トップページに戻る
月別インデックスに戻る

(各日付の最初にラベルを「070301」というような形式でつけていますので「URL+#日付(6桁表示)」で該当日の駄文に直リンできます)



2007/03/30

お題「次の期末のために市場雑感」

日銀などから出てるペーパーのフォローが全然追いつかないので相場メモでお茶を濁しているなどというツッコミは華麗にスルーさせていただきたく存じます(汗)。

○最後は平和な期末越え

毎日この話ばかりですが、来年になって忘れないようにクリップしてるわけですな。すぐ忘れますから(^^)。

昨日は共通担保オペが実施されましたが、この期間が30日スタート4月3日エンドという短いものでして、オファー額が4000億円とややしょぼかったんですが、レートのほうは平均0.682%で足切り0.67%となっておりまして、こりゃまあ末初レート0.7%ちょいとかになりますので冷静な結果ということで宜しいんじゃないかと。

荒れれば悪態、落ち着けば悪態と、要は単に悪態つきたいんじゃねえかというのがドラめもんクオリティですが、こうあっさり落ち着いてしまうと悪態の一つも言ってみたくなります(爆)。いやね、期末ってのはもっと殺伐としてるべきもんなんですよ。ちょっと取り損なったと思った人が慌てて末初をコールの1.5%くらい上を取ってみたり、それに対抗して本当は資金の取りニーズある人が気合で叩いてみたりとか、戦いでレートが上ったり下がったりするのが悲喜こもごもで良いのですよ、うんうん。

しかし今回はロンバートがありますので、担保を確保しておけば「よーしパパロンバート借りちゃうぞー」ということで、末初レートもそんなに上らん訳ですな。そんなわけで、まあ今回動いたと言いましてもせいぜい末初がロンバートから0.75%くらい上った程度(オペレートの末初換算が1.5%位になったのはテラアホスでしたけれども)でしたんで、やはり最後のお助け措置としてのロンバートは効いてますなっちゅうことでしょう。

#この1.5%というのが「ロンバートから0.75%上」と見るのか「ロンバートの倍」と見るのかというのはビミョーなのですけど(^^)

資金需要が高まる時(期末とか)にロンバートが頼りになってしまうというのは、結果として短期市場での資金調達が日銀頼りという流れがいつまでたっても払拭されませんなあということにもなりそうな話ではあります。だからコール誘導レートの変更とは別にしらっとロンバートを動かせるようにして置いた方が良かったんジャマイカと思うのですが、福井総裁様におかれましては余計なことに「ロンバートだけ動かすことは無い」などと抜かしてしまったのが残念無念でございます。

とそこまで書いて物凄く逆のことを申し上げますと(笑)、資金偏在状況の変化によって無担保コール翌日物金利が妙にランコルゲしやすくなっているので、ロンバートをアンカーというかシーリングの目途にしておきたいという考えもございまして、まあ利上げからここまでの間、少々波乱はありましたがコールレートが誘導目標水準近傍で安定しているのはロンバートのシーリングが寄与しているとも思えますんで、まーこのあたりの匙加減って難しいですよね。

来年の決算期末ではどうなっているのでしょうかな。


○ターム物のレートは引き続き低下しやすいようで

スポット渡しは昨日の時点で期末を抜けておりましたんで、CP発行市場的にはだいたい期末は終わってたんですが、昨日は2日スタートのCPがちょっと多目のような気がしました。で、そのレートですけど、上位格付けの発行体で大型連休越えの1か月ものが0.59%あたりの水準ということで、まー落ち着きまくりの展開。てか大型連休越えの事忘れてるだろという感じでもありますな。

CPレートに関しては、今回の期末越えでも長めのターム物金利は大きな影響を受けず(さすがに先週前半は上昇しましたけど)、非常に落ち着いた推移となっておりました。まあ3週間とか1か月と言った期間のものは末初レートの上昇に出来上がりの金利が影響されやすいのは仕方ないにしても、2か月だの3か月だのというあたりはあまり踊らされないという動き。というか最後の方は発行体も「別に4月になってからロールすれば良いから、ここで長い資金をレート出して取ることも無かろう」とばかりに3か月とかの発行が大いに減ってしまったのはテラワロス。

CPの場合は銀行のCPディーラーが特攻しだすとレートが急に上ってみたり下がってみたりしますが、投資家主体だと上げも下げもマイルド(というとカッコイイけど、要は反応が遅いだけ^^)になる傾向が強いです。今回は19日の週にディーラーがどん引きしましたが、投資家の買いは比較的安定してました。まあ先行きの政策金利予想がぶれてないですから投資家的には「末初でプレミアム乗った部分は美味しく頂きました」ってやりやすい訳で、まあこんなもんなんでしょう。逆に言えば政策金利の引上げ観測がある中で期末を迎えた場合にはランコルゲという事もあろうかと。

TB/FBレートについては、何か先週金曜の一大踏み上げ入札以降、現先だの買い切りだののニーズが止まらないようでして、こちらは結局踏み上げモードの新発債のレートに既発債が鞘寄せされるという恐怖の展開なので、イマイチ次回の参考にならんですな。まあ期末恐るべしということで。


○ただまあ4月入ってからちゃんと下がるのかですが

昨日も書きましたが、この点は少々微妙。特に足元の資金がどうのこうのって所では需給動向が全てともいえますので、「皆がもう直ぐ下がると思う」→「ファンディングの足が短くなる」→「リファイナンスのニーズが中々減らん」という循環になりますと案外レートの劇的低下というのは難しいのかなとも思うのであります。まあこのあたりは1週間物のGCレートあたりでも見ていくしかないでしょうな。

足元のTB/FBレートがやたら低く、CPレートも現先に近いところまで低下しているということは、投資家の資金が短期市場に向いている(それが「キャッシュ潰し」としても)ことの表れですんで、まあどうせレート自体はカレンダーベースで4月になったら低下するんでしょって感はあります。来週はTB/FBの入札も復活するので(今週は期末の関係で入札ありませんでした)そのあたり注目でございます。(そういや去年は量的緩和解除にも関わらず当座預金残高は減らないの巻でしたんで、余った金と中長期債から逃げてきた金が入ってきて、驚くべき金利低下をしましたなあ)

昨日は債券市場は「経済指標の前に先回り買い」ってな感じでございましたが、まーそんな感じ(やっぱ買いたいっすなあ)が投資家心理の平均値だと思いますんで、超足元は兎も角、3か月程度のどう見ても政策変更影響なしタームに関しても金利は下がりやすい(ただしGCや現先レートがフロアーなので低下余地は乏しいっすけど)のかなって思うのでした。





2007/03/29

お題「市場メモ/国債投資家懇談会から」

バーナンキ議長がインフレ警戒発言をして驚くとは何かちょっと期待しすぎだったんではないのかと思うのですけど。まあいっか。


○期末越えは落ち着いてますが一応クリップ

昨日は期待通りに国債買現先オペが実施されまして、こちらが3月30日〜4月4日という5日間というチョー短い期間でして、こちらの落札レートが平均0.650%の足切り0.64%ということで、末初が3日間ございますけれども、それ以外の日を0.58%とでも置いてみますと(GCより気持ち下を意識してみたんですが)末初レートが概ね0.70%という感じで、まあこんなもんでしょう。

ということで、オペの後は末初GCレートが0.7%を割れる勢いだったようなのですが、昼に実施してくれるかと思われた共通担保オペは惜しくもスルーだったので気配は若干強含みとなったようですな。芸が細かい。

あと、スポットが3月末だったんで末発行のCPも出ておりました(ただし、3月末は決算期末とぶつかるので、その前に発行をある程度前倒する人も多く、いつものような発行祭りにはならんようで)が、こちらの金利も弱含みのようで、上位格付けの3か月もので0.6%台前半レベル(63とか64とか)まで低下の巻となっているようです。盛り上がらない(つーかその前に盛り上がりすぎだったんですけど^^)期末ですなマッタク。

少々気になるのは4月になるとチョー短い所では金利下がるというのがコンセンサスになっちゃってることでして(またヒネクレモノな)、4月に入ってからの調達に無警戒なのもどうなんでしょとは思いますが。FBとかやたら強いのですが、キャッシュ潰しの買いがひっくり返った場合には世の中にFBが余るようにも思えるのですけどね。それから昨日の新発CPでも妙に短い期間の発行が多いので、こいつらがロールされる場合はちょっとどうなのよという感じも。ただまあこっちは期末なので、お家の事情(決算期末時点でのCP発行残高を着地させるニーズとか)で発行してるケースが多いかと思いますんで、あまり心配しなくても良いのかな?

まあいずれにせよ、今回の期末は(まだ最後が残ってますが)「20日受渡あたりまでは無警戒モード」→「その後盛り上がりすぎでオーバーシュート気味」→「やりすぎて期末来る前に沈静化」というパターンであったことはちゃんと記憶しておかないと来年になると忘れるの巻でございますな。これで来年も同じパターンだったら笑うしかないですが。


○国債投資家懇談会

特別参加者会合と比べますと参加者の頭数が少ないこともありまして、こちらの会議要旨は「ほほう」と思いながら読むものの、オモシロネタにしにくいのが惜しいですな(と不謹慎発言^^)。

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/b190327.htm

で、まあ皆様の意見は『(2)最近の国債市場の状況と今後の運用見通しについて』の辺りに色々とあるんですけど、一つ一つ引用してると物凄く長くなるので割愛。

で、見解としては会議時点(27日の昼間に会議は実施)での長期金利については『ファンダメンタルズの要因もあるが、期末で好需給であることの影響も大きいと思われ、現在の金利低下は行き過ぎと考えている。』(参加者のコメントより)というのがコンセンサスとなっておりますな。

・・・・ということは、逆に言えば金利が上る(まさにここへ来てそうなってますが)場面では「行き過ぎゾーンから修正した」と分析した人から順に買いが着々と入ってくるという理解で宜しいということでございますな(^^)。

んでもって、銀行業態からの出席者のコメントとして「ほうほう」と思ったのはこの部分ですかな。

『一部の不動産業を除いた中小企業の資金需要はほとんど見えておらず、なかなか貸出金利を上げにくい状態が続いている。そういった中で、日本銀行の金利の正常化に関しては、超低金利の是正はよいが、中小企業への配慮をどのように行っていくのかに関心を持っている。収益的に非常に厳しいものがあるので、運用セクターにかかるプレッシャーはきつくなるだろう。そのため、逆に金利はなかなか上がってこないとも思う。』

ということでございますので、誠に残念ながら「政策金利が上昇すると銀行収益の向上に寄与する」という「外国がそうだから日本もそうでしょう」的な連想には少々無理があるということをご認識頂けると宜しいのではないかと存じます。

じゃあ何で外国と日本が違ってくるのかという話になるとこれはまあいろんな要因があるでしょうけどね。


#日銀から物凄い勢いでいろんなペーパーが出てますがとても読んでる暇が無いので全然フォローできませんですぅ







2007/03/28

お題「期末越え落ち着く/2月決定会合議事要旨続き」

早いもので今年も4分の1が終了しようとしております。中年老いやすく、学はまるで頭に入りませんが何か?

#ところで、表示されてる値段(利回りですが)が同じなのに6時前には「米債は売られました」だったのが6時過ぎに「米債は買われております」ってしらっと話が変るとはどう見ても原稿棒読みです。ニュース番組なんだから美人のおねいさんのどアップを出すよりも内容の正確性を優先して頂きたい。

○事前に盛り上がりすぎたようですな

昨日は決定会合議事要旨の話だけでスルーしちゃいましたが、期末越えの金利は今週に入って益々落ち着くの巻となっているようですな。昨日は4月4日足の共通担保本店オペが実施されましたが、平均落札金利が0.662%で最低落札金利が0.66%とまあ落ち着いたもんでございますな。末初金利は目の子で(期末までと期初からの金利を幾らに置くのよというのがあるので)まあ0.72%とか0.73%とか、0.75%ちょっと切るくらいという勘定になるかと思います。まあ妥当なレベルではないかと思いますが。

と申しますか、そもそも無担保取引なら兎も角、共通担保使って調達するのに末初レート1%以上とかで取るのがあのそれはちょっと過剰反応って奴でしたんで、事前に大盛り上がりしすぎたのでここへ来て正常化ということでしょうな。


金曜に大踏み上げ入札になってしまったFBですけれども、案の定というか懸念したとおりというか(苦笑)、既発のFBが買われて全体的に気配が低下するの巻となっておりまして、特に4月償還の短い所はキャッシュ潰し(よく考えたらバチアタリな表現ですわな^^)の買い対象となって引け値0.555%とか0.56%とかですけど、どう考えてもそれよりもレート低かろうという感じです。

このあたりのレートが利回りベースじゃ買いたくなくなる水準まで低下する間に中長期の金利がベアスティープするという図は何か暫く前にも見た事があった気がするのですが、別にこれ長いところ売ってる人と超短い所買ってる人が同じなのでは無い(と思う)んですけど、何かオモロイですな。


○2月決定会合議事要旨から(昨日の続き)

昨日はCPIの部分に注目してみましたが、もうちょっと景気に関する審議委員の検討内容を見ておくのも吉かと存じますので、『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』(本文4ページ以降、ファイルでは6ページ以降)のあたりから読んでみます。

・米国経済に関して(本文5ページ)

『米国経済について、委員は、住宅市場の調整が続いているものの、この調整が他のセクターに広範な影響を与えるには至っておらず、雇用者所得の増加やガソリン価格の低下などを背景に、足もと、個人消費は堅調であるとの認識で一致した。』

2月21日の時点では左様でございましたが、ご案内の通りで、審査基準がゆるゆるの住宅担保貸付(またの名をサブプライムローン)問題がどうなのよという話が盛り上がっているのが昨今の情勢。ということで、政策委員会で多くの人が懸念していた、

『多くの委員は、住宅市場の調整の帰趨はなおみえていないほか、食料品・エネルギーを除いたコア・インフレ率は引き続き高めであることなどを踏まえると、先行き、上下両サイドのリスクに引き続き注意を払っていく必要があると付け加えた。』

の下サイドのリスクが発生しているような気がしますが、さて・・・


・個人消費に関して(本文6ページ)

『委員は、底堅く推移しており、先行きについても、雇用者所得の緩やかな増加などを背景に、緩やかな増加基調をたどる可能性が高いとの見方を共有した。』

で、以下は個人消費が堅調ですという見方の人たちの意見が並びますが、先行き懸念してる人(=岩田副総裁)の見方はどうなっているかと言いますと、

『一人の委員は、10〜12月のGDP統計の個人消費を前年比でみると雇用者数の伸びに満たず、また、賃金の動きが鈍いといった弱めの動きがあることにも留意する必要があると述べた。』


・雇用・所得に関して(本文7ページ)

『委員は、労働需給を反映する諸指標が引き締まり傾向を続ける中、雇用者所得は緩やかな増加を続けているとの見方を共有した。先行きも、企業の人手不足感が強まる方向にあり、企業収益も高水準を続けるとみられることから、雇用者所得は緩やかな増加を続ける可能性が高いとの見方で一致した。』

ということで、こちらに関してはさすがに「弱めの指標がでてるけど色々と勘案すると堅調です」というトーンの意見が多く、個人消費の部分ほど威勢良く無いのですが、まあこちらに関しても先行き堅調という意見が大勢なのですが、一人の意見はちと弱め。

『一人の委員は、4 月に初任給、パート賃金などが上昇する可能性はあるものの、ここにきて賃金は予想以上に伸び悩んでおり、これが個人消費や物価の下押しに働く可能性には注意を払う必要があると述べた。』

ということで、この辺りを見ておりますと、引き続き雇用者所得の動向を注目する必要があるという感じになると思います。岩田副総裁(上記の一人の委員が必ずしも岩田さんである保証はございませんが、為念)が今後判断を強気転化していくとすれば、雇用者所得の動向に力強いものが見えてくる場合というのは一つの目安になるという事でしょう。


・資産価格に関して(本文8ページ)

『一人の委員は、都心における企業のオフィス需要は高まっており、不動産市場の活況には注意を払う必要があると述べた。その上で、この委員は、全体としてみれば、これまでのところ、企業は採算を慎重に見極めて不動産投資を行っており、実勢に見合った価格形成が行われているとの見方を示した。』

この資産価格に関する話は「一人の委員」さんが毎度毎度言及しております。今回もまあ一人の委員のコメントだけなんですが、これが複数委員とかになると恐らく会議場でのトーンが変わって来るという事になるんでしょうな。しかし企業の不動産投資云々ですけど、どっちかというと「まあラッキー♪」とばかりに企業は前回のバブルで売り損なった不動産売ってるような気がしますけれども、まあいっか(^^)。

地価が上昇しても、容積率が緩和されたり用途規制が緩和されてオフィスや住宅の供給が増えれば、不動産の利用者でありますところの一般ピープルにとっては無問題というか喜ばしい話でして、地価だけに注目して用途制限を厳しくするとかいうようなお馬鹿な施策は国民厚生上極めて宜しくないというのは前回バブルの教訓だと存じますが、今回はそのような事は無いように願いたいですな。

#しかし高さ規制が厳しい(56メートルでしたっけ)銀座4丁目山野楽器前が平米単価最高というあの算定基準もシロートとしてはよー判らん話です。収益還元法での取引という観点だったら高さ制限が緩い土地の単価の方が高いだろ常識的に考えて・・・・

と、最後は脱線しましたが、まあこのあたりが気になった所でございます。






2007/03/27

お題「利上げした時の議事要旨」

2月の決定会合議事要旨がでましたのでその辺のお話を。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g070221.pdf

○第2の柱ですか?

