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2008/03/31

お題「さて期末です」

バブルの頂点から日米株価比較のグラフを引っ張り出し、米国は国策が出来ていると言うのに最近また日本株が下がっている日本はケシカラン金持ち優遇せよの強欲ポジショントークを聞かされた次のコーナーで「今の株安は日本株離れではなくて株離れ(質への逃避)」という解説が出てきたのには朝から茶を吹きました。モーサテいいセンスしてるじゃん(^^)。

しかし週初が月末期末というのは調子が狂いますわな。

○ああ寝転がり

金曜の末初取引ですけど、レポGCは相変わらずオファーが残っているようですが、そもそもロットのビットが無いのでどうなっているのやらという感じ。まあお高めなのかねえとか思っておりましたらご丁寧にも31日スタートの国債買現先1兆円オファー。4月4日エンドで0.645/64という結果。この時間帯では4月4日までのGCレートは60割れでしょという話になっていたこともありまして、末初レート75で計算すると平均ベースで1日から4日までのレートが61となるので、やはり高めの結果。

で、なおご丁寧にも午後になると31日スタート2日エンドの共通担保オペ1兆円実施。しかもこちらのオペは応札限度が5000億円になってまして、まだ寝転がりクンが取れてないのかよという感じであります(寝転がっているのだから取らないのかもしれませんが)が、こちらの落札結果は71.3/70となりまして、1日から2日のGCが概ね60といった所ですので、どう見ても末初レート80台です本当にありがとうございましたという結果でございました。いやはや何とも。

これだとまあ本日のオペとかどうなるんでしょと思うのですけれども、まあどうせオペやらなかった場合に寝転がりの人がロンバートに行って、その挙句に「期末の資金供給が消極的だからロンバートに殺到することになり、日銀のオペが稚拙でケシカラン」とか言い出す人が出るんでしょうなあって考えるのがまあ普通の発想でありまして、朝方コールが高けりゃまたオペ打つんでしょうねってイメージが。まあしかしそれって結局足元見られてますなあっていう感も致しますが。


何か寝転がりの影響で期初入りしてからの足元にも不足感が出てしまいまして、金曜には1日スタートのCPが少々発行されましたが、何故かレートが期越えとあんまり変らない状態。いや長いのはまだ判るんですけど短いのも妙に高止まりしてまして、約定と受渡が期末期初を跨ぐので微妙に買い難いから札が集まらないという理由はあるにせよ、何のこっちゃという感じ。

勝手に思いまするに、上記の理由で最終投資家買い難い面があり(付け加えると、毎度期末明けになると足元レート急落してたので、期末越えの資金で出せるものは長めで出そうと言う動きが働いてたし)、一方で期末明け後の足元レートがオペ換算をするとあんまり下がらないという事からもちょっと読みにくいということで、バンクディーラーも積極的に札を入れにくかったという事なんでしょうけれども。

結局2日のところのGCレートもあまり下がらなかったようでございますな。うーむ。


○で、今日の朝の動きは注目と

注目ってったって興味本位ではありますが(笑)。

まあ寝転がっている人が素直にロンバートに行ってしまえばそれまでですけれども、どうせ朝はオペ催促でコールを取りに行くでしょうし、そうなった場合に只でなくさえ積み上状態の所ですが、まあオペを打ってくるのかどうか。そしてレートが落ち着いた後(落ち着かない可能性もあるが)に積み上がった準備預金を即日オペで減らしに来るのかとか、オペレーションがどうなるのか興味本位で注目したく存じます。あとコール取りに来ているネームとかね。

まあしかし直前になってバンバンオペを打つ破目になりまして、何だかまあご苦労なこってという感じですが、多分意識している訳ではない寝転がりクンの影響でいつもと違う期末になりましたなあって感じです。こーゆーの見てるとロンバートとコール誘導目標の差が25bpってのもどうなのかなという気はするのですが、いまは時節柄そういう訳にもいかないのが残念なところでございます。

しかし結局金曜に共通担保オペの71とか72とか(平均から逆算したら当然72の札も入ってますな)を入れてる人が意図せざる寝転がりクンだとしたら何やってるんだかって感じでございます。何なんでしょうこの期末はよく判りません(><)



○人のふんどしコーナー

・本石町日記さんの「長短金利」解説。
http://hongokucho.exblog.jp/8260356/

長短金利って債券の人がいう時にはその短い所って微妙ですかね。と申しますか、だいたいその手の話をするときは「5年‐10年スプレッドが」というように特定年限の話が出てきて、中期VS長期とか、中期VS超長期とか、ポジション繰りに関係する比較の話が多いような気がします。よー知らんが。

まー足元と10年金利比較することもあるでしょうけれども、さすがに末初レートと10年金利を比較するという勇者は短期市場に詳しくない債券市場関係者の中でも居ないと思います。いやまあギャグで「何と長短金利逆転ですかゲラゲラ」とやる事はあると思いますが、それは別に大真面目な話じゃなくてネタですからネタ。

日経新聞と共同通信はネタにマジレスしちゃったのかな。


・厭債害債さんのところから
http://ensaigaisai.at.webry.info/200803/article_10.html

いやあこのギリギリのタイミングで出てくるこの事実上の通達で金融機関涙目と言ったところですが、これ酷い話でしょ。まあ素直に考えれば会計士協会の保身で、ギリギリに出すのは早めにこの通達(事実上の)を出すと実務上の問題でいちゃもんつけられるのがおそロシアなので、どうしようもない時期を狙って出しましたってなもんでしょ。

もっと陰謀論を逞しくすれば、この時期に日本の投資家が持っている証券化関連商品を「業者のビットサイド」で評価させることによって投げ売りを促してウハウハを狙ううわなにをするやめくぁwせdrftgyふじこlp;










2008/03/28

お題「期末雑感」

えーっと、須田審議委員の講演という大ネタもあるのですけれども、その前に期末雑感などを。で、須田審議委員の講演で一部相場が反応したみたいな話がベンダーにあったのですが、内容を見ると利下げをするのは「データが相当悪くなってから」ってニュアンスに読めるんで、須田さんハト転向と見るのは早計なのではないかと。

では期末雑感。

○日経も長短逆転記事・・・・

例の「長短逆転」ですが、昨日は日経新聞3面にも「無担保コール翌日物が10年金利を上回り長短逆転」というような記事があったようで(普段読んでないのがバレバレ)、まあ共同通信(も一応金融市場記事はプロのはずですが)は兎も角として、日経新聞までもがそのレベルとは確かに本石町日記さんボヤクわなと(-_-)。

末初レートが跳ねるのは金利のある時代には常識でありまして、そもそも昔の低め誘導(すげえ昔の話ですが、コール誘導目標が公定歩合(当時0.5%)を下回る程度となってた時です)時代は末初取引のコールレートというのは普通に2%からご相談(末初が週末に掛かると3日だからしんどいので1.5%からご相談)からスタートして、期末の予防的ファンディングにメドついたり放出側の資金計画にメドがついて金が出てくると段々低下してくるのが一般的な姿。

従いまして、末初の無担保コールが1.5%になっても別に驚くような話でも無いのですけれども、何でそれが急騰とかいう話になるのやらということで、10年以上選手のおとーさんといたしましてはどうもねえって感じであります。

とゆーか、市場参加者ってのは過去のことを簡単に忘れるあるいは過去のことを勉強しないという特殊技能を備えているようでありまして(いやまあ長生きしている古狸は逆に恐怖の粘着質な記憶を持つのが多いのですが)、末初金利急騰とかいうネタが出てくるのはやはりそのせいなのかって感じです。まあ金融技術(笑)先進国の米国様だって5年毎くらいのペースで「過去のデータから言って何百年に1回しか起きないような相場の急激な変動」とやらをやらかすわけでして、この歴史から学ばないという不思議な仕様は本邦だけじゃないマーケット共通なのでしょうね。


○これって要するに「寝転がり」ですな

最初に申し上げますと、本項にはかつての業界専門用語(笑)が出てまいりますが、用語の意味を知りたかったらゼロ金利政策(量的緩和じゃない方)以前に短期市場にいた大狸に質問して下さいませ(^^)。

昨日も朝の9時半から国債買現先オペ1兆円実施。しかも足が4月2日って何かこう毎度毎度足の短いオペばかりでご苦労なこったと思ってたのですが、何でも水曜(=レギュラーの月内最終受渡日)の15時過ぎからGCレポの末初取引レートが上昇して、それまでロンバートの75だったのが77オファー(=資金の取りね)とかに上昇したそうで、昨日の朝もまあそんな感じだったそうですな。それならまあオペ打ってくるわという感じで、末スタート2日エンド仕方ねえのかなと思いつつ。

でも、例によって年寄り的な発想ですと、決算期末なんぞ資金の回りが悪くなるのは当たり前なので、そういう時にはまず最初に流動性の確保(モノにしろ金にしろ)を予備的に行って、一定のメドをつけておくもんだと思うのですが、どうも最近はレギュラーのGCのオファーを粘った挙句にオペ待ちというのをするのが流行らしいですな。最終的にコールでじゃんじゃん取れるラインでもあるなら別ですが、そうでもない人がオペ勝負というお方には「流動性リスク管理」という言葉を額に飾ってご進呈したいです。

で、そーゆー人がおいでになるので、古狸的常識で考えた場合にレギュラー最終受渡日の午後遅くにはGCでの資金取りニーズが減って(事前に予備的に取っていけば着地するでしょ)レート低下する筈なのに、あにはからんや取りニーズが残っておまけに期末だからロットで出す人だっていないので、スポ末の朝から77オファーでオペ催促とは何のこっちゃという感じでありまする。

まあ最後ロンバートで借りればいいし、それまでにオペがあればオペ勝負ってえ話になって、それが流行しちゃうとオペ依存症にも程があるという話になってしまう訳で、まあこういうの見ちゃうと市場機能がどうしたこうしたってのはどこに逝ったのでしょうという気が思いっきりする次第。


でですね、この最後まで取ろうとしないでオペ狙いという動きって昔の「寝転がり」と同じですなあと思うのですよ。市場レートが気に食わないから最後まで寝転がるって昔時々見た光景なのですが、そんなものを21世紀になって見るとは思いませんでした(-_-メ)。

これで寝転がっているお方の所要準備が多ければ物は試しに「ヤキトリ」でもやって公定歩合+3.75%の過怠金(と、あたくしが後生大事に保有している東京マネーマーケットの第5版には書いてありましたが、その制度って今どうなっているのですか)でも払わせたらどうでしょうとか超越的暴論を唱えたくなります次第であります。残念な事に(こらこら)ヤキトリすると所要準備不足だけじゃ済まなかったりする人が寝転がっていると思われるのと、そもそも連中は普通に相場を張っているつもりであって、寝転がっているという意識が無いであろうところがタチの悪い所なのでありますが。

いやあのね、資金ディーリングとかするなとは申しませんし、何でもかんでも成行でオファービットせいとは申しませんけど、資金っていうのはまず流動性を確保して、その上でディーリングする余裕のある時にディーリングをするもんじゃないのかねえと思う訳ですよ。期末で流動性が逼迫するのが目に見えているのに、いつものようにレートが気に食わないから市場調達しないでオペ狙いの寝転がりっていうのは何だかねえって感じでありますよ。ロンバートがあるからそういうインセンティブが働くっていうのは判るけどさ。

金融危機以来何度か流動性大逼迫で大変な思いをした化石世代のジイサンのグチではあるんですけど、何だかなあと思った不思議なスポット期末でありました。


あとこの話の流れとは関係ないですが。

オペに関しても月曜から末越え供給ラッシュしてるのって何だかねって感じでして、やるならベアスターンズ救済で信用収縮懸念がどうのこうのってのが話題になっている時(一定の警戒感もあってCPとかFBとかレート上昇しましたよね)にやるもんじゃないのかなあと思う次第ですし、足元積みが進捗し過ぎて引きたいのと、2日の税揚げにぶつけるつもりで売手を火曜に打ったんだと思うのですが、積みを削るだけだったら別に末越えで打たんでもよかろうと思う次第で、何かオペも足元の0.50%と積み進捗を過剰に意識してませんかねって気は思いっきりするのであります。


しかしCPのレートは見事に低下して3か月のスーパー最上位格付もので60bpを切ったところで新発が出たらしいのですが、足の長いタームに関しては運用ニーズありありというのがよくわかる結果でした。一方で4月前半足とかになると目先はいいけど戻ってきた時の足元レート低下が見え見えなので皆さんイラネ状態になってレートが妙に高止まりしていたのも中々楽しい結果でございました。ちょっとやり過ぎ感もありましたが。

とまあそんな感じで本日のネタは須田さんの講演じゃなくて超雑談でございました。














2008/03/27

お題「相場雑談で恐縮至極」

まずは昨日の訂正。オペ金利の話をしてたときに国債買現先オペの落札利回りと同日に実施されたCP買現先オペの金利を取り違えておりました。すいませんすいません。

月曜実施された国債買現先のレートを「67.5/64」と申し上げたのはCP買現先でして、国債買現先は「65/64」でテールは特に流れておりませんでした。どっちかというと月曜はFB3か月カレントが確りしていた方が朝方的にはインパクトあったでしょうか。


○ツイストオペのツイストオペですか、わかりません(><;

昨日の朝方ある意味サプライズだったオペは9時30分にオファーされた国債買現先。3月28日スタート4月1日エンドで1兆円のオファーなんですけど、えーっと前日は3月26日スタート4月17日エンドの国債買現先を1兆円オファーして59.4/58となった後、午後に3月26日スタート4月2日エンドの売出手形を6000億円オファーして67.1/72となりました。

で、それを何だかねえとか申し上げたのですが、昨日はまたまた国債買現先を1兆円を上記のように実施しておりまして、午後には共通担保オペを2本立てで実施。しかもそのうち1本は4月8日エンド(8000億円)となっていまして、前日に出して引いたのは何だったんでしょうかという感じであります。

てゆーか、FBとかレポとかCPとかのレート絶賛低下とか引き続きやっていまして、FB3か月のカレントなんぞは昨日の日本相互証券の引けで0.565%となってまして、先週末の0.61%(実力はもうちょっと強かったらしいのですが)から4毛ちょっと強くなっておりますわな(前日比では1.5毛強)。何かオープンは金利絶賛低下している流れになっているのにそこに追い討ちオペってのも何だか、インターバンクの局地的な需給を気にしすぎなんじゃないっすかという感じが。

短期市場フォーラムとかやってたのはインターバンクだけではなくレポなどの市場も良くウォッチするって話じゃなかったのかなあと少々残念なんですけど、インターバンクもそんなにひっ迫している状況には見えない(むしろ金余り)ので、この供給オペ連発攻撃が何と申しますか。

#まさか国際協調のポーz(ry

きめ細かいオペレーションって奴なんでしょうが、さすがに供給して吸収してまた供給ってのは手厚いにも程があるように思える次第。いやあの足元でインターバンクが混乱している訳でもないのに、あんまりきめ細かいオペを打ちますと、「それでも日銀なら、日銀なら何とかしてくれる!(AA略)」とオペ依存症になって、肝心な時に市場がワークしなくなるんじゃないっすか。いやまあそこまで極端な状態にはなってませんけど、きめ細かいのも程ほどにって思うのであります。



○ええもう動きやがりましたな

昨日あたくしは「いやあ期内最終渡しでドタバタする人もおらんでしょう」と希望的観測を書いたのですが、そんなことを書いたら逆に行くところがドラめもんクオリティなのでありまして(涙)、朝から中期主導(のような気がしたんだが)で5年から先物が強くてもう大上げですよ先生って感じ。長期とか超長期とかがダメダメだったのでアンワインドのアンワインドのアンワインド(なげえよ)かとも思いましたが、5年がバランス上強いので5年の買いもあったんでしょということで。

いやまあ短観一発勝負なのか何だか知りませんが、何もこんな時に頑張るとは恐るべしという感じで、お蔭で月末渡でポジションがぶれて誠にお疲れ様でございますといったところですな。

上昇しただけなら兎も角、後場になったらいきなり下げやがったのが実にチャーミングな相場でありまして、先物様が前日比6銭安だったのですが、値幅77銭とはこれまた素敵な行って来いでございました。何が何やらさっぱり判りませんでしたが。

全然話は違いますが、色々動く中で相変わらず全銘柄引け値が対象現物国債のカーブとあまり関係ない値付けになっていて、やっぱり全銘柄BEIがマイナスのまんまとなっている物価連動国債に関しては落涙を禁じ得ませんな。



○何と申しますか

本石町日記さんのところでボヤキが。
http://hongokucho.exblog.jp/8245719/

そういやあたくしも昨日はブルームバーグ見てたら東京新聞が「短期金利が急騰して日銀が1兆円の大量資金供給実施」って記事を打っていたというのをみまして、よくよく聞いてみたら末初(31日スタート4月1日エンド)の無担保コールで1.5%だか1.25%の出合いがあったということらしいのですけれども、それと国債買現先1兆円は何の関係もねえだろとか思っておりましたら、どうもボヤキの元らしい記事を発見しました。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008032601000393.html

えーっと、元ネタは共同通信みたいですけど、どこをどう突っ込んで良いのか頭が痛くなるような記事。東京新聞ってオリジナルで記事とか社説とかを書くときに中々良い視点で書くことがあるんで感心してたんですが、この共同記事のダダ流しはいただけませんな。

記事より。

『金融機関が手元資金を一時的に貸し借りする短期金融市場で26日、3月期末越え向け資金の一部取引で金利が一時、1・500%に急騰した。一方で、長期金利の指標となる新発10年国債利回りは、2005年7月以来、約2年8カ月ぶりの低水準となる1・215%に低下した。』

末初の無担保取引で限界的な人が取り上がるのは当たり前ですし、昔(大手銀行がオーバーローンだった時)は別に限界的な人じゃなくても取り上がることもありました(今はロンバートのキャップがあるから適格担保出せば無問題ということでそんなに上がらないし、そもそも国内銀行金余り)が。

『一時的だが、景気後退入りする可能性を示すとされる長短金利の逆転現象が起きた。日銀は26日、28日に1兆円を市場に供給し、4月1日に吸収する公開市場操作(オペ)を通知、短期金利の抑制に全力を挙げている。』

もうね、アホかと馬鹿かと。で途中端折りまして。

『3月決算期末越え資金需要が増加している上、米サブプライム住宅ローン問題の影響で「地方銀行などが外資系銀行に資金を貸し渋っている」(外銀関係者)ため、短期金融市場に出回る資金が減少し、短期金利は上昇基調となっている。』

出し渋るそもそもの原因はてめえらがインチじゃなかったサブプライムに突っ込んで大穴空けて自分らの信用力を毀損しているからなのですが、「出し渋り」とカウンターパーティーが悪いかのような「外銀関係者」の発言は片腹痛いというか馬さん鹿さんというか。

で、短期金利は先ほどから延々と説明しているように絶賛低下していますが何か?

