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2007/04/27
お題「今日は材料てんこ盛りですが何故か番外編」
物価統計と消費関連統計と展望レポートが出るのですが。
○番外編:あたくしが罹患した風邪レポート
まあお疲れ気味なのはいつもの事なあたくしですが、昨日昼飯を食いに逝ったら突然足が急激にだるくなって参りまして、「あれれ」と思っているうちにそのだるさが一気に体中に回ってきて急に寒気まで起きたのでした。
まあ何とかメシは食った(ケチなもんで^^)のですが、その間にも風邪の症状が爆発的な勢いで全部押し寄せてきまして、どう考えてもダメダメなので早退させて頂いたんですな。症状は寒気と発熱と全身のだるさに咽喉が少々痛くて腹が下り気味で頭が少々痛いと。なんちゅうかこれだけいきなり来やがったのは初めてでございましたよ。
で、帰宅してから近所の内科に行こうと思ったら午後4時からとか言いやがるもんで、とりあえず寝たのですが、起きたら汗びっしょりなのに熱はしっかりあるの図。内科に行ったら「この季節でインフルエンザは無いと思うんですが、明日になっても熱が下がらなかったら要検査(症状が出た直後だと検査しても判らんそうで)」とのお告げを貰いまして、薬の処方ついでに「熱がちとある(その時37.7℃)ので注射しましょう」ということで何か注射をしてもらいました。
どうも注射が効いたようで、暫くしたら熱から来るしんどさは軽減された(体温計がボロイので熱が本当に下がっているのかは怪しい^^)のですが、まあとりあえず帰宅後もまた寝た次第でございまして、今のところ熱がぶり返してきた感じはございませんですな。
・・・・とまあそんな次第でして、昨日の2年国債入札がどうなったかも知らん(結果だけなら財務省のHP見りゃいいんですけど)次第でして、本日はネタがマジでないので、自分の風邪(だと思いますが)ご報告でございました。しかしあんなに物凄い勢いで風邪の症状が一気呵成に押し寄せてきたのは初めてですよ。しかも寝てる間なら兎も角、起きてる状態で体のあちこちに物凄い勢い(5分くらいで)不具合が発生するのが判っちゃうのはビックリでございました。
○それはそれとしてNY株式強いですな
NY株が相変わらず強いのですが、どうも傍観者的には「とにかく好材料を見つけて反応してねえか」という疑問がするのであります。何せ経済指標が強ければ「景気がいい」と反応し、経済指標が弱ければ「FEDは次に利下げする」と反応してるんように見える訳でして。
最近は国内市場が必ずしもNY株式に連動して動く訳でもないので、別にNY株がどうなろうと知ったこっちゃあ無いのですけども、このほとんど「調子に乗りやがって・・・」というのはどうも何だかって感は否めません(が、そういう事を言ってる人が世の中にいるうちはNY株強いんでしょう)。
昨日も申し上げましたが、ここもとの国内債券市場では海外が金融政策絡みで動いてきた時は向かって負けなしという評価になってきておりますけれども、もしかしてガイジンさん全般的にノリノリで無茶やってるんじゃないのかなあって感もする昨今なのであります。そのノリノリで国内債券市場に突っ込んで来て資金を焼いていただくのは大歓迎でございますので、今後とも一つよろしくお願いいたしたいものですが。
○ところで今日の展望レポート大予想
まあ短期国債とかCPとか社債とかのちょっと長めのターム物金利を見てると、市場参加者が警戒する利上げ時期は、「8月以降のどこか」という感じでして、8月のリスク(先日の日経金融新聞でも指摘されていた2QGDP結果次第での利上げ)も意識しながらもまだ本命にするほどではなく、秋口(10月)以降に関しては警戒感高まるという感じだと思います。10月だと短観、11月だと3QGDPと行った所ですか。
#GDP見ての利上げという形を2回連続を避けると考えたら10月かもね
という状況の下で展望レポートが出るのですが、直近のコアCPIがマイナス(今日また出ますけど)の状況下でそんなに気合の入った利上げ前のめりレポートは出ないと思うんですよね。とりあえず余計な軋轢は回避しつつ、コアCPIの反転上昇と各種経済指標の好転を待つという格好じゃないのかなあというのがあたくしのドタ勘。
ただし、そーゆー姿勢を見せると今度は「当分利上げ無しでワッショイワッショイ」と市場が過剰反応するリスクもありますので、本石町日記さんの表現を勝手にお借り致しますと、「今のところ、景気は良くなり、物価も上がると思っている。いずれ利上げできると思うが、でも先のことは良く分からん。利上げできる経済情勢になればそうしようと思うが、今はなんとも言えないなあ」ってことになると思うんですよね。
そんなことをつらつら考えますと、今回の展望レポートはそうむやみやたらと強気を打ち出すわけにも行かず、とは言え先行き経済情勢が好転したら利上げをするという姿勢は堅持ってなりますから、バランスをある程度取ってくるんじゃないかと勝手に予想してみます。例えば審議委員が出す物価やGDP見通しの数値を強めに出してくるなら本文の表現は穏当に、本文強めなら見通し数値は穏当にって所でしょうか。整合性という意味では本文の表現を抑え目にしながらも先行きの見通し数値は強めにしておくもんなのかなあと思いますが。
なお、これはすべてあたくしの勝手な妄想ですので念の為。
2007/04/26
お題「つらつらと雑談が長くなりました」
モーサテでサブプライムの事例紹介をしてまして、その事例に驚倒。なんと「月収50万円の人間が9000万円の家を購入、しかも月の返済70万円」なんてお話でして、ローン出す方もそうだが、買う方の頭の中身はどうなっているのか理解致しかねますな。まあ極端な事例だとは思いたいのですが、どう見てもスポンジ脳です。本当にありがとうございました。
○さすがにそれはどうかと思うぞ
展望レポートとCPIが出るまではまあ取っ掛かりのネタも乏しいのでつらつらと色んなレポートとか見ておった訳ですが、早期利上げを警戒すべしって主張する人のレポート見てたら早期利上げを警戒すべき根拠の一つとして「夏場以降個人消費が落ち込む可能性が高く、利上げをするなら6月あたりまでにやっておかないと」というのがありました。
・・・・いやあのさすがの日銀と言いましても、個人消費のような景気にモロに響く部分で先行き悪化を見てたら利上げをする訳ないでしょうと思うのですけれども。「エコノミスト氏は先行きの個人消費低迷を読むけど、日銀はそれを見ていないので楽観して利上げをするかも」っていうのならまだしも。。。
というと、この前CPIが先行きマイナスもって議論しながら利上げした(2月の会合要旨参照)のではという話がありますが、物価の場合はまあ景気は良いのだけど物価に関しては特殊要因で先行きちょっと低迷するからって理屈を持ち出す(実際問題としてはその要因で物価が上ってる時は特殊要因扱いしてないので反則の感は否めませんけど、とりあえずそれは措く)のはあるやも知らんけど、景気の先行きに悪化要因があると思ってるのに利上げするのは流石に無いでしょうよ。
物価は上りにくいけど、生産や投資、消費などが絶好調で景気はウハウハだから利上げできるという見通しで早期利上げを警戒するなら話が通るのですけれども、「先行き悪化するかもしれないからその前に駆け込み利上げ」ってのは倒錯した議論もいいところですわな。だいたいからしてフォワードルッキングって言ってるんだからねえ。
・・・・とここまで書いてふとネットを見に逝くと、本石町日記さんが既にこのお話をしておりまして、あたくしはただの二番煎じ(しかも論点は本石町さんが尽くしているのであたくしはただの出がらし)であることが判明して誠に残念至極でございます(超大汗)。
http://hongokucho.exblog.jp/6778925/
>これは、同じ「想定問答」であっても、いつも聞いている
>場合と、たまに聞く場合とでは、受ける印象が異なること
>を意味しているのかもしれない。同じ言葉でも解釈が
>異なり、同じ想定問答でも、聞く頻度によって印象が
>異なる。市場との対話は、それほど難しい。
(上記エントリーより)
確かにそうですね。どうも海外投資家が時に金融政策絡みで国内的に見ると「????」という反応やらかして突如債券先物を叩いてみたりユーロ円金先を叩いてみたり(というかスワップとかやってるんでしょうけど)するのは、『「想定問答」をいつも聞いている』かどうかという所にあるのかも知れませんなあと思うのでした。
以前は海外発の金融政策関連の思惑が国内投資家も巻き込んで大騒ぎという事例が多うございましたが、最近は「実はこいつらピント外れな思い込みで動いてる曲がり家ジャマイカ」(2月の決定会合当日の前夜からの動きは圧巻でしたな^^)という認識が国内投資家の間で共有されているようでありまして誠に結構なことでございます(^^)。
○心理戦っちゃあ心理戦なのですが
今回の大型連休越えは昨日もオペ金利が微妙に低下しておりますし、GCレートも特に上らず、というか1日スタートの翌日物は金利下がってますので、まあ落ち着いた展開もいいところでございます。結局今回は変なタイミングで利上げ観測が飛び出してTB/FBの金利がちょっと上昇したのがガス抜きになったような格好だったのかな(その金利上昇で運用サイドとしてはちったあ出せたし)とも思うんですけど、まあ事前に「大型連休越え警戒」って話が割と多かったせいか逆に皆さんきちんと準備したの図。
この前の期末越えではどうだったかと言いますと、3月中旬までノーケアーモードだったのに20日受渡のあたりから急に大騒ぎになって「おいおい大丈夫か」って感じもあったのですけど、期末直前になったら急に落ち着くの図ということで、まあ大体ありがちな話ではございますが、「皆が安心してる時にはいざとなると大騒ぎ」「事前に警戒してる時は実は何も起きない」というのがマーケットクオリティ。
ちなみに去年の大型連休越えですが、量的緩和を解除したにも関わらず3月に当座預金を全然引かなかったのに、3月末越えの資金を確保してた人が多かったんで、4月に金が大余りしちゃって、4月最終週まで金利は下がりっぱなし。(2か月FB入札が過熱してショートカバーで業者間市場で100円とかが出合ったというキングオソロシスな事もありました)ところが、大型連休直前になって急に「当座預金残高が減ってきたので需給がタイトに」とか何とか言い出して連休越え金利が大爆発してエライコッチャになったのであります。あれはビックリしましたよ。
まあ結局このあたりって心理戦でもあるんでしょうなあなどととっても平穏な大型連休越えを見て思うのでありました(^^)。
○国会会議録雑感
国会会議録をひねもす眺めておったのですが、先日引用した4月17日の前に行われた衆議院財務金融委員会は4月11日でして、ここで稲葉理事が参考人として出席してるのでどんな話をしてるのかなあと読んでみたんですよ。
『○吉田(泉)委員(前半略)時間も大分過ぎましたが、二つ目の大きなテーマとして、金利と財政再建ということを考えてみました。(途中略)きのう日銀の金融政策会議があって、今回は据え置きということですが、既に二回金利が上がってきました。いわばこれは短期金利の正常化という過程だとは思いますけれども、これが国債の金利にどういう影響を与えるのか、場合によっては、大変な財政負担になって、これが日本の経済の大きなリスク要因になるんじゃないかという心配をする向きもあるわけでございます。それで、最初に、国債の金利も含めた長期金利というのはどういうふうに決まるものなのか、ちょっとメカニズムを簡単に教えていただきます。』
・・・・・・・(-_-メ)
ということで稲葉理事が答弁しているのですが、別に何か追及するような雰囲気も無く(1月の利上げ騒動に関する圧力云々というくだりはありましたが)、先生に講義をしてもらうの図という状態ですな。いやまあ日銀としては金融政策と長期金利という話を周知する機会があって結構なことですということなのかもしれないんですけど、日銀公表文書(しかも専門的じゃない方)を読めば判る話をわざわざ国会で行うっちゅうのもどうなのよという感じですな。国会の運営でかかる費用は納税者持ちなんですからねえ。
しかも稲葉理事はこの質問(およびそれに繋がる質問)に対する答弁のためだけに出席して(させられて)るんですよね。何だかな〜って感じです。
で、この回の会議録斜め読み(稲葉理事の出席場面が見つからなくて斜め読みが多くなった^^)したのですが、この前も同じこと思いましたけど、ちゃんと議論になっているように見えるのは共産党の佐々木委員のところだけ。他の人たちは話が飛びまくって単に一方通行の自己主張をしてるだけにしか見えないですな。テーマもっと絞って話すべきではと思うのですけどねえ。。(テーマが一点集中だから山本幸三さんVS福井総裁とかは読んでて面白いんですよね)
2007/04/25
お題「盛り上がりそうで盛り上がりません><;」
○上りそうで中々上らんターム金利
昨日は3か月FB入札に加えまして大型連休越え対応(レギュラー発行日は26日ですが)のCP発行が最上位各銘柄中心に行われまして、ターム物が沢山取引されるの図という感じでした。
新発3か月FBに関して言えば前場は一応頑張って引けで0.59%の出合いまでやってくれたので、ここのところFBが0.57%あたりからちょっと金利上昇したのにろくに金利が上昇する気配の無いCPもちったあ金利が上るのかなとも思ったのですが、結局のところ6月エンド(なので2か月物)までは0.6%を割ったままで、運用圧力が相変わらず高いのか概ね0.59%あたりでの推移と金利はアガランチ会長の巻。
うーむと思ってたら、3か月FB入札も平均落札0.586%相当で決着して、引けになってみれば0.575%ということで(実力は0.58かな)結局アガランチ会長。まあCPのレートがまるっきり上昇しないというこの運用圧力を見てるとそれも仕方ないのかなあという感じではございます。とにかく短い所というか足元に関しては運用圧力が高いのと、次回利上げに関して(5月利上げとかノーポジならではの好き勝手言える結構なご身分の方は別にして)まあ年内1回くらいはあるでしょという感じで、目先の利上げが無いというのがコンセンサスなので、安心してターム物運用が出来るという所かと思うのです。で、安心して運用するもんだから現先レートと短国やCPレートに殆ど差が無く、ついでにクレジットスプレッドも潰れまくるのですけどね。
で、その市場が織り込んでそうな利上げ時期ですけど、まあ目の子ですが、TBレート見てると10月以降12月くらいとかの利上げって感じですけど、長いタームのGCとかたまに出合う少々長距離砲のCPレートとか見てると、8月利上げの線は警戒しているような感じと読めますので、まあ今後の経済指標(5月に出るGDPとか)次第では、8月利上げのネタで盛り上がる時もあるんでしょうかね(月末のCPIがダメダメだったら盛り上がりにくいけど)。
#ただまあ昨日ちょろっと書いたように、金融政策判断は単一のデータに依拠しないってしつこく主張している所を見てると、今度利上げする時には「GDPを見て上げた」って言われ方をしないように注意してくるというのがあたくしの超越独断的大予想。
話はちょっと飛びますが、長いタームのGC取引と言えば、最近ではGC取引で数ヶ月のターム物とかも色々と行われてアクティブにアービトラージというか要するに資金ディーリングをしている向きも増えてきたらしいと聞く訳でして、初回利上げ(=ゼロ金利解除)の頃はろくにタームが動かず(お家の事情じゃなくてアクティブに行く人が本当に少なかったから)オペ金利がモロに跳ね上がったのを思いますと時代は進んで来ましたなあという感じが致します。市場の片隅で箱庭をいじってる身分としてはそんな時代に追い着くのも努力が必要でござる。
○久々のひでえ入札になってしまいましたな
