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2008/04/30
お題「市場と市場周辺のメモクリップで恐縮至極」
さて本日は展望レポート。
○月曜の相場メモ
例によって備忘録モードで恐縮。
・長いところのメモと雑感
月曜ですけど、10年カレントの所が売られる、というか金曜の下げのところで10年カレントに買いがくるもんだからカレントゾーンの値付けが妙に強くなってしまったので修正が入った部分もあると思うのですが、先物安値をマークするところでは10年7毛甘だか7.5毛甘だかの水準まで叩かれておりましておいおいという感じ。さすがに下がったところでは買いも入ったんでしょうと言うことで後場は反発の巻でしたが引けに掛けて失速。
「連休の谷間なので本格的な買いが入りにくい」という都市伝説がございまして、今回の場合は確かに展望レポート待ちなので益々買いにくいというのはありますけれども、誰がどう見ても展望レポートは経済見通し下方修正ですし、金融政策は決め打ち無しの現状維持になるというのが織り込み済み。ということで、展望レポート見て連休明けから買いが入るんだったら、金曜よりも安いところだったらとりあえずその前に買っても罰は当たらないでしょうという同じような事を考える人も多かったという所だったのでしょうか。ニヤニヤ。
まあ相場様に関しては良く判らんですけど、「連休明けたら買いも入るでしょ」とか皆さんが思っている割には連休の合間に下げたところですかさず買いが入るちゅうのも何だかこう相場様のリズム的に押しが足りねえな(絶対水準的には散々押してますが、笑)という気がせんでもないのでありまして、展望レポート後に相場のネタが擬似時間軸みたいなお話にでもなってくれれば別ですが、ネタ探しモードが継続するとあんまり戻ってくれないかもです。
・短いところ
1年ゾーンに関してはついこの前まで3か月より下手するとレートが低いという実にケシカラン(買い手からすると)相場でございましたが、月曜では残存1年あたりで65.5とか66とかの水準(月曜のBB引けは255回で65.5でしたが)に上昇しておりまして、単純に足元の政策金利を足し算していきますと漸くリスクプレミアムが乗っかった水準ですなあという感じです(実際はGCや現先レートの足し算と比較する方が最終投資家の実態に合っている)ので買いもあるけど売りもあるようですな。何もこんなところ売らんでもという気もしますけど。
で、何だかよく判らんのは足元のGCさんでございまして、月曜のレギュラーネクストの2日スタート7日エンドのところは60台半ばのレベルになってます(金曜の1日スタート2日エンドも似たようなもん)ようで、先週火曜あたりには急に金が出てきてGCがいきなり下がったのに、木曜の末渡しの所から今度は急に上昇(木曜は63あたり)するという訳の判らん展開。
いやまあ例によって例の如く、資金を出す大手銀行さんの懐具合とかお家の事情とかあるのでしょうけれども、4連休越えの金利が65だの66だのってご愁傷様としか申し上げようがございませんわな。ちーん。
その割にはタームのオペ金利が別に爆騰している訳でもないので、これはまあ超一時的現象なんでしょう。勝手に愚考するに、連休対応の銀行券需要が読みにくいから予備的需要が発生したとか、債券などの売買が行われて資金を確認する必要があるとか、まあ色々あるんでしょうかねとは思うのですけど。そのせいでショートタームのCPレートはまたも上昇しやがってたようで。
このGCさんなんですけど、去年は同じように4連休だったのですけれども、連休向けの資金需要が盛り上がりということもなくGCレートは57〜58あたりで落ち着いていたのを考えますと、何の要因なんでしょとちと不思議ではあるのですけれども、こればっかりは結局何なのかは判りませんですな。
○展望レポート大予想(もへったくれもないが)
大予想もへったくれもございませんでして、経済見通しを下げて金融政策の先行き方向性を出さないというのはもう皆様もご案内の通りではなかろうかと。で、今のところあたくしがポイントとして考えておりますのは、(1)いわゆる前向きの循環メカニズムに関してどういう書き方をしてくるのか(循環メカニズムが生きているのか、生きているのなら機能するためのポイントはどこか)、(2)現状の金利水準をどう評価するのか(まあ緩和的としてくる思うのですけれども)、(3)大体予想は出来ますが、物価に関してどう評価してくるのか、などと言う所ですかな。
あとは何と申しましてもBISもが勘違いした「第1の柱」「第2の柱」のややこしい論理でございますが、あちらも少々お手直しして頂きますとありがたく存じます。てかあの柱って基本的な先行き方向性が確りしているのを前提にしているロジック展開(だから「前向きの循環メカニズムが機能している」という前提の元だと利上げをするという結論になってしまう)なんで、政策様子見モードになったときには使いにくいような気がしますけど、如何でございましょうか。
○なおも雑談
先週出てたCPIですが、エネルギー価格もさることながら食料品がジャカジャカ上昇してまして、下落してるのはいつもの家電とかでございますかそうですかという数字のようですな。本職の人たちのレポート読んだ耳(目)学問ですけど。これで小麦価格が4月から上昇とかございますので先行きもトホホでございますが、どう見ても実質購買力の低下です本当にありがとうございましたという所でありますが、このCPIが全然賃金に跳ねないのが日本クオリティ。
正直、ミンス様におかれましては暫定税率どうのこうのの話をするよりも、春闘を真面目にやっていただきたく存じます(もう終わったけど)のでありますけれども。
#そういや日銀副総裁と審議委員1名はどうなっているんでしょうか
2008/04/28
お題「これはビックリの相場でした」
その前に金曜の訂正。12月末と木曜の位置の比較を書きましたが、まともに12月と4月を取り違っておりました。誠に相済みませんm(__)m
○金利急上昇しましたねえ(相場備忘メモ)
金曜ですが、米債が売られたとかCPIがやや強めだったとかございますが、それにしても寄りからいきなり下げ下げ。で、先物よりも中期が悲惨な下げ方してまして、前場は先物よりも5年カレントが3毛くらい進んでいるという下げ方。どう見ても中期にぶん投げです本当にありがとうございました。
・・・・まあこの売り方ですから3月に買い越しをしてたバンクさんがぶん投げかましたんでしょう(現物売ったのかシンセなのかは知らんが)という感じっすけど、いやまあこんな位置で売るんですかねえ。ご苦労様なことであります。ナムナム。
後場の一段安の時はもう先物の値動きが無茶苦茶になりやがりまして、13時直前に201銭安(値幅制限200銭だけど早い時間の時は値幅制限臨時拡大になる)でサーキットブレーカーが発動したのはご案内の通り。で、その後ですけど、ここまで下げられると自動的にロスカットしたりリバランスしたりしなきゃいけない人もいるので、板の無い中下叩く動きも発生して250銭安の安値までと。
まあ世の中はさすがに頭数だけで言えば買いが多かったようでございまして、引けに掛けては戻して149銭安ですから安値から101銭戻しましたというおそロシアな動きでございましたです。
2年が0.820%(10毛甘)、5年が1.220%(17毛甘)、10年が1.600%(11毛甘)と(数字は全部カレントの引け単利)ということで、利下げ話はどこに行ってしまいましたかという相場の位置になりましたのはとても素敵な展開。
金先の売られっぷりも素敵でありまして、Mar09なんぞ債券先物が安値叩きに行く時に22毛甘とか叩かれておりまして、えーっと今日利上げでもありましたっけというような数字になっておりました。金先のカーブから見ますと年内利上げという動きになっちゃいやがりまして、当然ながらOISでも年内利上げになってしまうという素晴らしい相場になってしまいました。いやあの前の週までは利下げだったんですけれども何という相場。経済指標でそんなに凄いの無いというのにねえ。
○まあ結局理由は判らないですけどね
今回の下げですけれども、まあ自然崩壊っぽい下げ方で、何がどうのこうのというのは無いような気がしますし、ぶん投げしてたと思われるバンク様に置かれましては誠にご愁傷様でございますが、これでやっと買えるわという水準になってホッとした人も多いのではないかと勝手に愚考。
で、今回の下げですが・・・・
利下げ観測って何度も申し上げるように別に本気で利下げまで見てた人は少なくとも国内には居なかったと思うんですけど、どうせ利上げは無いので次に金融政策ネタで動くなら利下げ観測だから別に買っていても何とかなるし、間違って利下げ観測でたら丸儲けスキームっていう割と安心感はあったと思うんですよね。で、その「安心感」でちょっと多めに買った分ってのが実は案外多かったということだったんでしょうかねえというのが理由の一つですかね。安心したたら下がったのでやっぱり降りるかってのが揃ってしまいましたと。
3月にバンクさん買い越しになってましたけど、今年度は貸出も伸びないですし(先日の日銀アンケートにもありますように)、株もこの状況ですので債券部門には収益目標増えているでしょうから、目標達成の為にも少し早めに買いを入れておかねばってお家の事情もあって、ちょっと多めに買ったってのがいつもより多かったんでしょうかね。何もこんなところを叩きに行かんでもとは思いますけど。
まあ実弾売りはそんなところなんでしょうけれども、ここもとの動きは何か先物で毎度おなじみの株買い債券売りをかましている人もいそうな感じですな。まあ米国が利下げ打ち止めしそうな感じという状況も踏まえますと、利下げネタよりもとりあえず「株価底打ちで景気回復の金利上昇」って方がテーマとして食いつきが良さそうですからそっちのネタで一勝負ってのがいてもおかしくは無いですわな。
#経済指標が冴えない物が揃い、経済見通しはどう見ても下方修正必至という中で株価上昇して金利が上がるというのは市場が先行するって言ってもそうかねえという気もせんでもないですが、まあそれはそれ。
まあ環境的にはそういう所なのでしょうけれども、これって東証のシステム変更で(1月15日に行われました)端末表示などが変わったのも大きいと思います。市場の中の人は先刻ご承知だと思いますが、システム変更によって値付けだけは早くなりましたが、使い勝手的にどう見ても改悪というバカタレ変更によりまして板が揃わなくなってしまいまして、そもそも値が飛びやすい環境に債券先物はあったんですね。そこに大口の売りが出るとまあこんな感じになる訳でして、最近債券先物の値動きが荒くなっているのはこのシステム変更も原因の一端を担っておりますわな。
で、先物の値動きが荒くなるとヘッジ機能が低下するので、マーケットメーカーもオファービットのスプレッドを広くせざるを得なくなりまして、結果として困るのは投資家なのでありまして、まあ投資家からも東証にクレーム出した方がよいのかもしれませんな。
○話変わって金先ですが
今日から金先の値付け方式が変更になるそうで(正直言ってネタ以外に興味の無い市場なので直前までこの話を知らなかったのはここだけの話)、時間優先方式からプロラタ方式に変更になるそうですね。
えーっと、25日9時12分配信のブルームバーグニュースの記事によりますとこのプロラタ方式ですけれども、『取引参加者の利便性向上が狙いで、欧米の短期金利先物でも標準となっている同方式を国内取引所では初めて取り入れる。』だそうであります。
10年ちょっと前に、「欧米の取引所での値付け方式を取り入れて」システム変更を行った債券先物では、あまりにも値が飛ぶので機能不全になって大変なことになったという事例がございましたが、相変わらず取引所の中の皆様は「欧米の方式」を取り入れるのがクールとでも思っているのか、そもそもここはどこの国の取引所でございまちゅかねえって言いたくなる変更をするのがお好きなようで誠に遺憾でございますな。
えーっと、ちょっと考えますと、プロラタ方式にされちゃいますと小口の指値注文って後から来た大口注文の指値に先を越されるという話になりますから今までよりも出来なくなりますってえ話になるというのは理解できます。ということで、このプロラタ方式ってのは従来の時間優先と比較すると大口注文者を優遇する制度。裏を返せば小口注文に対しては厳しい制度になります。
ということが徐々に認識されてくると、金先市場から小口の取引者が駆逐されるという気がする次第でして、小口取引者を排除して今以上にALMとヘッジファンドの場外乱闘場化を促進するとはTIFFEは何を考えてるんじゃという感は否めませんが、いやまあそれで良いというなら良いですが、そういう市場になると普通の人は益々寄り付かなくなってしまいますけどねえと。
東証の株式の値付け方式って長い間の経験によってよく出来たものになっていまして、小口の零細参加者でも不利にならないようによく出来ていると思うのですよ。で、それを導入して債券先物の値付け方式を作っていたから細かい参加者も参加しやすくなって板が揃い、結果として世界最大の流動性を誇る債券先物市場が出来ていたと思うのでありますが、どうも取引所ってのはそのような経験的に良く練られたものよりも海外の新しいものに飛びつくとか、小口の投資家よりも大口の投資家の言う事を聞くとか、どうにもこうにもそのような仕様があるようで、金先の今回のプロラタ導入もそうですが、東証の1月のシステム変更に関しても、企画倒れの悪寒がするのでありますけれども、杞憂であると良いですねえ(棒読み)。
2008/04/25
お題「相場クリップと翁さんのインタビュー記事」
○何か凄い動きでした
この駄文は俺様備忘録でもあるので備忘メモ状態で恐縮。
昨日の相場はもう何が何だか。朝方はあたくしが金先について駄文を書いたり「利下げネタ終了の巻」などと駄文を書いた呪いが効いてしまったようでいきなり金先威勢よく上昇。というかですな、ここもとの下げ過程で海外ファンド筋の投げという話がよく言われていたようでして、まあ海外の金融政策がどうもこれ以上の大幅利下げが望みにくい(小幅ならある)となってドリームポジションの解消をしたり、もしかしたら新規のショートも入っているのかもしれませんが、まあそんな感じで下がっていた金先がDec08で0.9%なんで値ごろ感も出たし、いい加減投げも一服とかいう所だったんでしょうか。
実際問題としてファンドの手仕舞いだけでここまでやるのかというと良く判らんのですが、まあ利下げ期待が萎めば足元のGCレートから2年くらいまでフラット(というか3か月から先でインバートしてたりしたのですが)というような一頃のレートはちとアレですなあとなり、それが金先なんぞに反映されたんでしょうね。
まあそんなところで金先が戻ったんですけど、いきなり3.5ティック上昇(基本的にDec08をベースにして話をしますが)とかやらかしてほうほうとか思ってたら、株価指数が戻ってくる中で債券と金先が叩かれるの巻。後場になって一段安になって確か引け後には4.5ティック安なんぞまで叩かれておりました。いやはや何とも。
で、債券のほうは先物は似たような感じで大暴れして、日中の高安が106銭(イブニングで引けの28銭安までやってて、そこまで加えると131銭・・・・)と動きまして、5年も高安で9毛くらいやらかしておりました。一方で朝から出遅れた超長期ゾーンが午後になると全然下がらずで、結局終日の値動きが3毛くらいしかなかったりするのがチャーミングなのですが、引けに掛けて中期が先物に追いついてくる感じでしたので、中期にはそれなりに動きがあったのかもしれませんな。しかし超長期が地蔵の如く動かないのにはビックリというか呆れるというか。
でまあ昨日の引けを物は試しに昨年年末の位置と比較してみるの巻なのでありますが。(あたくしの手元メモ帳ベースで勘弁)
(重要な追記:思いっきり逆に書いてました申し訳ありません)
12月28日 4月24日
4月24日 12月28日
30年 2.325% 2.430%
20年 2.090% 2.170%
10年 1.500% 1.490%
5年 1.005% 1.050%
2年 0.705% 0.720%
先物 136.81円 137.08円
全部カレントの単利ベースとか残存期間が微妙に違うことのアジャストをしてないとかいうような手抜きバージョンなのはご勘弁。
・・・・何か5年−7年のあたりが妙な気がしますな。
○翁邦雄さんのロイターインタビュー
昨日はこんなのがございました。
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-31485220080424
インタビュー:白川新総裁は柔軟対応が持ち味=前日銀金研所長
翁先生といえば昔々その昔に翁さんの書いた(確か)「金融政策」って題のそんなに厚くない本を書店でみつけて、当時はまあ小僧に毛が生えたようなもんでポジション持ってきゃあきゃあ言ってた状態でしたが、金融調節に関する説明とか物凄く腑に落ちながら(まあそういう立場の方が書いているのだから当然ですが)読んで、金融政策のお話に興味を持つようになってしまったというのが個人的にはございます(^^)。ちなみにその本はたぶん絶版になっていまして、大昔勤務してた会社の弟子に貸したままどこか誰かのデスクか本棚に鎮座ましましているものと思われるので現物はいずこへ。
などという話は兎も角として。
『[東京 24日 ロイター] 翁邦雄・前日銀金融研究所所長(現・中央大学大学院特任教授)はロイターとのインタビューで、白川方明日銀総裁の政策スタンスについて、理念にこだわらずに局面変化に応じて柔軟に対応することが持ち味との見方を示した。』
『タカ派的な発言が目立つことについては、上ぶれリスクもありうるとのメッセージであり、金利正常化路線へのこだわりを示すシグナルではないと指摘。白川総裁は市場機能を生かす政策が基本にあり、効果の乏しい利下げではなく時間軸効果などを狙った政策を選択する可能性が高いとの見方を示した。』
ま、メディアなんかでは「白川さんはタカ派」という言われ方してますけれども、実際に白川さんの国会などでの発言に対する市場の反応っぷりやら、ちゃんとした本職ウォッチャーさんたち(何とかストの肩書き持ってる人であってもかなりエエカゲンな解釈をする人もいるので要注意です)の解釈を見ておりますと、「自分はそんなに白川さんをタカ派とは思わないけど、まあそういう言われ方をしてるから市場もそういう反応するかもしれませんね」と考えながら動いているって所ですか(^^)。
『長年、白川総裁をよく知る立場から翁氏は「福井前総裁とは実務的である点では共通しているが、福井前総裁が理念型であるのに対して、白川総裁は理念や学派に偏らず、柔軟に予断を持たずに対応することが持ち味だ」との見方を示す。過去の経験を振り返っても、現実の局面が予想以上に悪化した場合、それまでの対応を反省して路線転換を図ってきた柔軟性があるとも指摘。』
という翁さんの指摘は恐らく国内で金利物やってる市場の中でも大体そんな感じで思っている人は多いと思うのですが、ガイジンさんとかは何をどう考えているのか知りませんが、(たぶん知恵袋が穴の開いたズタブクロだからだと思いますけど)かなり斜め上の行動をする上に動かすロットも妙にでかいんで、こと金融政策ネタに関しては政策の読み筋もさることながら、世の中どう思っているのかを気にしないといけないというのが何ともであります。
で、金融政策の読みに関してですが。
『「まず日本は政策金利がかなり低い水準にあるという現状がある。その上で、足元の金利を動かすことが有効なのか、それとも先行きへのシグナルを出すのが有効なのかという考え方がある」と指摘。事態の悪化に対応して利下げをしても、一時的なものにとどまり、その後の政策の方向性が読みづらい状況になれば、経済に影響する長めの金利は低下しない可能性がある。一方、足元の金利を下げずに、当分無理はしないというメッセージを出すなど時間軸効果を狙ったほうが市場の安定につながり効果があるとの見方を示した。』
緩和しても「それで打ち止め」という風になれば超足元以外の金利は上昇しやすくなりますわなというのは次回利下げも確実視されている米国の動きを見れば一目瞭然っすから。
「何となく時間軸」みたいな感じになるのが次の金融政策に関するお題で、次の次はその時間軸がいつまでなのって所になるんじゃないでしょうか。無事にこのままサブプラ問題が大爆発せずに景気悪化が回避できればの話ですけど。
『一方、食品や原油、資源などの価格高騰でインフレ懸念が強まったとしても、「一次産品の価格上昇を無理に抑え込むような短期的な引き締め政策はショックや調整が大きくなることから、無理な対応はしない」との見方を示した。』
『また、白川総裁が長い目でみた物価の安定を重視する立場であることを強調していることについて翁氏は「例えばバブル後の消費者物価は10年単位でみてデフレへと変化し、経済に大きな打撃を与えた。短期的な物価安定よりも、長期で見て物価が安定することを目指したもの」と解説。したがって「白川総裁は短期的な物価のレンジを達成するようなインフレターゲティングには懐疑的なスタンスだ」と説明した。』
白川総裁のスタンスに関するあたくしの読み筋(とか言うとえらそうですけど、まあ常識的に見てましてって感じですよ)と同じようなお話でございましたのであたくしとしてはこのインタビュー記事で正直ホッとしましたです、はい(^^)。
2008/04/24
お題「まあ相場見ながらつらつら思ったことをダラダラと」
昨日の株価が引けに掛けて下がったのって玉音放送にムーシャ先生がゲスト出演するから武者禿楽観砲を警戒して下がったと思うのですが(笑)。
まあ昨日の玉音ですが、武者禿砲のコラボというよりはムーシャ先生の独演会だったようで不幸中の幸い(こら)。
○金先よーやりますなあ
昨日の債券市場は長いところ中心に堅調だったのですが、威勢よく軟調(何のこっちゃ)となりましてまたまた金利上昇するの巻(データは取ってるのですが、イブニング終了後の画面をとったらLastの数字とAsk−Bidの数字に整合性が無いもんで細かい数字に関してはオミット)。08年12月限で0.9%あたりまで金利上昇(価格下落)しやがっております。つい月曜に金先の逆イールド解消とか言ってたのですが、まあ何と申しますかご苦労なことで。
金先がヘロヘロなのが先なのか2年がヘロヘロなのが先なのか知りませんが、2年カレントも0.685%だの0.690%だのと前日比このあたりだけはレート上昇(日本相互証券の引けは前日比0.5毛甘の0.685%)と相成りました。で、良く見りゃスワップも地味に上昇してますけど、まあ円LIBORは例のLIBOR騒動の影響は受けてないようですので、LIBOR騒動は(全く影響ないかは別ですが)あんまり影響なくて、これまたディーラーなのかバンキングのALMなのか知りませんが、払いがあってそのヘッジもあって期先の金先が売られているのかなあと勝手に愚考(というか詳しい親切なお方におかれましては教えてジェネラルなのであります)。
ま、利下げ期待のドリームポジションの解消もあるのかななどとおもったりして。
○とまあそんな訳で利下げテーマはどこかに逝ったようですが
この前ちょっとだけご紹介した貸出動向もそうですけど、経済指標はあまり宜しくないですけど、何か相場のネタとして利下げへの期待を使うのは一旦打ち止めの巻というのが金先の逆イールド解消からここもとの動きでコンセンサスっぽく見えてきましたな。
#とか書くといきなり金先が巻き戻しちゃったりするのがドラめもんクオリティなのですがそこは突っ込まないのが大人の作法(?)
