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2014/12/30

お題「市場雑談のつもりが途中から悪態/イエレン会見からpatientの質疑部分を」

毎日によると外傷性クモ膜下出血なのですが・・・・・・
http://mainichi.jp/select/news/20141227k0000e040214000c.html
山田美樹氏:運動員人身事故、近くで演説 秘書が身分隠す
毎日新聞 2014年12月27日 15時00分(最終更新 12月27日 18時28分)

産経によると単なる軽傷になるようですな。
http://www.sankei.com/affairs/news/141227/afr1412270015-n1.html
2014.12.27 18:47更新 【衆院選2014】
山田美樹氏の運動員、選挙期間中に人身事故

でまあ朝日新聞のアレを口を極めて罵っていた産経さんの事ですから、当然本件の事実関係に関しては産経さんの報道の方が正しいという理解でよろしいんですよねえ(棒読み)。


○市場雑談である

・5年3bpェ・・・・・・・・・

金利が下がるネタは毎度のお話ですし、まあ金曜の場中に10年0.3%までマークしたのですけれども10年の方は昨日はそこまで盛り上がっておりませんのですけど、昨日の引値では中長期が引けで強くされて5年カレントの引けが3bpとかもうねという水準。

引値のマイナスの方も相変わらずで2018年償還の所までマイナス金利になっていますし、利付国債に関しては明確に輪番での買入効果で金利がおかしい水準になっているのと、ここまで来ると投資家の方も持っているモノを売れない状態(だからこそ無抵抗で金利が溶鉱炉に沈んで行くのだが)となっていますな。つまり売ったは良いけどそこで先の期間収益を全部売買益で取ってしまい、先の期間収益を放棄する形になる(買い直すにも4年までマイナスなのですからそのゾーン買えないし)となりますと来期以降どうしますねんとかなる訳でそら売れない罠という所。

となりますと、新発買って日銀に放り込むオペ狙い攻撃の方で輪番に対応となりますけれども、兎に角中期に関してはマイナス金利という普通の投資家の普通の運用を排除する金利水準まで下がっていますし、プラスの金利ったって5年カレント買って預金保険料払ったら大赤字というような水準まで金利を下げられていてどうやって期間収益を捻出しますねんという状況なので、投資家がまともに参加しないというか出来ない状態に急速になってきたこの債券市場では、入札→投資家買えないけど日銀オペでのキャピタル狙いだったら行ける人が行く→日銀のオペに打ち込む、という図が展開されて輪番の残高が拡大しながら金利は親指を立てながら溶鉱炉に沈んで行くという形になるのでした。

んでもって板がスカスカで売り向かう玉が無い(当たり前だがこの状況下でショート降ってもワークしないしレポがまともに続く保証もないから自分からショート振りに逝って勝負してもだいたい間尺に合わないでしょ)2年以内の利付ゾーンの引けってマイナス4bpとか凶悪な水準になっているのですが、まあ日銀以外の買いなんぞは超マージナルな部分しかないので(国債というモノとしてのニーズのみ)金利を下げるにしてもさすがに限界はあるという話でしょうから、そうなると今度は主戦場が徐々に残存の長い所になって行くとなりまして5年の金利が盛大に潰される状態ですな。

でまあオペ狙い系の動きというのはとにかく金利をゼロにまで下げに行くと言う感じですが、当然そうやって金利が低下すると投資家が水準として買えませんがなとなる訳で、イールドカーブの短い所から投資家が追い立てられてとなると、リスク許容度的に買入対象銘柄の年限を伸ばせるだけ伸ばしに行くとなるのでイールドカーブをごこまで潰しに行けるかという動きになって、ここもと急速に金利水準があばばばばーになっていますよね、という所なんですけど、来年も日銀の馬鹿買入は続くので市場の短い所から順に死後硬直のような状態になって逝くという中の人的には夢も希望もない年の瀬なのでありました。


・でまあ弊害キタコレなんですけどねえ

先週のニュースですけどね
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC26H18_W4A221C1MM8000/
日生、一時払い終身保険など販売停止も 低金利で運用難
2014/12/27 2:01 情報元 日本経済新聞 電子版

『生保最大手の日本生命保険は26日、長期金利の低下が止まらない場合、一時払い終身保険を含む貯蓄性商品の新規販売を一時停止する検討に入ると明らかにした。日生の筒井義信社長が「金利環境は非常に厳しい。保険商品の引き受け停止も視野に入れておかなければいけない」と語った。保険料を国債で運用しても十分な利回りを確保するのが難しくなるためだ。』(上記URLより)

まあこちらの日生さんのケースは中短期のマイナスというよりは長期超長期の方になりますけれども、そらまあそういう話が出ても不思議ではない訳で、以前アタクシが実体経済における名目ゼロ金利制約があるからマイナス利回りを政策効果というのはおかしくて、市場金利のマイナスと名目ゼロ金利制約との差分を金融仲介業務の中だけで吸収できなくなった場合に金融機関の利用者に対して負担をお願いする動きが出てくるでしょと申し上げたようなのが、「新規の金利商品をお受けできません(まだ確定している訳では無くて検討段階のようだが)」というような形(これは直接的にはマイナス金利だから受けられないというのとは違うが低金利の弊害という意味では似たようなもん)で問題が発生している訳ですな。


昨日はロイターでこんな観測記事もありましたよね
http://jp.reuters.com/article/vcJPboj/idJPKBN0K703H20141229
金融庁が低金利下の地銀経営への影響試算に着手、収益減を警戒
2014年 12月 29日 11:45 JST

『[東京 29日 ロイター] - 複数の関係筋によると、金融庁は超低金利の長期化が地域金融機関に与える経営上の影響を推計するための試算に着手した。足元で長期金利が0.3%と過去最低水準を更新する中、今後も現在の低金利環境が続いた場合の利ザヤの縮小による収益減を警戒しているとみられる。今後、試算結果をもとに地銀経営者らと経営への影響について議論していく方針だ。』(上記URLより)

まあ金融庁様におかれましては地銀経営者の方々と議論するよりも日本橋本石町にカチコミに逝って金利を必要以上に低下させることの弊害について小一時間説教してきた方が問題の本質的な解決に繋がると思いますので、是非とも本石町への全力カチコミをお願い致したい所ではありますが、そらまあそういう懸念が起きる罠という所でもありますが、これまあ試算しましょとなりますと銀行の中の人たちを始めとする関係各位が色々と資料揃えたり計算したりとしないといけなくて、それだけでも手間暇かかりますぞなとか直接的な問題もあったりして、そもそも日銀が馬鹿買入を実施しなければ関係各位がこのような問題で頭を抱える必要が無かったのですよねと思いますと誠に遺憾の極みとしか申し上げようがありませんな。


・つーことで来年も買入は続きますが・・・・・・・・・・・・・

でまあ今年は本日で大納会な訳でMB目標とかその辺の着地はする訳ですけれども、2%物価目標が全然いかないという状況の中で日銀の馬鹿買入は継続しますし、しかもマイナス金利を馬鹿のように購入すればMB拡大も可能だわ金利も下がるので実質金利は下がるぜヒャッハーとしか思っていないとゆー政策運営&オペ運営は続く訳ですし(来月の買入は今日でますな)、達観すると金利は日銀買入でイールドカーブがブルトーザーのように潰されるの巻という話でしょうなあとか誠にショボーンな展開しか予想できませんぞなもし。

でまあそれはそれで起きるであろう話ですからシャーナイナイとしましても、そもそも論としてそうやって無理繰り金利を下げてMBを拡大する事の意味はどうなっているのかというレビューを来年はきちんと行って頂きたい訳で、普通に考えてこれだけMB拡大して2%達成が全然見えないというような動きですし、実質金利下がって設備投資が爆発的に出たという話も聞きませんし、まあこういう場合は「そもそもの現状認識が間違っていた為に出した処方箋が間違っており、そのためドンドン追加しても全然効いてこない」という風にPDCAを回して反省すべきだと思うのですが、ここまで馬鹿政策を拡大してしまった為に引くに引けない状態になっており、反省をしたらまあ何人のクビを飛ばしますかという話だからPDCA回さずにひたすら拡大をするのみという事ですな。

まあどう見ても昭和陸軍です本当にありがとうございましたという状態ですが、先般のMPMで見通し上方修正したらお洒落な経済指標がホイホイ出てくるとか、戦局の悪化に対して現状認識を自分たちの説明および面子に都合の良いように作るとかまさに戦争末期っぽくて、最初の奇襲(=去年のQQE導入)がうまく行き過ぎたのが却って仇になって今年の3月4月辺りに大勝利宣言(=カザフスタンでの総裁スピーチとか)したのがやっちまった感が強いですな。

でまあ戦局が悪化しているのに「2%への招待状」とか招待する会場が無いのに何が招待状だヴォケというような講演が打ち込まれる訳ですが、これも戦局悪化してアーアー聞こえない状態になっていると思えば当然の動きでありますし、一方の戦場部隊からは戦局をきちんと把握しようというのではなく、どう見ても参謀本部や司令部向けのアリバイ作りに余念がない動きが出るとか実にこう末期症状っぽくて落涙を禁じ得ませんな。

先週のですけどね。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel141222c.pdf
2014 年12 月22 日 日本銀行金融市場局
「短期金融市場取引活性化研究会との実務者レベル会合」の開催について

『日本銀行金融市場局では、本年11 月5 日公表の「市場参加者との対話の強化に向けた取り組みについて」において、市場機能の維持・向上に向けた取り組みの一環として「東京短期金融市場サーベイ」を活用した市場参加者との対話を一段と強化していく考えを示しました。』

はあそうですか。

『その具体的な取り組みの一環として、短期金融市場取引を行う各業態の代表者で構成される短期金融市場取引活性化研究会(以下、短取研)との間で、実務者レベルの会合を以下の要領で新たに開催します。本会合は、今後も年1回程度の頻度で開催していく予定です。』

・・・・・・・えーっとすいません年一回の会合やって「市場参加者との対話の強化に向けた取り組み」って本気でそれ対話の強化に資すると思っていますかと思う訳で、短取研に関しては全銀協のページの方にちょっとだけ説明あるけど確か月イチくらいで会合やってる筈だからそこにオブザーバー参加すればいいじゃねえかと思うのですが、年一回シャンシャン会合をやって「市場機能の維持向上に向けた取り組み」とかこれはまた見事な取り組み過ぎて野々村某並みの号泣不可避という所ですな。


まあ何ですな、追加緩和打ち込み以降この辺りの日銀の動きがちょっと号泣不可避という感じになっているのが実にこうアレなのですけれども、この調子で来年になった時に、チーペストの金利がマイナスになるのと輪番が札割れするのとどっちが早いんでしょうかねえとか(どっちも暗い話だが)そんな事を思いつつズブズブと沈んで行くイールドカーブを呆然と眺めるのでありましたとさ。


#うむ、市場雑談の積りが只の悪態に


○イエレン議長会見ネタを少々だけ(続きは来週だが気が向いたら今週末にでも)

悪態書いてたら時間ががががが(今日は休日ダイヤだし注意しないと)。

http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20141217.pdf
Transcript of Chair Yellen’s FOMC Press Conference

・patientを「次の2回は変更しない」と意味づけて大丈夫かよという件

冒頭説明の所でこんなのありましたが。

『But, based on its current outlook, the Committee judges that it can be patient in doing so. In particular, the Committee considers it unlikely to begin the normalization process for at least the next couple of meetings.』

でまあ最初にツッコミが飛んでいましたな。

『JON HILSENRATH. Jon Hilsenrath from the Wall Street Journal. Chair Yellen, a number of Fed officials have projected in the lead-up to this meeting that the most likely timing for liftoff was around the middle of next year. I wonder if you could clarify that.』

ふむ。

『You said in your statement that “patient” means not for at least two meetings. Your forecast that-the FOMC’s forecasts seem to be consistent with something like a middle-of-the-year liftoff. Can you speak to that? And can you also speak to the downdraft we’re seeing in inflation now and, in particular, the market-based inflation expectations and whether that gives the Committee any hesitance about proceeding towards liftoff in the months ahead?』

patientの意味についてのツッコミキタコレと、BEIの低下に関してBEI下がっているのは利上げを躊躇する理由になりますかねえウリウリウリという質問。

『CHAIR YELLEN. So I did say that the statement that the Committee can be patient should be interpreted as meaning that it is unlikely to begin the normalization process for at least the next couple of meetings.』

と思いっきり最初にpatientの意味を「向こう2回のFOMCで利上げ着手しない」と言っているのですけれども・・・・・・・・・

『Now, that doesn’t point to any preset or predetermined time at which normalization is-will begin.』

ほえ???

『There are a range of views on the Committee, and it will be dependent on how incoming data bear on the progress the economy is making. First of all, I want to emphasize that no meeting is completely off the table, in the sense that if we do see faster progress toward our objectives than we currently expect, then it is possible that the process of normalization would occur sooner than we now anticipate. And, of course, the converse is also true.』

でもそれは今後の状況次第であってプリセットコースでは無いです、という話をしているのだが、それだとわざわざ「向こう2回の間着手しません」という意味が訳分からなくなるぞなと思う。

『So, at this point, we think it unlikely that it will be appropriate-that we will see conditions for at least the next couple of meetings that will make it appropriate-for us to decide to begin normalization. A number of Committee participants have indicated that, in their view, conditions could be appropriate by the middle of next year, but there is no preset time. And there are a range of views as to when the appropriate conditions will likely fall in place. So that’s something we will be watching closely as the year unfolds.』

最早禅問答の世界になっていますが、まあ訳の分からん言い方にしておいて、アルゴ系みたいなのが片言隻句で反応するのを抑止しようと思ってこういう言い方してるのかなあとはちと思います。結局趣旨としては「”今現在の見通し的には”向こう2回のFOMCで利上げは始まらない」という説明をしているので、別に向こう2回上げないと言っている訳ではない、という事のようですが、非常にこれコミュニケーション的には分かりにくいなあと思いますし、まあこれだけ早期利上げ観測を出さないような表現をひたすら駆使しつつも利上げ実施時期に関するコミットメント的なことは否定するというのは、イエレンさんの慎重振りと、FOMC内部的にはもうちょっと利上げのやる気があるんでしょうなあということが背景にあるのかなあなどと。

『You asked also, I think, about inflation. And, as I mentioned in my press statement, especially with the downward pressures on inflation that we expect to see for a little while because of declining oil prices and falling import prices, we certainly expect headline inflation to be under downward pressure for a while. And, as I mentioned, most participants do envision that conditions will be appropriate sometime during this coming year to begin normalizing policy.』

『And they do largely expect that inflation will be-core inflation will probably be running close to its current level. And headline inflation could even be lower. But what they will want to have is a feeling of reasonable confidence that when we start the process of normalizing policy, that it will be moving up over time.』

『And, of course, as labor market conditions continue to improve, history suggests that as long as inflation expectations remain well anchored, that that’s likely to occur.』

ここはキタコレでして、足元のヘッドラインの物価は来年に向けて石油価格の下落の影響で低下するかも知れないけれども、そういう時期に利上げ着手が適切な時期が来るとFOMCの多くのメンバーが予想している、と思いっきり足元の原油価格下落と政策変更タイミングのリンクを切る言い方をしておりますので、まあFOMCの中心的な見解を基に話をするとこんな感じになるんでしょうなあとゆー所で、これに対してイエレンさん的にはも少し慎重なのがpatientの説明部分のくどさに出ているのかなあとか勝手に思うのでした。


#うむ時間が無いので最初の質疑応答だけになってしまいましたorzorz

つーことで来年もよろしくお願いいたします。良いお年をお迎えくださいませm(__)m



2014/12/29

お題「12月月報もまあ当然ですが上方修正/11月議事要旨を嫌味タラタラで鑑賞するの巻」

土日に更新するとか大口叩いて結局今朝の更新になっておりましてすいませんすいません。

そういや金曜も10年0.300%まで一旦やって戻りましたが、アレは「今日はこの位にしといたるわ(ドヤッ)」って奴ですかそうですか。
http://jp.reuters.com/article/treasuryNews/idJPL3N0UA1OZ20141226
〔金利マーケットアイ〕翌日物0.068─0.069%中心、レポGC T+1 0.091%
2014年 12月 26日 15:27 JST

『<15:13> 国債先物は反落、長期金利0.325%に上昇

長期国債先物は反落。前場には、日銀の国債買い入れオペへの期待から需給の引き締まりを想定した短期筋の買いが優勢となり、一時は147円95銭と過去最高値を更新した。後場は一転、148円を前にした高値警戒感による益出しとみられる売り圧力が強まった。現物債は終盤、長期ゾーンを中心に利益確定を含めたポジション調整の動きが強まった。午前の取引で長期金利が一時過去最低になる0.300%付けるなど、市場は強含みで推移したが、同水準でいったんは達成感が出たとの指摘が出ていた。20年債も軟化した。中期ゾーンは高安まちまち。日銀オペは市場実勢に収まり、相場への影響は限られた。』(上記URLより)

まあ0.300%如きで達成感もへったくれも無いでしょうし、こんな高揚感が1ミリも無い状態で達成感というものは残念ながら出ないんですけどね。それより底なし溶鉱炉の方がどこまでズブズブやるのかとゆー所で。

○12月金融経済月報である

しかし声明文と同様に経済見通しを妙に上方修正している(まあ基本的に声明文の中の経済物価認識をより詳しく書いているもんだから当たり前だが)のですが、先日来申し上げておりますように、原油安での追加緩和という声を抑える為に上方修正とかいう大変に政治的(?)な修正じゃないかと思いっ切り疑いたくなるのですけどねえ。

http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2014/gp1412.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2014/gp1411.pdf(前回)

例によって手抜きで【概要】の比較を行うだよ。

・現状判断に関して

現状判断部分は基本的に声明文どおりになります

『わが国の景気は、基調的に緩やかな回復を続けており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も全体として和らいでいる。』(今回)
『わが国の景気は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響から生産面を中心に弱めの動きが残っているが、基調的には緩やかな回復を続けている。』(前回)

(日本語の方で)主文が入れ替わった書き方になっているのと、生産面の弱め云々が抜けたのは声明文と同様です。

『海外経済は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している。そうしたもとで、輸出は持ち直しの動きがみられている。設備投資は、企業収益が改善するなかで、緩やかな増加基調にある。公共投資は高水準で横ばい圏内の動きとなっている。』(今回)

『海外経済は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している。輸出は横ばい圏内の動きとなっている。設備投資は、企業収益が改善するなかで、緩やかな増加基調にある。公共投資は高水準で横ばい圏内の動きとなっている。』(前回)

ここも声明文と同じなのですが、海外経済の現状認識が変わっていないのに「そうしたもとで」とか言って輸出を上げているんですよね、謎である。

『個人消費は、雇用・所得環境が着実に改善するもとで、基調的に底堅く推移しており、駆け込み需要の反動の影響は全体として和らいでいる。住宅投資は、駆け込み需要の反動減が続いてきたが、足もとでは下げ止まりつつある。』(今回)

『個人消費は、雇用・所得環境が着実に改善するもとで、基調的に底堅く推移しており、駆け込み需要の反動の影響は全体として和らいでいる。住宅投資は、駆け込み需要の反動減が続いているが、足もとでは下げ止まりに向けた動きもみられている。』(前回)

これまた声明文と同様ですが、駆け込み需要関連に関しては上記のとおりで一段落という図になっております。

『以上の内外需要のもとで、在庫調整の進捗もあって、鉱工業生産は下げ止まりつつある。企業の業況感は、一部に慎重な動きもみられているが、総じて良好な水準が維持されている。』(今回)
『鉱工業生産は、在庫調整が続くもとで、弱めの動きが残っている。』(前回)

でまあ生産も引上げと。


・先行き見通しですが需要項目別に見ると・・・・・・・・

『先行きのわが国経済は、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も収束していくとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済は、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も次第に収束に向かっていくとみられる。』(前回)

反動が収束云々の部分が「次第に」というのが抜けて収束します(キリッ)的になったというのは声明文と同様ですが、以下需要項目別に見た部分(というのは声明文には含まれない)を見ますと・・・・・・・

『輸出は、海外経済の回復などを背景に、緩やかに増加していくと考えられる。』(今回)
『輸出は、海外経済の回復などを背景に、緩やかな増加に向かっていくと考えられる。』(前回)

輸出の見通しが上方修正ですよ!!!!

『国内需要については、公共投資は、当面、高水準で横ばい圏内の動きを続けたあと、次第に減少傾向に転じていくとみられる。設備投資は、企業収益が改善傾向をたどるなかで、緩やかな増加基調を続けると予想される。』(今回)

『国内需要については、公共投資は、当面、高水準で横ばい圏内の動きを続けたあと、次第に減少傾向に転じていくとみられる。設備投資は、企業収益が改善傾向をたどるなかで、緩やかな増加基調を続けると予想される。』(前回)

公共投資、設備投資は全文一致とな。

『個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善が続くもとで、引き続き底堅く推移し、駆け込み需要の反動の影響も次第に収束していくとみられる。住宅投資は、次第に底堅さを取り戻していくと予想される。』(今回)

『個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善が続くもとで、引き続き底堅く推移し、駆け込み需要の反動の影響も次第に収束していくとみられる。住宅投資は、次第に底堅さを取り戻していくと予想される。』(前回)

個人消費と住宅投資も全文一致とな。

『以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は、緩やかな増加に復していくと考えられる。』(今回)
『以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は、在庫調整の進捗もあって、緩やかな増加に復していくと考えられる。』(前回)

で、在庫調整云々の部分が抜けておりますが、現状認識の方で在庫調整云々の部分が抜けましたのでそれに対応しているという感じですな。

・・・・・・・と考えると、結局これって輸出の部分が一番上がっているという形になるのですが、ホンマカイナという感じではありますな、うんうん。


・リスク要因、物価に関しては全文一致

『この間、リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州における債務問題の展開や低インフレ長期化のリスク、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』(今回)
『この間、リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州における債務問題の展開や低インフレ長期化のリスク、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』(前回)

うむ。

『物価の現状について、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみると、国内企業物価は、国際商品市況の大幅な下落を反映して、3か月前比で下落している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%程度となっている。予想物価上昇率は、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる。』(今回)

『物価の現状について、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみると、国内企業物価は、国際商品市況の大幅な下落を反映して、3か月前比で下落している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%程度となっている。予想物価上昇率は、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる。』(前回)

うむ。

『物価の先行きについて、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみると、国内企業物価は、国際商品市況の動きを反映して、当面下落を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、当面現状程度のプラス幅で推移するとみられる。』(今回)

『物価の先行きについて、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみると、国内企業物価は、国際商品市況の動きを反映して、当面下落を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、当面現状程度のプラス幅で推移するとみられる。』(前回)

とまあそういうことで、全文一致は良いのですけれども、消費者物価の見通しは「当面」という数か月程度の時間的概念の見通しを続けること自体が物価目標の達成時期を後ずれさせることになるんですけれどもねえ(と言いつつもっと下がりそうな感じなのですけどね、ニヤニヤ)。


・金融市場に関して短国の話は無い

金融環境の部分ですけれども、こちらに関してはまあ毎度おなじみのこれ。

『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(今回)
『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(前回)

んでもって内容に関しては計数の違い部分はありますけれども、判断としては特段の変化もありませんのでその辺は割愛しますが、最後の金融市場

『金融市況をみると、短期金融市場では、オーバーナイト物コールレート(加重平均値)は0.1%を下回る水準で推移しており、ターム物金利は横ばい圏内の動きとなっている。前月と比べ、長期金利は低下している。この間、円の対ドル相場および株価は前月と概ね同じ水準となっている。』(今回)

折角一旦浮いた短国金利がマイナスに沈んであばばばばーという状況でしたが何という能天気な現状認識横ばいという感じですが、では背景説明を含む全文では何か説明しとるんかいなと思って全文を見ますと最後の方になりますが、本文19ページ(PDFだと21枚目)の所に『(2)金融市況』というのがありましてですね、

『短期金融市場をみると、長めのターム物を含め、金利は低位で安定的に推移している。無担保コールレート(オーバーナイト物)は、0.1%を下回る水準で推移している。ターム物金利をみると、3か月物国庫短期証券利回りは、マイナスの領域で横ばい圏内の動きとなっている。3か月物ユーロ円金利およびユーロ円金利先物レートは、いずれも横ばい圏内の動きとなっている(図表44)。』(今回)

とまあごくごくあっさり味で「マイナスの領域で横ばい圏内の動き」としているだけという辺り、市場方面では短国マイナスで色々と問題が発生しているのは知らんがなという日銀クオリティが如何なく発揮されていて誠に残念という所ですな、うんうん。



○11月決定会合議事要旨は認識の背景が12月の所で色々とコケている気がするんだが・・・・・・・

てなわけで11月決定会合議事要旨です。
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2014/g141119.pdf

・海外経済の認識は基本的に確り

『V.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』から。

『国際金融資本市場について、委員は、米国の堅調な経済指標や良好な企業決算などを背景に投資家のリスクセンチメントの改善が続き、総じて落ち着いた展開であったとの見方で一致した。何人かの委員は、国際的な金融規制が市場に与える影響について、FRBの金融政策が正常化に向かう過程でどのように現れてくるか注視する必要があると指摘した。』

「国際的な金融規制が市場に与える影響について、FRBの金融政策が正常化に向かう過程でどのように現れてくるか注視する必要がある」というのは中々結構な指摘ですな、というのを最初に確認して置きまして、海外経済ですけれども・・・・・・・

『海外経済について、委員は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復しているとの見方で一致した。先行きについても、委員は、先進国を中心に、緩やかな回復が続くとの認識を共有した。』

というのが基本的な話で、地域別を見ますと(引用するとクソ長くなるので割愛しますが)米国は強くて、欧州に関しては下げ止まり的なイメージ、中国に関しては構造調整で下がる分各種対策でまずまず、新興国はイマイチという感じですな。


・国内経済に関して:7−9落ちているけど前向きの循環メカニズムは継続となっていますが・・・・・

『わが国の景気について、委員は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響から生産面を中心に弱めの動きが残っているが、基調的には緩やかな回復を続けているとの見方で一致した。多くの委員が、7〜9月のGDP(1次速報値)について、4〜6月の落ち込みからの反発力の弱さを示すものとの認識を示した。』

ほうほうそれでそれで?

『もっとも、委員は、@賃金が緩やかな上昇を続けるもとで、販売統計などをみると、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響は和らいできていること、A在庫調整が進むもとで9月の生産は増加に転じていること、B機械受注(船舶・電力を除く民需)が4か月連続で増加していることなどを指摘しつつ、家計・企業の両部門において、所得から支出への前向きな循環メカニズムが依然として作用し続けているとの認識で一致した。』

ほほうそれはそれは(^^)。

>@賃金が緩やかな上昇を続けるもとで

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/26/2611p/dl/pdf2611p.pdf
毎月勤労統計調査 平成26年11月分結果速報
平成26年12月26日【照会先】大臣官房統計情報部雇用・賃金福祉統計課

『現金給与総額は1.5%減 一般労働者は1.5%減、パートタイム労働者は1.2%減』

ええまあこの統計出たの先週末ですから今月のMPMには間に合っていませんから別に問題ないですけれども11月の「前向きの循環メカニズムが作用(キリッ)」とした上に12月に現状認識と先行き見通しを強くしたというのが味わいが深い。

>A在庫調整が進むもとで9月の生産は増加に転じていること

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
鉱工業指数(生産・出荷・在庫、生産能力・稼働率、生産予測指数)
【平成26年11月分速報】(平成26年12月26日発表)

『今月は、生産、出荷は低下、在庫、在庫率は上昇であった。』

まあこちらも10月分は生産プラス在庫マイナスなのでこの素敵な結果出たのは超直近で今月のMPMには間に合っていませんけどね!!!!!!

>B機械受注(船舶・電力を除く民需)が4か月連続で増加していること

http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/1410juchu.html
平成26年10月実績:機械受注統計調査報告
平成26年12月11日
内閣府経済社会総合研究所

『3.民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、26年9月前月比2.9%増の後、10月は同6.4%減の7,780億円となった。このうち、製造業は同5.5%減の3,438億円、非製造業(除く船舶・電力)は同7.5%減の4,426億円となった。』

(;∀;)イイハナシダナーという所で落涙を禁じ得ません!!!

・・・・・などとこの時から出た後の経済指標を並べてみますと実にこう味わいがあるとか言うのは性格が悪いですかそうですか。

『こうしたもとで、景気の先行きについても、委員は、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も次第に収束に向かっていくとの見方を共有した。』

さあどうなるんでしょうねえ(棒読み)。


・でまあ需要項目別の先行きですが輸出(というか円安効果)が強い

『輸出について、委員は、横ばい圏内の動きとなっており、先行きについては、海外経済の回復などを背景に、緩やかな増加に向かっていくとの認識で一致した。複数の委員は、海外生産移管の影響が下押し要因として作用し続ける点に注意を促した。この点、ある委員は、やや長い目でみれば、現状程度の為替相場の水準が続けば、海外生産移管の動きも抑制されていくと考えられる点を強調した。』

ということなのですが、単純に円高だからという話ではなくて、趨勢的に需要があるのが海外なので海外生産にシフトするのが自然である、という面もある訳で、円安に振れば済むという問題ではなくて、国内需要が強くなるような施策が進む(要は日本経済の成長力が高まる)というのが重要なポイントじゃネーノと思うし、大体からして円安で輸出の工場が増えてヒャッハーってそれ思いっきり発展途上国の成長モデルじゃねえかと存じますが。

『設備投資について、委員は、企業収益が改善する中で、緩やかな増加基調にあり、先行きも、緩やかな増加基調を続けるとの見方を共有した。多くの委員は、7〜9月のGDP(1次速報値)の設備投資が前期比小幅のマイナスとなった点について、資本財総供給など供給側の統計の弱さを反映したものであるが、企業収益は良好で、設備投資計画もしっかりしており、先行指標である機械受注が4か月連続で増加していることなどを踏まえると、先行きは増加が見込まれるとの認識を示した。』

いやまあさっき引用した機械受注統計も先行き見通しはプラスはプラスですからね(棒読み)。

『雇用・所得環境について、委員は、労働需給が着実な改善を続けるもとで、雇用者所得は緩やかに増加しており、先行きも緩やかな増加を続けるとの見方を共有した。何人かの委員が、各種のアンケート調査などを踏まえると、今年の冬季賞与についても、前年比で明確な増加が期待できるとの見方を示した。一人の委員は、改善の勢いに一服感がみられた労働市場も、9月の求人者数や労働時間などの指標をみると再びモメンタムを取り戻しているとの見解を述べた。』

とまあ相変わらず雇用所得の所が強気で、結局「追加緩和以来進行した円安によって輸出が伸びたり企業の投資が国内回帰してくる」というのと、「労働需給がタイトであるので賃金が増える」という2点に思いっきり頼った見通しになっていますよね、という所ですな。

『個人消費について、委員は、雇用・所得環境が着実に改善するもとで、基調的に底堅く推移しており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響は全体として和らいでいるとの認識で一致した。』

まあその辺を前提にしているので個人消費に関しても強めの見方になっています。

『委員は、販売統計の多くが増加に転じるなど、耐久消費財以外の分野では、駆け込み需要の反動の影響が和らいでおり、また、反動が長引いていた自動車などの耐久消費財についても、概ね下げ止まっているとの認識を共有した。委員は、先行きの個人消費について、引き続き底堅く推移し、駆け込み需要の反動の影響も次第に収束していくとの見方で一致した。複数の委員は、エネルギー価格の下落は、実質所得を増加させる方向に作用するため、個人消費には好影響を及ぼすと指摘した。』

だそうな。


・消費増税の反動に関して

個人消費に関しては追加でこんなのがあります。

『何人かの委員は、今回、消費税率の2段階の引き上げが想定されていたもとで、耐久消費財を中心に、2回分の駆け込み需要とその反動が生じた可能性に言及した。』

へー。

『ある委員は、消費税率引き上げ以外に、ソフトウェアのサポート期限切れや建設機械の排ガス規制の強化といった要因による駆け込みとその反動が重なったと述べた。別の一人の委員は、過去に比べて、消費税率引き上げによる実質所得低下の影響が低所得者層を中心に大きいことなどが影響している可能性を指摘した。』

ふーん。

『また、何人かの委員は、夏場までは反動の大きさは概ね想定内との声が多かったことを踏まえると、それ以降の天候不順が反動の影響をやや長引かせる要因となった可能性があるとの見解を示した。』

はいはい天候天候、つーか2%物価目標達成って天候如きでコケルるものなんですかねえ。

『この間、多くの委員が、最近、消費者マインド関連などの指標が幾分慎重化方向の動きとなっている点を指摘した。』

ほうほう。

『この背景について、複数の委員は、天候要因に加え、円安のマイナス面や2回目の消費税率の引き上げが広く報じられたことが影響した可能性を指摘した。』

おいさっき2回分の消費税率引き上げの駆け込み需要がという話があったじゃねえか(まあ同じ人とは限らないけど)と小一時間。

『もっとも、別の複数の委員は、雇用・所得環境は着実に改善しており、冬季賞与についても増加が期待できることを踏まえると、今後、消費者マインド関連などの指標は改善に向かうとの見方を示した。』

ふーんという所ですな。今年の年末ジャンボに並ぶ人の多さが久々のクソ多さだったのを見るとマインドって本当に改善に向かうのかいとは思いますがただのアネクドートなのでどうでも良いですかそうですか。


・金融市場の反応は落ち着いているとな

『2.金融面の動向』から。

『「量的・質的金融緩和」の拡大後の市場動向について、多くの委員が、国債市場においては、市場の反応は落ち着いており、長めのゾーンの金利が大きめに低下するかたちでイールドカーブがフラット化したこと、また、株価やJ−REIT価格が上昇したことなどを指摘しつつ、これまでのところ市場はポジティブに反応しているとの見解を明らかにした。』

マイナス金利は無視ですかそうですか。

『ある委員は、この間の株価や為替相場の動きは、企業収益や米国経済などファンダメンタルズの改善を伴っているとの見方を示した。』

じゃあ何で金利が低下するんだよヴォケ。

『これに対し、一人の委員は、「量的・質的金融緩和」の拡大後も長期金利が低位で安定しているのは、国債市場において日本銀行が過大な存在となっていることが背景にあり、不均衡蓄積のリスクがあるなど、必ずしも歓迎すべきものではないと述べた。』

(;∀;)イイシテキダナー


・金融政策運営にかかわる部分の記述がこれまた色々と味わいが深い訳でして

『W.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』ですけどね。

『多くの委員は、「量的・質的金融緩和」は、前回の金融政策決定会合で拡大を決定したこともあって、引き続き所期の効果を発揮しているとの判断を共有した。すなわち、これらの委員は、わが国の長期金利は低位安定しており、やや長い目でみた予想物価上昇率の高まりともあいまって、実質金利は低下方向にあり、そのことが企業・家計の支出行動を支えているとの認識を示した。』

そもそも日本経済に成長力があるけれども、実質金利の高さが投資行動の妨げになっている、というのであれば実質金利を下げると投資行動が劇的に出てくるのでしょうけれども、実際には成長力が非常に低い所にあって、成長期待が低いから実質金利下げて効くのは金融商品への投資ばっかりで実体経済への投資に回らん、という話だとすれば現状認識のセッティングが間違っているんじゃねえかと思う訳で、もうこの実質金利の話止めればと思いますけど、置物理論の根幹をなすだけに引っ込みがつかないという状況なのでしょうが、つまり置物理論というのは優秀な大和魂によって気合と根性があれば軟弱な腑抜けの米英なんぞ一撃でというような前提に基づいてその先の理論が構築されているというどこかで見た話と似ているという事なんじゃネーノという所ですな、うんうん。

『複数の委員が、「量的・質的金融緩和」の拡大を決定した先月末以降、ブレーク・イーブン・インフレ率などのマーケットの予想物価上昇率の指標が上昇していることを指摘した。』

BEIキターーーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!

という事でBEIスキーな方と言えばあの置物大先生を思い出してしまいますが(そういえば置物先生の楽しい置物ワールドが先週の日経朝刊で展開されていたらしいのですがうっかり読み忘れたわorz)、その後消費増税先送りやら原油価格の低下と共にBEIが親指を立てながら溶鉱炉に沈んでおられると存じますが12月決定会合議事要旨が出たら12月にこの人たちはどの面下げてBEIの話をしているのか是非拝読したい物であります。

『ある委員は、予想物価上昇率については、様々な指標をやや長い目で評価すべきものであるとしつつも、「量的・質的金融緩和」の拡大により、日本銀行の「物価安定の目標」実現に向けた強いコミットメントを改めて示したことで、企業の賃金交渉スタンスや価格設定行動などにも好影響を与えていくのではないかとの期待を明らかにした。』

するかよヴォケ。

『別の一人の委員は、インフレ予想がアンカーされていない日本では、実際の物価上昇率の低下が予想物価上昇率に影響を及ぼすため、「量的・質的金融緩和」を拡大したことは、先手を打つ意味で必要な対応であったと強調した。』

はいはい逐次投入逐次投入。というか「必要な措置は全部取った(キリッ)」との整合性は??????


・前回反対の人たちの見解

とまあ最初の所から中々面白いですけれども次がこの話。

『前回会合で「量的・質的金融緩和」の拡大に反対した委員のうち何人かは、直ちに拡大前の金融市場調節方針および資産買入れ方針に戻ると日本銀行の政策運営の信認が損なわれる惧れがあるなどとして、今回、拡大前の金融市場調節方針および資産買入れ方針に戻すことを求める考えはない、との立場を明らかにした。』

まあ難しい所ですが。ただ市場に対する悪影響は加速しているので時間の経過と共に弊害が拡大しているから買入ペースを下げるべき、という提案を今後しても良いと思いますけどね!!!

『このうち一人の委員は、市場と適切なコミュニケーションを図りながら、市場の状況に応じた弾力的なオペ運営を行うなどの工夫によって、追加措置に伴うリスクを最小限にとどめるよう努力すべきであるとの見解を述べた。』

どう見ても市場を壊してまで金利を下げようとしているオペを実施していますが、一方で金融市場局様におかれましては「市場との対話」と称したアリバイ会合の実施には余念がないとかもう末期症状にも程がある訳で。

『また、ある委員は、大量の国債買入れにより長期金利を押し下げることで、金利による財政規律維持のメカニズムが損なわれるリスクについては、これまで以上に留意する必要があるとの見方を示した。』

まあ留意して無いでしょ執行部はという所で。


・政策効果には結局成長力とか構造問題の解決とかが必要でしょという所で

で、この先が今後の金融政策運営と木内さんの毎度の反対提案ですけれども、それはスルーして最後の部分が中々涙を禁じ得ません。

『何人かの委員は、「量的・質的金融緩和」の効果が幅広く行きわたるためには、大企業を中心に増加基調にある企業収益が、雇用・賃金の増加、国内での設備投資、下請企業等との取引価格の上昇といったかたちで、家計や地域経済、中小企業にしっかり波及していく必要があるとの認識を述べた。』

もはや金融政策ちゃいますが、再分配の方はというと相変わらず企業に税制メリットだせばトリクルダウンという話ばっかりですけどね!!!!

『複数の委員は、物価の改善がベースアップを含む賃金増加や企業の価格設定スタンスの変化に繋がる前向きな動きを絶やさないようにするため、日本銀行としても様々な機会にその重要性について情報発信すべきである、との見解を示した。』

それって一歩間違えるとただの統制経済になるんですけどね。

『この間、委員は、@財政運営への信認を確保することは極めて重要である、Aそのためにも、政府には、「中期財政計画」に沿って持続可能な財政構造を確立するための取り組みを着実に進めることを期待している、との認識を改めて共有した。』

民間にああだこうだ言うよりも政府に財政構造改革の話をした方が話の筋が通っていますし共同文書の趣旨にも沿うと思いますけどね。


#とまあそんな所で嫌味タラタラで読むとそれなりに味わいがある議事要旨でございましたとさ




2014/12/26

お題「高揚感が皆無の最高値更新とな(メモ)/黒田総裁の経団連講演である」

えーっと研究に専念する環境が無いから海外の大学のポストにご就任されたと思うのですが、NYのスタジオなら兎も角トーキョーのこんな朝早くからテレビにご出演するとは研究の方はどうなったのでしょうかねえ>モーサテ

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141226/k10014294291000.html
貯蓄率 消費が収入上回り初のマイナスに
12月26日 5時11分

やったね!デフレマインドが転換して貯蓄率がマイナスになったよ!!・・・・・・・って背景は全然違いますので念のため申し添えます(−−;

○見てないけど市場メモ(俺様用備忘録)

http://jp.reuters.com/article/treasuryNews/idJPL3N0U91KZ20141225
〔金利マーケットアイ〕国債先物は続伸、長期金利0.310%と過去最低更新
2014年 12月 25日 15:18 JST

『<15:12> 国債先物は続伸、長期金利0.310%と過去最低更新

長期国債先物は続伸。前場は高値警戒感がくすぶり、短期筋からの利益確定売りが先行。後場に入ると、2年債入札後、年末へ向けての需給の引き締まりが意識されこれまでの高値147円77銭をあっさり上回り、中心限月ベースで過去最高値を更新した。現物債は超長期/長期ゾーンがしっかり。長期金利が過去最低利回りを更新したほか、超長期ゾーンの利回りも2013年4月以来の低水準で推移した。年金勢や一部銀行勢などのニーズが観測されていた。新発2年利付国債の入札結果は、平均落札利回りがマイナス0.0030%と中長期債で初めてマイナス水準を記録した。入札そのものは無難との評価だった。既発債の2年債利回りは、新発債にサヤ寄せする展開で金利のマイナス幅を若干縮小させた。もっとも、クリスマスで主要な海外市場が休場となるため、動きにくい市場参加者が多くなり、出来高には厚みを欠いた。黒田東彦日銀総裁の日本経団連審議員会での講演内容は材料視されなかった。

長期国債先物中心限月3月限の大引けは、前営業日比10銭高の147円83銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は同2bp低下の0.310%。』(上記URLより)

相場リアルタイムで見れてなかったので長々と引用してしましましたが、2年国債入札は案の定のマイナス入札で、足切りが一応100円20銭だったのが唯一の救い(??)で足切りまでマイナスだったらどうするんだという所でしたが、短国どころか利付の2年までもマイナスとか短期ゾーンの死にっぷりがもうねという所ですな。

で、10年の方ですが、昨年0.315%マークしたのは異次元緩和の翌日の前場というヒャッハー状態の中でございまして、まあ瞬間最大風速ではあったのですが、今回の高値更新は全くと言っていいほど高揚感とかそういうのが無くて、徐々に生体反応が無くなりながら金利水準だけ切り下がって行くという感じでして、ヒーローが親指を立てながら溶鉱炉に沈んで行くというようなラストシーンというよりは、ただひたすら老衰状態になっているだけのような感じですな。

いやこの調子で続きますと債券市場全体的にちょっと勘弁という感じなのですけどねえ・・・・・・


○ここまでくると孔明の空城の計なのではないかと思いたくなる総裁講演

えーっとですね、昨年の総裁のこの手の講演ってQQEの考え方とかデフレ均衡からの脱却とかその手の事に関してそれなりに心の入った講演だったのですけれども、追加緩和実施以降はすっかりヤケクソにでもなったかのような会見応答などをしていましたが、講演も随分とヤケクソ屁理屈状態になっているなあと思いますよ。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/data/ko141225a1.pdf

・そもそもお題がナメトンノカとしか申し上げようがない

大体からして講演のお題がこれですよこれ。

『「2%」への招待状── 日本経済団体連合会審議員会における講演 ──』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

おい招待するのは良いけど肝心のパーティーやってねえだろいつになったら始まるんだこちとら1年半前から招待状が来てるんだぞ待ってる間にドンドン市場が焼け野原になってるんだぞお前達成できてもいないのに招待状とかナメトンノカこのスットコドッコイがああああ!!!

てな所ではございますが、いやまあ2年で2%が今の時点で思いっきり見えていて、物価安定目標達成の大勝利宣言としての講演のお題で「招待状」というのなら分かりますが、達成の見込みがドンドン後ずれしているのに招待状とか、講演の題名誰が考えたのか知りませんが、遂に物価目標2年で達成が不可能になったので現実逃避で大本営発表を真実と思って幻想の世界に逝ってしまわれたのではないかと精神の方を心配したくなるレベル。

でまあ理屈についても以前の「大規模緩和でデフレ均衡から脱出し、期待と気合、および物価上昇によるアダプティブな期待インフレの上昇と需給ギャップの改善で均衡を遷移させる」的な、出来る出来ないは兎も角として話としては一本筋が通っていたのですけどねえ・・・・・・・・・


・最初の所もまあ微妙にツッコミ所があるというか何というか

ロジック展開がダメダメ化しているなあと思うのは、ここの『はじめに』での説明にも表れているのですけれども、兎に角前提条件が全部決めつけ状態になっていて、いやそうじゃない可能性はあるだろという政策担当者として考慮しないといけない筈の点を思いっきり捨てた感じになっている事です。

まあ「この道しかない(キリッ)」とかいうトップに合わせているのかなあとは思うのですが、そもそも新しい事をしようとしている中ですから道進むにしても前提条件とか状況判断とかが必ずしも常に正しい認識できる訳ではないのですから、状況をよく見ながら適宜調整をしながら進んで行かないと、間違った道の方に行った日にはハーメルンの笛吹き男に連れられるおんどれら(というネタは金融クラスタの一部しか通じませんかそうですか)という事になってしまうので、道を進む強い意志を持つのは良い事なのですが、意志だけで特攻しないでちゃんとPDCAサイクル回して欲しい所ではありますなと存じますですよ、はい。

てなわけで最初の所から少々。

『このように、日本経済は、長年続いたデフレから脱却し、2%の「物価安定の目標」の実現に向けて、着実に歩みを進めています。』

まあその前の説明で「は?」という手前味噌モードがありますが一々突っ込んでいると長くなりすぎるので割愛してこの辺りから参ります。

『とはいえ、「景気の回復が実感できない」という声が少なからず聞かれることも事実です。特に、「『量的・質的金融緩和』のメリットを受けているのは、大企業と金融資産を保有している富裕層だけで、全体に拡がっていないのではないか」、「デフレ脱却とはいっても、物価が上昇する一方、賃金がそれに見合って上昇しなければ、生活はかえって苦しくなるのではないか」といった意見を耳にします。』

『日本経済は、現在、デフレのもとでの「縮小均衡」から、2%の物価上昇のもとでの「拡大均衡」への移行過程の真っ只中にあります。』

拡大均衡するそうですが、コストプッシュで物価が上がるだけで終了しますと拡大均衡しないと思いますがその点についての考察は如何???と言いたいのですが、以下の話を見れば判りますが、兎に角この講演にはスタグフレーション的な状況という点に関する考察は1ミリも無い(そもそもリフレ派の辞書にスタグフレーションという概念は無くて物価が上がればアプリオリに良い事とされているので仕方ない)のがもう何だかねと。

『こうした大きな変化が相応のスピードで生じる過程においては、業種や企業規模、所得環境などによって、影響が異なった形で現れることは、避けがたい面があります。』

だからその「避けがたい面があります(キリッ)」で済ませて良いのかという話で、実質賃金が当初下がるのは当然と浜田先生がかつて仰っていたように、途中で起きる問題というのがあるのですから、その部分は再分配とかで工夫すればと思うのですが、ど〜見ても出てくる施策が逆ですから、そのスピード差が消費などに悪影響を与えるレベルになるかどうかという点を良く考えながらリフレ政策を打ち込むべきという話だったのではないでしょうかねえ。

とは言いましても、そもそもリフレ論者の皆様におかれましては兎に角リフレ政策を断行して2%物価目標達成したら世の中はバラ色だという話を盛大にしていて、安倍ちゃんもすっかりその気になっている訳ですから、あの時点で再分配がどうのこうのとか言うのは八百屋で魚を求めるようなもん。

『しかしながら、日本経済が良い方向に向かっていることに疑問の余地はありません。景気の現状に満足されていない方の中でも、「デフレの頃の方が良かった」と思っておられる方は、まずいらっしゃらないのではないでしょうか。』

いやね、それこそ金融資産持ってなくて年金生活しているような人だったら普通に「デフレの頃の方が物価も上がらなくて今みたいに生活が苦しくならなくて済んだのに」って感じてるんじゃないかと思うのだが、これまた随分豪快な言い切りですなあと。


・ご招待しておられる2%の世界の説明がまたアレ

そもそもご招待も蜂の頭もパーティーの開催時刻まであと6か月の筈ですが当初の招待状によりますと、という話は兎も角として、この講演は上記の後にデフレ経済が何で良くないかの毎度の話をしているのですけれどもいつもの置物理論なので割愛して、その後の『3.2%の「物価安定の目標」の実現と日本経済の転換』です。

まあ最初から色々と面白いのですけどね。

『そこで「量的・質的金融緩和」についてお話しします。「量的・質的金融緩和」のメカニズムは、日本銀行が2%の「物価安定の目標」の早期実現に向けて強く明確なコミットメントを示し、人々のデフレマインドを変えることを起点としています。同時に、巨額の国債買入れによって、長期金利を含めてイールドカーブ全体に低下圧力を加え、名目金利をさらに低下させました。』

マネタリーベースの量に関しての話がありませんが・・・・・・・・・・・・

『その結果、実質金利が低下し、名目だけでなく、実質でみても、「金融が緩和している」と感じて頂ける状況が生まれているはずです。』

正直ここの実質金利で企業の投資行動が活発化の話も眉唾だと思う訳で、金利が下がったから設備投資をするのではなくて、あくまでも設備投資というのは(特に新規に行う場合)その投資によって生産される商品がきちんと売り上げを出して収益を生むかというのが最初にあって、その後に投資採算性を考えるという段になって金利というのが意味を出して来るのであって、金利が下がったらよーしパパ工場増設しちゃうぞーとは普通に考えてならんだろと思いますし、金利が下がったら投資しちゃうぞーとなるのは設備投資では無くて金融資産のような投資対象物件そのものの流動性や換金性の高い物になるだろとしか思えないのですよね。

と考えますと、そもそもダブルデジットレベルのデフレならまあ判りますが、QQE投入前だってゼロ近傍の物価水準に居る中で長期金利は1%台で延々と推移していた状態で、金融機関も資本制約で貸出が出来ないとかそういう話でも無い状況で、金融環境ってとうの昔から緩和的だったと思うのですけどねえ。

『その金融環境のもとで、他の政策などとも相まって、民間需要が高まり、経済全体としての需給ギャップが改善し、現実の物価も上昇しました。』

ダウト。

『企業や家計が実際に物価上昇を経験すれば、「物価は上がるものだ」という実感が生まれるため、予想物価上昇率は、さらに上昇することが期待できます。』

まあここしか頼る話は無いですなインフレ期待に関しては。

『この流れを推し進めて2%の「物価安定の目標」が実現した経済においては、企業・家計にとって合理的な行動は、現預金を保有することではなく、投資・消費を行うことになるはずです。』

それはディマンドプルで物価が上昇するならそうですがただのコストプッシュだったらならないですし、ディマンドプルで物価が上昇する形で達成する状態が「物価安定の目標が実現した経済」というのであれば前段と後段はただの同義反復でしかありませんな。

『物価が緩やかに上昇するもとでは、現金保有の実質収益率はマイナスになります。コストカットで内部留保を積み上げ、それを現預金として保有しているだけでは、企業価値を毀損してしまいます。企業は、生産体制の整備・効率化や研究開発、人材の確保や開発などを戦略的に進めることが必要になります。さらに、配当や自社株買いなどの資本政策も重要になります。』

経済にはサイクルというものがありまして、常に拡大政策するのが正しい訳ではないのですけどねえ。

『要するに、「資本コストを上回る投資・収益機会を見出し、企業固有の付加価値を生み出していく」ことが経営課題である通常の経済環境に戻るということです。』

えーっとすいません、それ物価水準と関係ない話だと思うのですけど。資本コストって物価水準で決まるんですか????

