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2008/10/31

お題「さて決定会合ですが」

まあ正直言って日経が余計な記事書かなきゃ利下げもほうほうそうですかってなもんだったですけど、あの記事で利下げだとアホラシカとしか申し上げようがございませんので今日の利下げってどうなのよとは思いますけど(でもまあ年内利下げでしょ^^)ね。という屁理屈の多いあたくし。どうせなら政府の経済対策にぶつけてサプライズ利下げの方が良かったのに・・・・・

#読売が追随してますがモーサテはトーンダウンってどうよ

まあそれよりもツクモの民事再生申請の方が重要ニュースだったりするのですけどね。ナンテコッタイ。


○出てきそうな話を適当に想像してみます(利下げ以外で)


・当座預金付利やロンバード下げ

まあやるのでしょうけれども、問題は誘導目標との差。誘導目標から遠い(今のロンバートとの比較で考えれば誘導目標▲25bpが一番下でしょう)場合には「金利付き量的緩和」をやる際に誘導目標からの下への逸脱がでかくなり、実質的に利下げみたいな話になってしまいますので、金融政策のディレクティブとの関係がヤヤコシヤになってしまいます。

かと言って誘導目標に近くすると「金利付き量的緩和」はやりやすくなりますけれども、今度は資金放出サイドが市場に資金を益々出さなくなってしまいますので、オペレーションでじゃんじゃん資金を供給しないと資金の回りが悪くなる関係上、実体的な金融環境としては宜しくないという所でどっちが良いのか。

ただし25bp利下げした場合は当座預金付利とか言っても▲25bpだとゼロになってしまいますので(^^)、これどうするんでしょ。5bpとか訳判らんレートになるのでしょうかね。利下げするならやらないほうがスマートじゃないですか。次に戻すときにやりゃいいじゃん。

利下げしないでロンバートだけ下げるというのもあるでしょう。ただまあロンバート下げると寝転がりが増えるので、信用機構局涙目になると思いますが(^^)。利下げした場合はロンバートは単にフルスライドするだけでしょ。


・なお書きでプチ低め誘導ってどうよ

当座預金付利しておいて誘導目標を据え置いて「なお、金融市場の状況によっては上記目標水準に関わらず潤沢な資金供給を行う」というなお書き入れて低め誘導みたいな見せ方をするってのはどうなのですかねえとか思ったんですけど。

これだと当座預金の付利水準が低いほど市場が利下げ催促しやすくなりますので、まあそれもまたヤヤコシヤという話ではありますけれども、利下げ期待で金利水準が全体的に低下するのであればそれはそれで金融環境は緩和的になるのでありますから、引っ張れるものなら引っ張っても(とは言え年内には利下げでしょとは思いますが)オイチイとは思いますけどね。


・その他流動性拡充策

まあ先日来申し上げていますが、資金繰りだの短期金融市場の価格形成だのという面で言えば、GCとかCPの金利が下がらなかったり安定しなかったるする方が問題ありなのでして、ちなみに昨日に関しても2年やら5年やらFBやらは全力買いしている向きがあるみたいですけれども、その一方で前日0.5台半ばに低下したGCレートは何と資金の出しがいなくなって0.6%近傍に上昇、CP発行レートに関しても利下げ観測浮上ですかさず発行増えたのですけれども、レートの方は前日比あんまり下がらずの巻で、イマイチ感が拭えません。

ということで、利下げしてフルスライドで金利下がってくれれば良いのですけれども、ちゃんと下がってくれませんと資金繰りの面から言えば利下げ分の効果がここで減殺されてしまいますというお話になるのれす。じゃあ何やるのでしょうかねえという事ですけれども・・・・・・

担保政策でいじってくる物としては当然ながら適格担保の拡大なのですけれども、特別会計やら地方公共団体向けの証書貸付を適格に取るあたりから始まって、思いっきり広げるのであれば上場株式を掛け目厳しくして取るくらいまでございますにゃ。正直言ってこの株価水準で銀行保有株式の買入やるのって「強制損切りの勧め」的な罰ゲームにしか思えませんので、銀行保有株式の買入やる位なら上場株式をヘアカット思いっきり取って担保適格にしてあげた方が良さげな気がするんですがどうでしょ。

オペの拡充ですけれども、こりゃまあ正直言って現在の枠組みで本来もっと大供給できるところを出し惜しみしてるんだか何だか知りませんが、もっと出しようがある所ですので、新しく何かするというのであればCP現先オペの積極化を謳う(謳うだけじゃなくて実際に毎週打つとかしてくれないと意味がないですが)とか、全店オペの先日付をT+3やT+4でも通常ベースで実行できるようにするとかでしょうか。

その他として思いつくのは、どうせ余力があるのですから、輪番オペを年末流動性対策という名目で時限的に増額するとか、為替介入をしなきゃいけない破目になった場合のFB対策ですかね。今の枠組みでもFB日銀引受自体は出来るので制度をいじる必要は無いのですけれども、正直言って毎週4兆5千億円のFBって市場の消化能力的に結構厳しいものがあると思いますし、制度の建付け上FBの発行が減る事も今のところ無い上に、埋蔵金活用ってこれFBに影響してこないのかなあと思ってみたりするのれすが。

で、書きながら思ったのですが、時限的に(と言いつつ延長したりするのでしょうけれども)物価連動とか15年変国を輪番するってどうよとか思ったのですが、政策ロジック的に難しいですかねえ。株式買うよりはこっちの方が役に立ちそうなんですが。


・ちなみに金融政策マターじゃないですけれども

時価会計に合理的に算定された理論価格を使うとか、満期保有目的勘定の利用の弾力化というのは15年変国とか15年変国とか15年変国でエライ目にあっている国内機関投資家の皆様におかれましては大変に結構なお話でありまして、余計な損失処理しないで済むという点において実は物凄く効果のあるお話ですので、こちらは可及的速やかに進行することを希望いたしとう存じます(^^)。


○ちと話が斜め上に逸れますが

とまあつらつら考えておったのですが、現在のように金融市場が平常モードじゃ無い時の「政策金利」と「実際の市場での金利」との関係ってどういう意味があるのでしょうとか最近思うのであります。

例えば米国様なんかですと、(全部ちゃんとデータ取ってないので印象論で恐縮ですけれども)FF誘導金利を下げていく過程において連銀当座預金への付利を行ったのですけれども、この付利をやる前には供給をバシバシやったお蔭でFFレートとかガンガン下がってゼロ近傍になっちゃったりしてたのですけれども、連銀当座預金への付利をしたらFFは下限設定の巻ということで、FFレートだけ見ると大緩和の後引き締めになってたりしてまして。

でもまあその間にLIBORの金利とかは上昇して低下となっているので、こっち的には引き締めの後緩和という状態になってたりする訳でして、はてさてこれは何がどうなっていると考えるべきなのかという話。

たぶん実体的な金利がどの位置にあるのかという点で言えばLIBORとかプライムレートとかCP発行レートとかを見るべきな話だと思うのですけれども、じゃあそのレートって中央銀行がコントロールすべきものなのかと言う論議になるとこれがまたヤヤコシイ話になりますわな。恐らくは金融市場が正常に機能していればFFなり無担コールの誘導金利の操作が金融環境に影響をストレートに与えるけれども、金融市場が正常に機能していない場合は政策金利操作のみでは金融環境に予期した作用が起こらない可能性があるので、こういう異常事態の時には考慮するべきという話になるのでしょうが。

ただまあなおつらつら考えますと、何でもかんでも中央銀行が間に立ってやるというのは金融市場のプレーヤーがこういう状態になっているので仕方ないのですけれども、これをそのままやってますと出口政策が非常に難しくなってくる話になりますので、まあ出口考えてる余裕なんぞ今のところ無いでしょうけれども、景気の話とプルーデンスの話はまた別の話でもありますので、プルーデンス的に出口政策ってどうなるのよとか米国とか欧州の動きを見てて思うのであります。

と訳の判らない余談すいませんえん。










2008/10/30

お題「利下げ騒動あれこれ」

○こういう品の無いリーク記事はケシカランので

えー、問題の日経新聞を読んだのですが、記事内容が思いっきり断定調になっていまして、こりゃまた随分と自信満々の記事だことという感じではございました。ネット版ではこんな感じでしたが、新聞の方がもうちょっと断定調でしたよね。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081029AT2C2802228102008.html

日銀、利下げ検討 円高・株安で景気下振れ懸念

日銀は円高・株安など世界の金融市場の動揺で景気下振れ懸念が強まっているのを受け、政策金利を引き下げる検討に入った。無担保コール翌日物金利の誘導目標を現在の年0.5%から0.25%引き下げる案が有力。31日に開く金融政策決定会合で協議、市場動向などを見極めながら最終決断する。日銀の利下げは量的緩和で金利をゼロに誘導した2001年3月以来になる。

(以下割愛)

まず先にあたくしの見解を暴論から先に申し上げますと、金融政策変更の度に事前のリーク記事みたいなのが出るとかどこの未開国家だと思う次第ですので、今週末の会合では利下げ無しで下品にも程がある日経新聞涙目ついでにリークした人間も含めて風雪のルルでタイーホくらいの展開を激しく希望いたします。

・・・・理由が無茶苦茶ですかそうですか(^^)。

2006年12月から1月に掛けての利上げ報道時における下品な動きに対して市場内外から批判出まくっていた筈なのですが、またこれかよということで、呆れるというか政策決定会合は何のためにやっているのかとか、またまた脱力感に襲われるのであります。普通の観測記事じゃなくてこういう記事を書く神経って全くわからん。まあ経済のクオリティーペーパーとか言ってますけど所詮は株屋新聞体質なんでしょうな。と書くと株屋さんに失礼にも程がありますので株屋さんにお詫びいたします。

しかも日経がNYダウ上昇まで利下げ報道のお蔭にするとか、日本株が絶賛下落している時にもやたら堅調だったNY株式が本質的に日本要因で動く訳ねえだろ(買い方の後付け理屈には使ったでしょうが)という中でまあよくもまあ自画自賛するわなって所でありました。

それからね、サプライズで利下げするんだったらそれは最後の最後まで秘匿しておくべきであって、事前にリークされちゃったら「知ったら仕舞い」という兜町古言にありますように、金融政策実際に打ち込んだ時には下手したら「材料出尽くし」になってしまう訳でして、折角のサプライズ効果も減殺されちゃうと思うのですよ。センス無さ過ぎにも程がありますわな。


と、悪態だけついてるとアレですのでもうちょっと真面目に参ります。


○足元の問題は金利よりも量と質なのですけれども

以下申し上げるのは、金利水準が物価対比でどうのという本来的な話ではない細かな論点ではございますのでその辺一応先に断っておきますということで一つ宜しゅうに。

えーっとですな、暫く前からCPのレートが妙に高いですね云々というお話をしておりましたが、足元の短期市場における問題点ってその辺りにあると思うのですよ。即ち、市場参加者というかディーラーやら最終投資家のリスク許容度低下やら予備的資金需要やらカウンターパーティーリスクへの意識やらというような条件が複合してGCレポレートやらCPレートが高止まりとなっておりますと。

レポレートが安定しないと債券ディーラーの在庫ファンディング部分が安定しない訳で、いつなんどきシュリンクするか判らんとなればポジションを取ることに慎重にならざるを得なくなり、結果として債券市場におけるオファー・ビットの拡大とか、相対的に流動性の低いとみなされる銘柄がボコボコになるとか、大口売買が捌きにくくなるので入札時に事前にそのゾーンがやたら調整するとか、まあ色々な問題に繋がる(原因は一から十までレポレートではないですので念のため)次第。

またCP発行レートの高止まりは企業金融の実質的なタイト化を意味する訳で、CPからローンにシフトした場合に銀行の資金繰りのタイト化に繋がります(必要な資金の総量は変わりませんけど、CPとローンを比較すれば流動性というか換金性の高さが全然違うので、その結果として資金繰りへの効果は違ってくる)次第ということで、これまた金融環境のタイト化というお話ではございます。

てな訳で、足元の市場での問題ってそのあたりの議論に加えまして、ガイジンさんの決算時期にもなります年末に向けてのファンディングがきちんと確保できるのかという所もある次第。一頃のようにレート払っても量が取れませんとかいう話になったら涙目とか言ってる場合じゃないの巻ですので、まあそーゆーあたりのアベイラビリティって奴が問題になっとるわけですな。

ということでありまして、もっと質(担保政策)と量(オペレーション)の面から金融環境の緩和を行う方が課題としては急がれる所でございまして、まあ利下げは利下げで重要な話ですが、その効果を発揮する為には大向こうウケしないかもしれませんけれども、地味かつ有効な質と量の緩和を行うことがこれまた重要だと思いますけどね(あと、短期市場の金利形成という面だけで言えば、変に達成感が出てしまうよりは「やるやる詐欺」攻撃で期待を引っ張った方が良い(ただし参加者は疲れ死ぬ^^)のですが、アナウンスメント効果とかの問題もありますからね^^)。



○しかし債券市場って織り込んで無かったの????

株式市場の反応は兎も角として、正直唖然としたのは債券市場の反応。

あたくし確かこちらでも「別に利下げが展望レポートと同時に来ても驚きはしません」とか申し上げていたような気がするのですが、市場の中の人的には特に短期に近い人ほど「展望レポートのロジックを大幅変更して利下げ」(=今週末)、「ど〜せ碌な結果のでないGDP1次速報を見て利下げ」(=11月利下げ)、「GDP2次速報と日銀短観の結果を見て年末越え対策も含めて利下げ」(=12月利下げ)、といった図は普通にアリエールな話と認識してたんじゃないかなあと思ってたのですが。

ただまあ足元のGCレートだのの問題があるので、そうホイホイとポジションをどど〜んと取る訳にもいかないですから無理もしないでしょという所で金利が形成されてたのかなあと特に超足元に関しては思ってたのですけれどもね。

と申しますのは、昨日の超短い所の相場展開をみててほほうと思ったからであります。まずFBですけれども、3か月FBの入札段階ではレート低下が10bp程度で、その後買いが入ったみたいで引けでは堂々0.48%とそれは12月利下げだと負け確定ですが大丈夫ですかというレートまで低下しておったのですが、入札段階ではそこまで突っ込むまでには慎重と。で、CPの方が何とも残念な展開でして、スポ末発行かつ全体発行額減り減り状態で例のニュースという条件にも関わらず、レート低下が(物によってまちまちでしたけれども)だいたい5bpからまあそれに毛が生えた程度という残念にも程がある結果に。つまり、ホイホイとポジション取りにくい物ほど利下げ観測の影響が低いという事態でして、まあ当たり前っちゃあ当たり前ですが、これがいずれ追いつくものなら良いのですけれども、今までの環境見てるとどうもそうじゃ無さそうな悪寒も。


・・・・と、話が逸れましたが(苦笑)、昨日の債券市場では例によって後場になって勢いついちゃいまして、2年カレント10毛強の0.600%、5年カレント11毛強の0.920%などと、まあ威勢の良い上昇っぷりに正直呆れてしまいました。そもそも論からして実体経済のデータがこれだけクソミソ状態なのに利下げ全然警戒しないとか有りえないと思うのですけどねえ・・・・・これもやっぱりファンディング部分とかの影響があったのかなあ。よーわからん。

#もっと書くこと有ったような気がしますが、時間が来たのと書いてるうちに論点を忘れてしまったので(あほ)こんなところで勘弁。









2008/10/29

お題「日経のリーク??記事/山口副総裁就任会見より」

○日経が「利下げ検討」記事のようで

手元に日経新聞が無いのでイマイチよく判らんですが、というか朝刊で書いているならネット版にアップしてよと思うのですけれども、円高株安で利下げ検討という記事らしいですが、モーサテ最初は威勢よく「利下げ検討」って話をしてたのに、コメンテーターからダメ出しされたらいきなり為替市況の説明が「日銀の利下げ観測も少々影響しているようです」とトーンダウンしている所には笑ってしまいましたが(^^)。

まあ今日からブラックアウト期間に入るので、その直前にこういうネタを打ち込むと日銀としては否定も肯定もできませんし、記事の出るタイミング的にはブラックアウトの前日に取材してるから問題無いでしょという言い訳も出来るという事で、まあ狙って打ち込みましたねえという所ですにゃ。

・・・・・で、あたくしの勝手な読み筋は昨日申し上げた通りでして、中川財務大臣が金利に対する考え方を会合までにどうのこうのとか言ってる位では少なくとも利下げで握れてはいないでしょと思う次第でして、まあ当座預金付利(って単体で打ち込んでも何が何だか訳判らんですが)を含めたオペレーションの強化策が「流動性強化策」とか言って出てくるのが先ですかねえという所なんですが。

しかし前日には「流動性強化策で当座預金付利」って報道をしたのも日経テレコンなんですけれども、昨日の今日で今度は「利下げ検討」とか人騒がせなというのもありますが、観測記事じゃなくてリーク記事みたいなのが出てくる(中身見ずに言うのも何ですが、どうせ日経ですから観測じゃなくてリーク記事みたいな話でしょ)のは品が無い話で、まあ所詮は(以下見苦しいので自主規制^^)。

ま、市場の中の人の勝手な事情を申し上げますと、利下げするなら利下げするでも良いのですが、月末前に色々とポジション調整とかある中でこーゆー変なネタ出されますと、変にブレたり売買が止まったりするのでポジション調整がややこしくなるので、月末前にこういう変てこな憶測だかリークだかの記事打たれると迷惑なんですけどねえ。

なお、公共放送様におかれましては「日銀、景気下支え策を検討へ」というお題で「展望レポートで景気見通しを大幅に下方修正」して「具体的には金利引き下げの必要があるかどうかの検討や、資金供給手段の新たな強化について検討」という報道を朝6時半のニュースではやっておりました(脳内記憶ベースなので正確な表現では無いかもしれませんので念のため)。

えーしかし何ですな、別にまあ理屈から言えば毎回の決定会合で金融政策をどうするかという話は検討しているので、利下げ提案の有無は別にしてその時点で「利下げの必要性について検討」はしていると思うのですが(^^)・・・・・何となくこれはやるやる詐欺の悪寒が致します。日経新聞釣られたんジャマイカ?

なお、市場の状況次第では利下げがとっととやって来ても別に驚かないのですが、やるやる詐欺で期待を引っ張った方が一粒で数度オイシイ(既に今日オイシイのですから^^)というのが市場の仕様でもあったりするので、相場が期待で戻ってしまうと却って利下げが直ぐに行われない悪寒もしますけどねえ(苦笑)。


と、朝のニュースに脊髄反射。まあ今回は「ただの検討」だけのような気がするんですけどね。よーわからん。



○山口副総裁就任記者会見

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0810d.pdf

・景気の見通しは従来の公式見解通りなるも下振れ懸念強し

冒頭の日本経済に関する質問から。

『日本経済につきましても、既にエネルギー・原材料価格がかなり高騰した時期を経過してきたわけですが、そうした高騰の影響がなお出ていますし、それに加え、今申し上げた欧米を中心とする海外経済の減速が明らかになってきていますので、当面停滞を続ける可能性が高いと思っています。』

『更にその先については見通しがなかなか難しくなりますが、やや長い目でみると、エネルギー・原材料価格高の影響が薄れていくとみられるほか、海外経済も減速局面を脱することになると予想されますので、次第に緩やかな成長経路に復していくとみてよいのではないかと思っています。』

と、まあここまでが展望レポートおよび毎月の検討で示されるお話と同じ部分でございまする。

『ただし率直に申し上げれば、昨今の状況を踏まえると、こうした見通しを巡る不確実性は増大してきていると認識しています。』

ということで、これはまあ今週末の展望レポートでの下方修正(たぶん大幅)を示唆していますわなという所で。


・でも物価の上振れリスクの話はちゃっかりしていまして

企業向けサービス価格指数が絶賛大失速してたと思うのですけどねえ・・・・ということで同じ部分から。

『さらに先行きのリスク要因についてですが、景気の面では、国際金融資本市場の動向や世界経済の情勢が一段と悪化してきており、その実体面への影響が懸念される状況にあるため、下振れリスクが高まっているとみています。』

と、まあここまでは良いとして。

『一方、物価の面については、なお高めの消費者物価(除く生鮮食品)上昇率が続いているため、当面は、エネルギー・原材料価格の動向や消費者のインフレ予想といった上振れリスクへの注意がなお怠れないといった状況だと思っています。』

いやあインフレ懸念リスクへの注意は大変ですねえ(棒読み)。


・レポ市場の話をしてますが

同じ質疑で市場がシュリンクしている点についても話しています。

『こうした中、わが国の金融資本市場の動向についてですが、先程申し上げた通り、国際的な金融資本市場では著しく緊張が高まっているという状況のもとで、わが国の金融資本市場についても不安定さを増しているとみています。短期金融市場では、市場参加者のリスク回避姿勢がかなり強まっており、神経質な状態が続いているほか、レポ市場における流動性低下もみられています。また、株価も大きく下落しているほか、為替市場では円高が急速に進行している状況にあります。』

・・・・えーっと、そういうご認識なのでしたらコールしか気にしてないような調節でオープン市場が実質利上げ状態でCPレート上昇して企業金融にも影響が出ていますがなという状況についてどのようなご認識をお持ちか小一時間お伺いしたいものでありますけど。


・利下げに関して

途中をすっ飛ばしてこの質問から。

『(問) これまでの金融危機で、世界の中央銀行は豊富な資金供給とともに利下げを行ってきました。一方、日本銀行は豊富な資金供給は行ってきましたが、利下げには踏み切りませんでした。これまでの一連の対応について、どのような考えをお持ちでしょうか。』

『(答) 現在の政策金利の水準について、私どもとしてどう評価しているかということから話をします。現在の政策金利0.5%という水準については、日本の経済成長率や物価上昇率との関係からみて極めて低い、緩和的な水準が維持されていると認識しています。従って、企業の資金調達コストも相当低い水準で推移しているということになりますし、こうした緩和的な金融環境というのは企業活動を支えているはずだと認識しています。』

足元ではオープン金利の上昇(以下同文)というツッコミはまあスルーしますとして、緩和的な水準ですかそうですかという事で。

でですね、この質疑の話とずれちゃうかもしれませんけど、政策金利は無担保コール翌日物加重平均な訳ですが、その金利がコントロールできていても足元市場の裁定機能が低下(というか無い)している中で、各種金利が必ずしも安定して推移していないという状況になっていますよね。金融政策の効果っていうのは、無担保コール翌日物金利というよりは、これらの各種金利が影響すると思うのでして・・・・とか申し上げているうちにいつもの話になってしまった(汗)。

『先行きの金融政策運営については、総裁がいつも言っていることですが、経済・物価の見通しとその蓋然性、それから上下両方向のリスク要因を丹念に点検しながら機動的に行っていくというのが基本的なスタンスです。ただ、国際金融資本市場の動向が極めて緊張感に満ちた状況になりつつあるため、これまで弾力的かつ大量の流動性の供給を通じて金融市場の安定確保に努めてきたわけですが、今後ともそうした対応を続けていきたいと思います。』

ということで注目すべき点は展望レポートの書きっぷりになるわけで、現在の政策金利水準が緩和的なのかどうか、というのと、先行きの経済見通しが回復方向になっているのかどうか、という所だと思います。


・CP買入について

資金供給に関する質問の中でCPの話がありました。

『ただ、企業金融について、先程は申し上げませんでしたが、このところCPの金利が上昇するといったようなかたちで何がしかの厳しさが表れてきているのも事実です。そうした認識に立って、先般、CP現先オペについて積極的に行っていくことを決め、現にそうしたオペレーションを行ってきているところです。そういう意味では、私どもの弾力的かつ大量の流動性供給というのは、第一義的には金融市場に対してですが、企業金融面でも何らかの流動性の供給が必要であればそうした対応も採っていくと、このように認識しています。』

えーっと、一発打っただけなのですがそれを積極的とか言われましても・・・・で、CP買入が検討課題かどうかという質問が次に出てそれに対する答えですが。

『質問のご趣旨がCPの買切りオペ導入の可能性ということであれば私どもとしては、現在は現先方式での資金供給ということで対応可能と考えています。』

まあ、昨日も申し上げましたが、一発買切りをやるだけとかだったらアリバイオペにも程がありますので、定例的(最低毎週1回)に現先オペを打ってそれをロールしてもらったほうがよっぽど意味がありますので、まあ買切の前にもうちょっとオペのやる気を見せていただきとう存じますけれども。