さてまあ利下げネタが盛り下がる理由ですが、先般来同じような話で誠に恐縮でありますが、米国の利下げ打ち止め期待(市場コンセンサスは次回25bp利下げして打ち止めだと思うのですが)と欧州のインフレ懸念で金利下げる可能性がとっても低くなってきたという所で、国際協調の枠組みで利下げ大会という日銀が利下げする一番あり得そうなシナリオがどう見ても無くなりました本当にカムサハムニダというのがでかいんですよね。
でですな、その見方をサポートするものとしてあたくしは先般公表されたBOEの流動性対策を評価してるんですよね。ニュース報道を見てますと例の流動性対策って必ずしも評判はよくないようなのですけど。
と申しますのは、まあ要するにあの施策(火曜日の駄文をご参照ください)ってモーゲージ担保の現先オペみたいなもんで、それ自体は足元のファンディング支援だけの効果しか無く、バランスシートの改善には寄与しませんよって話ではございますが、あたくしが火曜の駄文で申し上げたように、「期間1年で3年間まで延長できまっせ」というのがすげえと思う次第なのですよこれ。3年というのは基本的に中央銀行の短期金融市場へのオペレーションの世界ではないお話になると理解されるものでありますから、プルーデンスとして(言い方は悪いけど)「3年間時間をやるからその間にお前ら何とかせい」という話ですよね。
で、何とかする方法としては、その3年間の期間収益で償却原資を稼ぐとか、たぶんそれでは足りない話なので増資などでの資本増強で償却体力を確保するということになるんでしょうけれども、そこまでの時間を与えるというのは結構頑張ってる施策だと思うのですよね。結局その間に個別金融機関が自助努力しないといけないというのはございますけど。。。。
とまあそういう次第でありますので、BOE様におかれましては、信用問題はプルーデンスで対応し、信用問題対応で金利操作は基本的に使わないですよねって志向なんでしょうし、まあその話は米国もそうですよねって感じですよね。インフレ懸念がどうのこうのってネタを振ってくるのはそういうメッセージで、そのメッセージが効いてきて利下げ打ち止め観測ということになってるんジャマイカと(大陸欧州はそもそもインフレですから)。
で、日銀に置かれましては月末に展望レポートが出てくるのでありますが、景気見通しを下げている以上、「金利水準の調整」(要するに利上げ)路線は引っ込めるか引っ込めないにしても修正が必要となるでしょうし、白川総裁の一連の発言を見てますとまあ利上げ路線は引っ込めて「(上げでも下げでも)柔軟な対応」という決め打ちなしの話になるんでしょう。でもまあ欧英米の利下げモードが弱くなっているので、それが出たからといっていきなり利下げ期待が復活というのもちょっと違和感が。
○その他雑談とひとのふんどし
・相変わらず商品ごとに動きが微妙です
えーっと、昨日の3か月FB入札ですが、平均が0.584%と殆ど0.585%レベルになったと思ったらそのレート見て投資家の買いが入ったようで結局業者間は58ビットみたいですな。CPは何故か現先レートとか上昇してちょっと上昇傾向っぽく、その一方で一昨日から急にGCに金が出てきて60あたりで妙に高止まりしていたGCは低下の巻と。
・・・・うーん、何がどうなっているのかさっぱり判らん><
・日本語でおk
http://www.fsa.go.jp/news/19/20080418-2.html
お前はルー大柴かと小一時間問い詰めたい。
・まだSWF推進してるのか・・・・
例によって厭債害債さんのところから(いつもお世話になっております)。
http://ensaigaisai.at.webry.info/200804/article_12.html
たぶんね、このSWF推進ネタで頭に血が上っている人(たち)って中々市井の懸念とか聞く耳持たないと思うんですよ。ということであたくし的には埋蔵金発掘の先生とかにこの人たちの説得をして欲しいと思うんですよ。埋蔵金発掘している反対側でSWFらしきものを作ってカモにされた挙句、大事なお金をぶっ飛ばしてたら埋蔵金もへったくれもないでしょうと思うんですよ。
害債さんのエントリーのご意見、思いっきり同意でありまして、特に
>なんとなくお役人と外資に丸め込まれて天下り先をいっぱい
>作りながら国家の富を外にばら撒くような印象を受けたのは、
>私の被害妄想でしょうか。
ってのと
>本当に国力増強をいいたければ、まずは憲法改正と圧倒的な
>軍事力の整備でしょ、とか思うのは危険ですかそうですか。
>それが現実的ではないのなら、政府は地道なバランスシート
>マネジメントをやってほしいと思っています。政治家がマーケット
>のことをごちゃごちゃ考えなくても、任せてさえくれれば国民の
>お金の運用は民間がちゃんとやりますから。
という所に深く頷くものであります。
2008/04/23
お題「例によって小ネタです」
微妙に本業が忙しいもんで。
○金先が順イールドな件について
昨日もまた金先売られるの巻でありましたが、夕方18時頃にデータを取ってみますと08年06月限から順に0.85%、0.86%、0.875%、0.89%と期先ほど弱く(金利上昇)なっておりましたわな。月曜は逆イールド解消の巻でしたけど、昨日はもうちょっと順イールドのカーブ(カーブというか直線というか)っぽくなっておりますな。ということで、昨日と同じ話になりますが利下げネタで宝くじ感覚というような動きの人たちが一旦降りたってことですな。
じゃあまあここからイールドが再び先行きの利上げを織り込む展開になるのかってえとこれはまた話は別じゃないかと思うのでして、それをやるには少なくとも株式市場様が景気底打ちを織り込みまくって15000円とか抜けてくれないとって勝手にあたくし思ってますんで、先は残念ながら長いですわなあという気はするんでございます。ここもと5年とか10年とか売られて5年は1%、10年は1.5%に接近(今日は米国で長いところ確りしてるし株は続落してるから反発するんでしょうが)しているというのに、2年の方は「次回利上げすると逆鞘」というレート水準のままでありまして、昨日の引けは0.680%と目の子計算すれば1年後に0.25%利上げになって無担保コール調達でチャラとなりますな。
去年5年が1%近辺にいる時には2年が0.7%前半とかでありましたので、まあ微妙に2年の売られっぷりが足りない気がするのですが、その部分ってのは「向こう1年くらい金融政策動けないでしょ」というところになっているんでしょうね。
○いやそのりくつはおかしい(と思う)
某ベンダーで拾ってきたのですが、どこぞの証券会社の何とかストのお方が「日銀の金融政策さえ左右しかねない暫定税率の行方」というお題のレポートをお出しになっていたようで。
お題見れば内容想像付くと思いますが、租特法の再可決が政治的に難しくなった場合にガソリン関係の暫定税率部分の値下げ効果でコアCPIが0.4〜0.5%程度下がりまして、「暫定税率の行方は日銀の金融政策さえ左右しかねない」ってお話でございました。
・・・・・えーっと、それって一昨年の秋にどこぞの禿が率いる携帯キャリアが新料金プランを発表したときに、これが全部CPI算定に跳ねるとコアCPIが0.5%とか下がる(=携帯電話の場合通話料のウェイトが機種本体より高かったので、差し引きツーペーの料金プランでもCPIは下がるという孔明の罠)という話になって、「日銀の金融政策に大きな影響が」とか言ってたのと同じことだと思うんですけど。
というか、暫定税率が元に戻らないでそのまま減税になったら景気に対しては刺激的になるので別に悪い話じゃないと思う(いやまあガソリン税下げるくらいなら所得税下げた方が良いと思うんだが)ので、「暫定税率が元に戻らないとコアCPIが上がらないので日銀が一層利上げしにくくなる」という理屈はおかしいと思うんだが。
それにこの問題って直接には(回りまわって影響するとは思うけど)コアコアCPIには関係なかろうと思うのでありますが(^^)。
○LIBORのお話続報
ちと古いけど月曜のブルームバーグ記事。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&refer=jp_home&sid=al1VYQsKsQpM
『英国銀行協会(BBA)が、投資家の懸念を恐れる加盟銀行が実際よりも低い金利を申告している可能性について調査を開始したことを受け、LIBORは2日連続で上昇していたと同紙(補足:WSJです)は報じた。』
例の騒動(?)後は先日申し上げたようにドルのLIBORだけちゃっかり上昇して木曜、金曜の2日で3Mで20bp弱上昇してまして、その一方で円とユーロのLIBORは殆ど動かずの巻(というか円LIBOR下がってたような)でありまして、いやあ何とも素敵な状況とか思ってましたが。
『この傾向が続けば、LIBORに連動して年2回金利が見直される米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンの借り手の利払い負担は年180
億ドル(約1兆8700億円)増えるほか、LIBORに連動した変動金利による企業の借り入れ約9兆ドルにも影響すると指摘した。』
いやはや何ともナムナムなのでありますが、そもそも論としてLIBORがスワップなんかの世界でリスクフリーレート扱いになっているのが如何なものかというお話でございますが、惜しいことにこの外に短期のターム取引レートでリファレンスに使えるような公示性と透明性(と言っても結局リファレンスバンクが暗黙の了解で揃っていじればそれまでですが^^)があるものがございませんえんですなということで。
日本の無担保コールもそうですけど、LIBORとかも結局無担保取引のレートでして、やれ信用収縮だ金融危機だとなりますと、ターム取引のLIBORなんぞはもちろんのこと、無担保コールだってカオスの世界になることだってあるのでして、リスクフリーレートの概念も難しいですねという所です。
では他にリファレンスとして使える有担保(というかトレジャリー担保)のレートがあるかというとさっき申し上げたようにそんなもんはねえ(日本だと強いて言えば新発3か月FBの落札利回りですかねえ。週に1回しか出ないし基本13週物ですけど休日の関係で期間も動きますからやっぱ使えないでしょうね)のが現実。
てか現物の債券やら現物のお金やらを動かしている人にとっては、正直リファレンスレートは別に無くても取引に支障をきたす訳ではない(現実に幾らで取引されるかが重要ですから)ので、リファレンスレートの存在に関して切迫感が無いのが現実なんじゃないかなあと。リファレンスが必要なのってデリバティブの人たちとかですもんね。
今後BBAがどういう風に算出方法の見直しを行うのかは殆ど野次馬根性モードで注目したいと存じます。
2008/04/22
お題「金先雑談とかその他」
○金先の逆イールドが解消されました
昨日の債券市場は寄り後暫くしてから先物が急に前日比変わらずくらいまで戻すというダマシがあって何のこっちゃでございましたが結局下げ。それよりもあたくし的にほほうと思ったのはユーロ円金先でございまして、午後になって下げ足を早めまして、ついに逆イールド解消の巻となりました。債券引けタイムの15時ちょっと過ぎ(15時3分)の数字で申し上げますと、08年6月限から09年3月限まで順に(レート換算で)0.84%、0.85%、0.855%、0.86%となりました。ちなみに前日比の下落(レート換算で上昇)幅は順に+0.010%、+0.025%、+0.035%、+0.060%ということで、金先の逆イールド状態が解消されましたってことで一つよろしく。
金先の逆イールド解消ということで「市場の織り込む金融政策の期待」って奴が利下げ方向への確率から中立になりましたというお話になる次第でして、まあ相変わらず(規模だけはでかいが)参加者が局地的なOIS市場でも当然ですけど次の決定会合までの利下げ確率ってのが0になって、利上げ確率が1%になったり、向こう1年間での予想される政策金利が0.06%上昇になったり(データはブルームバーグ)と中々チャーミングな動きに。
まあこれって「利下げ期待の後退」と言ってしまえばそれまでなんですけど、ぶっちゃけちゃいますと市場の利下げ期待というのが最大に盛り上がったのは1月の株式急落時点(1月23日の2年0.495%とかね)での催促相場状態でして、あの時点では金融機関の資本不足問題(どこぞへの出資が取りやめになるというウワサが出たりしてましやよね)やら、インド株急落やら、もう大丈夫でございますかって先の見えないモード(そんな中で日銀利下げしろ私らは何もできないと連呼した経済閣僚たちはちとエエカゲンにせえという感じでしたが)でございましたわなという所で。
その後まあ色々とネタは出ましたが、ベアスターンズの事実上の救済措置が出た3月には12000円割れとかやらかしてましたけど、2年カレントは0.55%を引けで割ること無し(再度0.52%位まで下がったのはバーナンキが中小金融機関の破綻云々とか抜かした2月末から3月頭でしたわな)の巻ってことで、利下げ期待に関しては別にまあ盛り上がってはいませんでしたわなということで。
ただまあ利上げに関しては目先どう考えてもあり得ないという状況でございますので(サブプライム問題が劇的に解消するなら別ですが)、利上げ100%無しと思えば間違って利下げがあったら利下げ分丸儲けという発想で本気で利下げがあると考えている参加者はいないけど、シャレでポジション作る人はいますわなという感じで、「市場が織り込む利下げ期待」が形成されていたと思うんですよね。特に金融政策ネタといえばガイジンさんが国内にいる人たちの発想の斜め上を行く頓珍漢な動き(金融政策ネタで話題になるなんちゃらレポートなどというガセネタの宝庫がございますな)をして下さいますので、その動きに対する期待もあるわけで(笑)。
まーそのポジションを一旦降りてみましたってのがここもとの動きだと思うのですが、米国の利下げが次にやったら一旦打ち止めになるんじゃないかとか、ユーロエリアはインフレ懸念で利下げに動きにくいから米国も合わせて協調利下げはちと考えにくいとか、サブプラ問題に関しても(何となく怪しげではありますが)先行き訳の判らん爆弾が炸裂するという感じでもなくなってきましたし(いやまあ欧州は微妙ですけどね)、そんなこんなで国際的にガンガン利下げという感じでも無くなったというのがポジション降りる判断になったんでしょうねえって感じです。
つまり、日本の利下げ期待じゃなくて米国の大幅利下げ期待が後退したということですかな。んなアホなという感じでございますが。
○この手のデータは悪いんですよね
昨日は財務省で全国の財務局が出す地域経済判断を総合した総括判断を超久しぶり(6年3か月ぶり)に下げるというニュースもありましたが(というか日銀だってこの間の判断を微妙に上げたり下げたりしてるのに6年間「緩やかな回復」というのもある意味凄いですな)、日銀からは貸出動向アンケートが。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/loos/loos0804.pdf
資金需要判断で企業部門がドテンマイナス(資金需要減少)となってしまいまして、2ページ目の項目別展開も製造業、非製造業や企業規模の差がなく資金需要減少の巻となっておりますわな。業種まで見ると少しよくなっている部分とかもありますけど。
で、住宅ローンとか消費者ローンとかも前回調査よりややマシですが資金需要判断はマイナスですし、まあ全体的に盛り上がりませんなあという感じでございます。特に住宅ローンの需要減少に関しての理由として「住宅投資の減少」というのがあるのはまあそうでしょうなという感じですな。
しかしまあこの手の数字が出る一方で市場の方は利下げ期待が後退してるし株は何となく下がらなくなってますしというのが何ともお洒落でありまする。
○BOEも対策を
http://www.bankofengland.co.uk/publications/news/2008/029.htm
左様でございますかそうですかという所ですが。
『The Bank of England is today launching a scheme to allow banks to swap
temporarily their high quality mortgage-backed and other securities for
UK Treasury Bills.』
なんですけど、目的は証券化商品のファンディングが付かなくなっているのでファンディング支援と。
『With markets for many securities currently closed, banks have on their
balance sheets an ‘overhang’ of these assets, which they cannot sell
or pledge as security to raise funds. Their financial position has been
stretched by this overhang so banks have been reluctant to make new loans,
even to each other.』
『Under the Scheme, banks can, for a period, swap illiquid assets of sufficiently
high quality for Treasury Bills. Responsibility for losses on their loans,
however, stays with the banks. By tackling decisively the overhang of assets
in this way, the Scheme aims to improve the liquidity position of the banking
system and increase confidence in financial markets.』
Responsibility for losses on their loans, however, stays with the banks.っていうのですから、まあ端的に言っちゃえば証券化商品担保の現先オペやってるようなもんですな。で、米国の時もそうでしたが、資金を出すんじゃなくてトレジャリーを出すというのは資金出すとなると色々と法的な制約があるからなんでしょうか、よー判らんのですけど。日本ならそのままABSの買い現先オペになりますわな。
『The scheme has three key features:
・The asset swaps will be for long terms. Each swap will be for a period
of 1 year and may be renewed for a total of up to 3 years.