『このように企業のスタンスが前向きなものに変化することは、中長期的にみた日本経済の成長率を高めることにもつながると考えられます。』

どうも話が逆のような気がする訳で、中長期的な成長期待があるからこそ継続的な設備投資や業容拡大政策が行われるのではないかと。てかまあ経団連の皆さんも企業経営経験無い方からエラソーに投資しないのがケシカラン的に言われてどうなんでしょうかね、


・2%に関する説明は毎度のグローバルスタンダードですが・・・・・・・・・・・

『なお、デフレから脱却すべきなのはわかるが、なぜ「2%」の物価上昇を目指すのか、という疑問をよく聞きます。一言でいえば、先進国のほとんどが、毎年2%程度の物価上昇を「物価が安定している状態」と捉えているということです(図表7)。』

中長期的に目指すのと、短期的に無理やり達成させようとして為替を思いっきり振るのとは全く別の話で、グローバルスタンダード(キリッ)って言うのだったらそれこそ先進国の殆どが物価目標水準に達する時期を2年よりも長い期間で見ながら運営しているという状況になっている点について、日本の「2年で2%」と比較考察して頂きたい物です。

そしてこの次がアレ。

『15 年にわたるデフレ期(1998 年度〜2012 年度)における消費者物価の前年比の平均は、いくらくらいだと思われるでしょうか。正解は、わずかマイナス0.3%です。多くの方は、「物やサービスの値段は、もっと大きく下がっていたはずだ」と感じられるのではないでしょうか。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

http://www.boj.or.jp/research/o_survey/index.htm/#p02
生活意識に関するアンケート調査 時系列データ

えーっとですね、この時系列見ますと、「1年前と比べて物価が何%上昇/下落したと思いますか」という質問がありますが、第26回予備調査(2006年6月)以降のデータを見ると2010年3月の時だけしか前年比マイナスの数字無いんですけど生活意識アンケートの結果とかインフレ期待を見るのに重要(キリッ)的な事を言っておいてこの説明とは情けない。

ちなみにその前の時系列データ(第26回以前)だと数字でのアンケートが無くて、「上がった/下がった/変わらない」の三択になっているのですが、この間に「下がった」が多かったのは2000年から2004年までの4年間でして、しかもこの間って物価が下がったことに関して「好ましい事だ」が圧勝(まあいつも圧勝ですけど)になっているんですよね。

・・・・・・という事を踏まえて以下を読むと味わいが違ってくる。

『時間の制約から詳細な議論は割愛しますが、消費者物価指数には、物価上昇率を高めに表わすといった上方バイアスがあるため、消費者物価指数の前年比がゼロ%程度というのは、実感としては、かなりデフレ的な状況なのです。』

はいはいボスキンバイアスボスキンバイアス。

『逆に言えば、消費者物価が安定的に2%上昇するという状況は、決して「物価が大きく上がっている」ような状況ではありません。むしろ、実感としては、「物価は、全体として概ね横這いか、ごく緩やかに上昇している」といった状態に近いと思います。』

いやー1%の時にあれだけ物価上昇の話が出るわガソリン下がって大喜びだわ(また最近円安で価格上昇ネタが出ているようだが)の報道見てるとそういう実感には全くならないと思うのだが、日銀の中の人たちはどんだけ王侯貴族の世界にお住みになっておられるのかと小一時間問い詰めいたいですなあ(棒読み)。


でまあ2%だと為替ガーの話もあるがだんだん面倒になってきたので割愛。


・デフレマインドの転換がどうのこうのの話

次が『4.デフレ経済からの転換にあたって』である。

『それでは、今日本経済は、デフレ下の「縮小均衡」から、2%の物価上昇のもとでの「拡大均衡」への移行過程のどの辺りにいるのでしょうか。ここで改めて、わが国経済の現状を整理しておきたいと思います。』

以下のハードデータっぽい部分は手前味噌の話が続くので割愛しまして・・・・・・・・

『また、デフレマインドの転換は、着実に進んでいます。』

ほう。

『今春の賃金交渉において物価上昇を意識した賃上げ要求が行われ、』

要求したの政府だけどな。

『10 数年振りにベースアップが復活したほか、企業がデフレのもとでの低価格戦略を転換し、付加価値を高めつつ販売価格を引き上げる動きがみられるなど、企業の賃金設定や価格戦略にも影響を与えています。さらに、来春にかけての賃金交渉においては、いくつかの労働組合が2%程度のベースアップを要求することを決定しています。』

はあそうですか。

『中央銀行が設定する物価安定目標が労使間の賃金交渉において意識されているという点で、注目すべき動きと言えます。』

盛大にコーヒー吹いたわ。

『日本銀行としても、強い関心をもって、今後の交渉の帰趨を見守っていきたいと考えています。』

いやだからそれって政労使会議で政府が思いっきり要望とかどこの満sy(以下自粛)。

・・・・・・・というのは兎も角として、まあ完全に「賃金上昇に期待」モードになっているというのが分かりますが、昨日も申し上げたように恐らくは株が下がるか円高に振れると泡を吹いて追加緩和に追い込まれるに100バーナンキ。


この後に今般の追加緩和に関する説明があるのですが、先日の会見での屁理屈と同じなので引用を割愛して最後の所を。



・最後の賃上げお願いが途中から謎理論になっていて面白い件

でまあ最後の所で経団連が相手なので思いっきり賃上げお願い攻撃ですが、賃上げしてくれないとどうしようもなくなるのでそらまあお願いする罠とは思う物の、何かこう統制経済っぽくてどうもねという感じだが官僚出身的にはファミリアーなのですかねえ。

『もっとも、移行途上にある現時点においては、「パイ」の拡大のメリットが、グローバルに展開する企業や金融資産を保有する人などに偏在していることは否定できません。もとより、中小企業の収益や家計の所得も、デフレ期に比べれば増加しており、多くの人が何らかのメリットを受けているのですが、その程度には、企業規模や業種、家計の所得階層などによってばらつきがあります。』

で?

『この事実は、単に「パイの分配」の問題に留まらず、次の循環を作るうえで重要なポイントです。すなわち、多くの「パイ」を獲得した主体の支出性向が低い場合、次の循環が働かなくなるからです。高い収益を挙げている企業が積極的に「収益を使っていく」ことが求められています。』

お願いキタコレ!!

『ここで強調しておきたいのは、企業がこのように「収益を使っていく」ことは、日本経済に好影響を及ぼすのはもちろんですが、その企業自身にとっても直接的なメリットをもたらすという点です。』

何か凄いお為ごかしな説明が始まりました。

『2%の「物価安定の目標」が実現すると考える人々にとっては、現在の実質金利は極めて低く、実物投資の採算は良いはずです。逆にデフレ脱却を信じない人にとっては、引き続き実質金利は高く、積極的な行動は抑制されます。』

おい何でデフレと2%目標達成しか選択肢が無いんだよwwwww

『デフレを脱却したあとは、こうした人々も参入してきますので、例えば人手の確保の競争は激しくなるでしょう。また、当然のことですが、2%の物価上昇が安定的に実現すれば、金融環境もやがて経済に中立的なものになっていきます。』

いやだからデフレ脱却しても成長力が上がらなかったらかつての英国病みたいな感じになるだろうよ。

『要するに今の過渡期的な状況を利用するかどうかは、早い者勝ちの面があるということです。』

まあ仰せのような動きになればな。

『デフレのもとでの「縮小均衡」の経済と、2%の物価上昇のもとでの「拡大均衡」の経済とでは、企業を取り巻く環境は全く異なります。企業経営のルールブックが変わるということです。進化論を唱えたダーウィンは、「生き残るのは、強い生き物ではなく、変化に対応できる生き物だ」と言ったと伝えられています。いち早く環境変化を先取りし、「拡大均衡」の経済に対応できた企業こそが競争の「勝者」となり、新しい時代における繁栄を享受できることになるのだと思います。』

えーっと、国債市場の情勢変化に対応しないでマネタリーベース直線理論で国債買入を拡大して市場を盛大に破壊している方に言われたくないわと思いながら悪態を締めさせて頂きます。

#金融経済月報ネタと議事要旨ネタがあったのについこっちにノリノリになってしまってできなかったので週末にちゃんと更新する所存



2014/12/25

お題「総裁会見ネタである」

インフルウィルス放出装置状態の懸念がまだあるので無駄に外に出れないので今日は2年国債入札のマイナスというおそロシアなものをライブで見れないとは残念。

#なお更新時間がいつもよりも遅くなりまして恐縮

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2014/kk1412b.pdf

○原油価格の下落と追加緩和のリンクを切ろうとするロジックすり替え攻撃

でまあこのロジックに関する質疑の中で「確認ですが」という質問が無駄に多くてやたら話が同じところをグルグルしているのが甚だ遺憾な会見だったのですが、まあこのロジックすり替えの辺りに関して確認しましょう。

『(問) 原油に関する質問を2点お伺いします。10月末に追加緩和された時は、原油価格の下落で期待インフレ率とかデフレマインドの転換が遅れそうだということでなさったわけです。原油価格は、その頃から約3割落ちている状況ですが、先程総裁のご発言の中にもありました通り、期待インフレ率については長い目で見れば上昇基調にあり、当面はCPIも現状程度のプラス幅という見立てをされています。』

ですな。

『1点目として、どうしてこういう判断ができるのかということをお伺いします。ブレークダウンして教えて頂けますでしょうか。』

(・∀・)ニヤニヤ

『2点目は、もし原油価格に関係なく、いわゆるコアコアのようなものでみると、需給がひっ迫して物価が上がっていく、ということがこうした判断の理由なのであれば、今回現状維持として追加の金融緩和をすることは見送られているわけですから、今後も少々原油価格が下がろうが上がろうが、そこに引っ掛けて金融政策を行うのではないのだと、つまり前回とはちょっと違うのだということであれば、そこをきっちりご説明頂いた方がいいかなと思いますが、如何でしょうか。』

全くですが、では答えはと言いますと・・・・・・・・・・・・・・・

『(答) 先般10月31日に「量的・質的金融緩和」の拡大を決定しましたが、これは、その当時の需要面の弱めの動き、あるいは原油価格の下落による短期的な物価上昇率の伸び悩みが、デフレマインドの転換を遅らせるリスクがあり、そのリスクが顕現化するのを未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持するために実施したわけです。原油価格そのものに対応したというよりも、物価の基調的な要因、とりわけ、広い意味での予想物価上昇率をみて、その予想物価上昇率に対する影響を考慮したものです。』

BEIは一段下がっているけどな!!!というのに関する言い訳はこの後段に出てくるのに加え、基調的な要因という話をしているのは今回の経済物価情勢の現状および先行き見通しの謎の上方修正がリンクしていまして、要するに「原油が一段下がっても追加緩和はしませんよ」というアリバイの為に今回という謎タイミングで経済物価の現状評価と先行き見通しが妙に上方修正されたのではないかという大本営発表疑惑がががががが。

『また予想物価上昇率を評価する上では、市場の指標やエコノミストなどの調査をみていくのはもちろん必要ですが、それだけではなくて、企業や家計の物価観やそのもとでの行動の変化を捉えることが重要であると思っています。』

BEIが上昇している時にお宅の置物副総裁が自信満々に(しかも単に消費増税織り込み度合いが高い残存が短い旧タイプのBEIを捕まえて)BEIの話を連呼していたのは何だったのかと。

『この点、「量的・質的金融緩和」の拡大後の動きをみますと、金融市場は大きく反応しており、日本銀行の2%の「物価安定の目標」実現に向けた決意は、しっかりと伝わったように窺えます。』

BEIは逆に反応していると思いますが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『また、来春の賃金交渉に向けて、連合では2%以上のベースアップを要求する方針を示しているほか、先日公表された「政労使の取り組み」においても、「経済界は、賃金の引き上げに向けて最大限の努力を図る」という方針が明記されています。』

それ日銀の追加緩和関係ないと思いますし、政府肝入りにも程がある話なので既定路線でしょ。

『市場のブレーク・イーブン・インフレ率は、世界的な下落の中で若干低下していますが、家計・企業・エコノミストなどのサーベイ調査では中長期的な予想物価上昇率は総じて維持されています。』

どう見ても手前味噌です本当にありがとうございました。

『また、12月短観では、企業は引き続き先行きの物価上昇率の高まりを予想しているようです。』

2%に届かない状態で横ばいだけどね!!!!

『このように、人々のデフレマインドの転換は引き続き着実に進んでいるように思われます。』

どう見ても大本営発表です本当にありがとうございました。つーか2%は???

『そういうことであれば、原油価格の下落が経済活動や物価を基調的に押し上げる効果が次第に発揮されて、短期的な物価押し下げ効果が減衰するにしたがって、現実の物価上昇率も上昇していくことになると思われます。』

「そういうことであれば」というのがそもそも手前味噌にも程があるのですが、そこはさて置きますと、10月追加緩和の時には「インフレ期待が改善しないリスクに対応」と言って行っておいて、今回の説明では「インフレ期待の改善が進んでいるので原油価格の下落は経済へのプラス効果でウハウハですよ」となっているようで実にこうインチキにも程がある説明になっております。

そんなに簡単にインフレ期待の改善が進むのでしたら「2年で2%」の方だって簡単に達成して然るべきだと思うのですが、そちらの方はドンドン見通しが後ろ寄せになるわ大口叩いた置物副総裁は一向に辞職どころか反省の弁すら出てこないわというのは何なんでちゅかねえ(−−;

『いずれにしても、今後とも、原油価格の動向の影響も含め、デフレマインドの転換がどのように進んでいくか、十分注視していきたいと思っています。先程申し上げたように、何らかのリスク要因によって見通しに変化が生じて、物価安定の目標を実現するために必要になれば、躊躇なく調整を行うという方針に変わりはありません。』

ということで、今回まあ好意的に書きますと「ロジックの立て直しをして、需給ギャップと期待インフレの話に持ち込みなおした」という事になるのですが、10月31日のロジック飛躍の追加緩和を実施された後にこのような話をされますと、そもそも需給ギャップにしても事後的にしか判らない上に計測誤差がある概念ですし、期待インフレに関しても同様に非常にフワフワした概念でかなり恣意的に数字を拾って説明に使う事が可能な概念ということで、つまり今回のロジックすり替えは一旦「原油価格下落即追加緩和ではない」とはしているものの、まあ有体に言えば株価が下がって皆が浮足立つと追加緩和を実施してくるんでしょという何見て金融政策やってるんだかねえと溜息をつきたくなるような状況である、というのを明確に示してくれましたなあという所ではないかと思われますがどうでしょうかねえ。


などと質疑一発で悪態を並べてしまいましたが、関連質疑が確認みたいなのを含めてやたらあるので、その中からまあ代表的なものをあと2つ。

『(問) 今の話とも関連するのですが、本日、今年最後の会見ということで、来年の物価見通しについて改めて伺います。先程の冒頭の発言の中でも、2015年度を中心とする時期に2%を達成する可能性が高いと、今までの判断を維持されたわけですが、一方でこの激しい原油安の影響でその達成はかなり厳しいのではないかという声が増えています。来年について原油安、円安、需給ギャップ、賃上げの動き等々、物価を左右する要因として大きなものがいくつかあると思うのですが、どのポイントを重視されているのか、またどういう道筋で2%に達すると見ていらっしゃるのかをお聞かせ下さい。』

物価見通しの達成となるポイントがどの要因なのか説明しろやということですな。

『(答) 原油価格が大幅に下がっているということは事実で、これは石油をほとんど100%輸入している日本にとっては、経済を押し上げる効果を強く持つわけです。』

経済を強く押し上げる効果があるのに追加緩和をしたとはこれはまたイカサマにも程があるというか、反対した4人の審議委員が頭から湯気立てるレベルのイカサマ説明でしょこれ。

『一方で、足許の物価上昇率には押し下げ要因として、特に短期的には働いてくるわけです。原油価格の下落は、足許短期的に物価の押し下げ要因となるわけですが、前年比で見た影響はいずれ剥落していく性質のものであり、先程申し上げたように経済活動には好影響を与えていくということで、基調的に物価を押し上げる要因になり得るわけです。従って、もちろん原油価格の動向によって不確実な面はありますが、やや長い目で見ると、原油価格の下落は、物価を押し上げる方向に作用するだろうと考えています。』

これは酷い。というか物価押し上げに作用する件を捕まえて追加緩和とか、そもそも毎度の『見通しに変化が生じて、物価安定の目標を実現するために必要になれば、躊躇なく調整を行う』というのと思いっきり矛盾してるだろと思いますが、まあ追加緩和以降のこの人に政策ロジックの整合性とか一貫性とか求めるというのは詐欺師に誠実さを求めるような物なのでしょうなあ(別に今の日銀執行部が詐欺師だと言っている訳ではないので念の為申し添えます(棒))とは思うが、何ぼ何でも2か月弱でここまでドテンするのはちょっと恥ずかしくないかと思うのだが。

『こうしたもとで、消費者物価は、展望レポートの見通し期間の中盤頃、すなわち2015年度を中心とする期間に、物価安定の目標である2%程度に達する可能性が高いとみています。ただ、足許、原油価格は下がっておりますので、来年の前半に物価上昇率が加速していくということは考えにくいかもしれません。これも原油価格、為替、需給ギャップ、そして何よりも重要な賃金の動向といったことにも左右されますので、もう少し様子を見てみないといけないと思いますが、基本的な物価の見通し、つまり2015年度を中心とする期間に2%の「物価安定の目標」に達する可能性が高いという見通しには変わりがありません。』

ということで、結局の所ここにある「賃金の動向」というのが重要というロジックを持ち出してきておりまして、従いまして今回のロジックを使えば春闘の結果が出るころまでは時間稼ぎができますなという話でありまする。


でまあ確認みたいな質問が沢山出た後に噛み付き系の質問が登場。

『(問) 先程、随分、原油が安くなっているにもかかわらず、追加緩和をしない理由として、企業、家計、エコノミストのサーベイ調査で中長期的なインフレ予想は総じて維持されているとおっしゃいました。それはそうかもしれませんが、10月31日に追加緩和する前も、それは全くそうではなかったのかと思います。』

(・∀・)ニヤニヤ

『あの時点とこの時点で違うのは、BEIがその前も下がっていて、今も下がっています。今はむしろもっと下がっているという状況でいえば、予想インフレ率が変わっていないということを現状維持の理由にするのは、ちょっと理由としては薄弱ではないかと思います。』

(;∀;)イイシテキダナー

『10月31日の追加緩和について、先程、日銀の決意とおっしゃいました。やはり2年という期間にこだわるという強い決意があったのだろうと私たちは理解していますし、世の中全般にそう受け止めていると思います。そういう意味でいえば、15年度を中心とする期間に2%に達する可能性が高いという見通しは、中央値で1.7%ということで、ぎりぎりそういう言い方もできると思いますが、1月の中間評価で、1.7%から、例えば1.5%、1.4%、1.3%となっていくと、15年度を中心とする期間に2%を達成する可能性が高いとは、なかなか言えなくなってくるのではないかと思います。もしそうなった場合は、追加緩和するのでしょうか。やはり2年というのは難しいので、もうちょっと先にするのでしょうか。』

こういう仮定の前提での追加緩和云々という質問はあまり筋が良く無くて、それよりも単に達成期間に関する遅れについての所感を聞いた方が良い気がする。

『11月5日の講演で、物価の下振れリスクが大きくなったのであれば、追加的な措置を行うことは当然の論理的帰結だとおっしゃっています。そういうことからすれば、見通しが下がれば追加緩和をするというのが筋ではないかと思いますが、如何でしょうか。』

多分目先下がる件は織り込み済みという話になっているから1月の中間レビューでどうのこうのという聞き方はあまり上手くないと思うのだが。前半だけで良かった気がします。

なおそれに対する答えがまた凄い。

『(答) まず前半については、そういうご意見はあるかもしれませんが、私どもは全くそういうふうには考えておりません。』

問答無用キタコレ!!!!

『あの時点で、「量的・質的金融緩和」の拡大を行わなかった場合、どうなったのかということとの比較で考えないといけないわけです。』

これしか言い訳の仕様が無いのは判るが、再現実験が出来ない社会事象において「行わなかった場合にもっと悪かったに違いない」というのは究極の開きなおり最強言い訳ですな。

『消費を中心として内需が弱い状況が続き、物価上昇率が次第に下がってきており、その上、原油も大幅に下がって、これがさらに物価上昇率を下げる可能性がある中で、予想物価上昇率が下がっていく、あるいはデフレマインドからの転換、よいモメンタムが逆戻りしてしまうという懸念があったので、そういったことにならないように「量的・質的金融緩和」の拡大を行ったということです。』

だそうです。

『そうしたもとで、今のところ、中長期的な予想物価上昇率は維持されていて、目立った低下はしていないということです。ブレーク・イーブン・インフレーション・レートについては、「量的・質的金融緩和」の拡大を行った後、上昇しましたが、その後の世界的な原油価格の下落等のもとで、また下がってきていることは事実です。しかし、最初に申し上げた通り、予想物価上昇率というのは、ブレーク・イーブン・インフレーション・レートだけでなく、様々な指標でみていく必要があります。』

はいはい手前味噌手前味噌。

『こういった議論は、米国等でも行われていますが、何度も申し上げた通り、賃金の上昇率も、非常に重要なファクターであり、そういったところからみて、「量的・質的金融緩和」を拡大した後、その効果もあって、広い意味での予想物価上昇率が上がったところで維持されていると思っています。この動向については、企業や家計の物価観といったことまで含めて、総合的にみていく必要があります。それについて、10月31日の時点で低下する懸念があったので「量的・質的金融緩和」を拡大し、拡大した後、幸いに、そういった懸念が顕在化することは防がれていると思いますが、今後、そういった広い意味での予想物価上昇率の動き、企業や家計の物価観をよくみていく必要があると思います。』

何ちゅうかもう屁理屈が凄い。

『2%の「物価安定の目標」について何らかのリスク要因によって見通しに変化が生じて、2%の「物価安定の目標」を実現するために必要ということになれば、前から申し上げている通り、躊躇なく調整を行うということに変わりはありません。』

しかも恐らく質問した方としては後半の追加緩和のことについて何か喋らせようとしていたと思われるのですけれども、追加緩和絡みの質問は見事にスルーの巻ですな。



○質疑が噛み合っていない例を2件ほど

どうも資産買入政策をそもそもどういう目的、というか「買入によってどのような結果をもたらすので、その結果がこのように政策目標達成に資する」という話なのですが、何で実施してるんですか的な質問が債券と株の両方について質問があった訳ですが、答えが全然噛み合って無くてワロタので鑑賞。

『(問) 国債買入れに関して伺います、2%の「物価安定の目標」の達成のため相当な量を買われています。15年末には280兆円になるかと思うのですが、現状では市中発行分の25%を超えており、現状の枠組みからいくと、2%の「物価安定の目標」を狙って、さらなる増額も考え得るかと思います。残存期限を7〜10年とするように買っていて、出口のタイミングははっきり分かりませんが、償還を待ってもなかなか残高が減らず、景気回復して物価が上昇すれば金利も上昇して、日銀にもロスが生じるかと思います。中央銀行の総裁として、これだけ国債を買って先行きどうなるか、リスクや懸念を現状でどのようにみていらっしゃるのかお伺いします。一方、米国ではティーパーティーが政府の財政政策や中央銀行の緩和政策を批判しています。日本の場合には、政府でも民間でもなかなか見当たらないのですが、中央銀行がここまでの国債を買い続けて、異常な政策なのではないでしょうか――異次元緩和といわれるのはわかりますが――。この辺りのところを総裁がどの程度深刻に考えていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。』

この質問は「一方」以下が余計ですな。しかし答えは質問の遥か斜め上を行くのでした。

『(答) 中央銀行は、どこの国でも通常、一定の利益を出し、それを政府に納付することになっています。中央銀行の利益あるいは財務について、全く意味がないとか考慮する必要がないとは思いませんので、当然、中央銀行として収益がどのように動いていくのか――特に収益を極大化するように行動しているわけではありませんが――、あるいは財務状況がどうなっていくか、には関心がありますが、中央銀行としての目標、役割はあくまでも物価の安定と金融システムの安定です。現状、金融システムは安定していますが、物価が安定していない、2%の「物価安定の目標」への途半ばというところですので、2%の「物価安定の目標」を達成するために、必要なことは何でもやっていくということに尽きると思います。』

・・・・・・・・・・・・・これだけ全然答えになっていない答えも珍しいので、まあ聞かれたら困る質問なんでしょうね。


株について。

『(問) ETFの買入れ政策について3点お伺いします。今、株式市場関係者は、日銀がETFの買入れをしたのかどうかを、夕方、固唾を飲んで見守っているという状況です。今日は買ってくれなかったとか、あるいは今年の分は終わってしまったのか、というようなことで毎日騒いでいるわけです。1点目の質問は、もうこの時点で株価形成を歪めている懸念があるのではないかと思いますが、総裁はそう思われないでしょうか。2点目は、改めてですが、この政策の意図は何であって、日銀の本来の意図の通り今機能しているのでしょうか。3点目は、この政策について弊害があるとしたら何が考えられるでしょうか。』

中々良いツッコミなのだが答えが斜め上。

『(答) ETFの買入れについては、日本銀行の買入れ残高が年間約3兆円に相当するペースで増加するように行うということを、政策委員会で決定し、それに沿って執行部が運営しているわけですが、実際の買入れというのは、市場の状況に応じて、日本銀行が定める基準に従って、受託者である信託銀行が行っているわけです。その基準の具体的な内容は、市場に不測の影響を与えることがないように、明らかにしない扱いとしています。』

そんな事は質問していない。

『これまでのところ、 ETFの買入れは、リスクプレミアムの低下を促すという所期の効果を発揮してきていると思います。中央銀行が国債以外のものを買入れるというのは、やや異例ではありますが、ご承知の通り、リーマンショック後は、欧米の中央銀行も、それぞれの経済、金融市場の動向に合わせて、国債以外の様々な金融資産の買入れ等を行っており、わが国の場合は、今申し上げたリスクプレミアムの低下を促すという観点からETFの買入れを行っています。』

リスクプレミアムの低下を促すという観点とかいってますが、現時点で株式市場のどこにリスクプレミアムが存在するのか小一時間問い詰めたい。

『なお、マーケットの価格に影響が出るのではないかということですが、リスクプレミアムの低下を促すという意味で影響が出るということは、まさに政策の効果であり、国債を買った場合に、国債の価格に影響が出て、緩和という形であれば金利を押し下げるということがあるわけで、それは、そういうことがない場合に決まってくる価格と比べると、違ったものになるのは当然であって、これは金融政策が金融市場において、金融資産の売買を通じて政策を行っている以上、ある意味で当然のことであると思っています。』

という答えですが、国債の場合はリスクプレミアムの低下じゃなくて露骨に金利押し下げ政策をしている訳で、一方のETFはリスクプレミアムの低下、といっている訳で、もしその建付けを維持するならリスクプレミアムがどうなっているのかという話をしないといけないんじゃないですかねえ。

とまあそういう所で、どうもこう資産買入政策そのものがどういう波及経路で効果を出すのかという話についての説明や副作用の話とかになると説明が斜め上になるのはいつものことではありますが、今回の会見での説明は(追加緩和をした結果としてそうなったのでしょうが)更に酷くなっているなあと思うのでありました。


#てなわけで総裁会見ネタを今さらで恐縮至極



2014/12/24

お題「年の瀬にインフルエンザだぜヒャッハー、という雑談ですいません」

なお熱が下がって人心地ついた23日の夜にちょっくら書いている次第で、24日の朝普通の時間に起きているのかどうか判らないので更新なし=死亡説でも流されると困りますから先に更新しておくのだ(まあインフルで倒れているのだから同じようなもんだが)。

○予防接種は大事だよ

えーっとですね、冬の風物詩インフルエンザなのですが、前回罹患したのが2005年の1月でして、10年ぶりにやらかした訳なのですが、前回やらかしたのはB型で今回はA型をやらかしてしまいました。

でまあ何故か今年は何をとち狂ったのか偶々別件で医者さんの所に行った時に「ついでですのでインフルエンザの予防接種しませんか」というセールストークに乗せられてホイホイと予防接種をしていまして(例年そのような面倒な事はしない)、そのおかげで高熱にもならず(上がって8度3分)に割と早期に熱が引くという効用がありました。何せ前回やらかした時は9度超えの熱が丸々1日半続いて滅茶苦茶しんどかったですから楽勝楽勝。

・・・・・・・とは言いましても、去年までは「予防接種していない」→「インフルエンザ注意しないといけない」→「健康的な生活が必要」ということで気を使っていたのですが、今年は予防接種したからインフルエンザにかからないぜ無敵シールドヒャッハー!!と盛大に勘違いをして年の瀬に向け身体に無理を掛けていましたので、予防接種をしていてもインフルエンザになる時はなる、という有り難い教訓を皆様の為に身体を張ったネタとして提供しておりますので、予防接種をしたので安心という訳ではないという事にはご留意ください。

ちなみに10年前はタミフルが処方されましたが、今回は謎の粉を吸い込むみたいな薬を処方され、処方された薬局でそのまま吸い込みを行いましたな。タミフルの時はある時点で突如強烈に効いて熱が激しく下がったので、下がった瞬間の身体の軽さが嬉しくて部屋の中で踊るという異常行動をしておりましたが、これが例の異常行動かと思いながら踊っていたので無事に今でも生きているのでありました(大汗)。


○なお次の更新は早くて木曜遅くて金曜の所存

何せ月曜の引けを見ずに帰る→医者でインフル認定うける→寝込むということでその後盛大に寝込みまくっておりましたので、FOMC会見ネタとか黒田総裁会見ネタとかがあるのは承知しておりますし、債券市場様のほうも相変わらずの壊れっぷりを示す中、ネタ拾いとか考察とか熱がぶり返すような行動は致しておりませんし、そもそも熱が下がったからと言って直ぐにホイホイと出社すると歩く人間細菌兵器と化してしまいますので(解熱してから2日とか言われた)この与太話(本当に与太話)を皆様がご覧になる時間帯には白河夜船状態でしょうし、間違って普通に朝起きていても脳味噌の方がすっかり寝ておりましてリハビリが必要という状態ですので、リハビリがてら黒田会見ネタあたりを見物して、ぶり返して居なければ木曜位には更新しようかなと思っております、はい。


まあ何ですな、そもそも論として最近は短国のマイナス金利長期化に加えて利付国債のマイナス金利年限の拡大ですっかり疲弊というか、頭の中がヒャッハードーパミン炸裂状態になって、一時は猛烈に寝不足になる位の状態にまでなった(別に自慢する話でも無いので黙っていましたが)りと、相場のせいですっかり体の方が弱っていたというのがあった上に、予防接種で無敵シールドだぜヒャッハーと勘違いしたのが重なって年の瀬にインフル罹患という誠にケシカラン事態を招いた訳でして、これはやはり日銀の政策およびオペ運営に問題があるので謝罪と賠償を要求するしかありませんな(謝罪と賠償は冗談だが相場のせいで体に負担を掛けたのは多分事実)。

てな訳で、皆様におかれましてもお身体ご自愛頂きまして年末年始を乗り切って頂きたいものと存じます。





2014/12/22

お題「2年がヒャッハー/決定会合レビューでロジックすり替え登場/FOMC冒頭ステートメントから少々」

FRBのページだが
http://www.federalreserve.gov/
イエレン議長の会見質疑内容が中々アップされないのは何か理由でもあるのかとおもったが単にクリスマス休暇でやる気無しモードというのが要因のようですな。

#と思ったらさっきアップされていました

ところでこの世論調査結果は中々アレ。
http://www.news24.jp/articles/2014/12/21/04265752.html
安倍内閣支持率46.6%〜NNN世論調査
< 2014年12月21日 19:38 >

『選挙の結果、安倍首相が続投することについて「良かったと思う」が51.3%に上り、「良かったと思わない」は33.8%だった。一方で、「アベノミクス」をこのまま進めることについては「良いと思う」が39.7%、「良いと思わない」が43.4%だった。』(上記URLより)

アベノミクスを問う選挙とは何だったのかと小一時間・・・・・・・・・・・・

#まあ質問の設定によって微妙に変な結果になる可能性はあるのだが


○2年カレントがマイナス4bpだと?????

ということで市場雑談だが。

http://jp.reuters.com/article/treasuryNews/idJPL3N0U32AJ20141219
〔金利マーケットアイ〕翌日物の加重0.06%台半ばか、3カ月TBは0.000%に上昇
2014年 12月 19日 15:34 JST

『<15:05> 国債先物は反落で引け、長期金利0.350%に上昇

国債先物中心限月3月限は前日比12銭安の147円54銭と反落して引けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けた前日の米債相場が下落したことを受けて売りが先行。日経平均株価が大幅続伸となったことも重しになった。もっとも、好需給環境に変化はなく、下値は限定的。日銀は金融政策決定会合で現行の金融政策維持を決定したが、相場への影響は限られた。

現物市場は総じて閑散。飛び石連休の谷間で、積極的な取引が手控えられた。ただ、売り物が少ない中、中短期ゾーンに小口の買いを観測。2年利付国債利回りは前日比2.5bp低いマイナス0.040%と前日の過去最低(マイナス0.020%)を更新した。既発5年115回債(償還2018年9月20日)は前日比0.005%低いマイナス0.010%で出合いを付けており、マイナス金利は残存年限で4年近くまで波及している。10年最長期国債利回り(長期金利)は同0.5bp高い0.350%に上昇。』(上記URLより)

飛び石連休の谷間は今日のような気がしますがまあそれは兎も角として、2年カレントですけれども金曜はまたまた午後からアオリイカ状態になってマイナス2.5bp→3bp→3.5bp→4bpと思いっ切り金利低下を煽るような動きとなっていまして、まあ確かにこの状況で売り向かうにも恐らく碌にショートも出来ないので向かう動きも無いでしょうが、普通は投資家のニーズがろくすっぽ無い所まで買い上げても相場というのはいずれ自然崩壊するものなのですが、何せご案内のように日銀がマイナス10bpだろうが100bpだろうが(かどうかは知らんが)実勢だということで応札が入るとそこの金利で買う、というのが仕様となっているので、特に利付債のように当該年限の新規玉供給(つまり新発債発行)が月に1発しか無いとなりますとアオリイカの動きが本格化してショートもし難いような状況になるとこんな流れになってもおかしくは無いとゆー所ですな(一方短国の場合は供給は毎週あるので日銀の買入と投資家ニーズのバランス次第だがこちらもショートは出来ないので煽られる時は煽られる)、うんうん。

ちょっと何ちゅうかさすがに目に余るような気もするんですけど、これで今週木曜日に2年新発の入札があって、どこの水準で入札するのよという話で、短国買入が年内多分終了になるはず(今日短国買入やるのは日程的に可能だが実施したらもはやテロ攻撃のレベル)なので、年内は中期の輪番がまだ残っているので中期は煽られやすいという話にしても何ぼ何でもとゆーところですな。

しかしまあ何ですな、日銀が買入実施しているから財務省の発行コストが盛大に下がってウマーという意見もあるのですが、短期ゾーンまでくると短国は確かにマイナス金利で発行できていますが、それってオペを通じて日銀がより深いマイナス金利で購入しているので統合政府で見た場合にどうなのよという感じですし、大体からして海外勢が短国マイナス買えると言いましてもそれってそもそもがドル円市場絡みなのですから、その裏には国内勢がドル調達するのに円をマイナス金利で運用する事を余儀なくされているという事ですから、マイナス金利の負担が普通に国内勢にも掛かっていて、結局金利をマイナスまで極端に下げて何の意味があるんでしょうかねえと思うのでした。


○決定会合レビューである:声明文は上方修正&原油安即追加緩和の話をフェードアウトしたいようで

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k141219a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k141119a.pdf(前回)

・現状判断はあちこち引上げとな

『わが国の景気は、基調的に緩やかな回復を続けており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も全体として和らいでいる。』(今回)
『わが国の景気は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響から生産面を中心に弱めの動きが残っているが、基調的には緩やかな回復を続けている。』(前回)

こちらですが、駆け込み需要の反動の影響が「全体として和らいでいる」に変わっていまして、ついでに言うと「基調的には緩やかな回復」の部分が前に来ているので文章全体として見た場合にも上方修正感が漂いますな(なお英文版だと『Japan's economy has continued to recover moderately as a trend,』が前回も今回も最初に来ているので語順をいじったのは正式版だけです)。

『海外経済は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している。そうしたもとで、輸出は持ち直しの動きがみられている。設備投資は、企業収益が改善するなかで、緩やかな増加基調にある。公共投資は高水準で横ばい圏内の動きとなっている。』(今回)

『海外経済は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している。輸出は横ばい圏内の動きとなっている。設備投資は、企業収益が改善するなかで、緩やかな増加基調にある。公共投資は高水準で横ばい圏内の動きとなっている。』(前回)

海外経済の現状判断は同じなのですが輸出は「持ち直しの動きが見られている」に上方修正というプレイが出ておりましてえーという感じですな。設備投資と公共投資は同じです。

『個人消費は、雇用・所得環境が着実に改善するもとで、基調的に底堅く推移しており、駆け込み需要の反動の影響は全体として和らいでいる。住宅投資は、駆け込み需要の反動減が続いてきたが、足もとでは下げ止まりつつある。』(今回)

『個人消費は、雇用・所得環境が着実に改善するもとで、基調的に底堅く推移しており、駆け込み需要の反動の影響は全体として和らいでいる。住宅投資は、駆け込み需要の反動減が続いているが、足もとでは下げ止まりに向けた動きもみられている。』(前回)

住宅投資に関して判断を引き上げとかホンマカイナという感じなのですが・・・・・・・・・・

『以上の内外需要のもとで、在庫調整の進捗もあって、鉱工業生産は下げ止まりつつある。企業の業況感は、一部に慎重な動きもみられているが、総じて良好な水準が維持されている。』(今回)
『鉱工業生産は、在庫調整が続くもとで、弱めの動きが残っている。』(前回)

てなことで業況感の所は短観直後の声明文に入るのが仕様なのでそれはそれとしまして、在庫調整の進捗で生産は下げ止まりつつあると上方修正ですってよ奥様!!

『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、1%程度となっている。予想物価上昇率は、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる。』(今回)

『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、1%程度となっている。予想物価上昇率は、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる。』(前回)

予想物価上昇率に関しては相変わらずこの表現で往生際が悪いにも程がありますが、何せ戦局の悪化を認めてしまうと死んでしまうという大本営発表体質になっているので致し方なし。


・先行き見込も引上げとな

『先行きのわが国経済については、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も収束していくとみられる。消費者物価の前年比は、当面現状程度のプラス幅で推移するとみられる。』(今回)

『先行きのわが国経済については、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も次第に収束に向かっていくとみられる。消費者物価の前年比は、当面現状程度のプラス幅で推移するとみられる。』(前回)

ということで先行き見通しですけれども、今回はしらっと駆け込み需要の反動の影響が収束するという事になっていまして、色々とホイホイを先行き見込が引き上げになっている一方で、物価の見通しに関しては毎度の『当面現状程度のプラス幅』という表現です。

でまあこの「当面」というのはこの前まで使われていた「暫くの間」よりも時間の概念として短いという建付けになっておりましたので、表現として同じものを続けている時点で物価見通しが下方修正されているのではないか、というツッコミはあるのですが、この部分に関して日銀に屁理屈を投下して貰いますと「確かに「当面」という表現をしていますが、その「当面」より先の見通しについて声明文では表現しておりませんが何か?」という凄まじい屁理屈が投下される筈です。

つーかまあそれ以前の問題として「現状程度のプラス幅」というのもこの先どこからどう見ても怪しいのですけれども、どこまで言い逃れをするのか、という点に関しては会見でああだこうだ言っているのですけれども、「この先の物価動向を決めるのは賃金」という話をしておりますので(詳しくは会見要旨が出てからネタにします)、即ち「春闘の結果を見てから判断しましょう」というロジックで今後攻めてくることが想定されます。詳しくは会見出てからね。


・リスク要因とかの部分は全文一致

『リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州における債務問題の展開や低インフレ長期化のリスク、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』(今回)
『リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州における債務問題の展開や低インフレ長期化のリスク、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』(前回)

毎度の全文一致である。

『「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注3)。』(今回)

『「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注3)。』(前回)

まあこれも毎度の全文一致でして・・・・・・・・・

『(注3)木内委員より、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置付けるとの議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:木内委員、反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員、佐藤委員)。』(今回)

『(注3)木内委員より、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置付けるとの議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:木内委員、反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員、佐藤委員)。』(前回)

さすがにもうすぐ2年終わるので「2年間程度の集中対応措置」という表現を使うのも如何なものかという気がするが木内さんの提案も貫録の全文一致です。あと「追加緩和前の買入ペースに戻せ」ということで木内さん反対をしているのも前回と同じです。


○会見ネタのメモである

前回の会見では消費税絡みの質問が続き、余計な事を言わないようにという配慮があったと思われますけれども黒田総裁が延々と想定問答を見ている光景&冴えない表情が目立ちましたが、今回の会見は前回と違いまして「原油価格に関して」の質問が集中する形になりまして、まあそちらに関しては事前にロジックが出来あがっている事に加えて、政治的にマズーな質問でも無いので普通に受け答えしていた感じがあります。

つーかですな、質問の方がイマイチツッコミが足りないなという所でもありましたし、答える黒田さんも適当に質問を躱して答える感じが多くて正直おもんないわという会見(つーか途中でライブ中継どうでも良くなって事務作業に入ってしまいましたがな)で、辛うじて最初の質問(幹事社じゃ無い方)と途中の質問で毎度のあの方の質問位がちったあ見れたかねという所で。

でまあこの記事が中々良くまとまっているので会見録読む前に引用しませう。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NGTKRE6TTDSI01.html
日銀総裁:原油安は物価押し上げに−前年比の影響いずれ剥落
更新日時: 2014/12/20 00:01 JST

『(ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁は19日午後の金融政策決定会合後の記者会見で、原油価格の下落が物価に与える影響について「前年比でみた影響はいずれ剥落していく」とした上で、経済活動に好影響を与えていくことで、「やや長い目でみると物価を押し上げる方向に作用する」との見方を示した。』(上記URLより、以下同様)

・・・・・・・(;゚д゚)

えーっと、この前原油価格下落でアクチュアルの物価が低下することによってバックワード的にインフレ期待が上昇しにくくなるから追加緩和を実施、という話をしていたと思いますが・・・・・・・・・・・

『黒田総裁は「原油が相当大幅に下がっているということは事実だ。これは石油をほぼ100%輸入している日本にとっては経済を押し上げる効果を強く持つ」と指摘。一方で、 「足元の物価上昇率には、特に短期的には押し上げ要因として働いてくる」と述べた。その上で、原油価格の下落は「前年比でみた影響はいずれ剥落していく性質のものであり、原油価格の下落が経済活動に好影響を与えていくということで、基調的に物価を押し上げる要因になり得る」と指摘。』

だから別に追加緩和をしなくて良いと言って反対した委員が4人いた筈ですががががが。

『「もちろん原油価格の動向によって不確実な面はあるが、やや長い目でみると原油価格の下落は物価を押し上げる方向に作用する」と語った。』

何というイカサマ説明。でまあちょっと飛ばしまして更に引用。

『黒田総裁は消費者物価の前年比について「15年度を中心とする期間に物価目標である2%に達する可能性が高いとみている。ただ、足元で原油価格が下がっているので、来年の前半には物価上昇率が加速していくことは考えにくいかもしれない」と述べた。』

加速どころか下がるように思えますが・・・・・・・・・・・・

『さらに、「これも原油価格、為替、需給ギャップの影響、そして何より重要な賃金の動向にも左右されるので、もう少し様子をみてみないといけないと思う」としながらも、「基本的な物価の見通し、つまり15年度を中心とする期間に物価目標に達する可能性が高いという見通しには変わりはない」と語った。』

お賃金キター!!!

ということで、急に中長期的な物価に関しては需給ギャップが決めるもので、その中で重要なのは労働需給の部分であり賃金の動向である(キリッ)という話を持ち出してきまして、これは「春闘の結果が出て賃金動向が出るまでは需給ギャップの動向を見極める時期(キリッ)」というロジックの盛大なすり替えが炸裂しているのが実にこうイカサマの香りプンプンという所ですし、質疑が原油価格動向の所に集中していたので、まさに思うつぼという感じでこのすり替えロジックを炸裂させている(だから質疑が全然噛み合わない)というのが今回の会見だったと思います。

なおブルームバーグニュースは記事でイヤミを書くのに余念が無いようでここはワロタ。

『日銀は10月31日の決定会合で、消費増税後の需要の弱さと「原油価格の大幅な下落が、物価の下押し要因として働いている」と指摘。「短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがある」として追加緩和に踏み切った。黒田総裁は追加緩和について「原油価格の下落そのものに対応したというよりも、物価の基調的な要因、広い意味での予想物価上昇率への影響を考慮した」と説明した。』

なお、詳しくは会見要旨が出てからネタにしますが、今回はイカサマロジック(というかロジックすり替え)炸裂の回となっていまして、そういう意味では政策ロジックの一貫性とかそういうのを求めても無駄無駄無駄というのが良く見えてくると思われます、はい。


○イエレン議長会見ですがまだQ&Aはまだ読んでいないのでオープニングステートメントだけ

何か知らんが今見たらページ数が増えてるやん!と思ったら質疑がやっとアップされていましたよ。
http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20141217.pdf
Transcript of Chair Yellen’s FOMC Press Conference
December 17, 2014

まともに引用していると5ページ弱あるので適当に参ります。

・フォワードガイダンス文言は変更&その理由がイミフ

冒頭のパラグラフ。

『Good afternoon. The Federal Open Market Committee (FOMC) concluded its last meeting of the year earlier today. As indicated in our policy statement, the FOMC reaffirmed its view that the current 0 to 1/4 percent target range for the federal funds rate remains appropriate. The Committee also updated its forward guidance for the federal funds rate, indicating that the Committee judges that it can be patient in beginning to normalize the stance of monetary policy.』

ということで声明文ではややこしかったのですがこちらで「updated its forward guidance」と説明しています。

『This new language does not represent a change in our policy intentions and is fully consistent with our previous guidance, which stated that it likely will be appropriate to maintain the current target range for the federal funds rate for a considerable time after the end of our asset purchase program.』

どう見てもイカサマだろというか、金融商品取引業者がこんな書き方したら誤認勧誘とか言われても文句言えないと思うのですが何なんですかねえ。

『But with that program having ended in October and the economy continuing to make progress toward our objectives, the Committee judged that some modification to our guidance is appropriate at this time. I will have more to say about our policy decisions in a moment, but first let me review recent economic developments and the outlook.』

文言変更の理屈がかなり無理矢理でして、金曜にも引用しました部分(3ページ目のラスト部分から)を再掲しますが・・・・・・・

『Given that the Committee is not signaling a change in policy, why did we update our guidance? The reason is that with the asset purchase program having been wound down in October, it seemed less helpful to continue to communicate about the possible timing of our first rate increase with reference to an event that is receding into the past.』

「資産買入が終了しても相当の期間低金利を継続するでしょう」というガイダンス文言に関しては、もう資産買入が終了しましたので資産買入云々という文言を入れる必要はないでしょう(キリッ)ってナンジャソラという説明。

『Instead, we have shifted to language that better reflects the Committee’s focus on the economic conditions that would make lift off appropriate.』

まあ要するに「データディペンデント」というのを強調したいようで、この次のパラグラフの所(4ページの中盤)にはこういう記述があります。

『This assessment, of course, is completely data dependent. If incoming information indicates faster progress toward the Committee’s employment and inflation objectives than the Committee now expects, then increases in the target range for the federal funds rate are likely to occur sooner than currently anticipated. Conversely, if progress proves slower than expected, then increases in the target range are likely to occur later than currently anticipated.』

声明文でもこの説明がありますが、要はデータディペンデントという話な。


・経済物価見通しは強いですよ

最初の方に戻りまして。

『In the labor market, progress continues toward the FOMC’s objective of maximum employment. 』

キタコレ。

『The pace of job growth has been strong recently, with job gains averaging nearly 280,000 per month over the past 3 months; over the past 12 months, job gains averaged nearly 230,000 per month. The unemployment rate was 5.8 percent in November, three-tenths lower than the latest reading available at the time of the September FOMC meeting. Broader measures of labor market utilization have shown similar improvement, and the labor force participation rate has leveled out. As noted in the FOMC statement, underutilization of labor resources continues to diminish. 』

先ほど引用した第1パラグラフの次がまず労働市場の話ですがご覧のように強い認識。

『Even so, there is room for further improvement, with too many people who want jobs being unable to find them, too many who are working part time but would prefer full-time work, and too many who have given up searching for a job but would likely do so if the labor market were stronger.』

とまあ改善の余地はまだあるという話はしていますが、まあ基本的な説明は強い罠。

『The Committee continues to see sufficient underlying strength in the economy to support ongoing improvement in the labor market.』

こちらもキタコレ。

『Real GDP looks to have increased robustly in the third quarter, reflecting solid consumption and investment spending. Smoothing through the quarterly ups and downs earlier this year, real GDP expanded around 2-1/2 percent over the four quarters ending in the third quarter, and the available indicators suggest that economic growth is running at roughly that pace in the current quarter. The Committee continues to expect a moderate pace of growth going forward.』

ということで成長見通しも強いわな。

『Inflation has continued to run below the Committee’s 2 percent objective, and the recent sizable declines in oil prices will likely hold down overall inflation in the near term.』

物価に関しては原油価格の下落が目先の物価を押し下げるという話をしていますが・・・・・・・・・

『But as the effects of these oil price declines and other transitory factors dissipate, and as resource utilization continues to rise, the Committee expects inflation to move gradually back toward its objective.』

とは言えまあそれは一時的だしリソースの稼働状況も上昇するので物価は徐々に上昇しますよと。

『In making this forecast, the Committee is mindful of the recent declines in market-based measures of inflation compensation. At this point, the Committee views these movements as likely to prove transitory, and survey-based measures of longer-term inflation expectations have remained stable. That said, developments in this area obviously bear close watching.』

ただし、市場のBEIが縮小している件については注意が必要とのコメントがさすがに入っているものの、一方でこれらの動きは一時的だし他の方法で計測される各種インフレ期待は安定しているという話をしておりまして、まあ強いですなと。


・その結果こういう話になる

またまた4ページの1番目のパラグラフの後半になります。さっきのガイダンス文言変更の理由の説明の直後の部分になります(金曜に引用した件)。

『Employment is rising at a healthy rate and the U.S. economy is strengthening, reflecting in part a highly accommodative stance of monetary policy. Of course, inflation has been running somewhat below our goal of 2 percent, but we project that gap to close gradually over time. As progress in achieving maximum employment and 2 percent inflation continues, at some point it will become appropriate to begin reducing policy accommodation.』

キタコレ!

