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2011/10/31
お題「何か知らぬ間に追加緩和を実施しているようですが」
何か知らんのですが、あたくしがちょっと更新をお休みしている間にドル円ちゃんで76円台で推移してたのが75円になって戦後最高値更新とか言って大騒ぎした挙句に謎の追加緩和してるんですね。そこの1円に何の意味があるのかどうもイメージが湧かないんですけどにゃあ。
#まあ何ですな、西方浄土の更に西方で市場関係者御用達(主に株屋御用達の方ですかアレは)の品の無い市場ニュース番組をみてからモーサテを見ると何でこう悲観的なトーンなのよと思う訳で、やはり空元気でも威勢の良い話は大事ですなあとか思うあたくしなのでした
○何かまあ良く判りませんがねえ
またまた例によって例のごとく謎の事前報道とかあってまた政治方面から押し込みがあったんですねとか思うのですけれども、確かもう1か月以上ドル円で76円台か77円台で推移しているし、あたくしのお休み中はユーロはどちらかというと確り目だと思うのに急に何でこういう話になっているのか浦島太郎ちゃんのあたくしにはどうも良くワカランチ会長なのですが、まあ要するに政治方面の無策のツケ回しが来たんでしょ、としか思えないのですが実際はどうなんでしょうかね。
まあこれから読みますように、声明文だの展望レポートだので政府に文句垂れモードになっているという事はまあ日銀的には「クレクレは甘え」と言いたいんでしょうなあとか思いますが、その一方で今回の基金拡大が全部国債というのがこれまた何ですかなというのもありまして・・・・・
などとつらつらと考えるものの、まあ市場ちゃんに向かってみないと何が何やら良く判らんのでとりあえず思ってみただけの事をふたこと程申し上げただけでござる。
○ということで声明文比較
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k111027a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k111007a.pdf(前回)
今回は展望レポートがセットになっているので、声明文の流れが微妙に違うのでざっくりとした比較になりまふ。
・現状認識
『日本経済は、供給面の制約が解消されてきている中で、持ち直しの動きが続いている。金融環境をみると、CPや社債の発行環境が良好な状態を続け、企業の資金調達コストも緩やかに低下するなど、緩和の動きが続いている。』(今回)
『わが国の経済は、持ち直しの動きが続いている。すなわち、生産や輸出は、震災による落ち込みからの回復過程に比べてペースは緩やかになっているが、増加を続けている。こうしたもとで、設備投資は緩やかに増加しているほか、個人消費についても、全体としては持ち直している。この間、金融環境をみると、中小企業を中心に一部企業の資金繰りに厳しさがなお窺われるものの、緩和の動きが続いている。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっている。』(前回)
需要項目別の話が今回抜けていますが、詳しくは展望レポートでという形ですな。ただまあ基本的な見解は「持ち直しの動きが続く」と変化がないとゆー格好に。
・先行き見通し:経済に関して
『日本経済の先行きについては、当面、海外経済の減速や円高の影響を受けるものの、その後は海外経済の成長率が再び高まることや、震災復興関連の需要が徐々に顕在化していくことなどから、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(今回)
『先行きについて、海外経済は、当面減速するものの、基調的には、新興国を中心に底堅く推移すると考えられる。そうしたもとで輸出が緩やかな増加基調をたどることや、資本ストックの復元に向けた国内需要が顕現化してくることなどから、わが国経済は、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(前回)
これまた「緩やかな回復経路に服していく」というのも同じですな。
・先行き見通し:物価に関して
『しかし、物価の安定が展望できる情勢になったと判断されるにはなお時間を要すると予想されるうえ、国際金融資本市場や海外経済の動向次第で、経済・物価見通しがさらに下振れするリスクにも、注意が必要である。』(今回)
『消費者物価の前年比は、当面、ゼロ%近傍で推移するとみられる。』(前回)
ということで、今回は上記の文章の次に追加緩和を行いますという文言が続くのですが、声明文ベースで「なお時間を要すると予想される」というのは今回初ではあるのですが、実際には4月の展望レポートでもこの文言はございまして、今回わざわざ声明文に入れたという点には意味があるとは思いますが、そうは言っても別にこの物価判断自体は以前から継続しているものですから、実際問題としては「下振れリスク対応」という所なのでしょうが、追加緩和実施する為に単に下振れリスク対応だけだとちょっと寂しい(今日はネタ書きが間に合わないから明日にしますが、総裁会見では「下振れリスクの一部(要するに欧州債務問題)が具現化した」というのを強調していましたので、まあ実際問題として物価なのかというとこれが微妙に微妙ですな、うんうん。
リスク要因に関しては展望レポートになるので割愛しまして。
・今回の追加緩和の理由
『日本銀行は、8月に強化した金融緩和措置のもとで、金融資産の買入れ等を着実に進めているが、物価安定のもとでの持続的成長経路への移行をより確かなものとするためには、金融緩和を一段と強化することが必要と判断した。』(今回)
『その際、上記の金融環境のもとで企業の資金調達が基本的には円滑に行われている現状を踏まえ、資産買入等の基金を5兆円程度増額する対象は長期国債とし、それを通じて金融市場全体に緩和効果のさらなる浸透を図ることが適当と判断した。』(今回)
今回は(実際問題としては政治に押し込まれたのかなあとか思いますがそれはそれとして)下振れリスク対応で実施しているようにしか見えないのですけれども、下振れリスク対応で実施し、長期金利などの金利水準は低位で推移しているという認識の中で何で2年国債の買入だけ拡大なのかは良く判らんっす正直言って。やるならETFじゃないんですかねえ(ETF単独ならいきなり5兆もやる必要はないと思うが)と思いますけど。
それに今回は補正予算で国債増発とかの話(まあ市中消化分の増額は屁のような額に収まりましたが)がある中で国債の買入だけを増やすというのは財政ファイナンス的観点からどうなのよという気もしますが、リスク資産は増やしたくないというのが先に来ている感があって、ま〜見るからに政治的状況からクレクレうるさいからとりあえず出すだけ出したって所なんでしょうな。よー知らんけど。
・10兆円増額の宮尾さんの提案とな
脚注にこんなのが。
『本日の金融政策決定会合では、宮尾委員より、資産買入等の基金を10兆円程度増額し、60兆円程度とする議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:宮尾委員、反対:白川委員、山口委員、西村委員、中村委員、亀崎委員、森本委員、白井委員、石田委員)。』(今回)
はあはあそうですかという感じですけれども、宮尾さんは10兆円増額の内訳をどういう風に提案したのでしょうかにゃあ。2年国債10兆円増額なのかなあとは思います(固定金利オペはどう見ても拡大するのは無理だし短国に関してはオペ残が増えると直ぐに3M以内の短国が0.10%割るような中で買入拡大するのはこれまた無理)けれども、出来上がりが14兆円になると当該期間の10年と5年と2年と20年の発行額が月に均すとざっくり6兆円とかのような気がする(大体の記憶ベースの感覚で申し上げている(10年前の10年の発行額とかとっさに出てこないので勘弁)ので、総額14兆買うとなるとそこそこの吸い上げになるような気もするがどうなんでしょうかね。まあ席に戻ってみればその辺のイメージも思い出すでしょ(汗)。
・悲痛な叫びのコーナー
今回は読んでいて実にこうアレな部分が2か所。
『なお、日本銀行は、資産買入等の基金とは別に、銀行券需要の趨勢的な残高に概ね見合うよう、安定的な資金供給を行うという観点から、現在、年間21.6
兆円の長期国債を買入れている。』(今回)
『こうした日本銀行の取り組みが、日本経済の中長期的な成長力の強化に結びつくためには、民間、政府を含め各方面が、緩和的な金融環境を活用しつつ、それぞれの役割に即した取り組みを続けていくことが重要と考えている。』(今回)
・・・・・・・ええもうね、日銀としては頑張っているんですけど何でおまいらいつもクレクレばかり言うんだよ勘弁してくださいお願いします。という風に言いたいのは把握したという感じですが、今回は思いっきり政府に対して「ちゃんとやれ」というのが出ていまして、しかも展望レポートの方でも(どうも今日は休み明けでアレですので展望レポート詳細比較まで間に合わないのですけれども)リスク要因に「復興需要に対する不確実性」というのを思いっきり挙げているのが更にもう何か日銀的に政府に対してトサカに来ているっぽいのが伝わる所でございまして実に味わい深いものを感じましたがどうでしょうかね。
・そういや今回は期限はそのまま
別紙の方で拡大内容の詳細が挙がっていますが、そこではご案内のように基金国債買入の5兆円増額がありますが、期限に関しては『2012
年末を目途に増額を完了する。』(今回)ということで変化なし。
まあ何ですな、今回に関してはリスク性資産の買入じゃない(国債だってリスクあるでしょとかいう話をしだすと話が本質から逸れるので華麗に無視してください)ので期限を延ばすと却ってリスク性資産の買入ペースが落ちるという残念な展開になってしまいますし、国債の買入であれば別にまあそんなに無理はないでしょうから、期限はそのままにしておくのが妥当でしょうと思います。
#ということで展望レポート比較に予想通り間に合わなかったですすいませんすいません
2011/10/24〜2011/10/28はお休みです。
2011/10/21
お題「さくらレポートとかマクロプルーデンスとか」
○という前にニュース雑談なのだが
http://www.asahi.com/politics/jiji/JJT201110190050.html
ナシ下落で東電に賠償請求へ=「中間指針」の対象外で初―鳥取のJA
2011年10月19日13時6分
『鳥取県の平井伸治知事は19日の記者会見で、東京電力福島第1原発事故に伴う風評被害の影響で鳥取県産のナシ価格が下落していることを受け、県内のJAと協議会を設立し、東京電力に損害賠償請求を行う方向で検討を始めたことを明らかにした。文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会の「中間指針」に示されていない都道府県のJAが、東電に賠償を求めるのは全国初。』
『同県生産振興課によると、原発事故の風評被害で価格が下落した福島県産のナシが関西市場に大量に流入し、鳥取県産のナシも対抗して値下げせざるを得なくなった。今年のナシ1キロ当たりの価格は、昨年に比べて3割下落しているという。』(上記URLより)
・・・・・・・なんかどこから突っ込んで良いのか良く判らない記事ですが、つまり平井知事におかれましては福島県の農家の皆様がナシを出荷したので鳥取県のナシの価格が下落してケシカランという風に仰せにも読めるのでございますし、そもそも文句言うのなら東電じゃなくて出荷したナシの安全性の宣伝が足りなかった政府なりに文句いう方じゃないのかねえとか思うのでありまして、もはや言いがかりというかごね得の世界ではないかと存じますが、そのいいががりごね得プレイを知事が率先して推進するとか何だかなあという感じでして、鳥取県におかれましてはこの際大都会岡山(以下悪態)。
んな事言ったら事故に伴い他の電力会社のスプレッドが拡大したとか色々と文句を申し上げたい物があるんですけどにゃあと思うのですが、この調子で何でもかんでも東電に賠償請求とかをホイホイ認める(かどうか知らんが知事が率先してやってるんですからねえ)何でも方向ってえのはまた民主党政権お得意のポピュリズム攻撃かよというのもありますが、こうやって何かあったらばら撒けば良いわ的な体質の中で財政赤字の発散って大丈夫なのかとか、まあそっちの方向に懸念は拡大するのではないかなあとか思うのでありました。
たまたま昨日は何が何だかさっぱり判らないまま東電株が77円も上昇しやがったのですが、ちょうど午後この話が出てたのでこれが原因かと一瞬思いましたが、提訴自体はすでに行われている話ですから結局の所昨日の上げは何だったのという気がしますがまあそれはそれとして。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111020-OYT1T00430.htm
東電に免責不適用は誤り…株主が提訴、国は反論
『東京電力福島第一原発の事故を巡り、東電株を1500株保有する東京都内の男性弁護士が、原子力損害賠償法の免責規定を東電に適用しなかったことで株価を下落させたとして、国に150万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こし、同地裁で20日、口頭弁論が開かれた。国側は「東日本大震災は免責規定が適用される『異常に巨大な天災地変』には当たらず、東電が損害賠償責任を負うべきだとした対応は適法だ」と、これまで政府が示してきた見解と同様の主張をし、請求の棄却を求めた。』(上記URLより)
まあ何ですな、どうせなら国じゃなくて枝野(以下罵詈雑言になるので自主規制^^)。だいたいこの大臣(当時は官房長官)が法的手続きをすっ飛ばして不規則発言をする事によってどんだけ金融市場の価格下落を巻き起こしているかと考えますと(以下割愛^^)。
○さくらレポートである
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer111020.htm/(概要)
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer111020.pdf(本文)
前回はV字回復モードでしたがさて今回は・・・・・・
・今回も回復継続もペースダウン
以下概要の方から。
『各地の景気情勢を前回(11年7月)と比較すると、5地域(北海道、東北、関東甲信越、東海、九州・沖縄)からは供給制約の解消などから持ち直し方向の報告があった一方で、4地域(北陸、近畿、中国、四国)からは前回からの持ち直しの基調に大きな変化はないとの報告があった。なお、複数の地域からは、「海外経済減速などの影響が生産活動の一部にみられ始めている」という報告があった。』
ほほう。
『この間、震災で甚大な被害を受けた東北からは、「被災地以外の地域では震災前を上回る水準にまで復してきているほか、被災地の一部でも経済活動再開の動きがみられるなど、全体として回復している」、関東甲信越からも、「着実に持ち直してきている」と、震災以降の経済活動の着実な立ち上がりを示す報告があった。』
震災の直接的な影響は(直撃の東北を除いて)かなり少なくなってきましたと。
『また、複数の地域から、「地域・業種・規模間で、持ち直しの動きにばらつきがみられている」との報告があった。』
ということで、上方修正している地域は上記にあるように5地域となっていますが、海外減速の影響が出ているとか、持ち直しの動きにばらつきとか微妙にヘッジクローズが入っているのですが、これまた先般の決定会合で見られたヘッジクローズ満載の声明文とは一読した時のトーンが明るめですなあという感じです。
需要項目別に引用。
『公共投資は、東北から、「持ち直している」、関東甲信越から、「下げ止まりつつある」との報告があった一方、他の7地域(北海道、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄)からは、「減少している」等との報告があった。』
そらそうですな。
『設備投資は、震災後の復旧関連投資の増加や、新製品対応投資、新規出店にかかる投資増などを背景に、7地域(北海道、東北、北陸、関東甲信越、東海、中国、四国)から、「持ち直し」や「増加している」との報告があった。一方、近畿からは、「企業収益が頭打ちとなる中、やや弱めの動きがみられる」との報告があった。また、九州・沖縄からは、「弱めの動きとなっている」との報告があった。この間、多くの地域から企業の業況感について改善の報告があった一方、一部の地域から為替円高を懸念する報告もあった。』
為替円高キタコレですが、まあ設備投資はまちまちなのね。
『個人消費は、一部耐久消費財での駆け込み需要の反動がみられているものの、供給制約の解消や消費マインドの改善、被災地での震災関連需要などを背景に、6地域(北海道、東北、関東甲信越、東海、近畿、中国)から、「持ち直し」や「増加を続けている」、九州・沖縄から、「底堅い動きとなっている」との報告があった。また、北陸からは、「下げ止まっている」との報告があった。一方、天候不順の影響などから、四国からは、「弱い動きとなっている」との報告があった。』
消費が何気に強いですの。
『品目別の動きをみると、大型小売店販売額では、消費マインドが改善しつつあることなどを背景に、ほとんどの地域から、「持ち直し」や「下げ止まり」の動きがみられているとの報告があったが、四国や九州・沖縄からは天候要因などを理由に、「弱い動き」との報告があった。乗用車販売については、供給制約の解消などを背景に、全地域から、「持ち直し」や「減少幅縮小」の動きがみられるとの報告があった。一方、家電販売は、アナログ放送終了前の薄型テレビなどへの駆け込み需要の反動などにより、全地域から、「減少」方向の報告があった。こうした中、旅行関連需要は、ほとんどの地域から、「持ち直し」や「減少幅縮小」の報告があった。』
品目別でも家電の駆け込み需要落ち込みを他の部門がカバーしているような感じで堅調ですね。
『生産については、供給制約の解消により、ほとんどの地域から、「増加している」または「持ち直している」等との報告があった。この間、複数の地域から、「海外経済減速などの影響が一部にみられ始めている」との報告があった。』
ほほう。
『業種別の主な動きをみると、7地域(北海道、東北、関東甲信越、東海、中国、四国、九州・沖縄)からは、輸送機械について、「増加している」や「生産水準を引き上げている」等の報告があった。また、4地域(北海道、東海、中国、九州・沖縄)からは、鉄鋼について、「輸送機械の生産増加から持ち直している」といった報告があった。一方、複数の地域からは、海外経済の減速や在庫調整圧力などを背景に、電子部品・デバイスや化学、一般機械で、「弱めの動き」等の報告があった。この間、東北からは、「鉄鋼や紙・パルプ、食料品は、太平洋沿岸部の生産設備が甚大な被害を受けたことから、依然として低水準となっているものの、生産設備復旧に伴い操業を再開する先も徐々にみられている」といった報告があった。』
こちらは業種ごとにまちまちですな。
『雇用・所得環境については、多くの地域から、「引き続き厳しい状況にあるが、改善の動きがみられる」との報告があった。』
ほうほうそれはそれは。
『雇用情勢については、ほとんどの地域から生産活動の持ち直しなどを背景に、「改善傾向」との報告があった。また、雇用者所得についても、多くの地域から、「下げ止まっている」等との報告があった。』
ということで、どうも個人関連部門が比較的先行きを含めて確り目の中で、海外経済動向と為替の円高傾向が懸念材料ですね、というような感じになっていますが、先ほども申し上げましたように、さくらレポートも月報と似たような感じで、国内景気に関しては別に足元で悪化している訳ではないですよそらまあV字回復分は一旦閉店ガラガラになったかもしれませんけど回復は継続してまっせ、という感じで、そんなに暗い話をしている訳ではありませんな、という所であります。
来週は展望レポートですけれども、この調子だと「回復が継続している」というのを維持する事からその分だけ基本的な認識が強くなる一方で、リスク認識を引き上げたり、物価見通し辺りの見通しをまあそんなに強気じゃないトーンで示してどっちに転んでも良いようなバランスの取り方をしてくるのかねえという感じですかな。
まあ海外経済というか欧米経済がバランスシート調整過程にある訳でして、その点からするとフローで循環回復してもストックがゲロゲロ状態というのが海外では続くでしょうから、それを経済の現状認識と先行きのリスク認識というような形でバランスとって見通しを出すしかないんじゃないですかね。
○バーナンキ議長講演が何気にマクロプルーデンスな件について
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20111018a.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20111018a.pdf
The Effects of the Great Recession on Central Bank Doctrine and Practice
水曜日にこれ見た時には政策ツールがどうのこうのの部分を読みましたが、その次にある『Financial
Stability Policy』というのがまたアレでござる。
『Even as central banks were innovative in the operation of their monetary
policies, they were forced to be equally innovative in restoring and maintaining
financial stability. Serving as a lender of last resort--standing ready
in a crisis to lend to solvent but illiquid financial institutions that
have adequate collateral--is, of course, a traditional function of central
banks. Indeed, the need for an institution that could serve this function
was a primary motivation for the creation of the Federal Reserve in 1913.
