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2006/09/29

お題「さて期末/岩田副総裁講演」

本石町日記さんのところで末初取引ネタがございましたんでまずはそっちから。

○お助けオペに応札4兆6千億

昨日は共通担保本店オペで9月29日スタート10月2日エンドというそのまんま末初の資金供給が1兆円オファー。「おうおうお助けオペお助けオペ」と思っておりましたが、落札結果を拝見しますと平均落札利回りが0.391%で最低落札利回りが0.39%(相変わらず日銀のサイト上の表示は0.390ですが刻みは0.01%ですので念の為)ですとな。

で、まあそのレートにも「ほほー」と思いましたが、応札が4兆6千億もあったというほうに思わず目が行ってしまいまして、いやはや何ともこりゃ随分と応札がありましたなあって感じです。昨日申し上げたようにまだショートがそれなりに深そうとか見られてたという状況から勘案するに、こんなもんと言えばこんなもんではありますけど。

さてこの結果なのですが、平均落札利回り&按分比率(85.0%)から逆算すると、0.40%での落札が1000億くらいで、0.39%での落札9000億円くらいに対して応札が1兆600億円くらいという計算になり、残りの札が0.38%以下になっているということのようでして、まあ0.39%までの札はマジ札でしょう。問題は0.38%の札でして、これが按分掛かる積りで入れてた札ならまだまだショートは深いという話になりますし、ただの入ればラッキー冷やかし札(0.37%以下は入ると思ってる札とは思えない)なのかが実に微妙なところですが、そんな話は調節担当の人は先刻ご承知(札の入り方とかヒアリング状況から色々と判断されていることかと)でしょうが。

という訳で、今日は即日オペのお時間を生温かく見守りたいと存じます。


○期末受渡過ぎてもニーズ強いFBですか

受渡ベースではまあ普通に期末終了しておりますんで、期初モードで新たに短い所の金利はどうよって話になる(のは短い所をいじってる人のみですが^^)のですが、GCレートがまだ期末の余波で0.34%近傍にいるんですけど新発FBは0.34%とか威勢良くやっているようでございまして、引き続きニーズの方は旺盛なようですな。

まあ2日スタートの国債買現先オペが最低落札0.31%(期間11日)とか、共通担保本店オペが最低落札0.32%(期間大体1か月)とかになってますから、その金利と比較するっていう話になればまあ一応鞘は残る話にはなりますけど、まあ調達コストのある人とか持ち切り前提の純投資の人とかにとっては少々キビシーって話になるとは思うんですけどね。

このあたりを見てるとどう見ても年内利上げ無し自信満々モードになってきているように評価されるのでありました。あっはっは。



○岩田副総裁講演は特に金融政策の話無し

http://www.boj.or.jp/type/press/koen/ko0609c.htm

お題が「資本市場と銀行システムの進化」という事から既に金融政策の話は無いなあと思って読んだら案の定金融政策ネタが無く、ネタ無し芳一のあたくしとしては誠に残念(^^)。

とは言え、「金融高度化」ネタといえばドブ板リテール金融を駆け出しの頃やってた事もあるあたくしが突っ込みたくなる話の多いネタでもございまして、まあまた美しい話をしてますなあという感は否めません。

で、色々と突っ込もうかと思ったら時間が無くなったので(こら)、まあこの部分を読んでいやはや感を強くするのでありました。

『この移行期の過程では、従来の相対型の金融取引においても市場メカニズムの活用が求められることになります。例えば、銀行貸出のリスク評価をしっかりと行い、リスクに応じた利鞘を設定することが求められています。かりに「信用リスク」の市場取引が行われるようになれば、銀行はリスク評価をより正確に行うことが可能になります。』

また「リスクに応じた利鞘」「市場は正しい」話を見るとうんざりするあたくし。いやね、大体市場取引って言ったって事業債の対国債スプレッドって信用リスクで全て値付けされているのかというとそうでもない需給要因とかあるし、そのあたりのスプレッドって金融行政の匙加減(シバキアゲ時代と現在のスプレッドは全然違う)次第でもあるんですけどね。まあいいけどさ。

それよりも「リスクに応じた利鞘」とか「市場取引が行われるようになると結構」とかこちらで話をしている側から貸金業の貸出金利の上限金利を厳しくする(=引き下げ)という話が自民党様だか金融庁様から出ているのはこりゃ一体全体どういう事なのかと小一時間問い詰めたいと。

いやね、例えばイットバブルが崩壊した後に金融不安だの何だのとか言ってた時代なんかは、上場企業でもうっかりすると社債の流通利回りが10%だの20%だのになった時だってある(まあそういう中であの世に逝かれたカイシャもありますが、今や元気でピンピンしてる会社だってございますんでねえ)訳でして、上限金利を法令で特定数値設定するというのは何か(=金利上昇か信用収縮)あった時に困った事が起きるのではないかと存じますがね。

で、片や市場でこういうのを決めるのがビューティフルな姿だという話が出ていまして、金融行政の方向としても確か同じだと理解してるんですけど、こと左様に「広げた風呂敷の右と左でやってることが違いませんか」ってのが目に付くのが金融行政に関するあたくしの疑問なのでございます。

・・・・全然岩田副総裁の話を敷衍していないですな。はーこりゃこりゃ。






2006/09/29

お題「さて期末/岩田副総裁講演」

本石町日記さんのところで末初取引ネタがございましたんでまずはそっちから。

○お助けオペに応札4兆6千億

昨日は共通担保本店オペで9月29日スタート10月2日エンドというそのまんま末初の資金供給が1兆円オファー。「おうおうお助けオペお助けオペ」と思っておりましたが、落札結果を拝見しますと平均落札利回りが0.391%で最低落札利回りが0.39%(相変わらず日銀のサイト上の表示は0.390ですが刻みは0.01%ですので念の為)ですとな。

で、まあそのレートにも「ほほー」と思いましたが、応札が4兆6千億もあったというほうに思わず目が行ってしまいまして、いやはや何ともこりゃ随分と応札がありましたなあって感じです。昨日申し上げたようにまだショートがそれなりに深そうとか見られてたという状況から勘案するに、こんなもんと言えばこんなもんではありますけど。

さてこの結果なのですが、平均落札利回り&按分比率(85.0%)から逆算すると、0.40%での落札が1000億くらいで、0.39%での落札9000億円くらいに対して応札が1兆600億円くらいという計算になり、残りの札が0.38%以下になっているということのようでして、まあ0.39%までの札はマジ札でしょう。問題は0.38%の札でして、これが按分掛かる積りで入れてた札ならまだまだショートは深いという話になりますし、ただの入ればラッキー冷やかし札(0.37%以下は入ると思ってる札とは思えない)なのかが実に微妙なところですが、そんな話は調節担当の人は先刻ご承知(札の入り方とかヒアリング状況から色々と判断されていることかと)でしょうが。

という訳で、今日は即日オペのお時間を生温かく見守りたいと存じます。


○期末受渡過ぎてもニーズ強いFBですか

受渡ベースではまあ普通に期末終了しておりますんで、期初モードで新たに短い所の金利はどうよって話になる(のは短い所をいじってる人のみですが^^)のですが、GCレートがまだ期末の余波で0.34%近傍にいるんですけど新発FBは0.34%とか威勢良くやっているようでございまして、引き続きニーズの方は旺盛なようですな。

まあ2日スタートの国債買現先オペが最低落札0.31%(期間11日)とか、共通担保本店オペが最低落札0.32%(期間大体1か月)とかになってますから、その金利と比較するっていう話になればまあ一応鞘は残る話にはなりますけど、まあ調達コストのある人とか持ち切り前提の純投資の人とかにとっては少々キビシーって話になるとは思うんですけどね。

このあたりを見てるとどう見ても年内利上げ無し自信満々モードになってきているように評価されるのでありました。あっはっは。



○岩田副総裁講演は特に金融政策の話無し

http://www.boj.or.jp/type/press/koen/ko0609c.htm

お題が「資本市場と銀行システムの進化」という事から既に金融政策の話は無いなあと思って読んだら案の定金融政策ネタが無く、ネタ無し芳一のあたくしとしては誠に残念(^^)。

とは言え、「金融高度化」ネタといえばドブ板リテール金融を駆け出しの頃やってた事もあるあたくしが突っ込みたくなる話の多いネタでもございまして、まあまた美しい話をしてますなあという感は否めません。

で、色々と突っ込もうかと思ったら時間が無くなったので(こら)、まあこの部分を読んでいやはや感を強くするのでありました。

『この移行期の過程では、従来の相対型の金融取引においても市場メカニズムの活用が求められることになります。例えば、銀行貸出のリスク評価をしっかりと行い、リスクに応じた利鞘を設定することが求められています。かりに「信用リスク」の市場取引が行われるようになれば、銀行はリスク評価をより正確に行うことが可能になります。』

また「リスクに応じた利鞘」「市場は正しい」話を見るとうんざりするあたくし。いやね、大体市場取引って言ったって事業債の対国債スプレッドって信用リスクで全て値付けされているのかというとそうでもない需給要因とかあるし、そのあたりのスプレッドって金融行政の匙加減(シバキアゲ時代と現在のスプレッドは全然違う)次第でもあるんですけどね。まあいいけどさ。

それよりも「リスクに応じた利鞘」とか「市場取引が行われるようになると結構」とかこちらで話をしている側から貸金業の貸出金利の上限金利を厳しくする(=引き下げ)という話が自民党様だか金融庁様から出ているのはこりゃ一体全体どういう事なのかと小一時間問い詰めたいと。

いやね、例えばイットバブルが崩壊した後に金融不安だの何だのとか言ってた時代なんかは、上場企業でもうっかりすると社債の流通利回りが10%だの20%だのになった時だってある(まあそういう中であの世に逝かれたカイシャもありますが、今や元気でピンピンしてる会社だってございますんでねえ)訳でして、上限金利を法令で特定数値設定するというのは何か(=金利上昇か信用収縮)あった時に困った事が起きるのではないかと存じますがね。

で、片や市場でこういうのを決めるのがビューティフルな姿だという話が出ていまして、金融行政の方向としても確か同じだと理解してるんですけど、こと左様に「広げた風呂敷の右と左でやってることが違いませんか」ってのが目に付くのが金融行政に関するあたくしの疑問なのでございます。

・・・・全然岩田副総裁の話を敷衍していないですな。はーこりゃこりゃ。



2006/09/28

お題「末初レートは0.4%ちょいでしたか」

いや〜♪ゲストコメンテーターに散々弱気見通しを言ってもらったらその日にいきなり株価急上昇ってモーニングサテライト様も髪の域に近づきつつありますな。素晴らしい。

しかし今朝は早速ダウ高値更新間近ネタで提灯行列でも始めそうな勢いでバラ色モードになっている所がまだまだ修行が足りないのではないかと存じます(笑)。


○末初レートのお話

昨日はレポとか現先市場での末初モノ取引の日だったのですが、今回は結構ドタバタやってたようでして、何と申しますか皆さんギリギリまで引っ張るもんですなあとそれなりに期末前に備えをするのが普通だった時代(ええもうそれは遠い遠い昔の話です)の記憶が残る年寄りには誠に香ばしいものだと傍観させて貰いました。

末初(9月29日スタートの翌日物ね)のGCレートは0.42%あたりが中心だったしく、それならロンバートに行くと開き直っている向きもあるやに聞いておりますが、まあ一応これはロンバート貸出が特定日の金利跳ね上がりを抑えるのに効いているとも言えますし、ロンバート貸出によって本来の市場機能が阻害されているという言い方もできる話ですわな。そもそもロンバートが無いとなれば(というか昔はそんな便利なものはなかった)「最終的にはロンバートあるもんね」で寝転ぶという大技は通用しないですから、もうちょっと末初レートが動いたかなあと思います。