『But, based on its current outlook, the Committee judges that it can be patient in doing so. In particular, the Committee considers it unlikely to begin the normalization process for at least the next couple of meetings.』

で、ここがまあやっちまったなという感じなのですが、金曜に申し上げましたように、これだと市場はpatientが自動的に次の2回のFOMCでは利上げなし、という意味と取ってしまうので言わなくて良かったように思えるのですけどねえ。

あと、4ページ目から5ページ目の所にSEPのドットの話があるのですが、そこを見ると微妙に興味深い記述が。

『By the time of lift off, participants expect to see some further decline in the unemployment rate and additional improvement in labor market conditions. They also expect core inflation to be running near current levels, but foresee being reasonably confident in their expectation that inflation will move back toward our 2 percent longer-run inflation objective over time.』

しらっと書いてあるのですが、つまり利上げ着手のタイミングにおいてコアインフレが必ずしも2%に達している必要は無く、インフレ期待がアンカーされていて先行きの物価見通しが2%で安定するでしょうという見込みがあれば利上げ着手可能(もちろん他の経済状況が現状より強い必要があるという話をしていますが)という話をしているのがほほーというか、日銀見てるイェーイ!って感じですな。

#今朝はこの辺で勘弁



2014/12/19

お題「短期や債券市場があばばばばーで関連雑談も含めて少々」

お、おう・・・・・・・
http://www.snb.ch/en/mmr/reference/pre_20141218/source/pre_20141218.en.pdf

Swiss National Bank introduces negative interest rates
Minimum exchange rate reaffirmed, and target range for three-month Libor lowered into negative territory

SNBマイナス金利と聞いて「これで2度目か」とか思わず勘違いしたのですが、こちらがやっている異次元政策はユーロフラン無制限介入でしたな(大汗)。

○色々と市場がヒャッハーな件について

・結局短国入札が5週連続で平均マイナス金利になってしまいました

昨日はFOMCネタでスルーしていましたが水曜は1年短国、昨日は3M短国が投下された訳ですけれどもね・・・・・・・・・

1年TB入札
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20141217.htm
(1)応募額 18兆4,295億円
(2)募入決定額 2兆3,208億6,000万円
(3)募入最低価格 100円00銭4厘 (募入最高利回り) (-0.0040%)
(4)募入最低価格における案分比率 15.9789%
(5)募入平均価格 100円00銭5厘 (募入平均利回り) (-0.0050%)

足切りも盛大にマイナス利回りになりましたぞなとか思ったらセカンダリーでどうもショートカバーが入ってしまったようで引けではマイナス6bpとかいうような実にアレな入札となってしまいまして、えーっとすいません多分短国買入無いんですけど何でまたこんなに強くなるのよという所でしたが、まあその前の5年入札も強くなってその後もヒャッハー感溢れる展開になっておりましたので、何ちゅうか全般的にアレな感じでしたけれども・・・・・・・

3MTB入札
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20141218.htm
(1)応募額 39兆9,880億円
(2)募入決定額 5兆3,080億4,000万円
(3)募入最低価格 100円00銭0厘5毛 (募入最高利回り)(-0.0018%)
(4)募入最低価格における案分比率 5.7817%
(5)募入平均価格 100円00銭1厘7毛 (募入平均利回り)(-0.0063%)

ということで、年内最後の3M短国入札ですが、まあ前日の1年入札のセカンダリーの状況からしてプラス利回りは無理でしょうなあとは思っていましたが見事に足切りまでマイナス金利というアチャーな結果になりまして、結局11月3週目からまたまたマイナスになった短国ですが、100円足切りの回もありましたが平均は結局の所延々とマイナスですし、最後の最後に来て更にマイナスとか何ですねんという所で、まあ色々と要因が複雑っぽいので簡単に割り切れないのですけど・・・・・・・・・・

どうもですね、追加緩和以降輪番中期の買入が拡大したのが短国の方にも効いた格好になっているようで、確か10月の追加緩和の時には短国市場への買入圧力を緩和する為にMB拡大のその他部分を調整したという触れ込みになっていた筈なのですが、バキュームオペを継続して11月3週からまたマイナスに持って行ってしまった結果、短国市場の逼迫状態が利付の短期ゾーンに波及→中期ゾーンにも波及という図になり、しかもそこに中期輪番の拡大が入った結果として中短期の金利が低下となり、今度は中短期ゾーンの国債金利が大幅に低下した為に短国へのニーズが高まる、という需給逼迫の循環みたいな流れになっているように見える訳でございますよ。

でまあ先ほども申し上げたように本来10月末の追加緩和の時には短国金利のマイナス化に一定の配慮を示して資産買入の構成を調整していた筈なのですが、その後にどこぞの置物じゃない方の副総裁が「短国のマイナス金利は政策効果(キリッ)」とか言いやがったのを受けたのかどうか知らんですけれども、市場破壊バキュームオペが政策効果という建付けになってしまったとしか思えないオペの打ち方が続いて市場がこの有様という事になっておる次第で、置物理論に関してはどうしようもないので仕方ないのは仕様と思っていましたが、QQEは市場にストレス掛ける政策であって、そのストレスの掛け方によっては副作用が出ますよね的な話に関しては置物じゃない方の副総裁様がちゃんと注視して頂くという期待がそれなりにあった筈なのですが、そういう期待を打ち砕く講演だったという事で出た時にはあまり注目されなかったというかアタクシも出遅れでネタにした話ですが、結果としてこのような債券市場の死亡状態とオペの関係を見るに、置物の直線一気理論よりも実は市場に与えたダメージが大きかったのではないかと思うのでしたorzorzorz


・債券市場もあばばばばー

http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL3N0U22J020141218
〔金利マーケットアイ〕国債先物が続伸で引け、長期金利は0.350%に低下
2014年 12月 18日 15:51 JST

『<15:30> 国債先物が続伸で引け、長期金利は0.350%に低下

国債先物中心限月3月限は前日比6銭高の147円66銭と続伸して引けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明とイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長会見では、利上げへの道筋に大きな変化がないことを示した。FOMCを受けて前日の米債相場が下落した流れを引き継いで、朝方は売りが先行したが、好需給が相場を下支えした。20年債入札が堅調な結果になると上値を試す展開となり、先物3月限は一時147円76銭と日中取引の高値を更新した。

現物市場はしっかり。入札をきっかけにした買い戻しで、20年超長期国債利回りは同2.5bp低い1.080%と2013年4月5日以来、約1年8カ月ぶりの水準に低下した。また、中期ゾーンにも国内勢の買いを観測。2年債利回りは一時前日比2bp低いマイナス0.020%、5年債利回りは同1bp低い0.035%といずれも過去最低を更新した。また、残存4年弱の5年115回債利回りがマイナス0.005%まで低下するなどマイナス金利が長めの年限まで波及した。』(上記URLより)

前半はさて置きまして、後半に記載されている債券の中短期市場が昨日はヒャッハー状態になってしまいまして、後場途中からホイホイと金利が低下する動きが凶悪化しまして、2年カレントは後場に入ってマイナス0.5bp→マイナス1bpとか金利の低下が加速して、最後にはマイナスが1.5→2.0という風に勢いが付いてしまい、5年は5年で最後には3.5bp(最早0.035%というような債券利回り的な書き方では無くて短期市場的なbp表示の方が実感が出るでしょ?)というナンジャソラとしか申し上げようがないアホタレさんな水準へと金利が低下しておりまして、債券市場が親指を立てながら溶鉱炉に沈んで行くラストシーンは涙なしには見れなかったとしか申し上げようがないこの展開は何ですかという所で。

もうどこからどう考えても経済合理性無いだろという水準ではあるのですが、短期ゾーンで国債がマイナス金利じゃないと買えない状態になって、それが波及するという話になりますと、玉突き的に需給逼迫が拡大する(ちなみに昨日の引けだと2018年9月償還まで引けがマイナスな)訳ですし、そもそもこんな水準になるという事は「投資家の所に売る物が無い」という状態な上に、日銀の輪番馬鹿買入は今月まだ残っているので、ここまで水準持ち上げられても成行買いをする日銀が玉を吸収するので、売る人の居ない中で日銀馬鹿買入によって金利水準がハチャメチャな所まで低下するの図という事になっている次第で、債券市場の壊れ方がドンドン加速することにさすがに寒いというか恐ろしいものを感じる次第であります。


○マイナス金利や必要以上の低金利の長期化は金融システムにストレスを与えるでしょうという論点について

とまあそんな訳で12月20日の国債償還を控えて債券市場の金利はちょっと目を疑うような展開になっておりますが、昨日実施された超長期入札の方でも落札結果発表後に20年が走って、中短期のあばばばばーもあるのですが超長期方面もブルフラットとかになってもう何だかねという状況。

でですな、つらつら思いますにこのマイナス金利状態というのは一時的な現象としては兎も角として、長期化するというのはどう見ても色々と弊害があるでしょというのがここもとマイナス金利が続く中で見えてきましたよねという風に思う訳ですよ。

つまりですな、資金をお預かりして運用して利回りをお支払いする金融商品という点で考えますと、中期4年近くまでマイナス金利とかになったら運用商品提供どうするのという話になりますし、預金だって普通預金が0.25bpとかかも知らんが預金保険料支払ったらコストってもっと上の所にある訳で、一方で国債金利が4年近くまでマイナスだったら預金を受けるとドンドンマイナスになりますがな状態になっていくでしょという話で、そらまあ一時的現象でマイナスだの超低水準だのという話ならば、そらまあ金融機関としても事業の公益性とか継続的なサービス提供とかの観点があるからマイナス金利即閉店とは成らないでしょうが、この状況を1年も2年も続けたらどうなるのですかという話です罠。

長期金利だってそうで、これだけ金利が低下してくると長期商品になるような保険商品とかだってリスクフリーの運用利回りがこの有様で商品作るって大変ですよという話になりますし、従来の商品をそのまま提供していたらマイナスになるってのがこれまた長期化したらどうなるんですかという話ですし、円金利がこのリターンしか無いのだったらアセットアロケーションの際に円債の部分ってリスク勘案したら実は単に円キャッシュのままで良いのじゃないか位の話になるとか考えただけでも恐ろしい事まで思いついてしまいますぞなというお話。

まあそんなこんなでマイナス金利(や過剰な低金利)が長期化するとなりますと、金融機関の収益というよりはそもそも論としての金融商品の提供とかそういうレベルの問題になってくるのではないかとゆーのが見えてきたように思いますし、それってつまり金融システムに負荷を掛けているという話になる訳で、短期的な現象なら兎も角、1年も2年も3年も続いたらその分のコストが何らかの形で転嫁されていくような話だって想像できる訳で、そうなってくると今度は置物理論によれば実質金利が下がるとポートフォリオリバランスが起きる(キリッ)という話ですけど、そもそもリバランスするポートフォリオが無い人にとってみたらマイナス金利のコスト転嫁だけ被る事になりかねないという話で、一体全体何のために名目金利を下げているのかという話になりゃあしませんかという所です。


でまあ実際にこういう金利状況になってみたら色々とそういう弊害の片鱗が出てきたように思える、というのが現場労働者としての見解ではあるのですが(なお市場調達市場運用だけしていると名目ゼロ金利制約は関係ないからそういう人にはピンと来ないと思う)、このような弊害が出てきており、政策が長期化すると深刻な話になってくるんじゃないですかという点について、肝心の日銀が何を考えているのか執行部出てきて考察を述べろやと小一時間ですわ。

大体からして「短国マイナス金利は資産買入の効果(キリッ)」とか「国債買入で金利に低下圧力を掛けて効果を出す(キリッ)」とかの触れ込みで短期だけではなくて債券市場にも盛大に日銀買入による市場破壊活動が進展して、確かに短国のマイナス金利は定着するわ国債市場の金利も既に中短期がご覧のとおりという展開になっているのですが、そもそもQQEが目的としているのは物価安定目標の達成なのであって、馬鹿買入して市場にストレス与えるのをつづけた上に更に凶悪化した結果として、物価安定目標達成の当初触れ込みの2年達成というのはどうなりましたかとか、そもそも実質金利を下げると設備投資が出るわ個人消費が伸びるわという話でしたが、その辺はどうなりましたかとか、そういうのが出てこその「資産買入の効果」なのであって、金利を馬鹿下げして「それも買入の効果」とか寝言は寝て言えとしか申し上げようがない訳で、いいからお前ら早く政策効果の定量的なレビューを政策委員会として出せやゴルァとしか申し上げようがありませんな。

・・・・・ついカッとなって悪態をついてしまった、全然反省はしていない。


○SNBについて一応確認

さっきのこれ
http://www.snb.ch/en/mmr/reference/pre_20141218/source/pre_20141218.en.pdf
Swiss National Bank introduces negative interest rates

『The Swiss National Bank (SNB) is imposing an interest rate of -0.25% on sight deposit account balances at the SNB, with the aim of taking the three-month Libor into negative territory. It is thus expanding the target range for the three-month Libor to -0.75% to 0.25% and extending it to its usual width of 1 percentage point. Negative interest will be levied on balances exceeding a given exemption threshold.』

つーことで、SNBはいわゆる所要準備以外の預り金(ただし後の方に色々と説明があって、恐らく決済用需要に相当するようなミニマム部分に該当するような金額に関してはチャージしないようです)にマイナス25bpという超懲罰金利を適用するそうな。で、政策金利であります所の3カ月物Liborの誘導目標レンジはマイナス75bpからプラス25bpの間に設定するそうです。

『The SNB reaffirms its commitment to the minimum exchange rate of CHF 1.20 per euro, and will continue to enforce it with the utmost determination. It remains the key instrument to avoid an undesirable tightening of monetary conditions resulting from a Swiss franc appreciation.』

ユーロスイス1.20水準の無制限介入は引き続き実施という事で、そもそもSNBの場合は為替の無制限介入という荒業にも程がある措置を継続している所に、無制限介入だけでは足りないと見たのか預り金への懲罰まで投下してスイスフラン高を抑制したいそうな。

『Over the past few days, a number of factors have prompted increased demand for safe investments.』

FTQでスイスフランに需要とな。

『The introduction of negative interest rates makes it less attractive to hold Swiss franc investments, and thereby supports the minimum exchange rate. The SNB is prepared to purchase foreign currency in unlimited quantities and to take further measures, if required.』

更に追加の外貨資産購入とかも必要ならやりますよ、ともう思いっきり為替フォーカスでこれはこれで分かりやすいが、さっき悪態申し上げたようにここでも実体経済との関係での名目ゼロ金利制約部分で長期化した場合のコスト負担問題が出てくる点はどう考えているのかな(会見はあるのだが読んでいない)とは思います。

『An instruction sheet containing additional information on the negative interest rate and the calculation of the exemption threshold is attached.』

で、上記URLの2ページ目以降が『Instruction sheet governing negative interest on sight deposit account balances』となっていまして、実際にどのような形でマイナス金利をチャージするのかという話をしておりますが、まあ技術的な話なので紹介するのはスルーしますけど、基本的にはECBのマイナス20bpに対抗してマイナス25にしましたという話なので、掛かる網は似たようなもんと見られます。

でまあこの手のマイナスチャージの時って所要準備はさすがにマイナスチャージしないのですが、どうもSNBの場合はミニマム部分でチャージしないのがあるっぽいですが、マイナス金利チャージをした場合て中央銀行のバランスシート政策的な意味では量的引き締めになりますので、システム全体で見た場合に所要準備部分が薄いと決済部分で不測の事態が起きるリスクが出てきますので、ある程度ミニマム部分を設定しているのはその辺も意識しているのではないかと思ったのですがどうでしょうかね。


あと、毎度のことなのですが、スイスのマイナス金利にしてもECBのマイナス金利にしても、これは「中銀預り金に対する懲罰金利の適用」なので、中銀バランスシート拡大政策とは真っ向から矛盾する政策になっておりまして、日本で今発生しているマイナス金利ヒャッハーとは本質的に話が全然違うので、SNBのマイナス金利を見て「じゃあ日本も付利金利引き下げ」などという話をすると表面的な事象しか見る事のできない残念な人という評価が張られますのでよろしくお願い申し上げます。


○そういえばオペメモだけ置いておく

・昨日の固定金利オペ結果

昨日のオペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba141218.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(12月22日スタート分) 1,031 1,031

こちらは2527億円の落ちに対して1031億円と半分以下の減額ロールという残念な状況になっていますが、元々の額が少なかったので参考記録という感じですな。22日スタートなので国債償還キタコレでニーズが減っている可能性はあるのですがその影響がどの程度なのかとかはよく判らん。


・一昨日のドルオペとかCP買入とか

火曜と言えばドルオペですが。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba141216.htm
米ドル資金供給(12月18日スタート分) 30 30
CP等買入 13,366 4,476 0.087 0.108 43.2

ドルオペですが1週間物で珍しく3000万ドルの応札がありましたなというのをメモだけしておくという所です。まあ1週間物だから年内物ですし、額もごく少額ではあるので何か意味があるかというと多分あまり深い意味は無い気がしますけど。

あとCP買入の平均が妙に高いのですが、銘柄の関係とかあるのかもしれませんけど、市場動向からしたら逆行にも程があるので多分この平均が高いのも意味は無いでしょう。

#前半の悪態で時間を食ったので今日はこの辺で勘弁で来週はFOMC会見ネタとMPMネタですね


2014/12/18

お題「年内最後の大ネタFOMCである」

明日MPM2日目だったような気がするがキニシナイ。

○全体雑感

えーっとですな、あたくしの大予想だと声明文でばっさりと「相当な期間」云々を削除してその分のフォローを会見でするとしていましたが、声明文の方では「相当な期間」を残したように見えるけれどもよく見ると文言のリプレースしているという超文学的表現を使って、会見の方で「相当な期間」はリプレースしましたよテペヘロと説明するというややこしい事をして来まして、これコミュニケーション益々インチキになっているなあという感じですな。

あと目立つのは物価に関する表現が足元の物価に関する表現成分がやや増えていまして、まー日銀やらECBやらがアレなのである程度話を合わせに行かないとというのもあるのかねとは思いましたがその辺はハト成分で、プレコンの方はガイダンス文言の部分しかまだ読んでいないのですが(あとは見ただけ)、ガイダンスの所とか普通に利上げしまっせーという話をしていましてバランスとして声明文の方がハト成分という形にしてくるとはちょっと予想の逆でしたが、今さっき申し上げたようにこれだと声明文の方で時系列を追った場合のコミュニケーション的にちと変(声明文よりも会見のオープニングステートメントや質疑応答の方が重要な示唆を出す形になってくるリスクがあるから)になるように思えますので、べき論としてどうだったのかと思います。

あとSEPですけれどもまあ2015年の金利想定ですがまだバラバラかよと思うのですが、概ね7月か9月が中心という事ですかねと思われるところです。経済見通しについては順当でGDP上げて物価下げているのは超順当。

ということでまずは声明文から。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20141217a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20141029a.htm(前回)

○第1パラグラフ:労働市場の判断を引き上げ

『Information received since the Federal Open Market Committee met in October suggests that economic activity is expanding at a moderate pace.』(今回)
『Information received since the Federal Open Market Committee met in September suggests that economic activity is expanding at a moderate pace.』(前回)

総括判断は同じ。

『Labor market conditions improved further, with solid job gains and a lower unemployment rate. On balance, a range of labor market indicators suggests that underutilization of labor resources continues to diminish.』(今回)
『Labor market conditions improved somewhat further, with solid job gains and a lower unemployment rate. On balance, a range of labor market indicators suggests that underutilization of labor resources is gradually diminishing.』(前回)

労働市場に関する表現は現状についてimproved furtherとsomewhatが抜けたのと、労働市場のunderutilizationについてcontinues to diminishと前回のgradually diminishingから表現を強めてこの辺思いっきり強くなっております。

『Household spending is rising moderately and business fixed investment is advancing, while the recovery in the housing sector remains slow.』(今回)
『Household spending is rising moderately and business fixed investment is advancing, while the recovery in the housing sector remains slow.』(前回)

ここは同じです。

『Inflation has continued to run below the Committee's longer-run objective, partly reflecting declines in energy prices. Market-based measures of inflation compensation have declined somewhat further; survey-based measures of longer-term inflation expectations have remained stable.』(今回)

『Inflation has continued to run below the Committee's longer-run objective. Market-based measures of inflation compensation have declined somewhat; survey-based measures of longer-term inflation expectations have remained stable.』(前回)

物価に関する表現については足元の物価上昇鈍化に関してpartly reflecting declines in energy pricesと要因について言及していますが、この要因はご案内のように一時的要因に類するものなので一時的ですよ(キリッ)感が漂うので別にここの表現はハトでは無いです。ただ、その後にあるインフレ期待のうちロンガータームの方は表現変わっていませんが市場のインフレ期待に関してdeclined somewhat furtherとfurtherが入りましたのでここは若干弱くなりましたな。


○第2パラグラフ:見通し部分では物価に関する言及が変化していますよ

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee expects that, with appropriate policy accommodation, economic activity will expand at a moderate pace, with labor market indicators moving toward levels the Committee judges consistent with its dual mandate.』(今回)

『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee expects that, with appropriate policy accommodation, economic activity will expand at a moderate pace, with labor market indicators and inflation moving toward levels the Committee judges consistent with its dual mandate.』(前回)

ここを読んでおーと思ったのですが、いつもの最初の文言の所は同じなのでスルーしますが、その次の所で「適切な金融緩和政策によって経済がモデレートに拡大して労働市場の指標や物価がマンデートに合致する水準に向かっていく」と前回はあったのですが、今回はそのうち「物価」が抜けていまして、ここを見るとまあ普通にこれは!!と思うのでして、では物価はというとこの先に出て来るのです。

『The Committee sees the risks to the outlook for economic activity and the labor market as nearly balanced.』(今回)
『The Committee sees the risks to the outlook for economic activity and the labor market as nearly balanced.』(前回)

リスクバランスは同じ。

『The Committee expects inflation to rise gradually toward 2 percent as the labor market improves further and the transitory effects of lower energy prices and other factors dissipate. The Committee continues to monitor inflation developments closely.』(今回)

『Although inflation in the near term will likely be held down by lower energy prices and other factors, the Committee judges that the likelihood of inflation running persistently below 2 percent has diminished somewhat since early this year.』(前回)

物価の先行きに関する表現ですが、基本的には一時的要因が片付くと戻るよという話ではあるのですが、表現に関してはちょっと慎重になっていますし、先行きの動向を注視するというのも入れていますので微妙にここはハトの香り、というかまあ物価の動向が強くなければ利上げまでの期間に余裕が出るという話なんでしょうね。


○第3パラグラフ:ガイダンス文言キタコレ!!!

なお、従来の第3パラグラフはバランスシート政策の部分で、ガイダンスが第4でしたので、ここの順序が変わっていますので、前回との比較は第4パラグラフと行います。

『To support continued progress toward maximum employment and price stability, the Committee today reaffirmed its view that the current 0 to 1/4 percent target range for the federal funds rate remains appropriate. In determining how long to maintain this target range, the Committee will assess progress--both realized and expected--toward its objectives of maximum employment and 2 percent inflation. This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial developments.』(今回)

『To support continued progress toward maximum employment and price stability, the Committee today reaffirmed its view that the current 0 to 1/4 percent target range for the federal funds rate remains appropriate. In determining how long to maintain this target range, the Committee will assess progress--both realized and expected--toward its objectives of maximum employment and 2 percent inflation. This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial developments.』(前回)

金利据え置きが適切で金利の決定の際には物価と雇用の動向を幅広く観察しながらマンデートに向かって進んでいるかどうかを見ます云々という部分は同じですな。

『Based on its current assessment, the Committee judges that it can be patient in beginning to normalize the stance of monetary policy. The Committee sees this guidance as consistent with its previous statement that it likely will be appropriate to maintain the 0 to 1/4 percent target range for the federal funds rate for a considerable time following the end of its asset purchase program in October, especially if projected inflation continues to run below the Committee's 2 percent longer-run goal, and provided that longer-term inflation expectations remain well anchored.』(今回)

『The Committee anticipates, based on its current assessment, that it likely will be appropriate to maintain the 0 to 1/4 percent target range for the federal funds rate for a considerable time following the end of its asset purchase program this month, especially if projected inflation continues to run below the Committee's 2 percent longer-run goal, and provided that longer-term inflation expectations remain well anchored.』(前回)

ということで注目のガイダンス文言ですが、最初に「the Committee judges that it can be patient in beginning to normalize the stance of monetary policy」としているのですが、その後に「The Committee sees this guidance as consistent with its previous statement」として前回のガイダンス文言を丸写ししてくるという実にこう文学的ではあるけどこれはさすがに表現として見苦しいなというのが投下。

これだと見た瞬間にはa considerable timeが維持されたぜヒャッハーと誤認するわと思う訳でして、最初見た瞬間にこのアタクシも「は?」と思ってしまいましたぞな。というか文頭から逐語読みしていたから、最初の所で「ガイダンス文言変更キター!」と思ったらその後ダラダラと見慣れた表現(相当な期間の部分な)が出てきて「???」となって、良く見たら「このガイダンス文言は前回の文言の趣旨に沿ったものです」というのが入っているという胡散臭さにワロタというか呆れたというか。

後で会見での冒頭ステートメントでのガイダンスの部分だけ引用しますけど、結局の所「今回はガイダンス文言を変更した」けれども「これは前回と同じ意味です」とするとかナンジャソラな形でして、これ次回のFOMCでは文言削除という事になるのですが、実際はこの「considerable time」はどさくさに紛れてより短期化されるんでしょうなあ(前回利上げの時だと「次に上げますよ」という予告編が声明文に入ってその次に利上げしてた筈)という所ですにゃ。

『However, if incoming information indicates faster progress toward the Committee's employment and inflation objectives than the Committee now expects, then increases in the target range for the federal funds rate are likely to occur sooner than currently anticipated. Conversely, if progress proves slower than expected, then increases in the target range are likely to occur later than currently anticipated.』(今回)

『However, if incoming information indicates faster progress toward the Committee's employment and inflation objectives than the Committee now expects, then increases in the target range for the federal funds rate are likely to occur sooner than currently anticipated. Conversely, if progress proves slower than expected, then increases in the target range are likely to occur later than currently anticipated.』(前回)

状況次第で利上げ開始は動きますよの表現は前回と同じです。


○第4パラグラフ:ここはあっさり味でバランスシート残高の維持を表明

『The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction. This policy, by keeping the Committee's holdings of longer-term securities at sizable levels, should help maintain accommodative financial conditions.』(今回)

ここは前回の第3パラグラフの後半部分(前半部分はTapering終了しましたよウェーハッハッハという話の部分なので比較する必要なし)と同じ表現でしてあっさり味。

『The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction. This policy, by keeping the Committee's holdings of longer-term securities at sizable levels, should help maintain accommodative financial conditions.』(前回)


○第5パラグラフ:利上げのペースがどうのこうの的な表現は全文一致

『When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum employment and inflation of 2 percent. The Committee currently anticipates that, even after employment and inflation are near mandate-consistent levels, economic conditions may, for some time, warrant keeping the target federal funds rate below levels the Committee views as normal in the longer run.』(今回)

『When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum employment and inflation of 2 percent. The Committee currently anticipates that, even after employment and inflation are near mandate-consistent levels, economic conditions may, for some time, warrant keeping the target federal funds rate below levels the Committee views as normal in the longer run.』(前回)

利上げする時にバランスアプローチをしますとか、今の所そんなに急に中立金利までホイホイ利上げする必要があるとは思ってませんぞなもしとかその辺の表現は前回と全文一致です。


○第6、7パラグラフ:反対3名にクソワロタ

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Janet L. Yellen, Chair; William C. Dudley, Vice Chairman; Lael Brainard; Stanley Fischer; Loretta J. Mester; Jerome H. Powell; and Daniel K. Tarullo.』(今回)

『Voting for the FOMC monetary policy action were: Janet L. Yellen, Chair; William C. Dudley, Vice Chairman; Lael Brainard; Stanley Fischer; Richard W. Fisher; Loretta J. Mester; Charles I. Plosser; Jerome H. Powell; and Daniel K. Tarullo.』(前回)

賛成が少ないわというか、反対が3名に増殖しているので今回反対の部分で段落分けしていてワロタ。

『Voting against the action were Richard W. Fisher, who believed that, while the Committee should be patient in beginning to normalize monetary policy, improvement in the U.S. economic performance since October has moved forward, further than the majority of the Committee envisions, the date when it will likely be appropriate to increase the federal funds rate;』(今回)

『Narayana Kocherlakota, who believed that the Committee's decision, in the context of ongoing low inflation and falling market-based measures of longer-term inflation expectations, created undue downside risk to the credibility of the 2 percent inflation target;』(今回)

『and Charles I. Plosser, who believed that the statement should not stress the importance of the passage of time as a key element of its forward guidance and, given the improvement in economic conditions, should not emphasize the consistency of the current forward guidance with previous statements.』(今回)

タカ2名とハト1名が今回の決定ケシカランと反対とかワロタという感じですが、まあお三方とも地区連銀総裁なので来年は票決メンバーから外れますので今回反対のタカ2名はなんちゃらの最後っ屁的なサムシングも。

『Voting against the action was Narayana Kocherlakota, who believed that, in light of continued sluggishness in the inflation outlook and the recent slide in market-based measures of longer-term inflation expectations, the Committee should commit to keeping the current target range for the federal funds rate at least until the one-to-two-year ahead inflation outlook has returned to 2 percent and should continue the asset purchase program at its current level.』(前回)

コチャラコタ総裁は前回も反対していましたが、反対の説明が微妙に変わっていますが、まあこの辺に関してはどうせ各総裁からステートメントのようなものが出る(地区連銀のサイトで)と思うのでそれを後日鑑賞しませう。


○SEPについて

PDFバージョン
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20141217.pdf(今回)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20140917.pdf(前回)

HTMLバージョン
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20141217.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20140917.htm(前回)

・見通し数値の変化はまず順当で「物価重視」が継続

見通し数値ですが・・・・・・・・(以下基本的に中心的見解の部分での説明をします)

2014年:GDP上げ、失業率下げ、物価下げ
2015年:GDPヨコ、失業率下げ、物価下げ
2016年:GDPヨコ、失業率下げ、物価ヨコ
2017年:全部ほぼヨコ

という事で、まあ見通しに関しては順当に推移という感じです。で、まあ味わいがあるのはロンガーランの数値に対する関係。

GDPはロンガーランが2.0-2.3となっているのに対して今回の見通しですと2014年以降見通し期間の全般に渡ってロンガーランのGDPを上回る(2017年は若干上回る程度ですが)成長を継続、失業率に関してはロンガーランが5.2-5.5となっていて、2015年の見通し時点で5.2-5.3となっていてその後も徐々に改善となっているので、労働市場に関しては既に見通しベースで見た場合には1年の所でマンデートコンシステントなレベルに達しているという話で、前回のSEPでは2015年が5.4-5.6だった(ロンガーランは同じ)ので、労働市場の見通しが結構マンデート達成的な面からみると強くなったなあと思われる所です。

物価に関しては2016年が1.7-2.0、2017年が1.8-2.0となっておりまして、そういえば2年で達成するのがグローバルスタンダード(キリッ)とか言ってたどこぞの国の中央銀行置物副総裁が居たように思えますが、今こそ置物先生は海外講演巡業の旅を行って、「2年間で達成しようとしない中央銀行がいるようだがそれではインフレ期待が2%にアンカーされないのでもっと緩和を強化すべきである(キリッ)」と説法をして回って頂きたいと思いますし、ついでに帰って来なくていいですのでよろしく。

・・・・・という悪態は兎も角として、今回のSEPでは微妙に強くなった失業率の数字だけで見れば雇用のマンデートは思いっきり達成水準まで来たも同然という表現になっているのが味わいがある訳で、今後の金融政策は物価重視という事になるんでしょうねというのを無理矢理読み取ってみました(なお念のため申し添えますが、あまりSEPの数字やドットから色々と読みとろうとするとミスリードの元なので深読みしすぎない方が無難です)。


・ドットに関して

『Figure 2. Overview of FOMC participants' assessments of appropriate monetary policy』の部分。

Appropriate timing of policy firmingについてはどう見ても順当なのでさておきまして、ドットに関しまして(なおドットの所を表に落としたのはHTMLバージョンの方にあるのですが、これをコピペしてテキストに落とすの結構めんどいのでパスで勘弁)。

2014年はどうでも良いとして(って今回でFOMC年内おしマイケルだから当たり前)注目の2015年ですけど、2015年末が1%水準というのが市場的にはだいぶコンセンサスっぽいのではと思っているのですが(違ったらごめんなさい、実際には6月から上げるともうちょっと上になると思いますので)、1%の所で切って上か下かを見ると味わいが。

前回:1%より下が6名、上が11名
今回:1%より下が8名、上が9名

という事で、まあ大体来年末時点でのFF誘導金利が1%近辺にいるという見通しで妥当なんじゃネーノと思う所でして、9月から会合ごとに25引上げをすると年末の時点で75-100、7月から会合ごとにだと年末の時点で100-125となる筈なので、まあその辺が妥当なんじゃないかと思うのですけどどうでしょうかね。

なお、飛んでる人として前回は2015年末に2.75-3.00という素っ頓狂な数字を出していた人がいたのですが今回しらっと下がっているのがワロタのですが、それにしても2015年末の時点でFF金利の水準が1.5-1.75の所に2名、1.75-2.00の所に4名というのが未だに入っている(前回は1.25-1.5が3名、1.5-1.75が1名、1.75-2.00が4名でワープしてるのが1名)のが結構ビビる訳でして、それって利上げサイクル入ってから50のペースで上げていくとか、相当の早期に利上げ着手する(25bpペースだとすると3月FOMCから利上げサイクルに入らないと175-200にならんのだが)のかという話で、どういう考えなのかがよく判らん。

あと、ロンガーランの数値に関してはほぼ同じなのですが、前回3.75-4.00という中途半端な所にあった2票が3.75の所に移動したように見えます。


○オープニングステートメントのガイダンス文言説明部分だけ鑑賞するよ!

http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20141217.pdf
Press Conference Statement
December 17, 2014

3ページ目の途中からです。

『As I noted earlier, the Committee reaffirmed its view that the current 0 to 1/4 percent target range for the federal funds rate remains appropriate. Regarding forward guidance for the federal funds rate, our October statement indicated that it likely would be appropriate to maintain the current target range for the federal funds rate for a considerable time following the end of our asset purchase program, especially if projected inflation continues to run below the Committee’s 2 percent longer-run goal.』

ほう。

『Today’s statement, which indicates that the Committee judges that it can be patient in beginning to normalize the stance of monetary policy, does not signify any change in the Committee’s policy intentions as set forth in its recent statements.』

文言は変更しているようでして・・・・・・・・・

『As before, this judgment is based on the Committee’s assessment of realized and expected progress toward its objectives of maximum employment and 2 percent inflation--an assessment that is based on a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial developments.』

ふむ。

『Given that the Committee is not signaling a change in policy, why did we update our guidance?』

と言って居る位なのでフォワードガイダンスは変更したそうな。

『The reason is that with the asset purchase program having been wound down in October, it seemed less helpful to continue to communicate about the possible timing of our first rate increase with reference to an event that is receding into the past. Instead, we have shifted to language that better reflects the Committee’s focus on the economic conditions that would make liftoff appropriate.』

「中身は同じだが表現を変更した」理由の説明をしているのですが、なんちゅうかわかったような判らんような説明だなおい。

『Employment is rising at a healthy rate and the U.S. economy is strengthening, reflecting in part a highly accommodative stance of monetary policy. Of course, inflation has been running somewhat below our goal of 2 percent, but we project that gap to close gradually over time.』

はあそうですか。

『As progress in achieving maximum employment and 2 percent inflation continues, at some point it will become appropriate to begin reducing policy accommodation. But, based on its current outlook, the Committee judges that it can be patient in doing so.』

いずれ利上げが適切な時期になるけどまだ今の所は利上げを待つことができますとな。

『In particular, the Committee considers it unlikely to begin the normalization process for at least the next couple of meetings.』

キタコレ!!ということで、少なくとも向こう2回は利上げしませんというのが入ったのだが、これはつまり3回目(4月)以降は利上げするかもしれませんぜという話をしているのと同じですし、次回利上げしますの予告編打ち込む前に表現変更しないといけないという形にするのってコミュニケーション的にマズーだと思うのですがちょっと「向こう2回」とか入れたのはあまり上手くなかったように思えるのだが、ここは将来しらっとはしごを外して来るかもしれませんな。つまり「向こう2回」というのはあの時点での話で、別にpatientが向こう2回利上げしないという表現ではないですよヤダー何言ってるんですか〜となるような希ガス。


#ということで寝起きに付きこの辺で勘弁



2014/12/17

お題「5年入札で債券市場が更にあばばばばー/その他市場ネタとか金融政策会合プレビュー雑談とか/短観物価アンケート」

ピリッとしませんなあ。
http://www.47news.jp/CN/201412/CN2014121601002297.html
民主、代表選年内見送りを決定 党員参加で1月実施
2014/12/16 20:07 【共同通信】

○5年入札ェ・・・・・・・・・・・・・・・

ご案内の通りですががががが。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2014/resul067.htm
(1)応募額 10兆5,366億円
(2)募入決定額 2兆4,872億円
(3)募入最低価格 100円08銭 (募入最高利回り) (0.083%)
(4)募入最低価格における案分比率 99.8817%
(5)募入平均価格 100円08銭 (募入平均利回り) (0.083%)

てな訳ですが、昨日の場合は後場の寄りから先物上昇とかしていてこれは入札が強いのでしょうかとか思っていたら落札結果は事前予想を上回って一本値落札になるという結果。おまけに市場推計の落札分布を見ると一部大手業者さんといわゆる不明玉が1兆円スケールであって、残りの皆様の落札少ないざますなあという所でございました。

などと思ってるうちに為替の方で117円前半に為替が突っかけたり株がヘロヘロとなったりとかもサポートになったとは思うのですが、それよりも5年ヒャッハーの勢いという感じだと思うのですが、先物が147円50銭(+12銭)とかやってる時に5年120回債が5bp(2毛強)ヒャッハーとかなっていまして(なおその辺りで10年カレントは1毛強なので見事なブルスティープ)まさにヒャッハー状態。

でまあ引けの時には5年120回が4.5bpだわ新発が5bpだわとかナンジャソラという水準になってしまいまして、引け後には新発は4.5bpヒャッハーだし2年とかも強くなって長期も堅調(超長期は出おくれ)となるという展開。

・・・・・・・・・とまあそういう事で、今週に入って5年ゾーンって120回債で見て先週金曜の7.5bpから昨日の引けが4.5bpで2日で3毛強くなっている訳ですが、そもそも論として付利金利よりも遥かに低い水準まで5年の金利が低下とか何がどうなっておりますのやらという話でありまして、7月位の3M入札が5bp割れとか言ってた筈なのにワシらは何かよく判らん世界に迷い込んでいるのではないかというような状況。向こう5年間今の短期金利状況が続かないと明らかに間尺に合わないというか、5年間超過準備に放り込んでおいた方が利回り2倍なんですけどという異次元とかそういうものを超越した状況。

でですな、その付利金利とか政策継続の時間帯とかそういう話をさておきましても、預金金融機関的に言ったら預金に対して預金保険料を払っているので、預金保険料込みでの原価から言って5年の期間リスクを取っても全くの逆鞘という状況になっている訳で、ここまで来ると預金金融機関としては預金が来る方がリスクにも程があるというような状態になってしまいますがなという話で、既存の保有債券部分はそらまあ利が乗っていますけれども、新規に資金が流入する分どうしますねんという状況。

中期だけではなくて長期だって0.4%割れですし、超長期も金利水準はドンドン低下している訳で、つい3か月前には短国の金利がマイナスになって短期方面の資金運用というロットはでかいけれども金利市場参加者のボリューム的には辺境地域の住民がおはぎゃーと言っていた訳ですが、追加緩和と、その後の短期ゾーンのマイナス金利積極放置状態継続によって、外部環境も後押しして金利市場全体がドイヒーな事になってきましたなという所で、これそもそも論として国内円金利関連での商品が顧客に提供できるのかとか維持できるのかとかそういう話に大袈裟ではなく発展しちゃいますがなこの状況が長期化したらという所です。


・・・・・・・・えーっと、確か岩田規久男副総裁様のマネタリーベース直線一気理論によりますと実質金利が低下すると自動的に投資や消費が拡大して経済が前向きに循環する、という理論でございますが、このように金利市場を広範に焼き払うというプレイまで行って得られました金利低下で投資や消費が物凄い勢いで拡大してくれませんと、焼き払われた金利市場としては只の焼かれ損になりますし、大体からして市場を破壊しちゃいますとその市場を通じた金融政策のトランスミッションメカニズムがワークしなくなるのですけれども、それだけの副作用というコストを掛けて得られる効果についての具体的な定量的説明というものが1年半以上政策を継続しているのに一切政策委員会から示されないというのはどういう事かと小一時間。

で、散々焼け野原にしておいて「やっぱり2年で2%できませんでしたので辞任します」とか言われましても(辞任とかしないでしょうが)その焼け野原の始末はどうするんだと思う訳で、もう何やってるんだかという所です。


まあ日銀政策委員会の多数意見によりますと早期に物価目標が達成できるのでこのような市場破壊モードも短期間で終わるらしいのでそれを期待するしかありませんなあ(棒読み)という所ではございますが、またぞろ原油価格低下の影響で足元のCPIが下がるとインフレ期待の低下に対応して追加緩和するとか何をどう追加緩和するのやら・・・・・・・・・



○その他市場関連メモ

・ETF買入おかわりとな

http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_etf.htm
例によってこの先はエクセルのZIPファイルなのでリンクはここまでにしておきますが、昨日はETFの買入が374億円でJ-REITの買入が13億円登場と相成りまして、ETFの買入は総額3.8兆円に乗ったのですが更におかわりキタコレとなっていましたが、まあ月曜火曜と日銀が374億円買ってもご覧のとおり(つーか買入の絶対額はこんなもんですからそら瞬間的な意味での市場インパクトって所詮はその時の大きな動きには勝てないでしょうけどね)という結果。

ただまあ今日は少しこの日銀ETF買入攻撃をネタにしてくれるのでしょうかねえ、よー知らんけど。


・11月積み期間の業態別当座預金残高

これまたZIPでエクセルファイルなのでリンクへのページだけ置いておきます。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/cabs/cabs.htm/

でまあここから数字を拾いますと、11月積み期間の平残は全体としては大きな動きが無くて、業態別でみた時には都市銀行が2.7兆円程度拡大、地方銀行が1兆円程度拡大しているのですが、一方でその他準備預金制度適用先が4.6兆円程度落としているのがほえーというところで。

まあ11月に都市銀行と地方銀行が超過準備を拡大しているのを見てとりあえずホッとはしましたという所ではあるのですが(10月は全体の当座預金残高が拡大する中で銀行業態の寄与が相対的に少なかったのでちょっと先行きの超過準備積み上げ的に大丈夫なのかという懸念がごじゃりまして)、今後はその他準備預金制度先が減るとかいうのも気になる所です。

つーかまあ要は「この先資産買入積み上げは良いのだが誰が超過準備を持つのだよ」という話になった時に疑問がががががという所なのですよ。


・なお今日明日は1Yと3Mの入札

・・・・・なのですが、多分短国買入打ち止めだと思うので需給が緩むかと申しますと、これがまた5年がヒャッハーとか連れて2年もヒャッハーとかやっているので1Yとかどこからどう見てもプラス入札無理でしょうなあと思う次第。まあ年末年始まで在庫でキャリーして短国買入に入れるというのはさすがにちょっと先が長すぎる話なのでその手の札がバカスカという訳には行かないと思いますが、20日の償還再投資分で5年金利がこの有様だとそっちのニーズも出る訳で、いやまあさすがにそれでマイナス買う人はいないと思うのですが、100円レベルの所に岩盤のようなビットがあって、岩窟王状態になっているのを崩すのは中々アレかと。

3Mは今日の結果見ないと良く判らんぞなという所ですけど、本来的にはそろそろ緩めよとは思うのですけど・・・・・・・


○ルーブルとかその辺とかで雑談というか何というか

まあご案内の通りでございますが備忘でメモを置いておく。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NGNZU46K50YU01.html
ルーブル一時1ドル=80ルーブル台-通貨統制懸念当局打ち消す
更新日時: 2014/12/17 03:46 JST

まあ昨日の日本時間の夕方とかもヒャッハーヒャッハーやっててドル円も116円台とか特攻するし、そもそも昨日はロシア通貨防衛の盛大利上げをするしとか、中々こう味わいの深い展開になっておりますぞなとゆー所で。

http://jp.reuters.com/article/jpmarket/idJPL3N0U04WY20141216
欧州株式市場=反発、ルーブルと原油に持ち直しの兆し
2014年 12月 17日 03:39 JST

でまあNYもこれで株戻ってたみたいですけれども結局NY株マイナスですかそうですか。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NGO7CG6K50XS01.html
NY外為:円が対ドルで一時115円台、世界的な景気腰折れ不安
更新日時: 2014/12/17 06:08 JST

まあ通貨防衛で利上げとかだいぶ最後の手段っぽい動きになっていてロシアがこんなに派手にコケるとはとゆー所でございます。


・・・・・・でまあそれはそれとしまして、この辺の動きを見てFOMCや日銀がどうなりますかという事をつらつら考えてみますと、FOMCに関して言えばそもそも論として原油価格が下がるのは米国経済的に言えばどこからどう見てもネットでプラスで、それこそガソリン価格が下がると文字通りのヤンキーな皆さんがヒャッハーと燃費の悪い大型車を絶賛購入するという楽しい流れになる訳で、まあ別にこの動きで日和見モードになるとか無いでしょと思われます。

毎度申し上げておりますように、そもそも論として既に出口政策に関しては「データディペンデント」という建付けになっているというのはFOMCメンバー全員が一致していると見られまして、今更時間軸を持ち出す必要はないし、時間軸的なものは「データディペンデント」アプローチにおいてコミュニケーションの阻害要因になりますから、まあ普通に今回バッサリとガイダンス文言を変更して、時間軸では無くてただの現時点での見通しであり先行きはデータ次第、というのを示す一方で会見でハト的な話をイエレンさんがしてバランス取って終了となるでしょう。

大体からしてFEDって自分の庭辺りがボーボーと大炎上して延焼のリスクがある位の状況じゃ無い限り、自分の所しか見ないで政策を打ってくるというのが仕様になっていますので、ロシア辺りが大炎上しても知らんがなというスタンスで全然ぶれてこないと思います。


なお日銀ですけれども、足元の物価低下懸念をネタに追加緩和をやる、という金融政策のロジック的にダメの典型みたいなのを実施(一応「日本ではまだインフレ期待がアンカーされていないので足元の物価に対応する必要があるから通常とは違うんです」という屁理屈は用意されていますので念の為)していた訳ですので、これ原油価格が一段安でヒャッハー状態となりましてCPIも目先は1%を大きく割るでしょうという風になった場合に追加緩和オラオラオラと詰められるでしょうなあと思われます。まあさすがに4月までは粘ると思うけど、消費増税先送りした関係上そこまでの超大型財政が打てないとなりますと、すっかり政治従属しておられます所の黒田日銀様に対しまして「金融政策で何とかせえ」という話にもなってくるかと存じますし、何せ前回のヤケクソ追加緩和で株は上がるわ円安には振れるわでしたので、夢よもう一度と追加緩和圧力が高まるだろうなあとも思われます。

つーことで、まああたくし的べき論で言えばそもそも「2%目標は下げないにしても2年で無理繰り実施するというのを下げて、国債馬鹿買入もバランスシート維持から縮小方向にして、低金利時間軸政策に戻せよ」という所なのですが、「2年で2%」ドクトリンを放棄するためには政治的なコンセンサスが形成されないと今更引っ込みがつかない状態になっている(2年を勝手に引っ込めたら最低でも総裁副総裁の首は飛ばすしかないでしょ)ので、ドクトリン放棄したっていいじゃないかデフレ脱却だものというタオルが飛んでこない限りは、足元の状況は追加緩和を更に強く催促されるという動きになっているとしか見えません(繰り返しますがさすがに今回追加は無いと思うし恥ずかしいにも程がある)。

しかしまあ何ですな、更にそもそも論を言い出すと、もしかしたら10月31日のヤケクソ追加緩和によってドル円とかぶっ飛んで市場に盛大にボラティリティを提供し、他の中央銀行(だいたいECB)とかもQEだの何だの言い出す始末になるしとかで、実はヤケクソ追加緩和がグローバルにボラの拡大の起爆剤になって色々な所の無慈悲な動きが加速したのではないかなどという仮説を立ててみたくなるのですが、そんな事を言うと日銀がワールドワイドに大迷惑という話になるので考えるのを途中で止めることにしておきますね(^^)。


○短観の物価見通し関連

http://www.boj.or.jp/statistics/tk/bukka/2014/tkc1412.pdf

・販売価格見通しは今回も絶賛低下とな

1ページ目が『1.販売価格の見通し(現在の水準と比較した変化率)』ですけれども、全業種合計を見ますときっちりと販売価格見通しが前回に引き続きまして今回も低下しておりまして、まあ何と申しますかあばばばばーな状況。

しかもこの数字って「現在の水準と比較した変化率」となっていて、年率換算ではありませんので、5年で2.0%だと年率換算0.4%になる(正確には複利計算しないといけないですが面倒なのでパス)とか実にチャーミング。

ただまあ毎度の傾向ですが、大企業の方が数値が小さくて中小企業の方が数値が大きいのですが、これに関しては春に企画局謹製の我田引水レポートが炸裂していたのはご案内の通りでして、大企業の場合は足元の数字や市場に影響されるが中小企業の見方の方がレジームシフトの際によりビビットに反応する(キリッ)という解釈になっています。

・・・・・・・ということで中小企業の数値を見ますと、これがまた残念な事に全体と同様に全般の数値は低下しておりまして、バックワードルッキングによって企業の価格設定行動が強気化する可能性とは何だったのかという話をしてはいけませんし、ましてや追加金融緩和でインフレ期待の低下を抑制するという話が全然効果を出していないのですが追加金融緩和は妥当な政策だったのでしょうかなどというツッコミをするのは敗戦思想であり政治将校に吊るされるレベルのツッコミであります。

ではこれを屁理屈大魔王として読み場合どうなるかと申しますと、「引き続きインフレ期待上昇がやや遅れる懸念があるので追加緩和をしないといけない!!」となるのが正しいイカサマ解釈だと思います。


・とは言いましても物価の方は一応ヨコですな

2ページ目が『2.物価全般の見通し(前年比)』ですがこの数値は大体横という結果になっておりまして、更に我田引水大魔王として解釈しますと、1ページ目は華麗にスルーして2ページ目の結果を見まして「レジームシフトに際して最も敏感に反応する中小企業のインフレ期待は中長期で+1.9%で安定的に推移していて誠に望ましい」という話になりますが、「ただ全体で見た場合のインフレ期待はまだ2%に達していないので、引き続き異次元緩和政策をドンドン推進しちうぞー」という話になる訳すな。

・・・・・・・・・・とか何とか考えますと、今回の物価アンケートあまり面白くないっちゃあ面白くないのですけれども、よくよく考えてみると販売価格判断の方が下がって物価見通しが下がらないという状況ってそれどう見ても企業収益的にはマズーという話になると思われまして、その分の穴埋めによーしパパ省力化投資しちゃうぞー(みたいなのは短観の設備投資の所で一応見えるのが救い)という話になれば誠に結構なのですが、それよりも人件費抑制しますかとか費用をどこかで削りますかとかいう話になると甚だ残念という事でして、まあどうもパッとしない結果でしたな、という事だと思います。




2014/12/16

お題「短観は可も無し不可もなしですかね/ETF買入キタコレ/BOE11月議事要旨から物価に関する議論を読む」

ほほう。
http://www.47news.jp/FN/201412/FN2014121401002084.html
集団的自衛権も理解得られたと首相
2014/12/14 22:51 【共同通信】

『安倍首相は集団的自衛権について「それを加味した上での選挙」と述べ、国民の理解が得られたとの認識を示す。』(上記URLより)

http://www.47news.jp/CN/201411/CN2014111901001539.html
集団的自衛権争点でない 菅官房長官、秘密法も
2014/11/19 18:42 【共同通信】

まあこのような記事があるような気がしますがうわやめろ何をするくぁwせdrftgy

・・・・・ところでモーサテで「企業が経営計画を年度で出す事を考えると4月に増税すると計画が年度計画に全部織り込まれる結果として計画が保守的になるから増税は4月に行わない方が良いし、減税は逆に4月に実施すべき」という朝三暮四という言葉をご存知ないのではと禿しく疑念を持ちたくなるようなお方がゲストとして登場していましたが、最近のモーサテはお猿さんを専門家として番組構成するようになったのでしょうか????????????


