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2013/03/29
お題「黒田総裁の参議院半期報告関連雑談/いまさらですがFOMC会見より(ただし冒頭部分のみ)」
さあ来期の発射台は10年0.50%ですよウェーハッハッハorz
#モーサテで株式の話をしているゲスト解説者の説明が清々しいまでのポジショントークで金融相場万歳もっと株買え不動産買え長期国債買って当預100兆じゃ足りないんじゃとかクレクレにも程があるがここまでポジショントークであることを丸出しにすると悪態つく気にもならんwwww
○参議院での半期報告で追加ネタ投入をしたのかベンダーが煽っているのか
火曜日の衆議院に続いて昨日は半期報告が参議院財政金融委員会で実施されまして、大門先生の質問とかもあったようですが、イマイチベンダーがバカスカヘッドラインを打ってくれないので残念無念という所ですが、衆議院も含めまして会議録が後日出るのでかなり楽しめそうでございます。
んでまあしょうがないのでブルームバーグニュースから引用してネタを拝見する訳ですけれども、黒田総裁におかれましては最近笛吹けど為替市場と株式市場が踊ってくれないせいなのかどうかは存じませんがネタを投入したのか、ベンダーが発言内容を煽り方向で強い書き方にしているのかが良く判らんのでその辺は判断を留保した方が良い気もするのですが(だから会議録のテキストを当たってちゃんと前後の文脈をみないといけないのですけれども・・・・・・・・)気になるのが2か所ほどあったのでニュースベンダーベースの発言を少々ネタに。
つーことでブルームバーグニュース。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MKCKKH6KLVSF01.html
黒田日銀総裁:実現されるまで金融緩和を続ける−2%の物価目標 (2)
更新日時: 2013/03/28 13:52 JST
・自分の尾を追う犬になっちゃうの???
『黒田総裁はさらに、「何よりも、この2%の物価安定目標を達成するというコミットメントを強く意識しながら、必要なことは何でもやるという対応で行きたい」と表明。「市場の期待を裏切らないように、実際にも大胆な金融緩和を行っていく」ことが不可欠と述べた』(上記URLより)
「市場の期待を裏切らないように」云々というのはベンダーのヘッドラインで思いっきり出ておりまして、えーっと総裁それは市場のクレクレに対応して追いまくられるというアラン・ブラインダー氏のいう「自分の尾を追う犬」になっちゃうんですかとか、為替とか株式市場からしてみれば「この総裁は催促相場をすると催促通りにモノが出てくるぜヒャッハー」という印象を与えるヘッドラインでそれは中央銀行のトップとして脇が甘かろうとは思ったのですけれども、そもそも黒田総裁この前の就任会見ではこういう話をしていた訳で。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1303e.pdf
12ページ目にありますが。
『(黒田総裁) 1 問目の「市場との対話」ということですが、これは、別に大げさに何か宣伝をするとか、あるいは、市場関係者が色々と言っていることを、ずっと全部、金融政策がフォローしていくとか、そういうことではないわけです。あくまでも、市場の状況をよく把握する、市場関係者の議論はよく把握すると同時に、政策委員会で決めた金融政策は分かり易く市場関係者に浸透させていく、それを助けるということが――英語ではfacilitate
と言います――、市場との対話を強める意味で非常に重要だと思います。その点については、私ども3
人は最大限の努力をしていきたいと思っています。』(上記URLにある総裁就任記者会見から)
という風に話をしたのがつい先週でして、まあこの「市場の期待を裏切らないように」というのは「市場のクレクレに対応しますよ」という話では無くて、単に気合というかやる気の表明をしただけだとは思うのですが、調子に乗って変な言い方をしちゃってますなあというような所なのか、やっぱり市場のクレクレに弱いのかはこのニュースワイヤーだけではニャンとも。
・2%を「達成するまで」緩和を続けるとな????
もう一つえーとなったのは思いっきりヘッドラインにもありました部分ですが・・・・・・・
『3月28日(ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁は28日午前、参院財政金融委員会で「通貨及び金融の調節に関する報告書(半期報告)」の概要説明を行い、その質疑の中で、2%の物価安定目標について、「それが実現されるまで金融緩和を続ける」と表明した。』(最初のブルームバーグニュースのURLより、以下同様)
てな感じで思いっ切り報道されていまして、ブルームバーグが参考になるようにという事でその続きにこんなのが。
『日銀は1月の金融政策決定会合で、2%の物価安定目標の実現を目指し、「実質的なゼロ金利政策と金融資産の買い入れなどの措置を、それぞれ必要と判断される時点まで継続する」ことを決定した。これに対し、宮尾龍蔵審議委員は同会合以来3回連続で、実質的なゼロ金利政策を「消費者物価指数の前年比2%が見通せるようになるまで継続する」との議案を提出したが、1対8の反対多数で否決され続けている。』
ということで、そらまあこのヘッドライン見たら「コミットメント文言でこういう言い方になるのか?」ってな連想が出るぞなもしという所なのですが、これまたさっきと同様で単に気合というか決意というかやる気の表明をしているにしてはちょっと調子に乗り過ぎですぞなもしという話。
つまりですね、金融政策を実施したら即座に物価が上がったり下がったりするというのであれば「2%を達成するまで緩和継続」でも良いのですけれども、当然ながら金融政策が物価に効果を与えるまでにタイムラグがある訳でして、目標値が2%だったらその手前から金融緩和政策の正常化に向けた施策をしないと、今度は目標を上振れて目標未達になると思うのですが大丈夫でございましょうかとゆー話でして、まあそもそもこの通りに発言したのか、前後の文脈がどうなのか、というのはあるのですが、このニュースワイヤー通りの発言だとちょっと脇が甘い罠という感じですな。
まーそれ以前に2%という数値はアクチュアルの数値なのかそれとも見通し数値なのかとか、金融緩和を継続するというのは別にそれは金融緩和の拡大を継続するという意味では無いから、途中でその金融緩和を縮小するというのも含めているんだろうとか、ここに出ている話だけだとその辺の細かい話がワカランチ会長ですのでこれまたニャンとも言えないのですけれども、少なくともベンダーヘッドラインベースではこういう報道のされ方をするというのがうーむという感じですな。
・ベンダーヘッドラインが無駄に威勢が良くなるリスクですな
てなわけで昨日の参議院での半期報告では黒田さんの発言が威勢の良いトーンでベンダーヘッドラインに踊っていた訳ですが(ただし市場はあまり反応して居る節は無かったが)前任の白川総裁の時には発言を捉えて一々「白川総裁はやる気が無い」「緩和を求める政府サイドと対立しまくり」というようなニュースフローになるべくヘッドラインが打たれていたのですが、黒田総裁の場合はその逆で、昨日の発言に関してもまあ気合とかやる気を見せるだけの発言だったのかも知れないのに、その発言が思いっきりニュースの題名になってしまって「威勢の良い発言」がやたらフレームアップされるという傾向ですなあというのはまあ今に始まった事では無いですが、今回の一件を見てて思いました。
んでもってそうなりますと、先ほどの「市場の期待を裏切らない」じゃないですけれども、ベンダーなどが発言のうちの「勇ましい部分」を強調して煽る→為替市場や株式市場が「勇ましい政策」を期待するとなって結局無駄に期待が高まる分反動のリスクもでかくなりますし、一方でそれこそ今朝のモーサテに出ていたどこかの誰かさんじゃないですが、クレクレが嵩じて「中央銀行が不動産購入基金に金を出せ」とかナンジャソラとしか申し上げようがない(だったら国の不動産売却止めさせた方が良いんじゃないですかニヤニヤニヤ)話をおっぱじめて期待にワクワクテカテカで、期待に答えりゃ筋悪政策答えなければ失望相場となり催促クレクレ相場が始まるとか、大変にアレな事態になるリスクというのが高まっておりますなあという気がするのでありました。
・黒田さんと関係ないがこの質問は酷い
さっきのブルームバーグニュース見ててこの質問はナンデスカと思ったのを引用。
『質疑では、民主党の金子洋一氏が、白川方明前総裁は2014年以降は金融政策を裁量的に運営すると述べたことについて、金融緩和の効果がなくなってしまうのではないか、と質問。これに対し、黒田総裁は「2%の物価安定目標を政策委員会で決めたわけなので、当然、それが実現されるまで金融緩和を続けるということに尽きる」と語った』(最初のURLのブルームバーグニュースより)
まあここにありますように、黒田総裁の発言は別にフォワードガイダンスとかコミットメントの意味で発言したのではなく、単にやる気を見せるための発言だったんじゃないのかなあと思うのですが、まあ当然ながらベンダー的にはオイシイ発言なのでさっきのニュース題名みたいな形にして、あたかも黒田総裁がフォワードガイダンスとしてそういう発言をしたという風に取れそうな報道にされているのですがそれはそれとして金子氏の質問は何ですねん。
いやあの従来も日銀は2014年以降はオープンエンド買入を実施して2%物価目標に向けて努力するという風に表明している訳で、「金融政策を裁量的に運営すると述べたことについて、金融緩和の効果がなくなってしまうのではないか」とは何なんでしょというお話。まるで2%物価目標はキニシナイで裁量的に運営すると白川さんが言ったかのような話になっているのはワケワカランぞなもしという所ですし、大体からしてどこの世界にインフレ目標を機械的というか硬直的に運営している国があるんじゃとゆーことで「フレキシブルインフレーションターゲット」ってのがありましてですねえという所。
まあ念の為この前の日銀の公表文と白川総裁の質疑応答を引用しておく。
1月決定会合の声明文より
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130122a.pdf
『日本銀行は、上記の物価安定の目標の実現を目指し、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置を、それぞれ必要と判断される時点まで継続することを通じて、強力に金融緩和を推進する(注3)(注4)。その際、資産買入等の基金の運営について、現行方式での買入れが完了した後、2014
年初から、期限を定めず毎月一定額の金融資産を買入れる方式を導入し、当分の間、毎月、長期国債2兆円程度を含む13
兆円程度の金融資産の買入れを行う(資産買入れ額の内訳は別紙2のとおり)。これにより、基金の残高は2014
年中に10 兆円程度増加し、それ以降残高は維持されると見込まれる。』
『日本銀行は、上記の物価安定の目標のもと、金融緩和を推進し、これをできるだけ早期に実現することを目指す。その際、日本銀行は、金融政策の効果波及には相応の時間を要することを踏まえ、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から、問題が生じていないかどうかを確認していく。』(以上上記URLより)
1月決定会合後の定例記者会見より
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1301a.pdf
『(問) 2 つお聞きします。先程、できるだけ早く2%を実現することを意識した場合に、期限を定めない買入れ方式に変えたことについて、より効果的だと判断されたとおっしゃいました。今までの時間軸といいますかコミットメントは、物価上昇率1%を見通せるようになるまでゼロ金利と資産買入れを続けるというものでした。今回は、1%が消えて2%という目標になった一方、時間軸の約束については、いつまでか全く分からない、より裁量的になったとも言えるのではないかと思います。そうした状況にもかかわらず、買入れ方法の見た目を変えただけで、どのような効果があるのでしょうか。コミットメントは、中央銀行の行動を制約することによって金利に影響を及ぼすものと思いますが、そういう制約が曖昧になったとすると、どのような効果が見込まれるのか。これが、1
つ目の質問です。(以下割愛)』
『(答) 1 つ目のご質問の趣旨を必ずしも明確に理解したわけではありませんが、日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とし、これをできるだけ早期に実現することを目指すという方針です。この方針のもとで、消費者物価の前年比上昇率が1%を超えることを見通せない現状においては、2014
年初以降、当分の間、毎月13 兆円程度の買入れをしていくという考え方です。先程も申し上げた通り、物価の上昇率は長らく低い状態が続いてきたわけです。この物価上昇率が、現実に上がって、例えば、1%を超えてくる見通しになってきたその時に、どの様な予想物価上昇率の変化が起きてくるのか。あるいは、成長力強化の取組みが実を結んでくる時に、今これだけの金融緩和を行っているわけですから、その時にどういう影響が出てくるのか。これを、今の段階で正確に見通すことができれば、もちろんそういうコミットメントあるいはガイダンスもできるでしょうが、そういう見通しをすることが現時点では難しいということだと思います。そうした状況の中で、私どもが将来の金融政策運営について、一定のガイダンスを与えることを考えると、先程申し上げた方式が最適と判断しました。(以下割愛)』(以上上記URLより)
えーっと、こちらを見ましても「裁量的に運営する」というような趣旨の発言はどこにもなく、単に「2%は今からだと遠すぎなのでその頃どうなっているか判らないからガイダンス文言を細かく書けないんです」という発言をしているようにしか思えませんがねえ。金子先生の質問がそもそも実際にどういう発言なのかが会議録見ないと正確な事が言えないのでニュースワイヤーの報道ベースで申し上げるのも恐縮ですが、これじじゃあ捏造とは言わないですけれども悪質な印象操作じゃないですかねえと思ってしまいたくなる訳ですよ。
つーかね、日銀批判の際にこの手の手法が出てくるのって多くて、発言の一部をフレームアップしたり、言っていない事をあたかも言っているかのような言い方して印象操作するってのは何なんでしょうねえとゆー所ではあるのですが、まあ気になったのでネタにしてみましたぞな。
○などと書いていたら引用大会の時間がががががorz
http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20130320.pdf
Transcript of Chairman Bernanke’s Press Conference
March 20, 2013
冒頭の説明部分のみで恐縮至極。昨日まで初稿版でしたが今朝見たら最終版になっています。まあ過去の経験からしますと初稿版と最終版には大きな差は無い筈です。
・資産買入政策およびバランスシート拡大のプロコンについて
2ページ目の真ん中あたりから資産買入政策に関する説明を行っています。まあここを見ますとタカ派の鉄砲玉委員が色々と言っていることには討議はしてますぞなとは言いつつも資産買入は続けますが何か?という毎度の調子のようでありますな(^^)。
『As you already know from the policy statement, we are continuing the
asset purchase program first announced in September. This decision was
supported by our review at the meeting of the likely efficacy, costs, and
risks of additional purchases. Let me briefly summarize the cost-benefit
analysis supporting our decision.』
つーことでこれから毎回この説明をするのかどうかは謎ですが、資産買入に関しては毎回FOMCでそのメリットデメリットを比較分析して買入の継続(または増減)について判断する、という建付けにしておりますので検討した結果についての説明が。
『Although estimates of the efficacy of the Federal Reserve’s asset purchases
are necessarily uncertain, most participants agreed that these purchases-by
putting downward pressure on longer-term interest rates, including mortgage
rates-continue to provide meaningful support to economic growth and job
creation. However, most also agreed that this monetary tool would likely
not be able on its own to fully offset major economic headwinds, such as
those that might arise from significant near-term fiscal restraint or from
a sharp increase in global financial stresses.』
金利引き下げ、モーゲージ金利の引き下げも含めて、これらが成長や雇用創出をサポートしますが、これらのツールは財政問題や世界的な金融ストレスなどに対しては十分なオフセットが出来ない、と昨日申し上げた部分でして、つまりは下振れリスクを意識する中でそう簡単に資産買入の規模縮小とかを行いませんよという話をしている、という解釈になると思いますがどうでしょうかね。
『We also had a thorough discussion of possible costs and risks of continued
expansion of the Federal Reserve’s balance sheet.』
継続するバランスシート拡大の可能性のあるコストやリスクについての討議も実施とな。
『The risks include possible adverse implications of additional purchases
for the functioning of securities markets, and the potential effects-under
various scenarios-of a larger balance sheet on the Federal Reserve’s earnings
from its asset holdings and, hence, on its remittances to the Treasury.』
市場機能の低下とFedの収入に関する話が最初に出てくる辺りがまああまりコストは今気にする事では無いという結論を強調する気満々。
『The Committee also considered possible risks to financial stability,
such as might arise if persistently low rates lead some market participants
to take on excessive risk in a “reach for yield.”』
どう見ても一番のコストなりリスクなりはこれだろ(スタイン理事講演ネタが途中でしたなすいません)と思いますが、これを3番目に言及している辺りがもうコストやリスクを気にせんで良かろうという逆さ絵先生の本音が思いっきり出ている部分で実に清々しい。
『In the Committee’s view, these costs remain manageable but will continue
to be monitored, and we will take them into appropriate account as we determine
the size, pace, and composition of our asset purchases.』
まあ結論は当然ながらこの通りという所です。
・閾値に達したから直ぐに正常化プロセスに入る訳では無いという話も強調
決定内容の説明をした直後にこんな部分が。初稿版だと3ページ目のケツですがファイナルだと4ページ目の冒頭になります。
『I should note, as I have on other occasions, that the economic conditions
provided in this forward guidance are thresholds, not triggers.』
ここも毎度強調されていますな。
『Crossing one or more of these thresholds will not lead automatically
to an increase in rates. Rather, the Committee will assess at that time
whether the outlook justifies raising its target for the federal funds
rate.』
ですです。
『This guidance will help market participants assess how the Federal Reserve’s
interest rate policy is likely to respond to economic developments, but
its broader purpose is to assure households and businesses that monetary
policy will continue to support the recovery even as the pace of economic
growth and job creation picks up.』
カナダ中銀のカーニー総裁もガイダンスに関して「金融政策の説明を分かりやすくするもの」というような説明をしていますが、まあこういうのが最近の潮流です罠。
『In their individual projections, 14 of the 19 FOMC participants saw the
first increase in the target for the federal funds rate as occurring in
2015 or 2016.』
というのも強調しておりまして、まあ足元で雇用関連の指数が強いので市場が変に出口政策ヒャッハーとならないように今回はだいぶ気を使っているなあという所ではございます。
・資産買入とフォワードガイダンス
んでその直後に改めてこんな説明が。
『Let me comment briefly on how the two main pieces of our policy accommodation-asset
purchases and guidance about future changes in the federal funds rate-fit
together.』
ほう。
『The purpose of the asset purchases is to increase the economy’s near-term
momentum, with the goal of improving the outlook for the labor market and
helping to promote a self-sustaining recovery with price stability. The
forward rate guidance, in turn, provides information about when the Committee
will begin considering the removal of policy accommodation through increases
in the target for the federal funds rate.』
さよですな。
『Importantly, the Committee expects a considerable interval to pass between
the time when the Committee will cease adding accommodation through asset
purchases and the time when it will be appropriate to begin removing accommodation
by moving the federal funds rate target toward more normal levels.』
資産買入の拡大規模を縮小(資産を縮小するのではない)するのと実際にFFレートを正常化させる事に着手するまでには相応のインターバルがある事をFOMCは予想しますとな。
『As always, in deciding on the appropriate stance of policy, the Committee
will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum
employment and inflation of 2 percent.』
でまあバランスアプローチを強調する。という所でしたが、今回の会見の冒頭説明部分では出口政策ヒャッハー相場にならないように気をつけた言い方をしてますなあという所ですな、うんうん。
2013/03/28
お題「FOMC会見ネタ(の前振り)/その他雑談」
ほほう。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MKC5PU6S973201.html
NY外為:ユーロ、1.28ドル割れ−イタリア政局とキプロスで
更新日時: 2013/03/28 05:26 JST
○雑談とか人のふんどしとか
・岩田一政さんェ・・・・・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MK9HZJ6K50XW01.html
「2年は無理、5年も困難」、物価目標2%の実現−岩田元日銀副総裁
更新日時: 2013/03/27 11:21 JST
だいたいからして「岩田元副総裁」と書いてヘッドラインを打たれると木久扇師匠なのか一政なのか混同しやすいにも程がある(最初にヘッドラインを見た時に誤報だと思ったぞな)ので表記を考えてくれという風に思いますがそれはともかくとして。
『3月27日(ブルームバーグ):日銀元副総裁の岩田一政日本経済研究センター理事長は、黒田東彦総裁が率いる日銀新体制について「強力な布陣で、2%の物価目標の実現にはベストに近い組み合わせだ」と評価した。一方、同総裁や岩田規久男副総裁が主張する2年での目標達成は無理があり、「5年で達成するのも決して容易ではない」と述べた。』(上記URLより)
立場変われば人変わるですねわかります。
『岩田氏は26日のインタビューで、次回4月3、4日の金融政策決定会合で予想される政策として、@資産買い入れ等基金の長期国債購入と成長通貨供給のための輪番オペの統合A日銀保有の国債残高を日銀券発行残高以下に制限する「日銀券ルール」の撤廃B購入国債の年限の制限撤廃C期限を定めない買い入れ方式の5月からの実施−を指摘。月々の国債購入額は現在の約4兆円から6兆円に拡大するとの見方を示した。』
えーっと、銀行券ルール撤廃は良いのですが財政ファイナンス懸念への担保はどうするのでございましょうかと存じますし「購入国債の年限の制限撤廃」って何じゃそらという話でありまして、何かそういや昨日の日経新聞1面でも追加緩和観測記事(あれ内容がどう見ても単なる憶測記事だろというか正直アタクシの駄文レベルで天下の日経新聞の朝刊1面トップ記事になるのかよと呆れたのですが)「基金と輪番の統合」という話をしているのに「基金での買入国債の長期化」という話をしているのが枠組みお前判ってるのかという話でして、そもそも基金と輪番を統合したら後の問題は買入年限をどう割るのかという話になるので、その時点で基金買入年限がどうこうという話はどこかへ飛ぶ筈なんですけど。
まさか一政先生は輪番についてゾーン別買入を無くそうという話を『購入国債の年限の制限撤廃』という事に含めているのでしょうか、わかりません。
しかし更に判らんのは『期限を定めない買い入れ方式の5月からの実施−を指摘。月々の国債購入額は現在の約4兆円から6兆円に拡大する』の方でして、一昨日あたくしがテキトーに予想というか妄想した時も月5兆円にするのは良いけど年限別割り振り考えるとフィージビリティー的にどうよとか考えて細かい計数を考えるのが途中でハタと止まってしまったというのに、月6兆円とか無理ゲーにも程があると思うのだが。つーか月6兆も買ったら単純計算で年間72兆でそんなの2年も3年も継続できないと思うのですけれども(つーかまあ月5兆でも途中で相当大変になるのだが)どうなんでしょうねと。
米国みたいに一旦残高どどーんと増やしてその後のオープンエンドは規模を抑えめにするというのであれば判るのですが、昨日も申し上げたように元々日銀の国債買入は「償還がバカスカ来ることを前提にして買入の額を嵩上げしている」という技を使っているので、その嵩上げモードのままで買入の満期構成を思いっきり長期化しちゃうと明らかに無理ゲーになってしまいますので、そもそも買入残高を増やさないでも大変なのに月に2兆以上も増やせるかよお前もうちょっと具体的にどういう風な出来上がりになるか考えて物を喋れよヴォケと小一時間問い詰めたい所で、具体的政策のフィージビリティーというものをもう少し考えて発言をして頂きたい物である、と思いましたです、はい。
・2年国債入札でどうでも良い雑談
今日は2年国債入札ですが、0.035%だの何だのという大変にお洒落な状態になっておりまして、この際ドイツを見習って(??)ゼロクーポンの2年中期利付国債という不思議な物でも発行しないのかなとか思って人に聞いてお前それは無理と指摘されたので雑談。
えーっとですね、以前中期割引国債というものがございまして(最近は発行していないのでもう残存しているものも無い)まあ要するにゼロクーポンの国債で利札の処理を期中にしなくて良いので本券渡しで購入して供託金とか担保金(後納郵便の担保金とか、業界で補償制度を作っている時に出す担保(宅建業界のとか)いうのがよくあるパターン)に使っているとゆーのがございましたが、この形式の債券についてはクーポンが無いので利子課税が無い代わりに発行時に18%の源泉分離課税(今年の1月から18.378%になっています)が源泉徴収されて売買されていた訳ですよ。
んでもって、これまた昔に金利がクソ高い時代にディープ・ディスカウント債とかディファード・ペイメント債とかあって、端的に言うとクーポンを物凄く低くしたり、利払いを物凄く後に寄せることによって実質的に利子源泉課税負担回避または軽減とかの意図があったんでしょうなあという所なのですが、当然ながら税制様がそのようなものを放置するわけもなく、これらの債券は割引債みなし商品とされまして、償還差益に対する18.378%(昨年までは18%ね)が発行時に源泉徴収される形になるのですな。
ということで、そのディープ・ディスカウント債なのですが、現在「7年未満で0.1%を下回るクーポン」が対象になりますので、つまり残念ながら0.1%を割るクーポンの国債は今のところは発行されないという事になるのでありました(^^)。
・人のふんどしシリーズ
高橋洋一先生ファン(違)の「what_a_dudeの日記」さんの直近エントリー
http://d.hatena.ne.jp/what_a_dude/20130321/p1
2013-03-21 ツッコミどころが多すぎてどこから突っ込んでいいのかわからない記事に細かく突っ込んでいくテスト
いや不肖このアタクシも洋一先生の当該記事を拝読した時に何をどうツッコんで良いのか判らないので電波浴シリーズのネタにしようと思っても出来ないという残念な状態でしたが、大変に勉強になりましたです。
machineryの日々さんの直近エントリー
http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-551.html
誰が賃上げをするのか?
2013年03月25日 (月)
コメント欄も含めまして勉強になりました。と申しますかワタクシの駄文を引用して頂きまして誠に恐縮至極でございますm(__)m
確か官邸ホームページだか何だか(とっさに出てこない)で賃上げをしている企業の顕彰でもしたいのか取り組みご案内とか出していてどこのシャカイシュギだよとか思ってしまう今日この頃ではございますが、賃上げしてもそれがサステイナブルじゃなければ消費の拡大にも繋がらないように思えますし、そもそも企業業績が改善しないと賃上げそのものがサステイナブルにならないですし、正社員の一時金が上がったのは良いけれども非正規雇用の従業員などにその分の皺寄せが来るのでは何のための賃上げなのか意味判らんですし、まあ結局の所成長戦略が大事ですよねという話になるんでしょうかねえ。
○すっかり遅くなりましたがFOMC記者会見
今回は26ページ組になっています。
http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20130320.pdf
Transcript of Chairman Bernanke’s Press Conference
March 20, 2013
引用大会は諸般の事情により明日行いますが(汗)。
・冒頭説明に関して
冒頭説明は当然ながら声明文をベースにした話をしているのですが、その中で強調されているのが「金融緩和政策、特に資産買入に関して早急に見直すという気はあんまりございませんなあへっへっへ」という所でございます。
つまりですね、説明の中で資産買入の効果について話をしている部分があるのですが、この中で資産買入の効果を説明しながら「これらの政策ツールは財政制約によって起きる問題やグローバルな金融市場のストレスによって起きる問題を十分にオフセットすることができない」というような話をして、つまりは下振れリスクの有る中で資産買入政策を停止するという選択肢は取りにくいですよねというような話をしている部分がございまして、まあそうだろうなあという感じではあります。
あと、低金利政策の閾値に関しても「閾値はトリガーでは無い」という事を強調していまして、まあこれは従来からの説明ではあるのですが、閾値に達したとしても経済状況を勘案しながら判断するので、達したからと言っても低金利政策を必ず止める訳では無いという話をしています。
#詳しくは明日にでも
・大体主要な質問は3つ
質疑応答が22ページ分あるのですが、今回は主要な質問の論点は大体3つに絞られていると思います。
つまり(1)資産買入政策の縮小あるいは停止について、(2)米国銀行の所謂「Too
big to fail」問題に関して、(3)キプロス問題あるいは欧州問題全体について、という大体3点になっていたかと思います。
んでもってその答えですが、それぞれを1行で超要約をしてしまうと、(1)いやもうプロコンとかはちゃんと見ますけれども足元で直ぐに縮小とか停止とか無い無い無い、(2)「Too
big to fail」問題に関してはまだまだ改善していく余地が大きくこれからも関係各位と取り組みます、(3)キプロスに関してはそうはゆうても米国に直撃弾にはならんでしょでも欧州政策当局ちゃんとやってよね、という所だと思いますが、それで終わりにするのも何ですというか、特に(1)の部分については色々と論点が出ていたのでこれまた明日にでも(^^)。
でまあ明日にでも攻撃ばかりですがお洒落な質疑応答があったのでそれを引用。最後から2番目の質疑なのですけれどもね。
・BISビュー的考えにも一定の配慮とな
『CATHERINE HOLLANDER. Catherine Hollander from National Journal. You argued
in a 1999 paper and a 2002 speech that monetary policy was not the right
tool for addressing asset bubbles. But in January, you suggested that there
might be a role for it even if not as the first line of defense. Has your
thinking on the issue evolved and can you explain why?』
ということでいわゆるFEDビューバリバリからちょっと微修正しているように見えますがどうっすかという質問。
『CHAIRMAN BERNANKE. Well, I still believe the following which is that
monetary policy is a very blunt instrument. If you are raising interest
rates to pop an asset bubble, even if you were sure you can do that, you
might at the same time be throwing the economy into recession which kind
of defeats the purpose of monetary policy. And therefore, I think the first
line of defense--I mean, I think, we have a sort of a tripartite lines
of defense.』
つーことで、金融政策はツールとしてはぶっきらぼうなもの(というか大鉈みたいなものというか)ですのでバブル退治のために真っ先に金利政策を割り当てるというのは好ましくなく、監督などの手段が最初の退治のディフェンスラインとして使われるべきでしょうと考えておりますとな。
『We start off with very extensive and sophisticated monitoring at a much
higher level and much more comprehensively than we've had in the past.
Then we have supervision and regulation where we work with other agencies
to try to cover all the empty or uncovered areas in the financial system.
And then, in addition, we try to use communication and similar tools to
effect the way that the financial markets respond to monetary policy. So
we do have some first lines of defense which I think should be used first.』
かつてに比べて監督やモニタリングの精度も向上しておりますと。
『That being said, you know, I think that given the problems that we've
had not just in the United States, but globally in the last 15, 20 years,
that we need to at least take into account these issues as we make monetary
policy. And I think most people on the FOMC would agree with that.』
ということですが・・・・・・・・
『What that means exactly depends on the circumstances.』
ほう。
『I think if the economy is in very weak condition and interest rates are
very low for that purpose, it's very difficult to contemplate raising rates
a lot because you're concerned about some sector in the financial sphere.
On the other hand, if you're in an expansion and there's a credit boom
going on, that--the case in that situation for making policy a little bit
tighter might be better.』
ということで、経済の状況次第では利上げをバブル対応に割り当てるのがベター(ただし「making
policy a little bit tighter」という程度の話ですが)な場合もあるでしょう、という風にかなーり条件付きでそんなの当たり前じゃという気もしますが、まあ「バブルは崩壊してから大胆に緩和して対処すればヨロシ」といういわゆるFEDビューバリバリの方法一点張りは無理があるという事をご認識になられているようで何より。まあバランス取ってますよね。
『So as I've said many times, I have an open mind in this question. We're
learning. All central bankers are learning. But I think I still would agree
with the point I made in my very first speech in 2002 as a Governor at
the Federal Reserve where I argued that the first line of defense ought
to be the more targeted tools that we have including regulatory tools and
to some extent macroprudential tools like some emerging markets use.』
ということで、考えはこれからも自分たちだけではなく変遷するでしょうが、まあ今のところは2002年の講演をベースに考えたいとの言い方で締めてはいますが、そういうことで柔軟な(というか現実に起こった事からしたら当然だが)言い方になってますねという所でほほうと思ったので引用してみました。
2013/03/27
お題「市場が色々とヒャッハー状態とな/黒田総裁の国会半期報告関連」
いう事がコロコロ変わるわ遵法精神も怪しいのが何で政党代表なんですかねえ。
http://mainichi.jp/select/news/20130326k0000m040077000c.html
橋下市長:職員アンケ不当労働行為認定 謝罪を撤回
毎日新聞 2013年03月25日 23時32分(最終更新 03月25日 23時52分)
でまあいう事がころころ変わるのが適当にやっているのかというと、何か先に謝罪をしておいてそれを報道させて印象を作っておこうという計算をしているんじゃないのこの人というのが更に何だかねえという所ではあるのですが。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130325/waf13032511380007-n1.htm
橋下市長、完敗「大変申し訳ない。謝罪しなければ」
2013.3.25 11:36
しかし謝罪から撤回まで1日無いとか何なんでしょうね。
○超長期とか短期とかがあばばばばーというメモ
・超長期値動きヒドス
昨日の、というかここの所超長期テラヒドスな展開が続いておりますが、昨日は寄りではフラット→何か知らんがその後いきなりスティープ→その後また盛大にフラット(して先物も高値更新)→前場引けに掛けて失速→後場スティープ、というのは何となく把握した(もっと激しかったような気もしますが)のですが、その間何があったかというと特段無く、まあ一応黒田総裁の衆議院での半期報告で引き続き長い期間の国債買入についての発言があったというのが材料になった事にはなっていますが、たぶんその前からフラットしだしていたと思いますし、大体からして黒田さんの発言自体は従来から黒田さんが主張していた話ですので、それをネタに今さら超長期を買い上げるというのはちょっとワカランチ会長で、単なる後付のような希ガス。
つーことでまあ要するに需給というかちょっと大きめの売買が入るといきなり値段が飛ぶと言う大変に素敵な状況になっておられる、というのが足元の超長期様の状態で大荒れにも程がございます。いやまあ期末要因はあるかもしれないのですが、値動きが荒い→マーケットメーカーのオファービットが開く→さらに値動きが荒くなる→マーケットメーカーの(以下連続)という見事な一種のバンドワゴンのような状態になっていて、これがまあ通常だと値動きが荒くなると投資家の動きが止まって売買が止まるので単独での馬鹿動きが止まりますという風になるのですが、時期的に期末で期末特有の投資家の帳尻成行売買が入るのでバンドワゴンが止まらないんですかねえ、良く判りません><
何せ日中の動きもそーですけど、日本相互証券の引値で見ると月曜には10年-30年が6毛5糸フラットして、昨日は5毛スティープとかもう何だかねという所でございますぞなナンジャソラという所ですが、これじゃあ業者のオファービットも開かざるを得ません罠。
・短期ゾーンもあばばばばー
珍しくこんな所のURLを。
http://www.jsda.or.jp/shiryo/toukei/trr/index.html
東京レポ・レート
そこのページにありますように、昨年の10月末から従来日銀が集計公表していた東京レポレートは日証協が集計公表しているのですが、そちらに『東京レポ・レート(一覧)』というのがあるのでそこをクリックすると素敵な物が(リンク先はエクセルになりますのでこちらかの直リンは行いません)ございまして、そこのT+1スタートの翌日物というのを見ますと昨日のレートがいきなり0.03%まで急低下しておりましてあばばばばーとしか申し上げようがない展開。
まー朝から(というか前日の引け後らしいですが)GCの買い(資金運用)意欲がやたら強くて一方で調達側は玉無し芳一となっておりまして当然ながらレートが全力低下となり、期末要因での現物買いとか、債券現先ニーズの拡大とかが背景にあるんでしょうけれども、それにしてもいきなりキターという動きになってあばばばばー状態。
昨日の3か月TB入札落札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130326.htm
(3)募入最低価格 99円98銭9厘5毛 (募入最高利回り)(0.0403%)
(4)募入最低価格における案分比率 83.4790%
(5)募入平均価格 99円98銭9厘7毛 (募入平均利回り)(0.0395%)
期末期初の為(TB入札と発行が期末跨ぎを避ける)今回は発行日が木曜(28日)となり、足元のGCレート急低下物無し芳一モードに対する干天の慈雨となった訳ですが、何せ足元物無しを反映して平均は貫録の0.04%割れ(ちなみに先週の3か月は平均0.0417%足切り0.0421%)となったのですが、セカンダリーではショートカバー要因なのか0.03%まで出合った(さすがにその後少し押したみたいですが)とかナンジャソラ状態。
市場推計(というか金融ファクシミリ新聞さんの集計ですが)によりますと所謂不明玉は8000億円弱と通常よりも少なめ(ちなみに前回も1兆ちょっと切る程度)なのですが、良く良く落札分布みると大手証券さん2社合計で2.9兆円ほど落札していて、空振り業者さんがいたのですねという動き。
まーそんな状況ですからして新発TBが供給されるので普通だとGCレートが上昇してもよい筈の木曜スタートのGCレポレートもろくすっぽアガランチ会長となっておりまして、短国の買いなのかGCの買いなのか現先ニーズなのか、というか恐らく全部の合わせ技だと思うのですが、まあいずれにせよおそロシアとしか申し上げようがないあばばばばーな展開になっております。
まー期末になるとキャッシュ潰しニーズが炸裂して短国金利などがヒャッハー状態になるのは良くある話なのですが、今回は前日までは特に物無しという程でも無かったGCが急にヒャッハー状態になってレートが過激に低下というのがひえーという感じではありまして、期末期初の場合何がタチが悪いってTB入札を年度跨ぎで行わない事から新発発行が少々ズレる(まあ見合いの償還もずれてはいますが)ので玉無しヒャッハー状態になるとそれが暫く継続することで、ここへ来てヒャッハーとか恐るべし。
でまあ超長期の方はさておきまして、短期の方なのですが、金利低下するのは金融緩和政策効果とか喜んでいればよいかというとこれがまた微妙な所でありまして、よーは玉無しであばばばばーとかなっているという状況で、金利で解決している分にはまあシャーナイナイで済むのですが、日銀様の買入による絶賛玉吸い上げがあまりにも進展すると当座預金残高30兆円台時代にもありました「国債不足」状態になってしまいまして、それは即ち「優良担保不足」という事になってしまいまして、まあ既に瀕死状態ですけれども資金取引市場が担保制約面から干上がってしまい、何かのストレスに弱い質的な意味での(普段は顕在化しない)引き締まり状態になってしまうリスクが高まりますぞなもしとゆー所で。
まあ昨日てきとーに当座預金残高目標100兆円(でもまあ当預ターゲットやるなら100兆を目指してという話になるでしょあの人たちの事だから)とか申し上げましたが、50兆そこそこのこの状態で既にヒャッハー状態になってしまって本当に当座預金残高を目標のように積めるのでしょうかねえ短い所だけだと無理無理無理なんじゃネーノとまあそういう話になりますなあとか思った昨日のまるで堤防決壊の如き短期市場資金大奔流の巻でございましたとさ。
○黒田総裁国会半期報告
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130326a.pdf
「通貨及び金融の調節に関する報告書」概要説明
まあ前半はどうでもよいので黒田さんの意向を反映していると思われる後半から。
『(金融政策運営)』
『次に、日本銀行の金融政策運営について、ご説明申し上げます。日本経済は、15年近くも、デフレに苦しんできました。これは世界的に見ても異例なことです。物価が下落する中で、賃金・収益が圧縮され、投資・消費が減少することで、更なる物価下落に陥るという悪循環は、日本経済を劣化させています。デフレからの早期脱却は、日本経済が抱えている最大の課題です。』
ほうほう。
『物価安定は中央銀行の責務であり、デフレ脱却における日本銀行の役割は極めて重要です。日本銀行は、これまでゼロ金利政策や量的緩和政策を行ったほか、最近では、包括的な金融緩和政策を通じた金融緩和の推進、金融市場の安定確保、成長基盤強化の支援といった様々な取り組みを行ってきましたが、デフレ脱却には至りませんでした。』
ほうほう。
『もとより、わが国の物価の低下圧力を与える要因としては、海外からの安値輸入品の増加、規制緩和などに伴う流通の効率化、それらと相まって生じた企業の低価格戦略や家計の低価格指向の拡がりなど、国内外に多々あります。しかし、そうした影響に対抗して物価の安定を実現するのが中央銀行としての日本銀行の責務です。実際、世界中で、これほど長期間にわたってデフレが続いている国はほかにありません。』
とまあこの辺は就任記者会見での話と同じですの。
『政府が「大胆な金融緩和」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」から成る「3本の矢」でデフレ脱却と経済再生を実現する方針を明らかにし、緊急経済対策などの対応を迅速にとったことが好感され、景気回復の期待を先取りするかたちで株価も回復し始めています。』
ふーん。
『なかでも、本年1月の「共同声明」は、政府・日本銀行が、それぞれの課題を明確に設定し、責任を持ってそれを実現することを宣言したものであり、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けた大きな一歩です。日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率で2%という「物価安定の目標」を導入し、この目標のもと、金融緩和を推進し、これをできるだけ早期に実現することを目指すことを決定しました。日本銀行としては、この「物価安定の目標」を一日も早く実現することが、何よりも重要な使命であると考えています。』
『これまで、日本銀行は、デフレ脱却に向け、国債だけでなく、社債、CP、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)など様々な資産を買い入れてきました。これは中央銀行の伝統的な手法を踏み越えたものですが、その規模や具体的な買入対象等については、「できるだけ早期に2%の物価上昇を実現する」という強いコミットメントを実現するために十分なものとは言えません。』
量の方はまあ判りますが買入対象も十分ではないと仰られましても何を買いますねん?????
『量的にも、質的にも大胆な金融緩和を推進していく必要があると考えています。』
まあこの辺も従来通りの話。
『また、金利引下げ余地が乏しい現状では、金融政策運営において、市場の期待に働きかけることが不可欠です。市場とのコミュニケーションを通じて、デフレ脱却に向け「やれることは何でもやる」という姿勢を明確に打ち出していきたいと考えています。』
ということでこれもまた期待に働きかけるという話を強調。
『さらに、政府との連携確保も重要です。金融政策は、政府の経済政策と整合性をもって運営することで、より高い効果を発揮できるものです。政府と日本銀行の「共同声明」では、デフレからの早期脱却と物価安定のもとでの持続的な経済成長の実現に向け、政府および日本銀行の政策連携を強化し、一体となって取り組むことを明記しています。また、政府は、機動的な財政政策、成長力・競争力強化、中長期的な財政健全化に取り組むこととされています。もとより、日本銀行は、自らの責任において、「物価安定の目標」の早期実現を目指して金融緩和を推進するものです。ただ、金融緩和と並行して、政府が「実需」を作り出し、消費・投資の拡大を通じて賃金・雇用を改善することができれば、そこから更なる物価上昇につながる好循環も期待できます。その際、財政運営への信認低下による金利上昇を避けるため、中長期的な財政健全化に取り組むことも重要です。「共同声明」に沿った政府の取り組みを期待したいと思います。』
ということで、一義的には日銀の責任という話をしていますが、政府の役割や責務に関して言及をちゃんとするようになっていますな最近は。
『今後の具体的な金融政策運営については、政策委員会・金融政策決定会合において、経済・物価情勢の点検を通じて市場への影響なども見極めつつ、日本銀行が持つ全ての機能を最大限に活用し、何が最も効果的であるかを検討して参ります。』
ということですが、28日に参議院で同じような半期報告が行われまして、その後4月3、4日にMPMがある訳ですが、さてこの日程で本当に4月3、4日に間に合うのかねというのは正直言ってロジ的に甚だ疑問がありますぞなもしという所です。
○関連して報道された総裁発言など
・黒田総裁の答弁をベンダーベースで
この半期報告に関しては質疑応答が後日国会の会議録として公表されますので、後日忘れないように確認したいと思いますが、とりあえずベンダーの報道ベースで。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MK8SCZ6KLVS601.html
日銀総裁:2年念頭に必ず日銀の責任で達成したい−物価目標2% (2)
更新日時: 2013/03/26 13:08 JST
『3月26日(ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁は26日午前、衆院財務金融委員会で「通貨及び金融の調節に関する報告書(半期報告)」の概要説明を行い、関連質疑に臨んだ。この中で、日銀が掲げる物価上昇率2%の目標について「2年を念頭に置いて、必ず日銀の責任において達成したい」と述べた。』(上記URLより、以下同様)
ということで、まあこちらもいつもの通りですが2年という点についての話は「行かなかったらまず説明責任」とか微妙なご発言を打ち込まれるどこぞの誰かさんとは違って今の所あまり日和りませんですなあ。まあコミットメントを強調して期待に働きかけるってえんですからそう簡単に日和られても困りますが(^^)。
『総裁は「これまで以上に大胆に質的、量的な金融緩和をする」と強調。日銀による市場の期待への働き掛けについて「デフレ期待から2%のインフレ期待に変えることで、設備投資や個人消費にもプラスに効いてくるのではないか」と指摘し、「期待外れにならないように量的、質的な緩和をする」と述べた。また、「マネタリーベースの拡大は必要だが、それだけでは十分ではない。質的な緩和も重要だ」と述べた。』
とのことですが当座預金80兆円いやまあどうでもいいですけど、まーこの辺りの話をしている分には従来通りなのですけれども・・・・・・・
『また、「毎月グロス(総額)でいくら買うかも金融調節上は重要な要因だが、金融政策の効果という面ではストックで見ていく必要がある」と指摘。「長期国債にしても短期国債にしても、ストックがどう動くかがイールドカーブを下げる、あるいは指標となる金利を下げる上で重要な要素だ」と述べた。』
・・・・・・・・・うーむ、ストックビューにするならストックビューでも宜しいのですけれども、その場合はオープンエンド買入に関しての作り込みとかも考え直さないといけない(短い所の償還がバカスカ来る事を前提にして買入のフローが大きくなるような作り込みになっているので、長期主体に変えた場合に今のフローベースをそのまま拡大した上に長期化とかしちゃうと日銀のバランスシート拡大ペースが相当速まる筈なので、途中に残高目標のような形で一旦止めをいれないと気が付いたらエライコッチャになるリスクが高まるし、かといってフローを減らすと積極緩和かどうかが見えにくくなるというジレンマ状態になる)のでその辺はムニャムニャと曖昧にしておいた方が吉のような気がします。
『その上で、来年から毎月13兆円の資産を購入する「期限を定めない資産買い入れ」についても、「うち10兆円は短期国債で、3−6カ月で償還されるので、グロスでいくら買っても残高はすぐにフラットになる。それに対し、長期国債は残存期間が長いので、ストックが増加する」と述べた。』
まあ長期債の人は国債の2兆円しか気にしていないのですけど、この辺をどうするのかというのは実は結構設計に苦労するでしょうなあとは思いますね。
『さらに、「日銀のバランスシートの負債側は非常に分かりやすい。マネタリーベースも日銀券と日銀当座預金が大宗なので分かりやすい。しかし、資産側は輪番オペで買っている部分と資産買い入れで買っている部分がどういう状況になっているか、一見分かりにくい」と指摘。「量的、質的緩和を進める上で負債側のマネタリーベースも重要だが、資産側も重要だ」とした上で、資産買い入れ等基金における長期国債買い入れと輪番オペを統合する案について「検討に値する」と述べた。』
ということですので、あながち昨日申し上げた「当座預金残高目標」と「基金と輪番統合して長期国債買入中心」のセット料理というのも外れていないかもとワクワクテカテカ。
『一方で、「マネタリーベースと物価の関係はかなり遠くなっている。マネタリーベースを増やすだけで直ちに物価が反応することは相当難しい」と指摘。その上で「量的、質的にさまざまな工夫を行うことによって実体経済に金融緩和を浸透させるとともに、強いコミットメントで期待に働きかけることが必要だ。そうしたことによって、1日も早く物価安定目標を達成したい」と述べた。』
当座預金残高を70兆円〜80兆円にしたらインフレ率2%は来年半ばに達成可能との高度な理論がどこぞの誰かさんが展開されていたように思えますが(^^)。
・麻生さん貫録の発言
でまあそんな中異彩を放つのが麻生財務大臣。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MK8SHX6KLVR901.html
麻生財務相:焦って奇をてらう必要なし−物価2%は日銀・政府連携で
更新日時: 2013/03/26 10:11 JST
『3月26日(ブルームバーグ):麻生太郎財務相は26日午前の閣議後会見で、黒田東彦日銀総裁就任後初めて開かれる金融政策決定会合を来週に控え、政府・日銀の共同声明に明記された物価目標2%について「焦って急に奇をてらって何でも前倒ししてやるというようなことを期待しているわけではない」と述べ、「確実に実行していただく施策をやっていただければ良い」との姿勢を示した。』(上記URLより、以下同様)
・・・・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー
『麻生氏は、デフレ下のインフレ目標の設定は容易ではないとした上で、「日銀にすべてお任せすることでうまくいかなかったのは経験として知っている」と述べた。また「政府として第2、第3の矢を確実に実行することで2%達成となる。日銀だけで2%達成なんて最初から思っていない」と述べ、財政出動や成長戦略の実施も併せた政府・日銀の連携の重要性をあらためて強調した。』
うーむ何というバランスの取れた発言(^^)。
#とか何とか書いておりましたので海外金融政策関連ネタが積み残し溜まっておりましてすいませんすいません
2013/03/26
お題「キプロスェ・・・・・・・/とりあえず異次元緩和とやらを妄想してみた(たたき台雑談系)」
選挙無効は初めてなんですね、ほうほう。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201303260057.html
「1票の格差」で衆院選無効<動画あり>'13/3/26
○キプロスェ・・・・・・・・・・
結局ハードランディングな内容で救済することになるとは。
http://www.consilium.europa.eu/homepage/highlights/eurogroup-reaches-an-agreement-with-cyprus?lang=en
Eurogroup reaches an agreement with Cyprus 25/03/2013
『On 25 March the euro area finance ministers reached a political agreement
with the Cyprus authorities on the key elements paving the way for the
future economic adjustment programme.』
『The aim of the programme is to form the basis for restoring the soundness
of Cyprus' public finances and the viability of its financial sector. The
programme's financial assistance envelope is estimated at up to 10 billion
euro. 』
合意したのは良いのですが・・・・・・
『Conditions relating to the financial sector
Two of Cyprus' largest banks - Laiki and Bank of Cyprus - will undergo restructuring right away.
Laiki will be resolved immediately. This will be done by splitting it into a "good bank" and a "bad bank".
While the bad bank will be run down over time, the good bank will be integrated
into Bank of Cyprus. Bank of Cyprus will be recapitalised through a conversion
of uninsured deposits (above ユーロ100 000) to equity and with the full
contribution of equity shareholders and bondholders.
"I would like to emphasise that none of these measures will affect
deposits below 100 000 euro. There should be no doubts about that. We reaffirmed
today the importance of fully guaranteeing these deposits in the EU",
said Eurogroup President Jeroen Dijsselbloem.』
ということで、これ出てた時は何か知らんが株とか為替とか好感しててユーロ上がったり株が上がったりしていたのですが、国の救済の為という名目でいきなり銀行窓口締めていきなり大口預金カット攻撃とか中々強烈な攻撃でしょうに。
ステートメントはこちら。
http://www.eurozone.europa.eu/newsroom/news/2013/03/eg-statement-cyprus-25-03-13/
Eurogroup Statement on Cyprus 25/03/2013 - Statement
今回の救済条件はAnnexに記載がございます。
『Following the presentation by the Cyprus authorities of their policy
plans, which were broadly welcomed by the Eurogroup, the following was
agreed:』
『1. Laiki will be resolved immediately - with full contribution of equity
shareholders, bond holders and uninsured depositors - based on a decision
by the Central Bank of Cyprus, using the newly adopted Bank Resolution
Framework.』
Laikiは預金保険を超えた部分の預金が全額カットになりますとな。
『2. Laiki will be split into a good bank and a bad bank. The bad bank will be run down over time.
3. The good bank will be folded into Bank of Cyprus (BoC), using the Bank
Resolution Framework, after having heard the Boards of Directors of BoC
and Laiki. It will take 9 bn Euros of ELA with it. Only uninsured deposits
in BoC will remain frozen until recapitalisation has been effected, and
may subsequently be subject to appropriate conditions.』
Bank of CyprusはLaikiのグットバング分を吸収(バットバンクは清算)して、預金保険を超えた部分の預金は当面預金封鎖されるとな。
『4. The Governing Council of the ECB will provide liquidity to the BoC in line with applicable rules.