The Federal Reserve's discount window is an example of a facility that
operates in normal times to provide very short-term liquidity to depository
institutions. Most other central banks have facilities with similar features
that are generally aimed at banks that find themselves with temporary liquidity
needs. During the crisis, as short-term funding markets failed to function
normally, central banks around the world acted forcefully to channel liquidity
to institutions and markets by lengthening the terms of their lending,
increasing the range of collateral accepted, and expanding the set of counterparties
with which they would undertake operations.』
ということで「金融の安定化」という話がおっぱじまるのですが、最初のパラグラフではいわゆるLLR(最後の貸し手)としての中央銀行という伝統的な手段に関する話で、まあそれも今般の金融危機で少し進化しましたねとか何とか仰せでありんす。
で、その後もLLR関連の話が続くのですが、その後にこんなパラグラフが。
『As lender of last resort, a central bank works to contain episodes of
financial instability; but recent events have shown the importance of anticipating
and defusing threats to financial stability before they can inflict damage
on the financial system and the economy.』
実はこのbeforeはイタリックになっているのですが(コピペの都合で全部字体が同じになって正直スマンカッタ)、いわゆるひとつのFEDビュー破れたり(いやまあ勝った負けたの問題ではないですけれども・・・・・・・)ということで、信用バブルの発生と崩壊に関してはFEDビュー的なアプローチでは時既にお寿司だったという事だったのかもしれませんし、単に着手が遅れただけの話なのかもしれませんし、まあその辺は簡単ではないのですが、いずれにせよ信用バブル崩壊の大きさは通常の金融緩和だけで対処できないという事なので「事前の対応」の必要性が認識されたということになろうかと思います。
#この辺に関しては詳しくは翁邦雄先生のペーパーを見ると吉だと思うのですが、まず入り口としては厭債害債さんのしばらく前のエントリ→http://ensaigaisai.at.webry.info/200905/article_8.htmlを読まれるのが吉かと存じます。翁先生のペーパーはこちら→http://www.esri.go.jp/jp/others/kanko_sbubble/analysis_02_01.pdfでして、そこで言及されている2008年のジャクソンホールコンファランスの内容とかもオモシロスです
んでもってその続き。
『In particular, the crisis illustrated some important benefits of involving
central banks in financial supervision. Among these benefits are the facilitation
of close and effective information sharing between supervisors and the
providers of backstop liquidity, especially during crises; the ability
to exploit the substantial overlap of expertise in the making of monetary
policy and financial stability policy; and the usefulness of the information
supervisors gather about economic and financial conditions for monetary
policy.』
どう見てもマクロプルーデンスアプローチです本当にありがとうございました。
『Appreciation of these benefits is leading to larger roles for central
banks in financial supervision. For example, the Bank of England received
expanded powers and responsibilities for financial stability with the establishment
of a prudential regulator as a subsidiary of the bank and the creation
of a separate Financial Policy Committee within the bank that will identify,
monitor, and take action to reduce systemic risks. In the euro area, the
newly created European Systemic Risk Board, which is chaired by the president
of the ECB and includes the governors of all European Union central banks,
draws heavily on central bank expertise, including analytical, statistical,
and administrative support from the ECB.』
ふむふむ。
『In the United States, the Federal Reserve has reoriented its existing
supervisory activities to incorporate a broader systemic focus; it also
has been assigned new responsibilities for financial stability, including
supervisory authority over nonbank financial institutions that are designated
as systemically important by the Financial Stability Oversight Council
and new backup authorities for systemically critical financial market utilities.』
ただまあこのマクロプルーデンス的なアプローチってのも結局の所規制強化の方向になりやすくなってしまいますので、そうなりますと信用バブルのようなバブルの発生を事前抑止する方向にはなるものの、金融自体が昔々大昔のようになって昨今のようなダイナミズムが失われてしまうリスクもある訳で、まあ今後はこのマクロプルーデンス的なアプローチにおいて規制監督のバランスをどう取っていくのか、という話になるんでしょうな、よー知らんけど。
なお、日銀はこんなのを出しています。まあ麿のご趣味のようですけど。
http://www.boj.or.jp/finsys/fs_policy/fin111018a.pdf
日本銀行のマクロプルーデンス面での取組み
○東電雑談以外の雑談^^
・内国為替決済大口のRTGS化ですよ〜
火曜に出てたのですがネタにするのが遅れた。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/rel111018a.pdf
『次世代RTGS対応(第2期対応)の実施日の決定について
日本銀行は、本日、次世代RTGS対応(第2期対応)(注1) の実施日を2011年11月14日(月)とすることを正式に決定しました。以下、これについてご説明します。
(注1)次世代RTGS対応(第2期対応)とは、全国銀行内国為替制度に基づく内国為替取引のうち、1件1億円以上の大口の取引を、日本銀行金融ネットワークシステムと第6次全国銀行データ通信システムの間に接続インターフェイスを構築することにより、日本銀行当座預金の即時グロス決済により処理できるようにすることをいいます。なお、1件1億円未満の小口の内国為替取引は、引き続き、時点ネット決済により処理されます。』
ということで、内為大口がRTGS化ですかそうですかという所ですが、確か内為の大口で多いのって証券(債券)決済でしたっけ。まあとにかく無事稼働してくんなましという所ですが、内為大口がRTGSになると保振絡んだ決済とか債券決済の関係で日銀ネット非直接参加者の日中資金繰りに影響するのかしら。何か調べてみないと。
・お休みのお知らせ
えーっとですな、まあしょうもない駄文を垂れ流しておりまして恐縮でございますが、ご覧になられている奇特な皆様にご連絡致しますと、個人的な都合に伴い来週は駄文の垂れ流しが停止する予定となっておりますので、その間は過去ログでもご覧になって笑ってやってください。31日月曜日に復帰予定ですm(__)m
2011/10/20
お題「BOE議事要旨とか韓銀とのスワップとかやりかけのネタとか」
某旅行代理店の「海外現地情報」を見たら直近「ギリシャストライキ情報」がやたらめったら出ているのが貫録のギリシャクオリティですかそうですか。
http://www.gta.co.jp/tabid/81/Default.aspx
○BOE貫録の全員一致
先日の資産買入拡大の議事要旨がでました。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2011/mpc1110.pdf
まあ例によって例のごとくちょっとだけしか見ていない(なお宿題が溜まるorz)ですが。
『Regarding the stock of asset purchases, the Committee voted unanimously
in favour of the proposition.』
ということで前回の買入拡大は何と全員一致の決定。一方でBOEのサイトにもございますが、一昨日(現地時間ベースでは昨日)公表されていた直近のCPIはと申しますと・・・・・・
http://www.bankofengland.co.uk/index.htm
Current Inflation 5.2%
Next due: 15 November 2011
Inflation Target 2.0%
More information
(ホームの右下の方にあります^^)
貫録の5.2%(先月は4.5%)に上昇という事で、インフレターゲットって何ですねんという話ではございますが、そこのMore
informationってのをクリックすると説明があって、そこの中にこんなのがあるのが当然なのですが微苦笑。
『A target of 2% does not mean that inflation will be held at this rate
constantly. That would be neither possible nor desirable. Interest rates
would be changing all the time, and by large amounts, causing unnecessary
uncertainty and volatility in the economy. Even then it would not be possible
to keep inflation at 2% in each and every month. Instead, the MPC’s aim
is to set interest rates so that inflation can be brought back to target
within a reasonable time period without creating undue instability in the
economy.』(インフレーションターゲットの説明から)
・・・・・というような中ですけれども、何故かこういう時にはきっちり全員一致になるというのはBOEって結構日銀チックな所がありますなあとか思うのですがそれは兎も角として、買入拡大の背景についてMinuteから少々。
第30パラグラフから。
『While the stimulatory monetary stance and present level of sterling should
help to support demand, the weaker outlook for, and the increased downside
risks to, output growth meant that the margin of slack in the economy would
probably be greater and more persistent than previously thought.』
ほほう。
『This made it more likely that inflation would undershoot the 2% target
in the medium term, without further monetary stimulus. There had already
been some stimulus imparted from the substantial downward movements in
interest rates across the term structure over the past two months, although
part of that was likely to have been in anticipation of policy rates remaining
unchanged for longer than previously expected and further asset purchases
by the Committee. Overall, the case for an expansion of the Committee’s
programme of asset purchases financed by the issuance of central bank reserves
was compelling.』
ということで、「追加緩和をしないと中期的にインフレが2%を下回る可能性がより高まった」というのが追加緩和の背景という話で、これはまあ前回のMPCの議事要旨でも同じ話をしていましたけれども、前回よりもその確度が高まった、という話ですな。
つまり、これってインフレターゲットの政策の枠組みの範囲内ではありますけれども、思いっきりフォワードルッキング(めんどいので引用してませんが、前回同様に「インフレは間もなく5%に上昇」という見通しを示している)な政策運営でして、まあこの追加緩和はそう来るでしょうかなという事なので別にそれ自体に違和感は無いのですが、日本の金融政策に関してよく「インフレ目標設定すれば金融政策なんて自動運転で大丈夫」みたいな批判をするお方がおいで(さすがに最近だいぶ減ってきたと思いますが、かつてはそういう人がウジャウジャいましたわなあ)なのですが、この辺りの動きを見てねえねえどんな気持ちどんな気持ち、って申し上げたくなる次第ではございます。
BOEとしても足元の金融市場がアレですし、欧州経済が怪しいという中で追加緩和が必要って話になったとは思うのですが、これでCPIが来年になっても3%以上で推移という事になるとBOE益々大変になると思われるので、まあ正直大変ですねとゆーところではございます。
第31パラグラフから。
『In terms of the timing of further asset purchases, there were clear arguments
for acting quickly and decisively now that the need for further monetary
stimulus had become clear. The Committee recognised that there could be
some benefit in delaying a policy change until November, when the background
could be explained in more detail in the Inflation Report. But, on balance,
any advantage to delay was thought insufficient to outweigh the arguments
for acting immediately.』
11月のインフレレポートまで待つよりも今回追加措置を取る方が妥当との判断とな。
第32パラグラフから。
『There was considerable uncertainty over the scale of asset purchases
necessary to keep inflation at target in the medium term. Depending on
developments in the euro area and financial markets, the size of the stimulus
could be adjusted in either direction. For some members, the substantial
downside risks pointed to injecting a larger monetary stimulus than otherwise
in order to place the UK economy in a stronger position were those risks
to materialise.』
ということで、ユーロエリアの経済と金融市場の状況も踏まえ、ダウンサイドリスクがかなり大きく、より強力な緩和も必要ではないかという意見もあるってな所で、今回の買入拡大は「先行きの物価見通しの下方修正」と「先行きのダウンサイドリスクの拡大」によるものです、という話になっているのですが、まあ何度も申し上げていますように、足元では追加緩和実施後にCPIが(予想通りとは言え)更に上昇しているので、まあここからは結果次第ですなという所です。
○首相の訪韓にぶつけた訳ですが
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/rel111019a.htm/
日韓スワップ取極の引出限度額の一時的増額について
『日本銀行は、韓国銀行との間での円−ウォン貨のスワップ取極の引出限度額を、30億米ドル相当の円またはウォンから300億米ドル相当の円またはウォンに増額することについて、韓国銀行と合意した。この増額は、2012年10月末までの時限措置とする。本スワップ取極は、国際収支危機といった状況にはない中での短期流動性供給を想定したもので、両国の中央銀行が、東アジアの金融為替市場の安定を図ることを目的として、2005年5月に締結したものである。』
ほほう。まあ現在も確かに国際収支的には無問題ですがウォンがアレな感じになっていた(先月のリスクオフの時にスコーンと落ちていましたな)ですからにゃあとか思いつつ。妙にネットで話題になっていましたけど、韓銀がそらまあデフォルトでもしやがったらエライコッチャになりますけど、普通だったら期限に利息付けた円を耳揃えて返して頂く(韓銀が飛んだらそら国家破綻ですがな)話ですから単体では別にふーん程度の話。
とは申しましても、韓国って輸出で食ってる(というか輸出しないと食えなくなる)からそういう風にするというのは判らんでもないけどウォン安政策を取って日本と輸出品でバッティングしまくるという状態な訳でして、何かこう上杉謙信の香りが漂ってくるのは気のせいですかそうですか。しかし韓国ってウォン安政策を取る(というか国民を食わせるために取らざるを得ないというか)中で、ちょっと何かがあると直ぐに通貨危機チックなウォン暴落とかをするということで、通貨のバランスとるのがアクロバット的ですなあとか思うのですがどうっすかね。
○すっかり忘れていた(訳ではないが)9月FOMC議事要旨の続き
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110921.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20110921.pdf
『Committee Policy Action』の所であるが最初のパラグラフがくそ長いですお。
『In the discussion of monetary policy for the period ahead, most members
agreed that the revisions to the economic outlook warranted some additional
monetary policy accommodation to support a stronger recovery and to help
ensure that inflation, over time, was at a level consistent with the Committee's
dual mandate.』
経済見通しの変更に伴い追加緩和政策が正当化されますとな。
『While they recognized that monetary policy alone could not completely
address the economy's ills, most members judged that additional accommodation
could contribute importantly to better outcomes in terms of the Committee's
dual mandate of maximum employment and price stability.』
でね、ここの部分は読んでいて「ほほう」と思ったんですけれども、「金融政策単体で経済の病気に対して完全に対処はできないけれども、ほとんどの委員は追加的な金融緩和政策がFOMCのデュアルマンデートの達成の為によりベターな結果をもたらす事に貢献すると判断しました」(訳が下手くそなのはあたくしの仕様です)という部分はイイハナシダナーという感じで。
つまりですな、これって福井の俊ちゃんスキームでもあるかとは存じますが(^^)、「効きは悪いかもしれないけれども、まずは追加緩和をしてみます」ってな話ではございまして、まあ何と申しますか福井俊彦的なアレを感じると共に、そうは言ってもこの姿勢というのは大事な点じゃネーノという風にも思ったりするのでございますな。
ただまあ効かない政策を大真面目に打ち続けていると今度は金融政策の効果に対する信頼性が低下してしまうリスクが思いっきりある訳で、イワシの頭も信心からスキームというのは使い過ぎるとそれはそれで将来に禍根を残す話になりますので、非常にその辺のバランスというか距離感覚は難しいというのも判るので、どのくらいのスタンスで行くのかというのはこれからも中央銀行の課題かなと思います。低金利長期化の為に金利操作が効きにくくなって来る中での将来的な政策のフレームワークという話になるんじゃないですかね。
『Those viewing greater policy accommodation as appropriate at this meeting
generally supported a maturity extension program that would combine asset
purchases and sales to extend the average maturity of securities held in
the SOMA without generating a substantial expansion of the Federal Reserve's
balance sheet or reserve balances. Specifically, those members supported
a program under which the Committee would announce its intention to purchase,
by the end of June 2012, $400 billion of Treasury securities with remaining
maturities of 6 years to 30 years and to sell an equal amount of Treasury
securities with remaining maturities of 3 years or less.』
ということでツイストオペ実施が妥当との結論。
『They expected this program to put downward pressure on longer-term interest
rates and to help make broader financial conditions more accommodative.』
これこの前も引用したような気がしますが(というか政策ツールの検討の所で同じ話があるのでそう思っただけでした、汗)、長期金利を引き下げて金融環境を緩和的にする、という話はまああまり前面に出さない方が良いロジックの気がするのですが、FRBってその辺は結構アバウトな所があって、「ツイストオペ実施したら逆に長期金利上がってイールドカーブスティープしたじゃねえか」というツッコミは軽く受け流すのが仕様なのであまりキニシナイのかもしれませんが・・・・
『While the scale of such a maturity extension program was necessarily
limited by the amount of shorter-term securities in the SOMA portfolio,
most members judged the action as appropriate, given economic conditions
and the outlook.』
ここも冒頭にあった政策ツールの検討に関する部分の記述と被りますな、うんうん。
『Two members said that current conditions and the outlook could justify
stronger policy action, but they supported undertaking the maturity extension
program at this meeting as it did not rule out additional steps at future
meetings. Three members concluded that additional accommodation was not
appropriate at this time.』
2名は「より強力な緩和が正当化されるが、次へのステップという認識でまあ今日はこれくらいにしといたるわ」と仰せで、3名は「今回の追加緩和は不適切」と仰せといういい感じでカオス状態ですな。
『The Committee discussed whether to specify the parameters of the maturity
extension program by stating its intention to complete the full set of
transactions by June 2012 or by stating that it would undertake these transactions
at a specified monthly pace.』
次は具体的にどう実施するのかの議論。
『Members saw benefits to both approaches: The former would provide the
public greater clarity about the likely scale of the program and the latter
might allow the Committee greater flexibility to adjust the scale of the
program in response to unexpected economic developments. A majority favored
the first approach. Members noted, however, that the Committee will continue
to regularly review the size and composition of its securities holdings
and that it is prepared to adjust those holdings as appropriate.』
ペースなどを事前に告知する(決定されたのと同じ)方法で実施した方が市場に変な不確実性を与えない、という結論になったようですが、ただまあ状況を見ながら変化させる可能性も無い訳ではない(基本は変えない)ということのようですにゃ。
次のパラグラフはMBSの償還再投資に関する議論の所ですが、例によって時間配分間違えて時間が無くなったので引用だけ。
『Most members also supported a change in the Committee's reinvestment
policy. To help support conditions in mortgage markets, the Committee decided
to reinvest principal received from its holdings of agency debt and agency
MBS in agency MBS rather than continuing to reinvest in longer-term Treasury
securities as had been the Committee's practice for more than a year.』
『The effect of this change will be to keep the SOMA's holdings of agency
securities at an approximately constant level; under the previous practice,
those holdings were declining on an ongoing basis. This change in reinvestment
policy was expected to help reduce the spread between yields on mortgage-backed
securities and those on comparable-maturity Treasury securities seen this
year and so contribute to lower mortgage rates.』
つーことでMBSの償還再投資の再開でスプレッドの縮小を狙う、ということのようですな。
『Members also noted that the change in reinvestment policy could help
prevent the shares of outstanding longer-term Treasury securities held
by the Federal Reserve from reaching levels high enough to result in a
deterioration in Treasury market functioning.』
『One member who opposed the maturity extension program also opposed the
change in reinvestment policy because he judged that it would not benefit
housing markets. At the same time, the Committee decided to maintain its
existing policy of rolling over maturing Treasury securities at auction.』
一人のメンバーが反対しましたが今回MBSの償還再投資も実施となりました、ということのようです。
あと、反対した人の理由に関しては後日やるかもしれないですがやらないかも知れません。それより今週FOMCの人たちの講演大会なんですけど・・・・・・・・汗
2011/10/19
お題「大ネタがいくつかあるがちゃんと読めていないので雑談モード」
ふむふむ、セ・パ両リーグとも順位確定ですかそうですか。
○市場雑談
・3か月TB入札ですな
さて本日もまた毎度おなじみの3か月TB入札。最近はどうも0.10%割れの買いニーズの人たちの勢いがイマイチさんなのか、足元で短国は0.10%が大体オファーサイドっぽい感じになっているようで、まあ冷静に考えたらそうなるのが補完当座預金制度の趣旨から申し上げても妥当な線ではございまするのでありますが(と我田引水トーク)、入札もさすがに0.10%台乗せ水準で決着するんでしょ。
とは言いましても、0.10%に乗った所からはご案内のように需要がデジタルに変化する訳ですからして、今日の入札だと(あたくしの計算が間違っていなければ)99.9730円で0.10059%、99.9725円で0.10245%、99.9720円で0.10431%(一応10/24-1-30で計算していますが)となりますので、まさか9730では切れないでしょうし、9720だとニーズが盛大にありそうですので、その間となるのかなあとか思うのですが、この0.10245%というのもまた微妙なレベルで、0.10%割れまで突っ込まないという風に考えた場合には在庫として持っていられるレベルかどうかとか微妙な気もせんでもないですなあと思います。
なので9720足切りキボンヌなのですけれども、そんな事を言っている間に海外様からのニーズがいきなり絶賛ご到来とかの変化もあるので予想して変にフラグ立てるのは自主規制します。まあ短国レート0.10%割れ恒常化状態よりは正常な感じがしますけどね。
・先生!債券市場ちゃんが息をしていないの!!(AA略)
昨日は5年国債入札だった訳ですが、前場引けの0.375/0.380に対して平均落札100.11円の最低落札100.11円の一本値で利回り0.377%となった訳ですが、その前にどこぞのベンダーに出ていた足切り予想サーベイが100.10円だったのでその1銭上で切れるのかねえとかは思いましたが、綺麗に一本値で前場引けのオファービットの中に収まるとか大変に順当な入札だったようで。
でですな、まあ入札は良いのですけれども、落札結果発表後も先物とかあんまりウゴカンチ会長でございまして、まあ恐らく投資家のフローとかちょっとはあるからだとは思うのですけれどもカーブは微妙に動くものの、相場の全体的な位置はまあ動かない動かない。
ということでですな、入札という盛大な玉供給タイミングだというのに最近はまあすっかりウゴカンチ会長になるというのが仕様になっているようでございまして、海外要因とかでオーバーナイトで動く事はあっても内部要因でドドーンと動くような勢いがないですなあとか思うのでありまして、今月に入ってからも中長期国債の入札後に動いた日ってありましたっけ???という感じでありまする。まあそもそも海外、というか米国の金利派手派手に動いてもロクすっぽ反応しませんしねえ。
いつもですとこのくらい膠着感が強まると「そろそろどっちかに放れるのではないか」という期待感とかワクワク感が起きてもよさそうなもんなのですけれども、最近の膠着モードにおいては何と申しますかあまりこうそのような緊張感が無いような気がする訳でして、どちらかと言えば「先生!債券市場ちゃんが息をしていないの!!(AA略)」という感じがしますなあとか思った昨日の入札(というか昨日だけの話ではないですが)なのでございました。
○久々にFSR
金融システムレポート(2011年10月号)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr111018a.htm/
全文(PDFで86ページ)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr111018a1.pdf
要旨(PDFで25ページ)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr111018a2.pdf
こちら、前回分は東日本大震災の影響もあったようで発行中止となってしまったという中々残念な展開でしたが、今回は内容も一新して登場。ということでまだ全部読んでいないので要旨の最初のページにある『新しい金融システムレポートの刊行』という所から少々。
『・従来の『金融システムレポート』と『金融市場レポート』を統合し、新しい『金融システムレポート』を刊行。新しいレポートでは、マクロ・プルーデンスの視点をこれまで以上に重視して、わが国の金融システムの安定性を評価する。
・ 今回のレポートでは、以下の諸点で分析を充実した。
@ 金融システムの頑健性評価の観点から、実体経済や金融資本市場にストレスが生じるケースを複数想定し、マクロ・ストレス・テストを強化。
A 新たに開発した「金融マクロ計量モデル」を活用して、実体経済と金融の相乗作用の分析・評価を強化。
B システム横断的な観点から、銀行とつながりの深い銀行以外の金融部門(保険会社など)に内在する各種リスクを点検。
C 金融不均衡の蓄積状況を異なる角度から評価するため、金融面のマクロ的なリスクを表す指標を拡充。
D 金融資本市場がわが国の金融システムに及ぼす影響に鑑み、金融資本市場から観察されるリスクの分析を強化。』
ということで、まあ中身に関してはまだ斜め読みしかしていないので続きは明日だったりする(FOMCネタも明日送りと言いながら続きをやっていないだろというツッコミはしないように)のですけれども、従来のFSRでは主に銀行の与信部分とか株式持ち合いとか、割とそっち関連の話が多かったような印象があるのですが、今回はもうちょっと市場部門の方の話が増えている感じがします。
まあそれはそれで昨今のマクロプルーデンスの重要性に鑑みますとそらまあそうですなあと思いますし、別にそれ自体に悪態を連ねる気もないし必要も無いのでございますが、まあマクロプルーデンスも使いようという感じでして、その概念で押していく結果金融正常化を急ぎすぎるとか引締めバイアスがかかるとか、変に金融機関にリスク取らせない方向になるとかいうのは勘弁だなあとか思うのでありますです。
ま、後はマクロプルーデンスの精緻化に力を注ぎ過ぎて、頭でっかち路線に走るのもご勘弁願いたいと思いますなあとか思うのですけどね。
要旨4ページ『1.わが国金融システムの安定性評価』から。
『・ わが国の金融システムは、震災以降も、全体として安定性を維持している。
・ マクロ・リスク指標からは、金融不均衡の蓄積は確認されない。
・ 銀行やそれ以外の金融機関が抱えるリスクも、自己資本対比でみて概ね抑制された状態にある。
・ もっとも、国際金融資本市場で神経質な展開が続く中、以下の点に留意する必要がある。
・ 内外の金融資本市場間の連関が高まるもとで、わが国の金融資本市場もやや神経質な展開となっている。仮に海外の国債市場や株式市場が変調を来たす場合には、短期間のうちにわが国に波及し、国内証券関係損益が大幅に悪化する可能性がある。
・ 金融機関の信用コストは全体として減少しているものの、貸出債権の質は改善していない。
・マクロ・ストレス・テストでは、仮に外部環境に大きなストレスが生じたとしても、銀行の自己資本基盤が全体として大きく損なわれる事態は回避されると試算される。ただし、相対的に収益力や自己資本基盤が弱い銀行では、自己資本比率が先行きも低い水準にとどまる可能性がある。』
だそうで、まあそうですなあという感じですが、この辺りを見ると当面マクロプルーデンス的に銀行もっとリスク落とせとか金融不均衡が発生していてケシカランとかいう話は出てこなさそうなので一安心という所でしょうか(^^)。ただまあ銀行の資本増強に関してはどこかのタイミングで課題になってくるような気がします。
てな感じでまあ色々とありますが、要旨じゃなくて本文を読んで味噌という事で。金融市場レポートと統合されたので従来とはだいぶ雰囲気が違う内容になっています。
あ、あとこんなのもありますがこれから読みます。
http://www.boj.or.jp/finsys/fs_policy/fin111018a.pdf
日本銀行のマクロプルーデンス面での取組み
○バーナンキ議長の時間軸話に味わいが
朝見つけたので当然ながら超斜め読み、これも後で読む(宿題溜まり過ぎ)。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20111018a.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20111018a.pdf
Chairman Ben S. Bernanke
At the Federal Reserve Bank of Boston 56th Economic Conference, Boston, Massachusetts
October 18, 2011
The Effects of the Great Recession on Central Bank Doctrine and Practice
でまあ当然ながら起き抜けにこんなのあります(FOMC議事要旨の引用の為にFRBのサイトを見に行ったら見つけた訳ですが^^)とかいうノリでありまするので、本当の本当にピンポイントしか読んでいない、正直そんな状態でというのもアレですが、味わいが深い部分があったので駆け足で引用。
まあお題はこういう状況下で金融政策でどういう事をしますニカというような話みたいですけど。
『Monetary Policy Tools』って所の冒頭から。
『While central banks may have left their monetary policy frameworks largely
unchanged through the Great Recession, they have considerably widened their
set of tools for implementing those frameworks. Following the crisis and
the downturn in the global economy that started in 2008, central banks
responded with a forceful application of their usual policy tools, most
prominently sharp reductions in short-term interest rates. Then, as policy
rates approached the zero lower bound, central banks began to employ an
increasingly wide range of less conventional tools, including forward policy
guidance and operations to alter the scale and composition of their balance
sheets.』
ということでいわゆる非伝統的政策としてバランスシート政策というツールを実施しましたとゆーのはまあ良いとしてその次のパラグラフから。
『Forward guidance about the future path of policy rates, already used
before the crisis, took on greater importance as policy rates neared zero.