20年国債入札でございますが、入札直前の前場最終気配が2.095%−2.100%で、債券先物が133円89銭。で、落札結果は平均が100円3銭は良いとして最低が99円85銭で落札上位を見てるとどう見ても大手どころ揃って手を引っ込めやがったですぅという感じで落札業者もばらけまくり。そしてその後は嫌がらせのように中期が強くなって引けてみたら債券先物は133円97銭となるも、20年新発国債の引けは2.11%(しかもオファー)ということで、価格に直すと99円86銭だか85銭9厘だかになると思うのですが、入札を何でヘッジしても負け確定です(あ、30年でヘッジすればセーフだけど)。本当にありがとうございました。
まあこうなると事前の先回り買いだか嫌がらせだか知りませんけど、入札前に20年強くなったのはありゃ一体何だったんだというお話になるんですけど、こればっかりは終わって見ないと何の事やら判らんのでして、入札で踏まされた人はご愁傷様としか申し上げようがないのでありました。最近の入札は割と平穏なのが多かったのですが、前回の30年買占め入札に引き続き今回はヘロヘロ入札と何かまた始まったかなって感じではございます。
○日銀の出資証券が52週高値を更新している件について
ブルームバーグニュースのヘッドラインを見てたらそんな話があったので「またかよ!」と思ってニュースとチャートを見たら確かにそのように。
『日銀の出資証券が52週高値、含み資産を評価−日本橋再開発の思惑も』(ブルームバーグニュース24日15時18分)
ということで、『資産査定を行えば土地を中心に多額の含み益が発生するとの見方が市場参加者の間で広がっている』とかどこぞの証券会社の株式トレーディング部門の人のコメントとして『日本橋再開発によって、日銀本店が移転するとの思惑もある』というのがあったりして実に香ばしい。
まあ皆様ご案内のように、仮にそんなことになっても国庫納付金に吸い上げられるだけの話ですし、そもそも含み益出した後に損が出たらどうやって埋めるんでしょうかねえと考えるとまあ例によって何か勘違いした人が買ってるんでしょうね。ナムナム。
#というか、日銀の現有施設を移転しようと思ったら物凄い勢いで費用がかかるんジャマイカと思うんだが、金庫とか金庫とか金庫とか
ブルームバーグニュースは当然判っているので、その後の解説が何ともこう苦しげというか婉曲でしてこれがまた何ともであります。『実際に(注:日銀が購入したの銀行保有株式の)売却が始まった場合の実現益は、日銀の納付金として国庫に入ることになっている。』とか『日銀証券の価格は05年9月にも急騰、当時の6万円レベルから約1か月で16万2000円まで上昇した経緯を持つ。』『(日銀証券は)他の銘柄より流動性が低い。このため多少の株式需給で値段が大きく変動しやすい。』と解説してますな。
まあコメントまで貰っちゃったから仕方ないですな、ナムナム。
ちなみに、2005年9月の上昇時には、国会で馬鹿質問をした議員がいまして、しかも自分の質問を「ギャグを交えた」などと自分のホームページで話していた(残念ながらサイトの「News」の過去ログは閲覧できないようですが)のに悪態をついたのですな。ああなつかしや。(2005年10月28日です)
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/zatsudan05-02.html#za051028
2007/04/24
お題「経済指標と展望レポート待ちのようで」
とは言いましても何かちょっと株価が上るとプチ利上げ警戒モードになって見たりするので、ちょっと相場さんとしては動きたがってきてるのかも知れませんな。
まあ今日もヒマネタが多いのですが。
○昨日の続きで4月17日の財務金融委員会(佐々木氏)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009516620070417009.htm
この質疑応答の中で一番質疑応答らしいなと思ったのは最後に登場した共産党の佐々木憲昭委員の部分でございました(あたくしの個人的印象ですけど)。質疑応答らしく読める理由なんですけど、佐々木委員は(質問時間の制限も影響してるんでしょうが)本件質疑応答のテーマを「雇用者所得」という一点に集中してるからなんジャマイカと。他の委員はどうも話があっちに逝ったりこっちに逝ったりするだけで突っ込みらしきものが殆ど無いんですよね。
で、まあ要するに話の流れは共産党らしく、一人当たりの雇用者所得が上昇しないと個人消費、ひいては景気は好転しないが、昨今の統計は一人当たりの雇用者所得が減少していることを示しているのではないか、日銀の見通しは甘いのではないか(と言いつつまあ要するに所謂格差社会批判なのですけどね)って感じですが、総裁の過去の会見での発言なども踏まえながらのツッコミなので読んでてオモロイ。で、引用しようかと思ったのですが、質疑応答の流れが他の委員と違ってぶつ切りになっていないので端折りにくいのでありました(汗)。
ということで、佐々木さんの最後のまとめだけ引用しておきましょう。
『もう時間ですので終わりますが、日本の将来にとって、技術革新、イノベーションというのは当然必要なことだろうと思いますけれども、問題は、それが、国内の国民、働く人々、労働者、勤労者、こういう方々の生活水準が向上する形で消費も拡大し、よい循環を確保していくことだろうと思うんです。その場合、今のままではなかなかそうはいかないので、私は、企業の行動についても一定のルールが必要である、つまり、利益が上がったものを経営者と株主だけに配分して労働者は二の次、そういう経営の仕方では、本当に将来にとってプラスになるとは思えないわけであります。』
『したがって、それを規制するというか、ルールをどう確立していくか、これは法制度の問題でもあるんです。規制緩和をどんどんやれば企業の野放し状態が生まれますので、そうではなくて、がんじがらめにするというのじゃありませんが、生活を重視した一定のルールづくりというものが大変重要である。しかも、国の政策の方も、例えば国民負担、この問題について一層軽減措置をとるとか、こういう政策対応が求められているというふうに思っております。』
じゃあそれを具体的にどうすれば良いのかという施策が欲しいところでございますが。。。。。
○まあ全否定はしませんけど・・・・
日経金融新聞ネタですけど、20日の日経金融新聞「ポジション」欄のお題は『8月利上げ説は本当か』となってまして、今年の8月の決定会合が8月22日、23日の両日に設定されていることが8月利上げ説の発端だというお話です。例年8月はお盆前に決定会合があるのですが、今回後に寄せたのは4−6月のGDPが出た後に検討する時間的余裕を置いて、GDPが良かったら利上げするのではって話のようですね。
2月の利上げの時には結果からみるとGDPが決断の最後の後押しをしたようになっていますから、そーゆー意味ではGDP見て利上げクルーと思うのも有力な考えでありまして、そこに8月会合の後寄せが加われば「日銀は8月利上げを狙ってる」という思惑がやってくるのもむべなるかな。
・・・・それはそうなのですけど、そもそも利上げが暫く無いでしょって見通しの基礎にはコアCPIが秋口まで低空飛行を続けるってのがあった筈でして、そっちの状況が変るなら別ですけど、さすがに次の利上げは無理してこないと思うんですがね。まあコアCPIの上向き傾向をきっちり確認できる秋口以降(くらいにはそうなっていると良いのですけどね)で十分だと思うのですけど。で、最初の利上げを引っ張る代わりにその後のペースは淡々とメジャードペースって方が吉に思えるのですが。
と、予想なんだか願望なんだかよく判らん話になってますが(汗)、まあさすがにコアCPIがゼロだのマイナスだので利上げするのは割と空気を読むのが得意な福井総裁はやらかさんと思うので、やっぱベースとしてCPIが一番重要じゃないかと思うんですけどね。
あともうひとつのツッコミとして、日銀(というか福井総裁)は「単一のデータに依拠した金融政策は実施しない」と常日頃言ってますわな。となりますと、2月にど〜見てもGDPの結果が背中を押した利上げってのをやった後、また今度の利上げもGDPが後押ししたって形になっちゃいますと、市場的には「GDPが金融政策判断上極めて重要なファクターで後はカス」ってえ思惑を招きかねない訳でして、それは避けてくるのではないかという風にも思えるのですけど・・・・いかがでしょうか?って裏読みにも程がありますですかそうですか(^^)。
○またやってるのかよ・・・・
同じく何故か先週金曜(20日)の日経金融新聞1面トップ記事ですけれども、こちらのお題は『新興企業、株評価損相次ぐ 「仲間持ち合い」あだ』ということで、絶賛低迷中の新興市場企業で、企業間の株式持ち合いやってて評価損→株価低迷→またまた評価損の香ばしいスパイラルが一部で発生しているようですな。
あのですな、それって99年〜2000年に掛けてのイットバブルとその崩壊の過程で、新規公開狙いでVC経由で俄かに金が入ってきた連中がイット関連株の投資(というか投機というか)に金を突っ込んでバブル崩壊と共に崩壊した事例続出というのと非常に良く似たお話ですなあって所でして、あれから6年以上経過して中の人たちが入れ替わって学習効果が働かなくなったというところでしょうかねえ。
記事によれば未公開株式の評価損(というか評価替え)が収益を圧迫するケースも多いようですが、おまえらそもそもどういうバリュエーションしてたんよ(評価はどうせ購入価額なんでしょ)という気もするんですけどね。。。。。まあ玉石混交の市場(というか石が甚だ多いのですが)ですのでご利用は計画的に。
2007/04/23
お題「4月17日の衆議院財務金融委員会半期報告」
夕張市長選挙で羽柴誠三秀吉氏次点のニュースに驚倒。
しかし民主党は今回も鉄板で圧勝して競り合いに弱いと言う結果ですな。参議院選挙も事は無しって感じですね。
先日ちょっとネタにしました4月17日の衆議院財務金融委員会の議事要旨が早くもアップされていましたのでそこからまあヒマネタになりますが。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009516620070417009.htm
ちなみに、「金融政策のプロ」でPh.Dをお持ちの著名議員様によります「美しい国の美しい金利」云々という珍質問に関してはbewaadさんのエントリーに同感するものであります。それからコメント欄の一国民さんのコメントにも深く同意。エライ人の「お言葉」を使って擦り寄る茶(自粛)の図ですな。
まあそれは兎も角として、ふ〜んと思った質疑を。
○第2の柱で利上げをしたのではないかという質疑(佐藤氏)
自民党の佐藤ゆかり委員から。委員会質疑なので質問はこの前と後に沢山並んでおりますが、途中部分を切り取っております。
『ところで、これら二回の利上げについてですが、当時のコア消費者物価を見てみますと、前年比で、旧系列ベースでも〇・五%前後の時点で二回の利上げが実施されております。その一方で、昨年三月の量的緩和の解除の際に、日銀の政策委員の方々の中長期的な物価安定の理解というものが公表されておりますが、当時の政策委員の方々の中心値は一%でございました。すなわち、その二回の利上げの時点では、この政策委員の方々の中心値であります一%よりも低い消費者物価の前年比の次元で利上げが行われたわけであります。』
『要するに、受ける印象といたしましては、これらの二回の利上げについては、物価に照らした政策判断であったというよりは、むしろ、福井総裁御指摘のように、緩和効果が経済の一部にいびつな形で出現をしてくる、そういうこと自体に対する収拾の意味合いの方が強かったのではないかというふうに思われるわけであります。実際、現状を見てみましても、今回の景気回復局面では都市部の不動産向けの貸し出しが拡大しまして、そういったことから不動産価格が一部で大幅に上昇するなど、日銀の御指摘どおりの、いわば一部の経済部門に緩和効果がかなりきき始めたというような状態も散見されたわけでございます。』
『その結果、バブル的な影響が一部の部門において発生するのを回避するために、中小企業や地域経済など回復がおくれる部門にとりましてはむしろ早過ぎるかもしれないようなタイミングで二回の利上げが行われ、万が一、その結果、緩和効果の波及というのがその時点でとまってしまうようなことになれば、これはまことに残念ではないかと思われるわけでありますが、そこで、もう一度福井総裁に確認をさせていただきたいと思います。』
これは良い指摘ですが、総裁の答弁はこうなっておりました。これまた例によって前半割愛しますが、前半は一般論でございました。
『そういう視点から、私ども、既に、量的緩和からの脱却、ゼロ金利からの脱却、そして、極めて慎重ながら、緩やかな金利の引き上げというプロセスに入っているわけでありますけれども、物価安定とい視点を一度も視野から外したことはございません。現実の足元の消費者物価指数は、原油価格の変動等を受けまして多少のアップダウンをしており、現況、足元では、消費者物価指数が前年比若干マイナスという状況になっておりますけれども、今後の経済は、政府の見通しあるいは私どももシナリオとして置いておりますややロングランな持続的かつ安定的な成長というものを土台に考えますと、やや長い視点で見ますと、日本の消費者物価指数は緩やかな上昇基調をたどっていくであろう。私どもが中長期的な物価安定の理解として政策委員会のメンバーとして共有しております〇%から二%という範囲内にこの物価指数が入っていく。そういう視野を踏まえながら金融政策の運営を行っているということでございます。』
ということで長い上に、佐藤委員の後続の突っ込みが無いのが非常に残念なのですが、中長期的に0%〜2%に入るという視野で運営するとなっている中で0.5%のCPIで利上げしてる割には物価上昇圧力が強いという訳でもないというのはどうもこう何だかな感は拭えません。ちなみに物価安定の理解に対する説明文はこちらにございますので。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/mpo0603a.htm
ところで、ここ読んでて「おお!」と思ったのは総裁答弁の中に『足元では、消費者物価指数が前年比若干マイナスという状況になっております』ってある部分です。皆様ご案内の通り、あたくし日銀公表文書(金融経済月報とか福井さんや武藤さんのスピーチ要旨)でCPIは「ゼロ近傍で推移」となってて、マイナスという数字を随分と避けますなあと散々悪態ついてましたが、福井総裁はさすがにそのあたりの政治的な空気を読むのはお得意なようで、この場で「ゼロ近傍」というとまたツッコミを食らうと見たんでしょう(かどーかは知らんが^^)。
まーいずれにせよ、「足元のCPIがマイナス」という表現が福井総裁の口から出たことにはある意味ホッとしましたよん。
○そのミクロ介入的金融政策はどうなのかと(佐藤氏)
金融政策の波及効果に関して佐藤委員が質問してるのですが。
『こういった観点で、従来、日銀の金融調節の手法を少し見てまいりますと、いわゆる銀行が中心的な参加者でありますコール市場というものが主軸となりまして、それでコールレートというものが政策金利として置かれて、そこで日々の金融調節というものが行われてきているわけでありますけれども、その一方で、企業金融というのは今非常に多様化をしてきている時代にあります。そうしますと、この日銀の日々の金融調節が、銀行がメーンな参加者でありますコール市場を主体としたもので果たして波及効果として万全なものが期待できるのかどうかという観点も上がってくるのではないかと思います。』
『そういう意味で、これからは、やはり、以前から議論が上がっているとおりでありますが、場合によっては株式あるいは社債等もより積極的に公開市場操作の対象に入れるような形で、そして、より公開市場操作そのものに近いような形式で日銀の金融調節を行うような、そういったお考えあるいは検討、取り組みのようなものがお考えの中におありになるものかどうか、そのあたり、波及経路の改善という意味でお伺いしたいと思います。』
公開市場操作という用語を誤用してますがなという突っ込みはさておき、こりゃまた思いっきりどミクロ介入な話をしてますな。一時期のように金融機関がヘロヘロになって金融仲介機能にガタが来るので日銀が介入しなきゃいかんというのなら兎も角、今更ミクロ介入もねえだろうと思うのであります。まー稲葉理事が答弁してますが、答弁の方は普通の話をしてますので引用省略。