○選挙与太話(本当に与太話)

いや選挙中に次世代の党の代表だか何だかが演説していたのを都内某所で聞いたのですけれども、「インターネットでは自民党に次いで支持が高くて、情報操作されているマスコミとは違う真の支持が」云々とか言ってて危うく爆笑の発作を起こしそうになったのですが、見事に壊滅して頂いて何よりとしか申し上げようがなかったですが、折角ですのでただの与太ネタを少々。

・民主党はこの人のお守りを作るべきではないかと

http://www.asahi.com/articles/ASGDH10W9GDGUTFK014.html
最後の当選者は菅直人元首相 比例で復活
2014年12月15日03時12分

確かこの人前回選挙でも最後の当選という惜敗率ギリギリでの比例復活だったと思うのですが、やはり社民連の若造議員から首相にまで登り詰めるだけの事はあって何かを持っていると思いますので、受験シーズンも近いことですので受験のお守りでも良いですし、戦地に赴く兵士の皆さんに向けて世界中でお守りを売りだしたらウハウハかも知れませんよ、ってまあ本当に売れるかはまた別ですが(^^)。


・佐々木憲昭さん引退だったのか

いやまあ選挙終わって気が付く時点でアレですけどね。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-15/2014121501_01_1.html
共産党が躍進 「オール沖縄」完勝

『東海ブロック(同21)では本村伸子、島津幸広両氏が初当選。勇退した佐々木憲昭氏の議席を引き継ぎ、1議席増を果たしました。』(上記URLより)

赤旗楽しそうだなおいという話は兎も角、佐々木憲昭さんが引退という事ですが、財金関連と言えば参議院の大門先生が著名ですが、衆院では佐々木さんが(大門先生ほど目立ちませんが)金融政策関連でゴリゴリ突っ込んでいたのですが、今後跡目は誰が相続するのでしょうかねえと思うのでした。まあその辺の段取りはちゃんとしているのでしょうが。


・唯一ネ申得票数4割増しとな

まあしかし中選挙区の時代は1区に色々とオモシロ候補が出ていたもんですけどねえ(遠い目)。

http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/h26syuugiin/h26shu_skai.html#01
平成26年12月14日 平成26年 衆議院小選挙区開票結果
東京第1区 確定
マタヨシ 光雄 本人届出 1,416.000

http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/h24sokuho/h24shu_skai.html#01
平成24年12月16日 平成24年 衆議院小選挙区開票結果
東京第1区 確定
マタヨシ 光雄 本人届出 1,011.000

ちなみに「000」の左にあるのは小数点ですので百万じゃなくて千ですからね!!!

すげえ前回比4割増しだ!と思いましたがよくよく考えたらオモシロ候補の出馬が少なかったので別に驚く話では無かったのですが、話題になっておりますようにこの1416票が海江田さんに入っていたら惜敗率で菅さん抜いて比例復活だったというのを聞きますと、やはり「あなたの一票が次の時代を作る」という言葉が事実だよなというのを感じる訳でして、まあ行っても行かなくても同じとか入れる人が居ないなどと言わずに、そういう場合でも「よりベターな選択」で良いから投票に行くべきではないか、などと殊勝な事を思うのでした。


・何ちゅうか・・・・・・・・

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141215-00000140-mai-pol
<衆院選>「支持政党なし」10万票獲得…比例北海道
毎日新聞 12月15日(月)21時22分配信

そもそも選管はそんな政党名届け出を受けるなと思うのですが、どう見てもオモシロ候補なのを分かって入れているならまあ良いのですけれども、そうじゃない人が沢山居そうな所がもうね。


・しかしこの見出しは何とかならなかったのかと小一時間

いやまあ確かに「生活の党、前職」ではあるのですけれども・・・・・・・・・・
http://www.nikkei.com/article/DGXLASEZ02003_U4A211C1MS1000/

これではまるでお縄先生が以下自粛。


・なお選挙と関係ないですが

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141216/t10014002761000.html
政労使会議 経済好循環に向け協力の確認文書
12月16日 4時10分

政労使会議賃上げ要請キタコレですが、まあ賃上げしないと循環回らないしインフレ期待も上がらないでしょうから、あまり毎度毎度要請じゃなくて本当は要請しなくても上がるのが当然という流れにならないと行けないのですがまあそれは兎も角として、最後にしらっと地雷が埋め込まれているように見えるのがチャーミング。

『さらに、女性が働くことで世帯所得がなだらかに上昇するよう、政府は税制や社会保障制度を見直し、配偶者手当てについても、労使がその在り方の検討を進めるなどとしています。』(上記URLより)

つまり配偶者手当なども無くすけど金が足りなきゃ共働きしろという事ですねわかります(−−;


○短観は可も無し不可も無しという感じに思えますが・・・・・・・・

うむ。
http://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2011/tka1412.pdf

えーっとですな、先行き予測DIが下を向いているのでイクナイ!という見方はあるのもまあそうかなとは思いますが、方向性として連続して下を向いているのだとアカンという話ではあるのですが、今回下向きになったこと自体は勿論上向いているよりはイクナイのですけれども、単なる踊り場に留まるかも知れませんという所で。


・前回の先行き予測DIの達成状況

         (9月時点)      (12月時点)
         現状→12月予測    現状→3月予測
製造業大企業   +13→+13     +12→+9 
製造業中堅企業  +5→+5       +7→+1        
製造業中小企業  ▲1→0        +1→▲5

非製造業大企業   +13→+14   +16→+15
非製造業中堅企業  +7→+7      +7→+4
非製造業中小企業  0→▲1       ▲1→▲4

でまあ前回の短観では「久々に予測DIが未達」という結果になっていて、これは死亡フラグの可能性があり、特に非製造業の方が未達度合い大きくてマズーという話をした(ちなみにこの未達度合いと短観数値をグラフにして90年くらいからの時系列を見ると味わいがある)のですけれども、今回の短観では前回の先行き予測DIが概ね達成して、非製造業大企業や製造業中堅企業では上振れして達成という形になっていまして、ちょっとこれは一安心という所です。

勿論先行きが下を向いているのは気にする話ではあるのですが、回復傾向にある中でも先行き予測DIって慎重に出るケースが多いので、今回に関しては前回短観で足元DIが6月予測数値未達だった、というような状況を鑑みて先行き予測がより慎重になったという事だとすれば今の局面は踊り場的な局面で済む、という風にも思えますので、そこまで悪いという話ではないのではないかと。


・雇用判断DI(ここの数値はマイナスが大きい方が雇用情勢的には良い)

        (9月時点)      (12月時点)
        現状→12月予測     現状→3月予測
製造業大企業  ▲1→▲1       ▲1→0
製造業中堅企業 ▲7→▲9       ▲6→▲8
製造業中小企業 ▲5→▲8       ▲8→▲3

非製造業大企業   ▲16→▲17    ▲18→▲18
非製造業中堅企業  ▲18→▲23    ▲20→▲22
非製造業中小企業  ▲21→▲27    ▲22→▲25

うーんこのという感じですが、先ほどの業況判断DIは先行きが下向いているけどそんなに悪くは無いと思われますという所なんですが、雇用判断DIは絶対水準自体は強いのですけれども9月に見ていたよりも雇用判断が若干緩和されている感じですし、先行きの予測も9月短観ほどに逼迫感が無いという風になっていまして、前回の短観では業況判断が弱かったけれども雇用判断はやたら強いという感じだったのの逆が出ている感じで、こっちは(絶対水準的には問題ないけど)気になるなあと思うのですがどうでしょうか。


・価格判断DI

昨年9月短観からしらっと投下された物件。

販売価格判断(「上昇」-「下落」)

        (9月時点)      (12月時点)
        現状→12月予測     現状→3月予測
製造業大企業  ▲4→▲4        ▲3→▲3
製造業中小企業 ▲4→▲2        ▲5→▲4

非製造業大企業  +4→+6      +5→+7
非製造業中小企業 ▲2→+2      ▲3→+2


仕入価格判断(「上昇」-「下落」)

        (9月時点)        (12月時点)
        現状→12月予測       現状→3月予測
製造業大企業  +17→+18       +19→+21
製造業中小企業 +38→+43       +39→+44

非製造業大企業  +21→+22      +21→+23
非製造業中小企業 +29→+33      +27→+33

今回はあまり前回予想から大きく動いていないですし、水準自体もそんなに変わっていないのでコメントし辛いですな。


・毎度お馴染み金融商品取引業の業況判断DI

毎度お馴染み金融商品取引業業況判断DIですが。

        (9月時点)       (12月時点)
        現状→12月予測      現状→3月予測
金融商品取引業 +22→+35   +50→+42

おお久々にぶれているじゃんと思うのですが、+50とかまた威勢が良いですなと思うのですけれども、先行きの予測DIが調子に乗っていない辺りが死亡フラグではないのでちょっと安心ですね!!!


・その他で言えば設備投資とか需給とか在庫とか

まあその辺は本職の方々が分析しておりますからご案内の通りだとは思いますが、設備投資計画が意外に下方修正されてないなという辺りも含めて今回の短観って可も無し不可もなしというような結果だったように思えます。

ただまあ毎度ですが、マインド系のデータとハードデータの間に微妙に差が出るとか、法人企業統計とGDP2次速報の関係のように、どうも色々と微妙なずれがあるのでこれだけでどうのこうのという話は難しいって事なんでしょうかね。


○ETF買入投下とな

http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_etf.htm
最終更新日:2014年12月15日

・・・・・とありますように昨日は日銀のREITかETFの買入がありましたという事ですが、上記URL先にある「014年4月以降の買入結果」からZIPで落としますと昨日はETFをいつも通りに374億円の購入投下となっていたようで、ETF買入砲撃あってもあの相場ですかというのは兎も角としまして(つーか1部売買代金から見たら屁だろと思うんじゃが)、これで買入のオファーベースだと3.8兆円の年末残高目標達成となりまして、今週のMPMを前にめでたしめでたしという結果。

まあ何ですな、これですともしかしてMPMで「次回決定会合まで」の資産買入ペース継続が決定されますと、次回決定会合までの買入ペースがオーソライズされたという事になるので現状の数字から拡大も可能という解釈もアリエールではございます。

とは言いましても、「年末残高」という余計な物を出している関係上、年末残高を逸脱するというのも何だかねえという話ではあると思うので、実際問題としてMPMの後に買入が続くのかというのはこれまた微妙な気がするのですが、誰か記者会見で質問する人が出てもおかしくなさそうですね。

しかしまあ何ですな、輪番に関しては買入予定額を月次で(ただし月の頭の分は明示するけど月次の額に関してはかなりファジーなレンジのままで出して来るけど)出して来る訳でして、一方でMPMでの決定が「次回決定会合まで」となっていて、しかも今後はよりオープンエンド型になっているとゆー事を勘案しますと、「翌月末までの買入ペースは以下の通り」というような決定方法にした方が変な思惑が出なくて良いような気がするのですがどうでしょうかねえ。


○BOEネタの続きであります:物価の読みに関しての突っ込んだ議論が展開されている11月MPC

ほとんど趣味の世界で恐縮至極ですが。

http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/Documents/mpc/pdf/2014/mpc1411.pdf
MINUTES OF THE MONETARY POLICY COMMITTEE MEETING
5 and 6 November 2014

・先行きの物価に関する議論が展開されます

『Supply, costs and prices』からで、最初の部分は物価見通しが下がりましたがという話でして、そこの最後の所から引用しませう。第20パラグラフのケツになります。

『Since the Committee aimed to meet the 2% target in the medium term, the main question was what, if anything, the surprisingly weak number implied for the outlook for inflation further ahead.』

ということで・・・・・・・・・・・・・

『21 Most of the unanticipated weakness in the inflation data since the August Inflation Report could be attributed to a reduction in food and energy prices and the impact of the unusual timing of summer clothing sales. These movements would - unless they were repeated - depress twelve-month CPI inflation in the near term but implied little about the medium-term outlook.』

物価が弱い要因として最初に挙げられるのが食品価格やら夏のセールスの期ずれなどの要因だがこれは中期的には影響を与えないですと。

『There remained some additional weakness in the CPI to explain, however. And, perhaps more importantly, recent movements could be seen as part of a broader pattern in which CPI inflation had fallen substantially over the past year to a rate below the 2% target and in a way that had not been predicted in advance. Moreover, the same had also been the case in several other countries. Although, with the benefit of hindsight, most of the movements in the various sub-components of CPI inflation could generally be accounted for with reference to easily identifiable factors - global food and energy prices, movements in the sterling exchange rate, and so on - it was also possible that these developments were a signal that underlying inflationary pressures were weaker than supposed and might persistently be so. The Committee considered this possibility in detail.』

でもってそれ以外の要因として、世界的な食品エネルギー価格の下落やらポンドの上昇、そのほかにそもそも基調的なインフレ圧力が従来考えているよりも弱いのではないか、などというような論点もありーのであって、それらについて検討という話。


・ポンド高のパススルーについて

『22 One explanation for some of the recent weakness of inflation could be that the pass-through to lower consumer prices of the appreciation of sterling since the start of 2013 had been faster or stronger than anticipated.』

ポンド高の物価へのパススルーが強いのではという論点について。

『If pass-through were faster, then the drag from the stronger exchange rate would cause inflation to be weaker in the near term, but would dissipate more quickly, implying somewhat higher inflation further ahead than if pass-through were more drawn out. If this hypothesis were true, one might expect to see the effect of sterling’s appreciation manifest most noticeably in the inflation rates of tradable goods falling relative to those of less tradable services. Instead, the inflation rate of goods prices (excluding food, energy and VAT) had been fluctuating around 1% since the beginning of 2012, with no clear sign of a recent reduction. By contrast, services price inflation had fallen back over the same period. While sterling’s appreciation was no doubt playing a part in holding inflation below the target - and would probably continue to do so - there was not yet evidence to suggest that the effect would be any different than had been supposed at the time the Committee had assessed the outlook in its August Inflation Report.』

七面倒になったので思わず一気に引用しちゃいましたが、ポンド高のパススルーの影響が想定よりも強いので物価が想定以上に低下するというのであれば、その影響は貿易財の物価に影響がより強く出る筈だが、実際の物価動向を見るとそうでもなく、むしろサービス価格の方が弱いのであまりそういう訳では無さそうですねというのが結論のようです。


・スラックが実は大きいのではないかという論点

『23 Another possibility was that the margin of spare capacity in the economy was either greater than thought or having a more significant effect on inflation.』

経済のスラック(BOEは「the margin of spare capacity in the economy」というのが仕様)が想定よりも大きいのではないかという話。

『This was a possibility that the Committee had considered in some depth while preparing its August projections three months ago. At that time, the Committee had noted the apparent weakness of wages, which tended to have a more stable statistical relationship with estimates of spare capacity than did final consumer prices.』

で、経済のスラックに関しては8月インフレレポートを出す時にも議論になった話で、この時の議論として賃金は最終的な消費者物価に対して反応するというよりは、経済のスラックの大きさに対応して反応するという点が指摘されているそうな。

『This had been one of the factors that had caused the MPC to increase its estimate of the level of medium-term supply capacity: the medium-term equilibrium unemployment rate was thought likely to be a little lower than previously assumed and the equilibrium participation rate a little higher.』

でもってこの議論を踏まえて中期的な供給能力に関しての推計を変えたそうな。


・労働市場の見立てが中々難しそうですな

『24 Since then, the unemployment rate had continued to fall, to 6.0% on the LFS measure in the three months to August, contributing to the largest annual fall in unemployment since comparable data had become available in 1972. Employment had increased by almost 3/4 million compared with a year earlier, although employment gains had moderated in recent months. That suggested that the labour market had, if anything, tightened a little further. By contrast, however, the labour market participation rate had fallen back and been weaker than expected.』

雇用者数の伸びは想定より強いけれども労働参加率は想定より弱いという現象が生じているようで。

『Some of this seemed a consequence of sampling variability within the Labour Force Survey, though, rather than a genuine economic development. And, for some Committee members, there was doubt over the extent to which changes in the degree of labour market participation were currently informative about wage and price pressures beyond what could anyway be inferred from their impact on the number of unemployed people searching for work.』

で、一部の委員は労働参加率が弱い点と賃金上昇圧力に結びつかない可能性があるのでは(=労働参加率が弱いからと言って賃金が上がらないという訳ではない)という指摘をしていますな。

『25 Longer-term measures of earnings growth had remained relatively subdued. Whole economy average weekly earnings in the three months to August had been only 0.7% higher than a year earlier. Shorter-term measures were stronger, however. Seasonally adjusted private-sector regular pay had increased at an annualised pace of 2.4% in the three months to August, a pickup in line with that anticipated by the Committee at the time of the August Report.』

賃金の上昇に関してはロンガータームでは引き続き抑制されていて、一方で短期的にはもうちょっと強いという状態ですが、まあ現状は8月インフレレポートでの見通し通りに推移しているとな。

『It was possible that regular pay growth had been boosted by a shift in the structure of financial sector remuneration in response to the bonus cap.』

ちなみにここはワロタのですが、定例給与が伸びているのは金融機関におけるボーナス上限制限の影響が一部にあるとかさすがの英国クオリティ。

『But it was difficult to point to clear evidence of this.』

そらそうだ。

『Increases in job market turnover, as well as survey measures of recruitment difficulties and pay, remained indicative of further increases in wage growth looking ahead, although the most buoyant indicators of pay growth, from the REC survey, had softened in recent months.』

転職市場のターンオーバーに関しては先行きの賃金上昇圧力の指標となりますが、これについてはここ数か月やや軟化しているとな。


・結論としてスラックの推計もそんなに変わらんとな

『26 Overall, there was limited evidence over the month to suggest that the current estimate of slack in the economy should be materially different from that projected three months ago, at the time of the August Inflation Report.』

ほうほう。

『In the latest set of projections that would accompany the November Report, the recent weakness of inflation was assumed to persist in the near term, before inflation rose back to the 2% target by the end of the three-year forecast period.』

ちなみにインフレターゲット先進国の英国様におかれましては物価目標達成の現状での見込み時期が「3年」となっておりますが、というと「インフレ期待がアンカーされている国とこれからアンカーさせようとする国は違いますから(キリッ)」という返事がぶつけられますので念の為(^^)。

『Bank staff expected twelve-month CPI inflation to rise in the October data, as falls in petrol prices a year earlier dropped out of the annual comparison, before decreasing to around 1% in December. Staff had judged that CPI inflation was, on balance, more likely than not to fall temporarily below 1% at some point over the following six months.』

とは言え先行きは石油関連価格の影響で向こう半年ほど1%割れ近辺での推移もという話ですが、だから金融政策を緩和という話にはならないのがBOEクオリティ。


・バックワードでインフレ期待が下がるか否かの件について

このコーナーの最後のパラグラフです。

『27 With a period of inflation below target in prospect, it was conceivable that firms’, households’ and financial market participants’ expectations of future inflation might begin to drift downwards in away that could reinforce the weakness of inflation itself - for instance, via wage bargaining.』

例えば賃金下落のような形でターゲットを下回った物価水準がインフレ期待をバックワード的に下げる可能性について、という話ですな。

ただまあ英国の場合はつい暫く前は物価がターゲットを上回って推移する中で平然とインフレ期待がアンカーされていますからヘーキヘーキと言ってた位ですので以下の話はこうなるのが仕様。

『But inflation expectations had not deviated materially from the target during the extended period in which inflation had been above the target in the years to 2013. The October YouGov/Citigroup survey measures of households’ inflation expectations one and five-to-ten years ahead stood below their series averages by 80 and 50 basis points respectively. Professional forecasters’ projections of inflation one year ahead had fallen a little in the fourth quarter, but expectations three years ahead had been unchanged and close to the 2% target. Expectations of inflation derived from financial market prices had fallen back since the summer but remained close to historic average levels.』

ということで各種指標で見るインフレ期待は特段ターゲットから逸脱しておりません(キリッ)であっさりスルーしておりまして、まあ結局の所経済状況がどうなのかという認識によってECB的な理屈になるのかBOE的な理屈になるのか、という話ではないかと思います(ちなみにこの回は2名が25bpの利上げを提案(資産買入規模の維持は全員賛成)しています)。


ということで思いっきり趣味のコーナーで恐縮至極。



2014/12/15

お題「各種オペ関連で少々/BOE11月議事要旨ネタというマニア系ネタ」

投票にはちゃんと行きましたが開票速報は最初の3分見てあまりにも波乱が無いので見ないでさっさと寝て正解でしたかね。

#なおどうでも良いが今日のNYから講釈垂れている人の話が長いわ内容が意味不明だわで中々見苦しいのだが>モーサテ

○選挙雑感

よーし選挙終わったから公職選挙法気にしないでコメントできるな(なお少々違う)。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141215-00000007-asahi-pol
自291、民73、維41、公35、共21 確定議席
朝日新聞デジタル 12月15日(月)1時37分配信

しかしまあ出来上がりの数字は見事な現状維持(有象無象の出入りが少々ある程度)でしたな。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141215-00000021-mai-pol
<衆院選>第三極、維新除き壊滅状態に
毎日新聞 12月15日(月)1時53分配信

なんちゅうかですな、今回個人的に楽しみにしていたのはもうちょっと2大政党(正確には1大と0.4小位だと思うが)っぽくなることだったのですが、維新がコケなかったのがねえという所で、赤旗ソースなので何ですが共同代表がこんな政党で大丈夫かねと思われまして、憲法改正で早速スリスリしてくるに1万ドラクマ。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-14/2014121402_02_1.html?_tptb=032
2014年12月14日(日)
維新・橋下氏が早くも“敗北”宣言

・・・・・・ということで結局野党の間で議席が動いただけという事ですが、これによって安倍ちゃんがまたまた調子に乗って憲法改正モードとかに走るんじゃネーノ(公明より維新の方が協力しそう)とかいうのもアレですが、そもそも景気の方がこれから大丈夫なのよ(原油安が超神風なのですが円安がねえ)という状態になっている訳で、アベノミクスの是非がどうのこうのと言って選挙して勝った訳ですが、実際問題として経済の方がなかなか戻らんとか格差拡大ガーとか言う事になって「こんな筈じゃなかった」となった時の反動で変なものが出てくるのが一番オソロシスなのですけどね。まあこういう結果になりましたのでそうならない事を祈るしか無いのですけど・・・・・・・・・・

#第三の矢の期待とか言ってますがそんなもんどこにも無いと思うのですけどねえ。

なお、金融政策的には何も変わらないでしょうが、問題は円安に関してどういう声が出てくるかという話で、円安のコストプッシュで2%が瞬間行っても全然意味が無いどころか格差拡大ガーとか庶民の生活ガーという話が出てくると話がいきなり変わって来るのでそこがリスクですわな。そうじゃなかったら目先の物価が下がるので追加緩和に追い込まれるシナリオと考える方が順当です罠。


○オペ関連雑談である

・貸出支援オペは下馬評通り

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel141212a.pdf
貸出増加を支援するための資金供給の実施結果
(2014 年12 月実施分)

新規貸付の概要
貸付期間 4 年
貸付予定額 31,336 億円
貸付先数 48 先

新規3兆円という数字に関してはまあ下馬評通りでして、これでまあ普通に考えて年末のMBは達成(財政で揚げ超方向での不測のブレというのは常識的に無いから大丈夫)という事になりそうですな。

でまあ今回はこういう結果になったのですけれども、今の市場環境ですと4年の1%固定金利って市場調達だと思ったら超高利貸出状態という事で、次回以降ちゃんと札が集まってくれるのかねという所で、今の状況だと先行き金利先高観どころか追加緩和の方が待ったなしとかいう観測になってくるのが次回(3月)の状況ではないかと思ってしまう訳で、このオペ自体は札が集まる為には市場金利もさることながら金利先高観が出ないといかん訳ですし、一方で輪番で保有国債が減っている中ですので、実は4年固定の負債なんぞ要らんのではないかという気もする訳で、やはり「その他」部分でのMB積み上げは難しいと見る方が妥当なのではないでしょうかねえと思うのでした。


・短国買入は5000億円で実施

金曜日のオペオファー

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of141212.htm
国庫短期証券買入 5,000 2014年12月16日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 4,500 2014年12月16日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,500 2014年12月16日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2014年12月16日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注3) 2,000 2014年12月12日 2014年12月15日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注4) 7,687 2014年12月12日 2014年12月15日

短国買入は5000億円でオファーとなりまして、これで1兆とかオファーしたらここから20日の償還でのキャッシュ潰しニーズもあるのに買入して市場を逼迫させてどうするんだクソボケと悪態をつく予定でしたが一応市場での下馬評の下限。

で結果はこの通り。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba141212.htm
国庫短期証券買入 26,454 5,000 0.013 0.013 100.0
国債買入(残存期間1年超3年以下) 11,613 4,504 0.006 0.007 22.2
国債買入(残存期間3年超5年以下) 12,331 4,506 0.003 0.005 51.8
国債買入(残存期間5年超10年以下) 10,238 4,002 -0.006 -0.004 26.4
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 23 23 -0.400 -0.400
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注5) 71 71 -0.400 -0.400

ということで短国買入は応札2.6兆円になっていまして、平均と足切りが同じ1.6毛甘となっていて按分が100%なので5000億円一発で入れに行った方が居たんでしょうねという所です。

ここもと強い入札が続いていた訳ですが、金曜日付け(木曜の引け後発表)の売買参考統計値からしますと新発3Mの500回がマイナス2bpで1.6甘で入れてもマイナスだし入札レベルからみたら平均がマイナス0.4bpで足切りがマイナス0.18bpだったので特段の投げにもならないですから(他のカレント銘柄だと出来上がりがプラスになる)この銘柄が入ったんでしょうなとゆー所ですにゃ。

で、上記のように(下馬評通りですが)貸出支援オペが3兆円でていますので、MB達成の方は全く問題なしという流れになっておりますので、普通に考えて(というか市場もそういう予想だと思うのだが)短国買入は先週金曜ので年内終了(今週は金曜がMPM2日目なので慣例からすると短国買入実施するなら22日の週になるのですが、さすがに年末越えと四半期末のダブルパンチで買入やって既に逼迫している短期市場の玉を極度に逼迫させるような馬鹿プレイはしないと思いますので)となると思われますので、今週の3M入札はプラス金利ワンチャンスあっても良いと思いますけどね。

というかですな、今週の3M新発って償還が3月30日となっておりまして、それはつまり何を意味するかと申しますと償還の時にどこからどう見ても償還再投資が出来なさそうな銘柄であるという事を意味します(まあこの時にロールが普通に出来るのならば大丈夫ですが)ので、資金運用計画的に中々使いにくい(期末の担保にもならないし)のでプラスになってもあまり嬉しく無かったりする訳で、もっと前にプラスになれやゴルァ!という所っすな、うんうん。

#それ以前の問題としてプラスにならないかも知らんが


・補完供給ェ・・・・・・・・・・・・

さっきのこれですが。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of141212.htm
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注3) 2,000 2014年12月12日 2014年12月15日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注4) 7,687 2014年12月12日 2014年12月15日

(注3) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却対象銘柄は、10年利付国債321回です。
(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)の売却対象銘柄は、5年利付国債121回、
10年利付国債321回、20年利付国債150回、30年利付国債44回です。

ということで、金曜日に話題になったのはこの国債補完供給の乱れ打ち。

まー多分誰かがやらかしたという話だとは思いますが、それにしてもこの乱打はワロタとしか申し上げようが無くて、現物債市場の流動性が低下していて、追加緩和以降更にこの状況が凶悪化していて、オファービットがホイホイ飛んでしまうという現在の市場状況を象徴するかのようなオペでしたなあという所です。

なお一方でどこぞの置物では無い方の副総裁は先物を捕まえて「債券市場の流動性は問題ない(キリッ)」とか言ってしまう訳で、というか後付で思いますとあの講演で「短国マイナス金利は政策効果」とか「債券市場の流動性は無問題」とか言い出したせいで短国の方ではマイナス金利の定着状態が是認されるような流れになってしまいましたし、現物債市場での流動性の低下に関しては全く無視というのが見えたというのが債券市場の流動性低下に加速を掛けたような気がするので、まああの講演は近来稀に見るダメ講演でしたなあと思うのでした。


○BOE11月議事要旨ネタというマニアシリーズ

ちなみにBOEはこんなのも出していますがまあそれはさておきまして。
http://www.bankofengland.co.uk//publications/Pages/news/2014/168.aspx
News Release - Bank of England announces measures to bolster transparency and accountability


http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/Documents/mpc/pdf/2014/mpc1411.pdf
MINUTES OF THE MONETARY POLICY COMMITTEE MEETING
5 and 6 November 2014

・海外経済の見立てに関して

『The international economy』から。

『8 In contrast to developments in financial markets, the news on the month in the global economy had been relatively limited. The broad picture remained one of a weaker outlook for global activity than had appeared most likely at the time of the August Inflation Report. The central expectation of the Bank’s staff was for PPP-weighted world GDP to grow by 3-1/4% in 2014, before picking up a little to 3-3/4% in the following year. These rates compared with a pre-crisis average of 4%.』

世界経済の成長に関してはBOEのスタッフ見通しは2014年が3.25%で2015年は3.75%だが、金融危機前の平均の4%よりは低いですとな。

『9 Since the summer, news regarding US activity had generally been positive. During the month, data indicated that GDP had increased by 0.9% in the third quarter. This figure was, however, bolstered by an increase in government defence spending and a strong net trade contribution, neither of which seemed likely to persist. Bank staff expected growth to drop back to around 0.6% in the fourth quarter as those temporary supports dissipated. Although the preliminary Markit PMIs had fallen back in October, they remained at relatively high levels. The manufacturing ISM index had risen in excess of market expectations in October to very strong levels. The Employment Cost Index had shown two quarters of firm growth in the middle of the year, indicating that wage pressures might be beginning to increase.』

米国経済については強めの見通し。

『10 In contrast to the US data, those regarding the euro area had fairly consistently surprised to the downside over the past six months. The most recent set of business surveys appeared to have stabilised, although they remained significantly weaker than earlier in 2014 and, together with other activity indicators, pointed to quarterly growth rates of only around 0.2% in the second half of the year.』

欧州は米国に対して弱い、ということで欧州の話は当然ながら多いのですが。

『During the month, the French and Italian governments had submitted their budgets to the European Commission. It was possible that greater certainty about the fiscal outlook, alongside the results of the ECB/EBA banking sector Asset Quality Review and stress tests, would help to underpin some improvement in sentiment and expansion of credit supply over time.』

『Core HICP inflation had fallen back again in October to 0.7%. And market-based estimates of expected inflation for several years into the future remained below 2%. There remained a risk that the prospect of weak nominal demand growth for an extended period might, at some point, bring back into focus the sustainability of public and private debt burdens in some of the area’s member countries. In that context, it was reassuring that the increases in periphery sovereign bond yields that had occurred during the financial market volatility of mid-October had been very small by comparison with the scale of those seen during the past few years.』

てな事で、BOEでも欧州の物価およびインフレ期待の低下を指摘していて、市場の中期的なインフレ期待が下がっているという話をしているのが目立ちますな。

『11 Chinese GDP was estimated to have increased by 7.3% in the four quarters to Q3 while inflation had fallen back to 1.6% in September, weaker than market expectations. Across emerging economies, the picture remained one of a broadly based, but gentle, slowdown in the growth of activity - albeit with some divergence in performance based on country-specific factors. Emerging markets had been particularly sensitive to the month’s financial market volatility, with some widening of sovereign bond spreads and declines in equity prices.』

ということで、その次は中国の話→EMの話と来るのですが、全体的には米国だけですなあという話になっているのと、これはまあ仕様なのですが相変わらずBOEでは日本経済の話って余程のオモシロ事案でも無い限り議事要旨に出てきませんなあ。

『12 Weaker world demand growth seemed to be playing a part in the fall in oil prices, but much of the decline in recent months appeared related to supply, including an unexpected revival of Libyan production, strong US production, and an increased perception that OPEC might be prepared to tolerate lower prices than previously. The Brent futures curve, on which the Committee’s November Inflation Report projections were conditioned, was slightly upward sloping.』

ここで原油価格の話が出てくるのがこれまた味わいがあります。

『It was possible, however, that this would prove an inaccurate guide to the path of oil prices in the future. If greater supply were to cause oil prices to fall further, then the fillip to global growth could be greater than the Committee had assumed. Commensurately, the degree of short-term global and UK inflationary pressure could be less.』

ということで、基本的には供給要因によるものだという認識で、この場合は原油価格が世界経済にプラスだけれども物価にはマイナス、という話をしているのですが、この辺の認識を12月MPCでどういう風に示しているのかが注目したいなあと思う所です。


・民間部門の需要が持続的に伸びていくかという話題について延々と議論

次の『Money, credit, demand and output』ですが、中々興味深い議論が展開されています。

『13 For some time, the Committee had been anticipating that UK output growth would slow to around, or slightly above, historical average rates. There was now more evidence that this had begun to occur in the second half of the year.』

でまあ経済の現状に関しての話があって、欧州が弱いとか住宅市場が弱いという話がありますがその部分をちょっと飛ばしまして。

『17 A key question was the extent to which private domestic demand could sustain growth in the face of the ongoing fiscal consolidation and softening external demand environment.』

ということで、財政再建を行って海外の需要が弱い中で国内民間需要がどこまで持つのかという件の話をしているのですな。

『Given the weakness of household income growth, the recent strength of private consumer and investment spending had been financed through a reduction in the private sector’s financial balance. The combined household and non-financial corporate financial surplus of nearly 4% of GDP in 2012 had moved to a deficit of 0.5% over the four quarters to 2014 Q2, the latest period for which estimates were available. Partly offsetting that reduced private sector financial balance, the fiscal consolidation had reduced the public sector financial deficit by 2 percentage points of GDP over the same period. Even so, the United Kingdom’s net borrowing from overseas - the current account deficit - had increased by 1.5 percentage points to 5% of GDP.』

ということで、財政再建を進める中で民間需要は家計のバランスシートから賄われている(つまり民間貯蓄の取り崩し)との話。

『18 With the fiscal consolidation set to continue and export prospects subdued, even lower private sector saving would probably be necessary to sustain UK output growth at the historical average rates envisaged in the November Inflation Report central projection.』

とか思いっきり貯蓄率が低い状態じゃないと民間需要が成長を引っ張れないという話をしているのですがそれってどうなのかという話でして・・・・・・・・・・

『The prospect of a continued reduction in private sector saving and a persistent current account deficit should be carefully monitored.』

いやまあモニターするのは良いのですが・・・・・・・・

『The household saving rate was already at a relatively low level and was projected to fall further over the forecast period. Continued falls would raise the economy’s dependence on external finance and could not be sustained indefinitely.』

貯蓄率が低い状態で推移して行きますと、海外からのファイナンスが必要になりますが、それってサステイナブルなのかねという指摘ご尤も。

『19 Nevertheless, despite the scale of recent years’ current account deficits, Bank staff’s estimates of the UK net international investment position at market value, while imprecise, had remained strongly positive.』

UKの国外投資ポジションは引き続きstrongly positiveとな。

『The UK net overseas asset position provided a buffer of savings that could be used to sustain spending growth for a period. It also gave grounds for expecting that the investment income received on UK assets overseas would recover over time, providing additional resources with which to finance domestic spending.』

海外の投資部分が民間所得や投資のバッファーになるとか、投資収益などのインフローが国内需要の原資になるというような話をしておりまして、将来的に見た場合には日本でもこの手の論点を気にしないといけなくなるのではないかと思いながら読むと中々味わいが深い。

『In the latest data for 2014 Q2, there had been a net investment income outflow of around 2% of GDP. If the United Kingdom were indeed a net creditor, then net income receipts might normally be expected to be positive. Even if the net income position were to recover from its present negative position to only zero, that would imply a significant increase in the flow of financial resources available to the private sector.』

将来的にネットで債権者状態になった時には民間セクターの需要にプラスになるという話とか何か味わいがありますなあと思うのですが、この点についての話が中々面白かったのでネタにした次第ですが、この後にも割と面白い論点があるのでまた後日。



2014/12/12

お題「ECBとかFOMC関連の大体雑談/債券市場の機能不全が本格派になっているように思える件の雑談」

うむ。
http://jp.reuters.com/article/idJPKCN0JP0OD20141211/
来年度予算発表後に日本を格下げへ=フィッチ
2014年 12月 11日 17:42 JST

http://jp.reuters.com/article/idJPKBN0JP03N20141211
インタビュー:新政権に財政再建への強いコミット期待=S&P小川氏
2014年 12月 11日 10:08 JST

ソブリンの外格が全部Aレベルになるとゆーことでしょうかねえこりゃ。

○ECBとかFRBとかのプレビュー雑談のようなもの

・ECBのバランスシート政策ねえ

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NGEZYU6TTDS501.html
ECB、QEに一歩近づく−TLTRO利用額は予想に届かず
更新日時: 2014/12/12 03:16 JST

『12月11日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)の2回目の条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)の利用額はアナリストの予想中央値よりも低かった。全面的な量的緩和(QE)に踏み込む根拠が増した。』(上記URLより、以下同様)

ということで更に国債QE実施期待という話なのですが・・・・・・・・・

『ECBにとって難しいのは、新たな流動性供給でバランスシートを膨らませようとしても、11、12両年実施のLTRO資金が返済されることで帳消しになってしまうことだ。来年2月までに満期を迎える3年物LTROの未返済分は2570億ユーロ。』

『当局者らはバランスシートを膨張させる他の方法を模索している。ECBはカバード債の購入を10月に、資産担保証券の購入を11月に開始した。ドラギ総裁は先週、市場からの直接購入によってバランスシートを「よりよくコントロールできるようになった」と述べていた。』

てな感じでまとまっているのですが、そもそも論としてバランスシートが拡大しないのは国債QEをやらないからではなくて、預金ファシリティが懲罰金利になっているから金融機関が超過準備を積みたがらないという事であって、つまり中央銀行の資産サイドではなくて負債サイドの設計に問題があるから資産サイドで色々な施策を実施してバランスを拡大しようとしても同時に積み上がる必要がある負債サイドの方で思いっきり負債を積ませないような施策を実施しているのだからそう簡単に積み上がる訳がない。

しかしまあ何ですな、そう考えると国債QE実施と同時に預金ファシリティの金利引き上げが必須と申しますか、そもそも論として単純に預金ファシリティ金利を米国や日本と同じノリでMRO金利の所まで引き上げてしまえば超過準備が簡単に積み上がって、別に国債QEとかやらんでもバランスシートはそこそこ拡大できると思う(ただし長期LTROが落ちているのが痛い)のですが、その話が普通に流れてこないのが欧州の不思議な所なのですが、何で預金ファシリティマイナス問題が話題にならないのでしょうかねえ。あたしゃ欧州の人じゃないから良く判らんのですが実際に中の人たちがこの点に気が付いていない訳は無いと思うんっすけどねえ・・・・・・・・

ただまあここで非常に話がややこしくなるのは、先日来引用していたドラギのおっちゃんの落語を見ますと、結局の所ECB金融政策でのトランスミッションメカニズムで使い物になりそうなのって「為替ルート」しかなさそうだという認識でECBがいるように思えることで、そうなると預金ファシリティ引上げをすると金利上昇という話になって為替的にマズーという話になりかねない(だから今更単独で預金ファシリティいじれないので国債QEとセットで投下するしかない)とゆー所。

更にまあややこしいなあと思うのは、これまた会見での説明を見るとお判りになったかと思いますけれども、ドラギのおっちゃん及びECBのQE推進の皆様が、その政策を実施することによって、市場のどこに働きかける(例えば金利を下げるとかバランスシート規模を拡大するとか)のをメインにして、その結果としてどういう政策波及効果があるのか、というグランドデザインがちゃんと出来ていないようにしか思えない事です。つまり、会見での説明でも「バランスシート規模」の話が冒頭説明で出ている位なので最初の触れ込みはバランスシートなのですが、説明の中に入ると「金利の低下」の話が出たり、「クレジットスプレッドなどの金融環境の緩和」の話が出たりで、トランスミッションメカニズムに関してはどう見てもユーロ安での輸出拡大とインフレ期待低下阻止というのだけは判るのですが、あとは別にそれ諸外国でもあまり効いてなかったルートですよね(ポートフォリオリバランスとか)とゆー話をしている所です。

そうなりますと国債QEやるのは良いのですが、QEを実施した結果としてECBが何をどうしたいのかというのが混乱したまま、という事になりかねませんで、そうなると今の「バランスシート政策らしきことを実施しているのに預金ファシリティのマイナスが深いのでバランスシートが全然拡大しない」という複雑骨折状態が更にタチ悪くなる恐れがあって、何がどうなっているのやらという事になりそうな悪寒。つまり「コンセンサスが取れそうなものを取り敢えず投下」とかやったから預金ファシリティマイナスの政策が追加の最初に打ち込まれて来た訳ですが、これがバランスシート拡大の弊害になっているのが明らかなのに、そこを(たぶん意識的に)スルーしてバランスシート規模ガーという話をするとかなると市場は混乱するでしょうなあと思うという事ですな。

まー何ですな、そもそもマイナス金利実施した時にえーと思ったのですが、更にマイナス金利拡大とか何をやっとるんだと思っておりました(し駄文でも書きましたが)が、「マイナス金利実施はQE阻止の為にドイツが設置した諸葛孔明の罠」という話が存外ネタではなかったかなと思いますと、今はそれを逆手に取って国債QE実施への作戦を練るドラギ総裁とか中々胸が熱くなります。

てなわけで、今回国債QEやる時に預金ファシリティをいじってくる(少なくともゼロ、できればMRO金利の水準まで上げる)べきだと思いますが、そこをいじらないでQE投下するとかオモシロ事態が発生した場合には最早どういう価格形成になるのか想像の範囲外という感じではあります。


・FRBは文言外すんじゃないですかえ

詳しくやりだすと結構長くなるのですが今日は手抜きバージョンで
http://www.newyorkfed.org/newsevents/speeches/2014/dud141201.html
The 2015 Economic Outlook and the Implications for Monetary Policy
December 1, 2014

William C. Dudley, President and Chief Executive Officer
Remarks at Bernard M. Baruch College, New York City

例えばダドリーさんのこの前の講演ですけれども、最後の『Conclusion』の所を見ると、出口に向けた金融政策運営の柔軟性というか、データディペンデント状態というのをやたら気にしているんだろうなあというのが垣間見えます。

『In my remarks today, I have provided my current thinking about the U.S. growth and the inflation outlook, and the implications for monetary policy. To sum up, the U.S. economic outlook looks brighter, with growth likely to be somewhat above the trend of the past five years. The risks to growth appear generally balanced, without unusually high risks that growth will either be much stronger or weaker than my forecast. On inflation, I remain confident, despite the recent softening, that inflation will begin to move up towards our 2 percent objective next year. This move will not likely happen immediately, however, given the recent weakness in energy prices and the fact that non-energy import price trends are also likely to soften a bit over the near-term. 』

経済物価見通しについてはまあ普通に強めですし、インフレに関しても「足もとのエネルギーや非エネルギーの輸入価格が下がっているけどそれは近いタームの物価に関して弱い影響を与えるけどヘーキヘーキ」という話をしておりますわな。

『With respect to monetary policy, I believe that market expectations as captured by the most recent New York Fed’s surveys of primary dealers and market participants are reasonable-with lift-off expected to take place sometime around the middle of next year.』

来年半ばの利上げとなっている市場の皆様の予想に対しましてリーズナブルだと思いますという部分は出た時に市場にインパクトやや出てましたっけね。

『But, life is uncertain and my judgment of the appropriate timing could change in response to incoming data and other factors that change the economic outlook.』

わざわざ「life is uncertain」とか言ってる辺りがお洒落というか強調しているなあという感じですけれども。このように「データディペンデント」という話は毎度出てくる訳ですよ。

でまあこの前の議事要旨を見ても判りますが、声明文の文言検討のパートとか、その前振りの辺りから見ると「相当な期間」云々の文言に関しては「データディペンデント」に相反する内容であるという認識はFOMCメンバーの中で結構共通している感じで、削除反対しているのってそもそも見通しが弱いから外す必要が無い、という人と、外すと出口政策待ったなしと市場が認識して不測の金利上昇が起きるから外さない方が良い、という人の2種類なんですよね。

