやありがたやナンマンダブナンマンダブ。
ということで鑑賞をいったん終わらせておきますが、いやもうマジで回を追うごとに話がアレになって来ていまして、これだって何回も読まないとそもそも文字列が意味のある文章として認識できないという何とか文書みたいな世界になっているんですが、あと1年ほど任期があると思うのですがこの調子だと退任の時にはどうなっているのかというのも怖いもの見たさではありますな。
2018/07/04
お題「相変わらず横ばいの企業の物価見通し/超虫干しネタでパウエル議長のFOMC後会見ネタの続き」
エライ速さで(東京は)梅雨明けしたと思ったら台風がもう来るとか、近年はパターンが違ってきているのには慣れましたがジジイのアタクシにはやはり違和感が。
〇短観の物価見通し関連
ほほう。
http://www.boj.or.jp/statistics/tk/bukka/2016/tkc1806.pdf
短 観(「企業の物価見通し」の概要)―2018年6月―
第177回 全国企業短期経済観測調査
とまあそういうことで毎度の企業の物価見通しなのですが・・・・・・・
1.販売価格の見通し(現在の水準と比較した変化率)
全規模合計 全 産 業
1年後 前回:0.7%→今回:0.7%
3年後 前回:1.2%→今回:1.2%
5年後 前回:1.4%→今回:1.5%
まあ要するに全然動いていないということですな。
2.物価全般の見通し(前年比)
全規模合計 全 産 業
1年後 前回:0.8%→今回:0.9%
3年後 前回:1.1%→今回:1.1%
5年後 前回:1.1%→今回:1.1%
ということになっておりまして、やったね!1年後の物価見通しが上がっているよ!!!とか言うのは物は言いようにも程がある話で、まあ要するに物価全般の見通し全然上がってないじゃん2%インフレ期待って何でしたっけ、となるのが普通だと思います。
そして昔さんざん言っていたのだが最近すっかり言わなくなった「エコノミストや大企業などは目先の物価動向に一々反応するのでアカン、真のインフレ期待は中小企業や家計などの部門に現れる」というお話を尊重しまして・・・・・・・
中小企業 製 造 業
1年後 前回:1.0%→今回:1.0%
3年後 前回:1.2%→今回:1.2%
5年後 前回:1.3%→今回:1.3%
中小企業 非製造業
1年後 前回:0.9%→今回:1.0%
3年後 前回:1.2%→今回:1.2%
5年後 前回:1.3%→今回:1.3%
どう見ても横ばいですし2%に全然届いていません本当にありがとうございましたという結果になっております。
・・・・・・のですが、これまた物は言いようでございまして、例の「モメンタムは維持されている」というマジックワードに当てはめて考えますと、4月5月とCPIの伸び率がやや鈍化する中においても、期待インフレに関しては「下がることなく推移している」ということです。おまけに直近では先日出てきた6月東京都区部のCPIがやや強めに出てきたという大変に素敵なデータもありますので、期待インフレという意味においては、6月以降アクチュアルの物価が再び確りとした足取りを示す中で徐々に適合的期待形成にも及んでくることも期待できますとかいう謎の理屈をこね回す事によりまして、モメンタムは維持されている(需給ギャップの方は何せ先般出た失業率が2.3%とか何ですかそれはという結果ですのでモメンタムは維持されているという説明ができる)ということで言い張れるのでしょうな。
なお、追加緩和(と言っても単純な利下げみたいな追加緩和は効かないくせに弊害は大きいという面白仕様になっているのでやる場合は工夫が必要になりますが)するということになった場合は、企業の物価見通しなどが強含まない中においてモメンタムを強化することが必要、というような形で同じ数字なのに何故か華麗に説明が変わってくるという七色の変化球を投げ込んでくるのが日銀の仕様になっていますので、結局のところ「日銀執行部のやりたい(場合によっては追い込まれてやらされるというのもあるが)方向性で理屈をつけてくる」という感じが思いっきり強くなっているというのが特に総括的検証以降の政策ロジックとなっております。なおQQEの導入当初は2%を2年をめどに早期達成という看板があったので「物価目標達成が遅れそうなら追加緩和」だった訳で、バズーカ2とかマイナス金利もその延長線上だった訳ですが、そのあとだんだんおかしくなってきて総括的検証になって今に至るという流れではありますな。
つーことでまあ順当に横ばいの結果が出てきましたので、とりあえず「企業の価格見通しを見たらモメンタムが下向きになってなっているじゃないか追加緩和待ったなし!」と言われずに済んで良かったですね(棒読み)程度のインプリケーションしかないのでありました(総括的検証前ならもうちょっとインプリケーションがあった訳ですが)。
〇今週は本日以降日銀ネタが投下される見込みなのでFOMC超虫干しネタの続きで
超虫干しネタですいませんすいません。
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180613.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference June 13, 2018
・中立金利に到達した後はどういう判断になるの?という質問
上記URL先の7ページ目の質問から参ります。
『NICK TIMIRAOS. Thanks. Nick Timiraos, the Wall Street Journal. So the
Fed is about four interest rate increases, using the projections released
today, away from what might be considered a neutral fed funds rate. And
I wanted to ask how you’re thinking about what to do once you get to neutral.
