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2014/10/31
お題「短国入札とかオペ予見可能性とかマイナス金利に関する諸々の雑談ですいませんすいません」
今日は展望レポートですよまあどうせ中身は結果から逆算(以下悪態^^)。
○短国入札とかオペの予見可能性とかに関する雑談
・短国入札足切りもマイナスとかもうね
ということで皆様ご案内の3M入札でしたけどね。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20141030.htm
5.価格競争入札について
(1)応募額 47兆6,750億円
(2)募入決定額 5兆3,142億1,000万円
(3)募入最低価格 100円00銭0厘5毛 (募入最高利回り)(-0.0018%)
(4)募入最低価格における案分比率 85.8336%
(5)募入平均価格 100円00銭1厘1毛 (募入平均利回り)(-0.0041%)
・・・・・・・・・・・orzorzorz
100円足切りどころか100円の一つ上が足切り(さすがに按分は厚いが)とか何考えてますねんという所で、どう見てもまたまた普通の国内投資家が排除された入札キタコレとなった次第でありますが、レポGCとか現先とかの状況を見ておりますと(あくまでも極私的感想ですが)実は投資家にマイナス金利で飛ぶように売れていて本当に物無し芳一なのですよ、という風には思えない状況がここもと継続している(だからこそ入札の前でもプラス利回りあるんじゃネーノ的な話もあった訳ですが)のに足切りマイナスってどうも????ではあるのですが、まあ「ヘイヘイ!日銀足元見られてるよ見られてるよ!!」という事ですねわかります(−−;
何せ日銀様がマイナス金利で買入を行う上に、10月の頭の短国買入で3.9兆円しか札が無いのに3.5兆円の買入を実施した事からヘイヘイ日銀焦ってる焦ってる!となって足元見られる攻撃になったのがまあスタートという所でしょうが、固定金利オペのロール歩留まりが足元悪化気味だし、先般買入が札割れしたりその次も買入額減らさざるを得なかったりとなっておりますので、そらまあヘイヘイ日銀焦ってる焦ってるという足元見ますよ攻撃になればどうせ日銀が買うのでマイナスに特攻しても安心感があるということですかそうですかという話。
なお昨日の入札の市場推計落札分布では兆円の桁の落札が無くて所謂不明玉が3.9兆円とかいうオモシロ結果になっておりますが、その後のGCレポや現先市場の推移を見るとその不明玉と言うのは(以下自主規制)。
ただまあ今回の入札がちと前回までの動きと違うのは日本相互証券さんの引けも売買参考統計値の平均単利も0.000%となっている事で、平均-0.41bpで入札しておいて引けが100円だと1厘1毛ぽっちですけど負けとるんですがナンヤソラという風情。ここまでの入札の流れはマイナス入札になる前ですと入札は辛うじてプラスで辛うじて国内投資家に販売→入札後はマイナス金利ヒャッハー→日銀様堂々のマイナス金利お買い上げという流れで、マイナス入札の先週はその最初のステップが無いものの入札後マイナス金利ヒャッハーが更に進むという動きでしたので、まあもしかしたらどこかでマイナス金利で買うニーズが盛大にある(日銀じゃなくて)というような話があったのが蓋を開けてみたら梯子外されたみたいな話があったのかも知れませんが、まーいずれにせよ国内の投資家からするとマイナス金利でのアウトライトの購入って中々ハードル高いと思いますので、入札段階からマイナスをやっていると普通の国内投資家不在状態になる筈なので、投資家不在相場をどこまで続けられますかという話なのかも知れずという所ですがよー知らん。
・固定金利オペの歩留まりも悪いですな
昨日の固定オペ
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba141030.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(11月4日スタート分) 1,550 1,550
ちなみにこちらは11月4日にエンドの来る2850億円のオペのロール分になるのですが1550億円のロールとなりまして前回に引き続き歩留まりがあまり宜しくない。
まーこれに関しては応札する人の懐事情聞かないと背景はワカランチ会長ではあるのですが、ただまあ言えるのは足元で短国が入札段階でマイナス金利になっているとなりますと、担保などのニーズで確保していた短国の償還ロールが難しくなっている(担保が本当になくなったらマイナス金利でも買うのかも知れないが余力が落ちた程度でマイナスを買うのは難しいんじゃないですかねえ)ので、その分担保の余力が落ちている可能性があり、そうなりますと3カ月物0.10%固定金利しかも無担保ではなく適格担保までお出ししないといけないというような今となっては悪徳高利貸し条件(というのは大げさ)のオペに担保余力を回しますかという話になるから歩留まり悪化という話です罠こりゃ。
てなわけで日銀短国買入をあまり深く影響を考えずにホイホイマイナス金利買って行った弊害がこんな所にも表れているというのが実に味わいの深い侘び寂びを感じるものでありまする(−−;
・これは火曜日の日銀短国買入が注目されるところで
という事でまあ2週連続短国入札がマイナス金利になり、しかも2回目に至っては入札の足切りレベルまでマイナス金利というどこからどう見ても異常事態になっている中で短国買入をどうするんでしょうかねえというお話になる訳です。一方で固定金利オペの歩留まりは今申し上げましたように若干悪化しているのですよね〜。
まあ投資家不在の相場が何で2週間も形成されているのか(念の為申し上げますが9月の場合は期末絡みのニーズがあってその買いが入った所に日銀の買入が追い打ちを掛けていたし、期末の残高確保ニーズで最後の方は現先玉とかGCレポとかも玉が全然ない状態だったので今の状況と全く話が別)と言えば、それは話は簡単で日銀という名前の太い成行買いバキューム投資家(のようなもの)が存在しているからであって、しかもこのバキューム先生は買入の目標額らしきものがあってその数値に向けて年末までに絶対に買わないと死んじゃう位の勢いで前倒しで買いに来るというお方というのが人口に膾炙している訳で、だからこそ投資家不在相場を継続してもヘーキヘーキという市場の認識という事になっているんでしょとしか思えん流れな訳ですよ。
とまあそういう状態なのでヘイヘイ日銀足元見られてるよ見られてるよ!!というヤジが飛んでくる訳ですけれども(飛ばしてるのはお前だけだろというツッコミは華麗に却下)、昨日の入札がプラスに戻って投資家が買って行ったからその後やっぱりゼロ金利(とかマイナス)とかになりましたね、となりますとまあ割と自然体で買入をオファーできたかも知れませんが、2週連続マイナス金利しかも足切りまでマイナス金利とか足元見られてる攻撃を食らってしまったので、ここは日銀の胆力というか根性というかセンスが問われる展開になったのが実に味わいが深いというものです。
つまりですな、GCレポとか現先とかの状況から類推するに日銀短国買入に入れられそうな札はそこそこあると思われるので、よーしパパ沢山買入してマネタリーベースを進捗させちゃうぞーと言って盛大に買入をオファーするのは思いっきり可能と思われる次第(なおアタクシの類推ベースなので実際は知らん)でして、市場機能とか第二の柱とか金融システム機能とか知らんがなMB積み上げがマンデートなんだもんという話になれば火曜日に思いっきり買入を入れてくるという事になるのですが、当然ながらそういうプレイをしますとマイナス金利の恒常化という投資家不在相場を日銀バキューム買入が全力でサポート(まあサポートも糞も日銀が作っているマイナス金利相場なのだが)するという大変に素敵な結果になりますので、お前は何をやっているんだという話にもなるという所ですな、うんうん。
とは言いましても何せ10月頭の3.5兆円攻撃を見れば判りますように、上からこれだけ買えって言われてるんだから兎に角買うんだもんね状態になっているのが透けて見える状態の中で買入の進捗が予定よりも遅れるというのもこらまたあばばばばーな話で、結局どうなりますねんというのが先週の短国買入だとイマイチ判らんかった(2.25兆円という中途半端なオファー刻みがまた何ともでございましたし)ので、火曜日にどういう買入を打ち込んでくるのか(まあ打ち込まないでマイナス金利を是正した方が買入狙いとしか思えない謎の仮需を減少または排除できるので却って買入がスムーズに進むようにも思えますが外野で気楽に言うのと実際に買えと言われている立場では全然違うというのだけは一応理解する)というのがこらまた注目ですなあと。
・関連してオペの予見可能性に関する雑談
まあ何ですな、この前もちょっとだけ申し上げましたがもうちょっと頭を整理してみるとこんな感じなのではないかと。
確かにQQE実施直後に異次元国債買入によって需給状況の前提となる話が盛大に変化するようになってしまい、「日銀の輪番オペの予見可能性が全然ないから市場のボラが更に拡大して、その結果リスクプレミアムが拡大して長期金利が上昇したじゃないかこのスットコドッコイ」という話になった訳で、その結果としてオペの予見可能性がどうのこうの的な事になった訳で、そういや最初に2回ほど実施して以来すっかり話を聞かなくなった謎のオペ説明会みたいなのとかも実施されたりしてましたよねとかそんなお話。
一方で足元の短国買入に関して言えばオペの予見可能性(ヘイヘイ日銀ビビってるよビビってるよ!)が短国マイナス金利の形成に絶大に寄与して市場の流動性を破壊しているだの日銀が作る投資家不在相場だのと市井の一部のスットコドッコイ(アタクシの事ですが)が悪態を付くという素敵な展開になっている訳でして、オペの予見可能性に関して盛大に悪態つかれるとかこれまた何ですねんという話ではあります。
でね、この差をつらつらと考えてみたのですけれども、ポイントとなり得るのは「市場の参加状況が偏在しているのか否か」という事なのじゃないんですかねえというように思えるのですがどうでしょうという皆様のツッコミ待ちの雑談なのですよ。
つまりですね、昨年の輪番騒動の時っていうのは債券市場はまあ普通に投資家も業者も参加していて、別に極端な在庫の偏在とか玉の偏在とかが発生していた訳では無かったので、そこに堂々登場した日銀の買入が予見可能性がろくすっぽ無いとなると、そらまあ市場参加者としては需給状況の先行き不透明感を思いっきり高める事になるので、リスクプレミアムが拡大するわボラティリティが拡大するわという話になるんだと思うのですよ。
その一方で足元の短国市場というのは日銀の買入ストックがアホのように拡大した結果として、既に市場の需給偏在が発生していた事に加え、一番大きなファクターとして名目ゼロ金利制約の部分をそう簡単に突破できない主に国内投資家に対して、日銀がその名目ゼロ金利制約を軽々と突破することによって普通の投資家を排除するレベルというのを形成してしまい(短国買入が札割れとかする前から入札の瞬間以外マイナス金利というのは継続していましたからねえ)、限られた参加者の中での価格形成となっている中で日銀のオペが予見可能という事になってしまえば、そらまあ限られた参加者×日銀という話になりますから益々普通の投資家が排除されますがなという事になりますぞなってな事になるのかなと思います。
・まあマイナス金利というのはお話の上では魅力があるのですが・・・・・・・・
とまあそんなこんなで雑談ばっかりですいません(なお展望レポートに関してはどうせ見通し下げるのは今年度の所だけで、先についてはするにしても微調整だし肝心の物価見通しの中央値は死んでも下げてこないでしょと思いますし政策変更は無いでしょという事で)が、一連の流れを見て思うのは「マイナス金利というのはお話の上では有っても実際の運用は難しい」ということなのではないかと。
まあECBと日銀の場合はケースがだいぶ違いますので一緒くたにするのがそもそも乱暴ではありますので日銀の話をしますが、「マイナス金利まで購入すれば資産買入はドンドン積み上げられますぜヒャッハー」という話については以前からそういう論点はありまして、何か違う気がするんだよなあと当時から申し上げていたようにも思えるのですが、実際にマイナス金利での資産買入というのが行われて見ると想像以上にマーケットが壊れてしまいましたなあと。具体的には見事なまでに投資家が排除されていることではありますが。
名目ゼロ金利制約というのは金融市場だけで見れば大したことないのかもしれませんが、やはり実体経済(この場合は預金者とかそういう人ですね)とのリンクを考えた場合に名目ゼロ金利以下での資産購入というのはプルーデントな投資家という観点的にどうなのかとなりますと、そこには大きな壁があって、市場が思いの他壊れましたという結果になった訳で、やはりマイナス金利というのはお話の上では魅力的な概念であっても、実際にマージナルな部分ではなく大々的に行うという事になった場合は実務上の問題があり、その問題がどこかに歪を生み出しますし、市場のマイナス金利と実体経済の名目ゼロ金利制約の間に発生するコストの部分を誰が負担するのかという問題が生じるので、実務で大々的に行うのはやはり難しい、という結論を一旦付けてもよいのではないでしょうか。
ちなみに既にご案内の事とは存じますが、ECBのサイトのトップにこんなページのリンクがありましてね。
http://www.ecb.europa.eu/home/html/faqinterestrates.en.html
Why has the ECB introduced a negative interest rate?
Last updated: 12 June 2014
FAQ最初の質問がこれ。
『Do I now have to pay my bank to keep my savings for me? What is the effect
of this negative deposit rate on my savings?』
この答えの最初の部分がどう見ても銀行に負担押しつけです本当にありがとうございました(なおこのやり取りはマイナス金利導入時の会見で記者から当然のごとくツッコまれていた論点でもありまして、ドラギさん確かにこういう論旨で説明してました)という風情。
『There will be no direct impact on your savings. Only banks that deposit
money in certain accounts at the ECB have to pay. Commercial banks may
of course choose to lower interest rates for savers. At the same time,
though, consumers and businesses can borrow more cheaply and this helps
stimulate economic recovery.』
ワシらは銀行からの預り金に対するチャージを行ったけれども銀行が皆様にチャージするかどうかは銀行の経営判断ですから知らんがなとか何という責任マルナゲータという所ですが、まあ斯様に名目ゼロ金利制約というのものは実体経済の方には思いっきりあるぞなという所でしょう。
#ということでしょうもない雑談大会でどうもすいませんでした
2014/10/30
お題「固定金利オペシグナル分の歩留まり悪化キタコレ/FOMCは物価重視にチェンジですかねえ」
これはムーシャ先生大胆なフラグ、つーか株価がいい感じで上昇してくる所でフラグを建築するのマジ止めて欲しいんですがががががが。
http://www.musha.co.jp/short_comment/detail/127
2014年10月29日 ストラテジーブレティン 第127号
消費税増税でも延期でも、株価上昇トレンドは不変
・・・・・・・・・・お、おう。
○市場雑談メモおよびその他少々
・さあ3M入札ですよ!!!
ということで本日は先週ご案内の通り平均マイナス利回り足切りゼロ金利しかも極薄按分とゆー大変にワンダホーな3M短国の入札から最初に行われます所の3M短国入札。
でまあ今回は100円で切れてまたまたマイナス利回り入札となるのではという見方といやさすがに100円割れるだろという見方と結構分かれている感じではありまして、こちとら下手に予想みたいな雑談してフラグ建築士になるのアレなのでま〜出たとこ勝負(何を?)という所で。
なお、今週の短国買入につきましては金曜日がMPMの結果発表日になりますので慣例的には週明けに実施となる筈で、しかも来週は水曜木曜が短国の6M3Mの入札になりますので、火曜日一発しか入れ場所が無いという所。入札の平均がアンダーパーになってしまえば普通に進行となるのですが、注目されるのは入札がまたまたマイナス金利になってしまった場合で、2週連続マイナス入札とかになりますと更に亜空間殺法状態になって参りますので、そんな中で能天気に日銀が平常運転の無慈悲短国買入を実施するのかどうかというのがテラ注目と言った所ですな。
まー普通に考えると2週連続マイナス入札とか期末でも無いのに異常にも程がありますし、先日来申し上げておりますように第二の柱という観点からしても市場機能の低下とか、金融システムのインフラ機能不全状態とかの論点からも「日銀の買入が引き起こしている」マイナス金利の常態化というのは牽制すると思うのですが、何せまあ毎度悪態を申し上げているクオリティな上に、昨日は固定金利オペが貫録の結構な減額ロールになってしまったのがありまして、ヘイヘイ調節担当ビビってるビビってるよ!!という状況になっておられるのではないかと心配される所ではございます(白目)。
・固定金利オペのシグナル成れの果て分の歩留まりががががが
昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of141029.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,500 2014年10月31日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,000 2014年10月31日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2014年10月31日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 15,000 2014年10月31日 2015年2月10日
ちなみに輪番については前回増額したのと同様で、中期+1500億円、長期はカワランチ会長となっておりますがそれは兎も角として注目されたのは午後の固定オペ状況。
結果ですけどね
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba141029.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 11,156 3,502 0.006 0.007 40.3
国債買入(残存期間3年超5年以下) 16,253 3,003 0.004 0.006 31.3
国債買入(残存期間5年超10年以下) 17,236 4,006 0.002 0.003 18.2
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(10月31日スタート分) 4,701 4,701
おう・・・・・・・・・・
えーっとですね、今回の固定金利オペですが、31日にエンドの来る過去のシグナルオペのなれの果てだったのですが、期落ちが9730億円あったものでしたので、4701億円への減額ロールとなると要は5000億円落ちているという話で誠に遺憾の極みという所です。
皆様ご案内の通り、「その他」でのMB積み上げとなりますと固定金利オペ残高がドロップすると、その分短期国債買入オペに負担が掛かる、という構造になっておりますので、今回5000億円オペが落ちて固定金利オペの残高が9兆円割れとなりますし、来月は5、7、11日に1兆円規模の固定金利オペの期落ちがあったり、中々こう「その他」でのMB積み上げとか上手く行かないので短国買入も引き続き頑張らないといけないという状況ですな、とまあそんな解釈になるんでしょうな。
となりますと益々今日の短国入札がつよつよになった場合にどうするんでしょうねというのがあって、マイナス入札になるとまたまた投資家の参加が減るので実は流動しないけど流動玉が増えるので短国買入的にはオファーしやすいのだが、そこでよーしパパ沢山短国買入オファーしちゃうぞーとなると日銀によってマイナス金利の定着化が促進されるとか何考えてるんでしょうか第二の柱はどうなったんでしょうかというカチコミが飛んできますし、大体からして固定金利オペのロールが減った背景に短国マイナス金利による市場金利の一段の低下および銀行さんなんかの担保玉の減少があると思われますので、自分で自分の首を絞めるという素敵な流れになるのはテラオモシロスという所ですな、うんうん。
・てな訳で益々MB拡大大変ですねという話になる筈ですが・・・・・・・・・
まーそんなわけで固定金利オペのロールの歩留まりも悪化してMB拡大という意味では外堀も内堀も埋められて大坂夏の陣の如き状態になっております昨今ではありますが、そんな中で追加緩和でMB更に拡大とかいうような電波が時々放流されてくるのは何なんでしょうねと存じます次第。
確か昨日だったと思いますが、どこからともなくMB拡大ペースを30兆円おかわりという電波が放流されてきたのを感知したのですが、その電波ビラには具体的に何をどうして30兆円更に拡大するのかの説明が1行も無いという大変に素敵な話で、それってエネルギー効率100%の自然エネルギー発電施設を作れば電力問題全て解決と言いながら具体的にどういう施設をつくるかの話は1ミリも無いという位の駄法螺でして、お前の寝言はチラシの裏にでも書いておけと申しますか、便所紙にもならない資源の無駄な話で、そこらのオッサンがブログやツイッターで放流する話ならまあ別にシャーナイナイだと思いますが、そんなレベルのレポートをプロが出すなよと小一時間問い詰めたくなるような目を覆う物が出ておりましたのでメモだけ置いておきましょう。
しかしまあどう見ても短期の部分が市場のキャパオーバーになっているのでじゃあ長期を買えば良いじゃないという話になるにしても、長期の方に同じように皺寄せ掛けてきた場合には同様にストックがどこかの時点で強烈に効いてきて今の短期市場で起きているような投資家不在のハチャメチャ相場になってしまう訳で、やはり今のMB拡大ペースというのは3年も4年も続けるものではない(つーか1年半でこの有様なのですが)という話ですが、聞く耳を持ってなさそうな黒田日銀の明日はどっちなのでしょうかねえ????
そういえば昨日は師匠の妄言に関してああだこうだ書いている内に途中で文章が切れていてアセアセでございましたが・・・・・・・・・・・・
http://jp.reuters.com/article/idJPL4N0SN1X020141028
UPDATE 1-就任前の目標未達なら辞職発言、深く反省=岩田日銀副総裁
2014年 10月 28日 12:59 JST
『岩田副総裁は、昨春の就任前の国会における所信表明で、2年で2%の物価目標が達成できない場合は辞職する考えを表明したことに関し、「(達成できなければ)自動的に辞めると理解されてしまったことを、今は深く反省している」と語り、「まずは説明責任を果たすことが先決というのが真意だった」と説明した。』
んーっとですね、国会の所信聴取って「この人が日銀副総裁として適切か」という事を国民の代表たる国会の然るべき場所で審査するという意味もある訳ですからして、そういう意味では師匠の売り込みの場所とも言えるのですが、そういう場所で「誤認されてしまった事を反省」とか仰るというのが実にこう正直者ではあるのですが金融業界的に見た場合にはお前誤認勧誘したのかよと小一時間問い詰めたい所でして、まあ何ちゅうかこの人金融政策についてああだこうだと10年じゃ効かなく色々な話をしていた割には金融のイロハの部分もご存じないのかという所で、金融商品取引業者が誤認勧誘したら反省してまーすで済む話じゃないんですけどねえというような悪態をつきたかったのを途中で切ってしまいましたアセアセという所でした。
という駄文はどうでもいいから早くFOMCネタにしろですかそうですか(−−;
○FOMC声明文:物価重視に切り替えですかねえこれって
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20141029a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20140917a.htm(前回)
今回は結構色々と変わっているのですけど一番の変化は第1パラグラフですかね。
・第1パラグラフ:労働市場のスラックの話からインフレ期待の話へとな!!
『Information received since the Federal Open Market Committee met in September
suggests that economic activity is expanding at a moderate pace.』(今回)
『Information received since the Federal Open Market Committee met in July
suggests that economic activity is expanding at a moderate pace.』(前回)
と、最初の所は同じですが・・・・・・・・・
『Labor market conditions improved somewhat further, with solid job gains
and a lower unemployment rate. On balance, a range of labor market indicators
suggests that underutilization of labor resources is gradually diminishing.』(今回)
『On balance, labor market conditions improved somewhat further; however,
the unemployment rate is little changed and a range of labor market indicators
suggests that there remains significant underutilization of labor resources.』(前回)
キターーーーーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーーーー!!!!
ということで何がキタなのよという話ですが、従来は「インフレが(ちと微妙な部分はあるにせよ)落ち着いているけど労働市場のスラックが大きいので緩和的政策ですよヒャッハー」という話が展開されていたのですが、今回はそのスラックについてもgradually
diminishingと言ってますし、労働市場に関してもwith solid job gains and a
lower unemployment rateと来てますから結構どころの話では無い強い表現に変わっています。
まあQE3止める条件が「労働市場見通しの顕著な改善」でしたから表現が強くなるのはアリエールな話だったのですが、それにしても結構強いですおという話で、先に出てくる物価の部分の話が変化していまして、基本的には物価を見ながらの金利政策レジームに明確にシフトして、政策反応関数はより物価およびインフレ期待にシフトし、政策変数はFF誘導金利になりました、というのを(この先の文章構成でもそうなのですが)示した、というのが今回の声明文の一番の特徴だと思います。
『Household spending is rising moderately and business fixed investment
is advancing, while the recovery in the housing sector remains slow.』(今回)
『Household spending appears to be rising moderately and business fixed
investment is advancing, while the recovery in the housing sector remains
slow.』(前回)
家計の消費支出に関しては表現が強くなっています。他は前回同様。
『Fiscal policy is restraining economic growth, although the extent of restraint is diminishing.』(前回)
地味なのですが今回ここの財政要因による経済阻害要因に関する記述をバッサリ削除しているのもほほうという所です。
『Inflation has continued to run below the Committee's longer-run objective.
Market-based measures of inflation compensation have declined somewhat;
survey-based measures of longer-term inflation expectations have remained
stable.』(今回)
『Inflation has been running below the Committee's longer-run objective. Longer-term inflation expectations have remained stable.』(前回)
でまあこちらが第1パラのもう一つのキタコレな所でして、インフレに関して今回「市場ベースのインフレ期待が若干低下」しているが「サーベイベースのインフレ期待は引き続き安定」という話をしておりまして、インフレ期待に関する低下の言及キタコレ!!!となっていてこれは!という所であります。
・第2パラグラフ:インフレの先行き見通しは微妙に解釈に困る
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster
maximum employment and price stability. The Committee expects that, with
appropriate policy accommodation, economic activity will expand at a moderate
pace, with labor market indicators and inflation moving toward levels the
Committee judges consistent with its dual mandate.』(今回)
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster
maximum employment and price stability. The Committee expects that, with
appropriate policy accommodation, economic activity will expand at a moderate
pace, with labor market indicators and inflation moving toward levels the
Committee judges consistent with its dual mandate.』(前回)
ここまでは同じですな。
『The Committee sees the risks to the outlook for economic activity and
the labor market as nearly balanced. Although inflation in the near term
will likely be held down by lower energy prices and other factors, the
Committee judges that the likelihood of inflation running persistently
below 2 percent has diminished somewhat since early this year.』(今回)
『The Committee sees the risks to the outlook for economic activity and
the labor market as nearly balanced and judges that the likelihood of inflation
running persistently below 2 percent has diminished somewhat since early
this year.』(前回)
リスクがnearly balancedというのは変化無いのですが、インフレに関する表現に今回「Although
inflation in the near term will likely be held down by lower energy prices
and other factors」というのが加わって、近いタームのインフレがエネルギー価格の下落などによって押し下げられているという説明が加わっていますが、物価に関する説明部分はこの程度で済んでいる為に、どちらかというとインフレ期待低下指摘キタコレと来るよりもスラックの話が軽くなったキタコレの方が強いという話になって反応したと思います。
でまあそれはそれでどうなのかなとは思いますが、今回はFEDが色々と文学攻撃してるなあと思う(この後もある)のの第一弾がここにあって、「and
other factors」の所がまた微妙な味わいでして、まあ単純に一時的要因の他の物と読む事もできますが、この日本語で言うと「等」の部分に実はインフレ期待の部分も含めていたりすると味わいが全然違ってくるという代物なので、つまり物価が思うように上昇しなかった場合のヘッジをこの辺で入れているという所でもあって、そういう意味ではまあ今回の声明文は景気認識と労働市場の所が強いには強いのですけれども、インフレの所は少々留保を置いて見た方が良いかもしれません。まあ結局の所今後の物価推移次第だと思いますけどね。
・第3パラグラフ:QE3終了です(キリッ)
『The Committee judges that there has been a substantial improvement in
the outlook for the labor market since the inception of its current asset
purchase program.』(今回)
QE3終了の条件ですからこういうのが出るのでしょうが、パラグラフの冒頭にこういうのが出ると(キリッ)と後ろに付けたくなる印象でしてタカっぽさが出ますな。
『Moreover, the Committee continues to see sufficient underlying strength
in the broader economy to support ongoing progress toward maximum employment
in a context of price stability.』(今回)
『The Committee currently judges that there is sufficient underlying strength
in the broader economy to support ongoing improvement in labor market conditions.』(前回)
今後の部分については最初に(キリッ)があった分表現が変わりますな。
『Accordingly, the Committee decided to conclude its asset purchase program
this month. The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting
principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed
securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing
Treasury securities at auction. This policy, by keeping the Committee's
holdings of longer-term securities at sizable levels, should help maintain
accommodative financial conditions.』(今回)
ということで今回QE3終了。ただし償還再投資は継続するのでバランスシートのストック効果は今後も継続しますよという説明です。一応前回分を置いておきますね。
『In light of the cumulative progress toward maximum employment and the
improvement in the outlook for labor market conditions since the inception
of the current asset purchase program, the Committee decided to make a
further measured reduction in the pace of its asset purchases. Beginning
in October, the Committee will add to its holdings of agency mortgage-backed
securities at a pace of $5 billion per month rather than $10 billion per
month, and will add to its holdings of longer-term Treasury securities
at a pace of $10 billion per month rather than $15 billion per month. The
Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments
from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities
in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury
securities at auction. The Committee's sizable and still-increasing holdings
of longer-term securities should maintain downward pressure on longer-term
interest rates, support mortgage markets, and help to make broader financial
conditions more accommodative, which in turn should promote a stronger
economic recovery and help to ensure that inflation, over time, is at the
rate most consistent with the Committee's dual mandate.』(前回)
で、今後の資産買入は労働市場の改善状況を見ながらどうのこうのという話をしている第4パラグラフは今回当たり前ちゃあ当たり前ですがバッサリ削除されています。前回分を一応貼っておきます。
『The Committee will closely monitor incoming information on economic and
financial developments in coming months and will continue its purchases
of Treasury and agency mortgage-backed securities, and employ its other
policy tools as appropriate, until the outlook for the labor market has
improved substantially in a context of price stability. If incoming information
broadly supports the Committee's expectation of ongoing improvement in
labor market conditions and inflation moving back toward its longer-run
objective, the Committee will end its current program of asset purchases
at its next meeting. However, asset purchases are not on a preset course,
and the Committee's decisions about their pace will remain contingent on
the Committee's outlook for the labor market and inflation as well as its
assessment of the likely efficacy and costs of such purchases.』(前回)
・第4パラグラフ:金利ガイダンス部分の表現はこれまた微妙に色々いじっている
上記の要因があるので以下の部分は今回分第4、前回分第5という形でパラグラフが一つずれます。
『To support continued progress toward maximum employment and price stability,
the Committee today reaffirmed its view that the current 0 to 1/4 percent
target range for the federal funds rate remains appropriate.』(今回)
『To support continued progress toward maximum employment and price stability,
the Committee today reaffirmed its view that a highly accommodative stance
of monetary policy remains appropriate.』(前回)
物凄く芸が細かくてワロタのですが、金利ガイダンスに関する部分の冒頭での表現で「a
highly accommodative stance of monetary policy」だったのが単に金利の表現に変わっていまして、これはまあQE3終了した事を反映して「これからは金利政策ですよ(キリッ)」というのを宣言したという所なのでしょうが、別の見方をすれば今後の金融政策はaccommodativeではあってもhighly
accommodativeではないという事を言いたいのかも知れませんよウッシッシ。
『In determining how long to maintain this target range, the Committee
will assess progress--both realized and expected--toward its objectives
of maximum employment and 2 percent inflation. This assessment will take
into account a wide range of information, including measures of labor market
conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations,
and readings on financial developments.』(今回)
『In determining how long to maintain the current 0 to 1/4 percent target
range for the federal funds rate, the Committee will assess progress--both
realized and expected--toward its objectives of maximum employment and
2 percent inflation. This assessment will take into account a wide range
of information, including measures of labor market conditions, indicators
of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial
developments.』(前回)
ここの部分は金利の数字の表現の部分が違いますが、さっきの所で0-1/4を入れているので今回はthis
target rangeにしたという話なのでこれは特段の変更なし(まあ無い部分だが)ですな。
『The Committee anticipates, based on its current assessment, that it likely
will be appropriate to maintain the 0 to 1/4 percent target range for the
federal funds rate for a considerable time following the end of its asset
purchase program this month, especially if projected inflation continues
to run below the Committee's 2 percent longer-run goal, and provided that
longer-term inflation expectations remain well anchored.』(今回)
『The Committee continues to anticipate, based on its assessment of these
factors, that it likely will be appropriate to maintain the current target
range for the federal funds rate for a considerable time after the asset
purchase program ends, especially if projected inflation continues to run
below the Committee's 2 percent longer-run goal, and provided that longer-term
inflation expectations remain well anchored.』(前回)
今回は金利ガイダンス文言の部分が現在形になっているのは何でですねんと思うのですが、単にこれはその文章のケツにある話である所の「資産買入が終わってからも」というのが実際に資産買入が終了しているので(償還再投資はやってますが)変更したので、continues
to anticipateでもないだろという英文表現上の問題なのかなとは思いますが、まあ細かいですな。
で、今回入っているのがこの文言。
『However, if incoming information indicates faster progress toward the
Committee's employment and inflation objectives than the Committee now
expects, then increases in the target range for the federal funds rate
are likely to occur sooner than currently anticipated. Conversely, if progress
proves slower than expected, then increases in the target range are likely
to occur later than currently anticipated.』(今回)
でまあこの文言が入った件についてですが、正直最初この文言が「新しく声明文に入った」というのに気が付かない位に耳タコな表現で、イエレン議長のFOMC後会見で散々見ている表現だったので、全く持って新しくは無い話なのですが、これは要するに金利ガイダンス文言は先行きのコミットメントではないですよというのをより明確化したという話ではあります。まあ以前から「政策はコンディショナルでデータディペンデント」という話はございましたが、前回のFOMC後の会見でもその趣旨の話がありましたし、FOMC議事要旨でもその手の議論が出ておりましたように、これは従来から継続的に行われていたガイダンス文言の性格をなし崩し的にコミットメントもどきから「ただの現時点での予想」への変化の最終形に到達したという所だと思いますので、まあここも素晴らしく芸が細かいなあと思うのでありました。
・第5パラグラフ:利上げに関しての表現は同じ
『When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it
will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum
employment and inflation of 2 percent. The Committee currently anticipates
that, even after employment and inflation are near mandate-consistent levels,
economic conditions may, for some time, warrant keeping the target federal
funds rate below levels the Committee views as normal in the longer run.』(今回)
『When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it
will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum
employment and inflation of 2 percent. The Committee currently anticipates
that, even after employment and inflation are near mandate-consistent levels,
economic conditions may, for some time, warrant keeping the target federal
funds rate below levels the Committee views as normal in the longer run.』(前回)
利上げに関してはバランスアプローチを取って、利上げするにしてもそんなにホイホイ利上げしないですよと「今のところは思っています」という毎度の表現は同じです。
・第6パラグラフ:コチャラコタ総裁の反対キタコレ!!だがこの反対提案らしきものは何だかなあという代物
『Voting for the FOMC monetary policy action were: Janet L. Yellen, Chair;
William C. Dudley, Vice Chairman; Lael Brainard; Stanley Fischer; Richard
W. Fisher; Loretta J. Mester; Charles I. Plosser; Jerome H. Powell; and
Daniel K. Tarullo.』(今回)
『Voting for the FOMC monetary policy action were: Janet L. Yellen, Chair;
William C. Dudley, Vice Chairman; Lael Brainard; Stanley Fischer; Narayana
Kocherlakota; Loretta J. Mester; Jerome H. Powell; and Daniel K. Tarullo.』(前回)
(・∀・)ニヤニヤ
『Voting against the action was Narayana Kocherlakota, who believed that,
in light of continued sluggishness in the inflation outlook and the recent
slide in market-based measures of longer-term inflation expectations, the
Committee should commit to keeping the current target range for the federal
funds rate at least until the one-to-two-year ahead inflation outlook has
returned to 2 percent and should continue the asset purchase program at
its current level.』(今回)
ということで今回は従来のタカ派選手の反対からハト派のコチャラコタおじちゃんの反対になった訳ですが、反対理由としてインフレ見通しと最近の市場におけるインフレ期待の低下を出しているのはまあ判るのですが、政策金利に関して「インフレ見通しが2%に戻ってから1〜2年程度は継続すべき」という提案らしき話をしているのは微妙でして、そういう政策ガイダンスを出すというのはお話としてはあるにしても、実際問題として政策に落とし込んだ場合に期間は曖昧だわ先行きの対応を縛るわという話なので、政策の技術論として運用が難しいのではないかと思います。
あと、資産買入も継続しろという話をしているのですが、そもそも論として資産買入については労働市場の改善の方が政策反応関数という建付けになっているのでインフレ期待を理由にというのもまあ微妙な気はする次第。まあQE2の場合インフレ期待の低下や先行きインフレの低下に対応して実施したというのがありますから判らんでも無いですけどと考えますと、この間にFRBの政策ロジックがなし崩し的にコロコロ変わっているというのが良く判るというもので味わいが深い物です。
なお折角ですので前回のタカ派コンビの反対を貼っておきます。
『Voting against the action were Richard W. Fisher and Charles I. Plosser.
President Fisher believed that the continued strengthening of the real
economy, improved outlook for labor utilization and for general price stability,
and continued signs of financial market excess, will likely warrant an
earlier reduction in monetary accommodation than is suggested by the Committee's
stated forward guidance. President Plosser objected to the guidance indicating
that it likely will be appropriate to maintain the current target range
for the federal funds rate for "a considerable time after the asset
purchase program ends," because such language is time dependent and
does not reflect the considerable economic progress that has been made
toward the Committee's goals.』(前回)
2014/10/29
お題「国会半期報告で腰砕け気味の師匠といつもの総裁/長国の買入余地計算などのメモ」
うむ。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20141028-00000039-ann-soci
収支報告書「何ら違反ない」 望月大臣、続投に意欲
テレビ朝日系(ANN) 10月28日(火)18時15分配信
『望月環境大臣:「私自身の法的責任については、何ら法令違反はないと。(亡くなった妻が)収支報告書を付け替えてしまった」』
『会合費などが実際にどう使われたかについては、「だいぶ前の話で分からない」として再調査する考えはないとしています。』(以上上記URLより)
死んだニョーボのせいで自分は全く違反ないというのは斬新にも程がある言い訳でその豪気さに頭がクラクラするんですがががが。
○ヘイヘイ師匠ビビってるビビってる!!!・・・・・こうですかわかりません><;
昨日は国会での半期報告がありまして、参議院財政金融委員会での質疑があったのですけれども、総裁答弁は相変わらず物価行きますよ攻撃が続いていますが置物副総裁の質疑が債券金利市場に乾いた笑いを巻き起こしたので、後日会議録を見て楽しく笑おうと思いますがとりあえず本日はニュースヘッドラインから備忘。
http://jp.reuters.com/article/idJPL4N0SN1X020141028
UPDATE 1-就任前の目標未達なら辞職発言、深く反省=岩田日銀副総裁
2014年 10月 28日 12:59 JST
ちょwwwwwおまwwwwwwwwという所ですが。
『[東京 28日 ロイター] - 日銀の岩田規久男副総裁は28日午前、参議院財政金融委員会で、就任前に2年程度で2%の物価目標が実現できない場合は辞職すると発言したことについて、深く反省している、と語った。大久保勉委員(民主)の質問に対する答弁。』(上記URLより、以下同様)
えーっとすいません国会での所信表明でそういう話をしているのですから、それは置物師匠におかれましては「国会で嘘ついて
『岩田副総裁は、昨春の就任前の国会における所信表明で、2年で2%の物価目標が達成できない場合は辞職する考えを表明したことに関し、「(達成できなければ)自動的に辞めると理解されてしまったことを、今は深く反省している」と語り、「まずは説明責任を果たすことが先決というのが真意だった」と説明した。』
えーっとそれなら衆議院と参議院の両方で説明したんですから片方の所で修正すれば良いと思うのですけれどもねえと思いますが、ここで所信表明の際における説明をサルベージしておきましょう。なお、この日の為に備忘も兼ねて8月末にサルベージネタを投下しておりましたので再掲になりますけどね!!!!!!
衆議院での所信聴取はこちら
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/002018320130305012.htm
第183回国会 議院運営委員会 第12号(平成25年3月5日(火曜日))
(改行は適宜省略しています)
『○津村委員 はい。失礼いたしました。二%ということを先ほどおっしゃられていましたが、岩田さんは、全責任を負う、マンデートだ、それを市場が信頼するからこそインフレ期待が上がるんだ、それについては現行の日銀法では不十分ということをおっしゃいましたが、これから中央銀行のトップ、副総裁につかれるとなれば、運用で、自分はこうやるんだ、全責任を負うんだということを明確にされることで、ある意味では、岩田さんのおっしゃる今の法の不備といいますか、そこを補っていかれるということだと思います。そこで、お伺いしたいんです。一つは、二年とおっしゃるのは、この就任の三月から二年後、つまり再来年の春ということでよろしいかというのが一点。それから、もう一つは、全責任を負って市場の信頼をかち取るということですから、それが達成できなかった場合の責任の所在ということははっきりとさせていかなければいけないと思いますが、それは、職を賭すということですか。』
『○岩田参考人 それは当然、就任して最初からの二年でございますが、それを達成できないというのは、やはり責任が自分たちにあるというふうに思いますので、その責任のとり方、一番どれがいいのかはちょっとわかりませんけれども、やはり、最高の責任のとり方は、辞職するということだというふうに認識はしております。』
『○津村委員 二年間というのは、二年後の春、つまり、二〇一五年の春の消費者物価の上昇率二%ということを目標とされる、そして、最高の責任のとり方としては、職をかけるということでよろしいですね。』
『○岩田参考人 それで結構でございます。』(以上上記衆議院HPより)
でまあこの参考人聴取で思いっきり「2年で2%行かなかったら辞任」という潔い姿勢と、津村委員も指摘するように、岩田さんが日銀法の弱い部分と指摘している事を職を賭すということで補うという姿勢までも見せたと評価になった訳ですが、もし説明責任どうのこうのでしたらその後の参議院で訂正していると思うのですけどねえ・・・・・・・・・・・
参議院(国会会議録検索システムから引用しているので直リンができませんすいません)議院運営委員会の昨年3月12日から以下引用しております。発言番号20番以降になります。
参 - 議院運営委員会 - 13号
平成25年03月12日
(改行は適宜割愛しています)
『○中西健治君 みんなの党の中西健治です。 岩田参考人、岩田教授にはこれまでもいろいろと御教示いただいておりまして、大変お世話になっております。今日はよろしくお願いいたします。まず、これまでの岩田教授の主張の幾つかをまとめてみますと、日銀法改正については、責任を明確化することで物価目標の達成が早まる効果があるということで賛成だということだと思います。それから、責任の取り方ということについては、最高の責任の取り方は辞職だということをおっしゃられていると思いますし、あと外債購入については、今は必要ないけれども、手段としては取っておくべきだということだと思いますが、確認ですが、今の認識でよろしいでしょうか。』
『○参考人(岩田規久男君) そのとおりでございます。』(以上国会会議録検索システムより参議院議員運営委員会平成25年3月12日の質疑を引用)
・・・・・・・ということで今回国会でご説明されたような話を全くしておられないようにしか見えないのですけれども、いずれにせよ就任時に話をしていた事は大嘘であられたというような事になるかと存じますが、それって国民の代表たる国会を愚弄するにも程がある話で、そらまあ参考人質疑だから別に偽証云々とかそんな事にはならないけれども、ことは国の重要政策に関わる問題ですから悪質じゃないですかねえ。
でまあロイターの記事に戻ります。
『当時言及した日銀法改正に対する考えについても、2%の物価安定目標が政府と合意されている現在は「あえて改正する必要はない」との認識を示した。』(最初のロイター記事URL先より)
ナンジャソラという所で、政府の方針が変わったら変わるんじゃマズイし、日銀の体制が変わったら変わるでもマズイからグローバルスタンダードとやらの物価2%目標を法に明記する改正するんじゃ無かったでしたっけ?????
『そのうえで、2年程度で2%の物価目標の達成について、人間の行動に働きかけるのが金融政策とし、「電車の時刻表のように、きちんとはできない。不確実性が大きい」と指摘。2年程度での実現を目指して、最大の努力を行うという日銀の行動が大事だ、と語った。』(最初のロイター記事URL先より)
さてここで再び参議院参議院議員運営委員会平成25年3月12日の質疑を引用してみましょう。先ほど引用した中西委員による質疑の続きにちょうど適切な物がございます。
『○中西健治君 これも確認に近いことということになるのかもしれませんが、安倍総理は国会答弁でデフレは貨幣的現象であるということをおっしゃられております。岩田参考人も近い考え方なんじゃないかなというふうに思いますが、貨幣的現象かどうかという言葉はともかく、金融政策だけで物価目標二%は達成し得るということでよろしいでしょうか。』
『○参考人(岩田規久男君) 物価に影響するのは金融政策以外でも確かにございます、先ほど言った輸入物価とかそういうのありますが。結局、いろんなところで、ほかの要因で上げ過ぎる要因があった場合には、金融政策のやり方を変えれば結局は二%のインフレになるということで、あるいはデフレ要因がほかにあったとしても、金融政策が結局しっかりしていれば二%のインフレはできるということで、最終的には金融政策が決めることができるということだと思います。(以上国会会議録検索システムより参議院議員運営委員会平成25年3月12日の質疑を引用)
ついでに申し上げますと、師匠の理論を基に以前山本幸三先生がこのような説明もしていましたよね。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE93204D20130403?sp=true
インタビュー:2%達成にはマネタリーベース拡大を=自民・山本氏
2013年 04月 3日 15:54 JST
『山本氏は、日銀副総裁に就いた岩田規久男氏が学習院大学教授当時に作成したシミュレーションから、消費者物価上昇率2%達成には、現在145兆円のマネタリーベースを160兆円─170兆円に増やしていく必要があるとした。試算は、リーマンショック後のマネタリーベースの量と予想インフレ率の目安となるブレークイーブン・インフレ率(インフレ期待を測る代表的な指標)の関係からはじき出したもので、同時に円レートや株価との相関式に当てはめると、ドル/円は98円、株価は1万1600円になるだろうとしている。さらに消費者物価指数を3%にするためには、マネタリーベースを180兆円程度に拡大させる必要があるとし、ドル/円は108円程度、株価は1万3600円程度になるだろうと試算する。』(上記URL先より)
なお日銀ホームページのトップを見に行けば判りますが、昨日のマネタリーベースは『マネタリーベース 2,555,800億円(2014年10月27日)』となっておりますので、山本先生が指摘する置物シミュレーションを用いますと15兆円程度のMBを拡大すると消費者物価が1%上昇するように見えますので、今のマネタリーベースですと今頃消費者物価は10%位まで上昇しているように思えますがどういう事なのでしょうかねえ。
・・・・・・・・・とまあそういう訳で、今さら何を言ってるんだこの置物はという所ではございますが、そらまあ鳴り物入りでご就任された置物大師匠の理論が単なる空論だった上に結局物価目標達成できませんでしたので辞任しますとなりますと、アベノミクス第一の矢とは何だったのかという話になるので引くに引けないという状況であるので仕方ないですよね!!!!!!