『当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』ということでどう検討したのかを読みませう。本文9ページ(ファイルでは11ページ)から。

『大方の委員は、今回の会合までに明らかになった内外の指標や情報をもとに、日本経済の先行きを展望すると、生産・所得・支出の好循環のメカニズムに変調は生じておらず、物価安定のもとで、息の長い成長を続ける蓋然性が高まっているとの認識を示した。』

『さらに、このように、経済・物価情勢の改善が展望できることから、現行の政策金利水準を維持した場合、金融政策面からの刺激効果は次第に強まっていくと考えられ、仮に低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着するような場合には、行き過ぎた金融・経済活動を通じて資金の流れや資源配分に歪みが生じ、息の長い成長が阻害される可能性がある、との見方を示した。』

声明文(最終ページにもございます)で公表されていたのと同じ話ですな(当たり前といえば当たり前ですけど)。これを見るとどうも「第2の柱」にウェイト置いて利上げしたんじゃネーノって思うんですけど・・・・

『また、このうちのある委員は、経済情勢の改善が展望できるのであれば、資産や設備の中長期的な予想実質収益率も回復すると指摘した上で、長期的な物価安定のもとで息の長い経済発展を実現するためには、予想実質収益率の回復に対応して、実質利子率を調整し、資源および資金の効率的配分を促すことが望ましいとの見解を示した。』

福井総裁でしょうかね、この資源及び資金の効率的配分ってのこの前国会でも言ってましたな。


○消費者物価指数が目先マイナスになるかもという話

消費者物価指数の先行きに関してですが・・・

・執行部報告(本文4ページ、ファイルの6ページ)

『先行きについては、目先、原油価格反落の影響などからゼロ近傍となる可能性があるが、より長い目でみると、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』

これは当月の金融経済月報と同じですな。

・審議委員の検討(本文8ページ、ファイルの10ページ)

『委員は、小幅のプラスで推移しており、目先、原油価格反落の影響などからゼロ近傍となる可能性があるが、より長い目でみると、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想されるとの見方を共有した。』

というのが一応結論のようですが・・・・

『大方の委員は、このところの原油価格の反落が当面の消費者物価の前年比の下押しに働くとみられ、場合によっては一時的に前年比がゼロ%ないし若干のマイナスとなる可能性があると指摘した。このうちの何人かの委員は、原油価格反落に加え、携帯電話の新料金プラン導入も、下押しに働く可能性があると述べた。』

ということで、大方の委員はマイナスの可能性を指摘してるのですが、最終ページにございますように、当日公表された声明文では

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)は、小幅の前年比プラスとなっており、原油価格の動向などによっては目先ゼロ近傍で推移する可能性がある。』

という風になっておりまして(ちなみに月報も同じ)、マイナスの可能性に関してはここでは触れてないんですな。今月の月報でもマイナスの可能性については書いてなくて、今月の総裁記者会見でしらっとマイナスの可能性についてコメントしております。

ま、確かに利上げしてる側から「コアCPIが目先マイナスになることも」とは言いにくいというのは判るんですが・・・・・


・利上げの議案検討時点では(本文9ページ、ファイルの11ページ)

『これらの委員は、今回、政策金利引き上げが決定された場合には、その判断は、1〜2年先の経済や物価の姿を展望した上での、フォワード・ルッキングな視点に基づくものであること、いいかえれば、目先、消費者物価が弱含みに推移し、場合によってはマイナスとなることは十分念頭に置いた上で、その先を展望したものであることを明確に説明するべきとの見解で一致した。』

と言うことで、「1〜2年先」の経済物価情勢を展望した「フォワード・ルッキング」だそうですので、1〜2年先になってもコアCPIがゼロ近傍だったり瞬間マイナスになったりということにはならないという事でよろしゅうございますでしょうか、おっほっほ。


○岩田副総裁の反対意見

本文10ページ(ファイルで12ページ)より。

『一方、ある委員は、フォワード・ルッキングな視点に立った上で、賃金、個人消費の弱めの動きが払拭されておらず、生産面で、軽度であれ踊り場となる可能性が高いという状況のもとで、物価上昇率の先行きに不透明感が強いことから、無担保コールレート( オーバーナイト物) の誘導目標を、現在の0.25% 前後に維持することが適当であるとの意見を表明した。この委員は、2008 年度を含めた物価の先行きについて、「展望レポート」などで説明した上で、政策金利の引き上げを行っても遅くないのではないか、と述べた。』

前段と最後の展望レポート云々の部分で何かニュアンスが違う気がする(フォワードルッキングで利上げできないなら展望レポートで説明しても利上げできないんじゃないのかなあ)けど、要はCPIの先行き上昇に対する不透明感が払拭されてから利上げをすれば良いじゃないかという話でしょう。


○市場との対話

同じく本文10ページ(ファイル12ページ)以降。

『市場との対話について、多くの委員は、日本銀行が発信すべき情報は、具体的な政策のタイミングではなく、あくまでも経済・物価情勢に関する判断や金融政策運営に関する基本的な考え方であると述べた。』

でも、その「金融政策運営に関する基本的な考え」に具体的な金融政策の方向性がでまくるのは如何なものかと思うのですが。いやあの正常化路線で利上げバイアスってのならそれはそれで堂々主張していただければ宜しいのですけれども。

『その上で、日本銀行が発信した情報を受け止めた市場参加者がこれを自らの経済・物価に関する判断とすり合わせて金利観を形成し、日本銀行は市場で形成された金利から市場の経済・物価観を知る、という双方向のコミュニケーションのプロセスが重要であるとの認識を示した。一人の委員は、簡潔な情報発信に努めることが重要であると述べた。』

最後の人の「簡潔な情報発信」に関しては同意です。双方向のコミュニケーションってのは何かこう円環性の香りがするのでどうもなんだかねって気はするんですが。


○採決前の議事中断タイミング

本文12ページ(ファイル14ページ)を見るとこうなっております。

『議長が金融市場調節方針の変更などについての議案を取りまとめたことを受け、財務省および内閣府の出席者より、議案への対応について両者の間で協議するとともに、必要に応じ、財務大臣および経済財政政策担当大臣と連絡を取るため、会議の一時中断の申し出があった。議長はこれを承諾した(午後1時01 分中断、午後1時26 分再開)。』

ということで、議長提案が出て議事中断したのは午後1時なのですが、よくよく考えてみるとその前の段階で多数意見が利上げになっていたというのは議事要旨にある通りでございますので、少なくとも議事の内容が判っていれば「今回は利上げの提案が出るでしょう」というのは想像がつくような希ガス。さて・・・・・・


○何で内閣府は議事延期請求しなかったの?

採決前に財務省と内閣府の出席者から発言がありました。

『先ほど、政策金利を0.25%から0.50%へ引き上げる旨の議案が議長より提出された。政府としては、従来から申し上げているように、最近の経済・物価情勢に鑑みれば、景気回復を持続的なものとするため、経済を金融面から支えて頂きたいというのが基本的な考え方である。その上で、具体的な金融政策運営については日本銀行に委ねられており、政策変更については政策委員会のご判断にお任せしたいと考えている。』

というのが財務省の発言。経済を金融面から支えるという基本的なラインから今回の決定は逸脱してないという認識だとあたしゃ理解しますけど、そんな認識で良いのでしょうか。

で、内閣府の発言がやたら長いのですが、結論部分と思われる所はこうなってるんですよね。

『ほど、利上げに関する議長提案がなされたが、現在は、デフレから脱却するかどうかの正念場であり、また消費も足もと弱いという極めて重要な局面であることに鑑みれば、責任を持って金融面からしっかり経済を支えていただくことが重要であり、利上げを急ぐ局面ではないものと考える。』

『具体的な金融政策運営は金融政策決定会合において政策委員の過半数をもって決せられるものであるが、こうした点を十分考慮して、慎重にご判断いただきたいと考える。』

そこまで言うなら(否決されるにせよ)議決延期請求をすべきではないかと思うんですが、内閣府は何だか言うだけ言ってやることやらないっていう印象を受けてしまうのは内閣府にキビシイですかねえ。

ということで本日はこの辺で。昨日書くかもと言ってたのはめんどいので多分割愛の巻。あと日銀の考査方針も公表されてましたんですけど、そこまで手が回りません。。。。






2007/03/26

お題「FB入札など/今更ですが国債市場特別参加者会合」

米国なんだが、この位置でイールドカーブがスティープしながら株式が上昇してるのを株高株高と嬉しそうに報道するのは如何なものかと思うのですけど。ただのインフレ懸念じゃねえのと思うのですが・・・ま、どうでもいいですが。

○新発FBに局地的大需要発生

金曜は中長期債は(たぶん)10年の実弾売りで威勢良く売られてましたが、短期に関しては金利が低下しておりまして、思いっきり反対の動きをしておりました。

FB入札ですけれども、前場引けの0.59%オファーの0.595%ビットヒット(確かビット残りだと思うのだが)から落札水準は平均0.592%の最低0.595%ということで、傍目の人から見ると普通の入札だと思うのですが、情報ベンダーのコメントではもうちょっと流れるという観測もあったらしいですな(あたくし的には3か月などの長めのCPのレートなんかが木曜から低下気味だったことを考えるとそんなに流れるとは思わなかったけど、と後出しじゃんけん^^)。

で、落札結果発表後、やたら買いがお越しになったようで最初はディーラーの空振りかと思いましたが、こりゃ投資家の空振りなのか買った上に買い上げているのか知りませんが(不明玉が1.5兆でした)、0.54%レベルまで買われる有様。この間さすがに既発債のオファーも消えてしまったのですが、どうも利回りじゃなくて「新発FBご指名買い」の人の買いのようで、結局引けは新発439回が0.555%(は勿論ビットサイド)となっておりまして、その前の3か月物FBが0.58%の引けに対して思いっきり逆イールド。

いやまあご指名買いでお家の事情買いだがら銘柄を分けるのは管理上面倒だというのは判るんですが、一応経済合理性というのも考えて購入していただきたいのですけど。利回りを見て普通に投資する人たちには大迷惑もいいとこですが、入札で必要額落札できなかったディーラーもとんだ災難でございましたな(まあ度肝を抜くほど入札が強かったわけではないのでそんなに空振るなよとは思うけど、ここ暫くの入札の流れだとやっちまうのかな)。

それはそれとして、昨日はさすがに期内のレートがアフォのように上昇するのも如何なものかという見方と、期末越えの資金運用をレートの高いうちにやっておこうという動きも運用側に出たのか、足元のGCレートは沈静化し、長めのCPレートも気持ち低下(1か月とかは低下しないけど3か月とかは気持ち低下した感じ)という動きで、先週前半の金利上昇は見事に沈静化したという感じになりました。


○ちと古い話ですが特別参加者会合から雑感

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c190316.htm
先々週の金曜(3月16日)に行われた特別参加者会合ですが、「ふーん」と思ったのが2点ほど。

・新窓販スキームに関して

『新窓販については、個人に対する利付債の販売は証券会社等一部の民間金融機関では今でも行われているものの、その機関数は少なく、販売を行っている金融機関でも個人販売向けに用意している国債はそれほど多くない。また、その上募集期間も短く、個人が(個人向け国債以外の)国債を購入しようとしてもなかなか購入しにくいという声が聞かれたことから検討を行っている。』

個人向け国債が始まってから窓販ってそんな扱いになっているとはあたくし存じませんでした。まあ大昔の国債窓販に関しては2年新発国債の販売が主に行われて、(その後2年の金利がまるで付かなくなったので量的緩和以降は知らんが)他には10年新発の募集販売と言った所でございましたが、最近はそんなに購入しにくくなっているんですかそうですか。はね返り玉の買取とかもあるので別にまるっきり在庫ないという事もないとは思うのですが、大体想像できることとして、個人向け国債の販売やってる分には在庫リスクないですし、手数料も入ってきてウハウハなんで、在庫リスクあるわ、利鞘も取りにくい(量的緩和時代よりはマシでしょうが)既存の国債窓販スキームをやるのがアホラシカとなってるんジャマイカと思うのですが。

まー個人消化強化が重点施策だからやりやすいスキームを作るということなのかも知れませんが、スキームを一読すると何かこう既存の窓販と比較して購入者&販売会社に寄ったスキームに見えますけど。。。。


・流通市場の活性化について

というお題での論議が最後の方にありまして、これがまた見事に非居住者というか外国人投資家様の方をむいた話ばかりが連続していて実にこうアレでございます。誠に血圧の上がることよと思って読み進めていたら最後の方で「おお!」という意見を発見。曰く、

『(前半略)セカンダリーでの外国人投資家のフローは確かに増えているものの、最終投資家としては圧倒的に国内投資家が多いという状況にある。したがって、もう少し絶対金利水準が上がってきてグローバルに日本国債が保有されるという環境が生まれた場合には、最終投資家としての外国人投資家を意識したリオープン発行を真剣に検討しても良いと思うが、現時点では、国内投資家が扱いやすいことをポイントにしたほうが良いのではないか。』

いやあ全く仰せの通りかと存じます。だいたいからして外国人投資家云々と言いますけど、この前日銀から出ておりました日銀レビューシリーズ『円金利市場における海外投資家の動向について』(まだご紹介してませんでしたが、汗)(http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev07j02.htm)に参加してきてる投資家様の動向がレポートされております。

めんどいのでサマリーの部分から引用しますと斯くの如し。

『特に海外投資家は、わが国の景気・物価に対する強気な見方などを背景に、(1)イールドカーブの短中期ゾーンのショート・長期ゾーンのロング、(2)物価連動債ロング・名目国債ショート、(3)ボラティリティ・ロングなどのポジションを積み上げて、相場に強い影響を与えた。一方、市場価格の歪みを主な収益源として、アセット・スワップ等の裁定ポジションの組成を積極的に行っている海外投資家もいるほか、相場のトレンドに乗じるかたちで取引を行っている海外投資家もいる。近年の日米間における長期金利の高い連動性は、こうした海外投資家の取引動向と関連している可能性がある。』

どう見てもただのアービトラージです。本当にありがとうございました。

・・・・ということで、海外の年金資金とかが長期安定的に投資するというような話だったら兎も角、別に鞘取りで入ってくる人に特段の「ご配慮」をしてやるこたあねえ(排除する必要は全くございませんが^^)と思うんですけどね。

じゃあ何で「海外投資家が使い易い云々」っていう人がいるかと言えば、海外投資家様がディーリングタッチでドタバタ動いてくれれば業者としては商売のネタが増えてオイチイですから、そりゃまあよりドタバタやれるようになってくれと言いたくなります。ポジショントークの類ですわなこりゃ。

業者間の引け値(とは要するに日本相互証券の引け値だと思いますが)が恣意的(恣意的になるのは日本相互証券のせいでは大体ございませんので念の為)でどうのこうのという話もございまして、まあ確かにあまり無茶な引け値は勘弁して欲しいのですが、長い目で見れば結局フェアな所に収斂されるもんですからケンチャナヨと思うんですけどね。それよりどこぞの債券インデックスで出してる一般債(自粛)

#えっと、本当は金曜の某金融新聞で中々香ばしい論旨のコラムを発見したので、肴にする積りだったのですが、ちと時間がなくなったので明日覚えてて時間が有ったらその辺を。





2007/03/23

お題「総裁記者会見など」

○地価公示にシロウトの雑感

#シロートにつきトンチンカンなのは笑って下さい

金融庁の幹部様が都心部の一部における不動産価格の上昇に関して日経金融インタビューで警戒感を表明しているそばから国土交通省様が都心部地価絶賛上昇を世間一般に大公表する公示地価公表とは実に香ばしい。

で、「全国平均で上昇」といってますが、面積的に言えば下落してる方が断然多くて2極化が絶賛拡大しているようにしか思えませんが、まあこういうのは雰囲気が出来ると、またぞろ新築マンションブームとか言って価格がさっくり上昇するんでしょうなあと思う次第。記者発表では「このままの勢いで都心部が上昇する訳ではありません」とかわざわざ言ってたようですけど。

で、あたくし昨日の夜9時の公共放送ニュースを見ておりましたら、「私たちのマイホーム購入にどういう影響があるでしょう」と言うことで、「都内では手ごろな価格の新築マンションが減っています」「待っていると買えない」「あの時買っておけば良かった」「夢のマイホームが遠のく」などと煽り文句が満艦飾の報道に誠に微笑ましいものを感じましたけどね、おっほっほ。(追記:しかし決定会合のフライング報道もそうですけど、何か公共放送なのに一生懸命センセーショナルな報道を追い求めてませんかねえ、全く困ったもんだ)

#新築マンション人気の江東区臨海部なんですけど、今まで放置プレイになってた地所が幾らあるか自転車でも乗ってロケハンする事をお勧めします。推奨ルートは有明から辰巳回って木場に抜ける感じで♪


ま、そんな余談はともかく総裁記者会見あたりから、というか積み残しのネタもあるのに日銀からいろんなもんがリリースされて全然フォローが追いつかない(本業もそこそこ忙しいので)あたくしなのであります。ネタは小出しで願いたい(笑)


○総裁記者会見

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0703c.pdf

・フライング報道関連

何か半分くらいフライング報道の糾弾会をやってるようで、国会ネタ恐るべしと言うところでもありますが、会見ビデオ見てないですが何となくどこぞの誰かさんが粘着して突っ込んでいるような気もしますな。まあこの質疑部分は正直国会の追及とあんまり変らん話っぽいですから先日このネタやったんで簡単に。

いやまあNHKが毎回実況中継(笑)するのもふざけた話でして、しかも日銀・政府サイドでは「憶測報道」としてNHKでは「取材に基づく確実な情報によって行った」(上記質問者によると)そうでして、その差がどうにもこうにも釈然としませんが、まあ双方に聞いても埒が明かないでしょうなあ。

でも、ここを突っ込み出すと、そういえば量的緩和解除前に新しい金融政策の枠組みに関して物凄く丁寧な内容を報道していたどこぞの新聞社はどうなるとか、なかなかオモロイ話になってくるようにも思えますな。


・岩田副総裁の賛成票

岩田副総裁が現状維持に賛成した件に関する質疑から抜粋。

『あえて今のご質問に一言だけ答えるならば、前回岩田副総裁が利上げに反対された理由の柱は、物価の先行きについて透明性のある説明が必要だということであったと思います。岩田副総裁は、本日も今後展望レポート等で、より透明性のある物価に関する説明ができるよう、日銀として努力すべきである旨を述べておられました。そういう意味では、基本的な主張に変わりはないと理解して良いのではないかと思います。』

引き続き物価に関する説明を行うようにということですので、まあ来月出る議事要旨を見ればより詳しく判るでしょうが、物価が目先ゼロ近傍で推移し、岩田副総裁としては先行きに関して不透明な部分がある中での利上げは時期尚早というスタンスはスタンスとしてあるという事でしょうか。ただまあ利上げで却って中長期金利は低下してるので別に利下げする程のこともないということ・・・・なんでしょうか。勝手な想像ですが。