Under what conditions would you decide, once you get there, that it’s
okay to stop raising rates? And under what conditions would you want to
keep going? 』
これはなるほどな訳ですが、中立金利水準と考えるところ(SEPのロンガーランだと2.9%とかになるのであと4回利上げ)に到達した場合、どういう基準で利上げを止めるのか、あるいは利上げを続けるのか、というのはどんな条件の時になるんでしょうかという質問。
『CHAIRMAN POWELL. So for many, many years, we’ve been far from maximum
employment and stable prices, and so the need for accommodative policy
has been-has been clear. As the economy has strengthened and as we’ve
gradually raised interest rates, the question comes into view of, how much
longer will you need to be accommodative? And how will you know? How will
you know where-at what point policy will be neutral?』
特に会見の前半がそうなのですが、パウエル議長一々相手の質問に対してこういうことですなとか言いながら話をするのが仕様で、まあ良いんだか悪いんだかよくわからんけど、文字にされて読むと冗長な感じを受けてしまいます。実際は対話のやり取りになるので一々こうやって相手の質問を確認する(割には斜め上の答えでスルーする場合も多いのですが)のはアリなのかも知れないとか思いつつも、まあこれがパウエル仕様ということで。
『Neutral meaning that interest rates are neither pushing the economy up nor trying to restrain it.』
いやそれは分かってるがな。
『So we know that we’re getting closer to that neutral level. We don’t
have an exact sense of how that will be. So the Committee is discussing,
very actively, the questions that you raise. And, really, it boils down
to a question of, what is appropriate policy? And, you know, I-you asked,
how will we know? So I think we’ll be very carefully looking at incoming
data on inflation, on financial readings, and on the labor market. We have
to acknowledge that there are always wide uncertainty bands around the
level of, for example, the natural rate of unemployment. But also, what
is the neutral rate of interest? What is that rate of interest that pushes
neither up nor down? So I think we-we’ll be guided by incoming data on
the economy and try to keep our minds open as we move forward. 』
つーことで結論はゼロ回答なのですが、どの水準が中立金利かという点については、そもそも中立金利水準自体が決め打ちできるものではなくて、幅のあるものである以上、出てくる経済物価指標を見ながら判断して行くしかないので、政策判断に関しても同様ですよ、という当たり前ちゃあ当たり前なのですが、経済学者出身の方と比べますと、「走りながら考える」というスタンスをより強く出しているなあと思います。
もちろん、状況が違うというのもあって、以前はロンガーランの中立金利水準から見たら政策金利が断然低い所にあって、その水準を意識しながら政策運営をする必要はなかったのですが、ここから先はどの辺が中立金利水準で、利上げをどこで打ち止めにするのか、という判断をしないと行けなくて、まあ少々の誤差だったら無問題なのでしょうが、利上げ打ち止めが遅れてしまうとそれはそれでアカンがなという話になってしまいますので、慎重にならざるを得なくて、その結果歯切れのあまりよくない説明になる、というのは仕方ない面があると思うので、学者だから明快に話をする、というような割り切りをするのもナイーブな言い方かな、とは思ったりもするのでありました。
・「シンメトリックな物価目標」に関して
10ページに飛びます。
『DONNA BORAK. Donna Borak with CNN. You said earlier that it’s still
a little too early to declare victory on inflation. I wanted to circle
back on a question that was asked at the initial press conference about
what-what does the Fed say in regards to the inflation target as symmetric?』
「シンメトリックな物価目標」に関して質問とな。
『Like has the Committee given any further thought in terms of how comfortable
it would be rising above-whether it goes higher than 2.1, if it reaches
2.2, 2.3, and for how long? And now that you’re planning to hold these
regular press conferences, starting next year, how do you explain-how do
you plan to explain that to the American people that inflation is not overrunning?
』
どこまでの上昇を容認するか、という質問だがまあ微妙な質問でして、
『CHAIRMAN POWELL. You know, what we’ve said in our Statement of Longer-Run
Principles and Monetary Policy Strategy is that the Committee would be
concerned if inflation were to run persistently above or below 2 percent,
persistently above or below 2 percent. And that’s what we mean by symmetric.』
いやそう言われましても・・・・・・・
『We’re looking at it equally on either side and it’s a matter of persistent
overruns. We know that inflation is going to bounce around. For example,
as I mentioned, later this summer there’s a good chance that headline
inflation will move up above 2 percent because of oil prices. Things buffet
inflation back and forth, but-so we acknowledge that, we understand that-and
if inflation were to persistently run above or below 2 percent, then we
would be using our tools to try to move inflation back in the direction
of the target.』
現状では2%より低い状態が長く続いているので緩和政策を継続していますとな。
『We do understand, though, that we don’t have the ability to precisely
hit that target, so we expect that inflation will be above or below. And
we just hope that that is-happens on a symmetric basis.』
ということで(まあ質問も悪いのですけれども)結局のところ煙に巻いていてあんまり答えになっていないのがパウエルクオリティですが、もし答えるならば「その時の水準だけで判断するのではなくて、先行きの見通しも含めて判断するので、物価が上方に乖離した時に水準で自動的に判断する訳ではありませんよ」みたいな説明をすれば良いような気がするんですが、説明が堅いというか不親切な感じは否めませんな、まあ慣れの問題かもしれないですけど。
あと、あんまり話に最近話に出なくなっていますが、そもそも物価を上げる方向と下げる方向で金融政策の容易さが違うという面があるのではないか、という論点もあるんじゃないかと思うのですが最近その話あまり出ませんなそういえば。
・利上げして文言削除して政策金利のドットが上がったけど政策スタンスが同じとはこれ如何に?
という質問が11ページに。
『MARTIN CRUTSINGER. Marty Crutsinger, Associated Press. At this meeting,
you hiked your-the funds rate, you changed the dot plot to move from 3
to 4 for this year, and you took out a sentence that you’d been using
for years about how long rates might stay low. But you say that none of
this signals a change in policy views. But shouldn’t we see from this
combination of things that the Fed is moving to tighter policy? 』
そらそうだ。でもってその答えですが、
『CHAIRMAN POWELL. I think what you should see is that the economy is continuing
to make progress. The economy has strengthened so much since I joined the
Fed, you know, in 2012 and even over the last couple of years. The economy
is in a very different place. We-unemployment was 10 percent at the height
of the crisis. It’s 3.8 percent now and moving lower.』
ということで一々余計な説明が入るのが(アタクシ的に)この会見のTranscriptを読みにくくして下さる要因。
『So really what you-the decision you see today is another sign that the
U.S. economy is in great shape. Growth is strong, labor markets are strong,
inflation is close to target, and that’s what you’re seeing. For many
years, as I mentioned-many years-we had interest rates held low to support
economic activity. And it’s been clear that as we’ve gotten closer to
our statutory goals, we should normalize policy, and that’s really what
we’ve been consistently doing for some years now.』
結局「利上げしてるのに何で政策スタンスが同じ」という質問には答えていないのですが(笑)、米国経済が良い状態で徐々にFEDのマンデート達成に近くなっているのでそれに応じて政策を運営しています、というだけの答えになっておりまして、そんなもんマンデート達成に向けて政策を行っていくからその中で調整を行うとか当たり前の話であって、それが同じだから政策スタンスが同じ、みたいな答えをするのって何か思いっきり煙に巻いているだけのようには思えますが、別の読み方をすれば「スタンスが中立に近づいている」と言わないようにする、という点でパウエルさん割と慎重な物言いをして、あまり威勢のいいことを言って過度な金利先高観を出したくない、というスタンスなんだろうなーという読み筋にもなると思いまする。
・賃金が上がらんのはパズルだという発言頂きました
確かこの部分は話題にはなっていたと思うのだが同じく11ページから始まる部分。
『HEATHER LONG. Hi, Chair Powell. Heather Long from the Washington Post.