共同通信配信の記事のようですが、ここまで事実関係を誇張した記事も珍しい次第でありまして、とりあえずこんな記事をそこらにばら撒かれると迷惑というか風雪のルルとか言いたくなるレベルでございまして、配信した記者は大いに反省すべき(というかこれ切腹モノの記事レベルだと思うんだが)であろうかと思います。

共同通信の猛省を促したいです。










2008/03/26

お題「早くも期末モード終了のお知らせ(か?)」

牛丼値下げと聞くと吉牛コピペを反射的に口ずさんでしまうのはあたくしの仕様のようであります(^^)。

ところで東証は時価総額を2倍以上にしたいそうですが、そのニュースを聞いて「希薄化促進か!」と思ったあたくしは被害妄想ですかそうですか。


○デジタル相場にも程があります

昨日は足元のGCやら現先のレートが見事に急低下したり、新発CPのレートが低下したり、3か月から手前を中心としたTB/FBに買いが入ってレートが低下したり、オペのレートが低下してみたり(順序からするとこれ逆順です)と言うことで、いきなり期末モード絶賛終了のお知らせ状態。

いやあのですな、全然期末越え無警戒状態で3か月の共通担保オペで55bpとかだった時期から先週急にアホのようにレート上昇したと思ったら昨日は一日にしていきなり怒涛の低下っていう動きは誠にこうデジタルな動きでございまして、相場というより事務処理っぽくて侘び寂び(?)の無いこと夥しく誠に残念至極でございます。

まあ月曜の引けの時点でレートが下がりそうな雰囲気はプンプンしてましたが、何もあーた朝からいきなりFBをドカドカ買わんでも。お蔭で9時半にオファーされた国債買現先(期日4月17日)が平均59.4bpの足切り58bpと末初75で計算すると手前にちょっとだけプレミアムが乗りますか程度(後ろは55bpで計算)の結果でして、まあリスクプレミアムはどうしちゃったんでしょうねえという数字。

で、CP新発レートとかFBのセカンダリーとかがドカドカ低下しまして、売出手形オペという妙なプレイはあったものの、最終のGCは60割れと前日の67−69位から見事な急低下となりまして、足元も期末越えも資金が出てまして、今回はT+4で期末モード終了のお知らせという感じになってしまいました。


○手厚い供給にも程があります・・・・で売出手形カッコワルイ

先週はご案内の通り期末年中行事で足元も期越えもレートが上昇したのですが、そもそも論から致しますと、先ほども申し挙げましたし、あたくしも駄文で何度か申し上げたと思うんですけれども、それまでの期末越えとか足元がノーケアーモードにも程がある展開でありまして、普通は突如上がるんじゃなくてもうちょっとレートとかに動きが出る(いやまあ微妙に出てましたけど)もんなんですけどね。

んでまあ足元も期末越えも金の出がよろしゅうございませんなあという状態が一服した感じの月曜日には何か知らんが手厚いにも程がある資金供給が実施されました。即日オペに買現先にCP買現先に共通担保本店に全店で全部で5本ってちょっとまあ手厚い供給にも程があるという物でありまして、その上昨日にトドメのように国債買現先1兆円(前日も1兆円でしたが)となってレートが豪快に低下した(月曜は67.5/64でした。これもテールが長いなって感じなんですが←は間違いです。正しくは65/64)という結果になりましたです。

で、レートがドカドカ下がったのですが、あまりにも手厚い供給をしちゃったという反省でもあったのか昨日は午後になっていきなりスポットスタートの4月1日エンドで売出手形6000億円の打ち込みが行われました。一瞬札割れでまたレート上昇かという連想も働いたらしいのですが、札は1兆4850億円入って67.1/72というまあそんなもんですかという結果に。

前日もやたら手厚い供給オペ(CPなんか優良ネームの発行が減っているので数字上の発行残高以上に市場の玉不足感が強い(優良とは言い難いネームの発行は増えているという意味であります)のにCP買現先って何ですかって感じでしたよ)を打ち、当日朝9時に26日スタート4月17日エンドの国債買現先を打ち込んだらその他オープン市場のレートも思いっきり下がり、午後1時に26日スタート4月1日エンドの売出手形を実施すると言う結果になった次第でありますわな。

で、ちょっとそのツイストオペにはドタバタ感(というと穏やかですが、要するにカッコワルイというかマヌケというかなんですが敢えて申しません、って言ってますがな^^)が非常に強く漂うオペレーションでございまして、限界的な無担保コールの部分やデジタルな動きをする人たちにオペレーションが振り回されてどうすんのよという感想であります。



○まあ少し残ってるんでしょうけれども

どこぞの情報ベンダーを見ますと有担保の資金は回っているけど無担保に関してはまだまだ警戒とかいうようなポジショントークなコメントも拝読するのでありますが、そもそも論と致しまして期末になると信用力が比較的低いネームのお方のクレジットラインがキツクなるのは常識というか定説なのでありまして、普通そのような事を自覚している人は「直前になって無担保の資金が取れなくてもう大変」というようなことが起きないように事前手当てをしているものでございます。で、これだけレポやらオペやら短期国債やらCPやらのレートが低下してますので期末は波乱無しですなあとなるのが常識的な見方になるかと。

いやまあ最終微調整みたいな動きで局地的に高いコールとか発生するかもしれませんけど、それは限界的かつ小額の世界のはずでして(そうじゃない参加者がいるのなら世の中の迷惑なので退場していただきたいですが)、ファンディングという意味では期末越えのレートが軒並み低下した昨日で期末モード終了のお知らせのようででございます。はええええええよって感じですけど。

それから、モノに関して言えば今日がレギュラー受渡の期内最終日(=今日の受渡が3月末)になりますので、まあその部分に関しては残っておりますけど、期末ですのでインデックス系リバランスを控えている人以外にそんなにドタバタ動く必要がある人がいるとはあんまり思えない(閉店モードの人たちの絶賛閉店祭りは大きいのは一旦終了してますでしょ)ので、そうそう大変なことにもならんでしょうと楽観的なお話をしておきます。根拠が薄弱ですが(おい)。









2008/03/25

お題「副総裁就任記者会見」

総裁は決まらないわドタバタは茶番だわ。最初に提示されたメンバー構成が中々良かったこともありどうにもまだ脱力なのですな。両副総裁には申し訳ないですが。

全部で19ページもありやがるのでちと大変。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0803d.pdf

○まだ展望レポート前ですから方向感はでにくいですが

質疑の最初の5ページくらいが欠員が出ていますがどうですかという話が延々と続くのでそこは端折りまして、金利正常化または中立金利に関して今後の金利の動かし方について質問がありましてその答えなのですが、初回だからなのかもしれませんがお二人とも話が長い長い。

まずは白川さん。

『(白川副総裁)(冒頭部分で要するに一般的な答えと前置きしています。引用割愛)先程の抱負でも少し申し上げましたが、私が日本銀行の中で金融政策を事務方として担当していた時の経験から、いくつかの教訓のようなものがあります。』

『一つ目は、昔から言われていることですが、金融政策の効果が波及するまでには非常に長い時間がかかりますので、足許の経済情勢は非常に大事ですが、少し長い目でみて物価の安定がどのように維持されるのかどうか、持続的な経済成長が維持されるのかどうかという点検の姿勢も、非常に大事だと思います。それでは具体的な方法論は何かということで、世界の中央銀行は頭を悩ませているわけです。』

ここを切り取りますと従来の「足元減速先行き回復」があるので、利下げに関して否定的という話になりますわな。

『二つ目は、これも抽象論になりますが、経済が変化をする時は非常に変化するということであります。変化する時は上にも下にも非常なスピードで変化すると思います。それだけに、金融政策にあたっては、予断を持ってはならないと思っています。情報を集めその意味を考え、もちろん不確実性に満ち満ちているわけですが、最終的には判断をしなければなりません。その時に予断を持つことなく判断していくということを、これから自分自身に課していきたいと思っています。』

とは言え、景気先行きの不透明なのは認めていますので、ハードデータが全部揃って悪化してきたら利下げもあるのかねえとは思わせますが、予防的に利下げって話は今の所遠そうな気も。といいつつ豹変するのが日銀クオリティでもあるのですけど。

『三つ目は、もう少し具体的な話になってきますが、日本のバブル以降の景気を振りかえってみますと、最近の米国のサブプライム住宅ローン問題、クレジット・ローン市場の崩壊の問題をみてみますと、あらためてこの20 年近く、資産価格と実体経済の複雑な相互依存関係が色々な形で、経済の変動を引き起こしている感じがします。そうしたことも意識していくということは、私自身が意識している一般的な原則であり、当面の金融政策について何かを言っているわけではありません。これから、そうした基本的な考え方を踏まえ、様々な情報を集めて、次の4月の金融政策決定会合に臨みたいと考えています。』

ほほう。資産価格の下落に関しては懸念ですと。なるほど。

続いて西村さん。

『(西村副総裁) 先程申し上げましたが、金融政策は極めて難しい時期にさしかかっているということは、確かにその通りです。その中で一番大切なことは、単に私どもが手にする経済データだけではなく、それ以外の様々な質的なデータも組み合わせながら非常に丁寧に分析し、かつそういったデータの中に含まれるトレンド、長期的な動きをみながら、同時にその長期的な動きに何か変調はないかという小さな兆しにも十分な注意を払い、柔軟で、場合によっては機動的な政策ということも考えていかなければならないということが一般論で言えるわけです。(後半割愛)』

一般論と言いつつも利下げは否定してなさそうですな。まあ福井総裁の退任記者会見で利上げを急いで失敗するよりも慎重にという話が出てまして、その流れでこの話ですから、まー当面利上げはなくて、利下げに関しては否定しないけどまあ直ぐにやるかというとやらんでしょうなあという感じですか。


○名目長期金利と名目成長率の話

経済財政諮問会議でそんな議論がありましたが、そんな質問が。

『(問) 経済財政諮問会議では、名目長期金利と名目成長率のどちらが高い方が経済にとって持続的な成長が考えられるのか、という点について意見が分かれたと思います。お二人は学究肌な方と経済学者ですが、長期的にみた場合、どちらを重視すべきと考えますか。』

で、白川さん。

『(白川副総裁) 私は学究肌というわけでは全くありませんが、諮問会議で議論された事柄というよりも、一般的に成長率と金利の関係についてお話しします。私よりも西村副総裁のほうが専門の経済学者としてのご意見があると思いますが、私自身は、日本銀行の金融政策にとって大事なことは、経済が物価安定のもとで持続的に成長していくということであると思います。従って、先験論的に議論していくものというよりも、物価安定のもとで持続的に経済が成長していく結果、ある金利が実現していくものだと思います。』

で、短期金利と長期金利についてのお話になるのですが。

『金利は、二つの側面を常に持っていると思います。一つは、中央銀行自身が金利を操作し、金利が経済に働きかけていくという側面です。これは主として短期の金利であります。一方で、金利は、経済活動の結果、経済活動の体温でもあります。従って、経済活動が強くなると、その結果として金利が上がっていくものであり、これは特に長期の金利において妥当するわけです。』

これは確かにそうでして、短期金利動かしても長期金利は逆に行く場合がある(というかこの2年くらい逆に行ってるんですが、苦笑)次第でありまして、名目長期金利と名目成長率がどうだから日銀どうしろと言われましてもある意味困る所ではありますわなという所なのでありますよね。

『ご質問の趣旨は、長期の金利のことだと思いますが、私は、中央銀行が物価安定のもとで、持続的な成長を実現するように短期の金利水準を調整し、その結果、経済が物価安定のもとで持続的に成長していく中で形成されていく金利を受け止めていく、ということが大事だと思います。』

何か最後は禅問答みたいですが。うーむ・・・・

続いて西村さん。

『(西村副総裁) この問題は極めて難しい問題であります。実は、一つのディメンジョン(次元)について必ずしも十分に理解されていない部分があるのですが、それはどういうことかと言えば、成長率といった時に何の成長率なのか、それからインフレ率といった時に何のインフレ率なのかといった問題であります。しかも、金利と言っても非常にたくさんの金利があるわけです。色々な定義によって、過去のデータを判断する場合には、色々な結論が出てきます。』

いきなりそもそも論来ました。

『しかし、重要な点は何かと言いますと、特に金融政策の上で極めて重要な点は何かというと、先程、白川副総裁から説明がありましたように、私どもは物価安定のもとで持続的な成長を目指すとの言葉に尽きるわけです。その結果として出てくるものが、長期的には──長期といっても、どのくらいの長さを長期というかに全面的に依存するのですが──、過去の色々な数字であり、これまでの歴史の結果となるわけです。従って、私どもが目指すものは、あくまでも物価安定のもとでの持続的な成長ということであり、これが私どもに課せられたマンデート(使命)であると考えておりますし、それで十分に対処できるということは、私どもの「金融政策運営の枠組み」の中で、非常に丁寧に説明しているつもりであります。』

いやーん禅問答♪


○金利と言っても色々有りますというお話

今の実質金利がどうのこうのという質問に対して白川副総裁が中々判り易い説明をしていましてその部分を引用致します。

『今の実質短期金利は、もちろん計測には色々な問題がありますが、大まかに言うと大体ゼロであり、潜在成長率が1%台半ばあるいは後半ということですので、現在の金融政策はその面からすると非常に大きな緩和方向の力を発揮していると思います。』

潜在成長率がそれでよいのかという話はさておいてその次。

『ただ、金融政策が経済に対して影響を及ぼすルートは短期金利だけではなく、短期金利から始まって中長期の金利、その金利も国債の金利で測られる金利だけではなく実際に民間の企業の金利、つまりクレジット・スプレッドを加味してどうなのか、あるいはクレジット・スプレッドを加味した上でどの程度銀行が積極的な与信態度で臨んでいるかというようなことを、総合的に判断していく必要があると思います。』

『よく専門家の方々がファイナンシャル・コンディションズという言葉で表現していますが、金融政策が持っている金融緩和の力を最終的に評価していくということだと思います。従って、実質短期金利の動きだけから機械的に考えているわけではありません。あくまでも中央銀行としては、長期的な関係ということを常に意識しなければならないという趣旨で申し上げたわけです。』


で、別の質疑で政策金利引下げの効果に関して質問がありまして、米国の例について上記の説明を具体的に補足しています。

『短期金利の引き下げの効果についてのお尋ねですが、金融政策を議論するときに、どうしても短期金利だけに注目した議論をしがちです。しかし、今の米国を見てみますと、昨年の9月からFFレートが3%ポイント下がったわけですが、一方で信用スプレッドが大きく拡大し、放っておくと自質的な金融引き締りが進んでいくため、それを何とか防いでいるという状態です。これらのどちらが強いかということです。従って、短期金利だけをみて、米国がものすごい金融緩和の力を発揮しているかというと、最終的に実現したレベルからいくと、それは必ずしも判然としません。』

つまり放置しておくと金融が実質的に(「自質的」って実質的のタイポですよね)引き締まるので利下げをしているという話になりますが、まあそうするとプルーデンスも大事ですなあという話になる次第。実はその前に米国の事例に関してプルーデンス的にどうですかという質疑もあるのですが、あまりにも長くなるので(これでも長いですけど)必要があれば後日。