その他、FRBビューとBISビューの話とかあったのですが時間の関係で今日はこんな感じで勘弁。








2008/10/28

お題「今日はネタ成分濃厚で与太話をさせて下さいませ」

株下げに関しては何かもう不感症状態になってますが(あほ)、微妙にこう血圧の上がる話が散見されるわけでして、本日は与太話の巻で勘弁させていただきとう存じます。

○1兆円増資とか何と言うKY

月曜の株式市場はどこぞのアホウ銀行がこの安値水準で1兆円増資するとかいうニュースで金融株中心の下げが酷く、前場日経平均しっかりしている中でも見事にTOPIXがゲロゲロという状態になっておりました。で、後場日経平均も一緒にボコボコになったのはご案内の通り。

えーっとですな、金融危機の時のメガバンク増資は、国内要因による不良債権(今にして思えば無駄な時価評価のせいもあるが)のロスカットの後処理として必要だったので、この時の増資に関しては仕方ないですねって話だと思うのですが、今回に関して言えば、先日どこぞの外資系金融機関に8000億円突っ込んだばっかりなのでありまして、「株価下落が原因で」とかもうアホか馬鹿かと。

増資しなきゃ明日にも潰れるとか、そもそも増資しないといけない状況になったのが国内に融資突っ込んで毀損したからとか言うのであれば兎も角、海外に景気良く投資した挙句に株が下がって資本不足、しかも株価下落した所で大希薄化とか既存株主をコケにするにも程がある上に株式市場全体にもダメージということで、これはもうどこの国賊ですかと思ってしまう訳で、経営陣は恥というものを知っているのであれば切腹して既存株主に謝罪すべきではないかと思うのですけれどもねえ。

ちなみに、時事メインで見たニュースですけれども、東海東京証券(8616)は昨日自社株買い300万株、20億円上限で実施すると公表しておりました。本来そうあるべきもんでしょと思う次第でありまして、この状況になって自社株買いするどころか増資するとかもう何と申しますか(以下同文)。


・・・・と悪態をつく訳ですが、与太話成分を更に拡大させますと(笑)、やはりこうなりますとサンリオの社長様であらせられる辻信太郎先生が実は時代を先取りしていた訳ですよ(嘘)。

もうだいぶ前の話になりますが、投資家向けIRだかの席上で辻社長が保有株式の下落について質問された時に「売らなければ損ではない」という上場企業の会計基準から思いっきり斜め上に逝く発言をして出席者の腰を抜かさせたという事例がありましたが、「そもそも本業が儲かっているので問題なく、株の評価で一時的にやられることで大騒ぎするのはケシカラン」というのは現在の「時価会計見直し」や「満期保有勘定の運用弾力化」に通じる議論でありまして(嘘)、まさにこう時代を先取りしていた訳ですな(しつこいですがネタですので真に受けないように)。しかも原資は体重リンゴ3個分のネコさんが世界中で稼いだ金ですから正に愛国者(^^)。

ま、サンリオ云々はギャグですけれども、この期に及んで自社株買いどころか大型増資とか何考えてるんだというか、却って不安煽らんかいなとか思うのですけれども。何というかセンスがねえとしか・・・・


○これも微妙にうーんでしたけど(中川酒)

これまた妄想ネタで恐縮至極であります。

昨日の昼に出たニュースフラッシュで反応した後、株価が爆下げして尚反応して利下げ織り込みっぽい展開になってきたのですが・・・・・

会見での発言なので当然ながら他のベンダーでも出てましたが、ロイター日本語版の12:33配信のフラッシュをば。

12:33 金曜の日銀政策決定会合までに(金利に関する)政府の考え方を決めたい=中川氏

これに反応したのか株安で反応したのかよー判らんのですが、この手の発言が出るということは少なくともこの時点で今週末の決定会合では利下げ方向の議論がメインに据えられる(もうちょっと品の無い言い方をすれば、「利下げでの握りは出来ていない」ですな^^)ことは無いんじゃねえのという事と、政府サイドで今週末はそうシャカリキに利下げを求めてないのねって想像(かなり妄想寄り)になる次第であります。

と、申しますのは昨年1月の利上げ騒動の時の事例を思い出す次第なのでありまして、このときって1月利上げ断念という線で纏まっていた所に対して当時の中川(秀直)幹事長が事情を知ってか知らずか「日銀が利上げ提案するなら議決延期請求をすべき」とか「日銀法改正」とか威勢のいい話をしていまして、それに対して政府サイドは物凄く物分りの良い発言に終始していたので、市場が思いっきり「これは利上げ容認」と騙されたという楽しい事件があった時期(2007年の1月前半から中旬くらい)ですな。

そもそも利下げで話の方向が纏まっているのであれば、所轄大臣がこんな事言うわけございませんですし、本気で利下げさせるために圧力でも何でも掛けるというのであれば、こんな正面切った話はせんでしょ(却って話がややこしくなる)と思うので、あたくしなんぞは今週末利下げでも別にふ〜ん位なんだった(ちなみにそれは市場平均予想より前倒し)のですけれども、この発言見て「こりゃ今週末は無いのかな」なんて逆に思ってしまったりして(苦笑)。

まあいずれにせよ、この手の発言は実効性に疑問符(言うなら会見などではなく決定会合の時に言えと思う)なんで、ちょっとセンスがどうなのよと思うのでありました。いやまあアリバイ発言したいってのなら判りますけれども、この期に及んでアリバイ発言とかやってる場合じゃないと思うのですけれどもねえ。


○当座預金付利ですかそうですか

で、昨日は日経テレコンが最初に報道してましたが、金融安定化策ということで、当座預金付利(超過準備に付利ですかな)とかCP買取という話が浮上しているそうですな。

えーっとですね、いやまあ当座預金付利するのであれば、そこのフロア金利に近づく位にバンバン資金供給(ついでに言えばT+0スタートの3日モノとかいうようなオープン市場に無意味な供給ではないもので)する位のことやって頂きませんと、却って資金の回りが悪くなってしまい、金利としての効果が下手したら実質利上げ効果みたいになってしまいますので、その辺勘弁していただきたい訳ですな。

で、毎日悪態ついてますように、わざわざ臨時会合やって流動性強化策とか打ち出しておいてCP買現先は一発やっただけで後は無しとか、期末越えの供給をやるとかいう割には一番必要なT+2やT+3スタートでのターム資金供給のオペは不足気味だわ(昨日なんて共通担保の先日付オペ無しですがな)と言う感じで、何か本当にちゃんと大供給する気があるんかいなというオペが続く昨今でありますので、CP買取とかも言うだけ言ってオペ一発だけやって後は知らんがなとかいうような、目くらましアリバイオペをやられても困るので、地味でもちゃんと実効性のある「流動性強化策」を実施して頂きたいものであります。


○なお与太話

・アイスランドまたまた

サムライのカウプシング銀行1回債(発行額500億円、2009年10月20日償還)の利払いが7日間遅延してデフォルトとなりました。ご冥福をお祈り致しますが、報道によりますとこの国の首相は「経済立て直しの為にあと40億ドル必要」とか寝言としか言いようが無い発言をしておられているようでありますな。

・・・・・えーっと、この国そのものを国際的に競売にでも掛けた方が良いのではないかと思いますが。


・これは良い兆し

昨日のロイターニュースでインタビュー記事が。

14:57 金融混乱:株式市場は今が最悪、財政政策などが必要=ドイツ証券 武者氏

[東京 27日 ロイター] ドイツ証券・副会長兼チーフ・インベストメント・アドバイザーの武者陵司氏は、ロイターの緊急株式インタビュー「金融混乱」の中で、株式などマーケットは今が最悪であり底打ちも近いが、財政政策など適切な政策が打ち出されず株価の水準が現時点から変わらなければ、破局的な経済悪化もありうるとの見方を示した。(インタビュー内容部分割愛)

・・・・・・・・・・(゜∀゜)

>破局的な経済悪化もありうる
>破局的な経済悪化もありうる
>破局的な経済悪化もありうる

さあ、あと一息ですよ!!









2008/10/27

お題「虫干しネタと相場雑感」

今週終わったら10月終わりとは早いもんで。

○地味に超足元の金利が下がらない訳だが

金曜はご案内の通りの円高株安で大変に素敵な展開になったのですが(ユーロ/円の値段を見ててドル円かと)、超足元の金利がこれまた金曜も下がらんの巻。GCレートは相変わらず0.65%というのも何ですが、いい加減利下げ観測が反映されても良い筈のFB3か月カレントは0.645%で、1月償還は全般的に0.65%に近くなっているという有様で、場中には2年カレント国債が0.7%割れに突撃するような場面があるっちゅう中で何ともまあという感じです。

で、FBもそうなんですけれども、CPの方がどうもぱっとせん訳でございまして、足元で絶賛強含みという感じになっていますわな。これはまあCPディーラー(=大手銀行)がここもとの株価急落でリスク管理上の警戒レベルが上昇してリスクアセット圧縮とか、GCレートなどの高止まりでファンディングコストが高止まりだとかいうような背景があるので、レートが下がらず。また、レートが下がる時っていうのは普段の最終投資家(投信とか)以外に地銀さんなんぞも登場する傾向にありますが、銀行業態さんは同じ理屈でそうホイホイとリスクアセット積む訳にも行かないという所でしょう。これだけ市場が不安定になると資金繰りも読みにくくなりますし。

てな次第でございまして、GCも0.65%ちょっとの所で安定しちゃって推移し、CPレートが上位格付の大手企業とかでも3か月で1%だのとかで推移するという状態になっていると金曜日にも申し上げたと思いますが、これって「金融環境」的には実質的に利上げになっているようなもんだと存じますけど、その辺りどう考えてるのですかねと小一時間ではございまする。


○堀井理事の講演

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0810b.pdf
Global Operations Managers' Conferenceにおける堀井理事挨拶10月16日のお話ですけれども、『国際金融不安の暫定的インプリケーション』という部分についてちと引用を。

『実際、昨年夏以降に国際金融不安が顕現化した後も、外国為替市場については、市場の抵抗力(resiliency)を評価する向きが大勢でした。つまり、初期にはエマージング市場への資金シフト、最近では米国へのリパトリといった形で、クロスボーダーの資金フローが方向を変えつつ増勢を強めたにも拘らず、外国為替取引は総じて大きな問題なく秩序だって執行されてきました。』

10月16日のお話でしたからここは突っ込みません(^^)。

『もっとも、為替スワップ市場では、市場流動性の低下が目立っています。つまり、取引レートが不安定化するだけでなく、取引自体がしばしば困難となっている訳です。これは、カウンターパーティ・リスクへの意識への高まりに伴って、短期金融市場の機能が損なわれた結果、為替スワップ市場での「価格発見」が困難になったことによるものです。』

これ重要な論点でして、結局のところはポールソンのアホウがリーマンを突然法的にこかして決済取引を大混乱させてしまい、通常の売買取引などにおける決済リスクへの警戒レベルを大きく引き上げさせてしまった事が影響しとるとしか申し上げようがございませんですわな。

『このため、ある通貨の資金を調達した上で、為替スワップ取引を通じて、別の通貨の資金調達に充てることが難しくなり、一部のグローバルな金融機関による資金調達に問題が生じました。こうした資金調達の問題は、米ドルにおいて最も顕著に生じています。世界中の中央銀行が時差を超えてドル資金を供給しているのはこのためです。』

欧州におけるドル資金もそうですけど、東京でも取引枠を縮小する動きはありますので、まあ日本でも影響してるでしょと思う訳ですが。ついでに脱線すると、CPレートなんてその煽りを食らっている側面がごく一部かもしれないけども有りそうな希ガス。

『しかも、足許では、為替スワップ以外の外国為替取引に関しても、取引高が高水準で推移する中でもビッド・アスク・スプレッドが拡大するなど、市場流動性の低下の兆しを指摘する向きがみられるようになっています。』

左様でございますな。で、この挨拶の後からそれは拡大してるのではないかと勝手に想像(想像の世界ですが)するのですが。で、この先途中をちょっと飛ばしまして、さっきの論点部分の話の続きを。

『為替スワップを中心とする外国為替市場の流動性の低下は、市場機能の維持に関わる論点を少なからず含んでいます。』

ではどういう論点があるかという話。

『例えば、議論の前提として、近年成長した参加者や取引手法が、市場流動性にそもそも如何なるサポートまたはストレスを齎していたかを整理することは有用です。』

『今回の市場機能の低下に関しては、外国為替市場の基本的枠組みであるブローキングやマーケット・メイキングが受けた影響について、市場機能の頑健性という視点から考えることが必要です。また、日本銀行を含む主要国の中央銀行は米ドル資金供給オペを実施していますが、為替スワップ市場への効果についても伺いたいと思います。』

『決済リスクへの対応も劣らず重要です。ストレスの下で一定の市場機能を維持しうる外国為替市場を展望する上では、主要通貨だけでなくエマージング通貨も含めて、外国為替取引に係る決済リスクの削減を進めることの重要さは一段と増しています。』

たぶん為替の場合は債券と違ってモノの受渡という面ではフェイルのようなややこしい話はない(フェイルじゃなくてデフォルトですわな)と思うのですが、内外での受渡タイミングの問題とか、フォワード取引の問題とか、そっちの方が債券市場よりもややこしい論点になるんでしょうな。

まあちょっと気になったのでクリップしてみました。


○主要銀行貸出動向アンケート調査

ちと前にでたんですけど。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/loos/loos0810.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/loos/loos0807.pdf(前回)

前回は7月調査でしたが、ちょっと比較するとほほうという感じ。ほんのちょっとだけで恐縮ですが。

・全体の資金需要

『過去3ヶ月間において、「企業向け」、「地公体等向け」、「個人向け」の資金需要がどのように変化したか。』って質問に対して資金需要判断DI(プラスが大きいほど需要が高い)の推移がこうなってます。

          (10月)  (7月)  (4月)
企業向け     ▲5    ▲14   ▲2
地公体等向け   1      17   29
個人向け     ▲5      3    1


地公体はちとスルーしまして、企業向けと個人向け見てると、企業向けの資金需要が一旦落ちたあとまた戻り気味というのが(一回だけでは判断できませんけど)微妙に宜しくない感じ。前向きの資金需要が落っこちた後に後ろ向きの資金需要が出ているのだと嫌〜ですね。個人向け落ちているのはまあ住宅とか見たらそうでしょうかと。

で、その要因に対しての質問もあるのですが、資金需要が増加、減少した要因に関して前回と今回とを(めんどいので大企業だけ)比較します。()が前回数値です。

まず資金需要増加要因。

@売上の増加       1.40 (1.00)
A設備投資の拡大    1.40 (1.00)
B資金繰りの悪化    1.00 (1.00)
C手許資金の積み増し    1.80 (1.33)
D他の調達手段からのシフト 1.00 (1.00)
E貸出金利の低下    1.60 (1.33)
Fその他          1.20 (2.00)

で、減少要因。

@売上の減少    2.67(2.00)
A設備投資の減少 2.67(2.00)
B資金繰りの好転  1.67(1.14)
C手許資金の取崩し 2.00(1.14)
D他の調達手段へのシフト 1.67(1.00)
E貸出金利の上昇   1.33(1.14)
Fその他        1.67(1.14)

・・・・うむ、まあこの辺見ていると(回答数が少ないですけど)今のところ資金繰りが悪化まではなってないと。「手元資金の積み増し」が増えているのは気になりますけれども・・・・・・・














2008/10/24

お題「市場雑談とかその他雑談とかです」

本業が微妙に多忙なのでネタが生煮えで申し訳ありませんm(__)m

○利下げ期待っぽくなってるのですが・・・・

昨日の債券市場では株が見事に下がり円高になる中で2年カレントの利回りが0.7%割れまで出合いまして(高値0.695%)、これはもう利下げ期待が入ってきたような感じの展開になりました。ってまあそうなるのは当然ちゃあ当然なのですが。

ところが一方で超短い所の金利はまたまた上昇してまして、資金供給オペの金利は上昇してまして、トムスタートの月中物オペで水曜は8000億円のオペに対して0.650/0.65の落札結果だったのですけれども、昨日は12000億円とロットが増えたにも関わらずレートの方は0.666/0.65と平均レート貫禄の上昇。足きり0.65%の按分も78.8%から17.2%に低下しておりまして、レート上昇観の強い結果に。

GCレポのレートはレギュラースタートの翌日物でこれまた0.66%あたりでサガランチ会長ですし、CPの発行レートはこれまた下がらない、というか超微妙なニュアンスですが上昇っぽい気もせんでもない(横ばいは横ばいなんですけどね)という感じ。水曜に入札が行われた新発FB3か月ものは0.645%となってまして、既発に関しても短い所は微妙にレートが上昇っぽい銘柄もありという感じで、ちと重い感じで誠に遺憾でございます。

今週の頭にはFBレートとか落ち着いてきて結構ですねとか書いた覚えがあるのですけれども、何のことは無いこのテイタラクでありまして、どうもオープン市場のレートが上昇しているのをそんなに牽制するようなオペじゃないという印象を与えているあたりで、GCなどのレートがじり高になりやすくなるという結果に結びついてるんじゃネーノって所でしょうか。

3連休明けの所では「これでGCなども落ち着くでしょう」という見方から0.60%までストンとレポレートとか下がったのですが、その後レートが上昇したというのは、結局のところその期待が「オープンの金利が上がってもオペがそんなに打たれないのね」というような空振りの結果になった所があるのかななんて。

多分ですね、昨日申し上げた「オペのロットを増やす」って奴で「そんなに高いレートで応札しなくても落札できそうだ」って期待を形成させてレートを下げるというのが一つの作戦かなとか思うのですけれども、そもそも論としてインターバンクとオープンというか、T+3やT+2のあたりとT+1やT+0のあたり(これT+2と1の間で切れるのか1と0の間で切れるのかは良く判りませんが)で資金の需給が違っているというのがあると思いますので、そーゆー意味からしますとT+3とかT+2スタートのオペで資金を供給してT+0あたりでは売手で資金を引くという形で、日銀が資金の偏在を均すように能動的にかき混ぜるようにするのも吉かと。

「市場機能はどうした」とツッコミが飛びそうですが、市場機能というのはそもそも裁定が効く世界で機能するものでありまして、その裁定自体が市場参加者のリスク許容度低下あるいはレバレッジの縮小によって効かなくなっている訳でありますので、まあ中央銀行とかが出て行くのもシャーナイナイという所なのでしょうかね。

と、今日もごく一部のマニア向けの雑談で恐縮至極。


○またまたアイスランド

このあたりのお話はだいぶ世の中の話題になっていたと思うのでご存知であろうかと思いますが。
http://www.reuters.com/article/rbssBanks/idUST33159320081021
Iceland's Kaupthing misses coupon payment on Samurai

20日に利払いが来るアイスランド最大の銀行のカウプシング銀行1回債(償還は来年の10月20日)の利払いが堂々遅延中で、これ7日遅延するとイベントオブデフォルトだと思うのですが、まあそんな状態。

で、同じロイターでこんなニュースを。
20:46 22Oct08 -Iceland sets up New Kaupthing bank
惜しくも同じロイターのネット版ではこのニュースまだ拾えないのですけれども、関連するページを探したらこんなのが。

http://www.kaupthing.com/pages/164?path=K/133944/PR/200810/1262007.xml
New Kaupthing Bank Takes Over Domestic Operations of Kaupthing banki hf.
(多分カウプシング銀行のサイトです)

で、そこにあるアイスランドのFinancial Supervisory Authorityの公表文はこちら。
http://www.fme.is/lisalib/getfile.aspx?itemid=5725

・・・・・えーっとですね、ロイターのニュースとかあわせて斜め読みしたのですけれども、どうもアイスランドでは海外から預金だの債券だので散々金集めて色々と投資して穴開いた件に関しては「Newなんちゃら銀行」を作ってそっちに国内業務を移管して国内の預金は保護しますけど無担保債で集めた海外の金は知らんがなと仰せのように見えますが。

どう見ても取り込み(自主規制)です。本当にありがとうございました。



○裏を返して考えるとどうにもという理屈

東京新聞のサイトより。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008102301000392.html
民主、金融強化法案に反対も 対策チームで異論相次ぐ(2008年10月23日 13時19分)

ということで反対の理由なんですが、これまた上記サイトによりますと・・・・・

『公的資金の投入先に農林中央金庫を含めたことについて、23日午前の民主党金融対策チームの会合で異論が相次いだ。』

ほほう。で、その理由なんですけどね。最初の『農林中金の(1)財務内容が不透明』っていうのは理屈として判るのですけれども、2番目の理由が何とも。

『(2)傘下の農協窓口に自民党のポスターが張ってあり、自民党側に多額の政治献金をしているのではないか』

・・・・・・・(゜д゜)

一応『大塚耕平参院議員は会合で「国民の税金をもとにした公的資金の注入先は、政治的な中立性が必要だ」と指摘。』と尤もらしいことを言ってますけれども、この理屈ってまた例によってどうなのよと思う訳ですよ。

その理屈を推し進めると(共産党さんを例に出して恐縮ですが)「この商店は共産党支持者なので公的助成を行えません」とか「この人は共産党支持者なので生活保護は受けられません」っていうような話になっちゃう訳でして、政治的中立性がどうのこうのとか言ってますけど、民主党政権になったら政府による所得配分機能において党派性を持った不公平な扱いをしますよって言ってるようなもんでしょうと。

民主党が言っていた日銀に対する「政治干渉はイカン」だの「財金分離」だのの理屈が結局日銀総裁人事を政争の具にして金融市場関係者の腰を何度も抜かさせてくれましたが、今度は金融危機を政争のネタですかそうですかというのも何だかねという感じであります。

と、本日も何だか雑談ですいません。
















2008/10/23

お題「市場雑感とかその他雑感とかで恐縮ですが」

ちとお疲れ気味なもんですいませんすいませんすいません。

○誘導目標は確かに無担保コールですが・・・・

どうもGCレポのレートが下がらないし、現先レートも上がるしということで、CPの発行レートは下がらないという昨今なのですけれども、昨日のオペ見ててちょっと思ったこと。

昨日は国債買現先1兆円がスポットスタートの月末エンド、共通担保本店供給8000億円がトムスタートの28日エンドで打ち込まれたのですけれども、打ち込み額がしょぼかったこともあって貫禄のレート上昇。火曜日の共通担保全店オペで30日エンドが0.636/0.63だったのですが、昨日は0.650/0.65となりまして、まあどうせどっかの大手銀行さんがバサッと札を入れたんでしょうけれども、この期に及んでレート上昇とか如何なものかという感じ。

火曜日は共通担保オペ3発とか実施してたのですが、ちょっと供給を減らし目にするとすぐこの有様という所でして、この辺のレートが上昇するとGCレポの金利とか現先の金利とかにも跳ねてきて、特にCP現先の金利が上昇してくると今度はCPディーラーの在庫保有の余裕が下がってきますので、CPレートが上昇しやすくなっちゃいますわな。ま、CPレートの場合は10日の週に上昇したのがちょっと下がったものの、引き続き年末越え3か月もので大体1%近辺での推移とか高止まりしていますので、上昇というよりは下がらないという方が動きとしては適切なのですが、まあそんな感じ。

昨日入札が行われました3か月FBに関しても、落札レートそのものは前回比で低下してますけれども、セカンダリーでの動きは先週と比較して悪く、先週は落札後に0.62%レベルまで低下したのに対して昨日は0.64%の引けということで、平均落札レベル(0.6353%)からの伸びは無いという状態なのも、足元のGCレートなどが下がらないどころか上昇気味なのを反映しているように見えないことも無い。


ということで、白川総裁の良く使う「金融環境」という文脈を持ち出しますと、短期の超足元な所では、確かにコールの加重平均レートはこんなもんでも落ち着いているといえる(どうせ二極化してるのだからあまり意味がある議論とも思えないが)ので「誘導目標の達成」はいつものようにできているのですが、「金融環境」という点で言えば、GCとか現先とかの金利が下がらないでじり高って状態になってて、FBだのCPだののレートが妙に下がらないということで、金融環境が宜しくありませんなあという話になると思うのですけれども。

ターム物とかオープンの金利をもうちょっと落ち着かせる気があるのでしたら、1兆円3本とかいうような打ち方じゃなくて、2兆円2本とか1本のロットを大きくして(大きくしないと昨日の8000億円のように1社で半分打ち込みとかされてしまってすぐにレートが上昇する)応札レートが下がるような打ち方の方が良いのではと存じます。


ま、GCが妙に下がらないのは、例によって与信(GCは国債担保ですけど、相手が飛んだ場合に担保処分すると相場次第でいかれる場合ありなので与信は与信)ラインを絞っている状態になっていて資金を出す投資家があまり戻ってきてない事とか、そんな状態なのにロンバートが最後にあるからと堂々寝転んでいる人が相変わらずいるのでショートファンディングが残りっぱなし(それで最後にロンバートに行ってるのだから何やってるんだコイツハと思うけど)となっているとか、まあオペ以外の要因もあるのですけれども、その辺加味した上でもうちょっとオペの方をGCレポなどの金利推移を気にして打って頂くと、金融環境の改善に繋がるかと存じますがどうでしょう。