Can you give us an update on what the FOMC thinks about wages?』
キタコレ。
『Are we finally going to see that wage growth pickup this year? I know
you’re forecasting a little bit more inflation, but is that going to translate
through to wage growth? 』
足元の物価見通しを上げているのはたぶん財政効果だと思いますが(^^)。
『CHAIRMAN POWELL. You know, wages have been gradually moving up. Earlier
in the recovery, they were-there are many different wage measures, of course,
but-so just-but just to generalize, wages were running roughly around 2
percent and they’ve moved gradually up into between 2 to 3 percent as
the labor market has become stronger and stronger.』
景気回復当初は賃金の伸びは2%程度でしたが最近は3%ほどになってきていますと。
『I think it’s fair to say that some of us-and I certainly would have
expected wages to react more to the very significant reduction in unemployment
that we’ve had, as I mentioned, from 10 percent to 3.8 percent.』
一方で失業率は10%から直近3.8%までvery significant reductionをしている訳で、あなたも私ももうちょっと賃金が反応してもエエンチャウノと思っているんじゃなかろうか。
『Part of that can be explained by low productivity, which is something
we’ve talked about at the Committee and elsewhere. But, nonetheless, I
think we had anticipated, and many people have anticipated, that wages-that
in a world where we’re hearing lots and lots about labor shortages-everywhere
we go now, we hear about labor shortages-but where is the wage reaction?
So it’s a bit of a puzzle. I wouldn’t say it’s a mystery, but it’s
a bit of a puzzle. 』
そのうち一部は生産性がアガランチ会長であるということで説明できるのですが、FOMCでも色々と議論しているけれどもこれだという答えはまだ出ていなくて、寧ろpuzzleだ、mysteryとは言わないけれども少々puzzleだ、というのが来ました。
『And, frankly, I do think there’s a lot to like about low unemployment.
And one of the things is-you will see-pretty much people who want to get
jobs-not everybody-but people who want to get jobs, many of them will be
able to get jobs. You will see wages go up. You’ll see people at the,
sort of, the margins of the labor force having an opportunity to get back
in work. They benefit from that. Society benefits from that. So there are
a lot of things to really like, including higher wages, as you asked. Our
role, though, is also to, you know, to make sure that-that maximum employment
happens in a context of price stability and financial stability, which
is why we’re gradually raising rates. 』
とは言いましても雇用の方は順調な訳でして、人々が仕事を見つけやすくなっていますし、賃金も上がってはいるので、物価の安定、金融の安定の中で最大雇用が起きているから利上げはしております、ということで話をまとめておりまして、まあ物価が確りしてきたから賃金この程度でも良しみたいな感じなのかどうかは分かりませんけれども、賃金の上げが弱いから利上げを遅らせるとかそういう話ではないですよ、と言いたいんでしょうな、と思いました。
#ということでだいたい質疑の前半でしてもうちょっとだけあるちゃああるのですがそれはまた後日ですいません
2018/07/03
お題「短観でしたな/乾物ネタのFOMC会見ネタ」
ほうほうそうですか(昨日の辞意表明は何だったのかと)
https://jp.reuters.com/article/-idJPL4N1TY5J3?il=0
2018年7月3日 / 05:34
独CSU党首が辞意撤回、メルケル首相率いるCDUと移民問題で合意
〇短観私家版観測+α
いやー実は昨日起床した時には短観なのすっかり忘れていましたわ。
http://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2016/tka1806.pdf
・先行きDIの達成度合い
(3月時点) (6月時点)
現状→6月予測 現状→12月予測
製造業大企業 +24→+20 +21→+21
製造業中堅企業 +19→+14 +20→+16
製造業中小企業 +15→+12 +14→+12
非製造業大企業 +23→+20 +24→+21
非製造業中堅企業 +21→+16 +20→+16
非製造業中小企業 +10→+5 +8→+5
前回3月短観ではこんなことを書いておりました。
今回なんですが、「2年ぶりに改善とまる」みたいな書き方もされていたりしますし、2017年度の想定為替レートが下期でも110.40になっていて、それだと業績確定時に下方修正にならんかねとかいうツッコミもあったり、2018年度の想定為替レートも109円後半ってそれで良いのかとか、まあそんなツッコミどころはあって微妙な評価だとは思うのですが、まあでも水準が水準な訳ですからこれはこれで強いんでしょと思いますし、先行きDIは相変わらず達成(ただしこの辺りの水準にある時は先行きDIが堅めに出てくるのが仕様なので達成して当たり前という感じはする)しておりますので、要はここから次回更に下向きって感じになってくるとそらもう天井感出てくるけど、今回だけでは判断付きかねるという所ではないかと思います。(4月3日に書いた駄文より)
前回は「改善止まる」で今回は製造業大企業を見ると頭打ち、ということになるのでまーそっちが報道ベースでは出ると思う(一般ニュースをちゃんと見てない、汗)のですけれども、「前回の見通しDIの達成度合い」という観点で見ますと全規模に渡って3月短観時点での見通しよりも良い数値になっております。