『先程申し上げたのは、金融政策が持つ緩和の力、刺激の力を評価する時には、短期金利だけで評価していては必ずしも適切ではなく、イールドカーブ全体、あるいはクレジット・スプレッドを加味した民間の金利がどうなのか、そのもとでのアベイラビリティ(借入の容易さ)がどうなのかということを、総合的に判断しなければなりません。従って、短期金利がどういうレベルにあるかということも一つのベンチマークとして意識しないとならないということですが、短期金利だけを捉えて機械的に評価することは適切ではありません。私は、実質短期金利と成長率の関係だけから足許の政策を評価するというアプローチをとっていません。』

というのはまあ金融市場とか金貸しとかやってた人的には何となくふーんとか思ってしまうところがまさしく諸葛孔明の罠なのでありますが、ルール重視で運営すべしって立場からは批判されるような気がしますけど。

と申しますか、白川さん的な新しい日銀文学としてはこの総合的アプローチで煙に巻くじゃなかった理論構成を行っていくという事になるんでしょうな。


○これはワロタ

『(問) 白川副総裁にお伺いします。趣味は金融政策とよく拝見するのですが、本当のご趣味があればそれも教えて頂きたいのですが、そう言われることについても伺いたいということが1点です。(以下割愛)』

『(白川副総裁) 趣味が金融政策というのは、随分暗い人生を送っているという感じがして、どこか人間として幅がないと言われているようで、私自身はあまり好きではありません。(で、この先延々と仕事の話になっているのが笑ってしまうのですが長いので割愛^^)それでは休みの日に何をやっているかといいますと、バードウォッチングを結構やっていまして、新聞を拝見していますとタカとかハトという言葉がよくありますけれども、バードウォッチングをやっている立場からしますと、その安易なラベル貼りは鳥に対してかわいそうだなという感じがしています。』

ほほうバードウォッチング。で、自分はタカでもハトでもないですよと(^^)。

で、確か写真撮影が趣味だったような気がする(間違ってたらごめんなさい)西村副総裁にはこれまた失礼な質問が。

『(問) 西村先生の過去の優れた業績から言うと、2番目に(引用者追記:副総裁就任の)話がくるというのはちょっと納得がいかないという思いはなかったでしょうか。』

『(西村副総裁) ノーコメントです。』

他に答えようがありませんな(^^)。

今回が就任会見なので話が長かったのかもしれませんが、多分これは白川さんも西村さんも話長い予感が。お二方とも解読が難しいのが実にアレでございますが、本日は衆議院財務金融委員会で早速吊るし上げじゃなかった所信聴取だそうでお疲れ様であります。














2008/03/24

お題「お疲れ様でした/その他少々」

福井総裁の退任記者会見がアップされていましたので。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0803c.pdf

○最後までオモロイ例えを出してくれました

最初の質疑応答でいきなり出たんですが。

『(答) 本日を以って退任をさせて頂きます。5年間、皆様方から大変厚いご支援を賜り、感謝しております。厚く御礼申し上げます。』

『5年間を振り返っての特別な感想はありません。日本銀行の政策委員会および執行部のマシンは非常によく回転したと感じております。私自身は、このマシンのエンジンの音をいつも確かめながら、専ら前を向いて全力投球、全力疾走してきたと感じています。それ以上の特別な感想はありません。』

なるほど、マシンね。

『任期満了の時点で後任の総裁が任命されていないということは、歴史的にも極めて異例なことであり、残念なことだと思っております。二人の副総裁が3月20 日付けで任命される運びになっていると思いますので、この両輪が先頭に立って日本銀行のマシンを引き続きしっかり駆動して行ってもらいたいと願っています。』

当座預金残高30兆円に増やす中で足の長いオペを打ったり、短国買入増やしてみたり、量的緩和解除をした後には淡々とオペの期落ちをロールしないで1か月で引いたり(解除直後は30兆円を維持してた)という量の話もそうですし、まあ手を変え品を変え市場への資金供給手段を色々と工夫してまして、余程の事がない限り足元の流動性問題というのは生じない(時々ヘタクソが信じられないような取り上がり方をして急に足元が上がる事はありますが、それはヘタクソが悪い)という状態にまでなりましたな。

お蔭で各国中銀の流動性対策の時に別に日銀やることない(既に道具が揃ってるから仰々しくやる事無い)という状態になっておりまして、他国がこの手のことに対して物凄く遅れているだけなんですが、どうも自虐的な論評が好きな人(まあ人の事は言えませんかそうですか)というか米国マンセーな人たちからは「世界の協調体制から取り残されている」とか言われるのはもう何だかねって感じですけど。

まあそれは兎も角として、日銀直下のインターバンクの状況をきちんと把握して安定的に運営する能力に関しては、まさにマシーンでありますと思う次第。最近はレポ市場などの拡大もありますので、インターバンクだけじゃなくてオープンに関しても市場の状況を一番良く把握してるのって大口の市場参加者じゃなくて金融市場局なんじゃねえのかと思うのですが(^^)。

しかしマシーンってのには「現場は優秀(以下自主規制)」ということばをつい思い出してしまうのはあたくしの性格が悪いからですかそうですか。


○えーっと、これはもっと早くに言って欲しかった気が

5ページ目で、この5年間で一番印象に残った事について質問がありまして、その答えはまあ量的緩和解除なんですけど、その続きにこんな言葉が。

『先程、金利正常化が途半ばではないかというご質問がありました。途半ばかもしれませんが、正常化を急いで失敗するよりは、やはり確実な判断で進んでいった方がいいと思っております。やり残した仕事は沢山あることは間違いありません。しかし、私は5年間という任期中にエネルギーをフルに注いでおりますので、やり残した仕事をさらにやるだけのエネルギーは残っていないと思っています。』

金利正常化の意欲は相変わらずですけど、「正常化を急いで失敗するよりは、やはり確実な判断で」っていうのはもうちょっと早めに仰って頂きますと。いやまあ市場の方は去年の秋口からすっかり「いやあちょっと利上げは厳しいでっしゃろうなあ」という感じになっておりましたんで正常化の意欲を見せても無反応ではありましたんで関係ないですけど、一般メディア的には相変わらずだったんでね。

まあ後任にフリーハンドを渡したという事なんでしょうけれどもね。

ちなみに、その前に金利正常化途半ばという質問があった訳ですけれども、そちらに関してはこんな感じで。

『経済の変化については、毎回の記者会見等の場を通じて確認し続けてきており、皆様方と認識を共有していると思っています。一言で表現するのはなかなか難しいですが、5年前に着任した時の日本の経済・金融の姿と現在の経済・金融の姿は異なっています。』

左様でございます。

『少なくとも経済については、前向きな循環メカニズムが作動するようになっており、外からのショックに対する頑健性が増してきています。金融についても、金融機関の健全性は回復し、政策金利はまだ低いですが金融市場も金利機能がきちんと働くようになっています。』

最初の循環メカニズムは怪しいですがその他はそうですね。

『最近のサブプライム住宅ローン問題を発端とするグローバルな金融市場の変動や海外経済から起こってきているダウンサイドリスクが日本経済にどの程度影響があるかを、金融市場はきちんと映し出して私どもに見せてくれるようになっています。その程度には状況は改善してきていると思っています。』

で、この時にはさっき引用したような話は無かったので、まあ後から改めて説明したって感じなのでしょうかね。


○とりあえず業務執行は問題ないとしましても・・・・・

後任が決まらないのに金融市場が全然気にしてるように見えないのは何ででしょうというある意味意地悪な質問に対して(^^)。

『トップが独裁的に運営している中央銀行であれば、トップが決まらない場合、市場が急激に反応を起こすと思いますが、政策委員会、執行部という重層的な構造を持つマシンがしっかりしている中央銀行の場合は、トップが一時的に決まらないからといって、市場が急激な反応を起こさないということは、さほど不思議なことではないと思います。』

『しかし、日本銀行にはそれだけ余計に負荷がかかっていると申し上げました。余計にかかっている負荷をしっかり担っていかなければならないこれからの日本銀行にとっては、もう一段エンジンを駆動させていくには重い力、強い力が必要だと思っています。』

ま、そうなんですけど、それよりも当面金融政策動かないから関係ねえというのが一番でかいのでありますが、それを言い出すと無粋にも程がありますので言わないで置きましょう。


○お疲れ様でした

『(問) (前半割愛)また、日銀を退任された後の人生設計ではないですが、今後についてどのようなことを考えておられるのでしょうか。10 年前は「世に迷い出る」という言葉も残されましたが、今回はどのようなお気持ちなのでしょうか。』

『(答) (前半割愛)これから先どうするかは何も決めておりません。これからよく考えます。もう迷い出るというような年頃でもありませんので。』

で、最後の質疑応答は洒落てますね。

『(問) 退任された後の人生設計は考えていらっしゃらないということですが、今日終わって何かやりたいことありますか。』

『(答) 今日はビールを一杯飲みたい気分ですが、特別の予定はありません。』

どうもお疲れ様でした。量的緩和解除前のドタバタ(なお書き修正も含めて)と村上ファンド問題はちょっと何だかねと思いましたが。てか就任直後の緊急政策決定会合にはかなり「何じゃこりゃ」と思ったんですけどね。


以下相場余談。

○まあ期末ですなあ

金曜は何かしらんがトムスタートの2日物という珍妙なオペが1兆円打ち込まれて平均69の足切り68。いやまあ足元のGCが68じゃ取れない(レギュラーで70とか)のでそういう結果になるんですけど、今回に関してはそれまでのレートが思いっきり落ち着きすぎだったので何か期末になってようやりますなという感じであります。まあどうせ末初が1日だからロンバートで踏めば屁みたいなもんと楽勝体制に入るからそうなる位の話でしょうけど。

とは言え、まあ普通の期末っちゃあ普通の期末でして、期末前になると足元の出しが慎重になるというのはいつもの仕様。今回に関してはそこまでの楽勝状態がちょっと変だったので、これでまあ常識的なパターンになったという所でしょう。いつもだともうちょっと前に盛り上がって20日過ぎくらいからは段々落ち着くような気もするんですが。それから一部SCとかでも微妙な挙動の銘柄とかもあるみたいですが、普通期末になると借りにくくなる銘柄というのは事前に判っているものでして、手当てしないわキャッシュのディーラーにちゃんと言っておかないわというヘタクソはちょっとお前その席どけという感じなんですけどねえ。

ということでやっと期末らしくなりましたが、昨年の6月末(バーゼルUの四半期ナントカの最初)と比較すれば別に物理的にモノや金が出てこないという訳でもないので、別に悲愴感はございませんで、「ああ期末ですなあ」ってなもんですな。

別に信用収縮の影響では無いので念の為(^^)。











2008/03/21

お題「だいぶ古いですが2月会合議事要旨/その他」

だいぶ前に出てたので今更ですけど。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g080215.pdf

この時は金融経済月報におきまして、先行き見通しの内容を下方修正しておりましたが、その背景には主に米国経済に関する下振れリスクの増大がベースにあるという感じですな。

○米国経済に関して

『海外経済に関して、委員は、全体として拡大が続いているが、国際金融市場が依然として不安定な状況にある中で、米国経済を中心にダウンサイド・リスクが高まっているとの認識を共有した。』

ということで、米国経済に関してですが。

『米国経済について、委員は、景気の減速傾向が一段と強まっているとの見方で一致した。多くの委員は、住宅着工や販売が減少を続ける中、住宅在庫が高止まっており、住宅価格の低下傾向が強まっているとの認識を示した。複数の委員は、住宅市場の調整が完了する時期は依然として見通し難いと付け加えた。』

『委員は、設備投資は緩やかな増加基調を維持しているものの、個人消費は、足もと減速傾向がやや明確になっているとの認識を共有した。大方の委員は、金融機関の与信姿勢が幅広い分野で一段とタイト化している点に言及し、これが先行きの個人消費や設備投資に与える影響に注意する必要があると述べた。』

『複数の委員は、特に商業用不動産向け与信基準が急激にタイト化しており、これまで好調に推移していた建設投資に悪影響を及ぼす可能性があると付け加えた。このほか、何人かの委員は、住宅価格や株価の下落による逆資産効果や消費者マインドの悪化などが個人消費に与える影響を注視する必要があると指摘した。』

ということで、住宅から来る個人消費の悪化に注意が必要という話になっております。与信に関しても注目されてますが、不動産向けはこちらにあるように厳格化してますけど、かつての日本の信用収縮みたいに何でもかんでも与信が締まっている訳でも無いという所は注意した方がいいんじゃねえのとはあたしゃ思うのですが(信用収縮というと本邦での貸し出しが味噌も糞も締まるというイメージがどうしても日本人にはつきまといますからつい過度の悲観をしやすくなるんジャマイカ)。とは言いましてもマインドの悪化はマインドの悪化ですから・・・

『生産面について、何人かの委員は、製造業の生産が弱い動きを続けていることに加え、非製造業のI S M 指数が、改善・悪化の分岐点である50 を下回るなど、住宅セクター以外にも減速感が拡がりつつあるとの見方を示した。』

『また、雇用面について、多くの委員は、非農業部門の雇用者数が1 月に減少に転じたことについて、振れが大きい統計であるため、単月の動きは割り引いてみる必要があるが、ここにきて雇用者数の増勢鈍化ペースは一段と強まっているとの認識を示した。』



んでまあその後欧州経済、その他地域の経済に関しても論議がある訳ですが、欧州に関しては『ユーロエリアでは、緩やかに減速しつつも拡大を続けている』、アジアに関しては『中国では、高成長が続いており、N I E s 、A S E A N 諸国・地域でも、総じて緩やかな景気拡大が続いている』となっています。

これもまたあたくしの超雑感なんですけどね、ユーロエリアで景気が最も失速していると言われるグループになっているスペインでこの前総選挙あったけど与党ちゃんと勝利して政権継続してましたわなってのを見ますと、ユーロエリアってそんなに景気悪くないんちゃいまっかと思うんですけど。ただし欧州の場合は金融機関がサブプラ問題でいかれている状況を何となくこう官民挙げて誤魔化して時間を稼ぐ(時間を稼いでいるうちに実体経済の堅調さで何とかなるのスキーム)の巻なんて雰囲気はあるのですが。


○日本経済に関して

で、先行き見通しをこのとき下げた日本経済ですが、基本的な見方を維持しつつも、先行きへの注意事項として色々と出ておりますです。で、そいつを引用するとこんな感じ。

『複数の委員は、中国の米国向け輸出が減速している点に言及し、米国の景気減速が、アジアの輸出鈍化を通じて日本のアジア向け輸出に影響を及ぼす可能性に注意する必要があると述べた。』

『複数の委員は、中小企業では、原材料高の影響を受けて業況感が悪化しており、設備投資に弱めの動きが出始めていると指摘した。多くの委員は、中小企業における業況感の悪化や一部業種に対する金融機関の貸出態度の慎重化が、中小企業の支出行動にどのような影響をもたらすのかを、注意深くみていく必要があると述べた。』

『何人かの委員が、石油製品や食料品の価格など、身の回り品の値上げが続いていることから、消費者マインドが慎重化していると指摘し、先行きについては注意してみていく必要があると述べた。』

雇用や住宅投資、生産に関しても先行きの注意事項が勿論出ているのですが、こちらに関してはあまり大きく懸念している感じではありません。ただし賃金に関しては弱気でして、

『賃金について、多くの委員は、中小企業の冬季賞与が減少したことなどを指摘し、原材料高などによって、中小企業の収益が鈍化していることを踏まえると、賃金の弱さは続く可能性があるとの見方を示した。』

となっておりまする。またQEに関しても指摘がありまして、

『07 年10〜12 月期の四半期別GDP速報(1次QE)について、何人かの委員は、輸出の増加、個人消費の底堅さ、住宅投資の減少という判断を裏付ける内容であったが、設備投資は予想以上に強く、今後公表される2 次Q E や他の統計と合わせ、判断していく必要があると述べた。この間、ある委員は、最近のG D P の動きについて、原材料高による交易条件の悪化が、実質所得の海外流出を通じて、内需の伸び悩みをもたらしているとの見方を示した。』

となっています。


○日本の金融面についてちょっと変化した部分(貸出態度)

あまり気にしない金融面なのですが、今回はこのような指摘が。

『何人かの委員は、中小企業では、業況感が悪化する中で、資金繰りが悪化しているほか、建設、不動産、流通等の一部の業種では貸出態度が慎重化するなど、企業金融がタイト化の方向にあり、その影響を注視する必要があると述べた。』

この部分は1月までの議事要旨には見られなかった指摘です。従来は、その前段の『金融機関の貸出態度も、引き続き緩和的な状態が続いている。』で話が終了しておりましたが、今回(2月の決定会合ね、為念)この点に指摘が入っておりますのは注目でございますなということで。


以下別件メモ。

○先物の値動きが激しすぎます><;

えーっと、債券先物の板気配を情報ベンダーご提供の画面とかで見てますと何か物凄く値がポンポン飛ぶわ板は薄いわという状態になっておりまして、特に引け近くになると無茶苦茶飛ぶのでありますけれども・・・・・・勘弁していただきたいであります。


○いやあこんなインフォメーションが出ましたか

総裁職務の代行および代理について
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0803b.htm

西村さんが副総裁になったのですが、よくよく考えますと審議委員も国会同意人事なので、何気に総裁だけじゃなくて審議委員も決めないといけないのですな。いやはや。













2008/03/19

お題「まあこんな状況ですので相場雑談/いきなり茶番モード」

なんだ100bpじゃないのか・・・・・75bpの利下げを行って米国2年国債が27毛甘というのには感動した。しかし市場の期待からすると「大幅利下げ」って感じじゃないですよね。まあ大幅利下げって言いたくなるのは判りますが