5. BoC will be recapitalised through a deposit/equity conversion of uninsured
deposits with full contribution of equity shareholders and bond holders.』
Bank of Cyprusの株式と債権は全額カット、預金保険を超えた部分の封鎖預金はBank
of Cyprusの株式に変換されるとかオソロシスにも程があるんだが。
『6. The conversion will be such that a capital ratio of 9% is secured by the end of the programme.』
とまあそこまで荒療治をしてBank of Cyprusの自己資本比率が9%になるそうな。
『7. All insured depositors in all banks will be fully protected in accordance with the relevant EU legislation.』
預金保険範囲内の預金は全額保護されます。
『8. The programme money (up to 10bn Euros) will not be used to recapitalise Laiki and Bank of Cyprus.』
100億ユーロのEU/IMFからの融資はこれらの銀行への資本注入に使ってはいけません(預金カットの尻抜けになるからということでしょうな)。
『The Eurogroup is convinced that this solution is the best way forward
for ensuring the overall viability and stability of the Cyprus financial
system and its capability to finance the Cyprus economy.』
・・・・・・・・・と仰っていますが、金融(と観光少々)でメシ食っている国で国内第2位の銀行で預金保険を超過する預金を全額カットして、第1位の銀行では預金保険を超過する預金がいきなり株式に化けてしまうという豪快なプレイを行って「ensuring
overall viability and stability of the Cyprus financial system」とか言われましても多分それは違うと思うんですけれども。誰もキプロスの銀行に預金せんじゃろ(小口は除く)と思うのですけれども大丈夫ですかね。
とか思ってたらこんな地雷発言が。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE92O01320130325
キプロス支援策のベイルイン、危機解決モデルに=ユーログループ議長
2013年 03月 26日 04:12 JST
『[ブリュッセル 25日 ロイター] ユーログループ(ユーロ圏財務相会合)のダイセルブルーム議長(オランダ財務相)は25日、キプロス支援の下での銀行のリストラ計画について、ユーロ圏銀行危機の解決に向けた新たなモデルになるとし、銀行部門を整理する必要のあるその他の国もリストラ実施を迫られる可能性があるとの考えを示した。』(上記URLより、以下同様)
・・・・・・・・・・・orz
『同議長は未明に合意された支援策について、「リスクを低下させる」と評価。銀行が自力で資本を増強できない場合、株主や債券保有者に負担を要請し、必要なら預金保険対象外の預金者にも協力を要請するとの立場を示した。』
んな事言ったもんだから株は下がるわユーロは売られるわで火消し発言がユーログループの広報から出たようですが、これはその国のファイナンスが厳しい場合や、銀行の資本不足の場合などに、いきなり銀行預金カット攻撃が有り得るというこらまたハードクラッシュシナリオキタコレという話で、何なのこいつら金融危機からの教訓どうなってるのという所ではございますが、まあ四の五の言ってる余裕が無いのかも知れませんし、単に小国で欧州の洗濯機状態の特殊国家(なのに何故この国をユーロ通貨に加入させたのかの意味がさっぱりワカランというか当時の責任者出てこいという感じですが)だから気にしていないのかも知れませんが、まあこれで何かあった時に金融危機モード再来になるリスクというのは格段に高まったと言えるでしょうな。
○物は試しに「異次元緩和」を妄想してみる(たたき台^^)
2014年からオープンエンドの国債買入月2兆円を的中した(からと言って何かお得だったかと言われるとまあ困るのだが^^)このあたくしが(お得じゃないので自慢にもならない自慢)ちょっと異次元緩和とやらを妄想してみるのだが細かい計数について深く悩んでいないので計数の所詰めてそのうちリバイスするが先にここまでの想定を公開してみるテスト(^^)。
・たぶんポイントは「量の拡大」と「枠組みの簡素化」
昨日散々引用しました正副総裁就任記者会見(散々引用したので正直疲れたので今日はその反動^^)でございますが、黒田総裁の発言からは「2%目標の達成に向けて積極的に緩和を拡大する」というのと、「金融政策の枠組みを分かりやすくする」というのが伝わってくる訳で、ではその緩和によって何が起きるかというと「イールドカーブ全体を引き下げる」という効果という風になっています。
と考えますとまあ順当に考えれば「長期国債買入拡大」がメインになるというのはまあ誰でも予想できることでここまでは普通に考えられます罠。
一方で「分かりやすくする」の方はどうなんでしょとか考えると、これはもう妄想の世界になってしまいますけれども、あたくしの大予想(大妄想)では「当座預金残高の数値的な目標あるいはメド」と「基金と輪番を合わせた形のオープンエンド型長期国債買入」というセットをメインのメニューとして大々的に打ち出すという形で、メインディッシュは2皿とするっつーのでスッキリさせるとゆー所ではないかと妄想するのですがどうですかね。
でまあサイドメニューがリスク性資産の買入でして、現在のCPとか社債とかETFとかREITの買入に関しては当初の残高目途を達成するように買入を継続しますが、まあこちらはリスク性資産の市場が信用不安であばばばばーとかにならない限りはそんなに拡大しないという風にして、あくまでもオードブルのような扱いにするっちゅう所で。大体からして「量」が稼げないですし、ETFとかREITとかはこれ以上買うと市場規模対比で大丈夫か状態になりますし。
でまあ成長基盤強化の方はまあこれはこれで引っ込めると理念的にアレという事ですのでまあ継続になるんでしょうけれども、何せ市中金利の方がダダ下がり状態なのでニーズがあるのやらと。
んでもって固定金利オペと短国買入については目標残高から外して、当座預金残高目標を早期に達成するための資金供給手段として機動的(と言えば聞こえが良いが要するにガチガチの運用から逃れる)に活用ということで。
・・・・・・とごちゃごちゃ書いてみましたが、出来上がりとしてはこんな感じを妄想。
(1)当座預金残高目標(だかメドだか)100兆円
→まあ岩田副総裁の高級な理論によりますと80兆円でも1年半くらいで2%目標を達成するらしいのですが、念のためヘッジで20兆円積んで置くのと、桁が100兆円とかになると異次元っぽいじゃないですか!
(2)別建て管理としている資産買入基金の枠組みは本体でのオペに統合して、長期国債買入を月額5兆円で当面の間運営する
→オープンエンドの国債買入が月2兆円、輪番オペの国債買入が年間21.6兆円で月割りすると1.8兆円なのでオープンエンド始まったら月に3.8兆円の買入ですのでそれに1兆円おかわりをして月5兆円にすると年間60兆円。新規国債発行額よりも多いですよ(棒)。
でまあリスク性資産の買入は当初の基金による残高目標に向けて購入を継続。固定金利オペと短期国債の買入目標は廃止(固定金利オペそのものを廃止しても良いですが)して、当座預金残高目標の早期達成の為に当初ババーンと買入をするものの、国債買入が増えてくると暫時この量を調整するとか。
(3)いわゆる銀行券ルールに関しては物価目標の達成が見通せる事ができるまでは一時的に撤廃するものの、財政ファイナンスへの懸念を払拭する為に政府の中長期的な財政健全化に向けた取り組みを確認する(できれば政府に何かステートメントでも出してもらう)
などとまあテキトーにここまで考えるのは大した話では無いのですが、一番の問題はこのオープンエンド買入の年限割り振りをどうするのかというのと、出口政策のデザインをどう考えるのかという話(まあ出口に関しては当面とぼけて黙っていても良いのですが、そうは言っても何も考えずに投入するのは後後の事を考えると無責任なので公表するか否かはともかくとしてデザインは考えないといけませんわな)ですぞな。
で、年限割り振りですけれども・・・・・・
現在の形(年間買入額)
輪番オペ
〜1年:7.44兆円
1年〜10年:12兆円
10年〜30年:1.2兆円
変国・物国:0.96兆円
(輪番合計21.6兆円)
オープンエンドになった後の基金
1年〜3年:24兆円(2兆円×12)
でまあ合計45.6兆円になるのをここでどどーんと60兆円にするという事ですが、このまま年限割を継続すると、〜1年〜3年〜10年〜30年という割り振りになってそれは何か微妙に中途半端なので、〜5年〜10年〜30年位にザクザク切ってしまうというのはどうでしょうかねえ(実質的にAPPの買入年限が長期化されたようにみえる)とか思うのですがあまり受けないですかね。
あと、〜1年の部分は短国買入と統合してしまうという手もあるのですが、それをすると月5兆とか買えるのかねという説もあったり無かったりするので微妙。まあ1年〜5年〜10年とかにした方が綺麗な気もしますがそれで年60兆買うと普通に2年で当座預金残高100兆じゃ効かなく行きそうですにゃ。真面目に償還とか計算してないけれども。
で、細かい額についてはちょっと考えてみたものの、買う方に関しては国債発行計画の市中消化額を見ながら何となく適当に割れそうなのですが、バランスシート拡大ペースと平均残存期間の伸び方についてはまだ考えていない、というかさすがにそれは暇じゃないと考えられずそこまであたくしも暇では無いのでこの辺を見ながら考えてちょという所ですな、うんうん。
割り振り変えて中短期の金利を上昇させたら元も子もないので5年以下の配分はそれなりに厚くなる筈で、5年〜10年の所が新発有るのが10年だけになるのでそれほど増やせないという風になるのですが、そうすると見栄えが良くない(中短期偏重に見える)ので、APPの買入年限長期化という「見せ方」にこだわらないのであれば〜10年という形にしても良いのかもしれませんし、逆に〜2年〜10年という形にして、5年と10年の新発債のあるゾーンをどどーんと増やすような絵にした方が「見栄え」が良いかもしれませんね。
超長期に関しては元々月1000億円の所からだいぶ増発されましたので、まあ月3000とかにしても楽勝でしょ・・・・・・・などと書くと超長期ゾーンの投資家さんから苦情が来そうな気がするのでやっぱり具体的な計算は控えましょう(大嘘)。
などと今日はひたすら雑談で恐縮至極。
#まあ超長期の買入増える〜以上に連日盛大にフラットニングしている気がするんですけどね
2013/03/25
お題「就任記者会見要旨より:黒田さんが意外に普通、岩田さんはまあアレ、中曽さんは今回は空気モード」
金曜日の日銀当座預金残高速報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx130322.htm
当座預金残高 508,200
今日の日銀当座預金残高予想
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jp130325.htm
当座預金増減 +29,600
やったねパパ!あと27兆円増えたら物価目標2%達成だよ!!!!!!!
・・・・・・・という話はともかくとして以下大引用大会の就任記者会見である。何せ会見要旨が27ページありますし、最初ですので引用色々としなければとか思ったらとんでもない量になってしまいまして誠に申し訳ございません。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1303e.pdf
○黒田総裁編:積極緩和の話をしているのだが意外に穏当かつ原則論は概ね普通
そらまあ財務官まで勤めているのですから当たり前なのかも知れませんが、就任会見でもっと突拍子の無い話でもするかと思ったのですが意外に普通の話をベースにしながら当初の威勢の良い話も維持しているという所で、原則論は殆ど外していないし従来の日銀の説明も上手く取り込んでいる感じで、短期間でこれだけの受け答えをするとは正直感心しました。
・冒頭のご挨拶では組織としての立場、金融政策のアピール、金融システム安定を示す
冒頭の挨拶ですが、これがまた何気に普通というかちゃんとしているというかで、黒田さん恐るべしと思いましたぞなもし。
『(黒田総裁) この度、日本銀行総裁を拝命しました黒田でございます。なお、先程開かれた政策委員会において、委員の互選で議長に選任されました。よろしくお願い申し上げます。総裁就任に当たって、一言申し上げたいと思います。日本経済は、過去15
年近くもの間、デフレに苦しんでいるわけであり、このデフレから脱却して2%という物価安定目標をできるだけ早期に実現することが、日本銀行として果たすべき一番大きな使命であると思っています。』
とまあ最初に2%物価目標の話をしまして、
『従って、両副総裁とチームを組んで、その大きな目標に向けて最大の努力をしていきたいと思っています。もちろん、金融政策は政策委員会で決定されますので、具体的な金融政策の内容等については、政策委員会で十分審議をし、まさに審議を尽くして、適切な政策を打ち出していきたいと思っています。その際、私の経験や、色々な人的なネットワークなど、お役に立てるものがあれば、もちろん何でも活用してやっていきたいと思います。』
早速政策委員会での協議による意思決定という部分を次に入れる所が組織のヘッドとしての立場を強調していますの。
『何と言っても、物価の安定、それから、もう1 つの使命はもちろん金融システムの安定ですが、日本銀行がそういう中央銀行の役割を十分果たしていく上で──具体的に仕事を進めていく上で──、特に2
つの重要な点を考えていかなければならないと思っています。1 つは、金融や経済が非常にグローバル化しているわけですので、日本銀行の行う金融政策について、広く対外的にも、また市場関係者にも、十分クリアに説明するということ、また、金融システム安定の面で、中央銀行間で色々な連絡・協調が重要性を増していますので、そういった面でもさらなる努力をしていくことが必要だと思います。そうした面で、先程申し上げた通り私の経験や人的なネットワークがお役に立てばと思っています。』
と、ここで金融システムの安定と政策のアピールというか説明を述べていますな。
『もう1 つは、日本経済と言っても、東京・大阪・名古屋だけで経済が成り立っているわけではなく、全国津々浦々、様々な経済活動があるので、そういった各地域の経済・金融動向を、日本銀行が持っている、全国に張り巡らされた支店あるいは事務所の力を最大限活用して、地域経済や中小企業の状況をよく把握し、それを金融政策に役立てていくことが重要ではないか、そういった面での努力もさらなる強化が必要だろうと思っています。(以下単なる決意表明なので割愛)』
ということで地方支店の調査の充実みたいな話もしているとか良く考えていますな。
・物価安定目標関連や追加緩和に関して
2%達成の為に具体的にどうするのか、臨時会合を実施するのかという質問に対して。
『(黒田総裁) 白川前総裁のもとで、政策委員会が、既に2%の消費者物価上昇率を目標・ターゲットと定め、それをできるだけ早期に実現するよう、金融緩和を推進することを決めているわけですから、当然、これに沿って、最大限努力することになると思います。』
とまあこれは良いとしまして、
『この2%という物価安定目標は、政府と日銀との共同声明に明記されているわけですが、共同声明の中では、金融緩和とともに、機動的な財政運営あるいは成長戦略、そして中期的な財政健全化の取組みが、政府の役割として示されています。』
この辺ひじょーに微妙な物言いをしていますが、まあこういうテキストですと基本的には共同声明の中で物価目標の達成は日銀の責任、政府は成長戦略と中期的な財政健全化に責任、というようなニュアンスで喋っているように見えます(後の質疑で物価目標の責任についての話がある)。
『日本銀行としては、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することに尽きると思いますが、その場合、各国の状況をみると、物価安定目標の達成に向けて2
年程度を一種のタイムスパンと考えている中央銀行が多いようです。そうしたことも十分勘案し、2
年程度で物価安定の目標が達成できれば非常に好ましいと思っています。』
楽勝で出来るみたいな威勢の良い話はさすがにトーンダウンしていますな。
『次に、そのための手段ですが、これはまさに、さらに量的ならびに質的な緩和を進めることに尽きると思います。量的な緩和が不可欠であることは事実ですが、単に、マネタリーベースを増やすことにとどまらず、資産側で、イールドカーブ全体の引下げや、必要に応じてリスクプレミアムの引下げを促していくことを通じ、量的ならびに質的な両面から大胆な金融緩和を進めていくことで、2%の物価安定目標を達成すべきであるし、達成できると確信しています。』
ということで、この「イールドカーブ全体の引下げ」というのがこの会見では後でも何度も言われていまして、まあ既に大概引き下がっているイールドカーブですが、この辺りを受けまして引き続き金利は絶賛低下中で超長期つえええよという所ですな。
『それから、政策委員会等の会議の運営については、今、私から特にコメントするべきではないと思っています。』
んでもってこちらに関してはそんなに積極的にやるという感じではない、というのは金曜にベンダーに出ていた通りだと思われます。
んでもって次に似たような質問があって、2%の達成時期に関する質問がありまして、そこではこのような説明が。
『(黒田総裁) 1 点目のご質問については、先程申し上げた通り、2%の物価目標が定められており、できるだけ早期に実現することが中央銀行の責務と思っていますので、当然これまでお話したようなタイムスパンを念頭に置きながら全力を尽くしていくことに尽きると思います。この物価安定目標──総合消費者物価で2%の前年比上昇率──というものは、政府との共同声明という形で出ていますが、中央銀行として、日本銀行政策委員会が決定したものですから、日本銀行として、当然責任をもってその早期実現を図るということに間違いはありません。(後半割愛、というか次で引用)』
ということでまあ物価目標達成の責任については割とクリアに明言している形ですね。
・早速細かい事について色々と勉強が進んでいるようで何より
確かにまあ具体的な金融政策、というよりは調節実務に関する質問は飛んでいないというか、そういう答えはしないようにしているのですが、まあ概念的な部分での細かい話(というのも変な言い方ですが)のご理解が進んでいるようでこれまた何よりです。
物価連動国債で期待インフレを見るのかという質問に対して。
『(黒田総裁)(前半別の質問に付き割愛)物価連動債の話はご指摘の通りですが、米国あるいは英国では、物価連動債がかなりの程度、発行されています。しかし、量的には、通常の固定利付国債に比べると発行残高が小さいと思います。それでも、それを使って債券市場のインフレ予想を計算することはよく行われます。日本も、一定量の物価連動債が発行されているわけですが、量的に極めて小さいので、それも1
つの参考としつつ、その他にマーケットのアンケート調査であるとか、様々な指標を通じてインフレ予想を知ることも金融政策の運営の面で重要なことだろうと思っています。』
うむ、普通の答えである。
でまあ包括緩和と量的緩和に関するやや質問者の脳が足りないと思われる質問がありまして(ちなみに今回の会見テキスト見てて思ったのですが、明らかに知能が不足していると思われる質問をしているのが数件ございましたので最後に晒し上げしておこうかと思います)、それに対する説明が物凄い勢いで普通の話をしているので(良い意味で)ビックラこいたあたくし(^^)。
『(黒田総裁) 先程来申し上げている通り、量的・質的な両面で大胆な金融緩和を進めていく必要があることは、以前から申し上げている通りです。総裁として、そのような観点から金融緩和を進めていきたいと思っています。』
とまあそれは良いとしまして、
『ご質問の「量的緩和」が何を意味するかは色々な議論があるところです。例えば、米国のQE1、QE2、QE3は、量的緩和1、2、3とも言われています。ただ、FRBは、QE1を始めた時、「クレジット・イージング(信用緩和)」という言い方を使って、アセット・バック・セキュリティ(資産担保証券)などを大量に購入することによって、リーマン・ショック後のいわば凍りついた状態になっている資産担保証券やその他の市場の機能を回復させ、金融緩和の効果がよりスムーズに実体経済に波及していくことを考える、と言っていたと思います。』
まあエージェンシーモーゲージ債と言った方がより細かいのですがそれはそれとしましてこの説明は仰せの通り。
『このように、「何が量的緩和なのか」は色々な議論があると思います。ただし、量的緩和が、単にバランスシートの負債側の量を増やすことだけで、資産側で何が増えているのかを考慮しないことだと言われると、それは多くの学者が言うように、金利がほとんどゼロである政府短期証券によって資産側をどんどん増やし、負債側で、マネタリーベース、金利がゼロ近い日銀当座預金を増やしていっても、一体どのくらい効果があるのかと思います。』
これは単に当座預金残高目標にするだけではなく資産サイドの構成も考えないといけない、というFEDおよび日銀が現在行っているLSAPあるいは包括緩和の説明と同じですが、いやもうその通りでございますのでこの際短期国債の必要以上の大量購入とか無意味にも程があるので是非減額してその分長い方に回してください(というのは単にあたくしの懐勘定の話ですが、笑)。
『もちろん、量的緩和によって流動性が非常に大きくなることが、他のアセットにスピルオーバーしていく、あるいは実物投資や消費に代替していく効果――これをポートフォリオ・リバランス効果と呼ぶのかどうか分かりませんが――もあり得ます。この意味で量的緩和は必要です。しかし、それだけで良いのかというと、やはり、資産側の質的な中身をみて、より長期の金融資産の購入によってイールドカーブをもっと下げていくことが必要です。』
ということでイールドカーブを下げる話また来たという所ですが。
『どのような資産を購入していけば良いかについては、より効果的な金融緩和になるよう、市場への影響や経済の動向などを十分勘案して、政策委員会で決定していく必要があると思いますが、端的に言って、量的な面と質的な面との双方が相俟って、2%の物価安定目標の達成に向けて、大胆な金融緩和を進めるということに尽きると思います。』
つーことで、まあ買入資産の構成がややアグレッシブになるかも知れんが、実際問題として政策のフレームワーク的には従来の包括緩和と同じ事になるでしょう、というかそもそも包括緩和がCEとQEのハイブリッドなのですから当たり前ではあるのですが。
・戦線整理が先決なので臨時会合はまあ普通に考えると無いでしょうなという件
これは鋭い質問なので質問も引用します。後で晒し上げにする能無し質問とは大違い。
『(問) 現在の包括緩和の仕組みは、資産買入等の基金という形で「量」と「質」の両方を目安として表すような政策になっており、今の黒田総裁のご発言を聞くと、それでも構わないのかなという印象を持つのですが、現在の資産買入等の基金という枠組みに何か不都合な点、あるいは不十分な点があるのであれば教えて下さい。(2番目の質問割愛)』
『(黒田総裁) 1 点目について、日本銀行としても色々なことをやってこられたのでしょうが、その結果――先程、中曽副総裁も言われたように――、非常に分かり難くなっていると思います。バランスシートの負債側と資産側で、どのような動きになっているか、それをどのような方向に向けようとしているのかということが、もっと端的に分かるような金融政策を運営することが、やはり市場との対話を強化する意味でも重要だと思います。』
ということですので、現在の金融政策の枠組みに関して戦線整理をする必要があると黒田総裁は(だけではなく後で引用しますが中曽副総裁も)認識しているようでして、そうなりますと何か慌てて臨時金融政策決定会合をやってどうのこうのとかいう話にはならないように思えますがどうでしょうか。
でまあちょっと話はずれますけれども、この黒田総裁の言う「バランスシートの負債側と資産側で、どのような動きになっているか、それをどのような方向に向けようとしているのかということが、もっと端的に分かるような」というのが非常に良いポイントでありまして、先般ネタにした2月決定会合議事要旨ではAPPでの国債や短期国債買入に関して「買入レートが実勢からかい離して低下しているのではないか、調節部署はもっと工夫白」というようなスットコドッコイにも程がある指摘をしていた審議委員様がおいででしたように、どうも現在のAPPその他の枠組みに関して既に政策委員の皆様の中でも何をどういう風にしたいからこのオペレーションを行っている、という整理がちゃんとついていないのではないかという金融政策が新宿駅もビックリのダンジョン状態になっている件についての問題意識というのもついでに含めているのであれば更に素敵ですね、とまあそう思う次第。
『それを超えて、どのような内容の金融緩和策をとるべきかについては、あくまでも、これから政策委員会で議論して決めることだと思います。ただ、量的、質的な緩和を大胆に進める必要があることは間違いなく、また、2%の物価目標をできるだけ早期に実現するということは、日本銀行にとって最大の使命になっていると思います。』
ふむふむ。直ぐにホイホイ何かつぎはぎで出すのではなさそうな点は期待が持てますね。
・市場のクレクレを牽制とな
市場との対話という意味で何が足りなかったのかという質問に対してスマートな受け答え。
『(黒田総裁) 1 問目の「市場との対話」ということですが、これは、別に大げさに何か宣伝をするとか、あるいは、市場関係者が色々と言っていることを、ずっと全部、金融政策がフォローしていくとか、そういうことではないわけです。あくまでも、市場の状況をよく把握する、市場関係者の議論はよく把握すると同時に、政策委員会で決めた金融政策は分かり易く市場関係者に浸透させていく、それを助けるということが――英語ではfacilitate
と言います――、市場との対話を強める意味で非常に重要だと思います。その点については、私ども3
人は最大限の努力をしていきたいと思っています。』
実に仰る通りで参りました。
・デフレの原因は何でしょうという質問に対して
ここの説明がこれまたよろしゅうございます。
『(黒田総裁)(前半割愛)次に、2 点目のデフレの原因についてです。私は、以前から、物価に影響を与える要素は一杯あると言っています。デフレに影響した要素としては、90
年代以降、金融機関の問題によるデレバレッジがあり、円高があり、さらには新興国からの安い物資の輸入の増加があり、ある時は石油価格が下がったりと、色々な要素が、その時々の物価上昇率に影響してきたことは間違いありません。その中に、金融政策の失敗もあったかもしれませんが、あらゆる要素が物価上昇率に影響していることは事実です。』
で、ここで止めないのが黒田さんのまあ素敵な所。
『ただ、それは原因の問題であって、物価安定を確保する責務が誰にあるか、となると、これはどこの国でも中央銀行にあるわけです。従って、様々なデフレの要因があったら、それを克服するように様々な緩和策を採って、デフレが続かないようにする責務が中央銀行にはあります。デフレの原因を、色々な要素を測って研究すること自体は意味があると思いますが、中央銀行としては、「色々な原因でデフレになっています」と言っても――先程、岩田副総裁も言われたように――、責任を阻却することはできないと思います。』
うむ、中々の大口でありましてまあこりゃ2%行かなかったら総裁副総裁揃って辞任もんでしょうなあとか思うのでありますが、ちなみに岩田副総裁コーナーは黒田さんコーナーの次に突っ込みますが、ここの黒田総裁の話にありますように、岩田副総裁は「あまり言い訳をしない事が重要」と威勢の良い話を先の方の質疑でしていたのですが、何か後の方の質疑では微妙に往生際が悪いと申しますか、早速逃げの布石入ってますなあ今まで散々大口叩いてたの何なんでしょうかという部分があるのでお楽しみに。
・資産バブル懸念とか金利急騰懸念に関する質問に対して
まあこれは引用するまでも無いのですが、資産バブル懸念に対してとか金利急騰懸念に対してどうですかというような微妙にアレな質問に対してはごく普通に答えています。資産バブル云々に関する質問に対して。
『(黒田総裁) 非常に重要な論点だと思いますが、現実的な可能性を勘案しながら議論していくべきと思います。そのような観点からみると、現在、日本の資産市場に何か大きなバブルが生じているとか、生じそうである、その懸念がある、とは考えていません。』
全くおっしゃる通りです。
『むしろ、現在の課題は、15 年続いたデフレからどう脱却するのかということです。消費者物価上昇率は、最新時点でもまだマイナスです。それが一番大きな課題であり、今ご質問された、常にあり得るけれど、当面は余りありそうにない仮定のことを議論しても、金融政策の当面の課題に対応することにはなり難いのではないかと思います。』
とまあこうやって「当面はあまりありそうにない」というのを明確に言うのが重要で、前任の麿総裁の場合、この第二の柱に関する点検の事を妙に強調するもんだから・・・・・・・・
『ただ、中央銀行は、常に色々なことを慎重に勘案していますので、資産価格を勘案しない、物価安定目標だけで消費者物価しかみないということはありません。雇用やその他国民経済の健全な成長に資するものになっているかどうかをみています。日本銀行法でも、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」とされているので、当然、その中で、資産価格などもみていくことは間違いありませんが、資産価格をターゲットにするわけでもありませんし、今、バブルの懸念があるという状況にはなっていないと思います。』
とゆーことでですな、これ言ってる趣旨は従来の日銀の「第二の柱による点検」と同じ事なのですけれども、物は言いようとはまさにその通りでありまして、麿前総裁の場合はここの点検の重要性を妙に強調しちゃうもんだから「物価も上昇していないし株価も上がっていないのにバブル懸念とか言うのは金融緩和に消極的だからだ」とか言われてしまい、その結果としてその前任者よりも格段に凄い勢いで緩和政策をしており、かつ他の中銀が買わないような株式だの社債だのまで買っているというのに、全然やっていない呼ばわりされるという骨折り損にも程がある政策運営になっておった訳でして、そーゆー意味では黒田さんは威勢の良いトーンの発言をしながらもちゃんと原則としてそこを逸脱するのはまずかろうというような部分は逸脱しないようにしっかり押さえているというのが今回意外に感心してしまった次第です。まあ次のコーナー(ということで引用がクソ長くなってすいません)の岩田副総裁の発言がやっぱり危なっかしいのに対して想定していた以上に安心感があるわという所でございます。
・財政ファイナンスに関連して
財政ファイナンス懸念に関しては2か所ほどで質問がありましたが、基本的には手堅い受け答えをしているのですが、ちょっとここに関しては不安が無い訳では無い。
『(黒田総裁) 主要国の中央銀行は、いずれも、基本的には国債を引き受けることはしないということになっています。日本の場合も、財政法によって、日本銀行は原則として国債の引受けはできないということになっています。一方、市場でのオペレーションの対象として、どういった債券、金融資産が適切かということは、中央銀行が一番よく知っているわけです。』
オペレーションとしての対象が国債なんですよ、という趣旨ですな。
『中央銀行が、自主的に市場の動向をみながら、金融調節の手段として何が一番適切かを考えて選択してきています。現時点で言うと、日本だけではなく欧米のほとんどの国が、オペレーションの対象として国債を使っているわけです。これは、国債の市場が一番広く深く流動的だということで、それを活用しているということだと思います。従って、中央銀行が、自主的に、金融政策の手段として国債を市場から買い上げるということは、中央銀行として当然のことで、特別に財政ファイナンスであるということにはならないと思います。』
ベンダーでのヘッドラインだけで判断すると黒田総裁の発言が「自主的に買っているから財政ファイナンスではない」というトートロジーみたいな話をしているように見えましたが、こうやって文脈から辿ればまあ仰る通りの話をしてるという事でした。
『ちなみに、ご承知かと思いますが、300 年以上の伝統のあるBOEも、昔はほとんど民間の手形の買入れ、売却で金融調節を行っていたわけですが、そのうち政府短期証券に移り、このところはBOEも他の中央銀行もそうですが、長期国債を含む幅広い国債を、さらには――FRBなどが一番大幅にやっているわけですが――、資産担保証券その他各種の民間の金融資産も大量に購入する形になっているわけです。これは、あくまでも、金融政策を自主的に運営する上で適切な金融資産を選択し、それをマーケット・オペレーションの対象にしているということだと思います。』
『なお、国債自体の問題、あるいは財政規律の問題、これはあくまでも政府・国会の責任です。先般の共同声明でも、政府は当面景気刺激策を採るわけですが、中長期的な財政再建に対する姿勢は全く変えないで財政規律を守ると言われているわけであり、これは極めて重要なことと思っています。』
とまあこちらの方は手堅いのですが、別の質問に対する答えの結論を見ますとちょっと不安もあります。
『2 点目の財政ファイナンスについては、何度も申し上げますが、中央銀行が、自主的に金融政策の調節手段として、市場から様々な金融資産を買入れたり売却したりするマーケット・オペレーションは、中央銀行にお任せ頂くということになっています。そういうものでなく、政府が赤字を出して国債を発行したら、中央銀行がそれを引き受けるということは全く考えていないわけで、法律で原則として禁止されています。』
ということで全くおっしゃる通りなのですが、何せそもそも市場が大騒ぎになったのは安倍ちゃんが「国土強靭化の財源に建設国債を発行してできればそれを日銀が全部買って欲しい」というようにそれは金融市場の人間がヘッドラインを見たら普通に新規財源国債の財政ファイナンスを求めたというような発言をした(まあその後さすがに中央銀行の財政ファイナンスと取られる発言をしたと報道されたのはマズイだろと言う事で火消しが行われましたが、そもそも岩田規久男さんだって震災復興財源に日銀の国債引受とか平気で言ってたわけですし)のが物の始まりである、という点は忘却されると困る訳でございまして、本来就任記者会見の席上で何で岩田副総裁にその件を問いただす記者がいないんだよヴォケとか思うのですけれどもね。
『従って、そういう中で、中央銀行が――日本銀行だけでなく、FRBでもECBでもどこでも――、自主的に金融緩和の手段として国債を購入するのは、何ら財政ファイナンスでもないし、全くそういう問題はないと思います。また、日銀券ルールのようなものがないと財政ファイナンスになるとか、その懸念があるということはないと思います。FRBもECBも、現在、そういうルールを持っているとは承知していません。』
ただ、それは「無いと思います」というだけでは駄目で、そもそも中期的な財政健全化に対する取組を政府がやっているのかという問題、とにかく政権与党の中で国債引受みたいな事を言い出す人が普通にいたりするという状況、つーか安倍ちゃんがそもそも当初それに限りなく近い話をしていた訳ですし、自分のおひざ元の副総裁が以前新規財源債の日銀引受すべしという発言をしていた訳ですし、大体からして他の主要国対比で日本の財政がそもそも論として真っ赤っ赤にも程があるとか、そういう問題がある訳でして、こんなのは数値的にどうのこうのではなくてコンフィデンスの問題でありますので、そこはちゃんと褌を締めて頂かないといかん話であって、ちょっとまあこの点については今すぐどうこうという問題は無いでしょうけれども、ちょっと黒田さんの発言だけを見ると安易に上滑りしているような懸念はあるのですけれどもどうっすかね。
とまあそんな所で黒田さんコーナー終了(ってここまでで大概に長くてすいません)。次は中田カウスじゃなかった岩田副総裁コーナー。
○岩田副総裁:やはり微妙に怪しい説明があったりちょっと思慮の浅い部分があったり
まあどこからどう見てもカウス師匠岩田副総裁が地雷原になりそうな悪寒はする訳ですが、案の定というか何と言うかという感じではあります。
・まあとりあえず冒頭の挨拶を引用しておく
『(岩田副総裁) この度、副総裁を拝命しました岩田でございます。よろしくお願いします。』
『私は、長い間、金融論、特に金融政策について研究してきました。特に、日本経済がバブル崩壊により景気後退に入った1992
年頃以降の日本銀行の金融政策をずっと研究し続けてきました。』
ずっと研究しているのに何で調節の話とかがアレなんでしょうかねえ(呆)。
『当初は、資産デフレと金融政策の関係が非常に重要だったのですが、その後、日本経済が、1998
年頃から消費者物価上昇率でみると毎年マイナスになるというデフレに突入してくる中で、デフレから脱却するためにはどのような政策がいいかということを研究してきました。私の研究では、インフレターゲットの採用国が、その当時までで10年くらいの経験を積んできたわけですが、かなり良い成績を挙げていました。』
デフレ脱却の為のインタゲでは無いのですが・・・・・・・・・
『そういうことが参考になり、また、1930 年代のアメリカがデフレから回復してくる、昭和恐慌から日本経済が回復してくる過程に関する研究も同時に進め、そういう研究を進めるにつれ、インフレ目標政策、あるいはインフレターゲットという金融政策のレジームへ転換することが日本のデフレ脱却には不可欠だと思ってきました。そういう研究を続けていたら、「瓢箪から駒」と言いますか、自分自身が言ってきたことを実際の政策に活かす場を与えられ、研究だけでなく実践の場に移すということで、非常に大変な重責を担ったと思っています。』
ほうほう。
『そういう自分が培ってきた学問的な研究を支えにしながら、中曽副総裁とともに、総裁をしっかりと支えていくのが私の役割だと思っています。どうぞよろしくお願いします。』
まあ最初は無難です。
・岩田−翁論争についての話を早速都合よく改変して無いですか
岩田−翁論争に関連して日銀の政策に関してどういう問題があってどうしたいかという質問があったのですけれども、カウス師匠岩田副総裁過去の話を改変してないですかこれ??
『(岩田副総裁) いわゆる「岩田―翁論争」というのは、当時、要するに、「日本銀行が長期的にマネーストックをコントロールできるか」という問題について、私は、「長期的にはコントロールできる」という立場だったわけです。(以下次のコーナーに続く)』
えーっと、長期的じゃなくて短期的にもコントロールして日銀が能動的にマネーサプライのコントロールしろという金利誘導政策を行うという前提の下では実務的に無理ゲーの話を持ってきたんじゃなかったでしたっけ。でまあ結局の所は、長期的には金融緩和や引締めによって何らかの影響があるでしょでもそれって確たる定量的な意味での「コントロール」って難しいですよねという当たり前の形で片付いたんでしょ。まあ市場金利の乱高下も気にせずという事であればマネーサプライの直接コントロールという金融政策も有り得ますがそれは金融市場にストレスが掛かりますからねえ。
ということでそもそもカウス師匠は「長期的には」じゃなくて「長期も短期も」コントロールできるって話をしていて、実務サイドからマッコウクジラで反論が来たという話だった筈なのですが、何でこうなるのやら。つーか長期的には可能というのは最終的に植田和男さんが裁定下した形で結論をつけましたし、信用乗数が安定しているという岩田さんの主張はその後実証的に否定されたのですけれどもねえ。
・2%インフレ目標の達成のためには何が必要か
という怪しげな部分を読んで早速???になるのですが、まあそれはそれと致しましてこの話の続き。
『(岩田副総裁)(先ほどの続き)ただ、98 年頃から実際にデフレになると、その論争も超えたところに金融政策の問題が出てきました。』
というか信用乗数いやまあどうでもいいです。
『なぜデフレになるかというと、一旦デフレになるとデフレ予想ができ、デフレ予想があるからこそ、そのもとで皆さんが行動することでさらにデフレになってしまうという、トートロジー(同語反復)のようなことになってしまいます。』
デフレ均衡は発生しているけどこの言い方で示唆されるようなデフレスパイラルではないような気もしますけれどもまあどうでもいいです。
『デフレ予想が生じたときは、逆に、インフレ予想を起こさない限り、デフレは脱却できないというのが私の立場であり、果たして、日本銀行が、金融政策によってデフレ予想を覆してインフレ予想に転換できるのかという点が、今までの日本銀行と私の立場とが必ずしも一致していないところではないかと思います。』
悪態ついてばかりでしたがこの部分に関してはあたくしも岩田副総裁に同意する所であります。ただまあインフレ予想に転換させるための具体的な金融政策について岩田さんが持ち出す話があまりにも無茶振り過ぎなのでえーという所なのですが・・・・・・・・・・・・
『私は、2%のインフレを達成するため、あるいはデフレを脱却するためには、2
つの条件が必要だと思っています。1 つは、2%のインフレ目標を大体いつ頃までに責任をもって達成するのかということに日本銀行がコミットするということです。これにコミットすることが、非常に大事なことです。』
ふむ。
『大体いつ頃までに達成するかということについては、主要国の中央銀行は、大体、「中期的」とか「ミディアムターム」という言葉で表現しています。その「ミディアムターム」というのが実際何年くらいなのか、色々な研究者が調べたところ、大体2
年くらいということになっています。平均すると2 年くらいでインフレターゲットの中に入っているので、そういう経験から言っているわけです。』
英国ェ・・・・・・・・・
『2 つ目は、そういう意味で、2 年くらいで責任をもって達成するとコミットしているわけですが、達成できなかった時に、「自分達のせいではない。他の要因によるものだ」と、あまり言い訳をしないということです。そういう立場に立っていないと、市場が、その金融政策を信用しないということになってしまいます。市場が金融政策を信用しない状況で、いくら金利を下げたり、量的緩和をしても、あまり効き目がないというのが私の立場です。(以下次に続く)』
まあこれは一理あるのですが後の方の質疑で微妙にアレな発言があってですなあ(次の次にネタにする)。
・では具体的に何をするか
『(岩田副総裁)(先ほどの続き)従って、まず、インフレ目標を、中期的に責任をもって達成するというコミットメントが必要であり、この立場に立った上で、今、黒田総裁がおっしゃったような、量的・質的な緩和を進めていくということです。』
ふむふむ。
『コミットメントと、コミットしたことを実際に行っていることを市場に知ってもらう意味では、政策金利がほとんどゼロになっている中で、量的緩和しかないと思いますので、その量的緩和について――黒田総裁がおっしゃったように、その手段としてどういうものを買うかという「質的」なところまで含めて――、これから政策委員やスタッフの方と議論しながら、しっかりと、2
年後くらいまでにはインフレ目標を達成できるように全力を尽くしたいと思っています。』
>その量的緩和について(略)これから政策委員やスタッフの方と議論しながら
「議論しながら」とか入れている辺り、ヒラの審議委員ではなくて副総裁という立場を考えた上の発言でございますなあと結構なお話なのですが、岩田副総裁におかれましては確か77兆円だか80兆円だかの当座預金残高に持って行けば来年半ばには達成可能とかそういう話だったような気がするのですが、具体的な案はまさかこれから考えるとか、従来考えていた事が単なる無理ゲーだったのでやはり考え直しますだとかそういう事では無く、既に20年来金融政策論を研究しておられる岩田副総裁の中では当然ながら具体的な提案があると存じますので、来週の決定会合で早速研究の成果を見せて頂けるものと確信しておりますので楽しみにしております(棒)。
・説明責任が果たせれば無問題とな
2年で2%行かなかったらどう責任を取るのか、という質問を何故か黒田総裁と岩田副総裁のみに振られておりましたが(^^)、岩田副総裁のお答えが微妙に微妙。
『(岩田副総裁) 先程申し上げた「中期的」とは、大体2 年ぐらいであり、2%は2
年ぐらいで達成しなければいけないということです。2 年経って、2%がまだ達成できない、2%近くになってもまだ達成できていない場合には、まず果たすべきは説明責任だと思います。ただ、その説明責任を自分で果たせないということ、単なる自分のミスジャッジだったということであれば、最高の責任の取り方は、やはり辞任だと思っています。まずは説明責任を果たせるかどうかが基本だと思います。(以下次に続く)』
>まず果たすべきは説明責任
ほうほう。確か従来は時限を切って目標を達成できない場合は問答無用でクビにしないと強力なコミットメントにならないという趣旨のご主張をしておられたと思うのですが、「ミスジャッジだったら辞任」という事はつまりミスジャッジじゃなくてリーマンショックのような場合は不可抗力として説明できるから問題ない、とまあそういう事を仰りたい訳ですねわかります。
いやあ人間立場が変わると発言が替わるもんですなあ(棒)。
・日銀法改正でコミットメント強化はまあ判らんでも無いが・・・・・
でまあこの質問には実は日銀法改正云々の話がありましてですな。
『(岩田副総裁)(先ほどの続き)日本銀行法改正については、長期的には、法的な担保をもって物価目標を決めていく仕組みの方が必要だと思います。どの人が総裁、副総裁あるいは審議委員になるかに関係なく、どのような人がなっても、基本的には2%あるいは3%という――それはその時の政権によって違いますが――、物価目標をきちんと法的に担保することは、長期的には必要だと思います。』
物価目標の担保については仰せの話は分からんでもないのですが、その時の政権によってコロコロ物価目標が変わるというのも如何なものかと思う訳で、それこそ岩田副総裁の言うような趣旨で日銀法改正をした後に実際にCPIが1%近辺とかに上昇して未だに根強いインフレフォビアが炸裂して、そのインフレフォビアの世論とやらに阿る政権が登場して「じゃあ物価目標1%以下な」とかいう事になったらどうしますねんという話でもありまして、日銀法改正でコミットメント強化をしたい、という趣旨は判らんでも無いのですけれども、現実問題として重要なのはインフレフォビア丸出しの世の中の状況を改める事でして、そちらを見極めてからでも良いのではないでしょうかねえ。
・何かその説明はおかしい
都合よく改変シリーズがもう一つあるんですけれども、リフレ派という立場の方が増えてきたと思いますがどうでしょうという質問があったのですが・・・・・・
『(岩田副総裁) 「リフレ派」という言葉は、我々が言っている意味で必ずしも理解されているとは思いません。「リフレーション」という言葉を最初に言ったのは、1930
年代のアーヴィング・フィッシャー教授だったと思います。フィッシャーは、基本的に、「デフレの中で、雇用が失われ、経済成長が低下していく状況にある時、デフレを止めなければならないのだが、その時に、デフレが始まった前の物価水準までとにかく戻すために金融を緩和する」という意味で「リフレーション」と言ったわけです。』
『しかし、現在は、物価水準をデフレになる前の元にただ戻すというだけではなく、実際には、経済は、ある程度の物価上昇があった方がむしろ安定することが分かってきました。特に、1990
年代ぐらいから、ニュージーランドが始めたインフレーション・ターゲットの中で、2%ぐらいの方が、だんだん失業率も低下して、雇用も最大化するし、経済も成長するということが経験的に分かってきたのです。従って、リフレ政策は、やはり2%ぐらいのインフレ経路を上手く歩むように、金融政策を運営するという考え方だと思います。』
という風に言われますと非常に普通の政策に聞こえるのですが、そこで主張している具体的な政策論がやれケチャップ買えだの(ケチャップは物の例えなのでしょうがすっかり人口に膾炙したのがアレ)復興財源国債引き受けろだの国債無限に買えだの具体論に落とし込む段階でそれは効くだろうけれども実際にやったら効き過ぎで止められなくなるだろうというような話を連発しているからちょっと待てという話になっていた訳ですけれどもねえ。
『「2%のインフレ目標」とは、あくまで手段であって、その方が、最終的には、雇用もよいし、成長率も上がるという実績があります。』
>「2%のインフレ目標」とは、あくまで手段であって
まあその通りなのですが、確か今まで日銀に対してああだこうだ言ってた時には2%絶対いかせろ行かなかったら全員切腹しろ位の勢いで話をしていたと思うのですが立場が変わると以下同文。
『それが何故かについては、色々あり、本日はそこまでの説明はなかなか大変ですが、そういう経験が、短い国でも10
年、長い国では20 年ぐらいの実績があるのです。そういう意味で、2%ぐらいというのは、国際標準として、主要国ではそのぐらいの経路が、企業活動も上手くいき、投資行動も上手くいき、貯蓄行動も安定していくという実績のもとに、リフレーションは出てきているのです。「2%ぐらいのインフレ」というと、何か大変なインフレとなってしまう、日本だけが凄いインフレになるのではないか、と思われるかもしれませんが、世界が、この20
年くらいで経験を積んだ実績のある目標だということです。』
ということで、まあそれはそうなのですが、問題は長期的に物価が上がらなかったので2年間という期間で年2%の物価上昇という状況に変わるということが日本の場合には「凄いインフレ」となってしまう惧れが有る事でして、仮にそういう風になってしまうとバックラッシュが起きて却って良くない結果になり兼ねませんが、その辺に関してあまりにも楽観的すぎないかと思うのですよね。
・デフレ脱却の経路の説明
さてまあ色々と引用してみましたが、デフレ脱却の経路について説明している部分がまあ今回の岩田副総裁の会見では一番のハイライトだと思います。何せ1ページ半以上掛けていますのでこれを変に切らずに全部引用してみましょう。
『(岩田副総裁) デフレの原因についてです。貨幣的な現象と我々は考えますが、その意味が誤解を招き易いので、少し説明します。』
ということで。
『例えば、現在、アベノミクスで、安倍首相が大胆な金融緩和を言われ、市場が期待していることで、マーケットのインフレ予想が随分上がってきています。これは、物価連動債などでみると、急激に上がってきています。0.7%くらいだったインフレ予想が、今は1%を超えていると思います。』
固定利付債の金利も下がっていますけどね。
『そうすると、皆さんの行動が、インフレ予想のもとでの行動に変わってくるということです。そうすると、だんだん需要が増えてきて、だんだんデフレギャップが無くなってきて、物価が下げ止まって上昇に転ずるということですが、その時に足許では、マネーストックが増えていないところに注目して頂きたいと思います。』
ということでさらりと説明しているのですが、市場のインフレ予想が一般ピープルのインフレ予想に反映して行動が変わるというメカニズムが必ずしも自明とも思えないですし(大体からして市場のインフレ予想の計測自体が怪しい)、インフレ予想のもとでの行動になると需要が増えてデフレギャップが無くなる、というメカニズムって本当に自明なんでしょうか。
『つまり、インフレやデフレは貨幣的現象だという場合に、足許でのマネーストックと物価上昇率との関係があると言っているのではないのです。これは、市場が非常に長期の予想をして、貨幣供給の経路はどうなるだろうと予想して、そして、将来は貨幣供給がどこかで増えてくることを予想し、「ということは将来インフレになるのだから、例えば今のうちに買っておいた方が良い」という行動が出てくるのです。そのようにして、足許の物価下落が止まっていくということです。』
何か市場のプライスアクションの話と家計や企業の行動の話がごちゃごちゃになってませんかこの部分、と思うのですが、この先でも何か市場の話と家計や企業行動という実際の経済活動の話がごちゃ混ぜにして説明されている部分が見受けられるんですけど以下続く。
『ですから、長期的にみると、貨幣供給の増加率と物価の上昇率は、非常に相関関係が高いのです。しかし、短期的にみると、例えば、今、マネーストックは全然増えていませんが、物価はだんだん下げ止まってくるということです。貨幣供給と物価の関係とは非常に長期の関係であって、短期的に、足許で貨幣と物価との関係があると言っているのではないのです。』
>貨幣供給と物価の関係とは非常に長期の関係であって
>貨幣供給と物価の関係とは非常に長期の関係であって
>貨幣供給と物価の関係とは非常に長期の関係であって
えーっと、当座預金残高を80兆円にしたら来年の半ばにはインフレ率2%達成可能という話は???浜田先生なんかも6か月でデフレ脱却可能とか仰ってましたよねえ。
『デフレ脱却の歴史では、1930 年代の昭和恐慌もそうですが、基本的には、金融政策によってデフレ予想からインフレ予想に変わることで、最初に出てくるのは、自己資金を使って、あるいは増資をして企業が設備投資をするということです。』
昭和恐慌の脱却って金融政策と財政政策の合わせ技だったような気がするんですがまあそれはそれとして。
『何故かというと、企業は、デフレのもとでは、自己資金の使い道が無いために自己資本、内部留保をたくさん持っているので、銀行に借りにいくわけではないのです。』
そうなんですか〜
『内部留保は2011 年末のデータをみると、企業は220兆円くらいの現金・預金を持っています。』
現預金と内部留保って企業会計上別物ですので、そういう表現をするのはちょっとどうかと思いますけれども。
『金融機関ではない企業です。何故それだけの現金・預金を持っているかというと、デフレ期待で使い道が無いためです。そのために、ただ持っているだけなのです。これが、インフレ予想が出てくると、最初は株や外貨に移りますが、やがて物・設備投資や在庫投資に移ってくるというように、今、凍りついている貨幣が動き出すということです。』
えーっとすいません、インフレ予想で企業が何で株や外貨を購入するんでしょうか。家計がそういう行動をするなら話は分からんでもないのですが、別に企業は金融商品で利殖をしようとして現金を手元においてはおりませんぞなもしという所で、この辺は企業の話と家計の話がゴチャゴチャになって説明しておられるだけなのでしょう、という風に解釈をしておきますが、それにしても何かちょっとえーという説明ではございます。
『簡単に言えば、最初に起こってくることは、貨幣の流通速度が高まるということです。それによって、物の支出に使われるようになる。今までは、ただ貯蓄資産として持っていた貨幣が、物の支出に使われるようになることを、デフレ脱却の歴史がいつでも示しています。』
貨幣の流通速度が速まるというのは仰る通りです。
『同じことがつい最近の日本でも起こっています。』
ほう。
『小泉内閣の時代、2001 年から2006 年、2007 年ぐらいまで景気が回復しますが、この小泉改革の時、最初から3
年半、銀行の貸出はずっと減っています。凄く減っています。』
3つの過剰の整理と不良債権処理・・・・・・・・・・
『それにもかかわらず、どこからお金が出て設備投資や生産のファイナンスをしたのかというと、全部、内部留保や現金・預金の取崩し、増資です。銀行の貸出に頼らないので、その過程ではマネーは増えていないのです。このように、マネーが動かなくなっている、家計に加え企業までがマネーをたくさん持っているのがデフレの特色です。これは、デフレが15
年も続いたから、そうなってしまっているのです。』
何かもっともらしいのですが、「家計に加え企業までがマネーをたくさん持っているのがデフレの特色です」というのはデフレ云々ではなくて単に資金循環上政府部門が大幅赤字で資金不足状態になっているだけのことのような気がするんですけれども。
『そのお金を、最終的に物の支出へ動かしていくことが金融政策の役割です。そして、経済活動が段々活発になってくると――小泉改革の時も大体3
年半くらいまではむしろ銀行貸出が減りながら――、景気が回復しています。同じく、1930
年代に米国がデフレ不況から回復する、日本が昭和恐慌から回復するときも、貸出が増え始めるのは回復が始まってから大体3
年半から5 年くらいです。』
いやだから不良債権処理・・・・・まあいいです。
『最初、銀行貸出は増えていないのです。長期的にはその後から貨幣はどんどん増えてきます。長期的にみると、最終的に貨幣が増えないとやはり物価は上がりません。長期的には、貨幣と物価の間では関係はみられると思いますが、おそらく、ここから回復していく過程では、「それほど貨幣は増えていないではないか」、「銀行貸出は増えていないではないか」とおっしゃる方がいると思いますが、それがいつでもデフレを脱却する過程の特色です。』
ほうそうですかそうですか。
・情報管理にも懸念がありますなあという部分
オファーがあった時にどういうご心境で??という質問がありまして岩田副総裁のお答えがこの正直者!という感じでして、まあ岩田さん正直者で幸せ回路内蔵なんでしょうなあというのは把握した。
『(岩田副総裁) 「わが意を得たり」ということは、全然ありませんでした。むしろ、この3
月で本来は定年退職するので、実は定年退職後の生活を楽しみにして生活設計しており、急にアベノミクスが出て来て、世の中が急に変わり、何か私の言っているような政策に転換するのかなという気持ちがありました。』
講演とかではそうでも無かったような気がしますがまあそれはそれとして。
『そういうことですから、最初の頃は、自分の生活とは余りにも違うので、自分で副総裁になるというのはあまり歓迎しないという気持ちでした。しかし、そのうちにだんだん周りが「お前しかやる人がいない」と言い出して、首相からも「どうか」と言われ、周りの人もそう言っているうちに、自分も、「そういう政策を採るべきだ」と言ってきたので、やはりここで尻込みしてはいけないのではないかな、という気持ちにだんだん変わってきて、最後はお引き受けすることに踏み切ったというのが正直な気持ちです。』
まあ実に正直でよろしいのですが、相当前から話がありましたというのがバレバレな言い方でございまして、いやそういうのはこうやっておとぼけモードになるのが正しいのではないか、ということで黒田総裁の同じ質問に対する答えを引用しておきます。
『(黒田総裁) 私は、これまでマスコミの方にも申し上げていた通り、アジア開発銀行(ADB)の総裁として、実は一昨年の11
月に5 年の任期をもって再選され、まだ任期が4 年くらいあるということですし、ADBの仕事に十分満足しているということで、全くそういったことは考えていませんでした。ただ、具体的に、そういうお話があった時に、十分考えた上で――これは1
人で考えましたけれども――、お引き受けすると決断した次第です。』
まあ岩田副総裁の場合は思いっきり正直に話をしているのは人間としては好感が持てるのですが、これからは中央銀行の副総裁という立場にあって、色々と平場で話をしてはいけない事案というものにも多く接するようになる訳でして、この調子で正直者モードをやっておりますと情報管理という面でちと大丈夫かと懸念されるのですけれどもどうでしょうかねえ。
○中曽副総裁はまあ今回は空気モードですな
まあ流れから言って仕方ないです罠という所です。
・冒頭挨拶
まあ引用だけ。
『(中曽副総裁) この度、副総裁を拝命しました中曽でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。黒田総裁を支え、岩田副総裁と力を合わせて、物価の安定と信用秩序の維持という日本銀行の使命達成にしっかりと貢献できるように努めていきたいと思います。』
『これまでの経験をどのように活かすか、というご質問についてですが、私自身、日本銀行に35
年間勤めてきましたので、その経験を十分に活かして、業務組織運営に関し、日本銀行法の定めに従い、職員の力を束ねて総裁をしっかりと補佐していくことが、私に課せられた重要な使命であると自覚しています。』
『政策面については、政策委員会の一員として、しっかりと議論に貢献していきたいと思っていますが、その場合、私なりに貢献できる分野がいくつかあるかと思っています。1
つは、1993 年から7 年間在籍した信用機構課における日本の金融危機への対処や、あるいは2001
年から約8 年間在籍した金融市場局における市場運営の業務を通じて得た知識・経験、こういったものを今後の政策論に是非活かしていきたいと思っています。さらに、そうした業務を通じて、これまでに築いてきた海外中央銀行幹部との人的ネットワーク、これを通じて日本銀行の金融政策とその目的とするところをしっかりと説明し、理解を求めていくことも私の役割と認識しています。私自身、微力ではありますが、副総裁として、全職員と一丸となって、黒田総裁を全力で支え、全身全霊を傾けて職務にまい進していきたいと考えています。どうぞよろしくお願いします。』
・デフレの背景に関して
『(中曽副総裁) (前半割愛)デフレの背景についてのご質問もありましたので述べさせて頂きます。おそらく、デフレが続いている背景については、90
年代から長く続く慢性的な需要不足に加え、リーマン・ショック以降の景気の落込みもあって、マクロ的な需給バランスが悪化した状態が続いてきたことが大きいと思います。ここに、人口の減少、特に労働人口の減少という要因、構造的な要因も複合的に加わって、デフレが続いてきたと思っています。』
『金融政策の責任については、先程、黒田総裁が言われた通りだと思います。』
ほほう。
『金融政策がデフレ克服に向けて果たすべき役割は大変重要だと思っていますし、2%というターゲットを政策委員会自らの責任で決めた以上、この実現に向けて全力を尽くさなければならないと思っています。』
ほほう。
『その上で、物価上昇が実現していく状況について、企業収益が改善する、あるいは賃金、雇用が増加する、つまり国民生活がより豊かになるような状況を伴いながら、物価上昇率が徐々に高まっていく好循環を作り出していくことが必要だと思っています。そういった点を踏まえると、日本経済の競争力や成長力強化に向けた幅広い主体の取組み、これが進展することも必要だと思っています。仮に、そういう取組みが進展すれば、金融政策の効果は一層高まると思いますし、その分、物価目標の達成時期も早めることができるのではないかと私は思っています。』
とまあ黒田総裁の説明に対してはきちんと立てて話をしておりますので、とりあえずきくちゃんが変に過激な話でもしない限りは正副総裁は普通にセットで進んで行くことになるでしょうな。
#時間と量が多過ぎにも程があるので変な質問晒し上げコーナーはやっぱり無し
2013/03/22
お題「新体制スタート/ニュース等雑談/久々に電波浴」
今朝のモーサテを拝見してボルタリングというのを今の今まで何かの医療関連行為だと誤解していた事に気が付いたこのあたくし(大恥)。ええノバルティスの頭痛薬とごっちゃにしておりましたが何か??