・一部の地価上昇だけ見て利上げは無いようですが・・・

不動産価格等資産価格と金融政策に関する質疑から抜粋。

『大都市の中心部における地価上昇のスピード、あるいはREITの取引をみても、キャップ・レート(不動産の収益を現在価値に割り引く際に適用する還元利回り)の下がり方等、色々な視点からみています。確かに、一部の大都市中心部の地価上昇についてはスピード感を伴なっていると思うことがあります。しかし、全体としてみれば、地価は、その土地を利用して将来生み出すであろうキャッシュ・フローの割引現在価値の範囲内での変動から、著しくはみ出すリスクを感じるというところまではいっていないと思っています。』

ということですので、一部の資産価格上昇をとっ捕まえて全体に影響が掛かる金利政策で対応するという攻撃はしないものと存じます。ただし・・・・・

『金融政策運営上は、実体経済と物価の先行きの動向が政策判断の中心命題となりますが、地価あるいは為替市場の動きなども、頭のどこかにはしっかり置きながら、全体としてバランスのとれた政策判断をしていかなければならないというスタンスを、今後とも堅持したいと思っています。』

まあね、こういうこと言うから「日銀は何を判断材料にしてるのかその時々でコロコロ変る」と悪態をつかれる(つくのはお前だろうというツッコミは華麗にスルー^^)んで、それは言わずもがなだと思うんですけど、要は全体的な上昇がバブル的な場合は対処もと言いたいんでしょうな。実際問題としては「バブル的なときは対処するぞ」というのは「抜かずの宝刀」って奴で、そういう風に見せておけばバブルの野放図な拡大を抑える事が出来るってイメージだと思うんですが・・・・・


・物価に関して

物価の見通しに関する質問より。

『国内の物価について――消費者物価指数を中心にお尋ねになっていると思いますが――、消費者物価指数(除く生鮮食品)をみると、2月ないし3月という目先、前年比でおそらく若干のマイナスになる可能性が――ならないかもしれませんが――あると思っています。いずれにしてもゼロ近傍で推移するということです。』

マイナスの可能性に言及キタコレ。

『原油価格の落ち着きは良いことですが、消費者物価指数の面では表面的な物価上昇率の押し下げ要因として働く結果、そのような現象が起こる可能性があると思っています。この場合の理解としては、経済全体が着実な回復過程にあり、先程申し上げました生産・所得・支出の前向きな循環メカニズムが働いている限り、原油ないしガソリンを含む石油関連商品の価格下落はある意味で交易条件の改善ですので、経済にとってはマイナス要因ではありません。従って、表面的な物価がマイナスになったからすぐ経済がデフレに走るというようなものではないということは、ご理解頂けると思います。』

原油価格が上昇した時の理屈と話が違うのは仕様です(-_-メ)

『さはさりながら、より長い目でみて経済の回復力の強まりとともに消費者物価指数(除く生鮮食品)が着実にプラス基調を持続していくかは、フォワード・ルッキングな金融政策を考える上で非常に重要な点であると思っています。(中間割愛)全体の需給ギャップが緩やかではあっても着実に需給がタイト化する方向に経済の拡大が進むということであれば、物価の基調もよりしっかりとしたものとなっていくという方向性自体は間違いないと思っています。(以下長いので割愛)』

ということで、先行きに関して上昇は「間違いない」ということで(まあそうじゃないのに利上げされても困りますが)すが、そのあたりの話は展望レポートで示されるものと思われます。


#えーっとここで時間切れなので後はメモ

○メモメモ

・足元の金利上昇一服

0.7%とかまで上昇したGC取引でしたが、さすがに昨日は何ぼなんでもそれはねえだろという事で資金が出てきて結局GCも0.6%台に低下したようですな。ついでにCPのレートもさすがに上昇一服したような感じで。そりゃまあ末初が上昇するのは仕方ないけどそれ以外の金利まで上るこたあねえよなって感じです。CP金利なども(もともとショートターム以外あまり反応してませんでしたが)上昇一服の感じ。まあ末までにもう一回やらかすかもしれませんが・・・・

そんな訳で、今期最後の3か月FB入札が行われるのですが、別にどうということも無い入札になっちゃうんじゃないかという予感が致しますけど。2年に関しては・・・・・知らんけど受渡が4月だから末初のファンディングも関係ないしモウマンタイなのではないでせうか。

・日銀から出てるペーパー

日銀レビュー・シリーズが2本出ておりましたが、この期末越えのクソ忙しい時にそのようなものを出されても読む暇が無いのですけれどもというのはあたくしの事情ですね(笑)。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev07j01.htm
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev07j02.htm

債券市場と短期市場の両方の話がございますよ。

実はそのほかにも積み残しのネタがあったりするのですけどorz







2007/03/22

お題「足元金利が期末モードな話とか決定会合とか」

話題は色々あるのですが頭がまとまらない。。。。

○足元の金利が高止まりです

火曜も債券市場はあんまりとっかかり材料もなく、まあ確りですなあという感じのようですが、超短い所は益々盛り上がって参りましたという感じでした。朝っぱらから翌日スタートのGCが0.75%見事にロンバート金利をつけてみたり、現先レートも高止まりしてみたりという動きでして、結局26日スタートの翌日物GCレートは0.7%乗せレベルまで上昇した模様。いやはや何とも。

いやまあ期末越えの金利の上りっぷりにもビックリなのですけれども、期内に関しても資金を出し渋るというか熱心に取る人がおいでのようで、期内はバーゼルUとか関係ねえだろうとか思うのですが金利が絶賛上昇しちゃうのが誠に香ばしい有様です。まー雰囲気がそうなってるんで仕方ないのと、特にレポに関しては取引主体が依然として限定されてることからこう言った勢いで行っちゃうのをやりやすくなるのではと思われ。

火曜日は国債買現先オペが実施されまして、3月23日〜4月18日の期間で平均0.655%と前日の共通担保オペの金利よりも微妙に低下(期間が微妙に違うので、出来上がりの金利を単純比較する訳にもいきませんが、火曜日に申し上げた理屈で期末まで0.65%、期初から0.60%で計算すると末初が0.96%になります)した感じ。まあ今回は銀行が主に参加してくる共通担保オペと証券が主に参加してくる国債買現先オペの差が現れましたなという感じではあります(銀行の方がお家の事情的な札を入れてくる事が多い)。

まー一応上昇してるのは期内までの足元金利と末初金利ということで、3か月とかの金利になると上昇してる足元部分の影響が薄まりますし、これだけ足元の資金を絞る動きがあれば期末を抜けたら金余るだろうという発想もでてきますので、長めの金利はさほど上昇してないという感じのようで、あくまでも一時的だという評価なんでしょうな。


○金融政策決定会合

正直、今回に関しては別に何が出る訳でもねえと思ってたので、決定会合の結果が出て「ありゃ会合終わってました」くらいのノリでございましたが(苦笑)、ふと結果を見ると「全員一致で金利据え置き」ですかそうですか。岩田副総裁も現状維持に賛成という事ですな。

前回の会合で利上げに反対したので利下げ提案するのかという期待はほんのちょっとだけありましたが、先日講演を行った際の記者会見で言ってたのは「利上げは4月の展望レポートなどでロジックを出してからでもよいのではないか」という感じで、要はタイミングの問題で利上げに反対してたということなんでしょうな。

#まあ中長期の金利は利上げ前よりも下がってますしねえ


○金融経済月報

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0703.htm(3月)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0702.htm(2月)

景気と物価の部分で前回と比較して表現ひ変化があるのは3箇所です。

・景気の現状判断の生産部分

『このように、内外需要の増加が続く中で、生産も増加基調にある。』(3月)
『このように、内外需要の増加が続く中で、生産も増加を続けている。』(2月)

えーっと、この「増加を続けている」というのと「増加基調にある」というののどっちが強い表現なのかという話ですが、多分2月の方が表現強いと思うんですが、それで解釈合ってましたっけ。


・消費者物価の現状判断

『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、原油価格反落の影響などからゼロ%近傍となっている。 』(3月)
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、小幅のプラスで推移している。』(2月)

まあここは物価統計の結果としてそうなってるのでこうなりますな。


・国内企業物価の先行き見通し

『国内企業物価は、国際商品市況の反落の影響から、目先、弱含みないし横ばいで推移するとみられる。』(3月)
『国内企業物価は、国際商品市況の反落の影響から、目先、弱含みで推移するとみられる。』(2月)

ということで、こちらは「弱含みないし横ばい」ということでやや先行き判断を上向きにしております。

ということで、総体としての変化はあまり無いのですが、先行きの物価に関しては国内企業物価下げ止まりということで、まあ国内企業物価下げ止まりから消費者物価のゼロ近傍状態も将来的に見れば上昇に転じますよという事を言いたいというのは把握しましたですよ。


○引き続きフライング報道ネタ(メモ程度で)

衆議院に引き続きまして、20日火曜日は参議院財政金融委員会でNHK等のフライング報道に関して山口理事、浜野内閣府審議官、勝財務省総括審議官などへの質疑が行われました。で、内容に関してはやはり会議録が出てから改めて読んで見ますが、当然ながら情報漏れなどもなく、そもそも福井総裁の利上げ提案はNHK報道の後だという話になっております(火曜の総裁記者会見でも本件がネタになってたようですが)。

となりますと、NHKのフライング報道は「見込みで飛ばし報道をした」ということになるというちょっと常識的に考えてそりゃねえだろうとなるのですが、どうもこう釈然としませんわなあという感じではございます。

しかし追及してる大久保委員(民主党)様におかれましては、「ブラックアウトルールの徹底」という話をしておられますが、それであれば、ブラックアウト期間に日銀総裁などを国会に呼び出して答弁させるのもお止めにならないといかんと思う訳でして、ブラックアウトルールがどうのこうのって突っ込みをし過ぎると自分達にもブーメランになりますなあと民主党らしい芸風に感心するのでありました(苦笑)。






2007/03/20

お題「期末越え金利が盛り上がってまいりました」

あたくしゃ水曜休みって楽で良い(というか土日休むとリズムが狂う)っすからハッピーマンデーじゃなくてハッピーウエンズデーの方が嬉しいですな。2日休暇つければ土日含めて5連休になるのもポイント高いと思うんだけどなあ・・・・

という話はともかく、期末越え金利が上昇している話あたりから。

○期末越え金利が益々上昇

先週後半から突如上昇の勢いになった期末越えの金利ですが、昨日も金利上昇圧力は収まらずの巻でして、無担保コールの末初取引で金曜に1%とか言ってたのがどうも1.5%とかの水準まで切りあがっているとのこと。背景にはまあ色々と言われておりますが、基本的には今回はバーゼルU対応に関する諸々の問題で期末越え資金の出が悪くなる可能性があるので、念の為足元の資金を確保する必要があるでしょうって事になっておりますです、はい。

まあそれで無担保の資金が上昇するのは判る(ロンバートの倍まで上る理由は理解に苦しむが)のですが、何もそれにオペ金利が追随せんでも良い(担保があればロンバートを使えば良いじゃないかと)と思う次第でして、昨日の共通担保本店オペの金利は3月22日〜4月13日で平均が何と0.688%になってます。この金利なんですが、末初以外の金利を期末まで0.65%、期末越え後0.60%と置く(前半はともかく、期末越えて0.6%というのは設定として高いんですけどね)としても末初金利は1.1%とかいう計算になってしまいます。ロンバートの遥か向こうでございますが・・・・・

この金利上昇、雰囲気に煽られて上昇してるのか、誰かが煽ってるのか知りませんが、バーゼルU絡みでどうのこうのって話は別に昨日今日出てきたような種類の話じゃない訳でして、直前までまるで気にしてないレート形成だったものが直近になって突如上昇というのは(以下連日の悪態と同文^^)。正直申し上げて何でここまでやるのかよという感じで、どうせならこの上昇は実は期末資金を予め確保してる人が運用レート引き上げの為に不安心理を煽ったんですよって結果の方がまだあたくし的には納得(何の納得だ)行く位のお話ですよ。単に「急に資金が止まったので」というのが原因だとするとあまりと言えばあまりな展開で、まさに香ばしいとしか・・・・

#まあこんなになる前に着々とCPなどを発行して資金調達をしている手回しの良い人たちもいるんですけどね。

とまあそんな状態ですので、CPのレートも絶賛上昇しているようでして、昨日は期末越えのCP発行レートが上位格付けの中でも格上扱いされるような銘柄でもほぼ共通担保オペ金利水準となっている(まあオペ金利がそれですから仕方ない面はございますが)ようでして、こりゃ何たる金利上昇って感じではございます。ナムナム。


いやあのですな、言われているように「制度改革が絡むので期末越えの流動性を確保しておこう」というのがここもとの金利上昇の要因なのであれば(と書くのは、本当の所は実際に取りあがっている人に聞かないと判らんというのがありますんでね)、不確定要因が外れる頃、即ち遅くても期末を抜けた後、普通に考えれば期末当日とか前日とかで資金の流れなどが読めてきた所になれば、いざと言う時に確保しておいた資金も出てきまして、通常ベースに戻るのは割と早いと思うんですけどねえ。今月末までと期末越えの末初取引は仕方ないと思うんですけど、その先まで高いというのはちょっとねえ。

#ただまあそう言ってる人が極めて多い時に世の中そう行ったためしは無いということには注意する必要がございます(笑)


○日経金融新聞の不動産関連インタビュー

昨日の続きですが、日経金融新聞の連載特集『不動産は「バブル」か』の後半はインタビューでして、その中で金融庁の遠藤課長(監督局銀行第一課長)のインタビューがございました。

で、収益還元法で導かれた価格に対して『根拠があって収益還元価格の適切さを説明できるならいいが、願望を織り込んでいるなら、価格の妥当性を疑わざるを得ない』ということで、結論部分では都心部などの絶賛資金流入物件を念頭に置いての指摘だと思いますが『今の不動産はやはり通常の状態ではないと思っている』との指摘をしておりました。

まーあたくしシロートの類なので本当はどうなのよというのは存じませんけど、都心部の状況とか、ファンド売買絡みなどでは(そもそもあたくし確か一昨年から昨年に掛けてファンド関連の売買とかレポートとか見てて「???」と思って何か書いたような気もするのですがサルベージしてませんです)ちょっと昔のアレを思い出させるような雰囲気を感じるんざますがね。特にあたくしなんぞ金貸しの手先としてバブル崩壊途中で過去の金貸し案件資料を見て血圧が良く上昇しただけに、その手の香りには妙に敏感に反応するのよね。

まあそれはともかく、収益還元法に関して疑問ということですが、基本的にこの手の物には鉛筆舐め舐めの要素がどこかに入る面がございまして、まあそこのところをどう評価するのかが難しいという話でございますわな。でも何かこの指摘に既視感があると思ったら本石町日記さんの指摘で判りました(^^)。

http://hongokucho.exblog.jp/6624023/
金融庁幹部インタビューの感想=笑った点、疑問と違和感覚える点

の最初の部分ですな(^^)。そうそうDCF法ですよDCF法、これって日銀も言ってましたが、金融庁さまもDCF法の話をしてましたなあと思うのでした。いやはやそうですなあという感じ。

で、不動産市況(地面の価格とは限らない話ですけど)に関してはあたくし都心部分の特に住宅系物件とか、ファンド絡みのあたりとかを興味本位でテキトーにシロウトヲチしてるせいか、ちょっとねえと思う部分はございます(東証REIT指数の昨年末近くからの上げっぷりなんかもご参考に^^)。ただし、それを日銀が警戒して利上げするとかいうのはそりゃ話が変でして、誰がとなると金融庁になるんでしょうな。そのあたりコメント欄の飛車さんの見解に同意です。

とまあ本日はそんなところで。




2007/03/19

お題「月曜なので雑談」

新聞ソースなのでアレですが、公務員なんちゃら改革で中川幹事長様は「首相の意向が明らかになった以上、閣僚も従うべき」ということで「反対閣僚は更迭も」という記事のお題になってますが、首相様が決めたら全員従えってどんな民主集中制かよなんでしょうかねえ。

という話は兎も角、まあ週初につき雑談。しかし水曜が休みなのすっかり失念してましたよ。

○日経金融の不動産関連記事にふむふむなるほど

16日金曜日の日経金融新聞1面特集記事のお題は『不動産は「バブル」か』ってお話でして、読んだ感じでは「バブルでは無いが注意すべき点が見受けられる」という流れになっておりました。ふむふむなるほどと思いながら読んでおりましたが、中々良さそうな記事なので続編に期待したいです。で、その記事を見てて2箇所ほど特に「ほっほー」と思ったんですが。

特に都心部の不動産価格絶賛上昇状態で、『ファンドの運用資金に対する負債の比率が70%程度の案件の場合、2−3年前までは2%程度だったが、相次ぐ競争で1%を下回る水準のケースも珍しくない。』(同記事より、以下の引用も同様)そうなのですが、この状態に関しては『「バブル」とみることに不動産業界は否定的だ。』とのことでして『「運用利回りは長期金利を上回り、買われすぎではない」(REIT運用会社)と反論する。』そうです。

・・・・長期金利と比較している時点でやり過ぎのような気がするんですけど・・・・・

それとですな、もうひとつ「ええっ」と思ったのは記事で指摘しているファンド間の転売でして、『ファンド間で転売が繰り返される結果、賃料など物件価値は同じなのに販売価格だけが上昇する現象も起きている。』というのは、その価格がどうのこうのは存じませんが、ファンド間での売買というか物件入替に「???」なものを感じたのはあたくし1年ちょっと前にこの駄文で言及したような気がするんですが。

で、その「ええっ」部分はその続き部分です。『「土地転がし」と見まがうばかりの取引の登場で、ある大手リース会社は「物件所有者の履歴もしっかり確認するようにした」という。』との事です。えーっともしかして今までそのあたり確認しないで融資つけてたりしてたんでしょうかと目がテンになってしまいましたことよ。素人のあたくしだって「何か引っ掛かるなあ」って思うんですけど・・・ま、取材に答える形でコメントしたのでそういう表現になっているだけだと思うんですが。