・The risk of losses on their loans remains with the banks.
・The swaps are available only for assets existing at the end of 2007 and
cannot be used to finance new lending.』
3年まで延長可能ってすげええええええええ。といいましてもまあ要するに資金繰り支援ですわな。バランスシートから切り離される訳ではないですから3年経っても元本毀損してれば結局その銀行が被るのですけど(銀行が飛んでしまえばBOEが被る破目になる)。
まあ金融機関保有株式を堂々買取りした日銀ほどでは無いですけど、3年まで延長可能って中々素敵な先送りあわわわわ。
2008/04/21
お題「さくらレポートなど」
まずはさくらレポートですが。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0804.htm
上記のURL先に全文へのURLもありまして、この全文ってのも色々と見ていると面白いのですが、今回は要旨(というか冒頭部分)の部分から。
○景気判断下方修正
元々弱い内容になっている北海道以外の8地域が全部下方修正という中々素敵な内容になっております。で、「回復」という文言が外れたのが東北、北陸で、「拡大」という文言が外れたのが関東甲信越となっておりますわな。んでまあ「足もと減速しているけど拡大」という類の器用な表現が多いのはありがちな仕様。拡大って文言が残っているのは東海と近畿ですけれども東海では「足もと鈍化」、近畿では「一部に減速の動き」ということで、ヘッジクローズ入りまくりの巻でございます。
で、まあ項目別分解ですけれども。
『個人消費は、関東甲信越で緩やかな「増加」と判断しているほか、多くの地域では、「底堅く推移」ないしは「横ばい圏内の動き」と判断している。この間、北海道が「やや弱めの動き」と判断している。(途中割愛)前回報告との比較では、北海道、東北、北陸、東海がやや下方修正した。』
景気マインドに関する指標がアホほど悪い割には個人消費ってコケないですよね。まあ個人的印象で申し上げますと、何だかんだと言いましてもやれ倒産だリストラだ賃下げだという状態は脱却している訳でして、その手の下方不安が外れてくれれば、入った分は消費したくなるでしょって思うのですけれども如何でしょうか。
『設備投資は、企業収益が足もと伸び悩んでいることなどを背景に、高水準ながら増勢が鈍化している、との報告が目立っている。前回報告との比較では、北陸、関東甲信越、東海、近畿、四国がやや下方修正した。』
『生産は、北海道、北陸、近畿、四国が「持ち直し」ないしは「増加」、「増勢」と判断しているほか、関東甲信越、中国、九州・沖縄では、「横ばい圏内の動き」ないしは「堅調に推移」と判断している。この間、東北、東海が、「このところ低下」ないしは「幾分反動減がみられる」と判断している。(途中割愛)前回報告との比較では、北海道がやや上方修正した一方、東海が下方修正、東北、関東甲信越、近畿、中国、九州・沖縄がやや下方修正した。』
設備投資はコケそうでコケないハードデータでしたが、鉱工業生産に関しましても先週公表された確報ベースがいきなり好転しちゃいました。
『雇用・所得環境をみると、雇用情勢については、関東甲信越、東海、近畿、中国、四国が、「改善を続けている」ないしは「有効求人倍率が高め」などと判断している一方、北海道、東北、北陸、九州・沖縄では、「横ばい圏内で推移」ないしは「改善の動きが弱まっている」などと判断しており、地域差がみられる。(途中割愛)前回報告との比較では、雇用情勢については、東北、北陸、九州・沖縄がやや下方修正したほか、所得面については、東北、北陸、近畿、九州・沖縄がやや下方修正した。』
こちらは相変わらずの地域差が大きい状況です。
まあ結局上方修正しているのは1箇所も無いということで、景気の判断としては下方修正ですけどね。
○今回のお題は・・・・
その次の『U.地域の視点』って所ですけど、毎回お題がありまして、今回のお題は、『1.グローバル需要の取り込みに向けた企業の対応について──
中堅・中小製造業や非製造業の動きを中心に』というのと、『2.地域からみた最近の雇用・賃金情勢について』とになっています。内容に関してはPDFの本文が詳しいです。
で、まあ後者のほうですけど、まとめの部分にありますのは、
『最近の雇用・所得環境を窺うと、原材料価格の上昇に伴う企業収益の悪化等を反映し、足もと、改善の動きに一服感がみられるものの、総じてみれば労働需給は引き続きタイトであり、雇用者所得は緩やかな増加を続けている。』
というのが結論なのですが、内容を見ますと但し書きつきみたいなもんでして、最後の部分はこうなっておりますわな。
『こうした状況を受け、業績好調な製造業の一部では、ベース・アップを実施する先がみられるが、多くの先では、足もと景気の先行き不透明感が強まっていること等から、人件費の増加を極力抑制しようとの姿勢は崩していない。』
『すなわち、賃金については、人件費の固定的な増加に繋がるベース・アップではなく、業績に応じた賞与中心の処遇改善を行うスタンスにあるほか、原材料価格高等により収益が悪化している先では、賞与を削減する動きがみられる。また、業績への貢献度の低い部門や人材に対しては、処遇の見直しに踏み込む動きもみられる。さらに、非正規雇用についても、人件費の固定費化を避ける観点等から、都市部を中心に、安価で貴重な労働力としてのパート・アルバイトや派遣社員を活用する動きが引き続きみられる。』
ということで必ずしも明るくは無いという話ですか。まあ個人的な感想としてはさっきも言ったようにあたしゃ直近の最悪期を見ておりますんで別に暗くもないですなあとか思ってしまったりしてなのです。
なお、この「地域の話題」のお題を過去分並べてみると微妙に落涙を禁じ得ないという話を前回(1月)にもした気がしますが、今回も物は試しに並べてみます。
『1.グローバル需要の取り込みに向けた企業の対応について
── 中堅・中小製造業や非製造業の動きを中心に
2.地域からみた最近の雇用・賃金情勢について』(今回)
『原材料価格上昇のもとでの企業の対応
── 最終消費者に近い「川下」段階にある地場企業を中心に』
(2008年1月))
『1.最近の企業立地の動向と立地戦略の特徴点
2.北海道農業の現状と新たな取り組み』(2007年10月)
『中小企業の収益動向と支出行動の特徴点』(2007年7月)
『1.各地域からみた最近の雇用・賃金情勢について
2.近年の東京における高額消費市場の特徴
――海外ブランドや外資系ホテルの動向を中心に』(2007年4月)
『各地域からみた最近の住宅投資動向について』(2007年1月)
ああ昨年は高額消費市場とか住宅投資好調とかいう話をしていたんですなあ(しみじみ)。
以下その他雑談。
○途中まで拍子抜けのまったり相場でしたが
LIBOR騒動(?)の翌朝は米債が売られて帰ってきたのですけれども、CITIの決算待ちという言い訳の下に金曜の相場は後場途中まで妙にまったり。引けに掛けて売られたのは早起きロンドンさんでございましょうか(笑)。
CITIの決算出て円安だったり株高だったりと動いておりましたが、その一方でLIBORはドルものだけ金曜もレート上昇してまして、国内でも金先は金曜軟調だったりしまして、短期のところに関しては微妙にレート上昇。そもそもの元ネタがLIBOR云々の関連ですので、ここもとの上昇を見ると、どうも短期とそれ以外の動きが逆に(表面的には株高金利上昇なので平仄合ってるのですが)見えない事もないという状態で、はてさてどうなのよと。
まードルLIBOR”だけ”上昇してるということは、単に実勢から乖離してたドルLIBORの表示が訂正されただけですよんと解釈しておけば心の平安は得られるのですが・・・・本当にそれで良いのか???何か変な気がするのだが。
○またも人のふんどしコーナー
いつも大変勉強になる厭債害債さんのとこから。
http://ensaigaisai.at.webry.info/200804/article_10.html
もう海よりも深く同意でございます。引用して実におっしゃるとおりですとか書こうかと思ったけど、これは全文お読み頂く方がよろしいかと存じましてあえてURLのみということで(^^)。
2008/04/18
お題「LIBORがどうのこうのというお話」
久々にオモロイ相場でありましたことよ>昨日
○実はこんな話があったのね
http://www.reuters.com/article/telecomm/idUSL1692036820080417
珍しく英語のニュースをネタに(^^)。
『LONDON (Reuters) - Facing growing criticism over the credibility of the
LIBOR reference rate in the wake of the credit crunch, the British Bankers
Association said on Wednesday it had brought forward a review of its setting
process.』
WSJを引いたブルームバーグの記事(のしかも日本語訳版^^)をネタにしましたが、水曜のロンドン時間ではこんな話になってまして(不覚にも昨日の朝の時点で存じませんでした、サーセン)たそうで。そういえば今週になって金先妙に重くて水曜とかも下げてた感じでしたわな。ということで、本件見直しに伴いLIBORが上昇するんじゃネーノということで、LIBOR上昇→短期の金利が全般的に上昇するのではないかというような連想も働いて昨日は金先やら中短期ゾーン叩かれるの巻。
日本語版ロイターの昨日14時16分「外為マーケットアイ」記事では市場の思惑に関してこのように報道されていました。
<14:16>LIBOR算出法見直し、金利急上昇の可能性との観測
英国銀行協会(BBA)は16日、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の算出方法の見直しを前倒ししたことを明らかにした。信用収縮を背景にLIBORの信頼性に対する批判が高まっているためで、市場では見直しによって「LIBOR金利が10bp(ベーシスポイント)上昇する可能性がある」とのうわさも流れている。(以下割愛)
(ロイター日本語版「外為マーケットアイ」17日14時18分配信記事より)
んでまあ金先も叩かれたんですけど、後場になってからは株価指数の動きとあんまり関係なく債券先物も威勢よく叩かれる場面がありまして、まあ実際のところなんぞわかりゃあしませんが、このあたりの話も影響したたんでしょうかね。
○利下げ期待が低下した理由の考察
いやまあ理由の考察も市場の中の人的には先刻ご承知だと思いますけど、適当な報道を真に受けちゃう人がでると困るので(^^)。
てなことで昨日は金先ドカドカ叩かれて08年12月限はレート換算で0.8%乗せ(で5毛だか6毛甘、イイカゲンでスイマセン)をマークしたりしてたんですが、まー冷静に考えたら「今年12月の3か月TIBORが0.8%」ってんですから(今の状況を前提にすれば)別に普通のレートっちゃあ普通のレートなんすけど、その前が堅調推移だったんで、目立ちましたわなあという感じで。
そもそもここのところ短い所の中でも2年とか期先の金先とか利下げを微妙に織り込んでいる(利上げを意識する参加者がいないですからねえ^^)ところって何となく頭が重くなっていたような感じでしたんで、昨日の下げで「いやあ利下げ期待が後退してますなあ」って印象を強くしましたわなという所です。
で、落涙を禁じえなかったのは某ベンダー(その後ここもLIBORネタを報道してたので名前はスルー)の記事でして、金先の下落を捕まえて「日銀総裁に白川氏が就任したことによって利下げ期待が後退」という趣旨のお話で、どこぞのよく知らん何とかストの方が「タカ派バイアスの白川さんが総裁就任したので利下げ期待が後退しました」と後講釈を垂れておりました。いやーあっはっは。
白川総裁就任で利下げ期待が後退するなら総裁就任するでしょって話になったのは先々週の話題なんですからとっくの昔に金先とか売られて然るべきでございまして、そんな壊れた蛍光灯みたいな相場反応しないですって。実際問題としては、米国の利下げ期待がここもと後退したというのがでかくて、日本が利下げするなら(1)経済指標がかなり悪化しやがる場合、(2)国際協調の枠組みで利下げする場合、って読み筋が市場のメジャーな見方の中で米国の利下げ期待の後退がおきればそりゃあなた利下げ期待下がるがなということで。
あとは、鉱工業生産の2月確報(と2005年基準への基準年改定)で1−3月期の生産が下向きから上向きにドテン変化するというのがありましたが、まあ出てくる経済関連指標ってマインドに関してはアホのように悪いのですけど、ハードデータの方は存外悪化しないというのが続いてまして、景気後退ですよって話になりにくいってのはここ1、2か月くらいの現象でございまして、その辺も利下げ観測の盛り上がりに水を差すお話。日銀総裁が誰になったからどうのこうのって話は全然影響ないとは申しませんが、市場の読み筋の本線とは違うオマケのような話だと思います。
ちなみに、万年債券強気(つまり景気弱気)で著名な某著名ストラテジストだかエコノミストだか肩書き忘れましたがまあその先生は鉱工業生産改定を受けまして、『鉱工業生産改定で景気後退説に打撃』ということで、『すでに景気は後退したという説に、大きな打撃』、『早期利下げ説にも決定的な打撃』というレポートを出しておられました。ほっほー。
○で、LIBORなんですが
http://www.reuters.com/article/bondsNews/idUSL1786735520080417
『LONDON, April 17 (Reuters) - The interbank cost of borrowing dollars
posted its biggest gain in eight months on Thursday, according to the British
Bankers Association, which has accelerated a review of how Libor, a key
reference interest rate, is set.』
何か長いニュースなのですが、日本語版だとこんなニュースが。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT814495220080417
『[ロンドン 17日 ロイター] 17日の欧州インターバンク市場で、3カ月物ドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)が2007年8月以来の大幅な上昇を示した。英国銀行協会(BBA)は前日、LIBORの信頼性に対する批判の高まりを受け、算出方法の見直しを前倒ししたことを明らかにした。また、貸出金利を提示する際に市場をゆがめる行為を行った銀行をLIBOR算出から除外する方針を示した。銀行の貸出金利についてBBAが調査しているとのうわさを背景に、市場はLIBORの上昇に備えていたとアナリストは指摘した。』
何か記事見るとドルだけ上昇したような気もするが。ほほーって感じ。
○これはウケました(^^)
QUICKのデリバティブズコメントというニュースカテゴリーがありまして、たぶん一般向けじゃなくて専門家向け配信だったと記憶しているのですけれども(違ったらゴメンナサイ)、昨日の15時00分配信記事はウケてしまいましたですよ。
債券:いんちきLIBORに惑わされるな、それとも「国債より外債に妙味」?