ま、ロンバートの縛りが無い場合はこの不慣れな人が多い(値付きの具合を見てるとどう見ても不慣れな人たちがドタバタやってるとしか思えん)状況下ではシッチャカメッチャカになっていたであろう事は想像に難く無いので有って良かったロンバートとは申し上げておきますが。


さてさてまあそんな訳で、末初寝転び組の皆様にとってはお助けオペ(別に寝転びをお助けするのがオペの本旨では無い筈ですので念の為)が実施されておりましたが、オペ結果見ておりますと何かまだまだショートは深そうにも思える(特にレポ)のですが、その辺に関しては傍観者のあたくしよりも個別の参加者に丹念にヒアリングして状況を把握している日銀の金融市場局の担当部署様の方が詳しいと思いますんで、まあそんなに心配はしてませんけど・・・・・なんか金曜はロンバートに申し込みがわんさかやってきそうな予感も。


○FB入札確り/なぜかCP発行レート低下

昨日はFB入札についてうだうだと申し上げましたが、基本的には10月渡しになってるし1月償還になったからちったあニーズが減退するかなあと思っていたというのはご理解いただけたかと思うのですが、例によってあたくしの思惑を思いっきり外すのがドラめもんクオリティ(汗)。

昨日の3か月FB入札ですけど(昨日は年末越えの関係上少々期間が長く101日間もの)平均落札、最低落札共に0.34%台の入札結果となりまして、見事に0.35%にも届かずというまあ確りの結果と相成りました。10月渡しになったらちったあ残高調整買い組のニーズが剥落するかと思ったんですけど、全然そんな感じでもなさそうなところがオソロシス(約定ベースだとまだ期内ですが)。

期末抜けたところで現先レートがどれくらい落ち着くのか知らんですけど、足元の現先利回りとかを見ながら買う人にとってみると、この0.35%割れ水準と言うのはまあ買って買えない事は無いですけれども、カツカツの水準に近いというのは否めない所ではございますな。うーむ。

#でもまああの結果からするとまだまだニーズあるんでしょ


んでもって昨日「ありゃりゃ」だったのはCP発行市場でした。末初のGCやら現先レートが強含みという状況なのですが、月末スタートのCP発行レートは前日比低下。銘柄によってまちまちというか支離滅裂なレートのつき方っぽい部分もあるのですが、まあ概ね前日までのレートと比較すると1〜1.5bpのレート低下という感じになっておりまして、他の市場と思いっきり違う動きをしているのが実にワケワカラン。

ブルームバーグニュース(昨日の15時32分配信の短期市場概況)の報道する所によりますと「CPや短期国債を積極的に買っている銀行もあり」というようでして、はあそんなもんなんですかねえと思うのでございますが。まあ月末ですんで発行も多いけど償還も多く、償還分の再投資ニーズが強かったというのはあると思いますけれども、レポとか現先の金利が上昇してるのに何も威勢良く金利低下する事は無いんジャマイカと思うのですが。

FBの方は判らんでもないですが、CPに関してはどうも「???」が飛び交う昨日の市場なのでありました。

#という訳で、何か期末に来てやっと頭の中が追いついてきた感じなのですが、よく考えたら今月は審議委員の講演が全然無いからネタが枯渇することに今更気が付くあたくしは鈍感ですなあ





2006/09/27

お題「纏まったネタはちと無いので雑談を」

米国の「ダウ最高値更新+長期金利は低下傾向」ってコンボはどうもワケワカランですな。まあ金融政策と資産価格をあんまりリンクするなよって事なのかもしれんが、どうも「先行き利下げ織り込み」と「ダウ最高値」はしっくりこないのであります。

そういや今朝のモーサテではゲスト解説の人がやたらめったら悲観論を唱えてました。景気は今がピークだというお話のようですが、月初の日経16300円の時に強気の武者先生登場で、ここで弱気の先生登場とは何というか実に香ばしさを禁じ得ないのでございます。

でもモーサテが弱気転換したと考えるとそろそろなのかな?

○さて年末越えのFB入札ですが

昨日は2年債の入札が今日実施とか思いっきり間違いを書いておりましたが(すいませんすいません)、今日やるのは3か月FBの入札で、2年は明日でした(超大汗)。

でまあその3か月FBの入札なんですが、今回は10月発行の1月償還となります。1月償還と言いましても金融政策決定会合を跨ぐ訳ではないので、金融政策変更に関する思惑云々に関しては関係ない話です。ただし、今回の期末越え金利が妙に高止まりし続けたという事からすると、年末越えに関してはその分のファンディングコストがどないなのよという話にはなるのかなあと思いますが。

現状ですと、既発のFBが0.34%水準にいますが、これに対してWIは一応0.36%になっているようですけど、その辺まで甘くなるのかどうかはよーわからんです。受渡ベースでは新年度に入っているので、ファンディングの問題としては期末越え分を考慮しなくても良く、単純に言えば年末越えが5日間あって期末越えが3日間なのでまあそんなにプレミアム要求される話じゃない(それに、年末越えの資金繰りなんて今から判るわけ無いので平準買いはきっちり入る筈)ですわな。

とは言いましても、期末特有の買いで持ち上げられていた面もまた強いFBでございまして、期末の買い対応という意味では1ミリも必要ないという話もありますわな。どっちが効いてくるのかは、申し訳ないが片隅参加者のあたくしにはイメージ判らん。

お家の事情的な買いが剥落して、持ち切りベースの買い手が行ける水準まで調整はすると思いますが、期末越えを抜けたところで、GCレートなんかも低下(今までのパターンだと直ぐには低下しないが)してくるので、まあそんなに調整しないんじゃないかなあと。精々0.35%ちょっと乗せ程度なんですかねえ、入札はもうちょっと安い所まで行くようには思うのですが。

#などと書くとまた方向性を外したりするのがあたくしクオリティ


○安倍新内閣発足

あちこちへの借りを返しながらお友達をやたら引き上げるという印象を物凄く感じたのは小泉流に目が慣れてしまったせいですよきっとそうですよ。

というのはともかく、尾身財務大臣ご登場で金融政策に関してはまずは穏当なご発言のようでして、とりあえず無茶はしないということのようですな。まあ日銀の路線もどうかとは思いますが、「金融政策を政府が無理強い」という印象を市場に与えてもそれはそれで宜しくは無いという話ですんで、結構なお話。

与謝野さんが外れて、経済財政担当に竹中子飼いの人が入ったというシフトですから、まあ政治から金融政策を読むという観点からは「金利上げにくいんじゃねえの」ってお話になるとは思います。ただまあいつまでも金利を上げないというのは「景気が良くなってません」って言ってるのと同じなんで、政治的にそのままでやってられるのかというのもございますわな。参議院選挙前に景気良くなって無いというのもアレでしょうから。

#ということで景気動向次第という当たり前の話に落ち着くのでした。

まあそれは良いのですが、内閣のネーミングに「美しい国作り」と来た所に加えて改革加速と来て財政再建話がクローズアップとなっているようでして、なんかまたちょっと景気が良くなったと思ったらシバキアゲ路線の復活(竹中路線は当初はシバキアゲでしたし)かと思わせてくれるところが何とも鬱な。という所にこのニュース。

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060927k0000m010119000c.html
『安倍首相:財政再建へ自らの給与3割、閣僚は1割カット』

うーん、何ちゅうかシバキアゲ路線というか財政再建至上主義の香りが。

財務大臣から減価償却制度の見直しの話が出てたりするところを見ると、方向性として企業の設備投資を経済成長のエンジンにしようとしているらしいものは窺えるのですが、どっちかというとここからは個人消費の拡大、つまりダム論の実現が今求められているんじゃねえのかと思うのですが。

まあ何はともあれ、理念先行で無茶するのだけは勘弁して下さい。


○岩田副総裁発言

えーっと、昨日の読売新聞で岩田副総裁が「経済指標次第で年内または来年初めの利上げの可能性を示唆」ということらしいとロイターかなんかで報じてたようなのですが、これがまた読売新聞の困ったところで、Webのほうには当該記事が載ってないのでよー判らん。

というかそれで相場動かなかったんで記事をお取り寄せしようという気もしなかったあたくしが手抜きなんですけどね。まあ記事を取り寄せて見る事と致します。一応メモだけ。


#まあどうも期末モードでネタがございませんですな。困ったことです。





2006/09/26

お題「2年0.6%割れですよ」

タバコの「ライト」の表示が誤解を招くで23兆円の提訴とはさすがのアメ公クオリティでございますが、それなら「ダイエットコーク」の方がよっぽど誤解を招くと思うんですけど。

#まあタバコ会社だと金が取れそうだからってんでしょうけどね。


○2年0.6%割れ!

昨日の債券市場、米国の金利低下を受けて朝から先物上昇してみたものの、長期やら超長期(たぶん超長期)のゾーンが重くて結局失速の巻。輪番オペがあったのですが、輪番の時点では超長期引けビットくらいだったらしいので、8糸甘までしか入らなかった輪番は普通に考えると1年から1年半のゾーンが入ったかと存じます。ただまあ確信犯で超長期引けビットにしておいて輪番ではさっくりと超長期を入れている可能性はありそうですけど・・・・・

まあそれはともかくとして、昨日もまたまたイールドカーブスティープとなりまして2年は1毛強の0.605%でしたが、引け後に何だかよく判らんのですが2年ゾーンだのユーロ円金利先物だの債券先物などが上昇。2年は引け後に何と0.59%までマークしております。

いやあここまで来ると「向こう1年近く利上げなし」で「その次の利上げにも時間掛かります」っていうレベルになってきてるという話ですか。足元金利を無担保コールで考えれば0.25%ですけどGCレートだとすれば平均で0.3%くらいはある状況ですし、オペ金利とかから考えても概ね0.25%よりは高いという所ですから、0.6%割れというのも中々やりますなあって感じでございます。

引け後の買いはどうも海外勢の買いっぽい(だいたいそんな時間からエッチラオッチラ買いに来るのは海外)のですけど、ここからなお2年だのの中短期を買うというのがちと違和感が拭えない所ではありますけど。うーむ。


などと思ってましたが、追い風のように米国債券市場は利下げ織り込みに行く勢いの金利低下になってきておりまして、何か明日2年国債の入札があるというのに、0.6%割れとな(まあ新発は既発と償還が1か月違って、受渡日が2週間違うからその分金利が乗るので0.6%アンダーになってくれるとは思いますけど)というこの勢いが承認されちゃうんでしょうかねえ。何かさすがに2年0.6%割れは日銀の景気見通しにマッコウクジラでダメ出ししてる水準だと思うんですけど、そこまで景気失速するもんなのかなあと。


○でまあ相変わらず足元は強いようで

昨日もGCレートは高くて前週末に1Wで0.39%だのというレートだったらしいのですが、昨日は0.4%台もあったようです。いやまあターム物のプレミアムが付くのは良いんですけど、末初レートって一応ロンバートの縛りがあるから0.4%オーバーというのはちとやり過ぎの感は否めないのですが(とは言っても、ゼロ金利解除前にもGCがロンバートをモノ日でも無いのに超えたこともあるので、まあそんな事もあろうかという感じですけど)。GCの翌日物(スポネ)も0.35%あるいはちょっと上という感じですので、まあ確りですわな。オペ金利も27日スタートの10月2日エンドの共通担保が0.37%足切りの0.38%平均ですから、まあ確り。