○就任会見詳しくは今日出る要旨を確認ですな
ブルームバーグから
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MK0C096JTSER01.html
更新日時: 2013/03/22 00:00 JST
『3月22日(ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁は21日夜、就任会見を行い、物価上昇率2%の目標について「達成すべきであるし、達成できると確信している」と述べるとともに、「達成できるまで可能な限りあらゆる手段を講じていく」との決意を示した。目標達成の期間については「2年程度で達成できれば非常に好ましい」と述べた。』(上記URLより、以下同様)
ほうほうそうですかそうですか。ちなみに消費税で上昇したから達成は駄目ですし、まさか物価連動国債のBEIが2%になったからアクチュアルの消費税部分除いた物価上昇が全然行かないのに達成とか言い出すのも駄目ので念の為(^^;
『4月3、4日の金融政策決定会合の前に、臨時会合を開くかどうかに関しては「もちろん、事情に応じて臨時会合も過去に開かれたこともあるし、不可能ではないが、いずれにせよ、臨時会合があるかないかを私から特に申し上げるべきではない」と語った。』
まあ無理でしょうなあ。
『さらに、「日銀はいろいろなことをやってきたが、非常に分かりにくくなっている」と指摘。「もっと端的に、バランスシートの負債側と資産側でどういう動きになっているか、それをどういう方向に向けようとしているのかが分かるような金融政策を運営することが、市場との対話を強化する上でも重要だ」と語った。』
まあここの部分は期待でして、ここまで色々と施策を突っ込み、それを拡大していく中で金融政策の枠組みがダンジョン状態になってしまっている感がございますので、この際良いタイミングですので戦線の整理をお願いしたい、というのは先日来申し上げている通りです。
ロイターから
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE92K00M20130321?sp=true
黒田日銀新総裁は2年で2%へ「何でもやる」、大胆緩和を強調
2013年 03月 21日 22:50 JST
『日銀が買い入れる資産として国債以外に「REIT(不動産投資信託)を含め様々な金融資産の購入も市場状況など踏まえ議論する」とした。「長期の資産を買いイールドカーブ自体を下げていく」とも述べ、基金で買い入れる国債の対象を、現在の3年よりも満期の長いものに広げる考えを示した。2014年初めに予定している期限を定めない国債の買い入れについては、「前倒しであろうとなんでも検討する」と述べた。』(上記URLより、以下同様)
『大量の国債購入を続けても「日銀が自主的に金融調節のため資産を買い入れるのは、国債の引き受けとは違う」と強調。財政ファイナンス(穴埋め)懸念を生むことはないとの見方を示した。日銀はこれまで、保有している国債の量を紙幣の総量以内に抑える「日銀券ルール」を定めていたが、「日銀券ルールがなくても財政ファイナンス懸念はない」と語った。』
REIT買うのは良いのですが市場規模対比の買入額、、、、、、、
まあ何となく方向性は見える感じではあるのですが、ただまあ先に現行の政策を継ぎ足しから入ってしまうと後の収拾がややこしくなると思いますので、オープンエンドの前倒しあたりで時間を稼ぎつつやる気を見せて間を持たせながらロジック再構築とかが吉のような気がしますが、、、、、
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE92K02520130321
円高進み94円台後半、黒田日銀新総裁発言で=NY外為市場
2013年 03月 22日 03:09 JST
『[ニューヨーク 21日 ロイター] 21日のニューヨーク外為市場で、ドルが対円で1%を超える下げとなった。日銀の黒田東彦新総裁の発言をめぐり、一段と積極的な緩和姿勢を期待していた一部投資家が失望したという。』(上記URLより)
ということで、先ほどのロイター会見記事の中では『一方で、「市場との対話は市場関係者の言う通りではない」と述べ、過度の緩和期待に対するけん制とも取れる発言もした。』(ひとつ前のロイターの黒田総裁会見記事より)との事ですが、既に市場ちゃんを散々煽ってここまで来ておりますので、そう簡単に為替市場や株式市場が許すのか(ちなみに債券市場は国債買入増えれば買いだし株式市場などが失望しても買いなんじゃネーノとか考えると頭が痛い)ニヤニヤしながらお手並みを拝見したいと存じます。
#会見詳細については本日の要旨を見てから改めて
○MPMの議長第一代行がきくちゃんとな
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130321c.pdf
政策委員会の議長および議長の職務を代理する者の決定について
『政策委員会は、本日、日本銀行法第16条第3項の規定に基づき、黒田東彦委員を議長と定めた。』
当然ですな。
『また、同法第16条第5項の規定に基づき、政策委員会議長 黒田東彦委員に事故がある場合に議長の職務を代理する者および代理する場合の順位を以下のとおり定めた。
第一順位 岩田規久男 委員
第二順位 中曽 宏 委員
第三順位 宮尾龍蔵 委員』
第3順位の宮尾さんは審議委員の中で先任の人という事ですが、第1順位が岩田副総裁とはこらまたお洒落で、まあ事故があっても困るのでそんな事はゆうてはならんのですがきくちゃんが議長をやって議事進行という状況ってどうなるんでしょうかねえ(ちなみに直近は山口副総裁、西村副総裁、先任審議委員の順だった筈)。
一方で執行機関としての総裁代理ですけれども。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130321d.pdf
『2.総裁の職務の代理・代行(注)
第一順位 中曽副総裁
第二順位 岩田副総裁
第三順位 企画局担当理事
(注) 日本銀行法第22条第2項及び同条第5項に基づき、総裁の職務を代理・代行する場合の順位。』
ふむふむ、何か色々と微妙ですなあというのは把握した(^^)。
○市場メモとニュース雑談
・3M入札
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130321.htm
国庫短期証券(第354回)の入札結果
(3)募入最低価格 99円98銭9厘5毛 (募入最高利回り)(0.0421%)
(4)募入最低価格における案分比率 73.8175%
(5)募入平均価格 99円98銭9厘6毛 (募入平均利回り)(0.0417%)
引き続き0.05%割れ水準ですが、昨日の場合はいわゆる不明玉が若干少なかった(つーてもほぼ5ケタ億円ですから少ないという程でも無い)せいなのかセカンダリーは若干弱含み、と申しましても結局0.05%割れ水準で堂々の推移となっておりまして、需給が仮に緩んだとしても日銀買入攻撃が速攻で炸裂しますので結局在庫は捌けるのでありまして何ら問題なし。というかプライマリーの金利もすっかりアガランチ会長になっておりまして、目線が慣れてしまうとは恐るべし。
短期市場まわりで金利が動くのってもはやGCレート位で、それも単にひたすら需給だけでぶれる(まあ翌日物なのですから普段からそうなのですが)という状況で市場機能って何それおいしいのとゆーよーな状況で誠に遺憾の極みですがそもそも大量に資産買入をしたらそうなるのですから致し方無し。
・麻生さんェ・・・・・・・・
ほほう。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130321/k10013356431000.html
麻生氏 物価目標2%には一定の時間
3月21日 16時7分
『麻生副総理兼財務大臣は21日の参議院財政金融委員会で、政府と日銀の共同声明に盛り込んだ2%の物価目標について「いきなりそこまでいくのは簡単な話ではない」と述べて、目標の達成には一定の時間がかかるという見方を示しました。』(上記URLより、以下同様)
『この中で、麻生副総理兼財務大臣は、元大学教授で20日に就任した日銀の岩田副総裁が就任前の衆議院議院運営委員会で2%の物価目標を「2年で達成できる」と答弁したことに関連して「学者とはこんなものか。実体経済が分かっていない人はこういう発言をするんだと正直思った」と述べ、否定的な考えを示しました。』
>学者とはこんなものか。実体経済が分かっていない人はこういう発言をするんだと正直思った
>学者とはこんなものか。実体経済が分かっていない人はこういう発言をするんだと正直思った
>学者とはこんなものか。実体経済が分かっていない人はこういう発言をするんだと正直思った
・・・・・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー
『そのうえで、麻生副総理は「デフレからインフレに戻して、いきなりそこまでいくのは簡単な話ではない。20年続いた一般人の気持ちがインフレに変わるのは、そんなに簡単にはいかないという前提で考えている」と述べ、2%の物価目標の達成には一定の時間がかかるという見方を示しました。』
まあどうなるのやらという所で。
・ちょっと気になったのでメモ
公共放送ニュースなんですけどね
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2013_0321_02.html
WEB特集 日銀は黒田新総裁でどう変わる
3月21日 22時45分
こちらの記事の下の方で「では実際にどういう施策があるのか」という部分ではまあ正確な解説をしているのですけれどもね。
『黒田総裁や岩田副総裁は、国会の所信聴取のなかで具体的に言及しています。それを踏まえれば、▽より長期の金利を引き下げるために、日銀が買い入れる国債について、償還までの期間を今の3年以下からより期間の長い国債まで対象とすること、▽来年から導入予定だった、期限を設けずに一定額の国債を買い入れる新しい金融緩和の方法を前倒しして実施すること、▽銀行券ルールと言われる、日銀が国債買い入れに当たってのルールについても見直すこと、などが議論される見通しです。』(上記URLより)
ということでこちらでは「日銀が買い入れる国債について、償還までの期間を今の3年以下からより期間の長い国債まで対象とすること」と説明しているのですが、今朝の7時台の公共放送ニュースではこの日銀の国債の買入について、
『現在日銀が買い入れる国債は3年以下までに限られていますが』(7時台ニュースでこの件を報道した記事URLはまだ出ていない(5時台のはある)のでソースは私のヒアリングベースです。7時台の最初のニュースが日銀新総裁就任ネタでした)
と思いっきり間違えてアナウンスしておりまして、いやあの成長通貨供給オペ(輪番ね)があるんですけど天下の公共放送が何を間違えているのやらと甚だ腰の砕ける思いを朝から致しまして、まー確かに従来のオペと基金オペの区別がヤヤコシヤとかそーゆーのはあるのですが、公共放送が事実誤認しちゃうとか残念な話だなあと思いましたですよ、はい。
#だからこそこの機会に戦線整理してシンプルにするのが手なのかもしれませんが
○これは電波浴というか何というか
とまあそんな事実誤認ネタも裸足で逃げ出す強力な電波はを感知しましたので晒し上げ。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2581?page=1
経済の常識 VS 政策の非常識
日銀総裁はなぜもっと早く辞任しなかった?
2013年03月18日(Mon) 原田 泰 (早稲田大学政治経済学部教授・東京財団上席研究員)
本当は3ページ構成なのですが、最初のページだけでお腹一杯になってしまう強力電波を感知してしまいましたので久々に電波浴でも。
『白川総裁は頑なに金融緩和を拒み続けてきた。しかし、日銀の支店長を集めた1月15日の会議で「強力な金融緩和を間断なく推進していく」と述べ、アベノミクスの立場に立つことを表明した。』(上記URLより)
・・・・・・・・・えーっとですね、日銀はこれまでも「追加金融緩和」という触れ込みの施策を実施しておりまして、その追加金融緩和が不足だという話なら仰りたい事は判るのですが、「金融緩和を拒み続けてきた」ってそらまあいくらなんでも事実を捻じ曲げ過ぎではないでしょうかねえ。
まあそれよりものけぞってしまうのは「日銀の支店長を集めた1月15日の会議で「強力な金融緩和を間断なく推進していく」と述べ、アベノミクスの立場に立つことを表明した」というくだりでございまして、、、、、
まあそうですねえ、どこを切り取っても良いのですけど、こんなの日銀出していますけどねえ。
物価安定のもとでの持続的成長へ向けた最近の政策運営
http://www.boj.or.jp/mopo/outline/sgp.htm/#p02
強力な金融緩和の推進
でまあその総裁の発言ですが、白川総裁が急に金融緩和推進と言い出したかのような書き方ですけれども、、、、、
2011年12月21日の白川総裁定例記者会見
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2011/kk1112d.pdf
『日本銀行としては、包括的な金融緩和政策を通じた強力な金融緩和の推進、さらには、金融市場の安定確保や成長基盤強化の支援を通じて、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰するよう、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく方針です。』(2ページ目の下から4行分)
2012年2月14日の白川総裁定例会見
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2012/kk1202b.pdf
『第2に、いわゆる時間軸政策を使った日本銀行の金融緩和政策姿勢の明確化です。当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していくことにしました。』(1ページ目の下から9行目〜下から6行目)
「アベノミクスの立場に立つ」も糞も安倍さんが自民党総裁になるだいぶ以前から「強力に金融緩和を推進」って白川さん言ってるんですけど何なんでしょこの方の主張は、、、、、、
・・・・・・・・・もうね、この人日銀のリリースとか全然見ないで適当に書き散らしてるでしょと思うのですが、原田泰さんってもっとちゃんとしたお方だと思っていたのですが、この方はワタクシがご尊名を把握している原田さんとは別の人なのかと思う位のこの書きっぷりにもうちょっと何なんですかねという所で。
まあ日銀理論のくだりも何だかなという所だし、日銀の支店長がどうのこうのとか言ってる部分とかそもそも日銀の組織がどうなってるのかとか全然勉強する気もないだろこのオッサンという所でございまして、これが早稲田大学政治経済学部教授という肩書で雑誌に寄稿した文章だという事ですが、そんじょそこらのヘッポコ大学なら兎も角天下の大早稲田大学様がそんな事で良いのかという話ですぞな。もっとちゃんと研究をしている若い衆が沢山いると思うのに、ろくすっぽ事実関係の確認もしないでエエカゲンにも程がある前提でああだこうだというような文章を雑誌に寄稿する輩が教授ポスト確保してるとかアカポスが勿体ないわと思う次第で、早稲田大学(と東京財団)の猛省を促したい所ではあります。
いやね、別に主義主張とか意見とか色々なのがあって然るべきだし、日銀だって何やってんだというような事は色々とあるのですが、そもそもちょっと調べれば直ぐわかるような事で事実を全力で捻じ曲げるわ日銀の主張に関しても上記の原田さんの書き方じゃあ日銀理論なるものが支離滅裂にも程がある訳ですが、日銀の言ってる事の部分部分を集めて一貫性の無い書き方にするとか何なんでしょその藁人形論法はとゆー所ですが、とにかくそもそも批判の前提としているファクトがちょっとそれは幾らなんでもおかしいのじゃないかという話をするのって、胡散臭い政治団体がアジビラでも書いているならともかく、大学教授の肩書がある方がその専門分野(と思われる)に関連する事項で雑誌に投稿というのは如何なものかとおもいますわな。でまあ一々全部突っ込んでいると時間と血圧の無駄なので以下割愛。
#などと書いていたら海外金融政策関連での先日の予告ネタ(BOEデール副総裁講演とかFRBイエレン副議長講演とかその他諸々)とかこの前からの継続ネタ(FRBスタイン理事の講演ネタ)とかを書いている時間が無くなったのですが、ネタが一部沈殿気味になってまいりましたので今週末こそネタ整理して放出するものは放出する所存であります(キリッ)と言って中々やらないのがぐうたらなアタクシorz
2013/03/21
お題「FOMC声明文など/総裁退任記者会見より大量引用(汗)」
今日は就任会見という名前のご高座が展開されるという事ですが、しかしまあモーサテの為替と株のコメント聞いていると無暗矢鱈と期待が高まっているのだが、下手につぎはぎ金融緩和しない方が先々の運営がやりやすいと思いますけどこりゃ市場の期待に追いまくられて複雑骨折金融政策が拡大するんでしょうかねえ。
○FOMC声明文
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20130320a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20130130a.htm(前回)
・第1パラグラフ:色々と上方修正+財政問題を追加
まずは総合判断が引上げ。
『Information received since the Federal Open Market Committee met in January
suggests a return to moderate economic growth following a pause late last
year.』(今回)
『Information received since the Federal Open Market Committee met in December
suggests that growth in economic activity paused in recent months, in large
part because of weather-related disruptions and other transitory factors.』(前回)
一時的要因により拡大が停止しているという表現から再び緩やかな拡大とご覧の通りの引き上げですけれども、まあ元々が一時的要因を強調していたのですごく改善したという訳では無いですな。
で経済状況の項目別展開も色々と改善していまして、まずは労働市場から。
『Labor market conditions have shown signs of improvement in recent months
but the unemployment rate remains elevated.』(今回)
『Employment has continued to expand at a moderate pace but the unemployment rate remains elevated.』(前回)
ここはおーという所ですが、労働市場に関して「signs of improvement」という表現を入れているのが強い所です。
『Household spending and business fixed investment advanced, and the housing
sector has strengthened further, but fiscal policy has become somewhat
more restrictive.』(今回)
『Household spending and business fixed investment advanced, and the housing
sector has shown further improvement.』(前回)
家計支出と企業投資に関しては判断を継続、住宅セクターに関しては「更なる改善を示している」という表現から「更に強くなっている」ということで、英単語的には「improvement」が「strengthen」ってのはこれ表現進めているんですよね。
で、今回判断下がっているのが財政政策に関する部分で、「財政政策が更に幾分か制限的になっている」(下手くそな直訳ですいません)という表現が入っておりまして現状財政問題が相変わらず揉めているのでFOMCお怒りの図ですね分かります。
『Inflation has been running somewhat below the Committee's longer-run
objective, apart from temporary variations that largely reflect fluctuations
in energy prices. Longer-term inflation expectations have remained stable.』(今回)
『Inflation has been running somewhat below the Committee’s longer-run
objective, apart from temporary variations that largely reflect fluctuations
in energy prices. Longer-term inflation expectations have remained stable.』(前回)
物価に関しては引き続き同じで、閾値の物価の方が引っ掛かるという話についてはまあ当面気にせんでもよかですたいという所ですな。
・第2パラグラフ:海外金融市場の緊張がどうのこうのという表現が抜けるとな
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster
maximum employment and price stability.』(今回)
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster
maximum employment and price stability.』(前回)
というのはいつもの表現ですな。
『The Committee expects that, with appropriate policy accommodation, economic
growth will proceed at a moderate pace and the unemployment rate will gradually
decline toward levels the Committee judges consistent with its dual mandate.』(今回)
『The Committee expects that, with appropriate policy accommodation, economic
growth will proceed at a moderate pace and the unemployment rate will gradually
decline toward levels the Committee judges consistent with its dual mandate.』(前回)
適切な金融緩和で経済が徐々に改善して失業が徐々にマンデートで適切と委員会が考える水準まで低下していくでしょうというのも同じです。
『The Committee continues to see downside risks to the economic outlook.』(今回)
『Although strains in global financial markets have eased somewhat, the
Committee continues to see downside risks to the economic outlook.』(前回)
ここもほほうと思ったのですが、キプロス地雷が盛大に火を噴きつつある中で国際的な金融市場の緊張がどうのこうのという表現をばっさり削るとはお洒落。
『The Committee also anticipates that inflation over the medium term likely
will run at or below its 2 percent objective.』(今回)
『The Committee also anticipates that inflation over the medium term likely
will run at or below its 2 percent objective.』(前回)
ということで物価見通しに関しても従来通りで、この2パラグラフ目での変更点は国際金融市場の緊張がどうのこうのという部分が抜けた点ですな。
・第3パラグラフ:資産買入の決定内容部分は1か所だけ謎の(?)変更
第3パラグラフは資産買入政策に関する決定事項を示す部分ですが、ここは1か所だけ変更になっています。
『To support a stronger economic recovery and to help ensure that inflation,
over time, is at the rate most consistent with its dual mandate, the Committee
decided to continue purchasing additional agency mortgage-backed securities
at a pace of $40 billion per month and longer-term Treasury securities
at a pace of $45 billion per month.』(今回)
『To support a stronger economic recovery and to help ensure that inflation,
over time, is at the rate most consistent with its dual mandate, the Committee
will continue purchasing additional agency mortgage-backed securities at
a pace of $40 billion per month and longer-term Treasury securities at
a pace of $45 billion per month.』(前回)
決定事項に関する所で、従来「the Committee will continue」となっていたのが今回「the
Committee decided to continue」となっているのですがこれは何か意図があるのか良く判らん。この買入規模やペースに関しては毎回のFOMCで点検する筈なのでここで何で表現が変化したのかね。まああまり深い意味は無いと思いますが。
以下の部分は前回と同じなので今回分だけ引用しておきます。
『The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal
payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities
in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury
securities at auction.』(今回)
『Taken together, these actions should maintain downward pressure on longer-term
interest rates, support mortgage markets, and help to make broader financial
conditions more accommodative.』(今回)
償還再投資の話とか資産買入政策の効果についての話はカワランチ会長です。
・第4パラグラフ:どさくさに紛れて今後の政策が両にらみに変わっているぞなもし
今回の声明文を見て最初の2つのパラグラフを見ておお結構強くなっているじゃんと思ったのですが、それを前提にして第4パラグラフに到達して「おおお!」と思ったのですけどね。
『The Committee will closely monitor incoming information on economic and
financial developments in coming months.』(今回)
『The Committee will closely monitor incoming information on economic and
financial developments in coming months.』(前回)
とまあここは同じなのですが。
『The Committee will continue its purchases of Treasury and agency mortgage-backed
securities, and employ its other policy tools as appropriate, until the
outlook for the labor market has improved substantially in a context of
price stability.』(今回)
『If the outlook for the labor market does not improve substantially, the
Committee will continue its purchases of Treasury and agency mortgage-backed
securities, and employ its other policy tools as appropriate, until such
improvement is achieved in a context of price stability.』(前回)
ということで、今回どさくさに紛れてしらっと表現が変わっていておおおお!と思ったのはここでありまして、従来は「物価安定の文脈の下で労働市場の改善が継続すするまで、労働市場の見通しが顕著に改善しなければ委員会は国債やエージェンシーMBS債の買入を継続し、その他の政策ツールを適切に投入します」という表現だったのですが、今回は「物価安定の文脈の下で労働市場の改善が顕著に改善するまでは委員会は国債やエージェンシーMBS債の買入を継続し、その他の政策ツールを適切に投入します」となっておりまして(って何かあたくしの日本語訳がヘボ過ぎるので何を言いたいのかワカランチ会長ですかそうですか・・・・・)、「employ
its other policy tools as appropriate」という表現の前提部分に「顕著に改善しない場合は」というのが入っていて従来は買入継続に加えて必要な場合には追加の金融緩和政策を投入するというニュアンスを示していたのですが、今回は単に「適切に政策ツールを投入します」という表現になっております。
つまりですな、従来はこの部分は「必要なら追加緩和のおかわり」を強く示唆する物言いで、まあ基本的なニュアンスが急に変わっているとまでは思えませんけれども、今回はその「必要な場合の適切な政策」に実は出口方向の政策も含まれてしまうというのが実にお洒落な変化でありまして、経済情勢の改善が予想通りあるいは予想以上に進んだ場合、ここの表現に関しての市場の受け止めが「追加緩和」じゃなくて「出口政策」となり得る、という仕掛けを今回埋め込んでいるという前も似たような事やってましたな(とっさに何時のFOMCとか出てこないですすいません)というのがほほーという所です。
『In determining the size, pace, and composition of its asset purchases,
the Committee will continue to take appropriate account of the likely efficacy
and costs of such purchases as well as the extent of progress toward its
economic objectives.』(今回)
『In determining the size, pace, and composition of its asset purchases,
the Committee will, as always, take appropriate account of the likely efficacy
and costs of such purchases.』(前回)
でまあここの表現もおーという所なのですが、資産買入の規模や買入資産の構成に関して、それらの施策の想定される有効性やコストについて適切な評価を行う「take
appropriate account of the likely efficacy and costs of such purchases」という部分に関して従来はあっさり味で「the
Committee will, as always, take〜」という表現でしたが、今回は「the Committee
will continue to take〜」と毎回の点検を行いますというニュアンスがより強く出る表現に変わった上に、「as
well as the extent of progress toward its economic objectives」と、「FOMCの経済に対するマンデートに向けての進展の度合いと共に」資産買入政策のプロコン比較を行いますよという表現になっていまして、昨年までは追加緩和のおかわりを示唆する表現に傾いていたこの辺りの表現について、前回からその傾向がありましたけれども、今回は更に出口にも使える表現が増えている所がほっほーと思う所であります。
#会見の方でこの辺のニュアンスを火消ししているのかもしれんがそこまで今日は見てる時間なし
・第5パラグラフ:フォワードガイダンスに関する部分は前回と見事に全文一致
全文一致なので引用だけ。ただしこのあたくし差分ツールとか使ってみている訳では無く(というのは時々見落とし訂正ネタを投下しているのでお判りだと思いますが^^)人力(プリンターに打ち出して目検と音読^^)で差分を確認している(その方が微妙なニュアンスの違いを感じやすいから、と信じて止まないアナログ人間のこのあたくし^^)ので間違っていたらすいません。ちなみに、全文一致の確認に一番便利なのは「2枚重ねて透かし読み」であることは言うまでもございません(^^)。
とは言えこのパラグラフ長いので分割しますね。
『To support continued progress toward maximum employment and price stability,
the Committee expects that a highly accommodative stance of monetary policy
will remain appropriate for a considerable time after the asset purchase
program ends and the economic recovery strengthens. 』(今回)
『In particular, the Committee decided to keep the target range for the
federal funds rate at 0 to 1/4 percent and currently anticipates that this
exceptionally low range for the federal funds rate will be appropriate
at least as long as the unemployment rate remains above 6-1/2 percent,
inflation between one and two years ahead is projected to be no more than
a half percentage point above the Committee's 2 percent longer-run goal,
and longer-term inflation expectations continue to be well anchored.』(今回)
『In determining how long to maintain a highly accommodative stance of
monetary policy, the Committee will also consider other information, including
additional measures of labor market conditions, indicators of inflation
pressures and inflation expectations, and readings on financial developments.
When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it
will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum
employment and inflation of 2 percent.』(今回)
・第6パラグラフ:ジョージ総裁今回も同じ理由で反対
ここも全文一致とな。
『Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman;
William C. Dudley, Vice Chairman; James Bullard; Elizabeth A. Duke; Charles
L. Evans; Jerome H. Powell; Sarah Bloom Raskin; Eric S. Rosengren; Jeremy
C. Stein; Daniel K. Tarullo; and Janet L. Yellen.』(今回)
『Voting against the action was Esther L. George, who was concerned that
the continued high level of monetary accommodation increased the risks
of future economic and financial imbalances and, over time, could cause
an increase in long-term inflation expectations.』(今回)
ということで、今回の声明文はしらっと追加緩和おかわりだけではなく出口政策対応も可能な表現を埋め込んでいるのがほっほーという所ではございました。
○FOMC経済見通し
SEPである。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20130320.pdf(今回)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20130320.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20121212.pdf(前回)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20121217.htm(前回)
HTMLの方からベタばりするとまあ正直読みにくいのですが(大汗)、
2013 2014 2015 Longer
run
Change in real GDP 2.3 to 2.8 2.9 to 3.4 2.9 to 3.7 2.3 to 2.5
December projection 2.3 to 3.0 3.0 to 3.5 3.0 to 3.7 2.3 to 2.5
2013 2014 2015 Longer
run
Unemployment rate 7.3 to 7.5 6.7 to 7.0 6.0 to 6.5 5.2 to 6.0
December projection 7.4 to 7.7 6.8 to 7.3 6.0 to 6.6 5.2 to 6.0
2013 2014 2015 Longer
run
PCE inflation 1.3 to 1.7 1.5 to 2.0 1.7 to 2.0 2.0
December projection 1.3 to 2.0 1.5 to 2.0 1.7 to 2.0 2.0
2013 2014 2015
Core PCE inflation 1.5 to 1.6 1.7 to 2.0 1.8 to 2.1
December projection 1.6 to 1.9 1.6 to 2.0 1.8 to 2.0
ということで、見通し(中心的見通しの所だけ引用してます)は失業が微妙に改善していてGDP見通しが微妙に悪化しており、物価見通しは若干下振れしているという何か整合性どうなのという感じもしますが、まあそういう結果。
Appropriate timing of policy firming
2013 2014 2015 2016
Number of participants 1 4 13 1 (今回)
Number of participants 2 3 13 1 (前回12月)
2013年の引き締め開始の人が1名後ろに倒れたと。
でまあ金利の方はこれ引用するとややこしいのですが、2015年末の金利水準に関しては分布が上下分裂という感じになっていまして・・・・・・
Target federal funds rate at year-end(Percent)
2015年末Target federal funds rate at year-end(Percent) の1.25%以下の分布です。何で1.25%で切っているかと言いますと、その次の水準がいきなり2.00%にワープしまして、まあその人たちは絶賛タカ派なのでその辺はまあいっかという話。
(今回)
0.25 1
0.50 7
0.75 1
1.00 2
1.25 4
(前回)
0.25 1
0.50 5
0.75 3
1.00 3
1.25 2
合計14名→15名とトータルの人数が増えていて、2%組から1名脱落というのもオモシロスではありますし、この分布見ていると0.75%の人が下りる形で0.50%の所が厚くなっていまして、一方で1%から1.25%の所では1%の人が上がる形(と2%組から1名降りてきている)で1.25%が厚くなっている、という事で、今回の政策金利予想を見るとトータルでは多分若干金利予想が低くなっているという結果になると思うのですが、内容的に見ると強めに見ている人と弱めに見ている人の意見の分裂傾向が拡大しているように見えますので、まあ委員会の見通しがやや分裂気味になっているんだろうなあという所です。
と、ここまでFOMCでした。この先も少々長いですが、さすがにこれは昨日作っていますのでご安心ください(^^)。
○総裁退任記者会見
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1303d.pdf
まあ何ですな、本当はまあ最初から最後まで読んでちょ、以上終了という所でも良いような気もしますし、色々と白川さんの考えが披露されているのでどれをネタ的に引用しましょうかというのも難しいんですけれども全部引用したら21ページもありますので引用大会になりますがとりあえず幾つか引用させて頂きたく。
・せっかくなので最初の話を全部引用してみる
最初に「5年間を振り返って」という質問があってこの答えが延々2ページ近くあるのですが、まあこれは白川さんの総括なので引用しておこうではありませんか。茶々は入れない(^^)。
『(答) かねて発表していた通り、本日、私は日本銀行総裁を辞任します。この5年間、記者の皆さん方には大変お世話になりました。ご質問にお答えする前に、記者の皆さん方に心からお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。』
『この5年間を一言で言うと、激動の5年間でした。リーマン・ショック、欧州債務危機、東日本大震災、2回の政権交代と、滅多には起きないことが次から次へと起きたという思いです。そのもとで、急速な円高の進行をはじめ、経済・金融も当然大きな影響を受けました。最も印象深い出来事ということだと、なかなか絞り込めませんので、3つの出来事を取り上げ、その時に感じたことについて述べたいと思います。』
『最初に取り上げるべき出来事は、何といっても、2年前に起きたあの悲惨な東日本大震災です。改めて、亡くなった方のご冥福をお祈りすると共に、今後の復興の進展を心から願っています。震災発生直後から、日本銀行は、金融市場の安定や決済・金融機能の維持のため、市場への大量の流動性供給、リスク性資産の買入れ、被災地への現金供給、損傷した銀行券や硬貨の引換え、海外への情報発信など、本支店・内外の事務所の総力を挙げて対応しました。わが国の根幹的な決済システムである日銀ネットも正常に運行しました。日本銀行が中央銀行として最も存在意義を問われるのは、大地震をはじめとする自然災害への適切な対応であると思っていましたが、多くの関係先のご協力と職員の献身的な努力とによって、何とか中央銀行としての責任は果たし得たと思っています。』
『2番目に取り上げるべき出来事は、2008年9月のリーマン・ショックです。リーマン破綻によって、世界中が大きな影響を受けました。極端な不確実性が発生し、またファイナンスが難しくなる状況のもとで、特に、耐久消費財や資本財の需要が大きく落ち込みましたが、これらは日本の最も得意とする分野であっただけに、まさに需要が蒸発するように急減し、日本経済も大きな影響を受けました。ただ、そのような状況にあっても、2000年代初頭にかけて不良債権問題を解決していたこともあって、わが国の金融システムは海外と比較すると格段に安定していたと思います。この時に改めて感じたことは、中央銀行の「最後の貸し手」としての役割の重要性です。ドル資金市場について、日本銀行は、FRBから為替スワップ取引で調達したドル資金を迅速に供給しました。円の金融市場についても、潤沢に資金供給を行うと共に、機能不全に陥ったCP、社債市場に対し、中央銀行として異例の措置でしたが、CP、社債の買入れを行いました。こうした「最後の貸し手」としての役割は、金融システムの安定を維持する上で極めて重要であったと思います。』
『リーマン・ショックの時は、即時グロス決済――いわゆるRTGS――や、外国為替の同時決済の導入など、決済システムの安全性と効率性の向上に向けて行ってきた様々な取組みがその成果を発揮したという意味でも感慨が湧きました。仮に、こうした努力なしにリーマン・ショックに直面していれば、金融取引は完全に止まりかねない事態になっていたのではないかと思います。』
『中央銀行に対しては、「マクロ経済理論に基づいて政策を行う政策当局である」という見方が根強いように思いますが、中央銀行の銀行業務の重要性について、もっと多くの人に理解して頂きたいと感じています。なお、この点に関して申し上げると、地味ではありますが、「次世代RTGS」が稼働し、また、現在は新日銀ネットの構築に向けた準備が進んでいることを付言したいと思います。これらは長い目でみて、日本の経済や金融に貢献するものだと信じています。』
『第3に取り上げるのは、「出来事」という言葉には馴染まないかもしれませんが、デフレ脱却に向けた金融政策の取組みです。リーマン・ショック後の経済の落込みに対し、日本銀行は、いわゆる非伝統的な金融政策を含め、様々な金融緩和策を実施してきました。また、2010年10月には、長めの金利やリスク・プレミアムに働きかけることを狙って「包括的な金融緩和政策」を導入しました。さらに、緩和的な金融環境が企業や家計にもっと活用されるよう、成長基盤強化や貸出増加を支援するための資金供給も創設しました。また、本年1月には、「物価安定の目標」を導入しました。』
『私としては、デフレ脱却と物価安定のもとでの持続的な経済成長に向けて最大限の努力を払ってきましたが、この課題達成のためには、日本銀行による強力な金融緩和と競争力・成長力の強化に向けた幅広い主体の努力が不可欠です。幸い、最近では、デフレ脱却と物価安定のもとでの持続的な経済成長に向けた議論が活発化する兆しがありますが、是非、この機会を上手く活かして、日本経済の直面する本質的な課題の解決に向けて、様々な取組みが進むことを願っています。』
・評価は時間が過ぎてから・・・・・・・というのはつまりアレですね
次の質問が「自己評価は如何で」という質問でして。
『(答) この5年間、他の8人の政策委員会メンバーとともに、その時々に入手可能であった情報に基づいて経済・物価情勢を丹念に点検し、デフレから早期に脱却し、物価安定のもとでの持続的成長を実現することに最大限の努力を払ってきました。この間の金融政策に関する評価は第三者が行うべきものであり、自己評価を述べることは控えたいと思います。』
でまあここで終わらないのがチャーミングでして。
『自己評価を述べることを控えるもう1つの理由は、政策の評価をするには、もう少し長い時間が必要と思うからです。過去の金融政策運営、例えば、日本のバブル期やバブル崩壊後の金融政策、米国の2000年代半ばにかけての金融政策、いずれをとっても、その評価は時の経過と共に随分変わってきています。』
グリーンスパンdisですねわかります。
『また、かつて欧米から批判を受けた日本の金融政策運営についても、欧米が同じような事態を経験するにつれて、評価が随分と変わってきています。いずれにせよ、現在、先進各国は2000年代半ばにかけての世界的な未曾有のバブルの後遺症から脱却できていない状況です。』
グリーンスパンdisというのはつまり当時副議長だった逆さ絵おじさんェ・・・・・・
『従って、わが国を含め欧米諸国が現在展開している非伝統的な政策の評価も、いわゆる「出口」から円滑に脱出できて初めて、全プロセスを通じた金融政策の評価が可能となる、そうした性格のものだと思っています。』
>「出口」から円滑に脱出できて初めて、全プロセスを通じた金融政策の評価が可能となる
>「出口」から円滑に脱出できて初めて、全プロセスを通じた金融政策の評価が可能となる
>「出口」から円滑に脱出できて初めて、全プロセスを通じた金融政策の評価が可能となる
・・・・・・・・・(^^)
『デフレ脱却に関して言うと、私どもが実現したいことは、単に物価が上がれば良いということではなく、再三申し上げている通り、「デフレから早期に脱却し、物価安定のもとでの持続的成長を実現する」ことです。物価が2%上がり、給料も同率上がるだけでは、国民の生活水準が向上するわけではありません。物価が上がり、円の為替レートが同率円安化しても、対外価格競争力が高まるわけではありません。』
さよですな。
『物価上昇のもとでは、歳入も増えますが歳出も増えるので、財政バランスの改善効果も限定的です。私どもが実現したいのは、実質経済成長率――ただし、人口減少社会では一人当たり実質GDPやGNI成長率ということになるかもしれませんが――が高まり、その結果として、物価上昇率も高まっていくという姿です。(以下割愛)』
でまあこの先もあるのですがさすがに引用だけでアホのように長くなるので割愛。
・マネタリーと物価に関連して
「デフレは貨幣的現象」という点についてどうお考えでしょうかという質問(もう一つ質問があったのですけれどもそちらの答えの部分は割愛)に対して。
『(答)(前半割愛)それから、「デフレは貨幣的現象か」あるいは「デフレの原因は何か」というお尋ねです。ある意味で、この問いは5年間ずっとついて回った問いでした。どのような経済活動も、全てお金を必要とするという意味では、全ての経済現象は「貨幣的現象」と言えます。しかし、だからと言って、全ての経済現象を貨幣だけで説明できるわけではありません。』
ほう。
『仮に、この命題を、「中央銀行の供給する通貨、いわゆるマネタリーベースを増加させれば物価が上がる」という意味に解釈すると、過去の日本の数字、あるいは近年の欧米の数字が示すように、マネタリーベースと物価との関係、リンクというのは断ち切れています。』
キタコレなのですが、こういう言い方では無くて「貨幣乗数が安定しなくなっている」と言った方が変にいちゃもん付けられないと思うのですよね。あたくしが白川総裁時代の会見とか講演とか見てて思ったのは、説明が丁寧なのはまあ判るのですけれども、大体日銀に難癖つけようとしている人たちがどういうポイントで難癖つけてくるのかとゆーのをもうちょっと研究して欲しかったよねと思う訳でして、つまらん揚げ足を取られないような物の言い方というのをもっと工夫した方が良いんじゃないかなと。まあ今後とも課題になると思います(ただし黒田さんの場合は最初のうちは揚げ足の皆さんは揚げ足取りに行かないと思いますのでその辺はちょっと楽かもしれないけれども)。
ちなみにこの部分で揚げ足を取れと言われたら「マネタリーベースが物価に影響しないという珍理論を白川総裁が唱えているが、日銀の珍理論によればそもそも日銀には物価安定をする能力も無ければ意志も無いという事になるのだから日銀自体が要らないんじゃねえか」というようないちゃもんの付け方をしてみますけどね。
『それでは、デフレを克服する上で、中央銀行の強力な金融政策は必要ないのかというと、これはもちろん必要であり、金融政策の役割はあるのかというと、その答えはもちろんYESだと思います。ただ、同時に、現在の日本の置かれた状況を考えると、競争力・成長力の強化に向けた幅広い主体による取組みが不可欠です。』
でまあ揚げ足を取る場合は当然この部分は無視しますが(^^)、それにしても「必要だが他にも必要な物がある」というのは仰せの通りではあっても、結局いちゃもん付ける方にしてみればこれだって「色々と理由をつけてやろうとしない」という話になる訳です。
『金融政策は強力な手段ですが、その効果の本質は、非常に低い金利水準を実現する、あるいは流動性を潤沢に供給することによって、家計や企業が、明日ではなく今日支出するように動機付けていくことです。しかし、明日が今日になり、明後日が明日になり、さらに今日になってきますので、いわば将来から現在に需要を前倒しすることになります。その前倒しにする原資というか需要自体は、日本経済の潜在的な成長力に規定されるわけです。現在、日本では、急速な高齢化やグローバル化に伴って経済の仕組みを見直していくことが遅れがちとなっており、そのことが成長力を下げています。そうした供給面あるいは構造面についての努力と強力な金融緩和が相俟って初めて、デフレの根本的な原因に対応していることになると思います。以上が、5年の経験を踏まえた上で、現在考えていることです。』
もし話をするのであれば「貨幣乗数が不安定になっている」という話と、ここの部分の「低金利政策はそれ自体で新しい需要を起こすのではなく、将来の需要を前倒しで示現させていくものなので、長期に渡ってやっていると徐々に前借りが先にシフトしていくぞなもし」という話に絞った方が論点が散漫にならないんじゃないのかなあ、などと僭越ながら思う次第。丁寧に色々な話をし過ぎて結局細かい所でいちゃもんつけられる、というのが麿モードの麿モードたる所以だったような気がします。
つまりね、相手がそもそも悪意を持って聞いている可能性がある、という点にもっと注意して話をするという政治家的なスキルが必要なんじゃないの、という話っすよね。白川さんの話って丁寧で非常に論点も多岐に渡っていてまあ虚心坦懐に読んでいると色々と示唆される事が多いと思うのですが、残念ながら相手がそもそも足を掬おうとして聞いている(明らかにヘッドラインの打ち方が「騒動を起こす方向で恣意的に発言を切り取る」というようなベンダーがありましたわなあ、どことは言わないけれども汐留の通信社とか酷かったですよねえ)場合にはどうだったんでしょうかねえと思います。
と、全然白川さんの話を聞かないでああだこうだ言ってましてすいません。
・期待のコントロールという論点について
これは質問の方から引用しましょう。
『(問) 10年ほど前に総裁が登場された討論会の記録を読みました。小宮先生や岩田一政先生など、5〜6人での金融政策に関する討論です。白川総裁は、その時、いわゆる日銀批判をしているグループの方に対して、「期待に働き掛ければ物事が解決する」ということについては、「中央銀行は呪文を唱える組織ではない」とか、「驚くようなことをすれば期待インフレ率が上がるということは考え難い」と、明確にリフレ派の教義について否定的な見解を述べていますが、現在、その基本的な考え方は変わらないのか、また先程の話と関連しますが、考えに何らかの変化はあるのか、簡単にご説明をお願いします。』
#そういや小宮先生の「金融政策論議の争点―日銀批判とその反論」を人に貸したままだorz
『(答) 市場とどう向き合うのかというテーマは、非常に重い課題だと思っています。いわゆる「市場との対話」について言うと、市場参加者は中央銀行のコミュニケーションの重要な相手方ではありますが、市場参加者からみて望ましいことが、長い目でみた経済の安定にとって望ましいことと必ずしも一致するわけではないと、私は感じています。』
まさに仰せの通り。
『この席で何度か触れましたが、FRBの元副議長であるアラン・ブラインダー氏は、かつて「市場は中央銀行が何をするかを予想し、ともすればそれに過剰反応する。一方、中央銀行は、政策判断にあたって市場の動向に振り回される」といった状況は、避けなければならないと指摘しています。』
#そういやブラインダーの「金融政策の理論と実践」を以下同文
『つまり、経済を安定させるためには、最後のアンカーが必要です。そういう意味では、中央銀行は、十分に市場を尊重しますが、最後は、中央銀行は判断をしなければいけないと思っています。「期待に働き掛ける」という言葉が、「中央銀行が言葉によって、市場を思い通りに動かす」という意味であるとすれば、そうした市場観、政策観には、私は危うさを感じます。』
まあこれは仰る通りだと思う訳で、思い通りに動かすなどとゆーてましてもそれが永続的に可能な訳は無く、思い通りに動かしている人の前にもザミエルが現れると思いますぞ。
『より広く市場との付き合いということで言うと、私は市場の動きに細心の注意を払い、また、金融市場安定のための円や外貨での資金供給、将来を見据えた決済システムの改善に向けた取組みなど、市場が正常に円滑に機能するために、中央銀行として最大限の努力を払うことも重要であると思っています。つまり、市場のインフラをしっかりと作っていくということです。私は、そうした努力こそが「市場を大事にする」ことの最も本質的な意味だと思っています。』
・金融政策の他国へのスピルオーバー云々について
という質問がありまして、いつもの話をしているのですが今回は集大成で丁寧に話しているので引用。
『(答) まず、金融のグローバル化のもとで、金融政策の相互依存関係について、十分な理論が構築されているかということですが、これについては、残念ながら、構築されていないと思います。「各国が独自に自国経済の安定を図っていくことが、最終的には世界経済全体の安定につながっていく」ということが大きな原則だという考えは、その通りだと思います。』
ふむ。