しかしまあ何ですな、まだ2年はやってきていない時期なのですから、普通に考えると「当初に申し上げた話は変わりません(キリッ)」「物価目標達成に向けて順調に推移しています(キリッ)」と話をするのが平常運転クオリティであって、この次にちょっとネタにしますが黒田さんはそういう話を継続しているんですが、早くもこの時期に腰砕けモードになっているという辺りに師匠の弱気化が思いっきり透けて見える所でして大丈夫かねという話でありまする。
まあ何せ引くに引けない状況にある中ですので、執行部からこのような弱気発言が早くも出るという辺りは労農赤軍だったら政治将校に吊るされるレベルの敗戦思想と言えそうな話ですが、まあさすがに強気一辺倒もかなーり苦しくなったなあという所で、折角黒田さんが強気の発言を継続して期待の意地もとい維持に努めているのに副総裁が「弱い輪」となって腰砕けてどないしますねんとゆー所でございますので、就任前の所信表明で示しておられた自信満々の超強気置物理論を少なくとも2年の期日が来るまでは継続して頂かないと何のために石持て追われたのかと麿も嘆いておられるでしょう(違うか)と存じますので我らが置物大師匠におかれましては置物理論が正しいので物価は上昇しますよ何言ってるんですか皆さんアホですか位の意気軒昂さを持って頂きたいというものです(棒読み)。
○黒田総裁の答弁も大概にアレだが
同じ国会答弁ニュースだが総裁答弁より
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKBN0IH08220141028
消費増税先送りなら対応困難、マイナス金利は政策効果=日銀総裁
2014年 10月 28日 12:53 JST
『日銀による大規模な量的・質的金融緩和(QQE)の推進による需給ひっ迫などを背景に短期国債市場では、マイナス金利での取引が頻繁に発生している。この点について総裁は「日銀は格別、短期金利をマイナスに誘導しているわけではない」としたが、マイナス金利の発生自体は日銀による「強力な金融緩和の表れ」とし、「特に問題ではない。金利水準全体の押し下げの一現象」との見解を示した。日銀による大量の国債買い入れでも「国債市場の流動性が低下していることはない」としたが、「国債市場の動向を注意深く点検し、市場安定に努める」と指摘。こうした国債買い入れは「財政ファイナンスを意図したものではない」とも語った。』(上記URLより)
・・・・・・・はあ何を言ってるんですかという所ですが、何らかの問題があるという話をすると金融政策の限界みたいな話になって期待形成に悪影響を与えかねないから問題があるという話をしない、というのならまあ判らんでも無い。
ただですね、これだけ問題ないを連発されますと、そもそもこのオッサンは為替市場には詳しいかも知らんが金利市場知らねえだろとか思う話になる(だいたいQQE導入後もその手のボケ発言をして債券市場を大混乱に陥れたという前科があるし)し、単にシャチョーが個人的に興味が無いというのだけならまだ救いようもあるのですが、一番恐ろしい想像は「市場で起きている現象とその問題について情報がきちんと執行部に上がっていない」とか「そもそも日銀の実務部隊が状況及びその問題について理解していない」という可能性がありそうにしか見えない点でありまして、まさに先の大戦末期を彷彿させる状態であったらもうダメだこりゃという事ですので、そちらの方が恐ろしいのですよね。
『金融政策運営をめぐっては、目標達成の時期として日銀が明言している「2年程度」と、見通しで示している「2015年度を中心とする期間」との整合性を問われた。これに対して総裁は、QQEに「あらかじめ決まった期限はない」とオープンエンドと説明する一方、2年程度を念頭にできるだけ早期に2%の物価安定目標を達成するという「政策の目的は変わっていない」と言明。何らかのリスク要因によって日銀の見通しが変化し、目標達成に必要であれば「ちゅうちょなく」政策調整を行う考えもあらためて示した。具体策は「その時点の金融・経済情勢を踏まえて、必要・適切な施策を行う」と述べるにとどめた。』(上記URLより)
・・・・・・・・ヘッドラインではもうちょっと「順調に進んでいる」とか「所期の効果を上げている」とかいうのが出ていたのですが、まあ黒田さんはどこその置物のように手形の期日が来る前にオロオロしだすような腰の弱さは当然ながら無い訳で、この調子で話をしている上に、短国のマイナス云々も知らんがな状態となりますと、もとより追加緩和云々という話は無い上に、短国買入と長国買入の振替を行う技術的調整で何となく追加緩和に見せかける攻撃のような忍法小手先目くらましの術も出ない、と考えるのが妥当ではないかと思います。
○念の為計算してみたので一応出して置くが皆様のツッコミ待ち
さてさて、金月で輪番の微妙な調整がありましたが、これによって長国買入が何ぼになってディレクティブ的に買い余力何ぼですねんという話があると思いますので一応計算してみた次第(短国はこの前計算したけど週末暇だったらもう一回精査する)。
一応計算根拠を出してみるから皆様もお暇なら検算してちょ。
9月末の長国残高
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2014/ac140930.htm/
長期国債 179,833,485,276
国庫短期証券 49,478,072,770
昨年末の長国残高
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2013/ac131231.htm/
長期国債 141,600,789,368
国庫短期証券 39,795,059,180
ということですから、年末対比で9月末の長国残高は38.2兆円増えております。
今後の増減ですけれども、増加の方は・・・・・・・・
10月:(1年以下)2200(中期)5000*4+6500*2(長期)4000*6(超長期)1300*4+1350(変国)1400なので67250億円
11月は2200+6500*6+4000*6+1450*5+200で72650億円
12月は2200+6500*6+4000*6+1450*5+1400で73850億円
に加えまして9月の最後にやった輪番が10月1日渡しで、これが中短期と長期だったので9000(9022)億円となり、この分が年末までの増加分。
減少分ですが、
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/index.htm/
から9月末の残高を落としてきて、年内償還銘柄を全部足すと65420億円の償還。
あと、まあ微妙なのですが1年以内の輪番に関しては年内償還ばかりが打ち込まれると勝手に仮定しますと(年末越え銘柄は投資家のニーズがあってもってりゃマイナス金利じゃない限り嵌るでしょとは思うが今だと1年近辺を打ち込みに行ってウマー狙いかもしれないので微妙)1年以内の輪番分が2200*3=6600なのでそれを落としておく。
・・・・・・となりますと、昨年末対比の年末着地残高は前年末対比で53.3兆円になりますので、先日はざっくりと余力2兆円とか申し上げましたが、そこまでの余力は無いようで(1年以内輪番で年末越えが打ち込まれるとその分余力は減る)こりゃまた失礼しましたという所です。
なお、この場合長期国債の末残は194.9兆円(簿価ベースと額面ベースだと差分が出てくるので誤差が出そう)になるので、当初に出していた例の紙
→http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf
では190兆円になっているのからするとちょっと足が出るのですがまあそこは誤差ですませるでしょうし、そもそも昨年末時点でのMBが末残で目標200兆円に対して1.8兆円上振れしているので、
→http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mb/base1312.pdf
長期国債残高の増加に関しては前年末対比でやるけどMBは着地270兆円の方で行くとか、まあその辺りは微妙に鉛筆舐めればとりあえず年末目標達成に関しては何とか回るでしょうという感じはしないでもない。
ただまあ年末までのやりくりという意味ではこんな感じですが、来年の事を考えるとパーフェクトに回らない(特に短期)のでどうするんでしょうというのは一番遅くても1月会合(12月までに本当は何とかすべきだが1月くらいだったら従来のディレクティブ継続とか言ってトボける事は出来そうな出来なさそうな)には出さないと市場が止めをさされる(いやまーお前は既に死んでいる状態のような気もするけど)という物なので何とかして頂きたい物です。
ということで、話が微妙に逸れましたが要するに長国買入の調整余地は2兆円は無いですなというお話なのでした。
2014/10/28
お題「輪番超長期早速調整で一旦輪番調整は出尽くしですな/展望レポートプレビュー雑談らしき話」
宮沢さん色々出ますなあ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141027/k10015721811000.html
宮沢大臣 外国人が株式過半数保有企業から献金
10月27日 15時57分
前原さんが大臣辞任になった時に自民党の皆様散々非難していたんですがどうするんでしょうかねえ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141028/t10015744721000.html
有村女性活躍相に脱税企業が献金 全額を返金
10月28日 4時18分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141028/t10015745161000.html
望月環境相 収支報告書に事実と異なる記載
10月28日 4時18分
どうせ出るならまとめて出した方が良いということですかねえ(違)。
○超長期輪番で調整キタコレ
月曜はまあ順当に輪番がありまして、超長期と変動利付国債の輪番だったんですけどね。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of141027.htm
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,100 2014年10月29日
国債買入(残存期間25年超) 350 2014年10月29日
国債買入(変動利付債) 1,400 2014年10月29日
・・・・・・・というオファーなのですが、まあ芸が細かい事に超長期輪番を超長期前半で100億円、超長期後半で50億円と合計150億円の増額というのを実施しまして、市場としても数字が出た瞬間は「超長期増額キター」で先物が上がったりしたものの、額があまりにもしょぼいのでどう反応して良いのか困ったという所ではないでしょうか。
でまあ輪番の結果は増額幅にインパクトが無かったのもあったでしょうし、ついでに言えば(後で申し上げますが)これで目先出尽くしというイメージもあったでしょうし、まあそれ以前の問題として超長期が増発だの絶対金利水準の低下だの他の年限が日銀買入も含めて需給がアホほど良いのに対して相対的に需給が悪いだのとかで超長期があまりパッとしないというのもありまして、結局輪番オペの結果は輪番増額の影響は特段ありませんでしたねという内容となりまして、後場は押し戻されてカーブはスティープ(という程のスティープではないが)の巻となりました。
でもってこの超長期輪番の微修正ですが、ここまで露骨に「微修正でござる」というのも中々珍しいちゅうかこの正直者というかな調整でして、昨日ちょっと申し上げましたように輪番で中短期の買入を月間辺り9000億円拡大する事になったので、買入銘柄の平均残存期間の6-8年の縛りに対して平均残存を調整したいですよという話。
んでもってこの買入年限の調整ですけれども、元々「紙」で示している1回の買入予定額を下に逸脱している(約だの程度だのついているしそもそも目安なので逸脱しているからどうのこうのというのは無いです)長期ゾーンの拡大で帳尻という手も思いっきりある筈なのですが、元々長期に関しては輪番によってカレント銘柄の需給がアホのように締まっているからもう勘弁という話が昔からあったので、長期の輪番を増やしにくいというのがありますな、という説明は一応可能は可能。
ただまあそれよりも普通誰もが思うでしょうが、今回超長期の小幅増額を行ったのは、要するに「買入平均残存年限の調整はします」が「額については先週金曜にやった分で目先打ち止め」というのを思いっきり示しているというのが今回の超長期輪番増額でして、これなら月に6回の買入ですから来月からの買入額自体は超長期分では900億円しか増えないので、残高ベースで言えば誤差の範囲内みたいな話になります。
まあ何ですな、別にこの変更自体に特段の政策的インプリケーションは無い筈(そもそもあるなら短国買入による市場破壊行為も政策的に意図して実施しているという事になるのでそれはそれでそこら中からカチコミが飛んでくるでしょ^^)ですが、一応読み取れるのは「できればこれ以上長期国債の残高拡大ペースを上げたくない」という話で、一つには短国買入や固定金利オペなどのその他部分が想定通りに行くかについての不確実性があるのでバッファは取っておきたいというのがあって、もう一つとしては出来るだけ当初の形での着地をしたいというのがあるでしょうから、毎度おなじみの小出し作戦になったという所でしょうし、あとおまけするとなれば、そもそも日銀の旧来のDNAが出てきて長期買入をロット的にあまり増やしたくないというのもあるでしょうなあ、とまあそんな感じで。
つまりですな、足元で短国買入が行かなくなるヘッジで中期を今後2兆円ほど増やしてくるという話になるのですが、それ以上にホイホイ増やすというのは行いませんよってえのが見え見えとなるプレイが今回早くも出たという所で、もうちょっと買入状況を確認してからどうするのか考えるのかと思ったのですが、この出し方を見ると最初からこの積りだったという話で、まあそれはそれで良いちゃあ良いのですが、もうちょっとこう柔軟性というか様子見ながらどうこうって事にならんのかねえと。オペ自体が市場に相当ストレス掛けるような内容になっているのは政策委員会が無茶な政策を実施しているからなのですが、それに対してもうちょっと運用の所で緩和できないのかねと思うのですが、真っ正直に突っ込んでいった挙句に収拾に追われているという風情を出してしまうのもちょっとねえとは思います。
なお、勝手な想像をしますと短国買入の進捗が思ったよりも順調だったら中期の買入を下げるのではないかという可能性は無いではないとは思いますけれども、少なくとも短国買入に関しては9月末の40兆円弱残高の時点であの価格形成であった事を考えますと、買入残高が43兆だの44兆だのになったら(一応中期を2兆積み増したからその程度あれば大丈夫でしょうかねえ)やはり短国市場の需給的にはストック効果が結構効いている状態だと思いますので、金利が上がるにしてもプラスに戻ってああよかったですねえ程度の話にしかならんと思われ、それよりもマイナス金利でホイホイと買い進めることに対してもさすがに不味かろうという話になった結果が今回の調整であると理解しておりますので(そうじゃなかったら笑うしかないが)、まあ短国買入は当初想定よりも若干減る(ただし9月末対比では兆円単位で増えるので需給は別に緩和されない)という事になるんじゃないですかね(よって年内はこのペースで継続)。
○しかし来年どうするんでしょうかねえ
ということで年内は当面今回微調整したペース(しかし超長期150億円というのは気持ちは判るけど先週金曜の2兆2500億円という刻みも含めましてビンボ臭さとか小役人臭を市場に与えると思うのでもうちょっと考えた方が良いと思う)で行くという所だと思いますし、年内はまあ何とかこれで回るんでしょうなあとは思います。
で問題は小見出しの通りで来年どうするのよという話でございまして、短国の残高積み上げがどう見ても無理だし、その他で年間20兆円として3か月で6兆円位積まないといけないという話になりますが、3月末と言えば決算期末だというのにその時点で日銀の短国買入残高が50兆円とかどう見ても無理(そらまあマイナス100%でも200%でも買えば回りますけれども、そうなりますと短国の入札がマイナスで買入レートが超マイナスとかいう最早何のためにオペを実施しているのかさっぱり判らない状態になるのは明らか)ですので、いずれにせよ来年のオペを今のディレクティブ通りに実施するのは困難と思われます。
#ここでタチが悪いのはシャチョーさんが別に買えば良いじゃない位の話しかしていない所ですがその話はさておきます
でまあそうなりますと12月会合の時点ではディレクティブの表現について何らかの手直しを行う必要があって、建付けとしてマネタリーベースが効果を出してインフレ期待が高まって実質金利が下がると消費や投資が促進されて回りまわって物価が上昇しますという置物直線一気理論によりますと物価目標が行くまでマネタリーベース拡大することに意味があるのでオープンエンドで実施、という話になりますので、その建付け上MBの拡大ペースはそのまま60〜70兆円で行くとなりますと、長期国債買入ペースを若干拡大するのか、それとも「約50兆円」を継続しながら50兆円の範囲内で54兆円ペースにして、その他の部分では出来上がりを60兆円にして6兆円で何とか凌ぐとかまあそんな話でとりあえず誤魔化すかという話をするんでしょうかねえ。
それにしても短期もそうですが、今の調子で長期債の買入残高を拡大する方も恐らく無理があって、既に5年以下のゾーンとかの金利は向こう5年くらいゼロインフレなのかよというような金利水準になっていて、日銀の買入効果がでまくっている(短期が潰れているのも影響しているが)次第ですが、これ以上ストック増えて行った時に短国市場で起きているような事がいつ起きるのやらという感じもする訳で、そもそもこのMB拡大政策自体がフィージビリティ的に3年も4年も継続する訳にはいかないペースだと思われますので、実際問題として来年もこのペースでMB拡大とかしたら短期市場だけではなくもっと災厄が増えそうには思えますのでどうなんでしょうかねえとは思います。
○とは言いましてもまあ引っ込みつかないでしょうなあという残念な雑感
とまあ現実的な話をすると、そもそも論としてマネタリーベース馬鹿拡大政策自体が3年も4年も続けられるものではない、でも2年なら何とかなるでしょ、とか思っていたら2年を待たずしてフィージビリティーの限界に到達したでござるの巻となっている訳ですが、何せマネタリーベース拡大2倍2倍の直線一気理論で始めた政策でありまして、しかも白川さんの時のドクトリンを盛大に否定して過激に開始してしまった以上引っ込みがつかなくなっているというのが足元で見られる現象ではないかと思います。
でまあその感を極めて強くしたのが先日来申し上げていますが先般のさくらレポートでございまして、アベノミクスの恩恵が地方まで行きわたっていない!とか地方創生!とか言っている最中だと言うのにさくらレポートでの景気判断は前回対比ヨコとは言え内容的には強い物(仙台支店を除く)となっている辺りが主上の宸襟を煩わせる訳にはいきません状態になっていると申しますか、台湾沖航空戦大戦果報告と申しますかな状態を思わせる所でありまして、まさに先の大戦末期での状況もかくあらんという所であります。
となりますとこれがまあジャパン的組織のアレな部分で、「何らかの強力な力で方向性が出来てしまうと反省も何も無くそのまま突き進んでしまう」というクオリティが見事に炸裂しているのが今の状態ではないかと思われるところでして、今この時点で退却だの戦線縮小だのというのがジャパン的組織の日銀に出来る訳も無いですし、大体からして政府と共同戦線張っている中で勝手に単独講和とか日銀に出来る訳でも無くという事になりますと、恐らくは「本土決戦して水際で一撃を与えれば」とか言う状態になってもまだ引っ込みがつかないでしょと思う次第。
でまあその手の理屈として暫く前から特に置物方面あたりと見られますが議事要旨とかこの前の置物会見でもあったと思いますがある話としては、「物価に関しては個別要因でああだこうだというのではなく、重要なのはマクロの需給ギャップ動向と期待インフレ率の動向を観察する事(キリッ)」というのがあります。
つまりですな、足元での物価上昇再加速が遅れているのは、あくまでも個別の一時的要因や、為替の部分などの需給ギャップや期待インフレというようなマクロ的な部分では無い点が影響しているのであって、重要なのはマクロの要因でありますよああそれで需給ギャップなんですけどご案内の通り労働市場の需給がタイトになっているようにギャップは改善からプラスの方向に着実に向かっていますし、インフレ期待は全体として上昇していますので何の問題もありませんがなという説明が出てくると思います。
そうなりますと、足元で原油価格が下がっていて物価が1%割れとかいう話が出てきて何かが出てくるみたいな話というのは日銀の今の一億一心火の玉で撃ちてし止まんの中では聞く耳をそもそも持たないというのが結論になりますので、追加緩和とかお前は何を言ってるんだという話になると思いますけどどうなんでしょうかね。
いやね、べき論的に言えば結局壮大な実験やったけれどもマネタリーベース直線一気理論は理屈の上ではアリエールであっても、現実としての政策に置いた場合には空理空論であったということがこれだけ散々やって明らかになっただろうという所ですので、黒田さんと師匠のクビ(黒田さんは場合によっては勘弁しても良いが)を土産に退却モードに入って頂きたいと存じますけれども、そのような単独講和モードは不可能という状態ですので予想しろと言われますと「とりあえず12月までは今のまま意地汚く粘る」「来年のMBの数値目標みたいなのは出さないで有耶無耶のうちに継続」「2015年度に達成と言っているのでいずれにせよ来年の夏場から秋口には手形の期日がやってくるし、そもそもそれ以前の2年の所でも揉めるでしょ」という予想しかできませんなああっはっはという所で。
○ブルームバーグがまた飛ばしてますなと思ったら日経も朝刊で触れているようですが
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NE3FA46TTDS301.html
日銀「年度後半の物価上昇」撤回検討、15年度2%達成は維持
更新日時: 2014/10/28 00:01 JST
『10月28日(ブルームバーグ):日本銀行は31日に公表する経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、消費増税の影響を除いたベースでみた消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の前年比が「今年度後半から再び上昇傾向をたどる」という見通しを取り下げることを検討する』(上記URLより)
ということで見出しはインパクトあるのですが、冷静に考えますと声明文(および金融経済月報)での物価見通しが相変わらず「暫くの間、1%台前半」という風になっておりまして、暫くの間が意味するのが半年程度という事になっていますので、そもそも事実上「年度後半の物価上昇撤回」は行われている訳で、あとは展望レポートの文章にどう反映させるかというだけの話で、何かの新たな判断が入るという話ではありません。
でもってこれによって何か政策的に変更があるかと言いますと、まあ白川さん的なグラデュアリズムですと技術的な調整みたいな話での小出しな短期減らして長期増やす的な話をする可能性はありますけれども、黒田さんの退かぬ!媚びぬ!のスタンスだとまあ普通に考えて何もないんじゃネーノとい
ところかと存じますがどうでしょうかねえ。
結局の所先ほど申し上げたような「そもそも需給ギャップ動向と期待インフレ率の動向が重要なので目先の区々たる個別物価の話をしてもシャーナイナイ」という一般物価という意味では確かにそらそうですなという理屈を繰り出してくる(つまり個別物価で何かの価格が下がったとしたらその分全体としての需要拡大に繋がるのだから一般物価的にはツーペーでしょという話ですかね)ので、個別の財価格がどうのこうのの話をしても想定問答的に全然噛み合わないという話になると思いますので、まあ今回の展望レポートでメカニズムが崩れているという話でもしない限り(なおそれは敵前逃亡の単独講和になって政府(というかアベノミクス)の梯子を盛大に外す事になるので日銀が絶対に出来ない)今回は意地汚く現状の見通しを維持するでしょ「全体的なメカニズムは変わっていない」とか言いながら。
なお相変わらず聞く相手間違えていると思われるメンバーが多数混入している(誰がとは言わないが)ブルームバーグサーベイ関連記事はこちら。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NE3BRH6SETC201.html
高まる追加緩和期待と日銀への不信感、強気姿勢は賞味期限切れの声も
更新日時: 2014/10/27 15:38 JST
まあこのサーベイ自体どうでも良いのですけれども、そもそも昨年4月の時点でマネタリーベース馬鹿拡大の政策に対して置物直線理論とかマッカラムルールとか言って盛大に評価していた方々が追加緩和とか言い出すのを見ると実に見苦しいと申しますか、昭和20年8月15日を境に手のひら返しをしたあんな組織やそんな人などのようで実に遺憾にも程があるので置物直線理論崩壊と共に崩壊して頂きたいものだと強く祈念いたします。
しかしまあ何ですな、結局今回もすべてが消費増税のせいになりそうな勢いなのですが、そもそも昨年度の景気拡大には消費増税がビルトインされた形での財政拡大や駆け込み需要がありましたし、今年度のベア復活にも当然ながら消費増税やそれとセットの法人関連税制措置が影響していた訳で、良くなった方は消費税関係なくてコケた方だけ消費税ガーとかこいつら馬鹿じゃねえかとしか思えん(いやまあアタクシも馬鹿ですけれども馬鹿なりに考えますと今回の消費増税前後の施策って再分配の部分でも中間層直撃な動きだったし、その上物価押し上げ政策やっているのですから、そら中間層直撃になっているのだから消費が失速する罠と思うのですがよく判らん)のですけど、まあその辺のレビューなども含めてこれから色々ときちんと検証して欲しい物です。
なお「期待に働きかける政策」を実施しているのですから、皆様におかれましては神州不滅を信じていればもしかしたら神風が吹いて2年で2%も達成するかもしれないですよ!!!!!!!(白目)
#なお今年の4月頭の時点では確かに今頃には物価が再度上昇傾向強まるとアタクシも思っていたのでまあそんなに威張れる話でも無いと言ってしまえばその通りですけどねorzorzorz
2014/10/27
お題「長期国債買入への振替キタコレ!!!/FSRの不動産向け貸出の記述が味わい深い件について」
ほうほう。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NE1V406K50XU01.html
ECB包括的審査:25行が不合格−合計250億ユーロの資本不足
更新日時: 2014/10/27 04:56 JST
2割が不合格とは大体ありそうな話ですが予定調和あわわわわ。
○短期が買えないなら長期を買えばいいじゃない早速キタコレ!!!
・中期輪番増額キタコレ!!!
さてさて、木曜に驚愕の短国入札マイナス(しかもギリギリのマイナスではなく明らかによーしパパ日銀買入狙いで特攻しちゃうぞーって人がいそうに見える(いるとは言ってないので念のため申し添えます^^)水準のマイナス金利)を受けて日銀買入どうなりますねんという所でしたが、短期だけではなく長期債の人も注目する10時10分がやって参りまして・・・・・・・
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of141024.htm
国庫短期証券買入 22,500 2014年10月28日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,500 2014年10月28日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,000 2014年10月28日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2014年10月28日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 15,000 2014年10月28日 2015年2月6日
なお固定金利オペは実際は午後のオファーですがその話は後ほど。
・・・・・・・・・・ということで短国買入が2.25兆円というまたまた謎の刻み投下という感じで、何じゃこの刻みはという所ですが、輪番の方でオファー額の変更キタコレで債券市場がウヒョーの巻となった訳ですな。
つまり中期債輪番の所で、買入予定額が前回までの「1-3年3000億円、3-5年2000億円」から上記のように1-3年を500億円、3-5年を1000億円ということで、合計で1500億円の積み増しを行って参りましたので、そらまあ債券市場はヒャッハーですよ先生という所で、10年カレントは0.460%(1.5強)つけるわ2年カレントはまたまた0.010%(1.5強)をつけるわという動きでございまして、まあ引けではだいたいパラレルですけれども現実に日銀買入の拡大という需給材料が入った中短期の方が強いという感じになっていましたな、うんうん。
ということで「短期が買えないなら長期を買えばいいじゃないかbyマリーアントワネット」攻撃キタコレという話なのでそらまあ債券市場確りになりますなというお話ですが、今回は長期の買入は増やしていませんで、超長期の輪番については今月分の残り1回があるのでどうなるか判らんのですが、こちらも注目されるでしょうなあという所です。
・短国買入の方は意図的に調整したのか単に札が無いのかが良く判らん
でまあ短国買入の2.25兆円ですが、まあそもそも論としてどうせヒアリングしてその結果で打ってくるでしょう特に今回2回連続で短国買入札割れでもしたらそらもうエライコッチャになりますがなという所ではありましたので、オファーが入った途端にまあ札割れはしないんでしょうなあと思いながらも何ちゅうかこう微妙な感じのする数値としか申し上げようが無かったですな。
でまあ結果の方ですけれども・・・・・・・
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba141024.htm
国庫短期証券買入 33,727 22,501 -0.008 -0.002 1.3
(短国買入だけ引用しています)
ということで、札が3.3兆円ある中で2.25兆円のオファーで、足切りは8糸強まで入っているのでまあこれはこれで応札がこの程度だったら流れるかねという所ですが、札が3.3兆円の所で2.25兆円のオファーというのが、例によって例のごとくで「買入はできるだけしたい」けれども、「さすがに今回は絶対札割れできない」という相克の元で出てきた買入予定額が2.25兆円という刻みに現れているという所ですな。
・・・・・・・・・・というのは判るのですが、この「というのが判る」というのもまあ時と場合によりますよねえという所ではありまして、確かに昨年の4月とか5月に従来の動きを大きく上回る輪番オペをおっぱじめた時にオペの予見可能性が全然無くて債券市場が暴れて困りますがなというような事案もあったので、そういう過去の論点から考えるとまあ今の短国買入の入れ方は10月頭の札がギリギリなのに3.5兆円買入攻撃以来(というかその前から)ヒジョーに判りやすい動きをしていて、結局今回の動きもそれに沿っているなあという所なのですよ。
でまあオペの予見可能性というのはそらまあ全く分からないとそれはそれで市場が文句言い出しそうな話ですが、今の短国市場のように市場のキャパシティ限界一杯に近い所(あるいはキャパオーバーな所)までの買入があって、既にストック効果が出まくっているという状況になりますと、オペの予見可能性の高さは「買入オペの足元を見た市場の動き」という(金曜の日経朝刊本紙では「投機的な売買」とか中々の指摘がありましたなあ)ものを誘発するリスクがありますし、しかもそれが極端な所に逝ってしまうと先週の短国入札マイナスのように普通の投資家が市場から排除される(普通そういう事にならないが日銀の買入ストックが大きいのでそうなる)ような極端な価格形成となるリスクもあるという所なのでしょうな。
つーことで、何ちゅうかその2500億円って何とかならなかったのかよという風には思う所で、いやそれなら別に2兆でも2.5兆でも良いから5000億円刻みでやっておいてよとゆー話でして、大変にいじましいというかビンボ臭いものを感じるので2兆とかの買入の時に2500億円で刻むのやめえと存じますがね。
まあそれは兎も角として、まあ今回は札割れ回避でちょっと調整してきましたが、この2500億円という刻みを見るに「隙あらば買入積み上げ」というのは見え見えという所でもあろうかと思うので、中期を増やした辺り工夫の跡はみられますが、工夫というよりは運営厳しくなっている結果でもあるのかなあとか思うのでした。
なお、実を言うと前回の短国買入が札割れしていて、札割れ分が3800億円程度なので今回刻んだとかいうような話での刻みであった、という斜め上の可能性も無い訳では無い。
・ところで短国買入の残高とか長期の残高とかの件
さてまあ短国買入についてですが、9月末の短国買入残高のうち年末越えの残高が19.8兆円となっておりまして、年末の時点での残高としてバッファも見た場合に必要になりそうな要積み上げ額は出来上がり45兆円弱で置いて残り25兆円弱という数字になります。
でもって今月の短国買入はここまでが3.5+3.5+2.62+2.25なので12兆円弱の買入になるのですが、惜しい事にこの期間の短国買入は12月償還銘柄も買入対象になっていて、ど〜せ9月末の残高調整玉として買われていた年内償還物が打ち込まれていると思われまして、残念ながら12兆円まで進捗していないと思われます。
#というかこれだけ露骨な事やっているんだから買入対象銘柄で12月償還とか最初から外しておけば無駄な買入フローをしないで済んだし日銀買入が無い銘柄で期末ニーズ剥落分の玉が出てくれば需給もうちょっと緩和されたんじゃないでしょうかねえ
で毎度の話ですが進捗状況は月初になって出てくる短国買入銘柄別残高をみないといけないのですが、ざっくり考えて最初の方の買入(2回目とか応札多かったし)では結構年内物も入っていたと思われますので進捗9兆円位で仮に置きますと、11月12月で残りの買入必要額が16兆円とか結構厳しい数値が出てきますな、うんうん。
でまあそうなりますと長期の買入をもうちょっと増やしてヘッジしておきましょうねという話になります(CP買入とかも期近物が打ち込まれるので意外に残高維持が難しい。ただしさすがに兆円単位でぶれる話では無いが)ということで長期の買入が増えましたねという話ですな。
でまあその長期ですが、今回中期の買入が1500億円拡大となったのですが、中期の買入は6回あるので月に9000億円予定を上振れる計算になりますが、残りが2か月ですから全部足して(今月はあと1回中期の買入がある筈)2.1兆円の買入上振れとなりまして、まあこれが入ると着地に向けて結構楽になるかなという所です。
ではその長期の買入ですが、一応年間の買入拡大は50兆円という事になっているのですが、この50兆円に関しては(声明文のディレクティブを参照してちょという所ですが)「約50兆円」という事になっていますので、一応四捨五入して50兆円になる数値だったら現場の裁量で調整可能という建付け(の筈)でして、従いまして今回のマリーアントワネット攻撃は特段の声明文変更なども必要ない部分になります。
あともう一つ、長期国債買入に関しては「平均残存年限を7年程度」と記述していますが、これは6年〜8年の範囲内という建付けになっていまして、さて中期の買入を拡大した時にこのレンジを下にぶれないでしょうかねえというのはありますが、まあ今回相対的に札がありそうな(2年新発があるから)1-3年ではなくて、3-5年の買入額の方が増えているのは、平均残存年限の逸脱について気にした結果なのでしょうなという所です。
でまあ年限が逸脱するかどうかは入った札を見ながら日銀の方で考えると思うのですけれども、中期の買入で2.1兆円の上振れとなりますと、残りのバッファが2兆円程度になりますので、短国の残高積み上げが厳しいとなるともうちょっと買入の拡大という話にはなるでしょうけれども、平均残存年限の方もどうするのかとか悩ましそうですな。
量を伴うという話なら長期を増やす話でしょうし、量は伴わないけれども平均残存を微修正するという話でしたら超長期の可能性も無くはないかなと思いますけどどうでしょうかね。
・固定金利オペである
金曜の固定金利オペ結果である
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba141024.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(10月28日スタート分) 10,031 10,031
(固定金利オペのみ引用)
今回のオペは数字を見ればわかりますように昨年のシグナルオペのなれの果てのロール分になりますけれども、足元の短国市場ヒャッハーなので札入るかヒヤヒヤしましたが、折り返し元が11711億円で今回が10031億円なので1700億円程の減少で、また減りやがったなという所ではあるのですが1兆円台に乗っていると見た目だけは安心しますな(^^)。
なお、木曜に実施された固定オペのロール分ですが、こちらは4000億円の落ちに対して4071億円なのでほぼ同じ水準という事になったのですが、まあ落ちるには落ちていますので、こちらの残高推移というのも気になる所ではありますし、短国マイナスで買えない状態(物はあるのだがマイナス金利というのはそもそもの運用資金がどこかから調達(預金なり投資信託なり年金なり)している投資家からしますと確定利回りマイナスというのは運用者としての忠実義務的に極めて微妙なのでマイナスはどうもねえという話だからオファーがマイナスなのは無いのと同じ)なので担保繰りの問題が起きてくると固定オペロール大丈夫かというのは気になります。
まあそんなのもあるから長期国債買入の方でとりあえず2兆円、いざとなったらもう2兆円程度は調整余地があるので調整してきたという所でしょうが、固定オペについても注目ですよ。なお水曜日に月末エンドのシグナルのなれの果て9730億円のロールがあります。
○金融システムレポートにおける不動産関連部分の説明が非常に滋味が深い件について
すっかり遅くなりましたがFSR
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr141017.htm/
金融システムレポート(2014年10月号)
概要と全文はこちら(割と重いので注意)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr141017b.pdf(概要)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr141017a.pdf(全文)
でまあ今回も読み物としては面白いので折に触れてネタにする所存なのですが、今朝は数字を確認しながらオペの部分をああだこうだ書いたので時間ががががとなってしまったのでこれ読んでいて実にこう違和感というかアレな感があった部分だけネタにしますね!!!
以下本文より引用します。
『はじめに』という鏡の所にこんな記述があるのですがね。
『分析面では、@不動産市場の状況に関する詳細な検討、A個別行データを用いた金融機関のポートフォリオ変化に関する実証研究、B金融機関の資金流動性リスクに関する分析の拡充、C海外貸出や信用リスクアセットの決定に関するマクロ・ストレス・テストの改良、などを行い、内容の充実を図った。』(本文1ページ、ファイルの3枚目より)
本文16ページ辺りから引用しますね。
『第三に、不動産業向け貸出は、引き続き、緩やかな伸びにとどまっている。上述の通り、貸出全体の増加額に対する寄与は引き続き相応に大きいが、伸び率自体は、前回の増加局面である2006
年頃に比べればかなり低めである(図表III-1-18)。不動産市場では、都心部や大都市圏の一部で需給がタイト化し、高額取引も出てきているが、2006〜2007
年頃のような地域的広がりはまだみられていない。地価上昇の程度や広がり、大規模土地取引件数、キャップレートなど、様々な関連指標でみても、2006〜2007
年頃のような水準には達していない。金融機関の不動産業向け貸出は、こうした不動産市場全般の状況と概ね整合的と考えられる(不動産市場の状況については、BOX
2 を参照)。』
でまあBOX2というのは後ほど引用しますが、認識としては全体としては問題なしという事ですけど・・・・・・・
『不動産業向け貸出の伸びは、引き続き、業態や地域による違いがみられており、相対的に地域銀行、地方圏の伸びが高い点は、半年前の本レポートから変わっていない。大手行では前年を下回る状況が続いているが、地域銀行では個人やその資産管理会社等による貸家業、不動産業者向けの貸出の伸びが高まっている(図表III-1-19)。』
ここでまず引っ掛かる訳で、不動産市場の需給がタイト化しているのは都心部や大都市圏の一部なのに何故不動産業向け貸出の伸びが地域銀行や地方圏で高くて大手行では下回っているのかと。
『貸家業向けが増加しているのは、需要面では、高齢化や単身世帯の増加に伴い都市部への移住ニーズが高まりつつあること、供給面では、今後の相続税制の変更等を念頭に、土地所有者等の資産活用意識が強まっていることが背景とみられる。』
ちょwww都市部への移住ニーズが高まりつつあるのに何で地域銀行で貸家業向け貸し出し伸びてるねん。
『地域別にみると、三大都市圏より地方圏の方がこのところ全体の伸びに対する寄与を高めている(図表III-1-20)。九州では、福岡などの都市部への人口流入からオフィスビル・商業施設や住宅向けの貸出が、東北では住宅移転需要や都市部の再開発等を反映した貸出が伸びている。』
ということで最後には個別の地域的な話をしてサラサラ読んだ場合の最後の印象をマイルドにしているのですが、この書き方って特段のアセスメントしていないけど「不動産市況の動向と不動産関連貸出の伸び方が整合的でない」というのを記述しないでも読む人に判るように書いているだろとゆー大変に滋味の深い所ではあります。
ついでにこの続きになる本文18ページのBOX2を引用しましょう。図表が本文にはあるのでご覧あれ。
『BOX2 不動産市場の状況について』
『ここでは、不動産業向け貸出の背景となっている、不動産市場の最近の動向について確認する。最近の不動産業の業況をみると、他の産業と概ね同じ動きとなっており、過去の不動産ブームの時期にみられたような、不動産業に偏重した動きは生じていない(図表B2-1)。不動産の取引動向を確認するため、大規模土地取引の件数をみると、物流施設や発電施設などを含む生産施設関連などを中心に増加しているが、資産保有・転売目的の取引については、現時点では大きく増加してはいない(図表B2-2)。』
ほう。
『次に、不動産価格の動向を確認するため、都道府県別の商業地価上昇率の分布をみると、中央値についてみれば、足もとの水準は2000
年代中頃の不動産ブーム期に近づきつつあるが、分布全体の動きをみると、1980
年代後半や2000 年代中頃にみられた分布の上方への広がりが、現在は観察されない(図表B2-3)。すなわち、現時点では、不動産ブーム期に典型的にみられたような、一部大都市に偏った商業地価の上昇が生じていない。もっとも、東京に限って、商業用不動産(土地、建物)の個別物件ごとの取引額の分布をみると、2006〜2007
年時ほどではないものの、高額物件の取引が幾分増加している様子も確認される(図表B2-4)。』
微妙に一部がヒャッハーというのを控えめに表現ですねわかります。
『不動産の需給環境について、東京のオフィス空室率をみると、リーマン・ショック前と比べれば依然高水準であるが、このところは低下傾向が明確化しており、オフィス賃料は、需給の改善を受けて、新築ビルを中心に上昇している(図表B2-5)。』
うむ。
『この間、将来の賃料収入を見込む形で不動産ファンドの取得する物件価格は上昇しており、J-REIT(不動産投資信託)のキャップレート(賃料などの分配金を投資口価格(J-REIT
の時価)で除した値)は低水準で推移している(図表B2-6)。もっとも、キャップレートを要因分解すると、現時点における分配金要因の上昇幅と投資口価格要因の上昇幅はいずれも、2006〜2007
年頃と比べれば限定的であり、キャップレートの水準も、当時ほどには低下してはいない。』
ということで直前のヒャッハーはまだ見られませんと。
『J-REIT の資金調達面では、資本調達、金融機関借入がともに増加しており、調達額は高水準となっている(図表B2-7)。こうした多額の資金調達を背景に、J-REIT
の物件取得額は、2013 年以降、大幅に増加し、2006 年頃のピーク時とほぼ同水準となっている(図表B2-8)。もっとも、最近におけるJ-REIT
の物件取得は、私募ファンドからの既存物件の取得が多く、不動産ファンド全体の市場規模は、2006〜2007
年頃とは異なり、このところ大きくは増加していない(図表B2-9)。』
「私募ファンドからの既存物件の取得が多く」という辺りに微妙な香りも感じますがまあそれはそれ。
『以上を踏まえると、不動産市場では、個別にみれば高額物件の取引なども増加傾向にあるとはいえ、全体としてみれば、これまでのところ過熱感はみられていないと評価される。』
という結論になっているのでした。まあ不動産市場そのものに関してはそれほど過熱みたいな話にはなっていないのですが、その前にある不動産向け貸出の市況との整合性の辺りがひじょーに気になる所ではありまする。
2014/10/24
お題「短国入札平均落札利回り初のマイナスで論点を整理(といいつつ悪態ですが)しておきましょう」
短国入札マイナスの結果が出る前に出た宮沢センセイのアレは殺伐とした短期金融市場に一陣の笑い(または嘲笑)を引き起こしたとしか申し上げようがありませんですが、あたくしも宮沢先生を見習って老骨に鞭打って頑張らないといけませんね!!
・・・ってだいぶ間違っていますかそうですか(なおその手の趣味はございませんので誤解無きように)
などというギャグでも頭に挟まないと血圧に悪いのが短国入札ネタ。
○平均が100円の2つ上だと?????
でまあ注目の昨日の3M短国入札ですが、朝からWI取引でマイナス0.5bpとかのビットが入っているからまたこれは碌でも無いアオリイカとか思いつつも不穏な流れでありましたが、前場引けの時点ではベンダーとかのフラッシュでも100円足切りかもみたいなのが出ていてうーむという感じでしたが蓋を開けたらこの有様ですよ。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20141023.htm
(1)応募額 52兆1,052億円
(2)募入決定額 5兆2,576億8,000万円
(3)募入最低価格 100円00銭0厘0毛 (募入最高利回り)(0.0000%)
(4)募入最低価格における案分比率 4.2781%
(5)募入平均価格 100円00銭1厘0毛 (募入平均利回り)(-0.0037%)
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)(;゚д゚)(;゚д゚)(;゚д゚)(;゚д゚)
えーっとですね、最初これ見た時に平均100.0001だと思って、ああそうか100円の落札が4兆円あって100.0005(3M短国入札では応札の刻みが0厘5毛)の札が1兆円入ってしまったのかしょーがねーなーと思ったのですが、それこそ(つд⊂)ゴシゴシしてみたら何と平均落札価格が1厘まで来ているってそれだとオーバーパーの札でしかも1つだけ上(按分読めなくて仕方ないので商品在庫確保を優先というのはアリエール)の札が入って平均がオーバーパーになってしまいましたテペヘロというような可愛い(可愛くも無いが)話では無くて、100円超の3つ目とかの所に思いっきり確信犯(という使い方は日本語表現的に誤用なんでしたっけ)で入れてきている札があってその結果がこの有様というのがナンジャソラという所。
いやまあ100円応札で切れるというのはまあ昨日の地合いだと仕方ないのかなあと思いますが、100円超で刻みが2つ3つ上の所で落札するというのはこらまた露骨に日銀オペ狙い過ぎな上に、毎度申し上げておりますように期末でも無く担保玉がそこまで逼迫している訳でも無く為替ベーシス絡みが大してワークしている訳でも無いという状態の中ですから、マージナルな部分での買いはあっても普通の投資家の買いがあるとは思えない状況。
ついでに申し上げれば昨日のTKRRは上昇していましたので、そもそも昨日の短国入札を実施する前の時点でもGCレポによるファンディングニーズはある訳で、9月末のように投資家の様々なニーズがあって在庫が払拭しているという状況ではないと思われるという市場動向(まあ偏在していたのは先週の札割れを見れば判りますが)でして、そんな盛大にマイナスの所まで応札を突っ込んで行く必要があるのかよというか、そのレートで落札とか投資家と売買する気あるのかゴルァ!という所でございますが、何せ日本銀行様におかれましては普通の投資家と違いまして、確定マイナス利回りという素敵な水準でも国債をご購入される訳でして、しかもその方が物凄い勢いでご購入されると来ましたら、そんな太い上客がいるならそっちに売るわグヘヘヘヘってなもんでしょう(白目)。
まあ何ですな、投資家のロジックとしては普通に考えますとお客様からお預かりした資金を運用するのに確定マイナス利回りのモノを購入するというのはお預かりした資金の利回りがマイナス利回りでも無い限りよーできませんなと思いますが、何せ日本銀行様の場合はお預かりした資金を運用とかいうような概念ではありませんので、そらもうマイナス100%でも200%でも良いんでしょうねえその原資って統合政府なんだから最終的には国民負担じゃないのと思いますけどねえ(迫真)。
○しかしここまでのマイナスというのはどう見てもオペのせいですがそれで良いのかという悪態
・・・・・・・とまあそんな訳で、昨日はついに入札段階でもマイナス利回りという素敵な事態になってしまい、宮沢大臣のオモシロ政治資金で広がった一陣の嘲笑を打ち消す殺伐とした流れとなった訳ですが(まあそれよりも「あ〜あ〜あ〜」という感じでしたけど)、マイナス金利が確かに継続しておりましたけれども、今回の入札は従来のマイナス金利状態とはまたステージの違う話で、やはりちょっと問題が深い話だと思うのよ。
つまりですね、ここまでの短国入札って「入札段階では一応プラス金利でスタート」となっていた訳で(先週の3M入札は100円未満の札で一番高い所になる99円99銭9厘5毛で半分の按分という掛かり方をしたのでマズー感はありましたがそれでも一応アンダーパー)、入札のプライマリー段階では投資家が入ることも出来たのですが、今回の場合は入札プライマリーの時点で足切り100円(しかも超極薄按分で満額札入れて3000億円位しか落札できないという状態)で平均がマイナス利回りになっているので、そもそも(マージナルな部分でのニーズ以外の)普通の投資家を入札の段階から排除した状態になっているというのが一段(どころか数段)ステージがおかしくなっている訳ですよ。
いやまあ業者も商売やってるんだからそらまあより太い上客がいて、その日銀という名前の上客がホイホイ高値を買ってくれるというのなら他の投資家なんぞは知らんがなというのも目先の商売という意味ではそらまあそうかも知れませんけれども、ここで国債市場特別参加者制度の趣旨を確認してみたいと思います。
http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/pd/index.html
国債市場特別参加者制度
『国債の大量発行が今後も続くと見込まれる中、我が国では平成16年10月以降、「国債市場特別参加者制度」を導入しています。これは、欧米主要国において、国債の安定消化促進、国債市場の流動性維持・向上などを図る仕組みとして導入されている、いわゆる「プライマリー・ディーラー制度」を参考としています。』
ふむふむ。
『この制度は、国債入札への積極的な参加など、国債管理政策上重要な責任を果たす一定の入札参加者に対し、国債発行当局が「国債市場特別参加者」として特別な資格を付与することにより、国債の安定的な消化の促進、国債市場の流動性の維持・向上等を図ることを目的としています。制度の概要は以下のとおりです。』
>国債の安定的な消化の促進、国債市場の流動性の維持・向上等を図る
>国債の安定的な消化の促進、国債市場の流動性の維持・向上等を図る
>国債の安定的な消化の促進、国債市場の流動性の維持・向上等を図る
・・・・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー
でまあ当然ながらその概要にありますが、『特別参加者の責任』という所にこのような記述があります。
『・流通市場における責任: 国債流通市場に十分な流動性を提供すること。』
・・・・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー
・・・・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー
・・・・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー
ええまあマイナス利回りでも国債流通市場で盛大にニーズがあって飛ぶように投資家に販売が促進されていて、その結果としてGC市場や現先市場でも玉がスッカラカンになっていますよもう大変ですよ、という状況であるのでしたらまあマイナス利回り入札も仕方ないですねという話ではあるのですが、昨日の入札後のスポットスタートのGCとか現先市場の状況(と言っても別にアタクシが全部把握している訳でも無いのであくまでも個人的な印象に基づきますが)とかも参考にすると、マイナス利回りで入札された新発短期国債が流通市場で盛大に流通しているとは思えませんがどうなんでしょうかねえ。
でまあ仮にですよ、仮に一部の方が確信犯(誤用)で日銀オペ狙い応札をした結果、投資家が完全に排除された形の入札&流通市場になってしまっている、というのであれば、上記の「国債の安定的な消化の促進」という文脈で考えれば明らかに国債の安定的な消化の促進に背馳する話でありますので、まあ仮にそのような動きをまさかとは思いますが国債市場特別参加者が行っておられるとなりますと、国債市場特別参加者としての責務を積極的に放棄しに来ておられるという話でもありますので、参加者資格取り上げた方が良いんじゃないですかねえなどと思う次第ですが、もちろん国債市場特別参加者の皆様が目先の銭だけの為に国債の安定的な消化や市場の育成といった本来の役割を忘れるなどという事があるとは全く思っておりませんのであくまでも仮あんど仮あんど仮のお伽噺として申し上げただけでございますので念の為申し添えます(白目)。
しかしまあ何ですな、先日の在り方懇で事務局(つまり財務省理財局)から国債流通市場の流動性維持向上に向けた施策というのが示されていたと思うのですが、財務省が国債流通市場の現状について色々と苦心惨憺されている中でいい根性してますなあとしか思えませんが、一番いい根性してるのは日本銀行金融市場局金融調節課なんですけどね!!!!!!
○なおどうせ「借りる方が利息を貰える」とか微妙なミスリードしてるんだろうなあと思いますが・・・・・・・・
モーサテで日経新聞の記事紹介とかを見ただけの話で申し上げるのも何ですが、どうせマイナス利回りの入札になったから「発行体が利息をもらえる」という文脈で解説してやがると思うのですが、今回の場合はそもそもマイナス金利入札になったのが日銀の馬鹿短国買入が極めて大きな原因(というか日銀がマイナス買わなかったらこんな事になっていない筈)でありますので、実際問題として考えた場合には「国はマイナス金利で短期国債発行」をしているものの、ご丁寧な事に「そこで発行された5.7兆円のうちのうっかりしたら半分以上は日銀がもっとマイナスの金利でご購入」している訳でして、それって統合政府で考えた場合に本当に「国が利息を貰っている状態」と言えるのかという話ではございますし、何ちゅうかまあ(内務省検閲により削除されました)みたいな論点も出てきませんか大丈夫ですかという話。
つまりですな、一口に「マイナス金利」と申しましても色々な背景がある訳で、単純な利子部分の移動で誰が金をもらえる云々という話をするのは、まあ金融にあまりご興味の無い方ならば他の部分は見えにくいと思うのですが、一応経済新聞みたいな所でしたらこの背景部分をもっと整理して頂きたいと思うのですが、実際の記事では説明してるんでしょうかねえ。まあ本チャンの記事見てないからとりあえずはその程度の指摘だけしておきますが。
例えばECBのマイナス金利というのは「超過準備および各種中銀やら決済システムやらの預け金に対してペナルティ金利を課すことによって金利を引き下げよう」という話で、その裏側として「超過準備等にペナルティが掛かるから超過準備積み上げのインセンティブが無くなる(というかペナルティになる)ので、中央銀行の資産拡大政策をするのが技術的に難しくなる(特にリスクフリーに近い資産の購入について)」という話であり、日銀の馬鹿買入によって起きているマイナス金利というのは「中央銀行の資産買入政策の拡大をし過ぎた結果、名目ゼロ金利を突き抜けた高値まで資産買入をしないと政策が維持できなくなっている」という状態ですから、同じマイナスでも違いますよ位の話は天下の日経新聞様ですからご説明しておられるものと存じますがオラシラネ。
つー訳ですから、同じマイナス状態でも時によって背景が違いますので、単純な講釈されても困るんですけどねえとは思いますという雑談でありました。
○しかし副作用とか何も考えないとかそれでも政策当局者かと小一時間
まあそもそも論として日銀様におかれます馬鹿短国買入が元凶の多くを占めている昨今の短期国債市場(というか市場の体を更に成していない)ではございますが、そらまあマネタリーベースを盛大に積み上げることによって2%の物価安定目標を早期に達成するという政策の建付けだから、マネタリーベースの積み上げが大事です、というのは判るんですよ。判るんですけどお前ら政策当局の担当部門なんだからちったあ物事考えろよいつから日銀は只の事務屋になったのかと小一時間問い詰めたいところではあります。
つまりですな、散々申し上げておりますように今回は日銀の買入を過激に進めた結果として遂に短期国債市場において「投資家が排除された状態」になっている(いやまあマイナス金利で盛大に投資家に嵌っているのにアタクシだけ気が付いていないというのでしたら百万回土下座しますけど)訳でして、その状況というのは少なく申し上げても「国債市場の安定化」に反する状態になっている訳で、それは「金融の不均衡」というような「第二の柱」の観点からみて如何なものかという状況に立ち至っているのではないかと思うのですよね。
然るに現在の状況は日銀の機械的な短国買入によって完全に足元を見られてしまった状態になって、その結果短国がプライマリーからマイナスに突っ込むということになった訳で、明らかにこれ第二の柱的な観点も考えたら短国買入のやり方を工夫するなり他の買入に振り替えるなりして金融不均衡の拡大を抑止するように運営面で何とかするのかディレクティブをどうにかするのか知らんけど、このまま放置しておくと金融市場の安定化という文脈でドンドンおかしなことになってくるリスクが高まって来ると思うのですよね。
でまあ執行部隊の金融市場局だって、金融市場で起きている事態について調査してその結果どうなっているかという事を考えたらもう少しオペの工夫をするとか、MB積み上げの具体的な内訳について執行部に何らかの進言をするとか、そういう話になるだろと思うのですが、お前らそこらのコーヒーチェーンのアルバイト店員だってもっと色々と工夫して動いているぞとゆー話で、政策のバランスとか市場への目配りとかそういう物が全く感じられないで、上から降りてきたディレクティブを何の疑いも無く推進するだけの機関なのかよだからお前らは御(以下の部分は内務省検閲によって削除されました)。
○いやあ本日の10時10分が楽しみになって参りましたなあ(棒読み)
とまあそういう訳で、本日は定例の短国買入デーでございますが、まー本日に関しては昨日の新発3Mのうち確信犯(誤用)で投資家無視の突撃をしている人がおいでだったりしますでしょうし、この利回り水準でまともに投資家に売れているとも思えないので(アンダーパーでご売却される奇特な方でもおいでになっていれば別ですが)、まあ入札にいれる玉自体はあるでしょう(偏在しているかどうかは知らん)という所で。
でまあ偏在しているとちょっとたくさんオファーする訳にはいかないでしょうけれども、(投資家に売れていないという事を前提にした場合)まあ玉が全然ないということもないでしょう(先週までの新発は先ほど申し上げたようにプライマリー段階で投資家のポートに沈んでいるのが多いから買入の応札可能玉が偏在した格好になったと思料)とは思いますので、どうせ何も考えていない日銀ですので、普通に3兆とかオファーするんですかよく分かりませんけどねえという所なんでしょうかねえ。
なお、先週の短国買入がご案内の通りで札割れとなっていますので、そういう意味では予定量の買入が出来ていない、という事も勘案すると「先週の分を取り戻す!」とか言って更にオファーしてくるとか普通この入札結果を見てそんなアホウな事はあり得ないと思うのですが、何せ今の短国買入スタンスって普通じゃない(今の日銀ロジック的には普通なのでその乖離が問題なのだ)ので何をしでかすか判らん。
まあ短期国債市場が異常な状況になっている事を鑑みて買入を一旦止めて様子見をしましょうなどと言い出すと前項あたりで(いやまあその前から申し上げてますが)ついた悪態は取り消して平伏するところではありますが、そんなことして12月末の短国買入残高が積めなくなったら大変だ!という方が頭にあるでしょうし、まあ可哀想だからちょっと擁護すると、足元で買入残高をある程度積んでおかないと12月末までの期間が短くなった時に買入金額が増えてより酷いマイナスを買わないといけなくなってもっと足元見られる相場になって四半期末と相俟って大変な事になるリスクとか、下手したらMBを積めなくなる方がより大きな問題、ということでしょうから(本来は60-70兆円というアローワンスがあるのですし、そもそも相手があるのだから「いやあ札割れでしたねえああそれからあまり理不尽なレートでは私ら買わないですからそこんとこヨロシク」で済ませることは可能だと思うのですがそうはいかないのが今の黒田日銀クオリティ)、あまり期待しないで10時10分を待ちたいと思います。
なお、オファー額と応札限度額の関係がどうなるのかというのもこれまた見物かなと思いますが、いずれにせよこちとら玉状況がどうなっているかワカランチ会長ではありますので、その辺は短国買入のオファー内容から落札結果までをじっくり眺めながら推測したいと思います。
ということで、今朝は短国入札札割れネタが続きましたが、何となく一部の悪態が強かったような気がしないでも無い点、ご不快に思われた諸兄にはあくまでも市場の片隅でひっそり棲息する無力参加者の戯言につきこのような仕様だということでご寛恕頂きたく伏してお願い申し上げますm(__)m
まあ結局の所、為替介入のノリで国債等の買入を考えていて、市場機能とかマクロプルーデンスとか全然そういう発想が無い(としか思えない)シャチョーがいるのが大本部分にあるんですけどね!!!!!!!