A prominent example was the Bank of Canada's commitment in April 2009 to
keep its policy rate unchanged at 1/4percent until the end of the second
quarter of 2010, depending on the outlook for inflation.』
フォワードガイダンスキタコレ。で、最初に出すのがカナダの例というのが何ともアレなのですが、カナダの場合ってコミットメントなんだけども最後に物価上昇したので微妙にそのコミットメント前に利上げしてたような気がするが。
『This commitment was successful in clarifying for market participants
the bank's views on the likely path of policy rates and appears to have
helped reduce longer-term interest rates, thus providing additional policy
accommodation.』
まあ市場参加者の政策金利パスの予想に働きかけるというのはそうですが。
『In 2010, the Bank of Japan, which faced ongoing deflation in consumer
prices, also used conditional forward guidance, saying that "The Bank
will maintain the virtually zero interest rate policy until it judges,
on the basis of the ‘understanding of medium- to long-term price stability,'
that price stability is in sight, on condition that no problem will be
identified in examining risk factors, including the accumulation of financial
imbalances."』
日銀の現在の政策をフォワードガイダンスの例として挙げるのキタコレという感じでございまして、まあつまりFOMCも日銀的な時間軸政策を検討という事ですね、わかります。という事ですが、普通に考えて時間軸政策の話をするならその前の福井総裁時代の日銀の時間軸政策の例をだすだろ常識的に考えてと思うのでございますけれども、その時期となりますとバーナンキ議長的にはまあ色々と日銀の政策をああだこうだ仰っていた時だったと存じます次第ですので、それを引き合いに出して時間軸政策の説明をするのはしたくないということですね、わかります。
『Some central banks provide forward guidance directly by releasing forecasts
or projections of their policy rate. This practice had already been adopted
by the Reserve Bank of New Zealand (in 1997), the Norges Bank (in 2005),
and the Swedish Riksbank (in 2007). Each of these central banks used those
projections during the financial crisis to indicate that they were likely
to keep rates at low levels for at least a year.』
これは時間軸のコミットメントではなくて景気見通しとのリンクというやり方についてですな。
『In the United States, the FOMC introduced language in its March 2009
statement indicating that it anticipated rates to remain at low levels
for an "extended period," and at its August 2011 meeting the
Committee elaborated by indicating that it anticipated rates would remain
low at least through mid-2013. The FOMC continues to explore ways to further
increase transparency about its forecasts and policy plans.』
ということですので、まあ次回のFOMCではこれらのフォワードガイダンスの工夫をしてくるというのが本命、というのは先日の議事要旨でも見て取れましたが、まあそういうことなんでしょ。
以下続きがあるのですが引用だけしておきます。
次はバランスシートの構成を使った政策の話で、英国は国債のみの一方で日本は色々なアセットの購入、ECBはカバードボンドの購入をしたり、問題国国債の購入をしながらその分のマネタリーを吸収している、という話をしていまして、何かまあバーナンキ議長が日本を参考事例にするんですねそうですねとちょっと味わいのある感じでした。
『Other central banks have also used their balance sheets more actively
than before the crisis, with some differences in their motivations and
emphasis, in part reflecting differing financial structures across countries.』
『For example, the Bank of England has used large-scale purchases of medium-
and long-term government securities as its preferred tool for providing
additional stimulus; it expanded the size of its asset purchase program
earlier this month out of concern about possible slowing of domestic and
global economic growth. 』
『The Bank of Japan has acquired a wide range of assets, including government
and corporate bonds, commercial paper, exchange-traded equity funds, and
equity issued by real estate investment corporations.』
『The ECB purchased privately issued covered bonds between July 2009 and
June 2010 to improve liquidity in a key market segment; it recently announced
plans to resume such purchases in November. The ECB has also bought the
sovereign bonds of some vulnerable euro-area countries, "to ensure
depth and liquidity in those market segments which are dysfunctional,"
although the monetary effects of these purchases have been sterilized through
offsetting operations.』
最後がまとめみたいなパラグラフです。
『In most cases, the use of balance sheet policies for macroeconomic stabilization
purposes has reflected the constraints on more-conventional policies as
short-term nominal interest rates reach very low levels. In more normal
times, when short-term policy rates are not constrained, I expect that
balance sheet policies will be rarely used. By contrast, forward guidance
and other forms of communication about policy can be valuable even when
the zero lower bound is not relevant, and I expect to see increasing use
of such tools in the future. 』
とりあえず駆け足で恐縮至極。
2011/10/18
お題「電力関連雑談/3次補正の増発に関する懇談会は皆さん妙に物わかりが宜しいですなあ」
おじちゃんは「動員」と「やらせ」の区別が良く判らんのだが、選挙の街頭演説見に行くとどう見ても支持する人がいっぱいいて批判のヤジをうっかりしたらボコられそうな雰囲気なのはあれは良い動員なんですかそうですか。
#まあ電力会社のやり方も間抜けっつーか論評以前のアホウではありますが
○ということで電力関連雑感である
公共放送ニュースちゃんから。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111017/k10013322371000.html
北電 “やらせ”で役員ら処分
10月17日 19時36分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111016/k10013292751000.html
“九電の報告 理解得られない”
10月16日 11時23分
枝野大臣になってからすっかりまた電力会社叩かれモードになっていますが、いやまあ電力会社の偉い人たちの殿様感覚(現場の皆様ががんばっているから安定供給できていると思ってまして、現場の皆様には別にどうこうというのは無いですけれども)振りとかどうなのかとは思いますが、発送電分離にしろ原発依存率低下にしろ、急に電力会社を一方的な悪者にして何でもかんでも強行した時に日本経済どうなるのよとか言う話はどうなっているのだとあのアホウ大臣の言動を見てて思う訳で。
原発は動かすな、発送電分離とかするぞゴルァと言いながら電力は安定供給しろ値上げはするなとか、結論として現場にまた鬼のように皺寄せが来るような気がするんですがねえ。大体からして電力政策なんて従来から政府が政策の一環としてやってたはずなのに問題が生じたら急に現業部門(=電力会社)のせいにして管理部門(=政府)は現業部門を責め立てるって何と申しますか「部下の手柄は俺の手柄、部下のチョンボは部下のチョンボ」みたいな・・・・・と書くとつまり今の民主党政権というのはある意味非常にこう人間的と申しますか何と申しますか、って書いてて悲しくなってきたorz
で、北海道電力ではさっきのアレを受けましてこうだそうで。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111018/k10013330831000.html
泊原発 再稼働手続き予断許さず
10月18日 6時21分
『北海道電力は、一連のやらせ問題の発覚を受けて、一定期間、泊原子力発電所のプルサーマル計画を見合わせる方針などを示しましたが、道議会は、さらに北電の姿勢を追及するとしていて、北電が目指す泊原発の再稼働などに向けた手続きが、今後スムーズに進展するかは予断を許さない状況です。』
プルサーマルは兎も角として定期点検で止めた原発の再稼働は問題が別のような気がするんですが、これから冬を迎える北海道で原発再稼働を止めるんですかそうですかと思うのですがねえ。オラシラネ。
あとですな、九州電力は結局こうなるようですが・・・・・・
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111018/t10013330461000.html
九電 第三者委の指摘受け入れへ
10月18日 4時23分
人のふんどしで恐縮ですが非国民通信さんの所の最新エントリーで
http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/f7ac27b9baf1c0ce51946d9e968b3e23
ご機嫌取りはいらない
『どちらかと言えば第三者委員会は九州電力と関係が深いですし、それが県の関与を指摘したときには、むしろ責任の転嫁先を用意したように思えて「ちょっと(電力会社に)甘いかな」とも感じたものです。九州電力に対しても「自分の判断でやりました」と報告するより「佐賀県に指示されたのでやりました」と言い訳した方が自社の立場は守りやすいわけで、報告書の内容がそうであったならば「九州電力は県のせいにして言い逃れしようとしている!」などと大いに責められたであろうことは想像に難くありません。どうなんでしょうね、ことによると九州電力側も枝野のダメ出しは織り込み済みで、再提出分の方が本命だったりして……』(上記エントリーより)
というご指摘通りの展開なのかもしれませんね、うんうん。
んでもって東電ちゃんはこんなニュースが。ヨミウリオンラインから。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20111017-OYT1T01456.htm
東電、国に1兆円支援申請へ…今年度賠償分
『東京電力は、福島第一原子力発電所の事故の賠償金支払いのために最大1兆円規模の財政支援を国に申請する方針を固めた。11月上旬に国と東電が策定する緊急特別事業計画に盛り込む。2年間で4・5兆円と試算されている賠償総額のうち、2011年度分の賠償額に絞って支援を求める。支援の前提として、電気料金の本格値上げを見送る一方、来年度中に柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働を実現させる方向で調整している。』
『緊急計画は、東電の経営を調査する「経営・財務調査委員会」が10月3日に発表した報告書をもとに国の原子力損害賠償支援機構と東電が策定し、枝野経済産業相が11月上旬に認可する。賠償支払額は年内に限れば7000億〜8000億円、年度内まで見通せば1兆円規模になる見通しで、支援機構と東電が申請額の詰めの調整に入っている。(2011年10月18日03時04分
読売新聞)』
はあはあそうですかと思いながら記事中の計画のフローチャートを見ますと・・・・
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20111017-850039-1-N.jpg
計画が2段階になるのは以前も報道されていた通りですが、改めてこの「2012年春」の所を見ると「経営責任と金融機関協力を明記」とかいやあのその何で経営責任と一緒くたなのよとか思ってしまいますなあ(金融機関に何の責任があるんだよヴォケ)というのは兎も角として、何か計画の段取り的にどうなのよという気が。まあちゃんと枝野さんが普通に普通の事をしてくれれば問題は起きないと思いますけど、何せ民主党政権な上に枝野大臣ですからにゃんとも。
しかしまあ相変わらず上場を維持している企業の経営に対する重大な問題にかかわると思われるこの特別事業計画の内容がこうやってお漏らし状態になるのは企業の重要情報管理的にどうなのよと思いますけどねえ。
○復興財源だからという理屈は判らんでもないが本当に中短期で良いのか??
先週はPD懇と投資家懇が実施されてまして議事要旨はPD懇は金曜、投資家懇は昨日アップされました。
PD懇
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/c231014.htm
投資家懇
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/b231014.html
まあ今回は『(1) 平成23年度第3次補正予算に伴う国債発行計画について』とありますように、3次補正に伴う国債発行をどうしますかというお題に関するヒアリング大会が趣旨でございます。
とりあえず俺様メモのため長いけど説明部分を引用しておきます、皆様先刻ご案内の通りではございまして恐縮ですが。
『(平成23年度第3次補正予算に伴う要発行額の増減について)
・平成23年度第3次補正予算について、10月7日(金)に閣議決定された基本方針によると、総額概ね12兆円程度の歳出であり、その財源については、歳出削減等のほか、同決定の参考資料において復興債を11.4兆円程度発行することで調達することとなっている。また、財政投融資計画について、1.3兆円程度を追加することとなっているが、その財源のうち、財投債による調達は数千億円になる見込みである。更に、補正予算の機会に借換債の発行額を見直すことに伴い、借換債が2兆円程度減額されることとなる。これは、平成23年度の国債発行計画を公表した後の平成22年度末に、日銀再乗換による1年債の発行を2兆円減額し、市中発行による満期2年以上の国債で借り換えたため、今年度の満期到来額がその分減少することによるものである。
以上のことから、復興債、財投債及び借換債の増減を合計すると、国債発行総額としては10兆円程度の増発が見込まれる。なお、これらの予算及びその関連法については、10月中に国会へ提出できるよう現在作業を進めているところであるが、与野党協議の状況等によっては、金額について変動がありうることは含み置き願いたい。』
『(現在までの国債発行の進捗状況について)
・10兆円程度の増発分について、具体的にどのように発行していくかであるが、当該金額をそのまま月々の入札額に上乗せすることは考えていない。
・昨年度以来、財投債の不用(7.1兆円)や特例公債の出納整理期間発行分の発行取り止め(2兆円)、第U非価格競争入札の上振れなどにより、本年度の国債発行は昨年末の計画策定時の想定を上回るペースで進捗している。平成23年度第3次補正予算に伴う国債の増発に当たっては、このような状況を勘案し、カレンダーベース市中発行額の増額は相当程度抑制することとしたい。』
ほほう。
『(消化方式別発行額の変更)
・具体的に消化方式別発行額としては、第U非価格競争入札について、今年度上半期実績における上振れ分を増額する予定である。また、前倒債発行減額による調整分については、相当規模の増額を考えている。さらに、個人向け販売分のうち個人向け国債について、発行計画額の増額を現在検討中である。その他窓販及び日銀乗換については、増減は予定していない。これらの結果、カレンダーベース市中発行額についての増額幅は相当程度抑制されたものとなる。
・カレンダーベース市中発行額における具体的な増発年限については、増発額が限定的であることから、最近のマーケットの状況や復興債の償還期間が10年間であることも踏まえ、対応したいと考えている。』
ということで、まあ復興債の償還期間が10年ということなので長いのを出したくないとゆーのも理解できますし、うっかり長いのを出して民主党からも出ている「償還期間をもっと長くしやがれ増税反対」攻撃に勢いを与えてもマズーである、というのは判るのですけれども・・・・・・・・
PD懇からの意見。
『・カレンダーベースで2.4兆円の増額を想定しているが、その場合、復興債の趣旨や償還財源等に鑑みれば10年債までの年限で対応するべきであり、具体的には、12月から4ヶ月間、T-Bill6ヶ月物を月2,000億円、T-Bill1年物、2年債、5年債及び10年債をそれぞれ月1,000億円、一月当たり合計6,000億円の増額とすることが望ましいと考えている。
・12月からの増額開始が可能かどうか不透明であるが、月5,000〜6,000億円程度の増額を前提とすれば、2年債を月3,000億円、5年債を月2,000億円、10年債を月1,000億円増額することを提案する。基本的に中短期債を中心に増額すべきと考えており、増額幅がもう少し抑制されるのであれば10年債の増額を見送ればよい。
・全年限とも月1,000億円程度であれば増額は可能。中期債まではさらに月1,000〜2,000億円の増額余地がある。今次補正予算の趣旨を踏まえれば、中期債の増額をメインに据えることが望ましいと考えている。』
という感じで最初の方は妙に物わかりの良い発言が目立つのですけど、現状のマーケット的には中期よりも10年と20年の方がニーズある(別に中期のニーズが無い訳ではないが)でしょうし、昨今の欧州ソブリン問題を対岸の火事と見るのではないと考えた場合には、こういう状況でこそ超長期を出しても良いんじゃないのとか思うのでございますが。
つーか5年って金利上昇局面になった時(というか時間軸が短期化した時)に一番最初に大崩れしやすいですから、只でなくさえ今の時点でも発行多いように思える中更に増発して欧州は兎も角として米国がまた出口モードとかになった時に大丈夫かよとか思うのですけどにゃあ。
『・12月から一月当たり合計3,000億円で総額1.2兆円、11月下旬に入札のある2年債から増額できれば総額1.4兆円と想定している。発行年限については、2年債、5年債及び20年債の増額が可能と考える。』
『・基本的に2年債、5年債を中心とした増額は可能であり、更に超長期債についても余力が見えることからこのゾーンも増額は可能と考えている。』
ふむふむ。
『・来年1月〜3月の3ヶ月間増額するとした場合、5年債のみ月2,000億円、1年から40年までの各年限でそれぞれ1,000億円、総額2.1兆円の増額を想定している。復興債の償還年限を考慮する一方、発行される国債の平均年限の長期化を進めるためには、来年度以降も金額を上下させず全年限を1,000億円程度の増額に止めてイールドカーブへの影響を低減させる必要があると
考えている。』
まああたくしも増発を中期に寄せるよりは将来の借り換え負担の事を考えてもうちょっと長期化した方が良いのではにかと思いますけどどうなんでしょ。まあ30年とかここもと需給が妙に悪いみたいですけど。
約一名異彩を放つ意見があったのが何だか微妙なのですがこれは何ざますかねえ???
『・年末年始にかけてマーケット参加者が少なくなっていく中、超長期債の需給には不安があるところ、原則10年以下の年限で対応すべきであり、具体的には、T-Bill1年物を月2,000億円、2年債及び5年債をそれぞれ月1,000億円増額し、5ヶ月間で合計2兆円の増額とすることを提案する。もっとも、この場合には発行年限がかなり短くなってしまうため、来年度、発行計画を策定する際に時間をかけて議論していく必要があるのではないか。』
・・・・・・・・・?????超長期の需給が年末年始にかけて不安とは??????????
で、投資家懇から。まあ似たような感じで「復興債の趣旨を鑑み中期中心」というのが多いのですけれども、それ以外の意見をば。
『・一月当たり6,000億円程度の増額を前提とした場合、2年債及び5年債をそれぞれ月2,000億円増額するとともに、復興債の趣旨と外れるかもしれないが、マーケットの需給を勘案して20年債及び10年債を月1,000億円増額することが望ましいと考える。』
まあ今だと20年と10年はカレントの所ニーズあると思いますし20年はここの所ずーっとカレントの需給がタイトで推移していて、まあニーズあるんでしょという所だとは思います。
『・現在の経済情勢や、市場の流動性を踏まえると、2年債及び5年債でそれぞれ月2,000億円程度の増額は可能と考えられる。償還期間が10年以内の復興債の調達という点からすれば、基本的には中期ゾーンで対応することが良いと思われるものの、来年度以降の発行スケジュールを考えた場合、増額のタイミング、年限の分散という観点から、超長期ゾーンについても年内に増額を検討した方が良いのではないか。その中でもニーズが非常に強く需給が良好かつ投資家層も広い20年債については、増額を検討する価値が十分あると思われる。』
とまあそんな感じでメモメモではありましたが、いつもの(特に)PD懇だとポジショントークの連発になって中々オモロスな議事要旨になるのがPD懇クオリティなのに、今回の議事要旨に関しては、どう見ても足元でニーズのあると思われる20年債の増発に関する意見があまり多く出ていないんですねえというのがちとまあ微妙に不思議ちゃんな展開ではございましたとさ。
FOMC議事要旨の続きはどうなったというツッコミはしないように(時間が無い)。
2011/10/17
お題「FOMC議事要旨ネタの続きでござる」
まあ月曜ですのでサラサラと。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110921.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20110921.pdf
○まずは先週木曜の訂正を少々
『Staff Presentation on Policy Tools』の所を先週木曜に寝起きで斜め読みと称して(いやまあそうなのですが)ネタにしたのですが、その中で長期的な目標の明確化に関する部分でちょっと解釈が間違っていたと思われる部分がありましたのでその辺を。
『Participants generally agreed that a clear statement of the Committee's
longer-run policy objectives could be helpful; some noted that it would
also be useful to clarify the linkage between these longer-run objectives
and the Committee's approach to setting the stance of monetary policy in
the short and medium run.』
という「長期的な政策目的に対する明確なステートメント」の部分ですけれども。
『That said, a number of participants expressed concerns about the conceptual
issues associated with establishing and communicating explicit longer-run
objectives for the unemployment rate or other measures of labor market
conditions, inasmuch as the long-run equilibrium levels of such measures
are influenced importantly by nonmonetary factors, are subject to change
over time, and are estimated with considerable uncertainty.』
『In contrast, participants noted that the long-run level of inflation
is determined primarily by monetary policy. 』
ここの部分を先日は判ったような判らんようなインチキ訳をしましたが、改めて読み直してみると、FOMCのデュアルマンデートに関連して「長期的な政策目標」を明確化した場合に、長期的な物価に関しては金融政策によって決まるので問題は無いけれども、長期的な労働市場の均衡水準に関しては金融政策だけで決まるわけではないので、労働市場に関する長期的な目標の明確化に関してはやや懸念がある、という話のようでございましたな。
まあいずれにせよその後に「これらの論点に関しては今後も熟議が必要」という話になっておりまして、次回のFOMCで出るのかどうかは判りませんけれども、政策目標の明確化という形で時間軸のようなものの強化を行うというのが次回の追加緩和(なのかどうかは兎も角として)の本命になるのではないかと思うのでございました。
○FOMCメンバーの経済認識部分から少々
連銀スタッフからの経済に関する説明とか見通しに関してはスルーしますが、まあ内容的には下方修正で先行きもどうも明るくないですねという流れになっていました。で、その後の『Participants'
Views on Current Conditions and the Economic Outlook』から。
『In their discussion of the economic situation and outlook, meeting participants
agreed that the information received during the intermeeting period indicated
that economic growth remained slow but did not suggest a contraction in
activity.』
ということで経済成長はスローだけれども収縮までには至っていない、というのが基本。
『Temporary factors that had contributed to slower growth during the first
half of the year had partly reversed, contributing to some rebound in final
sales and production, particularly in the manufacturing sector where progress
had been made in resolving supply chain disruptions.』
という良い話もありますが。
『But stresses in global financial markets, sluggish growth in households'
real incomes, and heightened uncertainty about economic prospects seemed
to have contributed to lower consumer and business sentiment and to be
weighing on economic growth.』
とまあこの辺が経済の足を引っ張っていますと。
『Recent indicators pointed to continuing weakness in overall labor market
conditions, and the unemployment rate remained elevated. Inflation appeared
to have moderated since earlier in the year as prices of energy and some
commodities declined from their peaks, but inflation had not yet come down
as much as participants had expected earlier this year. Labor costs remained
subdued.』
で、労働市場は相変わらず弱い状態で失業率は高止まりしており、インフレは商品価格のピークアウトに伴い落ち着いてきており、労働コストは抑制されていますとの事で。
『Looking ahead, participants continued to expect some pickup in the pace
of recovery over coming quarters but anticipated that the unemployment
rate would decline only gradually.』
先行きに関しては回復ペースはやや引きあがるものの、失業率が低下していくには不十分な状態が続くというこれまたいつもの見通しが継続してますな。
『They generally judged that risks to the growth outlook, including strains
in global financial markets, were significant and tilted to the downside;
moreover, slow growth left the recovery more vulnerable to negative shocks.』
ということでリスクはダウンサイド、しかも足元の緩慢な回復は経済のネガティブショックに対して脆弱な状態になっている、とリスク認識を大きく引き上げているのが今回の基本的な判断という所でしょうか。
『With longer-term inflation expectations remaining stable and the effects
of past increases in energy and commodity prices continuing to dissipate,
most participants saw both core and headline inflation as likely to settle,
over coming quarters, at or below the levels they see as most consistent
with their dual mandate.』
物価に関しては商品価格の上昇要因が剥落して今後数四半期の間にマンデートで許容する水準あるいはそれよりも低い水準に低下するでしょうという見通し。
『Participants continued to see the outlook for growth and inflation as
more uncertain than usual.』
ただし、成長や物価の先行き見通しに関しては通常よりも不確実性が高いと。
で、この後消費とか住宅とか労働市場とかがあばばばばーな話が続くのですがその辺はめんどいので全部スルーしてインフレの所までワープする。
『Most participants anticipated that, with stable inflation expectations,
significant slack in labor and product markets, slow wage growth, and little
evidence of pricing power among firms, inflation was likely to decline
moderately over time.』
さっきも似たようなのを引用しましたが、まあ基本線はこれなのですけれども・・・・
『Several suggested that slowing growth in the United States and abroad
made a new surge in commodity prices unlikely. However, some noted that
core as well as headline inflation had moved up, on balance, since last
fall. A few suggested that the juxtaposition of higher core inflation and
somewhat lower unemployment could mean that the degree of slack in labor
markets and the level of potential output were lower than the Committee
had thought. Some argued that the rise in core inflation from very low
levels reflected the accommodative stance of monetary policy and indicated
that the large-scale asset purchases the Committee undertook from November
through June had been a successful response to the deflation risks of a
year ago. 』
ここにありますように、上記の基本的な認識に対して「Several」だの「some」だの「A
few」だのがああでもないこうでもないとお話をしているのがチャーミング。
その結果としてリスク認識がバラバラになっているのです。
『Many participants judged that the risks to the outlook for inflation
were roughly balanced. Some saw medium-run inflation risks as tilted to
the downside, in light of persistent resource slack; some others argued
that the accommodative stance of monetary policy and the upward trend in
measures of core inflation this year suggested inflation risks were tilted
to the upside.』
基本的にはインフレのリスクはおおむねバランスなのですが、一部の委員にはインフレの下方リスクを見る人がいて、その一方で別の一部の委員は上方リスクを見るとかいい感じでカオス状態。
『Participants generally judged that there was relatively little risk of deflation. 』
ただまあデフレのリスクは小さいという認識をしめしていまして、はてさてその状況の中で大規模な資産買入の追加にコンセンサス取れるのかねという気はだいぶします。
『One commented that surveys showed that forecasters saw a low likelihood
of deflation; a second, however, noted that a measure of the probability
of deflation calculated from prices of Treasury inflation-protected securities
(TIPS) had declined as the Federal Reserve conducted its second large-scale
asset purchase program but more recently had been rising.』
ほほう。
で、先行きのリスクに関してですが。
『Participants saw considerable uncertainty surrounding the outlook for
a gradual pickup in economic growth.』
「considerable uncertainty」キタコレ。
『It was again noted that the cyclical impetus to economic expansion appeared
to be weaker than in past recoveries, but that the reasons for the weakness
were unclear, contributing to greater uncertainty about the economic outlook.』
これは前の方でも議論されているのでagainとありますが、重要な論点でもありますけれども、循環的な景気拡大による景気への刺激が過去の回復よりも弱く、その弱さの原因は不確かでありますわなと。
『Several commented that, with households and businesses seeking to reduce
leverage rather than to borrow and with housing markets in distress, some
