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2010/12/30
お題「連日のオペ札割れ/虫干しネタから少々」
年末モードでしょうもない番組しかなくて甚だ困っていたら6時半から東京MXでど根性ガエルが放映されていましてまさに干天の慈雨(違)
#しかし米債は何やっとるんじゃ昨日にしろ今日にしろ・・・・
○これはまた札割れを最初から意識したオペ実施とな
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of101229.htm
共通担保資金供給(全店)<金利入札方式>
オファー額 8,000
スタート日 2010年12月30日
エンド日 2011年1月12日
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba101229.htm
応札額 1,300
落札額 1,300
・・・・・前日に30日スタートの資金供給オペが華麗に札割れしているというのに更に打つとはこらまた露骨にも程があるプレイでございますなあと思いますけど、まあこんなもんっちゃあこんなもんなのかも知れません。
と申しますのはですな、やはり相変わらず日銀の資金供給スタンスが年末越えを通過したらしらっと自然体オペに戻ってしまうのではないですかねえという警戒感は残っているみたいでして、何せ債券市場と致しましても11月終わりから12月に掛けてこの絶賛金利上昇で長期もそうですけれどもマーライオン相場で胃腸を禿しくおかしくしたのは中短期ゾーンでございまして、まだまだその辺りに関しては気にする向きも多そうでしたので、札割れ覚悟の供給打ち込みというのは短期市場とか債券市場には「厚め供給を行っていますよ」ってメッセージとしては伝わったんジャマイカと思われる次第なので、一見無駄に見えるけどまあ打つのは「姿勢を見せる」という意味では宜しいんじゃないですかにゃとゆー感じで。
更に、足元ではドル円が怪しげな雰囲気を漂わせていますので、ここで日銀が資金供給の手を緩めただの何だの言われると円高になると直ぐにギャーギャー騒ぎ出す外野に絶好の日銀叩き材料を提供することになりかねませんので、ここは駄目押しのように資金を打ち込んでいるようにアピっておかないといかんでしょうという配慮も滲ませておりますな。
・・・・と一応ヨイショしておりますがね、ついこの前までのオペから見ると足元の供給姿勢が思いっきり違うように見えますなというか、はっきり言ってスタンスの振れが極端にも程がある訳でございまして、そもそも論から言えば何かの外的ショックでも発生した訳でもないのに同じディレクティブの元でこうまで極端に供給スタンスを振らすというのはどうなのよと思うのでありまして、いやまあ従来あたくしが悪態をついていた流れから申し上げますと「ようやく包括緩和の趣旨を反映した供給スタンスに近くなりましたなあ」という所なのですけど、同じディレクティブの元でこうまでスタンスを振らす余地があるというのを見せ付けてしまうこと自体が短期市場のボラ拡大の元になると思うのですよ。
いやまあポジショントーク的に申し上げればボラがある市場の方が色々とポジションのいじりようがあって結構は結構なのですけれども、金融政策運営という意味ではちょっとどうなのよと思います。今の包括緩和のディレクティブの範囲内で市場機能重視的なオペレーションが可能という事であれば、外部環境(というか米国でしょうけれども)が改善したらまたすっかり忘れたようにダマテンで市場機能重視に戻すかもねとゆー懸念は残るでしょうなあとか思うあたくし。
しかしまあ何ですな、とりあえず姿勢を見せたのか何だか知らないですけれども(単に一昨日札割れしたので「おかわり」を入れただけかもしれませんので^^)、もし姿勢を見せようとしているのであれば、どうせ包括緩和そのものが「他市場への働き掛け」を重視している(ように見える)訳ですから、「資金供給オペ連日の札割れ」という金利村の人たちにしか判らんような微妙なオペしないで「連日の国債買入実施(基金オペを前倒しして)」くらい打ち込めば面白いのですが(^^)。
資金供給オペが連日札割れというのは、まあ昨日とかも申し上げたように別に困った話でも何でもない(ただまあ札割れ恒常化というのもどうかなとは思いますが)のですが、報道のされ方によっては「日銀打つ手なし」みたいな報道をするアホウが出てもおかしくはない(というか今に始まった訳ではないですけれどもしょーもない報道が多すぎですからねえ)ので、金融市場へのアピールとしては昨日のオペは中々見せっぷりが良かったとは思いますけど、アピールの仕方は今後も工夫が必要かもしれませんですな(^^)。
○短期市場レポートネタ続き
この前の短期市場レポート関連ですけどね。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/research07/data/ron1012a.pdf
第3章の『リーマン・ブラザーズ証券破綻後のレポ市場の課題への対応状況』っていう部分なんですけど、まあ一つ一つおっしゃっている事は左様ですなという話なんですが、実際にこの辺を詰めていくと色々と実務上の課題が出てきそうですなという話が多いと思った次第で、まあそれこそ色々と詰めるとそれだけで大ネタになると思いますが、まあ詰めるのはスルーして雑談程度に。
本文29ページから。
『リーマン証券の破綻時には、同社と約定済みの国債取引が一切履行されず、国債取引のデフォルトの規模は7兆円以上に上ったほか、デフォルトに連鎖する形で市場全体にフェイルが拡がった。市場参加者では、これまで経験のない大量のフェイル処理と並行して、レポ取引での一括清算により同社から受け取れないことが確定した資金や国債のポジション再構築のため、担保国債の処分や国債の調達等に初めて取り組むこととなった。』
でまあ先日も申し上げましたが、この時は破綻処理がいきなり「業務停止命令」という形で飛んできたので、債券のアウトライト取引が履行されるのか履行されないのかが判らんという状態になった(レポ取引は一括清算条項で清算したものと思われますが)りしたのも困りましたし、本来取引所取引なのですから問題が起きては困るデリバティブ取引や信用取引に関しても当日は何も出来ない状態(東証の上場先物に関しては翌日になって建玉移管に関する措置の着手が始まった)でして、リーマン証券が一般個人投資家向けの取引を大してやっていなかった(と思われるのですが)のでエライ騒ぎにならないで済んだのですけど、どう見ても今般の破綻処理は出だしの不手際が目立ったと思われます。
というのは決済期間の短縮とは関係ない話ですが、まあ「取引が宙に浮く状態」のリスクを久しぶりに感じることになったのですが、年寄り的には97年の山一證券破綻後の金融危機状態の時にもアウトライト取引をどうするこうするとか有ったので、まあ一応心の準備が無かった訳でもございません(^^)。
『こうした経験から、市場参加者においては、市場参加者の破綻等のストレス時にデフォルトやフェイルに伴い「資金や証券を予定通りに受け取れない流動性リスク」が、概念上の存在にとどまらない現実的なリスクとして強く認識された。』
たぶんフェイルに関しては市場全体にストレスが掛かっていなければ別にどうという事ではないと思うのですが、デフォルトに関してはモロに取引再構築のリスクがありまして、これがまた自己勘定ならてめえの損益部分で話が済むのですけれども、他人勘定ですと取引実施時点と取引再構築時に受益者が違っている場合(追加設定解約に伴う受益者の変動ね)に受益者間の公平をどう担保するのかとかいう話を詰められた場合にどう処理すべきかというような問題が生じるので、自己勘定以上に取引実務上ややこしい事になりますわな。
となると、一番手っ取り早いのは「ラインカット」ということになってしまいますので、やはりこの辺りに関しても破綻時の処理ルールを関連業界だけではなく、立法面でも考慮していただきたく存じます次第です。
『現在、わが国では、国債のアウトライト取引ではT+3決済、GCレポ取引ではT+2決済が主流となっているが、約定日から決済日までの期間が長いほど未決済残高が積み上がり、取引相手が破綻した場合に顕在化するリスクの規模が膨らむことになる。こうしたリスクやこれに伴う混乱を効果的に抑制・解消するためには、未決済残高の縮減やフェイル解消対応の迅速化等が有効であり、市場参加者においても、決済期間の短縮はこれらを実現する上で、欠かせない課題として認識されている。』
まあそれはそうなのですが、市場参加者と言いましても証券の流通を業としている証券会社さんや、資金決済を業としている銀行さんのように、金やら証券やらの流通が本業の人と、投資家というカテゴリーの人がいるのでありまして、決済期間を例えばの話いきなりT+1とかにされた場合に、そーゆーショートセトルに対応できるような人員もいなけりゃそもそもシステムがそーゆーのに対応していない(全てをリアルタイムのポジション管理じゃなくてバッチ処理となっている部分が多分にあると思う)でしょうし、制度的にもその辺が追い付けないというのがいると思いますのよね。
ということで、一つのやり方としては、投資家も当然ながらそういうリアルタイムの資金・証券管理をするようにしましょうって持って行くというのもあるのですが、何せこの低金利状態ですと決済部門に中々こう金を回すと言うのが難しい面も多分にございますし、そもそも全ての投資家がそういう対応をするのが世の中全体を見た場合に効率的なのかという観点もあろうかと存じます。
でまああたくし最近つらつら思うのですが、この手の証券決済短縮とか、レポ取引のリスク管理の強化(というのは次の章になりますが)という話を考えた場合に、資産管理系の専業信託さんあたりがこの部分を担っていくというのが世間全体のコストという意味では有益なんじゃネーノとか考えておる訳なのですよね。まあ証券決済の短縮とかリスク管理の強化という流れ自体は方向としてその通りなのですが、それを支えるインフラという意味で考えますと、日本の場合は中央決済機関(つまり日銀)に直接参加している参加者がやたら膨大という現状は非効率な部分があろうかと思いますです。
#ただ問題は今の金利だと決済専業信託という業務が相当の規模を集めないとペイしなさそうな事なのと、規模拡大で手間が全体として軽減できるのかが微妙なところで、数増やすと増やしただけ管理コストが上がるように思える所だったりするのですけど、まあ決済にそこまであたくしも詳しくないので詳しい人に一度じっくりと教えて貰いたいものでございます
とか何とか書いておりましたらレポのリスク管理云々の引用を忘れましたが(汗)、まあさっき書いたように、「それは正論だが今の金利環境でそんな面倒な事を要求したら普通の投資家めんどくさがって入ってこなくなるって」という話が『レポ取引におけるリスク管理の強化』というところで展開されていました。
本文31ページより。
『この点、前回のサーベイにおいて、リーマン証券破綻時に破綻対応の一環としてポジション再構築に取り組んだ先を中心に、レポ取引のリスク管理について、日々のきめ細かなマージンコールの実施や、流動性が著しく低下した担保国債に対するヘアカットの実施の必要性を指摘する声が聞かれた。また、国際的にも、金融機関や決済インフラ機関等におけるレポ取引のリスク管理のあり方について検討が行われ、将来的な市場環境の悪化に備えた保守的なヘアカットの設定等、適切な担保管理の必要性が指摘されている(BOX4「レポ取引等のリスク管理強化に関する国際的な議論」)。』
という事で、まあこれもその通りとしか申し上げようが無いのですけれども、そんなの投資家業の人に求められても取引開始のハードルが上がるだけでございますので、この辺りの部分まで含めて専業信託さんの進出で新たなインフラが整備されていくようになって行くのではないか、とそこはかとなく思うあたくしなのでありました。
○ということで年末の挨拶
今年はどうせ市場何もないでしょとか思ったのですが、長期どころか短期市場までオモシロ展開になるわ、金融政策ネタでは海外ネタが無茶苦茶面白くなるわというマニア歓喜の展開でございましたが、その為にネタがあちこち飛んでエライコッチャでございました(^^)。
ま、来年は米国ちゃんの金融政策あたりからマニアネタ連発となりそうでございますので、もうちょっと英語のドキュメントちゃんと読めるようになりたいですな(大汗)。
年末年始が妙に短いですが、皆様良いお正月をお迎えくださいm(__)m
2010/12/29
お題「資金供給オペ札割れとな」
何か米国2年債が0.74%とか訳判らん展開になっとるのですが・・・
#本日は諸般の事情により雑談を簡単にで勘弁ざます
○共通担保全店供給オペが札割れとな
昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of101228.htm
ここもと資金供給が多めに出ていましたので月末の所に関しては資金調達超というイメージだったのですが、更にダメ押しのように月末スタートの供給オペを実施。
えーっと、このオペってニーズあるんかいな(年末ですから今月の末初が4日ありまして、資金余ったサイドとしても出来るだけ運用しておきたいというニーズが高まるので、マーケットが全体として金が余っているっつー時に供給オペ打っても金いらんがな(というより運用したし状態)となる訳ですな)という感じで思っていたのではありますが、正直あんまり結果を気にしてなくて結果出て暫くしてから札割れに気がつくあたくし(大汗)。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba101228.htm
応札総額5,984
落札総額5,984
・・・・・(^^)
いやあ足元で急に何か変なもんでも食ったのかと思う位に資金を積極的に供給するようになった日銀ちゃんの供給姿勢で、これでもかとしつこく資金を出してきまして、最後の最後に札割れでござるとなりましたが、昨日ちょっと書きましたように、基金短国買入はホイホイと毎週打つわ、札割れするまでオペを打つわという何がどうなってここまで急に極端に積極的になるのよという感じがしますけれども(まあ決定会合で何らかの議論がなされたのではないっすかねえと想像するに難くは無いのですが)、まーそーゆーことで貫禄の資金供給オペ札割れと相成りました。
○ところで資金供給オペ札割れを気にする必要があるのかという論点
てな訳で資金供給オペ貫禄の札割れということになったのですが、資金供給オペ札割れと言いますと、量的緩和政策で当座預金残高目標を設定していた時分に資金供給オペが札割れ大会になってエライコッチャでございますがなというのを思い出すのでございますが・・・・・
えーっとですな、現在の金融政策運営は当時と違いまして、当座預金残高に特段の目標があるわけではなく、潤沢な資金供給を行った結果として当座預金残高が増えるでしょという話になりますので、資金供給オペが札割れになっても別にそれ自体がエライコッチャな訳ではなく、それよりも「潤沢な資金供給姿勢で臨んだ所、金融市場のニーズが完全に充足されてしまったので札割れになったんですよ(キリッ)」とドヤ顔でアピールしておけば良いので、特に無問題という話ではないかと思うのですよ、って前も書いたような気がしますけどね。
ま、資金供給オペが毎回札割れだとさすがにそれはどうかと思いますけれども(市場のニーズを丸無視してオペを打ってますよっていうのもどうなのよっていう事でございます)、別にまあこういう感じでオペが札割れするのは構わんのではないっすかねえと存じます次第。量的緩和やってて当座預金残高の目標を設定しているときは、資金供給オペ札割れというのがディレクティブ未達に繋がるのでそらまあエライコッチャとなりまして、当座預金残高目標を達成させる為に短国買入をしまくって市場の短期国債の流通玉を全部吸い上げるような勢いとなって、FB入札が100円落札とかいうような素敵な事態になってしまった訳ですが、今回は別に札割れがディレクティブ未達の危機に繋がる訳ではなく、むしろ資金供給を行っている結果という事ですので、そんなに気にしなくてよいのかなあとは思います。
○とは言いましてもこの結果を受けてどうなるのかは気になりますなあ
などとゆー事をつらつらと考えた昨日なのでありますけれども、良く良く考えて見ますとついこの前まで市場機能がどうのこうの(というか一昨日も市場機能論全開のレポートがどうしたとか悪態をついていたと思いますが^^)というような話も日銀サイドから散々出ていたというのもございまして、この札割れを見て「これは市場機能低下を意味しているのでケシカラン」というような評価が日銀の中で為された挙句、「やっぱり市場機能維持の為にも短期金融市場で金利がある程度動いた方が良いでしょ」というような話になってしまうと元の木阿弥にも程がある状態になってしまうのでございますな。
つーことで、まーこの札割れ事態あたしゃ別に構わねえんじゃネーノとは思うのですが、日々のオペレーションに対してどうだこうだというのを判断するのは日銀の中の人たちでございますので、この結果どーゆー判断になって来るのかと言う点は1月の資金供給がどうなっていくのかというのを見ていく必要があるんじゃないですかね、と思うのであります。
まー何ぼ何でも市場機能維持重視ちっくなオペレーションの結果短期のターム物金利が上昇しましたよね、という認識はさすがに日銀ちゃんでも理解しているとは思っております(まー色々とアレな部分がありますから公的にはそのネタは微妙にスルーの方向になるとは思いますけど^^)ので(だから足元のオペ姿勢になったんでしょ^^)、いきなり1月に資金をホイホイ引いてまた市場機能重視と言う事にはならないとは思いますけれども、まー1月分の積み期間入りとなる1月後半の動きとかも見ていかないと中々安心は出来ないなあと思うあたくしなのでございました。
○まあ結局のところ超足元以外の金利コントロールというのは難しいということで
米国にしろ日本にしろ、今般の追加緩和措置の実施にあたって足元以外の金利に関して「低下を促す」的な政策の枠組みを作ってみた訳ですが、米国は長期金利という外野が見ても無理がありそうなネタを出して盛大に自爆している次第ですし、日本に関しても基金国債買入で2年までの国債を買うということで、明言はしていませんけどまあ常識的に考えれば「2年までの金利をベタベタにしますよ」と言わんばかりの枠組みを作ったものの、市場機能を残そうとした結果こちらも華麗にターム物金利上昇の巻ですし、まあ3か月とかの短国はすっかりモノナシになって0.11%台前半とかに金利は戻ってきましたけれども、2年金利は相変わらず0.2%と包括緩和って何でしたっけ状態に留まるの図となっておりますわな。
つーことでですな、やはりまあ中央銀行の金利コントロールを力技で出来る範囲っていうのは、これだけ市場で好き勝手動くようになっている時代には超足元およびその影響がある程度及ぶ範囲内の所限定であって、それを越えた部分に関して「金利の低下/上昇を促す」みたいな話って言うのは、やはり難しいのではないでしょうかというのがここもとの日米中央銀行が示した事なのかなあなどと思う年の瀬なのですよ。
つまりですね、鬼に笑われそうですが、来年の日米中銀の金融緩和政策の中では徐々に「市場金利のコントロール」的な話をフェードアウトさせて、あくまでも「時間軸効果の強調によってイールドカーブ形成に働きかける」という流れに持って行った方が政策効果がどうのこうのという点でややこしい事にならないでしょうね、という風にあたしゃ思うのですけど、日本はともかくとして米国の場合はセントルイス連銀総裁のブラードさんが出していたペーパー(去年今年の8月にネタにしましたが)にあるように「低金利継続のコミットメントを行うのは自らデフレ均衡に嵌りに行くようなもの」という見方も強そうでして、どういう風に落とし前をつけるのかは中々予想をしにくい所ではございます。
#ということで年始のFOMC議事要旨も楽しみなんですけどね
てな訳で諸般の事情により簡単な雑談で恐縮至極でございましたm(__)m
2010/12/28
お題「基金短国買入のペースが速い件/展望レポートに反対票とな/短期市場レポート雑談」
何か最近モーサテのゲストの名前を見た瞬間に頭がクラクラするのでチャンネル変えているんですがどういう話をしてるんですかねえ(あ、レギュラーの人たちは関係ありませんので念の為^^)。
#ところで予算案を作成してから内閣改造して予算審議って何か妙な気がするんですけど、これって普通の話でしたっけ????
ということでまずは相場雑談から。
○市場は閑散なんですが話題は基金の短国買入ですかねえ
昨日のオペレーション。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of101227.htm
ということで、短国の基金買入と長期国債(と言っても2年以内なので長期国債というよりは中短期ですが)の基金買入がオファーされたんでござんすが、特にこの短国の買入の方がここに来て毎週のペースで実施されているでござるという状態。11月から買入がおっ始まったのですけれども、当初はエライのんびりしたペースでの実施(あたくしの帳面によると11/9の次が11/30)でして、それが今月になってから13日、20日、昨日と急にペースが早まるの巻。
当座預金残高も昨日が21.6兆円で今日が見込みで22兆円乗せになりそうでございまして、何か足元急にやる気を出したのか何だか知りませんが、これまでの市場機能重視ちっくなオペとはまた打って変わって資金出す気満々っぽい動きになっておりまして、まあGCもコールも低位安定してますし、短国に至っては3か月以内辺りモノ無し無しのニーズ有り有り状態となってまして(まあ短国の場合は長い所でマーライオンをしていた人たちが粥代わりにお食事モードとなっておられるような気もしますけど)、そこへ来て上記のオペレーションと言う事で、何か急にターム物金利を下げる気になったのか、それとも潤沢な資金供給を実施というのはやりましょうって気になったのか、単に年末なので波乱防止に多く出しているのかってえのはサパーリ判りませんけど、オペのスタンスが足元ではちと違ってますかねえという所で。
まあ当座預金残高の方もそうですけど、短国買入に関しては前倒しでじゃんじゃん実施した場合、どの年限が入るかにもよります(まあ今の「絶対水準方式」だと普通に考えて残存の一番長いのが入るから11か月ものから12か月ものが入ります罠)けれども、償還で落ちが来ないとこのペースだと予算というか枠を使い切ってしまいますので、ペースをいじるのか途中で終了しちゃうのか、はたまた使い切ったらさっくりと増額しましょって話になるのか、微妙に需給に影響するのかも知れませんね。
まあ何にせよ、市場機能重視ちっくなオペレーションで短期ターム物金利が却って押し上げになってしまった(まあそもそも足元の資金取引の需給を市場に任せながらターム物金利の押し下げをするのは無理であって、市場を潰しに行く勢いで資金供給しないと押し下げはできませんです罠)ので、やはり厚めの資金供給と資産買入の前倒しを実施しましょうって事になったのであれば、(ポジショントーク的な論点はさておきまして^^)包括緩和政策との整合性という点では良い傾向ジャマイカと思いますけどね。
#とは言え年初どうなるかとかってなってみないと判らんのですけどね
○展望レポートが楽観的ではないかとの須田審議委員の指摘とな(10月28日議事要旨)
昨日は議事要旨が2発ございましたが、とりあえず10月28日の展望レポート分から。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g101028.pdf
展望レポートの討議の部分が議事要旨本文8ページ『2.経済・物価情勢の展望』からなのですけれども。
『経済情勢の先行きの中心的な見通しについて、多くの委員は、10月5日の金融政策決定会合において、物価安定のもとでの持続的成長経路に復する時期が後ずれする可能性が高いと判断したが、その後、包括緩和を導入したことや、政府の緊急総合経済対策が明らかになったこともあって、なお時間を要するものの、物価安定のもとでの持続的成長に向けて、着実な歩みを進めていくとの認識を示した。』
ということで展望レポートが妙に強気に見える結果になったのですけれども、真面目な話この包括緩和にしろ緊急総合経済対策にしろ、その効果がどのように出てくるのかというのはこれからの話(つーか包括緩和の具体的な内容の第一弾をこの会合で決定したんですし)なのですが、それを堂々と効果として入れて良いのでございましょうかと。
つまりですな、これを入れることによってやや強めの展望レポートを出して、時間軸が妙に長くなるのを避けようというような意図があるんじゃネーノという香りがプンプンとするのでありまして(展望レポートの数字だと「中長期的な物価安定の理解」の達成は実はそんなに先ではない(ですが、そもそも市場の方が「それはアリエネー」という認識なのであまり時間軸が揺らがなかったりする)のですよね)、何かこうどうなのよという風に思うのであります。
と思ったら展望レポートに反対意見というのがあるというお洒落な事態が(^^)。
本文15ページでございますが。
『続いて、「経済・物価情勢の展望」の「基本的見解」の文案が検討され、採決に付された。採決の結果、賛成多数で決定され、即日公表することとされた。また、背景説明を含む全文は、10
月29 日に公表することとされた。』
ほほう賛成多数とな。
『なお、須田委員は、展望レポートで示した見通しに比べて、マクロ的な需給バランスの改善が物価上昇率を引き上げる力や包括緩和の効果を控えめに判断し、物価の先行きを慎重にみていることや、消費者物価指数の基準改定などに伴う不確実性に一段と配慮した情報発信が必要と考えていることから、反対した。』
>マクロ的な需給バランスの改善が物価上昇率を引き上げる力や包括緩和の効果を控えめに判断し
>マクロ的な需給バランスの改善が物価上昇率を引き上げる力や包括緩和の効果を控えめに判断し
>マクロ的な需給バランスの改善が物価上昇率を引き上げる力や包括緩和の効果を控えめに判断し
・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー
ということで、物価の見通しに関して楽観的ではないかというツッコミでございまして、まあこれは展望レポートで(普段そういうの見込まない筈の)これから実施する経済対策やら金融緩和の効果を思いっきり織り込んだ楽観ちっくな展望レポートに反対と言う事で、これは示唆する事がある反対理由ではないかと存じます次第。
つまりね、白川総裁のご趣味だか何だか知りませんけれども、市場機能論位ならまあいいですけど、マクロプルーデンスとか金融の不均衡の拡大防止(ってまあマクロプルーデンスと言う話ですか^^)とか言い出してあっという間に包括緩和解除モードになるべくシナリオ逆算型の見通しみたいなのをぶち上げそうな懸念を、ってまあそれは考えすぎの杞憂であると思うのですけれども、微妙にその辺りの危うさが現在の白川体制に内包されているのではなかろうか、などというのをこの須田さんの反対理由およびその前の議事要旨部分を見て思うのですよあたしゃ。
いやね、ただの杞憂だと思うのですがど〜も心のどこかに引っ掛かるのよね〜という事で。
○昨日の短期市場レポートから雑談
昨日は市場機能論がどうのこうのという話で悪態放題でしたが、今日は別のネタですが悪態ではございません(^^)。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/research07/data/ron1012a.pdf
本文11ページ以降に『(BOX1)本邦金融市場における外国金融機関のプレゼンス低下』というコーナーがあったのですが、その最後の部分で盛大にカフェオレ噴いたのでその辺りを(^^)。
『但し、外銀においても、中長期的にビジネスを継続していくにあたって本邦円市場において安定的に資金調達を継続できる体制を整備する必要があるとの認識は多くの先において共有されており、コール市場において本邦金融機関と同様の条件で調達できない状況を憂慮する声が多く聞かれている。』
>コール市場において本邦金融機関と同様の条件で調達できない状況を憂慮する声が多く聞かれている
>コール市場において本邦金融機関と同様の条件で調達できない状況を憂慮する声が多く聞かれている
>コール市場において本邦金融機関と同様の条件で調達できない状況を憂慮する声が多く聞かれている
いや〜「ジャパンプレミアム」とか何とか言って邦銀から散々吹っ掛けレートで運用してウハウハだったのはどこのどなたでしたっけ〜〜〜〜(^^)
で、本文23ページからが『3. リーマン・ブラザーズ証券破綻後のレポ市場の課題への対応状況』という内容がこれまた重要なネタなのですが、どう見ても時間が無くなってしまいましたのでまた後日にやるかもしれませんしやらないかも知れません。
一応あたくしの愚意見を申し上げておきますと、リーマン証券が飛んだ時に困ったのは未決済約定の履行がキャンセルされるというのが確定的になるまでに日数が結構掛かった印象がありまして(というか最終的には「キャンセルするなら勝手にどうぞ、取引修復において損が出た場合はこちらにお届けを」的な対応だったというような記憶があるんすけど)、ここで述べられているフェイル慣行の定着や決済期間の短縮などの話も当然ながら重要なのですが、破綻時における法制(慣行ではなく)整備とかの方面におかれましては日銀の力に待つ所大だと思いますので、決済関連の法制整備面に是非力を注いでいただきたく存じます所です。
2010/12/27
お題「市場機能論全開の短期市場レポート」
中国が利上げしたみたいだが華麗にスルーして今日は日銀の市場機能論全開のレポートなどを見ながらひとしきり雑談でも。
ということでネタはマニアしか読まないと思われるこのレポートから。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/research07/data/ron1012a.pdf
わが国短期金融市場の動向と課題
○そもそも市場機能論が重要なのは何故かと愚考する
いきなりそもそも論になりまして恐縮なんですけどね。
このレポートってあちこちに「市場機能論」が出てくるという代物でありまして、その「市場機能論」の認識が微妙にどうなのよというツッコミ所もありまして、まあそれはそれで後ほど書きますけど、それ以前の問題として市場機能が重要なのは何でですねんという事をこのレポート読みながらつらつら考えていた訳よ。
でですね、短期金融市場(だけではなくて一般的にも言えるけど)における市場機能が必要ですよ云々という話ってえのは、金融政策のトランスミッションメカニズムと言いますか、要するに金融政策の効果を浸透させる為にマーケットが重要なのであって、そーゆー意味で市場機能が壊れた時に金融緩和政策の効果が浸透しないからと言って各種の信用緩和政策が実施された訳ですわな。
然るに、現在日銀が実施している事になっている筈の「包括緩和政策」においては、通常のオーバーナイト金利操作だけでは金融緩和に限界があるからということで、各種リスクプレミアムの縮小を行ってみたり、長めのターム物金利の押し下げを行ってみたりというのが触れ込みになっている訳ですよね。そもそもこれらの各種市場っていうのは普通にワークしている(J-REIT市場だけちょっと怪しかったけどね)市場であって、その市場に手を突っ込んで追加の金融緩和効果を出そうとしているという事ですよね、ね、ね。
と考えますとですな、そもそもの位置づけとして重要なのは「金融政策の効果が波及する事が重要である」という話であり、その時に波及するチャネルとして重要なのが市場であり市場機能である筈なのですが、今回のレポートにおける市場レビューを見ますと、ここもとまで実施した挙句に短期市場のGCレポ金利が不安定になって結局の所市場のターム金利に対するリスクプレミアムが拡大し、包括緩和時点で新たに導入して影響を及ぼそうとしていた筈の2年物金利などが大幅に上昇して包括緩和導入どころか昨年の固定金利オペ導入前の水準にまで金利が上昇しているという実態があるわけでして、これ即ち「本末転倒」という奴ではないでしょうかと思うのでありますよ。
いやね、包括緩和で表明していた『短期金利の低下余地が限界的となっている状況を踏まえ、金融緩和を一段と強力に推進するために、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促していくこととした。』(10月5日の金融政策決定会合声明文より)という中の「長めの市場金利の低下を促す」というのは実は為替や株価対策で元々そんなのやる気無いやるやる詐欺ですよってえ事でありましたらまあ整合的ではありますけれども、何か市場機能論をこれだけ前面に押し出して短期市場のレビューを出されますと、包括緩和の声明文はマジで詐欺だったのですかそうですかという認識を持たざるを得なくなる訳でございまして、まあそれならそれで良いのですが、少なくとも市場に対して期待ルートでの効果を今後金融政策で出しましょうという事になった場合に、日銀が何か言っても市場が信用しなくて効果が出なくなるかもね♪って事だけは申し上げておきたいなあ〜♪と存じます次第、特に緩和方向の場合にね〜♪