本日、現物債は中期ゾーンが軟調、短期ゾーンも甘い。あるファンドマネージャーは「いんちきLIBORの影響では」という。「LIBORは数字上は落ち着きを取戻してきているが、実際にはかなり高い金利で調達している外資がいる。その関係で中短期が重い」と指摘する。
(途中思いっきり割愛)
一方、別の銀行ファンドマネージャーは(途中割愛)「外銀や外資証券へ高金利で資金を運用し、日本の金融危機時の恨みをはらすチャンスである。あの時外資系が日系に対して行ったいやらしい行為(出していた資金を急にロールしなくなるなど)を忘れてはならない」とのコメントも。
(QUICKデリバティブズコメント17日15時00分配信記事より引用)
・・・・・いやあのその何と申しますか・・・・はっちゃけ過ぎです(^^)。
2008/04/17
お題「まあ本日も雑談だったりしますが」
相場は益々ワケワカランのでありまして(涙)。
○ついにこういう話になったか
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=a03m4dl6KgsQ
銀行家やトレーダー、LIBORの信頼性を疑問視−米紙WSJ
ということで、WSJじゃなくてそこから引いたブルームバーグの記事しかも日本語訳版からということで、英文ニュースからきちんと明快な解説して下さる厭債害債さんの爪の垢を煎じて飲んだ方がよろしいですなという安易にも程があるネタの引き方なのはあたくしの仕様ですすいませんすいません。
『信用危機を背景にLIBORは上昇したが、銀行は現金不足に陥っている状況を明らかにしたくないため、実際に支払っている短期金利を正確に報告していないとの懸念が金融関係者の間にはある。』
LIBORってリファレンスレートですから(と思ったが違ったらごめん)「これが市場のオファー実勢ですよ」という数字を出すということで、別にてめえの懐事情を反映させなければいけないという事ではないのでありますが、さはさりながらこのレートの重要性からしますとあまりにも突拍子も無いレートを出すと他行から打ち込まれるというのが市場の掟みたいなもんでしょう。例えば本邦でもかつて(超大昔)は都銀6行間で楽しい打ち合いとかもあったそうですし。
ところがですな、信用収縮で皆さんライン削減って話になりますと、他行のレートを見て打ち合いなんぞやってる場合ではなくなりますので、そりゃまあ上記記事のような話に段々なってきますわなという所であります。そしてそのLIBORがいろんなところでリファレンスになっているのですが、結局「リファレンスレートの信頼性」という話題になってしまう次第でありまして、どう見ても終了フラグです本当にカムサハムニダという話になってしまうと。
いや何と申しますか、あまり対岸の火事ではないのですけれども、いろんなもんの信頼性がどうなのよというお話が続きますとまあ日本の信用収縮の時にエラソーな御託並べて散々叩いてくれた皆様はさすがでございますなあ(棒読み)と言った所でございますわな。などとつい言ってしまうのがあたくしの人間出来てない所でございますサーセンサーセン。
ま、悪態は兎も角として、こういう話ってちょこちょこ出てきまわなあというところで、まあ問題をうまいこと先送りしつつ時間によって解決させる時にもあちこち綻びが出るので上手く縫いながらって感じなんですね。
○ますますややこしくなってまいりました
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/data/bis0804b.pdf
バーゼルU関連でございますが、銀行システムの強靭性強化のための対策公表ということで、色々と出ている(えーっと、これもまた日本語訳版ですいません)のでありますが、斜め読みした限りでは色々と施策がでるようで誠にご苦労様です。
しかしつらつら読んでますと・・・・・
『したがってバーゼル委は、IOSCO(証券監督者国際機構)と協力の上、既に提案した「追加的デフォルト・リスク」のガイドラインの対象を拡大し、トレーディング勘定における他の潜在的なイベント・リスクをも含めることとする。このイベント・リスクに対する自己資本賦課が導入されるまで(2010
年を予定)の間、トレーディング勘定に保有される複雑な証券化商品に対しては暫定的なルールが適用される。』
イベント・リスクって定量化できないからイベント・リスクなんじゃないでしょうかと思うあたくしは金融工学無知なトレード現場叩き上げですかそうですか。プレーンな商品で構成したポジションだってマーケットの急変で何が起こるのよってのは時に想像の斜め上を逝く(今年の3月なんぞまさにねえ)のでありますけれども、複雑で流動性の低いクレジット関連商品(引用部分にはありませんが、今回のお題としてはその辺りなのです)のイベント・リスクってどうやって計量化するんでしょ。
そこまでやるなら元本管理してグロスポジションの枠を作る方がよっぽどマシだと思うんですけどね。管理という意味ではそっちの方が手間(=コスト)も掛からんし。どうせこういうもんを計量化しても計量化方式の穴を突いた最新の金融工学を駆使した商品(笑)が出てくるに1万ジンバブエドル。
それから、リスク管理実務の管理だの流動性管理だの、まあ定量化するのがご苦労なこったとしか言いようが無いお題が並んでおりまして、またこれで関連部門の中ではデスマーチが続くのでしょうなと中の人には同情を禁じ得ません。
○いやまあどうでもいいんですけどね
ネタに困ったときに見ると便利(=突っ込みどころ満載)なコラムばかりを集めているのかよと言いたくなる日経BPの「SAFTY JAPAN」のコーナー。まあ「SAFTY」をうたって中身のコラムがどうなのよというコーナーという所に日経BPの身を切った芸風を感じるわけですが。
森永卓郎さんのコラムから。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/128/index3.html
『こうした民主党の金融政策は、常に過度の金融引き締めをしたがる日銀の政策と完全に一致している。そこで、似たもの同士の民主党と日銀とが、事実上、手を組んだわけである。』
『日銀のプリンスである白川氏を総裁に据え、しかも財務省を排除したのだから、日銀にとっては笑いが止まらない結果になった。』
bewaadさんの所と本石町日記さんの所を百回読め(日銀の中では武藤さんに期待が高かったですし、白川さんは福井さんのようなプリンス育ちではありません)と申し上げたいですけど、まあそういう先入観があればこういう結論を出す人も出るでしょうなあという所ですわな。
こーゆー影響力の高い(んですよね)人が思いっきり陰謀論振りまくような流れを作りやがった民主党は日銀にとって迷惑以外の何物でもないというのがいつもの結論になるんですが。武藤さん、伊藤さん、白川さんのセットになれば、今までに無く独立した日銀になれると思ったのですが、と同じ話になってしまうのであります。
#てな事でネタ雑談ばかりの週で申し訳ない
2008/04/16
お題「ネタがないので世間話がダラダラと」
期初ってのは何かと忙しいですなあ。困ったもんで。
○えーっと正直相場判りません(><)
それはいつものことですどね(というと身も蓋も無い)。
さてまあ相場様の方は昨日の30年から始まります長い所の入札祭りなのですけど、どうも最近の動きはよく判らんというか、本格的な相場テーマがどうも見当たりませんで瞬間の需給で動いてる感じを受けるのですが、本当のところはどうなってるんでしょうかねえ。もう毎日先物一人旅してみたり、昨日みたいに先物上下に振って最後殆ど寄り引けが同じ(しかも前場後場とも)という中で入札でカーブを動かしてみたりとか、何が何やらであります。
短いところでは15日の積み最終の着地が見えて来るまでGCレートが妙に高くなったり、その一方で短いCPとか短いSBとかはやたらめったら堅調推移するとか、まあ参加者層によって市場が分断されているのは短いところのいつもの仕様なのですけど、これまたその分断っぷりがちと激しくなっているのではないかという感じ。
先週あたくしは「リスク許容度の復活ですかねえ」と少々希望的観測もあったのですがしらっと申し上げましたけど、日替わりで何がどうなってるのよ状態の相場とか、市場間の裁定があまりワークしてなさそうな短いところとか、まあそーゆー裁定がどうもってのを見てますと、まだまだ厳しい部分もあるのかなあという感じが致しますですよ。先週前半の雰囲気に安心してましてサーセンでしたという所で。
ただまあクレジット物とか投資家が期も変わって参戦してそうな所もありますし、短いSBやらCPみたいに最終投資家(といってもこの辺は短いところ限定の投資家でしょうが)が参戦してニーズありますなあってのもございますので、まー別に不安がどうのこうのって程ではないんでしょうけど。
・・・・と、結局結論の出ない雑感でありましてスイマセン。
○昨日の続きと追加
昨日は3月決定会合で緩和的対応(利下げと明記されていないのがチャーミングですが)について言及した人に関してあたくしなりに勝手に想像したのですが、「おめえ岩田さん以外の確率高すぎ(=岩田さんの確率低すぎ)」というご指摘を頂きまして誠にすいませんすいません。まあ本人言い訳すると岩田さんの確率低いって一応ヘッジクローズ(????)入れてましてですな、ちょっと相場を張っている(何の?)部分はあったんですけどね(汗)。
まー普通に考えれば岩田さんなのかもしれないですけど、さてどうなのかってのは展望レポートのロジック(どう見ても組み替え)とか、4月会合の議事要旨公表とかを注目ということになるんでしょうな。正直楽しみにしています。
さてまあ岩田さんなのかそうじゃないのかは兎も角として、先日の西村さんの講演でも上下両睨みの話をしてましたように、利下げに関してどうなのよというのもあるんでしょうけれども、たぶんマーケットでポジション持って参加してる人は「利下げも利上げもないでしょう。でも利下げネタに関しては他の人たちが食いつく可能性が利上げネタに比較して圧倒的に高いから相場がそっちで反応するかもね」ってな感じでやっているのでは無いかと思うのですがどうでしょ。
経済指標に関してもまあそりゃ良くは無いのですが、もう駄目です悪化です後退ですっていうかというと微妙な所で何かの指標が意外に悪くなかったりするのでして、この辺の数値がボコボコになるとか株価がゲロゲロに下がるとかしないと、暫く前の利下げ催促状態のような相場には中々ならないかなあって。
ところで月曜には信託大会で白川総裁挨拶が。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0804b.htm
4月の金融経済月報要旨と似た話でありますが改めて。
『わが国の経済は、エネルギー・原材料価格高の影響などから減速しています。3月短観の結果をみても、企業の業況感は慎重化しています。もっとも、企業収益が幾分弱まりつつも総じて高水準を維持し、雇用者所得も緩やかな増加を続けるもとで、設備投資や個人消費は底堅く推移する可能性が高いと考えています。景気の先行きについては、当面減速が続くものの、その後は緩やかな成長経路をたどると予想されます。』
『物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、経済全体の需給が概ねバランスした状態で推移するもとで、石油製品や食料品の価格上昇などから、プラス基調を続けていくとみています。』
需給バランスは中立、(ここでは触れてませんが)今年度の成長予想は潜在成長率並みとなりますと金融政策の方向性は出しにくいとなりますけど、再度成長経路が復活してくれば現状の金融環境が緩和的でありますので徐々に利上げってお話になるんでしょ。ただまあその成長経路復活のパスが何とも良く見えてこないのですけど、悪化というほど悪い数字が並んでいる訳でもないので利下げもねえという所っすか。
利下げしないで長期国債買入増額というのもありますが、利下げが伴わないのであれば基本目くらまし。ただまあ一応世の中の期待(というかマインドというか)に働きかける効果が出ればそれはそれで緩和効果が出るんでしょうが、民主党様があれだけ物凄い勢いで国債買入は財政支援とか言い出しますと長期国債買入増額は非常にやりにくいんでしょうね。オペレーション上はどう見ても長期国債買入増額が妥当なんですけど、変に政策的なインプリケーションがあるかの如き状態になっているのが何ともいただけませんな。
○いやまあ何とも
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0804d.htm
松江支店での情報漏洩の件でございますが、報告を拝読。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/data/un0804d.pdf
『今回流出した松江支店の内部情報は、合計34 ファイルで、容量は約3 メガバイトであった。これらは、松江支店の職員(非職位者)1名が、フロッピーディスクに格納して自宅に持ち帰り、個人所有パソコンに保存していたものであった。』
きょうび金融機関ですと外部記憶媒体使用禁止で、古い機種使っている時はFDの入り口塞いだりするとかUSBのジャックもうっかりすると使えませんとか物凄い勢いで五月蝿い(ところが多いと思う)のでございますが、まあまとめの部分にあります原因に関しては仰せの通りでございます。
『今回の件は、情報管理のためのルールを如何に整備しても、職員自身がそれを守らない場合には、重大な問題が発生し得ることを示している。このため、今後は、そもそも資料を外部へ持ち出せないか、持ち出さなくてもすむような、執務環境の整備が必要であると考えられる。』
でまあ持ち出さなくても済むようにするには休日出勤どんどん来いという話になってしまいそうなので日銀としては難しいのでしょうが(休日に来て仕事すると電話も会議もお呼び出しも無いからはかどるんですよね、あっはっは)、物理的に対策をとるのは大事。
と申しますか、なんちゃら規定みたいなの作っても、物理的にノーズロだったり、踏んでしまいそうな穴があいてたりすると、悪意なくそのトラップに嵌ってしまうカワイソウな人も出てきますので、規定の厳格化よりも物理的な対策が重要なんでしょうなあって感を。
しかしこの対策には妙な想像をしてしまうのはあたくしの仕様でしょうか。
『全職員による個人所有パソコン等の定期点検、管理職による部下のルール遵守状況の確認、情報流出を継続的に監視する仕組みの拡充などにより、内部におけるチェック体制を強化する。』
>個人所有パソコン等の定期点検
>個人所有パソコン等の定期点検
>個人所有パソコン等の定期点検
えーっと、あたくし(は別に日銀職員じゃないから関係ないけど)のPCのあんなフォルダやそんなフォルダも点検されてしまうのでしょうか。
・・・いやまあこれって要するに自己点検をして結果を報告しなさいって話になると思いますがね、システム管理者が全員の家に行くわけにはいきませんですから(笑)。
○これはいい感じの他人事モードですね
いやまあどうでも良い事に突っ込むあたくしなのですが・・・・
昨日の東京新聞にございました「東京新聞フォーラム」から。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/forum/list/CK2008041502003736.html
最後の人はサブプライムローン問題を引き合いにして見極める目を持つことが大事ですってお話を。話のマクラに講演者が米国に家族旅行した3年ほど前にどう見ても観光客だというのに銀行員から住宅ローン勧められた話なんかを例に出しております。で、まとめの部分では『自分にとって身近でリスクが分かるような商品を選ぶことです。投資も食品も有事の時はラベルを頼らず、自分の目利き能力を高めていかれたらよいと思います。』とのお言葉。
・・・・ええまあ仰っている事はその通りなんですけれども、確かあのエグゼクティブディレクターであります所のあなた様がお勤めになってらっしゃる金融グループ様が今のところの公表ベースでサブプライム関連損失世界一だったと思うのですが、その見事な他人事モードはどういう風の吹き回しなのでしょうか(苦笑)。
『実際には、ラベルについている格付けよりもリスクは高かったんですね。ここが食品偽装と似ていますが、安心して買った物から損失が出た。しかも世界中の金融機関に影響を及ぼした。さらには皆さんの個人資産に影響が出ているのです。』
じゃなくって、「いやあうちもトンマで損出して株価が下がる原因の一つになっちゃいましたよ、ドーモスイマセン。プロでもこんな有様だからこれを教訓に皆さんも良く注意して下さいね。」って話をするもんじゃないんしょうかね。いやまあこちらの方がサブプラ関連投資の部門にいた訳じゃないからそう言われても知らんがなというのは判るけどさ・・・・・
#今日は長い癖にしょうもない雑談シリーズでサーセンっす
2008/04/15
お題「さて利下げも有り得ると言ったのは誰でしょう」
先物一人旅の相場も訳判らんのですが、正直理由が全く判らないので言及不能。
てな話は兎も角、3月の金融政策決定会合議事要旨。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g080307.pdf
○まずは両睨み路線に
最後の『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』で従来の「シナリオどおりなら金利調整」の他に下向き路線も出てきたというのが今回のネタでしょうな。
いやまあ既に審議委員の講演とかで下振れリスクと下振れリスク顕在化の際には「適切な政策」を取るという話が出てますので、市場としては織り込みなんすけど、決定会合の議論の中でもそういう話になってますというのが出たというのは宜しいのではないでしょうか。
次の体制になる前の最後の会合でこういう方向性を出す(というか従来の方向性を引っ込めるというほうが正しいか)というのは福井総裁お茶目じゃないのよとちょっと思うのでございました。
『委員は、先行きの金融政策の運営について、基本的な考え方を維持することが適当であることを確認した。委員は、内外ともにリスク要因が増加している中で、フォワード・ルッキングに経済・物価の見通しの蓋然性と上下両方向のリスクを点検し、金融政策運営方針を決定していくことが重要であるとの認識を共有した。』
というのはまあいつもの話ですが、この次は大体下振れリスクのお話。
『ある委員は、このところ企業行動に慎重さが目立ってきたことを踏まえ、生産・所得・支出の循環メカニズムの持続性について、しっかりと検証する必要があると述べた。』
『別の委員は、2 つの「柱」に沿って、経済・物価の見通しとリスクを整理し、@
日本経済は、当面減速するものの、その後緩やかな拡大パスに復するとの、これまでのシナリオは維持されている、A
リスク要因については、米国経済や国際金融市場の不確実性に加え、エネルギー・原材料高が中小企業の業況や消費者マインドに悪影響を与えるリスクは、更に強まっている、と述べた。その上で、この委員は、先行きについては、これまでの金融政策運営の基本的な考え方を維持しながら、見通しの蓋然性と上下両方向のリスクを綿密に点検し、最も適切と考えられる政策を機動的に実施していくべきである、との見解を示した。』
こちらの委員の場合はこれまでのシナリオ維持ということなので適切と考えられる政策は上も下もアリということでございますか。で、最後の部分は一般ニュースでも報道されてましたな。
『更に別の委員は、金利調整の方向性は維持されているものの、今後、緩和度合いを高める必要があると判断される場合には、その時々の状況に合わせた機動的な対応を考えていくべきである、との考えを示した。』
緩和度合いを高める必要がある場合には機動的な対応ということですので、利下げとか国債買入増額(後者は目くらましなんですけど)という話になりますですかそうですか。
さて、ではこの考えを示した人が誰でしょうという話ですが、これはまあ想像するしかないお話なのでございますけど、最近の政策委員の皆様の発言から類推(と言っても最近の講演がない人もいますけど、苦笑)しますと・・・・・
須田審議委員は先日の講演でインフレタカ派っぽい話をしてたのでたぶん無し。西村副総裁(この時点で審議委員)と水野審議委員に関しては下振れリスクについて結構きちんと言及していましたのでアリ。岩田副総裁もアリ(ただし1月なのでちとタイミング的に古い講演では下振れリスクに関して西村さんや水野さんほど強調してなかった。タイミングの問題だと思うが)。
福井総裁は無しでしょうし、他の審議委員は正直判らん。最後の決定会合が(この時点で)ほぼ確定の岩田さんがわざわざ利下げの話をするのかなあという気もせんでもないのですが、まあ置き土産ということで発言したかも。
ということで、岩田副総裁の発言のような気もしますが、西村さんあるいは水野さんの線はあり得るかと。水野さんの講演では利下げの効果と副作用のトレードオフについての言及があって目先の利下げに関しては慎重っぽかったので、「柔軟な対応をするのは当然」という話をしていた西村さんの線が結構あるのではないでしょうかと思うのであります。ということで、勝手に予想すると岩田さん40%、西村さん35%、水野さん20%、その他の人5%ということでどうでしょ(チョーあてずっぽうですのであまり信じられても困りますが一応真面目に予想したつもり。ちょっと岩田さんのウェイトが低いかもしれないけど・・・)。一応直近の講演についてはフォローしておりますのでこのへんから適宜ご参照いただければ吉かと。
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/hatsugentop.html
○ということでその他少々気がついたこと
今回は上記の部分に釘付けになっちゃいましたが(笑)、他に少々気がついたところを。
・金融面における指摘
『複数の委員は、国際金融市場の動揺が国内金融環境に与える影響は引き続き限定的であるが、中小企業に関する資金繰りや貸出態度、低格付けの社債の発行環境がやや悪化している点には注意が必要である、と述べた。』
で、3月の月報(要旨)の時点ではこの話は出てなかったですけれども、4月月報(要旨)の金融面において上記の部分が指摘されていましたというのは先日ご案内したとおりです。
・今回のお題は交易条件の悪化ですか
『委員は、エネルギー・原材料高による交易条件の悪化がマクロ経済に与える影響について議論を行った。』
『複数の委員は、交易条件の悪化が、収益の圧迫、賃金の下押しなどを通じて、所得形成力の低下をもたらしている、と指摘した。このうちの一人の委員は、こうした交易条件の悪化が、実質国内総所得の伸び率低下にも繋がっていると付け加えた。』
とこれはネガティブなお話。
『ある委員は、交易条件の悪化が、海外への所得流出を生じさせることは確かだが、一方で、海外への輸出が増加し、自国の輸入が減ることにより、実質生産の増加に繋がる面があることも合わせて評価する必要があると述べた。』
こちらはポジティブな面も見ましょうよという話ですが。
『別の委員は、交易条件の悪化というショックに対しては、現在、@ わが国の企業収益が高水準であること、A
産油国を含め、世界経済の成長に伴う需要増が見込まれること、というショックを吸収する要因もあるので、マクロ的な影響は、最終的にいずれの要因が勝るかという問題に帰着する、との認識を示した。』
ということで、字面をトータルしてみますと、交易条件悪化に関する懸念も強いということでしょうか。
まあその他に関しては大体金融経済月報の下方修正で示されているとおりだと思います。
2008/04/14
お題「白川総裁就任会見」
週初につき物凄い勢いでボケボケです。てな訳で木曜に行われました総裁就任会見なんぞをご紹介。
その前にちと思ったんですが、まあ今般のゴタゴタの結果白川総裁には同情票(?)が入った感じで、G7に出席した白川総裁を報じるニュース方が比較的好意的になっていたような気が。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0804b.pdf
○「戸惑い」が2度登場
質疑応答の一番最初に白川さんの言葉が。
『今ご質問のあった点も踏まえながら、抱負を述べたいと思います。先月20 日に副総裁を拝命してから、総裁代行として職務を果たして参りましたが、この度全く図らずも総裁の任命を受けることとなりました。正直なところ、事態の急激な変化に戸惑っておりますが、(以下割愛)』
他の質問のところでもこんな発言が。
『1か月前は大学の教師をしていましたが、もし私が大学に残っていたら、実は今週から大学で授業を行うことになっており、水曜日のこの時間は金融政策の授業だったと思います。それが金融政策の授業を行う立場から、金融政策を決定する立場に変わりました。この1か月間の自分の身に起きた変化には非常に戸惑ったというのが、率直な気持ちです。』
副総裁はともかく、総裁に関してはサプライズもサプライズでございましたから本人もビックリでしょうな。
○タカ派バイアスがあるかどうかという質問に対して
福井総裁時代と比較してタカ派バイアスがあるのではないかという質問がございました。いやあの同日に公表された金融経済月報とかその後の会見、それから先日の副総裁就任会見を見てると福井総裁時代と比較してタカ派バイアスといわれるものは小さい(というか無いんじゃないの)と思われるのでございますが・・・・・・
『前回、副総裁就任会見で申し上げたとおり、タカやハトというラベル貼りは、バーダー(バードウォッチャー)としては鳥に可哀想だという感じがしますし、私自身はそういうラベルについては、自分自身がどちらだと言うことには非常に違和感を感じます。金融政策に対する姿勢は先程申し上げたとおりですが、それをその時々の経済金融情勢の中でどのように考えていくかということが大事であり、それをタカやハトというようには、なかなか分類できるものではないと思っています。』
基本的にはあまりバイアスが掛からないんじゃないでしょうか。福井総裁の方が思い込み強い系のお方ではなかったのかと思われますが。質問者は『マーケットは、白川日銀は福井日銀に比べタカ派バイアスがかかるのではないかという声があります。』って質問してますが、その辺をネタにして動いてたの金先市場くらいだと思うのですが。
○この辺見てますとBIS>FRBなのでは??