『When we do begin to tighten monetary policy, the pace of tightening will depend not only on the outlook but also on how financial market conditions respond as we begin to remove monetary policy accommodation. Financial market conditions are an important transmission mechanism of monetary policy.』

でまあダドリー総裁が指摘しているように、今FOMCが考えているのって出口の時に出来るだけ長期金利が暴れないでもらって、スムーズに出口に行く事と思われますが、そう考えますと実は例の「相当な期間」文言って今回のFOMCが結構絶好の外し時に見えるのですよね。すなわち、今この文言を外したからと言っても別に1−3月に市場が利上げヒャッハーとかいう風になるとも思えませんが、これが文言外しのタイミングを逸してしまうと文言外し即次回利上げの予告という受け止められ方になってしまうと思われますので、外すなら利上げまでの距離がある段階で外した方が後が楽になるんですよ、多分ですけれども。

大体からして今回のFOMCは会見がセットになっているのですから、文言外して変な火付けが起きたとしても会見の所でイエレンさんに火消しをしてもらえば良いというプランBがあるので、まあそんなこんなを考えると今回は文言外しの絶好のタイミングですし、今回外し損なうと一旦は好感される可能性はあっても先行きのコミュニケーションが混乱するリスクを高めるかなあ(経済がコケれば話は別だが)と思うのでありました。

#なお、SEPの出し方も徐々に先行きを縛らないような内容になってくると思われます

『This is why I don’t favor indiscriminately adhering to simple policy rules that exclude financial market conditions.』

と最後に締めていますが、要は市場動向見ながら対応しないといけないからシンプルなルールベースの金融政策というのはあまり宜しくないとか、どこぞの置物に感想をお伺いしたい所ではありますが、フォワードガイダンス導入して先行きの金融政策への予想を高めて金融緩和効果を更に高めます(キリッ)とかやっていた過去は何だったのかという気もするのでした。まああの時点では緩和効果を強くしたいからフォワードガイダンスはよりコミットメント的な雰囲気を出しただけの話ですよ、と言ってしまえばそれまでなのですが、まあ「積極的な曖昧さ」を上手く使った感じではありまして、現在のFOMCの金融政策は明らかに当時のガイダンス政策的な物から「自由裁量」モードになっていますなあと思うのでした。

なお蛇足ですが、アタクシが予想するに利上げサイクルに入った場合は自由裁量モードにすると先行きの金融政策見通しが読みにくくなって市場に無駄なボラを与えて余計な金利乱高下を生むことになるから、利上げサイクルに入った場合はゴールの時点までメジャードペースで進めて行くというスキームになると思いますけどね。



○国内債券市場が更にあばばばばーになっている関連の雑談

・3M入札ががががが

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20141211.htm

(3)募入最低価格 100円00銭0厘5毛 (募入最高利回り) (-0.0018%)
(4)募入最低価格における案分比率 35.5446%
(5)募入平均価格 100円00銭1厘1毛 (募入平均利回り)(-0.0040%)

おいこら何で3Mまで足切り100円超になっとるねんという所でして、今週は3回入札があって最初のは足切り100円(ただし薄按分)だったのにその後がマイナスになるとかどういう事ですねんという感じです。

ただまあGCレポレートとか上昇しているのでセカンダリーバカ売れという事なのかは謎としか申し上げようがないのですが、新発のBB引けはやはりマイナスという事になっておりまして、利付のマイナス引けも(若干ゼロゾーンが復活しましたが)相変わらず1年半くらいまでマイナスとなっていますので、いわゆる短期ゾーンで国債系の金利物に対して普通に資金運用目的で投資しようとすると購入時点でマイナス金利状態ってそれは投資と言えるのか状態なのが続くのでありました。

いやまあ今週は入札3発あるから何ぼ何でも足切りはゼロでもしかしたらプラスワンタッチもあるかもという淡い期待はあったのですが、後ろの入札になってから足切りがマイナスになるとか凶悪にも程がある展開で、まさかの三球三振で外角スライダーに盛大な空振りをする図という風情に落涙を禁じ得ません。

でまあ本日は短国買入デーなのですが、 MB目標からしたらもう買わなくても回る筈だと思われるのですが、とりあえず今日のオペがどうなるのかが注目と申しますか、ここでまたバキュームオペとかやった日には「日銀は短期の国債市場から国内の一般的な資金運用目的の投資家を排除して一部の海外投資家などしか参加できない市場を自分から作りに行っている」という評価が更に(さらに、というのはもともとそういう状態という意味ですわ)確立される訳で、良く良く考えたら金利関連市場の中で一番重要な国債市場において国内の一般的な投資家を排除する中央銀行って何なんでしょというか、こくぞ(以下の部分は内務省検閲により削除されました^^)。


・しかし長い所も更に流動性低下して大丈夫かという雑メモ

でまあ短い所は延々とマイナス入札が続いてすっかりぶっ壊れとなっていますが、ご案内の通りで長い所も最近ますますドイヒーな状態で、入札と輪番以外では(12月でバランスシートを縮小する人がいるのも効いていると思いますが)ちょっとした投資家の売買でイールドカーブの位置が変わるという日中の板がスカスカでオファービットが飛ぶという状態になっていますし、入札と輪番に関しても入札後の動きが派手派手になる場合がありますし、輪番に関しては朝三暮四のエテ公もビックリ(どこぞの株と違って債券の場合は入札での供給と償還での吸収があるから、一応輪番のタイミングを気にするのは瞬間的な需給関係的に意味は分からんでも無い、ETFは何でそんなに反応するのか判らん)という感じで日程を気にしますし、おまけに結果が飛ぶと市場がその後飛ぶという有様でもう何だかね状態。

でですな、この調子で推移すると何となく運用部ショックの前にあった債券現物債市場の流動性スカスカ状態(この時のそもそもの原因は債券先物売買システムの仕様変更で当時皆がヘッジにやたら使っていた債券先物の値が無茶苦茶に飛ぶような仕様に変わったから)というのを思い出してしまうのがジジイの仕様なのですが、今回の場合はだから即金利上昇リスクという訳でも無さそうですが、この調子で現物債市場の流動性をドンドン殺すと、そもそも出口政策が出来るのかという話でして、「出口ので〜♪」(なお何のパロディーか判る人はあまりいないですね)と一声かかると一声ごとに100bpとか大変に悲惨な世界になるのではと危惧する所ではあります(今直ぐにそうだとは言ってませんがこの調子で長期化すると一声100bpとかが洒落にならない状態になる、という話ですので念の為申し添えます)。

#てなことでダラダラ雑談大会で恐縮至極、日曜は選挙ですな



2014/12/11

お題「オペ関連雑談など/ドラギ総裁会見更に鑑賞(ファイナル)」

年の瀬に金利市場関係者のマインドが低下するようなニュースがががが。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NGCMRK6K50YE01.html
RBS:日本国債プライマリーディーラーから撤退、大幅削減へ
更新日時: 2014/12/11 00:01 JST

いやまあ異次元緩和だけじゃないですけれども、市場機能が大幅に落ちれば収益チャンスも減りますし、金利が低いとそもそもベースの収益が出にくくなりますからねえ・・・・・・・・・・・・

#なお、日銀にかかると別に異次元緩和の弊害という話には死んでもならない模様と妄想

○市場ネタおよびその他雑談ネタである

・2M入札がアイヤー

昨日の2M短国入札結果はご覧のとおり。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20141210.htm

(3)募入最低価格 100円00銭0厘5毛(募入最高利回り)(-0.0035%)
(4)募入最低価格における案分比率 26.2879%
(5)募入平均価格 100円00銭0厘9毛(募入平均利回り)(-0.0064%)

日銀オペに入らない2Mなのですが月曜の6Mは足切り100円だったのにこちらは足切り貫録のオーバーパーでアイヤーにも程がある結果。

まあ何ですな、この入札は発行が2.5兆円なので需要が盛大にぶれますと落札が急に激強になったり大流れしたりする事はある(ただし市場が生きている時)という傾向があるのですが、今回は日銀の締め上げプレイが続いているうちにドル円ベーシスなどの影響が出てきて海外需要は増えるわ、四半期末近くなってきて決算需要も意識されるわ、締め上げ続くから担保繰りとしての国債ニーズは高まるわ、利付国債の方もマイナスになるわと需要が強くなってしまいましてマイナスという事で。

でまあ市場推計の落札分布見ると2兆1000億が不明玉とかナンジャソラという所ではございますが、BB引けはマイナス0.2bpなのでマイナス金利でも買うニーズだけで2.5兆円のどこまでが捌けたのかねとは思いますけど、一番プラスになるチャンスかと思った(なお今週末に短国買入をスキップすると来週の入札でもチャンスはある)のですがマイナスが却って深くなる結果というのは中々しょんぼりしちゃいますなという所ではあります。

そして本日は3Mの入札がありまして、今週の3Mと来週の3Mというのは足が3月のケツの方にやって来るというのが微妙な物件でありまして、どこからどう見ても来年の3月末とか阿鼻叫喚の世界になっている訳で(もしかしたら皆居なくなって西方浄土の冥界になっているかも知れませんが)、それはつまりこの辺の銘柄の償還再投資リスクがかなり厳しいと言う事を意味しますのであまり馬鹿買いすると3か月後に自分の首を絞めるの巻というリスクがありますが、何せ足元の状況は既にプラス金利が無くて餓鬼道の世界と化しておりますので3か月後の話なんぞ知らんですかそうですか、と書いているうちに目から汗がががが。


・輪番とか固定オペとか

オペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of141210.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 4,500 2014年12月12日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,500 2014年12月12日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 2,400 2014年12月12日
国債買入(残存期間25年超) 1,600 2014年12月12日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注3) 2,000 2014年12月10日 2014年12月11日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 10,000 2014年12月12日 2015年3月24日


オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba141210.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 12,748 4,509 0.007 0.007 62.5
国債買入(残存期間3年超5年以下) 12,639 4,504 0.003 0.004 2.1
国債買入(残存期間10年超25年以下) 5,976 2,406 -0.013 -0.009 29.7
国債買入(残存期間25年超) 3,977 1,602 -0.039 -0.029 77.1
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 27 27 -0.400 -0.400
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(12月12日スタート分) 3,810 3,810


輪番は中期と超長期と来ましたが、超長期の輪番が流れて、って前日の入札が落札結果発表後にワッショイ相場になっていたので更にこれでヒャッハーとなっていてもうねという展開ですが、まあ最近は外部環境の後押しもあるにせよ市場の動きが急速に壊れているなあという感じを受ける次第というのは連日申し上げている通りです。


固定金利オペですが、オファー額見て気が付く辺りが我ながら間抜けなのですが、元々の額が少なかったからうっかりしていましたが、こいつはシグナルオペのなれの果てだったのでオファーが1兆円あったのですが、今回は3810億円でのロールとなりまして、折り返し元が2590億円だったのでまさかの増額ロールとなっていまして、この期に及んでどうしてニーズがあるのか謎ではありますけれどもまあ札があったのですからニーズがあったのでしょうなあという結論にもならない結論。


・ETF買入とか

http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_etf.htm
指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果

昨日は株式市場が盛大に下げたのにETFの買入が入らなかったというのが話題になっておりまして、一方で月曜には株式相場が上昇しているのにETFの買いが入っていてナンジャソラ状態になっているようですが、まあETF買入に関しては基本的に他のオペと違って別に日銀が市場を見ながら調節の所から指示飛ばすような形ではない建付けなので知らんがなという所かとは思いますけど、ここで妙なパターンでこられると中々痺れますなとゆー所で。

でですな、短国買入の打ち方とかを見ておりますと、短期国債がマイナスになろうとも財務省からプライマリーディーラーの応札制限設けるとかいう形でのマイナス金利牽制が入ろうとも委細構わず着地に向けて前倒しで買入を実施する(しかも中曽副総裁講演で「マイナスは政策効果」と言われたのがすっかりお墨付きになったようで金利を下げる方がマンデートで市場機能なんぞ知らんがな状態の虐殺オペを実施していますよね〜)というプレイをしている訳で、これって12月末の数値であります所の買入3.8兆円という数字に着地させることしか考えていないようなオペを実施している悪寒がする次第。

つまりですな、年末残高は数字として思いっきり張られているので、この数字は役人的に必達なので必達させるという事で、その数字は前倒しでも作っていくけれども、一応このオペ自体は目的として市場の押し上げ介入をするような建付けになっていないので数字の目処がついたらペースを落とすだけという機械的プレイになっている可能性があるようにも思えますな。

なお、では年内打ち止めになるのかというとこれまたそこも良くワカランチ会長な所があって、現在の政策の建付けですと「次回会合までのバランスシート拡大ペースを年率換算すると大体あの程度にする」という(ただしMB的な意味では財政の出入りがあって、MBのペースを合わせに行くと短期オペが無茶苦茶な事になるのでそこの運用がどうなるのかが微妙なのだが)形になっていて、ただし年末のバランスの数字を思いっきり示しているので、本当は次回のMPMで現状政策の維持が決定されますと、1月決定会合までの間の買入ペースが従来通りですよ、というのが決定されるという建付けになりますので、1月MPM時点までの事を考えると年末近辺で先に次回MPMまでの分を稼ぎに来てもおかしくはないようにも思えるという中々訳のわからん事になりますな。

#本当はMPMの所で買入ペースを区切っていくのが建付けとしては正しいように思えます

とは言いましてもそんなことやると運営がややこしい事になるので、輪番とかは月次での話をしていますし、年末の数字を出すような形になっているというのですが、来年になると明確な形でオープンエンド型になる(今までも一応オープンエンド形式でしたが2014年末の数字があったし目標達成期間が2年というのがあったのでそこは微妙にファジーだった)ので運営が良く考えたらややこしい事になりますなあと思うのでありました。

しかしまあ何ですな、1日のETF買入自体は東証1部の売買代金からしたら屁のような話だと思うのですが、やはり買ったら絶対売らない人の成行買いというのはインパクトあるんでしょうなあと思いつつ、ETF買いが結構な話題になるのを見て株式市場も日銀オペで徐々にアレ化しつつあるのでしょうかねえなどと思うのでありました。


○ドラギ総裁会見ネタ続きである

http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2014/html/is141204.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Frankfurt am Main, 4 December 2014

ということで昨日の続き(引っ張ってすいません)。

・OMTと国債QEの違いについて

これは良い質疑。

『Question: Regarding fiscal discipline of eurozone countries, the ECB required conditions when eurozone countries wanted to have an OMT programme. Do you think this kind of system is necessary for quantitative easing? And, if not, how do you secure the fiscal discipline of eurozone countries?』

OMTの時のように購入対象となるための条件を付けることによって財政規律を担保するのでしょうかそれとも何か方策あるの??という話。

『Draghi: It's quite important to distinguish neatly that there’s a difference between OMT and QE.』

ほうほう。

『OMT was addressing the tail risks for the euro coming from redenomination risk and it was necessary to address this confidence crisis in a way that the action of the ECB would be deemed credible by the markets, which was the case. In the design of the programme, however, we had to take into account that the confidence crisis in the euro was concentrated in certain countries.』

『The policies that we are discussing today address the risk of low inflation for too long a time such that it would feed into lower medium-term inflation expectations. Normally in ordinary time, which is monetary policy, it's not addressing the tail risk of a certain situation, so this is pure monetary policy.』

ということで、OMTは域内のソブリン危機対応の為に行った施策なので、買入実施と同時に域内のソブリン信認維持の為に条件を付けて買入を行ったのだが、今回検討しているQEはインフレ下振れ(によるインフレ期待の下振れ)に対応するための施策であり、ソブリン危機云々という意味では平常時なのでそういう話ではなくて純粋に金融政策として実施しますと。

『So much so that in normal times we would address this risk by lowering nominal interest rates. But in extraordinary times when we already reach the lower bound for our interest rates we signal the monetary policy's stance through changes in the size of the balance sheet of the central bank. So it's a monetary policy decision that will address as, as I did say before, an unwanted tightening of monetary policy.』

で、通常だったら名目金利(政策金利)を下げて対応するのだが政策金利は下げられないのでQEで対応する、という話をしている訳ですな。

まあそれはそれで良いのだが、こういう説明だとドイツが納得するのかね(だったら金利で押せば良いとか言い出しそう)というのがあるのと、足元でギリシャがまたあばばばばーの兆しという状況だと本当にQEを発動するような状況なのか(OMTじゃないの?という意味で)という理屈で反撃が可能な気がします。


・ユーロ下げて効果がという事だが・・・・・・・・・・・

この質問はワロタ。

『Question: Mr President, two questions, one understanding question. The new economic projections of the ECB reflect a downward revision of net exports. Also we have a euro now that has reached the lowest level since August of 2012, reflecting, for example, the exchange rate with the dollar. So how can you explain to me that a weaker euro, that could be a booster for exports, could lead to a downward revision of net export expectations for the period to come?(後半は買入した国債についてOMTみたいにパリパス条項みたいなの付けるのという話だが割愛します)』

ユーロ下がると効果ガーゆうとるが対ドルでユーロが盛大に下がっているのに全然輸出が伸びてないし、大体からしておまいら見通し下げているじゃねえかどうしてユーロ下がると輸出が伸びるんじゃ説明しろやゴルァという事ですねわかります。

『Draghi:(前半は2番目の質問の答えに付き割愛)The first question is, yes, the exchange rate has weakened considerably. This should have a positive impact on exports. At the same time we've seen that world growth demand is softer and so that's why our projections for exports have gone down. And I do think that the most recent movements in the exchange rate have taken place after the cut-off date of the projections. So they will certainly have the previous weakening of the exchange rate - they will certainly have that - but not the most recent weakening.』

海外経済が弱いから輸出が伸びていないだけでユーロ安は効果がありまぁす(キリッ)とな。


・法的な側面のツッコミの質疑のトーンを鑑賞

ソブリンQEはそもそも法的に大丈夫なのかという質問が最後にあって答えのトーンが面白いので鑑賞。

『Question: Doubts have been raised about the legality of a QE programme that would include sovereign bonds. From what you said earlier I think you are confident or adamant that this will not be the case. But do you think this will stand up in court, as there is certainly going to be a challenge to that?(後半割愛)』

『Draghi:(前半は2番目の質問の答えに付き割愛)On the first point, let me respond with a question. Do you think we would discuss things that we know are illegal? Would it be the best use of our time? So that's I think the answer to this.』

ワロタ。

『Evidently we are convinced that a QE programme which could include sovereign bonds falls within our mandate, or better, is an eligible instrument that we could use in the pursuit of our mandate. Not to pursue our mandate would be illegal.』

何かトランスミッションメカニズムの質問の時と同じようなイライラ回答のような気がせんでもないですな。


・ABS買入の進捗が弱い点について

同じく最後の質疑ですが。

『Question:(前半割愛、というかさっき引用)My other question is about the ABS programme which has just started, with the very low volumes. Are you just testing the waters and you plan to increase these volumes, or are you waiting for regulatory changes to which you've alluded in many occasions before?』

『Draghi: On the second question, no, we are not waiting for regulatory changes. When they will come they will certainly be very helpful in producing a larger market for ABS, because we should be aware that we shouldn't be taking a static assessment of the ABS market. The market will expand because of the regulatory changes, but also because of our action.』

『How we judge the effects of these programmes, however, is not only volumes. It's also the effects they've been having - significant effects - on tightening the spreads in the relevant markets. We judge the success of a programme, and especially this programme, depending on the contribution that it's giving to overcoming the impairment of some credit markets. And on that ground we are quite positive.』

残高が想定よりも伸びていなくてもスプレッド縮小などの効果が出ています、という説明をしているのですが、一方で冒頭ステートメントではバランスシート拡大に関して数値の話をしておりまして、この辺の説明が微妙に混乱している辺りが今後の国債QE導入に向けてロジックをきちんと詰めておかないと市場がECBは何をやりたいのかという点について混乱するという思わぬ弊害が出てくるんじゃネーノという気がだいぶするのでちょっと引用してみましたよ。

『The volumes have been low and that is partly due to the fact that we just started and partly to the fact that we are at year end and partly to the fact that we count on a further expansion of the markets themselves, but also to the fact that we are very careful about not crowding out private investors from this market. That is also in a sense a self-imposed limitation.』

まあ始まったばかりだし市場規模の問題があるという説明は判る。

『So the potential universe of this market, as we've said a thousand times, is EUR 400 billion, but we will certainly end up buying less than that, way less than that, because at the same time the market will expand if this is well done.』

だったらこういう数字を出してきて誇大広告をするのは如何なものかと思うのだが、どうもドラギさんはこのインチキ説明スキームが大好きなようですので、そういう意味ではユーロ圏の金融政策に関しては市場での見方がドラギのおっちゃんのインチキ説明によって混乱する可能性はQE導入によって(やるやる詐欺で引っ張るかもしれないけどさすがにもうカタを付けにいかないと市場が許さんでしょう)さらにECBの意図(実施した政策の市場からの波及経路という意味での意図ね)について混乱するリスクがあると思います。

#まあドラギ総裁はその辺を意図的にファジーにしていると思いますけど



2014/12/10

お題「市場メモ/「相当な期間」文言の変更に関して雑談/ドラギ会見が相変わらず面白いので鑑賞(その2)」

ヒャッハー!!!
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NGB5SE6KLVR501.html
世界的に株価下落、中国が金融規制強化で大幅安−円は上昇
更新日時: 2014/12/10 03:52 JST

まあそう来る罠。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141210-00000001-reut-bus_all
フィッチ、日本の発行体デフォルト格付けをウォッチネガティブに
ロイター 12月10日(水)1時25分配信

で、この報道が出た時に円買いが加速したとの話を受信したがワロタとしか申し上げようがない。

#どうでも良いがモーサテの本日の株式市場解説をしている人が「日銀の投資戦略を参考にするとJPX400が云々」とか言っているのだが、日銀は投資目的でETFを買っていたのかよそれで何とかストが務まるとはめでてえなあと小一時間問い詰めたい


○市場雑談メモ

・30年国債入札メモ

うむ。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2014/resul065.htm
(1)応募額 2兆58億円
(2)募入決定額 6,431億円
(3)募入最低価格 100円75銭(募入最高利回り)(1.464%)
(4)募入最低価格における案分比率 72.4839%
(5)募入平均価格 100円91銭(募入平均利回り)(1.456%)
 
てな訳で30年入札ですが、先週金曜にまさかの超長期輪番連発があったので、見込んでいた超長期輪番が前に倒された→新発を捌く機会が1回減る→マズーなどという事で警戒モードでもあったのですが、入札自体は前場引けの気配近辺での順当な結果。

と思ったらその後ヒャッハーと超長期強くなりまして、市場推計の落札上位が大手の業者だった事が効いたのか、上海株が下がって日本株が下がって円高になったのが効いたのか知らんですが絶賛ブルフラットヒャッハーという展開になるとか中々派手な展開をやらかしておられまして、債券先物も高値引けの巻とかもう何だかねという動きでございますな。


・さて今日は2MTBの入札ですが・・・・・・・・・

本日は2MTBの入札。

そういや昨日はネタにしませんでしたが月曜の6MTB入札は案の定マイナス利回りの平均で足切り100円となっていまして、ここもと延々と短国が入札段階でオーバーパーとなっているという流れですな。

で、そのような展開が続きますと償還再投資が出来ないという流れになるので、その影響が利付の方にも波及して最近は2年カレントまで引値がマイナスというこれまたドイヒーな状態が続いているのもご案内の通り。

・・・・・・ということで、本来ですと今日の2Mって日銀短国買入対象外銘柄になる(筈)だから投資家が普通に買えないゼロだのマイナスだのという決着にはならんというのが順当な見方になる筈でしたが、こう何発も短国入札がマイナスというのをやってしまいますと、短期資金運用的な買いだけではなく、担保繰りだの四半期末国債残高調整等の決算需要だのというようなマージナルなはずの部分の買い圧力もありーのな上に、為替絡みのマイナス金利円調達の部分は12月要因もあって存在しますという話ですので、中々アレな入札になりそうな悪寒ががががが。

しかしまあ何ですな、年内の短国入札って今日を含めてあと4回(3M2回と1Yと2M)になるのですが、足元の利付国債も含めた玉スッカラカン状態および20日(22日)の国債償還再投資ニーズ(のうち残るキャッシュの潰しニーズ)を考えると、今週来週は短国買入をスキップして市場に短国を流通させないと既に大概ぶっ壊れている市場なのですが、もはや市場の体を成さなくなると思われますし、本来今回の追加緩和では短国市場の機能低下に対応して短国買入の負担を下げたという触れ込みだったのは何だったのだという話ではありますな。

ま、そもそも市場機能については先般の中曽さんの講演が思いっきりドイヒーな内容で、市場機能を叩き壊しているのに市場機能はあるだの短国マイナス金利は政策効果だの言ってしまいまして、まあそれによって市場の中の人たちが絶望したのが主因なのか単にオペが短国ではバキュームするわ輪番では急に超長期増額の騙し討ちするわというような中の人たち的には「柔軟な対応」の積りなのでしょうが、市場の方から見たら意図的に市場を叩き壊しに行ってるようなオペを打ったので崩壊が加速したのか知りませんが、例の中曽講演のちょっと後くらいから急速に市場が壊れた感がありまして、まあ一番困るのはそういうのって中の人たち的にアネクドートなエピソードとしての悪態はつけるのですが、現場を見たことの無いおエリート様に理解頂くのがかなり困難なので、あのような講演が出るというような話になっている訳で、現地の戦況が伝わらない中で大本営が作戦を立てているという光景が頭に浮かんできて落涙を禁じ得ないものであります。

・・・・・・・いかん、いつの間にか話が逸れてしまったorzorz


○FOMCプレビュー雑談メモ(という程の物でも無いが)

ほほう。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NGAHDA6K50XZ01.html
米金融当局者:「相当な期間」低金利維持の公約の扱い協議中
更新日時: 2014/12/09 10:44 JST

『12月8日(ブルームバーグ):米景気が力強さを増している兆候が見られる中、連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を16、17両日に控えた米金融当局内では、「相当な期間」にわたり政策金利を低水準に据え置くとした公約をどう扱うかの協議が続いている。』(上記URLより、以下同様)

公約???と思ってこの記事の原題の方が書いてあるので見ますと『原題:Fed ‘Considerable Time’ Rate Pledge Under Scrutiny Ahead of FOMC(抜粋)』とありまして、Pledgeだから誓約みたいな意味ですから確かに公約という題および記事内容になっても順当。

でですな、まあ今回のFOMC声明文でその部分がどうなるのかが注目ってえ話ではあるのですけれども、そもそも論として有耶無耶の内に時間軸政策は放棄されていて、利上げに関しては「データディペンデント」という説明を(これはタカハト問わずに全ての)FOMC参加者が行っている訳でございまして、逆に米国ブルームバーグニュースでもこの「相当な期間」文言を「Rate Pledge」というような表現を使う(まあ分かっていて煽りで使っている可能性もあるけど)という状況だとすると、「データディペンデント」の趣旨がまだ伝わっていないというような認識になって、逆に文言外した方が良いという勢力にサポートになりそうな予感。

つまりですね、この前(12/1)に書いた駄文の再掲になりますけど、この前出てた議事要旨で相当な期間文言に関して以下のような話になっていた訳ですよね。

(以下12月1日にアタクシが書いたのの再掲)

『In their discussion of communications regarding the path of the federal funds rate over the medium term, meeting participants agreed that the timing of the first increase in the federal funds rate and the appropriate path of the policy rate thereafter would depend on incoming economic data and their implications for the outlook.』

利上げはデータディペンデントである点を強調と。

『Most participants judged that it would be helpful to include new language in the Committee's forward guidance to clarify how the Committee's decision about when to begin the policy normalization process will depend on incoming information about the economy.』

ということでその点を声明文に加えるべきという話。

『Some participants preferred to eliminate language in the statement indicating that the current target range for the federal funds rate would likely be maintained for a "considerable time" after the end of the asset purchase program.』

数名(Some)が"considerable time" の削除を要求キタコレ。

『These participants were concerned that such a characterization could be misinterpreted as suggesting that the Committee's decisions would not depend on the incoming data. However, other participants thought that the "considerable time" phrase was useful in communicating the Committee's policy intentions or that additional wording could be used to emphasize the data-dependence of the Committee's decision process. A couple of them noted that the removal of the "considerable time" phrase might be seen as signaling a significant shift in the stance of policy, potentially resulting in an unintended tightening of financial conditions. A couple of others thought that the current forward guidance might be read as suggesting an earlier date of liftoff than was likely to prove appropriate, given the outlook for inflation and the downside risks to the economy associated with the effective lower bound on interest rates.』

色々と議論があったのが伝わりますが、削除を反対するほうもデータディペンデントに関しては見解が一致しているようで、この文言に関してはあくまでも「現時点での見通し」ということで、時間軸的なメッセージでは無いという話になっていますが、なんちゅうかフォワードガイダンスをいつの間にか形骸化するとかインチキっちゃあインチキですが、出口政策の作戦としては見事なフェードアウトではありますな。

(以上12/1にアタクシが書いた駄文の再掲ですいませんすいません)

てな話ですので、つまりは「相当な期間」はあくまでも「現在の予想」であってコミットメントではないという建付けになっているので、逆にコミットメント的な要素があるという認識が市場に強い状況だと先行きの政策運営を縛ることになるから外しにかかるという事になると思いますし、別に毒にも薬にもならないという状態ならば残しておくのも別にどっちでも〜って話かなとは思います。

ただまあ利上げ直前になってから「相当な期間」を外しにかかる方が却って利上げの思惑を盛大に高めてしまう事になるというのもあるので、テクニック的には別に今すぐ利上げする訳では無いだろうという現時点でこのような「時間の概念の入った文言」を削除しておいた方が後になって外すよりは市場に与えるフリクションが小さくて済みそうなので、そろそろ外し時なのかも知れないなあと思うのでした。


○ドラギ総裁記者会見が色々と面白い件について(昨日の続き)

http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2014/html/is141204.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Frankfurt am Main, 4 December 2014

・物価見通しが下がっているのに何故現状維持なのでしょうかというツッコミ

昨日の続きからで昨日の最後にネタにしたのの次の質問です。

『Question: Mr Draghi, at the European Banking Congress, you said that you’ll bring back inflation without delay. Today, you presented a significantly downwardly revised inflation forecast and underlined now repeatedly that there’s a risk of further revision. Now, I know that you have announced other measures, and that they still have to take their full effect, but you announced those at a time when the outlook was still stronger than today, so I’m wondering, what is causing the delay? Why no decision today?(後半割愛)』

そらそうだと思ったらドラギ先生の答えが出オチで吹いた。

『Draghi: Your first question is very, very reasonable, I would say, and there are two answers to this first question.』

very, very reasonableとかもう胡散くさくて素敵(^^)。

『One in the sense that I have already given it: namely that the changes that have taken place of recent in the price of oil are so meaningful. Just think that between, if I’m not mistaken, June of this year and today, the price of oil decreased by 30% in euro terms, so that they need careful assessment. They need careful assessment in the ways that I have described before. We have to assess the direct effect, the indirect effect, and whether there are going to be second-round effects. Some of these effects are positive; others are not positive. That’s one reason, I think, to just think more.(後半割愛)』

で、結局説明が全然答えになっていないとな(−−;


・全会一致でなくてもQEは実施します(キリッ)という部分

次にこんな質問がありまして。

『Question: Mr President. There’s been a lot of talk among analysts about whether or not, if you were to do QE, you could do it in the way that the BOJ did, in the sense that the decision was five to four in favour, or would you need more of a consensus? Would you need what some analysts have referred to as a super majority? So it would be good to hear your thoughts on that.(後半割愛)』

日銀のようなスプリット状態になっても実施するのかと。

『Draghi:(前半が2番目の質問の答えなので割愛)On QE, you asked, whether we need to have unanimity to proceed on QE, or can we have a majority? I think, we don’t need to have unanimity. It’s an important monetary policy measure. It can be designed, I believe, it can be designed to have a consensus. I’m still confident, but we have to remember that we have a mandate, and as I said before, we don’t tolerate deviations from our mandate that would cause ultimately a tightening, an unwanted tightening of our monetary policy.』

コンセンサスは取れると思うけど全会一致である必要なし(キリッ)と来て、返す刀で実質金利が上がって金融政策が意図せざるタイト化するのは絶対に避けないといけませんという話をしているのですが、昨日も申し上げたように実際問題としてはインフレ期待というのは直接測定できないだけに政策説明に使う時には下手をするとイカサマ説明の言葉遊びになってしまうリスクが高いので、あまり振り回さない方が吉だと思うのですが、インチキおじさんのドラギ俊彦さんには似合っているかもしれませんね!!!!


・QEの効果について改めて質問されたら日本に謎の流れ弾が着弾している件&QEの効果説明

次の質問。

『Question: Stanley Fischer has said that quantitative easing would help Europe in the same way that it helped the United States.』

スタンレーフィッシャーはFED副議長の方のフィッシャーな。

『Many people however have increasing doubts that it would filter through to the real economy in the same way as many of the other steps you have taken have, perhaps taking a longer time or struggle to get lending for example going again.(後半割愛)』

極めて順当な質問。

『Draghi: Well, QE has been shown to be effective in the United States and the UK.』

あれ?日本は??????となりますが・・・・・・・・・・・

『In Japan, it’s harder to assess because other things have taken place concerning the process of structural reforms and the fiscal policy decisions that have taken place.』

これは見事な流れ弾着弾ですねという所ですが、昨日ネタにしたロックハート総裁講演でも日本の経済状況に対して「challenging conditions」という話があったりしてまして、当初の評価からどうも最近は評価が変わって来てるんじゃないですかねえと思うのでした。

『So the assessment on the effectiveness of QE there is more complicated.』

ということでそういう話ですが、構造改革云々は欧州の事も踏まえて出したんだろうなあとは思います。

『But it’s quite clear that QE, and without being too specific about what sort of assets, would be included in this definition, QE has several effects.』

てなことでQEの効果について。

『One is the signalling, certainly. It shows the commitment of the central bank to keep interest rates low for a protracted period of time, and forward guidance in place for a protracted period of time.』

シグナリング効果による時間軸効果とな。

『The portfolio rebalancing effect, namely if you buy euro-denominated assets, people who will get cash, will buy perhaps non-euro-denominated assets, and you have a portfolio rebalancing effect through that channel. 』

ポートフォリオリバランス効果なのですが、ドラギ先生の場合は「よりリスクのあるアセットを購入」と言うのではなく、「ユーロ外の資産を購入する」という効果で、それってモロに為替ジャンと思いますが、そこに関しては次の質疑で質問が飛んでくる(狙ってるのか狙ってないのか判らんが)辺りECB会見が面白い所です。

『And you have other effects. There is a quite well-documented relationship between the size of the balance sheet of a central bank and inflation expectations.』

置物直線一気理論キタコレなのですが「a quite well-documented relationship」ってどういうニュアンスで言いたいのかねとは思います。

『So there is enough evidence to say that it could be effective.』

とまあこのようにQEの効果を強調。

『We have to keep in mind, however, that the initial conditions matter a lot. And in this sense, the initial conditions of the US and UK, when they decided QE, were different from the initial conditions of the euro area. So that’s why we are thinking deeply about that.』

米国や英国では効果を出しているという話がさっきあったので、ここでも「米国や英国の場合と」初期条件が違いますよという点を考慮する必要がありますという説明をしていますな。

『That’s why, in a sense, it’s another answer to the previous question as to why we’re not acting today. We want to see all these differences and how they play in one way or another.(以下割愛)』

さっきの「何故今回ではないのか」の質問への答えの追加にもしている辺りお洒落ですが、では日本のケースについてどのような事が導き出されるのかという話は当然無いですけれども、ドラギさんに聞いてみたいものではあります。


・QEで何を買うのよという質問だが金は買わないらしい

次の質問。

『Question: My first question would be, which kind of QE variations did you discuss? Did you discuss buying gold? Did you discuss buying US Treasuries? Because you referred twice to these various QE versions.(後半割愛)』

これ折角なら「ポートフォリオリバランスで外貨への買いを狙うなら直接買えば良いじゃないの」という文脈で質問したらもっと面白かったのですが。

『Draghi: On what sort of assets should be included in QE, my sense and recollection is that we discussed all assets, but gold.』

金だけは買わないそうです。ちなみに為替に関する質問は後の方にもあります。


・QEのトランスミッションメカニズムについて質問された答えがちとワロタ

『Question: (前半割愛)And a second question if I may. If at any moment the ECB is going to embark on a QE programme, what channel do you consider to be the most important for the transmission of the policy?』

これは良い質問ですが・・・・・・・・・・・・

『Draghi: (前半割愛)On the second point, what is the channel? 』

コーヒー吹いた。

『We said that there are three elements in any QE programme. It’s the size, another one is the pace, and another one is the composition. All these decisions do have an effect, could have a credit-easing effect, or could have a signalling effect, or could have a portfolio rebalancing effect.』

QEの効果はありまぁす(キリッ)だそうですよ。

『In other words, you buy certain types of assets; the sellers now have cash and will invest into other assets. So the transmission channels could be several, depending also on the sort of QE we design, and keeping in mind that we have already decided important measures, like the ABS programme and the covered bonds programme, that are and will be especially producing effects over an extended period of time.』

資産を買うとこのような効果がありますという説明だが、トランスミッションメカニズムの説明にほんとうになっているのかよというのは中々アレですなあというか、結局詳しい説明できてないじゃんという所ですな、うんうん。


・どうせなら外貨を買えば良いじゃないかというツッコミ

さっきのQE効果のポートフォリオリバランスに関連してこれは良い質問。

『Question:(前半割愛)And a second question, you said you’re discussing all options of QE. So would this also include buying foreign assets? And probably you could elaborate on the transmission channel in this case.』

まあそういう質問になるわな。

『Draghi: On the second question, we discussed several options and at some point someone advanced this possibility, not on this occasion, on another occasion. I think it's difficult because it would be tantamount to intervention, to foreign exchange intervention.』

QEのポートフォリオリバランス効果でユーロ資産からユーロ外資産へのリバランスという話をしておいて「外貨資産の直接購入は為替介入に等しい」っていうのもナンジャソラという感じはしますなあ。

『We certainly don't want to do that because, as I said several times, the exchange rate is not a policy target, but it's important for growth and price stability.』

でもって・・・・・・・

『And the exchange rate is the product of monetary policies that are on a diverging path in different jurisdictions in different countries because of the different economic conditions both as far as activity is concerned and as far as inflation is concerned.』

金融政策の方向性の違いや、経済状況の違いなどから結果として為替市場のレートが形成されるという説明になっていて、まあ要するに露骨な通貨介入はしないのですが、思いっきり為替を意識した話をする、という辺りが建前と本音の世界で大人の世界って嫌ですね〜奥様おほほのほという所ですな。

なおこの先の質疑も良い質問が並んでいて面白いのですが時間の都合上以下明日に続く(汗)。


2014/12/09

お題「指標関連雑談メモ/ロックハート総裁講演を寝起きで少々/ドラギ会見から(その1)」

ほほう。
http://www.47news.jp/CN/201412/CN2014120701001439.html
海外経験は漏えいリスク 秘密保護法で内調
2014/12/07 18:02 【共同通信】

『海外で学んだ経験や働いた経験があると、国家機密を漏らす恐れが高まる―。10日施行の特定秘密保護法の制定過程で、同法を所管する内閣情報調査室(内調)がこうした考えを関係省庁に示し、学歴や職歴の調査が必要と強調していたことが7日、共同通信の情報公開請求で開示された政府文書で分かった。』(上記URLより)

いやまあそういえば昔もアジア解放とか言いながら現地の独立運動家で宗主国への留学経験があったりするとやたら警戒していた人たちがいたらしいとは聞いておりますけれども、そんな事言いだしたら年金改革なんて(以下自粛)。


○GDP2次速報ヒャッハーとかその辺の雑談メモ

・GDP2次速報まさかの下方修正

ほいな。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html
国民経済計算(GDP統計)

でまあ今回のQE2次速報はこちら
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/gaiyou_top.html
2014年7-9月期・2次速報(2014年12月8日)

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf
国内総生産(支出側)及び各需要項目(PDF形式:145KB)

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2014/qe143_2/pdf/qepoint1432.pdf
−ポイント解説−(2014年12月8日)(PDF形式:116KB)

法人企業統計が強かったので上方修正必至でもしかしたらプラスが出て選挙期間中にオモシロ改訂ヒャッハーとかいう話は何だったのかと思いつつ、かくいうアタクシもこれはプラスとかゼロが出て消費増税先送り解散とは何だったのかという話になったら面白いですなあと思っていましたので人の事は言えません(汗)。

でまあ詳しい話は本職の方が既に色々とレポートを出していますのでそっちを見る訳ですが、上記の中で「国内総生産(支出側)及び各需要項目」の5ページ目なんぞを見ると『四半期別の実質成長率』(ちなみに内閣府のサイトではPDFをコピペしてテキストに落とすという技が使えないような設定になっているので一々手打ちをしないといけない)というのがありましてですなあ・・・・・・・・・・

これ見るとGDPの四半期展開見た時に(過去のがしらっと修正されているので)実は2013年の10-12期から実質マイナス成長になっていて、消費税増税(およびその他の期限切れ)の駆け込みと反動の部分を均すと4四半期連続マイナスみたいなもんで、リフレ一派の皆様がいう「消費税増税ガー」だけなのかねこれはという気がだいぶするのですがその辺に関しての説明を頂きたい物ではありまする(ちなみに2013年10-12から年率換算で▲1.5%→+5.8%→▲6.7%→▲1.9%な)が、消費税ガーのせいではなくて円安に無理繰り振ってコストプッシュで物価を無理繰り上げに逝った事によって想定効果としていた輸出が伸びなくて輸出起点の循環が回らない中で実質ベースの所得が落ちた影響がじわじわ効いているという事だとすると、強引に短期間で2%物価上昇を目指す必要が本当にあるのかというような議論にならんのかねとは思ったりしますけどね。

ただまあ直近で足元の原油価格下落に反応して追加緩和実施するというルビコン川だか三途の川だか知らんけど思い切ったプレイが炸裂した手前、そんな話は死んでも出てこない(というか出したら少なくとも副総裁1名のクビは飛ぶ罠)であろうと思いますのですが、本来は前例のない事をするのですからMB拡大すると物価とインフレ期待が上がって全てハッピーという置物直線一気理論が何ぼ正しいとしても、やはり検証を行いながら進撃していく方が吉のような気がするんですけど、まーアタクシがそう思うのと実際に起きそうなことといのはこれまた別問題ですからね(−−;


・景気ウォッチャー調査とな

ほれ
http://www5.cao.go.jp/keizai3/watcher/watcher_menu.html
景気ウォッチャー調査

http://www5.cao.go.jp/keizai3/2014/1208watcher/menu.html
平成26年11月調査(平成26年12月8日公表):景気ウォッチャー調査

http://www5.cao.go.jp/keizai3/2014/1208watcher/bassui.html
平成26年11月調査結果(抜粋):景気ウォッチャー調査

『今月の動き(11月)』

『11月の現状判断DIは、前月比2.5ポイント低下の41.5となり、2か月連続で低下した。家計動向関連DIは、小売関連などが低下したこと等から低下した。企業動向関連DIは、非製造業が弱含んだことから低下した。雇用関連DIは、一部で求人の増勢に一服感がみられたこと等から低下したものの、47.6となった。』

ナムナム。

『11月の先行き判断DIは、前月比2.6ポイント低下の44.0となり、6か月連続で低下した。』

ちーん。

『先行き判断DIについては、物価上昇への懸念等から、家計動向部門、企業動向部門及び雇用部門で低下した。以上のことから、今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、このところ回復に弱さがみられる。先行きについては、物価上昇への懸念等がみられる」とまとめられる。』

>先行きについては、物価上昇への懸念等がみられる
>先行きについては、物価上昇への懸念等がみられる
>先行きについては、物価上昇への懸念等がみられる

・・・・・・・・・まあ何ですな、別に2%の物価目標そのものがイカンのかというとそれはそうなのではなく、日本経済の成長力から言って無理のない水準が2%になっているというような安定成長経済になっているというのは非常に美しい姿ですから目指すこと自体を否定する積りはないのですけど、それを達成するのにコストプッシュで無理繰り物価を上げてバックワードルッキングでインフレ期待を引き上げる、という手法はデフレ均衡脱却程度ならば使えるのかも知れないけれども、それ以上の所を目指しに行くと実質所得のマイナスが大きくなるのでその悪影響が効いてくるという話なのではないかと。

そうなりますと浜田先生じゃないですけれども、2%は目指すけどそこは時間を掛けても良くて、本来の目的はデフレ脱却ですよね、と開き直るというか名誉ある撤退というか、勝っている内に講和条約みたいな話が選択肢にあったと思うのですが何せ今般追加緩和をしてしまいましたのでどう見てもインパー(以下の部分は内務省検閲により削除されました)。


○ロックハート総裁講演とな(ただし寝起きなので手抜きバージョン)

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NGA0R76VDKHX01.html
アトランタ連銀総裁:利上げに対する忍耐促す−反転回避で
更新日時: 2014/12/09 04:40 JST

『12月8日(ブルームバーグ):  米アトランタ連銀のロックハート総裁は、米金融当局は利上げの開始を待つべきだと指摘。政策を反転させれば、当局の信頼性を損なうことになるためだと説明した。ロックハート総裁は8日、アトランタでの講演で、初回利上げのタイミングを図る上での「根気強さ」や、さらなる行動に関する「慎重なバイアスが政策への賢明なアプローチだ」と発言。「来年半ばあるいは後半の利上げを予想する」と述べた。』(上記URLより)

・・・・・・・・・ハト派的との話ですが、「慎重なアプローチ」で「来年半ばあるいは後半の利上げを予想する」だとそれって別に市場コンセンサスと殆ど変らんじゃんと思うのでして、逆にそんなに前のめりな方々がFOMC内部にいるのかよと逆にビックラという感じ(ちょっと最近FED関連講演のフォローが微妙に遅れていてアレですが、汗)ではありまして。

講演はこちら。
https://www.frbatlanta.org/news/speeches/2014/141208-lockhart.aspx
More than a Few Good Data
Dennis Lockhart
President and Chief Executive Officer
Federal Reserve Bank of Atlanta

Council for Quality Growth
Atlanta, Georgia
December 8, 2014

アトランタ連銀では総裁講演について最初にサマリーがあるので寝起きでもサマリーを読めばとりあえず大掴みの所が把握できるのがアリガタヤでありまして、寝起き読みの極意『Key points』だけ読む攻撃に打って出る。

『Atlanta Fed President and CEO Dennis Lockhart, in a December 8 speech to the Council for Quality Growth in Atlanta, shares his thoughts on current economic conditions and appropriate timing of a decision by the Federal Open Market Committee (FOMC) to begin raising interest rates.』

今後の金融政策運営と利上げ時期に関する考えを話しましたとな。

『Lockhart emphasizes that the FOMC decision to begin raising the Fed's policy rate, which has been set at effectively zero since December 2008, will be data-driven.』

データドリブンで実施すべきで時期を決め打ちするものではないと。

『Lockhart: There has been broad-based evidence of steadily improving employment conditions, with net payroll jobs being added at a monthly rate averaging 241,000 jobs so far this year.』

雇用は着実に改善しているとの認識。

『Lockhart says that the current U.S. inflation picture is not so encouraging. Inflation for the past two-and-a-half years has been stuck below the 2 percent target.』

物価に関してはここまでの動きは 「not so encouraging」とな。

『Lockhart foresees sustained GDP growth at an annualized rate around 3 percent and the jobless rate falling to between 5 1/4 percent and 5 1/2 percent by year-end 2015 amid firming inflation measures.』

実質3%成長が継続するという見通しは以前もロックハートさん出していましたが、基本的にこの人ハト気味の発言が多いのですが、経済見通しは強め(この数字だとFOMCの中心的な見通しよりは若干強め程度というレベルです)でして、物価に関してインフレリスクをあまり見ておらず、逆に慎重に見るべきという考えを従来から説明していて、今回もまあそういうスタンスで話をしているんでしょうなあ。

『Lockhart cautions that challenging conditions in Japan and Europe present potential spillover risks to the U.S. economy.』

日本と欧州の景気が「challenging conditions」なのでそのスピルオーバーが米国に来るリスクを警戒となっていまして、まあ別にそれ米国だけじゃないですけどジャパンの景気ってそういう見方ですよね海外からすると。でQQEは所期の効果を上げているとな、などと言ってはいけません。何せ「期待」が大事ですからね!!!

『Current momentum in the U.S. economy, says Lockhart, makes interest rate liftoff likely in mid-year 2015 or later.』

ちなみにアタクシ個人的にはずーっと9月予想と無責任に考えていまして、それは単に逆算でそこから25bpずつ利上げしていくと2015年末が1%になって2016年末が3%になっているので丁度良いサイクルだし、そこまで引っ張ればそのペースでの利上げも行けそうだし、そのあと恐らく3%になったら概ね打ち止め(つまり今SEPで示されている中立金利は高いと思ってるのよ)ですわりが良いとかしょうもない考えなので、そういう意味ではデータディペンデントというよりは結果から逆算思考なので外れフラグが盛大に立っている気がだいぶしますけどね!!!!


○ECBドラギ会見から幾つか

http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2014/html/is141204.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Frankfurt am Main, 4 December 2014

・最初から直球&バランスシートサイズに関する考え方の変化についての質問

最初の質疑がこれ。

『Question: You mentioned a couple of times early 2015 as a time when you’ll be reassessing your monetary policies. Are you comfortable that you will have enough information in seven weeks, when you meet again, towards the end of January, whether or not you will be able to make this type of decision, including whether to buy government bonds?』

いきなり直球。

『My second question is, you mentioned in the introductory statement an intended increase in the size of the balance sheet. That is stronger than you had last month when you said, an expectation, and I am just wondering if this new language is a unanimous decision by the Governing Council.』

これは冒頭ステートメントの文言変更の意味についての質問で真っ先に来るのは順当ですな。

でドラギ先生のお答え。

『Draghi: On the first question, you see, you are in a very intelligent way trying to extract from me the date of the next decisions, and you won’t get it. Early means early. It doesn’t mean at the next meeting.』

「Early means early. It doesn’t mean at the next meeting.」にいきなりワロタ。

『It depends very much on how our assessment will go. We’ll certainly have a lot of facts to examine, namely and especially the big movement in the price of oil and what the impact of this is going to be, not only on economic activity, but also on inflation.』

原油価格下落の影響がどのように物価に影響するかとか黒田節が乗り移って参りました!!!