リーマンの株価が上昇するのは兎も角、ベアの株価が上昇するのは何か米国市場まだまだ夢から覚めていませんなあって感じで、400ドル上昇にも眉に唾モードなあたくしですが、まあ良くわからんので論評は控えるのでありました(論評してるじゃん>自分)。


○いきなり茶番モードになった日銀総裁人事

実は月曜日に「福井・武藤再任案」ってのが出た時に市場では何考えとるんじゃという話にはなってたのですけれども、先物143銭高20年11毛甘という素晴らしい相場にそれどころではない状態でありました(^^)。

で、昨日。NHKの速報が情報ベンダーに出た瞬間に「田波さんって誰でしたっけ」となってWikipedia見たら仕事早すぎと感心しちゃいましたが、そういや大蔵事務次官でしたなって佐々波委員会とかの名前を思い出しましたよ。

いやあの財務事務次官経験者だからダメだと言ってるのに大蔵事務次官経験者出すか普通ってのと、田波さんには申し訳有りませんが、金融市場的に「誰でしたっけ」って感じの人がいきなり総裁ってあのその官邸何考えとるんじゃという所であります。

福井武藤再任の話あたりから官邸アホですかの声はあったというか、相場展開が日銀総裁人事どころの騒ぎではなかったのでまあどうでもいいや状態でしたが、さすがに今回の人選は福田首相に批判の鉾先が向うというか呆れ果てて一気に脱力というか。最初に出された人事案が評価高かっただけに代替案のしょぼさ(田波さんと西村さんには申し訳ないですが・・・・)に、日銀総裁人事ってそういうもんでしたかそうですかってドッチラケ感が漂うのでありました。

#てか次に相場の様子書きますが、まあそんな相場でありますので、日銀総裁人事は関心の優先順位で一気にどうでも良くなっているのが正直な所だったりしますが

まあ西村さんは別に悪いとは思わんのですけど、白川さんが政策実務オタク(失礼)な所にミクロ経済の西村先生ってのはバランス的に今一歩な印象が。やはりマクロに強くて金融政策理論に強い伊藤隆敏先生の方が白川さんとの組み合わせではバランスが良いのではないかと思うんですけどね。それで組織掌握力があって変な失言もしない安定感抜群の武藤さんがトップに居ればバランスがとっても良かったと思うのですが。

まあどっちにしても政治の混乱のせいでいきなり茶番劇になってしまいまして、日銀総裁ポストの重みに対する印象が一連の騒動でいきなり軽くなってしまったような気がするのは気のせいであって欲しいものであります。

#国民新党が賛成に転じた理由も意味不明・・・・

#それから民主の「国際金融に必ずしも詳しくない」って反対理由だと武藤さん拒否の理由にならんのだが・・・・



○半値戻ししたような気もするがそうでもなかったりする

昨日もまあグチャグチャでございましたが、朝っぱらは前日の続きで超長期4甘とかやってたのですが、急に20年30年大復活で入札を迎えました。落札結果はまあ前場引けのオファービットに近い感じだったのでテール12銭とは言えまあこれはこれで無問題。んで後場は先物売られるの巻で、これは全値戻しでもするのかという勢いでしたが、100銭安手前で止まってしまい引けに掛けてはしぶとく復活。うーむ。

しかしまあ朝の時点では大丈夫かって感じの20年入札でしたが、前場から買いが入って大復活してとりあえず良かったですね(本当に業者的に良かったのかというと微妙ですが、苦笑)という所でしたが、引値表をつらつら眺めておりますと、5年カレントが5毛甘(前日は1.5毛強)、チーペストが7毛甘(前日は13毛強)、10年カレントが4.5毛甘(前日は引け変らず)、20年99回が4毛強(前日は11毛甘)、30年カレントが8.5毛強(前日は13.5毛甘)でございますかそうですか。

・・・・何かどこをどう修正してるのか良く判りませんが(おい)、一応これまで散々歪んでいただいたあちこちの修復作業をしているような感じもしないでもないですな。しかしまだ5年70回と270回の単利が並んでいるとか、5年70回と5年66回(償還が半年違う)の単利が並んでいるとか、中々まだあちこち色々とあるようですわな(ただ局地的な話だけじゃなくてイールドカーブを引っ張ると色々とアレでございますし、先物VS270回もこれまた・・・と色々と)。


そんな中で落涙を禁じ得なかったのは物価連動国債と15年変動利付国債でございまして、こちらは昨日も続落。いやまあ名目金利上がりましたし、イールドカーブがフラットしたから続落しても良いんですけど、それなら月曜の下げは一体・・・って感じでして、この辺に関しては巻き戻しと無縁なようで実に味わいの深いものを感じます。侘び寂びの世界ですな(謎)。

ということで、単価が90円とかになってる発行時αが100とかの変動利付の換算αが軒並み10(一部10割れ)になってみたり、BEIがカレント以外軒並みマイナス(一部ではマイナス25)になってみたりと、死屍累々としか申し上げようがない(物価連動はそれでも元々の名目金利が下がっているのが救いですが)のであります。ちーん。

ま、ポートの強制ご売却(+併せ切り)とかあるんでしょうね。


○3MFBも上昇

ということで局地的なものは兎も角として何となく月曜の巻き戻しらしいものをやっているようでもありやっていないようでもある昨日の相場でありましたが、超短い所は引き続きヘロヘロ。

昨日実施された3か月FB入札ですが、そんなに流れないでしょうとあたくしが書いたのが良くなかったのか入札流れやがりまして、平均0.6226%の足切り0.6480%になりやがるという実にアカポンタンな結果に。さすがに安いでしょということで引けは0.62%まで戻していたようですが。

その煽りを受けてか6月13日足の本店共通担保オペが平均0.609%の足切り0.600%に上昇するわ、足元のGCレートは相変わらず60台後半だわという状況で、期末越え楽勝モードは完全にどっかに逝っちゃいましたね。

#というか3月頭からLIBOR期末越えがじりじり上昇してるのに平気な顔して楽勝モードだった方がおかしいのですが

ま、こっちの方は今週か来週前半まではやってそうな感じですね。










2008/03/18

お題「何というポジションクローズ、ということで相場備忘録」

いやはや工業株指数とは言えダウって下がりませんなあ。

○日曜の夜に公定歩合引下げですか

ご案内の通りに東京時間の朝っぱらからいきなりFRBが連銀貸出の緩和(というか新しい種類の連銀貸出設定というか)やらJPモルガンチェースによるベアスターンズ買収(というよりは実質的には破綻処理して救済っぽいのだが)報道が出ましたのはあらまという感じでございます。

ま、米国市場もようやく阿鼻叫喚モードになってきたようで、この手の施策が出ても「次はどこそこ」という話になっているようで、CDSとか債券価格とかはとても素敵な展開になっておられるようですが、まあ10年前に日本で信用不安モードになった時に散々火に油どころかガソリンを注いで回って下さったアメリカ様におかれましては因果応報とか言うと不謹慎ですねすいませんすいません。

しかし結局人間ってのは人のケツに火が付いているときは偉そうに批判できますが、いざ自分の事になると結局批判してたことは全然出来ませんってえもんなんでしょうなあと人間の業の深さを感じるものでありまする。自己反省も含めましてね。

しかしまあ何と申しますか、昨年末利下げの翌営業日に欧米各国協調流動性対策出したのもそうなんですけど、FRBのプルーデンスに関する施策出すタイミングが微妙に変だと思うんですけどね。日曜の夜に公定歩合下げるとかってFRBがパニックになってるような印象を与えるだけで、何故金曜(の夜でもいいけど)に出せないのよと思う次第で、何かプルーデンス政策が後手後手に回っている印象を与えるのでございます。

ま、今回のJPモルガンチェースへの特別融資ってノンリコとかかなり無茶なものも担保になっていると聞きましたので、こりゃまあ中々のケチャップでございますなあとは存じますけど。

これで利下げ1%とかやらかすんでしょうけど、まあ利下げしても今更効きはせんと思いますけど、やらない訳にもいかんでしょうから大幅利下げなんでしょう。

・・・しかし実質破綻処理してすかさず国内の別の金融機関に救済させる今回の動きは素早いは素早いですが何という不透明な処理。日本には透明処理を求めておいて自分の所ではこの動きというのが典型的なアングロサクソンダブルスタンダードではないかと思う次第でして、アメリカ様がどうのこうのとか言う人たちにおかれましてはこのダブスタに関してどのようにお考えなのかと小一時間問い詰めたく存じます。



○ポジションクローズというか何というか(国内債券市場)

昨日の債券市場はまあ朝から先物高の超長期弱体とかやらかしておりましたが、時間の経過と共にその動きが拡大して驚くべき状況になってしまいました。まあ要するにポジションのクローズに伴い、流動性の低いものが叩き売られたり、今まで構築されていたアービトラージポジションが強制解消の刑になったというような動きなんでしょうけれども、債券の方では先物スーパー独歩高という強烈な状態に。

スワップスプレッドのアービトラージの解消が主要因だそうでございますが、超長期ゾーンは現物売られて引け値ベースで20年カレントが11毛甘の30年カレントが13.5毛甘(何か引け直後の業者間では15毛甘が叩かれてたような気がするんですが)とか現物金利絶賛上昇となってますが、ご案内の通り先物はスーパー上昇で先物対応のチーペスト270回債におかれましては13毛強って何てこったいという所であります。

てか、10年カレントが引け(何か引け時点では1毛甘とか叩かれてたような気がするんですが)なんで7年10年が13毛もスティープしやがっていましてそいつもビックリでございますが、もっと酷いのは中期対比の先物の強さでありまして、5年カレントが1.5毛強なので5年7年が11.5毛フラットして、5年70回と270回が何と逆イールドになってしまいやがりました。ナンノコッチャ。


んでまあ先物独歩高でカーブの先物だけツイストのベアスティープ(というべきだと思うんですがこの相場・・・)も凄いのですが、15年変動利付国債とか物価連動国債とかも何気に悲しいことになっておりますようで、本来物凄い勢いでカーブがスティープしているのですから強くなって然るべき15年変動利付国債は140銭だの150銭だの下がっていますし(カレントのαが25近くにまで下がってますな)、物価連動国債は対応する長期国債とはまるで無関係に軒並み20銭だの30銭だの下がってまして(その値付けもナンノコッチャと思うのですけど)、7年ゾーン対応の4回だの5回だのってBEIがマイナス20アラウンドとかになってますけどそれは一体全体どういうことですか先生という所です。10年カレントのBEIも5とかになってるんですけどね。

CDSとかも何かとんでもないことになっているようで、現物のクレジットスプレッドから見てそれは幾らなんでも無いでしょうというような所になっているようですが、あんまりこの辺の事情が良く判って無いので割愛の巻(こら)。


ま、理屈じゃない動きになってしまいますと如何ともし難いという所ですけれども、世の中にスワップスプレッドのアービトラージみたいな取引ってこんなにあったんですねとか、今更プロテクションヘッジですかとか、何もこんな時に変動利付国債投げなくてもとか色々思うところはありますけれども、これってどう見ても強制ポジションクローズの動きなんで理屈捏ねて向っても踏み潰されるだけですので向わない向わないっと♪

・・・・で、今日は20年国債の入札なんですが、この際ヤケクソで休債してみたら如何でしょうか(冗談ですよ)。


○2か月FBが流れやがりました

超短い所に関しては先週終わり位からちと怪しげな動きをしておりました(木曜にGCレートが上昇した件について金曜に「急にGCが来たので」とかいう小見出しで書きました)が、昨日の入札は元々がロールオーバーじゃないものが3兆円。しかも足が5月税揚げに合わせているので5月2日エンドという運用側にとっては使いにくい足(税揚げにぶつけているからどうせエンドはロールしないし、そもそも月初かつ連休の谷間なので再投資に困る)となっていました。

でまあこんなのニーズあるんかいなという話でしたが、前場引け時点で0.62%オファー(その前に0.615%出合いだったそうですが)に対して平均落札0.6470%の足切り0.6783%と大変にファンタスティックな落札結果に(BBの引けベースでは0.665%と足切りよりはマシですが平均よりは甘い引け)。

ま、この辺の動き見てますと「流動性のあるものへの選好」と言いましても「フライト・トゥー・クオリティー」とはちょっと(どころじゃなくてだいぶ)違うようにも見える次第でして、まあざっくりといえばキャッシュ化なんでしょうが、それともちょっと違うような気がするので、もうちょっと色々とマネーフローを見てみないとよー判らんでございますな。

そんな次第でGCレートも上昇して0.6台後半とか、現先レートなども上昇して、今まで全然上がらなかった(金曜は木曜のGCを受けてさすがにちょっと上がったんですけど)CPレートも上昇したようで、まさに急に期末が来たのでって感じでございます。

・・・・で、今日は3か月FBの入札があるんですけどはてさて。まあロールオーバーだし今期最後ですから昨日ほど悲惨な入札にはならないと思いますけど。










2008/03/17

お題「野田審議委員会見は講演よりは警戒モードを下げる/その他雑談」

メリケン様もやっと世の中の終わりっぽいコメントが増えてきましたな。おっほっほ。

#ところで企業減税や証券減税を「金の掛からない景気対策」と言い切るのは幾らなんでも強欲ポジショントークにも程があると思うんですけど>モーサテの某コーナー


まずは野田審議委員会見から。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0803b.pdf

○先行き慎重かつメインシナリオ自体は取り下げずと

メインシナリオとリスクシナリオのウェイト付けはどうなっていますかという質問に対してですが。

『(答) リスクシナリオのリスクウェイトについては、本日の挨拶要旨を仔細に見て頂ければお分かり頂けると思いますが、金融経済懇談会においてメインシナリオの確率が高いとか、リスクシナリオの確率の方が高いとか、どちらが高いということを申し上げた訳ではありません。また、仮にリスクシナリオが顕現化した場合にどういう状況になるのかといったことについて、私としては、こうなればこうなるだろうといった見方を今の段階で持ち合わせている訳ではありません。』

ということで、ウェイト付けに関して慎重ということですけど、先行きを慎重に見ているのでどっちがどうこうとはいいにくいという事なんですかな。他でも似たような質問がでてまして。質問部分も引用してみます。

『(問) 「生産・所得・支出の循環メカニズムについて、幾つかの注意信号が点滅し始めていますが、先行き、この循環が決定的に途切れてしまう蓋然性を示唆するような明確な証拠が揃っている訳ではありません。したがって、「緩やかな拡大を続ける可能性が高い」とのメインシナリオを維持することが適当」とのことですが、これでは消極的な理由から循環メカニズムが維持されているという印象も受けます。』

『これは、このところダウンサイドのリスクが高まり、循環メカニズムはかなり瀬戸際に来ていることを意味しておられるのでしょうか。また、注意信号が点滅し始めている訳ですが、仮に赤信号となると、政策対応は用意されているのでしょうか。さらに、ゼロ金利政策へ復帰することに抵抗感というものはあるのでしょうか。』

ということで、野田審議委員の講演で先行きに警戒感を強くしているので、その点についてツッコミが来ましたと言うことでございますわな。

『(答) 注意信号と申し上げたのは生産・所得・支出のそれぞれのコンポーネントをみた場合、生産面は先行き増加するものと思われますが、当面は横ばい圏内の動きが続くとみており、特に、足もとは横ばいとなっています。これは10〜12 月の生産が自動車やIT、電子部品でかなり好調であったことの反動もあると申し上げています。その他にも海外経済の先行きに対する不安も反映されている可能性も全く否定し切れないのではないかとみています。』

ということで生産に関しては黄色信号ということなのでしょうが、講演で警戒トーン上げた分ちょっとトーンを下げてますね。

『また、所得については、企業収益は伸び悩みつつも高水準で推移しているとみています。足もとは増勢に少し鈍化がみられるという状況となってきており、従来のように青信号で突っ走ってきた状態よりは、少し注意が必要と考えています。ただ、これも水準としては総じて高い利益は今後も維持されるであろうとみています。従って、瀬戸際にあるという認識ではないとはっきり申し上げることができます。』

ほほう。

『将来、これが赤信号に変わるというリスクは全くは否定し切れない訳ですが、これに対応する政策はどうかと聞かれても、あくまでまだリスクの範囲内で、政策云々をここで申し上げることは適切ではないと考えています。』

『ゼロ金利政策云々のご質問についても、その延長線上にあることであり、ここで申し上げることは適当ではないと考えています。』

ということで、その辺りについては答をとりあえずスルーしました。


○欧米5中銀の流動性対策発表に関して

まあこちらの答えは普通なんですけど、どうもインターバンクの状況とかご存じない方が国際協調から日本が取り残されているのはどういう事かとか言うのが如何なものかってのがございますので敢えて引用(^^)。

『そうした中で、日本銀行としては、国内の短期金融市場は相対的に落ち着いているという認識に変わりはなく、特に、ここで屈折的な変化をもってオペレーションで対応するということは今のところ考えられないことであると思います。ただ、世界全体の市場動向を従来以上に注視する必要がありますし、変化に応じた機動的なオペレーションでの対応ということはますます重要になってきているという認識は、日本銀行内で共有されています。』