○まともに竹中氏の名前をだして次期総裁論議(近藤氏)
民主党の近藤洋介委員から。最初に中央銀行総裁としての資質という質問をして、『職務の公正性』という話を引き出してからこんな質問を。
『日本銀行の総裁の条件として、いわゆる選挙に出た経験のある方、そして、ある政党に所属をして活動した方というのは、私は個人的には余り好ましくないと考えるんです。過去、日本銀行の歴史をひもといて、日銀の事務当局に昨晩伺いましたが、福井総裁までで二十九代、日銀総裁がいらっしゃるようでありますが、日銀総裁になる前に国会議員であった方、貴族院議員は除きますが、いわゆる選挙で選ばれた国会議員の経験を経て日銀総裁になった方は戦前もいらっしゃらなかった、こういうことであります。』
『私は、そういう意味でも、これは明文化されておりませんが、中央銀行としての一つの良識なのかな、こう思っておりますが、総裁の御見解はいかがですか。』
これはまた露骨な質問ですなあ。勿論福井総裁は「それは政府と国会が判断すること」と答えるしか無いのですけれども。で、まあその後になると思いっきり竹中氏の名前が出てくるのでした。
『そこで、私は、具体名で恐縮ですが、こういうふうに全国紙でも「竹中氏の名」というのも出ているので、あえて触れさせていただきますけれども、竹中平蔵前総務大臣の名前が取りざたされたりするというのはちょっと異常だなと思います。』
『なぜなら、国会議員になられた方というのは、やはりそれなりのさまざまな、幾ら公正性、中立性を担保しようとしても、やはりああいう形で、しかも、党公認で出られてしまった、今はやめられたとしても、ああいう形で活動された方というのが、今、随分早い序盤戦で、さまざまな雑誌だけでなくてこういうところにも出ているというのは、名前が取りざたされているというのは、私は、日本銀行の中立性、公正性を担保する意味でも非常によくないことだな、こう思うんです。非常に残念だなと思いますし、こういった方のお名前、私は、竹中さん個人も大変不幸だなと思います、御本人の意思とは全く別なところで勝手に書かれるわけですから。これは新聞社の勝手でありますけれども。』
『しかしながら、日本銀行の公正性、中立性を担保するという意味では、やはり、あれだけ激しい選挙戦を戦われた方が、今はおやめになったとしてもどうかな、一政党のためにかかわった方が日本銀行の総裁として名前が浮上するというのは、これは大変公正性という観点からも残念だ、こういうことを御指摘申し上げたいと思うわけであります。』
で、この後は先般の日銀の政策に関するアンケート結果を持ち出して政策の中立性がどうのという質問になっておりますが、正直言ってテーマを拡散させすぎ(竹中氏を叩いてると思ったらその次は1月の利上げ騒動での自民党の対応を批判し、その次に利上げ批判になるという流れで、結局全部突っ込みが出来てない)だと思いますがね。
そして先日の本石町日記で書かれてましたが、「ルールを守れ」ということで理事を退席させた近藤委員が伊藤達也委員長に質問時間オーバーを指摘された部分は笑いました。
『済みません、後ろに座られる方は御退席いただきたいということを申し上げているんですが、ルールを守っていただきたいと思います。余りこのことで時間をとりたくないので、よろしくお願いいたします。』
そして質問時間がオーバーした所で伊藤委員長曰く、
『近藤君に申し上げます。申し合わせの時間が過ぎていますので、おまとめをください。ルールをお守りください。』
(^^)。
えーっと、その他にも質疑が色々とあるのですが、まあこの手のものを紹介してるとキリが無いので皆様テキトーにご覧下され。
2007/04/20
お題「さくらレポートその他」
大寝坊の為本日はちょっと簡単モードで恐縮です。
○今回も判断据え置き
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0704.htm
レポート本文は下記URLですが、PDFで51ページあるのでご注意。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/data/chiiki0704.pdf
内容は盛りだくさんで大変興味深いのですが、例によって最初の総括判断の部分をまず読むわけですな。
『各地域の取りまとめ店の報告によると、足もとの景気は、すべての地域において拡大または回復方向の動きが続いており、地域差はあるものの、全体として緩やかに拡大している。(説明部分割愛)こうした中、総括判断において、「拡大」としている関東甲信越、東海、近畿と、「回復」方向にあるその他の地域との間で、依然、地域差がみられている。なお、1月の支店長会議時と比べると、すべての地域で、拡大または回復方向での総括判断を据え置いている。』
ということでして、総括判断は今回も据え置きとなっていまして、各項目に関しては、雇用・所得環境の雇用者所得について北海道が判断を下方修正した(やや弱めの動き→弱めの動き)以外は判断維持となっております。まあ2月に利上げしたばっかりですから利上げの影響がそう直ぐに出るわけでも無いでしょうけれども、利上げがあったけど地域経済への悪影響は見られていないって事になるんでしょうかね、よーわからんが。
その次に『地域の視点』ってコーナーがございまして、こちらも中々興味深いのですけれども、全部ご紹介してるとオワランチ会長になりますので、最初の雇用賃金情勢に関してですが、本文4ページ(ファイルの6ページ)目にまとめが載っておりますのでそこから引用。
『先行きについては、企業の採用意欲が根強い中で、労働需給の引き締まり傾向が続くものとみられ、賃金引き上げの動きも徐々に広がっていくと予想される。もっとも、団塊世代の退職・再雇用に伴う賃金の引き下げや、賃金の低い新卒社員の増加などから、今後、一人当たり平均でみた賃金の伸び率が大きく高まっていく姿は想定しにくいと思われる。』
ということで、このあたりは最近の武藤副総裁の講演や福井総裁の会見などでも指摘されていることですが、まあ要するに先行きは明るいという話でしょう。「団塊世代の退職・再雇用に伴う賃金の引き下げや、賃金の低い新卒社員の増加」で一人当たり賃金の上昇が抑制されるちゅうのは、「統計的には良くないように見えるけど実態ベースでは悪い現象ではありません」っていうことですもんね。
まー特にこれで利上げ前倒しとかいう勢いのある内容ではないと思うのですけど、引き続き先行きに関しては強気に見ているという感じではないでしょうか。
○そういや早期利上げの思惑はどこへ
昨日は中国の利上げ懸念だか何だか知りませんが株価指数が威勢良く下げる中で堅調な債券市場の巻。前日0.85%の引けだった2年カレントも0.835%まで低下しておりまして、まあ一昨日の5月だか6月利上げ云々という話はどちらに逝ってしまったのという感じ。
当然ながらTB/FBは昨日も動かずですし、CP発行レートの方も特に上昇する雰囲気も無く(と言ってもここからもう一発下がるほどの勢いも無いんですけど)まあ極めて落ち着き払った展開でございまして、一昨日のアレは一体全体何だったんでしょうか。
・・・・ということで、昨日は「利上げ云々相場は持って2年入札まで」などと申し上げましたが、そもそも書いた時点で終了していたということですかそうですか(超大汗)。
そもそもですな、ここの所の総裁や副総裁の発言などを見ておりましても、あたくし別に利上げに前のめりな印象は受けないのです。ただまあ読みようによっては早期利上げに積極的って読めるのかもしれませんが、そこはどちらかというと現在の金融市場が「ど〜せ選挙まで利上げできない」といった見方が強いので、いやあのそうじゃなくて経済物価情勢次第でございますからって話をするために原則論を強調してるって思うのですけど、ど〜でしょうかね。
#いやさすがにコアCPIがゼロやマイナスで利上げは無いと思うんですけどね
しかしまあ昨日市場参加者な知人と話してたんですけど、「どういうルートでまことしやかに風雪が回るんでしょうなあ」って感心しましたよ今回は。。。。。ま、だいたい日本の金融政策に関る与太話もとい思惑は海外為替市場から来る事が多いと思うんですけどね(^^)。
2007/04/19
お題「早期利上げ観測とははて面妖な」
なんちゃらショックで下げた後不死鳥のように復活して市場最高値を更新しにいくという値動きを20年弱前に極東の国で見た覚えがあるんですけど・・・・・
○早期利上げ観測ですかそうですか
今朝になってニュースでも話題になっていますが、今回はまた見事に出所がわからないという早期利上げ観測。昨日は前場から債券先物も威勢良く叩かれまして(その後戻りましたけど)、10年1.7%をあっさりブレイクするわ、金先も叩かるわということでしたが、肝心の国内債券市場の中の人たちは「はて何のこっちゃ?」って感じなのでありました(苦笑)。正直、遅い時間になってから「何か為替の方で利上げ前倒しとかいうデマが流れているらしいぞ」という話を聞いて「また勘違いガイジンか!」と呆れてしまったというのはここだけのハナシです(恥)。
まあね、6か月TB0.565%などというのも10月まで利上げ無しの一点張り過ぎでちょっとそりゃどうよというのはあるんですが、何がどういう理屈になると利上げが前倒しになるんだかという感じですにゃ。何でも最近日本の金融政策に関する観測レポートが曲がりまくることで著名などこぞの海外レポートでも利上げが早まるという話を出したとか言われてたそうですな。
ということで、どうも為替だか海外だかというのが今回の震源地のようですけど、日本の金融政策に関する見方をレポートするならまずは債券市場とか短期市場(除くデリバティブ市場^^)を見たら如何でしょうかと思うのですが、ど〜もこの為替だのガイジンだのという人たちは日本の金利市場はローカルドメドメの頭の弱い連中がやってるとでも思っているのか、市場の価格形成を見事に無視した俺様理論が出てくるのが恐ろしいところです。まあそーゆーのも出てくれないと相場らしくなくてつまんないからどうぞやってくださいってなもんですけど(^^)。
大体からして、「当面日本のコアCPIがゼロどころか小幅のマイナスで推移する」っていうのが「ど〜せ早期利上げできないでしょ」っていう見方の背景にあった筈でして、先日の総裁の国会答弁やら金融経済月報で強気な話はでてますけれども、さすがにコアCPIマイナスで利上げもう1回はやらんでしょうと思いますし、福井総裁もそこまで特攻する訳にはいかんでしょ(てかさすがに周囲が止めるでしょ)と思うんですけどね。何か物価が絶賛大上昇するって話でもありましたっけ?
丁度都合の良い事にこれから大型連休越えの資金がどうのこうのという話も出る時期ですんで、ターム物金利に動意がちったあ出てくるかも知れませんが、展望レポートでそんなど派手な物が出てくるとは思えず「事前に上ると材料出た時に下がる」のパターンになるんジャマイカという感じですな。この利上げネタを引っ張るにはもうちょっと良質の燃料が無いと難しいんじゃないでしょうかねえ。ということでこの利上げ云々相場は持って2年入札までと大予想(すると外れるのがドラめもんクオリティと最初から逃げを打つ^^)。
○CPレート下がってたんですけど・・・・
などとまあ柄にも無く変な予想もどきをかましちゃいましたが、昨日はCP発行レートが何と前日から見て低下しちゃってるというのがあって、それにあたくしが煽られているという節があるのは否めません(おい)。
昨日のスポット受渡は20日でして、CPの発行がやや増える日であったのですが、期末越えで発行されたCPの期落ちも同様に20日以降から多くなりまして、ここもと足元の資金潰しというか消化ニーズがTB/FBやCPに入っていてCPに関しても在庫がかなり軽くなっているというのが背景事情としてある状況。で、そもそも期末越えだと各種お家の事情とか、そうでなくてもまあ念の為手元流動性は厚めにという発行体の人も多いと思料されますので、調達圧力よりも運用圧力の方が勝る状態になってしまいまして、発行がやや多い日だというのに金利が低下する次第と相成りました。
前日までの感じだと上位格付けのCPで7月償還ものが0.6%乗せ、6月償還ものが0.59%〜0.60%に近いところという感じだったのですが、昨日は運用側の運用圧力だのCPディーラーの在庫確保(運用と現先玉)圧力だのという勢いの勝ちでございまして、世の中金利が上る(しかもそのネタは金融政策ネタ)中で見事に7月償還もので0.6%割れ続出とか6月償還もので0.58%台続出(銘柄によって若干差がありますが)とかいう有様。新発3か月FB(7月23日償還)の引けが0.575%であることを勘案するとこれはまた素晴らしい運用圧力と言ったところでございます。うーみゅ。
ちなみに今申し上げましたようにFB入札は0.575%レベルでの入札になって、引けもまあそのあたりということでして、オペの金利なんかもちょっと上昇したのを見ると、一応金先下がったりしたのに敬意を表しているのか、それとも調達サイドは調達サイドでちょっと大型連休越えとか気にしてるのかもしれませんね。
○超余談ネタですが昨日の日経金融1面より
ちなみに記事がケシカランという話ではござませんので先に申し上げて起きますね(^^)。
・日銀から人材が流出しているという話
1面トップがそんな記事でして、審議委員のなり手も少ないとか、閉塞感がどうのこうのとかあるのですが、「マル卓廃止」ってそりゃあのマル卓廃止して10年近く経ってて何を今更という感じですし、12年間ベアゼロって民間銀行なんか給与カットですよ先生って話なんで「????」感は否めませんが、これはきっと日銀内に漂う閉塞感というのはマル卓廃止じゃなくて、執行部の決定が超越的トップダウンになってうわなにをするくぁwせdrftgyふじこlp
・運用戦略インタビュー
どこぞの機関投資家様の偉い人のインタビュー記事がありました。で、その偉い人曰く、『国内債券投資は市場の利上げの織り込み度合いで柔軟に運営している。利上げを織り込みすぎなら購入、金利が下がりすぎなら売却といった具合だ。』だそうですが、その織り込み過ぎだの下がり過ぎだのが判れば誰も苦労しませんが何か?と読んでて微苦笑。相場水準を見ながらアウトライト中心にアクティブに運用してますって言えば良いだけの話を尤もらしい言い方するのは何ともいやはやであります。
むかしむかし、あたくしがとある所の市場部門と言われるところで小商い(当時のあたくしには大変なお仕事でしたが、汗)を打たされていた時の思い出話ですが、一日(とか前場)が終わると某偉い人(上の人とは無関係です、為念)が小僧を捕まえて日中チャートを指差しながらしたり顔で「ここは買ってここは売らないとダメだな」などと大変に有り難いご講釈を垂れておられた(ベテラン選手に向ってその講釈を垂れない位の分別はあったようですが^^)なんてえのがございました(ちなみにその時分にあたくしの作った馬鹿川柳は「何故売らぬ、そんなに言うならお前売れ」・・・んな事ばかりしてるから人生苦労が絶えないのですが^^)が、何かそんなのを思い出してしまいました。
中の人乙!であります。
#ま、インタビューワーとのすれ違いで言いたいことのニュアンスが
伝わらなかったのかも知れないんですけどね^^;
2007/04/18
お題「国会半期報告その他」
伊藤一長長崎市長のご冥福をお祈りしたいと存じます。
○1年TB入札とかございましたが
昨日は30年国債の入札も1年TBの入札も順調な結果だったようですわな。30年に関しては市場推定によりますと、野村證券がやたら大量落札するわ、事前予想よりも10銭以上強い結果になるわという有様で、久々に「またノムラか!」のCFを思い出す(古いね)あたくしなのでありました。最近あまり入札突撃をしない野村(他社もそうですけど)さんですが、ここぞと言う時はやりますなあとか書いてますが、今日も30年が強くならないと突撃の意味はないっすけどね。まあそれは兎も角。