ということで、どうもこうやり過ぎ感は漂うのですが、まあ「不動産バブル懸念」ってネタが言われるうちはバブルではないという理屈も成り立ちますので(笑)、まー今後の金融庁の舵取りを見守りたいですな。



○ますます雰囲気が煽られる期末越え

金曜のGCレポ取引も引き続き金利下がらんの巻で、22日スタートのところで0.64−65%あたりでの推移となっていたようでして、レート高止まり傾向が続いていますな。

で、クイックのニュースによりますと期末越えの翌日物取引では1%での取引があったとのことですが、いやあのついこの前まで期末越え何も起きないようなレート形成やっておいて、いざ20日を越えてきたらレート上昇とはこれまた随分と極端な展開でございますなあという感じです。こうなって来るとショートタームのFBやCPなどにも影響がさすがに現れるんジャマイカとは思います。CPもついこの前までは期内エンド物で最上位格付けが0.59%とかでしたので、このあたりのCPやらFBが(現先対比)逆鞘プギャーということになってしまいますんで、どの辺りまで我慢できるのかっちゅうところでしょうか。

短国の場合は短国買入というお助けオペがありますが、CPに関しては日銀が買い切ってくれる訳でもございませんので(その代わり?金融機関じゃない人も沢山買うのでそこはまあバランス取れてますけど)現先レート上昇がより効いてくるでしょうなという感じです。CPは3週間とか1か月とかの発行もありますが、短期国債の場合はショートタームは既発しか無いので、売りが出ないと需給が悪化しないという面もございますし。

で、今日は主に22日発行物の新発CPが出てくる日で、3月の場合は期末ギリギリを避けてちょっと前倒しで発行されることも勘案すると、今週の発行はそこそこあるかと思いますので、その動向も局地的に注目ですな。あんまり上昇すると銀行借入に振り替わってしまうかも知れないですけどね。

それにしても3か月FBが0.60%あたりで粘っているのが力あるわって感じでして(新発2か月は0.60%の引けですが、新発3か月は0.59%の引けですよ)、足元の現先やレポ対比では逆鞘としても、長い目で見た場合この金利上昇はあくまでも一時的なものという見方と、期末前の短期国債に対する投資家ニーズの強さを反映してるんでしょうかねえとありきたりな感想を。正直もうちょっと金利が上るもんだと思ってたんですが・・・・

#ということで、月曜は調子が出ないので簡単に勘弁でした







2007/03/16

お題「決定会合フライング報道ネタとか足元金利ネタとか」

ネタが続出してまいりました!・・・・つーか一気に出るなよ(笑)。

#ところで、あっちの国の投資銀行決算で「サブプライム関連は収益の3%程度ですから問題ないです」という説明で株価がさっくり上昇してるという報道になっとるんですが、ローンが飛ぶという場合は収益の問題じゃなくて元本の問題なんジャマイカという気がするんですけどねえ・・・・・


○フライング報道に関して国会で質疑応答

昨日(15日)午後の衆議院財務金融委員会で民主党の平野達夫委員がNHKのフライング報道に関して福井総裁と尾身財務大臣に質問をしておりました。まあ後日会議録を精読したく存じますが、昨日のブルームバーグニュース記事をソースに内容をチェックするということで、元記事はブルームバーグニュースの15日17時52分配信記事です。

『決定会合の開催中であり、私どもも大変驚いたし、大変遺憾なことだと思っている。報道は憶測に基づくものだと思っている。日銀では、決定会合の開始の時から記者クラブで決定内容を公表するまでの間は、日銀の出席者は原則として外部と接触しないという厳しいルールを設けている。同時に、政府から出席いただいている方々に対しても、このルールの趣旨を十分お伝えして、厳格な情報管理をお願いしている。私は議長席から見ていて、このことは厳格に守られていると常々確認している。したがって、あのような報道がなぜ起こるのか、なかなか不可思議なところがあって、恐らく憶測に基づくものではないかと思っている』

という風に福井総裁は説明したわけですが、それに対して平野委員は当然のようにゴリゴリ突っ込んでくるのです。元ネタがブルームバーグの記事ですので敬意を表して長くは引用しませんが、質問の中でこんなくだりがあったのは誠に仰るとおりでございます。

『憶測と総裁はおっしゃったが、本当に憶測なのか。それも確かめるべきだ。NHKに対しては、あのような報道を行うことは全く異常なことだと抗議しなければならないのではないか。』(これは質問の一部)

『まず事実関係をしっかり把握することだ。それに、もうひとつはNHKが報道したということだ。これは大変な問題だと思う。国内だけでなく世界的にも大きな問題だ。そういうことに対して、NHKに対して何らかの接触もないというのも問題だ』(これは質疑の締めくくり部分で再度なされた質問です)

ということで、福井総裁はこれらのツッコミに対しては上記の引用文にありますように「今回情報漏洩は起きていない」が「情報管理については改めて徹底した」という趣旨での応答になっておりますが、質疑応答の流れを記事から見た限りではNHKに抗議するという方向にはならないようですな、ナンデデショーカネー。


尾身財務大臣へのツッコミも行われたと申し上げましたが、ツッコミの内容はこういうものでございました。

『どうも財務省の担当者が日銀の決定会合の最中に、携帯電話でやり取りしていたという話が伝わってくる。福井総裁によると、今のルールの中では、携帯電話を持ってきて外部と連絡することは禁止されているということだが、尾身財務相はそれを把握しているのか』

これに対しては、やや話が噛み合わない質疑応答が入りながらも尾身大臣は否定しております、当たり前ですわな(そんなあからさまな漏洩ルートは有り得ないだろ常識的に考えて・・・・)。

記事にございましたのは主な質疑でして、詳しくは会議録の公開を待ちたいと思います(たぶん2週間くらい掛かると思いますが)。いずれにせよ、次の金融政策変更(利上げだと思うが利下げだったりして^^)時に同じ事が起きないようにお願いしたいものです。


○期末に向けて突如盛り上がって参りました

昨日は積み最終日で、資金供給した分をいつまで経っても引かなかった事から無担保コール翌日物の最低金利は久々に0.001%とかいう涙目レートになっておりました。午後にビットを泣きながら叩く人がいたんでしょうなあ、合掌。

超足元はそんな感じでしたが、20日スタートのGCレートが朝方の0.5%台前半から午後いきなり上昇して、0.6%台まで持ち上がったようでこりゃまたビックリ。まあ期末体制になって資金の出し手が出し渋りモードに入ったとか、昨日ご紹介したオペ金利上昇が雰囲気を悪くしたとか色々あるようですが、つい一昨日くらいまで全然期末警戒してねえのかよという価格形成だったのが一転して盛り上がるという訳の判らん展開になっております。

そんなことで、20日以降(19日の所もやや怪しいのですが)のファンディングコストが上昇しそうということになりまして、昨日の2か月物FBの入札がだだ流れとなってしまい、平均落札は0.584%とかでしたが、最低落札は0.597%くらいまで上昇しましたが、そもそもGCが0.6%台に乗ってしまうと持ってるだけで逆鞘の巻ですから中々困ったちゃんではございます。うーむ、昨日のオペ金利上昇の時点で「2か月のFB入札は大丈夫か」とか書かないのは我ながら情けないというか面目ない。

まーそんなこんなでございまして、20日以降のレポ・現先金利が高止まりするという話になりますと、ショートタームのレートはやや上昇しやすくなるんでしょう。それが4月になったところであっさり解消となると見れば3週間とか1か月程度の金利にしか影響はしてこないでしょうし、長引くと見ると話は別かもしれません。まあこれは期末特有の話だとは思いますけどね。

・・・・しかしまあついこの前までまるで期末越え無警戒みたいな金利形成をやってたと思ったらいきなり20日渡しからGCレートがドカンと上昇とかいうのも、まあ参加者が慣れてない面があるのかなあとか思っちゃいます。それこそジジイの昔話になって恐縮なのですが、こーゆーのって徐々に期末警戒で期末越えにプレミアムがついてみたり、そのプレミアムが付きすぎとなると今度はそこを取りに行く動きが出てプレミアム剥がれるとか、もうちょっと相場らしい動きが有るもんだったんですけど、相場というよりはデジタルな動きはどうもねえって感じであります。


#超長期の入札も久々に流れたのですが、そこまで手が回らないので本日はこんなところで






2007/03/15

お題「相場雑談」

光熱費でもブーメランとはきめ細かい芸風でございますな。もうね、最大野党がネタ芸人状態っての勘弁してほしいんで解散してくれマジで。

○このオペ金利は??

昨日「期末越えプレミアム<タームプレミアム」などと申し上げました(FBとかCPの利回り見て申し上げてたのですが)が、そのあたくしへの嫌がらせのようなオペ結果が昨日は出ておりまして、その間の悪さに我ながら呆れてしまうあたくし。

昨日は期末を越える共通担保オペが2本実施されておりまして、4月9日エンドのオペが平均0.657%の足切り0.64%でして、6月5日エンドのオペが平均0.599%の足切り0.59%という結果。まるっきり同じ期間のFBというのは無い(そもそもスタートが16日なのでFBの受渡と違うが)のですが、まあ大体似たような足のFBと比較すると、4月9日足だとFB424回(4月6日足)で0.580%の引け(日本相互証券)ですから7bp位レート高くて、6月5日足はFB434回(6月4日足)で0.580%の引け(って思いっきりイールドフラットな訳だが)で、こちらは2bpほどレートが高いと。ふむふむ。

これなんですが、後ろの方の金利が低すぎやせんかと思うのもあるんですが、手前の金利も妙に高いように思えます。3月16日〜4月9日だから24日間になりますけど、期末越えがその中に3日ありまして、21日と3日に分解して平均の0.657%を分解すると、期末越え3日のレートが1%乗せになってしまいますわな。

まー2月の末にも一部の人たちが威勢良く取りあがってユーロ円市場で翌日物が1%とかマークしておりましたことを勘案すると、無担保コールが上昇してもおかしくないという理屈は成り立つのですが、オペなんだから共通担保使ってるはずで、それならロンバートの0.75%が一応上限になるような気がするんですが、なにゆえ1%換算の所まで取るのよと少々疑問。

単に何か特別なお家の事情があるとかなとも思いますが、ちと妙なレートであったのでメモメモであります。


○こりゃまた派手な入札

昨日は1年TBの入札もございました。この1年短期国債いうのも微妙な商品でして、1年なんで短期商品なんですけれども、約定ベースで1年超になるので入札の瞬間のカテゴリーは短期商品じゃないというややこしい位置づけ。発行1兆4千億円も少ないっちゃあ少ないし、荷もたれしているときはもうイラネ状態ですし、ちょっとエアポケットみたいな債券でございます。そんなこともあって、入札の度にだだ流れしてみたり、激強の葉っぱ踏み踏みになってみたり毎度毎度ご苦労な商品でございます。

で、その1年TBですが、昨日は前場引け時点での業者間オファービットのほぼ範囲内での落札結果になったのは良いのですが(平均落札利回りが0.665%0.663%でした。以下訂正してます)、市場推定の落札で不明というのが8000億ほどあったのでさあ大変、どっかでドカンと買うニーズがあったんですかそうですかということで今回は葉っぱ踏み踏みで引けは0.640%まで逝くという災難入札となりました。1年債2毛5糸3糸踏まれる(平均で予約販売してて入札空振りを想定)と2銭5厘3厘とかになると思うのですが、短期国債はロットでかいっすからねえ。

#まー踏まれている人がいなくて、皆さんで頑張って強くしてるんだったら災難入札でもないですが。

2月の1年TBはその直前までやたら強かったのが入札だだ流れでしたし、1月は入札前に弱くなってたので入札堅調でその後大躍進という入札でございましたが、今回は何せ前回発行の1年TB418回債が0.645%の引けとかやってるのに1か月長くて0.640%といいのかその逆イールドということですので、まー普通に考えて「新発だから買います」攻撃で葉っぱ踏み踏みということでしょうか、合掌。

#しかし1年0.64%とはこりゃまた利上げ観測はどこにあるのでしょうか状態のレートではございます。いいのかそんなんで・・・


○新発の短期国債ニーズが強そうな件について

ということで、昨日の1年TBも何だか知りませんが前月発行物よりも確りしてましたが、よく考えてみると先週入札があった3か月ものFB436回とかも既発債を差し置いて強かったりしてた場面がありましたし、まあ良くあるパターンで「新発の短期国債買いたし」って人が結構いるんでしょうなと思わせる今日この頃の展開でございます。

で、発行が3兆円ある2か月FBの入札が本日行われるわけですが、こちらも「新発が必要なのよね〜」という人がいるのかが注目されるところです。期末で債券残高の調整をしようという人とか、とりあえず買いを控えている人がキャッシュ代わりに買う(と言ってもまあ2年が0.7%台後半というのと比較するとまあ2か月でもちゃんと回りますわな)のにも使えそうですんで、その手のニーズがどの位あるのかを推理するヒントになりそうです。


#以下メモ

○小ネタ雑談

・レポ指標レートに関する検討ワーキング・グループ第2回会合

13日に会合が行われまして、とりあえず資料が公表されておりますが、正直これは関係者以外が読んでもまあそうですかという話かと存じますし、関係者は読んでるでしょうから特にノーコメント。


・また会議ですか

昨日情報ベンダーを見てたら、「政府、成長力底上げ円卓会議を設置−議長に樋口慶大教授」というヘッドラインを見てポカーン。

3月14日(ブルームバーグ):塩崎泰久官房長官は14日午後の記者会見で、安倍内閣が掲げる「成長力底上げ戦略」を推進するため、政労使の代表に学識経験者で構成する「成長力底上げ戦略推進円卓会議」の初会合を22日に首相官邸で開催することを発表した。議長には樋口美雄慶大教授が就任することも明らかにした。(以下略、14日ブルームバーグ17:55記事より)

・・・・・営業実績が上らない→対策会議が開かれる→会議のために業務が停滞→最初に戻るとかいうような世の中でよく見受けられるダメ会社の典型のような状況になってるんジャマイカと思うんですが。





2007/03/14

お題「金融システムレポートその他小ネタです」

サブプライム問題に火が点いて米国2年国債12毛強でございますかそうですか。本件に関して今朝の公共放送は「住宅金融会社の経営悪化」と言ってまして、その方が語感的に判りやすいですな(^^)。

#つーかまた円債は涙目で踏み踏みなのかなあ、とほほ

○金融システムレポート(ただしざっと見ただけの雑感)

他にネタもないので日銀が昨日公表した金融システムレポートでも、と申しましてもざっと見ただけでまだ精読していないのでとりあえず思いついたところを。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/fsr/fsr07a.pdf
PDFで43ページもございますのでご注意。

ファイルで6ページ目からが「金融システムの現状と評価:概観」がございますので、その辺を読むわけですが。


・貸出利鞘問題

『3.銀行の金融仲介機能は、資本制約の緩和によるリスクテイク能力の拡大を背景に引き続き向上している。銀行貸出が緩やかな増加基調で推移しているほか、貸出先や貸出形態の多様化が進んでいる。また、業種別配分からみた銀行の貸出ポートフォリオの効率性も改善傾向にある。こうしたなか、銀行の貸出利鞘は引き続き縮小傾向にある(第2章)。』

とか、その前の部分とか現状の理解はヒジョーにきっちりとしておられるのは相変わらず流石(ちなみに、本文では『今後とも、貸出利鞘のほか、経費率、信用コスト率も含めた貸出採算の動向をみていく必要がある。』とございます)なのですけど・・・・

『6.こうしたもとで、金融システムにおける金利や信用コストの変化への頑健性は、引き続き向上している。金利の上昇は、短期的には保有債券の時価評価額を毀損させる方向に働くものの、中期的には資金利益の回復から収益基盤を改善させるとみられる。また、景気が大幅に後退するとのストレスシナリオのもとでも、大手行の信用リスク量は近年大きく低下しており、大口の不良債権処理の進展等を背景に、貸出ポートフォリオの質が改善していることが確認できる(第3章)。』

どうも斜め読みしたところでは、イールドカーブの変化のシミュレーションをして資金収支がどうなりますという話をしててそれはそれで大変精緻(前回対比で大幅改善^^)に分析しとるのですが、そもそも論として前半の方で貸出利鞘が縮小傾向にある(ただし第2章の中で「先行きの貸出利鞘は拡大を見込んでいる向きが多い」ともありますけど、為念)というのがあるんで、将来的な金利上昇において貸出利鞘がどうなるんでしょうか(今の状況で利上げをそのまま転嫁しにくかろう)という話が華麗にスルーされてるのはどうなんでしょとふと思いましたが、そこまで突っ込みだすと分析のしようが無いですな(^^)。


・不動産貸出問題

『4.この間、不動産業に対する資金供給の動向をみると、銀行自身の貸出残高は緩やかな拡大にとどまっているものの、不動産市場には銀行セクター以外の投資家からの資金流入が続いている。そうしたもとで、J-REIT 価格指数は上昇テンポを速めている。金融システムの持続的な安定を実現していくため、不動産市場の先行きと、その金融システム面への影響を注意深くみていく必要がある(第2章)。』

ほほうなるほど(ちなみにこの部分の資金流入の試算も中々面白いです)。

#あたくしも年末あたりからのJ-REITの上げっぷりはやり過ぎだと思うし、特に都心部レジデンシャル系の強気っぷりもちょっとどうなのよという印象はあります

『7.金融システムの安定性が損なわれると、これを回復するためには極めて大きなコストを要する。したがって、金融システムの不安定化を未然に回避することが重要である。今後とも、金融システムと実体経済の相互作用を念頭におきつつ、金融システムの安定を脅かしかねない潜在的な不均衡・脆弱性について、的確に分析していくことが大切である。』

どう見ても第2の柱です。本当にありがとうございました。

#などと書いてましたら、本石町日記さんと見事にネタがかぶっていることに気が付きorzなあたくしでございました。

ページ数が多いので敬遠しそうですが、こりゃオモロイのでお勧めです、と言ってるあたくしもまだ全部読んでませんけど。


以下雑談。

○あたくしもやらかす間違えやすい言葉使い(^^)