#と、殆どの人が「???」な話を延々としてどうもすいません


○ほほうこれはこれは

毎度お馴染み財務省のサイト。
http://www.mof.go.jp/

トップページの真ん中あたりに「ピックアップ」ってコーナーがあるのですけれども、そこのトップが「金融円滑化大臣目安箱」でございまする。財務省が何で?と思ったら、そこにあるリンクは金融庁でして、16日に設置されたようですな。
http://www.fsa.go.jp/meyasu/index.html

えーっとこれは財務省と金融庁の再統合へ向けた布石でしょうか(笑)。

・・・というのは兎も角としまして、ちょっと金融環境が悪化すると「貸し渋り」だの「貸し剥がし」だの言われる訳ですが、そもそも経済状況が悪化して企業業績が悪化したら信用力が下がるのでありますから、その分クレジットラインが減るのでありまして、十把一絡げで「貸し渋り」とか言われましても銀行だって慈善事業やってるんじゃ無いんですから、その日本語使うの勘弁して欲しいと思うのはあたくしが昔金貸しの手先をしていたからですかそうですか。

そーゆー部分は政策対応による補完によって銀行が貸出をしやすくするようにして頂きたく存じます、っていうかまあその辺は麻生内閣になってだいぶ対応をちゃんとしてくれるようになる期待がありますけれどもね。貸し渋りはいかんと言いながら不良債権増えるとまた叩かれるというのでは、どないせえちゅうねんという感じではございます。

一方でついこの前までこんな話があったりする訳で、ちょっと前のbewaadさんのブログをご参照ありたく存じます次第。
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20080830/p1



○なおも人のふんどし(なおも雑談)

国会同意人事でこんな話が。

労務屋さんのブログから。
http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20081017#p1
「行政経験者も必要では?」

で、結局はこのような結論になったそうです。hamachanさんのブログから。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-3eb6.html
「総論ありて各論なし」

無事に収まって何よりなのですが、日銀総裁人事で伊藤隆敏先生が不同意になった理由も金融政策に対する考え方とかじゃなくて「経済財政諮問会議の委員だったから」というのだから困ったもんであります。

hamachanさんの指摘されている『まずもってそもそも各論がなんにもわかっておらず』っていうところは日銀総裁人事の際にも遺憾なく発揮されていましたけれども(反対理由がもっと違うのなら兎も角、天下りはダメとか意味判らんですし)、各論に落とし込む事が出来ない中で総論だけで走られるとどうなるのでしょうかという点では、既にこのような香ばしい事例があると思うのですけれどもねえ。

http://www.asahi.com/business/update/1022/TKY200810220249.html
新銀行東京、引当金不足は数十億円規模 金融庁指摘

>経営再建中の新銀行東京に対して、金融庁が数十億円規模の貸し倒れ引当金の不足を指摘したことが22日、分かった。同行関係者は「指摘を受け、貸し倒れ引当金を積み増す」としている。同行は再建計画で09年3月期の当期赤字を126億円と予想しているが、赤字額がさらに増える可能性も出てきた。(上記記事より、以下引用割愛)

と、人のふんどしで恐縮至極でございます。ちなみに、このお二方のブログは良く拝見させて頂いておりますです。はい。












2008/10/22

お題「ネタフォローでヒーヒーであります」

どうもね、フォローしきれなくてもうてえへんでありまするが、ネタとして新しいものから順に俺様備忘録状態ですんません。

○FRBがMMF保有のCPを買うというお話

そもそも米国の短期金融市場までそんなにフォローしてるわけではないのでよーわからん面があるのですが、ヤケクソで超斜め読み。で、とりあえずMMF対象に買入をするみたいですが、そのうちMMF以外の投資家からも買入ますという話みたいですね。ということでFRBの施策ですが、当然ながら朝起きてから超斜め読みしているので解釈内容無担保無保証(汗)。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081021a.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/monetary20081021a1.pdf
(上が声明文、下が実施要綱)

いちいち何とかファシリティとか名前をつける側から略称を設けるのがFRBクオリティで、今回の施策はMMIFFというそうですな。ちなみにECBではそのようなややこしい略称はつけない(と思う)のですけど(日銀もさよです)、一々変な略称をつけるというのは国民性とか連銀の性格分析とかの題材になりませんかね(^^)。

声明文から。

『Under the MMIFF, authorized by the Board under Section 13(3) of the Federal Reserve Act, the Federal Reserve Bank of New York (FRBNY) will provide senior secured funding to a series of special purpose vehicles to facilitate an industry-supported private-sector initiative to finance the purchase of eligible assets from eligible investors.』

『Eligible assets will include U.S. dollar-denominated certificates of deposit and commercial paper issued by highly rated financial institutions and having remaining maturities of 90 days or less. Eligible investors will include U.S. money market mutual funds and over time may include other U.S. money market investors.』

CPのほかに残存90日以内のCDも買いますというお話みたいですな。で、要綱の方を読んでみると(これまた超斜め読み)

『Facility

The MMIFF is intended to help restore liquidity to the money markets. The MMIFF will be a credit facility provided by the Federal Reserve to a series of special purpose vehicles established by the private sector (PSPVs) in accordance with the terms described below. 』

『Each PSPV will purchase eligible money market instruments from eligible investors using financing from the MMIFF and from the issuance of asset-backed commercial paper (ABCP). The MMIFF is authorized under section 13(3) of the Federal Reserve Act.』

ということでして、何かイマイチ良く判りませんが、どうも購入対象になるCPはABCPになるように見える次第でして、日本のCP市場(=事業会社などの直接金融としてのCP発行がメインとなっている市場)をイメージして「CP買入」と言うのとちょっと違う感じがします。どっちかというとABCP買入などの資産担保証券買入をイメージした方がよさげな。

で、実施要綱のその先には色々と説明があるのですが、詳しくないあたくしが読んで内容理解するには時間と知能が不足しているので、とりあえずパスなのれすが、次の「PSPV(が買入主体なのかなあ?)の買入資産」を引用するアル。

『Eligible Assets of a PSPV

A PSPV will purchase from eligible investors at amortized cost U.S. dollar-denominated certificates of deposit, bank notes, and commercial paper with a remaining maturity of 90 days or less.』

certificates of deposit と bank notes の区別があたくし良く判らんのでありますけれども(あほ)、残存90日以内のCDとかCPを買うと書いてあるように見えます。

『Each PSPV will only purchase debt instruments issued by ten financial institutions designated in its operational documents. Each of these financial institutions will have a short-term debt rating of at least A-1/P-1/F1 from two or more major nationally recognized statistical rating organizations (NRSROs).』

さすがに何でもかんでも買うという話ではないみたいで。で、ここから益々あたくしが寝起きで理解するには時間の掛かる話になるので以下皆さんリンク先読んで解読宜しくお願いします(手抜き)。

・・・・・でね、ちょっとだけ疑問に思うのですけれども、この施策って要するに「MMFの資金繰り支援」だと思うのですけれども、それなら別に買入しなくてもMMF相手に担保取って貸付をしてファンディングをつければよいだけのような気がするんですけれども、わざわざ購入する理由はどの辺りにあるんじゃろうか。担保掛目の問題なのか資産規模が減りすぎると別の点で問題になるのか。うーむわからん。

まあ寝起きの引用で恐縮至極でありまする。


で、その他のネタをちょっとずつ。


○物価連動と15年変動の入札取りやめですかそうですか

既に前日のネタなので古いにも程がありますが。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/p201020.htm

本題はどう見ても『2.発行予定額の変更等』だと思いますが、何故か報道発表が『平成20年度の10年物価連動債及び15年変動利付債の買入消却予定額の増額等を行うこととしました』になっているのは『(1)10年物価連動債及び15年変動利付債の年内発行の取止め』というのを前面に出すと見てくれが宜しくないからですかそうですか(-_-メ)。

えーっとまあ既に報道されているので左様ですねというお話なのですが、これまた何とも残念な話ですけれども、暫く前の何でもキャッシュ化攻撃における国債方面での最大の被害者がこの2商品でありましたし、物価連動に関してはまあ既にご案内の通り状態でありますので、致し方ない所ですな。

で、余談なんですけどね、今朝のモーサテでビル・グロスさんのインタビューが放映されていたんですけど、字幕の訳によりますとグロス先生「日本の経済が相対的に強いので日本国債魅力的」って仰せのようです。えーっと経済が強かったら金利は上昇するのですけれども先生何かのギャグでしょうかと思うのですが、あたくしが勝手に思ったのはどうもガイジン様におかれましてはJGBとはJGBiの事なのかもしれないなあとか思ったのでありました。その後の解説(?)でも物価連動国債への投資をどうのこうのってコメントあったみたいですし。


○これも日経かなんかに出てた話ですが備忘メモ

確か日経かなんかで話題になっていたので今更ですが一応自分の備忘録に。

17日の総裁挨拶@全国信用金庫大会
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0810a.htm

20日の総裁挨拶@日銀支店長会議
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/siten0810.htm

日本経済の見通しについて。

『その先については、やや長い目でみれば、エネルギー・原材料価格高の影響が薄れ、海外経済も減速局面を脱するに連れて、次第に緩やかな成長経路に復していくという姿が想定されますが、こうした見通しを巡る不確実性は増大しています。』(17日)

『先行きは、当面、海外経済の減速が明確化するもとで、景気は停滞を続ける可能性が高いとみられる。』(20日)

ということで、20日は「目先停滞」の「先の話」が無いのですけれども、これは敢えてその部分をカットしているのでしょうかねえというのが。正直、さくらレポートの「全地域下方修正」の方に目が行ってうっかりしてましたすいません。

ま、展望レポートがもうすぐ出ますが、どの位下方修正してくるか注目ということで。


○ええい時間が無い

・オペの金利が上昇してたりGCレートが下がらない件について

今日の3か月FB入札が微妙に気になるのですけれども、もしかすると3か月FBに関してはドル資金供給オペレーションの担保玉としてのニーズがあって、一方で短いFBは担保用途としてはあまり便利じゃないという事になって、下手したら年末越えの所で変な価格形成になるのではないかという悪寒が。

・貸出動向アンケート

これは見てて中々なものなのですが、今日は間に合いませんでしたすいません。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/loos/loos0810.pdf

・日銀当座預金付利に関して

既にご承知かと存じますが本石町日記さんのところで判りやすい説明が。
http://hongokucho.exblog.jp/9724880/

しかしこの説明に対してバーナンキの背理法で噛み付いてくる人がいるとは(苦笑)。

現状の金融調節の中にポッと「当座預金付利」を突っ込んでも緩和にはならないので、これによって金融緩和になりますよみたいな一部メディア等の説明はちょっとミスリードですよという話をしてるのであって、資金供給手段の話は別問題として論じるものなんですけれどもね。調節のテクニカルな話と金融政策の話がどうしてそうゴッチャになるのですかとか書くとまた「日銀病」患者認定されますかそうですか(^^)。

















2008/10/21

お題「さくらレポート」

○全地域下方修正来ました

ところで今回のさくらレポート概要なんですけどね。

さくらレポート概要
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0810.htm

なのですが、前回(7月7日)の概要はこんな感じでして、今回は概要部分の量が多く(というか説明が長く)なっています。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0807.htm

なお、本文(PDFで58ページあります)はこちら。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/data/chiiki0810.pdf

ま、余談は兎も角、話題になっていたのは全地域下方修正ということでして、概要のところにもこのように説明されています。

『なお、7月の支店長会議時と比べると、総括判断は、個人消費や生産等において弱めの動きが広がっていることを反映して、全9地域で下方修正した(うち東北、北陸、東海、中国は下方修正、その他の5地域はやや下方修正)。』

この下方修正はここもといい感じで連発しておりまして、

2008年10月(今回):9地域で下方修正
2008年7月:8地域で下方修正
2008年4月:8地域で下方修正
2008年1月:5地域で下方修正

となっていますので、前回もやったのですが、今回は今年の1月時点の判断からの下がりっぷりを地域ごとに並べて涙すると致したく。

北海道
やや弱めの動きとなっている
→やや弱めの動きが続いている
→弱めの動きとなっている
→やや厳しい状況にある

東北
全体としてみれば、緩やかな回復を続けている
→足踏み感がみられている
→足踏み感がみられている
→弱めの動きが広がっている

北陸
一部で弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復している
→減速している
→減速感が幾分増している
→停滞している

関東甲信越
緩やかな拡大基調にある
→やや減速している
→減速している
→停滞している

東海
緩やかに拡大している
→緩やかな拡大基調にあるが、その速度は足もと鈍化している
→引き続き高水準にあるが、足もとは減速がはっきりしてきている
→なお高水準を保ちつつも、下降局面にある

近畿
緩やかに拡大している
→一部に減速の動きがみられるが、基調としては緩やかに拡大している
→減速している
→停滞している

中国
全体として回復を続けている
→一部に弱さがうかがわれるものの、全体として回復を続けている
→全体としては緩やかな回復を続けているが、そのテンポは、このところ鈍化している
→一部に弱い動きがみられるが、全体としては概ね横ばいで推移している

四国
緩やかながら持ち直しの動きが続いている
→持ち直しの動きがやや弱まっている
→横ばい圏内の動きとなっている
→やや弱めの動きとなっている

九州・沖縄
緩やかな回復を続けている
→回復に足踏みがみられる
→足踏み感が強まっている
→停滞している

前回も同じ事申し上げましたが、今年の1月における判断では北海道以外で「回復」「拡大」「持ち直し」という上向きベクトルの表現になっていたのですが、今回を見ますと全地域横向きか下向きベクトル。東海地区だけ水準を「高水準」としておりますが、その東海地区でも下降局面と判断してますので、もう何か全然さえませんなという感じです。まだ悪化という状態ではないのでメタメタではない(というか悪化だったら金融大緩和でしょ)のですが。


○項目別展開

ここの説明部分ですが、前回対比の地域数の表が追加されているので、見やすくなりましたなあという所であります。

・個人消費

『個人消費は、北海道、中国で、「やや厳しい状況」ないしは「低調」と判断しているほか、その他の地域でも「弱めの動き」ないしは「弱含んでいる」と判断している。』

『前回報告との比較では、北陸、東海は現状維持としたものの、東北、中国が下方修正、北海道、関東甲信越、近畿、四国、九州・沖縄がやや下方修正した。』

ということで、表にありますように、前回対比 「上方修正」0地域 「現状維持」2地域「下方修正」7地域となっておりますです。その個人消費に関しては別項で詳しい分析がございます。

・設備投資

『設備投資は、「増勢が鈍化」ないしは「高水準横ばい」といった報告がみられる一方で、交易条件の悪化等により企業収益が減少していることなどを背景に、「減少している」ないしは「幾分弱めの動き」といった判断が目立ってきている。』

交易条件悪化に関しては前回も指摘されていました。

『前回報告との比較では、北海道、東北、中国、四国は現状維持としたものの、北陸が下方修正、関東甲信越、東海、近畿、九州・沖縄がやや下方修正した。』

で、前回対比 「上方修正」0地域 「現状維持」4地域 「下方修正」5地域 ですな。

・生産

『生産は、北海道、中国、四国で、「横ばい」ないしは「高めの水準を維持」と判断している一方、東海で「減少している」、その他の地域では、「弱めの動き」などと判断している。』

『前回報告との比較では、北海道は現状維持としたものの、東北、北陸が下方修正、関東甲信越、東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄がやや下方修正した。』

で、前回対比 「上方修正」0地域 「現状維持」1地域 「下方修正」8地域 ですな。

・雇用・所得

『雇用・所得環境をみると、雇用情勢については、全地域で弱めの動きとなっている。北海道、関東甲信越、中国、四国、九州・沖縄で、「弱めの動き」ないしは「改善が一服」などと判断しており、東北、北陸、東海、近畿でも、「有効求人倍率の低下が続いている」ないしは「雇用者数が伸び悩んでいる」などと判断している。』

雇用情勢に関しては前回までは地域差があって、ベクトルが一応上を向いている地域もあった(東海・近畿・中国)のですけれども、今回は貫禄の「全地域で弱めの動き」という状態になっちゃいました。これはいかんでしょ。

同じ部分を7月のさくらレポートから引用するとこんな感じに。

『雇用・所得環境をみると、雇用情勢については、北海道、東北、北陸、関東甲信越、四国、九州・沖縄で、「やや弱めの動き」ないしは「改善に足踏み」、「横ばい圏内の動き」などと判断している。一方、東海、近畿では、「雇用者数は緩やかに増加しているが、有効求人倍率はこのところ幾分低下」などと判断しているほか、中国では、「有効求人倍率が引き続き高めの水準を保っている」と判断しており、地域差がみられる。』(7月のさくらレポートより)

前回と今回とを比較すると情勢の悪化が見て取れるかと。で、続き。

『雇用者所得は、関東甲信越、東海、近畿、中国で、「伸び悩んでいる」ないしは「横ばい圏内の動き」と判断している一方、北陸、四国、九州・沖縄で、「やや弱めの動き」などとしているほか、北海道、東北で、「厳しい状況が続いている」ないしは「減少している」とするなど、地域差がみられる。』

こちらに関しても前回7月時点では関東甲信越と東海は良い状態という所でしたので、これまた情勢の悪化ですかな。7月のさくらレポートから同じ部分を引用します。

『雇用者所得は、関東甲信越、東海が、「緩やかな増加」ないしは「改善」と判断しているほか、北海道、東北が、賃金引き上げに抑制的な動きがみられるなどとしつつも、「一部に持ち直しの兆し」ないしは「緩やかな改善を続けている」と判断している。この間、北陸、近畿、中国、四国、九州・沖縄が、「前年並み」ないしは「横ばい圏内で推移」と判断している。』(7月のさくらレポートより)

情勢はあまりよろしくないという感じですな。

『前回報告との比較では、雇用情勢については、東北は現状維持としたものの、その他の8地域がやや下方修正したほか、雇用者所得については、北陸、関東甲信越、東海、四国、九州・沖縄がやや下方修正した。』

ということで、雇用情勢の前回対比が 「上方修正」0地域 「現状維持」1地域 「下方修正」8地域。雇用者所得の前回対比が 「上方修正」0地域  「現状維持」4地域 「下方修正」5地域だそうで。

まあ総括してヘロヘロでございますなという事でして。


○これまた毎度お馴染み「地域の視点」

今回のお題は二つありまして、
『各地域からみた最近の個人消費動向と消費関連企業の対応』
『地域経済における原油価格等上昇の影響とその対応─水産業のケース─』
ということで、お題を見れば判るように景気の良い話ではございません(^^)。

ちなみにですな、こちらの1番目のお題に関連する分析が本文の方に結構詳しく掲載されていまして(本文4ページ目〜本文12ページ目、PDFファイルで6ページ目〜14ページ目になります)、その中で『ロ.消費者の支出行動の抑制色の強まり』ってあたりから見てると中々オモロイです。ちょっとだけ引用します。

『消費者の支出行動が抑制色を強めていることの顕れとして、全国的に、節約志向や低価格志向等、消費支出節減の動きが一段と強まっているとする声が多く聞かれる。こうした傾向は、家計支出に占める燃料費のウェイトの相対的に高い地区でより顕著にみられているといった指摘もある。なお、食の安全に対する意識の高まりを背景とする国産・高品質志向の強まり等、消費支出を下支えする動きも一部にみられなくはないものの、今のところその効果は限定的との見方が多い。』

ということで、【節約志向の強まりの具体例】とか【低価格志向の強まりの具体例】とか【商品・サービス代替の具体例】というような事例の報告があったり、一方で景気の良い話として【食料品等における国産・高品質志向の具体例】という所では【健康志向の具体例】とか【こだわり消費等の具体例】なんかがありまして、紹介すると長くなるので割愛しますが、さくらレポート本文もご覧になると吉かと存じます。

#なるほどだから最近銀座やら新宿やらって人大杉状態なのねと思いますが


んでまあ毎度恒例になってしまいましたが、こちらは2007年1月分という景気の良かった時からの「地域の視点」のお題を並べると寂寥感が出て実に味わいの深いものがございます(^^)。

・『1.各地域からみた最近の個人消費動向と消費関連企業の対応』
 2.地域経済における原油価格等上昇の影響とその対応─水産業のケース─』(今回)

・『最近の企業の設備投資動向 』(2008年7月)

・『1.グローバル需要の取り込みに向けた企業の対応について
── 中堅・中小製造業や非製造業の動きを中心に
 2.地域からみた最近の雇用・賃金情勢について』(2008年4月)

・『原材料価格上昇のもとでの企業の対応
── 最終消費者に近い「川下」段階にある地場企業を中心に』
(2008年1月)

・『1.最近の企業立地の動向と立地戦略の特徴点
 2.北海道農業の現状と新たな取り組み』(2007年10月)

・『中小企業の収益動向と支出行動の特徴点』(2007年7月)

・『1.各地域からみた最近の雇用・賃金情勢について
 2.近年の東京における高額消費市場の特徴
――海外ブランドや外資系ホテルの動向を中心に』(2007年4月)

・『各地域からみた最近の住宅投資動向について』(2007年1月)

・・・・・・景気の流れが良く判りますなあ。。。。


以下ちょっとだけ関係ない雑談。

○雑談少々

・CPレートとか下がりませんなあ

何かね、先週火曜にいきなりGCが0.60%レベルまでドカンと下がったと思ったら今度は微妙にじり高になってみたり、CPの発行レートがもっと下がるのかと思ったら全然下がらないとか、TB/FBの利回り自体は安定している感じなのですが、どうにもこうにも妙ではございます。何かまだ「国債しか買わねえよ」って感じなんでしょうか。リスク資産ったってそのカテゴリーには色々な種類のリスク程度があるのですから、リスクが比較的小さいと思われるものもレートが妙に高いというのはどうなんでしょうかねえ。リスク許容度の機械的低下状態ってのがまだ続いているのでしょうか。

・債券も動きますが

昨日は先物というよりは10年カレントが暴れてた感じで、まあ相変わらずの状態なのですが、先々週(対策出る前)と違いまして短期の部分がだいぶ安定してきた(上に書いたようにCPのレートとか高いままなので必ずしも視界良好な訳ではないですが)ので、まあそーゆー意味ではイールドカーブのアンカーでありますところの短期ゾーンが安定してきたということで、相場見てても「これは一体全体どうなっちゃうの」というようなおそロシア感は軽くなっていますわなと思います。

ということで、先週までは相場見てて何かもうハイになってしまって、週末はヘロヘロになるの巻という感じでしたが、とりあえず今週に入ってちょっと憑き物が落ちた感じのあたくしなのでございます。

ま、クレジット物とか超長期とか、まだまだ大変な大騒ぎになっている所は一杯あるのですが、とりあえずアンカーの所は少し落ち着いてきたという理解で宜しいのではないでしょうか。期末越えプレミアムもそう極端についていない(というか期内レートが高いのですが)ですし。

ということで。引用多量で恐縮でした。










2008/10/20

お題「週初につき虫干しネタで」

気が付けば10月も下旬になってまいりました。早いですね。

○決定会合議事要旨から:通常会合

まずは9月16、17日の会合です。リーマン破綻直後の週初(火曜日)から2日間行われた通常会合から少々。

・リーマン破綻の影響について

『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』より。

『国際金融市場の現状について、委員は、最近の米国金融機関を巡る情勢を背景に、不安定さが増しているとの見方で一致した。多くの委員は、米欧金融機関の経営を巡る懸念は、G S E 二社の救済策発表後に一旦落ち着く兆しをみせたが、米国大手投資銀行の破綻等を受けて再び高まっているとの認識を示した。』

という事で・・・・

『この点に関して、何人かの委員は、足もと市場参加者のリスク回避姿勢が急速に強まっており、市場流動性が大きく低下しているとの認識を示した。また、ある委員は、金融株が大きく下落しているほか、社債スプレッドやC D S プレミアムが拡大していると指摘した。』

確かにこのようになっていました。で、その後益々拡大したんですよね。

『何人かの委員は、これまで米欧金融機関は計上する損失に対応させるかたちで資本増強を進めてきたが、今後資本の調達が困難になる可能性に注意が必要であると述べた。これらの委員は、この背景として、@ 住宅価格の下落が続く中での追加損失発生への懸念、A これまで金融機関の増資等に応じた投資家が含み損を抱えていること、B 米欧金融機関の今後のビジネスモデルに対する不透明感、などを指摘した。』