1年TBの入札自体はそんなに注目されてなかったりするのですが、平均0.66%台での落札で引けが0.665%で、1か月前に償還が来る419回TBが0.64%で延々と安定してた事からするとまあ順当も順当な結果だったと思います。でもまあストラテジストだのエコノミストだのという人たちの次回利上げ予想時期が8月〜9月あたりに集中しているという状況に対してこのレートは何なのよという感じでして、1年TBのゾーンはど〜もこう償還まで持ち切りを前提にするとリスクリターンが合わないなあっていう所ですけど、このレートはこのレートで安定しやがっているので、まあ皆揃って「なんなんでしょこのレート?」と思いながらも「まあそうなってるんだからそうでしょう」という事にしてるんでしょ(1年TBは発行が少ないので割高になりやすいというのもあるが)。
#昨日申し上げましたように、6か月FBが0.565%だのという位置にいる(しかもちゃんと買いも着てるようで)ので、その時点で市場の見てる利上げ予想時期がストラテジストなどの予想時期より後寄せなんですけど、それにしても1年の0.665%って足元のGCとか現先レートから10bpちょっとしか無い訳で、年内利上げも無さそうなレートだと思うのですが、それはちょっと・・・・
○国会半期報告
今回は新しく就任した審議委員も答弁したようですが、特に新しい話が出た訳でもなかったようで市場は華麗にスルーしてたようですにゃ。で、あたくしも時間無かったので情報ベンダーのヘッドラインをちらっと見た後でまとめ記事を悠然と読んだだけなんですけど、本石町日記さんが衆議院ネット中継をご覧になってたようです。
http://hongokucho.exblog.jp/6745692/
でまああたくしはブルームバーグニュース17日14時5分配信のニュースをソースにしてちと別のネタですけど、くだんのブルームバーグ記事のお題が『福井日銀総裁:総裁の資質は信念、国際感覚、市場重視の気持ち』というエサに豪快に釣られて見るのでした(^^)。
『4月17日(ブルームバーグ):日本銀行の福井俊彦総裁は17日午前、衆院財務金融委員会で、日銀総裁に求められる資質で「第1に重要」な点として「通貨価値の安定性が、経済が健全かつ円滑に発展するための基礎的条件であることに対する強い信念」と、「その信念を貫くための力を十分備えていること」を挙げた。福井総裁はさらに、世界経済と日本経済の先行きを有機的に洞察できる「国際感覚」や「市場を大切に思う気持ち」も欠かせないと語った。』
通貨価値の安定性っていうとどうも前任者の顔を思い出してしまうのですが、そっちの話はまあスルー致しまして、最後の部分の『市場を大切に思う気持ち』というのはひょっとしてギャグで言ってるのかと。
いやまあ福井総裁様が市場との対話とかマーケットは鏡だとか市場を重視しようとお考えなのはひじょーによく存じておりますが、重視しようとしてる割には地均しみたいな発言をおっぱじめてしまうのを見てると、なんちゅうかこの市場重視ってのが総裁様のシナリオ通りにレート形成される市場が良い市場って感じの俺様方便なのか、それとも市場の自由な金利形成を本当に重視しようとしてるんだが、良かれと思って言ってる事が実は市場をかき回す地均しになるというピント外れになってるのかどうもよー判らんですな(苦笑)。
ちなみに、上記ブルームバーグ記事によりますと、福井総裁のその部分の答弁はこうなっております。
『それから、市場経済がますます発展していく。市場と実体経済との絡み合いの中で良い経済が実現していくので、市場を大切にする気持ち、そして、市場を発展させるためのさまざまな工夫が必要であり、総裁自身が頭の中で、創造的な能力が発揮できることはやはり欠かせないだろうと思う。そうしたことがあって、後は職務の公正性をきちんと守ることは非常に大事だ』
まあ短期市場の発展に向けた取り組みとかは大変に素晴らしい企画モノだと思うのですが、変な地均しで利上げの度に大騒動とかいうのは勘弁してくださいね。
○ネタの無い時はSAFTY JAPAN
日経BP社のサイトにSAFTY JAPANってコーナーがあって、色々なジャンルに関して記事というかコラムがあるのですが、少なくとも金融政策ネタになると見事な怪電波を発信しておられる記事が多く、どこがどうSAFTYなのかと楽しめるのですが。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/o/78/02.html
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/o/78/03.html
のあたりなんですけどね、例えば上のURLの方では「利上げによって貸出金利が上るのに預金金利が上らないのはケシカラン」という話をしてるんですよ。これがもう無理矢理論理。
引用するのも馬鹿馬鹿しいのでURL先の記事を読んでいただくと(この記事のアクセスランキングが上るのも癪ですけど^^)しまして、「1年定期預金金利が今回の利上げでの上げ幅が前回の利上げでの上げ幅よりも小さく、変動金利住宅ローンの金利が今回も0.25%利上げにフルスライドするのはケシカラン」というお話をしてるんですよ、もうね、アホかと馬鹿かと。そもそも固定金利と変動金利を比較する時点で比較するものがおかしいですし(固定金利住宅ローンの金利はあまり上っていないという事はコラムではさらっと流してるだけ)、大体からして1年の市場金利自体が昨年のゼロ金利解除時点から0.1%くらいしか上昇してないんですからあたり前ですわな。
んでまあ下のURLはその続きなのですが、もう論理展開の無茶苦茶ぶりは強烈としか言いようが無いのですが、一々指摘しているとこっちの方が頭おかしくなりそうです(-_-メ)。
話の筋を追っていくと、「銀行が預金金利の引上げを抑えて貸出金利をきっちり引き上げるのは借金のある個人や中小企業にデメリットだ」→「そもそも今回の利上げで定期預金金利の利上げを抑えたのは前回のゼロ金利解除時に貸出金利が思うように上げられなかったから」→「今回も中小企業向けの貸出金利は引き上げられないだろう」ってなるんですが・・・・それで結局中小企業向けの貸出金利は上がるんでしょうかあまり上らないんでしょうか、読んでるあたくしには全然分かりません><;
というようなツッコミは皆様におかれましても先刻ご承知のネタではございますが、このコーナーってわざわざ毒電波を選んで並べてるのではないかと思いたくなるネタが満載なので、ヒマな時にこのコーナーは実に使えるということですな(^^)。ただし機嫌が悪い時や多忙中に読むのはお勧め致しかねます。
・・・・のはまあいいんですけどね、天下の日経様ネームを冠したサイトでこれはねえだろうよと思うんですけど、一般ピープルがこれを鵜呑みにされてもねえって感じです。あまりにも悲惨なときにはたまにネタにしてみるのでありました。しかしこんなのはチラシの裏にでも書いとけって感じですなあ。
2007/04/17
お題「小ネタ雑談でございます」
円安株高が進行するというのは大いなるネタでございますが、まあ3か月くらいのゾーンには目先まだまだ影響出ないでしょうね。展望レポート待ちって奴ですけど、待っても別にマーケットコンセンサスから違う内容になるとも思えんのですが、苦笑。
○準備預金残高見通しの前倒し公表開始
先日ちょっとだけ申し上げましたが、昨日から準備預金残高見通しの前倒し公表が開始されました。朝8時の時点で当日何も無かった場合の準備預金残高の予定額が公表されるって話です。
http://www.boj.or.jp/type/release/nt_cr07/ntjunbi01.htm
大昔は準備預金残高の増減は前日終了時点で速報が判ってまして、当日9時20分にオファーされる当日スタートのオペ金額およびその内容に関して市場が予想して、「積み上」だの「積み下」だのとか「手形オペ」「TBオペ」の違いで調節スタンスが出てくるといったとてもマニアックな世界でしたが、公社化に伴い郵政部門の動きが計算上財政からその他残高に移ってからは、その他残高がでかい上に威勢良くぶれるので(特に年金定時払いのような日は)朝の時点で「オペが無かった場合に積み上なのか積み下なのかワケワカラン」という日もあったかと存じます。
という訳の判らん部分がちょっとわかりやすくなって、当日オペ前にすげえ積み下なのかと思ったら実はそうじゃないとかいうような事が事前に判るようになりますと、朝から慌てて取り上がりといった事態がちったあ抑制されるということのようですな。実際落ち着いてたみたいだし。
それは良いのですが、郵貯銀行が民間銀行として正式に発足した場合に、この準備預金関係の計数公表ってどういう扱いにするんでしょう。いままでの「その他」残高のぶれっぷりを見ておりますと、郵貯銀行の資金出入りが判らないと実態ベースの積み上積み下が判らんということになりそうですが、どういう公表の仕方をするのかは頭が痛いでしょうな。
ただまあコールレートに関しては今の市場構造(というか全銀預金超という状態)が変らないうちは足元のお家の事情によって振れやすいという状況に大きな変化は無いんでしょうな。所要準備預金額を増やしてその代わりに準備預金に付利するECB(でしたっけ?)方式にすればまた違ってくるんでしょうけど。
ところで、一つ質問なんですが、この8時時点での予想数値って日銀のサイトのどこを見ると載っているんでしょうか?昨日あちこち探してみたんですが、どうも見つかりませんで・・・・(汗)
○消費底打ちですかそうですか
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070416AT3S1601L16042007.html
4月の月例経済報告、「生産に弱さ」へ変更
ってことで、こちらの記事のお題は「生産に弱さ」というのを前面にだしてますが、記事中にもありますように、『月例報告は各論の判断で、個人消費を前月までの「おおむね横ばい」から「持ち直しの動きがみられる」と上方改定する半面、生産を「緩やかに増加」から「このところ横ばい」へと下方改定したのが特徴だ。』(上記URLより)ということで、個人消費に関して底打ちという話になったのが少々気になった所です。
トータルでの情勢判断に変化は無いのですが、前回の利上げに対して決定会合で内閣府の代表者が発言してたのは、
『現在は、デフレから脱却するかどうかの正念場であり、また消費も足もと弱いという極めて重要な局面であることに鑑みれば、責任を持って金融面からしっかり経済を支えていただくことが重要であり、利上げを急ぐ局面ではないものと考える。』
ということ(2月決定会合議事要旨より)でして、まあ物価の方がご案内の通りというのはございますが、消費に関してこのタイミングで月例経済報告で底打ちを認めたというのは、2月に利上げに対して時期尚早っぽい見解(を出したにしては議決延期請求をしてませんが)を出した懸念の一方が片付いたという意味になりますので、ちょっと頭の中にいれておかねばという感じです。
テレビニュース(というかモーサテですが)が報じる所によれば、大田大臣の会見では「底は打ったけど賃金等の上昇に力強さが見られないので先行きの増加は極めて緩やか」というように慎重姿勢は崩していませんけどね。
○まあ予想される内容ですが
特にネタにはなりませんでしたが、信託大会における総裁挨拶要旨(武藤副総裁が代読してます)から。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0704c.pdf
『物価面では、既往の原油価格反落の影響などから、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比は、足もとゼロ%近傍で推移しています。しかし、より長い目で見通すと、設備や労働といった資源の稼働状況は高まっており、景気拡大が続くとみられることから、基調として上昇していくと考えられます。』
まあ既に金融経済月報や総裁記者会見で見慣れておりますが、どうにも「マイナス」という表現を使いたくないようでございますな(^^)。「特殊要因が影響して直近では足もとマイナス0.1%となっておりますが」でいいじゃんとか思うのですがねえ、ってあたくしも相当の粘着質ですかそうですか(笑)。
ということで簡単なネタで恐縮至極(汗
2007/04/16
お題「材料の無い相場が続いてますな」
○よく動く足元のレート
足元と申しますのは今回はGCのお話なんですが、まーレートがよく動きますなあという感じでございます。期初からの推移を申し上げますと、まず期初初日の2日月曜は0.58%レベルから0.56%レベルに低下し、その勢いで4日水曜には0.52%〜0.53%レベルまで急低下。で、そこまで下がったと思えば今度はレートが上昇しだしまして、スタートが新しい積み期間に入る11日水曜日のGCレートは0.60%に上昇して木曜には0.61%〜0.63%まで上昇と相成りました。ということで0.58%→0.52%→0.62%という動き方をしてたんですけど、金曜になると、今度は0.6%台はさすがに高いでしょということで運用資金が出てきてまた0.6%割れとなっております。いやはやよく動くのであります。
まー足元の需給に左右されるからレートが上ったり下がったりするのはアリなんでしょうけれども、それにしても何か上げ下げの勢いが凄いなあと思うのです。何もこんなに動かんと0.55%〜0.60%で推移してりゃ良いのに、何でそんなに動くのよっていうのは昔の感覚なのかなあ。。。。
で、その間に3か月FBがずーっと0.55%〜0.56%で推移しているのが中々興味深い訳でして、業者の在庫ファイナンスのコストに跳ねてくる足元のGCレートがぶれる中でFBのレートは妙に安定しているというのはGCがぶれても所詮それは一時的要因だってマーケットが認識しているからなんでしょうかな。それとも単にこのゾーンへの買いニーズが強いので安定してるだけなのかも知れませんけど。
何はともあれ、GCレートの動きっぷりは利回りだけ見てると中長期債よりも動きが良いという状況でして(笑)、取引自体はでかい市場なのですが、参加者層の広がりは求められますなあってことなのかと勝手な結論をつけておきます。
○物価認識の非対称性再考
先週11日水曜の駄文で申し上げました物価認識の非対称性のお話の続きでございます。あたくしの探し方が悪いのかも知れませんが、金融経済月報(の概要)で足元のコアCPIについて「ゼロ近傍で推移」っていう件にここぞとばかりに反応した人があまり多くないような気がしたんですが、これって「日銀文学」的には注目だと思ったんでそのお話を蒸し返すの巻。
プラス0.1%が「小幅のプラス」であって、マイナス0.1%が「ゼロ近傍」って表現になったのは、プラスマイナスの表現としては非対称なものでございますというのは水曜に申し上げましたけど、勝手に憶測を逞しくするとこの調子ではコアCPIが再びプラス0.1%になったら「小幅のプラス」って表現になるでしょうから、結果としては「小幅のプラス」→「ゼロ近傍」→「小幅のプラス」という流れになる訳で、ここの表現だけ見ていると何ら問題の無い流れとなるという素晴らしいお話。
で、かねてより「現在はコアCPI一点張りでの政策運営をしている訳ではない」というのが政策委員会のロジックになっておりますし、利上げを決定した2月の金融政策決定会合議事要旨にありますように、2月の時点で『大方の委員は、このところの原油価格の反落が当面の消費者物価の前年比の下押しに働くとみられ、場合によっては一時的に前年比がゼロ%ないし若干のマイナスとなる可能性があると指摘した。』(2月会合議事要旨より、3月27日の駄文で紹介しております)って状態ですな。その上で現在のコアCPIは(何故か)「ゼロ近傍」である訳ですからして、現在の政策金利水準が十分に緩和的であるという政策委員会の認識に照らし合わせると、色々出てくる経済指標が良くてCPIがちょっとプラス程度だったら堂々追加利上げだってやらかしておかしくないという推測も成立すると思うのです。
まあ短期市場の価格形成で言えばどう見ても10月の展望レポートが出る前の利上げはありえねえという感じになっておりますけど、情報ベンダーがストラテジストとかエコノミストにアンケート取った結果では8月〜9月に利上げの予想が結構多いというのはその辺りの「やらかすかも知れない」なリスクを意識してるのかも知れませんな。