多くの中長期国債が3、9月利払いか6、12月利払いのどっちかということで、只今3、9月利払いの国債のレギュラー受渡は20日(利払日)となります。利払いの先を確定させるために振替決済の受渡が利払日直前は停止されるので、この時期というか今週はショートカバーのためのレポ玉繰り業務量が少々軽減される誠に結構な週でございます。その為に休みを入れる担当者が続出してショートスタッフで却って忙しかったりするケースもございますが、なあにかえって免疫力がつく(^^)。

それでですな、この受渡が止まる期間なんですが、昔の国債登録制度の下であれば「移転登録停止期間」(一般的には登録停止期間とか言ってたと記憶してますが)と申しておりまして、今だと振替国債になってるので「振替決済(請求?)停止期間」になると思うのですが、「振替停止期間」とか言っておりますわな。

・・・・で、これなんですが、あたくしもレポ絡みの仕事やってる時にしょっちゅう言い間違えてましたが「振替(登録)停止」というのと「利払に伴い受渡が先に飛ぶ」というのがごっちゃになりまして、ついうっかり「利払停止期間」などと発言する業界人の多いこと多いこと。

えーっと、利払停止したらイベントオブデフォルトになりますので用語は正しく使いましょう。でもまあつい言い間違えるのよこれが(^^)。

#業界ネタのしょうもない雑談で恐縮至極


○しかし短い所も平和ですなあ

3か月FBもまあ無事に通過して、0.60%なんぞ全然買わせてくれなさそうな雰囲気。CP3か月ものも上位格付けで0.65%〜0.67%という感じで、最上位ものになるともうちょっと低いかも知れませんなあ状態でこちらもまあ確り。

2月末(というか2月利上げ以降月末まで)のあのアフォのような足元金利上昇が3月末にもう一発などというような期待というか思惑はあるのでしょうけれど、大体世の中皆で警戒してる時には警戒することは起きないというのが市場の仕様でございまして、思惑がある割には期末越え期間の金利部分に大したプレミアムもつかず、タームプレミアムの方が効いてちゃっかり順イールドのままという状況のようですわな。

あまりにも平和っぽいので何かあるのかもしれませんが、昨日も申し上げたように、今週のFBと来週のCP発行祭りが一つのポイントかと思います。でも昨日の感じだと16日以降の足元が跳ねない限りは平穏無事と見ますけどね。





2007/03/13

お題「相場が下がらない愚痴(苦笑)/福井総裁の国会答弁サルベージ」

相場のとっかかり材料がどうも無いですなあ。

○しかしまあ下がりませんなあ

金曜は強めの機械受注、昨日は週末の米債下落にGDP2次速報上方修正と来ましたが、まあ下がると買いがやって来るんですかねえ。一応昨日は前日比では下落って事になってますが、寄りで下がったのを奪回する形だったのでこりゃまあ底堅いですなあという印象を与えたんじゃねえのかという感じです。需給的にはどうみても押し目買い状態で皆さんショート目になってるというのが再確認できちゃいましたわな。ナムナム。

で、経済指標に関する反応度合いも利上げ後にはちょっと弱くなっておりますけれども、利上げ前だと「指標が強いから日銀は利上げ(0.25%→0.50%ね)の言い訳が出来る」というように反応してたんですけど、さすがに次の利上げに関してはコアCPIの前年比のプラス幅が拡大してくるまでは何ぼ何でも説得力が乏しくて出来ないでしょというのが市場の大勢の見方ということなんでしょうな。だからCPI以外の経済指標に反応しにくいのではないかと勝手に解釈しております、はい。政策委員会の多数意見的にはCPIペッグ状態は勘弁してくださいという所なのでしょうが・・・・


ちなみに、短い所ですけれども、今日から3打席連続で短期国債の入札がありまして、今日が3か月FB、明日が1年TB、木曜が2か月FB(しかも今回は3兆円)で合計9兆弱ございまして、16日から新しい積み期間に入ることもありますので、このタイミングで一時的には需給が悪化するかも知れませんが、皆で「需給が悪化するかも知れませんなあ」と言ってるのでこれがまた(苦笑)。既発の気配とかからして、どう見ても3か月の0.6%は買わせてくれなさそうですし、1年もまあ精々0.65%あたりなんでしょうなという感じですわな。

まあ期末跨ぎのFB入札もございませんので、今週3発入札やって需給が一時的に悪化しても、来週以降のFB入札が1回しかないのでその間に需給はど〜せ改善しちゃいますし(期末越えの金利が突如爆発しない限り)、CP発行に関しても期末ギリギリを避ける動きが当然ながらございますので、そろそろ発行が前倒しで始まりまして(今週末から来週がピークではないかと存じますが)、同じようなタイミングで瞬間的には需給が悪化することもあるかもしれませんな(資金出す方も期末の着地を睨みながら慎重になりますし)。

ということで、まあ順当に考えると、期内で相場に変なことになるとすれば、短い所の金利が需給バランスの変化で急に上昇することくらいしか思いつかないのでありました。まあ3月末に上昇しても4月になると短期は落ち着いちゃうと思いますがね(短観とCPIが度肝を抜く程のよさなら別)。

#などとビューを出すと大外しするのがドラめもんクオリティ、と見苦しい両建てヘッジクローズを入れてみます(笑)



○今更ですが利上げ直後の福井総裁の国会発言

2月22日の参議院財政金融委員会の会議録はこちら
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0105/166/16602220060002a.html

福井参考人(総裁)の出番は冒頭の峰崎直樹委員(民主党・新緑風会)の質疑の部分でございます。

・可能な限り金利を引き上げる云々発言の部分

『経済財政諮問会議で私が一貫して主張申し上げておりますことは、まず第一に、人口が減る日本経済の中で将来にわたって持続的な望ましい成長経路を確保しようと思えば、まず第一に潜在成長能力を上げていかなきゃいけないこと、日本銀行はこれをフルに支持いたします。潜在成長能力が上がったとして、それを実際の成長率に絶えず実現していかなきゃいけないと。つまり、波の少ない経済成長ということを実現していかなきゃいけない。この点についても日本銀行はしっかりと貢献させていただきますと。それに加えて、名目成長率というのは結果として出てきますということを私は申し上げています。日本銀行は名目の成長率を保証することはできませんということも明確にいたしております。』

『したがいまして、日本銀行として、潜在成長能力を上げる、かつそれを持続的に現実のものとして実現していくためには、いつも金利機能が十分資金及び資源を最適のところに配分するという機能を働かしていかなければ実現しないと。そこが日本銀行の最大の責任負担の部分でございますので、そこをしっかりやっていくと。当面はかなり低い金利で緩和環境を維持しながら経済をサポートするんですけれども、徐々に、可能な限り金利を引き上げて金利機能の働き方をより強くしていくと。こういう、ある意味で微妙でかつ難しいバランスをねらった政策パスを歩みつつあるということでございます。』

うーむ、このくだりをよんでおりますと、金利の正常化路線にしか見えないのですが、その割には先日の記者会見で正常化という単語が出ると物凄い勢いで否定しておるわけでして、このあたりがワケワカメと申しますか、「ホンネが正常化路線だから一生懸命否定してるんですかねえ」と勘ぐりたくなる次第でございまして(笑)。

で、前半部分で「名目の成長率を保証することは出来ません」という風に言ってるのは何気にこれってインタゲ導入をしらっと否定してるような気がするんですが気のせいかしらん?(追記:この問題に関して苺BBSなどで話題になってまして、bewaadさんもネタにしております。名目について否定するコメントに引っ掛かるものがあったのは正しい直感でしたな^^)

ただまあ「可能な限り金利を引き上げ」は前後の部分も含めて読みますと、これって要するに展望レポートで示されている「緩和的な金融環境を保ちながら経済物価情勢に見合った金利水準に徐々に調整する」というのと同じと言えば同じ話ですので、市場としては「また言ってますなあ」ってな反応しか出来なかったのかと思います。


・G7の議論は第2の柱?

G7とかキャリートレードとかに関する質問に対する総裁の答弁。(段落分けをいじってます)

『G7で議論されましたことは、実体経済としては世界経済全体として地域的な広がりを持って順調な拡大が今後とも展望できると。ただし、実体経済の好ましい回転というのは、金融市場を通ずる資金の望ましい配分ということが常に伴って本当に実現できると。金融市場はこれまたグローバル化が進みまして、国境を越えて資金が自由に移動するようになっていると。』

『今おっしゃいましたヘッジファンドによる媒介機能も含めてそうでありますが、これはプラスとマイナスの両面があると。プラスの面は、やはり国境を越えて自由に資金が移動するということは、より効率の高いところに資金が流れて世界経済を一層活性化させると、こういうことでありますが、一方で、世界経済が順調だと、先行きインフレのリスクもほどほどにうまく何というか抑制され続けていくという楽観的なムードが市場に蔓延し過ぎると、市場の中でリスク感覚が少し甘くなってポジションが一方的に偏って形成されるリスクがあると。』

『そうすると、あるとき何かのショックで急激に巻き戻されると、市場に混乱が起こるというだけではなくて、せっかく好ましい状況にある各国の実体経済にまで悪い影響を跳ね返してくる、そこまで心配しながら世界経済を運営しましょうというのがG7の議論のポイントでございます。(以下のキャリートレード云々部分割愛します)』

ということで、割愛した後半部分では「モニターする」「監視能力を強める」という表現になっておったので、基本的にはそういうことだと思うのですが、上記部分までの話を見てるとまんま「金融政策の第二の柱」っぽい話になっておりまして、まあこのあたりから見てると、バブル懸念(どこにあるんだ)で利上げしたんですかあ?とツッコミを入れたくなる気がしてまいりますというものです。

国会会議録にしてはそんなに量はございませんのでご一読される事をお勧めしたく存じます。







2007/03/12

お題「雑談とちと古いネタなどで」

○しかしまあ下がりませんな

金曜は機械受注統計の内容が良かったのですが、市場は相変わらず確りでして、2年が0.785%だわ5年が1.170%だわ相変わらず利上げ観測どこへやらというようなレートとなっております。正直足元のGCレート以外全部の絶対水準に違和感があるのですが、どうも世の中同じ事を考えている人が多い中なので、全然上でのロングが増えず、全体的にはショートっぽくなってしまい、結果下がらんと。

というかですな、月末月初(先々週末)の株安に対してあまり反応しなかった時点で「何だ今回は月末インデックス長期化と買いたい弱気筋のパワーを過大評価してたんじゃん」と思わせてしまったのがダマシになっちゃいましたな。で、先週月曜に株大幅安でいきなり持ち上げられてしまったら実はやっぱり買えてない人が多かったということだったようですな。合掌。で、結局下を売るような人が殆ど見当たらないので下がらんですし、何かちょっとしたネタで下がるともうピラニアのように投資家様ご購入という需給状況では中々下がってくれないでしょうな。

より足元の金利に影響されやすい3か月とかの金利はさすがにコールレートの大下落に終了の香りが濃くなってきたので、金曜の引けでは新発3か月が0.585%と若干レート上昇してますが、とは言え相変わらず利上げどころか期末期初のレート上昇も気にしないような価格形成でして、こちらもやたら買い意欲が旺盛のようですわな。CPのレートも相変わらず上りにくい(というか徐々に低下かな)ですし。

まーこんな調子で、絶対水準に違和感がある(特に中期ゾーンあたりまで)と皆さんが思っている状況が続いてしまい、皆さん違和感あるので買えないでいるうちに償還が来たり新規資金の流入があったりという事で益々投資家のショート(キャッシュを抱えて買いを控えている状況はショートみたいなもん)が溜まり、売る人が居なくなってしまったって感じざましょうか。トホホな相場でございます。

しかしまあ機械受注の内容でも反応せずということで、市場的には物価指標に対する注目が却って高くなり、その事から他の指標への反応が悪くなっているのではないかという気もします。単に需給要因のほうが強いので経済指標は気にしないというのかもしれないですが、まあ物価以外の指標に関してはコアCPIが前年同月比+0.5%近く(というのはあたくしのやや希望的な勘でして、もうちょっと下で反応開始かも知れませんが)が見えてこないと他の指標は華麗にスルーってなるんでしょうな。

というのは今回の利上げ前後から日銀政策委員会方面から出ております「別に金融政策はCPIペッグしてる訳ではありませんので」という話を見事にスルーしているという事ですが(笑)、まーいくら正常化路線であっても、コアCPIがゼロとかマイナスとかでそうガンガン利上げ出来ないだろう常識的に考えて・・・・というのが市場コンセンサスでしょうな。6か月0.595%で1年(正確には11ヶ月)0.645%というこのお値段は。

まー現在の6か月もどうかと思いますが、それより1年のその価格はさすがにどうなのかとあたくしとしては思うのですけど、どーせあたくしがそんな事を言ってる内は金利上らないんでしょうな、と自虐発言で「相場が下がらん愚痴」は終了(苦笑)。


○レポ指標レートに関するWG

資料に関しては初回会合の日(だか翌日だか忘れましたが)に早速アップされてたのですが、議事要旨に関しては暫く前にアップされておりました。

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/data/tanki0703d.pdf

でまあこちらは極めて技術的というかマニアなお話で、一部の関係者以外の方が読んでも何のことやらという感じかもしれませんが、もし周りにレポ市場の関係者がいたら(証券のフロントには必ず一人はいる筈ですが^^)ここで展開されている議論が何の話をしてるのか聞いておくのが吉だと思いますが、というか短期をノーケアーな人がちょっと多過ぎでしたから(最近はさすがにそんなことは無いでしょうが)、もうちょっと気にしてねって感じです。

さて、こちらの議論ですが、指標レートが出てくるのは有用というので当然一致すると思いますが、あたくしも指摘されているように『指標レートの有用性は、指標レートの質次第』でしょうなと思うのでした。例えばかつてあたくしが「こりゃどう見ても鉛筆舐め舐めでレート出してるだろ」と悪態をついたTIBOR(最近だいぶまともになってきたようですが)なんかは、銀行対企業のスプレッド貸しみたいにまあ市場性のようで市場性じゃないものなら兎も角、市場的にはTB/FBの利回りの方が基本的にリファレンス扱いされてあまり相手にされないという状況がある訳でして、この指標レートに関しても、ちゃんとした質を伴ったものにして頂きたいと思う訳ですな。

で、レファレンス方式にするのかブローカー加重平均方式にするのかという点ですけれども、あたくしの愚見を申し上げればレファレンスレートで、報告各社のレートを開示する方式が望ましいんじゃないかと思います。開示しないと自社のポジションに都合のよいポジショントークレートを出す誘惑が待っておりますので、開示しないレファレンスというのはちょっと如何なものかという感じですな。ブローカー加重平均方式だと議事要旨にもありましたが、ブローカーのシェアが大きいわけでもないのでレート操作のリスクが生じやすいですからちょっとねえって感じです。

で、どの辺の期間のレートをどのようにして出すかって話に関しては、結局のところ「指標レートの有効性が担保される」というのがポイントというかそれが全てかなと。期間も1年とかまであればそれはそれで結構ですが、そこのレートが鉛筆舐め舐めレートになってしまってもそれはそれで意味がない(まあどーせレートだすならTB/FBのカーブから引っ張って出すんでしょうけど)話でして、あたくし的には1か月くらいまでで、極力トレーダブルレートに近いもの(それこそオファービットが出るほうが尚良いのですけど、出す方はそりゃ大変ですからねえ・・・・)が出て暮れた方が良いような気もするんですけど、まあ色々と意見はあるでしょうね。

などなど、思いつくまま勝手を申し上げてますが、レートの話を始めとして、レポ市場のインフラ整備(最大のネックは投資家サイドの制度問題と、取引インフラの貧弱さだと思うのですが)には期待したいところでございます。

#延々とマニアックな話恐縮至極






2007/03/09

お題「岩田副総裁記者会見など」

ポールソン先生の中国でのお話によりますと、相場が個人に依存すると安定しなくて、機関投資家(要するにてめえら)への開放をすると市場が安定するそうですが、どう考えてもそれは逆としか思えませんが、何たる都合のいい大嘘。これだから(以下自主規制^^)。

昨日ご紹介した岩田副総裁会見ですが、日銀のサイトに公式版がアップされましたのでまずはこちらから。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0703b.pdf
基本的に昨日ご紹介した部分はスルーします。

○中長期的な物価見通しと足元の振れについて

目先は原油価格下落の影響で日本型コアCPIの伸びが抑えられるけど、ゼロないし小幅のマイナスであっても利上げというのはあり得るか、という質問に対する岩田副総裁のお答え。

『第3点目のご質問の、仮に消費者物価指数(除く生鮮食品)がマイナスの場合でも、利上げが行われるのかということについては、先程申し上げましたように、2つの「柱」に基づいてしっかりと点検をしながら、その中で決定していくことになります。その中で物価の先行きがどうなるかということは、もちろん重要な点であり、十分考慮しなければならないポイントの一つだと思います。ただ短期的な物価の変動と、少し長い目でみた物価の安定は同じことではありません。私どもとしては、「中長期的な物価安定の理解」で考えているところに長い目でみた物価上昇率が上手く収まっていくかということが基本的に重要な点でないかと考えています。』

えーっと、この答が政策委員としての答えなのか執行部としての答えなのか良く判らんのが困りもんなのですが、『私ども』と言ってるので執行部として答えているような気もします。と申しますのも、「経済物価見通しの基本的な部分は共有しているけれども物価の先行き不透明感があるから利上げに反対した」というのと上記の説明はビミョーにずれてるような気がするんで。

つーことで、質疑応答に関しても執行部としての説明と一人の政策委員としての説明の区別をもうちょっと判りやすくしていただけると誠に幸いなのですけど。一応あたくしこのくだりは執行部としての説明をしたと理解しときますが、「利上げを行っても先行きの物価上昇が見込めるのであれば、目先の物価指数がゼロ近辺であっても利上げを排除するものではない」と言ってるわけですんでご注意ありたし。