ま、個別にはサブプライム関連商品に特攻して資本増強しないとエライコッチャになっているどこぞの信金さんとかの事例もありますけど、インターバンクにおける信用収縮とかのような事態は全然発生しておりませんので流動性対策をわざわざ鉦や太鼓で打たなくても良いですよって話でございますわな。(珍銀行東京の場合は純粋な放漫経営でして、もはやサブプライム関連ですらねえ・・・・)そういや日証金が子会社で買ったサブプライム関連商品の償却で創業来初の赤字という報道には顎が外れましたけど。


○ドル安の影響について

足元の円高基調(と質問してた)に対してのコメント。

『(答) 一般的な見方と変わりはないと思いますが、短期的には輸出企業に与える影響が一番大きな問題とみています。ただし、もう少し時間軸を伸ばして考えた場合には、交易条件は良い方向に改善していく訳ですし、わが国経済全体の所得形成力としてはプラスの方向に向かうということもありますので、中長期的な影響もみていかないとならないのではないかとも思います。』

まあアレですよ。原油価格などの原材料価格上昇を景気に対して悪影響って評価をしているのですからドル安に関してもこういう話になるのは違和感はございませんですな。

とは言え輸出が経済のエンジンになっている事を考えるとどうなんでしょうかねという所で。ドル高が国内需要に好影響与えてくれれば良いのですけど。。。。


以下世間話

○ポジション閉じモードにも程が有ります

何かポジション閉じモードに拍車が掛かっている(まあ月初のカレンダースプレッドとかBEIとかも変でございましたけど)ようで、#268と#270は単利逆転してるわ、5年70回は手前と引けベースで1毛(場中はもっとスプレッドが無い筈)スプレッドとかでそこだけカーブ寝てるわ、20年30年40年はどこまで行っても甘いわというようなハチャメチャな状況があちこちで発生中。

いやあのポジション解消モードになっているのは良くわかるのですが、何もそこまでやらんでもとか思うんすけど。5年70がやたら強いのってポジション解消で何か売った物を買うのに中期のカレントだからって言って買っているってのが見え見え過ぎ。ちなみにこの銘柄は大手証券さんが半分くらい落札しちゃったので期末越えのレポも怪しいということで益々強くなっているの巻って感じで誠にケシカランでございますな。

#というかお家の事情で買うのは判るが幾らなんでも割高割安考えてくれと思うんですけどね


○日銀総裁人事

報道されている内容を見てますと、山口さんよりは黒田さんや渡辺さんが総裁候補の線が強そうでございまして何のこっちゃという感じ。

いやあのですな、元事務次官とは言え副総裁を5年務めて内部の人望も厚い(らしいですよ)人よりはついこの前まで現役の財務官を務めていた人を総裁にした方が財金分離とやらに資するという民主党の理屈が1ミリも理解できないのでありますけれども。むしろ逆で、落下傘でいきなり総裁就任する方がよっぽど財金分離に反すると思うんですけど。

大体からして財務官なら国際的なのでよくて事務次官ならダメとかどういう職業差別主義者だよとか思うんですが、それは兎も角として、日銀の味方のつもりらしい民主党様におかれましてはどう見ても日銀の邪魔をしています本当にありがとうございましたという感じですな。

白川総裁、渡辺副総裁、伊藤(元重)副総裁ってのはどうでしょうかねえ。無理でしょうけど。








2008/03/14

お題「相場がこの有様なので市場クリップとか世間話とか」

野田審議委員の記者会見とか、2月決定会合の議事要旨とか本当は他にやることあるのですが、こんな市場ですからメモとかをしておきましょうなのです。

○10年までが強いですかそうですか

ぼけーっと見ておりますと前場は5年が引っ張って上げてた感じだったんですが後場になって為替が飛んで株が下がって債券高値付けに行くところでは10年も追いついてきて、引けてみると7年5毛強の5年、10年4毛強と相成りました。一方で20年が5糸強で30年1毛甘とか中々悲しい展開になっておりまする。

まあ何が何やらという感じですけど、ど〜せまたオプションが引っ掛かって踏んでる人がいるんでしょと勝手に予想。10年までとその先の余りといえば余りな差にちょっとそりゃどうなのよという感じでありますが、まあレンジぶち抜けにつきポジションの投げ踏みが入っちゃいましたという所なんでしょうかねえ。オソロシスオソロシス。


○急にGCが来たので

昨日の新発FBの落札が57bpまで上昇して、その後の売れ行きもイマイチという感じでありましたが、それまで延々と0.53%から0.54%あたりで全然動かなかったGCレートが一昨日に上昇したのを引き継いで(だか何だか知りませんが)昨日は久しぶりにGCが0.6%台に上昇の巻。利払いの関係で長期債の半分はファンディングついている筈なんですが、その狭間に新発FBの売れ行きが悪かったのが影響したんですかねえ。よー知らんが。

一昨日に足元のGCレートが上昇した事を受けてさすがにCPのレートもホイホイ低下する訳にも行かずということで、昨日のCP新発レートはここまでのじり安傾向が止まりましたという感じのようでありますが、今日は昨日のGC0.6%台を受けて上昇に転じるのでしょうかねえという感じです。お家の事情買いがあると中々そうも行かないところがこれまたアレなのですが。

オペの金利も上昇してまして4月2日エンドの国債買現先がレート上昇して0.582平均の0.58足切り。共通担保の期末越えの4月3日エンドは何と0.59%一本値となりやがりまして、ほうほうこれはまたレート上昇でございますなあという所で、足元のGCレート上昇に勢いをつけた感じ。

ま、やっと期末モードっぽくなってきたちゅう事なんですかいなと。幾ら邦銀がほぼ無傷だからといっても全然無風はねえだろ無風はと申し上げていたのがかなり空しく響いていたのですが、まあようやっとという感じっすね。このパターンだと来週が期末モードのピークになって、最後の最後はレートが落ち着くという奴かと存じますが(^^)。



○外為特会じゃなくて良かったですね

3か月ほど前に埋蔵金がどうしたこうしたというお話で急に世間が盛り上がったのですが(というかもうあれから3か月も経ったのかよという感じですけど)、結果としての財政投融資の準備金が10兆円取り崩されて国債償還に回ったのは記憶に新しい所。そのせいでFBの発行が増えてしまいやがりましたが、まあそれは兎も角として。

ちょうどあの話をしてた時って12月の最初の週だったのですが、このときに外為特会の準備金を取り崩してたら、そこから米国の金利はジャンジャン下がるわ、ドル円はドル暴落(1割位下がりましたなあっはっは)するわと実に素晴らしい事態になっておられましたのでありまして、あの時点で財政投融資準備金の取り崩しで国債償還(って単なる両建て解消でしょ)という施策をいち早く打ち出して一旦話を下火にさせたのは大正解だったということでありますな。さすが財務省。

ちなみに埋蔵金騒動の時に書いた駄文は
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/zatsudan07-02.html
の12月6日と7日にございます。


○何という希望的観測モード

昨日のNY市場はハードデータで売られた後に格付け機関が「金融機関の損失拡大はピークアウト」というレポートを出して戻るということだったようですが、とテレビが言ってるだけで本当のことは判りませんけど、まあそんな経緯で株式市場が反発してるというのであれば、それはまた見事な希望的観測相場で実に素敵な展開。

流動性供給策発表の時もそうでしたが、何かもう米国株式って何か蜘蛛の糸が垂れてくると何でもいいからそれに縋って戻るのですが、事実に直面するとやっぱダメじゃんモードになるという感じっすね。いやはやにゃんともでありまする。


てな訳で本日はただの雑談で恐縮至極でございました(汗)。ところで介入マダーっと。








2008/03/13

お題「野田審議委員講演:経済の下ブレリスクを意識」

その前に少々クリップ。

○FB3か月の利回りが上昇してるのに

昨日はFB3か月の入札がありましたが、平均、足切りとも0.57%台での決着となりまして、このゾーンのFBが妙に重いようでございますな。でまあ短い所の金利が上昇してるのかと思えばさにあらずでして、CPのレートがここの所じりじり低下しているのが実に訳判らん。昨日だけ下がるというのであれば、欧米諸国の流動性供給措置を好感してLiborが下がったからクレジットスプレッドが縮小して・・・・という理屈になるのですが、その前のLibor絶賛上昇時にも同じ動きをしていたのがワケワカラナス。

何か最近決算期末になると足元に金が出てきてCPを買う人がいるようですので、今回もこれが出やがったんだろうなとは思うのでありますけど、他市場の動きをあまり斟酌しないで買って来るところはまさしく決算お家の事情系なんでしょうなという感じでございまする。何なんでしょうかね。


○日銀正副総裁人事

金融政策の独立性とか言ってる民主党が自分の政党の内部事情によって(反対の方が党がまとまりやすい)日銀正副総裁人事案に反対。しかも民主党政調会長のコメントだか何だか忘れましたが、民主党のエライ人によりますと対案は無しだそうでございまして、もうアホかと馬鹿かと。政治で金融政策を引っ掻き回してるのはおめえじゃねえのかと小一時間問い詰めたい。

で、念の為本日も申し上げますが、これって別に日銀の陰謀でも何でもないというか、白川さんだけOK→日銀ウハウハ→やはり民主党と日銀がつるんでいて日銀ケシカラン、って想像を掻き立てられるという点で大迷惑以外の何物でもないと思います。

どう見ても武藤さんと伊藤先生が居るほうが対外的な説明が通りやすくなるから日銀ウハウハなんですけどね。



ということで野田さんの講演。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0803a.htm

○日本経済に関して

『わが国経済は、住宅投資の落ち込みやエネルギー・原材料価格高の影響などから減速しているものの、生産・所得・支出の好循環メカニズムが基本的に維持される中で基調としては緩やかに拡大しており、先行きも、当面減速しながらも、その後緩やかな拡大を続けるとみています。』

というのは金融経済月報通りでありますが、その中でリスク要因として幾つか挙げておりますわな。

『中小企業では、原材料価格高により、収益の伸び悩みや業況感の悪化がみられており、その影響を注視する必要があると考えています。』

『物件価格の上昇などからマンション需要そのものに弱さがみられており、回復のペースや水準については、やや慎重にみておく必要があると思います。』

『各種の調査によれば、足もと消費者マインドが急速に慎重化しています。賃金が伸び悩む一方で、ガソリン・灯油・食料品などの生活必需品の価格が上昇していることなどが影響しているものと思われます。こうしたマインドの悪化の影響を含めて、個人消費の動向については、引き続きよくみていく必要があると考えています。』

ということでまあ全部下向けのリスク要因でございますな。

『以上、ここまで日本の経済・物価の現状と先行きについて述べてまいりましたが、こうした見通しの蓋然性に対するリスク要因には十分な注意が必要です。とりわけ生産・所得・支出の循環メカニズムの起点である生産活動の牽引車である輸出と、それを左右する国際金融市場や世界経済の動向は、重要なリスク要因であると考えています。』


○刈込平均キタコレ

西村審議委員がCPIの刈込平均について講演の時によく言及していますが、野田さんも刈込平均に関して言及ですな。ほうほう。

『例えば、刈込平均指数という、品目別価格変動分布の両端の一定割合を機械的に控除した指数で、大きな相対価格変動を取り去った、いわば「物価の基調的な動き」をみると、2003年頃から緩やかな改善傾向にあることがわかります。相当期間に亘って、マクロ的な需給ギャップが需要超過の状況で推移してきたことが、物価上昇の「根っ子」を形成してきたものと考えています。』

とは言え10%刈込平均の上昇ってまあ0%から1%の世界なんですけど(と記憶してますが間違ってたらゴメンナサイ)ね。一応徐々に上昇するというグラフにはなっております筈です。


○米国に関してはかなり慎重

『サブプライム住宅ローン関連商品の損失規模については、諸機関が試算を公表していますが、最終的な損失がどの程度になるか、正確に見通すことは、米国の住宅市場の調整がなお進行中である現時点では困難です。また、昨年夏場以降、米欧の金融機関は、既に相当の規模の損失を計上し、これを補う意味で、資本政策も相次いで公表しましたが、追加損失にかかる警戒感が残る中、市場は落ち着きを取り戻すまでには至っていないばかりか、足もとでは不安定さを増しています。』

『住宅市場の調整や金融資本市場の変動が、その程度と期間の面で予想を大きく上回る場合には、資産効果や信用収縮、企業や家計のマインド悪化などと通じて、米国景気がさらに下振れるリスクがあり、楽観はできない状況にあることには十分留意する必要があります。』

ということで、メインシナリオとしては一応落ち着きを取り戻せば回復基調に復帰するという話ながらも、米国経済に関しては下ブレリスクをかなり意識した部分が目に付きます。


○欧州は下振れリスク、その他は堅調

『欧州経済については、緩やかに減速しつつも成長を続けています。輸出や個人消費が弱い動きとなっている一方で、設備投資は増加傾向を持続しています。ただ、ここでも国際金融資本市場の変動が金融環境に及ぼす影響次第では、景気が下振れるリスクがあります。一方で、中国をはじめとするエマージング諸国や資源産出国は高成長を続けており、世界経済の牽引役としての役割が増しています。』

ということでこちらはあっさり味ですが、結論はやはり先行きの下振れリスクということになりますわな。

『世界経済は、全体として、緩やかに減速しつつも拡大を続けるというのが標準的な見方ですが、米国経済や国際金融資本市場の調整が深まる中で、ダウンサイドリスクが増していると考えられます。繰り返しになりますが、米国経済を含む世界経済の動向は、日本の好循環メカニズムの起点にある輸出や生産に影響を与えますし、金融市場を通じた影響も考えられます。』

『この影響については、中国をはじめとするエマージング諸国の高成長が米国経済減速の影響をどの程度カバーできるかに依存します。これは、「デカップリング」という言葉で論じられていますが、後程少し詳しくお話します。いずれにせよ、世界経済や国際金融市場の動向とわが国経済への影響については、引き続き注意深くみていく必要があると考えています。』

慎重な見方っていうスタンスが目に付きますわな。で、アップサイドのリスクはインフレリスクなのですが、こちらはあっさり味。

『一方、ここでのアップサイドリスクは、いうまでもなく、インフレ方向のリスクです。米国および欧州では、景気の減速が基調的なインフレ圧力の減衰に寄与することになる一方で、原油価格をはじめとする国際商品市況の上昇はインフレ圧力の増大につながります。また、中国では、力強い拡大が続いており、当局は様々な引き締め策を講じていますが、固定資産投資を中心に過熱感が強い状況となっています。中国の消費者物価は、大雪の影響による食料品価格の上昇もあり、2月には前年比+8%台まで上昇しました。』


○デカップリング論に関して

結論部分を先に引用しますとこうなります。

『デカップリングについての見方を総括すれば、完全なデカップリングということはあり得ず、あくまでも「程度の問題」であると私は考えています。』

で、その理由は(1)米国の影響が相対的に低下したとは言え、世界最大の輸入国であることに変化がない、(2)金融面で言えば主要国とエマージング諸国のカップリングが進んでいること、となっております。ということで米国の先行きに下振れリスク警戒モードということは全体的にも警戒モードということになるんでしょう。


金融政策に関してはまあそんなに変った話をしている訳でもございません(と思った)ので、今回は引用を割愛致します。










2008/03/12

お題「まあ色々と雑談ですが」

えーっと、都知事様はアレキサンダー大王でもジュリアスシーザーでも無いから責任は無いそうですが、では何故仁司さんはジュリアスシーザーの如く全責任をひっかぶされるのでしょうかあたくしには全く理解致しかねるのでありますが。さすがは卑怯者。

○アンワインドのアンワインドですか、わかりません(><;

昨日は5年国債の入札があったのですが、どこぞの大手証券さんが発行量の半分位を落札しやがって妙に高い落札になったのですが別にショートカバー大会にもならずナンノコッチャ感な入札に。まあ期末だからお家の事情もあったんでしょう。よー知らんが。

んでまあ朝から(というか前日の引け後からかも)2年ゾーンとかが弱くて、終わってみれば3毛甘とかになってまして、3年ゾーンなんぞ4毛甘。一方で長いところが強くなってるとか、ここもとアホのように短期が強くて超長期がヘロヘロだった動きの真逆。月曜は先物だけやたら高いとかまあ変ですなあというのがございましたが、昨日は昨日でまたヘンチクリンな動きでして、何がなにやらという感じであります。

ま、それ以前に短い所がアホのように強くなって、3年ゾーンまで0.55%とかやってたのが(ちなみに3か月も0.55とかもうちょっと利回り高くとかなんですけど)もっと意味ワカランなのでありまして、やり過ぎの修正が入ったと言えばそれまでなのかもしれませんが。

引き続き何がどうなっているのやらという相場で、まあ何か気持ちが悪いですなあとしか申し上げようがございま千円です。



○また流動性対策が出ているようですが

正直、クレジット市場の問題で利下げが効くのは途中までで、その途中までという閾値がどこにあるのかは判りません(計測出来るのかもしれませんが)けど、何となく感覚的にどこかで利下げが効かなくなって、それよりもプルーデンスの世界で対応するとか財政対応するとかにしないとって事になると思うんですよね。理論レスで申し訳ないですが(汗)。