なお、本文(というかリード部分)3ページに小さく『(注)本稿は、基本的に2010年10月までの情報に基づいている。』と書いてありますので、本件は包括緩和実施後に関するレビューも兼ねているかと存じますが、一応市場レビューの部分は包括緩和前の今年7月末の計数を使っておりますので、「いやいやこれは包括緩和前の話ですから今は別ですよ」みたいなエクスキューズは可能なシステムになっておるのですが、普通に考えて金融市場局の名前でこれだけ市場機能論全開のレポート出されたら「ああやっぱり市場機能重視オペが続くんですね」という風に受け止めるとあたしゃ思うんですがどうでしょうかねえ〜。
と、ひとしきり悪態をついて中身に少々。
○何のための補完当座預金制度(超過準備付利)なのか意味がわかんないんですけど
最初にまとめみたいなのがあって、その次に短期市場レビュー、その後がレポ市場の課題への対応という話になるのですが、早速まとめの部分から微妙な話が。
本文32ページ目のケツから。
『このように、コール市場やレポ市場では、資金調達のニーズや裁定取引等の取引機会が減少している。また、地方銀行(以下「地銀」)・第二地方銀行(以下「地銀U」)や外銀等の市場参加者が大幅に減少しており、金融機関等の取引スタンスが消極化している。但し、都市銀行(以下「都銀」)では、超過準備を保有せず、余剰資金を市場で運用するスタンスにあるなど、一定の市場機能が維持されている。』
サラリと読むと「ふーん」で終了しちゃう(市場レビューの所に詳しい話がある)のですけれども、よくよく考えると何か違和感のある話でございます。
と言うのはですね、「金融機関等の取引スタンスが消極化している」「ただし都市銀行では超過準備を保有せず(略)一定の市場機能が維持されている」という文脈でコール市場やレポ市場の現状認識を示しているのですけれども、そもそも超過準備を付利したのは「市場金利の下限をゼロにしない」為に実施したのでありまして、市場金利が補完当座預金金利(超過準備付利金利ね)に接近したら市場運用が減るのはそもそも制度導入時点で企図した事ではなかったのでしょうかと小一時間問い詰めたい訳ですよ。
上記部分(本論部分を見ると更によく判りますが)では「市場機能が維持されていて結構結構」とお考えと言う風に読めてしまうのですけれども、包括緩和実施でディレクティブも変更になりましたが、ここの辺りを読んでいますとよーするに基本的にコールはそんなに下げたくないしレポも下げたくないという風に読めてしまいまして甚だどうなのよという感じでございますけどね。
○都銀が超過準備を持たないのがどうのこうのに関して
本文19ページに『(BOX2)短期金融市場における市場参加者の取組み状況』というのがあるのですが、まあそこで上記の話が詳しく書いてあります。
『コール市場やレポ市場においては、ターム物を含む金利が低下している下で取引機会が減少し、金融機関等の運用、調達スタンスが消極化している。例えば、余資運用について、「基本的に運用するようにしている」と回答した先は、補完当座預金制度により、超過準備を保有することの機会費用が低下している中で、全体の4割強に止まった。』
いやまあそうなんですが、補完当座預金制度ってそもそも(以下同文)。
『無担保コール市場、レポ市場における事務体制の面をみると、これまでのところ量的緩和時とは異なり、殆どの先がフロント・バックともに取引を行うために必要な事務体制を維持している。こうした背景には、日本銀行が長めのタームでの資金供給の割合を増やす一方で、日々の資金偏在については、市場で調整する余地を残していることや、都銀が超過準備を保有せず、余剰資金を市場で運用するスタンスにあることがあり、一定の市場機能の維持につながっていると考えられる。』
いやですから市場機能の維持と包括緩和という話はとりあえずさっきしたので良いと致しまして、「都銀が超過準備を保有しない」のが何で市場機能の維持に繋がるのかさっぱりそのロジックが判らん。
つまりですね、都銀が超過準備を保有しつつ通常のフローを回しながら、市場の需給(あるいは資金の偏在状況)に変化が生じてGCレポ市場の金利が上昇したり、短期国債のレートが上昇したりした場合にすかさずGCレポで資金運用に回ってみたり、短期国債の購入を行ってみたりというオペレーションをしたって別に市場機能は維持されていると思うのですよね。逆にGCレポ市場で圧倒的に資金の出しサイドであります都銀がカツカツのトン調整をしながら準備預金操作をしていると、マクロで足りていても市場の資金偏在がちょっと生じたり、資金繰りが読みにくい時とぶつかるとあっという間に都銀の資金ポジションが変わってしまい、その結果として(11月下旬までのように)GCレートが何かの拍子に跳ねるようになって、ターム物金利が上昇しやすくなるというデメリットがある訳で、いやまあ包括緩和政策やっていないのならそれはそれで良いのですけれども、仮にも包括緩和政策と言うのを実施している中で上記の「都銀が超過準備を持たないのは市場機能の維持に重要」という認識を持っているのはちょっと違うんじゃないかなあと思いますですよ。
何かね、量的緩和政策の時の短国モノ無し無し状態で短国が100円入札になってターム物金利も潰れてどうしようもないという状態のトラウマがあるのかも知れませんけれども、当時と違って短期国債の発行量がアホのように多くなっており、少々の量的緩和状態になっても短期金融市場の玉が枯渇する訳ではないので、都銀が超過準備を少々持っても短国市場が死ぬ訳でもなく、短国市場が死なないのであれば別にそこまで懸念する話じゃないと思うのですけれどもねえ。
ということで、最後のまとめ部分の本文37ページにはこんなことが書いてあったりするのですが、当然ながら非常に違和感がある市場機能論全開ですわなという話でござんすけど同じ事何度も書くのもうっとうしいでしょうから突っ込み部分割愛。
『このように、短期金融市場では、金融機関等の取引スタンスが消極化している。他方で、日本銀行では、短期金融市場の機能維持にも配慮する観点から、長めのタームでの資金供給の割合を増やす一方で、日々の資金偏在については、市場で調整する余地を残す運営としている。また、都銀が超過準備を保有せず、余剰資金を市場で運用するスタンスにあるなど、短期金融市場においては、なお日々の流動性の調達や余剰資金の運用の場として引続き取引が行われており、一定の市場機能は維持されている。』
つまり包括緩和実施後の調節も意図して実施した結果声明文詐欺状態になっているということですかそうですか。でもそれって決定会合の結果との整合性ってどうなっているんでしょうかねえ(−−)。
で、本文38ページ(最後の最後ですが)にもこんなコメントがある訳でして。
『このように短期金融市場をみると、市場参加者の市場機能の維持に対する理解もあって、取引機会が減少する下でも、なお一定の市場機能は維持されている。』
えーっと、正直イミワカンネ。基本的に市場参加者はコスト対比でペイするかしないかというのと、インフラとして確保しておかないと不味いかどうかというような観点で動いているだけの話で、「市場機能の維持に対する理解」とかで市場参加者は動かんと思うのですけどねえ。いやまあ都銀あたりは(以下自主規制)。
○いや別にそれは市場機能がどうのこうのと違うと思うのだが
更にツッコミでレポ市場に関する話の部分で本文15ページから。
『債券の出し手をみると、リーマン証券破綻後は、全業態でSC取引が減少した。その後、2009年夏以降は、品貸料が低下傾向にある下で、引続き多くの業態のSC取引が減少しているものの、信託では、有価証券信託における国債の運用稼働率を維持する方針にある中で、取引を増やしており、こうした取組みが市場機能を下支えしている。』
・・・・いやあの別に市場機能を下支えするとかいう話じゃなくて、それは単にビジネスとしてニーズがあるかどうかの問題でありまして、別にレポ信託が市場機能を下支えしようとして動いているのではないと思うのですけど何か認識が妙な気がするんですよね。引用文の中にもあるように「品貸料が低下」したから他の業態がSCでの品貸しを減らしただけの事であって、それは専業でやっているレポ信託と、ポートやらトレジャリー部門での運用のおまけでやっている他業態との間での損益分岐点の違いだけの話では無いでしょうかと思うのですが、何でこう「市場機能」の話に持って行こうとするのかが判らん、というか判るのですけれども(−−)一々市場機能市場機能となるのは包括緩和実施後の現在を考えた場合にどうなのかねと思うのでございました。
・・・・ということで市場機能論の所に盛大にツッコミを入れていたら量は増えるわ酔っ払いのオッサンのように同じ悪態が繰り返されるわ肝心の時間がなくなってくるわとなって参りましたので、その他雑談的なネタもあったのですが、それは明日以降(他にも何か積み残しネタと読んでないネタがありまして年末年始間に合うんかいな状態で正直焦っているあたくしがいる)にでも参りたいと存じますです、はい。
2010/12/24
お題「総裁会見はKY発言は無かったけど別に進展も無いのであった」
クリスマスとか聞くともう年末進行突入ですなあ。
ということで総裁会見から。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk1012c.pdf
○包括緩和の自画自賛キタコレ
声明文で金融環境が更に緩和している云々という包括緩和の自画自賛っぽい部分があったわけですが、総裁会見冒頭の説明部分でこのように説明していました。
『次に、金融環境をみると、企業の資金調達コストが低下傾向にあるほか、企業からみた金融機関の貸出態度が一段と改善するなど、緩和方向の動きが強まっています。ターム物金利は、6か月物や1年物の短期国債金利が強含んでいるものの、TIBOR、LIBORは低水準横這いで推移しています。』
はあ、TIBORやLIBORが低水準横ばいですか。そういえばちょっと前に外山金融市場局長様がどこぞのベンダーとのインタビューで「TIBORの水準が高いので是正されるべき」というような発言をしたと報じられていましたが・・・
日本円TIBOR3か月ですが、折角ですので例の発言が報じられた日の7月5日以降どうなっていたかというのを見ますと下記のようになります(途中は包括緩和決定の日の10月5日以外は適当に月末を拾った、ソースは全銀協のウェブサイト)。
12月22日:0.34000%
10月29日:0.34000%
10月5日:0.36000%
8月31日:0.36846%
7月31日:0.38000%
7月5日:0.38000%
10月5日から見ると確かに下がっているのですが、下がったのって包括緩和実施に敬意を表したのか何だか知らんですけれども、包括緩和実施からその月末までに2bp低下しているんですけどその後特に下がった訳でもないですけどね。しかも短国だの2年だの中期だのの金利が本格的に上昇しだしたのは11月の中盤以降なのですけれども、いやまあこれ捕まえて「短期国債金利が強含んでいるものの低水準横ばいで推移」と言われましても。
で、ここの時点で2年国債の金利とかに触れないのがチャーミングなのですが、当然ながら次のような質問が飛んでくるのだ。
○長めの金利が上昇している件について
最初の質問としては実に当然の質問(^^)。
『(問) 最近、長めの金利が上昇傾向にありますが、その背景や日本経済への影響についてお考えを伺います。また、日銀の包括金融緩和は長めの金利の低下を促すことが目的の1つだったと思いますが、その効果が現在十分に発揮されているのか、その辺りのご認識についてお聞かせ下さい。』
で、この答えがやたらめったら長いのですが、そもそもこういうシンプルな質問に対して答えが死ぬほど長いという時点で説明に無理があるという風に思うのですが、説明を読んで見ませう。
『(答) まず、ターム物金利をみますと、TIBORやLIBORなどは緩やかに低下していますが、やや長めの短期国債や長期国債の金利水準は、包括緩和決定後に一旦低下した後、11月初からは上昇に転じています。』
TIBORですかそうですかというのはさっきも書いた通り。
『このような金利の動向、特に、長期金利の上昇は、わが国のみならず、米国やドイツ・英国等の欧州諸国、さらには新興国においても観察されています。わが国の場合、欧米先進国に比べて長期金利の上昇幅が大きいわけではありませんが、日本も含め世界的に長期金利が上昇している背景については、米国経済の先行きに対する悲観論や金融緩和期待の後退により、米国の長期金利が上昇する中、グローバル化した金融市場のもとで、各国の長期金利がこれに連れて上昇したものであると理解しています。』
話を長期金利の上昇に持ち込む事によって「貰い事故」という説明に持ち込んでおりますが、そもそも日銀はFRBと違って長期金利の水準をどうにかするという枠組みは包括緩和実施の際に示していないので、長期金利上昇については別にまあ知らんがなという説明で無問題だったりするのですな。
『いうまでもないことですが、長期金利は経済や物価の情勢や先行きに対する市場参加者の見方を反映して形成されるものです。』
というヘッドラインが出た瞬間に債券先物を売った人が居たのはお笑いみたいなもんですが。
『しかし、同時に、長期金利の変動が企業や家計の資金調達コスト、あるいは国債を大量に保有している金融機関の収益状況などへの影響を通じて、経済・物価や金融情勢に影響を与えるという側面もあります。こうした両方の側面を踏まえて、日本銀行としては、今後の金利の推移やその影響について、引き続き注意深く点検していく方針です。』
ということで、このようなサービスフレーズが直後に入っておりまして、瞬間下がった債券先物はすかさず戻りました(^^)。
『なお、この点に関連して、日本銀行はいわゆる「時間軸政策」を採用していることをあらためて指摘したいと思います。』
と言って時間軸を強調するのもサービス発言の一環なのですが、その次の部分はあまりヘッドラインとか報道で大きく扱われては居なかったのですが、もう何か見た瞬間にまたいつもの麿クオリティですなあと思ったのはあたくしだけですかそうですか。
『この「時間軸」について、再度、公表文に則して申し上げると、「金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、問題が生じていないことを条件」とした上で、「日本銀行は、『中長期的な物価安定の理解』に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続していく」ということです。』
わざわざ条件の方を先に言うのが麿クオリティでして、要するに「金融面での不均衡の蓄積が起きたら実質ゼロ金利政策は解除しますよ」というのが本音なんですよねと衣の下の鎧が見え過ぎちゃって困るの♪という感じなんすけど。もうちょっとこの辺りって鎧を見せない方法なんですかねえマッタクモウ。
『以上の点も含め、ご質問の包括緩和の効果について現時点での受け止め方を申し上げると、導入後の金利低下が示すように、総額35兆円規模の基金による多様な金融資産の買入れと長めの資金供給は、長めの金利を押し下げる方向に作用しているとみています。』
作用してないしてない。
『加えて、社債スプレッドが格付けの低い銘柄を中心に縮小しているほか、株価やREIT価格の上昇もみられるなど、リスク・プレミアムの縮小にも一定の寄与をしているとみられます。』
こちらの効果は認める。
『さらに、先程も少し触れましたが、企業金融を巡る環境は、貸出金利の低下や社債・
CPの発行環境の改善にもみられるように、着実に改善しています。さらに、時間軸の効果も期待できます。このように包括緩和は、全体として金融環境をさらに緩和方向へと進める効果を発揮していると評価しています。』
いやー市場金利上昇してるんすけどねえ。短観の借入金利判断DIも改善してるの大企業だけなんですけどねえ。
『「包括緩和」という言葉が示すように、私どもが実施している一連の政策を全体としてみた場合には、今申し上げたような評価になります。いずれにしても、私どもとしては、今後の経済・物価情勢、金融情勢を注意深く点検していきたいと思っています。』
ということで、ものの見事に2年とかの金利が上昇している件をスルーして答えるのでございました。で、更に「いやそれは良いのだが、2年以内の国債を追加で購入したという事は2年以内の金利を低位安定させるという政策的なインプリケーションがあると普通は思うはずだが、その点はどうなっているんですか」みたいな質問が飛んで欲しかったのですが、残念ながらその質問は無かったので、是非次の機会にお願いしますどこかのベンダーさん。
○当座預金残高に関して
『(問) 2点質問します。1点目は、当座預金残高についてです。ここ1年間くらいは概ね20兆円程度で推移してきたと思いますが、直近は22兆円程度とかなり厚めになっていると思います。これは偶発的なものなのか、あるいは、ある種意図的にされていることでしょうか。昨今の金利上昇を踏まえた対策なのか、そうではないのか、ご説明頂ければと思います。(2点目割愛)』
まあこの質問もかなり雑で、「ここ1年間くらいは概ね20兆円」というのが既にテキトーにも程がありまして、15兆くらいになってみたり20兆くらいになってみたりしているのですし、そもそも20兆円だと現状の市場状況では既に厚めの供給になっておりますがなという事で、如何なものかという感じがしますが。
『(答)(2点目割愛)1点目の当座預金残高に関するご質問ですが、現在の包括金融緩和政策の枠組みのもとでは、かつての量的緩和の時代と異なり、当座預金残高に目標水準を設定して、その残高に向け日々の金融調節を行うという運営はしていません。従って、現在、意図的に、例えば22兆円が頭の中にあるわけではありません。』
それはそうなのだが、為替介入を実施した後って「介入実施した日の日銀当座預金残高15兆円」+「介入額の2兆円」となります17兆円を思いっきり意識して、17兆円を中心にした当座預金残高で推移させたオペレーションを続けてませんでしたっけと思うのでございますがその点についてはどうなんでしょうかにゃ。
『もっとも、日本銀行はこの1年間、様々な新たな金融緩和措置――包括緩和もその1つですが――を実施してきました。こうした措置を展開していくと、資金供給そのものは当然増えていく方向にあるわけです。その結果、当座預金残高も、方向としては増えていくことになります。』
つまり、国債買入やら6か月オペが増えてきた所で何となく当座預金残高を増やす気はあるけれども、足元では別に増やさないですよという事ですね、わかります。
『ただし、私どもの狙いは量の拡大それ自体にあるわけではなくて、様々なオペ手段を駆使することによって長めの金利に働きかけていく、あるいはリスク・プレミアムに働きかけていくことを通じて政策効果を実現していくことです。』
市場機能重視オペのようなのを実施した結果長めの金利が上昇したんですけどねえ。
『この点は、日本銀行もFRBも同様だと思いますが、そうした政策運営を実施する中で日々の当座預金残高が変動しているとご理解頂きたいと思います。』
でもGCレートを低位水準で押さえつける訳でもなく、日々の需給による振れは容認し、かつ別にGC市場の資金が余って運用側涙目となるようなオペを打つ訳では無いという時点でこの話って実務的に論理破綻状態になっておりますので、何とかして頂きたいと思っているのですが、どうもこの調子ですと調節の現場もどっちを重視すりゃ良いのか判らなくて大変ですし、市場の方も一体全体何をしようとしているのかが判らんという状況は今後も続くという感じでしょうな。オラシラネ。
2010/12/22
お題「決定会合レビューなど」
まずは声明文比較から。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/k101221.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/k101105.pdf(前回)
○微妙に弱い印象を与えるのは景気現状判断部分の書きっぷりによります
景気判断の部分を見るとやや下がっているように見えます。
・総括判断
『わが国の景気は、緩やかに回復しつつあるものの、改善の動きに一服感がみられる。』(今回)
というのは前回と同じです。
・輸出
『輸出は、横ばい圏内で推移している。』(今回)
輸出に関しては文章のワーディングの関係で微妙に前回と書き方が違いますが、内容としては横ばい圏という判断を据え置いています。
・企業収益・景況感
これは短観直後に出てくるのが仕様となっています(ので前回は該当部分は無い)のですが、ここの表現はやや弱めっぽい印象を与えますな。
『企業収益は、改善ペースに一服感がみられるが、増勢を維持しており、』(今回)
『企業の業況感も、最近は、製造業を中心に弱めとなっている。』(今回)
特に業況感の所が弱めっぽい印象を与えますわな。
・設備投資
『設備投資は持ち直しつつある。』(今回)
『設備投資は持ち直しに転じつつある。』(前回)
傾向としての設備投資の持ち直しが継続していますという事で若干引き上げとな。
・雇用・所得
『雇用・所得環境は引き続き厳しい状況にあるものの、その程度は幾分和らいでいる。』(今回)
変化ないです。
・個人消費
『個人消費は、一部の財に駆け込み需要の反動がみられる。』(今回)
『個人消費は、耐久消費財に駆け込み需要の反動がみられる。』(前回)
ワーディングが変わっていますが政策効果の剥落が継続中という事でしょうか。
・生産
『こうした内外需要の動きを反映して、生産はこのところやや減少しており、』(今回)
『生産は、このところ横ばい圏内の動きとなっている。』(前回)
ということで今回下がったのは生産の現状判断なのですが、ここの部分の文章を一文そのまま引用するとこうなります。
『こうした内外需要の動きを反映して、生産はこのところやや減少しており、企業の業況感も、最近は、製造業を中心に弱めとなっている。』(今回、再掲)
ということで、景気の現状部分のまとめっぽい所が弱めの印象を与える表現になっているのが、今回の声明文を一見したところで「若干弱めかな」という印象を与えるのかなあと思います。
○包括緩和効果の自画自賛ですかそうですか
金融環境の部分が今回表現が変わっているのですけれどもね。
『この間、金融環境をみると、企業の資金調達コストが低下傾向にあるほか、金融機関の貸出態度が改善するなど、緩和方向の動きが強まっている。』(今回)
『この間、金融環境をみると、緩和方向の動きが続いている。』(前回)
短観(そういや短観をネタにしてないorz)を受けまして改善したというには今回の短観での判断DIってそんなに劇的な改善をしている訳ではない(貸出態度判断DIは全規模で若干改善しているがそんなに顕著な改善をしている訳でもなく、借入金利水準判断DIは大企業は改善しているけれども、中堅は変わらず、中小は若干悪化している)のでありまして、この「企業の資金調達コスト」ってもしかしてTIBORの事かいなという気もします。
ま、何はともあれ、何か予定調和っぽい金融環境緩和のアピールというのを感じる次第でありまして、自画自賛系の香りがプンプンと漂ってくるような気がするのは気のせいですかそうですか。
○その他に関しては殆ど変化なし
以下は前回と殆ど変わらないのでダラダラと引用。
・物価の現状判断
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、マクロ的な需給バランスが緩和状態にあるもとで下落しているが、基調的にみると下落幅は縮小を続けている。』(今回)
前回と全く同じです。
・先行き見通し
これもまた見事に前回と同じです。
『先行きの中心的な見通しとしては、わが国経済は、景気改善テンポの鈍化した状況がしばらく続いた後、世界経済の成長率が、新興国・資源国に牽引される形で再び高まっていくと考えられることなどから、緩やかな回復経路に復していくとみられる。物価面では、引き続き、消費者物価の前年比下落幅は縮小していくと考えられる。』(今回)
・リスク要因
米国経済に関するリスクだったのが米欧経済のリスクということで、今回のリスク認識は欧州のソブリン問題と金融機関問題へ関心がシフトしてるんでしょうなあということで。
『リスク要因をみると、景気については、新興国・資源国の経済の強まりなど上振れ要因がある一方で、米欧経済の先行きを巡って、なお不確実性の強い状況が続くもとで、景気の下振れリスクにも注意が必要である。』(今回)
『リスク要因をみると、景気については、新興国・資源国の経済の強まりなど上振れ要因がある一方で、米国経済を中心とする不確実性の強い状況が続くもとで、景気の下振れリスクにも注意が必要である。』(前回)
多分これ米国の下振れリスクの方は軽くなっていると思われまする。なお、物価に関してはリスク認識に変化がありませんです。
『物価面では、新興国・資源国の高成長を背景とした資源価格の上昇によって、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。』(今回)
○着実に進めるですかそうですか
決意表明文みたいな所から。
『日本銀行は、資産買入等の基金を通じた買入れを、すべての対象資産について開始した。今後も、総額35
兆円の基金を通じた多様な金融資産の買入れと長めの資金供給を着実に進め、包括的な金融緩和政策の効果波及を図っていく。』(今回)
『本日の決定により、リスク性資産を含む総額35 兆円の資産買入等の基金の枠組みが整ったことになる。日本銀行としては、週明けに基金による国債の買入を開始し、以後、順次他の資産の買入を進めることにより、包括的な金融緩和政策の早期の効果波及を図っていく。』(前回)
ということで、前回は「順次他の資産の買入を進めることにより」「包括的な金融緩和政策の早期の効果波及を図っていく」という威勢の良い表現だったのですが、今回は「総額35
兆円の基金を通じた多様な金融資産の買入れと長めの資金供給を着実に進め」「包括的な金融緩和政策の効果波及を図っていく」となっておりまして、まあ前回と今回とを総合して勘案いたしますと、包括緩和政策の力点って金利の押し下げよりもリスクプレミアムの押し下げにあるんじゃネーノという匂いがしてくるのですけど。
つまりですね、前回「早期の効果波及を図る」とあって、今回その「早期」がさくっと抜けているというのを勝手に妄想すると、「早期」に実施したかったのは各種リスク性資産の買入であり、まあ買入効果、というよりは買入期待効果だとは思いますが、REITの価格が上がってみたり、比較的格付けの低めな社債スプレッドの縮小傾向が継続している(社債の場合は買入効果より単に運用難のせいのような気もするが)というのが一定の効果を上げましたよね、という認識のもと、まあ長めの資金供給とかはチンタラとやってれば良かろうというお話なんじゃネーノとか思うのは被害妄想ですかそうですか。
ということで、声明文は景気の現状判断部分で若干弱めの印象を与える(ただし月報を見ないと判断しにくい)内容で、何となく空気読んだかなとも思いまする(^^)。
○総裁会見(詳しくは会見要旨出てから)
で、総裁会見ですけれども、ブルームバーグのヘッドラインは出だしからこんな順序でございました。
JBN 16:09 *白川日銀総裁:経済物価情勢の先行きの見方を反映―長期金利
JBN 16:10 *白川日銀総裁:調達コストや銀行収益を通じ経済物価に影響―長期金利
JBN 16:10 *白川日銀:長期金利の推移と影響を注意深く点検していく
・・・・で、イブニングセッションの債券先物は最初のヘッドラインが出た瞬間に8銭だか9銭位下を叩く人がいたようなのですが、その後のヘッドラインが出てきてさっくり戻ったようで(諸般の事情でリアルタイムで見てなくて日中足で確認しているので間違ってたらゴメンナサイ)すが、まあ何か祭り好きな人がいますなあとゆー感じでございます。
さすがに今回は長期金利動向について突っ込まれた時に無駄に正論発言をして火に油を注ぐような事をするのは避けたようで何よりなのですが、ヘッドライン見てても肝心の「長めの市場金利」即ちターム物金利と申しますか、1年とか2年とかの金利が上昇している点に関する質疑応答らしきものがあったのか無かったのかよー判らんという部分は若干残念感がございますです、はい。当座預金残高がどうのこうのとか、短国の利回りがどうのこうのというのはあったっぽいですので、今日の要旨出てから確認したいと思います。
○PD懇議事要旨が中々オモロカッタのだが時間が無い・・・・
月曜にはPD懇と投資家懇がダブルヘッダーだったのですが、両方の議事要旨が出ておりまして、PD懇の方だけとりあえず読んだ(朝イチに出たので)のですが、最後にあります債券市場動向に関する部分が特にオモローでした。
http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c221220.htm
『(4) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて』の最後の意見から。
『10月5日に日本銀行が示唆した包括緩和政策において、時間軸の明確化や長めの市場金利の低下を促すことを明示され、市場に対してコミットしたと市場参加者は認識し、そのコミットメントに基づき、特にこの下期以降、債券運用の計画やスタンスを固めていった。』
ほうほう。
『一方、現状では、そのコミットが薄れつつあるのではないかとの認識を持っている。例えば、12月14日にT-Billの1年物の入札の応札倍率が1.81倍、最高利回りが0.19%程度まで流れる結果となっているが、この間、このコミットメントに対するメッセージ等がなく、日本銀行の意識に対して懐疑的にならざるを得ない状況である。』
つまり声明文詐欺とな。
『日本銀行では、12月21日まで金融政策決定会合が開催されているが、足元の金利上昇に対する発言等については、当初の包括緩和政策からのコミットメントに対する認識度合いを再度推し量る意味でも注目している。』
まあ今回別にその辺り(ターム物金利の押し下げ)の話は無かったような感じがするので、この発言をした人の怒りゲージや如何に。
#なお、この発言をしている人はあたくしではございません(あたしゃ市井の無力参加者でございまして、このような場に出てくるなんてとてもとても^^)ので念の為申し添えます(^^)
2010/12/21
お題「3か月TB入札雑談および虫干しネタで11月のBOEネタ」
今日の決定会合で資産買入規模をいじるという予想が為替市場の一部にあるというモーサテのコメントに朝から(
゚Д゚)ポカーンなのれすけれども・・・・
○3か月TB入札後付雑談
とまあそういうことで昨日は年内最後の3か月TB入札。償還が4月になるというのはあんまり関係ないと思うのですが、何か知らんが入札前はあまり盛り上がらずにWIで0.13%オファーとかやっていたらしいのですが、落札結果は平均0.1297%の足切り0.1319%で按分は32.1443%と事前のWIの感じからしたら比較的マシな結果に。どうも業者サイドがあんまり盛り上がらなかったようで、平均が0.13%割れとはなったものの、どっかの業者がごっそり落札したというのでは無かったっぽいですな。
ただまあセカンダリーでは買いが入って0.13%はあっさりビットサイドになったようで、最終的には0.125/0.130(その間のどこにあるのかは知らん)という感じでしたからまあ妥当っちゃあ妥当なのではありますが・・・・・
えーっとですな、昨日も書いたような気がしますが、足元では日銀が急に資金供給をバカバカ出すようになった結果、GCレートが0.100%近辺で推移している(=昨日も申し上げたように、ショートカバーやその他のお家の事情的な買い及び超過準備付利の範囲外の参加者によるGC買い以外で0.100%以下のGCの買いは無いはずなんですけどね)つー流れになっておりますし、更に申し上げますと昨日は基金による短期国債買入を入札にぶつけるタイミングで実施とゆーことで、それもまた「ほほー」という感じ。基金による短期国債買入は包括緩和実施決定当初は割とのんびりしたタイミングで実施していたと思うのですけれども、ここもとややそのペースが前倒しっぽくなっており、こちらもまた足元の短国市場やら2年やらの動向をちったあ気にしているかのような日銀の動きがある訳ですよ足元で。