『その上で、もう少し現実的に考えていくと、例えば、キャリー・トレードの発生は、現在の国際経済学の教科書で十分に取り上げられているかというと、そうではありません。国際会議で新興国の声を聞くと、彼らの悩みが十分に教科書で取り扱われているとは思いません。また、日本あるいはスイスのように、ゼロ金利でイールド・カーブも非常に低くフラットである国を考えると、例えば金利差という意味でも、グローバルな経済ショックが加わって世界各国の金利水準が下がる時に、他の国は金利水準が下がりますが、日本やスイスでは下がるがゼロ以下には下がり得ないということで、金利差は、そこではほとんど受動的に決まってくるわけです。』
さいですな。
『逆に、最近のように欧米経済が少し改善方向に向かいイールド・カーブ全体が少し上がってくると、自動的にまた金利差が拡大するということです。そうした問題、現象は、教科書で十分に扱われていないように思っています。』
『先程、部分最適と全体最適ということを申し上げましたが、実際は「言うは易し、行うは難し」ということです。各国の政府、中央銀行が、自国経済の安定に責任を持つことは当然です。しかし、スピルオーバーと自国に跳ね返ってくるフィードバックということ、外部性をできるだけ内部化していく努力も必要です。BISをはじめとした各種の国際会議は、まさにそうした外部性を内部化していく努力だとも言えます。教科書に答えがないからと言って、中央銀行は止まっているわけにはいきませんので、そうした努力を続けていかざるを得ないと思っています。』
とまあそれはそうなのですが、肝心要の米国がこの辺のフィードバックを考えているかと言うとどうもその辺って伝統的にモンロー主義というか唯我独尊というかってえ面が昔から(たぶん第一次大戦後に英国ポンドブロックが金本位制をバックに世界を支えられなくなって以降って米国が本来は英国の役割をすべき所を必ずしもやらずに大恐慌発生とかそういう時代からだと思うのだが)あるように見える訳でして、その白川さんの理念というのは必ずしも世界の中央銀行に普遍的に共有されているかというと共有されていなくて、その結果日本がリーマンショック後のババ引き状態になったのではないでしょうかとも思えますけど・・・・・・・
『私には、教科書を書くだけのエネルギーはありませんが、今の教科書には、重要なチャプター(章)が、まだ幾つも抜けている感じがしています。そうした章を書き足す作業は、経験を積んだ上で、若い学者あるいは実務家が是非やって欲しいと思います。また、そうしたことがない限り、金融政策を巡る議論がいつまでもこういう状況から脱却できないという感じがします。(後半は別のお題なので割愛)』
いや白川さんまた書いてくださいお願いします。
・セントラルバンカーとして
まあ他にも政策関連の論点があるのですが、大概に引用が大量でありますので最後はあたくしも柄にもなく感傷的になって2つほど最後っぽい質疑を引用致しますです。
『(問) 総裁は、40年近く日本銀行に勤めてきたわけですが、40年の中で、一番大きな収穫と、やり残したことがもしあれば聞かせて下さい。』
『(答) まず、やり残したことについては、一人の人間の力は限られていますので、もちろん全てができたわけではありません。中央銀行というのは、金融政策、「最後の貸し手」としての役割、様々な決済サービスの提供など、色々な機能を担っており、そうした様々な機能を統合しながら経済・金融の安定を図っていく組織です。これは、日本銀行という、5千名弱の職員がチームとして行っていくものです。これは脈々と引き継がれていくわけです。私自身も先輩から引き継ぎましたが、これからまた後輩の皆さんがしっかりやってくれると確信しています。』
『それから、最初の質問ですが、多過ぎて、なかなか1つに絞り切れません。私自身の個人的な思いになりますが、大学を卒業後、漠然とパブリックな仕事をしたいと思っていましたが、それ程深い目的意識があって日本銀行に入ったわけではありません。ただ、結果的に日本銀行に計39年いましたが、中央銀行の仕事というのは、非常に奥が深いという感じがします。経済も金融も常に変化をしていく中で、究極の目標である通貨の信認、あるいは物価の安定、金融システムの安定を図っていくわけですが―─やや抽象的な言い方になりますが―─、変化を常に敏感に察知し、学習していく組織、それが中央銀行の最も根源的な付加価値と思っています。そういう組織に39年間身を置けたということは、私個人からすると、大変恵まれた職業人生活であったという感じがします。それが「収穫」という言葉にあてはまるかどうかは分かりませんが、そう感じています。』
・・・・・・・・・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー(;∀;)
・もし生まれ変わったら・・・・・・・
最後の質疑じゃないのですが最後にこいつを引用しておきましょう。
『(問)(前半割愛)もう1つ、もし可能であればお伺いしたいのは、総裁はよく自身のことを「アクシデンタル・ガバナー」という表現でおっしゃることがあると聞きます。まさに期せずして総裁になられたわけですが、もし、もう一度生まれ変わっても総裁をやりたいのかどうか。白川総裁は、「中央銀行業務、金融政策が趣味だ」というお話があるぐらい業務に没頭されていると聞きますが、もし生まれ変わっても、もう一度日本銀行総裁をやりたいかどうか、是非お答えをお願いします。』
『(答)(前半割愛)次に、アクシデンタル・ガバナー云々ですが、私自身5年前に全く図らずも副総裁、総裁代行、そして3週間後に総裁になりました。この間、全力を傾けて総裁という重い職責を担ってきました。十分に職責を果たしたかどうかは自信がありませんが、それだけの遣り甲斐のある仕事だったと思っています。』
『副総裁としての就任時の記者会見でも申し上げましたが、「趣味が金融政策」というと、何かいかにも寂しい人生を送ってきたと、人間的な幅がないということの言い換えという感じもしますので、そういうことではないということで、その時に、趣味にはバードウォッチングもあると申し上げました。』
・・・・・・・・・・・(^^)
『生まれ変わるということではなくて、とりあえず明日からは全く自由な身となりますので、バードウォッチングも含めて、ゆっくりしたいと思っています。』
・・・・・・・・・・・(^^)
『生まれ変わった後に何をやるか、その時にまた中央銀行総裁になりたいかということですが、そんなふうには思っていません。人生には、それぞれチャレンジする甲斐があることが沢山あるだろうと思っています。』
そこは野村克也さんばりに生まれ変わってもセントラルバンキングをやってみたいです総裁をやるかどうかはわかりませんけど位言って欲しかったですが、これが白川さんの正直な姿なのか照れてこう言ってるのか韜晦している(韜晦は無いと思うが)のかは本人にお伺いしないと判りませんが。
>人生には、それぞれチャレンジする甲斐があることが沢山あるだろうと思っています
>人生には、それぞれチャレンジする甲斐があることが沢山あるだろうと思っています
>人生には、それぞれチャレンジする甲斐があることが沢山あるだろうと思っています
先ほど引用した質疑にありますように「チャレンジする甲斐があること」に打ち込める人生というのはやはり素晴らしい事なのではないでしょうか。白川総裁何はともあれお疲れ様でした。で、麿だの何だの好き勝手申し上げて大変恐縮でございましたm(__)m
2013/03/19
お題「臨時会合でつぎはぎをするよりは・・・・・・/最後の麿節鑑賞など」
何かね、日銀総裁の評価をモーサテのゲスト解説者のどこぞの誰かさんがしているのですが、日銀総裁交代前後の相場パターンで「上昇型」を「一番良い形」とか言いながら「これらの相場は最終的に過剰流動性相場まで突き進んでいます」って最終的に全然良い形じゃねえかテレビに出てきて何を言ってるんだお前は朝三暮四のサルにも劣る馬鹿か今すぐ呼吸を止めろと朝から血圧が急激に上昇したのでテレビショッピングの血圧計をやはり買った方が良いでしょうかねえ。
○これは臨時会合無しフラグですね
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJU1846K510U01.html
雨宮大阪支店長が企画局担当理事に−黒田日銀の「異次元」政策支える
更新日時: 2013/03/19 00:00 JST
昨年大阪支店長に就任した雨宮理事がまたまた企画局担当で戻ってくるという事ですが、雨宮さんの後任が櫛田理事名古屋支店長で、櫛田さんの後任が宮野谷金融機構局長ですので、大阪と名古屋の引き継ぎを考えると普通に考えて来週月曜とかに企画担当に着任とかいう話になると思います。現在の企画担当門間理事も国際担当副統括(明日から統括ですかね)とはまり役に。
いやまあ別に理事が引継ぎ中でも金融政策変更するのは出来るでしょうけれども、キプロス地雷が火を噴いて金融危機世紀末伝説ヒャッハーとかならない限りそこまで急いで臨時会合をやる必要も無いところに来て、そもそも黒田さんも岩田さんも金融政策の技術的な話はずぶの素人と来ている訳ですから、これは臨時会合はございませんよといういい口実が出来て良かったとも言えますな。
でまあ黒田さん岩田さんじゃあ金融政策の技術論が華麗に素人ですので、ちゃんと具体化することのできる人がサポートしないとダメでしょという話になって企画担当の長い雨宮さんが戻るという話になった訳なのでしょうが、「異次元政策」というよりは「亜空間政策」(ナンノコッチャ)が色々と飛び出してきそうですなあという感じがして色々な意味で盛り上がって参りましたという感じではあります(^^)。
いやね、もう2月のミニッツもそうですし、3月の白井さんの謎提案もそうですし、黒田さんや岩田さんのコメントとかも見てますとそうなのですが、この調子だと「何か良く判らんけれどもとりあえず目に付いた政策から順にどういうロジックか判らんけど実行しようじゃないですか」みたいな超カオス状態になるんじゃネーノ(と考えますと木内さんと佐藤さんがそのカオスを収拾できるための存在として重要になる訳ですが)という気がしていて、それはそれでカオス鑑賞としてのお笑いネタになるかと思っていたのですが、まあ日銀的にはカオスを放置プレイという訳にも行かないでしょうという事ですねわかります。
まあしかし何ですな、黒田さん就任してすぐに何かやるって話も妙に盛り上がってはいますが、何か思いついたメニューを手当たり次第にやっていって「異次元緩和」とやるよりは、本当は色々と継ぎ足してダンジョン状態になっている複雑怪奇な現状の包括緩和政策を整理整頓してもうちょっとスッキリとした形にした方が良い訳で、それには少し戦線整理の時間が必要でしょとか思うので、本来は臨時会合をやってどうのこうのとやるよりは、最初から戦線を整理した形で出した方が「異次元」になるようにも思えるので、個人的には下手につぎはぎ拡大政策を打ち込まないで頂きたいと斯様思いますけどどうでしょ。
ということで土曜にこんなのがありましたけどね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130315-00001633-yom-bus_all
日銀、量的緩和復活へ…黒田新体制で転換
読売新聞 3月16日(土)3時0分配信
『日本銀行は、金融政策の路線を転換し、世の中に出回るお金の量を増やすことを目的とする「量的緩和」を7年ぶりに復活させる検討に入った。』(上記URLより)
いやあの今やってる包括緩和って量的緩和と信用緩和のハイブリッドで、直近はそのうち明らかに量的緩和にシフトしているのでして、7年ぶりに復活とか仰っている事の意味がさっぱり判りませんけれども読売新聞頭大丈夫かと思ってしまいますがそれはともかくとして。
まあ異次元言いましても実際に打てる弾って何でしたっけという事を考えますと、岩田副総裁がハーブアルパート&ティファナブラスの「ビタースイートサンバ」をBGMに会見に登場して「わんばんこ、いわきくでおま」とか言い出す(というネタは古いですかそうですか)位しか思いつかない訳ですが、確かに読売新聞が「量的緩和7年ぶり復活」とかそれ中身同じで看板書き換えただけぞなもしというのに簡単に引っ掛かるような状況であるという事を勘案しますと、その手の異次元というかイリュージョン緩和政策が展開されるかもしれませんねあっはっはと何だか俊ちゃん時代を思い出す展開もあるのかねえとか、まあつらつらと色々考えてしまった昨日のひとときではございました。
○総裁としての最後の講演ですがこれは白川イズムの鑑賞用である
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130315a1.pdf
日本経済の競争力と成長力の強化に向けて
── 日本経済団体連合会常任幹事会における講演 ──
何故か28日の講演テキストが3月15日に出てきましたが・・・・・・・
『本日は、私にとって、日本銀行総裁としての最後の講演となりますが、テーマは、迷うことなく、「日本経済の競争力と成長力の強化に向けて」とすることに決めました。』
ということですので、まあ次の総裁が確定するタイミングまで公表を待ったんですかね(^^)。
『と言うのも、競争力と成長力の強化こそが現在の日本経済にとって最も重要な課題だと考えるからです。このテーマは日本銀行にとっても極めて重要です。』
さいですな。
『ご承知のように、日本銀行は先月の金融政策決定会合において、金融政策の目的である物価安定について、その具体的な数値目標を2%とすることを決定しました1。この「物価安定の目標」は、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた幅広い主体の取り組みが進展するという認識に立った上で、導入したものです(図表1)。それだけに、そうした取り組みが現実に進展するかどうかは、金融政策運営上、極めて重要です。以下では、マクロ経済的な視点、企業行動の視点、そして、経済政策の視点を意識しながら、このテーマについて考えていることをお話ししたいと思います。』
ということで始まるのですがまあ麿イズムでありますので麿先生お疲れ様でしたという事を思いつつ鑑賞という所であります。
・経済政策の目的
『2. 経済政策の目的』って小見出しの最初が泣かせます。
『現在、わが国の経済運営を巡って活発な議論が行われていますが、最初に、経済政策の目的は一体何であるのか、我々は日本経済についてどのような状態を実現したいのか、ということについて考えてみたいと思います。経済政策の目的は、最終的には国民一人ひとりの生活水準の向上を図ることにあることは言うまでもありません。』
キタコレ。
『国民の生活の豊かさを測る単一の尺度は存在しませんが、近似的に言うと、国民一人当たりの消費水準、あるいはこれと密接な関係がある実質GDPの水準を持続可能なかたちで高めることがマクロ経済政策の重要な目標です(図表2)。そう申し上げた上で、日本経済の置かれた状況に則して経済政策のあり方を考える際には、もう少しきめ細かな議論が必要です。』
ほうほう。
『第1に、急速な高齢化による労働人口減少の影響を考慮する必要があります。日本の実質GDPは、今もリーマン・ショック前の水準を下回っていますが、人口一人当たりの実質GDPをみると、欧州諸国と比べ、落ち込み幅は相対的に小さくなっています(図表3)。さらに、生産年齢人口一人当たりの実質GDPをみると、日本はリーマン・ショック前の水準を上回っており、米国よりもパフォーマンスは良好です。』
『「人口の減少」は日本経済を語る時の常套句であるにもかかわらず、景気論議においてはこの重要な事実は意外に忘れられがちです。もちろん、四半期とか1年という期間ではどの数字でみても大勢に違いはありませんが、日本経済の中長期的な経済政策のあり方を考える時には、「一人当たり」という視点も重要です。』
まあ仰ることは判るのだが金融危機が直撃した国よりマシだからマシという議論はやはり何だかなあという感じはしますぞな。
『第2に、経済のグローバル化の進行という事実を踏まえる必要があります。具体的に申し上げると、実質GDP(国内総生産)だけでなく、実質GNI(国民総所得)もみていく必要があるということです。』
ほう。
『実質GNIは実質GDPに以下の2つの調整を加えた所得概念です。ひとつは、わが国の居住者が海外で稼ぐ所得です。2012
年の数字でみると、海外で稼ぐ所得は、14.3兆円と、名目GDPの3.0%であり、近年は対外証券投資に伴う収益に加え、対外直接投資に伴う収益も増加しています(図表4)。』
まあこれは良いとしまして。
『もうひとつの調整は、対外的な交易条件の変化に伴う実質的な購買力の変化です。近年は新興国経済の高い成長を背景に資源価格が上昇していることなどから、日本の交易条件は悪化方向にあり、交易利得、すなわち、交易条件の変化に伴う実質購買力は減少傾向にあります(図表5)。交易条件は資源価格だけでなく、日本企業の輸出品の非価格競争力を通じた価格支配力によっても変化します。為替レートの変化、例えば、円安は輸出増加を通じて実質GDPを増やすとともに、交易利得には逆方向に作用する場合があります。実質GNIへの影響は、こうしたふたつの調整を加味したネットの効果に依存します(図表6)。2000年を基準とすると、実質の海外所得の水準は、2012
年に約2.5 倍にまで増加し、2012 年の実質GDPを2000 年対比で1.9%押し上げました。一方、交易利得は、5.8%押し下げ方向に作用しました。』
おっしゃる事は判りますが、それを言うから円高容認と言われる訳でして、まあ最後まで麿は麿ですなあという話ですな。
『第3に、名目GDPと実質GDPをどのように位置付けるべきかということも議論されます。この点、経済が持続的に成長する時には、両方とも増加するため、中長期的に目指す政策の方向は異なりません。ここで申し上げたいことは、両者の因果関係です。』
キタコレ。
『まず実質GDPが増加することによって需給ギャップが逼迫し、これに伴う物価上昇の結果として、名目GDPは増加するというのが基本的な因果関係です(図表7)。もちろん、石油ショックの時のように、物価が先に変動するというケースもありますが、この場合は景気が悪化し、我々が望んでいる姿とは違います。我々が経済政策で実現しようとしているのは、実質GDPを高め、その結果として名目GDPが高まるという状況です。』
こちらは仰せの通り。
『この点に関し、興味深いのは日本銀行が個人を対象に四半期毎に実施している「生活意識に関するアンケート調査」です。この調査結果をみると、性別・年齢別・職業別のいずれでみても、過去から一貫して、物価の上昇について8割程度の方が「どちらかと言えば困ったことだ」と答えています(図表8)。』
またこれを言う訳で。
『この調査結果の背後には、物価が上昇しても賃金は増加しないかもしれないという不安があります。多くの国民は単に物価が上がることを望んでいる訳ではありません。給料が増加し、雇用も確保され、収益も増加するという状態、つまり、経済がバランスよく改善し、その結果として物価の上昇が実現する状態、これが国民が「デフレ脱却」という言葉で望んでいる姿の実相です。』
でまあ何時の間にやら浜田先生が「物価上昇なき景気回復ができれば、それは最善」などと仰せになるようでございますので誠に香ばしいのですが、惜しくも浜田大先生の名言はこの講演の後でしたので、もしこの講演がその後でしたら「浜田先生も仰るように」とか嫌味フレーズを入れてほしかったと思います。というか今日の退任会見で言えばいいのか(^^)。
第4は「成長しても一部の金持ちだけウハウハだったらシャーナイんじゃないの」というこれまたご尤もな話なのですが、それは経済政策としてはその通りなのですが分配に関わる部分は中央銀行が話をすることではあまりないでしょうし、大体からして人の話する前に自分の頭の上の蠅を追うべきであるという話ではないかと思いますが最後の講演なので思う所を述べたんでしょうな。
ということで引用だけしておく。
『第4は、成長の果実をどう分配していくかという問題です。経済が成長する上で市場メカニズムの果たす役割は大きいものがありますが、そうしたメカニズムを基本的には受け入れる社会としての価値観がその前提となります。』
『この点では所得分配の状況も重要な要素のひとつです。米国では、リーマン・ショック前の景気拡大期、すなわち2002
年から2007 年にかけて、所得上位1%の家計の実質所得が86%、家計の平均所得も20%伸びたのに対し、中位所得、すなわち、所得の高低で並べて丁度中間に位置する家計の所得の伸びは平均所得の伸びの半分である10%にとどまっています(図表9)。所得分配の状況は所得を稼ぐことのない高齢者の割合にも依存するため、単一の指標で捉えることは困難ですし、また、わが国はここまで極端ではないでしょうが、中間所得層を中心に、バランスのとれた経済成長を実現していくべきとの問題意識は、世界的に高まっています。』
・今後の取り組みに関して
でまあその後に『競争力と成長力強化の必要性』という話なのですが、引用していると長くなる上にまあ何時もの話なので最後の所だけ引用してその次の「今後の取り組みについて」以降に参ります。
『もちろん、企業が手元流動性を潤沢に保有すること自体は、バブル崩壊後の金融危機、あるいはリーマン破綻後のドル資金不足やCP市場の機能低下といった経験を踏まえると、ある程度までは合理的な行動です。しかし、現在の手元流動性の水準はそうした予備的需要を遥かに上回っているように思えます。余剰資金の使い道は、国内外の実物投資や金融投資、賃金支払いという従業員への還元、配当や自社株の買入れといった株主への還元の3つの選択肢しかありません。いずれにせよ、このルートのいずれかを通じて、増加した流動性に何らかの変化をもたらさない限り、経済への好影響は生まれません。その意味で、企業経営を取り巻く環境を変え、インセンティブを変えていくことが非常に重要です。物価安定のもとでの持続的成長の実現のためには、金融政策が重要であると同時に、競争力と成長力の強化に向けた取り組みが求められる所以です。』
ということで、ポイントを3つ並べていまして、小見出しが『増大する海外需要の取り込み』、『高齢化への対応』、『資源の円滑な移動促進』というのがありまして、特に最後の3番目の所はいやあそれはポリティカリーにアレだろというのがあったりしますが、これらの話は従来から説明している話の纏めのようになっていますけれどもまあご案内の話だと思いますのでこの辺も華麗にスルーしまして、そのあとに実際に何をすべきかという話がこのような小見出し。
『5.規制・制度改革、コーポレート・ガバナンス改革、社会の価値観』
キタコレという所ですが。
『以上、競争力と成長力強化の基本的方向性について述べてきましたが、本来、個々の企業の合理的な行動の結果、そうした方向に経済は向かう筈です。現実にそうなっていないのは、そこに経済的、制度的ないし社会的理由があるからです。そのように考えると、そうした障害を取り除く環境の整備が必要となります。』
ということで、『規制・制度改革』、『コーポレート・ガバナンス改革』、と来るのですが、その次の『社会の価値観』というのが中々。
『第3に必要なことは、安定と変化のいずれを優先するのかという社会の選択の問題です。』
ほっほー。
『わが国ではこれまで、どちらかと言えば安定重視の価値観が支配的でした。既存の国内市場の中で、消費者ニーズに合わせて、自社の商品を段階的に「改良」していく手法も、安定重視の経営スタイルといえます。しかし、人口が減少する中で、国内市場に焦点を当てた「改良」だけでは、経済は縮小均衡に陥る惧れがあります。』
ということで企業の話をしているのですが、あんさんの所の金融政策の場合、折角色々と思い切った変化をしている筈なのに、その変化を一々麿先生が打ち消して回って変化を改良にしか見せないという事をしていたように思えるのですが何なんでしょとか最後の講演捕まえて嫌味をいうあたくしは性格が悪いですかそうですか。
『雇用確保の要請に応えながら、同時に熾烈な価格競争を続けていけば、長期的に企業の収益環境はますます厳しくなっていきます。やや大胆に言えば、企業は、過去からの連続である「改良」か、非連続的な「イノベーション」かの選択を迫られています。経済に対するショックが一時的なケースでは、「改良」によって当座の苦境を凌ぎ、長い目でみた安定を優先する意味はあります。しかし、グローバル化や高齢化のような永続的なショックに対し、従来同様の「改良」だけで立ち向かっていては、大きな変化への対応が遅れる可能性があります。』
オマエモナー。
『改革は、国民の納得や合意なしに進めることはできません。イノベーションを実現していくためには、企業のチャレンジ精神と、それに必要な経営資源の移動や再配分が不可欠です。その過程では摩擦的現象も起きます。一概に答えの出る話ではありませんが、環境変化が永続的なものであるとすれば、そうした変化を受け入れ、新しいことへのチャレンジを応援する価値観を社会全体で共有することも、成長力強化に向けた改革を実現する上で非常に重要なポイントです。』
大変にイイハナシダナーではあるのだが、それはまさにオマエモナーに繋がるような希ガス。
・改革に必要な意識ときたもんで
この次が物価の話なのですが、上昇するケースについての説明とかこの前の定例記者会見での文脈をもうちょっと丁寧に説明したような話になりますので、この部分は割愛して小見出し『7.改革に必要な意識』という所。
『ところで、競争力と成長力強化に向けた取り組みの必要性にしても、また、それがデフレ克服と物価安定のもとでの持続的成長という課題の達成に不可欠であることも、一般論としては認識されていると思います。それにもかかわらず、そうした取り組みがなかなか進まないのは何故でしょうか。この点で鍵を握るのは、改革の必要性に対する切迫した意識だと思います。』
ほうほう。
『現在日本経済が直面している急速な高齢化やそれに伴う問題は決して一時的なものではありません。その影響は慢性症状のようなかたちで着実に日本経済に及んでいます。財政悪化はそうした問題の典型例です。財政の持続可能性を維持するためには、成長力を高めるとともに、歳出・歳入構造を見直していく必要があります。成長率が高まらない限り、物価上昇率だけが多少高まったとしても、財政バランスはほとんど改善しません。』
『しかし、わが国では、このような慢性症状はあっても、急性症状は発生していません。その大きな理由は、長年続いた経常黒字を反映し、巨額の対外純資産を有していることです。このため、世界的な経済ショックが起きた場合でも、安全資産を求める海外からの資金流入により、長期金利は安定し、為替相場も円高が進行するなど、危機によって円が急激に売られるという事態は経験していません。』
でまあ足元のリスクオンリスクオフの話をしておりましてその辺を割愛しまして・・・・・・・
『わが国における最近の円安や株高も、大きく捉えると、こうしたグローバル投資家のリスク回避姿勢の変化の中で生じています。逆に言うと、投資家のリスク回避姿勢が変化すれば市場の状況も変化します。このことは、10
年近くにわたって、ユーロ加盟国の国債金利がほぼ同じ状況が続いたという事実を思い起こすことで容易に理解頂けると思います。最終的に市場の状況を決めるのはファンダメンタルズです。わが国でも過去15
年近くの間にも何度かの円安局面があり、その局面では輸出や生産は増加しましたが、残念ながら、潜在成長率の引き上げに成功した訳ではありませんでした(図表30、31)。重要なことは、現在の好環境を活かして、競争力と成長力強化に向けてしっかりと取り組むことです。』
まあそうですね。でまあ話はやや脱線しますが、最近あたくしBOE(というか英国経済)の残念な状況を見ておりましてどうしてこうなったというのをつらつら考えているのですが、国内産業力が金融以外大して強くない中で金融危機起きて、それからの戻りにポンド安を誘導して何とかしようとしたものの、結局輸出競争力が為替要因以外に大きく高まる事も無く推移したのでポンド安に伴う物価上昇だけ残ってスタグフレーション一歩手前という惨状になっているのかなあなどと思うのですけれども、日本の場合はそこまで輸出競争力が無い訳では無いとは思いますが、円安一本足打法で他の強化を行わないと日本も英国的なパターンになってもおかしくないのかなあとか思ったりするのでありますがどうなんでしょうかねえ。
以下、金融政策に関する部分はまあ割愛しておきます。とりあえず麿お疲れ様でしたが、折角ですから最後の会見でブチ切れて欲しいけど絶対に切れないだろうなあ(^^)。
#という事で最後の講演なので退任前に駆け込んでみました
○読んだが紹介する時間がねえええええ
すいません寝起きが悪かったもんで。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130318a.htm/
指標金利に関する国際決済銀行・経済諮問委員会ワーキンググループによる報告書の公表について
2013年3月18日
日本銀行
要旨仮訳はこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/data/rel130318a.pdf
中々オモロイですが、まああたくし思いまするに各国とも短期市場の指標金利が必要なのであれば、3か月のTBを日本のようにバカスカ発行するのが吉で、「新発3か月もの短期国債の直近落札平均利回り」を指標金利にすればいいじゃんとか思うのですがダメですかね(週次改定でもそんなに困らないでしょとは思うが金融政策変更のタイミングだけ困るか・・・・・)。
2013/03/18
お題「キプロス預金封鎖とな/石田審議委員講演会見は会見が中々結構」
すっかり暖かくなったなあと思っていたらもう春の彼岸じゃないですか。早いですの。
○キプロス預金封鎖で預金カットキタコレ!
http://www.47news.jp/CN/201303/CN2013031601001930.html
キプロス、預金封鎖を開始 口座引き出し凍結
2013/03/16 21:37 【共同通信】
『【ロンドン共同】欧州連合(EU)ユーロ圏財務相会合がキプロスへの財政支援と引き換えに全ての銀行預金への課税を決めたことを受け、キプロス政府は16日、全銀行口座からの引き出しを制限する預金封鎖を開始した。ロイター通信などが報じた。』(上記URLより)
ということでECOFINの要求によるものというのがへーという所(すいません最近スルーしていましたので後から知りました)ですが、これってまあEUの錦の御旗で実施という事ですからNY為替はこんな反応みたいですけど。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJP1XI6KLVR601.html
NY外為:ドルが対ユーロ下落、インフレ抑制で緩和継続観測
更新日時: 2013/03/16 06:54 JST
『モルガン・スタンレーの欧州為替戦略責任者、イアン・スタナード氏(ロンドン在勤)は「キプロスのニュースは前向きに受け止められている。それがユーロにある程度の買い安心感を与えている」と述べた。』(上記URLより)
でまあキプロス救済は救済らしいのですけれども。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJQLKB6JIJUP01.html
ユーログループ、100億ユーロのキプロス救済策で合意
更新日時: 2013/03/16 14:14 JST
『3月16日(ブルームバーグ):ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は16日、銀行預金への課税という前例のない措置を盛り込んだ100億ユーロ(約1兆2500億円)規模のキプロス救済計画に合意した。』(上記URLより、以下同様)
『ユーログループ議長を務めるダイセルブルーム蘭財務相は会合後に記者団に対し、キプロスが支援を受ける条件として同国は10万ユーロ未満の銀行預金に6.75%の課税、10万ユーロ以上の預金に9.9%の課税を実施すると説明した。ブリュッセルで15日午後5時(日本時間16日午前1時)に始まった同会合は10時間の討議の末、合意をまとめた。』
ひえええという所ですが。結構な課税だなおい。
『ダイセルブルーム議長は課税について、「キプロスの金融の安定に資することになり、全預金者に貢献を求めることは当然と思われる」と述べ、同国の金融業界が経済規模の5倍に上ることに言及した。』
『キプロスはユーロ圏経済の0.5%未満を占めるにすぎないものの、同国救済問題はイタリアやスペインの波及を阻止して債務危機の収拾を図りたいユーロ圏首脳の決意を試すものだった。ユーロ圏による救済はキプロスで5カ国目。』
ということですが、これって他のユーロ圏の弱い輪にある金融機関に対して取り付けモードになってまたまた域内の金融不均衡とかターゲット2不均衡拡大とかいう話になるんじゃネーノという懸念が物凄い勢いでする訳で、キプロス自体は小さな国ですし、国の構成的にそもそもこの国ユーロ圏に入れるのは兎も角として共通通貨を使わせて良かったのかよというような所(ダイセルブームオランダ財務大臣の指摘する国の金融業界規模をご参照、というのと後にもクリップ置いておく)ではあるのですが、そうは言いましてもユーロ通貨適用国にぶち込んでしまった以上、構成国の銀行預金をいきなりカットする攻撃に出てしまったのはマズーだったんじゃないのかなあとは思うのですけれども本当の本当に大丈夫ですかねえ。
どうもね、リーマンをコカした時もそうなのですが、「ここは特殊例だから」と言ってコカしてしまうというプレイは一度必ず当局者がやってしまう落とし穴みたいなもののようで、なんぼ特殊例と言いましてもそれが波及しないというのは中々難しいものではないかと思う(日本振興銀行のペイオフという事案はありますが・・・・)のでして、本当の本当に大丈夫なのかね、と思ったら直近はこうなっているのか。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJTMIE6TTDSD01.html
ユーロが対ドル、スイス・フランで下落−キプロスの混乱で
更新日時: 2013/03/18 05:06 JST
『3月17日(ブルームバーグ):17日の外為市場でユーロ相場は対ドル、スイス・フランで下落。ユーロ圏財務相会合はキプロス救済計画の一環として、同国の銀行預金への課税で合意した。』(上記URLより)
まあ何がどうなっているのか良く判らんのですが、1997年に散々ヒーヒー言わされましたあたくしと致しましては、本当の本当の本当にこれ波及しねえんだろうな大丈夫だろうなというのはやっぱり不安ではありますが、この事案が三洋証券になるのか日本振興銀行になるのか、後者であって頂きたい訳ですがとりあえずメモだけはしておきます。
ちなみにキプロスちゃんがどういう特殊事例なのかと言えばこの辺でもご参考に。
http://japanese.ruvr.ru/2013_03_17/108161906/
キプロス預金封鎖 ロシア人預金者の損失は約15億ユーロ
『キプロスの銀行口座保有者の半数近くはロシア人と見られているが、その損失額は、およそ15億ユーロになる見込みだ。』(上記URLより)
「あの」アイスランドだってユーロ通貨じゃなかったのに何でこの国ユーロに入れたんですかね。ユーロに入る前からタックスヘイブンとか色々とアレな国というイメージしかないのですが。
○いまさらですが石田審議委員講演と会見
講演なのですが表紙と図表も含めて36枚もある(本文は14ページ)という量だけは沢山あるのですけれども正直言って殆どネタがNEEEEEEEEEEEE!!!!!
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130311a1.pdf
・講演から:経済物価情勢の所でまあ重箱の隅をつついてみる
経済物価情勢の話はひたすら普通の話(=金融経済月報や展望レポートで示されている執行部中心見解)が続いておりましてはあそうですかとしか申し上げようがございませんが、ここの表現は正直いただけないと思ったのが2か所あるのですが、まあ重箱の隅と言えば重箱の隅。
1か所目が米国経済の見通しについての所です。
『これらの問題(引用者追記:米国財政赤字削減関連)は、最終的には何らかの妥協が成立するとみていますが、いずれにせよ、本年前半については増税、歳出削減という財政面からの圧迫要因もあり、成長が抑制されることは避けられないと考えています。しかしながら、その影響が軽減される年央以降、米国経済の成長スピードが次第に上がっていくとみています。また、そうなった場合は、米国長期金利が次第に上昇していく可能性があり、わが国の長期金利あるいは円ドル相場にも影響を与えることも考えられるため、注視していく必要があります。』
いやあの米景気が拡大して日本の金利が上昇するんだったら別に何の問題も無い話でありますし、その場合ドル円は米金利上昇でドル高になるのですから別に注視もへったくれも無いと思いますが、何でこういう表現を入れるのかがさっぱりワカランチ会長でして、この講演の内容がほぼ執行部見解通りであるという事を踏まえますと、これじゃあ日銀執行部が景気拡大に伴う自然な金利上昇を懸念しているかのような印象を与え、ひいては日銀は景気が良くなることを望んでいないというような陰謀論が発生する要素にもなる訳で、まあ重箱の隅にも程があってどこの小姑だと言われるかもしれませんが、こういう細かい所の配慮が欠けているのが日銀のKYたる所以ではあるなあと思いっきり読んでていて引っ掛かったのでいちゃいもんを付けて見る次第であります。
いやね、こんも「注視していく」ってのは最後の部分だけではなく全体の話を全て踏まえての「注視」なのかもしれないですけれども、この書き方だと最初に読むと「景気加速に伴う米国長期金利の上昇を注視」と言っていると印象を受けるのが普通だと思いますし、そこで「注視」とか「ネガティブな事にならないかどうか点検する」というニュアンスが含まれている文言使うのってダメだろとしか申し上げようがございません。少なくとも米国長期金利云々の部分削除しなはれと思いますけど。
でまあもう1か所目が最近の日本の動向なのですがね。
『図表11をご覧ください。このところ株価の上昇と円安の進展が続いています。』
でこの後の文章構成が実に香ばしいというか執行部くやしいのうくやしいのうという所ですかそうですか。
『こうした背景として、欧州債務危機の一応の収束や米国の「財政の崖」の脅威の軽減による国際金融資本市場の緊張の緩和、米国や中国経済の先行きに対する期待、あるいは、わが国の貿易収支の赤字拡大と経常黒字の急速な減少など、様々な要因が指摘されるところですが、政府・日銀の政策運営に対する期待の高まりが影響しているところも大きいとみています。また、こうしたもとで、企業や家計のマインドも大きく改善しています。』
いやあんさんそれ語順普通逆にしとけよと思う訳で、「政府・日銀の政策運営に対する期待の高まり」を最初に出さないでどうすんのと思う訳でして、こういう所でしょうもない意地の張り方をしている(ようにしか見えないですがどうなんでしょうかねえ)からもう何だかねいう所です。
・・・・・・・・ええ重箱の隅をつつく小姑クオリティですが何か??
・講演から:2%目標に関して
はあそうですかとしか申し上げようがございませんが。
『デフレから脱却していくためには、このマイナスのサイクルを反転させていくことが必要であり、構造変化に適切に対応し、企業・家計の成長期待を高めていくことが必要です。2%の目標はこれまでの長年に亘る物価の状況からすると大変高いものではありますが、今後、世の中の成長期待が高まっていき、実際に物価上昇率が上がっていけば、人々の予想物価上昇率も上昇していくと考えられます。』
はあそうですか(棒読み)。
『日本銀行が強力な金融緩和を推進するとともに、今後、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた幅広い主体の取り組みが進展していけば、私は十分展望できると考えています。』
ふーん(棒読み)。
正直言ってこの位しかネタがない講演でして、時期的にちょうど執行部が変わるからこういう時にこそご自身の主張をこれでもかとばかりに打ち込んで頂きたかったのですが、まあ会見の方は比較的オモロイというか論点整理ができていますので、そっちを見ろと言う事ですねわかります。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1303c.pdf
こちらの方が少々面白いです。
・会見より:付利撤廃について
ここの説明が長いのですがまあほほうという感じですので引用。
『(答) 付利撤廃については、最初にその提案の理由を申し上げます。私は、包括緩和における資産買入れ等の基金の目的は、実質ゼロ金利の下で、ターム・プレミアムやリスク・プレミアムの低下を促すということにあると理解しています。わが国の資金調達構造をみると、期間3年以下の貸出の割合が高いということから、残存3年以下の国債を買い入れ、対応する金利の低下を促すことにより貸出レートを下げて、企業・個人の借入れ負担を軽減して、景気を刺激すると考えています。』
ふむ。
『しかしながら、当時は既に、3年以下の国債の金利が0.1%に貼り付いていました。基金では、買入れの継続や買入れ枠の増額によって金融緩和の強化を図ってきましたが、強化を図ってもそれ以上金利が下がらなければ、目的を果たしていないのではないかということから、金利の下限を構成している付利を撤廃してはどうかと考えました。』
まあその後金利が下がりましたぞなという所ですが。
『もう1つは、当時は国際金融市場にストレスがかかっていました。国際金融市場では、ストレスがかかると、安全とみられる国の通貨や国債が選好されるため、スイスやデンマーク、ドイツの国債の短期の金利が、すぐにマイナス圏に入っていたというのは、よくご存知かと思います。一方、日本の場合は付利0.1%があるので、短期国債の金利が0.1%であれば、そういう退避資産として、退避資金の入りやすさが、普通の自然体と比べて、もっと入ってくる可能性がある、買われやすい情勢を作っていたのではないか。そういう意味では、自然なマーケットの動きを反映するように、付利0.1%が廃止されれば、短期国債の金利も自由に動いて低くなり、資金がより多く入ってくるということも妨げられるのではないかと考えました。』
そ、そうなのか???
『こういう2点から、付利撤廃を提案しましたが、ご案内のように1対8で否決されました。本件はそこで一旦結論が出ていますので、結果が出たものを何度も出すのは如何なものかと思い、その後は出していないということです。』
折角前段で説明したのですから「日銀の資産買入効果で付利金利0.10%を維持したままでも市場金利が低下しているのでその必要性が薄れた」という話をするのかと思えばそこの話をしないのが微妙っちゃあ微妙なんですけど。
『もともと、付利0.1%というものは、個別独立的なものではなく、先程申し上げたように、金融緩和の全体の枠組みの中で考えるものだと思います。そのため、金融政策の先行きについてのコメントはできませんが、今後、何らかの検討を行う時があれば、全体の枠組みの中で、目的や手段といった形でみていくべきではないかと思います。』
まあここはどうでも良い話だが。でもって別の質問でこんなのがありまして・・・・・・
『(問) 先程の付利撤廃に関するお答えについて、提案された理由の背景は、為替相場に働き掛けることを狙いとしたものであるのか、教えて下さい。加えて、今の状況においても、これから先においても、為替相場に働き掛けるような金融政策が重要であるとお考えなのか、教えて下さい。』
まあ提案した時にはそういう触れ込みでしたけどね。
『(答) 誤解されると大変困るのですが、為替相場を誘導する、といった意味は、全くありません。私は、付利0.1%があって、日本の短期金利が、非常に信用力の高い諸外国の短期金利に比べて高くなっているがゆえに、逆に本来あるべき水準と違う水準に相場がなる可能性がある、それを自然の形に戻すという意味で、あの措置が必要であったと考えたわけです。』
G20のルール違反言われると困るのでこう答えないといけないんですね、わかります。
『従って、相場を誘導するということではなく、付利が本来の相場をゆがめている要因となっているのではないか、それを除外すべきではないか、と考えたわけです。』
もうね、資産買入で散々っぱら中短期債券市場を「本来の相場」から程遠い所に持って行っているのにそこで何で「付利が本来の相場をゆがめている」という話を持ち出すんだかと思わず笑ってしまいましたぞな。
・会見より:オープンエンドを前倒ししなくても十分に買入はしてるんですよね
という説明をしている部分は全く仰せの通りでして。
『(答) この件については、白井委員の提案に対して発言することは差し控えますが、私自身がどのように考えているのかについてお答えします。期限の定めのない買入れが2014年から行われるというのは、形式的にはその通りであり、日本銀行もそのように発表していますが、私自身としては、実際には、2013年から、既に実態がそうなっていると思っています。なぜならば、2013年末までに101兆円まで買い入れることを約束しています。それは2013年12月末までですが、2013年6月末にも一定の数字が決まっています。そうすると、必ずしも正確には言っていませんが、だいたい毎月一定額を買い入れていくことが前提となっており、それが積み上がっていくということです。ですから、毎月一定額を買い入れ、そして2014年1月からまた毎月13兆円買うので、前倒しをどのように考えるかは別にして、私自身としては、実態は同じではないかと前から思っています。』
『(問) 実態は同じではないかと思っているということは、つまり、13年からもう既にオープンエンドを始めているようなものだという意味合いでしょうか。』
『(答) そうですね、足もとでも毎月買い上げていて、それをずっと続けているのですが、2013年末までの目標が出ていますので、それが今までは、期限の定めのある買入れと言われていました。しかし、その後まで続いているわけですから、言ってみれば、それはずっと期限の定めがない──日本銀行は、正式に期限の定めのない買入れを13年から始めているとは言っておりませんが――ということで、私個人としては、それは始まっているのと実態的には同じと思っています。』
まあこの質疑応答は仰せの通りでして、この辺の説明を丁寧にするのも結構な話ですけれども、まあ「オープンエンド前倒し」というのを追加緩和のように見せかけるというカブキ金融緩和を実施する際には却って自分の首を絞める可能性がある点については留意が必要ですお、おっおっお(^^)。
・会見より:物価目標の責任分担について
『(問) 午前中の講演の内容に関連しますが、石田委員は2%の物価目標について、大変高い目標である、ただそれは日銀の積極的な金融緩和と成長力強化のための各主体の取り組みがあれば展望できる、という話をされたのですが、2%の物価目標の責任の所在について、これは日銀が全て負うべきなのか、それとも日銀と共に政府や様々な主体の取り組みが合わさってということで、日銀だけの責任ではないと理解すればよいのか、確認させて下さい。』
ここの答えが非常に微妙で何とでも取れる表現にしているのが石田さんさすがとしか(^^)。
『(答) これは共同声明と絡むと思いますが、共同声明では、政府・日本銀行が政策連携を強化して、一体となって取り組むことを明確にしたわけです。その記載をみると、それぞれの相手の取り組みを条件とするものではなく、それぞれが自らの役割を明確に認識して取り組むことを明らかにしたものです。そうした双方の取り組みが相俟って、デフレからの早期脱却と物価安定の下での経済の持続的成長の実現をもたらすと考えております。』
何という玉虫色回答(^^)。いやこれはマジで感心しました(皮肉でも何でも無く^^)。
・会見より:APPの買入年限長期化に関して
付利の質問の中でAPPの買入年限長期化に関する質問がありまして、その部分を引用します。
『(答)(前半は先ほど引用した付利の話なので割愛)第2の質問の、より長期の国債を買うことに対する考え方については、先程の質問にお答えする時に少し触れましたが、これまで3年以下の国債を買っていることには、それなりの理由があったということです。3年超の国債を買うべきとの議論はありますが、一方で、今までの考え方では、3年以下の国債を買っていけば、その目的を果たせるほか、イールド・カーブがつながっているため、当然それ以上長いところの金利が低下していく効果も見込んで行っていたものです。従って、より長い期間の国債を買うというのであれば、その方が金融政策としての効果が大きいのかについて、当然ながらプラス、マイナスを評価した上で、決めるべき問題だと思っています。』
>これまで3年以下の国債を買っていることには、それなりの理由があったということです
ふむ。つまり理屈の整合性どう取るんでしょうかという問題があるのでそう簡単にホイホイと決められません罠という話ですね。
・会見より:銀行券ルールに関して
『(問)(前半割愛)また、銀行券ルールについても、日銀総裁候補の黒田氏は、撤廃も検討対象にすべきという趣旨の発言をされていますが、そうなると財政規律についてのルールも必要になってくるかと思いますが、銀行券ルールの存続、存在についてお考えを教えて下さい。』
『(答)(前半割愛)銀行券ルールについては、私の解釈ですが、ルールと言っていますが、やっていることは日本銀行の銀行券発行量に応じて長期国債を買うというだけのことです。』
いやもう全くおっしゃる通りでして、この辺はさすがに銀行の資金証券部門の親分やっておられただけの事はありますなという話。
『簡単に言えば、銀行券見合いの国債購入ということであって、ただ、それが国債を大量に買うということから変な誤解を招かないように、当然ながら買うのは発行銀行券の残高まで、というのをルールと称したのだと思います。財政ファイナンスと誤解されないように、ということだと思います。』
さいですな。
『そういう意味では、銀行券見合いの買入れを他の政策手段として使うのであれば、枠組みの変更になりますから、先程申し上げたような枠組み変更に伴う諸点についての検討がなされるものと思います。』
ということで、まあそもそも銀行券ルール自体は調節技術上の問題で、それに財政ファイナンス懸念を起こさせないという担保をつけてみました、というものでありますよねという話は仰る通りであります。
○予告編というかお暇な方はお読みあれという講演2題
FRBイエレン副議長の講演
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/yellen20130302a.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/yellen20130304a.pdf
Vice Chair Janet L. Yellen
At the 2013 National Association for Business Economics Policy Conference, Washington, D.C.
March 4, 2013
Challenges Confronting Monetary Policy
BOEデール副議長(マネタリーポリシーウィング担当)の講演
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/news/2013/053.aspx(概要)
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Documents/speeches/2013/speech643.pdf
Inflation and growth: what role for monetary policy?
Speech given by Spencer Dale, Executive Director, Monetary Policy, and Chief Economist, Bank of England
To the Asian Business Association and Chinese Business Association of London
Chamber of Commerce and Industry, Bank of England, London 15 March 2013
イエレンさんの講演もデールさんの講演も金融政策の論点整理と今後に関する自信の考え方を表明しているのですが、イエレンさんのハトっぷりも伝わりますし、BOEの政策アプローチが非常に苦悩が多いというのも伝わるという中々結構なものでして、ネタ予告編なのですが先にURLを置いてみましたという事で。
しかしまあ何ですな、テキストの量はイエレンさんの方が倍以上楽勝であるのですが、ジョンブル英語って表現とか単語とかが小難しくて一々読んでいて引っ掛かるので読むのに苦労する事夥しいですな。単に慣れの問題と言えばそれまでなのですが頭が悪いので英国の人の講演は読むのしんどいですorz
2013/03/15
お題「いつもの人たちを楽しくヲチ/短国入札があばばばばー/BOEネタだが国債買入一本槍以外も必要との見解広まると」
気温のボラがたけえよ無駄に疲れるじゃねえか(@東京)って所ですな、うんうん。
○ちょっとだけ政策面白観察雑談
政策面白観察というのはいつもの人関連のアレですが、先日の衝撃(あるいは笑劇)の「インフレ目標が達成できなくても雇用と景気が回復するのであれば、100点ではなく120点だ」「物価上昇なき景気回復ができれば、それは最善」という浜田大先生の発言にツッコミを入れたら何だか知らんけどあちこちで紹介されたらしくてPVが突如3倍に跳ね上がってこっちの方がビックラこきました訳ですが(^^)。
さてさて、あまり余計な話をしない方が良いのではないでしょうかというかはいはい満州と申しますかな浜田大大先生様でございますが、昨日も自民党の勉強会みたいなので発言をしたのがニュースヘッドラインにならんでいたりしたのですが、出てくるヘッドラインを読んでて前後矛盾してねえかとか思ったのだが残念ながらネット版のベンダーニュースだとその辺があまり無いなあと思ったらこんなのがあったのでURL貼っておきますね。
TRADER'S WEB FX
http://www.traderswebfx.jp/news/default.aspx?newscode=376281&dispmode=list&page=2#newshead
03/15 04:30【発言】14日のこれまでの要人発言
(上記URLですが、どうもニュースフィードのページがずれると読めなくなるので、読めなかった場合はニュース一覧のページを先の方に送って行って3/15の4:30のニュースの部分を見てください)
まあ何だ、こちらだと『「為替水準発言、ルール違反だと怒られた」』(上記URLより、以下同様)と言われているのにもめげずに堂々と『「通貨安戦争などという概念に問題」、「通貨安競争は変動制下ではむしろ望ましい」』と相変わらず飛ばす上に、「1ドル=98円とか100円というのがいいのではないか」』と具体的水準の言及キタコレという所で、なんかもう凄まじくお洒落なのですが、ここまでくるとマジデスカという感じですな。
んでまあブルームバーグから。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJMPME6TTDSN01.html
浜田内閣官房参与:円安のスピード速すぎるという感じはない (1)
更新日時: 2013/03/14 15:03 JST
先ほどのヘッドラインの内容の一部が記事でも確認できますので、どうも浜田先生におかれましては為替水準発言は別にしてもよかろう通貨安誘導は当然という所のようですが、安倍ちゃんの政策ブレーンという触れ込みになっている(英文ニュースヘッドラインだと大体Advisorとか書かれている)上に内閣府参与なんですから、折角内閣の皆さんも日銀もその辺は暗黙状態にして大人の対応モードになっているというのに何というぶち壊しという所ですが、この記事を読んでいて思いっ切り目を引いてしまったのは山本幸三先生関連の部分。
『山本氏は公式ウェブサイドに掲載した「海外投資新聞」のインタビューで、マネタリーベースがきちんと増えれば、「ドルは98円になるだろうと試算している」と発言。2月のブルームバーグ・ニュースのインタビューで1ドル=95円から100円が適正水準との見方を示している。』(上記URLより)
>山本氏は公式ウェブサイドに掲載した「海外投資新聞」のインタビューで、
>山本氏は公式ウェブサイドに掲載した「海外投資新聞」のインタビューで、
>山本氏は公式ウェブサイドに掲載した「海外投資新聞」のインタビューで、
ほうほう、公式ウェブサイトに海外投資新聞のインタビューですかそうですかほっほー。
○短国入札ェ・・・・・・・・・
昨日の3か月TB入札結果。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130314.htm
(3)募入最低価格 99円98銭9厘5毛 (募入最高利回り)(0.0421%)
(4)募入最低価格における案分比率 1.6656%
(5)募入平均価格 99円99銭0厘1毛 (募入平均利回り)(0.0397%)
・・・・・・・・・・・・お、おぅ
ということで短国市場が益々アレになっているのですが、金利水準が全般下がると待機資金も滞留するというのもあるでしょうし、日銀当座預金制度の外側に居る人の資金も相変わらず続きますし、日銀新執行部就任を控えて相変わらず言われる付利引下げ(または撤廃)に対するテールヘッジのような買いもあるでしょうしとゆー所なのですが、それにしてもこれはまあ豪快に下がっていますな短国って所です。
まあ黒田さんにしろ岩田さんにしろ「資産買入拡大」「日銀バランスシートの更なる拡大」を志向しているのですから、日銀のバランスシート拡大をするには当座預金残高が拡大しないといけないので、その為には超過準備が更に拡大となりますと普通に考えると付利下げないでしょとは思うのですが、何せ異次元緩和という亜空間の世界でございますので何が飛び出すかワカランチ会長ですからこうなる罠とゆー所で。
いやまあこれで付利下げってまだ先の話だよねという事になったら需給がどうなるのかというのがさっぱりイメージ付かないのですが、短国買入実施する度に金利が下がって新発入札の金利が下がるという素敵な展開はどこまで続くのでしょうかねえという所ではありまする。
○BOE2月議事要旨より(続き):国債買入政策以外の検討を行っている件
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/Documents/mpc/pdf/2013/mpc1302.pdf
・インフレ期待の動向について
上記小見出しの前に物価に関する部分で昨日引用忘れたのがありまして、『Supply,
costs and prices』の第19パラグラフにこんなのがありましたです。
『Most survey indicators of households’ expectations of inflation one
year ahead had risen slightly in recent months, but those increases had
been similar to the revision to the Committee’s own view of the most likely
path for near-term inflation.』
家計の1年後のインフレ期待に関する多くのサーベイ調査はインフレ期待の上昇を示しているものの、その数値自体はMPCが現在予想している近いタームのインフレ動向パスの予想と似ておりますとな。
『Indicators of households’ and professional forecasters’longer-term
inflation expectations had remained broadly stable, at around their series
averages.』
つーことでとりあえず長期的なインフレ期待は安定しているという事ですが・・・・・・
『Since the spring of 2012, indicators of longer-term inflation expectations
derived from financial markets had been affected by the possibility that
the formulae used to calculate the retail prices index (RPI) would be changed.