of the normal mechanisms through which monetary policy actions are transmitted
to the real economy appeared to be attenuated.』
景気の先行き不透明感がベースにあるのでしょうが、要因としては色々と指摘されていますけれども、デレバレッジの動きとか、住宅市場の弱さとかがあって、この辺の要因が金融政策の通常ベースでのトランスミッションメカニズムの効きを悪くしているのではとかあるようで。
『Many participants saw significant downside risks to economic growth.』
キタコレ。
『While they did not anticipate a downturn in economic activity, several
remarked that, with growth slow, the recovery was more vulnerable to adverse
shocks. Risks included the possibility of more pronounced or more protracted
deleveraging by households, the chance of a larger-than-expected near-term
fiscal tightening, and potential spillovers to the United States if the
financial situation in Europe were to worsen appreciably.』
で、リスク要因に関しては(1)デレバレッジの動き(2)財政の緊縮(3)ヨーロッパの問題のスピルオーバー、という所のようです。
『Participants agreed to consider further how best to use their monetary
policy and liquidity tools to deal with such shocks if they were to occur.』
ということで、それらのリスク要因が顕在化した場合には追加の政策をとる、ということでございますな。
○以下明日以降に続く(サーセン)
肝心の『Committee Policy Action』に到達する前に時間切れになってしまいましたorz
2011/10/14
お題「まあ毎日雑談ですが今日も雑談である」
FOMC議事要旨ネタの続きをやる体力が無いのでそれは来週(汗)。
まずは9月決定会合議事要旨から少々
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2011/g110907.pdf
○景気認識に関しては「欧州債務問題がリスク」も国内景気の基本トーンは案外強い
まずは『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』のあたりから少々。
・海外経済に関して
『委員は、海外の金融経済情勢について議論を行った。』って事でああでもないこうでもないという話が展開されますが、その結論は・・・・・
『海外経済の先行きを巡る下振れリスクが幾分高まっているとの認識で一致した。』
というまあそうですなという結論になっているのですが、そのキモは基本的に欧州ソブリン問題→金融システム不安→実体経済への悪影響→ソブリン問題の拡大に戻る、というネガティブフィードバックというまあ普通にそうですよねというお話でございます。
『何人かの委員は、ギリシャに対する第2次支援策の遅れが嫌気されて、財政健全化を巡る懸念が強い諸国の国債価格が大幅に下落している中、これらの国債を多く保有している欧州系金融機関を中心に、ドル資金調達コストが上昇しているほか、株価が下落しているなど、欧州の金融システム全体に対する不安が強まっていることを指摘した。そのうえで、これらの委員は、ソブリン・リスク問題の影響が、金融資本市場の動揺やマインドの悪化を通じて、実体経済にも及び始めているとの見方を示した。』
ということで、ネガティブフィードバックが起きているという指摘をしているのはまあさよですなという所ですが、そーなりますと先行き追加の金融緩和もというようなお話になるんでしょうなあと思う訳ですが、すでに報道されておりますように、その辺の指摘もあったりします、後ほど。
『こうした議論を経て、委員は、ソブリン・リスク問題の短期的な終息は難しく、しばらく世界経済の下振れ要因となり続ける蓋然性は小さくないこと、今後さらに、財政と金融システム、実体経済の負の相乗作用が強まっていくことにならないかどうか、一段と注意してみていく必要があること、などの認識を共有した。』
という事でまあさよですなという話になりますが、以下あたくしの愚考になりますけれども、従来(というかこの時点辺りと言うか)は「ギリシャって本質的に赤字垂れ流し企業みたいな状態になっているから、注射をしても結局は穴の開いた容器に注水してるようなもんだから延々とダメですよね」という感じでのソブリン問題長期化という文脈だったと思いますが、問題が金融機関の資本問題という話になってくると、もしかしたら金融機関の資本増強という形で解決が早くなるかもしれませんね、という気がせんでもないがたぶん楽観論だと思われます(汗)。
まあ結局一般的な不良債権処理問題と違うのは、赤字垂れ流し企業だったら破綻させられますけれどもギリシャの場合って破綻処理ができるのかというのと、そもそも破綻処理しても肝心の収益力(というのも変ですが)を回復させるような大鉈振るえないと話が始まらないというのが極めて残念な所で、一回負担を軽くしても赤字垂れ流し状態じゃあ同じことをまた数年後にやるだけですからね。
という雑談は兎も角として、新興国経済に関して。
『新興国・資源国経済について、委員は、金融引き締めの影響から、成長テンポが鈍化してきているが、堅調な需要を背景に、全体としては高めの成長を維持しているとの見方で一致した。そのうえで、複数の委員は、新興国・資源国の中でも、景気拡大基調が続いている国がある一方で、減速感がみられる国があるなど、各国の状況は一様ではないとの認識を示した。』
『先行きについて、委員は、当面、新興国・資源国は高めの成長で世界経済を牽引していくとみられるが、物価安定と成長を両立することができるか、なお不透明感が高いとの認識を共有した。』
ということで、まあ新興国経済に関しては今回(10月)の決定会合声明文でやっと降参モードになったのですが、この部分を読みますと9月は「一様ではない」という話を指摘する人もいますが、「高めの成長を維持で一致」という事ですからまあ9月時点でも比較的強気ちっくだったように見える訳で、欧州ソブリン問題の方がアレなので目立ちますけれども、新興国に関して従来の認識や見通しに対して変調が生じるという足の掬われコースもあるような気がしてまいりましたがどうでしょうかね。
・国内景気に関して
『景気の現状について、委員は、震災による供給面の制約がほぼ解消する中で、着実に持ち直してきているとの見方で一致した。また、生産や輸出について、震災前の水準に概ね復しているとの認識を共有した。何人かの委員は、サプライチェーンの修復が順調に進み、懸念されていた夏場の電力問題も、民間の様々な努力により、結果的に生産活動の大きな制約となることは避けることができた、との見解を示した。』
『そのうちの一人の委員は、生産面をみると、一般機械や電気機械といった業種では震災前の水準を上回っていると述べた。設備投資や個人消費について、委員は、持ち直しているとの認識を共有した。何人かの委員は、@
大企業の2011年度の投資計画が4年ぶりのプラスになっていること、A 新車登録台数や家電販売、百貨店売上高が増加していること、B
企業・家計の景況感は改善方向にあること、などを挙げた。』
ということで、何か随分と威勢が良いじゃねえかと。
『景気の先行きについて、委員は、堅調な海外需要を背景とする輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた国内需要の顕現化などから、2011年度後半以降、緩やかな回復経路に復していくとの見方を共有した。生産の先行きについて、多くの委員は、予測指数や企業からの聞き取り情報を踏まえると、自動車関連で震災による販売の落ち込みを取り戻すための増産の動きもあって、10〜12
月にかけて増加を続ける可能性が高いと述べた。一人の委員は、電力使用制限令が予定より早く解除されることも、生産の増加に寄与し得るとコメントした。』
これも威勢が良いですな。
『景気の先行きを巡るリスクについて、委員は、震災による供給面の制約がほぼ解消する中、海外情勢を巡る不確実性や、それらに端を発する為替・金融資本市場の変動が、わが国経済に与える影響に、最も注意が必要であるとの見方で一致した。』
まあそういう事ですが、これがまたこの先が長いのよ。
『多くの委員は、足もとでは、とりわけ、欧州のソブリン・リスク問題が世界経済、ひいては日本経済を下押しするリスクが高まっていると述べた。そのうえで、何人かの委員は、電子部品・デバイスの生産がこのところ弱含んでいることなどを踏まえると、情報関連の海外需要の下振れにも注意する必要があると述べた。』
『また、複数の委員は、自動車関連での震災による販売の落ち込みを取り戻すための増産の動きに関して、海外需要を過大に見積もっている惧れがあり、その結果として在庫が積み上がるリスクがあると指摘した。』
ほほう。
『中長期的なリスク要因として、多くの委員は、足もとの円高が輸出や企業収益の下押し圧力として働くだけでなく、その基調が定着した場合には海外生産シフトの加速を通じて国内産業の空洞化をもたらす可能性があることや、点検後の原発の再稼働に目途が立たない中、電力供給を巡る不確実性の長期化が経済活動を制約する可能性があること、などを挙げた。海外生産シフトについて、一人の委員は、円高は海外シフトを促す主因ではないが、タイミングの選択に影響を与えている可能性は大いにあるとの見方を示した。』
とまあこのようにリスクの所をああでもないこうでもないと書いている一方で、現状認識と先行き見通しは更に強めのトーンという中々お洒落なバランスのとり方になっていますが、さて10月の議事要旨ではこの辺のバランスがどうなっているのかねというのを注意したいかなあとか思うのでありました。
・物価統計に関して
『この間、委員は、今回の基準改定を踏まえつつ、基調的な物価変動をどう捉えればよいかについて議論を行った。』
ほうほうそれでそれで?
『何人かの委員は、基準改定の影響が小さい系列としては、価格変動の大きな品目の影響を除去した10%刈込平均値のほか、ラスパイレス連鎖指数も有用であるとの認識を示した。』
刈込平均の話は前からございましたが、ラスパイレス連鎖指数の話が思いっきり前面に出てきたのはふーんという所であります。
『別の一人の委員は、現行の消費者物価指数は、薄型テレビなど購入頻度の低い数品目の価格下落の影響を大きく受けており、仮にこれらの品目を取り除いて前年比を計算すれば、1%
弱のプラスで推移していることを指摘した。』
ほうほう。
『これに対し、複数の委員は、購入頻度が低いという理由でそれらの品目を取り除くことには慎重である必要があるが、薄型テレビやパソコンなどは、海外の統計に比べて大幅な品質調整がなされている可能性が高く、そのことが消費者物価指数全体を押し下げる傾向をもたらしていることも考えられると述べた。』
まあ確かにCPI統計そのものにもツッコミどころがあるとは思うのですが、この辺りのネタを日銀がガリガリ突っ込んで行くとまた総務省がヘソを曲げそうな気がするのは気のせいですかそうですか(^^)。
『こうした議論を経て、委員は、物価情勢を判断するうえで、物価指数の特性やその評価方法に留意することは重要であり、基調的な物価動向の適切な捉え方について今後も検討を続けていくことが大切であるとの認識を共有した。』
ちなみに(以前ネタにしたので覚えている方は覚えていると思いますが)金融政策として見た場合の物価統計に関する日銀レビューシリーズが2006年2月に出ていますのでご参考までにリンクを付けておきます。またこのアップデート版が出てくることキボンヌ。
金融政策の説明に使われている物価指数(2006年2月)
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2006/rev06j02.htm/(概要)
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2006/data/rev06j02.pdf(本文、PDFで10ページです)
○何か自画自賛成分が増えているような気がするのは懸念されます
『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』から。
『当面の金融政策運営について、何人かの委員は、このところ、景気の下振れリスクは幾分高まっているが、8
月に実施した基金の増額に際し想定していた範囲内であるとの見解を示した。』
まあそうじゃないと追加緩和実施です。
『また、何人かの委員は、米欧金融資本市場で緊張が高まっているにもかかわらず、日本の金融市場の安定が維持されていることには、基金の増額が何がしか影響していると述べた。』
・・・・・・・・・?????????
えーっと、そもそも基金の増額したって言っても実際に買入とか6か月固定オペとかどんだけ増やしましたねんと思うのです(ちなみに6か月固定オペの新規実施は1本8000億円ね)けれども。まあETF買入による効果とか、CP買入による効果(CPについてはもはや民業圧迫状態で副作用と化しているが)とかの話なら分からんでもないですけれども、実際問題として別に基金増額した分をすぐに買ったわけでも無い話をそこまで言うかという違和感がそこはかとなくするのである。
つーかさ、株式市場方面の人の話を聞くと「今日のETF買いってどうだったよ」みたいな足元のフローに関心があって、ストックとして幾ら買っているとかいう話での効果という感じじゃないように思えるのですけど。いやまあ買入の玉が増えたというのは重要な論点ではございますが。
『こうした中で、複数の委員は、日本経済の直面する厳しさが、国内外の構造的な要因から生じている面も大きいことを踏まえ、金融政策で対応し得る問題とそうではない問題を見極めながら政策を進めていく必要があると述べた。』
というのをバーナンキ議長が言うと文句が出ませんが、日銀からこういうのが出ると「ま〜た追加緩和出し渋りの日銀理論だわ」と言われてしまうのはまあ残念な所です。
『別の複数の委員は、欧州のソブリン・リスク問題の帰趨が不透明であるなど、景気の下振れリスクがなお高いことを踏まえると、事態の展開によっては、先行きさらなる金融緩和が必要となる可能性もあるとの見解を示した。』
そらそうよという感じですがキタコレですね。
『これに対し、一人の委員は、金融緩和の一段の強化が、市場の流動性低下や金融機関の収益機会の縮小などを通じて、かえって、金融システムを不安定化させたり、金融政策の効果浸透を阻害したりすることがないよう、十分に配慮する必要があると述べた。』
というのをFOMC議事要旨に掲載されると以下同文^^;
でですな、その後に成長基盤強化の資金供給に関しての認識がこれまた何か自画自賛っぽくて銀行の中の人たちの本音ベースの話と乖離が生じているのではないかというのが懸念される所なのよ。
『成長基盤強化を支援するための資金供給について、委員は、金融機関がわが国経済の成長基盤強化に向けた自主的な取り組みを進めるうえでの「呼び水」としての役割を果たしてきたという認識で一致した。』
エライ勢いで上から目線ですが、別に金融機関は紐付け低利融資受けなくても市場でなんぼでも低利調達できますし、大体からしてこの絶賛運用難のご時世の中で成長性のある所があったら金融機関の方が勝手にホイホイと資金を出すと思うのですけれどもねえ。
『一人の委員は、借入先金融機関の個別投融資計画をみると、日本銀行の貸付条件を上回る期間や金額の案件が比較的多く、成長分野の案件に対する民間金融機関の積極的な取り組みが感じられると述べた。』
まあ何だ、上記見解に関しては銀行の中の人たちの率直なご意見を賜りたい所ですのでタレコミよろしくお願いいたしますという感じですが・・・・・・・・・
『委員は、期落ち分や期前返済分をカバーしつつ、残高を維持するとともに、今後は、6月に決定した新たな貸付枠による資金供給を通じて、ABLや出資に対する金融機関の取り組みを後押ししていくことになるとの認識を共有した。』
ABLは兎も角として「出資」って何ですねんという話はすでに悪態ついたと思いますので割愛しますが、何だかこの辺りも自画自賛臭が漂ってまいります。
『新たな貸付枠での第1回目の資金供給が381億円にとどまったことについて、複数の委員は、本貸付枠は、額の多寡にかかわらず、ABLの活用に向けた取り組みを促す機能を果たしていると評価した。』
はあはあそうですか(棒)。
『一人の委員は、新たな貸付枠の導入の公表以降、多くの金融機関でABLの活用に向けて動産担保を評価する体制を整備する動きがみられ始めているとコメントした。』
はあはあそうですか、銀行の企画部門っつーのも以下自主規制。
『何人かの委員は、ABLの認知度のさらなる向上に向けて、日本銀行は資金供給以外にも、様々な努力を続けていく必要があると述べた。』
小さな親切大きなナントカになりませんように(棒)。
・・・・・・・雑談のつもりが最後雑言になってしまいましたorz
○他の雑談ネタをやっている時間が無くなったのでメモ程度で勘弁
・そらそうよ
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381949EE3E1E293878DE3E1E3E2E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
全銀協会長、東電向け債権放棄「想定も検討もしていない」
2011/10/13 16:05
『全国銀行協会の永易克典会長(三菱東京UFJ銀行頭取)は13日の記者会見で、東京電力(9501)に対する債権放棄や金利減免など一段の金融支援について「我々の想定にも入っておらず、検討したこともない」と述べた。』
『永易会長は「我々に相談はなかったが、残高維持についてはどこかの段階で要請があるだろう」と語った。ただ「金融機関に債権放棄を求めることは道義的にも成り立たない」と語気を強めた。〔日経QUICKニュース〕』(両方とも上記URLより)
まあ何ですな、とりあえず株主資本がそのままで金融機関に債権放棄要請とか頭の中身がおがくずで出来ているのではないかというような動きはご勘弁賜りたいですな、うんうん。
・すっかり出遅れましたが厭債さんの最近(最新ではない)エントリー
http://ensaigaisai.at.webry.info/201110/article_3.html
生命保険会社が超長期債を買う理由(追記あり)
実はあたくしも厭債さんがツッコミを行って撃破した対象元のアゴラの記事は何となく斜め読みしてツッコミネタでも書こうかとか思ったら厭債さんがきっちりと撃破しておられましたので、既にご案内の方も多いかと存じますがまあ嫁と。
つーかですな、アゴラって言っちゃあ何ですが金融関連のちょっと突っ込んだ記事ってクオリティがうんこかゲロレベルのものが多くて普段は時間の無駄なので見ないですし、まあ見ないの推奨ではございますが、一般的に週刊誌あたりでの煽り記事がどういう物なのか、という点の参考にはなる訳で、法事だの年末年始だの彼岸だのというような時に親戚の寄合があったりした時に「何でこういう質問が来るんだ?????」という事案の参照にはなるかと(意味がねええええ)。
#ちなみに最近エントリーではなく最新エントリーもご参照の程を、と人のふんどし
・短国市場
えーっとですな、先週の頭に0.10%乗った短国が捌けたもんだからつい煽られイカになって先週の3か月入札が特攻モードになったのですが、特攻したものの後続攻撃(0.10%割れでの投資家の買い)が無いという残念無念な状態になって、今週に入ったら2か月も3か月も0.10%乗せになってしまったという中々アレなマーケット。
という雑談を本当は水曜か木曜辺りにしておけばよかったのですが、何か今更感が高いのでメモだけしておきます(自分の備忘用ですすいません)。ちょっと重くなってきちゃいましたけれども、まーどこかでドカンと捌けるでしょ。
2011/10/13
お題「例によって寝起きでFOMC議事要旨をほんのちょっとだけ斜め読み」
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110921.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20110921.pdf
○冒頭部分に政策ツールに関する話がありましてその部分だけで勘弁
冒頭にモロに『Staff Presentation on Policy Tools』というのがあるだよ。
・まずはスタッフの説明
『The staff gave a presentation on several tools that could be used, within
the Committee's current policy framework, to provide additional monetary
policy accommodation to support the economic recovery.』
ということで以下可能性のある政策が列挙されているのでメモメモ。
『The presentation first reviewed three options for managing the size and
composition of the SOMA portfolio: a reinvestment maturity extension program,
a SOMA portfolio maturity extension program, and a large-scale asset purchase
program.』
FEDのポートフォリオの「量と構成」を変化させるというアプローチには3種類のオプションがありますと。
『Under the first of these options, the Federal Reserve would reinvest
the principal payments it receives on its holdings of agency securities
exclusively in long-term Treasury securities.』
最初の「a reinvestment maturity extension program」と銘打ったものは、現在(当時)行っているMBS等の再投資にあたってより長い期間の米国債を購入してFEDのポートの長期化を行うというスキーム。
『Under the second option, the Committee would purchase long-term Treasury
securities and sell the same amount of shorter-term Treasury securities;
these transactions would significantly increase the average maturity of
the SOMA portfolio, but the size of the Federal Reserve's balance sheet
and the level of reserve balances would be largely unaffected in the near
term.』
2番目の「a SOMA portfolio maturity extension program」というのが今回実施したプログラムになりますが、短期債売却の長期債購入はバランスシートやリザーブバランスを大きく変化させることなくポートの残存期間を長期化できますよと。
『Under the third option, the Committee would purchase longer-term Treasury
securities, increasing the size of its balance sheet and the supply of
reserve balances.』
3番目の「a large-scale asset purchase program」はまあそのまんまで長期国債の追加購入。
『The staff also summarized a set of options for clarifying, for the public,
the Committee's longer-run objectives under its dual mandate as well as
the Committee's forward guidance about the likely future stance of monetary
policy. The options focused on ways to elucidate the economic conditions
that could warrant raising the level of short-term interest rates.』
別の方法として、現在の政策金利から脱却する為に必要な経済環境について明らかにすることによって、フォワードガイダンスをより明確化するということで、これは日銀が実施した時間軸政策(明らかにする表現をどのくらいキツキツにするかによってバージョンが違ってきます)のようなもんですな。
『Finally, the staff presentation summarized the potential implications
of reducing the interest rate that the Federal Reserve pays on reserve
balances that depository institutions hold in accounts at the Federal Reserve
Banks (the IOR rate). 』
で、最後に付利金利の引き下げが方法としてございますよという話ですな。
・委員会の検討状況がオモシロス:資産買入に関する話
『Meeting participants expressed a range of views on the potential efficacy
of policy tools tied to the size and composition of the Federal Reserve's
balance sheet.』
というのですからまあツイストオペが元々の案だったんでしょうな。
『Many judged that these policies could provide additional monetary policy
accommodation by lowering longer-term interest rates and easing financial
conditions at a time when further reductions in the federal funds rate
are infeasible.』
短期の政策金利の引き下げ余地が無い所に追加的な金融緩和効果をもたらす為にはこれらの政策によって長期金利を引き下げて金融環境を緩和する事ができると判断とな。
『However, a number saw the potential effects on real economic activity
as limited or only transitory, particularly in the current environment
of balance sheet deleveraging, credit constraints, and household and business
uncertainty about the economic outlook.』
・・・・・・これはまたどこの日本銀行だよという感じですが、「多数のメンバーはこの政策の実体経済への潜在的な効果は限定的あるいは一時的なものにとどまると見ています。特に現在のようにバランスシートのレバレッジ解消や、信用供与の制約、家計や企業の先行き景気に対する不透明感があるという現在の環境においては。」という見解で、しつこく繰り返しますが日銀の決定会合議事要旨をみているような感じが。
『Participants noted that a SOMA maturity extension program would not expand
the Federal Reserve's balance sheet or the level of reserve balances, and
that the scale of such a program was necessarily limited by the size of
the Federal Reserve's holdings of shorter-term securities so that it could
not be repeated to provide further stimulus.』
確かに。ツイストオペやると売る中短期債が無くなったら次は打てませんな。
『A number of participants saw large-scale asset purchases as potentially
a more potent tool that should be retained as an option in the event that
further policy action to support a stronger economic recovery was warranted.』
てなわけで多数のメンバーは「将来において追加緩和が更に必要になった場合には、大規模な資産購入プログラムの実施が潜在的にはより適切なツールになる」と見ておられると。
『Some judged that large-scale asset purchases and the resulting expansion
of the Federal Reserve's balance sheet would be more likely to raise inflation
and inflation expectations than to stimulate economic activity and argued
that such tools should be reserved for circumstances in which the risk
of deflation was elevated.』
(一方で)数名(Some)のメンバーは大規模な資産購入によるFEDのバランスシート拡大は実体経済の活動への刺激効果よりも、インフレおよびインフレ期待により強い効果をもたらすので、資産購入拡大はデフレリスクが起きた時に使うべく温存しておくべきであると主張と。
『In commenting on the implications of a maturity extension program or
another large-scale asset purchase program, several participants noted
that the System should avoid holding a very large proportion of the outstanding
stock of longer-term Treasury securities in its portfolio because the result
could be a deterioration in market functioning.』
これまたどこの日銀だという感じですが(ただし論点は違う)、数名(several)のメンバーはFEDのバランスシートに長期債の保有が増えすぎると、市場機能の低下につながる(よく判んないけど、たぶんFEDが買い過ぎて市場に物が無くなるという話だと思います)ので避けるべきであるとな。
『A number of participants suggested directing some purchases or reinvestments
into agency MBS; however, a couple of participants saw such actions as
unlikely to have benefits, or as a form of credit allocation. 』
で、多くのメンバーはMBSの償還再投資または追加購入の実施を検討しましたが、その一方で2名のメンバーはクレジットアロケーションの観点からはあまり利点が無いのではないかと指摘していますと。
・更に委員会の検討は続く:長期的な政策目標に関するコミュニケーションポリシー
『Most participants indicated that they favored taking steps to increase
further the transparency of monetary policy, including providing more information
about the Committee's longer-run policy objectives and about the factors
that influence the Committee's policy decisions.』
将来の政策に関するコミュニケーションポリシーの明確化の話ですな。
『Participants generally agreed that a clear statement of the Committee's
longer-run policy objectives could be helpful; some noted that it would
also be useful to clarify the linkage between these longer-run objectives
and the Committee's approach to setting the stance of monetary policy in
the short and medium run.』
長期的な政策目的の明確化が有効ですという話で全員が概ね一致しているみたいなのですが、それは日銀の時間軸政策パート1からパート3までの変化形を見ておりました所のあたくしと致しましては、そもそも解釈が難しい「デュアルマンデート」を設定している時点で長期的な目的の明確化もへったくれも無いと思いますけど。
『That said, a number of participants expressed concerns about the conceptual
issues associated with establishing and communicating explicit longer-run
objectives for the unemployment rate or other measures of labor market
conditions, inasmuch as the long-run equilibrium levels of such measures
are influenced importantly by nonmonetary factors, are subject to change
over time, and are estimated with considerable uncertainty.』
とか思ったらその次で多くのメンバーは(ここの解釈間違ってたら教えてちょなのですが)明示的な数値による物価や失業率あるいは労働市場に関する何らかの目標を設定した場合に、目標とする長期的な均衡数値と短期的な非金融的な要因によってぶれる実際の数値とのズレが生じるので、その点で問題が生じるのではないかと懸念している、とか判ったような判らんような訳をしてみましたが、要するに足元の数値のブレと長期的な目標のコンフリクトが起きた場合(今の英国がまさに典型)に「長期的な目標とは何ぞや」という話になるリスクがあって、そうなると目標数値の明示化が逆効果になるかもしれませんね、ってことではないかと思うのですがどうでしょう。
『In contrast, participants noted that the long-run level of inflation
is determined primarily by monetary policy. Accordingly, many felt that
if the Committee were to reach a consensus on more explicit statements
of its longer-run objectives, it would need to provide an in-depth explanation
to the public of how those objectives were determined and how they fit
into the policymaking framework.』
そうは言いましても、長期的なインフレはまず第一には金融政策要因で決定されるというのはFOMCメンバーのコンセンサスのようでして、その結果として、長期的なFOMCの目標についてより明示的なステートメントの作成を行うことに関してはコンセンサスに達したとのことのようです。ただし、コミュニケーションポリシーの設定に関しては、より掘り下げた議論が必要になる。ということですから、次回のFOMCに向けてこの辺りの明確化というのが出てくる段取りになるんじゃないでしょうか。
『Participants generally saw the Committee's post-meeting statements as
not well suited to communicate fully the Committee's thinking about its
objectives and its policy framework, and agreed that the Committee would
need to use other means to communicate that information or to supplement
information in the statement.』
まあそうなりますとこういう話になるのですが、前回のフォワードガイダンス文言の変更はコミュニケーションポリシーとしてはあまりしっくり来ていませんという事で全体的に同意したという事で、何という君子豹変と感心してしまいますが、まあこの部分が次回また変更ということで、次は時間軸強化みたいな政策になるんでしょうな、と予想される所でございます。
・更に委員会の検討は続く:時間軸のコミットメントについて
コミュニケーションポリシーの次にフォワードガイダンスの話がまだ続く。
『Most participants also indicated that they saw advantages in being more
transparent about the conditionality in the Committee's forward guidance
by providing more information about the economic conditions to which the
guidance refers.』
フォワードガイダンス文言が参照とする経済状況をより明確化するという件についてですな。
『They judged that such a step could make the Committee's forward guidance
more effective and increase the likelihood that financial markets would
respond to incoming economic information in ways that would help monetary
policy achieve its goals.』
メリットは市場に対する政策期待の安定化ですな。
『However, several participants saw a risk that any explicit statement
of economic conditions specified in the Committee's forward guidance could
be mistaken for a statement of its longer-run objectives. Others thought
this risk of misinterpretation could be managed through careful communications.