『Let me say just two words on this, which has been the major event since we last met. Oil prices have an obvious direct impact on the price of energy, and on that ground, the effect is unambiguously positive.』

主に供給要因で原油価格が下がっているならどう見てもポジティブですわな。

『Just to give you a very rough estimate, our import bill of energy, of oil, fell about ユーロ10 billion between the second and the fourth quarter of this year. Now, that is about 0.2% of nominal GDP in that period. That is not going to be the final impact, because Europe also exports oil, but the net is unambiguously positive.』

『Then you have indirect effects on the prices of, for example, transportation, the price of different transportation services, airline services, and that will have to be assessed.』

とまあそういうことで直接間接に経済に好影響というのは当たり前。

『But then you have a third effect, which might happen if the lower prices get embedded in a lower wages formation process. So that is something that we want to look at.』

原油価格の下落が賃金形成にマイナスの影響を与えるというのが「third effect」らしいのですが、それはちょっと説明に無理があるのではないかと・・・・・・・・・

『We estimate the direct and indirect effects on HICP inflation are going to be 0.4pp in 2015 and 0.1pp in 2016. That is very important to keep in mind because it could alter the profile of inflation rates over the coming months, especially in the next few months. Through the indirect effects that I mentioned before, however, lower oil prices would also impact on core inflation, so we have to also be aware of this second-order phenomenon.』

でまあ直接間接の影響で物価がコア指数も含めて弱含みという影響を受けるので・・・・・・・・

『And as I said, it’s important that it doesn’t get into second round effects, in other words that it doesn’t get embedded in inflation expectations. So there’s a lot to look at. That’s the bottom line of what I was saying. There is a lot to look at and to reassess, and to look at the medium-term outlook for inflation.』

ということで、その物価低迷長期化によって現在アンカーされている物価上昇期待が下がる形で不安定化することを懸念しているので、この点を今後注視していきたい、という話ではあるのですけれども、需要サイドに主な原因があって下がっている訳ではない状態で本当にインフレ期待がデアンカーするのかねというのは説明的に無理があるように思えますが、東のかなたから黒田節が流れてきたのでドラギのおじちゃんもこの理屈を繰り出したと思うと胸が熱い。


『The second question is, yes indeed, intended is different from expected. It’s not simply an expectation; it’s an intention, but it’s not yet a target. So it’s something in between. It’s something in between. There was a vast majority of the members of the Governing Council, but the decision was not unanimous.』

例の「intended」の所に関しては「スタンスは変化して強化されました」「でもターゲットでは無い」という説明をしていまして、「ここの文言変更は全員一致ではない」とやはりドイツがお約束のように反対しているなあというのは把握した。


・バランスシート政策を実施するというのは明らかですが何を見るのかの説明が微妙にファジーな件

一つ飛ばして3つ目の質問から。

『Question: Mr President, my first question would be on the TLTROs that will be the allotment on the second round in December 11. Can you tell us something about your expectations for this second tender and the impact you expect it to have on the balance sheet expansion? 』

『My second question is on the work of the Eurosystem and ECB committees. If you could give us some more details on the measures that they have proposed, that you have ready to implement, should it be needed?』

バランスシートはどんだけ拡大しますねん&今後の施策はという質問だが・・・・・・・・

『Draghi: On the first, obviously it’s very, very difficult to estimate precisely what the take-up of the TLTRO will be, and also, we should take into account that we should have in mind the net take-up in the sense that banks will also do other refinancing operations at the same time.』

TLTROやっている側からMROとかの他のオペレーションの返済がありますからねえというのはマイナスの預金ファシリティやっているのだから当然ですわな。

『The previous take-up came out in the lower part of our range of expectations for a variety of reasons, but still, it had a significant impact, together with other announcements of policy decisions, like the ABS and the covered bond purchase programmes.』

てな訳でバランスシートの拡大がここまであまり出ていない事については「ワシらの想定の低い方でした」ということで認めていますが・・・・・・・・・・

『It had significant financing easing effects, and one of the effects we often forget is that in spite of the fact that the net take-up was not remarkable, it did change significantly the average maturity of the banks’ exposure to the ECB, because they basically substitute their present exposure, short-term maturity of three months, with the longer-term TLTRO, and now the average exposure is just less than a year. So you see that that has had an effect on the duration of their exposure.』

ということで、バランスシートの拡大はイマイチですが、貸出の期間が伸びたり買入資産に変化があった事によっても効果が出ています(キリッ)という説明になっていて、それはまあその通りではあるのですが、「量」で攻めていくのか「買入等の資産内容」で攻めていくのかがやや整理されていない印象ですな。

『So as I said, it’s very difficult to foresee exactly what the take-up is going to be, even more so than net take-up. Incidentally, there has been a rumour that the conditions of the second TLTRO could change. No, they’re going to be exactly the same conditions as the first. In the meantime, the outlook has become weaker, and that’s what we have to keep in mind. The work of the ECB committees will continue. It was the basis of a very rich, I would say, a very rich discussion, yesterday afternoon especially, but it was also today during the meeting. We discussed broadly all sorts of measures. We certainly discussed various options of QE, and more work is needed, certainly, and we’ll keep you informed as this work will proceed.』

次回のTLTROは前回と同じ条件で実施しますが、色々なQEも含めた施策については物凄い勢いで議論をしておりますという説明で、少なくともドラギ総裁がQEやる気満々なのは把握しました。


・で、QEは国債買うの社債とか買うのという質問に対しては長演説で誤魔化すの巻

『Question: Mr Draghi, could you tell us, if you take new steps next year, will it be a big step in one? I mean, buying sovereign bonds, or will it be corporate bonds first, and then sovereign bonds? That was one question.(2番目の質問割愛)』

『Draghi: (2番目の質問に対する答え割愛) On the first question, let’s reflect for a moment. First of all, we’ve seen that inflation now, headline inflation is 0.3 in November from 0.4 the month before. It was due to lower energy prices, certainly, but was also due to lower prices of services. So you see, one component is the services component which is part of the core inflation. The major revisions were due to three countries. Germany, Spain and Italy led the downward revisions, and by and large, these developments were in line with our previous communication that said that inflation would be low and would stay low in the years 2015 and 2016. As I said before, it could fall further because of oil prices.』

と、物価の現状と先行き見通しについての前振りがあって・・・・・・・

『Now, let me make absolutely clear that we won’t tolerate prolonged deviations from price stability, and the main reason is that if these deviations feed into inflation expectations, they’ll cause a drop on medium to long-term inflation expectations, which by the way still are within a range consistent with medium-term price stability.』

で、今度はインフレ期待の話になるのですが、物価が弱いままだとインフレ期待がデアンカーされるという話をしているのだが、まあちょっと勝手な説明のような気がする訳で、英国などの場合は物価が上に振れていても平然と緩和政策を継続して「インフレ期待はアンカーされている(キリッ)」という話をしていた訳で、物価よりも景気の方を重視して説明した方が説明に無理が無いような気がするのだが、ドラギさんはこの説明好きですよね。

『But if these were to feed into inflation expectations, these lower outcomes of inflation, were to feed into lower inflation expectations, we would have a zero lower-bound nominal interest rate. This would be tantamount to an increase in the real interest rate. That is something to keep in mind. So it would be tantamount to an unwanted tightening of monetary policy. That’s why we are preparing ourselves in the way that’s been described in the introductory statement.』

でもってインフレ期待が下がると実質金利が上昇して悪影響というのはまあ判りますが、インフレ期待の所で政策変更というのはかなり微妙な感じはせんでもない。まあ説明自体は自由自在なので最終的に結果オーライ的な話になると思うので、上手く行けば素晴らしいのですが外すとインパール作戦状態になる恐れががががが。

『Let me just re-read the point about this.』

とやっと前振り終了してお話キタコレ。

『It says in this context, early next year, the Governing Council will reassess the monetary stimulus achieved, because we don’t want an unwanted tightening of our monetary policy stance due to a decrease in medium-term inflation expectations. So we’ll reassess the monetary policy stimulus achieved, the expansion of the balance sheet and the outlook for price developments.』

インフレ期待の変化とバランスシートの変化と物価動向の変化をアセスメントするという建付けのようだ。

『We will evaluate the broader impact of recent oil price developments on medium-term inflation trends in the euro area. Should it become necessary to further address risks of too prolonged a period of low inflation, the Governing Council remains unanimous in its commitment to using additional unconventional instruments within its mandate, and that’s exactly where the work that’s being done by the ECB staff and by the relevant committees comes in very, very useful, because it’s opened up a very rich, ample discussion on different unconventional instruments.』

相変わらずの気合説明になっているが、問題は「Should it become necessary」となっているかどうかの判断についての「unanimous」がどう見ても取れない事なのですけど、そこは相変わらずこの説明で誤魔化していますな。まあ(今日間に合わないから明日以降ですが)質疑でもそこはツッコまれていまして、結局「全員一致じゃなくても追加策実施」って話をしているんだからこの説明インチキくささを出すだけなので止めりゃいいのにとは思いますけどね。

『This would imply altering early next year the size, the pace and the composition of our measures. I think it’s worth repeating it, because these are meaningful words.』

まあそういうことでドラギ総裁のやる気は良く判ったという所で時間の関係上続きはあす。



2014/12/08

お題「オペ関連メモ/佐藤審議委員の記者会見が講演以上にぶっちゃけて実に見ごたえがある件について」

円安ヒャッハーなのですが、米国雇用統計を見ますに原油下落のメリットを米国は上手く享受できているなあと思われまするに、円安にせっせと振ってそのメリットを台無しにしている金融政策って何なのよと思うのだが・・・・・・

それはそれとして厭債害債さんの最新エントリーは実に納得(今日は真珠湾攻撃の日ですな)。
http://ensaigaisai.at.webry.info/201412/article_1.html
異次元緩和と真珠湾攻撃
作成日時 : 2014/12/07 19:04

○オペ関連雑談

金曜のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of141205.htm
国庫短期証券買入 7,500 2014年12月9日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2014年12月9日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 2,400 2014年12月9日
国債買入(残存期間25年超) 1,600 2014年12月9日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注3) 2,000 2014年12月5日 2014年12月8日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba141205.htm
国庫短期証券買入 16,946 7,502 0.001 0.011 26.6
国債買入(残存期間5年超10年以下) 11,220 4,008 -0.007 -0.006 79.0
国債買入(残存期間10年超25年以下) 5,554 2,403 -0.019 -0.012 35.2
国債買入(残存期間25年超) 6,052 1,605 -0.020 -0.016 52.0
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 43 43 -0.400 -0.400
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(12月9日スタート分) 5,655 5,655

ということでつらつらと。

・短国買入減額だが7500億円とな

短国買入は7500億円という相変わらず微妙な額でのオファーでして、1兆とか5000億円とかで刻めばと思うのですが、相変わらず「減らすけど思いっ切り減らすのもどうかなあ」的なこの中途半端さが調節クオリティとしか申し上げようがない。

でまあこの応札が1.7兆円ほどありましたが、足切りは1糸甘程度なので結局の所マイナス水準での買入は続いている訳でして、短国の引値についてはさすがにマイナスが深い銘柄中心にレート上昇しましたけれども依然としてマイナス金利ですし、まあモノは無いですなあちゅう感じで。

今週は短国入札が6M、2M、3Mと3発ございまして、まあ6Mは引き続きオペ狙いが入ると難しいでしょうかねえというのと、6Mだと四半期末を2回越える事ができるのがオイチイので投資家の方でもこの3発の中では一番ニーズが高い(何ちゅうか理由がアレだが)と思われますが、金曜の状況からするとお察しという気がだいぶする。まあ先週オペを思い切ってスキップでもしてきたら3打席連続プラス入札で水準訂正の可能性も微粒子レベルで存在したのですが、「減らすけど実は減らしたくないもんねオペ」が実施された位ですのでまあ今週末も短国買入7500とか実施して来週は無しとかそういう事になるんでしょうかね。

今年は年末に向けての休みの入り方の関係もあってこの後の入札が来週の1Yと3Mを行った所で終わってしまって、18日の3Mで終了してしまうのですが、22日に国債償還があってこの分の再投資ニーズのうち一部が短国に流れる事が想定される中で入札が無いという状態な上に、年末四半期末ということで末残調整のニーズが残るので、短国買入を入れて需給を締めてしまうと色々と問題が起きる(年末のGCレポとか現先とか有担保コールとか)のですが、まあこればっかりはその時にならないと判らんどうなる事やらという所で。


・輪番が長期超長期連発とな

金曜の輪番は長期と超長期の輪番だったのですが、3日も長期超長期輪番でして、2回連続で全部同じオファーをしてくるのは珍しい(初かな)パターン。

でまあ何考えてそういうパターンで来たのか知りませんけど、もしかして中期債市場がヒャッハーになっているのを見て一旦スキップしてみたという事だったらちょっとそれはどうよという所でもありまして、それってオペの予見可能性を無駄に下げるので、無駄なボラを与えるだけの話になりますし、大体からして今の相場ってオペと入札だけで動いていて、入札はご案内のように事前告知しているので、結果的には「日銀が主体的に市場をマニュピレートする」という状態になっているのですから、オペの予見可能性を下げて来ますと益々「どういうオペを打つのか」の話だけになってくるので、「柔軟な対応」と言えば聞こえが良いのですが、「日銀による恣意的なオペレーション」みたいな受け止められ方になってくると日銀にとってもあまり良い話でも無いと思うのですよね・・・・・・・・

なお結果は全般強めで債券先物ヒャッハーとかやっておりましたし、超長期予想外の打ち込みもあったので超長期復活していましたが、引けに掛けては30年が失速の巻となっていたような。


・固定金利オペ

固定金利オペですけれども、こちらは6085億円に対して5655億円のロールということで、今回も9割以上の歩留まりになっておりまして、シグナルオペ以外の固定金利オペに関してはそれほど派手派手には落ちないのね(シグナルオペはたぶん別で期落ちでホイホイ落ちると思う)という感じでして、これだと益々短国買入をせっせと積まなくても良いのにとは思うのですよね。



○佐藤審議委員会見はいい感じではっちゃけ気味な件について

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2014/kk1412a.pdf

・高知県経済に関連して

実は講演ネタの所で最後の所を割愛してしまったのですが、冒頭質疑の所で懇談の席上での話について質問があったのでそこから少々。

『(答)(冒頭割愛)本日の懇談会では、ご意見が多岐にわたりましたため、全てを網羅してご紹介することはできませんが、私なりに席上で聞かれた話題等を整理して申し上げます。まず、当地の経済が直面する課題として、県内人口の減少やそれに伴う長期的な県内経済の成長鈍化・縮小への懸念にかかる話が聞かれました。例えば、地元企業では、人口減少・高齢化による休廃業が相対的に多いほか、第一次産業の担い手も減少しているといった話がありました。また、こうした人口減少が市場規模や雇用の場の減少につながり、若年層を中心としたさらなる人口減少が進んでいることから、雇用の場の受け皿を早急に確保する必要があるとの話が聞かれました。』

というような構造問題に関しては、これは講演で言及がありましたが将来の日本で起きる構造問題を先行している部分がありますよねという話であります。なお当地の取り組みの部分は割愛しまして・・・・・・・・

『(途中割愛)また、最近の高知県経済は、全体として改善傾向にあるが、そのテンポは鈍化しているとの話が聞かれました。雇用・所得の面では、有効求人倍率が過去最高水準で推移し、賃金も上昇するなど改善がみられるとの話があった一方で、夏場の天候不順や、為替円安や人手不足等によるコスト高や生活用品の価格上昇が企業収益や消費に与える影響について、懸念が聞かれました。このほか、有効求人倍率が過去最高水準であるものの、その水準は全国平均と比べて低水準にありますし、所得面でも業種ごとにバラつきがあるといった話もありました。』

コストプッシュの問題とか回復のトリクルダウンが進んでいないという問題意識を呈示ですな。

『一方、為替円安の影響については、当地の特徴として、輸出型産業のウエイトが相対的に小さいことから、全国と比べて輸入資材や生活用品の価格上昇などのマイナス面の影響がみられるとの話が聞かれました。(以下割愛)』

円安のデメリットキタコレという所ですが、高知県経済に関する質疑がこの後2本あってネタとしては興味深いのですが金融政策的な話ではないので割愛しますね。


・原油安に関連して

『(問) 2 点お伺いします。1 点目は、原油価格ですが、昨今の動きをみていますと減産ということは暫くなさそうなので、市況は下がる可能性が高いと思いますが、CPIについても0.5%、0.4%ぐらいに下がるという見方も出ています。佐藤委員のご意見からしますと、供給要因の物価下落というのは長期的には日本経済に対してポジティブですので、これに対する政策対応、追加緩和は必要ないというご見解かと推察しますが、この点確認させて頂けますでしょうか。(以下割愛)』

もう思いっきり答えさせようとしていますね!

『(答) まず、ここもとの原油価格の下落が日本経済に与える影響としましては、これは午前中の挨拶要旨でも触れましたように、日本経済にとって明確なプラス要因であると判断しております。』

そらそうよ。

『もちろん、目先の消費者物価指数――生鮮食料品を除いたコアに関してですが――、これはエネルギー価格を含んでおりますので、若干の円安のもとでも原油価格の下落の影響のほうがより大きく出てくるということで、目先は伸び率がさらに鈍化する可能性はあるかと思います。』

それもそうですが・・・・・・・

『ただ、今申し上げましたように、原油価格が供給要因で低下するということはある意味では日本経済にとって絶好の追い風が吹いているということも事実です。』

全く仰せのとおり。

『この追い風をうまく経済に均てんさせていくことが必要なのでありまして、そうしたことが実現する暁には、長い目でみた時には、物価にもプラスに作用していくものであると理解しています。』

なお日銀は円安に振ってメリットの均霑をさせないようにしていますが・・・・・・・・

『そういう点で、目先の消費者物価の下落ということに過度に焦点を当てる必要はないものと考えています。』

砲撃キタコレ!!!


・なお円安に関しても弾幕が厚いのだ

なおさっきの質問の後半はこれでもう佐藤さんに盛大に話をさせようという攻撃ですな。

『(問)(前半割愛)2 点目は、景気ウォッチャーのようなマインド系の指標が少し弱い理由というかコメントとして、消費増税と天候に加えて、円安も言及され始めているということを懇談会で触れられていらっしゃいますが、これは、円安がある種、実質所得の下押しを通じたマイナスのスパイラルの起点にもなりつつあるというご懸念を表明されたということなのでしょうか。』

『(答)(前半割愛)それから、マインド系の指標、すなわち、ここもとであれば景気ウォッチャー調査ですが、こういった指標が若干弱めの動きを示しているということについても挨拶要旨で触れましたように最近の動きを注視しています。その中で、各ウォッチャーのコメント等を拝見しますと、強気のコメント、弱気のコメント色々あるわけですが、弱気のコメントの中には、挨拶要旨で指摘したような、3 つの要因というものが特に目立っている、その中でも円安への言及ということが目立っているということです。』

円安デメリットキタコレ。

『為替について、日々の動きについて私の立場から具体的なコメントを申し上げるのは差し控えますが、ごくごく一般論として申し上げますと、円安というのは輸出の増加やグローバルに展開している企業の収益の改善につながることでありますし、株価の上昇といったプラス効果も生むと思います。その一方で、輸入コストの上昇あるいはその価格転嫁を通じて中小企業や非製造業の収益や、家計の実質所得に対する押し下げ圧力として作用するという面もあるわけです。』

ふむ。

『というわけで、円安の影響ですが、これは経済主体によって様々に異なり得るということでして、どちらか一方の見方というのはとりにくいと思います。いずれにしましても、為替相場というのは経済あるいは金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移するということが望ましいわけでありまして、今後とも為替相場の動きを含め、金融資本市場の動向については、それが実体経済に及ぼす影響も含めて、引き続き注意深く見ていきたいと思います。』

とまあそういうことでデメリット強調するのはさすがにアレなのですが、同じ質疑でも「メリットを均霑」という話をしている訳でして、まあ円安のメリットを均霑するような経済政策を実施してくんなましというお話なんでしょうな、うんうん。


・追加緩和の反対と財政健全化に関して

『(問) 先般、佐藤委員は、ロンドンでの講演後の質疑で、財政健全化は金融緩和の成功の前提だということをおっしゃられて、今日の講演でも同じ趣旨のことを言及されていると思います。追加緩和で金利を押し下げることは、財政健全化へのコミットメントを弱める方向に働くとも考えられますし、その中で増税先送りが決められて、それに反対する党がない中で選挙が行われることになっていて、佐藤委員のおっしゃるような懸念が今後顕在化してくるようなリスクが高まっている方向ではないかと思いますが、改めて追加緩和に踏み切ったことは、正しかったのか、誤りだったのか、その点をお伺いしたいと思います。また、財政健全化への努力という点について、より詳しく敷衍して頂ければと思います。』

何という誘い水。

『(答) 追加緩和に関して、私は10 月31 日の会合で反対票を投じたわけですが、理由としては大きく3 つあります。』

うむ。

『第1に、「物価安定の目標」は、そもそも柔軟な目標であり、特定の期限を区切って特定の物価上昇率を目指すといった考え方は、中央銀行の政策運営のあり方としては馴染まないと考えました。』

『第2 に、中央銀行による資産買い入れが過大ですと、ご指摘のような財政従属といった懸念を市場から持たれやすい、と考えたことであります。そういう意味で財政健全化が重要であるということです。』

『第3 に、追加緩和に踏み切る際のリスク認識が、そもそも異なっていたということです。』

ということで・・・・・・・・・・・・

『ご質問は、まず財政のことでしたので、その点に関してお答えしたいと思います。2 番目の点でございます。』

キタコレ。

『国債の市中グロス発行額の約9 割を日本銀行は今買い入れていますけれども、こういった買い入れは過大であると考えています。』

これは!!!

『本行はこれを金融政策として買い入れており、また市中から間接的に買入れているということでして、直接的な財政ファイナンスではないとみています。ただ、仮に、マーケットがこれを財政ファイナンスであると判断すれば、例えば日本が経常赤字に転落するといった条件次第では、リスク・プレミアムは拡大する可能性があるということです。』

仰せのとおりですし、恐らく今のように市場機能をすっかり殺してしまいますと、市場からの警告のような動きではなくて、警告なしでどこかの閾値を越えた途端にいきなりリスクプレミアム大爆発となりそうに思えます。勿論理論的な話では無くて市場現場職人の勘なのですけれども。

『そういった事態が仮に顕在化した場合に、本行が国債買入れを増やして名目金利の上昇の抑え込みを図ろうとしても、かえって事態を悪化させる可能性があると考えたわけです。政府が消費税率引き上げの延期を表明して、2015 年度までのプライマリー・バランスの半減目標、2020 年度までの黒字目標の達成が厳しくなるという声が聞かれる中で、市場は政府の財政健全化へのコミットメントが本物かどうかを改めて注視していると思います。』

ですなあ。まあ今申し上げたように市場が注視して警告を発するのではなくていきなり大爆発のように思えますのであまり市場からの警告を当てにしない方が良いような気がしますけど。

『財政健全化議論に関して付け加えますと、これも一般論ではありますけれども、国全体として財政運営に対する信認を確保していくことが非常に重要であると考えています。この点、政府は「中期財政計画」において、数値目標とその達成に向けた取り組みを明確に示していますし、税制や歳出のあり方など財政運営の内容については、私の立場からコメントすることは差し控えますが、日本銀行としては、こうした計画に沿って持続可能な財政構造を確立するための取り組みが着実に進められていくことを期待していますし、その進捗状況については、先程も申し上げたような問題意識から、注視していく必要があると考えております。』

だいぶズバリ言うわよ状態だったので最後に中和剤を入れている模様(^^)。


・質問されていないテーマで演説キタコレ!!

こんな質問がありましてね。

『(問) 10 月31 日に、佐藤委員は、景気回復の前向きなメカニズムが基本的に維持されているということを言われています。足許、懇談会の中で言われていた、輸出の動向、円安のマイナスの影響、マインドの影響、IMF成長率が下振れていることなどを考えると、メカニズムそのものが維持されていると言い続けることが無理のような状況かもしれないのですが、その点、現状をどのようにみていらっしゃるのでしょうか。また、佐藤委員が追加緩和を決める・決めないのポイントとして、現状のメカニズムが壊れれば、様々なことを考えて、追加緩和に前向きになるかもしれないという理解でよいのか、お伺いします。』

という質問で、まあ経済に関する質問に関しては割愛(基本的に強いです)しまして後半を。

『(答)(前半割愛)それから、2 点目のご質問、リスク認識に関するご質問については、10 月末の会合での私の投票行動にも関わることですので、少し付言します。』

ということで・・・・・・・・・

『「量的・質的金融緩和」拡大の主たる理由ですが、これは本行の対外公表文にあるように、最近の原油価格の下落が物価の下押し要因として働く中で、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクの顕現化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持するためということであったわけです。』

ですなあ。

『ただし、先程申しましたように、原油価格の下落、これは他の主要国と同様、家計・企業の実質購買力の増大に資するということで、日本経済にとっては明らかに追い風です。中長期的にも物価の安定に資すると思います。ということで、原油価格の下落は、基本的には緩和強化の理由としては適切でないと判断致しました。』

これは見事な執行部にマッコウクジラ。

『それから、足許の状況が、ご質問にあったように、追加緩和を必要とするほど下方リスクが強いかどうか、すなわち、リスク認識の程度についてでありますが、私としては、経済・物価情勢について、「上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う」という、対外公表文に示されたリスク要因というのは、例えば、リーマンショックや欧州債務危機など、世界経済の安定性を揺るがす著しいリスク要因が顕在化する、あるいは顕在化しそうな状況というのがフォワードルッキングに見えてくるような状況を念頭に置いているのであり、例えば、GDP成長率や物価の見通しがコンマ数ポイント下振れる、という話を念頭に置いているわけではないわけです。』

>GDP成長率や物価の見通しがコンマ数ポイント下振れる、という話を念頭に置いているわけではないわけです
>GDP成長率や物価の見通しがコンマ数ポイント下振れる、という話を念頭に置いているわけではないわけです
>GDP成長率や物価の見通しがコンマ数ポイント下振れる、という話を念頭に置いているわけではないわけです

これは全く仰せのとおりですな。

『経済・物価情勢全般を点検する中で、経済・物価が、「物価安定の目標」の実現のパスに引き続きあるという判断であれば、「量的・質的金融緩和」は一定の役割を果たしていると評価できるのではないかと思います。その点、「物価安定の目標」の達成状況の吟味にあたっては、これも挨拶要旨で述べた通り、人々の行動様式が2%程度の物価上昇を前提としたものに変化していく、あるいはそういう見通しになるかどうかというのが重要なのであって、月々の物価上昇率、消費者物価上昇率の動きに過度に焦点を当てて、政策を紐付けるということは適切でないと判断しています。』

>月々の物価上昇率、消費者物価上昇率の動きに過度に焦点を当てて、政策を紐付けるということは適切でないと判断しています

大向こうから声を出したくなる締めですね!!!!!


・物価見通しはフォーキャストで

『(問) 2 点お伺いします。まず、佐藤委員ご自身の予想をお伺いしますが、コアCPIでみた前年同月比が2%に達する時期というのは、大体どのくらいになるとお考えでしょうか。(後半割愛)』

『(答) まず、消費者物価上昇率の予想に関して、私自身の見通しについては、展望レポートの中で数字としてあげていますが、これは総裁が定例会見でも触れているとおり、私自身の見通しは政策委員会の見通しの中心値よりやや慎重な見通しを示しています。』

ですな。

『具体的に2%に達する時期についても、既に議事要旨の中に明らかにされているように、私自身はこの見通し期間の中盤頃に2%を見通せるようになる、という議案を提出しています。』

展望レポ―トは「達する」ですよ。

『要は、アウトカムとして2%を評価するのではなくて、基本的にはフォーキャスト・ベースで、経済・物価情勢がその「物価安定の目標」のパスにあるということであれば、それはそれで政策の使命を果たしているのではないかと考えています。ですから、具体的な時期につきましては、特に言及は避けたいと思います。』

ということで「足もとの物価に過度に反応するのはイクナイ」という説明に沿った話なのでちょっと引用。



・今回減額の提案をしなかった理由について

『(問)(前半割愛)もう1 点ですが、先程国債の購入額が過大であるとおっしゃったと思いますが、それではなぜ11 月のMPMで、例えば購入額の減額をご提案されたり、現在のQQEの継続に反対されたりといった行動に出られなかったのでしょうか。』

まあ難しい所ではありますが。

『(答)(前半割愛)それから2 点目のご質問ですが、前回会合で金融調節方針について賛成票に転じた理由ですが、これも11 月の金融政策決定会合後の総裁定例記者会見で説明がありましたが、政策委員会として、いったん決定した政策について短期間で変更することは、日本銀行の政策運営に対する信認を損なうものであるなどの判断から、熟慮の上、賛成票を投じました。』

まあ難しい所ですけどこれはこれで考えとしてあると思います。

『ただし、10 月31 日の金融政策決定会合で「量的・質的金融緩和」の拡大に反対票を投じたことは、今も適切な判断であったと考えております。』

なるほど。

『ただ、一般論として、政策委員会でいったん決定した政策については、審議委員も日本銀行の役員として執行に責任を負う立場にあります。また、マーケットは拡大された「量的・質的金融緩和」を前提とした価格形成に既になっており、先程申しましたように、短期間で以前の「量的・質的金融緩和」に戻ることはもはや現実的でないですし、政策運営の信認にも関わることであります。従って、改めて以前の「量的・質的金融緩和」に戻すことを求める考えは、現時点ではございません。次回以降の政策継続の是非につきましては、経済・物価情勢を点検していく中で、決定会合の都度、引き続き熟慮を重ねた上で判断して参りたいと思います。』

まあそうですね。近い時期にまた暴れて頂く事を楽しみに(おい)。


・さらに執行部に無慈悲な砲撃

まあそういう質問を打ち込んでいるのですけどね!!!

『(問) 挨拶要旨において、中央銀行が物価を操作することはできないとか、特定期間の中で特定の上昇率を目指す考えについては違和感を持っていると、そのような趣旨が書かれていたと思いますが、この表現の真意・考えについてお聞かせください。』

さあもりあがってまいりました!!!

『(答) 私自身の物価に対する考え方は、他の主要な中央銀行の考え方とさほど相違はないのではないかと思います。すなわち、物価について、中央銀行が直接的にマネタリーベースを変化させることによって影響を及ぼすことができるかどうかということは、なかなか深淵な問題であります。』

>なかなか深淵な問題であります
>なかなか深淵な問題であります
>なかなか深淵な問題であります

何という大人の対応(^^)。

『要は、その波及メカニズムということです。一つの波及メカニズムとしては、あらゆる市場における資産価格の価格形成に影響を及ぼすことによって、間接的に物価に影響を及ぼそうということは、あり得ると思います。為替市場の動きはその一例でありますし、株価、あるいは資産価格という広い意味で言うと地価とか不動産価格といったものも需給ギャップの変動を通じて、最終的には物価に影響を及ぼし得るということです。』

資産価格ルートの影響はあるでしょうと。

『ただし、その物価に影響を及ぼすそのトランスミッション・メカニズム──波及のパスですが──は、非常に迂遠なものがありまして、仮に金融政策で資産価格を動かし、それが実際の物価に波及するとしても、それが相応のタイムラグを伴うということです。』

ですなあ。

『ですから、日本銀行としては、2 年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に2%の「物価安定の目標」を実現することをマンデートとして掲げていますが、私としては、2 年程度ということで、特定の期間を区切って、特定の物価上昇率を目指すことが、果たして中央銀行のやり方として正しいのかどうかということについては、かねてから疑問を持っていますし、実際に昨年1 月に「物価安定の目標」を日本銀行として政策委員会の中で機関決定した際には、反対票を投じています。』

そういやそうでした。

『要は、そういった特定の期間内に、間接的に物価に影響を及ぼそうとしてもなかなか実現できるとは限りませんし、仮に実現が困難になった時に、その政策の信認はかえって低下するリスクがあると思います。』

無慈悲砲撃キタコレ!

『そういう点で、私としては、「物価安定の目標」というものは、結果にコミットするというか、硬直的な枠組みではなく、上下に幅のあるフレキシブルな概念としてみるべきであると考えています。』

ということですな。


・追加緩和に関して更にダメ押しの砲撃で「2年」に関してと政策デメリットに関する話がヒャッハー

ちょっと質問が散漫なのですが。

『(問) 挨拶要旨において財政について語られている箇所で、「仮に市場で政府のコミットメントに対する疑念が高まれば、その影響は国債市場におけるリスク・プレミアムの拡大として現れるであろうが、それに対する中央銀行の処方箋は限られる」とおっしゃっています。限られるということは、あるということをおっしゃっているのではないかと思いますが、あるのであれば、どういうやり方があるのでしょうか。また、今回の追加緩和に反対されている理由として、購入額が過大であるとか、財政規律が低下しているなかで、財政従属の懸念をもたらすということですが、もうちょっとこの反対された理由を考えると、出口が難しくなっていくということにもつながるのではないかと思います。反対された方の責任としても、この出口というものが、どのようなハードルがあるのか、どのように難しいのか、そしてどういう方法があるのかというのを、もっともっと語っていくベきではないかと思います。黒田総裁の公式見解としては、時期尚早であると繰り返されています。佐藤委員ご自身、今回反対された方の責任としても、今までよりも、より明確に出口について語っていくべきではないかと思うのですが、如何でしょうか。』

イマイチ質問が散漫で何を聞きたいのか判らんので答えが結構長いのだが、回答の中で無慈悲な砲撃が更に入るのだ。

『(答)(前半割愛)それから、追加緩和に関して、もう一言申し添えたいと思います。』

さて(^^)。

『反対理由として申し忘れたことですが、昨年4 月の「量的・質的金融緩和」開始時の対外公表文では、本行が2 年程度の期間を念頭においてできるだけ早期に「物価安定の目標」を実現するということにコミットしたわけです。私の理解では2 年程度の期間というのは、あくまでも念頭に置く努力目標であって、特定の達成期限を示すわけではないと考えています。』

ほっほー。

『むしろ、できるだけ早期に、という現実的な目標を掲げたが故に、私としては昨年の4 月に「量的・質的金融緩和」に賛成票を投じたのであって、そもそも2 年での達成ということをコミットすることに同意したわけではありません。』

これは!!!

『先程の繰り返しになりますが、特定の期限を区切って中央銀行が物価の押し上げを狙おうとしても効果は一時的に止まる可能性が高いと思いますし、そこでさらに物価を押し上げようとすれば、一段の金融緩和を繰り返すことになり、結局は長い目でみて、中央銀行の物価安定に向けた信認が問われることになると思います。』

無慈悲砲撃!

『加えまして、日本銀行の政策運営の枠組みは、物価安定のもとでの持続的成長を実現する観点から、経済・物価の現状・見通しに加えて、金融面での不均衡を含めた様々なリスクも点検しながら運営してきているということであります。』

ということで・・・・・・・・・・

『既に市場金利は極端に低下しており、金融機関のマージンは先行き一段と圧迫されると思います。そういう中で、短期的な物価の安定を優先しすぎると、長い目でみると、先行き金融システムは不安定化していき、ひいては、中長期的な物価の安定が損なわれる恐れがあると考えました。(以下割愛)』

(;∀;)イイシテキダナー
(;∀;)イイシテキダナー
(;∀;)イイシテキダナー


・出口に関して

さっきの質問の答えの続きです。

『(答)(前半割愛)それから、出口に関してもっと語るべきではないかというご質問ですが、基本的には出口の状況ということに関しては、その時点の経済・物価情勢次第ということに尽きるのではないかと思います。もう少し具体的に出口の手段、あるいは手続き、これを明示せよという声があることは承知していますが、これはどの中央銀行にも共通して見受けられる課題ですけれども、透明性と柔軟性のトレードオフの問題がどうしてもあると思います。』

これはそうですね。

『すなわち、出口を語ることでその手続きにおいて透明性を高めようとすればするほど、将来の政策の柔軟性が失われるということですし、あるいは透明性を高めようと努力しても、その後の経済情勢の変化によって、そういったルール・ベースの政策変更ルールが結局取り下げを余儀なくされてしまう例が実際に海外の中央銀行ではみられています。』

講演でも指摘されていました件です。

『そういう点で、基本的に私としては、出口の問題に関しては、いざ中央銀行がそれについてコミュニケートを始める時には、その時々の経済・物価情勢に応じて、臨機応変に考えていくしかないのではないか、予め決められた手続き・ルールに則って、あるいは経済指標に則って、機械的にやっていけばできるという単純なものではない、と思います。』


#てなわけで引用増量企画で恐縮至極ですが佐藤さんが盛大にはっちゃけているのでこうなるのだ(^^)




2014/12/05

お題「寝起きでECBを少々/短国入札その他/佐藤審議委員講演ですよ!!!!」

120円ヒャッハーと思ったら円安で価格上昇が困ったという話が国営放送で流れているように思えますががががが。

○寝起きで簡単にECB(詳しくは後日)

http://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2014/html/pr141204.en.html
4 December 2014 - Monetary policy decisions

『At today’s meeting the Governing Council of the ECB decided that the interest rate on the main refinancing operations and the interest rates on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged at 0.05%, 0.30% and -0.20% respectively.』

政策は現状維持。

http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2014/html/is141204.en.html
Introductory statement to the press conference
Mario Draghi, President of the ECB,
Frankfurt am Main, 4 December 2014

『Based on our regular economic and monetary analyses, and in line with our forward guidance, we decided to keep the key ECB interest rates unchanged. As regards our non-standard monetary policy measures, we have started purchasing covered bonds and asset-backed securities. These purchase programmes will last for at least two years. Next week, we will conduct the second targeted longer-term refinancing operation, to be followed by six further operations until June 2016.』

これはここまでに決めた政策をこれから実行していきます云々の話をしているのだが・・・・・・・

『Taken together, our measures will have a sizeable impact on our balance sheet, which is intended to move towards the dimensions it had at the beginning of 2012.』

『Together with the series of targeted longer-term refinancing operations to be conducted until June 2016, these asset purchases will have a sizeable impact on our balance sheet, which is expected to move towards the dimensions it had at the beginning of 2012.』(前回)

相変わらず「バランスシートを2012年頭の水準まで拡大する効果がある」という話をしているのだが、前回がこれらの施策に関して「which is expected to move 」と予想だったのですが今回「which is intended to move 」ということですからバランスシートを拡大するのをマジで目指すらしい。

『In the coming months, our measures will further ease the monetary policy stance more broadly, support our forward guidance on the key ECB interest rates and reinforce the fact that there are significant and increasing differences in the monetary policy cycle between major advanced economies.』

主要な他の先進国対比での金融政策スタンスの違い(英米っすな)によって金融環境は更に緩和的になりますという説明もこれまた最近のお得意な説明。

『However, the latest euro area macroeconomic projections indicate lower inflation, accompanied by weaker real GDP growth and subdued monetary dynamics.』

ただしユーロ圏のマクロ経済の見通しは実質GDPのより弱い成長や抑制されたマネタリーによって起きる低インフレを含んでいますとな。

『In this context, early next year the Governing Council will reassess the monetary stimulus achieved, the expansion of the balance sheet and the outlook for price developments.』

これは更なるやるやる詐欺ですわ!!!!

『We will also evaluate the broader impact of recent oil price developments on medium-term inflation trends in the euro area.』

この部分ですが「原油価格の進展が中期的なインフレトレンドに与える影響を精査する」とか仰せなのだが、それは普通中長期的に需要喚起に繋がるからインフレにプラスという結論になると思うのだが、ドラギ自由自在の法則からすると黒田スキームで「実際の物価低迷イクナイ」という荒業が出る可能性もあるのかね。まあ会見で質問があったかもしれないけど(見てない)。

『Should it become necessary to further address risks of too prolonged a period of low inflation, the Governing Council remains unanimous in its commitment to using additional unconventional instruments within its mandate.』

さあもりあがってまいりました!!!!

・・・・・・・という感じですが、まあこの文脈ですと先ほどの原油価格云々の部分は追加緩和の理由に使ってきそうでドラギ先生のイカサマ振りが爆裂という感じではありますが、足元の物価下落に対応して緩和投下とか中央銀行としてはかなり恥ずかしい理由というか、それはフレキシブルインフレーションターゲットじゃねえだろという話になりますので、さすがにこの原油価格の話を前面に出すのは反対が増えると思うのでドラギさんもちょっと合意形成難しくなるように思えるが大丈夫かねとは思います。

『This would imply altering early next year the size, pace and composition of our measures. In response to the request of the Governing Council, ECB staff and the relevant Eurosystem committees have stepped up the technical preparations for further measures, which could, if needed, be implemented in a timely manner.』

検討指示キタコレですけれども、さっき引用した説明の「金融政策の再評価」という部分では「reassess the monetary stimulus achieved, the expansion of the balance sheet and the outlook for price developments」とバランスシートの拡大状況に関しての評価をするという話をしていますのですが、ご案内の通りで預金ファシリティーをマイナス20bpという超懲罰金利に設定している事によってバランスシート拡大が盛大に阻害されているのは明らかですから、これは量的緩和実施とマイナスの預金ファシリティ廃止というか、少なくともマイナスの預金ファシリティは廃止さざるを得ないと思われます。

でまあマイナス預金ファシリティを廃止すると金利が上がる政策になってしまうので、その時に量的緩和をセットで打ち込むしかないという事になると思うのですけれども、さあドイツはどう出るという所ですにゃ。

『All of our monetary policy measures are geared towards underpinning the firm anchoring of medium to long-term inflation expectations, in line with our aim of achieving inflation rates below, but close to, 2%, and contribute to a return of inflation rates towards that level.』

ここはいつもの締め文言なのでどうでも良いのですが、まあECBのマイナス預金ファシリティが廃止されてくれますと「バランスシート政策とマイナス金利は両立が難しい」という話が人口に膾炙してくれまして、マイナス金利は問題無くて市場機能はありまぁす!などと寝言をほざくどこぞの中央銀行とは何ぞという話になって頂くと甚だ幸せなのですけどね。

経済物価の状況と見通しの部分はとりあえず流す(いつもだと前回と比較したりして詳しく見るのだが佐藤さんの講演という別の大ネタがありますので)。

『Let me now explain our assessment in greater detail, starting with the economic analysis. Real GDP in the euro area rose by 0.2%, quarter on quarter, in the third quarter of this year. This was in line with earlier indications of a weakening in the euro area’s growth momentum, leading to a downward revision of the outlook for euro area real GDP growth in the most recent forecasts. The latest data and survey evidence up to November confirm this picture of a weaker growth profile in the period ahead.』

『At the same time, the outlook for a modest economic recovery remains in place. On the one hand, domestic demand should be supported by our monetary policy measures, the ongoing improvements in financial conditions, the progress made in fiscal consolidation and structural reforms, and significantly lower energy prices supporting real disposable income. Furthermore, demand for exports should benefit from the global recovery. On the other hand, the recovery is likely to continue to be dampened by high unemployment, sizeable unutilised capacity, and the necessary balance sheet adjustments in the public and private sectors.』

ということで・・・・・・・・

『These elements are reflected in the December 2014 Eurosystem staff macroeconomic projections for the euro area, which foresee annual real GDP increasing by 0.8% in 2014, 1.0% in 2015 and 1.5% in 2016. Compared with the September 2014 ECB staff macroeconomic projections, the projections for real GDP growth have been revised substantially downwards. Downward revisions were made to the projections for both domestic demand and net exports.』

「revised substantially downwards」キタコレ!!!!

『The risks surrounding the economic outlook for the euro area are on the downside. In particular, the weak euro area growth momentum, alongside high geopolitical risks, has the potential to dampen confidence and especially private investment. In addition, insufficient progress in structural reforms in euro area countries constitutes a key downward risk to the economic outlook.』

ここのリスクの話は(たぶん)従来通り。 で次が物価の話。

『According to Eurostat’s flash estimate, euro area annual HICP inflation was 0.3% in November 2014, after 0.4% in October. Compared with the previous month, this mainly reflects a stronger fall in energy price inflation and a somewhat lower annual increase in services prices. Taking into account the current environment of very low rates of inflation, it will be important to assess the broader impact of recent oil price developments on medium-term inflation trends and to avoid spillovers to inflation expectations and wage formation.』

この理屈で来たか!という感じですが、原油価格の下落に関するアセスメントは従来は原油価格の下落が実質可処分所得を引き上げてウマーという話だったのですが、ここへきて「中期的なインフレのトレンドに対するインパクトや、インフレ期待低下や賃金形成へのスピルオーバーのリスク」などとどこの黒田節だよという屁理屈がキタコレでして、まあ日銀の屁理屈形成能力がドラギ先生に影響を与えていると考えると中々胸が熱くなりますな。

『Against the background of recent oil price developments, it is crucial to recall that forecasts and projections are based on technical assumptions, especially for oil prices and exchange rates.』

「特に原油価格や為替レート」とな!

『On the basis of information available in mid-November, at the time the December 2014 Eurosystem staff macroeconomic projections for the euro area were finalised, annual HICP inflation was foreseen to reach 0.5% in 2014, 0.7% in 2015 and 1.3% in 2016. In comparison with the September 2014 ECB staff macroeconomic projections, they have been revised significantly downwards.』

「revised significantly downwards」キタコレ!!

『These revisions reflect mainly lower oil prices in euro terms and the impact of the downwardly revised outlook for growth, but they do not yet incorporate the fall in oil prices over the past few weeks following the cut-off date for the projections. Over the coming months, annual HICP inflation rates could experience renewed downward movements, given the recent further decline in oil prices.』

『The Governing Council will continue to closely monitor the risks to the outlook for price developments over the medium term. In this context, we will focus in particular on the possible repercussions of dampened growth dynamics, geopolitical developments, exchange rate and energy price developments, and the pass-through of our monetary policy measures. We will be particularly vigilant as regards the broader impact of recent oil price developments on medium-term inflation trends in the euro area.』

oil prices連呼ワロタというと事ですが詳しくはまた後日。


○3M入札とか固定オペとか

うむ。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20141204.htm
(3)募入最低価格 100円00銭0厘0毛 (募入最高利回り)(0.0000%)
(4)募入最低価格における案分比率 2.2765%
(5)募入平均価格 100円00銭1厘2毛 (募入平均利回り)(-0.0044%)

案の定というか順当というかの100円極薄按分と相成りまして、平均が1厘2毛なので100円の3つ上か4つ上の所から札が流されているという中々お洒落な入札となっておりまして、短国買入が減る可能性があるからプラスまで流れるかもという話は何だったのかという所ですが、テールが1厘2毛もありますから「入れないといけない札」と「100円の止めビット」に札が2分されているんだろうなあというのだけは把握しましたけれども、止め札が100円に入ってしまうような状況だと需給が相当緩んでこないと暫く厳しいかもしれませんな。

一方で固定金利オペなんですけどね。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba141204.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(12月8日スタート分) 1,350 1,350
CP等買入 10,879 4,480 0.082 0.085 56.2

これ1350億円なのですが、元が1650億円のオペでしたので、折り返しで8割近くの歩留まりキタコレとなっていまして、5年も堂々の0.1%割れとかやっている中でこれだけ歩留まりするというのも何ちゅうかちと判らんという所ではありますが、この回は額が少ないのでマージナルなニーズの部分で埋まっているのかも知れませんなあとは思いますけど、いずれにせよ中短期がトンデモ無い金利形成になっている中で固定金利0.10%調達に適格担保を使うのって、担保繰り的には担保の無駄遣いに見えるのですけどね。


○佐藤審議委員の講演の説明は概ね今までの主張通りなのですが表現の剛球度合いが高まっております

ということで高知金懇ですが金利の方々的には賛同できる部分も多いのではないでしょうか。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/data/ko141204a1.pdf
わが国の経済・金融情勢と金融政策
── 高知県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──

『本日の懇談会では、まず私から国内外の経済・金融情勢と最近の日本銀行の金融政策についてお話させて頂いたうえで、高知県経済について若干触れさせて頂きたい。その後、皆様方から、当地実情に関するお話や、日本銀行の政策運営に対するご意見などをお伺いしたい。』

ということでまずは経済の部分ですが・・・・・・・・・

・経済見通しに関しては割と強気です(海外編)

『2.内外経済・金融情勢』からまずは『(1)世界経済の動向』

『IMF による最近の世界経済見通しの下方修正に示されるように、世界経済の先行きについては、このところ欧州や一部の新興国にやや慎重な見方がみられる(図表1)。世界経済の減速懸念などから、原油価格等の国際商品市況も軟調に推移している。国際商品市況の下落は消費国である先進国・地域の経済には購買力の増加を通じて追い風となる一方、新興国・地域に含まれる資源国の経済には下押し要因となりうる。』

『国際商品市況の変動により全体として、所得形成や分配にどのような影響が及ぶかを注視しているが、このところの世界経済の成長において、新興国・地域の寄与度は無視できないだけに、先行きの世界経済がIMF の見通しにあるように順調に成長率を高めていくかどうかは不確実性がある。』

で、地域別の中ではこういう指摘がしらっと入っているのが素敵。

『国・地域毎の状況について概観すると、米国経済は雇用の順調な回復を映じた家計支出の拡大から民間需要を中心とした着実な回復が続いており、先行きも前向きな循環に支えられながら徐々に成長率を高めていくと見込まれる。このところのガソリン価格低下も消費への追い風である。』

>ガソリン価格低下も消費への追い風である

(^^)。

それは兎も角結論部分ですが。

『このように世界経済は、欧州と新興国・地域の減速リスクが意識されるなか、比較的順調な回復基調を辿る米国頼みの様相となっている。もっとも、世界経済のリンケージが強まるなか、足許好調な米国も欧州や新興国・地域の減速の影響を受ける可能性は相応にあろう(図表5)。また、足許、地政学的リスクが一部に高まっているほか、西アフリカにおける感染症の拡がりも新たなリスク要因として意識されている。』

ということで米国一本足打法という認識ですが、まあ米国に関しての説明は比較的強気で、あとは米国単独だけでどこまで世界を引っ張れるのか、一緒にズブズブ沈むリスクはあるかもねという感じですかな。


・国際金融市場の話の中で金融規制の影響を指摘しているのが中々ですよ

『(2)国際金融資本市場の動向』というのがあるのがほほうという感じですので引用。

『国際金融資本市場では、夏場までは低ボラティリティ下で投資家にsearch for yield の動きがみられるゴルディロクス的状況であったが、先に述べたように世界経済の見通しが慎重化するなか、秋口には投資家のリスク回避姿勢が一時強まり、市場のボラティリティも全般に高まった。先に挙げた国際商品市況の下落のほか、質への逃避の動きを映じた長期金利低下もみられた。足許はこうしたリスク回避的傾向が和らぎ、株価は世界的に堅調だが、国際商品市況は引き続き軟調である。』

うむ。

『こうした市場の状況が、単にこの夏場までの過熱の反動であったのか、あるいは最近の「長期停滞論」にみられるような慎重論の拡がりを示唆するのか、各市場の連関を整合的に説明するのは難しいが、背景として、FRB による金融引き締めが具体的に意識されるなか、一時的にせよ、過度の楽観の巻き戻しが生じ、国際商品市場でその余波が続いている側面はあろう。また、先に述べた欧州や新興国・地域の減速が、成長のけん引役である米国を巻き込むリスクも、とりわけ国際商品市場では相応に意識されていると考える。』

ほほう。

『前者について補足すると、足許進行中の国際的な金融規制強化の動き(図表6)も市場のボラティリティ上昇にいくばくか関連しているように見受けられる。』

ということでここで金融規制の影響についての指摘があるのが良い指摘。

『すなわち、規制の結果、主要なマーケット・メーカーのリスクテイクが制約され、市場全体としてリスクの吸収余力や流動性が低下している可能性である。』

ですなあ。

『こうした問題は、主要国の中央銀行が潤沢な流動性を市場に供給している間は概ね封印されてきたものの、米FRBが出口政策に関し情報発信を始め、市場参加者の間で政策金利の引き上げや流動性供給の絞り込みがある程度具体性をもって意識されるなかで、改めて浮上してきたのであろう。』

なるほど!!