Those changes would have reduced the wedge between RPI and CPI inflation,
and probably led many market participants to revise down their longer-term
RPI expectations. Indeed, market-derived measures of inflation expectations
had fallen during May 2012, when speculation about a possible change had
begun to emerge. 』
ほほうという所ですが、市場のインフレ期待に関してはRPIの改定に伴い思惑で下がったりしてたとのようで。
『On 10 January, the National Statistician had announced that RPI would
not be changed, and market-derived measures of inflation expectations had
risen sharply, unwinding their earlier falls; they now stood close to their
averages since 2005.』
ところが改定が無くて急上昇とかワロタ。
『The Committee would continue to monitor developments in inflation expectations closely.』
でまあこれに関連するのかどうか判らんがこんなニュースが。
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE92C03V20130313
英統計局が新たな物価指標を公表、金融緩和余地拡大も
2013年 03月 13日 16:14 JST
『[ロンドン 12日 ロイター] 英国立統計局(ONS)は12日、新たな物価指標を公表した。将来、英中銀のインフレ目標に採用されれば、金融緩和の余地が広がるのではないかとの見方が出ている。』(上記URLより)
いやあの金融政策っていうのは経済の状況が国民厚生的にどうなのかという事に対応して実施するもんだと思いますので、「別の指標を使えば金融緩和の余地が広がる」とか議論として主客転倒にも程があってテラワロスというか、「CPIが下がらないのだから別の物価指標を使えばいいじゃないか」ってどこのマリーアントワネットだよという所ですにゃ(−−)。
まあしかし昨日引用しましたように、英国の金融政策運営はインフレターゲッティングで却って説明が難しくなっていますし、いつまでたっても目標達成してない癖に何で経済弱いんだというような話になっておりますので、そーゆー意味ではカーニー新総裁が唱える名目GDP目標(本当は目標というよりはただのガイダンスというか説明材料みたいですが)を入れる意味もあるんですな、うんうん。
・追加緩和が必要なのだがさてどうしましょうという話
『The immediate policy decision』の第33パラグラフ以降の部分が泣ける。
『The Committee reviewed the range of possible monetary policy instruments
other than gilt purchases that might be deployed should further stimulus
be warranted. These included: purchases of other assets; a reduction in
Bank Rate; and changing the marginal rate of remuneration on banks’ reserves
at the Bank of England.』
ということで今回は国債買入拡大以外の色々な政策ツールの検討をおこなったという話がでておりまして、その中で名指しされているのが「国債以外の資産購入」「政策金利の引き下げ」「準備預金付利金利の引き下げ」となっておりますが、金利の方はともかくとして国債以外の資産購入というのは、従来「国債のみを購入する我々が真の量的緩和政策を実施している(キリッ)」とか話をしていたBOEだったというのを思いますと中々感慨の深いものがございます(ニヤニヤ)。
『The Committee had noted drawbacks with each of these options in the past;
those drawbacks remained. The Committee would nevertheless continue to
examine all of the policies potentially available to it.』
ということで以前検討したプロコンを再度検討したけれども相変わらず欠点が残っておりますという事でとりあえず今回はお蔵入りのようですが、それはそれとして今後ともこれら以外のツールも含めて検討課題にはなるようで。
第34パラグラフ。
『There was a range of views on the Committee about the marginal impact
of a further round of asset purchases at the current juncture, but members
agreed that asset purchases remained an effective tool for lowering a range
of market interest rates, supporting asset prices.』
でまあこの辺りがキタコレなのですが、これまで行った国債買入の効果についての合意は取れているものの、今後の買入のインパクトについての見方については意見が分かれているようですな。
『The continuing process of portfolio rebalancing should help to support
spending and nominal demand, although the precise extent to which it would
do so was uncertain. All members agreed that the existing stock of asset
purchases provided a substantial stimulus, the effects of which were still
feeding through the economy.』
国債買入の効果は金利を低位に推移させることと資産価格をサポートする事で、それによってポートフォリオリバランスが継続的に起きており、これが消費と需要に効果を与える、という話にはなっているのですが、まあその辺については不確実性もありますぞなという話ですが、従来の買入についての効果については全員一致で効果ありとはなっています。
で、35パラグラフですがこれもまたキタコレ。
『It seemed possible that a further broad-based monetary stimulus would
on its own be insufficient to transform the outlook for growth.』
キタコレという所ですが、マネタリー的な追加の緩和政策を行うだけでは不十分の可能性がある、という話で、だからこそ今後の金融政策に対して単なる国債買入拡大だけではないツールが必要ではないかという話がこの先に続きます。
『In that context, the Committee also discussed other potential policy
measures that the Bank, together with other UK authorities, might deploy
to address particular frictions or market failures that might hamper growth
and the rebalancing of the economy.』
ということで、金融政策の波及効果を阻害する要因を除くにはという話になりまして・・・・・・
『These included measures to increase the flow of credit to the UK economy.
The FLS had already been introduced with the aim of supporting the supply
of bank credit, and would be kept under review. The Committee noted the
recommendation by the Financial Policy Committee that the Financial Services
Authority take action to ensure the capital positions of UK banks were
prudently stated and, where necessary, the banks took steps to improve
the resilience of their balance sheets without hindering lending to the
real economy. In addition to improving the supply of bank credit, the Committee
thought that consideration of measures to support the flow of credit more
broadly, including from non-bank lenders, was also warranted. A number
of more targeted interventions to boost demand and the supply capacity
of the economy, and to facilitate rebalancing, might be entertained, but
many of these fell to other UK authorities.』
ということでちと長々と引用しましたが、要するに「In addition to improving
the supply of bank credit」って所がポイントになっていて、その為にFLSも投入した訳ですけれども、FLS以外にも金融機関の行動を支援するような金融政策プロパーだけではなくてプルーデンスとか、政府も交えた政策の投入が必要になるのではないか、とまあそういう話になっておりまして、単純に国債買っていれば景気が良くなってウハウハですよという単純な話では無いという中々悩みの深いBOEなのでありました。
・ちなみにご案内の通りですが総裁が議長提案に反対である
BOEでは良く有る事ですが、第39パラグラフ。
『The Governor invited the Committee to vote on the propositions that:
Bank Rate should be maintained at 0.5%;
The Bank of England should maintain the stock of asset purchases financed
by the issuance of central bank reserves at £375 billion.』
ということで大勢見解として議長が提案した議案は現状維持。
『Regarding Bank Rate, the Committee voted unanimously in favour of the proposition.』
まあこれはいつものこと。
『Regarding the stock of asset purchases, six members of the Committee
(Charles Bean, Paul Tucker, Ben Broadbent, Spencer Dale, Ian McCafferty
and Martin Weale) voted in favour of the proposition. Three members of
the Committee (the Governor, Paul Fisher and David Miles) voted against
the proposition, preferring to increase the size of the asset purchase
programme by a further £25 billion to a total of £400 billion.』
ということで国債買入拡大を総裁も支持という事ですが、もしかしたら日銀でもこういう光景が見られるようになるのかも知れませんねと思うと胸熱。
#石田審議委員の講演と会見ネタをスルーしておりますが別に忘却したわけではありませんすいませんすいません
2013/03/14
お題「あまり余計な話をせんほうが吉のような気がするが/BOE2月議事要旨を見ると英国の苦悩がががが」
最近の債券市場は超長期の空中戦状態でして無力市場参加者と致しましてはもう何が何やらワカランチ会長で備忘すら出来ないぞなもしという所orzorz
○仰ることは一々ご尤もではあるのですが・・・・・・
残念ながらネットで拾えないのですが、昨日の東京新聞経済面では『「黒田日銀」2識者に聞く』ということで浜田先生と榊原英資さんのコメントが載っていたのですけれども、どうも浜田先生またインタビューアーに釣られてしまっているようで誠に残念。以下3月13日東京新聞朝刊経済面記事より引用します。『』内が東京新聞からの引用になります。実物を見たい方は頑張って探すか、たぶん中日新聞でも掲載されていると思うので(違ってたらすいません)中京地区の人にお願いしてくらはい(^^)。
何せ浜田先生のインタビューの方に書いてある見出しが『円安で景気は回復』と堂々記載されちゃっていまして、背景にはこんな質疑が。(−以下が質問で「」書きになっているのが浜田先生の答えです。「」書き内の()浜田先生の発言の補足を東京新聞の編集サイドが行っている箇所となります)
『−日本経済の回復に一番効くのは、円安につながる金融政策か。』
『「そうだと思う。円安は株価にも一番影響する。為替レートは市場で決まるが、最大のプレーヤーは中央銀行だ。日銀がどれだけのお金の量を出すかが、まず為替レートに影響する。金融緩和はあくまで国内(のデフレ解消が)目的で、円安は副産物と考えれば通貨安戦争の議論も起きない」』
・・・・・・・・その日銀の出す資金量が為替レートに影響というのは少々アレなのですが、まあそれはそれと致しまして「日銀が為替市場最大のプレーヤー」「日銀の行動が為替レートに影響」と言って「円安は日本経済の回復に一番効く」とまで言っておいて「円安は副産物」とか言ってもその理屈は為替誘導ケシカランという海外からの批判者に対してどう見ても通らないでしょと思うのですけれども、これがまたロイターとかブルームバーグの目に留まって英文翻訳されて米国財務省様あたりがムキーとならない事を願いたい物です。
『−円安で輸入品が値上がりしているが、給与は将来上がるのか。』
『「物価が1、2%上がっても正社員はしばらく我慢してほしい。賃上げは本当に業績がいい企業が自社で判断すればいい。企業業績を回復させる方が先。そうすれば(今は)雇われていない人も働くようになり、日本経済のパイが拡大して需要が増え二年ぐらいで賃金は上がるだろう」』
・・・・・・・・・何か既に大政翼賛的に賃上げしろ圧力になっておりますなあというのはさて置きまして、これも全くおっしゃる通りでマイルドインフレにしていた方が名目ベースが下がらないから色々な点で調整をするコストが低い訳ですから浜田先生の仰る事は全くもってその通りではあるのですが、「2年くらいで賃金が上がるまで物価が1、2%上がっても我慢してほしい」という話がデフレ均衡にすっかり慣れきっている日本社会で本当に通じるんですかという話を前から懸念しているのですよ。足元でも何か価格引き上げがあったら毎度毎度のように報道されてしまう(今朝は公共放送ニュースでツナ缶価格引き上げとかやってたぞな→http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130313/k10013182371000.html)ような状況ですし、大体からしてCPIベースで2%の物価上昇となると生活品目の価格ってもっと上昇していて、まあさすがに誤差で済まない額になると思うのですけれども、その状況で「我慢していれば賃金が2年くらいで上昇する」とか言われて我慢が出来るのかという考察が全力で欠如しておられるように見えるのが誠に残念な所です。
いや一昨日の岩菊先生の国会所信聴取でも思ったのですが、デフレ均衡からマイルドインフレ均衡に持って行こうという話はそらまあ普通に考えて反対する人は居ないのでその点では誠に仰る通りではあるのですけれども、「その為にどういう手段を用いてどういう経路によって実行するのか」「実際にその政策を行う際に現実に起きるであろうフリクション(今回だったら海外の為替誘導批判とか物価が実際に上昇した時の政治的問題とかもそうですし、よからぬ均衡とは言え均衡っぽい状況を抜けるとなればそれなりにエネルギーを使うのでその副作用がどうでるのかとか言う問題も含めて)をどう回避あるいは軽減していくか」という話をちゃんと考えていないでしょうなあというのが思いっきり伝わってくるにゃあと一昨日の岩菊先生やこちらでネタにした浜田先生のお話を見て思うのですけどどうでしょうかねえ。
つーことで「おれさまのかんがえたさいきょうのきんゆうせいさく」は結構なのですが、現実問題として実際に政策に落とし込む所での考察どうなってますねんという話なのでございますが、どうもその辺に関する考察を決定的に欠いたまま突っ込んで行こうという流れ(ご参考→http://diamond.jp/articles/-/30804?page=5の一番下の質疑orz)で、いやもう何だかねという所ではございます。
○BOEの悩みが伝わります2月MPC議事要旨ではございます
既に3月MPCも終了している訳で、2月6日7日のミニッツは公表されたの先月の20日でどんだけネタを腐らせてますねんという所で甚だ恐縮至極ではございますが。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/Documents/mpc/pdf/2013/mpc1302.pdf
・物価は今後2年間程度ターゲットを上振れて推移するという話
『Supply, costs and prices』の所から。第15パラグラフより。
『The Committee anticipated that CPI inflation would rise a little further
above the target in the near term, reflecting higher oil prices, the impact
of sterling’s recent depreciation and, in the second quarter of the year,
the effect of the sharp fall in fuel prices the previous year dropping
out of the twelve-month comparison.』
でまあ今回はインフレーションレポートの出る回なのでその考察部分、『The February
GDP growth and inflation projections』の第25パラグラフに先行きの見通しがございまして・・・・・
『Inflation was likely to rise further in the near term and could remain
above the 2% target for the next two years, reflecting sterling’s recent
depreciation and the persistent contribution from administered and regulated
prices.』
向こう2年間はターゲットを上振れて推移するとかインフレ目標政策のグローバルスタンダード的にどうなんでしょうかねえという所ですが、ポンド安と公共料金等価格の持続的寄与っていうのは中々残念な誰得展開。
『That persistent contribution was likely to be increasingly offset by
a gentle moderation in domestic cost growth, aided by a gradual revival
in productivity growth, and an easing in external price pressures, such
that inflation was likely to fall back to around target by the end of the
forecast period.』
by the end of the forecast periodってもう何か残念ですねという所なのですが、まあこう言っておかないとインフレーションターゲット政策の手前金融緩和が出来なくなります罠(後ほどそれに関してもお洒落な記述があるのをご紹介します)。
『The outlook for inflation over much of the forecast period was higher
than in the November Inflation Report, reflecting the impacts of administered
prices and the lower exchange rate.』
ということで物価見通しは11月インフレーションレポート時点より高まっていますが、でまあこの背景は何ですねんという話なのですが、16パラと17パラに英国の労働市場の状況の記述があります。
『Private sector annual regular pay growth had fallen to 1.5% in the three
months to November 2012, slightly weaker than the 2010 to 2012 average
of roughly 2%. Regular pay growth had been unusually weak since the crisis,
reflecting the effect of elevated unemployment as well as the fall in productivity.
Surveys of pay, including information from the Bank’s Agents, had suggested
that pay growth was likely to be close to 2% during 2013.』
『Employment had continued to grow strongly, rising by 90,000 in the three
months to November. The pickup in employment over the past few months had
been driven by rising full-time employment, which might point to increased
confidence by hiring firms. Surveys of employment intentions had also picked
up in recent months, but were nevertheless consistent with a moderation
of employment growth in the first quarter of the year, although those surveys
had underestimated recorded employment growth recently.』
つーことで(景気は弱いのに)雇用に関しては相変わらず妙に強くて、しかもフルタイム労働者が引っ張っているという状況でして、一方で賃金上昇の伸びは弱いという状況下でどうなっているのかというのが18パラにあってこれがキタコレという話。
『Despite the recent weakness of pay growth, the continuing combination
of strong gains in employment and weak GDP growth had put upward pressure
on unit wage costs. The outlook for inflationary pressure in the medium
term depended on the balance between demand and supply capacity, and particularly
on the relationship between demand and productivity.』
でまあその間にGDPの伸びは弱く(その辺の話もあるのですが長くなるので引用割愛します)という状況になっているので、ユニットレーバーコストに対して上昇圧力が掛かっておりまして、(最近毎度のように出てくるのですが)企業の生産性が高まらないという状況になっていまして、この点も物価がサガランチ会長になっている所に効いていまして、まあその他諸々の要因も物価上昇圧力には影響するのですが、この企業の労働コスト高止まりには注目が続いているという状況です。
『In the central view described in the February Inflation Report, the expected
gentle recovery in output growth was accompanied by a corresponding increase
in productivity, lessening unit wage cost pressures.』
今後は生産が緩やかに改善する中で企業の生産性も上昇するのでユニットレーバーコストの圧力は軽減されていくでしょうというのが中心的な見通しですとの事ですが、以下不確実性の話がこれでもかと。
『But there remained material uncertainty around that central view. It
was possible that stronger demand growth, relative to that central case,
might have relatively little effect on the outlook for inflation in the
medium term, if it was associated with stronger growth in productivity
and so a corresponding increase in the effective supply capacity of the
economy.』
まあこちらは良い方の話で、需要が強くなってもインフレ圧力に繋がらない(生産性が向上したり、需要の拡大に伴って生産能力が拡大されたり)という話。
『There was also a risk that demand growth could remain sluggish for longer
than assumed in the February Inflation Report central projection. This
would not necessarily reduce inflationary pressure in the medium term if,
for example, it were a consequence of deleveraging by the banking system
continuing to weigh on productivity by inhibiting a reallocation of capital
from less productive to faster-growing sectors of the economy; or, more
generally, if weak demand growth were associated with a corresponding weakness
of supply.』
これが残念な方のケースですが、需要の伸びが弱くてもインフレ圧力が弱まらないケースの話になっていまして、銀行のデレバレッジを伴ってい新規貸出が伸びにくくなる結果経済の効率化が遅れるとか、より一般的なケースでは需要が弱いことで生産能力も低下したりとかですが、さすがジョンブル仮定法過去文なんぞついぞFED文学で見たことないわと変な所で感心してしまいましたです。
『There was also a possibility that productivity growth might recover to
more normal rates in the absence of an increase in demand, if firms shed
labour that they expected to remain underutilised, which would result in
downward pressure on inflation.』
まあこれは良い方の話になりますな。
・でも景気が弱いので追加緩和を検討しないといけませんという話
『The immediate policy decision』の所ですが、まず最初に第29パラグラフの最初の文を見て「これは!!!」と思うのでありましてですね。
『The Committee set monetary policy in order to meet the 2% inflation target
in the medium term, and to do so in a way that avoided undesirable volatility
in output in the short term.』
この文書って大体どこの中銀でも出てきますけれども(ミニッツに出るはBOEの仕様ですが、ステートメントという形でああだこうだ書くFEDや日銀の場合は声明文の所に出てきます)、まあ要するにうちらこんなマンデートありますねんという話なのですが、ここの文は従来までは『The
Committee set monetary policy in order to meet the 2% inflation target
in the medium term.』という所までで終わっていまして、その後に「短期的に望ましくない生産のボラティリティーを回避することも考慮する」という謎(でもないが)の文言が入ってのは今回が初めてであります。
ではこの文言はどういう事ですねんという伏線は第36パラグラフで回収されるので、このパラの文章の後半はスルーして36パラに飛びます。
『The Committee discussed the appropriate policy response to the combination
of the weakness in the economy and the prospect of a further prolonged
period of above-target inflation.』
経済が弱く、その一方でターゲットを上振れた物価上昇がより長い期間継続しそうだという見通しの中でどのような政策対応が適切かという事を考えてみましたとかもうジョンブルの皆さん残念にも程があります、つーかこの前までMPC委員やってたポーゼンさんが日本に来て日本の金融政策がどうのこうのと偉そうなことを言っていたような気がするのだが、お前の所の金融政策が複雑骨折しているのに何様じゃお前はと思ったのはここだけの話。
『The Committee agreed that, as long as domestic cost and price pressures
remained consistent with inflation returning to target in the medium term,
it was appropriate to look through the temporary, albeit protracted, period
of above-target inflation.』
まあその「中期的に物価はターゲット水準に戻る」という見通しがだいぶ怪しい気がするのですが、とりあえずそれを錦の御旗にしていくしかない訳でして・・・・・・・
『Attempting to bring inflation back to target sooner by removing the current
policy stimulus more quickly than currently anticipated by financial markets
would risk derailing the recovery and undershooting the inflation target
in the medium term.』
そらまあそうなのですが、この時点で拙速に物価上昇を抑えようとすれば経済を更に悪化させるリスクが高まる、とだけで終わらせられず、中期的にその結果として物価がターゲットを逸脱して低下するリスクがあります、と言わないといけないのはインフレターゲットを掲げているから致し方なし。
『The Committee’s remit was to deliver price stability, but to do so in
a way that avoided undesirable volatility in output.』
ここでさっきの伏線が回収されました。
『It judged that its policy stance was fully consistent with that remit.
The Committee agreed that it was important to communicate clearly its willingness
to bring inflation back to the target over a longer time horizon than usual,
and its reasons for doing that. The Committee also agreed that it stood
ready to provide additional monetary stimulus if warranted by the outlook
for growth and inflation.』
ということで、総合的に判断した結果としてやや長い期間の物価上振れを抑えるよりは、経済の弱さに注目した金融政策を行うべきであって、必要であれば追加金融緩和も必要であるという話で一致したという事になっております。
まあ政策運営としてはこれは至極当然のスタンスという事になるのでしょうが、これで物価が更に上振れるとか、金融市場の方は兎も角として一般のインフレ期待のアンカーが外れる、という事になりますと(というかなりかかっているのですが)更に落涙を禁じ得ない状況になりますし、大体からしてインフレ―ションターゲッティング政策をやっているのに延々とターゲット上振れという状況が続いていること自体がBOEのアカウンタビリティーに悪影響を与える訳でして、カーニー新総裁予定者が「名目GDP目標」を持ち出すのは、こういう英国の状況においてBOEのアカウンタビリティーを確保しつつ、政策運営に関しても柔軟性、というか説明がしやすい状況を作るという意味なんじゃネーノと思うのですよね。
・さらにこのネタ続きがありますがそれは明日で
んでもって更に今回のミニッツ見ていてアチャーだったのは、上記で示されている「追加緩和」の話でありまして、じゃあ何の追加緩和を行うのか、というような考察部分で誠にこう遺憾の極みとしか思えない話が展開されている訳でして、お暇な方は第33パラグラフから第35パラグラフとか第37パラグラフの辺りを読みますと落涙を禁じ得ない展開であることがお判りになると思います。
・・・・・・・と、うだうだ書きましたが、よーは「単純な国債買入拡大政策が徐々に限界的に効きが悪くなっているんじゃネーノ他に何かやらんとマズイんじゃネーノ」という話が延々と展開されているという話ですが、時間の関係上以下明日に続きます(大汗)。
2013/03/13
お題「きくちゃん劇場今日も行く/新執行部を待たずに既にMPMもお笑い劇場化の香りが・・・・・・」
本当はですね、インフレターゲット政策のお手本とかいう事になっているBOEの2月MPC議事要旨が色々な意味で面白いのとか、スタイン理事の講演とかパウエル理事の講演とかその他諸々のネタがあるんですけれども、目先に面白ネタが出てしまいますのでそっちばかりやっていて甚だ遺憾ではございます(^^)。
ということで木久扇師匠規久男先生のお笑い劇場は今日も行くという昨日の国会所信聴取ではございまして、ヘッドラインが出る度にのけぞったり茶を吹いたりしていた方も多いかと存じますが、まさか金融政策ネタでお笑い劇場になるとは思わなかったのですが、後述のように実は新執行部ノミネートを待たずしてMPMにもお笑い劇場化が進んでいるように見える次第でございまして、こうなって参りますと直近の講演などを見ても明らかにまともに筋を通しに行っている佐藤さんと木内さんに確りと頑張って頂きたい物だと思うのでありました(^^)。
しかし民主党のこれはワロタです。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJHP3Y6TTDTL01.html
民主:黒田・中曽日銀正副総裁案に賛成決定、岩田副総裁は反対 (3)
更新日時: 2013/03/12 18:47 JST
『桜井氏は会見で、黒田氏について「十分に納得がいかない点があったが、空白を作れない」と指摘した。黒田氏の今回の同意人事案は19日に辞任する白川方明総裁の残りの任期(4月8日まで)に対してであり、再任を認めるかどうかは「国会に呼んでもう一度、十分議論する。不同意もあり得る」と述べた。 』(上記URLより)
○木久扇規久男先生のオモシロ答弁は今日(というか昨日ですが)もいく
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJHHXD6TTDS001.html
日銀副総裁候補・岩田氏:緩和の出口は付利引き上げと国債売却 (2)
更新日時: 2013/03/12 14:06 JST
『具体策としては「長期国債を買っていけば、2年以内にはインフレ率は2%に達する。あえてリスク資産に踏み込まなくてもできるかなと思う」と表明。「様子を見てやらなければいけないので、全ての選択肢をあらかじめ排除するのは危険だ」と述べ、リスク資産の買い入れも排除しない姿勢を示した。』(上記URLより、以下同様)
はあそうですかという所ですが、ヘッドラインを見ていて壮大にズッコケたのはやはりこれではないかと存じます。
『金融調節の操作目標としては「当座預金を目標にするのは、金融政策の操作上は比較的マネタリーベースよりもやりやすい」とした上で、「どちらが良いのかは、いろいろな専門家の意見を聞いてこれから考えていきたい」と語った。』
ちなみにこれ、ブルームバーグニュースのヘッドラインだとこういう感じで出てきましたが、他のベンダーでも大体そんな感じだったと思います。
JBN 09:39:*岩田氏:目標どちらよいか専門家に相談−当預かマネタリーベース(3/12のブルームバーグニュースヘッドラインより)
ちょwwwwwwwおまwwwwwwwwwwということでやまもといちろうさん的に言えば金利市場の皆様におかれましては大草原不可避状態になっておられたのではないかと存じますけれども、いやあの黒田さんが言うならまだ判るのですけれども規久男先生10年以上に渡って日銀の金融政策は駄目でクソで日銀はゴミにも劣る人間の屑と言わんばかりの勢いでご批判をされていたと存じますが、まさかのこの発言に椅子からコケる人が出てもおかしくない勢いであります。
いやね、決定するのは確かに政策委員会の討議が必要だけど、当然ながらたたき台になる案を持って話をするんじゃネーノとあんさん専門家でしょと思うのでありますが、もしかして岩田大先生におかれましては金融政策の具体策に関してはお前ら下々の者が考えろというハイパーマルナゲータ状態をお考えなのでしょうかとゆー所で俺様の吹いたコーヒー返せとゆーところであった昨日の朝のひとときでございました。
いやね、たしかに「おれさまのかんがえたさいきょうのきんゆうせいさく」をその通りに実施するための具体策はお前ら考えろ出来なかったらお前ら事務方が無能なんだとはこれはまた恐れ入りました「異次元政策」であることは間違いございませんですが、いくらなんでも岩田規久男大先生とあろうお方がそのような異次元政策スキームをお考えなどとは想像し難い所でありますので不肖このあたくしの勘違いである、と思いたいのですが、何かどうもそんな香りがプンプン漂ってくるぜヒャッハーという所でして、「2%の物価目標を達成できないのは俺様の考えた金融政策を実施できない事務方が悪い」とか、しまいに買入オペ札割れとかしたら「応札をしない金融機関が悪い」とか言い出しそうな気がするのは何かアタクシが勘違いしているだけですよね!!!!!!!
あとですね、記事中だとあまり詳しくないのですが、出口政策に関しての具体的な話で相変わらず物価連動国債発行しましょうとか金融機関の保有国債の平均デュレーションを短くさせようというような話をしているのですが、どうも金融機関の投資行動様式などに対するご理解が致命的に不足していると思われるのが残念な所なのですが、まあ正直申し上げまして何とかストの専門家でありましても債券系でずーっとやっている人とか、元々債券セールスやってた人とか、そもそもバンキングに居た人とかじゃない場合には、いわゆる何とかストの方でも平気で意味不明の事を言い出すという例は多く見受けられますので、この辺に関しては下手に細かい具体的政策論に触れないで「色々とやり方はあります」とかまあ上記ブルームバーグ記事で引用されている程度の一般的なツールについて話をしておけばヨロシアルと思います。平然と「専門家に相談」とか言ったり、スットコドッコイな出口政策の具体的な話をしてみたりと、この先生どうもバランスが変ですなあという所でございます。
ちなみにもうちょっとマニアな話になるんですけどね。
JBN 09:55:*岩田氏:インフレ目標と名目GDP目標はよく似ている(3/12のブルームバーグニュースヘッドラインより)
ってえのがあって、まあ一般的にはそういう扱いになるんだろうなあとは思うのですけれども、最近この話が盛り上がるきっかけになったカナダ中銀総裁でBOEの新総裁候補のカーニーさんの場合は講演とか、これまでのカナダ中銀の金融政策行動とかをレビューしてて思うのは、カーニーさん的に言えばこの「目標」については「約束としてのターゲット」として捉えているのではなく、あくまでも金融政策行動を説明する「説明の為のガイドライン」として捉えているんでしょうなあというのが伝わってくるものであります。
つまりですね、カーニーさんカナダ中銀の時にも「実質ゼロ金利政策を継続する期間」というのを思いっ切り公表しておきながら、途中で「経済物価情勢を勘案して金融緩和政策の正常化に着手しますよ〜ん」と平気で反故にしてしまう(これをやると2度目から信じられるのかという論点が発生するのですが、まあ勝ち逃げしてしまうとその辺が有耶無耶になってしまうのがガイダンスなのかコミットメントなのかを曖昧にするイカサマ政策の醍醐味)というプレイをしておりまして、そういうのを平然と行うカーニーさん的には「目標」は目標であるけれども「ターゲット」というよりもより「金融政策行動を説明する為のガイドライン」に近い意味づけなんでしょうなあと思う次第で。
英国の場合は(今週中にはネタ投下しますが)2月のインフレレポート出した時のMPC議事要旨を見ますと、現状で物価は2%のターゲットを上回り3%に近い方で推移した上に向こう2年間はサガランチ会長というどう見てもインフレ目標のグローバルスタンダードw的に見た場合に駄目だこりゃという状況になっておりますが、一方で景気の足取りは弱く先行きも下方リスクがあるという状態になっておりまして、どう見てもスタグフレーション一歩手前です本当にありがとうございましたという風になっているのですが、この困った状態を回避する荒業として名目GDP目標という作戦に出る(物価が高止まりするとGDPの名目値は物価の分で下駄を履くので何となく目標を達成しているように見える上に、現状のような場合に「物価が高止まりしているのに何で緩和を拡大するんじゃヴォケ」と言われずに済むから)のではないかと腹黒カーニー新総裁予定者の発言を見て思っているのは意地が悪いですかそうですか。
#なお話が脱線すると、確か名目GDP3%がどうとかいう話があったような気がするけど、物価目標2%必達で名目GDP目標3%だと随分とこら低くねえかという雑談を昨日は(も)友人として盛り上がって(というか盛り下がって)おりましたことを付言させて頂きます
○2月13、14日決定会合議事要旨から:これは酷いカオス
きくちゃん劇場も大概ではございましたが、これ先週もそうだったのですけれども中曽さんとのセットになっている関係もあってヘッドラインとかは沢山出てくれるのですが、記事として纏められると中曽さんの部分も入れないといけなくなる(のはまあ致し方ないのですが、正直金融市場的には中曽さんの発言が余程ぶっ飛んでいない限り政策インプリケーションは読み取れないというか読まなくても言いそうな事は予想がつくので予想通りの話しかしてないのならニュースにせんで良いわと思いますけど^^)ので、どうも分量が減ってしまいまして、ヘッドラインを見て色々と思っても結局詳しい記事が後からは出てこないのが残念でございますね。
ということで、昨日に関してはきくちゃん劇場の前に出ていたMPM議事要旨が中々アレなカオスと化しておりまして、黒田さん岩田さんのノミネート前に既にこれという事は3月20日以降のMPMはどういう事になるんでしょうもうこの際議事要旨本文50ページになっても許しますので出来るだけ細かくしてくださいお願いしますという風情でございます。
などとのっけから悪態ですが、今回は景気に関する討議の所はほぼスルーしまして主に『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』におけるカオス振りを鑑賞致しましょう。
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2013/g130214.pdf
・金融市場局と調節課が卒倒しそうなマルナゲータキタコレ
『年明け以降、応札額が未達となるいわゆる「札割れ」が固定金利オペで頻発していることについて、多くの委員は、基金の残高を積み上げていく過程で、資金の余剰感が強まり、札割れが発生しやすくなることは予想していたことであると述べた。』
さいですな。
『そのうえで、これらの委員は、札割れの発生自体は強力な金融緩和が市場に浸透していることのひとつの表れであるとしても、基金の残高を予定通り積み上げられるよう、金融調節部署は引き続き、資金供給期間の柔軟な設定など、オペ運営面での工夫を講じていく必要があるとの認識を示した。』
でまあ3週間物などを打ち込んでいる訳ですが、そもそもこの辺のAPPの仕組みをつぎはぎというか昔の渋谷の西武系百貨店か苗場スキー場かというように後から後から継ぎ足しをして増殖してるから話がややこしくなっている訳で、そもそも「金融市場における何に対してどのように作用させたいのか」というのが必ずしも明確化されないまま色々な物を継ぎ足しているからこういう事になる訳で、大本営がその辺の戦線整理をしないで前線の兵士に「お前ら現場がもっと工夫しろ」とかいうのも何なんでしょうねえという所です。まあこの話は今に始まった事では無いのですが。
でまあちょっと飛ばして基金国債買入の金利が低下している話の部分がもっと卒倒モノでございましてですねえ・・・・・・・・・
『別の一人の委員は、市場の実勢レートよりも極端に低いレートでの買入れを行わないよう、金融調節部署が買入れ方法を適宜見直すことが必要との認識を示した。』
・・・・・・・・・いやさすがにこれは読んだアタクシ血圧上昇するよりも盛大に紅茶を噴出しそうになって危なかったわという所で、突発的海原雄山と化して「この認識を示したのは誰だぁ(ガラッ)」と厨房じゃなかったMPM会場に乗り込みたくなるレベルでございますわwwwwwwww
『これに対し、一人の委員は、買入れレートが入札で決まる以上、それが市場の実勢レートから乖離しているかを識別することは困難であるとコメントした。』
この部分、議事要旨ではこういう風に流していますが、実際の議事録ではト書きで(全員が椅子から落ちる)とか「・・・・・・・・・」と全員がゴルゴ13状態になっていたとか、まあそんな記載が10年後に見ることが出来るかと楽しみですので、10年後に読むときの備忘録として全力でここに記述させて頂くという所でございまする。
・いやあのお前それはちょっと変だろ
先程あたくし、具体的な政策に対してどういう部分にどう作用させるかという観点が大丈夫かと申し上げましたが、金融政策に関する討議の前の部分でこんなのもありましてですね。
『一人の委員は、金融面での不均衡の観点からは、金融機関が多額に保有している国債の金利リスクについて注意深く点検していく必要があると述べた。』
いやね、そらそうなのですがそもそもおまいらの包括緩和政策におけるAPP拡大で金利がバンバン潰れているんだから、この点を不均衡とか言われても金融機関の方は「何を寝惚けた事を言ってるんだ」という話になるんですけどねえ。
『別の委員は、長期金利が歴史的な低水準にあることを踏まえると、長期金利の反転リスクに注意する必要があるが、そうしたリスクをしっかりと抑制していくうえでは、財政規律に対する信認を維持していくことが重要であると付け加えた。』
という風にたしなめる別の委員がいるのが不幸中の幸いなのですが、包括緩和で金利潰しているのは何の為にやっているのかという観点からしたら「金融機関が多額に保有している国債の金利リスクの点検」をするのではなくて、「日銀の金融政策が財政ファイナンスと取られるリスクの点検」をすべきでしょという話であって、これまた海原雄山以下同文。
・追加緩和に関する話がこれまた超カオス
またまた金融政策運営に関する検討部分になりますが、「当面の金融政策運営について」以下の部分から引用するでござるの巻。
『一人の委員は、1%の「当面の物価安定の目途」から2%の「物価安定の目標」に変更した分、テイラー・ルールからみた政策金利水準は相対的に引き締まり的になっていると指摘したうえで、強力な金融緩和をしっかりと進めていく必要があると述べた。』
どっちも目標値なのでしたらそらそうなのですが、そもそも1%の目途は「当面目指すべき中間目標」としての位置づけであって最終目標値じゃなかったでしたっけという気がするんですが。
『委員は、@先行き経済が持続的に改善していけば、企業や家計の成長期待が高まり、物価上昇率をさらに高めることにつながっていく、A日本銀行が強力な金融緩和を推進するのと並行して、幅広い主体による成長力強化に向けた取り組みが進展し、企業や家計による緩和的な金融環境の活用が進んでいけば、金融緩和の効果は一層強まる、B政府と日本銀行との政策連携は、そうした好循環を支えていく、といった認識を共有した。』
というのは良いとしまして、
『何人かの委員は、市場参加者は、「物価安定の目標」の実現可能性を十分にイメージできておらず、この点について丁寧に情報発信を行っていくことは、日本銀行の金融政策運営に対する信認を確保するとともに、金融政策の波及効果を高めるうえでもきわめて重要であるとの認識を示した。』
実現可能性がそんなにあるのかよwwwwwwwwという所ではありますが、これ今日はめんどいのと書き物の構成上引用しないのですが、物価に関する見通しの所で急に「2%は行きます(キリッ)」みたいな意見を出している人たちが発生しておりましてもう何なんだというカオス部分にも味わいがありますのでお暇な方は是非ご覧くらはい(^^)。
『これらの委員は、目先、消費者物価の前年比が前年の反動から一時的にマイナスとなることについて、基調的な動きではなく、あくまで一時的な動きに過ぎないことをしっかりと対外説明していく必要があるとコメントした。』
はあそうですか(棒)。
『このうち一人の委員は、持続的な物価の安定を実現するには、需給ギャップの改善のみならず、生産性の上昇など成長力の強化が重要であり、この点について政府や国民と理解を共有していく必要があると付け加えた。』
というのは良いのだがあんさんさっき市場参加者が実現可能性を十分にイメージできていない(キリッ)って話してた割には何か実現可能性のハードル高くねえかという気がするんだがまあいいや。
『別の委員は、情報発信の観点からは、対外公表文のキーワードを強調してメッセージ性を高める工夫をするなど、説明の分かりやすさにも一層配慮していくべきと述べた。』
つまりこれは以前に堂々公表されたスーパーの特売チラシのような対外公表参考資料のような物が出てくるということですかそうですか。
#ご参考→http://www.boj.or.jp/announcements/release_2009/un0912c.pdf
・でまあ更にカオスの鑑賞だが具体策で一番ありそうなのは要は国債を買うという話でしょうなあ
『今後、追加緩和が必要となった場合の選択肢として、何人かの委員は、@補完当座預金制度の適用利率(付利)を引き下げること、A長期国債買入れにおいて残存年限のより長い国債を対象とすること、Bリスク資産の買入れを増額すること、に言及した。』
はあそうですか。
『付利引き下げについて、複数の委員は、ベネフィットとコストを慎重に検討すべきと述べた。』
なんだこの1行状態。
『長期国債買入れについて、何人かの委員は、買入れ対象年限の需給が今後さらにタイト化していく可能性を考えると、基金の積み上げを進めていくためには、残存年限のより長い国債を対象とする判断を行うこともあり得ると述べた。』
とまあそれは良いとしまして・・・・・・
『このうち複数の委員は、長期国債買入れにおいて残存年限のより長い国債を対象とする場合、効果と副作用を十分に検討する必要があるが、分かりやすさなどの点では、基金における長期国債買入れと金融調節上の観点から行っている国債買入れを統合することも選択肢になり得ると述べた。』
でまあ白井さんが3月会合で急に提案したという事になるのですが、しかし統合したきゃしても良いのですが、そもそも包括緩和をどのような位置づけで実施して、何を意図して実施した政策なのかという事をもうちょっと掘り下げて考察して頂きたい訳で、単に「分かりやすさ」という論点で統合という事になりますと、先ほど来あたくしが悪態をついておりますようにオペを実際にやる方が「そんな事言われましても結局何をやろうとしてこのオペを実施するのかちゃんと定義しないで文句言われても困るぞなもし」という卒倒状態になってしまいますがなと思う訳で、あまり安易に政策を打ちこんで整理整頓しないでドンドン戦線を拡大していくと全戦線に渡って戦線が崩壊するだけだと思うのですけどねえ。
『そのうちの一人の委員は、両者を統合する場合には、銀行券ルールの扱いをどうするかという論点が生じるが、仮に銀行券ルールを見直す場合には、政府が財政健全化について市場の信認を確保していることが重要であると付け加えた。』
まあこれは判ります。
『リスク資産の買入れ増額について、複数の委員は、日本銀行が買い入れた資産から損失が生じた場合に、政府に損失を分担してもらう可能性は考えられないか、との問題意識を述べた。』
もう何か次から次へとメニュー陳列大会となっていて、とりあえず何でも出して議論をしておきましょう的な大本営作戦部の戦線整理が出来ていない事が伝わってくる実に素敵な状態ではあります。
『金融資産の買入れと実質的なゼロ金利政策とを継続することにより、強力に金融緩和を推進する期間について、一人の委員は、実質的なゼロ金利政策については、将来の短期金利に関する市場の予想に働きかけるオーソドックスな緩和強化策であり、消費者物価の前年比上昇率2%
が見通せるようになるまで継続して一段と強い意思を示すことが適当との見解を示した。』
これは宮尾さんの提案ですね。
『そのうえで、この委員は、金融緩和が行き過ぎるとインフレ率の過度なオーバーシュートや、信用拡大を伴う資産バブルなどの懸念は生じ得るが、それらは金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検することにより、適切に対処可能と考えていると付け加えた。』
ふーん。
『こうした見解に対し、何人かの委員は、今後の経済・物価情勢については不確実性が高く、先行きの金融政策運営に関するガイダンスはこの不確実性の高さを十分踏まえたものとする必要があると述べた。』
つまり行くわけもない2%が見通せるまでとか止めなはれという話ですね判ります。つーかこの部分とか実際にどういう調子で意見交換が行われていたかと想像すると胸が熱くなる。
『また、一人の委員は、前回導入したコミットメントは、金融政策の透明性の観点から見直す余地があるとしたうえで、まずは消費者物価の前年比上昇率1%の実現に向けて資産買入れを行い、その先は2%が視野に入るまで緩和的な金融環境を維持するという、2段階で考えていくことが適当であると述べた。』
ほほう。
『別の一人の委員は、期限を定めない資産買入れ方式を直ちに導入し、見通し期間を1年延長したうえで、物価上昇率にかかる政策委員の見通しの中央値が1%台半ばを超えるまで、実質的なゼロ金利政策と資産買入れを継続することを明示することも一案であるとした。』
白井さんだと思うのだが後段の方がワケワカランというか何というか。
『これらの委員は、今回の会合では問題意識の提示にとどめ、大勢意見に従いたいと述べた。』
つまり百家争鳴ということですな。
『こうした議論を経て、金融資産の買入れと実質的なゼロ金利政策の継続期間について、多くの委員は、「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現することを目指し、それぞれ必要と判断される時点まで、とすることが適当との見解を示した。』
とまあそういう事で、何かもう議事要旨段階でこれだけカオスだったら議事録はどんな感じなのでしょうと想像すると中々香ばしい物を感じる議事要旨でございました。
#石田さんの講演会見ネタは明日にでも(汗)
2013/03/12
お題「黒田さんの所信聴取の報道から:市場操作する気満々ですな/金融経済月報から:先行きも上方修正」
臨時会合説が今日は日経でも出ているようですが、何故か知らんが5時台に偶々TBSの朝ズバをみたら解説というかお勉強コーナーみたいなので日経の清水編集委員のコメントもまじえまして金融政策がどうなるみたいな話をやっていまして(TBSついに自分のリソース使うの諦めたのかとワロタです)TBSの方では10年前の俊ちゃんの「イラク攻撃で臨時決定会合」という攻撃が例として出て比較されていました(結論は「臨時会合を行って追加緩和をする可能性が」という風になっていました)が、あの時と今回の決定的な違いは、「俊ちゃんの臨時会合の時は「ポーズ満々中身は実は・・・・」だったのですが、黒田さんの場合は弾を撃つ気が満々という所でありますな。
つまりですね、弾をろくすっぽ出さずに見せ方で大きくしながらやる気を見せるというのと、市場の期待に威風堂々答える形でヒャッハーヒャッハーと無い弾を撃ちまくるというのではだいぶ話が違ってきますが、まあ黒田さんは「まだ緩和が足りない」と仰せですのでヒャッハーと(いうかどうかは知らんが)弾を打ってくる訳で、弾も少ない中さてこれをどこで演技モードに切り替えるのかというのは難しいなあと思うのですが・・・・・・・・
○黒田さんの所信聴取関連から:市場をマニュピレートする気満々なのは把握した
昨日は黒田さんの所信聴取が参議院で挙行された訳ですが、まあ株式市場と為替市場は特段反応しない、つーか所信聴取が基本的にこの前と同じような話が多くて、その上外債購入に関しては全力否定ということでしたので、30銭程度円高に振れてみたり円安に戻ってみたりとかやっておりましたが、まあ昨今の為替市場はどうみても海外ドリブンなので黒田さんの所信聴取自体は他の市場はあまり関係なしという所で、債券市場は朝下がっていたのがやや持ち直しかという感じですが、何か知らんが金曜の後場に打ち込みでもあったのか20年が糞弱くてイマイチな相場でしたなという所でした。
というのは兎も角として、まずは一番色々書いてあるブルームバーグニュースから。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJGZXA6TTDS201.html
日銀総裁候補・黒田氏:物価目標実現へデリバティブの活用も検討 (2)
更新日時: 2013/03/11 13:47 JST
『黒田氏は「日銀はこれまでもいろいろな措置を取ってきたのは事実だが、15年続いたデフレを是正できなかったことという意味では、明らかに不十分な金融緩和だった」と言明。「現時点の日銀の金融緩和の状況では2%の物価安定目標を早期に実現することは難しいと思うので、当然、さらなる金融緩和が必要だ」と語った。』(上記URLより、以下同様)
というのはまあ今に始まった話では無いのでど〜でも良いのですが、今回所信聴取やら質疑応答やらのヘッドラインを見ますと、あたくし思ったのは「市場をマニュピレートする気満々だね」という所であります。まあこのおじさん元々財務官として為替市場の平衡操作をしていた訳で、弾を打ってヒャッハー為替市場は地獄だぜ〜♪ってやっていた(かどうか知らんが^^)というご出身の方という印象がこちらにはある訳で、そういう方が市場を自分で動かす気満々というのは微妙に微妙な気はするなあと思います。
つまりですね、外国為替市場の平衡操作みたいに目的もやる事もはっきりしていて、しかもその結果は為替市場の取引価格として瞬時に出る上に、まあ弾もホイホイ撃てるというような政策と違いまして、金融政策、しかも非伝統的政策の場合は何せ過去の例(または人柱)が少ない上に色々と当初想定しなかった影響が時間的ラグを伴って現れる上に、場合によっては不可逆変化またはそれに近いような戻すのに多大なエネルギーを必要とするような事も起きうると思われるものに対して、その中で異次元政策とやらを実行してヒャッハーとかやってさてどうなるんでしょというのはあるのですが、どうも上記記事で紹介されているような発言やら昨日のヘッドラインやらを見ておりますと「市場マニュピレートする気満々」というのが垣間見えるようなイメージになっておりまして、何か色々と今後の金利市場は大変ですのうという感じがしますです。
ただし、これヘッドラインのせいでそういう印象を受けている可能性はあり、そもそも報道する方が黒田さんは財務官だったので市場を動かすのに長けている系のイメージを持ってヘッドラインや報道を構成している可能性があるので、その点は割り引く必要があるかもしれない(残念ながらこれは会議録が出ない筈なので1次資料に当たって確認ができない筈)とは思いますです、はい。
・長期国債を購入するのは判るがリスクプレミアムを縮小とな
引き続き先ほどのブルームバーグニュース記事から。
『具体的には、「国債についてどんどん長期を購入していって、長期金利への影響を強めていかなければならない。あるいは、民間の資産についても、リスクプレミアムが過大なところは縮める。そういう意味では量的、質的に大胆な金融緩和をしていく」と述べた。』
長期国債をバンバン買って長期金利の影響を強めるとかどう見ても力技発言に見える訳で、その辺もマニュピレートする気満々という所ですが、このやり方って当初は上手くいくでしょうし、まあ上手くいけばそのまま行けるかもしれませんけれども、2%の物価上昇目標を達成し、更に言えば現在のゼロ近辺の望ましくない均衡状態をぶち破るという事で2年間という比較的短めの期間で達成しようというような力技をかまそうとしているのですからして、これが本当に物価が上昇すると思いだした時は本来は出口政策に向かうべきステージであって、その場合にどうしますねんというのが今から大丈夫かいなというのが気になるですわ。米国だって何気に資産買入と低金利政策を分離したりしてモデレートな足抜けを検討するというのに、どどーんと最初にどんどんやって市場金利マニュピレートみたいな話をしちゃうと梯子の外し方が難しくなるなあとは思いますけどね。
ただまあこの調子だと出口政策が必要になる時(があると良いですねという感じですが)には今度は国債をバンバン売って来そうな感じでして、運良く出口政策みたいな話になった時には債券市場がオモシロ相場になりそうな悪寒。まあそれよりも望ましくない形での出口を強いられた場合の方が更に恐ろしいですけれども。
で、更に「民間の資産」についても仰せですが、今どこにリスクプレミアムが過大な所があるのかはさっぱりワカランチ会長でございまして、まあ以前大口を叩いた風呂敷のせいで「色々な資産の購入」についてもコメントしないといけないのでしょうなあというのは判りますが、何だかねえという気は致しますです。中に入ってちゃんと金融市場見たら認識を変えるのかもしれませんけど。
・デリバティブ市場に出る意味はたぶんありませんが
さらにブルームバーグニュースから。
『さらに、具体的施策の一環として「スワップ、その他のデリバテイブ市場に出ていくのがいいのか、よくないのか、いろんな議論があるが、十分ご提案をうかがい検討していく」と述べた。』
この部分に関してはクイックのニュースの方がちと詳しいのでURL置いときますね。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL110IH_R10C13A3000000/
黒田氏、金利スワップの活用「十分検討したい」
2013/3/11 10:44
『日銀総裁候補の黒田東彦アジア開発銀行総裁は11日午前、参院議院運営委員会の所信聴取で金利スワップの活用で金利低下を促す政策について「具体的にスワップやその他デリバティブ(金融派生商品)市場に出て行くのがよいのかよくないのか、いろいろな議論のあるところ」と述べた。そのうえで「十分検討させていただきたい」と付け加えた。みんなの党の中西健治氏への答弁。〔日経QUICKニュース(NQN)〕』(上記日経新聞サイトより)
ということで、金利スワップで「金利低下を促す政策」とか仰せなのですが、国債を買えば済むものをわざわざ流動性も国債市場より低いわオファービットスプレッドも国債市場より大きいわポジションある間中カウンターパートのリスクがあるわという金利スワップに突っ込んで行く意味がさっぱり判らんと思うのだが、何なんでしょうね。
・付利金利の引き下げ検討するのは良いがそれは買入の大幅拡大とフリクションが起きると何度言えば・・・・
つーてもまだその話は聞いてないでしょうし、この話って金利市場の何とかストの皆様でも平気で勘違いしている人が未だに居そう(さすがに最近は散々この話が言われるようになって理屈が人口に膾炙してきているようですがあくまでも金利市場の中だけに理解は留まってるでしょう)ですし、そもそも何でそうなるのかという話って実際のマネーマーケットのうち、キャッシュそのものというかバンキングの所を触っていないとワカランだろうなとは思います。
ということでまたまたブルームバーグニュースの記事の方から。
『日銀当座預金の超過準備に適用される0.1%の付利の引き下げ、ないし撤廃については「短期金融市場が機能しやすいというメリット」がある一方で、「短期金利が実際にゼロになることを妨げている」「金融緩和をより進めるためには障害になっている」「ゼロにするどころかマイナスにすべきだ」など、賛否両論あると指摘。その上で、「現時点で直ちに付利を下げるとか、マイナス金利を付けるとかは考えてないが、十分議論されるべきだ」と述べた。』(最初のブルームバーグニュースのURLより)
ということで「短期金融市場が機能しやすいというメリット」というコメントは兎も角、「金融緩和をより進めるためには障害になっている」というコメントなので理解して居ないんでしょうなあというのは把握したのでこの辺は今後勉強してくれという所です。
ちなみにこの質問に関してもクイックの記事によりますと・・・・・・・
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL110ID_R10C13A3000000/
黒田氏、付利引き下げ「賛否両論あり、十分審議したい」
2013/3/11 10:41
『日銀総裁候補の黒田東彦アジア開発銀行総裁は11日午前、参院議院運営委員会の所信聴取で日銀に金融機関が預ける「超過準備」に付けている金利(付利)を引き下げる政策について「賛否両論あるところなので十分政策委員会で審議したい」と語った。「今この場で付利を辞めるとかマイナス金利を付けるとか申し上げる立場にはない」と述べるにとどめた。みんなの党の中西健治氏への答弁。〔日経QUICKニュース(NQN)〕』(上記日経新聞サイトより)
という事で、質問しているのまたみん党中西かという所でして、どうもこの人個別の政策について一々微妙な質問をするのが仕様という中途半端に詳しい人に良くありがちの悪事例パターンのようで、何だかなあという感じではございます。
・それは正論だがお前が言うな
またまたブルームバーグニュースの記事に戻りまして、『方向性が間違ったら「大胆に変化」』というアレな小見出しの部分から。
『自身の方向性が間違っていると考えられたら、持論を捨てて方向転換する勇気はあるか、と問われ、「もとより、そういった覚悟でいる」と言明。「経済の実態、金融の状況が変化すれば、当然、政策も大胆に変化させていくことになる」と述べた。』(最初のブルームバーグニュースのURLより)
・・・・・・・・えーっとですね、それはそうでして状況の変化に応じて政策は変化させて頂きたいのですけれども、岩菊先生ほどでは無いですけれども黒田さんもここまで大概に日銀のこれまでの政策をケチョンケチョンにけなしていた訳でして、その面下げて大胆に変化していく(キリッ)とかいう前にすることがあると思いますけどねえいやまあそんな事は起きないんでしょうけど(棒読み)。
何かね、自民党政治ガーとか言って何でもかんでも言いがかり付けた挙句に夢のような政権公約を持ち出して選挙で大勝利したけど以下皆様ご案内の通りという政党がついこの前あった(いやまあ今でもあるけど)なあとか思いますとニヤニヤ感がぬぐえない人間性の出来ていないあたくし。
さらにこんなのもありました。これはロイターの記事ですが他のベンダーでもこういうヘッドラインが出ていたのでまあそうなんでしょ。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPT9N0BW01Y20130311
日銀だけで日本経済健全に発展させるの難しい、政府の役割きわめて大きい=黒田・日銀総裁候補
2013年 03月 11日 11:24 JST
どうした事でしょう!インフレ目標2%を達成することが一丁目一番地という話だった筈なのですが!!
