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2011/07/29
お題「亀崎審議委員会見から少々/ニュース雑感」
何か気がついたら7月も終わりで今年も12分の7が終了ですよ皆さんorz
○亀崎審議委員会見から
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2011/kk1107d.pdf
・為替と金融政策
まあ足元で為替がアレなのと、講演でも為替の話があったので為替と金融政策に関する質問があった訳でして、質疑の後半はほぼ全面に渡ってその話になっているのがチャーミングなのですが、途中から質問がヘタクソで「今すぐ為替対応で金融政策を実施すべきか」とか聞くだけ無駄(そういう質問されたら「為替を直接の対応として金融政策を実施するわけではない」と答えざるを得ないので質問としての出来が悪い)な応答になっているのが残念な所です。
ということで、その件に関しては前半部分の質疑応答がよろしおすえとゆーことでそこの質疑を引用。
『(問) このところ円高が進んでおり、本日も77円70銭台まで円高が進んだようですが、現在の円高についてどのようにお考えでしょうか。輸出に与える影響も含めてお聞かせください。』
『(答) 最近の為替相場の動向をみると、円の対ドルレートは円高方向で推移しています。また、対ユーロでも欧州周縁国におけるソブリンリスク問題の影響などから1ユーロ113円前後と、このところ概ね円高方向で推移しています。』
さいですな。
『為替円高については、原油や食料品といった原材料などの輸入コストを押し下げるというプラスの面もありますが、震災後の落ち込みから持ち直す途上にある日本経済に対し、輸出や企業収益の減少、企業マインドの悪化などを通じて、マイナスの影響を及ぼす可能性があるため、私としては極めて慎重にみています。』
極めて慎重キタコレ。
『やや長い目でみても、高い法人税率やFTA/EPA交渉の遅延、日本の震災リスク、そして先程の電力供給懸念など、企業立地に不利な条件が多い中、さらなる為替円高が加わることで、企業の海外シフトの加速や、中長期的な成長期待の低下が生じないか、しっかりとみていく必要があります。』
講演でも強調しているように見えた産業空洞化リスク懸念を改めて示すとな。
『いずれにせよ、日本銀行は、先行きの経済・物価動向について、為替変動の影響を含めて注意深く点検しながら、日本経済がデフレから脱却し、物価安定の下での持続的成長経路へと復帰するという目的達成のため、必要な施策をプロアクティブに実施していくべきだと考えています。』
ということで、円高に関しては産業空洞化リスクと絡めて懸念しているというのは把握した。
で、その後こんな面白い質問があってですな。
『(問) 2点質問させて頂きます。1つ目は、円高についてです。最近円高が進行しているにもかかわらず、株価が比較的底堅い動きになっていると思います。これについて、円高の企業マインドへの波及経路が少し弱いという感じがするのですが、円相場と株価の関係、企業マインドとの関係をどのように分析しているのでしょうか。(2点目は米国の債務上限法案関連なので割愛)』
『(答) 1点目の円高傾向にあるにもかかわらず株価が底堅い状況にあるということについては、円高の企業マインドへの影響はどうかという主旨のご質問だと思いますが、これは日本経済がショックから立ち直っている途上にあるということが要因の一つにあると思います。もう一つは、足もとの円高が日本経済のファンダメンタルズを素直に反映しているのかというと、私は若干疑問を持っています。』
円高がファンメタから乖離発言キタコレ。
『このところの為替相場の動きをみると、例えば、欧州のソブリンリスクの問題において、ストレステストを終え、ギリシャの支援を行うといったニュースでも動いています。足もとでは、猶予期限が目前に迫る中での米国の債務上限引き上げ問題の動向も為替相場にかなりの影響を及ぼしているというように思います。(以下割愛)』
まあ何ですな、こうやって質問すると足元の為替市場に関して懸念してるのねっていうニュアンスの発言が出てくるねえと思うので、中々良い感じの質問だったように思えます。
んでもってこの質疑応答とは別の話ですけど、確かにまあ株価が妙にサガランチ会長になっているので円高円高言う割にはハルマゲドン臭の薄い展開となっているように(金融市場的には)見えるのでありますが、日銀のETF購入が効果出しているのでありましたら、追加策で何かまた訳の判らん自己満足成長基盤強化とか、既に散々スプレッドが潰れてどう見ても民業圧迫状態となっているCPとか社債の買入をここから更に拡大とかゆーよーなご勘弁いただきたいような策をやるよりも実はETF買いの拡大してた方がよっぽどハッピーじゃねえの(誰も損しないし^^)という気がしてきたのは何かの気のせいか幻ですよねきっと(^^)。
#まー企業の円高耐性が強まっているのではないか、という分析もあるようですにゃ
一方、最後の方の質疑は途中からグダグダになるのですが。
『(問) 円高に対する政策対応についてお伺いします。先程、プロアクティブに対応されるということでしたが、円高が企業収益などに影響を与える前に政策対応するといったような、さらなる金融緩和の必要性についてどのようにお考えでしょうか。』
まあここまではヨロシと言う感じでして、答えが長いので前半割愛しますが。
『(答)(前半割愛)日本経済が物価安定のもとでの持続的成長を達成するために何が必要なのか、またどういう手段あるいは施策を講じるべきかをあらゆる選択肢を排除せずに、また受動的に受け止めるのではなくて、主体的に能動的に必要な施策を講じていくべきだと考えています。従って、あらかじめこうであるということを申し上げるということではなく、先程申し上げたように金融政策決定会合のその日まで、刻々と動いていくこの金融経済情勢を常に考えながらその必要性を考えるということであって、今現在、何か手を打つのかと言われれば、今現在はそれを考えていません。』
という事で、まあこれはこれで対応について別に消極的というわけでもないように読めるのですが、何故かこういう質問が次に来るのだ。
『(問) 今の質問とも関連するのですが、先程、円高の影響について極めて重要な局面であるといわれましたが、そういう情勢認識であると、やはり政策対応が必要になってくるのではないかと思います。逆にそういう極めて重要な局面にあるにもかかわらず日銀は何もしないとなると、これはプロアクティブとはいえないのではないかと思いますが、改めて政策に対する姿勢をお聞きしたいと思います。』
『(答) 私が申し上げている極めて重要な局面というのは、このところの円高傾向が実体経済にどのような影響を与えるかということです。為替相場そのものを目的に金融政策を行っているわけではありません。』
という答えになるのは普通なのでして、質問の方が為にする質問(わざとこういう答えを出させようとしている質問で建設的な態度に欠けるうんこ質問)にしか読めないざんすけどねえ。答えはまだ続く。
『足もとの円高は、先程ご質問にもありましたように米国の債務上限引き上げ問題の影響を受けていると考えられます。この円高が定着するのか、さらに進むのか、またこれが短期間なのか、もっと続くのか、そしてそれは実体経済・企業・家計にどう影響して、目的である持続的な成長の達成を阻害していくことにならないか、といったことを非常に慎重に見極めなければならない重要な局面にあるという意味で申し上げました。当然のことながら、そういう全ての点検をして必要と判断した場合は、プロアクティブにアクションを起こすということです。』
ということですから、これ普通に考えて「円高定着によって実体経済に悪影響を与えるならば何らかの措置が必要と見ています」という答えをしているようにしか読めないのですけれども、この質問者は続いてこういう質問を。
『(問) さらなる金融緩和についての先ほどの質問のところで、あらかじめこうであるとはいえないとおっしゃった点についてですが、今現在、何らかの措置を取る必要はないとおっしゃられたのでしょうか。』
まあ以下しつこく念を押しているのですが、この質問者が何考えてこういう流れの質問をしているのかさっぱり意味が判らないですな、というかまあ意味は判るのですが、要はこの質問者は「日銀は足元の円高に対して消極的で何もしなくてケシカラン」というフレームに当て嵌めるというのが結論にあってそれに合わせた質問をしてるんでしょという感じではございます。
いやまあ円高対応で何かする言いましてもたぶん米国の債務問題だの何だのとかやっている今まさにこのタイミングで何かやるよりも米国ネタや欧州ネタの材料がある程度見えた所でやった方が効きが良いでしょ(とは言うものの、その効きが良い政策って残ってましたっけというのはあるが・・・・・)とゆー感じはするのですけどにゃ。
・質疑の所でこれはほほーという所で
ここは「ほう」と思いましたというのが3ページの所にあるんですが。
『(問) 特に浜岡原子力発電所の運転停止が当地の経済活動に対してどのような影響を及ぼすとみているのかお聞かせください。』
『(答) 浜岡原子力発電所の運転停止が、直接的にどのような影響を及ぼしているかという定量的なデータを持ち合わせていないので、残念ながらお答えできません。ただ、浜岡原子力発電所の停止の問題は、個別の問題というよりも、全国的な原発再開に向けた動きに繋がる大きな問題だと考えられ、浜岡原発に限定して考えることは、日本経済への中長期的な影響を考えるには必ずしも十分ではないと思います。』
と亀崎審議委員の話の後に会見要旨では珍しく支店長が登場(^^)。
『(答)<櫛田名古屋支店長> 浜岡原子力発電所の運転停止の影響について少し補足させて頂きます。当地も含めてサプライチェーンの復旧から生産活動がまさに回復しようとしていた時に、浜岡原子力発電所の運転停止の報が入りましたが、地元経済界では衝撃をもって受け止められました。もっとも、その後、企業サイドの努力――自動車業界などでの休日シフトや中部電力による休止していた火力発電所の再稼働など――によって、経済活動に大きな影響を与えずに済むところまできています。その将来的な意味合いとしての問題は、亀崎審議委員がお答えした通りですが、浜岡原子力発電所の運転停止自体が当地の経済活動に大きな影響を及ぼすことは回避できていると認識しています。』
まあ支店長が登場というのもこの手の形で会見要旨が出た時に初めて見た気がするのですが(^^)、原発の停止に関する経済に与える悪影響について日銀も懸念してますよってゆーメッセージと言いますか、まあグダグダの政治状況に対してアチャーと思っているのでしょうなあというのは伝わる所ではあります(一応最後のところでフォローは入ってますけど)。
○ニュース雑談
・東電関連法案衆議院通過ですな
毎日新聞ニュースから
http://mainichi.jp/select/today/news/20110729k0000m010046000c.html
衆院本会議:原子力損害賠償支援機構法案など可決
2011年7月28日 19時58分 更新:7月28日 20時7分
でまあそれはそれでやっと形になってきましたね良かったですね何とか太郎みたいな後先考えない馬鹿過激原理主義者が排除できて良かったですねという感じなのですが、この法案に関してはまあ運用段階でまた色々と外野が騒ぐ可能性はあるんだろうなあというのは、原発問題に関連して見事に真逆の主張をしている産経新聞と東京新聞の本件に関する社説を見ると想像がつくというものでありまする(−−;
東京新聞27日社説
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011072702000046.html
【社説】東電賠償案 株主責任はどうする
『新設する賠償機構に国が交付国債を発行して東電が必要に応じて現金化し、後で長期返済する仕組みだったが、修正案は加えて「機構に国が資金を交付できる」と改めた。つまり税金である。これで東電は今後、どんなに資金難に陥ったとしても、交付国債の現金化だけでなく税金の直接投入で生き延びることが可能になった。絶対安心の生命維持装置を確保したも同然だ。自民党内には「今回の措置は一時的なもので、将来は東電を破綻処理できる二段階方式」と評価する声もある。法律の施行状況を後で検討する付則が盛り込まれたためだが、こちらも形だけにすぎない。』(上記URLより)
しらっと河野某議員の解釈が大甘ですよダメですなあとか言っているのがチャーミングではございますが、法案に対してこんな感じで批判的解釈ですわな。
一方産経新聞29日社説ですが
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110729/plc11072903080002-n1.htm
【主張】原子力賠償法案 「国の責任」はっきり示せ
『法案の解釈があいまいになり、かえって被害者の救済に支障が出ることも懸念される。修正案に東電が債務超過に陥る事態を想定した文言はないが、付則で「法律の施行後早期に、国や東電、株主などで負担のあり方を検討し、必要な措置を講じる」としており、東電を法的整理する可能性を残したとも受け取れる。参院での審議ではこうした不透明な部分を含め、理解しやすい中身にする努力を重ねるべきだ。』(上記URLより)
ということで、思いっきり真逆の解釈から批判的な解釈をしているのでありますが、まあ法案通すためにはこうでもしないととゆー所ではあるのでしょうけれども、新聞各社の中で電力関連の最近のトピックスに関して物の見事に両極端の主張をしている東京新聞と産経新聞がどちらも自分達の主張に基づいて本法案に対して批判的な主張を繰り広げているという中々お洒落な光景でございましたのでクリップしておきます(^^)。
ちなみに雑談なのだが、さっきの東京新聞の社説なんですけどね。
『こんな法案になったのは、既得権益を守りたい霞が関と東電、関係金融機関が菅直人政権の足元を見透かしていたためだ。市場経済の根幹を踏みにじるような妥協でお茶を濁した自民党と公明党の責任も重い。』(上記東京新聞社説より)
いやあのそうは仰せですが、元々国策で実施していた原子力行政ですし、そもそも電力事業自体が所謂レッセフェールの反対みたいな建付けを前提にしていまして、その電力事業に対して融資したり社債購入したりという人たちは、その建付けを前提にしていたのですから、いきなり「市場経済」とか言われても困りますし、電気事業法における一般担保の規定を捕まえて既得権益といわんばかりの主張をされましても頭おかしいんちゃいますかという感じでございますがねえというツッコミだけはしておくわwwww
・更にどうでもいいニュースから
昨日の金融市場に健やかな失笑を巻き起こしたニュースをクリップしておこう。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=acVHhuCE..iI
円が上昇、欧米債務懸念で買い圧力−対ドルで4カ月ぶり高値圏
円高の方ではなくて、この中にあるこの件ね。
『与謝野経済財政担当相は28日、大村秀章愛知県知事から為替介入の要請を受けたのに対し、「当面は8月2日のところだ」と述べ、米国の債務上限引き上げ問題の動向を見極める姿勢を示したと時事通信が報じた。与謝野氏は、「介入については1兆円、2兆円するような話はなかなか難しい」とも語ったという。』(上記URLより)
時事通信の記事がネットで拾えなかったので時事通信の記事を引用しているブルームバーグの記事で勘弁ということですが(汗)、いやあ「減税日本」さんって自分の所の減税は熱心にやるのに国の金使って逆行ったら損こく話になる筈の為替介入はやれっていうんですねえ随分とご立派な人ですねえと感心するのもあるのですが、それよりも失笑の渦を起こしたのは、この知事さん要請する相手間違えている件でありまして、主管大臣じゃない国務大臣に要請してどうすんねんとしか申し上げようが無く、昨日はそこら中の市場関係者に爆笑の発作を起こさせたのは想像に難くない所でございます。
まあ何ですな、愛知県債のスプレッドや起債に影響を与えないと良いですね(棒読み)と言った所でございますなあっはっは。
○とか書いていたらBOEネタの時間が無くなった
来週はBOEのMPCなんですが、その前には先般のMinuteネタやる所存です。
2011/07/28
お題「亀崎審議委員講演から」
これはまた何と言う失敗フラグ、まあただのフカシなんでしょうけれども「鳩山」と名前が出た時点で失笑しか出ないのですけどねえ。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00204224.html
#フラグといえば昨日は3MTB入札の平均が10割れ(足切りは10に乗ったが)となりやがりまして、全くもって誰得(財務省得ですが)な入札になりやがるということであたくしのフラグ大勝利と来ましたなすいませんすいませんorz
ということで亀崎審議委員講演から。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko110727a.pdf
○景気はややハトで物価に関しては比較的強気とな
本文14ページで説明用の図表が16ページあるという相変わらず盛大な量になっているのは亀崎審議委員クオリティなのでまあそれはそれとしまして、全体を読んで感じた第一印象はそんなところでございます。
ということでまず講演の順序とは違いますが物価に関しての亀崎さんの説明を引用。
『次は、物価情勢です。国際商品市況は、新興国の経済成長などを背景に上昇してきました。国際金融情勢の不安定化に伴い、最近では弱含む動きもみられていますが、引き続き高値圏で推移しています(図表5(1))。これを反映し、日本の輸入物価や、国内における財の企業間取引価格の変動を示す国内企業物価指数も、高水準となっています(図表5(2)、(3)、6)。』
図表の内容は上記URL先で確認してちょ。
『こうした中、家計の財・サービスの購入価格の変動を示す、生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)は、今年の4月、2009
年3月以降約2年間続いた前年比マイナスから脱し、プラスに転じました(図表6(2))。このように、日本経済はデフレから脱却する方向での動きを続けています。こうした背景には、既往の国際商品市況の上昇のほか、需給ギャップの縮小があります(図表7)。』
需給ギャップ縮小とな。
『先行きも、国際商品市況の上昇や需給ギャップの縮小を背景に、生鮮食品を除くCPIの前年比は、小幅のプラスで推移するものと考えています。ただ、こうした見方にも様々な不確実性があります。例えば、国際商品市況の大幅上昇や、日本経済の下振れによる需給ギャップ縮小の遅れ、経済への悲観的な見方による人々の中長期的な物価見通しの下振れ、などの可能性が考えられます。』
ほう。
『ところで、来月にはCPIの基準改定が予定されています。この基準改定に伴って、CPIの前年比は下方修正される可能性が高いと思われます。とはいえ、統計の改定で経済実態が変わる訳ではなく、日本経済がデフレから脱却する方向にあることは確かだと思います。』
ということで、CPIの基準改定に関連して物価安定の理解の実現が遅れるリスクに言及した山口副総裁講演と比べてみますと、この物価に関する下振れリスクに関する説明があっさり味にも程があるという感じでして(ただまあ亀崎さんの場合講演テキストと会見のトーンが微妙に違う場合があるので会見の方もきちんと確認する必要があるのがこれまた仕様なのですけれども)、経済情勢に関する部分との温度差が結構ありますにゃあという印象がありますな。
○というわけで経済情勢だが先行きの「空洞化懸念」を亀崎さんも指摘のようで
でもってここの前の部分に経済情勢に関する見通しの話があります。亀崎さんって背景説明から話をおっぱじめるのでやたら長い(けどまあどういう話をしたいかが判るのでそれはそれで良いのですけど、こーゆー引用する時には取捨選択に悩むのよねえ^^)ので端折って引用するざますわよ。
・海外経済
『足許では、回復ペースが鈍化しています。すなわち、米国は、家計を中心に住宅バブルの崩壊で毀損したバランスシートを抱えており、回復になかなか弾みがつきにくい中、日本の震災や既往の原油高の影響から減速しています。欧州は、ドイツは好調ですが、財政状況の悪いギリシャなどの周縁国は落ち込んでおり、全体として緩やかな回復に止まっています。一方、中国、ブラジルなどの新興国・資源国は、高成長が続いています。もっとも、インフレ圧力を抑えるための金融引き締めの影響から減速感が出始めた国や、日本の震災による部品不足から生産が鈍化している国もみられます。』
で、先行きですが。
『先行きも、世界経済の回復基調は続くものとみていますが、欧州周縁国の財政悪化、新興国・資源国の景気過熱、国際商品市況の高騰などリスク要因も多く、その不確実性は高いものと考えています。』
だそうです。
・国内経済
『今回の震災による落ち込みは、被災による直接被害、部品不足等による間接被害、あるいは電力不足などにより生産・販売が困難となった供給制約に、先行き不安や自粛ムードによる家計や企業のマインド悪化が加わったことによるものです。リーマン・ショック時とは違って外需に大きな変化はなかったため、その後の設備復旧の進行や節電の取り組みなどにより供給制約が和らぐとともに、速やかに持ち直しに転じました。足許では、輸出が増加に転じているほか、家計や企業のマインドが幾分改善する下で、国内民間需要も持ち直しつつあります。』
先行きですけど、
『先行きについては、供給制約がさらに和らぎ、生産活動が回復していくに連れ、海外経済の回復による輸出の増加や、復興需要の顕現化などから、今年度後半以降、緩やかな回復経路へと復していくものとみています。もっとも、こうした見方に関しては、やや長い目でみた場合、下振れリスクを意識する必要があると思っています。』
ほうほうそれでそれで?
『短期的には、サプライチェーンは着実に復旧する方向にあるほか、夏場の電力供給に対する多少の不安はなお残るものの、当初の懸念ほどには経済活動の大きな障害とはならない可能性が強まっています。』
『一方、海外経済については、不確実性が幾分増しており、日本経済にとっての当面のリスクも、供給面から需要面にシフトしつつあります。また、やや長い目でみれば、定期点検後の原発の再稼働問題などを背景に、電力供給に関する不確実性が幾分増しています。為替円高や高い法人税率、FTA/EPA交渉の遅延といった、製造業の立地に不利な条件が多い中、さらに電力供給懸念が加われば、企業の海外シフトが加速しかねないため、大いに懸念しています。』
ということで、「需要面が想定よりも伸びないリスク」に加えて「空洞化リスク」に関する指摘をしていますな。この部分に関しては展望レポートやら先日からの山口副総裁講演、白川総裁講演でも指摘していますけれども、亀崎さんの今回の講演では「原発再稼動問題に端を発する電力供給問題」に加えて「円高」を指摘し、更に規制問題とかFTA/EPA問題などを指摘していまして、企業の海外シフトが起こり得る要因について列挙している辺りに亀崎さんの懸念、というかまあ亀崎審議委員って三菱商事出身ですから、そーゆー意味では実業界(金融屋ではなく)から見た場合の現在日本の政治状況のうんこっぷりが一般事業会社をして海外シフトをさせる要因になりますがな、という点に関してより一層実感として強い懸念をもっている、という事なのではないかと存じます次第。
○日本経済の復興に向けて、という小見出し部分から少々
最後の章が『5.日本経済の復興に向けて』というものでして。
『ここからは、やや長い目でみた日本経済についてお話しします。バブル崩壊以降の日本経済は、幾度かの景気循環はありましたが、均してみれば低成長を余儀なくされ、デフレにも陥った「失われた20
年」となりました。そこに襲った今回の震災は、さらなる大きな痛手となっています。日本経済が低成長から脱して再び輝きを取り戻すためには、東日本のみならず、日本経済全体の復興に向けた抜本的な対策が必要です。』
というころで、例によって例の如くまず最初にこれまでの日本経済の高度成長と低成長の
状況と要因に関する説明があるのですがそこはスルーしまして。
『このように、高度成長終了から現在に至るまで、日本経済の成長力が低下していった理由は、これまで申し上げた通り、@後発者利益の得やすさ、A生産年齢人口の増加、B工業製品のライバル不在、といった好環境が徐々に失われていったことにあると思います。そうであれば、元の高成長に戻るにはその環境を取り戻せばよいのでしょうが、世界が大きく変化した現在、容易ではありません。そこで、時代の変化に合わせて観点をやや変えた、新たな成長モデルの構築が求められます。』
『まず、後発者利益の面では、モノづくり・輸出立国という観点だけではなく、いかに豊かになるかという観点を加えればどうでしょう。例えば、様々な改革で長期低迷から脱した英国やドイツ、豪州など、高負担・高福祉で国民の満足度が高い北欧諸国、競争原理を活かして高成長を遂げ豊かさを実現しているアジアNIEs
など、観点を変えれば日本が学ぶべき先達はいくらでもあります。』
ほほう。で、2番目の生産年齢人口増加の話はスルーしまして3番目の論点ですが。
『世界市場でのライバルとの戦いに勝利するには、得意分野の高付加価値化を一段と進めることが重要ですが、既存の技術を活かしながら新分野へ挑戦することも欠かせません。(具体的な部分を割愛します)こうした企業の取り組みを促すには、時代に合わなくなった規制の緩和も必要です。また、世界のライバルと渡り合っていくための前提として、FTA/EPAの締結国を増やすなど競争条件の改善も求められます。そのためには、第一次産業の生産性を高め競争力を強化して、経済成長と第一次産業が両立する道筋をつけることも必要ですが、今回の大震災は、地域の実情に応じて、経営の大規模化や効率化を進める機会ともなるのではないでしょうか。』
ということで、ここでも規制緩和と自由化の話が出ていまして、まあすっかり放置プレイ状態になっているFTA/EPAに関する話を何とかしろやゴルァという話をしたいというのは良く把握しました。
で、ここの最後の最後にこんなのが。
『(3)日本銀行の取り組み
日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定の下での持続的成長経路へと復帰するため、中央銀行としての貢献を粘り強く続けています。こうした金融政策面からの取り組みも、日本経済の復興を支援するはずです。今後も日本銀行は、その目的の達成のために必要な施策を、プロアクティブに──すなわち主体的に、能動的に──実施していくべきだと考えています。』
ほうほうという感じですけれども、先ほどの部分で円高に関する言及が入っている事とこの部分を関連付けて考えると「ということは円高進行に対応して日銀は何かするんでしょうか」という発想が湧いてくるというものでありまして、詳しく見てないというか詳しくは本日会見要旨が公表されるからそっちを見てからという事になりますけど、情報ベンダーでみた時には「円高対応で金融緩和を実施」という直接的質問については否定的なコメントをしたように報道されていましたな。
ただまあ足元で政策委員の皆様が次々と円高懸念の話をして、そこに空洞化懸念というより大きなネタを絡ませてきますと、今申し上げましたように、円高対応で何かやるのかいなという印象は浮上するように思えます。でそれって何か日銀やる手段あるんかいと考えますと・・・・・
まー今般の円高って日本が要因というよりは他がもっとうんこだから円に来てるという代物でしょうから、正直言って為替市場に作用するように日銀が単独でやれる事って(白川総裁が会見場に天狗のお面を装着した腰ミノ一丁で現れていきなりファイヤーダンスを踊りだすとかでもすれば話は別ですが^^)中々厳しいでしょという風に思うのでありまして、政府が頑張って腰の入った為替介入しないと市場インパクト無いでしょ(それが適切かどうかという話はここでは措く)と思う訳で、それこそ基金買入で長期国債(と言ってもまあ残存2年ですけど)の買入拡大の実施をアナウンスすると同日にいきなり政府が円売り為替介入を打ち込む位の露骨プレー(で持って1週間だと思うが・・・・・orz)をいれるとかでもしないとねえとゆー所でしょうか。まあむつかしいんジャネーノと思う次第でしゅ。
○おまけですがここは改めて「ほうほうそれでそれで」の部分
金融政策に関する部分なんですけど基金買入の説明ね。
『これは、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促すことで、通常の金融政策の操作対象である短期金利の低下余地が乏しい中でも、一段の金融緩和効果を得るための施策です。特に、相対的にリスクの高いETFやJ−REITを日本銀行が買い入れることが呼び水となって、市場参加者の投資姿勢が積極化すれば、リスク・マネーの仲介が円滑化し、企業の資金調達環境は改善するものと考えられます。』
まあこの説明は前からしている話ではあるのですが、QE1とかQE2の説明との比較という意味で見た場合に、日銀のこの理屈も味わいがあるなあと思うのであります。前もその話したと思いますけど、この基金買入というのもQE1とQE2のハイブリッドみたいな存在で、リスク性資産の買入に関する話をした場合はQE1的な意味合いになるし、国債の買入の話をした場合はQE2的な意味合いになるというのを改めて認識すると共に、じゃあ米国でQE3をやるとした場合、どっちの方向になるのやらというのが中々ワクワクテカテカな所かなと思います。何かQE1的なリスク性資産の買い入れになるような気がせんでもないのですけどね。
2011/07/27
お題「3か月TB入札は暗黒脱出なるか/今更ですが山口副総裁会見」
為替世間話が目の前のテレビで延々と展開されていますけど、ドルの全面安がこのまま進行したら米国って物価上昇傾向が続く(今は足元の物価上昇要因が一時的なものなので物価上昇は持続的ではないという解釈になっている筈)リスクが高まるので、その結果としていつまでもあると思うな量的緩和という論点が浮上する気がするんですけどタイムスパンが微妙に違う論点でもあるのでまあ正直どうでも良いです(^^)。
○市場雑談ネタで盛大にフラグを立ててみましょう(おい)
本日は毎度お馴染みの3か月TBの入札でございます。
・・・・・・えーっとですな、6月の22日の3か月TB入札で0.0918/0.0922とゆー誠に遺憾な結果になりまして、4半期末要因ですかねえとか、為替の影響で安い円資金が出てきましたねえとかゆーとったのですが、その後も日銀の当座預金残高30兆円攻撃による積みの絶賛大進捗によって潰すべきキャッシュが余りまくってGCレートは低いわというのが続いた結果として、延々と新発3か月TBの入札が補完当座預金金利の0.10%を割り込むという展開が1か月間に渡って継続中でございます。
まあ何せ3か月物TBが延々1か月に渡って0.10%割れという楽しい状況になって居ると言うことは、つまりは3か月の短国で資金を運用している人というのを想定すると、ターンオーバーしているうちにポートの3分の1が0.10%割れの運用になっているという大変に素敵な状態になっておる次第で、暗黒臭漂う展開が続くベイスかカープかという風情なのであります。
ただまあ足元に来てさすがに0.10%割れの短国持ってる意味あるんすかねという事にでもなったのかどうかは知らんですけれども、何でもかんでもモノが無くて0.10%割れじゃないと玉が出ません攻撃がだいぶ軽減されてきたようでございますので、本日の新発3か月TB入札あたりでそろそろ0.10%乗せに戻って暗黒状態は勘弁という風に思うのですけど、まあ足元でCP買い入れとかのレートも相変わらずアレですし、日銀の基金買入の趣旨は判るのですが、そうバカスカお買い上げされましてもねえという感じでありまして、運用商品が中々無いというのは相変わらずだと思います。
つーことで、まあ結局は0.10%にちょっとでもヒゲが付いたら「じゃあ買います」というのがワサワサと出てきて中々金利ちゃんは上昇しないのでしょうけれども、何ぼなんでもそろそろ入札0.10%割れの連発はご勘弁頂きたいとか思うのですが、こういう事を書いて変なフラグにならないことを希望します(だったら書くな
いうツッコミはしないように^^)。
○山口副総裁会見は下振れ警戒とな
虫干しネタで恐縮ですが山口副総裁会見から。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2011/kk1107c.pdf
・為替円高の話について
円高の影響について質問がありまして、それに対する答えが割と円高警戒っぽいのでありまして・・・・・・・
『ご質問は、円高のマインド面への影響と、設備投資を含めた実態的な影響はどうかという趣旨だと思います。まずマインド面ですが、多分皆様ご承知のとおり、最近の円高について企業経営者の方々に聞けば、それぞれ問題意識が高まっていることは事実だと思います。その意味で既に企業のマインド面に影響が現れている訳ですし、またそうしたマインド面への影響は為替相場の動向次第ではこの先も続く可能性があるように思っています。』
マインド面の悪化キタコレ。
『問題はそうしたマインド面での変化が実態的な変化を呼び起こすことになるのかどうかだと思います。おっしゃったように設備投資の面にどのような影響が出てくるのか、国内の設備投資面への影響、海外生産シフトという形での変化につながるのかどうかということだと思いますが、そうした実態的な形での円高の影響がはっきりと現われてくる段階にはまだ至っていないと思っています。そうした動きが今後出てくるのかどうかについては、我々としてしっかりと注視していきたいと考えています。』
ということで、(円高によって発生した)マインド面の悪化が実体経済に影響を与えるまでには至らないとは言ってますけど、既に企業マインド悪化に関しては影響が出ていると認定してるというのがちょっと踏み込んでいるイメージがあるのですけど、それはあたくしが勝手に思っているだけですので人によってここの部分の解釈は分かれるのかなあと思いつつあたしゃそーゆー解釈しておきますね。
・リスクシナリオのバランスの話は展望レポートの中間評価どおり
まあそういう質問があったのですけどそれに対する答えから。
『いろいろな観点からのご質問があったかと思いますが、最後におっしゃった日本経済のメインシナリオにまつわるリスクをどのようにみているかに焦点を絞ってお答えしたいと思います。』
で、足元に関しては震災による直接的な影響は復旧復興の進展により下振れリスクが軽減されましたねという話をしていますがそこは引用割愛しまして、
『その上で、先週の金融政策決定会合において、4月の展望レポートに対する中間評価を実施したわけですが、先行きについてのリスクは様々存在するということです。』
という事でその項目に関しては展望レポートの中間評価どおりですけれども、改めて見ますと下振れのオンパレードです本当にカムサハムニダという所で。
『1つは、海外経済ですが、アメリカについては、バランスシート調整の帰趨がまだまだ読めない、その影響の大きさもまだはっきりしない、ということがあります。それから欧州については、ソブリンリスク問題があって、これが欧州経済に対して、どのようなインパクトを持つのかに関しなお不確実性が強いということです。また、新興国については、高い成長とインフレ率とのバランスをどう実現していくのか、物価の安定と成長の持続の両立をどう実現していくのか、不確実性が依然として存在するということです。』
『その上に、日本国内の事情として、長い目でみた電力供給について、様々な不確実性が存在します。これらを頭に置きながら、これからのメインシナリオをみていかなければならないと認識しています。』
どう見ても下振れ警戒です本当に(ry
・CPI改定に関して
「物価安定の実現が遅れるリスク」という中々痺れる論点について話がありましたよね、ということで質問が飛ぶのは当然でございましてこんな質問がありました。
『(問) 「物価安定の実現が遅れるリスク」についての質問です。足許5月の直近の数字が+0.6%上昇というコアCPIが、指数の改定によってゼロ近傍まで下方修正される可能性が高いとおっしゃっています。最近のエコノミストの予測では、改定幅はむしろもう少し大きいのではないか、1%ポイント近い下方修正が行われるのではないかという見方が増えているように見受けられます。その場合には、ゼロ近傍というよりは、明確なマイナスになる可能性もあるわけで、日銀の11年度、12年度の見通しも10月に展望レポートが出されるわけですが、ゼロ近傍ないしマイナスという見通しが出される可能性もあるかと思います。』
まあ内閣府様によると押し下げは▲0.72%らしい(この会見の翌日のニュースでこんなのがありましたな→http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110722-00000161-reu-bus_all)ので直近部分でまともにどマイナスという事にはならないようですが、「振り出しに戻る」になるのは明白ですわな。
『そうなると、ここでおっしゃっている物価安定の実現が遅れるリスク自体が顕現化するのではないかと思うのですが、その場合に別の所でおっしゃっている金融政策の柔軟かつ果断な対応ということに結びつくのかどうか、その点をお願いします。』
つーことでお答え。
『(答) 今ご質問された点は、いろいろな前提に立ってのお話のように思います。特に消費者物価指数の基準改定でどれくらい今の消費者物価指数を下押すことになるのか、この点について私どもとしてどうみているのかにかなりの程度依存していると思いますので、その点をお答えすることで答えにさせていただきたいと思います。』
『私は確かに挨拶で、基準改定によってゼロ%近傍まで下方修正される可能性が高いとみていると申し上げました。しかし、具体的にどの程度下方修正されるかについて、まだ明確には判断出来ていません。ご指摘のように、民間のエコノミスト等の中には、かなり大幅な下方改定があるという見方をしている人がいることは私も承知しています。ただ、今回の基準改定は、種々の要素を考慮して行われるものだと思っています。指数そのものの作り方の問題、指数の中に取り込まれる品目の入れ替えの問題、指数を計算する際の計算式の問題など、様々な要素が考慮されるものと思っており、今の段階でそれらについて一定の予測をして、改定幅を織り込むことは実際上難しいと考えています。従って、挨拶で申し上げたようなゼロ%近傍まで下方修正される可能性が高いというのが、今私が言い得る限界です。』
ということで、このときは答えを控えていたようですが、まあゼロ近傍まで下方修正という事になりますと、結局包括緩和政策やってる間も物価安定の実現まで時間が掛かる状況が続いていましたわなという話になりますが、これがまた出来上がりがゼロ近傍になるというのが中々チャーミングで、マイナスならまあ何かしますかという話が浮上しやすいですし、逆にプラス継続で更に先行きも上昇見込みという絵を描いた場合に、先行きの金融政策としては様子見モードで無問題という話がしやすいのですが、ゼロ近傍ですよって話の時にはどっちでも話を組み立てられる(まあ最終的には先行きの物価上昇をどのように見るか、という話に依存しまして、そういう意味では「物価安定の理解」ってのは足元の数字だけの問題ではないのですけれども、そーは言いましても足元の数字はこれはこれで重要な問題ですからねえ)ので中々お洒落ですなあとか存じます次第。
・空洞化懸念にも円高が影響とな
もうちょっと長いスパンの話(めんどいから講演の引用割愛した部分ですが)で日本の空洞化懸念に関して山口副総裁が日本の将来的な空洞化に関して懸念した件について、日銀は何か出来ますかね??という質問がありまして、それに対する答えの部分から。
『それから、空洞化に対して日本銀行として何らか出来ることがあるのかということですが、まずは空洞化が懸念されているバックグラウンドに何があるのかについて考えてみる必要があります。1つは昨今の円高があると思います。もう1つは大震災以降、非常に強く意識されるようになった日本における震災のリスクもあると思います。それからもう1つは、原発問題に端を発する電力供給についての懸念もあると思います。』
円高の影響キタキタ。
『ただ、こうした懸念が、企業の投資行動の変化あるいは企業の雇用行動の変化といった形で現実に現れているかというと、まだそういう状況にはなっていないと思います。例えば、私どもが7月1日に発表した短観の結果をみても、設備投資については、製造業が中心ではありますが、底堅い計画を維持しています。国内の設備投資を減額し、海外の設備投資を増やすという企業行動が広がってきている状況にはないのではないかと思います。』
ほほう。
『そうお答えした上で、仮に空洞化が生じた場合に日本銀行として出来ることは何かというと、1つはやはり物価の安定のもとでの持続的な成長を実現していくということだと思います。そのことを通じて企業が日本国内において投資をしたり雇用を増やしたりすることについて、少しでも安心感を持って行動出来るような環境を作っていくことが非常に大きいと思います。』
何か蒟蒻問答のような説明ですが、それよりも空洞化が生じないようにどうするのかが質問の趣旨だったような気がするんだが、うっかり答えにくいという事ニカ?