『先行き、実際に引き締めが実行される局面では、規制の影響が一段と色濃く市場に出る可能性もある。』

これは良い論点。

『無論、リーマンショックのような大規模な危機再来を予防する上で規制は重要だが、規制が市場参加者のリスクテイクを過度に妨げたり、市場の価格形成機能を過度に阻害することがないよう、バランスも望まれる。』

これは見事な論点提示だと思うのですが、たぶん講演のヘッドラインの方ではこういう話があまり出ていなかったように思うのでこの部分を通しで引用してみましたよ!!!



・経済見通しに関しては割と強気です(国内編)

国内の説明は結構強気。

『国内経済は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響から、自動車などの耐久財消費や住宅関連に弱めの動きが残り、自動車などの消費の弱さはこれまで生産面に影響してきた。もっとも、足許は輸出の弱めの動きに歯止めが掛かり、自動車中心に生じたミニ在庫調整の関連分野への波及もごく短期間で終わりそうな様相である。また、堅調な雇用・所得環境が維持されるもとで、企業収益は好調で、回復のメカニズム自体はしっかりと働いていることから、先行きは、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響が収束に向かうもとで、景気は緩やかな回復経路をたどっていくとみている(図表7)。』

これは強いですわ。

『こうした見通しは、7-9 月期GDP一次速報が2四半期連続のマイナス成長となり、また景気動向指数の一致指数が基調変化の可能性を示すなかでは楽観的に聞こえるかもしれない。』

うんうん。

『確かに、雇用関連指標などは遅行指標であるがゆえに、足許の堅調な雇用情勢が必ずしも先行きの景気の堅調さを示すとは限らない。実際、雇用の先行指標である新規求人数や新規求人倍率は、製造業における生産調整がやや長引いたことを受け、企業の採用スタンスが慎重化したとみられることから、夏場にかけ一時的に頭打ち感がみられた。』

うむ。

『もっとも、短観にみる企業の雇用不足感は90 年代初頭のバブル期以来であるほか、国内生産が不芳な割に製造業の企業マインドは底堅さを維持している(図表8)。』

ほう。

『こうしたマインドの底堅さの背景として、海外子会社の良好な業績を受け、企業の連結利益が好調であることも指摘できよう。連結ベースの企業の良好なパフォーマンスは足許の輸出の弱さを補完する役割を果たしていると思われる。すなわち、海外子会社の生み出す利益が配当などの形で国内に還流することで、いわば新たな所得形成パターンが強まっているようにも思われる(図表9)。』

そ、そうなのですか・・・・・・・・

『国内経済指標は確かに一部に弱さが残るものの、私としては、企業のグローバル化の進展という現状を踏まえ、より包括的な判断をする必要性を感じている。』

ということでこれは強気ですわという所です。


・リスク要因であるがしらっと執行部にマッコウクジラキタコレ

『先行きのリスク要因にも留意したい。第一は輸出の動向である。海外経済が先行き順調に成長率を高めていくかどうか不透明感があるなかで、製造業の海外生産シフトの動きはペースを鈍化させつつもなお続く見通しである。このため茲元の一段の円安が輸出の回復を後押しするかどうかは不透明感がある。』

一段の円安が輸出拡大に繋がらないリスクキタコレ。

『第二は円安の影響である。エネルギー価格低下は家計・企業の実質購買力を高め、日本経済に明確にプラスに作用する反面、円安は国内生産の多くを占め、かつ今回の景気回復の牽引役である非製造業にとり交易条件面でマイナス要因となる。』

どう見ても執行部の説明にマッコウクジラで逆張りです本当にありがとうございましたなのですが、普通に佐藤さんの説明の方に分があると思います。

『第三は家計・企業マインドの動向である。これまで国内経済指標の弱さの割に、とりわけ製造業のマインド指標は底堅く推移したが、ここに来て景気ウォッチャー調査の各DIの動きが一段と冴えなくなるなど、マインドには弱めの動きがみられる。同DIは短期的に景気に高い先行性を有しているだけに、その動きには注意を要する。』

キタコレ!

『同調査のコメントをみると、消費税率の再引き上げや天候要因、円安への言及が目立っており、これらの要因がマインドに与える影響には注意が必要である。』

「円安への言及」とここでも円安に振ってめでたし理論に砲撃キタコレであります。


・物価に関する説明辺りから徐々に弾幕用意

次が『(4)物価面の動向』である。

『来年前半ぐらいまでを見通すと、原油価格や為替相場を現状横ばい程度とみると、先行きは本年前半の物価上昇の裏が出ることもあり、消費者物価の前年比は引き続き伸び悩む可能性がある。』

まあ元々佐藤さんは物価見通しはそんなに強くは無い。

『もっとも、私の考えでは、国際商品市況の下落は、資源国への所得移転の縮小を意味し、日本経済にとり明確なプラス要因であり、やや長い目で見れば物価にとってもプラス要因と考える。』

また原油等の下落が「明確なプラス」キタコレであります。

『また、供給側の統計をみる限り、駆け込み需要の反動の影響はほぼ収束しており、反動減の下で幾分慎重化した企業の価格設定行動にも先行き幾分好影響が及ぶことが期待される。』

とよろしいのですが個人的アネクドートで言えばここへきて日用品の価格設定がだいぶ弱気になってきた感があるのは気になりますけどね。


でまあ中長期的には賃金に注目という話は執行部と同じ(つーかそうなるのが普通ですけど)ですが・・・・・・

『やや長い目で見た物価上昇メカニズムについては、先般の「展望レポート」にあるように、生産資源、すなわち労働力と資本ストックの稼働状況に着目している。とりわけ、最近の人手不足、すなわち労働資源の逼迫は、全体として賃金上昇圧力をもたらし、こうした賃金上昇圧力が物価に相応の影響を及ぼしているように見受けられる。その点、堅調と見込まれる冬季賞与を受けて消費が持ち直し、その好影響が物価に及ぶという経路も目先期待が持てよう。』

しかしこの先辺りから微妙に執行部的な説明からずれだすのだ。

『もっとも、持続的な経済成長と物価安定にとって重要なのは、生産性の上昇に見合った賃金の上昇であり、それはやや長い目でみれば、企業の設備投資スタンスに依存する。』

なるほど。

『足許は労働需給逼迫を梃子に、企業が省力化投資などを活発化することで、生産性の面で一段の飛躍を果たせるかどうか、あるいは設備投資への消極スタンスから生産性の顕著な向上を果たせず、したがって賃金の伸びも持続的でなくなるか、引き続きその岐路にあるように思われる。』

執行部的説明だと労働需給逼迫の一点突破で説明しているのですよねこの辺りは。

なお設備投資に関してはこのような見解。

『企業の設備投資スタンスについて付言すると、引き続き更新・維持目的中心ではあるものの、合理化・省力化、製品高度化に向けた投資に前向きな動きがみられるようになってきた点は心強い(図表11)。最近の為替動向を映じて企業の間では、国内と海外生産のバランスを見直す動きも一部にみられる。』

ほほう。

『こうした企業のいわば立地戦略は短期的な為替相場動向に左右されるものではないので、足許の為替情勢を受けて生産の国内回帰が一気に強まるとは考えにくい。もっとも、企業の中長期的な相場観が修正されていくなかで、過度の円高の再来はないとの見通しが強まれば、その限りでもなかろう。』

となると結局国内の需要が盛り上がらない中でホイホイ回帰してくれるのかというのもありそうに思えますな、うんうん。


・まずはフォーキャストターゲットの観点から砲撃

さてお待ちかね(かどうか知らんが)の『3.当面の金融政策運営』である。

『(1)「量的・質的金融緩和」の拡大について』

キタコレ。

『日本銀行は10月末の金融政策決定会合で「量的・質的金融緩和」の拡大を決定した。私自身はこの決定に反対票を投じたことから、この政策変更について話すには微妙な立場にあるので、可能な範囲で私自身の考え方を示したい。』

うむ。

『まず第一に、私自身はこれまで述べたように、経済・物価の基本的な前向きのメカニズムは維持されているとみていることから、追加的な金融緩和は不要と判断した。』

さっきの説明はこの前振りでもありますな。

『当面の消費者物価コアの前年比上昇率はエネルギー価格下落の影響が円安の影響よりも強めに出ることから、1%前後から1%未満となり、2%の「物価安定の目標」実現がやや遠のいたように見えるかもしれない。先般の日本銀行の決定は、そうした物価の下振れリスクにある種の保険をかけるものだと思う。』

と、理解を示しているような文言は入れているものの・・・・・・・・

『もっとも、私としては、月々の物価指数の振れよりも、重要なのは、物価の基調と考える。』

砲撃キタコレ!!!

『その点、最近の原油等、国際商品市況の下落は確かにコア指数の下押し要因となる一方、先に述べたように、やや長い目で見れば、所得移転の縮小により日本経済には明確なプラス要因である。』

(・∀・)砲撃砲撃。

『また、「物価安定の目標」の達成度合いを評価するにあたっては、特定の指数の月々の振れに着目するのではなく、より幅広くかつフォワードルッキングに、例えば企業や家計など幅広い経済主体が、実際に2%程度の物価上昇率を前提とした経営計画なり消費行動をとるかどうか、より一般化すれば、過去15 年超にわたるデフレの下で米国対比低位に張り付いているとされる人々の中長期的な予想物価上昇率が米国並みの2%程度にリアンカリングされる見通しとなるかどうかが重要と考える(図表12)。』

>特定の指数の月々の振れに着目するのではなく
>特定の指数の月々の振れに着目するのではなく
>特定の指数の月々の振れに着目するのではなく

無慈悲砲撃キタコレですが、フォーキャストターゲット的な論点とかフレキシブルターゲット的な論点とかで説明していますな。

『ただし、中長期的な予想物価上昇率は、特定の経済指標があるわけでもなく、計測が困難である。事後的にはフィリップス曲線の切片の変化として捉えることは可能かもしれないが、リアルタイムの計測は仮にできたとしても推計誤差などを考慮するとその評価には慎重にならざるを得ない。』

ですなあ。

『結局のところ、人々の中長期的な予想物価上昇率が変化する、あるいはしたかどうかは、幅広い経済主体の行動様式などから定性的に判断していくほかはないように思われる。』

ここの部分もフォーキャストターゲットやフレキシブルターゲット的な話に繋がりますので、今の執行部が投下したリジットな物価ターゲット的な話を盛大にdisっている訳です。まあ従来から佐藤さんはこの点は指摘しているので特に新しい訳でも無いですが、よりクリアカットに以下の説明もされている感じですな、うんうん。


・なお賃金動向に注目するという話です

『その点、例えば、本年度の賃金交渉ではリーマンショック以降久方ぶりに多くの企業でベースアップが実現した。その背景には政労使協議の立ち上げなど、実現にむけた政府のイニシアティブがあった上に、労使も物価上昇という経済状況の変化を受け、物価上昇に見合う賃金上昇率の達成、というデフレの下で大方忘れられていた命題を改めて意識し、実際の賃上げに一部なりとも反映されるようになったことが挙げられる。こうした観点からは「量的・質的金融緩和」は一定の役割を果たしていると評価できる。』

まあ消費税の影響だったりすると残念なのですけどね!!!

『無論、こうした賃上げが人々の中期的な予想物価上昇率の2%へのリアンカリングに十分かと問われれば、現状は道半ばである。しかし、来年度に向けた労使交渉でも過年度の物価動向や先行きの物価見通しが実際の賃金にある程度織り込まれていき、2年連続で相応のベア実現となれば、デフレ下で賃金、なかんずく基本給は上がらないものという人々の固定観念、いわばデフレ予想を打ち破る突破口が更に開けることになろう。その意味で、来年度に向けた賃金交渉の動向を注意深く見守っている。』

それはそうですな。


・このコーナー締めの部分でまた正論だが砲撃が

『私としては、「物価安定の目標」実現に真に必要なのは、幅広い主体の構造改革努力を通じた生産性上昇とそれによる潜在成長力向上と考える。そうしたもとで緩やかな物価上昇が生じ、生産性に見合う賃金の改善が持続的に進むことで人々はデフレ脱却の恩恵を享受できるようになるであろう。』

何でもいいから物価を上げてバックワードルッキングにインフレ期待を上げようという執行部説明をしらっと砲撃しているのがチャーミング。


・政策効果への砲撃が無慈悲にも程がある件について(^^)

次の小見出しが『(2)「量的・質的金融緩和」の効果』です。

『第二に、「量的・質的金融緩和」の拡大についてはその限界的な効果の逓減に留意する必要があろう。』

さあもりあがってまいりました!!!

『そもそも、「量的・質的金融緩和」の拡大により先行きの金利は一段と低下すると見込まれるものの、名目金利は既に歴史的な低水準にあり、実質金利も大幅なマイナスとなっていることを踏まえると、経済・物価に対する限界的な押し上げ圧力は大きくないと判断される。』

いやもう親指立てながら溶鉱炉に沈んで行く方としては冥途の土産にQQEの定量的効果についてのレビューを政策委員会の総意で出して頂きませんと、このままでは市場と共に安らかに成仏できないで化けて出てくること必至ですからねえ。

『また、「量的・質的金融緩和」の効果は日本銀行による資産買入れの進捗とともに累積的に強まる。その効果は長短金利水準に端的に現れており、今後も買入れ進捗により更に強まろう。こうしたプロセスを「量的・質的金融緩和」の拡大で更に加速する必要性は、コストとベネフィットを勘案すると乏しいように思われる。』

(;∀;)イイハナシダナー

『ここで「量的・質的金融緩和」が金利面に及ぼす効果に触れると、日本銀行は長期国債について、政府の新規国債発行予定額を大幅に上回る年間80 兆円をネットで買入れることにコミットした。日本銀行による買入れが政府の新規発行分を上回る部分は、結果的に、日本銀行が直接あるいは間接的に市中の国債保有残高を減らすこととなる。』

『もっとも、国債を保有する機関投資家の多くは金融規制上の事情などから消去法的に国債を保有せざるを得ない状況にあり、もともと国債への選好が強い。こうした投資家のネット保有残高を減らす形で本行が買入れ行うと、その影響は、買入れの継続とともに市場の価格形成面でより強まっていくであろう。すなわち国債価格はより上昇(金利は低下)しやすくなる。』

さいですな。

『短期金融市場には、買入れの影響がより端的に現れ、マイナス領域での金利形成も頻繁にみられる。こうした金利形成については、本行の10bps のいわゆる付利(補完当座預金制度)との裁定が働くことから、超過準備にマイナス金利を課すECB の例とは異なり、マイナス幅が大幅に拡大する状況にはないと認識している。』

まあ問題が起きるとすれば超過準備をバランスシート上積めなくなる人が続出してくる場合で、その場合は結構重篤な事になるリスクもありますな。

『もっとも、市場におけるこうした金利形成が実体経済面に何らかの歪みをもたらしたり、金融不均衡の蓄積に繋がらないかどうか、あるいは預金金利や、MMF やMRF など広義の決済システムに不測の影響が出ないかどうか、注意深く見守っていく必要がある。』

>預金金利や、MMF やMRF など広義の決済システムに不測の影響が出ないかどうか、注意深く見守っていく必要がある

実体経済における名目ゼロ金利制約と市場のリンケージの部分の指摘で(;∀;)イイシテキダナーでありますな。


・フレキシブルターゲットとフォーキャストターゲットの話である

次が『(3)「量的・質的金融緩和」の継続期間について』です。

『第三に、新たな「量的・質的金融緩和」は、「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点までオープンエンドで継続することとしているが、私としては、「物価安定の目標」はもともと柔軟、かつ上下にアローアンスのある概念と考えているので、「物価安定の目標」を安定的に持続するために「必要な時点まで」という対外公表文の文言についても、従来から、見通しベースの柔軟なターゲティングを提唱しているところである。』

ということでこちらの説明も鑑賞しませう。

『そうした柔軟なターゲティングは政策運営の透明性の点で劣るとの指摘はあろう。今回の緩和拡大もそうした認識のもと、日本銀行が2%の「物価安定の目標」の実現という「結果」にコミットしているからこそなされたものと私は考えている。』

とまたさっきと同じく理解を示しつつ・・・・・・・・

『しかし、透明性と柔軟性のトレードオフは主要国の中央銀行が同様に経験しているところであり、透明性を高めようとしても、単純なルールに基づく政策運営は、実際は容易ではない。』

>単純なルールに基づく政策運営は、実際は容易ではない
>単純なルールに基づく政策運営は、実際は容易ではない
>単純なルールに基づく政策運営は、実際は容易ではない

てな感じでバッサリ後ろから斬るのでして・・・・・・・・

『FRB やBOE も経済指標に基づく政策変更ルールを撤回し、結局、総合判断に戻ったことは重要な教訓を含んでいるように思われる。私としてはルールベースの政策運営は一見容易に見えても、実際の運営上さまざまな課題が見えてくるものであり、結局は将来の経済・物価情勢に応じて臨機応変に考えていくしかないように思われる。』

全く仰る通りで。

『物価は経済の体温であり、中央銀行が直接に操作可能な変数ではない。』

砲撃弾幕がかなり厚くなって参りました!!!

『一般論として、中央銀行の政策が物価に波及する経路は、金利低下や為替相場、資産価格などが考えられるが、いずれも間接的なものである。』

うむ。

『その点、特定の期間内に特定の上昇率を目指すという硬直的な考え方には違和感があるし、仮にそれが実現できない場合、中央銀行の信認は低下のリスクに晒されよう。』

これは無慈悲なミサイル攻撃(^^)。


・財政再建の重要性指摘部分でどこぞの馬鹿審議委員を盛大にバッサリ斬るのが素敵です

『(4)財政健全化の重要性』というパートである。

『最後に、消費税率再引き上げ延期に関連して、財政健全化の重要性について改めて触れたい。』

キタコレ。

『前述のように、日本銀行は政府の新規発行額を大幅に超える国債買入れ等を行い、人々の中長期的な予想物価上昇率の押し上げを図っているが、その最終的な成否は政府の財政健全化へのコミットメントに依存する。また、そうしたコミットメントが守られているかを判断するのは政府や日本銀行ではなく、市場である。』

さあもりあがってまいりました!!!

『仮に市場で政府のコミットメントに対する疑念が高まれば、その影響は国債市場におけるリスクプレミアムの拡大として現れるであろうが、それに対する中央銀行の処方箋は限られる(図表13)。』

ということで、インフレ期待引き上げの為には財政マネタイズ無問題というどこぞのバカスケに対してバッサリと斬っているのは当然ですが良く考えたらこうやって全力で斬っておかないと信認問題になります罠という所ですし、あれ結局白井さんが市場の評価的にただのノイズ発生装置と見なされていたから反応しなかっただけで、本当は超マズイ発言でしたのでぶった斬り重要ということですよ。

『やや長い目でみて、日本銀行が「量的・質的金融緩和」からの出口を探る際も、スムーズに出口を迎えるうえで、やはり政府の財政健全化努力が重要である。』

全くその通り。

『その点、米国では緊縮的な財政政策と金融政策の連携が結果的に取れ、長期金利水準はFRB が出口に関する情報発信を始めた頃よりも基調として低下している。冒頭述べたように、主要国における長期金利水準の低下傾向は、緊縮的な財政政策のみならず、長期停滞論が影響している可能性もあり、その評価には慎重であるべきだが、財政と金融政策の連携という点では学ぶべき点があるように思われる。』

・・・・・・と考えますと日本の出口は米国が人柱になるから楽勝などと能天気に言ってられないということでもあるって中々先が思いやられる重要な論点をしらっと指摘しているのでありました。

#以下は高知県経済の話なのでスルーします


2014/12/04

お題「3年までの引けがマイナスとな!!!/今さらですが名古屋金懇での総裁会見をちょっと確認」

ヒャッハー!
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141204/t10013705511000.html
NY市場 1ドル119円台後半に
12月4日 5時25分

○市場関連ネタである

・債券市場が本格的に壊れてきている件について

アイヤー!
http://jp.reuters.com/article/idJPL3N0TN29220141203
〔金利マーケットアイ〕国債先物は最高値更新、長期金利は0.430%に低下
2014年 12月 3日 15:28 JST

『<15:25> 国債先物は最高値更新、長期金利は0.430%に低下

国債先物中心限月12月限は前日比22銭高の147円17銭と続伸して引けた。円安・株高を受けて利益確定売りが先行する場面があったが、日銀買い入れによる需給引き締まりが意識されて上昇に転じた。午後に入ると、11日に取引最終日を控えて限月交代に絡む買い戻しが入り、最高値を更新して、一時147円19銭まで買われた。現物市場は中長期ゾーンを中心にしっかり。中期ゾーンに銀行勢や海外勢の買いを観測。5年利付国債利回りは同2bp低い0.065%と過去最低を連日で更新。2年利付国債利回りも同0.5bp低いマイナス0.005%と過去最低に並んだ。』(上記URLより)

とまあそういう事で昨日も中短期が引っ張って先物が上昇という展開になりましたが、先物よりもオソロシスなのは中短期でして、ついこの前まで0.10%接近ナンジャソラとか言ってた5年カレントは6.5bpまで低下して、昨日は遂にBB引値で残存3年辺りまで全部マイナス利回りの引けになるという状況でもう何が何やらという状況。

つーかですよ、5年が付利金利割れとかおまいらいいから超過準備に置いとけやと思うのですが、そうも言ってられないというような各種事情が色々な形で皆様の所にあるのでこの有様という話ではありますが、そもそも論として短国の金利をマイナスのままで放置していたのが盛大に波及(為替とか格下げとかの影響もありますけど)しているという所ですが、ここへきて中期の金利低下に勢いが付いているのでして、まあこれはどこからどう見ても本格的に債券市場が壊れだしましたなあという感じで実にこう気持ちが悪い状況ではございます。

まあ今年の流行語大賞的に申し上げればどこぞの副総裁が「市場機能はありまぁす!(キリッ)」と講演している側から債券市場の方では 「ンァッ! ハッハッハッハー! この債券市場ンフンフンッハアアアアアアアアアアァン! 」と号泣しているという図式という誠にシュールな展開になっている(大賞じゃねえだろというツッコミはスルー)次第で誠に遺憾に存じますが、ここまで市場が壊れてしまうとそう簡単に治らなくなりますのでもう何だかねという所でございます。


・・・・・・・・てな中で本日は3M短国の入札を迎える訳ですが、次に申し上げますように年末のMB積み上げという意味では短国買入年内終了でも良い位の状態になっているので、短国需給単体で見れば無慈悲バキュームオペが打ち込まれない可能性があるという事でマイナス落札が回避される、という考え方も無いでは無いのですが、3年まで引値がマイナスという盛大な市場の壊れっぷりからして、3M短国がプラス金利とかになった日には中期の方で利回りにあぶれた方々が殺到して蜘蛛の糸に群がる餓鬼道の地獄絵図という芥川龍之介もビックリの図が容易に想定されますのでまあ難しいんじゃないですかねえという所で。

ついこの前までのように利付国債は曲がりなりにもゼロとかプラスとかで推移していれば短国買入ペースが落ちた所で短国単体の需給でプラス利回り復活という形だったのかも知れませんが、債券市場がこの有様になってしまうとそう簡単にモドランチ会長という事で、短国マイナス放置プレイと輪番拡大がこうもあっという間に債券市場をぶっ壊してワシらがンフンフンッハアアアアアアアアアアァン! と号泣しないといけなくなる(号泣しているのはお前だけだとかツッコまないように^^)とはちと想定を超える速さであります。

つーかですな、超過準備付利金利よりも低い5年カレントが盛大に買われるという状態になっているということは、5年の10bp割れ>>超過準備という人がドンドン増えているって事も意味するかもしれませんわとか考えますと、この調子だとそのうち中短期の輪番が夢(悪夢だが)の札割れというようなおそロシアな事態も近いとか碌でも無い想像しか出てこないのですががががが。


・でまあその短国買入とかに関連して

だいたい計数を確認したのでメモを置いとく。

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2014/ac141130.htm/
営業毎旬報告(平成26年11月30日現在)

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/fm/juqp/juqp1412.htm/
日銀当座預金増減要因(2014年12月見込み)

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/mei.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/tmei.htm/
日本銀行による国庫短期証券の銘柄別買入額

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel141128c.pdf
当面の長期国債買入れの運営について

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k141031a.pdf
10月31日のMPM声明文

営業毎旬報告とMPM声明文で示された目標数字から見ますと、当座預金残高の目標が177兆円なのであと7兆円。銀行券の方は受動的な話なのですが12月に5兆円強増えると丁度良いのですがこれは当座預金増減見込みを見ると5.6兆円増発見込みになっているので(当たり前だが)見込み通りの推移予定。

でもって今月は先月末に出た買入の運営予定を見ますと輪番での買入での拡大額が10.3兆円程度(1年以内の輪番は償還銘柄が打ち込まれると見て拡大額に入れない)あって、先月オファー分の今月渡しの分を加味すると10.7兆円となって、固定金利オペのロールが今月は1.3兆円程度あって、この歩留まりを幾らで見るかによりますが半分として0.7兆落ちとしておきましょう。

となりますと、今月の過不足が当座預金増減要因から見ると(ここの数字は輪番と短国買入の償還分が反映されている)7.3兆円程度の資金不足になっているので、当座預金残高の着地を177兆円で見れば要積み上げ額が14兆円程度となって、これに輪番と固定の落ちで10兆積みあがりまして、これまた月跨ぎの短国買入が1兆円あったので既に11兆円程度は積み上がるという感じなので残り3兆円。

貸出支援オペがどれだけ出るか次第なのですが、3兆円程度出ると見ると実は短国買入をもう実施しなくても良いという感じになりますが、まあそれもギリギリになりますから短国買入がそれなりには入るでしょうが、10月以降のようなバキュームオペにはならないでしょうなという話になるんでしょう、うんうん。


しかしまあ何ですな、この短国残高を見たのですけれども、11月末の買入残高が44.7兆円になっていて、10月末よりも拡大しているのが凶悪でありまして、そもそも10月末の追加緩和で短国市場のプレッシャーを軽減すると言っていたのは何だったのかと小一時間問い詰めたい次第ですな。ちなみに今月は買入した短国の落ちが8.6兆円あるので、年末の時点では短国買入残高が(残りあと2兆円程度買入が入るものとして)40兆円程度になって、来年はその残高がキープという形になるとしますと、実は1月の買入短国の償還が8.0兆円、2月の償還が10.1兆円(3月はこれからまだ積み上がる)となっているのでその分を買うとなると厳しい状態は続く罠と思われますな、うんうん。


○今更の名古屋講演での総裁会見ネタで恐縮至極(しかもメモ程度で恐縮)

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2014/kk1411d.pdf

・為替の質問はお察し状態

『(問) 円安についてです。懇談会でも質問がありましたが、輸入資材が上昇するなどの影響が出ている、地元企業からそういう声が聞かれる、という話でした。最近の円安が日本経済に与える影響、とりわけ輸出産業が中心の東海地方への影響についてお聞かせ下さい。』

『(答) いつも申し上げていますが、為替相場の水準とか日々の動きについて、私の立場から、具体的なコメントを申し上げるのは差し控えたいと思います。その上で、一般論として申し上げると、円安は、輸出の増加あるいはグローバルに展開している企業の収益の改善、さらには株価の上昇といったプラス効果を持っています。』

>その上で、一般論として申し上げると

麿キター(違)。

『また、ものづくりの観点からは、今年度は国内での設備投資ウェイトを高めるという動きも出ております。もちろん、海外に移転した企業あるいは工場が戻ってくるというよりも、これまでのようなペースでどんどん海外に出ていくのではなく、むしろ国内の設備投資を強化しようという動きもみられています。』

『一方で、輸入コストの上昇やその価格転嫁を通じ、中小企業や非製造業の収益あるいは家計の実質所得に対する押し下げ圧力として作用するという面もあることも事実です。』

ふむ。

『このように、円安の影響は、経済主体によって様々に異なり得ると思っています。いずれにしましても、為替相場は経済や金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいと思っていますので、今後とも、為替相場の動きを含め、金融資本市場の動向については、それが実体経済に及ぼす影響を含めて、引き続き、注意深くみていきたいと思っています。』


てな感じで以下為替の質疑が無駄に続くのですけど、これだけ引用しておきましょう。

『(問) 為替について、これまで黒田総裁は、経済実態を反映した動きであれば、日本経済に対しては、プラスの方がマイナスの影響よりも大きいということを繰り返しおっしゃっていましたが、今日はその発言を封印されていらっしゃるようです。その理由というのはやはり118円くらい120円近くになってきて、もうそろそろいいところにきたからとお考えだからなのか、それとも引き続きファンダメンタルズを反映した動きであれば円安の影響は日本経済に対してプラスだとお考えなのかどうか。まずこれが1点目の質問です。(以下割愛)』

まあこれだけ聞けば良いような気がするんだがこの回の質疑はやたら為替の質問が多くてちょっと食傷。

『(答) 為替レートについては、特に考え方が変わったということはありません。ただ、いずれにしても先程申し上げたように、為替レート、為替相場というのは、経済や金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいわけです。日本銀行としては、あくまでも物価の安定を目標に金融政策を運営していますので、その過程で当然、金融資本市場の様々な状況、さらには雇用情勢、所得環境、成長といったこと、ありとあらゆる経済指標をみながら、金融政策の運営を適切に図っていきますが、あくまでも金融政策としては、物価安定の目標をできるだけ早期に着実に達成していくということに尽きると思います。(以下割愛)』

とまあ想定問答棒読みチックな回答になっていますが、11月MPM後の定例会見も含めまして最近の黒田総裁会見では「余計な事を言って無駄な波風を立てないようにしよう」という雰囲気がプンプン漂っている辺りに味わいがあるなあとは思います。


・追加緩和の効果に関して

この質疑は中々。

『(問) その議事要旨における反対意見について、ちょっとお伺いしたいのですが、主な反対意見として、追加緩和による効果は、それに伴うコストや副作用に見合わないとか、あるいは昨年4月の「量的・質的金融緩和」の導入時に比べて、10月31日の拡大については追加緩和の効果はかなり限定的ではないか、というような見方が出ていたと思います。10月31日の決定会合後に、政府は消費税の税率引き上げを先送りして、前提が変わったのですが、現在そういう状況を踏まえて、今日の時点で、追加緩和の効果についてどのようにお考えでしょうか。』

まあ無いとは言わないのは明らかですけど説明を鑑賞しませう。

『(答) 追加緩和の効果自体は、私は十分あると思っています。』

おぼちゃんキタコレ(違)。

『この拡大された「量的・質的金融緩和」を続けることについては、「量的・質的金融緩和」の拡大を決めた時の政策委員会で、同時に展望レポートを示していますけれども、そこでもあります通り、こうした追加的な金融緩和もあって、2015年度を中心とする期間に2%の「物価安定の目標」を達成する可能性が高いということになっています。』

定量的な効果についての説明マダー? (・∀・ )っ/凵⌒☆

『消費税云々というのは、当然、前回の展望レポートの見通しを示した時には、財政とか税制につきましては、政府で決まっているものを前提にしていますので、来年の10月に消費税率がさらに2%引き上げられるということを前提に見通しを立てているわけです。その後、政府がこれを18か月延期するということを発表されましたので、それを踏まえて、次の展望レポート、あるいは中間評価のところで、当然のことながら、政策委員の方々の経済見通しを集め、その際には、それぞれの方がそういったことの変更によって、経済や物価の見通しを必要があれば調整されると思います。』

ほうほう(・∀・)。

『今の時点で、9人の方々がどういった調整をされるかということを申し述べるということは、僭越でありますので、差し控えます。いずれにしても、展望レポートを半年に1回、出すわけですが、その見通し、あるいは中間評価等におきましては、それまでの様々な経済指標等を十分勘案して、適切な見通しを立てるということになっていますので、今後、そういった機会に、委員の方々が見通しについて述べられる、ということになると思います。』

ということで政策効果の質問に対して後半の消費増税先送りの件に対して経済見通しについて説明するという技を使って華麗にスルーという感じになっていまして、まあ効果に関する話については「効果はありまぁす(キリッ)」としか答えようがないというのは相変わらずですし、消費増税先送りで日銀盛大に梯子を外されるの巻については答えたくないという所でしょうなというのは把握しました。


#諸般の事情で今朝はこの程度で勘弁



2014/12/03

お題「イールドカーブの短い所がががが/総裁講演2本からメモメモである」

総選挙公示されましたな。期間短いですが投票は忘れずに(^^)。

○市場雑談ネタ

・イールドカーブが親指を立てながら溶鉱炉に沈んでいくシーンは涙無しには・・・・・・

というようなコピペネタがございますが(ググってくらはい)、昨日はとうとう2年債のBB引けが全銘柄ゼロ金利(一部マイナス金利の出合いもあったようでございますが引けはまとめてゼロ金利とな)という有様で、まさに涙無しでは見られないような感動(はしないが)のラストシーンと言いたい所ですが、市場様は今日も続くのでありまして感動のラストシーンでも何でも無いのが実にアレ(−−;

短国の金利がマイナスに沈んでいる期間が長期化している結果として短期ゾーンの利付国債の買い→後ろに波及という流れになっている訳で、国債しか基本的に買えないけれども、マイナス金利は買いにくい、でも期間のリスクは取れるという人でしたらそらまあ徐々に後ろの金利が溶鉱炉に沈んで行くわなとは思いましたが、追加緩和で国債の買入フローが更に拡大したのが思いっきり効いた格好になって思っていたよりも随分早くに金利が沈みだしました。

いやまあ国債買入拡大で後ろが沈む(まあ沈んでいますが)というのは想定されましたけれども、そもそも今回の国債買入拡大とセットで短期ゾーンの買入の勢いをやや緩和して短期市場に掛けるプレッシャーを軽くするというのが施策の中にあって、それと中短期の買入強化がセットになっていたのですが、短国買入の打ち方がご案内の通りで11月の頭に折角金利水準訂正しかかったのにバキュームオペを打ち込むもんだからまたまたマイナスに沈んでしまって、結局短国市場へのプレッシャーは継続するわどこぞの副総裁は講演で短国市場マイナス無問題とか頭を丸めて出直して頂きたいレベルの話をするわ(まあ立場上市場機能に問題とは追加緩和打った直後に言えないのはわかるが、だったらその辺の話は黙っていればと思う訳で、何も「市場機能はありまあす(キリッ)」とか言わんでもよかろうにとゆー事や)という事で、追加緩和で短期の金利が調整されて中期の金利が跳ねるのを警戒して中短期の輪番を増やした(と思われる)のが中短期の金利低下を加速させる形になってしまいましたが、。

なお念のため申し上げますと、以前QQEを打ち込んだ時にその前に短期の金利が大きく低下していた(QQE前にうっかりすると付利下げなどの可能性を懸念していた部分もあって)のですが、QQEで買入の主力がとりあえず中長期国債になったという事で短国の金利が跳ねた結果、短国に引っ張られていた2年とかの金利も上昇して、まあ他の要因も色々ありましたがその辺りも債券市場不安定化の原因になった、というのがあったので、その学習効果で上記のような施策を打ち込んで来た訳ですが、まあ市場環境が全然違いましたし、大体からして金利がマイナスに沈んでも知らんがなとか副総裁が言明するんだからシャーナイわなとは思います。

つーことで5年カレントも(10年入札前だったのもあって朝方は前日比金利が上昇していたのですが)途中から金利がホイホイ下がりだして(そらまあ2年がゼロ金利になってしまったら2年の代わりにもうちょっと後ろ買う動きも出る罠)引けは0.085%(1毛強)とまたまた高値更新の巻になっております。

で、この5年0.085%って何だよそれというか、おまいらQQE何年続くと思ってるんだというか、普通に考えますとこれ日銀が最高に馬鹿にされているとしか思えないのですが、「これは買入による効果です(キリッ)」ということですので致し方ないですし、より手前の金利と比較してキャリーロールダウンとか言い出すとこの水準でも(手前が溶鉱炉に沈んで行ってるから)爆安お買い得に見えてしまうというだまし絵のような状態になっているのがオソロシスという所ですな、ナムナム。


・10年国債入札メモ

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2014/resul063.htm
(1)応募額 6兆6,093億円
(2)募入決定額 2兆1,974億円
(3)募入最低価格 100円15銭 (募入最高利回り)(0.484%)
(4)募入最低価格における案分比率 88.9323%
(5)募入平均価格 100円25銭 (募入平均利回り)(0.473%)

前場は弱めで始まって落札結果も予想よりは弱かったのですが、下がった所ですかさず買いが入ってヒャッハーだわ中短期が上記のようにヒャッハーと金利が沈んで行くわで結局その後相場は戻って行くの巻という展開で、まあ格下げの影響は前場まででしたかそうですかというお話。

しかしまあ押したら買いの動きがあまりと言えばあまりですが、最近は兎に角翌日に輪番が想定される時には想定されるゾーンが引けに掛けて強くなったり、輪番通過すると結果次第ではあるものの、普通の結果程度だと一旦押し込むとか完全に輪番見ながらの展開になっている状況で、日中のボラだけは超長期とか結構あるのですが、結局はその背景が輪番(と入札)という事でただの需給(しかも官製需給)ですからまあ市場ではないぞなという形。まー元々その傾向はあったのですが追加緩和によって決定的にダメ押しをした格好になっておりまして、市場の流動性も価格発見機能も有ったモノではない状態。

いやまあQQEによって短期間で物価安定目標が達成できて、その結果としてQQE政策はあくまでも短期の時限的な政策に留まるのならば別に良いのですけれども、長期化すると出口政策が非常に困難になるので宜しくないんですけどねえ・・・・・・・・・・


・長期国債残高とか

月初だし12月なので(謎)微妙に忙しくて計数をざっとは出したけど精査ができていませんのでメモだけ。

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/mei.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/tmei.htm/
日本銀行による国庫短期証券の銘柄別買入額

短国の方はさておきまして長期国債の11月買入平均年限は7年を割るという実に惜しい結果になったのですが、まあ月末の時点では当然この結果を踏まえた上で例の紙を出したと思いますので、何ぼ何でも今月は買入額をいじって来ないとは思われます(いじったらヘソが茶を沸かします)。

しかしこれ面白いのは買入年限を伸ばそうとして超長期の買入を増やしても、超長期買入拡大と来るとイールドカーブがブルフラットしやすくなって、イールドカーブがブルフラットすると輪番の前日比利回り較差買入という性格上、買入年限レンジの手前の方が日銀に打ち込まれやすくなるので思ったより長い所が買えないというスパイラルになる事。いやまあ理念的には従来からでもそういう事だったのですけれども、短国マイナス金利の長期化と中短期の金利が沈んで浮いて来ないという動きになってくると、日中のボラは兎も角として段々イールドカーブちゃんが息をしなくなってくるでしょうなあという事でレンジの短い所が入る傾向になっている(最近の傾向)というお話で。


○黒田総裁講演ネタである:先入先出で決済機能がどうのこうのの講演からメモ

まずは先入先出で昨日の講演。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/data/ko141202a.pdf
決済システム発展の潮流と中央銀行の役割
── FISC創立30周年記念講演会 ──

まあ何ちゅうか講演の最後に(棒読み)と入れた方が良さそうな風情の講演ですがそれはそれとして少々ツッコミを。

なお、理念的な話の部分とかは基本的な今の方向性について説明しているので、テキストとして見る分には興味深いですが、この手の話は何回か出ていまして特に新しい話が加わっているという訳でも無いのでスルーします。というか黒田総裁の思いみたいなのが行間から全然伝わってこない(興味無いでしょうし)ので読んでいるこっちもイマイチ面白くないのが残念な所。

#なお決済システム関連はアタクシも割と好きな話なのは念の為申し添えます

・円と国債のグローバル化とな

『4.日本銀行の現在および今後の取組み』の『(1)新日銀ネットの構築と稼動時間拡大』から。

『新日銀ネットの稼動時間延長に関する主要金融機関や業界団体との協議会では、日銀ネットが21時まで延長された場合、アジアの夕刻あるいは欧州の午前中の時間帯に行われた取引の決済を、日本時間の夜間に日銀ネット上で行うことなどが議論されています。例えば、取引先企業のアジア拠点と国内拠点間の当日中の資金の集中や配分、海外の清算機関への日本国債の担保差し入れ、欧州市場における日本国債を担保としたクロスカレンシーレポといった取引への活用が期待されます。』

という事は前からよく言われていまして、特に日銀ネットの稼働時間をユーロクリアの時間帯まで延長する事によって国債をよりグローバルに使いやすくして、その結果として国債の国際化(ダジャレではない)をするというのは昔から日銀の決済系の皆様的に思い入れが強い所。

・・・・・・ではあるのですが、誠に遺憾な事に日本国債格下げ食らってバーゼル3の標準的手法的な観点からしますと日本国債にリスクウェイトやらヘアカットやらが掛かって、折角インフラを整えても肝心のブツの方が国際的な意味で劣化しているのが誠に痛恨としか申し上げようがありませんですな。

でまあその続きの『(2)クロスボーダー決済改善の検討』ですけどね。

『さらなる将来に向かっては、アクセス利便性が向上した新日銀ネットを活用しながら、日銀ネットを海外の中央銀行等が運営する資金・証券決済システムと国境を跨いで接続するなどし、円資金や日本国債をいつでもどこでも受け渡しできるインフラの整備を図っていく方針です。』

ということで、これは確か「円と国債のユビキタス化」ということでこれまた決済系の大いなる課題であり目標であるのですが、肝心の国債の格付けが以下同文というのが誠に惜しい。

なお、この項の最後にこのように記述があって、過不足なく説明されているのでご紹介。

『こうしたクロスボーダーの資金・証券決済システムの接続が実現すれば、例えば、自国国債を担保とした外貨調達(クロスカレンシー・レポ)の決済を、安全資産である中央銀行の当座預金を用いながら、DVP方式により行うことが可能となります。そして、こうした円滑かつ安全なクロスボーダー決済の実現が、円資金や日本国債の使い勝手や担保効率の向上、ひいては民間金融機関の収益力の向上等にも繋がっていくものと期待されます。』

『円資金や日本国債をいつでもどこでも受け渡しできるインフラを整備することは、わが国の長年の課題である「円の国際化」を決済の面からサポートするものでもあります。日本銀行としては、新日銀ネットの新たな機能を活用しながら、決済サービスの高度化を図り、わが国経済の中長期的な成長を決済の面からもしっかりと支えていきたいと考えております。』

ということで、かつてはヘルシュタットリスクガーとかいうような話をしていたのが隔世の感という話ではございますが、肝心の国債格付けが以下同文という事になりますと、やはり「日本国債は国内消化されているのだから無問題」とか能天気に言っているだけで良いのでしょうかという気はだいぶするのですがどうでしょうかねえ。


・リテール決済に関して

『(3)リテール決済高度化プラン策定の支援』ですが、日銀ネット稼働時間の延長で振り込みの時間がどうのこうのというのは最近のニュースでも出ていましたが、もう一つのネタの方が興味深いので引用。

『(金融EDIの活用)』という奴で。

『次に、金融EDIの活用についてです。企業間では、多くの場合、商品等の代金決済に銀行振込を用いていますが、決済を商品の受渡し時点ではなく、将来の期日にまとめて行うこと(掛売り)が多いため、振込まれた売掛金と請求書とをいちいち手作業で突合させる作業、すなわち売掛金の消込み作業を行っています。特に受発注の多い業界の企業などでは、これが相当の作業負担を伴うものとなっています。こうした問題を改善するものとして注目されているのが、「金融EDI」です。』

ふむふむ。

『EDIとは、Electronic Data Interchangeの略語で、商流情報、すなわち企業間の取引に関する受発注・請求データ等の商取引情報を、通信ネットワークを通じて交換することを指し示す言葉です。交換する商流情報は、必ずしも一様ではないことから、その記述に当たっては、現在の画一的な方式に比べて柔軟性と拡張性のあるデータ記述方式であるXML16を用いることが効果的であり、産業界ではXMLを用いたEDIの利用が進んでいます。』

ということで具体的にはどういう現象になるかと言いますと・・・・・・・・・

『さらに、商流情報を支払指図等の資金決済に関する情報(決済情報)に添付する仕組みができれば、先ほどお話した売掛金の消込み作業をコンピュータによる自動処理で行うことができるようになり、企業における決済関連作業の効率性を向上させる余地は大きいといえます。このように決済情報と商流情報を併せて授受する仕組みのことを金融EDIといいます。』

ということで、従来は決済情報は決済情報、取引情報(アタクシが小僧の時代には「商流」という言葉を聞いた事がなかったのと、どうも日本語っぽくない語感なのでどうも使うのに躊躇する)は取引情報でという形になっていたものを、一括管理できますよという話で、それを標準化しますと水平展開できるので皆さんの利便性が高まるよという話。

『この点、欧州では、単一通貨ユーロのメリットを最大限発揮させたいという明確な戦略の下、XML電文を統一フォーマットとして採用し、金融EDIの活用に向けた取組みを行っています。この取組みは、銀行界・産業界を含む関係機関が十年以上に亘り取組んでいるプロジェクトで、現在、銀行が統一フォーマット対応を終え、取引先企業が従来のフォーマットを使用していても、それを統一フォーマットに変換するような金融サービスを提供するなどしながら、その浸透を図っています。』

ほほう。

『わが国では、先月、全銀協を中心とする銀行界および金融EDIの活用に関心の高い流通業界において、金融EDIに関する実証システム実験を行っています。このように、全銀協を中心とする銀行界と産業界は今後も連携しつつ、銀行振込における商取引情報の活用の実現に向けた具体的な検討を進められるものと思います。日本銀行としては、こうした取組みについても、積極的に支援していきたいと考えています。』

ということでありまして市場的には馴染みの無い話ではありますが、興味を持っておくのも吉かと存じましてご紹介。


・ところで国債決済T+1はですなあ・・・・・・・・・・・

次が『(4)国債決済期間短縮化の推進支援』。

『日本銀行では、これまで、日本国債の取引にかかる決済期間の短縮化に向けた市場参加者の取組みについても支援してきました。』

「市場参加者の取組みを支援」ですかそうですか(−−;

でまあこれまでの流れの説明があって今後の話。

『日本国債の決済については、2012年4月に15年ぶりにT+2決済に移行していますが、現在、さらなる短縮化、すなわちT+1化に向けた取組みが進んでいます。先月、日本証券業協会の下に設けられたワーキンググループが「国債取引の決済期間の短縮(T+1)化に向けたグランドデザイン」という形で、T+1化に向けた課題と対応方針を公表したことは、時宜を得たものと考えています。』

市場機能がどう見ても死につつある状況において市場にストレスを掛けてどうするとしか思えないので、別に趣旨には反対しないがQQE政策が出口になって、出口政策が円滑に進んでいるのを見届けてから実施すれば良いんじゃないですかとしか申し上げようがないですし、日銀様の理論によれば2015年度半ばには2%到達が見えてきてその後安定的に推移するって話ですから2016年度のどこかでQQE出口に向かえるということでしょうからねえ。

でまあその後も説明があるのですが、何ちゅうかこう講演テキストは良くできているのですが、黒田さんがこれに何か思い入れを込めて話をしているかというとそういう感じが全く伝わらないというのが極めて残念にも程がある訳で、折角良い素材で良いテキストなのに引き込まれるような感が無いのが実に惜しい所です。

ちなみに同じ決済システムの話でしたら中曽副総裁が先日講演をしていまして、そっちのテキストの方が引き込まれる感があるのですが、惜しい事に英文だけなのでお暇な方はどうぞという所です。

http://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2014/data/ko141125b1.pdf
Toward Innovative Payment and Settlement Systems
Keynote Speech at the 9th Asia Banking CEO Round Table

『The plan of my talk is summarized on slide 1. First, I will consider where we currently stand and what we can expect for the future. Next, I will elaborate on four major areas in which we are exerting efforts toward better payment and settlement systems. After that, I will briefly touch on recent developments in Japan’s economy and the conduct of monetary policy under the quantitative and qualitative monetary easing. Lastly, I will make my concluding remarks.』

まあ最後の金融政策の話の所だけしかニュースヘッドラインに出ていませんでしたが、本当に面白いのは前半の所で、ユビキタス化についてもちゃんと「ユビキタス」とか言っているので中々。


○先週の名古屋での総裁講演は途中まで全然面白くなかった件について(これまたメモ)

ということですいませんすいません。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/data/ko141125a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 名古屋での経済界代表者との懇談における挨拶 ──

・全体的には展望レポートの説明とか11月MPM会見での説明とかと同じ

経済物価情勢に関する説明部分ですが、まあ時期が時期というのもありますし、追加緩和の梯子を盛大に外されてあばばばばーというのもありますしということで、11月MPM会見での想定問答集読みまくり攻撃を彷彿させるような展開。

つまりですな、もう思いっ切り今回は公式見解をなぞった説明になっていまして、余計な事を言って波風立てないようにというのが良く判る講演でありましたということで、特に本論部分で引用するようなお話はありません。ただまあその「引用するようなお話はありません」というのがインプリケーションという所でして、以前のように消費税増税ガーとか財政再建ガーとか言わないというのが、黒田さんと政治との間合いの微妙な変化を示しているのではないかと思うのは考え過ぎじゃないとは思うのですけどね。


・ということで最後の部分だけ引用

『5.おわりに』の所は意志が見える部分なのでここをネタに。

『今回の「量的・質的金融緩和」の拡大によって、最も分かって頂きたいことは、日本銀行が2%の「物価安定の目標」を、できるだけ早期に、そして安定的に実現すると強くお約束しているということです。』

白井さん聞いてますか〜(・∀・)

というのは兎も角として、ここでの説明でも「実際に2%ないしそこに極めて近い数字を付けに行かないと物価安定目標の達成を宣言するわけには行かない」というのが伝わってくる訳で、しかも期間を短くと言っているのですから、「当面」現状程度としてもその後(当面というのは数か月のタームで半年とかでは無いと言うのが日銀文学用語)に物価上昇傾向が強まらないとどう見ても追加緩和でして、その判断時期となりますと1月の中間レビューだとまだ「当面」の範囲内だけど4月の展望レポートでは「当面」の範囲を越えているから判断時期ですよね!!!