A number of participants suggested that the Committee's periodic Summary
of Economic Projections could be used to provide more information about
their views on the longer-run objectives and the likely evolution of monetary
policy.』
一方のデメリットは、固定的な紐付けをした場合にFOMCの長期的な政策目標に対する誤解が生じるリスクがあるという指摘を数名(several)が懸念という事ですが、他のメンバーはそれは丁寧なコミュニケーションで解決できるとも指摘。そしてこれまたどこの日銀だよという感じですが、FOMCの出すSEP(経済見通し)が長期的な政策目標に対する今後の金融政策の動向に対するポリシーツールになるでしょうという件で多くのメンバーが示唆しているとの事で、それってもう思いっきり日銀の「中長期的な物価安定の理解」+「展望レポート」のセットと同じ話になりまして麿のドヤ顔が目に浮かんでまいります。
・更に委員会の検討は続く:付利金利の引き下げに関して
『Participants discussed whether to reduce the IOR rate, weighing potential
benefits and costs.』
短期市場関係者戦慄の検討キタコレ。
『A number of participants judged that a reduction would result in at least
marginally lower money market rates and could help stimulate bank lending.
Several noted that reducing the IOR rate could help signal the Committee's
intention to keep the federal funds rate low. Some participants observed
that keeping the IOR rate noticeably above the market rate on other safe,
short-term instruments could be perceived as subsidizing some banking institutions.』
いやまあそうでございますけど・・・・・・・という感じですが、金利はマージナルだけど下がるでしょとか、FF金利を低い水準で長期間維持するメッセージになるとか、市場金利よりもIORの金利を高くしておくと銀行がIORに金を突っ込んでしまうので下げるメリットがある、というのはまあその通りですな。
『However, some others noted that a recent change in deposit insurance
assessments had the effect of significantly reducing the net return that
many banks receive from holding reserve balances. Moreover, many participants
voiced concerns that reducing the IOR rate risked costly disruptions to
money markets and to the intermediation of credit, and that the magnitude
of such effects would be difficult to predict in advance.』
短期市場関係者のポジショントーク的には(;∀;)イイハナシダナーでございますが、預金保険料率の変更によって銀行の準備預金保有コストが高まっているので付利金利引き下げは銀行に厳しい措置になるとか、これは多くの人が警告していて(;∀;)イイハナシダナーですけれども、付利金利の引き下げは短期金融市場の機能を壊すというリスクの高い結果に繋がる可能性があり、しかもその悪影響の大きさに関しては事前に予想するのが難しいという指摘をしていてこれまたどこの日本銀行だという感じですな。
『In addition, the federal funds market could contract as a result and
the effective federal funds rate could become less reliably linked to other
short-term interest rates. Participants generally agreed that they needed
more information on the likely effects of a reduction in the IOR rate in
order to judge its usefulness as a policy tool in the current environment.』
更に、そもそも実効FFレートが他の短期金融商品の価格形成にあまり強くリンクしている訳でもない、という現状の市場環境も考えると、IORの引き下げに関してはそのメリットとしてどのような物があるのかという点についてもっと情報が必要である、という点で同意したという事でございまして、こりゃつまり付利金利の引き下げはオプションとしてはあっても具体的なオプションとして検討されるのは順序が後の方になりそうで、ポジショントーク的に(;∀;)イイハナシダナーでございましたとさ。
という所までが「Staff Presentation on Policy Tools」部分でしたが、そこで時間と力が尽きたので肝心の今回の金融緩和政策実施に関する議論の部分は全部スルーである(キリッ)。
2011/10/12
お題「月報概要がやや不思議ちゃん/総裁会見は長いけど・・・・」
えーっと、何かしらんけどうっかりするとあたくし68歳とかにならないと年金支給にならないらしいのですが、これは要するに死ぬまで働けという事なのでしょうが問題はその頃まで働けるかなんですけどね。将来はヨイヨイのニートジジイとかやだなあorz
#公共放送ニュースでスロバキア議会の話題が出ていましたが「自分たちより豊かな生活を送るギリシャへの支援に対して国民の間に反発が強い」という説明を聞いて確かに〜と不謹慎ながら吹いてしまいましたすいませんすいません
○金融経済月報の概要部分は声明文ほどのトーンの引き下げではないのですが・・・・・
まあこれはこれで味わいが深いというか何というか。
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2011/gp1110.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2011/gp1109.pdf(前回)
・現状総括判断
『わが国の経済をみると、持ち直しの動きが続いている。』(今回)
『わが国の経済をみると、震災による供給面の制約がほぼ解消する中で、着実に持ち直してきている。』(前回)
というのは声明文と同じですな。
・現状判断需要各項目:生産と輸出
『生産や輸出は、震災による落ち込みからの回復過程に比べてペースは緩やかになっているが、増加を続けている。』(今回)
『生産や輸出は、供給面の制約がほぼ解消する中で、増加を続けており、概ね震災前の水準に復している。』(前回)
まあここも声明文と同じ。
・現状判断需要各項目:設備投資と個人消費
『こうしたもとで、設備投資は、被災した設備の修復もあって、緩やかに増加している。個人消費も、一部に弱さが残っているものの、全体としては持ち直している。』(今回)
『こうしたもとで、設備投資は、被災した設備の修復もあって、持ち直している。また、個人消費も、一部に弱さが残っているものの、全体としては持ち直している。』(前回)
ここなんですけれども、声明文では昨日申し上げましたように・・・・
『こうしたもとで、設備投資は緩やかに増加しているほか、個人消費についても、全体としては持ち直している。』(今回の声明文)
『こうしたもとで、国内民間需要についても、持ち直している。』(前回の声明文)
ということで、前回の声明文では「国内民間需要」という形でまとめて一括り状態になっていたので、「全体としては」というのが何となく下方修正チックに見えて、声明文比較をすると前月から下げたように見えます。
でも、こうやって需要項目別に並べてみると、設備投資に関しては「持ち直し」が「緩やかに増加」になっているのはどちらかと言えば強くなっているように見えますし、個人消費に関しても元々「全体としては」とか書いてありますので、あんまり下げた感が無いという辺りが声明文比較の時に受けた印象とだいぶ違ってくる所かなあと思います。
まあ端的に言ってしまえば先月は月報の概要部分で微妙にヘッジクローズをまぶしていましたねという話(ちなみに良く良く見たら先月の月報概要の比較ネタをやっていなかったという残念な忘れ物があった事に気が付くあたくし。だって先月前半はネタ多彩だったんだもんorz)でして、まあ前回の追加緩和措置の時にいろいろと下げていた(後日エントリーにはしませんがどこかに追記しておきます)面があったのを声明文の方にどどーんと出したという事なのでしょうかね。何か微妙なのでもう一度推移を精読してみます(汗)。
#ちなみに個人消費の文言に関しては8月月報概要からこの表現です
・現状判断需要各項目:住宅投資、公共投資
『また、住宅投資は持ち直しの動きが明確になっており、公共投資も下げ止まりつつある。』(今回)
・・・・・でもって今回「あれ、声明文ほど下がっていないぞ」という印象を受けるのはこの部分でございまして、この部分って前回の月報概要に無い部分であります。昨日ネタにしましたように、声明文ではここぞとばかりのヘッジクローズ文言入りが目立つ印象だったのですが、月報概要ではこの「明るい話」が入っているせいで印象が全然違う感じでございますな、うんうん。
・先行き見通し総括判断
『先行きのわが国経済は、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(今回)
『先行きのわが国経済は、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(前回)
ふむ。
・先行き見通し需要項目:海外経済、輸出
『海外経済は、当面減速するものの、基調的には、新興国を中心に底堅く推移すると考えられる。このため、輸出は、海外在庫の復元の動きもあって、緩やかな増加基調をたどるとみられる。』(今回)
『輸出は、堅調な海外需要を背景に、増加を続けるとみられる。』(前回)
まあこの辺は声明文と同じようにヘッジクローズてんこ盛りである。
・先行き見通し需要項目:国内民間需要
『こうしたもとで、設備投資、住宅投資、公共投資は、資本ストックの復元に向けた動きもあって、徐々に増加していくと考えられる。個人消費も、底堅く推移するとみられる。生産は、緩やかな増加を続けると考えられる。』(今回)
『こうしたもとで、設備投資、住宅投資、公共投資は、資本ストックの復元に向けた動きもあって、徐々に増加していくと考えられる。個人消費も、底堅く推移するとみられる。生産は、ペースを緩やかにしつつも、増加を続けると考えられる。』(前回)
ここはまあ実質的には前月と変わっていないといえそうです(生産の部分が変化しているけれども前月の見通し通りに推移しているという感じかと)。
・物価について
現状認識部分はこちら。
『物価の現状について、国内企業物価の3か月前比をみると、国際商品市況の動きを反映して、横ばい圏内の動きとなっている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっている。』(今回)
『物価の現状について、国内企業物価の3か月前比をみると、国際商品市況の動きを反映して、横ばい圏内の動きとなっている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、下落幅が縮小を続け、概ねゼロ%となっている。』(前回)
先行きに関しては国内企業物価の先行き見通しが下がっています。
『物価の先行きについてみると、国内企業物価は、当面、弱含みで推移するとみられる。消費者物価の前年比は、当面、ゼロ%近傍で推移するとみられる。』(今回)
『物価の先行きについてみると、国内企業物価は、当面、横ばい圏内の動きを続けるとみられる。消費者物価の前年比は、当面、ゼロ%近傍で推移するとみられる。』(前回)
ということで、物価は若干見通しが下がった感じです。金融面の部分は基本的に認識に変化はないので華麗にスルーしますが、先ほど申し上げたように、現状認識部分で微妙に明るい表現が入っているので、印象としては声明文ほどの降参モードを感じない、という中々不思議ちゃんな月報概要でございました。
○総裁会見がこれまた量はあるけどインプリケーションらしきものが・・・・・
正直今回の会見は困った。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2011/kk1110a.pdf
今回の会見は全部で16ページもあるのですが、何か特段面白い話とか面白い部分が見当たらないというネタ的には困ったちゃんなのですが、今回は短答の質疑応答が少ないというのが印象に残るところ。
でそーゆー流れですからして、質疑応答の流れを見ても「辛辣な質問」→「やや苦し紛れに答える」→「更に突っ込む」→「麿はトサカに来たでおじゃる」という場面が全く見られず、質疑応答が一本一本ブチブチと切れていて流れというものが無く、どう見ても麿の独演会です本当にありがとうございましたという風に思ったのですけれども違いますかね???
ということで苦し紛れにちょっとだけ引用。
・下方リスクに関しては普通に強調
実質最初の質疑応答部分から。いきなり麿の演説が始まるので段落分けする。
『(答) 最初に、世界経済について申し上げたいと思います。世界経済の成長率は、先進国を中心に減速傾向にあります。欧州については、ソブリン問題の拡がりが、金融市場の動揺や企業・家計マインドの悪化を通じて、実体経済にも影響を与え始めていることもあり、景気は横這い圏内の動きとなっています。米国経済についても、雇用の改善テンポが依然として緩慢な上、家計のバランスシートや住宅市場の調整が長引くもとで、回復感に乏しい状態が続いています。新興国・資源国経済では、金融引き締めや先進国経済の減速の影響などから、幾分減速していますが、旺盛な内需を背景に総じて高めの成長が続いています。そうしたもとで、新興国・資源国の多くは、引き続きインフレ圧力が強い状態にあり、今後、物価安定と成長が両立する形でソフトランディングできるかどうか、なお不透明感が高いと考えています。』
『以上のように、世界経済の先行きに関する不確実性が高まっており、これを背景に、為替・金融資本市場では、グローバルな投資家がリスク回避姿勢を強めています。世界的に株価が下落しているほか、為替市場でも、円が相対的に安全な通貨として認識されて、買われやすい地合いとなっています。』
『こうしたグローバルな金融経済情勢の影響は、当然、わが国経済にも及んできます。この点、少し前まで、日本経済の動向は、主として、震災による供給面の制約をいかに早く解消できるかにかかっていたわけですが、供給面の制約がほぼ解消された現在、需要面の動向、とりわけ海外経済情勢の重要性が増しています。従って、先程申し上げたような海外情勢を巡る不確実性や、それらに端を発する為替・金融資本市場の不安定な動きを考えると、日本経済については、下振れリスクをより意識する必要があると考えています。』
『先程申し上げましたが、8月の金融政策決定会合において、今申し上げたような展開になる可能性があることも予想しながら、金融緩和措置を一段と強化しました。現在はそのもとで、金融資産の買入れ等を進めているところです。今後とも、常に最新の情勢を踏まえつつ、先行きの経済・物価動向や、それを巡るリスクについて、注意して点検していきたいと考えています。』
ということでのっけからやたら長い話(質問は「海外経済動向を勘案した場合に日本経済のリスクが高まりましたか」というもの)になっていますが、まあ今回このように大演説になっていますが、要するに「少し前まで、日本経済の動向は、主として、震災による供給面の制約をいかに早く解消できるかにかかっていたわけですが、供給面の制約がほぼ解消された現在、需要面の動向、とりわけ海外経済情勢の重要性が増しています」という部分がポイントで、海外経済動向が重要ですよ、という大演説モードになっている訳です。
まあ意地悪く申し上げると、海外経済動向が問題なんですよ日本単独でやるとかましてや日銀単独とかでやることって限定的なんですよ判りますよね。というようなお話をしているとも言える訳でして、日本だけの問題じゃないんですよ的な責任分散モードになっているとか言うのは酷ですねそうですね。
・金融政策の効果に関して
包括緩和1年でどうですかという質問に対しても演説モード。
『振り返ってみると、包括緩和採用後の1年間は、東日本大震災や欧州のソブリンリスク問題をはじめとして、日本経済にとっては、非常に強い逆風にさらされた1年間であったように思います。従って、包括緩和だけの効果を捉えることは難しいわけですが、企業の資金調達コストの低下を促し、市場参加者のリスク回避姿勢を和らげるなど、緩和的な金融環境を実現する上で、一定の効果を上げてきたと思います。』
まあそらそうです。
『金融政策で最終的に実現している金融環境について、国際比較をしてみると、例えば銀行間取引の緊張度を示すLIBOR-OISスプレッドをみても、米ドルとユーロは夏場以降、拡大していますが、日本円のスプレッドは安定しています。リスク性資産についても、例えば、AA格の社債利回りの対国債スプレッドは、8月初から足許までの間に、欧州では1.7%程度から2.9%程度までに、米国では1.4%程度から2.2%程度までにと、それぞれ上昇していますが、わが国では0.3%程度の低位で安定しています。実際の社債発行金額でみても、米欧市場では8月以降、発行量が急減していますが、わが国では電力という特殊事情のある業種以外は、8、9月とも、前年を上回っています。』
まあ何ですな、こういう数字を出すの得意ですなあ総裁ってと思う次第ですがそれはともかくとして、この辺の金融環境に関する部分って金融政策の効果というよりは邦銀の資本が欧米のそれを比較して充実していて、ファンディングに関しても問題が無いという面もあるような気がするので、全部が包括緩和の効果というのも(欧米と比較という文脈で考えた場合)ちと違うような気がせんでもない。どちらかと言えば銀行の資本の充実度の問題ではないかと。
『ただし、こうした極めて緩和的な金融環境にもかかわらず、実体経済が本格的に成長していくことになかなかつながっていかないことが、大きな課題としてあります。私どもとしては、この極めて緩和的な金融環境を最大限に活用して頂きたいと思っていますし、またそのためには、かねてから申し上げているように、様々な成長力強化に向けた取組みが不可欠です。』
成長基盤強化キタコレ。何か最初は追加緩和の方便で苦し紛れに出したっぽい印象を与えていたのですが、今やすっかり麿の十八番となっております成長基盤強化の理念に合致した施策となっておりまして、この成長基盤強化貸出制度をひねり出した日銀の中の人(どうせ企画のエライ人でしょうけれども)って何というか凄いとしか申し上げようが無いざんす。
『バーナンキ議長は、今週、議会証言を行い、「金融政策は万能薬ではない。様々な取組みが必要だ」ということを強調されていますが、そうした証言を聞きながら、私自身の思いと非常に共通していると感じた次第です。』
そしてバーナンキ議長の「金融政策は万能薬ではない」引用がキタコレという所でありまして、もう何か麿のドヤ顔が目に浮かぶような話の展開ではございましたとさ。
#とここまで書いたら時間が無くなったのですが、明日に続くかどうかは他のネタの出方次第
2011/10/11
お題「決定会合とか東電とか」
3連休後のボケっぷりは普通の土日の倍以上なのは何故なのでしょう??