2014/10/23
お題「決戦(?)は木曜日と金曜日ですな/今さらですが10月月報ネタです」
そもそもアベノミクスの中に消費増税と法人減税がセットになっていた筈なのですが都合が悪くなると全部消費増税のせいですかそうですか。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141022/k10015605451000.html
自民議員ら「増税は経済失速」首相に提言へ
10月22日 18時35分
デフレ脱却は金融政策で行うし、物価が上がれば世の中めでたしめでたし理論で強力金融緩和したのに消費税3%上げただけで経済大失速との事で金融政策の効果がどんだけ弱いんだよと小一時間ですが、単に置物リフレ理論が現実離れしていた空論だったということでしょうなあ。
#部分的に正しい話をしているのが却ってタチが悪いんでしょうねえ
○さて本日は注目の3M入札
ということでしつこくメモだけ置いておくのですが、今日入札の新発WI取引は昨日の時点でゼロ%ビットとかやっていたような気もしますし、日本相互証券さんの短国の引けは連日の前日比金利低下(ただし年末越え銘柄のみ)ということで、もはや流通市場の体を成しておりませんが、その一方で現先とかGCの金利はやや上昇気味とか、要するに連日悪態ついておりますように普通の投資家はマイナス金利購入しないから流通市場が回っていないけれども、どうせ金曜になると日銀がマイナスだろうと何だろうと買ってくるしかも大ロットでしょという期待(というかまあ日銀の足元見た動きというか)で値持ちをしている状態ということで、投資家不在で日銀だけが市場の中で暴れているというオモシロ事態が絶賛生じている訳ですな、うんうん。
ま、今日の入札はこの足元アオリイカ状態の中でプラスの利回りで着地してくれるのかという話が注目されるのですが、期末でもなくモノとしての国債の需要が盛り上がっている訳でも無い足元の状況ですので、日銀以外の投資家という意味では100円になるかならんかで大きく需要が変わってくるので、普通は需要のある所で落ち着くとは思うのですが、入札参加する人が日銀という名前のバキューム投資家様とは売買するけど他の投資家知らんがなという風に盛り上がってくると100円で切れる可能性も微粒子レベルで存在という所ですかねえ、まあそうなったらそうなったで日銀何やってるんだヴォケという話が市場の片隅でくだを巻くレベルからもっと広がってくるので日銀も困ると思いますけどね。
なお、今日はロール額小さいですけれども、明日以降も続く固定金利オペの動向にも注目。
○すっかりスルーしていましたが金融経済月報
10月金融経済月報ですけどね。
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2014/gp1410.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2014/gp1409.pdf(前回)
毎度ですがまずは【概要】部分から。
・現状判断部分は声明文どおりですけどね
『わが国の景気は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響から生産面を中心に弱めの動きがみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている。』(今回)
『わが国の景気は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている。』(前回)
基本的に現状判断部分は声明文で示されていますがまあ鑑賞鑑賞ということですが、ご案内の通りでして、消費税増税の駆け込み反動がどんだけ続いていますねんというのもさることながら、ここで重要なのは今回入っている「など」というマジックワードでありまして、「など」というのは具体的に何を示しているのかご説明を頂きたいという質問をすると嫌がられますのでオヌヌメ。
『海外経済は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している。輸出は弱めの動きとなっている。』(今回)
『海外経済は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している。輸出は弱めの動きとなっている。』(前回)
輸出は弱めという認識を継続。
『設備投資は、企業収益が改善するなかで、緩やかに増加している。公共投資は高水準で横ばい圏内の動きとなっている。個人消費は、雇用・所得環境が着実に改善するもとで、基調的に底堅く推移しており、駆け込み需要の反動の影響は、ばらつきを伴いつつも全体として和らいできている。』(今回)
『設備投資は、企業収益が改善するなかで、緩やかに増加している。公共投資は高水準で横ばい圏内の動きとなっている。個人消費は、雇用・所得環境が着実に改善するもとで、基調的に底堅く推移しており、駆け込み需要の反動の影響も徐々に和らぎつつある。』(前回)
駆け込み需要の反動に関する部分は「ばらつきを伴いつつも」とヘッジクローズを打ち、ついでに「全体として」ともヘッジクローズを打った上で「徐々に和らぎつつある」とあるのを「和らいできている」と引き上げるという作戦に出ていますが、これって駆け込み需要の反動ネタでそう長期間引っ張る訳にも行かないという事実がある訳で、駆け込み需要反動ネタを引っ張れないけれども、そうは言っても需要がV字回復してくれないので各種ヘッジクローズを打ち込んでいるという話。
でですね、総括判断の所にある「など」という話になってくる訳ですが、何ぼ何でも駆け込み需要の反動だけを需要が盛り上がらない事の理由にするのは時間的に無理があるので、駆け込み需要の反動に関してはヘッジクローズてんこもりにしながら緩和という話にして、総括判断に「など」というのを入れている訳でして、これが年末辺りに景気がまだ盛り上がらない場合にどういう表現になるのかというのが見ものであります。
つまり、ここの「など」の説明が徐々に具体化せざるを得なくなってくる、となりますとまあ普通に下方修正必至なのですが、具体化するにあたってどうせ最初は一時的要因として扱えるものを出して来るだろうなあと思いますとこれまた味わいがあるというのもので、11月会合の声明文でどういう表現になって来るのかが楽しみというものです。
『住宅投資は、駆け込み需要の反動減が続いている。鉱工業生産は、在庫調整の動きもあって、このところ弱めの動きとなっている。企業の業況感は、消費税率引き上げの影響などから改善に一服感がみられるが、総じて良好な水準を維持している。』(今回)
『住宅投資は、駆け込み需要の反動減が続いている。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は、基調として緩やかな増加を続けているが、足もとでは弱めの動きとなっている。』(前回)
業況感の所は短観要因で特段弱くは無いですが、生産はご覧のとおりさすがに下方修正でしたね。
・先行き見通しですが現状の所で下がっているのに先行きは超微修正のみとはどういう事や
『先行きのわが国経済は、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も次第に和らいでいくとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済は、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響も次第に和らいでいくとみられる。』(前回)
この「など」が何ですねんという話ではありまして、総裁会見などでも特に説明は無かった筈なので、足元で急に出て来た「など」の影響ってそんなに簡単に緩和されるものなのかが極めて謎としか申し上げようがありませんな(^^)。
『輸出は、海外経済の回復などを背景に、緩やかな増加に向かっていくと考えられる。国内需要については、公共投資は、当面、高水準で横ばい圏内の動きを続けるとみられる。設備投資は、企業収益が改善傾向を続けるなかで、緩やかな増加基調をたどると予想される。』(今回)
『輸出は、海外経済の回復などを背景に、緩やかな増加に向かっていくと考えられる。国内需要については、公共投資は、高水準で横ばい圏内の動きを続けるとみられる。設備投資は、企業収益が改善傾向を続けるなかで、緩やかな増加基調をたどると予想される。』(前回)
何気に字数が違うので良く見ますと、公共投資の所に「当面」というのが入っていて、先行き公共投資がいつまでも高水準でいられるのかねという話なんですかそうですか。
『個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善が続くもとで、引き続き底堅く推移し、駆け込み需要の反動の影響もさらに和らいでいくとみられる。住宅投資は、当面、駆け込み需要の反動の影響が残るものの、次第に底堅さを取り戻していくと予想される。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は、当面弱めの動きとなったあと、緩やかな増加に復していくと考えられる。』(今回)
『個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善が続くもとで、引き続き底堅く推移し、駆け込み需要の反動の影響もさらに和らいでいくとみられる。住宅投資は、当面、駆け込み需要の反動の影響が残るものの、次第に底堅さを取り戻していくと予想される。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は、当面弱めの動きを残しつつも、緩やかな増加基調をたどると考えられる。』(前回)
で、消費とか投資の所の先行き見通しですが、前回は「当面弱めの動きを残しつつも」という表現を使っていて先行き改善に向かう話をしていたのですが、現状判断に見られますように実際にはそこの見通しを盛大に外した格好になっている筈なのですが、何故か生産の先行き見通しに関しては、さすがに「当面弱めの動き」という風になっているものの、「その後は回復(キリッ)」という見通しは意地じゃなかった維持するという中々の大本営クオリティ。
・リスク要因は同じ
『この間、リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』(今回)
『この間、リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』(前回)
・物価
『物価の現状について、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみると、国内企業物価は、3か月前比で横ばい圏内の動きとなっている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%台前半となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(今回)
『物価の現状について、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみると、国内企業物価は、3か月前比で緩やかに上昇している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%台前半となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(前回)
現状に関する部分は物価では判断とかいう話ではないのでまあ良いとしまして予想物価上昇率ねえ・・・・・・
『物価の先行きについて、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみると、国内企業物価は、当面、横ばい圏内の動きを続けるとみられる。消費者物価の前年比は、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる。』(今回)
『物価の先行きについて、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみると、国内企業物価は、当面、緩やかな上昇を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる。』(前回)
でまあこの見通しに関しては先般の支店長会議での総裁あいさつでも示されていました(めんどいので引用してませんでしたが)けれども、「暫くの間」という文言が半年程度を意味する、と今年の1月に黒田総裁が仰っておられましたので、つまり来年の4月ごろまでは1%台前半で推移するという見通しを示しておられる、という事になるかと存じますが、それはどこからどう見ても「2年で2%」の物価目標達成は困難である、という見通しを示したものであると理解されますので、就任前および就任後にも散々っぱら大口を叩いておられた置物大師匠はどの面下げて副総裁職に留まっておられるのか小一時間問い詰めたい所でございます。
実はここの表現が今回の展望レポートでどうなるかも見物でして、何の断りも無く2%水準への到達期間を「2015年度を中心とする期間」に先送りしているので、そのダマテンが許容されているという認識の元で今回も普通に「暫くの間1%台前半」という表現を使ってくるのは見え見えなのですけれども、「2年で2%」の整合性については期日が迫れば迫るほど許さんという状態になってくると思われるのでそこらへんでどういう応酬があるのかを楽しみたい所です。
・金融環境の認識を見るとどう見ても短国金利のマイナスをどうでもいいと思っている件について
でまあ金融環境に関する話ですが、この最後の部分を見るとトサカですよ先生!!!
『金融市況をみると、短期金融市場では、オーバーナイト物コールレート(加重平均値)は0.1%を下回る水準で推移しており、ターム物金利は幾分弱含んでいる。前月と比べ、円の対ドル相場は下落している。この間、長期金利および株価は前月と概ね同じ水準となっている。』(今回)
『金融市況をみると、短期金融市場では、オーバーナイト物コールレート(加重平均値)は0.1%を下回る水準で推移しており、ターム物金利は横ばい圏内の動きとなっている。前月と比べ、株価は上昇している一方、円の対ドル相場は下落している。この間、長期金利は前月と概ね同じ水準となっている。』(前回)
そもそも短国金利がマイナス定着に関する言及が概要部分では全く無いという訳でございまして、書いていないということは即ち月報の鏡にあたる部分に記すような重要な問題であるとは全く思っていない事を意味する次第ですから、結論からすると「短国金利マイナスの弊害とか知らんがな」という認識を日銀がお示しになっておられるということではあるっつー話ですな(そもそもあったら月初から3.5兆円の買入とか打ち込ませないでしょ何ぼ何でも)。
ただまあこの月報の後でご案内の短国買入札割れなどの問題が更に深刻化している訳で、まあ今日明日の動向によってまた変わるかもしれませんけど(明日短国買入を思いっきり減らしたりスキップしたりして足元見られないようにした方が結果的には買入がスムーズに進捗すると思うのだが自動バキュームマシン状態になっているからそんなテクニックは使ってこないでしょうし、ここまで市場が壊れると少々のテクニックでも効かないかも知れんですしねえ)、どうせこの状況のまま来月のMPMに突撃という事になるでしょうから、11月の月報で何か書いてるかねという辺りを期待せずに確認したいと思います。
・本文から少々気になる所を:個人消費部分をどうとらえているか
以下は本文となります背景説明から個別項目出来になる所を確認します。
『個人消費は、雇用・所得環境が着実に改善するもとで、基調的に底堅く推移しており、駆け込み需要の反動の影響は、ばらつきを伴いつつも全体として和らいできている(図表15)。財の消費動向を小売業販売額(実質)でみると(図表16(1))、1〜3月に駆け込み需要から伸びを大きく高めたあと、4〜6月はその反動から大幅な減少となった。その後、7〜8月は4〜6月対比で小幅の増加となり、天候要因などの影響を受けつつも、耐久財以外の分野を中心に、駆け込み需要の反動の影響は和らいできている。』
ということで、何か普通に考えると実質賃金の減の影響はどうなのよという風に思うのですが、以下の部分でもそうなのですが実質賃金減少の話は意地でも触れない(触れたらそもそも物価安定目標とは何だったのかという話になり兼ねないので)のがお洒落というもので、概要にあったマジックワード「など」に天候要因が含まれているようですが、しかし「天候要因など」ということで、そこにもしつこく「など」がありまして、何ぼ何でも正面切って書けないけれども、実質賃金減少に関してはこの「など」で察してくれということでしょうかよくわかりません><;
『耐久財の消費動向をみると(図表16(2))、乗用車の新車登録台数は、駆け込み需要の反動の影響から4〜6月に大きく減少したあと、7〜9月はほぼ横ばいとなった。家電販売額(実質)については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要や一部ソフトウェアのサポート期限切れに伴うパソコンの更新需要の反動減から、4〜6月に前期比で大きく減少したあと、7〜8月は増加したが、天候不順の影響がエアコン等でみられたこともあって、ごく小幅にとどまった。』
例えばここの4−6の自動車の所にありますように、駆け込み需要の反動です(キリッ)と言い切れる部分に関してはさっきのような「など」が出てこないのでして、耐久財に関する話を見ると駆け込みの反動とWinXP更新特需と天候要因が改善を遅らせているという話。
『この点、耐久消費財については、元々駆け込み需要が大きかった分、その反動減は規模が大きくかつ長引く性質のものであると考えられるが、関連メーカーなどからは反動減からの回復の遅れを指摘する声が聞かれている。』
鏡の部分と違って背景説明の部分は大本営発表的な部分もありますが、良く読むと微妙にこんなフレーズが突っ込まれていたりしているのがチャーミングでして、駆け込みの反動が当初見込みよりも(元が大きかったから)幅も時間も長い、というのならまあそこだけちょっと見通しと違いましたねという話だと思うのですが、ここは両面の説明になっている感じで、一応表面的には今申し上げたような趣旨で「だからこれは若干想定外だけど特段問題ない」という説明ではあるのですが、わざわざ入れている辺りは反動からの遅れが実はもっと別の要因で続いている可能性があるのではないかという説明にも使えたりするのがお洒落です。
『全国百貨店売上高は、4月に駆け込み需要の反動から大幅な減少となったあと、5月以降は持ち直している(図表17(1))。全国スーパー売上高についても、4月に大きめの減少となったあと、5月以降は緩やかな持ち直し傾向にある。コンビニエンスストア売上高については、駆け込み需要に伴う振れは比較的小さく、緩やかな増加傾向を続けている。いずれの業態についても、耐久財以外の分野を中心に、反動減の影響は徐々に和らいできており、8月下旬から9月にかけては夏場の天候不順の影響も減衰してきている模様である。』
ほう。
『ただし、地域別にみた改善ペースのばらつきを指摘する声も引き続き聞かれている。』
ばらつきというのは別の要因が背景にあるような気がしますが・・・・・・・・
『この間、サービスの消費動向をみると(図表17(2))、旅行取扱額は、月々の振れを均してみれば、国内旅行を中心に底堅く推移している。外食産業売上高も、中国産鶏肉問題や天候不順の影響はみられるものの、こうした要因を除いた基調としては底堅い動きを続けている。』
ということで、まあ基本的には「など」に関しては天候要因が多くて、あとまあXP特需とか鶏肉問題とか(それって個別企業の話で外食全体に跳ねたかよと思うのだが・・・・・)あくまでも一時的要因という話を連呼していますな、うんうん。
・物価に関して:先行き判断の部分で原油価格下落の影響に対する予防線を
物価の説明の途中から参りますね。
『最近の消費者物価の前年比をみると、財(除く農水畜産物)は、8月は前月からプラス幅が縮小したが、基調としては強めの動きが続いている。内訳をみると、食料工業製品は、8月は前月からプラス幅が若干縮小したが、基調としては、既往のコスト高を転嫁する動きが続くもとで、プラス幅は拡大傾向にある。耐久消費財や被服も、プラス基調が続いている。一方、石油製品は、原油価格の下落を受けて、プラス幅が縮小している。』
ほうほう。
『一般サービスについては、ひと頃に比べるとプラス幅が縮小しており、6月以降は前年比横ばいとなっている。これには、携帯電話通信料の新料金導入や、外食の一部における昨年の値上げの反動などが影響している。一方、ウエイトの大きい家賃は、水準でみると下げ止まりつつあり、前年比のマイナス幅はごく緩やかに縮小している。この間、公共料金については、電気代を中心に、前年の上昇の反動が出ていることから、プラス幅の緩やかな縮小が続いている。』
一般サービスが上昇しないと物価が持続的に安定的な小幅上昇軌道に乗らないとは思うのですがががが。
『国内の需給環境について、9月短観をみると(図表32)、製商品・サービス需給判断DIは、製造業では6月からほぼ横ばい、非製造業では小幅悪化しているが、均してみれば改善傾向は維持されている。販売価格判断DIをみると、6月にかけて改善したあと、足もとは非製造業中心に小幅の悪化となったが、先行きは再び改善する姿となっている。この間、生産・営業用設備判断DIと雇用人員判断DIの加重平均である短観加重平均DIは、緩やかな改善が続いており、先行きも1992
年5月以来の水準まで「不足」超幅が拡大する姿が見込まれている。』
ということで、需給環境に関しては短観が出ている回の月報なので仕様として加わっているのですけれども、まあ短観を使うとこうなりますよね(棒読み)という感じではあるのですが。
『物価の先行きについて、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみると、国内企業物価は、当面、横ばい圏内の動きを続けるとみられる。消費者物価の前年比は、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる。ただし、当面、このところの原油価格の下落などが、一時的な下押し要因となって現れる可能性がある点には注意が必要である。』
ということで、原油価格の下落のヘッジ入りましたという所ですが、この辺に関して「原油価格が下がるのは消費にはプラス」とか言い出すと説明的には泥沼にはまりますので、恐らくその辺で良い下落みたいなしょうも無い話はしてこないと思いますが、さてどうなるのかが楽しみですね。
・予想物価上昇率は毎度の1行コメント
『この間、予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる(図表33)。』
でまあ図表33というのが上記URLのPDFの55ページ目にあるのですが、どう見てもこれ足元で下向いているでしょうというのはこの前の宮尾さんの講演でも同じのがありましたのでツッコミをしたとおりでありまする。
・では本文での短期市場の説明はどうなっているでしょうか?????
最後の所になりますけどね。
『短期金融市場をみると、長めのターム物を含め、金利は低位で安定的に推移している。無担保コールレート(オーバーナイト物)は、0.1%を下回る水準で推移している。ターム物金利をみると、3か月物国庫短期証券利回りは、幾分弱含んでおり、小幅のマイナスとなる場面もみられている。3か月物ユーロ円金利およびユーロ円金利先物レートは、いずれも横ばい圏内の動きとなっている(図表42)。』
・・・・・・・・・・ふーんという所ですが、まあ11月月報でどういう説明になるのかを確認したい所です。
2014/10/22
お題「木曜からの動向に短期は注目である/しかしECBも日銀も手詰まりですなあ/その他少ネタ」
うちわの人だがそもそもの意識がおかしいだろこれ。
http://www.huffingtonpost.jp/2014/10/20/matsushima-midori-resign_n_6012684.html
カレンダー云々のやり取りの最後にある『A 財産上の有価物をどれくらいからいうのかちょっとわかりませんが、私はそういう認識は持っていないから、法律違反になると思っていないから、自分の親しい人の後援会その他の会合で配っています。』(上記URLより)って法務大臣以前に立法府の人間として認識がおかしいとしか思えん。(上記の会見文字起こしが正しいとの前提に立った場合です、念のため)
続いてこんな案件もあるようでいやはやというところですなあ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141021-00000048-mai-pol
<参院外交防衛委>政府想定問答読む片山さつき委員長問題に
毎日新聞 10月21日(火)18時41分配信
○短国ェ・・・・・・ですが注目は明日からですな
まあ昨日も悪態申し上げましたように短国市場自体が市場の体を成していない状態になっておりますので、気配だけ吊り上がるの巻でカレント3Mはマイナス10bpとかやりやがっていますなとかもう何だかねという状態で、日本相互証券さんの引値も徐々にマイナスが深くなってくるという状態で、日銀買入対象ゾーンの銘柄は軒並みマイナス(新発WIだけプラスだが当然1bp割れ)モードで概ねマイナス1bpよりも金利低いという状態になっておりましてこらアカンという状態。
でまあそんな中で明日の3M新発入札があって、明日以降は固定金利オペのロールもありまして、金曜は無慈悲(というか慈悲もへったくれも機械的に実施しているのですから世話は無い)短国買入が予定されておりますという事で、まあこの辺りの動きを見れば年内の状況も読めるでしょという所で。
新発入札に関してはそうは言いましてもマイナスでドカドカ購入するのは日銀だけであって、他の人たちは今の所(期末要因のような利回り関係ねえよ要因が出ると話は別)マイナスで短国をバカスカ買う訳でも無いので、普通に考えるとプライマリーではほぼゼロでしょうけれどもプラスの利回りに収まるとは思うのですが、前回の短国買入が札割れ→日銀が更に慌ててあるだけ買いに走るに違いない→マイナス入札しても札がありまっせ旦那さんと言えば日銀が渾身の買入を打ち込んでくるでしょう→そうなったらマイナス10でも20でも日銀が買ってくれるぜヒャッハーなどと不埒な事を考える方が続出するとガクガクブルブル。
でですな、来週から固定金利オペの足がバカスカやってくるというのがこれまたオソロシスな話でありまして、27日に4000億円、28日に11711億円、31日に9730億円(後の2つはシグナルオペのなれの果て)と落ちが来まして、11月に入っても5日と7日にシグナルの慣れの果ての落ちがこれまた1兆円規模で入って来まして、昨今の状況でオペのロールがちゃんと進むのかというのが懸念されるところです。つまり、そもそも市場金利水準から言って0.10%の3Mというファンディングに意味があるのか言う問題もあり、更に足元の短国市場がこの有様となると投資家の保有する短国が減少している可能性があり、そうなりますと適格担保がそもそも不足気味になるので、そんな中でわざわざ0.10%などという高利の3Mオペを入れる必要があるのかよ(なお適格担保の中にはGCレポなどのファンディングに不向きなものがあるので一定量のニーズは残るとは思います)という話になる恐れもありますなという話。
そして固定金利オペ(現在の残高が9.5兆円)が落ちるとなりますと、その分MB積み上げの「その他」部分が減るので、短国買入残高の要積み上げ額が更に高まって、短国金利は更に下がるわ市場金利が下がって固定金利オペの残高が減るわという素敵なスパイラルになったりすると素敵なあばばばばーという所でございますな。
ということでまあ明日からの動向に注目なのだが、そもそも短国買入もうちょっと工夫できただろと思うのだがここまで市場が壊れると時既にお寿司に見えるし、最大の問題点はこの惨状を全然惨状と思っていなくて政策効果の浸透としか思っていないという日銀のスタンスで、市場機能とかマクロプルーデンスとかそういう話がすっかり吹き飛んでしまっている現状では麿様も草葉のじゃなかった泣いておられるのではなかろうかと存じます次第です。
まあこの惨状は2年で2%達成してQQE政策が終了する直前の一時的現象だと思いますのできっと少しだけ市場の皆さんが我慢すれば良いだけのことなんでしょうけれどもね(超棒読み)!!!
○次の手が手詰まりな人たち(日本とかECBとか)
・ECBの施策が更に訳分からなくなりそうな件について
ふむ。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NDSB6J6S972M01.html
NY外為:ユーロ下落、ECBが刺激策拡大との観測−円上昇
更新日時: 2014/10/22 04:53 JST
『ユーロは主要16通貨の大半に対して値下がり。ECBが2日連続でカバード債を購入したほか、ECBが社債購入を検討しているとのロイター通信の報道が手掛かり。』(上記URLより)
・・・・・・・・・・うーん。
財政ファイナンスはしないけれども社債は購入できるとか、中央銀行の社債購入ってそれあなた中央銀行による財政出動なんですけど大丈夫ですかと思いますが、まあ信用緩和政策で自国の国債以外の資産直接購入するとそれは財政出動になるので既にカバードボンド買っているだけに同じっちゃあ同じなのですけれども、国債購入が出来ないし、預金ファシリティマイナスにしているからそもそも超過準備が必要以上には積み上がらない状態になっているし、まあヤケクソで何かするなら信用緩和しかないですけどねという所です。
まあそういう話になるのが見え見えだからこそ預金ファシリティをマイナスにしたのは明らかに悪手でしたし、出た時に滅茶苦茶ビックリしたのですけれども、今の状況を見るとドラギのおっちゃんにおかれましては「とりあえずあちこちから文句が出るので文句の出にくい施策から順に追加緩和として打ち込んでみる」というだけの事しか考えていなくて、もはや全体のデザインとか政策の整合性とか考えている余裕が皆無という状態になっているんでしょうなあというのが把握されてきたところでございます。
でまあそうなりますと、次の政策として何が出てくるのかというのが非常に読みにくいとしか申し上げようが無いですし、出た政策がどういう効果があるかとかいう話よりも「とにかく何でもいいから追加緩和ネタを出して時間を稼ぐ」というだけの話になってくるので、まあ読むとすれば「考えられる施策の中で反対が少なさそうなものは何か」というのを考えるという大変に不毛な作業をすることになりそうですねorzorzorz
まー結局の所ドイツが財政をせっせと出さない事にはどうしようも無いんでしょうけどね!!!
・日銀の追加緩和という話も良く聞かれるが何をするのか具体策を小一時間お伺いしたい
でまあ我らが日銀でありますが、連日(というかよく考えたらこの1月半ほど)の如く短国市場ネタを振っておりますが、日銀の場合は「マネタリーベース積み上げの物理的な限界」に達しているというのが政策枠組み的な問題の一番のネックでありますな。
何せ今の置物りふれ直線一気理論によりますとマネタリーベースを積み上げると定量的に効果が出てインフレ予想が(以下同文)となりますので、その直線一気理論に基づきまして現在の日銀の金融政策における操作変数はマネタリーベースになっている訳でありますよ。
でもって足元で起きている現象はそのマネタリーベースの拡大を直線一気で拡大するのが困難という話でありますので、そうなりますとECBとは別の意味(ECBの場合は適当に施策を突っ込んだら盛大な食い合わせが起きている状態)で追加政策の限界という話になってしまうのですな、うんうん。
つまり、日銀の場合問題になるのは、現在の政策枠組みの置物理論が「マネタリーベース拡大で予想インフレを下げてそれに伴う債券購入で(フィッシャー効果に伴う)名目金利の上昇を抑制することによって実質金利を下げたら全て上手く回りだす」という代物になっているので、ロジック構成の根本のところをガチガチに作ってあり、マネタリーベースの拡大が困難になると途端に予想インフレ率から先の部分の効果の話が使えなくなることであります。
もちろん世の中にある国債を新発どころか既発まで全部購入する(短国買入のように市場残高の3分の1を買うとかすればまだまだ何ぼでも積めまっせという位の認識でしょ黒田さんは)勢いで国債購入をすればMBは積み上がるかもしれませんが、それこそ短国買入の札割れみたいな話になるかも知れませんし、そもそも金利投資の世界が壊滅してしまう日銀による一種のクラウディングアウトが生じた場合に、他の所で色々と弊害が生じて(まあそれを一般的に副作用というのだが)そもそも論として金融政策のトランスミッションメカニズムたるトランスミッションが破壊されるのではないでしょうかという話ですよね。
・・・・・・で、ここで更にオソロシスなのは、何せ政策の枠組みがMB拡大であって、金融政策の操作変数がMBの量とガチガチに作り込んでいますので、方向転換がそう簡単に出来ない(方向転換したら今までの政策は何だったのかという話になるので置物副総裁辞任待ったなし)ですし、大体からして先日来出ておりますが、宮尾九官鳥審議委員様の大本営発表講演で見られました「都合の良い話は熱心にするが都合の悪い話には目を向けない」経済物価認識の説明やら、先日のさくらレポートでの「驚愕の声明文よりも強い日銀支店の報告書」というように総裁様のご意向に沿った報告が下からホイホイ上がるとか、どこの昭和陸海軍だよという素敵な状態で撤退の検討をするのは敗戦思想で非国民くらいの勢いになっておられますので(月末の展望レポートもそんな感じで出てきそうですが、ここでどういう出方をするのかは重要)、そうなりますと兵站(政策のフィージビリティー)も戦局(経済物価情勢)も気にせずに牛を連れてジンギスカン戦法とか言いながらアラカン山脈をインパールに進攻する牟田口中将の巻となりますので、まあ普通に12月以降も今の政策をそのままリニアに継続とか言い出しそうではありますな。
まあさすがに現実問題として兵站が爆発している短国の所に関しては現状維持程度に留めてとなるとは思うのですが、MB拡大に意味があるという建付になっているので、短期増やせない分は長期国債を増やす(今のプロラタで拡大しそうだが新規発行の年限とのズレが拡大しているのでそこは微妙)という話でしょうし、まあその時についでにETFの買入ペースをちょっと上げる位のおまけサービスがあるかも知れませんね程度しか予想ができませんな。
まあそもそも論としてはこれだけのペースでMB拡大しておいて、確かにまあデフレ状態では無くなったのは効果だとは思います(MBそのものが効果があったのかどうかは謎だが)が、そこから先の2%への部分は全然達成の目処がつかないという状態なのですから、そろそろMBから他の枠組みにシフトして頂きたい訳なのですけれども、今の黒田体制って元々が白川ドクトリンの強烈な全否定状態から入っている(白川さんや山口さんを石持て追い出した訳ですからねえ)ので、今さら引くに引けないという意識が強いんだろうなあとは思われる訳で、どうも「枠組みが変わったら死んじゃう」位の感じで「MB270兆円で行かないなら350兆円にすれば良いじゃないか」と来るというのに100団扇という所ですな。
ただしディレクティブにおける内訳変更は行うにしても、さすがに年末目標値は出さないと思われます。理由は途中で今回のように限界に達した時に手の施しようが無くなるのと、そもそも「2015年度中に2%に到達」と言っているんだから2015年末まで資産買入拡大を継続する必要があるかどうかは不明だし、最初の時点で2015年末までの数値を出すと「何だ年末になるまで目標達成できないのか」という話になり置物師匠の首が更に危なくなるから(そもそも2年で達成と大口叩いたのだから今度の展望レポートで2年での達成の絵が描けない時点で退任しろとは思うが)という所かと思います。
とまあうだうだ書きましたが、要するに本命はこのままダラダラ引っ張って12月か1月辺りの声明文でしらっと買入の構成をいじってくるだけで「MB拡大年間60-70兆円」というのはそのまま継続する、という事だと思いますし、そうなると長期国債買入拡大ヒャッハーで需給があばばばばー(長期金利は需給だけで決まる訳ではないので実際の金利がどうなるかは知らん)方向という話になるんでしょ、よー知らんけどな。
○これは興味深い(ただし超一部の人向け)ペーパー(だがまだ殆ど読んでいない)
金融研究所ディスカッションペーパーである
http://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/japanese/14-J-17.html
ドイツにおける顧客財産保護にかかる法制度
-有価証券寄託法を中心として
アブストラクトは上記URL先にありまして、本文はこちら(そこそこ重いので注意)。
http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/14-J-17.pdf
アブストラクトのURL先から。
『2008年の金融危機を契機として、金融機関が破たんした場合に、当該金融機関が顧客から預かっていた資産をどのように取り扱うべきかが、国際的な議論の俎上に載せられている。そのような背景のもとで、本稿はドイツの「有価証券の保管および買入れに関する1937年2月4日の法律(Gesetz
uber die Verwahrung und Anschaffung von Wertpapieren vom 4. Februar 1937)」(寄託法)を検討対象として取り上げる。』
ほうほう。
『寄託法は、有価証券取引における顧客財産保護を目的として、「第3章 倒産手続における優先的地位」において32条と33条という2つの規定を設ける。32条は、有価証券の所有権・共有権を有しない顧客に対して倒産手続上の優先権を付与する規定である。33条は、金融機関に有価証券の質入れを授権し、当該授権に基づいて有価証券が質入れされた顧客を清算手続に参加させることで、これらの顧客間における損失の平等な負担を実現することを目的とする。これらの規定はともに、金融機関の倒産手続において一定の財産から構成される特別財団から顧客が倒産債権者に先立って弁済を受けることを認めるものである。』
うむ。
『本稿は、寄託法の規定に関する解釈上の問題や特別財団の分配の基準・手続を検討することを通じてドイツにおける顧客財産保護制度の理解を深めることを目的とする。そしてわが国における立法論への示唆と、顧客財産保護に関する比較法研究の視座を獲得することを目指す。』
ということですが、この「顧客」という概念については本文の最後(最終章最終項の『(2)比較法研究への視座』)に指摘がありますが・・・・・・・
『最後に、比較法研究への視座として興味深いのは、顧客財産保護の議論においていかなる「顧客」が想定されているかということである。例えば、32条の倒産優先権に関する債務履行要件については、1923年に1896年寄託法が改正された直後から、交互計算との関係が問題として取り上げられていた98。このことは、倒産優先権を付与すべき主体として、商法の適用のある顧客が想定されていたことを示唆するものといいうる。また、32条に基づく特別財団の分配手続において有価証券の現物返還が顧客の利益にかなうとされていたことも99、金銭配当では代替できない利益を有する顧客が念頭に置かれていたものと考えることもできる。』
『これに対して、例えば、アメリカの証券投資者保護法(SIPA)は、ブローカー・ディーラーや銀行を同法による補償を受ける顧客に該当しないとしている。これらの者は「積極的かつ自衛能力のある(active
and sophisticated)投資家」であるので、SIPAによる保護が必要ないとされるのである100。そうだとすると、アメリカ法のもとで顧客財産の保護が議論される場合、「顧客」として想定されるのは専門知識に乏しい投資家(消費者としての性格を有する投資家)であると考えることができる。』(これは本文28ページ以降から引用しています)
ということで、顧客財産という概念での話ではありますが、一般的な取引のうち未清算部分に関する処理をどうするのかという話にもつながるネタと見ました次第ですけどそれで良いのですかね??
でまあ以前もお話したと思いますが、リーマンの日本法人が保全命令受けた時に約定未決済取引をどうするのかという点においてどう処理するのかという所が数日間空転していた(法的にどうするのかの担保が微妙にも程があったから)のも日本では市場の混乱に影響を与えたと思っております(現場的な意味で)ので、特に国際的な金融機関が飛んだ場合の破産法制を国内法および海外の法令との整合性をできるだけ取りつつも明確化していくというのは今後とも検討を深めて頂きたいものである、とまあ斯様思う次第なのであまり皆様の興味がなさそうな話ですがこういうのがありますよんとご紹介させて頂きました次第。
2014/10/21
お題「短国市場は動かないというかもはや死んでおりますな/さくらレポート基調は結構強いものの・・・・」
マクラというよりもニュース雑感ですけどね。
http://www.bbc.com/news/world-asia-29684631
Japan ministers Yuko Obuchi and Midori Matsushima quit
20 October 2014 Last updated at 06:45
最後の方にしらっとこんな記述がありますなあ。
『The BBC's Japan correspondent Rupert Wingfield-Hayes says that this is
not the end of Mr Abe's problems concerning his new female ministers.』
(上記URLより)
なおBBC特派員が指摘するのが何の話なのかは上記URL先を読んでくらはい。
更に別件ですけど。
http://www.47news.jp/CN/201410/CN2014101901001285.html
内閣支持率48%に下落 共同通信世論調査
2014/10/19 16:20 【共同通信】
これなんですけど、詳細を見ると(こちらのURL先には詳細は無い)政党支持率で民主が4.7→8.1となって一歩抜けたのと、消費税率引き上げに関して反対が相変わらず多いのは仕様として、実は賛成が27.5→31.0で反対が68.2→65.9になっているという方が気になった次第で、共同通信の世論調査でも賛成が増えるという状況の元で消費税増税先送りって実は内閣支持率的に逆効果になるような悪寒もしてきましたよ。
○短期市場メモというか何というか
http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL3N0SF37L20141020
〔金利マーケットアイ〕金先中心限月が9年1カ月ぶり高値、短国の流動性低下や政治懸念を意識
2014年 10月 20日 17:07 JST
まあ金先の話は正直どうでも良い(とうの昔から取引そのものが建玉残高とか出来高を見たら短国の流動性低下とかいう前から取引が閑散過ぎる)のですが、たぶん金先高値の方はリファレンス金利の影響じゃネーノとは思いますがそれはさておきまして。
『<15:20> 翌日物の加重は前週末並みか、短国はマイナス金利継続無担保コール翌日物の加重平均レートは0.05%後半から0.06%付近と前週末(0.059%)並みの水準が見込まれている。日銀当座預金残高が高水準に保たれているため、金融機関の資金調達圧力は限定的。地銀・信託・証券などが0.056─0.057%、大手行が0.055─0.056%を中心に調達した。ユーロ円3カ月金利先物は東京銀行間取引金利(TIBOR)の低下を受けてしっかり。前週末の日銀買い入れで札割れした国庫短期証券(TB)はマイナス金利継続。新発3カ月物が一時前営業日比0.051%低下のマイナス0.090%、新発6カ月物が一時同0.015%低いマイナス0.050%を付けた。売り注文が少ない中で、少額の出合いを付けた。』(上記URLより)
とまあそういうことで、昨日はカレントの3Mがマイナス9bpだわ6Mがマイナス5bpだわという所ですけれども、金曜の短国買入札割れを受けましてとにかく売る人がいないという状況になっている(まあ元々あまりいませんでしたけど)訳で、現実問題として最終投資家は一部の限界的な部分で「モノ」としての短国が必要な場合(具体的には担保ニーズと、バランスシート要請で国債以外の物をポートに入れられない場合ですかね)除けばマイナス金利で短国を買う人はいないので、そらまあ価格水準がマイナスだったら取引が全然動かないわなという話になりますので、短国市場は入札の瞬間だけしか動かない、というか単に入札で投資家の所に入る分だけ入って後は商品有価証券の在庫として必要(アウトライトでも必要だけど銀行や証券の商品勘定だと債券現先(リテール向けも含む)のニーズがある筈)な分がこれまた沈んでしまい、後はオペ狙いのアレだけが残るという図で、全部が瞬間的に嵌ってしまうので市場とは言い難い状況で、国債流通市場の流動性向上を目指している財務省理財局激おこプンプン丸の図という事ですねわかります。
まーそんな感じで今週は木曜になるまで手も足も出ないのですが(だいたい売る程持っている人もいないでしょう、というかいたらこんな惨状にならん)、良く良く考えてみると日銀が何でマイナス金利で短国買う必要があったのかが良く判らん所で、期末の時間帯に掛かる時期とかでも無ければ実は日銀の短国買入でマイナスを買わなければ日銀オペ狙いでマイナス金利まで持って逝く攻撃も起きなくて単にゼロ近辺に張り付くだけのような気がしますし、大体からしてゼロが買入金利の上限だったら強い所に入れてヒャッハーしようにもそもそもゼロ金利近辺になったら日銀への打ち込みでの収益が限界的なのでそこまでヒャッハーしに逝かなくなるんじゃネーノという気もするんですが、マイナスを買いに行かない方が良かったんじゃないですかねえという気もするが時既にお寿司(まあ別に買入利回り自体は気に食わなければ募入除外することは可能なので運用で除外は出来るけど、一旦始めるとマシンのように継続するのが日銀クオリティなので柔軟対応とか期待するだけ無駄)という感じではありますな、うんうん。
たぶん前回の当座預金30兆円の時に短国買入まで札割れカツカツになったというのがあって、だからこそ買入下限金利を撤廃したと思うのですけれども、当時と比較した場合に超過準備付利金利はありますし、短国の発行量が違うので日銀買入がマイナス買わなければそこまで煽られなかったような気もするのですが、まあ市場がこうなってしまうと最早検証不能なのでよく判らんですな。
なお、金曜に0.5bp出合いヒャッハーとか何かよく判らんプレイになっていた2年カレントですが、2bp出合いとなっておりましてそら0.5bpはやり過ぎだろうよとは思いますが、そもそも2bpという水準もついこの前の短国の水準だし有担保コール取引の金利水準かよといレベルでして、冷静に今のQQE政策の継続期間を考えた場合に足元金利の足し算的にその水準というのは如何なものかという風にも思うのですが、需給なのでいかんともし難く、日銀様によります市場破壊活動は益々順調というのが市場の片隅でおこぼれを頂戴しているいち凡下の感想ではあるのですが、大所高所から物事を考えております日銀様によりますとこれは「金融緩和政策によって一段と実質金利が低下して政策効果が更に高まります(キリッ)」という事になりますので全く問題ないんですね(白目)!!!という所です。
#まあ昨日ネタにした宮尾さんの講演でもありますように、デメリットの話は無視して効果の話をするのが最近の日銀クオリティであって、もはや政策担当当局としての責務を放棄してますからねえ
○さくらレポートの基調判断が強めの件について
展望レポートを前に支店長会議が開催されましてね。
総裁の挨拶(のうち原稿部分)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/siten1410.htm/
もうコピペですなという感じですが。
『(3)わが国の金融システムは、安定性を維持している。そうしたもとで、金融環境は、緩和した状態にある。
(4)「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。』
ということで、金融システムに関しては先週金融システムレポートが出ていてまだネタにしていなくてすいませんすいませんという感じですが、QQEについても所期の効果を発揮云々といういつもの話でありまして、とりあえず黒田総裁におかれましては金融システムの安定的なマクプル話とか、短国市場が壊滅している市場機能がどうのこうの話とか、そういう話には1ミリも興味をもっていない(そもそも黒田さんは財務省時代に理財畑は殆ど踏んでいないので国債流通市場とかに関する理解が全然無いはず)ので、国債流通市場が壊滅すると実は金融システムに対しても一部負荷が掛かってくるんですよねえとかそんな事全然考えないでしょという所ではあります。
話が逸れましたがさくらレポート。
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer141020.htm/(概要)
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer141020.pdf(本文、重いので注意)
つーことで概要の方から少々。
・展望レポートの中長期見通し下方修正は無いということですねわかります
『I. 地域からみた景気情勢』から。
『各地の景気情勢を前回(14年7月)と比較すると、東北から、回復テンポが緩やかになっているとして判断を引き下げる報告があったものの、残り8地域では、景気の改善度合いに関する基調的な判断に変化はないとしている。』
ほっほー!!!
『各地域からの報告をみると、東北を含め全地域で、基調的には、「回復を続けている」、「緩やかに回復している」等としている。この背景として、生産面において一部に弱めの動きがみられるものの、国内需要が堅調に推移し、雇用・所得環境が着実に改善していることが挙げられている。この間、個人消費については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響は、ばらつきを伴いつつも全体として和らいできている等の報告があった。』
ということでどう見ても強気です本当にありがとうございましたという所ですし、個人消費に関しての先行きが上記のように強めになっている辺りを見ますと、まあこれはどこをどう見ても展望レポートでの先行きシナリオには変更が加えられない(足元の数値を受けた修正はあってもそれは単なる修正で済ませる)というのが想定されるというか各取り纏め店の方で忖度いや何でもないです。
なお7月さくらレポートの当該部分を引用してみましょう。
『各地域からは、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているものの、基調的には、「回復を続けている」、「緩やかに回復している」等の報告があった。この背景としては、国内需要が堅調に推移し、生産が緩やかな増加基調を続ける中で、雇用・所得環境も改善していることが挙げられている。』(7月さくらレポート概要より)
となっていまして、大体まあ文章量が長くなる=いいわけ文言の増加=判断が怪しくなっている=そのうち下方修正待ったなし!!という話ではあるのですけれども、まあその日銀文学鑑賞面からみた話は兎も角としまして、「生産に弱めの動き」というのを入れながら「消費が持ち直し」という表現を打ち込むことによって相殺するというお得意の作戦を使っておりまして、これは今月の展望レポートではヘッジクローズが長くなる見苦しい文書になるものの、結局の所見通しは変えませんよと言ってるようなもんでしょうなあ。
・・・・・ただし子細に見ると微妙な部分もある、というのが以下のお話ですけど、まあ総括的な基調判断がこのような代物ですので強いという話になるんでしょうね。
・消費税増税の反動に関連して総括表現を鑑賞
北海道
『基調的には緩やかに回復している。この間、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動は、和らいできている』(10月)
『消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動が一部にみられているが、基調的には緩やかに回復している』(7月)
前回は駆け込みの反動が「一部に」見られていた筈なのに何故かその反動がまだ続いているですかそうですか(棒読み)。
東北
『消費税率引き上げの影響による反動がみられるものの、基調的には緩やかに回復している』(10月)
『消費税率引き上げの影響による反動がみられるものの、基調的には回復を続けている』(7月)
東北は前回の時点でも消費税増税の反動に関して直球で指摘していた唯一の地域でして、今回下方修正したのもまあその流れから考えますとフラットな指摘なんでしょうな、うんうん。
北陸
『消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかに回復している』(10月)
『消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかに回復している』(7月)
全文一致キタコレなのですが、駆け込み需要の反動の影響が続いているじゃんという気がするのですがががが。
関東甲信越
『消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響から生産面を中心に弱めの動きがみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている』(10月)
『消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている』(7月)
ヘッジクローズキタコレですかそうですか(^^)。
東海
『基調としては回復を続けており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響も、幾分ばらつきを伴いつつ全体として和らいできている』(10月)
『足もと消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動もみられているが、基調としては回復を続けている』(7月)
東海は堂々駆け込み反動が和らぐという表現が入っていますね!
近畿
『消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調としては緩やかに回復している』(10月)
『消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調としては緩やかに回復している』(7月)
おやこちらも全文一致。
中国
『生産面で幾分増勢の鈍化がみられるものの、基調としては緩やかに回復している。この間、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響は全体として和らぎつつある』(10月)
『消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているものの、基調としては緩やかに回復している』(7月)
こちらも駆け込み反動の緩和という話をしているのですが、東海は「和らいできている(キリッ)」という感じなのですが中国については「和らぎつつある」と微妙にヘッジの入った文言(そもそもその前にどちらも「全体として」という盛大なヘッジ文言が入っていますが)ですな。
四国
『消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などがみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている』(10月)
『消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている』(7月)
趣味の日銀文学鑑賞苦節(嘘)10ウン年のアタクシ歓喜の文言変更でありまして、この「など」というのが曲者であるというのは日銀文学鑑賞の基本中の基本でありまして、駆け込み需要の反動というのは基本的にこれは弱い話でありまして、その弱い部分に「など」という万能ヘッジワードが入ってきた訳で、質問をできるのであれば「ここに入った”など”というのには何が含まれているのでしょうか」と聞くのが基本であります。
ということは四国は実質的には現状判断下げてますな。
九州・沖縄
『基調的には緩やかに回復している。この間、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減は、徐々に和らいできている』(10月)
『消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減がみられているものの、基調的には緩やかに回復している』(7月)
徐々にという表現ではありますが、反動減の緩和については東海並みに普通に強い説明していますな。
・・・・・・・ということで、まあ判断が総じてみると横ばいなのですけれども、各地域の報告部分を個別に展開していくと、最初の所にあった説明文言にあるほど消費増税の駆け込み反動って緩和されてきているのか????という感じはせんでも無い。
・需要項目別に関しては時間が無いので(こら)設備投資と消費だけ
『設備投資は、北海道、東海から、「一段と増加している」、4地域(東北、北陸、関東甲信越、近畿)から、「増加している」等、3地域(中国、四国、九州・沖縄)から、「持ち直している」等の報告があった。この間、企業の業況感については、「底堅く推移している」、「製造業・非製造業とも横ばい圏内で推移している」等の報告があった。』
前回ですけどね。
『設備投資は、北海道、東海から、「一段と増加している」、4地域(東北、北陸、関東甲信越、近畿)から、「増加している」等、3地域(中国、四国、九州・沖縄)から、「持ち直している」等の報告があった。この間、企業の業況感については、「非製造業を中心に悪化した」、「底堅く推移している」等の報告があった。』(7月さくらレポート概要から)
設備投資の判断は前回は上がったのですが、今回は基本的に横ばいで、一方業況感に関しては短観の現状判断DIを反映して改善という感じになっていますな。
『個人消費は、雇用・所得環境が改善していること等を背景に、北海道から、「回復している」、4地域(北陸、東海、四国、九州・沖縄)から、「基調として緩やかに持ち直している」等の報告があったほか、4地域(東北、関東甲信越、近畿、中国)から、「基調的に底堅く推移している」等の報告があった。この間、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響については、複数の地域から、ばらつきを伴いつつも、「全体として和らいできている」等の報告があった。』
前回はこの通り。
『個人消費は、雇用・所得環境が改善していること等を背景に、北海道から、「緩やかに回復している」、4地域(北陸、東海、四国、九州・沖縄)から、「緩やかに持ち直している」、「持ち直している」等の報告があったほか、4地域(東北、関東甲信越、近畿、中国)から、「底堅く推移している」等の報告があった。この間、多くの地域から、耐久消費財(乗用車、家電等)や一部の高額品を中心に、「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられている」等の報告があったほか、「反動減が縮小してきている」等の報告もあった。』(7月さくらレポート概要から)
何か現状判断の総括部分的には駆け込み需要の反動が和らいでいるという話になっていた筈なのですけれども、良く良くここ見ますと「基調的には」というヘッジ文言が乱発されているようになっていて本当にこれ強いのかよという感じですな、うんうん。
・地域の視点は観光ですかそうですか
『II.地域の視点』のお題は今回『各地域における観光振興に向けた取り組みと地域経済への影響
― 成長産業としての期待の高まりと観光需要の創出・獲得等に向けた取り組み
―』というブツになっておりまして・・・・・・・・・・
『1.各地域の観光需要の動向』
『各地域における最近の観光需要の動向をみると、大方を占める国内観光客が堅調に推移する中で、外国人観光客が大幅な増加を続けているため、全体としては緩やかながら着実に増加している。すなわち、国内観光客は、ガソリン価格の上昇、ETC割引率の縮小、天候不順等に伴い、夏場にかけて幾分弱めの動きとなったとの声も聞かれているが、基調としては、景気回復や雇用・所得環境の改善等から、堅調に推移しているとの声が多い。』
ほうほう。
『この間、消費税率引き上げに伴う影響は特段うかがわれないとの声が相応に聞かれている。』
そらそうよ。
『また、外国人観光客は、為替円安、ビザ発給要件の緩和に加え、アジアにおける中間所得者層の拡大、交通インフラの整備・拡充(空港発着枠拡大、定期便就航・LCC増便、港湾整備等)等を背景に大幅な増加が続いており、観光客全体に占める割合も徐々に高まっているとの声が少なくない。』
円安キタコレ!
『もっとも、そうした中にあって、東日本大震災で被害を受けた地域の一部や、他の地域との差別化が進んでいない観光地等では、依然として厳しい状況が続いているとの声が聞かれており、地域によって観光需要の獲得に差が生じている面が見受けられる。』
まあどこもかしこもという訳にはいかんでしょうな。
でまあその次の『2.最近の観光需要の特徴等』ですけど、国内の方が味わいが。
『国内観光客は、アクティブシニアの需要が引き続き旺盛なうえ、雇用・所得環境の改善等から、このところファミリー層や若年層の観光需要も回復傾向にあるとの声が多い。』
なるほど高齢者の消費に依存ですかそうですか。
『また、一部地域では、企業業績の改善等を背景に法人需要が増加しているとの指摘も聞かれる。こうしたもとで、名所旧跡見物等の従来型観光に加え、地元の自然や伝統文化・産業等を体験したり、スポーツやアニメ関連のイベント等への参加を目的とする体験型・交流型観光を志向する観光客が増加しているとの声が多く聞かれている。この間、観光客の消費行動に関しては、シニア層を中心に価格が高めであっても良質なサービスを求める傾向が強まっているとの声が少なくない一方、交通費等を抑制し、その分、飲食、アクティビティなど旅行の主目的への支出を重視するメリハリ消費が広がっているとの声も聞かれている。』
つーことで、まあ一方的に観光でヒャッハーという訳でも無さそうですなという所です。詳しくは本文を読みますと色々と面白いのですが時間と量の都合上単に備忘代わりに引用だけしておきました。
2014/10/20
お題「短国買入が遂に札割れで大変なことに/宮尾審議委員講演をネチネチと鑑賞してみる(ネチネチなので長いです)」
この人の面の皮は一体全体何で出来ているのか分析してみたいですね。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NDK6HL6KLVR701.html
伊藤教授:GPIF新資産構成、入れ替え前発表は「ばかげた話」 (2)
更新日時: 2014/10/17 14:35 JST
『10月17日(ブルームバーグ):年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF
)が国債売却や日本株買い増しを進める前に新たな資産構成の目標値を発表するのは「ばかげた話」だ−。』(上記URLより)
全く仰る通りですが、それでは今年3月の伊藤先生の発言をサルベージしてみましょう。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N1VX6G6JTSF701.html
伊藤教授:GPIF改革は受給者のため、国内債52%まで落とせる (2)
更新日時: 2014/03/04 15:05 JST
・・・・・・・・・・・なるほどご自身の行っていたことが「ばかげた話」だという事ですね!!!