BISビューとFRBビューという話が先日の会見でもございましたけれども、国際的なネットワークとかその辺の話に関して。
『私自身の国際的な会議での経験について若干申し上げますと、1996 年当時、日本の金融システムの状況が一番厳しい時にニューヨーク駐在参事という役割で仕事をしておりました。その後、1997
年から2000年までの間、BISのグローバル金融システム委員会の仕事をサポートしました。当時の福井副総裁、その後の山口副総裁がこの委員会の議長であり、私は議長をサポートする立場で3年強BISの仕事に携わりました。多いときは1年に10
回程バーゼルに行きましたが、その時にBISを中心とする中央銀行間の緊密な関係に非常に強い印象を受けました。私は、その時にこのような国際的な場において活躍できるセントラル・バンカーになりたいと強く思ったことを今でもよく記憶しております。』
で、その後の話もありますがそれは会見要旨を見ていただくとして、最後の質疑でG7に関連して日本の不良債権処理問題で各国にアドバイスすることはないのかという質問が出てまして、それに対する答えがこうなってます。
『90 年代の半ばから後半にかけて、私が日本でこうした問題にタッチしている時に、海外の中央銀行あるいはエコノミストから色々なアドバイスをもらいました。そうしたアドバイスは私にとって随分役に立ったという部分と、日本の本当の実態について十分な理解がないなという両方のアドバイスがあったという気がします。私が米国も含めて海外の当局者に対して日本の経験に基づいてコメントする時にも、彼らから見て同様の感想があるのだろうと思います。私自身は、日本の経験を言わば押し売り的にアドバイスをしていくということではなくて、このような問題が起きた時にどのようなことが問題になったのかということについて、できるだけ話していきたいと思っています。格別何か秘伝があるというわけではありません。』
>日本の本当の実態について十分な理解がないなというアドバイス>言わば押し売り的にアドバイスをしていく
・・・・・・ま、本音はこの辺にありそうですわなあと思う次第でございます(^^)(^^)。
○政府との連携に関して
武藤さんがいなくなってパワーダウンするんじゃないですかって質問に対しましての白川総裁の回答。
『武藤前副総裁は立派な副総裁で、私自身尊敬している上司の一人でありました。武藤前副総裁との比較ということでは全くなく、自分自身が今後どのように対応すべきかということですが、私は審議役とか理事の時代に、例えば国会で答弁するという機会も結構ありましたが、長く政府にいらっしゃった方に比べると十分な経験を積んでいるわけではもちろんありません。その点については、これから経験を積み重ねて努力をしていくと言いますか、オン・ザ・ジョブ・トレーニングをしていくということになると思います。』
国会対応は物凄く大変になるでしょうね。民主党がとにかくやたら干渉するでしょうし。ただまあ民主党の質問って殆どがクソ下らない質問でありますので単に手間がかかりますなあという問題だとは思いますけど。
『ただ、日本銀行への信頼というのは、基本的には自らの政策判断、的確な政策判断によって初めて裏付けられていくと思います。技術ということではなく、それは的確な判断だと思います。この面では、私1人が金融政策を決定しているわけではなく、何よりも政策委員会メンバー全体として決定し、それを支える優秀なスタッフがいると感じています。また、政府あるいは国会との関係は日銀法によって明確に定められています。私としては、そうした法的な枠組みに基づき、その上で政策委員会のメンバーと議論し、スタッフの分析を参考にしながら的確に判断し、それが最終的に政府、政治との関係も良好にしていくという信念で仕事をしていきたいと思っています。』
なんという直球な正論。いやまあそれしか答えようが無いというのもありますが、福井総裁と武藤副総裁のような「政界官界に顔が利きます」って(実際にどうなのかはあたくし如き外部の三下が知る由もないですけど)メンバーではなさそう(もう一人の副総裁に関してもどうせ財務省ダメなんですし)で、まあその点でも変にシナリオ一点張りで勝負ってのは出来なくなったのではないでしょうか。よって政策にバイアスは掛かりにくいと思われます。あの金利正常化路線一点張り(最後に降りてましたが)攻撃は福井総裁、武藤副総裁の政治力あっての張り方だと思うんですよね。
○余談ですが白川さんのキャラクター
この質疑はちと笑いました。
『(問) 総裁はすごく真面目な方だなと思うのですが。』
『(答) 多分、自分自身について性格を聞かれた場合、自己の評価と客観的な評価というのは食い違っているのではないかと想像します。自分自身は決して真面目ということではないと私は思いますが、それは私がコメントする話ではないと思います。』
どう見ても真面目です本当にありがとうございました。
以下本編と関係ないその他余談クリップです
○先物一人旅
木曜は先物独歩高、で、金曜にそのことを一言書いただけで先物が独歩安というまたも髪様モード。北禿のボログじゃないんですから勘弁してください。
・・・・というか世の中で何が起きてるのよ。判らんがな・・・・・
○白川さんの著書
出遅れましたが週末に査収(ちなみに新宿の紀伊国屋とジュンク堂は売り切れでした)。で、適当に開いたページから読む攻撃をちょっとやっておりますが、これは中々面白い。実務に則しているので市場の中の人にはすんなり入る本ですね。市場の中の人もそうですが、実務に則して説明してますんで、理論面の方々にも大変よろしい本だと思うのですが。「準備預金制度の下で予備的需要以上の超過準備の存在を常に容認する金融調節をすると、翌日物金利が預金ファシリティ水準まで低下してしまう(ので金利ターゲットの下ではそのような調節方法はあり得ない)」という話を理解してなさそうなお方も世の中では相変わらず多そうなのでありますからして。
2008/04/11
お題「白川副総裁会見(決定会合後の会見の方)とか」
本業が微妙に多忙なので就任会見の方まで追いついておりませんですすいませんすいません。ということで、まずは白川さん(この時点では副総裁)の金融政策決定会合後の会見から。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0804a.pdf
本石町日記さんが指摘(http://hongokucho.exblog.jp/8359044/)してますように、基本的に想定問答通りの印象を与える人なので、情報ベンダーがよほど恣意的な発言切り取りをしない限り(笑)、ヘッドラインリスクってのもだんだん減って来るのではないかと思料。
○利下げに関して
景気判断を下げましたが、今後利下げの選択肢はあるのでしょうかという質問に対して。
『いつも申し上げていることですが、経済は常に不確実性を伴うものであります。現在は、そうした不確実性が特に高い状況です。こうしたもとでは、先行きの政策の方向性について、予断を持つことは適当でないと思います。この先の経済・物価の展開において、先程申し述べたような様々な下振れリスクが低下し、持続的な成長経路が実現していくのか、それとも、下振れリスクが顕現化する蓋然性が強まるのかは、毎回毎回の決定会合でよく見極めていく必要があると考えています。これまで日本銀行として繰り返し述べてきているように、経済・物価の見通しとその蓋然性、上下両方向のリスク要因を丹念に点検しながら、それらに応じて適切に政策運営を行っていきたいと考えています。』
福井前総裁も途中から「決めうち禁物」コースになっていましたので、その継続といえば継続ですが、基本シナリオならば利上げという話はより後退しておりますわな。金融経済月報の記述変化を見れば当たり前(というか一々「基本シナリオどおりなら本来は利上げ」に言及する福井前総裁の方がタカさんだったのですけど)ですけれども。
○だいたい質疑応答ってこんな感じですな
利下げに関しては、もう一回質問がございまして、こちらは質問が判り易い(というと表現が変ですが)ので質問と答えをまる引用してみます。質疑応答の雰囲気としてあたくしが勝手にイメージしている状況を良くあらわしていると思うので。(適当に段落分けしてます)
『(問) 景気認識と金融政策運営についてお伺いします。副総裁の発言や金融経済月報によれば、経済全体の需給が概ねバランスしており、先行きは潜在成長率並みの成長が想定されていると思います。そういうことであれば、先行きを見通した場合、経済が過熱するリスクはかなり弱まっているという認識でしょうか。』
『白川副総裁は、フォワード・ルッキングということを常々おっしゃっていますが、今回、先行きについては、下方修正といいますか、経済に対する見方を変更されたと思います。日銀は利上げ方向とか利下げ方向といったバイアスを必ずしも使ってはいませんが、直近の展望レポートでは金利の調整をする必要があるというような書きぶりであったかと思います。現状、利上げの必要性はあるのかどうか、利上げの必要性の度合いが落ちているのかどうかということを含めて、お伺いします。』
『また、第1の柱、第2の柱という言い方をされていますが、現状の景気認識のもとでは、少なくとも第1の柱に基づいた利上げは不要との見方もできるかと思いますが、如何でしょうか。』
で、答えもまる引用攻撃です。
『(答) 今のご質問は、足許の経済だけでなく、向こう2年間程度を展望した場合にどういう経済のパスを辿っていくのか、そしてそのもとでの政策のあり方に関するものだと理解しました。その点については、もちろん毎回の金融政策決定会合で議論しており、特に次回の決定会合では向こう2年間の経済を丹念に分析し、その上で金融政策についての考え方を展望レポートで示したいと思います。』
『そのように申し上げた上で、過熱リスクが今あるとは考えておりませんし、逆に足許は減速しているが先行きは潜在成長率並みで成長するということです。このことは、過熱の状況でも、逆に需要が不足する状況でもないということを意味しています。』
『次に、フォワード・ルッキングということですが、金融政策は常にフォワード・ルッキングでなければならないということはその通りです。ただ、中央銀行がフォワード・ルッキングであることは最近に始まったことではなく、中央銀行の金融政策は常にフォワード・ルッキングであったと思います。足許、あるいは過去の経済データに基づいて、先々の経済状況がどのようになっていくかを判断していくということであり、本質的に昔も今もフォワード・ルッキングであると思います。』
『フォワード・ルッキングという言葉は、時として人によって違うイメージで語られます。私自身も昨日の国会でもこの言葉を使いましたが、私自身の気持ちとしては、少し長い先を展望して経済や政策を判断していくということであって、中央銀行が千里眼のような力をもって将来を見通しそれに基づいて政策を行っているということではなく、経済の標準的なシナリオを考えリスクを点検しながら政策を行っていくことをフォワード・ルッキングという言葉で表現しています。』
『金融政策については、予断を持つことなく判断をしていきたいと思います。つまり、物価の見通しの蓋然性と上下両方向のリスクを丹念に点検しながら、それらに応じて適切に政策運営を行っていきたいということです。現在のような状況で、政策の方向性について予断を持って判断するということは適切でないと思っています。』
長くなってすいません。白川新総裁の質疑応答って手堅いって感じが致します。まだあまり慣れてないからなのかもしれませんけど、福井さんのどっちかといえば自信満々(村上ファンドの一件以来だいぶおとなしくなった印象がありました)振りが伝わってくる会見要旨と比較すると穏やかというか謙虚なお方なんですねって感じです。
で、引用した中で2番目の段落(に勝手に切ったのはあたくしです)にございますけれども、経済の過熱リスクに対しては「かなり弱まっているのか」という質問に「過熱リスクはない」ときっちり言ってますので、まあ月末の展望レポートではこのあたりのリスク認識にきちんと変更が加えられるのでしょうなあと思われます。
じゃあ利下げかといえばそんなにすぐに利下げへという事にもならないでしょうとは思いますけど。
○まあ景気認識は慎重なんじゃないですか
じゃあ上方リスクはどうなのよという質問が。
『(問) 先程、副総裁から上下両方向のリスクを丹念に分析したいという話がありました。月報などをみると、需給バランスもほぼバランスした状態が続くということで、なかなか過熱という上方向のリスクを想像しにくい状況だと思いますが、副総裁は特にどういうところを上方向のリスクとして今考えておられるのでしょうか。』
で、その答えですが、情報ベンダーのヘッドライン読んでた時には気がつかなかった部分がありました(^^)。
『(答) 上下両方向のリスクは改めて次回の金融政策決定会合で点検致しますが、1つだけ自分自身が感じている点を申し上げますと、もともと経済には不確実性があり、特に現在は不確実性が高いという認識です。このことは、一方で景気に対してはマイナスの作用を及ぼすわけですが、逆に様々な調整が終わって不確実性が急遽晴れてくるということもシナリオとしては有り得るわけです。』
まあ急遽晴れるには財政政策(公的資金注入)と金融政策をセットにした抜本対策が必要じゃないですかと思うのですけど、まあ相場見通しの紙芝居書きをする場合に暗い絵ばかり書いてると悲しいのでこういうシナリオを書くのは正直あたくしでも致します(^^)。
『その場合、同じ金利水準が持つ景気の下支えの力が変わってくるわけです。』
来た来た過熱リスクぅ♪と思わせてくれますし、情報ベンダーのヘッドライン的にはこの部分があった気がしました(でも相場は全然反応しないんですけどね)。しかしその続きがあるというオチ。
『これは、日本のことというよりは、主として米国を念頭に置いてのことであります。』
米国ですかそうですか(^^)。
『そうしますと、一方で下振れリスクを中心に米国経済をみてはいますが、常に複眼的に見る必要があるという意味において、やはり上方向のリスクも意識する必要があると考えています。それ以外にもどのようなリスクがあるか、丹念に次回検討したいと思います。』
てな訳でして、日本の過熱リスクとかいうような表現をするのは避けて通ってますなという感じで、いわゆる利上げバイアスととられる様な物言いにならないように注意しているんですなあと解釈しました。
全体的には「今の経済状態は方向として上でも下でもない。でも潜在成長率並みの成長はするので中立ですな中立」ってトーンと読みましたけれどもどうでしょうか。
#長文引用した部分があって引用が却って少なくなっちゃいました。すいません
以下メモ
○先物がまた強くなってきたんですけど
あたくし水曜朝の駄文で「まあ何となくリスク許容度復活というのが今のネタ」などと書いておりましたが、相変わらずの髪様モードだったようでございまして、水曜木曜と急に先物が来たので状態。一部変な仕掛け(先物ロールがらみ)してる人がいるような感じもありますけど、昨日なんぞ先物やたら強くて何ともまあ2月3月の先物独歩高の遺憾な相場を連想したくなるような動きも。
・・・・・うーん、誠に遺憾というかそんな撃墜をした覚えはないのですが(汗)
それからbewaadさんが一昨日ご紹介したエントリーのフォローアップをしておりまして、これまたなるほどという内容でございますので必読かと。
閉店モード復活は勘弁願いたいものであります。
2008/04/10
お題「あちこち下方修正の月報」
日本が大変なときにはクレジットラインを削って散々金融危機を煽っておいておきながら、いざ自分の時にはG7まで持ち出して各国の金融機関にクレジットライン確保を要請とは実に素晴らしいダブルスタンダードでございますなあ。
といういつもの悪態は兎も角として金融経済月報。
○とりあえず「金利調整」ロジックは引っ込むんでしょう
金融経済月報が出ましたが、まああちこち下方修正しております。まー市場の認識はこの月報で示されているような見通しはとっくの昔に織り込み済みではありますので、その点で言えばやっと追いついてきましたかという感も致しますが。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0804.htm(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0803.htm(前回)
もういい感じであちこち下がってますよ。
・現状判断総括部分
『わが国の景気は、エネルギー・原材料価格高の影響などから、減速している』(4月)
『わが国の景気は、住宅投資の落ち込みやエネルギー・原材料価格高の影響などから減速しているが、基調としては緩やかに拡大している。』(3月)
ついに拡大が外れました。合掌。さて以下現状判断の要因部分に関しても変わっております。
・企業収益の下方修正
『企業収益は高水準ながら伸び悩んでおり、企業の業況感もこのところ慎重化している。』(4月)
『企業収益が伸び悩みつつも高水準で推移する中』(3月)
景況感は短観の部分ですのでこれは良いとして、伸び悩み「つつ」となっていたのが伸び悩んでおりと変化してますので、これは伸び悩み状態を認めた格好ですな。
・設備投資の鈍化
『設備投資は、増勢が鈍化している。』(4月)
『設備投資も引き続き増加基調にある。』(3月)
企業収益の下方修正をベースにこのように下方修正。
以下の個人消費や公共投資、住宅投資に関しては変更ありません。個人消費が下方修正されていないのが救い(?)といえば救いなのですが、企業部門下方修正でありますな。
・先行きも減速期間の長期化を覚悟の巻
先行きの基調判断。
『景気の先行きについては、当面減速が続くものの、その後緩やかな成長経路をたどると予想される。』(4月)
『景気の先行きについては、当面減速するものの、その後緩やかな拡大を続けるとみられる。』(3月)
当面減速するってのが当面減速が「続く」となりましたな。アーメン。で、その要因部分になりますが。
・設備投資、個人消費の先行きも
ちと長いですが。
『企業収益が幾分弱まりつつも総じて高水準を維持し、雇用者所得も緩やかな増加を続けるもとで、設備投資や個人消費は底堅く推移する可能性が高い。』(4月)
『また、設備投資や個人消費も、総じて高水準の企業収益や雇用者所得の緩やかな増加を背景に、増加基調をたどる可能性が高い。』(3月)
企業収益の部分は先ほどと同様に下方修正。全体的なところでも「増加基調をたどる」から「底堅く推移」とこれまた下方修正ですかそうですか。
・唯一上方修正されているのが住宅投資です
『住宅投資は、回復に向かうがそのテンポは緩やかと予想される。』(4月)
『住宅投資は、当面低調に推移するものの、次第に回復へ向かうと予想される。』(3月)
住宅投資の回復について上方修正。住宅投資はモノがでかいのでまあこれだけでも上方修正でよかったですねという感じであります。
で、この先の要因分解に変化なしで、物価の現状認識に関しても変化はないのですが、物価の先行き部分でこれはこれはというものが。
・需給ギャップのプラスというのを引っ込めました
ということは従来の展望レポートで展開されていたロジックは一旦封印ということになりますな。まあ市場は織り込んでいるともいえますけれども。
『消費者物価の前年比は、経済全体の需給が概ねバランスした状態で推移するもとで、石油製品や食料品の価格上昇などから、プラス基調を続けていくと予想される。』(4月)
『消費者物価の前年比は、当面は、石油製品や食料品の価格上昇などから、また、より長い目でみると、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』(3月)
ということで、需給ギャップのプラスというのをついに引っ込めました。マイナスじゃなくてバランスしているということで毎度おなじみのゼロ近傍攻撃ですね、おっほっほ。
・中小企業の資金繰りに言及
『企業の資金繰りは、中小企業でやや悪化しているが、全体としてみれば、引き続き良好に推移している。』(4月)
『企業の資金調達コストは横ばい圏内で推移している。』(3月)
ということで、金融面でこういう変化が出てくるのはほほうという感じ。