○声明文はヘッジクローズ入れまくりで降参寸前の風情
いつものようにヘロヘロと声明文比較
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k111007a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110907a.pdf(前回)
・景気の現状判断
『わが国の経済は、持ち直しの動きが続いている。』(今回)
『わが国の経済は、震災による供給面の制約がほぼ解消する中で、着実に持ち直してきている。』(前回)
供給制約の話が完全に抜けたのは(まあそうだろうなとは思いますが)良い流れなのですが、表現の方は前回対比横ばいなのか上なのか下なのかよくワカランチ会長ではございまする、がこの先は延々と降参モードが続くのでまあそちらをご覧あれという所でありまする。
『すなわち、生産や輸出は、震災による落ち込みからの回復過程に比べてペースは緩やかになっているが、増加を続けている。』(今回)
『すなわち、生産や輸出は、増加を続けており、概ね震災前の水準に復している。』(前回)
えーっとですな、つまり震災で落ち込んだ分のV字回復はしましたが、V字回復はそこまでとなって、後は横ばいモードになりつつあるという事でございますかそうですか。
『こうしたもとで、設備投資は緩やかに増加しているほか、個人消費についても、全体としては持ち直している。』(今回)
『こうしたもとで、国内民間需要についても、持ち直している。』(前回)
「全体としては」攻撃キタコレという感じですが、前回表現がすっきりしていたのに対して今回は「緩やかに」だの「全体としては」だの色々とヘッジクローズが入っているというのが実にアレでございます。
『この間、金融環境をみると、中小企業を中心に一部企業の資金繰りに厳しさがなお窺われるものの、緩和の動きが続いている。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっている。』(今回)
『この間、金融環境をみると、中小企業を中心に一部企業の資金繰りに厳しさが窺われるものの、総じて緩和の動きが続いている。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、基準改定に伴い下方修正され、概ねゼロ%となっている。』(前回)
金融環境は「総じて」が抜けて上方修正(というか緩和というか)しているのがほほうという感じで、物価については基準改定の下方修正云々が抜けただけなのでまあそんなに現状判断はカワランチ会長っすかね。
・先行き見通し
見通しのパラグラフを全部まとめて比較してみる訳だが。
『先行きについて、海外経済は、当面減速するものの、基調的には、新興国を中心に底堅く推移すると考えられる。そうしたもとで輸出が緩やかな増加基調をたどることや、資本ストックの復元に向けた国内需要が顕現化してくることなどから、わが国経済は、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。消費者物価の前年比は、当面、ゼロ%近傍で推移するとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済は、堅調な海外需要を背景とする輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた国内需要の顕現化などから、2011
年度後半以降、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。消費者物価の前年比は、当面、ゼロ%近傍で推移するとみられる。』(前回)
ということで(物価の方は変化無いのでどうでも良いが)経済先行き見通しの部分ですけれども、文章がやたら長くなってああでもないこうでもないというのが延々と並ぶでござるの巻となっております。更に中身を見ると従来見通していた回復のドライブとしての海外経済に関して「堅調な海外需要」としていたものが「当面減速するものの」、「基調的には」、「新興国を中心に」、「底堅く推移」とこれまた前回部分の直球ストレートな表現から比較した場合に見事すぎる程の留保文言入れまくりという実に素敵な変化になっておりまして、もう残念無念としか申し上げようがございません。
だいたいこういう留保条件やヘッジクローズが沢山入るというのは先行きの確信度が下がりましたよねとゆーのはご案内の通りでございまして、まあだいぶ降参気味になっているなあというのは更に続くのだ。
・リスク要因もこれまた
『景気のリスク要因をみると、欧州のソブリン問題の帰趨や、バランスシート調整が米国経済に与える影響について、引き続き注意が必要である。新興国・資源国では、物価安定と成長を両立することができるかどうか、なお不透明感が高い。こうした海外情勢を巡る不確実性や、それらに端を発する為替・金融資本市場の変動が、わが国経済に与える影響については、引き続き、丹念に点検していく必要がある。』(今回)
『景気のリスク要因をみると、バランスシート調整が米国経済に与える影響や、欧州のソブリン問題の帰趨について、引き続き注意が必要である。新興国・資源国では、物価安定と成長を両立することができるかどうか、なお不透明感が高い。こうした海外情勢を巡る不確実性や、それらに端を発する為替・金融資本市場の変動が、わが国経済に与える影響については、丹念に点検していく必要がある。』(前回)
ここで芸が細かいとしか申し上げようが無いのは、欧州と米国のリスクについての語順変化でございまして、今回は欧州ソブリン問題が目先は米国問題よりもリスク高いですよねと言いたいのは把握した。
『物価面では、国際商品市況の先行きについては、上下双方向に不確実性が大きい。また、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。』(今回)
『物価面では、国際商品市況の上昇により、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。』(前回)
今回はついに国際商品市況による物価のリスクを従来の「上振れ」から「上下双方向」に変更になったのがチャーミング。つーかまあ従来の国際商品市況の上振れ云々というのが、欧米英が「一時的な要因の剥落後は物価は低下気味」って予想する中で日本だけ何でデカップリングするねんという所でしたので、まあようやくこの辺りを下げてきましたねちょっと遅かったんじゃネーノという所でしょうか。
・被災地オペの延長
これは今回実施された件ですが、良く考えたらこれも追加緩和と無理矢理言えば言えない事もない訳ではないという感じですが(^^)。
『被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーションについては、その受付期限を6か月延長し、2012
年4月末とすることとした。被災地企業等にかかる担保適格要件の緩和措置についても、その適用期限を6か月延長し、2013
年4月末とすることとした。』(今回)
ほうほうそうですか。
・最後に「適切に対応する」というのを入れていますな
で、何か知らんが決意表明みたいに見えたり見えなかったりする最終パラグラフですが。
『日本銀行は、現在、8月に一段と強化した金融緩和措置のもとで、金融資産の買入れ等を着実に進めている。また、日本銀行は、「中長期的な物価安定の理解」に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続していく方針である。日本銀行としては、こうした包括的な金融緩和政策を通じた強力な金融緩和の推進、さらには、金融市場の安定確保や成長基盤強化の支援を通じて、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰するよう、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく。』(今回)
という部分は大体前回と同じような表現(微妙に違いますけれども基本的には同じ話なのでめんどいから前回分の引用は割愛します)なのですけれども、今回はこの表現が入ったのがアレ。
『今後とも、先行きの経済・物価動向を注意深く点検したうえで、適切に対応していく方針である。』(今回)
・・・・・・まあリップサービスなのかも知れませんけれども、こういうのを一々入れているのは欧米が追加緩和おかわりモードになっている中で日銀が素っ気なくゼロ回答をしている場合でも無かろう、という所だと思われますが、まーいずれにせよ追加で何かやらないと行けないかなという話になった場合(たぶんそれは11月のFOMC次第だと勝手に愚考しますが)への下準備でござるの巻というところかと。
てな感じでして、総合すると「だいぶ降参モードになってきましたね」という所ではないでしょうかね、うんうん。
○だからその「追加緩和見送り」ってヘッドラインは何とかしろと
またも共同通信から。
http://www.47news.jp/news/2011/10/post_20111007135002.html
年利0・1%の復興貸出制度延長 日銀、追加緩和は見送り
まあある意味復興貸出延長も追加緩和と強弁できるような気もしますがそれは兎も角と致しまして、そもそも今回の決定は「現状維持」なのですから「追加緩和見送り」と書かないで「金融引き締め見送り」と表現しても別に間違ってはいない訳ですが、わざわざ「追加緩和見送り」とか書くセンスというかそのバイアスは報道機関として(しかもあんさんの所は通信社なんですから)如何なものかという風に思うのでございますけどねえ。
いやですね、例えばの話市場が物凄い勢いで追加の金融緩和を織り込んでいて、盛大なクレクレ相場をやっていて、普通追加緩和するだろというような情勢であることが誰の目にも明らか、というのであれば「追加緩和は見送り」というヘッドラインを打つのもまあ有りかも知れませんけど、今回の金融政策決定会合で追加緩和を期待している人なんて別に殆ど居なかったと思われる(少なくとも金利をやっている人たちは)訳でして、そういう中で報道機関だけ勝手に盛り上がるとか何考えてるんだとしか思えません。つーかおまいら普段どういう連中にコメント取りに行っているんだと思いますが、てめえらが記事として「使える」コメントが欲しいからそれに合う話をしてくださいってな姿勢は大体聞いていればわかるので、そーゆー記者を相手にするのポジショントークを吹き込みたいかメディアを自分のパブに使いたいかのどっちかなので聞くだけマイナス効果という所なんでしょうな、と思わず悪態が(^^)。
で、今回あたくしが見た範囲内でちゃんと「現状維持」というヘッドラインを打っていたのは朝日新聞でありました。アサヒコムより。
http://www.asahi.com/business/update/1007/TKY201110070160.html
日銀、金融政策は現状維持 緩和策の効果見極め
ちなみに、前回「現状維持」ときちんとヘッドラインを打っていた毎日新聞は何故か今回は「追加緩和見送り」とな。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20111008ddm008020107000c.html
欧州危機:揺れる世界経済 日銀、追加緩和見送り 景気下振れ警戒
まあただ(めんどいから細々引用しませんが)こちらでは『世界経済の悪化懸念が拡大する中、各国の中央銀行は金融緩和にかじを切りつつある。』(上記URL記事より)というような感じで「欧州危機に伴いECBやBOEが追加金融緩和を実施しました」というような解説がありますので、まあそれとの絡みで追加緩和見送り云々という話でござんすねという所かと思われますので言いたいことは判らんでもないっす。
#前回に引き続き粘着悪態ですかそうですか
○R&Iが東京電力を格下げ
・・・・・・というような決定会合があって、引け後は総裁会見が実施された訳ですが、その辺の流れをすべて吹き飛ばすニュースリリースが15時02分(はあたくしが見たブルームバーグニュースのヘッドラインベース)に打ち込まれました。
R&Iのリリースより
http://www.r-i.co.jp/jpn/body/cfp/news_release_A/2011/10/news_release_2011-A-867_01.pdf
【格付変更/レーティング・モニター継続(格下げ方向)】
東京電力
発行体格付: (A−) → (BBB)
コマーシャルペーパー: (a−1) → (a−2)
・・・・・・・【格付変更/レーティング・モニター継続(格下げ方向)】ですので格下げをした上で格下げ方向のレーティングモニター継続とまあ折角の3連休前に何ちゅうリリースを出しやがるんじゃゴルァという感じでございますが、2ノッチ下げた挙句にレーティングモニター継続という下げ方で、下げ幅の2つも何だかなあという感じですが、このタイミングで下げてきたのには少々意外感が。
と申しますのはですね、
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/corporate/4050/9501/
東京電力(9501)
ということでR&Iさんの東電に関する最近のリリースが読めますけれども、直近の格下げリリースの前には『東京電力、信用力維持へ正念場―特別事業計画の行方注視
[2011.09.21]』ってのがあったんですよね。
http://www.r-i.co.jp/jpn/body/cfp/news_release_A/2011/09/news_release_2011-A-788_01.pdf
東京電力、信用力維持へ正念場―特別事業計画の行方注視 [2011.09.21]
・・・・・・ということで、原賠機構と東電が共同で作成する予定の特別事業計画の内容を見てからレーティングアクションを起こしてくるかなあとかあたくし的には思っておったのでございますが、最初の所にある格下げに関する背景説明に関しては(めんどいので引用はしません)まあそう言ってしまえばそうですよねとゆー風情でまあ何と申しますか。
金曜の引け後に出たという事もあって、まあ金曜日には具体的にどうこうという訳にも行かなかったとは思いますので、お問い合わせとかその他諸々の動きは今日になってからご登場という所なのではないかと存じますが、とりあえずこれで引き続きA格を維持しておられるJCR大明神様の動向が大大大大注目されると同時に、R&Iこのタイミングで格下げというのは何ですねん(いやまあさっきも申しあげましたが格下げリリースの内容自体はそらまあそうですけどねえムニャムニャという所でございます)とも言えるのですけれども、まあ経済産業大臣があの人なのも雰囲気悪くしていますよね。という所でございましょうか。
まあいずれにせよ、昨日の15時以降に関しては決定会合結果の話はどこぞへワープしてしまったですなあ的な気分であったという所でございましたですが、まあ本日の動きがどうなるやら(動くのか動かないのかという点も含めてね)という所でございましょうにゃ。
2011/10/07
お題「BOEとかECBとかまあ色々と」
夜にそうホイホイとネタが出てもですなあ(汗)。
○BOEは資産買入拡大決定
まあ昨日も申し上げましたが、前回のMinuteを見ると今月に資産買入拡大しても全くおかしくない勢いでしたが、11月のインフレレポートでやって来るのかなあとも思ったので、Minute見た最初の直感を維持すれば良かっただよ(汗)。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/news/2011/092.htm
Bank of England Maintains Bank Rate at 0.5% and Increases Size of Asset
Purchase Programme by £75 billion to £275 billion
動いた時だけは声明文がやたら長いのでネタになるだわさ。
『The Bank of England’s Monetary Policy Committee today voted to maintain
the official Bank Rate paid on commercial bank reserves at 0.5%. The Committee
also voted to increase the size of its asset purchase programme, financed
by the issuance of central bank reserves, by £75 billion to a total of
£275 billion.』
750億ポンドの追加資産購入の実施だそうで。
『The pace of global expansion has slackened, especially in the United
Kingdom’s main export markets. Vulnerabilities associated with the indebtedness
of some euro-area sovereigns and banks have resulted in severe strains
in bank funding markets and financial markets more generally. These tensions
in the world economy threaten the UK recovery.』
世界経済の拡大ペースは特に英国の主要な輸出先において弱まっており、ユーロ圏の一部の国のソブリンと金融機関の債務問題がもたらす脆弱性によって、銀行の資金調達および金融市場に極めて大きな制約をもたらしている。
『In the United Kingdom, the path of output has been affected by a number
of temporary factors, but the available indicators suggest that the underlying
rate of growth has also moderated.』
英国においては生産のパスは多くの一時的要因に影響されていますが、経済指標によりますと基調的な成長率は緩やかになっています。
『The squeeze on households’ real incomes and the fiscal consolidation
are likely to continue to weigh on domestic spending, while the strains
in bank funding markets may also inhibit the availability of credit to
consumers and businesses.』
家計の実質所得が(一時的な要因による物価上昇で)絞られている事や、財政再建の動きが国内の消費に引き続き重石となり、その間に銀行の資金調達市場における制約が(資金調達制約に起因する銀行貸出の抑制を通じて)消費者や企業のクレジットのアベイラビリティーを抑制します。
『While the stimulatory monetary stance and the present level of sterling
should help to support demand, the weaker outlook for, and the increased
downside risks to, output growth mean that the margin of slack in the economy
is likely to be greater and more persistent than previously expected.』
緩和的な金融政策スタンスと、現状のポンドのレベル(ポンド安)は需要を支えているものの、生産の伸びに対する先行き見通しがより弱く、下方リスク認識が高まっていることは、経済におけるスラックの程度が従来想定していたよりもより大きく、より持続的であるという事を示している。
『CPI inflation rose to 4.5% in August. The present elevated rate of inflation
primarily reflects the increase in the standard rate of VAT in January
and the impact of higher energy and import prices. Inflation is likely
to rise to above 5% in the next month or so, boosted by already announced
increases in utility prices.』
CPIインフレーションは8月には4.5%に上昇しました。足元の上昇しているインフレは主に1月のVAT引き上げと、エネルギーと輸入価格の上昇が要因です。インフレは既に決定している公共料金の引き上げの影響によって来月近辺には5%以上に上昇すると見られます。
『But measures of domestically generated inflation remain contained and
inflation is likely to fall back sharply next year as the influence of
the factors temporarily raising inflation diminishes and downward pressure
from unemployment and spare capacity persists.』
しかし国内要因によって引き起こされる物価上昇は引き続き抑えられており(と訳したけれども、要するに一時的な要因の2次的な物価引上げ効果が起きていない、という事を言いたいのだと思う)、インフレは一時的な上昇要因の剥落に伴い、来年になると大きく上昇率が低下するものと思われ、その要因は失業および経済における余剰生産力の存在による物価引下げ圧力です。
『The deterioration in the outlook has made it more likely that inflation
will undershoot the 2% target in the medium term.』
このような経済見通しの悪化によって、中期的にはインフレが2%のインフレ目標から下振れする可能性がより高まっていると思われます。
『In the light of that shift in the balance of risks, and in order to keep
inflation on track to meet the target over the medium term, the Committee
judged that it was necessary to inject further monetary stimulus into the
economy.』
上記のような先行き経済のリスクバランス認識の下方シフトおよび物価を中期的にターゲット近辺に保つため、という観点に基づき、政策委員会は追加の金融緩和が必要であると判断しました。
『The Committee therefore voted to increase the size of its asset purchase
programme, financed by the issuance of central bank reserves, by £75 billion
to a total of £275 billion. The Committee also voted to maintain Bank
Rate at 0.5%.』
これによって、政策委員会は中央銀行のリザーブによってファイナンスされる資産買入プログラムの総額を750億ポンド拡大し、2750億ポンドとする事を決定しました。また、政策金利は0.5%のまま据え置きました。
『The Committee expects the announced programme of asset purchases to take
four months to complete. The scale of the programme will be kept under
review. The minutes of the meeting will be published at 9.30am on Wednesday
19 October 2011.』
政策委員会は追加資産買入を4か月間で完了することを想定しています。買入プログラムの規模については今後も見直しの対象とします。議事要旨につきましては10月19日の午前9時30分に公表します。
・・・・・・・ということで思わずインチキ日本語訳をしてみました(下手くそなのはご勘弁)が、今回のポイントは「下振れリスクだけではインフレターゲットとの整合性が取れないので直球ストレートで物価見通しを下げてきた」というのが一番大きくて、まあその見通し変更の中では「経済のスラックが予想よりも大きい」「失業と経済の余剰生産力が先行きの物価を押し下げる」という認識を示した部分が従来(というか2か月前くらいまでというか)のややどっちつかずの認識から一気に進めてきた感じです。
まあこうなってきますと、5%に上昇した物価が来年の前半にとっととターゲット近辺に低下してくれないとBOEのクレディビリティーの問題になりかねないですけれども、まあそこは頑張って勝負したという感じですな。いやまあこの状況で引締めとか有り得ないですけど、量的緩和じゃなくて何らかの信用緩和をするという選択肢もあったんじゃないかなあとは思うのですけれどもね。というのは、上記の認識にもありますように、金融機関のファンディング市場のストレスが銀行の貸出チャネルを通じて景気に悪影響を与えるリスクを指摘しているので、直接的に金融機関のファンディング市場に突っ込んで行くという手もあったんじゃないかなあという事なのです。まあリザーブ拡大に繋がる資産買入拡大自体は短期金融市場の緊張を緩和する効果がありますけれども、欧州銀行問題が短期金融市場の信用収縮になった場合はリザーブ拡大の効きが悪くなりますので。
まあいずれにせよBOEも中々大変ですなあという感じですな、うんうん。
○ECBは利下げしないで資金供給拡大&カバードボンド購入という信用緩和政策
まあこれはこれで筋が通っている罠ということでトリシェ総裁最後は結局正常化政策が盛大に空振りして終了ですかそうですか。
http://www.ecb.int/press/pr/date/2011/html/pr111006.en.html
6 October 2011 - Monetary policy decisions
『At today’s meeting, which was held in Berlin, the Governing Council
of the ECB decided that the interest rate on the main refinancing operations
and the interest rates on the marginal lending facility and the deposit
facility will remain unchanged at 1.50%, 2.25% and 0.75% respectively.
The President of the ECB will comment on the considerations underlying
these decisions at a press conference starting at 2.30 p.m. CET today.』
今回の理事会はベルリンで実施したんですかと変な所に目が行くあたくし(^^)。
http://www.ecb.int/press/pressconf/2011/html/is111006.en.html
Introductory statement to the press conference
Jean-Claude Trichet, President of the ECB,
Vitor Constancio, Vice-President of the ECB,
Berlin, 6 October 2011
でまあ全部読む時間も語学力もありませんので最初の2パラグラフだけ。
『Based on its regular economic and monetary analyses, the Governing Council
decided to keep the key ECB interest rates unchanged. Inflation has remained
elevated and incoming information has confirmed our view that inflation
is likely to stay above 2% over the months ahead but to decline thereafter.
At the same time, the underlying pace of monetary expansion continues to
be moderate.』
この辺の認識は(めんどいので前回のは引用しませんが)あまり変わっていない(物価について「来年になって低下する」というのが「今後低下する」と変化しているのがどういうインプリケーションなのかが微妙だが)です。
『Ongoing tensions in financial markets and unfavourable effects on financing
conditions are likely to dampen the pace of economic growth in the euro
area in the second half of this year. The economic outlook remains subject
to particularly high uncertainty and intensified downside risks.』
ここの部分が前回の声明文の冒頭部分では指摘していなかった点になります。金融市場の混乱によって先行きの不確実性が極めて高まり、下方リスクを高めているというのを冒頭の全体認識部分に持ってきていますので、どうみてもスタンスは緩和方向寄りに変化でしょう。
『At the same time, short-term interest rates remain low. It remains essential
for monetary policy to maintain price stability over the medium term, thereby
ensuring a firm anchoring of inflation expectations in the euro area in
line with our aim of maintaining inflation rates below, but close to, 2%
over the medium term. Such anchoring is a prerequisite for monetary policy
to make its contribution towards supporting economic growth and job creation
in the euro area.』
短期金利の水準は引き続き低いという話の後はまあいつもの話なのでスルー。
『A very thorough analysis of all incoming data and developments over the
period ahead is warranted. 』
今後入手される全てのデータや経済状況の極めて徹底的な分析が必要ですとかわざわざ入れてる(前回は無かった)のはまあ警戒スタンスを示したちゅう事でしょうかねえ。
『The Governing Council has decided to conduct two longer-term refinancing
operations (LTROs), one with a maturity of approximately 12 months in October
and the other with a maturity of approximately 13 months in December. The
operations will be conducted as fixed rate tender procedures with full
allotment. The rate in both operations will be fixed at the average rate
of the main refinancing operations (MROs) over the life of the respective
LTRO, and interest will be paid when each operation matures. These operations
will be conducted in addition to the regular and special-term refinancing
operations, which remain unaffected. 』
ということで、今回はLTROの追加実施ということで、10月に12か月物、12月に13か月物(年末を2度越えるということだな)の固定金利(レートは期間中の政策金利水準の平均値を適用するので利下げを食らっても別に損はしませんぜ旦那という事だ)、応募額は全部出します無制限(担保は必要だが)というのを実施するとゆー事で案の定流動性拡大策を実施(利息は後取りで、このオペは新規で追加するので今までアナウンスした資金供給はそれはそれで実行という説明もしています、為念)。
また、カバードボンド買入がどうのこうのとかのアナウンスも。
http://www.ecb.int/press/pr/date/2011/html/pr111006_3.en.html
6 October 2011 - ECB announces new covered bond purchase programme
『The Governing Council of the European Central Bank (ECB) has today decided
to launch a new covered bond purchase programme (CBPP2). 』
なんだこのCBPP2って変な略称だなとかそういう所に目がいくあたくし。
『The programme will have the following modalities:
・purchases will be for an intended amount of 40 billionユーロ(←すいませんアップローダーの関係で表記改変です);
・purchases will have the capacity to be conducted in the primary and secondary
markets and will be carried out by means of direct purchases;
・purchases will begin in November 2011 and are expected to be completed by the end of October 2012.