という認識に対してその後の展開がここでの議論での懸念どおりに進行したという感じです。第二の柱で何を懸念していたかは金融経済月報にもあるのですけれども、議事要旨にはこのように。

・第2の柱から

『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』から。

『実体経済面では、委員は、@ 最近の米国金融機関を巡る情勢を背景に、国際金融資本市場は不安定さを増しており、米欧の短期金融市場では再び緊張感が高まっていること、A 米国経済が停滞しているほか、欧州やアジアで景気減速が明確化してきており、世界経済には下振れリスクがあること、B 国内民間需要については、これまでの交易条件の悪化を反映した所得形成の弱まりから下振れるリスクがあること、を指摘した上で、設備・雇用面で調整圧力を抱えていないとはいえ、景気の下振れリスクには注意が必要である、との認識を共有した。』

ということでして、上記のうち1番目は10月に掛けて更に高まり、これに対処すべく各種施策が打ち出されたという状況になっています。2番目も顕在化していて、3番目に関しては株価は下がってますけど経済指標的には微妙なのかな。でも短観悪かったし。

『特に、世界経済について、複数の委員は、米欧金融機関のリスクテイク能力は低下しており、融資姿勢の一層の厳格化など実体経済に対する金融面からの下押し圧力に注意が必要であると述べた。この間、わが国経済の先行きについて、何人かの委員は、成長経路に復するというメインシナリオに変化はないものの、その時期が後ずれする可能性は意識しておく必要があるとの認識を示した。』

ということで、何か9月時点で認識していた下振れリスクが益々顕在化している気がするんですが。

一方物価に関しては・・・・・

『物価面では、委員は、@ このところ国際商品市況は反落しているが、世界的にインフレ圧力が高い状況が続いていること、A わが国の物価については、エネルギー・原材料価格の動向に加え、近年にない物価上昇率が続いているもとで、消費者のインフレ予想や企業の価格設定行動が変化する可能性もあること、を指摘し、引き続き上振れリスクに注意が必要であるとの見方で一致した。』

ほほう。

『何人かの委員は、国際商品市況は足もと反落しているが、新興国を中心とする需要増加や地政学的リスクへの懸念などを踏まえると、再び上昇に転じる可能性も否定できないとの認識を示した。このうちのある委員は、世界的に緩和的な金融環境が維持されていることからみても、インフレ・リスクに引き続き注意が必要であると述べた。』

この時点から現在に掛けての動きだけ見るとこっちに関しては顕在化していませんねという感じですわな。

『この間、多くの委員は、景気の下振れリスクが薄れる場合には、緩和的な金融環境の長期化が経済・物価の振幅をもたらすリスクが高まるとの認識を示した。』

しかし下振れリスクは濃くなっているのでありました。残念無念。


○決定会合議事要旨から:ドル資金供給オペレーション実施

続きまして9月18日の米ドル資金供給オペレーション実施の会合から。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g080918.pdf

執行部の説明から。

『米ドル資金の調達環境が世界的に顕著に悪化している。すなわち、9 月15 日の米リーマン・ブラザーズ( 持株会社) の破綻等を契機に、欧米金融機関の信用不安が再燃し、株価が急落、C D S プレミアムも急拡大している。こうした中で、米ドル資金の調達金利は、ターム物、オーバーナイト物ともに急上昇し、かつ、日中の振れの大きい状況が続いている。』

ということで、本件の実施ってまあ要するにドル資金ファンディングが一番問題になっていたところ、即ち欧州の短期金融市場およびCDS市場などが赤信号出してきたという事に対処するという話だったんでしょうな。と、欧州が大問題になって一気に米国を抜き去る公的支援拡大攻撃となってしまった現在だと明確に判りますな。

『年末越え米ドル資金の調達にかかる不安感も強く、年末越えの米ドルLIBOR− OIS スプレッドは過去に例を見ない高水準に達している。本邦市場関係者からも、現状、必要な米ドル資金は確保できているが、米ドル資金市場の著しい機能低下や、為替スワップでのドル調達環境の明確な悪化がみられることが数多く指摘されている。円投・ドル転コストも、足もと急上昇しており、かつ、振れの大きい動きとなっている。』

ということで、まあこの施策が主に欧州対応で実施されたという事になる次第。

同じ話は討議の部分に関して指摘されています。

『その上で、何人かの委員は、本件の対外説明において留意すべき事項を述べた。すなわち、複数の委員は、今回の措置が本邦金融機関のドル資金繰りの支援を直接意図したものではないことを十分に説明することが必要、と述べた。ある委員は、そうした誤解が生じないようにするためには、国際協調の中での措置であることをきちんと説明することが重要ではないか、と指摘した。』

この時の会見でそのあたりは強調されていまして、また債券市場の中の人であれば本件は国際協調というか欧州か米国の泣きが入ったからというイメージは持っていたと思いますが、報道で変に扱われますと大変ですから、この点は注意して対処してたと思います。

決定会合議事要旨からは以上で。


○10月の金融経済月報から(例によって概要だけですが)

先々週の話でどうもすいません。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0810.pdf(10月)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0809.pdf(9月)

例によって比較してみますと・・・・

・冒頭部分

『わが国の景気は、エネルギー・原材料価格高の影響や輸出の増勢鈍化が続いていることなどから、停滞している。』(10月)
『わが国の景気は、エネルギー・原材料価格高や輸出の増勢鈍化などを背景に、停滞している。』(9月)

公表文では10月には上記に続いて『当面、海外経済の減速が明確化するもとで、こうした状態が続く可能性が高い。』というのを入れて下振れを強調していたのですけれども、こっちではその部分は先の方にございます。


・国内需要項目現状判断。

『輸出は増勢が鈍化している。企業収益は交易条件の悪化等を背景に減少を続けており、企業の業況感もさらに慎重化している。そうしたもとで、設備投資は減少している。』(10月)

『輸出は増勢が鈍化している。企業収益が交易条件の悪化等を背景に減少するもとで、設備投資は足もと幾分減少している。』(9月)

幾分とか無くなってみたり、減少を続けてみたりと。

『雇用者所得の伸び悩みやエネルギー・食料品価格の上昇などから、個人消費は弱めの動きとなっている。また、住宅投資は横ばい圏内で推移している。この間、公共投資は低調に推移している。以上のような内外需要のもと、生産は弱めに推移している。』(10月)

ここは9月と一致しているので9月分の引用を割愛します。


・先行き見通し

『当面の景気は、海外経済の減速が明確化するもとで、停滞を続ける可能性が高い。先行きについては不確実性が大きいものの、やや長い目でみれば、エネルギー・原材料価格高の影響が薄れ、海外経済も減速局面を脱するにつれて、次第に緩やかな成長経路に復していくと予想される。』(10月)

『景気の先行きについては、当面停滞を続ける可能性が高いものの、国際商品市況が落ち着き、海外経済も減速局面を脱するにつれて、次第に緩やかな成長経路に復していくと予想される。』(9月)

当面の景気云々が挿入されてまして、これが公表文における冒頭に相当しますけれども、当面停滞ってのを入れたということは、先行きの回復見込みが遅れるという事にも繋がるわけですわな。


・先行き見通し需要項目別

『当面の動向を需要項目別にみると、輸出は、海外経済の減速が明確化するもとで、横ばい圏内の動きにとどまるとみられる。国内民間需要は、企業収益や家計の実質所得の減少を背景に、弱めに推移する可能性が高い。』(10月)

『当面の動向を需要項目別にみると、輸出は、海外経済の減速から、ごく緩やかな増加にとどまるとみられる。企業収益が減少を続け、家計の実質所得も弱めに推移するもとで、国内民間需要は伸び悩む可能性が高い。』(9月)

輸出は海外経済減速の明確化でごく緩やかな増加から横ばい、家計の実質所得は弱めから減少、国内民間需要は伸び悩みから弱め、とまあ全部下げていますねという事です。

『この間、公共投資は減少傾向をたどると考えられる。以上の需要動向を踏まえると、生産は、当面弱めに推移するとみられる。』(10月)

ここは9月と同じなので例によって9月分引用割愛で。物価部分はまあ割愛。


・金融市場動向に関して

これは10月だけ引用します。

『金融面をみると、わが国の短期金融市場は、相対的に安定的な状態が維持されているものの、米欧金融機関の破綻等を背景にした国際金融市場の動揺の影響が及んでいる。オーバーナイト物コールレート(加重平均値)は0.5%前後で推移している。もっとも、市場参加者のリスク回避姿勢の強まりから、コールレートのばらつきが拡大し、ターム物の銀行間金利は強含んでいる。』(10月)

左様でございますな。

『わが国の金融環境は、総じて緩和的な状態が続いているが、中小・零細企業や一部の業種で資金繰りが悪化している先がみられる。』(10月)
『また、一部の業種では、起債環境の悪化や金融機関の貸出態度慎重化から、資金調達環境が悪化している。なお、9月中旬以降、CP・社債の信用スプレッドは拡大し、社債発行が減少している。』(10月)

というころで。ちなみに9月ですが、この部分に対応する箇所はこんな感じかと。

『CP・社債の発行環境をみると、下位格付先や一部業種では厳しくなっているものの、全体としてみれば、良好な状況にある。』(9月)
『企業の資金繰りは、全体としてみれば引き続き良好に推移しているが、中小企業や一部業種で悪化している。』(9月)

ということで、9月から10月に掛けて状況は厳しくなっていますねという所かと存じます。










2008/10/17

お題「今週も疲れました(まだ1日ありますが)ので雑感で勘弁」

小売売上で700ドル下がって原油70ドル割れで400ドル上がるとか何がどうなってるのか訳判らんですな。まあプリオン肉の食いすぎ国家ですから。

○こっちでは無茶な換金売りは無いので

別に今朝NYが戻ったから言うわけでは無いのですが、昨日って下落率でスターリン暴落を越えて云々というのはその通りなんですけれども、あたくしとしては先週金曜の前場から昼に掛けての下げの方が断然恐怖感がございまして、昨日は「ああ下がってますねえ」というのが正直なところ。

何でそうなのかと申しますと、昨日の下げって下げの率は巨大ですけれども、先週金曜にこの辺のレベルまでやらかしているので値段に対する見覚えがある事もそうなんですけれども、債券市場的にはこの株安に債券、特に中短期の債券売りが伴わなかったことがあるんですな。即ち、金曜の市場では取引終盤になって中短期ゾーンなど押し目買いが戻ってきたのですけれども、特に前場から昼に掛けては中短期の現物債に成行売りみたいな売り方をする動きがあって、それに対抗する買いが無くてビットを入れたら叩かれるような状態になっておりまして、フライト・トィー・クオリティどころかフライト・トゥー・キャッシュという感じで資本市場から金が出て行くのではないかというまあ痺れる展開だったんですよね。

一方で昨日に関して言えば、株下げの過程で債券は中短期の国債やらTB/FBなど堅調推移しておりまして、5年国債入札も堅調ですし、まあこのあたり確りだと「全てが終了」って感じはしないので正直申し上げて痺れ感があまり無かったのれす。

・・・・え、おまいが株下げに慣れてパンチドランカーになっただけだろうって?いやまあそれもあるんですけどね(汗)。


○しかしリスクアセットに対する資金の戻りはイマイチな訳で

まあ長いところもそうですけど、良く見てる短い所に関して申し上げますと、TB/FBの金利は年内0.60%の年末越え0.62%って感じで安定しちゃった感じでして、オペの金利とか足元の金利とかも落ち着いてきたのは良いのですけれども、その一方で新発CPの金利は相変わらず高止まりしているようで、TB/FBの金利との乖離が目に付きます。

債券市場でも一般債のスプレッドは開いた状態からあまり戻る感じも見受けられない(どころか益々開いているものもあり)という所でありまして、極端なキャッシュ化の動きは止まったとは言うものの、リスクアセットの積み上げに対しては慎重なスタンスが継続しているという所なのでしょう。何かその辺は正直パッとしません。

特に超短い所では資金そのものは余っている筈でして、先週のような予備的な資金需要が剥落した分もあって確実に資金は余っていますが、GCに関しても例のカウンターパーティーリスク云々ということで(リーマン破綻処理に際する扱いの不手際が相変わらず尾を引いてますなあ)レギュラースタートとかは資金の出がイマイチでこっちのレートは微妙に下がらずとなっているように、リスク資産(本来GCレポはリスク資産じゃなかった筈ですけれども・・・・)にまで資金を回してこないという現象が目につく感じだと思われる次第。

リスクアセット積み増しに資金が戻ってくれますかという論点ですけれども、バンクALMっぽく考えますと、株式市場やらのボラが低下して、かつ株価水準自体ももうちょっと戻ってくれないと、リスクアセット積んで良しという感じに中々ならないのかも知れませんですね。ちょっと勿体無い気もしますけどねえ。


以下虫干しネタ。

○14日の総裁会見より

後入先出法に基づきまして、前のネタがドンドン後回しになっており誠に痛惜の極みでございます。

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0810c.pdf

14日の会見というのは微妙な(何が微妙かは昨日申し上げたとおり^^)措置を色々と出して下さった日の決定会合後の会見でございまして、読んでて「あらそうですか」と思ったところを適当にピックアップ。

・当面は「やるやる詐欺」ではなく「仄めかしのチラリズム」程度かな

米国の実体経済が懸念されていますが・・・という質問に対して。

『米国経済の先行き、それから日本経済への影響については、今月末の金融政策決定会合において展望レポートを決定する中で精力的に点検作業を行っていきたいと思っています。それを申し上げた上で、米国経済についての現時点での見方を若干お話したいと思います。』

『今回のリーマン・ブラザーズの問題が起こる以前から、米国の経済は停滞傾向を強めていましたが、今回の一連の金融の動きが企業あるいは家計の資金調達の条件を厳しくするということだと思います。そのことが実体経済にどのように影響していくかということを米国の当局者は注意してみていますが、私もそこを注意してみていく必要があると思っています。そのことを含めて日本経済にどの程度の影響が及ぶことになるのか、これは定性的にはマイナス方向ですが、定量的にはどの程度とみるのかということについては、次回の決定会合でさらに点検作業を行いたいと思っています。』

マイナス方向であってリスクは下振れという所は既に強調していて、今回もその部分は強調しているのですな。ということでこの辺りだけ見ていると利下げの本格的検討が始まってもおかしくはないのですが、いまのところは「点検作業」で華麗にスルー。次回の展望レポートでシナリオをどの位変えて来るのか(または変えないのか)という所なんでしょうが・・・・・

強調利下げに関する質問に対して。

『前回の記者会見で申し上げたことは、各国の金融政策は各国の状況に照らして運営すべきであるということです。金利を変更することが自国の経済の状況に照らして適切であれば勿論変更すべきです。自国の状況に照らし望ましい行動でないにもかかわらず、協調すること自体が自己目的化してしまい、それが協調利下げあるいは協調利上げというのであれば、そうした考え方はとらないということを申し上げたわけです。』

『今回の金融市場の混乱は、欧州、米国の金融市場に特に大きな影響を及ぼし、それらの国は金利を引き下げることが適当と判断したわけです。この問題はグローバルに広がっているものですから、同じタイミングで共同して発表したということであり、これは自国の金融経済の状況を犠牲にして協調利下げに参加したということではないと思っています。』

まあそれはその通りでございますとしか申し上げようが無いです。

『そういう意味で、私自身は、あくまでも自国の経済の状況に照らして引下げ・引上げを判断していくという、中央銀行としての原理原則を今後ともしっかりと持っていきたいと思っています。』

「引下げ」が先に来ているのがチャーミングな訳でして、次のアクションがどっちかといえばやはり念頭にあるのは下げなんでしょ。まあ海外と協調する気があるんですかという質問が来てるから「引下げ」と言ってしまって、それだけだと利下げ思惑が高まるといけないからすかさず「引上げ」と言ったのではないかという勝手な妄想もしてますが。

まあこの期に及んで金利の正常化がどうのこうのって意識があるとは到底思えないのでその辺は無問題なのですが、利下げに関しては、やるやる詐欺の段階に入る前のまだまだ精々チラリズム程度なのかもしれませんね。とか言って月末の会合で展望レポート大幅に書き換えて利下げしたら面白いですけれども。


・当座預金付利について

『(問) 本日の発表文の中に当座預金制度の運用などの改善策についてもできるだけ速やかに結論を得ると書かれており、先の説明で準備預金の付利について触れられたと思うのですが、改めてその検討状況をご説明頂けますでしょうか。それから、市場では、準備預金の付利は逆に資金を吸収してしまうことになり、市場の資金の巡りが悪くなるのではないかという声が聞かれていますが、その点も含めてお願い致します。』

で、前半部分は兎も角として後半部分の答えはといいますと。

『一般論として、米国や欧州の中央銀行も導入している準備預金への付利は、現在のような特に金融市場の緊張が高まっている状況では、資金を吸収するというよりも資金の運用先を提供するものと考えたほうが良いのだと思います。』

ツッコミは後で。

『インターバンク市場でお互いに疑心暗鬼の状況になると、相手に資金を放出したくない、あるいは放出するとしても非常に高い金利で放出するという状況になってきます。そうしますと、相対的に信用度の低い先は資金調達が難しくなるわけですが、そうした先に対して中央銀行が積極的な資金供給オペで対応するということになるわけです。一方、相対的に健全な金融機関は、市場でわずかな金利を得られるとしてもデフォルトの危険性を考え、あえて市場で運用せず、運用先が無くなってしまいます。その時に安全確実な取引主体である中央銀行が運用手段を提供する、という側面のほうが強いと思います。』

ただ日本の金融システム自体は健全であるというお話なのですから、わざわざ短期市場金利のフロアを設定するような当座預金付利をしなくても供給を行うことによって一時的な金利の低下を容認し、必要ならば売出手形を打てばそれで済むとは思うのですけれども。大体からして必要以上に資金を抱え込んでいる「健全な」金融機関に運用手段提供する必要があるのかねえ。

何か今回の当座預金付利に関しては、このどさくさに紛れて預金ファシリティを設定しちゃえ!っていう香りが漂うのですけれども・・・・・

#他の虫干しネタは週末に(超大汗)













2008/10/16

お題「オペ関連や超足元の金利が低下した件など」

いやあもうフォローするだけで手一杯でございますわ。雨公また株下げてますけど、今回は信用不安ネタでの下げじゃないからまあシャーナイナイ!で済むかしらん?

○オペ拡充関連の追記

一昨日の夜打ち出されたオペレーションの拡充関連ですが、もうちょっと確認してみたのでフォローの追記をさせて頂きたく存じます。

まず結論を先に言ってしまえば、ドル資金供給の指値方式実施以外はまあ取って付けたような内容でございまして、やらないよりはやったほうが良いけど別に効果抜群という話ではありませんわなという程度で。以下概略をば。


・現先オペの対象銘柄拡充

なのですが、そもそも論として共通担保オペでこれらの銘柄を入れる事はできますし、現先オペの場合は銘柄差替えが利かないので支配玉をオペに入れた時に店頭で買い注文がきたときに今度はオペの足まで借りないといけないという話になるので、共通担保オペに入れるのが一般的(共通担保は銘柄差替えが利く)。ということで、輪番で支配玉を吸い上げてくれるなら物凄く結構なお話ですけれども、現先オペ対象というのは別にねえという話。よって昨日「微妙にケチ臭い」と申し上げた通りという感じですわな。


・補完供給の最低品貸し料引き下げと期限延長

要するにこれは補完供給オペの最低落札利回りが従来の▲0.50%から0.00%に上昇(=借りる側にとってのコスト軽減)になるというお話でした。コスト下がる話ですけど、そもそも▲20%みたいなレートがつく銘柄ってえのは日銀が持っていない銘柄でありますので、やはり「だからどうしたの」位のお話だったりするのが残念無念。


レポ市場の円滑化という話をするなら共通担保資金供給オペをT+3スタートで打ち込むようにした方が宜しいかと存じますが。


・CPオペの拡充、ABCPの適格化

銀行保証のABCP適格化というのは従来の路線からすると踏み込んだ話です。何せ利金債が担保適格じゃないのですから・・・・

ただまあ銀行のエクスポージャー管理という点からしますと、現先オペに打ち込んでも支配玉であることに変化は無く、そうホイホイとリスク許容度が上がる話でもないみたいですな。量的緩和時代みたいに恒常的にCPオペが何本もロールされるというような状態だと話は違ってきますけれども。

まあ何となく思ったのは(日本「銀行」だから仕方ないのかもしれませんが)ABCPに関する施策の方がレポに関する施策よりも充実してますなあという感じで、今回の足元から短期ゾーンにおける金利の上昇がインターバンク要因というよりはGCレポ市場や、債券市場要因(換金売りっぽい一般債や国債の売りによって証券ディーラーの在庫ファイナンスニーズが高まった)で発生した事を勘案しますと、ちょっとピントがずれているように思えるんですけどね。残念無念。


しかしまあそれはそれとして、超短い所のレートはやっと低下してきたので、とりあえずホッと一息という感じでございます。


○落ち着いて参りました(市場メモ)

昨日は3か月FBの入札が行われました。前日引けの時点では「まあこの感じだと大丈夫っぽいけど4兆5千億ねえ」という一抹の不安が無きにしも非ずだったのですが、そんな心配は杞憂でして、足元の運用ニーズ絶賛大復活(ただし国債やレポなど)という状況が進みまして入札の前場引けで新発547回のWI取引が0.645%/0.65%となって、落札結果も0.6443%/0.6473%となりました。

久々にテールの短い入札結果というのも「安定した」という印象を与えるもんでして、まあ結果良好ということで落札結果発表後も堅調推移して引けは0.62%と相成りました。年内償還物も堅調に推移して、引け値ベースで言えば年内物が0.60%で年末越えが0.62%と言ったところでレートがそろいまして、先週末の涙目状態から晴れるのが早過ぎ感はございますが、落ち着いた状況になっています。

GCはレギュラーの所は20日要因ありまして若干上昇で、CP発行レートに関してはCPディーラーさんのリスク許容度がまだ復活してくれないのか依然高いのですけれども、こちらは高格付けで良いネームとみなされる銘柄に関してはレートが低下傾向となっているようです。恐らくFBのレート低下によって最終投資家(投信などのリアルマネー)のFBと比較した買いが電力などの高格付けCPに回って、それが全体に波及していくという経路でレートが低下するんでしょうというイメージ。その速度がどうなるのかは正直良く判らん。

と言う訳でですな、このあたりの動きを見てますと、昨日も申し上げましたが、先週の短期ゾーンビックリレート上昇の要因ってRTGSハイブリッド対応の予備的資金需要部分が実は寄与度大だったのかなという気が益々してくる次第で、何か狐につつまれたような感じではございますです、はい。たまたまそのタイミングに株暴落によってリスク管理上の警戒モード引き上げによる予備的資金需要増加とか、大和生命破綻で益々心理的に予備的資金需要増加とか、まあそういうのがあったんですかねえと。


○市場雑感続きでオペに関して

昨日は積み最終日でコールレートは朝から低い状況でしたんで、売出手形即日を3発打ち込んでましたが、平均落札レートベースで1発目から0.396%、0.430%、0.546%と順調に(?)上昇して最後のは札割れ寸前と相成りました。まあ積み最終の調節だからそんなもんなのですが、2発目のオペで1兆2000億円のオファーに対して応札が1兆6140億円だったのにも関わらず3発目のオペのオファーが6000億円と豪華なオファーされるのを見ますと、あのその豪華な打ち込みリレーは先週後半の供給オペの方で実施して欲しかったんですけどと思うのでありました。


それから公約(?)通りに昨日は年末越えの全店資金供給も実行されまして、こちらはオファー額1兆5000億円とロットもちゃんと打ってくれました(これが3000とか5000とかしょぼい額だとレートが上昇しやすくなって却って地合いが悪化するのですよね)ので、1月22日エンドで平均0.655%の足きり0.620%となりました。オファーされた時刻がいつもの時間で、新発FBの落札結果も出て上記のように良好な結果だった事から安心感のある中で実施されたオペでしたので、落札結果もFB利回り並みと順調な結果になりました(応札は4兆7655億円とまあこんなもんかも知れないけど多いでしたけどね)。こちらも短い所に関しての安心感を与えたのではないでしょうかと思うのですがどうでしょ。


#ということで、総裁会見とか議事要旨とかまで手が回りませんでした。どうも本業でエネルギー使い果たしてしまって・・・相場がこの状況なので同じ位の仕事量であっても疲弊するんです(と言い訳)。