『そのもとで、企業の皆様が、実際に、2%の物価上昇を前提として意思決定や経済活動を行って頂けることを期待しています。さきほどお話しした「デフレマインドの転換」とか「予想物価上昇率の上昇」というのは、市場のブレーク・イーブン・インフレ率とか、エコノミストなどのサーベイの数値が上がるかどうか、ということだけを意味するのではありません。むしろ、それらは、企業経営者の皆様の「頭の中」にあり、実際の意思決定や行動として表れる、と考えるべきだと思います。』

BEIを重視している置物さん聞いてますか〜(・∀・)

『長年のデフレの後、今それが変わりつつあることは、皆様が一番よくお感じになっているのではないでしょうか。皆様の頭の中にある企業の価格戦略や雇用・賃金の運営は、2年前とは確実に違っているはずです。今春の賃金交渉で久方ぶりにベースアップが実現したことは、そのひとつの証拠だと思います。』

ということで・・・・・・・・・・

『その意味で、来春にかけての賃金や価格設定の動向に、大きな期待とともに関心を寄せているところです。』

まあ需給ギャップの改善で物価上昇というパスが労働市場の需給改善で賃金ガーの一本足打法ですからこうなりますという皮肉は兎も角として、賃金動向にやたら注目しているというのは示されていると思いますので、物価統計と共に勤労統計などのデータ重要と。

『また、「デフレマインド」が転換していく過程では、「現預金を持って何もしない」ことのコストが高くなります。企業の戦略として、例えば設備投資や人材への投資、あるいは下請け企業を含めた生産体制全体の整備などに、積極的に「収益を使っていく」ことが求められるということです。同時にそれは、円高の修正やデフレ脱却の果実を広く経済全体に均霑するプロセスにもなります。歩みをここで止めてはなりません。日本銀行は、物価安定の目標の実現のため、これまでも「行動」してきましたし、これからも「行動」を続けます。最後に、企業の皆様のデフレ脱却後を見据えた「行動」をお願いして、ご挨拶としたいと思います。』

とは言いましても成長期待(別にマクロの成長期待ではなくてその企業的なミクロの成長期待で良いのですけど)が無い中で実質金利がマイナスだからよーしパパ設備投資しちゃうぞとは成らない訳で、まあ中々難しい罠とは思うのですが、実際問題こうやってアジ演説する位しか中央銀行が出来る事って無い筈なのですよね。まあインフレ期待が高まって実質金利が下がると自動的に消費や投資が出るという謎理論を唱えている置物直線一気理論という訳にはいかないでしょうなあという事で。




2014/12/02

お題「各種ニュース等ネタ/先週のネタ虫干しシリーズで中曽副総裁講演が金利市場に悲報な件について」

いやー何ですかこれは。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS30H0B_Q4A131C1PE8000/
解散の背景に財務省の増税多数派工作 首相明かす
2014/11/30 19:12

『「財務省が善意ではあるが、すごい勢いで対処しているから党内全体がその雰囲気になっていた」。安倍晋三首相は30日のフジテレビ番組で、衆院解散・総選挙を決めた背景に財務省による消費増税の多数派工作があったことを明らかにした。首相は「責任を持っているのは私だ」と強調。「(増税延期に)方向転換する以上、解散・総選挙という手法で党内一体で向かっていく。民意を問えば、党内も役所もみんなでその方向に進んでいく」と説明した。』(上記URLより)

たぶん小泉郵政解散の手法を意識していると思うのですが、財務省陰謀論にするのはさすがにちょっと理由としてどうなのかっつーか何で延期後は景気判断無しで自動増税という建付けになるのかが謎。


○格下げキタコレ

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NFWC166JTSEL01.html
ムーディーズ:日本国債を「A1」に格下げ−財政に不確実性
更新日時: 2014/12/02 00:01 JST

『12月2日(ブルームバーグ):米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは1日、日本の政府債務格付けを「Aa3」から1段階引き下げ「A1」とすると発表した。見通しは「安定的」。同社は発表資料で、格下げの理由として「財政目標の達成と債務抑制に関する不確実性の高まり」、「経済成長に向けた政策の不確実性およびにデフレ終息に向けての課題」、「政策の有効性および信頼性の低下が債務負担能力を低下させる可能性」を挙げた。』(上記URLより)

消費増税先送りでフィッチとSPがコメント出していてMoody'sがだんまりだったので、選挙の結果が出て先送り正式決定となった所辺りでダマテン格下げあるで〜とか思っていたのですが、何と選挙公示前日に打ち込みとはこらまた素早いですが、まあ仰せの話はそらそうよというお話ではあります。どうせならどうせならMoody'sも格下げついでに白井さんの先日のマネタイゼーション発言にも言及して差し上げたら大変に素敵だったのですけどねえ(^^)。

なお出た瞬間に円安に振れたと思ったら本当に瞬間の反応でドテン倍返しみたいな円高に振れていて、まあ単なる円安ポジション利食いか何かだとは思うのですが、後付け講釈によりますと「株が下がったからリスクオフの円高」とかいう話になっているのですが、いやあのリスクオフの震源日本だろナンジャソラではありますな。

でまあこれで外格2社シングルA格付けになってしまいましたが、足元では中短期の金利がお察しの状態なので海外勢の売却マダーなどと超目先の話をしている場合ではありませんかそうですか(−−;

なお、選挙公示前日に格下げアクションとか中々お洒落なタイミングなのでまた「増税派の陰謀」とか陰謀論スキーな方々が盛大に宣伝するに1万ジンバブエドル。


○各種発言メモ(備忘メモも兼ねて)

・今度は須田さんから砲撃とな

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NFQRCY6S972B01.html
追加緩和で量的・質的緩和に効果ないことが示された−須田氏
更新日時: 2014/12/01 13:00 JST

『須田氏は2001年から11年まで審議委員を務めた。現在キヤノングローバル戦略研究所特別顧問の同氏は11月28日のインタビューで、「結果論からすれば、昨年4月の量的・質的金融緩和の効果は思ったほどではなかったということであり、今回、追加緩和に踏み切ったこと自体、そのことを認めたことになる」と話す。』(上記URLより、以下同様)

・・・・・・・・・・えーっとですな、これブルームバーグの悪い所なので改善して欲しいのですが、ページビューを稼ぎたいという事で妙に過激なヘッドラインを付けてアイキャッチ狙いをするのですけれども、上記のように須田さんはQQEの全てに効果が無いという話をしている訳ではないですし(そもそもそれなら須田さんが過去に実施した量的緩和も効果が全く無いという話になるわな)、実際には盛大な買入を実施したからと言って物価を直接押し上げる効果は極めて限定的という話をしているだけに読めるのに、上記のような書き方をするとその時点で普通にトンデモ論に見えてしまって、須田さんのレピュテーションにも影響すると思うので、こういうあまり過激なヘッドラインの記事立てをするのは止めて頂きたいと思うのですよねえ。

『日銀が国債発行額のほぼ全額を買い入れる一方、安倍晋三首相は来年10月に予定していた消費増税の先送りを決めた。中央銀行が政府の財政資金をファイナンスするマネタイゼーションだという批判も多い。須田氏は「最大の懸念は、事実上のマネタイゼーションから抜け出せなくなり、物価が上がって2%で止められなくなるリスクだ」と語る。』

なおマネタイゼーションは問題ではないなどという審議委員がいる(過去に国債引受の話をしていた置物師匠ですらその手の発言を封印しているというのに・・・・・)訳で、須田さんのご見解を是非お伺いしたいですな。

『黒田総裁は10月31日の会見で、追加緩和により「十分リスクに対応できる」と語った。しかし、同日公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)は追加緩和の効果を織り込んで作成したにもかかわらず、物価の先行きは「中長期的な予想物価上昇率の動向などをめぐって不確実性は大きく、下振れリスクが大きい」と指摘した。』

うむ。

『須田氏は「本当に効果のある政策を取ったのであれば、リスクは上下バランスするはずだ。追加緩和をやりながら、下振れリスクは依然として大きいというのであれば、それは政策対応が不十分だということに他ならないので、十分な措置を取ったというのはおかしい」と語る。』

これは総裁会見で指摘した話を再度蒸し返してツッコミをするのを須田さんインタビューを借りて行っているようにも見えますなwww

『追加緩和を好感し、株価は上昇した。須田氏は「資産価格に影響を与えた面はあるかもしれないが、それがどれだけ実体経済に影響したかはよくわからない。多くの人は実際に効果があるのは円安だと考えているが、当事者は主たる効果が円安だとは口が裂けても言えない。それも効果を論じる上で不幸なことだ」と語る。』

まあQQEに関しては資産価格ルートと為替ルートに効果があったという事でしょうが、為替に関しては貿易赤字への転換とかの背景もあるのでどこからどこまでがQQE効果なのかも微妙だったりしますけれども、市場の価格変動にモメンタムを付けた点に関しては機能したでしょうなあとは思われますな。

てなことで、まー須田さんの説明自体はさいですなという所ではありますが、早川さんのケチョンケチョン砲撃とはまた別の味わいがあって、悪口成分は少な目ですが政策効果の話に関してはかなりケチョンケチョンな説明になっていますなという所で。


・ダドリー講演とな(詳しくは後日読む)

これはwww
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NFX0HF6JTSEV01.html
NY連銀総裁:原油価格の下落は景気回復を強固にする
更新日時: 2014/12/02 03:45 JST

『12月1日(ブルームバーグ):ニューヨーク連銀のダドリー総裁は原油価格の急激な下落は米経済に利益をもたらすと指摘した。家計や企業の支出が増えることを理由に挙げた。』(上記URLより、以下同様)

順当な指摘。

『ダドリー総裁は1日、ニューヨークのバーナード・M・バルチカレッジで講演。講演原稿によると、エネルギー価格の下落は「家計の実質所得の著しい伸びにつながるほか、消費支出を力強く喚起するはずだ」と発言。こうした価格下落は、臨時の実質収入を貯蓄ではなく消費に回す可能性が高い低所得層にとって、特に強い支えになるという。』

全くで。
  
『同総裁は、原油価格の下落が続けば米国での石油やガスへの投資にマイナスの影響を及ぼすことになろうと指摘しながらも、「このリスクを強調するべきではない」と述べた。』

そらそうよという所で、原油価格が下がったから追加緩和というオモシロロジックが炸裂したどこぞの中央銀行が盛大にdisられているように見える辺りがクソワロタとしか申し上げようがないですな。

とまあそれだけだと日銀がカワイソウなので補足すると、日銀的には「インフレ期待がアンカーされていない中なので一時的な物価低迷であっても放置するとインフレ期待を適切な位置でアンカーさせに行く現在の政策に対して宜しくないので反応しているのです」という説明になっているのですが、現象面としては「足元の原油価格大幅下落という経済に良い筈の一時的な価格ショックに対応した緩和」にしか見えないので、その結果原油価格下落→追加緩和ヒャッハーみたいな反応が他の主要国でも起きてしまっていまして、拡大解釈する市場の方が悪いちゃあ悪いのですが、特に出口方向の政策を進めているFRBとしては大迷惑という状態になっているのでしょうなあと思うのですがどうですかね。


○日銀リサーチラボというのが出たのだがターゲット設定がちょっと良く判らない件について

昨日はこんなのが投下されていました。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel141201a.htm/
「日銀リサーチラボ」の創刊にあたって
2014年12月1日
日本銀行

『日本銀行では、日本銀行職員による様々な専門分野における調査・研究活動を幅広い読者を対象に分かり易く解説することを目的として、『日銀リサーチラボ』を創刊しました。』

ほう。

『これまでにも、日本銀行が行った調査・研究の成果は、『金融経済月報』や各種レポートの他、「調査論文」、「日本銀行ワーキングペーパーシリーズ」、「日銀レビュー」、金融研究所の『金融研究』、「ディスカッションペーパーシリーズ」を通じて公表されてきました。』

で?

『この度創刊となりました『日銀リサーチラボ』は、日本銀行の情勢判断や政策運営に関連する様々な専門分野における調査・分析の成果を、金融経済に関心を持つ幅広い読者の方々に、できる限り平易かつコンパクトに説明することを目指しています。』

ということなのですが・・・・・・・・・・・・

記念すべき一発目はこちら。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab14j01.htm/
中央銀行の情報発信と市場心理:2013年中の日米における2つのエピソードを巡って
鎌田 康一郎(日本銀行)

『要旨

証券の価格や変動は、市場参加者の確信(confidence)の程度に左右される。しかし、主流派マクロ経済学では、そうした考え方にあまり関心が払われてこなかった。鎌田・三浦(2014) [PDF 2,115KB]は、この確信という概念に再び着目し、公的情報と私的情報からなる2重構造モデルを用いて、国債市場において群集行動が発生するメカニズムを解明しようと試みたものである。本稿では、2013年に日米で発生した2つのエピソードを取り上げ、鎌田・三浦モデルに基づいて、金利の急上昇とボラティリティ拡大の原因を探る。分析結果は、中央銀行の情報発信が、市場心理に働き掛ける有効な手段であると同時に、意図せざる市場変動をもたらす原因にもなり得ることを示唆している。』

ということでこれ暫く前に出ていたワーキングペーパーシリーズの説明じゃんと思ったのですが、その内容を見ても結局WPのダイジェストではあるのですが、従来の日銀レビューシリーズよりは見た所難しくて、元のWPは計算式が大量に出ていてハクション大魔王レベルのアタクシは泡を吹いたのですが、数式無いのだが結局説明があまり平易に見えない辺りがこの情報発信のターゲットはどこですねんという疑問ががががが。

これなら別に日銀レビューでええじゃんと思うのですが、それはそれとして一発目のお題が「中央銀行の情報発信」というのは最近の追加緩和を巡る執行部および白井審議委員辺り(宮尾さんのも大概でしたが白井さんがあまりにも異次元に壊滅的なので霞んでしまいますな)の情報発信が誠にアレな中で、もしかしてこれは何かのギャグで題材が選ばれたのではないかと・・・・・・・・・


なお、二発目はこちらです。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab14j02.htm/
わが国のマクロ的な賃金決定の特徴は何か?:賃金版ニューケインジアン・フィリップス曲線の日米比較
新谷 幸平、武藤 一郎(日本銀行)

『要旨

当論文では、わが国におけるマクロ的な賃金決定の特徴を把握するため、Gali(2011)が導出した「賃金版ニューケインジアン・フィリップス曲線(NKWPC)」を日米のデータを用いて推計した。NKWPCの枠組みでは、観察された賃金上昇率と失業率の関係を経済学的な概念に関連付けて解釈できる。分析を通じて、日本におけるNKWPCの実証的パフォーマンスは米国より総じて良好であるほか、日本ではその傾きは近年フラット化しているが、なお米国より急であることが判明した。その理論的背景として、日本では賃金の粘着性が米国よりも小さい点が影響している可能性がある。賃金の物価スライドを考慮した場合、日本では米国と異なりインフレ率が賃金に与える影響がさほど明確でないが、近年では日米共にその影響は以前に比べ大きくないことが確認された。この結果には、近年両国のインフレ率が低位安定してきたことが影響している可能性がある。』

置物一派の皆さんがよく「デフレでも賃金が下げられないので企業収益が悪化する」というような形でデフレの弊害の一つとして挙げていたと存じますが、こちらではしらっと『日本では賃金の粘着性が米国よりも小さい』という話が入っている(まあどう見てもそうなのですが)のがお洒落ですね^^;


○中曽さんの講演ネタのうち邦訳があるほうを見ると債券市場的に色々と絶望する件について

遅くなりまして誠に恐縮ですが、これは債券市場にとっては【悲報】と頭につけて読む講演でありましてですなあ・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/data/ko141125c.pdf
フィナンシャル・フォーラムにおける挨拶の邦訳
―パリ・ユーロプラス主催―

『(はじめに)

本日は、パリ・ユーロプラス主催のフィナンシャル・フォーラムにお招き頂き、誠に光栄に存じます。本席では、最初に、日本銀行が10月に決定した「量的・質的金融緩和」の拡大に触れたうえで、大規模な金融緩和が金融市場の機能に与え得る影響について、日本を念頭に置きながら、私なりの考えを述べたいと思います。』

という事ですが、まあQQEの背景説明とかの部分は執行部の説明(当たり前だが)なのでどうでも良く、その最後の部分から悲報が始まるのでありました。


・【悲報】中曽副総裁、金融市場の機能低下を否定

『各国中央銀行は、それぞれが直面している先例のない困難な経済情勢に対応するために、非伝統的な金融緩和策を採っている訳ですが、こうした政策は、金融市場の機能に対し、意図せざる、ときには負のインパクトを与えている、との指摘がしばしばなされます。』

ほうほうそれでそれで?

『こうした指摘に対して、私自身は完全には同意しかねます。』

アイヤー!!

『中央銀行による大規模な金融緩和は、確かに金融市場に対し大きなインパクトを与えており、我々は市場の動向をよく見ていかなければならないと考えますが、これまでのところ、市場機能が深刻に阻害されている様子はみられていません。』

>市場機能が深刻に阻害されている様子はみられていません
>市場機能が深刻に阻害されている様子はみられていません
>市場機能が深刻に阻害されている様子はみられていません

・・・・・(;゚д゚)

『ここでは、最近の市場でしばしば話題となる3つのトピック―利回り追求の動き、マイナス金利、そして市場の流動性―に触れながら、私自身がこのように考える理由について説明したいと思います。』

ということで説明を悲しみと共に鑑賞。

・サーチフォーイールドの話はまあ穏当

最初が『(利回り追求の動きについて)』ですな。

『最初に、しばしばなされる「非伝統的な金融政策は、投資家の利回り追求を促すが、それが金融の不均衡を招き、結果的に金融市場や経済を不安定化させるのではないか」との指摘について考えたいと思います。「量的・質的金融緩和」を含め、非伝統的な金融緩和策においては、ポートフォリオ・リバランスにより様々な資産のリスク・プレミアムを縮小させることが、一つの波及経路として期待されています。その意味で、リスク資産価格の上昇やボラティリティの低下といった市場の動きは、非伝統的な緩和策の意図するものと言えます。』

そらそうだ。

『むしろ我々が注意しなければいけないのは、利回り追求の動きが自己実現的なサイクルに入ると、市場や経済を不安定化させるリスクがある点です。資産価格の上昇およびボラティリティの低下により、当該資産の流動性を投資家が過大に評価し、価格が上昇するといったことが起きます。そうなると、更なる投資を呼び込み、一層の価格上昇に繋がる、といった連鎖が生じ得ます。また、もし資産価格の上昇が企業や家計といった非金融部門に過度に強気な期待を持たせると、それらの主体の過剰なリスク・テークを促すことにもなります。』

ですな。

『これまでのところ、わが国の金融市場において、自己実現的なサイクルで上昇するといった意味で資産価格が過熱する兆候はありません。この点は、ときおり、地政学リスクや、世界経済に対する見方の変化や、主要国における政策変更を受けて、資産価格に調整が入っている様子を見ても明らかです。また、我々は、「金融システムレポート」において、金融部門・非金融部門をカバーする諸指標を組み合わせ、マクロ的な金融仲介の過熱感の有無を測るための指標として、「金融活動指標」を点検していますが、それを見ても、赤色の部分は殆どなく、現時点で、金融の不均衡の兆候は見えていません(図表2)。とはいえ、言うまでもなく、我々は金融市場に過熱感が生じていないか、引き続き注意深く見ていかなければなりません。』

ちなみに前も申し上げましたがFSRで出ているヒートマップの赤いのは住宅の駆け込み購入が影響している部分なのでまあこちらはそんなアセスメントで順当という所ですが、悲報はこの先からはじまります。


・実態経済における名目ゼロ金利の問題は無視ですかそうですか

次が『(マイナス金利について)』でして、ここから悲報が始まります。

『もう一つ、最近のわが国金融市場で目を引く現象として、一部の市場金利のマイナス化があります。短期国債の流通利回り(短国レート)は、9月にマイナスに転じ、その後もおおむねマイナスで推移しました(図表3)。債券の利回りがマイナスになるというのは、直感に反しているため、わが国の金融市場に何か異常な機能不全が生じているのではないか、との疑念を持たれるかもしれません。』

お前が馬鹿買いをするからだろうがこのスットコドッコイなどとツッコんでいる場合ではない悲報が次に登場するのです!!!!

『しかし、個々の取引の背景をよく見てみると、投資家がマイナス金利を受け入れるもっともな理由があることが分かります。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

えーっとすいませんマイナス金利を買う投資家もいるという話と、日銀が馬鹿買いをしてマイナス金利を買えない投資家を排除しているという話は全く別の問題なのですが・・・・・・・・・・

『投資家が短期国債をマイナス金利で購入する例を、いくつか簡単に紹介しましょう。』

はあ。

『銀行は、流動性リスクやデュレーション・リスク管理の観点から、一定量の短期の流動資産を持つインセンティブがあります。多様な短期の流動資産のなかで、投資家はしばしば短国を選好します。これは、短国が日本銀行から貸し付けを受けるための適格担保であるだけではなく、短期金融市場やデリバティブ取引の担保として最も適しているためです。』

それって「短期資金運用目的」での購入じゃないですけど・・・・・・・・・

『現在、「量的・質的金融緩和」の下で、短期流動資産の金利は、全般的にゼロ近傍まで低下しています。このため、短国の価格に僅かでもプレミアムが乗せられると、そのレートは容易にマイナスになってしまいます。』

つまり「短期資金運用目的」という実体経済とリンクする部分の話は無視ですかそうですか。

『また、外国の投資家も、円の金利をマイナスに押し下げるうえで重要な役割を果たしています。2014年の夏以降、為替スワップ市場においては、ドル超過需要が強まったことを背景に、円投ドル転コストは上昇しました(図表3)。これは、ドルを保有する外国投資家が、為替スワップを通じて非常に安いコストでドルを円に転換できることを意味します。短期金融市場の円金利は既にゼロ近傍にあるため、こうした外国投資家が円を調達する場合のコストはたいていマイナスとなります。外国投資家は、レートがマイナスの短国に対して、マイナスのコストで調達した円を投資しています。為替スワップによる円の調達コストが大きなマイナスであれば、こうした投資戦略でも十分な利鞘を稼ぐことができるのです。』

だからそれは名目ゼロ金利制約と関係ないマーケットで閉じてる世界の話ですよね。

『市場参加者によれば、ドル調達プレミアムの上昇にはドル調達需要の高まりと、ドル供給姿勢の消極化の双方の要因が働いているようです。需要面では、わが国の投資家が「量的・質的金融緩和」を受けて、ポートフォリオの一部を外貨建て資産にシフトさせているため、ドル調達の超過需要に繋がっています。また供給面では、市場参加者が、連邦準備制度理事会の利上げ開始観測の下でドルの出し手の貸出態度がタイト化していると指摘しています。さらに、その背後に国際的な金融規制強化の影響があるのではないか、との声も少なからず聞かれています。こうした指摘に関しては、今後も注視が必要だと考えています。』

ということで話を思いっきりそらしております。

『まとめると、短国レートは、円の短期金利が全体として極めて低い水準にあるなかで、短国が様々な技術的要因により投資家の需要を集めているためにマイナスまで低下しています。こうした意味において、マイナス金利は、まさに強力な「量的・質的金融緩和」の効果を表しているといえます。』

>マイナス金利は、まさに強力な「量的・質的金融緩和」の効果を表しているといえます
>マイナス金利は、まさに強力な「量的・質的金融緩和」の効果を表しているといえます
>マイナス金利は、まさに強力な「量的・質的金融緩和」の効果を表しているといえます

どうも実体経済とリンクした部分に関しては知らんがなという事のようで、そんな中で「市場との対話の会合を実施します」とかギャグとしか思えませんな。


・債券市場の流動性を先物だけで見るとか大本営発表にも程があるのだが

更に悲報は続く。

『(市場の流動性について)』

ふむ。

『最後に、市場の流動性についてお話ししたいと思います。最初にお話しした通り、市場から大量の国債を吸収することでイールドカーブに低下圧力をかけることは、「量的・質的金融緩和」の主要なメカニズムを構成する要素ですので、これが市場の価格形成や取引の動向に影響を与えることは当然のことです。』

そらそうよ。

『そうしたなかで、「量的・質的金融緩和」の導入以来、市場参加者からしばしば指摘される懸念として、日本銀行による大規模な国債の買入れにより国債市場の機能が損なわれてしまうのではないか、というものがあります。先般の「量的・質的金融緩和」の拡大により、こうした懸念は一段と高まっているように思われます。こうした懸念について、どう応えればよいでしょうか。』

さてどうこたえるのでしょうか??

『この問題の難しい点の一つは、市場の流動性という言葉が、文脈により異なった意味で使われ得ることです。実際、市場の流動性について、確立された唯一の定義はありません。しかしながら、BISによる「流動性の高い市場とは、大口の取引を小さな価格変動で速やかに執行できる市場である」との定義は、よく知られ、受け容れられているように思われます。』

ほうほうそれでそれで???

『そこで、この定義に従っていくつかの指標を点検してみると、市場の流動性について、相応に勇気づけられる姿が窺われます。』

え??????????

『国債先物の取引高は、「量的・質的金融緩和」の導入以降、さほど変化していません(図表4)。』

ちょwwwwwwwwwwwww

『また、日中の取引毎の値動きを計る、値幅・出来高比率も低位で安定しており、市場流動性に問題がないことを示唆しています(図表5)。概して、これらの指標を見る限り、国債市場の取引は、「量的・質的金融緩和」の影響をさほど受けていないように思われます。』

おいこらふざけんなとしか申し上げようが無い屁理屈炸裂でこの講演テキストを作ったのは誰だ(ガラッ)と海原雄山状態になるレベル。

『もっとも、国債市場の機能について、楽観的になれない理由もあります。例えば、我々が市場からの声を集めると、新発債の借入れが困難な場合があるなど、統計データでは掴めないところで、国債市場や関連する短期市場の機能の低下を伝えるエピソードが聞こえてきます。』

新発のSCレポがどうのこうのとかいうレベルではないのですが。

『また、少なからぬ市場参加者が、国債市場は、その価格変動要因として、経済・物価情勢といったファンダメンタルズよりも、専ら金融政策に注目しているという意味において、機能が損なわれていると指摘しています。そうであれば、先行きの金融政策についての市場の期待が変わると大きく市場が動き得ることになります。これは、市場の流動性そのものの問題ではありませんが、我々が市場をモニターするに当たって心に留めておくべき論点ではあります。』

何ちゅうかオペの数字で一喜一憂しているのであって、金融政策に注目というレベルじゃない訳で、それを「流動性そのものの問題ではない」とか言ってる時点で現状認識が大丈夫なのかというか、台湾沖航空戦大戦果状態(参考図書:「大本営参謀の情報戦記 情報なき国家の悲劇」堀栄三著)になっているのかよ大丈夫かよと懸念を更に深くする次第。

『これらの点を踏まえ、日本銀行は、金融市場の機能の状況を把握するために、幅広い市場参加者との対話を行ってきました。』

その結果がこの講演で示された現状認識ですかそうですかorzorzorz

『また、そうした努力の一環として、債券市場サーベイの開始をはじめとして、こうした対話を拡充する一連の策を打ち出したところです。サーベイ結果は公表する予定です。』

どう見てもただのアリバイセレモニーにしかならないに1万ドラクマという所。


・でまあ認識がアレなのは悲報としてインプリケーションでも

まあ何ですな、最後の『(おわりに)』ではこんな説明になっていますけどね。

『ノワイエ総裁がおっしゃったように「強力な」非伝統的な政策を採ることで、金融市場におけるそのプレゼンスが高まり、金融政策の意図した効果と金融市場の機能とのトレード・オフが生じるのは、避けがたい側面があります。金融市場の機能への副作用を極力少ないものにするには、市場との不断の対話―中央銀行の政策意図や経済・物価情勢の見方をしっかり共有することと、マーケット・インテリジェンスを活用して金融市場の動向をしっかりと把握すること―が何より重要です。日本銀行としても、そうした取り組みを今後も続けていきたいと考えています。』

その結果がこの講演で示された説明である、という事は先行きの金融政策運営にどういう含意があるかと考えますと、「QQE政策の執行面における副作用については現在の日銀執行部は全く考慮する気はない」という宣言をしているのと同義でありまして、従いましてこの政策始まった当初にちょっとは考慮されていた筈の「実務上この政策は継続できるのか」という面については完全に目をつぶって片道特攻するので債券市場も短期市場も皆死せという宣言でもある、という意味において国内金利市場にとっては悲報であるという整理になると思うのですがどうでしょうかねえ・・・・・・・・・・・




2014/12/01

お題「オペ関連メモ/今さらですが10月FOMC議事要旨:中立的だが割と景気には普通に強め認識な希ガス」

早川さん言いたい放題ワロタ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NFP0206JTSEO01.html
日銀に出口も追加緩和もなし、対応能力喪失−早川元理事
更新日時: 2014/11/28 00:01 JST

馬鹿買入の期間が長くなればなるほどいざ出口政策実行しようという時になって統合政府的に利払い上昇が耐えられなくなるので財政が飛ぶかインフレを放置するかの二択ですよね。

それはそれとして「金融緩和の流れ原油安で拍車か」という小見出しを見て頭がクラクラしていた某モーサテですが、「原油が下がったから金融緩和というのは本来おかしい話」とゲストのコメンテーターが思いっ切り言及していまして、まともな見解を聞けて何よりですな。何せ最近は本職の何とかストとかでも猟官運動だか知らんけど(見解の相違では済まないようなレベルでの)変なコメントがホイホイ散見されますからねえ。


○オペ関連雑談など

・短国買入1兆円とな

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of141128.htm
国庫短期証券買入 10,000 2014年12月2日

こらまたオファー減らしてきましたなというか、ここでこんなに減らすならその前に減らせよという風に思う訳で、短国買入は調整玉ではあるのですが、それにしても振り過ぎじゃこのスットコドッコイ。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba141128.htm
国庫短期証券買入 24,131 10,000 0.012 0.012

札が2.4兆円あって1兆円のオファーとはいつものバキュームではないですね!!!!

・・・・・・まあMB積み上げの進捗とかから考えると買入ペースがそろそろ落ちる時期ではあったのですが、そもそも論として市場の買いニーズを邪魔する勢いでのバキュームオペを実施して12月末の着地が見えると急に減らしてくるとか市場の需給を日銀オペが盛大に歪めるという流れになっている訳でして、まあ困ったもんです。来年からはもうちょっと平準的に買って頂きたいものです。

なお結果は1.2甘一本値なので甘いっちゃあ甘いのですが、こちらは前日の3M新発の売買参考統計値単利がマイナス5bpとかいう素敵にも程がある水準になっていましたので、1.2甘で打ち込んでも出来上がり金利がマイナス3.8bpなので入札水準(平均マイナス0.11bp足切り100円)から見たら大利食いなので無問題という事ですな、うんうん。

でまあオペ結果自体は安目になっているけど、GCとか現先とかの金利はやはり弱かったりするしますし、結局引けでは短国は相変わらずマイナス5bpだの何だのという出合を付けていまして、市場の玉無し感というか、どうせ海外が買ってくるので待っていれば売れるわ的な状況で短国マイナス金利はなおも続くのでありましたorzorz


・2年マイナス金利ェ・・・・・・・・・・

前場にマイナス0.5bpの出合いとかやってヒャッハー状態でございましたが、入札結果自体はプラス金利で決着。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2014/resul062.htm
(1)応募額 14兆6,966億円
(2)募入決定額 2兆5,092億円
(3)募入最低価格 100円18銭0厘 (募入最高利回り)(0.009%)
(4)募入最低価格における案分比率 81.2487%
(5)募入平均価格 100円18銭9厘 (募入平均利回り)(0.005%)

ということで平均0.5bpですかそうですかという所ですが、落札分布的には比較的ばらけた感じ(とは言え不明は相変わらずですが)で、第U非価格もマルなのでセカンダリーで大盛り上がりとかそういう話ではない模様。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2014/resul062a.htm
本日の2年利付国債(第347回)の第U非価格競争入札に対する応募はありませんでした。

BB引けも1bpなのでとりあえずマイナス金利は前場調子に乗って付けてみましたという感じで良かったのかとは思います(短国買入が強くならなかったのも影響しているかもですが)が、そうは言いましても短国ちゃんの金利が相変わらずですし、2年新発って受渡が近くなってくると妙に玉が締まっているという流れになるのが得意技なのでどうせ今月になってから徐々に強くなるんでしょうなあ(てきとう)。


・今月のオペの式次第公表キタコレ

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel141128c.pdf
当面の長期国債買入れの運営について

『日本銀行は、長期国債買入れについて、当面、以下のとおり運営することとしました(2014年12月1日より適用)。── 次回公表は12月30日17時を予定。』

・・・・・・納会の5時過ぎになってから公表とか中々アレですがそもそも半ドンじゃないから良いのか。

でまあ『<当面の月間買入予定>』の方ですけど、表の方は同じでして・・・・・・・・

『(注4)2014年12月1日以降の最初のオファー金額は、残存期間1年以下1,100億円、残存期間1年超3年以下4,500億円、残存期間3年超5年以下4,500億円、残存期間5年超10年以下4,000億円、残存期間10年超25年以下2,400億円、残存期間25年超1,600億円、変動利付債1,400億円、物価連動債200億円とする予定です。』(今回)

『(注4)2014年11月4日以降の最初のオファー金額は、残存期間1年以下1,100億円、残存期間1年超3年以下5,500億円、残存期間3年超5年以下5,500億円、残存期間5年超10年以下4,000億円、残存期間10年超25年以下2,400億円、残存期間25年超1,200億円、変動利付債1,400億円、物価連動債200億円とする予定です。』(前回)

ということで、中期の買入を1回辺り2000億円減額して超長期はこの前ダマテンで増やした25年超の部分を継続という結果になりまして、12月の着地と平均残存があまり短くならないようにというのをにらんだ結果になっているようですな。

しかしまあ先般の超長期買入ダマテンでの拡大攻撃によって「結局この紙を出したからと言って1か月同じペースでの買入になる訳ではない」という事になっている訳で、今月くらいは買入を変えないで頂きたいものです。


○今更ネタですが10月FOMC議事要旨ネタである(汗)

先週は10月31日決定会合議事要旨のオモシロネタに加えましてさゆりワールドの異次元に迷い込んでしまいまして色々とネタが積み残しになっていますすいませんすいません。

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20141029.htm
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20141029.pdf

・FOMC参加者のリスク認識がスタッフの認識と違っている件について

『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』ですけどね。

『In their discussion of the economic situation and the outlook, most meeting participants viewed the information received over the intermeeting period as suggesting that economic activity continued to expand at a moderate pace. Labor market conditions improved somewhat further, with solid job gains and a lower unemployment rate; on balance, participants judged that the underutilization of labor resources was gradually diminishing. Participants generally expected that, over the medium term, real economic activity would increase at a pace sufficient to lead to a further gradual decline in the unemployment rate toward levels consistent with the Committee's objective of maximum employment. Inflation was continuing to run below the Committee's longer-run objective. Market-based measures of inflation compensation declined somewhat, while survey-based measures of longer-term inflation expectations remained stable.』

大体この辺は声明文でも示されておりますな。

『Participants anticipated that inflation would be held down over the near term by the decline in energy prices and other factors, but would move toward the Committee's 2 percent goal in coming years, although a few expressed concern that inflation might persist below the Committee's objective for quite some time.』

物価に関して数名(a few)が物価低迷のリスクを示すのもお約束。

『Most viewed the risks to the outlook for economic activity and the labor market as nearly balanced.』

となっているのですが、先日(先週火曜ですいません)ネタにした通り、先行きのショック耐性とか海外の動きを背景にスタッフの見通しだとGDP見通しは下にリスクという話にしているので、この辺はほほうという感じで。

『The risks to the forecast for real GDP growth and inflation were seen as tilted to the downside, reflecting recent financial developments and concerns about the foreign economic outlook, as well as the staff's assessment that neither monetary policy nor fiscal policy appeared well positioned to help the economy withstand adverse shocks. At the same time, the staff continued to view the risks around its outlook for the unemployment rate as roughly balanced.』(これはスタッフ報告部分)

まあこの部分が最初に見ていてほほーという感じでした。では戻って続きを。

『However, a number of participants noted that economic growth over the medium term might be slower than they currently expected if the foreign economic or financial situation deteriorated significantly.』

概ねバランスだが複数名(a number of)の参加者は中期的な成長が海外動向や金融市場が大きく悪化した場合(というのは連銀スタッフが上記のように指摘している件)に弱くなるリスクがあるというのが入っていまして、ここの部分の記述は「連銀スタッフよりはFOMCメンバーの方が総じて先行きのリスクをあまり見ていない」という事を示しているという事でしょうなと思ったのでメモメモ。


・海外経済とドル高に関して

需要項目の部分は飛ばしまして海外経済に。

『In discussing economic developments abroad, participants pointed to a somewhat weaker economic outlook and increased downside risks in Europe, China, and Japan, as well as to the strengthening of the dollar over the period.』

海外経済「とドル高」についての議論キタコレ!!

『It was observed that if foreign economic or financial conditions deteriorated further, U.S. economic growth over the medium term might be slower than currently expected. However, many participants saw the effects of recent developments on the domestic economy as likely to be quite limited.』

海外懸念はあるもののこれまでの所影響は少ないとな。

『These participants suggested variously that the share of external trade in the U.S. economy is relatively small, that the effects of changes in the value of the dollar on net exports are modest, that shifts in the structure of U.S. trade and production over time may have reduced the effects on U.S. trade of developments like those seen of late, or that the slowdown in external demand would likely prove to be less severe than initially feared.』

海外生産などへのシフトも進んでいるので、ドル高の影響も緩やかだし、米国経済の輸出依存度は相対的に小さいので海外経済の減速もそこまで大きな影響になっていないとな。

『Several participants judged that the decline in the prices of energy and other commodities as well as lower long-term interest rates would likely provide an offset to the higher dollar and weaker foreign growth, or that the domestic recovery remained on a firm footing.』

複数名(Several)の参加者はエネルギーやコモディティー価格の下落は、低金利環境と相俟ってドル高や海外経済の弱さを緩和するし、国内経済が引き続き堅調に回復しているのも効いているという話ですな。

#なお余談ですがOPEC減産無しのニュースで天の恵みみたいな報道一色になっている中で原油価格下落を懸念して金融緩和を行ったどこぞの中央銀行って置物理論で良く出てくる決め文句の「グローバルスタンダード」から思いっきり乖離していますね!!!!!


・労働市場と賃金に関して

『Indicators of labor market conditions continued to improve over the intermeeting period, with a further reduction in the unemployment rate, declines in longer-duration unemployment, strong growth in payroll employment, and a low level of initial claims for unemployment insurance.』

いつも通りに回復継続と。

『Business contacts reported employment gains in several parts of the country, with relatively few pointing to emerging wage pressures, although one participant indicated that larger wage gains had been accruing to some individuals who switched jobs.』

でまあここがほほうという感じですが、賃金の上昇圧力は相変わらず弱いという話になっていますが、一部では賃金の上昇(ただし転職した場合)というのがあるようで。

『Labor market conditions indexes constructed from a broad set of indicators suggested that the underutilization of labor had continued to diminish, although a number of participants noted that underutilization of labor market resources remained. A couple of participants judged that the large number of individuals working part time for economic reasons and the continued drift down in the labor force participation rate suggested that the unemployment rate was understating the degree of labor market underutilization.』

労働市場の資源活用状況に関するこの辺の見解については毎度同じです。


・物価に関して

『Most participants anticipated that inflation was likely to edge lower in the near term, reflecting the decline in oil and other commodity prices and lower import prices. These participants continued to expect inflation to move back to the Committee's 2 percent target over the medium term as resource slack diminished in an environment of well-anchored inflation expectations, although a few of them thought the return to 2 percent might be quite gradual.』

とここまでが実際の物価動向。

『Survey-based measures of inflation expectations remained well anchored, but market-based measures of inflation compensation over the next five years as well as over the five-year period beginning five years ahead had declined over the intermeeting period.』

市場のインフレ期待が低下キタコレ。

『Various explanations were offered for the decline in the market-based measures, and participants expressed different views about how to interpret these recent movements. The explanations included a decline in inflation risk premiums, possibly reflecting a lower perceived probability of higher inflation outcomes; and special factors, including liquidity risk premiums, that might be influencing the pricing of Treasury Inflation-Protected Securities and inflation derivatives.』

でまあその現象についての議論があるのだが、物価連動国債やインフレスワップの流動性リスクプレミアムが影響しているという解釈に関してはホンマカイナという気もするが、まあ普通の債券よりは流動性が低くて振れるときには無駄に振れやすいというのは米国でもその傾向があった希ガス。

『One participant noted that even if the declines reflected lower inflation risk premiums and not a reduction in expected inflation, policymakers might still want to take them into account because such a change could reflect increased concerns on the part of investors about adverse outcomes in which low inflation was accompanied by weak economic activity.』

1名が「いやそうは言っても注視すべき」という位ですから大方の解釈的にはBEIなどの縮小はとりあえずはスルーの方向になったようですな。

『A couple of participants noted that it was likely too early to draw conclusions regarding these developments, especially in light of the recent market volatility.』

そらまあそうだ。

『However, many participants observed that the Committee should remain attentive to evidence of a possible downward shift in longer-term inflation expectations; some of them noted that if such an outcome occurred, it would be even more worrisome if growth faltered.』

ということで、結論としては成長弱まってくると市場のインフレ期待下がっているのはやっぱりマズーですよねというような穏当な話ではありますが、市場が言う程BEIとかの低下を気にしていない面はあるというのが判りますな。


・金融市場に関して

『In their discussion of financial market developments and financial stability issues, participants judged that the movements in the prices of stocks, bonds, commodities, and the U.S. dollar over the intermeeting period appeared to have been driven primarily by concerns about prospects for foreign economic growth.』

ほほー。

『Many participants commented on the turbulence in financial markets that occurred in mid-October.』

キタコレ!

『Some participants pointed out that, despite the market volatility, financial conditions remained highly accommodative and that further pockets of turbulence were likely to arise as the start of policy normalization approached. That said, more work to better understand the recent market dynamics was seen as desirable.』

出口政策で金利が急騰して資産価格が下落するのを相当に心配しているなあというのがわかりますね。

『In addition, a couple of participants noted the potential usefulness of collecting additional data on wholesale funding markets in order to better understand how changes in interest rates could influence those markets.』

ファンディング市場の状況を確認するのが有益とはほほーという感じですな。


・コミュニケーションポリシーに関して

『In their discussion of communications regarding the path of the federal funds rate over the medium term, meeting participants agreed that the timing of the first increase in the federal funds rate and the appropriate path of the policy rate thereafter would depend on incoming economic data and their implications for the outlook.』

利上げはデータディペンデントである点を強調と。

『Most participants judged that it would be helpful to include new language in the Committee's forward guidance to clarify how the Committee's decision about when to begin the policy normalization process will depend on incoming information about the economy.』

ということでその点を声明文に加えるべきという話。

『Some participants preferred to eliminate language in the statement indicating that the current target range for the federal funds rate would likely be maintained for a "considerable time" after the end of the asset purchase program.』

数名(Some)が"considerable time" の削除を要求キタコレ。

『These participants were concerned that such a characterization could be misinterpreted as suggesting that the Committee's decisions would not depend on the incoming data. However, other participants thought that the "considerable time" phrase was useful in communicating the Committee's policy intentions or that additional wording could be used to emphasize the data-dependence of the Committee's decision process. A couple of them noted that the removal of the "considerable time" phrase might be seen as signaling a significant shift in the stance of policy, potentially resulting in an unintended tightening of financial conditions. A couple of others thought that the current forward guidance might be read as suggesting an earlier date of liftoff than was likely to prove appropriate, given the outlook for inflation and the downside risks to the economy associated with the effective lower bound on interest rates.』

色々と議論があったのが伝わりますが、削除を反対するほうもデータディペンデントに関しては見解が一致しているようで、この文言に関してはあくまでも「現時点での見通し」ということで、時間軸的なメッセージでは無いという話になっていますが、なんちゅうかフォワードガイダンスをいつの間にか形骸化するとかインチキっちゃあインチキですが、出口政策の作戦としては見事なフェードアウトではありますな。

『With regard to the pace of interest rate increases after the start of policy normalization, a number of participants thought that it could soon be helpful to clarify the Committee's likely approach. It was noted that communication about post-liftoff policy would pose challenges given the inherent uncertainty of the economic and financial outlook and the Committee's desire to retain flexibility to adjust policy in response to the incoming data.』

今後もコミュニケーションは難しいというのはそらまあそうですな。

『Most participants supported retaining the language in the statement indicating that the Committee anticipates that economic conditions may warrant keeping the target range for the federal funds rate below longer-run normal levels even after employment and inflation are near mandate-consistent levels.』

で結論は文言維持。

『However, a couple of participants thought that the language should be amended in light of the prescriptions suggested by many monetary policy rules and the risks associated with keeping interest rates below their longer-run values for an extended period of time.』

2名は(テイラールールなどの)標準的な政策金利ルールから見た場合に低い金利が長期化するという文言に変更されるべきという見解で、まあそれも判らんではないが今のファジーな状態の方が運営しやすそうな気はします。


・声明文のステートメントに関する議論

『Committee Policy Action』から少々。

『In their discussion of language for the post-meeting statement, a number of members judged that, while some underutilization in the labor market remained, it appeared to be gradually diminishing.』

労働市場の不稼働状況に関してそれが無くなってきているという文言を加える件については概ね同意で声明文に入っていましたな。

『In addition, members considered the advantages and disadvantages of adding language to the statement to acknowledge recent developments in financial markets.』

金融市場に関する言及をいれるかどうかで議論があったのか。

『On the one hand, including a reference would show that the Committee was monitoring financial developments while also providing an opportunity to note that financial conditions remained highly supportive of growth.』

『On the other hand, including a reference risked the possibility of suggesting greater concern on the part of the Committee than was actually the case, perhaps leading to the misimpression that monetary policy was likely to respond to increases in volatility.』

うむ。

『In the end, the Committee decided not to include such a reference.』

ということで、ご案内のようにその手の文言が無かったので今回議事要旨を見て金融市場の安定性に関する話(ただしバブル警戒ではなくて外的ショックに対するものですが)があるのを見てアタクシ的にはほほーと思いました。

『Finally, a couple of members suggested including language in the statement indicating that recent foreign economic developments had increased uncertainty or had boosted downside risks to the U.S. economic outlook, but participants generally judged that such wording would suggest greater pessimism about the economic outlook than they thought appropriate.』

2名の委員は海外懸念を加えるべきという話をしたものの、それは却ってFOMCが経済の悲観的に考えているという誤解を必要以上に与えてよろしくないということでこれまた却下されたようです。

・・・・・・ということで、まあ10月FOMC議事要旨って今さらでスイマセンが、そんなに弱くはないけれども、じゃあ利上げに前のめりかというとそれは全然ない、ということで極めて中立的だと思いますし、海外とか物価の辺りを見ると原油下がってヒャッハーとか債券市場が喜ぶ(まあそんなに反応して無い気もするが)のもちょっと違うような気がせんでもないですな、うんうん。