で、これがまあオモロイ(と言ってもオモロイと思ってくれる人はあまりいないマニアな話です)のですが、TB/FBの現先金利に関しては期末接近でレートが逆に低下気味。これはまあ要因としては現先玉不足という需給要因になりますけど、じゃあなんで玉が不足するのかは人の懐具合に関する話ですんで想像の世界に入ってきますが、(1)期末に向けて買いが旺盛なので持ち玉が枯渇気味、(2)そもそも期末越えの資金繰りをある程度固めておく必要があるので、現先玉を余計に抱えるよりは期末越えを飛ばしてしまう、というような事が背景にあるのかなあと思います。

ただ単純に(1)だとするとGCレートがもうちょっと低下しても良い筈なんで、どっちかと言うと期末越えを各業者とも飛ばしていたという感じなのかなあと思うのですけど、まあ短期国債の現先だけレートが低下気味というのもちとオモロイですなあと思うところです。


○以下余談というか昔の話の補足ですが

・プライマリーディーラーの会合

国債市場特別参加者会合の議事要旨に関して休み前にお話をちとしたのですが、「FBの発行年限多様化は日銀の金融調節のサポートになる(要約)」と書いてあったのを「???」と申し上げてましたが、どうもこの真意は「短期国債の発行を総額ベースで減らして短期国債買入オペが減る方が日銀の金融調節の自由度が上る」ということのようですな。

それは確かにその通りでございます。短期国債が多いわ、短期国債買入が多いわでは金融調節やりにくいことこの上ないところですから。

・全角半角問題

これは先週ですが、9月の金融経済月報を見ながらふと気になったので書いた所、早速過去の文書などを読んで下さった方からメールを頂きました。感謝感激。

文書中に数字の表記で全角になっているところと半角になっているところですが、どうも数値が一桁になっているときには全角表記にして、二桁とか小数点以下の数字があるときとかには半角表記をしているようです。確かにいくつかを眺めてみるとそういう風になっているような感じですね。

つまり、全角と半角の使い分けは、文章の出来上がりのデザインを考えて行っているということでして、あたくしのようにこうその時の勢いで適当にやっている訳では無い(そりゃそうだ)ということです。奥が深い。






2006/09/25

お題「週末死んでたので今朝は雑談で勘弁」

週末に脱力モードに入った途端に旅行の疲れが爆発して、折角の天気なのにひねもすヒキコモリになってしまいました、トホホ。しかもヘロヘロなのでログ整理くらいしか出来なかったし。

で、まあ碌に手元の帳面の更新が追いついてないのですが、その帳面を見直してみると、9月6日の朝にムーシャ先生がモーサテに登場して強気をぶったのでしたな。で、日経225の終値ベースの戻り高値が9月5日にマークとな(驚)。

ちゅうことで、とりあえずテレビ東京は世のため人のために、あのお方が弱気転換するまで番組に呼ばないようにすべきではないかという感じですか(苦笑)。


○何かこうワケワカンネという短期の動き

先週末は無担保コールは兎も角として他の金利が妙に高くなっておりました。CP発行レートが若干上昇している(長期A+格の1か月もので水曜に0.37〜38%程度だったものが0.39〜0.40%あたりに上昇という感じですかな)のもさる所ながら、GCのレートが妙に高くて0.37%とかになってたりしてたようで。

金曜のGC翌日物って別に期末越えものでもないし、特定の資金需給タイト日(国債発行とか税揚げとか)でも何でもないので、そんなレートになるのはどう考えても妙。肝心の金利が上りだした時に夏休みだったあたくしなので、背景の流れが理解できてないのが面目ないですが、何と申しますかここもと(今に始まったわけではなく)の動きって単に雰囲気が金利上昇っぽくなっているから資金需給上の確たる要因もないのに金利が上昇気味になっているという事なのではないかと思う訳ですよ。

同じような理由で、金利がいざ下がりだすとワケワカランという水準にさがったりもしますし、何というか雰囲気に流されておまいら何も考えてねえだろうという動きが目につく(つい1か月前にはGCレートが0.3%割れになってましたなあ)訳でして、一部に棲息する年寄り参加者は「またワケワカンネ」と言いながら対応している次第ですな(苦笑)。いやまあ正直言って大きな玉を動かしている人たちが雰囲気に流されて動いてるからこうなってるんでしょうなあと思うのですけれどもね。


○しかしまあ押し目待ちが沢山なんでしょうか

金曜の中長期ゾーンは米債上げをネタにして寄りから先物が爆発して、その後現物が追いつくと言うまあ典型的な買い買い相場になっておりました。いやはや何とも。

勝手に脳内妄想で後講釈すれば、木曜日の超長期国債入札後の販売状況がまあ良かったところに米債上昇というネタが登場したのでまずはデルタ調整(ヘッジの買い戻し先行とか、スペックの踏みとか)の買いが先物に入って(あるいは寄り前から買いが入っていたか、現物の状況から類推すると入っているとすれば中期)先物の水準が上昇。で、その水準上昇に対して売りが出るのではなく買いが入るの巻になったという事ですな。

FBの需要に関しては先週金曜日に申し上げた通りですが、債券残高調整での買い意欲が(まあ感覚的な理解ですが)本年3月末の時よりも強そうな状況でありますし、何か買わないといけない理由が出るたびにこの有様というのを見ていますと、例えば日銀短観が少々良くても下がった時のファーストアクションは「押し目買い」になりそうな悪寒。マジで相場が下がるには、そのあたりの押し目買い需要(まあ投資家のショートポジションとも言えますが)を全部火あぶりにするような相場上昇をやってくれるのか、皆が買える押し目を作って一旦全員の需要を充足してくれないと、そう簡単には金利の本格上昇って奴はやってくれないかと思うのでございます。

#などと書くと期初からいきなり利食い売りがでたりするのがドラめもんクオリティなのですが、利食い売りって出せるのかなあ?


○余談その1:二重価格のお国

先日逝っておりました英国なんですが、まあ階級社会のお国だから当然なのかもしれませんが、物価が高い国ですけど案外二重価格と言うか何というか。

ひょんな事からお友達になった英国人のオッチャン&オバチャンの家にお邪魔して近所の町で週1回絶賛開催のマーケットに連れてって貰いまして、ついでに色んな店を見て回ったのですけど、地元のスーパーに行ったら(名前はすっかり忘却しましたのでテスコやセンスベリーではありません)、通常に家で食べる為の食材は案外安いという事に気が付きました。ほうほうなるほど。

それからアンティークショップというのがやたらございまして、要するに「古物商」でございますが、まあ道具から家具から趣味の物件から(品揃えに特色があるお店やら何でもある大きな店がある)色々とございますな。まあそもそも家がやたら長持ちする(築100年の家とか平気で存在する。築10年や20年なんて新築の部類らしい)というのもありますし、やたらモノを長く使うのかなあという印象が。

ということで、やたらと物価の高い印象のある国ではあるのですが、まあ贅沢しようと思わなければ結構コストを安く上げることはできる(ただしロンドンは家賃が馬鹿高いらしいですが)ようでして、まあこれが階級社会クオリティなんでしょうかねえと漠然と思いましたですよ。

ええまあ欧州に本格的に在住してた人から見たら、あたくしの愚考なんぞ浅い理解だとは思いますけど、そんなことを思いながら旅行していたあたくしなのでございました。



○余談その2:モーサテもうちょっと何とかならんのか

都心地価上昇ネタでどこぞの経済評論家が欧米系外国人の人口増加している都心の区を持ち出して解説してました(人口が100人以上増加した区がどこかって話をしている)が、そもそも都心各区は外国人だけじゃなくて全体の人口増えてますが。増加人員「数」の比較するんじゃなくて増加「率」を全体の人口増加率と比較するのなら「金融やファッションなどの高付加価値部門に従事する人たち」の傾向として使っても良いのかもしれないですけど。

それ以前の問題として、格差拡大話に欧米人=高付加価値とかいう思想が出てくる所がまあ素晴らしい欧米崇拝ですなあといったところですが、それは措くとしても、統計の使い方としてどう見てもそりゃナンセンスだろうというのを平気で放送する「経済番組」ってのも本当に困るんですよね。まあ他局だったらもっと悲惨な番組を始めそうですけど。

と思ったら別コーナーでフェニックスリゾートの話をしてましたが、同リゾートの課題に関して何で日銀ウォッチを看板にしてるエコノミスト様がコメントしてるんだよ。コメント求める方も求める方だが、しゃべる方も大丈夫かよって感じですな。まさしく適当なコメンテーター並べてるワイドショー状態。

#ま、期待してるから悪態をついているとご理解賜りたい







2006/09/22

お題「期末でFBとCPの金利差拡大/その他少々」

時差ボケは1日で解消したのですが、相場ボケは(汗

○FBとCPのスプレッド

足元のコール金利だの現先金利が妙に高止まりしておりしておりまして、これは正直あたくしが休んでいる間に光景が変ってた話で背景がイマイチよー判らんのですが、まあ兎に角世の中そんな状態。

そして、そんな状況下でFBとCPの利回り格差が開いてきてますわな。水曜の3か月FB入札は相変わらず堅調で0.34%水準での落札になってましたが、昨日のCP発行市場では、長期A格水準発行体の2か月もので0.4%近傍までレートが上昇している模様。最上位格ネームの発行はこれから月末にかけてもうちょっと行われると思われますんで、その辺を見ながら比較をしたい所でございますが、まあFBとCPのレートにまたまた差がついたという感じですわな。

ターム物金利に関しては、利上げ直前をピークにして(^^)レートがじりじり低下するというのが概ねの動きでして、FBレートが最初に低下した後にCPのレートが追いつくように低下して、一時は殆どスプレッドが無い状態近くまでレートが接近したのですけれども、再びスプレッドが拡大の巻ですな。

まー今回に関しては、足元金利や現先金利が(よー判らんのですが)上昇気味の中でFBの金利が全然上昇しないという形でのスプレッド拡大でして、こりゃまあFBに「お家の事情」買いが入っているということでしょうな。中間期末を前に債券残高調整で買いが入っている(電子CPは発行関連の法律上は「短期社債」ですけど債券じゃないですから^^)のでFB(TB)が現先コストなどの水準から考えるとちと買いにくいレベルまで金利が低下しているという毎度お馴染みのパターン。

この毎度お馴染みのパターンも期末時点での相場の風景次第で違うんですけれども、今回に関しては「期末残高調整の買いニーズ」らしきものが多いんじゃないかなあという印象でして、まあ皆さん随分と買いを我慢してらっしゃることですことという所ですわな。これから債券市場が押し目を作った場合にはこの辺のマネーが買いに来るんだろうなあって思わせてくれるのであります(^^)。

実際問題としてのターム物金利の実力は、あくまでも足元金利や現先利回り水準などとの比較を行いながら基本的に持ち切りの投資スタンスの資金の影響がより強いCP金利(昔だったらCD金利でしたが、現在は大手銀行の資金ポジションの変化で発行ニーズ低いんで指標にならん)を見ておくのが吉だということになるんでしょうな。中間期末越えの資金ニーズがまだ読みきれないので購入側としては運用に慎重になっている(のでレートが上昇する)というのが真の実力なんでしょうね。来週になると少し違ってくるかもしませんが。


以下は相場とちと違う話題になりますが、あたくしの備忘録を兼ねてメモを少々並べさせていただきたく。

○竹中センセイの辞職話続き

辞職表明記者会見のテキストが総務省のサイトにアップされていたようでして、bewaadさんが早速取り上げています。→http://bewaad.com/20060922.html

bewaadさんが『嘘を吐いて何が悪いと言わんばかりの開き直りとは、我が国の民主政もずいぶんと舐められたものです。』指摘していますが、あたくし全く同意でございます。