2008/10/15

お題「引き続き追いつくだけで手一杯なのれす」

積み残しのネタがそのままになっていて大変恐縮でございまする。

ところで、欧州株が引き続き爆上げだというのに空気を読まずに下げてくるとはさすが雨公。13日が雨公のお休みデーで実に良かったですね。マッタクモウ。

○昨日の訂正

オペの話書いたのですが、金曜の即日3連発の最後は全店じゃなくて本店オペでした。謹んでお詫び致します。


○オペの拡充関連

昨日は臨時政策決定会合があるとアナウンスされましたが、日銀のホームページにお題が書いてあったのですが、それを見る前に「すわ利下げ」ということで金先が爆上げして前日比変わらずのレベルまで復帰したのですが、お題がオペの工夫という話だったので行って来いになったのは落涙を禁じ得ませんでした。

で、そんなのがあったので様子見モードになってしまいましたが、結果は22時前に出ました。で、その説明はこちら。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0810e.pdf

大体事前に何となく想像していた通りというか、もうちょっと凄いのが出たらどうしようかと思ったのですが、まあ大体思っていた通りのものが出たので構えた分拍子抜けかな(^^)。

箇条書きの順番どおりに読みますと。

・国債現先オペの対象拡大

変動利付国債と物価連動国債と30年国債が入るそうなので、まあ事実上ヘアカットが縮小されたという話なのですが、微妙にケチ臭いなあと。どうせなら輪番対象にしていただきたく存じますのですが。国債現先オペに入れられるようになるとファンディング的に物凄く楽になるというイメージはそんなに無いのですが、あたくしの勘違いであることを強く希望。

・補完供給の最低品貸し料引き下げと期限延長

すいません、これって補完供給で借りるコストが下がるという話になるんでしょうか。レポの人に聞いて追記します。期限の延長はまあそうでしょ。

・CPオペの拡充、ABCPの適格化

これは実施すると思っていました。銀行保証のABCP適格にするのは効果あるでしょう。2009年4月末までの時限措置というのも妥当かな。かつてABCPオペを実施した時に、当初はニーズありありだったのですけれども、金融市場における金融不安が解消された時点でABCPが運用商品としての優位性が高くなってニーズなくなりましたねっていう経緯がありますんで、来年4月末位に時限を設定するのはその頃には金融市場の極端な不安心理は解消されているでしょうという前提に立ってまあ良さげな感じ。

・年末越えオペをじゃんじゃん打ちますよ

別にわざわざ言うまでの事もないような気がしますが(^^)。

・ドル供給オペの拡充

日銀も指値やりますか。指値オペには抵抗あるかなと思ったのですが、円資金じゃなくてドル資金だからまあやったんですね。予想通りではありますけれども、よくお付き合いしました。

・日銀当座預金への付利

日銀当座預金への付利自体は日銀当座預金が臨時金利調整法の適用を受けませんので、通常の政策委員会だか金融政策決定会合だかのどっちかで決定できる話なのですけれども、今回は見送り。売手があるので別に付利せんでも良かろうとは思いますし、付利しちゃうとインターバンク取引に下限金利が出来てしまう(昨日のコールでも判るように今だと0.05%などというような無担保コールの出来がある)ので金利面で言えば緩和にならないのですけれども、この際金融調節やり易くするために預金ファシリティ設定するというイメージがどうも。速やかに結論って話ですけどやるんでしょうねえ。

なお、詳細はこちら。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0810d.pdf


○決定会合その他

・結果の「見せ方」に工夫はできないものか

制度の建て付け上仕方ないのかもしれないのですが、今回の決定にあたっても、「金融政策決定会合」を実施する手前この結果が最初に出てしまう訳で。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k081014.pdf

色々と施策を出した会合なのに「現状維持」っていうのが最初に出てしまうのは「見せ方」として印象が悪いにも程があると思うのですけれども。いやまあ制度上こうなっているのは判るのですけれども、政策目標金利の変更を伴わなくても施策が色々出るというケースはあるのですから、せっかく臨時会合をやっても最初に出てくるものが「現状維持」ってのはどうかねえと思います。

制度の変更を伴いそうではあるのですけれどもね。


・日銀保有株式の売却当面停止

そのようなものがあるのをすっかり忘れていました(汗)。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/fss0810a.pdf


・ロンバートは下がりませんでしたね

ちなみに、「金利をいじりました」って文脈でロンバート下げるかもしれないかとは思っていたのですけれども、次に申し上げるように、GCレポ取引金利が昨日いきなり0.60%レベルまで急低下しやがりましたので、実際問題としてはロンバート下げても意味があまりなくなってしまいました(そりゃまあ0.50とかに下げれば話は別ですが)。やらなかったのは妥当ですかね。次に金利が変に上昇しそうな時の火消し弾として温存。



○市場メモでございますが

・GCレート低下など

昨日は先ほども申し上げたようにGCレポ取引金利が軒並み0.60%まで低下。先週金曜まで出ていた換金売りチックな動きも止まりまして、それまでどこかに逝ってしまっていた短期市場の資金が急に出てきた感じです。まあ急に出てきたというよりはそれまでの予備的需要要因が剥落したということでしょうけれども。

で、何でそんなに予備的需要が剥落したかを愚考してみたのですが、まずそもそものお話として今回の積み最終を待たずして準備預金の積みが終了している先が多いと思いますので、その分の運用ニーズが高まっているという事。それから、14日のRTGSハイブリッド導入ということで、システム変更といえば予備的需要と脊髄反応が起きるのが市場の仕様でありますので、それが無事に機能していることから資金が出た事、また株式市場が一気に戻って銀行株なども戻った事から、てめえらのALM的なリスク許容度が改善して予備的需要が剥落した、などなどでございましょうかね。

まあそう考えますと、ちょうど間の悪いものが重なってGCレートがアホほど上昇してしまったという事でしょうか。欧州で銀行間取引が政府保証(時限的ですが)された事も心理的には効いているとは思いますが、だからと言って日本でそうなっている訳ではないですから、実際にはそこまで取引が戻っているという事でもないでしょうけれどもね。

一方でCPレートは昨日も高止まりというか上昇傾向でしたが、こちらは大体遅行して反応する傾向がありますので、まあこんなもんかも知れません。FBに関しては昨日は6毛強だの9毛強だのということで、GCレート低下と同じようにレートが絶賛低下したのですけれども、今日は3か月FBが4兆5千億円打ち込まれるの巻(新発の入札)でして、ちゃんと消化してくれるかどうか次第という所でしょう。ま、あの流れだとそんなに懸念するには及ばないと思うのですが、飴公が株安債券安とかいうふざけた相場で返してきたのがちと遺憾。


・これは凄いツイストオペですね(^^)

昨日のオペでちょっと微苦笑。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of081014.htm

昼過ぎのオペで共通担保供給本店即日の1日物と、手形売出即日の1日物が打ちこまれまして、まあ時限は微妙に違う(供給は即時で吸収は5時同時)のですけれども、見事に期間マッチングのツイストオペ実施。

結果はこちら。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba081014.htm

日銀相変わらず利食いになっていますが、そのスプレッドはだいぶ縮小してきたなあという感じです。これが利食いになるというのは、そこにリスクプレミアムがあるということに他ならず、市場におけるカウンターパーティーリスクがまだ意識されているのでこのようなスプレッドが生じているという事でしょう。暫く前は売手即日のレートがやたら低かったことを勘案しますと、まあ状況はよくなっているという事でしょう。


・市場と微妙に関係ないけど欧米の施策について

まあ三塚談話アゲインと言う施策は短期金融市場の復活に効果はあるでしょうねと思う次第で、欧州に引き続き米国でも取引が復活してくれれば、とりあえず金融機関の突然死は無いでしょうという認識になってくれるので、好影響になるんでしょうと思います。

で、まあ欧州が米国に追いついたと思ったら一気に抜き差って公的資金投入攻撃となったのはさすが欧州クオリティと感心するやら呆れるやら。でもまあ英国なんかですと、公的資金突っ込む所と突っ込まない所にメリハリがついているのはさすがですねって思います。一方米国では公的資金注入なのですけれども何か一律投入になっている所が日本の一律注入を思い起こさせる(規模は死ぬほど違いますが)のでどうも何だかな感が。だいたいカストディバンクのBONYとかステートストリートとかに資本注入する必要あるのかね。まあいいけど。

ということで積み残しは積み残しのままで申し訳ありません。














2008/10/14

お題「金曜の相場メモと各国の協調対応と」

NYが空気を読まずに下げてきたらどうしようと思ってましたけど、とりあえず上昇してホッと一息。ちょっとやり過ぎで安定感が無い気もしますけど。

#月報とか議事要旨とかは今日ははパスの方向で勘弁


○金曜の動きはさすがに参りました

NY株安で始まったのですが、短いゾーンは朝から引き続き売りが出るの巻となりまして、また間の悪いことに大和生命の破綻が(正直言ってこの破綻は特殊事例と言ったほうが良いので別に金曜に破綻する事も無かったのですが)気分的に換金売りを呼び込む格好に。

特に短いゾーンの状況は大変なもんで、オープン市場の金はどこに行ったのよ(予備的需要が高まったのでしょうとは思いますけれども)という感じで、やたら資金が逼迫した状態になり、前場はとにかく換金売りを吸収するのが大変といった状況になっていたようです。

とにかくある程度以上の売りに対してビットすりゃあ成り行きで打ち込まれるという感じになっていまして、2年や5年などの中期ゾーンのレートは上昇するわ、CP発行レートは(大して発行も無かったのですが)更に上昇して、年末越えで上位格付けの比較的良いネームと言われている所でも1%を軽く越えてしまい、年内物でも同様に良いネームとされているところでも1%に接近してみたり1%乗せしてみたりと、CPディーラーって基本的に大手銀行さんなのですけどCP買う資金はどこに行ったのざんしょという動きに。

ということで特に前場はまさしく市場が壊れていますという感じになっていたのですが、そんな状況に対して資金供給オペを日銀が連発で打ち込みまして、金曜は即日全店オペが朝一のほかに珍しく11時前(確か10時50分とか)という時間に打ち込まれたあとに午後にも打ち込まれるという3連発状態。それが効いたのかどうかは知りませんが、一大換金売りスペクタクルも取引終盤になって一息ついたようで、だいぶ持ち直しとなりました。

何せ日本相互証券の出来値ベースで見て、2年は0.875%(8毛甘)まで売られるわ(引けは5毛甘の0.845%)、5年は1.150%(13毛甘!)まで売られるわ(引けは8毛甘の1.100%)と、「株安なのに債券暴落」という一番精神衛生上宜しくない展開をやらかしてくれましたので、さすがに久々にヒヤヒヤする相場ではございました。

取引終盤になって中短期の国債とか戻ってきた感じでして、上記の引けになったのですが、引け後に日経平均先物とかなお下がりやがったので非常に遺憾な気分で一日が終了したのでありました。

株安も少々の下げですと債券買いという話になるのですが、金曜のような展開になりますと「とりあえず利の残っている物を売る」とか「換金」という形から債券も一緒に売られる感じになります(というかそもそも株下げが換金みたいな売り方ですから)が、あまり見たくは無い光景ではございまして、あたくしも金曜は結構疲弊しましたです。


○で、資金供給なんですけど

換金売りみたいな売り方が出ている上に、リーマン破綻によってGCレポを含む取引を悉くこかした以降、GCレポ取引への資金供給が細ってしまってGCレポ取引金利がやたら高止まりしているというのはご案内の通りだと思います。で、そこに一般債などを含めて流動性確保の為の売りが出てくるという流れで証券ディーラーの在庫ファイナンスがより一層忙しくなるの巻となっていますねという所でして、金曜も「一心不乱の大供給を!!」とか書いた覚えがございますが、まあ市場金利の無駄な上昇というか市場崩壊っぽい上昇に一定の歯止めを打つには(1)換金売りを止めさせる、(2)業者の在庫ファイナンスをより一層円滑に回るようにする、という所かと。

で、金曜の全店即日オペ3連発(最後は全店じゃなくて本店オペでした)はどっちかと言うと(1)を意識しているのかなあとは思いますが、業者の場合は即日オペのタイミングまで在庫ファイナンスを引っ張るという訳には参りませんので、金曜も申し上げましたが、先日付のオペをもっと打ち込んでいただきとう存じます。

・・・・と思ったら、金曜に複数の読者様からご指摘頂きましたが、全店オペってT+2までしか打たないのですね(ご指摘ありがとうございました。お返事送れて遅れてスイマセン)。これは残念なので、とっととそんな枠は取っ払って頂きまして、T+3スタートでもうちょっと足の長いオペ(翌日ものとかコールには意味あるけどオープン市場にとっては無意味に近い)を実施して下さいませ。正直申し上げて、札割れになるまで打ち込んでやる大矢のマシンガン継投もビックリというくらい(やる大矢の継投だと炎上しますので困りますが)でお願いしますm(__)m





○無制限供給じゃなくて指値がポイントなんですけどねえ(各国の協調対応)

昨日の夕方に出た一連の措置ですけどね。

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0810c.pdf(日銀)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081013a.htm(FRB)
http://www.ecb.int/press/pr/date/2008/html/pr081013.en.html(ECB)

夕方の一般ニュースでも報道されていまして、「金融機関が保有する担保の範囲内で無制限に供給」と某公共放送は「無制限」の意味を正しく報道してましたが、そもそもレートさえ払えば担保の範囲内で自国通貨の資金は調達できる(=貸付ファシリティがあるから)のでして、「無制限」はさほど大騒ぎするものではございませんし、スワップ協定をさっくり拡大した点から考えれば必要になったら枠は増えるでしょというのは普通の想像力があれば容易に思いつきますわな。

それよりポイントなのはここであります(めんどいので日銀の公表文より)。

『イングランド銀行、欧州中央銀行、スイス国民銀行は、固定レートで入札額全額を供給する米ドル資金供給オペレーション(7日物、28 日物、84 日物)を実施する予定である。各オペレーションが行われる前に、固定レートが提示され、そのレートで資金供給が行われる。』

えーっとですね、ポイントはここにある「固定レート」って奴でありまして、この意図する所はドルのインターバンク市場が機能不全になっている事もさることながら、レートの方が上昇しやすい状況が続いているという状況を何とかしましょうということですわな。と書くと何が何やらですけれども、要はドルのターム物金利を強制的に抑え付けてしまいましょというお話ですわな。

基本的に指値オペなんちゅうのは市場の価格発見機能を超思いっきり封殺するので、規制金利時代なら兎も角、昨今ではやらないとしたもんでしたけれども、もはやそんな事は言ってられない位に市場の暴走が進んで自己崩壊しちゃいましたという現状認識を反映した措置でして、これは相当思い切った施策となっています。ということで、本当のポイントは「指値」ですのでお間違えの無いように願います。

それから、これうっかりしてましたけど、ECBがコリドア縮小してたのですね。
http://www.ecb.int/press/pr/date/2008/html/pr081008_2.en.htm

ECBは預金と貸付の両方のファシリティがあって、誘導目標を挟むコリドアが設置されているのですが、このコリドアが水曜に縮小されていましたね。で、その縮小の効果がどうのこうのという前にドルの方ですけど指値オペ攻撃炸裂とは恐るべき市場の暴走でございます。


まあ今からイグジットがどうのこうのという話をする場合でもないのですが、この施策やったは良いですが、市場機能を見事に封殺して、中央銀行がドル資金取引のカウンターパーティーとして市場のど真ん中に鎮座ましますの図になってしまうというかなり強烈な施策になりますので、将来どうやってこの施策からイグジットするのかも興味深いところであります(^^)。


ところでね、一般ニュースが「無制限」をクローズアップした報道をするのは仕方ないのですけれども(無制限が無担保じゃないという点をちゃんと説明してるだけマシ)、自称経済ニュース番組でありますところのモーサテ様が指値の事に一言も触れず、ゲスト解説者も一言もその点に言及しないという能力の欠如振りには絶望を禁じ得ません。この番組、ネタとしては面白いのですけれども、常に批判的に見ておかないと肝心なポイントを掴めない事が多いっすね、いやはや何とも。あ、もしかしてあたくしが見ていない時間でこの話あったらゴメンナサイです。


以下メモ。

○金曜日のネタその他とか積み残しメモとか雑感とか

・金融政策決定会合議事要旨

すいません、市場があの有様で読んでる余裕はありませんでした。さっきも書きましたが、さすがに金曜は市場の片隅でひっそりメシを食ってるあたくしですら物凄く疲弊しましたので、ど真ん中にいた人たちは死んだことでしょう。

・次世代RTGS

ちゃんと稼動するみたいですね。しかしこのタイミングでこんな株安になるとは誰が想像できたでしょう。何とも間が悪かったですね。

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/set0810c.htm

・アイスランド

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&sid=aUvdiU2cluLE&refer=jp_home

>アイスランドの銀行業界の負債は同国政府が返済できる規模ではない。
>ハーデ首相は8日に、「民間部門の債務をアイスランド国民が背負うことはあり得ない」と述べていた。

・・・・えーっとあのその海外で外貨建て債券アホほど発行してた銀行さんとかどうなるのでしょうか・・・・・・


・大和生命破綻

タイミングが嫌がらせとしか思えないのですけれども・・・・・

・インターバンク取引の保護

保護ではなく反故にしたのがリーマン破綻処理。もとGSだというのに法的処理したらやばいことくらいポールソンは気が付かないもんかね・・・・と思いますけれども、まあ確かに決済業務がキモだという話は投資銀行の雲の上にいると判らないのかも知れませんね。というかその辺まで気にするあたくしや本石町日記さん(といきなり引き合いに出してスイマセン)はただのマニアですかそうですか。

・コール市場の資金取引ネットワーク

とかいう名前のレポートが出ていますが、読む気力と体力が無かったのでこれまた後日送りということで勘弁して下さい。

・金融機能強化法復活

うーん、まあそれはそれで良いのですけれども、日本の場合は金融システム問題じゃなくて今そこにある換金売りと、リーマン破綻に伴う法的処理の不手際によるオープン市場の取引収縮が問題なんですけどねえ・・・・・













2008/10/10

お題「下振れリスク意識中ですけど・・・/もっと供給を!/その他」

日本株は一旦止まり欧州株は確か(あたくしが見てる時間は)反発してたんですが、さすが飴公は空気を読まない子ですな。まあ日本も欧州も散々下げる中米国だけやたら値持ちしやがってという感じでしたけどね。

#しかしまあ毎日色々と追いつくだけで大変です

○7日の総裁会見から

今更で恐縮ですが。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0810a.pdf

・最初の質疑を見ればどう見ても下振れ意識しまくりなんですけど

ということで実質最初の質問に対する総裁の説明。

『先ほども申し上げましたが、現在、景気の下振れリスクは高まっていると考えています。もっとも、日本経済は、設備、雇用、負債面での調整圧力は小さく、かつてに比べショックに対する頑健性は高い状態にあるほか、総じて緩和的な金融環境は民間需要を後押しすると考えられます。また、国際商品市況が反落してきており、これに伴う交易条件の改善の効果も働くと考えられます。』

つまりバランスシート調整は終了しているので、以前のようなメタメタな展開にはなりませんけど下振れリスクという事ですね。で、ここでほほうと思ったのは白川総裁が良く使う言葉の「金融環境」です。現在の金融環境に関して「緩和的」の上に「総じて」というのがつくようになってまして(月報ベースではちょっと前から総じてになってたと思います、為念)、最近の社債市場における低位格付けやら一部業種のスプレッド拡大(が足元更に状況悪化してるのですが)に加えて足元の短期金融市場の緊張を意識してるのかなあと。

『以上を踏まえますと、景気は、「やや長い目でみれば」と申し上げましたけれども、不確実性は高いものの、エネルギー・原材料価格高の影響が薄れ、海外経済も減速局面を脱するにつれて、次第に緩やかな成長経路に復していく可能性が相対的に高いとみています。』

「相対的に」高いとこちらもヘッジクローズ付ですかそうですか。ということで、まあ下振れ意識はだいぶ高まってますな。

『もっとも、先ほど申しあげたとおり、国際金融資本市場の緊張は高まっており、世界経済が下振れるリスクがあるなど、景気の面では下振れリスクを意識して点検していくべき局面にあると考えています。』

ということですね。

『先ほど景気の回復時期が遠のいていくというご質問がありましたが、今回のこの発表文からもわかるとおり、その時期は従来想定していたよりも少し先に伸びているということです。もちろんその時期がいつかは不確実性があるわけですが、そのように判断した次第です。』

しかも回復時期の想定が先送り。


・リスク目配りの数字を言わなくなりました(^^)

この質疑をどう読むのかというのは正直会見場に行ってる筈の本石町日記さんにお聞きしたいところなんですが。

『(問) 7月中旬くらいの講演だったと思いますが、物価の上振れと景気の下振れの目配りのウエイトについて発言されたことがあり、当時はフィフティー・フィフティーとおっしゃったと思います。今般、経済情勢も非常に大きく変わり、そのフィフティー・フィフティーが動いたのか、動いたのであればその数字はどの様になったのかという点をお答え頂きたいと思います。』

『(答) 何回か前の記者会見でも申し上げましたが、ご指摘の講演の時は質問者が数字を挙げてご質問されましたので、数字でお答えしたということです。ただ「50 対50」という場合、「51」あるいは「49」ではなく正確に「50」だということを申し上げたわけではなく、要するに双方のリスクに目配りが必要だということを申し上げたわけで、そういう意味では、現在も景気の下振れリスクと物価の上振れリスクの双方について目配りが必要だと思っています。もちろん、時間が経てばウエイトが微妙に変化するのはその通りだと思いますし、その点は今度の展望レポートで更に入念に点検して判断を示したいと思っています。』

「フィフティー・フィフティー」などの表現をしないでこういう言い方をしてるのは、前に引用した答えと総合しますと、どう見てもウェイトが下振れリスク意識に傾いている(しかも思いっきり)と読んでしまうのですけれども、こうやって文章にされちゃうと微妙(しかも前に引用した所を入れないでこれだけ引用すると受ける印象がまた違う^^)なので、ニュアンスはどうなんでしょうかね。

あたくしはこれって「月末の展望レポートで下振れリスク警戒高めるからまあまあちょっと待って下さいな」と読んだのですけど読み甘いかな?



・金融機関の資本注入に関して(欧米の話ですが)

米国の金融安定化法案関連の質問に対する答えの一部を。

『米国金融機関に対する公的資本の注入を行うべきかどうかというご質問ですが、米国金融機関による資本調達策について、私の立場から具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。ただし、これは日本の経験と重なりますが、金融機関が不良資産の処理の過程で自己資本を毀損した場合には、これを速やかに回復し、十分な自己資本基盤を維持していくということが極めて重要であります。この点、金融システムと実体経済の負の相乗作用が働いている経済では、金融機関が必要とする資本の額をリアルタイムに把握することは難しい作業でありますが、それでも金融システムの安定性維持に向けた強い意思のもとで、関係者がそれぞれの立場で実効性のある施策を進めていくことが不可欠であると思っています。』

・・・・思いっきり具体的にコメントしてますが(^^)、ロス確定して毀損した資本の回復を急ぎましょうという話は日本と同じでございますわなそりゃ。で、最後の方で中々良い質問がありまして、質問から引用。

『(問) 金融機関の資本の問題についてもう一度お伺いします。今のように世界経済がどんどん後退し、不良債権も雪だるま式に増えている時に、公的な対応として不良資産の買取りをするだけで、果たして民間ベースで資本調達ができるかということについて総裁はどうお考えでしょうか。また、そもそも今回の米国の金融安定化法の枠組みの中で公的な資本注入ができるのかできないのか、両説あるらしいのですが総裁ご自身はどのように米国の当局から伺っているのでしょうか。』

答えは超長いのですが、段落分けしながら引用します。

『(答) 2つの質問はお互いに関連しています。ポイントは、現在の法律の下で、米国では公的な資本注入ができるのかどうかということです。法文は相当に長いものですが、私自身も気になりましたので関係する部分だけ目を通しました。また、日本銀行の中の専門家の意見も聞いてみましたし、一般的な専門家の意見も聞いてみました。法律について私が解釈を示すのは変であり、もちろん米国の立法者が示すことなのでしょうが、私自身、法律をみて感じるのは、重要な部分について詳細がまだ必ずしも明らかになっていないということです。そういう意味では、評価を決めつけることは適切ではないと思います。』

なるほどそうなんですね。

『ただ、ポイントが資本にあるというのはそのとおりだと思います。従って、私自身は米国の法律についてコメントしたり、米国の法律に基づく米国の状況についてコメントするというよりも、一般的に資産の買取がどのように機能するかということについて感想を述べたいと思います。』

『日本も大変深刻な不良債権問題を経験しましたが、ここからどういう教訓を導き出すかということで最近色々な議論がなされています。もちろん色々な議論が可能ですが、今のこの文脈でいきますと私は3つの点が大事だと思っています。』

で、以下のポイントが簡潔に纏まっています。

『第1は日本の金融システム問題の最大の原因は資本不足であったということです。この資本不足の問題が解決すれば直ちに全てが解決するというわけではありませんが、資本不足の問題の解決なしには経済の本格的な回復は難しかったと思います。』

『第2はこの資本不足の額というのは実体経済と金融システムの相乗作用によって変化していくもので、従って不良債権の金額あるいは不足する自己資本の額がある時点で正確に測れるというものではなく、これ自体が時間と共に変化していく性格のものだと思います。』

『第3は、必要な資本の額をその時点で正確に認識することは難しいのですが、政策という次元でみますと──これは日本のケースですが──、ある段階で当局として判断を下さなければならない問題であったと思います。』

『繰返しになりますが、これは日本の経験についての私の個人的な感想です。』


・ロンバートに関して

ロンバート金利を政策金利と別に動かすことがあるのかという質問に対して。

『2点目のご質問ですが、補完貸付の金利とコール誘導目標の金利を分離することは有り得るということです。現在、日本銀行の金融政策決定会合では、誘導目標の決定の仕方と補完貸付の金利の決定の仕方は別々ですから、論理的にオプションとして有り得るのかその可能性を聞かれれば、別々に意思決定を行っているわけですから、論理的にはその可能性は有り得るということです。それ以上の政策的な意味合いを込めて言っているわけではなく、論理的な質問に対して論理的にお答えしたということです。』

そうなんですけど、何故か福井総裁がそのオプションを否定してしまったので、ここで正常な状態に戻すということですな。

その他論点あったのですが、また気になったら後日引用します。長い引用があって増量すいません。


○大供給を!一心不乱の大供給を!!