となりますと、もうちょっと短国の買い安心感的なものが出てもおかしくは無い筈なのですが、昨日の3MTB入札が割とあっさり味で0.13%乗せとなった(その後買われましたけれども)というのを見ますと、これはまあ参加者の皆様におかれましては、足元の日銀の資金出し攻撃が所詮一時的なものに留まり、別に恒常的にGCを0.10%カツカツとなるレベルに押さえ付けて市場機能を抑えに行くようなオペをする訳ではないんでしょ、というようなイメージが比較的強いっつー事でしょうかねえと思うのであります。つーかもうちょっと露骨に申し上げますと、足元では日銀は多め供給で短期のターム物やら2年辺りの市場金利の上昇に配慮した動きをしているけれども、そのスタンスの持続性に対してはまだ全然信用してないっつー事だと思われる昨今の短国市場の動向、ということでありまして、「市場機能オペ」とやらを実施した結果として、包括緩和政策実施における声明文で謳われた「長めの市場金利の低下」というお題目に対して市場の信頼はゼロ近傍まで低下しているっつーこってすな。もう声明文詐欺には騙されませんよってなもんでござる。
と、いつの間にやら悪態になっているのがドラめもんクオリティなのでございますけれども(^^)、今日まで実施する金融政策決定会合におかれましては、足元で発生しております声明文詐欺状態に関して、ボードメンバーの中でのコンセンサス作りを進めて頂きたいものだと思います。即ち、包括緩和で示されている「長めの市場金利の低下」と白川総裁あたりが良く言及する「市場機能の維持」という話の折り合いをどの程度まで付けるのかとかというのをもうちょっと何とかしないと、オペレーションがどっちつかずになってしまって無駄なボラティリティーの元になるだけではないかと存じます次第でございます。
以下虫干しネタですが、明晩には直近のMPC議事要旨が出てしまうので慌てて引っ張り出すのがBOE11月MPCの議事要旨ネタであります。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2010/mpc1011.pdf
すいませんこれ出たの1か月前でした(滝汗)。
○資産買入プログラムに関する政策効果や波及ルートに関する議論がすっかりスルー状態
11月MPCの議事要旨見てて思ったのですが、BOEの論議の中で資産買入、というか自分たちで思いっきり言及している「量的緩和」に関しては何かこう思いっきり華麗にスルー状態になっているんですよね。
スルー状態のためにあまりこう引用しようにも引用する場所が無いのが困り物なのですが(汗)、要するに今の政策は「緩和的な金融政策である」という括りで纏めちゃっていまして、金利操作の余地が無い訳では無いと思うのですが、その部分でなぜ金利操作じゃなくて資産買入なのかという話がすっかりスルー状態になっているのがある意味不思議ちゃんなBOEクオリティーなのであります。
まあBOEのスタンスにおいては、政策金利を0.5%から下にしても有害微益であるというのは説明されているので、だから量的緩和政策をするんですよ、っていうような話になると思うのですけれども(つまり政策金利の引き下げの代替として量的緩和政策という名目で国債買入を実施している)、何か最初の時と話が違ってねえか(当初はもっとマネタリーベースがどうのこうのみたいな話をしていたと思うのだが・・・)という感じがする所ではございます。
例えば、第12パラグラフから20パラグラフまでが『Money, credit, demand
and output』ちゅう小見出しのコーナーなのですが、以前はこの部分で国債買入でマネーがどうのこうのみたいな話が一部ではあったのですが、最近はすっかりこの辺りでは量的緩和政策の直接的な効果がどうのこうの的な部分は無くなっている次第でして、いつの間にやら「量的緩和は短期政策金利のゼロ制約(実際には0.5%なので名目上のゼロ制約に達していないが)による代替としての緩和拡大でございます」的な話になっているんですなあという感を深くするものでございまする。
○インフレ見通しのリスクに関して
11月のインフレーションレポート向けの議論部分『The November GDP growth
and inflation projections』の第31パラグラフと32パラグラフに今後のインフレ見通しのリスクやら撹乱要因やらに関しての言及がございます。
第31パラグラフより(以下引用部分はunicodeフォントの関係で一部改変部分がありますが、元の文章の意味には変化がないようにしておりますので念の為)。
『There were substantial risks to the inflation outlook. Inflation would
be affected by future developments in commodity and other traded prices,
the degree of spare capacity and its impact on wages and prices, and the
evolution of inflation expectations.』
インフレのリスクの中にマネタリーがどうのこうのという話はすっかり無いですね。
『Continued strong growth in some emerging economies might lead to further
upward pressure on the prices of commodities and other imported goods and
services, so pushing up companies’ costs. The degree of spare capacity
and its impact on inflation in the medium term would depend on: the strength
of demand; the persistence of the reduction in productivity; the performance
of the labour market; and the sensitivity of wages to any labour market
slack.』
最初の部分で挙げた要因が上下のリスクのどっちに効いているかの説明ですが、マネタリーがどうのこうのだのBOEのバランスシートがどうのこうのだのという話がまるっきり無いのはある意味清清しい。
『Inflation might fall further than expected if the degree of spare capacity
was larger or if it had a greater impact. But inflation might remain higher
than otherwise if the current period of above-target outturns caused medium-term
expectations of inflation to rise, or if the effect of sterling’s past
depreciation had not yet worked through fully.』
インフレ期待に関しても、足元でのターゲットを超えたインフレが中期的なインフレ期待に与える影響と、これまでの英国ポンド相場下落の影響に関してというのはありますけれども、こちらにもマネタリーだのなんだのという話は無いですな。
第32パラグラフより。
『There was a wider than usual range of views among Committee members over
the likely effects on inflation of these various factors.』
へいへいさいだっか。
『On balance, the Committee’s best collective judgement was that, conditioned
on the assumption that Bank Rate followed a path implied by market interest
rates and that the stock of purchased assets financed by the issuance of
central bank reserves remained at £200 billion throughout the forecast
period, the chances of inflation being either above or below the inflation
target by the end of the forecast period were roughly equal. The most likely
outcome was that inflation would fall below target by 2013, but the risks
around that most likely path were judged to be skewed to the upside.』
ということで現在の政策パス継続における見通しに関してとそのリスクに関しての説明でございます。
○Posen委員(と思われる人)の反対理由
んでまあ第33パラグラフ以降に『The immediate policy decision』というのがあって、そこでインフレに関するアップイサイドとダウンサイドのリスク認識に関して延々と論議が繰り広げられているのでそこもオモロイのですが、ただまあそこでの話そのものに関しては従来より繰り返されている話なので引用を割愛(単に量が多いのと今更ネタなので割愛しているというのもありますが^^)しまして、ポーセンさんと思われる人の現状維持反対理由が大39パラグラフにありますので引用。
『One member continued to take the view that it was appropriate to expand
the Committee’s programme of asset purchases. The recent inflation outturns
could be explained by reference to the various price-level shocks that
had occurred, which suggested that measures of underlying inflation would
be well below the target. The risk to inflation expectations was limited,
given muted nominal wage growth, the prospective impact of fiscal consolidation,
and the Committee’s mandate and independence.』
あたくしのエエカゲンな英語力によりますと、ポーセンさんは「現在の物価上昇は各種のプライスショックによって起こっているものであり、基礎的なインフレはターゲットを下回って推移している」「抑制された賃金上昇、今後の財政再建政策の進行、BOEのマンデートおよび独立性、という元でのインフレ期待上昇のリスクは限定的である」と説明しているようですな。
『In this member’s view, international evidence from past recessions suggested
that underlying productivity growth was unlikely to have declined by much
and there was undoubtedly a significant degree of spare capacity in the
economy.』
世界の過去のリセッションが示唆しているのは、基礎的な生産力は大きく低下しそうになく、その結果としてかなりの程度の経済における余剰生産力が残る事になる(のでインフレは抑制される)といいう事が疑いなく明確である、ということだ、とかヘタクソな翻訳ソフトのような書き方でどうもすいませんすいません。
『The Committee’s central projection for growth optimistically assumed
only a limited impact of the planned fiscal consolidation on consumption
and the risks to growth lay to the downside of that projection.』
で、MPCの見通しは財政再建策のマイナスインパクトを過小に見積もっているという指摘も。
『Collectively, these considerations suggested that further asset purchases
would be necessary to avoid inflation falling well below the target in
the medium term.』
んでもって、後の方にありますが、ポーセンさんは政策金利は据え置きつつ、資産買入の規模を£50Bil引き上げるという提案をしています。
○Sentance委員(と思われる人の反対理由)
逆側に毎度反対しているセンタンスさん(ポーセンさんはこの前の会合から資産買入拡大方向の主張を開始)ですが、折角ですので第40パラグラフを引用。
『Another member continued to take the view that it was appropriate to
begin to withdraw some of the exceptional monetary stimulus that had been
provided by cutting Bank Rate to 0.5% alongside the Committee’s programme
of asset purchases.』
いつものことですが、資産買入規模は維持しながら利上げ(25bp上げ)するという提案です。
『In this member’s view, recent news had strengthened the case for altering
policy sooner rather than later: the economy had grown robustly during
the third quarter; surveys pointed to continued growth in the final quarter
of the year; job creation had continued; and strong global growth was placing
upward pressure on commodity prices.』
ということで、理由が思いっきり景気見通しでして、その点ではPosenさんと真逆になります。
『According to the Committee’s latest projections, even after allowing
for the effects of fiscal adjustment, the central projection for economic
growth was in the range of 2-1/2% to 3-1/2% per annum, and inflation was
set to rise further above the target before falling back.』
つーことで物価見通しも当然ながら先行き下がらないんじゃないかという見方。
『In this member’s view, monetary policy should be used to reinforce the
expectation that inflation would fall back to the target through a well-communicated
policy of gradually increasing Bank Rate.』
で、利上げをする事によってインフレ率がターゲット(2%)に収まるようにインフレ期待を制御すべきであるという話で、それがよりよい政策コミュニケーションでありますみたいな話をしておりまして、この辺り思いっきり直球ストレートで景気見通しの違いとか物価見通しの違いになっているのは中々清清しいところでございまする。
とまあそんな感じで思いっきり趣味の虫干しでどうもすいませんでした。
2010/12/20
お題「月曜につき虫干し雑談とかその他市場雑談とか」
モーサテのお天気のおミュージックがまたアラフォーホイホイの選曲に戻っているのだが、KARAのアップテンポのミスターの方が朝の景気付けには良かったんですけどにゃ^^;
○何となく市場雑感(毎日雑感ばっかですな)
金曜の駄文では「短い所から落ち着きつつ」などと申し上げた訳ですが、米債が強くなって戻ってきたと思ったら円債ちゃんもマーライオンからいきなり焼肉でも食いに行くかの如きの勢いでの債券市場上昇モードとなってしまいました。いやはや何とも。
短い所に関しても堅調となりまして、1年の0.15%、2年の0.20%と言った辺りがビットサイドとなるという流れになりまして、いやまあやっと金利下がったという感じですが、まあ落ち着いたのかというとこれがまた良く判らん所で、とりあえず目先また急にマーライオン相場になるという事も無いとは存じますが、何せこの短期ゾーンマーライオンが元を辿れば金融調節における市場機能重視とやらによる声明文詐欺に起因するものでありますので、調節のスタンスがどっちなのというのが確認できないでホイホイと買うと、金利が下がったからとか言って安心してサックリと足を掬われる可能性もあるのですよね。
しかしまあ何ですな、金曜も資金供給拡大という事で、また20日スタートで供給してきたのですけれども、29日エンドとかまた使えないエンドの物を打って来まして資金を出しまして、20日の当座預金残高は23兆円水準となりまして、GCレートは0.095-0.100水準に低下となったのですが、まーこれまでは当座預金残高17兆円攻撃をしていたと思ったら今度は急に親の敵のように資金供給しだすとか相変わらず押したり引いたりが派手でございますなあという感じです。
結局のところは、市場機能をある程度潰すようなオペレーションをして、GCで言えば債券ディーラー総体のファンディングを日銀のオペで賄えて業者がGCのビットサイドに回るようになれば、GCは平均的には0.10%をちょっと超えたレベルで安定する(0.10%以下でのGC買いはショートカバーか超過準備付利制度の外側にいる人しか買う意味が無いので、年がら年中GCが0.10%割れというのは基本的には現在の国内の資金保有状況から言うと多分無いはず)と思いますし、市場機能重視とか言ってGCレートが0.105〜0.13程度の間で時々跳ねるような動きを容認するのであれば、まあターム物金利は現状水準からそうホイホイと低下はせんじゃろという結論になろうかと思います。
で、肝心の調節がどっちなのかが判らん。金曜のオペだけ見ていると気分が変わって「ターム物金利抑制のために市場機能は潰してもターム物金利を潰します」と腹を括ったようにも見えるのですが、そう思ったらやっぱり単なる年末対策でしたというオチが待っているかも知れないという気もするのでありまして、まあ年内はこの調子で足元金利低位安定なのでしょうけれども、さてそれがどこまで持続するのかというのはまた先々のオペレーション次第という所ですわな、うーむ。
○虫干しネタで今更月初の須田審議委員講演から
12月1日の山形県金融経済懇談会での挨拶から
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/data/ko1012a.pdf
・景気に関しては弱め、つーか構造的に伸びないのではみたいな話
本文5ページの辺りに景気に関する話をしているのですが、展望レポートをベースにした話をしつつちゃっかり自分の見解が入っているのがチャーミング。
『私もこのような見通しを持っておりますが、わが国経済の先行き見通しを考える上で、海外経済の成長の果実をどの程度取り込めるのか懸念しています。この点、日本の輸出の伸びは90年代半ば以降、他国よりも緩やかであり、中国をはじめとした貿易自由化が進む中で、世界の輸出に占める日本のウェイトは90年代半ばから減少傾向にあること(図表9)等を踏まえると、私は、わが国経済が海外成長の果実を上手に取り込めていないのではないか、との思いを強めています。』
『さらに、足もとでは、稼働率の回復が未だに不十分ななかで急速に為替円高が進行したほか、後に述べますが、新興国の技術上のキャッチアップや海外において自由貿易協定の締結が進むなど、為替以外の要因によるわが国経済の競争環境の悪化も懸念されるところです。』
『また、各種環境規制や税負担、あるいは労働規制といった企業の競争力に直結する問題も引き続き指摘されている状況です。』
『以上の点を踏まえると、わが国経済あるいは企業がグローバルな需要を思ったように取り込めない傾向が今後さらに強まらないか、注意が必要です。』
循環的な話ではなくて構造的にいかんでしょという話をしているのですが、須田さんの今回の講演(およびネタにしてませんが東京大学での講演)では構造的にどうなんですか的な話が多いのが特徴的だと思いましたです。
・物価に関する話がサパーリわからんのだが
本文6ページからの部分が判らんのだが・・・・
『ロ.将来予想される物価上昇率に対する見方』という小見出しのところなのですが、よく判らん計算式が出てきまして(いやまあ基本的な式らしいのですが、式で書かないで日本語の説明文で書けと経済のこの手のを見てていつも思うのだが・・・)
『今期のインフレ率=γ×(来期の期待インフレ率)+(1−γ)×(前期のインフレ率)+β×(今期の需給ギャップ)+α×輸入物価変動率 ※但し、γ、α、βはパラメータ』
とか言うのがあって、何か知らんが『一つの見方として、現実のインフレ率は、中長期の予想インフレ率だけでなく、過去のインフレ率に短中期の期待が牽引(アンカー)されている可能性があるとの解釈も可能です。この解釈によれば、わが国の場合、プラスの中長期の予想インフレ率と、マイナスの過去のインフレ率の綱引きにおいて、どちらの牽引力が強いかが鍵ということになります。』という話をしているだわさ。
しかしそもそも日本の中長期の予想インフレ率ってプラスなのかというのがこれがまたワケワカランとあたくしが思っている(一応脚注には『エコノミストによる中長期的な予想物価上昇率は、ここ数年、概ね1%程度で安定しているとみられます。』とある)ので、この先の話が禅問答にしか読めないのかも知れませんが、マジで禅問答モードで泣きそうなんですが><;
『この点、わが国においても、現実のインフレ率に対する、中長期的な予想インフレ率の牽引力を強めることが重要であることはいうまでもありません。』
まあ中長期的な予想インフレ率が本当にプラスならね。
『しかし、私は、デフレが長期化するわが国において、かかる中長期的な予想インフレ率の牽引力を強めることは容易ではないと考えています。さらにいえば、海外においても、最近、わが国と同様に、現実のインフレ率に対する、中長期的な予想インフレ率の牽引力が弱まっているように見受けられます。例えば、日本とは状況がまったく異なりますが、インフレーション・ターゲティングを採用している英国をみると、インフレ率が物価目標の上限を超過する状況が1年近く続く中、かかる過去のインフレ率により、中期のインフレ予想が上昇するリスクが重要なリスクとして指摘されています。また、米国においても、足もとのディスインフレが中期的なインフレ予想を引き下げることにつながらないか懸念する声が聞かれます。』
そもそも中期的なインフレ予想って足元のインフレ率に引っ張られまくるもんじゃないのかと思うのですが、まあそういう実証分析とやらがあるからそうなんですかねえ。何かシロート的にはやはり中期的なインフレ予想がアンカーされる云々の問題は足元のインフレ率がある程度の期間に渡ってトレンドを持った場合にはインフレ予想の方が引っ張られるもんじゃネーノという気がするんざんすが。この辺の話はどうもよー判らん。
・話は飛んで信用緩和政策に関して
物価に関する話はワケワカランのでスルーしまして一気にワープして17ページにある信用緩和に関する部分をば。
「金利政策よりも信用緩和」という話は先日引用しましたが、そのデメリットの説明部分で「シニョリッジを非伝統的政策に突っ込むのは財政政策に繋がる」という話をしているので、その部分を引用。
『ご承知のように、日本銀行の収益の源泉は、独占的な通貨発行権から得られる通貨発行益(シニョレッジ)であるわけですが、かかる通貨発行益は本来国民のものであるため、基本的に政府の一般会計に納付され、日本銀行が自由に利用できるものではありません。言い換えれば、日本銀行の損失は最終的に国民負担になるわけです。また、そもそも日本銀行の財務の健全性が維持されないと、独立した中央銀行の存立基盤が揺らぎかねず、ひいては機動的な政策対応に支障をきたし、そのために、通貨の信認が揺らぎかねません。日本銀行が、政府に対して、本措置による損失が生じた場合の損失処理の仕方について理解を求めているのはこうした背景があるわけです。』
日銀の収益は本来国庫納付して使われるものであり、その使途を政治的な手続きの無い日銀が好き勝手に使うのは如何なものかという話ですわな。まあそれはそれで仰るとおりだと思いますが、この辺をすっかりスルーした話も世の中には多いと思われますので敢えて引用したでござるの巻。
・会見はそんなに変わった話は無かったですが、物価に関して続き
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk1012a.pdf
『(答) 物価についての見通しの蓋然性の程度ですが、私自身のメインシナリオとして相対的に蓋然性が高いものとしては、2011年度にプラスの物価が実現できるとは思っていないということであって、それ以上の蓋然性の程度については申し上げかねます。』
という事でして、さっき引用忘れましたけど、講演の中では先ほどの「中期的なインフレ期待の牽引力の弱さ」に加え、「グローバル化の進展における新興国の生産向上に伴う物価抑制圧力」によって、このような見通しを立てています。
『私は、物価見通しについては、来年度中に消費者物価指数(除く生鮮)の前年比がマイナスから脱却できる蓋然性は高くなく、デフレ脱却へ向けての改善にも時間がかかるとみています。また、展望レポートで触れられているように、来年度には消費者物価指数は2010年度基準に切り替わりますが、それを考慮に入れた場合、その蓋然性はさらに低下するとみています。』
ただし、リスクに関しては物価についてのみ上振れ予想となっています。
『物価の見通しについては、先ほど申し上げたとおり、中長期的な予想物価上昇率のアンカー機能がどの程度働くかが重要な論点であったわけですが、私は、この点について慎重な見方をしております。また、政策効果についても慎重にみていますので、物価に関するリスクとしては、むしろ上振れリスクを意識しています。』
メインが慎重なのでリスクは上という事のようです。
で、須田さんは任期が来年3月一杯となりますので、景気、物価の見方が慎重な人が1名退任という事になった場合に、執行部ペースが強まると何か少々いやな予感がするのは杞憂だと良いですなあ、などと思う今日この頃でありました。
2010/12/17
お題「諸般の事情で今日も雑談でご勘弁賜りたいでござるの巻」
米国債券市場って何か壮大な下落と上昇をやっているみたいなのですけれども一体全体何がどうなっているんだか・・・・
そういや相変わらず「長期金利差に注目して動く」というお話は引き続き流行っている、というかどっかの何とかストと言われる本職の筈の人まで大真面目に言う位に(はっきり言ってセールスやトレーダーが言うのは売買させる為のセールストークであったりポジションの正当化の為のポジショントークだったりするので、まあその場に都合の良い話を適当にするのは仕様のようなもん)流行りましたが、とりあえず大真面目に解説していた何とかスト連中は3か月前の日米長期金利の位置とドル円の位置を比較して見やがれと思うのはあたくしだけですかそうですか。
#ちと忘れたけど一昨日のモーサテで「為替市場は長期金利差に替わる新しい材料を探しています」と為替市場解説の人が説明してたのには盛大にコーヒー噴出しましたことよ(^^)
と軽く悪態をついた所で今日も雑談でありまする(汗)。
○今日も今日とて市場雑感
何か最近雑談ばかりでどうもすいませんm(__)m
昨日は米債ゲロゲロで戻ってきた割には比較的打たれ強い展開のような印象を受けたのですが、それは短期国債がやたら強くなって2年とか3年とかが前日比強くなっているという方に目が行きやすいあたくしの仕様によるものであるかも知れません(汗)がそれは兎も角。
火曜の1年TB入札がゲロゲロ入札で、水曜の3か月TB入札は入札そのものはゲロゲロでしたがその後持ち直しとなった訳ですが、昨日は中短期(の特に短い部分)は買い意欲強くて、新発3か月TBはたぶん0.12%レベルとか新発1年TBはたぶん0.15%レベルとかと相成りまして、まあ「長めの市場金利の低下を促す」という例の鷺文言の事をスルーして足元のGCレートが中心0.11位で推移して(ちなみにGCレートが恒常的に(瞬間的な話は別)0.10になるのは超越供給によって資金調達サイドが完全に消滅しないと中々難しいようで)という事になりますと、まー手前からの足し算という観点ではこの位のリスクプレミアム乗せろやという話になるんでしょうかねえというような気がしてきた(が、その状況は声明文詐欺ではないかというツッコミは勿論残存する)。
(注)以下お食事中の方に一部不適切な例えがございますのでご注意ください^^;
でまあ2年とか3年とかも堅調だったようで、まあどこのどなたが買っておられるのかは存じませんが、さすがにこうゲロゲロとやり過ぎて人心地ついて来ますと気がつけば人間腹が減っていたりするもんで、まずは胃に重くなさそうな味噌汁やら粥やら素うどんあたりから腹ごしらえをするのが人間の常という風に勝手に妄想すると話だけはうまく繋がる(^^)、実態はどうなのかはよー知らんが。
とは申しましても、悪酔いが残っているうちにうっかり勢いに乗って唐揚げ弁当とか食いだすと再度アレになってしまうリスクもございますので、これがまた匙加減の難しい所っちゅー事ですが、まー中短期の短い所が落ち着いてきてサガランチ会長になってきたのは比較的よい傾向ですかねえとゆー所で(サガランチなのは価格ね^^)。
あと、それが継続するのかどうかは兎も角としてなのですが、昨日はここもとの暴れん坊将軍相場で需給要因で無闇矢鱈と安くなっていたゾーンに見直し買いみたいなのも入ったような感じがせんでもないのも結構な話かなあとか思った次第でして、そーゆー歪みというかオーバーシュートを修正するような動きが入るというのは落ち着く中では必要な動きですかねえとか思うのです。
#ま、米債が大戻りしているので今度は逆のオーバーシュートをおっぱじめるとなるとまた落ち着かなくなるのだが・・・・・
○金融政策がらみで雑談雑感
・米国は時間軸政策になるんですかねえ
先日のFOMCステートメントなんですけど、「景況感は改善するけれども失業と物価は下方修正」という器用なことしてますなあとか書いた訳ですが、その後色々と人様とお話をしておりますと(という事なのであたくしがFOMCステートメントを見た時にすぐ気がついた訳ではないのは正直に申告しておくだよ)、「これは要するに時間軸政策(と場合によってはCEの併せ技)の明確化へのシフトの前振りなのではないか」というような事を思うようになったでござるの巻。
つまりですな、国債買入実施の目的の一つであった長期金利の低下に関してはどっからどう見ても無理筋というのが明らかになった訳でして、今後はそっちをFRBが強調するのは得策ではない(国債買入実施が失敗でしたとなってしまうから)のでありまして、まあ長期国債買入の規模自体は急に縮小とかするとそれはそれでネガティブインパクトになるので、その辺は適当に制御しつつも、今後の展開としてはやはり「時間軸の強化」を行って「景気が少々改善しても低金利政策を継続しますよ」という形でイールドカーブの手前を落ち着かせるようにして緩和効果を出してくるというのが妥当な落とし所なのでは無いかと思うのでありますよ。