・意味不明発言が出ているのも少々アレ
これまた別のベンダーでも同じようなヘッドラインが出ていて結構のけぞりましたが。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPT9N0BW01U20130311
長期国債大量に買うと金利下がりデフレ期待減らす=黒田・日銀総裁候補
2013年 03月 11日 09:24 JST
『また、日銀が長期国債を大量に買うと金利下がり、デフレ期待減らすとの見解を示した。』(上記ロイター記事URLより)
>日銀が長期国債を大量に買うと金利下がり、デフレ期待減らす
>日銀が長期国債を大量に買うと金利下がり、デフレ期待減らす
>日銀が長期国債を大量に買うと金利下がり、デフレ期待減らす
>日銀が長期国債を大量に買うと金利下がり、デフレ期待減らす
>日銀が長期国債を大量に買うと金利下がり、デフレ期待減らす
>日銀が長期国債を大量に買うと金利下がり、デフレ期待減らす
>日銀が長期国債を大量に買うと金利下がり、デフレ期待減らす
・・・・・・・・・・この意味、百回読んでも1ミリも理解できない(力技成分を置きますと普通はデフレ期待の高まりで金利が下がると思うのだが普通に考えて・・・・・・・)のですが、いつの間にこのような画期的な金融理論が発生したのでしょうか、つーかこの発言まさか英訳されて報道されてないですよね!!!!!!!!
とまあそういう事で、特段砲撃だの悪態だのという気もサラサラございませんが、とりあえず黒田さんは市場を振り回す、という言い方が良くなければ従属させようとしているというのと、今後もうちょっと実際の金利市場を理解して下さいね(はぁと)というのがあるなあというのは把握しました。
○金融経済月報から少々:先行き見通しも需要項目でみるとやや引き上げですな
例によって概要部分だけサラサラと。
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2013/gp1303.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2013/gp1302.pdf(前回)
・現状判断:総括判断
『わが国の景気は、下げ止まっている。』(今回)
『わが国の景気は、下げ止まりつつある。』(前回)
声明文と同じく現状判断の方向性がやや下向きから底打ちになりました。
・現状判断:需要項目別
時間の関係で細々引用しないで纏めてどどーんと引用します(すいません)。
『海外経済は、減速した状態が続いているが、持ち直しに向けた動きもみられている。そうしたもとで、輸出は下げ止まりつつある。設備投資は、非製造業に底堅さがみられるものの、全体として弱めとなっている。一方、公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直し傾向にある。個人消費は底堅く推移している。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は下げ止まっている。』(今回)
『海外経済は、減速した状態が続いているが、持ち直しに向けた動きもみられている。そうしたもとで、輸出は、引き続き減少しているものの、そのペースは緩やかになってきている。設備投資は、非製造業に底堅さがみられるものの、全体として弱めとなっている。一方、公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直し傾向にある。個人消費は、底堅さを維持しており、乗用車購入における需要刺激策の一部終了に伴う反動減の影響も剥落している。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は、下げ止まりつつある。』(前回)
今回は輸出、個人消費、鉱工業生産の項目について「下げ止まり」の判断あるいは「一時的な反動減の影響」の記述の削除という形で判断を引き上げています。
・先行き見通し:総括判断
『先行きのわが国経済は、当面横ばい圏内で推移したあと、国内需要が各種経済対策の効果もあって底堅く推移し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくことなどを背景に、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(今回)
『先行きのわが国経済は、当面横ばい圏内となったあと、国内需要が各種経済対策の効果もあって底堅く推移し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(前回)
ということで、こちらも声明文と同じく「など」という文言が入っていまして、これまた英文の方でもその「など」とは何ぞやというのは曖昧なままにしている、というのがチャーミングであります。まあ意味はあるんでしょうがあまりあからさまに書かないでぼやっとさせておく方が積極的曖昧さという奴でお得な場合もある訳ですが(謎^^)。
・先行き見通し:需要項目別
さすがにこちらは分けますね。
『輸出は、海外経済が減速した状態から次第に脱していくことなどを背景に、持ち直しに転じていくと考えられる。』(今回)
『輸出は、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、下げ止まりから持ち直しに転じていくと考えられる。』(前回)
輸出に関しては現状判断を引き上げた部分があるのですが、実はここにも先程と同じく謎の「など」が入っておりまして、しかもここに該当する英文および先ほどの「など」部分に関しても、昨日ご紹介した『mainly
against the background that〜』という謎表現になっておりまして、誠に味わいの深い仄めかしスキームになっておりますなあという所であります(^^)。
『国内需要については、公共投資が各種経済対策の効果から引き続き増加傾向をたどり、住宅投資も持ち直し傾向を続けるとみられる。設備投資は、当面製造業を中心に弱さが残るものの、その後は、防災・エネルギー関連の投資もあって、緩やかな増加基調をたどると予想される。個人消費は、消費者マインドの改善などから、引き続き底堅く推移していくと考えられる。こうしたもとで、鉱工業生産は持ち直していくと予想される。』(今回)
『国内需要については、公共投資が各種経済対策の効果から引き続き増加傾向をたどり、住宅投資も持ち直し傾向を続けるとみられる。設備投資は、当面製造業を中心に弱さが残るものの、その後は、防災・エネルギー関連の投資もあって、緩やかな増加基調をたどると予想される。個人消費は、基調的には底堅く推移していくと考えられる。こうしたもとで、鉱工業生産は、次第に持ち直していくと予想される。』(前回)
国内需要に関しては、個人消費における「マインド改善」の指摘を行っておりまして、従来「基調的には」底堅く推移というありがちなヘッジクローズが入っていた所が「引き続き」底堅く推移という事になりましたので、これは個人消費の先行きに対してより強い見方になっているという事を示します。でまあ鉱工業生産に関しては現状判断を底打ちにした分もありまして「次第に」持ち直しからというヘッジクローズが外れております。
つーことで、先行き判断に関してみれば、ヘッジクローズ満載だったのが外れてくる流れとなっておりまして、これは先行きの回復に対する自信度が上がった、という事になろうかと存じます。
・リスク要因、物価、金融面に関しては基本的に同じです
金融面に関して、現状認識部分については1月〜2月の市場推移および2月〜3月の市場推移の差分がありますのでその部分について表現が異なっていますが、この部分は特段政策インプリケーションを与えるものではありませんので無問題。
一応リスク要因と物価に関して今回分だけ引用しておきます。
『この間、世界経済を巡る不確実性は引き続き大きい。』(今回)
『物価の現状について、国内企業物価を3か月前比でみると、為替相場の動きを反映して緩やかに上昇している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっている。』(今回)
『物価の先行きについてみると、国内企業物価は、当面、上昇を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、当面、前年のエネルギー関連や耐久消費財の動きの反動からマイナスとなったあと、再びゼロ%近傍で推移するとみられる。』(今回)
#石田審議委員の講演ネタはどこに逝ったんだというツッコミはしないように、ってか今日は2月MPMの議事要旨が出るんでしたな(超大汗)
2013/03/11
お題「今度は浜田先生講演にツッコミでも/総裁会見から少々/市場メモと金曜の声明文比較補足」
このネタはあまり突っ込んでも生産性が無いので・・・・・と思ったがさすがにこれにはツッコまざるを得ない。
○その前に備忘で市場メモと金曜の補足を少々メモをしておくぞな
・超長期(というか30年)KOEEEEEEE!!!!!!!
金曜の市場様でございますが、30年国債入札ということで前場は先物から長期は強くて20年が甘くて30年も甘いのですがヘッジが20年に入ったのかどうか知らんが20年の方が弱めという展開。
・・・・・・・と思ったら30年国債の入札が思いっきり堅調でその後も何か買いでも入ったのか大暴れとなりまして前場は10年30年って2毛程度スティープしていたのに引けでは10年30年は3毛5糸フラットニングとかもう何ですかという所ですが、30年以降が強くて20年は全然付いて行かないとか、もう30年何振り回しているのよというおそロシアな展開だったのでメモだけ入れておきましたぞなもしという話。
・謎の「など」があったりしたのよ
金曜の声明文比較ですけれども、読者様から指摘を頂いたのですが(大汗)こんな相違点がありました。
『先行きのわが国経済については、当面横ばい圏内で推移したあと、国内需要が各種経済対策の効果もあって底堅く推移し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくことなどを背景に、緩やかな回復経路に復していくと考えられる』(3月決定会合声明文)
『先行きのわが国経済については、当面横ばい圏内となったあと、国内需要が各種経済対策の効果もあって底堅く推移し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えられる』(2月決定会合声明文)
でまあ指摘頂いたのは、上記の中で3月に急に「など」が入っている事でして、これはあたくしも見落としておりまして汗顔至極。ではこの「など」とは何ぞやというのですが、こういう時に便利なのは英文の方なのですが・・・・・・・・・
『With regard to the outlook, Japan's economy is expected to level off
more or less for the time being, and thereafter, it will return to a moderate
recovery path mainly against the background that domestic demand remains
resilient partly due to the effects of various economic measures and overseas
economies gradually emerge from the deceleration phase.』
(3月決定会合声明文英文版)
『With regard to the outlook, Japan's economy is expected to level off
more or less for the time being, and thereafter, it will return to a moderate
recovery path as domestic demand remains resilient partly due to the effects
of various economic measures and overseas economies gradually emerge from
the deceleration phase.』(2月決定会合声明文英文版)
・・・・・・・・・英文を見ると更にワカランチ会長というのがおそロシアな訳ですが、2月との変更点として出ている単語が「as〜」だったのが「mainly
against the background that〜」って変更になっているだけでして、ナンジャソラという感じなのですが、背景って言葉があるから金融市場の状況好転とかマインド面の状況好転とかを指すのかねという話なのか、それとも現状判断のベクトルが下向きから横向きになったので「など」になったのかとか、まあその位しか想像ができませんぞなもしという話でありました。
ということでメモはこんな所で以下メインイベント2本立て(^^)。
○おっしゃることはその通りなのだが今まで浜田先生何ておっしゃってましたっけ?????
金曜のニュースヘッドラインを見ていてさすがに何ぼなんでもという事でツッコんでみる。
日経クイックニュースより
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL080NO_Y3A300C1000000/
浜田氏「インフレ目標未達でも雇用・景気が回復すればいい」
2013/3/8 14:23
『浜田宏一内閣官房参与は8日に大和証券が都内で開いた講演会で「インフレ目標はあくまで次善の策だ」と述べた。「インフレ的な雰囲気を作らなければ(景気が)良くならないので、目標は必要」との認識を示しつつも、「インフレ目標が達成できなくても雇用と景気が回復するのであれば、100点ではなく120点だ」と述べ、インフレよりも雇用と景気回復の実現が重要との見方を示した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕』(上記URLより)
>インフレ目標が達成できなくても雇用と景気が回復するのであれば、100点ではなく120点だ
>インフレ目標が達成できなくても雇用と景気が回復するのであれば、100点ではなく120点だ
>インフレ目標が達成できなくても雇用と景気が回復するのであれば、100点ではなく120点だ
確かにその通りではありますが、それだったらこの前まで日銀が設定していた物価安定の目途1%だって「まずは経済の成長力を高めながら1%を当面の目途にして、経済の成長力が高まったらより高い数値を目指していく」という話だったと思いますが、今までさんざんっぱら日銀というか白川総裁をほとんど人格否定するかの勢いで批判というよりはもはや罵倒しておられたご発言との整合性はどこに逝ったのでございましょうか。
もうちょっと詳しいのがロイターに
http://jp.reuters.com/article/economicIndicatorsAndComments/idJPTK063058320130308
UPDATE1: 物価1.5%で景気回復すれば120点満点=浜田内閣官房参与
2013年 03月 8日 15:29 JST
『[東京 8日 ロイター] 浜田宏一内閣官房参与(米エール大名誉教授)は8日午後、都内で講演し、金融政策で「消費者物価指数が1.5%に上昇し景気が回復すれば120点満点」と述べ、政府・日銀の物価目標である2%の達成よりも景気回復が重要との見方を示した。』(上記URLより、以下同様)
えー何ですかそれという所ですが、実際にこのようなお話をしたんですかね。ブルームバーグ(何故か詳報がネット版だと取れない)でもそんな記載があったのでそういう話をしたんでしょう。
『安倍政権の進める経済政策「アベノミクス」は急激な物価上昇を招きかねないとの懸念もあるが、浜田氏は「誰もインフレが好きではないが、インフレ的な雰囲気を作らないと景気はよくならない」と指摘。「物価目標は次善の策。物価上昇なき景気回復ができれば、それは最善」と述べ、機械的に2%の物価目標を目指す必要はないとの見方をにじませた。』
>物価上昇なき景気回復ができれば、それは最善
>物価上昇なき景気回復ができれば、それは最善
>物価上昇なき景気回復ができれば、それは最善
>物価上昇なき景気回復ができれば、それは最善
>物価上昇なき景気回復ができれば、それは最善
・・・・・・・浜田先生およびその周囲の皆様におかれましては、そういうロジックを今まで全力で罵倒していたとしか記憶がございませんが、もしかしてワタクシは木曜の夜のうちにパラレルワールドに急に飛ばされて来たんでしょうか????インフレ目標をグローバルスタンダードの2年で必達させて達成しない場合は日銀が明確な責任を取るべしとかいう話を今までしていたのって皆様じゃなかったでしたっけ???????
つーか雇用回復というのが実際問題として何を意味しているのか存じませんが、ジャパンの場合は失業率という数値水準そのものは他の先進国対比既に低く、問題になるのは最近佐藤審議委員や木内審議委員も指摘している「日本版フィリップスカーブ」で示される名目賃金の下方トレンドというかアガランチ会長状態の方であると思いますが、まさか「アベノミクスによって低水準の失業率が達成されている(キリッ)」とか言い出すんじゃないでしょうねえというのは兎も角として、物価目標を2年で達成だのデフレ脱却には数か月だの散々仰せだったのはあれは単に今の日銀執行部を政治的に叩きたいから方便として出した理屈だったんでしょうかと小一時間問い詰めたくなりますが如何でございましょうか。
『雇用については「景気回復の初期の段階では実質賃金が下落するが、新規雇用などが増え、じきにアベノミクスの御利益がある」と述べた。』
>アベノミクスの御利益がある
しゅ、しゅうきょうですかと苦笑してしまいましたが、他のベンダーでもこの「御利益」っての出ていたようですので本当にご発言されたんでしょうなあ(苦笑)。
さて、以前もネタにしたので今さらではございますが、ツッコミのお作法として過去のご発言というのを出して置く必要がございますので再掲致しましょう、ということで再掲できるという事はこのあたくし、パラレルワールドに飛ばされてジアザワールドに逝っている訳では無いというのが確認出来て誠に結構な事ではございますと(^^)。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEJ7MB6JTSFI01.html
安倍総裁ブレーン・浜田氏:日銀新総裁は数カ月以内のデフレ脱却可能
更新日時: 2012/12/05 09:08 JST
『12月5日(ブルームバーグ):自民党の安倍晋三総裁のブレーンの1人である米エール大学名誉教授の浜田宏一氏(76)は4日、ブルームバーグ・ニュースの電話インタビューで、来年4月に任期満了を迎える日本銀行の白川方明総裁の後任が今以上の金融緩和を行えば、数カ月以内でデフレ脱却を実現できるとの見方を示した。』(上記URLより、以下同様)
ほほう。
『浜田氏は日銀が2、3%のインフレ目標を設定すべきだとし、目標達成まで金融緩和の手綱を緩める
べきではないと主張。』
>2、3%のインフレ目標を設定すべきだとし、目標達成まで金融緩和の手綱を緩めるべきではないと主張
>2、3%のインフレ目標を設定すべきだとし、目標達成まで金融緩和の手綱を緩めるべきではないと主張
>2、3%のインフレ目標を設定すべきだとし、目標達成まで金融緩和の手綱を緩めるべきではないと主張
『さらに、16日の衆院選で自民党が勝利し、より金融緩和に積極的な人物が日銀総裁に選ばれた場合、同目標の達成は困難ではないと述べた。』
>より金融緩和に積極的な人物が日銀総裁に選ばれた場合、同目標の達成は困難ではない
>より金融緩和に積極的な人物が日銀総裁に選ばれた場合、同目標の達成は困難ではない
>より金融緩和に積極的な人物が日銀総裁に選ばれた場合、同目標の達成は困難ではない
>より金融緩和に積極的な人物が日銀総裁に選ばれた場合、同目標の達成は困難ではない
>より金融緩和に積極的な人物が日銀総裁に選ばれた場合、同目標の達成は困難ではない
『浜田氏は白川総裁の実績について、デフレ脱却を実現できなかったとして「A〜C」の評価で最低の「C」とした。』
とのことですが、「物価上昇無き景気回復」でしたらこれまでも何度も示現していると思うのですけれども、これまでは散々っぱら日銀をケチョンケチョンに言っておきながら皆様ご主張の政策をいざ実施しようという話になったら実施する前から早速話が違うじゃないですかとは、まあ人には鬼のように厳しく身内には大甘にも程があるダブルスタンダードでありまして、経済政策のまともな論議とは思えないです罠というお話ではございます。
まあ何ですな、これ経済政策論議だと思うからこういうツッコミをする訳でして、権力闘争であってとにかく相手を引き摺り下ろすためには何でもやりますみたいな動きとして行われていたものであって、経済政策論議というのは体裁を整える為の見せかけでしたという事なんでしょうと思えばまあそういう事ですかとは思いますけれども、東大の教授やらイェール大学の教授やらを歴任して権威という事になっておられる浜田先生がそのような行為に手を染めているようにしか見えないというのは誠に遺憾の極みに存じますとしか申し上げようがございません。
と、罵倒成分を下げてツッコんでみましたけれども(^^)、に不肖このあたくし実際問題としてはこのヘッドラインを見た瞬間にトサカに来てコケコッコー状態であったのは言うまでもありませんが、土日を挟むと便利な事にコケコッコー成分が蒸発するという大変に能天気な仕様になっておりますので、とりあえずまあこんな所ではございますかねえ、まずは白川さんに謝罪しろよと思いますけど。
しかし何ぼ偉い先生かも知らんが、幾らなんでもこれは(以下全力罵倒文言になりそうなので割愛)と思いますし、大体からして従来から「強制力のあるインフレ目標を設定せよ」「2%必達」とかいうのに乗ってた皆様におかれましては盛大に梯子外されてどうなんでしょうねえと思います、つーかたぶん安倍ちゃんはまだ2%の物価目標は必達でそれが達成できれば世の中バラ色だと思って居そうですし、2年で達成させるというのも恐らく引き続き思っているんじゃ無いかとゆー気がするんですが、肝心の安倍ちゃんがこの辺の発言トーンの全面的な後退というか従来の日銀とどこがどう違うのかという内容に気がついたらどういう事になるんでしょうかねえとは思いますが、舌先三寸で言いくるめるんすかねえ(^^)。
○白川総裁会見から少々
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1303b.pdf
・物価上昇の際の経済状況に関して幾つかのケースを例示と
『(問) 2%の物価安定目標を達成できる時期について、先般、次期総裁・副総裁候補から言及がありましたが、現時点での総裁、日銀は、達成時期についてどうご覧になっているかお尋ねします。もう1
つ、これに関連して、仮に2 年という年限、見通しを明示すると、それによって総裁がかねがね言われてきた、数字なり時期と機械的に連動する金融政策となり、金融政策のフレキシビリティが失われるという惧れはないのか、ご見解をお伺いします。』
という質問がございまして。
『(答) 総裁・副総裁候補の方のご発言についての直接的なコメントは、差し控えたいと思います。』
まあこの質疑は質疑応答の中盤部分なのですが、候補の方の発言のコメントは差し控えつつも白川さんの説明大会は今回も健在でありますけどね(^^)。
『物価安定目標の達成の時期ですが、かねて申し上げている通り、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」という使命、理念に照らして、できるだけ早く実現していきたいということです。前回の記者会見でも同じ趣旨のご質問がありましたので、同じことをお答えしますが、少し整理の仕方を変えてご説明したいと思います。』
ほほう。
『物価の上昇率が高まっていく基本的なメカニズムは、需給ギャップの改善ということです。需給ギャップは、ピークに比べてかなり縮小しており、また、需給ギャップに対する物価上昇率の感応度を前提とすると、この先、需給ギャップの解消だけで直ちに2%の物価目標が達成できるわけではありません。』
ちなみに木内さんの先般の講演および会見ではそもそも需給ギャップの問題よりも供給サイドの問題ではないかという指摘をしていましたが、一応日銀の中心的なビューはこういう感じとな。
『物価上昇率が2%になる経済とは、どのようなイメージの経済で、そこに至る過程で、どのようなメカニズムが作動するのかということを考えてみると、論理的には、4
つ考えられると思います。』
ということで説明。
『第1 は、円安や国際商品市況の上昇によって輸入物価が先行的に上昇するケースです。この場合、実質的な所得は圧迫されるため、これは私どもが望んでいる姿ではありません。第2
は、賃金が先行して上昇するケースです。この場合には、企業収益が圧迫され、なかなか実体経済の持続的な回復にはつながっていきにくいケースです。第3
は、予想物価上昇率が先行して上昇するケースです。この場合は、国債の金利が上昇し、金融機関が保有している国債が値下がりし、金融システムに対して悪影響が出てくるケースです。第4
は、企業や家計の成長期待が高まっていくケース、つまり経済全体の体温が改善していき、その結果、物価も上がっていくケースです。』
第3の部分は何だかねえという感じがする(予想物価上昇率だけが上昇するというのは妙な話で、それよりも財政ファイナンス懸念などによって国債価値というか通貨価値が経済活動と関係なく毀損するという話じゃネーノと思いますが)けれども他の3点はそうっすねという話。ちなみにどこぞのベンダーではこの質疑の3番目のケースだけヘッドラインで打っているというもう何考えてるんだという動きをしていたんですがね。
『望ましいケースは、賃金の上昇、予想物価上昇率の高まり、企業や家計の成長期待の高まりが、同時進行的に展開する状態だと思います。』
という事は前からお話をしていますが、ここもと散々日銀を悪しざまに罵っておられました某内閣参与の大大先生様におかれましてもこのような趣旨の話をしておられるような気がするのは気のせいです(−−)。
『ここでの大きなポイントは、賃金と物価の関係だと思います。』
賃金版フィリップスカーブキタコレ!
『翻って、わが国の物価上昇率が海外に比べて低い1 つの大きな理由は、日本の雇用慣行にも求められると思います。90
年代後半以降、日本の企業は、主として賃金の引下げによってコスト削減を図り、それによって雇用確保を優先しましたが、その反射効果として物価は下落したわけです。』
ただまあ麿的説明の場合はこのフィリップスカーブの話をゴリゴリ詰めないで更なるそもそも論に展開されます。
『このことの根本的な原因を考えてみると、企業の収益力が低下しているということであり、さらに遡れば、潜在成長率が低下しているということです。』
成長力強化の必要性キタコレですな。
『その意味で、企業や家計の成長期待が回復していけば、賃金や物価にも持続的な好影響が及んできます。こうしたことを通じて、長年にわたって定着したいわゆるデフレ期待が払拭されていくと考えます。』
ほう。
『この点、先程申し上げた通り、足許の金融市況は良い方向に展開していますし、海外経済も持ち直しの方向に転じています。それから何よりも、「デフレ脱却」について、本当に我々が必要としていることは何かに関する議論が、ようやく始まりつつあるように思います。そうした議論の結果、真に必要な取組みの進み方により、先程の達成時期は早くもなり、遅くもなるということです。』
>本当に我々が必要としていることは何か
って話をしたら早速浜田先生が先ほどのような話をしているとか(ちなみに会見は7日で浜田先生の講演は8日ですのでこっちの方が先行しています^^)とってもお洒落ですね!
『この間、日本銀行は、しっかりと強力な金融緩和を展開していきます。そうした日本銀行の金融緩和と、様々な主体による成長力強化の取組みがプラスの相乗作用を生んでいくことを期待しています。』
ということで。
・白井審議委員の提案に関してと銀行券ルールの話、基金国債買入の対象銘柄拡大について
『(問) 2 点質問します。1 点目は、本日の会合で、白井審議委員から輪番オペと基金による長期国債買入れの統合という提案が出ていますが、これについて総裁も反対されたと思うのですが、その輪番オペと基金の統合と、「日銀券ルール」の意味づけみたいなものについて──一部には、「日銀券ルール」の意義は、現在はほとんど無くなってきているという見方もあるわけですが──、総裁のお考えを聞かせて下さい。』
『それから、新総裁候補の国会での発言でも、3 年以下とされている今の基金の長期国債買入れの対象年限を、それ以上に延ばしたらいいのではないかという発言もあって、国債の金利低下が進んだというマーケットの動きもあったわけですが、一般論で結構ですが、現在、買入れ対象を3
年以下にしている理由、5 年以上にしていかないことの理由をどう考えればよいのかを、改めてご説明下さい』
ということで。
『(答) まず、白井委員のご提案ですが、物価安定の目標の実現を目指して金融緩和を推進する日本銀行の政策姿勢をより明確化するとともに、最近みられているわが国経済の改善の動きを金融面からさらに後押しする観点から、資産買入等の基金の長期国債の買入れについて、「期限を定めない買入れ方式」を速やかに導入し、「金融調節上の必要から行う国債買入れ」と統合する、との議案を提案されました。詳しくは、次回の金融政策決定会合後に公表される議事要旨をご覧頂きたいと思います。』
うむ、詳細が判らんと白井さんの提案の論評のしようがないので困るのだが。
『総裁候補の方のご発言自体については、コメントを差し控えたいと思います。ご質問は、従来3
年以下にしている理由は何なのか、ということだと思います。再々ここでもお答えした通り、日本の企業の資金調達のうち、8
割ぐらいは銀行借入です。銀行借入の期間を考えてみると、3 年以下が圧倒的に多いということです。そういう意味で、この3
年以下のゾーンに働き掛けることを通じて、企業の積極的な行動を促していくことが目的です。もちろん、買入れ対象自体は3
年以下といっても、3 年以下の金利が下がっていけば、そのことを通じて3 年以上の長期金利にも影響が出てくるということではありますが、主として3
年以下を対象にしたのは、先程申し上げた理由によります。』
とまあここの説明は従来通り。
『「期間」ということを離れて、日本銀行の国債買入れに関して一言申し上げます。』
ということでこの辺からイイハナシが始まる。
『日本銀行は、現在、多額の国債買入れを行っています。日本の財政が非常に厳しい状況にあるだけに、日本銀行の国債買入れが、全体として、内外の市場で財政ファイナンスのために行っていると受け取られると、それが原因となって長期金利が上昇し、多額の国債を保有する金融機関の経営を通じて、実体経済に悪影響を与えることになります。特に、成長力強化の取組みが進展せず、結果として日本銀行の国債保有だけが増加する場合、そうしたリスクが高まります。』
さいですな。
『そういう意味で、政府にも、日本銀行にも、規律(discipline)が求められます。』
後任に向けて発言キタコレという所ですな!!!!
『日本銀行の規律を規定するのは、物価の安定と金融システムの安定を通じて、持続的な国民経済の成長に貢献するという中央銀行に課せられた使命・目的です。政府に求められるのは財政規律です。この点、政府は、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組みを着実に推進する方針を明確にしています。いったん信認が低下し、経済が混乱してしまうと、その時点では中央銀行の採り得る政策の余地は限られてきます。エコノミストはそのような状態を、“fiscal
dominance”、あるいは「財政従属」という言葉で表現していますが、そうした事態を未然に防ぐためには、財政改革に取り組み、中長期的な財政規律が維持されると同時に、中央銀行の独立性が尊重されることが重要です。』
で締めがこれまた後任に向けた発言だったりする。
『一言で言うと、現在、日本銀行は、非常に積極的に国債買入れを行っていますが、積極性と周到さの両方が求められる、非常に狭い道だと思っています。』
うむ。
・妙な質疑応答から
今回の質疑応答ですけれども、微妙に噛み合わない質問が2つとトンチンカンな質問が1つ見受けられまして、前者の噛み合わない方が同一人物によるものと推測されますのでネタにでも。
さっきの質疑の続きでこのような質問が。
『(問) 財政規律や日銀の国債引受けについて、日銀自体も規律を持って行う必要があるとのご発言はその通りだと思います。国債を引き受けること自体、非常に広い意味では財政ファイナンスだという受け止め方もできないわけではないが、今はそういう状態でないということは、財政ファイナンスになってしまう国債引受けというのは一体どのような状態だとお考えですか。また、それを防ぐために「日銀券ルール」をとってきたわけですが、改めて何らかの歯止めが今後も必要とお考えですか。(後半割愛)』
引受???????と思ったら答える麿先生引き受けの所を買入と読み替えてお返事。
『(答) 中央銀行が国債を買うことの裏側にある国債の発行について、今ご指摘があったような議論が出てくることは、議論としては分かりますが、大きな違いは、中央銀行が、物価の安定を目指して、中央銀行の主体的な判断で国債を買っているかどうかであり、そこが決定的に違うわけです。そういう意味で、日本銀行は、確かにFRBやBOEと同じように国債を買い入れていますが、あくまでも金融政策上の目的のために行っているもので、財政ファイナンスのためではありません。重要なメルクマールは、中央銀行が主体的判断で買入れを行っているかどうかです。(後半割愛)』
そしてこの質疑は更に続く。
『(問) 少し分かりにくい点があったので追加で質問させて頂きたいと思います。国債の買入れを主体的に行えば財政ファイナンスではないということであれば、「財政ファイナンスではないと中央銀行が言い続ければ財政ファイナンスではない」ということになりかねません。もう少し具体的に「こういう状態に陥れば財政ファイナンスだ」と、例えば量的な面でメルクマールのようなものはないのでしょうか。これと関連して、「日銀券ルール」の評価と、それに代わる新たな歯止めのようなものは必要ないのかと先程お伺いしましたので、それについてもお答えをお願いします。』
そもそもあんさん最初に「引受」とか質問していてその時点で麿の答えがこうなってるのに気が付いておりませんんが、まあ「中央銀行が言い続ける」のと「世間様(市場も含めて)がその言い訳を信用する」という2点以外は無いでしょという話ですし、そもそも日銀券ルールに代わる新たな歯止めも糞も現状でまだ一応日銀券ルールは存在していますし、基金という例外の方がバンバン拡大している件に関しては2つ前の質疑の所で規律が重要という話をしてるやんという所でこれは質問者が間抜け。
『(答) 私としては、ご質問に対してお答えしたつもりですが、先程、中央銀行にも政府にも規律が必要と申し上げましたが、中央銀行の場合、規律を規定するのは日本銀行法です。つまり、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な安定に資する」という非常に重い規定があります。その規定に照らして、日本銀行は規律を課していくということです。従って、何か数値でもって機械的に「ここから先は財政ファイナンスだ」と言えるものではありません。まさに、先程、一方でデフレからの脱却、他方で経済の安定を損なうことがないように、非常に狭い道だが中央銀行としてしっかり追求していきたいと申し上げた通りです。』
ということで規律の話をしておりますわなという事です。ちなみにこの質問者しつこく日銀券ルールの質問をしておりまして、だからお前さっきから説明してるじゃん的な答え方を食らっているのがワロタという所ではございますが引用割愛。
でもってもう一つの質問は何かまたちょっとこれも???だったりしますが。
『(問) 国会に提示された総裁・副総裁候補ですが、2014 年ではなく、できるだけ早い段階で金融緩和を、と言っています。日銀としては、本年1
月に、2014年から無期限で、と言っていますが、なぜ2014 年からにしたのか、その理由をお聞かせ下さい。また、できるだけ早く始めた方がよいと言われていることをどう受け止めていますか。最後に、日銀の体制の継続性は必要だと思いますが、時期を早めたりするという意見をどのように思われますか。』
何故2014年からにしたのかって2013年末までの買入残高をコミットしているのでそれをいきなり反故にできないというのと、そもそもオープンエンド方式になった場合、残高にコミットしない(極端に言えば短国買入の買入銘柄が全部1か月以内の既発物だったりしたら基金短国買入の末残は10兆円位になってしまう)事になりますし、そもそも基金国債買入の場合は今年後半の買入ペースが凄く加速するので、残高目標を必達させに行った方が買入ペースが速いのですけれどもという足し算もせんで何の質問をしておられるのやらという所ではあるのですが。
『(答) 何度も申し上げている通り、総裁・副総裁候補の方の発言について、私がコメントすることは不適切だと思います。次に、なぜ2014
年からなのか、というご質問です。先程も強調してご説明した通り、2013 年中には、期限を定めている従来の方式のもとで、1
年間で50 兆円という大量の資金供給を行っていくということです。これは、既に期限を定めて発表していますから、発表したことを行った上で、さらに2014年には新しい方式を導入するということです。従って、強力な金融緩和を既に行っているし、今後も行っていくということです。』
・最後に日銀券ルールの説明がやっと来ているのですが
代わるものがどうのこうのという質問があるからそもそも麿が答えない訳でして、最後になって日銀券ルールの説明をしてくださいという質問が出たぞな。
『(問) 繰返しになりますが、本日の白井委員の議案は、「日銀券ルール」と密接に関係すると思いますが、一般論として、「日銀券ルール」の考え方について、改めてお話頂けないでしょうか。』
まあ今さらですが折角なので一応引用。
『(答) 白井委員の議案についてはコメントできませんが、従来から行っている「日銀券ルール」についてのご説明は、この場でも何度も行いましたが、改めて申し上げたいと思います。』
『経済が成長していくと、それに伴って銀行券に対する需要も増加していきます。増加した銀行券は、ある種の長期的な負債ですので、それには長期的な資産で対応していくということで、いわゆる「成長通貨オペ」を導入しています。一方、2
年半前に包括緩和を導入した時は、既に金利水準が相当低くなっているもとで、さらに金融緩和効果を作り出していくためには、長めの金利に働き掛けていく必要があるということで、長期国債を買入れることとしました。その時に、これはあくまでも「デフレ脱却」という目的のために行っていくものであり、従来の「成長通貨オペ」とはしっかり分けて市場参加者あるいは国民に対して説明をしていく必要があるということで、導入したわけです。』
・市場との対話キタコレ
『(問) 2 点お伺いします。1 つは、最近、金融政策を巡る議論が活発になっている中で、「期待に働き掛けて期待インフレ率を引き上げることが大切だ」という議論があるようです。特に、「期待インフレ率は日本銀行からのメッセージでコントロールできる」という考え方もあるようですが、これについてどうお考えか、お聞かせ下さい。(後半割愛)』
『(答) これは、非常に大きな問題に関するご質問です。前者の質問については、よく「市場との対話」という言葉で言われるもので、このような問題について、どのように感じているかをお答えすることによって、ご質問への答えとしたいと思います。』
ほほう。
『日本銀行は、法律により独立性を与えられていますが、当然、それはアカウンタビリティーが求められるということです。政策の背後にある経済・金融情勢の判断と、政策運営の基本的な考え方を丁寧に説明することが基本だと思います。』
さいですな。
『特に、現在のように、非伝統的な政策の領域に踏み込んでいる場合には、想定される効果とコスト、あるいはリスクをきちんと説明することが重要です。』
ここが微妙でして、コストとリスクの話に関してはあくまでも政策委員会の中で十分に議論をすれば良い話であって、一々事細かに説明する事によって政策効果を減ずるような事になっては勿体ないのではないかという面もあるかと思います。何せ非伝統的政策の場合、そもそも政策の波及経路そのものが不明(結局最近のFEDの議論とか見ていると何だかんだ言っても伝統的経路に依存しているように見えますけれどもそれはともかくとして)なのですからねえというのもあるのかとは思いますけどねえ。
『「市場との対話」という言葉は、時として、中央銀行の言葉や表現で市場を動かす、ということに力点が置かれているようにも感じますが、やや長い目で見ると、経済の動きを規定するのは、やはりファンダメンタルズです。言葉を裏付ける経済の実態や、政策が存在して初めて経済は動いていくと思います。』
これは麿の主張キター!という感じですな。色々と議論はあるでしょうが。
『先程、他の記者の方から、現在の米国経済がバブル崩壊の影響から脱却したのかという趣旨のご質問がありましたが、2000
年代半ばの世界的な信用バブルの経験が示すように、一つの問題への対応に全力を挙げているときに、実は新たな問題や予想外の危機の種が蒔かれているという事例には事欠きません。』
グリーンスパンバーナンキdisキタコレ!!!!
『従って、政策は、効果とコストの比較考量の上に決定されるべきだと思っています。これが、先程の「市場との対話」という言葉に関して私が感じていることです。(後半割愛)』
・・・・・・・・・・(^^)。
・回顧は19日に行うそうですが
『(問) 今回は最後の定例会合であったと思いますが、総裁は、この5 年間で、金融引締めを1
回もしなかったと思います。それは、デフレから脱却できなかったということの裏返しでもあると思うのですが、この点について、どう思われていますか。』
まあ本格的な金融引き締めという局面は1990年まで遡らないといけないような気がしますけどね。0.25%だの0.5%への利上げとかで終了しているのを捕まえて引き締めとか言い出したら0.5%からよー金利下げないBOEとかどうなりますねんという感じではあるのですがまあそれは兎も角として。
『(答) 3 月19 日に最後の会見を行います。残り2 週間しっかり仕事をしていきたいので、そうした話については、その時にしっかりお答えしたいと思います。その時に、またご質問を頂ければと思います。』
ということですが、先ほど引用した部分にありますように、今回の会見でもしらっとFEDをdisったりしておりますので、最後くらい麿先生ブチ切れて「日本が散々人柱になって非伝統的金融政策の実践をしてそれをかなりパクっている癖に直ぐに我々をdisるウスラハゲの野郎はムカつくので今度会ったら髭を剃ってやるわヴォケ」くらいぶちまけて頂きますと大変に素敵なのですが、まあ麿の事でございますので淡々と終了するでおじゃるという話になるんでしょうね。
#金融経済月報ネタは明日ということですいません
2013/03/08
お題「決定会合レビュー:白井さん謎の提案で????が飛び交うの巻」
ここもとの雨公におかれましては経済指標が良ければ株高、経済指標が悪くても金融緩和長期化期待で株高とか中々ビューテホーな展開で誠に結構ですな。つーか米国ドリブンでドル高円安が進めば米国様と言えども文句は言えないので実に素晴らしい展開で安倍ちゃんのラッキーは今日も行くという所ですな(^^)うんうん。
ところで今朝のニュースでこんなのがあったのだが。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130308/k10013040661000.html
政府 円高対策融資制度を終了へ
3月8日 5時10分
『政府は、外国為替市場でここ数か月、円安傾向が続いたことから、おととし、緊急の円高対策として設けた日本企業に対する融資制度を今月末で終了し、日本企業の海外進出を支援する新たな貸し出しの仕組みを、来月、設けることになりました。』(上記URLより)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130308/k10013040724000.html
株の空売り規制を緩和へ 金融庁
3月8日 4時43分
『金融庁は、株式市場の混乱を防ぐために設けている株の「空売り」と呼ばれる取り引きの規制について、東京株式市場の株価が上昇基調にあるなかで、規制を一部緩和することになりました。』(上記URLより)
もともとこれらの制度自体がまあねえという論点がありますなというのはさて置きますと、早速安心感モードですかそうですかという事で何かのフラグに見えてしまうのは杞憂ですよね!!!!
という余談はともかくMPMですが謎のノイズ登場という所でした。
○決定会合レビューその1:足元の景気判断を引き上げ、先行きは実質変わらず
まずは声明文本文から
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130307a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130214a.pdf(前回)
・海外経済はリスクアペタイトの部分を引上げ
『海外経済は、減速した状態が続いているが、持ち直しに向けた動きもみられている。国際金融資本市場については、今後の展開を引き続き注意していく必要があるが、投資家のリスク回避姿勢は後退した状態にある。』(今回)
『海外経済は、減速した状態が続いているが、持ち直しに向けた動きもみられている。国際金融資本市場については、今後の展開を引き続き注意していく必要があるが、投資家のリスク回避姿勢は後退してきている。』(前回)
ということで「リスク回避姿勢は後退してきている」→「リスク回避姿勢は後退した状態にある」という事になりましてリスクオフモードが解消されてきましたという話なのですが、良く良く考えると「リスク回避姿勢は後退した状態にある」というのも何か(ここまでの流れで表現を作っているから仕方ないのですが)妙ちくりんな日本語ではございますな(^^)。
・景気の現状認識:総括判断、輸出、個人消費、鉱工業生産を引き上げ
ということで割と威勢の良い引きあげですが、まあ引き上げたと言いましてもその絶対水準という意味では景気が良い訳ではありませんけどね!!
『わが国の景気は、下げ止まっている。』(今回)
『わが国の景気は、下げ止まりつつある。』(前回)
ほうほう。
『輸出は、海外経済の動きなどを背景に、下げ止まりつつある。』(今回)
『輸出は、海外経済の状況などから、引き続き減少しているものの、そのペースは緩やかになってきている。』(前回)
ということでこちらも下げ止まり。
『設備投資は、非製造業に底堅さがみられるものの、全体として弱めとなっている。一方、公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直し傾向にある。』(今回)
『設備投資は、非製造業に底堅さがみられるものの、全体として弱めとなっている。一方、公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直し傾向にある。』(前回)
ここら辺は判断カワランチ会長。
『個人消費は底堅く推移している。』(今回)
『個人消費は、底堅さを維持しており、乗用車購入における需要刺激策の一部終了に伴う反動減の影響も剥落している。』(前回)
ここはエコカー関連の反動減への言及が外れてこれも判断上げは上げですが、まあ水準自体は底堅く推移程度ではありますけどね。
『以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は下げ止まっている。』(今回)
『以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は、下げ止まりつつある。』(前回)
これもまた下げ止まりでして、まあ今回のキーワードは「下げ止まり」という所でしょうな。
『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっている。』(今回)
『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっている。』(前回)
ここは変わらずです。
でもってもう一つ前回と紙に打ち出して並べてみると最初に気が付くのが、景気の現状判断部分となります項番3の文章の行数が8行→6行と短くなっておりまして、「下げ止まり」という判断の引き上げが伴っていて文章量が減っている、というのは判断に関しての確信度が引きあがっているという事でもあります(確信度が低い時とか、言い訳が苦しくなってくるとか、話がややこしくなってくると文章がどんどん長くなる、というのは日銀クオリティというか洋の東西を問わずこの手の公表文書で発生する事象ではございますな^^)ので、そういう意味でも今回は「ああ下げ止まり判断の確信度が高まったのね」という印象が強くなります罠。
・先行き判断はほぼ同じ
ほぼ同じなのでめんどいから一気に引用して比較するぞな。
『先行きのわが国経済については、当面横ばい圏内で推移したあと、国内需要が各種経済対策の効果もあって底堅く推移し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくことなどを背景に、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。消費者物価の前年比は、当面、前年のエネルギー関連や耐久消費財の動きの反動からマイナスとなったあと、再びゼロ%近傍で推移するとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済については、当面横ばい圏内となったあと、国内需要が各種経済対策の効果もあって底堅く推移し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。消費者物価の前年比は、当面、前年のエネルギー関連や耐久消費財の動きの反動からマイナスとなったあと、再びゼロ%近傍で推移するとみられる。』(前回)
殆ど同じですが、「当面横ばい圏内となったあと」→「当面横ばい圏内で推移したあと」となっているのが相違点。ただしこれは上記の現状判断における「下げ止まり」というのに対応した表現ではありますので、ここの文言だけで言えば先行き判断に関しては従来の判断を維持しているという形ですの。
・リスク要因とか謎の決意表明部分は前回と全文一致
全文一致なので今回分引用だけにしておきますが、ホンマカイナと思われる方は念の為原ソースに当たって確認するのをお忘れなく。
『リスク要因をみると、欧州債務問題の今後の展開や米国経済の回復力、新興国・資源国経済の持続的成長経路への円滑な移行の可能性、日中関係の影響など、日本経済を巡る不確実性は引き続き大きい。』(今回)
で、決意表明みたいな部分ですが引用しようと思いましたが長いので引用する気が失せましたのでスルーでございます(^^)。
○決定会合レビューその2:白井審議委員謎の提案
今回市場の話題というか「??????」を集めたのは白井さんの提案。
『(注1)白井委員より、基金の長期国債の買入れについて、「期限を定めない買入れ方式」を速やかに導入し、「金融調節上の必要から行う国債買入れ」と統合する議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:白井委員、反対:白川委員、山口委員、西村委員、宮尾委員、森本委員、石田委員、佐藤委員、木内委員)。』
この提案があったというヘッドラインが出た時に債券先物が反応してやや上昇してましたけれども、これはいったいなんなんですねんという話ではございます。
・そもそも全体像が判らんがな
でね、声明文の場合否決された提案に関して事細かに公表されないので、この白井さんの提案に関してはさすがにもうちょっとディテールを見せてくれないと何を考えているのかがさっぱりワカランのが困ったもんでありますが、まあしょうがないので字面で考えるしかございませんな。決定会合議事要旨である程度どういう趣旨のもとでこういう提案が出た、というのが判るのですが、議事要旨が出るのは(これは今の日銀法のテクニカルな問題だと思うので改正して欲しいわと思うのですが)日銀法の規定上次回以降の政策委員会・金融政策決定会合において承認されないと公表されないので内容が判ったころには過去の話になっているのが遺憾の極みでありまする。
んでもってこの提案ですが、輪番と基金を統合すると言われましてもその瞬間にいわゆる銀行券ルールを突破しまして、まあ包括緩和(量的緩和)やっている時に調節技術上の銀行券ルール抵触云々は正直どうでも良いのですけれども、一応銀行券ルール自体は「財政ファイナンス懸念に対してそうではありませんとお答えするため」としての存在意義がございますので、この銀行券ルールとの折り合いはどうするんでしょうというのが公表文だけだとワカランのがまず第一に困ります。
更に困るのは、統合して期限の無い買入にするにしても、じゃあ買入をどうやって実施するのかとかどの年限をどう買うのかという話がこれまた見事に書いていないので何考えているのかがさっぱり判らないというのが困りものです、というかそもそもどういう年限をどう買うかみたいなのって結構良く練って考えないといけないもので、先行きの買入残高や保有資産構成がどうなるかという試算をベースにそれで良いのかどうかとか考えないといけない話ですからして、その辺綿密に作り込んだ案なのかがさっぱりワカランので判断のしようがないのですが、作り込んでいなかったらちょっとねえという所ではございます。
・オープンエンド買入の前倒しと今のAPP残高目標との関係
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/release/2013/mei1302.pdf
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高(2013年2月28日現在)
こちらの2ページ目にAPPでの買入残高がありますので引値表でも見ながらヘコヘコと償還順に額面を計算していきますと償還スケジュールが判るのですけれども、まあそんな事せんでも実を言えば今年償還になるAPPでの国債買入残高は償還分以外の変化は無い(買入をするのは残存1年以上だから)のですけれどもまあそれは兎も角(^^)。
営業毎旬報告ベースで見ますと、2月末のAPPでの国債買入残高が26兆4481億円になっておりまして(→http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2013/ac130228.htm/)、上記の銘柄別残高でヘコヘコとあたくしが計算した額面ベースの数字が26兆3187億円になっているのでたぶん額面と価格との差分を考えたらあってるだろうと思いつつ申し上げますが、あたくしが手元でヘコヘコ計算したベースなので本人は合っているという自信満々のドヤ顔(ではありませんが)で申し上げますが正確な数値は皆さん計算してちょということで。
現在の買入残高が26.45兆円でして、6月までに来る償還額が9995億円になっているので、残高目標34.0兆円に対して残高達成に必要な買入額は(額面と時価の差があるのでその辺はネグって頂きたいのですが)6月までは(単純に4で割っているだけですが)2.1兆円程度の買入ペースが必要になります。
んでもって12月の目標残高は44.0兆円ですので、6月から12月の6か月での買入が必要なのは10兆円に加えて償還予定額が50965億円ありますので15.1兆円でして、償還分を勘案すると必要買入額は7月以降は月割りすると2.5兆円程度の買入ペースが必要になるんですよね。そんなに買えるのか(超過準備積む人が居なくなって札割れするとか、こっちは札割れしないけれども別の供給系オペに影響するとかになるという話)というのも大変だと思いますが。
つーことでですな、よく「オープンエンド買入を前倒ししないのは消極的」とか言われたりするのでございますが、そもそもオープンエンド買入を開始する前の残高目標ベースの方が長期国債に関しては買入ペースが結果としては早くなる筈という風になっている訳でして、オープンエンド前倒しするのは良いのですが、実は今直ぐにオープンエンド方式に切り替えると、短期国債の方は明らかにAPP積み上げペースが速まる(普通に考えて買入残高が30兆円になるのですが、12月末の目標が24.5兆円ですので)のですけれども、長期国債の方は実は当初の約束よりちょっと遅れる(短期国債の増え方の方がデカイのでAPPそのものという意味ではオープンエンドを前倒しにした方が早く積みあがる)という話でして、短期国債で積み上げペースを加速させたAPPでもヨロシという負債サイドビューだけで物事を語るのであればまあ良いのですが、そうじゃないという方は日銀の公表文書(と各銘柄の償還は財務省のページでもロイターでもクイックでもブルームバーグでも判りますのでその内容)ベースでこの程度の計算はただの足し算割り算の世界で計算できますのでその辺考えてくださいね(はぁと)という所ではございます。
まあその辺を判った上でしらっと演技モードで突っ込むというのは一つの手段ではあるのですが、この部分との折り合いをどう考えて提案したのかも見えないので何だかな論評に苦しむ提案ではあります。
・つーか何もこの時期に提案せんでも良いのではないかと
他に却下されていたのは宮尾さんの提案なのですが、まあ宮尾さんの場合は物価目標2%導入時からの継続提案なのでこれは一貫している話で問題は無いです罠。
一方で次回のMPMから総裁副総裁の3名が変わるというこの時期に新たな政策提案をするとか、緊急性のあるような案件なら兎も角そうでもないのに何で提案するねんそもそも今回で終了の3名にそういう投票行動させるとかナンジャラホイというかTPO的にどうなのというかKYさんですなあというかという感じですが、まああたくしの周囲3メートル(電話線と電子メールの届く範囲内も含む^^)で言われていたのは概ね以下のような感じですかねえ。
その1:新執行部擦り寄り早速キターーーー(・∀・)ーーーーーーーー
その2:提案して却下されるプロレス提案キタコレ
その3:単に目立ちたかっただけなんじゃないでしょうか????