○物価の先行き不透明性に関する詳しい説明

結構長いので段落わけしながら。

『但し、不確実性ということをもう少し敷衍しますと、物価の上昇を押し上げていく力、一つは経済全体の需要と供給のギャップ――GDPギャップと言って良いと思いますが――をみますと、今回の景気回復あるいは拡大局面は、私どもの計測ではマイナス2〜3%のところからプラス1〜2%のところまで次第に上昇してきており、これが物価を押し上げる力として作用することは間違いありません。しかし、それを少し仔細にみますと、実はいくつか不確実性があるわけです。』

『もちろん、皆さんもご承知のように潜在成長率は、私どもは1.5%〜2%と述べていますが、それが1.5%に近いのか、2%に近いのか。あるいは、需給ギャップの計測の仕方でも、稼働率といっても、資本の稼働率については、製造業には非常に明瞭なものがありますが、労働の稼働率については労働の参加率やパート比率等、色々と構造的要因と景気循環的要因をどのように上手く仕分けるかといった技術的な問題があります。そういうこともあって、ある程度幅を持って需給ギャップの大きさをみていく必要があると思います。内閣府でも、最近の需給ギャップの数値はプラスとなっていますが、計測には常に誤差が伴うということも考慮する必要があります。』

ということで、1点目は潜在成長率や需給ギャップの推計には不確実性が伴うので、何も物価が足元足踏みしてて、先行きも原油価格下落などの影響で弱含みの可能性があるときに利上げすることは無いんじゃないかという風に理解しました。

『そして、仮に正しく計測された需給ギャップというのを私どもが見ているとしても、物価がそれに対して十分に感応的に反応するかどうかは、構造的な変化があるかもしれません。』

『例えば、グローバル化の進展とか、消費者物価指数が仮に一番川下に位置するとしますと企業物価指数は少し川上になりますが、川上の上昇圧力が、どのくらい川下の押上げ圧力に上手く働いていくのかどうか。あるいは、最近の統計をみますと、賃金がやはり伸び悩んでいますので、単位当たり労働費用が順調に物価を押し上げるような力になっていくのかどうか。さらに付け加えれば、指数の改定があって、過去使っていた物価指数と新しく改定されたもので、例えば需給ギャップに対する感応度が何か変化していないか。少し中身をみますと、新型の薄型テレビなどの耐久消費財の価格が大幅に下がってますが、そういう品目の入れ替え等による効果とか、そういったいくつか不確実性がありますので、これらを丹念に分析する必要があると思っています。』

2点目は物価のメカニズムに今まで考えられている以外の変化が生じているかもしれないという点についての分析をもっと行い、内容をより見極めてから利上げを決断すれば良いんじゃないかという風に理解しました。

『そういう点の不確実性を、おそらく他の政策委員と比較しますと私の方がより高いと考えたところが、主な違いだったのではないかと思っています。』

てえことで、こちらは一人の政策委員としての岩田副総裁の意見ということでございますわな。今回の質疑応答は岩田さんの説明がやたら長い質疑応答になってますので、結構読んでて大変でした。



さて、華麗にスルーした岩田副総裁の講演ですが、某金融新聞を見ておりますと「それは変だろうよ」という解釈をして、ついでに市場の動きについて「そんなことは無かったと思うんですが何か?」という記事がありましたので、そういうのはソッコーで悪態をついておく必要があると存じますので悪態を。

○そういう解釈をするのは誰ですか?

木曜の日経金融新聞2面の「BOJウオッチャー」記事で岩田副総裁の講演について触れてるのですが、講演の中でのCPIに関する話に関する市場の受け止め方として、「岩田副総裁はCPIが1%が視野に入るまで待つべきだったとの指摘」と報じてるんですが、さてその部分はどういう内容だったのかと言うのは講演(性格には挨拶)要旨をみればよろしアルね。http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0703b.htm

『また、「新たな政策枠組み」では、「中長期的な物価安定の理解」を念頭におきながら政策運営を行うことが明記されています。この「物価安定の理解」は、現存する消費者物価指数のもつ歪みや日本の過去の歴史的な物価の推移を踏まえ、消費者物価指数が前年比で0〜2%程度であれば、各委員の「中長期的な物価安定の理解」の範囲と大きくは異ならないとの見方を示しています。0%を含んでいますが、そのことは、日本銀行が0%の達成を目指して政策運営を行うことを意味しているわけではありません。むしろ、委員の理解の中心値は、「大勢として、概ね1%の前後で分散している」ことに留意すべきであると思います。』

えーっと、この部分のことを言ってると思うのですが、これは普通に読むと、日銀に対する批判としてよく言われる「日銀は物価上昇ゼロ%を目標にして政策運営をしてるじゃねーか」ということに対して執行部として「そんなこたあねえ、中長期的に概ね1%前後で考えてるんだ」と説明しているようにしか思えないんですが、どこをどう読むと上記のような解釈になるのかと問い詰めたい、小一時間問い詰めたい。

こちらの記事では、上記引用部分の脚注も「市場を混乱させた」という話になっとるのですが、どこの誰が混乱したのかご教示願いたいものでございます。何かね、出てくる材料を自分の主張に都合が良いように思いっきり拡大解釈してレポートを書く事案が散見され、最早芸風となっているどっかの誰かさん(あるていど都合よく解釈するとか希望的観測を書くのは人間が書くものだから仕方ないけど、超越的拡大解釈というか牽強付会はいかんだろと思うのだが)のレポートのようで何とも香ばしい。その脚注は以下の通り。

『「中長期の物価安定の理解」は、政策委員のみならず市場参加者にとっての「共有知(コモン・ナレッジ)」であることが、コミュニケーション・ポリシーの面で、それが「フォーカル・ポイント」(人々の注目を集め、合意形成に役立つこと)になるということが重要な点であるといえます。詳しくは、岩田一政「序章 経済制度の国際的調整」(岩田一政・深尾光洋編「経済制度の国際的調整」日本経済新聞社1995年)を参照して下さい。 』

どうみても一般論です。本当にありがとうございました。

影響力の高いメディア様でございますところの記事執筆におかれましては、お願いですからもうちょっと確認作業をして頂きたく存じます(ちょっと裏取れば、岩田副総裁の講演で市場が全然動かなかったことくらい判りそうなもんなんですが)。あたくしのような市井の無力人間と違って影響力物凄く高いんですから・・・・


○これは酷い

えーっと、基本的にあたくしの駄文ではどっかのレポートとかをネタにするのは自粛してるのですが、あまりにもアレなレポートを査収してしまったので、ちょっとだけネタに。

えーっと、先日査収したどこぞの外資系証券会社様のレポート(の一部)ですが、『日銀の稚拙な金融市場調節が「世界同時株安」の一因となった』という小見出しで、先月末に外銀がコールを取りあがっても資金供給オペを実施せずに、海外勢が円キャリー取引の巻き戻しを余儀なくされた!日銀のヘボな金融調節が世界同時株安の一因だ!という趣旨でございました。

えーっと、オーバーナイトの金利なんぞ上ったり下がったりするもん(現に1月は利上げ確実観測が広がった時に決定会合後スタートのGCが0.55%越えてみたり、2月は利上げ確率半々ってことで積み期間が変ったらコールが0.375%に上昇しました)ですが、翌日物のファンディングコストが2日や3日くらい誘導目標から20bp上に降れた(←「振れた」の誤字です:追記)如きで巻き戻さないといけないキャリー取引とはこれまた随分とバッファの無い投資行動でございますが、為替リスク取ってそんなバッファの無い取引しないと思うんですが常識的に考えて・・・・・(ついでに言えば、ある程度予想されてた利上げでいきなりガンガン資金を上まで取らないといけない状況ってどういうリスク管理してるんだよと言いたい)

それにタームだってビット立てりゃ出す人いるでしょうし、日銀のオペもありますし(担保が無かったらオペはダメですが)、色々と選択肢はあると思う訳でして、どっちかというと市場では「あそこは一体全体何を考えて朝からあんなに派手派手に上を取ってるんだ」という話になっていたと思うのですけどね。

まあアレだ、金融調節は資金需給を均す目的と、コールレートの誘導の目的で実施してるわけで、どっかの誰かさんの稚拙なファンディングのケツを拭く為に実施してるわけじゃない(あまりにも稚拙すぎて金融市場が壊れたら出動かもしれんが)のですけどねえ。

#久々に香ばしさ爆発だったのでついネタにしてしまったよ





2007/03/08

お題「岩田副総裁の講演・・・ですが」

岩田副総裁の講演が行われましたが。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0703b.htm

読んでて「はて??」と思ったのですが、よくよく読めば『本日は、日本経済の現況と見通しを踏まえる形で、先般行われた2月の金融政策決定会合における利上げ決定とその背後にある金融政策運営の考え方について、日本銀行執行部の一員として、説明させて頂きたいと思います。』ということで、執行部としてのお話をしているのでありました。

○市場との対話

ということで、講演内容は執行部としてのお話なんでまあ変った話はございませんでしたが、市場との対話のところでちょっとだけ「ほほう」と思ったあたくし。

『最後に、日本銀行と市場との対話について、必ずしも円滑に行われていないのではないかとの批判があります。中央銀行は、「金融政策運営に関する基本的な考え方」と「金融経済情勢に関する判断」を市場や国民に対して丁寧に説明する必要があります。この2つの点について丁寧に説明することによって、金融政策運営の透明性が確保されるばかりでなく、政策の有効性も高まることになります。』

とございまして、この部分に脚注がついております。

『イングランド銀行の市場とのコミュニケーション・ポリシーについて、キング総裁は、中央銀行は、「金融政策の目標」と「経済の現状と先行きについての分析」という2つの鍵となる情報を市場に提供することによって、市場の政策金利に関する期待形成に資するようすべきであるが、誰一人事前に結論を知ることが出来ない、利上げするかどうかといった金融政策の決定についての情報は、市場に提供すべきでないと論じています。詳しくは次のスピーチを参照して下さい。 “Speech by Mervyn King Governor of the Bank of England at the Lord Mayor's Banquet for Bankers and Merchants of the City of London at the Mansion House”, 21 June 2006 』

金融政策における手法と言うか中央銀行としての政策の進め方という話になるとBOEが引き合いに出されることが多いなあと思うのは気のせいかな?ま、それはともかく、市場との対話に関しては地均し的な姿勢を出すのだけは勘弁していただきたく存じます、はい。

ということで、記者会見が実は今回のメインでして、会見要旨に関しては本日になりますと日銀のサイトにアップされる筈ですので、詳しくはそれを見る(以下引用するブルームバーグニュースでの記事でまず問題はないのですが、日銀のサイトに出てくる物を最終的にリファレンスにするんで)と致しまして、本日はとりあえずブルームバーグニュース7日16時35分配信記事より。


○執行部としての立場と一人の政策委員としての立場

『(問)執行部の一員でありながら議長案に反対されたが、執行部の職務を遂行するうえで不都合はないか。』

『(答)今のところは執行面で何の問題も生じてない。午前中の講演も無事に終わったし、懇談会も終わった。現在も(会見が)進行中だが、特段の差し障りはないと思う。イングランド銀行は2006年8月にキング総裁がむしろ少数意見になってしまったが、キング総裁はそのとき当然、個人的には必ずしも賛成ではないが、執行は全力を挙げておやりになったと思う』

『(問)講演では、個人消費について「回復感が次第に明確になっていく」、コアCPIについては「長い目で見ればプラス基調が定着していく」と述べられた。一方で、岩田副総裁はさきほど「賃金、あるいは個人消費の弱めの動きが現在、必ずしも払しょくされていない。物価上昇率の先行きに不透明性が強い」と述べられた。執行部として行った午前中の講演に対し、個人としての岩田副総裁は疑義を唱えている、という理解でよいのか。』

『(答)もちろん、そういう整理でよろしいかと思う』

ということで、岩田副総裁はこの部分に関しては上手く折り合いをつけていこうとしているようですな。


○で、岩田副総裁の反対理由ですが

『利上げに反対した理由については、すでに総裁が会見で、私の主張は「物価の先行き見通しの不確実性というところに、他の委員と比べると、より強い力点を置いておかれた」と申し上げたようだ。基本的には、まさにそういうことだ。議論の詳細は議事要旨が公表されるのでそちらをご覧いただきたい』

『ただ、私なりの言葉で総裁のお言葉を少し補足させていただくと、賃金、あるいは個人消費の弱めの動きが――12月の決定会合の後の会見で総裁がこれについてお触れになったが――その弱めの動きが現在、必ずしも払しょくされていない。そして、IT部門を中心に生産面で軽度の調整が起こる可能性もあるという状況の下で、物価上昇率の先行きに不透明性が強いということが、私が反対した半分の理由だ』

『もう半分の理由は、現在の時点だと07年度までしか成長率や物価の見通しを出していないが、中長期な物価の安定が重要だと考えると、やはりそうした点も含めて展望リポートで丁寧に説明してからでも遅くはないのではないか。こういう2つの理由から反対票を投じた』

ということで、理由は「物価上昇率の先行きに不透明感が強い」「4月の展望リポートでより長い先行き見通しをきちんと説明してから」ということでしょうが、後者に関してはつまり「2007年度の見通しはあまり強い数字が出ないので、2008年度の見通しも出さないと利上げの説得力弱い」って事なのかと理解致しました。

で、別の質疑でも長く説明しているようなのですが、その頭の部分を

『私の異論を簡単に言えば、コアCPIについての不確実性、不透明性が高い、という点が重要なポイントだ。長い目でみて、日本経済の拡大メカニズムがしっかりしていて、世界経済の拡大メカニズムもしっかりしていれば、いずれ消費者物価指数も安定的にプラスの方向に動いていく、目先は確かに下振れ、マイナスもあり得るかもしれないが、そうした長い目で見たメカニズムについて、異論があるわけではない』

ということで、物価の先行きに関する不透明性がポイントですが、先行きに関して別に悲観している訳ではない(先行き見通しに関しては一致したという事は総裁会見や、議事要旨などでも述べられてますが)のもまたポイントではないかと存じますがどうでしょう。

その他に関しては会見要旨を見て明日補足するかもです。


○新しい審議委員がお二人

福間審議委員と春審議委員の後任に三菱商事副社長の亀崎英敏氏、商船三井フェリー社長の中村清次氏が内定したとの報道がございました。

・・・・で、どのようなお方かとか全く存じませんので何とも申し上げようがないのですが、本石町日記さんのエントリー(http://hongokucho.exblog.jp/6574831)にありますように、『給料は下がるうえに、小難しい業務が多く、フルタイムで拘束され、自由にしゃべるのは難しい。それに資産公開もしないといけないし。』というお仕事ですが(ちなみに通常の政策委員会は週に2回やってまして、金融政策以外の通常業務に関しても総覧しないといけないわけですな)ご活躍を期待致します。

ただ、中原伸之さんが著書で指摘したように、「産業界出身者の後任が産業界出身者」というような形が固定化しちゃうのもまた問題が全く無いとも言えない気もします(じゃあどうするのかと突っ込まれると前向きな対案は無いのですけど、汗)が・・・・・

まあ正直よく存じ上げませんので、今後の就任会見などに期待したく存じます。基本的にはあまり政策委員会の流れが大きく変るとは思えませんけれど。






2007/03/07

お題「FB入札などございますが」

この程度で戻るとは、ってか戻りの勢いが良すぎな気がする。もうちょっと底練りしてから戻る方が形としては美しいんですけど。値幅はともかく日柄調整が足りないと存じますが。

というような株式市場を横目にしながらネタは相変わらずあんまりないんすけどね。

○6か月FBが0.60%ですかそうですか

昨日は手前から見ると割高にしか見えない6か月FBの入札が行われました。その落札結果は平均で0.603%相当、足切りで0.609%相当と、先週の3か月FB入札よりもレート低い(今は0.575%だからさすがに順イールドですが)という素晴らしい結果。引けが0.60%ということで、昨日の引けは3か月が0.575%、6ヶ月が0.600%、1年が0.64%という数字になっております。

・・・・えーっとこれだけ見てると「3か月後の3か月物金利が0.625%」「6か月後スタートの6か月物金利が0.68%」っちゅうことでございます(簡便計算ですので念の為)が、これだけ見てると少なくとも半年先までの利上げを全く織り込んでませんという実に香ばしいレートでございますな(9か月とかそのくらいになるんかな?)。昨日も申し上げましたが、実に日銀様にいい感じで喧嘩を売ってますが、市場の対話ということで一つよろしく(^^)。

んでまあ本日は3か月FBの入札がありまして、日本相互証券のWI引値は0.595%で値付けしてくれてますが、ど〜考えましてもそんな利回りでは買わせてくれんでしょという感じで、0.58%台での入札になるんジャマイカと存じます。何せ足元の金利が爆下げしてる影響で現先やらGCの利回りも下げてまして、GC0.52%とかそれはどうなのよと言いたくなるような下げですから、まあ足元のキャッシュ潰しニーズとかも勘案するとこのレートもむべなるかなという感じです。

しかし、「月後半になる積み期間が変るし、期末越えもあるのでレートが上昇するだろう」と参加者の皆さんが揃いも揃って思ってるのに、新発CPの1か月もの(4月償還物)とかFBとかのレートにそのあたりを織り込んでくれないというのが最近のオープン市場(古い用語だ)クオリティでもあります。

#ま、短期の場合「来週金曜になると金利が上るでしょ」と思ってもその来週金曜まで我慢できない場合が多々ございますので仕方ない面もあるので、その辺は中長期債の投資とはタイムスパンが違うのですけど


○ということでコール爆下げ

上でも書きましたが、昨日もまたまたコールレート低く、お蔭でGCが0.52%とかまで低下しておりましたが、加重平均ベースで先週水曜(28日)の0.589%から昨日は0.431%まで15bpもぶれやがりましたが、体感的なレートとしては0.70%あたりから0.40%あたりまで下がったような気がするんで、30bpくらい動いたような感がございますが。

まあそもそも利上げ直後からどこぞの外銀が朝から0.7%とかでコール取ってたのが雰囲気悪くしてたんですが、以前と違ってそういうのをどんどん成敗するパワーが弱くなり、まあそういう意味では限界的な市場になってしまったんですなあとオジサンとしては思うのでありました。そもそも都銀が圧倒的に資金の取りだった資金需給構造が変化してるのだから当たり前といえば当たり前ですし、その都銀も沢山あったのでバンク同士の打ち合いが成立してましたしね。