で、その間に長期金利の上昇によって住宅市場の悪影響という事があった場合には、長期国債の買いではなく、MBSの買いというCE復活方向で対応して何とかするという風にするんジャマイカという感じで考えていたりするのですけれども、そーゆーような事をつらつら考えると「景況感は改善するけれども失業と物価は下方修正」という景気への見立てをFOMCが声明文の中で示したのは、要するに長期国債の購入で長期金利低下というロジックからの足抜けスキームなのではないかと考える次第で、それならまあそーゆー器用な話になるのかなあと。
ただまあその辺の長期金利に関する話に意地張って固執するようだと益々の複雑骨折になる懸念もあり、バーナンキさんがどう考えているのかはわからんですからねえ。
・来週最大のリスクは麿の会見でおじゃる
つーことで来週は月曜に3MTBの入札があって、火曜に決定会合が終了して、水曜に2年国債の入札があり、国内要因で言えば(民主党云々はおいといて)そこを無事に通過すれば年末まで無事モードという事になるのでしょうな。
#米国の国債入札が最終週にあるような気がするがorz
で、水曜の後場からの動きで月曜の3MTB入札はまあ大丈夫という感じになったと思われるのですが、何せ最大のリスクは決定会合。もちろん決定会合自体はどうってえ事のない現状維持になるでしょうし、スタンスとしては「ETFやJ−REITの買入も始めましたよ凄いでしょう!だから様子見ね」という所になるので特になんも期待はしてないと思われますけれども・・・・
で、小見出しにあるようにリスクは総裁会見でしてですな(−−;)、どこからどう見ても会見で「長期金利の上昇」やら「2年金利などの長めの市場金利の上昇」に関する質問が出て、しかも上手な質問をされた場合に麿が何を言い出すのかがリスクでしょうなあとゆー所で。
何せ麿は足元の状況がちょっと良くなると直ぐに安心して「市場機能」だの「バブル懸念」だの言い出して「日銀には危機感が足りない」と盛大に突っ込まれるようなノーガード発言をするのが仕様でございまして、お前は昨年米国に乗り込んで「偽りの夜明け」とか言ってた癖に同じ口がなんで国内でその発言をするかと大変に遺憾に存じますお方ですからして、今回の会見では「長期金利上昇は世界的な景気回復期待の広がりの結果でおじゃる」とか平気で言いそうですし(いやまあ確かに米国の経済指標が良くで金利が上がっているのだがそれこそ「偽りの夜明け」でしょそれって・・・・)、うっかりすると「米国の金利上昇はインフレ期待の上昇によるものでおじゃる」とか「デフレ脱却に向けた日銀の強い姿勢が評価されている証拠でおじゃる」とか更に要らん事を言い出して、折角鎮火モードになっている所に盛大にガソリンをぶちまけて再点火するリスクは否定できませんわな(^^)。
そうなると2年国債入札がまた銀行ドン引きになってうんこになったりすると年末まで大荒れ模様とかになってもおかしくはないのですが、まあそんな趣旨でそこらのお友達に意見を聞いたら皆さん心配しているから、逆にここまで懸念されていたら少々の発言では大丈夫なのかも知れませんが(^o^)、まあ出来れば来週火曜日は麿の着ぐるみを山口副総裁あたりが着用して会見に臨んで頂くと大変にありがたく存じます(ってしらっと失礼極まりない事書いてるな>自分)。
ま、米債の方のケロケロちゃんがどういう状態になっているのか、円債に関してもまだ気持ちワリーと思っている人がどの位いるのか、という辺りのポジション動向ってえのは人様の懐具合なだけに無力市場傍観者のあたくしと致しましてはサパーリ判らんですから(何と言う無責任^^)、その辺りのポジション整理が終わっているのか終わっていないのか次第という面も相当重要なファクターでございましょうなあという至極当たり前の結論でした。
○そういやメモメモ
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/nyusatu/2010/resul062a.htm
流動性供給(第84回)入札において追加発行した国債の銘柄
変態銘柄と化しておられるチーペスト3兄弟(先物チーペストは#292ですが)の辺りがここもと(というかちょっと前からずーっとなのですが)更に変態となっていましたので、うっかりすると壮麗に全部#292かなとか思ったのですが、ちと前場引けに掛けて先物が下がりすぎちゃいましたので惜しくも今回の発行額は881億円でございました。
どうせなら3000億まるまる#292が出るような位置で前場を引かせて頂きまして、スクイーズ狙いとか下らん行為をする向きに鉄槌が下される事を心から望んで止まない所存でございます。まあこの限月のチーペストは久々にややこしそうですわなあという所で。
2010/12/16
お題「短期国債が入札流れた後買い到来/その他市場雑談で勘弁」
米債10年3.5%に30年4.58%ですかそうですか・・・・
#昨日の反動で本日は軽めで勘弁m(__)m
○3か月入札がうんこだったけどその後は押し目買いとな
昨日は3か月TBの入札があった訳ですが。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul221215.htm
(1)応募額 10兆5,437億円
(2)募入決定額 4兆4,327億6,000万円
(3)募入最低価格 99円96銭2厘0毛
(募入最高利回り)(0.1415%)
(4)募入最低価格に 75.9934%
おける案分比率
(5)募入平均価格 99円96銭2厘3毛
(募入平均利回り )(0.1404%)
えー、0.14%っていつ頃の数字か申しますと、昨年12月1日の10年国債入札の売りヘッジを終了した前場引け後に臨時決定会合開催のアナウンスという大変にお洒落なプレイによって長期国債のマーケットメーカーに大損を食らわした事によって著名な(と古傷を一々ほじくり返すのがあたくしの粘着質クオリティ^^)臨時会合によってターム物金利引下げの為に固定金利方式の共通担保オペを導入しましたってえのがございましたが、この直前の昨年11月30日の3か月TBが0.155%レベルでして、決定後の12月1日が0.125%レベルに低下となったのでありまして、つまりこれは「ターム物金利引き下げ政策実施した分が全部パー」という水準という事で、大変に素敵な結果であった訳ですな。しかも応札10兆しか無いし・・・・・
とは言いましても、どうも事前にはもっと悪い(0.145%乗せとか)のではっつー懸念もあったみたいで、これでも実は事前予想よりはマシな結果と言う事のようでござんす。まあ前日の1年入札が素敵な結果になったので参加者の方も耐性が出来ているというのもあったようですな(^^)。
で、まあさすがにその水準ってえのは何ぼ何でも安かろうという事になったと思われまして、落札結果発表後は買いがお越しになったようでBB引けは0.130%と実にこう普通の水準(って言いましても上にありますように、そもそも固定金利オペの導入を決定した時点で3か月TBが0.125%レベルに低下した事に見られますように、0.13%レベルだって金利水準としては結構高い部類じゃネーノと思うのですが、ただしGCが跳ねまくらない事が前提^^)と相成りました。
3か月TB入札が(入札結果単体で見るとどう見てもクソ入札ですが)無事に通過してセカンダリーでの買いも確認された事から、前日の華麗なうんこ入札だった1年新発TBなどにも安心買いというか何ぼなんでも拾えるでしょうというような感じで買いが来たようで、1年TBのBB引けは0.16%となり、これまたとりあえずマーライオン相場(つーか短国の場合はマー状態になるというよりは次から次へと発行されるものをどう捌くかという感じで、参加者がケロケロとマーライオン大会になる長めの債券とはちとテイストが違うと思いますけどね)から押し目のバーゲンハンティングモードになっている感じで誠に結構でございます。
#マーライオン連呼という事で、食事中のおよびシンガポール観光協会の皆様におかれましては大変に恐縮でございますm(__)m
まあこの短国は20日発行ですので、償還やら利金のキャッシュ潰しに来る人もいるでしょうし、そもそも3か月TBは(昨日も書いた気がしますが)6か月〜2年のような大手銀行さんの一人(一人じゃないけど)舞台という需給状況とは微妙に違いまして、投信(短期公社債投信など)やら信託(有価証券運用信託など)やら海外(中銀など)やらと、基本的に持ちきり系の最終投資家のバラエティーが相対的に広い商品なので、大手銀行がドン引きしたらそらまあシェアから言って悲惨になりますけれども、6か月以降ほど極端な壊滅をしないというのもあったのかなあとも思います。勝手な想像ですけど。
てな訳で、結局何かポジションが片付くまで甘くさせられて良く考えたらその間の最大の売り手って財務省なので財務省涙目の展開という気が思いっきりするのでありますが、やはり昨日散々悪態を付きましたように、長めの市場金利の低下とか言うのは声明文詐欺であって為替市場と株式市場がフェーバーならそんな事は気にしねえというのでしたら、振り出しに戻らないと一旦リセットされないと言う事ですかそうですか。
・・・と、書いているうちに「はて振り出しって幾らでしたっけ??」と思って昔のノートを引っ張り出したのですが、昨年の11月30日の時点では2年カレントが0.225%、残存1年の2年既発国債が0.170%で1年短国が0.165%、3か月短国が0.155%という水準でしたが、この時はGCが税揚げ前とドバイショック絡みの需給要因で上昇して0.15%とかになっていました。また、11月中のGCレートは概ね0.13%水準でして、そもそものGCの位置が違うという所(振り出しの前ですからね!)を考慮に入れてまあ上記の水準を記憶しておくのも吉かという感じですかねえ(って底打ちしてから書くなとかいう突っ込みは華麗にスルーの所存^^)。
○そういや昨日も長いところは中々強烈でしたが
いやまあ正直無力参加者のあたくしと致しましては何が何だかワカランチ会長なのでございまして、そういう話は有力参加者の方にお伺いされるのが吉かと存じます次第なのですが、前場特にワンダホーだったのは10時10分に「えええ!今日輪番ねえのかよおおおおおお!!」という華麗な日銀のスループレイ。
いやまあ別に概ね週に1本実施するのでどうせ昨日実施しなくても今日か明日には実施するという話なのですけれども、足元では6/12月利払い銘柄の振替停止期間の絡みで利付国債の買入系オペを見送り状態になっていて、昨日はレギュラー渡しが20日になった日でしたし、米国債券市場がゲロゲロマーライオン相場になって戻ってきた日でもあったので、ここぞとばかりに千両役者登場が期待されたのでございますが、そーゆー時に何故か輪番オペをスルーというのが日銀クオリティでございまして、8年とか9年とかが重くて重くて大変でござるとなっております債券ディーラーの皆様がまたまた大憤激という素敵な流れに。
いやまあ別に輪番はそーゆー意図で実施するもんじゃないですし、スケジュール感としては別に水曜でも木曜でも金曜でも大差ない話でしょと言ってしまえばそれまでなのですけれども、従来のパターン的には水曜に入るのが一番自然かなあと言う所でしらっと輪番スルーというのは中々こうお洒落なKY感が漂うのでありました。
まーしかし昨日の前場途中は先物99銭安とかやってましたけど、前場の引けは先物が80銭安で超長期1毛甘とかもうワケワカンネという豪快な動きになっておりまして、ナンジャソラという所でしたが、後場大いに相場が持ち直して(まあそれでもカーブが相当ぐちゃぐちゃな動きですが)その辺のムチャクチャ振りがややマイルドになったのは良い話なのかもしれませんがよー判らんです。
#またまた米債の馬鹿野郎が金利上昇してやがるのがアレなのですが
イールドカーブの動きがどう見ても需給です本当にありがとうございましたとなっていたのとかは、まあリスク管理相場ちゅうかマーライオン相場っちゅうかという感じなんでしょうなあと誰でも思いつきそうな事しか申しておりませんが、段々動き方が極端になっているのは最終局面近しとか思いたくなりますけれども、どうせ最終局面が近いとか皆が思っている内は最終局面じゃなくて、皆が地獄の1丁目に入りました棺桶に片足突っ込みました早く逃げて〜ってな感じにならないと最終局面にならないのが相場様クオリティではないでしょうかとも思うのでした。
まあ救いは前半で申し上げた短国市場が何となく底打ちしたような気がせんでもないという所でしょうけれども、これもまあGCがピョコピョコ跳ねるとなれば元の木阿弥になってしまう惧れもまだある(オペがそもそもGCの振れを容認するのかしないのかが判らないですしねえ)ので微妙ですけれども、短期が落ち着けばそこから中期、更にその先と波及するかなあとは思うのでありました。
#てな感じでしょーもない市場雑談でしたが、例によってこういう感じで書いておかないと直ぐに忘却しちゃうのがニワトリ並みの記憶力を誇るあたくしでございますので勘弁ということでよろしくお願いします。
#ということで、今日は昨日の3分の1の量でお送りいたしました(しかも全部与太話)
2010/12/15
お題「FOMCで長期金利上昇梯子外しキタコレ/1年短国入札ゲロゲロに思う雑感と悪態」
柄にも無く後半部分を昨日の夜ヘコヘコ下書きしてウダウダと書いた(あたくしの英語力だと声明文読みは時間が掛かるアルねorz)ため、前半のFOMC声明文コピペ部分と併せて分量だけは本駄文史上最大級となりました(というかどう見ても2日分の書き物です本当にありがとうございました)が、内容があるかどうかは知りません(−−;)
ではまずはFOMC声明文から。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20101214a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20101103a.htm(前回)
○景気認識は若干引き上げつつ物価と雇用の部分は引き下げるという器用な声明文
まあ大体こういう技巧的な動きをしだすのはミスコミュニケーションへの第一歩だというのは趣味の日銀見物人(ストーカーではありません)を暫くやっているとひじょーに痛感するのですけれども。
でですな、今回はごちゃごちゃと変更があったのは景気物価に関する認識を書いております第1パラグラフの所でして、第2以降はまるっきり同じ(一部違うけど)という結果になっておりますので、第1パラグラフを良く見るのですけれども、小見出しに書いたように今回は景気認識を引き上げながらもFRBのマンデートの物価と雇用の所に関しては言及が厳しくなってくるという器用なパターンに。
・景気の総括認識
『Information received since the Federal Open Market Committee met in November
confirms that the economic recovery is continuing, though at a rate that
has been insufficient to bring down unemployment. 』(今回)
『Information received since the Federal Open Market Committee met in September
confirms that the pace of recovery in output and employment continues to
be slow. 』(前回)
景気回復のペースについて「continues to be slow」だったのが「recovery is
continuing」と入れているので景気認識引き上げなのですが、返す刀でそのペースを「insufficient
to bring down unemployment」と失業を引き下げるには不十分なペース、という雇用の先行き見通しに関する厳しい見方を示すという器用なプレイをしています。
・家計消費
『Household spending is increasing at a moderate pace, but remains constrained
by high unemployment, modest income growth, lower housing wealth, and tight
credit.』(今回)
『Household spending is increasing gradually, but remains constrained by
high unemployment, modest income growth, lower housing wealth, and tight
credit. 』(前回)
おじちゃん頭が悪いから良く判らんのだが、「gradually」から「at a moderate
pace」って判断上がってますのかな??んでもって後半部分のそうは言ってもこれこれこういう要因で拡大は抑制されていますという部分は同じっすね。
・企業の支出、雇用行動
『Business spending on equipment and software is rising, though less rapidly
than earlier in the year, while investment in nonresidential structures
continues to be weak. Employers remain reluctant to add to payrolls. 』(今回)
この部分は前回と全く同じ。
・住宅セクター
『The housing sector continues to be depressed. 』(今回)
『Housing starts continue to be depressed. 』(前回)
更におじちゃん頭が悪いので判らんのだが、今回何で「Housing starts」が「The
housing sector」になったんだろう、どういう意味があるんだか良く判らんです誰か教えてください教えて下さい。
・長期的なインフレ期待および足元のインフレに関して
『 Longer-term inflation expectations have remained stable, but measures
of underlying inflation have continued to trend downward. 』(今回)
『 Longer-term inflation expectations have remained stable, but measures
of underlying inflation have trended lower in recent quarters.』(前回)
最近の数四半期(で訳は良いのか?)において足元のインフレ率が低下しているという前回の話に関して、今回は「have
continued to trend downward」と思いっきりダウントレンド形成でっせという話をしておりまして、ここの部分を下げているってえ感じでございます。
○第2パラグラフ以降は前回とまるっきり同じ
第2パラグラフは例の「FRBは法的に定められたマンデートを実施する訳だが、その目的に向かう経済の動きは「disappointingly
slow」という話ですわな。前回と全く同じ文言でございますが一応引用。
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster
maximum employment and price stability. Currently, the unemployment rate
is elevated, and measures of underlying inflation are somewhat low, relative
to levels that the Committee judges to be consistent, over the longer run,
with its dual mandate. Although the Committee anticipates a gradual return
to higher levels of resource utilization in a context of price stability,
progress toward its objectives has been disappointingly slow.』(今回)
第3パラグラフは「そういうことでFRBは資産買入を実施するお(^o^)」という部分ですが、これは前回と表現が違う部分は事実上ありません。前回新たに実施した政策を今回も継続しますよ、という部分は表現違いますが、それは完全にテクニカルな部分ですのでこのパラグラフも今回分のみ引用するだよ。
『To promote a stronger pace of economic recovery and to help ensure that
inflation, over time, is at levels consistent with its mandate, the Committee
decided today to continue expanding its holdings of securities as announced
in November. The Committee will maintain its existing policy of reinvesting
principal payments from its securities holdings. In addition, the Committee
intends to purchase $600 billion of longer-term Treasury securities by
the end of the second quarter of 2011, a pace of about $75 billion per
month. The Committee will regularly review the pace of its securities purchases
and the overall size of the asset-purchase program in light of incoming
information and will adjust the program as needed to best foster maximum
employment and price stability.』(今回)
第4パラグラフの「金利は0〜0.25%」「exceptionally low levels for the federal
funds rate for an extended period」というのも前回と同一文言だす。
『The Committee will maintain the target range for the federal funds rate
at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions,
including low rates of resource utilization, subdued inflation trends,
and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally
low levels for the federal funds rate for an extended period.』(今回)
第5パラグラフの「レビューを続けて必要ならばいろんなツールをだすよ」も同一文言。
『The Committee will continue to monitor the economic outlook and financial
developments and will employ its policy tools as necessary to support the
economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at levels
consistent with its mandate. 』(今回)
○長期金利上昇に関する言及なしとな
てえことで、まあ今回は「景気認識を引き上げつつ物価と失業に関しては厳しい見方を示す」という器用な事をしておりまして、いやまあ確かに足元の経済指標としてはそういう器用な展開になっているのも事実としてあるとは思うのですけれども、これって「QE2は(実施前からの期待分の効果も含め)効果を発揮してますよ(キリッ)」という話をしつつ、「でもQE2は当面継続するお(^o^)」という器用な説明をするという技になっているとまあ意地の悪いあたくしは読むのでございまして、足元はこれで無事なのかもしれませんけれども、そのうちこの分裂気味になっている説明に無理が生じてくるというのは趣味のにちぎんかんさつにっきを書いておりますあたくしが思いっきり予想する所でございます。
まあ政策実施の正当化の効果が出てますよってな説明をしつつも、でも肝心の失業と物価はいかんのよってえ話って「結局QE2は効いてるのか効いてないのかどっちですねん」と突っ込まれだすと話がややこしくなるとは今申し上げましたが、これは恐らく足元でクリスマス商戦ヒャッハー減税継続ヒャッハーとか言ってつい先日は景気底割れ懸念で地獄の一丁目懸念とか言ってた連中と同じ人とは思えない相場を展開している雨公どもが「ちと待てこの景気本当に持続的回復するのかよ」という話になった時(ならなければOKだが長期金利上昇にバランスシート調整とかやっているのに大丈夫かという希ガス)にFRBは益々のインチキ説明が必要になるでしょうな、と思います。
それとですな、小見出しに書いたように、今回は長期金利上昇に関する話が何かあるかもしれないという期待が多分米国債券市場ちゃんの方にはあったと思う(無かったらFOMC声明文出てから長期金利絶賛大上昇とかしないと思う)のですが、まあ長期金利上昇に関してはノーコメントというどこかの中央銀行の梯子外しプレイを髣髴させるような梯子外しプレイが炸裂するという華麗なる展開。
資産買入の政策波及効果のルートとして「金利の低下」というのを挙げていた筈だというのに長期金利は華麗に上昇するし、2年とかユーロドル金利先物とかの中短期やら足元に近い金利まで華麗に上昇するという大変に素敵な展開を示しており、更に言えば声明文における物価の認識は上記のように厳しいものでありまして、「実質金利の引き下げ」という話を持ち出そうとしても物価上がらず長期的なインフレ期待も上がらずに(短期的な部分をスルーしているのが唯一の言い逃れの救い)名目金利だけは華麗に上昇というのであれば、名目も実質も金利低下ルートでの資産買入政策が成功していませんというおそロシアな話になっていますねえ、という事になると思うのざますが、その部分を完全にスルーというのも中々お洒落な話ではございますな、と思うのでした。
つーことで、今後は益々FRBの説明が七転八倒モードになるのをニヤニヤしながら眺めたいと思うのでありました。
○おまけでホーニッグさんの反対理由に「経済のインバランス拡大」が新たに入る
第7パラグラフのお馴染みホーニッグさんの反対理由ですが、今回は「将来における金融のインバランスを拡大するリスクがある」というのが「将来における経済と金融のインバランスを拡大するリスクがある」と変わっているのがほほうという感じです。前回のはめんどいので今回分だけ引用しますね。
『Voting against the policy was Thomas M. Hoenig. In light of the improving
economy, Mr. Hoenig was concerned that a continued high level of monetary
accommodation would increase the risks of future economic and financial
imbalances and, over time, would cause an increase in long-term inflation
expectations that could destabilize the economy.』(今回)
ということでFOMCネタだけでそこそこの分量なのですが、昨晩用意しておいたものがこの先に続くのは正直スマンカッタ。つーか本当は明日のネタに取っておきたい位なのですが、ネタが市場雑談系なので翌日になると干からびてしまうので干からびる前にお出しするのでした(^^)。
○1年入札がゲロゲロになった件
昨日は20年入札があったのですが、それよりも華麗に話題を攫ったのが1年短国の入札だったりしまして、そういう時に事前に注目とか何も書いてなかったりするのがドラめもんクオリティorz
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul221214.htm
(1)応募額 4兆2,950億円
(2)募入決定額 2兆3,691億円
(3)募入最低価格 99円81銭1厘
(募入最高利回り)(0.1893%)
(4)募入最低価格に 98.5000%
おける案分比率
(5)募入平均価格 99円82銭4厘
(募入平均利回り )(0.1763%)
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)
レートが流れた(正直あんまりあてにならないけど前日のBB引けが0.145%レベルで1年ゾーンの利付国債の居場所0.165とか0.17レベルだったような気がする)のもさることながら、応札倍率が2倍いかないってこらまたニーズの無い入札(ちなみに先月の1年TB入札は同じ発行予定額で応募額が7兆3744億円で落札利回りは平均0.1224%の足きり0.1255%でこのときも大流れとか言ってたりする(先月の15日の入札ね)のですが)でござんしたなあという所ですし、市場推計の落札結果では最終投資家札と見られる不明玉が1.2兆円もありまして、それだけ投資家が入れてもこの流れっぷりかよという中々驚愕の結果と相成りました。
でですな、その後落札結果にビックリして2年とかがまた5糸甘オファーとかの気配になりやがるという大変に素敵な展開になったのですが、その後さすがにこれはイカンと思ったのか13時のオペ(1年TBの落札結果発表は12:35)で日銀の資金供給が結構厚めにオファーされました。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of101214.htm
共通担保オペ3本立てというのもさることながら、20日という国債償還日(のために需給上は資金余剰になるけれども、明らかにその余剰資金は日銀当座預金に積まれたままになるのが多くて、資金偏在が大きくなるであろうと思われる日なので、需給上は余剰だけれども、GCレポ市場的に言えば金の需給がタイトになるのです)スタートのオペを1本打ち込んだのは、先週金曜に16日スタートのオペを実施したのと同じようなテイストのするオペレーションな訳ですにゃ。
でまあこの供給を見てなのかどうか知りませんが、まあタイミングから言ってそういう感じなのでしょうが、1年新発TBとか2年とかもちっと先の中短期ゾーンとかに押し目買いだか見直し買いだか知らんけど入ったようなイメージで気配を回復しまして、結局引けでは2年は5糸強の0.225%となり、投げ投げゲロゲロとはならずに一息という感じではございます。
つーても短国とか全般に(そらまあ1年がそれだけ流れれば引っ張られるけど)甘くなりまして、BBさんの引けベースだと1年新発が0.170%(確か出合いベースではなかったかと)となって、先週入札のあった3か月は0.130%とか中々胸の熱くなるような利回りとなっておりまして、今日は3か月TBの入札あるんですがどうするんじゃろ(まあ1年と違って3か月は一定量のニーズがあって、金利水準上がれば上がるだけニーズ増えると思いますので1年みたいな大コケはしないと思いますけど)という風情になっている冬のひとときなのでございました。
で、以下マニア向け悪態その他が続くので興味のあるマニアの方はどうぞ。
○火事ボーボーになってからの消火は必要な資源が余計に掛かるという話
ということで1年TB入札で日銀ちゃんの庭で火がボーボーという事態になったものの、厚めの資金供給実施という消火活動によって大火災は回避できた訳なのですが、そこであたくしなんぞが思うのは「入札流れてから多めに供給する位なら何で前日のオペで出しておかないのよ」という論点でございます。
そもそもですな、昨日の朝の駄文でうだうだとマニア向けの話題としてこんな事を書いた訳ですが、再掲しますと・・・・