とまあそういう感じでして、今回は福井総裁退任後初回の月報でありましたが、肩の荷が降りたかの如くあちこち下方修正するわ、展望レポートのロジック展開を変更する準備をする(ように見えますが)わということで、実に素敵な月報でございましたことよということで。
以下だいたい余談です。
○白川総裁は通りましたが渡辺副総裁は通らんと
で、昨日の金融政策決定会合は12時20分に終了していたのですが、このときの結果に関してはこのようになっています。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k080409.pdf
2ページ目を見ますと、この時点では白川さんは副総裁なんですね。これ豆知識になりませんかそうですか(笑)。
でまあ、残念なことに民主党の造反が不足しておりまして、渡辺副総裁に関しては参議院で否決されてしまいましたが、結局財務省出身者が全部駄目という話になりますと、おまいら結局何を根拠に反対してるんだという感じでありますけど、もはや呆れ果てておりますのでどうにもこうにも。
経済財政諮問会議のメンバーなどはダメ、財務省出身者はダメとなりますと次のタマが益々いなくなる昨今でございますが、実は審議委員も欠員があるわけでして、2名決めないといけないんですよね。前途遼遠とはまさにこのことでありますが、この際ですから日銀批判系の人をお招きしちゃったらどうでしょとも思うんですが。実務と折り合いつけた理論展開していただきますとそれはそれで進化ではないかとか思うんですけど。。。。。
2008/04/09
お題「民主党逝って良し」
中身は読まなくても判りますかそうですか(笑)。
○一連の騒動は日銀にマイナスとしか思えませんが
日銀ケシカランという人たちの手にかかるとどうも一連の騒動も日銀ウハウハみたいな読み方をされるみたいでございますが、bewaadさんが『日銀陰謀論は止めましょうよ。』というエントリーをあげておられました。
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20080408/p1
マリアナ海溝よりも深く同意するものであります。
別にあたくしや本石町日記さんだけじゃなくて、概ね金融市場にいる人たち的に多く言われているのは当初案の「武藤総裁、白川、伊藤副総裁」の組み合わせだと近来まれに見るほど日銀の対外的な説明力(というか説得力というか)がアップして、「独立性」(という言葉の定義が微妙なのでカッコ書きで、まあニュアンスとしての独立って感じかなあ)を持った日銀になれたという評価だったと思うのでありますよ(昨日本石町日記さんのところにちょっとコメントしましたけど)。
そして、伊藤隆敏先生がボードに加わることで、実務との折り合いをつけながらよりロジカルな金融政策の枠組みの構築ができれば尚のこと素晴らしいと思いまして、日銀ウォッチも楽しくなった(いや今のメンバーだと詰まらんという意味ではないですよ^^)と思うのでありますが。
というわけで、日銀陰謀論は無いでしょというか、一連の騒動で日銀は思いっきりケチがついてしまった訳でありまして、民主党の諸兄は日銀通りで全員切腹して詫びるべきものとしか思えないのでありますが。日銀ウハウハというのはあり得ないでしょ。独立性がどうのこうのと言ってる連中が日銀に傷をつけまくりってもう悪い冗談としか思えません。
○どう見ても党内内部抗争です本当に(ry
議院運営委員会でのヒアリングでは終わってから拍手も出た(と仙石さんが終了後にコメントしてたと報道されていました)そうで、何となくこれは大丈夫かと思わせる展開でしたが、20時過ぎになってふと情報ベンダーを見ると「渡辺副総裁に不同意」という記事が。ポカーンとしながら見ておりましたが、結局のところ小沢VS反小沢で今回は小沢さんが意地を張って反対しましたと。
そんなに天下りがケシカランのであれば、まずはお前の政党にいる官僚出身者を全員パージしてからにしやがれと思いますし、かつてお前さんのところでは「選挙に勝った時の財務大臣」に榊原英資さんを据えていた事がありましたが、あれは天下りではないと仰る。ふーん。
大体からして渡辺さん駄目って事になったら他にタマがいるんですかね。民主党おまえら対案だせやコラとしか申し上げようがないのですが、この案件は実施するかしないかという類のものじゃないのですから、ちゃんと対案出せやと思うのでありますが。
こうなったら参議院での採決で造反が出ることを期待するしかございません。テレビニュースの一部の報道を聞いておりますと一部に造反の動きがどうのこうのとか言われてますので、それにでも期待するしかないですな。カナシス。
○新副総裁就任の所信表明みたいな機会なのに
両副総裁就任が決定してお二人が最初に国会に出席したのが3月25日の衆議院財務金融委員会でございまして、その時の会議録を読むといい感じで民主党に脱力することができます。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009516920080325011.htm
質問のトップバッターが佐藤ゆかり委員で、よく見ると財務金融委員会の理事に野田聖子議員がいるというのが中々チャーミングなのですがそれはそれとしまして(笑)。
まあ当然ながら皆様の質問は金融政策に関する見解を問うとか、いわゆる財金分離問題に関しての所感を問うとか、景気見通しや物価見通しに関する見解を問ういう話になっておりまして、それ以外ですと、長期国債の買入に関する質問(佐藤ゆかり委員)とか、引き続き正常化路線を継続するのか(公明党の石井啓一委員)とかが質問のお題になっているんですよね。あと面白かったのはこの会議録でも最後のほうになりますが、共産党の佐々木憲昭委員が今までの日銀の政策をどう評価するのかという質問をしてて、まあ質問の論理展開的にはどうかというのもありますが、これはこれで面白い質問。
ところがですね、2名も質問者を出した民主党なんですけれども、最初に出てきた池田元久委員はのっけから「副総裁は2名いらないのではないか」という話をしてみたり、日銀総裁の給与が高いだのまずそれはお前の歳費を返上してから言えと申し上げたくなる質問をしてみたり、松江支店の情報流出問題に対する質問とか、そんな話は他の機会でやれという話を延々と展開。
で、最後のほうにこれが来ました。
『○池田委員 時間が余りありませんが、低金利の家計への影響について若干取り上げたいと思います。』
もう以下読むのも汚らわしいくだらねえ話が続きますが、こんな質問に対する資料なんか日銀も作ってあげなきゃいいのにと思うんですけど。(無理ですが)
『お手元に資料が行っていると思います。きのう日銀に頼んでまとめてもらったものであります。最新のデータですが、家計の利子の年間受取額は、「受取」の一番左の欄でございますが、九一年の三十八・九兆円から年々減り続け、〇六年には四・六兆円と、九分の一まで減ってしまいました。そして、資料の受け取り欄の右側、「九三年との対比」という欄をちょっと見ていただきたいんですが、九三年の利子受取額がその後も継続したと仮定した場合、その累計は、一番下、二百二十兆九千億円となり、この間家計から二百二十兆九千億円もの利子が失われたことになると思います。もっと金利の高かった九一年との対比では、累計で三百六十四兆四千億円の利子が失われた計算になります。こうした計算でいいと思うんですが、確認をしていただければと思います。』
前提が意味ねえええええええ!!!!
ちなみにこの後も支離滅裂な質問が続くのでありますが汚らわしいので引用割愛。
で、もう一人の下条みつ委員の質問は延々と新銀行東京に関する質問で、途中から渡辺担当大臣に対する質問になっておりました。何のために就任直後の日銀執行部を呼んで会を開いているのか意味を良く考えていただきたいものです。
・・・・てな訳で、自民、公明、共産各党の質疑応答と比較するともう愕然とするくらい内容にレベルの差がございますとしか申し上げようがありません。
その他の質疑もまあオモロイ部分とかあるのですが、それはネタの切れた時にでも(笑)。
2008/04/08
お題「ネタもないので本日も雑談です」
今日から決定会合ですが、まあ他にネタもないですわな。
○日銀総裁人事
いやもう正直申し上げまして、こんなに政治のおもちゃにされるとは思いませんでしたので、今となっては諦観とともにまったりと動向を眺める程度なのですが。
で、渡辺前財務官の副総裁案ですけど、情報ベンダーのヘッドラインを見てますと、以前渡辺総裁案も良しという趣旨の発言をしていた鳩山幹事長が容認論なのにはさすがにホッとしましたが、仙石政審会長(でしたっけ?)が「財務省出身者だからと言って機械的に排除する訳ではない」という発言を国会内でしてたというのには中々楽しめました。
いや何と申しますか、そもそも小沢さんって武藤総裁案も容認だったと巷では言われてましたが、今度は小沢さんが渡辺さん反対論をテレビで言ってしまった後に党内からは容認論続出ってお笑い以外の何物でもありませんな。何という支離滅裂(ある意味民主的ですが、笑)な政党。
・・・というか、これってどう見ても民主党の党内抗争です本当にありがとうございましたという所でしょ。このせいで福田さん叩かれるちゅうのもちょっとカワイソスに思えますわな。まあこんな事なら2月の半ばにでも人事案出して置けば良かったですよねという気はしますが。
で、まあドタバタ茶番劇モードになってしまってすっかり脱力状態になっておりますので、この際もっとこうインパクトのある人事案は無いかと与太話をしていたのですが、運が強くて勘が良くて説得力のある人がベストの日銀総裁という結論になって出たのは「小泉純一郎日銀総裁」でどうでしょう(ヤケクソ)。現職議員だがら駄目でしょうが(笑)。
○これはまた中の人が入れ替わったような話
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-31187820080407
『[東京 7日 ロイター] 渡辺喜美金融担当相は7日、都内で講演し、自民党内で日本版SWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)創設について議論されていることに関連し、外貨準備の運用について「ドルのままで、より上手な運用をいかにやっていくかは考える必要がある」との見解を示した。』
えええええ、中の人が入れ替わったかのような渡辺担当相のお話でございます。暫くこのネタが止まっていました(そりゃ原資が外準の益という話だったのに円高に振れたら盛り下がるわな)けど、その間に何のお勉強をしたのか、渡辺さんのお話がこれまた恐ろしく保守的になっております。誰が教えたのか存じませんけれどもGJですな。
『(途中割愛)渡辺担当相は「3カ月もののFBを0.5%で調達しており、(運用資産との)デュレーションギャップがかい離するとやっかいな問題が生じてくる」との懸念を示した。』
デュレーションギャップが生じると問題って話になりますと株だの土地だのというデュレーションどころではないカテゴリーのものへの投資はどう考えても出来ませんな。まあこのあたりは勉強が今一歩足りないようで残念です。そもそも外準で持ってる米国債って別に短期国債だけじゃなくてもうちょっと長いもの(中期のTノートとかだと思う)も持ってまして、デュレーションギャップはそこそこ持っていると思いますよ。仮に今FB調達して米国の3か月TBを買うと金利差が100bpくらいしか無かったと思うので、為替で1円しかバッファーが無いですな。それはそれでどうかと思うが。
しかし生勉強状態(と思われる)とは言え、急にまた今まで言ってた話の真逆のような保守的な話を始めるとはある意味オソロシス。というかSWF推進を囃していた連中涙目でざまあ味噌汁。
『そのうえで渡辺担当相は、外貨準備の多くはドル建ての資産だが「日本に持ち帰ることが極めて困難な資産なので、いかにドルのままでより上手な運用をやっていくかは考えるが必要ある」との見解を示した。』
これはさっきと同じですが、いやあ勢い込んで議連作って得々と日本版SWF設立構想についてテレビで講釈していた田村耕太郎議員涙目ですな。なにせ「当面の投資先は国内限定」とか言ってましたんでねえ(笑)。
ちなみに、日本版SWF設立構想に関する悪態は
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/zatsudan07-02.html
の3月6日とか3月3日とか12月11日とか12月6日のあたりにつらつら並べておりますので、お暇な方はどうぞ(^^)。
#しかし民主党の悪口と日本版SWF設立構想の悪口しか書いてねえな
『また、外貨準備については「どういう運用がされているか発表されていないのが事実だ」とも指摘した。(以下割愛)』
うーん、これは難しい話なんですが、運用状況を公表するとポジションが巨大だけに狙い撃ちされるリスクもあると思います。特に積極運用みたいなことを始めようとするってえ話なら、公表するのも良し悪しかな、微妙なところでございますわな。
○まあ何となくリスク許容度復活というのが今のネタ
のようでございまして、木曜日に堂々BEIマイナスの落札結果になった物価連動国債の10年カレントのBEIは昨日の引けでプラス7になっておりまして、そんなにおまいら市場の物価見通し変わるのかよとか言いたくなりますが(笑)、まあネタとして2月終わりくらいから3月における「閉店の為ポジション強制クローズ祭り」がいったん片付いて退場する人は退場して再チャレンジする人は再チャレンジということで、行き過ぎたもんが修正されて来ましたねって所でしょう。先物のウルトラ独歩高も修正されつつありますし。
もっと短いところは運用難にも程があるようで、高格付けCPとFBのレートが短いところで殆どカワランチ会長というのは相変わらずでございまして、入札連発で当初はどうなるかと思われた(後出しじゃんけんで恐縮ですが、4月1日の新発CP落札結果を見た時点で運用難モードでしょうなあとあたしゃ思ってましたが^^)FBですが、今日もまた各方面からのニーズを集めて強いんでしょということで。
2008/04/07
お題「月曜に付き雑談で恐縮」
まだ期初から4営業日しかやってないのですが、結構日数が経っているような気が致します。
○言ってることがコロコロ変わって判りません(><)
すっかり忘れていた(訳では無いですが^^)日銀総裁人事ですが、週末の新聞報道などを見ますと白川副総裁が総裁というお話のようで。いきなりG7に出ろという話になったら何も知らない人が総裁就任って訳にも参りませんので候補者が思いっきり絞られるので、いやまあ左様でございますかという感じ。
でね、それは良いのですが、副総裁に渡辺財務官って人事に対して民主党様からいちゃもんがついているのでありますが、当初は財務官出身者の黒田さんや渡辺さんなら財金分離には反しないとか言ってた筈なのですが、いつの間にか論理構成が「天下り反対」になっているのはもう無茶苦茶ですな。内部の統制が効かなくなって途中からどんどん内部の強行路線に引っ張られて引っ込みがつかなくなっていくってのは確かにこりゃ昭和の軍部だわ民主党。
とはいえ、究極の後を考えない人気取りガソリン税金問題で税金元に戻すなというこれまた後先考えない意見に賛成する人が甚だ多い(開いた穴を埋めるのに何か税金取られると思うんですけどねえ)という世論調査の結果を見ますと、この国民にしてこの政党ありという事でございます。何でも文句つけて混乱させて政局にしたいのは判ったからお前らが良いと思う案を出しやがれこの馬鹿野郎という感じであります。
#しかし今急に思ったのですが、「天下り反対」ということは民主党としては日銀を財務省の下として見ているって事ですよね。民主党が政権とったら金融政策に干渉しまくるんでしょうなあその発想からすると・・・・・
○何気に運用圧力
先週は水曜から金曜まで3打席連続FB入札(水曜木曜が3か月で金曜が6か月)がございました。で、その入札結果ですが、水曜の入札では事前に入札が流れるだのニーズが無いだのという話もあったのですけど、思ったほど流れず0.58%台での決着。しかも不明札2兆円ということで、どこかでガメている人がおいでって事であっさり0.57%レベルに低下。その流れで木曜の入札は0.57%台で決着して引けは0.57%ビットとまあ期初から元気でございました。
まあそもそも論として期初からCPのレートがやたら低下してFBと殆ど同じようなレート、というか金曜なんか一部の優良銘柄ではどう見てもFBより低いです本当にありがとうございましたという状況になっておりまして、そーゆー意味では運用圧力そのものは結構あったんですよね。あたくし的には水曜の入札のときに直前に流れる流れるって話になったのが微妙に違和感あったんですけど、まあFBの場合は投資家と言っても別に持ちきりだけじゃない銀行さんの動向もでかいので、銀行さんがイラネとか言い出すと妙に弱気になったりするのよね。だから他市場も比較して見るのが宜しいのではないかと。
今週もFB3か月と2か月の入札がありますけど、ロールのない2か月がどうなるのか程度しか注目ネタが無いですわなあという感じ。期末期初のやたら深いショートファンディングも軽減されてきたようですし、まあGW越えのファンディングが意識される月末近くまで波乱はなさそうの巻でありまする。
で、長いところに関しても期初の入札では下げましたけど、その後は徐々に期初の買いっぽい動きで、木曜の物価連動国債入札後は超長期とか今まで放置プレイだったところが何となく確りしてますんで、運用圧力のほかにリスク許容度もちょっと戻ってきたのかなあとか思うのであります。期初の買いというには相場の上げがイマイチなんですけど。
○そういえば物価連動国債入札
木曜に物価連動国債の入札がありまして、前場の引けが1.37%だか1.375%だったので1.4%で止まると良いですねとかいう話だったのですが落札結果はその1.4%100円。BEIマイナス入札かよという感じでしたが、その後はちゃっかり買いが入りまして木曜の引け時点でBEIプラスに復活の巻で、金曜の引けではBEIが5bp位となっております。まあこれもリスク許容度復帰(復帰にしちゃあイマイチですけどこちらも)の巻というところで誠に結構でございます。
と、折角戻っているというのにガソリン税を元に戻すなとかいう話になりますとまたぞろCPIが0.4%くらいさがっちゃう(らしい)のでまたまた人気が離散してしまいますので勘弁していただきたく存じます。
○利下げ談義ねえ
短観とかを受けて何とかストな人たちでは利下げがどうのこうのという話が出て、モーサテでも利下げの話が出てるんですけど、市場でポジション動かしている人たち的にはそこまで盛り上がって無いんですけど。年初の株式急落の時には随分盛り上がりましたけど、何かまあ誤魔化しっぽくも米国サブプラ問題が金融恐慌的な展開にならずに済みそうという見通しになってきた時点で景気大悪化のイメージがあんまり沸かなくなってきたという事じゃないでしょうかねえ。
たぶん株価がもう一段下がると話は別なんでしょうけれども、既に平均株価で12000円から13000円のレベルって目が慣れてしまっていて、その辺をウロウロしている分にはまあそうですかねえって感じになっているような気もします。
まーそれ以前の問題として、金融恐慌的な展開がなさそうと言うことになって自分たちがホッとした為に景気に対する先行きの悲観が後退したともいえるのですが(笑)。
とまあ本日はとりとめもない相場雑談でありました。
2008/04/04
お題「須田審議委員会見/生活調査アンケート/机上の空論敗れたり」
楽天単独首位すげえええええええ。
○今更続きで須田審議委員記者会見
先週のネタを今頃引っ張り出してますが、まあ一応俺様備忘録ですから勘弁してちょ。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0803e.pdf
・日銀が今打つべき手について
日銀はどうするのですかという趣旨の質問(質問が結構面白かったのですが長くなるので割愛)がありまして、それに対して須田さんが説明してます。文章の切れ間が無くて遺憾でして、勝手に途中から切り取ります。