しかも今回は想定為替レートが前回の年度109.66が107.28になっていまして、概ね2円半円高に振れたのですが見通しDIよりも上振れという結果。まあだいたいDIのプラスが大きい時というのは、傾向として先行きDIは「堅め」に見るということで現状よりも弱めに出るのが普通なので、その点で言えば製造業大企業のDIが前回対比下がっているとは言いましても、見通しDIよりは良い数字になっていますし、それ以外の規模、非製造業では概ね前回DI対比横這いでの推移となっていますので、まあこんなもんちゃあこんなもんでしょう。ただ、今申し上げたように基本は先行きDIが堅めに出るはずのところで、大企業製造業の先行きDIが横ばいというのはいつもと違うパターンになっているので多少は気になります。
・業種別計数で気になったこと(いつもの定点観測以外のネタ)
・・・・・・ということで、アグリゲートしてみれば全体の数字自体はそんなに悪くはないと思いますけれども、一つ非常に気になったのは短観概要の鏡のページにある「業種別の計数」でして、今回非製造業で「小売」のDIがプラスマイナス0になっておりまして、非製造業の中でダントツに業種別DIが悪くなっています。
最近個人消費が弱めじゃないのかとか、先週末に開始となった夏物セールにピラニアの如く買い物ピープルが群がっておりまして、それまでおまいらどこにいたんだよ(バーゲン待ちで買い控えをしていたんでしょうけど)というような風情だった辺り(セールでも安くした分は売り上げ数量出れば良いのでしょうけれどもそこまでの買い控ェ・・・・・)するのと整合的なのが出てきたのにはちょっと唸るものがありました。
あと、これは後程同じ話をしますが、預金金融機関のDIが悪化気味になっているのは大規模緩和の「累積する副作用」かもしれませんなとは思いまして、業種別計数まで見た場合には気になる点があることを付け加えさせていただきます。
・雇用判断DI(ここの数値はマイナスが大きい方が雇用情勢的には良い)
(3月時点) (6月時点)
現状→6月予測 現状→9月予測
製造業大企業 ▲18→▲15 ▲16→▲17
製造業中堅企業 ▲29→▲26 ▲25→▲26
製造業中小企業 ▲28→▲27 ▲29→▲34
非製造業大企業 ▲28→▲27 ▲27→▲28
非製造業中堅企業 ▲37→▲40 ▲36→▲40
非製造業中小企業 ▲41→▲45 ▲39→▲45
水準が超越マイナスなのは毎度の事で労働需給は逼迫しっぱなしという所ですが、多少気になったのは、
この数字に関しても「逼迫感が若干緩和」の方向になっていることでして、この調子で次回短観でも逼迫感が若干なりとも緩和する方向になってくると、さすがに景気のサイクルも天井を打ったとかそういう話になってくる(あるいは2020年東京五輪とかその前に消費増税とかそっちの方を意識している結果、「アンケートの答え」がピークアウト感出るような回答になっているだけなのかもしれませんけれども・・・・・・)ので多少唸る点はある。
・販売価格判断(「上昇」-「下落」)
(3月時点) (6月時点)
現状→6月予測 現状→9月予測
製造業大企業 +4→+4 +5→+5
製造業中小企業 +3→+6 +5→+8
非製造業大企業 +4→+4 +5→+5
非製造業中小企業 +1→+2 +4→+3
仕入価格判断(「上昇」-「下落」)
(3月時点) (6月時点)
現状→6月予測 現状→9月予測
製造業大企業 +26→+22 +30→+24
製造業中小企業 +39→+42 +43→+44
非製造業大企業 +16→+16 +16→+18
非製造業中小企業 +24→+28 +29→+30
今回は販売価格判断DIが上がっていますが、それ以上に仕入価格判断DIの上がりの方が大きいというのがうーんという感じ(ただし割とその傾向はあるから過大評価するのは禁物だと思う)なのですが、それ以外に見ていてほほーと思ったのは大企業製造業の仕入価格判断DIが前回に引き続きしらっと上昇していることで、まあ大企業の段階まで仕入価格上昇の影響はおよbでいて、中小企業の仕入れ先をとっ捕まえて仕入価格を改善しようというのも限度があるちゅう話ですかなとは思いました。
とは言いましてもゼロ近辺でずっと安定していた販売価格判断がじりじり上がっている方を捕まえて日銀ニッコリでしょうかねえ、よくわからん。
・需給判断DI
国内需給判断(「需要超過」-「供給超過」なのでプラスの方が強い)
(3月時点) (6月時点)
現状→6月予測 現状→9月予測
製造業大企業 +0→▲2 ▲2→▲1
製造業中小企業 ▲9→▲12 ▲10→▲11
海外需給判断(「需要超過」-「供給超過」なのでプラスの方が強い)
(3月時点) (6月時点)
現状→6月予測 現状→9月予測
製造業大企業 +4→+4 +4→+3
製造業中小企業 ▲3→▲4 ▲3→▲4
大体横ばいなんですが、製造業大企業の所が前回比悪化(12月短観では▲1だったのが+0になって今回▲2)しているのは誤差の範囲内ちゃあ誤差の範囲内なのですが微妙に気になる。
・金融商品取引業もそうだが今回は預金金融機関に関しても・・・・・・・・・
(3月時点) (6月時点)
現状→6月予測 現状→9月予測
金融商品取引業 +24→+38 +17→+24
12月短観の時は盛大に9月時点での先行き予測より上振れ、3月短観では12月時点での先行き見通し(+28予測だった)から下振れしたのですが、今回は前回時点で「ここから反転上昇」という見込みのところ、見事に逆転して改善幅縮小というのはワロタ。
ただ今回気になりますのは・・・・・・・・・
(3月時点) (6月時点)
現状→6月予測 現状→9月予測
銀行業 +7→+5 +5→▲1
協同組織金融業※+0→▲3 +5→+0
(※昨年12月短観までの「信用金庫・系統金融機関等」)
ということで、預金金融機関のDIが芳しくない上に、銀行業の場合は次回短観でついにマイナス転の可能性となっておりまして、協同組織金融業の方はまだ改善している分まともに見てられますが、こちらもさっきの小売りの時に話をした業種別計数のうちこれを見るとおおーと思う、というのをネタにするということになりましたです。
〇乾物状態の虫干しネタですがFOMC後の会見から(続き)
つーかですな、ここのところ夏休みモード何だか知らんけどブラードとローゼングレンの話しか出てこないという端境期なので乾物になっていたネタが出るという事で勘弁してつかあさい。
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180613.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference June 13, 2018
#なお他に乾物があったりするのだが別にネタをため込んでいたわけではない
・まず駆け足でオープニングステートメントを確認
順序はそっちが先じゃという感じですが(汗)。分かりやすいお話をします、というところの続きから。
『The main takeaway is that the economy is doing very well. Most people
who want to find jobs are finding them, and unemployment and inflation
are low. Interest rates have been low for some years while the economy
has been recovering from the financial crisis. For the past few years,
we have been gradually raising interest rates, and along the way we’ve
tried to explain the reasoning behind our decisions.』
『In particular, we think that gradually returning interest rates to a
more normal level as the economy strengthens is the best way the Fed can
help sustain an environment in which American households and businesses
can thrive. Today, we’ve taken another step in that process by raising
our target range for the federal funds rate by 1/4 of a percentage point.