で、話がちと飛ぶのですけど、さっきの3月27日の駄文を再掲しますとこんな事をあたくし申し上げております。
(3月27日に書いた文章より)
ということで、大方の委員はマイナスの可能性を指摘してるのですが、最終ページにございますように、当日公表された声明文では
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)は、小幅の前年比プラスとなっており、原油価格の動向などによっては目先ゼロ近傍で推移する可能性がある。』
という風になっておりまして(ちなみに月報も同じ)、マイナスの可能性に関してはここでは触れてないんですな。今月(3月です)の月報でもマイナスの可能性については書いてなくて、今月の総裁記者会見でしらっとマイナスの可能性についてコメントしております。
(以上)
ということでございまして、2月の声明文(&月報)と今回の4月月報のどちらでも「コアCPIマイナス」というのをわざわざ避けているように見えてしまうのは、どうも何だかねえって感は拭えないのであります。
#という訳で、しつこくこの件を書いてみるあたくしなのでありました。
2007/04/13
お題「中村・亀崎審議委員の就任会見」
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0704c.pdf
○まずあたくしなりにまとめると
当然ちゃあ当然ですが、いきなり新機軸が出てくるというような話にはなりませんけど、両委員とも産業界出身らしく、地方経済に目を向けると言った点はきっちり言及していますなという感じです。で、会見要旨を読んだニュアンスとしては中村委員の方がややハト色を出している感じです。と申しますのは、亀崎委員の言い回しには早速日銀公式見解なフレーズが出てまして、そのあたりを読んでいると「執行部(除く岩田副総裁^^)寄りなのかなあ」と感じてしまうからっちゅうのもありまして。
質疑応答はPDFで10ページあるのですが、割と興味深いやりとりが続いてまして、一度ご覧になることをお勧め致したいです。では参ります。以下くどくなりますけど、発言引用部分に関しては引用の最後に(中村さん)(亀崎さん)ってつけますね。
○経済物価動向についての見解
中村さんから、
『基本的には、我が国の景気は緩やかに拡大していると認識しており、今後の金融政策については、物価や経済の状況を丹念にみながら、徐々に金利水準の調整を進めて行くことになると考えています。』(中村さん)
ここは日銀の基本スタンスと同じですが。
『ただ、最近の景気の特徴としては、景気拡大のテンポが緩やかであることや、地域間での景況感の差異の存在などを感じております。例えば、先程申しましたように、私は国内の輸送を担当しておりましたが、北海道航路においては微増ないしは荷動きが横這い、九州においては比較的順調であるといった地域間格差の問題を感じております。そういった意味では緩やかに拡大しているとは言いながら、拡大しているということを肌で実感することは難しいという方が多いのではないかと感じています。』(中村さん)
『また、物価につきましては、基本的には上昇基調にあると思いますが、長年物価が上がらなかった、あるいは下がってきたということがありまして、値上げに対するアレルギーが根強いことなどから、上昇テンポは緩やかなものにとどまる可能性が高いと感じています。』(中村さん)
ということでこの辺りを読みますと、内航海運を経営しているだけのことがあって地域経済の動きに関してはアンテナが高い(ので当然景気に対しては慎重になるわな)という印象です。
で、亀崎さんですが、ちょっと長いので途中端折っちゃいます。
『日本経済は、成長率が2%強の緩やかな拡大基調にあって、景気拡大期は5年を超えましたが、5年を超えてもなお堅調に推移していると考えています。ただし、その牽引力は第一に輸出、第二に設備投資ということです。即ち、GDPの約6割を占める個人消費がまだ力強いものになっていません。一方、世界経済をみると、2003
年以降、同時好況ともいえる状態で、最近は年率5%程度の成長を遂げており、日本経済もその恩恵を受けています。従いまして、日本経済についても、外部環境が良好なうちに、早く個人消費が成長の牽引力になることが極めて大事な課題かと認識します。』(亀崎さん)
ということで個人消費に注目ということですな。この先に中国経済と米国経済の先行き見通しについて話をしてるのですが、中国経済の方が話として先に出てきたのはやはり台湾現地法人の社長をやっておられただけにアジア経済へのアンテナが高いんでしょうか(^^)。そして米国経済に関して亀崎さんのまとめですが、
『従いまして、全体としては緩やかな景気拡大が続いていて、基本的にはソフトランディングに向かうのではないかと思います。ただし、サブプライム住宅ローンの問題、それから若干弱さがみられる設備投資、インフレ率の高止まり、こういったリスク要因もありますので、今後も景気・物価双方を注意深くみていく必要があるかと思います。』(亀崎さん)
となっています。昨日ご紹介した福井総裁の会見では米国のインフレ懸念について「アップサイドリスク」と表現してて「???」というようなことを書いたと思いますが、亀崎さんは単に「リスク」と表現している訳でして味わいがございますな。そして物価に関して。
『日本の消費者物価については、原油価格反落等の影響もあり、目先はゼロ%近傍で推移するとみられますが、より長い目でみると、需給ギャップは需要超過方向で推移していく中で、プラス基調を続けていくと予想しています。今後の金融政策については、冒頭申し上げましたように、あまり先入観や予断を持たないで、その時々の経済・物価情勢をしっかりと分析し、できる限り先々の見通しも踏まえた上で適切に判断していきたいと考えています。』(亀崎さん)
ということで、ここの部分に関してはきっちり日銀公式見解どおりでございまして、まあこれが会見要旨の頭の方(3ページ目)だけに好対照って感じになっていると思います。
○望ましい中長期的インフレ率
『長期的な物価安定の理解については、昨年日銀の内部で色々議論が行われて、1年後にレビューということになっていると思います。従いまして、近々審議委員の中で、討議されると思います。全くレベル感がない訳ではありませんが、その中において勉強していきたいと思っております。』(中村さん)
『現在の中長期的な物価安定の理解ということでは、0〜2%という範囲がありますが、私としては、これについて特段の違和感を覚えるものではありません。ただし、これから私自身でしっかりと検証していきたいと思っています。』(亀崎さん)
ということで、こちらでも亀崎さんの方がどちらかというと日銀の公式見解寄りのコメントになっていると思います。
○賃金に関して
賃金が足元あんまり上らないことに関してどう考え、どのような状況になれば賃金が上昇するかという質問が出たのですが、さすがにこの質問に関しては企業経営者だけに具体的なお話です。
『このところ、企業業績が良いのは輸出産業であり、各企業が様々なかたちでのコスト削減や合理化を進めた結果であると思います。一方、消費者物価はなかなか上がらず、為替にしても現在は119
円程度ですが、いつまた110 円に戻るかわからないということで、今の企業にとって居心地の良い状態が、先行きどうなるかわからないという感覚を、経営者は持っているのではないかと思います。』(中村さん)
『一般的に、企業はインフレ率が低い中で、企業業績の好調さは月例給与ではなく臨時手当で応えるのが大勢なのではないかと思います。業績が良い企業は、臨時手当を積み増してきていると思います。』(中村さん)
と、ここまでが現状認識ですが、先行きに関しては結構強めで見てます。
『一方で、昨今労働需給も非常にタイト化し、労働市場も流動化しつつあります。これから優秀な社員を採用する、あるいは現在抱えている社員を組織の中で抱えていくには、それなりの待遇をしていかないと、従業員にも辞める権利があるわけですから、これから賃金は上がっていくと思います。年功序列も崩れつつあり、能力給のようなものも広がってきていますので、賃金の個人的なばらつきはかなり出てくると思いますが、一般論としては、現在の労働需給環境を考えると、賃金は上がらざるを得ないのではないかと考えています。』(中村さん)
ということで、先行きにやや強めかと。「上がらざるを得ない」ってのが企業経営者らしい言い回しでちょっと微苦笑しましたが(^^)。
『企業収益が非常に良いのに比べ、賃金が必ずしも上がっていない、比例的に上がっていないという状況であると思いますが、若干時間が遅れて賃金は上昇してくるのではないかと思っています。昨年から今年にかけての各企業の賃上げ状況をみても、今までなかったような賃上げが随所でみられています。一方で今お話がありましたように、雇用需給も非常に逼迫化してきています。企業の人手不足感はかなり高まっていますので、こうしたことも賃金を上昇させる圧力になっていくのではないかと思います。企業収益が直ちには賃金に反映されていませんが、若干タイムラグがあっても、徐々に上昇していくのではないかと考えています。』(亀崎さん)
賃金に関しては中村さんの方がより強め(とあたくしが読んだ印象ですけど)なのは中村さんが海運業界出身で、現業部門の労働流動性が高いってのもあるのかなあとか思ってしまいました。あくまでも憶測でございますが。
○外からみた日銀とか情報発信とか
『今まで日銀サイドから色々な情報発信がされていたと思います。例えば、こういった記者会見、展望レポート、金融経済月報、議事要旨等で随分発信されており、それは大変な情報量だと思うのですが、なかなか一般には理解されていない面があるような気がしていました。それは、情報量が足りない云々ではなく、もう少し日銀の考えていることをわかりやすくするにはこれからどうしたら良いのかということです。』(中村さん)
そしてその次のところであたくしはウケてしまいました(^^)。
『今はまだアイディアを持っていませんが、商船三井にいた時にIRも担当しており、海外投資家に対し、随分説明してきましたが、そうした投資家も自分が関心のあることにしかなかなか耳を貸してくれませんでした。そういう意味では、コミュニケーションをとる場合、どうすれば耳を貸してもらえるか、どういう言葉を使っていけばよいかということは考えていかなければならないと思います。』(中村さん)
「そうした投資家も自分が関心のあることにしかなかなか耳を貸してくれませんでした」というのは実に素晴らしい指摘でございます。いや全く仰る通りでございますな、うんうん。そして亀崎さんですが。
『何を申し上げたいかと言うと、日銀の近くにいる方たち、例えば、日銀ウォッチャーとか金融機関関係者は、日銀も記者会見をやり、月報も出し、色々なものを毎日情報発信している中で、よくみているのでしょうが、ちょっと遠いところにいる身にはあまり関心がない――こういう言い方は申し訳ないのですが――、そういう状況でした。しかし、この五日間を通して感じたのは、特に、金融政策決定会合で政策委員の皆さんが、国内外の経済・物価・金融情勢についてデータを持ち寄って真剣に議論なさっている。極めて専門性が高く、私にとっては、あっという間に時間が過ぎてしまうような非常に刺激的なものでした。』(亀崎さん)
ということで、お二方にはより一般にも判りやすい情報発信のありかたについてご活躍されることを期待致したく存じます。
○まあ金融政策とは関係ない話ですが
さっき引用した亀崎さんの発言の前段に『4月5日にまいりまして、まだ五日間ですが、大変な量の資料がどんどんきます。読み切れないので、家で読まなくてはわからないものもあります。色々な資料がきますので、中村委員と、どのように資料を読み解けば良いのか一度聞いておこうと話し合いました。』(亀崎さん)というのがありますように、物凄い勢いでご多忙な新審議委員でございますけれども、こんな質問がございました。
『(問) お二人とも日本を代表する企業の副社長をお勤めになられており、日銀審議委員に就任されたことによって、大変失礼かもしれませんが、報酬面ではかなり見劣りしてしまうこともあろうかと思います。待遇面の問題から、なかなか日銀の審議委員を引き受けてくれる人がいないという話も聞かれます。そういう中で、あえて審議委員を引き受けられた理由についてお伺いします。』
で、お二方のお答えはまあ全部読むのをお勧めしますが、亀崎さんが『むしろこの歳になって、今までは民間企業で働いていたのが、今度はお国のために働くことができるということは、なんと幸せなことか。』(亀崎さん)と答えてまして、「年収2800万円という高給取りの審議委員を2期も続けるのは問題だ」などという発言をするどこぞの誰かさんにおかれましては亀崎さんの爪の垢でも煎じて飲んだ方が宜しいのではないでしょうかと思うのであります。
ということでちと長くなってしまいましたが本日はそんな所で。
#GCレートが0.61とか62とかになってる話は華麗にスルー。
2007/04/12
お題「総裁記者会見」
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0704a.pdf
PDFで9ページなのでまあ短めです。
○物価の先行き見通しに関して
冒頭の総裁からの説明の次に物価に関する質問が出まして、2ページ目から延々と(まる1ページ以上^^)総裁が説明しております。そんなのを全部引用すると大変なので勝手にダイジェストにする訳ですが。
要するに先行き上昇するって見通しなんですけど、その根拠として第一に需給ギャップが需要超過に転じているということ、次に雇用者所得の増加で消費が底堅く推移するということ、それからユニットレーバーコストのマイナス幅が今後縮小し、プラスに転じるというのがベースだということのようですな。まあいつものお話。
で、そこ読んでで「今回もこう言ってるなあ」と思うのは家計への波及に関する言及でして、確かこういう言い方は最近ずっとしてるんですけど、改めてこの理屈もちょっとねえって思うのですな。
『賃金の上昇は極めてマイルドですが、雇用が着実に伸びており、雇用者所得は緩やかながら増加を続けていくほか、賃金以外のルートを通ずる企業収益の家計部門への還元も続いていくだろう。配当所得、あるいはその他のいわゆる財産所得を含めてみていけば、一層そういうことが言えるわけです。』
何せ賃金がろくすっぽ上昇しないってのが厳然としてあるのでこうでも言うしかないのでしょうが、賃金以外のルートでの家計部門への波及ってそんなに一般的に幅広く回るもんなんでしょうかねえとか思うのですが。いわゆる財産所得とかも。どうもここの部分はさらっと読むと流しちゃいやすいのですが、あたくし的には引っ掛かってしまうのよね。
○米国経済について
米国経済に関する質問に対しての答えから。
『世界経済全体は比較的順調に高成長を続けているという認識で間違いはないと思います。しかし、その中で米国経済は引き続き調整過程にあると思います。住宅市場の調整が今も続いていることを基本軸として、米国経済全体の減速過程がまだ続いていると思っています。先行きについては、いずれ調整過程が一巡し、次第に潜在成長率近傍の成長パスに戻っていく、いわゆるソフト・ランディング・シナリオが、基本的に維持されていると広くみられていると思いますし、私どももそのようにみています。』
とあるのですが、その先が結構延々と米国経済に関しての注意すべき点についての説明がありまして、結構このあたりへの言及が長くなってきたなあという感じです。ここについては気にしてるんでしょうかね。んでまあ要するに住宅部門とインフレ懸念を主軸に話をしてるのですが、話の展開が引用者泣かせでして、ちょっとぶつ切りしにくい言い方なので華麗に全部スルーして結論部分。
『米国景気のダウンサイド・リスクと、物価上昇圧力が完全に吸収され尽くすかという意味でのアップサイド・リスクという両面の不透明性について、今後ともなお注意深く見守っていく必要があると思っています。』