『従って、欧米の中央銀行の方々としっかりと情報共有して、この問題がどの程度世界経済にとって大変な問題かを把握し、それが各国経済にどれだけ影響を与えるのか、そしてそれが日本経済にどのように波及してくるのかということも含めて、今はしっかりと情勢判断する時期だと思っています。』
『リスクファクターは色々ありますが、こうした状況下では、どうしても市場は悲観的な方向へ傾くことがありますので、私としては、色々とダウンサイドリスクがある一方で、市場に織り込まれていたことがその通りにならないという意味ではアップサイドリスクもあることを頭に置きながら見ていきたいと思っています。』
やはりハト派転向ってイメージが無いのですが。
『金融政策のスタンスですが、私は今のような状況にあって、実体経済ないし物価情勢が堅調なもとで、フォワードルッキングだからということで、先行きを想定してアグレッシブに緩和政策をとるということではなく──それをやってしまうと、実体経済が悪くなったときに、より一層緩和が織り込まれてしまう可能性もあるので──、実際にある程度その兆候がでてきた時にかなり思い切った処置をとっていくということを市場と共有しておくことが大事だと思っています。』
と、やはり利下げ派っぽくないのですが・・・・・
『緩和度合いをもっと高めなくてはいけないといった時に、「もう0.5%しかないではないか」という考え方は私はとっておりません。私は、元々「今、金融政策の糊代はあまりない」という考え方には与していません。緩和政策をとらなくてはいけない状況になった時には、様々なことを考えていきたいと思っています。』
と、ここの部分の発言を切り取られて相場が瞬間反応していた気がする。全体を通してみると、結局の所ハードデータが相当悪くなってこないと利下げにならなさそうなんですが。
・まあこの辺も反応した部分ですね
0.5%の利下げ余地以外にやる事あるんですかという質問に対しまして。
『私どもはずっとこれまで、非常にデフレスパイラルに陥るリスクがある状況のもとで様々なことをやってきました。それを参考にしながら様々なことが考えられると思っています。具体的にどうこうということではなく、また、その時になってみないとどういうものが良いかは申し上げられませんが、過去の経験は今後、何かやらなくてはならない時に参考になると思っています。』
・生活関連物価が上昇する中でコア物価は上昇しない件について
須田さんの現状認識についてはまあアグリーかなあ。
『私自身は、特に食料品の価格については、これから先、代替エネルギーという部分もありますし、また、生活水準が上がる国民が海外にたくさんいる中では、上昇していく可能性があると思っています。そういう意味では、生活関連財の価格は今後も上昇する一方、その他の財・サービスの価格が余り上がらないという状況で、一般ないしコアの消費者物価はあまり上がらない、しかし生活関連財は上がっていくという状況が続く可能性がある程度はあると思っています。』
で、どうするのかという話。
『そうした中で、金融政策をどうするかということに関してですが、まずインフレ予想という部分については、生活に関わる国民は生活関連財の価格でインフレ予想を立てますので、国民のインフレ予想は一般物価をみているマーケットの人達よりも高いというギャップが存在します。そうした中で金融政策をやることの難しさを、今回BOEの例を挙げてお示ししました。つまり、インフレのターゲットは守っていても、生活関連財の価格が上がっていると、それに対して中央銀行がちゃんと仕事をしているという国民の思いがだんだんと下がっていくことが示されているわけです。』
昨日引用した講演(挨拶)要旨のとおりですね。
『そしてそれに対しては、今回、日本銀行のスタッフの分析例を挙げましたが、やはり中央銀行がしっかりと金融政策について物価安定を持続していくのだということを示すこと、生活関連財の価格の上昇ペースがこれから先どんどん上がって、インフレが高まっていくと思わなくて良いように、常に語りかけて、私どもは物価の安定を維持しますと語っていくことによって、国民に不安感をもたらしてマインドを下げ、消費を下げるという事態を減らすことができるのではないかと思っています。』
ただまあ消費マインドが下がっているのはインフレ期待と所得が上昇しない上に社会保険等の負担が増している(のは去年の話でしたが)点の併せ技でございますと思う次第でして、インフレ期待どころかデフレ期待が起きるとそれはそれで買い控え傾向とかになるのではないでしょうかと単純に思うのでありますが。適度なインフレ期待があった方が宜しいのでは。
『それから、基本的には金融政策を考える上では振れを均しながら、ということでコアの消費者物価をみていますが、いま申し上げたように、一次産品価格がトレンドをもっていくかもしれないという時には、コアだけをみるのではなくて、総合もみながら、あるいはコアコアもみながら、トレンド、基調はどこにあるのかということをしっかり判断しながら政策をやらないと、経済全体でみた真のインフレ率をみながら政策をするということができなくなってしまいますので、気を付けてやっていきたいと思っています。』
生活関連財の振れが大きいからなんですけど、正直言って物価統計で出てくる数字って上にも下にも小さめの数字が出ているような気はするんですよね。
ということで、ヘッドラインではハト派転向っぽく見えましたが、やはりインフレタカ派のようでありますな。
#遅くなりましてスイマセンでした
○生活意識アンケート
ここのマインド数値はよく振れるのでオモロイというか何というか。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/ishiki/ishiki0804.pdf
・収入は減るわ支出は増えるわ
また二極化進行なんでしょうかね。16ページ目にございますけど。現状認識に関しては前回調査とあまり変っていないのですが、先行き見通しが悪化してまして、実態は兎も角マインドが悪化しておりますって感じです。勝手な想像をすると二極化がまた進行してるとか、所得に関しては現実問題として人手不足なので実際はそんなに下がってないとか、支出に関しては代替物で回しているので、現実の数字はあまり増えないけど質が変化してるとか、そんな感じなんでしょうかね。以下引用。
(上記URLの16ページから引用、()内は前回調査数値)
Q7. 1年前と比べて、あなたの世帯の収入はどう変わりましたか。
1 増えた7.2 ( 7.7 )
2 変わらない47.4 ( 47.0 )
3 減った45.2 ( 45.0 )
Q8. 1年後のあなたの世帯の収入は、現在と比べてどうなると思いますか。
1 増える5.6 ( 6.3 )
2 変わらない53.5 ( 53.5 )
3 減る40.5 ( 39.7 )
Q9. 1年前と比べて、あなたの世帯の支出はどう変わりましたか。
1 増えた42.1 ( 42.4 )
2 変わらない33.9 ( 35.1 )
3 減った22.7 ( 21.3 )
(引用終了)
・物価の巻
(18ページより引用、一部省略)
Q13. それでは、1年前に比べ現在の「物価」は何%程度変わったと思いますか。
平均値:+7.6 ( +6.3 )
中央値:+5.0 ( +5.0 )
Q15. それでは、1年後の「物価」は現在と比べ何%程度変わると思いますか。
平均値:+7.6 ( +6.3 )
中央値:+5.0 ( +5.0 )
(引用終了)
まあニュースではだいぶネタになってましたけど、数字で出される部分に関しては12月時点の数字(が高かったのですが)とそんなに変っていないのであります。
まあこれ色々読むと面白いのでチェック推奨。
○机上の空論敗れたり
また人のふんどしですが。
http://hongokucho.exblog.jp/8303184/
昨日の日経新聞で記事になってましたけど、金融庁がスコアリングモデルの推奨を取り下げたようで誠に結構。で、このスコアリングモデルなんですけど、話が出た時に既に市井のあちこち(というか金融関連のネットで書き書きしてる金融現場の人たちですが)から「いやそのりくつはおかしい」という指摘が出てたのですが、何せ当時は日本の銀行は遅れていてケシカランとかシバキアゲが必要とか、米国様の先進的な手法を学ぶべきだとか、もう米国帰りのMBA持ちコンサル様およびそのイタコにでもなったかのような人たちの声がでかかったもんで。
例えばね、ただの自慢かもしんないけど、あたくしだって金貸しの手先をやってた事があるんで、スコアリングモデルの推進とかの後、中小企業対策でリレバンとか言ってたのがアホラシスと思ってこんな事をかいてましたんよ。
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/fsa04.html
(ここの2004年12月29日のあたり)
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/fsa03.html
(この時期は全面的にそのあたりの話になってます)
もっとまえにも書いてたのですが、それはまだサイトにアップしてないのでスイマセン。
で、上で書いた頃の文章にはないですけど、スコアリングモデル推進の話が出たときに「そもそも日本の中小企業は税制等の関係から企業に内部留保するよりも代表者の個人に収益を還流した方が有利になるので、企業の内部留保はすっからかんだけど代表者はちゃんと資産持ってるというのは普通に存在するのですよね。そんな企業でスコアリングがどうのこうのと言われましても・・・」ってな話をしておったんですよね。まあ既存の銀行ならそうは言っても無茶な融資には銀行員的な常識が機能してブレーキが掛かったんでしょうけれども、新銀行ではそれもままならなかったという事でしょうか。
都銀が鳴り物入りで始めた無担保ビジネスローンとか、アウトバウンド営業とかも最近めっきり話を聞かない(というかビジネスローンなんかは撤退してる所も多かったと思います)ですなあということで。
で、本事案とは話が違いますが、先般こんなニュースも。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080319AT2C1801O18032008.html
(どうせ来月の今頃はリンク切れなので)上記記事より。
『新銀行東京、無担保・無保証融資を廃止』
『経営再建中の新銀行東京(東京・千代田、津島隆一代表執行役)は4月以降、無担保・無保証融資を原則廃止する。2005年の開業当初から、中小企業の資金繰り対策として看板に掲げてきたが、不良債権の急増で継続が困難と判断した。今後は担保や保証が付いた融資を中心にする計画。(以下割愛)』
連帯保証人制度を廃止しろとか(ま、昔よくやってた「包括根保証」ってのはどうかと思いましたが)、担保や保証人に依存しない融資をするのが素晴らしいとか言ってた連中オラオラ出て来いやって感じでございます。そりゃまあ担保価格から逆算して金貸すんじゃアホウですけど、担保や保証人(聞いた話ですけど、最近は限定根保証か特定債務保証が推奨なんですよね)というのは、預金者様からお預かりしている大切な貸出原資を保全する為の補完として重要でございますよって思う次第であります。
まあ机上の空論が撃破されるのは結構なお話ですが、問題はこの撃破までに費やしたコストでございまして・・・・・・(-_-メ)
#あ、物価連動国債入札の話が抜けてしまった(汗)
2008/04/03
お題「須田審議委員講演続き:インフレタカ派っぽいのですが」
ガソリンスタンド身を切るセールス中。何てこったいと同情の念に耐えませんですが、そういえば北ハマー先生が以前ボログでゴールドマンサックス証券の決算に言及して同社を褒めてましたが、GS違いで砲撃するとはオソロシス。
今月末にガソリンをポリタンクで保管して火事を起こすアホウが出て何故か政府与党がマスコミに叩かれるに1万ジンバブエドル。
てな与太話は兎も角、昨日の続きで暫く前の須田審議委員講演の後半部分から。
○当面の金融政策運営に関して
どう見てもインフレタカ派です本当にありがとうございましたというお話の続きに『当面の金融政策運営に当たって』という部分がありまして、その部分がフラッシュで打たれてハト派的な印象を与えましたなという感じです。
てか、あたしゃこっちの方が頑張りますなあという感じを受けたんですけどね。
『現在の金融環境が、零細企業や格付けの低い企業などのファイナンスには気になる点もあるものの、全体として極めて緩和的な状況にあることを踏まえますと、これまでどおり利上げを意識するのが自然です。』
まあ市場は全然意識してませんが。で、この後がヘッジクローズになるのよ。
『ただ、現時点で私は2008年度の経済見通しは下振れる可能性が高いと思っていますし、現在は、金融資本市場が一段と不安定化する中で、先行きを見通すには霧の濃い状態にありますので、上下双方のリスク要因を、予断を持つことなく丁寧に点検する時期だと考えています。』
ほほう。
『引き続き各国中央銀行と連携を取りながら、市場動向や経済に与える影響等について全力をあげて調査・分析を行い、日本経済が「中長期的な物価安定の理解」に照らして物価安定のもとでの持続的な成長軌道を辿る蓋然性が高いかどうか確認した上で、それに応じて適切な政策判断を下していく所存です。』
『不確実性の高い中では、情勢を見極めながら漸進主義で臨むことが適切だと考えていますが、機動的かつ柔軟な対応が必要な状況かどうかについても、常に意識しておきたいと思っています。』
と、後に来ると機動的な利下げをしそうな流れに。しかも最後の一文には脚注をつけていまして、この脚注がなおアレでございます。
『私の政策スタンスに近いものに、翁邦雄・木村武・原尚子「『デフレへの保険』を考慮した金融政策の枠組み」(日本銀行ワーキングペーパーシリーズ、No08-J-6、2008年2月)があります。この論文では、「不確実性が極めて大きい状況下では、リアルタイムでは実現不可能なほど思い切った金利引き下げを行い低金利維持にコミットすることや、信認が得られないような高めの目標インフレ率設定ではなく、ある程度デフレリスクが顕在化した段階では、通常の政策ルールを逸脱して思い切った金利の引き下げを行う(ただしデフレリスクが遠のいた時点で遅滞なく通常の政策ルールに復帰する)という中央銀行の行動方針を表明し、そのことについて市場参加者の信頼を得る、ということであると考えられる」と述べています。』
ということで、ちょっと読むとこれは物凄い勢いで直ぐに利下げしてくれそうなのですが・・・・
あたしゃここを「ある程度デフレリスクが顕在化した段階では」てのが曲者だと思うんですけど。利上げロジックの中では「顕在化してないけど将来発生した場合にエライコッチャになるリスクにも注意して金融政策を検討(意訳^^)」って論理展開してると思うのですけど、ここを読みますと、利下げの時はリスクが顕在化しないとドカンと下げないという結論になるような気がするだよ。毎度お馴染みの非対称的攻撃ですかそうですかって気がしたのは気のせいでしょうか。
○原油高と金融政策
という見出しから始まる文章で今回の講演の後半3分の1が使われておりまして、話のテーマはご存知のとおりこういう点でございます。
『金融政策は物価と経済成長を両にらみで行うのが一般的ですが、それらが政策目標に対して逆方向に動いている場合、極めて難しい政策対応を迫られます。以下では、そのような状況における金融政策のあり方について、考えてみたいと思います。』
ということで、まず最初は物価指数は何を見るべきかという話になっていますが、結論的には「コアを見るべきだが、コアと総合(ヘッドライン)に持続的な乖離があるときは総合も見た方が良さそうですね」って所になるようです。で、日本の場合はコアコアはイマイチでございますなあという話も。以下引用です。
『国民にとっての物価としては、消費者物価、しかも消費する財をすべて含んだ総合指数で考えるのが基本です。(途中割愛)インフレターゲットを採用している国の多くも、総合指数を採用しています。ただし、総合指数は、生鮮食料品等が天候要因によりかなり変動しますので、政策判断の際には、振れの激しい生鮮食料品を除いたコア指数でトレンドを把握するのが適切だといえます。(途中割愛)ミシュキンFRB理事は、原油価格にショックが発生した際、コア指数と総合指数のどちらに金融政策を対応させる方が失業率を抑えることができるかシミュレーションを行った結果、金融政策はコア指数を安定化することに焦点を当てるべきと結論付けています。』
『図表14によれば、コア指数と総合指数との乖離が上下に分散しており、日本ではコア指数がやや長い目でみれば、総合指数をよくトレースしていると言えそうです。他方、コアコアの場合は、コアほどにはトレースできていません。』
ということで、米国だとコアコアも良いけど日本ではまた話が別なんじゃないのって指摘もございますな。
『問題は、コア指数と総合指数の乖離に持続性がある場合です。事実、日本ではコアコアと総合、米国ではコアと総合との間に、数年タームではかなり持続的な乖離がみられています。現在のように、ガソリンや食料品といった生活必需品の価格が持続的に上昇しているような局面では、コア指数を対象とする政策を採ると、金融政策の判断が誤っているのでは、との批判が高まる可能性があります。FRBがFOMCメンバーの予想インフレ率をコアだけでなく、総合についても公表することとした背景には、こうした批判への対応という意味もあったようです。』
次が国民のインフレ実感と基調インフレ率のギャップについてです。
『次に指摘しておきたい問題点は、国民の実感としてのインフレ率と、政策当局が政策の対象としている基調インフレ率とのギャップです。国民のインフレ実感は、消費者物価全体よりも生活必需品の価格によって影響される傾向があります。図表8にありますように、エネルギーや食料品を含む購入頻度の高い商品の価格指数はかなり上昇しています。国民のインフレ実感は高まっており、それは日本銀行や内閣府のアンケート調査からも窺えます。』
で、英国の例を出しております。ほほう。
『英国ではインフレ目標の対象となっているCPIに住宅コストが十分反映されていないため、たとえCPIがインフレ目標を達成していても、国民には不満があるようです。2月のインフレーションレポート公表時のキング総裁の記者会見では、人々のインフレ予想が上昇している背景に、CPIをインフレターゲットの基準としている一方、人々は生活水準に関心があるため、生計費の上昇を反映しているRPIXを重視しており、両者間の格差が拡大していることがある、という指摘はわかると述べています。実際、図表16にみられるように、BOEはインフレ目標をほぼ達成していますが、インフレ・コントロールの仕事振りに対する満足度は、総合インフレ率RPIXの高さに反応して、最近低下しています。』
まあ何となく判らんでもない話でありますな。
『このようなギャップにどう対応したらよいのでしょうか。日本においては、2006年に入ってから予想インフレ率が上振れていますが、日銀スタッフの分析によると、家計が日銀の活動に関心があるほど、また日本銀行に対する信頼が厚いほど、予想インフレ率の上昇が抑制されるという関係がみられるとのことです。つまり、家計の予想インフレ率を低位安定化させるためには、金融政策について国民の関心と信頼を高めておくことが必要ということです。そのためには国民との対話が重要であり、日本銀行が日々どのような考え方で金融政策を行っているのか、わかりやすく丁寧に説明していくことが我々に求められています。』
ふーん、それは信頼というよりは・・・・いやまあいいんですけど。
○予想インフレ率の安定化が必要というお話
で、このコーナーは予想インフレ率を安定化させることが重要という話になってまして、最後の結論部分を引用します。
『インフレ予想が高まれば、政策金利を引き下げても長期の資金調達コストは低下せず、景気刺激の重要な経路のひとつが奪われてしまうことにもなります。積極的な緩和策が有効となるには、インフレ予想が安定していることが前提になります。』
『そのような政策が必要以上に人々のインフレ予想を上振れさせれば、その後継続的なインフレと、より深いリセッションを引き起こす可能性もあります。こうしたことのないよう、中央銀行はインフレリスクに対する警戒を常に怠るべきではなく、人々のインフレ予想に不断に働きかけておくことが、信認獲得・維持のためには重要です。わが国の場合、海外に比べればまだインフレ率は高くはありませんが、長い目でみれば日本についても同じだと思っています。』