Further details regarding the modalities of CBPP2 will be announced after
the Governing Council’s meeting on 3 November 2011.』
詳しくは11月3日に決めるそうですが、400億ユーロカバードボンドを1年間掛けて購入するとかなんとか仰せのようです。
・・・・・・ということで、まあECBは利下げは行わずに信用緩和方向での金融緩和拡大というこちらはある意味順当な結果になりましたな。
○その他少々
・これは面白そう
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2011/wp11j07.htm/
『金融マクロ計量モデル』の概要
論文はこちら
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2011/data/wp11j07.pdf
『要旨
本稿は、日本銀行で開発を進めている『金融マクロ計量モデル』(Financial Macro-econometric
Model、以下FMM)の解説である。FMMは、金融セクターとマクロ経済セクターの2部門からなる中規模・構造モデルである。FMMによって、金融・実体経済間のフィードバックが生み出す様々な現象を定量的に分析することが可能となった。FMMの最大の特徴は金融セクターにある。銀行のリスク管理行動を現実に即してモデル化しており、その構造は世界でも数少ないものである。こうしたFMMは、特にマクロ・ストレス・テストに用いるものであり、金融システムの頑健性やそのマクロ経済への影響を様々な角度から整合的に検証することができる。』
で、その説明はこちらにありますが、当然のごとく最初の数ページと図表を斜め読みしただけな上に、あたくしの頭の構造はハクション大魔王なみに数字に弱いと来たもんですから(・・・・・というネタを振ってもポカーンという人の方が多いのか。ちなみにあたくしハンバーグは大好物でごじゃりますよ^^)まあ読んでもポカーンなのですが、呻吟しながら読むと(連関図とかもあるから)計算式はともかくとしてどういう理屈で作っているのかはもしかしたら何となく頭に入るかもしれませんなと密かに期待。
・往生際の悪い人
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-23514720111006
東電向け債権の放棄、可能性としては否定されない=枝野経産相
2011年 10月 6日 16:11 JST
『[東京 6日 ロイター] 枝野幸男経産相は、6日午後の参議院復興特別委員会で、東京電力(9501.T:
株価, ニュース, レポート)に融資する金融機関に対して、「債権放棄を求めたことはない」と述べた。一方、「ステークホルダーに協力を求める、その可能性としては否定されるものではないと今も思っている」と指摘した。』
あーはいはいそうですかそうですか往生際の悪い人は困ったもんですね、としか申し上げようが無いのですけど、政権与党が変わった訳でもないのに海江田さんと全然違う話をするとかふざけるなと申し上げておきましょう。
2011/10/06
お題「期初進行につき超簡単雑談で勘弁(汗)」
おおやにきさんのこの公務員住宅に対する報道へのツッコミは妥当なツッコミだと思うのですよね。いやまあおおやさんも仰っているように「最終的な賛否については色々と意見があろうな」とは思いますけど、メディアもこの手の批判報道するならするで、筋の通らない煽りではなくてちゃんとした批判をして欲しいという事ですよね。
http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000818.html
○日本と米国と欧州が決定会合でござるが
日本に関しては特段別に何をしないといけないという訳でもないでしょうからスルーだと思うのですけれども、相変わらず外野方面では「追加緩和は今回か次回か」とか金融政策ってのはそう毎回ホイホイ変更するものじゃないんですけどと思う言説も微妙に飛んでいるようでございますが、さすがに債券市場は今回別に何があるとか思ってはいないので無風のイメージかと。
特に日本市場単体で信用不安がある訳でもなく、クレジットスプレッドがおかしくなっている訳でもなく、レポ市場は相変わらず低位安定してるし、CPレートも低いしということで信用緩和方面でどうこうというのも無いですし、それこそオペレーションツイスト的な事をされましても既に10年1%を割ったりしている中で「長期金利を下げて緩和効果」とか言われましても何その民業圧迫としか思えませんので。
いやまあごく個人的にはETF買入の拡大をしたらどないよとは思ってますけどね。
欧州は昨日雑談書きましたように、利下げするには直近のHICPがアレですし、そもそも足元の問題は利下げしたからどうなるというよりも、信用緩和政策と資金繰り支援のための流動性供給拡大を実施する方が課題ですから、逆に言えば変に利下げだけしてやった気になっても困るという感じでしょうか。
英国はこの前のMPC議事要旨を見ると今にも追加緩和実施のような勢いになっていますが、資産買入拡大をしてじゃあ何に効くのやらというのが結構微妙な気がするというか、単にスタグフレーション拡大になってしまうのではないかというアレな展開になりそうな悪寒もするんですけどね。よー知らんけど。
ということで、全般的には「追加緩和をするかもしれません」モードで引っ張る、ただしECBに関しては流動性供給に関して何らかの追加措置を実施するかもしれませんね、という所ではないかと思います。
#と書いて変なフラグになりませんようにナムナム
○TB3か月入札ェ・・・・・・
昨日は期初一発目の3か月TB入札(火曜に6か月入札やってますので念のため)。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul231005.htm
国庫短期証券(第228回)の入札結果
(3)募入最低価格 99円97銭4厘0毛
(募入最高利回り) (0.0978%)
(4)募入最低価格に 87.8207%
おける案分比率
(5)募入平均価格 99円97銭4厘4毛
(募入平均利回り ) (0.0963%)
・・・・・・先週の入札で6月15日以来の平均0.10%乗せキタコレとか申し上げた訳ですが、期が変わった途端にこれでございますわよ嫌ですねえ奥様とか思っておりましたら入札前のアオリイカ攻撃に煽られた動きもあったようでその後ヘロヘロになって0.099レベルとかだったみたいですけれども、まあ期末にあれだけやる気無さそうな入札だったのは何だったんですねんという所ではございます。
昨日はスルーしましたけど、火曜の6か月TB入札が前回(9月の頭)並みの結果になっていまして、まあ別にあたくしは普通じゃないのとか思ったのですけれども、どうも強い入札だったとかいう評価もあったみたいですな。あたくし思いますに0.10%という補完当座預金金利の所を境に投資家のニーズがデジタルに違ってくる筈なのですから、0.10%を割った所での入札をアホのように突っ込む必要も無く、0.10%乗った所での入札をドン引きする必要も無いとゆーただ単にそれだけの事じゃネーノという感じですけど。
いずれにせよ、量的緩和状態になっていてGCレートがどうなっても間違って上昇して0.105%程度という状態が続いている中でそう簡単に短国のレートは上昇しませんし、その一方で0.10%割れを恒常的に買う人のニーズだけで現在の発行額が常に捌ける訳ではないので、利下げの思惑でも出ない限りは短国のレートがそう極端にも突っ込まないでしょ、という感じではないでしょうか。まあ当たり前の話ですけど。
○昨日の東電報告書ネタの続きの雑ネタ
例によってこのPDFはアホほど重いので注意。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keieizaimutyousa/dai10/siryou1.pdf
・ちゃんとしたレポートもだいぶ揃ったようで
昨日は本職の皆様のレポートがここぞとばかりに出てきましたが、まあそうだろうなあと思いますのは、結局の所この委員会は何かを決める委員会ではないので、今後は賠償機構と東電の間で色々と協議していくという話になる、ということなので現時点で決め打ちできませんわなという所でしょう。
ただ、昨日あたくしも読んでて思ったのですが、『関係者への協力要請と経営責任』のところで社債の話を全く触れないとか、まあ法的に無理筋な話だし、こんな所で金融市場の混乱を引き起こしてこのご時世の中いきなり日本市場がぶっちぎりで地雷を盛大に踏むようなアホウな事は最初からテーブルに乗せる気も無いというのは、極めて当たり前は当たり前なのですが、まあ穏当な線ではないかという印象を受けるのであります。
つーかね、元々の事故前における法的な建付けとか、社債の一般担保とかの前提を考えたら、こんなに債券市場的に大騒ぎになる必要は無かった筈なのですが、何せ枝野官房長官(当時)の無法発言(5月の債権放棄要請発言もそうだが、3月の原賠法の巨大災害免責条項に関しての検証を行う事とか全然しないでいきなり免責条項を無効化しちゃったのも無法な話でしょ)を機に「政治によって今までの金融取引の前提条件がひっくり返されるリスク」を織り込みに行き、まあその後は発送電分離だの値上げケシカランだの賠償はどんどん出そうとか言い出すとか、まあ更に同社の収益能力に関する見通しを悪化させる方向になってきましたね、という話になった訳ですよね、ここまでの動きって。
で、まあ先日の下河辺委員長の会見での発言を見たり、まあこの報告書の同社の資金繰りに関する部分とかのトーンを見ますと、まあ政治はポピュリズムスタンドプレーを実施していても、現場レベルではそのような無法プレイが出る訳でもないんだな、とは思わせてくれる内容ではございましたね、というような分析が多かったように思えますし、まあゼニに関する部分だけ浅ましく斜め読みしただけですけれども、その辺に関しては同意であったり致します。
・しかしこれは・・・・・・
報告書本文106ページ(ファイルの115ページ目)にこんな記述が。
『4.2.2.2 株式の引受け、資金の貸付け、社債等の取得及び債務保証』
『また、資金の貸付けに関しては、東電が締結している多くの金銭消費貸借契約において、担保差入(法律上当然に生じる一般担保を除く)が禁止されていることにも留意が必要である。』
この部分は今後の資金調達手段についての検討部分でして、今後の資金調達を行う際に、東電への追加融資に対して担保付でやったらどうよという作戦が難しいですよね、という点を指摘している部分であります。
さて、先週末に本件の主務大臣であらせられる所の枝野経済産業大臣様はこのように仰せになられたと報道がございました。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20111002-OYT1T00520.htm
『枝野氏は「担保権は損害賠償請求の権利よりも優先されるというのが民法の基本ルール」と説明。その上で、「銀行が担保権を行使すれば東電の財産は持って行かれる。ほとんど損害賠償の資金は残らない」とした。』(上記読売オンライン記事より)
>銀行が担保権を行使すれば東電の財産は持って行かれる。ほとんど損害賠償の資金は残らない
と枝野様が仰せの一方で報告書では
>東電が締結している多くの金銭消費貸借契約において、担保差入(法律上当然に生じる一般担保を除く)が禁止されていることにも留意が必要である。
との事なのですが、東電問題って事業の問題もさることながら目先は資金繰りをどうするかってのが大きな問題だと思うのですけれども、主務大臣として重要な課題だと思われる問題に対するご認識としてどうなんですかとツッコミを入れざるを得ない状態ではございます。が、この無法人間が「東電の担保でデカイのは一般担保で社債と政策投資銀行の借入が対象」とか認識すると今度は社債に「協力」を依頼とか無法な上に金融市場破壊のテロ発言をしかねないからこれはこれで良いのかもしれませんね(違)。
2011/10/05
お題「相変わらず海外ネタと東電関連とかですがだいたい雑談」
デクシアへの政府保証の時には反応してなかったと思うのですが、何でNYの引け際に株式は急に戻ったんざんすか・・・・・
○今週はECBの理事会もあるのですが雑談
まあ雑談である。
http://www.ecb.int/mopo/html/index.en.html
『Monetary policy』って所でまあシンプルに説明しているのですけれども、そちらにはこのように。
『Objective』
『The primary objective of the ECB’s monetary policy is to maintain price
stability. The ECB aims at inflation rates of below, but close to, 2% over
the medium term.』
ということなのですが、そこには物価動向の表示もありまして。
『Inflation refers to a general increase in consumer prices and is measured
by an index which has been harmonised across all EU Member States: Harmonised
Index of Consumer Prices (HICP). The HICP is the measure of inflation which
the Governing Council uses to define and assess price stability in the
euro area as a whole in quantitative terms. Inflation in the euro area
(annual percentage changes, non-seasonally adjusted)』
てな事でそこにHICPの推移のグラフがあるのですが、そこの直近の数字を見ると思いっきりHICPが上昇しております(直近は+3.0%)次第でして、いやまあマーケット的にも金融市場の状況的にも利下げでしょとか思うのですけれども、ECBの政策目的という観点からすると利下げも苦しいですなあとか思った次第なのでECB理事会前にメモだけしてみただよ。
ちなみに、そこのグラフに『Average inflation since 1999』というのがあって、2%ですよというのがあるのですが、ユーロ導入以来このように成功してますよとか思いっきり書いているのがチャーミング。
・・・・・・・まあ利下げよりも足元で必要なのは信用緩和ですから、利下げは後回しでも良いっちゃあ良い(えーっと、なんかリーマンショック後に日々「利下げしたってGCレポレーととかCP発行金利が上昇してちゃあ意味が無いんだが」と悪態をついていた日々を思い出す訳だが)のですけどね。
○バーナンキ議長の議会証言なんぞ全部読める訳はありませんが
http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20111004a.htm
当然ながら起き抜けで全部読むのは無理であるので最後のインフレの所と金融政策のところだけ(つまりそこまでの経済見通しの話はスルーであるが、それって意味があるのかお前というツッコミはしないようにお願いします)。
『Returning to the discussion of the economic outlook, let me turn now
to the prospects for inflation. Prices of many commodities, notably oil,
increased sharply earlier this year, as I noted, leading to higher retail
gasoline and food prices. In addition, producers of other goods and services
were able to pass through some of their higher input costs to their customers.』
『Separately, the global supply disruptions associated with the disaster
in Japan put upward pressure on prices of motor vehicles. As a result of
these influences, inflation picked up during the first half of this year;
over that period, the price index for personal consumption expenditures
rose at an annual rate of about 3-1/2 percent, compared with an average
of less than 1-1/2 percent over the preceding two years.』
と、ここまがインフレの現状ですな。
『As the FOMC anticipated, however, inflation has begun to moderate as
these transitory influences wane. In particular, the prices of oil and
many other commodities have either leveled off or have come down from their
highs, and the step-up in automobile production has started to reduce pressures
on the prices of cars and light trucks. Importantly, the higher rate of
inflation experienced so far this year does not appear to have become ingrained
in the economy.』
でもFOMCの予想通りに足元の一時的な要因が弱まった結果、インフレは緩和中とな。
『Longer-term inflation expectations have remained stable according to
surveys of households and economic forecasters, and the five-year-forward
measure of inflation compensation derived from yields on nominal and inflation-protected
Treasury securities suggests that inflation expectations among investors
may have moved lower recently.』
長期的なインフレ期待は安定していると。
『In addition to the stability of longer-term inflation expectations, the
substantial amount of resource slack in U.S. labor and product markets
should continue to restrain inflationary pressures.』
米国の労働および生産市場のかなりの規模のスラックがインフレ圧力を抑制しますと。
・・・・・ということでまあその辺はいつもの話ですな、うんうん。
『In view of the deterioration in the economic outlook over the summer
and the subdued inflation picture over the medium run, the FOMC has taken
several steps recently to provide additional policy accommodation.』
(その部分は引用してませんが)経済の見通しの悪化と、中期的なインフレが抑制されているという見通しのもと、FOMCは追加緩和施策を順次実施していますと。
『At the August meeting, the Committee provided greater clarity about its
outlook for the level of short-term interest rates by noting that economic
conditions were likely to warrant exceptionally low levels for the federal
funds rate at least through mid-2013.』
まあこれが本当にgreater clarityなのかというツッコミはあるものの、まあ時間軸"のようなもの"を8月に導入したと。
『And at our meeting in September, the Committee announced that it intends
to increase the average maturity of the securities in the Federal Reserve's
portfolio. Specifically, it intends to purchase, by the end of June 2012,
$400 billion of Treasury securities with remaining maturities of 6 years
to 30 years and to sell an equal amount of Treasury securities with remaining
maturities of 3 years or less, leaving the size of our balance sheet approximately
unchanged.』
でこちらが前回のツイストオペとMBS等の償還再投資再開ですが、size of our
balance sheet approximately unchangedってわざわざ言っているのが議会対策と。
『This maturity extension program should put downward pressure on longer-term
interest rates and help make broader financial conditions more supportive
of economic growth than they would otherwise have been.』
ツイストオペは長期金利に低下圧力をかけて、幅広い金融環境をもたらして経済に効果をもたらすとの事ですが、さてどうなるのでしょうかねえ(棒読み)。
『The Committee also announced in September that it will begin reinvesting
principal payments on its holdings of agency debt and agency mortgage-backed
securities in agency mortgage-backed securities rather than in longer-term
Treasury securities. By helping to support mortgage markets, this action
too should contribute to a stronger economic recovery.』
MBS等の償還再投資はモーゲージ市場のサポートになると。
『The Committee will continue to closely monitor economic developments
and is prepared to take further action as appropriate to promote a stronger
economic recovery in a context of price stability.』
で、必要なら追加緩和しますよという話ですがまあ当たり前の話と言えば当たり前の話で、特に具体的に何をやるとかいう手の話は全部スルーしていますな。当然ではありますが。
そして最終パラグラフがチャーミング。
『Monetary policy can be a powerful tool, but it is not a panacea for the
problems currently faced by the U.S. economy.』
金融政策は力強い道具だが、米国経済が現在直面する問題に対する万能薬ではありません(キリッ)。
『Fostering healthy growth and job creation is a shared responsibility
of all economic policymakers, in close cooperation with the private sector.
Fiscal policy is of critical importance, as I have noted today, but a wide
range of other policies--pertaining to labor markets, housing, trade, taxation,
and regulation, for example--also have important roles to play.』
健全な成長と雇用の創出には全ての政策担当者が責任を負わなければいけません、ということで議会ちゃんとしやがれやゴルァという話をしておいででござる。
『For our part, we at the Federal Reserve will continue to work to help
create an environment that provides the greatest possible economic opportunity
for all Americans.』
ということでワシらはちゃんとやっとるけえ議会はしょーもないことやっとらんとはよ働けえやというのが議会証言の締めでありました。なお、経済に関する部分はそのうち読みます(^^)。
○東電関連
報告書どこにあるのかと思ったらこちらのページにリンクが。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keieizaimutyousa/dai10/gijisidai.html
東京電力に関する経営・財務調査委員会(第十回)
議事次第
内閣官房のサイトから「トップページ>政策課題>東京電力に関する経営・財務調査委員会」で辿れますにゃ。
で、そこのケツにリンクがありますが。
(資料1) 委員会報告
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keieizaimutyousa/dai10/siryou1.pdf(PDFで230ページあるので注意)
(資料2) 委員会報告(概要版)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keieizaimutyousa/dai10/siryou2.pdf
でですな、報道ベースだと概要版の所を主に説明していると思うのですけれども、この報告におけるシミュレーションとかの前提となる話や、事業の先行きに関する部分とかを読むという話になったら、やはり委員会報告の本編を読まないと内容が把握できないと思われます。
で、報告書の本文が167ページあるという代物ですので、そらまあ本職の方のレポートも即日は出てこんわなと思った次第でございますが(^^)、まあ安直にも程があるあたくしは東電の資金繰りと今後の資本政策の所を斜め読みするだけ斜め読みしてみた。
・・・・・んでもって適当に引用してみますけれども、まあ本件は色々とアレでございますので、本職ではないあたくしがあまりああだこうだ言うのも何ですからちゃんと委員会報告しかも本文の方を穴が開くほど読めやと存じますので念のため。
本文99ページ(PDFの108ページ)に『3.5 資金繰り分析』というのがあるだよ。
『(2) 平成24 年3 月期における資金収支の概況
東電が提出した資料に基づいて算定した平成24 年3 月期の資金収支によれば、当該期末における現預金残高は、主に以下の要因により前期(平成23
年3 月期)末に対して1 兆3,019 億円減少し、8,325 億円となる見込みである。
@ 燃料費負担の増加(前年比増加見込額:9,778 億円)(説明部分引用割愛)
A 財務収支(資金調達から債務償還を差引いた純収支:△5,041 億円)(説明部分引用割愛)
B 1F 及び2F の安定化費用・冷温停止維持費用の発生(当期支払見込額(税込):2,439 億円)(説明部分引用割愛)』
ほほう。
『(3) 1F 事故後の資金調達環境
従前、東電は運転資金及び設備投資資金を社債発行、メガバンク3 行ならびに日本政策投資銀行を中心とした銀行借入により調達するとともに、月末定時払いに係る短期資金をコマーシャルペーパーにより調達する等、資金使途に応じて弾力的かつ低コストでの資金調達が可能であったが、平成23
年3 月期決算が1 兆円を超える赤字決算に至ったことに伴い、足元の資金調達環境は厳しい状況となっている。
東電の信用格下げに伴い、資金市場からの社債又はコマーシャルペーパーによる直接調達が困難であるなか、東電は平成23
年6 月に全取引金融機関に対し、平成23 年3 月末融資残高の維持(若しくはそれ以上の支援)を要請するなどした結果、短期借入金については平成23
年4 月から8 月までに返済期日を迎えた3,030 億円の全額について借換えが実現している。』
ほほう。
『一方、長期借入金については、設備投資資金の調達となるが、平成24 年3月期においては日本政策投資銀行からの緊急融資1,000
億円を除き長期借入の新規借入れ・借換えは実行されていない。』
ほうほう。
『なお、平成25 年から平成26 年3 月期においては、引き続き電力需要、燃料費負担、財務収支、1F
及び2F の安定化・冷温停止維持費用等の動向等に注視が必要な状況にある。』
そらまあそうですな。
でですな、その後の本文103ページ(PDFファイルでに112ページ)『4
今後10 年の数値ベースの事業計画及び資本政策の検討』というのがありまして、報道されているように原発再稼働するかどうかとか電力料金を引き上げるかどうかという条件の下での東電のB/S、P/Lおよび資金繰りについての3種類のシミュレーションがあるのですが、そもそもそのシミュレーションの大前提があるのに注意が必要かなと思いました。本文103ページにありますけどね。
『上記の前提条件のほかは、いずれのシミュレーションにおいても、他の要素による影響を排除するため、下記の前提で試算した。』
・特別負担金の支払は考慮しない
・社債発行や借入による新規資金調達は考慮しない
・借入金は、緊急融資を除く平成23 年3 月31 日以前に実施された借入金債務については10
年間残高維持がなされると仮定し、3 月11 日以降に実施された緊急融資合計額1
兆9,650 億円については約定通りの返済が実施される
・料金値上げ後の値下げについては考慮しない
・退職給付に係る制度変更については、2.4.4.4 に示す3 案のうち、暫定的に乙案により試算している。
という辺り微妙に留保条件があるのには注意したいですな、うんうん。結論は報道されていた通りでして、本文105ページ(PDFファイル114ページ)の最後にこのように。
『この結果、原子力発電所稼働ケースでは、@料金改定(値上げ)なし、A5%値上げ、B10%値上げ、のいずれのパターンにおいても、実態純資産調整項目考慮前の段階で資産超過が維持できると試算されたが、原子力発電所の稼動時期が遅れるとともに、徐々に純資産が減少するリスクが拡大する試算結果となった。』
『他方、資金面では原子力発電所稼働ケース、1 年後原子力発電所稼働ケースともに、料金値上げの状況に応じて約7,900
億円から約4 兆3,000 億円の不足資金が発生することから、資金調達策の検討が必要な状況となっている。さらに、原子力発電所非稼働ケースにおいては、上記の料金値上げのパターンに応じて、約4
兆2,000 億円から約8 兆6,000 億円の資金調達が必要との結果が出ており、著しい料金値上げを実施しない限り、当該前提で事業計画の策定を行うことは極めて困難な状況にあるものと思料される。』
だそうな。
でですね、本文109ページ(PDFで118ページ)に『5 関係者への協力要請と経営責任』というのがありますが、そこの章立てを見ると『5.1.1
金融機関に対する協力要請』『5.1.2 株主に対する協力要請』というのがありますが、社債の社の字も出てきませんな。まあ一般担保付いてるし公募して流通しているものなんですから当たり前っちゃあ当たり前ですが、そんな章があったらそれだけで縛り首ものだろと思いますので無いのは金融屋的に当然ではあるが大変に結構なお話。
『5.1.1 金融機関に対する協力要請』
『金融機関に対する協力要請としては、一般論として、債権放棄、債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)、金利減免、残高維持又はリスケジュール、追加貸付等の方法が考えられる。
3.3 に記載のとおり、平成23 年3 月末の実態連結純資産が1 兆2,922 億円と試算され、東電が資産超過の状態にあることからすると、金融機関に債権放棄又は債務の株式化を要請することは困難な状況にある。なお、東電が平成23
年6 月に全金融機関に対して送付した支援要請文書には、「貴社との取引において金利減免や債権放棄といった類の支援を、当社から要請することはないと申し添えます」との文言が記載されている。』
・・・・・・・東電がそういう話をしているのに大臣が・・・・いやもういいです。
『この点、東電では、4.2.3 に記載のとおり、金融機関に対して、緊急融資を除く3
月31 日以前に発生した借入金債務を対象に、10 年間という長期に亘る残高維持等を要請する予定とのことである。』