しかし物価上昇は単純にアップサイドリスクという訳にはいかない(スタグフレーションだってあるんだし)ことを勘案すると結局はダウンサイドリスク方向で不透明感があると言ってるようにも見えますが、物価上昇で利上げという理屈を持ってくる布石でもあるので油断はなりません(^^)。
○物価と失業率の関係
これは良い質問。
『(問) 2点お伺いします。1点目は物価と失業率の関係です。昨年10 月末の記者会見で、総裁は「失業率が4%から3%台に入ると、割と早い段階で賃金上昇に加速力が付く可能性もあり得るとみている」という発言をされました。足許の失業率が4%くらいまできて、3%台間近まできていますが、経済の稼働率と物価ないしは賃金の関係が、以前に比べ感応度が少し落ちているのではないかとの見方もあります。これについてどのように思われますか。(2点目割愛)』
『物価と失業率の関係は、グローバル経済が進展する中で一体化していく個々の国民経済において、景気が良くなって失業率が下がることと、物価が上がることとの相対関係が、昔確認されたパターン通りであるかどうかは、過去のパターンに比べ最終物価は上がりにくいという感じが、次第に確認されつつあります。そういう意味で、いわゆるフィリップス・カーブがフラット化し、過去のパターンに比べ景気に対する物価の感応度が下がっている可能性が強い、あるいは下がっているのではないかという議論が強まっています。わが国についても同様であると思っています。しかし、そのように単純に割り切れるのか、あるいはそれが1つのシミュレーションできれいに計測し尽くすことができるかどうかを判断することは難しいです。』
『一方、雇用の中身をみると、グローバル化の競争の中で企業が将来的に競争に打ち勝っていくためにはイノベーションが大事であり、イノベーションを実現できるように質の高い人材を求める傾向が強まっています。言ってみれば労働市場においては、人材に対する企業の需要との関係で、労働力需給のミスマッチが広がっていく可能性があると思います。こうした点で、ある時点からは質の高い労働力の賃金が上がり、従って物価上昇にも加速がつく可能性があります。』
何かこういう説明になると、先ほど(と言っても引用してないのでなんのこっちゃかも知れませんね。会見要旨の3ページ目あたりで先行き物価が上昇するって話をしているあたりです)の先行き見通しの根拠にしちゃあ何か留保条件つきまくりですなあという気がするんですけど。。。。
『全般的に言えるフィリップス・カーブのフラット化の影響と、労働市場におけるミスマッチの存在、拡大からくる賃金、物価上昇への影響といった様々な要素が交錯して最終的に決まってくると思います。今後の経済の推移を、景気の持続性という点でも、あるいは物価上昇の可能性という点でも、常にかなり深掘りしながらみていかなければならないと申し上げているのは、そういう意味です。』
ということで、(本当は個人消費についての質問もあったんですけど割愛)今回は質問が経済情勢に関する質問が多かったこともあったのか、全体のトーンとしては「金利調整(要するに引上げですけど)への意欲」よりも「将来の景気については相変わらず強気だけど、足元についてはちょっと穏やか(慎重というほどトーンは落ちてないと思う)な物言いでトーンダウン」という印象を受けましたです。
あたくしとしては金利の「正常化」に関してのコメントを聞きたかったのと、金融経済月報における足元物価情勢表現の「非対称性」(昨日書いた通り^^)について質問して欲しかったなあと思うのですけど(^^)。
○相場メモ:GCレートが上昇
昨日のGCレポレートですが、16日スタートの翌日物が0.60%近傍まで上昇した模様でして、いやあの積み期間が変るのは判るのですが、何もそう律儀にそこまで上昇しなくてもと思うんですが、何ともいやはやであります。昨日入札が行われた3か月ものFB入札は前日の2か月物のような流れ入札にはならずに順当な結果になってましたが、こっちが0.57%ビットになってますので恐怖の逆鞘の巻であります。まあどっちか(もしかしたら双方)のレートが折り合ってくると思うんですけどね。フツーに考えるとGC0.6%はちょっと高い気がするんだが・・・・・
2007/04/11
お題「4月金融経済月報:物価認識の非対称性ですか?」
2か月FB入札が流れたという話もありますがまずは金融経済月報から。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0704.htm(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0703.htm(前回)
○真っ先に目に入ったのは第5段落
今回の金融経済月報を紙に打ち出した所であたくしが一番注目していた部分は第5段落目でございます(^^)。
『物価の現状をみると、国内企業物価は、既往の国際商品市況の反落が影響し、足もとでは3か月前比でみて弱含んでいる。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、原油価格反落の影響などからゼロ%近傍で推移している。』
「ゼロ%近傍で推移している」ですかそうですか。さてここもとの月報で足元のコアCPIの推移をどう表現していたかというのを過去の月報を並べて見ますとこうなります。
2006年4月月報〜2007年1月月報
→『プラス基調で推移している。』
2007年2月月報
→『小幅のプラスで推移している。』
2007年3月月報
→『原油価格反落の影響などからゼロ%近傍となっている。』
2月月報公表の時点で判っている全国コアCPIは12月分でして、この時は前月の+0.2%→+0.1%になって、先行きもゼロとかになりそうって見方でしたので「プラス基調」の旗を降ろしたと思うんですが、+0.1%の時には「小幅のプラス」と表現してて、▲0.1%の時には「ゼロ%近傍」というのはプラスマイナスというものを0%を中心にして考えた場合に表現に非対称性がございませんでしょうかと申し上げたくなります。何で「小幅のマイナス」と言わんのでしょうか。
○こういう文学的処理(?)はどうかと思うのですが
という訳で、この部分に真っ先に目が逝ってしまうあたくしのこの性格もどうにかならんかと思うのですが(などとは毛頭思ってません^^)、次に考えてしまうのは何で「小幅のマイナス」じゃなくて「ゼロ近傍」にしちゃうんでしょうかねえということ。
あのですな、こういう非対称な表現をすると「+0.1%の時にはプラスと認識していて、▲0.1%の時にゼロ近傍と認識するということは、日銀(の政策委員会)には物価に対する見方にバイアスが掛かっていないか」と突っ込まれる事必定じゃねえのかとあたしゃ思うんですけどねえ(会見では突っ込みがなかったらしいですが^^)。となりますと、あの「物価安定の理解」で示したレンジにはどういう意味があったんでしょうかという話になりそうですな。
ま、あたくしが勝手に妄想するに「マイナス」って表現を使いたくなかったので「ゼロ近傍」で流したというような話じゃないかと思うんですよね。でもね、毎度お馴染みの物価はプラス基調を続けるという先行き見通しに対して自信満々なのでしたら現状に関して「マイナス」と表現しても別に無問題だと思うんですけどねえ。「マイナスを認めているじゃないか」という突っ込みには「これは一時的要因です、先行きプラス基調です」って堂々主張すりゃいいじゃんと思う訳でして、そうならんのは実のところ先行きに自信が無いからじゃないんでしょうかと妄想が入るのはあたくしの邪推ですかそうですか(--)。
まああれだ、そういういろんな突っ込みをされちゃう表現をするのはどうなのよって所ですな。
つーことで、まずはいつもの逐条比較(?)の前に気になった物価表現の部分についてひとくさりでした。以下通常モード。
○景気認識に関わる部分は短観を受けた箇所以外前月と同じ
前月と同じですし、上のほうで能書き垂れたので引用は割愛。短観に関する表現は『総じて良好な業況感が維持される中』となっておりまして、短観の評価としては「総じて良好な状況が維持されている」ということになっているということですわな。まあ当然ちゃあ当然ですが。
現状認識、先行き見通しとも個別に展開した部分まで前月と表現に変化はございません。
○国内企業物価の先行き見通しから「弱含み」を削除
『物価の先行きについて、国内企業物価は、国際商品市況の下げ止まりに伴い、目先、横ばい圏内の動きになるとみられる。』(4月)
『物価の先行きについて、国内企業物価は、国際商品市況の反落の影響から、目先、弱含みないし横ばいで推移するとみられる。』(3月)
ということで、国際商品市況に対して「反落」→「下げ止まり」という認識から「弱含み」が削除されましたな。まあその川下への波及がどうもジグザクしてるのが昨今の国内物価クオリティのようですが。
○原油価格下落(反落)の先行きに与える影響を微修正
『消費者物価の前年比は、目先、原油価格反落の影響が残ることなどからゼロ%近傍で推移するとみられるが、より長い目でみると、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』(4月)
毎度お馴染みの「より長い目でみるとプラス基調」攻撃ですが、よく見ると3月と表現が違います。3月は目先の要因とされている原油価格に関してこうなっていました。
『費者物価の前年比は、目先、原油価格反落の影響などからゼロ%近傍で推移するとみられるが、(以下同文^^)』(3月)
「反落の影響」→「反落の影響が残る」というのは表現としてどうなのよと考えますと、「〜が残る」という部分には「もう影響は終了なのですけれども、ちょっと余韻がございます」ってものを感じる(まあ原油価格もここもと比較的落ち着いてます)のですがどうなんでしょう。
という訳で月報はまあそんな感じでございます。内容自体は前月と思いっきり同じで、物価先行き見通しの表現をちょっとだけ強めにしていると言った所ではないでしょうか。
○FB入札メモメモ
昨日は2か月FBの入札があったのですが、落札のテールが流れて0.56%乗せの最低落札になってしまいました。昨日も申し上げたようにここもとちょっと現物重くなり、GCレポもまた0.5%台後半モードですからちょっと重いんですかねって所かなあ。
あとですな、今週に関して言えば昨日に引き続き今日もFBの入札がある(今日は3か月)ので、ここもとのつよつよ入札でトホホな運用側は「ど〜せ今日は確りだからそれ片付いた明日の方がいいや」ってなもんで見送った人も多かったんじゃないかと。これで今日の入札が「何だ流れるんじゃん、じゃあ行こう」と言って人気がかえって集まったりするとお笑いなのですが(^^)。
あと、昨日のFBは償還が既発の3か月ものFBと同じ日なのでそんなにイラネってのもあった(持ち切り運用者としては償還が集中するのは再投資リスクが集中することになるのであまりうまくはない)のかも知れませんね。
2007/04/10
お題「今日もまたネタ難な日々ですな」
地味ですがこれは中々です。
http://www.boj.or.jp/type/release/nt_cr07/ntjunbi01.htm
これ結構な職人技だと思うんですけど。。。。
○短期国債やっと重くなってまいりました
先週木曜までやたらモノ無し振りで大変な事になっていたTB/FBでございますが、金曜の3か月FB入札で平均落札が大体0.550%あたりでやりましたが、さすがにそこからの金利低下はちょっとという事で0.555%の引け。で、週明け月曜は0.555%オファーの0.560%ビットという感じで、短国買入が4000億行われましたが結果もイマイチでして、ようやく恐怖の好需給が一巡した感じです。とは言え相変わらず0.56%ビットとかですからまだ確りしてますが(苦笑)、今日は2か月FB、明日は3か月FBの入札がありまして、都合7兆2000億円の入札となりますので、GCレポレートよりも低い状況というのもさすがに修正されるんジャマイカと(ちなみにGCのレートは大体0.56%くらいのようです)。
あと気になったというかオモロイなと思ったのですが、昨日はTB/FBには少々売り物が出てきたようで、それも需給緩和に一役買っております。で、昨日の中長期債市場と言いますと、米国雇用統計を受けて律儀に下で寄ってスタートしたのですが、長期ゾーンは買い優勢で敢えて現物で下を叩く向きも(少なくとも国内最終投資家には)乏しいので相場は戻るの巻で、長いところの戻りが確りしてましたな。まあフツーに準備預金の積み進捗だとか、期末越えだとか、利上げ懸念だとかと言った短期市場のネタで相場が動く時はある程度「はあはあそうですか」という動きをする(オーバーシュートすることも多々ありますけど)のですが、「そりゃねえよ」というような「お家の事情」的な買いが入って超絶需給状態になったりするタイミングって長期(とか超長期)ゾーンの現物債の動き(というか需給)に逆相関するんですよね(あたくしの駄文をお読みの方は過去にもそんな話があった記憶あると思いますけど)今回も現象としてそうなりました。
そこから勝手に結論を引っ張り出すのは間違いの元なのですが、長期や超長期の待機資金がTB/FBにゾロゾロ入ることもあるということなんでしょうかね。実際にやってる人がいればその人しか知らぬ話ではございますけど、まあ不思議だなあと思う昨日の相場なのでありました。
○人のふんどしシリーズ:「仕組調達」雑考
人のふんどしですが本石町日記さんのエントリー『地公体の“仕組み”を使った調達は必要ないのでは』→http://hongokucho.exblog.jp/6712592/
『運用もそうだが、リスクのとり方はプレーンが一番ではないか、と私は思う。以前もエントリーで書いたように特約付きとか、EBなど転換系などは、複雑な仕組みなった分、サヤが抜かれて取ったリスクに対して見合ったリターンはないように思う。』
激しく同意でございます。まあこの手の「仕組」ものというのにメリットがあるとすれば、制度上の問題を回避する為にやるような時じゃねえのか(その行為が良いのかという議論はあるが)とあたしゃ思うのでして、仕組をややこしくすればするほどその間で鞘を抜かれるというのが常識でございまして、しかもその仕組がややこしければややこしいほど抜かれまくるという有様でございます。
『それとも十分に低い金利で調達できるのに、もっと調達コストを切り詰めないといけないほど切羽詰っている、ということだろうか。』
多分そんな事ではなくて、毎度お馴染みのどこぞの有力メディア様が「仕組みローンの活用で調達コストの削減」とかいうような煽り記事を書いて、エロイ人が「うちでもやってみよう」と言い出すとか、担当部署の中の人が在任中に大手柄(本当に手柄なのかは甚だ疑問ですが)を上げ(しかもこんなに高度なことをやってます!)たいっていう位のことだとは思うんですけどね。
ええ、もちろん上記の想像はあたくしの極めて意地の悪い妄想であって、実際に仕組ローンで調達しておられる皆様におかれましては、全ての皆様が自分のところの将来の収入支出構造を勘案の上、抜かれた鞘を払っても考えて必要だっていうのを存分に理解されておられるものと信じておりますよ、オッホッホ。
#てかね、イールドカーブがスティープする形で金利が上昇するのなら基本的に名目ベースの税収が上るような経済物価情勢になる筈なんで、ヘッジする必要が本当にあるんかいなと思うのですけどねえ
○なおしょうもないネタを(^^)
日銀2008年度の新卒採用リクルートページの総裁からのメッセージ。
http://www.boj.or.jp/about/recruit/fresh/message/index.htm
何か昔聞いた懐かしい言葉が並んでおりますな。冒頭には
『日本銀行は、サッカーでたとえれば、ゴールキーパーのような存在です。物価の安定、信用秩序の維持といった使命を果たすため、金融・経済の最前線の動きを全体的に俯瞰して政策を運営することがつねに求められています。』