『もう1つは、情報発信もあろうと思っています。企業の経営者の方々は様々な情報を捉えながら日本経済の先行き、あるいは業界の先行きを展望して、投資行動を決めていくのだと思います。その際に、日本銀行がわが国経済の先行きをどのようにみているのか、あるいは日本経済の先行きをより明るいものにするためにどういう政策行動を取っているのか、これらの情報は企業経営者の投資行動ないし雇用に対するスタンスにそれなりに影響を与えるものだと認識しています。』
つまり威勢の良い話をしないといけませんよってえ話なんでしょうか、わかりません><;
てな感じで、答えの後半になると微妙に微妙な説明になっていくのが今回の質疑応答の仕様になっているのですが、どうも説明の端々に先行き懸念、および円高への懸念が示されている印象を受けましたがどうでしょうかね。
・で、最後に円高リスクの懸念が増大してますか?という質問が
質問は(この時点では米国の債務なんちゃらよりも欧州ソブリンの方が大ネタでしたからそうなるのですが)欧州問題からの円高リスクなどを強く意識しているのでしょうかその時はどういう措置を念頭にとかいう感じでしたが、それに対する山口副総裁の答え。
『さらなる円高の可能性をどうみているかについては、為替相場の先行きについてコメントしないというのが一貫した我々の立場ですので、そのことを繰り返させていただきたいと思います。ただ、円高の背景として、ヨーロッパのソブリン問題、それによる投資家のリスク回避姿勢の強まりがあると市場で言われていることは私自身理解しています。』
『それから「柔軟かつ果断に」という表現が、私どもの政策対応について、これまで以上に前のめりの姿勢を示しているのではないかという趣旨のご質問かと思いますが、柔軟かつ果断に金融政策を行っていくことは常に変わらない我々の構えです。必要に応じて、柔軟かつ果断に適切な措置を行っていくことは、これまでの我々の基本的なスタンスそのものです。』
ほうほうそうですか(棒読み)。
#ということで虫干しネタでどうもすいませんでした
2011/07/26
お題「バーナンキ議会証言ネタの続き/白川総裁講演よりメモ少々」
復興財源の臨時増税の話を「市場の信認」がどうのこうのという文脈で話をされるのですけど、一発物の復興財源の話よりも市場が重要視するのはすっかり無視されている税と社会保障の一体改革の方だと思うのですけどにゃあ。
まずは昨日の続きのバーナンキ議会証言ネタ。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20110713a.htm(HTML版)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20110713a1.pdf(PDF版)
○追加で金融緩和をする可能性の件について
昨日の続きの部分(最後の方になります)から参ります。
『Once the temporary shocks that have been holding down economic activity
pass, we expect to again see the effects of policy accommodation reflected
in stronger economic activity and job creation. However, given the range
of uncertainties about the strength of the recovery and prospects for inflation
over the medium term, the Federal Reserve remains prepared to respond should
economic developments indicate that an adjustment in the stance of monetary
policy would be appropriate.』
ということで、場合によっては追加の金融緩和が必要になる可能性もありますし、金融政策のスタンスの調整(出口政策ですかな)も必要になる可能性もありますし、それは適宜適切に対応しますよという話をしているように読めますがどうでしょ。
『On the one hand, the possibility remains that the recent economic weakness
may prove more persistent than expected and that deflationary risks might
reemerge, implying a need for additional policy support.』
足元の経済の弱さが想定以上に持続して、デフレ入りのリスクが再度発生した場合には、追加の政策によるサポート(つまり追加緩和)が必要になりますよ、という話ですな。
・・・・・・えーっとですな、まあそれはそれで良いのですが、昨日引用した部分では逆さ絵のおじさんって「金融緩和の度合いはFEDの長期資産の新たな買い入れ額よりは、FEDの保有する長期資産の残高およびその構成によって測られる(ので買い入れを止めても絶賛大緩和状態ですよ)」って話をしているのですが、もしそうであるのならば、買い入れを止めたらその後あっさりデフレ入りのリスクが高まるとゆー事であれば、QE1やって終了後デフレ入りのリスクがどうのこうのと言ってQE2を実施し、それが終了したと思ったらまた同じことの繰り返しってえ話になる訳でありまして、それって実はQEナントカは一時的な効果はあっても持続的効果はどうなのよという論点になりゃあせんですかねとゆー気もするんですけどどうなんですかねえ・・・・・・
ま、それはともかくその続き。
『Even with the federal funds rate close to zero, we have a number of ways
in which we could act to ease financial conditions further.』
追加緩和に関しては色々とやりようがあるんです(キリッ)
『One option would be to provide more explicit guidance about the period
over which the federal funds rate and the balance sheet would remain at
their current levels.』
FFレートの誘導水準や、FEDのバランスシートの規模などを当面維持するという声明文でのガイダンスを強化する、つまり時間軸の強化という話で、まあ時間軸効果に関しては日本での実例がありますように、明示的な時間軸効果によって中短期ゾーンの金利がアンカーされやすくなります(ただし、そのアンカーのされ度合いは「明示的な時間軸」のコミットメントの強さに依存していまして、日本でも2003年夏の金利上昇の後に「コミットメントの一層の明確化」をする破目になったという実例がこれまたあったりしますので、特に雨公のようにヒャッハー状態になりやすい方々が集まっておられる市場相手にする場合は、時間軸の強化言いましても本当に強化するならばかなり確りしたコミットメントが必要(状況によってガイダンス文言をコロコロ変えてしまうと却って市場に撹乱要因を与えてマーケットのボラを上げるだけの結果になるリスクが大きいと思うので)でしょうなあと思います。
ただね、時間軸強化に関して言えば、QE2実施の前に理論的なお話を展開していたセントルイス連銀のブラード総裁の説明を引っ張ってくると、時間軸強化による低金利政策の長期化というのは「マイルドデフレと超低金利という望ましくない均衡状態」に陥る可能性がある、という理屈になっておりまして、まあそのブラードさんの説明がどの程度連銀の皆様が同意しているのかは存じませんけれども、まあそういう理屈を述べている人もいる、という時点で導入に際してはそれなりに議論がおきそうですな。
『Another approach would be to initiate more securities purchases or to
increase the average maturity of our holdings.』
更に買い入れを拡大するとか、保有資産の長期化を実施するとか、とありますが、それよりも(昨日もちょっと書いたけど)ここからの米国景気における需要動向の鍵になるのは家計部門ですよってえ話を前半で行っている訳でございますので、そーゆー意味からするとMBSとか各種ローンなどの担保証券の買い入れを行ってスプレッド縮小を促した方が良い(まあ既にスプレッドは縮小してるのでしょうけど)ような気もせんでもないが、そっちの話はスルーしてますな、というか恐らくQE3でまたMBSの購入とかおっぱじめると、QE1再来じゃないのと言われて、じゃあQE2とは一体なんだったのかとゆーよーな素敵な話になってくると思われますので、中々難しい所ではないかとも思われますけどな。
『The Federal Reserve could also reduce the 25 basis point rate of interest
it pays to banks on their reserves, thereby putting downward pressure on
short-term rates more generally.』
実効FF金利を下げると言う話ですが、Billの金利とか大概に下がっているような気もするんですけどねえ、まあいっか。
『Of course, our experience with these policies remains relatively limited,
and employing them would entail potential risks and costs. However, prudent
planning requires that we evaluate the efficacy of these and other potential
alternatives for deploying additional stimulus if conditions warrant.』
ということで、メリットデメリットありますので慎重に検討しながら必要ならば追加緩和の実施を行いますよということで。
○出口政策の話は基本的に6月FOMC議事要旨の手順書の説明である
『On the other hand, the economy could evolve in a way that would warrant
a move toward less-accommodative policy. Accordingly, the Committee has
been giving careful consideration to the elements of its exit strategy,
and, as reported in the minutes of the June FOMC meeting, it has reached
a broad consensus about the sequence of steps that it expects to follow
when the normalization of policy becomes appropriate.』
ということで、6月FOMCの議事要旨でお示しした通りでございますがという事で、この後は先般ネタにしましたFOMC議事要旨における出口政策の原則に関する説明が延々と続くので割愛、というか引用だけしておく。
『In brief, when economic conditions warrant, the Committee would begin
the normalization process by ceasing the reinvestment of principal payments
on its securities, thereby allowing the Federal Reserve's balance sheet
to begin shrinking. At the same time or sometime thereafter, the Committee
would modify the forward guidance in its statement. Subsequent steps would
include the initiation of temporary reserve-draining operations and, when
conditions warrant, increases in the federal funds rate target.』
『From that point on, changing the level or range of the federal funds
rate target would be our primary means of adjusting the stance of monetary
policy in response to economic developments.』
『Sometime after the first increase in the federal funds rate target, the
Committee expects to initiate sales of agency securities from its portfolio,
with the timing and pace of sales clearly communicated to the public in
advance. Once sales begin, the pace of sales is anticipated to be relatively
gradual and steady, but it could be adjusted up or down in response to
material changes in the economic outlook or financial conditions. Over
time, the securities portfolio and the associated quantity of bank reserves
are expected to be reduced to the minimum levels consistent with the efficient
implementation of monetary policy.』
『Of course, conditions can change, and in choosing the time to begin policy
normalization as well as the pace of that process, should that be the next
direction for policy, we would carefully consider both parts of our dual
mandate.』
まあ内容に関しては6月FOMC議事要旨ネタの時と同じであります。ということで、今回は両論併記していた訳ですが、まあ出口政策一辺倒ではなく、経済データ次第でどういう対応でもしますよ、というフリーハンドを確保するための両論併記だと思う所でございます。
と申しますのは、この議会証言の翌日に早期追加緩和に関して否定する発言をバーナンキ議長はしていたと言う事で、つまりこのときの市場の反応がいきなりQE3ヒャッハー状態になってしまったので「これは薬が効きすぎた」ということでプチ火消しをしたという動きをしていたと思われる次第。つまりは「現状では決め打ちはしてませんよ」という事なんでしょうなあと思うのでありました。
話は変わって白川総裁講演(山口副総裁記者会見ネタは忘れた訳ではありません^^)。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko110725a.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── きさらぎ会における講演 ──
○CPI改定に関する発言が微妙にアレである
基本的には展望レポートの線に沿った話をしているのですが、CPI改定に関する部分を読んで「ほうほう」と思うのであった。
『ただし、日本の場合、消費者物価指数は5年に一度基準改定が行われ、本年8月半ばに公表される新基準の計数では前年比のプラス幅が下方改定される可能性が高いことはかねて申し上げてきているとおりです。』
さいですな。
『やや技術的になりますが、日本の消費者物価指数の作成方法では、消費者の購入する商品のバスケットは固定されているので、基準年から時間が経過するにしたがって、価格が下落したことで購入量が増加している商品の価格下落の影響が、反映されにくくなります。いわゆるラスパイレス・バイアスです。その典型がパソコンやテレビなどの商品です。その結果、前回改定から約5年が経過した今の消費者物価指数は、前年比上昇率が高めに出ており、それが今回の基準改定で一挙に下方に修正されることになります。』
今の消費者物価指数は高めに出ているキタコレ。いやまあその通りの話なのではございますが、普段この上方バイアスの話を微妙に避けて通る傾向にあるように思えるんですけど、基準改定が接近した所で先般の山口副総裁に続いて白川総裁もこの話をきっちりするようになっていますなあ^^;
『下方修正の具体的な幅についてはエコノミストが推計値を公表していますが、比較的推定が容易なラスパイレス・バイアス以外にも、新規にどのような商品が採用されるか、価格を把握する際にどのような算定方式が採用されるかといった事情にも影響されるので、事前に正確にはわかりません。企業や家計は個々の商品の価格を見ながら日々生産や支出の決定を行っており、物価指数の基準改定という統計上の技術的な修正をもって物価の実勢や人々の経済行動が変わるわけではありませんが、日本銀行としてその内容やその意味を点検してまいりたいと考えています。』
つまりCPIの基準改定でゼロだのマイナスだのとなった場合には日銀としてはそれなりに重要なこととして受け止めるという事だとゆー風に読んでしまいたくなる所ですがさてどうなんでしょうか・・・・・・・
○リスク要因の話に円高ネタも
『以上が、相対的に蓋然性が高いと考えられる中心的な経済・物価の見通しですが、先行きには常に不確実性がありますので、見通しが実現しないリスクについても冷静に認識しておく必要があります。』
ということで、リスク要因の部分。
『第一のリスク要因は、海外経済の先行きに関するものです。この点については先程触れたので繰り返しませんが、米国、欧州、新興国・資源国ともに、それぞれリスクを抱えています。』
ここの小見出しは『海外経済に関するリスク』なのですが、実はこの後は為替の話をしているのがチャーミング。
『このような海外経済を巡るリスクに関連して、為替市場の動きにも注意が必要です。すなわち、世界経済の先行きに対する不確実性が高まると、投資家のリスク回避姿勢が強まり、相対的に安全とみられている通貨に上昇圧力がかかる傾向があります。震災後の先進国通貨の名目実効為替レートの動きに則して言えば、スイスフランが最も上昇し、次いで円の順番となっています。円高には、輸入原燃料コストの低下などのメリットもありますが、海外経済の不確実性の高まりがその背景となっているような局面では、輸出や企業収益の減少、企業マインドの悪化などを通じて、景気に悪影響が及ぶ可能性があり、注意深くみていく必要があります。』
ということで、これまでよりは白川総裁が円高の悪影響の話を強調したなあというのが第一印象であります。
『先行きの経済・物価を巡る第二のリスク要因は、今回の震災に起因する中長期的な影響です。震災の影響と言っても、注目すべきポイントは、時間の経過とともに変化します。震災直後に懸念されたサプライチェーンの回復の遅れや、この夏の電力不足のリスクは、後退しています。しかし、家計のマインドについては、幾分改善しているとは言え、震災前に比べてなお弱く、個人消費の回復の動きも、外食や旅行などの分野では鈍いと言わざるを得ません。当面の個人消費の動向は、丹念に点検していく必要があります。』
何かこの前の展望レポート中間レビュー時(つい2週間前だが)の会見よりも微妙にこの辺の言い回しのトーンが弱い気がするんだが・・・・・・
『ここへきて不確実性が強まっているのは、定期点検後に原子力発電所が再稼働できなくなった場合の電力供給制約の問題です。その場合、電力供給の減少を、当面他の手段で完全に補うことは難しいと考えられるため、夏場や冬場を中心に、電力不足が恒常化し、様々な対応努力をしても、経済活動が制約される可能性が高くなります。また、原子力発電を火力発電である程度代替していく場合でも、安全対策を強化して原子力発電を継続する場合でも、これまでよりはコストがかかります。いずれにしても、電力コストの上昇によって、企業収益や家計の実質購買力が圧迫され、設備投資や個人消費が抑制される可能性があります。』
中長期的な電力の問題に関しての懸念は前回の記者会見でも思いっきり一番の懸念としていましたが、これは今回もそのような感じですな。
『さらに、より長期的な観点からは、日本経済の中長期の成長力の低下要因となるリスクも、認識しておく必要があります。今回のサプライチェーンの毀損により、国内生産の震災リスクが改めて意識されるようになっています。それに加えて、電力の安定供給やコストを巡り不確実性の大きい状態が続くことになれば、海外生産シフトの動きが加速する可能性も、無視できなくなります。』
この話も関連して行っていますが、まあリスク要因とかさっきの所とかを見ると、微妙に白川総裁トーンダウン気味のような気がするんだが先日の山口副総裁の講演にあたくしの頭が影響されて微妙に先入観持って読んでいる可能性があるのでその点に関しましてはご注意ありたしという感じでよろしゅうにm(__)m
という事で、甚だ簡単メモで恐縮ですが総裁講演ネタでございました。
2011/07/25
お題「先日のバーナンキ議会証言も味わいがあるのでネタにするのだ」
ということで今更ネタですが先日のQE3示唆でカーニボーとなったバーナンキ議長の議会証言からであります。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20110713a.htm(HTML版)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20110713a1.pdf(PDF版)
○経済に関しては基本的には6月FOMC議事要旨とSEPの説明である
前半が『The Economic Outlook』ですけれども、まあ足元の状況については最初の1パラグラフが端的に言えばまとめという感じですが。
『The U.S. economy has continued to recover, but the pace of the expansion
so far this year has been modest. After increasing at an annual rate of
2-3/4 percent in the second half of 2010, real gross domestic product (GDP)
rose at about a 2 percent rate in the first quarter of this year, and incoming
data suggest that the pace of recovery remained soft in the spring. At
the same time, the unemployment rate, which had appeared to be on a downward
trajectory at the turn of the year, has moved back above 9 percent.』
景気の拡大ペースは緩やかで足元のデータを見てもそのペースは引き続き緩やかであると見られます。んでもって失業率に関しては低下基調となっていましたが足元ではまた9%に戻っています。ってな話をしていますが、そのうちの一部は一時的要因である、という話をしているのが次のパラグラフでして、まー基本的な話としては「まだ回復軌道にあります」というのがメインではありまする。
『In part, the recent weaker-than-expected economic performance appears
to have been the result of several factors that are likely to be temporary.
Notably, the run-up in prices of energy, especially gasoline, and food
has reduced consumer purchasing power. In addition, the supply chain disruptions
that occurred following the earthquake in Japan caused U.S. motor vehicle
producers to sharply curtail assemblies and limited the availability of
some models.』
一時的要因のうち影響が大きいのはガソリンなどのエネルギー価格と食品価格の上昇によって、消費者の購買力が低下している事で、それに加えて日本の震災によるサプライチェーン毀損の米国自動車産業への影響がありますとゆー事ですが、消費者の購買力に関する話はポイントとして後でも出てきます。
『Looking forward, however, the apparent stabilization in the prices of
oil and other commodities should ease the pressure on household budgets,
and vehicle manufacturers report that they are making significant progress
in overcoming the parts shortages and expect to increase production substantially
this summer.』
一時的要因に関しては夏に向けて改善(コモディティー価格が下落しておりサプライチェーンの毀損は大幅に改善している)していますよ、という話をしておりますな。
で、この先が6月FOMCでの経済見通しを中心にした話になるのですが、その中で今後数四半期における一番の重要なファクターとして「家計セクターの需要」を挙げています。
『Much of the slowdown in aggregate demand this year has been centered
in the household sector, and the ability and willingness of consumers to
spend will be an important determinant of the pace of the recovery in coming
quarters.』
『Real disposable personal income over the first five months of 2011 was
boosted by the reduction in payroll taxes, but those gains were largely
offset by higher prices for gasoline and other commodities. Households
report that they have little confidence in the durability of the recovery
and about their own income prospects. Moreover, the ongoing weakness in
home values is holding down household wealth and weighing on consumer sentiment.』
実質可処分所得は所得税減税効果を物価上昇で打ち消す形となっており、家計調査によれば景気回復や将来の家計収入拡大への信頼感の弱さが示されている。更に住宅価格の下落が続いており、これが家計のバランスシートを圧迫しており消費者センチメントに悪影響を与えている、ということで、まあ色々と問題を示していますわな。これで本当に回復するんかいなという気がしますがねえ。
『On the positive side, household debt burdens are declining, delinquency
rates on credit card and auto loans are down significantly, and the number
of homeowners missing a mortgage payment for the first time is decreasing.
The anticipated pickups in economic activity and job creation, together
with the expected easing of price pressures, should bolster real household
income, confidence, and spending in the medium run.』
と思ったらこういうポジティブサイドの話をしているという事ですが、最初の延滞やら債務不履行関連の減少の話は兎も角、その先の話ってどう見ても希望的観測です本当にカムサハムニダという感じでございますがまあいっか。
でまあ物価見通しに関してはこれまた6月FOMC議事要旨と同じ話をしていまして、足元でPCEインデックスが年率2.5%の上昇を示しているけれども、その要因としては原油価格や食品価格の上昇や日本の震災によるサプライチェーンの毀損による自動車価格上昇の影響などの一時的要因が多くを占めている、という説明をしていまして、今後についてはこれまたFOMC議事要旨でありましたが・・・・
『Most of the recent rise in inflation appears likely to be transitory,
and FOMC participants expected inflation to subside in coming quarters
to rates at or below the level of 2 percent or a bit less that participants
view as consistent with our dual mandate of maximum employment and price
stability. 』
ということで、またまたこちらでも「at or below the level of 2 percent」とbelowが入っていますな、当たり前ですけれども。
○金融政策はかなり香ばしい部分が散見されるのですけれども
まあここまでは前振りみたいなもんで、後半の『Monetary Policy』がネタなのでありますが。
・現在の政策のフレームワークについて
『As you know, that policy currently consists of two parts.』
『First, the target range for the federal funds rate remains at 0 to 1/4
percent and, as indicated in the statement released after the June meeting,
the Committee expects that economic conditions are likely to warrant exceptionally
low levels of the federal funds rate for an extended period.』
『The second component of monetary policy has been to increase the Federal
Reserve's holdings of longer-term securities, an approach undertaken because
the target for the federal funds rate could not be lowered meaningfully
further.』
ということで、FF金利の0-0.25%というのとガイダンス文言のセットが一つの構成で、もう一つの構成部分が長期債券の買い入れですとな。
・で、長期債券買い入れの効果は・・・・・・
『The Federal Reserve's acquisition of longer-term Treasury securities
boosted the prices of such securities and caused longer-term Treasury yields
to be lower than they would have been otherwise. In addition, by removing
substantial quantities of longer-term Treasury securities from the market,
the Fed's purchases induced private investors to acquire other assets that
serve as substitutes for Treasury securities in the financial marketplace,
such as corporate bonds and mortgage-backed securities. 』
『By this means, the Fed's asset purchase program--like more conventional
monetary policy--has served to reduce the yields and increase the prices
of those other assets as well. The net result of these actions is lower
borrowing costs and easier financial conditions throughout the economy.