』
ということで昨日も申し上げましたが、パウエルさんって前任と違って経済学者系じゃない(法律系)のが影響しているのか、言語明瞭意味不明瞭みたいな感じの話をしたり、質問の趣旨と違うそもそもの話を延々と繰り広げたりとかする感じをネイティブじゃないアタクシなんぞは感じたりする次第でございまして、ちょっとこう説明が回りくどくて何言ってるんだかワカランチな話があったりします。なお「オマエモナー」というツッコミは勘弁してください(自覚はある)。
てな訳で多分上記の部分はその「一般のアメリカンの皆様に向けて」という感じだと思う。
『My colleagues and I meet eight times a year and take a fresh look each
time at what is happening in the economy and consider whether our policy
needs adjusting. We don’t put our interest rate decisions on hold or on
autopilot, because the economy can always evolve in unexpected ways. History
has shown that moving interest rates either too quickly or too slowly can
lead to bad economic outcomes. We think the outcomes are likely to be better
overall if we are as clear as possible about what we are likely to do and
why. To that end, we try to give a sense of our expectations for how the
economy will evolve and how our policy stance may change. 』
政策はオートパイロットじゃないよでも利上げは遅過ぎても早過ぎてもいけないよ、だそうな。
・来年から会見が年に8回というのは・・・・・・・・・・
『As Chairman, I hope to foster a public conversation about what the Fed
is doing to support a strong and resilient economy. And one practical step
in doing so is to have a press conference like this after every one of
our scheduled FOMC meetings. And we’re going to do that beginning in January.』
来年1月のFOMC会合からは毎回のFOMCで会見を行うことにするそうな。今はSEPの時(年4回)に会見を行いますが、一応その間のFOMCで何か会見をしないとまずそうな重大決定をした場合は臨時に会見をセットする、という建付けになっておりますので、そうではなくて毎回実施と。
『That will give us more opportunities to explain our actions and to answer
your questions. I want to point out that having twice as many press conferences
does not signal anything about the timing or pace of future interest rate
changes. This change is only about improving communications. My FOMC colleagues
and I will also continue to issue our economic projections on the existing
quarterly schedule. 』
SEPは年4回のままで、これによって政策のパスに変更があるわけではない、とは言ってますが、別にFOMC後の会見を次回からレギュラーにしたっていい訳で、そこを来年(日程は出ていて今の所FEDのページでは年4回会見というスケジュールのままですが、日程そのものは仮置きということになっている)からにしたのって、さすがに利上げペース加速とか言われるのを避けたんでしょうな。
あと、もうちょっとうがった見方をすると、FF金利目標を2.75-3.00%まで上げたところで一旦利上げを止めて、そこから先の調整を行うかについては毎回のFOMCをライブミーティングにしておいた方が判断を適宜行えるからやりやすい、というような考えもあるんじゃないかなとか思ったのですけれどもどうでしょうかね。
・声明文と同様で経済の認識は強い
『Now, let me go into more detail over developments in the economy, our
economic projections, and our policy decision.』
ほいな。
『Economic growth appears to have picked up in the current quarter, largely
reflecting a bounceback in household spending. Business investment continues
to grow strongly, and the overall outlook for growth remains favorable.
Several factors support this assessment: Fiscal policy is boosting the
economy, ongoing job gains are raising incomes and confidence, foreign
economies continue to expand, and overall financial conditions remain accommodative.
These observations are consistent with the projections that Committee participants
submitted for this meeting. The median projection for the growth of real
GDP is 2.8 percent this year, 2.4 percent next year, and 2 percent in 2020.
Compared with the projections made in March, this median growth path is
little changed.』
経済のコンポーネントと外部環境については全部威勢の良い話をしていますが、一方でご案内の通り、今回のSEPでは成長率見通しを「足元だけ」上げているという感じになっています。
『In the labor market, job gains averaged 180,000 per month over the past
three months, well above the pace needed in the longer run to provide jobs
for new entrants into the workforce. The unemployment rate declined over
the past two months and stood at 3.8 percent in May, its lowest level in
nearly two decades. Meanwhile, the labor force participation rate has been
roughly unchanged since late 2013. That is a positive sign, given that
the aging of our population is putting downward pressure on the participation
rate.』
労働市場の現状についても強い話をしていて、特に人口動態などから勘案した場合に労働参加率が強くなっているのは結構なお話ですよという指摘を。
『And we expect the job market to remain strong. As you can see in our
Summary of Economic Projections, the median of Committee participants’
projections for the unemployment rate stands at 3.6 percent in the fourth
quarter of this year and runs at 3.5 percent over the next two years, a
percentage point below the median estimate of its longer-run normal rate.
This median path is just a bit lower than that from March.』
失業率見通しは期間にわたって若干の引き下げをしていて、ロンガーランの失業率から1%程度低いという話をここでしていたので、昨日ネタにしたように「それは分かったがインフレが加速しないという見通しになっているのはどういうことなの?それって実はロンガーランの失業率がもっと低いって事じゃないの??」というツッコミが飛んできて謎の禅問答をした経緯に繋がります。
・物価について
『After many years of running below our 2 percent longer-run objective,
inflation has recently moved close to that level.』
キタコレなのですが、その前に「After many years of running below our 2 percent
longer-run objective」と以前は2%未達が長い時間あった、というのを強調しておりまして、2%に近くなって来ましたという割には
『Indeed, overall consumer prices, as measured by the price index for personal
consumption expenditures, increased 2 percent over the 12 months ending
in April. The core PCE index, which excludes prices of energy and food
and tends to be a better indicator of future inflation, rose 1.8 percent
over the same period.』
という状況なのですが・・・・・・・
『As we had expected, inflation moved up as the unusually low readings
from last March dropped out of the calculation. The recent inflation data
have been encouraging, but after many years of inflation below our objective,
we do not want to declare victory.』
まだ大勝利宣言をするのは時期尚早、というのを入れて(あとの質疑でも何回か言ってます)ジャンジャン利上げするみたいなイメージの払拭を行うのに余念がないという印象を受けます。
『We want to ensure that inflation remains near our symmetric 2 percent
longer-run goal on a sustained basis. As we note in our Statement of Longer-Run
Goals and Monetary Policy Strategy, the Committee would be concerned if
inflation were running persistently above or below our 2 percent objective.
Of course, many factors affect inflation-some temporary and others more
lasting-and at any given time inflation may be above or below 2 percent.
For example, the recent rise in oil prices will likely push inflation somewhat
above 2 percent in coming months. But that transitory development should
have little, if any, consequence for inflation over the next few years.
The median of participants’ projections for inflation runs at 2.1 percent
through 2020. Relative to the March projections, the median inflation projection
is a little higher this year and next.』
物価見通しも期間中若干上昇して全期間2.1%の予想となっていますが、その前に「the
Committee would be concerned if inflation were running persistently above
or below our 2 percent objective」と入れていまして、現実問題として2%をそれなりに超過というのは出ていないしその前は低かったという事実の元からすると、正常化に関して物価が2%来たから加速するというもんじゃない、というのを示していると思います。
・「政策金利はしばらくの間名目中立金利レベルよりも十分に低い水準で推移するでしょう」の削除について
『As I mentioned, today we took another step in gradually scaling back
monetary policy accommodation by raising the target range for the federal
funds rate by 1/4 percentage point, bringing it to 1-3/4 to 2 percent.