まあ要請するのは良いのですが、金融機関も株主や預金者がいる訳でして、その方々に対して違背するような行為は出来ませんので、その辺をちゃんと落とし前をつけてくれ無いと困ります罠。
『当該要請が金融機関に対する協力要請として十分な要請であるか否かについては、特別事業計画の策定の過程において、今後、支援機構において検討されるべきである。』
まあこの委員会は何を決めるという場所じゃないですから当然ですが、結局のところ特別事業計画の策定でどうなるという話になるんでしょうな。
『また、その際、上記実態連結純資産の試算は、支援機構が資金交付により損害賠償債務の支払原資を供給することが前提になっているため、このような前提を置いて実態連結純資産の試算を行うべきかどうかについては議論がありうるところであり、その結論を踏まえた検討も必要である』
ふーん(棒読み)。
次のページに『5.1.3 まとめ』って章があります。
『関係者に対する協力の要請が十分であるか否かについては、東電に対し必要となる資金援助の総額や、過小資本の解消の必要性等に基づいて、支援についての支援機構と関係者(金融機関、株主等)との負担のバランス等を踏まえた総合的な検討の上で、支援機構が判断すべき事項であると考えられる。』
ということで、結論は事業計画策定にある程度の形が出来るんでしょうな、とは一応思うのですけれども、グダグダと時間が掛かるのだけは勘弁して欲しいものです。
○相場と全然関係ないがこれは幾らなんでも酷い
http://www.yomiuri.co.jp/election/local/news/20111003-OYT1T00722.htm
橋下氏の維新の会、大阪市職員の選別作業始める
『ある市幹部は「公務員は首長の政策を実現するための存在。平松市長が都構想に反対する以上、敵対的と映ろうが、市長選前からとやかく言われる筋合いはない」と反論。別の幹部も「知事は公務員のことを分かってない。頭ごなしに命令しても面従腹背の職員が増えるだけだ」と話した。』(上記URLより)
・・・・・・俺様は選挙で当選する筈だから今の首長の指示通りに仕事をする公務員は俺様が当選したら左遷だって国民社会主義ドイツ労働者党だってそんな事してなかったぞと思うのですが、どうしてこんな事になるんだか。これってどんな「指導者原理」だと思うのですけど相変わらずメディア受けが良い(らしい)のが訳判らん。
今の政権がやばそうだから首長の指示に従わない公務員がいたらそっちの方がよっぽど問題だろ常識的に考えてと思うのですが、この人たちはどういう脳味噌の構造をしているのかサパーリ理解致しかねますな。
つーかさ、選挙結果の度に政権与党が公務員人事を壟断して色々と問題が起きた結果、政党政治への不満が高まって・・・・・って展開って昔の日本でもあったような気がするんですがねえ。大阪ってどうなっちゃうんでしょうと思うのですが、
まあしかし何ですな、どこかの元官房長官現経済産業大臣といい、法曹出身でポピュリストプレイをするのが好きな政治家って何で法の枠を平気で乗り越えようとするんでしょうかねえ。「法の支配」をベースに仕事をしてた筈なのにねえ。
2011/10/04
お題「東電報告書/短観/生活意識アンケート」
何だかね、朝霞の公務員宿舎って老朽化した既存の宿舎のリプレースの筈で、老朽化した方は売却してネットでプラスって言ってたんじゃ無かったんでしたっけと思うのですが、それがどう被災者感情だの国民感情だのになるんだか判らんがな。などと言うと最近は役人の犬扱いされるんでしたっけ。まあ犬で結構ですけど。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2011100202000039.html
と軽く毒出しデトックスをしたのであとは普通に(^^)。
○委員長は一応普通の話をしているみたいですが
昨日のQUICKで報道されてたみたいですが。
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381949EE2E1E2969A8DE2E1E3E2E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
東電の債権放棄「第三者委は政治論を展開しない」 下河辺委員長
2011/10/3 18:13
以下上記URLの記事から。あまりにも素敵なので全部引用してどうもすいません。
『東京電力(9501)に関する経営・財務調査委員会の下河辺和彦委員長は3日夕、野田佳彦首相に報告書を提出後記者会見し、金融機関に対する債権放棄を求めなかった点を「東電が形のうえで債務超過になっていないと認識せざるを得なかった現状において、委員会は政治論を展開する役割ではないので、債権放棄を強く求めるべきだ、というようなことは到底書ける話ではない」と説明した。』
ほほう。
『そのうえで「政府などが『道義的責任を果たせ』などと言ってみても、言われた金融機関にも株主がいる。法律的に最低限の理屈が通らない話は、銀行の経営としてはにわかに応じることはできない」とも語った。』
道義的責任云々の部分に関しては全くもってその通りでございます。道義的責任とかアホか馬鹿かという話を思いっきりしておられる所は大変に素晴らしいと思うのですけれども、何気にここで下河辺さんは「今の政治主導は『法律的に最低限の理屈が通らない話』を押し付けている」という事を仰せになっておられる訳でして実にこう楽しい事でもございます。
『報告書は東電が資産超過の状態にあるため、債権放棄を求めるのは困難との見解を示している。金融機関に甘い姿勢との批判に下河辺委員長は「委員長の立場で(金融機関などに対する姿勢が)甘いとかきついとか厳しいとかいうことをお答えする限りではない」とかわした。〔日経QUICKニュース〕』
どうせ会見で「金融機関に甘い」とか「何で債権放棄を要求しないんだ」とかいうような無理筋質問(いや別にまあ破綻処理したけりゃしてもそれ単体では筋は通りますが、それで国全体としての損失最小化(事故は事故なのだからどう頑張っても損失は出るがな)に繋がるかを考えれば破綻処理は無理筋でしょと思うのだが)がバンバン出たので途中でいい感じでぶち切れたか何かじゃネーノと思うのですけれども(^^)、委員長はまあ普通の発言してるじゃないのとは思うのでございました。
まあ今回の報告書ですが、ああでもないこうでもないと報道は出ますが、どうせ報道ベースだけ見ているとセンセーショナルな部分だけクローズアップされてしまうので、あまりヘッドラインに一々反応しないのが吉かと思います。まあ暇なら報告書熟読すべきなのですが期初月初進行で中々アレでございますので本職の方の分析が出たら読むという事で(手抜き)。
ただまあ電気料金の問題に関しては他の電力会社の価格設定にも影響が及ぶ話になりそうだなあと思うのと、報道ベースだけ見ているとこの「値上げ」の話が燃料費の調整の値上げの話と、災害復旧や事故賠償に伴う値上げの話との区別が判りにくい所がまたアレでございまして、燃料費の調整による値上げの部分まで手を入れられそう(野田首相とかが「料金体系の見直し」って言ってるし)なのと、そもそも燃料費調整の値上げすら今後しんどくなるのじゃないかと懸念する所ではございます。
○んでまあ短観
短観である。
http://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2011/tka1109.pdf
・前回の先行き予測DIの達成状況
(6月時点) (9月時点)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 ▲9→+2 +2→+4
製造業中堅企業 ▲12→▲7 ▲3→▲2
製造業中小企業 ▲21→▲15 ▲11→▲12
非製造業大企業 ▲5→▲2 +1→+2
非製造業中堅企業 ▲17→▲16 ▲8→▲10
非製造業中小企業 ▲26→▲29 ▲19→▲22
前回は思ったほど落ちなかったかなあとか思ってみたこの短観の数字ですけれども、今回は何と言いましても「6月時点での予測数値よりもほぼ改善(製造業大企業だけは予測数値ドンピシャ)」というのが特徴ということで、まあ簡単に言ってしまえば「震災の直接的な影響が剥落した」という話なのでしょう。先行きの数字が弱めですねというケチのつけようは勿論あるのですが、大体の場合景気回復期って「先行き予測DIが控えめに出る」→「実際にはもう少し改善したDIが出る」というループが続き、そのうちピークになると「先行きDI予測が未達になってくる」という風になるのが短観DIの仕様ですので、まあ6月は震災の落ち分があるので微妙ではあるのですが、ここのDI推移だけ見ていると普通に回復局面ですよね、という話になるでしょう。よーするに12月短観でこのトレンドが継続するのかどうかで、継続すれば実は回復はホンモノという事なんでしょ。
・雇用判断DI
(6月時点) (9月時点)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 +8→+5 +5→+4
製造業中堅企業 +10→+6 +6→+3
製造業中小企業 +14→+8 +8→+6
非製造業大企業 +4→+2 +3→+1
非製造業中堅企業 +4→+2 +0→▲2
非製造業中小企業 +6→+3 +1→+0
引き続き非製造業のDIの方が強めで、よくよく見たら先行きDIでマイナス(というのは人手不足ということ)まであるのですか、なんかホンマカイナという感じですが。
・想定為替レート
普段は華麗にスルーしますが、今回は反応。
(参考)事業計画の前提となっている想定為替レート(大企業・製造業)
(円/ドル) 2010年度全体(上期)(下期) 2011年度全体(上期)(下期)
2011年6月調査 86.03 89.00 83.05 82.59 82.59
82.59
2011年9月調査 − − − 81.15 81.26
81.06
・・・・・・・・全然レートが変わっていませんなあorz
・相変わらずの金融商品取引業クオリティ
金融機関の業況判断等って所にあるのですが、本当は以前のようにカテゴリーが「証券会社」になっていた時(「投資業等」が貸金業と一緒に集計されていた)の方が面白かったのですが。
(6月時点) (9月時点)
現状→9月予測 現状→12月予測
金融商品取引業 ▲40→▲17 ▲44→▲30
しかし毎度思うのですが、確かにまあ市況産業だしビジネスサイクルが異常に短い仕事だから仕方ないというのは判るのですけれども、短観の先行き予測DIが実際のDIと全然当てはまらないにもほどがあるというか、この予測DIの外れっぷりは個別の各業種には見られない凄まじさで、まあおまいら先の事を考えても「下手な考え休むに似たり」って奴だということである(自爆)。
しかしまあ何ですな、これ書く為に前回の短観の時に書いた駄文を読み直したのですけれども、前回の短観の時も「しかし相場が反応しませんなあ」とか書いていたのにはワロタとしか申し上げようがありません。まあ「先生!債券市場ちゃんが息をしていないの!!」と言ってしまうと身も蓋もないので前向きな解釈を致しますと、日本の債券市場は現在の世界経済についての要点をきちんと把握しており、今の問題は欧米のバランスシート問題なのだから、足元での循環的な上げ下げは所詮些事に過ぎず、回復しててもfalse
dawnじゃネーノと達観して反応していません、ということになるのでしょう・・・・というのは買い被りで、おそらくは単に売るほどモノが無くて買うのは今日の10年入札と思っているのでウゴカンチ会長なだけだと思いますが(^^)。
○生活意識アンケート:なにこの「美しい」物価見通し
http://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki1110.pdf
まあここを読んでいて一番注目しているのは物価見通しの所です。でまあ物価に関しては東北の集計分がどうのこうのというのは関係ないと思うのですけれども、一応その辺も今回は発表数値にあるので、いつもと違って3本立てになっております。前回6月調査数値が()で、今回の数値のうち東北地方を除外したのが<>です(6月は東北地方がアンケート対象外)。
Q13. それでは、1年前に比べ現在の「物価」は何%程度変わったと思いますか。
―― 数値をご記入のうえ、上・下いずれかに○をお願いします。なお、「0%」と思われる方は、記入欄に「0」とご記入下さい。
平均値(注1):+3.6 < +3.6 >( +3.6 )
中央値(注2):+1.5 < +1.5 >( +2.0 )
(注1)極端な値を排除するために上下各々0.5%のサンプルを除いて計算した平均値。
―― 全サンプルの単純平均値は +3.7 <+3.7> (前回調査<2011/6月実施>:+3.8)。
(注2)回答を順番に並べた際に中央に位置する値。
Q15. それでは、1年後の「物価」は現在と比べ何%程度変わると思いますか。
平均値(注1):+4.4 < +4.4 >( +4.8 )
中央値(注2):+3.0 < +3.0 >( +3.0 )
―― 全サンプルの単純平均値は +4.6 <+4.7> (前回調査<2011/6月実施>:+5.2)。
Q17. それでは、5年後の「物価」は現在と比べ毎年、平均何%程度変わると思いますか。
平均値(注1):+4.7 < +4.8 >( +4.5 )
中央値(注2):+3.0 < +3.0 >( +3.0 )
―― 全サンプルの単純平均値は +4.9 <+4.9> (前回調査<2011/6月実施>:+4.9)。
・・・・・・・ほほう、1年前と比較した物価に関しては下がったと見ており、先行きの予想も平均値ベースでは若干下がっている(中央値ベースは同じ)とですか。で、長期的な物価見通しは上昇していると。
ということで、何か知らんけど絵に描いたように「足元では物価上昇の一時的な要因が剥落したので物価に対する短期的な見方は下がりましたが、長期的な物価見通しに関しては電力や消費税増税などの今後の物価上昇要因を意識して上昇しています」とこじつけられそうな結果になっているのがチャーミング。
まあ目先的に金融政策へのインプリケーションとなると、足元の認識が下がっていても中長期的な物価期待に関しては変わらないどころか若干上昇なので、この辺りからは特段追加緩和を急がないといけませんがなという話にはならない、という実にこう有りがちな結果になっているのでありました。
2011/10/03
お題「短観とか東電報告書とかの出待ち状態ですな」
ほほう早速支持率低下ですかそうですか。
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E2E0E2E3818DE2E0E3E2E0E2E3E39F9FEAE2E2E2
野田内閣支持率9ポイント下げ58% 本社世論調査
『日本経済新聞社とテレビ東京が9月30日〜10月2日に実施した世論調査で、野田内閣の支持率は58%となり、就任直後の9月初めの前回調査から9ポイント下がった。不支持率は10ポイント上昇し31%だった。』(上記URLより)
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819481E2E0E2E3888DE2E0E3E2E0E2E3E38297EAE2E2E2
復興増税「反対」52%「賛成」を逆転 本社世論調査
『政府・民主党が東日本大震災の復興財源として所得税、法人税、個人住民税、たばこ税を増税する案をまとめたことについて「反対」(52%)が「賛成」(39%)を上回った。政府・与党案が決まる前に増税の是非を聞いた前回調査では、増税に賛成(63%)が反対(28%)を大きく上回っていた。増税策が具体化するにつれて慎重な意見が増えているようだ。』(上記URLより)
・・・・・・・・・何も始まっていないのに支持率がこれだけ変わるとか意味判らんとか思うのですが、なにはともあれその復興増税の賛成反対の逆転があまりにも総論賛成各論反対過ぎで涙が出ます。まあ記事の「増税策が具体化するにつれて慎重な意見が増えているようだ」ってのにも何かそんな皮肉成分がありますけれどもね。
○ということで今日は東電報告書(と短観)
短観は正直どうでも良い、という訳ではないですが、日本の金融政策がどうのこうのと言われましても足元ではFRB次第で、そのFRBって結局欧州の債務危機問題次第で、その欧州債務危機問題は政治というどう転ぶかわからん状態ということで、まあ短観自体は事前予想から大きくぶれない限りはそんなにネタにならなさそうな悪寒。
東電に関してはもう事前ダダ漏れに関しては呆れ果てて何も申し上げられませんので、そちらは兎も角として。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111003/k10015991451000.html
東電調査委“徹底した合理化を”10月3日 4時41分
『東京電力の経営や財務状況を調査する国の委員会は、3日、厳しい資金繰りに対応するため東京電力に一層の合理化を求めるとともに、電気料金の値上げを検討するには、高コスト体質の原因となっている現在の料金制度を見直すべきだとする報告書を政府に提出します。』
『この委員会は、福島第一原子力発電所の事故に伴う損害賠償を進めるため、東京電力の経営状況を詳しく調べてきたもので、3日、その結果をまとめた報告書を野田総理大臣に提出します。この中では、厳しい資金繰りが続くことが見込まれる東京電力に対して、総額7000億円の資産の売却をはじめとする、徹底した合理化を求めます。一方で、厳しい資金繰りが続き、経営を維持するために来年度以降、電気料金の値上げが検討される場合には、東京電力の高コスト体質を抜本的に改め、その温床となってきた料金制度の仕組みや運用を見直す必要性を打ち出します。』(上記URLより)
・・・・・・・・まあ合理化努力という話は中々ツッコミのしにくい所なのですが、しらっと電力料金制度の仕組みや運用の見直しという話が出てくるのって東電だけではなく他の電力会社にも影響がありそうな話で、実際にどういう書きっぷりになるのかは存じませんが、電力料金がどうのこうのという話になってきますと何だかねという感じです。それこそ具体的に増税の話が出ると反対が急に増えるという世論とやらを相手にする事を考えた場合に、大向こう受けを狙うとなった場合には「電力料金」の部分が禁句になるんだろうなあとゆーことで、実際問題として脱原発に伴うコスト増の所まで突っ込まれる事にはならないと思うのですけれども、何せ現政権与党様の場合は「目先の受けを取るためには中長期的な問題など知った事か」スイッチが直ぐに入るのが仕様なのがテラオソロシスではございます。
んでもって枝野様は今さらこのように仰せで。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20111002-OYT1T00520.htm
東電、生かしながらやるしかない…枝野経産相
『枝野経済産業相は2日、国の「原子力損害賠償支援機構」が東京電力の賠償金支払いを支援することについて、「(担保権を持っている)銀行より優先して被害者に賠償金を払わせるには、東電を破綻処理するのではなく、生かしながらやるしかない」と述べ、国民負担の最小化には機構による支援が必要との考えを強調した。』(上記URLより、以下同様)
・・・・・・・・えーっと、その話って最初からそういう事でスキーム作りをしていた筈なのにそのスキームを発表する時にあんさんが「債権放棄しろや」的な発言をして前提ひっくり返す話をしたから大変な事になったんですけど。
『枝野氏は「担保権は損害賠償請求の権利よりも優先されるというのが民法の基本ルール」と説明。その上で、「銀行が担保権を行使すれば東電の財産は持って行かれる。ほとんど損害賠償の資金は残らない」とした。』
・・・・・・・・相変わらず「銀行は悪」というアンチビジネスな発想をされているようで誠に恐縮でございますが、担保権の多くを行使するのは悪の巣窟の銀行ちゃんじゃなくて、東電社債を購入している年金などの機関投資家とか、同じく一般担保の付く政策投資銀行さんだったりするのですけれども(銀行がどういう条件で融資しているのか詳しくは存じませんが、東京電力様相手に「物上担保寄越せやゴルァ」などという不遜な事は中々言えないと思うのですが)、これではまるで「銀行が悪い」と言わんばかりの発言に見えますが、報道に際して読売フィルターが入ってまして実際にどう言ったのか判らないですからまあ悪態はスルー(銀行が正当な担保権を行使しないと、預金者の皆様の資金が毀損する事になるんですけどそれでも良いのですかねえ)である。
結局ちゃんと法に則って粛々と処理するのであれば(というかそうじゃないと困るのですが)、変な無法発言をしてその度に金融市場や株式市場に動揺を与えるような事をしないで頂きたいですわな。ガス抜きのつもりなのかもしれないですけれども金融屋からすると危険な火遊びにしか思えません。
#ユーロ圏諸国の金融市場も欧州諸国の火遊びで火がボーボーですけど
○ブラード総裁は「資産買入が政策効果を出す」といつもの話
実は30日に新しい講演が出ているので既に証文の出し遅れなのですが(汗)
http://www.stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=1156
SEPTEMBER 26
St. Louis Fed’s Bullard Discusses America’s Investment Problem and Monetary Policy
プレゼンのスライドショーはこちら
http://research.stlouisfed.org/econ/bullard/pdf/Bullard_MGA_September26_2011_Final.pdf
まあいつもの話をしてるっちゃあいつもの話をしているので上の方のサマリーのページから適宜引用しながら簡単に。
・不動産バブル崩壊による投資の減少が米国経済に大きく影響
リーマンショック前の2007年のピークと米国のGDPの状態およびその構成項目を比較した所、輸出や消費、政府支出というような項目は2007年のピークを上回っているものの、不動産関連の投資が大きく落ち込んでいる、という事を指摘。
『Bullard noted that most of the main components of real GDP are at a higher
level today than they were in the fourth quarter of 2007, which marked
the previous business cycle peak. While consumption, government expenditures,
imports and exports have all recovered, investment remains about 16 percent
below its level in the fourth quarter of 2007.』
したがって2007年のピークは不動産バブルで押し上げられたものとし、その「バブルビュー」は米国の基礎的な成長力が低下している事を示すという話。
『Thus, Bullard said that the previous business cycle peak is not a good
benchmark for GDP growth. “It is not reasonable to expect the economy
to climb rapidly back to the 2007 Q4 peak since part of that peak was due
to artificial growth driven by bubble behavior,” he said. “A more reasonable
interpretation is that fundamental potential growth in the U.S. has been
somewhat lower than previously thought.” He added that the behavior of
inflation during the past year provides some evidence for this.』
・でもって物価に関しては「インフレ期待が物価に大きな影響を与えている」
一方の物価に関してですが、「昨年の米国の物価の変化は、米国経済の基礎的な産出ギャップが想定よりも大きくなく、インフレ期待の変化が物価に大きく影響を与えた事を示す」という話をしていて、「FRBの資産買入がインフレ期待に影響を与え、それがインフレに影響を与えた」という話をしています。
『“The FOMC’s asset purchase program clearly drove both inflation and
inflation expectations higher and closer to the Committee’s implicit target
over the last year,” Bullard said. Given that actual real economic performance
was weaker than the FOMC anticipated last fall, according to the July 29
GDP report, “this should have meant less inflation, not more,” he stated.』
『“This suggests that the output gap may have been considerably smaller
than previously thought, and perhaps also that the output gap has considerably
less influence on inflation than commonly thought,” Bullard said. “The
larger influence on actual inflation comes from inflation expectations,”
which have tended to be higher over the past year, according to TIPS measures,
he noted.』
ホンマカイナという気もしますが、まあそういう事ですので、資産買入が効果が高いという話になるというブラード総裁のいつもの話になるのですが・・・・・・
・金融政策は基本的に「ミーティング毎」で行うものであると
『Bullard also shared his views on the FOMC’s policy tools going forward.
“The Committee needs to be able to conduct a systematic countercyclical
monetary policy during the period of near-zero policy rates,” he said.』
ほほう。
『He noted that “asset purchases are a potent tool and must be employed
carefully” and cited the increase in inflation and inflation expectations
during the past year, despite many measures of economic performance indicating
a relatively weak economy.』
資産買入の効果がインフレ期待の引き上げに役立った結果、景気の回復が比較的弱かったにも関わらずインフレ期待と実際のインフレが引き上げられたという事で(それもまあホンマカイナという気がしますが)資産買入は有効なツールなので慎重に運営しないといけませんと。
『“The meeting-by-meeting approach would allow the Committee to carefully
monitor and adjust any program,” he stated.』
なので、FOMC会合ごとに金融政策を調整すべきと。
・時間軸政策の弊害について
で、現在行われている時間軸政策に関しては、ブラード総裁のお約束通りですが否定的見解となります。でもって従来の「デフレ均衡になる」という話の前に別の理由が出ていまして、まあ妥当と思われるのですなこれがまた。
『Bullard said the FOMC could use the promised date of the first interest
rate increase, which is the so-called communications tool, as the primary
policy tool during the upcoming period of near-zero policy rates.』
今行われている時間軸もどきですな、まあ全く無いとは言ってないみたいですが。
『According to some models, he said, the Committee could influence financial
market conditions and provide monetary accommodation by shifting the promised
date. He noted that while the communications tool may work inside models,
it has some important caveats for the application of policy.』
でまあ時間軸的な政策は、そういうモデルでシミュレーションする分にはワークすると思いますが、現実に当てはめた場合に幾分かの「政策を適用する際の重要な警告」があるだそうで、それは以下の通り。
『For example, he said it is not clear how credible the announcements would
be. “If the economy is actually performing quite well at the point in
the future where the promise begins to bite, then the Committee may simply
abandon the promise and return to normal policy,” he said. “But this
behavior, if understood by markets, would cancel out the initial effects
of the promise, and so nothing would be accomplished by making the initial
promise.”』
まあ何ですな、この辺の話って日本のゼロ金利政策や量的緩和政策の中での時間軸政策の推移、というか時間軸1号から3号までを見たニポーンの皆様(ただしマニアに限る)にとっては先刻合点承知の助だと思うのですけれども、問題は時間軸コミットメントが本当にコミットメントなのかどうかという部分に関わってくる訳でございまして、その辺のコミットメントへの信頼がなくなると政策効果が一発で剥落するという問題点がある、とブラード総裁が指摘しているのは、まあ日本の時間軸の第1号から第3号までの進歩(?)を研究したんでしょうかねとか思うのでありました。
でまあもう一つの理由はデフレ均衡という話で、そちらに関しては「去年のペーパーをご覧くださいませ」という結論でもあります。
『Bullard talked about another drawback to the communications tool, which
he also discussed in his paper, “Seven Faces of ‘The Peril,’” published
in 2010. “Simply promising to keep the policy rate near-zero for longer
and longer periods of time may encourage a Japanese-style outcome in which
the policy rate simply remains near zero and markets come to expect a mild
rate of deflation,” he said. “This possibility has clear support in the
theoretical literature but is too often ignored in policy discussions.”』
単純にゼロ金利を長期間継続するという約束をするのは、マイルドデフレとゼロ金利の均衡という日本スタイルの結果をもたらすという話はいつもの話でございまする。
・ということですのでブラード総裁は予想通り追加の資産買入で行くべしなんでしょ
って話になるのがブラード総裁の話。ブラード総裁は今年は議決権無いのですが、昨年のQE2導入時にもさっきの「Seven
Faces of ‘The Peril,’」にあるように何となくそれらしい背景の理屈を出して来たという実績があるのと、まあこういう感じでホイホイ色々と先端を走って話をするのがお好きな人のようですので、そーゆー文脈からブラード総裁のプレゼンは微妙に注目しております。
でもって、まあだいたいこういう結論だろうなあというのは予想される所でしたが、QE2につきましては「インフレ期待の引き上げ」という政策効果を強調していますので、そういう意味からすると現状のツイストオペに関しては(今回何も言及していない位ですから)あまり期待せず、しかもデフレ均衡云々という話がありますので、現状のゼロ金利状態では、追加の金融緩和は金利方向ではなく、やはり直球ストレートに量の方向になるのでしょうな、と思うのでした。
ただまあその量的拡大が政治的に難しい面がありますし、そもそもブラード総裁も「効果的だが運営に注意」というくらいですから、明らかに物価が弱くなる(ブラード総裁は足元の回復の弱さからしてインフレ拡大よりも低下の可能性をみているようですけれども)兆候が出ないとこの理屈だと動きにくいのが、ちと話を難しくしている感はあるかと存じます。
従いまして、ブラード総裁云々は兎も角として、FRBの次の政策は何ですねんと考えますと、これがまあ何が出るのか良く判らんと申しますか、目くらまし的に効果があるのか無いのか判らん政策をさも効果がありそうに出してくるという福井俊彦的な狸スキームで進めていくしか無さそうな気がします。たぶん何もしないのも市場が許さんと思いますので・・・・・・・・・