>金曜に16日スタートの共通担保を打ってニーズを集めたというのに何で昨日16日スタートのオペを入れないのか理解に苦しむ。3Mの基金共通担保のロールを入れただけですとまあ受け取る方としては「金利上昇を抑制してGCを押さえつける気は無いのですねえやっぱり」という事になるようですし、そもそも16日の積み初日のところってGCレポ市場での最大の資金の出し手さんである所の都銀さんがギリギリまで資金をあまり出さない傾向があるという事もござんすので、早速GCレートも少々ですが上昇したようでございます。結局GC上昇するのはおっけーという事でしたらどうもオペレーションがなんちゅうか一貫してねえんですよねえマッタクモウとゆー所で。(以上昨日の駄文より)
とゆー事でありまして、入札流れたのを見て金利上昇するのを抑制するようなオペレーションをするくらいだったら、そもそも入札が流れる前にGCレート放置プレイをしているんじゃないんですよというオペレーションを実施しておけば、もうちょっと結果は違っていた可能性はあると思うのですけどねえ。勿論、1年TBの主要投資家層でありますメガバンクさんのアベイラビリティー低下なのか1年なんぞ買ってる場合かヴォケという状況なのか知らんですが、まあその辺の事情があって、前日にオペを実施していても結果は同じだったかもしれない、というのはありますけれども、こうやってモグラ叩きのような事をやっていると、ターム金利は中々落ち着きませんし、そうなれば当然の如くターム物に対するリスクプレミアムが要求される訳ですから、「長めの市場金利の低下」という10月5日の包括緩和実施時の声明文にあります「金融緩和を一段と強力に推進する」という話との整合性が取れませんなあといういつもの悪態になるのでした。
それとですね、金利が上がってから火消し供給をするというのは、まずそもそも論としてドタバタ感が物凄いするのもありますし、更に言えばこのようなドタバタをやっているうちに市場の方は「日銀はどの位の金利上昇を容認するのか」みたいなゲームを始めてしまい、更なるドタバタを招くという惧れもある訳でして、どうせ金利上昇を容認しないのであれば、火が出てから火消しをするのではなく、火が出る前に水撒きをせっせと行って火がボーボーにならないようにした方が余計に沢山出す必要が無いような気がするんですよね。ここもとの調節って結局のところGCを抑える気があるのか無いのかとか、そもそもGC市場を気にしているのか放置プレイで市場の価格形成に任せようとしているのかとかも微妙でして、市場が日銀の包括緩和に関する真意を測りかねているが故にドタバタ状態となっている事から、この辺りに関するコンセンサスの構築に関しても時間が相当かかるんじゃないかなあと思われる次第で、その間のコストも掛かりますなあとか思うのですよね。
○そもそも包括緩和における「長めの市場金利の低下」とは何だったのかという話について
折角だから10月5日の包括緩和実施時の声明文のURLをつけて進ぜよう。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/k101005.pdf
『3.このような情勢判断を踏まえ、日本銀行は、以下のとおり、金融緩和を一段と強力に推進することが必要と判断した。』
『第3に、短期金利の低下余地が限界的となっている状況を踏まえ、金融緩和を一段と強力に推進するために、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促していくこととした。こうした措置は、中央銀行にとって異例の措置であり、特に、リスク・プレミアムの縮小を促すための金融資産の買入れは、異例性が強い。この点を明確にしたうえで、市場金利やリスク・プレミアムに幅広く働きかけるために、バランスシート上に基金を創設し、多様な金融資産の買入れ、およびこれと同じ目的を有する固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションを行うことが適当と判断した。このうち、基金による長期国債の買入れは、現行の長期国債買入とは異なる目的のもとで、臨時の措置として行うものである。このため、基金による買入れにより保有する長期国債は、銀行券発行残高を上限に買入れる長期国債と区分のうえ、異なる取り扱いとする。』
つまり、3か月と6か月の固定金利オペおよび基金が実施する国債と短期国債の買入に関しては「金融緩和を一段と強力に推進するために」「長めの市場金利の低下」を実現させるものであり、「この点を明確に」するために「市場金利」に「幅広く働きかける」ための「基金を創設」した中の一環ですよ、という話をしている訳ですわな。
でですね、いやまあ確かに補完当座預金金利(=いわゆる超過準備付利金利)を下げていないという時点で怪しいと思う部分はございますけれども、ここの文言を素直に解釈致しますと、当然ながらここは一発市場機能の低下を辞さずにターム物金利の抑制を行い、その期間としても当初の3か月が先般6か月になり、今回は思い切って2年まで延ばしてみたのですね、という風に解釈するのが自然なんじゃないかと思うのですよね。異論は認めるが(^^)。
その上、当日の白川総裁の記者会見ではこのような話があった訳ですな。URLをつけて進ぜよう。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk1010a.pdf
『今、リスク・フリーの金利は、相当低い金利になっています。特に短期の金利は非常に低いです。そうしたもとで、金融政策によって金融緩和効果を上げようとすると、論理的に残されている道は、従来より少し長めの方向かリスク・プレミアムに働きかけていくことになります。』
『日本銀行が潤沢な資金供給を行っている結果、今でも無担保コールレート・オーバーナイト物が、誘導目標水準の0.1%を幾分下回ることが生じていますが、今後、資産買入等の基金を通じて、一層潤沢な資金供給を行うと、日によっては、これがより大きく下回る可能性が高まることも予想されます。資産買入等の基金を通じて、長めの市場金利の低下やリスク・プレミアムの縮小を図ろうという目的を達成するためには、そうしたオーバーナイト金利の一時的な振れを明示的に許容する方が効果的であると判断しました。』
・・・・とまあこんな話までされたら、これはまあ日銀はターム物金利抑制の為に当然ながらそのベースになるGCレートを低位に押さえつけるオペレーションを行い、コールの下振れも容認するんですよね、という風に考えたくなる訳なのですが、実際には当座預金残高は17兆円から18兆円近辺でそんなに別にじゃぶじゃぶ感を出して来る訳でもなく、GCレートが0.12とかの水準に上昇しても特に気にしないで放置プレイという事になってしまった為に徐々に短期の金利が下がりにくくなって段々とポジションが重くなって来た所にQE2空振りで華麗に短期先物金利が上昇した米国市場という燃料が投下されて更に不安定になっていき、最後に大火災になったのが先月下旬からの展開という事になるわけですわな。
ところが、先日来審議委員とかの講演や会見を見ていて微妙にあれれと思っておりましたのは、(昨日も書いたかもしれませんが)白川総裁と森本審議委員とで包括緩和に関する政策の効果とか波及ルートとかの力点が微妙に違うことでして、覚えておられると思いますが、白川さんはどちらかというと「マインドの好転」に働きかけるという、為替ルートや株価ルートを用いた流れに重点を置いたような話をしていましたけれども、森本さんはストレートに「ターム物金利の低下」に力点を置き、もともと須田さんは国債買入追加に反対しているからまあ当然違ったアプローチではありますが、その中でも国債買入に関しては同様に「ターム物金利の低下」ルートの説明(須田さんの場合はそのルートの有効性に懐疑的なので反対したのですが)になっている、という具合に、そもそも政策委員会の中でも今回の包括緩和に関する政策波及ルートに関するコンセンサスが取れておらず、その微妙な部分が日々のオペレーションにも現れているのではないかという気がせんでもない次第なのでありまする。
まあそう考えますとオペに悪態ばっかりつくのも何でして、そもそも包括緩和とは何ぞやというのをもうちょっときっちりと詰めていただきませんと、短期金融市場および債券市場的には、日銀の行おうとしている事、およびその政策波及ルートなどに関する考察のやりようが無くて困る訳なのよねという所でございます。
正直言ってこのままだと「包括緩和」というお題目だけ出して期待だけ持たせておいて、盛大に梯子を外した結果として、1年の金利が2ヶ月前の5年金利に接近するようなアホウな上昇をしていて何が包括緩和じゃコノヤローという話だけに終わってしまうのでありまして、声明文で書いてあった事はつまり「声明文詐欺」であったということなんですねそうですかそうですかもう日銀の話なんて信用しませんからってえ事になるのを憂慮する次第なのでございますが如何なもんでしょうかねえ。
○誇大妄想VS誇大広告
何か小見出しが悪態状態になっているように見えるのは何かの勘違いです(^^)。
えーっとですな、これはどういう事かと申しますと、どこぞの逆さ絵のモデルのようなおじさんが議長をやっている某合衆国の連銀様との比較でどっちも悪態という話になるのでありますが(^^)。
FRB(って名前出すなら最初から出せと)の場合、ああでもないこうでもないとか言いながら、11月に実施した追加緩和の時には長期国債購入の本格的な再開において思いっきり「長期金利の低下」というのを政策波及ルートとして明示していた訳でございますが、まあその話ってその前から延々としていて(時に話が金利の低下になったり、期待インフレ率の引き上げになってみたりしてましたが)、それでQE2期待のヤッホーホトラララ相場になっていた訳でございますが、結果としてはやはり長期金利を中央銀行が直接コントロールをするのは無理(ただし市場をぶっ壊してしまえば話は別なのですが、その話はここでは措きます)という事になったというのがここまでの流れ。
つまりですね、FRBの場合は端から出来るかどうかが非常に怪しかった「中央銀行による長期金利のコントロール」に案の定(今のところ)失敗しており、しかもお洒落なのは今回のFOMCステートメントの時点ではその事をすっかりすっとぼけるという梯子外しプレイを炸裂させるという点において、緩和政策実施時点において自分たちの市場コントロール能力に関する「誇大妄想」をしていた事になるというのが残念ながら現状における結果ではないかと思われるのですよ。
然るに、日銀ちゃんの場合はその辺の分を弁えておられまして、包括緩和で実施するのはあくまでも「長めの市場金利」と言って長期金利を普通は意図しているとは思えないような言い方およびそれに則った行動(買入する国債が2年までですから)をしていたので、逆に市場ちゃんと致しましても、2年は確かにちと怪しい面もあるかもしれない(量的緩和の時だって2年は0.25%とかまで上昇した事があって、その後にコミットメントの明確化が行われた経緯がある)けれども、まあ市場機能はある程度封殺しながらGCレートなどをベタベタにして3か月くらいの金利は下限近くになっていくのでしょうね、ってな雰囲気を漂わせるような声明文および総裁会見を出しつつも、そこで当座預金残高をじゃぶじゃぶにして来るでもなく、どちらかと言えば市場での自由な価格形成に任せるというスタンスのオペレーションを実施していったという点で言えば、「その気になれば超ベタベタにもできるのにやらない」という面では包括緩和の「誇大広告」という感じがするのは気のせいですかそうですか。
いやまあ勿論の事、市場機能を全部日銀がやるようになるというのもデメリットがあって、そのメリットデメリットを勘案した結果現在のようになったというのだとは思うのですが、そうなのであればそうだという部分をある程度明確化(別に文章にする必要はなくて、今のようなどこに重点を置いているのかが良く判らんオペレーションという状態からもうちょっと判りやすくなるだけで良いと思うのだが・・・)して、スタンスをきっちりとして頂きたいものだと存じます次第っす。しつこいようですが、今の状態だと声明文にある「長めの市場金利の低下」が全然実現できていない所か(米国のせいという言い訳をするのでしょうが)包括緩和実施どころかその前段階まで金利が上昇していて、どこがどう長めの市場金利の低下で時間軸の明確化なのかさっぱり判らんですがな状態で、そらまあ為替と株が今の所フェーバーだったら別に金利市場がどうなっても困る人は少ないとは思いますけれども(というか再投資利回りが上昇するから緩やかな金利上昇およびカーブのスティープ化は派手派手でなければ大きくは困らないのではないかと)、米国市場が反転した時に「包括緩和実施前よりも金利が上昇しているのはおかしい」という話になった場合に、結局のところ日銀が火達磨になって生贄の羊にされる事を恐れているのでありまして、別にイチャモンをつけるのが目的な訳ではないという事については念の為申し添えたいと存じます次第でございます。
#これでは完全に2日分のネタですなあ・・・・
2010/12/14
お題「しかし落ち着きませんなあ/虫干しネタで須田さんの山形での講演」
で、今日は米債が買われて戻ったので債券上昇ですかそうですか。
○5年カレント0.58%とか2年カレント0.23%とか(ただのメモ)
昨日の債券市場は米債売られて戻ってきたらお約束のようにゲロゲロ。更に昼前くらいから米債が売られて後場の寄りで窓を開けて下寄りする始末。先物はまたまた下がるわ、中短期がマーライオンだわで何がなにやらという感じでございましたが、8〜9年ゾーンから手前のうんこ振りと、中期のゲロゲロ感が大変に残念な相場展開となっておったようでございます。
つーかですな、何もここまで親の敵のように売らなくても良いのにとは思うのですが、まー相場が暴れ馬と申しますか、リスク管理状態とでも申しますか、何かそれこそ親の敵の如く成行売り状態になっているような向きがあるんですかねえという感じでして、月曜からまあよーやりますなあという相場でございました。ユーロ円金先も相変わらず堂々の順イールド状態となっておりますし、長いところもまあ良くやりますなあとは思いますけれども、2年の0.230%とか5年の0.580%というのは何か展望レポートだの包括緩和で時間軸の明確化だのという話と全然違う流れになっていると思われるのでございまして、足元金利と政策金利の推移の足し算である程度の所まで想定できる中短期ゾーンをせっせと売るのはそらまあリスク削減モードなんでしょうなあと勝手に想像するあたくしなのでございました。
一方で30年とかやたら堅調ですし、今日入札のある20年も比較的確り。長い所では10年カレントは堅調とゆーのは、よーするにマーライオン状態の向きがケロケロするモノが無い/少ないゾーンだと売りが無い/少ないので絶対水準で見た買い手の買いが相場の下げを抑えているということですね、わかります。
・・・・と誰でも書けそうなメモでスイマセンが、どうせ1か月もするとそのときの状況忘れてしまうのがニワトリ脳のあたくしの仕様でございますのでとりあえずただのメモで勘弁。
○当座預金残高目標もO/N振れも容認しているのだから札割れ辞さずでエエンチャウノ
以下世の中で20人くらいしか注目して無さそうなマニアネタ。
えーっとですな、昨日は金曜実施のオペを久々に気が効いてるじゃんと申し上げたのですが、昨日のオペはまたまた早速微妙なテイストを。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of101213.htm
基金買入の短国を微妙に前倒ししたかのような雰囲気で実行しているのは一応短国金利の上昇に気を使ったのかなあとは思うのですが、金曜に16日スタートの共通担保を打ってニーズを集めたというのに何で昨日16日スタートのオペを入れないのか理解に苦しむ。3Mの基金共通担保のロールを入れただけですとまあ受け取る方としては「金利上昇を抑制してGCを押さえつける気は無いのですねえやっぱり」という事になるようですし、そもそも16日の積み初日のところってGCレポ市場での最大の資金の出し手さんである所の都銀さんがギリギリまで資金をあまり出さない傾向があるという事もござんすので、早速GCレートも少々ですが上昇したようでございます。結局GC上昇するのはおっけーという事でしたらどうもオペレーションがなんちゅうか一貫してねえんですよねえマッタクモウとゆー所で。
今月は20日に国債の四半期償還があるので資金需給上では20日に大幅余剰になり、確かにまあ16日の所の供給を厚くすると20日が大余剰になるのはなるのですけれども、そもそも20日の国債償還の所って資金の偏在が拡大する所でもあるので、その時点で資金は大余剰にしておかないとレポレートが上昇しやすくなると思われますが、その辺はどういうイメージなんだか。
もし「落ち着かせたい」「ターム物金利を低位で安定させたい」というのであれば、まずは今の債券市場の構造的にファンディングレートの基本部分となっているGCレートを落ち着かせないと話が始まらないのでありまして(これから利下げしますとか言うのであれば話は別です、為念)、そうするためには債券ディーラーのGCレポファンディングをトータルでオペ調達でまかなえる(まあ人によってはずーっとショートファンディングするのもいるでしょうからミクロで見たら全員が全員という事にはならんでしょうが)水準までオペを打っていくのが吉かと思うのですけれども。
勿論そうやって行くとどこかでオペが札割れとかいう事も起きるかも知れませんけれども、現在は当座預金残高目標を実施している訳ではないので、それによって目標が未達という事にもなりませんし、超過準備付利がある以上、利下げへの思惑が相当程度高まらない限り固定金利オペ(=基金共通担保オペ)が未達になる事も無いでしょう(資金の偏在とかも勘案すると固定金利オペ30兆円になってもおそらくそれだけでは足りないような感じがするのだがよー判らん)し、そもそも論として資金供給オペが札割れになったらそこで麿がドヤ顔で「我々は資金を非常に潤沢に供給しております、その証拠に最近は資金供給を行っても市場からの応札がその額に届かなくなっている位なんですよ凄いでしょう(キリッ)」とコメントすればヨロシアル。
しかもですな、コールレートが下振れをするのを容認していますから、市場で資金がじゃぶじゃぶになってGCが恒常的に0.10にちょっとだけ毛が生えた水準(0.100/0.105)とかになった結果としてコールレートが時々0.06だの0.05だのとかになっても全く問題無い所か、そうなった場合には麿がドヤ顔で以下同文。
然るに、GCは微妙にぶれるわ、コールはろくすっぽ下がらず包括緩和前と何がどう違うんじゃという状況になっているのは如何なものかと存じます次第でございまして、いやまあそら金利がベタベタになると商売上がったりという気もせんでもないのですが(苦笑)鐘や太鼓を鳴らして包括緩和でどうのこうのと銘打っておいて実は超短期のオペレーションは何も変わってませんですよえっへっへというのはやはりこう何と申しますか非常にアレなものを感じるものでございます。
と、誰も気にしないマニアネタでどうもすいません。
で、須田さんの講演ネタ(ただし虫干しネタ)と思ったのだが時間がねえ。明日はFOMC声明文という大ネタが待っているというのにこれはどうした事ぞ(自業自得)。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/data/ko1012a.pdf
○講演の(あたくしが勝手に読んだ)ポイントは「景気にやや弱め」「QEよりCE」
とりあえず先に結論だけ書いておきますとそーゆー感じかと。景気に関しては5ページから9ページの辺り、金融政策に関しては15ページ以降になるのですけれども、特に16ページの辺りとかはいやまあその通りですなあという所ではないかと存じます。
で、須田さんの講演はやたら長いのが仕様で、引用するのが中々難しい(長いので)というのがあるんですが、とりあえず金融政策に関する部分をば。
・須田さんは「リスクプレミアムの縮小」を包括緩和の効果として考える
ということでして、暫く前にご紹介した白川さんの話、昨日ご紹介した森本さんの話と微妙に違うのが何と申しますかお洒落なところでして、そーゆー意味では包括緩和っつーのは包括なだけにイメージが微妙にバラバラ。そのバラバラなところが出ているのが今日もうだうだと悪態をついております資金供給オペとGC市場に関する部分とかになるのではなかろうか、という感じが非常にするんですけどねえ。
まあそれは兎も角として本文15ページから。
『これはさきほど述べた4つの分類のなかでいえば、あくまで長めの市場金利の低下(@)と各種リスク・プレミアムの縮小(B)がメインです。この点、市場では、基金の規模に注目する向きもあるようですが、「量」は本措置の直接の目的ではなく、あくまで、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を狙った後に、結果として「量」が拡大することを改めて申し上げておきたいと思います。』
さいざんすな。
『なお、ここでいう、リスク・プレミアム縮小への働きかけは、リスク資産を大量購入して価格を下支えすることを意味するものではありません。言い換えれば、日本銀行が、リスクを取って多様な金融資産を購入することにより、それを「呼び水」として、市場におけるリスク性金融資産に対する需要・供給が増え、すでに潤沢に供給されている資金が経済の活性化のために有効活用される効果を狙っているものです。』
これはまあそうですな。で、そのうち長めの市場金利の低下に関して須田さんは反対だった訳で、その理由の説明が本文16ページ以降にあるのですが、まあこれはこれで筋の通った話ではございます。
『ただ、私は、この「包括的な金融緩和政策」のすべてに賛成することはできませんでした。具体的には、本基金の買入対象資産として、国債を検討対象とすることについて反対しました。』
その理由ですが。
『主たる理由としては、現在のように、金融機関の目が資産運用対象先として国債に向かっており、かつ短期金利のみならずより長い金利も低くなっている中で(例えば2年物金利は過去1ヶ月でみると0.130〜0.200%で推移しています)、長めの市場金利の一層の低下を促すよりも、高止まりしているリスク・プレミアム縮小への働きかけ(Bの質的緩和)を強めることがより有効ではないかと考えていたためです。』
『したがって、長めの市場金利低下を一層促すために国債買入れを増額させても効果は限定的である一方、債券市場の過熱に繋がるリスクや、過度な金利低下が金融機関の収益機会を奪い、かえって金融緩和効果を阻害する惧れがあり、副作用の方が大きいと考えています。』
まあ実際は資金供給オペの匙加減でターム物金利はいじれるというのも今回実証されているのですよね(−−;)
『その上、長期国債買入れについては、財政再建への中長期的な道筋が不明確な中、銀行券を上限とする取扱いに例外を設けると、財政ファイナンスに一歩近づいたとの疑念が市場に生じ、かえって長期金利に悪影響が及ぶ可能性があることを懸念したことも反対の理由の一つです。』
まあ現状の日本は財政ファイナンスネタがメインではないと思いますが、米国とか一時怪しげでしたわな。最近は30年とかの上昇幅がマイルドになってきたので、どっちかというと景気回復商品価格上昇減税継続ヒャッハー相場だとは思いますが・・・・
という所で時間がなくなったので続きは後日(大汗)。
2010/12/13
お題「2年金利が引き続き微妙ですな/森本審議委員講演と会見」
木曜に7毛強だと思ったら金曜の10年米債は11毛甘とな。
○2年辺りの金利の上昇を牽制したいのは把握したけど
金曜は米債上昇を受けて、というか米債が上昇したのでやっと買う気になったので、という感じなのでしょうけれども債券市場は威勢良く上昇した訳ですが、その間に2年のケツが重いのが気になるところでございました。つーか場中2年1毛甘とか出合っていたのはナンナンダという所でございまして、この辺の超短いゾーンの戻りが鈍いというのは包括緩和実施後のポジションの積み上がりが大きくてイカレポンチな状況の傷がそれなりに深いっちゅう事でしょうな。
で、金曜の資金供給オペですが。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of101210.htm
何の変哲も無いように見えますが、金曜は年末越えの共通担保を2本打っていまして、更に2本目は16日スタートという微妙に先のスタートで打っているのが気が効いているオペであります。
と申しますのは、足元での資金需要への配慮をしたオペですなあという所がある訳でして、年末越えのニーズはあり手前で落ちる資金に関してはそんなに需要無いでしょ、という点と、足元での資金需要は積み最終日の15日までとその先では当然ながら違ってくるという点を考えたオペであるという事で、まあ要するにこういう感じで年末みたいなイベントの前には共通担保の入札方式の方で3週間から1か月程度(まあ市場の地合いによって違うけれども2か月くらいまで)のオペを入れていくと(まあそれでもショートファンディングばっかりする向きもいますが)市場のショートファンディングも軽くなってGCが落ち着きやすくなると思いますし、この辺の配慮を示してGCレートを落ち着かせたいというのが伝われば徐々に短国の金利から落ち着いてきて2年の0.2%台というのも落ち着いてくるかも知れませんな。
とは言いましても、結局のところGCレートがベタベタになるか、追加緩和への期待が出てこないとタームのリスクプレミアムを勘案してみると中々こう2年とかの金利って下がってくれないのかなあとも思われるところでございます。でもそれって「長めの金利に働きかける」という包括緩和のお題目に対してどうなのという感じがしますが・・・・・
森本審議委員のデビュー戦講演ネタの続きを。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko1012d.htm
講演の基本的な部分は展望レポートの説明になりますので、その辺りは基本的に公式見解ベースの話になるのですが、金融政策運営に関する部分では森本さんの見解が示されているのでその辺りから引用しますね。
○短観の落ち込みに注目
で、その中で包括緩和の実施に関して、どのような点を注目したのかというのが早速ございまして(本文8ページ以降)。
『しかし、10月初頭の金融政策決定会合の時点では、夏頃からの米国経済の減速や為替円高による企業マインド面への影響などを受けて、わが国経済の成長率は従来の想定をやや下回ると考えられました。また、先行きの下振れリスクも踏まえると、経済が本格的な自律的回復パスに復するタイミングが後ずれする可能性があるとも思われました。』
まあこの辺は公式見解と同じベースの話ですが。
『特に私が強く意識したのは、9月の日銀短観の結果です。駆け込み需要の反動などから、業況判断の先行き予想がある程度悪化するだろうとは思っていましたが、結果をみてみますと、悪化の変化幅は考えていた以上に大きなものでした。』
ほほう。どちらかというと足元の数字ばっかり見ちゃう傾向があるあたくしはそんなに悪くないんじゃないかという風に思ってしまっていましたが、それよりも先行き数値に示されるマインド部分に注目していたと言う事ですか、なるほど。
○包括緩和政策は金利ルート
まだネタにしてませんが(後入れ先出しでスイマセン)須田審議委員の講演では包括緩和政策に関して別のルート(そらまあ元々基金の国債買入は反対して社債、CP、ETFやJ−REIT買入は賛成する位ですから当たり前ですが)を推奨してますし、先日の白川総裁の講演を見ると(本人は露骨には言ってませんけれども)白川さんは為替ルートでの効果をメインに見ていそうなのですが、森本審議委員はより直球で金利ルートによる政策波及効果を見ているようですな。
『対応の主眼は、金融緩和を一段と強力に推進することであり、私としては、まず、(1)金利誘導目標の変更と
(2)「中長期的な物価安定の理解」に基づく時間軸の明確化を打ち出すことは重要であると考えました。』
『さて、そのほかにどのような手が打てるかです。金利はオーバーナイトからやや長めの期間まで、これ以上の低下は難しいという水準まで下がっておりまして、従来の金融政策の枠組みからしますと、選択肢は非常に限られていた訳です。そうした中で、パッケージの第3弾となる(3)資産買入等の基金の創設を打ち出すことになります。私も、一層長い期間の金利まで政策の対象を拡げ、また幅広い金融資産を買い取るなど、臨時異例の施策を排除せずに多様な可能性を検討することは是非やるべきであると思いました。』
という説明なのですが、基本的には金利ルートの方をメインで説明している感じですわな。
○ちなみに成長基盤強化に関して
成長基盤強化オペに関してこういうコメントがあるのはほほうと思うのでした。
『日本銀行の成長基盤強化を支援するための資金供給に関して、白川方明総裁は、「資金を貸し出すという即物的な効果以上に、問題提起をしていくことの重要性を感じていた」といった発言をしていますが、産業界にいた私も全く同感です。問題の本質、根源的な原因を冷徹に見極めること、そして時間がかかるとしても根本原因に対して最も的確な対応をとることが求められていると思います。』
これまたまだネタにしてないのですが、須田さんの別の講演(というか大学での特別講義)でデフレに関する説明をしているモノがございまして、そちらでも成長基盤強化の必要性の話がございまして、中々良い感じの講演なのですが、急ぐネタでもないのでヒマな時に引用します(こら)。
と言う感じなんですけどね、会見の方で「うーむ」というのがあってですなあ。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk1012b.pdf
○会見で非常に気になったのは足元の市場動向に関する質疑応答でして・・・・
『(問)長期金利について伺います。先ほど、委員は包括緩和の効果を総合的に評価して欲しいとおっしゃいました。森本委員は、現在の長期金利の上昇は一時的であり、現段階では、長期金利の上昇が緩和効果を阻害するとか、日銀が長めの金利を下げようとしていることに対して悪影響を及ぼしている状況にはなっていないとお考えだということでしょうか。』
本当はこういう時に「足元で時間軸効果が働いているであろう期間の金利までが上昇傾向となっている点についてはやや違和感があります」とか言いますと日銀として危機感持ってますよってえのが伝わってタダで効果が出るんじゃないかなあという気もするんですが・・・・
『(答)今の長期金利の上昇は、ある程度米国の影響もあると思っていますが、現在の包括緩和は、既に社債のスプレッドが下がってきているなど現段階では一定の効果を発揮していると思っています。それが長期金利に至るまで、どういった経路を辿っていくのかという点については、金融政策の浸透には一定の時間がかかることもあり、もう少し時間をかけてしっかり注視していきたいと考えています。現時点では、長期金利の動向が大きな悪影響を与えるという状況だとは考えていません。』
ということで「大きな悪影響を与える状況だとは考えていません」の文章の流れを見ると別にまあ長期金利上昇を容認しているという程の発言でもないのは判るのですが、ヘッドラインとしてはこういう時に必ず最後の部分だけ切り取られてしまいますので、特にマーケットが大きく荒れているような時(この会見があったのは先週木曜の大暴れ相場ね)には言い回しには注意した方がよろしいかと。
それから包括緩和って社債とJ−REITには効いていると思うのですが、一番見た目の資金を出していることになっている国債のターム物金利がですねえ・・・と思いつつ会見を見ますと、上記の質問にある「総合的に見て欲しい」云々はこの辺りの質疑応答をベースにしていまして。
『(問) 2つお伺いします。1つ目は最近の長期金利上昇の動きについてです。米国の影響を指摘する声があるほか、国内でも長期プライムレートを引き上げる動きもあります。この点について、どのようにみておられるのか委員のご見解をお聞かせ下さい。(2つ目は割愛)』
『(答) まず、長期金利の上昇についてお答えします。米国の状況についてはいろいろな見方があります。すなわち、市場予想を上回る経済指標が出たとか、減税の効果とかいろいろなことが言われていますが、そうした情報がどの程度長期金利に影響を与えているのか、はっきりとは分かりません。ただ、株式市場が活況を呈している一方で債券市場の地合いは悪いといった状況が、ある程度日本の長期金利にも影響を与えているということだと思っています。』
まあこの辺は良いとして。
『こうした中で、私どもとしては包括緩和策を実行している最中であり、まさに政策パッケージとして打ち出していますので総合的に評価して頂きたいと思います。この効果はある程度出てきていると申し上げましたが、加えて時間軸効果についてもはっきりと考え方を申し上げています。こうしたパッケージとしての対策を打っていく中で長期金利にも影響することが期待されます。金融政策の効果浸透にはある程度時間がかかりますので、買い入れは始まったばかりですが、来年にかけてしっかりやっていきたいと思っています。』