そういや某ベンダーで市場関係者様のコメントとして「一番ドメスティックだったコール市場がグローバル化する云々」ってのがありましたが、「コール市場がグローバル化した」というよりは「コール市場でのドメスティックのプレゼンスが(資金需給構造の関係で)低下した」という方がよさそうな希ガス。

まーなんか日銀様のコントロールも大変ですなあと思うのですけれども、逆に考えれば限界的な部分のレートを目標レートにするんだから少々のブレはケンチャナヨという割り切りを持って臨む必要があるのかもしれませんな。



○新着情報に出てこない新着情報ご案内

リニューアルしてからというもの使いにくくなったと絶賛を博している日本銀行のサイト(階層が複雑になりすぎなのと、カテゴリーが訳判らんからですが)ですが、実はトップページに出てこない新着情報がありますので、メールサービスを利用しないでいるとうっかり見落とすこともございます。

金融市場調査・分析担当者の募集について
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/recruit0703a.htm

1年期限の職員募集だそうで、去年も募集してて今年も募集するということは期限が切れると終了ということですが、出向形式も募集してますんで、まあそういう方も来るのかな。ところで先生!応募要綱にある『選考の参考となる公表可能な分析等の成果物』にあたくしの駄文は含まれるでしょうか?(んなこたあねえ^^)

何か法律の専門家も募集してるようですが、そちらのお仕事の内容が『日本銀行の金融市場調節や適格担保等に関する法律問題の調査・検討、取引先金融機関等との約定や業務規程の起案・調整等。』というのはもしかして適格担保の範囲を変更するとかの話でもあるんですかなどと適当な事を言って見るテスト(^^)。

募集は若い人を千人(オヤジギャグ)。

あたくし的には実はそのニュースよりも2日に公表された『日本銀行当座預金・現金供給サービスの見直しについて』の方が興味あったりするのですが、実はこれに気が付いたの昨日なのでまだ内容を読んでおりません。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/un0703a.htm

えーっと、この手の随時公表資料はこちらから読めます。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/index.htm

その中で『入札公募情報』へのリンクがあって、そこの内容を見てるときちんとやってるんですねと思う反面、こりゃまたご苦労なこってとも思うのでありました(^^)。以上ただの雑談与太話。








2007/03/06

お題「相場雑談です」

で、一番気になる海外のクレジットマーケットは如何かと。ここがおかしくならない限りは単に「米国で拡大しすぎたリスクマネー投資の正常化」で済むとまだ楽観するあたくしなのでありました(ちと楽観し過ぎかもしれんが>自分)。

#ということで、てめえの撒いた種を他人事の如く論評してその後自分の発言を否定するどこぞのジジイには絶望した


○コール等またも低下

先週末から既に足元金利が威勢良く低下しておりましたが、昨日のコールレートは朝から0.5%を割り込む勢い(ちなみに日銀発表の最高利回りは0.55%)でして、資金吸収の即日オペも実行されたのですが、中途半端にしょぼい引き方だったことからコールレートの下げ基調に変化なく、終わってみれば加重平均金利は0.448%とつい先週水曜に0.589%とか付けてたのが嘘のようなレート。

まあ足元金余ってる事もありまして、GCレートも0.55%レベルまで低下して(まあ何も無ければ0.55%〜0.60%のレンジでしょって利上げ前に思ってたんで、やっと普通のレートになったかという気もしますが)まして、TB/FBやCPのレートも低下の巻と相成りました。何たる極端な動き。

先週水曜という足元金利が一番高いときに入札が行われたFB434回の昨日の引けは0.58%とまたまた確りしておりまして、あのついこの前GCレートが0.6%台で推移しちゃったりしてた時があったと思うんですけど、足元GCと殆ど変らんレートで期末越えも5月大型連休越えも全部気にしないレート形成というのは如何なものかという感じになっておりますわな。ちなみに日本相互証券の引値ベースで言いますと、足元超短期のFB利回りも0.56%だの0.57%だのなので見事なレートフラットでして、いやまあ大昔の低め誘導時代のCDレートでもそんなのありましたけど、あの時は基本的にコールの上限がマル公(0.5%)で安定してたんで、こんだけ足元金利にボラがある中でタームのプレミアム(つーか期末越えとかもあるのですが)が付かないというのも何だかなって感じがするんですが。

ま、逆に考えれば現在のコールレートの上げ下げは一時的なものだという認識が皆様お持ちだということなのかもしれませんけど、そんなことまで考えてレート形成されてる訳じゃなくて、単に足元の運用圧力が強いんでしょうな。この手のレート形成の意味を一々考えて「なるほど市場は先行きの足元等の金利に関してそう見てるのか」とか思ってたら全然違いましたという光景をここ1年ほど見過ぎてますんで(苦笑)。


○ブルフラットだわ2年0.8%割れるわ

株式市場が下がる割には債券の上げが・・・・というのが先週でしたが、さすがにレンジ抜けたら債券も上げ上げになったようですな。朝方は長期やら超長期ゾーンは出遅れていたのですが、午後になって見事な追い上げをして最後はブルフラットの巻となりまして、これまさに株下げで炙り出された踏み相場の香り(でも何か上に仕掛けてる人もいそうな気がするんですが)が漂って来るというものです。何か2日我慢してたけど週明けに泣きながら踏み上げって感じが引値表を見てると漂って来るのは気のせいでしょうかね、合掌。

まあ長いところ強いのもコリャコリャって感じですが、短い所の強さも大変な香ばしさでございまして、2年254回の引けが0.785%とか5年61回の引けが1.145%とか、経済物価情勢に見合ったペースでの政策金利調整(要するに利上げ)という方向性を出している政策委員会をあざ笑うかのような価格水準になっておりますわな。まあ株価が下がるとこうなるのはある程度想定しないでもなかったんですけど、何ぼなんでもこれはちょっとあの喧嘩売りすぎなんじゃないでしょうかという中短期のレート。

でも勢い付いてるし、そもそも需給的に利上げまで買い控えをしてた人いるし、決算期末でレポがタイトになりやすいし、まー中々向かうのもしんどいでしょうなあと。長いところは兎も角、短い所はここもとの足元金利低下がひっくり返る(月後半から積み期間変るし、今年の期末越えは3日間あるんですけど良いでしょうかねえ)とまた様相も変るんじゃねえのという風に思うのは、あたくしが今の2年とか5年の水準に違和感ありまくりんぐであるからですけど。



○短期金融市場フォーラム関係の追記

昨日思いついたことをつらつら並べましたがその続き。

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/tanki0703b.htm
に市場参加者のスピーチへのリンクがあるのですが、この中で一番良かったのは農中の二岡さんのスピーチでして、まあ全部読むほどヒマではないお方もこれだけは熟読すべしかと存じます。

で、国債決済インフラとしてのJGBCCの加入推進(二岡さんのスピーチで触れられてます)に関してですが、お題が短期市場でそこまで話をすると話題が発散するのでスルーしたんだと存じますが、これはフェイル慣行の定着という問題が強烈にネックとしてございまして、国債決済の決済慣行をどうするのかという問題にも繋がってくる話でございますなあと思った次第。

国債を死ぬほどお持ちの大投資家様に置かれましては、引き続き「フェイルするのはケシカラン」という前提のお方が多うございますし、他人勘定で国内債券運用する人たちもフェイルが前提になって無い状況(外債は昔からフェイル当たり前でしたが)ですし、結局この話を突き詰めると、国内債券運用サイドの問題にもなってくるのでありますよね。JGBCCは取引のネッティングという意味では非常に重宝するんですが、ことフェイルに関しては逆に相手方が見えなくなるのでフェイルを前提にしてない人としては困るのですよね。てめえコノヤロ粗相しやがってとできませんから(笑)。


全然話は飛びますが、昨日「これは素晴らしいポジショントーク」とCS(銀行)の市東さんスピーチを絶賛(嘘)しましたが、GSの植田さんのスピーチの冒頭部分も中々ですな。「日本国債発行残高が米国債発行残高くらいあるのに、一日の取引高が少ないとかレポの取引高が少ないから日本マーケットがローカル化懸念」とはこれまた面白い理屈ですな。一々ツッコミ入れるのも面倒ですのでツッコミは華麗に割愛しますが、後ろの方で問題提起されてるネタにツッコミますと、ブローカーフィーが高いという指摘は同意だが、下げれば売買が活性化するもんでもないでしょとか、呼び値が単利になってるのをグローバル化と絡めてケチつけるならてめえのところが複利(または単価)でマーケットメークすりゃ良いじゃんとしか申し上げようがなく、文句のつけ方が妙ですなあといったところですか。

#また雑談になってしまった





2007/03/05

お題「週初につき雑談」

週初は調子がでませんな。ということで雑談。

○短期金融市場フォーラムとりあえず雑感

市場参加者によるスピーチ(へのリンク)はこちら。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/tanki0703b.htm

フォーラムでの議論と言うのもアップされてます。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/data/tanki0703c.pdf

・短期国債のSCレポ取引とかターム物取引とか

金曜書いたあたくしの勝手な雑感その1であります所の「短期国債のSCレポ取引」に関して(野村證券中村執行役の指摘)は金曜に書きました投信(短期国債持ってる投信と言えば短期公社債投信)の制度上の課題に加えて、短期国債の買いオペやら資金供給オペが多いことから、SCレポ取引に手間隙かけて出すよりも裁定機会があるってこともあるのかなあと思いましたです。はい。

でね、皆さんのスピーチの中で「ターム物取引が広がらない」って話をしてまして、確かにその通りではあるんですけど、ゼロ金利政策の前(でかつ世の中で信用収縮とか無い平和だった頃)と今とを比較して短期の世界で一番違ってるのは「大手銀行の資金ポジション」と「流通可能な短期国債のロット」じゃないのかと思いまして、前者によってそもそも無担保でのターム物資金の取りニーズが減り、後者によって「リスクフリーのターム物運用市場」が拡大したということで、まあ結局はTBとFBの発行を減らすか、FBの日銀引受復活させて必要に応じて売りオペを実施するというどっちもやり難そうな事しか咄嗟には思いつきませんな。

ま、無担保市場がイマイチ広がらないのは、資金ポジションの変化もありますし、短期市場に流通する国債が無茶苦茶増えたのもありますし、他にはかつての信用収縮時代を前提にした制度が足かせになってるとかあるんでしょ。ターム物自体は短期国債市場があるので別にイラネーヨという感もありますが。


・これはまた見事なポジショントーク

ターム物取引を活発化汁!無担保コールに資金を出しましょう!という話をしてたのはクレディ・スイス銀行の市東本部長でした。有担市場であるレポの金利が無担保コールよりも高いのは如何なものかとか、有担保コールから無担保コールに資金を運用しましょうというように市場間裁定がもっと進むようにしましょうというのはそれはそれである意味正しい。「リスクはチャンス」とか「サムライ・マインドを持って」とか確かにそれはそうですな。

・・・ではあるのですが、信用収縮時代に邦銀相手にジャパンプレミアムふんだくって散々稼いだおまいらが言うなとしか申し上げようがございませんでして、素晴らしいポジショントークだわとその香ばしさに落涙を禁じ得ません。

てか、スピーチの中で全編これポジショントークにしか読めなかったのはこのお方のスピーチでして、ある意味正直なお方だと思うのですが、市場整備の観点から言うとどうなんでしょうかねえ。


・T+0のレポ取引

T+0のレポ取引の発展が求められますなあという話は複数のスピーカーから指摘されてました。まあ最大のネックは「事務対応」であることは間違いない所(SCの場合はフェイル慣行をどう定着させるかの問題もあるが)ですな。実はT+0で翌日物のGCレポ取引が出来れば、現行の先日付のレポと違いまして担保値洗いで悩む必要が多分無い(とは言え、レポやるのに担保評価しないって訳にもいかんでしょうが)ので、ちゃんと始まれば有担コールをかなりの勢いで駆逐しそうな気もするんですけど。

しかし議論の中で『T+0市場を伸ばすための即効薬は、日銀がレポを誘導目標にすること。』ってあったのはこれまた正直だけど本末転倒もいいところですなあと思いましたよ。市場が整備されてないのに金融政策の誘導目標に出来ないだろ常識的に考えて・・・・・


#まあつらつらと雑感でございました。以下も雑感ですが(苦笑)。


○日経金融新聞の記事ネタで2つほど


・2月28日の2面「ポジション」記事

ここの記事にはしょっちゅう悪態ついてますが、良い記事もご紹介しないと申し訳ないというものですな。

えーっと、お題は『トリプルAに潜む罠 カネ余りが生む「変型商品」』ということで、内容はCPDO(constant propotion debt obligation)投資に関するお話。あたくしも暫く前にこの商品に関する話題を聞きつけて(確かCPOD大量発行でCDSスプレッド縮小したという話題だった気が)「何たるレバレッジの高い商品」と感心しちゃったんですが、「格付けが高くて高利回り」商品のリスクがどこにあるのかということについて、ややざっくりではありますが判りやすい記事になってます。

まあアレですな。こういう表面を美しく作った商品ってのは売れるんですよね。あたしゃリスク管理というのは金融取引手法を駆使してリスクを軽減することよりも、自分の持ってるリスクの所在を把握して、そのリスクを自分でコントロール可能な状態にしておくこと(勿論そのモニターもしますが)だと思う人ですので、プレーンな商品が大好きでこの手の商品は好きじゃないんですけどね。


・3月2日の1面左上の記事

確定拠出年金に関する話なのですが、みずほが加入者向けサービスということで『運用実績、他人と比較』ってのをするそうな。記事によりますと、加入者の利回り実績が社内全体ではどのような分布になってて、貴方は幾らだからどの辺にいますよってサービスをするそうな。まあ元本確保型の預金とか保険がDCの残高中でかなり多いので他人の運用利回りと比較することによって投信などにシフトしてほしいってのがあるようですけど。

でね、確かにその試みは好評を博すと思うんですけど、あたくし思うにそんなの余計なお世話でして、DCと言っても個人の資産ポートフォリオの一環なのですから、本来必要なアドバイスは個人の資産運用(住宅ローン組んで家買うとかいう話まで含めたトータルでの)に対してどういう運用をすべき(ってほどDCにカネを突っ込めないのが現状ですが)かという話じゃねえのかと思うんすけどねえ。他の資産ポートフォリオが違う人同士で利回り比較してどうするのよという感じですな。

でもまあこの記事は如何にも日本的な心情にマッチするサービスだなあということで、中々象徴的なネタだと思ったのでクリップ。あたくしのDCでこれをやって貰われたくはない(自分の運用実績はただのデータであっても開示されたくはないから)ですけどね。





2007/03/02

お題「水野審議委員会見/相場ネタとか短期市場フォーラムとか」

モーサテ様の報道によりますとグリーンスパン様は先日のてめえの発言について「景気後退の可能性は低い」と火消しをしたそうで、そのあまりの香ばしさに落涙を禁じ得ません、あっはっは。

さて、政策をいじった直後に水野審議委員の講演があるというのはこれで何度目でしたっけという感じでして、しかも毎度その内容が武勇伝♪武勇伝♪でございます。さすがはあっちゃんカッコイイ!ということで(-_-メ)。

で、武勇伝振りは会見でも炸裂しておりますし、何だかんだと言いましても水野さんの場合は年中行事の少数意見と見做す訳にも行かない節がありますんで、やはりこのロジックもチェックしておかないといけませんな。

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0703a.pdf

○一貫性のあるメッセージに関して

武勇伝♪武勇伝♪

『「シンプルかつ一貫性のあるメッセージ」という意味では、私自身は12月の金融政策決定会合後の総裁記者会見での、フォワード・ルッキングな政策を続ける、生産・所得・支出の好循環が続いている、ただ、消費者物価・個人消費について幾許かの不安があるとの発言を受けて、かなり混乱が生じてしまったと思います。』

総裁会見批判キター!