・・・で、終了しているのは、上記URL先にあるbewaadさんのご指摘が余すところなく(しかもコンパクトに、というのがあたくしひじょーに見習わないといけないのですが、汗)問題点をついておられまして、あたくしが余計な事をうだうだ書く必要が1ミリも見当たらないものでして・・・


○植草センセイ

冤罪だのでっち上げだのと主張しておられるようですが、1無量大数歩譲って(譲ってませんですかそうですか^^)植草センセイの主張が正しいとしても、そもそもお前そうやって狙われる危険がある状態だったら酒に酔った状態で夜の電車なんて乗るなよなと思うんですけど。タクシーでもハイヤーでも呼べよアフォとしか申し上げようが無いですわな。別に冤罪どうこうじゃなくたって、酔っ払ってホームを歩いてたら「うっかり」足を滑らせて線路に落ちてあぼーんになるとか色々と世の中落とし穴はあるんだから。

まあそういう危機管理意識の無い人は政治的なマターに首を突っ込むべきでは無かったんでしょう。そーゆー意味では別に今回の一件が無くてもどこかで潰れるお方(まあ前回の時点で潰れてますけど)という事なんじゃないっすかね。


○ふ〜ん

『安倍政権でこうなる 首相主導で「教育再生」』 →http://www.sankei.co.jp/databox/kyoiku/200609/060904b.html

こりゃまああたくしの夏休み前から出てたネタではございますが、ここの稲田朋美議員のお話なんぞまあどこかの赤い国で昔やってたようなお話みたいで中々脱力する訳ですが。

で、まあ本件に関するネット上の言説をテキトーに見てましたが、保守なのになんで赤い人と同じような結論が出てくるのよって指摘が結構目に付いたんすけど、そもそも「革新官僚」でありまして、「満州の二キ三スケ」の一角として並び称された岸信介の系譜を引く流れですからこの手の発想が入り易いんじゃないんですかねえと思うあたくしは政治に関する頭の中の理解が昭和50年代のままですかそうですか。しかし「徴農実施でニート解決」ってそれ全然問題の解決になってないと思うんですが。徴農期限切れたらどうすんでしょ。

グレーゾーン金利問題に関する議論でもそうなんですが、上限金利を法律で決めるとか決めないとか言う問題はさておいても、それを下げる事によって多重債務問題が解決するかのような方向に話がぶっ飛んでしまっているように見えるどこぞのお坊ちゃま政務官様の主張とかを拝見しておりますと、理想論をぶつのはそれはそれで結構なのですが、現実問題との折り合いを無視した脳内メルヘン世界での理想論で突き進むのは勘弁願いたいと存じます次第です。「王莽の新政」なんて言葉を思い出すのは批判的過ぎますかね。

#その点で言えば、麻生さんは経済財政諮問会議の議事録公開を見ると、議論が現実離れしてくると冷静に水をぶっかける発言をしてまして実に頼もしいんですけど。

まあメルヘンの世界に逝かないようにちゃんとしたサポートが付くとは思いますし、安倍さん自身そんなにメルヘンコースに行くお方では無いでしょうけ。ついでに言えば最初の時点でそーゆー風に一抹の不安がって言われてる位の方が却って無茶しないで上手く行くと思います、というか思いたいですにゃ。






2006/09/21

お題「8月10、11日決定会合議事要旨」

タイはタクシン首相亡命ということで平穏に収拾の模様らしく、まあよかったですねという感じのようですな。確か今年に入ったあたりから延々と混迷してましたので。

しかしどこぞのテレビニュースで本件のニュースをやってたのですが、タイに向う渡航者へのインタビュー映像で出てきたのが「情報が少ないのでとっても不安です」というオバハン。よく見るとそのオバハン「旅行者」となってまして(^^)、「とっても不安なら逝くなよバカチン!」と思わず画面にツッコミを入れたのはあたくしだけではあるまいて。

本日も虫干しシリーズですいません。決定会合議事要旨。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g060811.pdf

○ちらちら出てくる慎重意見

『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』という部分。議事要旨本文の5ページ目(ファイルの6ページ目)のあたり。個人消費に関する部分ですけれども少数意見としてこんな意見が。

『ある委員は、景気回復が所得層によって異なる影響を与えている可能性があり、その場合、好調な企業業績から個人消費への波及効果が想定比弱いかもしれないと指摘した。』

とは言え、最初の所では『個人消費について、委員は、増加基調にあり、先行きについても、雇用者所得の緩やかな増加等を背景に、増加を続ける可能性が高いとの見方で一致した。』とはなっておりますけど。

消費者物価に関してはこういう指摘もあります(本文6ページ目)。

『ある委員は、エネルギー関連の物価上昇率に比べて、その他の品目の物価上昇率が高まっていないことについては留意すべきだと指摘した。』

まあ直ぐ後に反論意見も入ってますが。


○現行の政策金利は妥当な水準とな

で、この慎重意見は本文8ページ目にも出てきてます。『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』の部分になりますけれども、今後の金融政策運営に関する部分。

『ある委員は、マクロ的な需給の伸びが均衡しており、需要超過幅が拡大していく局面にあるとはみられないことを踏まえると、現行の政策金利は妥当な水準であり、金利水準の調整はゆっくり行うことが適当であると述べた。』

水野審議委員が以前持ち出して物議を醸した「中立的な政策金利水準」云々のロジックや、正式にそういうロジックにはなっているとは表明されてないけれども、まあ多分そういう論理展開なんだろうなあという理屈によりますと、「現在の政策金利水準は緩和的」→「政策金利水準の調整が必要」→「政策金利引上げ」というお話になると思うのですが、このロジックとはちと違うお話ですわな。

とは言っても、政策金利水準の調整が必要と言ってる人でも直ぐに利上げしろと言ってるわけではない(言うのなら利上げ提案してる筈)のですが、金融経済月報にもありますように、「マクロ的な需給ギャップが今後需要超過方向に向うので物価が上昇する」というのが先行きの見通しの正式版であることを考えると、少数意見が出てきましたなあという感じですな。


○んなこたあない

まあとりあえずこの少数意見が目に付きまして、後はおまけみたいなお話ではございますけれども。

同じく当面の金融政策運営に関する検討云々という所でこんな話が。

『多くの委員は、7月の政策変更が総じて円滑に行われた背景として、3月に導入した「新たな金融政策運営の枠組み」が、市場との対話において有効に機能し、展望レポート等を通じて発信した日本銀行のメッセージが市場参加者に浸透していたことが挙げられるとの見方を示した。』

えーっと、あの「枠組み」がターゲットでも参照値でも何でもないということが市場に浸透したからなのではないかと存じますが・・・・確かに展望レポートの発信は機能しましたけど(-_-メ)。

まあ短期金融市場の機能回復がどうのこうのとか円キャリートレードがどうのこうのとかいう話も出てましたが、何かそんなに必死こいて話をする問題なのかはよく判らんですな。

短期市場の機能回復なんぞ金利が上昇して短期市場での運用調達の巧拙が収益に与える影響が大きくなれば機能は勝手に回復する(ただし法律や制度面でのインフラが整備されているかの注目は必要でしょうが)ので、政策金利を引き上げられるような経済状況になりますかって話の方が大事だと思います(要は本末転倒な話でしょってこと)。

で、円キャリートレードに関してはその影響がどうのこうのってのはあるのかも知れませんけれども、別にそれで政策判断を変えなきゃいけないという代物ではないと思うんですが。

まあそんなところで。以下本文と関係ないネタ。


○関係ないお話になりますが、竹中大臣議員辞職ネタ

あたくしが英国で遊びほうけている間に竹中大臣の議員辞職ネタが出ておりましたが、bewaadさんのところを見たらこんなお話が。

http://bewaad.com/20060916.html#p01
http://bewaad.com/20060917.html#p02

で、昨日(9月20日)の東京新聞朝刊9面(なぜか経済面)にはこんな記事(ネット版にはなかったようのですが、左上の囲み記事)がありました。

『「どういうタイミングで公表するかは難しいから一緒に考えような」。参院議員を辞任する竹中平蔵総務相が今年1月、新年のあいさつで小泉純一郎首相に9月に辞職する意向を伝えた時、首相はそう話していたことが19日、分かった。』

『総務相が本紙の取材に語った。それによると「政権が終わったら(進退は)好きにして良いよ」と既に2001年の入閣時、首相に言われていたため、今回の辞任は竹中氏の”既定路線”だった。1月の報告はその確認で、「総理は最初から分かっておられた」。当時は通信・放送や地方財政の改革論議がスタートしたばかりだった。(以下割愛)』

・・・・・ってえことは参議院選挙で「任期満了まで勤め上げる」って言ってたのはそりゃあーた一体全体何だったんですかと小一時間。まあその時々で調子の良い話が出てくるのがヘイゾークオリティ(「ITで350万人雇用」は何だったんでしたっけ?)なんで今更驚くには値しないかもしれんが、それにしても如何なものかと思われますが。

#あたくし的にはこういうその場その場で調子の良い「ああいえばこういう」ってのが物凄く不愉快。






2006/09/20

お題「金融経済月報(9月)と総裁記者会見(9月8日)」

「タイでクーデター」ニュースに関してモーサテ姉さん「ところでこのタイのクーデター、日本市場への影響はどうでしょうか」はテレ東クオリティだから仕方ないけどいきなりそこに来ますかそうですか。それに対して影響ないでしょうとあっさり答えるコメンテーターにも???ですが。

さて雑用に追われて中々追いつかないのですが、お休み中のネタフォロー第1弾は金融経済月報(9月)と総裁記者会見という先々週末のネタを今更。

○金融経済月報を前月と比較

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0609.htm(9月)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0608.htm(8月)

・現状判断部分で住宅投資に文言追加

『わが国の景気は、緩やかに拡大している。』から始まる景気の現状判断ですけれども、こちらで8月と変ったのは住宅投資に関する部分。

『住宅投資も、振れを伴いつつ緩やかに増加している。』(9月)
『住宅投資も緩やかに増加している。』(8月)

住宅投資関連の指標って正直真面目に見てない(不動産関連の話はどうも大本営発表の香りを感じることが多いんで)ので、この振れが上なのか下なのかよく判らんのですが。もしかしたら全文を読むとどっちなのか判るかも知れません。

・先行きに関しては全く変化なし

『先行きについても、景気は緩やかな拡大を続けるとみられる。』から始まる先行き判断部分に関しては8月と文言が一言一句変らずです。「輸出も国内民間需要も増加するので生産も増加する」っていう毎度お馴染みの美しい話。

・物価に関しても全く同じ

まあ見事に同じ文言が並んでおります。

『物価の先行きについて、国内企業物価は、当面は国際商品市況高の影響などから、上昇を続けるとみられる。消費者物価の前年比も、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』

といういつものお話です。

・珍しく金融面を真面目に読んだのですが

変ってたのは銀行貸出。どうもこの部分の記述が変化するというのには反応しちゃいます。

『こうしたもとで、民間銀行貸出は増加している。』(9月)
『こうしたもとで、民間銀行貸出は増加幅が拡大している。』(8月)

何かこれも前向き評価なのかそうじゃないのかがよく判らんのですが、はてさてどっちなんでしょうか(とお前が聞くなと言われそうですが^^)。

ところで、今更気が付いたのですが、この基本的見解なんですが、数字で全角と半角を使っているのは何か意味があるんでしょうか?デザインの問題だとは思うのですが・・・(というあたくしもその時の気分で全角と半角が混在するので人の事は言えませんけど^^)

『マネーサプライの前年比は0%(0が全角)台となっている。』
『オーバーナイト物金利は0.25%(0.25が半角)前後で推移し、』

・総じて言えば

まあ引き続き判断維持という所なんでしょう。ということは強気継続と。


○総裁記者会見(今更9月8日ですが)