でまあその2というのは時々そういうネタが語られる事もあるのですが、まあさすがにそういう行動というのは取れないでしょ(大体からして1から10まで議事録が後日公表されるからプロレス提案とかしたら文脈で判っちゃうでしょ)と思いますのでまあこれは却下。
そうしますとその1かその3のどっちかという話になる訳でして(オープンエンドを早く実施したいのであれば前回の時になぜ言わないという話ですから)、と勝手に決めつけてしまいますが(すいません)、その位唐突感があるので何なんでしょという所ではございます。いやこれが実は来週2月会合の議事要旨が出て前回もそういう話をしている人がいたというのであれば少しだけ考え方改めますが。
その1はまあ判りやすい(^^)ですけど、実は単にその3であって、石田さんも宮尾さんも佐藤さんも木内さんも色々と目立っている中で「あたしも〜♪」と目立とうとしたのではないかという考察をするのは失礼ですかそうですかもしかして笑点大喜利の黄色い羽織役をまさかの白井さんが買って出たということでしょうかわかりません(><;
などと書いているうちに時間が無くなりましたので今日は甚だ簡単ではございますがこの辺で勘弁という事で。
2013/03/07
お題「色々と訂正があるのでお詫びと訂正/スタイン理事講演ネタ久々に」
誠に恐縮至極。
○お詫びと訂正コーナー・・・・・・・の筈が途中から別の話になっています(超大汗)
なお、当該過去ログは取消線方式で訂正しておりますのでよろしくお願いいたします。
・訂正その1:良く考えたら俊ちゃんの一発目は「なんちゃって緩和みたいなもの」でしたという話
人間記憶というのは恐ろしい物で、月曜日に臨時会合の例として俊ちゃんの話をしたのですけれども、「あれ違くね?」とツッコミを頂戴して公表ドキュメントを見て大汗をかいた上に当時書いた駄文(というかメモですが、この時期の書き物はサイトにはアップしておりませんです)を読んだら勝手に記憶が改変されていた事に気が付くのでしたorzorzorz
ということで月曜の当該駄文を再掲。
(以下月曜の駄文より)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2003/k030325.htm/
本日の金融政策決定会合について
2003年 3月25日 日本銀行
『1.わが国の景気は、海外経済や株価、不良債権処理の動向など、先行き不透明感が強い中で、国内最終需要に明確な回復の動きがみられず、横這いの動きを続けている。
2.こうした状況のもとで、今般、イラクに対する武力行使が開始された。日本銀行としては、今回の事態が株式市場や為替市場などを通じて経済全体にどのような影響を及ぼしていくか注視するとともに、潤沢な流動性の供給などを通じて、金融市場の安定確保に万全を期す方針である(別添参照)。こうした方針のもと、補完貸付制度についても、当分の間、すべての営業日を通じて公定歩合による利用を可能とすることとした。
3.日本銀行としては、対イラク武力行使の影響も含め、現下の厳しい金融経済情勢を踏まえて、今後、金融政策運営の基本的な枠組みについてさらに検討を進めることとした。』
ちなみに別添というのが当座預金残高目標の引き上げだったのですが、20日に就任して早々にこんなの実施されたのでひょえーと思いましたが、良く良く見ますとそれまでの速水総裁時代には当座預金残高目標の引き上げに輪番の拡大がセットだったのが外れて、その後も俊ちゃんは意味の判らないネタで当座預金残高目標を引き上げつつ輪番は増やさない、という事を実施していたのがチャーミング。
(ここまで引用終了)
えーっとですね、3月の元々予定されていた決定会合の公表文と比較すれば判るのですが・・・・
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2003/k030305.htm/
当面の金融政策運営について
2003年 3月 5日
日本銀行
『日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。
3月31日までは、日本銀行当座預金残高が15〜20兆円程度となるよう金融市場調節を行う。4月1日以後は、日本郵政公社の発足に伴い、日本銀行当座預金残高が17〜22兆円程度となるよう金融市場調節を行う。
なお、当面、年度末に向けて金融市場の安定確保に万全を期すため、必要に応じ、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。』
ということで、3月5日の当座預金残高目標と25日の目標は同様、つまり当座預金残高目標の引き上げは実施されておらず、実際にこの時に行われたのは前の方の引用部分の2番にありますように「ロンバート貸付の公定歩合貸付の適用期間を全ての期間とする」というものでありました。
ちなみにこの措置はこの回が初めてではなく、2002年2月決定会合において3月積み期間(つまり3月期末)において全営業日でのロンバート貸出利用を可能にした(従来は積み期間中に5営業日のみ公定歩合適用で、それを超過すると+2.0%のペナルティ金利が適用されるという設定になっていました。詳しくはこの辺をご確認ください→http://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_a/index.htm/)事があったのですけれども、これを復活させて『補完貸付制度についても、当分の間、すべての営業日を通じて公定歩合による利用を可能とすることとした。』(2003年3月25日会合声明文)という形になりましたというのが行われた措置です。
更に『3.日本銀行としては、対イラク武力行使の影響も含め、現下の厳しい金融経済情勢を踏まえて、今後、金融政策運営の基本的な枠組みについてさらに検討を進めることとした。』(2003年3月25日会合声明文)というのがまあ「追加緩和しますよ」的なニュアンスを醸し出している文言ですので、この時は「追加緩和」ではないけれども「緩和のようなもの」を実施したというのが正解でしたので謹んでお詫びして訂正致しますが、常盤橋公園で首から下を埋まるのはご勘弁ということで何卒伏してよろしくお願い申し上げます(−−;)
でまあ当時のメモを見たら、この時の臨時会合についてあたしゃ「必然性があるとすれば、「やった振り」というエクスキューズ。あるいは「柔軟な日銀」のアピールですか。」などと書いてあったりしまして(2003年3月26日の朝に書いていたのですが先程申し上げましたようにサイト未掲載です)していましたが、何でそんな悪態メモになっているのかと申しますと、同じメモで「さて、リップサービスなのか実際にやった時のインパクトを探るアドバルーンなのか今の所不明ですが、昨日の総裁会見では「国債買切を軸にオペ手段の多様化を検討」「株式指数連動型投信や不動産投信の購入の可能性は排除しない」「日銀のバランスシートは確かに大きくなっている」と、所謂非伝統的政策に踏み込むのか踏み込まないのか曖昧な発言で、債券市場にも株式市場にも配慮している所を窺わせてくれました。」(これまた2003年3月26日にあたくしが書いた俺様メモでサイト未掲載物件です)ってございまして、この時は「わざわざ臨時政策決定会合を開催して大した事はしなかったのですが、会見でやたらアピールをしたいた」ので、それは臭い芝居だろとか悪態をついていたというのが事実でした。
#量的緩和も大概に非伝統的政策なのですが、当時のアタクシはその辺の勉強(と知性と品性)が足りていなかったので、いわゆる非伝統的資産購入のようなものを非伝統的政策といって居たのではないかと思われます
・・・・・・・でまあ別に負け惜しみで言う訳では無いのですが、いつの間にかこうやって記憶が改変されてしまうのっていうのは、よーするにこの時の俊ちゃんの狸会見の記憶がどこかに残っていたり、その後もやれSARSだりそな銀行公的資金注入だと、追加緩和を突っ込む時の声明文にメインでは無いのですが、今にして思えば(というか当時も)ナンジャソラという理由の文言を突っ込んでいた訳で、まあそんなナンジャソラ追加緩和を実施した事のインパクトの方が大きかった為に、「臨時会合」という記憶と前後の俊ちゃんの芝居気たっぷりの緩和パフォーマンスの記憶によってそういう印象になってしまったという事であります。
んでもってね、そんな事から考えますと「印象」というのはこれまた大事だなと思うのでありまして、当時は俊ちゃんの緩和芝居について芝居だの何だの悪態をついていた訳ですが、結局印象として残るのは「福井総裁は就任してから積極緩和姿勢を見せた」という事になる訳でございまして、やはり期待に働きかけるという成分が強くならざるを得ない非伝統的金融政策においては、俊ちゃん的ハッタリというか見せ方というのが重要である、というのがポイントとしてあるんでしょうなあと改めて思ったりした昨日のひとときでした。
でまあそのハッタリによる金融政策効果の拡大というのを、恐らく俊ちゃんの例を見ながら活かしているのが逆さ絵おじさんだったりドラギの大爆笑先生だったり、つーかまあ逆さ絵先生の場合はそもそもお前出口何も考えてないだろという無茶振りな突っ込み方をしているので、「びりーぶみー」と言って抜かずの宝刀をどどーんと目の前に持ち出してきて本当に抜かずの宝刀のまま推移させているドラギの大爆笑先生の方が俊ちゃんの忍者ハッタリ君スキルを跡目相続していると思われますが、まあその辺の皆様がハッタリの重要性を理解して利用している中で、当時のハッタリ芝居に対してそのインチキを排除して真実一路でマッコウクジラ勝負に出て実は弾の無駄遣いになってしまっているのではないかと極めて残念なのが麿大先生である、とまあそう考えたりしますと色々と味わいの深い物があるなあとも思うのでした。
・訂正その2の積りが途中から余計な雑談:3年以下を買えは出口政策の時でしたか・・・・・・・・・・ってえ?????
もう一つの訂正ですけれども、これは昨日の駄文になりますが、規久男先生の衆議院とかいう所でのご高座ネタでございまして、これはネットの記事引用部分ではありませんで・・・・・・・
(以下昨日の駄文より)
(前半略)「銀行保有の国債のデュレーション、3年までにして頂きたい」(今の金利水準判ってますか預金保険って知ってますか大丈夫ですか満(以下略))というような部分でしたが残念ながらネットニュースで拾えなかったのでツッコミは断念させて頂きます。
(ここまで引用終了)
という部分なのですが、これはどうも改めて確認すると目先の話でこんな事を言っている訳では無く、別のベンダーなどを確認すると「(出口政策について)銀行等にはデュレーションを3年くらいまでにしてもらい、日銀は長期国債を買う」との趣旨の発言だったようです。
ああそうか今すぐ銀行の保有債券のデュレーションを短くしろという話じゃないのかちょっと安心したわ・・・・・・・とつい思ってしまいそうになりますが、良く良く考えたら更にこの訂正版の方がアチャーな話をしているのが規久男クオリティでございまして、この人の「政策提言」ってティンバーゲンルールも裸足で逃げ出す「究極の部分最適」ですなあなど、謹んで訂正している割には何故か悪態の上塗りになってしまうお話だったりします。
だってね、恐らくこの「出口政策では銀行の保有国債を短期化させましょう」っていうのは、巷間よく言われる「金利急騰したら銀行経営に影響が起きて金融システム不安ガー」という話に対しての政策案なのではないかと思われる(思われる、というのはどうも規久男先生の話が実務家からみた場合に斜め上にも程がある物が出て来る頻度が他の人よりも高いので、常識的に解釈するとそうなるとおもいますけれども実はこっちの解釈がそもそも間違っているかもしれない、という意味を込めております^^)のですが、いやまあそうやって例えば出口政策懸念で銀行が売ってくる長期国債などの長期債を日銀が吸収していくような形を取れば「銀行の損失レベルを下げる可能性」が高まるように見えますので、その「銀行の損失ガー」の観点からすると使えそうに見えますが・・・・・・・・・・・・
という所で読者諸兄におかれましてはオチが理解できると思いますが、出口政策をやろうとしている中で中央銀行がせっせと長期国債の購入を拡大しちゃったらそれは出口に薪を積み上げた上にガソリン撒いて火を点けてしまうようなもので、本来やるべき流動性の吸収の真逆をやるという話でありまして「銀行の損失ガー」の対策を打つつもりが、出口政策の逆を実施して更に悲惨な事態を招くという吉本新喜劇もビックリの展開になってしまうというのはもう何なんでしょうねえというか、お願いだからそういうのは他の国で実験して下さいという所ではございますな。
ちなみに、訂正とは関係なく脱線しますと、他に規久男先生におかれましては「物価連動債、投資家のインフレヘッジになり、金融システムが安定、出口戦略が非常にやりやすくなる」と言った趣旨の発言もされているようでありますが、これまた実務家から見ますとこの先生何言ってるんでしょうという所でありますわな。そもそもインフレヘッジを物価連動債という商品カテゴリーで実施しないといけない投資主体が現在の国内機関投資家にいるのでしょうかという根本的な問題を把握していない時点で如何なものかという所ですし、それで出口戦略が非常にやりやすくなるとか最早どういうロジックなのかさっぱり判りません。
でまあ連日悪態をついておりますように、この先生、リフレ云々という金融政策論のようなネタでああだこうだと議論をもう10年じゃ効かなく行っている筈なのに、調節技術の話も怪しいですし、金融市場に関する理解も浅いとかそういう言葉で斬るのも刀の汚れじゃというくらいの無茶苦茶さでありまして、そもそもこれで10年金融政策ネタで本を出したりしてるというのが如何なものかというのが最近色々と具体的発言をするとボロボロとボロが出てくるというのがオソロシス。
いやね、黒田さんの場合は別に金融政策論を本業にしていた訳では無いですし、財務省時代も理財とか官房とかほぼやっていないに等しいですからその辺の知見が微妙なのはシャーナイナイと思うのですが、ここ10年来金融政策論で主に議論をすることがメインに近かったお方の具体的な金融政策具体論とかそれに立脚する技術的な問題や制度的な問題、金融市場に関する理解がもう無茶苦茶とか言う時点でリフレとは何だったんだという話になるんですよねえマッタクモウ。
いやね、この前も書いたんですけれどもあたくし別にリフレ的な発想についてマッコウクジラで全否定する訳でも無いのですが、特に最近というかここ数年のリフレ論議って政策の具体論に落とし込んだ際に話に飛躍があったり政策としてのフィージビリティーが無茶にも程があったり、大体からしてそれ現実問題としてフリクションが発生するから金融政策プロパーの問題ではないでしょとか、まあ要は理屈は判るのだがそれは現実に落とし込めない空論で、「世界の皆が9条を守れば戦争は起きません(はぁと)」ってのはその通りだしそうあるべきだとは思いますけれども、じゃあそれをどうやって実効性のある政策として落とし込むのかという話になると「現実がという日銀理論がケシカラン」で片付けられてしまって実際の政策論にならない上にそもそも現状認識自体が変なバイアス入って歪んでいるとゆー状況だと思うんですよね。まあ言っちゃあ何ですが、どこぞの政党が夢のようなマニフェストを引っ提げて「財源なんぞ無駄削減と埋蔵金で出てくるから気にしなくても良い」とか言ってたりしてた時期があり、何か知らんけど皆さんが持て囃して恐ろしい事に政権を取ったら素敵な有様になった、という事案が極東のとある島国であったような気がしますが、何かもう同じ香りが漂ってくるのが規久男先生のご高座を拝聴していると思うのですけれどもさてどうなるんでしょうねえ。
しかしまあ何ですな(何時の間にやらお詫び訂正ネタから話がドンドン逸れているような気がするのは気のせいです)、この空論金融政策論、つーかそもそも言ってることがかなりアレなので空論にもなっていないような気がしますが、まあそういうのを引っ提げておられる規久男先生がMPMの場でどういう風になるのかってのと、黒田さんがそのきくちゃんをどう扱うのかというのがまあ注目される訳でして、議事要旨ではそこまで詳しく掲載されないでしょうけれども、10年後の議事録でどんな事になるんでしょうかねえと妄想する訳ですよ。
議長:はい次だれか?
きくちゃん:はい!はい!はい!
議長:またきくちゃんかよ〜他に誰かいないの?
という某テレビ番組大喜利状態になるのか
きくちゃん:ああだこうだと現実を踏まえないエクストリーム意見
黒ちゃん以外の委員一同:「・・・・・・・・・・・・」
と政策委員の皆様をゴルゴ13状態にしてしまうのか、まあ今後の推移を(良く考えると楽しくないけど)楽しんでお待ちしたいと考えます。
以上、今週の駄文の訂正部分につきましては謹んでお詫びを申し上げている積りだったのですけれども、何故か途中からお詫び成分が揮発していることに関しまして深い遺憾の意を表明させて頂きたく存じます。
#ただの訂正で何ぼかいてますねん>自分
○ニュースクリップとかちょっとした雑感とかの俺様備忘メモ
・ブレイナード財務次官キタコレ(ニュースクリップ)
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPJT834409120130305
新興国の管理為替相場、近隣窮乏化につながる恐れ=ブレイナード米財務次官
2013年 03月 6日 01:02 JST
ほうほう新興国ですかそうですか、と思って良く良く記事の本文を読んでみますと残念な記述がございました。
『20カ国・地域(G20)に、経済の競争力を高めるために為替相場を目標としないとするコミットメントの順守を求めた。財務次官は、日米欧7カ国(G7)声明で、各国の金融政策が国内目標を目指し、為替相場を目標としないことを再確認した点にも触れた。』(上記URLより)
おーのーと言った所ですが、この辺の通貨外交はどういう仕切りでやっていたんでちゅかねえというのが極めて気になる所ではございまする。
・そういや高座の影響も少々あるのかね
色々なご本職の何とかストさんのレポートと言いましてもあたくしも全員のを隅から隅まで読む暇はないのですが(つーか日米欧英中銀のリリース見てるだけでも時間が足りんわ)、昨日の国会でのご高座辺りを受けまして「和製フリードマン」とか「理論的支柱」というようなヨイショレポートじゃないものも散見されるようになりまして、誠に恐縮至極に存じます(謎)というような所ではございます。
つーかですよ、従来の岩菊先生とかリフレ界隈の見解とかって書籍もバンバン出ていますし、別に本買わなくてもネットでも色々と意見は読めたりします(ちなみにあたくしは岩菊先生の本なら3冊、他のリフレ系の先生の本も何だかんだ言って10冊近くは持ってるぞなもし)ので、大体どういうロジックで話をしていて、政策論に落とした場合どういう話をしているのかというのも具体的政策論も含めて見解を見ることは出来ると思うのですが、実は本当にノーマークだったのかねと思っちゃうようなヨイショレポートやヨイショコメントをしているのを拝見してナンジャソラと思って(敢えて名前は出しませんでしたがURL先をお読みになれば判るように^^)先日ご紹介申し上げた次第ですが、まあその辺も徐々に伝わるようになっているのは結構なお話ですなあ時既にお寿司かも知れんけどね、と思うのでありました。
まあここまで来たら10年来叩き続けた(追記:「大口の」が抜けてました)ケツをちゃんと拭いて頂くべく、金融政策運営に対して立ち向かって頂きたいときくちゃんに対しては思いますのですが、まあ「一度やらせてみようということで政権交代」の結果がどうなったかというのと同じような話にならない事を心の底から願っておりますので和製フリードマンであらされる所のきくちゃんには是非その理論を実践して頂きたい所でございますので副総裁よろしくお願いいたします(棒読み)という所ですなあっはっは。
○さあスタイン理事講演ネタの続きですよ!(その5)米国クレジット市場の過熱に関する考察続き
ということで、引用しているこのあたくしだけがお待ちかねタンホイザなスタイン理事講演ネタの続きですが、これは米国のクレジットとかその手の市場に関する分析としても面白いのですよ。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/stein20130207a.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/stein20130207a.pdf
だいぶ間が空いたのでこの前何処までネタにしたのか忘れる位ですが(汗)、PDF版で言うと本文10ページの辺りからになります。
・運用調達の多大なミスマッチがシステミックリスクに繋がる
ここは前回の再掲ですが、クレジット市場の過熱がシステミックリスクに繋がるのはこういう場合ですよという話の所から引用します。この辺は前回ネタにしたのですが、おそらく話の流れ上ここを引用しておいた方が先を読みやすいので引用だけ。
『In this regard, one lesson from the crisis is that it is not just bad
credit decisions that create systemic problems, but bad credit decisions
combined with excessive maturity transformation.』
『A badly underwritten subprime loan is one thing, and a badly underwritten
subprime loan that serves as the collateral for asset-backed commercial
paper (ABCP) held by a money market fund is something else--and more dangerous.
This observation suggests an idealized measurement construct.』
『In principle, what we'd really like to know, for any given asset class--be
it subprime mortgages, junk bonds, or leveraged loans--is this: What fraction
of it is ultimately financed by short-term demandable claims held by investors
who are likely to pull back quickly when things start to go bad?』
『It is this short-term financing share that creates the potential for
systemic spillovers in the form of deleveraging and marketwide fire sales
of illiquid assets. 』
ということで結論は最後の所ですね。
・ファンディングのあまりよろしくないミスマッチを探す:業者のレポ調達動向
では現在米国ではどうなっているのかという話なのですが・・・・・・・
『This short-term financing share is difficult to measure comprehensively,
but exhibit 5 presents one graph that gives some comfort. The graph shows
dealer financing of corporate debt securities, much of which is done via
short-term repurchase agreements (repos).』
ということでまず最初に出るのが巻末の図5になるのですが、社債を業者がレポファイナンスしている額についての集計でして・・・・・・・・
『This financing rose rapidly in the years prior to the crisis, then fell
sharply, and remains well below its pre-crisis levels today. So, on this
score, there appears to be only modest short-term leverage behind corporate
credit, which would seem to imply that even if the underlying securities
were aggressively priced, the potential for systemic harm resulting from
deleveraging and fire sales would be relatively limited. 』
グラフを見ると判るのですが、そのレポ資金調達額はリーマンショック前にバカスカ拡大して、それがリーマンショックで落ち込んだ後さほど上昇しておらず、まあ要するに業者が流動性の比較的低い債券をバカスカ在庫で抱えている状態では無い→システミックリスクに繋がる可能性が低い、という考察ですな。
・ファンディングのあまりよろしくないミスマッチを探す:投資信託やETFによる流動性の低い証券保有
『Nevertheless, I want to urge caution here and, again, stress how hard
it is to capture everything we'd like.』
キタコレということでして、そもそもワシらは全ての事が判っている訳では無いというのをまた強調とな。
『As I said, ideally we would total all of the ways in which a given asset
class is financed with short-term claims. Repos constitute one example,
but there are others. And, crucially, these short-term claims need not
be debt claims.』
レポファンディング以外にもファンディングはあるし、短期調達の形態は負債だけではないとは何ですねんという話ですが・・・・・・・・・
『If relatively illiquid junk bonds or leveraged loans are held by open-end
investment vehicles such as mutual funds or by exchange-traded funds (ETFs),
and if investors in these vehicles seek to withdraw at the first sign of
trouble, then this demandable equity will have the same fire-sale-generating
properties as short-term debt.』
確かにそうですなという所ですが、相対的に流動性の低い証券がいつでも解約可能な投資信託やETFなどで持たれている場合、何らかの状況で急に解約請求が嵩んだ時に当該ヴィークルが投資している流動性の低い債券に投げ売りゲロゲロマーライオン相場がやってきますよということで、負債だけではなく「要求払制のエクイティ」の保有も同様ですよねという話です。
『One is naturally inclined to look at data on short-term debt like repo,
given its prominence in the recent crisis. But precisely because it is
being more closely monitored, there is the risk that next time around,
the short-term claims may take another form. 』
ということで次は別の形でリスクが現れる、という事でスタイン理事が指摘しているのはまずは「ハイイールド債投資信託」と「ハイイールドETF」ということです。
『With this caveat in mind, it is worth noting the pattern of inflows into
mutual funds and ETFs that hold high-yield bonds, shown in exhibit 6. Interestingly,
the picture here is almost the reverse of that seen with dealer financing
of corporate bonds. Assets under management in these vehicles were essentially
flat in the years leading up to the crisis, but they have increased sharply
in the past couple of years.』
ということでスタイン理事の警告として、米国でのハイイールドを対象にした投資信託とETFに対する資金のインフローが拡大している、というのが巻末の図6で示されていまして、しかもこれがちょうどリーマンショック後に落ち込んだままの業者による社債対象のレポ資金調達を穴埋めしている形になっている(リーマンショック前に拡大していた業者のレポ拡大の代わりに投資信託とETFの資金インフローが担っているという話)という指摘をしております。
『This observation suggests, albeit only loosely, that there may be some
substitutability between different forms of demandable finance. And it
underscores the importance of not focusing too narrowly on any one category.』
そらまあだからマズイとは断言せんわと思いますし、そもそもこれらのインフロー自体がそこまでのホットマネーでは無くてサステイナブルな資金(リテール投資家の資金が主体とかいう場合なら話がだいぶ違ってくる訳ですから)かもしれないでしょうというのはあると思いますが、従来と違った形でのファイナンスが行われているという指摘ですな。
・期間のミスマッチを探す:エージェンシーモーゲージ不動産REITセクターに注目とな
でまあファンディングのミスマッチの観測はここまででこの次はその前にスタイン理事が指摘していた「期間のミスマッチ」の部分に関する考察で注目はエージェンシーモーゲージ不動産REIT(ってまるまる直訳どころか訳ですらなくてすいませんすいません)セクターとの由。
『Continuing on with the theme of maturity transformation, the next brief
stop on the tour is the agency mortgage real estate investment trust (REIT)
sector.』
ほう。
『These agency REITs buy agency mortgage-backed securities (MBS), fund
them largely in the short-term repo market in what is essentially a levered
carry trade, and are required to pass through at least 90 percent of the
net interest to their investors as dividends.』
これらのエージェンシーREITはレバレッジ掛けたキャリートレード方式でエージェンシーMBSへの投資を行って配当を投資家に払っていますとな。
『As shown in exhibit 7, they have grown rapidly in the past few years,
from $152 billion at year-end 2010 to $398 billion at the end of the third
quarter of 2012. 』
巻末の図7のグラフが全力でキタコレではあるのですが、この「エージェンシーREIT」市場の規模がここ3年くらいで絶賛拡大中という話です。
『One interesting aspect of this business model is that its economic viability
is sensitive to conditions in both the MBS market and the repo market.
If MBS yields decline, or the repo rate rises, the ability of mortgage
REITs to generate current income based on the spread between the two is
correspondingly reduced. 』
でまあこのエージェンシーREITに関してはMBS市場とレポ市場によって影響を受けますと。
・サーチフォーイールドの例として商業銀行の証券保有をあげていますぞな
『Another place where the desire to generate yield can show up is in commercial
banks' securities holdings.』
ほうほうほうほう。
『In recent work, Sam Hanson and I documented that the duration of banks'
non-trading-account securities holdings tends to increase significantly
when the short rate declines. We hypothesized that this pattern was due
to a particular form of agency behavior--namely, that given the conventions
of generally accepted accounting principles, a bank can boost its reported
income by replacing low-yielding short-duration securities with higher-yielding
long-duration securities.』
まあそうですなという話ですが、銀行は市場金利の低下に伴い、銀行のトレーディング勘定では無い部門(というのですからまあ投資勘定の事でしょうね)ではより高い利回りを求める為に、金利の低下した短期債券から、より利回りの高い長期債への投資を加速させますと。
『Something along these lines seems to be happening today: The maturity
of securities in banks' available-for-sale portfolios is near the upper
end of its historical range.』
でまあ今まさにその事象が起きていますキタコレ!
『This finding is noteworthy on two counts. First, the added interest rate
exposure may itself be a meaningful source of risk for the banking sector
and should be monitored carefully--especially since existing capital regulation
does not explicitly address interest rate risk. And, second, in the spirit
of tips of icebergs, the possibility that banks may be reaching for yield
in this manner suggests that the same pressure to boost income could be
affecting behavior in other, less readily observable parts of their businesses.』
でまあそのインプリケーションは2つあって、「拡大された金利エクスポージャーはそれ自体が意味のあるリスクであってこの状況を観察しべきである」という話で、もう1つは「銀行がこのような投資行動を取っているというのは「リーチフォーイールド」の動きの「氷山の一角」であって、実際には我々が関知できていない部分で多くの主体が同様の行動を起こしているのではないかという示唆」という話ですとかキタコレではありますな。
・もう一つの状況は「担保」なのですが時間が無いのでまた後日
『The final stop on the tour is something called collateral transformation.』
という事で米国市場巡りの最終ツアー地なのですが、あたくしの段取りが悪くて時間と量がアレになってしまいましたので以下後日ですすいませんすいません。このパラグラフだけ引用しておきます。
『This activity has been around in some form for quite a while and does
not currently appear to be of a scale that would raise serious concerns--though
the available data on it are sketchy at this point. Nevertheless, it deserves
to be highlighted because it is exactly the kind of activity where new
regulation could create the potential for rapid growth and where we therefore
need to be especially watchful.』
2013/03/06
お題「超長期暴れるの巻/高座キタコレ/木内審議委員会見続き(すいません)」
トーキョーにおかれましては一昨日が摂氏10度で今日の予想が摂氏18度とかボラ高杉晋作で勘弁して頂きたいのですが。
○とりあえず市場備忘メモ
やたら禿しく動いたので備忘メモ。振り回されてしまった方におかれましては誠にお疲れ様でしたというかご愁傷様でしたというか・・・・・・・・(-_-メ)
昨日は朝から前日の流れを引き継いで盛大にブルフラットをしまして、とにかく先物が大して上がっていなかった、というかちょっとマイナスだった9時位でもドンドン超長期が強くなるとか豪快な相場になりまして日本相互証券さんベースの高値は10年0.585%(-2.0)、20年1.450%(-4.5)、30年1.625%(-5.0)とまあ超長期フラットニングでござるの巻。先物の高値は145.38で6銭高ですから1毛強だったんですけど5年って大体引けより弱かった希ガス。
ただまあ前場途中からやや押し込みまして、10年ゾーン1甘水準、先物12銭安の145.20の水準、ただし超長期は前日比強いという素敵なカーブ形状で10年入札を迎えまして、落札結果が市場予想から1毛ほど流れたので今度は先物スココーンと下げ(15銭位)。最初は下げ止まったような感じもしたのですが、その後長い所とか弱くなって引け際に超長期がもう一発売られて引けは20年30年5.5甘とか中々華麗な展開となりました。
という感じだったっすかねえ。まあとりあえず何が何だか良くワカランチ会長でしたが、寄りの買いと後場の売りは何だったんでしょうかねえ。
・・・・・・・・一方、この間に6か月TB入札がありまして、幾らで掴まされることになるのやらと思っておりましたら落札結果は0.0458%/0.0478%の厚め按分ということで、連日のオペ金利低下で前日には輪番の出来上がりゼロ攻撃とかあばばばばーにも程がある勢いで推移していましたので、その勢いよりはマシな結果という感じですが、ただまあ冷静に考えると0.05%割れってナンジャラホイという結果ではあるのですがシャーナイナイ。
そしてこの間長期とか超長期の金利がどっひゃーという動きをする中で貫録のウゴカンチ会長となっておりまして(当たり前ですが)短国市場では0.05%割れの水準での気配で延々と推移するという安定感でありました(^^)。
というメモではございましたが、いやもう何が何だかワカランチ会長なのでとりあえずメモだけしておきますと言う感じですけど、盛り上がって参りますと相場が暴れるときもありますなという所なんですかね、よー知らんけど。
でね、10年入札でコケたので超長期62回の連想が起きるというのもあるかもしれませんけれども、超長期62回の時というのは(その前のクーポン推移をみれば判りますが)ブルフラット相場をその前にどどーんとやって何かもうそれが定着してすっかり現状がノーマルという感じになって、そのまま普通の気分のまま普通にに入札して落札結果も値段だけ見ると普通だったのだけれども投資家が全員引いていたという結果でして、昨日のようにお祭りワッショイ状態で入札に突入して不明玉もそこそこというのともちと違う希ガスでありまするというメモだけ置いておきます。
○高座キタコレ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJ5ZL46S973201.html
岩田日銀副総裁候補:2年で達成できなければ辞職−物価目標2% (1)
更新日時: 2013/03/05 13:55 JST
もう何と申しますか色々とツッコミどころが多いのですが、このヘッドラインにありました部分に関しては「金融政策がてめえの職如きで釣り合うのかちょっと考えろ」という感じでありまして、辞職如きで落とし前が付くとでも思っているのかこの人はという所で甚だトサカに来る次第でさらに血圧が上昇する所です。
大体からして岩田さんにおかれましては10年以上に渡って散々日銀批判をネタにしておりまして、まあそれでも以前はそれなりに意見としてまとまっている話もあったのですが、ここ数年は言ってることがいちゃもん状態だわ言説に関してもそれこそ一派の皆様におかれましては自殺者が日銀のせいだとかエルピーダの破綻は日銀のせいだとか、ほとんど殺人者呼ばわりまでして注目を集めておられた訳でございまして、それだけ大口叩いた挙句に辞職如きで釣り合うんでしょうかねえ。
などと申し上げましたが、従来散々人に対して過激な発言を連発しておられた規久男大先生様の事でございますので、そのような安易な事を考えている訳では全くございませんでしょうと信じております。すなわち、辞職するにあたりましては単に辞職するだけではなく、「私が今まで言っていた事は間違えていましたどうもすいません」という板を首からぶら下げて日銀の周りを三歩歩くごとに土下座5回しながら400周くらいして頂いて、終了後は常盤橋公園辺りで首から下を埋まって頂きまして晒し者になって頂き、ついでに副総裁の給与もさることながらこれまでの印税だの講演謝金だのも国庫納付して頂く位の覚悟でお取組みになっておられるものだと信じておりまして、まあそこまで国会で言うのは不謹慎ということでしょうから辞職と仰せになったのでしょうと規久男先生には大いに期待したい物でありまする。
ということでまあ後は就任会見まで高座も無い(参議院での聴取はあるけどまあどうせ同じ話になるんでしょ)のでツッコミを少々。
『マネタリーベースをどれくらい増やす必要があるかに関しては「かなり大きいということは間違いない」と言明。』(上記URLより、以下同様)
あら???当座預金残高10%増やしたら期待インフレ率が0.44%上昇するんじゃなかったでしたっけ??????????
『「現在の資産買い入れ等基金の方式だと、日銀が国債を買っても償還して資金が戻ってくるので、ネットで資産残高が増えるかが見えない」とした上で、「ネットでマネタリーベースをどれだけ増やすかを見なければならない。その点も実際の金融政策では改める必要がある」と述べた。』
・・・・・・・・・・・orz
えーっと、現在の資産買入基金は「買入を行った国債の保有残高」を目標にしておりますので、償還部分も加味した買入を行っているのですけれどもこの人は基本的な事を何も判っていないというもう大丈夫かという話なんですけれども、そもそもこういう基本的な事も判っていない人間が金融政策論議をリードするという日本の状況が話にならんという事ではあります。
『超金融緩和策の将来の出口戦略では「国債の売りオペをするというよりも、日銀当座預金の付利を引き上げていって、銀行の信用創造を抑えるというのが最初の常道だと思っている」と述べた。』
・・・・・・・・銀行の信用創造を抑えるという意味が何を仰っているのかという感じですが、不十分と仰せの現在の国債などの買入量の段階で既に付利金利と実際の国債市場金利の差がこれだけ出ている訳でして、これからもっと凄まじい量の買入をした後の状況を考えると、付利引き上げを少々したからと言っても短期市場金利の誘導が円滑に出来るようには思えませんけどどうなんでしょうかねえ。というのはまあツッコミというよりは自分のメモであります(^^)。
『物価目標の達成時期では「世界経済などさまざまな要因に左右される。不確実性もある」と説明。「必ず2年でということは言い難い」としながらも、「達成に向けて全力でやっていきたい」と述べた。』
日銀がリーマンショックの影響がとか言うと散々「人のせいにする」と口汚く罵っておられたのはどこの誰でちゅかねえ・・・・・・・・
という勢いでもっと突っ込もうかと思ったのですが、何だか知らんのですが、今回はヘッドラインも飛び飛びでベンダー記事のネットでの扱いもこの辞職の所だけなので何なのですが、そのほかオモシロ発言があったので一応メモ。
ヘッドラインベースでは色々とありましてツッコミどころ満載なのですが、ワロタ部分としては「財政による金利上昇を抑えるためにも金融緩和が必要」ってそれどう見ても火にガソリンと金属ナトリウム持って特攻するようなロジック(財政維持懸念で金利が上昇しだしたら中銀が国債を買い出したら更に財政ファイナンス懸念が拡大して拍車を掛けるだけ。ECBがうまく行ったのは政府と中央銀行が一対一対応の関係になっていないからですよね大丈夫ですかねえはいはい満州の話はさっきもしたでしょお薬の時間ですよという所ですな)とか、「銀行保有の国債のデュレーション、3年までにして頂きたい」(今の金利水準判ってますか預金保険って知ってますか大丈夫ですか満(以下略))というような部分(3/7追記:別のベンダーヘッドラインを見ますと若干発言の趣旨を間違っていたようですので訂正記事を投入しました)でしたが残念ながらネットニュースで拾えなかったのでツッコミは断念させて頂きます。
ということで生産性皆無の雑談を連日にわたってお送りして誠に申し訳ございませんでした。ちゃんとした話題に戻りましょう、といいつつこれって会議録出るんでしたっけとか楽しみにしている自分がいるのはここだけの話。
○木内審議委員会見ネタ続き
読み溜めている連銀のいろんな人の講演ネタとかBOE議事要旨ネタとか、面白いと言って紹介を始めたのにすっかり途中で終わっているスタイン理事講演ネタとか、つい勢いの悪態の方がツッコミ所だらけなもので放置プレイと化しておりまして積読ならぬ積ネタ状態(しかも積読と違って積ネタは放置していると賞味期限が切れてネタにならなくなるという残念な仕様)のあたくしですので全力でネタを成敗していきたい所存ではございますが、月曜にやりかけて放置している木内審議委員の講演デビュー戦の会見ネタをまずは(汗)。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1303a.pdf
・まあ元々2%目標が拙速といってるのですから当たり前ですが・・・・・・
この質疑を見ますと今後のMPMでの論議がどうなるのか是非拝見したいものであります。当事者的には色々と大変だと思いますので面白いとかあまり軽々しく言う物ではないのでしょうが。
『(問) 本日、国会に日銀総裁・副総裁の人事が提示され、アジア開発銀行の黒田氏が総裁候補として提示されました。黒田氏は2%の物価目標の達成時期について「2年ぐらいが適切だ」と発言していますが、これについては現実的だとお考えでしょうか。また、ご自身も改めて2%の目標については、「1%に戻すのは良くない」というような趣旨の発言がありましたが、実際に2%の物価目標が実現するにはどの程度の期間が必要だとお考えでしょうか。』
『(答) 2%の物価目標の達成については、既にお話しているように、容易ではないということです。さらに加えて、私どもが展望レポート・中間評価で示している消費税率引き上げの直接的な影響を除くベースで見た消費者物価の上昇率は、2014年度の中央値で+0.9%となっています。それを踏まえると、2%というのは決して容易ではありませんし、短期間で達成できるというよりは、相応の時間を要するものではないかと思います。』
という見通し部分は兎も角としてこの先が中々。
『この点については、私どもから何度も説明していますが、拙速に物価を目標値に近づけていくというのは、私どもが掲げている「物価安定の目標」ではないということです。私どもが目指しているのは、あくまでも長い目で見た経済の安定と発展ということです。物価の安定というのは非常に重要ですが、仮に短期間で物価を非常に押し上げることができたとしても、例えば物価が上がって賃金が上がらないという状況になると、それは結局、所得環境を悪化させ、消費を悪化させて、2%を比較的短期間で達成できたとしても、長い目で見ればそれは一時的でしかない、ということになります。』
全く同意。
『そういう点で考えると、物価を機械的に誘導するのではなく、成長力の強化、特に生産性が高まるということが重要で、これについては日本銀行も努力し、政府あるいは企業の各主体の努力の累積によって実現していくものだと思っています。そのもとで、日本銀行の金融緩和も後押しし、物価と賃金、成長率がバランスよく高まっていくことで、非常に安定した形での物価目標が達成できることになるのではないかと思います。』
ですです。
『先行きについては、不確実性が高まるので、「いつまでに」と設定をするのは妥当ではないと思いますし、これは日本銀行だけではなく、現在、物価目標を導入している世界の中央銀行のほとんどが、時期を特定していないという点からすると、比較的、国際的な基準に沿った判断ではないかと考えています。』
キターーーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーー!!!!!!!!
2年間がグローバルスタンダード(キリッ)というはるちゃんきくちゃんコンビdisキタコレという所ですが、これはまあ各国中銀の金融政策運営を見ておりますと(だいたいインフレ目標設定国の英国が目標逸脱を何年続けてると思ってるんだという上に、直近では景気がアレだから物価が暫く上に振れるのに緩和をどうしましょという話をしているんですよねえ)木内さんの説明の方がどう見ても普通です本当にカムサハムニダ。
・追加オプションのプロコン比較
『(問) 4点あります。まず、本日の挨拶要旨の中で、「資産買入等の基金」の運営に関する論点ということで、3点あります。1つは、付利の撤廃の話であるとか、買入れ対象となる国債の残存期間の伸長といったところを挙げておられますが、それぞれに対して委員ご自身としてはどのように考えていらっしゃるのか、もう少し教えて下さい。(以下割愛)』
『(答) 第1の点で、個人的にどう考えているかというのは差し控えますが、既に挨拶要旨の中に書かれている範囲内で言うと、色々な政策オプションが議論されていますが、それぞれコストとベネフィットを勘案しながら実施していくことが重要です。』
といいつつもプロコンの分析の話が出てくるのが木内さんのオモロイ所。
『資産の買入れについては、先ほども申しましたが、持続性と政策効果の2点を重視しながら、政策の対象を考えていくという姿勢が重要だと思います。ただ一方で、その結果として、より年限の長い国債を買う場合には――これは4番目の質問と関連してきますが――財政ファイナンスと捉えられるリスクが高まる可能性がないわけではありませんので、こういったコストの面にも注意しながらやっていく必要があると思います。』
『付利金利の引下げについては、そのデメリットというのは、総裁の記者会見などでご説明しているのですが、例えば、市場機能が低下してしまうという面がありますし、金融機関の収益が悪化すると、私どもの政策効果が減じられてしまう可能性もありますので、それもコストの一つだと思います。そして、私が一番コストとして感じているのは、資産の買入れという政策自体の運営をやや難しくしてしまう面があるのではないかという点です。資産の買入れの裏側には、当座預金の積上げあるわけですが、付利金利を引き下げると、金融機関が当座預金を持つインセンティブが低下してしまうことになります。そうなると、オペによる資金供給が、将来もしかしたら難しくなる――難しくなるかどうかはわからないのですが――リスクを幾ばくか上げてしまう可能性があると思います。それが、コストということだと思います。一方、ベネフィットについては、金利を下げる方がいいということで、これは明らかではないかと思います。』
ベネフィットが明らかというのを見て一瞬付利下げを選択肢にしているのかと焦りましたがさにあらずというのはこのちょっと先に出てきます。
『リスク性資産の買入れについては、色々な金融市場に対して、期待に働きかけるのがプラス面、つまりベネフィットということですが、一方で、マイナス面としては、バランスシートを毀損してしまうと、日銀の健全性というものが通貨価値の安定と関わっているため、それを損なうというリスクを考えなければいけないということだと思います。』
で、結論ですが。
『それぞれコストとベネフィットがありますので、それを勘案しながらやっていくということになりますが、私の基本的な感覚としては、この挨拶要旨に書いた通りで、資産を買い入れることが重要で、持続性と政策効果の面から工夫していくことが必要であると思っています。そして、これらの政策を運営する上では、政府との協調が必要であり、政府が財政健全化という方針をより強化していくということであれば、日本銀行がより資産を買う余地が高まっていく、あるいは長めの年限の資産を買っても財政ファイナンスと誤解されるリスクが下がっていくという点からすると、政府との協調強化は、私どもが今後金融緩和を進めていく上で非常に重要な要素ではないかと思っています。』
ということで資産購入重視ですから付利はまあいじらんだろうなあという所です。
・銀行券ルールに関して
上記の質疑と同じなのですが財政ファイナンス絡みで銀行券ルールに関する質問がありましたのでその答えの部分を引用します。
『4番目の日銀券ルールについては、これも具体的な政策についてお話できないのですが、仮に年限の長い国債を買っていくということになると、やはり、今の基金を通じた買入れと、いわゆる輪番オペを通じた国債の買入れとの境目が不明確になってしまうので、将来的には何らかの工夫が必要だと思います。その際には、日銀券ルールについて、何が適切であるかを見直していくことも、検討課題になるかもしれない――これについて正直にいうと、差し迫った課題ではないように思いますが、将来的には課題になってくると思います。』
『ただ、日銀券ルールは、ある意味、「財政ファイナンスではない」ということを担保しているルールですので、そういった重要性にも配慮しながら、将来適当な時期に慎重に判断していきたいと考えています。』
まあ銀行券ルールに関しては「財政ファイナンスではない」という説明のルールであるのと同時に通常の金利誘導政策を行っている時には調節技術上これを入れておいた方が市場金利の誘導を円滑に行う事ができて、変なストレスを市場に掛けないという技術的な論点もありますので、少なくとも包括緩和政策を実施して量的緩和状態になっている場合は、調節技術上の問題には抵触しませんから「財政ファイナンス」の部分をどう担保するのかという論点で考えるものですが、当然ながら正常化の場合も考えないといけません罠。
という所で。
2013/03/05
お題「さあ盛り上がって参りましたという市場メモ関係/黒田さん所信聴取/規久男先生の落語キタコレ」
今朝のモーサテでは昨日のヨイショ記事にも程ある日経1面の話(主要国の期待インフレ率が上昇して云々という話だがBEIに消費税が含まれている事をどうも知らないようでして、何とか証券調査センターとか言ってたような気がしましたが消費税の話を無視してBEIの推移を説明すると誤認勧誘の恐れがありますのでご注意ください)と昨日の規久男先生の落語を見事にパクったようなマネタリーベースの話(MBが増えるから資産価格上昇はいいのだがMBの増加なら昨日今日に始まった話では無いのだが)ABE期待(=アセットバブルエコノミー期待だとよ)というコメントをしている大変に見苦しい方がおいでで朝から実に血圧の上昇する事でありますのでやはりあの番組のスポンサー様の通販で血圧計でも買った方が良いでしょうか????
○さあ盛り上がって参りました!
昨日の債券市場ですけれども、朝方からは早速ブルフラットした後うだうだしておりましたが、皆様ご案内のように下のメモのように黒田さんの所信聴取があったのですが、長い所の国債を買うという話をしていたという辺りがヘッドラインで出た所からまた金利低下。正直長い所の国債買いの話は普通に出てくる話だと思ったのでそんなに反応するネタかいなとは思いましたがまあやや買われたぞなもしとゆーところですし、大体からして質疑応答が流れ出した辺りから為替は円高に振れていた(つーても30銭位ですが)ように見えまして、まあ予想通りの内容という所だったんじゃネーノと思いましたけどどうなんでしょうかね。
んでもって昼に輪番の結果が出まして、これがまた足元の短期ゾーンの玉無し芳一状態を反映して残存1年未満の買入の方で足切りが盛大に流れて按分7毛5糸強(平均は4毛1糸強)となった事から、これは期近物を入れても出来上がり金利が1bp以下になるじゃあーりませんかという事でウッヒョーとなって後場は一段高へ。いやあのその輪番結果短期ゾーンじゃんとか思いましたが、まあ切っ掛けというのは恐ろしい物でありまして更にワッショイ相場となったあと、もはや何が何だかワカランチ会長ですが引けに掛けて超長期のフラットニングが更に来まして昨日の日本相互証券さんの引け利回りはたぶんこんな数字の筈(レートは単利)。備忘用に残して置く。
2年326回:0.040%(-0.5)
5年108回:0.095%(-2.0)
10年306回:0.295%(-2.5)
10年327回:0.605%(-5.0)
20年142回:1.490%(-8.0)
30年37回:1.675%(-9.0)
40年5回:1.810%(-10.0)
5年は0.10%を割るわチーペストは単利0.3%を切るわ超長期は爆発するわと誠にアレな展開になりまして、足元の短期債物無し芳一状態を反映してGCレートは下がるわTBは0.05%割れがビットになるわとさあ盛り上がって参りましたという風情になっておりまして大変にアレでございます。
○輪番キタコレ
ということでオペのメモはこちらに。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130304.htm
国債買入(残存期間1年以下) 3,100 2013年3月6日
国債買入(残存期間1年超10年以下) 2,500 2013年3月6日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2013年3月6日 2013年3月27日
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130304.htm
国債買入(残存期間1年以下) 6,424 3,104 -0.075 -0.041 18.0
国債買入(残存期間1年超10年以下) 6,249 2,505 -0.004 -0.001 17.8
共通担保資金供給(資産買入等基金)(3月6日スタート分) 9,150 8,006 87.5
・・・・・・・・・・おーのー!
まあ何ですな、先月の前半に基金短国買入やったらレートが急低下してその後前月末に入札があって不明玉だらけだった2年カレントがショートスクイーズ祭りになった訳ですが、今回の場合はその2月前半に金利があまりにも低下しすぎるのを警戒したのか何だか知りませんが買入系のオペをスキップしまして、そのツケが回ってきて先週は基金短国買入を3発実施してその買入金利が0.068/0.065→0.061/0.055→0.051/0.050と順調に低下した(オファー額はそれぞれ1兆、5000億、1兆)ように何か知らんが投資家買いもある中で日銀も玉を吸い上げてしまって昨日の結果と。
つーことで何か最近は日銀のオペのタイミングが丁度良く相場に燃料投下してみたり、先般は5年国債入札の日の前場にMPM議事要旨が出て基金買入の銘柄5年まで延長見解が出たりして相場を煽ってみたりと、何というかもう狙っている訳では無いのに日銀が相場の煽りに手を貸す格好になっているのが間が悪いっつーかなんっつーかという感じで実に味わいの深いものを感じますです、はい。
○しかし翼賛トーンが凄いわ
昨日の日経とか今日のモーサテとか見てて思ったのだが。
昨日の日経1面では「物価上昇予測 広がる」というお題で「市場 期待インフレ率1%超」という題を示しておりましたのでBEIの説明をしているのですが、このBEIっていうのはCPIの現数値でして間接税の上昇込みなのですが、その点の説明が1ミリも無いとか普通に証券会社が勧誘資料でそんなことやったら誤認勧誘でしょっ引かれても文句は言えないレベルの話でありまして、日経も落ちぶれたもんですなあとか思うのですが、きっとアベノミクス大政翼賛会状態になっているからなんですよ。
でまあ昨日は昼のテレビ見てたら「黒田さんの所信聴取で円安が進行して株価はリーマンショック後の高値を更新しました」とか報道してましたし、なんか今朝のモーサテでもそういう話になっていましたが、どう見ても昨日の値動きは最初はそうなったかも知れんが質疑応答の内容が伝わるにつれて期待していた(ってまあおまいら何を期待していたんだと思うのだが)ほどの内容じゃなくて従来の主張通りだったという事で為替はやや円高に振れて株も下がった(その後は中国株の下落の方が効いていたかもしれないけど)というのにすっかりそんなトーンで黒田さん翼賛報道となっているのがオソロシス。
いやあのですね、昨日の動きとかどー見ても所信聴取が為替や株的には期待ほどでは無かったという反応だった(まあそこまで本気で期待していたのかも謎だが)のですけれども、これがもし麿の国会答弁でこういう値動きだったら鬼の首を取ったかように「質疑応答が進むと内容に新味がない事から円高になり株価も下落」という報道をされているだろうなあと思いますと、誠に残念というかどう見ても麿カワイソスという感じですな。
まあこういうトーンで報道されて下駄を履けるのはハッタリ金融政策を実施するのには好都合ではあるのですのですが、1つには「自分の尾を追う犬」となって煽った市場との相互作用で将来の金融経済の不安定化というかボラ上昇のネタを撒くリスクがありますし、もう一つにはその下駄が外れた時の逆作用もオソロシスという感じですな。
しかしモーサテのゲスト解説コーナーで「MPMの6人の見解は一致しているように見えます」とか言っててお前ら何を言っているんだという感じですな全く。
○黒田さんの所信聴取関連メモ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJ42ID6S972F01.html
日銀総裁候補・黒田氏:可能なことは何でもやる姿勢明確に−所信 (3)
更新日時: 2013/03/04 15:26 JST
『3月4日(ブルームバーグ):政府が先に次期日本銀行総裁候補として国会に提示した黒田東彦氏は4日午前、衆院議院運営委員会で所信聴取に臨み、これまでの日銀政策は2%の物価目標の達成に不十分とした上で、デフレ脱却へ向け可能なことは何でもやると表明し、大胆な金融緩和を進める意向を示した。物価目標の達成は2年を目指すとした。』(上記URLより、以下同様)
という事で色々とヘッドラインは出ていましたが、より長期の国債購入云々の所で市場が反応したようなのですが、基金国債の買入年限延長とか輪番の拡大とかは普通に本命(ただしその辺をするには意見集約が必要で就任したら翌日にいきなり実施とか無理だと思いますが)の筈なので何でそこまで反応しましたねんという所ですが、まあ先週からの財政マネタイズ相場の初期反応としてのブルフラットニング相場がドンドン盛り上がって参りましたという流れの一環であり、ついでに言えば輪番が絶妙のタイミングであばばばばばーな結果を出してくれたので大ブルフラット相場をやって下さいました。
しかしまあ子細に見ても従来の話をしているのと気合を見せているという所でして、特段新味が無いと申しますか、この辺見てておいおいというのもあったんですけどね。ベンダーのニュース報道ベースだから何ですが。
『物価目標の実現時期では「いろいろな要素で物価は動くので、多くの中央銀行は直ちに2%というのをピシッと達成するのは不可能だし、そういうことにコミットしているわけではなく、あくまで中長期的に近づくよう金融政策を運営していく」と言明。』
『その上で「多くの中央銀行は2年程度というのを念頭に置いていると思うし、私自身もそういったものを念頭に置くのは正しいと思う」としながらも、「あくまでも物価安定目標は経済状況を踏まえつつ、できるだけ早期に達成するというもの」と指摘。「2%の物価安定目標自体が毎月毎月2%ということはどこの国でも求めてないし、適切でもない」と語った。』
『さらに、「いつ達成できるか分からないということでは物価安定目標にならない」とし、「2年というのがグローバルスタンダードなので、当然それを目指すということになると思うが、15年続いたデフレを打破することは大変なことも事実だ」と言明。「あくまで政府・日銀の共同声明、それから日銀の政策委員会の決定を踏まえてできるだけ早期に達成できるよう全力を挙げたい」と述べた。』
という事で、えーっと確か以前はもうちょっと大口を叩いていたように見えるのですが、何か2年で達成というのに関して工程表も出さないし、具体的に何をするのかの話も微妙(ついこの前「日銀が買う事のできる資産は国内に何百兆円もある」と仰せでしたけれどもあれはどうなったんでしょうか)で、さてこれから現実問題を考えた場合にどういう話になって行くのかが楽しみではございますが、何せ2年で達成して頂けるということですので、正常化の際の出口政策も責任を持ってやって頂けることを期待しております(棒)。
○木久扇規久男先生のご高座キタコレ
昨日は都内でご高座があったようですが、ベンダーにヘッドラインが出て金利市場関係者の間では良い腹筋の運動になったのではないかと愚考致します次第。
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE92305N20130304
期待物価上昇率2%で15円円安、4000円株高へ=岩田学習院大教授
2013年 03月 4日 17:13 JST
『具体的には、当座預金残高が10%増えると予想物価上昇率が0.44ポイント上昇し、期待物価上昇率が2%ポイント上がれば為替は15円の円安、日経平均株価は4000円上昇するとの見方を示した。』(上記URLより)
出たこの謎の計算という話なのですが・・・・・・・
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/cabs/index.htm/
業態別の日銀当座預金残高
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/cabs/jcabs.pdf
業態別の日銀当座預金残高(2013年1月)
上記PDFから過去の数字を拾えますし、もっと長い期間のデータは時系列統計データ検索サイトから拾えるのですが、そこの月中平残ベース(でも末残でも良いですが普通は平残見るわな)の合計数値が日銀当座預金残高の月平数値になる次第ですけれども、ご覧になれば判るように昨年の1月積み期間(1/16-2/15)の当座預金残高平残が294448億円で今年の1月積み期間の当座預金残高平残が410950億円となっておりまして、規久男先生の高度な計算式によりますと昨年1月から40%上昇しておりますので予想物価上昇率は1.76%も上昇していないといけないという話になります。
・・・・・・・という程度でツッコミを止めてしまうと面白くないので、物は試しに2007年1月からの数値を時系列統計データ検索サイトで拾ってきたら2007年1月の当座預金残高平残は84714億円になっていましたけれども、その頃から当座預金残高は4倍超になっておりますが何なんでしょうこの計算。
まあ通常の金利政策と量的緩和期を比較するのも言いがかりという見解も有ろうかと存じますが、以前の2001年3月から始まった量的緩和の時って当初の当座預金残高のスタートが4兆円程度から始まって(http://www.boj.or.jp/announcements/release_2001/k010319a.htm/)最後は30〜35兆円にまで引上げ(http://www.boj.or.jp/announcements/release_2004/k040120.htm/)してましたので、この高尚な理論を用いますとその間の予想物価上昇率が(600%増加と控えめに計算して^^)26.4%は引きあがっていないといけないのですけれども、こらまた随分と無茶苦茶な金融緩和をしましたねえという所ですなわははははははははははは。
同じ高座の件ですが。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJ4JJS6JTSEG01.html
岩田・日銀副総裁候補:物価目標のマジック、予想インフレ上昇で円安
更新日時: 2013/03/04 19:13 JST
『岩田氏は「デフレは貨幣的な現象だ」とあらためて強調。2%の物価目標達成に向けた日銀の取り組み姿勢が市場の信認を得れば、予想インフレ率の上昇を通じて予想実質金利が下がり、実際の物価が上がり始める前に円安・株高が進むと説明した。企業収益や設備投資、家計消費といった実体経済にも一定の時間差を伴って波及すると語った。』(上記URLより)
フィッシャー効果ェ・・・・・・・・・
『デフレ予想をインフレ予想に転換できるのは金融政策だけだと主張。各経済主体が物価目標の達成を前提に行動する同目標導入国の姿は「外から見るとマジックのように見える」と述べた。市場が注視するのは日銀当座預金と現金の増減だとも説明し、円相場に対しては予想インフレ率1ポイントの上昇で7.4円の円安・ドル高効果があるとの試算を示した。』
>市場が注視するのは日銀当座預金と現金の増減だ
>市場が注視するのは日銀当座預金と現金の増減だ
>市場が注視するのは日銀当座預金と現金の増減だ
>市場が注視するのは日銀当座預金と現金の増減だ
>市場が注視するのは日銀当座預金と現金の増減だ
強力な電波を受信致しました!!!!!