We know from many decades of experience with monetary policy that, when
the economy is operating below its potential, easier financial conditions
tend to promote more rapid economic growth. Estimates based on a number
of recent studies as well as Federal Reserve analyses suggest that, all
else being equal, the second round of asset purchases probably lowered
longer-term interest rates approximately 10 to 30 basis points. Our analysis
further indicates that a reduction in longer-term interest rates of this
magnitude would be roughly equivalent in terms of its effect on the economy
to a 40 to 120 basis point reduction in the federal funds rate.』
ということでその効果ですけれども(1)購入した証券の価格が上昇(金利が低下)する、(2)長期金利がこのプログラムを実施しなかったときに比べて10〜30bpの低下効果が現れている、(3)FEDが民間の保有する長期国債を買い入れる事によって、民間のポートフォリオリバランス効果を誘発し、他のリスク性金利商品(社債やMBSなど)を購入するようになりそれらの金利が低下する、という事のようで、その結果としてFFレートを40〜120bp引き下げたのと同様の効果がありました(キリッ)とドヤ顔で逆さ絵おじさんは仰せのようであります。
・長期債の買い入れ効果はその「購入残高」と「購入物の構成」で測られるとのお告げです
買い入れ止めたら効果落ちるだろとか外野的には思うのですけれども、相変わらず逆さ絵のおじさんはこの理屈に拘っておられるようで。
『In June, we completed the planned purchases of $600 billion in longer-term
Treasury securities that the Committee initiated in November, while continuing
to reinvest the proceeds of maturing or redeemed longer-term securities
in Treasuries. Although we are no longer expanding our securities holdings,
the evidence suggests that the degree of accommodation delivered by the
Federal Reserve's securities purchase program is determined primarily by
the quantity and mix of securities that the Federal Reserve holds rather
than by the current pace of new purchases. Thus, even with the end of net
new purchases, maintaining our holdings of these securities should continue
to put downward pressure on market interest rates and foster more accommodative
financial conditions than would otherwise be the case.』
追加の新規買い入れはご案内のように終了しましたが、買い入れの緩和効果は新規買い入れの額がなんぼという事よりはFEDの買い入れ残高および保有銘柄の構成によって測られるものですのですという話を思いっきりしていまして、まあ現状でもFOMCの出口政策に関してはFEDのバランスシートの残高が自然体で減ったりするのが既に出口政策の一環に組み入れられていますし、保有銘柄の構成変化も政策インプリケーションがあるという話になっているのですが、そーゆー理屈で押した場合、追加緩和が必要になった場合には単純な量の拡大を行う以外にFEDの保有銘柄構成の変化、というかまあ要するにリスク性資産の買い入れをするという話になる可能性もありますな。そもそもさっきのところで住宅市場とかクレジットアベイラビリティの話とかが家計セクターに対して影響している話してますし。
・どう見ても雇用に対する効果が弱いようにしか見えないQE2の雇用への効果は・・・・・・
一応議会証言なので上記の後に「付言するとこれは財政ファイナンスではない」という話をしていますが、まあそこはスルーしまして雇用に関する部分ですがこれがまた怪しさ爆発のロジックが展開されています。
『When we began this program, we certainly did not expect it to be a panacea
for the country's economic problems. However, as the expansion weakened
last summer, developments with respect to both components of our dual mandate
implied that additional monetary accommodation was needed. In that context,
we believed that the program would both help reduce the risk of deflation
that had emerged and provide a needed boost to faltering economic activity
and job creation. 』
QE2の実施によってデフレリスクの解消と景気の拡大や雇用の創出という効果を期待しましたよということでその結果。
『The experience to date with the round of securities purchases that just
ended suggests that the program had the intended effects of reducing the
risk of deflation and shoring up economic activity. In the months following
the August announcement of our policy of reinvesting maturing and redeemed
securities and our signal that we were considering more purchases, inflation
compensation as measured in the market for inflation-indexed securities
rose from low to more normal levels, suggesting that the perceived risks
of deflation had receded markedly. This was a significant achievement,
as we know from the Japanese experience that protracted deflation can be
quite costly in terms of weaker economic growth. 』
ということで、昨年8月の償還再投資の実施とQE2実施のアナウンス以降、インフレ期待は上昇し、日本のようなデフレ長期化のリスクは回避することができてこれは顕著な効果ですとゆー話ですが、では雇用に関してはどうでっしゃろというのがその次。
『With respect to employment, our expectations were relatively modest;
estimates made in the autumn suggested that the additional purchases could
boost employment by about 700,000 jobs over two years, or about 30,000
extra jobs per month. Even including the disappointing readings for May
and June, which reflected in part the temporary factors discussed earlier,
private payroll gains have averaged 160,000 per month in the first half
of 2011, compared with average increases of only about 80,000 private jobs
per month from May to August 2010.』
元々そこまで大きく期待はしていませんで、QE2の実施によって追加で月に3万人の雇用創出を期待していましたが、何と民間の雇用者数は昨年8月までの月平均8万人から月16万人に増えましたよ!!!!!!と堂々のドヤ顔。
え?5月と6月の残念なデータ??アレは一時的要因ですよ一時的要因・・・・・・
『Not all of the step-up in hiring was necessarily the result of the asset
purchase program, but the comparison is consistent with our expectations
for employment gains. Of course, we will be monitoring developments in
the labor market closely.』
いやまあ勿論全部が全部買い入れの効果かどうかは兎も角、このように雇用者数拡大のペースが高まったのはFOMCの期待する効果と整合的ですよね、と仰せです。
だそうでして、いやあのホンマカイナというか雇用者数の話でスルーしているけれども肝心の失業率は相変わらず9%台になっている件はどうなっているんだという感じなのでございますが、QE2の雇用に関する効果については目を皿のようにして探しましたけれども、どう見てもこの部分にしか説明が無くて、足元の雇用改善の遅れについて今回の議会証言では普通に申し開きがあるだろうと思ったのですが、案の定というか残念な事にというか、雇用改善の遅れは一時的という説明で逃げたでござるの巻という結果になったのでありました。
と言うところで時間がなくなったので追加緩和がどうのこうのという話の部分とかは後日(たぶん明日)でよろしくであります。
2011/07/22
お題「他のネタをスルーして(すいません)FOMC6月議事要旨を成敗するのだ」
ということでFEDネタ大会の続きである。
6月FOMC議事要旨
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110622.htm(HTML版)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20110622.pdf(PDF版)
○連銀スタッフの見通しの部分再掲から
昨日高速で流してしまったので改めて。
『Nevertheless, the staff still projected real GDP to increase at a moderate
rate in the second half of 2011 and in 2012, with the ongoing recovery
in activity receiving continued support from accommodative monetary policy,
further increases in credit availability, and anticipated improvements
in household and business confidence. The average pace of real GDP growth
was expected to be sufficient to bring the unemployment rate down very
slowly over the projection period, and the jobless rate was anticipated
to remain elevated at the end of 2012.』
ということで、基本的な見通しは緩やかなペースでの回復なのですが、ではそれをサポートするのって何じゃろという事ですが、こちらにありますように「緩和的な金融政策」「クレジットアベイラビリティーの更なる改善」「家計や企業のコンフィデンスの改善が予想されること」となっていまして、最初の2つは兎も角、3つ目ってどうなのよという感じは漂ってくる所ではございます。
で、雇用環境に関しては「実質GDPの平均的な上昇ペースは、我々が想定する期間において、失業率を押し下げる速度が極めて遅い程度のものであり、2012年末においても失業率は高水準を維持するでしょう」という話で、まあ碌なもんじゃありませんわな。
『Although increases in consumer food and energy prices slowed a bit in
recent months, the continued step-up in core consumer price inflation led
the staff to raise slightly its projection for core inflation over the
coming quarters. However, headline inflation was still expected to recede
over the medium term, as increases in food and energy prices and in non-oil
import prices were anticipated to ease further. As in previous forecasts,
the staff continued to project that core consumer price inflation would
remain relatively subdued over the projection period, reflecting both stable
long-term inflation expectations and persistent slack in labor and product
markets.』
ということで、インフレに関してはコアインフレの予想を引き上げるものの、より長い期間で見た場合には「コア消費者物価は我々が想定する期間において抑制された状態が続くでしょう」となっていまして、その要因としては「安定的な長期的インフレ期待」「労働市場および生産品市場における持続するスラックの存在」という話をしていますわな。
○FOMCメンバーの経済情勢および先行き見通しに関する部分はオモロイ
で、次が『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』なのですが、今回はこの辺が色々とオモロイのです(つまり昨日は前振りみたいなもん)。
・全般的な現状認識と先行き見通しについて
『In their discussion of the economic situation and outlook, meeting participants
agreed that the economic information received during the intermeeting period
indicated that the economic recovery was continuing at a moderate pace,
though somewhat more slowly than they had anticipated at the time of the
April meeting.』
緩やかな景気回復は継続しているものの、4月FOMC時点で想定していたよりもそのペースは遅いとな。
『Participants noted several transitory factors that were restraining growth,
including the global supply chain disruptions in the wake of the Japanese
earthquake, the unusually severe weather in some parts of the United States,
a drop in defense spending, and the effects of increases in oil and other
commodity prices this year on household purchasing power and spending.』
で、その抑制要因のうち一時的要因としては「日本の震災によるサプライチェーンの毀損」「米国の一部地域での異常気象(洪水とか竜巻ですな)」「軍事関連予算執行の落ち込み」「石油やその他の商品価格上昇による家計の購買力の低下」とゆーのを列挙しています。
『Participants expected that the expansion would gain strength as the influence
of these temporary factors waned.』
ということにしていますが・・・・・
『Nonetheless, most participants judged that the pace of the economic recovery
was likely to be somewhat slower over coming quarters than they had projected
in April.』
でもやっぱり目先数四半期のタームでは4月FOMCでの想定よりも景気回復ペースは遅くなるとな。
『This judgment reflected the persistent weakness in the housing market,
the ongoing efforts by some households to reduce debt burdens, the recent
sluggish growth of income and consumption, the fiscal contraction at all
levels of government, and the effects of uncertainty regarding the economic
outlook and future tax and regulatory policies on the willingness of firms
to hire and invest.』
何でそうなるかと言うと、「住宅市場が持続的に弱いこと」「家計のバランスシート調整圧力が続くこと」「最近の不活発な所得と消費の伸び」「経済の見通しや将来の税制や規制などに対する不確かさから企業が雇用を拡大する意欲に影響を与えること」を列挙するとな。
『Moreover, the recovery remained subject to some downside risks, such
as the possibility of a more extended period of weak activity and declining
prices in the housing sector, the chance of a larger-than-expected near-term
fiscal tightening, and potential financial and economic spillovers if the
situation in peripheral Europe were to deteriorate further.』
でもってダウンサイドリスクキタコレという感じですが、「住宅セクターの低迷や価格下落が想定以上に長引くこと」「財政引締めがより厳しくなる可能性」「欧州周縁国の債務問題が金融市場や実態経済に対して波及する可能性」をダウンサイドリスクとしていますわな。
『Participants still projected that the unemployment rate would decline
gradually toward levels they saw as consistent with the Committee's dual
mandate, but at a more gradual pace than they had forecast in April.』
でね、ここでもデュアルマンデートキタコレなのですが、失業率は今後緩やかに低下してFOMCのデュアルマンデートに対して適正な水準に向かうものの、そのペースは4月FOMC時点での想定よりもより遅いペースになると、まあこの辺も判断弱めです罠という感じです。
でですな、FOMCメンバーの見通しに関する部分前半の白眉はこの次の物価に関するところじゃないのかとあたくし勝手に思っているのでありますがどうでござんしょ。
『While higher prices for energy and other commodities had boosted inflation
this year, with commodity prices expected to change little going forward
and longer-term inflation expectations stable, most participants anticipated
that inflation would subside to levels at or below those consistent with
the Committee's dual mandate.』
つまりですな、エネルギーや商品価格の上昇が今後落ち着いて、より長い期間のインフレ期待が安定している事からどうのこうのというのは毎度の話なのでございますが、今回「あら?」と思ったのはその結論の所でして、「デュアルマンデートに対して整合的なレベルまたは「それ以下の」レベルに物価上昇は低下するでしょう」という所がちょっとあらら感が漂うのよね。
でまあ念の為4月FOMCの議事要旨とか見た訳ですが、当然ながら4月の時点では物価の先行きに関しては上昇圧力掛かっていますねでも何とかなるでしょう的なニュアンスになっていまして、思いっきり「below」とか出たのは今回からという形になっておりまして、まあこの辺の認識がバーナンキ議長のハンフリーホーキンスにおける両論併記攻撃になったのかもねという感じになるのでしょうか。
・「最近の労働市場環境の悪化をFOMCは特に懸念している」
で、その後は各需要項目の話になるのですがそこは端折りましてそのちょっと後の部分から。
『Meeting participants generally noted that the most recent data on employment
had been disappointing, and new claims for unemployment insurance remained
elevated. The recent deterioration in labor market conditions was a particular
concern for FOMC participants because the prospects for job growth were
seen as an important source of uncertainty in the economic outlook, particularly
in the outlook for consumer spending.』
これはまたキタコレでありますが、最近の雇用に関するデータは「失望的」であり、失業保険申請件数は高止まりしていると言った後に、「最近の労働市場環境の悪化はFOMCが特に懸念することである、なぜならば雇用の増加に関する先行きの見通しは、経済見通し、特にその中でも消費支出の見通しに対する不確実性の元であるからだ」ときやがりましたな。
『Several participants reported feedback from business contacts who were
delaying hiring until the economic and regulatory outlook became more certain
and who indicated that they expected to meet any near-term increase in
the demand for their products without boosting employment; these participants
noted the risk that such cautious attitudes toward hiring could slow the
pace at which the unemployment rate normalized.』
んでもって数名のメンバーが指摘するのは、企業の雇用拡大に関する行動が遅れているのは、先行きの経済および規制に関する見通しが不確実だったり、需要の伸びに対する見通しが不確実だったりする事によって雇用を増大させようとしないという背景があり、このような慎重な企業行動によって、失業率が正常化に向けて低下するに不十分な雇用の伸びに繋がるリスクがあるのではないかとのこと。
『Wage gains were generally reported to be subdued, although wages for
a few skilled job categories in which workers were in short supply were
said to be increasing relatively more rapidly. 』
一部のパートタイム的な低スキルの職種以外での賃金の伸びは一般的に抑制されているとな。
・金融環境、インフレ
その後が金融環境の話なのですが、そこには前回のFOMCでも似たような指摘があったのですけれども、今回は「金融の不安定化リスクという観点から、特に農業セクターにおいてクレジットコンディションが一部で緩和しすぎていて過大なリスクテイクが見られる」という指摘があったのがほほーという感じでしたので引用するだよ。
『In identifying possible risks to financial stability, a few participants
expressed concern that credit conditions in some sectors--most notably
the agriculture sector--might have eased too much amid signs that investors
in these markets were aggressively taking on more leverage and risk in
order to obtain higher returns. 』
で、まあ金融環境に関してはその他には欧州問題とか米国のデットシーリング問題とかを指摘していますけれどもその辺は引用割愛。
インフレに関してですが、基本的にはスタッフの認識及び先行き見通しと同じ話をしていまして、「ヘッドラインインフレの上昇は一時的要因に基づくものであり、中期的なインフレは商品価格上昇の落ち着きとインフレ期待の安定化によって抑制されるでしょう」というのが結論なのですが、基調的なインフレの上昇可能性について指摘している部分がこれまたほほーという感じです。
『However, a number of participants pointed out that the recent faster
pace of price increases was widespread across many categories of spending
and was evident in inflation measures such as trimmed means or medians,
which exclude the most extreme price movements in each period. The discussion
of core inflation and similar indicators reflected the view expressed by
some participants that such measures are useful for forecasting the path
of inflation over the medium run. In addition, reports from business contacts
indicated that some already had passed on, or were intending to try to
pass on, at least a portion of their higher costs to customers in order
to maintain profit margins.』
ということで、価格上昇が幅広く拡大していることが刈込平均値や刈込中央値などからも見て取れる事から、これらの指標を注視すべきと指摘するメンバーがいるとか、企業サーベイなどからは、原材料価格上昇を転嫁する動きが見られるというような指摘がありまして、足元でヘッドラインインフレが落ち着くと言うのがメインのシナリオになっているからまあ大ネタになっていませんけど、これでヘッドラインのインフレが上昇傾向を続けるとなると、物価上昇の2次的効果がどうしたこうしたとゆーよーな懸念も浮上するかもねという話になるんですかね。よー知らんけど。
『Most participants expected that much of the rise in headline inflation
this year would prove transitory and that inflation over the medium term
would be subdued as long as commodity prices did not continue to rise rapidly
and longer-term inflation expectations remained stable.』
というのが見通しなのですが。
『Nevertheless, a number of participants judged the risks to the outlook
for inflation as tilted to the upside.』
多くのメンバーのインフレの先行きリスク認識は上方に傾いたキタコレ。
『Moreover, a few participants saw a continuation of the current stance
of monetary policy as posing some upside risk to inflation expectations
and actual inflation over time. However, other participants observed that
measures of longer-term inflation compensation derived from financial instruments
had remained stable of late, and that survey-based measures of longer-term
inflation expectations also had not changed appreciably, on net, in recent
months. These participants noted that labor costs were rising only slowly,
and that persistent slack in labor and product markets would likely limit
upward pressures on prices in coming quarters. Participants agreed that
it would be important to pay close attention to the evolution of both inflation
and inflation expectations.』
一部の委員からは緩和的な金融政策スタンスがインフレ期待の上方シフトを起こすリスクを指摘していますが、まあ現状ではそんなこと無いでしょというのが大勢意見。前提として労働コストの上昇が極めて緩やかで、労働市場と生産財市場の持続するスラックが価格上昇圧力を抑えるという話はまあ連銀スタッフの見立てと同じです罠。
・明示的なインフレ目標に対する反対意見がキタコレ
『A few participants noted that the adoption by the Committee of an explicit
numerical inflation objective could help keep longer-term inflation expectations
well anchored.』
というのはここのところ毎度出ている意見(ブラードとかコチャラコタとかピアナルトとかが言ってるとかなのかにゃ、よー知らんが)なんですが、今回違うのはこの先。
『Another participant, however, expressed concern that the adoption of
such an objective could, in effect, alter the relative importance of the
two components of the Committee's dual mandate.』
具体的数値による明示的なインフレ目標の設定は、FOMCのデュアルマンデートの重要性を相対的に低下させる可能性がある点を指摘しているFOMCメンバーが1名という事でございまして、ここに関してはほほうというか何と言うか味わいを感じましたですよ。マニア的には。
○FOMCメンバーの中期的な金融政策見通し・・・・・は遠心力モードですかそうですか
んでまあここの最後のパラグラフもこれまた味わいが。
『Participants also discussed the medium-term outlook for monetary policy.』
へいへい。
『Some participants noted that if economic growth remained too slow to
make satisfactory progress toward reducing the unemployment rate and if
inflation returned to relatively low levels after the effects of recent
transitory shocks dissipated, it would be appropriate to provide additional
monetary policy accommodation.』
金融緩和の必要性の可能性を主張するメンバーが複数名キタコレなのですが、この先の部分も中々。
『Others, however, saw the recent configuration of slower growth and higher
inflation as suggesting that there might be less slack in labor and product
markets than had been thought.』
他のメンバーは最近の「より遅い経済成長」と「より高いインフレ」のセットというのは、実は労働市場や生産財市場のスラックが我々の想定しているよるも小さいのではないかも知れない、という見立てをしていまして、これはつまり「持続する経済のスラックが中長期的なインフレを抑制する」というベースの見方に対する見直しに繋がる部分なのであたくし的にはほほうと思うのでした。多分この辺りに関しては英国の状況が先行事例になっていると思うのですが、英国に関しても延々と「経済の生産力の余剰が中長期的なインフレを押し下げる」という見立てをしながら物価の上昇は続くわ経済成長は徐々に失速するわという形になっていまして、この辺との比較は意識しているのかもねとか思います。今回のFOMC議事要旨でも「物価上昇によって家計の実質購買力が伸びない」というような論点が何度も指摘されていますし、この論点がFOMCのメインになるのかどうかというのは議論の方向性や連銀の人たちの講演などを見るのが吉なのでしょうな。
『Several participants observed that the necessity of reallocating labor
across sectors as the recovery proceeds, as well as the loss of skills
caused by high levels of long-term unemployment and permanent separations,
may have temporarily reduced the economy's level of potential output. In
that case, the withdrawal of monetary accommodation may need to begin sooner
than currently anticipated in financial markets.』
で、数名のメンバーからは逆に早期の出口政策着手の可能性についての指摘となるのでした。
『A few participants expressed uncertainty about the efficacy of monetary
policy in current circumstances but disagreed on the implications for future
policy.』
別の他のメンバーは現在の金融政策の有効性に対する不確実性を指摘するものの、先行きの金融政策に関するインプリケーションに関しては同意しないと。
つーことで、何かまあFOMCメンバーの中で今後の金融政策に関する見解は結構な勢いで割れているという感じがしまして、結局のところ「まとめきれずに現状維持」というような結果にはなるのかなあとか愚考するのですけれども、論点が絶賛拡散中という感じでございましょうか。
○先行き金融政策の両論併記とか微妙な記述部分とか
『Committee Policy Action』の最初の部分はまあ普通の話(今回の決定に関する話)をしているのですが、その後に両論併記コーナーが。
『On the one hand, a few members noted that, depending on how economic
conditions evolve, the Committee might have to consider providing additional
monetary policy stimulus, especially if economic growth remained too slow
to meaningfully reduce the unemployment rate in the medium run.』
『On the other hand, a few members viewed the increase in inflation risks
as suggesting that economic conditions might well evolve in a way that
would warrant the Committee taking steps to begin removing policy accommodation
sooner than currently anticipated.』
ということで、上記の論点を基にして両論併記という形になりましたが、どちらも言える事なのですが、結局のところ「今後のデータ次第」という所がありますので、物価と雇用に関するデータを見ながら当面は一喜一憂というかQE3ヒャッハー祭りが始まったり後の祭り状態のゲロゲロマーライオンになったりとかやらかすのでしょうかねえ雨人は祭り大好きですから。
でですな、その後に興味深い一文がありましてそちらを引用するあたくし。
『In the discussion of inflation in the statement, members decided to reference
inflation--meaning overall inflation--rather than underlying inflation
or inflation trends, in order to be clear that the Committee's objective
is the level of overall inflation in the medium term. 』(ちなみに原文では一部斜字体なんですけどめんどいから普通のフォントで勘弁)
ということで、FOMCがデュアルマンデートとして言及している中期的なインフレとは全体としてのインフレのレベルであって、基調的なインフレやインフレトレンドではないという話をクリアカットにすべきという話で、まあある意味当たり前っちゃあ当たり前なのですが、この背景ってなんなんですねんというのはちょっと興味あります。
○対外発信に関連して
票決の後ですから最後の最後なのですが、へーっていうのがあったので引用。
『External Communications』って小見出しです。
『In follow-up to discussions at the January meeting, the Committee turned
to consideration of policies aimed at supporting effective communication
with the public regarding the outlook for the economy and monetary policy.
The subcommittee on communication, chaired by Governor Yellen and composed
of Governor Duke and Presidents Fisher and Rosengren, proposed policies
for Committee participants and for Federal Reserve System staff to follow
in their communications with the public in order to reinforce the public's
confidence in the transparency and integrity of the monetary policy process.』
ほうほう。
『By unanimous vote, the Committee approved the policies.』
脚注があって、(The policies are available at http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/FOMC_ExtCommunicationParticipants.pdf and http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/FOMC_ExtCommunicationStaff.pdf.)だそうですがまだ読んでないっす(汗)。
『Participants all supported the policies, but several of them emphasized
that the policy for staff, in particular, should be applied with judgment
and common sense so as to avoid interfering with legitimate research.』
肝心のポリシーを読まないで申し上げるのもなんですが、最後のところを見ると連銀スタッフによるリサーチ活動の障害にならないようにしないといけませんねという指摘があるので、まあこの手の対外発信と実際の金融政策のバランスと言うのは中々難しいので、あまり対外発信に関するポリシーをキツキツに運用すると却って連銀のリサーチに悪影響だし、かといって全部フリーダムにするとコミュニケーションポリシー上カオスになっても困りますとかいう話をしているのねということで、まあどうでもいい話ちゃあどうでもいい話ですが、中々興味深いです。
ということで、ダラダラやってるとオワランチ会長になるので一気にFOMC6月議事要旨を成敗したが、更に味わいと香ばしさの深いバーナンキの議会証言と、景気に関する先行き懸念オンパレードの山口副総裁会見は時間の都合でスルーとなりまして誠に申し訳ございませんm(__)m
2011/07/21
お題「山口副総裁講演から少々/FOMC議事要旨ネタの続き」
今しがた公共放送でやってたんですが・・・・・
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110721/t10014343991000.html
全日空 格安航空会社と提携へ 7月21日 5時5分
・・・・・・・えーっと(上記ニュースにもあるけど)桃航空とか言うLCCを設立したばっか(ライアンエアーの人をアドバイザーにしたとかいうニュースをこの前見た気がするが)でまだ就航もしてないのに二つ目作るって全日空どうしてそうなった??????????
まあそれは兎も角山口副総裁講演から。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko110720a.pdf
大震災後の日本経済と金融政策の課題:不確実性への備えと成長力の強化
○「物価安定の実現に時間が掛かるリスク」とな
展望レポートの中間レビューというか今回の決定会合で示された経済見通しがそういう感じですが、山口副総裁の講演も基本的にはまあそういう流れになっております。執行部だから当たり前っちゃあ当たり前ですけれども。
ということで今回の講演はうまい事に小見出し付きなので安直に小見出しを並べてみる。
『3.日本の経済・物価情勢
(1)経済・物価の現状および見通し
・本年度後半には再び緩やかな回復経路へ
・物価は小幅のプラスで推移
(2)先行きの経済・物価を巡る不確実性
・予断を許さない海外の金融経済情勢
・不確実性を増す電力事情
・物価安定の実現が遅れるリスク』
・・・・・ということですが、不確実性がどうのこうのという所に関しては「ほほう」という感じがするのですが、まずこの不確実性の所の最初にこういう言い方をしていまして、先行きの下振れリスクを強調する形になっておりますな。
『以上、経済・物価の見通しを申し上げましたが、これらには様々な不確実性があることを、強調しておきたいと思います。震災後、これまでは、サプライチェーンがどの程度速やかに回復するか、という点に大きな不確実性がありました。しかし、その点についてのリスクは、先ほど申し上げたように、かなり後退してきました。むしろ今後は、需要そのものがしっかり増加を続けていくかどうかに、景気の展開が左右されることになります。』
てな感じで話が続くのですが、海外の金融経済情勢と電力事情(およびそれに伴う製造業の空洞化懸念)はまあ既に言われている事なのですが、『物価安定の実現が遅れるリスク』というのは中々新しいのでこちらを引用しませう。
『以上のような様々な不確実要因により、仮に景気が、先ほど申し上げた見通しよりも下振れた場合、物価も下振れる可能性があります。加えて、物価には、統計上の不確実要因もあります。消費者物価指数は、5年ごとに指数が改定されることになっており、今年はちょうど、改定の年に当たっています。来月、新しい指数に切り替わり、最近のデータも遡って修正される予定です。先ほど、直近5月の消費者物価の前年比は+0.6%であったと申し上げましたが、これが指数の改定により、ゼロ%近傍まで下方修正される可能性が高いとみています。』
つーかマイナスの可能性もあるようですな。
『そのように最近のデータが変わりますと、先ほど申し上げた2011 年度、2012
年度とも+0.7%と申し上げた消費者物価の見通しも、もう少し低めに読み替えなければならない、ということになります。』
キタコレ。
『日本銀行では、消費者物価の前年比が2%以下のプラス、中心としては1%程度で推移する状態が、「物価安定」に最も近いと考えています。現在の物価見通しは、そうした「物価安定」の実現になお時間がかかることを意味していますが、今後の景気展開や、指数改定などによって、物価安定が達成できるタイミングにどのような影響が及ぶか、注意深くみていく必要があります。』
「現在の見通しでも物価安定の実現に時間がかかる事を意味している」というのは結構言い方としては踏み込んでいるようなイメージがあるんですが。どちらかというと日銀の言い方って「長い目で見れば物価安定に近づく」というポジティブな言い方(まあ中身は同じかも知れんが)をしていると思いますので、山口副総裁がこういう言い方をしているのって「ほほう」と思った次第。
それに、上記の言い方ですと+0.7%となる物価見通しは「物価安定」よりもやや低めの水準ですよって言ってるように見えまして、1%をより強調しているような印象を受けるのですけれどもその辺ってどうなんですかにゃあとゆーのが気になったざんす。まあここのテキストだけ見ていると日本の緩和政策の時間軸は伸びそうなイメージなのでございますけど・・・・・・
○成長基盤強化のおかわりはABL主眼とな
で、まあその後講演のお題にあるように「成長力の強化が必要」という話をしているのですけれども、まあその辺の話は華麗にスルーしまして、金融政策の説明部分の『成長基盤強化の支援』の所を引用しますと、今般の成長基盤強化のおかわりに関してはこんな説明をしているようで。
『本措置のために予定していた3兆円の資金は、概ね使い切られました。そこで、先月には5千億円の新たな貸出枠を設けました。新しい貸出枠では、企業に出資を行った金融機関や、売掛金や在庫などを担保とする融資を行った金融機関に対して、当初2年で最長4年の長期資金を、0.1%の低利で供給します。』
で、この次に色々と説明しているのはABLの話でして、出資の話に関しては華麗にスルーしているように見えます。まあ出資というのは説明不要ってえ事なのかもしれませんが、「新しいイノベーション」みたいなのがお好きな日銀クオリティ(これは日銀だけじゃなくて金融庁とか金融絡みの監督官庁の全てにその傾向があるのですが、何か「カイカク」をしたがるのって何なんでしょうねえと頑迷保守でウルトラコンサバのあたくしは思うのでありました^^)だけにまあABLの推進をしたいんでしょうなあというのは把握した。
『売掛金や在庫などを担保とする融資は、動産・債権担保融資(Asset Based Lending)と呼ばれ、米国では盛んに行われています。このABLは、不動産担保融資に比べて、担保価値の評価などの面で難しさを伴います。ビジネスの過程で生じる資産の価値は、そのビジネスの内容や業界動向について、借り手と金融機関が深く理解し合わなければ、評価ができないからです。しかし、積極的にそういう手間をかけることには、不動産担保や経営者の個人保証がない企業にも、資金調達への道が開かれる、という大きなメリットがあります。こうしたメリットを活かすよう、企業と金融機関が二人三脚で収益機会の開拓に取り組み、これまで埋もれていた成長の芽が日本全体で育っていくよう、期待しています。』
まあ期待します(棒読み)という感じですが、日本の場合そういう事業のどうのこうので信用供与って話は商社なりメーカーなりの企業間与信が対応しているんじゃねえのかという気がするし、動産担保とかだとノンバンクで対応しているような気がするんだが、あたくしも金貸し現場を離れて長いので正直良く判らん。
まあ山口副総裁講演はそんな感じで(どういう感じだ)。
では昨日の続きをやろうと思ったのですが、久々に快眠したせいで起床が遅れた事もあり(天気悪いから目覚め遅かったのもある^^)本日は簡単にスルーすると明日が金曜なのでFEDネタが今週で片付かない懸念があって甚だ遺憾の極みでありますorz
6月FOMC議事要旨
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110622.htm(HTML版)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20110622.pdf(PDF版)
○連銀スタッフの経済認識と先行き見通し・・・・のはずでしたが(汗)
でまあそこの部分も一々ほほうと思いながら読んだのでありますが、これを引用していると正直キリが無い(議事要旨は議事部分だけでも2段組びっちりで8枚分ある)のであたくしが読んだのを箇条書きするアルので内容無保証につき間違っていたら教えてジェネラル。
経済認識部分はこんな感じ。
・いきなりのっけから失業の話が出ているという暗いトーンで話が始まります(^^)
・でもって失業はまあ良くない話が続きます、当然ながら
・鉱工業生産の伸びはサプライチェーン毀損の影響で緩やかなものに留まる
・消費の伸びは抑制されている
・雇用者所得は緩やかに拡大しているが消費者物価が上昇しており実質可処分所得は伸びない
・消費者マインドは低水準
・引き続き需要は弱い
・企業の投資もスローダウン、センチメントが弱まる
・在庫投資の伸びはやや減速、在庫水準は適正な状況
・政府支出は軍事関連で上振れ、地方政府や州政府の支出は弱まる
・輸出は力強く拡大中
・賃金の伸びは弱い
・世界経済の拡大ペースはより緩やかに
てな感じなのですが、読んでてへーと思ったのは物価に関する部分でこんなのがあったこと。
『Upward pressures on core consumer prices appeared to reflect the elevated
prices of commodities and other imports, along with notable increases in
motor vehicle prices likely arising from the effects of recent supply chain
disruptions and the resulting extremely low level of automobile inventories.』
輸入価格や商品価格の上昇によってCPIに上昇圧力が掛かるというのはよく言われる事ですが、日本の震災によってサプライチェーンの障害が起き、その結果として自動車製品の在庫が逼迫した結果、自動車価格に上昇圧力が掛かってCPI上昇に寄与したというのは何と申しますかこらまた参りましたという事で。いやまあ米国のCPIとか真面目に分析してれば当たり前の話なんでしょうけれども、何と言う風が吹けば桶屋が儲かるスキームと感心するのでありました。
いやまあ日本でも一時的に生活品価格は(統計上は知らんけど実際に買い物している身として思う数値としては)上昇したと思いますし、まあ世の中そういうもんなんでしょうけれども、これがいわゆる供給制約による物価上昇圧力かと(−−;
というのは兎も角として、この物価認識の部分ですけどね。
『Headline consumer price inflation, which had risen in the first quarter,
edged down a bit in April and May, as the prices of consumer food and energy
decelerated from the pace seen in previous months. More recently, survey
data through the middle of June pointed to declines in retail gasoline
prices, and prices of food commodities appeared to have decreased somewhat.