ざっくりと読みますと、今般のCPI指標改定に伴う指数の低下に関する質疑と為替市場に関する質疑が目立つところですな。指標改定に関しては色々と質疑が続いてますが、実質最初(2番目)の質問に対する答え部分に大体集約されているような感じがします。

・CPI基準改定に関する総裁のコメント

『基準改定による伸び率低下は、いくつかの要素に分解できます。1つ目は、パソコンなど価格下落幅の大きい品目において指数算式上のリセット効果がみられたこと、2つ目は、足もとで価格下落が加速している薄型テレビなどいくつかの品目が新規採用されたこと、3つ目は、移動電話通信料などの既存品目において指数算出方法が変更されたことが大きく影響しています。他にも細かい要因があるでしょうが、私どもは大きくこの3つの要素に分解してみています。』

『今回の基準改定による0.5%ポイント程度の押し下げ幅が、市場の事前予想を幾分上回ったことについてみると、今申し上げました3つの要素のうち、1つ目の指数算式上のリセット効果や2つ目の新規採用品目の影響は概ね事前予想の範囲内であり、3つ目の携帯電話等の指数算出方法の変更の影響が大きかったとみています。なお、3つ目の指数算出方法変更の影響の多くについては、指数の変化時点から1年を経過した時点で、前年比への影響が剥落する可能性が高いと考えています。』

で、まあその後日銀から関連するレポートが出ているような気がしますが、当たり前のようにまだ読んでおりません・・・・・(汗)。


・市場との対話に関するツッコミ(^^)

この質問は中々結構でございます。

『もう一つは、日銀は、金融政策を運営するにあたって、市場の動きを鏡としてみて慎重に運営していくということでしたが、昨今の長期金利をみると、1.6%まで下げ、今は1.8%に届かない状態です。先般開かれたプライマリー・ディーラー会合では、出席者から2%を突破するシナリオは想定しにくいという報告があったとのことです。』

『日銀のシナリオでは、緩やかながらも景気は拡大していくはずですが、需給ギャップが需要超過にあり、物価も少しずつ上がっていくのであれば、長期金利ももう少し上がってもいいのではないかと思いますが、市場と日銀の考えていることに乖離が出ているのではないのでしょうか。』

んでまあその答えはやたらと長いのですが、中々オモロイのでほとんど全部引用しちゃいますね。

『2つ目のご質問は、市場と私どもとでは行動の仕方が違うということです。市場が、物価指数の基準改定なりそれ以外の経済指標の出方によってその都度強く反応する。ポジティブかネガティブかいずれの方向にせよ強く反応する。これは市場が生きている証拠であり、市場が正しく行動していると私どもはいつも思っています。』

はあはあそうですか。

『ただし、市場がいつも私どもと同じ行動をするのであれば、市場は鏡にならないわけであり、やはり新しく出て来るデータや情報、変化などを、かなり鋭角的に一旦は市場なりに織り込むというのが市場の本来の行動であり、最近の市場の動きを見ていても、市場本来のあり方として動いていると私どもは受け止めています。』

ということは、市場は年がら年中オーバーシュートするというご認識(その通りですが)でよろしゅうございますでしょうか?

『一方、市場は一旦織り込んだからといって、それをそのまま不動のものとして抱え続けるということがないというのも、これまた市場の本性であります。同じ物価関連の動きであっても、今後出て来る新しい指標をまた織り込み、そして過去の織り込み方を見直していくというダイナミックな変化を遂げていくのが市場であります。そういうダイナミックな変化こそが私どもにとって鏡として読み取れる部分です。ある瞬間の市場の反応をスチールカメラで写したものは、私どもにとってあまり鏡になりません。刻々と出て来る変化を市場がどう咀嚼し過去の織り込み方を修正するか、そのダイナミックな変化の部分が私どもにとっては鏡です。』

何と申しますか、それって相場に振り回されますと言ってるのか、それとも相場の織り込み方の都合の良い方を鏡として解釈してますよと言ってるのかのどっちか(あるいは両方)に思えて仕方ないんですけど大丈夫なのでしょうか。まあ鏡とか言い出したんで例えがグダグダになっているだけと言ってしまえばそれまでですが。

『一方、私どもの方は、どんな新しい指標が出てもその都度、経済を深く分析して、経済に対する少し長持ちする判断を出していきますので、市場の様に刻々と判断が振れるということはないわけですが、それでも、情勢判断というのは、経済を奥深く分析しながら先行きの読みを刻々と修正していきます。今月皆様にお示ししました基本的見解はあまり変わっていないのですが、基本的な判断が変われば正直に変えていきます。』

何か景気判断が遅行指標化の悪寒がすると思えば・・・

『こういう私どもの行動の仕方と市場の行動の仕方が違うというところが非常に重要で、行動パターンが違うものがお互いに情報交換しあって、市場の方は金利形成をより熟したものにしていき、私どもの方は、先行きの経済見通しをより確信の持てるものにしていくというコミュニケーションが繰り返しされていきます。』

年がら年中オーバーシュートする市場と、遅行して動く中央銀行のコミュニケーションって何か想像すると寒いものを感じるのですけど。

『従って、今の市場の動き、例えば長期金利をみると、一旦、1.6%まで落ちたものが今日は1.7%台まで戻っておりますが、こういう動きこそが非常に大事です。(以下略)』

どう見ても我田引水です。本当にありがとうございました。


・ところで村上ファンド

村上ファンドに関して質問したのは一人(しかも他のついででしたが)いましたんでそのお答え。

『村上ファンドについては、解約を申し出たのは2 月で、実際の解約は6月と申し上げておりましたが、最終的にファンド側からいくら戻されるのか連絡を受けていません。こんなに時間がかかると思っていませんでしたが、そういう状況ですので、いずれまたきちんとご報告したいと思います。』

ここのところが未だによく判らんのですけど、村上代表が逮捕された時には確か「ファンドのうち6割くらい現金でもっているので解約がきても大丈夫」というようなコメントがファンド側から出されていた筈でして(具体的なソースは失念しましたのでお示しできませんが)、あのコメントは一体全体何だったんだという話になりますわな。何度も同じ話で恐縮ですが。

それに2月に解約申し出て9月になっても清算価格すら判らんってそんな計理やってるファンドって何なのよという話でして、そんあ不透明極まりない(というか強く言えば杜撰)なファンドへ投資をしていた機関投資家がいた筈ですが、この人たちはそれで良いのでしょうかって話になりますわな。自己勘定の資金なら兎も角、他人勘定部分を突っ込んでいるとしたら、それは委託者に対するプルーデンス上問題ありませんですかねえ。

どうも本件は「金融関係者として常識的に考えて不可解極まりない」という部分が未だにございますわな。

#古いネタで恐縮ですが、まあ俺様メモなんで勘弁してください



2006/09/19

お題「ご無沙汰しております」

○休暇中の行き先は英国でした(^^)

ということで1週間お休み頂戴しましておりましたが、人が休みの前はネタが無くて苦労してたのに、休んだ途端に指標で相場は動くわどこぞの大臣は逃げ出し宣言するわ(それで某女子プロレスラーが繰り上げ当選って何なのよと思うのですが)、決定会合議事要旨が出るわとあったようですが、正直昨日帰国してきたばっかで何も見ておりませんです。すいませんすいません。

で、逝ってきた英国なんですが、ここ数日のトップニュースは連日「ローマ教皇の不適切発言」ネタでございまして、この問題に対する関心の強さというか影響の大きさを窺わせてくれますな。一方で我が国の公共放送は不動産上昇の煽りニュースでございますかそうですか。何か今朝のニュースの煽りっぷりは凄いっすよ。

物価に関してはまた上昇してまして、ボッタクリ価格で著名なヒースローエキスプレス(ヒースロー空港から、ロンドンのパディントン駅まで15分で直行する列車)のお値段が今年も値上がりしてて£14.5と前年比£0.5の上昇(おかげでガラガラですが)と毎年値上がりするのは英国仕様ですかそうですか。地下鉄初乗り£3、都心部分だけの1日券(しかもオフピーク価格)£4.9とか勘弁して欲しい(よって普通の住民は各種割引を使う)ですな。

ということで、まあ景気は良いし、不動産価格もそうですが公共料金などもまたまた上昇しているようですにゃ。そりゃ金利が高い訳ですがな。対円でポンドが昨年比10%程度上昇してる(と思った)ので旅行者としてはまたコスト上昇しやがったという感じが強うございましたです。

てな訳で、全然仕事の話がございませんですが、ついでに今回は旅行の土産話を一本。イングランド地方の北部になりますヨークという所に英国最大の鉄道博物館がありまして、そこに逝って来た簡単な記録(写真付き)を帰国してヘロヘロの中テキトーに作っておりますので、鉄道関係にご興味のある方はご笑覧下さいませ。→http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/justfunsight-NRMyork1.html

#では明日よりよろしくお願いします。





2006/09/08

お題「国債市場特別参加者会合議事要旨を読んでみたよ」

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c180906.htm

例によって昨日も寄り前にアップされていました。この時間にアップすると言うことはテープ起こしして内容チェックしてって考えると昨日は何時までお仕事してるんだか。なお、現在はヘッダー直ってますが、アップされた当初はヘッダーが「第11回」(今回は12回)となっていたのはご愛嬌(^^)。

で、こういうネタには観光釣堀の魚の如く物凄い勢いで食いついて見事に釣り上げられるのがドラめもんクオリティなのですが、今回もまた釣られてみるのでありました。


○国内投資家は安定運用ですかそうですか

最初に『(1)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて 』というのがありまして、まあ中々示唆に富む指摘があったり、そりゃお前ポジショントークだろうというのがあったりと、特に相場が暴れた後の会合の時は面白いのですな。でまあ最初から4番目までの意見はなるほどなるほどと読んでいたのですが、5番目の人の部分で飲んでいた紅茶を噴出しそうになったのでした。

『国内の参加者は、比較的ALMを中心とした安定的な運用を続けている一方、海外投資家において、金融政策等の方向性を先回りする動きが見られ、結果的に海外投資家の最近のプレゼンスを高め、海外市場との連動を強めたのではないか。』

ALMを中心とした安定的な運用
ALMを中心とした安定的な運用
ALMを中心とした安定的な運用

・・・・それはひょっとしてギャグで言っているのか(AA略)。

まあ振り回しを最初にするのは海外ファンド系のお人かもしれませんけれども、その振り回しって国内投資家の「皆揃って同じ年限で同じ投資行動を取り出す」という特性を理解した上でぶち込んでいるケースが多々あるんじゃないですかねえと存じますが。大体からして安定的な運用をしている人が沢山いるなら相場のオーバーシュートは抑えられると思うんですけど、何かあたくし勘違いしているでしょうか?