昨日は朝9時20分の定例即日タイムの供給が前日に引き続き共通担保全店即日オペとなりました。ロットが1兆円2発で14日エンドと15日エンドというイマイチなエンドでしたが、レートの方は相変わらず足きり0.74と0.75と毎度のレートに。

14日要因も意識されているのか、オペがその金利ちゅうことでレギュラースタートのGCとか資金の出は相変わらず悪い(レートは貫禄のロンバート越えみたいで)わ、まあ金融機関としてはこういう地合いになると予備的な資金ニーズが上がってきますので、中短期ゾーンの国債とか高格付けの一般債のような売りやすい所は売り物出易くなるみたいで、残存1年ゾーンの2年既発国債は0.7%に接近する(引けは0.7%乗せ)わというあのそのレートはインフレ懸念とか言ってた今年6月頭のレートなんですけどという状況に。

2か月FB入札も足元の極悪地合いを反映して入札は何と平均0.7710%の足きり0.7941%と、これだけ見ると政策金利でも上がるんですかという数値。さすがに引けは0.75%レベルまで戻ったみたいですけど、それでもコール誘導目標+25bpですわよおくさまおーっほっほっほ(涙)。CP発行レートも上昇してTIBORの上昇が追いついてませんので(苦笑)、発行体さんも益々ローンに向かっていることでしょう。いやはや何とも。

全店オペ即日攻撃が少しは効いたのか、T+0まで引っ張ればもうちょっと安く取れるのかもしれませんけど、こんな地合いでファンディングT+0まで引っ張るのは無担保コールでのアベイラビリティでも無いと勇者というよりただの(伏字)でしょということでありまして、共通担保全店オペのT+2の14日スタート2か月物のレート(エンドは12月15日)が平均0.771%の足きり0.76%だわ、1兆円のオファーに対して応札5.6兆円も入るわということで、2か月FB入札の結果にビックリした部分はあるにせよ、またも貫禄のロンバート越え。

・・・・と駆け足で結果のメモだけしたわけですが、共通担保全店オペをじゃんじゃん打つようになったのは前進なのですが、もっともっとオペが必要だと思われる次第でありまして、即日は即日で必要ですし、T+2とかT+3とかの全店オペも景気良く打ち込んで頂き(追記:全店オペはこれを書いた時点では制度上T+2までしか打てないのでした、ご指摘ありがとうございます)、エンドも色々とバリエーション増やしてジャンジャン打ち込まないとレートは下がらんと思います。

無担保コール翌日物で2極化というのも問題ですけど、今の中短期国債やCP金利形成上問題になっているのは、オープンの方の金利ですんで、即日は即日でこれもきっちりやるとして、先日付の資金供給をもっと充実させるべきだと思います。結果としてコールが下がるというような細けぇ事はいいんだよ!と思うんですけど。

・・・・・ということで、どうせならディレクティブの「なお書き修正」をして、「短期金融市場にストレスが掛かっている状況に置いては、従来上に潤沢な資金供給を行い、結果として一時的に目標金利を下回る事もあり得る」というような感じにすれば、もっとジャンジャン大供給できると思いますけどどうですかね。


○その他少々

・アイスランドは噴火しているか

対ユーロの為替ペッグ一晩ちょっとにして陥落したみたいで、まあご冥福をお祈り致しますとしか申し上げようがないですねとか思ってたら、同国最大のカウプシング銀行が微妙な公的管理に。ヘッドラインとか見てると国内預金は保護するみたいですけれども、この銀行ってアホほど外貨建て債券発行してまして(円建てのサムライもあります)、こっちについてどういう動きに出るのか良く判らん。しかもこの国ってEUとかの枠組みに入っているわけでもないのでどうもねえという感じが。


・REITが民事再生申請ですと

REITってこういう時に文句を最終的に持っていくケツ持ち相手がいない(一般企業だと取締役というのがいるのですが)というのが困り物、というのはREIT上場の目論見書を暇つぶしに隅から隅まで読んだ時から思っていました。とだいぶ前に書いた覚えがあったりなかったり。

しかし基本的にREITはスポンサー企業の信用力から倒産隔離されているという話の前提で作りこみされていた筈だったのにコカすとかちゃぶ台をひっくり返すような話で、ちょっと無茶にも程がある民事再生申請ですし、あのヘラヘラ笑いながらの記者会見は何ですかね。「和議は詐欺」って昔はよく言われてたみたいですけど(以下悪態にも程があるので自主規制)。REIT民事再生申請って掟破りにも程があるでしょ・・・・・

法律的には隔離されているらしいので無関係という話になるのでしょう。従いまして、あんまりこういう感情的なことを申し上げたくはございませんが、心情的かつ感情的に申し上げますと(以下思いっきり悪態を書いたんですけどやっぱり自主規制しますわ、あっはっは)。















2008/10/09

お題「協調利下げ関連の俺様備忘録/短期レート上昇中」

いやー、リーマン助けておいたほうがどう見てもコスト安かったですねえ。というか金融安定化法案通したのに株安が止まらないと賛成に転じた議員が「結局同じならやはり反対すべきだった」とか騒ぎ出すネタ展開になるんじゃねえのかという悪寒も。

それから、こんな状況なのに今すぐ解散総選挙しろとか言ってるどこかの政党はセンスのかけらもございませんので、皆様お荷物まとめて西方浄土にご旅行でもされた方がよろしいのではないかと思います。

えー、前半殆どをコピペ備忘録で費やして申し訳ないですが、そもそもこれは俺様備忘録ですので勘弁して下さい(汗)。

○ということで協調利下げですかそうですか

日銀は利下げしてませんけどね。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0810b.pdf

記念に引用しておきますか。

・中央銀行共同声明


『最近の国際的な金融危機に対して、各国中央銀行は、緊密な連絡をとり、金融市場の緊張を緩和するための流動性供給策など、前例のない協調行動をとってきた。』

『いくつかの国では、エネルギーや原材料価格の顕著な下落などを背景に、インフレ圧力が緩和し始めている。インフレ期待は減衰しつつあり、物価安定に対する信頼は高い。最近の国際的な金融危機の高まりによって、経済成長に対する下方リスクが高まっており、このため、物価安定に対する上方リスクは低下している。』

『こうした状況下では、グローバルな金融環境をある程度緩和することが正当化される。このため、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、米国連邦準備制度、スウェーデン中央銀行、スイス国民銀行は、本日、政策金利の引き下げを公表した。日本銀行は、これらの措置に対して強い支持を表明した。』

協調利下げですが利下げした国は国内のインフレリスクが低く、景気の悪化リスクが高いので利下げをしましたですかそうですか。


・日本銀行の声明

『日本銀行は、6カ国中央銀行による今回の政策決定を歓迎し、これらの措置が各国の経済と金融システムの安定確保に貢献することを期待している。』

『わが国においては、政策金利の水準は既にきわめて低く、緩和的な金融環境が維持されている。また、日本銀行は、連日の潤沢な円資金供給にとどまらず、ドル資金供給オペの導入を含め、流動性供給面の措置を果断に講じてきている。こうした対応もあって、わが国の金融市場は、欧米と比べ相対的に安定した状態にある。』

とは言え、ここもとオペレート上昇してみたりFB3か月入札が大崩れしてみたり、GCレートが何とロンバート越えしてみたりと宜しくない展開。


『国際的な金融面の動揺が続く中にあって、金融市場の安定を維持していくことは、中央銀行としての最も重大な責務である。日本銀行としては、今後とも、各国中央銀行と密接な連携をとりつつ、適切な金融調節を通じて、金融市場の安定確保に全力を挙げていく方針である。こうした観点から、日本銀行当座預金制度の運用を含め、金融調節面で更に改善を図る方策について速やかに検討し報告するよう、総裁より執行部に対し指示した。』

・・・・・えーっと、日銀当座預金に付利するのでしょうか。別にまあ付利したっていいですけど、日銀が発行する売出手形(なのでじゃんじゃん発行できまっせ)という資金吸収方向の調節手段があるのですから、日銀当座預金に付利せんでも別に問題ないんですけどね。

#というか短期金融市場の金利フロアが出来てしまいますので、量を出してもゼロ金利にならなくなって、緩和効果にならんのですが

まあ売出手形だとマネタリーベース(でしたっけ?)にならないけど、日銀当座預金だとマネタリーベースになるので、見かけとしてはベースマネーが増える話になりまして、如何にも緩和を強化したように見えて、マネーがどうのこうのと言う人に対する絶好の目くらましにはなりますのでそれはなんちゃって金融緩和ではありますが(というか市場機能がどうのこうのという論点からしたら後退の話ですかな^^)。

まあその手のもんですと、期近債がじゃんじゃん打ち込まれた結果として償還過大につき買入余力がアホほどある中長期国債の買入オペを増額するというのもございますが、これ増やすのは良いのですが、減らすときに騒動になるリスクもあるので諸刃の剣。

実際問題としてはCP買現先オペを増額するのが一番手っ取り早くて、まあそれなりに効きそうな感じなんですけれども、それだと通常オペレーションの運用範囲内なので、政策委員会をやってアナウンスするようなショーアップができませんから、世間様へのアナウンス効果が無いのが実に残念でございます(^^)。

どうするんでしょうかねえ。まあもうちょっと考えてみよっと。


○これはまた残念な空砲

FRBのリリース。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081008a.htm

共同声明部分は同じ話なので割愛。

『The Federal Open Market Committee has decided to lower its target for the federal funds rate 50 basis points to 1-1/2 percent. The Committee took this action in light of evidence pointing to a weakening of economic activity and a reduction in inflationary pressures.』

経済活動の弱体化が明確になってインフレ圧力が減衰したので利下げと。

『Incoming economic data suggest that the pace of economic activity has slowed markedly in recent months. Moreover, the intensification of financial market turmoil is likely to exert additional restraint on spending, partly by further reducing the ability of households and businesses to obtain credit. Inflation has been high, but the Committee believes that the decline in energy and other commodity prices and the weaker prospects for economic activity have reduced the upside risks to inflation.』

経済指標もここ数ヶ月の経済活動が明白に低下してて、金融市場の混乱が今後の消費に悪影響を与えるという話で、インフレは沈静化するでしょうと。

『The Committee will monitor economic and financial developments carefully and will act as needed to promote sustainable economic growth and price stability.』

今回も全員賛成ですね。

・・・・・とまあそれは良いのですけれども、既に問題はインターバンクを中心にしたリクイディティとコンフィデンスになっておりますという認識が共有されていますので、やらないよりはマシだと思うのですけれども、市場が暴力モードというよりはどっちかと言えば閉店整理中モードになってきてますので、株式市場がろくすっぽ好感しないで下落したのはご愁傷様としか申し上げようがございません。

以上コピペシリーズで申し訳ありませんでした。


○それはそれとしてFB入札とか

昨日は3か月FB入札。まあ昨日一行コメントしましたように、ちょっとこの地合いでは消化しんどいかなあとか漠然と思っていたのですけれども、朝イチに行われた共通担保全店即日オペ期間12日間ってのが落札レート何と平均0.739%の足きり0.71%と0.7%台に上昇しやがりまして、地合いの悪化が益々明確に。

ということで新発WI取引は前場引け前に0.7%オファー0.75%ビットなんぞになりやがりまして、入札メドがロンバート金利とかいう状態になってしまうというおそロシアな状況に。えーっとあのその利下げ期待とかどこに逝ってしまったのでしょうかというお話ではあるのですが、明日の100より今日の10。ファンディングコストが上昇していることと、新発の発行日が14日ということで、RTGSのハイブリッド第一弾稼働日という事もあって念の為的な予備的資金需要が高まる事も意識されてしまいました。

で、結果は足切りがロンバート越えですが、どうも直前の極悪地合いからするとこれでもまあ止まってよかったねという感じみたいでして、先週水曜に行われた3か月FB入札の足きりが0.6296%だった所から一気に12bpちょっとの上昇という落涙を禁じえない展開になっております。

昼の共通担保本店即日オペのオーバーナイト物も平均0.744%の足きり0.74%とレート高いわ、10日スタートの12月9日エンドの全店オペにいたっては平均0.760%の足きり0.75%とロンバート越える上に1兆円のオファーに対して応札が8兆も打ちこまれるわと、FB入札結果にビックリしたようなレートが横行して何かロクでもない雰囲気に。

GCレートはレギュラーのところが先ほど申し上げた14日ということで、金の出が宜しくなく、0.7台後半とか貫禄のロンバート越えになってたみたいですし、CPのレートも年末越えを中心に上昇(年内物も上昇)しているようですし、もう何だかねって感じでございます。そもそもCPに関してはあまりのレート上昇っぷりに発行体が発行を手控えているのですが、レートの方はきっちり上昇してますな。まあこりゃ銀行のローンが増えるでしょう。

カレンダーベースで14日を越えればRTGS絡みの予備需要は一段落すると思うのですが、現状ではそれ以前の問題で、インターバンクの資金需要が高まっているものと思われまして、要因として適当に思いつくのは上記したローンの増加とか、引き続きのカウンターパーティーリスクへの意識から取引が縮小しているので、いざという時の危機管理という事で予備的資金需要が増加するとか、まあそんなところでしょうか。

恐らく資金供給オペをもっと増やした方が良いのですが、量だけではなくオペの種類も全店オペをもっと増やすとか期間を色々工夫するとか、ジャンジャンツイスト打つとか、バリエーションを豊富にした方が良さそうな気がします。

まあ本日の2か月FBは年内物ですのでちったあマシになる・・・かどうかは知らん。


○その他少々

・積み残しあり

金融経済月報と総裁記者会見という本来の本日のネタは時間の都合により明日で勘弁して下さい。ごみんなさいごみんなさい。


・どう見てもプリオン脳です本当にありがとうございました

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081003-00000782-reu-int
バフェット氏や元イーベイCEOが財務長官候補=マケイン氏

不良債権買入の白地小切手を渡す相手が投資業を本業にしている人ってあのそのちょっと何ぼなんでもそのセンスは日本人のあたくしとしては甚だ理解に苦しむのでありますが。利益相反問題とか利益誘導はケシカランとかって概念はアメ公には無いのでしょうか。













2008/10/08

お題「物国入札中止/決定会合/FRBの施策とか」

日本が高値から散々下がっているのに米国が3割程度しか下がってないのはおかしいと思ってました、とか後から言うのは簡単ですが。


○物国が仏国土

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/yotei/2010b.htm

昨日の夕方6時半過ぎに情報ベンダーのヘッドラインが最初に出たのですけれども、入札前日の引け後に公表ってあのそのWI取引とか1週間前からやってたりするんで(物が物だけに出合いがどの位あったか知りませんが)そういうのはもうちょっとお早めにご決定頂きますとありがたく存じましたが。

ていうかね、物国入札に向けて10年カレントをヘッジ売りしている業者とかいるんですから、せめて入札前日の寄り前に発表していただきますと業者無駄なヘッジ売りしないで済むんですけど。まあ今日はNYダウ下がって帰って来てますが米債売られているからヘッジ買戻しはお助け展開かもしれませんが(苦笑)。

・・・えー、ところで本件なんですが、情報ベンダーに出る時間とプライマリーディーラーへの連絡が来た時間ってどっちが先なのでしょうか、ニヤニヤ。

さて、まあ背景は債券市場の中の人にはご存知のように物国がBEI▲100だとかいうような(というか最早)とても素敵な水準になっている所にあるのですが、もう完全に単なる需給要因で動いているだけですねというのは先般ご紹介したPD懇やら投資家懇の議事要旨にある通り(超端的に要約すると、今の国内投資家のニーズより現在の発行残高が過大になっているから)なのですが、この状況を捕まえて市場の外の人が「マーケットは飛んでもないデフレを予想している」とか言われますと債券市場の中の人的には激しく脱力しちゃいますのでご注意ありたしと念の為申し添えます(^^)。

昔々その昔、国債引受シンジケート団と大蔵省が折り合わずに10年長期利付国債が休債になった事があったと聞いたことがあるのですが(その時は現場に居なかったから知らん)、事前予定を組むようになってから入札中止っていうのは初めて見たと思います(昔は事前予定なんぞ公表されてなかった、大体慣例および発行計画でいつごろ何があるというのは予想されてましたけど)。



○決定会合あれこれ

・公表文は明確に下振れ意識

公表文
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k081007.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k080917.pdf(前回)

前回(=9月17日)のと比較しますと、もう思いっきりあちこち下がっていますわな。冒頭部分から。

・現状認識と先行き見通し

『わが国の景気は、エネルギー・原材料価格高の影響や輸出の増勢鈍化が続いていることなどから停滞しており、当面、海外経済の減速が明確化するもとで、こうした状態が続く可能性が高い。』(今回)

『わが国の景気は、エネルギー・原材料価格高や輸出の増勢鈍化などを背景に、停滞している。』(9月)

ということで、海外経済の減速明確化というのが入るの巻。

『先行きについては不確実性が大きいものの、やや長い目でみれば、エネルギー・原材料価格高の影響が薄れ、海外経済も減速局面を脱するにつれて、次第に緩やかな成長経路に復していくと予想される。』(今回)

『先行きは、当面停滞を続ける可能性が高いものの、国際商品市況が落ち着き、海外経済も減速局面を脱するにつれて、次第に緩やかな成長経路に復していくと予想される。』(9月)

当面停滞ってのは実は前回もあったのですけれども、先行きの所にも「不確実性は大きい」わ先行きの改革も「やや長い目でみれば」と後退するわともうヘッジクローズ全開ですよ奥様。

この次にリスク要因の部分をご紹介しますが、そちらはあまり内容が大きく進んだ訳でもないという感じになっています。ということは「今まで懸念していたリスク要因が顕在化しやがりました」って話ですから、冷静に考えると問題としてはより景気悪化を見ているという事になるのでしょうな。

物価の方はまあいつもの話なので割愛。


・先行きリスク要因

『リスク要因をみると、米欧の金融機関の破綻などを背景に国際金融資本市場の緊張が強まっており、また、世界経済には下振れリスクがある。』(今回)

『リスク要因をみると、国際金融資本市場は不安定さが増しており、また、世界経済には下振れリスクがある。』(9月)

まあこれも当然ですね。

『国内民間需要については、これまでの交易条件の悪化を反映した所得形成の弱まりから下振れるリスクがある。設備・雇用面での調整圧力を抱えていないとはいえ、景気の下振れリスクには注意が必要である。』(今回)

『国内民間需要については、交易条件の悪化を反映した所得形成の弱まりから下振れるリスクがある。設備・雇用面での調整圧力を抱えていないとはいえ、景気の下振れリスクには注意が必要である。』(9月)

ということで、ここの書きっぷりに変化がないのですが、今日内容が公表される白川総裁の会見ヘッドラインを見た印象では、白川総裁は先行きの景気下振れを全力警戒というトーンになっていますので、リスク要因への懸念も高めているという所でしょうか。

物価以下の部分は一応引用しておきますね。

『物価面では、世界的に高い物価上昇率が続いている。わが国の物価については、エネルギー・原材料価格の動向に加え、消費者のインフレ予想や企業の価格設定行動の変化など、上振れリスクに注意が必要である。この間、景気の下振れリスクが薄れる場合には、緩和的な金融環境の長期化が経済・物価の振幅をもたらすリスクが高まると考えられる。』(今回)

『物価面では、世界的にインフレ圧力が高い状況が続いている。わが国の物価については、エネルギー・原材料価格の動向に加え、消費者のインフレ予想や企業の価格設定行動の変化など、上振れリスクに注意が必要である。この間、景気の下振れリスクが薄れる場合には、緩和的な金融環境の長期化が経済・物価の振幅をもたらすリスクが高まると考えられる。』(9月)

「インフレ圧力」が「物価上昇率」に化けてまして、まあこれは下方修正ですね。というかこの辺りの部分が空しく響くのですが(苦笑)。


・総裁会見

詳しくは今日公表される内容を見てからですが、下振れリスクを強く意識した会見内容になっているみたいですね。で、ヘッドライン見ててほほうと思ったのは「政策金利を動かさないでロンバート金利を動かす可能性」について言及した所ですね。

本来はこれって当然ですし、制度的にも何ら問題の無い話なのですけれども、ゼロ金利解除時に当時の福井総裁が余計なことに「ロンバートを独立して動かすことは無い」とか発言しやがった為に妙なことになってしまった訳でありますな。まあ今回白川総裁がこのような発言をしたので、ロンバートだけ下げるという攻撃も可能になって良かったですねということで。


・適格担保の掛け目変更

これは毎度お馴染みの定例(半年でしたっけ)の見直しで、直近の価格推移によって変更になるものだと思いますが、何か全般的に掛け目が上がりましたね。まあ達観すればレンジ推移だからですか。よー判らん。


○FRBの施策あれこれ

・準備預金付利

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081006a.htm

法定準備金はFF誘導目標−25bp、超過準備はFF誘導目標−75bpという事になったそうです。で、どこぞのガイジンさんが書いたレポートの和訳を読んだら、「これは超過準備保有の機会費用を75bp引き下げるもので、75bpの利下げ効果に相当する」とかアホウな言説を拝読して、これはきっとプリオン入りの牛肉を食いすぎた結果ではないかと思われるので念の為いちゃもん。

何度か申し上げてますが、確かにこの制度によって超過準備保有の機会費用が下がるのですが、それっていうのはブタ積みをしやすくなる制度ということであって、マネタリーベース(でしたっけ?)は増えますけど、その増えたものは空しく連銀の口座で眠っている訳でして、意味のあるマネー増加になってませんがなという事。したがって利下げ効果とか何じゃらほいとしか申し上げようが無いという事ですわな。

本当に市中にマネーを還流させたかったら、超過準備保有の機会費用を高くする方向に持っていけば宜しいので、極端に言えば超過準備にペナルティーつけた方が良いのですが、現在は短期金融市場にアホほどストレスが掛かっている状態ですので、超過準備保有動機が高まっていますねという話。まあ金融機関に対する援助の一環にはなりますが、これによってインターバンクのフロア金利がFF誘導目標−75bpになってしまった(それ以下でFF出すくらいなら連銀口座に放り込んでおけば良いから)ので、利下げでも何でもないんですけどね。

で、こっちも気になるのですが、不勉強のためイマイチ判りませんでした。

Exemption to Allow Limited Bank Purchases of Assets from Money Market Mutual Funds

The Board on Monday published a letter granting a request by a depository institution for an exemption from the limits on transactions with affiliates under section 23A of the Federal Reserve Act and the Board’s Regulation W to allow the institution to purchase assets from affiliated money market mutual funds under certain circumstances. The Board is open to considering similar requests from depository institutions under similar circumstances.