というかこのジジイ心底(自主規制)としか思えんのだが国会で追及くらいして頂きたいですなあ。
○短国買入やや予想外に札割れで短期市場や債券市場が酷い事になったの巻
しかしまあ金曜は上記のちょっと人間としての神経を疑う人のインタビュー記事があるかと思えば何と言ってもこれですよこれ。
えーっとですね、金曜の朝に駄文で申し上げましたが、木曜の3M短国ってまあ入札は激強でついに100円未満での応札する札の一番高いお値段で按分5割という入札になってしまい、市場推計の不明玉が3兆からあったのですけれども、それはそれとしてもGCレートとかは上昇していたし、そもそも1年と3Mで合計8.2兆円のオペ対象新発が出ているからまあ普通にオペは3.5兆円継続ですかねえとか思っていた訳ですな。
そうしたら短国買入が3兆円でオファー。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of141017.htm
国庫短期証券買入 30,000 2014年10月21日
(国債補完供給は引用割愛)
まあ何ですな、水曜に財務省から在り方懇に向けて国債市場の流動性対策ということでプライマリーディーラー対象に国債応札制限の強化(要はPDは市場流動性を供給する責務があるから買い占めとかするんじゃねえヴォケという話)なども含めて色々なネタが打ち込まれましたので、ほうほうそうですか日銀もちったあ気を使って減額してきましたかそうですかなどと思っていたら(実際に若干引け甘の出合が業者間ではあったようだが引け甘と言ってもマイナス利回り)結果が何とビックリの内容。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba141017.htm
国庫短期証券買入 26,220 26,220 -0.097 -0.005
・・・・・(;゚д゚)
・・・・・(;゚д゚)
・・・・・(;゚д゚)
先週の短国買入5兆から札があったのに何で今回2.6兆円しかないのやらという話ではあるのですけれども、どうも昨今の入札で盛大に不明玉があって、マイナス金利買えない人たちがプギャーとなる中で日銀短国買入攻撃に向けた在庫が一部の所に非常に偏在しまくっていて、玉はあれども超偏在しているのでGCレートとかは在庫ファイナンスの都合上上昇するのだが、偏在の影響で玉が出てこない(そもそもマイナスの利回りだと普通の最終投資家は買えない)状態になっているが、最終的に日銀がバキューム市場破壊オペをするので値持ちだけはしてしまう、という事になった結果としまして、玉が超偏在しているので、ロットで応札した人がうっかりしたら1名しかいませんでした(なおその時によって1社当たりの応札限度額は異なるのですが、基本的に買入系のオペで1社全部応札可能という形にはしないのが仕様)という事で、結果として札割れになるわ、全取レートが前日比マイナス9.7bpってありますが、これは要するに売買参考統計値単利(が基準利回り)がマイナス0.3bpの銘柄について(応札の呼び値は出来上がりレートなので)入れるような札が碌に無い人がギャグでマイナス0.1%とかで応札したら見事に全取に掛かって入ってしまったという結果になったのでしょうな、としか申し上げようがない状態。
しかしまあこの結果が出たのが5年入札の応札締切前(いつもだと11時40分のオファーバックだけど若干遅れていたような希ガス)でナンジャソラ状態になって、債券市場は後場から上昇の巻となるのでありました。
でまあこれはつまり短国市場において日銀買入に応じるほどの在庫を持っている人が殆どいないというかこの時点で1名しかいないという状態になっていた、という事が示されましたので、持っている人以外誰も売りが無くて結局金利がホイホイと下がって、短国はすかさずマイナス3bpがビットとかになったとか思ったらその後カレントがマイナス5bpだのマイナス7bpだのとなって多分最後はベンダーによるとマイナス9bpとかになっていたと思われます。
というかロイターさんのこちらの記事なんぞをご参照ください。
http://jp.reuters.com/article/treasuryNews/idJPL3N0SC2IP20141017
〔金利マーケットアイ〕翌日物0.056─0.057%中心、国庫証券利回り大幅低下
2014年 10月 17日 15:29 JST
『<15:25> 翌日物0.056─0.057%中心、国庫証券利回り大幅低下
無担保コール翌日物は0.056─0.057%中心での取引。主な取り手は地銀、信託、証券で、大手行は0.055─0.056で一部調達した。取引金利は前日と大きな変化はないが、週末要因が意識されてたことから調達意欲は若干強めとなった。レポ(現金担保付債券貸借取引)GCT+1レート(平均)は発行要因で上昇。日銀が17日実施した国庫短期証券の買い入れで、応札額が買い入れ予定額に届かず、札割れが生じた。同オペの札割れは、資産買入等基金を通じて買い入れを行っていた2012年5月以来、2年5カ月ぶり。新発3カ月・6カ月国庫短期証券が業者間取引で過去最低利回りとなった。3カ月物(488回)がマイナス0.090%、6カ月物(484回)がマイナス0.050%となった。需給が極端にひっ迫していることを反映したレート推移になった。ユーロ円3カ月金利先物は小動き。』
『<15:15> 国債先物は大幅反発、2年債利回り0.005%と過去最低水準
長期国債先物は大幅反発。前日の海外市場でリスク回避ムードがいったん和らいだが、東京市場では日経平均株価が大幅に軟化したため、日中取引の最高値を更新した。現物債は中期ゾーンの利回り低下が目立った。需給がひっ迫する国庫短期証券の利回りが恒常的にマイナス金利となる中、金利比較から少しでも利回りが乗っている中期ゾーンに銀行勢などの余剰資金が流れ込んだ。2年債利回りは0.005%と過去最低水準に低下した。きょう実施された5年利付国債入札が強く、中期ゾーンの利回り低下に影響した。長いゾーンもしっかり。長期国債先物中心限月12月限の大引けは、前営業日比21銭高の146円45銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は同1.5bp低下の0.470%。』(以上上記URLより)
・・・・・・・ということで、3M新発はマイナス9bpというのも酷い話なのですが、2年新発が0.5bp(桁間違いではない)となっている方もたいがいに酷い話で、短国買入に引っ張られて煽りが入った分はあるにせよ、何ですかその利回りはという所で、短期から2年位までのゾーンの国債市場が無茶苦茶な事になってしまいましたということで。
そういや先月は最初のマイナス金利短国買入があったのではないか(実際は微妙だったが翌日の日経などではマイナス金利と来ましたな)となって、その後期末要因もあって玉が逼迫する中でカレント3銘柄の引けがマイナスの中で玉が極端に無くて、どう見ても玉が偏在していてまともに応札できる人がうっかりすると1名しか居ないのではないかという状況となっていたのが9月12日でしたが、この時に意地になって(かどうか知らんが)無理繰り2500億円の短国買入でマイナス金利の買入をする気満々という入札をしたというのがありました。
まあこの時も足切りは流れて9糸強とかになって、このオペの結果「日銀はマイナス金利でも何でもとにかく買入をします宣言」という風に解釈され(まあそう解釈するわな)すっかり短国のマイナス金利状態が続いた訳ですが、この時は一応期末要因というのもあったからねえとか思っていた訳ですが、ご案内の通り期末要因が残っている中で「応札が3.9兆円しかないのに短国買入のオファーを過去最大の3.5兆円実施する」という市場機能丸無視買入を今月の頭から実施して短国金利のマイナスが全然解消しないままで推移する中で遂に札割れという間抜けプレイに相成った次第で、日銀の短国および国債市場破壊行為ここに極まれりという所でございまして、水曜に国債市場の流動性維持の施策を提案していた財務省理財局も血圧を盛大に上昇させているでしょうと思うのでありまする。
まあしかし何と申しますか、オペ打つ方もヒアリングとかしてる筈で、市場の玉が偏在しているのは把握している筈だと思うのですが、その結果札割れオペを打つとかアホというか間抜けというか無能というかなのですが、大体日銀というのはチョンボがあっても言い逃れが可能な場合はチョンボと言わないで却ってそれを取り繕いに来るというのがヲチャーから見ますと仕様になっております(金融政策決定においても同様、というかそちらの方が著名ですかそうですか)ので、「相手が市場だから札割れもあり得る」とか「マイナス金利での買入をして市場金利が低下するのは金融政策効果の浸透である」とか、まあそんな話が出てきて更に燃料を投下するのが得意技という所かと存じますので益々複雑骨折振りが拡大するんでしょうなあと存じます次第。
いやね、そこまで市場をシッチャカメッチャカにしたとしても、この政策の最終盤の思いっきり最後の所なのでこういう事もあるけれども、政策効果が覿面に出てきてその結果として政策は終了するので、このシッチャカメッチャカは最後の最後の花火みたいなもんだというのであれば、そらまあ一時的にそういう事になったとしても生みの苦しみみたいなもんで我慢しましょという話になると思うのですが、そもそも来年の政策をどう継続するのかというのが話題になるような状況であり、そもそも論として最初に適当に勢いだけで提唱した「2倍」理論が正当であったのかという点が全くもって疑問としか申し上げようが無いという中で、その「2倍」達成の為という極めて合理的根拠のない目標の為にのみ行われている資産馬鹿買入政策しかも出口見えずという状態だというのが金利市場参加者的に絶望した!!となる話でありますが、どこからどう考えてもこの辺の市場機能云々という観点が今の執行部に皆無と思われる所が更に絶望を呼ぶわけですよね。
まあしかし何ですな、9月の時点で「マイナス金利でも何でも買う」し「市場の流動玉が無くても兎に角札が有ればそれは買う」というのを見せてしまって、マイナスで買う日銀短国買入があるから別に最終投資家の買うレベルの金利を叩き売らなくても良いじゃんという認識を広めた上に、「年末の目標積み上げの為に前倒しでどんどん積む」という姿勢を10月の頭から見せるというようなオペの打ち方がもう何ちゅうかよく言えば真正直なのだが対市場という意味では足元を見られるだけな訳で、もっと運営を工夫しないと目標残高積むのにとんでもないマイナス金利を掴まされる結果になるでしょうし、逆に目標行ったらそこで買入フローが落ちるのでしょうから逆の現象が発生して市場に無駄なボラを発生させる(というか既に2年の金利とかにとんでもないボラを発生させているが)事になるということで、何か昨年のQQE導入直後の国債買入を巡るボラ拡大(背景にあるストック効果などが違うから単純に合わせ絵には出来ないけれども)を思い出してしまうような動きではあります。
つーかまあこれで「MB拡大70兆円を国債50兆円その他20兆円」という「その他」の方がどう見てもこれ以上サステイナブルではない(年末は何とかなるとは思うのだが)のが明らかで、そもそも「その他短期オペ」ったって貸出支援にしろ共通担保オペにしろ担保が必要なのですから、短国買入も増やせないでしょうが、担保余力の問題からも短期のオペ残積み上げって物理的に無理が来ていると思われますが、一体全体どうする積りなんでしょうか日銀は・・・・・・と思うのですが、何せこの辺の問題って審議委員の中でも分かっていそうなのが石田さん(銀行の資金証券にいたから恐らく一番理解している筈)と佐藤さん、木内さんくらい(中曽さんは分かっているとは思うのだが執行部なので・・・・・・)でして、ここは一丁石田審議委員の大暴れに期待したいと思いますというかお願いします暴れて下さい(平伏)。
もしMB年間60〜70兆円に意味がある、というのであれば「長期国債60〜70兆円」とかにするしかないのですが、そもそも論としてそのMBに意味があるのかという事も考えて頂きたい所なのですが置物のクビを飛ばさないと置物理論を捨てられないから「MB拡大すると期待インフレ率が上昇して実質金利が低下するから全てハッピー」というハッピーなのは提唱している人の頭の中なのではないかという理論が継続して国債の買入が増えるというオソロシスな話になってしまうんでしょうなあナムナムナム。
#最近の円債サガランチ会長中短期ド堅調にはその思惑成分があるものと想像しますがどうでしょうかねえ
○宮尾審議委員謎の特別講演をやたらネチネチ読んでみましたよ!!!!(以下やたら長いのでご注意)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/data/ko141018a1.pdf
日本経済と金融政策
── 日本金融学会2014年度秋季大会における特別講演 ──
土曜日に何故かこんなのがアップされていまして、「特別」講演とか言われまして何が特別ですねんと言いますか、だいたい「特別」と名がついているものに碌な物無しというのが金利絡みの世界では良くありまして、一般債ディーラー(や投資家)でちょっと年寄りを捕まえて「トクホンシ」だの「トクオオ」だのという言葉を振ると大抵やられ自慢の武勇伝が聞かれると思いますのでお試しあれ。
ということでまあその「特別」講演ですけどね。
・置物理論が使い物にならないので新たな大本営理論の構築が進んでいる可能性も否定できません
最初の『1.はじめに』ですけどね。
『早いもので、日本銀行の審議委員に就任して4年半が経過しました。』
良く良く考えたら宮尾審議委員って来年の3月25日までの任期でして、普通は日銀の政策委員というのは内部昇格の場合は別ですけれども、一般的にクビが近くなると思いっ切りはっちゃけて暴れだすのが仕様になっているのですが、まあ今回の講演に関しては大本営理論を伝達する九官鳥振りを遺憾なく発揮しておられるという感を深くするものでありまして、本来ならQQEの「2年」結果前に勝ち(勝っていないような気がしますが)逃げ(逃げる方は任期到来ですから)が可能という大変に素敵なポジションにいますので、それこそ暴れて頂きたい所なのですが、九官鳥審議委員振りを遺憾なく発揮されているという事はさてはおじさん再任でも狙ってるんでしょうかという所です。
まあ置物みたいなのが来る位なら鳥の方がマシなのかも知れませんが、しかしまあ学者3名が置物に九官鳥にオガクズとか日本の学界とは何なんでしょ(まあ置物理論が世間的に幅を利かせる時点でお察しなのですが)という所ではありますが、まあ以下をツッコみながら鑑賞すると大本営理論の萌芽にも見えて味わいがあるというものです。
『これらの取組みに対して、学界でもさまざまな見方やご意見があり、活発な議論や研究が行われていると承知しています。私も、学界出身の一人として、以下のようなさまざまなことを自問自答してきました。』
ほうほう。
『@2 年ほど前からわが国経済は「消費主導」による回復が続いているが、なぜいま「消費主導」なのか。その原動力は何か。それは持続するのか。』
ふーん。
『A世の中の多くの予想に反して、消費者物価は、昨年来順調に伸びを高めてきたが、その原動力は何か。企業はコストを販売価格に転嫁する動きを強めてきているが、なぜいま可能なのか。』
太鼓持ちキター!
『B国債買入れなどの非伝統的な金融政策の効果については、学界でも見方が分かれているが、効果を疑問視する声――「平時にはそもそも効果はなく、マーケットが誤解しているだけ」、「一時的な資産価格バブルをもたらすだけで、経済をむしろ不安定化する」など――にはどう答えるのか。』
バブルの前に市場機能が崩壊して金融政策のトランスミッションメカニズムが喪失する事を心配して下さい。
『これらの問いに対して自分なりに回答を模索してきましたが、それらはいずれも、経済の潜在的な成長力や収益力、所得形成力といった供給サイドの「実力」をどう捉えるかに密接に関わっています。言うまでもありませんが、景気回復のメカニズムや持続性、そして政策の効果や課題を議論するには、経済の供給面の状況を正しく把握することが重要です。』
キター!!!!
・・・・・・・・えーっとですね、何がキタコレなのかと申しますと、従来の置物理論およびそれを波及させた日銀異次元理論によりますと、長期国債の大規模な買入によるマネタリーベースの拡大でインフレ期待が低下して実質金利が下がるので全て上手く行くし、物価に関しては日銀の金融政策で決められるし、経済の状況云々とは別に物価目標2%が絶対的に正しいので、それに向けて日銀が適切な政策を打てば良い、という話だった訳で、特に上記Bの金融政策の効果に関する部分に関連して「供給サイドの実力」という話が出てくるのは異次元理論的には新展開という話なのですな。
#野党審議委員の方からは既に「2年で2%」の定義についてとか妥当性についてとか見解が出ていますが
・日本経済への認識が何ちゅうか大本営発表である
でその次。
『そのような問題意識のもと、私は、これまで講演などで、現在の日本経済の回復の大きな特徴は、従来の「輸出主導」ではなく「消費・非製造業主導」であること、そしてその背景となる原動力としては、いくつかの側面から供給サイドの実力が高まっていることを強調してきました。1』
供給サイドの天井論という話をしている佐藤さんや木内さんとはマッコウクジラですねわかります。
『すなわち、@企業部門では内外さまざまな前向きな取組みが進展し、非製造業の収益力やグローバル化を加速する製造業の「稼ぐ力」が高まっていること、』
そ、そうなのか????
『A企業の労働需要は基調的に高まり雇用・所得環境の改善は続いていること、』
供給制約が厳しくなっているからではないかという気もするのだが。
『B女性や高齢者などの自発的な労働参加が促され家計の労働供給も増加してきていること、などです。』
この自発的というのが曲者で、パーヘッドの実質賃金が低下している中での「自発的な労働参加」ってそれ要するに家計単位の実質賃金低下を埋める為に労働参加が促されているという可能性についてはどうお考えなのかというのと、そもそもそういう状況での「自発的な労働参加」って単にそれ国民厚生的には人民を実質ベースで貧乏化させることによって働かせるように仕向けているって話にならないかねとか、まあそんな事を思ったりしますががががが。
・ということで「経済の実力」という異次元理論の収拾に向けた動きの萌芽かもしれない件
現在の異次元緩和の異次元理論だととにかく金融政策単独で物価目標は達成できるのだから経済の実力とか関係ないし、2%の物価目標水準は経済の実力云々とは別として正しい数値だし、そもそもこれまでの日本経済の問題は長期のデフレによって発生したのだからデフレを脱却すればそれらの問題が解決に向かうのでデフレ脱却で困るという話は無い、とまあそんな理論でしたな。
でまあ昨今は異次元緩和を投下した時の理論の肝心の部分である「2年で2%達成」の期限が近くなってきた中で、残念ながら来年の4月時点でアクチュアルなCPIが2%というのは無理がありそうな水準になりそうですよねとなっている訳で、そうなると@2年に関しては範囲の世界で誤魔化す、A2年の達成期限を下げて中長期的な話にする、という選択肢の他にBそもそも政府の政策によるサポートが重要という話を持ち出して日銀だけのせいではないと責任転嫁する、という作戦がありまして、どうも以下の話を見るといざとなったら責任転嫁モードに入る準備をしているのではないかと思われる節が。
さっきの続き。
『日本銀行は、現在、2%の物価安定目標を掲げて、「量的・質的金融緩和」を遂行しています。後ほど詳しく述べるように、経済の実力が高まれば、2%の物価安定目標も、持続的な景気回復を伴ってバランス良く、よりスムーズに達成され、安定的に持続することができます。』
しらっと話をしていますが、そもそも物価については金融政策の範疇であり、金融政策だけで達成するというのが従来の理論構成だった筈で、これは「2%物価目標達成が若干遅延しているのは経済の実力が高まっていないからで、実力を高める第三の矢が効果を出すまで少々お待ちください」という2年での達成が出来ない場合の新手の言い訳の伏線を張っていると解釈するのが妥当かと思われます。
『経済の実力が高まれば、政策の効果は発揮されやすくなり、金融面の不均衡など潜在的な副作用は抑制されやすくなると考えられます。経済の実力が高まるなかで、思い切った政策がより高い効果を発揮すれば、企業や家計の前向きな取組みや構造転換が一層後押しされ、経済の実力がさらに高まるといった好循環も期待できます。』
ということで、この辺り来年春の「2年で2%」が行かない事に関して早速予防線を張り出して、それについて便利なスポークスマン(九官鳥はあまりにもアレなので格好良く直してみた^^)としての講演であると思いますと中々味わいがある訳ですな。
#いかん「はじめに」でこんなに悪態をついてしまった
・経済動向に関する説明が大本営発表クオリティな件を盛大に鑑賞
では次の『2.わが国の経済物価動向と供給サイドの改善』をば鑑賞ですが、大本営クオリティの極みでありまして、正副総裁がこういう話をするのは当然ですけれども宮尾さんがこういう説明するのはねえという感じはしますが。
最初の小見出しが『(1)緩やかな回復を続ける日本経済』ですな。
『わが国の景気は、消費税引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響から生産面を中心に弱めの動きがみられていますが、基調的には緩やかな回復を続けています。本年4〜6月の実質GDPは前期比年率−7.1%と大幅なマイナス成長となりましたが、これは1〜3月が同+6.0%と駆け込み需要から大きくプラスとなった後の反動とみられます(図表1)。こうした振れを均して、1〜3月と4〜6月を合わせて、その前の半年間である昨年7〜12
月と比較すると、年率+1.0%の成長となります。このように均してみれば、潜在成長率を上回る成長を続けており、回復の基調は維持されています。』
この均す理論は毎度の説明ですな。
『国内経済の需給バランスをみても、改善傾向は続いています。日本銀行による需給ギャップ推計値は1〜3月時点でプラスに転じ、4〜6月もゼロ近傍であり、需給ギャップは概ね解消された状態にあります。短観の設備判断DI
と雇用人員判断DI を加重平均した指数でみても、同様の動きが確認できます(図表2)。』
ということで図表2というのが上記URL先の巻末にありますが、ご覧になれば判るように4-6の需給ギャップの推計値は「わずかにマイナス」になる筈で、普通にフラットに評価するなら「4〜6月は若干のマイナスに転じましたがこれは前述と同様の反動とみられます」という話をするのが妥当だと考えられるのですが、マイナスに戻ったという言い方をしたがらない表現が日銀文学クオリティというものです。
物価の所ですけどね。
『次に物価動向ですが、消費者物価(除く生鮮食品、消費税率引上げの直接的な影響を除いたベース)の前年比は、昨年から上昇傾向を強め、最近では1%台前半まで改善しています。』
普通は「最近は改善傾向が横ばい」と表現するのがフラットな表現だと思うのですがこうなるのは日銀文学。
『食料・エネルギーを除いた指数でみても、同様の傾向が確認できます(図表3)。こうした動きの背景には、先に確認した需給ギャップの改善傾向とともに、予想インフレ率の改善があります。』
ほえ??
『たとえば、コンセンサス・フォーキャストによる中長期の予想インフレ率は、昨年から上昇基調に転じています(図表4)。』
で、この図表4というのが曲者で、ここで出ている数値はコンセンサスフォーキャストの7月とESPフォーキャストの6月が直近の数値であって、4−6の落ち込みに加え7−9の立ち上がりの弱さを充分に反映していないデータを使っている訳でして、「説明する時に都合の良い数値をピックアップして引っ張ってくる」という辺りは「アリューシャン列島での大戦果はミッドウェイ方面で敵軍を牽制した効果である(キリッ)」というのを彷彿させてくれて実に味わいが深い。
『最近の景気回復の大きな特徴である「消費・非製造業主導の回復」の傾向も引き続き確認できます(図表5)。従来の「輸出主導」の景気回復パターンは、2002-08
年の拡張局面に顕著に表れていますが、その後輸出は、やや長い目でみれば横這い圏内で推移しています。企業設備投資は、振れを伴いつつ緩やかに増加してきましたが、2000
年代半ばの拡張局面と比べるとペースは緩やかとなっています。一方、消費は、様々な影響を受けつつも一貫して増加基調をたどり、2012
年入り後は伸びを一段と高めてきました。今年4〜6月の消費支出は、駆け込み需要の反動減の影響を受け、前期比年率−19%と大きく落ち込みましたが、振れを均してみると、今年の1〜6月の消費支出は昨年の7〜12
月対比−0.8%と小幅の減少にとどまっています。』
ふーん。
『足許の個人消費は、雇用・所得環境が着実に改善するもとで、基調的に底堅く推移しており、駆け込み需要の反動の影響は、ばらつきを伴いつつも全体として和らいできています。過去約2
年にわたり、従来の景気回復要因である輸出や設備投資の顕著な増加を伴わずに、消費が一段と伸びを高め、景気回復を牽引してきたことは、特筆に価する動きと言えます。』
それは判ったが消費ドライブでも賃金上がらないでサステイナブルなのかねとは思いますがねえ。
・供給サイドが改善しているという話でもオモシロ部分が
『(2)供給サイドの改善』って所に参りますが。
『消費需要を中心に、景気回復が持続してきた背景には、いくつかの側面で、経済の実力である供給サイドの改善が進んできたことが考えられます。』
お、おう・・・・・・・・・・
『まず企業部門では、内外さまざまな前向きな取組みが進み、収益力が一段と高まってきています(図表7)。製造業企業は、海外需要地での生産・調達・設備投資、人員の現地化など、グローバル・ベースでの最適化へ向けた取組みを一段と加速してきています。』
でもって最近の大本営理論ではこの企業収益がトリクルダウンしてくるという話になっているのですが、そんなものに期待して碌な事にならないのはご案内の通りですし、大体からして企業の海外展開はその分国内の投資を減らす要因じゃろという話はスルーして都合の良い部分で改善ですかそうですか。
『非製造業企業では、潜在的な需要を喚起する新しい取組みがさまざまな分野で進展してきており、国内では、高度な物流センターの増設、宅配サービスやネット通販、コンビニやショッピングセンターの積極出店などが引き続き進展してきています。また、海外でも小売・卸売業やサービス業などのグローバル展開、企業買収など、現地での需要を取り込んで成長力を強化する動きが活発に行われています。』
何ちゅうか思いっきり個別企業の話じゃんそれ。
『労働・雇用環境でも、改善基調が継続しています。企業は前向きな取組みを進める下で、労働需要を高め、雇用スタンスを積極化させています(図表8)。この1
年をみると、非製造業の雇用不足感はさらに強まってきていますが、製造業でも労働需給のタイト化が進み、直近では不足超に転じています。』
ところでこの図表8のグラフを見ますと直近のグラフの線がお辞儀をしておられるように見えますけれどもそこの話はスルーというのが大本営クオリティ。
・労働参加率の拡大で潜在成長率が今後高まるんですってよ奥様!!!
でもってこの続きの部分では「潜在成長率が労働参加率の上昇によって高まる」という説明で潜在成長率が高まっているという話をしているようで、直近の労働供給が高まっている事に触れつつこんな説明をしています。
『こうした労働参加率の改善の動きが、主として景気回復による一時的・循環的なものか、それとも持続的・構造的な変化なのかは、いましばらくデータの蓄積を待って判断する必要があります。もし後者の部分が少なからず含まれているのなら、潜在的な労働投入量が下げ止まり、その分潜在成長率は上向くことになります。』
ほう。
『労働参加率のトレンド推計値を図表11で確認すると、この1〜2年は低下しています。ただ、先ほど申し上げたような労働参加の動きが持続的・構造的なものであれば、振り返ってみると労働参加率の真のトレンドは下げ止まり、その結果、潜在成長率が上方に修正される可能性は小さくないとみられます。この点、十分な留意が必要です。3』
・ということで経済の実力が高まっているという結論になるそうな
『以上、企業収益、労働需要や雇用・賃金、そして労働供給といった側面から、経済の供給サイドの改善の様子を改めて確認してきました。いずれの面も、2012
年ごろから改善の動きが明確化してきているという点で共通しています。』
ふーん。
『つまり、企業・家計の前向きな取組みを背景に、企業収益や雇用者所得、労働参加などで表される経済の所得形成力が全体として強まってきた姿が浮かび上がります。その結果、経済全体の恒常所得の見通しが改善し、あるいはそれに加えて将来への雇用不安や不確実性が大きく後退して、消費主導の回復につながってきたとする見方をサポートします。』
直近の生活意識アンケートや景気ウォッチャー調査などを丸無視している辺りが大変に豪気。
『すなわち、2012 年ごろから、経済の供給面という「実力」の改善が原動力となり、消費需要を中心とした内需の持続的な回復がもたらされてきたと解釈できるのです。』
ということで大本営的結論。
『以上の議論を踏まえ、潜在成長率の推計値を確認しておきましょう(図表13)。人口一人当たりでみた潜在成長率は、2010
年頃に下げ止まり、それ以降概ね横ばい圏内で推移しているように窺われます。潜在成長率の推計値は幅を持ってみなければなりませんが、少なくとも上記の留意点からは、過去1〜2年の潜在成長率は、数年後に振り返ると、より上方に修正される可能性があります。経済の供給面の状況、とくに足許にかけての動きを把握するには、潜在成長率の推計値だけに依拠するのではなく、企業や家計の実態と総合してみることが重要と考えられます。』
・・・・・・てな訳で何と「潜在成長率がここもと高まっている」という結論になっているのですが、これは潜在成長率がここもと高まっている事によって物価上昇率改善の勢いが一服しているという理屈にも繋がるのでこの辺りからも2年で2%間に合わない言い訳に使えるのですけれども、潜在成長率が高まっているという話ですと「物価目標の2%は経済の実力からみたら短期的に目指す必要な無い」という言い訳がしにくくなるという点で諸刃の剣のようにも思えますがどうでしょうかね。
・ネチネチと読んでいたらクソ長くなっておりますが物価に関して
次の小見出しが『(3)物価上昇圧力の高まり』である。
『経済の供給サイドの改善により、消費需要を中心に内需が持続的に増加すると、物価上昇圧力は高まる可能性があります。このことを理論的な観点から考えると、次のような3
つの点を指摘できます。』
ほう。
『第1 に、標準的な「総需要・総供給曲線」分析で考えれば、供給面の改善は、それ自体は、総供給曲線(あるいはフィリップス曲線)を右下方へシフトさせるため、景気は改善する一方で、物価上昇を弱める要因となります。しかし、同時に、総需要が持続的に増加すると、総需要曲線は右上方へシフトして、物価上昇圧力が強まります。どちらの要因が勝るかは優れて実証的な問題ですが、わが国のデータを用いて全要素生産性の上昇(生産性ショック)の影響を検証した実証分析によれば、後者の需要増による物価上昇圧力がより上回って、供給サイドの改善が需給ギャップの改善と小幅の物価上昇をもたらすという結果が得られています。4』
潜在成長率の上昇は短期的には需給ギャップの下方修正要因なので物価上昇圧力を弱めるけれども、経済の実力が高まるからより長い目で見れば物価上昇がサステイナブルになるという話でして、つまり足元での物価上昇率改善の足踏みについて潜在成長率の上昇による「よい足踏み」という話にしているんですなこれ。
『第2 に、財サービスの差別化や高付加価値化を伴って売上が持続的に増加する場合、企業の価格設定行動がより前向きになることも考えられます。すなわち、需要の増加が持続すると予想される中で、企業がより高いマークアップ(利幅)を設定したり、生産コストをよりストレートに販売価格に転嫁させることが可能となります。そうした動きが構造的なものであれば、フィリップス曲線の傾きがより急になり、これも物価上昇圧力を高めることになります。』
何かエライ微妙な説明だと思うのだが、個別企業のミクロレベルで差別化や高付加価値化による動きというのは判るが、そもそも世の中の財やサービスが全てコモディティーじゃなくなるって世界があるのかねと思いますし、大体からして格差拡大する中では多くの財やサービスがコモディティー化しねえかと思うのだがよく判らん。
『第3 に、供給サイドの改善は、人々の中長期的なインフレ予想を高めるというメカニズムも考えられます。人々が将来も景気や売上が持続的に良くなると予想すると、たとえば将来のフィリップス曲線の関係から、人々は将来の物価上昇率も高まると予想するでしょう(New
Keynesian の「フォワードルッキングな」インフレ予想のメカニズム)。つまりそれは、人々のやや長い目でみた予想インフレ率を上昇させるので、フィリップス曲線の切片は上方にシフトすることになります。』
まあ信じる者は救われるのかもしれませんがそれはどこの国の話でしょうか????
で、その結論。
『実際、中長期の予想インフレ率は、徐々に高まってきています(前掲図表4)。』
図表4というのは直近の状況を必ずしも反映していない奴な。
『中長期の予想インフレ率の動きは、先にみた一人当たり潜在成長率の動きとも、直近の時期を除けば概ね相関しているように窺われます(前掲図表13)。』
「直近の時期を除けば」に吹いた。
『このようなメカニズムが総合して作用する中で、図表3の実績からも示唆されるように、消費者物価インフレ率への上昇圧力は高まってきていると解釈することができます。すなわち、@需給ギャップの持続的な改善ならびにその将来見通しの強まり、A企業の価格転嫁力の高まり、B中長期的な予想物価上昇率の上昇、といったメカニズムを通じて、全体の物価上昇圧力を高める方向に作用してきているとみられます。』
大本営理論ワロタ。
・「供給の天井論」に対してはマッコウクジラで一刀両断だが刀の振り方は微妙
野党審議委員の方々が持ちだして来る供給の天井論というのはつまり2%の物価目標は中長期的にはともかく短期的に経済の実力を超えるので、下手に目指そうとすると却って中長期的な物価安定を阻害するという話なのですが、どうも大本営理論はその真逆に向かおうとしているようですね。
『なお、物価上昇を説明する別のロジックとして、「供給面の低迷が制約となって物価が上昇してきた」とする議論がありますが、それはどう考えるべきでしょうか。』
キタコレ!
『この点については、実際に供給面の実力が高まっているかどうかが重要だと考えています。つまり供給面の改善を伴わない物価の上昇は、結局のところ需要の伸びを制約し、経済活動の拡大を妨げることになります。』
さいですな。
『しかし、ここ1〜2年の状況は、全く逆に供給面の改善を示唆する動きが明確になっており、実際、需要も持続的に伸びています。』
ポカーン。
『すなわち、財・サービスへの需要や労働に対する需要が供給の改善幅を上回って持続的に増加しており、財・サービスの生産や雇用の改善が進み、物価や賃金も緩やかに上昇しています。これらの点を踏まえると、最近の物価の上昇を供給面の低迷や制約で説明することは難しいと思われます。』
・・・・・・・ということで、どうも執行部理論によりますと「供給の天井論」は全くとらない所かそれに対してマッコウクジラで一刀両断(ただし理屈が何だかなではあるが)となっていまして、どちらかと言えば「2%は2年という短期間で目指す必要はなくて、将来的に目指せば良いではないか」というそれこそ浜田先生ですらそういう趣旨の話をする日銀絶好の退却路理論として供給力の天井論は使える話だと思うのですが、それを言い出すと白川ドクトリンに戻ってしまうという事を気にしていると思われるのですが、それを言うと死んでしまうという認識なのではないかという勢いで否定していて、異次元政策の逃げ口上の退路にある橋を盛大に焼き払っているのが非常に気になる所です。
さて、引用も含めて超クソ長くなっておりますがあと少しですのでお付き合いいただければ幸いです。
・金融政策運営の説明がこれまた微妙
今回の講演では以上の経済物価情勢に関する説明がメイン(講演本文11ページ中ほぼ8ページ)なのですけれども、最後に『3.金融政策運営』というのがありましてですな。
『以上述べてきた最近のマクロ経済状況は、非伝統的な金融政策を遂行するうえでも、望ましい環境を提供すると考えます。以下で述べるように、経済の実力が高まれば、2%の物価安定目標も、持続的な景気回復を伴ってバランス良く、よりスムーズに達成され、安定的に持続することができます。経済の実力が高まれば、政策の効果は発揮されやすくなり、金融面の不均衡など潜在的な副作用は抑制されやすくなります。』
ワロタという所で、ここではさっきも申しあげた「経済の実力が足りないと政策効果が出ない」という言いわけの伏線(ここまでの引用にありましたように足元での大本営理論は「経済の実力が高まっているので政策効果が出ていますよウェーハッハッハ」となっておりますので念の為)となっているのがワロタなのですが、笑えないのは前半の短国買入ネタにありますようにそもそも市場を壊した場合には金融政策のトランスミッションメカニズムが壊れるように思えますがね。
・2年で2%はアプリオリに正しくてグローバルスタンダードではなかったのかと小一時間
『(1)2%の物価安定目標』の所の説明が微妙に怪しい。
『昨年1 月、日本銀行は、政府との「共同声明」を発表し、消費者物価上昇率2%という物価安定目標を導入して、その早期実現を約束しました。』
「2年で2%」というのを投下したのだから、共同声明自体は生きているにせよ、その目指すべきタイムホライズンが大きく変わっているのであって、そういう意味では白川ドクトリンが残っている(出した時は白川総裁)共同声明の話をするというのも変なのですけどね。でまあちょっと飛ばしまして。
『国民の望む「物価の安定」とは、単に物価が上昇するだけでなはなく、雇用、賃金、企業収益の改善などを伴いながら、経済がバランス良く持続的に改善し、その結果として、物価の緩やかな上昇が実現する状態を指します。その目標を、消費者物価上昇率で「2%」としたのは、経済の成長力や競争力強化へ向けた幅広い主体の取組みが進展し、持続可能な「物価の安定」と整合的な物価上昇率は上昇していくという認識に基づいています。』
それは白川ドクトリンの説明であって、今のQQEの説明になっていないのですが、これは逃げの準備ですか???
・・・・・・とは申しましても、何せ宮尾さんの説明は「経済の実力が高まってきている(キリッ)」というものでありますので、結論はこんな威勢の良い話になります。
『そして、実際、この間の日本経済は、「量的・質的金融緩和」による金融面からの強力なサポートにも後押しされて、成長力強化・供給サイドの改善に向けた幅広い取組みが着実に進展してきているとみられます。まさに、雇用、賃金、企業収益などが持続的に改善するなかで、経済もバランス良く改善を続け、2%目標に向かって、物価上昇率が緩やかに高まってきているのです。』
はあそうですか。
・QQEに関しては執行部が達成期間を誤魔化す気が満々なのは把握した
次の小見出しが『(2)「量的・質的金融緩和」の役割』である。
『「量的・質的金融緩和」は、@マネタリーベースの大幅な拡大(年間約60〜70
兆円に相当するペース)、A長期国債の大規模な買入れ(年間約50 兆円に相当するペース)と年限長期化(平均7
年程度)、Bリスク性資産買入れの拡大、という要素で構成されています。そして、これほど大規模な金融緩和策を政策目標にリンクさせて継続するというオープンエンドの要素を持たせています。』
オープンエンド????
『つまり期間や量を予め限定せずに、「2%目標を安定的に持続するために必要な時点まで継続する」ことにコミットし、約束しているのです。』
>期間や量を予め限定せずに
>期間や量を予め限定せずに
>期間や量を予め限定せずに
えーっと2年で達成するんじゃなかったでしたっけという話ですが、この2年で達成という話に対して「政策の継続期間」という点でのオープンエンドを前面に出すことによって、「2年で物価目標達成」の方を誤魔化そうという気が満々なのが見て取れると思います。
『この約束は、将来の政策を予想するそれぞれのマーケットに対して強力に働きかけ、一段と緩和的な金融環境を作り出しているとみられます。』
まあ強力に働きかけた結果市場が壊れているけどな。
・政策効果が経済の実力によって高まる理論再び
『「量的・質的金融緩和」の効果は、経済の実力が高まれば、より発揮されやすくなると考えられます。企業の収益力が高まると、極めて緩和的な金融環境を生かして、前向きな取組みやリスクテイクが促され、景気浮揚効果はより高まります。大規模な国債買入れにより長めの金利に低下圧力がかかり、資産価格にも上昇圧力がかかりますが、企業収益などのファンダメンタルズが同時に改善していれば、資産価格の上昇はより持続可能となり、正当化されやすくなります。その結果、金融面の不均衡の蓄積など潜在的な副作用も抑制されやすくなると考えられます。』
なんじゃこの屁理屈。
『さらに付言すると、経済の実力が高まるなかで、思い切った政策がより高い効果を発揮すれば、企業や家計の前向きな取組みや設備投資、構造転換などが一層後押しされ、経済の実力そして政策の効果がさらに高まるという好循環も期待できます。』
ひょっとしてそれはバブルというものではないでしょうか???
『わが国では、もともと企業収益が改善基調にあり、昨年の政策発動によって、収益力など経済の実力がさらに高まり、景気回復の持続性が強まってきた可能性があります。日本でも、あるいは米国でも、強力な金融緩和が実施され、株価が上昇基調を維持するなかで、企業収益が改善しています。収益向上へ向けた前向きな取組みが、一段と緩和的な金融環境によってさらに後押しされている可能性が窺われます(図表14)。』
株価が上昇すると収益が改善となという所ですが、何かどこの別世界かというような説明になっていますな。
・ということで纏め
『4.おわりに〜今後の経済物価動向について〜』ですけれども。
『先行きのわが国経済は、基調的には緩やかな回復を続け、駆け込み需要の反動などの影響も次第に和らいでいくとみられます。一段と緩和的な金融環境に後押しされ、供給サイドの改善と景気の持続的な回復の基調、そして予想インフレ率の緩やかな上昇基調は今後も維持されるとみています。雇用や賃金、企業収益の改善などを伴いながら、バランスの取れた形で、2%目標へ向けた道筋を歩んでいくでしょう。』
はいはい大本営大本営。
『一方で、個人消費については、耐久財消費の反動減などの影響がやや長引いており、先行きの回復ペースについて一定の留意が必要と認識しています。』
あら?
『景気や物価の改善が今後も幅広く継続するためには、企業収益の増加というプラス効果が、賃金・雇用の増加あるいは納入価格の引き上げなどを通じて、家計や中小企業など経済の隅々まで行き渡り、支出の持続的な増加へとつながっていくことが重要です。』
何か微妙に人のせい的な逃げが最後に入っているのは何でしょうかねえ。
・・・・・・とまあそういう事で、何か土曜日に出たせいでついうっかりネチネチと粘着して読んでしまったので超クソ長くなってしまいましたが、何ちゅうか全般的に???感の漂う講演であると共に、経済の実力云々とか微妙な責任転嫁への萌芽も見られるなあと思うのでありました。
#長くなってどうもすいませんでした
2014/10/17
お題「短期関連メモ/9月FOMC議事要旨からドル高指摘とかインフレ期待に関する指摘などを少々確認」
ブラード総裁お得意のドテンキタコレ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NDJKDE6JTSES01.html
ブラード総裁:FOMCは量的緩和終了の先送り検討を
更新日時: 2014/10/17 00:23 JST
『10月16日(ブルームバーグ):米セントルイス連銀のブラード総裁は16日、インフレ期待の低下に歯止めをかけるため、連邦公開市場委員会(FOMC)は債券購入プログラムの終了の先送りを検討するべきだとの見解を示した。』(上記URLより)
ちょwwwwインフレ期待は落ち着いているんじゃないのかよwwwという所ですが、利上げ先送りどころかTaper止めてQE拡大の可能性とかドテンにも程があるけど元記事とか読んでないから詳しくは過去の関連講演なども踏まえて週末に確認する。
ちなみにこのオッサンは基本的に雇用よりも物価に大きくウェイトを置いて金融政策運営の話をするので物価が上昇しだすとまたドテンする可能性があるので要注意。
○例によって短期関連メモである
・3M入札があばばばばー
あばばばばー
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20141016.htm
(3)募入最低価格 99円99銭9厘5毛 (募入最高利回り)(0.0018%)
(4)募入最低価格における案分比率 50.7603%
(5)募入平均価格 99円99銭9厘6毛 (募入平均利回り)(0.0014%)
ということで足切りが99.9995ということで100円未満の中で一番強い札が足切りの巻となりやがりまして、按分5割ということですから100円未満で一番強い札入れても入れたのの半分しか入らんとか残念な結果になっているのがあばばばばーにも程がある結果で(平均が9厘6毛だから100円の札も入っている訳で)もう何だかねという所ですな。
ちなみに市場推計のいわゆる不明玉が3.4兆円で、前日に財務省理財局怒りの鉄拳が出ていた筈で、応札限度額の導入を検討しようとしているという事が何を意味するのかと考えますと理財局に盛大に喧嘩を売る(ただしいわゆる不明玉が小口分散しているかもしれないので実際の所は当事者しか判らんので念の為)とは良い根性してますなあ(棒読み)と存じますが、まあそもそもの話をすれば日銀(以下毎度の悪態なので割愛されました)。
なおこれまた毎度の如くで新発3Mの引けはマイナス(マイナス0.8bp)ですしオペ対象ゾーンの引けは全般的に強いしという状態になっている一方でGCレポレートや現先レートの方は上昇気味というそらまあ在庫あるんだから当然なのですが、何せ本日またまたどうせ何も考えずに3.5兆円の買入を実施してくると思いますのでそこで在庫が利食いで捌けるぜヒャッハーってなもんですから仕方ないですね!!!orzorz
しかしまあ何ですな、日銀の買入がこの調子ですと常識的に考えれば12月に入った辺りで年末のMB積み上げが完了してしまって以降の短国買入フローがいきなり落ちるという展開は想定される(去年もそんなことしてた)のですが、だからと言ってそこでの需給緩和を狙って一発勝負という訳にも逝かない(他の要因で積み上げが遅れる可能性もあるし)ですから、結局日銀の買入に皆さん煽られざるを得ないの巻という状況はまだ続くということですかそうですかorzorz
・業態別当座預金残高である
毎度のこれ
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/cabs/cabs.htm/
業態別の日銀当座預金残高(9月)
例によって例のごとく残高を確認しましたが、今回の積み期間は国債償還要因などもあって全体の超過準備は9兆円拡大しておりますな。
でまあその中で一番気になっていた都市銀行の超過準備ですけれども2.5兆円拡大していたので前月減少していて結構ビビった(拡大を明確にしないという事になったのだと超過準備積み上げがマズーなので)訳ですが、つーても7月の平残とあまり変わらない水準で8月落ちた分が戻っただけというのは少々気になる所で、まあ日銀の買入に積極的に参加して国債残高落として超過準備積み上げましょうという感じでは無いんだろうなあという感じはするのでした。
では残りは何処で積み上がっているかと言うと外国銀行が2.8兆円と珍しく盛大に増えているのと、信託銀行が1.3兆円増えていてこちらは割と順調に増えていて、あとはその他当座預金適用先が2兆円拡大となっていまして、まあ結局の所超過準備積み上げに対して都市銀行がこれ以上積極的に対応するという訳でも無いんでしょうなあというのは把握できましたので、益々超過準備積み上げ(=資産買入拡大&MB拡大)をするのには無理(=買入をする国債や短国の利回りの調整)が必要ですなという話になるという残念な事が確認できましたな。
つーことでこれでどうやって来年以降MB拡大を同ペースで実施するのかの手段について具体的な案というのを小一時間問い詰めたいのですが、そういやMBの量からしてどう見ても2%行く筈という直線理論の皆様におかれましても最近はMB拡大ペースをもっと増やせとかいう電波を放流しているようですが、具体的手段について何も言及が無くてMB拡大ペースをもっと増やせとか言ってる向きは世界が憲法9条を守れば戦争が起きません(キリッ)とか1ミリの具体策も無く言ってるのと同レベルのお伽噺にしか聞こえないのですが、まあそもそもそのMBを拡大した定量的な効果についての考察もザルなのが憲法9条も裸足で逃げ出すレベルではあるのですけどね!!!!!!
つーかさ、直線理論の上からしたら元々QQE導入時に中原伸之さんが指摘していたように「このMB拡大は多すぎじゃないか」という位の数値だったのに、実際にやってみたらイマイチ2%に届きそうもない、という時に「足りないならもっと増やせば良いじゃないか」という結論になるのが意味不明でして、その場合は元々の直線理論が間違っているという可能性を考えて、そもそもの処方薬が間違っているのではないか(病状に合わない処方薬じゃ気休め程度にしかならないのに、効きが悪いからと言って更に量を増やしたらそのうち副作用でるじゃん)という反省をしないのかねと不思議で不思議で仕方ないのですけれどもねえ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
○何かすっかり今更感がありますがFOMC議事要旨ネタの続き
どうもすいませんすいません。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20140917.htm
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20140917.pdf
・景気認識の部分では連銀スタッフからもドル高への言及キタコレ
『Staff Economic Outlook』の所を鑑賞するのだが、最初の所でぶちかましキタコレです。
『In the economic forecast prepared by the staff for the September FOMC
meeting, the projection for growth in real gross domestic product (GDP)
in the second half of this year was revised down slightly from the one
prepared for the previous meeting, primarily because of a somewhat weaker
near-term outlook for consumer spending.』
年後半のGDP見通しは若干の下げとな。
『The staff's medium-term forecast for real GDP was also revised down a
little, reflecting a higher projected path for the foreign exchange value
of the dollar along with slightly smaller projected gains for home prices.』
ということで中期的なGDP見通しも若干の下方修正が入っているのですが、その背景として「為替の見通しが以前よりもドル高になったこと」というのと「住宅価格の上昇について若干引き下げたこと」というのが入っておりまして、実にキタコレな指摘。
『The staff still anticipated that the pace of real GDP growth in 2015
and 2016 would exceed the growth rate of potential output, supported by
continued increases in consumer and business confidence, the further easing
of the restraint on spending from changes in fiscal policy, additional
improvements in credit availability, and a pickup in foreign economic growth.
In 2017, real GDP growth was projected to begin slowing toward, but to
remain above, the rate of potential output growth. The expansion in economic
activity over the projection period was anticipated to steadily reduce
resource slack, and the unemployment rate was expected to decline gradually
and temporarily move slightly below the staff's estimate of its longer-run
natural rate toward the end of the period.』
とは言いましても先行き見通しの基本的な部分は変わっていなくて。2015年から16年に掛けては潜在成長を上回る成長率を維持して、2017年はやや鈍化するものの以前として潜在成長率を上回る水準で推移しますのでスラックも徐々に解消されますよという話になっています。
・連銀スタッフの物価見通しでも近いタームは下がっています
『The staff's near-term forecast for inflation was a little lower than
the projection prepared for the previous FOMC meeting, reflecting recent
readings on core consumer price inflation that were lower than anticipated
and declines in oil prices that were faster than expected, but the forecast
for inflation over the medium term was little changed.』
つーことで近いタームの物価見通しは下がっているものの中期的な見通しは大きな変化はないと。
『The staff continued to project inflation to be lower in the second half
of this year than in the first half and to remain below the Committee's
longer-run objective of 2 percent over the next few years. With longer-term
inflation expectations assumed to remain stable, resource slack projected
to diminish slowly, and changes in commodity and import prices expected
to be subdued, inflation was projected to rise gradually and to reach the
Committee's objective in the longer run.』
とまあ連銀スタッフ見通しでもロンガーランのインフレ期待はアンカーという話になっていて、この後委員の見通しの部分でのインフレ見通し部分を引用しますが、基本的にはインフレ期待はアンカーという話になっているのですよね・・・・・・・・・・
・ということでちょっとワープしてFOMC参加者のインフレ見通しへ
『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』のインフレ部分にワープします。
『Inflation had been running below the Committee's longer-run objective,
and the readings on consumer prices over the intermeeting period were somewhat
softer than during the preceding four months, in part because of declining
energy prices. Most participants anticipated that inflation would move
gradually back toward its objective over the medium term.』
基本的な見方は足元の物価についてはエネルギー価格などの要因で、今後中期的には物価はマンデート水準に向けて戻るでしょうというお話なのはまあ当然ですけど・・・・・・・・・
『However, participants differed somewhat in their assessments of how quickly
inflation would move up.』
戻るパスについての見解が異なるとな。
『Some cited the stability of longer-run inflation expectations at a level
consistent with the Committee's objective as an important factor in their
forecasts that inflation would reach 2 percent in coming years.』
でまあここで数名(Some)の方が長期的なインフレ期待の安定性が物価が戻るためのポイントとか言ってまして、今朝のニュースフローからするとブラードキタコレという話になるんでしょうなあという事で。
『Participants' views on the responsiveness of inflation to the level and
change in resource utilization varied, with a few seeing labor markets
as sufficiently tight that wages and prices would soon begin to move up
noticeably but with some others indicating that inflation was unlikely
to approach 2 percent until the unemployment rate falls below its longer-run
normal level.』
物価に関しては賃金動向とリソースのスラックの動向が重要で、大勢の見解はスラックが徐々に縮小して賃金も上昇するという見解ですが、他の数名(some
others)は失業率が長期的なノーマルレベルに下がるまでは賃金が上がらないのではないか、という指摘をしていまして、そうなりますとSEPでの見通しを踏まえるとこれらのFOMC参加者は物価の上昇が相当遅れるという見通しになっている訳で、まあこの辺りの記述は確かにハトではありますぞなという所ですの。
『While most viewed the risk that inflation would run persistently below
2 percent as having diminished somewhat since earlier in the year, a couple
noted the possibility that longer-term inflation expectations might be
slightly lower than the Committee's 2 percent objective or that domestic
inflation might be held down by persistent disinflation among U.S. trading
partners and further appreciation of the dollar.』
でここでまた2名の指摘ではあるもののキタコレなのがありまして、大勢見解としては物価が低迷を続けるリスクについては徐々に消えてきているとなっていて、声明文にもそのような見解が出ていますが、2名の委員(a
couple)は長期的なインフレ期待が徐々に下がっているのではないか、という点と、米国の物価が海外のディスインフレーションの影響や、今後のドル高の影響を受ける(つまり伸びない)可能性があるのではないか、という点を指摘していまして、まあこの辺りの見解が今月のFOMCでどのような変化が起きるのか、という辺りについてはブラード総裁の先ほどのブルームバーグインタビューも含めて気にしようかとは思います。まあ基本的にはここの部分を変えるのは結構な政策インプリケーションがあるのでそう簡単には変えてこないとは思いますけれどもね。
・ファイナンシャルスタビリティーの議論なしとな
でまあ今回の議事要旨ですが、『Staff Review of the Financial Situation』および『Participants'
Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の中でファイナンシャルスタビリティーに関する話が無いという事で(無いので引用のしようがないのですが^^)、その点もほほーという感じではございまして、まあヒャッハーという程のハトではないけどタカ的な部分は確かにあまり無いですなあという感じではあります。
・ただし経済見通しの基本的な部分や経済認識の基本的な部分は強めなので念のため
『Staff Economic Outlook』の所に再度戻りますけどね。
『Overall, the staff's economic projection for the September meeting was
quite similar to the forecast presented at the June meeting, when the FOMC
last prepared a Summary of Economic Projections (SEP). The staff's September
projection showed a slightly higher path for the unemployment rate, a bit
lower real GDP growth, and essentially no change to inflation compared
with its June forecast.』
ということで全体的に見た場合には6月の見通しに対してほぼ同じ見通しだよと。
『The staff continued to view the uncertainty around its projections for
real GDP growth, the unemployment rate, and inflation as similar to the
average over the past 20 years. The risks to the forecast for real GDP
growth were still seen as tilted a little to the downside, as neither monetary
policy nor fiscal policy was viewed as well positioned to help the economy
withstand adverse shocks. At the same time, the staff viewed the risks
around its outlook for the unemployment rate and for inflation as roughly
balanced.』
リスクに関して成長には下方リスクの方が大きくて物価と失業のリスクは概ねバランスという説明になっていまして、ここは従来と同じであります。
#もうちょっとネタがあるような気がするのだが時間の都合上本日はこんな所で勘弁してケロケロ
2014/10/16
お題「1年入札も激強/財務省理財局マジ有能というのが在り方懇で炸裂/早川さんインタビューとな」
お、おはぎゃあございます・・・・・・・・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NDI5O16JTSEG01.html
米国債:09年来の大幅な上げ−早期利上げ観測が後退
更新日時: 2014/10/16 05:27 JST
『10年債利回り はこの日2013年6月以降で初めて2%を割った。』(上記URLより)
とはこれまた来やがりましたなあ・・・・・・・・
○1年短国入札が相変わらずである件
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20141015.htm
(3)募入最低価格 99円99銭8厘 (募入最高利回り)(0.0020%)
(4)募入最低価格における案分比率 22.7237%
(5)募入平均価格 99円99銭9厘 (募入平均利回り)(0.0010%)
えーっとですね、昨日の1年短国では前場引け辺りにどこぞのベンダーが足切り0.5bp位になりそうですねという観測記事を出していましたが、まあ前場引けに掛けて0.5bpよりはちょっと甘い水準、と言っても1bp割れの水準の気配だった訳ですが、入札の結果は上記のとおりで水準は100円カツカツのレベルになって、思いっきり強い所に札が入って上で切られましたなあという結果になりまして、早速マイナス金利突入して引けはマイナス0.6bpという毎度おなじみの結果となっておりまして、ああそうですね日銀オペですかそうですかという所であります。でまあ上で切られてしまった影響ではないかと思われますけれども、市場推計の落札分布はかなーり偏った結果になっているっぽい(市場推計なので実際は判らんけど)状況で、これは日銀短国買入打ち込み待ったなしで市場に流動玉が出ないわという格好になった訳ですが・・・・・・・・・・・
○財務省理財局怒りの鉄拳(かどうか知らんが)キタコレ!!!!!