どこのどなたがこのご発言をなされたのかはまるっきり存じませんが、あまりにも「???」なご発言なのではないかと存じますが。


まあ相場の現状に関しては、6番目(最後)の人のコメント(の要旨)がしっくりくる感じでございますな。

『ゼロ金利政策の解除もあったが、7月に入り米国の長期金利が徐々に低下し、グローバルにマーケットのボラティリティが低下してきたところで、CPIの基準改定による低下があったということが、最近の金利低下の一番の要因ではないか。市場への期待が急激に変化してしまったため、昨日の10年債入札のようなテールが伸びる状況になったのではないか。その期待が収斂していくには、時間を経て市場の目がレベルに慣れていかないと安定した状況にはなりにくく、目先が少し振れるような局面というのは十分想定できる。』

『ただ、実際には、金利が低下した現状でも買いたいという投資家がいることは確かであり、ゼロ金利政策解除後は金利が上昇するだろうということで買いを控えていた若しくはショートしていた投資家は、いずれ買う動きはあるので、中長期的に見れば底堅い展開が想定される。』

というところですな。今日の総裁記者会見で毎度お馴染みのやんちゃな発言が出れば話は別ですが、まあそんな事ないと思います。利上げ以降急に発言が大人しくなったように思える福井総裁ですし。


○15年変動国債

何か読んでて落涙を禁じ得ないですな。去年の夏ごろまではあんなに増額増額ニーズありまくり!って話だったのがこの有様。そもそもこの商品自体がイールドカーブのリスクを取るという商品特性がある筈なのに、金利上昇局面でのヘッジ商品であるが如く宣伝されたり、バーゼルUの所謂アウトライヤー規制での「標準的な金利ショック」がイールドカーブのパラレルシフトしか想定していない(イールドカーブのリスクを取る商品にとっては、イールドカーブのパラレルシフトはノーリスクのようなもん)ために「制度のアービトラージニーズ」を集めてしまったとかで、余計なニーズを集めたという所だったんでしょう。

で、まあ市場の消化能力がアップアップですから減額をしないといけないってのは非常に良く判るのですが、そもそも勢い良く増額した背景に「余計なニーズが集まっていた」という事が挙げられたんですな。市場というのは往々にしてそういう期待のオーバーシュートと申しますか、制度上の歪みによる変なニーズを集める(期末になると会計的な理由で特定の商品に変なニーズが発生するとかもそうですわな)という事があるのでして、市場の意見を吸い上げて反映させるのは大事ですけれども、その背景にあるものが何なのかという分析も重要でしょうな。で、そういうのは業者に聞いても必ずしも正しい答が返ってくるとは限らない、と言うよりはポジショントークが炸裂することもあろうかと。

15年変動国債についてというお題の中で理財局からの発言がございまして、さすがにこれまでの「増額」→「減額」に関するレビューと思われる部分も見られました。

『減額するということであるとすれば、やはり15年変動債であり、理論値との関係から見ても、妥当ではないかと思う。ただ、長い目で見れば、金利上昇局面に入った中、投資家のニーズからすれば、やはり変動債に対するニーズは根強いものがあるのではないかと考えており、この15年変動債の商品性についても、今の金利上昇の流れの中で、いろいろな議論があろうと思われる。当初の思い違いというものが我々も含めてあったわけだが、長い目で見た中で、変動債の比率をどう保っていくのかという状況はあるのではないか。』

「当初の思い違い」って話が参加者から出ないで財務省から出てくるのが何ともということで。マーケットプレーヤーなんだから自分に都合のよい主張をするって意見も判らんではないですが、この会合って必ずしもそういう趣旨じゃないと思うんだけどなあ、と15年変動利付国債に関する参加者の発言の1番目にある自己都合丸出し発言を見て思うのでした。

『過去に投資家需要に伴って増額してきたことの裏返しとして、需要減少を受けた減額の余地があると理解している。』

いやあのある程度は安定して発行するもんじゃないのかと思うんですが。国債は発行市場だけじゃなくて流通市場もあるんだしさあ。

財務省の方が流通市場についてよく考えているというのは何ともね。

『15年変動債については減額が良いが、1回当たりのロットが9,000億円になる場合、既発銘柄との発行量の格差が、必要以上に価格の歪みを生んでしまう可能性もある。また、年末以降価格物がバイバックの対象になると、発行量の少ない銘柄が買われてしまうと何らかの影響が出る可能性もあると思われ、1回当りのロットは1兆円程度は維持した方が良いのではないか。』

仰せの通りでございます。


○6か月FBの発行について

『理財局より、「現在3ヶ月物に偏って発行されているFBについて、発行期間の多様化を図るという観点で検討しており、6ヶ月物のFBを発行することも選択肢の一つと考えている。その際、新たにFB6ヶ月物を発行する場合には、1回分のTB6ヶ月物からの振替が適当ではないか。」と発言。』

これだけですと単にTB6か月ものの発行根拠法が変るというお話なので実質的な影響は無いのですが、将来的に既存の3か月FBから振り替える事が可能になる話ですのでちょっとだけ。

TB残存6か月の部分って確かに恒常的に需給はタイト気味ではあるのですけれども、じゃあ増発余地がどのくらいあるのかというと増やしてみないと判らない部分は大有り。たぶん普通預金見合いとかのニーズはあると思うので増発自体はできると思いますが、マネー系の投信(短期公社債投信は基本が満期保有なので超安定した消化先)はそんなに長いものへのニーズが高くないと思い(7月現在で6兆円弱あるMRFの平均残存期間を投信各社の公表資料から類推すると市場平均1か月程度)ます。3か月ってのは運用としては使い勝手良いのですけどね。

参加者から出ているこの意見は意味不明。

『FBの発行期間多様化の扱いは適切。あまり短いゾーンに発行が偏りすぎても、日本銀行の金融調節が難しくなることから、当局案はマーケットのサポートになると思う。』

別に難しくならんと思うけど・・・・・


○海外投資家・・・・・

最初の方で国内投資家と海外投資家の投資行動がどうのこうのって意見を紹介しましたが、最近の国債市場の状況云々の部分では海外投資家が動いて相場が暴れました(意訳)という指摘がゾロゾロ。そして最後の『その他』の部分では物価連動国債での海外投資家の動きについて指摘が。

『直近、CPIショックで物価連動債が相当荒い動きとなったが、ここで露呈したのが、ヘッジファンドを中心とした海外投資家の保有比率が非常に高く、彼らがリスク量を3分の1から半分くらい落としただけで、あのような急落が起きるということである。』

いやはや全く大変でございましたなあ(棒読み)という所なのですが、皆さん海外投資家海外投資家とおっしゃいますが、将来的な国債の安定消化を企図して財務省様が海外IRをなさっておられるのですが・・・・・(^^)

#ま、財務省としては超アクティブ運用のヘッジファンドの為にIRしてる積りはないと思いますが。本当に「安定消化」してくれる人を呼びたいんでしょうね。

今回の要旨で「海外投資家が」の連呼を見ると何とも香ばしい。


○ちょっと血圧の上昇する発言が・・・・

海外投資家と関係ないですが、上記発言をしたお方はこんな話もしておいで。

『先程の話にあった、銘柄間の価格差や流動性の歪みを解消していく方策を考えないといけないという問題意識を、今回のマーケットの動きで関係者は痛感していると思うので、色々な知恵を出していく必要があると感じている。』

そんなのはショートスクイーズで何度も酷い目にあわされているマーケットメーカーであります所の現場労役者(カッコよく言えばディーラーあるいはトレーダー)は昔から言ってますわな。「今回の動きで痛感」とか言われると物凄くムカツクんですけど。「再度認識した」ってんなら判るけどさ。


○ところでご連絡

日々ご愛顧いただいております(かど〜か知らんが)ドラめもんでございますが、金融政策決定会合に総裁記者会見、金融経済月報などとネタが出てくる所にもかかわらず、あたくし来週少々遅い夏休みを取りますので、その間は更新を行いませんです。再来週またよろしくお願いします。m(__)m




2006/09/07

お題「超足元の絶賛運用圧力」

皇孫殿下のご誕生を衷心よりお慶び申し上げます。

しかし皇統断絶を目論む蠢動は終わっていないようなのが実に嘆かわしく思うのであります。それから、何でもいきなり「経済効果○○億円」と発表するいつもの経済研究所、あそこはどうにかならんのか。


○FB入札強いですな

昨日は3か月(13週間)ものFBの入札が実施されました。先週発行された既発債が0.345%だったのでまあ強いわなあと思っておりましたが、結果は平均落札価格が0.351%くらい(財務省発表方式じゃなくて、市場の呼び値方式です)相当で最低落札価格が0.353%くらい(同じく)相当となりました。

償還が1週間先になった(発行も1週間違いますが)のですけれども平均落札価格が前回から2厘上昇。最低落札価格が前回から5厘(=応札刻みで言うと一つ上)上昇となりまして、テールも縮まりましたということで、まあ強いですなあという感じ。前回は改定CPIを受けた最初の入札でしたが、その後鉱工業生産と法人企業統計を抜けた後の入札で相変わらず強いという事ですんで、こりゃ強いですなあという所かと存じます。

落札後も0.35%で業者間ではやたら出合っていたそうで、セカンダリーでの買いも旺盛ということのようですし、テールが短くなったということは投資家ニーズも強かったということでございましょう。まあ良い入札だったんじゃないですかね。

前日の6か月TB入札は入札直前の気配よりも安い所で落札されて、その後も最低落札レベルがオファーという結果でして、これと比較すると3か月FBへのニーズの強さが目立つというものです。


まあこの時期は債券残高調整の為に買いが入る事もままございまして、そんな買いもありーの、キャッシュ潰しの買いもありーのという状況で、利回りに着目した持ちきり型投資だけではない資金がこのゾーンに突撃している事が短い期間のレート低下を促進しているようですな。

足元運用の圧力が高まっていることの影響でCP発行金利がまた低下しているようです。先月は月末スタートの9月償還ものが最上位相当銘柄で0.32%割り込むというそりゃあんた現先レートと変らんがなというレベルに低下してましたが、その後はさすがにやり過ぎ感でレートが若干戻りました。しかしながら、ここもと足元のTB/FBのニーズが高くなっている事もあるせいか、昨日はまたまた発行レートが低下して、最上位相当銘柄でまたまた0.32%割れの図のようでございます。いやはや何とも。

期末特有のキャッシュ潰し資金流入現象に加え、6月7月頃に利上げ前に調達(実は利上げ後の方がターム物金利低かったりするのはここだけの話)ということで発行されたCPの償還がやってきたというのもありまして、まあ期末越えがどうのこうのという前に足元の運用ニーズの方が高まった感じでございますな。


○国債市場特別参加者会合

議事要旨が毎度毎度翌日の朝早く(だいたい9時前)に公表されるという会合でして、事務局の人たち頑張りますなあと感心致しますな。で、まあこの時間なので議事要旨を見てからまた何か申し上げるかと存じますが。

昨日は国債市場特別参加者会合が行われたのですが、情報ベンダーの伝えるところによりますと、まあ相変わらずのプライマリーディーラーのポジショントーク大会のようで誠に香ばしい会合でございます。今回は流動性供給入札継続してくれという話に加え、流動性供給増やして15年変動国債減らしてくれとか色々と切実っちゃあ切実ですが、まあアレな意見がでてたようでございますな。

市場との対話って話になりますと、どうも印象として、日銀の場合は市場との対話と政策委員会の方々は口にしつつ、やっているのは地均しと(一部の人に至っては)金利水準やカーブ形状への言及という市場を自分から引っ張ろうとする動き(日々の金融調節の話は別問題なのでここでは気にしないように)で、財務省の場合は市場との対話というのをあまり宣伝しないのですが、どうも市場の話を参考にしすぎなんじゃないかという感じでして、まあ市場との対話という意味では財務省の方が数万倍ちゃんとしている(というかゼロに何を掛けてもゼロなので無限大倍か、笑)のですが、逆にあまり市場の意見聞きすぎるのもどうかなって思うのですよね。

どうも変動利付国債の発行減らして攻撃は相当なようで、ついでにカレント銘柄以外の流動性に関してもちとアレな感じもするようでございますけれども、2年前の国債市場特別参加者会合で国債発行計画に関して意見交換が行われた時の勇ましい議事要旨を見ていると、まあ何と申しますか、参加者の都合を聞くのも大事だけど、発行計画は発行計画でそれなりに安定しないといかんとは思うのですが。たかが2年弱でこの変りようとは・・・・
http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c161118.htm