・今朝出たのはCP買入の話

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081007c.htm

まだ斜め読みしただけなのでよく判らんですが、SIV発行のCPとか買うのですねというお話みたいですが、その背景について第2パラグラフで書いてました。

The commercial paper market has been under considerable strain in recent weeks as money market mutual funds and other investors, themselves often facing liquidity pressures, have become increasingly reluctant to purchase commercial paper, especially at longer-dated maturities. As a result, the volume of outstanding commercial paper has shrunk, interest rates on longer-term commercial paper have increased significantly, and an increasingly high percentage of outstanding paper must now be refinanced each day.

CP市場にもストレスが掛かっていてターム物がろくすっぽ出合ってませんですかそうですか。

A large share of outstanding commercial paper is issued or sponsored by financial intermediaries, and their difficulties placing commercial paper have made it more difficult for those intermediaries to play their vital role in meeting the credit needs of businesses and households.

まあ米国市場ってSIVみたいな所のCPってシェア大きいらしいですから、金融問題がこういうところにも波及しますわなということなんでしょう。ナムナム。


○その他ただのメモ

・アイスランド

銀行国有化→ソブリン格下げ→為替相場いきなり固定化→おそロシア

・・・・・為替固定化ってCDSヒットするんでしたっけ?教えてエライ人。


・オペ金利とか地味に上昇

欧州が火を噴いている影響なのかどうか知りませんが、落ち着きだしたと思ったオペの金利が上昇してみたり、レギュラーGCのレートがロンバートに接近してみたりと何だかどうも。


・FB3か月入札

何か段々TB/FBの気配が先週の3か月新発に鞘寄せされた感じですが、さてこの地合いで4兆5千億円入札ですかそうですかという所で。一応注目して上げてください。










2008/10/07

お題「相変わらず展開が速いことで」

リーマンをいきなり法的にこかして金融市場を止めたのが間違いの始まりだと思われまして、まあポールソンは頭を丸めて詫びるべきだと思われます(嘘)。

○今更ですが西村副総裁の29日講演

まあ展開が速いので先週月曜の講演とか今更ですけど。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0809e.pdf

・経済の下振れリスク

『現在の中心的なシナリオとしては、景気の先行きは、エネルギー・原材料価格高の影響と海外経済の減速に伴う輸出の増勢鈍化などから、当面、停滞を続ける可能性が高いとみています。問題は、日本経済が深い調整局面に陥るかどうかですが、その可能性は大きくないと判断しています。』

というのがメインなのですが、まあこの日の夜に米国下院の法案否決攻撃によって怪しくなって参りましたという感じですけどね。まあその前提を確認しておきましょう。

『その第一の理由は、90 年代から比較的最近まで続いた日本企業のリストラ努力の結果、設備・雇用・債務のいわゆる「3つの過剰」が解消しており、景気の下振れをもたらすショックに対する日本経済の頑健性が高くなっていることです。』

『第二に、サブプライム住宅ローン問題による日本の金融機関の損失は、欧米に比べ限定的です。国際金融市場の混乱が、日本の金融市場に影響するような場面もみられる場合がありますが、金融システムの機能は、引き続き良好な状態が続いています。』

『そして、第三に、緩和的な金融環境が挙げられます。建設・不動産業や中小企業では、資金繰りが厳しさを増しつつあり、注意が必要です。しかし、政策金利であるコール・レートは0.5%という低い水準にあり、消費者物価上昇率を引いた実質短期金利はマイナスとなっています。こうした金融環境は引き続き企業活動を下支えするものとみられます。』

国内要因だけで言えばメタメタに駄目になるという事はございませんというのがこの並んでいる内容ですわな。では国外要因はどうなるかと言いますと。

『ただし、こうした経済見通しには不確実性が大きく、様々なリスク要因があります。』

『先ほど触れた国際金融資本市場は当面不安定な状態が続くと見込まれ、世界経済には下振れリスクがあります。また、国内でも、エネルギー・原材料価格高による所得の海外流出によって、内需が更に下振れるリスクがあります。このため、日本経済は設備や雇用面で調整圧力を抱えていないとはいえ、景気の面では下振れのリスクを意識しています。』

『先ほど、2002 年から始まった景気回復の特徴点として、成長のエンジンが多様化したことと、各産業における小さなショックが打ち消しあったことを指摘しました。しかし、現在は、エネルギー・原材料価格高とサブプライム住宅ローン問題というグローバルに共通した2つの大きなショックが発生しています。2つの大きなショックが、グローバルに同時に影響を及ぼす場合、今度は、産業間・企業間の同調性が高まり、相互依存関係を通じて、負の方向の力が増幅されるリスクがあります。実体経済の動向については、下振れリスクに注意してみていく必要があります。』

まあ要するに金融市場のショックが実体経済に悪影響を与え、それがまた金融市場にフィードバックされるという97年から2002年くらいまでの展開がリスクというまあ当然のお話。


・サブプライム問題

『金融商品に対する投資家の信認は、2007 年春、いくつかのサブプライム関連証券化商品の価格が大きく下落した時に、大きく揺らぎました。このような証券化商品の価格下落は、それ以前には考えられないものでした。これにより、これまで金融機関に利用されてきた証券化商品に対する格付けの情報が、結局のところ間違っているのではないか、という疑念が生じました。時間が経つに連れ、証券化商品の価値に対する信認の喪失は、明確なものとなりました。』

『証券化商品の価値に対する信認が低下するに連れて、投資家は非常に慎重になり、取引を控えるようになりました。これが、証券化商品の更なる価格下落につながり、一層、証券化商品に対する信認の低下につながりました。更には、金融市場の動揺と実体経済の悪化の悪循環という、過去にもよく見られた現象が、最近になって現れてきています。』

と、ここまでは概論。

『ここ数週間、グローバル金融市場は、非常に混乱しています。株価は大幅に変動していますし、各種の信用スプレッドは拡大しています。また、流動性需要は高まっており、「質への逃避」も顕著となっています。ドルの短期金融市場における調達圧力を緩和するため、9月18 日に、6中央銀行は、ドルの流動性供給のための協調策を公表しました。また、米国政府は、米国の金融機関が保有している不良債権を買い上げる計画を公表しました。』

『不良債権の買い上げは、いくつかの点で、非常に重要な政策であると思います。第一に、不良債権の買い取りにより、これらの資産市場における流動性が高まり、市場における値付けが促されるきっかけとなります。第二に、この施策により、金融機関のバランスシートの透明性が増し、投資家は金融機関の状態について評価を下すことが出来るようになり、不確実性も大きく低下することになります。』

『国際金融資本市場を巡る不確実性は、依然として高い状態が続いていますが、政府や中央銀行による一連の政策が、グローバル金融市場の安定に貢献し、世界経済成長の回復につながることを期待しています。』

ということで、この日の夜にドル流動性資金供給オペレーションの拡大について日本及び欧米の中銀が発表したというのに米国議会下院が法案否決攻撃に出たというのが実に涙目な展開ではございましたことです。

まあ何と言う残念な展開ということで。


○例によって市場雑感

・売出手形オペ金利大下げ

資金の偏在を如実に示す結果という感じでしょうか。昨日実施された売出手形即日オペ3000億円の落札金利は平均レート0.349%の足きり0.47%で無担保コール翌日物の加重平均金利の0.484%を切る貫禄の低金利。平均0.3%台前半ってそりゃ何よという感じなんですけれども、まー要するに金は余ってるが無担保コール市場に出す金は無えよという事なのでしょう。一方で共通担保即日オペは11日物なのであまり参考になりませんけど、こっちは平均0.655%の足きり0.62%とまあちと下がったけど相変わらずのレートです。何とオペで日銀鞘抜けているというオソロシスな状態。

まあそれだけカウンターパーティーリスクが意識されて市場にストレスが掛かっているので、結果としてそのリスクを取る格好になってしまっている日銀のオペレーションが鞘抜き状態になっちょるという事でありますな。ちなみに金曜もそんな感じで、金曜は共通担保即日オペが月曜エンドの翌日物でして、こちらが平均0.644%の足きり0.60%で、同日の売出手形即日オペが平均0.469%の足きり0.50%なんで、この日なんてモロに日銀鞘抜きの巻(もっと正確に言えば、スタート時刻が違うので時点による資金需要が違っているからレートに差が出るという要因はあるのですが、まあ積み最終でも無いのにこの展開というのは時点要因よりも上記の要因が大きいと思われます)となってました。キングオソロシス。

・GCとかCPとかFBとか

GCレートは高止まりみたいで、レギュラーの所は相変わらず0.7台に乗ってるみたいですね。T+0とかになるとさすがに足元の資金供給が効いて下がり傾向みたいですけれども、こういう状況でファンディングがきつめな人が寝転んでショートファンディングとかするのは流動性リスクがでかいにも程があるので、こっちの金利が中々下がらんようで困ったもんです。というか相手が見えないの困るからブローカースルーを避けるとか、リーマン日本法人の破綻処理のやり方が不手際にも程があるという影響が出てるんじゃなかろうか。

てなわけで業者のファンディングコスト上昇の影響もあって、昨日のFB6か月は入札ヘロヘロ。周囲の既発債券が0.56%だの0.57%だのとかいうレート(まあそれもインチキ臭いが)の前日引けに対して落札結果は平均0.6518%の足きり0.6902%とヘロヘロ。その結果出たときに2年新発の業者間出来値が0.68%とかになってたと思いますので、最低落札価格対比だと瞬間6か月と2年がインバートするという素敵な展開に。さすがに引けは0.65%−0.66%だったようですけれども(BB引けは0.655%)。まあこれは来年4月償還ってことで、年末と期末を抜けるのでイラネと言ったところでしょう。でも年末越えない12月償還銘柄あたりもちょっとレート上昇した出合いとかあったみたいで、さすがにファンディングコストの高止まりが悪影響という感じでしょう。

#ファンディングコストの高止まりで悪影響といえば物価連動国債というのがありますけれどもその話はまたいずれ

CPディーラーってのは基本的に国内銀行さんで、ファンディング自体は楽勝どころか金イラネ状態になっている筈なんですけれども、まあその辺の金利上昇とか、そもそも株価下落とかでクレジット物全般的に雰囲気悪いとか、最終投資家のクレジット物への投資意欲低下気味という状況などもあって、通常金利が激下がりする10月入りして、当初は割とあっさり金利が下がったのですけれども、ここへ来てちょっとじり高の巻。まあLIBORとかも下がらんですしねえ。


○ただの雑感ですが

リーマン破綻で決済がフェイルになって最終的に取り消しだの何だのという混乱が生じまして、国内債券市場ではその余波で取引相手の縮小だの流動性の益々の低下だの余計な事象が発生しやがったのですが、そんな中であたしゃー昔読んだ経済小説(とカテゴライズするのが適切かどうか存じませんが)の白眉でありますところの、獅子文六「大番」の一節を思い出してしまいました。ちなみに「大番」は昭和31年から昭和33年にかけて週刊朝日に連載されて爆発的な人気を博した(らしい、産まれてないから存じません)小説で、兜町の小僧から成り上がって相場師として名を馳せた佐藤和三郎氏の一代をモデルにしています。あたくしはゼネックス社が復刻した時(初版1997年12月)に購入しましたのでそちらの上巻217pより。場面は鐘紡株の思惑で主人公の赤羽丑之助が大損して夜逃げしようという所に友人の新どんが訪れる所。ここに出てくる「木谷さん」というのは丑之助の恩人であり応援者の山一証券(小説では富士証券)の公社債部長の大田収氏(のち山一社長)がモデルです。

(以下引用)

「実は木谷さんの伝言も聞いてきているんだ。あの人は、一言も金のことなんかいわなかったぜ。そしてギュー公も、今度の損でどうやら一人前の相場師になれるだろう――と、いってたぜ。それからね、木谷さんは君が結局夜逃げをするようになるだろうが、玉の整理だけはつけておけと堅くいってたぜ」

「え、木谷さんは、わしのそんな気持ちまで見抜いとったのかいね」
(途中割愛)
「玉の整理をつけてから逃げろと、木谷さんはいいなはったのやな・・・・・・・・」

丑之助は独り言のようにそういって首を肯かせた。実は、彼は何もかも打っちゃり放して遁走しようかと考えていたのであるが、なるほどそれはカブト町の掟に、背くようである。

玉の整理――つまり清算ということは、結局債務を確認することで、それをしないと、店は立替金を背負いこんだ上に、玉を処分することもできず、一層迷惑をかける。
「あいつは玉もしまわないで逃げやがった・・・・」
ということになれば、その男は相場師の風上にも置けぬ奴といわれ、後日の活動に影響する。今金は払えなくても、成功払いの証文を入れると同様な、玉の整理をすることで、その男の将来も一脈の望みがあることになる。

丑之助は、数件の店から鐘紡株を買っていたから、無責任な夜逃げをすれば、悪評は各所から上がって、再起がおぼつかなくなることを木谷さんも心配したのであろう。

「おれも木谷さんのいうことは賛成だよ。お前も、つらいだろうが、迷惑かけた店に行って、詫びを入れろよ。何なら、おれも一緒について行ってもいいぜ」

新どんは親切にそういってくれた。

「済まん。なるほど、そのとおりや、面倒やけん、わしァ黙って逃げようと思うとったが、そんなことしたらあかんな」

丑之助はシオれて、弱々しく答えた。

(引用終わり)
獅子文六「大番」
あたくしの手元にあるのはゼネックス社発行
ISBN4-7952-6119-9(上巻)
ISBN4-7952-6120-2(下巻)
です。

何と申しますか、いやまあ別にリーマンがうっちゃってるとかいう訳じゃないんですけど、ちょっとああ堂々フェイルされると何だかねえという感じがする次第でして。法的整理になっちゃったから仕方ないんですけれども、本来は一旦は自主廃業みたいな形で少なくとも証券決済だけは予定通りに回して欲しかったですよねとしか申し上げようがございません。







2008/10/06

お題「スルーしたネタの虫干しで恐縮です」

法案通ってNY株安ですかそうですか。

○先週月曜の白川総裁会見より

先週月曜というのは欧州でドルの短期金利が上昇して、急遽スワップ枠の拡大、ドル資金供給オペの拡大をした(のですがその数時間後に金融安定化法案が否決されていきなりちゃぶ台がひっくり返されたの巻でした)時の会見から。

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0809e.pdf

冒頭の説明から。

『最初に本日の協調策の趣旨について簡単にご説明します。最近の国際金融市場の動きをみますと、各国で短期金融市場における資金調達圧力の持続的な高まりがみられています。すなわち、わが国を含めドルの短期金融市場では、期日(ターム)物を中心に調達金利が高止まっているほか、市場での取引が極端に薄い状況が続いています。米欧金融市場で金融機関の破綻が続いていることなどを踏まえますと、こうしたドル市場における緊張は、なお暫く続くことが予想され、各国通貨建ての市場にも当面影響を及ぼし続けるとみられます。』

途中を飛ばしまして。

『こうした判断を踏まえまして、流動性需要が高まるとみられる12 月末に向けて、予め十分なドル供給の枠を確保した上で、市場の状況に応じてドル資金を円滑に供給していくことが適当と考えた次第です。具体的にはスワップの取極の引出限度を従来の600 億ドルから1,200 億ドルへ増額するとともに、ドル資金供給オペレーションの期限を延長し、来年4月末までとすることを決定しました。なお、今回の一連の措置により、米ドル資金の供給額が拡大することなどに伴い、より幅広い市場参加者を通じ、本邦市場における米ドル資金の供給を一層円滑に行うことを狙いまして、オペの貸出対象先を拡充することとしました。』

ということで、先日ご紹介した時に「オペ対象先が拡大された」という点をうっかりしておりまして申し訳ございませんでしたm(__)m

#先週オペ先拡大に伴う追加募集のアナウンスメントがあったのでご存知とは思いますが念の為


で、この時点での短期金融市場の状況ですけれども。

『まず金融市場の状況、なかんずく短期金融市場の状況をご説明します。リーマン・ブラザーズの破綻等を契機にしまして、米欧の金融機関の株価が急落しましたし、信用リスクにかかる評価であるCDS(Credit Default Swap)のプレミアムが急拡大しました。こうした中で米ドルの調達金利をみますと、オーバーナイト金利は急上昇しており、足許は低下しているものの日中の振れが大きい状況にあります。期日(ターム)物の方は、金融機関相互の間での信用リスク不安が高まる中、長めの資金放出姿勢が極度に慎重化したことからレートが上昇しています。』

という状況でして・・・・

『米ドル資金市場の流動性はほぼ枯渇したという状況だと判断しています。』

という認識ですね。

『今回の中央銀行による流動性の面での措置は、こうした短期金融市場における強い緊張に対応して採られたものです。今回、金額を大幅に増やしていますが、これはそうした流動性の面から短期金融市場の不安定性をできるだけ除去していこうという措置です。我々としてはこうした措置が金融市場の安定につながることを期待しています。』

緊張感の伝わる総裁発言でございます。で、この一連の総裁発言にありますように、欧米の金融機関の信用不安がCDSスプレッド拡大からインターバンクの取引の枯渇に繋がるという一連の流れによって、短期金融市場の取引が対中央銀行取引しか回らないという状況になってきましたという事なのですな。

初回の資金供給オペで札割れになった件についても質問がありましたが、その点に関してはこのような説明を。

『結論から言いますと、そういうことです。最近の米ドル市場における流動性の状況および円市場の状況を踏まえると、ドルにかかる流動性の逼迫が円資金市場の流動性や安定性に対して影響を及ぼす可能性は足許一段と高まっていると判断しています。こうした中で、流動性需要が高まるとみられる12 月末に向けて予め十分なドル供給の枠を確保した上で、市場の状況に応じてドル資金を円滑に供給していくことが適当と判断しました。ご質問にあった先般9月24 日に実施した1か月物のドル供給オペについては、わずかながら札割れとなりました。ただ、これはオペ対象先にとって実施までの準備期間が短かったことや、既に9月末越えのドル資金調達に目処をつけていた先もあったことなどがその背景にあると考えています。日本銀行のドル供給オペ自体に対する需要は強いと判断しています。』

こちらに関しては今後3か月もののオペも実施されますので、そちらを注目ということになるかと思います。



○生活意識アンケート

こちらは短観と同じ日に出た調査。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/ishiki/ishiki0810.pdf

15ページ目以降に質問が箇条書きになっております。

景気悪化の答えが多いのはまあ当然ですけど、先行き見通しがそれほどメタメタになっていないのはふ〜んという感じです。以下Qとあるところは上記アンケート調査結果引用、()は前回6月調査時点の数値です。

Q1. 1年前と比べて、今の景気はどう変わりましたか。

1 良くなった0.6 ( 1.7 )
2 変わらない18.0 ( 28.8 )
3 悪くなった81.0 ( 69.0 )

Q3. 現在の景気をどう感じますか。

1 良い0.1 ( 0.0 )
2 どちらかと言えば、良い1.3 ( 2.4 )
3 どちらとも言えない10.4 ( 17.5 )
4 どちらかと言えば、悪い52.8 ( 54.1 )
5 悪い35.3 ( 25.8 )

Q4. 1年後の景気は、今と比べてどうなると思いますか。
1 良くなる3.2 ( 2.2 )
2 変わらない38.4 ( 36.9 )
3 悪くなる57.9 ( 60.5 )

ということで足元悪いと思っている人は増えている割には先行きに関して悪くなると思っている人が増えてない(若干減ってる)のはまあ救いという感じが致しますが。

さて、このアンケート調査で毎度毎度思うのですけれども、

Q5. 景気の状況を考えたとき、現在の金利水準をどのようにお考えになりますか。

1 金利が低すぎる51.7 ( 53.3 )
2 適当な水準である28.5 ( 28.8 )
3 金利が高すぎる14.1 ( 14.0 )

・・・・いやあのですな、毎度毎度この低すぎるが過半数って数字を見ますとそれはどうなのかと思う次第ではあります。まあ預金金利は政策金利よりだいぶ下の所にいます(1か月定期預金金利で0.25%とかでしょ)から借金してない人の意識では金利無いに等しい状態というのは継続してるのですけれどもという点を割り引いてもねえ。


支出項目に関するアンケート結果に関しては落涙を禁じえません。あなたの世帯の支出はどうなりましたかという質問に続く質問とその回答はこんな感じ。

Q9-a.(Q9で1(「増えた」)と答えた方への質問)
支出が増えたのはなぜですか。【複数回答】

1 収入が増えたから3.7 ( 3.9 )
2 将来の収入増が見込まれるから0.9 ( 1.0 )
3 不動産など実物資産が値上がりしたから0.5 ( 1.8 )
4 株式や債券などの金融資産が値上がりしたから0.4 ( 0.4 )
5 住居など不動産を購入したから4.6 ( 3.7 )
6 車など耐久消費財を購入したから16.3 ( 16.8 )
7 扶養家族の増加などに伴う支出があったから17.2 ( 20.2 )
8 生活関連の物やサービスの値段が上がったから82.6 ( 80.3 )
9 その他17.4 ( 17.4 )


Q9-b.(Q9で3(「減った」)と答えた方への質問)
支出が減ったのはなぜですか。【複数回答】

1 収入が減ったから72.9 ( 75.9 )
2 将来の収入増が見込まれないから53.6 ( 51.3 )
3 不動産など実物資産が値下がりしたから4.0 ( 4.1 )
4 株式や債券などの金融資産が値下がりしたから12.9 ( 8.5 )
5 扶養家族の減少などに伴い支出が減ったから7.7 ( 9.7 )
6 その他7.1 ( 7.6 )

・・・・・・・・(-_-メ)どっちもダメダメですな。ちなみに家計支出が増えたという人は50.8%で、減ったという人は22.5%となっています。まあ増えたほうも減ったほうも基本的に理由がパッとしないというところが残念な所です。


まあ物価に関するアンケート結果は毎度お馴染みの内容でして、物価は上昇するでしょう&物価の上昇は困ったもんだという内容ですが、1年後の物価予想がちょっとだけ下がっているのがこれまた救いかなという感じです。


ところで、久しぶりに日銀を信頼してるかしてないかという質問に関するこの項目を見たのですが・・・・・

Q23-c.((5)で4または5(「信頼していない」)と答えた方への質問)
信頼していない理由は何ですか。【2つまでの複数回答】

1 日本銀行の活動が物価や金融システムの安定に役立っていると思わないから42.5 ( 40.5 )
2 政策の内容や意図に反対だから5.3 ( 5.1 )
3 中立の立場で政策が行われていると思わないから45.2 ( 43.4 )
4 日本銀行の活動について分かりやすい広報や意見聴取の努力が不足していると思うから32.2 ( 31.5 )
5 組織や職員に誠実なイメージを持っていないから28.9 ( 37.9 )
6 その他6.0 ( 7.1 )

ちなみに、2006年9月の調査結果はこのようになっています。

問22-c.((5)で「信頼していない」(4または5)と答えた方への質問)
信頼していない理由は何ですか。(2つまでの複数回答)

1 日本銀行の活動が物価や金融システムの安定に役立っていると思わないから23.1 ( 32.2 )
2 政策の内容や意図に反対だから4.3 ( 9.8 )
3 中立の立場で政策が行われていると思わないから43.8 ( 47.8 )
4 日本銀行の活動について分かりやすい広報や意見聴取の努力が不足していると思うから
27.5 ( 34.1 )
5 組織や職員に誠実なイメージを持っていないから55.2 ( 25.9 )
6 その他7.4 ( 8.3)

・・・・・・・とある事案のお陰でいきなりジャンプアップした数値がその前の水準に近づいてきて良かったですね(棒読み)。


以上、本日はコピペ大会で恐縮至極でございました(大汗)。










2008/10/03

お題「ネタが未整理のままでスイマセン」

今日も何かバラバラでして、こりゃ週末まとめ作成フラグですな。


○今回の注目材料はちと別でして(日銀保有国債残高)

月初(正確には月初2営業日目)お馴染みのこれ。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/mei/mei0809.htm

先月は途中で相場がグチャグチャになりまして、輪番オペが打ち込まれたタイミングで先物独歩安というような素敵な相場な時もあったので先物回りでありますところの10年275回とかがドカンと打ち込まれ、期近債のオンパレードじゃなくて良かったねという話はございますが・・・・・

先月の残高ってこうなのですが。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/mei/mei0808.htm

・・・・えーっと、物価連動国債と30年国債が何故か新規に残高に入っておりますけれども、これってどういう風の吹き回しなのでしょうかというのと、妙に色々な銘柄で1億だけ増加というのがあるのですけれども、これまたどういう風の吹き回し?