でまあそんな入札結果が出て毎度のクオリティにどよーんとする中でこんなヘッドラインが。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS15H0B_V11C14A0MM0000/
国債の大量買い防止 財務省検討、発行の半分までに
2014/10/15 13:12 情報元 日本経済新聞
『財務省は国債入札に上限制を設ける検討に入った。1回の入札で証券会社や銀行が応募できる金額を発行予定額の2分の1に制限する案が有力で、2015年度にも実施する。一部の金融機関に落札が集中するのを防ぐ。市場での売買を活発にし、価格の透明性を高める狙いもある。』(上記URLより)
・・・・・・・・いやあなるほどこの手があったかと思いっ切り「おー」と思ってしまう攻撃でありまして、財務省理財局マジ有能としか申し上げようがありません。まあ2015年度と言わずに今日の入札から実施して頂きたい所ではありますが(^^)、日銀オペ狙いで市場で流通しないレート水準まで強くなってしまって結果市場がハカイダー状態になっているという事案が期末要因だけならまだしも期末要因剥落しているのに絶賛継続中の短期国債市場に対して財務省理財局怒りの鉄拳キタコレという所で、まあ実に良い注意喚起ということですかよく判りません(^^)。
短国入札もそうですが、流動性供給入札みたいに1回の発行額が小さい時に前場引けよりも思いっ切り上の方で切るプレイとかも時々出ていたりしますし、その辺も勘案しているのではという気もしますが、目先的な一番のメッセージは短国金利のマイナス定着状態であるかと存じますので今日の3M入札に影響するかというとまあそれはしないと思いますけど(^^)。
つーかですね、これって日銀の短国買入の実施方法があまりにも無造作かつ乱暴で、市場機能の維持という面に関しての思慮が足りないですよという理財局のメッセージでもあると思うのは読み過ぎかも知れませんけれども、そもそも論として言えば、発行サイドからしてみたら応札制限なんぞ設けるとそれだけ札が分散するので入札価格が安くなる可能性が出てくるのですが、それよりも大量買いプレイによって市場機能が低下した場合、それが長期化してくると市場参加者の減少などのような弊害が発生し、中長期的に見た場合の国債安定消化に対して弊害であるという認識を持っているから、こういう「応札制限」みたいな話になってくる訳でありまして、目先のMB積み上げと残高をリニアに拡大していくという庭先も庭先で超庭先な事を視野狭窄で考えてアホウのように短国買入をオファー実施しつづける日銀金融市場局との格の違いというのが良く判るというものでありますが、市場局様の所感をお伺いしたい物ではありますなという所でございます。
#なお念の為繰り返しますが直上の段落部分に関してはあたくしの想像ベースの代物ですのででよろしくお願いします
ま、将来的にはまた応札制限戻すというのも有りかもしれませんし、まあそんなに予算年度に拘って実施時期をいじる必要も無いようにも思えます(ただしいきなり黙って変えられると困るので事前告知は必要でしょうが)ので、ある程度機動的に対処した方が良いのかもしれません。極端に言えば日銀がバランスシート縮小とか始めた時には応札限度額を外した方が良さそうに思えますし・・・・・・・・・・
○ということで在り方懇
でまあその在り方懇の資料はこちら。
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/index.html
でまあ直近のはこの辺にありますけどね。
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/material/d20141015-3-2.pdf
今後の主な検討課題(案)
・国債市場流動性確保の為に応札制限という文句のつけようがない正論キタコレ
『主な検討課題』が色々とありますが、上記の件については
『○ 国債市場の流動性の維持・向上
・流動性供給入札の増額
・10 年債リオープン範囲の拡大
・1 社あたりの応札額の上限設定及び応札義務率引上げ』
という所になっていまして、『報告書等での指摘内容』としては
『○ 日本銀行が市中で大量の国債を買い入れている現状の下、流動性を含めた国債市場の状況の把握・分析を一層強化し、状況の変化に対し柔軟に対応していく必要がある。(報告書)
○ 今後とも、流動性の維持・向上の観点から、海外主要国と比べて銘柄数が多いという日本の国債市場の現状を踏まえ、中長期的にリオープン方式の適用範囲の拡大に取り組む必要がある。(報告書)
○ アメリカは1 社当たりの応札額に制限を設けているが、このような措置も流動性に寄与する。(委員発言)』
となっています。確かに現在の日銀大量買入れ攻撃のせいで色々とエライコッチャになっているのですけれども、暫く前に導入されていたリオープン制度の変更が無かったら中長期国債市場での流動性は更に悲惨な事になっていたに違いないですよねとか思いますと、やはり理財局マジ有能と言う所なのですが、流動性維持の観点からの応札制限という理屈はまあ仰せのとおりで、そもそもいわゆるプライマリーディーラー(国債市場特別参加者)というのは制度の建付けからして「国債流通市場への流動性供給」という責務を課されている訳でありまして、国債入札大量購入して日銀国債(や短国)買入にスルーで打ち込みだぜヒャッハーというのは、まあ節度を持ってやって頂きたく存じます次第で、ヒャッハーのおイタが過ぎて市場流動性皆無となるのであれば何のためのプライマリーディーラー制度ですかという、制度設計の趣旨というそもそも論に帰着する訳ですから、こういう話が出てくるというのは実にぐうの音もでない筋論でもあったりするのですな、うんうん。
・発行年限長期化の件
でまあ債券市場的に気になるのはその上段にある話。
『○ 国債の平均償還年限の長期化
・超長期債(30 年債、40 年債)の増額、中短期債(5年債、2年債、割引短期国債)の減額等による平均償還年限の長期化』
まあ発行年限長期化自体はいつもの話ですし、方向性がそうなのは本来のべき論的にもそうですし、市場もその方向性は理解していると思うのですが、今回は超長期という所に思いっきり「30年40年」と来まして、20年という文言が入っていないのがチャーミング。
『○ (償還年限の)決定に当たっては、国債市場特別参加者会合や国債投資家懇談会の場における市場との対話を通じ、透明性・予見可能性を確保しつつ、市場のニーズを踏まえて行うべきである。したがって、市場参加者の意見を踏まえた柔軟な決定を行う中で、単年度の国債発行計画における年限構成の長期化には必ずしもとらわれず、ストック・ベースでの償還年限の長期化を行っていくことが重要である。(報告書)
○ 今後、償還年限の長期化を行うに当たっては、超長期ゾーンの増発のほか、リーマン・ショック後に増発してきた短期ゾーンの発行の減額又は中・長期ゾーンへの振替など、様々な組合せを工夫しながら進めていく必要がある。(報告書)』
ストックベースの長期化という事を考えると実は中途半端な中期の発行は減らして短期と超長期を増やすと(それをすると短期の借り換えの問題があるのでそれが良いのかはわからんけど)短期が償還した時に機動的に対応できるような気もしますが、この辺に関しては色々と発行当局が考えているんでしょうなとは思いますが、いずれにしても「30年40年」の増発待ったなしというのだけは把握しました。20年の発行も増えているので20増発するよりも30と40だろとはある程度織り込まれていたとは思いますがどうなんでしょうかね。いずれにせよ目先の発行額は同じですけど。
・資料4に味わいがある
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/material/d20141015-4.pdf
国債管理政策の当面の課題
今回の在り方懇資料の中では上記URLにある資料4の『国債管理政策の当面の課題』というプレゼン資料に味わいがあります。
でまあプレゼン資料なので一々貼りつけとか出来ませんのでページだけご紹介しますけど・・・・・・・
本文9ページ(PDFファイルの10ページ、以下同様に本文ページと1ページずれています9
・日本国債の平均償還年限
→まあご案内の数値ではありますが、こうやってビジュアルで出されると方向性が良く判るというものです
本文14ページ
・国債及び国庫短期証券(T-Bill)の所有者別内訳の変化(25年3月末→26年3月末)
○国債発行残高は増加+28.7兆円
○日本銀行の保有額は増加+73.2兆円
○銀行等の保有額は減少▲48.4兆円※生損保等の保有額はほぼ横ばい+2.1兆円
→3月末でこれですからねえ・・・・・・・・・・・
本文16ページ
・長期金利の推移(平成25年4月〜)
→途中に日銀の動きを入れているのが実に味わいがあるというものです(^^)
しかしまあ何ですな、統合政府という枠組みで見た場合、発行サイドがせっせと発行年限を長期化している訳ですが、その一方で日銀が国債買入によって長期化して出てきたベースの国債を盛大に短期化している訳でして、実際には(フローはともかく)ストックベースの国債発行平均年限については日銀保有分を控除したものがどうなっているのか(まあ自分でも計算できそうですが)というのも見たい気はしますなという所で(財務省は当然計算しているでしょうけど)。
日銀が買入をしている場合でもリファイナンスの観点では長期化している意味がありますが、統合政府の金利リスクコントロールという意味ではまた別の話になってしまいますので、ここをそもそもどういう観点で考えているのかという辺りも(双方の意味合いがあるし、金融政策で必要な措置についてはそれは日銀があんじょうようやってくれるでしょうから発行サイドだけの都合の話をする訳ではない、という模範解答が帰ってくるんでしょうが)お伺いしたいものだという所です。
○早川前理事インタビューとな
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NDFCC66S972U01.html
日銀はメンツ捨て「勝ち逃げ」、年内に緩和縮小表明を−早川氏
更新日時: 2014/10/15 11:21 JST
えーっと早川さん口が悪すぎますもうちょっと言い方何とかして下さい(笑)という所ですが・・・・・・・
『早川氏は「確かに、長い目で見れば物価は1%より2%の方がいいし、日銀のメンツもあるが、それを別にすれば、2%を目指すにしても短期間で達成するメリットはあまりない。雇用が増えるわけではないし、成長率が上がるわけでもない」という。』(上記URLより、以下同様)
なお実際は上記記事は結構長いので部分部分を引用しておりますので本チャンの鑑賞は上記URL先を。
『「今はルーレットで勝ってはいるが、掛け金をどんどんつぎ込んでいる状態に近いので、最後に負けたら全てがパーになる。勝っているうちに掛け金を減らし、最後は勝ち逃げするのがルーレットの技だ。太平洋戦争もパールハーバーで止めとけばよかったのに、ミッドウェーでぼろ負けした後もズルズル続けたのであんなことになった」と語る。』
いやあの早川さん市井のインチキおじさんじゃないんですからその譬えはちょっと・・・・・・・・・(^^;
今年の4月辺りの(実は消費税駆け込みと各種税制の駆け込みとXPパソコンの駆け込みで盛大にかさ上げされていた)需要の強さと消費税増税しても割と強いじゃんという辺りがまさに一番の万歳三唱状態だったように見えまして、ちょうどサッカー日本代表の辺りから体感的には消費とかがおかしくなりだしたように見えますのでもしかしたら・・・・・・・・・・・
『早川氏は「もともと量的・質的緩和で本質的なのは2%という目標であって、2年という期限や7兆円という長期国債の買い入れ額は、ある種、皆をびっくりさせるために大きく相場を張って見せたわけであって、本質的なものではない。これらは飾りに過ぎない」という。』
『その上で、「日銀はデフレとの戦いに勝ったと宣言し、2%はいずれ達成するが、しゃにむに達成することはない。2年というのは行きがかりで言ってしまったが、そこは『御免、まあ、いいじゃないか』と言えばいい。そして、どこかのタイミングでテーパリング、つまり資産買い入れ額の縮小を始めればよい」と語る。』
ただ今の執行部方面からの情報発信はどこからどうみても全ツッパリ状態で、その方向転換は自分からは絶対に出来ないと思います。
『そのタイミングについては「景気弱気論が強くCPIも上昇率が下がっている状況なので、まだ勝負のしどころではない。私の読みが正しければ、年末くらいには景気はまあ大丈夫だったねとなってくるので、そこで堂々と勝利宣言すればよい。マネタリーベース残高を決めてあるのも今年末までなので、年末に打ち出すのがちょうど良い」という。』
年末に戻っている事を希望致します。で最後の落ちに吹いた。
『早川氏は「これ以上やっても損だけ大きくなるという時に大事なことは、メンツにこだわらないことだ。メンツを気にすると負ける。かつての日本もそうだった。『デフレは脱却した。2%に向けて着実に進んでいる。したがって無理はしない』とやれれば、黒田総裁は大役者だ。日銀ボードメンバーの1人を除けば乗れない話ではない」という。』
>日銀ボードメンバーの1人を除けば
>日銀ボードメンバーの1人を除けば
>日銀ボードメンバーの1人を除けば
どう見ても師匠です本当にありがとうございました。
・・・・・・・・なお、メンツ云々に関してはオマエモナーというツッコミの気持ちは無いわけでは無い点については念の為申し添えます。
#なおFOMC議事要旨ネタとか少々他のがあったりしたのですが在り方懇ネタの為必殺奥義先送りの巻
2014/10/15
お題「短国買入は当面3.5兆円ペースですかねえ/9月FOMC議事要旨から少々」
大明神お告げキタコレ!
http://www.musha.co.jp/short_comment/detail/126
2014年10月14日
ストラテジーブレティン 第126号
間接課税へのシフトとQQE2の表明で日本株は世界のベストパフォーマーへ
消費増税を先送りするけどその後は消費税を15%に引き上げろとか何を言いたいのかさっぱり分かりません><;
まあそれはそれとして、諮問機関って政治的な話はさておき専門的な見地から意見を出すという(一応の)建付けだったように思えるのですがガバナンスいや何でも無いです。
http://jp.reuters.com/article/idJPKCN0I305V20141014
GPIF改革へ異例の部会出席、塩崎厚労相「思い伝える」
2014年 10月 14日 11:32 JST
○短国買入は札が無くなるまで3.5兆円ペースで入りそうですなあ
昨日の短国買入オファー(結果も含めて他のオペは引用割愛します)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of141014.htm
国庫短期証券買入 35,000 2014年10月16日
そらまあ6Mと3Mの新発が都合9.2兆円出ているんですから札はあるでしょうとは思いましたが、札はそこそこあったようで。
結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba141014.htm
国庫短期証券買入 53,258 35,003 -0.005 0.000 1.1
ちなみに短国買入の対象銘柄もベンダーでヘッドライン打たれていたのですが、対象になっているのは年内物が3Mの2銘柄あって残りは年末越えの3M〜1Yとなっていましたので、この前の中間期末対策で入った買いの分の外し玉があるのならありそうで、あとは主に直近入札2銘柄という所ですか(除く2M)そうですかという結果だと思うが勝手な推測なので念のため申し添えます。
しかしまあ何ですな、応札5.3兆円あるのに足切り5糸強まで入るとか、相変わらずおまいら日銀の足元見てるだろという感じではありますし、そもそも5.3兆円もオペに放り込むだけの玉があるんだったら何でオペゾーンの引けがマイナスのまま維持されてますねんと小一時間問い詰めたい所ではあるのですが、何せ明後日になるとまた短国買入がどうせ3.5兆円入る訳でして、超イイカゲンな計算(?)をすれば先週オペゾーンの新発が9.2兆円出て短国買入の札が5.3兆円あったのですから、ざっくり新発のうち4割はポートに沈んで(または商品勘定での債券現先等の必要在庫となって)出てこないと考えますと(なお金利水準が変わると最終投資家の需要が変わるのでいつもそうとは全く限らない)今週の入札は今日の1年2.5兆円と明日の3M5.7兆円があるので、3.5兆円のオファーでも札はあるでしょうかねという所ですかよく判らんけど。
でまあそう考えると少しは在庫負担で水準訂正しないのかねとは思うのですが、カレントゾーンの引けは(2Mも含めて)昨日は結局前日比強くなっているという中々おそロシアな状況になっておりまして、しかも1年短国は発行が相対的に少ないので強い時にはそのまま入札から強くなるというのが仕様でありまして、まあ普通に強くて、問題は明日の3Mがどうなるのよというのと、来週の短国買入も同じペースでやってくるのかねという所ですな。
とりあえず5兆札があるから4兆買入オファーとかハチャメチャな事はやってこなかっただけマシというものですが、先週軽く計算しましたように、9末の短国買入残高(除く償還乗換)が19.8兆円で、若干幅はあるのですが、恐らく短国買入残高が43兆円少々は積んでおく必要がある(余裕を見るならもう少し)訳で、残り23兆円少々は積まないといけないとなりますので、今月から週に3.5兆円の買入を継続すると8週間で26兆円の買入オファーになり、今月前半は年内物が打ち込まれることを勘案すると受渡ベースで11月末までに短国買入でのMB積み上げを概ね終わらせて12月渡しは最終調整という形になるんでしょうかねえ良く判らんけど。
とは言いましても、途中で応札が集まらなくなると短国買入のオファーを減らさないといけなくなるのですが(まあ札割れモードになったら思い切ってマイナス100%とかで応札したら5000億円買入されたら5000億円儲かりまっせ、システム的にそんなレートが応札できるのか知らんけど^^)、3.5兆円ペースで買入継続すれば受渡ベースで11月末まで8週間(約定ベースだと9週間)金曜がありますので、何ぼ何でもここから買入額を更に増やすとはならない・・・・・・と思いたいのだがどうなりますことやら。
なお、超どうでも良いのですが、カレントが出て4割がポートに沈むと計算すると3Mは5.7兆円出ているので、2.2兆円がポートに沈む計算になって、残りの3.5兆円が日銀お買い上げという計算になってしまいますので、そらまあ通常要因以外の買い(為替絡みと期末絡み)が入れば短国金利が何ぼでもマイナスになる罠という話(なお他の年限の話とかあるのであくまでも雑なお話として話半分に読んでちょ)ですし、2.2兆円はマイナス金利をよー買わないにしても残りの3.5兆円はマイナスだろうと平気で購入するんですからそらまあカレントがいつまで経ってもマイナスでしかセカンダリーで出合わんでしょうし、いつまで経っても流通在庫が増えないわなという話ではございますし、どこからどう考えても短国買入の残高を12月末以降同じペース(年間20兆円とかの規模)で積み上げるのは無理以外の何物でもないというのも明白なのですけれども来年のMB拡大どうするんでしょうかねえ・・・・・・・・・・・・(今のオープンエンドという建付け前提にした場合)
○9月FOMC議事要旨を鑑賞
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20140917.htm
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20140917.pdf
こちらの議事要旨が出た時に「ハト派ヒャッハー」と雨市場ちゃんが反応していたように記憶しておりますけれども、そらまあ確かにタカ派な内容ではないのですが、別にヒャッハーという程のハトでもなくて普通に経済に関しての見通しは強いと思うのですよね。ただまあその後の市場の動きはFOMC議事要旨とかと関係なくヒャッハーとかおはぎゃーとかになっているのでそれはそれという所ですけどね。
・出口政策のオペ技術論に関して
冒頭に『Developments in Financial Markets and the Federal Reserve's Balance
Sheet』というのがありますが、今回は出口でのオペ運営に関するテストを実施している件が延々と記述されているので中々興味深い内容になっています(短期市場マニア的に)。
『In a joint session of the Federal Open Market Committee (FOMC) and the
Board of Governors of the Federal Reserve System, the manager of the System
Open Market Account (SOMA) reported on developments in domestic and foreign
financial markets and reviewed the effects of recent foreign central bank
policy actions on yields on the international portion of the SOMA portfolio.』
最近の海外中銀の政策アクションとはECBのアレですな。
『The deputy manager reported on the System open market operations conducted
during the period since the Committee met on July 29-30, 2014, summarized
plans for additional test operations of the Term Deposit Facility, and
described the results from the fixed-rate overnight reverse repurchase
agreement (ON RRP) operational exercise.』
ターム預金ファシリティのテストも追加となという所ですが、ちなみに14日も7日もののターム預金ファシリティをオファーしています。
『The deputy manager also outlined a proposal for changes to the ongoing
ON RRP exercise to test possible design features that could allow an ON
RRP facility to serve as an effective supplementary tool during policy
normalization while also mitigating the potential for unintended effects
in financial markets.』
毎度言われていますが、RRPファシリティについては金利フロア効果と民間短期資金調達のクラウディングアウトというデメリットがあってそれを勘案という話にはなっているのですけれども、実際問題としては政策を正常化しようという中で民間調達金利が上昇するのは政策効果が出る話なので別に問題は無いでしょうし、金利で調整が出来ない時というのはそもそもクラウディングアウト云々は問題にならない(その場合は信用緩和政策の出番)と思うのですが、まあこういう認識をしながらテストを繰り返して行き実際に正常化する時も試行錯誤するんだろうなあとは思うのでありました。
『Participants discussed the proposed changes in the ON RRP exercise, including
raising the counterparty-specific limit from $10 billion to $30 billion,
limiting the overall size of each operation to $300 billion, and introducing
an auction process that would be used to determine the interest rate on
such operations and allocate take-up if the sum of bids exceeded the overall
limit. Testing these design features was generally seen as furthering the
Committee's understanding of how an ON RRP facility might be structured
to best balance its objectives of supporting monetary control and of limiting
the Federal Reserve's role in financial intermediation as well as reducing
potential financial stability risks the facility might pose during periods
of stress.』
つーことで利用限度額を設定したり、(フルアロットメントではなく)総額を設定して競争入札にしてみたりとか、色々と考えているようですな。まあ実際に正常化局面でやってみるとまた色々と違ってくると思いますが。
『Participants also discussed other tests that could be incorporated in
the exercise at a later date, including a daily time-varying cap along
with the overall limit on the size of ON RRP operations, small variations
in the offered rate on ON RRP operations, and moderate increases and decreases
in the overall size limit.』
ファシリティ利用額の限度額を日中可変にするとか最早何が何だかよく判らないですが、この辺はFF市場を実際にいじっている人じゃないと中々判らんわなと思いますが、それよりもどこぞの中央銀行のようにインターバンク以外の市場について実際問題としてちゃんと分かってるのかゴルァというような施策が炸裂するような所と比較してちゃんと色々な話をしているのが実に結構。
『A number of participants expressed concern that these tests could be
misunderstood as providing a signal of the Committee's intentions regarding
the parameters of the ON RRP program that will be implemented when normalization
begins; they wanted to emphasize that the tests are intended to provide
additional information to guide the Committee's decisions. Participants
agreed to consider potential additional revisions to the ON RRP exercise
at future FOMC meetings. Following the discussion, the Committee unanimously
approved the following resolution:』
テストは出口を直ぐにやるというシグナルでは無いよというのはさすがに伝わっているでしょうな。でまあこんなディレクティブみたいなのが出ておりまして・・・・・・・・・
『"The Federal Open Market Committee (FOMC) authorizes the Federal
Reserve Bank of New York to conduct a series of overnight reverse repurchase
operations involving U.S. government securities for the purpose of further
assessing the appropriate structure of such operations in supporting the
implementation of monetary policy during normalization.』
追加のテストについてのオーソライズとな。
『The reverse repurchase operations authorized by this resolution shall
be (i) conducted at an offering rate that may vary from zero to five basis
points, (ii) for an overnight term, or such longer term as is warranted
to accommodate weekend, holiday, and similar trading conventions, (iii)
subject to a per-counterparty limit of up to $30 billion per day, (iv)
subject to an overall size limit of up to $300 billion per day, (v) awarded
to all submitters (A) at the specified offering rate if the sum of the
bids received is less than or equal to the overall size limit, or (B) at
the stopout rate, determined by evaluating bids in ascending order by submitted
rate up to the point at which the total quantity of bids equals the overall
size limit, with all bids below this rate awarded in full at the stopout
rate and all bids at the stopout rate awarded on a pro rata basis, if the
sum of the counterparty offers received is greater than the overall size
limit, and (vi) offered beginning with the operation conducted on September
22, 2014, with the resolution adopted at the January 28-29, 2014, FOMC
meeting remaining in place until the conclusion of the operation conducted
on September 19, 2014.』
0〜5bpの可変、(営業日ベースの)翌日物取引、1社当たりの1日の利用限度額を30億ドルに設定、全体の限度額を300億ドルに設定、利回り競争入札で実施して落札させるけれども、当日のファシリティ利回りは最高利回りでで実施(つまりイールドダッチ方式)する、というのを9/22〜1/28(オファーベース)で行うそうな。
『The Chair must approve any change in the offering rate within the range
specified in (i) and any changes to the per-counterparty and overall size
limits subject to the limits specified in (iii) and (iv). The System Open
Market Account manager will notify the FOMC in advance about any changes
to the offering rate, per-counterparty limit, or overall size limit applied
to operations. These operations shall be authorized through January 30,
2015." 』
なお内容を変更する場合はFOMCに事前に報告して議長の承認を得る必要があるそうだが、別にFOMCで決めるとは書いているのか書いていないのかよく判らん。いずれにせよ1月までの時限措置。
『By unanimous vote, the Committee ratified the Open Market Desk's domestic
transactions over the intermeeting period. There were no intervention operations
in foreign currencies for the System's account over the intermeeting period.』
ここはいつもの承認事項です。
・正常化政策プランについて
9月FOMCでは『Policy Normalization Principles and Plans』というのが出ましたがそれに関して今回も『Monetary
Policy Normalization』という小見出しの部分がありますので鑑賞。
『Meeting participants considered publication of a summary statement of
their monetary policy normalization principles and plans based on the discussions
at recent Committee meetings.』
ほうほうそれでそれで?
『Participants agreed that it was appropriate at this time to provide additional
information regarding their approach to normalization.』
何故今がappropriateなのかの説明が無くappropriateです(キリッ)というのは何か怪しげですが。
『The proposed statement was seen as a concise summary of participants'
views that would help the public understand the steps that the Committee
plans to take when the time comes to begin the normalization process and
that would convey the Committee's confidence in its plans.』
まあ確かにFOMCの議事要旨でのこのコーナーを前から見ていたら概ねその線での話(買入資産の償還再投資停止が利上げの後というのが明示されたのが新しい情報)ですな。
『However, it was emphasized that the Committee would need to be flexible
and pragmatic during normalization, adjusting the details of its approach,
if necessary, in light of changing conditions.』
プランは出すけれども実際に正常化を行う際には状況に応じて判断しますというのもまあそうでしょ。
『Regarding the specific points in the proposed statement, a couple of
participants expressed their preference that the principles make greater
allowance for sales of agency mortgage-backed securities (MBS) over the
next few years in order to normalize the size and composition of the Federal
Reserve's balance sheet more quickly and to limit distortions in the allocation
of credit that they believed were associated with the Federal Reserve's
holdings of agency MBS.』
2名の参加者キタコレという所ですが、MBSの売却に関してもうすこし柔軟に対応した方が良いのではないか(要はとっとと売れという話)という指摘の人がいますな、うんうん。
『In addition, a few participants noted that they would have preferred
that the principles point to an earlier end to the reinvestment of repayments
of principal on securities held in the SOMA portfolio.』
数名(a few)の参加者は償還再投資の停止を先に行うべきじゃネーノという話でして、ただまあ大方の人たちは(今回は書いてませんがここまでの議論を踏まえると)償還再投資の停止をすると利上げが近いぞヒャッハーとなるのを懸念しているっぽいのだが、償還再投資をさっさと停止してしまえば追加緩和の糊代も出来るという気もせんでもない(ただ基本FEDの場合糊代確保で早めに正常化着手的な発想はあまりない筈)。
『At the end of the discussion, all but one participant could support the
publication of the following statement after the meeting:』
以下はFOMCの時に発表された『Policy Normalization Principles and Plans』ですので引用割愛します。
・先に『Committee Policy Action』部分を鑑賞するとこれハトハトしてねえだろとなるのだが
でまあ『Committee Policy Action』の部分ですが、例によって最初の所は概ね声明文で示された内容が示されていまして、その次の部分はTaperingをそのまま継続しますよという話をしているのでそこを割愛しまして、実質議論部分のパラグラフを鑑賞。
『Members discussed their assessments of progress toward the Committee's
objectives of maximum employment and 2 percent inflation and considered
possible enhancements to the statement that would more clearly communicate
the Committee's view on such progress.』
ということで、マンデートの達成に向けての進展についてどのように考えているのかというのをステートメントでよりクリアに示すべきか(ちなみに今日は時間の関係で後回しですが経済認識はそういう事ですから強いのですよね)という話をしておりまして、しかも進展としましたが「progress」ですよ。
『Regarding the labor market, many members indicated that, although labor
market conditions had generally continued to improve, there was still significant
slack in labor markets.』
労働市場は改善しているけれどもスラックが顕著に大きいという認識が多い訳ですが・・・・・・・
『A few members, however, expressed reservations about continuing to characterize
the extent of underutilization of labor resources as significant.』
ほほうと思いましたが、複数名(A few)の参加者はスラックがsignificantであるという風に表現するのに対しては留保をしたいという話をしているのがちょっと興味深いですな。
『In the end, members agreed to indicate that labor market conditions had
improved somewhat further, but that the unemployment rate was little changed
and a range of labor market indicators continued to suggest that there
remained significant underutilization of labor resources.』
結論としては声明文で示された上記の表現となりましたと。
『It was noted, however, that the characterization of labor market underutilization
might have to be changed if progress in the labor market continued.』
ただし労働市場の状況が進展した場合にはこの「スラックが顕著」という文言に変更もあり得ますよねという事がノートされている訳で、まあイエレンさんがスラックスラック言うもんだからスラックの話って結構続くようにも見えますが、必ずしもそうでもないというのが議事要旨では示されている辺りが割と興味深く読んだ次第。
『Regarding inflation, members agreed that inflation had moved closer to
the Committee's 2 percent objective during the first half of the year but,
more recently, had fallen back somewhat. As a consequence, they updated
the language in the statement to indicate that inflation had been running
below the Committee's longer-run objective.』
『However, with stable longer-term inflation expectations, the Committee
continued to judge that the likelihood of inflation running persistently
below 2 percent had diminished somewhat since early in the year.』
インフレに関する部分ですが、まあ基本的にこちらはそんなに大きな見解の差は無かったようで、物価は2%に向けて上昇しているけれども足元で若干低下しているとか、低位水準の長期化へのリスクが若干軽減されたという声明文で示された部分はそのまま出たという感じですね。
・フォワードガイダンスに関しては前段の部分での説明で話が終わっているようで
『After the discussion, all members but two voted to maintain the Committee's
target range for the federal funds rate and to reiterate its forward guidance
about the federal funds rate.』
2名がガイダンス文言に反対したのはご案内の通り。
『The guidance continued to state that the Committee's decisions about
how long to maintain the current target range for the federal funds rate
would depend on its assessment of actual and expected progress toward its
objectives of maximum employment and 2 percent inflation. The Committee
again anticipated that it likely would be appropriate to maintain the current
target range for the federal funds rate for a considerable time after the
asset purchase program ends, especially if projected inflation continued
to run below the Committee's 2 percent longer-run goal, and provided that
longer-term inflation expectations remained well anchored. The forward
guidance also reiterated the Committee's expectation that, even after employment
and inflation are near mandate-consistent levels, economic conditions may,
for some time, warrant keeping the target federal funds rate below levels
the Committee views as normal in the longer run.』
『Two members, however, dissented because, in their view, the statement
language did not accurately reflect the progress made to date toward the
Committee's goals of maximum employment and inflation of 2 percent, and
they believed that ongoing progress will likely warrant an earlier increase
in the federal funds rate than suggested by the forward guidance in the
Committee's postmeeting statement.』
ということで、こちらは声明文に出ていた通りの話でして、議論に関しては先日引用した『Participants'
Views on Current Conditions and the Economic Outlook』のケツの方にあった方に集約されているようですな、うんうん。
#経済に関する議論部分は多分明日に続く(汗)
2014/10/14
お題「2M入札も強くて短期サーベイに何故か悪態/総裁会見ネタ続き/9月議事要旨の経済の議論を前回と比較してみる」
東京の通勤時間帯の台風あじゃぱーは避けられたようですが米国株式市場のおはぎゃーが襲来となorzorz
○2M短国入札も堅調とな
あちゃー
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20141010.htm
(3)募入最低価格 99円99銭8厘5毛 (募入最高利回り) (0.0111%)
(4)募入最低価格における案分比率 89.7414%
(5)募入平均価格 99円99銭8厘9毛 (募入平均利回り) (0.0081%)
とまあそういう結果でして、金曜日に申し上げましたように2M短国って慣例的には日銀短国買入の対象銘柄にならない足の長さでして、従いまして短国買入狙いで保有してやるぜヒャッハーという動きは起きないのですが、そうは言いましても先々週の3兆5000億円短国買入攻撃の影響がモロに出ておりまして、短国自体が全然無い状態になっているのが思いっきり影響して足切りが1bpで平均が1bp割れという残念な状態。
この銘柄は12月3日の税揚げ日に足が来る銘柄ですので、償還の時にロールの新発は出ませんですし、年末の運用難とかの問題を考えると償還再投資リスクもあるので(そこに資金ニーズがマッチしていれば無問題だが)本来はかなーりいらない子なのですけれども、短国市場の現状は四の五の言っている場合ではないという誠に遺憾な状況にある訳ですが、とにかく本日もまた短国買入がオファーされて、6Mと3Mの流通在庫が全部持って逝かれてしまい、出てこない最終投資家の所に入った物だけが市中残高になるという日銀の短国買入という名前の市場破壊活動はまだまだ続くのでありましたorz
○それに関連してアンケートにも悪態の火の粉が飛ぶのである
金曜にこんなの出てましたけどね。
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2014/ron141010a.htm/
わが国短期金融市場の動向
――東京短期金融市場サーベイ(14/8月)の結果――
サーベイ結果および解説の全文はこちら。
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2014/data/ron141010a.pdf
ではありますが、まあ纏めのHTMLの方から簡単に悪態を。
『東京短期金融市場サーベイの概観』
ってえことで、最初に『はじめに』ってのがあるんですけどね。
『日本銀行金融市場局は2008年以降、わが国短期金融市場の取引動向などを把握するため、「東京短期金融市場サーベイ」を実施している。このサーベイは当初は隔年で実施していたが、市場動向をより的確にフォローする観点から、昨年より毎年実施することとしており、本年8月、第5回目となる調査を実施した。』
ほうほうそれでそれで???
『このサーベイは、従来同様、日本銀行のオペレーション対象先および短期金融市場の主要な参加者を対象として実施している。今回のサーベイの調査対象先は296先と、昨年の284先からさらに増加している(回答率100%)。』
へえへえそうだっか。
『なお、従来、サーベイ実施時点(8月)から結果公表(同年12月〜翌年2月)までかなりの期間を要していたが、今回、市場参加者からの要望などを踏まえ、できる限りの公表早期化を図っている。』
まあ確かに早くなりましたな。
『すなわち、調査の基準時点は従来の調査同様7月末時点とし、集計結果の時系列的な比較可能性を確保する一方、結果の公表は従来と比べ2〜4か月以上前倒しし、10月に公表することとした。これは、市場動向を適切にフォローし、必要に応じて市場整備のための取り組みを円滑に進める観点から、サーベイ結果を極力速やかに市場参加者の方々などと共有した上で、これを有効に活用しながら、関係者などとの対話を重ねていくことが望ましいとの問題意識に基づくものである。』
ほっほー。
『日本銀行金融市場局としては、今回のサーベイ結果も有効に活用しながら、短期金融市場も含めたわが国金融市場の活性化に向けた関係者の取り組みを積極的に支援するとともに、自らも中央銀行の立場から、可能な限りの貢献を果たしてまいりたい。』
貢献した結果があの短国買入による市場機能の破壊行為なのは何かのギャグでしょうか?????
・・・・・・ということで掴みの所で「んなこと言われたらアンタ、往生しまっせ〜」と申し上げたくなるのですが、この次の『概要』が落涙を禁じ得ません。
『短期金融市場での資金調達残高は増加し、リーマン・ショック以前の2008年夏頃の水準近くまで戻している。』
『この背景としては、まず、日本銀行の補完当座預金制度のもとでの超過準備の付利金利(0.1%)をメルクマールとする裁定取引の広がりが挙げられる。また、市場参加者の一部には、取引関係や社内の事務体制・ノウハウの維持、業務継続体制の強化などの目的から、無担保コール取引を継続的に行っている先もみられる。こうした動きが、取引全体の下支えに寄与していると考えられる。さらに、投資信託などの主体が、株価上昇などを受けて増加した余剰資金を短期金融市場で運用していることや、日本銀行の大規模な国債買入れのもとで国債の特定銘柄の調達ニーズが高まったことなどを受け、レポ取引が増加していることが、取引全体の増加に寄与しているとみられる。』
はあそうですか。
『この間、国庫短期証券などの運用利回り低下や収益性が見込みにくくなった有担保コール取引を抑制する動きが一部でみられていることを受けて、短期金融市場の収益性や機能度が前年に比べ低下したと回答する先が全体の3割程度でみられた。もっとも、全体の6割程度の先では、短期金融市場の収益性や機能度は、前年と比べ「概ね変わらない」と回答している。』
そらまあ8月時点の調査ですからねえ。
『これらの点を踏まえると、わが国の短期金融市場の機能は全体として維持されていると考えられるが、日本銀行としては、今後とも短期金融市場の動向を、日々のモニタリング活動や本サーベイ、市場参加者との対話などを通じて、適切にフォローしていく考えである。』
>わが国の短期金融市場の機能は全体として維持されていると考えられる
>わが国の短期金融市場の機能は全体として維持されていると考えられる
>わが国の短期金融市場の機能は全体として維持されていると考えられる
おもろいやないかい〜、腕上げたな〜、という所でございますが、ここの説明文中に「7月末を基準として8月に調査した時はこうでしたがその後の状況はこのサーベイに反映されていません」というような文言でも入っていればまだ望みがあるというものですが、ご案内の通り9月以降からは市場の様子が様変わりしている訳で、まずこのサーベイの紹介文書である所のこの書面中にそれらしき記述が全然存在しない(ついでに言うと本文中にもその手の記述が1ミリも存在しないのでお暇な方はご確認あれ)という時点で金融市場局が短国買入で市場の玉を全部買ってマイナス金利にするわ市場取引を干上がらせるわというプレイを演じている事に関して何らの問題意識を持たずに無邪気にMB積み上げがディレクティブだから買うんだもんね〜とやっているってえのが良く判るという代物であります。
いやまあアンケート自体のタイミングは仕方ないですし、サーベイ取ったのだから公表した方が良いのですけれども、上記にあるように8月のサーベイの時点で既に「短期金融市場の収益性や機能度が前年に比べ低下したと回答する先が全体の3割程度でみられた」という状態であったならば、その後の9月における市場状況を加味したら「わが国の短期金融市場の機能は全体として維持されていると考えられる」と平然と纏めるのは如何なものかとしか思えませんですわなあ。
そらまあ8月に実施したサーベイの時点では確かに市場機能は低下はしているものの全体としては維持されていたと思いますが、その後の市場環境の急変(しかもそれが日銀ドリブンなのですが)に対する考察なりが何も入らないという時点で「金融市場」局という名前ついてるセンスが感じられないという誠に残念なものが公表されましたなあという所で。
なおサーベイの中身に関してはお暇な方はご覧あれなのですが、何せ9月に市場環境が変わってしまいましたのでそこは補正を掛けて読まないといけませんぞな。
#しかしまあ間が悪いタイミングで出てくる所が日銀クオリティですなあというところで
○総裁会見ネタの続き
木曜に投下した後金曜にはNYでのオモシロ講演があってついスルーの巻なりましたが続きをば。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2014/kk1410a.pdf
・2年で2%を下げるのかという質問なのだが・・・・・・・・
『(問) 先程の質問にも関係しますが、足許、景気がややもたついており、マーケットを中心に、追加の金融緩和に対する期待が依然あると思います。その一方で、足許の円安について、中小企業や地方から懸念が出ています。これは、コストや資材価格が上昇することが、中小企業の収益や家計の下押しになるのではないか、つまり景気の下押し要因になるのではないかという面から、円安への懸念が出ているかと思います。その上で、追加の金融緩和をすると、円安をさらに助長してしまいます。その点に関してどのようにお考えなのかということと、あくまでそういう状況があるにもかかわらず、2年で2%という最初の目標通り、2年程度で物価目標の達成を目指すということなのか、それとももう少し時間をかけて2%を目指すという考えもあるのか、ということについてお伺いします。』
この質問者は2つの質問をしているのですが、2つの質問をするなら独立した聞き方にしないと回答者にはぐらかされてしまうのでありまして、2番目の質問が「円安になると景気が下押しになる」というのがアプリオリになった状態になっているので、質問がヘボにも程があるのですが、それはそれとして回答。
『(答) 冒頭申し上げました通り、私どもの「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しています。』
結局「円安は良くない」の部分が否定されるとそこで話が進まなくなるのよ。
『今後とも、2%の「物価安定の目標」の実現を目指して、これを安定的に持続するために必要な時点まで「量的・質的金融緩和」を継続する、その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行っていくということですので、当然、上下双方向ですから、必要があれば追加緩和についても検討することになると思います。今のところは所期の効果を発揮しており、「物価安定の目標」に向けての道筋を着実に辿っているということです。』
いつもの棒読みで答えられるのでした。質問するなら「円安は本当に良いのか」「2年で目指すよりも少し時間を掛けた方が良いという意見があるがそれについてはどう思うか」という風に聞かないと。
『金融政策としては、あくまでも物価安定が第1の目標ですので、為替について何か特定の水準や変化率を目的にして行うものではありません。上下双方向の調整というものは、為替を考慮してではなく、あくまでも「物価安定の目標」との関係で、必要があれば上下双方向の調整を行うということです。』
まあつまり特段何かをする気はないと。ただしこの次の部分については微妙な表現が炸裂する次第で、為替に関しては(この質問以外にも)アホのように質問がありましたが、正直そっちの話はどうでも良くて、「2年で2%」の期限があと半年なのだからそれを質問しやがれと。
『なお、2年で2%という点については、昨年4月4日に「量的・質的金融緩和」を導入した際にも申し上げましたが、2%の「物価安定の目標」を2年程度の期間を念頭において、できるだけ早期に実現するために、「量的・質的金融緩和」を導入したわけで、そうした意図には変わりはありません。ただその上で、4月4日以来ずっと申し上げていますし、今回の金融政策決定会合後の公表文にも書いてある通り、「量的・質的金融緩和」は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続するということです。』
ほうほうそれでそれで??
『この政策自体は、あくまでも、米国で言うカレンダーベースではなくアウトカムベースと言いますか、まさに「物価安定の目標」との関係で、それが実現し、安定的に持続されるまで続けるというものです。』
これはまあ「QQEの継続期間はカレンダーベースで2年と切っている訳では無くてオープンエンドですよ」と言う趣旨で発言した、とまあ普通に解釈すれば解釈できますが、一方で穿った見方を思いっきりして邪推モード全開になりますと、「2年」という期日について強調することは、「来年の4月」という時間切れを強く認識させることに繋がり、既に物価見通し自体が今回の声明文においては「暫くの間」「1%台前半で推移」ということで、暫くの間means6か月程度というのは1月の声明文でこの文言を投下した時点で総裁自らが説明している訳でもあり、そうなりますと2年の期日に物価安定目標という名前の手形が支払呈示される事を勘案するとゴリゴリ突っ込まれると往生しまっせ〜という意識が日銀執行部の皆様にあるので、殊更「2年」と言わないようにしている(エコノミッククラブでの講演でもそうでしたし)というのはあるのでは???と思わせてくれますな。
・・・・・・・と思ったら別の方が無慈悲なツッコミをして実に素敵。ちょっと後の方の質問から。
『(問) 先程、目標達成期限について、カレンダーベースではなく、2%が安定して持続できるまで「量的・質的金融緩和」を続けるとご説明されました。2年程度で達成を目指してはいるが、現在、展望レポートで示している目標達成の見通し――見通し期間の中盤頃、大体2015年度だと思うのですが――、そういったシナリオが崩れないで続く限りは、2年という期限にあまり拘らないという理解でよろしいでしょうか。』
(・∀・)ニヤニヤ
『(答) 先程申し上げた通り、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に2%の「物価安定の目標」を実現するため、「量的・質的金融緩和」を導入しました。』
「念頭に置いて」とかヘッジクローズを入れた上で「導入しました」ということで、過去の一時点での話に持ち込んでいるあたりが日銀文学で、確か当初は「強力なコミットメント」とか言ってましたし、大体からして理論的支柱(なお柱は虫食いでスカスカの可能性もあります)であります所の岩田副総裁様におかれましては副総裁就任前から「可能」だの「最高の責任の取り方は辞職」だの仰せでしたが、その時の強力なコミットはどちらへ????
『そのもとで、半年ごとに新しい展望レポートを示し、その中間時点での見直しも示していますが、過去1年半近くを見ても、ほとんど物価上昇率見通しの中央値は変わっていません。2015年度は1.9%、2016年度は2.1%の見通しで従来から変わっていません。従って、物価上昇率についての考え方、見通しも変わっていません。』
2015「年度」だとQQE導入から2年でしたっけ????
『まさに、2年程度の期間を念頭に置いて、「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成するために行っている「量的・質的金融緩和」は、所期の効果を発揮しており、目標達成に向けて着実に進んでいるということだと思います。』
どう見ても目標達成時期後ズレなのですが認めない辺りが昔陸軍以下自粛。
・言質を取りに行っている質問キタコレ
木曜にネタにした時にも最初の質疑で『景気がもたつきが一時的という根拠は』と言質を取りに行っている質問がありましたが、こちらの質問もまあ言質を取るような質問ですな。
この手の言質取り質問というのは、本当は国会質疑みたいに周りから言質取って固めてから最後にゴリゴリと突っ込むという形で運営すると「こうかはばつぐんだ」となる(この前の国会では蓮舫さんが非常にお上手にやってたみたいですな)ので、基本1回しか質問が出来ない記者会見の場合、本当は言葉尻をすかさず捉える追撃質問(上記のようなの)があると美しいのですが、まあそうではない場合は次回の会見でまた「前回このように仰っていましたが」と突っ込むしか無いと思います。
そういう点ではFOMCとかECB定例理事会後の会見でのツッコミは中々見ごたえがありますので、日銀の会見もそういう風になって頂きたい物ですが、と話は逸れましたが質問を。
『(問) 先程、2年程度での「物価安定の目標」の達成について、所期の効果を発揮しているということは、総裁が去年4月の段階で考えていたことと、現状には全く相違がないということでよろしいのでしょうか。また、審議委員の方々を含めてそういう考えでしょうか。』
(・∀・)
『また、追加緩和について、会見でのお話を色々とお聞きすると年内を含めて、今の状況であれば、考えていないとも感じ取れるのですが、どうでしょうか。』
うむ。
『(答) まず1点目については、その通りであります。展望レポートや毎月の金融政策決定会合後のステートメントを見て頂くと分かりますように、成長率は振れていますが、基本的に物価についての見通しはほとんど変っていません。』
成長率が振れるのに物価の見通しが変わらないとな(@∀@)という所ですが、見通しが変わっていないんですってよまあ2年で2%達成ですね素敵ですわ奥様!!!
『2点目の追加緩和については、2%の「物価安定の目標」との関連で必要があれば、必要な調整を行うということは、何度も申し上げています。1年に14回も金融政策決定会合がありますので、何時でもそういった調整は可能であるということです。今の時点で、そういった調整が必要かどうかは、経済・物価動向がどのように展開していくかによるので、順調に経済・物価動向が展開して、見通し期間の中盤頃である来年度を中心とした時期に2%の「物価安定の目標」が達成されるという状況であれば、特別に調整を行う必要はないでしょうし、そうでないようであれば調整を行うということだと思います。』
2年で2%と「来年度を中心とした時期」に2%というのは既にその時点で話が違っているのですけれども、まあその辺への無慈悲なツッコミは恐らく展望レポートが出た所でゴリゴリくる物と期待しておりますので記者の皆様のご活躍を祈念したいと思います。
○月報の前に9月MPM議事要旨ネタでも参ります
月報ネタの前に9月MPM議事要旨ネタを先に。
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2014/g140904.pdf
今回は新企画で前回議事要旨と比較する(全部ではなくて一部ですが)訳ですが、『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』部分を鑑賞してみたいと思います、と申しますのはここもと声明文での景気判断が匍匐前進の如く下方修正(下方修正だから匍匐後退か)となっているのでその辺との整合性を鑑賞するのも味わいがあるかなと思いましてですね。
・もしかして景気判断の「基調的には」回復という文言の示唆する事が変わってないかという仮説
『わが国の景気について、委員は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動が依然みられ、輸出や生産は弱めの動きとなっているものの、家計・企業の両部門において、所得から支出への前向きな循環メカニズムがしっかりと働いており、基調的には緩やかな回復を続けているとの見方で一致した。景気の先行きについても、委員は、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響も次第に和らいでいくとの見方を共有した。』(9月)
『わが国の景気について、委員は、最近の輸出や生産には弱めの動きがみられるものの、家計・企業の両部門において、景気の前向きの循環メカニズムがしっかりと働いていることから、総括判断としては、緩やかな回復を続けているとの評価を維持することが適当であるとの見方で一致した。景気の先行きについても、委員は、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響も次第に和らいでいくとの見方を共有した。』(8月)
ということで、総括部分を比較すると輸出や生産の動きが「弱め」となっているのですが、声明文比較をした時にはどうなっていたかというのとの整合性を見るとこれがまた面白い。
ちなみに過去の駄文の9月声明文比較はこちらです
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/seisaku14-01.html#seisaku140905
つまりですね、9月声明文では輸出については前月も当月も『輸出は弱めの動きとなっている』としていまして、声明文中では現状判断が下がったようには見えないのが味わいがあって、生産に関しては『鉱工業生産は、基調として緩やかな増加を続けているが、足もとでは弱めの動きとなっている。』と主文の差し替えを行って「足もと弱め」というのを主文にして判断を下げるというプレイに出ていたのですな。
あと、今回景気に関して「基調的には」回復ということで「基調的には」攻撃が入っていますが、声明文の方ではこの基調的には攻撃が4月の声明文から入っていまして、当初声明文に入れられていた「基調的には」文言は「消費税増税の駆け込み反動があるものの」という事を意味していた筈なのですけれども、実はこの9月議事要旨を見ると声明文での「基調的には回復継続」というのは消費税の駆け込み反動だけではないサムシングなヘッジクローズの意味合いが入ってきているという事を意味するとゆー話になっているのでした。
・輸出の見立ても比較すると味わいがあります
『輸出について、委員は、弱めの動きが続いているとの見方で一致した。何人かの委員は、その動きの背景として、製造業の海外生産移管といった構造的要因が相応に影響していると指摘した。複数の委員は、7月の実質輸出は増加したものの、持続的な増加に繋がるかどうか確認していく必要があると指摘した。』(9月)
『輸出について、委員は、このところ弱めの動きとなっているとの見方で一致した。委員は、弱めの動きの背景として、新興国経済のもたつきや米国の需要が1
〜 3 月期に落ち込んだことがラグを伴って春先まで日本の輸出を下押ししたことなど循環的要因の影響を指摘した。同時にこれらの委員は、製造業の海外生産移管といった構造的要因も相応に影響しているとの見方を示した。』(8月)
海外の見立ての所は引用していませんがこの前の部分にありまして、引き続き基本的には強めの見方を示しているのですが、そういう見方を示しながら輸出の弱めの状態を循環要因メインで説明するのはさすがに無理があるという話になってきたんでしょうなあと思われる次第。つまり前月には輸出の弱さについて『委員は〜循環的要因の影響を指摘した』とありますように、主文としては循環要因だったのですが、今回は『何人かの委員』(=野党審議委員)の構造要因の指摘だけ入っているというのが味わいがあるというものです。
『先行きの輸出について、委員は、海外経済の回復などを背景に、緩やかな増加に向かっていくとの見方を共有した。この間、ある委員は、欧州や新興国における設備投資の回復が緩慢であることを指摘し、輸出が着実な増加に転じていくにはしばらく時間がかかるとの見方を示した。』(9月)
『先行きの輸出については、委員は、先進国を中心に海外経済の成長率が高まっていくもとで、緩やかな増加に向かっていくとの見方を共有した。このうち複数の委員は、海外生産移管などに起因する構造的な下押し要因の影響も、先行き徐々に減衰していく可能性が高いと述べた。別の何人かの委員は、構造的な要因の影響を重視し、海外経済に対するわが国の輸出の感応度は低下しているとの認識を示した上で、輸出は回復に向かうものの、そのペースは緩やかなものにとどまるとの見方を示した。』(8月)
循環VS構造みたいな話が9月議事要旨ではバッサリ無くなっていまして、声明文などでの見た目以上に議事要旨では判断が悪化しているんじゃないですかねえと思われるところです。
・今回妙に長いのが雇用所得環境と賃金の話
話の都合上8月分から先に引用しますが。
『雇用・所得環境について、委員は、労働需給は着実な改善を続けており、雇用者所得も緩やかに伸び率を高めているとの認識を共有した。先行きについても、委員は、経済に前向きの循環が働くもとで、雇用者所得は緩やかな増加を続けるとの見方で一致した。』(8月)
となっているのですが、9月は妙にこの議論が長いのだ。
『雇用・所得環境について、委員は、労働需給が着実な改善を続けるもと、雇用者所得は緩やかに増加しており、先行きも緩やかな増加を続けるとの見方を共有した。』(9月、以下の引用部分暫くはこの続きです)
何か「伸び率を高め」が「増加しており」ってなっているのが微妙に下方修正の香りもしますがそれは兎も角。
『複数の委員は、毎月勤労統計において、所定内給与が前年比でみてプラスに転化しており、ベースアップが反映されてきているとみられることや、特別給与の伸びも、夏季賞与の増加を映じて高まっていることを指摘した。また、複数の委員は、実質賃金について、消費税率引き上げの影響を含む物価上昇率で計算すると減少しているが、消費税の影響を除けば前年比プラスの伸びとなっていることを指摘した。』
出たな消費税の影響除き攻撃だが、そもそも「消費税も上がるし法人減税してるしお前ら賃金上げろやゴルァ」の影響はスルーして消費税の影響抜き攻撃とは如何なものかと。
『一人の委員は、ベースアップを含めた所得の増加に向け、前年のような政府も関与する仕組みが本年も必要かもしれないと述べた。』
しらっと入っていますがどう見ても統制経済です本当にありがとうございました。
『一方、ある委員は、失業率が上昇するなど雇用環境の改善が多少鈍くなっていることを指摘し、足もとの輸出や生産が弱めとなっていることが影響している可能性があると述べた。』
ほうそうですかという所ですが足元の話がそんなに直ぐに跳ねるのかね、と思ったら反論みたいなのキタコレ。
『別の一人の委員は、雇用や所得は景気に遅行するため、この先も所得形成力が維持されていくかどうか注視していく必要があると述べた。』
まあさいですな。そして議論は更に続く。
『労働需給の逼迫が賃金に与える影響について、ある委員は、労働供給の制約もあって経済成長率が高まらない中、総需要の伸びが緩慢なことから、賃金の上昇も緩やかなものにとどまる可能性を指摘した。』
ふーん。
『別の委員は、企業は潜在的な労働供給を引き出すような努力を行っており、労働市場の需要・供給両面の増加から緩やかな賃金の上昇と潜在成長率の上昇が起こっている可能性があると指摘した。』
そ、そうなのか???????????誰この指摘しているの???????