We also made some changes to our policy statement, reflecting that policy
normalization is proceeding broadly as we have expected. None of these
changes signals a change in our policy views.』
利上げはしたがスタンスは不変とな。
『For example, we removed the language stating that “the federal funds
rate is likely to remain, for some time, below levels that are expected
to prevail in the longer run.” Since we introduced that language a few
years ago, the economy has strengthened, and the Committee has raised the
federal funds rate from near 0 to 1-3/4 to 2 percent. As we continue to
note in our statement, we expect to make further gradual increases in that
rate. As a result, if the economy evolves broadly as we anticipate, the
federal funds rate will, over the next year or so, move well within the
range of estimates of the normal long-run level. Therefore, we thought
that now is an appropriate time to remove this forward guidance from our
policy statement. 』
経済物価情勢が想定通りに推移すれば来年には政策金利が中立水準になると見込まれるので当該文言を削除致しましたが別に政策スタンスを変更したわけではない、との説明。
『We continue to believe that a gradual approach for increasing the federal
funds rate will best promote a sustained expansion of economic activity,
strong labor market conditions, and inflation near our symmetric 2 percent
goal. We are aware that raising rates too slowly might raise the risk that
monetary policy would need to tighten abruptly down the road in response
to an unexpectedly sharp increase in inflation or financial excesses, jeopardizing
the economic expansion. Conversely, if we raise interest rates too rapidly,
the economy could weaken, and inflation could continue to run persistently
below our objective. 』
と、ここでも早すぎる利上げと遅すぎる利上げの弊害について説明しています(説明という程のものでもない一般論ですが)が、ここだけ何故か「遅すぎ」の方が先にあるのは何じゃろ。
『The Committee’s gradual approach is reflected in participants’ projections
for the appropriate path for the federal funds rate. The median projection
for the federal funds rate is 2.4 percent at the end of this year, 3.1
percent at the end of 2019, and 3.4 percent at the end of 2020. By 2020,
the median federal funds rate is modestly above its estimated longer-run
level. These projections are very similar to those made in March. Although
the median federal funds rate edged up this year and next, most participants
did not revise their projections. 』
これはSEPでの金利見通しの説明。
『I’ll conclude by mentioning two additional matters. First, our program
for reducing our balance sheet, which began in October, is proceeding smoothly.
Barring a material and unexpected weakening in the outlook, this program
will proceed on schedule, and our balance sheet will continue to shrink.
As we have said, changing the target range for the federal funds rate is
our primary means of adjusting the stance of monetary policy. 』
すっかりネタにならなくなったという点でイエレン大勝利なのですが、資産買入のランオフに関する進捗が順調ですよ政策は金利ですよ、という話を加えています。
・IOERがFF誘導目標レンジの上限から5bp引き下げになった件(再掲)
これはFOMC会見の翌日位に一応ネタにしたのですが再掲します。
『And, finally, as discussed in the minutes of our May meeting, we’re
making a small technical adjustment in one of our tools for implementing
monetary policy.』
ほいな。
『To keep the federal funds rate in the target range, we rely on the rate
of interest on excess reserves, or the IOER rate. Up until now, we have
set the IOER rate at the top of the target range for the federal funds
rate. In recent months, the federal funds rate has moved up toward the
IOER rate as short-term interest rates have risen more generally. So to
move the federal funds rate closer to the middle of the target range, we
are now setting the IOER rate 5 basis points below the upper end of the
target range. This minor technical adjustment has no bearing on the appropriate
path for the federal funds rate or financial conditions more generally.
』
この前の時にも申し上げましたが念のため再度申し上げますと、IOER(インテレストレート・オブ・エクセス・リザーブなので「超過準備付利金利」ですな)って市場の超過準備が少ない時(インターバンク市場における資金繰りバッファーのレベルを大きく超えない時)には、本来は銀行間市場金利の下限を画するものでして、何でそうなっていないかというと、超過準備が多すぎなのと(たぶん)準備預金制度の外側にいる短期市場の運用資金が莫大なために、IOERより低い金利で運用するという金が依然としてうじゃうじゃいる(のでRRPオペを入れてる)ためであって、本来IOERはインターバンク市場の常設預金ファシリティとして、常設貸出ファシリティと相まって市場金利の上下限のコリドアを作るものですので、IOERよりも高い金利になることが多くなったというのは順当というかバランスシートのランオフが進捗している効果ということですな。
『Thanks for listening, and I’ll be happy to take your questions.』
ということで質疑が始まるのですが・・・・・・・・・・
・(昨日も言ったけど)パウエル節はイマイチ分からん
最初の質問を見ますとね、
『JIM TANKERSLEY. Hi, Mr. Chairman. Jim Tankersley, New York Times. I have
a question about inflation and a question about growth. On inflation, I’m
curious if there’s anything that’s happened since March that has changed
your assessment of the risk of inflation increases beyond what you forecast
in the year to come. And, on growth, you mentioned fiscal policy is adding
to growth, and I’m curious if you could break that down a little bit further
for us and say-what effects do you think the recent tax cuts are having
on growth? 』
見通しの中の要因のブレークダウン教えてというのは(1名の出す単独の見通しだと行けるかもしれませんけれどもコレクティブビューなだけに)難しかろうと思ったのですが、回答の方が難解ホークス。
『CHAIRMAN POWELL. Sure. So since-I wouldn’t say anything has happened
since March to really change the way I’m thinking about inflation or the
way the Committee’s thinking about inflation. We’ve seen inflation move
very gradually up toward our 2 percent objective. And part of that has
been just idiosyncratic things dropping out from last March, which were
holding inflation-measured inflation-down. Part of it is just that continued
tightening in the labor market and the economy more broadly is pushing
inflation up. So we continue to think, and the Committee continues to think,
that we are just about at our 2 percent goal but, as I mentioned, not ready