『フォワード・ルッキングな政策を続けていくし、経済の好循環メカニズムは変化していないということがキーメッセージですが、あえて言わなくてもよいことを言ってしまった可能性もあると思います。それによって市場参加者に、金融政策決定におけるフォワード・ルッキングな考え方が日本銀行の中でぐらついているのではないかという懸念がやや出てきたことが出発点だったと思います。』

まあ確かに反対の人の理屈のどこがどうフォワードルッキングなのかよというのは市場の多くも同意するでしょうな。で、さすがに総裁批判と取られるのも何だということで、後の方の質疑ではこんな発言を。

『2つ目の質問についてですが、福井総裁の発言が問題ではなく、福井総裁は、政策委員会でそういう議論があったから発言をされたということだと理解しています。ただ、先ほどの説明は私の個人的な感想を述べただけであり、外からみると多分非常に分かり難かっただろうと、あるいは分かり難かったという具体的な指摘を何人かの市場関係者から受けているので付言させて頂きました。それから1月の政策決定会合で政策変更を見送ったことが金融政策の予想可能性を低下させたというのは、あくまで私個人の感想に過ぎません。それが日本銀行全体でシェアされているかは分かりませんし、私がコメントできる立場にはありません。』

個人的な感想とは言ってますが、市場関係者からの指摘とコメントしてますし、まあ1月に利上げ提案してるから当たり前なのですが、水野審議委員としては1月見送りに対してダメ出しをしてますなあという所で。


で、シンプルかつ一貫性のあるメッセージがどうのこうのという話ですけれども、最初に紹介した部分の続き(会見要旨の3ページ目から4ページ目)にその点について更に水野さんの説明があります。

『2つめのお話として、金融政策の運営に関して、今後、BOJウォッチングをしていく際に、何をみていけばよいのかという質問に対して、答えを明確に提示していないのではないか、とよく言われます。それについて言えば、先程の2つのキーワードに沿って言葉だけでなく行動していくこともそうですが、基本的には景気の回復が持続していくもとで、物価の低位安定から緩やかな回復に向かっていくパスを描けることも考えますと、今日公表された鉱工業生産指数などの景気一致指標や景気が実際に回復を続けていることが分かる統計については、マーケットと対話する上で、景気の実態について認識を共有するためにも非常に重要だと思います。』

何となく判ったような判らんような話ですが、そうなるとGDPを見て利上げしたように見えるタイミングというのもどうだったのかなあ(須田、水野、野田の3氏の場合は1月から利上げ提案してますから話は別ですが)という気はするんで、2月に利上げに転向したのが何とも。

『フォワード・ルッキングというのは、そういう統計も踏まえて、私どもが4月に公表する展望レポート―─2007 年度、2008 年度の景気見通しとともに新たな経済のメカニズムを提示させて頂くことになると思いますけれども―─に基づいて対話を再考していく必要があると考えております。』

まあそういうことですので、展望レポートでどういうロジックを展開してくるのかということでしょう。


○物価指数離れ&金利は今後も上げますよという話

会見要旨7ページ目から8ページ目です。

『まず、消費者物価指数(除く生鮮食品)については、確かに原油価格の動向によって目先ゼロ近傍で推移する可能性があると金融経済月報でも触れています。ただ、基調としては上昇していくという意味で長い目でみれば先行きの見方は変えていないということを説明させて頂いています。市場参加者の中に消費者物価指数(除く生鮮食品)の目先の見通しを前提に金融政策を予想される方がいることは承知しています。ただ、今回そういう見通しがあることをあえて金融経済月報に触れながら政策金利の引き上げを決定したわけです。』

ということで、市場の見方に関しても水野さん的にはウォーニングを発しているのでした。で、その説明ですが、引用するのにどこからどこまで引用すりゃ良いのか非常にあたくしが困るのが水野さんの会見要旨。なぜなら一文が長いのよこれが、とお前が言うなと言われそうなことを。

『これは物価の基調的な動きについては見方を変える必要はなく、基調的な物価を決める環境については、海外経済、特に米国経済を巡る不透明感がかなり後退しているもとで、日本経済が生産・所得・支出の好循環メカニズムが維持され、緩やかな景気拡大を続ける見通しにある、こうした中で設備や労働といった資源の稼動状況が高まっている、ことを前提にしながら政策変更をしていることになります。』

『また、あえて付け加えさせて頂くと、需給ギャップに対する物価の感応度には不確実性があるということです。需給ギャップが拡大しても直ちに物価が上がり始めるわけではありません。こうしたことを踏まえると物価上昇率がある程度高まるまで需給ギャップのプラス方向を維持していく必要がある一方、先行きの反動を大きくしないために需給ギャップのプラス幅を余り大きくするわけにもいかないとも考えています。こうしたバランスを考えながら金利引き上げを今後進めていくことが重要と考えています。』

ということで、昨日ご紹介した講演要旨にあったことと同じ話をしている次第でして、基本的には中立金利に向けての金利調整ステージであるというのが水野さんのロジックではないかと思います。従って足元の物価が少々下げてもケンチャナヨということなんでしょ(本当に経済物価情勢がダメダメになるなら話は別でしょうけれども)確かに今の政策の枠組み自体もそう読み取ることが可能な言い回しにはなっておりますけど。

『市場の見方を全く否定するものではありませんが、市場の見方に対して、金融経済月報でそれなりに回答しているのではないかと個人的には考えています。ただ、量的緩和政策の中で消費者物価指数(除く生鮮食品)に関する条件を出していたため、どうしてもこれに対する関心が高いことや、12月以降、次の金利の引き上げを巡って、私どもの本意ではないと思われますが、消費者物価指数(除く生鮮食品)がもう一度フォーカスされ、あたかも政策金利の引き上げに対して物価が非常に大きな注目点になるという見方が強まった面があったのではないかと思います。』

ということで、物価にあまり注目しすぎんなと言うことのようです。はあそうでございますか。


というあたりで引用だらけになってしまったので、米国経済の話とかは華麗にスルーします。以下別の話です。


○コールは落ち着いたのでしょうか

昨日の無担保コール市場ですが、朝っぱらから相変わらず0.6%(そういや一昨日の無担コール翌日物の最高金利は0.8%でした)近辺での動きもありましたが、朝一の人が一巡して日銀様渾身の即日オペもありましてレートは低下し、0.50%近辺での平和な展開の後はなお下落したようで。

でまあコールが落ち着いたのを見てGCも0.6%をやっと割り込んで0.58%あたりまで低下したようで、もともと落ち着いていればこんなもんでしょうという水準になったような感じ。とはいえ、昨日一日だと何とも言えませんのですが、一応月末越えたので落ち着いたということにしておきましょう。

まだ高いところを朝からがっつり取る人もいるので安心は禁物なのですが、その原因も良く判らんというのが実にアレでございます。2月末如きでこの調子だと3月末(しかも土日挟むので3日間)はどうなっちゃうんでしょうと思うのが年寄りなのですが、何故かタームのレート(FBとかCPとか)がその辺りを反映してるように見えないのが誠に「????」なのであります。


○間が悪いのは誰だ?

日曜の福井総裁講演、というか日経様主催の「イエコノミー」とかいうセミナー(イエコノミーといい、円借り取引といい、そのオヤジギャグのような命名センス何とかならんのかと言うとまたお前が言うなと言われそうですが)で「家計の皆さん投資をしましょう」というお話をしてまして、水曜にご案内の通りの急落で総裁の髪様振りに落涙を禁じ得なかったのですが、冷静に考えると本当に間が悪いのはこのセミナーの主催者なんジャマイカという気がしてきました(笑)。

だってね、セミナーの趣旨が「貯蓄から投資」みたいな話なのに、そこに出てきて「日本銀行は実態経済から離れた低金利の長期化観測が定着すると投資活動の過熱化を招いてその後の調整コストが大きくなると思ってる」などと言い出したら正に場が凍るのは間違いない訳で、リップサービスもあるんでしょ(って中身実は半分も読んでないのに言うのも何ですが)。

#ま、そういうセミナーにノコノコ日銀総裁が出席するのはどうなのという論点はありますけど

そしてですな、米国株が大下落(中国発だの円キャリーの巻き戻しだのというコメントが聞かれますが、今回の下落の根本は米国の問題としか思えません。円キャリー巻き戻しも日本の利上げじゃなくて米国の問題でしょ、これだけ事前に利上げの話が出てたのに、実際に利上げになってからポジションを大々的に巻き戻す奴はおらんだろ。予想の範囲内利上げなんだから・・・・)した日の朝のテレビ東京様のニュース番組に登場したのは毎度おなじみ某証券の某大先生。

まあゲスト出演を今日の今日依頼する筈は無いので、某大先生を呼んだと言うことは、当然ながら「日銀の利上げが有っても黄金の市場環境は変らない」という話をぶちあげてもらう為に呼んだとしか思えないので、実は間が悪いのは(以下自粛)。

そういや今朝のゲスト解説者は弱気を唱える某銀行の大先生だったので、これは底打ちかと思わせてくれたのですが、何故か「それ見たことか」という発言ではなくて、「一方的に下げる展開になるかどうかは様子をみないとわからない」みたいなヘッジ入りになっていたので朝からガクガクブルブルなのでした。


○またもネタメモ

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/tanki0703b.htm

短期市場フォーラムのスピーチ、最初の二つだけ斜め読みしたのですが、中々面白そうですね。

で、2番目の人の話にあった短期国債のSCレポ取引に関しては、債券型の投信が貸出有価証券をして現金担保が入ってくると結果としてレバレッジを効かせた事になってしまう(元本が増えてますよね、で、その金をコールでも何でも出した途端に運用したことになるから)ので、その辺をどう回避するか(現金担保じゃなくて短期国債を担保にして、キャッシュの出入りを貸出料の受けだけするか、短期国債の担保を多めにして運用側が金を出して短期資金運用する形にすれば回避できるような気がするが)でしょうかね、と直感的に思ったのでした。






2007/03/01

お題「コールが一番高いとは/毎度の水野審議委員講演」

バーナンキ議長発言もサポートして米国市場りあえず一息。まあ先日のグリーンスパン発言は「てめえが退任までドカドカ金利上げておいて景気後退示唆とか他人事みたいに言うな」(って内容見てなくて報道されてる内容で言うのも問題ありますが)ってあたくし的には思ったんで、バーナンキ議長の適切な発言で市場が戻った事には正直ほっとしました。後任の足を引っ張ってどうするジジイ。

さてまあ昨日の相場では無担保コールがアフォのように上ってましたのでその話と、株安のせいで華麗にスルーされてしまった水野審議委員の講演内容が相変わらず日銀の公式ロジックと思われるものから話違うんじゃねえのって内容だったんでその話を。


○コールレート最強とは

「働いたら負けだと思ってる」というのは24歳ニート氏の名言でしたが、昨日の短期市場は運用サイドとしてはまさにその様相(苦笑)になってました。朝から外銀系のコール資金の取りがレートを引き上げて入ってきまして、0.6%台後半から0.7%近く(日銀公表の当日最高レートは0.700%)まで翌日物金利が上昇してそこそこの出合い。ただまあ即日資金供給を連発で実施しましたし、そもそも積みの進捗自体は激しく順調ですので、やたら上を取る一部の外銀以外のビットはそこまで逝く訳も無く、午後になるとレートが低下したんで加重平均金利は0.589%となってました。

利上げ直後からどこぞのネームがやたら上を取っていたと言われてまして、現在でもそこの他にやたら上を取る人がいるようでして、何でそんな上をアフォのように取るのかに関しては最終的には本人達のお家の事情を聞かないと(んなもん教えてくれませんが)判らんですが、どんな事情があるんだろうと市場的には憶測を逞しゅうしている所でございます(以下憶測ベースの話なので自粛)。

ま、そんなお家の事情な人じゃなくて、証券業者と大手銀行が主体のGCレポ取引では、さすがにそんなレートはやり過ぎ感漂うのですが、まあ何せコールがやたら高いので、中々落ち着いてくれずに0.6%ちょっとというレートで中々落ち着かないのでありました。

で、ご案内の通りでタームのFBレートは昨日の新発3か月(早いもんで6月償還になっちゃいましたな)が0.6%台で入札やってましたが、既発債の気配はまあ大体0.6%割れと足元のGCレートから考えると(期末越えとか大型連休越えとかがあるので)逆鞘モードになってねえかこの金利という状況でして、まあどっちかが間違っている(間違っているのは足元金利だと思いますが)ということでしょう。

それにしても、無担保コール翌日物金利が一番高くて、先日付のレポやらターム物のFBやCPの金利の方が安いとは何たる「働いたら負け」状態(運用側から見てね)かと呆れる次第でございます。とりあえず局地的にはT+0(当日)の資金を持ってる人最強でT+0ファンディングが最弱ですかそうですか。


さて、世界株安によって華麗にスルーされた水野審議委員の講演ですが、いつもながら一味違う切り口が炸裂しております。で、量がいつものように多いので全部コンパクトに紹介できないかもしれませんが、とりあえずあたくしの読解力の範囲で目についたところから参ります。

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0702d.htm
お題は「経済・金融のグローバリゼーションと中央銀行の課題」


○とりあえずCPI離れをしたいのは把握した

「物価安定の理解」と矛盾するのではないかという風に思うのですが、CPI離れをしたいというのは極めて良く伝わって参りますなあ。

『4.金融システム政策の課題と金融政策運営』の部分から。

『実体経済が約5年に亘り回復を続け、物価もプラスに転じる一方で、世界的にみても極めて緩和的な金融環境が続く中にあって、金融行動の行き過ぎなどによって生じるリスクを早期に把握することは、金融政策上の観点に加え、金融システムの安定を確保するという観点からも重要となります。』

『先進各国の経験を振り返りますと、70年代までは、経済の健全な発展を脅かすリスクは直ちに物価面に表れることが多かったように思います。しかし、80年代から90年代にかけては、そうしたリスクが物価面に直ちには表れず、資産価格面や金融システム面に蓄積され、その後暫く経ってから経済の不安定化に繋がるケースが各国でみられました。もちろん、わが国もその例外ではありません。』

『このように、世界的にみても、経済に生じるさまざまな「歪み」の影響が直ちには物価に表れにくい状況となってきている中、中央銀行の金融政策と金融システム政策の接点も、ますます大きくなっているとみています。』

ということで、今の金融政策の枠組みで言えば第2の柱の方だと思うのですが、リスク回避型の金融政策を実施する時にはあまり物価に囚われるのは如何なものかと言ってるように読めますな。

その続き。ちなみにここから始まる部分の小見出しが『予防的かつフォワード・ルッキングな視点の重要性』でございます。

『すなわち、こうした環境変化の中で中央銀行として持つべき視点や採るべき対応は、金融政策・金融システム政策の両面で、共通するものが多いように思います。』

『一つ目は、―これは低金利政策の「効果」と裏腹ですが―極端な金融緩和が必ずしも整合的ではなくなった経済実勢の下で、なおそうした金融緩和が長期に亘り続けられることがあれば、やはり何らかの副作用をもたらす可能性が高いということが、これまでの各国の歴史から得られた教訓ではないかと思います。したがって中央銀行としては、様々なリスクについて、それが物価面に直ちに表れないケースも十分に想定しながらチェックしていく必要があります。(二つ目はプルーデンス政策の話なので引用割愛)』

まあ小見出しに有ります通りの論理展開になっておりますな。ということで、どう見てもバブル予防的措置と言ってます。本当にありがとうございました。


○利上げしますよというお話

まあこの「0.5%になっても十分緩和的」というのは福井総裁も会見で言ってました(駄文ではスルーしましたが)けど。同じ所の後の方の部分より。

『私は、このことを金融政策の観点から捉えれば、低金利環境の長期継続期待―すなわち、経済が拡大する一方で超低金利は続くといった予想―に基づく、行き過ぎた金融行動や資産価格形成を防止するためにも、中央銀行として、経済情勢と整合的な政策を適時適切に採っていく必要があると考えています。』

というのはさっき引用したことと同じ文脈ですな。

『現在の金利水準をどのようにみるかは、経済・物価見通しにも依存する訳ですが、一般には潜在成長率について1%台半ば程度とみる向きが多いように思います。さらに、インフレ予想もプラスとなっているとの見方に基づく場合、現在の市場金利の水準、とりわけ短期金利の水準は、やはり、かなり緩和的と言えるでしょう。』

はあそうですか。

『もちろん日本銀行は、デフレ脱却のために思い切った金融緩和政策を採り、さらに、時間軸効果を通じてターム物金利にも働きかけてきました。しかし、フォワード・ルッキングな情勢判断に基づき、物価がプラス圏内で推移するとの見通しが持てるようになった段階に至れば、イールドカーブの形成は極力、潜在成長率や中長期的な物価見通しと整合的な水準に自然に収斂していくことが望ましいように思います。このことは、金融市場や金融システムに由来するリスクを、長い目でみて減らすことにもつながると、私は考えています。』

この「望ましい」っつー発想が何だかなあって思うんですけどね。


○中立金利という言葉がございますな

ちょっと前のほうなんですが、『2.グローバリゼーションとマクロ経済政策運営』の最後の方でしらっと中立金利という言葉が。

『また、生産性の上昇や人口動態の変化に伴って潜在成長率が大きく変化する可能性がある中、中立金利の水準はある程度幅をもってみておく必要があると思います。』

読んでて「おお!中立金利!」と思わず声を。ちなみにこの文の前にはこんなのがありました。

『日本銀行は金融政策の効果が発現するまでのラグがあるため、政策運営において1年半〜2年程度の期間にわたる経済見通しを中心に考えています。一方、政府が、潜在成長率を引上げるための施策で念頭に置いている期間は5年以上と、日本銀行よりも相当長いはずです。そのため、金融緩和の度合いを多少小さくするような金融政策運営が、わが国の潜在成長率の引上げにネガティブな影響を与えるという議論は、私には余り説得力がないように思えます。』

そのため、の前と後がどういう論理で繋がるのかがどうも浅学非才なあたくしには良くワカランチ会長。


○やっぱり金利の正常化路線

最後の『5.まとめ』の部分ですが。

『金融政策の予測可能性が低下することは弊害があります。「市場との対話」では、個人的には、「シンプルかつ一貫性のあるメッセージ」を出していきたいと思います。また、量的緩和政策を解除したロジックという原点に返って、(1)新たな入手するデータを丹念に点検することはもちろん重要ですが、金融政策運営は「フォワード・ルッキング」に行うこと、(2)金融システムが正常化し、デフレ・スパイラルに陥るリスクがない中、経済・物価情勢の変化に応じて、徐々に金利水準の調整を行うことを目指していること、を再確認することが重要だと思います。ゆっくりでも、こうした意味での「金利の正常化」を目指すことは重要だと考えています。』

『私としては、「フォワード・ルッキングな金融政策運営」と「金利の正常化」の2つをキーワードに政策運営を行う姿勢が重要だと考えています。金融政策に関する対外コミュニケーションのあり方について、今後とも研究を続けることをお約束して、本日の講演を終わらせていただきたいと思います。』

ということで、金利の正常化だそうなんですが、中立金利水準に幅があるとか言ってたのに金利正常化というのも何だかねえという気がするのですが。まあ水野審議委員の主張はこれはこれで一貫しておりますということですかな。結局のところ「金利の正常化」ってことなんでしょうな。はいはい利上げ利上げ。


○これは・・・・

で、その『まとめ』の前半では水野先生このようなご発言を。

『中央銀行のコミュニケーション・ポリシーのあり方を考える場合、私は、金融市場は金融政策に関する完全な情報をもっていないという原点を忘れるべきではないと思います。いわゆるBOJウォッチャーは、「情報の非対称性」の中で、政策変更の時期を予想することを求められています。』

まあそれはそうです。で、次の部分に苦笑。

『個人的には、「ノイズを含めて金融市場である」という心構えが重要であると思っています。民間エコノミストが、個々の経済データに一喜一憂するのではなく、「現在は景気サイクルのどの局面にあるのか」など大局観について議論を深めることができる環境ができるような情報発信を心がけていきたいと思います。』

ノイズですかそうですか、あっはっは。

ちなみに、円キャリー取引だの、経済政策だの、色々な話題がありまして、やたらと長い講演(講演や質疑応答が長いのは水野審議委員の仕様です)ですので、市場が落ち着いたらもうちょっと読んでみたいと思います。その間にも日銀ワーキングペーパーシリーズとか出てるんですが(しかもお題がフィリップスカーブだの物価がどうのこうのだのとか)。