「買入はまだ始まったばかりで来年に掛けてやっていく」ってあーた金利を下げるっていう話をそんなにちんたらとやられましても困るんですけど何かどうも怪しげな理屈ですなあと思うのですが・・・・・・
でですね、わざと今回質疑応答を逆順から引用しているのですが、会見要旨の3ページ目の質疑応答の中に問題の本質ではないかと思われる部分が見え隠れするのでありますよ。
『(問) 日本銀行は10月初めに包括緩和を決定し、既に資産の買い入れが開始されています。本施策については、市場関係者からも一定の効果がみられると評価されていますが、この点に関する委員のご見解をお聞かせ下さい。』(この質問は2ページの最後)
『(答)(冒頭部分割愛)最近の銀行間取引の動向をみますと、きわめて低い水準にあったターム物金利が、僅かでありますがさらに低下しているほか、社債についても発行環境が改善しており、対国債の金利スプレッド幅も縮小しています。』
ええええええええ!!!「ターム物金利」って何ですかああああ?????短国の金利とか2年の金利とかの「国債」の金利は包括緩和実施後上昇しているのですけれどもおおお。
もしかして「ターム物金利」ってあの非実在金利として著名なTIBORの事ですかねえとは思いますけれども、その先物であります所のユーロ円金利先物金利も上昇しているんですけどねえ。(現物?は一応下がっています、為念)
『また、株価あるいは、まだ買い入れを始めていませんが、J-REIT価格をみても上昇しているという点では、投資家の安心感が広がり市場が拡大しつつあるなど、一定の効果が顕れていると思います。』
いやまあ社債とJ−REITに関しては確かに効果が出ているように見えますけれども、一番資金突っ込んでいるターム物金利に関してはどう見ても包括緩和が華麗に空振りした結果になっている(まあ包括緩和ではなくて市場機能重視オペレーションが基本にあって、そこに米国のQE2大空振りが外的ショックとして追い討ちを掛けたので米国のQE2空振りとはちとその空振りの意味が違う)のですけれども・・・・
という事でですな、いやまあ知っててオトボケの話をしているのならまあそれはそれで芝居として有りだとは思うのですが、審議委員デビュー戦での会見での質疑応答でこういうのを見せられますと、もしかして事務方が真面目に上に対して「ターム物金利は僅かですが下がっています(キリッ)」ってご説明申し上げているのでしたらヒジョーに寒いものを感じるのですが、それはあたくしの心配のし過ぎですよね、ね、ね、ね・・・
2010/12/10
お題「何かもうワケワカランチな相場の雑談/森本審議委員講演と会見メモのみ」
禿しく訳の判らん相場展開が続きますが皆様お元気でおられますでせうか。
○底を打ったと思ったら調子に乗って持ち上げて下がったでござるの巻
昨日の債券市場ですがもう何が何だかという大変にカオスな展開。債券先物で言えば寄りから30銭ちょっと上がってまた同じくらい下がって前場引け近くは寄りの20銭上くらいとなり、入札の後は相場が豪快に上昇して70銭位上昇したと思ったら失速して逝き最後は高値から1円近く下がるとかもう訳判りません><;
何か前場から5年入札に向けた調整が入ってまして・・・と言いたいのですけれども、2年とかの中短期ゾーンが入札前の調整というようなレベルを超越した弱さを呈していまして、前場途中の安値近辺で確か2年カレントが2毛5糸甘の0.230%とか先週月曜に衝撃の0.21%とか言っていた筈なのですが(いやまあその間に新発出たから一応2年カレントの償還が1か月伸びてはいるのですが)更に驚愕の展開でして、何か親の敵のように中短期を外している人がおりますなあってな感じでして、5年入札に暗雲が。
でまあ入札の方はクソ大流れするかという懸念程ではない結果となりました(とは言っても前場引けの0.560/0.565の気配からしたら0.565/0.574ですし応札6兆しかなくて大概にうんこな入札だったのですが)上に、市場推計の落札結果で不明札が(たぶん)8000億くらいと比較的多く、いやあやっと投資家さん(まあ要するに銀行さんでしょ)がどどーんとケツ入れをしてくれましたなあという雰囲気になって相場様は上昇。
上昇する間に5年とか10年とかは先物の上昇について行っているようですし、何かこの間に3月限チーペストが挙動不審モードで3限とチーペストの辺りも買いモードになっていましたようで、相場は何か知らんが勢い良く上昇しやがって、さすがに「おいおい先週来時々やってる謎の急反発じゃねえかこんなに戻すと明日また米債次第でヤバイんじゃないの」とか仲間内で言ってたのですが(本当)、13時40分過ぎ(だと思う)の先物高値139円97銭から相場は失速。その後は途中で揉む所もあったようですが、何か引けに掛けて下げるわ下げるわという展開になりやがりまして、引け際は139円とび台まで下がるでござるの巻と。
カレンダースプレッドは拡大した後縮小してまして、素直に読めばショートロールがドカドカ入った後にロングロールがドカドカ入ったという事になるのでしょうが、こちらもまあ久々に良く動きやがりましたなあという感じです。それから先物に関しては、3月限チーペストは同じ償還に3銘柄あるというパターンで、12月限チーペストの289回債のような複数回発行銘柄じゃないのでちょっとした大きな買いが入ったりすると品薄になりやすい上に、昨今の先物回りドカ売られの影響で輪番オペにこのゾーンが結構打ち込まれているものと推測され、まあこちらも色々とありそうな悪寒。
しかしまあ何ですな、後場途中からの下げが正直さっぱりワカランチ会長でございまして、必ずしも昨日の場合は先物主導でもなかったような感じで、その間に現物の売買もそこそこ入っていたような感じですから、どこの誰が売ってるんですか><;という所ですけど、一昨日とか昨日の前場とかの動きとか見てても思うのですけれども、シャッター下ろしモードになっている向きが順番に出てきて循環物色ならぬ循環投げになっているのではないかという悪寒もするのでございます。コマッタモンダ。
何せ昨日の場合は5年国債入札がちょっと悪かったけれども、これはどう見てもバンク様ケツ入れです本当にカムサハムニダとなって相場も戻って安心感を漂わせて来た所にいきなり大鉄槌下るの巻という諸葛孔明の罠のような展開になってしまいまして、いやはや参ったとゆー感じではございました。昨日は後場の上げが途中から上げすぎだし、余計に上げたら今度は売りを誘発して余計に下がったでござるという感じかなあと思う次第でありまして、おじちゃん怒らないから昨日後場カチ上げ買いをした人ちょっと出てきなさいとゆー所でございます(−−;)。
つーことで相変わらずチョッピーな展開なので落ち着きませんが、米債様が落ち着いてくれたのかどうか知らんが昨晩はそんなに引け対比だけは動いていませんしそろそろ落ち着けやと思うのでありました。
#何の考察も無いただの相場後追いメモでどうもすいません
○2年カレントの引けが0.220%ですかそうですか
つーことでさっき書きましたように相場は何が何やらの素敵なカオスになっているのですけれども、その間に更にワカランチ会長なのは2年とかのゾーン。
昨日は前場中期の売りもさることながら2年とかの短い所も気配を下げまくりまして、カレントが0.23%ヒットとかやっておる訳でして、時間軸の強化とかより長めの金利の低下を促すとか何処に逝ってしまわれたのでしょうという大変にビューテホーな展開になっております。いやあ日銀様の庭のお向かいさんが大火災でボーボー山のボーボー鳥という風情となっておりまして、いやまあ米国貰い事故の面もあるにはあるのですが、そもそも包括緩和実施以降にあのステートメントの文言で普通に想定できるシナリオの「GCレートは0.10%カツカツでベタベタ、無担保コールは0.08%とか時々0.05%近くまで低下するかもね、まあマーケットは縮小するけどシャーナイナイ」という流れを見事に裏切るGC市場機能重視(??)オペレーションを実施して延々とGCがぶれるのを容認した結果、期待で積みあがったポジションの解消とかも入りだしてゲロゲロになりましたなあというのがありますので猛省を促したい所であります(まあ為替円高と株安の方は一服してますが、今の金利状況でもし為替と株が反転しだしたらどう見てもナントカ経済新聞を筆頭に日銀を釜茹での刑に処すべしというキャンペーンが打たれると思いまっせ)。
まあしかしここまで壮麗に崩壊してしまいますと、そう簡単に戻ってくれるわけはござーませんですわなという感じでして、昨日はまあ6月/12月利払い債の振替停止期間入りに関わる売買最終日の絡みもあったと思いますが、レギュラーネクストのGCは0.09%台に低下しているというのに、そんなのお構いなし状態の2年売りモードという事でございましたし、年末越えのオペは相変わらず0.11%の札が中心ですから必ずしも全部が全部金が余っているわけでもございません。短国買入も甘め(ただしこれは引けが強い分甘く見えるというテクニカルな分があるのでそこは割り引いて見る必要がある)でしたし、全体的に重かったりするんですなあという展開に落涙を禁じ得ません。
もうね、とりあえずオペをどどーんと出すとか、長めのオペ打つとか(基金共通担保の固定オペじゃなくて)、まあ足元でクーポン物の関係で国債の担保玉が薄い所なので超足元で別に金が無い訳ではないと思うのですが、まあここは一発何か危機感持ってますよ的な姿勢を(先週前半の当座預金20兆円攻撃みたいに)見せて、まあ見せたからといって直ぐに中短期ゾーンが落ち着く訳でもないでしょうけれども、大火災ボーボー状態を拱手して居る訳ではないですよという姿勢で落ち着きを取り戻させるようにしないと。長期とか超長期はまあ米国もらい事故で言い訳できるけど、さすがに基金買入を新設して「2年までの国債を新規に購入」と銘打っているのですから、2年の金利が包括緩和前どころか年初来最高水準に上昇しているというのは何ぼなんでも日銀としては言い訳が苦しいと思いますけどね。
・・・・とか何とか書いているうちに時間が無くなったので森本審議委員の講演と会見ネタはメモだけ。
○森本審議委員デビュー戦ですが会見がちょっと・・・・
森本審議委員デビュー戦
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/data/ko1012d.pdf
途中までの説明は展望レポートベースの話なのでそんなに変わった話ではないのですけれども、金融政策運営に関わる部分では森本さんが今回の包括緩和でどの部分のルートを重視したかというのがコメントされています。
で、引用もしないで結論だけ申し上げますと、森本さんは「金利ルート」重視の説明をしていまして、(これまた虫干しネタになっていますが)先般の須田さんの主張する「各種スプレッド縮小ルート」重視とは対をなしている感じでございます。
まあそれ以外に関しては展望レポートベースの説明なのでそんなに特異な話をしている訳でもありませんですな、と思いました。
で、ちょっとどうかと思ったのは会見でして。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aBObyZDPtqe4
森本日銀委員:大きな悪影響与える状況でない−長期金利上昇(Update2)
『12月9日(ブルームバーグ):日本銀行の森本宜久審議委員は9日午後、さいたま市内で会見し、長期金利がこのところ上昇傾向にあることについて「大きな悪影響を与えるまでの状況とは今はまだ考えていない」と述べ、当面情勢を注視する姿勢を示した』(上記記事より)
いやまあ昨日の債券市場で別に森本さんの発言に反応して動いたという訳でもなかったようです(昨日、というか最近は審議委員の講演だの会見だのに一々反応する所ではないようなスーパーカオス展開が続いておりますので)が、タイミングとしてこのヘッドライン出たのが14時半前後とかで相場がヘロヘロになっているところでもありましたし、まあ後付けでそれこそ先ほど申し上げた危機感云々という所を突っ込まれる格好のネタになる所でございます。
平常時とか特にまあどうでも良いちんたらした動きをしている時なら良いのですけれども、足元で米国金利も日本金利もボラの高い動きとなっており、かなり地合いが不安定になっている時にはこの手の発言が絶好のガソリン投下になるリスクがある訳でございまして、デビュー戦でいきなりこの相場の中というのはご愁傷様ではあるのですが、そうは言いましてもやはり審議委員としては相場が荒れている時の
発言はより慎重に願いたいと思うのでございます。
詳しくは後日(汗)。
2010/12/09
お題「5年0.5%とか2年が再度0.2%とかまあ色々雑談を」
金融維新とかいう著書で「銀行預金は経営者が個人保証すべきだ」などと大層威勢の良い事を仰っていたお方が保釈保証金の供託能力がおありになるとは摩訶不思議な話ですなあ(ニヤニヤ)。
てな話はまあいいのですが、米債2年って0.6%なのね、ふ〜ん。
#しかし財政拡張ネタ(なので財政による景気拡大もあるけど財政懸念ネタもあると思うのだが)で米国長期金利上昇しているのに「金利上昇でドル買い」とか反応しているのは何っちゅう反応だよ為替市場・・・
○ゲロゲロなのは中期とか先物とかっすかそうですか
昨日の債券市場ですが、米国債券が大甘となった事から下落して推移した訳ですが、昼以降に米債がヘロヘロ(30年が4.4%とか10年が3.25%とか)になっていたり、輪番オペの超長期対象が前場の引けのビットサイドの向こう側の決着になっていたり、3か月TB入札がまさかの滑りの結果となってみたりとか、まあ微妙に雰囲気を悪くするネタが相次いで、先物が140円50銭切った辺りから下げが加速して安値更新してから更にゲロゲロに。押し目買いとかで戻ったりする中で中期の戻りがやたら悪く、如何にも中期に売りが出ましたとゆー動き。
んでまあ引け値ちゃんを見ますと2年が2.5毛甘の0.205%とまたまた日銀の庭先がボーボー炎上してますよ!!!という所でございますが、5年は華麗に10毛甘の0.515%となり(新発のWIは知らん)先物ちゃんの所はチーペストで12毛甘、先物価格では111銭安となって、10年カレントが7毛甘の1.240%とゆーことで10年よりも5年の方が甘いと言うお洒落な展開。どう見ても中期ゾーンぶん投げ大会です本当にありがとうございました。
先物ちゃんも何かカレンダースプレッド拡大してやがって(7年10年が5毛フラットしとるちゅうのに)当限が最終日前日だから先物に売りを被せる人が当限叩き売ってすかさずカレンダーでショートロールを入れて来るとゆーよーな動きがあってカレンダーが妙に拡大したのでは無いかと勝手に妄想するのであったりするあたくしですが、単なる妄想かもしれませんので念の為(^^)。
ということで、5年が何と0.5%乗せとなってしまった訳ですが、本日は償還が3か月伸びる新発5年国債ちゃんの入札でございまして、頑張ってここから3毛位甘くしたら夢の0.6クーポンまで展望できる(いやさすがにそれは無いと思うが、笑)というおそロシアな状態になっておりまして、包括緩和とは一体なんだったのかと(ちなみに包括緩和決定翌日の5年カレントの引けは0.20%でございましたが^^)いう所ですわな。
○3か月TB入札が滑っているのが気になるのだが
昨日の3か月TB入札結果。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul221208.htm
(1)応募額 16兆1,912億円
(2)募入決定額 4兆3,994億8,000万円
(3)募入最低価格 99円96銭6厘0毛
(募入最高利回り) (0.1253%)
(4)募入最低価格に 2.3533%
おける案分比率
(5)募入平均価格 99円96銭6厘6毛
(募入平均利回り ) (0.1231%)
前回債は入札が流れた後でセカンダリーが好調だった事から0.12%ビットサイドとかやっていたりもしたのですが、入札は想定していた足切り水準よりも流れた(まあ按分極薄ですけれども)ですなあという感じで、まだ0.12%台なんですかそうですかという風情。
昨日の資金供給オペでも2本あったうち16日に落ちる方は0.100%でしたけれども、1月6日エンドの方はがっつり0.11%の札が入って平均落札利回りは0.111%(足きりは0.10%だけど按分極薄)に上昇していまして、まあ端的に申し上げればこの結果は日銀のオペによる資金供給姿勢に関して、「この前は厚め供給をして2年0.20%乗せに対応したけど、どうせ金利が落ち着いたらまた資金供給を引いちゃうんでしょ」と市場が認識していると言う事を示しているでしょうなあと思われる次第です。
即ち、足元では積み最終が近づく中で資金は余っているものの、次の積み期間になったらどうなのよという点とか、20日の国債償還に伴う資金余剰によってオペ残を落としてくるんでしょうなあという事を考えていますなというところでして、当座預金残高に関しても先週は20兆円ペースに拡大しましたが、レポレート下がったと思ったらあっさり18兆円割れペースになってきて、その間にオペが徐々に落ちて来てますし、まあそんな動きを見ていたら日銀のオペでGCをベタベタに押さえつけるというような動きが想定しにくいのは当然ちゃあ当然。その上追加緩和期待が皆無の今日この頃でありますから、そらまあターム物金利には当然ながら足元金利に対して期間のリスクプレミアムが乗りますわなという所でありまして、まあ要するに市場機能論とターム物金利の引き下げという話は両立しないんですよとっととどっちにするのか決めやがれとゆー毎度の悪態になるのでござました。
しかしまあ長期とか超長期は米国貰い事故で話を済ませても良いのかもしれませんけど、2年0.20%とかはやはり包括緩和実施時に示した金融政策運営に関する公表文の内容と話が一致しませんし、この辺りの金利が不安定、っつーか上昇している事が中期ゾーンの金利がアンカーされない事に繋がり、本来米国が少々動揺しても問題なかった筈の中期ゾーンに壮大なぶん投げ祭りを巻き起こしたとも言える部分は多々ございますので、もうちょっとその辺何とかならんのかねとは思うのですが、オペで工夫するって言いましても一旦「包括緩和で長めの金利に働きかけるって言ってたのは嘘八百だったんですね」と信頼を失ってしまった市場の信頼を取り戻すのはそう簡単に行くものではないですし、そもそもGCレートをずーっと押さえつける気も無さそうですし、そう考えますと中短期のアンカー度合いが強化されるのには残念ながら時間が掛かるかもしれません。
普通に考えたら時間軸もあるし中短期の今のレート形成ってどうなのよとは思うのですけれども、何せ市場の動きが普通じゃないですからねえ・・・・
○雑談とか予告編とか
・何と言うセンスの無い発言(海江田経財相発言)
まあ雑談ですが。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aNgTjfjDpunk
経財相:銀行券ルール撤廃してもよい−過度の円高には対応(Update1)
いやね、米国市場でちょうど財政懸念で長期金利上昇とかやっている最中でありまして、そのタイミングで財政マネタイズ推進を想起させるような発言をしてどうするんだこのアホウはと思います。幸か不幸かこの人が何発言しても市場が全く反応しない(というか相手にしない)ので実害は無いのですけれども、発言内容を見ると(引用するのも馬鹿馬鹿しいので上記記事を見てちょ)日銀にあれやれこれやれと言う中で政府が何かするという話も無く、為替に関しても「基本的には市場が決める」とかこれまた世が世なら燃料投下な発言をするという状況はもう情けないですわな。
まあ海江田先生におかれましては可及的速やかにテレビタレントにお戻りになられるのが日本にとって幸福であるかと存じますので、東京1区の有権者の皆様におかれましては、やはりここはヤケクソで唯一ネ申マタヨシを(大嘘)。
#なお、あたくしは腹を切って死ぬべきであるとか地獄の火の中に投げ込まれるべきであるとか申しませんので念の為^^;
・虫干しネタの予告
先月のBOE議事要旨
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2010/mpc1011.pdf
第33パラグラフ以降が金融政策決定に関する議論の部分なのですが、インフレに関する評価及び見通しにつきましての議論が益々カオスになっておりまして、まあ要するに上下どっちに振れるのかの不安定要因が拡大しているんですねという所なのですが、どのファクターが効いて来るのか、という面に関しては英国の状況およびその分析というのも興味のそそられる所です、というような話をしようかなあとか思っているのであります。
あと、海外の経済に関する議論では、米国の資産購入プログラム実施後の影響に関するコメントがあって、まあそうですなあと思うのがありましたので、第11パラグラフだけ引用。
『Recent international meetings had highlighted the concerns of some countries’
authorities about perceived potential spillovers arising from further asset
purchases in the United States and elsewhere. The decision by a number
of emerging economies to introduce measures to limit capital inflows in
recent months and by some countries to intervene to limit the appreciation
of their currencies was symptomatic of those concerns. Without effective
co-operation, there remained a risk of competitive currency devaluations,
or protectionist trade measures that might harm global potential supply.』
協力体制が無いと通貨切り下げ合戦、さらには貿易保護主義の台頭というようなリスクがありますよね、という問題意識をBOEのMPCは指摘しているというのに「ほほー」と思うのでありました。
2010/12/08
お題「米国のQE2相場が財政マネタイズ相場化ですか??/包括緩和実施のロジックがワケワカンネ」
うーん、株高でウヒャウヒャ言うよりも債券大下げの方がどうかと思うのだが、まあ不景気の株高でもええっちゅうなら別に良いのかねえ>モーサテの皆様
#と思ったら引けでダウマイナスになってやんの
○さあ盛り上がってまいりました!!
ブッシュ減税延長ネタで東京時間の昼間では10年米債が5毛甘程度だったと思うのですけれども海外時間になったら随分売り込まれたようで誠に香ばしい展開。30年が4.37%(13甘)で10年が3.13%(20甘ですと?)2年が0.53%(10甘)とか中々お洒落な展開ではございます(細かい数字は丸めているので勘弁)。
時あたかも先日の雇用統計が(陰謀論になってアレなのだが、最近の雇用統計は債券市場を動かそうとして最初の速報時点で微妙に手心を加えて後から改定しているのではないかと思ってしまうくらい絶妙な数字の出方をするんだが^^まあそれは兎も角)少々アレな数字でございまして、バーナンキ先生が「長期国債買入を更に拡大する気満々」という発言をした後でございまして、どう見ても通貨安政策です本当にありがとうございましたという風情でございます。
つーかさ、長期国債の買入で失業が改善するというのがサパーリ判らんのでありますが、まあ長期国債買います財政拡張しますで債券市場がビビットに反応というのも実にこう昔々の日本を思い出すのでございますけれども(^^)、市場の反応が通貨安政策的な反応をしている市場を見ますと、先般のバーナンキ議長がECBのコンファランスだか何だかで行った講演がお笑いに見えてくるのだが。曰く、
『Fully aware of the important role that the dollar plays in the international
monetary and financial system, the Committee believes that the best way
to continue to deliver the strong economic fundamentals that underpin the
value of the dollar, as well as to support the global recovery, is through
policies that lead to a resumption of robust growth in a context of price
stability in the United States.』
(At the Sixth European Central Bank Central Banking Conference, Frankfurt, Germany November 19, 2010)
まー大体からして失業率がそうホイホイと改善するわきゃあ無いですから、こうなって参りますと、失業減らないのはQE2が足りないせい→QE3催促相場→QE3実施→失業減らないのは・・・・となりながらイールドカーブが華麗にスティープして元々の政策波及効果として説明している長期金利の低下という話がドンドン遠のくという楽しい話になるのでしょうか。
いやまあ物理的に買い捲ればそこまでのゾーンの金利は下がるかもしれないけど、30年は買い対象に入っている訳でもない(ちょっとしか買っていない)ですし、そもそもその前に財政マネタイゼーション懸念(つーか既にマネタイズ状態だが)から米国債買わねえよとか海外が言い出したらどうすんねんという所ですが、そうなった場合はもしかして国際決済通貨が日本円になるという胸熱の展開・・・は外準がその頃大幅毀損しているから無理か、残念無念(^^)。
まーいずれにせよ、実験室で数ミリグラムのオーダーで実験するようなもんではないですから、あまり盛大な実験をされても迷惑する人が多いのですけれども、米国はどうなるんだかという感じですな。
いやまあ欧州も大概に香ばしい事になっているのですが、これは不良債権処理の押し付け合い問題という話になっているので、ゲルマン野郎はちゃんと負担をしやがれと申しますか、アングロサクソンやらゲルマン共目線の報道を見ていると、南欧諸国に対する上から目線的なものを非常に感じるのでありまして、まあ貧すりゃ鈍すじゃないですけれども、北側の皆様が潜在的に持っているその辺りの意識が思いっきり露出してきて話が更にややこしくなっているのではないかなあなどと、個人的にはラテン系に親和性が高いあたくしは思うのであります。
まー現状ってのは救済などによって更にユーロ通貨圏の経済的な実質的な統合が高まるのか、それとも各国バラバラに戻って昔の大陸欧州に戻るのかという瀬戸際にあるんでしょうなあなどと柄にも無い大げさな事を思うあたくしなのでございました。スペインペセタとかポルトガルエスクードとか懐かしさにこれまた胸が熱くなる展開ではございますが。
ということで、まあどうでも良いのですが、日銀様に置かれましては米国ドルの財政マネタイズ系から来る恐怖のドル安リスク(さすがにそれをやると米国が輸出で潤う前に輸入物価と商品価格がスパークして死ねると思うので、よーやらんとは思うのだが・・・)も何となく感じられる事でもありますので、とりあえず自分の所の市場機能論的なGC上昇放置オペのような短期ゾーンのターム物金利上昇を誘発するようなトンチキオペをして隙を作るような事の無いように心からお願いしたいものでございます。
#日銀のオペがGCをベタベタにする気があるのか確信もてないので3か月だの6か月だのの短国の金利がイマイチ下がらないんだと思いますよ
○またも虫干しネタですが10月4、5日の決定会合議事要旨という超虫干しで
今更ですが包括緩和決定時の決定会合議事要旨なので2か月前の話ですが・・・・
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g101005.pdf
この会合の議事要旨読んでて腰を抜かしそうになったのは何かと申しますと、「追加金融緩和の決定のロジックが全く判らん」という所でございます(−−)。
つまりですな、『V.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』のところを見ますと。
『海外の金融経済情勢について、委員は、海外経済は回復を続けているものの、そのペースは鈍化しているとの見方で一致した。先行きについては、当面、減速を続けるものの、回復基調そのものは途切れずに続いていくことが見込まれるとの認識を共有した。』
『国際金融資本市場について、何人かの委員は、一頃に比べれば、市場における世界経済の先行きを巡る懸念は幾分和らぎ、リスク回避姿勢も幾分後退しているとの見方を示した。もっとも、何人かの委員は、欧州周辺国の国債の対独国債スプレッドが拡大した状態にあるなど、欧州ソブリン問題はなお燻っているうえ、各国の金融政策運営を巡る思惑などから為替相場の大きな変動がみられるなど、国際金融資本市場は、なお不安定な動きとなっていると述べた。』
『こうした海外の金融経済情勢を踏まえて、わが国の経済情勢に関する議論が行われた。委員は、わが国の景気は、緩やかに回復しつつあるものの、海外経済の減速や、為替円高による企業マインド面への影響等を背景に、改善の動きが弱まっているとの認識で一致した。』
『こうした見通しについて、多くの委員は、7 月の中間評価で示した見通しと比較すると、成長率は下振れて推移する可能性が高いとの評価を示した。』
『以上の経済・物価情勢を巡る議論を踏まえ、委員は、物価安定のもとでの持続的成長経路に復する時期は、従来の想定に比べて後ずれする可能性が強まっているとの認識で一致した。』
『わが国の金融環境について、委員は、緩和方向の動きが続いているとの認識を共有した。』
とまあそんな感じの景気判断が続くのですが、その次の『W.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』ではのっけからいきなりこうなるのよ。
『以上のような経済・物価情勢に関する検討結果を踏まえ、委員は、金融緩和を一段と強力に推進する必要があるとの判断で一致した。』
・・・・・何でそうなるの????という話が完全スルーでありまして、この先は「では更に強力な緩和をするにはどうしたらよいか」の話になる所がチャーミングっつーか何つーかでありまして、この間の論理の飛躍を埋める話が何で無いのよというところでありまする。
いやまあさっき引用した経済情勢の検討部分なのですが、リスク要因の所では下振れリスクの話をしていましてですね、
『リスク要因について、委員は、米欧経済のバランスシート調整の帰趨や不安定な金融市場動向など、先進国経済には下振れリスクが大きいという認識で一致した。また、多くの委員は、為替円高について、輸出や企業収益などを通じた経路に加え、企業や家計のマインド面に与える影響を通じても、経済の下押し圧力として作用する可能性があると指摘した。そのうえで、多くの委員は、米国を中心とする海外経済の不確実性の高まりや、為替円高による企業マインド面への影響などを背景に、経済の下振れリスクには、なお注意が必要であるという認識で一致した。』
為替円高というのが連呼されておりますが、まあ要するに下振れリスク=為替円高という事であって、それに対応する包括緩和でございますよとはさすがに露骨には言わないのですけれども、この辺りの文言を見ておりますと、よーするに包括緩和は主に為替の円高に対応した政策ですよというのが本音に近いんでしょうね、という風に読むのが自然なような気が致します。
となりますと、米国のQE2による金利低下効果不発によって米国金利上昇→ドル安進行のストップというので日銀ウハウハという展開になっているのでGCが上昇してもキニシナイと言う事でございますかねえとか嫌味の一つも申し上げたくなるのですが、財政マネタイズ相場になると金利上昇でのドル高と話が別になってくるのでまたオモローな展開があるのかもですな。
ただまあ政策効果および目的に関してですけどね・・・・・
『委員は、オーバーナイト金利の低下余地がなくなっているもとで、金融緩和を強化するためには、追加的な緩和余地がまだ残っている新たな領域に金融政策の対象を拡張するとともに、幅広く政策措置を実施することが適当であるとの意見で一致した。そのうえで、多くの委員は、新たな領域として、長めの市場金利の低下や各種リスク・プレミアムの縮小を促していくことが適当であるとの認識を述べた。』
長めの市場金利はその後上昇しましたが何か??