Excluding food and energy, core consumer price inflation picked up in April
and May, pushing the 12-month change in the core consumer price index through
May above its level of a year earlier.』
まあ要するにヘッドラインのインフレに関しては食品とエネルギー価格の上昇ペースが落ち着いてきたのでやや落ち着いてきましたが、コアCPIの方が上昇してますなという話。その次がさっきの「Upward
pressures 〜」になります。
ではインフレ期待に関してはと言いますと。
『However, near-term inflation expectations from the Thomson Reuters/University
of Michigan Surveys of Consumers moved down a little in May and early June
from the high level seen in April, and longer-term inflation expectations
remained within the range that has generally prevailed over the preceding
few years.』
目先のインフレに関するインフレ期待は4月に観測された高いレベルから低下しており、長期的なインフレ期待に関しては引き続き安定した水準の中にという事ですな。
てな感じで、ヘッドラインのインフレがちょっと落ち着いてきましたね、という話がございましたです、で、何でこれだけ引用したかと申しますと、(今日は間に合わないけれども)FOMCメンバーの意見の中でこれまた「へー」というのがありまして、その前ふりの積りです。
んでその次が金融環境の部分ですが、まあこれは総じて緩和傾向だが住宅関連は相変わらずうんこだよね、という話をしているのですが、めんどいので斜め読みしかしていない(この部分だけ精読するのパスしましたすいませんすいません)ので漏れがあったら教えてちょ。
・・・・さて、先行き見通しのところ、と思ったのですがここで時間切れなので(大汗)、とりあえずヤケクソでその部分の引用だけしておきます。続きは明日で勘弁してちょ。
・経済見通しについて:「最近のデータは基調的な回復ペースが4月の予想より弱い事を示唆する」
『With the recent data on spending, income, production, and labor market
conditions mostly weaker than the staff had anticipated at the time of
the April FOMC meeting, the near-term projection for the rate of increase
in real gross domestic product (GDP) was revised down. The effects of the
disaster in Japan and of higher commodity prices on the rate of increase
in real consumer spending were expected to hold down U.S. real GDP growth
in the near term, but those effects were anticipated to be transitory.』
まあここまでは一時的ですよね的な話だ。
『However, the staff also read the incoming economic data as suggesting
that the underlying pace of the recovery was softer than they had previously
anticipated, and they marked down their outlook for economic growth over
the medium term.』
ということで中期的な成長見通しを引き下げています。
『Nevertheless, the staff still projected real GDP to increase at a moderate
rate in the second half of 2011 and in 2012, with the ongoing recovery
in activity receiving continued support from accommodative monetary policy,
further increases in credit availability, and anticipated improvements
in household and business confidence. The average pace of real GDP growth
was expected to be sufficient to bring the unemployment rate down very
slowly over the projection period, and the jobless rate was anticipated
to remain elevated at the end of 2012.』
詳しくは明日(汗)。
・物価見通しに関して:コア物価に上昇圧力で見通しを上方修正
ええい全文引用で勘弁じゃ(続きは明日)。
『Although increases in consumer food and energy prices slowed a bit in
recent months, the continued step-up in core consumer price inflation led
the staff to raise slightly its projection for core inflation over the
coming quarters. However, headline inflation was still expected to recede
over the medium term, as increases in food and energy prices and in non-oil
import prices were anticipated to ease further. As in previous forecasts,
the staff continued to project that core consumer price inflation would
remain relatively subdued over the projection period, reflecting both stable
long-term inflation expectations and persistent slack in labor and product
markets.』
まあ詳しくは明日で勘弁。
2011/07/20
お題「今回のFRBネタはかなり面白いので色々と読んでみる」
ご案内の通り先週は6月FOMC議事要旨の公表とバーナンキの議会証言がございました訳ですが。
6月FOMC議事要旨
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110622.htm(HTML版)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20110622.pdf(PDF版)
バーナンキ議会証言の原稿
http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20110713a.htm(HTML版)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20110713a1.pdf(PDF版)
ということで2件並べてみましたが、これがまた両方とも今回は大ネタ(QE2が終了した直後だから当たり前ですが^^)でありまして、まあどの辺からネタにしますかにゃあという感じでございますが、まずはFOMC議事要旨の最初の辺りから参ります。
再掲しますね。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110622.htm(HTML版)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20110622.pdf(PDF版)
○ドルスワップの継続とかDSGEがどうしたという話(メモ)
冒頭部分ではそんな話がありますので簡単に。
『Developments in Financial Markets and the Federal Reserve's Balance Sheet』の所にございますが、
『In light of ongoing strains in some foreign financial markets, the Committee
considered a proposal to extend its dollar liquidity swap arrangements
with foreign central banks past August 1, 2011. Following their discussion,
members unanimously approved the following resolution:』
で、カナダ中銀、BOE、ECB、日銀、スイス中銀とのスワップラインを1年間延長(2012年8月1日まで)する事を決定しまして、その結果として先般の日銀の金融政策決定会合ではドル資金供給オペ(毎度札が入ってませんが)も継続となりましたという話。
あと、次のコーナーが『Dynamic Stochastic General Equilibrium Models』という小見出しでして、DSGEモデルがどうしたこうしたという話があるのですが、あたくし的にはふーん程度しか興味が無い(すいません)ので結論らしき部分だけ一応引用。
『In discussing the staff presentation, meeting participants expressed
the view that DSGE models are a useful addition to the wide range of analytical
approaches traditionally used at the Federal Reserve, in part because they
provide an internally consistent way of exploring how the behavior of economic
agents might change in response to systematic adjustments to policy. Some
participants also expressed interest in seeing on a regular basis projections
of key macroeconomic variables and other products from the DSGE models
developed in the System.』
で、結論はまあこれからもモデルの改良をしていきましょうねという話に。
『Finally, participants encouraged further staff work to improve these
models by, for example, expanding the range of questions they can be used
to address.』
○出口政策の原則というか手順書みたいな話
んでもって次のコーナーが『Exit Strategy Principles』でござる。
『The Committee discussed strategies for normalizing the stance and conduct
of monetary policy, following up on its discussion of this topic at the
April meeting. Participants stressed that the Committee's discussions of
this topic were undertaken as part of prudent planning and did not imply
that a move toward such normalization would necessarily begin sometime
soon. For concreteness, the Committee considered a set of specific principles
that would guide its strategy of normalizing the stance and conduct of
monetary policy.』
ということで出口政策の原則に関しての議論は必ずしも出口政策を直ぐに実施することを直接的に意味しないというのは前から話をしている通りですな。
『Participants discussed several specific elements of the principles, including
how they should characterize the monetary policy framework that the Committee
would adopt after the conduct of policy returned to normal and whether
the principles should encompass the possible timing between the normalization
steps. At the conclusion of the discussion, all but one of the participants
agreed on the following key elements of the strategy that they expect to
follow when it becomes appropriate to begin normalizing the stance and
conduct of monetary policy:』
つーことで、1名を除いて出口政策を適用するのが適切となった場合に実施する出口政策の原則、というか手順を以下のようにする事について合意した、という話でございます。まあ以下の部分を読めば判るように、ここに書かれているのはあくまでも出口政策に関しての実施方法であって、どういう状況になったら出口政策を実施するのかという話は華麗にスルーされているのがチャーミング。というか、これはどう見ても今日のネタに間に合わないので後日ネタになるのですが、今回のFOMC議事要旨において「おお!」と思った場所(がいくつかあるのですが)の一つに「出口政策の早期実施が必要」という意見と「追加緩和が必要」という意見の人がいる、という中々ビューテホーな展開になっておりまして、実際に出口政策(なり追加緩和なり)という話になってくる時には揉めるんだろうなあという風には思うので、そーゆー点からしても出口政策発動の状況云々の話は中々同意できないでしょうなということで、今回は手順書の方の話をまとめたちゅーことかいなとゆー事で。
で、箇条書きになっているので以下引用。
『The Committee will determine the timing and pace of policy normalization
to promote its statutory mandate of maximum employment and price stability.』
まあ当たり前ちゃあ当たり前の話なのですが、ここを読んであたくしが勝手に深読みしたのは「つまりインフレーションターゲッティングに傾斜する訳ではありません」というメッセージ(当然ながらその逆もそうで、失業率に過度に注目する余り基調的なインフレの拡大を放置する訳でもない、という事だと思いますが)なのかにゃあとか思ったのですけど裏読みしすぎですかね(^^)。
『To begin the process of policy normalization, the Committee will likely
first cease reinvesting some or all payments of principal on the securities
holdings in the SOMA.』
出口政策のプロセスの最初は保有長期債の償還再投資の一部または全部を中止する事ですとな。
『At the same time or sometime thereafter, the Committee will modify its
forward guidance on the path of the federal funds rate and will initiate
temporary reserve-draining operations aimed at supporting the implementation
of increases in the federal funds rate when appropriate.』
それと同時またはその少々後に実施するのは「FF誘導目標に関するガイダンス文言(for
an extended period)の変更」と「一時的なリザーブ吸収オペレーション(リバースレポとかタームデポジットファシリティーとか)を開始して必要な時にFFレートを引き上げるようにできるようにする」という事だそうで。
『When economic conditions warrant, the Committee's next step in the process
of policy normalization will be to begin raising its target for the federal
funds rate, and from that point on, changing the level or range of the
federal funds rate target will be the primary means of adjusting the stance
of monetary policy. During the normalization process, adjustments to the
interest rate on excess reserves and to the level of reserves in the banking
system will be used to bring the funds rate toward its target.』
経済情勢が適正であるとなった時のFOMCの次の金融政策正常化プロセスは「FF金利ターゲットの引き上げ」であって、その結果として「FF金利誘導目標が金融政策のメインの手段である、という(通常の)状態に戻す」という話で、まあこの時点で金融政策のゼロ制約によって追加の緩和手段として実施した長期資産買入は金融政策の手法ではなくなるという事ですな。
また、この正常化プロセスの中では、FF実効レートを誘導目標に近づける為に、超過準備への付利水準の調整やリザーブの水準の調整を行うというのが上記の引用部分の後半ですな。
で、ここ読んでいて「ほー」と思ったのは金利誘導に関して『changing the level
or range of the federal funds rate target』という文言が入っている事でして、金利誘導政策メインに戻すとしても、超過準備が過大にある中では実効FF金利の調整をピンポイントで実施するのは難しい面があるかもしれないとFOMCメンバーが認識していて、もしかしたら最初の利上げの時には誘導目標をピンポイントではなくてレンジで引き上げとなる可能性もあるのかなあとか思うのでありました。
『Sales of agency securities from the SOMA will likely commence sometime
after the first increase in the target for the federal funds rate. The
timing and pace of sales will be communicated to the public in advance;
that pace is anticipated to be relatively gradual and steady, but it could
be adjusted up or down in response to material changes in the economic
outlook or financial conditions.』
政策手段の正常化(金利誘導政策レジームへの回帰)を先に実施するとして長期資産買入の方はどう落とし前をつけるのかという話ですが、保有資産(のうちエージェンシー債)の売却はFF誘導目標の引き上げ開始の幾分か後に着手するという事のようです。で、その売却のペースや時期などは事前にアナウンスして実施して予見可能な状態にしますが、経済情勢および先行き見通しの急激な変化が生じた場合はペースの上げ下げが生じますよと。
『Once sales begin, the pace of sales is expected to be aimed at eliminating
the SOMA's holdings of agency securities over a period of three to five
years, thereby minimizing the extent to which the SOMA portfolio might
affect the allocation of credit across sectors of the economy. Sales at
this pace would be expected to normalize the size of the SOMA securities
portfolio over a period of two to three years. In particular, the size
of the securities portfolio and the associated quantity of bank reserves
are expected to be reduced to the smallest levels that would be consistent
with the efficient implementation of monetary policy.』
で、さっき何で「エージェンシー債」と書いてあったかの意味はここに出てくるのですけれども、「thereby
minimizing〜」という辺りにありますように、FEDのポートフォリオが民間セクターのクレジットアロケーションに与える影響を最小化するとゆー論点がありまして、そーゆー論点があるので売却のところでエージェンシー債がどうのという話なのですが、はてそれ大丈夫なのかよ(市場が耐えられるのか)っつーのと、逆にFEDのバランスシートからエージェンシー債を売却し終わるのに3年から5年とか言ってるけど、そもそもサブプライムバブルが起きるのに何年くらい掛かりましたっけとか考えた場合に先ほどの論点とその3〜5年という期間に整合性はどうなのよ、というツッコミ所が両面であるような気がしますがどうでしょ。
で、バランスシートのサイズそのものは2〜3年で正常化するということになるようですので、途中からはFEDのバランスシートの構成を徐々にトレジャリーオンリーに戻すようにいじっていく、という事のようですな。そしてそのバランスシートのサイズは金融政策(金利誘導)を適切に行う為に必要な最低限の額にしますという事のようですな。まあそうでしょという感じですが。
『The Committee is prepared to make adjustments to its exit strategy if
necessary in light of economic and financial developments. 』
ということで、まあこの原則は必要によっては変更しますがなという話ではありますけれども、とりあえず今回1名を除いて同意ですので、基本はこの線なんでしょう。
#と、予想通りここで本日は終了で全然本論に入らずどうもすいませんでした
2011/07/19
お題「連休明けなので各種雑談ネタである」
連休明けはどうにもこうにもorz
○金曜のオペ結果を見てつらつらと雑感
金曜のオペが中々味わいのある結果だったのでメモメモ。
オファーはこちら
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of110715.htm
共通担保資金供給(本店)<金利入札方式> 14,000 2011年7月20日 2011年8月8日
共通担保資金供給(全店)<金利入札方式> 14,000 2011年7月20日 2011年8月22日
結果はこちら
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba110715.htm
共通担保資金供給(本店)<金利入札方式>(7月20日スタート分) 12,141 12,141 0.100 0.100
共通担保資金供給(全店)<金利入札方式>(7月20日スタート分) 3,185 3,185 0.100 0.100
ということで、20日は財政要因で資金不足日になります(例えば上田八木短資さんのこの辺→http://www.ueda-net.co.jp/uedayagi/02-market/02_1.htmlをご参照)ので、20日スタートで資金供給オペが打たれますなあというのは織り込み済みでしたけれども、金曜は本店オペの足が8日、全店オペの足が22日という2本立てでのオファーとなりましたが、応札額が思いっきり違うのが中々こう味わいがあるというものであります。
まあこの応札額の違いは要するにニーズの違いに基づくものというのは見りゃ誰でも判ると思いますが、では何でこうまでニーズが違いますねんというのがポイントとなろうかと存じます。でまあこういうのはあたくしだけで考えても何なので適宜市場の中のお友達にああでもないこうでもないと話をしながら考えるのでありまして、そうやって出てきた考えをつらつらとメモでありまする。
えーっとですな、暫く前(固定オペがバカスカ入って金利入札オペが札割れ大会になる前、と言っても差し支えないかもですが)は資金供給オペの中で足の長いものが少なくて、更に当座預金残高の出来上がりに見られますように、資金供給の総体にはジャブジャブの余りまくり感が無いという状況でございましたわな。で、そういう時のGCレートがどうなるんですかと考えた場合、債券ディーラーの在庫ファイナスが全般的にショートファンディングに傾斜しやすくなり、足元の在庫の変動とGCの資金の主要な出し手の資金繰りの変動によってGCレートがぶれやすくなるのでありまして、そーゆー点からすると資金繰りの安定化の観点から3週間とか1か月程度の資金供給オペがある程度打たれてロールされてくるというのがGCレートぶらさない為には有効だったように思えるのですな。
ところが、足元では3か月と6か月の固定オペが30兆円(29.8兆円)打たれているし、短国買入等の買入オペは基金オペとしても入っており、そーゆー意味ではベースの資金供給オペが長期化しているという状況になっていまして、長い資金供給オペに関しては以前と違って充足していて、債券ディーラーの在庫ファイナンスのベースになる部分は十分という状態になっているんでしょうなあと思うのですよ。で、固定オペなどの足の長い資金供給が増えた分のバランスで金利入札系のオペが減ってしまいますので、債券ディーラー的には売買(特に資金繰りぶれるのは短国の売買ですな)で資金繰りがぶれる分の調整をするには金利入札系のオペで足が短い方が調整としてやりやすいとゆー話になるのかなあとか思うわけですよ。
その上当座預金残高が30兆円水準で推移しており(20日は減りますけどそれでも29兆円近くありますわな)、以前のように資金供給足りなくて足元でGC市場の資金ニーズが瞬間的に逼迫するとゆー懸念も小さくなっている上に、当座預金残高を高水準で推移させている関係上、積み後半になると準備預金の積みが進捗しまくっている人が続出してGCの買い(資金運用側)サイドのニーズが高まって市場調達も楽勝モード(というか調達しすぎて金余る方がリスクかもね)になって来るのでございまして、そーゆー点からすると積み後半にもろ被りの資金供給よりも実は税揚げ位までにエンドが来る様なオペの方がニーズあるんじゃネーノという感じでございまして、昨日のオペで積み後半を跨いで8月後半にエンドが来るる方の全店オペの応札が8月前半エンドのオペと比較して応札が4分の1程度に留まったのは基金オペの拡大と当座預金残高の高水準での推移を続けるという資金供給オペのパターン変化による物なんでしょうなあ、などとつらつらと思う(まあ人と話をしながら理解した、というのが正しいが^^)のでありました。つまり資金供給オペのパターンが変化することによって、通常の金利入札型オペに関しても市場のニーズのパターンが変わったという事なのだろうなあと思いますと、中々マニア的には味わいの深いものがございます次第。
以上、一部のマニア以外何が何だか判らない話を延々と展開して誠に恐縮至極。
○6月決定会合議事要旨から雑談
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2011/g110614.pdf
まあ7月の決定会合で「足元は強いしメインシナリオも強いけれども先行きにはテールリスクが地雷原状態」というのが示されまして、そちらの議事要旨の方が楽しみでありまして今回は正直あまり一生懸命見る意欲がorz
・国内景気に関して
でまあ何ですな、委員の国内景気に関する議論の部分を少々確認しておきましょう。『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』部分から。
『こうした海外の金融経済情勢を踏まえて、わが国の経済情勢に関する議論が行われた。委員は、景気の現状について、震災の影響により生産面を中心に下押し圧力が続いているが、持ち直しの動きもみられているとの認識で一致した。』
で、ああでもないこうでもないという話が続くのですが、先行き見通しとリスク認識に関する部分を引用しますとこうなります。
『景気の先行きについては、委員は、当面、生産面を中心に下押し圧力が残るとみられるが、その後は、供給面での制約がさらに和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、海外経済の改善を背景とする輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、緩やかな回復経路に復していくという見方を共有した。』
まあこれは声明文にもあった通りです。で、その生産面での下押し圧力に関する記述が外れたのが7月の決定会合における声明文でございましたですな。これまた7月もそうですけれども、回復のドライブって海外と復興需要なんですよね。
『多くの委員は、サプライチェーンの復旧が進むほか、夏場の電力供給も、当初懸念していたほど大きな制約要因とはならないという見方が増えていることを勘案し、7〜9月期には生産が震災前の水準に復帰する蓋然性が高まっていると指摘した。』
ほほう。
『また、何人かの委員は、生産が持ち直してくれば、輸出も、海外経済の改善傾向を背景に、増加に転じるとの見方を示した。これらの点について、委員は、展望レポートで示した中心的な見通しに概ね沿ったものであるとの認識を示した。』
ふーん、で、先行きリスクですが。
『景気の先行きを巡るリスクについて、委員は、震災の影響を中心に、当面、下振れリスクを意識する必要があるとの認識を共有した。』
まあこれもまた声明文にありましたな。
『海外経済を巡るリスクとして、何人かの委員は、米欧経済の先行き不透明感の高まりや欧州のソブリン問題の帰趨に注意が必要であると指摘した。また、多くの委員は、新興国・資源国については、このところ減速の兆しもみられるが、依然として上振れの可能性にも注意が必要であると述べた。』
で、この上振れの話が7月会合でばっさり消えたのですが、実際の議論の前提はどういう流れでそうなったのでしょうか、というのが7月会合の議事要旨を見るときには注目したいなあと思います。
『多くの委員は、震災前と比べて経済活動の水準が低いことが所得形成を下押しする可能性などを指摘した。また、複数の委員は、円高基調が輸出企業のマインドに及ぼす影響への懸念を示した。ある委員は、中東・北アフリカの政治情勢が一段と緊迫したものになれば、国際商品市況が一段と上昇し、国内民間需要を下押しするリスクがあると述べた。』
全部下振れリスクですなあ。
『やや長い目でみたリスクとして、大方の委員は、定期点検後の原子力発電所の運転が再開されない状況が続くことになれば、厳しい供給面の制約が長期間残り、企業の中長期的な成長期待が低下するおそれがあると述べた。』
まあその問題は更に拡大しているんですよね。オソロシス。
『その中のある委員は、震災前から人口動態の問題があることを加味すると、わが国の潜在成長率をやや厳しめに見積もる必要があるかもしれないと付言した。』
ほうほう。
『また、何人かの委員は、サプライチェーンの再構築・複線化の動きの中で、わが国製品の世界的なシェアが低下したり、生産拠点や部材調達先の海外シフトが加速するかもしれないとの見方を示した。』
さいですな。
『一方、ある委員は、このところ、円高を追い風に日本企業が海外企業を買収するという動きが増えていると指摘した。』
やっと明るい話ですが、これを見て「日銀は円高を放置していてケシカラン」とか言い出す人が出てくるに100イタリアリラ。
『こうした中、ある委員は、重要であるのは、足もとの回復に向けたモメンタムが年度後半以降も維持できるかどうかであるとしたうえで、景気回復の経路は、水準でみて震災前の想定よりも低くなる可能性が高く、リスクの面でも、下振れリスクをより強く意識していると述べた。』
ということで、6月会合時点で既に下振れリスクっぽい話が満載になっていまして、しかもこのリスクに関する記述が5月の議事要旨対比で大幅に拡大(行数で言いますと5月の議事要旨での先行きリスクの記述部分が16行あるのですが、6月の議事要旨での同部分の量は27行となっていまして、まあ普段ボケーっとみているあたくしでも「あれ?記述増えたんじゃないの??」と思う位の記述の拡大である)しているのが中々チャーミングである。
更に最後の砦(かどうか知らんが)の新興国・資源国経済に関する部分が7月になって上振れの話が無くなった訳でして、まあ良く見ておくと吉なのは7月会合議事要旨でしょうな。
・成長基盤強化関連
『T.金融経済情勢等に関する執行部からの報告の概要』のケツの部分に『(3)「成長基盤強化を支援するための資金供給」について』というのがありましてですな。
『「成長基盤強化を支援するための資金供給」は、6月8日に、第4回目として、8,296
億円の貸付を実施した。その結果、総貸付残高は29,424 億円と、新規貸付の最終実行期限まで1年間を残し、上限である3兆円にほぼ達した。』
はあそうですか。
『本資金供給の特徴としては、@ 対象先が153 先まで増加していること、A 各金融機関が設定した投融資枠の総額は8.4
兆円と、本資金供給の上限額の3倍に近い水準となったこと、B投融資の対象分野は、例示18
分野に加え、地場産業への取り組みなど、広範に及んでいること、C 投融資の平均期間は6.4年と、本資金供給の最長貸付可能期間である4年を超えていること、D
貸出運営が積極化した先の理由として「成長分野への取り組み強化」を掲げる先が多いことを指摘できる。これらの点を踏まえると、本資金供給は、金融機関による成長分野向け融資について、呼び水としての役割を相応に果たしてきたといえる。』
それはようございましたね(棒読み)。
『一方、出資については、少額にとどまっており、効果が限定的であった。』
というのがこの時に導入が決定した謎の大きなお世話オペに繋がるのですけれどもね。
『また、一部金融機関から、本資金供給が金利引き下げ競争を助長しているとの批判が聞かれている。』
そらそうや。つーか引き下げ圧力が掛かりやすくなります罠。
『今後の取扱いについては、貸付枠をほぼ使い切った状態を最終実行期限まで続けるかどうか、また、本資金供給を増額するとすれば、これまでの状況を踏まえてどのような工夫を講じることができるかが、論点である。』
で、その後の『V.当面の金融政策運営等に関する委員会の検討の概要』の所で例の謎オペの実施に関する話がありまして、『2.「成長基盤強化を支援するための資金供給」の取扱い』という部分を見ますとですなあ・・・・・・
最初の部分(効果の話)は上にある執行部報告の通りなので割愛しまして副作用の部分から。
『他方、多くの委員は、本資金供給の副作用として、金融機関間の貸出金利の引き下げ競争や他行融資の肩代わりを助長しているとの批判があることも指摘した。』
『この点、ある委員は、金融緩和政策を進める中で、本資金供給だけを金融機関間の利下げ競争激化の原因とする議論はバランスを欠いていると述べた。』
利下げ競争がどうのというよりはね、これらのファンドだの貸付枠だのに対する資金を0.10%で供給しますっていうのを日銀が大宣伝する事によって、一般の人たちに対してこれらの貸付枠などの資金の「仕入れコスト」が0.10%であるかの如く大宣伝する事になる訳でありまして、その結果として金利の引き下げ圧力が掛かりやすくなるというのが問題だと思うのですよね。金融機関的に言うと。
『また、別のある委員は、金融機関が本資金供給を活用しながら成長分野の発掘に向けて競争的に取り組むこと自体は、否定的に捉えることではなく、むしろ政策の狙いでもあったとの見解を示した。』
いやだから別にこの制度なくても普通にオペレーションでファンディング付けてくれれば良いのですけどね。
『何人かの委員は、対象先数・投融資枠の増加ペースが鈍化していることを踏まえると、競争助長という批判を招いていることは、現行措置の呼び水効果が逓減していることの表れの可能性もあると述べた。』
競争助長というのも微妙に論点がずれているような気がします。理由はさっき書いた通りで、どちらかというと当該資金の借入人に対して仕入れコストが如何にも0.10%であるかのようなイメージを与える(いやまあ0.10%でファンディングは付くのですけれども、そもそもこの資金供給自体がやたらめったら手間隙が掛かるので事務コスト的に言ったら別に0.10%でも何でもないですよね、という話)結果として、そもそも金融機関が呈示する金利が低くならざるを得ないというのが問題ですよね、ということだと思うのだが。
『また、何人かの委員は、成長分野への出資などの取り組みについては、件数、金額をみても、呼び水効果が限定的であったとの評価を示した。』
でですな、いきなりこういう話になっているのですけれども、そもそも商業銀行に対してリスクキャピタルを供給させる事を促す、というのが適切なのかという点についての議論が完全に欠如しているのは政策委員会として如何なものかという風に思うのでございます。この会合では野田審議委員の最終回の会合だったと存じますが、銀行出身者として野田さんにおかれましてはその「そもそも論」に対しての論点提供をして頂きたかったなあと思うのは無茶振りですかそうですか。
ということで、その後は例の「資本性資金やABL融資などの促進オペ」というまあABLは兎も角として、本当にそれを促進すべきなのかどうか、という点について本来は熟議が必要なのではないか(そもそも金融庁の金融検査マニュアルとかとの整合性はどうなっているのか)という資本性資金の供給に関する話が出て、その導入と言う話になるのですが、そこでも金額がどうのこうのという話はあっても、当然ながらそれ以前の原則論に関する話が無いのですな。いやまあその前の成長基盤オペの最初の時点で資本性資金に関しても対象にしていたから今更全否定しにくいというのは判るのですけれども、沢山あるメニューの中でちょっと出ているというのと、前面に「資本性資金の供給」を明示して「日銀として推進しますよ」という話はまた別問題だと思うのですよねえ。
てな訳で、議事要旨を見ながら何時の間にか悪態になってしまいました。
2011/07/15
お題「金融経済月報はメインシナリオなので強くなってしまうのね」
バーナンキが早期のQE3実施を否定したので米国市場が反応したそうですが、雨公ってのは考えがデジタルで出来ているのか知らんですが、政策には「早期の出口政策」と「早期のQE3」の2択しかないとでも思っているんでしょうかねえ(ニヤニヤ)。
○本ネタの前に昨日の訂正です(すいません)
えーっとですな、昨日日銀レビューをネタにしたのですが、その際に前回ご紹介したABLマンセーレポートの作成部署を「金融市場局」と申し上げましたが、正しくは「金融機構局」でございましたのでここに謹んでお詫びして訂正させていただきます。
ということで、MPMの結果を思いっきり踏襲したレポートが出たのも金融機構局でしたが、MPMで中小企業向けの資本性資金供給を促進するとゆー政策が出ているのに従来どおりにきっちりと「邦銀は株式保有リスクを削減すべき」といういつものクオリティでレポートを出すのも金融機構局っつー話でこれまた滋味のある話ですな(謎)。
まあどうでも良いっちゃあどうでも良い事なのかも知れませんけど、日銀から出てくるレポートって昔々は時に「何とこれまたフリーダムな」というような内容の物、即ち執行部辺りから出ている話とまた別の視点、と言えば綺麗な言い方ですが、よーするにこらまた執行部見解とは別の話が思いっきり展開(でもそれは見解として筋が通っているんですよね)されているとゆーお洒落なレポートが散見される(まあそんなに年柄年中そういうのが出る訳ではないが)と言った風情があったのですよね。
然るに最近って何か出てくるレポート類が日銀執行部の説明の補完っぽい物ばっかりという話が多くて、「執行部はこう言っているけれども自分はこう思います」的な分析者としての土性骨みたいなのも出て欲しいもんだなどと思うのですけれども、そうは言いましてもアナタもアタシもサラリーマンとゆーことでございまして、世の中が世知辛いとアレでございますなあと世相の反映のようなものも思ったひとときなのでありましたです、はい(^^)。
○月報は声明文の前半と同じようなので強く見えるとゆーことで
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2011/gp1107.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2011/gp1106.pdf(前回)
今日も手抜きで『概要』部分を前回と比較であるが、基本的には水曜にネタにした声明文比較の前半部分と同じような結果になるのだが。
・総括判断
『わが国の経済をみると、震災による供給面の制約が和らぐ中で、持ち直している。』(今回)
『わが国の経済をみると、震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力が続いているが、持ち直しの動きもみられている。』(前回)
ということで声明文にあったとおりですな。
・現状の需要項目別判断
『震災後に大きく落ち込んだ生産活動は、供給面の制約が和らぐ中で、このところ持ち直しの動きが明確になっている。このため、輸出は増加に転じている。国内民間需要についても、家計や企業のマインドが幾分改善するもとで、持ち直しつつある。』(今回)
『生産や輸出は震災後に大きく低下し、国内民間需要も弱い動きとなった。こうした下押し圧力はなお続いているが、最近は供給面の制約が和らぎ始め、家計や企業のマインドも幾分改善しつつあるもとで、生産活動や国内民間需要に持ち直しの動きもみられている。』(前回)
ということで、今回の判断をまとめてしまうと「震災の影響で落ち込んだ分については生産はほぼ回復しており、マインドも回復に向かって順調に推移」という話でしょうか。
・先行き判断
『先行きについては、供給面の制約がさらに和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(今回)
『先行きについては、当面、生産面を中心に下押し圧力が残るものの、供給面での制約がさらに和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(前回)
ということで、こちらでは生産面の下押し圧力の払拭を指摘している(というか指摘していないのだが、前回まで指摘していたのを外したという事ね)訳ですな。
・先行き判断需要項目別展開
まずは生産。
『生産は、供給面の制約がさらに和らぐにつれ、持ち直しを続けると考えられる。』(今回)
『生産は、供給面での制約がさらに和らぐにつれ、増加が明確になっていくと考えられる。』(前回)
ということで生産は供給制約の下押し圧力がほぼ解消という事でそちらの制約はほぼなくなっているのですが、今後に関しては需要の拡大次第という所になるので、前回までのように供給制約が外れる分だけドンドン増加しまっせとゆー訳でも無いと言うところなのでしょうか、「持ち直し」って言い方をしているのは(^^)。
輸出。
『そうしたもとで、輸出も、海外経済の改善を背景に、引き続き増加するとみられる。』(今回)
『そうしたもとで、輸出も、海外経済の改善を背景に、増加に転じるとみられる。』(前回)
んでまあこちらには先行きリスクの話はありませんが、海外経済に関するリスク認識が下方にシフトしているので、シナリオ通りなら増加なんですけどはてさてどうなんでございましょうかねえ・・・・・という所なのでしょうけれども、まあ先行きのリスクシナリオはあくまでもリスクシナリオですからメインには置けません罠という事でこんな感じで堅調な話になるんでしょう。
設備投資など。
『また、設備投資、住宅投資、公共投資は、資本ストックの復元に向けた動きなどから、徐々に増加していくとみられる』(今回)
『また、設備投資、住宅投資、公共投資は、資本ストックの復元に向けた動きなどから、徐々に増加していくとみられる。』(前回)
で、肝心の復興需要に関する予算措置とかそもそもの復興計画が全然進まず、一方でどこぞのペテンハゲに乗せられたしょうもない夢想計画とかには熱心なすっから菅内閣がアレでございまして・・・・・・orz
個人消費。
『個人消費も、家計のマインド改善もあって、持ち直していくとみられる。』(今回)
『この間、個人消費も、生産活動が回復するにつれて、家計のマインド改善もあって、持ち直していくとみられる。』(前回)
個人消費に関してはマインドの改善がどの程度進むかとゆー所ですか。経済指標だけ見てると節電関連家電とかの効果もあってそんなに落ちてないんでしたっけ??