という訳で、中身真面目に読んで無いから(人が寝てる間に出されましても困るわけで^^)アレなのですが、今回の対策が効くのか効かないのかどうなんでしょうかね。まあこういう対策が出て株がアホほど反発してくれているというのは当局対応がまだ信用されている証拠でして、本邦の場合に置き換えて考えてみますと、あまりにもそれまでの気休めをやり過ぎたせいで(大手行は1行たりとも潰さないとか言ってた人がいたようないなかったような。あれは都市伝説だったのでしょうか・・・・)しまいに何やっても効かなくなるというおそロシアな状態になった事を鑑みますと、アメリカ様は脳天気じゃなかった前向き思考で実に素晴らしいですね(棒読み)といった所ですにゃ。

というか、本邦の時にはこういう対策が出る側からアメリカ様あたりの皆様が「こんなのが出るほど状態は深刻」と随分と売り煽りをしやがってくれましたなあという甚だ遺憾な過去の記憶が蘇ってくるもんで、どうもこう米国の危機がどうのこうのと言われても心のどこかにざまあ味噌汁と思うあたくしがいるのは全く持って人間が出来ていないとしか申し上げようが無い所でございますm(__)m

ま、クレジット市場の混乱が収まるといいですね。



○さて日銀正副総裁人事

本石町日記さんが珍しくも血圧を上げて民主党の決定にお怒りになっておられます。
http://hongokucho.exblog.jp/8152784/

まあ今回のメンバー構成だと、やたらめったら叩かれやすい日銀としては政治方面への説明能力が高そうな武藤さんあり、学会も納得する(と思うんだけどどうでしょ)伊藤隆敏さんありということで、日銀の打ち出す施策に関して対外的に説得力が非常に高まりそうな期待がありましたんで、そういう点で言えば今回提案されたメンバーが通ってくれると日銀(の中の人)としても大変に心強いボードとなってハッピーですねって感じだと思うんですよ。ということで本石町日記さんが血圧を珍しく上げてエントリーを書いておられるのが良くわかるのですが。

#だから白川さんだけが通ったのは日銀の陰謀じゃなくて日銀としては思いっきり迷惑至極だと思うのでありますけどね

ただまあ、経済財政諮問会議のメンバーということで官邸色が強い伊藤隆敏先生がすんなり通らないかなあとあたくし如き傍観者のシロウトですら思うくらいですから、今回は民主党が思いっきり政府の餌に釣られクマーという所なんじゃないですかね。福田首相の反応も含めて今回はまあシナリオの範囲内なんじゃないですか。

今後の展開を勝手読みをしますと・・・・

もう一回同じ2名を提出してきてミンス様当然のようにもう一回拒否。

政府としては「わたくしどもがベストと思って出しましたが、民主党様がダメと仰せですので民主党様におかれましては何か名案でもお持ちなのでしょう是非それをお願い致したくご協議させていただきましょう」とタマを投げ返す。

ミンスに対案無しということになってプギャー。または、ミンスが出す対案に立ち直りが出来ないような粗を見つけてプギャー。

んでまあ最後に小沢さんが党を叩き壊していただくとなお面白いのでありますけど。あっはっは。

ま、時間切れになった所で山口総裁、渡辺副総裁で収拾するというのが落としどころなんじゃないですかね。(あと可能性としては植田総裁かもとは思いますが、いつの間にか下馬評から消えちゃいましたね・・・)今回官邸色が濃い伊藤隆敏先生が跳ねられてしまったので、榊原先生とか竹中先生とかの線は無くなってしまいましたですね(そもそも竹中先生が受けるとは思えませんが)。

いやまあこの反対の理由が「利下げ論者だからダメ」とか言うのであればその瞬間に民主党プギャー(だって政策論で反対するなら金融政策の独立性に反するじゃん)という話になると思いますが、さてまあどういう理屈をつけるのやら。それから今日は新聞各紙このネタで社説を書いてくれると思いますのでそれも読んでみたいと思います。

まあ武藤総裁、伊藤、白川副総裁ってメンバー構成ってさっきも申し上げたようにやたら叩かれる日銀としては対外的に心強いボードで、できればまあこのまま決まって欲しいとは思うんですが、ナントカに刃物を持たせてしまっているので致し方無しという所でございましょう。

#というか小沢さん何やっとるんじゃと思うのですけど














2008/03/11

お題「総裁記者会見/その他少々」

まずは総裁記者会見ですが、今回の会見は次の人に向けて一旦ニュートラルにしたというのが特徴的でありますな。まあ新体制になってからは正常化路線を(既に引っ込めてますけど)とりあえず封印して様子見しつつとなるんでしょう。

ただ利下げする時には政府サイドも何か手を打ってくれませんと日銀が緩和してる側から政府が引き締めとかいう間の抜けた事態になりそうな悪寒は相変わらずなのでございますが。

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0803a.pdf

○現在の金利水準が低いのかという話

金利正常化は道半ばですなあという質問に対する答が妙に神妙でありまして、これはまあ次期執行部になった時に金利正常化路線に固執しなくていいですよっていう福井総裁のメッセージなんでしょう。

『それから、金融政策は連続線上で行われるものですので、経済や市場がダイナミックに動くように、金利政策も先行きを見ながら生きた政策を行わなければならないと思っています。スチールカメラで一瞬を捉えて金利が高すぎるとか低すぎると言うのは、分析の道具、分析の途上としては意味のある場合がありますが、実際は生き物としての金利、生き物としての経済、生き物としての市場の呼吸が上手く合っていることが、より良い経済のパフォーマンスに繋がっていく金利政策ということになります。』

はてさてどういうことかと言いますとその続き。

『今スチールカメラで姿を捉え、将来の望ましい成長経路との関係で金利水準が高いか低いかと言えば、それはおそらく非常に低いのだ、極めて緩和的な金利政策が展開され続けている、とおっしゃる方が結構多いだろうと思います。』

さよですか、まあその経路が怪しいのですけどね。

『しかし、経済そのものは、今申し上げた通り、かなり大きなダウンサイド・リスクに直面しています。一方でアップサイド・リスクにも直面しています。その狭間で、経済が大きく取り乱した姿で次の局面を迎えるということがないような金利政策は何かということになると、本日も特にその点を議論したのですが、今のところ日本の場合はスチールカメラで撮れば低すぎるかも知れませんが、なおこの金利水準を今は据え置くことが、将来に経済をどう持っていくかという観点から最適であるという判断を下したわけです。』

アップサイド・リスクはねえだろと思うのですが、まあこれはきっと「かなり大きなダウンサイド・リスク」という強い言い方をしたので、アップサイドにも言及しないとマズイと思って付け加えたのではないかと勝手に思料しますです。要するにダウンサイドリスクが大きいうちは金利動けませんという話でございますわな。

『毎回申し上げております通り、先々をどう読むかに当たっては、金融政策決定会合の都度、新しい材料を吸収しながら判断していきますので、スチールカメラで撮った映像を無視するわけでは決してありませんが、その映像をみて金利が低すぎるから何が何でも上げなければならないという台詞にはならないということです。』

結局は量的緩和解除時のロジックが金利水準の調整(金利正常化路線と言ってもあまり差異は無いですが)路線一点張りとなっており、福井総裁の発言もそのロジックに沿ったものになっていたことから、世の中的に「日銀は利上げ路線」という認識が共有されてしまった(金利水準の調整が基本的ロジックなのだから当たり前ですが)ので、経済状況がこのようになると火消しが大変になる次第なのですな。何度かこの話をしてますが、今回は「利上げ路線に固執していない」っていうのを強調している感じですね。

『先行きの読みといかに合致した判断ができるかどうか、そこが一番重要なことです。これまでもやってきましたし、体制は変わりますが、先々の日本銀行も基本的にはこの姿勢でやっていくのではないかと想像しています。』

ということで、後任は正常化路線に固執する必要は必ずしも無いのではないかってお話をしているように読めましたがどうでしょうか。


○財政と金融の分離とかいう話について

質問されて福井総裁も答えるの大変だと思いますが。

『財政と金融の分離という言葉よりはもう少し広い捉え方となるかもしれませんが、政府の経済政策と中央銀行の金融政策について、日本銀行法では、政府と日銀の間で十分意思の疎通を図りコミュニケーションをよくして、大きな経済情勢判断や大きな政策の方向性について基本的な齟齬がないように努めるべし、ということが書かれています。』

どう見ても民主党の理屈の間違い指摘です。本当にありがとうございました。・・・ただまあそこで話を終了させると、ナントカに刃物状態の民主党が益々ヒートアップしますので、何だか訳の判らん話をしてお茶を濁しておられます。

『また、金融政策そのものについては、日本銀行の政策委員会・金融政策決定会合において100%責任を持って決めることになっています。従って、少なくとも私および現在の政策委員会のメンバーは、その組み合わせの中で日銀法の基本的な趣旨を踏まえて行動するということが、今おっしゃった意味での財政と金融の分離にも通じるものだということを明確に認識していると思っています。』

・・・・何のこっちゃですけど、まあナントカに刃物が暴れてますから仕方ございませんですわな。


○これはうっかりしてました

昨日ご紹介した金融経済月報の基本的見解ですが、これはうっかりしておりました(大汗)。

『(問) 2点お伺いします。1 点目は、本日の基本的見解のなかで、足許の景気については「減速している」と断定的な表現に変えられましたが、(以下割愛)』

これはすいませんうっかりしてました。


○で、物価の影響について

昨日ご紹介した金融経済月報の基本的見解部分冒頭にも原材料価格上昇を景気減速に結びつける文章がございましたが、総裁もこの点に言及しています。

『これ(引用者追記:日銀の先行き見通しが緩やかな拡大になっている事)が実感とあっているかどうかということですが、実感というものは幅が少し広く、身の回りの食料品やその他の値上がりがこのところ加速しており、これがインフレ期待を呼ぶというよりは、今のところ生活水準を悪くするのではないかという方向の気持ちを刺激しているという面もあると思います。』

で、その点について少なくとも国内金融市場では同じ認識となっているのでCPIがちょっと上昇しようとも全然債券とか売られないのでありますけれども、日銀ケシカランという人は勿論のこと、一般のメディアなどに中々伝わってくれていなさそうなのは残念な所であります。日銀に関しては、只でなくさえ利上げバイアスがあるという報道とか認識とかが昔からあるのですから、逆に言えばそこまで金利調整路線の強調をしなくても良かったんじゃねえのか何ていうのを今更ながらに思うあたくしなのでありました(^^)。

『よって、経済の動きを客観的に捉えた時の表現と、そうした心理的要素まで含めた場合のニュアンスとの間には若干ギャップがあるかもしれません。私どもは、そうした企業家心理、さらには消費者マインドがどのような状況にあるかということや経済全体のセンチメント――これは、人々の行動が次の局面に向けてどの程度前向きになるかということに影響してきますが――、これらを十分織り込みながら先行きの判断をしていかなければならないと思っています。』


○村上ファンドの話

久しぶりにこの話に質問がありましてその答え。

『もう一つのご質問(引用者追記:村上ファンド出資問題)については、追加的に何も申し上げることはございません。私自身も一人の人間として十分注意深く行動してきているつもりですが、振返って十分でなかった点があったということを重ね重ね反省していると、前々から申し上げている通りです。』

反省してるのは判ったが、あの解約タイミングは如何にも間が悪すぎでしょ。どう見てもブタエモンの所にガサ入れがあったのを見てこれはヤバイとばかりに慌ててこっそり解約したようにしか見えませんもん。トンマとしか言いようがございませんですよ。



まあ全体的には次の執行部に向けてお土産を残すのではなく、一旦お掃除をしてニュートラルにしたって感じじゃないでしょうか。

以下小ネタ。


○益々妙な動きで

まあ期末モードと言うかポジション閉じモードと言うか。みょうちくりんな動きが目に付くのでありまして、LIBORがじりじりと上昇する中で金先が甘くなってきまして一方でクレジット物の筈のCPレートは妙にレート低く、でももうちょっと長いところではスプレッドちと怪しい感じ。

物価連動国債は世界的にはBEI拡大してる筈(あんまり真面目に見てない)なのですが、絶賛縮小して昨日の引け時点で10年カレントのBEIが10を切る勢い。たぶん既発の短い奴の実勢はマイナスでしょマイナス。需給が死にそうに悪いのでそういう話になっているのですが、あのその一応CPI自体は堅調推移してるんですけどどうなってるのよという所ですわな。

まあ何と申しますか、色々とポジションの解消モードになっているのでしょうかねえとしか申し上げようがございません。こんな相場変に向かってもポジション解消の勢いがどのくらいあるのか判らんですから向かいにくいとなりまして、そのまま勢い付くんですよね。マッタクモウ。


○どう見ても卑怯者です本当にありがとうございました

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080310-OYT1T00574.htm

>記者会見した津島隆一代表執行役は「銀行設立の計画や制度は正しかったが、経営者に問題があった」と述べた。

これは酷い。都庁官僚の責任逃れと最初は威勢が良いのに都合が悪くなるとすかさず逃げる珍太郎の卑怯者っぷりが実に良く表れているとしか言いようがございませんわな。

刑事訴追までするとなるとさすがに仁司さんもぶち切れでしょう。というか仁司さんの就任にもしかしてトヨタ様へお願いとかしてたのであればもっと香ばしい展開が見られそうで実に楽しそうなのですけど、はてさてどうなる事やら。いち都民としてはさっさと撤退してくださいお願いしますという所でございますけど、泥仕合を見物したいと存じます。








2008/03/10

お題「またヘッジクローズが増えた月報/日銀正副総裁人事雑感」

○またヘッジクローズが増えています(金融経済月報)

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0803.htm(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0802.htm(前回)

・総括判断:ヘッジクローズ増加(追記:減速を断言もありました)

『わが国の景気は、住宅投資の落ち込みやエネルギー・原材料価格高の影響などから減速しているが、基調としては緩やかに拡大している。』(3月)

『わが国の景気は、住宅投資の落ち込みなどから減速しているとみられるが、基調としては緩やかに拡大している。』(2月)

減速の理由が一つ増えております(^^)。あらあらという感じですが。(追記:うっかりしましたが前回は減速しているとみられるだったのが減速しているになってまして、減速を思いっきり認めた形になっています)


・現状判断:企業収益、生産を下げて住宅投資を上げました

『以上のような内外需要のもと、生産は、やや強めに推移した昨年後半の反動もあって、このところ横ばい圏内の動きとなっている。』(3月)

『輸出や生産は増加を続けている。』(2月)

輸出は下げてませんですが、生産はこのように思いっきり下がりました。


『企業収益が伸び悩みつつも高水準で推移する中』(3月)
『企業収益が総じて高水準で推移する中』(2月)

「総じて」が「伸び悩みつつも」と益々訳の判らんヘッジクローズに(^^)。

『住宅投資は、回復に向けた動きがみられるが、なお低水準となっている。』(3月)
『住宅投資は大幅に減少している。』(2月)

上方修正してますけど「なお低水準」でございますな。


・先行きに関しては変更なし

一応1箇所だけ表現が変ってますけど。

『生産は、当面横ばい圏内で推移するが、その後増加していくとみられる。』(3月)
『生産は、当面横ばう局面を伴いつつも、増加基調をたどるとみられる。』(2月)

ただまあこの部分は生産の現状判断を下げているのでこうなるのはまあ当然なのですけど。


ということでまとめますと、今回は現状判断部分を結構下げてきたということになりますなという所かと存じます。まあ4月末の展望レポートでのロジック変更に向けて着々と準備が進んでいるってえことなんでしょうかねえという所で(^^)。


○日銀執行部人事

伊藤隆敏先生がもう一人の副総裁候補とはちょっとビックリでありました。経済財政諮問会議メンバーで官邸色が思いっきり強い上に、民主党が主張する「利下げケシカラン」に反する人だと思うんですけど、よく出してきたなあというか伊藤先生もこの窮屈なお仕事よくお受けしたなあという所で。

伊藤先生だったらまあアカデミックな部分を実務に則して反映させる為にどういう風に政策運営をして行けば良いかという点について色々と理論的な裏づけをしていただけるものではないかと期待する次第でございます。

で、人事承認って別に3人セットじゃありません(らしい)ので白川さんが承認されるのはまず間違いないとして、武藤さんが反対(しかし未だにその理由の意味するところが判らん)にあって伊藤さんが微妙となるんでしょうな。しかし「財務省の意向で低金利を引っ張るのはイクナイ」という話だったら伊藤先生の方がより却下される可能性が高い筈なんですが、状況はその逆という所に民主党のいう「意見を聞く」というのがお為ごかしである事の証明ですな。まあそれは兎も角。

えーっと、武藤副総裁がダメなら総裁の方は山口さんしか候補が居なさそうなんですけれども、どうするんでしょうかね。まあ白川さんが副総裁で一人入っておけばどうせ目先は金融政策変更なしでしょうから、4月末の展望レポートまでには何とかしていただかないと困りますが、そこまではまあ何とかしていただきたいものと存じますでありますです(段々ヤケクソになっています)。