to declare victory until we sustain that over time, which we haven’t done
yet.』
と、いきなり物価推移および見通しの中での要因(一時的要因とか)の話が始まる、なおさっきでてきた「I
mentioned, not ready to declare victory until we sustain that over time,
which we haven’t done yet」がまた出てきていて、タカ派感をあまり出さないような工夫(声明文だけ見るとエライ強気ですからね)をしているのは把握した。
『You also asked about fiscal policy, and there’s a range of views on
the Committee and, I think more broadly, a range of views among economists
generally. But I can say that the Committee members-Committee participants-generally
believe that the fiscal changes-and that includes both the tax cuts, individual
and corporate, and the spending changes-will provide meaningful support
to demand, significant support to demand over the course of the next three
years.』
どうも財政政策の効果は大きいみたい。
『And the question-the other question is, what about the supply side? So
it is-it makes sense that if you lower corporate tax rates and allow faster
expensing of investment, you will encourage greater investment. That should
drive productivity. That should increase potential output. So that really
ought to happen as well. I think the amounts and the timing of that coming
in are also quite uncertain. There’s also the possibility that there would
be more labor supply from lower individual tax rates, again, in amounts
and in timing that might be more uncertain. So that’s how the Committee
generally is thinking about-about fiscal policy. 』
ということで、全部にお答えしているから丁寧ちゃあ丁寧なのですが、こんな調子で説明が長いから、ポイントがどこにあるのか訳分らなくなってしまうというのがパウエルクオリティという感じです。
#もうちょっと続きがあるのでたぶん明日
2018/07/02
お題「輪番減額など/乾物状態のネタですがパウエル議長のFOMC後の会見から少々」
日銀としては東京都区部のCPIは若干強くて一安心したんじゃないですかねえ。
〇輪番減額来ましたが予想の範囲内で反応なしとな
金曜の輪番オファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of180629.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2018年7月2日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,000 2018年7月2日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,100 2018年7月2日
ということで5-10の輪番が4300→4100に減額、と言いましても先般増やした分を元に戻しただけではありまして、これで年初一発目に超長期輪番を減額して悪目立ちした結果何故か指値オペ実施まで持ち込まれてしまった時に(どう見ても余計だったと思うが)実施した中期と長期のオペ増額分が元に戻りましたというお話になりました。
つー訳ですので何ちゅうか減額というよりは戦後処理しているだけでして、問題はここからどの程度ホイホイと減らせるのか、というお話ではあるのですけれども、まー債券市場的に輪番減らしてというのがありますし、金曜とかも輪番減らして某ブルームバーグテレビ(アジア太平洋版)とか「Breaking
News」とかやっておりましたが別に他市場全然反応せず、という状況になっておりますので、まあこの際もうちょっと減額できませんかねえ(特に発行対比明らかに買いすぎの長期とどうせ金利が上がっても誰も困らない(なお1名金利を下げろという審議委員がいるのは頭の痛い所ではありますが)超長期を、もう少ししらっと減額していって、とにかくカレンダーベース市中消化額以下(本当は8掛け以下のような気がするが)に抑えて行かないと政策の持続性が。
なお夕方に出てきた
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180629h.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について
についてはそもそものレンジが広すぎなので今回もまた変更なしとなっておりますが、まあこの日程事前アナウンス方式って昨年の中期輪番スキップ事件以降に大荒れになって後場寄り付き前(正しくはBBが始まって先物が始まる前)に直近出来値の4bp上の指値をぶっこむという「ショートは消毒だ〜!ヒャッハー!!!」方式で止めたりした後に「そもそも買入の回数がレンジになっていていつ入るか分からんのがケシカラン」ということになってこの措置になった訳ですが、指値パワーに関しましては皆さん認識しましたし、「出口と関係なく減額」ということについても債券の人たちは把握している(他の市場がどうなのかというのが難しいですけど)ことでもありますし、輪番日程もそろそろ出さない元方式に戻した方がちったあボラも出るのではないか、という風に思うのですが、とは言いましてもその朝三暮四みたいな話で出たボラってエテ公が朝なのか夜なのかでウッキーウッキー言うだけの話で本質じゃないからんな無駄なことでエネルギー使うなよボケといわれてしまうとぐうの音も出ないので、まーこの方式続くんでしょうけどね(オペ日程が事前に出なくなるとオペ日程当てという昔あったおもちゃが戻ってくるので何とかストの方のレポートネタが出来てニッコリというのはある^^)。
〇これはアカンでしょ
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180629.htm
平成30年6月29日
証券取引等監視委員会
三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社による長期国債先物に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について
最初ニュースの方で知りまして(というか公共放送ニュースのサイトに出た方がこっちが出るよりも一瞬早かった)、昨年の事案で課徴金2億(2億1837万円)とかどんな操縦をするとそんなに儲かるのかとビックリしておりましたら、その後監視委員会の方の公表がありまして拝読。
まあ詳しくは上記URL先に説明があるのですが、債券先物のイブニングセッションで最良気配の上と下にビターっと板(注文)を並べて先物アウトライトで1銭抜きみたいなのをやって抜いたら出した板を全部一括取り消ししたんんですが、買い注文の方が板の半分以上の量でしたって感じの事案のようで(読み間違えたらすいません)、別に2億円収益上げたわけではなさそうなのですが、事案が相場操縦なだけに課徴金は厳しくなるんですな。最初課徴金の金額からして何回かやっていてその一連のを全部まとめてみたいなものかと思ったのですが。
でもって今回は長期国債先物という物件が対象なだけに、当該事業者の国債入札資格の一時的な停止措置みたいなのがあるんでしょとは思うのですが、当該事業者のシェア自体は大きいと思われるだけにその影響はどうなるのかとは思ったり思わなかったり。
〇半月前のネタなので完全に乾物状態になっておりますがパウエル議長の会見ネタ
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180613.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference June 13, 2018
すいませんすいません半月以上たっております完全に干物です。
・最初のところで「分かりやすく説明します」と言っているのに全然わかりやすくない件について
オープニングリマークの最初の所でパウエル議長って、
『CHAIRMAN POWELL. Good afternoon. Thanks very much for being here. I know
that a number of you will want to talk about the details of our announcement
today, and I am happy to do that in a few minutes. But because monetary
policy affects everyone, I want to start with a plain-English summary of
how the economy is doing, what my colleagues and I at the Federal Reserve
are trying to do, and why. 』
つーことで、「a plain-English summary」と言っているのですよ。でまあ最初の冒頭ステートメントの所はまあいいのですが、質疑応答になったところで(慣れてないせいもあるんですが)この人の質疑応答を読むのに盛大に苦労しました。まあ今回読んだのは先に出るPreliminary版でして、この版が割とそのまま喋っている内容をTranscriptしているため、「−」(ダッシュ)を上手く入れていなかったというのもある(FINAL版だと意味が取りやすい所にダッシュが入ってくるのでそこそこ見え方が違ってくる)
のですが・・・・・・・・・
まあ何と申しますか、前任とその前の方はロジックの整合性を取りながら説明してくるので、後から紙に落とされた文章を見ながら理解するクチのアタクシと致しましては分かりやすかったのですが、パウエルさん説明があまりロジカルに来ないというか、質問されたことに対して質問されていない事を延々と説明したりする傾向があって(なおこの会見では最後の方になるとマシになっているように見えます)、質問の意味を俺様解釈して説明する人のように見えたのと、まあそもそも理屈よりも実際の運営第一!という感じの人なのでロジカルに政策のやっていることを説明しようというのはあまり重視していない、という事なのかもしれません。
ということでその具体例が本文16ページの中段以下の質疑にあるので鑑賞素材としまして。
『JEANNA SMIALEK. Jeanna Smialek with Bloomberg Television. You guys moved
the median unemployment forecast for 2020 down to 3.5 percent but left
the longer-run at 4.5 percent today. But you’re only forecasting a moderate
overshoot on the fed funds rate beyond your longer-run value. How are you
going to get unemployment from 3.5 percent up to that 4.5 percent rate?