とありましたが、ゴールキーパー云々とはどっかで見たと思ったら平成17年度入行式(http://www.boj.or.jp/type/press/koen/ko0504a.htm)
で総裁が言っておられました。曰く、
『私は、いつも、日本銀行は、サッカーに喩えればゴールキーパーのような仕事をするところだ、と申し上げています。日本経済の最後の砦として、確りと守りを固める。これが基本ですが、同時にゴールキーパーは戦線の最後尾にいて常に全体の戦況、個々の選手の動きを掌握することが出来る位置にいます。』
で、この続きが平成17年度入行式では・・・・
『日本銀行としては、日本経済や世界経済の状況がどうなっているか、企業や金融機関や家計の動きがどうなっているか、常に情勢を的確に判断するとともに、人々のこれからの行動に指針となるような情報を的確に発信して行かなければなりません。』
となっているのですが、こちらのメッセージでは・・・・
『更に、これからの日本銀行は、これまで以上に「前例」だけでは判断できない局面を迎えることもあるでしょう。ゴールキーパーが時に攻め込んできたボールを果敢に飛び出して取りにいくように、あえてリスクに踏み込む局面があるかもしれません。そうした局面でも、高い識見とバランス感覚で適切な判断を下し問題解決を図っていくことが必要となります。』
どうもゴールキーパーがフィールドに絶賛大出動しているような気もしますが、きっとそれはあたくしの気のせいでしょう。奥が深い。
#ちなみにゴールキーパー云々は昨年以降の入行式挨拶ではとんと触れられておりません
そして総裁メッセージの第2段落にも懐かしい言葉が(^^)。
『加えて、ここ数年、重要になってきている役割として、「金融サービス業の親玉」として金融機関の新たな取り組みをサポートすることがあります。』
さて、この「金融サービス業の親玉」というのは平成15年3月18日の衆議院財務金融委員会での参考人質疑での福井富士通総研理事長(当時は日銀総裁就任直前で20日に就任)の答弁(というか所信表明)にございます。就任にあたっての所感を述べてる最初の答弁のまとめの部分より。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009515620030318009.htm)
『日本銀行というのは金融サービス業の親玉でございます。金融機関と常に対話をして、よりよき金融システムの構築そして金融サービスの提供に努めてまいりたい、そこにすべての力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。』
そもそも「金融サービス業」というのがナンノコッチャなのですが、この「親玉」はすげえ懐かしいですな。
#だからどうしたと言われると困りますが、ちょっと読んでて懐かしかったので。
2007/04/09
お題「短期のカーブもクレジットスプレッドも寝ております」
開票速報始まって5分で全部の知事選の当確が揃った(さすがにそれはアレなので当確打つのちょっと遅らせてましたが)とはこりゃまた順当な選挙でしたな。まあ東京で現職に対抗して出したタマが何やりたいのか判らん上に「支援グループ」の人たちがあれじゃあねえと思う訳ですが。しかし現職強いですなあ。
○さすがにちょっと下げすぎたようで
水曜に0.52%近くまで低下したGCレポレートですけれども、何ぼなんでもやり過ぎでしょうとか、FBの発行が3発あった(うち2発はショートカバー入ってそうですけど)とか、あまりにもコールが低下するので調節がちょっと積み下で推移させられてるとか、まあ要因はあると思いますが、GCレートもまた0.55%を越えたようですな。金曜の国債買現先も0.55%までレート上昇(しかも平均と足切りが同じなので0.55%を取りに行った感じですかね)してます(水曜は平均0.533%)が、水曜と違って今回のオペは足が新しい積み期間に掛かるので単純比較はちと難しいですけど、0.55%を取りに行ったという動きっぽいのでレート上昇しましたねって所でしょうか。
別に昨日今日始まった訳ではありませんが、足元の金利が妙に振れるというか極端な動きをするのがどうもこうあたくし的には何だかなあという感じでして、需給を反映してぶれるのはその通りなんですが、「積み前半は高くて後半は低い」とか「ちょっと需給がぶれるとトコトンまで動く(水曜のGC0.52%とか)」というようなのは香ばしいというか何も考えてねえだろというか。オモロイといえばオモロイのですが。
○ターム物は相変わらずフラットしてます
金曜は3か月FBの入札がありまして、まあさすがに前回までの大盛り上がりとは行かずに引けは0.555%となってましたが、これで足元ゾーンから6か月までが0.55%〜0.56%あたりという見事なフラット状態。そんな状況ですので、CPのレートも見事にフラットしているようで、こちらも3か月近い所(3か月はここの所あまり発行がないのでよーわからん)まで0.56%〜0.57%という感じです。
ということで、まあカーブが潰れる中でスプレッドも潰れて来ておりまして、FBvsCPでスプレッドが1〜2bpしかない状態ですし、特にあたくしが注目してるというか気にしてるのは銘柄間較差が思いっきり潰れていることでして、通常だと電力ネームとシングルA格(長期)クラスだとスプレッドがそこそこついているのですが、ここへ来てそのスプレッドが1bpあるかないか位まで潰れてきているようですな。
だいたいこのような感じで銘柄間較差(というかクレジットスプレッドというか)が潰れていくというのは背景に運用難があるときでございます。特にここもとはキャッシュ潰しの動きがあって、利回りベースで投資するのにちょっとどうなのよというレベルまで金利が低下した上にその状況が比較的安定しちゃっており、ついでに月前半でCPの発行が少ない事が背景にあって、スプレッドが潰れるという形で出てきてるのかと思います。
てな訳で、カーブは潰れるわクレジットスプレッドは潰れるわという調達側ウハウハ運用側涙目の状態ですけれども、月の後半になって積み期間が変わって大型連休越えが意識されるようになる時期になるとどうなるのかは注目であります。というか皆で思っている通りの展開になるのかねえとは思うんですけど。債券市場では「皆の読みが揃うと不思議とその逆に行く」という悪魔の法則がございますが、昨今の短期市場ではそうでもないようですので(苦笑)。
まあそんなことをつらつら書いておりますが、要するに短いところでは遂にネタが無くなって(反転すればまたネタが戻ってきますが)しまったなって所でしょう。カーブもスプレッドも潰れたら後やる事無いですわ。
○さて金融政策決定会合ですが
まあ今回の場合は短観とCPIをどう評価するかって話だと思うんですが、基本的な線は既に先週の武藤副総裁挨拶で示されているとおりで、「景気の基調は強く、CPIのマイナスはあくまでも一時的」という線での話かと思います。一応総裁記者会見は注目ということになっておりますが、そんなに突拍子もないことは出ないかなと。注目するとすれば先週武藤副総裁が「正常化」というフレーズを持ち出していた点に関して福井総裁がどうコメントするかですかね(そんな質問が出ればの話ですが)。
あとは亀崎、中村の両氏の就任記者会見も行われると思うのですが、どのような話をするのか(そんなに変な話は出てこないと思いますが)も注目しておきましょう。
金融経済月報は特に変化無いと思いますが。
2007/04/06
お題「何か短期国債が無茶苦茶強いんですけど><;」
まあ相場雑談というよりは相場愚痴って奴ですな。
○6か月FBが0.555%ってあーたそりゃ
昨日は6か月FBの入札が実施されました。足は10月10日ということで期末を越えるモノでしたが、キャッシュ潰しだか何だか知りませんが人気爆発となりまして、落札結果公表後も買い(というかショートカバー)が入り出合いは0.555%となりました。まあカバー一巡したらさすがにオファーっぽくなってたようですが(日本相互証券の引けは0.560%)。
えーっとですな、確かに足元のレポ金利とかも金がうじゃうじゃ出て水曜は0.52%とかになってましたが、さすがにやり過ぎ感も出て昨日は0.54%あたりという動きになっとる訳でして、その「6か月が0.555%だの0.56%」というのはさすがにちょっと足元GCだの現先レートに対してのリスクプレミアムなさ過ぎで如何なものかと存じます。
ということで、利上げが10月10日まで無いと確信しててもそのレートどうなのよという水準でありますから、8月とか9月に利上げがあったら死亡確定という実に香ばしい水準でございます。これを持って「短期市場では次の利上げ時期が10月以降という見方が支配的になっている」というのはまあそうなのかも知れませんが、一応無警戒な訳は無いと思いますし(あたくしが勝手に聞いてる範囲内ですから根拠レスですが)、そもそもの水準がどう考えても利回りベースで買う気が全然しない所まで来てるんで、期初に余剰資金が爆発してる結果とした方が吉のような・・・
ちなみに、日本相互証券の引け利回りベースで言えば、昨日の新発債(FB441)が0.560%で1か月短いFB435が0.565%(前日比1.5bp利回り低下)とレートが逆転しておりますが、いいのかそれでって所ですな。まあ引け値だけ並べてみると(その引け値で実際に買えるのかという話はあるのですがそこは気にせんでくれ)カーブが思いっきりフラットしているので、レート逆転というのは単に個別の需給関係の反映でもあるんですけどね。
○本日は3か月FB入札ですが相場愚痴^^
今週はちとイレギュラーで、今週2度目の3か月FB入札になるのですけれども、今申し上げたように6か月FBが0.555%だの0.56%だのとやらかしているので、どう考えても0.55%から0.56%の間で収まるとしか申し上げようが無いですな。需要が爆発したら平均落札はかなり確りするかも。
・・・・と書くと入札が流れるのがドラめもんクオリティなのですが、この金余りキャッシュ潰し攻撃はもうちょっと続くでしょと思うので、まあ来週の2か月FBとかもっとオソロシスでございます。(去年の恐怖0%テイクンがチラチラしますよマッタクモウ)今日の入札はその何というか「お家の事情」な人は買えるのかもしれませんが、普通に短期資金運用として見た場合にちょっと魅力というものが無さそうに見える(昨日の6か月の方がもっと酷いが)のですけどねえ。
ちなみにオペの金利とかも低下しておりまして、昨日も共通担保オペが実施されまして、期間は大体2か月でオファーされましたが、こちらの平均落札利回りは0.572%で足切りが0.57%と相成りました。大体上位格付けネームのCPが似たようなもんとなっておりまして、まあこっちの金利もじりじり低下という感じでございます。さすがに0.55%の壁があるんでこれ以上下げるのは段々しんどくなっているとは思いますけど・・・・・
まあ「次の積み期間になると資金需給にも変化が出てきて金利が上るでしょう」という見方を皆さん揃いも揃ってしておりますのですけれども、これでそのとおりに動いたらそれはそれで何というかまた絵に描いた展開か!という感じですわな。
どうもあたくし思いまするに、短期(だけじゃないのでしょうが)の参加者および時々参戦する人たちの中で、特に大きなポジションで参戦する「お家の事情」な人が目立つんで「絵に描いたような展開」が発生するんじゃないかと。先日の短期市場フォーラムでのCS銀行の市東本部長が「皆さんもっとリスクを取りましょう」と言ってた(ことにこの前は悪態をつきましたが、まあそれはそれということで^^)のを思い出しますわな。何か(特に大手のプレーヤーが)利回りがどうのこうのという前にまず買うか売るか(あるいは運用するのか調達するのか)というという結論が先にあって動いているように見えてしまいます。何かこう「お家の事情丸出し」な動きを見てるとおじさんはがっかりですよ。。。。。
そーゆー意味では昔は(と言い出すのはジジイの証明ですけど)もうちょっとマーケットはお家の事情じゃなくて相場観のぶつかりあいみたいなのもあったと思うんですが、昨今はまあなんちゅうか悪い意味での「説明責任」が蔓延しちゃってるんじゃないかなあとちょっとくらーい気分にもなるのですが、その辺の話はまたいずれそのうちする事があるかもしれません。
#と、どうもこう相場のネタも無いもんで相場の話というよりはただの愚痴になっておりまして恐縮至極です。
2007/04/05
お題「武藤副総裁講演など」
武藤副総裁講演の前に市場ネタ。
○短期市場怒涛の金余り(か?)
短期の金利が全体的に低下してると言う話を昨日も申し上げましたが、その金利下がりっぷりは継続しておりまして、まさに怒涛の金余りと申し上げてもおかしくない状況となっております。オソロシス。
GCレポレートが0.52%〜0.53%近傍まで低下しておりまして、まああっという間になんちゅう金利低下という感じ。2日にもオペ金利ネタ書いたのでご記憶あるかと存じますが、30日の共通担保オペの金利が8日間(4日〜12日)で0.581%/0.58%となっていたので「何だ期初から金利が下がるんでもないのね」と思い込んでそんな話をした覚えがございますけど、もう見事にオペ金利に騙されてしまいましたという感じです。赤面赤面。
ちなみに、そのオペ金利ちゃんですけど、2日の国債買現先が4日〜18日で0.571%/0.56%で、3日の国債買現先は5日〜27日で0.554%/0.55%とまあ順調に低下してはいたのですが、昨日はとうとう6日〜13日で0.533%/0.53%という水準まで低下しちゃいました。まあ足元のGCが上記のような有様ですし、今回のオペ期間は積み期間を跨がないので益々金イラネってのもあるでしょうけど、金曜から連日怒涛の低下でございますな。
まーFBも確りしておりますし、CPレートも低下してて2か月もので0.58%割るような感じになってたりするようですが、何せ現先レートもGCレートに鞘寄せされて0.55%割り込んでおりますので何かこう思いっきり正当化されてしまいそうな感じ。期末ちょっと前には何かやたら売り物だらけだったのが一気に風景が変わったという感じ。
・・・・まあしかし4月になると金が余ってくるという見方はありましたし、去年の4月は新発2か月FBに怒涛のキャッシュつぶしが来て入札空振り組のショートカバーで100円テイクンとかいうキングオソロシスな事件がありましたが、あーた何も2年連続で怒涛の金余りって同じパターンやらんでもええじゃろ。というか、イベントリスクだの何だのと言って、1月とか2月も決定会合前に金が急に出なくなったと思ったらイベント通過で金出まくりというのをやっとった訳でして、何かこうどうしてそう判で押したような展開になるんかいなという感が致します。
○短期金融市場の機能に関する意見募集について
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/tanki0704a.htm
そんな餌に俺様が釣られクマー(AA略)
#これは盛大に釣られてみることにしましょうか
ということで武藤副総裁講演。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0704b.pdf
武藤副総裁の講演となりますと、大体こう日銀の公式見解に沿った趣旨で手堅く(または無難に)まとめるという内容になってまして、そんなに突拍子も無い話は出てこないのであります。当然ながら今回もそんな感じですけど・・・・・
○経済物価情勢に関する部分
基本的にはここで書かれている話が展望レポートの基本的な骨子になるんじゃないのかと勝手に想像しております。今まで日銀(というか政策委員の人たち)から出ていた話と趣旨は変らんので細かくは紹介しませんけど。
・米国経済について(2ページ目)
『住宅市場の調整の帰趨はまだ見えていませんし、物価面ではコアのCPIが依然高めの伸びを続けていることから、引き続き、景気後退とインフレの上下双方のリスクに注意が必要です。ただし、これまでの動きを踏まえると、今後、ソフトランディングに向かう可能性(中略)が高いと判断できます。』
ところで米国がスタグフレーションになったらどうしましょ??