『何人かの委員は、日本銀行がリスク・プレミアムに働きかけることで、生産性向上や競争力強化につながるような経済全体のリスクテイク活動を後押しし、金融緩和の効果を一段と高めることが期待されるとの見方を示した。一人の委員は、リスクフリー金利の部分とリスク・プレミアム部分の双方に働きかけることで、借り手の資金調達コストを全体として引き下げるとともに、資金のアベイラビリティを高める効果も期待されると述べた。具体的な措置として、委員からは、金利誘導目標の変更、時間軸の明確化、多様な金融資産の買入れなどが挙げられた。』
まあここはよいとして。
『一人の委員は、政策対応を検討するにあたっては、政策思想や目的に一貫性を持たせつつ、幅広い政策の動員を図ることや、政策に拡張可能性を持たせることなどを念頭に置いておくことが適当であると述べた。』
結果としては何か政策思想の中に市場機能論的な変なものが入って一貫性が持たれていないから(2年くらいまでを含む)ターム物金利の上昇に繋がったんとちゃいますかという気がするのは気のせいですかそうですか(−−)。
ということで、包括緩和実施の金融政策決定会合の割には何か妙に政策決定判断の部分でのブラックボックス振りが気になる議事要旨だったんですよね。まあつまりこの辺りに話の飛躍があるということはきっと皆さんもあたくしも会議やる時にあるアレなのでは無いかと存じます次第です(^^)。
#なお、アレとは何かがピンと来ない人はサラリーマン属性の高い人に聞けば判るかと(^^)
2010/12/07
お題「雑談と必死こいて虫干しネタを出すでござるの巻と」
いやね、今更虫干しネタとかどうもすいませんちゅう所なのですが、こーゆー所に備忘録を置いておかないと打ち出した紙に赤ペンで色々と書いただけでファイリングしてしまい中身忘却しちゃうもんでちょっとだけでも書いておかないと、という感じなんですよね。
○各種市場雑感
・先週末に社債買入オペがあった訳だが
すいませんすいません今更ですいません。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba101203.htm
出来上がりの日銀購入レートの平均が0.181%で足きりが0.151%(按分は極薄ですが)という事ですが、2年カレントの金曜の引けが0.185%とかでござんしたので、まあ1年から2年のどこを入れるかにもよりますが、うっかりすると国債アンダーで日銀様お買い上げという中々結構な結果。
最初はもっとアレな銘柄をどんどん打ち込んでレートがそこそこ高いという流れになるかいなとも思わないでもなかったのですが、現実問題としては社債買入やる以前からクレジットスプレッドが縮小していて、かなりの銘柄のセカンダリーでのスプレッドが潰れていましたので、そもそものコストがそんなに良い訳でもないですから突っ込む物もそんなに無かったということですかねえ、よー知らんが。
ところで、話としてデリケートだから書きたくは無いのですが、一応申し上げておきますと、個社名を挙げて日銀の買入の対象になったならないという報道をしているベンダーがいるようなのだが、これクレジット市場の環境が良いから結果的には大きな問題にはなっていないようですが、平場でこんなのが報道として思いっきり表に出てしまうというのは、世が世ならテロ行為に等しい事案でありまして、報道機関としての節度もへったくれも無い(だから他社がこの件で追随報道をしない)行為にも程がありますし、報道するベンダーもベンダーだが、そもそも論から言えばどこかのどアホウがベンダーに話をしないと案件が始まらないのであって、そういうマターをベンダーに軽々しく話すアホウは市場に関わる人間として失格でありまして、話した数名のお方(元ニュースによればそう書いてあった)におかれましては可及的速やかに西方浄土への片道旅行をお勧めしたいものでございます。
#本件はスルーしたかったのだが、昨日もその1社だけ続報をドヤ顔で打ってまして、問題を全然認識してないと思われるので晒しageという事で
という話はまあ兎も角としまして、まあレートが比較的強い所まで入っておりますので、これだとAA格とかの銘柄でも十分ワークしそうでございまして、まー次回はシメシメとばかりに仕込が増えるのかもしれませんが、その時点で国債の金利の方がまた前のように低下しているとスプレッド的には美味しくなかったりするので(絶対金利的には美味しいが)、そのあたりをどう評価するのかはよーわからんです。
・GCレートの件
えーっと、先週後半にはGCレート華麗に0.10%割れとかもあったようでございますが、まあ昨日はとりあえずショートカバー的なビットが一巡したところで0.10%から0.105%とかいう感じのようです。足元でオペ残高が(買入と成長基盤強化を除いて基金共通担保を含む)44兆円ペースまでつみあがりましたので、業者のGC要調達額がオペで充足する形になり、0.12だの0.13だのでのGCでの資金調達ニーズが絶滅し、業者の全体のポジションがGCでの市場運用超になった事からレートの方は落ち着くでござるの巻。
今月は日銀券が月中で5兆円以上の不足地合い(日銀の公表した見込みによると前年比で6000億円の不足拡大になるのですが、今年は年末がロングじゃないですけど不足拡大というのは単純に営業日の問題なのか、実は経済活動が上向きで券の流通が活発化しているのかというのがちょっとだけ興味があります、どうでもいい話ですが^^)見込みになっていて、財政は3兆円弱の余剰地合いでトータルの資金需給は2.3兆円程度の不足超になりますから、まあ資金供給オペは入れやすく、オペ残は自然体でもそこそこの額になりますにゃ。ただまあ、個別の日足を見た場合には20日に財政の払い超が5兆円以上見込まれていますので、ここでオペ残を自然体で落としちゃうと微妙かなあという感じがしますわな。
結局のところですね、基本的にGC市場のレートを落ち着かせたいというのであれば、業者のGC要調達額をオペで充足させる形にして、トータルで見た業者の資金ポジションがGC市場での資金運用超になるようにしておかないと、結局のところ何らかの拍子でGCレートが上がる→資金出し手の目線が上がってしまう→そもそも資金の出し手が頭数少ないので直ぐにレートに反映→最初に戻る、という金利上昇スパイラルに嵌りやすい構造は変わらないと思われる次第。最大の資金の出し手の大手銀行さんが「0.105%じゃないとGCで資金出せませんと諦める」というような状態にならないと落ち着くというのはムツカシヤという事で、即ち「超ベタベタ状態」と「何かあったら突如金利上昇スパイラル」というどっちかしか選択肢が無いという希ガス。
で、金利コントロールしようとしても、先般申し上げましたようにGC市場って足元の資金供給オペにビビットに反応してくれない(先日付取引なので致し方ない)ので、「金利が跳ねる」→「慌てて資金供給を増やす」→「金利が下がるまで少々お時間が掛かる」→「その間に資金の出しすぎになる」→「金利が急低下」→「安心して資金供給を引く」→「気がついたら引きすぎになる」→「最初に戻る」の繰り返しという香ばしい流れに一旦嵌ると永久機関状態になりやすいので注意が必要という話ではございますな。うんうん。
ま、目先は直近のGCレート上昇放置プレイに起因する2年金利0.2%への上昇という事に関して日銀ちゃんがどの程度自分の所のせいなのよという認識をしているのかとか、それに対してマズーと思っているのかいないのかとかゆー所を今後の日々の調節を見ながら見極めていく展開という中々お洒落な日々になりそうではございます(ニヤニヤ)。
#また世の中で気にしているのが30人くらいしかいないネタになってしまったorz
以下虫干しネタで名古屋での白川総裁の講演と会見から。
講演
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/data/ko1011e.pdf
会見
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk1011c.pdf
2年金利が上昇した件に関する他人事的な答えに関しては先日悪態をついた通り^^;
○包括緩和政策の波及ルートに関する説明
講演の半ば以降に金融政策運営に関する話をしているのですが、そこで先般実施を決定した包括緩和政策に関する政策波及経路の説明をしていますが微妙にアレなテイストを感じますのでその辺から。
『第1の波及経路は、企業や家計の資金調達コストを引き下げ、民間部門の経済活動を金融面から支援していくことです。』
えーっと、包括緩和実施以降金利が上昇していますが(^^)。
『FRBのバーナンキ議長は、先日決定した大規模な国債買入れによる追加金融緩和策について、これを量的緩和と呼ぶことは不適切であると言ったうえで、その狙いは、長めの金利を引き下げることにより緩和的な金融環境を実現することであると説明しています。金利引き下げを通じて緩和的な金融環境を実現するという点では、日本銀行による今回の包括緩和も全く同様です。』
まあ米国も日本も金利が上昇しているんですけどね(^^)。
『加えて、今回、日本銀行は中央銀行としては極めて異例ですが、ETFやJ−REITといったリスク性資産を買い入れることにしました。日本銀行の買入れが「呼び水」となって市場参加者の投資姿勢が積極化することになれば、リスク・マネーの仲介の円滑化に繋がり、企業の資金調達環境がさらに改善していくことが期待できます。』
まあこっちはそれはそれで良いのですけど、金利ルートって全然ワークしてねえだろという所でありますが、米国の場合は金利を下げようとしているのか、期待インフレ率を上げようとしているのか(それは二律背反)がどうも見ててワケワカランというかどっちつかずな状態なので長めの金利が暴れる事態になるという事で、そもそもの長期金利コントロールに無理があったんでねえの??という政策目標の設定の間違いっぽいそもそも論的な話でして、更に雇用統計では量的緩和実施しても失業率は改善しないわ(そらまあ数週間で改善したらその方がオカシイが、笑)という楽しい状態になっている一方で、日本の場合は市場機能だか何だか知らんけど、GCの上昇放置によって(以下いつもの悪態に付き割愛)というどう見ても怠慢です本当にありがとうございましたというのは微妙に違いますがね。
『第2の波及経路は、「時間軸効果」と呼ばれているものです。』
2年金利が0.20%まで上昇したのですがどこがどう時間軸効果なのでしょうか????
で、途中の時間軸の説明をスルーしてその後がはいはいワロスワロス。
『通常、景気が回復していく局面では、金融市場において、それまでの緩和的な金融政策がいつ修正されるのか、という点に関する様々な予想が生まれ、先行きの金利水準に対する見通しがばらついてきます。しかし、今回発表したような枠組みがあると、先行きの金利に関する安定的な予想が市場で形成され、長期金利を安定化させる効果が期待できます。このように、「時間軸効果」とは、景気回復が進み、企業収益が改善してくる過程において、特に大きな緩和効果を発揮すると考えています。』
景気回復も進んでいないのに2年金利が(以下同文)。
でですな、結局のところ麿としてはこの経路でおじゃるというのが第3の経路なのではないかと思うのですよねえ。
『第3の波及経路は、企業や家計の心理面に働きかけることにより、経済を下支えしていくことです。』
どう見ても為替対策です本当にカムサハムニダ。
『今回の措置は、海外経済の減速や円高に伴う悪影響を懸念する企業や家計のマインドを安定化させるうえで、効果があったと考えています。』
どう見ても為替(ry
『日本銀行は、かねてより、「先行きの経済・物価動向を注意深く点検したうえで、必要と判断される場合には、適時・適切に対応する」と申し上げてきました。中央銀行の政策運営に対する信認は、経済の落ち込みに対する不安感を防ぐことを通じて、わが国経済の自律回復に向けた動きを後押ししていく力になると確信しています。』
ほうほうそうですか(棒読み)。
○これは中々お洒落
為替市場の話をしているのですが、名古屋の講演なのに円高が必ずしも良くないという話をするのが白川総裁ったらチャーミングなんですからもう(^^)。
『円高は、短期的には、輸出企業の収益や採算を圧迫する要因ですが、その影響は貿易構造によって通貨ごとに異なり、一様ではありません。』
まあドル円よりも他通貨の方が影響あったりというケースもありますし。
『例えば、日本と韓国は、家電や自動車といった多くの最終製品に関し、近年グローバル市場において競合関係を強めているため、通貨価値の相対的な関係が、両国の輸出品の競争力に大きく影響します。一方、日本と中国の貿易関係をみると、国際的なサプライ・チェーンの中で相互に補完し合う面が相対的に強いため、為替レートの影響の仕方は異なります。このような点については、各地の支店からも報告が寄せられていますが、日本銀行では、そうした点も意識しながら、為替レートの動きとその影響を重大な関心をもってきめ細かく点検しています。』
ほうほう。
『円高は、やや長い目でみると、輸入物価の下落を通じ、交易条件の改善、すなわち、日本全体の実質所得の増加に繋がるという効果も有しています。日本銀行としては、こうした長期的な観点から、為替市場の動向が日本経済にどのような影響を与えるか、また、そうしたもとで、企業がどのような取組みを進めようとしているのかといった点についても注意を払っています。』
・・・・・それは正論だと思うが輸出ドリブン(丼ではない)経済の名古屋で言うとは中々チャーミング。つーかね、(順番逆ですが)為替円高の企業や家計へのマインド悪化を懸念している中で、それに対しての効果があると考える包括緩和を実施しているという中なのですから、別にそういう話はせんでもエエジャロと思うのですよ。折角為替円高対策の波及効果の話をしているのに、その話をする一方で「長い目で見ると円高も日本に良い話」とか言っちゃうと、本当に日銀は足元の円高を懸念しているのか、包括緩和で円高を止める気があるのか、という肝心の今実施している政策に対する日銀の姿勢に対して市場および世間が疑念を持ってしまうのでありまして、白川総裁はその辺りに関する配慮が皆無に等しいのが非常に困るのですよね。
という所です。為替に関する話に関しては香港での講演と重複するので割愛。
○会見での長期金利上昇に関する話
2年金利の質問はこの前引用しましたが、その前に長期金利についてもツッコミがありましたのでそちらを引用。
『(問) 長期金利の状況についてお伺いします。足もとでは長期金利が上昇傾向にありますが、市場ではその背景として、米国の長期金利上昇に連動した動きとの見方があります。この点、米国の長期金利上昇の背景をどのように捉えているのでしょうか。また、包括的な金融緩和政策は長めの金利を引き下げるという狙いがあると思いますが、日本において長めの金利が上昇していることについてご説明下さい。』
(;∀;)イイシツモンダナー
『(答)(米国長期金利の部分は割愛)日本の包括的な金融緩和政策との関係ですが、これはまさに「包括」という言葉で示しているとおり、全体として、パッケージとして理解して頂きたいと考えています。日本の長期金利は、米国の長期金利の動き等を反映して幾分上昇しているということだと思います。』
つまり足元の金利上昇(当時)は気にしないんですね、わかります。
『ただ、全体としてみた場合、まず銀行間の資金市場をみると、もともと極めて低い水準にあったTIBORや円LIBORなどのいわゆるターム物金利は幾分ながらさらに低下していますし、社債金利の対国債スプレッドも縮小しています。このように、長めの金利の引き下げ効果やスプレッドの縮小効果があらわれているほか、REITの価格も上昇しています。これらの動きは、民間経済主体の資金調達コスト全体の低下というルートを通じて、金融緩和効果を発揮していくと考えています。』
これはまたどう見ても言いくるめモード。
『加えて申し上げますと、日本銀行は、時間軸政策を明確化しました。中長期的な物価安定の理解に基づき、物価の安定が展望できるまで実質的なゼロ金利政策を継続することを明らかにしています。講演の席でも申し上げたように、こうした政策は、この先、景気回復が進む局面において、長期金利を安定化させるという効果を期待できるということです。従って、足もとの長期金利は幾分上がっていますが、その部分だけではなくて、全体としてこの政策の効果を捉えて頂きたいと思っています。
それから、CPや社債、J−REIT、ETFの買い入れについては12月に入ってからスタートします。このことも最後に付言したいと思います。』
つーかさ、長いところは米国のせいかもしれないけど、中短期金利の上昇っていうのはどっからどうみても(以下いつもの悪態になるので割愛)。
ということで、この前引用した2年金利に関しての同じ会見での説明もそうでしたが、この辺りを見ていると白川総裁は市場金利を押さえ付ける気が全然無いんじゃねーのよって風に読めてしまうのでありまして、甚だ遺憾としか申し上げようが無いつーか、包括緩和の実施アナウンスしたときと話が違うじゃネーノということになるんでは無かろうかと存じますです、はい。
ということで虫干しネタは明日も続く。
2010/12/06
お題「月曜なので虫干しネタで勘弁(今更ですが香港での総裁講演)」
この朝鮮日報の主張って軍事問題だけじゃなくて金融政策に関する報道にも繋がる指摘に読めますな、というか某社とか某社とか某社はこの最後の段落を百回嫁と。
http://www.chosunonline.com/news/20101204000025
ということで虫干しネタなのですが。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/data/ko1011b.pdf
先進国と新興国:異なる速度での景気回復
中々こう興味のある論点が前半の方に色々とあって、その部分だけみていると中々良い話なのですが、中盤以降に「低金利長期化の弊害」「バブル発生を防ぐべき」というBISビュー爆発の白川節炸裂になってしまいます。いやまあ香港でやってるからバブル警戒の話をするのは当然ちゃあ当然なのかも知れないけど、あんまりそのネタ振りをするのもどうなのかと思うのですけどね。海外で講演すると白川さん毎度の事ですが白川節が炸裂しまくるのですが、足元で円高株安が一服しているからと言って直ぐに被っている猫を取らない方がよいと思いますけどねえ。天然狸の俊ちゃんになれとは言わないけどさ。
○世界経済の先行きに関して
『それでは、今後の世界経済の動向についてはどのようにみるべきでしょうか。世界経済の先行きは不確実性に満ちていますが、見通しに当たっては、私は以下の3
つのポイントを特に重視しています。』
で、その3つのポイントですが。
『第 1 のポイントは先進国経済、とりわけバランスシート調整の進捗度合いの評価です。』
『第 2 のポイントは新興国経済の成長見通しです。』
『第 3 のポイントは、上述の2 つのポイントの交差する論点ですが、「異なる速度での景気回復」であることによって生じる資本フローや為替レートを巡る問題、分かりやすい言葉で言えば、通貨を巡る対立(currency
conflict)の問題です。』
ということなのですが、1と2はその部分にちょっと説明があるのですが、3は後の方で説明してまして、その部分だけだいぶ前にご紹介しましたけれども、どう見てもECBでのバーナンキ議長の講演に物言いをつけるでござるの巻という風情になっておりまして大変に心温まるものでございます。
で、その1と2は書いてあるとおりですけれども、よーするにバランスシート調整圧力が残存しているうちは先進国経済は本格的な回復には乗らないという話と、新興国経済はバブル警戒が必要ですよという話をしているのですよね。
でまあ上記のポイントを考える際に日本の教訓が役に立ちますよね、というのがその次の章の話になりますけど。
『ところで、この3 つのポイントを検討する際、日本の過去数十年間の経験は色々なヒントを提供しています。過去数か月間における経済政策論議で最大の話題はFRB
の大規模な資産買い入れであったと思います。この間、エコノミストや政策当局者の論評を読むと、「『日本型デフレ』や日本の『失われた10
年』を回避する」といった表現にしばしば出くわしました。因みに、グーグルで「日本型デフレ」をキーワードに検索すると、本年7
月以降11 月半ばまでのヒット件数は約100 万件と、年前半の約40 万件から急増しています。』
・・・・調べてるんですか(^^)。
『日本の経験への関心は、デフレや「失われた10 年」だけではありません。中国の友人達と話をしていると、日本の高度成長期やプラザ合意以降の経験を実に詳細に研究していることに驚かされます。そこで、日本の経験も踏まえながら、上述の
3 つのポイントについて私の考えを述べてみたいと思います。』
○バランスシート調整と日本の教訓に関して
でまあ米国のバランスシート調整に関しての話になるのですが、日本のバランスシート調整で成長率が低下して物価はマイナスでしたねという話をしてますが、そこで「でもこうではないか」という話をするのが白川さんの仕様であります。
『このように、近年の日本の経済パフォーマンスは芳しいものではなく、これが米国でしばしば「日本の失敗を繰り返さない」といった議論が行なわれる所以です。しかし、そうした議論を聞いていると、日本の経験やその教訓を誤って解釈(misread)しているのではないかと感じることもあります。私の理解するところ、日本の成長率の低下は以下の
3 つの理由によるものです。』
ほほう。で、その3つの理由ですが(しかし白川さん3つにするの好きですなあ)。
『第 1 の理由は、バブル崩壊の直接的な影響です。』
というのは設備や債務、雇用の過剰調整の影響と言う事ですのでよく判ります。
『第 2 の理由は、1980 年代後半から1990 年代にかけて世界規模で起こった規制緩和、グローバリゼーション、情報通信技術革命といった大きな潮流の変化に対して、日本企業がうまく適合できなかったことです。』
えーっと、そうなんでしょうか??あたくし的には正直よく判らんっす。金融業界に籍を置いてますと、日本企業は全然適合もへったくれもしてないけど、海外も最近は似たようなもんだからこういわれてもピンと来ないのは感受性と調査能力が欠如している証拠ですな、とほほ。一応その先を引用する。
『この時期、世界の市場は統合の度合いを強め、生産工程の世界的規模での分業も拡がりました。海外の企業は生産拠点や販売チャネルを最適に配置して付加価値を生み出す一方、アウトソーシングをコスト削減に効果的に活用しました。これに対し、日本の企業は、中央で集中制御を行い、チームで対応する一括生産管理方式が主流でしたので、こうした環境変化への対応は大きな挑戦となりました。日本の産業モデルは終身雇用制度の下での技術力の高い国内労働者によって支えられてきました。しかし、日本の企業は、過去の成功の記憶に囚われ、グローバル経済に生じた大きな変化への対応が遅れました。』
日本の製造業も普通に対応していると思うのですが、金融とかに関してはこの通りという感じがするのですけど・・・何かピンと来ないですすいませんすいません。
『第 3 の理由は、高齢化や人口減少の影響です。人口動態の変化が経済に与える影響のルートは様々ですが、他の条件が同一であれば、人口が減少すれば、当然のことながら、国内需要は縮小します。供給面でも、労働供給の減少は成長率を引き下げます。』
と言う話の内容はまあその通りというのが並ぶだよ。
○日本のデフレに関して:物価調整と賃金調整に関して
で、その次に日本のデフレに関する話をしているのですが、これはふ〜んという論点。
『「失われた 10 年」の議論とも関連しますが、しばしば取上げられるデフレの危険についてはどのように考えるべきでしょうか。確かに、日本は緩やかな物価下落―10
年間の累計で3%程度―を経験しました。しかし、デフレを恐れる最大の理由であるデフレ・スパイラル、すなわち、物価の下落が経済活動の低下をもたらし、これがさらに物価の下落をもたらすという現象は生じませんでした。一方、2002
年から2007 年にかけての景気回復は決して目覚しいものではありませんでしたが、長さという点では戦後最長でした。』
と、これまたいちゃもんをつけられそうな話をしてますが、論点の方はこの次です。
『香港も近年物価の上昇と下落を経験しましたが、デフレの問題は経済の構造、特に賃金設定から切り離して議論することは適切でありません。』
ほほう。
『日本と他の先進国の消費者物価上昇率を比較すると、上昇率の違いは、専らサービス価格の動きの違いによるものです(図表10)。日本では、物価上昇率が低下するにつれ、賃金がより伸縮的に設定されるようになりました。そうした賃金の伸縮性は、賞与の削減や非正規労働者の採用というルートだけでなく、正規労働者の所定内賃金が下方に伸縮的に調整されることによっても実現されました。サービス業は財の生産に比べると労働集約的であるため、そうした名目賃金の伸縮的な調整はサービス価格の下落という形でデフレの原因ともなりました。』
『日本は、1990 年代後半以降、企業経営者と労働者が雇用の確保を優先し、そのために、労働者は賃金の引き下げを受け入れたといえます。日本の失業率は現在5.0%と、米欧諸国に比べて失業率の上昇幅ははるかに小幅でしたが、その裏側の事実は賃金の下落であり、緩やかなデフレでもありました。』
ふーん。賃金調整するから物価調整するのか、物価調整するから賃金調整するのか卵とニワトリみたいな話で何となく丸め込まれているような気がするが、逆にこの論点って「じゃあデュアルマンデートにしろ」って話になったらどう切り返すのでしょうか。日本の場合は米国とは雇用構造が違うのでデュアルマンデートにするのは難しいとかいう話になるのかね、よー判らんが。
○米国へのインプリケーションの話をしつつ低金利政策の長期化の弊害の話が
で、以上の話を要約するとこうなるというのがこの章の最後に。
『第 1 に、大規模なバブル崩壊を経験した経済が本格的に回復するにはバランスシート調整の完了が必要であり、それ故、長い時間がかかります。』
という話をしているのに何でああ展望レポートだの景気見通しだのが堅調なのかが不思議ちゃあ不思議(確かにあまりコケる感じもしないのですが別に良くなる気はしませんしねえ)ではありますがまあそれはそれとして。
『第 2 に、バランスシート調整の進行中にあっても、経済の供給面の重要性への配慮を忘れないようにすることも重要です。』
というのは何かと言いますと、
『需要の急激な落ち込みを防ぐ上で、緩和的な金融政策は重要ですが、低金利の持続は新陳代謝を不活発化することによって、生産性の上昇を阻害する可能性もあります。』
キタコレ。ただまあこの部分を強調するのではなくて、人口動態の話が続きになっているのはまあ一応引用して置くだわさ。
『やや長い目でみれば、経済成長率の基調は供給サイドの要因、すなわち、労働力人口と生産性によって決まってきます。この点、米国は日本よりも経済構造が柔軟であること、また、人口増加率が+1%程度と日本のバブル崩壊後に比べて高いことは、強みとして指摘できるように思います。』
そしてその次も中々お洒落な指摘。
『ただし、バブル崩壊後の長引く経済低迷の中では、社会の不満が高まる結果、長い目でみて効率性に悪影響を与える政策が採られがちです。潜在成長率の低下傾向に歯止めをかけることは、どの国にとっても決して容易なことではありませんが、それに成功するかどうかが「失われた10
年」と呼ばれる事態を避ける大きな鍵を握っているように思います。』
しらっと財政に関する指摘をしているのがチャーミングですな(^^)。
○新興国経済に関してはバブル警戒とな
いやまあ中国経済はバブル警戒というのはその通りの話ですし、白川さんのお話も判るのですが、人の心配する前に自分の心配しやがれと突っ込まれるような話を海外でしてくるのが得意というのも日銀総裁としての立場としてはどうなのかねえとは思いますけどね。
『ただし、高成長を続けるための一つの重要な前提条件はバブルを防ぐことです。この点は中国の政策当局者にも十分に意識されています。私は日本の1980
年代後半におけるバブル発生は以下のような要因が複雑に絡み合って起きた現象だと思っています。』
『第 1 は、日本全体を覆った過剰な自信です。』
『第 2 は、金融の監督体制も十分ではなかったことです。』
というのはよいとして。
『第 3 は、長期にわたって継続した金融緩和です。』
またこれか!という話ですが、その続きがちゃんとあるので引用しておくだよ。
『ただし、単に金融緩和をバブルの原因として挙げるだけではあまり意味がありません。我々は、金融緩和が長期にわたって継続した社会的、経済的背景を深く掘り下げて考える必要があります。』
ふむふむ。
『その一つの理由は、低いインフレ率が続いたことです。もう一つの理由は、日本は経常収支の黒字の圧縮に向けて強い対外的な圧力を受けていたことでした。』
ほほう。
『経常収支の黒字を圧縮するためには内需の拡大が必要であり、そのために、緩和的な金融政策が必要という議論が強力に展開されました。好景気に転じた後においても、輸出企業を中心に、為替レートが円高に向かうことへの懸念がしばしば聞かれました。こうした幾つかの要因から、金融緩和の修正に対し強力な反論が展開されました。』
つまり為替政策に金融政策を割り当てるなという話ですな。まあ後の方で思いっきりそういう話をしていますけれども。
『以上の日本の経験に照らして、高成長を遂げている新興国がバブルの発生を防ぐ上で重要な教訓があるとすれば、以下の3
点に集約されると思います。』
でその1と2は割愛しまして。
『第3 に、金融政策運営は、物価安定の下での持続的な経済成長を実現するという「国内経済の安定」を目的に運営する必要があります。為替レートや経常収支を金融政策の目的とすると、国内経済の安定が損なわれうることを、心に留めておかねばなりません。』
とは言え、通貨をドルペッグしている国でこういう話をするのも何だかなあという感じはするのでありますが、一応まあそんな事で虫干しシリーズ恐縮でした。
なお、本当は今日は名古屋での挨拶も虫干しネタにする積りで、今回はサラサラと引用する積りだったのですが、バブル警戒の所だけ引用するのはちょっとフェアじゃない気が書いているうちにしてきたので(中身そのものは基本的には良い話をしているのですけれどもね、「そういう話をする前に自分の国の方を何とかしなはれ」という最大のツッコミどころはさておきまして)引用大会になってしまいましたとさ。
2010/12/03
お題「審議委員の講演が沢山出ていてフォローできません><」
ほほう米国10年3%とな。
○短期市場が面白状態で振り回される1週間ちょいでありました
・・・・ありましたって申しましてもあと1日あるんですがorz
さてさて、昨日のGC市場ちゃんにおかれましては、何かよー知らんのですけれどもGCレートが益々低下して0.10%とか0.10%切る勢いの水準と言うことのようで先週後半に金利が上昇して連日あたくしが湯気ポッポーになっておりました流れの真逆のような展開。
水曜に入札が行われた新発3か月TBに関しても昨日は0.120%が堂々のビットサイドで、0.11%台後半のどこか(よーわからん)が居場所だと思いますが、1日にして入札の落札レベルから1bp近く動いた計算になる中々お洒落(1bpってまあ他の市場から見たら屁のような数字ですけれども、その1bpでヒイコラ言うのが短期市場(特にキャッシュの)クオリティでございまする)な動きになっております。まあ足元GCが見事なまでの低下した割には1bpで済んでいるとも言えそうですが、あまりにも低下がどどーんと来たのと、これがどの位持続性が有るのかっていうのが結局のところ日銀の資金供給オペ次第という所があるので、こんなもんなのなんでしょうかね、よー知らんが。
と言う訳でございまして、先週金曜辺りからせっせと資金供給を実施して、基金オペの2回目を月曜に(やっと2回目というのも何なのですが)実施してという形で衝撃の2年0.20%乗せに対して資金供給オペで対抗した成果が出たというのか、資金供給オペが増えたから資金の取り手が急がなくなったのか、税揚げの資金繰りが見えてきたからバンクの資金がきっちり出てくるようになったのか、どこが主因かよー知らんですけれども(まあ資金供給オペがしょぼいとレートは下がらんというのはあるけど)、GCがすっかり低下しちゃいましたなあという所でござんすけれども、先般湯気ポッポーで悪態つきまくった時に申し上げたように(^^)、GCレートが上昇した後に低下させるべく資金供給を実施したら今度は資金供給攻撃が効き過ぎてレートが禿しく低下という楽しい事態になりましたな。
しかしここで安心して供給を引くと、またまたカウンターアタックになるのでございまして(^^)、まあ要するに本来的に言えば当日スタートの無担保コール翌日物と、スポネだのレギュラーネクストだのが主体のGCレポ取引では資金供給での微調整の匙加減が違うと言う事でして、どどーん即日オペで動かせば即座に需給がぶれてくるので少々上昇(低下)したのを見てから牽制供給(吸収)を打ち込めば良いというもんでもなく、もし安定させたいのであれば「金利が跳ねた時点で負け」という認識でオペレーションをして頂きたいもんだという所であります。
いやまあそこは市場機能ですよ、って言うのなら別にそれはそれで良いのですけれども、包括緩和の趣旨から言って(以下いつもの悪態なので詳細割愛^^)。まーあんまり足元のGCレポレートを乱高下させない方が宜しいのではないかと存じます。いやまあ乱高下してくれた方が商売的にはウマーな部分はあるんですけれども、包括緩和で長めの金利を下げますという金融政策の趣旨からしてもそうですし、大体からして足元で円高も株安も止まっているから良い様なモンで、これがまた反転してきたら包括緩和政策実施後に(長期金利はまあ言い訳できるから良いけど)短期国債やら2年の金利が上昇しているというのに注目されて「日銀何やっているんだ」と円高やら株安やらが復活した時にその全責任がおっかぶさってA級戦犯扱いで絞首刑になるだけの事でございますので、やはりまあ如何なものかと存じます次第ではございます。
いやはや、しかし本来無風な筈の短い所で1週間以上市場ネタを引っ張る事ができるというのは想定外にも程がある動きでございました事よ、ふー。
さあさあ虫干しネタ虫干しネタ。
○中村審議委員の景気認識はやはりハト派(=景気認識は弱め)っぽく
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk1011b.pdf
・欧米経済動向のリスクについて
『(問) 午前中の講演の中でも言われていた欧米経済の動向ですが、講演のお話を伺っていると慎重にみられているというか、下振れリスクが大きいと指摘されています。現状において、上振れリスクと下振れリスクの認識といいますか、両者のバランスをどのようにお考えかお伺いします。』
『(答) 新興国については、各国当局による金融緩和策の修正が行われておりますが、場合によっては上振れるリスクがあると思います。欧米の経済については、特に米国を中心に、先行き非常に不透明感が強く、これについては下振れのリスクを考えるということですが、上振れ、下振れ、トータルでみますと、若干、下振れのリスクの方が強いと思います。これは先般の「展望レポート」の各政策委員のリスク・バランス・チャートにおいても、どちらかというと、若干下方という感じであったと思います。』
ということですが、そのリスクバランスチャートの形状に対して白川総裁は「リスクは概ねバランス」とコメントし、中村審議委員は「下振れのリスクを考慮」とコメントする所が実に味わいの深いものがあります(先日の白川総裁会見でも同じ趣旨の質疑があって、応答の中で「リスクバランスチャートでは若干下方」というのを白川さんも認めながら「リスクは概ねバランス」を表現する訳ですな、その会見に関してはまた改めて^^)。
・でまあリスクバランスに関する質問がもう1回出ているのですが(^^)
『(問) リスクバランスについて確認させて頂きたいのですが、白川総裁は、以前、「リスクバランスは、ほぼ上下バランスしている」とおっしゃっていたかと思うのですが、先ほど中村委員がおっしゃった「多少下振れリスクの方が大きい」というのは、白川総裁と中村委員のご認識が多少違うということなのか、あるいは時間とともに日銀全体の認識が変わってきているということなのか、その点をご説明頂けますか。』
『(答) 政策委員は9名いるわけであり、それぞれ微妙な違いはあると思います。私が申し上げたのは、「敢えていえば」、下振れリスクの方が大きいということであり、そう大きな違いがあるわけではありません。また、日銀自体の見方が大きく変わったということでもありません。その辺りについては、先ほども触れましたが、「展望レポート」におけるリスク・バランス・チャートからも、若干読み取れるのではないかと思います。』
白川総裁と中村審議委員のリスク認識には違いがあるということですね、わかります(^^)。
とまあそんな感じでして、他にも幾つか質問はあるのですが、そんなに突拍子の無い話は無いです、で終了させるのもなんですから、為替に関する質問と金利に関する質問の部分をば。
『(問) 為替についてですが、今、1ドル82円後半〜83円前後で推移していますけれども、これについて、マーケットでは、史上最高の円高水準と言われた時に比べると、米国の追加緩和策以降若干落ち着いているという見方のようです。中村委員としては、日本経済に与える影響についてどういう捉え方をしていらっしゃるのか。今後、為替がこの水準で進むとするならば、今後の適時適切な政策判断にどのように影響を与えていくのでしょうか。』
『(答) 日々の為替動向や水準について具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。10月に「包括的な金融緩和政策」を決定した際にも、これは、これから起こり得るであろう下振れリスクに対して機動的に対応したものです。為替の水準そのものについては言及していませんが、円高が日本経済へ与える色々な影響、それからマインド面への影響についても配慮したわけです。これからも、為替相場も含めて金融市場の動向は、経済・物価情勢に影響を及ぼしますので、その動向と影響については、引き続き注意深くみていく必要があると思います。』
ということで、まあ普通の話をしているのではございますが、ここでは「追加緩和実施は下振れリスク対応」という話と「為替水準の重要性」についてのコメントをしておりまして、その理屈から行きますと、為替水準がある程度トレンドを持って円高傾向になるような市場動向が再燃した場合は金融政策としては「為替の円高を止めるように市場に作用させる政策」を実施しますよ、ということになるんでしょうなあという所です。
つまりですね、
『(問) 「包括的な金融緩和政策」の効果についてですが、新しく創設した基金の買取りによって社債の対国債スプレッドは縮小していると思いますが、一方で、国債の流通利回り自体はむしろ上昇しています。こうした状況に対するご見解は如何でしょうか。』
という質問に対して、
『(答) 足もと、短期金利には殆ど低下余地がなく、3か月、6か月物金利についても固定金利オペレーションを行っている中、もう少し長い金利については、場合によっては若干の低下余地があるかもしれないということで、国債に関して2年物前後を中心に買入れをしているわけです。』
ってな話をしている所にまあ象徴されるように、為替円高が止まってくれれば結構というのがメインにあるんじゃねえのと思われる次第。まあターム物金利がどうしたこうしたというような細かい話になると中村審議委員が日々の細かいオペレーションがどうなって金利水準がどうなってというような話まで逐一フォローしているとは思えませんので(そんなマニアは日銀出身以外の最近の人だと水野さん、昔の議事録を見ると武富さんとか中原(伸)さんとかですけど、まあ昔の方が短期市場の荒れっぷりがそのまま問題になっていた(何だかんだ言っても今は金融システム危機な訳ではないから細かいオペレーションによる日々の影響がどうのこうのとかは切迫感無いですからね)から昔の方がその辺はマニア度が高かった気がせんでもない)、まあ事務方の説明がどんなモンなのかが何となく窺えるという所でもあるかと。
つまりですね、
『こうしたオペレーションによってすぐにマーケットの動きが変わるということはなく、ある程度時間がかかります。また、色々な条件によってマーケットが変わるわけですから、必ずしも当初意図した効果が直ちに表れるということでもありません。1年かけて行うオペレーションですので、もう少し長い目でみて行く必要があると思います。』
という説明を事務方がしてて、だから別に長い金利が上昇するのって包括緩和をやってないとかいう話ではないですよ、という理屈だと思う(まあ実際問題として長期金利はその面が結構ありますからね)のですけれども、実際にはこの会見の翌週(会見は先週の木曜に実施されている)の月曜(つまり今週の月曜)には2年金利が木曜の0.16〜0.17%水準から瞬間最大風速で0.21%まで上昇した訳でございまして、日銀の庭先というか、もともとの庭先から出張って町内会のお掃除も始めようと言って基金買入を実施した2年ゾーンの金利が絶賛大上昇してあちこちで湯気ポッポーとなった(湯気ポッポーはあたくしだけですかそうですか^^)訳でして、その部分ってえのは基金買入がどうのこうのというのと別問題だったりするのでございました、という落ちが待っていたのですけどね(笑)。
まあ何ですな、こういう理屈も判らんでもないですけれども、市場相手にということになりますと、「包括緩和実施」「長めの金利を低めに推移するように促す」というアナウンスをした以上、そんな「1年掛けて」みたいなノンビリした話では納得しないのでありまして、その辺りのスピード感に絶望的な認識ギャップがありましたねえというのが今回の短期市場謎の大荒れ騒動のベースにあったんでは無いでしょうか、などとも思う金曜の朝なのでありました。
・・・・うーむ、何時の間にか中村審議委員と関係ないところでの悪態が入っておりまして中村さんどうもすいませんすいませんすいませんm(__)mですけれども、まあ審議委員は連帯責任ということですから(^^)。
・・・・あ、先週火曜(23日)の香港での白川総裁の白川節絶賛大炸裂の講演ネタをやる時間がなくなってしまいました(大汗)。
#麿だのおじゃるだの書いてるせいで最近テレビでおじゃる丸を見るとつい(自粛)
2010/12/02
お題「市場雑談と昨日の続きって何か毎日同じネタでどうもすいません」
何か年末の帳尻のように講演が連発しているのは勘弁願いたいです(苦笑)。
・・・・で、米国10年が17毛甘のような気がするのだが何ぞこれ??