』
SEPの見通しだと失業率はロンガーランの数値から1%程度低いような状態で2020年を迎えるような形になっているのですが、その割に物価の見通しが大して強くなっていないのは何でじゃろという質問ではあるのですが・・・・・・・・
『CHAIRMAN POWELL. I would just-would-I would just emphasize, emphasize that-a couple things.』
ということで何を話すかと見ますと・・・・・・・・・
『First, we’re learning about the real location of the natural rate of
unemployment as we go. So it’s moved down by more than a full percentage
point since 2012. So it’s not so simple as thinking, oh boy, we’ve just
got to go ahead and get that rate up. If you-if you look at the forecast,
two years from now, end of 2020, you’re still seeing inflation very close
to target. So there’s no sense that inflation will-no sense in our models,
or in our projections, or forecasts-that inflation will take off or move
unexpectedly quickly from these levels, even if unemployment does remain
low.』
いやだからそれがなぜなのかという質問なんだが。
『So that’s-that’s what-so it’s important to know that the-the unemployment
rate forecasts go with the inflation forecasts and go with the rate forecasts.
And so each person who’s submitting them is submitting accommodate-you
know, appropriate monetary policy that fits with that person’s assessment.
And their assessments generally are to support maximum employment and stable
prices around 2 percent. So if we thought that inflation were going to
take off, obviously, we’d be showing higher rates, but that’s not what
we think will happen. 』
ということで、SEPではこのように各参加者の皆さんが考えています、という答えをしているのですが、質問の趣旨に対して全然答えていないんんですがこれはということでして、さすがにこの質問者再度確認をするの巻。
『JEANNA SMIALEK. If I could just follow up really quickly. Then why, I
guess, would the longer-run unemployment rate not be a little bit lower
and closer to that 2020 number? 』
インフレが加速しなくて金融政策も特に引き締め的じゃないというのだったら2020年の失業率の3.5%ってのはもしかして自然失業率に近いという事なんじゃないですか?と言い方を変えて質問。
・・・・・・をしたところパウエル議長の答えは以下の通り。
『CHAIRMAN POWELL. Yeah, it may be. It may be. We may find that out. You
know, the best estimate that we have, over the longer run, is that. Although,
you know, there’s a range of views, you know. Some people are in the low
4s, and, again, I said the uncertainty bands are, you know, not quite a
full percentage point on either side, but 3/4 of a percent, that kind of
thing, so it’s very possible. We have to be, you know-we can’t do-we
can’t be too attached to these unobservable variables. You know, we-I
think we have to be practical about the way we think about these things
and we do that by being grounded in the data and what we see happening
in the real economy. 』
今回はのっけから中盤の質疑を蒟蒻問答状態になっている事例として出していますが、この前の方でも自然失業率とか中立金利とかに関する質疑はあって、その中で「実際の経済のアウトカムを見ながら、政策が適切に運営されているか考えていく」という「走りながら考える」というアプローチを強調していた部分があるんですよ。
でもってここの答えにしてもそうなのですが、自然失業率に関しては推計値であって、リアルタイムで分かるものではないので、そもそも幅を持ってみて行かないといけない概念なので、1%とは言わないけれども0.75%くらいは上下に幅をもってみる、ということになると、4.5%を3.5%の間に大きな差があるという事ではなく、ですからSEPで示す2020年の失業率がロンガーランの失業率に対して差があるからインフレが加速しないと予想として変、ということには当たりませんよ、という説明をしているんですな。
・・・・・・・でまあそれはそれで一つの考え方ではあるのですが、そうなって来ますとそもそも論としてSEPで「ロンガーラン」の数字を出す意味ってあるのかよというか、却ってコミュニケーション上の不具合が起きるだけという事になる訳ですな。まあ出口から中立に向かっていく中で政策の調整を行っていく、という中においては、なかなかこうロジカルには整合性のない話が出てきてしまうけれども現実にはインフレが加速していないので少なくとも現時点ではロジカルな整合性はないけど実践面としては上手く機能している、というような状態で、パウエル議長もまあそういう実践的アプローチをしているというのが(これから数回シリーズでネタにしますが)あると思うの。
つーことでして、どうも言語明瞭意味不明瞭みたいな話をするのもあるのですが、パウエル議長は前の2人と違ってロジカルなところからは入ってこないという感じを今回の会見でヒシヒシと感じるところでありますので、そういう意味では存外読みが難しくなるかもしれないな、と思うのでございました。
なお、金融規制やらマクロプルーデンス的な質疑になると急にシャキッとした説明になるのも面白くて、その直後の質疑では、
『VICTORIA GUIDA. I have a couple of regulatory questions. First of all,
on the countercyclical capital buffer, I was wondering, what are the chances
that the Fed is going to need to use that in the next year or two? (後半割愛)』
『CHAIRMAN POWELL. So the countercyclical capital buffer gives us the ability
to raise capital requirements on the largest institutions when financial
stability vulnerabilities are meaningfully above normal. That’s the language
that we’ve used. And that’s certainly a possibility. I wouldn’t say
that-I wouldn't look at today’s financial stability landscape and say
that risks are meaningfully above normal. I would say that they’re roughly
at normal. You have-you know, households are well-you know, are in good
shape. They’re-they’ve paid down their debt, incomes are rising, people
have jobs. So households are not really a concern. And banks are highly
capitalized, so that’s not really a concern. We see-there’s some concern
with asset prices in a couple of pockets. But overall, if you-if you bake
it all in, I think we see, generally, financial vulnerabilities as moderate.
Could that change, you asked, over a couple of years? Yeah, it could. (後半割愛)』
とかエライシャキッとした説明になっていまして、資産市場の一部には警戒しているけど、家計や銀行についてはレバレッジの拡大とか資本不足の問題はないので金融安定化阻害要素には至っていない、という説明をちゃんとしているのがチャーミング。
#以下明日以降に続くということで