しかし変動国債云々のヘッドラインが出た途端に変動利付国債の気配が強くなるというのは何とも香ばしいお話で。いやはや。






2006/09/06

お題「相場後講釈ばかりで恐縮ですが」

うへー、久しぶりにモーサテに出てきた相場神(北ハマー先生じゃ無い方^^)。日本株に物凄く強気なコメントをしてますが、米国市場に関して「金利と企業利益が正しくて株価が間違い」だと、金利は景気鈍化見てるんだから株価は下がると思うのですが、この先生何を言い出しているのでしょう。もしかしてあたm(以下自粛)。

しかし日本株の見通しに関して「目先の動きは判りませんが」とヘッジを入れているのは自分が曲げ師天下無双という自覚はあるんでしょうな(苦笑)。

入札が誠にアレだったもので本日も相場備忘録で恐縮至極。

○そこで6か月TBを先に

正直申し上げて0.4%割ってる6か月TBなんぞとても興味は無いのですが、それはそれとして入札というのは香ばしい事も起きるわけでございます。昨日の6か月TBは結局事前に水準の調整をする訳でもなく0.37%ビットサイドで入札を迎えるという誠に遺憾な(買う人にとって)展開となりました。

んでまあ入札はど〜なったかというと、0.375%近くの平均で最低が0.38%ちょっとという結果でして、その後も買いは低調だったようで最後まで0.38%レベルは堂々オファー。普通に持ちきりベースで金利水準を考えて買う発想だと中々手を出しづらい利回り水準(3月12日償還で利上げをあんまり気にしないぜって利回りは如何なものかと)だと思うのですが、何かこう利回りと関係なく機械的に買う人が世の中にいたりするので、水準調整も中々(実弾売りが出れば話は別だが)やってくれないというものです。しかもそういう人が買うからまあ我慢してれば何とかなってしまうのがこの商品のアレな所でございますな。


本日は3か月FBの入札があるんですが、足元から短い期間へのニーズが強いようでして、何かふと見るとTB/FBの短い期間ものの需給がかなり逼迫しているようですな。キャッシュ潰しの買いもまた入っているようですけれども、確かにまあキャッシュ潰しをしようと思ったら、2年あたりが連日乱高下してるので全然キャッシュ潰しに使えませんからTB/FBしかも短めの物という事になるのは仕方ないでしょうな。

とまあそんなわけですので、既発FBが0.345%で足元の需給が良好(GCレポと現先レートが段々乖離してきています。勿論現先の方が好需給を反映してレートが低い)であることを勘案すると入札もまあ前回並みくらいになっちゃうんじゃないですかねえ。


○まあ天罰ですな天罰

10年国債入札はご案内の通り応札が2倍を切るわ、テールは33銭流れるわ(前場引け水準から見ると40銭ちょっと流れた計算)と散々な結果になりました。

いやあの昨日あたくし駄文で「入札前にもうちょっと水準訂正するんでしょ」って勝手な妄想をしてたのですが、あにはからんや前場から先回り買いをする馬鹿者が登場したようで、前場引けに掛けて相場が戻るわ10年が強くなるわという絵に描いたような嫌がらせの展開になっちゃいました。さすがにそれはどうよということで前場引けに掛けて押し戻されたようですけど。でまあ結果として、8月の入札の度に散々な目に遭わされたマーケットメーカーがもう勘弁状態になってしまい、突っ込んだ応札が見送られたということになったようですね。

今までの9月だと半期最後の入札ということで、最後に落札シェアを意識した大量落札とかをするしょうもない人が出現するケースが多々ございまして、そういう応札もあるから踏ませてしまえって先回りの買いが入ったんでしょうが、まあ天罰が下った(その後相場が戻っているので天罰度が低いですが)ということですかな。今期に関してはどこぞの証券さんが頑張って落札してたんですが、市場推計によりますと昨日の入札はきれいに各社にばらけた結果になっておりまして、誰も気合を入れて落札しなかったというのがよく判る結果とあいなりました。


入札とはちと違う話になりますが、昨日の引値表をつらつらと眺めておりますと3年ゾーン最弱で20年30年は前日比利回り低下となってまして、まあCPI発表以来イールドカーブが無茶苦茶に暴れる余波が中々収まらないということでもあろうかと存じますが実に香ばしい。2年も引けは2毛甘の0.69%ですが、先物安値近辺では平気で0.7%ヒットとかやっていたようですので、これまた上ったり下がったり毎日忙しい債券でございます。都銀とヘッジファンドのオモチャとして名高いユーロ円金利先物のチャートなんぞを久々に見てたら何かかなり笑ってしまいましたが。これじゃあ2年ゾーンでキャッシュ潰しなんて出来ませんわな。

まあ2年ゾーンでキャッシュ潰しが出来ないって話もそうですが、入札に関してもシェア争いで落札してもおかしくない人が今回引き気味だったりというように、今までは何だかんだと言っても債券市場には暗黙の前提条件として相場は基本的に強い(量的緩和の時間軸があったわけですから)というのがあった訳ですが、今後の展開を考えるとどうなんでしょうねえっていうのを感じさせてくれる昨日の入札なのでありました。今までだったら少々血を流しながらでも落札シェア確保して店頭シェアを取ることによって最終的に帳尻が合ったんでしょうが、多分シェア確保するためのコストとリターンのバランスが相場環境の変化でずれてきてるんじゃないかって感覚的に思うのでございます。

#貸金業規正法でどこぞのボンボン議員が暴れているようですが、本件に関しては色々と思うところあるものの纏まってませんので。





2006/09/05

お題「入札2本」

○中短期よく動きますわ

昨日の債券市場は法人企業統計が強い内容だったことから下落。朝っぱらからユーロ円金先が売られてまして、前場から2007年03月限は4毛だの4.5毛(普通はあたくしのようにイールド的な言い方はせんと思いますので念の為)売られてたりしてまして、瞬間的にはユーロ円金利先物が前日対比のイールドで一番売られてた所とかあったんじゃないのかなあって感じです。

まあ中短期が超長期とのバランス上入替ベースで売られるという動きもあったようなのですが、2年とかを見てますと中短期のドタバタぶりもまた目立つという感じですね。昨日の引け水準の利回りを見ると5年が4.5毛甘で7年が3毛甘に対して20年2甘に30年1.5甘とはまた凄い中期主導ですねってところでございましょうか。しかも2年が3.5毛甘になっておりまして、先物より動く2年債とはまあご苦労なお話としか申し上げようがございませんですな。

それにしてもこの2年がよー動くなあと感心するのですけれども、先週の月曜に0.635%(場中の高値はもうちょっとあって0.62%とか)だった2年247回債は入札の時には0.665%の引けになって、鉱工業生産で0.61%まで買われたと思ったら昨日の引けは0.645%(新発248回債は0.67%)と言うことで、下がって上ってまた下がって結局元のところに戻ると言う豪快な展開。

まあ経済指標で一喜一憂と言えばそういう事なのかも知れませんが、それにしてもビビットによー反応するわという印象でございまして、誰の売買手口が入ってるのか知りませんがドタバタしすぎじゃネーノって思いますがねえ。


○さて入札ですが

10年入札は「割高割安で言えばそんなに悪くないが、絶対水準で言えばちと買えません」って状況になっておりました。昨日水準調整(引け後も下げましたし)したので絶対水準は少々マシになりました(償還が既発債から3か月伸びるので見た目も良くなる)けど。

こーゆー時は水準を変えないと中々売れてくれないので、それなりにきっちりヘッジをしていくとか、入札前にもうちょっと水準を訂正するかというような動きで何とか凌ぐ方向になるのではないかと存じます。幸い今月の10年、5年の入札は火曜日にございまして、感覚的には(あくまでも感覚的な話)やりやすいのが救い。と申しますのは、月曜日ってのは余程の材料とか月末とかでもあれば別ですがまあ投資家な人があんまり動かない訳でして、その分まあ水準訂正とかカーブの修正とかが業者主導で動きやすい(変なところで先回り買いをして全員(除く発行体)の首が絞まるという向きが減る)ということでございます。特に今回は月曜日に米国が休日でございますので、「せっせと水準訂正したら米国アタックが飛んでくる」というのが無いですし。

まあそれにしてもちょっと今回の10年はやりにくそうですな。


で、それよりも困ったちゃんだと思う(あたくしだけがそう思っているのかも知れませんが、笑)のは6か月TBの入札でして、昨日の既発6か月(なので実際は残存5か月)TBが0.355%でして、WIは0.375%でつけて下さってますが、現在の地合いでさてそこまで甘くしてくれるのかいなって感じではあります。

・・・・えーっと来年の3月償還(日程は未定ですが、まあ普通に考えて3月の決定会合ギリギリでしょう)でこの利回りという事は、来年の2月まで利上げなんぞございませんが何か?という価格形成だと存じますが、それで本当に良いんでしょうか??

ちなみに、先月の6か月TB入札の時も既発の6か月TBは直前まで0.36%、しかもこの時の3か月FBが0.36%だったりしまして、利回りフラットという香ばしい状況だったのですが、入札前日(月曜に入札があったので金曜)に既発債の5毛甘を敢然と叩く世のため人のため(除く発行体^^)の偉人が現れて(というかモノが出たようですが)入札はいきなり0.43%まで水準訂正をしてくれました。まあその後0.42%あたりでウダウダしておりましたけど。

で、今回はモノが出てくる気配も今のところ無いのですが、この水準はあたくしなんぞ持ちきり前提ではさすがに買う気力が1ミリも起きないのですが、それでもこのゾーン人気あるようでして、WI水準くらいで入札やっちゃうんじゃないかなあという感じです。



○年内利上げ観測はどうなのよ

まあ3か月あたりが法人企業統計でもビクともせず、6か月もそんなに動かない(今日の入札次第ですが)中で金融政策に対する観測がどうのこうのということで2年だの金先だのは相変わらず派手に動くのですが、この妙なチグハグ感が何とも言えませんな。

3か月だのという期間の現物債という話になりますと、この前も申し上げましたが、「金利が上るだろう」と思って「待つ」というのは相当の決意が必要でして、1か月待つなら1か月もの買っておけ(鞘があるなら)という話ですから、現実問題になってこないと中々反応してくれないのは判るんですが、6か月TBがこの有様で本当はどうなんでしょうって気は致します。

でもまあべき論は兎も角予想屋としては「法人企業統計強い」→「GDPウマー」→「短観ウマー」→「よく見りゃ株価も堅調」・・・という流れを想像しちゃうんで、別に年内利上げがあっても何ら不思議はないと思うんですけど。経済見通しが日銀の当初予想(展望レポートベース)なら「金利の調整」は行うというのがスタンスなんですし。

#ま、そういう発想だから金先売られたんでしょうけど。

市場では年内利上げ観測が後退しているというか殆どなくなっているというように報道される事が多く、確かに価格の付き方とか見てるとそう言われるのもむべなるかなとは思うんですが、法人企業統計一発であっさり5年が4.5毛甘というのを見てると、報道されている程に年内利上げ観測が後退している訳でもないと思うんですよね。まだ半信半疑モードなのでは無いでしょうか。








2006/09/04

お題「雑談ばかりでスイマセン」

週末に先週書いた駄文を整理してて気が付いたのですが、先週は延々と相場後講釈だけしかしてませんですな(汗)。まあそれだけ相場が暴れたということもございますが。

○と言いながらまたも相場雑談

金曜の債券市場は寄り天みたいな相場になりました。木曜に鉱工業生産で上昇したついでに、引け後にはフラットニングの兆候が見られた所で米国債市場で金利低下だったので、これはキターって思ってドラめもんでもそんな事書いたらこの有様というのが我ながら実に香ばしい。