『他のある委員は、人手不足に直面した企業が省力化投資を行うことによって労働生産性を引き上げ、経済の成長力が高まっていくことが考えられると述べた。』
それは良いのですが(先週出てた機械受注が謎の強さでしたが)そうなると雇用には跳ねないという話になると思います。
・消費についての議論も長くなっているが色々とお悩みのようですな
『個人消費について、委員は、駆け込み需要の反動減の影響は依然みられているものの、全体としては、徐々に和らぎつつあるとの認識で一致した。委員は、家計支出のうち自動車などの耐久財消費や住宅投資については、駆け込み需要が大きかった分、反動減の縮小テンポは緩やかになっているが、百貨店やスーパーの売上高は、月々の振れを均してみれば、持ち直し傾向をたどっているとの見方を共有した。』(9月)
『個人消費について、委員は、品目によってその程度には差はあるものの、全体としては、駆け込み需要の反動減の影響は徐々に和らぎつつあるとの認識で一致した。消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動について、何人かの委員は、耐久財を中心に駆け込み需要が大きかったため、反動もそれなりに大きくなると見込まれるとの認識を示した。』(8月)
まあ基調的な所では大体似たような話をしているようですが・・・・・・・
『何人かの委員は、夏の天候不順の影響が、足もとの消費の実態をみえにくくしていると指摘したうえで、主要百貨店の8月の売上高が改善していることは、消費の底堅さを示していると述べた。また、何人かの委員は、このところ需要側統計の家計調査でみた消費が、販売側統計でみた消費対比弱めである点について、毎月勤労統計との整合性を勘案すると、現在調査対象となっている世帯の収入の伸びが実勢より低く、消費の伸びにも下方バイアスがある可能性を指摘した。』(9月)
『ある委員は、耐久財以外の動向についても、しっかりと注視していく必要があると付け加えた。一方、別の一人の委員は、インターネット通販の販売額は4
月を底に順調な回復が窺われると指摘した。』(8月)
微妙に怪しげな数値が出ている件についての議論が色々でていますが、家計調査のサンプルに問題がある攻撃キタコレという所で、いやまあそうであればそれで良いのですけれども、得てしてこういう時は「自分の見立てに都合の良い統計が正しくてそうじゃないものはサンプルバイアスがある」という解釈をしがちなので注意した方が良いと思いますよ。
『先行きの個人消費について、委員は、雇用・所得環境の着実な改善が続き、消費者マインドも改善していることを踏まえると、底堅く推移していくとの見方を共有した。この間、ある委員は、家計のマインドについて弱めの動きを示す指標があることから、慎重に見極める必要があると指摘した。』(9月)
『先行きの個人消費については、委員は、実質所得の押し下げの影響には注意が必要だが、雇用・所得環境の着実な改善が続いていることを踏まえると、底堅く推移していくとの見方を共有した。』(8月)
ということで、消費の先行き見通しはまあ当然ながら判断維持なのですが、ただまあ議論の部分に関する記述がくどくなっているのは背景に政策決定会合における見解の対立があるという事ではないかと思われます。
・生産に関しても見解の開きが拡大しているように見えるがやはり弱くなっていますな
『鉱工業生産について、委員は、基調としては緩やかな増加を続けているが、足もとでは駆け込み需要の反動の影響などから弱めの動きとなっているとの見方で一致した。』(9月)
『鉱工業生産は、委員は、足もとでは駆け込み需要の反動や輸出のもたつきなどを反映して弱めの動きとなっているが、基調としては緩やかな増加を続けているとの見方で一致した。』(8月)
これは声明文で示されている通り。
『この点、何人かの委員は、自動車など一部の業種では在庫調整が行われていると指摘した。』(9月)
『このうち多くの委員は、足もと、一部業種で在庫の増加や出荷・在庫バランスの悪化がみられることを指摘した。』(8月)
表現的には「在庫調整」と直球で書いてある今回の方が生産の現状に対する懸念を強くしているのですけれども、一方でその人数が「多くの」から「何人かの」に減少していまして、どうもこう執行部的な大本営発表台湾沖航空線大戦果ヒャッハー的な見解と野党審議委員のいやそのりくつはおかしい的な見解の差が拡大しているんじゃネーノと思われるところです。
『先行きについて、委員は、生産予測指数やサーベイ調査などを踏まえると、当面弱めの動きが残りつつも、緩やかな増加基調をたどり、駆け込み需要の反動の影響も次第に和らいでいくとの見方を共有した。この間、ある委員は自動車産業から他業種に在庫調整が波及するリスクに注意する必要があると指摘した。』(9月)
『先行きについては、委員は、内外需要の動向などを反映して、緩やかな増加基調をたどり、駆け込み需要の反動の影響も次第に和らいでいくとの見方を共有した。』(8月)
でまあここもワロタのですが、生産の先行き見通しについて8月は「内外需要の動向などを反映」だったのですが、9月は「生産予測指数やサーベイ調査などを踏まえると」となっていまして、先行き見通しの根拠が明らかに薄弱になっている(しかも生産予測指数とか今次局面で毎度毎度下方修正されているという代物ですし)というのが実に味わいがあるというものです。
・物価の議論も確認
『物価面について、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、プラス幅が幾分縮小する局面を伴いつつも、暫くの間、+1%台前半で推移するとの見方で一致した。その先の消費者物価の前年比については、大方の委員は、マクロ的な需給バランスが着実に改善を続け、中長期的な予想物価上昇率も上昇していくもとで、今年度後半から再び上昇傾向をたどるとの見方を共有した。』(9月)
『物価面について、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、プラス幅が幾分縮小する局面を伴いつつも、暫くの間、+1%台前半で推移するとの見方で一致した。その先の消費者物価の前年比については、大方の委員は、マクロ的な需給バランスが着実に改善を続け、中長期的な予想物価上昇率も上昇していくもとで、今年度後半から再び上昇傾向をたどるとの見方を共有した。』(8月)
ということでここの見方の文言だけは安定のカワランチ会長ですが、今年度後半って10月からだと思うのですが、「今年度後半から上昇傾向」というのと半年程度の期間を意味する「暫くの間は+1%台前半で推移」というのはそろそろ整合性が取れて来れなくなると思います。
『この点に関連して、複数の委員は、人件費を含むコストの上昇を企業が価格に転嫁する動きが物価押し上げに繋がっていくとの見方を示した。一方、ある委員は、小売データに基づく物価指数がこのところ下落傾向にあることを指摘し、駆け込み需要の反動減が長引くもとで、企業の価格設定スタンスが変化するリスクには注意する必要があると述べた。また、予想物価上昇率について、何人かの委員は、このところブレーク・イーブン・インフレ率が低下していることを指摘した。この点、多くの委員は、予想物価上昇率について、家計・企業・エコノミストに対するサーベイ調査や、市場金利など、様々な指標を用いながら、引き続き丹念に点検していくことが重要であると述べた。』(9月)
『この点に関連して、一人の委員は、既往の原油高や円安効果が剥落していくため、先行きの消費者物価の前年比伸び率の低下を懸念する声があるが、品目の相対価格の積み上げで物価予測を行うのは不適切であり、マクロ的な物価の決定要因である需給ギャップと予想物価上昇率に着目すべきであると指摘した。この間、複数の委員が、このところのサービス価格の動きに回復感を欠いている点には注意が必要であると述べた。このうち一人の委員は、企業が販売価格を持続的に引き上げるようになるためには、成長期待や将来所得の上昇期待が高まる必要があり、この点、政府による成長戦略の迅速な実行や企業による成長力や競争力を高める努力が欠かせないと述べた。』(8月)
ということで論点が違っているのでまあ8月分は観賞用に置いてみましたという感じですが、しらっと「小売データに基づく物価指数の推移」とか「BEI」とかの話が出ていて、物価は行くんです攻撃でどこまで突っ張って良いのですか大丈夫ですかという野党審議委員筋と見られる方々のツッコミの記述が目立つようになってきましたね。
・指摘している人がいましたか(・∀・)
つーても短国買入のマイナス金利が発生した(と思われる)のは9月9日の短国買入でしたので、この時点ではこの程度の指摘がちょっと入っている位なのは致し方なし。
『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』にこんなのが。
『ある委員は、各種の指標をみる限り、国債市場の流動性がここにきて低下している訳ではないが、本行の買入れが国債市場の流動性や金利形成に与える影響については、引き続き分析していく必要があると述べた。』
まあ何ですな、これ10月1回目のMPMでどういう指摘があったか(ちょうど短国買入3.5兆円攻撃の直後でしたが)とか、次回展望レポートで金融政策の先行きに関する話もちったあするでしょうから(ちなみにアタクシは何か来年の政策に関する紙が出るとは予想しておりません)その時に短国市場破壊に関する問題意識があるのか無いのかを確認したいと思います。
#うーむ引用大増量企画になってしまいました
2014/10/10
お題「黒田総裁NY講演は文学作品としては中々秀逸/3M短国ェ・・・・・・・/週末の読み物に推奨ネタ」
何か200ドル上がったり300ドル下がったり忙しいですなあ。
○エコノミッククラブNYでの黒田総裁の講演とな
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/data/ko141009a.pdf
日本経済:慎重論に答える
エコノミック・クラブNYにおける講演の邦訳
本チャンはこちら
http://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2014/data/ko141009a.pdf
Japan's Economy: Responding to Cautious Views
Speech at the Economic Club of New York
ということですが、珍しくも英文を鑑賞しつつ日本語も鑑賞しつつという感じで参ろうかと思うのですが、7ページしかないから読む気になったとか、どうせ内容が判り切っているので読む気になったとかそういう説はだいぶあります。
・でまあ一番気になったのは「海外講演でもついに2年が削除される」という点ですな
最初に『I. QQE and the Recovery of Japan's Economy』(『2.「量的・質的金融緩和」と日本経済の回復』)なんてえのがあるのですが、そこの冒頭に『The
Mechanism of QQE』(『(「量的・質的金融緩和」のメカニズム)』)というのがあるのですけれどもね・・・・・・・・・
『QQE consists of two pillars. One is a strong and clear commitment to
achieve the price stability target of 2 percent at the earliest possible
time and the other is a large-scale monetary easing to underpin the commitment.』
ということで冒頭でQQEの2つの柱というのに触れていまして、コミットメントがどうのこうのとありますが、ここで昨年10月に米国(ただしこちらはブレトンウッズ委員会インターナショナルカウンシル)での講演におけるQQEの説明を見てみましょう。
http://www.boj.or.jp/en/announcements/press/koen_2013/ko131011a.htm/
ここの『Uniqueness of the QQE』という所にこんな記述があります。
『Specifically, the policy comprised two features. First, to show the BoJ's
determination that it would overcome deflation at the earliest possible
time through a strong and clear statement. Therefore, the period in which
the BoJ would achieve the target was clearly specified as "about two
years." The second feature, for the purpose of underpinning such determination,
was to launch massive monetary easing that clearly differed from the past
policies.』(上記URLにある昨年10月11日に行われた米国での黒田総裁講演から)
>achieve the target was clearly specified as "about two years."
>achieve the target was clearly specified as "about two years."
>achieve the target was clearly specified as "about two years."
・・・・・・・・・ということで、まあ一々3回も繰り返すまでも無く(^^)、今回の米国での講演においては物価安定目標達成期限の「2年間」という数値を外す流れになっておりまして、QQEを投下した時には「2」を無暗矢鱈と強調して「2%」はまあ良いとしてMBを「2倍」にするとか言って短国市場が崩壊するような馬鹿買いを実施(本来年末260兆円のMBでも良い筈なのだが270兆円じゃないと「2倍」にならないのだ)しており、長期国債の保有について「2倍」はまだしも平均残存年限を「2倍」にするとか言って妙な買入の調整をして市場を混乱させたり、年限ごとの需給を盛大に歪めたりと、「2」に拘るせいで市場方面は色々と残念な状態になっているのですが、一番重要な「2年」を何の落とし前も無く取り下げるとはどういう事やおいこら説明してみろやというお話でありますな、うんうん。
と悪態を付きますとどういう想定問答が待っているかと言いますと、「別に2年で達成するという旗を降ろした訳ではないが、そもそも2年というのがきっちり2年ではないでしょ」と言う答えが返ってくるというのが日銀クオリティなのですけれども、まあ置物師匠位はちゃんと落とし前を付けてくれるでしょうねえ(棒読み)。
・なおメカニズムの説明は相変わらず「実質金利が下がると投資や消費が促進される」という説明
さてつい悪態モードになってしまいましたが心を鎮めて(^^)QQEの説明の続きを鑑賞。
『As a result, real interest rates will decline, thereby stimulating private
demand such as business fixed investment, private consumption, and housing
investment.』
相変わらずの実質金利理論なのですが、恒常的に投資不足の経済でも無いのに成長期待が無い中で実質金利だけで需要が伸びるんですかというのは毎度のツッコミ。つまり投資を阻害する要因として金利が高いとなると(金利商品以外への)投資が抑制されますねというのはその通りだと思いますが、それはあくまでも投資抑制要因の一つなのであって、一つの要因だけを取り除いたら投資が活発になるというのは余りにも議論が単純過ぎなのですが、単純すぎた挙句に「エルピーダを潰したのは日銀」とか言い出すのが置物理論クオリティなので致し方なし。
『There will be upward pressure on prices if private demand increases and
the output gap, in other words the slack of the economy as a whole, narrows.
If actual inflation rates accelerate, expected inflation rates will rise
and the aforementioned series of processes will be reinforced.』
で、とにかく最初の部分がそういう前提なので、その後は上手く行くような話が続くという毎度の理論ではありますな。
・この物価動向の理屈で追加緩和があるとは思えませんが・・・・・・・・・・・・・
めんどうになってきたので(^^)日本語バージョンの方から引用しますが(根性なし)物価に関する説明部分。
『続いて、日本の物価情勢についてお話します。基調的な物価動向は、経済全体としての需給ギャップと予想物価上昇率によって決まると考えられます。このうち、需給ギャップについては、先程ご説明したように、労働市場のタイト化が進むなど、スラックがほぼなくなった状態となっています。また、予想物価上昇率も、月々の振れはありますが、「量的・質的金融緩和」導入後の変化をみると、全体として上昇しています。こうしたもとで、昨年4月に−0.4%であった消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、最近では+1.1%まで改善しています。』
スラックが無くなって予想物価上昇率が上昇しているんだったら何で前年比での上昇ペースが落ちているのでしょうかとツッコみたくなるのですが、当然ながらその答えを用意していない日銀の訳がございません。
『もっとも、消費者物価の前年比は、本年入り後、8か月にわたって1%台前半の狭いレンジで概ね横ばいで推移しています。こうした物価上昇率の伸び悩みについて、「昨年は勢いよく上がった消費者物価の上昇モメンタムが失われているのではないか」との見方が聞かれます。』
ほら来た。
『しかし、消費者物価の前年比が概ね横ばいとなっているのは、前年の同時期に、円安やエネルギー価格の上昇に伴って消費者物価が上昇した要因、すなわちbase
effectが剥落していることによるものです。一方、基調的な物価は、着実に上昇を続けています。こうした消費者物価前年比の推移は、概ね我々が事前に予想していた通りです。Base
effectの剥落にもかかわらず、消費者物価前年比がさほど低下せず、底堅く推移していることは、需給ギャップの改善や予想物価上昇率の上昇が、基調的な物価上昇圧力として作用していることを示唆しています。』
なるほどこういう説明で来るかという話ですが、それだとしますと昨年の物価上昇におけるベース効果はどれだけあったのかという話をして頂きたい訳でして、確か今年の3月辺りのカザフスタンでの総裁講演とか、日銀企画局のペーパーとかでは「民間エコノミストの予想は大敗北で俺様大勝利(超意訳)」と勝ち誇っておられたと存じますが、実はその勝ち誇り部分にベース効果で下駄を履いた分がありましたよねという話だとしますと、あの大勝利宣言は何だったのかと小一時間問い詰めたい所ではありますな。
『需給ギャップと予想物価上昇率の改善は、今後も続くと見込まれます。一方、base
effectの剥落は一巡することから、消費者物価の前年比は、本年度後半から再び上昇傾向をたどり、2015年度を中心とする期間に、「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いとみています。』
という説明をしておりまして、まあ2年間はどうしたという話はさておきましても、こういう説明をしているだけに、少なくとも10月全国CPIが出る11月末(まあその前に10月末に東京都区部の10月分が出るが)の時点やその次の12月末(その時には11月東京都区部CPIまで出ていますからねえ)の時点で物価が上昇する気配が無いとなった場合にどういう話になるのかを正座して待ちたいと存じますが、まあコストプッシュの方は相変わらず続いているようにも見えますのでどうなんでしょうね。
ただまあ2015年度の方は兎も角として、本年度後半というのは思いっきり突入している時間軸であって、まあ足元の物価動向分析に関しては日本のどこの機関よりも精密な結果を出せる日銀が、この時間帯の予想をこれだけ自信満々に行っているのですから、ここからCPIって上昇するんでしょうけどね!!
#その割には声明文の記述が相変わらず「暫くの間1%台前半」というのは何なんでしょうね
・追加緩和がどうのこうのの件でコミットメントがどうのこうのの部分が微妙
『このように、日本経済は2%の「物価安定の目標」の実現に向けた道筋を順調にたどっています。ただし、「物価安定の目標」を実現するためには、実際や予想の物価上昇率を2%に向けてさらに引き上げていく必要があり、なお途半ばといえます。日本銀行としては、2%の「物価安定の目標」を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続します。また、仮に、何らかのリスク要因によってこうした見通しが下振れ、「物価安定の目標」の実現のために必要になれば、躊躇なく調整を行っていく方針です。』
ここまではどう見てもいつも通りの話で、これを見て追加緩和ヒャッハーというのは(さっきの物価の屁理屈と合わせ技で読めば)幾らなんでも都合の良すぎる切り取り方だと思うのよ。
『In this way, Japan's economy has been on a path suggesting that the 2
percent price stability target will be achieved as expected. Yet, we need
to raise inflation rates and inflation expectations further toward 2 percent
and thus we are only halfway there. The Bank will continue with QQE, aiming
to achieve the price stability target of 2 percent, as long as it is necessary
for maintaining that target in a stable manner. If the outlook changes
due to the manifestation of risk factors and it is judged necessary for
achieving the price stability target, the Bank will make adjustments without
hesitation.』
でまあその次の部分ですけどね。
『我々は2%の「物価安定の目標」実現という結果にコミットしていますので、それを実現するように「量的・質的金融緩和」を継続しますし、必要であれば調整を行って、実現するようにします。』
日本文ではこうなっていまして英文はと言いますと・・・・・・・・・
『Let me emphasize that our commitment is result-oriented. It means that
the Bank will continue with QQE to achieve the target, and the Bank will
make adjustments if necessary so that the target will be achieved.』
これ日本語で見ると単に景気づけっぽい言いかたなのですが、英文の方だと「our
commitment is result-oriented」というのが「アクチュアルに2%の物価に到達する事が重要」という風な言い方に読めそうな所で、いわゆるインフレ期待がアンカーされるとか、中期的に見て物価がマンデート水準で安定しているというようなフレキシブルインフレーションターゲットじゃないリジットなインフレーションターゲットをしているような言い方に見えるんじゃネーノという疑問が少々あるのですが、アタクシがそう思うのと一般的にこれを英語圏の人が見てどう思うのかはよく判らんので英語圏の人教えてジェネラル!!
・デフレが原因理論ですかそうですか
でまあ今の所が『3.日本銀行の金融政策運営と日本経済の成長力』という小見出しでしたが、では成長力をどうやって引き上げるのかという話。
『中長期的な経済の成長力は基本的にはサプライサイドの問題ですので、金融政策は主役ではありませんが、重要な貢献ができると考えています。それはデフレマインドの払しょくです。』
ほうほう。
『デフレマインドが蔓延するもとでは、現金保有や現状維持が合理的になり、リスクを取って前向きの行動をしてもそれに見合うリターンが得られません。実際、長年にわたるデフレのもとで、企業は設備投資や研究開発などリスクをとることに消極的になり、その結果、潜在成長率は低下してきました。』
デフレを原因とするとそうなりますが、そもそも成長期待や収益期待が無ければデフレでもインフレでも投資はせんじゃろと思いますけどね。
『デフレマインドを払しょくし、民間主体が2%の物価上昇を前提に行動を行うことが可能な経済・社会を作ることは、企業の失われたアニマルスピリットを復活させ、成長力の強化につながります。このことは、昨年来物価情勢が好転する中で、企業に前向きな動きが拡がってきたことをみても明らかです。』
成長期待いやまあどうでもいいですし、昨年の動きは消費増税の駆け込みとか消費増税対策の財政支出とかもありませんでしたっけねえという事は言ってはいけないらしいので黙っておきましょう。
『日本銀行としては、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成することを通じて、こうした前向きな動きをしっかりとサポートしていきます。』
ということで英文引用はめんどいのでパス。
・最後の野党審議委員に対する果たし状部分に日銀文学の高いクオリティを読み取り感銘を受けるのだ
最後にこんな説明があって執行部あるいは某局からの木内審議委員や佐藤審議委員に対する果たし状キタコレ。
『「潜在成長率が低い状況で、物価を上げることが望ましいのか」といった見方もあるようですが、私の答えは明確に「YES」です。』
英文の方が面白い。
『While some question whether it will be desirable to increase prices when
the potential growth rate is low, my answer will be a clear "yes."
』
何とかクリニックのCMを思い出したのはアタクシだけではありますまい。
しかしこれ果たし状ではあるのですが、果たし状を突き付けつつも退路を用意している辺りが日銀文学のハイクオリティ振りを示しているものでありまして、「2%が望ましい」とはこのセンテンスでは一言も言っていないので、「短期的に2%を目指すのは潜在成長力が低い状況の中では望ましくないのではないか」という指摘や「潜在成長力が低い状況の中で物価を上げ過ぎると却って成長の阻害要因になるのでないか」というような指摘などに対して正面から答えていないので、今のような質問に対しては以下のように言い逃れが可能というハイクオリティな果たし状になっているのがオソロシス。
『デフレからの脱却と潜在成長率の引き上げは、いずれかが優先するといったものではなく、前者は後者を実現するための重要な前提です。』
『Overcoming deflation and raising growth potential is not an issue of
which comes first. Overcoming deflation is an important prerequisite for
raising growth potential.』
「引き上げるにしても短期的に適正な物価水準と中長期的に目指す適正な物価水準は別なのではないか」という指摘に対する疑問に対しての果たし状の筈が、「いやデフレ脱却が重要だろう」という答えをして本質を外した反論不能の説明に持ち込むという高度な日銀文学の昇華が観察されまして、ここの部分の作文テラ有能(日銀文学的に)。
そしてこういう風に話の筋を外して置いてから再び軌道を戻すという実に高度すぎる文学。
『我々は2%の物価安定を実現します。そして、そのもとで、日本経済がより高い潜在成長率を実現できると信じています。』
『The Bank will achieve the price stability target of 2 percent. In that
situation, I am convinced that Japan's economy will achieve a higher potential
growth rate.』
「デフレ脱却が重要なのは判るが2%というのは短期的には日本経済の実力対比で高過ぎなのでそれは中長期的に粘り強く目指していけばよいのではないか」という意見に対する何の反論にもなっていないのですけれども、上記のような日銀文学の粋を尽くした説明を経ますとあら不思議、2%物価目標を短期的に達成することが潜在成長率の上昇に資するという話をしているのが説得力があるように見えるという実に優秀な文学作品に仕上がっておりまして、いやマジで頭が下がりますわこの説明文書と思うアタクシなのでありました。
#意外に鑑賞が長引いたなおい
○3M短国ェ・・・・・・・・・・・・・・・
最早何も申すまい。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20141009.htm
(3)募入最低価格 99円99銭8厘5毛 (募入最高利回り) (0.0056%)
(4)募入最低価格における案分比率 29.2981%
(5)募入平均価格 99円99銭9厘2毛 (募入平均利回り)(0.0030%)
3ベーシスじゃなくて0.3ベーシスですからね!!3カ月物のこの商品1億円を平均価格買って入ってくる償還差益が800円ですからね!!!!!
でまあお約束のようにセカンダリーではマイナス利回りに突入してBB引けはマイナス0.5bpとかになっておりまして、前週の3M新発の483回はマイナスがドンドン深くなるとか、もうアホか馬鹿かという相場になっておりまして、期初早々3.9兆円しか札が無いのに史上最高の3.5兆円の短国買入を実施するという「薙ぎ払え!」状態のオペを打ち込んだ結果期初からこの有様という事で、まあ何ちゅうかもう少しやりようは無いのかとも思いますし、短国金利が恒常的にマイナスに突っ込んで来た場合の弊害という点では「実体経済における名目ゼロ金利制約とのコンフリクト」という話については金融市場やインターバンク市場だけ見ていても中々実感できない話ではあるので、実はその辺の弊害について軽く見ているのではないかという可能性がやや存在するのがオソロシスではありまする。
まあ以前もリーマンショック後にGCレートが高止まりしてその結果オープン金利が上がってCPの金利が爆騰して社債のスプレッドが爆騰するという事態があった時は(過去ログ見て頂ければ分かりますけど)オープン金利の上昇を放置しておくと碌な事にならないって散々悪態を申し上げたのですけれども、結局弊害がとんでもなくなって企業の資金調達部門のコスト上昇が看過できない所に来るまで日銀ってまともな対策を実施しなかった(CP現先オペの強化が効いた事になっているペーパーを後日出していたがあれは全然効いていない)という事案があったので、要は金融市場というかインターバンク市場辺りで閉じている部分で起きる事象については良く判っているものの、実体経済と繋がる部分についての理解がどうも不足していて、大問題になるまで気が付かないという日銀の仕様が治っていないんだろうなあとは思うのであります。
#結局今日も悪態ですかそうですか
なお本日の2M新発は日銀買入対象外になる筈なのでマイナス金利に突っ込んで買い上げをしても期末残高積み要因も無い中でマイナス金利をバカスカ買う投資家はいません(筈です)ので、その点からマイナスヒャッハーとはならないとは思いますが、そうは言いましても発行が2.5兆円しかないですし、相変わらずの金利水準で買うに買えない人もいるでしょうしと考えるとまあ普通に強いんでしょとしか申し上げようがない所が残念無念ですし、火曜日(昨日は月曜とか書いてしまいましたが月曜は休みでしたな)の短国買入で市場の流通玉が無くなるので日銀買入以外の担保だの現先だのその他諸々のニーズは高いでしょうなあ(12/3償還だから本来はあまりいらない子なのだが)。
○これはまたマニア悶絶の貨幣史シリーズ
http://www.boj.or.jp/research/imes/dps/dps14.htm/
金融研究所ディスカッション・ペーパー・シリーズ
2014年収録分
こんなん出ました。
http://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/japanese/14-J-15.html
幕末期の貨幣供給-万延二分金・銭貨を中心に-藤井 典子
『幕末開港後のインフレ要因として、万延改鋳後の貨幣数量の増加が指摘されてきた。本稿では、この時期の貨幣数量に関する基礎データを得るため、新史料を用いて1858年から1867年にかけての貨幣数量を推計するとともに、幕府による貨幣の使途を分析した。』
ほうほう。
『推計結果から、貨幣在高(匁建て)の増加は、(1)万延改鋳の時期(1860から1861年)、(2)将軍上洛や内戦のために万延二分金が増発された時期(1862年から1865年)、(3)大政奉還直前の時期(1866年から1867年)、に分かれ、時系列データが整備されている匁建てでの物価の推移と類似することが観察された。地域的にみると、貨幣の払い出しは、上方や東海道に対して重点的になされ、全国に供給が行きわたっていたわけではなかった。』
『また、銭貨については、四文銭と百文銭の増加が目立った。この背景としては、物価上昇に伴う銭貨需要の増加に対応するため、幕府が一文銭に代えて、四文銭や百文銭の供給を増加させた側面があったとみられる。この間、銅一文銭は素材として海外に流出したこと等により、その在高は激減した。』
何という楽しそうな(マジで)シリーズということで、この前の金融史ネタに加え貨幣史ネタとかこの連休は大型台風も直撃するようですので嵐を避けてお読みになられるのが吉かと(ただしマニアのみ推奨)存じます。
#しまった時間が無くなって総裁会見ネタと金融経済月報ネタが出来なかったorzorz
2014/10/09
お題「短国入札3連発の初回はつよつよ入札/FOMC議事要旨インスタント確認/総裁会見から少々」
国営放送大々的にニュースとな。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141009/k10015251941000.html
円安で輸入企業の倒産が増加
10月9日 4時10分
・・・・・・・・そういえばエルピーダを潰したのは日銀という言説が存在しておりましたけれども、こちらに関してはどのようなコメントが出るのか正座して待っていますので宜しくお願いします。
しかしまあ何ですな、消費増税前の駆け込みとかセットの財政とかの効果との差分考えないで何でもかんでも「消費税ガー」という説明でりふれな皆様が説明しているようですが、そんなに3%の消費増税に破壊力があるんだったら最初から金融政策よりも消費税撤廃でもした方が良かったんじゃないですかねえ(棒読み)。
#ところで色々とネタ(エボラとか中東とか)もあるし国会も始まっているという状況下で青色LED凄い凄いで10分使ってその後に皆既月食美しい美しい(しかもそれを4分やって途中に青色LEDネタを混ぜるという念の入れよう)とかやってる国営放送ニュース7時台って朝から娯楽番組でもやっているんでしょうか
○6M短国入札ェ・・・・・・・・・・
やはりこうなったか・・・・・・・
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20141008.htm
(3)募入最低価格 99円99銭8厘 (募入最高利回り)(0.0040%)
(4)募入最低価格における案分比率 6.5583%
(5)募入平均価格 99円99銭9厘 (募入平均利回り)(0.0020%)
0.2bpの平均とかもうねという所でございますが、その後お約束のようにBB引けはマイナス0.1bpですが売参の平均単利は0.0bpとなっていますな、うんうん。
それとまあ毎日ベンダーのヘッドラインになっていますが、先週入札があった後に3.5兆円買入攻撃が入った先週の新発3Mの483回はマイナス2bpの引けになっていて(途中の出合いだともうちょっと低い金利もあったようなヘッドラインでしたな)売参の平均単利はマイナス1.9bpとかもうヒャッハーにも程がある状態。
ということで、今日と明日も短国入札ありますけどという話よりも、そもそも玉が無い所に来てどうせ在庫は全部日銀が月曜に買うので強い状態で無問題という日銀オペの作り上げる官製マイナス金利民業圧迫相場が継続という誠にアレな状態。まあ9月の時点ではまあそうは言っても期初になったら期末要因分が剥落するから若干なりとも常識的な金利になるでしょうという認識だったのですが、日銀が期末要因剥落分を全部取り戻しに来るような買入をしてますので、何か短期市場の破壊状態が深刻な感じになって来るという事になるのですが、日銀が自ら庭先を盛大に火の海にするという無慈悲砲撃をしているので処置なしという所ですな、ナムナム。
なお市場推計の不明玉が2.9兆円くらいということで発行予定額が3.5兆円なのでお察しという話ですが、いやだからそうやって積み上げるMBに意味があってこの状況が一時的に終わって直ぐに出口になるなら暫く火達磨になっても耐えるのでしょうが、そういう展望が無いどころかこのまま放置すると来年にもっと短国買入が増えて3月の本決算に突入するとかアホジャネーカというか何か弊害が発生した時には日銀の責任だから精々首を洗って待っていればという所ではございます。
でまあ今日は3Mの入札があって、6Mよりも発行額がだいぶ多いのですが、まあどういう事になるのかは頭を抱えながら拝見という所でございます。
○FOMC議事要旨であるが他のネタもあるのでちょっとだけ
うむ。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20140917.htm
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20140917.pdf
何か利上げが早期じゃないからヒャッハーという解釈らしいのですが、アタクシ申し上げておりますように、FOMCの仕様としては緩和解除をして正常化する時というのは「メジャードペースで中立金利まで引き上げられる自信がある時」に利上げを開始するので、「一旦利上げに着手すると途中で止めない」という仕様であって、金融政策効果のラグから当然の如くになるのですが「正常化着手がビハインド・ザ・カーブになる」ので、今の市場の構造だと資産市場にバブルのようなものが発生するリスクが高い、というか発生する。という仕様を今回もまた踏襲しているようにしか思えません。
これでスタイン理事が残っていればもしかするとマクプル的な利上げがプリエンティブに近い形で入って利上げして様子見という流れもあったのかも知れませんけれども、今のFOMCメンバーの早期利上げ支持派ってマクプル的な観点では無くてあくまでもインフレ高進懸念での早期利上げ主張なので、物価が安定する中で緩和政策がビハインドになるという流れなんじゃネーノとは思うのですがねえ。
というあたくしの愚意見はさておき、毎度の寝起きインスタント読書である『Committee
Policy Action』の手前の部分を読んでみるの巻だけ置いておきますね。
『Participants also discussed how the forward-guidance language might evolve
once the Committee decides that the current formulation no longer appropriately
conveys its intentions about the future stance of policy.』
フォワードガイダンスの文言変更に関しての議論がありましたとな。
『Most participants indicated a preference for clarifying the dependence
of the current forward guidance on economic data and the Committee's assessment
of progress toward its objectives of maximum employment and 2 percent inflation.
A clarification along these lines was seen as likely to improve the public's
understanding of the Committee's reaction function while allowing the Committee
to retain flexibility to respond appropriately to changes in the economic
outlook.』
いやまあ全体を読んでいる訳ではない(インスタントですから^^)ので何なのですが、この辺りで何で早期利上げ無しヒャッハーと反応するのかイマイチ判らんというか過剰反応にも思えるのですけれども、要するに(会見でも説明してたけど)フォワードガイダンスの「相当の期間」というのが本当の意味での期間のコミットメントなり示唆なのでは無くて、単なる「現時点での経済物価見通しを元にした場合当然導出される先行きの政策金利パス」という話で、先行きはデータ次第というフリーハンドな内容ですよという話なのですけどねえ。
いやまあParticipants' Views on Current Conditions and the Economic Outlookの所で経済に対する懸念が出ているからもうちょっとスタンスが慎重になるんでしょうなあという反応ということなんでしょうけれども・・・・・・・・・・
『One participant favored using a numerical threshold based on the inflation
outlook as a form of forward guidance. A few participants, however, noted
the difficulties associated with expressing forward guidance in terms of
numerical thresholds for some set of economic variables. Another participant
indicated a preference for reducing reliance on explicit forward guidance
in the statement and conveying instead guidance regarding the future stance
of monetary policy through other mechanisms, including the SEP.』
少なくとも5人以上の参加者(a fewを3人以上とカウント)がフォワードガイダンスの文言を何らかの形で変更したらどうですかという話をしていまして、まあこれらの人たちは引き続きフォワードガイダンスに金融政策の反応関数を明確化するという機能を持たせたいという考えのようですな。
『It was noted that providing explicit forward guidance regarding the future
path of the federal funds rate might become less important once a highly
accommodative stance of policy is no longer appropriate and the process
of policy normalization is well under way.』
フォワードガイダンスで明示的な先行きの金融政策パスを示す事は、高い規模の緩和的な金融政策がこれ以上必要ではないという段階となって正常化政策が必要となった時には重要ではなくなるとノートされましたという事で・・・・・・・
『It was generally agreed that when changes to the forward guidance become
appropriate, they will likely present communication challenges, and that
caution will be needed to avoid sending unintended signals about the Committee's
policy outlook.』
で、フォワードガイダンスの文言を変更するのが適切な時にはFOMCのコミュニケーションが難しくなるし、FOMCの政策先行き見通しに対する間違ったメッセージを送らないように注意しないといけませんと同意した、って話ですが、これは「次にフォワードガイダンス文言を変更する時は正常化開始が確定的な状態となった時点」という話ではあるけれども、別にだからと言って利上げ時期が後ろに倒れたりする訳ではないと思うので、まあここのフォワードガイダンスの部分だけ見てヒャッハーヒャッハーと反応した(のかどうかは知らんが)とすればちょっと???ではありますな。
なので仕方ないからその前のパラグラフも読む。
『In their discussion of the appropriate path for monetary policy over
the medium term, meeting participants agreed that the timing of the first
increase in the federal funds rate and the appropriate path of the policy
rate thereafter would depend on incoming economic data and their implications
for the outlook.』
あくまでも今後の政策パスはデータディペンデントですよと。
『That said, several participants thought that the current forward guidance
regarding the federal funds rate suggested a longer period before liftoff,
and perhaps also a more gradual increase in the federal funds rate thereafter,
than they believed was likely to be appropriate given economic and financial
conditions. In addition, the concern was raised that the reference to "considerable
time" in the current forward guidance could be misunderstood as a
commitment rather than as data dependent.』
データディペンデントなのに「considerable time」というタイムコミットメント的な文言があるのは如何なものかという見解が複数の参加者から出るというのはそらまあ当然よという所ですが・・・・・・・
『However, it was noted that the current formulation of the Committee's
forward guidance clearly indicated that the Committee's policy decisions
were conditional on its ongoing assessment of realized and expected progress
toward its objectives of maximum employment and 2 percent inflation, and
that its assessment reflected its review of a broad array of economic indicators.』
「clearly indicated」ってこらまた何というウソツキという感じではあるのですが、今のフォワードガイダンスの文言はFOMCの金融政策決定が経済物価情勢と先行き見通しによるconditionalなものであることがclearly
indicatedであります(キリッ)とノートされているという事で、どう見てもフォワードガイダンスのなし崩し的な形骸化以外の何物でも無いのですが、まあこの前ネタにしたように会見でイエレン議長がその辺はしつこく説明していますわな。
『It was emphasized that the current forward guidance for the federal funds
rate was data dependent and did not indicate that the first increase in
the target range for the federal funds rate would occur mechanically after
some fixed calendar interval following the completion of the current asset
purchase program.』
「considerable timeは6か月程度を意味する」とは何だったのかという感じですがまあそういうことで。
『If employment and inflation converged more rapidly toward the Committee's
goals than currently expected, the date of liftoff could be earlier, and
subsequent increases in the federal funds rate target more rapid, than
participants currently anticipated. Conversely, if employment and inflation
returned toward the Committee's objectives more slowly than currently anticipated,
the date of liftoff for the federal funds rate could be later, and future
federal funds rate target increases could be more gradual.』
それは何度も聞いているので耳タコ。
『In addition, some participants saw the current forward guidance as appropriate
in light of risk-management considerations, which suggested that it would
be prudent to err on the side of patience while awaiting further evidence
of sustained progress toward the Committee's goals. In their view, the
costs of downside shocks to the economy would be larger than those of upside
shocks because, in current circumstances, it would be less problematic
to remove accommodation quickly, if doing so becomes necessary, than to
add accommodation.』
『A number of participants also noted that changes to the forward guidance
might be misinterpreted as a signal of a fundamental shift in the stance
of policy that could result in an unintended tightening of financial conditions.』
えーっとまあヒャッハーと反応するならこの辺ですかねえという所ですが、 複数名(some)の参加者は現在のフォワードガイダンスは正常化着手が早すぎるリスクの方が遅れるリスクよりも大きいという点を勘案した内容になっているので適切だという指摘をしていて、数名(A
number of)の参加者はフォワードガイダンス文言を変更することは金融政策スタンスの基本的な変化(=早期利上げ決め打ちの示唆)と誤解されるリスクがあり、金融環境を望まない形でタイトにするリスクがあるという指摘をしていまして、まあ後者の方はどう見てもTaperトークで長期金利がヒャッハーになった件について羹に懲りて状態という所でございます。
つーことで反応するならこの辺りが「早期利上げに慎重」という事だと思うのですが、過去の正常化局面からすると基本的にFEDの正常化はビハインドしそうにしか見えないので順当だと思いますし、ハト派が相応にいるFOMCですからこういう話になるだろうなあというのもまあ判らんでも無い。
まあ何ですな、FOMCから出ている情報発信って最近は毎度なのですが「市場の期待が行き過ぎないように調整する」という感じで出てくることが多くて、足元の指標が悪い時などは「いやそんなに悪くないよ一時的だよ」ってな感じで出てきますし、指標などが良くてヒャッハーヒャッハーしている時には「いやいや慎重に見ないと」みたいな感じで出てくるような気がだいぶする次第で、あまりそういう変な調整はしない方が長期的に見たら良いようにも思えるのですが、それだけ正常化着手が難しいから色々と調整したいと考えて昨今の情報発信になっているんじゃネーノと思うのは変な深読みのし過ぎでしょうかねえ。
#詳しくは読めれば明日だが多分真面目に読むのは連休中
○黒田総裁記者会見ネタである
うむ。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2014/kk1410a.pdf
・大本営発表を確認する質疑
最初の質問は幹事社からだったように記憶しているが。
『(問) 景気の先行きについて、もう少し詳しくお尋ね致します。本日発表があった内閣府の景気動向指数で、景気について下方向への局面変化という判断がなされました。景気が後退方向へ入っているのではないかと言う指摘もだんだん出てきているわけですが、一方で今の総裁のご説明だと緩やかな回復基調を続けるということで、景気のもたつきは一時的だというご説明だと思います。景気のもたつきが一時的だという判断の根拠を改めてお尋ねします。』
まあ答えは判り切っていますが答えさせて記録に残すのも必要な手順。
『また、安倍首相は年内に7〜9月の景気の戻りを見て消費税の最終判断をされるとおっしゃっていますが、消費増税に耐えうるような経済環境が、今のままでも達成できるのか、あるいは政府・日銀による追加的な対応が何か必要と見ていらっしゃるのか、その点をお伺いします。』
後半は無駄な質問のように見えるが。
『(答) 先程申し上げた通り、わが国の景気は、足許、確かに消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動、あるいは天候不順等の影響から生産面を中心に弱めの動きがみられていますが、基調的には緩やかな回復を続けているとみています。その背景としては、これも先程申し上げた通り、家計部門・企業部門ともに、所得から支出への前向きな循環メカニズムがしっかりと維持されているということがあります。』
しっかりと維持されているんですかそうですか(棒読み)。
『企業部門については、高い収益を維持していますし、家計部門についても、雇用・所得環境は改善を続けています。そのもとで、企業については、設備投資を緩やかながら増加させています。家計については、確かに消費税率引き上げ、あるいは天候不順等の影響が足許みられましたが、徐々にそうした影響も和らぎつつあります。』
実質所得の低下については消費税を抜くとプラスなので言及しないのが仕様になっています。
『基本的に企業部門・家計部門ともに、所得から支出への前向きな循環メカニズムはしっかりと維持されていると考えています。』
まあ「基本的に」とか言ってる辺りが若干ヘッジクローズ入ってますが。
『なお、ご指摘の景気動向指数の中身をご覧になって頂くと分かりますように、生産面の諸指標がかなり多く含まれており、先程申し上げたように、鉱工業生産指数で弱めの数字が続いていることを反映したものだと思います。』
「そもそも集計方法が悪い」とは斬新な反論だが、ただの見苦しい言い訳にしか聞こえないから想定問答の作り方を再考した方が良いとおもいます。
『ただ、鉱工業生産指数についても、先行きの見通しは、プラスになっていると聞いています。7〜9月の成長率は、先にならないと出てきませんので、今の段階で何か申し上げることは避けたいと思いますが、基本的には、4〜6月のマイナスから、7〜9月にはプラスに転じるだろうと思っています。』
鉱工業生産指数の予測指数が未達状態が連発している点はスルーですかそうですか。
『消費税率引き上げの判断は、あくまでも政府および国会でお決めになることですので、私から何か申し上げることはございません。』
まあ消費税はこういう話をしますわなという所で、この後の質疑で消費増税の話が出なかったのでこれ以上のコメントが出なかったのはちょっと惜しいのですが、ここだけ切り取って読むと従来よりも消費増税先送り的な話が出てきている件などに配慮しているようにも見えてしまうのが微妙ですが、たぶんそんな配慮とかはしないと思います。
・為替の質問関連
幹事社の次の質問が為替でこの後為替質問が結構多いのだがこれと最後の方の質問だけネタにしておく。
『(問) 為替についてお伺いします。今日、国会で、総裁は、今まで起こった円安が日本経済全体にとってマイナスということはないと思うといったご発言をされています。また、ファンダメンタルズを反映した形の円安なら全体としてみて、景気にはプラスというお話でした。日米の金融政策の差というのは、これからどんどん拡がっていく可能性があると思います。そういう意味では、このところ一時1ドル110円まで円安になりましたが、総裁のお考えでは、まだまだ円安の余地があるという理解で宜しいでしょうか。』
うむ。
『(答) 為替レートの現在の水準や先行きについて、何か申し上げるということは差し控えたいと思います。そう申し上げた上で、ご指摘のように、このところの為替の動向の背景には、日本が「量的・質的金融緩和」という大規模な金融緩和を続けている一方で、FRBの政策スタンスに注目が集まっていることがあります。雇用など米国経済の回復が著しく、そうしたことに注目が集まっていることは事実だと思いますが、為替レートは様々な要因で変化します。私どもとしては、為替動向も含め、金融資本市場の状況については、実体経済に及ぼす影響を含めて、引き続き、注意深くみていきたいと思っています。』
という説明でして、まあトーンとしては若干従来よりも円安強調スタンスを緩和している感じで、さすがにこれは円安批判が日銀に掛かって火達磨になるのを避けたという感じではないでしょうか。
でまあこれで十分だと思うのですがああでもないこうでもないという質問が続いて誠に遺憾なのですけれども、この質問だけは面白かった。
『(問) 本日午前の参議院予算委員会での為替についての発言ですが、総裁からは経済や金融のファンダメンタルズを反映した形の円安は、全体として景気にプラスとありました。現在の為替水準は、ファンダメンタルズを十分に反映しているのかどうかという点について、どう考えていらっしゃるのか、もし十分に反映されておらず、さらに円安となる余地もあるのか、その判断を教えて下さい。』
これは引っ掛け質問としては比較的良くできていますな。
『(答) それは、現在の水準が適正な水準かどうかということをお聞きになっていることと同じだと思います。水準について、何か判断めいたことを申し上げるのは差し控えさせて頂きたいと思います。』
残念無念(^^)。
『従来から申し上げている通り、実体経済や金融といったファンダメンタルズに即した方向での為替の変動は、マイナスにならない、むしろプラスであろうと思います。ただファンダメンタルズ自体も動きますので、どのようにみるのかというのが、重要なポイントになると思います。日本、欧米各国や新興国などの成長率、物価上昇率あるいは金融政策その他様々な要因が絡んでいますので、事前にこちらが正しいとか、あるいはこういった水準が適切であるということは非常に難しいと思います。これまでのところをみる限りは、行き過ぎた円高が是正され、最近時点で言えば、各国の金融政策の違いにマーケットの注目が集まっているという中で、ある意味で言うと、自然な為替の変動かなと思っていますけれども、水準とか変化のスピードについて、具体的なことを申し上げるのは差し控えたいと思います。』
黒田総裁の従来からの説明は実は「ファンダメンタルズに整合的な為替市場の形成が望ましい」というトーンではあるのですが、従来はそれよりも「円安ヒャッハー」というトーンの方が前面に出る形でして、この辺りの説明トーン(と要旨での纏め方)も昨今の円安批判を受けて「円安ヒャッハー」的なヘッドライン餌を与えないように注意しているようには見えますな。うんうん。
・MPM中断ネタについて
『(問) 本日の決定会合中に参議院予算委員会に出席するために、1時間超にわたって決定会合を中断するということがあり、1998年以来16年振りのかなり異例な事態だと思います。決定会合は、国内外の金融市場からもかなり注目を集めているものですので、その決定・判断がこういう国会出席のために遅れる事態について、総裁はどのようなお考えを持っておられるのかご見解を伺えればと思います。』
まあ福山哲郎大大大先生の見解もお伺いしたい所ですが、参議院予算委員会の運営サイドもMPM2日目なの分かってるんだったらお止めして差し上げろよと思うのですけどねえ。
『(答) 国会への出席自体は、日銀法に規定されていることですので、それに従って出席したということです。一方、ご指摘のように、金融政策決定会合は、わが国の金融政策を決定する重要な会合であり、十分な時間をとって審議・決定を行う必要がある会議です。また、内外の金融市場を含めて、決定に関する関心、注目は非常に高いと思います。従って、こうした点については、引き続き関係各位のご理解を頂きたいと思っています。』
国会のボケナス野郎が呼んだのでこちらとしてはどうしようも無いのですよという無念感が行間からも伝わる大変結構な回答になっておりますな。
・この質問をしたのは誰だあ(ガラッ)
・・・・・・・というかまあ中継画像を見ますと誰だかわかりますが。
『(問) 地政学リスクについてお伺いします。地政学リスクが散見されているにもかかわらず、金融市場は全く反応していません。普通に考えると地政学リスクが生じると原油が上がったり、商品価格が上がったり、景気に下押しとなりますが、全くそうなっておらず、インフレ懸念も高まっていません。中国も成長していると言いつつ弱い状況に見えます。新興国、特に中国が本当に成長しているのであれば、商品価格が上昇したりすると思います。そのような状況がみられないのは、均衡しているからとみるのか、世界経済の成長と商品価格の下落に関して、どのようにお考えなのかお伺いします。』
前半までは「これは景気が弱いという事を示しており日銀の景気認識が甘いのではないでしょうか」という質問をしているのかと思ったのですが、後半になると商品市場についての質問になっている訳で、頼むからちゃんと整理してくれという所です。
『(答) 世界経済の動向については、各種の国際機関が最新の経済見通しを発表してきており、足許、若干下方修正されているようですが、成長率が少しずつでも年々高まっていくという方向性は変わっていないように思います。その一方で、石油、原油、あるいは穀物といった商品の相場がこのところ下落して弱いのはなぜか、ということですが、商品市況ですから色々な要素があると思います。(以下省略)』
上記の要旨だと少し丸まっているのですが、まあこういう風に総裁が答えていますように実際の質問の後半はどう見ても商品市場の解説を総裁に求めたような聞き方になっておりまして、貴重な時間の無駄遣いにも程があるので質問者の猛省を促したいと思います。
#なお他には2年で2%ネタなどもあるので続きは明日(時間が無い)
○これはかなり面白いと思う日銀ペーパー
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2014/ron141008a.htm/
日本銀行のマクロ・ストレス・テストについて
『世界的な金融危機以降、金融システムのリスクを評価する手法の一つとして、マクロ・ストレス・テストが各国で注目を集めている。日本銀行も、金融システムレポートの中で、その時々の金融経済情勢を反映したマクロ・ストレス・テストを毎回実施している。本稿では、金融システムレポートで実施しているマクロ・ストレス・テストの枠組みを解説する。』
ほうほう。
『日本銀行のマクロ・ストレス・テストの枠組みは、日本の金融システムのリスクを的確に把握するため、改良を重ねてきている。現在の日本銀行のマクロ・ストレス・テストの特徴は、(1)金融セクターとマクロ経済セクターの2部門からなる中規模・構造モデルである『金融マクロ計量モデル』を用いて、金融と実体経済の相乗作用を取り込んでいること、(2)金融セクター全体の集計値だけではなく、個別金融機関の自己資本比率や資金利益等の動きも分析できること、である。』
ということで本チャンはこちらにある(結構量があるので注意)
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2014/data/ron141008a.pdf
・・・・・・・なお、「日本銀行の」マクロストレステストですが、別に日銀ポートフォリオのマクロストレスをテストしている訳ではありませんので念の為申し添えます。
2014/10/08
お題「決定会合レビューだが声明文が更にヘッジクローズ満載&その他悪態ネタがががが」
何か知らんがおはぎゃあでございますが、昨日のこちらも何というかアレでございまして、物価を上げれば全てうまく回りだすというのを過大評価しててこの手のデメリットの検討というか覚悟(強引な政策で均衡脱却するんだから仕方ないのですよね)をきちんとレビューして居なかったツケが回ってきましたなあという感じで。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014100700428
「低金利政策見直しを」=自民総務懇談会
(2014/10/07-13:01)2014
しかし物価目標までまだまだなのにここで円安デメリットとか言ってどうしますねんというかもう話が段々ハチャメチャになってきているのはそもそも置物師匠とかの理論が「個別では筋が通っているけれども全体の整合性が無い」というのに鏡写しみたいなもんでしょうかねえ。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ND1PRL6JTSEA01.html
円が反発、安倍首相発言受け買い強まる−日銀は現状維持決定
更新日時: 2014/10/07 16:26 JST
○決定会合レビュー:声明文は益々ヘッジクローズが増えるの巻&先行き見通しに謎文言発生
てな訳で色々と味わいのある決定会合声明文でありましたが。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k141007a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k140904a.pdf(前回)
英文バージョンはこちら。
http://www.boj.or.jp/en/announcements/release_2014/k141007a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/en/announcements/release_2014/k140904a.pdf(前回)
・現状判断はまたまたヘッジクローズが増える
『わが国の景気は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響から生産面を中心に弱めの動きがみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている。』(今回)
『わが国の景気は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている。』(前回)
ということで現状判断の総括判断に関してはついに「生産面を中心に弱めの動き」というのを入れて来ましたが、総括判断としては「基調的には緩やかな回復」となっている辺りは往生際が悪い訳ですが、何せここを変えたら政策変更になりますので、ポツダム宣言受諾モードになるまでここの判断は上方修正されることはあっても下方になることはありませんな(ニヤニヤ)。
これを英文バージョンで見ると分かりやすいですけれども(毎度申し上げていますが英文はあくまでもサプリメンタルなもので本チャンではありません)。
『Japan's economy has continued to recover moderately as a trend, although
some weakness particularly on the production side has been observed due
mainly to the effects of the subsequent decline in demand following the
front-loaded increase prior to the consumption tax hike.』(今回)
『Japan's economy has continued to recover moderately as a trend, although
the subsequent decline in demand following the front-loaded increase prior
to the consumption tax hike has been observed.』(前回)
主文は「Japan's economy has continued to recover moderately as a trend」ですので、総括判断そのものは変わっていない、というのが英文を読むと分かりやすいと思いますが、その後にあるalthough以下の部分が更にああでもないこうでもないとなって言い訳モードになっている辺りが実に味わいが深いというものです(というか見苦しさが増しているのだが)。
『海外経済は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している。輸出は弱めの動きとなっている。設備投資は、企業収益が改善するなかで、緩やかに増加している。公共投資は高水準で横ばい圏内の動きとなっている。』(今回)
『海外経済は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している。輸出は弱めの動きとなっている。設備投資は、企業収益が改善するなかで、緩やかに増加している。公共投資は高水準で横ばい圏内の動きとなっている。』(前回)
需要項目別に関してですが、海外、輸出、設備投資、公共投資までは前回の判断を踏襲しています。
『個人消費は、雇用・所得環境が着実に改善するもとで、基調的に底堅く推移しており、駆け込み需要の反動の影響は、ばらつきを伴いつつも全体として和らいできている。』(今回)
『個人消費は、雇用・所得環境が着実に改善するもとで、基調的に底堅く推移しており、駆け込み需要の反動の影響も徐々に和らぎつつある。』(前回)
個人消費ですけれども、主文の方は同じですけれども駆け込み需要云々の件については一瞬上方修正しているのか下方修正をしているのか分かりにくいですが、結論が「和らいできている」になっているので上方修正(というか好転方向)になっています。これまた英文を読むと判りやすい。
『Private consumption has remained resilient as a trend with the employment
and income situation improving steadily, and the effects of the decline
in demand following the front-loaded increase have been waning on the whole,
albeit unevenly.』(今回)
『Private consumption has remained resilient as a trend with the employment
and income situation improving steadily, and the effects of the decline
in demand following the front-loaded increase have gradually begun to wane.』(前回)
主文は同じでして(日本語が同じなのだから当然)、and the effects of the
decline〜以下の部分ですが、英文だと「have gradually begun to wane」から「have
been waning on the whole」となっているので、内容的には駆け込み反動の影響による減少が消える云々が始まったという表現から現在進行(完了)形になっているのでまあ普通にここも「影響が和らいでいる」というのを強めているんでしょうな。
しかしまあ日本語だと毎度見ているから目が慣れていますが、英文で「on the
whole, albeit unevenly」とか書いてあるのを見るとやはりヘッジクローズてんこ盛りの見苦しさが目に付きますなあ。
『住宅投資は、駆け込み需要の反動減が続いている。』(今回)
『住宅投資は、駆け込み需要の反動減が続いている。』(前回)
ここは同じ。
『鉱工業生産は、在庫調整の動きもあって、このところ弱めの動きとなっている。』(今回)
『以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は、基調として緩やかな増加を続けているが、足もとでは弱めの動きとなっている。』(前回)
生産は貫録の下方修正ヒャッハーであります。
『企業の業況感は、消費税率引き上げの影響などから改善に一服感がみられるが、総じて良好な水準を維持している。この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、1%台前半となってる。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる(注1)。』(今回)
『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、1%台前半となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(前回)
この注1部分がまたまた爆笑の発作を禁じ得ない物件なのですがその話は後ほど。企業の景況感に関しては短観の時になると出てくる奴でまあこれは妥当。金融環境と物価は毎度同じですなあ。
・先行き見通しが不変に見えるが不変じゃないとな!!!&2年で達成は骨抜きですねわかります
『先行きのわが国経済については、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も次第に和らいでいくとみられる。消費者物価の前年比は、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済については、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響も次第に和らいでいくとみられる。消費者物価の前年比は、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる。』(前回)
一瞬これ前回と同じに見えるのですが、透かし読みをしてみると字数が違うのであれれと思って良く見ると、今回「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響」という文言に前回までなかった「など」という必殺の万能ワードが入っているのがオソロシス。
では英文で当該部分を確認してみましょう。比較しやすくする為に文章を途中で切りますよ。
『With regard to the outlook, Japan's economy is expected to continue its moderate recovery trend,』(今回)
『With regard to the outlook, Japan's economy is expected to continue its moderate recovery trend,』(前回)
ふむふむ。
『and the effects including those of the subsequent decline in demand following
the front-loaded increase prior to the consumption tax hike are expected
to wane gradually. 』(今回)
『and the effects of the subsequent decline in demand following the front-loaded
increase prior to the consumption tax hike are expected to wane gradually.』(前回)
ほうほうそうですかそうですかという所ですが、日本文だと「など」になっていますが、英文だと「消費税率引き上げの前に拡大した後に起きた減少を含む効果」というような文章になっていて、「など」というよりはニュアンス的にもうちょっと広くなっているように見えるのが味わいが深いというものですが、しつこく申し上げますが英文は参考資料です。
まあいずれにせよ見通しの主文は同じですけれども、それに付随する部分とは言え必殺ヘッジクローズの「など」が入ったのが実に味わいが深いなあとは思いましたが、これ透かし読みでもしないと中々気が付かないかもしれませんな(あたしゃ最初気が付かなかったですよ汗)、うんうん。
でまあそれはそれで味わいがあって実にアレなのですが、先行きの物価見通しに関して相変わらず今回も「暫くの間1%台前半で推移」と仰せでして、確か「2年で2%達成できなければ最高の責任の取り方は辞任」と仰せの方がいたと存じますが、「暫くの間」が半年程度の期間を意味すると1月の定例会見で黒田総裁が仰せでしたので、10月の時点で「暫くの間1%台前半で推移」ですと明らかに2年で2%の達成は間に合わないという正式見通しになりますが、これに関して置物副総裁の所感を小一時間問い詰めたいところではありますが、まあこの点は会見を聴いた限りではあまりゴリゴリ突っ込んで居なかったと思いますが、展望レポートがあるのでその時にという所でしょうか。
・リスク要因以降は前回と同じ
『リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』(今回)
『リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』(前回)
『「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注2)。』(今回)
『「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注)。』(前回)
ということでこちらは同じでして、木内さんの提案も同じなのですが、「2年間程度の集中対応措置」という表現はさすがに残り半年なので止めた方が良いと思いますし、大体からしてこの表現だの「今から2年」と誤読されたら全然話が違う事になってしまうので表現変更を強く要望致します(どうでも良いけど)。
○決定会合レビュー:白井さんの謎提案キタコレ
全くもってこのお方は何なんでしょうかとしか申し上げようがない。
『(注1)白井委員は、予想物価上昇率の記述について、足もとでは横ばいになっている指標が多くなっているものの、やや長い目でみれば上昇傾向は続いている、との表現にすべきであるとして反対した。』(今回)
・・・・・・・・・・・・・??????????????