・物価に関してはまあそんなに変化なし
国内企業物価の先行きに関して、足元の国際商品市況動向を反映して「横ばい推移」という見通しに若干下げた程度で大きな変化はありません。
『物価の現状について、国内企業物価の3か月前比をみると、国際商品市況の反落により、上昇幅が縮小している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、小幅のプラスで推移している。』(今回)
『物価の現状について、国内企業物価の3か月前比をみると、国際商品市況高の影響などから、上昇している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、小幅のプラスとなっている。』(前回)
『物価の先行きについてみると、国内企業物価は、国際商品市況の動きを反映して、当面、横ばい圏内の動きとなるとみられる。消費者物価の前年比は、小幅のプラスで推移するとみられる。』(今回)
『物価の先行きについてみると、国内企業物価は、国際商品市況の動きを反映して、当面、上昇幅が縮小していくとみられる。消費者物価の前年比は、小幅のプラスで推移するとみられる。』(前回)
まあCPIの基準改定で0.5%以上楽勝で落ちるらしいですけどな。
・総じて見ると堅調という感じで
いやまあそういう事にならざるを得ないっつー所でもあるのでしょうが、足元の経済に関しては震災後からのリカバーが順調に推移しているとしか言いようが無い状態になっているものの、そこら中にリスクが顔を出しているという感じでして、この現在の状況を経済調査系の読者様からは『テールリスクに近い地雷があっちこっちに埋まっている状態』という表現で説明したメールを頂戴いたしましてなるほどなるほどと同感した次第。
まあそーゆー状況でもありますので、メインシナリオの話をするのが役割の金融経済月報は普通に強めのトーンになってしまうものの、普通に考えると何かの地雷が爆発せずにはいられなさそうな世界の情勢・・・・と考えるものの、そうは言ってもテールリスクの地雷が火を吹く話をメインにはできませんし、中々難しいというか悩ましいんでしょうなあと思うのでありました。
○その他市場雑談で基金CP買入は相変わらず低いと
昨日のオペ結果。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba110714.htm
CP等買入(資産買入等基金) 7,540 2,791 0.008 0.014 5.8
・・・・・えーっとですな、数字は左から応札額、落札額、按分レート、平均レート、按分利回り、となるのですが、もともとこの入札は0.10%からの利回り較差で実施しますので、よーするに出来上がりの利回りは「平均0.114%、足切り0.108%」という相変わらずのレートになっているのでありました。
まあ6月24日には「平均利回り較差0.006%、足切り利回り較差0.004%」というどう見てもお祭り状態になっていたこともありましたが、このときは四半期末要因とか何とか言いながら直近の3か月TB入札がアホのように強くなって、入札空振りショートカバーで0.04%テイクンとかいうようなゲロゲロマーライオン相場になっていて、この日とか3か月TBのオファーが0.07%とか0.08%とかでしたので、もう買入に入れる運用商品を出すのも惜しいという状態でありましたなあとか思い出すのですが、昨日とかはもうちょっと需給緩和してねとか思ったのですが、やはり普通に足切りで0.11割れでしたかそうですかorz
いやまあ確かに引き続き足元で3か月以内の短国が0.10%割って推移してるのはその通りなんですけれども、一応補完当座預金制度というのもある訳でござんすので、その辺り勘案するといつまでも3か月短国が0.10%割れのままってのもどう何すかねとは思うのですけど・・・・・
#ただし当座預金残高30兆円攻撃を延々と続けると金が余りやすくはなるので0.10%には乗ってもそれ以上の金利上昇はしにくいと思うのでござんすが
まあ何ですな、当座預金30兆円攻撃で短国が補完当座預金制度の存在をスルーするレートになるのもアチャーではありますが、CP市場の方でもまた例によって例の如くでこのようなテイタラクになりますと、銘柄間格差もへったくれもない素敵な価格形成が絶賛進行中という所で、いやまあ毎度の事ですが日銀この手の施策やると全然効かないでエライコッチャなのか効きすぎでエライコッチャなのかという、昭和の冷房機みたいな事象が起きるのが仕様ですな・・・・ってまあこの辺って微調整するの難しいのはその通りですから市場の片隅の無力参加者の愚痴ですよ愚痴(^^)。
2011/07/14
お題「バーナンキ議会証言をちゃんと読んでないが雑談/これは素敵な指摘/総裁会見あれこれ」
「球宴最後の一枠で澤村と斎藤を選出」って如何にも話題作り臭がプンプンでこういうのを「やらせ」と言うのではないかと思ったら一般のスポーツニュース的に話題になってなくてワロタwwww
で、バーナンキ議長の議会証言に関する話を本当はしたいのだが、そもそも昨日のFOMC議事要旨も読み込めていないので微妙にあたくしのドタ勘で雑感。
○単にこの話は「data dependent」という話なのではないかと思うのだが
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aP2vtCwIH_WM
バーナンキFRB議長:刺激策が必要なら「対応の用意」 (3)
『7月13日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は、景気に失速のリスクが見られた場合には、金融当局は米国債の買い増しを含めさらなる行動を取る用意があると述べた。議長は13日、下院金融サービス委員会で証言。事前原稿によれば、「このところの景気低迷が予想よりも根強く続き、デフレリスクが再び浮上する可能性は残っており、それは追加の政策支援が必要なことを示唆している」と発言。「経済情勢により金融政策の調整が適切だと考えられる場合は、当局には対応する用意がある」と続けた。』(上記URLより)
という事でQE3ヒャッハーという事らしいのですが、反応してるのドルで債券市場そんなに反応して無いやんとゆー風に思うので、何かQE3ネタがヘッドラインとしてオイチイから飛びついているだけのような希ガス。
つまりですな、そもそもQE2終了後直ぐに出口政策が進んでいるわけでもないですし、大体からして(これは多分先日のFOMC議事要旨にもあると思うのだが)仮に出口政策を実施するとしてもモデレートに行って経済状況を見ながらという意見が少なくとも執行部ベースではそういう感じだと思われ、まあうだうだ申し上げましたが、よーするに今後の金融政策は単に「経済状況次第」という「決め打ちはしませんよ」という話をバーナンキ議長はしているだけで、現状で出口政策の早期具体化もQE3も決め打ちは出来ませんよとゆー話をしているだけのように勝手に妄想しているのですがどうでしょうかね???
つまり「出口もあるけどQE3もあるし、そんなの今からどっちとか言えませんですわあっはっはっはっは」とゆー話をしているだけみたいな気がするんですけど・・・・
でですね、問題なのは多分物価の方になると思われる訳でして、地区連銀総裁の講演とか時々拝見している訳ですけれども、やはり中銀的には物価上昇傾向になった場合にQE3出来るかとゆー点が中々ムツカシヤとゆー所ではないかと存じます次第。目の前では英国が(そういや一昨日出てたCPIが若干予想より弱かったので5%乗せまでは遠くなった感じですけど^^)「国債買入を実施して量的緩和を実施しました米国や日本のような施策とは違って我々の政策が真の量的緩和ですよ(キリッ)」とドヤ顔(かどうか知らんが^^)で絶賛金融緩和を実施したものの物価は上がるわ景気は伸びないわと素敵な展開になっている訳ですし、基調的な物価が下がらない中でQE3実施できるのかいなとは思いますけどね。
でまあ当然ながら各国の中銀の皆様は色々と分析しているのでしょうけれども、おそらく英国に関して「どうしてこうなった」というのを精査して、仮にFRBが基調的物価がそんなに下がらない中で追加緩和というような話をするのであれば、英国型のアチャー状態になるような可能性を排除する形での緩和をどうやるのかというような事を考えるのかいなとか思うのですが、はてさてどうなるやらという感じですな。
しかしまあ何ですな、先日ご紹介したセントルイス連銀の「量的緩和コンファランス」におけるブラード総裁のドヤ顔プレゼンテーションからしますとここでQE3実施って話になりますと「じゃあQE2は効果あったのかよ」という話になる訳でもございまして、ブラード総裁涙目の展開という感じですかそうですか(^^)。つーかそもそもこの前の講演で「資産買入はデフレ回避に効果があった」とか言ってましたけど、QE1実施して終了した後にディスインフレ懸念がどうしたこうしたとゆーよーな話になったんですから、資産買入政策はただの問題先送りにしか過ぎなかったのではないかというツッコミもできそうな(ニヤニヤ)。
BOEの議事要旨見てると英国が「どうしてこうなった」状態なのはポンド安が効いてるような気がするのですけれども、ブラード総裁辺りは思いっきり「長期資産買入の効果でドルが下落しました」とかゆーとった訳で、はてさてどうなる事やらというのを今後も生温かく見守りたいと思います。
#議事要旨と議会証言はこの週末に精読するので今日は雑感雑談で勘弁
○いつもの機構局クオリティなのだが今回はある意味良い皮肉でもある^^
昨日はこんな日銀レビューが。
邦銀の利益と市場の評価
― 当期純利益と包括利益の比較 ―
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2011/rev11j07.htm/(要旨)
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2011/data/rev11j07.pdf(本文)
んでまあ要旨から引用するだよ。
『わが国の上場企業は、2010年度決算から包括利益の開示が義務付けられた。包括利益の開示は、包括利益計算書という注目度の高い財務諸表で行われる。また、米国では、包括利益が導入された1998年を境に、有価証券評価損益の変動を含むその他の包括利益が重視されるようになったと言われている。このため、わが国金融機関の場合も、これを評価する際の市場の目線は、従来以上に包括利益を重視する方向に変化する可能性がある。』
ほうほうそれでそれで?
『邦銀の包括利益の変動は、株価変動の大きさを反映して、当期純利益の変動に比べて格段に大きい。従って、市場が包括利益を重視する場合、邦銀の収益に対するリスク認識が強まり、邦銀の資金調達コスト等にも影響が及び得る。邦銀は、株式保有のリスクとリターンを従来以上に慎重に見極め、リスクが大きいと判断される場合には、リスクの削減に向けた努力が求められる。』
まあ何ですな、金融機構局様謹製の金融システムレポートで毎回のように「邦銀は株式保有が過大です」と指摘されておりますので、まあ今回このようなレポートが出るのはいつもの金融機構局クオリティでしてまあそうですかちゅー話(で、そのレポート及び金融機構局の指摘に対して、いやまあそのお話は重々承知しておりますけれども、日本的慣行というのもありますからねえ・・・・というツッコミが入るのも毎度の様式美状態でもありますが^^)なのですが、今回は何かちと微苦笑しているあたくし。
・・・・・え?何で微苦笑しているのかと申しますとそらあーた最後の一文よ。
>邦銀は、株式保有のリスクとリターンを従来以上に慎重に見極め、リスクが大きいと判断される場合には、リスクの削減に向けた努力が求められる。
いやまあ全く仰る通りなのでございますが、その一方で6月の金融決定会合においてこのようなのが出てたと思いますが・・・・・・(^^)
『金融機関の取り組みをさらに後押ししていく観点から、資本性資金の供給や従来型の担保・保証に依存しない融資に着目し、今後、これを支援していくことが適当と考えられる。こうした判断に基づき、今回の会合では、出資や動産・債権担保融資(いわゆる「ABL」)などを対象として、新たな貸付枠を設定することを決定した。』(6月決定会合声明文より^^)
「成長基盤強化のために資本性資金の供給を支援する」という一方で「保有株式のリスクリターンを勘案してリスクの大きい場合には削減に向けた努力が求められる」とは何ともお洒落でございまして、やはり日銀レビューはこうでなくっちゃと思いますです(^^)。
えーっとですね、念の為申し添えますが、日銀レビュー(だけではなくその他のペーパーでもそうなのですが)に書かれている見解などは「日銀の組織としての機関決定でこのように考えている」という物ではございませんので、そーゆー点からしますと別にこーゆーのが出てきても全く問題が無い、と申しますか、この前の金融市場局(訂正:マンセーレポートを出していたのも金融機構局でした)の出していた「ABLの拡大が必要ですよ決定会合マンセー」みたいなレポートよりも味わいがあるというものでありまして(^^)、これはこれで中々でございました。つーか要旨の最後の一文(さっきの)読んだ瞬間吹いたんですけど^^;
#まあ内容的に「株式減らせってあんさんら簡単に言うけど日本的取引慣行があってだな」というツッコミは相変わらずあるのですけどそれはそれ
○総裁会見はまあ先行きリスクに関する質問が多かったような
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2011/kk1107b.pdf
・足元戻ってきたが先行きは不透明要因が色々と
冒頭の説明が終わった所で最初の質問はこんな感じ。
『(問) 生産についてお伺いします。持ち直しということをお話されていましたが、7〜9月期のうちに、震災前の水準に完全に戻るとみていますか。また、その後の生産については、どのような展望をお持ちでしょうか。』
『(答) まず、7〜9月期に生産が震災前の水準に回復するだろうということを、前回のこの席でも申し上げましたが、現在もそうした判断です。ただし、鉱工業生産指数は、季節調整の関係で大変読みにくくなっています。(途中割愛)そうしたことを行った上で、7〜9月期のいずれかの時点で、震災前の水準を回復すると申し上げており、その判断は変わっていません。』
という事で足元は震災で落っこちた分V字回復と。
『3月に震災が起きて突然の供給制約が発生し、その段階で日本経済は、いわば世界経済の動きから遮断されて、実際の生産の能力に規定される姿になりました。この供給制約が解消された後の姿は、本来の需要の姿、つまり世界経済の成長率に大きく左右されます。』
ほうほう。
『これについては、先程も少し触れましたが、引き続き様々なリスク要因が存在します。海外経済については、繰り返しになりますが、米欧経済の成長ペースのほか、新興国・資源国経済が、物価安定と成長が両立する形でソフトランディングできるかどうかについても、不確実性が大きいです。』
ということで、従来のリスク認識で「一時的に上振れ」っぽい言い方をしていた新興国経済に関しても「上振れ」表現を外していますな。
『国内面では、やや長い目でみた電力の供給制約が生産活動に与える影響や、企業や家計の中長期的な成長期待などを、注意深く点検していく必要があると考えています。』
まあこの辺は声明文にもあった表現ですな。
ちなみに、海外経済に関しては別の質問でこのように説明していますのでついでに引用。
『成長のスピードの点では、幾分減速していますが、このうち米国経済については、かねてより私どもとしてはバランスシート調整の厳しさを認識していました。欧州については、緩やかではあるが成長していて、先程申し上げたような財政のソブリンリスクをリスク要因として認識しています。新興国については、成長率は幾分減速していますが、息の長い成長を考えるとむしろ望ましい方向での減速と考えています。ただ、これがうまくソフトランディングできるかどうか、注意してみていきたいと考えています。』
まあ先行きの下振れリスクが色々あるという事ですな。
・電力の話はまあ盛り上がったようで
原発全停止という事になった場合の影響はどうなの???という質問に対してこれがまた懇切丁寧に答えていまして、まあ白川総裁的にも困ったもんだと思っているんでしょうなあというのは良く判ります(^^)。
『(答) 原発のストレステストそのものについて、私からコメントすることは不適当ですから、あくまでマクロ経済をみている立場から申し上げます。電力供給について、定期点検後の原発の運転再開を巡る問題などから、不確実性が幾分高まっているとしていることの意味合いについてご説明します。電力供給の問題は、次の3点で日本経済にマイナスの影響を与える可能性があるとみています。』
『第1に、万が一、原子力発電所が全て稼働停止した場合、それによる電力供給の減少を他の手段で完全に補うことは当面は難しいと考えられます。その場合、夏場や冬場を中心に、電力不足が恒常化し、様々な対応努力を行っても、経済活動が制約される可能性が高いとみています。』
もうね、「万が一」とか言ってる時点で今のすっから菅政権の思いつき迷走に対してムッとしているんだろうなあという所が覗われるのでございますが^^、まあこれはこの通りであろうかと思います(が、昨日はすっから菅さんは無内容会見の場で「皆で節電努力して何とかなります」みたいな話をしているのが更にorzではある)。
『第2に、原子力発電を火力発電によってある程度代替していく場合でも、安全対策を強化して原子力発電を継続する場合でも、これまでよりコストがかかります。再生可能エネルギーも、割高と言われているコストを短期間で大幅に引き下げることは難しいと思います。いずれにしても、電力コストには、従来よりも上昇圧力がかかると考えられます。その分、マクロ的には企業収益や家計の実質購買力が圧迫され、設備投資や個人消費が抑制される可能性があります。』
さいざんすな。
『第3に、より長期的な観点から、電力の安定供給に対する懸念やコストの増加が、日本経済の中長期的な成長力の低下要因となるリスクも認識しておく必要があると思います。』
この点に関しては別の質問に対して『中長期的な電力不足等による生産の海外シフト』を指摘してまして(後で引用します)、まあかなりの懸念材料だという認識のようです。
ただまあ暗い話だけすると何なので、ということでしょうが、最後は明るい見通しも入れているのですがどう見てもただの根性論あるいは願望です本当にありがとうございましたという風情なのがチャーミング。
『もっとも、わが国は、過去、例えばオイルショックの際、技術革新を加速させることによって省エネ社会を実現しました。明確な課題に対する日本人の問題解決能力の高さは、今回のサプライチェーンの回復の早さにも表れていました。電力問題に対しても、力を結集し、早期に展望を拓いていくことが重要と考えています。』
・メディアはヘッドラインの打ち方を恣意的にせんで欲しいという件
先ほど申し上げた中長期的な電力不足による影響に関してですけれども、こんな質疑があったんですよね。
『(問) 今のお答えと関連しますが、リスク要因の上振れ、下振れを考慮したリスク全体のバランスについてのご判断をお聞かせ下さい。』
『(答) 先程の説明とできるだけ重複を避け、結論だけ申し上げます。震災直後に懸念された足許の下振れリスクは、ほぼ解消しつつあると思います。しかし、内外に様々なリスクがあることは十分に意識しています。特に、中長期的な電力不足等による生産の海外シフトは、日本の潜在成長力の低下を引き起こすリスクです。このリスクは、循環的な意味での下振れリスクとは性格が異なりますが、強い懸念を持っています。』
いやあ電力問題懸念してるなあとしか読めないのですが、この会見を報道した共同通信にかかるとこの質疑応答がこういうヘッドラインになるのは全く意味不明。曰く、
『◆日銀総裁会見詳報4 足下の下振れリスクほぼ解消』(共同通信12日16時52分配信のヘッドライン)
・・・・・・・・いやあのさあ、幾らなんでもそっちだけヘッドラインにするとか勘弁してよと思うのですけれども、多分声明文の最初の部分を読んで「景気認識を上方修正」という方が強い印象にあったから最初の部分をヘッドラインに採用したと思うのですけれども、普通に読んでこの質疑応答の趣旨は先行きリスクの指摘が主じゃないのかと思うのでございまして、ヘッドラインはあまりエエカゲンに打たれますと困るんっすよね。
・政治のグダグダ振りにも苦言が(^^)
まあこんな質問がありましてですな(^^)。
『(問) 電力のストレステストの問題も含め、震災の復興についても政府の決定が遅れがちな部分もあり、成長に対して影響が及ぶのではないかと思います。そうした政策的なリスクについて今回の決定会合では議論がありましたか。』
これはまた凄い誘導質問ですが^^、きっちりとその質問に誘導されて政治の、というかすっから菅政権のグダグダぶりに苦言が呈されていまして、いい感じで踏み込んじまったなオイって風情でございまする。
『(答) 今回の決定会合における議論の詳細については、議事要旨で発表したいと思います。問題意識として、日本の経済ができるだけ早く復旧し、復興するために政策面で必要なことを速やかに実行していくことが重要である、できるだけ不確実性を小さくしていく必要がある、ということは委員の方の間に共有されていたと思います。』
つまり政策委員会の中で皆さんが政治のグダグダぶりにお怒りになっておられたということですね、わかります。
『復旧・復興についてのご質問と思いますが、財政バランスの問題が消費に与える影響を考えた場合も、将来の自分たちの負担がどうなるかについて、ある程度合理的な予測がつかないとどうしても消費は抑制されてしまいます。そういう意味で様々な政策的な不確実性を小さくし、必要な政策を速やかに決定し、実行していくことが非常に大事だと思っています。』
財政バランスの話はその暫く前にギリシャ問題がどうのこうのという質疑があったのでその辺を念頭に置いた話でもあるんでしょうな。
・財政問題関連
欧州財政問題に関する質問に対する答えですが途中から引用します。
『政府と民間双方が過剰債務を抱え込んでいる状況のもとで、周縁国の長短金利水準が名目成長率を大幅に上回る状態が続いており、このことが周縁国の景気を下振れさせ、財政再建計画の達成を困難にしています。その結果、周縁国の政府部門と銀行部門、そして実体経済が相乗的に悪化するリスクが払拭されていないと思います。』
なるほど。
『ギリシャの債務問題に関する追加の金融支援や民間投資家の関与のあり方は、問題解決のための重要事項ではありますが、経済を安定成長軌道にのせるための十分条件ではありません。周縁国が政府と民間双方の過剰債務を圧縮していく道筋をつけるためには、緊縮財政と並行して、民営化プログラムや産業競争力強化に向けた構造改革、金融システムの安定化など、周縁国の成長力を高める施策をしっかり進めていく必要があると考えています。』
つまり赤字垂れ流し状態の国を一旦リスケしてもそもそもの赤字垂れ流し状態を何とかしないと意味がありませんがなという誠にご尤もなお話。
『欧州のソブリンリスクの問題が日本経済に与える影響ですが、先程申し上げた通り、これは1つのリスク要因として意識しています。ギリシャ国債を含め、ギリシャ向けの日本の金融機関のエクスポージャー自体は限定的ですが、欧州の金融市場、経済が混乱することによる影響、これは下振れリスクとして意識しています。』
という事ですな。で、この話は更に続きまして・・・・・
『こうした欧州の財政状況を受けて、日本にとっての教訓ということですが、次の3点を挙げたいと思います。』
ほほう。
『第1は、ギリシャの場合、2009年秋頃までは国債の金利はそれほど上昇していなかったのですが、財政の持続可能性がしっかりと確保されていないと、何らかのきっかけで、突然、市場参加者の信認が非連続的に低下する可能性があるということです。』
『第2に、いったん財政の持続可能性に対する信認が低下し、金融市場が動揺すると、実体経済も下押しされ、財政、金融システム、実体経済の間で負の相乗作用が生じることです。』
『第3に、そうした状況に陥ると、最終的に必要となる財政の緊縮が、急激で厳しいものになってしまうということです。』
まあそうですわな。
『この点で、日本の長期国債金利が低位で安定していることをどのように解釈するかということが論点になります。この点については2つの解釈が可能だと思います。第1は、日本の財政バランスは大変厳しい状況にあるわけですが、いずれ必ず財政バランスの改善に向けた取り組みが進められるはずであると市場で受け止められている、という解釈です。第2は、金利はこれまで安定してきたのだから、これからも安定していると市場が漠然と予想しているという解釈です。』
『仮に前者の場合ですと、わが国として、市場からの信認を裏切らないことが大切ですし、また、後者であれば、そうした漠然とした予想がいつまでも続く保証はありません。いずれにせよ、できるだけ早期に財政健全化への取り組みを実際に開始する、あるいはその道筋を明確に示していく必要があることを示していると思っています。』
と一気に引用しましたが、まあ日本の場合は何と言ってもギリシャやらと違うのは赤字垂れ流し状態ではなく、総裁が引用部分の最初の方で指摘していた欧州周縁国のような「政府と民間双方が過剰債務を抱え込んでいる状況」に陥っていない(政府は絶賛大債務かもしれないけど民間は健全っすから)という事が解釈のその3のような気もしますです、はい。
#引用大会になってしまいましたが、今回の質疑応答は景気に関する話とか色々と質疑応答があって割とオモロイので読んで味噌
2011/07/13
お題「味わいの深い決定会合声明文」
何かユーロがカーニボーになってる話とかFOMC議事要旨に関しては今日は勘弁でございますorz
という訳で決定会合レビューは声明文を味わうのである。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110712a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110614a.pdf(前回)
○現状判断部分は威勢が良いのです
『わが国の経済は、震災による供給面の制約が和らぐ中で、持ち直している。』(今回)
『わが国の経済は、震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力が続いているが、持ち直しの動きもみられている。』(前回)
ということで持ち直しを断言(キリッ)という感じですが、さてそこにありました下押し圧力に関してはどうなったかと言いますと。
『すなわち、震災後に大きく落ち込んだ生産活動は、供給面の制約が和らぐ中で、このところ持ち直しの動きが明確になっている。』(今回)
ということで、持ち直しの動きが明確キタコレ。
『このため、輸出は増加に転じている。』(今回)
輸出増加キタコレ。
『国内民間需要についても、家計や企業のマインドが幾分改善するもとで、持ち直しつつある。』(今回)
ということで国内民間需要は持ち直すわマインドは改善するわウハウハですよ先生という感じであります。この辺り前回はどういう表現になっていたのかを確認するとこうなります。
『すなわち、生産や輸出は、震災後に大きく低下し、国内民間需要も弱い動きとなった。こうした下押し圧力はなお続いているが、最近は供給面の制約が和らぎ始め、家計や企業のマインドも幾分改善しつつあるもとで、生産活動や国内民間需要に持ち直しの動きもみられている。』(前回)
生産や輸出に関しては前回の「下押し圧力」が解消された形になり、マインドに関しては「幾分改善しつつある」が「幾分改善する」とこれまた前進で、その結果として国内民間需要は「持ち直しの動き」から「持ち直しつつある」に上方修正という事でございます。
つまりまあ何ですな、震災で落ち込んだ分の回復が順調に進んでいますよとゆーのが今回の声明文における現状判断部分に現れているという感じですが、ここの部分を見ていると何か強そうに見えます罠。
あと金融環境と物価に関しても一応比較だけ。
『この間、金融環境をみると、中小企業を中心に一部企業の資金繰りに厳しさが窺われるものの、総じて緩和の動きが続いている。』(今回)
『この間、金融環境をみると、総じて緩和の動きが続いているが、震災後、中小企業を中心に一部企業の資金繰りに厳しさが窺われる。』(前回)
ということで、語順が変わって結論が「緩和の動きが続いている」になっているので極めて微妙に上方修正になっていますな。
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、小幅のプラスで推移している。』(今回)
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、小幅のプラスとなっている。』(前回)
まあ物価に関しては基本的に現象の話をするだけなのであまり気にせんでも良い。
○先行き見通しにも「当面の下押し圧力」が消える
『先行きのわが国経済は、供給面の制約がさらに和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、海外経済の改善を背景とする輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、2011
年度後半以降、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(今回)
『先行きのわが国経済は、当面、生産面を中心に下押し圧力が残るとみられる。その後は、供給面での制約がさらに和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、海外経済の改善を背景とする輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、2011
年度後半以降、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(前回)
ということで、先行き見通しの基本的な考え方は変化無いのですが、今回は「当面、生産面を中心に下押し圧力が残るとみられる」というのが抜けまして、足元震災の影響によって発生した供給制約による下押し圧力がほぼ解消したという話になっていますわな。
んでもって先行きの日本経済に関してのドライブは従来どおり「輸出」と「復興需要」というのは変わらないのはこの後の展望レポート中間レビュー以降の部分を読む際にポイントになるのであります。
一応物価に関する見通しも。
『消費者物価の前年比は、小幅のプラスで推移するとみられる(注2)。以上を踏まえると、日本経済は、やや長い目でみれば、物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していくと考えられる。』(今回)
『消費者物価の前年比は、小幅のプラスで推移するとみられる(注2)。以上を踏まえると、日本経済は、やや長い目でみれば、物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していくと考えられる。』(前回)
と物価に関する部分と最後の結論部分は文言一致してますな。
○展望レポート中間レビュー:足元を下げているのに先を上げないとな
ということでですな、ここから先が今回の声明文ヲチの味わいの深い部分であります。
『4月の「展望レポート」で示した見通しと比べると、2011 年度の成長率については、震災直後の落ち込みが大きかったことが影響して、幾分下振れるとみられる。もっとも、わが国経済は、本年度後半には緩やかな回復経路に復していくとみられ、2012
年度の成長率については概ね見通しに沿って推移すると予想される。物価については、国内企業物価・消費者物価(除く生鮮食品)とも、概ね見通しに沿って推移すると予想される。』
ということで、後ろに大勢見通しの数値が示されていますが、今回は11年度の実質GDP見通しを下げたのですが、トータルの見通しに変化が無いとすると、11年度を下げた分だけ逆ゲタが生じるので12年度の見通しが上昇して3%台に乗せても不思議ではないとゆーか、日銀がこの手の見通しを出すときには大体「手前を下げて先行きを上げました(その逆の場合もある)がトータルでは変わりませんよ」ってな感じで数字をいじってくるのが仕様みたいなもんなのですけれども、今回は11年度下げた分を12年度で上げないという形になりました。
つまり、実はトータルで見ると今回の中間レビューでは12年度を上げなかった分だけ下方修正(微妙な話ですが)になっているとゆーのがここの数字で示される話でございまして、これは少々意外感というか良い意味であたくし的には期待を裏切られた感じ。
と申しますのはですな、今回って手前のGDP見通しが下がるという話はあったので、その分だけ先が上昇して出来上がりの中間レビューが見た目妙に強気に出る(12年度の実質GDP見通しが堂々の3%乗せになりますし)という結果になり、ちょうど昨日は為替がカーニボーになっていましたので展望レポートの中間レビューを受けて円高ヒャッハー状態になったらまた日銀のKY攻撃炸裂とか思って悪態の準備をしておった訳ですよ(^^)。でもまあそうならなかったのでとりあえず東京時間でドル円80円割れとかに逝かなかったので、欧州のうんこまみれのクソ状態のせいで欧州時間に円高進行しましたが、まあこれは日銀命拾いのテイストで空気読めて良かったねという感じです。
今回の展望レポートの中間レビューに関しては12年度の数値がテクニカルにも上昇せず、よくよく見ると出来上がりの数値は同じですけれどもレンジは下がっているという事で、先行きの見方が慎重になっているという感じではないかと思われる節がまずここに現れているのではないかとゆー感じ(この後も続くが)です。つまり、「震災直後の落ち込みが大きかった」というのが理由で11年度の見通しが下がるのなら声明文にある現状判断部分での足元での回復という認識と合わせると12年度って普通にテクニカルに上がる筈ですから、この辺りから先行きの下方修正の可能性を示しているんじゃないっすかねえという感じがしますが、この次のリスク要因が更に味わいがあるのですな。
○リスク要因の認識が思いっきり下振れ方向にシフトしました
まあ今回の白眉はここでしょここ。
『景気のリスク要因をみると、サプライチェーンに関する懸念は減じているが、震災の家計マインド等を通じる影響については、なお注意する必要がある。また、やや長い目でみた電力の供給制約については不確実性が幾分増している。』(今回)
『リスク要因をみると、景気については、震災がわが国経済に及ぼす影響の不確実性が大きい。』(前回)
マインドに関しては現状判断部分ではやや上方修正しているのですけれども、こちらで思いっきり先行きのリスク要因としてクローズアップしています。どう見てもマインドがこの後腰折れする事への懸念でしょという感じの上に、ご覧の通りで「電力の供給制約」という話を物凄い勢いでクローズアップ。
まあ何ですな、特に電力の供給制約に関する部分って金融政策でどうこうできる話ではなく、どこからどう見てもすっから菅内閣(浜岡原発停止要請以降、手続きも何も踏まないで思いつきでああでもないこうでもないと色々な話が出てきてどれだけ混乱しているのかと思うわけだが)に対して「ちょっと勘弁してください」と言っているようにも見えるわけでございまして、中々味わいもある表現となっています(^^)。
で、海外経済ですが。
『海外経済については、バランスシート調整が米国経済に与える影響や、欧州のソブリン問題の帰趨について、引き続き注意が必要である。』(今回)
『海外経済については、バランスシート調整が米国経済に与える影響や、欧州のソブリン問題の帰趨について、引き続き注意が必要である。』(前回)
とまあここは同じ(どう見ても問題は更に拡大してますけどね)なのですが、
『新興国・資源国については、物価安定と成長の両立に関する不確実性が大きい。』(今回)
『新興国・資源国については、このところ減速の兆しもみられるが、依然として上振れの可能性にも注意が必要である。』(前回)
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)
いやまあ前月までの「上振れの可能性」もどうかと思っていましたが、今回いきなりリスク要因としての扱いが「上振れ」から「下振れ」に変わっているでござるの巻。
まあこの「物価安定と成長の両立」って要するにアジア新興国とか中国とかの話になると思われるのですが、特に中国の金融財政政策がインフレ制御に失敗して目先だけは吹いてもそのあとあばばばばーんとなるような懸念が高まっているという認識をしている(昨年の話になりますが白川総裁は香港の講演で新興国経済のバブル&バーストを防ぐ為の重要なポイントとして「物価安定」を強調していました→http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2010/ko1011b.htm/)という所でございますな。
物価に関しての話は変わっていないのですが、その前にある国際商品市況がどうのこうのという話が今回抜けていまして、そこの部分に従来あった「新興国の高成長」要因が抜けていますので、さっきの部分はどう見ても従来の「上振れリスク」を放棄という話になっておりますな(^^)。
『この間、国際商品市況の上昇については、その背景にある新興国・資源国の高成長が輸出の増加につながる一方、交易条件の悪化に伴う実質購買力の低下が国内民間需要を下押しする面もある。以上様々な要因はあるが、当面は、震災の影響を中心に、下振れリスクを意識する必要がある。』(前回)
まあ勿論前回も下振れリスク意識でしたが、今回はどこからどう見てもリスク要因が顕在化した場合に全部下振れ要因になるという中々清々しい内容になっておりまして、つまりこれはリスク要因顕在化で下方修正というのがどっからでも掛かって来いとゆー感じになっているのですな。
あと、最後の物価のところは前回と同じです。一応比較引用。
『物価面では、国際商品市況の一段の上昇により、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。』(今回)
『物価面では、国際商品市況の一段の上昇により、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。』(前回)
○ということで前半と後半で書いているトーンが違うんじゃネーノという位のお洒落な声明文なのです
とまあうだうだと書きましたが、今回の声明文の味わいの深いのは前半と後半でトーンが何か違いませんかという感じな所でございます。その後半というのが展望レポートの中間レビューであって、より長めの見通し部分でございますので、まあ出来上がり的に見ると今回は「震災からのV字回復までは確認できたけれども先行きに関しては懸念がより高まっている」という形になっていてバランスが取れたなあという感じなのですが、前半と後半のトーンが別人が書いているのかというような雰囲気なのが滋味の深い声明文とゆー事で。
まあここから先は妄想の世界になりますけれども、今回の決定会合って特に新たな政策判断があったわけでも無いのに妙に長かった(声明文公表時刻は13時20分ですが、ちなみに前回の謎成長基盤新オペ実施の回が12時42分である)という事もありますので、これは声明文と展望レポートの中間レビューの出し方に関してああでもないこうでもないとやっていたんじゃネーノと妄想したくなる所ではございまする。つまり先行きのリスク認識を高めて今回変に上方修正っぽい物を出さないようにするという辺りに関して議論が結構あったんじゃないのかなあと。勿論あたくしの勝手な妄想ですけどね(^^;
そーゆー意味では今回の決定会合の議事要旨も興味深いのですが、恐らく議事要旨を見てもイマイチ雰囲気がわからないと思われるので、10年後にあたくしがまだ趣味の日銀ネタでもやっているようであれば議事録を見て議論の推移を確認して見たいものだと思う今回の決定会合でございました(^^)。
2011/07/12
お題「まあ大体今日も雑談なのだ」
イタリアに引火で米債が今日も10毛強とはこらオソロシスですな。
○ということで何となく色々な雑感
・まあ市場アタックされる隙は少ないに越した事は無いという話
いやね、それまでまあ別にそこまでの言われようでは無かった(財政赤字の話は昔から言われていましたが)イタリアが急に明日にでも飛びそうなプライシングで売り込まれるとか、市場ちゃんとゆーのはまあそういう理不尽な動きを隙あらば行う訳なんすよね。
で、市場の中の方におかれましてはそんなの当たり前というか何度も見ている話なので今更耳タコですけれども、まあ要するにその手のアタックされる隙を急に市場は突いて来るというのが市場のクオリティなのでありますよ。そーゆー観点からしても日本財政なんてネットの対GDPとかだけ見たら既に真っ赤にも程がある訳で、ツッコミ所は既にあるのですから、別に市場が消化できると申しているのに不用意に財政マネタイズの具体化とかわざわざ市場がツッコム隙を与える話をこの時期に行う必要は無いと思うのですけれども、復興で財政出すから日銀引受とか安易に言い出すのが相変わらず居るのってどうなのよと思いますけどね。
まあ政治屋連中が言うのはそらまあここぞとばかりに財政出して打出の小槌でウハウハ狙いだから言うの判る(判るが同意はしない)のですけれども、その財政マネタイズはコントロール可能だから大丈夫みたいな事を高橋是清さんを例に出して言い出す学者な人たちって何ですねんという感じでして、コントロールが徐々に厳しくなってきて最後は高橋是清さんが殺害されてその後はあばばばばーになってしまったんじゃネーノと思うのですけど何なんすかと思うのでありました、といつもの話で恐縮ですが。
#なお念の為申し上げますが、じゃあ復興財源に基幹税の引き上げとか言うのはこれまた意味判らん話で、復興関連は一時的支出なのにその財源を恒久財源で賄うとか日銀引受と方向は違うけど同じ意味での火事場ナンチャラな議論じゃネーノと思いますけど
・どうも計算が出来ない人が居るようで
正直どうでも良いのだが例の人のブログを見たら東電に関してこんな足し算をしているようで。