・国内物価の先行きを上昇と見る根拠(7ページ目)
『短観3月調査によると、設備が不足していると感じる企業の割合が過剰と感じる企業を上回っているほか、企業の人手不足感も強まっており、資源の稼働率は確実に高まっています。』
『また、マクロ的な需給ギャップを推計すると、需要超過方向で推移しています。』
『さらに、これまで、物価押し下げに作用してきたユニット・レーバー・コスト、すなわち生産1単位当たりの人件費についても、先行き、賃金の上昇傾向が徐々にはっきりとしていくにつれて、物価への下押し圧力を弱めていくものと考えられます。』
という3点が日銀的な「先行き物価上昇しますよ」の根拠ということですな。まあ既にこの話は何度も出てますが一応整理の為。
○そろりと出てきた「正常化」
金融政策運営に関する部分もまあツッコミをしたくなるのですが、基本的に日銀の公式見解ベースの説明ですんで、悪態をつくこっちもいつもと同じ話になるので華麗に割愛。で、ほほうと思ったのは12ページ以降の(先行きの金融政策運営の考え方)部分でございます。13ページの冒頭部分から。
『市場やメディアから、こうしたプロセスは「正常化」なのか、という質問を受けることがありますが、「正常化」という言葉は色々な意味で使われているように思います。もし、これが「いわゆる中立的な水準などの一定の水準に向けて、スケジュール感を持って金利を調整すること」を意味するということでしたら、私どもは、そのような考え方は採っていません。』
『日本銀行の金融政策運営の考え方は、今申し上げたとおり、@極めて低い金利水準による緩和的な金融環境を当面維持すること、A経済・物価情勢の変化に応じて、徐々に金利水準の調整を行うこと、であり、この点について政策委員の考え方は一致しています。したがって、金利水準の調整は、「経済・物価情勢の変化に応じて」スケジュール感を持つことなく行うことになります。』
『仮に、そうしたプロセスを「正常化」と呼ぶのであれば、私どもは、経済・物価情勢が正常化していくにしたがって、それに応じて徐々に金利水準を調整していくと言っても良いかもしれません。』
えーっとつまりFRBが行っていた「中立金利水準に向けてのメジャードペースな金利引上げ」みたいなやり方は取らないですけど経済物価情勢が正常化していくのだから金利も正常化しますという話ですかそうですか。で、その正常化ということは正常な水準を意識してないと話が始まらんような気もするんですけど。
てえこたあ米国の中立水準に向けての利上げはありゃビハインド(かどーかは知らんが)でやってましたけど日銀はフォワードルッキングでやってるから米国みたいに計ったようなペース(メジャードペースって直訳するとそうなると思うんだが^^)で利上げするような対応にはなりませんがなという事なのでしょうか。うーむどうも書いてて自分でも頭がワケワカメになってまいりますな。
しかし福井総裁がやたらとその言葉を使うのを忌避する「正常化」について「これを正常化といえば正常化」的な説明が武藤副総裁から出てくるとは。
○市場との対話
まあこれは毎度お馴染みの話ですけど14ページより。
『一般に、こうしたプロセス(引用者注:市場との対話)において、具体的な政策変更のタイミングを示唆することは好ましくありません。そうしたことをすれば、市場参加者は自らの経済・物価観に基づいて取引を行うことなく、中央銀行の示唆するタイミングを前提とした取引を行うことになり、双方向のコミュニケーションとは言い難いものとなります。』
まあそりゃそうなのですが、一方で政策運営にあたっての日銀の見通しの前提にいつもの奴がある訳ですな。10ページからが2月の政策変更に関する説明なのですが、その11ページから。
『こうした見通しは、市場参加者や企業などの民間経済主体が、先行きある程度の政策変更を織り込んだうえで、経済活動にかかる意思決定を行っていることを前提としたものです。』
即ち日銀の経済物価情勢の先行き見通しの前提に「先行きある程度の政策変更を織り込んだ」というのが入っている以上、毎度おなじみの円環性問題が生じる(暫く言われていた「日銀は先行きの利上げ織り込みを前提にしてるのだから、このあたりで利上げしないと日銀の経済見通しと整合性が取れない」という指摘も本質的に同じ話だと思う)のではないかと存じます次第でございまして、やっぱ「今の金融情勢を継続した場合今後こうなるので政策の変更を行う/行わない」とした方が話としてはよさそうに思うのですけどねえ。。。。
2007/04/04
お題「落ち着いてますなあ/生活意識に関するアンケート」
○動かんと言うか落ち着いてるというか
昨日は10年国債入札に3か月FBの入札とイベントがあった筈なのですが、債券先物の日中値幅が11銭とはこりゃまた参りますな。新発10年国債(は285回のリオープンでしたが)の日本相互証券での後場の出合いは見事に一本値という状況で、これが入札日かという相場だったそうですな。
まー期初ということで投資家的に色々と雑務が嵩む時期でございますので、相場に参戦するヒマが無いというのはあるにせよ、在庫ヘッジとかでもぶれないっつーのは別にこの水準なら待ってりゃ買いが来るでしょう(というか実際に買いがあるんでしょうけど)ってことなんでしょうかな。で、こういう時は得てして業者が頑張って相場を支えていたりするんですが、今回はそんな頑張ってるという感じもなくて単にエネルギーが無いという感じのようですな。
そりゃまあコアCPIがマイナスですから金融政策動くのどう見ても目先3か月(というかTBの利回り見てりゃ6か月でございますが)はある訳ございませんわなという事で、金融政策という一番相場的に動きやすいテーマ(実は利上げしても長期金利上ってないのですがそれはそれ^^)が今年度前半(下手したら後半もですが)のテーマになりにくく、ちょっとこう取っ掛かりも無いっちゅうことなんでしょうな。
短い所も見事に平和というか安定というかでして、カレンダーベースで新年度になってみたら、コールレートが見事に安定というか低下しまして(というか毎月判で押したように積み前半にコール上昇して後半低下っつーのも何だかなという気が)、そっちが引っ張ってるのかレポレートも0.55%近くまで低下して、TB/FBのレートに結果として鞘寄せされてきた形でございますな。新発CP(月初なのであまり発行多くないのですけど)も軒並み0.6%割り込んでおりまして、ついでに言えばタームのプレミアムも小さくなってフラット化となっております。
ということで、昨日のFB3か月入札はもう何も申し上げることも無いという感じで、0.56%ちょいの平均落札に対して引けにかけては0.555%という有様で、相変わらずGCや現先と比較したら保有期間中トータルして勝てる感じが全然しない水準でございます。相変わらず資金潰しとか待機資金の買いとかが来てるような感じですな。
#そりゃまあ2年が0.8%で1年が0.65%で3か月が0.55%という中で待機資金を置いとくんだったら流動性が高くて価格変動性無いと思えば3か月に行きたくなるのは何となく理解できますが
ということで、こりゃ暫くは落ち着いた、というかネタなし相場が続くんでしょうかねえという感じでございます。
○生活意識に関するアンケート調査
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/ishiki/ishiki0704.pdf
15ページ目以降に箇条書き方式で詳細が記載されております。過去の流れに関しては前半のグラフ付きの方が読みやすい。で、内容を見ておりますと、物価の先行き見通しとか景況感とかが悪化してますなあというのは判るのですが、あたくしがほほうと思った部分をば。
・地価の先行きに関して(16ページ)
問18. 先行きの土地の価格(地価)はどうなると思いますか。
1 上がる42.8 ( 46.2 )
2 変わらない36.4 ( 35.0 )
3 下がる18.7 ( 17.4 )
(引用者注:()内は12月調査結果です、以下同様)
調査対象期間に今年の公示地価が出てない訳ですが、地価が「下がる」がやや増えてるのはちょっと「へえー」でございました。とは言え上るの方が多いのは多いですけど。
・雇用環境に関して(19ページ)
問20.これから1年後を見たとき、あなた(またはご家族)は、勤め先での雇用・処遇(給与、ポスト、福利厚生など)に不安を感じますか。
1 あまり感じない14.3 ( 15.8 )
2 少し感じる45.4 ( 48.3 )
3 かなり感じる38.2 ( 34.5 )
うち勤労者:会社員・公務員・その他雇用者、パート・アルバイト
1 あまり感じない14.8 ( 16.9 )
2 少し感じる43.8 ( 48.1 )
3 かなり感じる41.0 ( 35.1 )
・・・・・ううむ、そうなのか。不安が拡大しとるのか。うーむ。
同じ理屈で家計に関するアンケート結果も「収入減った、支出減らした」という話になっております。うむむ。
・日銀に関して(21ページ)
問23-c.(引用者注記:日本銀行を)信頼していない理由は何ですか。【2つまでの複数回答】
1 日本銀行の活動が物価や金融システムの安定に役立って
いると思わないから22.0 ( 23.7 )
2 政策の内容や意図に反対だから7.1 ( 5.2 )
3 中立の立場で政策が行われていると思わないから53.9 ( 44.8 )
4 日本銀行の活動について分かりやすい広報や意見聴取の
努力が不足していると思うから30.5 ( 31.5 )
5 組織や職員に誠実なイメージを持っていないから42.4 ( 44.8 )
6 その他5.8 ( 5.2 )
これは13ページのグラフを見たほうが判りやすいですけど、5番の回答が1位から転落してよろしゅうございましたな、おっほっほ。で、3番が1位と言うのも如何なものかと思いますが、一難去らずにまた一難と。ナムナム。
しかし繰り返しになりますが、家計と雇用に関する結果があたくしのイメージより弱めですな。そんなもんなのかにゃ。
2007/04/03
お題「短観などのお話」
安倍内閣支持率下げ止まりですが、そりゃまあ代替品のミンスがあの調子なんだもの仕方ない(というかやむを得ないというか)ですわな。
○短観をいつもと同じようにチェック
短観のヘッドラインは市場の事前予想よりも若干弱かったというところだと思いますが、毎度お馴染みの「前回の先行き予想」よりは悪くなかったという感じではあります。とは言え、前回は「その前の先行き予想は下向きだったけど結果は上向き」でして、今回の場合は「前回の先行き予想は下向きで、結果も下向き、でも予想ほどは悪くない」という形ですので、まあ前回短観のような強さって感じじゃありませんですか。
#ま、延々と上向き続けるのは無理ですわな
・ヘッドライン
で、その前回時点での予想対比ですけど。
(12月時点) (3月時点)
現状→3月予測 現状→6月予測
製造業大企業 +25→+22 +23→+20
製造業中堅企業 +21→+13 +16→+12
製造業中小企業 +12→+7 +8→+7
非製造業大企業 +22→+21 +22→+23
非製造業中堅企業 +7→+5 +5→+4
非製造業中小企業 ▲4→▲9 ▲6→▲10
毎度お馴染みの真ん中の2つの数字(調査サンプル企業に見直しがあったので12月の数字は昨年12月に公表された数字とはちと違います。今回の数字は修正済のベース)を比較すると「先行きやや悪化すると思っていた程悪化しませんでしたなあ」という所でしょうな。
・雇用判断DI
前回は「前回予想するほど雇用の不足感が拡大していない、だけど不足感拡大」でしたが、さて今回はと言いますと・・・
(12月時点) (3月時点)
現状→3月予測 現状→6月予測
製造業大企業 ▲6→▲8 ▲7→▲8
製造業中堅企業 ▲9→▲10 ▲8→▲9
製造業中小企業 ▲7→▲10 ▲6→▲8
非製造業大企業 ▲16→▲19 ▲19→▲19
非製造業中堅企業 ▲12→▲14 ▲13→▲14
非製造業中小企業 ▲13→▲16 ▲14→▲16
えーっと、全体的に不足は不足なのですが、製造業での雇用不足感の拡大は一服したという事でしょうか。
で、オマケはいつも派手派手に振れる証券業の業況判断DI(^^)。
(12月時点) (3月時点)
現状→3月予測 現状→6月予測
証券業 0→+40 +34→+52
9月時点では▲4が+36まで豪快に回復するという予想だったのですが結果は0という大本営発表振りでしたが、今回は比較的予想に近い数字で結構でございますな。ただまあ先行きの予測がこれまた随分と威勢の良い数字ですけど(^^)。
○総裁の入行式挨拶(かなり余談です^^)
福井総裁の入行式での挨拶。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0704a.htm
一昨年のが結構オモロカッタ記憶があるのですが、まあそれは兎も角として、この「戦略、起動、実現」ってのは日銀の中期経営戦略のキーワードなんですかな。利上げの戦略を(ry
『キーワードは、「戦略、起動、実現」です。これをしっかり胸に刻んでください。深い洞察力を持ってプランを練り、遅滞なくアクションを起こし、そして実際にやり遂げることです。』
ちなみに、去年の挨拶はこちらでして、
http://www.boj.or.jp/type/press/koen/ko0604a.htm
そんなもんを昨年と比較するのも誠にアレでございますが(^^)、昨年と比較してみますと、日本経済に関してこのような話になっております。
『日本経済は、グローバル経済との連関を強めながら、緩やかながらも着実に前進を続けています。皆さんは、日本経済の良い方向への折り返し地点で入行をされたと言えます。』(これは今年)
『日本経済は、「慢性的に停滞色の強い経済」から、「ダイナミックに前進する経済」へ、今、大きな転換局面に差し掛かっています。皆さんは、正にこの節目の時期に日本銀行の職員になられました。』(これは昨年)
良い方向への折り返し地点とはナンノコッチャでございますが、まあケンチャナヨということで。そしてもうひとつですけど、一昨年、昨年、今年と挨拶の中で「正確な事務」という観点のお話が徐々に減っているのが気になるのですが、これは他にいいたい事があるのでそこまで手が回らなかったということでせうか。
『まず諸先輩のアドバイスを十分に理解し、仕事をきちんとマスターして下さい。』(今年)
『まずは、先輩の指導に従い仕事の進め方を正確に覚えて下さい。』(昨年)
『皆さんは、プロの日銀職員として、「事務の堅確性」ということを瞬時とも疎かにすることは許されません。』(一昨年)
ちなみに、一昨年の総裁挨拶は
http://www.boj.or.jp/type/press/koen/ko0504a.htm
でして、この回が一番福井節っぽかったんですけどね。
2007/04/02
お題「月曜なので相場雑談を少々」
しかしまあ平和な期末でありました。
○ロンバードあれこれ
金曜に公表された資金需給実績によりますと、金曜に実行された貸出(=ロンバート)は2兆7000億円となったようです。即日スタートの共通担保オペで1兆円の供給に対して3兆1243億円の応札がありましたが、その中の空振り分とかも入ってきたのかなあという感じです。無担保コールも終日確りで0.8%台での出合いもあったようですし、ロンバートの金利上限制約がもうちょっと広かったらコールなどのレートは上昇してたのかもしれませんな。
で、金曜は「期末というのはもっと殺伐としてるもんなんですよ」などと申し上げましたが、昨今のトレンドとしましては、ロンバードなどで作る金利回廊に関して「通常は広めにしていても、積み最終日(はよりぶれやすい)にはバンドを狭くする」というのが主要国の中銀の動きとなっております。まー冷静に考えてみますと、金利政策としてボードが25bp上げるとか上げないとかで議論している側から現場でしらっと100bpとかのブレを容認してたら何のための金融政策なのよって話になりますもんね(^^)。よってまあ期末などにオペ頼みロンバード頼みになるのは仕方ないのですけれども・・・・・
あくまでもあたくしの推測に過ぎませんが、何かこうそのオペ頼みロンバート頼みでポジションを膨らませている参加者もいるんじゃねえのという気もするのですよね。で、その挙句に先日悪態をついたどこぞの外資系証券様謹製レポートのように、「日銀の金融調節が稚拙だからポジションの巻き戻しを余儀なくされた」という解説が出てくるわけですわな。てめえらがポジションを膨らませすぎなんじゃねえのと思う訳だが(苦笑)。
短期のオペが多い(のは今の構造的に仕方ないのですけど)のでついオペを使いたくなるという面もありますけれども。
○期越え後の金利はそんなに下がってませんな
まあそれ以前に思いっきり落ち着いてますってえのもあると思いますが、期末を抜けて金利がドカドカ下がるのではないかという期待あるいは懸念もあった超足元の金利はGCレポレートで0.58%中心とかですので、あんまり下がらんと言ったところです。金曜は共通担保本店オペで4月4日スタート12日エンドが8000億円オファーされてまして、普段T+2のスタート日でオファーされる事が多い共通担保オペなのですが、4月4日なのでT+3スタートでして、GCレポで調達する人も応札しやすいシメシメの資金供給でした。
で、オペの結果は平均0.581%で足切り0.58%となっておりまして、まあ割と確りという感じ。応札が5兆1440億円あったのは下のほうに「入ればラッキー」札があったからだと思いますが、まあ多いといえば多いですわな。
大体この0.58%がGCの中心になってたんで、まあそんなもんですかなという感じですけど、期越えが終わって金利急低下と予想してたほどの展開にはならず、暫くはそれほど劇的な金利低下をしてくれるという格好にもならんのかなという所です。コールレートが大きく下がってくれば話は別だと思いますが。
まだ実際にカレンダーベースの4月が始まってみないと判らんのですが、一応金曜の「案外レートが下がりませんなあ」状態に後付け解釈をしてみると・・・・「期初になったら足元のレートが大きく下がるでしょ」と皆が思うと、それに最適化した運用調達になるので、運用側は長めのタームで固めておきたくなるし、調達側は短めのタームで繋ぎたくなるしということで、期初になっても調達側の意欲が落ちないという事になり、結果「案外金利が下がりませんなあ」ということになるんでしょうな。
○その他相場雑感少々
それまでも相場雑談ですが、尚のこと相場雑談は続くのでした。
・コール0.715%は10年ぶりですかそうですか
金曜の無担保コール翌日物の加重平均金利が0.715%だった訳ですが、この水準は1997年3月31日以来の高水準という風に報道されておりました。10年ぶりですよ10年ぶり。
ということで、ほとんど古文書状態のあたくしの10年前の小汚い帳面を見ますと(当時は短期の局地的な話しか書いてない)、この日のコールは0.72%とか書いてますな。当日は売手即日を4月9日エンドと4月4日エンドで計9000億円実施して積み上3000億円は市場予想の緩めの方だったのですが、金利が上る(しかもオペの落札金利は1%乗せ)のでTB即日オペを11時20分にオファーしたと書いておりました。ようやっと10年前に戻ったと言うことですかそうですか(涙)。
ちなみに、そのろくすっぽメモもない帳面を見ると、「三塚発言で株大幅安」(3月24日)とか「松島発言で金先・債先大幅下落」(3月18日)とか懐かしいお名前がございますが、発言内容までメモが無い(当時はそこまでメモをちゃんと取ってなかった)ので今読むと何のこっちゃでございますな(苦笑)。
・しかしこりゃ暫く動かんのかなあ
金曜はCPIの発表があって、予想通りながらマイナスの数字が出たというのにまあ債券も短期もうごかねえうごかねえ。今日は短観が有るとは言え、さすがに今回はそんなにぶれないでしょうという感じで、そうなってしまうと正直月末の展望レポートまで相場の取っ掛かり材料が中々見当たらないですな(それでも何とかして動いちゃうのが相場ですけど^^)。特に短い所に関しては、この調子だとまあ夏が終わるまで動きようも無いとなれば、3か月ものFBとかの金利も目先2か月は動きにくいという感じかということで。
#それでは今期もよろしくお願いします