ということで、やはりインフレタカ派な結論になるのでありました。で、前に戻って日本の現状に関する部分のお話ですが、インフレ予想の高まりに早くも警戒をしてそうな流れっぽく読めてしまいますが。
『ひとつの鍵は予想インフレといえるかもしれません。たとえば、原材料価格上昇にもかかわらず期待インフレが高まらず、その結果価格転嫁もできず、また物価も上昇しにくいという場合には、交易条件悪化によるマイナス効果が経済成長により強くでることになります。こうしたケースでは、金融政策を緩和的に運営することが望ましい、ということになるでしょう。』
『実際、日本では、原油や食料品をはじめとする一時産品の価格高騰が、企業収益や個人消費に悪影響を与えるとの見方が多く、利上げ論が出てこないのは、インフレ予想が上振れないことが前提となっているからかも知れません。しかし、資源価格の持続的な高騰や生活用品の値上げをうけて、家計の予想インフレが高まっています。このもとで価格転嫁が進み、名目賃金の引き上げを伴いながら物価が上昇するということも考えられます。この場合には、引き締め気味の政策運営が望ましいといえます。原材料価格の上昇が継続すると想定される場合も同様です。』
とまあそういうことで、インフレ予想が上振れないことに関しては結構気にしてるのねって所であります。
てな訳で、この講演(挨拶要旨)を見てると「須田さんハト派転向」とは読みにくい(さすがに目先利上げの話はしないと思いますが)と思うのでありますが、どないでしょ。
#引用ばかりで長くなるわ、記者会見スルーするわで正直スマンカッタ
2008/04/02
お題「短観とか須田審議委員講演とか」
10年入札流れましたね。やっぱ期初に長期債の入札ってのはちと無茶だったのではないでしょうか。
○まずは短観
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/tk/gaiyo/tka0803.pdf
真面目に読むのは本職のお方にお任せでして、いつものチェック。
・業況判断DIの達成度合い
12月調査時点での先行き見通しがどのくらい達成出来ているかという話ですが、前回調査では実は見通しが達成できてたのですけれども、今回は年初から予想の斜め上を行く金融市場の展開でありましたので、まあ当然の如く達成できていません。
(12月時点) (3月時点)
現状→3月予測 現状→6月予測
製造業大企業 +19→+15 +11→+7
製造業中堅企業 +10→+6 +5→▲3
製造業中小企業 +2→▲3 ▲6→▲9
非製造業大企業 +16→+15 +12→+13
非製造業中堅企業 +2→▲3 ▲3→▲6
非製造業中小企業 ▲12→▲17 ▲15→▲21
これをまあ「あれだけ株安円高(というかドル安ですが)進行したのにこの程度の悪化ですか」と読むのか、「先行きの悪化が随分増えてマインドが益々ダメダメですねえ」と読むのかはあたくしよく判りませんですけど。
・雇用判断
毎度毎度不足感が拡大するという雇用判断はどうだったでしょうか。
(12月時点) (3月時点)
現状→3月予測 現状→6月予測
製造業大企業 ▲7→▲7 ▲7→▲7
製造業中堅企業 ▲8→▲12 ▲7→▲8
製造業中小企業 ▲3→▲7 ▲3→▲3
非製造業大企業 ▲20→▲22 ▲20→▲19
非製造業中堅企業 ▲13→▲18 ▲14→▲17
非製造業中小企業 ▲11→▲12 ▲9→▲9
ほほう。さすがに不足感拡大が一服してますね。それよりふーんと思ったのは、先行き予測の不足感が毎回概ね拡大していたのが、今回はざっと見て拡大って感じじゃなくなっているように見えるところ(特に非製造業大企業が先行き予測で不足感縮小に転じていますわな)であります。いつまでも続くと思うな就活楽勝モード。
・毎度笑える証券業の業況判断
前回12月調査では9月時点での先行き見通しが+23になるという数値(ちなみに9月の現状は▲30)という大本営発表にも程がある予測を出しておいて12月の現状判断が▲26という素晴らしい実績。毎度毎度3か月先のてめえらの業況見通しがここまで大外れする業態というのも珍しい次第でありまして、いかにこの業界が(以下激しく自主規制)。
(12月時点) (3月時点)
現状→3月予測 現状→6月予測
証券業 ▲26→+4 ▲55→▲15
いやはや何とも申し上げようがございませんですが、一つ希望があるとすればとうとう先行き予測がマイナスになったことでありますか。と言っても先行きが現状から40も改善すると言う引き続き寝言は寝て言え状態であることには変化が無いのが落涙を禁じ得ないところです。まあ先行き下向きになってくれないことにはちょっと安心できませんけど、マイナスはマイナスなんですこしは灰汁抜けが近くなってきたのかも知れませんな(笑)。
なお、本職の人は設備投資計画を注目しておりますので念の為(^^)。
○須田審議委員講演(遅くなりました)
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0803b.htm
27日の講演ですので今更証文の出し遅れですいませんすいません。期末の相場フォローが忙しかったもんで。で、例によって気が遠くなる長さなので、たぶん明日に続きます。
・日本経済が見通しよりも下振れているポイントについて
『昨年9月の金融経済懇談会時点で述べた私の見通しに比べますと、住宅投資については概ね予想どおりでしたが、その他の点に関しては、金融資本市場の脆弱性の高まり、米国経済の下振れ、原材料価格の一段の高騰とそれに伴う賃金・企業収益やマインドの悪化など、以前から指摘していたダウンサイドリスクが予想以上に顕在化したとの印象です。以下では、そうした点のフォローアップから始めたいと思います。』
で、9月からの比較という話になっているのでその辺は読むときに注意しないといけないんですけど。まずは米国サブプラ関連。
『9月の金融経済懇談会の時点では、住宅金融会社のファンディングやLBO案件の資金繰りに関するポジティブな情報が聞かれたほか、CP発行残高の減少ペースにも歯止めがかかりつつあったこと等から、引き続き警戒を怠るべきではないものの、サブプライムローンを含む証券化商品のリプライシングにある程度目途がたてば、もともと投資家のリスクアピタイトは旺盛でもあり、いずれクレジット市場の正常化は進むだろうと考えていました。』
『しかしながら、この問題が金融機関のバランスシート・資本不足問題にまで深刻化してきたことは、想定外の展開でした。足もとでは広範な資産の圧縮が金融機関やヘッジファンドによって行われており、市場機能がかなり低下している状況となっています。』
んでまあその説明が延々と続くのですがそこは端折りまして。
『このような国際金融資本市場の動揺は、再評価された価格にある程度市場が納得し、不良債権額の拡大ペースに歯止めがかかる、つまりその根本問題である米国の住宅市場調整に底入れ感がでてくるまで、なかなかおさまらないかもしれません。市場動向には今後ともしっかり注視していく必要があります。』
『昨年10月の展望レポートの中で、米国経済に関し、「住宅市場の調整が一段と厳しいものとなった場合や金融資本市場の変動の影響が予想以上に広範なものとなった場合、資産効果や信用収縮、マインド悪化などを通じて、個人消費、設備投資が下振れ、米国景気が一段と減速する可能性も考えられる」と、下振れリスクを指摘していたわけですが、現在、そうしたリスクの多くが顕在化したとみることができます。』
『昨年9月時点での私の米国経済に対する見通しは、当時の市場の平均的な見方に比べて慎重なものだったのですが、昨今の金融市場や経済情勢に鑑みると、足もとの成長率はその9月時点の想定に比べても下振れているとみておいた方が良さそうです。』
ということで米国経済に関しては慎重ではあるのですが、さっきも申し上げたように比較対象が9月なんで割り引いて読む必要がありますわな。
で、続いて新興市場の話をしてますが、これは先日来ほかの審議委員が指摘している「全部が全部カップリングしている訳でもないですし、全部が全部デカップリングしている訳でもないですよ」という話が基本になっていますな。で、次は物価上昇の中小企業への悪影響に関して。
『また、一次産品の価格上昇は中小企業の収益や景況感にも影響を及ぼしています。すなわち、中小企業では、原油や食料品をはじめとする原材料価格の上昇を販売価格へ転嫁するのが困難なうえ、改正建築基準法の影響等もあって、景況感が昨年後半以降目立って悪化しました。こうした中小企業の収益押下げ圧力の高まりと、マインドの急激な悪化は、彼らの賃金抑制姿勢を一段と強めるとともに、設備投資の増勢鈍化に繋がった可能性が高いとみられます。(途中割愛)こうした動きが、生産・所得・支出の前向きの循環メカニズムのペースを弱めた可能性があります。』
ということで、この辺はまあ公式見解ベースですわな。
・先行き見通しに関する須田さんの見解
『以上の考え方の下で、日本経済の先行きについて、私なりの見通しを述べたいと思います。1月の中間評価では、2007年度の成長率は一時的に潜在成長率を下回ると下方修正しましたが、その後公表された経済指標等をみますと、2007年度の成長率は潜在成長率以下にまで落ち込まない公算が高まっています。しかし、足もとでは、米国経済の成長が予想以上に鈍化しており、さすがにわが国の輸出への影響が否めないことに加え、生産が横這う下で改正建築基準法の影響や個人消費の増勢鈍化等も窺われることから、私としましては、2008年度の成長率は、潜在成長率並みのレベルまで下振れる可能性が高まったとみています。』
えーっと、潜在成長率並みのレベルまで下振れるということは実質GDPが1%台半ばの成長という話だと思うんですけど、それって結構強気じゃないでしょうかと思うんですが・・・・・多分市場コンセンサスはもうちょっと低いと思うんですけどあたくしの勘違い?
んでまあ項目展開してる部分は思いっきり割愛してその部分の最後を引用致しますと・・・・・
『次に、以上の見通しに関するリスク要因を指摘しておきたいと思います。私どもでは、金融政策を行う立場から日本経済の先行きを見通しています。金融政策はその効果が出てくるまで半年なり1年なり、ある程度の期間を要しますので、見通しもそうした先行きの姿を念頭においておく必要があります。我々の見通しが、ときに楽観的と受け取られることがあるとすれば、我々が目先の動きにとらわれるのではなく、トレンドとしての日本経済のパスを想定しているからです。もちろん、足もとのデータを全く無視しているということではありません。その時点時点で利用可能なデータを全て利用し、企業の皆様からのお声も拝聴しながら、上下双方のリスクを慎重に検討した上で、経済の先行きを的確に見通す努力をしています。これから述べるリスクも、そうした作業の一環として検討したものです。』
うーむ、一応市場コンセンサス比楽観的見通しになっているという認識はあるんですね。いやまあ市場コンセンサスが正しいかと言えば、何せ証券業の業況判断DIがあの有様ということですから別にアテにはならないというのは事実でございますけど(^^)。
んで、その先行きリスクが2項目ありまして、『(海外経済金融情勢に関するリスク)』と『(インフレリスク)』ざます。で、インフレリスクでどんな話をしてるのやらということですが。
『米国では、潜在成長率の低下、賃金高止まりという物価上昇圧力がある中で、FRBは、TAF(Term
Auction Facility)をはじめとする各種流動性対策に加え、FF金利の誘導目標を6度に亘り引き下げました。こうした積極的な政策対応は、金融機関の損失拡大やバランスシート問題がシステミックリスクに発展することを防止するためであり、また金融資本市場の不安定化や与信姿勢のタイト化が実体経済に及ぼす悪影響を緩和するためのものでした。』
『ただ、その一方で、こうした一連の緩和策がドルペッグ制を採用している産油国等を巻き込みながら、グローバルな金融緩和に繋がっていると思われます。その結果、先ほど述べましたように、米国内の景気はスローダウンしているにも拘わらず、潤沢な資金がコモディティに流入することにより商品市況が騰勢を強め、さらにドル安がそれに拍車をかけるといったディレンマが発生しています。(説明部分思いっきり割愛してますスイマセン)金融環境はグローバルに緩和的な状態が続く上、引き続きインフレが上振れやすい環境であることに間違いはありません。』
『わが国でもインフレリスクが全くないわけではありません。これまでのところは、CPIコアコア(除く生鮮・食料品・エネルギー)の前年比は依然としてゼロ近傍で推移していますが、エネルギー価格や食料品価格の上昇が思いのほか長引けば、人々のインフレ予想が徐々に上方修正され、ヘッドラインに引っ張られる形でCPIコアコアも次第にプラス幅を拡大させていく可能性があります。今後とも、インフレリスクに対する警戒は怠るべきではないと考えています。』
どう見てもインフレタカ派です。本当にありがとうございました。
・・・で、金融政策はどうなるのかの話と記者会見に関しては明日。
2008/04/01
お題「ひたすらオペ雑談です」
須田審議委員の講演ネタが後回しですいません。期末の話は今書いておかないとすぐ忘れちゃいますんで。
○結局ロンバート1000億円ぽっち
昨日も朝っぱらからGCのオーバーナイト(末初取引)は延々と74bpのオファー(資金の取り)が続くの巻。いやまあ75だとロンバートだから74希望というのはワカランでもないですが・・・・で、9時20分の即日本店オペが1兆5000億円で応札限度5000億円の結果が0,741/0.74の77.8%按分。応札が3兆8739億円でしたので2兆ほど募入にならなかった札がありますと(下の冷やかし札がどのくらいあったのか知りませんがそれは割り引く必要あり。為念)。
まあそれは良いのですが、オペ終わっても相変わらずGC末初が74のビット並ぶの巻で、12時50分に追加の即日本店オペ1兆5000億円実施。この結果が73.3/73の73按分100%だったのですが、意味が判らん事にそのオペが終わってもGCに74のオファーがあったのは何だったんでしょうか。
いやあのGC74でビットするくらいならオペで74入れりゃ最初のオペでも入れた札の7割入ってたし、次のオペでは必殺だったんですけど、どうも何考えて(多分何も考えてないのではという疑問が)いるのか訳判らん動きをする人がいますなあという感じでありました。それでも日銀がオペで何とかしちゃうってえのは別に今の国内インターバンクって非常時でも何でもないし、そもそも物をちゃんと考える人だったら期末ギリギリまで(その意図はないんでしょうけれども)寝転がらないでしょと思うのですが・・・・
どうにも量的緩和時代が長かったせいか、金利がある時代に生きてた人からすると良く判らんですなあという感じで。
まあそれは兎も角として、至れり尽くせりの日銀オペ様のせいで、昨日のロンバート実行は1000億円(速報ベース)ぽっちと相成りました。積み上は2回のオペで5兆円近くになっていた筈。いやあ大変優しいオペですねえ(棒読み)。
○昨年との比較
昨年の3月末はどうだったかと申しますと、30日当日は2兆7800億円のロンバート実施。即日本店オペは1兆円朝のオペで1本実施でオペ実施後の積み上が2兆7000億円(この時は積み終了先がいて30日に積み終了先の残高が積み上がったので正直ワケワカラン所があるのですが)とか。コールは終日しっかりで末初の加重平均は71.5だったんですが、あたくしの手元メモを読み限りレポレートが波乱になった感じはないですね。
ついでに申し上げますと、今回の資金供給って3月最終週(というか先週)になって急にシャカリキになって期末越えの供給をした感じですが、昨年はその前の週初(19日)に「バーゼルU導入絡みで無担保コールの取り意欲が強くなる」って話で末初レートがいきなり上昇して1.5%が出合ったりしたんですよね(もっとどうでもいい話ですが、この時は10年カレントが1.575%だったので「長短逆転記事」が出なかったのでしょうか、笑)。で、それを受けて19日の週から淡々と期末越えのオペを打ってたんですけれども、今年のオペより全然頻度少ないです。
一方で今年のオペって(期末越え金利が上昇しだした)17日の週に行ったものって本数は多いのですが期末越えない足の短いのが多くて、またロールでバカバカオペを打たないといけないという流れに。昨年の3月19日の週に打ったオペは供給8本で即日1本に短国買入1本。残りの6本中期内に落ちるのが1本。一方今年の3月17日の週に打ったオペは供給14本で即日4本に短国買入1本に輪番1本。残りの8本中期内に落ちるのが3本。即日オペは翌日物ですので、そこまで勘案すると昨年の2本に対して今年は7本ですな、足の短いものが。ということで何か多忙っぷりが目に付きます。
○いやまあロンバート出るのが困るっつーのも判らんでもないですが
で、先ほども申し上げたように、昨年は末にきっちりロンバートが2兆7800億円出たのですが、今年は1000億円ぽっちしか出ないの巻。それだけオぺを至れり尽くせりということでありまして、これじゃ何のためにロンバートがあるのか良くわからんお話ですなあという感じであります。
いやまあ昨日も悪態つきましたように、どうせロンバート実行が増えると「貸出ファシリティにニーズ殺到」とかいう話になって「日銀のオペレーションがヘボだからインターバンクが混乱した」とか言いがかりをつけられるって話なんでしょと思うのですが、たぶんそれって(これまた昨日と同じですが)短期市場にいる皆様誰しもが思うことでありまして、それを見越して寝転がり(意図してるのと意図してないのと両方とも)が横行しちゃいましたってのが期末の動きだったんでしょ。
いやあ何も考えなくても日銀が至れり尽くせりのオペをやってくれるなんて楽でいいですねえ、というかそうしないと回らないほど短期というか資金のところって人材が払底してるんですかねえ。。。。そんな筈はないと思うんですが。
○またも人のふんどしコーナー
という期末の動きに関して既に本石町日記さんがエントリーを上げているのですが、そこにまたもコバンザメのように便乗しますすいませんすいません。
http://hongokucho.exblog.jp/8279844/
コメント欄の見事な過疎っぷりに全あたくしが泣きました。というのはともかくとして(^^)、本石町日記さんの「そんなにオペ打つならロンバート下げちゃえば」というのは別の言い方ですけど、期末に向けたオペの打ちまくりがマーケットをオペ依存症モードにしてませんかっていう指摘に繋がりますよね。あたしゃ本邦で別に信用収縮がどうのこうのという話ではないので、逆にオペ依存症防止の為にロンバート上げちゃえばって(少々暴論でありますので念の為)話をする訳ですが、まあ根っ子にある現状認識は似てますねって所で(^^)。
そうそう、過去の当座預金増減明細日足と、オペレーションの実績は下のURL先でございますのでご参照ありたし。こういう資料が充実しているのが日銀サイトの良い所であります。階層構造が複雑で探すものを見つけるのに相当の慣れが必要なのと、サイトリニューアル前のURLがリンク切れになっているのが誠に残念ですが。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/menuold.htm(過去の当座預金増減要因明細)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/menuold_o.htm(過去のオペ結果)
(オペ結果に関しては何時に打ったかまでは残念ながら判らないのですが、オペオファー分はオファー順に並んでいるので、イレギュラーな時間に打ったものは順序とスタートの決済時間を見ればある程度は予想つきます。結局は記憶とメモがないとダメですけど)
ということで、本日も一部の人しか何の事やらワカラン話を延々と繰り広げるという読者を減らすような行動をしておりますことを謝罪しますが賠償は致しません。