○まあ入札があった訳だが
昨日は10年の入札と3か月の入札があったのですが、10年入札というのに前場から中期(5年)が強くて、前場の途中からは10年も堅調となって入札となったのですが、落札はちょっと流れてしまい、1.2%クーポンの100円ヒット!!と思ったらいきなりそこから怒涛の切り返しという最早何が何だかわからん展開でした。まあ何か強い相場でしたねえという所でしたが、10年もさることながら、昨日は中短期が強かったので何か良い感じになったかなあと思ったのではございますが、一晩明けてみると米国10年債が17毛甘とか訳の判らん事になっているのでまたワカランチ会長に(汗)。
で、まあそれはそれとしましてマニア注目の3か月TB入札ちゃんの方はと申しますと、前場引けの所で0.125%はオファーサイドだったのと、前日はGCは低くて2年とかも戻ってきた中でも1年ゾーンは重くて6か月から手前のTBも売り物勝ちだったというのもありまして、入札そのものは0.128%レベルの所まで足切りになるかもというような話もあったみたいですけれども、蓋を開けてみたらその1つ上の刻みの所で足切りになるの巻。
んでもってセカンダリーも絶好調で0.125%どころか最後は0.120%のオファーも無くなるでござるの巻となっておりまして、そらまあGCレートが連日の資金供給および税揚げの資金繰りも見えてきましたねとかいうような諸々の要因でGC市場ちゃんにおける資金の巡りが良くなってきたことがサポートとなって0.10-105レベルまで低下しているっぽいので、買いの勢いがつきましたねとゆー所かと。
でまあこのGCレート0.105%辺りというのが安定的に続いてレートがベタベタになるのならば更にタームの方は安定化するのでしょうけれども、まあそこまでホンマニヤルンカイナという所に関しては微妙な気もする次第でございます。市場機能維持という名目でGCの振れを容認するのか、それともターム物金利の低位安定化を目的にGCを押さえつけるのかというまあ二律背反のどっちを取ろうとしているのかはよー判らんですからね。
ま、ここ1週間ほどの流れを見ておりますと、とりあえず2年の0.20%乗せは日銀的にはマズーだというニュアンスは判ったのですが、何せ昨日軽めの悪態と共に引用した総裁様の記者会見だと2年金利上昇しても海外のせいでおじゃるそんなのは知らないでおじゃると読めそうなコメントをしているのが実にこうアレな訳でして、その辺の麿総裁様のご意向を忖度致しますと、ここもとのオペレーションだけで「やあ日銀はやっとGCを押さえつけるんですね」と安心するのも早計のような気もせんでもない訳ですな。
では虫干しネタモードですがFOMC議事要旨ネタの昨日の続きから。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20101103.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20101103.pdf
○景気見通しに関する雑感続き
『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』から
昨日引用した第27パラグラフにありますように、FOMCでの経済見通しというのは前提としている条件がもしかして委員の間で違っている可能性があるという話をしましたが、これって日銀の展望レポートでもその傾向がありますわなという所だったりします。
つまりですね、足元での金融政策が適切で喫緊の政策変更の必要性が無いという場合はこの点ってあまり問題にはならないのですが、今般のように金融政策の変更が行われるような状況下においては、全員の意見が一致していれば別ですけれども、そうじゃない場合は経済見通しの前提としての金融政策の「置き」が委員によって違ってきますよね、という話になりますわな。
日銀の展望レポートが出る前の誰かの会見でもその点の指摘があったと思う(咄嗟に思い出せないので過去ログみてちょ)のですが、包括緩和政策の効果を展望レポートでどの位まで「置く」のかというのは委員によってイメージが違ってくると、その結果として出てきたリスク認識とか見通しの数値とかの集計ってどういう意味を持つのよというのは中々微妙な気がして参ります。特に足元では非伝統的政策を実施しており、政策効果に関して未体験ゾーンでもあるので、普通の利上げ利下げと違って政策効果の置きが難しいと思うのですよね。
と言う事になると、BOEのインフレーションレポートにあるような「現在の政策を継続」「市場が現状で織り込む政策パスの場合」というような明確な置きの方が政策インプリケーションを出すのには便利ではあるのですが、これもまた良し悪しの面がありそうな気がします。
てな事を昨日の最後に書きましたけれども、一応再掲。
まあそれはそれとしまして、景気の現状に関しましては、この時のFOMC声明文にも明記されているように、物価と失業に関しては改善が失望的な程遅いというのがございますわな。
第28パラグラフから。
『In their discussion of the economic situation and outlook, meeting participants
generally agreed that the incoming data indicated that output and employment
were continuing to increase, but only slowly. Progress toward the Committee's
dual objectives of maximum employment and price stability was described
as disappointingly slow. 』
どう見ても緩和政策の長期化確定です本当にカムサハムニダ。
んでもって更に経済の先行きを抑制する要因についてつらつらと指摘しているのが益々緩和政策長期化のイメージを強くさせる訳で。
『Participants variously noted a number of factors that were restraining
growth, including low levels of household and business confidence, concerns
about the durability of the economic recovery, continuing uncertainty about
the future tax and regulatory environment, still-weak financial conditions
of some households and small businesses, the depressed housing market,
and waning fiscal stimulus. Although participants considered it quite unlikely
that the economy would slide back into recession, some noted that continued
slow growth and high levels of resource slack could leave the economic
expansion vulnerable to negative shocks. In the absence of such shocks,
and assuming appropriate monetary policy, participants' economic projections
generally showed growth picking up to a moderate pace and the unemployment
rate declining somewhat next year.』
ということで、先行き抑制要因は並ぶわ、ネガティブショックに弱い状態が続くという指摘はあるわと中々こう残念な見通し。
『Participants generally expected growth to strengthen further and unemployment
to decline somewhat more rapidly in 2012 and 2013.』
まあ先についてはそういう話なのですがねぇ。
○低金利の効果に関して:商業用不動産の安定化
第29パラグラフ以降は各需要項目に関する現状認識と見通しの話になるのですが、その中で不動産セクターに関して「低金利が商業用不動産価格を安定させる事に寄与する」というような指摘をしていますので、その部分でありますところの第30パラグラフを(長くないので)まる引用。
『Participants noted that the housing sector, including residential construction
and home sales, remained depressed. Foreclosures were adding to the elevated
supply of available homes and putting downward pressure on home prices
and housing construction. Some participants saw disputes over mortgage
and foreclosure documents as likely to delay the eventual recovery in housing
markets. Commercial real estate markets also were weak, and the availability
of credit for commercial real estate transactions remained limited, but
low interest rates were helping stabilize prices.』
最後の部分ですな。その前には競売関連の書類不備問題の与える悪影響に懸念なんちゅう部分もあって不動産関連は引き続き残念という感じっすな。
○金融環境は威勢の良い話が多いっす
その先には失業の状況が良くない話とか、その失業の長期化問題やら、労働者のモビリティー低下による構造的な失業率上昇問題への考察とか中々オモローな部分もあるのですが、金融政策的なインプリケーションという点ではまあそんなに目新しい話でも無いので割愛しますが、第31パラグラフの部分はこれはこれで興味はありました、が引用しないので皆さん勝手に見てちょ。
金融環境部分の第32パラグラフをめんどいのでまる引用。
『Participants saw financial conditions as having become more supportive
of growth over the course of the intermeeting period; most, though not
all, of the change appeared to reflect investors' increasing anticipation
of a further easing of monetary policy. Most longer-term nominal interest
rates declined, real interest rates fell even more, credit spreads tightened,
and equity prices rose, in part reflecting better-than-expected corporate
earnings reports. Inflation compensation rose noticeably, returning to
a level more typical of recent years.』
追加緩和期待で金融環境が良くなったって話は連銀スタッフの現状報告部分でもこのような指摘がございましたわな。
『Participants noted that credit remained readily available--in debt markets
and from banks--for larger corporations, and there were some signs that
credit conditions had begun to improve for smaller firms that obtain credit
primarily from banks. Banking institutions reported signs of improving
credit quality. Improvements in household financial conditions were contributing
to better performance of consumer loans. However, banks continued to report
elevated losses on commercial real estate loans, especially construction
and land development loans. Participants noted the risk of losses at financial
institutions stemming from investors putting mortgages back to sellers
if the quality of the loans was misrepresented when the mortgages were
sold into securitization vehicles.』
クレジットアベイラビリティーの部分に関しては改善の話もあり、不動産関連を中心とする不良債権の部分の足引っ張り要因もありということですが、全体的には改善ということのようですわな。
○物価見通しに関してと賃金に関して
第33パラグラフから。
『Measures of price inflation had generally trended lower since the start
of the recession; the same was true of nominal wage growth. Most participants
indicated that underlying inflation was somewhat low relative to levels
that they judged to be consistent with the Committee's statutory mandate
to foster maximum employment and price stability.』
という部分は声明文でもその趣旨がありましたわな。んでもって物価の見通しですが。
『While underlying inflation remained subdued, meeting participants generally
saw only small odds of deflation, given the stability of longer-term inflation
expectations and the anticipated recovery in economic activity. They generally
did not expect appreciably higher inflation, either.』
デフレ入りリスクも高インフレのリスクも小さいと。
『While prices of some commodities and imported goods had risen recently,
business contacts reported that they currently had little pricing power
and that they would continue to seek productivity gains to offset higher
input costs. Small wage increases, coupled with productivity gains, meant
that unit labor costs were lower than a year earlier.』
ここはまあそうですなと思いましたが、「投入物価が上昇しても下流の物価に転嫁しにくい状況が続いている」→「企業内で投入物価上昇を吸収するために労働コストを下げる」という流れは、つまり賃金が上昇しにくい事に繋がる訳で、そうなると更に上流段階における物価の上昇を下流段階の物価に転嫁しにくくなる状況が益々高まる訳で、それって何かデフレ均衡入りコースの香りもしますなあという感じがしました。
『Many participants pointed to substantial slack in resource utilization,
along with well-anchored inflation expectations, as likely to contribute
to subdued inflation for some time. 』
というのはいつもの決め文句です。で、この後は少数意見ですけど。
『A few participants expected that continuing resource slack would lead
to some further disinflation in coming years. However, a few others thought
that the exceptionally accommodative stance of monetary policy, coupled
with rising prices of energy and other commodities as well as rising prices
of other imports, made it more likely that inflation would increase, within
a year or two, to levels they judged consistent with the Committee's dual
mandate.』
ということで、資源活用のスラックがディスインフレのリスクを拡大するという指摘と、異例の金融緩和政策が商品価格や輸入価格の上昇とセットになった場合にインフレを引き上げるのではというリスクの指摘が、双方とも「A
few」の委員からあったというのがほほーという感じでございまする。
と言うところで。第34パラグラフは議事要旨出た日の朝にインチキ翻訳したのでそれはそれで改めてご覧下さいませ(^^)。
2010/12/01
お題「今日も市場雑感と昨日の続きばっかりのような気がします(汗)」
ああ、もう師走なんですねえorz
○さて10年入札と3か月TB入札
昨日は何か知らんが中期が復活して超長期が弱いというインデックス長期化(+0.16年なので若干長め)の月にしてはなんですねんという展開でしたがまあそれは良いとしまして、今日は10年カレントが1.2%水準での入札ちゅうことで、だいたい地合いが悪くなると急に買い手がいなくなる(中期は銀行で超長期は生保というコア投資家がいるのだが)というお洒落なゾーンではございますが、今回は新発の償還が伸びますのでカーブの分だけ見た目利回りも高くなりますし、さてどうなるんでしょという所ですが、正直言ってどうなるのかは知らんがな(じゃあそこまでウダウダ書くなという突っ込みは却下^^)。
とか何とかダラダラ書いて頭のエンジンを起動したところで(おいおい)マニア注目の3か月TBちゃんの入札な訳ですが(^^)、昨日の短い所の動向はと申しますと、さすがに0.2%台の2年カレントというのは何ぼ何でも物価安定の理解と展望レポートの見通しを合計した場合に、一旦買ってみても負けはせんじゃろ(勝つかどうかは判らん)というところでの買いでも入ったか、2年カレントの引けは0.190%とかに低下しておりまして(つーか5年が強かったのでその影響かもしれませんが)、日銀の資金供給がやっとやる気らしきものを出した件も効いて来たかいなという感じっすけど、GCレートの方も0.11近辺とか超足元だともうちょっと下の水準とかになってきたのですが、短期国債自体はまだちょっと重いのかイマイチな状態だったようです。
てな訳で3か月TB入札を迎える訳ですが、まあ既発の感じからしても入札レベルが0.12%に乗せるというあたくしの記憶(と帳面)によれば半年以上前の水準に戻ると言う大変に胸の熱くなる状況な訳ですが、とりあえず0.12%台後半(話が細かくてスイマセン)のどこかで止まるってえ入札にはなってくれるでしょうという位のイメージしか沸かないのであります。まあここもと長期どころか中短期まで豪快な売りが出ていたような感じもございまして、その分の金が短期ゾーン最大の流動性を誇る3か月TBに流れてきても別におかしくは無いので、そーゆー金でも入ってくれば(カレンダーベースで月も替わりますし)そこまでコケないかもしれませんが、まあ昨日も売り物勝ちという感じだったですし、税揚げが明日なのでそこまでは資金繰りが読みにくいといのもあるでしょうから、まーそんなに劇的に強くなってくれるとも思えませんし・・・・
ということで、結論としてはどっちの入札もどっちに転ぶのかのイメージがよー判らんというのは別にあたくしが寝起きでボケているからというわけではございませんで(と思う^^)、ど〜も足元の相場ちゃんの動きって、一つ一つの動きは、例えば「中期に買いが入ったみたい」とか「短国が重いみたい」とか判るのですが、それが「ど〜してこのタイミングなのこの水準なの」ってのがサパーリ判らんがなというワケワカラン動き(と言うときは基本的に「お家の事情による」という事が往々にしてあるのでしょうなあと思いますけれども・・・・)になっているので、実際問題として足元の需給ってどうよというのを確認するのに丁度良い(特に長期ゾーンの入札は先々週の20年以降暫く無かったので)のかなあという誰でも考えるような当たり前の雑感をウダウダと書いてどうするという所ではございます。
まー10年の方は知らんが(おいおい)、短国に関して言えば、足元2年が0.20%とかまで上昇という素敵な展開を受けたのか受けないのか知りませんが、オペがその辺を意識しているのかも知れませんなあ的な動きになっている訳ですが、そもそも市場機能とやらを意識してGCレートがある程度ぶれる事を容認するようなオペレーションスタンスそのものが変わらないというのであれば(つまり今はタームが上がりすぎたから下げるけれども有る程度下がったらまた放置プレイに戻るという事ね)GCが0.11〜0.12で時々0.13とかいう状況だったら3か月は0.12位貰わないと間尺に合わないし、それより長いところはタームプレミアムが乗ってくるので、別に1年0.15で2年0.20でもタームプレミアム分ですから勘弁してね(はあと)という事になりますから、その辺明確にターム金利を潰しに行くのか、GCの日々の振れを容認するのかをはっきりしてくんなましという所ではございますわな。
#いやまあ追加緩和期待があれば足元が振れてもタームは低くなりますがね
○白川総裁講演を飛ばして会見の方を先に(つーかメモね)
講演なんですけど、香港の方もそうなんですけど、足元の円高傾向一服と株価の下落傾向一服にすっかり安心して毎度お馴染みの麿節と申しますか、低金利政策の長期化予想が金融の不均衡を招くでおじゃる的な、それは正論かもしれないが包括緩和を強力に推進すると言う状況でその話はせんで宜しいがな的なテイストを感じるものだったりするのでその悪態は後日(^^)。
会見につきましては、昨日ブルームバーグの記事から引用したネタの内容を確認しておきたかったので(^^)、当該部分をとりあえず引用するでおじゃる。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk1011c.pdf
最後から2番目の質疑応答が素敵です(^^)。
『(問)先ほどの長期金利についての質問と多少重なるところがありますが、新発2年債の利回りが本日0.21%と、昨年以来の水準に上昇しています。この2年債の利回りは、日銀がやや長めの金利を低めに誘導するという政策目的の対象になっている金利だと思います。先ほどはもう少し長めの金利についてコメントをされていましたが、こうした2年債金利の上昇は、あまり問題視されていないという理解で良いのでしょうか。(後半割愛)』
これはこれは(^^)。
『(答) 最初の点ですが、金融市場は非常にグローバル化していますから、各国の国債の金利はグローバルな動きの中で変動しているという側面があります。これはFRBについてもそうですが、実際に国債の買入れを行った後は、金利が上昇しています。もっとも、だからと言って国債買入れの効果はないということではありません。やはり国債の買入れ自体は金利の低下要因になっていると思います。』
国債の買入どうのこうのじゃなくてお前らの市場機能重視だか何だか知らんがGCの振れを容認するオペレーション&追加緩和期待の後退がタームプレミアムを復活させているのですけれども。
『日本銀行の国債買入れも、長めの金利に働きかける中で、相応の影響を及ぼしていると思っています。ただし、先ほども申し上げたとおり、日本銀行の包括的な金融緩和政策は、これだけ金利水準が下がっている中でどのように政策効果を出していくかということで考えた政策ですから、是非パッケージとして捉えて欲しいと思っています。』
全く意味が判らん。これでは2年金利の上昇について別に懸念していないという風にしか読めないのだが・・・・
2年というのは日銀の庭先の隣くらいのゾーンでもありますし、質問にもありますようにそもそも包括緩和による基金買入という「リスクプレミアムの低下を促す」という新しいコンセプト(=従来の「成長通貨供給」ではない)による2年以下の国債購入を行っているのだから、その政策意図からすれば「足元での2年金利の上昇に関しては包括緩和政策で意図する方向とはやや違った動きを示している」とか何とか牽制するような話でもするのじゃねえのかという所でありまして、こーゆー事を麿が言うもんだから折角の思い切った(ETFにJ−REITにBBB格の2年社債の買取って買っているものの質から言えば随分と頑張った政策なんですよ、量の話しかしない人が多くて困りますが)政策の印象がしょぼくなるという点に関しては、まあ「この正直者!」というのは人間としては好感が持てますが、折角の政策に自分で火消ししてどうするんだという事で、可及的速やかに福井の俊ちゃん辺りと一緒に階段落ちして中身を入れ替えて頂きたく存じます次第でございます。
#いやまあ白川さんの話も良いんですけど、こーゆー火事場モードにおけるインチキパワーに関しては俊ちゃんの方が一日どころか百万年くらいの長がありますので
ああ今日も悪態になってしまったorz
と、気がつけば悪態毒出しデトックス大会になっている(毎日デトックスしている筈なのに同量の毒が毎日補充されているのは仕様です)のですが、以下はFOMC議事要旨を折角真面目に読んだので昨日の続き。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20101103.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20101103.pdf
○連銀スタッフの経済見通しに関して
第25パラグラフと第26パラグラフの『Staff Economic Outlook』ですが、その中で追加緩和政策実施の期待によって反応した市場動向について「経済の追加的な刺激となる」という認識を示しているのがチャーミングであります。第25パラグラフの途中から。
『In light of asset market developments over the intermeeting period, which
in large part appeared to reflect heightened expectations among investors
that the Federal Reserve would undertake additional purchases of longer-term
securities, the November forecast was conditioned on lower long-term interest
rates, higher stock prices, and a lower foreign exchange value of the dollar
than was the staff's previous forecast. These factors were expected to
provide additional support to the recovery in economic activity. 』
今回の市場の反応自体はもともとのスタッフ見通しよりも景気刺激的でしたという話で、おまけみたいなもんなのかも知れませんけれども、逆に言うとQE2実施後の足元における市場の反応は(株式市場以外は)この逆に行っている訳で、それはQE2の効果を減じる作用があるという認識は連銀は当然の如く持っているでしょうから、当然ながらQE2推進派としては足元での動きに関しては火消しモードに入る、というのはそうなんでしょうね、という所です。
インフレに関しては第26パラグラフにありますが、この辺りを見るとどう見ても緩和政策長期化という答えになると思うわけで、QE2が途中で打ち切りとか有り得んと思うのですけどね。
『The staff's forecast continued to show subdued rates of headline and
core inflation during 2011 and 2012. However, the downward pressure on
inflation from slack in resource utilization was expected to be slightly
less than previously projected, and prices of imported goods were anticipated
to rise somewhat faster.』
資源の低活用状況がもたらすインフレのダウンサイドリスクは輸入物価の上昇が従前の予想よりも幾分速くなると予想される事から低下、とはゆうてますが、最初の部分で思いっきり2012年までのインフレが抑制されるという見通しを継続と仰せですわな。
『As in previous forecasts, further disinflation was expected to be checked
by the ongoing stability of inflation expectations.』
先行きのディスインフレに関してはインフレ期待の安定性を確認しながら予想という比較的普通の話をしていますわな。
○FOMCメンバーの先行き見通しの前提とする条件が違う件について
というのをウダウダ書こうと思ったのだが気がついたら時間が無いので引用だけですが(明日続きを書きます)、『Participants'
Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の冒頭になります第27パラグラフの部分から。
『In conjunction with this FOMC meeting, all meeting participants--the
six members of the Board of Governors and the heads of the 12 Federal Reserve
Banks--provided projections of output growth, the unemployment rate, and
inflation for each year from 2010 through 2013 and over the longer run.
Longer-run projections represent each participant's assessment of the rate
to which each variable would be expected to converge, over time, under
appropriate monetary policy and in the absence of further shocks. Participants'
forecasts are described in the Summary of Economic Projections, which is
attached as an addendum to these minutes. 』
>under appropriate monetary policy
>under appropriate monetary policy
>under appropriate monetary policy
・・・・・これってね、よくよく考えると先行き見通しを考える際の政策パスが、各メンバーがappropriateと考える政策パスになってしまうと思うのですが、それを前提にして集計した経済見通しっていうのにどういう政策インプリケーションを見出せば宜しいのでしょうか、というのがひじょーに悩ましいのですが。
と言いつつ、SEPの方まで熟読した訳ではないので、その辺の状況について認識違いをしていたら申し訳ないので、熟読している人教えてジェネラルなのでございますm(__)m