まあどうしてこうトンチンカンな読み間違えをしたかというと、中期ゾーンが相変わらず主導する相場だということに関して少々読み方が甘かったようでして、(その辺のポジションを持ってないということもあるんですが、苦笑)木曜の引け後の動きに関しては「20年1毛5糸テイクーン」を見るよりは(つい見てしまうのですがね)「5年5糸甘ヤリ」を見ないといかんかったという事なんでしょうな。金曜の相場もどう見ても中期の戻り売り(なんだか短期売買の人の利食いなのか知りませんが)主体での相場の動きだったようで。引き続き相場と申しますか先物は中期債に引っ張られそうな感じですな。


ところで明日は10年国債入札がございまして、あたくしあんまり割高割安分析得意じゃないのですが、今回の入札は多分イールドカーブ的にはそんなに割高じゃないけど水準が少々ご勘弁頂きたいという場所で迎えるので、まあヘッジが何処かで入れざるを得ないかとは感覚的に思うのですけどね。そうじゃなくて入札前に相場の絶対水準を調整してくるパターンかもしれません。あと1日半あることですし。


短期の方ですが、GCレートがちと下がらんとかコールが妙にしっかりとかあったのですが、昨日はまたまた債券買現先を打ったりしてGCに配慮した(と思われる)調節を継続したこともあってようやくGCレート0.30%辺りに低下。

しかし相変わらずすげえなあと思うのは6か月TBの利回り。まあ6か月と申しましても実質的にはだいたい5か月ものでして、前回入札されてから4週間くらいたっているので世の中に流通玉が少ないので、買いが入ると金利がやたら低下するという特性はあるにせよ、金曜日は0.355%(前日比1毛強)となりまして、ついこの前の3か月FB状態になっております。この調子だと次回の入札もいいとこ0.37%まで行ってくれれば御の字という感じなのでしょうか。オソロシオソロシ。

その3か月FBが0.345%とかですので、6か月TBが既発債水準まで確りしているようですと、単純計算で「3か月後の3か月FB利回りが0.365%」となどという話になります(6か月0.37%なら0.395%)のですが、そんなんで良いのか本当にという感じではございます。幾ら年内利上げ無し予想とは言え6か月ゾーンまでその足を伸ばして決め打ちコースと言うのはちと槍杉田くんではないかと存じますが(というあたくしのような人がいる限り金利はそう簡単に上らないというのが実は正しい気もするが)。なるわけでございます。



○長期金利低下牽制はしないと思いますが

ネタ拾い番組だと思って見るとそれなりに楽しめる(正確に言うとPC打ちながら聞き流しているのですが)テレビ東京謹製のモーニングサテライトですが、為替市場のコメンテーター氏(名前も所属も忘却)が今週の注目材料として福井総裁の記者会見を挙げておりました。何でも「長期金利低下に対する牽制発言が出るかどうか」に注目したいそうですな。

8月の決定会合後の総裁記者会見前にも為替市場の人は(というかモーサテに出てきて話をする人の特殊要因なのかもしれませんけれども)「会見に注目」って話をしてて「何も無いと思いますが」ってあたくし申し上げたと思います。

いやね、今回に関してもCPIの基準年改定に関してコメントを求められるとは思うのですが、別にややこしい話はしないと思うのですけれども。特に長期金利に関しては具体的な水準に言及するというようなことはさすがに(以前はそれらしいこと言ったことはございますが)よーやらんとは思うのですけど。

景気の腰は強いとか、物価の表面数字だけではなく背景の経済情勢を総合判断すると言うような話はするかもしれませんけど。



○意外に8月は動きましたなあ

「8月は夏休みシーズンで夏枯れになる」とはよく言われる話でして、まあ確かにエライ人たちが夏休みに入るので要人発言のようなものもでなくなるし、エライ人の会議室からの一声もでにくくなりますので、動かんと思いたいのですが・・・・・

2003年:VaRショックで大暴れ、相場もカーブも荒れ荒れ
2004年:月初から踏み踏みの上中旬のGDPが弱くて踏み、フラットニング
2005年:月前半に5年と2年が入札や実弾売りでぶれたけど行って来い
2006年:中盤以降弱い経済指標連発で一大踏み踏み相場

まあ何ですな、板が薄いので振り回されやすいというのもありますし、金融政策に絡むようなネタが出やすいのが8月だというのもあったりしまして、実を言うと何気にぶれるのでありました。

・・・・そんなことは1か月前に言えでございますかそうですか。あははのは。






2006/09/01

お題「これは参りましたな/その他」

よく誤解されるのですが、債券市場が上昇(金利低下)すると市場関係者大喜びと言われそうなのですが、債券ちゅうものは常に「再投資」をしないといけない(ポートフォリオを放置していると持っている債券の償還がやってくる)ものですので、実は金利が下がる→再投資利回りの低下→投資環境の悪化でもあるわけでして、特にここもとのような物凄い勢いの金利低下はマズーなのです。緩やかな金利上昇が一番ウマーだという話は中々判ってくれませんなあ。


○鉱工業生産で踏み踏み(相場雑感)

ご案内の通り7月鉱工業生産が前月比▲0.9%と事前予想の+0.8%から多きく下振れして債券や金先は朝からエライコッチャになったのですが、そんな中で一時は20年ゾーンが前日比利回り上昇(要は値下がり)してたりとまあ豪快な展開。月末ということもございまして、あちこちでロスカットが起きていたのかと思われる次第で、誠に遺憾な展開でございます。

しかしまあ火曜に最低落札価格0.705%まで流れた2年新発債の昨日(=木曜)の引けが0.635%となったようで、過激に値動きしますなあとちと呆れる次第でございます。何か後から出てきたレポート見ると「鉱工業生産統計の内容を見ると実はそんなに悪くない」という分析があちこちから出ておりましたし、意味判らんけど株価も上昇してましたが、中短期債はもうゴーゴー状態になっておられましたですな。5年1.075%とはこりゃまた威勢の良い話。

まあアレですな、昨日ちょっとドラめもんで書きましたが、水曜の日経金融新聞2面の「ポジション」欄という、市場観測的な話のコーナーに『銀行の債券「買い遅れ」幻想?』というお題の記事がございまして、記事のまとめが『各行ごとの戦略の違いはあるが、銀行勢の「買い遅れ」による相場の変化を織り込むのは既に時代遅れなのかもしれない。』となっていて、市場の一部で大いに笑いを取っておりました。これだけ中短期債主導で相場上昇して何が幻想なんだかということで、見る人からは「銀行買い遅れで苦しいなwwww」と言われておりました(笑)。

で、一昨日昨日で2年債5.5毛強とか買われてますし、それ以前の問題としてCPIの発表前から見ると(2年247回債で対比して)15毛強となっておりますわな。5年59回債は21.5毛強で、まあ中短期主導の相場上昇でございます。どう見ても銀行様の踏み上げ相場です。本当にありがとうございました。

10年までと比較しておいてきぼりの20年や30年(30年は何せ前日比利回り上昇でしたし)ですが、月末要因抜けた本日はちったあ戻るのではないかと思わせる動きが昨日の引け後には少々見られたようで、超長期ゾーン確りしてましたな。本日はその辺のカーブに注目じゃないかなあ。


TB/FBはまあ3か月とか6か月とかのあたりまでは既に金利が低下しちゃっている状態でして、今更中々下がりようがないのですけれども、一応IPに敬意を表して(?)水曜に入札が行われて0.35%だった3か月FBの利回りは0.345%とまたまた0.35%を割れました。足元のGCレートが0.33%近辺になってましたので、まあ利鞘ろくに無しという所ですけど。

そのGCレートなんですが4日の税揚げ要因を抜けた昨日も5日スタートの翌日物レートは0.32−33%あたりだったらしく、コール翌日物に関しても月末要因とか言われてますが、何か外銀のビットしっかりという印象の方が強い状態。まあ勝手な妄想をすると、またまた以前のように3か月だの6か月だののTB/FB買ってショートファンディングしてきてるのかも知れませんが、6か月は兎も角、3か月だと利上げリスク無いだろうから鞘は薄くても確実に稼げてオイチイオイチイって発想なんだろうなあと思います。

正直申し上げて、ここ2−3年の動きを漠然と見てますと、大体株式市場の動きを(数ヶ月間のタームで見た場合)後追いして債券市場が動いている(2003年のりそな銀行救済以来の動きが特に印象的でしたが)という印象が強いという債券市場関係者としては自虐的(根が自虐的ですかそうですか)な感想がございまして、ここもと何だかんだと言って株価が下がらんのに、そんなに威勢良く踏み上げて良いものだろうかと疑問が少々あるのでした。

・・・・でも、まあ「金利はいずれ上るんでしょ」ってスタンスの人たちのポジションのお掃除、と言えば聞こえが良いですが要するにショートの火あぶりが終わらないと今回の踏み踏みステージは一段落しないでしょうな。また米債上昇して帰ってきたし。。。



○電子政府の失敗という話題と本の紹介

暫く前にbewaadさんのところで「電子政府、ただいま失敗中!」というエントリーを拝読いたしまして、bewaadさんのエントリーや、branchさんのエントリー(あたくしも本件最初にbranchさんの所で知ったのですが)や、ITmediaの元記事なんぞをつらつら読んでおりました。

http://www.seri.sakura.ne.jp/~branch/diary0608.shtml#0813(branchさん)
http://bewaad.com/20060815.html(bewaadさん)
http://bewaad.com/20060816.html(bewaadさん、上記エントリーの続編)
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0608/18/news002.html
(ITmediaの電子政府関連記事シリーズの覆面座談会記事、他にもあります)

あたくしはシステム開発に関してはまあ素人の域を出ないのであまりちゃんとした考察はできないのですが、まあ何となく思うのは発注側が何をやりたいのか良く判らんで始めている(発注側でも実際に出来たシステムを使うユーザーとIT部門の間での意思疎通ができてないとかありますし)というのと、受注側に発注側の業務に対する知見が乏しく実際に使われるときのイメージが掴めない(重層的な下請け構造がそれに拍車を掛けるわけですが)というのが気になるところでございます。

てな訳で本の紹介、と言いましてもまあ知人の書いた本なんですけど(^^)。

・「ハッピィ・エンジニアリング(吉田智彦著、ソフトバンククリエイィブ)」

書いてる人は実はあたくしの知りあいなんですが、システム開発の現場で何が起きているのでしょうかという話から、このようにしていこうっていう話を展開している本でございます。現場で何が起きてるかって話がこれがまた中々身も蓋も無い話が連発しております。いやシステム開発の現場で起きていることは何と申しますかこう香ばしいとか言ってる場合でも無いですなあという感じです。とは言え、身も蓋も無い話だけではなくて、それでは我々はどうしたらいいかって話になっておりますので、システム開発者よりはユーザー企業のシステム担当者やら責任者(CIO)が読むのが吉なのでは無いかと存じます。

システムエンジニアリングのごたくを並べる本にありがちな「海外直輸入の美しい理論または机上の空論」ではなく、開発現場からの改善提案って風情の本ですので、システム開発話に興味のある方だったら別にエンジニアじゃなくても十分読めると思いますよん。

ISBN4-7973-3274-3 C0055 \2200


このシステム開発の失敗話とはまた違う部類の話になるかとは思うのですが、von_yosukeyanさんのスラド日記でNECのBanking Web 21をマクラにした銀行のシステム開発に関する考察、というか歴史モノなのでかなり大作なのですが、こちらも中々興味深く読んだ次第でして、先ほどの電子政府話と併せて、知人の本を読んでいた次第でございます。
http://slashdot.jp/~von_yosukeyan/journal/370717(von_yosukeyanさん)「BW21に見る地銀システム開発の失敗」というお題でかなりの大作です。