伊藤先生も蹴られた場合は山口総裁、渡辺(前財務官)副総裁って所になるんでしょうな。事務次官経験者だけじゃなくて財務省出身者は全部ダメという話をしだしたら、民主党にも財務省出身者いますがこの人たちはどうなるの(そのうち指定職以上とか変な事言い出すんでしょうけど、笑)とまたも壮大なブーメランになるだけでして、ちょっと反対はしにくいと思うのですけど。

勿論民主党が反対しないですんなり決まってくれれば良いのですが、情勢としては中々厳しそうな感じ。財務省の事務次官から日銀副総裁って1枚どころか3枚は格下のポストに移って総裁就任を前に政治圧力で総裁就任がパーとは武藤さんちとカワイソス(えーっと、各省次長って旧官制で言えば勅任官のうち高等官(1等か2等かは存じませんが、親任官ではございませんな)なんで、日銀副総裁とはだいぶ格が違う筈なんですが。いやまあ時代は全然違いますけど)なのでありますが、この手の話ばかりは中々思うようにならんもんですなあという所で。

しかし本件でさすがに民主党各紙から叩かれていますな。ざまあ味噌。

#ではまあボケボケ週初なので総裁会見やら相場の話(5年0.75%割れはねえだろというような話とかね)は明日以降ボチボチ




2008/03/07

お題「最後の決定会合ですが雑談で」

目の前のテレビで相場後講釈師の方が「雇用統計がターニングポイント」って話してますが、後から無茶苦茶に改定されるあのインチキ統計の一次速報値がターニングポイントになるっていうのは市場ってのも大概にエエカゲンだという事でありますわな。まあそんなもんでっしゃろ(^^)。

しかし住宅価格が1割下がったくらい(ナントカ住宅指数などを見るとそんな感じのようですが)でこの世の終わりのように大騒ぎする(大騒ぎしてるの金融市場の人たちだけのような気もしますが)米国って何という打たれ弱さ。何と申しますかかのお国って攻めには強いけど守りに弱すぎとしか言いようが無いですなあ。


○どうにもこうにも期末モード

昨日は米国は債券安(というか長期が売られたのですが)で国内も株高だったんですけど、その間にやたら中期というか5年ゾーンとか強くなっておりまして、一方で超長期ゾーンヘロヘロの巻。しかしまあ株高だというのに5年が強いのはすげえええという感じであります(まあ今日は株が下がるでしょうから益々強いんでしょうが)。

どうも期末モードで中期(多分もうちょっと短い所も)ゾーンを積み増しておられる方がいるんでしょうという感じで、ただでなくさえ割高っぽい中期ゾーンが益々強くなっているというのはレラティブバリューというよりもお家の事情系という事になるかと存じます。でまあそういう相場になってしまうと理屈もへったくれも無いので訳判らん展開が当面は続くのかと思う次第。


で、期末モードじゃないのが超短い所でして、昨日実施された国債買現先オペ(期内物)は足切り0.52%となってまして、期末だのクーポンGCだのを前に盛り上がらないことこの上ございません。CPの新発も妙に少ないですし、期越えのオペも本店の3か月で0.55%位の足切りとこれまた平和な状態。

今回の期末って金利が付くようになってから初めての「末初1日」でございまして、まあど〜せ皆さん「1日だから最終的にロンバートまで取りあがっても屁のようなもん」という感じなのかねえとか思ってたんですが、足元の資金も余ってますので益々楽勝っぽい感じ。いやまあ楽勝なら楽勝でも良いのですけれども、ヒネクレモノのあたくしとしてはこのまま無風で末初というのは如何にもツマラナイのであります。

低め誘導時代とかでもそれなりに期末の末初レートって動いて中々楽しめたのですが、毎度毎度これがダマシが多くて、最初警戒してたら最後にドカンと低下したり、楽勝モードだったのが最後になって大爆騰とか、そのあわせ技で上がって下がってまた上がるとか色々とあったんですけど、はてさて今回のこの一見無風っぷりはどうなのよという気も。期末の円資金って国内円は無風でもおかしくないけど、ユーロ円まで考えるとそんなに無風で良いのかよとは思うんですけどねえ。


○さて日銀執行部人事案提示ですよ

もうここまで来ますとどうでもええからはよ決めえやというところでございますけれども、結局ここまで引っ張った結果として新聞各社の論説が「民主党イイカゲンにせえ」という話で揃ってしまっていたようでありまして(昨日は日経がわざわざ1面に特別コラムを持って来ましたし^^)、まあ民主党は状況判断を間違えたとしか思えない次第でして、永田メール問題に匹敵するアホアホ対応っぷりに落涙を禁じ得ません。というかこの一件で政権獲得は無理になったでしょってな所でありますが。

で、別に中の人ではないあたくしとしては最早興味本位モードになっておりますが(おい)、まあ民主党も反対するならちゃんとした理由と対案を出して頂きたいものであります。

しかしまあ日銀の政策委員って兼職どころか本の出版もさせてくれなくて、仕事は無茶苦茶忙しく(金融政策決定会合しか話題になりませんけど、通常の政策委員会って週に2回やってるんじゃなかったでしたっけ)、ろくすっぽ休ませてもくれず、骨休めに海外旅行なんぞ行ける訳も無く、てめえの資産も運用できずで給料があんなもん(正直、ヘイゾー先生なんかがお受けになったら住民税払ったらスッカラカンとかなんじゃないっすか)いう中々酔狂なお仕事でございまして、他に候補いるんかいなと思う(その点で、山本幸三先生の「日銀の政策委員の年収が高すぎる」という非難は全くいただけないと思うんですけどね、あの先生政策論だけ話してれば良いのに余計なこと言うから・・・・)んですけどね。

面白そうだから勝手に予想すると武藤総裁、白川方明副総裁、伊藤元重副総裁でどうですか。ちなみにあたくしその辺の関連事情とやら全然知りませんので本当にただの予想ですよ。


○福井体制(たぶん)最後の金融政策決定会合

ということで、就任直後にいきなりイラク戦争をネタに緊急金融政策決定会合を招集したり、ABCPオペの実施の話をしたり(最初は震災手形復活かと驚きましたが、施策の段階で見事に信管が抜かれていたのには感心しました)と中々アグレッシブだったのでありますが、なお書き修正のあたりから逆方向にアグレッシブになりまして、何かまあネタとしては面白い人でしたなという感じです。

武藤さんにしても山口さんにしても、総裁会見で不規則発言とか死んでもしそうも無い人ですから、そーゆー点ではネタが無くなるじゃねえかと誠に遺憾な訳でありますが(ウソ)、まあ最後の会見くらい面白いこと言ってくれませんかね。「民主党は本行にとって最大の『無能な味方』であった」とか「水野審議委員のハシゴを外して誠に遺憾でありました」とか楽しい不規則発言を節にお願いしたく存じます。

ま、今回会合は変更なし、金融経済月報も殆どいじってこないでしょう。米国経済はやや下向きになるかもしれませんが、国内の雇用関連とか消費関連が良くは無いけど懸念してたほど悪くは無いので、底割れ懸念に関してはトータルすると微妙に後退しているんとちゃいますか。

ということで、午後らしい人事案提示をワクワクしながらお待ちしたいものと存じます。









2008/03/06

お題「人のふんどしで恐縮ですが国会議員に呆れたと言う話」

人のふんどしシリーズで恐縮至極ですが、もう何かねえというお話が2つほど。

○ゴロツキクレーマーですかこの人は

昨日の午後にブルームバーグで民主党の野田佳彦氏がインタビューを受けていた記事がアップされて唖然呆然。

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&sid=ayAKZWc3MQ7g&refer=jp_home

と思ってたら厭債害債さんが早速エントリーを上げておられましたので便乗の巻(おい)。

http://ensaigaisai.at.webry.info/200803/article_3.html

>こんなふうに理由も対案もなくただ反対するようなヤツが会社の中にいたら、ぶん殴ります。はい。

激しく同意致します(^^)。で、ブルームバーグの記事の方を見ておりますと、最早何を言ってるのか全く判らん状態でございまして、恐らくこちらの議員先生様におかれましては脳味噌に虫でも涌いておられるのではないかと存じます次第であります。(問、答などをあたくしの方で補完しています)

『(問)民主党が政府に副総裁候補を提示していないのか』
(注:総裁が居なくても副総裁が居ればよいという話を野田氏がしたのでそれを受けて副総裁候補という話が出ています)

『(答)それは分からない。(自民、民主両党の)執行部間で情報交換をやっているのかもしれない。基本的には出したものをわれわれが吟味して判断するのが筋だ。本来こちらから出すものではない。民主党はそもそも政府内や日銀内の人事なんて分かっていない。変な情報で『この人がよい』と言えない』

という話を最後にしているのですが、その野田先生武藤副総裁と山口前副総裁に反対しているのですけど、その反対理由が・・・

『山口氏もオールド日銀だ。たぶん民主党にとって武藤、山口両氏はネガティブリストの1位と2位だ。』

『『外形基準で駄目だ』と言っている人たちを政府があえて出してくるんだったら、それは相手の感覚が分からない。そうじゃない人は、たぶんいると思う』

・・・・・・もうね、馬かと鹿かと。

いやあの外形基準って「変な情報」じゃないと仰せのようですが、「一度財務官僚のトップになった人間は未来永劫金融政策に関わるな」という理屈って、例えが悪くて武藤さんには申し訳ございませんが(^^)、「犯罪者はどんな人間であろうとも絶対に更正しない」と言ってるのと変らんようにしか思えない次第でして、どこのレイシストですかこの人はと言った所でございます。

まあね、この調子でやってますから金融市場においては民主党を支持しようって人はもう皆無というか、これ以上この党に調子に乗らせたらダメだろって意識になってると存じます次第でございます。



○これはまた見事な乗せられ方ですね

著名ブログであります所の山崎元氏の所で政府系ファンドのお話があったというお話を聞きまして拝読したのでありますが。

http://blog.goo.ne.jp/yamazaki_hajime/e/1cba5bef89e17979bc8ee919346f236e

推進者の一人であります田村耕太郎議員と山崎さん他1名がテレビ番組で討論したそうで、不覚にもその番組見てない(というか基本的にその手の番組見てると精神衛生に良くないので見ないのですが^^)ので「ほほう」と思って拝読させていただきました。

で、最後の方を見て爆笑の発作が。田村耕太郎さんが番組収録後に山崎さんと握手しながらこんな話をしたと山崎さんが書いております
のですが・・・・・

「山崎さん、あなた、変わっていますね。私が会った金融の人は、みんな『うちに商売を下さい』と言う人ばかりなのに、あなたは、そう言わない」

・・・・・・えーっと、商家の2代目バじゃなかった若旦那に変な取り巻きがついて身上潰すみたいな光景が想像されてしまうのですが、それはあたくしの錯覚でございましょうか。でまあてめえの身上潰すんなら精々勝手に潰していただきたいのでございますけど、それを国家の金を使ってやろうというのはもはや馬とか鹿とかのレベルでありますわな。

それから、この議連の皆さんに商売下さいと吹き込んでくる連中はやはり国賊売国奴以外の何者でも無いので、切腹した上に唯一神又吉イエスによって地獄の火の中に投げ込まれるべき者であると存じます。

でね、山崎さんのブログのコメント欄を読みますと、番組を見た人のコメントがございまして(前半3分の1あたりの3月1日20時26分投稿)、そちらによりますと、今回のSWFとやらの構想では『当面の投資先は国内限定』らしいのですな。

えー、外国為替特別会計の利益(と言ってもそれは単なる日米金利差なのですが)をSWFの原資に充当する筈なんですが、その利益ってあくまでもドル建てになってる(FBのロールオーバー部分で益の認識をしてると思うのですが)ものですから国内に投資するとなると円転しないといけ無いと思うんですが、為替市場に与えるインパクトはどう計算されているのでありませうか。。。。。。

それとも再投資部分を形式上円転して再円投したつもりになってFBのロールオーバー額を思いっきり増やす事によってキャッシュにするって話なのでございましょうか。何かそれも変な気がするというか特別会計が益々わけわからなくなるんですけど。


まあでもアレですよ、ここまであからさまに天然というかイノセントというか、そんな発言をして頂きますと、カラクリが判りやすいので大変に結構でございます。悪人が確信犯(誤用?)で色々と施策打ってくるといちゃもんのつけようがなくて困るのですが、ここまで馬さん鹿さんですと突っ込みやすいですわな(^^)。

ま、やる気満々で自信満々の馬鹿ほど救いようが無いわ一緒に仕事したら迷惑だわというのはいないのですけれども、何でまあそんなのが続々と議員になるんだかという所であります。とほほのほ。









2008/03/05

お題「逆流に付き水野審議委員の講演」

お天気も逆流ですな。

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0802d.htm

前半が景気認識および金融政策の話で、後半に金融立国実現に関するお話をしておりますが、まあ前半に関しまして。

○総じて景気に関しては慎重ですが

昨日ご紹介した記者会見でもそうでしたが、講演(挨拶)要旨に示されている景気認識はかなり慎重な見方です。ただまあ後退までは見ていませんとはなってますけど、トーンとしてはかなり警戒感の強い内容となっています。

一方で金融政策に関してはこれまた昨日ご紹介した記者会見にありましたように、現状の政策金利水準は景気先行きの見方をより下方修正しない限りは緩和的であるという認識、中長期金利は低下しているという現状もあるので、現時点での利下げには慎重(ただし景気の先行きに関する見方が変れば別)という所のようですな。


○下振れリスクに言及

講演の最初の部分がいきなり下振れリスクに言及となっています。

『一方、2008年度については、定率減税の廃止、改正建築基準法の影響等による住宅投資の大幅減少の反動など、「内憂」部分は剥げ落ちるため、国内要因に注目すると、2007年度を上回る成長率となることが自然と考えられます。しかし、その一方で、「サブプライム住宅ローン問題」に端を発した国際金融資本市場の混乱、世界経済の減速、エネルギー・原材料価格高によるマイナスの影響など、「外患」による景気下振れリスクはむしろ高まると見込まれます。』

ということで、

『したがって、下振れリスクに鑑みれば、わが国経済は2007年度、2008年度と2年にわたって潜在成長率を下回る可能性を否定できないと考えます。』

来年度も潜在成長率下回る可能性来ましたな。

『昨年10〜12月期の実質GDPは、前年同期比1%台後半といわれる潜在成長率を前期比年率ベース、原系列の前年同期比ベースのいずれにおいてもクリアしました。7月以降の定率減税の廃止、改正建築基準法による住宅投資の大幅な減少、あるいは、消費者マインドの悪化をよそに、少なくとも昨年末まで実体経済が底堅く推移したことが一応明らかになりました。』

と、昨年4QGDPを評価しつつも、

『もっとも、1〜3月期実質成長率は、(イ)外需の景気牽引力が弱まる公算、(ロ)所得の伸びが極めて鈍いなかでの生活必需品インフレを受けての個人消費失速リスク、(ハ)建築基準法改正に伴う住宅投資への悪影響は薄らぐとみられる一方、マンション販売低迷など住宅需要の低迷の負の影響がより明確となる可能性など、景気の下振れリスクは少なくありません。』

ということで、のっけから下振れに言及してまして慎重ですなあという感じを受けるのでありますな。


○今後のポイント

で、その次には「とは言え循環メカニズムはまだ崩れていません」という話になっているのですが、そこは端折りまして今後の点検ポイントについて説明があるのでそちらを引用。

『今後、点検していくべきポイントとして、(イ)各種制度変更や原材料価格の上昇が企業部門、とりわけ収益、設備投資動向にどのような影響を与えるか、(ロ)今年前半の米国の実質GDP成長率が限りなくゼロ近傍で推移する可能性も指摘されるなかにあって、生産が当面横ばいで推移した場合、輸出を起点とする「前向きの循環メカニズム」に変調が起きないか、を意識しています。』

ということのようです。輸出に関しては米国がこけても新興国で伸びているという状況も指摘しているということも(引用しませんが)付け加えさせていただきます。

でまあ海外経済見通しに関しても詳しく説明しているのですが、これまた引用しているとキリがないので勝手に端折りますと米国に関してはかなり弱めの見方、アジアは堅調で欧州は減速という感じのようですが、こちらに関しての今後のポイントは以下の通りです。

『金融市場では「米国の景気下振れリスクが高まる中、諸外国の景気に悪影響が出ないわけがない」という見方が有力となっています。識者によって「カップリング」「ディカップリング」の定義が不明確なので、その表現は使いませんが、世界最大の米国経済の減速は、相応に各国経済に影響を与えることは自然です。また、「米国が景気後退に陥るかどうか」を議論するよりも、「米国の景気回復がいつになるか」を議論することの方が建設的だと思います。』

なるほど。

『最後に、2009年にかけての世界の経済金融情勢をみるうえでの注目点ですが、世界の主要国の金融政策運営を挙げたいと思います。』

『金融市場では、米国の景気失速がグローバルな景気減速につながるというシナリオを想定する市場参加者が多いため、金融緩和の遅れについて神経質になりがちです。しかし、主要国の中央銀行は、景気減速と物価上昇の並存するジレンマに直面しており、困難な金融政策運営を迫られています。』