http://www.taro.org/2011/07/post-1041.php(直リン自主規制中^^)
東電救済で国民負担10兆円をおしつけるな
2011年07月01日 14:39
『政府案だと、東電の株主は保護されてしまう。他方、破綻処理をすれば株主資本は100%減資され、再生した東京電力が売却されれば、その分は国民負担から差し引かれる。事故前日の東電の時価総額は3兆4599億円なので、ここで政府案と比べ、3兆円以上の国民負担減になる。』(上記URLより)
・・・・・・・えーっとすいません、確か先生は東電の地域独占はケシカランので更に電力自由化しろとか、東電の内部留保はドンドン出せとか仰せだと思うのですけれども、先生の主張されているような電力政策のあり方が実行された暁には新生東京電力の企業価値はどこからどう考えても「事故前日の数値」になるとは到底思えないのですけれども、何がどうなると再上場時に「地域独占して高い電力料金をふんだくって内部留保を溜め込んだケシカラン状態」になるのか愚昧なるあたくしには1ミリも理解致しかねますが。
まあこの先生の場合、計算が出来ないのも困るのですが、こういうのはもっと困りますがな。
http://www.taro.org/2011/07/post-1045.php(直リン自主規制中^^)
「東電は後から破綻処理させます」
2011年07月07日 13:26
『当初は、財務省プランでスタートするが、折を見て、東電を破綻処理させますという経産省プランを持って、経産官僚が議員会館を回り始めた。』(上記URLより)
・・・・・・・いやね、先生が政治家として東電をとっとと破綻処理しろとか言うのはああそうですねって感じですけれども、こういうソースがあるんだか無いんだか判らない問題に関して、上場企業の破綻処理がどうのこうのというようなネタを書くのっていわゆる一つの風雪のルル(仮称)って奴じゃないのとか思うのでございますけれどもねえ。神奈川15区は責任とって頂きたいもんだと存じます次第ではありますな。つーかまあ政治の胸先三寸でどうなるか判らんという状態の企業をそのまま上場維持させてる東証も東証だと思いますが。
ま、この前のブログ記事は市場が反応しましたが、今回華麗にスルーになっているのは前回の話では「自民党の影の内閣が一般担保の建付けを破壊しようとしました」という趣旨の話をしてたのに対して、今回の話は如何にもアレな書きっぷりだったからというのが要因でしょうなあと苦笑を禁じ得ない物でございます、つーか前回の「一般担保の建付け破壊問題」に関してもアレってこの先生の脳内お花畑勝手解釈によるフカシだったんじゃネーノという疑問が思いっきりあるんすが(本当だったら影の内閣が完全無視されている事になるんですからそれはそれでおかしい話)。
#途中からしょうもない悪態になってしまいましたorz
○そういやこんなレポートが出ていました
6月末に出てた奴ですが。
中小企業の資金繰りを巡る論点
― ABLと電子記録債権による売掛金の活用 ―
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2011/rev11j06.htm/(要旨)
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2011/data/rev11j06.pdf(本文)
ABLの現状と一層の活用に向けて
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2011/rev11j04.htm/(要旨)
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2011/data/rev11j04.pdf(本文)
・・・・・・いやあのですな、まあ先日の決定会合で資本性資金だのABL融資向けだのの成長基盤強化というどう見ても麿のご趣味です本当にありがとうござましたという決定が出ていましたが、その直後(2週間後位ですが)にこういうのが出てくるというのも何だかなあという感じでございまして、(自主規制)ですかそうですかという印象が最初に出てくるのはあたくしの性格に問題があるからですかそうですかはいはいそうですねすいませんすいません。
というどうでも良い話はさておきまして、この2本のペーパー自体は論点整理を色々としているのでございますが、まあ読んでて思ったのですが、中小企業の資金繰り制約の緩和という点からすると、問題となるべきなのは、取引先の中で大企業などの取引の力関係上売掛金のサイトが長くなりがちな先が近年更にその傾向が高まり、所要経常運転資金が拡大しているという辺りかなと思うのでありました。
つまり、上記URLの中で最初の方のペーパー「中小企業の資金繰りを巡る論点」の本文3ページの最後の辺りからになるのですけれども、『(企業間信用のバランス)』って所を引用。
『企業間信用も、中小企業の資金繰りを左右する。中小企業の企業間信用動向をみると、1990
年代以降、売上債権残高(売掛金+受取手形)が横ばいで推移する中、仕入債務残高(買掛金+支払手形)が趨勢的に減少している(図表5)。このため、企業間信用のバランスは、2000
年代以降、売上債権超幅(売上債権と仕入債務の差額)が拡大する傾向にある。これは、中小企業自身の信用力の問題や親企業などの財務リストラのほか、特に中小企業では、割高な取引費用のために手形の利用が回避されていることを反映したものと考えられる。』
『売上債権超幅が拡大した結果、売上債権の期間が長期化したり、その資金化が期日通りに実行されなければ、中小企業の資金繰りは圧迫されやすい構図になっている。企業部門の金融資産に対する企業間信用の割合(2009
年末時点)をみると、米国の8%に対して、わが国では27%と高い。この点を踏まえると、わが国企業の資金繰りは企業間信用から影響を受けやすいと考えられる。』
図表は本文見てちょという感じですが、ここに示された論点ってまあ金貸しの手先をだいぶ前にほんのちょっとやっていた程度しか実際の知見はございませんけど、まあそのあたくし的にもそうですわなあとか思うのでありまして、実はこの辺りから考えますと、本来的にはこの辺の話って金融政策でどうのこうのという話というよりは、それこそ公取が出てきて大企業に対して取引先の中小企業に対する取引条件の緩和(支払いサイトの短期化)を指導した方が良いんじゃないかねとかゆー話になるような気がせんでもない。
#つーかまあこのペーパーも良く良く読むとABLが出れば全てハッピーとかいうようなお花畑な話をしている訳ではなくて、それ以外の論点を色々とだしているので、まあまさか日銀も今回のABL関連オペで本気で全てがめでたしめでたしで中小企業金融は緩和してもうウハウハですよとは思って無いでしょうけどね。
でですな、実は手形の印紙税をそれこそゼロにする位思い切って手形の優遇を行えば企業間金融において手形が復活して必要な場合には商業手形割引によって中小企業の資金繰り改善するんじゃネーノとか妄想してみたのですが、まあそんなのよりもやはり本命は電子記録債権になるんだろうなあという感じで、同じく先ほどの「中小企業の資金繰りを巡る論点」の5ページ目に電子記録債権に関する指摘が。『(電子記録債権の活用)』という所から引用。
『電子記録債権は、従来の手形や売掛金に代わる新たな金銭債権である。電子債権記録機関による記録を通じて、債権の発生・譲渡・支払いが電子的に行われる。これにより、売上債権を資金化する際、債権の存在や発生原因を確認するためのコストや二重譲渡リスクを軽減することができる。』
『現在、複数の大手行が、電子記録債権の登録・移転会社を設立し、実際にビジネスを開始している。データが利用可能な日本電子債権機構では、月間500
社のペースで電子記録債権の契約企業数が増加している(図表8)。2012 年5 月には、全国銀行協会が同様の機関を開業する予定であり、銀行・企業の双方で、電子記録債権の利用が本格的に広がることが期待される。』
まあ昔々の話ですけれども、あたくしが金貸しの手先をやっていた時には、主に都銀だったと思うのですけれども、大手企業さんとタイアップして大手企業さんの売上債権に対して紐付けの形での融資(特別当座貸越の形態)を実施するような商品がありましたな。まあ多分当時は手形による支払いから期日振込みへのシフトが進んでいた(手形の印紙税削減と現物搬送の事故防止の観点から)と思うのですが、その一環で管理の手間削減と、取引先企業がその債権紐付けで融資を受ける事ができますよ、というのがあった(具体的な説明がヘタクソでイメージしにくいかもしれませんすいませんすいません)訳ですが、電子記録債権であれば手形のように譲渡可能(ただし手形を資金繰りでホイホイ譲渡(取引銀行で商手割引するのとは別)すると取引先企業が嫌がるというのはどうせ昔も今も変わらないでしょと思うのでそうは簡単に話がウマーにはならないと思うけど)となるので、あの昔のアレよりは随分と結構な話になろうかと存じます、とシロートながら思うのですけれども実際問題としてはどうなんでしょ??
結局ですな、まあそら取引先的にはその理屈も判るのですが、資金繰りで手形が譲渡されるどころか、うっかりすると商手割引に回っても微妙な顔をするのが大企業クオリティでもあるというようなのがかつてはあったのですが、今はその辺どないなんでしょと思うけど、どうせその辺は昔も今もそんなに大差ないかなあとか思うのですけれども、前段の所でご紹介したように、大企業がてめえらの力関係押し付けて支払いサイトの長期化しているのだからそういうのにはもうちょっと配慮しやがれとゆー風に思うのでありました。
つまり、電子記録債権が出来てもそれがワークするかというのはこれまた金融政策とかとは別の課題があるかなあと思うのですよね。
・・・・・うーむ、やはり中小企業の資金繰りの話は公取の出番なのか(違)。
と、結論の無い雑談でどうもすいません。まあ2本とも似たような話ですので、両方合わせて読むのが吉だと思います。
2011/07/11
お題「ブラード総裁のQE2レビュー」
つーことで虫干しではありませんがやや前の話で恐縮至極。
http://www.stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=1076(講演要旨)
JUNE 30
St. Louis Fed’s Bullard Discusses Effectiveness of QE2
http://research.stlouisfed.org/econ/bullard/pdf/Bullard_QE_Conference_June_30_2011_Final.pdf(プレゼン資料)
QE2: An Assessment
その名もずばりQuantitative Easing (QE) Conferenceが実施されましたとゆーメモだけ作りましたので、まあこの前切った手形の決済ということで(汗)。
http://www.stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=1071
主に講演要旨の方から引用します(プレゼン資料から引用するときだけその旨書きますね)。
○資産買入は短期金利操作と同じような政策であるといういつもの話
『During his presentation, Bullard discussed the use of balance sheet policy
(or quantitative easing) to conduct stabilization policy once short-term
nominal interest rates are near zero.』
ということで、これは前から言ってますが、資産買入の政策の意味合いとしては(後の方の説明にも出てきますが)バランスシートポリシーと言っている割にはマネーの量が拡大してどうのこうのという話ではなく、基本的には「実質金利の引き下げ」「インフレ期待の引き上げ」をポイントとしているという理屈になっています。従ってこういう説明になるのですな。
『“The purchase and sale of liquid assets, such as Treasury securities,
is very similar to ordinary monetary policy, except that a particular nominal
interest rate target is not set,” he said.』
従って、名目政策金利のゼロ金利制約のある中で有効な政策ですよという話でして。
『Bullard focused mostly on the Fed’s second round of quantitative easing
(which is commonly referred to as “QE2”), analyzing the motivation for
and effectiveness of this policy action. Overall, Bullard said that QE2
was classic monetary policy easing. “This experience shows that monetary
policy can be eased aggressively even when the policy rate is near zero,”
he said.』
「QE2の経験は政策金利がゼロ制約にあっても積極的な金融緩和政策を実施することが出来るという事を示している」という話であります。
でですな、これまたあとの方で、というか昨年かなり話題になった講演で既にブラード総裁が指摘している話ではあるのですが、いわゆる時間軸政策的なものに対しては肯定的ではなかったりするのがブラード総裁の話の興味深い所でありまして、いやまあ確かにバックグラウンドの経済状況というのを勘案しないで比較するのもアレな気もしますけれども、実際問題としてQE2によってTIPSなどから見られるBEIは拡大し、インフレ率も上昇している一方で時間軸政策取ってる日本は相変わらずのアレっぷりというのがありますし、そもそも米国はこの間ずーっと時間軸もどきの政策を実施していましたよねと言われるとまあそうですなというのもある(カナダは確か時間軸政策が成功していたような気がするが)わなという事で。
脚注にこんなのありますけど。
『1 Editor’s Note: For more discussion, see Bullard’s paper published last year, “Seven Faces of ‘The Peril.’”』
で、まあこの講演“Seven Faces of ‘The Peril.’”(http://research.stlouisfed.org/publications/review/10/09/Bullard.pdf)が色々とその辺りに関して議論していた奴でして、あたくしもネタにした(昨年の8月後半である)ので、元の議論の前提を確認したい場合はそちらを読んで味噌。
で、その資産買入の効果ですけれども。次の『Balance Sheet Policy』の所に基本的な論点がございます。
○長期資産買入の波及経路は金利の引き下げとインフレ期待の引き上げ
インフレ期待が上がると金利が上がるのではないですかという突っ込みに対する答えも何となく触れられています(^^)。
『When short-term nominal interest rates are near zero, Bullard said, “asset
purchases at longer maturities can substitute for ordinary monetary policy.”
These purchases put downward pressure on nominal interest rates further
out the yield curve and upward pressure on expected inflation.』
長期資産買入の波及経路としてブラード総裁が指摘しているのは「イールドカーブのより長期の部分に対して金利引下げ圧力を掛けることと、期待インフレ率を引き上げることです」という事でございます。
『Thus, expanding the balance sheet puts downward pressure on real interest rates.』
従って、「バランスシートの拡大によって実質金利の引き下げ圧力を掛ける」という話でございますな。
『With the policy rate near zero since December 2008, the FOMC has voted
to pursue a balance sheet policy twice. The first quantitative easing program―announced
in late November 2008 and expanded in March 2009―consisted of more than
$1.7 trillion in purchases of agency debt, agency mortgage-backed securities,
and long-term Treasury debt. The second quantitative easing program―announced
in November 2010―included $600 billion in purchases of longer-term Treasury
debt.』
これはQE1とQE2でこういうことやりましたという話。
『“Balance sheet policy, like all monetary policy, should be conducted
in a state-contingent way,” Bullard added. (In other words, policy should
be adjusted based on the state of the economy.)』
だそうなんですが、このブラードさんの説明だと、QE1の信用緩和的な部分って華麗にスルー状態になっているのがちょっと違和感がありますけど、まあ今回のフォーラムは基本的にQE2に関する話になっているので、その辺りはスルーの方向なのかもしれませんけど何か微妙感はございます。
○資産買入こそが日本型ディスインフレーションを避ける方法
『QE2: Motivation』って辺りからがプレゼン資料的に言うと本題になってくる感じでございますので、まあここまでがマクラでこのあとが具体的にQE2に関する評価という所になろうかと思います。
『Regarding the motivation for QE2, Bullard highlighted the disinflation
trend that developed during 2010 and the slower pace of recovery during
the summer of 2010. “These developments left the U.S. at risk of a Japanese-style
outcome,” he said. The “Japanese experience with mild deflation and a
near-zero nominal interest rate has been poor.”』
で、プレゼン資料の方ではこの期間のPCEデフレーターとかの資料がございます。
『In 2010, U.S. monetary policy included a near-zero policy rate, a large
balance sheet, and “extended period” language for the near-zero policy
rate. Lengthening the “extended period” in response to the economic developments
could potentially be counter-productive and send the U.S. to a Japanese-style
outcome. In order to avoid that, the FOMC voted to pursue QE2.』
ということで、時間軸の強化は「逆効果」であり、日本型の低金利+マイルドデフレの定常状態のトラップに入ってしまう結果になると仰せです。
『Bullard said that macroeconomists and policymakers are generally very
fragmented on the issues raised by Benhabib, Schmitt-Grohe, and Uribe.』
で、この部分に関しては先ほどご照会した “Seven Faces of ‘The Peril.’”を参考にとゆー所ですが、要旨の文書的にはサラサラ流しています(昨年の講演とかぶるからというのもあるのでしょうが)が、プレゼン資料的にはこの部分のスライドが一番気合入っているように見えますので、この辺が今回のメインの話だったと思料されます。
ただですな、これQE2の話にフォーカスしているからツッコミが飛ばせないのですけれども、そもそもその前に米国がディスインフレ傾向になっていく前にQE1を実施していた筈なんですが、そのQE1の効果は持続しなかったのですかあ?という話にもなる(あたしゃQE1は信用緩和として効果があったと思っていますけど)のですけど、その辺りを華麗にスルーしているのがブラード総裁のチャーミングな所ではありまする。
○で、QE2は効果があったのかという話
次の章が『QE2: Was It Effective?』という話です。まあ結論は当然ながら効果があったとゆー話であることはお分かりかと存じますが。
『Markets began pricing in additional FOMC action after Chairman Ben Bernanke’s
Jackson Hole speech in late August 2010. Although the FOMC made the decision
to purchase additional assets in November 2010, “most effects were already
priced into financial markets at that point,” Bullard said.』
ジャクソンホールでのバーナンキ講演以降、市場はQE2の実施を織り込みに行ったので、実際に11月にQE2を実施した時点では市場はかなりその効果を織り込みましたとゆー話をしているのですが、じゃあ定性的効果と定量的効果ってどうよという気がしますけれども、それは最後に話していますが、今後も効果の検証が必要ですという結論になっているのはまあシャーナイ面はありますが微妙にチャーミング。
『“The financial market effects of QE2 looked the same as if the FOMC
had reduced the policy rate substantially,” Bullard said. “In particular,
real interest rates declined, inflation expectations rose, the dollar depreciated,
and equity prices rose. These are the ‘classic’ financial market effects
one might observe when the Fed eases monetary policy in ordinary times.”』
ということで、実際にQE2やったらどうなりましたというのがスライドショーではPDFファイルの22枚目辺りから『Expected
inflation increased』(プレゼンより)ということでTIPSの数値、『The
dollar depreciated』(プレゼンより)ということで貿易加重後の名目ドルインデックス、『Real
interest rates declined』(プレゼンより)ということで5年物TIPSの利回り、『Equity
prices increased』(プレゼンより)ということでWilshire5000PriceIndexっつーのが出ていまして、効果がありましたという話をしています。
『Although the financial market effects were priced in ahead of the November
decision, Bullard said that the effects of QE2 on the real economy would
be expected to lag by six to 12 months.』
ということで、QE2の効果が実体経済に影響を与えるのには半年から1年程度のラグがあると見込んでいるようです。
『“Real effects are difficult to disentangle because other shocks hit
the economy in the meantime,” he said, adding this seems to have happened
during the first half of 2011. Disentangling the real effects is a standard
problem in evaluating monetary policy, he noted.』
ということで、実際の効果に関しては今後の検証が必要であるという話をしていて、まあ今回のプレゼンは一定の整理をしたという話になるのでしょうが、とりあえずQE2実施して買入拡大は終了して効果が出たような感じにもなっているので自分が先頭切ってQE2の有効性の話をしたブラード総裁ドヤ顔という感じの講演だったでんしょうかね。
『“QE2 has shown that the Fed can conduct an effective monetary stabilization
policy even when policy rates are near zero,” Bullard concluded.』
どう見てもドヤ顔です本当にありがとうございました。
#ということで月曜につきヒマネタでどうもすいません
2011/07/08
お題「ECBは予定通り利上げで先行きはインフレ期待と物価上昇2次的効果次第/電力関連備忘録(ただのメモです)」
どうもその他のネタが練れていないので寝起きでECBのリリースを中心にという手抜きでどうもすいませんすいません。
#モーサテの代打のおねいさんはヘボにも程があるのでお遍路に逝くべきだと思います
○とりあえずECB関連はあとで読むがメモメモ
まとめは手抜きにも程があるがブルームバーグ。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aOUrdcQF_XH0
ECB総裁:利上げ継続を示唆−ポルトガル債で担保規則を緩和(2)
ということで、リリースをあとで詳しく読むがメモだけ置いておくだよ。
・今回の利上げでも金利コリドアの幅、MROの固定金利オペ状態は継続
http://www.ecb.int/press/pr/date/2011/html/pr110707.en.html
7 July 2011 - Monetary policy decisions
『At today’s meeting the Governing Council of the ECB took the following monetary
policy decisions:
1.The interest rate on the main refinancing operations of the Eurosystem
will be increased by 25 basis points to 1.50%, starting from the operation
to be settled on 13 July 2011.
2.The interest rate on the marginal lending facility will be increased
by 25 basis points to 2.25%, with effect from 13 July 2011.
3.The interest rate on the deposit facility will be increased by 25 basis
points to 0.75%, with effect from 13 July 2011.』
という事で、金利コリドアの幅は150bpを維持して、MRO金利を1.5%に引き上げましたかそうですかという事ですな。しかし正常化に着手している(ことになっているように見えるのだが・・・・)割には相変わらずMROって固定金利オペ継続なのね。
http://www.ecb.int/home/html/index.en.html
左の頭の所に『Key figures at a glance』がありますが・・・・
『Marginal lending facility 2.25 %
Main refinancing operations (fixed rate) 1.50 %
Deposit facility 0.75 %
Effective from 13 July 2011』
となっていますので、その辺は金融不安地雷がある中ですから地雷炸裂した場合にeoniaが跳ねないように気にしてるんですかとか勝手に妄想してみたが、正直良く判らないので週末に総裁会見を読んでみる積り。
・ポルトガル国債の取扱について
http://www.ecb.int/press/pr/date/2011/html/pr110707_1.en.html
7 July 2011 - ECB announces change in eligibility of debt instruments
issued or guaranteed by the Portuguese government
ポルトガル国債あるいはポルトガル政府保証債の担保適格性に関してと。
『The Governing Council of the European Central Bank (ECB) has decided
to suspend the application of the minimum credit rating threshold in the
collateral eligibility requirements for the purposes of the Eurosystem’s
credit operations in the case of marketable debt instruments issued or
guaranteed by the Portuguese government. This suspension will be maintained
until further notice.』
ポルトガル国債(および政府保証債)について担保適格条件の最低格付けを改めてご案内するまで除外いたしますので宜しくとはこれまた直球ですが、まあこうなりますわなそら。
『The Portuguese government has approved an economic and financial adjustment
programme, which has been negotiated with the European Commission, in liaison
with the ECB, and the International Monetary Fund. The Governing Council
has assessed the programme and considers it to be appropriate. This positive
assessment and the strong commitment of the Portuguese government to fully
implement the programme are the basis, also from a risk management perspective,
for the suspension announced herewith.』
ポルトガル政府は欧州委員会、ECB、IMFとの協議の元で策定した経済および財政の再建策を実施する事を決定したのは結構な事でございますとゆーのが担保緩和の言い訳にしておりますな、うんうん。
『The suspension applies to all outstanding and new marketable debt instruments
issued or guaranteed by the Portuguese government.』
つーことで、現存する債券および今後市場で発行するポルトガル政府による発行およびポルトガル政府保証債についてはこの措置が適用されますよと。
・・・・・・そらまあここでポルトガル国債担保不適格ですよとか言い出したらエライコッチャになりますけえ普通にそういう決定になるざましょとは思いますけど、この辺りに関しての説明も会見でやっているのかな(とか書いている位ですので会見のtranscriptはまだ読んでいない^^)。
・会見は後で読む
http://www.ecb.int/press/pressconf/2011/html/is110707.en.html
Introductory statement to the press conference
Jean-Claude Trichet, President of the ECB,
Vitor Constancio, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 7 July 2011
あとで読むが冒頭のパラグラフだけ読む。
『Based on its regular economic and monetary analyses, the Governing Council
decided to increase the key ECB interest rates by 25 basis points, after
raising rates by 25 basis points in April 2011 from historically low levels.』
歴史的な低水準の金利を4月に続いて0.25%利上げしましたよと。
『The further adjustment of the current accommodative monetary policy stance
is warranted in the light of upside risks to price stability.』
現在の緩和的な金融政策スタンスは、物価安定に対するアップサイドリスクの観点から今後の調整していきまっせと。
『The underlying pace of monetary expansion is continuing to gradually
recover, while monetary liquidity remains ample with the potential to accommodate
price pressures in the euro area. All in all, it is essential that the
recent price developments do not give rise to broad-based inflationary
pressures over the medium term.』
緩和的な金融政策によるマネーの緩やかな拡大傾向は物価に潜在的な上昇圧力を与えているものの、物価の幅広い上昇という形での中期的なインフレ圧力を与えるには至っていないという点が重要でござるとな。
『Our decision will contribute to keeping inflation expectations in the
euro area firmly anchored in line with our aim of maintaining inflation
rates below, but close to, 2% over the medium term.』
ECBはユーロエリアにおけるインフレ期待をしっかりとアンカーさせて、中期的にインフレが2%を若干下回る水準に維持するように金融政策を実施してます(キリッ)。
『Such anchoring is a prerequisite for monetary policy to contribute to
economic growth in the euro area.』
prerequisiteってのを手元のデイリーコンサイス英和辞典(お前は高校生かというツッコミはしないように)で見たら「不可欠の/必要条件」とか書いてありましたので(^^)、つまりこのインフレ期待のアンカーというものがECBの金融政策がユーロエリアの経済成長に貢献するために必要不可欠とかいう話でして、まあ要するにインフレ期待の高まりとか、物価上昇の2次的効果による物価上昇スパイラル入りが起きないようにしていきますよという話を強調しているちゅう事なんでしょうかね、よー知らんが。
『At the same time, interest rates across the entire maturity spectrum
remain low. Thus, our monetary policy stance remains accommodative, lending
support to economic activity and job creation. As expected, recent economic
data indicate some deceleration in the pace of economic growth in the second
quarter of 2011.』
長期金利も含めて金利は低水準で維持されているので金融政策スタンスは引き続き緩和的であるという事ですんで、そーゆー意味ではインフレ動向によってはまだ調整ありまっせという話ですが、その次に経済データを見ますと2011年2Qは予想通りにやや減速を示唆していますとも仰せで。
『While the underlying momentum of economic growth in the euro area continues
to be positive, uncertainty remains elevated.』
ユーロエリアの経済成長は引き続き継続しているものの、不確実性は拡大していると。
『We will continue to monitor very closely all developments with respect
to upside risks to price stability.』
monitor very closelyキタコレという感じでございますが、「現在の金融環境は緩和的」であって、ここにあるように「物価安定に対するアップサイドリスクに対して引き続き注意深く見守る」という話をしている上に、中段の辺りでわざわざ「足元の物価上昇が広範囲にわたって拡大している訳ではなく、インフレ期待も安定している」という話をしていますので、まあ物価警戒スタンスについては継続でしょうし、現在の金融政策の適切な調整とは何ぞやと言われたらそらまあ金利引き上げ方向になるんでしょ、としか読めない会見冒頭のフレーズなのでございました。
とは言いましても、先ほども申し上げましたようにこの先を全然読んでいませんので、第一パラグラフを見ただけの印象という事でご勘弁願えればと存じます。
○ということでただの備忘録である(すいません)
以下ただの備忘メモで置いておくだけです。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aRavk6a02kAg
佐賀知事:原発テスト、なぜ今か疑問ぬぐえず−首相は訪問・説明を(1)
そらまあそうですわな。原発の運転が再開という流れになってきましたかというのがいきなり「これからストレステスト実施して安全確認する」とか言い出したら今までの努力が水の泡という感じですが、まるで普天間基地移設問題の劣化コピーのような展開に頭痛を禁じ得ません罠。
で、株価も正直に反応とな。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=ajz1qvDS00LM
電力株が軒並み安、全原発にストレステスト実施−再稼働遅れ懸念(1)
そして完全に「ガキの使い」状態になってしまった海江田経済産業大臣が怒るのはそらご尤も。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110708-00000000-mai-pol
<海江田経産相>対応終えた後の辞任示唆 首相に不満
毎日新聞 7月8日(金)0時22分配信
そらそうよ。
何かね、すっから菅さんにおかれましては色々な事を全てグチャグチャにする事によって「問題が解決しないから辞職しません」とかやろうとしているようにしか見えない訳でございまして、意識的だったら論外ですが、何か無意識のうちにそういう行動を取っているように見えるんすけど、国賊とか売国奴とかいう言葉も勿体無いような気がしてきたわ、人間の範疇から外れているんじゃねえの??