何ちゅうか貴女様の頭の中に詰まっているものはまさかオガクズか何かでいらっしゃいますかとお伺いしたくなるかのような表現変更でして、そもそも直接的な計測が難しくて総合判断しないといけない予想物価上昇率の部分について政策変更を伴わないのに表現を変更するというのが政策ロジック的に全然整合性が取れない話でありまして、こういう表現変更を提案するならそれにセットとして予想物価上昇率を望ましい水準に引き上げる為の施策を出さなかったらそれは政策当局者ではなくてただの傍観者でありますし、しかもインフレ期待の部分についてはまさにQQEの建付け的に金融政策で何とかしようというものでありますので、この提案しておいて政策変更提案無しという行動はそもそも論として現在の金融政策運営の建付けとなるロジックを理解していない事を意味しているのですが、まあオガクズ脳なので理解できていなくても致し方ないのかもしれませんね。
しかしまあ何ですな、このオガクズ先生は講演などで毎度毎度クソ長いけれども単に「ねえねえアタシってこんなに色々な事を知っているのよ凄いでしょう」という内容の文章を投下してヲチャーの時間を浪費させるのを得意技としておりますので、単なる自己顕示の世界で提案しているのかも知れませんが、もう一つのケースとしては昨年3月の謎提案によって自分だけ新体制に向けたゴマスリ提案をして他の政策委員に反対票を投下させてコミュニケーションをややこしくしたという実績がありますように、年金問題で散々引っ掻き回した挙句に具体的な話の前にコロンビア大学に逃亡するというどこぞの先生と同様に、沈没前の船から逃げ出すネズミのような動きを示しているのかも知れず、ただの自己顕示ならばどうでも良いのですが、もしかしたらドブネズミモードが入っているかも知れませんなあと思うのでありました。
○自己顕示といえばゴミのような質問で金融政策決定会合を中断させる馬鹿のホームラン王がいるようで
声明文は「以上」ということで終わりなのですが、3ページ目に『(参考)』というのがありまして・・・・・・
(参考)
・開催時間――10月6日(月) 14:00〜16:18
10月7日(火) 9:00〜9:54、11:22〜13:49(注)
(注)会合は、黒田委員の国会出席のため、9:54〜11:22の間、中断した。
ということで、ご案内の通り国会出席がありましたが、質疑の内容はと言いますと(詳しくは国会会議録が出るのですが数週間程度後になるので直ぐには判らん)・・・・・・・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ND1ZZK6KLVRE01.html
日銀総裁:「円安で問題生じてない」、見通し下振れれば緩和
更新日時: 2014/10/07 12:44 JST
『民主党の福山哲郎氏の円安についての質問に対し、黒田総裁は「円安が輸出、グローバルに展開している企業の収益、設備投資等に一定のプラスの効果がある一方、輸入コストの上昇、あるいはその価格転嫁を通じて、特に非製造業の収益に押し下げ圧力として作用するということは事実」と述べた。その上で、「その影響は産業や企業規模によって異なるが、一般論として言えば、経済や金融のファンダメンタルズを反映した形で円安になるということであれば、多分、全体としてみれば景気にとってはプラスであろう」と指摘。「金融あるいは経済のファンダメンタルズを反映して為替レートが動くことは経済にとって、全体としてマイナスではない」と語った。』(上記URLより、以下同様)
金融政策決定会合を止めてまで質問するのですからさぞかし緊急性と重要性の高い質問をしているんでしょうねえ福山哲郎先生。
『どういう状況になれば追加緩和の引き金を引くのか、という質問に対しては、「これまでのところ2%の物価安定目標の実現に向けた道筋を順調にたどっている。したがって、2%の物価安定目標の実現を目指して、これを安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的緩和を継続していくことが重要だ」と言明。
その上で、「何らかのリスク要因で見通しに変化が生じて、2%の物価目標を実現するために必要になれば、調整を行う。具体的には、見通しが下振れになった場合は当然、調整は追加緩和になろうと思っている」と語った。』
・・・・・・・・・えーっと質問は「円安の影響」と「追加緩和について」のようにお見受けしますが、それのどこが金融政策決定会合を止めてまで行う程の緊急性と重要性を伴った質問なのか全く理解致しかねるのでございますが、もしかして福山哲郎委員様の自己顕示アピールだけの為に政策決定会合という大変に大きな資源を投下して、しかも市場に大きな影響を与える行事を中断させたのでしょうかと疑問を呈したいところでございまして、まあこの一件で福山哲郎先生のお名前は金融市場に轟き渡る事になりましたので、自己顕示が出来て大変良かったですね悪名だけどと存じます次第。
まあ可及的速やかにこういうホームラン級の馬鹿者は議員バッチを外される事をお勧めしたいと思うのでございますが、どうしても質問しないといけない超重要問題であったというのであれば福山哲郎先生の見解を是非お伺いしたい訳で、実は超重要で緊急性を要するような質問をしたのにニュースになっていないだけだったというのであればこの部分は全面的に撤回して深く陳謝しないといけなくなるので説明プリーズという所ではありますな、うんうん。
#そういや昨日の国会と言えば団扇のニュースを国営放送で全然やっていませんでしたが(銃声)
○決定会合レビュー:その他少々
同日にこれも公表されていましたけどね。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel141007a.pdf
「適格担保取扱基本要領」の一部改正等について
『日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、下記の諸措置を講ずることを決定しましたので、お知らせします。本件は、適格担保の担保価格等に関して金融市場の情勢等を踏まえて行った定例の検証の結果に基づき、本行資産の健全性および市場参加者の担保利用の効率性を確保する観点から、適格担保の担保価格等を見直すものです。』
ということで、これは単なるテクニカルな定例見直しでして、最近は皆さんも見慣れたようで特にどうというのもありませんけれども、この定例見直しは基本的に対象となる資産の直近までの値動きを基に機械的に担保掛け目を変更するものでして、掛け目がどう変わっているのかを見ると市場の値動きを思い出して味わいというか感慨がわいてくるものです。
あと会見なのですが、今回の会見は(詳しくは会見要旨が本日出るので明日)為替市場の質問ばかり飛んでいまして、しかもその質問の聞き方がゴミとしか思えないものが並んでいて(唯一上手い質問だったのは某地方紙の記者さん(と聞こえましたが)による質問)実に悲惨なクオリティだわ、マイナス金利定着オペの質問は誰もしないわということで、ある程度そうなるだろうなあとは想定していましたが想定を上回る低クオリティに落涙を禁じ得ません。
○なお本日は6MTB入札
・・・・・・・・・どういう入札になるんでしょうかねえというか、その後のセカンダリーとかどうなるんでしょうかねえって見るまでも無い気がしますがね。売り向かう人とかいないでしょ。1bp割れとかの水準でどれだけ投資家の需要が積み上がるのかも知らんけど、本邦最大の実需筋の日銀様がおいででございますからねえ。
ただまあ唯一の可能性があるとすれば、今週は今日からはじまり6、3、2か月と短国入札が3連発となっていて、短国入札にさすがに短国買入はぶつけてこないと思われるので、今日の6か月とか買うと受渡日が10日で、次に入る短国買入が週明けの14日オファーで16日渡しになりますから、買った後に6日間キャリーしないといけなくて、その間に3と2の新発が投下されますからGCや現先が玉無芳一マイナス推移で続く訳にも逝かないでしょと思われ、その間のファンディングコスト勘案してどこまで行けるのかとかそういう冷静な話になる・・・・・かどうかは知らん。
2014/10/07
お題「労働市場インデックス(メモ)/年末の短国買入残高は43兆円前後ですかねえ/ドラギ総裁会見鑑賞(続き)」
うーむ。
http://jp.reuters.com/article/idJPKCN0HV0IY20141006
為替水準には言及しない、円安はプラス・マイナス両面の影響=安倍首相
2014年 10月 6日 16:38 JST
まあ経済に対して適正な水準でというのであればそれはその通りではあるのですが、円安で物価上昇でという話をしていた訳で、まだその目標に届かない状況下で早速円安で物価上昇ガーとかいう話が出るというのは、そもそもの「とりあえず1%を安定的に達成してから徐々に2%に向けてやっていきましょう」の方が良かったんじゃないんですかねえという事のように見えてきますがねえ・・・・・・・
○労働何とか指標とな
URLが長いぞな(画面レイアウト上途中まででリンクしています)
http://www.federalreserve.gov/econresdata/notes/feds-notes/2014/updating-the-labor-market-conditions-index-20141001.html
October 1, 2014
Updating the Labor Market Conditions Index
『In our recent FEDS Note, Assessing the Change in Labor Market Conditions
(May 22, 2014), we introduced a new tool, the labor market conditions index
(LMCI), which we found to be useful for assessing changes in labor market
conditions.1 The LMCI is derived from a dynamic factor model that extracts
the primary common variation from 19 labor market indicators. (See Table
1 in that Note for a list of the indicators.) 』
でもってその指標はこうやって出しますよというのは過去のこのペーパーに。
http://www.federalreserve.gov/econresdata/notes/feds-notes/2014/assessing-the-change-in-labor-market-conditions-20140522.html
May 22, 2014
Assessing the Change in Labor Market Conditions
でまあこちらも要するに元々の指標を合成した指標ですので参考の一環という所になるのでしょうが、最初のURL先にここまでの数値をCSVファイルでDLできるURLがありまして、そちらを落としてきますと今年に入ってからの水準としては、
2014m1 3
2014m2 3
2014m3 4.9
2014m4 7.1
2014m5 6.3
2014m6 5.1
2014m7 2.7
2014m8 2
2014m9 2.5
ってな感じで推移しているようでありまして、雇用統計で出てくるヘッドラインの数値だけではなくモメンタムも参考にしましょうねというような話ではあるかと思いますけれども、まー要するに雇用統計のヘッドライン数値だけで市場が盛大に反応しないで下さいねと言いたいのでしょうFRB的には。
まあ最近のFED高官のご発言を拝見しますに、さすがにタカ派もハト派も労働市場に関してはスラックがあって、失業率の数値だけを見ているとそのスラックが過小評価されるという部分はさすがに皆さん見解が一致しているので、市場の関心を幅広い判断の方に向けたいという話なんでしょうな。まあそうは言いましても物価が安定しているのが前提にあって、これがどちらかに振れそうになるとまた見解がより盛大に分かれるとは思いますが。
○ところで短国買入残高と今後の買入に関して
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/tmei.htm/
例によって例のごとくこちらからエクセルに落としてきますと、9月末時点での短国買入残高が39.5兆円あるのですが、うち償還スケジュール的には今月の償還が8.4兆円、来月が7.1兆円、12月が4.2兆円となっていて、年末越えの残高が19.8兆円となっています。
でまあ残高維持だけという意味では今月は8.4兆円の買入をすれば良いので、先週の3.5兆円買入オファーって何ですねんという話になる(しかもどう見ても年内物の買いが入っている訳ですから)のですけれども、末残稼ぎも含めていきなり期初からエンジン掛けていましたねという話になります。
しかしまあ何ですな、8月末の買入残高って42.2兆円ありまして、実は9月って8月対比でストックベースの買入残高が2.7兆円程度減少しているのですが、期末要因が入っていると短国のレートがマイナス攻撃となる訳で、ストックベースという意味で言えば(先週木曜の入札以降の動きを見ればお察しの通りですが)実は期末要因含めで考えると40兆円の買入残高であっても既に市場のキャパオーバーとなってしまってますねという事だったんでしょうな。
でもって年末の買入残高が幾らくらいになるのという点については他の要因もあるので幅がでるという話ではあるのですが、今回は2013年末からの増分という観点で比較するとこんな感じですかねえというのでも。
MB拡大は70兆円で、国債がうち50兆円という前提で計算しまして、それ以外の買入については幾分か増分しますけれどもめんどいので誤差扱いして20兆円の増加としますと、それに対して9月20日の営業毎旬報告ベースで見た場合には2013年末対比での数値が以下のようになります。
固定金利オペ:▲8.5兆円
貸出支援オペ:+11.8兆円
でまあ固定金利オペはどうも現状の残高である10兆円ちょっと切ったレベルで底溜まりの需要に到達したっぽいような感じ(とは言っても今月のロール状況次第ですけど)ですので、あとは12月に実施される予定の貸出支援オペがどの位伸びるのかという所に掛ってるのですが、今のままだと短国の買入残高を2013年末対比17兆円程度増やさないといけませんなという結果になります。
でもって短国買入残高ですけれども、こちらが24.2兆円(なお営業毎旬の数字は償還乗換による短国引受分が乗っているのでご注意)なので、年末時点での残高は24.2兆円に17兆円を足すと41.2兆円となりますが、当然ながらこれは銀行券と財政が全部ツーペーで計算しています(なお償還乗換は年度ベースでは昨年度が11.7兆円で今年度が11.1兆円なので大体ツーペーなのですが期ずれの問題があるのでよく判らん)ので、その辺のブレ部分がありますし、固定金利オペが落ちた場合にはその分の買入も必要になりますので、まあ余裕を見て考えた場合にはやはり43〜44兆円程度の買入残高は持っておくという事になるんでしょうな、うんうん。
・・・・・・・とまあそんな感じで考えますと、9月末の買入残高から見た場合には12月末までに25兆円近くの短国買入を積み上げる必要がある訳でして、どこからどう見ても今の買い方だと2か月そこそこで末残を固めに来そうですので、2.5で割ったとしても月に10兆円の買入を積み上げると考えると、それを4週間で割ると2.5兆円になりますので、そらまあ盛大に買いを入れたくなります罠という話になる次第。
まあそれもあるのですが、MB積み上げで短国買入の残高が12月末に43兆円程度になると考えますと、ストックベースで見た場合には9月末の40兆円割れの時点で短国マイナスヒャッハーで現先レポの玉は全くありません運用できませんぞなもしという状態になっている訳でして、これが43兆だの44兆だのになったらどうなるのかという事は想像すると精神衛生上大変に宜しくないので想像しないことにします。
つーかまあ12月末は本決算じゃないからまだマシの香りもするのですが、来年3月末にMBの拡大ペースがそのままヨコで継続された日には短期市場壊滅というかどこかで何か盛大に弊害が発生しそうなのでやはり今の政策フレームに関しては何とかして頂かないと、単なるMB帳尻の部分で弊害発生とか本末転倒(いやまあ長期国債の方でも弊害は起きていますけれども短期ほど深刻ではないですし、大体からして長期国債の方は最初からその積りで実施している訳なのでその点は覚悟の上でしょうが、何で帳尻の所でこういう話になるんだかという所ですよ)だと思うのですけど、まあ「金利低下は政策効果」とか平然と言い出しそうで恐ろしいものを感じますなあという話でした。
○ドラギ総裁の会見ネタ続き
昨日の続きである。
http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2014/html/is141002.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Naples, 2 October 2014
まあ今回は質疑応答の質問が面白いというのがありますのでそっちの鑑賞という感じですけど。
・バランスシートの規模の質問がもう一つあったのでそちらでも
昨日はバランスシート規模の質疑で中々味わいのある応酬があった件を引用しましたが、実は記者の皆さん中々粘着質でバランスシートの規模について更にしつもんがありましたので観賞。
『I would like to go back to the balance sheet. The early 2012 level, is
that merely an expectation of the effect of current measures, or is it
more of a target, so that banks that show very limited interest in the
second TLTRO might actually go ahead and purchase assets more aggressively
than you are planning currently?』
『And my second question is related to whether it is more of a target,
or even just a rough aim, by what time would you like to get there? And
for how long would you like to maintain that level?』
2012年のレベルとか威勢の良い事言ってしまうからゴリゴリ突っ込まれるの図で、サイズのターゲットはだとか数値の中間目標とかあるのかとか、まあ口は災いの元なのですが、これは威勢の良い「2年で2%」をぶち上げたどこぞの中央銀行もいずれゴリゴリと突っ込まれるべきであるという感じで眺めるのでした。
『Again, what I can say is that we've decided a massive amount of measures now.』
ワロタ。
『We haven’t seen yet their impact in the economy. So we expect these
measures to steer our balance sheet towards that time. But don't forget
that our ultimate test is inflation expectations, and that we are going
to gear our action according to how the medium-term outlook of our inflation
expectations will develop in the coming months, not coming years, coming
months.』
ということで、昨日引用した「量が幾ら出るかが重要なのでは無くて重要なのはインフレやインフレ見通しを引き上げることである(キリッ)」というのを再度演説。
『So we do expect that our measures will have a sizeable impact. That's
quite understandable that we expect that.』
だったら最初に数字を言うなよ・・・・・・・
『And on the second question: Well as I said, the answer to the first is
also the answer to the second. We simply had to look at our medium-term
inflation expectations outlook, and then we will decide. And we'll have
to see what impact these measures are having.』
単に威勢の良い話をしているだけで内容は無いよう。
『I've said one more thing, the potential universe that these two programmes
will address - the covered bond purchase and the ABS purchase programme
- the potential universe is up to ユーロ1 trillion.』
ABSとカバードボンドの買入プログラムでの潜在的な買入玉が1兆ユーロとかまーた数字を出していますなという所で、どうもこの手の威勢の良い数字を出さないと死んじゃうんじゃないかという位にドラギのおっちゃんは数字の話をしたがる(まあ中銀どこでもそうですが)のですが、実際問題として買入している側から過去のLTROが返済されて超過準備があまり増えないという状況になってしまうと(マイナス金利なので仕方ない)、威勢の良い数字との整合性でそらまあゴリゴリ突っ込まれますなと思うので、まあ数字をぶち上げるのも程々にした方が良いと思う。
『That doesn’t mean, of course, that we will go into that amount. It will
mean that that's the potential universe to which our purchases will be
addressed.』』
最初から逃げ口上ですがだったら最初に数字を(以下同文)。
『On top of this we'll be having the impact of the TLTROs. So I think the
groundwork for having a sizeable impact is there. We do expect this to
have an impact on our ultimate yardstick, which is the inflation expectation
in the medium term.』
でまあ結局は「インパクトはあります(キリッ)」「でもバランスシートの額が目標なのでは無くて目標は政策効果の方です(ドヤァ)」というインチキ説明になるのでありました。
『And having said that, I would reiterate saying that the Governing Council
is unanimous in its commitment to use other unconventional instruments.
You see this sentence is repeated introductory statement after introductory
statement each and every time. This means that, in spite of the measures
that we've just taken between June and September, the Governing Council
still stands ready to undertake other measures if needed.』
で最後は毎度の「必要な時には必要な非伝統的な手段を投下することについて全員が一致している」という何かだいぶお題目的に空しくなってきている話で締めるのでした。
・フランスの動きに関して
昨日最後の所で引用した関連ですが、要するにドラギ総裁的には「金融政策ばかりがケツ持ちするのは無理で、財政出せやゴルァ」と言いたいんだろうなあというのが以下の質疑から見えます。
『Yesterday France decided not to respect the deficit limit. And rightly
this morning the Italian Prime Minister defended their choice and actually
added that nobody could treat their partner as a pupil. So what is going
on? What's your opinion? Does it change the situation in the European monetary
system?』
フランスやイタリアが財政支出のリミットについてよく言えば柔軟運用する(悪く言えば知らんがなと開き直る)という話をしている件についての所感は如何という質問ですが・・・・・・・・
『Well first, let me say that the euro area member states, I'm pretty sure
euro area member states, the Commission, the ECB, all of us have an enormous
interest in having France return to growth and lower unemployment. We should
start from this point.』
各国は成長経路への復帰と失業の低下を求めていますというのがまず前提とな。
『Second point is that we do trust the government to take all the necessary
actions on the structural reform ground, starting with a forceful implementation
of the Responsibility Pact, but also with a forceful implementation of
other reforms. Here I had the chance to say not long ago with a French
channel that these reforms have been started and designed for a long time.
Now it's implementation time, and that's where the focus should be.』
で各国の構造改革の進展も重要ですよというのがマクラに来まして・・・・・・・・
『On the specific fiscal issues, let me read the policy guidance that the
European Council - you know the European Council is formed by all our leaders,
so including the French leaders - the policy guidance that the European
Council adopted in July by recommending to France to, first, reinforce
the budgetary strategy for the year 2014 and beyond. Second, achieving
the structural adjustment effort specified in the Council recommendation
under the Excessive Deficit Procedure. And third, ensure the correction
of the excessive deficit in a sustainable manner by 2015.』
でまあ財政政策に関連するEUの政策ガイダンスに関する説明をしまして・・・・・・・・・・・
『Now having said that, we will have a full discussion of this, the first
full discussion of this, when the French government presents the draft
budget in October - I think in a couple of weeks, or in a week's time -
and then we will have this discussion in November, early November. So it's
too early to elaborate any further.』
ということで、直近での各国の動きに関する見解についてはある意味答えをスルーした状態ではあるのですが、動きに関しての説明トーンが「柔軟な運用を行うのは当然」というような感じになっていて、財政再建がとにかく重要だから頑張れば信認も拡大する的な説明ではなくなっている点はまあだいぶ以前とは違うなあとは思うのでした。
・この質疑はワロタ
為替についての質問が2発あって、2発目の質疑なんですけどね。
『I just wanted to first of all press you a little more on this question
on the exchange rate. You have commented before on the fundamentals for
a weaker exchange rate changing compared to previous months or weeks. You
do say in the opening statement that your policy should reinforce the fact
that there are significant and increasing differences in monetary policy.
Doesn’t it stand to reason that these fundamentals for a weaker exchange
rate are still valid in your opinion, despite even in the light of the
recent weakening that we have seen?(後半割愛)』
最初の方で為替について質問があって、為替は政策目的ではないですでも物価には影響しますもんねという答えをしているのに更にこの質問が来まして・・・・・・・・・・
『You’re trying to kind of extort from me a level of the exchange rate,
and unfortunately, I’m not in a position to accommodate your question
there.』
クソワロタというか、昨日引用した質疑の中でも「バランスシートの規模については人生と同様に先について全てきっちり判る訳ではない(やや意訳)」みたいなのがありまして、何ちゅうかこうドラギのおっちゃん微妙に不機嫌成分でもあるのかねとは思いました。
『As I said, the exchange rate is not a policy target, so we don’t have
a target other than, we watch what happens in the markets as a result of
our monetary policy decisions, which are taken with the primary and exclusive
view of re-establishing price stability, bringing the inflation rate close
to but below 2%.(後半割愛)』
ということで。
2014/10/06
お題「金曜の短国買入が露骨過ぎて落涙を禁じ得ない件/ドラギ総裁会見ネタである」
株価上昇でトリクルダウン理論キタコレ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141004-00000015-economic-bus_all
株価上昇は給与上昇より資産効果大 安倍総理
エコノミックニュース 10月4日(土)12時9分配信
まあ株価上昇で資産効果ガーのトリクルダウンって今までも碌に効いたことないと思うのですけどねえ・・・・・・・・・・というかそれは格差拡大って奴だが大丈夫かね。
○短国買入3兆5000億円とかもうね
ということで金曜のオペですけどね。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of141003.htm
国庫短期証券買入 35,000 2014年10月7日
(他のオペもあったけど短国買入だけ引用しますよ)
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)
ということで前日の3M短国入札が引けでマイナス0.7bp(というのはBB引けで途中の出合いベースだともう少し突っ込んだ場面もあった筈)というレートがついているのに何と過去最大額の買入オファーを投下の巻。
でまあこんな買入打ち込むもんだからスポネのGCや現先はまたまた物無状態になってしまって多分マイナスとかに突入するわ、どっかのベンダーで出ていたと思うのだが新発3Mはマイナスレートが更に突っ込んでしまうの巻となって、期初から何ちゅうことをしてくれはるんや日銀はん状態。
でまあ落札結果を見たら更に腰が砕ける訳でして・・・・・・・・
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba141003.htm
国庫短期証券買入 39,389 35,002 -0.009 -0.003 3.9
(他のオペ結果は割愛)
・・・・・(;゚д゚)
と再度呆れ果ててしまう結果でして、えーっと3兆9000億円しか札が無いのに買入を過去最大の3兆5000億円で打つとなりますと、それはもうオペでも何でも無く、単に「オペ先にある玉を全部購入します宣言」以外の何物でも無いと思うのですけれども大丈夫ですかそんなことしててという世界。
当然ながら短い所の気配は全部強くなる(というか板が無くなるというか)訳でございまして、新発3MのBB引けはマイナス1.2bpとか異次元にも程がある状態になってしまいましたし、他もまあ軒並み金利が低下するわ、期末要因剥落だかで一瞬利回りが上昇しかけた短い所の利付も盛大に気配を強くしてこれはどこの期末ですかというような引けが強くなるとか、期末要因剥落ネタは金曜前場の2時間で終了しましたという風情に落涙を禁じ得ません。
まあ何ですな、今回の短国買入ですけれども、買入の桁が1つ違っているん(当然少ない方ですよ)だったら「ああ札の無い中兎に角買入オペはしたいんだなあ」というので苦笑と共にお迎えという感じなのですが、過去最大額になる買入オファーをするのに実際の応札がそのオファー額ほぼカツカツとなっているとか、市場との対話とか市場機能とかのお題目が聞いて呆れる話でありますが、そもそも論を言えばMB積み上げのフィージビリティー的に回らないオペをやれと言われる中でなりふり構わず下品なオペ(というか需給動向を確認してその需給いっぱいまで買入を入れるってそれはもうオペでも何でも無いが)を実施せざるを得なくなっているのは、そもそもの政策決定会合におけるディレクティブの設定がおかしいという話ではあるのですが、それにしても何というかもう少しやりようは無いのかねとは思う次第。
つまりですね、期初からこの打ち方をしていると、もう「年末のMB目標達成の目処が付くまでは全力で買入を行って、その後はその後のディレクティブ次第ですが残高行った所で梯子を外します」と宣言している状態な訳で、そうなりますとオペに札を入れる側としては「余っている分は全部日銀がお買い上げして下さるしかもマイナス金利でも何でも(ただし目標達成するまで)」という話になりますので、そらあ安心して入札ゴリゴリ突っ込んでも大丈夫だわなとなる訳で、こういう状態を一般的に「足元を見られる」と申すものだと思います。
でまあ更にそもそも論を致しますと、確かに紙の方で270兆円というMBの数字が出ているのですけれども、実際にディレクティブで決まっているのは「年間60兆〜70兆円のペースでMBを積み上げる」というのと「国債、CP、社債、ETF、J−REITの残高増加額」でありまして、「その他」の部分に関しては「年間60兆円から70兆円に相当するMBの積み上げ」の調整項目なのですから、オペレーション上弊害があるのであれば別に年間70兆円である必要は無くて65兆円でも60兆円でも良い筈なのですが、もう明らかに年末の270兆円の紙に合わせて無理してでも買うというようなのを露骨に見せてしまって、マイナス金利をドンドン購入するわある玉全部買うわという態度だと、今申し上げているように「足元を見られる」状態になって市場の価格形成もへったくれもない状態になりますぞなという話で、「いや別に70兆必達じゃないですよ60兆円から70兆円の間ならディクティブ通りですよねえ」というような感じで市場に緊張感与えておいた方が却って足元見られるような価格形成にならなくて、結果買入がスムーズに行くかも知れないのにねえ(まあ残高効果がデカイからどこまで効くかは知らんが)とは思うのであります。
つーかそもそも輪番にしろそうでしたが、MB目標のコンポーネントの数字に関してはそれなりに幅を持って見ましょうみたいな話をQQEの当初はしていたと記憶していましたが、もう完全にMB目標の数値をリジットに着地させることだけが念頭にあるかのような視野狭窄オペレーション状態になるとかどうしてこうなったんでしょうという所ではございますな、うんうん。
しかしまあ何ですな、金曜の買入3.5兆ですけれども、新発3Mの入札時の状況から勝手に妄想をすると、前の月に全然買えなくて悶絶していた最終投資家の買いもそこそこあった筈で、その玉はポートに沈んで償還まで基本出てこない類の物なので、この買入の中には期末の残高調整で買いが入っていた年内物の3M既発とかも入っているような気がする(全部新発なら恐れ入りましたという感じですが)次第で、それって何も頑張って買わなくても良いんじゃネーノという風に思う次第で、どうせ「MB目標達成のためある物全部買います攻撃」をこれだけ露骨にやっているんだったら、露骨ついでに年末のMB目標に跳ねない分は買入対象から外せばちったあ短国需給も改善するし、ファンディングコストが変われば短国買入狙いでヒャッハーの動きも緩和されませんかねえとか思ったりもしますが、そうすると今度は短国のイールドカーブが凄まじく歪になりそうですね。
・・・・・・・・・まあ結論としては戦術での工夫の余地はありそうなのだが、そもそも論として政策委員会が決めたディレクティブにフィージビリティの考慮が無いというか、細々色々な物を決め過ぎているので柔軟性に欠ける状態になっていてフィージブルじゃない部分の皺寄せが思いっきり出ているという話になっていると思うのですよね。
でまあそんな質問を総裁会見でしても暖簾に腕押し糠に釘だからまあ質問しないというお気持ちも判らんでは無いですけれども、やはりそういう質問に対して「こう言った」というのが記録に残るということも重要ではありますので、そういう観点からも明日の定例会見でのツッコミをお願い申し上げたい所ではあります。というか最近のECBの会見とか(FEDもそうですが)見ておりますと彼我の質疑応答のレベルの差が見ていて情けなくなる場面というのが散見される訳でございまして、もうちょっと何とかならんのかという所ではありまする。
○ECBドラギ総裁の高座もとい会見であるがおっちゃん結構たじたじというか何というか
てな訳でドラギのおっちゃんの高座である。
http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2014/html/is141002.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Naples, 2 October 2014
・今回の質疑は全般的にドラギ先生微妙な感じである
つーことで冒頭説明と質疑なのですが、質疑の方では案の定というか一連の施策がどう効果出すのかという辺りとか、バランスシート政策と言いますが実際に量はどうなるのという辺りとかの質問が出て、説明が全般的に苦しい感じになっているように見えます。
そらまあ説明苦しいの当たり前で、そもそも論として量をターゲットとした政策をするのと預金ファシリティマイナスにする政策自体が建付けとして矛盾を起こしているのでして、とりあえず一つ一つの施策と全体の整合性のデザインを作ってなくて、何かとにかく目に付いたもので委員会の賛成多数が取れそうな案件を投下するからこうなるのですけどね。
なお、今回は何気に「金融政策だけではなくてその他の政策があると政策の効果が出る」という話を強調していまして、「つまり金融政策の限界ですね」という質問については「そうでは無い」と言いつつも微妙な受け答えをしているという感じで、これはクレクレモードの市場ちゃんだとちょっとガッカリになるのかもしれません。ただまあ政策の整合性が取れていなくて実際問題として何をしたいのか判らんという状況は今に始まった話ではないので、市場が期待値を上げ過ぎだとは思うのですけど・・・・・・・・・・・・・・
・冒頭説明から少々:金融政策の狙いに関して
冒頭説明部分の最初は金曜にネタにしましたが、一連の施策に関する評価を整理するので再掲。
『The new measures will support specific market segments that play a key
role in the financing of the economy. They will thereby further enhance
the functioning of the monetary policy transmission mechanism, facilitate
credit provision to the broad economy and generate positive spillovers
to other markets.』
一連の施策は「貸出チャネル」という「特定のセグメント」にフォーカスした政策ですという話をしていて、貸出チャネルが活性化するから金融政策の効果が高まるという話ですな。
『Taking into account the overall subdued outlook for inflation, the weakening
in the euro area’s growth momentum over the recent past and the continued
subdued monetary and credit dynamics, our asset purchases should ease the
monetary policy stance more broadly.』
でその背景にはインフレの弱い見通しと「成長モメンタムの弱まり」があって、どうも説明で何ども出てくるのですが、この「growth
momentum」をキーワードにしたいようです。
『They should also strengthen our forward guidance on the key ECB interest
rates and reinforce the fact that there are significant and increasing
differences in the monetary policy cycle between major advanced economies.』
一連の施策はフォワードガイダンスを更に強化して、他の先進国との金融政策の方向性の著しい違いという事実を強化する、というのは「ユーロはもっと下がるべきである」というのを綺麗な言葉で言い換えたものでありますな、うんうん。
で、ここから先が金曜にネタにしなかった部分。
『Together with the monetary accommodation already in place, the determined
implementation of the new measures will underpin the firm anchoring of
medium to long-term inflation expectations, in line with our aim of maintaining
inflation rates below, but close to, 2%.』
一連の施策によって中長期的なインフレ期待が2%近くの水準というマンデートの水準にアンカーされます(キリッ)との事ですが根拠は何もない。
『As all our measures work their way through to the economy they will contribute
to a return of inflation rates to levels closer to our aim. Should it become
necessary to further address risks of too prolonged a period of low inflation,
the Governing Council is unanimous in its commitment to using additional
unconventional instruments within its mandate.』
低インフレ長期化のリスクに対しては更なる追加的な非伝統的手段を実施することで全員が一致しています(キリッ)といういつもの話をしているのですが、「必要な場合には必要な施策を行う」というので一致とか言われましてもそれは「犬が右向きゃ尾は東」という話をしているのと同じだということに段々世間様が気が付いている可能性が少々。
・冒頭説明続き:経済に関しては「成長モメンタム」の話が
でまあ経済のアセスメント部分ですけどね。
『Let me now explain our assessment in greater detail, starting with the
economic analysis. Following four quarters of moderate expansion, euro
area real GDP remained unchanged between the first and second quarter of
this year.』
ほうほうそれでそれで?
『Survey data available up to September confirm the weakening in the euro
area’s growth momentum, while remaining consistent with a modest economic
expansion in the second half of the year.』
ということで、経済の成長は緩やかながら続いているがgrowth momentumが弱まっているという表現がここでも出ていまして、要するに一連の施策は最終的には「インフレ期待をアンカーさせる」「成長モメンタムを回復させる」という所を最終的な効果として置いているという事ですな。
『Looking ahead to 2015, the outlook for a moderate recovery in the euro
area remains in place, but the main factors and assumptions shaping this
assessment need to be monitored closely. Domestic demand should be supported
by our monetary policy measures, the ongoing improvements in financial
conditions, the progress made in fiscal consolidation and structural reforms,
and lower energy prices supporting real disposable income. Furthermore,
demand for exports should benefit from the global recovery.』
つーことで今後の経済についてはプラス要因として金融緩和効果や財政構造改革の進展、エネルギー価格の低下による実質可処分所得の拡大や、海外経済の回復という話ですな。
『At the same time, the recovery is likely to continue to be dampened by
high unemployment, sizeable unutilised capacity, continued negative bank
loan growth to the private sector, and the necessary balance sheet adjustments
in the public and private sectors.』
一方で経済拡大の阻害要因として高失業、不稼働資本の大きさ、バランスシート調整というのは兎も角としまして、銀行の民間セクターのローンがマイナスで推移している件を言われましても、そもそも銀行の貸出を査定しましょうとかやっているのEUの皆様なのですけれどもとしか申し上げようがなく、この点は質疑でも突っ込まれています。
・冒頭説明から:金融政策以外の取り組みの重要性をかなり強調しています
あと冒頭説明の中で「おー」というのが最後の部分でして、従来は『With regard
to structural reforms』から始まる説明になっていて、経済の成長には構造改革が重要という説明をしていて、前回はそれに加えてジャクソンホール講演以降の「成長にフレンドリーな財政政策」という話をしていたのですが、今回はここの文章の書きっぷりがだいぶ変化しています。
『Monetary policy is focused on maintaining price stability over the medium
term and its accommodative stance contributes to supporting economic activity.』
まず最初にそもそも論が出てくるのが今までとだいぶ違いまして・・・・・・・・
『However, in order to strengthen investment activity, job creation and
potential growth, other policy areas need to contribute decisively.』
投資活動や雇用創出、潜在成長力を強化するには他の分野の政策が貢献する事が必要である、と来まして、これはどこの白川総裁ですかというような話になって参りました。
『In particular, the legislation and implementation of structural reforms
clearly need to gain momentum in several countries. This applies to product
and labour markets as well as to actions to improve the business environment
for firms.』
規制改革と構造改革が必要であるとな。
『As regards fiscal policies, euro area countries should not unravel the
progress already made and should proceed in line with the rules of the
Stability and Growth Pact. This should be reflected in the draft budgetary
plans for 2015 that governments will now deliver, in which they will address
the relevant country-specific recommendations. The Pact should remain the
anchor for confidence in sustainable public finances, and the existing
flexibility within the rules should allow governments to address the budgetary
costs of major structural reforms, to support demand and to achieve a more
growth-friendly composition of fiscal policies.』
『A full and consistent implementation of the euro area’s existing fiscal
and macroeconomic surveillance framework is key to bringing down high public
debt ratios, to raising potential growth and to increasing the euro area’s
resilience to shocks.』
ということで構造改革を推進する為にも財政ルールにのっとっりつつも柔軟な財政運営を行って、成長にフレンドリーな財政改革を進めて財政赤字の縮減を目指せという話をしていまして、要するにドイツは財政出動余地があるのだから財政出せやゴルァという話ですなあという所ですけど、今回はここの部分のトーンが思いっきり「財政の柔軟な対応」にフォーカスしている話になっているのが目立ちましたな。
でまあ質疑でも言われていますが、これって「金融政策の限界について言及している」とも言える内容でございまして、ただまあそれをあまり前面に出すと(それが正しい話であっても)ウケが悪くなるので前面には出していませんが、まあどう見てもそういう話をしてるでしょという所ではあります。
ということで質疑に参ります。
・「バランスシートへのインパクト」はサイズらしい
最初の質疑の前半ですけどね。
『My first question would be, if you could give us some more details on
the ABS purchase programme. What will be the size? How will it evolve,
if the size of the purchase programme will be changing over time? And also
what about the rating of the ABS you will buy, thinking specifically about
those from Greece and Cyprus?(後半割愛)』
ということで買入プログラムに関して。
『First of all, all the details, almost all the details of the programme,
will come out in the press release at 3.30 p.m. Let me say, it’s hard
to assess a figure, to give a figure on this programme as such, because
there are several interactions between the ABS programme, the covered bond
programme and the TLTRO programme. The overall impact of these three measures
on our balance sheet size will be significant.』
our balance sheet sizeと言いましたね〜。
『And our balance sheet, as I think I said in the European Parliament,
is expected to be steered towards the dimension, the size, it had at the
beginning of 2012.』
で、2012年頭のサイズに拡大と言っていますが、預金ファシリティマイナスなのにそんなに拡大するとはとても思えないのですけどねえ・・・・・・・・と思ったら後でツッコまれていますのでこの後。
『On the ratings, again the details will be in the press communique. But
basically, we’ve been accepting ABS in our collateral for ten years, so
it was quite natural to have as much similarity as possible with our collateral
rules when we come to risk assessment. And that’s what’s happened basically,
with a few adjustments that are inspired by simple considerations.』
買入資産の格付け等に関しては後に出た施策の説明の通りという所です。
『First of all, when we talk about an outright purchase, it’s kind of
different than just lending against collateral, which is with you on a
temporary basis. The second thing is that this programme, like the TLTROs,
is oriented to boosting lending to SMEs, and that’s why the ABS that we
are focusing on are ABS that are meant to be simple and transparent, namely
that the content of these ABS ought to be loans and similar lending that
is easy to read and price and interpret.』
でまあ聞かれもしないのに資産買入についてのそもそも論を開始していて、資産買入の論点としてはと言いながら「買入と担保に取って資金供給するのは違う」というのと、今回の施策に関しては「民間向けの貸出を拡大するのにフォーカスしている」という話をおっぱじめています。
『While in our collateral rules, we are accepting also structured ABS,
we will not orient our purchase programme towards that sort of ABS because
it would not be in synch with our objective to boost lending to the real
economy.』
でまあ貸出を伸ばすという意味ではシンプルなABSのみを対象にしますとかそんな話。
『The third point is that we want to be as inclusive as possible. But with
prudence, so that we have decided to include countries that have a rating
below BBB-, like Greece and Cyprus, applying certain derogations, with
two caveats. The first is that there is a series of measures that mitigate
risk for the specific purchases that are to happen there, so that the assets
bought there would be risk-equivalent to assets bought elsewhere, so for
example, size-wise, type-wise. Then there is a second, I would say, caveat
or prudence which is basically that the countries ought to have an ongoing
programme with the EU. I think I gave you the broad lines of what we have
decided really. Then the rest will be clearer in the press communique.』
買入に関しては出来るだけ広く実施する必要があるけれども、一方でクレジットリスクなどに対しては慎重に対処しますという話をしていますが、一定の保証措置があればギリシャやキプロスでの資産担保証券も買入対象という話はご案内の通りです。
・・・・・・という感じで今回のドラギのおっちゃんの説明なのですが、聞かれもしないのに話をああだこうだという話をおっぱじめたりしている部分が幾つかありまして、まあ何ちゅうか説明で苦労しているんだなあという感じが思いっきりする所ではあります。
・しかしバランスシートのサイズは「あくまでも目安」とな
ちょっと先の質問から。
『I have one question on the ECB’s balance sheet and then one question
on the instruments still at your disposal. On the ECB balance sheet, you’ve
said on several occasions you want to restore it to around the level it
was at the beginning of 2012. If you could give markets a slightly more
precise guidance on that, because in the first quarter of 2012, I believe
it oscillated between ユーロ2.5 trillion and ユーロ3 trillion. Are we looking
at the higher end of that or the lower end of that? That’s one question.(後半割愛)』
「バランスシートの水準に関して何か目処はあるのですか」とは明らかに逆手に取った質問。
『On the first question, I understand your desire to have very precise
figures for everything. That makes life perhaps easier, but I have to say
that I wouldn’t want to emphasise the balance sheet size per se.』
これはクソワロタという回答で、ドラギのおっちゃん何を言ってるんだという所ですが、「あなたは全ての事について明確にしたいようで、そうすると人生分かりやすいかもしれませんけれども、前もってバランスシートサイズがどうのこうのとは言えませんなあ」とかナメトンノカというレベルのお答え。
『That’s very important, but it’s only an instrument. The ultimate and
the only mandate that we have to comply with is to bring inflation back
to a level that is close to but below 2%.』
開き直りキターーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーー
『I think that’s the ultimate yardstick by which we will measure the success
of the present measures and any other measures that we may take in the
future.』
ってか「あくまでもバランスシート拡大は道具であって、最終的な目的は物価安定目標を達成するためのものであって、それこそが最終的な政策成功を測る基準である(キリッ)」とか言い出すとか、だったらバランスシートのサイズが2012年の頭くらいにとかそういう話を何で行ったのよという所でして、まあ実際問題としてはマイナス預金ファシリティの破壊力をよく判らないで(ECBだけではなくて他の中銀(日本も含め)を見ても判りますが、オペレーション実務の部分になると政策決定に携わっている人も実際にやったことない施策に対しては結構オッペケペーな判断を下す訳ですなこれがまた)余計な事を言ってしまったのでしょうなあと思います。
・他の政策が必要という話キタコレで金融政策の限界論というツッコミ
今引用した質疑の後半部分も味わいがあるので引用。
『(質問前半割愛)Secondly, you said yesterday that the monetary policy
can only do so much in terms of reviving growth and confidence in the eurozone,
and you’ve stressed in your introductory statement again today the importance
of structural reforms, as you have done in the past, and also a respect
for European budget rules.』
ふむふむ。
『Does that mean that you are running out of instruments or that you won’t
do more until the governments do more?』
これは酷い(褒めています)ツッコミをwwww
で、そのお答え。
『(前半割愛)On the second point, the question is actually quite topical,
I think, because there is no great bargain here. We do this, if you do
that. We know that our measures are going to be more effective, or sometimes
are effective only if other policies will be in place.』
他の政策との協調が必要キタコレですが、そらまあ限界とは言わんでしょうな。
『Policies, and I’ve mentioned several times, policies on the demand side,
because the more we are in this situation, the more we see that the cyclical
component in our business cycle is important, and it’s not only structural.
It is true that to a great extent, our problems are structural, and that’s
why we need the second, other policy, which is the one of structural reforms,
so demand policies and structural reforms.』
構造問題も大きいので構造改革も必要という話をしていますが、その前の部分ではシクリカルな面において需要政策が重要という話で財政クレクレですかそうですか。
『We know that, but we also know that we want to comply with our mandate,
so there is no bargain here. Each actor has its role to perform.』
という説明をしたらその直後にこれまた連係プレーのような質問が来るのです。
・そもそもサプライサイドに効かせても貸出伸びないんじゃネーノというゴリゴリ質問キタコレ
その次の質問である。
『Mr President, and Governor Visco as well, I have a question regarding
the package of measures that have been launched by the ECB in June and
are now taking place.』
ふむ。
『First of all, there is the impression that such measures are predominantly
addressed at the supply side and that in some way, the demand is still
suffering. In other words, for instance why should companies borrow more
in countries such as Italy, when they do not see such a significant improvement
in demand and in growth, so isn’t there a risk that the ECB is actually
pushing on a string?』
ECBの政策ってサプライサイドには効くかも知れんがそもそも問題なのは需要が無い事なのだから金融政策を打っても効かないんじゃないですかとはこれまた嫌なツッコミ。
お答えである。
『Certainly that’s what a central bank can do, and that’s what we are
doing, namely improving the funding conditions for the main intermediation
channel we have in this part of the world, namely the bank lending channel.』
仰せのとおりで我々の政策は銀行貸出チャネルの機能を強化するために実施していますということで、需要サイドは出来ませんがなという意味も込められていますな。
『As you know, it intermediates about 80% of credit flows. That’s certainly
our task, and we’ve been doing a lot. We have done a lot. Just go back
with your memory to the last three years, and even four or five years.