ということで、こちらは価格上昇下での景気減速に対してどうなるのかという点について説明しています。

『米国の1月の消費者物価は総合が前年同月比+4.3%、コア部分が同+2.5%、ユーロ圏の1月のHICPは同+3.2%、日本の昨年12月のコア消費者物価(全国)は同+0.8%、中国の1月の消費者物価は同+7.1%となっています。当面ヘッドラインのインフレ率はさらに上昇しそうです。景気減速感が強まれば、インフレ圧力は徐々に沈静化するものですが、足もとの国際商品市況の高騰ぶりをみると、現時点ではそのような見方は楽観的に思えます。』

『実際、オーストラリア準備銀行(RBA)、中国人民銀行(PBOC)など金融引締めに踏み切った中央銀行も複数あります。そのため、(イ)足許でインフレ圧力が高まっていることを理解しつつ、経済のダウンサイド・リスクの増大への対応から金融緩和を継続中のFRB、(ロ)賃金インフレ圧力の根強さを懸念するECB、(ハ)食料品・不動産価格上昇に直面し利上げを行っているPBOC等、と各国中央銀行が自国の経済情勢を踏まえながらインフレ圧力をうまく抑制できるのか、または金融緩和が行き過ぎてしまわないかが注目点です。』

この部分に関しては日本の場合は物価が上昇しにくい状況が続いているので困難さは無いですねという所ですか。


○物価に関して

物価に関しては以前から水野審議委員はここもとの資源原材料価格の上昇から来る物価上昇については交易条件の悪化や個人消費への下押し圧力になるので警戒する必要があるというスタンスで話をしていましたが、今回もまあそういうお話になっています。

『こうした前提理解の下で、(イ)家計の物価に対する見方がインフレ方向に変化し、川上から川下へと企業の価格転嫁が進むのであれば、原材料高は物価を押し上げる可能性があり、(ロ)そうでなければ、原材料高は、企業収益の圧迫等を通じて経済活動に対する下押し要因となり、それは物価を押し下げる可能性があると考えられます。』

『このどちらの動きが優勢になるかについては、原材料価格の上昇の持続性や、需給ギャップの度合いと期待インフレ率の変化、企業の価格設定スタンス等にかかってくると思います。こうした点については、日銀の「生活意識に関するアンケート調査」などのサーベイ、企業ヒアリング等も参考にしつつ、もう暫く物価指標をしっかりと分析する必要があると思います。』

『私は、金融政策決定会合において物価情勢を考えるに当たり、表面上の消費者物価指数の動きをみて判断を行っている訳ではなく、各種物価指標の動きはもとより、その背後にある実体経済の動向を分析し、総合的に判断を行っています。今後も、このような姿勢で物価指標を丹念に点検したいと思います。』

ということで、さすがに最近金融市場ではCPIが上昇したからと言って利上げ期待(懸念)が盛り上がるという動きは1ミリも存在しないのでありますが、どうも今までの福井総裁あたりの利上げというか正常化への言及が効いてまして、相変わらずCPIが上昇してきたから日銀は利上げをするのではないか的な指摘が金融市場の外からは聞こえて来るのは遺憾千万でございまするわなという感じです。


○利下げに関して

本当はもっと詳しく説明してまして色々と読んだ方が吉だと思うのですけれども、またまた端折りまして利下げに関しての説明部分から。

『また、わが国に目を転じてみると、金融市場の一部に利下げ期待がありますが、イールド・カーブ全体に金利が低下気味であると同時に、金融機関の貸出態度が緩いことを考えると、金融環境は十分緩和的です。過去10年以上にわたり、超低金利政策を続けてきたこともあり、わが国経済は金利感応度が低い経済体質になっており、利下げをしても追加的な景気下支え効果は不確実だと思います。現在のような緩和的な金融環境が続く中にあって仮に利下げを議論するならば、その副作用についても十分検討する必要があります。』

『なお、達観してみれば、2001年3月に量的緩和政策に踏み切った際には、金融システム不安やデフレ・スパイラルに陥るリスクがあったわけです。それを考えると、現在のマクロ経済環境は当時とは大きく異なります。』

ということで現状の利下げについては否定的ですが、

『私は、現時点で、「生産・所得・支出の前向きの循環メカニズム」「好調な企業部門から家計部門への波及のメカニズム」が基本的に維持されていると考えています。しかし、同時に、先行きの経済金融情勢を楽観視しているわけでもありません。今回の景気回復局面は、輸出を起点とする外需主導の景気回復であるだけに、米国経済の下振れリスクの高まり、長期化の様相をみせる「サブプライム住宅ローン問題」、国内のソフトデータの悪化等を踏まえると、ダウンサイド・リスクは高まっていると認識しています。』

先行きに対する警戒感は強いので、その先行き認識に変更があった場合は利下げの線もありということなんでしょうな。


#うーむ、相当端折ってしまいました










2008/03/04

お題「ネタ逆流につき水野審議委員の会見から」

更新サボっておりました分が逆流していますが、それは水野審議委員の講演の分量が相変わらず多いから面倒なので後回しにしているだけではないかというツッコミはご勘弁賜りたく存じます(^^)。

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0802e.pdf

会見があっさり目で講演の内容が多いのですが、本日は会見でお茶を濁させていただきとう存じます(汗)。講演は明日参りますけど、景気に対しては下振れリスクをかなり意識した内容になってますわなというのを前提にしまして。

○循環メカニズムが機能しているのかという話

『二つ目のご質問で、「生産・所得・支出の循環メカニズム」については、基本的に世界経済との接点である輸出を起点として企業部門が成長を続け、その果実が緩やかに家計部門に波及していくと考えています。』

ということですが・・・・

『「企業部門の果実が『緩やかに』家計部門に波及する」としているのは、企業部門が激しいグローバル競争に直面している下で、このところ原材料価格の高騰により、引き続き企業の賃金抑制姿勢が強いためであります。すなわち、一人当りの名目賃金は、企業規模にかかわらずなかなか上昇しないということを前提にしているということです。』

『こうした中で、家計部門には、雇用の増加・安定――非正規雇用者の正社員化を含む――や、財産所得の増加等を通じて、企業部門の果実が波及していると考えています。以上のような景気拡大を支えるメカニズムは、現時点でも機能していると認識しています。』

としていますが、最後には

『ただし、わが国経済は、足もとダウンサイド・リスクが高まっていますので、今後公表される指標や情報、内外の金融市場の状況等を丹念に点検し、景気を支えるメカニズムがしっかりと今後も機能するかどうかを見極めていきたいと考えております。』

としています。つまりメカニズムの最初の部分にあります起点の輸出も米国経済の後退懸念がある中で少々怪しくなっているので、この輸出の部分を見極めないといけないって話なのかと勝手に解釈したのでありますがどうでしょう。

あたくし個人としては景気に関してそんなに弱気じゃなくて、底抜けするような状況じゃなくて何となくダラダラと横ばいが続くだけじゃネーノとか思ってるので、結果として様子見というまま金利が上がらず下がらずになるのかなあとは思っている(べき論としては利下げと減税のセットで景気吹かしてくれればとは思うのですが、利下げしてる側から増税してきそうな勢いの昨今の状況だとねえという思いもございまして・・・・)のでありますが、その辺に関しては今後の経済指標を見ていくしかないということなんでしょうか。

というあたくしの根拠レスなドタ勘はどうでも良いのですが、まあ水野審議委員の会見のこの部分を見ますと、とりあえずは様子見して米国経済がこけた後のトータルの輸出がどうなるのかという点と、雇用関連や個人所得関連(こっちはそんなに悪化していない希ガス)を見ていきましょうという所かと存じます。


○景気の現状認識に関して

景気の「踊り場」がいつ脱却できるのかという質問に対して。

『「踊り場」というのは、景気のベクトルでいうと横ばいを続けながら、2月の月報の「なお書き」に織り込んだように、世界経済の動向、特に米国を中心とした世界経済の動向、あるいは原材料価格高騰の影響、それから金融資本市場の動向などによって、景気の先行きの不確実性が平素に比べて非常に高まっているという状況にあるということです。』

『そういう意味では、今は時期について予断を持てる状況ではありませんので、時期がいつかということよりも、不確実性によって景気判断が上にも下にも、アップサイドにもダウンサイドにも変わり得るという意味で「踊り場」ということです。』

と、時期に関してはどうにも予断もてませんというのは当然のお答えかと存じますが、その続きで利上げ提案を取りやめた背景とその景気認識に関して説明しています。

『昨年12 月の金融政策決定会合において、私は日本経済が「内憂外患」に直面しているという判断で、利上げ提案を取りやめ現状維持に賛成に回りました。「内憂」の面では、例えば、定率減税の廃止の影響あるいは改正建築基準法、その他の制度変更の影響については、多少減衰していくと思われますが、「外患」の面では、海外の不透明要因、例えば、アメリカ経済の回復時期が遅れる可能性について本日指摘させていただいた次第です。』

『これに加えて、メカニズムに影響を与えるものとして、ここに来てますます予断を許さなくなってきたことは、素原材料価格の上昇、エネルギー・原材料価格の上昇であります。この点については、非常に注意深くみなければならないということです。』

『さらに、サブプライム住宅ローン問題については、まだアメリカの住宅市況の底入れに目処が立っていないということと、それがアメリカ以外の国の経済金融情勢に与える影響がまだ完全に出きっていない、感じがしています。』

ということでかなり海外(というか米国)に関してかなり慎重な見方をしているのと、原材料価格上昇による交易条件の悪化に着目しているということでございます。となりますと、先ほどの循環メカニズムに関する話の起点部分に関わってくるところでありますので、総合すると先行きに関して特に海外部門に関して慎重という話になるかと思います。

『まだ完全に情報が集まっていない状況にありますので、時期的なことについて明確なことは言えませんが、悪化していく蓋然性が非常に高まったかどうかというと、私はそこまで悲観的にみてはいません。「基本的には前向きなメカニズム自体は維持されている」という点は、他のボードメンバーとシェアしているところであります。』

底抜けはしないでしょうという事ですかな。


○利下げに関しては慎重ですが・・・・

利下げに関してどうなのかという質問が2つ続いてまして、それに対して。

『今のわが国の金融環境は、基本的に極めて緩和的にあると思っています。そのような状況の下で利下げを議論するということであれば、私は金融環境は十分緩和的だと思っていますので、その効果よりも副作用について、平素に比べて非常に慎重にならなければいけないと思います。』

ということで、現状が緩和的であるので、敢えて利下げをする必要は無いというのが基本的な考えのようですな。

『当然、今申し上げたことの大前提である景気の認識が変わる、あるいは金融環境が緩和的であるという私の認識が変わる時は、その効果と副作用の判断も変わってきますので、金融政策がどうあるべきかという結論も変わってきます。ただ、現時点においては、私は利下げに慎重であります。』

『利下げについての効果を議論するときには、効果と同時に副作用についてより強く意識しており、緩和的な金融環境にあっては長い目でみた金利の正常化は必要だと思っています。今は景気が「踊り場」にあるので、あえて「現状維持」を選択することに意味があると考えています。』

ということで、基本的には中立的な金利水準に向けての利上げ路線というのはあるけれども、景気がどっちにいくか微妙な時期なので今は動かないのが得策という結論になっています。で、次の質問に対してですが。

『副作用についてですが、今は金融環境が緩和的であり、低金利政策を続けることの効果は十分出ていると思っています。景気が中期的に拡大を続けていくという見通しの中で、大きな意味では金融政策は金利を緩やかに引き上げていくという方針を掲げているわけですから、その中でさらに金利を下げるということは、その方針から外れてしまいます。』

『元に復するまでの時間的な問題──金融政策の効果というのはラグがありますから──を考えると、景気の先行きの不透明感が多少強まったからといって、すぐに利下げの議論をするのはどうかという一般論の話です。』

てなことですので、景気に対する認識が下向きベクトル(というか底抜けですわな)と言う話になってくれば利下げも検討という話にはなるんでしょう。ただ現状ではまだどっちとも判らん状態ということのようで。


○利下げの効果について

同じ質疑の続き部分ですが。

『利下げの効果についてですが、日本経済自体が低金利の状況が長く続いたこともあって、金利に関する感応度が非常に弱くなっています。例えば、金利を下げても上げても、物価の認識という意味では、低インフレが続く可能性が高いわけです。景気が回復するとしても息は長いかもしれないが緩やかな回復であるという認識、あるいはこの認識、期待が市場で強いという状況に立つと、今の時点では利下げの効果は、必ずしも大きくないのではないかと推測されます。』

ほほー。







2008/03/03

お題「ご無沙汰してました〜ということで雑談少々」

どうもどうも、ご無沙汰しておりますです♪

あたくしの初代携帯電話はドコモのDナントカだったのでありますが、三菱電機携帯電話撤退でございますか・・・・

○また米国ですかそうですか

えーっと、あたくしが更新をサボっている間に超短い所は基本的にやや重めに推移してましたが、債券そのものは米国様のリセッションだの金融機関がどうのこうのだのということで相場は強うございましたようで。

で、ドル安に原油高とか、英国のヘッジファンドの流動性問題とか米国の経済指標がスカポンタンとか(でドルがお安くてポンドもパッとしませんな)の間に水野審議委員の講演もあったのですが、その辺諸々に関しては後日ということでご勘弁いただければと存じます。

まあ今日は下がるんでしょうが、10年1.4%割れとかになっている割には日経平均は13600円とか割と粘っていますなあと思うのですが、目の前のテレビは下がった下がったという話になっているのがよー判らん。その前の週末は13500円でございましょうに。


○何がどうなるとそういう理屈になるの

昨日の東京新聞朝刊ですが、各紙このお話が1面にありましたな。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2008030202091987.html

えーっと、予算案が強行採決されたから政府与党から出てくる日銀総裁人事案には賛成できかねるっていうのはどういう理屈からそのようになるのでありませうか。「政治が金融政策に介入するのはケシカラン」とかいう理屈を振りかざしていた民主党が日銀総裁人事を政局に絡めているというのは何だかねえという感じでございますが。民主党の知能水準を激しく疑う次第でありますが、まあ選挙で大量に馬鹿を立法府に送り込んだのは我々なのでありますから致し方ありますまい(と達観したくは無いが)。

んでまあ東京新聞では山口泰元副総裁の名前があがっておりましたが、武藤さんに関しては日銀の中でも基本的には待望論が強いようなのにさて山口さんがお受けするのかどうか。うーむ・・・・

まあしかしあたくしが更新サボってる間に当然の如く話がまとまるもんだと思ってましたが、ギリギリまで引っ張った挙句に最後に野党が筋論も何も超越した反対に回ってしまうという段取りの悪い与党もトンマとしか言いようが無いですなあ。

これってもう最後ギリギリまで引っ張るのか、それとも時間切れで「後任が決まるまで現在の総裁副総裁は留任」という扱いにして時間を稼ぐのかという感じですな。よー判らんが。


○ところで財金分離って・・・・

民主党が対案無いのに反対だけはするというのも頭おかしいとしか申し上げようが無いですが、そもそも財金分離論って何のこっちゃなのでありまして、金融政策と財政政策の打ってる方向が真逆だったら政策効果もへったくれもない訳ですわな(いやまあ効果出したくないというのならそのセットもあるのかもしれませんが)。例えば今日銀が緩和措置打ち込んだとしても財政が締め攻撃になってしまったら景気下支え効果が減殺されてしまいますわなあとか考えますと、財金分離もへったくれも無いと思うんですけどねえ。

何か民主党がマジで政権運営するようになったら、金融政策と財政政策が益々「相手の様子見」モードになってしまっちゃうのではないのかとおそロシアでございまする。

そういや本石町日記さんの所で頭の痛くなる財金分離論に関する考察及び議論が行われておりましたですな。


○人のふんどしですが政府系ファンドのお話

いやまあ一部の金融屋に上手い事焚き付けられて自民党議連さんなどを始めとして政治関連の皆様がノリノリのようでございますけれども、例によって厭債害債さんの所で鋭いツッコミが。

http://ensaigaisai.at.webry.info/200802/article_10.html

>しかし「単年度で利益を上げないと退場してもらう」というのはいただけない。

ということで、害債さんも指摘していまして、コメント欄の中でもございますが、このやりかたですと期末に損してるファンドは期末一発勝負で大張りするとか、決算操作狙いでインチキ取引をするとか、どうみても碌でもない結果になるのが見え見えなのでありまして全くいただけません。

・・・・待てよ、もしかしてノリノリ議連さんたちを焚き付けてる連中はそのインチキ取引のカウンターパートになってなおもウマーとか考えてるんじゃねえのか・・・・・などと思うほど、具体的な部分に落とした所での筋の悪さが目に付く政府系ファンドのお話でございまする。あたくし的にはこの筋の悪さはあまりと言えばあまりでありまして、焚き付けてる筋に対しては国賊とか売国奴という言葉を謹呈致したく存じます次第でございますが(-_-メ)。

いやまあ特別会計の効率化とか透明化という議論や、コメントにもありますようなもっと戦略的な財政の使い方とかいう議論なら大いに良い話だと思うんですがねえ・・・・・・・

ではまあぼちぼちやって参りますので今後ともよろしくです。