2011/07/07
お題「これはまたアレな記事が・・・・/新発3MTB昨日も貫禄の0.09%台/生活意識アンケート雑談」
何か急に「ストレステスト」とかいう話が出ているようですが、おまえら単に格好つけて「ストレステスト」って言いたいだけとちゃうんかいと小一時間(−−;
#しかもまたすっから菅が急に言い出したとかなんですかそうですか
ということで(どういうことだ)今日は雑談メモ程度のネタで勘弁。
○これはまた感動的に破壊的クオリティ記事
昨日はこんな記事があると教わって朝から腰が砕けますた。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-22046920110705?sp=true
現先運用に浸み出す企業マネー、国債暴落のマグマ膨張か
2011年 07月 5日 18:41 JST
・・・・・・・えーっとですな、まあ要するに「国債暴落」というキャッチーな結論となる記事を書きたかったので、何か材料は無いかと探していたらそれらしい(とロイターの中の人たちが思う)素材が出てきたので記事を作りました、という事だろうなあと想像するのでありますが、記事の内容があまりにも素敵過ぎでございまして、貫禄の署名入り記事でこの内容ってゆーのがロイターさん良い度胸してますなあと思うのでございますが、それがデスクを通ってしまうというのが更に香ばしいとしか申し上げようがございません。
まあ何ですな、この記事どう見ても変という部分のほうが多いというかなり素敵なクオリティを発揮しておられまして、市場関連記事としては壊滅的な内容ございますけれども、どこがどう変なのかという点について国内円金利部門に配属されて3か月、と言いたい所ですがそこは勘弁して半年以上経過した若い衆にテストをする素材として大変に使える記事かと存じます。つーか半年以上経過しているのにこの記事のツッコミ所探しで間違い続出とか漏れだらけだった反省の為にお遍路送りですなお遍路送り(^^)。
という事で、まあツッコミの方は敢えて本日は行いませんが、折角ですので1箇所だけ突っ込みを入れてあげると、現先取引の説明をしている第6パラグラフの最初の所を引用して進ぜよう(^^)、曰く。
『現先取引では、債券などを一定期間後に一定価格で買い戻す(売り戻す)契約を結び、その間の債券価格の変動リスク軽減が可能だ。』(上記URLより)
・・・・・・ほほう、債券現先で売現をするとその間に金利が上昇しても当該銘柄の価格が値下がりしないとはこれまた画期的ですな。いやまあ償還あるいは償還数日前まで売現をするならそらそうかも知れませんけど、普通に長期債で売現やった(まあそもそも長期債を売現するんかいなという話までしだすと長くなるのでそこは敢えてスルー)時にそんな画期的な事が出来るとは金利部門フロント生活10ウン年のあたくしとしては初耳にも程があるのですが、もしかしたら不勉強なジジイのあたくしが知らぬ間に最先端の金融工学を駆使してそのような事が可能になったのでしょうかねえwwwwwww
というような感じで、あちこち素敵なツッコミ所があって正直あたくしもその箇所の勘定していない(1人で読んでいると途中で頭がクラクラして来るので人と読み合わせしないと勘定できませんって^^)のですが、何かもう数々のツッコミ所がありますので、これは中々の練習問題である。
・・・・・つーかですな、この記事の最大の被害者(?)は国債暴落という結論を導き出す為の素材として財政再建関連のコメントを求められた結果、この素敵な記事にコメンテーターとして名前が思いっきり出てしまった西岡さんと坂口さんのような気がします。ご両者のコメントは単に財政問題に関する普通のコメントなのですが、前後に書かれている記事のクオリティが本物のアレな風格を漂わせるアレなクオリティを誇っておられますので、何かカワイソスな気がしてまいりますです、合掌。
○3MTBもまた0.09%台でしたな
まあシャーナイナイの結果なんですが。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230706.htm
3. 発行日 平成23年7月11日
4. 償還期限 平成23年10月11日
ということで毎度の3か月物発行予定額4兆8000億円ですな。
(3)募入最低価格 99円97銭6厘0毛
(募入最高利回り) (0.0952%)
(4)募入最低価格に 15.6692%
おける案分比率
(5)募入平均価格 99円97銭7厘0毛
(募入平均利回り ) (0.0912%)
ということで、平均0.0912%の足切り0.0952%というこれまた素敵な結果。
まあ昨日の場合は入札前の前場段階で0.09%どころか0.0875%とかゆーよーな素晴らしい取引がブローカーで展開されていましたので、そらまあ強い入札でございましょうなあという所ではございましたが、来週以降財政揚げ超が続いて自然体で現在のウルトラ超過準備が減ってくる(といっても準備預金の進捗的に言えば今回の積み最終が来週金曜ですけれから積みが進捗しまくっている状況は来週もそうなんですけど)とゆー事にはなると思うのですが、おまいらそんなに潰す金あるんかいなとゆー所でございます。まあ今そこに余っている金がうじゃうじゃあるのは当座預金残高見りゃ判りますけど。
でですな、昨日の市場推計ベースの落札分布見ますと、ここもと目だった「どこか1社がアホほど落札してついでに不明札多し」というのではなかったのがふーんという感じでしたが、まあ結局セカンダリーは平均オファーの足切りビットとかだったと聞いておりますので、先月末近辺からの流れで0.10%割れの短国というのが継続していて、その余波はまだ継続ちゅう所なんでしょうけど、現先とかレポのレートが足元でそこまで激下がりしている訳でもなく、うっかりすると現先の方が3MTBよりもレートが良かったりする日もあるっつー状況になっているように思えるのですが、そーゆー状況がサステイナブルなのよとゆー疑問は無いわけではないが、ここであたくしが大々的に「いや足元の短国市場の状況は一時的(キリッ)」とか言い出すとフラグになる恐れがありますので予想は自主規制である(−−;
○生活意識アンケート
http://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki1107.pdf
図表無しの質問と回答の一覧は本文12ページからでございまして、まあ引用はそちらからさせて頂くと致します。以下『』つけるのめんどいので割愛しますけれども、Q&A部分は上記URL先より引用しています。
Q1. 1年前と比べて、今の景気はどう変わりましたか。
1 良くなった1.9 ( 4.5 <4.7> )
2 変わらない36.2 ( 48.2 <48.2> )
3 悪くなった61.4 ( 46.8 <46.7> )
アンケートの中に説明がありますが、今回は震災の関係で岩手、宮城、福島、茨城の4県で調査を行っていないので、その分を加味する為に前回数値に関しては当該4県のサンプルを除外して算出した数値を()内の前回(3月調査)数値の横に<>内として記載していますので、まあ前回数値的には<>を見るほうが吉なんですかな。
Q3. 現在の景気をどう感じますか。
1 良い0.1 ( 0.0 <0.0> )
2 どちらかと言えば、良い1.6 ( 2.0 <2.0> )
3 どちらとも言えない15.9 ( 17.8 <17.9> )
4 どちらかと言えば、悪い52.5 ( 51.2 <51.1> )
5 悪い29.9 ( 28.5 <28.4> )
・・・・・・なんか「1年前と比較して今の景気は悪くなった」という人がやたら増えた割には、現在の景気に関しての数値がこんな程度しかぶれてないのねんという気はするが。
Q4. 1年後の景気は、今と比べてどうなると思いますか。
1 良くなる10.0 ( 7.7 <7.9> )
2 変わらない50.0 ( 62.4 <62.0> )
3 悪くなる39.6 ( 29.4 <29.6> )
まあシャーナイです罠。
Q5. 景気の状況を考えたとき、現在の金利水準をどのようにお考えになりますか。
1 金利が低すぎる50.9 ( 53.1 <53.2> )
2 適当な水準である34.5 ( 35.1 <35.4> )
3 金利が高すぎる12.3 ( 10.0 <9.5> )
・・・・・・・ま、毎度毎度申し上げますが、景気が悪いだの何だの回答する人がこれだけいるのに、同じサンプルで「金利が低すぎる」が相変わらず過半数回答、というのが何だかなあという感じでございまして、もうちょっと何とかならんのかねえと思うのですけど・・・・・
で、物価に関して。
Q12.次に「物価」についておうかがいします。あなたご自身の感じでは、
「物価」は1年前と比べてどう変わりましたか(「物価」とは、あなたが購入
される物やサービスの価格全体のことです)。
1 かなり上がった6.7 ( 6.5 <6.5> )
2 少し上がった43.7 ( 43.8 <43.4> )
3 ほとんど変わらない36.0 ( 35.3 <35.9> )
4 少し下がった11.6 ( 12.7 <12.6> )
5 かなり下がった0.8 ( 1.0 <1.0> )
Q13. それでは、1年前に比べ現在の「物価」は何%程度変わったと思いますか。
平均値(注1):+3.6 ( +3.6 < +3.5> )
中央値(注2):+2.0 ( +1.0 < +1.0> )
(注1)極端な値を排除するために上下各々0.5%のサンプルを除いて計算した平均値。
(注2)回答を順番に並べた際に中央に位置する値。
・・・・・・ほほう、中央値が上昇とな。では先行き見通しはどないですかと。
Q14. 1年後の「物価」は、現在と比べるとどうなると思いますか。
1 かなり上がる10.2 ( 7.2 <7.4> )
2 少し上がる56.9 ( 55.8 <55.5> )
3 ほとんど変わらない25.1 ( 30.6 <30.7> )
4 少し下がる5.9 ( 4.8 <4.7> )
5 かなり下がる0.4 ( 0.5 <0.6> )
Q15. それでは、1年後の「物価」は現在と比べ何%程度変わると思いますか。
平均値(注1):+4.8 ( +4.3 < +4.3> )
中央値(注2):+3.0 ( +3.0 < +3.0> )
Q16. 5年後の「物価」は、現在と比べるとどうなると思いますか。
1 かなり上がる22.5 ( 21.8 <21.5> )
2 少し上がる53.2 ( 54.3 <54.7> )
3 ほとんど変わらない16.1 ( 15.3 <15.4> )
4 少し下がる5.4 ( 5.4 <5.1> )
5 かなり下がる0.8 ( 0.7 <0.7> )
Q17. それでは、5年後の「物価」は現在と比べ毎年、平均何%程度変わると思いますか。
平均値(注1):+4.5 ( +4.3 < +4.4> )
中央値(注2):+3.0 ( +3.0 < +3.0> )
・・・・・・ということで、まるで絵に描いたように「中長期的なインフレ予想は安定して推移しています」というビューテホーな結果になっていまして、まあこの感じですと足元の金融政策に対するインプリケーションは無いですな、という順当なアンケート結果になったものと思料されます。極めて順当な結果っぽいですね今回は。
#ということで、今日は雑談ネタで恐縮至極でありました
2011/07/06
お題「6か月TBまで0.10%割れとかorz/昨日の東京AIMの債券市場関連(昨日の訂正あり)」
大先生の誤神託が出たと思ったら早速ポルトガル大幅格下げとは恐るべし、というか「日本株はもうダメです」宣言を高らかに行って永遠に引退して下さいお願いしますお願いします。→http://www.musha.co.jp/3045
○6か月TBまで0.10%割れですと??
昨日は10年国債の入札もあった気がしますが、ネタ的にはどう見ても短国です本当にカムサハムニダ(^^)。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230705.htm
3.発行日 平成23年7月8日
4.償還期限 平成24年1月13日
ということで6か月ものですよ半期末と年末通過しますよ。
(3)募入最低価格 99円94銭7厘
(募入最高利回り) (0.1024%)
(4)募入最低価格に 3.8472%
おける案分比率
(5)募入平均価格 99円94銭9厘
(募入平均利回り ) (0.0985%)
ちょwwwww
という事で、昨日の6か月TB入札もまた平均落札が貫禄の0.10割れだわ、足切りの0.1024%は3.8%しか入っていないわという大変に素敵な結果。テールまで2厘あるという事はもうちょっと上に必殺の札が入った結果という話になりますが、まあここもと上で切れてしまう事が多いので、必殺を上に入れざるを得ないとゆーのはありますけれども、何と申しますかあのこれ6か月物なんですけどと思いつつ市場推計の大口落札業者を確認しに逝ったら一社が15200億と突出して多くて(第2位が4300億)不明が9200億ですかそうですか発行総額35000億円でしたよねえという事で、まあ何となくまた今回も例のアレ(敢えて細かく書かない^^)でございますかそうですかという動きでございまする。
えーっとですな、先週終わりから債券市場は米国の急に景気回復が来たので状態を受けているのかどうか知りませんが妙に押し込んでいるのでございます(今日は戻ると思いますけど、とフラグを立ててみる^^)けれども、こーゆー時は普通「長期債にここぞとばかり押し目買いが入って待機資金になっていた短国が外れる」とゆーもんだと思っておったのですが、どちらかと申しますと長いところが重くなりながらそっちを外した金が短国に入っているんじゃネーノってな風情を醸し出しているのが何とも残念無念な展開。
まあそれに加えまして、今回の積み期間につきましては、6月20日の国債大量償還で当座預金残高が34兆円台に積み上がりまして、その後も当座預金残高は積みあがった状態が継続していまして、昨日も32兆円とかになっています。そんなこんなで超過準備も積みあがっているのですけれども、従来って銀行の資金繰り部門の建て付けって超過準備を極力積まないのが前提になっていたのですが、補完当座預金制度の創設と足元の超過準備アホほど積み上げ攻撃によって従来の前提条件が変わってしまっているのが足元の状況だと思われますけれども、まあそういうのって急に前提を変えられましても直ぐに対応できるかとゆーとこれまた別問題というのがありますので、恐らく銀行さんの中でも「あまりにも大きな超過準備を積むのはイクナイ」という建て付けが生きている所もそれなりにあると思うのですよね。でもってそうなりますと、超過準備が積みあがりすぎた場合に仕方が無いので短国が10bpをちょっと位切る程度なら買うのやむなし的な人がいてもおかしくないのかなあとか勝手に想像しているのである。
なお、今のはあたくしの勝手な想像の世界でありまして、あくまでも仮説の世界でございますので正確性に関しては無担保無保証ノンリコースという扱いで宜しくお願いいたしたく候。まあそれに超過準備が恒常的にどどーんと出るというようになってきた場合、わざわざ超過準備付利金利よりも低い利回りの国債を買わなくても良いように内部的に建て付けが変わってくると思いますので、日銀当座預金直接取引先が恒常的に超過準備付利金利を下回る利回りの短期国債を買ってくるという話にはならないとは思うのですけどね。
あとそもそもの話なんですけど、来週になると財政の揚げ超の日が多くなって来て、よほど無理無理供給をしてこない限り当座預金残高は来週になるとそこそこ落ちて来るので、まあいつまでもあると思うな当座預金30兆円という所だとは思いますし、何気に固定金利オペ(基金共通担保資金供給)も応札2倍程度のところからは応札が減ってこないですし、共通担保オペを打つと一頃は応札1000億以下とかいうような涙の出るような状態でしたが、足元ではそこまでの状況でも無いですから、ファンディングのニーズ自体はそれなりにあると思うのですけどね。
と、マニア的誰得雑談でどうもすいませんすいません。
○東京AIM関連ネタの続き、というか訂正とか補足とか
昨日は東京AIMの特定投資家向け債券市場に関するネタを書いたのですが、早速ご指摘を頂きましたので謹んでお詫びして訂正しながら関連ネタの続きを致したく存じます。ご指摘頂きました読者様には感謝感謝でございます。
昨日もURL付けましたが東京AIMのリリースおよび資料はこちら
http://www.tokyo-aim.com/japanese/files/pressreleases/110517_pressrelease_jpn.pdf
でですな、こちらの資料を見るとPDFファイルの39ページ以降にQ&Aのコーナーが延々とございまして、そこの『売買制度(業務規程等)』(PDFファイルの53ページ)という所にこのような記載がございましたでありまする。
『Q47 上場債券の売買は取引所外で行ってもよいのですか。
A47 従来の債券と同様、取引所外において売買を行っていただいて結構です。』(強調部分は引用者による)
・・・・・・という事でございますので、昨日書いた時には市場集中義務があるかと勘違いしてああでもないこうでもないと書きましたが、全面的にあたくしの確認不足でございましたので、関係者および読者の皆様に陳謝すると共にここに謹んで訂正させていただく所存でございます(が賠償は致しません^^)。
と、訂正をした上で更にQ&Aを見ると謎の記述が同じページの最後の方に(^^)。
『Q51 取引所取引は、課税玉と非課税玉のどちらを前提としていますか。
A51 債券利子に係る税制上、債券の利子に関して課税対象となる債券(課税玉)と課税対象とならない債券(非課税玉)がありますが、取引所における売買は課税玉を前提としています。これは取引所が非課税玉を前提としようとしても、取引所での取引においては受け渡しの対象となる債券の過去の保有者の履歴を特定することができないため、取引所外での売買を通じて課税対象となる者(個人及び資本金1
億円未満の法人)が保有した履歴を持つ課税玉が受渡債券に入る可能性があるからです。課税玉の混入が排除できない以上、課税玉を前提とした売買とせざるを得ません。したがって、経過利子から税額相当分を差し引いた金額を売買代金に加算した金額を受け渡すことになります。』(強調部分は引用者によります)
えーっと、特定投資家向けの債券市場なのに何故課税玉前提に???ということで、市場集中義務どころか、よくよく見るとそもそもこの建付は「取引所での取引を前提にしていない」というかなり謎のプログラムになってますな。
#つーか、その後に続く理由の所読んでいて思ったのですが、債券先物の最終決済をする時って取引所経由になるのですが、利払い銘柄以外を受け渡そうとすると自動的に課税玉扱いになるのかと一瞬悩んだが、そもそも国債の場合は今の振決だと課税玉にならないという話になるんでしたっけとか書いているうちに頭から湯気が出てきたので後で調べる(汗)
じゃあこのプログラムで東京AIMはどうやって儲けるのと思いますと、どうもプログラムに登録する際に口銭払わないといけないとか、そっちの方で商売をするようで、この市場って開示の仕組みの改善を取引所が行うけれどもセカンダリーは知らんがなという取引所としては良くも悪くも画期的な施策。つーかまあ個人的に申し上げますとセカンダリーの方を放置プレイで発行だけ取引所がやりまっせというのは何だか取引所虫が良すぎというか美味しい所だけ取っていくんかいという気がするのでありますが。
でね、その点で申し上げますと、Q&Aの次のページ(PDFファイルの54ページ)以降に『法令、その他』というのがあるのですけれども・・・・・・
『Q55 上場債券の勧誘を行うに当たって、金融商品取引法に基づき締結が求められる譲渡制限契約について教えてください。
A55 TOKYO PRO-BOND Market に上場しようとする債券について特定投資家向け取得勧誘を行う場合には、発行体と投資家との間及び証券会社と投資家との間でそれぞれ譲渡制限契約を締結することが求められます。
また、TOKYO PRO-BOND Market に上場した債券について市場外でOTC 取引を行う場合には、特定投資家向け売付け勧誘等に該当し、勧誘を行う者と投資家との間で譲渡制限契約の締結が必要となります。
参考条文:
特定投資家向け取得勧誘について、金融商品取引法2 条3 項2 号ロ(2)、令1 条の5
の2 第2 項3 号、定義府令12 条1 号ロ、11 条の2 第1 項
特定投資家向け売付け勧誘等について、金融商品取引法2 条4 項2 号ロ(2)、令1
条の8 の2 第3 号、定義府令13 条の6 第1 号ロ、13 条の5 第1 項』
『Q56 上場債券に関する告知義務について教えてください。
A56 TOKYO PRO-BOND Market に上場しようとする債券について特定投資家向け取得勧誘を行う場合には、勧誘を行う者から勧誘を受ける者に対して告知が必要となります。当該告知については、書面の交付は必ずしも要求されていません。また、TOKYO
PRO-BOND Market に上場した債券について市場外でOTC 取引を行う場合にも、勧誘を行う者から勧誘を受ける者に対して告知が必要となります。
参考条文:
金融商品取引法23 条の13 第3 項1 号、開示府令14 条の14 の2 第3 号』
ということで、法令の定めに従いまして譲渡制限契約と告知義務があるんですけど、これって漏れると金融商品取引法に堂々の抵触になるのですが、何か現実問題としてこの譲渡制限契約と告知義務の遵守に関して事務的に漏れなく回るんかいなという疑問がございまして、うっかりミスで金商法違反の業者ホイホイ状態になりそうな悪寒がするのでございますがどうっすかねえ。
それと、取引所に上場する商品なのに実質的に取引所では取引が無いとなりますと、時価の問題どうすんのという話もこれまたある(複数社による価格提供があればというハードルの高い前提つきですが、場合によっては売買参考統計値が出るとゆーケースもあるみたいですけれども、他のベンダーとかは価格を出しそうもないですし・・・・)とゆー感じで、とりあえず東京AIMが鳴り物入りで作ってみたものの、セカンダリーの整備がかなりのやっつけ感が漂う内容となっておりまして、今日び財務省様だってセカンダリー市場における円滑な売買取引が遂行される事に対して非常に細やかに気を使っているというのに、とりあえず発行だけ整備してセカンダリーはあと皆さんで何とかしてね(はぁと)的なこの滑り出しはどういうクオリティなのかと甚だ微妙なものを感じるのでございました。
ということで、内容の訂正はございましたが、結局disり気味であることには変わりが無かったりするのがドラめもんクオリティーでございます。
2011/07/05
お題「さくらレポート/その他少々」
復興担当相の発言をやっと公共放送がほんの一部どうでもいい所だけ報道しましたが、発言内容以前に社会人としてあの口のきき方は有り得ねえわマジで。そもそも何であんな口のきき方する人間が当選できるのかと思いますとやはり「政党本位」の小選挙区というのは日本の政治風土には合わないのではないかと思ってしまうアタクシ。
#とりあえずギリシャの格付けがどうのこうのという話を株式畑の人にネタ振りしない方が良いと思うのですがモーサテの兄ちゃん
まあそれはそれとしてさくらレポートから。
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer110704.htm/(概要)
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer110704.pdf(本文、大量に付き注意)
○まあ予想通りの「V字回復」モードになっているのですが
『I. 地域からみた景気情勢』はこのようになっています。
『各地の景気情勢を前回(11年4月)と比較すると、東日本大震災(以下、「震災」)に伴い景気判断を慎重化させた7地域からは、供給面の制約の和らぎ、家計や企業のマインドの改善等を背景に、持ち直し方向の動きがでているとの報告があった。この間、近畿、四国からは、前回からの持ち直しの基調に大きな変化はないとの報告があった。』
V字回復キタコレ。
『ただし、震災に伴う下押し圧力が続いている中、持ち直しの動きには差異がみられている。また、東北や関東甲信越からは、震災被害が甚大だった地域は引き続き厳しい状況に置かれているとの報告があった。』
ということで一応但し書きはありますが、どうも今回のトーンは強めになっていますですなあという感じです。
つまり、地域ごとの景気情勢判断の『前回との比較』というのを見ると、7地域で判断を上方修正していますが、この7地域というのはその前に下方修正した地域でございまして、そーゆー意味では方向だけ見ますと上記の説明にもありますように、震災の影響で判断を下げたところは全部引き上げた(ただまあその程度が全値戻しなのか半値戻しなのかという議論はありまして、内容的にはせいぜい半値戻し程度のようには読めますが)という美しい格好に。上方修正していない2地域ですけれども、元々四国は前回に堂々の判断引き上げを行っていますし、近畿は前回判断を横ばいにしていましたけれども、そもそもの水準が割と高め(「緩やかな回復基調」という見方)ですので、今更上方修正をする必要の無さそうな地域だったりします。
つーことでこれまた今回は判断強くて、今月の展望レポート中間レビューで何を言い出すのかがある意味wktkでございまして、上方修正しやがるんじゃネーノとゆー悪寒も漂ってくる今日この頃でございまする。
・需要項目に関して:生産と消費
まあ需要項目で生産と消費の所でも見ようかと。
『生産については、震災後は大きく減少したが、供給制約が和らぐ中でほとんどの地域からは「増加している」または「持ち直している」等との報告があった。この間、近畿からは「増加基調にあったが、震災の影響がみられている」との報告があった。
なお、東北からは「着実に増加しているが、太平洋沿岸部については、生産設備に甚大な被害を受けたこと等から、引き続き、生産活動の停止や減産を余儀なくされている先が多い」との報告があった。
業種別の主な動きをみると、ほとんどの地域が、供給面の制約の和らぎを指摘しており、こうした中で、自動車・同部品、電気機械、一般機械など多くの業種で生産水準を引き上げる動きが報告された。』
ということで、供給制約の緩和というのが今回のお題のようですな。
『個人消費は、供給制約が緩和しているほか、消費マインドも改善しているもとで、全ての地域から「持ち直しの動きがみられている」等との報告があった。
品目別の動きをみると、大型小売店販売額では、消費マインドが改善しつつあることなどを背景に、全地域から持ち直しの動きや下げ止まりの動きがみられているとの報告があった。』
まあこの後にもありますが、今回のさくらレポートのお題は「供給制約の緩和」と「マインドの改善」という事でございまして、これ即ち4月展望レポートにおける先行き下振れ要因の主要項目(他の主要項目は海外経済動向)でありますので、このようにさくらレポートで国内の下振れ要因が改善しましたとなりますと今月の決定会合でどういう話になるんかいなとゆー感じはしますけどにゃ。
『家電販売でも、九州・沖縄からは弱い動きとの報告があったが、他の地域からは節電意識の高まりによる省エネ型家電の販売増加等の動きが報告された。』
なるほどそうなのか・・・・・(あたくし個人は家電製品って壊れないと買い換えない(壊れたらもう使わないという変化もある^^)人なので・・・・)。
『乗用車販売については、ほとんどの地域から大幅に減少しているとの報告があったが、北海道、東北、関東甲信越、東海、四国、九州・沖縄からは供給制約の和らぎ等を背景に、減少幅縮小等の動きがみられるとの報告があった。』
ほほー。
『一方、旅行関連需要は、九州・沖縄からは国内観光客数が持ち直しているとの報告があったが、北海道、東北、北陸、関東甲信越を中心に、多くの地域から、国内外からの観光客数が減少しているとの報告があった。』
まあそうでっしゃろな。
・『II. 地域の視点』コーナーである
今回のお題はまあ普通に『東日本大震災後の地域経済における特徴的な動きについて』とゆーものでございます。手抜きにも程があるがこの部分全部引用するだよ。
『各地域では、東日本大震災(以下、「震災」)後の懸命な復旧・復興努力などが実を結んで、経済活動の正常化に向けた動きがみられ始めている。具体的には、(1)供給面の制約が和らぎ始めるもとで、製造業の生産活動に持ち直しの動きがみられていること、(2)消費マインドが改善しつつあるもとで、耐久財販売などに増加の動きがみられること、などが挙げられる。』
という事で先ほどから申し上げておりますが、今回のさくらレポートのお題である(^^)。
『東北地方を中心に震災で大きな被害を受けた地域(以下、「被災地」)では、地域差はあるものの、経済活動の正常化に向けた動きが着実に進展している。具体的には、被害を受けた生産・営業用設備が4月頃から順次復旧・再開し、最近では震災前に近い生産水準に回復している先がみられるほか、港湾・道路など社会インフラの復旧も着実に進んでいる。また、ガソリン供給の正常化や、震災以降実施されていた計画停電が4月入り後原則実施されなくなった点も、経済活動の正常化にプラスに働いた。』
ほほう。
『加えて、被災地以外で素材産業や食品などの工場を有する地域では、震災以降、グループ企業間・同業他社間で代替生産が行われている。これらや代替調達の進展もあって、多くの地域でサプライチェーンの修復が進み、これまで生産活動の下押し要因となっていた供給面での制約が緩和してきている。さらには、広い業種で復旧・復興関連需要が顕現化している。こうした動きを背景に、各地域の製造業の生産活動には持ち直しの動きがみられている。』
ということで生産は供給制約の緩和から持ち直しと。
『もっとも、経済活動の正常化に向けた動きは、地域ごとにみるとばらつきもみられる。この背景は、(1)被災地や供給制約の厳しい輸送用機械のウェイトが高い地域ほど、震災後の落ち込みが大きかった分、最近の生産は他地域比はっきりと増加していること、(2)代替生産は震災前の生産水準が低い地域ほど生産面での押し上げ効果が大きいこと、などが挙げられる。』
ばらつきがあると言ってもあまり暗い話になっていませんなあ、うんうん。
『家計支出は、各地域から、消費マインドが改善しつつある中、財やサービス消費ごとにばらつきを伴いながらも持ち直しの動きがみられているとの報告が多い。なお、観光は、外国人観光客を中心に原子力発電所事故の悪影響などから全国的に減少しており、厳しいとの見方が多い。もっとも、一部の地域では国内観光客の震災に伴う振替需要などから持ち直しの動きがみられている。』
ということで、これも観光の落ちの話をしながらも何気に威勢の良いトーンになっとるの。
『この間、農水産業では被災地を中心に震災による直接的な被害や、原子力発電所事故による悪影響がみられている。』
さよざんんすな。で、この次が電力の話。
『本年夏の電力供給制約に対する大口需要家(製造業)の対応をみると、東北電力・東京電力管内の企業は、昨夏の使用最大電力の▲15%節電に向けて様々な努力(勤務シフトや自家発電設備の設置など)を行っている。これにより、本夏の節電による生産活動への影響については、多くの企業が限定的としている。』
限定的の割には日々暑くて誠に遺憾なのですがあたしゃorz
『その他の地域では、最近表面化した電力供給制約に対して、「生産水準に影響しない範囲での節電対策を検討中」とする声が多い。こうした中、電子部品・デバイスメーカーなどの集積する地域からは、「大口需要家に電力使用制限が行われれば、制限緩和措置次第では生産面への影響が避けられない」といった不安の声も一部に聞かれる。』
でもまあ前段でああ言ってる位だから実際は大丈夫ですよウェーハッハッハということになるんですかそうですか。
『また、東京電力管内の中小企業(小口需要家)では、「昨夏の使用最大電力の▲15%節電を目指していく」という先から、「可能な範囲の節電を行う」という先まで対応は区々の状況にある。なお、非製造業では大口需要家・小口需要家とも売上に影響が出ない範囲での細かな節電対策の積み上げで対応しようとする先が多い。この間、一部の企業からは各種節電対策に伴う追加コストが、収益に与える影響を懸念する声も聞かれる。』
この辺りの影響に関しては実際に動き出したこれから判ると思うのですが、6月から関東でも猛暑日発生とかどんな罰ゲームだという展開になっているのが何とも。
『雇用面では、今後の生産の本格的な回復などを見据えた雇用増を示唆する声が聞かれている。例えば、輸送用機械では、「今後の増産対応は人員確保も大きな課題の一つ」とするなど、労働力の円滑な確保が今後の経営上の課題となっている。一方で、被災地では厳しい雇用情勢の継続が見込まれている。また、広い地域から一部の産業における震災による雇用面へのさらなる悪影響を懸念する声が聞かれている。』
雇用の話は結局明るいのか暗いのかはよーわからんですの。
『各地域の企業は、震災後、毀損した生産設備等の復旧やサプライチェーンの障害の解消に向けて注力しており、今回の震災を踏まえた中長期的な対応に着手しているという先は現段階では少ない。もっとも、今回の震災を踏まえて、企業では部品調達先の多様化や生産拠点のあり方などについて再考が必要という問題意識が高まっているほか、限定的ながらも一部の地域では、そうした企業ニーズを捉えることで地域活性化に繋げていこうという動きがみられ始めている。』
というような話になっていて、製造業の空洞化懸念という話はあまり前面に出ていないのがチャーミングでございます。
で、この先にある個別具体的な話に関しても味わいがあるのですが、あまりにも長くなるので引用割愛。まあ上記URLの概要の方でも読めますのでそちらを読んで味噌。
○BOE6月議事要旨ネタの補足
金曜に引用したBOE6月議事要旨ネタの続きでございますが、「資源の活用状況に関して」という部分で「正直良く判らん」と泣きを入れましたら読者様から助け舟が絶賛到来致しましたので大いに参考にさせて頂きながらその辺りを再度。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2011/mpc1106.pdf
第20パラグラフから関連して話が続きますのでその辺から。
『20 There had remained little sign of higher CPI inflation feeding into
wage claims. Private sector regular annual pay growth in the three months
to March had been 1.9%, a little weaker than in the three months to December.