We’ve done really a lot to improve the funding conditions, and now of
course we are waiting, and we’ve seen some of it. We’ve seen that some
of this is being passed very, painfully, slowly to the real economy, but
certainly other measures are needed.』
何か大演説モードですが、ひたすら力強いトーンで何も言ってないという感じですな、ナムナム。
『I have given the example several times of someone, a young entrepreneur,
having to wait 9 months, 12 months, to have the authorisations and the
permits to open a new shop, and then, by the time he gets these authorisations,
he’s being overburdened by taxation of different kinds. You wouldn’t
expect him to apply for credit, and that’s where the example tells that
we need structural reforms as well.』
何か謎の例を出していますが、要するに規制緩和して需要を起きやすくしなはれという話をしているみたいです。
『And finally, on the demand side, our rules are pretty clear.』
ほうほう。
『Countries that don’t have fiscal space can still have fiscal space within
the existing rules, and we can dwell on that later on. They can also enforce
what we’ve called growth-friendly fiscal consolidation, based on cuts
in expenditures, cuts in taxes, increasing capital expenditures and so
on. And countries that do have fiscal space should use the fiscal space
they have, so I think this three-pronged programme, without implying any,
as I said a minute ago, any great bargain, should be in place.』
ということで、需要サイドに関しては財政出せ、特に余裕のあるドイツは財政出して需要を喚起してくれないと金融政策だけでは限界がありますねん、というのを金融政策の限界とかドイツの石頭野郎は四の五の言わないで財政出せとか、そういう表現を使わずに上品(かどうか知らんが)に説明した内容となっておりますな、うんうん。
#台風も来てますので続きは明日
2014/10/03
お題「ECBは普通に普通の結果/新発短国金利またまたマイナスヒャッハー/各種アンケートネタキタコレ」
最近急に円安物価高ガーという話を国営放送がしているのは何なんでしょうかねえ。つーか異次元緩和の効果なんですけどねえそれって。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141001/k10015033981000.html
増税 円安で負担感増す
10月1日 17時38分
http://www.nhk.or.jp/gendai/yotei/index_yotei_3560.html
急激な円安で何が・・・(昨日のクローズアップ現代らしいが見ていないので知らん)
○ECBネタってこれ予想通りだと思うのだが失望とな
・まあ予想通りなのですけどねえ
http://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2014/html/pr141002.en.html
2 October 2014 - Monetary policy decisions
『At today’s meeting, which was held in Naples, the Governing Council
of the ECB decided that the interest rate on the main refinancing operations
and the interest rates on the marginal lending facility and the deposit
facility will remain unchanged at 0.05%, 0.30% and -0.20% respectively.』
『The President of the ECB will comment on the considerations underlying
these decisions at a press conference starting at 2.30 p.m. CET today.』
ということで普通に現状維持で、前回予告されていたABS買入などの詳細が出るんでしょうなあと思いましたら・・・・・・・
・施策は「非金融機関の資金調達を円滑化することによって金融緩和効果を高める」との建付け
http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2014/html/is141002.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Naples, 2 October 2014
今回の理事会はナポリで開催ということで、ナポリを見てから死ねですかそうですか(違)。
『Based on our regular economic and monetary analyses, and in line with
our forward guidance, we decided to keep the key ECB interest rates unchanged.
Following up on the decisions of 4 September 2014, we also decided on the
key operational details of both the asset-backed securities purchase programme
and the new covered bond purchase programme.』
今回は実施すると言ってた資産買入プログラムの詳細を決定しましたということで、何故か知らんけどECBの場合は会見の後に詳細が出るというのが仕様なのでこの時点では詳細が出ていない(筈)。
『This will allow us to start purchasing covered bonds and asset-backed
securities (ABSs) in the fourth quarter of 2014, starting with covered
bonds in the second half of October. The programmes will last for at least
two years. Together with the series of targeted longer-term refinancing
operations to be conducted until June 2016, these purchases will have a
sizeable impact on our balance sheet.』
カバードボンドとABSの買入を実施しますカバードボンドを今月の後半に初回買入を行いますということで、買入プログラムは少なくとも2年間継続しますという話。
でまあ相変わらずのドラギ先生のインチキ説明クオリティなのですが、TLTROも含めてこれらの施策が「sizeable
impact」をバランスシートに与えるという説明をしていて、量の話をしているのか質の話をしているのかを敢えてスルーしながらバランスシート政策っぽい言い方になっていて、前からそうなのですがこの説明をするもんだから市場の方が勝手にどんどん期待値を上げて、その結果として今回の反応が失望になったんでしょと思うのですけどねえ。
でまあそもそも論として預金ファシリティにマイナスチャージしている中でバランスシートの拡大に焦点を置いた政策は打ちにくいし、そこでもバランスが拡大しようとすると買入資産の質を緩和という話になりますのでそれって中央銀行の矩としてどうなんでしょうかねえというのもあるというのは毎度申し上げている通りです。
『The new measures will support specific market segments that play a key
role in the financing of the economy.』
一連の施策は実体経済セクターの資金調達を助けるものというのにフォーカスしていますと。
『They will thereby further enhance the functioning of the monetary policy
transmission mechanism, facilitate credit provision to the broad economy
and generate positive spillovers to other markets.』
それによって金融政策のトランスミッションメカニズムを機能させて金融緩和効果を確実にしますと。
『Taking into account the overall subdued outlook for inflation, the weakening
in the euro area’s growth momentum over the recent past and the continued
subdued monetary and credit dynamics, our asset purchases should ease the
monetary policy stance more broadly. They should also strengthen our forward
guidance on the key ECB interest rates and reinforce the fact that there
are significant and increasing differences in the monetary policy cycle
between major advanced economies.』
これによって足元の弱い成長モメンタムを改善すると共に、またまた前回もありましたが、「他の先進国との金融政策の方向性の違いが拡大するという事実を補強する」とかどう見てもユーロ安誘導です本当にありがとうございましたというので今回の施策についての説明を締めています。
以下の経済物価に関する説明部分は今日はパス。
・具体的な施策はこちらでしらっと適格担保基準の緩和が混じっているのがチャーミング
http://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2014/html/pr141002_1.en.html
『2 October 2014 - ECB announces operational details of asset-backed securities
and covered bond purchase programmes
・Programmes will last at least two years
・Will enhance transmission of monetary policy, support provision of credit
to the euro area economy and, as a result, provide further monetary policy
accommodation
・Eurosystem collateral framework is guiding principle for eligibility of assets for purchase
・Asset purchases to start in fourth quarter 2014, starting with covered bonds in second-half of October
The Governing Council of the European Central Bank (ECB) today agreed key
details regarding the operation of its new programmes to buy simple and
transparent asset-backed securities (ABSs) and a broad portfolio of euro-denominated
covered bonds. Together with the targeted longer-term refinancing operations,
the purchase programmes will further enhance the transmission of monetary
policy. They will facilitate credit provision to the euro area economy,
generate positive spill-overs to other markets and, as a result, ease the
ECB’s monetary policy stance. These measures will have a sizeable impact
on the Eurosystem’s balance sheet and will contribute to a return of inflation
rates to levels closer to 2%.』
思いっ切りIntroductory statementのまんまですな。
『The Eurosystem’s collateral framework - the rules that lay out which
assets are acceptable as collateral for monetary policy credit operations
- will be the guiding principle for deciding the eligibility of assets
to be bought under the ABS purchase programme (ABSPP) and covered bond
purchase programme (CBPP3). There will be some adjustments to take into
account the difference between accepting assets as collateral and buying
assets outright. To ensure that the programmes can include the whole euro
area, ABSs and covered bonds from Greece and Cyprus that are currently
not eligible as collateral for monetary policy operations will be subject
to specific rules with risk-mitigating measures.』
買入プログラム実施に際してついでに担保基準の見直しも実施して一定のリスク軽減措置の含まれたものであれば、従来不適格だったギリシャやキプロスで発行されたブツも買入および適格担保の対象になるということですが、詳しい話はさすがにECBのオペの細かい話までは研究できていませんのでパスという事で勘弁。上記URL先にリンクがありますな。
会見詳細ネタは週末に読むのでその後で。
○短国入札でオッペケペーなどの短期メモ
・短国入札がオッペケペー
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20141002.htm
(3)募入最低価格 99円99銭4厘5毛 (募入最高利回り)(0.0202%)
(4)募入最低価格における案分比率 78.8623%
(5)募入平均価格 99円99銭5厘5毛 (募入平均利回り)(0.0165%)
という結果だけ見るとはあそうですかという所なのですが、前場から何か知らんけど妙に気配が甘くなっていて、ベンダーとかにも出ていたりしてました(最近は短国ネタもベンダーフラッシュが出るようになって実に微笑ましいことです)のですが、前場途中には何故か2bp台半ば近辺の気配までやりやがっていたのですが、そんなに甘くしたら実需の最終投資家がワラワラと買いに来る訳で入札締めの前場引けに掛けてWIがバカスカ出合いながら気配が戻るの巻。
で結果は上記のとおりでやや強め(前場引け対比)となった上に例によって市場推計的に空振りになった方とドカンと落札した一部の方という落札分布になりまして、空振り筋のショートカバーなのかドカンと落札した人が更にヒャッハーと頑張ったのかは知りませんけれども、その後あっと言う間にマイナスに突っ込んでしまい、日本相互証券の引値はマイナス0.7bpとかもう何だかねという水準になってしまいまして、期初の需給緩和はわずか2時間で終了してまたまた金利マイナスの世界になってしましました、ナムナムナム。
・・・・・・・・・つーかですな、これそもそも前場の時点で調子に乗って調整し過ぎでして、そもそも先月はマイナス金利ついてからの短国入札が悉く短国を資金運用として購入する人たち的に見てよー買えませんわなという水準が続いていた訳ですから、その向きからしたらほぼ1か月まともに買わせてくれない状態になっていまして、短国の主力部分って3か月ものなのですから、3か月物を1か月まともに買えない状態になっていたら潜在的な買い圧力がそら相当のモノになる訳で、前回の期初(4月)に需給が緩んだから今回も同じ水準まで緩むとか思って調子に乗って叩くとか、前回の期初の場合は最後の方だけのマイナスヒャッハーだったのと今回の状況を比較すれば、潜在需要がどの位違うかとか気が付くだろ常識的に考えてと思うので、まあバカスカ叩いてショートカバーとかまさかそのような少々おつむが足りないのではないかというような動きは無いとは思うのですが、結局相場が無駄に荒れるだけの結果となりましたという所ですな。
この短国ヒャッハーの動きが影響してちょっと甘くなりかけた短国の気配や、利付国債の超短い所などの気配が軒並み強くなってしまい、期初からこれかよという実に残念な展開になってしまいましたなあという所でございます。
でまあ本日は短国買入の日でして、短国市場が上記のような状態になっておりますので、ここで盛大に毎度おなじみの「オペ先が持っているだけ買う」攻撃をかましますと、期初からマイナス金利状態を盛大に日銀が後押しするという市場破壊活動の推進になるのですが、どこからどう考えても最早日銀は市場が壊れてもMB積み上げ命状態というセントラルバンキング放棄してMB積み上げの事務屋と化しておりますので、本日もせっせと買入を実施して次の供給が行われる来週の入札まで大旱魃モードでここはどこのアラル海ですかという状態が続くものと思料されます。まあ後はオペに入らないような短い所とかで外す人がいるかどうかとかその程度しか需給が変化する要素がなさそうですなあ。
・固定金利オペは増額ロールとな
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of141002.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2014年10月6日 2015年1月5日
年末越えオファーヒャッハー!
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba141002.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(10月6日スタート分) 3,300 3,300
今回の折り返し元は2670億円の固定オペでしたので、今回は増額ロールとなりまして、とりあえず固定金利オペって10兆円ちょっと切る位の所が根っこの需要がある部分なのかなという感じもしますが、今月は何せ3.5兆円位(これも含めて)足があるので、どの程度ロールされるのかは注目したいと思います。特に28日、31日の足が昔のシグナルのなれの果てで、両方で約2.1兆円ありますので、勝負は月末という所ですね!!!!
・今月の資金需給
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/fm/juqp/juqp1410.htm/
日銀当座預金増減要因(2014年10月見込み)
上記URL先にありますように今月は12.1兆円の資金不足見込み。うち6.41兆円分は長期国債買入で(月末跨ぎ買入の足ずれ分はツーペーで計算)賄うので残りが5.7兆円程度の短期オペでの資金供給が必要になります。
でもって今申し上げましたように固定金利オペが3.5兆円の足があって、このロールがどう入るかが月末週にならないとワカランというのが微妙なのですが、これをツーペーとして計算すると短国買入を最低でも月に1.5兆円は打たないと間尺に合わないという話ではございます。
でもって年末のMB積み上げを早めに目処付けたいという意識は当然ながらあると思いますので、そうなりますともっと早めに積んでくると想定される次第なので、まあ普通に今月は週に2兆円とかオファーしてきそうですし、早速マイナス金利ヒャッハーとかやっているので日銀的には「俺も買う俺も買う」状態で買入可能玉がある時に買入を実施したいという話になるでしょうから今日は普通にどどーんと買入打ってくるんでしょうなあというのはまあそういう計数的な問題も背景にある訳よ。
・短国買入残高
長期国債買入残高も出ているのですがその前に短国ネタである。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/tmei.htm/
例によってここからZIPでエクセルに落とすのですが、9月の買入銘柄はまあ当たり前のように9月のマイナス金利状態の買入がヒャッハーヒャッハーと打ち込まれておりまして、見ていると落涙を禁じ得ませんが、年末越えの買入残高をあと幾ら積むのでしょうとか計算すると味わいがあるのですが、一応計算したのだが計算したのを検算したらちょっと自分的に整合性の取れないイメージが出来上がったので、再計算してからまたネタにします。
なお、買入残高の増分はまあ概ねお察しの通りという結果です。
○短観の物価関連
ええい時間が無い
http://www.boj.or.jp/statistics/tk/bukka/2014/tkc1409.pdf
細かい話はさて置きまして、今回の特徴としては「全体の数値がまあ見事に変わっていませんな」という所でしょうか。
しかも物価見通しの方はヨコなのに、販売価格見通しの方に関しては中小などを中心に若干程度ではあるのですが低下している所がチャーミングでして、どう見ても収益圧迫要因なマインドセットになっています本当にありがとうございましたという展開。
・・・・・・・・・ところで金融経済月報で毎度毎度「予想物価上昇率は全体として上昇しているとみられる」という表現があるのですが、物国BEIはヨコだわ短観の物価関連アンケート数値もヨコだわでどこの予想物価上昇率が「全体として上昇しているとみられる」のか小一時間問い詰めたいのですが・・・・・・・・・・・
○生活意識アンケートが壊滅的な結果キタコレorzorz
http://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki1410.pdf
なお時間が無いので詳しくは月曜(か時間があれば週末にまたネタ埋めモード)に詳しい数値のネタを投下しますけどね。
『景況感のうち、現在(1年前対比)については、「良くなった」との回答が減少し、「悪くなった」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。先行き(1年後)については、「良くなる」との回答が減少し、「悪くなる」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。なお、現在の景気水準については、「どちらかと言えば、悪い」、「悪い」との回答の合計が増加した。』
『現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりがなくなってきた」との回答が増加したことから、暮らし向きD.I.は悪化した。』
『1年後を見た勤労者(注)の勤め先での雇用・処遇の不安については、「あまり感じない」との回答が減少し、「かなり感じる」との回答が増加したことから、雇用環境D.I.は悪化した。(注)勤労者:会社員・公務員(会社役員を含む)およびパート・アルバイトなど。』
とまあこの辺が悪化する中で・・・・・・・・・・・
『現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)との回答が増加し、「ほとんど変わらない」との回答が減少した。また、1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.8%(前回:+4.1%)、中央値は+5.0%(前回:+3.0%)となった。』
物価上昇の実感は更に高まると。当たり前だが。
『1年後の物価(注1)については、『上がる』(注2)との回答が増加した。また、1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.8%(前回:+4.2%)、中央値は+3.0%(前回:+3.0%)となった。』
『5年後の物価(注1)については、『上がる』(注2)との回答が増加した。また、これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+3.8%(前回:+3.5%)、中央値は+2.0%(前回:+2.0%)となった。』
予想物価上昇率かくにん!よかった!!
『なお、5年後の物価の見方に関する確実性については、4割台後半の人が「どちらかと言えば、予想より高くなる可能性があると思う」と回答した。』
というのを今回初めて実施していて、何ちゅうか誘導チックな質問だなおいとは思いますが、まさに予想物価上昇率かくにん!!の結果となっていて日銀ニッコリの展開ですね(棒読み)。
しかしながら・・・・・・・・・
『日本経済の成長力については、「より低い成長しか見込めない」との回答が増加したことから、経済成長力D.I.はマイナス幅を拡大した。』
となっていまして、期待インフレ率が高まって実質金利が下がると自動的に投資や消費が喚起されて経済が活性化するので成長力が高まるというリフレ派置物理論の皆様におかれましては、この状況について「消費税ガー」で誤魔化すのではないきちんとしたご説明を頂きたい物ですなあと思うのでございます。物価が上がって2%インフレを達成すれば日本経済が復活するって散々吹聴していたのは忘れる訳には参りませんのでね。
・・・・・・・・・まあ何ですな、最近の円安で物価上昇してああだこうだとか(ついに昨日は公明党のなっちゃん方面からも指摘が出ていましたが)いう論調を見るにつけ、物価というのは原因なのではなくて結果なんですよねえという思いが湧きあがる次第で、原因に関する考察をなおざりにして、何でもいいから無理矢理結果の方をいじろうとして、無理をした場合っていうのは一時的には良い流れになっても、それを持続させるのが難しいという話なんじゃないかと思う次第。
つーかね、2年で2%だの2%どころか3%だとか無理繰り感のある話を持ち出す流れになっていた時に批判的にああだこうだ申し上げてきた人たちの末席を汚している積りのアタクシとしては、そもそも「物価を上げればハッピー」的なミスリードをして実際に物価が上がって「こんな筈じゃ無かった」となった場合に反動で却って不味い事になるんじゃないのという風に申し上げていた通りの展開で、とは言いましても今の所とりあえず物価もデフレ状況ではなくなってきている訳ですから、そろそろここらで収拾の方向で考えていく撤収策を練って欲しいとは思うのですが、日銀からそれを言い出す訳にはいかないでしょうからまあ政府サイドにその球はあって、放置していると益々何が何だか判らない展開になってしまうと思うのですよねえ。
でまあ置物師匠は辞任と言いたいですが辞任だとそれはそれで失敗っぽいので転向宣言辺りで勘弁して頂くか(以下の部分は内務省検閲により削除されました)。
2014/10/02
お題「短観は先行きDIの未達が気になります/短期雑談&MPMプレビュー雑談」
何かおはぎゃあの気もしますがそれは兎も角として先日のニュースでこんなのが。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140930/k10014981561000.html
年功序列見直し 労働界の理解が焦点に
9月30日 4時18分
『政府は経済界、労働界の代表との「政労使会議」を去年12月以来、およそ9か月ぶりに開き、安倍総理大臣は「子育て世代の処遇を改善するためにも年功序列の賃金体系を見直し、労働生産性に見合った賃金体系に移行することが大切だ」と述べ、企業の年功序列の賃金体系を見直す方向で検討を進めたいという考えを示しました。』(上記URLより)
いやあの子育てで本格的に金掛かる時期って出産云々よりもそのだいぶ後の教育に金が掛かる時期な訳ですから賃金カーブがフラットになると却ってマズーなんじゃないのと思った訳で、何でこう毎度毎度具体的施策に落とす所で「どうしてこうなった」になってしまうのよと思った訳ですが・・・・・・・
労働関連と言えば濱口先生の所でこんな解説が。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-e713.html
2014年9月30日 (火) ジョブなき年功制の廃止とは?
確かにいわゆる総合職的なありかたと職務給制度って相反する理念ですな。
○短観は久々に「先行き見通しの未達」キタコレでありましてですなあ
ということで短観。
http://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2011/tka1409.pdf
ヘッドラインの数字は製造業大企業DIが市場予想より上に振れて非製造業大企業DIが市場予想より下に振れるという解釈に困る内容な上に、足元鉱工業生産とかの指数を見るとどう見てもうんことしか思えない状況なのになぜか短観の設備投資とかのDIは強いというマインド指数とハードデータの相違が益々高まるという謎展開でして、これはまあ解釈が如何様にも出来るので来週のMPMでは大本営発表もとい見通し通りに展開しているという話になるだけでしょうなあと思われる次第。
ただですな、あたくしがだいぶ前から短観の手抜き観察してて見ている「先行き見通しの達成状況」が今回久々の未達となったのが気になるのですよね・・・・・・・
・前回の先行き予測DIの達成状況
(6月時点) (9月時点)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 +12→+15 +13→+13
製造業中堅企業 +6→+8 +5→+5
製造業中小企業 +1→+3 ▲1→0
非製造業大企業 +19→+19 +13→+14
非製造業中堅企業 +10→+8 +7→+7
非製造業中小企業 +2→0 0→▲1
前回あたくしこんな事を書いているのですよ。
(ここから7月2日に書いた駄文の再掲)
ただまあ若干気になるのは9月予測数値が製造業で上向きになっている事で、それ自体は別に悪い話でも無いですし、消費税増税の影響が懸念ほどでは無かったからという事を示しているのかもしれませんが、基本的に回復局面での短観の先行き予測数値というのは傾向として慎重な見方(つまり先行きは基本現状よりも下を向く事が多い)を示すものという風に記憶しておりまして、今回この水準から上向き予測になっているのはマインドの好転と言えばそうなのですけれども死亡フラグのような気もせんでも無い所が引っ掛かります。とは言いましても増税という特殊要因が入っているのでまあ今回の数値は外れ値の可能性もあるのでフラグキタコレとはならんとは思いますけどね。
と申しますのは、非製造業の先行きに関しては横ばいないし下ですが、こちらは概ね昨年9月短観辺りでの現状と先行き見通しの乖離位の水準(絶対値もほぼこの辺)なので、まあこんなもんかなと思いますし、非製造業的には消費税増税要因の直接的な影響は一巡しましたという感じですかねえ良くわかんないけど。
(再掲終了)
で今回はご覧のとおりで6月時点の予測よりも9月の数値がほぼ悪化(非製造業中小企業だけ予測指数通り)している所がアタクシ的にはマズーじゃねえのと思う所でして、基本的に景気が上を向いてきた時というのは前回の予測指数対比で足元の数値が上振れる(つまり見通しが慎重という意味)のですが、これが下振れに転じた時(つまり見通しよりもその後の状況が宜しくないという意味)って短観DIもその後コケるというのが傾向としてはあるように見えます、というか時系列データを日銀のサイトから落としてきて表計算ソフトでグラフでもちょちょいと作れば何となくそれらしく見えるのですよね(^^)。
でまあめんどいので大企業の方だけちょっと見たんですけど、まあ2004年からの時期だと予測指数未達だけどその後また戻るの巻という傾向もありますので、足元の動きについてもうだめバイと言い出すほどでは無いとは思うのですが、その前(平成バブル崩壊以降)とかその後(リーマンショック以降)とかですと予測指数達成度合いが未達方向に振れてから短観DIもその後ズルズル落ちるという動きがあったりしますので(別に難しい作業要らないですから興味のある方はご確認あれ)、次回短観辺りで「踊り場」なのか「やっぱりだめバイ」なのか見えてくるという話っすかねえとは思いますが、てきとうにグラフ作ってビジュアルで見る(自助努力でお願いします^^)と製造業は踊り場っぽいけど非製造業は何かヤバそうな感じに見えますので念のため申し添えます。
ちなみに、前回「予測DIが未達」だったのは製造業大企業で2012年9月および12月短観、非製造業大企業で2012年12月短観だったりします。
・雇用判断DI(ここの数値はマイナスが大きい方が雇用情勢的には良い)
(6月時点) (9月時点)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 +2→+1 ▲1→▲1
製造業中堅企業 ▲2→▲4 ▲7→▲9
製造業中小企業 ▲1→▲6 ▲5→▲8
非製造業大企業 ▲14→▲14 ▲16→▲17
非製造業中堅企業 ▲15→▲18 ▲18→▲23
非製造業中小企業 ▲18→▲23 ▲21→▲27
DIの達成度合いが未達キタコレとなっている割には雇用判断の方はやたらと強い(労働需給的に)内容になっていて、これは何ですねんという感じで非常に判断に苦しむ内容。まあ毎度毎度ここの数値は日銀的にニッコリの内容が続いているのですが、今回は更に日銀ウハウハの展開で、恐らくというかまず間違いないと思うのですが、日銀の説明的には「雇用情勢が強いので雇用者所得の拡大は継続して、所得の拡大から内需の堅調さが続くので景気も物価もヘーキヘーキ」という話になると思いますので、さっきの未達云々は華麗にスルーされるものと思料されます。
・価格判断DI
昨年9月短観からしらっと投下された物件。
販売価格判断(「上昇」-「下落」)
(6月時点) (9月時点)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 ▲2→▲2 ▲4→▲4
製造業中小企業 ▲4→0 0→▲2
非製造業大企業 +8→+6 +4→+6
非製造業中小企業 +2→+4 ▲2→+2
仕入価格判断(「上昇」-「下落」)
(6月時点) (9月時点)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 +20→+19 +17→+18
製造業中小企業 +40→+43 +38→+43
非製造業大企業 +23→+22 +21→+22
非製造業中小企業 +33→+34 +29→+33
つーことで販売価格判断DIが前回の予測が未達になっているというのが実にこうアレな状態になっておりまして、物価目標達成ェ・・・・・・・という所ではあるのですが、企業収益的な観点からすると仕入価格判断DIの方も前回の予測が未達になっているという結果になっていますので、そういう意味ではチャラではあるのかねと思うのでありました。
・毎度お馴染み金融商品取引業の業況判断DI
毎度お馴染み金融商品取引業業況判断DIですが。
(6月時点) (9月時点)
現状→9月予測 現状→12月予測
金融商品取引業 +14→+35 +22→+35
最近謎にあまりぶれなくなっているのと、予測が相変わらず楽観的というのは何でそうなっているのかが良く判らんですが、DIがあまりぶれないというのは市場のボラが低下している事と関係あるのかねとか思ったり思わなかったり。
・その他で言えば設備投資とか需給とか在庫とか
まあその辺は本職の方々が分析しておりますからご案内の通りだとは思いますが、設備投資がハードデータ対比で妙に強い数値が出てねえかというのがある一方で、需給判断DIとか在庫判断DIとかを見るとどう見ても在庫が増えて需要の方は伸びイマイチというような数値になっているのに、何で雇用と設備投資の判断がやたらめったら強いのよという辺り、何かやや謎が多い短観ではあります。
まあ何ですな、最近鉱工業生産の予測指数が全然当てにならないという流れとかがあるのを見ますと、足元の業況判断DIの未達も含めてマインド系の指標って無駄に強めに出ているようにも見えるのですけれども、実際の所は今後のハードデータを見るしか無いんでしょうなあという所で。
○さて3M短国入札
本日は期初一発目の3M短国入札(10年国債入札と言わない所があたくしのクオリティ)でございますが、結局期初になっても短期市場の国債のモノが足りない状態が絶賛継続中のようでありまして、TKRRは前日比低下するわ、短い所の利付国債の引値は軒並み強くなるわ、現先やGCレポは絶賛玉無芳一だわとなっておりまして、期初になって期末の調整玉分の売りで需給が緩むどころか、どマイナス金利で買うに買えずに卒倒していた人たちが金利がちょっとだけ付いた所で目を覚まして買いに回って需給が全然緩まんという実にこうあばばばばーな展開。
とは言いましても、期末需要分だけは確実に落ちている(短期オンリーの投資家なら兎も角、そうじゃない人の場合期末需要分はあくまでも最終調整玉なので今から手当てをする事は無いでしょ)ので、まあさすがにゼロだのマイナスだのという話にはならんでしょという程度の話。
何せ今申し上げたようにレポレートの方がアガランチ会長(どころか下がっている)という状況になっております関係上、強い所で短国ホールドしてもファンディングコスト的に何とかなるという状況ですし、需給が仮に緩むようなものなら日銀クラウディングアウト部隊が高性能掃除機の如く民業圧迫買入で需給を締めてしまいますので、今日の入札と明日の短国買入がどう出るのかというのが注目されるにはされますな。つーて結局需給が締まって金利が低いという状況は変わらないでしょうけれどもね(吐血)。
○そういえばMPMプレビュー雑談
何か最近「追加緩和」みたいなネタの問い合わせ(??)も来るので雑談ですけどね。
えーっとですな、円債の方では必ずしも追加緩和ネタ主流ではないと思うのですけれども、それ以外の所では10月の展望レポート(なので来週のではないが)で追加緩和がどうのこうのというのが良くネタになっているみたいなので頭の整理代わりにちょっと論点整理。
まずですな、今の政策の建付けは金融政策決定会合後の声明文から主要部分を抜粋するとこうなる訳ですよね。以下はいずれも前回金融政策決定会合後の声明文から引用。
『日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。マネタリーベースが、年間約60〜70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。』(項番1から)
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。』(項番5から)
ということでして、つまりそもそも論としてQQEはオープンエンドで行いますよというのと、その政策の内容としてMB拡大が年間60〜70兆円というのがある訳で、基本的な政策フレームがMBの拡大な訳ですよ。
・・・・・・・・・・でまあ最近時々「付利下げ」という話を出してくる人がいるみたいなのですが、オペレーション技術上の観点からしますと、MB拡大が難しくなってきているから短国買入の金利がマイナスまで突っ込んでいる訳でして、付利下げを実施してしまうと超過準備保有のインセンティブが低下してしまいますので、MB的には縮小方向への圧力を掛ける事になりますからそれは普通せんわなと思う訳で。
そらまあ金融政策のフレームをまた金利に戻してしまえば別に良いのですけれども、ECBの動きを見れば分かりますように超過準備マイナスチャージとかしちゃうとドンドン超過準備が減るように、量的な部分では縮小方向になってしまいますので、それは「マネーの拡大でインフレ期待を高めて実質金利を低下させて金融政策効果を」という枠組みを全面改訂する事になりますので、まあ普通に考えて無理だと思います。
あともう一つあるのは、固定金利オペとか貸出支援オペとかの固定金利貸出の金利が0.1%固定になっておりまして、3か月のオペは兎も角として4年の貸出とか固定でやっているのがどうなりますねんという話もありますわな。でまあそういうのは制度変更してしまえば良いみたいな乱暴な話も時々聞きますけれども、それって「貸出条件の変更」ですから契約上の概念からするとイベントオブデフォルトにも程がある訳で、かつての電力債の一般担保を反故にしようという言説に猛烈に噛み付いたアタクシとしては同じ文脈でそれはドイヒーにも程があると思う次第。つーかまあそういう「後付で条件変更」みたいな事をすると、金融政策運営のコンフィデンスの問題になって、それこそコミットメント的な金融政策を実施するのが難しくなると思われます。
あと聞くネタとしては「来年以降のマネタリーベース拡大について明文化する」という話なのですけれども、まあそれ自体は「ただの紙」ではあるので出すという可能性は無いでは無いとは思いますが、そもそも「2年で達成しないと責任を取る」と大口を叩いた置物副総裁がおいでになる中で、来年以降のMB拡大ペースがこのまま継続しますというのを紙として出すとなりますと、当然ながら「日銀は2年で目標達成することを諦めたからもっと長い期間のMB拡大を続けると表明した」という事になりますので、置物大先生の進退問題マダー?という話になるのでどう見てもパンドラの箱です本当にありがとうございましたという所です。
それに加えて連日アタクシが悪態をついております短国市場の問題があって、そらまあマイナス無限大利回りまで日銀が買えばとりあえず短国発行額全部買うとか出来ますけれども、既に市中発行額対比で3分の1の買入残高を抱えているストック効果がこれだけ出る中で、更に買入残高を年間20兆円拡大できますかというような話になるので、ここの技術的な問題の考察というか見極めが必要だから、先先のMBをどうするという話は、今の建付けのように『安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続』というオープンエンドにしておいて微妙な状態に置いておくしかないと思いますけどね。
その他の追加緩和ネタとしては、「国債の買入ペースがもっと増える」というのは調節技術上の問題としてMB拡大を維持するために短期が買えないのなら長期を買えば良いじゃないですか方式での拡大は思いっ切りあり得ると思いますが、もしかしたら2年で2%を達成するかもしれない訳で(相当難しいとは思いますが)何もそれを今から明言する必要はないですし(したがって12月以降のどこかではアリエールと思う)、「消費税増税サポートでの追加緩和」というのはそもそも論として2回の消費税増税を織り込んだ上での経済物価見通しを立てて、しかも(ハードデータは怪しいものの)短観などに示される指標は見通し通りの推移となっている状況ではまあ無いですなという所。
しかも、消費増税単体の影響に関しては黒田総裁は会見などで何度もリカードの中立命題を踏まえて説明している訳ですから、経済物価見通しが下振れて展望レポートの先行き見通しを大きく下げないといけないような状態にならない限り追加緩和アクションをするという話にはよーならんでしょとゆーところでございます。
ちなみに、MBを更に拡大しやすくする為には付利下げではなくて超過準備付利金利を更に引き上げした方が超過準備積み上げインセンティブが生じるので日銀の資産買入がより円滑に進みますし、所要準備にも付利しちゃえば預金保険料とかコスト的に赤だから今は普通やっていないと思われる金融機関預金もちったあ受け入れやすくなって(真面目に計算して居ないから知らんが)当座預金制度の外側にある資金の吸収手段が拡大して更に買入拡大しやすくなるような気もせんでもないし、海外中銀のデポに付利しちゃうとか、まあ基本的に今の政策を今後も拡大したいとなりますと付利をより広範囲に付けないと回らないと思うのですけどねえ。
#まあそれによって拡大したMBが実際に何の意味があるのかは意味不明としか申し上げようがないですが
2014/10/01
お題「末初市場メモ/ロックハート総裁講演続き/金研ディスカッションペーパーシリーズが超面白そう」
期初ですかそうですか。というか「2年で2%」まであと半年ですなあ(ニヤニヤ)。
○末初メモとか
うむ。
http://www.jsda.or.jp/shiryo/toukei/trr/index.html
東京レポ・レート
一応T+0の翌日物で0.8bp、T+1の翌日物で1.8bpという数字になっているのですが、そうは言いましても相変わらず現先とかレポとか物無芳一状態が継続しているようですので、カレンダーベースで期末要因が剥落する本日以降の動きも見たい所ではあるのですが、まあ月曜の時点で短い所の気配は甘くなったようですがレポとか現先のレートを見るとそんなに派手派手に玉が出た訳ではなさそうですな、うんうん。
ただまあ何ですな、期末要因剥落で残高調整の為にニーズのあった短期国債については基本的に年内償還物(の筈)でして、その辺の銘柄って今回の期末モノ無し騒動で買えなかった最終投資家的にはアウトライト的にそんなにニーズが無い筈で、次の12月末残高とかその次の3月決算時期での状況を懸念とかそういう話になると思われますので、そっちにはニーズがあるけれども残存1か月とかその辺の銘柄に関してはレートが相応に調整しないとニーズ無いでしょうなあとか考えますと、3M以降はニーズが強くて手前のニーズ少ないとかの構造から短期逆イールドの巻(うっかりしたらレポGCが一番高いとか)が当面定着しそうですなと勝手に妄想。
まあこれこそが日銀買入の「ストック効果」だと思うのですけれども、資産買入の効果に関してはFEDなんかでもフロー効果とストック効果の話を自由自在にその場で都合の良いテキトーな話をしている節がありますが、おそらく有意にストック効果が出ていると思われる日本の債券とか短国の市場をネタにして分析レポート誰か出しませんか(お前が出せというツッコミは却下)と思います。
ちなみに短期方面ではコールとかその辺まで含めて余資が全部潰せるのかというような問題もこれまたあばばばばー(マイナス金利では潰せない人がいるので)ではありまして、これに関しても日銀の資産買入が拡大して超過準備が拡大した場合に、バランスシート制約が発生してコールの調達ニーズが皆無になるというのが懸念される話になる次第で、昔の量的緩和の時と違って付利金利がある分だけ状況はマシ(というか無かったらこんなに買入できない)なのですが、物理的なバランスシート制約に引っかかるとかになった場合にこのままで3月末大丈夫かという話はありますので、まー結局の所無茶なMB拡大を何とか着地してくれないと弊害の方がでかいわという話ではありますけどね。
○ロックハート総裁は景気にはやや強めだが利上げタイミングは慎重
ということで昨日の続き。
http://www.frbatlanta.org/news/speeches/140925_speech_lockhart.cfm
http://www.frbatlanta.org/documents/news/speeches/140925_speech_lockhart.pdf
Key Questions for Monetary Policy
Dennis Lockhart
President and Chief Executive Officer
Federal Reserve Bank of Atlanta
昨日纏めの部分を引用してしまいましたのでかなりカバーしているのですけどね(汗)。
・経済見通しはSEPの中心的見解の上限辺り
『Let me lay out in broad strokes my sense of the outlook. I expect GDP
(gross domestic product) to grow at an average annual rate of 3 percent
this quarter and next and through next year. Inflation, by most measures,
is running below the FOMC's longer-run target of 2 percent. I expect inflation
to firm up gradually as the economy continues on a 3 percent growth track.
And I expect unemployment and underemployment to continue to decline at
a steady pace.』
ということで実質成長率は3%で見ているのでSEPの見通しの中心的な見解の上限辺りなのですけれども、物価と雇用に関しては特段強気で見ている訳ではないという話なので、そういう話をしていませんけれども潜在成長率をやや高めに見ているという話ですな。
『I think the country will approach a condition near full employment by
late 2016 or early 2017. I'll ask you to keep this forecast in mind as
I walk you through five questions confronting policymakers.』
で、完全雇用に達するのが2016年終わりごろという見通しになっているのでSEPの中心的な見解と変わらんですな。で、以下は5つの論点に関してというお話でして・・・・・・・・・・・
・3%成長は持続的なのかという話ではドル高の問題点に言及
『Question 1: Is the 3 percent growth story holding up?』という小見出しの所ですがね。
『Yes, it appears so. 』で始まるのは当たり前で、その先には足元の上下の振れと3Q見通しの話をしているのですが、その辺はパスしまして、先行きのリスクに関しての部分でこんな指摘があるのがキタコレでありますよ。
『However, consumer activity per se has been growing only at a tepid pace,
especially if you exclude auto sales. To be confident in an outlook of
3 percent or greater growth, we need to see consistency in consumer spending.』
今後の持続的な3%成長には個人消費の持続が必要とな。
『The housing sector also raises some concern, and the recent appreciation
of the dollar may dampen export activity in coming months.』
ということで、住宅セクターの話はさておきまして、ドル高が今後の経済活動に与える悪影響について言及しているのがほほーという所です。
『In some respects, I view GDP growth as a means to an end. A chief end
is full employment. The question is whether the pace of growth is enough
to sustain progress in reducing underutilization of labor resources in
the economy. Will we get enough growth to continue to shrink labor market
slack? That sets up the second question.』
そんなわけで労働市場のスラックに参ります。
・労働市場のスラックについて
『Question 2: How much labor market slack remains?』という小見出しから。
『Federal Reserve policy makers face the question of how much labor market
slack remains. In its post-meeting communication last week, the Committee
repeated the claim that significant underutilization of labor resources
persists. I agree with this view.』
ということですので、まあ少なくともロックハート総裁がタカ派サイドに回る感じは今の所無いという結論になりそうですな。でまあ色々な指標を見る(具体的には時間当たり賃金とかパートタイム比率とか階層別失業状況とか就労状況とかの話をしています)とやはりスラックはあるという話をしておりまして、結論はこうなっています。
『The current level of headline unemployment is still some distance from
my notion of full employment. And the gap between headline unemployment
and broader measures suggests there is more work to do before we should
be satisfied with employment conditions in the country.』
という順当な説明ではあるのですが、ヘッドラインの失業率以上のスラックがありますよという話をしておりますので、まあハト風味でしょうなあと。
・物価についても見方は慎重
『Question 3: What is the risk of inflation?』ですけれどもね。
『One way to assess the extent of labor slack is by observing wage pressures.
Wage growth for the most part has been quite slow. We are not yet seeing
much indication of broad-based wage or compensation pressure. Rising wages
can be viewed as a link between employment conditions and broad price pressures,
or inflation.』
つーことで基本的に注目されるのは賃金というこれまた順当な説明。
『Inflation is always a central banker's concern. I frequently hear a question
about what inflation risk might be associated with keeping interest rates
so low for longer. That's question three.』
うむ。
『As I said earlier, inflation is running below the 2 percent target the
FOMC established in January of 2012. Inflation ran considerably below target
for most of 2013 and early in this year. We saw some encouraging firming
of prices in the spring, but recently measures of inflation have backed
up a little.』
『Separating short-term and transient effects from the underlying trend
is always challenging. In its fundamentals, inflation is reflecting what
are still, in my view, lukewarm demand conditions. I expect the inflation
rate to rise only gradually to a sustainable 2 percent.』
ということで、足元の振れはあるものの、物価上昇の基調はあまり強くは無い(下がるとは言っていない)ってな説明になっていて、まあ普通に物価に関しては強気でも何でも無いというのがGDP見通しの数字とややズレがあるなあという所です。
『There are two legitimate inflation worries. One is persistent undershooting,
with all this would imply for the strength of economic activity. The other
is an overshoot that gets out of hand. At this juncture, I'm more concerned
about a persistent undershoot. I am relatively sanguine about the risk
of a strong and undesired upside surge in inflation. Inflation expectations,
which are very influential in shaping real outcomes, continue to be firmly
anchored. Also, in talking to business contacts, I hear almost no claims
of pricing power.』
ということで物価のリスクに関しては上昇よりも低下のリスクの方を見ていまして、物価に関してはGDP見通し対比でかなり慎重という所ですな。
・金融安定化に関して
『Question 4: What about financial stability?』というのがありますけれども・・・・・・・・・・・
『Another important question about the risk associated with keeping rates
so low for longer is this: What risk of financial system instability might
the Fed be feeding? Are we inviting another financial crisis?』
という論点なのですが・・・・・・・・・・
『It's clear that U.S. equity market indexes are hitting historic highs.
It's clear that buoyant bond markets are pricing in some continuation of
ultra-low interest rate policy. And it's clear that investors have been
searching for yield for quite some time.』
サーチフォーイールドの動きもclearと仰せとは!!と思うのですけどこの先の指摘はと言いますと。
『As a policymaker, I have to think about two scenarios. The first is that
bond markets are somehow surprised in the coming months and that the transition
to a period of tightening is disruptively and destructively volatile. Last
year's so-called "taper tantrum" in the bond markets is something
to avoid.』
ということで、ファイナンシャルスタビリティの話なのですが、最初に出している懸念が「金利正常化の時に市場金利が急騰した場合」という話をしておりまして、いやそれは別にファイナンシャルスタビリティちゃうやんという話ですな。
『The second scenario would resemble the recent financial crisis, not perhaps
in its particulars, but in the sense that it was a systemic event.』
まあこっちは判るが。
『To my mind, the key filter in assessing risk levels in this regard is the word "systemic." 』
システミックリスクになるかどうかが重要な論点とはその通りですなあとしか申し上げようがない。
『I am comfortable that being patient regarding liftoff until the middle
of next year or perhaps a little later will not bring on a systemic financial
event.』
金利正常化過程が金融システミックリスクになるというのは普通あり得んだろうと思うのですが、ここで「being
patient regarding liftoff」とか、昨日ネタにしたスーパーハト派のシカゴ連銀エバンス総裁が良く使う「patient」を使ってくる(ちなみにそっちの講演はネタにしていませんが、先日(24日)はエバンスさん「Patience
Is a Virtue When Normalizing Monetary Policy」というお題での講演をしています)辺りがハト風味を出していますな(GDP見通しは強いけど)。
どうも前回のTaperでの金利上昇に懲りてしまって、羹に懲りて膾を吹くの状態になっている感がありまして、だいたい中立派に近めだった(と思ったが)ロックハートさんでも
「patient」な正常化プロセスで市場金利のヒャッハー上昇を避けたいという話をしている辺り、FEDは全体として利上げに結構慎重じゃねえのとは思わせる所ではあります。
#でも一旦利上げサイクルに入ったらFOMC毎に25bp上げてくると思いますが
『I take comfort in the much-strengthened defenses of the banking system,
financial institutions in general, and financial regulators. I take comfort
in the enhanced capital levels of the most systemically important institutions.
I think defenses are dramatically improved, and the resilience of the financial
system is measurably stronger than in 2007.』
という話はしているものの、サーチフォーイールドの話に関して懸念がどうのこうのとかそういう話はしておりませんで、まあ何ちゅうかタカ成分の少ないロックハートさんの見解ですなという所で。
なお5つ目の質問は地政学リスクの話なので割愛します。
○これは素敵なペーパーが出ております!!!
http://www.boj.or.jp/research/imes/dps/dps14.htm/
金融研究所ディスカッション・ペーパー・シリーズ
2014年収録分
今回の更新分で何が垂涎かと申しますと、ジャンルの「金融史」モノが2本出ていることでありまして・・・・・・・
http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/14-J-13.pdf
日本銀行の対民間信用供与における「国債担保貸出」の位置づけについて
http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/14-J-14.pdf
1980年代における金融政策運営について:アーカイブ資料等からみた日本銀行の認識を中心に
ちなみに両方とも結構な量なのですけれども、今日は後者の方からちょっとだけ。
(再掲)
http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/14-J-14.pdf
1980年代における金融政策運営について:アーカイブ資料等からみた日本銀行の認識を中心に
・冒頭部分を読んだだけでもう涎が(^^)
本文に入る前の目次を見ただけでも既に涎が出てくるのですが(^^)、章の見出しだけを引用しますとこの通り。
『T.第 2 次石油ショックへの対応(1978 年末〜1980 年夏)
U.為替相場を意識しながらの公定歩合引き下げ(1980 年夏〜1981 年前半)
V.貿易摩擦に配慮しながらの慎重な緩和(1981 年後半〜1983 年秋)
W.貿易摩擦の拡大と金融政策、日米円ドル委員会(1983 年秋〜1985 年夏)
X.「国際政策協調」の進展と金融政策(プラザ合意からルーブル合意まで)
Y.内需主導の経済成長と金融政策(1987 年春〜1989 年春)
Z.金融引き締めとその継続(1989 年春〜1991 年夏)』
もう見出しを見ただけでお腹一杯になれますけれども(^^)、要するに金融政策運営が国際協調とか為替とかそっちに従属して動いている期間が長くて、まあその結果がお察しの結末となったという話でして、本文1ページの部分の『はじめに』の所に詳説がありますのでその辺でも。
で、話の流れから「はじめに」の途中となります本文2ページ目から引用します。
『この時期の金融政策運営を歴史的観点からみると、以下に挙げるように、金融政策運営上の教訓となる大きな経済変動を経験する中で、その後の金融政策運営の柱となった考え方や金融調節手法等が生まれるきっかけとなったという点で、大きな転換期であったと位置付けることが可能である。』
新金融調節キタコレですねわかります。
『このうち、金融面の不均衡の問題(バブルと金融政策との関係)については、これまでも採り上げられることが多かったが、対外不均衡是正への配慮から中長期的な物価安定を目指す方向への移行、金融自由化の進展に対応した金利機能の活用という観点でも、1980
年代は転換点として重要な位置づけにあるということができる。』
まさにそうですな。
『@ 80 年代を通じ、対外不均衡是正に配慮した金融政策運営を行わざるを得ない状況が長く続いたが、80
年代末になると、政策運営上、中長期的な物価安定を目指す方向へと徐々に移行していったこと。』
『A この間の資産価格やマネーサプライ、銀行貸出の大幅な変動については、相応の注意は払われていたものの、そのマクロ経済への中長期的な影響に関する評価は不十分なものであり、この経験と反省が、中長期的な物価安定を達成するうえで金融面の不均衡にも配慮するとの、その後の日本銀行の金融政策運営に対する考え方につながっていったこと。』
『B 金融自由化の進展に対応するため、従来の規制金利体系を前提とする金融政策運営手法から、短期金融市場の金利機能を活用した金融市場調節中心の金融政策運営手法への転換に着手したこと。』
ということでAの所の説明をもうちょっと引用します。
『・後世からみてバブルの拡大を許したとされる 88 年において日本銀行は、本格的な引き締めに移行しなかった。その背景には、それまでインフレを助長しかねないとして警戒していた投機的な動きが一服する一方で、高成長を前提とする設備投資の増加が供給能力の拡大を通じて物価安定に寄与すると考えており、むしろ引き締めの必要性が若干薄らいだと考えていたことがあるように窺われる。』
『・ 引き締めの効果が拡がりつつあった 90 年末以降については、景気の腰は強いとの見方を維持し、バブル崩壊に伴うバランスシート調整の潜在的な影響を深刻に受け止めることはできず、むしろバブルに陥った経済の正常化が日本経済の健全な発展につながるとの考え方に立って、91
年前半まで引き締めを継続した。』
バランスの良いレビューですな。で、その次が何気に味わいががががが(^^)。
『・日本銀行は、70 年代後半以降、金融政策運営にあたってマネーサプライを従来以上に重視するようになった。もっとも、日本銀行は、マネーサプライを公式に金融政策の目標と位置付けたことはなく、あくまで、金融政策運営上、他のさまざまな指標とあわせて注意を払う情報変数のひとつとして位置付けていた。』
なるほど。
『また、80 年代に入ると、金融自由化の進展により、マネーサプライと物価との関係が不安定化したこと等が指摘された。日本銀行は、他の指標とあわせてマネーサプライにも一定の注意を払いつつ金融政策を運営するとのスタンスを継続したが、80
年代後半にはマネーサプライの高い伸びが観測されていた時期があったにもかかわらず、物価が安定していたこと等から、長期にわたり金融緩和を続けた。』
直線番長ェ・・・・・・・・などとツッコんではいけません。
・参考資料がこれまた味わいが
最初の所に戻って引用しますけどね。
『本稿では、日本銀行金融研究所アーカイブ保管資料(以下、アーカイブ資料)をはじめとする同時期に作成された資料を活用しつつ、金融経済情勢や金融政策運営について、当時の日本銀行からみた認識を整理する。』
『日本銀行アーカイブには、当時の日本銀行が作成した資料が数多く残されている。著者たちは、多くのアーカイブ資料を読んだが、これらのアーカイブ資料の中でも、日本銀行内部の会議である支店長会議や民間銀行首脳との懇談会などの場で総裁が行った挨拶の原稿、総務局長・営業局長から支店長あての私信形式の通知類は、当時の政策関係部局が作成したものであり、日本銀行の情勢判断や政策スタンスを知る上で貴重な情報を含んでいるように窺われた。』
これは凄い。
『本稿では、これらの資料のほか、日本銀行が発行した『調査月報』や外部の出版物を通じて日本銀行関係者が明らかにした見解等から示唆される経済情勢認識や政策運営に関する考え方について整理することにする。』
てなことで、脚注の所を見るとこんな説明があります。
『3 資料をみる限り、本稿が対象とする時期において、支店長会議は年 4 回(1
月、4 月、7月、10 月)行われ、その席上における総裁挨拶の原稿は、総務局長(機構改編のため1981年2
月以前は総務部長、1990 年6 月以降は企画局長)名で、事後的に局室研究所長、支店長、海外駐在参事あてに通知された。また、地方銀行首脳との懇談会は年9
回行われ、その席上における総裁挨拶は、総務局長名で、支店長、事務所長に通知された。外部には支店長会議における総裁挨拶要旨を公表していたが、これらの総裁挨拶では、金融経済情勢のほか、当面の政策スタンス、やや長い目でみた政策運営上の課題等について、より踏み込んだ見解が示されている。』
『4 「総務局長(総務部長、企画局長)私信」は、随時、総務局長の個人名で支店長あてに通知された。また、「営業局長私信」は、随時、営業局長の個人名で支店長、事務所長あてに通知された。いずれも、職名としての局長ではなく局長の個人名で発出されたものではあるが、そこに記述されている情報は、組織として共有されたと考えられる。このうち、金融政策変更時に発出された「総務局長私信」には、政策判断の背景等について、同時に対外公表された文書より踏み込んだ記述があるように窺われる。また、「営業局長私信」のうち四半期毎に送られていた通知では、窓口指導の基本方針、およびその背景となった市中銀行の融資姿勢や貸出先の資金需要に関する情報が記載されている。』
・・・・・・・・もうここの文言を見るだけでお腹一杯になれますが、『1 日本銀行金融研究所アーカイブは
1999 年に発足し、歴史的資料の収集・保存・公開を順次進めている。2014 年3
月末現在、約81,000 フォルダーの資料が目録に掲載されている。』との事ですので更にワクワクテカテカですな。
・・・・・・・・てな訳で、イントロのイントロの部分だけ引用しましたが、途中の「コラム」でも『コラム
3 金融自由化と短期金融市場運営の見直し』とか『コラム 4 窓口指導の推移』とかあって涙がちょちょ切れそうなのがあります(というか面白かったですよ)ので、その辺からちょこちょこ見ていくのもオヌヌメしたいと存じます。