勝手な妄想をするとリーマンが入れた国債買現先オペのエンドがフェイルになったのでそのまま日銀逝きになったとか、共通担保オペの担保権が行使されたとかになるんですけど、本当はどうなのでしょうか。

まあどうでもいいちゃあどうでもいいのですが興味本位。


○インフレーションターゲティングの運用に関するレポート

というのが昨日出ていました。詳しいレポートとダイジェスト版があるのですけれども、レポートの方はページ数が膨大ですけれども、本文は23ページでして、その後に掲載されている補論(論じられている各国の状況推移を時系列に整理した部分が29ページ分)と参考資料の図表が大変に参考になりそうです、と申しているのは実はあたくしまだダイジェスト版とレポートの本文23ページ分だけしかちゃんと読んでませんで、先のページは読み飛ばしているもんで(汗)。

で、ダイジェスト版紹介ページはこちら。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev08j11.htm
ダイジェスト版全文はこちら。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev08j11.pdf
(日銀レビューシリーズです)

レポート紹介ページはこちら。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/wp08j15.htm
レポート全文はこちら。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/data/wp08j15.pdf
(日本銀行ワーキングペーパーシリーズです)

ダイジェスト版(日銀レビューシリーズ)の方は要約版なのですが要約にも程があるので、レポートの方をご覧になるのが吉かと存じますけれども、インフレーションターゲティング政策を古くから導入しているニュージーランド(1988年4月)、カナダ(1991年2月)、英国(1992年10月)、スウェーデン(1993年1月)の4中銀の事例に関して紹介したものとなっています。

でまあここにあるものをどこをどう引用するかとなると、そういう部分を一晩さっと読んだだけでポイント整理するのも難しいので(アセアセ)、上記レポート(日本銀行ワーキングペーパーシリーズの方)の最後のまとめのところを引用させていただきたく(本文22ページ目以降、PDFファイルだと23枚目になります)。以下引用文中の「IT」は「インフレーションターゲティング」の略称です。

『1 つめの結論は、4 ヶ国(ニュージーランド、カナダ、英国、スウェーデン)の中銀は、IT 導入当初、インフレ期待の安定を重視する観点から、足許の物価安定に向けて厳格な運営を試みたが、1990 年代後半頃から徐々に、足許のインフレ率が目標から乖離するような局面でも、先行きの経済・物価見通しを参考にしながら、中期的な物価と実体経済の安定をめざす運営に変貌していったということである。』

『さらに2000 年入り後、4 中銀は、導入当初1-2 年されていたタイム・ホライズンを長めにすることで資産価格変動にも配慮した政策運営をIT の枠組みの中で試みるように変貌を遂げた。本稿はこの変貌を、足許の物価安定に向けて厳格な運営から、「フォワード・ルッキング」かつ「柔軟」な政策運営への変貌と要約する。』

『2 つめの結論は、この変貌の背景には、(1) 経済に発生したショックの大きさ、ショックの内容(一時的か持続的か、需要ショックか供給ショック等)だけでなく、(2)政治的背景(財政赤字の大きさ、法律上の中銀の独立性など)や、(3) IT の枠組みに対する信認の強さがあったことである。IT の導入によって、インフレ期待が即座に安定化し、長期国債へのリスク・プレミアムが低下したわけではなく、IT 導入当初はむしろIT の枠組みに対する信認は高くなかった。このような中にあって、4 中銀は、足許の物価安定に向けて厳格な政策運営を試み、金融政策の透明性を向上させてきた。』

『その後、4 中銀を取り巻く政治的背景が好転し、4 中銀が自身の行動と説明を通して、インフレ目標を達成していくことによって、IT の枠組みに対する信認が次第に強まっていった。この間にみられたインフレ期待の安定は、再びインフレ率が大きく上昇するリスクを小さくした。このような背景の下で、4 中銀の政策運営は、足許の物価安定に向けて厳格な運営から、中期的な物価と実体経済の安定をめざす運営に変貌を遂げた。』

『3 つめの結論は、4 中銀による金融政策の透明性が、大幅に向上・強化されてきたということである。4 中銀は、定期刊行物や総裁をはじめとする幹部のスピーチなどを通して、物価安定の意義や政策判断の根拠(経済・物価の見通し)などを丁寧に説明してきた。また、BOE やRiksbank は、議事要旨・投票結果の公表、RBNZ やRiksbankは、先行きの金利経路の公表も行っている。(以下引用割愛します)。』

・・・・引用ばっかでスイマセン。とりあえず日銀レビューの方をさらっと読んでから本文レポートを読むのが宜しいかと。



○市場メモを少々

・昨日も即日タームオペ実施

昨日書いた中で思いっきり抜けがあったのですが、1日に打ち込まれた即日オペちゃんですけど、朝9時20分の即日定例タイムに打ち込まれたのが「本店オペ」でして、昼に打ち込まれた即日オペは「全店オペ」でしたね。基本的に本店オペよりも入札参加者が多い関係上、全店オペの方が本店オペよりもレートが上昇しやすい傾向にありますので、まあ全店のレートが本店と同じだったというのは仕方なかったのでしょう。しかし午後に全店即日オペとはこれまた事務負担が大変だったのではないでしょうか。

それはそれとして、昨日もまた共通担保本店即日オペが実施されまして、ロットも1兆円と前日より増加。期間は前日と同様に1週間もので実施となりましたが、レートは低下して平均0.619%(1日は0.753%)で足きり0.60%(1日は0.75%)ととりあえず低下してよかったですねという感じ。

T+0のGCレートとかも低下したみたいなのですが、残念なことにレギュラーのGCレートとかは相変わらず高止まりしているみたいでして、まだまだ予断は許さないという感じではないかと思います。ただまあ1日から始まった「即日オペでターム物を出して、足元を売出手形の即日物で引いて積みあがりすぎた準備預金を引く」というパターンは、連日のオーバーナイト物資金供給を行うよりは資金繰り安定化効果が高いと思われますので、誠に結構なことだと存じます。


・昨日もコールは0.05%〜0.75%

昨日の速報ベースでも無担保コール翌日物の利回りは最低0.05%の最高0.75%となってまして、昨日の平均は0.470%でした。相変わらず二極化にも程があるという感じですが(^^)、まあ基本的にはその0.05%というのはコールの最後の最後の時間(全銀為替決済時限とか)のタイミングでの「何でもいいからゼロよりマシ」レートでございまして、まあ二極化の低い金利の方は0.4%近傍とかみたいですけど、それにしてもコール市場はまあレート差が出ているようですね。


・1年ゾーンとかFB3か月とか

GCレポ取引のレートやら資金供給オペのレートやらが高止まりしている影響が出ているのか、ここもとの展開見てますと2年債とかが猛烈に買われた日でも1年ゾーンから手前はヘロヘロだったりしまして、こりゃまあレポやオペの金利から見てネガティブキャリーになっている部分でのポジション圧縮へのインセンティブが働いているんですねという感じです。

水曜に入札が行われた1月償還の3か月FBは相変わらず引け0.62%となっていまして、どうもパッとしませんし、CPレートに関しても年内物に関しては兎も角、年末越えの所はレートがじり高っぽくなってるみたいですし、足元のレート上昇(はターム物オペ連発でそのうち落ち着くとは思いますが)と年末越えへの懸念(正直言って日本円単体に関しては問題ないのですが、欧州中心のドル資金ニーズが波及してくる懸念が大有りな訳で)というのがCPレートという企業金融にも少々影響与えてますねという結論なのでありました。

ではでは♪今日は引用ばかりですいません。抜け分は週末と週初にでも。










2008/10/02

お題「色々とあるので書く方が追いつきません(涙)」

誠に遺憾の極みでございまする(汗)。

○とりあえず短観

http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/tk/gaiyo/tka0809.pdf

まあ内容は宜しくありませんで、業況判断もそうですが、在庫判断とかの数字も悪化してましたし、中小企業の資金繰りの所とか悪化してますし、まあ全般メタメタですわな。

という分析は本職の人たちがやってくれるでしょうから、毎度趣味でチェックしている項目をいつものように。

・業況判断DIの達成度合い

6月調査時点での先行き見通しがどのくらい達成出来ているかという話。3月調査時点では前回見通し達成、6月調査では見通し達成ならず、でも市場の予想したDIよりは良い、という展開でしたが、今回調査はだいたい市場予想よりちょっと悪いかほぼ予想通りという感じですので、まあダメダメですね。

            (6月時点)      (9月時点)
           現状→9月予測   現状→12月予測
製造業大企業   +5→+4      ▲3→▲4
製造業中堅企業  ▲2→▲5      ▲8→▲12
製造業中小企業  ▲10→▲15    ▲17→▲25

非製造業大企業  +10→+8     +1→▲1
非製造業中堅企業 ▲5→▲10     ▲12→▲17
非製造業中小企業 ▲20→▲27    ▲24→▲31

非製造業中小企業だけしか9月予測数値よりマシなもの(でもそもそも▲24ですから)が無しという状況で誠に残念。



・雇用判断DIが余剰に転じた所が増え、先行きも製造業で余剰判断増える

6月調査でそれまでの「先行きは雇用判断現状よりも横ばいないし不足方向」っていう流れが止まったのですが・・・・

            (6月時点)      (9月時点)
           現状→9月予測   現状→12月予測
製造業大企業   ▲5→▲5       ▲2→0
製造業中堅企業  ▲3→▲5     +2→0
製造業中小企業  +3→0       +6→+6

非製造業大企業  ▲14→▲17    ▲10→▲13
非製造業中堅企業 ▲8→▲13    ▲6→▲8
非製造業中小企業 ▲6→▲6     ▲6→▲7

救いなのは非製造業の雇用判断が相変わらず不足方向で、先行きの見通しも不足幅拡大方向な所ですが、正直言って非製造業の雇用判断って景気動向に物凄い勢いで遅行するものっぽいで全然当てにならなさそうだというのが実に惜しい所です。


・証券業の業況判断

面白いので前回掲載した長期時系列(笑)をリバイス。昨年の6月調査分から並べております。

        現状→次回予測
(6月時点) +34→+52
(9月時点) ▲30→+23
(12月時点)▲26→+4
(3月時点) ▲55→▲15
(6月時点) ▲45→0
(9月時点) ▲70→▲44

・・・・・・6月時点の9月予測は0なのに今回の現状判断は▲70というのはサブプラ問題が開始になった昨年9月のドテンマイナス程の衝撃はございませんが、いやあの▲70ですかそうですかという感じです。



○短期市場雑感

以下うだうだと。

・即日スタートのタームオペ実施でしたが・・・・

昨日は定例時間にオファーされた共通担保資金供給オペが久々のターム物。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of081001.htm

10月1日スタート8日エンドの1週間ものを実施しましたけど、まあジジイの昔話となりますが、かつて(旧法時代とか)は即日のタームって普通に打ち込まれていたのですよね。で、その結果ですが・・・・
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba081001.htm

この一番上ですけど、応札は38510億円平均落札0.753%で足きり0.75%と何とロンバートレート足きりというちょっと衝撃の結果に。午後にもう一発即日スタートのタームオペが打ち込まれまして、こちらは0.75%が全取じゃなくて按分になっちゃいまして(さすがに応札は減ってますが)、期末は終わってカレンダーベースでも期初になった筈なのにこの有様とは如何なものかという感じです。

GCレポレートも高止まりの巻になっているようですし、このあたり有担保取引の筈なのにこのレート形成は如何なものかという話なのですが、リーマン破綻に伴いレポのエンドやら売買などの取引までフェイル(昨日も書きましたけれども、渡し方が玉を引き渡せないのではなく、受け方が金を引き渡せないのはフェイルじゃなくてデフォルトのような気がするのですが、今回のケースでは保全命令が出ていて動かせないという状態なので訳判らんの巻。レポに関して言えば民事再生法申請は一括清算条項に該当するようですが)されてしまったという事で、取引のカウンターパーティーリスクへの警戒度が高まっているという反映としか思えません。

無担保コールだったら丸々与信の話ですけれども、GCといえども途中で相手が飛んで資金繰りぶれるだの一括清算した場合のマーケットリスクがあるだの、まーカウンターパーティーリスクを思いっきり警戒しだすとこうなるという話。決済ちゃんと回してくれるという信用があれば無担保コールはともかく、レポとかは本来もっと回って然るべきな筈(ちょっとこのあたりは事務的問題とかも絡んでいるので、今書いているようにスッパリと切り分けることはできないのですけれども、そこはあえて措く)なんですけどね。

てなわけで、期末を通過したのにレートが低下するどころか上昇するの巻となっているのは、いきなり法的処理をして決済を混乱させたツケが回っている面もあると思われます。まあこの0.75%ってどう見てもGCレポとかの代替で取ってる動きとかでしょう。落涙を禁じえないとはこの事であります。

#この話は論点をもうちょっと整理してまだまだ続く


・新発FBも0.62%

その衝撃のオペ結果出たあとに新発3か月FBの入札があった訳ですが、こちらは1月13日償還、と書くと1月中旬みたいですが、実は月初6営業日目の償還でして、償還再投資のロールのことを考えるとイマイチ使いにくい銘柄ですなあとか思ってたんですが。

前日の時点では既発の周辺銘柄が0.56%オファーとかやってたので、年末越えに敬意を表して0.6%に接近ですかとか漫然と思ってたのですが、30日のECBのドルオペ金利11%とか、昨日の即日タームオペロンバートとかいろんな衝撃のレートが出やがったせいか、入札前の前場引けで0.62%ヒットしてその後0.615%で入札を迎えるの巻。結果は0.6159/0.6296と、先週の29日スタートよりはマシだったのですが、その後の伸びが全然なく、引けは0.62%と平均よりも宜しくない結果に。先週の入札では落札結果発表後にあっさり買いが入ってショートカバー気味に0.60%の引けになったのですが(0.595%の出合いも)、今回はどうもパッとしない結果。

まあ上記のオペ結果とも連動している観もございますが、足元の金利が上昇というか一部で絶賛大上昇していることと、年末越えの警戒(円じゃなくて欧州中心のドルだという感じですけど)モードが高まっているというのが反映されているのだとちょっと嫌〜な感じですわな。


・コールも二極化?

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/mp081001.htm
<平均> 0.468 %
<最高> 0.750 %
<最低> 0.050 %

・・・・積み最終日とか期末で資金大量供給とか(まあ大量供給はしてますが)でもないのにこの最高と最低のスプレッドは何だかなあとしか。というかこの平均って最早意味が有るのか無いのか、よくこんなあたりに着地しましたねとしか申し上げようがないですぅ。


○ああ宿題

昨日書いた宿題のうち「FRBが準備預金に付利した場合の量的緩和には残念ながらポートフォリオリバランス効果が無くてただのブタ積みになる件について」っていうのですけどね。

これって要するに預金ファシリティが出来るという話で、資金吸収手段の創設であります。よってTAFみたいなのをバンバン打ってマネーは出てくるのですけれども、その沢山出たマネーは連銀のデポに化ける話なので、それをもって「量的緩和」というのかというと(見た目マネーが増えるから量的緩和といえば量的緩和ですが)、ゼロ金利じゃない状態で預金ファシリティ金利付きの量的緩和ってのも微妙な気がしますな。

#実態ベースを踏まえれば「質的緩和」と言ったほうがしっくり来ます

かつて日本の量的緩和&コールの金利がゼロという時代がありましたが、この時に一頃当座預金残高目標達成が大変って話がございまして、誰が言ったのかすっかり忘れましたが「日銀当座預金に付利すればマネーをもっと増やせる」という素晴らしい提言をしたエライ人がいた筈ですが・・・・・それってマネーは増えますが利上げになりますわな(苦笑)。ということで、準備預金付利するとそこが短期金融市場のフロア金利になってしまうので、米国市場でTB3か月1%切ってバシバシ買うのってどうなのよという気もせんでもないのです。

・・・というのは概論なのですが、もうちょっと整理しますね。時間の都合上本日はこの辺で勘弁。











2008/10/01

お題「展開が速いのでまたメモばっかで恐縮」

今日は短観でしたね。

○やはり欧州か・・・・

日銀および各国中銀のドル資金供給オペ実施というアナウンスメントが最初に行われた時は欧州市場のオープン時間位でした(月曜のは東京23時ですが)が、まあ米国もさることながら欧州のドルファンディングが超越的ストレスが掛かっているという状態になっとる訳ですな。ということで欧州市場中心にドルのファンディングが大変という話は月曜夜の白川総裁会見にもございましたように『米ドル資金市場の流動性はほぼ枯渇したという状況』となっていますと。

で、実際に数字に出てくるとアレな訳でして、LIBORフィクシングがロンドンの11時に出たのですけど、USDの翌日物取引金利が6.875%ですわよ奥様(ちなみにJPYのS/Nの翌日物金利は1.03125%ですわよ)って所で、いやあもう短期市場機能不全にも程がありますが、ECBのドル資金供給オペ結果にも腰を抜かすの巻。

http://www.ecb.int/mopo/implement/omo/html/TAF08028_all.en.html

Tender Operation-Allotment
USD Overnight

Tender Date: 30/09/2008
Start Date: 30/09/2008
Maturity Date: 01/10/2008

ほほう当日スタート翌日物と。

Auction Type: VARIABLE_RATE
Allotment Method: SINGLE_RATE Intended Volume: 30000 mn
Currency: USD
Max Bid Limit: 3000 mn

300億ドルですかそうですか、で、結果は・・・・

Marg. Rate: 11.00 %
% of All. at Marg. Rate: 75.6522
Tot Amount Allotted: 30000 mn
Tot Bid Amount: 77339 mn

・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー

イールドダッチの入札で、とりあえず10%越えの札を叩き込んで必要な量は押さえておこうという人が続出したら必殺の札だけで300億ドルが埋まってしまったんですね、わかります。


さすがにこれはまずいということで、500億ドルのオペを追加して見事に札割れになりました。『Marg. Rate: 0.50 %』でめでたしめでたし。とは言っても307.42億ドルも追加が打ち込まれたのですけどね。

http://www.ecb.int/mopo/implement/omo/html/TAF08029_all.en.html
(結果引用割愛)


まあ短期金融市場に強いストレスが掛かっているので、銀行間などの取引が全然成立せずの巻になっており、もはや対中銀でしか取引できませんですがな状態って事でしょう。合掌。

本当はこーなりますと翌日物を毎日ドカドカ打つよりは、タームでドカンと資金を出して売手など(ユーロエリアでは預金ファシリティがあるのでそれが日本でいう売手になりますわな)で引く方が金融機関の資金繰りの安定化効果は高いのですけれども、その辺の運営はどうなっているのかいなとは思うんですけど。

とりあえず余りと言えば余りの展開なのでクリップということで。



○国債投資家懇談会とかPD懇話の続きとか

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/b200929.htm(投資家懇)
http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c200926.htm(PD懇)

PD懇に関しては昨日ご紹介しましたのでまずは投資家懇から。

・レポ取引に関して

こういう意見があるのは心強いです。

『決済については、当社にはあまり大きな影響はなかったが、今後も引き続き、決済やレポ市場の問題について業者と真剣に検討していかなければならないと考えている。』

で、他の意見としてはこんなのがありまして、まあそういうところなのですよねという感じであります。

『フェイル慣行等については、投資家の中にも特にSCでT+1やT+0のニーズがあり、我々として出来るだけ対応しているが、投資家全体でも更に努力する必要があると考えている。また、現在まで長い間議論されてきたが、フェイルは絶対認めないという投資家がいるのも事実であり、そういった投資家の意見を聞き、どういった理由で認めないかをもう一度解きほぐす必要があるのではないかと考えている。ただし、フェイル慣行が定着したからと言って容易にフェイルが起こるような状況は、投資家としては容認できない。』

フェイルに関してですが、運用サイドではそもそも制度の建て付けがフェイルを前提にしていない(制度の方がフェイル云々の遥か前にできているから)ケースもございますし、また、「物が来ない」フェイルなら兎も角、今回のように「取引が凍結になったので金が動かせない」フェイル(それをフェイルというのか謎な面がありますが)の時まで想定した建て付けになってないという場合もあり、結局は制度面の改善をしましょうよという話になるかと存じます。いつもの話ですが。

まあしかし絶対認めないというのもどうなのかと思いますが。時点決済に戻してループ取引認めればフェイルって物理的に物凄く減るとは思いますけど(苦笑)。


・教えて法律に詳しい人!

今回の議事要旨見ててちょっと気になった所。

『リーマン破綻に際しては、リーマンから購入した国債については、約定のキャンセルで済んだが(以下割愛)』

似たようなお話が幾つか出てたのですけれども、元々取引がISDAベースのデリバティブ取引だったら相手がイベントオブデフォルトになった時にどうするこうするという事が事細かに書いてありますので多分個別条項が優先するんでしょうが、国債(などの現物債)の売買取引って保全命令出ている法的処理中に遡及の取消って微妙な気がするんですが。

保全管財人が適切に判断した取引(というか取引キャンセル)ということでまあ投資家的には適切な処理(なので管財人判断なら投資家的にはセーフですよね?)ということだとは思うのですけれども、当然ながら取引時の価格とその後の市場価格は違う訳で、他の一般債権者が「この取引はキャンセルしなければ現在利益が出ており、債権者の配当に回せた筈であり、保全管財人の行為は善管注意義務違反(だか忠実ナントカ違反だか)ではないか」とかねじ込んで来た時に裁判的に耐えられるのでしょうかと思う(そんな暇人はいないと思うので有耶無耶になるに100カノッサですけど^^)のですが・・・・破綻法制に詳しい先生誰か教えて!

ということで、民事再生という手続きはどう見てもショートセールとかレポとかしながら取引をしている金融業に対しては馴染まないのでありまして、破綻法制の整備が強く望まれるものであります。


・物価連動国債の悲劇

BEIが物凄い事になっているのですが・・・・・

PD懇より。

『物価連動債の価格下落は、海外の商品安などの影響もあるが、最大の要因は需給のバランスが崩れていることであろう。従って、短期的には供給を減らすという対策はあり得るが、一方で、BEIの動きに応じて発行額に振れが生じることになれば、市場参加者としては対応が難しくなることから、今後十分議論していく必要がある。もっとも、BEIがマイナス30〜40bpという異常な水準まで低下した状況では、対策は必要である。具体的には本年度下期には固定利付債で4,000億の買入消却の予定があるが、全額を物価連動債に充当するのが良いと考えている。(以下割愛)』

まあ需給が悪いの一言に尽きるのですが(だってBEIマイナス40はねえだろ)、おまけに市場の流動性が全体的に落ちているのですからこまったもんです。

投資家懇談会の論点は(1)そもそも物価連動の負債が無い、(2)会計上の問題がある、という話になってますわな。

『基本的にはALMに基づいて運用しており、物価に連動する負債がないため、現状あまり興味の無い債券となっている。(以下割愛)』

『インフレに連動する負債を持っていないため、物価連動債を主力の投資対象にすることは考えていない。3月にBEIが一度マイナスになったときには、海外投資家の投げ売りによる一時的な現象と理解していたが、9月にも同様のことが起こったことにより、多少認識を変える必要がある。海外投資家の売却によりここまで異常に割安な状態になるということは、結局今の発行量やマーケットでの流通量が、国内の投資家のニーズに比べて多いということだと認識せざるを得ない。(以下割愛)』

という所と、

『(前半割愛)当社内で問題点となっているのは、日本の物価連動債は他国と違い元本保証されていないことで、その他有価証券のカテゴリーでの投資ができず、国際会計基準上P/Lに全部ヒットさせる必要があるのではないかということを当社本部から指摘されている。当社としては長期保有を念頭にしており、毎決算の都度P/Lにプライスの変動部分が反映されるような商品にはなかなか投資しづらい。まだ検討途中であり結果は出ていないが、J-GAAP上は「その他有価証券」に区分できるが、IFRS上「その他有価証券」に区分できないのではないかという議論になっている。一方で、長期的にみれば非常に割安的な水準であり、投資妙味はあるものの、会計上の制約と、流動性が乏しいことで、二の足を踏んだ状況となっている。』

というのが主要論点という所なのでしょう。物価連動国債という商品は根本的な筋は良いものでありますので、今後検討を進めて投資家層の拡大を望みたいものであります。

で、すっかり忘れてましたが、実はこの商品がグダグダになったのは例のCPIショックだったりするんですよね。まあ基準改定でのブレが市場(というかエコノミスト調査というか)で推測されていた数字から下振れるという時点でこれは一体全体何なのよとなったというのからこの商品の受難が始まっておりましたな。


○いやーん時間不足

ということで今日スルーしたネタ(昨日の夜に書けですよね、いやはや)

・期末の資金取引などや、SCレポがだいぶ回ってきた件について

・FRBが準備預金に付利した場合の量的緩和には残念ながらポートフォリオリバランス効果が無くてただのブタ積みになる件について

・月曜の総裁記者会見

・リーマン破たん前にネタにした埋蔵金話の続き(超大汗)

・・・・累積債務のように宿題が(涙)