And private sector wage settlements had remained subdued at 2.1% in the
three months to April.』
この辺までは「CPIの上昇が賃金の上昇にフィードバックしている兆候は依然としてあまり無い(ので2次的なインフレ拡大効果はまだ見られない)」という話ですが。
『A key question for the MPC was over the rate of pay growth that was likely
to be consistent with inflation returning to the 2% target in the medium
term. That would depend upon the future path of productivity, which had
so far barely grown at all during the recovery. It would also depend on
the extent to which businesses sought to rebuild profit margins that had
been compressed during the recession, as the level of productivity had
fallen sharply.』
賃金の上昇ペースがMPCの目標とする中期的なインフレ目標(2%)にインフレが戻ってくるでしょうという見方に整合的であるかどうかが重要な問題になりますが、これは、リセッション後の回復が遅い生産性(この「生産性」が具体的な定義を伴う話なのか、より概念的な話なのかは文脈見てもよくワカランチ会長であるが)の今後の動向や、リセッションによる生産性の低下に伴い縮小した企業のマージンをどの位回復させるように動いてくるかという点に依存します。とヘタクソな訳だとそうなるのですが、何となく判ったようなわからんような(汗)。
んでもって第21パラグラフから。
『21 Survey measures of capacity utilisation had suggested that some spare
capacity remained in the service sector, although less than a year ago,
while capacity utilisation in the manufacturing sector appeared at around
normal rates. On the one hand, this appeared broadly consistent with the
price trends seen in the manufacturing and service sectors, after abstracting
from the estimated impacts of changes in VAT, energy and import prices.
』
景気の回復に伴い生産力の活用状況が改善している点は製造業やサービス業におけるVATや資源、輸入価格のインパクトを除外した最近の価格トレンドに整合的ですとな。
『On the other hand, it was puzzling that measures of spare capacity had
narrowed to such an extent, given the very substantial fall in output during
the recession, coupled with the sluggish demand and very weak productivity
growth that had followed during the recovery. While cross-country evidence
suggested that it was typical for recoveries after recessions accompanied
by financial crisis to be slow, the weakness of productivity growth observed
in the United Kingdom over the past year had been abnormal and had reflected
stronger-than-anticipated employment growth. The Committee had for some
time thought it possible that the official output data during the recession
and recovery would be revised upwards. An upward revision, with commensurate
changes to estimated productivity growth, would resolve some of that puzzle
in the published data.』
クソ長いのを一気に引用しましたが(この前もネタにしましたので)、生産性に関する問題についての解釈を(読者様のアドバイスを賜りながら)改善して申し上げますと、英国では経済の余剰生産力が縮小(生産力の活用状況が改善しているのですから)しており、雇用も予想以上に拡大している中で生産の伸びが強くないため、計算上の結果として「生産性」が弱いままで推移している事になっているのが不思議でありますなとゆーお話をしているようでございます。他国の例などから見ると金融危機によって生じたリセッションからの回復は緩やかであるというのはあるのですけれども、英国では生産性が異常に低いままで推移しているのが不可解という話でありまして、MPCとしてはこの不可解な状況の一因として生産に関する経済データが何らかの形で低く出ている可能性を想定しており、生産の指標が上方修正された場合には、現在の不可解な生産性の低さがやや解消されるのではないかと考えている、という事のようでありますな。
いやまあだからどうしたと言われると困りますが、俺様備忘録としては備忘の必要がありますので書いたという話ですどうもすいませんすいません。それからご教示頂きました読者様に感謝であります。
○そういやこんなのがありましたな
だいぶ前のネタですがうっかりスルーしてたので今更備忘メモメモ。
http://www.tse.or.jp/news/30/110517_a.html
2011/05/17 更新
当社子会社TOKYO AIM、プロ向け債券市場「TOKYO PRO-BOND Market」の制度を発表
〜 規程・規則につき金融庁から認可を取得 〜
んでもってTOKYO AIMのプレスリリースのページはこちら
http://www.tokyo-aim.com/japanese/page/news/press_release
内容はこちら
http://www.tokyo-aim.com/japanese/files/pressreleases/110517_pressrelease_jpn.pdf
(PDFで56ページもありますので注意)
で、表題ページの所にこんな話が。
『「TOKYO PRO-BOND Market」は、2008年の金融商品取引法の改正により導入された「プロ向け市場制度」を活用して設立、運営されます。新市場の主な特徴は以下の通りです。
・ 既存の債券市場の大部分を占めるプロ投資家を対象とし、発行体と投資家双方の利便性を向上させる柔軟な制度を導入
・ 発行時の開示書類を大幅に簡素化し、発行体の起債手続きを効率化
・ 英文のみによる発行開示および継続開示が可能となり、海外の発行体の発行コストを大幅に削減
・ ユーロMTN と同様のプログラム上場を可能とし、市場環境に応じた機動的かつ柔軟な起債を実現』
という事で、まあ要するに現在のガチガチの開示規則をプロ向け限定にすることによって緩和して、ユーロMTNプログラムと同様に機動的な発行をできるようにしますよという話であります。
でね、まあ趣旨は判るのですが、本件の最大の疑問って「で、何でその債券の売買を取引所集中しないと行けないのですかあああああああああ?????」という事でございまして、これって単に規制緩和してくれりゃ良いだけの話じゃネーノと思うのでありますわ。大体からして債券の場合、店頭売買で業者が在庫持ちながら(またはショートセールしてレポしながら)マーケットメイクしてオファービットを投資家が払う(払いたがらない投資家も散見されますが健全な市場がサステイナブルである為には投資家はask-bidのスプレッドはきちんと払うべきであると思いますが)のが普通の流れでありまして、そこに取引所が入って場口銭の形でask-bidスプレッドを取って行かれますと流通業者的にこの債券を扱うメリットって何ですねんという話になり、そうなると当該債券の流動性が出なくて投資家にもメリットが低く、結局発行体も使わないんじゃネーノという悪寒も。
いやまあユーロMTNプログラム分を取り込みましょうという話になるだけの話になるのかも知れませんけど、CPの発行も電子CP化によって便利になっていますし、こちらがどの位の市場になって行くのかは生温かく見守りたいと思うのですけれども、先ほど申し上げたようにこれって別に取引所に集中させてどうのこうのという話じゃなくて単に規制緩和してくれれば良いだけの話のような・・・・・
ま、確かに取引所が一枚噛んだ事によってこれらのスキームが出来たというのはあるとは思いますけど、何か微妙なテイストを醸し出しているような気がしますです、はい。
(追記:上記部分の認識に相当事実誤認がありまして、翌日に訂正エントリーを作成しました)
2011/07/04
お題「短観に相場が反応しないとは何事ぞorz/石田審議委員就任会見/その他少々」
「アナログ放送終了まであと20日」とかいうのがいい感じで邪魔なのですが、何故かCMになるとそのテロップが出ないのが素敵でございます(ちなみにジュピターショップチャンネルとかジャパネットタカタとかでも巨大テロップは出ませんwwww)。
○短観でございますが
http://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2011/tka1106.pdf
前回数値は回収時期が震災挟みでしたが、まあ結局そんなに大差なかったことでもありますので3月数値に関しては元々公表されたベース(震災前後合計ベース)の方からで勘弁。
・前回の先行き予測DIの達成状況に関しては意味が無いですけど一応
(3月時点) (6月時点)
現状→6月予測 現状→9月予測
製造業大企業 +6→+2 ▲9→+2
製造業中堅企業 ▲4→▲5 ▲12→▲7
製造業中小企業 ▲10→▲16 ▲21→▲15
非製造業大企業 +3→+2 ▲5→▲2
非製造業中堅企業 ▲6→▲12 ▲17→▲16
非製造業中小企業 ▲19→▲27 ▲26→▲29
まあ今回は断層が生じているので何ですが、3月数値は結構な強い数字だった訳ですけれども、さて今回の数字ってどうなのよとゆーところではございますけれども、感覚的には思ったほど派手には落ちていない(非製造業中小企業は3月時点の予測数値よりも足元の数値が良いですし)ように思えるのですけれどもどないでっしゃろ。
・雇用判断DI
(3月時点) (6月時点)
現状→6月予測 現状→9月予測
製造業大企業 +5→+6 +8→+5
製造業中堅企業 +9→+8 +10→+6
製造業中小企業 +8→+10 +14→+8
非製造業大企業 +3→+5 +4→+2
非製造業中堅企業 +1→+1 +4→+2
非製造業中小企業 +3→+3 +6→+3
まあ当然ながらこちらも足元数値は悪化していますけれども、先行きの見通しに関しては改善傾向になっていますな。んでもって非製造業の雇用判断はそんなに悪化してない一方製造業の雇用判断が悪化していて、特に中小企業で悪化というのはサプライチェーンの毀損が影響しているんでしょうかねえという絵に描いたような展開ですかそうですか。
・しかし相場が反応しないのですが・・・・・・
という事でちゃんとした分析は本職の人がやってくれると思うのでスルー致しますけれども、今回の短観に関してはまあ確かに数値そのものが市場予想からそんなにずれていなかったせいもあるとは思うのですけれども、金曜の債券市場様におかれましては短観に反応した形跡が見られない(そもそもベンダーの相場後講釈でも短観の話がそんなにあったという雰囲気は無い^^)という大変に素敵な展開になっておりましてですな、つまり最近の債券市場って米債と内部需給だけで話が出来てしまうというのも如何なものかという感じがする今日この頃。
いやまあ債券市場ってそーゆーのを得意技にしてはいるのですが、最近はとみに国内の経済指標に反応しないような気がする(気がするだけですけど)のでございまして、何と申しますか色々とファンダメンタルズがどうのこうのと小理屈を捏ねる必要が無い(ように見える)というのも残念にも程がありますわなあと思った金曜のひと時でございましたorz
○石田審議委員就任記者会見、まあ無難でしょうかな
石田審議委員就任会見である。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2011/kk1107a.pdf
・景気認識に関して
基本的な部分は日銀の中心的な見方に平仄を合わせていますな。
『(答) 今年の1月、2月頃は、年初から全体に緊張がほぐれるというか、良い方向に向かっているという感じがしました。今年は良い年になるかと思っていたところに、3月11日の大震災で全く様相が一変しました。大変な被害が出たのですが、全体での生産の落ち込みは、どちらかといえば供給面の制約から出てきたものです。需要は一部下押しされまししたが、全体としては需要は残っていると思います。各方面の関係者の方々が必死の努力をされ、隘路となっているサプライチェーンの問題等については、前倒しで成果が出ていると感じており、これから夏場にかけてかなり戻していくと思っています。』
『また、夏場の電力問題については、当初考えられていたよりは、各方面の対策、節電、あるいは自家発電の投入等があり、一定程度軽減されてくるという気がします。また、一部の業種では生産が落ち込む過程で、在庫が非常に圧縮されており、内外で適正在庫水準への復元が起きると、生産は他の制約がなければ反動として上がってくると思います。』
どう見ても日銀の中心的な見方です本当にありがとうございました。
『問題はその先で、2つの大きな問題があると思います。』
ほほう。
『1つ目は、今回の震災で起きたサプライチェーンの問題、分散化の影響がどういうかたちで出てくるのかです。国内での分散化であれば良いですが、海外に出て行った場合にどうなるのか。また、それに伴い一時的に真空状態になったサプライチェーンの基幹部品について、新興国等が参入してきた場合に、復元して元通りになるのかという問題があります。2つ目は、それを加速する可能性がある来年度の電力の問題です。もともと新興国の経済の発展に伴い、わが国企業の海外での生産比率が高まっている環境のもとで、いわゆる空洞化が起こってきた場合に、それを埋めるものが何なのか、これから先、非常に難しい問題になってくると思います。』
まあ要するに空洞化懸念という事ですが、まあこの辺に関しても日銀の中心的な見方ベースのお話ですな。
んでもって海外の部分ですが。
『(答) 年初みていたよりも、海外の経済の見通しが非常に不透明というか、曇りが出てきているような感じがします。例えば、中国では金融引き締めが行われていますが、今まで大変売れていたような機器でも急速な減速が起こっており、その一部はやはり震災の影響による品不足が原因のようです。
もっとも、日本を大きく上回る成長率が海外で続いている限り、非常に高い水準から少し下押しがあったとしても、基本的には日本経済への影響はプラスかなと思っています。ただ、年初思っていたよりは、米国でも少し陰りが出てきているように感じます。それが長続きするものなのかどうかは、今のところ分かりません。』
という事でこちらもそんなに変わった話はしていませんな。まあそんなもんちゃあそんなもんではございますけれども、銀行だけではなくリース会社(ちなみに三井住友ファイナンス&リースは住商リースと三井住銀リースが合併しているので商社系のテイストもある筈だから普通の銀行直系リース会社よりも幅が広そうな気がする)にいらした事でもございますので、「リース会社の状況から見た最近の景気動向は〜」みたいな話をして欲しかったなあとは思う訳で、もうちょっとやんちゃな発言が出ても良かったのに(住友銀行出身ですし^^)とは存じますが、まあ石田審議委員におかれましては銀行時代にマーケット部門の企画担当の偉い人とかもやっておられたと聞いておりますので、今後の展開に期待はしておこうかなあとは思っております。
・とは言えABL関連の話はこれまたアレでございまして
ABL関連オペに関する質問に対して。
『(答) ABLの中でも、特に売掛金を担保とした貸出しは、これはなかなか技術的に色々困難な点があって今まで伸びていないのですが、今回のような形で非常に低利な資金が供給されることになると、場合によっては個別の金融機関の工夫次第でかなり新しい形の金融として育つ可能性はあると思っており、非常に楽しみにみています。』
まあ何ですな、無難なご説明ではございますなという感じですが、ABLに関しては銀行というよりはノンバンクとかリース会社がやった方がエエンチャイマスカ(んでもってそれが儲かるし担保保全とかも銀行でも可能ですねっちゅう話になったら銀行がえっちらおっちら参入してくるがな)とか、低利融資出たって今の金融絶賛大緩和状態で金イラネ状態の時にやるかヴォケなどという素敵な発言が出ると大変にビューテホーなのでございますが、そのような無茶発言が出る訳でもなく無難にまとめておられます。
まあ何ですな、この発言の中で「場合によっては」というのが入っているのが微妙にアレなのかも知れませんけれども、まあよーわからん。
『本日審議委員に就任したばかりですので、今申し上げたことは、今まで自分が民間にいた時の考えです。』
ほうほうそうですか。
・国債引受議論に関して
『(答) 両面の議論があろうかと思いますが、私自身は今まで検討する立場になかったので深い考えはありません。ただ、長年に亘り実務の世界にいると、今までやっていなかった日銀引受けをした場合に、どのようにマーケットは捉えるだろうかという事については考えられます。
マーケットには、非常に微妙なところ、保守的なところがあります。諸外国でも日本でも今までやっていなかったことが起こると認識した場合、マーケットはネガティブに反応する可能性が強いと思います。』
まあこういう説明だと判る人は判るのでしょうけれども、どうせ日銀批判をする向きに掛かりますと「高橋是清もやっていたし、今でも短期国債の日銀乗換で引受をやっているでしょ」という反論(まあ反論にならない反論ではあるのですが)が出てきて不毛な罵り合いになるのが日本の金融政策議論クオリティでもありますので、丁寧に説明した方がエエンチャウノといつもながら思うのですけれどもねえ。
『また、格付機関等もネガティブな反応をするだろうと思います。そうすると、例えば国債の格付けが下がると、それにつれて日本の主要企業の格付けも下がる可能性が高い。この前そのようなことが起きました。そうすると日本の企業の国際競争力にも問題が生じます。そういう意味では、避けるべきことかなというのが実務的にみた場合の反応です。』
まあ実利的な話ではそうなのですが、「お前らは格付会社という民間の一企業の評価で金融政策判断をするのか」とかこれまた不毛な言葉尻攻撃が出ますし、そもそもこういう言い方はヘッドラインに使われやすいのでございまして、とにかくインパクトのあるヘッドラインを打つ事に余念が無く、発言の一部でもインパクトのある部分を探そうというのが仕様になっている(のであたくしは極力こちらの駄文で引用するのを避けているのですが)ロイター日本語版様ではこのようにヘッドラインを打たれています。
http://jp.reuters.com/article/jp_quake/idJPJAPAN-21975420110630
国債の日銀引き受け、格下げにつながり避けるべき=石田日銀審議委員
2011年 06月 30日 19:02 JST
どう見ても石田審議委員の発言の趣旨は「格下げになるからケシカラン」ではなくて、「一般的に先進国と言われる国で露骨な財政マネタイズ政策を行う事を避けている中で、日本が財政マネタイズを実施した場合に、市場が強いネガティブな反応をする恐れが高いので財政マネタイズ政策は避けるべき」という趣旨なのですけれども、何せマーケット関連情報に関して特に優位性を持つと一般的に認識されているメディアですらこの有様(ちなみに念の為申し上げますと、実際の市場関係者的にはこの会社の送り出すヘッドラインがすっかり「ウケ狙い」になっているのが著名になっているので以下自粛な認識になっているように見えるんですけどね^^)でございますので、まあこの手の発言は説明を丁寧にすべきかと存じます。
・で総合的な印象
いやね、まあ何か景気認識に関してもABL関連オペに関する話に関しても中々いい感じで日銀の中心的な見解ベースのお話を展開しておられまして何ともアレな味わいを感じるのでございますが、今後どういう話をしていくのかは決定会合での投票とか、講演や会見などでのお話とかを楽しみにしようかとは思っております。前回の銀行出身の野田審議委員は時に独自色を出して、まあ基本的には「筋を通す」というのが確りしていた人だなあと思いました。まあ銀行出身の人ってあまり無茶振りはしてこないですが、その一方で必ずしも日銀見解一辺倒ではないという感じの方が続いていました(新法初代審議委員の武富さんはかなりマニア成分もありましたな^^)が、石田さんがこれからどーゆー感じになるのかは生温かく推移を見るという感じでございます。住友銀行系から審議委員が出るの(少なくとも新法になってから)初めてなので期待すると共に、最初なので無茶しない人選になっているんだったら何だかな感はありますけれども(まあメガバンクの役員やるような人が素直に日銀見解一辺倒になる訳は無いですけどね^^)どうなんでしょうか?????
○その他少々
・30日に出ていた日銀レビューシリーズ
・・・・のネタもやる積りだったのですが、読んでいてもうちょっと読み込まないとなんだなあと思ったのでまた後日(汗)
・その名も「量的緩和コンファランス」とな
http://www.stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=1071
JUNE 30
Quantitative Easing (QE) Conference
June 30, 2011, at the Federal Reserve Bank of St. Louis
これはまた豪直球なコンファランスが実施されていますが、とりあえずこちらの式次第の中で題名だけ見てオモシロそうだとおもったのはこの2本(つーか全部読む英語力が無い上に時間と根性も無い)ですな。ということでそのうち読む。
・ブラード先生絶好調でござるの巻と見た(^^)
http://www.stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=1076
JUNE 30
St. Louis Fed’s Bullard Discusses Effectiveness of QE2
・NY連銀のペーパーであるが、サマリーはこちら
http://www.stlouisfed.org/events/20110630QE/Summary_Gagnon_et_al.pdf
Large‐Scale Asset Purchases by the Federal Reserve: Did They Work?
実はこれについては今年の5月にNY連銀からペーパーが出ていまして、上記のサマリーはこのフルペーパーのまとめになるのですが、このフルペーパーが結構な長さで実はあたくしまだ読了していない(というか途中で止まっているorz)。
http://www.newyorkfed.org/research/epr/11v17n1/1105gagn.pdf
Large-Scale Asset Purchases by the Federal Reserve: Did They Work?
ということで予告編を書いて自分にプレッシャーを掛けるでござるの巻でありました(^^)。
2011/07/01
お題「趣味のBOEネタ続き/日銀からペーパー3本とな/学者が事実に基づかない批判してどうするのよ」
米国市場の暴れん坊将軍振りにポカーンとしつつ、そもそも昨日が四半期末だったせいか今日が営業日なのがどうもこう違和感がございます、といいつつ短観ですかそうですか。
えーっと、復興という一回限りの支出に関する財源では復興税がどうのこうのという話がすんなり通るのに、税と社会保障の改革という恒久的な支出に関する財源では基幹税の増税話が全く通らないというのは話が逆のような気がするんですけど何でそうなる・・・・・
という事で(どういう事だ)まずは昨日の続きからBOEの6月MPC議事要旨ちゃんから。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2011/mpc1106.pdf
○物価に関する分析が色々とややこしい
『Supply, costs and prices』の部分で物価に関する話があるのですけれども、この中の論点が色々とヤヤコシアルねという風情で。
・ポンド安の影響はどこまで継続するのかという論点
第18パラグラフから。
『UK producer output price inflation had been significantly greater than
in the euro area between the middle of 2008 and late 2010, most likely
reflecting the impact of the depreciation of sterling on manufacturers’
costs and pricing decisions.』
2008年中盤から2010年終盤までは英国の生産者産出価格(でしたっけ?)の上昇率はユーロエリアのそれよりも顕著に大きく、それは恐らくは英国ポンドの下落による製造業者のコストと価格決定への影響を反映しているのではないかと思われますとの事で。
『More recently, UK and euro-area producer output price inflation rates
had been similar, perhaps indicating that the bulk of the pass-through
from sterling’s depreciation to domestic output prices was complete. It
was also possible, however, that continued pass-through had been offset
by other factors depressing UK output price growth.』
で、最近は英国とユーロエリアの生産者産出価格の上昇がほぼ同じになっていて、ポンドの下落の影響が薄れたと見る事もできますが、一方で他のファクターによるものという見方もできますよね、という話で結局のところこれという結論は無いのですけれども、ポンド安による物価上昇の影響については、仮に今後量的緩和を拡大するという話になって行く場合に障害になる可能性が無い訳ではないっつー気もするので、この辺りに関するMPCの考察については注視したいですなあとか思ったりする。
ちなみに、ではこの辺りの考察がCPIに対してどういう話になりますねんとゆー所ですけれども、そこいらに関する話は特に今回のMinuteではございませんでした(と思います)。
・賃金インフレの兆候は見られませんとな
第20パラグラフから。
『There had remained little sign of higher CPI inflation feeding into wage
claims.』
ほほう。
『Private sector regular annual pay growth in the three months to March
had been 1.9%, a little weaker than in the three months to December. And
private sector wage settlements had remained subdued at 2.1% in the three
months to April.』
物価上昇が足元で4%台ですが賃金の上昇は2%そこそこと。
『A key question for the MPC was over the rate of pay growth that was likely
to be consistent with inflation returning to the 2% target in the medium
term. That would depend upon the future path of productivity, which had
so far barely grown at all during the recovery. It would also depend on
the extent to which businesses sought to rebuild profit margins that had
been compressed during the recession, as the level of productivity had
fallen sharply.』
なるほろ。
・資源の活用状況に関して
第21パラグラフでござる。
『Survey measures of capacity utilisation had suggested that some spare
capacity remained in the service sector, although less than a year ago,
while capacity utilisation in the manufacturing sector appeared at around
normal rates.』
もう一つの先行き物価に関するファクターであります「経済における資源の活用状況」に関してですが、こちらに関しては改善傾向になっているようですな。
『On the one hand, this appeared broadly consistent with the price trends
seen in the manufacturing and service sectors, after abstracting from the
estimated impacts of changes in VAT, energy and import prices.』
ということで、ひとつの見方としてはこの傾向は製造業及びサービス業の価格設定の動向に概ね一致してますね、という所なのですが・・・・
『On the other hand, it was puzzling that measures of spare capacity had
narrowed to such an extent, given the very substantial fall in output during
the recession, coupled with the sluggish demand and very weak productivity
growth that had followed during the recovery. While cross-country evidence
suggested that it was typical for recoveries after recessions accompanied
by financial crisis to be slow, the weakness of productivity growth observed
in the United Kingdom over the past year had been abnormal and had reflected
stronger-than-anticipated employment growth.』
毎度お馴染みの如くですいませんが、あたくしの知能ですとここの説明が途中で話がややこしくなって困っているのでありますが、金融危機後のリセッションからの回復過程において、海外の例などを見ると普通はそんなにホイホイと経済の余剰が縮小する訳では無いので、現状に関して少々不可解なところがありますなというような話をしているような気がするんだがよく判らん。
『The Committee had for some time thought it possible that the official
output data during the recession and recovery would be revised upwards.
An upward revision, with commensurate changes to estimated productivity
growth, would resolve some of that puzzle in the published data.』
結局結論が出ているわけでは無さそうな感じですが。
○リスクはダウンサイド拡大、MPCメンバーのリスク認識は割れているようで
『The immediate policy decision』に関して。
第23パラグラフから。
『The primary upside risks flowed from: the possibility that above-target
inflation would become engrained in expectations and subsequently in wage
and price-setting behaviour; and the possibility of further upward shocks
to the price level, particularly from global prices. The Committee judged
that the likelihood of these risks materialising, while substantial, had
changed little over the month.』
ということで、ターゲットを上回ったインフレの継続が賃金や価格設定行動の引き上げに繋がったり、将来的な価格上昇ショックの影響を受けやすくなるリスクなどがアップサイドリスクですけれども、こちらに関しては引き続き大きいものの、リスクに関しては特に変化はしていませんと。
第24パラグラフから。
『The key downside risk was that the strength of demand would prove insufficient
to eliminate the current margin of spare capacity, leading to inflation
falling below the target in the medium term. GDP growth, and especially
consumer spending, had been weak.』
というこれまたいつものダウンサイドリスクに関しては、この先にああでもないこうでもないという話が続くのですが、その結論はこうなっています。
『Notwithstanding that uncertainty, on balance, the Committee judged that
the downside risks to the prospects for medium-term inflation had increased
over the month.』
ということでダウンサイドリスク拡大キタコレという感じでございます。
で、これはこの前も引用しましたけど、第25パラグラフではMPCメンバーのリスク認識への意見が結構割れている事を示唆していると思うのですけどどうでしょう。
『Most members judged that it was appropriate to maintain the current stance
of monetary policy at this meeting. The current weakness of demand growth
was likely to persist for longer than previously thought. Moreover, the
fiscal challenges in the euro-area periphery highlighted the potential
for further adverse shocks to demand.』
ということですが・・・・・・
『For some of these members, it was possible that further asset purchases
might become warranted if the downside risks to medium-term inflation materialised.』
仮に中期的なインフレのダウンサイドリスクが顕在化してきた場合には資産買入の拡大が正当化される可能性がありますと複数のメンバーが指摘する一方で・・・・・
『For others, there remained a substantial upside risk to medium-term inflation
stemming from the possibility that inflation expectations might rise significantly,
compounded by the potential for further upward shocks to global prices.
Although there was no sign that this risk was materialising as yet, that
did not preclude it from doing so in the future.』
他のメンバーは引き続き現状では中期的なインフレのアップサイドリスクがかなり存在しますという見解になっていますな。ただまあアップイサイドリスクに関してはまだ顕在化している兆候は無いので、将来の資産買入拡大を別に排除するものではないという話をしているっぽいでございますな。
ということで、趣味のコーナーでどうもすいませんすいません(しかも英文解釈が微妙な部分が結構あるのではないかとびびっているあたくし)。
○何か色々とペーパーが出ているのだが
四半期末の駆け込みの如く昨日は日銀レビューシリーズが3発。
ABLの現状と一層の活用に向けて
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2011/rev11j04.htm/(要旨)
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2011/data/rev11j04.pdf(本文)
要旨のところをまる引用。
『アセット・ベースト・レンディング(ABL)は、企業が保有する在庫や機械設備、売掛債権など、事業と密接に関連した資産を担保とする、比較的新しい融資手法である。従来型の融資と比較すると、事業資産の産み出すキャッシュフローに着目し、その変化を継続的にモニタリングすることが不可欠な点に特徴がある。』
いやあの別に従来の融資でも普通に債務者の営業キャッシュフローとかって債務者の決済性預金の推移とか見ながら(メインなら特に)把握するようにしていたと思うのですけど、すくなくともあたくしが金貸しの手先やっていた小僧時代は。
『それ故、貸し手・借り手の双方に相応のコストが必要となる反面、不動産担保や個人保証に過度に依存することがなく、貸し手・借り手の関係強化にも繋がるため、企業の借入余地の拡大や資産の有効活用、金融機関の「目利き力」の向上を促し、企業のライフサイクルに応じた柔軟な資金供給の実現に資すると考えられている。』
何かね、「不動産担保や個人保証に過度に依存した融資」とかステレオタイプで言われますと、どうも名作漫画の「ナニワ金融道」的な融資とごっちゃにされているのではないかと思うのですが、普通の銀行とかでやってる融資は、貸付金の回収可能性に注目するのか債務者をゴーイングコンサーンとして考えるかという点でだいぶ違う筈なんですが、どうも何だかなあ感が。
『わが国のABLの規模は未だ小さいが、一段の拡大を通じて、ABLの持つ機能が十分に発揮されるようになれば、わが国経済の成長に貢献していくものと期待される。』
それは素晴らしいですね(棒読み)
で、本文はこれから精読する(斜め読みしかしていない)。
中小企業の資金繰りを巡る論点
― ABLと電子記録債権による売掛金の活用 ―
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2011/rev11j06.htm/(概要)
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2011/data/rev11j06.pdf(本文)
まあこちらも結論はアレでございますが、いやもう麿様の政策が出たと思ったら早速このようなレポートが出るとはこれはこれは(棒読み)という感じですが、概要を読んだだけで本文斜め読みすらしていないのでまた後日。
オプション市場から見た震災後のわが国金融市場の動向
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2011/rev11j05.htm/(概要)
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2011/data/rev11j05.pdf(本文)
これから読みますサーセン。
○さらにどうでも良い雑談だが
ネット版には無いのですが、昨日(6月30日)の東京新聞29面(特報面)の「本音のコラム」というのを見て唖然。
法政大学の竹田茂夫という人が書いていたのですが、お題が「第四権力?」ということで日銀の金融政策の政策決定に関して意見を言っていまして、まあ途中までの話はこれは見解の分かれるところなのでまあ良いとして、最後のところで「はあ?」と思ったわけよ。以下引用。
『最近、東電出身のある審議委員が記者会見で原発推進を示唆した。だが審議委員は業界利益の代弁者ではないはずだ。セントラル・バンカーとしての見識と矜持が求められている。』(2011年6月30日東京新聞朝刊本紙29面「本音のコラム」(法政大学教授の竹田茂夫氏による)から引用)
えーっと、東電出身の審議委員の記者会見というのは23日の森本審議委員の会見だと存じますが・・・・・・
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2011/kk1106c.pdf
こちらの6ページの後半以降に原発停止の影響に関する質疑応答がございますが、このどこをどう読むと「原発推進を示唆した」という話になるのかあたくしの知能では全く判りかねるのでございますが、竹田茂夫先生とやらはこちらのどの部分が「原発推進の示唆」となるのかご説明願いたいものでございます。
人の発言を勝手に曲解して批判する竹田先生こそが「学者としての見識と矜持が求められている」と思うのですけどねえ。何の専門の方だか存じませんけど。
日銀批判するならちゃんと事実に基づいて批判すべきであって、そうじゃない批判って「無能な働き者」の典型だと思うのですけどねえ・・・・・・