・・・・・・・・・・・・・・・えーっと、それは去年の3月に前年の震災対応による大規模流動性供給という特殊要因が剥落した時に突如ネタにしていた人たちがいて、金利系の本職の何とかストでも大真面目に特殊要因の話をしないで説明していたのが某護国寺証券とか某溜池山王証券とかにいたような気がしますが、今年はご案内の通り1月積み期間で前年対比で10兆円以上も日銀当座預金が拡大しているのですがついぞそれを円安材料のネタにしている話を聞いた事がございませんけどねえ。
『安倍晋三首相が求める大胆な金融緩和を背景に名目金利が下がっている理由については、予想インフレ率の上昇で日銀による国債買い入れ増の観測が勝っているためであり、デフレ予想ではないと指摘した。ただ、世界標準の物価目標の下では達成に向けた金融政策手段に関しては独立性が保障されているため、政府に国債購入を強要される財政ファイナンスの懸念は起こりようがないと強調。こうした「プロパガンダ」を悲しく思うと述べた。』
>財政ファイナンスの懸念は起こりようがない
>財政ファイナンスの懸念は起こりようがない
>財政ファイナンスの懸念は起こりようがない
発行する国債全部買えだの言われていう事聞かなければ日銀法改正とか言われても財政ファイナンスの懸念が起こりようがないとか何というお目出度い方なのでしょう。
・・・・・・・・何か他にも盛大にツッコミどころがあったような気がするのですが、オモシロヘッドラインが満載されている割には記事の方があっさり味なのが多かったので惜しいですなという所です。
ということで今日の国会でどんだけオモシロネタを炸裂させてくれるかとかもうワクワクテカテカなのですけれども、この高尚な理論を引っ提げて登場させる前に国会におかれましては規久男先生の高尚な理論に是非ドシドシ突っ込んで頂きたい物である、と斯様に存じます次第ではございます。(ちなみにネットで拾えなかったですが「18カ月から24か月で達成可能」との事でしたので、あれだけ日銀を諸悪の根源呼ばわりしてたんですから達成しなかったら当然一族郎党獄門送りの覚悟なんでしょうなあ)
#ということで悪態書いてたら木内審議委員会見の続きとか他に読んだ物とかの続きができねえええええ
2013/03/04
お題「異次元緩和雑談とかの雑談/オペがあばばばばー/木内審議委員会見(その1)」
今朝の公共放送ニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130304/k10015924111000.html
原油価格上昇で石油製品値上げへ
3月4日 4時21分
『このところの円安で原油の輸入価格が上昇していることから、化学メーカー各社は今月から石油化学製品を相次いで値上げする方針で、今後、レジ袋など身の回りのさまざまな製品の価格にも影響を与える可能性が出ています。』
『この結果、レジ袋などを作っている取り引き先が原料の値上がり分を製品に転嫁せざるをえなくなる可能性もあり、今後、身の回りのさまざまな製品の価格に影響を与えることになりそうです。』(以上上記URLより)
ということで例によって報道の仕方は「物価が上がりますよ困りましたねえ」みたいなトーンでございまして、デフレ脱却へ向けての動きが広がって参りました物価目標2%達成に向けて誠に結構な流れになっております的な報道にならない所がインフレフォビアクオリティというものでございまして何をどうしたら2%の物価目標達成できるんでしょうかねえ(棒読み)という風情でございます。
という悪態は兎も角として総裁人事関連雑談とか異次元緩和(?)はどういう異次元な物が打てるかという雑談を先に少々。
○正副総裁候補者の所信聴取がはええええよ
http://www.47news.jp/CN/201303/CN2013030301001464.html
衆院、4日に黒田氏の所信聴取 日銀総裁人事で
2013/03/03 17:25 【共同通信】
『衆院議院運営委員会は4日、政府が次期日銀総裁候補として提示した黒田東彦アジア開発銀行総裁(68)の所信を聴取する。人事案提示後、黒田氏が公式に意見表明するのは初めて。2%の物価目標達成に向けて金融緩和を強化する方針を説明する見通しだ。与野党の質疑に応じる。』(上記URLより)
ということで今日が黒田さん、明日が岩田さんと中曽さんの所信聴取でございまして、まあ中曽さんは別に問題が出るような発言は出ないでしょうから良いとしまして、黒田さんと岩田さんに関してはまあちょっと勉強する前に所信聴取かよという所で大丈夫かという所ではございます。
まあ何ですな、変にハードル上げまくる勇ましい発言をしてから実際に現実問題として出来ることとできない事を把握した後に顔真っ青とかになって悶絶して頂いた方がこうなりますと面白いので精々悶絶しろやとは思いますし、日本のためにという点で言えばここであっさり穏当になった方がコストは低いのでしょうが、悶絶の結果社会にコストを与えた事が明らかになることによって事実関係も踏まえないで適当な与太話を吹くような輩が絶滅した方がより長い将来を見据えた際に世のため人のためになると考えたりしてはいかんのでしょうけれどもねえとか色々と考えてしまう今日この頃。
でもまあ岩菊先生の場合は例えば付利下げたら資産買入が札割れになるかもしれませんよとかいう話をしても「それはお前らの説明がおかしい」と言い出しそうな所がお洒落でありまして、まあポイントは岩菊先生がネタ要因になるのかどうかでしょうなあとは衆目の一致する所ではないかと存じます。
つまりですな、岩田さんがああだこうだ発言するのに一々市場が大反応してたらそらもうエクストリームな市場展開が想定されますし、はいはいおじいちゃん満州の話はさっきもしたでしょお薬の時間ですよという反応になりますとそれはそれでナンダッタンダという話になるのですが、はてさて今後どうなるのかというのが実にこうあまり嬉しくは無いものの外野的には興味津々と言った所で、中の人におかれましては誠にご愁傷様としか申し上げようが無い所ではございますな、うんうん。
#何かダイヤモンドオンラインで岩菊先生が先般のゆかしメディア系でのインタビューと同じような話をしていたようなのですが、肝心の部分が会員限定記事なのでスルー致します
○異次元緩和メニュー雑考
異次元緩和とか言いましてもここから何をするんでしょというのを鼻毛を抜きつつ考えてもなにせ不肖この愚昧なあたくしと致しましては異次元脳が設定されておりませんのでイマイチ考えられないのですが。
・やる気を見せる為に早速臨時会合という手はあるにはあるのですけれども・・・・・・・・
俊ちゃんの場合は着任早々にイラク攻撃を理由に臨時会合を行ったのですが、しかし今読んでもこの追加緩和の理由がエクストリーム過ぎて
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2003/k030325.htm/
本日の金融政策決定会合について
2003年 3月25日 日本銀行
『1.わが国の景気は、海外経済や株価、不良債権処理の動向など、先行き不透明感が強い中で、国内最終需要に明確な回復の動きがみられず、横這いの動きを続けている。
2.こうした状況のもとで、今般、イラクに対する武力行使が開始された。日本銀行としては、今回の事態が株式市場や為替市場などを通じて経済全体にどのような影響を及ぼしていくか注視するとともに、潤沢な流動性の供給などを通じて、金融市場の安定確保に万全を期す方針である(別添参照)。こうした方針のもと、補完貸付制度についても、当分の間、すべての営業日を通じて公定歩合による利用を可能とすることとした。
3.日本銀行としては、対イラク武力行使の影響も含め、現下の厳しい金融経済情勢を踏まえて、今後、金融政策運営の基本的な枠組みについてさらに検討を進めることとした。』
ちなみに別添というのが当座預金残高目標の引き上げだったのですが、20日に就任して早々にこんなの実施されたのでひょえーと思いましたが、(3/7追記:この記述は思いっ切り間違いで、当座預金残高は現状維持で、ロンバート貸出の適用日数延長と「追加緩和方法の検討の議長指示」でした。謹んで訂正いたします。また訂正記事を投入しました。)良く良く見ますとそれまでの速水総裁時代には当座預金残高目標の引き上げに輪番の拡大がセットだったのが外れて、その後も俊ちゃんは意味の判らないネタで当座預金残高目標を引き上げつつ輪番は増やさない、という事を実施していたのがチャーミング。
話はそれますが、速水さんも頑固ジジイだった事から麿と後任の関係がこうなって次の人は「気合は見せるけど実際には大したことをしない」攻撃になるとそれはそれで味わいがあるのですが、何せ今回の場合は俊ちゃんと違いまして後任のうち2名は従来の日銀の政策をケチョンケチョンにけなしておりまして(うち1名はその筋の方もビックリという言いがかりや中田カウス師匠もビックリの脅迫政策提言をされておられたような気がするのですが)、その人たちが着任した途端に急にトーンダウンとかしたら全力で悪態をつくべく手ぐすね引いているのですけれども、まあそうもいかんでしょうなあと思います。
でですな、臨時会合やって気合を見せるのは良いのですが、それで急に全然違う話が打ち込まれる、というのはさすがに話に無理があると思う訳でして、実際にフィージビリティー的に無理無理無理とか、そもそも枠組みを全面変更とかするのは厳しいでしょうと思いますので、まあ下手に頑張ろうとして臨時会合とかやったら却ってクレクレモードの株式や為替市場をガックリさせて出オチ状態になるのではないかと思いますがやるかも知れませんので別に無いと自信を持って言う気は無いです。
・思いつくメニューその1:オープンエンドの前倒し実施とか12月の残高目標前倒し
とは言いましてもしょうがないので異次元緩和とやらのメニュー(まあどうせ異次元をやるなら就任記者会見で黒ちゃんがボンテージファッションで鞭をもって登場して菊ちゃんが白ブリーフ一丁で現れて以下食事中の方もいるでしょうから自主規制という位の異次元をして欲しいですけれども)を考えますと、まず最初に思いつくのがこれ。
いやそれやってだから何ですねんというか、そもそもそんなハイペースを先にやって市場があばばばばーになるんじゃネーノとかいう気もしますが、いきなり何かやれと言われて最初に思いつくのがこれなのですが、ただまあこれをやると12月末の残高目標にコミットしていたのがコミットしないことになってしまいますので(残高目標を手前に倒せば一応コミットにはなるんでしょうが、オープンエンドだけ実施して残高目標を外すと12月末の残高目標を達成できるのかが微妙になる)、例えば9月末までの残高目標に変更(中間は気にしない)してその後オープンエンドとかですかねえ、良く判らないですけれども。
・思いつくメニューその2:コミットメント文言の変更
現在のコミットメント文言に関しては「適切な時期まで緩和を継続」となっていまして、それに対して宮尾審議委員が「2%達成を見通せるまで」緩和を継続という提案をして却下されているという展開が続いておりますが、まあここを宮尾審議委員の提案通りに通すという話ですかねえという所です。
ただまあ従来この提案1対8で否決されている訳でして、正副総裁全員が転向しても残念ながら4対5で否決されてしまいますが、従来反対していた人が賛成に回った場合は何で賛成するのかを小一時間問い詰めさせて頂く所存ですのでよろしくお願いい申し上げます(^^)。
・思いつくけどこれはねえ:基金買入の拡大とか年限延長とか
まあ拡大の方は展望レポートと同時に出すのであれば中長期的な物価見通しガーという話になるのですが、しかし単に拡大ですと何か異次元的な感じが全然しないですし、大体からして買入大丈夫かという気も。
でもって年限延長に関してはさすがにどういうロジックでやるのかという話を考えた場合に直ぐに臨時会合やってホイホイ決定できるようなもんじゃないような希ガス。
・思いつくけれどもこれをやったら全力で爆笑:当座預金残高目標に変更
何せ中田カウス岩田規久男先生におかれましては「当座預金残高が80兆円程度になればインフレ目標2%が達成」との事でございますので、この際もう色々と細かいこたあ気にしないで当座預金残高目標に切り替えてしまうという話題はあったりなかったり。
しかしですよ、もしこれを実施したらそもそも101兆円の基金残高達成した時よりに想定される当座預金残高よりも低い数字になるという点が実にこう大爆笑にも程がある訳でして、(時期を前倒しするという意味はまああるけど)見事なまでに緩和後退になってしまうので、お前らの今までの批判は何だったんだ今すぐマリアナ海溝ドラム缶クルーズツアーにでも逝ってきやがれという話になるのですけどね。
つーかさ、中央銀行のバランスシート政策は負債サイド(リザーブの残高)に注目するのではなく、資産サイド(どのような資産を資産サイドに置くのか)ですよねというのが最近のバランスシートポリシーの流れですし、まあ米国なんぞは明らかにそのバランスシート政策よりも時間軸のタイムコミットメントの方に重点を移しているので3周回遅れ位の話になるのでそういう意味でも爆笑ネタではありますがさてどうなる事やら。
まあ他に買う資産をクレジット物とかエクイティにするとかはあるけど、何せ金曜の社債買入オペが札割れ攻撃になってしまったくらいですからねえ・・・・・・・・・・・・
○ということでオペメモ
金曜のオペは色々な点であばばばばーでありましたのでメモメモ。
オファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130301.htm
社債等買入(資産買入等基金) 1,500 2013年3月7日
国庫短期証券買入(資産買入等基金) 10,000 2013年3月5日
国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上3年以下) 6,000 2013年3月5日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2013年3月5日 2013年3月26日
結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130301.htm
国庫短期証券買入(資産買入等基金) 32,032 10,005 0.050 0.051 37.7
国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上3年以下) 16,386 6,012 0.045 0.046 34.1
共通担保資金供給(資産買入等基金)(3月5日スタート分) 9,545 8,006 83.9
社債等買入(資産買入等基金) 1,071 1,071 0.000 0.057
短国買入のレートは0.051/0.050に低下するわ、基金国債買入のレートは0.046/0.045に低下するわと誠にあばばばばーな結果になっておりますが、金曜の午後にベンダーに出てきました社債買入の結果がエクストリーム異次元オペとなってしまいましてエクストリームなあばばばばーになってしまいましたぞなもし。
>社債等買入(資産買入等基金) 1,071 1,071 0.000 0.057
>社債等買入(資産買入等基金) 1,071 1,071 0.000 0.057
>社債等買入(資産買入等基金) 1,071 1,071 0.000 0.057
・・・・・(;゚д゚)
ということでまあ確かに社債買入札が入らないだろうなあとか言われておりましたが、結局札割れになって0.000%の札まで落札という素敵な結果になりまして、次は夢のマイナス利回り落札ですよ先生(って社債買入ってマイナス応札できるのかどうか忘れた、国債系はマイナス利回り応札可能だが)とかもうねという所です。
○木内審議委員会見ですが時間の都合上今日は少々で明日に続く所存(汗)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1303a.pdf
雑談書いてたら肝心のネタががががが
・2%の数字がどうかという質疑だがどさくさに紛れて質問に悪態
3ページ目にある質疑なんですけど、まあ2%に関する質問は良いのですが読んでて物凄く違和感を覚えた質問があったので全力で悪態。
『(問) 2点伺います。まず物価目標2%の導入に関して、委員は1月の決定会合で反対され、本日の挨拶要旨でも容易ではないという考えを示していますが、その考えについて改めて教えて下さい。また、「アベノミクス」に関しては懐疑的ということなのでしょうか。「アベノミクス」が唱える、デフレからの脱却に対する良い面と悪い面などの評価を教えて下さい。』
>「アベノミクス」に関しては懐疑的ということなのでしょうか
>「アベノミクス」に関しては懐疑的ということなのでしょうか
>「アベノミクス」に関しては懐疑的ということなのでしょうか
・・・・・・・・・・・・?????
えーっとですな、とある政策が打ち出された時に「その政策の理屈は良いのだが実際問題として実行可能なのかという点に疑問がある」という指摘をすると何で「懐疑的という事か」という質問になるのか全く意味が分かりません。
政策なり施策なりに関しての実現可能性に無理があるのではないかというような言論をいうとその政策に対して反対みたいな言い方をするというのは、「暴支膺懲」とか「鬼畜米英」とか言って世の中を煽って反対言論を封殺して回った時代のメディアから行動様式や精神構造が変わってないんですねえとか思うのである訳で、すっかりアベノミクス翼賛モードになっているメディアの翼賛体質が良く表れている質問だなあとか思うのでありますよ。
でまあそんな悪態どうせ聞こえないでしょうけれども、質問した人は恐らくそう悪態をつかれてもそんな意図で質問した積りじゃないと言うのでしょうが、そんな意図が無い中で翼賛モードになるという方が質が悪いんですよねえとか思います次第。
などとこの質疑の質問を見て湯気を出している場合でも無いので木内さんの説明を読みましょう。
『(答) 1つ目の質問については、挨拶要旨において、かなり細かく説明しましたので、要点だけ簡単にお話ししたいと思います。』
といいつつ結構話が長いのがチャーミング。
『まず、1月の決定会合では、2%の「物価安定の目標」の導入には反対しました。これには主に3つの理由があります。1点目は、望ましい物価の水準、つまり、持続可能な物価の安定の水準というのは、企業・家計の物価観の大きな影響を受けると考えています。この1年間を考えると、この物価観に大きな変化がないということです。それを踏まえると、2%というのは従来の私どもの持続的な物価安定の考え方からするとやや飛躍があり、高過ぎるのではないかと感じたという点です。』
『2点目はこれと関連しますが、もちろん高い目標を掲げることによって強く期待に働きかけるというのは重要な点かもしれませんが、高過ぎるということになると、期待に働きかけるプラスの効果もあまり大きくないのではないかと思います。それを達成するための道筋について、説得力をもって強く説明するのは容易ではない、と感じた次第です。』
まあそれに関しては「りろんてきしちゅう」の木久扇規久男先生がいますよ(棒)。
『3点目は、2%の目標実現には成長力強化に向けた幅広い主体の取組みが必要であると私どもは謳っていますが、それはこれからの話です。その実現には不確実性が伴うと思われるため、その実現にかかる不確実性が高い現段階で、それを前倒しして物価目標に反映させると、金融政策に対する信認が毀損されてしまうのではないかという点にも配慮しました。』
『これらの3点から、現状では当面1%の物価上昇率の目標を掲げ、その実現に全力を尽くすといった姿勢を維持した方が、結果的に政策効果が大きいのではないかというのが反対した理由です。』
でまあ2月賛成の理由は以下の通り。
『一方で、2月の政策決定会合では、2%の物価安定の目標を含む対外公表文に賛成しました。挨拶要旨にありますが、2%の物価安定の目標の実現というのは容易ではないという考えに変わりはなく、先ほどお話した、持続的な物価安定水準を大きく規定していると考えられる国民の物価観も、依然として大きな変化はないと考えています。』
『しかしながら、この2%の物価安定の目標を導入したことが、金融市場の期待にかなり強く働きかけたことは確かです。』
ふむ。
『金融市場に既に反映されたという点を踏まえると、それは尊重すべきではないかと思います。』
なるほど。
『さらに2%と掲げたものをまた1%に戻すということになると、政策に対する信認が損なわれるというマイナス面も大きいと思いますし、引き続き反対を示した場合には、どこかで2%の物価目標が覆るのではないかという考えが金融市場に拡がり、私どものデフレ脱却に向けた姿勢がむしろ弱いのではないか、政策効果が逆に弱まってしまうのではないかと考え、2%の物価安定の目標に賛成しました。』
なるほど。んでもってアベノミクスがどうのこうのは以下の通り。
『2つ目の質問の「アベノミクス」に対しては、政府の経済政策に関することですので、直接的な意見は差し控えたいと思いますが、今後進められるであろう構造改革については、非常に前向きな期待をしています。』
というかそれやらないと2%無理無理無理という話ですわな。
『つまり、それによって生産性が上がってくる、成長力が強化されてくることが、日本経済の改善につながることになりますし、さらに言うと、2%の物価安定の目標を後押ししてくれるという点で非常に期待しています。加えて、安定的に金融緩和政策を運営する上で重要な、財政の健全化については、政府は中期的な財政の健全化という姿勢を既に示していますが、今後も引き続きそれを維持・強化して頂くという点に期待したいと思っています。』
ということで成長戦略と財政健全化に取り組んでくださいという話で綺麗にまとめております。
#他に色々あるのですが時間の関係上以下明日に(汗)
2013/03/01
お題「ニュース雑談/木内審議委員講演から」
うむ、昨日の悪態は悪態トーン的には通常または穏当レベルのテンションだったつもりだったのだが妙にウケてしまったようで汗顔至極でありまする(^^;
○マクラの積りで書いたら長くなりすぎたのでニュース雑談ということで
・物価が上がる前からインフレフォビア報道しかもお前らリフレ政策煽ってただろうに・・・・・・
えーっと、社説で散々金融緩和やれだのインフレ目標やれだの言ってた新聞が何で円安物価上昇で家計直撃という見出しで煽り記事入れるんでちゅかねえ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013022802000120.html
【経済】円安 家計を直撃 輸入価格上昇、4月から 2013年2月28日 朝刊
『電力会社と都市ガス会社が四月の料金を引き上げる。農林水産省は小麦の売り渡し価格を引き上げる。円安で輸入物価が上がっているのが大きな要因。安倍政権の金融大幅緩和方針を受けた円安で輸出企業の収益は改善しているが、家計にはマイナスの効果が顕著になってきた。』(上記URLより)
・・・・・・・・・・・・えーっと貴紙が社説で散々やれやれ言ってた政策の本質はそういうことなのですから当然の帰結であって「家計は暫く我慢していると景気回復の恩恵が回ってくるのでちょっとだけ我慢していればいいんですよ!!」って記事を書くべきじゃないでしょうかもしかして貴紙は会社ぐるみで思考能力の欠如した馬鹿でいらっしゃいますかとお問い合わせをしたくなるレベル。
つーかですね、まだ物価が上がっても居なくて、これで物価上昇してもCPI2%上昇は遥か彼方の世界であるというのに、この程度で一々メディアが騒いでいるのに2%の物価上昇目標って政治的な意味で達成できるんでしょうかねえと思う訳でありまして、日銀ガーとか言う前にこのメディアが煽るインフレフォビアの方を何とかする方が先決じゃないでしょうかねえ。
まあ昔から金融緩和にブーブー言ってた全国紙とかが物価上昇で庶民の生活ガーとかいうのはまあシャーナイナイなのですが、論説副主幹とやらがリフレ一派の皆様とつるんで日銀ガー物価目標ガーとか仰せになっていた新聞がこの有様というのがもうアホかと馬鹿かという所ではございますなあという事で。
・安倍ちゃんこの辺の発言が相変わらず脇が甘いんですけど・・・・・・
最近の安倍ちゃんって自分の発言で市場が動いたのにご機嫌なのと、最近円安が止まったのがあまり気分宜しくないのかどうか知らんけど、昨日もまたこんな燃料を投下しようとしてますな。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK062382120130228
UPDATE2: 日銀外債購入、麻生財務相「現状では断固回避を」・安倍首相「緩和手段の1つ」
2013年 02月 28日 12:59 JST
・・・・・・・・えーっとですから「海外市場において危機が発生した場合に逃避資金が過剰に日本に流入しても困りますので、海外市場の危機対策としての外債購入というのを作っておくのも検討に値しますなあ」というような趣旨で話をすれば海外も文句のつけようがないのですけれども、「緩和手段の1つ」と言って外債購入の話をしたら為替操作と批判される隙を与える訳でありまして、その辺を海外通貨当局と握っていないうちに話を出したら潰されるだけの話で海外から批判を食らうだけなんですけどねえ。
しかしまあ何ですな、安倍ちゃんの煽り攻撃でついに「異次元緩和」とか市場の期待に振り回されてどんどんハードル上げて大丈夫なんでしょうかと思いますが。
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130228-00000034-bloom_st-nb
「黒田日銀総裁」案を国会提示、日本政府−安倍首相の異次元緩和を推進
Bloomberg 2013/2/28 11:09
まあ記事の内容はどうでも良いのですが、「異次元緩和」ということですから、つまり従来の「金利」とか「資金供給量」とか「リスク資産購入」とかそのようなディメンジョンの上を逝く緩和という事なんでしょうか最早良く判らんですな。
#最初ふと思い出したのが「亜空間殺法」ですが、まああれも「流れを変える為に動く」ということだからそれよりも大事なのはどう動くかという話ですねとか妙に納得(違)してしまいましたが亜空間殺法が何の事だか判らない人はぐぐる先生にでも聞いてくらはい^^;
何か大胆だの従来にないだのとか言っているうちにヘッドラインに堂々の異次元緩和(まあその前にも「次元の違う」という話はあったけどさ)ということで、始まる前からドンドンハードルが上がって大丈夫かという風に思いますが、しまいに会見で正副総裁が六尺褌で現れて(書いた本人が眩暈がしてきたので自主規制^^)を開催する位の異次元金融政策(違)でも実施しないと収まりが付かなくなるんじゃネーノと甚だ不安になる今日この頃でございます。
などという与太話は兎も角として木内審議委員の平場講演デビュー戦キタコレという事で。
○木内審議委員講演:読みようによっては色々な所にニヤリとする物を埋め込んでいる仄めかしメソッドにも見えます
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130228a1.pdf
つーことでデビュー戦。まあ同じ市場エコノミスト出身として佐藤さんと比較されやすいかなとは思いますが、物価に関するビューは(佐藤さんと共に反対したのですから当たり前ではありますが)佐藤さんとビューが重なっている部分が結構ありますが、説明のポイントは微妙にずらしている(本質的には似てると思うけど)のですねえとか思ったり。
あと、微妙に端折っている部分があるなあとか思いまして、そこの所はもうちょっと詳しいと良いのですがとは思いましたが、詳しくするとクソ長くなるという問題点がありまして、ここのバランスは難しいですよねと思いますです、はい。
それから小見出しにしましたように、読んでいて(真意がどこにあるのかは勝手にこっちが憶測しているだけなので違っているかもしれませんが)微妙にニヤリとするような砲撃を加えている仄めかしメソッドっぽい部分があるのがチャーミングですなあ(佐藤さんの場合は説明が丁寧な分砲撃状況が判りやすい^^)という所で。以下参ります。
・今後の経済の下方リスクでは中国の記述がちと詳しいですな
経済の基本的な見通し部分は普通に執行部ベースの話をしておりますのでその辺は全部スルー致しまして、たぶんこの辺から木内さん独自の視点が入っているなあと思う所から参ります。本文4ページの『4.経済見通しの下方リスク』から。
『以上の経済・物価見通しのメインシナリオに対して、私自身は下振れリスクの方をやや大きめに考えています。』
『最大の懸念は海外経済の下振れです。海外経済は今後減速した状態を徐々に脱していくと予想しますが、その回復力の持続性については予断を許さないと見ています。』
ということで米国、ユーロ圏、中国の話をしていますが、中国に関する説明が長めなのがほほうという感じです。以下引用しておきます。
『米国では、短期的には、住宅投資と個人消費が持ち直しの牽引役を担うと思われますが、足もとでの長期金利の上昇傾向が今後急激に強まる場合には、先行き、資金調達面から住宅投資や自動車購入に悪影響を与えることが懸念されます。また、なお残る財政を巡る不透明感が、マインド面への影響を通じて米国経済を下押しするリスクにも注意が必要です。』
『ユーロ圏では、政治的・社会的な不安定さが財政再建や経済構造改革の進展を妨げたり、各国間の利害調整に時間を要し財政・銀行同盟などの統合深化に向けた動きが弱まること等を契機に金融市場が再び動揺するリスクは常に意識せざるを得ません。また、銀行の貸出態度に緩和の兆しが見られないことから、資金調達面での制約が後退局面から脱する動きを阻害する事態が長期化する可能性があります。』
で、中国。
『中国については、政府の政策姿勢が最も注目されます。リーマン・ショック後の積極財政策が設備過剰、不動産市場の過熱など多くの課題を残したことへの反省から、前政権はその後、景気減速下でも財政出動策を慎重に進め、現政権下でもそうした慎重な姿勢が維持されているようにみえます。それに加えて、インフレ率の上昇、前政権が抑制を図っていた主要都市での住宅価格の反転上昇、高いリターンを求めて個人資金が流入している信託などシャドーバンキングの急拡大、の3点を主に警戒し、政府が今後財政政策面での緩和姿勢を後退させる可能性も排除できません。』
『金融政策面でも、中国人民銀行はインフレ抑制を最優先課題に掲げる意向を示しています。また1月には銀行貸出が拡大したことを受けて、当局が大手銀行に貸出抑制を指導したとの報道もされています。当局は、シャドーバンキングについても、リスク管理の強化を進める方針を示していますが、こうした動きによって、インフラ・不動産投資などが顕著に抑制されるリスクもあります。』
ということで中国の過熱の反動を警戒しているようですな。まあ米国と欧州に関しては衆目の一致する所で、ある程度警戒モードではありますので中国の過熱が反転するような変化の方がインパクトがあるんじゃネーノという所なのかもしれませんね。
・需給ギャップは戻らないキタコレ
『主要国の需給ギャップは大幅なマイナス水準が続く』という小見出しが更にほほうという所です。
『上記のような短期的な景気下振れリスクのほかに、中長期的にも、欧米や中国経済が過去の信用バブルの後遺症から脱するにはなお時間を要することが懸念されます。』
ほほう。
『わが国が経験したことと同様に、企業は今後も慎重な雇用姿勢を続け、また高水準の失業率が続く中で家計の中長期の所得期待が低下し、その結果、雇用・所得の拡大を伴う、自律的な景気回復に繋がるには相応の時間を要する可能性が高いとみています。この観点から注目したいのは、先進国では、経済の需要と供給のバランスを示す需給ギャップが、リーマン・ショック以降、一様に大幅なマイナス水準を続けていることです。』
キタコレ。
『OECD(経済協力開発機構)によると、主要先進国の需給ギャップは2009年にGDP比−4.0%に達した後、2013年でもなお−3.3%とマイナス幅が3%を上回ると見込まれます。OECDによる昨年11月時点の需給ギャップ見通しによると、日本の水準は2013年で−2.1%ですが、米国とユーロ圏ではそれを大きく上回るマイナス水準が見込まれています。』
これはつまり・・・・・・
『高水準の需給ギャップのマイナスは、バランスシート調整等、信用バブルの後遺症から生産設備や労働者の余剰状態が長期化していることを意味します。これは企業の収益性を損ない、さらなる投資の抑制をもたらすと共に、家計の所得増加期待の低下から消費を抑制し、さらにインフレ率の低下傾向を助長する面があります。わが国の主要輸出先である主要国でのこうした状況を踏まえると、わが国の輸出環境には、多少長い目で見ても大きな不確実性が残ると言わざるを得ません。』
ということで結語が輸出環境になっていますが、この説明部分の真のポイントはそのひとつ前にある「先進国経済は需給ギャップのマイナス継続によって物価が上昇しにくくなっている」という部分ではないかとあたしゃ思うのでありまして、つまりこの点によって物価見通しを高めに見ることが出来ませんよという話だと思うのですが、あまり物価が上がらないという話を連発するのも良くないとでも思ったのかなあとか妄想しましたけど、この部分は物価に関するビューとして強調した方が話が分かりやすくなるような気がしましたです、はい。
・悪い円安や悪い金利上昇のリスク指摘キタコレ
まあ話をしている内容自体は一般的な話ではありますがここでこれを指摘するとな、ということで『貿易赤字拡大と金融市場の安定性』から。
『わが国経済の下方リスクについては、貿易赤字拡大傾向の継続と、その金融市場への影響にも十分に注意を払う必要があります。既にお話ししましたように、わが国の経済成長率は、当面の間は比較的順調に高まっていく見通しであるのに対して、海外景気の回復は力強さを欠く可能性が考えられます。また、素原料輸入は今後も高い水準になると予想されます。こうした状況は、貿易赤字の拡大方向に作用する可能性があります。』
さいですな。
『貿易赤字拡大は為替市場の需給関係変化等を通じて円安圧力となり、景気浮揚や輸入物価の上昇などの面から長期金利上昇要因となるだけでなく、国内資金余剰の後退という側面からも長期金利を上昇させる等、金融市場を不安定にさせる可能性があるため、実体経済への影響を含め注意が必要です。』
ほほう。
『さらに財政政策運営への信認が揺らぐことを通じて、長期金利が上昇する可能性もあり、その上昇の程度によっては銀行システムの不安定性を過度に高めることも含め、国内経済に大きなマイナスの影響を与える可能性があります。』
キタコレ。
『わが国の長期金利は今のところ安定を維持しており、これは、財政に対する信認がしっかりと維持されている証左とみています。しかし、欧州債務危機等の経験に照らせば、市場のセンチメントは、なんらかのイベントを契機として、いきなり非線形に変化しうることを踏まえると、その変化等を、リスク要因として、しっかりとモニタリングし続けることが必要です。』
ということで、まあ話の趣旨自体は特に突拍子もない話をしているという訳では無いのですが、このタイミングでこの点をわざわざ小見出しつけて指摘するとな。
・物価に関する見方:そもそも世界的にインフレが低下傾向と
『5.わが国の物価・賃金動向とその特徴』というのがまあ今回のメインイベントだと思いますけどね。
『さて、金融政策運営のお話しに移る前に、それと深く関わるわが国の物価・賃金動向に関し、長引くデフレの背景についての私自身の見方も交えて説明をさせていただきたいと思います。』
ということですが最初の『わが国インフレ率の歴史的推移と他国との比較』で先ほどの論点を出しているので、まあ先ほどの部分は景気で物価の話は改めて行った、ということなのかも知れませんね。
『1980年代以降の日本のインフレ率は、他の主要国と比べほぼ一貫して低位に推移してきました。OECDのデータによると、1985年から1995年の10年間で、G7諸国の消費者物価上昇率は年平均+3.3%でしたが、日本は+1.4%でした。他方、1996年から2011年の15年間では、G7諸国の平均値が+1.9%に対して日本が−0.1%でした。日本とG7諸国の平均値との差を計算すると、最初の10年が約1.9%、日本がデフレに陥った次の15年が約2.0%となり、ほとんど変わりません。この時期、日本以外の主要先進国でも、総じてインフレ率の低下傾向が続いていたことを示しています。このことは、日本におけるデフレ現象が、こうした国際環境の下で生じていた可能性も示しているとみています。』
ほほう。
『特に、主要国では、リーマン・ショック以降、バランスシート調整等信用バブルの後遺症を背景に、高水準でのマイナスの需給ギャップ、すなわち、供給過剰状態が続いており、インフレ率に下方圧力がかかりやすい環境にあり、こうした動きも、わが国の物価動向に対して下向きの圧力となった可能性があると思われます。』
これは先ほど出ていた論点ですね。
・物価に関する見方:サービス部門と家賃が下押しに寄与とな
『日・米の物価上昇率格差はサービス部門が中心』というそのまんまの小見出し部分から。
『さらにわが国と海外の物価動向を、品目別に比較、検討してみたいと思います。例として日米の物価動向を比べると、1997年から2011年までの平均で米国の消費者物価上昇率は+2.4%、日本は−0.2%で、両者の格差は2.6%です。格差をもたらしている最大の要因は、サービス(除く家賃)であり、2.6%のうち0.9%と約3分の1に達しています。さらに家賃を含めると約1.7%と、3分の2近くにも達します。』
ほっほー。
『サービス価格は一般に賃金の影響を強く受けることを踏まえると、この点に日本のデフレに陥りやすい構造と日本がデフレを克服するヒントが隠されているように思います。』
賃金キタコレ。
・物価に関する見方:供給要因に目を向けるべきであるという話
『潜在成長率と賃金・物価の関係』という小見出しから。
『既に見たように、OECDのデータによると、リーマン・ショックの影響で需給ギャップのマイナス幅が世界的に大きく拡大した2009年以降では、日本の需給ギャップのマイナス幅は他の主要国と比較してとりわけ大きくはなく、需給ギャップの水準がインフレ率の水準を一義的に決めている訳ではないようです。日本のデフレ現象を考える際には、労働生産性上昇率、潜在成長率など供給側の要因により注意を払う必要があると考えます。』
なるほど。
『一人当たり潜在成長率と中長期の期待インフレ率との間には、わが国では比較的強い相関関係が見られます。この関係は、バブル崩壊以降、中長期の成長期待が低下する中で、日本企業が雇用ではなく賃金で調整する傾向が強く、労働者もまたそれを受け入れる傾向が強かった、という日本における慣行を反映している面があると考えられます。』
『日本では主要国の中で例外的にデフレ傾向が長く続いていますが、他方で失業率は相対的にかなり低く、雇用環境の安定性が際立っています。この間、米国では、景気が悪化する中、雇用が減らされる一方で賃金・物価の下落はきわめて限定的となっています。このように、労働市場における調整の違いが、日米の間には観察されます。』
この部分は先般の佐藤審議委員講演で示された「賃金版フィリップスカーブ」の考え方ですな。
『こうした点を踏まえると、日本でデフレが終焉し、インフレ率がさらに高まっていくには、成長力強化の働きかけを通じて潜在成長率が引き上げられ、先行きの成長期待が高まっていくことが重要と考えられます。それが賃金上昇率の高まりから、サービス価格の上昇へと繋がっていくことが期待されるわけです。』
仰せの通りで。
『他方で成長力強化、生産性向上が実現しないままに賃金のみが上昇すると、企業収益が圧迫され、設備投資が抑制され順調な経済の発展が阻害される可能性があり、何れは雇用環境・所得環境の悪化となって跳ね返ってくることも懸念されます。』
『他方、成長力が強化されない中で、賃金上昇率は変わらずにインフレ率だけが高まると、実質的な国民の生活水準が切り下がってしまいます。』
第3の矢は不要とか言っている副総裁候補がいたような気がしますのでしらっとそのような方をdisっているのがチャーミング。
『成長力強化を背景に、賃金と物価がバランス良く上昇していくことが、我々が目指すべきわが国経済の今後の姿と考えられます。』
さて問題です、この「我々」の含意にはには新執行部(のうち2名)は入っているのでしょうか(^^)??
・決定会合議決事項に関する部分でもしらっと素敵な部分が散見されるのですよ
佐藤さんの場合、説明が丁寧な分だけ砲撃を加えている部分も判りやすいのですが(^^)、木内さんの今回の講演テキストは微妙にその辺を仄めかしメソッドで対応している感がございまして、それはそれで味わいがあるというものです。つーことで次のもう一つのメインイベント『6.金融政策運営の現状と今後』から。
途中は割愛して『柔軟性の高い物価目標制度(flexible inflation targeting
system)』の説明部分で何か約2名をサックリとdisっている部分があるのが味わいが深い所です。
『主要国中央銀行による物価目標の導入は、1988年のニュージーランドが最初で、その後、カナダ、英国などにも広まりました。ニュージーランドでは、導入当初こそ厳格な運営がされていましたが、それが経済の不安定化を招いたとの認識が広まり、日米欧主要国においては、物価目標の導入が見送られてきたのは、ご存知のとおりです。その後、物価目標導入国においては、柔軟性を高める方向で見直しが進められました。』
とまあここまでがマクラ。
『目標達成時期については明示していない国が多く、達成期間を「一般に18〜24か月」と明示しているカナダ中銀でさえも、経済・物価の情勢に応じて達成期間が変動しうることを許容するなど、柔軟性に十分な配慮がなされています。』
直ぐにでもできますとか言ってる人をしらっとdisっているように見える、というのはもうちょっと先にこれまたしらっと一言地雷を打ち込んでいるのでそう見えるのですけどね。
『この結果、現在、主要国の中央銀行は、経済・物価の現状と見通しや、金融面での不均衡蓄積を含めた様々なリスクも点検しながら、物価安定のもとでの持続的な経済成長の実現を目指して政策運営を行っています。こうした枠組みは、柔軟性の高い物価目標制度(flexible
inflation targeting system)と言えます。』
でまあ途中を飛ばしてちょっと先の方に行きまして、『2%の物価安定の目標実現に向けた日本銀行の政策姿勢』という所にこんなのがありましてですね、
『2%の物価安定の目標の実現可能性について、今のところ、市場では様々な見方があるようです。目標実現に向けた日本銀行の姿勢に対して市場が疑問を抱くと、政策効果が減じられてしまう可能性があるため、そうした事態を回避し、目標実現に向けた日本銀行の強い姿勢をアピールし続ける観点からも、持続可能なスキームの下で、所期の政策効果の発現を狙い、資産買入等の基金の着実な買入れを行っていくことが重要です。』
>持続可能なスキームの下で
>持続可能なスキームの下で
>持続可能なスキームの下で
>持続可能なスキームの下で
>持続可能なスキームの下で
・・・・・・・・・・・持続不可能な異次元金融緩和をdisっているんですね、わかります(^^)。
・物価目標達成は容易では無いという話
ちと戻って『1月決定会合での議決について』から。1月に反対した理由の方はスルーしまして・・・・・
『一方、2月の金融政策決定会合では、「日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%としている」という文言が含まれた対外公表文に賛成しました。』
さいですな。
『2%の物価安定の目標の実現は、容易なことではないとの考えに変わりはありません。また、国民の物価観は足もとで大きな変化はみられません。しかし、政府、民間などの多様な主体がデフレ克服に向けたそれぞれの役割をしっかりと果たすという認識の下、2%の物価安定の目標導入後の金融市場動向には日本銀行による金融政策や政府による各種の政策への期待が反映されていると思われることや、2%の物価安定の目標という日本銀行の決定に対する信認をさらに強めることがデフレ脱却に向けて重要であると考えました。金融政策の効果や波及を見極めながら、日本銀行の政策意図について丁寧に情報を発信していくことや、必要に応じて追加的な緩和措置を果断に講じることを検討することも含め、この目標の実現に向けた政策運営に責任を持って取り組んでいく所存です。』
まあ難しいけれどもみんなでやりましょうという話をしているので水を差すのも何ですし努力は努力でしますのでまあ賛成しましたとな(^^)。
・APPや付利金利の今後について
『資産買入等の基金の運営等に関する論点』というのがあるのですが、ここの説明はこの記述でまあ判る人には判るのですけれども、ワカランチンの皆様の為にはもうちょっと説明を詳しくした方が良かったような気がします。まあ引用しておきます。
『第1にまず、固定金利オペで応札額が未達となる「札割れ」と呼ばれる状態が、年明け以降頻発していることを踏まえた、補完当座預金制度にかかる付利、すなわち日本銀行当座預金への付利に関する論点です。』
『一般的には、金融緩和の程度が強まるほど、金融機関の資金需要が充足され、日本銀行による資金供給に対するニーズが低下しますので、市場参加者は市場オペレーションに応札する意欲が低下することが考えられます。また、市場オペレーションは、市場参加者の資金需給の状態だけでなく、様々な市場の事象や思惑にも影響を受けます。』
『こうした中で、資産買入れ実施といわば一体で変化する当座預金残高について、金融機関が同預金を保有する誘因に影響する付利金利の引下げや撤廃の議論に関しては、資産買入等の基金による資産買入れの持続可能性を意識しつつ、コストとベネフィットを勘案した慎重な検討が必要と感じます。』
・・・・・・・・でまあ本当は今日その辺の話を膨らませて雑談コーナー書こうと思っていたのですが、進行的に書いている暇が無いのでここに追記しておきますが、日銀による資産(というか国債というか)買入が拡大すればするほど、その価格上昇=金利低下がおきる訳でして、預金ファシリティーとの金利差は買入による中銀バランスシートの拡大が進むと拡大する傾向になる訳ですな。
ということはですよ、実は「単に買入の量だけを稼ぎたい」という事であれば、本当は預金ファシリティー金利をここから引き上げないと、足元では3か月TBが平均落札0.06%割って2年中期国債が平均落札0.05%割っているという事を勘案すると必要になるという話ですぞなもしという事であって、足元の市場金利の低下を見て「預金ファシリティーの金利を下げた方が良い」というのは量の拡大という観点で言えば真逆の話になるという事ですな(だからと言って付利を上げろとあたくしが言っている訳では無いので念のため)。
つまりですな、米国の場合は預金ファシリティー金利が0.25%になっていますが、FEDがアホほど買入を行っていました(今もしていますが)ので(短期金融市場の資金保有構造の違いの影響とかFDICによる預金保険制度などの制度要因も勿論かなーり大きいのですけれども)TB利回りがゼロ近傍に低下したりしておった訳でして、日本の場合はそもそも預金ファシリティー金利と名目ゼロ金利との糊代が小さいのでありますからして、今後の量の拡大を志向しないというのであれば別ですが、量の拡大のためには付利を下げるというのは現実的な解では無い、という話になるのですよね。
という雑談をもうちょっと展開したいのですが我慢して(^^)その次。
『第2に、資産買入等の基金で買入れ対象となる長期国債の残存期間は、現在、1年から3年としています。これは、企業による平均的な借入期間が3年程度であることを踏まえたものです。これに対して、金融市場参加者等の中には、より長めの金利に働きかけ、政策効果を高めることを重視する立場や、資産買入等の基金を通じた資産の買入れを円滑に実施し、その持続性を確保する立場などから、買入れ対象となる国債の残存期間を伸長してはどうかとの意見もしばしば聞かれます。』
『第3に、CP、社債、ETF、REITといったリスク性資産の買入れについては、日本銀行のバランスシートが毀損されるという潜在的なコストにも留意しながら、市場のリスク・プレミアムに働きかけるという趣旨から実施しています。これに対して、金融市場参加者等の中には、リスク性資産も買入額を拡大してはどうかとの主張もあります。』
ということで。
『この点、買入対象国債の残存期間の伸長も、リスク性資産の買入拡大も、いずれも、2%の物価目標の実現という政策目的に照らし、既に申し上げたように資産買入等の基金を通じた資産買入れの持続可能性と所期の政策効果の2点を十分に踏まえつつ、やはりコストとベネフィットを慎重に見極めながら検討することが重要と考えます。』
ここでも「資産買入等の基金を通じた資産買入れの持続可能性」と言ってますね(^^)。
・対外発信の中でも何気にニヤリ
でまあこの先には政府との間合いの話とかもあるのですが割愛しまして、『政策趣旨浸透のための対外発信の重要性』の中で一か所ニヤリというのがありますのでご紹介。
『私としては、物価の安定を図ることを通じて「国民経済の健全な発展」に資することが金融政策運営上の理念として重要であること、金融政策が物価に与える効果については、需要に働きかけ需給ギャップの改善を促す経路を引き続き重視していること、その上で、期待を下支えするという経路も重要であると考えられること、中長期のインフレ率のトレンドは、生産性上昇率、潜在成長率といった供給側の要因、いわば成長力によって決まる部分が大きいと考えていること等について、国民の間で理解がさらに深まるように、丁寧な情報発信に心掛けたいと思います。』
ここは日銀の公式説明となるのですが、「金融政策が物価に与える効果については、需要に働きかけ需給ギャップの改善を促す経路を引き続き重視していること」と言いつつ、先ほどの木内さんの説明にありますように「供給側の問題が重要」というのが木内さんの主張でありますので、つまり2%達成を金融政策だけで達成するのは極めて困難、という主張と整合的なのですが、そこはクドクド説明しないでしらっと流しているのが木内さんのチャーミングな所ではないか、と斯様思った次第。
・まあこの項も読みようによっては(^^)
『最後に、金融政策を、一人でなく合議で決める中央銀行の委員会制度について、若干お話しをさせていただきたいと思います。』
・・・・・ということで金融政策関連の最後の項は『金融政策決定における審議委員の位置づけ』でして、話をしている事は委員会制度による政策決定という意味では普通の話をしているのですけれども、まあ読みようによってはニヤリという所でもあります。
『元FRB(米連邦準備制度理事会)副議長のアラン・ブラインダー氏がその著書「中央銀行の静かなる革命(The
Quiet Revolution)」で、一定の前提をおいた上で、政策委員会によって集団で意思決定が行われることを肯定的に捉える立場から、委員会制度が広まった背景として、中央銀行が政府からの独立性を高めるという世界的な潮流と、委員会制度を先駆的に導入していた米国、ドイツでの成功が広く認知されていったことの2点を挙げています。また同著書の中では、複数の委員会メンバーによる意思決定では、単独の個人による意思決定の場合に伴いうる様々なリスクを分散することにより、より良い意思決定ができうると述べられています。』
>単独の個人による意思決定の場合に伴いうる様々なリスク
>単独の個人による意思決定の場合に伴いうる様々なリスク
>単独の個人による意思決定の場合に伴いうる様々なリスク
>単独の個人による意思決定の場合に伴いうる様々なリスク
>単独の個人による意思決定の場合に伴いうる様々なリスク
・・・・・・・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー