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2006/08/31
お題「本日も相場雑感で勘弁」
モーサテでの論調(らしきもの)とそこで紹介されてる日経本紙の記事を拝見すると、何かまたまた利上げしましょうよ話がおっぱじまるのかよという感じです。
今朝出演の「経済アナリスト」という意味不明なお方が「将来を考えて利上げするなら出来るだけ早くしないと景気が悪化した時に金融政策の打つ手が無くなる」と主張してたのには朝から脱力しましたよ。いいからそういうアホウをテレビに出すなよと思うんですが、まあアホウほどテレビ的には扱いやすいんでしょうな。
などとグチグチ話は兎も角としてまたまた昨日の相場から。
○FB入札は順調、2年債も確り
昨日実施された3か月(13週間)もののFBは9月4日に発行されて償還が12月4日ということで、とうとう12月償還ものの発行と相成りました。前日の米国債券市場(何でそう機械的に連動したがるのか意味判らんが)での金利低下で大丈夫かと思いましたが、まあ何とか0.35%乗せのレベルで入札をやってくれました。
平均落札価格が利回り換算で0.352%くらいで、最低落札価格が利回り換算で0.355%くらいという結果でしたが、まあ一応0.35%乗ってくれている事もありましてニーズはちゃんと集まり販売も順調のようで最後は0.35%テイクン。
GCレートが通常日で概ね0.30−31%、月末だの税揚げだの国債発行日だのという資金の出入りがでかい日(例えば昨日のGCだと税揚げ日の4日スタートだったので0.33%くらいになってました)だと0.33%近辺で推移している事を勘案すると、まあGCベースではろくすっぽ鞘が取れないという話ですが、コールだのオペだのまあ他にも色々ありますし、そもそもそういうファンディングコストとちと違う論理の人もいますので、レート的にはまあこんなもんなら一応勘弁ということでしょう。ちと利上げに関して無警戒過ぎる気がするが。
ちなみに、某ベンダーでは昨日の3か月FBの利回りを「年内利上げ無しを織り込む水準」と書いてましたが、12月の金融政策決定会合は12月18〜19日に行われ、このFBはその時点で償還されておりますので12月の利上げに関しては織り込みようがございませんのでお間違えのない様に(^^)。
#ま、もうちょっと長いTBとか見てると確かにそうなんですが。
あたくしの感覚として少々不思議なのはこの期に及んで期内もの(9月末までの償還もの)のニーズがやたらめったらあるらしいことでして、火曜日のCP発行市場では最上位格の9月償還ものCPで0.32%を割るような発行もあったようで、そりゃGCと殆ど変らんやんというレベルまで金利低下してたようですな。昨日はちょっと冷静になった感じですけど、FBなんぞはモノが無いようですし。何故今更期内ものなのかという気もしますが。
ところで、昨日は2年ゾーンも確りでして、「これは酷い」という入札をやらかしてくれた2年247回債ですが、さっくりと2毛強で0.67%まで金利低下。何でも一昨日の引け近くからかなり持ち直してくれたそうで、第U非価格競争入札の落札がゼロにしちゃあ随分威勢良く戻ると思ってたのですが、ご丁寧にタイミング見てたんでしょうかねえ。本当に買いたいなら第U非価格の応札時限前に買えばもっと沢山買えると思うんですが、まあこの年限をいじるお投資家様も(以下自主規制)。
まあ2年ゾーンがさっくり盛り返したのは安心感をそれなりに与えてくれるというもんでしょうな。またぞろ金利低下とかして0.6%前半とかに突っ込みに逝くのはあたくしには理解致しかねるものがございますが。
○相変わらずワケワカラン中長期ゾーン
昨日の中長期ゾーン、と言いましてもそんなに動きを細かく見てないですからまあ傍観者の独り言なんですけど、何とも不思議な引値になってましたな。5年が4毛強で7年が3.5毛強でして、10年は4.5毛強ということでして、7年〜10年はフラットニングしてますが、20年は1毛強で30年が5糸強とこっちはヘロヘロ。
超長期ゾーン起債の影響もあったかと存じますが、それはそれとして10年は強くて20年とかはヘロヘロというのは何と申しますか、本当に相場強いのかよ!って感じですな。まあ月末近くなると訳の判らん動きが出てくるのはいつものことですが、来週に10年入札あるのに10年強くしてどうするんだよという感じは致しますです、はい。
中短期が強いのはまあバンクと海外ファンドでしょうし(そういや昨日は日経金融の2面にポジショントーク全開記事が出てて笑わせてくれましたが^^)、長いところは年金系なんでしょうけど、イールドカーブがギクシャクというかバラバラに動いて何とも香ばしい展開でございましたな。各投資主体の皆様が月末を控えて色々と整頓モードに入っているのでしょうかねえ。
#という相場雑談ばかりで恐縮です。うーん他のネタ(ただし相場と関係ない何故かシステムネタ^^)があったのですが、時間切れで書けなかっただよ。
2006/08/30
お題「昨日の相場からグダグダとお送りします」
モーサテをNYスタジオからお送りしている佐々木さん、(確かテレ東のアナウンサー)今朝は「金利の引き締め」と連呼しておられましたが、引き締めたり緩和するのは金融政策であって、金利は上げ下げするもんだと思うんですが・・・・何か用語の使い方おかしくね?
○これはまた碌でもない入札ですね
昨日の2年国債入札、あたくしは何とかなるんじゃないのとは書きましたが、一応いやーな予感はしたので(本当)、念の為『つーか何とかならなかったらおまいら何考えてそこまで買い上げたんだと小一時間』と書いたら両建てコメントのそっちが来てしまいました(自爆)。
昨日は朝からCPI発表以来物凄い勢いで堅調に推移していた中期ゾーンが先行してヘロヘロになりまして、2年新発のクーポンもさっくり0.7%になりました。で、入札前の前場引け時点で0.69%−0.695%となったのですが、落札結果は平均落札は100円1銭6厘なのでまあ前場引けの気配範囲内でしたが、最低落札価格が99円99銭とはこれまたヘロヘロな結果になりました。
まあ救いがあるとすれば、入札前に調整した上に入札も流れたということから心理的に買いやすくなりましたっちゅうところでして、落札結果発表後は買いも入って引値ベースでは0.69%(どうせオファーサイドでしょうが)となってくれました。これが入札過熱して0.6%クーポンの0.6%台前半で入札やらかした後にやっぱり売れないから死亡という展開で0.7%近くに向う展開だったりすると、心理的に買い向う雰囲気になりにくい所でしたんで、どうせダメなら入札で流れた方が良かったとも言えるかにゃあと(苦笑)。
それにしても2年ゾーン3毛甘とかやらかしておりまして、月曜日の2年247回(前月発行債)の0.6%台前半(引値は0.635%ですが、場中はもっと強かったですし)は一体全体何なんですかと小一時間でございます。5年も3.5毛甘の1.160%に押し戻されてますが、どうも中短期ゾーンが毎度毎度過激に上げ下げするのは最近(ここ1年くらいかなあ)の仕様のようでございます。
まあ結局のところ、大玉を振り回すのが海外ファンド系の人と大手銀行のALMヘッジ系の人という一度決めたら兎に角突っ込んで行く傾向が強いお方なんで(勿論そうでない人もいますが、振り回さない人は短期的なオーバーシュートに影響を与えないですから^^)、ポジションが構築(あるいはカット)されてふと金利の絶対水準を見るんでしょうなあという感じを勝手に思ってます。的外れな指摘かも知れんが。
現物債を基本的に取り扱うお仕事の長いあたくしと致しましては、やはり現物債券の利回り水準が絶対値としてどうよってのが気になってしまうので、2年の0.6%前半ってそりゃどうよというような発想が出てくる次第なんすけどね・・・・などと申してますが、もっと昔の小僧時代に先物プロップの真似事をしてた時代の自分を思い出しますと、正直チャートしか見てなかったので、現物金利のヘッジとあんまり関連性の無いユーロ円金先の価格形成が変だとか悪態ついてはいますが、そりゃま価格形成があんなになるのも判らんでも無いですわな(^^)。
○どうも後続の買いが無い水準まで持ち上げたようで
昨日の現物引値表をつらつら眺めておりますと、先物チーペスト(7年)が2毛甘でございますが、中短期はご案内のように2年から延々とダメダメ状態。そしてこの相場の上げで見事に置いて行かれておりまして、確か先週の木曜に20年の入札があった筈ですが皆様大丈夫でしょうかと申し上げたくなる(というか多分怪我人続出だと思うが)超長期ゾーンを見ますと昨日は下げに抵抗する事もなく20年、30年とも2毛甘。
先物主導で上昇したような場合には、下がってくる時に現物が抵抗するという形でバランス取るもんなんですけど、中期主導で上げて行く時に先物などとの対比でヘロヘロにさせられていた超長期ゾーンが先物と一緒に下げるっちゅうことは要するに「下がった時に押し目買いが大して入ってこない」ってことでござんすな。そりゃまあ絶対水準がこれですから致し方無しとは存じますが、逆に言えばよくもまあここまで持ち上げやがったなあというところですな。
・・・・などと後講釈をしてますが、米債があの調子なのでまた様子がコロッと変るかも知れないのが世の中恐ろしいところでございます。さすがにちょっと踏み踏みやり過ぎだったとは思うのでございますけど。。。。
ちと気になるのは、昨日途中から先物を妙に買う人がいるらしいというところでしょうか。。。
○さて3か月FB入札
昨日はスポットスタートが月末だったのでCPの発行がバカスカあったのですが、期内(9月まで)償還もののニーズが強いようで、そっちのレートは気持ち低下っぽく、期越えのものはそんなに下がらずという個人的にはちと意外。まあ物凄くミクロな話ですし、微妙な感覚なんで別人に聞くとまた違う印象が返ってくるのかもしれませんけど、あたくしの感覚としては期末越えで10月とか11月のエンド物がもうちょっと低下するのかなあとイメージして見てたんで。
ということで、そろそろ9月末越えも1ヶ月を切って(受渡ベースのお話)参りましたので少々そこのレートが意識されるかと存じますが、3か月FBの方はそういうことはあまりお構い無しにやるのでしょうかねえという所ですな。一応昨日の日本相互証券様謹製の引値ベースでは405回FB(先週入札をやった11月29日償還)を0.35%で値付けして下さいましたので、一応0.35%近辺でやってくれるものと勝手に想像しております。0.3台前半はさすがに勘弁していただきたい所でしたんで(苦笑)。今回は12月償還になるんですし(金融政策決定会合が月の半ばに実施されるので償還が月末越えになること自体にそんなに深い意味はないけど)。
それから、昨日ちと書いておりましたGCレートですが、月末要因が効いていた(あまり意味のある話では無いと思うのですが)のが上昇の原因だったようで、昨日行われた1日スタートの翌日物はまた0.30−0.31%近辺(前日は0.32%近辺)になっていたようでございます。まあ月末だの税揚げだの国債発行だのという時にはレート上昇するけど基本的にこの辺なんでしょうかね。
ということで、本日はグダグダと相場雑感でした。
2006/08/29
お題「香ばしい光景がいくつか」
ええまあ雑談なんすけど。
○TB/FBが買われてコールが妙にしっかり
金曜のCPI発表後からの光景なんですが、1年とかのゾーンがまあ買われたというのは措いといて、3か月のFBなんかも利回りが見事に低下しまして、金曜日に0.345%まで金利低下(さすがに昨日は変らずでしたが)と相成りました。
で、この間にコール市場での海外勢ビットが妙にしっかりになってきまして、外銀レートが0.26〜0.28%という感じで上昇気味となっております。これと月末要因(今日のスポットスタートの取引は月末)がぶつかったせいか、昨日のGCレートは前週末の0.30%近辺から0.32%近辺まで上昇したような感じです。前週中盤には0.28%近辺まで下がった場面もあったようなのですが、また上昇と相成りました。まあ月末要因なのかもしれないので、本日の動向を見ないといかんですが。
でね、この光景に既視感があるわけでして、暫く前にFB買って手前でショートファンディングして小遣い稼ぎをしていた人たちがいたと言われてましたが、その時と似たような展開になって参りました。ターム物の金利が潰れながら足元の金利が下がらなくなるというか上昇するという展開。
またやりやがってますかという気はしますが、それよりも呆然とするのはCPI出た今更になってからこの動きをするかって所でございまして、確かにリスクが下がったかも知れないけど、鞘がここまで薄くなってから登場というのはリスクリターンをどう考えて突撃してるのやらという感が致しますが、まあ言ってるあたくしも別にそのリスクリターンとやらは勘で判断している世界ですので人の事は言えませんが(自爆)。やるなら0.4%の時にやるもんじゃないのか(0.4%になったのはゼロ金利解除の2日前に実施されたFB入札で、このときが直近の最高利回りでございました)と思うのは説明責任を果たしてませんですかそうですか(笑)。
○3月10日の水準ですかそうですか
債券市場の方は米債が上昇したからというのはあるにせよ、昨日も上昇するとは恐れ入りました。しかもまたまた中期債が主導する形で5年とその前後を中心に相場の上昇が引っ張られた格好。途中では先物が40銭くらい上っているのに超長期引けオファーだの安いところヒットだのというような無茶苦茶な状況だったようですな。さすがに途中でやり過ぎを感じて入替が入ったようで、ひけでは緩和されてますが、それにしても5年4毛強で20年引け変らずですからまあよくも中期強くなりましたなあという感じです。
で、5年が1.125%とは何ぞやと申しますと、量的緩和解除直後の3月10日金曜日を思い出す訳で、その後月曜日に水野審議委員の言いたい放題講演が行われまして、中期ゾーンがヘロヘロになったのはご案内の通り。その後にどこぞの銀行のエライ人が日経金融のインタビューで5年債のレンジと将来の利上げ織り込み度合いについて大変に心温まる発言をなさっておられたのが懐かしい訳ですが(笑)、それは兎も角として。
手元の手帳から3月10日の現物債引け利回り(ただし単利)を引っ張ってくるとこんな感じになるのでした(表示は昨日VS3月10日)
2年:0.635% VS 0.470%
5年:1.125% VS 1.110%
10年:1.675% VS 1.655%
20年:2.120% VS 2.035%
30年:2.355% VS 2.220%
5年〜10年はあまり変らず、2年が甘いのはベースの金利が0.2%くらい上昇してるのだから当たり前として、20年と30年は出遅れておりますわな。まあそんなところかなあという感じですが。
で、まあこの時の状況を思い出しますと、「物価安定に関する理解」が公表されて「これはゼロ金利の緩やかなコミットメントではないか」という認識がまだそこそこ確りしていた時だと思うのですけれども(あたくしはご案内のようにこれが出たときから「目くらましでしょ」と申しておった訳ですけど、と自画自賛は見苦しいですな^^)、前提としてまあそんな環境にあった訳でございますわな。
で、まあCPIを受けて利上げ予想時期が後寄せになったのは判るのですけれども、いやあのそこまで買うのかなあ絶対水準考えてるかなあとか思ってしまうのですけど、特に中短期。
そしてそんな中で2年債の入札が本日実施されるのですが、この利回りでは2回利上げになった時点で逆鞘確定(昨日も申し上げましたが)で3回あったら悲惨なことにって感じございます。まあざっくり感覚で言って、手前の1年(即ち来年夏まで)で2回利上げがあったら負けそうな債券となると思うんですが、はてさてどうなるのでしょうか。まあこの相場の勢いだから何とかなるんでしょうけど、つーか何とかならなかったらおまいら何考えてそこまで買い上げたんだと小一時間ですな。
○こりゃまた香ばしいお話
ネタ元は日経金融ですが、別に日経にイチャモンをつけるわけではございませんのでご安心(?)下さい。
月曜の日経金融新聞1面に変額年金保険の話題が載っておりました。ということでそちらの記事をご覧になられたいところでございますが、まあ記事は最近の変額年金保険の売れ行きに関するものでございます。
で、保有契約高で国内首位(「しゅい」で変換したら一発目が「主意」だったのは自分でウケてしまいましたが^^)のハートフォード生命が失速しているという話題で、特に響いたのは昨年11月に同社が発売した新商品で運用機関を10年から15年に延ばしたことらしく、大手銀行が同社商品の販売を積極的に行わなくなったそうな。
で、最近の売れ筋は何かと申しますと、記事のお題に「安・銀・短」とありまして、安全志向、銀行窓販、短期運用というのがお題になっているそうでございますな。まあそうなるだろうなという感じですが、記事によりますと、主役の商品は「元本保証型」だそうで推定9割が元本保証だそうです。
そして短期運用ですが、最近では3年経って目標運用額に到達すると全額引き出し可能な商品を出した会社や、7年もの商品を新規投入した会社などもでたそうです。
という訳で、どう見ても「定期預金に毛が生えた商品」になっているようなのが本邦における変額年金保険の販売現場のようでございますが、これでは変額年金保険の本来の趣旨はどこへやらということで、売る側である銀行窓版にとって顧客に売り込み易いことを思いっきり重視した状況になっておりますわな。どう見ても売る事先にありきです。本当にありがとうございました。まあ大体銀行がノルマ営業(はしてないと公式には言いますので念の為申し添えます^^)おっぱじめて大々的に取扱を始める商品に碌な事が起きないというのは遠くはバブル時代から相も変らずなのが実に香ばしいところでございます。
で、まあ日経金融記事でも、『変額年金保険はもともと10−15年程度の長期運用で、短期的な相場変動の悪影響を吸収しながらじっくり資産の増加を目指す商品だ。運用機関の短期化は、本来の商品の性格から離れてしまう。』と指摘しておりますわな。
・・・・ところで、記事を見ると元本保証型の変額年金は運用成績が悪くて元本割れすると保険会社が差額を補填すると書いてあるのですが、そのシステムがどうなっているのか良く判らんですな。記事の中で「元本保証の付いた投資信託に近い性格」という説明もあったのですが、これってどういう話なのでしょうか、教えてエロイ人!でございます(お前は確か保険販売員の資格を取っていなかったかというツッコミはしないように^^)。
んじゃまあ本日はそんなところで。
2006/08/28
お題「2年が11毛5糸強ですかそうですか」
王子製紙様残念の香り濃厚。まあ「金のパワーで目指せ寡占」(実際は兎も角あたくしにはそう見えてたのですけど)ってのは渋沢青淵先生の理念とは相容れなかったという事でしょうかな。これって例えてみればモノポリーゲームやっててトップ走ってる奴の独走を許さんって2位以下がムリムリ連合したようなもん(例えが悪いとツッコミをいただきそうですがそこは勘弁^^)であって、そんなに日本的解決ケシカランとか言うものなんでしょうかねえというあたくしは日本的なアナクロ人間ですかそうですか。
それはともかく。
○CPI改定で予想以上に下振れ
先週末の債券市場はご案内のように大爆発踏み上げ御所。で、原因はCPI基準年改定での下振れが市場予想(=当初は0.2〜0.3ポイントくらい下に寄与と言ってたのが「案外下に振れないのではないか」という話になってきてました)よりも大きくなって0.4%のマイナス寄与と相成りました。
あたしゃ本職じゃないから内訳に関してはちゃんとしたレポートを見ながら精読しないといけませんが、週末に働かない(ログ整理はしますが)ドラめもんクオリティとしてはイット関連の価格押し下げ効果がでかいらしいというのは把握致しました。
旧基準ベースでの全国CPIは+0.6%でしたんで、そっちは横ばいは横ばいで、「新基準が下振れしたのは主管大臣が竹中さんだから」という話も出てましたが(=直前になって「案外下振れしないのでは」という話が出たときには「小泉首相がデフレ脱却宣言で有終の美を飾るのを邪魔する事はないんじゃないか」ってのもありましたな、笑)、それよりも総務省が毎回せっせと公表している「エネルギー、食品除くCPI」が新基準になったらしっかりマイナスに沈んでおりました(旧基準ベースだとプラスかつ上昇してたと思いますが)ですな。いやはや。
まあ日銀(というか政策委員会)としては、CPIが改定された時に下振れってのが出て来ることを懸念して(?)、「見てるのは物価だけじゃないですよ」って話にもって行っている(そもそも量的緩和解除した時にそういう話にしているのですが、物価安定の理解というのを出してその辺煙幕張ってますわな)上に、7月には利上げもしてるので、トレンドが下向きに転換しない限りはそれほど慌てないんじゃないかと思うのですけど(旧基準ベースで下落に転じてたのなら慌ててたかと思うのですが)。
現場仲間のおともだちと話をしてると「これだけで日銀の利上げ時期予想が後寄せされないけどなあ〜」って人が多い(ただしそもそも予想自体が年内ありと無しで真っ二つって感じです)のですけどね。
○典型的な踏み上げ相場でした
でまあ金曜の債券市場、というよりも中短期債とか金先とかが凄かった訳ですが、当然の如く朝から上昇して踏み踏み相場になったのですが、例えば債券先物で見ると寄りから値をぶっ飛ばして上昇したあと、9時20分頃に高値をつけた後はもみ合いというよりは頭打ちの感じ。
ところが、前場引けあたりからまたまた値を上げだして後場に入ったところで債券先物グイグイと上昇。まあ金曜の場合はどちらかというとユーロ円金利先物とか中短期債が先導してたのですが、チャートが判りやすいので引き続き債券先物の話をしますと、後場寄ってからあっという間に134円に乗せまして、その後は134円を割る場面もあまりなく(少々あった)もみ合いの後に引けに掛けて一段高。
まあ思いっきり「寄りで上げ」→「昼に上げ」っていう2段上げの踏み上げ相場でして、昼前から会議の結果でも出て上げたのか、海外の皆様目を覚ましてもう一発上を試しに行ったのだか何だか知りませんが(苦笑)、久々に絵に描いたような「投資家の踏み」って感じでございました。
しかしまあ2年カレントなんぞ寄り前から5.5毛強(247回だと0.705%になりますが)買われてたそうですが、終わってみれば何と11.5毛強の0.645%ですがなハーコリャコリャって感じでございます。2年が11.5毛強で5年が12.5毛強で7年が12毛(チーペストは11.5毛)強でございますので、もう見るからに中期が引っ張る相場。こりゃもう踏んでるのが誰か思いっきり想像ができてしまいますわな。ナムナム。
そもそも3か月FBの利回りなんぞを見てると「いやあ11月までに利上げは無さそうな感じですなあ」という値段のつき方でして、(ただまあ地均ししないと織り込まないという疑念もあるのでそれだけをリファレンスにしにくいが)この指標でてどんだけ利上げ予想時期を後ズレさせたんですか貴方様達はっていうような豪快な金利の低下っぷりに呆れると申しますか、ここでそんなに踏むくらいならお前らヘッジするなよって感じですけどね。いつもながら過激にぶれる中短期なのでした。
ちなみに長いところでも掛けたカバードコールが行使レベルに達したので、抜けた(のか抜ける予定なのか)分の現物を改めて買う動きもあったという話が流布されていましたが、おまいら何のためのカバードコールなのかと小一時間でございますな。これまたいつものことなので驚きはしませんが(苦笑)。
○だから金先の「価格」をリファレンスにするなと
ええもう前からあたくし何度も申し上げているように、ユーロ円金利先物というのは商いもそれなりにありますので、ヘッジツールとしてはそれなりに機能しておりますが、価格があまりにも現物金利(マネーマーケットの金利)から斜め上の方向になっておりますので、この市場を参考にするのは「市場の勢い」を見るのにはいいのですけれども(金曜なんかまさにそう)、このカーブがどうのこうのとか言い出すのは如何なものかと。
何せ、短期国債やらマネーの取引している人がヘッジに使わないという時点で、こいつは金利商品でありながらちと別の商品という風に見るものでございますが、先週末にやってきたレポートなんぞを見ておりますと、「金先市場は年内利上げ無しを完全に織り込んだ」とか「金先金利から算出される将来の利上げ経路からみると2年金利は低下余地あり」などというような記述が散見されて実に香ばしい。
あーた2年金利って0.645%で2回利上げになったら逆鞘確定になるんですが、まだここから買えるんですかそうですか(いやまあレポート精読して無いからトンチンカンなツッコミだったらゴメンナサイ)。いやはや何とも。
○短いところは金利フラットと
まあ元々2か月だの3か月だのという金利に関してはご案内のように期間内の利上げを気にしない水準で安定しておりましたので、そんなに影響は無かったのですが、まああたくしのように11月の利上げリスクを一応考えていた人は世の中にいたようでして、10月足はほぼ関係なく2か月(というかもう1ヵ月半ですが)物のFB403回の日本相互証券引値は0.34%でそれでも0.01%の利回り低下。11月の27日に償還になるFB405回が0.345%で0.025%の利回り低下となりまして、10月足と11月足がフラットになったという感じです。
一方で足元とか現先の金利は今さら下がりようがございませんし、中間期末越えというのもありますので、ターム物金利に関してはこの辺で安定推移って事になるのかなあと漠然と思うのでありました。しかしまあ先日水野審議委員が「金利先高感で短期のイールドカーブが立った方が市場機能が回復」ってお話をして以来、短期のイールドカーブがじりじりとフラットになってきているのは、まさしく相場の髪様としか申し上げようがございませんですな(笑)。
#まあ、買いを我慢してた人とか、ヘッジ掛けちゃった人とかが多かった中で我慢する理由がなくなったから一気に来ちゃったというのが大きいという風には思うのですが、しかしまあよーやりましたな。
2006/08/25
お題「市場雑談をいくつか」
○昨日の補足(適時開示に関して)
まあつらつら思うに、過失相殺の割合を自社で判断するよりは裁判上の決定(和解も含め)で行いたいから404億円とか言いだしたのではないかというのがあたくしの中の結論であります(前振りがなげえよ)みずほ証券の誤発注問題ですが、昨日の駄文に関して指摘を頂きましたのでここで補足を。
「どこがやりやがった」ということで一騒動になっていた間にしらっと黙って引け後に公表した件に関して「適時開示はどうなのよ」って書きましたが、適時開示に関しての「義務」はこの事件当時のみずほ証券には課せられていなかったと解釈されるようです。よって「適時開示義務違反」ではないと(まあ違反だったらその時に言われますけど)なるそうな。あたくし的にはそうは言っても実質的な意味では上場企業の100%子会社(みずほはグループの資本関係がややこしくて、持ち株会社が2階建てになっていると記憶してますんで、このあたりも実にややこしい)じゃねえのと思う訳ですが、まあ東証があの時点で何もお咎めしなかったのだから(遺憾だとは言ってたかもしれないけど)そっちは良いんでしょうな。
で、非上場だと適時開示義務が無いと言いましても、こういうケースだとどうなのよって事になって、現在では証券会社のこの手の問題に関しては可及的速やかに開示しろってことになっているようです。ご教示ありがとうございました。
・・・いずれにせよ、「どこがやらかしたんだ」と上場他社の株価が軒並み売られているのを横目に、親会社などに先に報告しておいて引け後まで世間にはだんまりというみずほ証券の姿勢は実に香ばしい内向き論理ですなあという感は変らないですけど。
○GCレートが妙に下がったようなのですが
昨日は特に材料は無いのに何故かGCレートが低下して、最後は0.3%割れまでやらかした模様。共通担保オペ(と書いた場合は現在は資金供給しか有り得ないので供給とか吸収とか書きませんのでヨロシク)の最低落札レートが2か月もので0.35%に低下(前日は0.36%)してましたのですが、まあその低下が影響と言うよりは足元の運用圧力が高まってきているのではないかという感じです。
来週に毎度の如く実施されるFBはとうとう9月発行で12月償還になりますので、今頃になって「何ぼ何でもちと警戒した方が良いんじゃネーノ」という声も聞かれるようになりまして(遅いって思いますけど、まあそれが今のマネーマーケットクオリティ)、そうなってきますと運用の足を短くするという話になりますわな。何せ今のFBの水準だと、利上げの刑を食らった場合に無担保コール対比で0.13%位いかれる(というか保有していることによる機会損失ですけど)計算になりますので、そりゃ沢山持って利上げ食らったらどうなのよって思うと、足元への運用圧力増えそう。
水野審議委員が先日の講演で言ってましたが、短期市場に関して金利先高感が出てくるとそれはもう目に見えてイールドカーブ(と言うのか?)が立ってきますが、現状では9月中間期末越えに一応敬意を表して10月エンド物になるとレートがちょっと上昇する程度でして、例えば2か月FBで先々週に出た(のでもう2ヶ月ではないが)403回FBの日本相互証券引値が0.365%で、今週発行された3か月FBの405回のそれが0.370%と見事なまでにフラットになっております。今日はCPIが出るわけですが、この数字が出て何か変化が起きるのか、どうもあまり3か月くらいまでの金利には影響無さそうな感じで(運用圧力が高くて、少々の材料は吸収しそうな勢い)ございますけどね。今後のカーブに注目したいです。
#ま、GCレート低下には足元の運用圧力以外の需給要因も絡んでいるらしいという話もあるようですが・・・・・・
○これは酷い20年国債入札ですね
昨日の20年国債入札ですが、昨日申し上げましたように前日から嫌がらせのような買いで確りした流れを引き継ぎまして入札前は強く、前場引けで2.19%−2.195%で、前回債の88回債は2.175%(2毛強)ビットとかまあアオリイカアオリイカ。ちなみに先物は6銭高の133円18銭。
ところが、応札が終わってからの後場に入って早速入札不調観測が出てきてヘロヘロ状態。蓋を開けてみたら平均落札価格が100円08銭(2.194%)で最低落札価格が99円85銭(2.210%)とまあゲロゲロの巻。応札が1兆5828億円とこれまた寂しいお話。
何でも安値2.225%(99円65銭くらい)まであったようなのですが、これは投げなのか投げさせようとする嫌がらせなのかはよく判らんのですが、まあそこまでやりやがるかって感じのようでした。さすがに最後になってセカンダリーの買いが入ってきまして値を戻したようでございますが、結局のところ強いところで入札させられて、弱くなった所を投げさせられたような感じで誠にクマーな入札でございました。前日から当日に掛けての先回り買いが余計でしたな。マッタクモウ。
まあ一応押せば実需系の買いは入らないことは無いってのが判ったのは良かったんでしょうが、まあちょっと何ですなあという入札でございました。
○ところで自民党総裁選雑感
麻生ファンのあたくし(以前書きましたが、経済財政諮問会議での金融の将来像がどうのこうのというメルヘン論議に冷静に「何を君たちは夢物語をしてるのかね(超意訳)」と突っ込んだ議事要旨(ちなみに、この時に冷静なツッコミをしてたのは麻生さんと細田さんです)を見て以来個人的には応援してるんですが^^)としては、まあ実に詰まらない展開になって誠に遺憾極まりないのですが、それは兎も角として。
何か勝ち馬に乗ろうと雪崩を打つところなんざあ「新体制運動」かおまいらはと言いたくなるような流れでございますが、自民党の良さとしてその多様性があって、多極の中から良い政策が出て来るという印象が(あくまでもシロートの印象ですけど)あるので、現状の動きは執行部独裁方向になりかねないものだなあと思うのですな。まあ小選挙区制度だからこうなるのも仕方ない面はあるんですが、どうも何だかねえって思うのでした。
#ニュース見ててふと脊髄反射したんですけどね
2006/08/24
お題「相変わらず平和なFB入札/407分の404ねえ」
○1週間経ちましたが足切りは同じ
昨日は毎度お馴染み3か月(13週間ですが)FBの入札が実施されました。今回は償還が11月27日ということで、もう3ヵ月後は11月終盤かよ!と時の経つのに驚いている場合ではございませんで(笑)、落札結果はどうなったかと言うと、平均落札価格99.9061円(だいたい0.378%)で最低落札価格99.9055円(だいたい0.379%)と相成りました。
前回と今回は発行〜償還までの経過日数が同じなので比較しやすいのですが、前回の平均落札が99.9064円で最低落札価格が99.9055円でしたんで、まあ平均が若干下がったけど今回も変化なしと。
11月に利上げの思惑でもあればもうちょっと敬意を表して利回り上昇してもおかしくない所ではございますが、まあ今の所無警戒な訳ではないでしょうけれども、地均しも始まってませんのでそこまで警戒しても仕方ないという所なのでしょうか。
まあこれが長期債の投資だと「金利上昇のタイミング待って1か月」とかいう引っ張り方も出来ますけれども、何せ短期の場合は3か月ものの投資を1か月引っ張っている間に3分の1の期間が終わってしまうという誠に遺憾な事態になりますので、多少の投資比率の上げ下げはあれども、そう頑張って買いを待ち続けるわけにも行かないですわな。勿論引っ張っている間に代替的に行う足元での運用利回りが3か月金利と比較して遜色ないのであれば足元での運用で粘るという選択肢もある(という発想がどこかへ飛んで2か月ものFBを買い捲くった少々頭の足りない人が出現したのが今年の4月でしたが^^)ので、足元対比の金利はどうよってのも重要ですけどね。
そんなことでして、あたくし的には11月の利上げに関して市場としては「一応無警戒じゃない」とは思うのですが、まあ結果として価格に出てくる所ではまるでノーケアー状態になっているというのが今回の3か月FB入札から導き出される結論になってしまいますな。
ただまあここの所あたくしが申し上げているように、単に途中は無警戒モード全開で進んでいて、日銀様から地均しが始まるといきなり警戒モード全開になって金利馬鹿上がりになるという思考停止モードになっているのがマーケットクオリティなのかも知れませんので、その辺は正直その時になってみないとワケワカラン。何か地均し慣れしちゃって逆に「政策変更の前には地均しが行われる筈だから、それが出てから考えればいいや」っていう風になっているような気がする(要するに思考停止)のですけどね。旧法時代を一応知っている積りの年寄りとしてはそれはどうなのよって思いますけど。
○407分の404
みずほ証券の損害賠償請求は昨日も書きましたが、実を申せば最初に書いたものを読み直してからかなり穏当に書き直したというのが実情でありまするあたくし(^^)。
と思ったら某知人から電話がありまして、本件についてどうなのよという雑談をしているうちに色々と論点を思い出して来た訳でして、まあ所詮赤の他人事というのは忘れるのも速いものだなあと我ながら情け無い次第でございまする。
まあ色々とあるのですが、言われて思い出したのは「そもそも本件は自力で買い戻ししたんじゃなくて強制解け合いしたんじゃねえのか」というお話。大体からして注文を出した方がどう見ても重過失な所で、まあ異例措置の強制解け合いをやって貰っておいて損害の殆どを払えというのは、どういう理屈で武装してるのか知らんですが、はたから見てると図々しいにも程があるというのが印象。
某掲示板の株板では早速スレッドが立ってましたが、そこでのカキコで面白いと思ったのは「どこの証券がやったか判らないから手持ちの証券株を全部投げさせられて損失24万円出たんですが」って(ネタなのかマジなのか知らんが)のですな(^^)。昨日も書きましたが、あの時点では強制解け合いにどうせなるにせよその価格だって幾らになるか判らんという状況で、証券株が軒並み急落しちゃって、全然関係ない証券会社が慌てて「うちは違う」って言わされてる(しまいには上場してないドイツ証券とかまでが発表してましたが^^)間に適時開示を怠り、相場の混乱を招いたのはどこの誰かと考えますと(しかも親会社には報告してたんでしょ)、そのような混乱を招いておいて、東証はほぼ全額支払い汁!とファビョられてもねえって感じですな。
ちなみに、この日は「誤発注した証券会社がどこだか判らん」ということで証券株軒並み売られてましたが、この事情を知る者であれば売られ過ぎた証券株を拾う事もできた訳でして、意地悪くその観点を持ち出すと(以下自主規制)。
まあアレですな、損害賠償請求するのはするで結構ですけど、さすがに407分の404はちとふっかけ過ぎなんじゃネーノ(だいたいそれが認められるのだったら収益返上した証券会社がキングカワイソス)でございますが、勝手に妄想すると「取り消しできなかった以降の責任問題」をどうするかという「お家の事情」ってのがみずほ証券さんの方にも有るのかも知れませんなあなどと意地悪な見方をしてしまうのでございます。まあ株主(はみずほCBかHDかFG)の手前、過失相殺をする判断を自分の所でする訳に逝かなかったのかも知れない(裁判所判断ならオーソライズされた司法判断だからって言い訳も出来る)ですし。
それに取り消し処理じゃなくて反対売買入れればもうちょっと早く収拾できたんじゃネーノというか、普通は注文入力を間違えたと気が付いた時は、取り消しすることを考える前に普通は反対売買を入れるという判断を咄嗟に行うのが一般的な感覚だと思うので、一生懸命取り消しをする努力をして5分間も注文晒しっぱなしという対応も(最後に反対売買入れたようですが)何なんでしょうねって感じでした罠。
○20年国債入札ですが
昨日は嫌がらせのように20年ゾーン堅調。まあプライマリーディーラーが入札しないといけないという事を狙って嫌がらせをするアホウもいるようですが、まあ大体そういう事をやっているといずれは地獄の火の中に投げ込まれるのは相場の常でございます。古くは非上場中期国債(昔は上場国債と非上場国債があった)でスクイーズしまくるという悪行の報いで己が弱った時に火あぶりの刑(以下激しく自主規制)。
いやまあこの水準で大丈夫なんですかねえ。別に相場自体は下を敢えて叩くような材料が出てくるわけではない(その代わり上を必死こいて買う材料も無いですが)ので需給バランスが崩れない限り値持ちはするとは思いますが、その需給バランスの最大イベントが入札なんでねえ。。。。
少々不安なのですが、あたくしが不安だとか言ってるので大丈夫でしょう(こら
2006/08/23
お題「短期市場雑感と人のふんどし」
やはり夏バテには睡眠が一番。
○共通担保応札5兆4220億ですか
昨日のオペでほほうと思ったのは共通担保供給オペ(本店)の9月5日エンドというショートタームもの。ここの所2ヶ月のオペを打ってまして、短いオペが行われたのが直近で先週水曜日の8月末エンドもの。この時も6000億円の予定額に対して4兆4930億円の応札でその前日の短めのオペから応札が増えてましたが。
今回は入札予定額が8000億円ですのでまあ倍率的には下がってるとも言えますが、応札額自体が5兆円台に乗っているのがちょっとねーって感じです。その間に中間期末越えのオペ打ってるんですがねえ。
まあ長いのだけじゃなくて短い期間のオペというのもそれはそれでニーズがある訳でして、資金繰り調整という意味では短いのも便利なんでしょうな。しかしまー相変わらずちょっとオペを打たないと応札が膨れ上がるって状況で、短期の市場機能復活がどうのこうのってのも何なんでしょうねって感じです。ま、参加者寡占状態で市場がレッセフェール状態で復活しちゃったら、寡占者の力技が罷り通るだけ(まるで人を信用しない言い方ですが、過去から現在に至る債券市場や短期市場の動きを見てればどう見てもそうなると思料)ですんで、それはそれで弱小な一般参加者は困るんですが。昔のインターバンクとは違うんでね。
○しかし微妙に動き方が違いますね
まあそんな訳で足元のGC金利も0.30%に接近したと思ったら、ショートタームのオペ金利は相変わらず0.33%按分とかでして中々ここから下がらずで、0.32%あたりで推移してるのですが、昨日のCP発行レートはまたまた低下しているようですな。1か月もので0.35%は割り込んでるようで、0.34%あたりまで低下してるようで、積み期間が変ってから足元のレポなどの金利が落ち着いて来た動きに遅行して反応している感じが致します。
どうもここもとのCP金利は短期国債や足元の金利推移に対して遅行反応する傾向が見受けられまして、短期国債の金利が上昇しだしても妙に反応が遅いなあと思うと、今度は上ると中々下がらなくて、他の金利が下がってる間に中々下がらんという動き。
まあCPの場合は基本的に買い切り前提の最終投資家が買い(それ以外は現先玉あるいは持ち切りの銀行ディーラー、転売することも勿論ございますが)、一度投資家の懐に入ると出てこないのがまあ普通ですんで、その点でみれば反応が遅行するのは当然といえば当然(ロングショートでどうこうってならないから裁定が素早く入るようなものでもない)ですけど、まあ中々オモロイものでございます。
○ひとのふんどしコーナー:輪番は減額されるのか
先日どこぞの海外ヨタレポートで「輪番がもしかしたら減額される可能性があるかもしれないという話がありました」みたいなネタが出て、誰も反応しなかったのに数日後に突如それを言い訳にして債券先物を振り回してみた奇特な人がいたと聞いておりますが、んじゃあ輪番減額の可能性はどうよってお話に関して例によって本石町日記さんから→http://hongokucho.exblog.jp/5536086
昨日日銀が営業毎旬報告を出してまして、それに関連して本石町日記さんが解説をしてますので、まあそちらをお読み頂ければというお話ですな。ちなみに、日銀の輪番オペで買われる中長期国債がどのような構成になっているかというのは、日銀様毎月公表の銘柄別保有残高を追っかけていると大体判るのですが、概ね残存1年半あたりの2年国債が入ることが多いですわな。
何故短いのが入りやすいかという話は以前から散々しているので割愛しますが、じゃあその年限が応札されやすいのは何故かと言いますと、残存1年を切ると金利商品のカテゴリーが「短期」扱いになってまいりまして、短期公社債投信の買い対象に入ってきますから新たな投資家層が発生して需給は改善するのですが、それよりちょっと長いということで需給があまりよくないわけですにゃ。しかも残存1年切ると債券インデックスの方からはインデックス落ちになるので、インデックスベースでの投資という観点からすると1年切るあたりで売るという行動になるので、モノが出やすい環境にあると。
ついでに2年債がご案内のように沢山発行されてまして、2年債を新発で買ってロールダウンしたところで売却って投資パターンを取る(量的緩和時代はそれをあまりにもやりすぎてカーブが潰れてしまいましたが)人もいるようですし、まあそんなこんなで1年ちょっとのゾーンは恒常的に需給が悪く、輪番に入り易いと。
そうなると日銀の輪番ポート(なんじゃそりゃ)も短い期間になるので、償還もバカスカ来て輪番の残高自体が中々増えないという誠に結構な状態(日銀にしてみたら)になるんでしょうな。
まあこの話も皆さん指摘してますけど改めて人のふんどしにコメント付け加えてみました(蛇足というツッコミはしないよ〜に)。
○法廷闘争ですかそうですか(ニュース雑感)
どうせ暫くするとリンク切れになりますが、こんなニュースが。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060822AT1C2200J22082006.html
えーっと、昨年大騒ぎになったジェイコム株式の誤発注問題でみずほ証券がやられの407億円の内404億円の損害賠償請求を東証に催告したけどまあ東証払わないので法廷闘争だそうな。
まあ恐らく直ぐに取り消しできたらやられは3億円で済んでましたって取引履歴とかで疎明できるからこれだけの請求をしたんでしょうが、それならそれでみずほ証券もちゃんとそういう宣伝しないと、この負担割合の方が目だってしまうと思うんだが(少なくとも上記記事を見てるとみずほが404億円請求する根拠が書かれてない)。
まあ東証の不手際も相当なもんですが、そもそも発行済み株式数の10倍の発注をするみずほ証券の注文ガードもどうなのよって思う訳ですが。前例無いなら兎も角、新規公開銘柄では電通株の事件があったし、まあどうみても誤発注ってのは表に出てこないけど今までも沢山ありましたからねえ。
まあどういう話になるのか知らんですけど、もし404億円負担って事になりますと、東証の参加者が積んでいる負担金みたいなものなのか東証プロパーの剰余金なのか良く判らないですけど、まあそれを取り崩すって話になりますが、その場合は回り回って東証の参加者の負担ということでございますわな。何も関係ないのに(思いっきり間接的ですが)負担が回ってくる他の参加者もいい面の皮としか言いようがないですね。あの日も各社「うちは関係ありません」ってわざわざプレス発表させられてた中でみずほ証券は取引終了までゲロしないでましたからねえ。
ま、生暖かく推移を見守ることと致したく存じます。
○ネタ候補
時々思い出すとネタにする不動産ものの話。で、毎度お馴染みのREIT話とか少々調べたりもしてるんですが、雑用にかまけて中々進んでいませんな。そのうちお出しできるかと存じますが、何分にもそっちに関してはシロートなのでシロートの素朴な疑問って奴になるんですがね。
2006/08/22
お題「毎日雑談でスイマセンが」
いやもうネタがこれだけ無い割には何だかんだと動く相場というのも何ですかなあって感じです。あたくしの体調がイマイチなのでよく見えないのかもしれないけど。
○先物を振り回している人がいるようで
昨日の債券市場は朝っぱらから中期債から先物が強い形(概ね6年ゾーンのようで)で上昇したのですが、先週末には株高(平均株価16000円キープ)だか何だか存じませんが妙に売られた印象もありまして、その反動というのもある感じ。
ま、あたくし先物の板を目を皿のようにしてみている訳では無いのですが、先物の板(だけじゃないけど)をよーくウォッチしている知人たちに聞いて回ると、どうもここもと投資家系の現物売買がやや乏し目(中長期国債の入札無いですし)な状況な事もあるようですが、先物を妙に振り回している人が複数いるんジャマイカという考察をしておりますな。まあ昨日の債券市場でもそりゃまあ平均株価とか下がりましたが、中期ゾーンが5毛強とか先物45銭高とかやるようなインパクトのある材料がありましたっけ?ってなもんでして、まああるとすれば先ほど申し上げたように「前日に余計に下を叩いた分反動が来ました」って所になりますわな。うーむワケワカメ。
で、まあここから先は聞いた話を総合したベースになる訳ですけれども、どうも上記したように先物でせっせと相場を作ろうとしている人が多分複数いるようでして、まあその人たちが何かちょっとネタがあるとそれに飛びつくみたいな所があるようですな。先日の水野審議委員の講演や記者会見でもヘッドラインが出た途端に反応してみたり、金曜の日銀総裁インタビュー(共同通信のインタビューなのですが、モノを見て無いのでネタにしておりません、悪しからず)をネタに(アナリストレポートなどを見ていると売り材料には見えないのですが)して売ったのだか何だか判りませんけどせっせと下を叩いてみたりという感じのようですな。
もしかしたらチャートで売買してるのかも知れませんが、相場を作ろうとしているような印象もあるようですね。まあご苦労なことですにゃあって感じですけど。
○デリバティブ市場がお好き?
毎度お馴染みの日銀レビュー
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev06j15.pdf
今回のお題は『わが国OIS(Overnight Index Swap)市場の現状』でございますが、ああそういえばそんな取引があったような無かったようなって言い出すのはあたくしがドメドメだからですかそうですか。
で、まあどういう取引ですかという詳しい話は上記レビューをご覧になると吉なのですが、まあだいたい1ヶ月間の翌日物レート(を複利運用した場合の利回り)と固定金利の交換という取引なのですが、まあレビューにもありますように本邦では取引はごく一部の参加者に限られています。
でね、取引が拡大しない理由についてこんな話してるんですが・・・
『その背景としては、@日本銀行によるゼロ金利政策導入(99/2月)から量的緩和政策解除(06/3月)に至るまで、翌日物レートが一時期を除き、概ね下限近辺で推移し、変動性が乏しかったこと、Aその下でターム物レートも非常に低水準で推移していたこと、が挙げられる。実際にOISを用いて金利変動リスクをヘッジするニーズや、裁定取引による利鞘稼得の機会が乏しかったため、当初参入を検討していた一部の本邦金融機関も、結局本格的な参入には至らなかったという経緯がある。』
まあそれもあるんですが、本邦の場合はインターバンクのネット資金過不足が大きく振れる(銀行券と財政の振れがでかい)ために短期市場における資金供給吸収のオペレーションが多様に存在する為に、金利リスクのヘッジというか資金ポジションのカバーにオペが「使える」状態であることが寄与してるんジャマイカと。
こちらのレポートによれば、何でも量的緩和解除が視野に入ってからは取引が拡大しているようですけど、そもそもコール市場を安定推移させるという方向(だからこそロンバートが0.4%ですし)で現状の運営が行われているのでして、コール市場の日々の振れが小さい安定した市場状況であればニーズがそんなに広がるのかなあって疑問が。と言うか、今後の課題としてお話があるのですが、そんなにOIS取引とやらが活発に動くような短期市場になって欲しいのかいなって気も(苦笑)。
まあそれは良いのですが、このレポートを拝読しておりまして、思わず「またか!」と突っ込みを入れてしまったのは4ページ目のこの部分。
『前述のように、OISなどの翌日物レートを取引対象とするデリバティブ商品は、翌日物レートについての予想を直接取引対象としているため、政策金利に対する市場見通しを観察するのに適している。』
この一節(というかその前の小見出しからですが)見た瞬間に「キター!」でございます(^^)。
『こうした点に着目し、欧米では、中央銀行やアナリストなどにより、これらのデリバティブ商品のレートが織り込む平均的な金利変更確率が推計され、モニタリング情報として重視されている。』
キターキターキター!ですけれども、ど〜してそうデリバティブ取引をモニタリングに使おうとするのかなあって思うんですけど。本邦の場合ですと、最終投資家といわれる人たちはその居場所によって少しずつ違いますけど、色々と運用に関する制約条件があって、そうホイホイとデリバティブ取引使えないし、ヘッジ目的での利用に関してもやってやれない事は無いですけど色々とややこしいのよこれが。
まあ海外の事情はよー知らんのですが、少なくとも本邦の場合は、ユーロ円金利先物取引に関してもTB/FBや資金取引をやっている人がヘッジとして認識しながら取引をするというケースはまず見受けられない(ヘッジと言って売買している人は本気で言ってるならそのうち退場確実、両方スペックの言い訳としてヘッジという呪文を持ち出しているだけです)状態でして、保有する短期国債やら資金ポジションの金利リスクを動かしたかったら日銀のオペを使えばよろし(まあそもそもそれすらしないで単純にポジションの上げ下げで対応するんでしょうが)というお話でございます。金先ですらその状態でOISが「現実に」資金ポジション(投資家も含めて)を持っている人たちの参加進むんかいなって感じですけど。
で、まあ確かに幾つもの限月がある先物(またはOTCフォワード)が流動性あって価格形成をしているって状態で、その市場から金融政策の先行きに関するモニタリングが出来るってのは実にこう美しい姿なんですが、そういうことはあまりねえって一々水をぶっかけて回るあたくしは無粋ですかそうですか。
暫く前(5月)に「金先市場のイールドカーブが市場での金融政策の先行きに関する見方をモニタリングするのに適しています」って趣旨のレポートが出てて、マーケットの一部で「な、なんだってー!(AA略)」と話題をさらっておりましたが、いやまあモニタリングするなら発行が山のようにあるFBの利回りでも見てればいいんジャマイカというあたくしはキャッシュ重視のローテクアナクロ人間ですかそうですか。
しかしまあモニタリング情報云々のところを見てたら「あんたも好きねえ」って苦笑を禁じ得ませんでした。いやはや。
2006/08/21
お題「ますます雑談です」
大したネタは無いです。正直スマンカッタ。
○信用リスク内部格付けのお勉強
と申しましても、あたくしがお勉強している訳ではなく、例によって日本銀行様が主宰して勉強をしているようでして、こんなものが金曜に公表されていました。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/fsc0608d.pdf
お題は『内部格付制度に基づく信用リスク管理の更なる高度化に関する議論(2)──「信用リスク管理高度化勉強会」における議論の要約』というものでして、本文は11ページに及びます。
・・・・与信先のリスク管理という話になると個別案件レベルのお話しか知らないあたくしとしては、結局この貸出先は信用できるのかってのを地べた這いずり回ってウォッチしていくもんですなあというレベルしか知らないというお恥ずかしい次第でございますので、正直この要約を読んでもお経にしか読めませんですわな。日本振興銀行で中小零細企業への信用貸しを推進している(という振れ込みになっている)木村剛先生が融資個別案件でクレジットスコアリングモデル利用なんぞケシカランという「お前が言うな」話を暫く前にしていたなどというネタを申し上げましたが、信用リスク管理に関してもそういう話にならん事を希望いたしたいところです。
で、まあお経に関してはあたくしさっぱり判らないのですが、お題を拝見いたしますと、バーゼルU採用に向けて、内部格付制度に基づく信用リスク管理を行いましょうという趣旨で日銀が音頭とっておっぱじめたものなんですよね。で、最後のページを見るとメガバンク3グループのお方が勢揃い。
・・・とまあそういう状況を拝見すると非常にいやーな悪寒がしてくるのですが、これって内部格付制度がメガバンクで皆揃って同じモデルを使うとかいうような方向になって来るんジャマイカなんて思ってくるわけですよね。で、ある特定の制度が出来ると、必ず規制を回避する形で変なもの(必ずしも変かというとそうでもないですが)が出てくるわけで、(中小企業貸出目標が出たときにSPCが中小企業のカテゴリーに入るのを利用してSPC向けの貸出を増やした銀行がいたというお話はよく聞きましたが)こういうのを日本の貸出市場におけるシェアを全部足した時にエライコッチャになる筈のメガバンク3グループ全部で同じような管理をはじめるのは如何なものかと思いますけど。
いやまあこれはただの勉強会で実際は違う云々って話なのかもしれませんので、杞憂だと結構なのですが、ど〜せ内部格付制度を導入した場合にその制度の妥当性について審査をする訳ですから、1行が突出して違うもの出す訳にもいかないんじゃネーノというのが直感的に浮かんできますんで。
ま、こういうことにエネルギーを注ぐのが悪いとは言いませんが、銀行に関わる事件の報道やら又聞きでの話やらから思いまするのは、現場の与信管理、与信判断能力を引き上げる方が重要なんじゃネーノって思うんですけど、方向として現場の権限が縮小されて基幹店舗や本部に権限が集中する形になっているようですので、地べた這いずり回ってたもと金貸しの手先としてはどうもねえと思うアナクロなあたくしなのでした。
○デジタル的な反応になるのはなんでなんでしょ
このシリーズはこれからも続く訳で、本日はまあ叩き台みたいなもんです。
最近年寄りの友とマーケットの話をしていると話題になるのは「何か市場の織り込み方がデジタル的じゃないの、特に短期」ってネタでして、まあここのところそのネタを振ってるのがあたくしではあるのですが、中々年寄りには食いつきの良い話(^^)。
何がデジタルかと申しますと、例えば今年の頭の状況を思い出して頂くと宜しいのですが、1月中は3か月ものFBは延々と0.01%以下での推移。予想屋として考えた場合に量的緩和解除が市場コンセンサスが4月、でも一部参加者はもしかしたら3月にあるかも知れないってリスクを話していたのにも関わらず、延々とその状況が続いて「???」でございました。
そしたら2月の決定会合後に3月解除地均しがおっぱじまって今度は物凄い勢いで金利が上昇。FBはまあ0.09%くらいまででしたが、CPの金利が2月末ごろは0.15%以上になったりしてましたわな。まあいずれにせよ量的緩和解除しても金利の引上げは行われないのは確実な情勢で、かつ30兆円の当預残高を引いていく間は足元そんなに上らない筈だしロンバードの上限制約があるというのにそこまでやるんかいなという状況。
で、実際に解除になったらさっくり金利が低下して、4月になったら今度はFB2か月ものが100円まで買われる場面があった訳ですけど(笑)。
えーっと要するに何を申したいかと言いますと、日銀が地均しをおっぱじめると急に反応を始めて、政策実施後の状況以上に織り込みに逝き、実際にアクションがあると材料出尽くしで戻るのは良いのですが、そのうち楽観して戻りすぎるという動きがどうも今年に入ってから循環してるんじゃないかって情況ですな。
何でこうなっているのかという話をつらつらとしてる訳ですが、先日馬鹿話をしているうちに出てきたのは「旧法時代はそもそも金融政策変更の地均しなんて無かったし、いつマル公が変更になるか判らなかったし」ってお題でした。日々のオペレーションにシグナルがあったりはしてましたが、まあ金融政策変更のタイミングが現在のように事前公表された日程(いやまあ今でも臨時会合の実施はできますけど)で確定しているって話ではなかったから、その分市場が色々と頭を捻って考えたり、シグナルを読み取ったりという職人芸的な世界でもあったと存じます(まあその職人芸が毛唐の皆様におかれましてはワケワカラン事から「透明性に欠けるのは如何なものか」と評判が悪かったんですが、どうせ今でもメドレーレポートのようなヨタ文書で売買してるんだから同じじゃネーノなどと言ってはいけません)。
で、透明性を向上したというか、地均し全開攻撃に慣れてしまったせいなのか、単に金利がゼロ近傍でろくすっぽ動かない時代が続いて人材が離散して過去のノウハウの継承が行われていなかったせいなのかは判りません(多分合わせ技なんでしょ)が、見てて口をあんぐりするような地均し待ちモードになっている短期の市場を見てると、透明性ってのも何かやり過ぎるのはどうなのかなあって思うのでした。
○ところで超雑談なのですが
日銀のウェブサイトにちょっと注文。そういえばだいぶ前にPDFで文書公表されると紙が勿体無い(HTMLよりもページあたりの文字数が少ないから)と悪態をつきましたら、読者様から「PDFを印刷する時には印刷メニューに1枚に複数ページを印刷する事ができますよ」と教えていただきまして重宝しておりますm(__)mがそれは兎も角。
たまたま『オペレーション(毎営業日更新)』のページに物申そうと思って手元のPCで場所を探そうと思ったのですが、慣れてないせいもあるんですが、探すのが非常に面倒でした。で、一つ利用者として提案なんですが、日々公表のデータ(コールレートとかオペレーションとか当座預金増減要因とか)へのリンクページを作っていただくと、そこをブックマークすればページに飛ぶ→前のページに戻るで各種データを参照できるので便利なんですけど如何でしょうか。
で、別の話ですが、その『オペレーション(毎営業日更新)』のページなんですが(http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_o.htm)、ここの落札結果発表のうち、落札結果の足切りレートの刻みが前のままになっているのって直らないんでしょうか?まあそれをすると平均落札レートも桁揃えるって話になるのでしたら仕方ないのですが、オペ応札刻みが0.01%の資金オペの足切りレートの表示が相変わらず「0.250%」と応札が物理的に出来ない桁まであるのも何か妙な気がするんですが。
などということはメールで日銀に送りなさいって言われそうですが(笑)。
2006/08/18
お題「金融政策決定会合議事要旨続き」
昨日の続きから。
○利上げの理屈
『当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』の最初の部分が利上げの理屈です。まあ政策委員の講演や記者会見などでも触れられていますが、改めて読んでみるのも宜しいかと。
まず全員が一致していることは何かと申しますと・・・
『委員は、経済・物価情勢が4月の展望レポートで示したシナリオに沿って着実に改善する中、金融政策面からの刺激効果は次第に強まってきており、今後ともゼロ金利を継続すれば、結果的に、将来、経済・物価が大きく変動する可能性があるとの認識を共有した。』
『こうしたもとで、委員は、今後とも経済・物価が望ましい姿で推移していくためには、ここで政策金利の調整を行うことが適当であり、このことは、長い目でみて物価の安定と持続的な成長につながっていくとの考え方で一致した。』
ということでして、これが利上げをする理屈でございます。
後のほうで市場が利上げ織り込んでるって話が出てきますが、実際問題としては7月時点で短期市場金利は利上げ織り込みモードでして、3か月FB利回りなんぞは12日の入札では0.4%になっていた(ちなみに昨日は0.36%です)訳でして、この時点で実質的にゼロ金利解除状態の金利形成になっていた(まあその原因が7月解除の見方なんでニワトリと卵みたいな話ですけど)のですけどね。
まあそんな言いがかりは兎も角(笑)、金融政策面からの刺激効果を金利ルートからと考えますと、実際問題として企業の資金コストはねてくる金利はオーバーナイト金利じゃなくてターム物金利であって、CP発行利回りやらTIBORレートということになる筈ですが、ご案内のように利上げの後で連続利上げを否定して、ついでに株価や経済指標(のうち生産以外)が少々怪しい動きをした事も影響してるんでしょうが、ターム物の金利は低下しておりますわな。
となりますと、このゼロ金利継続の景気刺激効果強すぎリスクというロジックで考えた場合は、利上げしたあとに打ち止め感出してターム物金利を下げてしまうと何の事はないリスク回避になってませんがって話になるように思えるのですけど。(とはいえ、銀行貸出金利は別に全部が全部市場金利連動だけじゃないので、政策金利をいじってくれないと貸出金利を引き上げる言い訳がしにくいので政策金利引上げしてくれないと、なんちゅうのも言えそうでして、まあこの辺りの話は突っ込みだすとワケワカメ^^)
先日水野審議委員が講演で短期市場金利について金利の先高感が自然に発生して緩やかにイールドカーブが立つのが望ましいのではないかという考察をしていましたが、まあ景気過熱リスクへの対応って意味なら確かにそりゃそうですわな(市場金利の形成状況に意見するのは政策委員として如何なものかとは思いますが)。
複数の委員が指摘しているお話。
『また、別の複数の委員は、経済が正常に戻りつつある過程で、異例のゼロ金利を続ける必要性は乏しく、金利体系が自然なものになっていくことは、中長期的な観点からみて物価安定のもとでの持続的な成長を支援すると指摘した。』
また出たな「異例のゼロ金利」。
『この間、何人かの委員は、市場では7月のゼロ金利解除を織り込んでおり、本会合で0
.2 5 % の利上げを決定したとしても、市場が動揺する可能性は低いと付け加えた。』
つーか地均しをしてたのは君らですがな。
ひとりの委員が指摘しているお話。
『一人の委員は、実質成長率のトレンドと実質コールレートとの差をみると足もと緩和度合いは徐々に強まっていると指摘した。ある委員は、現在、投資の行き過ぎが生じているわけではないが、長い目でみると、部門間で偏った投資が行われるリスクについてはよくみていく必要があると述べた。』
『ある委員は、今回金利水準の調整を行うことは、足もとの過熱を抑え込むといったことではなくて、むしろ長い目でみて経済・物価の振幅を小さくすることにより、日本経済の成長を支えるための措置と位置付けられると述べた。』
この最後の理屈も何というか判ったようで判らんお話ですよね。中立金利に向けて予防的に金利調整を行っているようにしか思えんのですが、そういう訳では無いと。まああまり何でもクリアカットにしちゃうのも金融政策としてどうなのよ(グリーンスパン議長の運営なんぞまさに「グリーンスパン様が按配良くやって置きますから皆さんご安心を」っていう感じでしたしねえ)というのも有りますから、全部が全部クリアに説明できないのかもしれませんが。
○補完貸付金利に関して
本石町日記さんの所で野田審議委員が0.5%主張ネタのエントリーがございましたのでそちらもご参考になると宜しいかと。
『0 .5 % の適用金利を支持する委員は、現在コールレートとのスプレッドが狭過ぎる結果、最近では補完貸付が大量に利用されているが、補完貸付の適用金利をある程度高めに設定した方が市場における裁定取引を活発化させ、むしろ短期金融市場の機能の回復を促進する効果が期待できる、と指摘した。』
実際問題として短期金融市場の機能回復がどうのこうのって話になりますと、色々と申し上げたいことはございまして、正直言って短期市場の参加者層が増えるために金利がどうこうって話になるなら0.25%如きでそんなに顕著に変りゃあせんでしょう。まあ某経済新聞なんぞは「金利上昇でタンス預金が動き出す」とか煽りネタを時々だしてますけど、そもそもタンス預金するような性質の資金にそんな細かい金利感応性はないと思うんですけど(タンス預金が投信を買うなどという話に至っては「何の理由でタンス預金になってるのかもうちょっと考えて見ましょう」と小一時間ですな)。
時々申し上げているように、例えばGCレポ取引の資金放出者を増やそうとすると色々な制度やら体制上のネックがある訳でして、それらのネックを取り外そうってインセンティブが涌く為の金利って話になったら0.25%ではとてもとてもと思うのですが(無担保コールのようにまあ制度や事務面は対応できてるものなら資金運用者はそれなりに増えるでしょうが)。
『このうち一人の委員は、市場に安心感を与える観点からは、補完貸付の適用金利の引上げ幅を小幅に止めることではなく、今後の金融政策運営に関する情報発信を適切に行うことで対応すべきであると付け加えた。』
これは残念ながらちょっと違うと思う。確かに利上げ直前の時に申し上げた気がしますが、利上げ前は補完貸付金利くらいまでGCレポ金利の水準が上るなどと吹聴していた(あたくしは「んなアフォなことはねえ」って申してましたが)関係者も多うございまして、実際問題としては0.4でも0.5でも同じなんですけど、やはり短期市場が利上げ後あっさり落ち着くのに一定の効果があったと評価したいですな。
さて、0.4%の意見はというと。
『一方、多くの委員は、スプレッドの拡大は、長い目でみれば市場機能の観点から必要であるとしつつ、量的緩和政策の解除以降、市場機能は徐々に回復してきているものの、なお道半ばであり、現時点では、コールレートの安定的なコントロールに最大限配慮することが適当であるとして、0.4%を支持した。』
まあそれは良いのですが、政策金利引上げと関係なく補完貸付金利だけ引き上げるという事を記者会見でいきなり否定してしまったのはどうだったんでしょうかねえと思いました。
以前どこぞのストラテジスト様だかが「市場追随でロンバート引上げ」論を出した時にもうアホか馬鹿かとという勢いで文句つけましたが、あれは「市場追随で上げる」というのがおかしいでしょって話でして、別に市場追随でも何でも無いタイミングでロンバートのスプレッドを拡大させるのはアリエールな選択肢ではないかと。
でね、そもそも0.4%にした理由が上記にあるように「コールレートの安定的なコントロールに最大限配慮」であれば、現在のように足元金利も落ち着き、GCレポレートもまあ概ね0.3%少々のあたりで推移(時々上ったり下がったりしますが)して安定しているという状態になった今はロンバートをさらっと引き上げても良いと思うんですけどね。ただまあ「利上げ地均し」とか報道されそうなので難しいのかもしれないですけど。
ということで、以前も申し上げましたが、ロンバート金利だけ動かすという選択肢をいきなり全否定してしまったこの時の総裁記者会見はどうだったのかなあとは思います。ま、あの時にロンバート金利だけ動かすこともあるとか言ったら変な思惑を招いた可能性もあるのでその辺の匙加減は非常にムツカシイところではありますが。
#まあそんなところで。
2006/08/17
お題「金融政策決定会合議事要旨(7月13、14日)」
何かモーサテが出席者全員物凄い勢いで株式市場に大楽観モードになってるんですけど。何じゃらほい。
昨日はFB入札のセカンダリーが何かぱっとしませんなあというようなお話や、また先物主導で上ってるけど株高をあまり馬鹿にしない方が良いのではとか、まー雑感はありますけど、当然の如く本日は決定会合議事要旨。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g060714.pdf
表紙+本文で16ページなんですが、実質の討議に関する部分は9ページとなっております。で、委員会の検討の概要に関する部分を読んでも割とあっさり味の印象。
○金融経済情勢に関する委員会の検討の概要
まあ大体はここもとの日銀政策委員からの講演やら会見、金融経済月報で示されているお話から大差ないのですが。
・個人消費
最近どうもここの指標がパッと致しませんが、ここに関しては一部の委員から色々と指摘が出ておりました。
『何人かの委員は、サービス関連消費は増加を続けている一方で、小売関連指標やマインド指標には弱めの動きもみられるとした上で、こうした動きには天候不順といった一時的要因も影響しているとみられるが、消費者マインドの動向には注意していく必要があると述べた。』
『このうち一人の委員は、足もとの消費動向には株安も影響しているとみられると付け加えた。』
『この間、ある委員は、景気回復が所得層によって異なる影響を与えている可能性があり、その場合、好調な企業業績から個人消費への波及効果が想定比弱いかもしれないと指摘した。』
最後の指摘に関してはいわゆる「ダム論」に対してそれはどうなのよという指摘でして、なるほどと思いましたですよ。
・金融経済月報の表現変更に関して
『経済の活動水準について、委員は、需給ギャップの推計値が供給超過状態から需要超過状態に入ってきているとみられるほか、6月短観でも企業の雇用人員や設備に関する不足感がさらに強まっていく見通しにあることを踏まえると、景気の現状評価に関する表現については、「着実に回復を続けている」から「緩やかに拡大している」に変更することが適当であるとの見方を共有した。』
まあここまでは月報の中にも書いてありましたわな。
『委員は、今回の景気の現状評価に関する表現の変更は、経済の活動水準の変化に応じたものであり、景気の足取りの強さに関する判断を上方修正したものではないとの認識もあわせて確認した。』
ここのところが何ともまあという感じですが、景気拡大が加速しているという意味ではない→政策金利変更後の早期追加利上げ観測を抑えるっていう意図なんでしょうなあと存じます。「活動水準の変化」ちゅうのは「需給ギャップが解消されました」って話に対応する訳ですから、それは景気判断的に言えば判断上方修正以外の何物でも無いと思うんですけど。
ということでして、わざわざそういう話になっているという事は、折角の大願成就ゼロ金利解除後に追加利上げ観測が早々に出て関係各所からいちゃもんがつく事に対して相当神経を使ってたんでしょうなあというお話になるのかと存じます。
○順序変りますが財務省からの注文
昨日はこの議事要旨公開にあたって「財務省からの発言」部分が結構話題になってましたし、今朝のモーサテでもそこのところが強調されていました。
『また、市場の安定の確保も重要である。具体的には、市場は憶測で動いて不安定になることもあるので、金融政策の先行きの考え方や道筋について、丁寧に説明して頂く必要があり、特に、今後の利上げが連続的なものとなるわけではないというメッセージをきちんと発信して頂きたいと考えている。』
ここの部分がモーサテでも報道されてまして、番組様の講釈によるとこの財務省の発言を受けて福井総裁が連続利上げを否定したような言い方になってましたが、先ほどご紹介した部分にあるように、政策委員会としてはそもそも早期の追加利上げ観測が出てこないように注意していた節が見受けられますし、政策委員の皆さんの発言なども概ねそんな感じで動いてますわな。ということで、財務省からの発言としてその次に出てくるものはこうなったのですな。
『本日の議論および先程の議案に照らせば、これらの点について、日本銀行にも認識を共有して頂けるものと考えるので、ゼロ金利解除のタイミングについては、内外の経済状況および市場の動向を慎重に見極めて頂いた上で、日本銀行の判断に委ねたいと思う。』
まあそういう事ですので、「財務省が追加利上げを牽制した結果、連続利上げを否定する総裁発言に繋がった」というような解釈は少々ピントがずれているのではないかと思うのですがどうでしょう?
#ただまあ「連続的な利上げ」の「連続的」とは何ぞやという点に関して財務省と日銀は同床異夢の香りが致しますが(苦笑)。
ちなみに、長期国債買入に関しても財務省から発言がありまして・・・
『加えて、長期金利を含めた金利全般に目配りして頂き、長期国債の買入れ額については、現状を維持することが必要であると考えている。』
残念ながら日銀の理屈は中長期国債買入は長期金利コントロールではございません(大体からして今や2年切った債券の絶好の投げ場と化してますし)ので、「はあはあそうですか」で終了されるかと存じます。
まあ調節のテクニカルな話だから要望するのはちと無理がありますが、短国買入が減ると短期国債の需給が良くないままで推移しやすいので、ターム物金利が下がりにくくなるわ、FBの消化が重くなるわという話がある訳で、中長期国債買入は今のところ減らす理由も見当たらないですから、短期国債買入の維持を要望した方が良かったんジャマイカ?って半分くらいギャグネタではございますが。
○当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要
どうも最近寝坊が多くて誠に遺憾なあたくしなのですが、実は今朝も目覚まし警戒網を突破して最後の網に掛かったもんで(苦笑)、肝心のここに来た時点で時間切れ。続きは明日ですすいませんすいません。
今後の金融政策運営についてって所を引用しておきます。
『その上で、何人かの委員は、日本銀行が利上げを急いでいるという印象を与えないようにすることが大切であると述べた。』
『このうち一人の委員は、米国のような連続的な利上げが行われると受け止められることのないようにする必要があると述べた。』
米国のような連続的な利上げとは決定会合の度に利上げをするというお話ですわな。そりゃ展望レポートなどの趣旨に反するから元々あると誰も思って無い筈でして、この「米国のような」ってのは一種トリックの入った表現ですわな。勝手に想像するに財務省さまにおかれましては連続利上げというのを4半期ベースでの利上げとか、利上げの次のアクションは利上げですがってのを強調するとか、まあそういうようなことをイメージして「そんな事するんじゃねえゴルァ!」と考えてるかと存じますんで、その妄想が正しければやっぱ同床異夢ですわなあと思う次第でして。
『ある委員は、この機会に、今後の金利水準の調整は徐々に行うことをさらに明確に説明することは重要であると指摘した。ただ、同時にそれは「経済・物価情勢が展望レポートの見通しに沿って展開していくと見込まれるのであれば」という条件付きであることも説明する必要があると付け加えた。』
これが景気の上ブレか下ブレかどっちを意識してるのかイマイチ判らん。
『また、複数の委員は、今後の政策運営に関する情報発信については、過度に先行きの政策運営を縛ることにならないように、あくまで展望レポートで示した考え方を基本とすべきであると述べた。』
というのを読むと、どうも「連続的利上げなし」が年内利上げなしと決め打ちする訳には行きませんなあって話になるんでしょうな。ただまあ結局は経済情勢次第だと思うんですけどね。
2006/08/16
お題「なかなか休ませてくれませんなあ」
まあ取っ掛かりのネタはあんまりないんですけどね。
○訳が判らんブルフラット
昨日の債券市場ですが、大した材料があったとは到底思えないのですが、朝っぱらから超長期ゾーンが引っ張る形でブルフラットしていました。いつもなら後付けであっても適当な理屈が出るもんなんですが、昨日の場合はそれよりも「お家の事情で買いでも入りましたか」っちゅうようなもうとにかく買いますよっていう雰囲気の買いだったようで。
まあこんなタイミングで必死こいて買わなければいけないお家の事情が有る人がいるともあまり思えない(何か新規資金配分でもあったのかもしれませんが)んですが、まあそんな感じでの買いとは面妖な。
勝手に想像しますと、まあお盆休みだ何だと言ってますが、板が薄いという認識がある中でもスペックやる人は元気にやってる訳でして、板が薄いのを逆に考えればで相場を振り回しやすいということでもございますので、超長期などへの買いが来る(あるいは来た)ということに対して提灯をつけてここぞとばかりに上を突っかけてみたというのもあるのかなあ何て思っております。
で、米国PPIを受けて米債大いに買われたようですので、債券は流れから言ってそっちに反応するんでしょうかねえ。何か平均株価16000円くらい平気で突っかけそうな気もしますし(米国株式爆発だから)、来週の20年国債入札前に超長期強くなっても困ると思うんだが。
○1年TBもまあ確り
中長期国債の入札は今週無しでございますが、TBFBの入札はしっかりございまして、昨日は1年TB、今日は3か月FBの入札でございます。
で、昨日の1年TB入札ですが、前日のWIの引けが0.6%などというのは元々がインチキくさい数字でして、前回債が0.54%あたりでございますので、落札レベルの0.585%というのはまあ妥当な線だったかと思います。引けは0.58%ですかそうですか。
昨日話題になってたのは、誰が落札したのか判らんというのが結構あったことでして、まあ大手銀行さんの買いでもございましたんでしょうかなどと言われていたようで。預金超過な人たちとしては適宜キャッシュを運用しなきゃいけませんからこの辺りに買いが来るのも判らんではないのですが、持ち切り前提での短期マーケット的発想で行くと、政策金利引上げ1回で足元金利対比ほぼチャラになってしまう利回りで1年物を持ちきるというのはどうもリスクリターンの間尺に合わないと直感的には思うのですが。
まあアレですな、6か月TBが相変わらず0.42%だの0.415%だのという年内の政策金利変更を無前提とした価格形成になっているのですから1年TBが0.58%でも問題ないぜってところなんでしょうけれども、長めの短期国債に関してはどうも楽観入ってますなあという感じです。恐らくキャリートレード(というか単なる足元調達長期運用のショートファンディングですが)が入ったりもしてるんでしょうかね。持ち切り前提な人が基本的に入っている(ディーラーも持ってますが、現先でファンディングするのが基本的な前提だと思われます)CPでは3か月もので0.4%台半ば近辺での価格形成になってますんで、こっちの方が実際の政策金利に関する見方を反映しているのではないかと思います(気のせいかもしれないですが)けど。
○久々に読書室
・「日銀はだれのものか(中原伸之、聞き手・構成藤井良弘、中央公論新社)」
だいぶ前に買って、一回ざっと読んだあとちょこちょこ読んでいるのですけれども、まあ面白いのは面白いですし、政策委員会の改革をすべし(正直あたくしも、野田忠男氏が審議委員になった理由が失礼ながら1ミリも理解できないのですけど)という話や、2000年のゼロ金利解除の責任を誰も取らなかったのはどういう事だというような最後の纏め部分の提言は全く仰るとおり。量的緩和の「副作用」こそ効果というようなお話もまた然りでございます。
ただまあ読んでると昔のことを少々思い出したのですが、中原審議委員の主張がどうも長期金利ターゲットみたいな受け止められ方をしてたのかなあ(それはムリムリやったら結局財政マネタイズになってもうちょっと長い目で見ると長期金利が将来制御不能になるという不安をかきたてるわけで、いやまあ経済学的にはそうじゃないのかも知れないけど)と思い、だから債券市場的にはウケがあんまり良くなかったんですなあという感じで。
あと、自分の主張が中々理解されなかった話に関しては、まあお気持ちは判らんでもないですけど、自分の自慢話と批判者をくさす話がちと鼻についてしまいますな。人間は何だかんだ言っても感情の動物でもありまして、まあエエトコの坊ちゃん育ちだからその辺への理解がやや不足しておられるのかも知れませんが、本書に書かれているような手法で話を進めても反対者の理解を得るのは難しく、よって肝心の政策も実行できないんジャマイカと思っちゃうんですけどね。企業の雇われサラリーマン生活の長いあたくしとしては。
福井総裁になってから中長期国債買入オペの増額を止めたことに関して言及がなかったのが残念でして、その点については中原さんの意見を聞きたいところではございます。
まあ皆さん褒める書評しか見当たらないのでちょっと辛口にしてみましたが、マジで面白いので今からでもお勧め。だけど1800円はでもちょっとなあ。1200円くらいにならないの、折角の本なんだから。
ISBN4-12-003728-2 C0033 \1800
2006/08/15
お題「総裁記者会見(8月11日)」
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0608b.pdf
まあ確かに珍しく落ち着いた会見で、中の人が武藤副総裁に入れ替わったんじゃないか(残念ながらそこまでは落ち着いて無いと思うけど^^)というような会見要旨ですな。質疑応答で出てくる順にいくつか。
○市場との対話という論点から
ゼロ金利解除後の金融市場に関しての質問に対する回答の一部から。
『これ(引用者注:解除後の市場動向です)は、イールド・カーブがあまり変化していないという言い方でも良いかと思いますが、先行きの政策運営のあり方について、展望レポート等による情報発信を通じて、日本銀行の考え方が市場参加者に徐々にではあるが確実に浸透してきていることの証左ではないかと思っています。本年3月に導入した「新たな金融政策運営の枠組み」が、市場とのコミュニケーションにおいて徐々に有効に機能し始めていると私どもは受け止めています。』
ここであたくしが何を言い出すかは既に皆様お判りのことと存じますが(笑)、要するに訳の判らん地均しだかマッチポンプだかと言った行為を政策委員の皆様が仰らなければ、市場の方は経済指標や株価動向や海外市場動向なんかを見ながらそれなりに反応する訳でございまして、まあこの調子で大人しくしてなさいということですわな。
で、まあ年内利上げ云々に関してですが、昨日ご紹介した部分の続きが別の質問の中でございまして・・・・
『私が記者会見でいわゆる連続利上げは想定していないと申し上げた結果として、年内はない、年内はもうルールアウトしていいという受け止め方が一部にあるという話を耳にして、それだと寧ろ私どもが年内はないという予断を持って対処しているような感じに受け止められかねない、というところを心配した発言ではないかと思います。私自身そうですし、おそらく他の委員方もそういう気持ちで話されたのではないかと思っています。』
まあそういう事ですな。本石町日記さんの受け売りになりますけど、政策委員の皆様におかれましては、経済情勢の現状認識と先行き見通しについて持論を展開してくれれば良い訳でして、どこぞの委員のように具体的な金利水準に言及するのは如何なものかというか逝って良し。という訳で水野審議委員の講演に関する質問への福井総裁のお答え。
『今の長期金利の水準そのものが将来に向かって妥当かどうかという点は、なかなかコメントしにくいことです。(途中割愛)様々な周辺事情も合わせながら、市場がこれから織り込んでいく金利水準、そのような動態的な金利の形成のされ方そのものが意味を持ってくるのであり、何か事前に固定的にstatic
に(静態的に)一定の金利水準を想定して、これが望ましいというかたちではものを考えない方が、政策運営上は良いと思っています。』
○でも地均しは成功経験と認識されている悪寒も
と、ここまでは珍しくあたくしが悪態をついておりませんが、さて実は今引用した水野審議委員講演に関する質問の部分ですが、最初のところを読んでいると、どうもゼロ金利解除に関しての地均しが成功体験扱いになっている悪寒が。
『ほど申し上げました意味は、ゼロ金利からの脱却という点について、7月前後の状況を思い返しますと、比較的スムーズに市場とのコミュニケーションが進んで、市場においても事前に相当織り込みが進んだという感じがあったと思います。短期金融市場もその後安定していると申し上げましたが、様々な準備が事前に進んでいたと思いますし、より期間の長い金利の形成のされ方が、長期金利も含めたイールド・カーブそのものが、日本銀行の金利引き上げ措置を受けて、その後慌てて様々な調整を市場の中で模索しなければ形成できないというような状況ではありませんでした。市場が、比較的余裕を持って世界経済、日本経済の先行きを考えながら、イールド・カーブを安定的に形成する条件が事前に相当整っていたということを申し上げたつもりです。』
このくだりを読んでおりますと、「次に利上げする時も事前にアナウンスして織り込ませにいきますよ」と言っているように見えてしまうのはあたくしの気のせいでしょうか?
となりますと、全く邪道も良い所なんですが、べき論を離れて予想屋となって次回利上げがいつよって事を考え出すと、短観が強い内容で出てから金融経済月報、展望レポートと地均しを開始して、11月に利上げというのが物凄くありそうな話。
または10月の線で考えると、9月の金融経済月報から地均しを開始して短観が思惑通り強くて千秋万歳という流れもあると思いますし、10月に実施すると量的緩和解除から3か月毎に政策変更という如何にもというリズムになりますので、こっちの線も残っているかと。(逆に考えると、変にリズムを作らない方が妙な期待を醸成しなくて良いとも言えますけど)
○マネーサプライに関して
『このところマネーサプライの伸び率が目立って低下しているという点です。ご承知のとおりその一方で、民間銀行貸出の伸び率は着実に高まってきています。(中間割愛)こうした銀行貸出が伸びているのに何故マネーサプライの伸び率が低下するのか、一見パラドックスのようにみえますが、これは過去の量的緩和政策のもとで起こっていた金融としてはやや異常な姿の巻き戻しのようなところがあります。』
で、またまた中間の説明部分は省略しますが、6ページ目のところに該当する話がございますです。
『現実には過去に膨れ上がった銀行預金から銀行預金以外の金融資産へのシフトが急速に進んでいることによって、貸出の増加が打ち消され、かつ余りある力でマネーサプライの伸び率が低下しています。これは、金融正常化への過程の一つの経過的な現象とみて頂いていいと思います。従いまして、当面は、マネーサプライの伸び率が高まるとは予想しにくいと思います。伸び率自体が低迷する時期がもう少し続くと思いますが、その背後にある要因は今申し上げましたことであるので、このような低いマネーサプライの伸び率といった状況は、緩やかな物価上昇や経済の持続的成長といった経済の姿と矛盾するものでなく、十分両立するものと考えています。』
だそうです。はあはあそうなんですか。
○ところでファンド拠出問題なんですが・・・・・
ここの質疑応答に関しては何だかなあ感が。
『(問)先月の記者会見の質疑応答でもありましたが、総裁は村上ファンドに対して6月末での解約を申し出ていたかと思いますが、その結果はどのようになっているのでしょうか。』
『(答) 具体的にいつどの程度の金額が戻されるのかについて、まだ連絡を受けておりません。従って、今はまだ何もわからない状況です。』
2月に申し出して、6月末付けの解約をしたのに8月になっても金額が判らんってどういう管理状況になっているんだ村上ファンド。
それに物凄く疑問に思うんですが、確か村上代表が逮捕された時にファンドは「現在ファンドの現金部分が沢山あるから解約が来ても心配ないぜ」というような趣旨の発表をしてたと存じますけど、福井総裁の解約処理にこんなに時間がかかるのに「現金部分云々」の話は別に関係ねえじゃんって思うんですよね。
このあたりにも象徴されてるような気がするんですが、村上ファンドに関してはどうもこう皆様から出てくる話を突き合わせて見ると話に整合性が取れない部分が見受けられるように思える次第で、これがまた何とも「胡散臭さ」というものを醸し出す原因の一つとなっているのではないかと思料。
で、何で日銀総裁たる立場の人がそういうもんを継続して取引してたんでしょうなあという話になる訳ですが、まあそれはともかく、ではファンド解約の方はどうなってるのよって質問の続きはこうなってます。
『(問) 問い合わせはされたのでしょうか。』
『(答) 特に問い合わせはしておりません。』
まさか有耶無耶のうちにフェードアウトしようってんじゃあ無いでしょうね。
2006/08/14
お題「ノーサプライズで正直ホッとした決定会合」
とは言え月曜ということで基本的には雑談の線です。
○金融経済月報にも変更無し
金融政策決定会合で何の変更もなくついでに全会一致というのはまあ大方の予想通り。8月分の金融経済月報基本的見解も公表されておりましたが・・・・
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0608.htm(8月)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0607.htm(7月)
内容が見事に変更無しなのですが、それで終了してしまうと今日の書き物が終了してしまうので(おい)、内容に関して一応ご紹介をば。
・現状認識
『わが国の景気は、緩やかに拡大している。』(7月と同じ)
項目別の話に関しては、7月に記述のあった『業況感も良好な水準で推移する中』『この間、マクロ的な需給ギャップは、長く続いた供給超過状態が解消し〜』という部分が外れておりますが、他の部分は同じ記述になっております。公共投資以外は全て上向きベクトルという相変わらず強気なお話。
・先行き見通し
『先行きについても、景気は緩やかな拡大を続けるとみられる。』(7月と同じ)
で、まあ項目別の話がこれまた7月と見事に一言一句変らずの巻。
『すなわち、輸出は、海外経済の拡大を背景に、増加を続けていくとみられる。また、国内民間需要も、高水準の企業収益や雇用者所得の緩やかな増加を背景に、引き続き増加していく可能性が高い。こうした内外需要の増加を反映して、生産も増加基調をたどるとみられる。この間、公共投資は、減少基調を続けると考えられる。』(7月とまるっきり同じ)
えーっとですな、海外経済が引き続き拡大するそうでございますし、企業収益の高水準さから雇用者所得へと経済拡大が流れるといういわゆる「ダム論」的な見通しは、見事なまでに判断持続しております。何か相変わらず強気ですなあと言った所です。
・物価に関して
これまた前月と同じな訳でして、つい全部引用に走るのでした。
『物価の現状をみると、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に、上昇を続けている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラス基調で推移している。』
『物価の先行きについて、国内企業物価は、当面は国際商品市況高の影響などから、上昇を続けるとみられる。消費者物価の前年比も、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』
金融面に関しても同じなのですが、ここは毎度の如く省略。
・・・・そんなわけでして、日銀の景況感は不動の信念の如く強気のままの状態が継続しているということでございますわな。「海外経済の拡大」や「設備投資以外の国内需要(要するに個人消費)の増加」と言った辺りに関してはどうもこう「ええー?」って感が拭えないのでございますけど。。。。。。
○総裁会見はノーサプライズ
本石町日記さんのところでエントリー上ってましたが、今回の総裁会見は言葉を慎重に選んで物凄く落ち着いた内容だったようです。会見要旨に関しては本日アップされると思うのでそちらを確認したいところですな。ちなみに本石町さんのエントリーはこちら→http://hongokucho.exblog.jp/5463969/
11日18時25分配信のブルームバーグニュースを読みますと、まあ今回は実に落ち着いた内容の会見で、総裁お得意の「不規則発言」が出ていないようで誠に結構でございます。何せ記事のお題が『福井日銀総裁:否定できないが示唆する意図もない‐年内利上げ』ってことになっているあたりが「ああ今日は落ち着いた会見やったんだなあ」と思わせるところでございます。毎度毎度なにか余計なネタ(あるいは燃料)を投下して記事のお題が「ありゃま」ってのになるのが福井総裁クオリティでもございましたんで。以下ブルームバーグの記事より総裁の応答部分。
『先行きの金融政策の運営については、今後とも経済・物価情勢を丹念に点検しながら運営していく。その際のポイントは、経済・物価情勢が展望リポートに沿って引き続き展開するかどうかということであり、もしそのように今後とも見込まれるのであれば、政策金利水準の調整については、経済・物価情勢の変化に応じて徐々に行うことになる』
『この場合、かねてから繰り返して申し上げている通り、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が当面維持される可能性が高いと判断しているあまり繰り返しばかりだと恐縮だが、金利水準の調整は、経済・物価情勢をよく見極めながら、ゆっくりと進めていくということだ』
『こうした基本的な考え方の下で、具体的な政策のタイミングや金利水準、つまり政策の中身については、今後の経済・物価情勢次第ということだが、年内の追加利上げの可能性を問われれば、当然、それは否定することはできないし、かと言って、利上げを示唆する意図も全くない。極めてオープンであり、現時点では何らの予断も持っていない』
いやあまあ普段からこういう感じで話をしてりゃあ良い訳で、口を開けば火付けと火消しの繰り返しっていうのは今後とも控えていただくと誠にありがたく存じます。本石町日記さんと同様に一大ネタがなくなるのはアレでございますが、振り回されて血圧上がるのも困るので(笑)。
ただまあ少々気になるのは、記事にもありますが、今後の経済リスク要因として「米国経済」を上げていながらも月報では相変わらず「拡大」の見通しを掲げたままですし、しかも米国経済の減速リスクについて言及しながらも、その中でインフレリスクについて言及しておりまして、景気減速してくれば今度はグローバルインフレ話で金利調整してくるんじゃねえのかと思わせてくれるところでございます。会見要旨が出たところで読んで見たいと思います。
#ま、しかし「総裁会見ノーサプライズ」の予想が当たってホッとしましたよ。
2006/08/11
お題「何も無いと書いたら動くし・・・」
テロ未遂→航空機の燃料需要低下→原油価格下落という展開になるとはこりゃまた予想外(モーサテの後講釈が正解ならばの話ですが)でございます。そう来るか(驚)。
○何かFBが重いんですが
昨日の2か月ものFBの入札ですが、落札平均価格を利回りに直すと0.347%(財務省計算で0.3408%)で最低落札価格を利回りに直すと0.354%(財務省計算で0.3472%)となりました。最低はこんなもんとして、平均落札がちょっと高い印象で、まあ事前の握りが多くて空振りを懸念した分の札が上に入ったという感じでしょうか。
で、落札結果発表直後にあっさりと0.35%がオファーになりまして、まあ普段だと何だかんだと言って平均レベルオファーで値付けという平和な事が多い昨今にしてはちとダメダメな雰囲気。そして、どっちが先なのかは微妙なお話ですが、15日スタートのGCや現先レートが0.35%から上昇して(結局0.38%とかになったようですが)、新発FBも2か月もので0.36%が叩かれて、3か月もの(水曜に入札があって0.365%だった奴)が0.37%叩かれの巻となりました。
何と申しますか、「いやもう無風ですよ無風」などとここ2日ほど申し上げておりましたが、何の事は無い入札後の売れ行きがイマイチな所に準備預金の新しい積み期間突入のダブルパンチでGCレートが久々の0.3%台後半入りと、またぞろ動きが出てしまいました。我ながらクマーとしか言いようがございません、不明を恥じさせていただきたく存じます。
○福井総裁会見が注目されてるんですかそうですか
さてまあ朝のBGMはモーサテ(ただし6時半以降は東京MXのブルームバーグニュースですが)なのですが、為替の見通しの話を聞き流していたら今日の福井総裁会見が注目材料になっていると言われて(゜ロ゜)ポカーン。
折角注目するのであれば金融経済月報を注目した方がイイ!と思うんですけど、本日の記者会見は基本的に突拍子も無い話は出てこないと見るのが順当な読みなのではないかと存じます。
「年内利上げやるかも知れんよ」のメッセージは須田審議委員、福井総裁、水野審議委員のトリオ・ザ・ホークス(勝手に命名)が既に市場に発信しました(実際問題として、別にトリオ・ザ・ホークスじゃなくても、「年内利上げ無し」の決め打ちは景気下振れに相当確信持って無い限り無茶だと思いますよん)ので、これ以上の強硬なメッセージを出す必要も無し。まあ9月に利上げする気ならまたまた例によって地均ししてくるんでしょうけれども、さすがに利上げの影響の見極めも終わらん内に追加利上げはせんでしょうから今回は別に何もないでしょ。
基本的には今後の政策金利の調整(要するに利上げ)は設備投資と雇用(というか結局は個人消費)の基調が強いのかどうかによる(まあそれと最終的には株価動向があると思うけど、15000円くらいでも平気で追加利上げしそうですね)ということになってますんで、もうちょっと経済指標やら短観やらが出揃わないといけませんし、大体からしてCPIの基準改定前に決め打ちで地均しする訳無いと思いますが。
ただまあ為替の人が「総裁会見注目」って言ってる訳ですから、何らかの期待があるという事でしょう。どう見ても何も無いと思うんだが期待があるということは、期待外れで何か動くんかなあ。
ただまあやたら強い機械受注を受けた金融経済月報のトーンは若干気になるところです。今回に関してはあまり余計な変更はしてこないと思いますけど。
#と、これだけ書いてサプライズがあったらまさに相場の天災ですが
○その時になって急に反応する変な市場
先ほど申し上げましたように、15日スタートのGCレポレートが結構上昇した訳ですが、積み期間が変った途端に何も0.33%近傍から0.38%近傍までレートが跳ねなくても良いんジャマイカと思うあたくしなのでございます。
いやまあ積みの期間が変るからレートが変わっても良いんですけど、その動きはちと極端でしょう。どうせ積みが進捗してくれば足元下がる筈なんですから、前半金利が高くて後半金利が安いのなら自行の積み進捗を意図的に操作して準備預金のコスト低減を図るもんじゃねえのか(というか、大昔の金利がついてた頃には金利を見ながら意図的な進捗操作を行うのが当然の行為で、その巧拙が資金担当者の腕の見せ所の一つではなかったかと存じます)と思うのですが(そのため結果として、積み期間中に政策変更の思惑が発生しない限りにおいて金利は比較的安定推移する)、最近はどうなっているんだか。
今回の積み期間でも、まあ初日のコール0.3%はご愛嬌としても、前半はコール金利が高止まりしたと思ったら今度は急速に金利が低下(積みの進捗が速かったから当たり前ですが)して、0.216%とかお前そりゃやり過ぎだろうという動きでして、どうにもこう極端な動きになってるんですよね。
まあ準備預金を沢山積まないといけない人の資金ポジションが以前のように市場調達しないといけないという状態じゃないのが話をよく判らんものにしているという面はある(=コールレート即ち準備預金の積みコストなわけではない)のでまたまた話がややこしいのですが、それにしてもレート形成がどういうロジックで動いてるのかワケワカランという所でございます。
もうひとつ不思議なのは期末越えに掛かる金利なのですけど、まああまりこれに関して詳しい解説をして市場の価格形成が効率的になってしまうとあたくしども年寄りの小商いの機会が一つ減ってしまいますので、余計な話をするのは止めときましょ(と思わせぶりなあたくし)。
ちなみに、長いところも何だか特段の材料もないのに物凄い勢いで動いてましたが、この原因等についてはさっぱり判りませんので割愛です。急にベアスティープしやがりまして、いやはや中々休ませてくれませんなあという所でございます。
・・・・平和だとか休ませろとかドラめもんが書くから相場が動きやがるというご指摘を受けそうですが、それに関してはクマーなあたくしとしては一言もございません。ええもう困ったもんですな。
2006/08/10
お題「ネタが夏枯れですが」
もうね、お題の通りになってまして、まあ何と申しますかネタの無い中無理矢理材料見つけてきて先物を振り回す人がいたり、収益要請だか何だか知らんですが、頑張る人もいるようですし、まあご苦労なことです。
○機械受注が良くて景気ウォッチャーは悪いと
昨日は良くぶれることで著名な機械受注が予想よりもやたら良い数字だったことで株価が先物主導で棒上げ。決してどこぞの禿先生が前場の下げを見て「今日は下げて当然の日」とボログを更新したからでは無いと存じますが(笑)、まあその株価を見て債券も先物主導に(というか引けてみると弱いのは先物近辺ばかりなりなんですが)押し戻されるの巻。
一昨日は景気ウォッチャー調査が公表されてまして、こちらはまあ内閣府のサイトを見ると細かいアンケート調査内容まで読めまして、これをネタなし相場の中読んでいると中々興味深いのですけど、残念ながら量が多いのでまだ全部読んでおりません。当初は小太郎先生の趣味で変なものおっぱじめやがってなどという評価の方が高かったように記憶してますが、いやまあこれは中々侮れんでしょう。景気の定点観測は皆様もやってると思いますが、その集計ですもんね。
で、そちらの数字はというとこれが今回も悪化。こっちはあんまり反応してませんでしたが、本石町日記さんが昨日指摘していました(http://hongokucho.exblog.jp/5444377/)ようにあたくしもまあこりゃ気になるところです。しかも本石町日記さんの受け売りになって恐縮ですが、現状判断DIが3月ピークに4ヶ月連続の下げというのが実にいやーな感じでございますわな。
一方で昨日の機械受注という図ですが、今朝のニュースでもスズキが国内に25年ぶりだか何だかで新工場建設という景気の良いお話がありましたが、記者会見の映像を見ると「海外市場の旺盛な需要に対応するため」ということでして、まあ別に本件が全てじゃないですけど、何か「ま た 外 需 か!」とゆー感じを受けさせてくれるニュース映像ではございました。
んでまあ、これまた本石町日記さんの受け売りっぽくなって誠に恐縮なのですが、まあ設備投資などの生産関連の経済指標は相変わらず好調を維持している中で、消費に関わる指標がやや弱めで、今回の景気ウォッチャー調査のように弱いものがでてきているちゅうのはどうも日銀の「持続的な経済成長」のキモであります「内需の主役が今後設備投資から個人消費にバトンタッチ」というのが実に怪しげな香りが漂って来るのでありました。
とは言いましても、先日(7日)にご紹介した水野審議委員の福岡での講演にありますように、設備投資の強さが継続しているうちは日銀的には「景気は拡大基調を続けているから政策金利の調整が必要ですなあ」というロジックになると存じます。で、その設備投資とは何ぞやという話になると機械受注統計が強いというのはまあネタとして一番手ですからね。ちなみに8月2日の水野審議委員の講演ではこんな話をしてます。
『機械受注(船舶・電力を除く民需)、建築着工床面積といった設備投資の先行指標は堅調に推移しています。』
『個人的には、10月2日に公表される日銀短観(9月調査)で2006年度の設備投資計画がさらに上方修正される可能性が高いと判断していますが、設備投資が過熱気味かどうかを判断するにはもう少しデータをみる必要があると思います。もっとも、仮に設備投資は現状程度の好調な状況を維持するという見方が適切ならば、以下の見方のうち、少なくともそのひとつを受け入れる必要が出てきます。すなわち、(1)わが国の潜在成長率は日本銀行が想定する+1.5〜+2.0%を上回っている可能性が高い、(2)成熟局面に入る時期は、4月時点の本行の想定よりも後になる可能性が高い、という2つの見方です。個人的には、どちらの可能性も高まってきたように思います。』
設備投資だけ良くても何だかなあとは思うのですが・・・・
#極私的景気定点観測ベースでもどうもW杯前後のあたりから景気に変調の感じがしてるんですけど・・・・・
○さて2か月FBの入札です
昨日は3か月FBの入札でしたが、0.365%−0.37%の範囲内で入札をやって終わってみたら引けも0.365%ということで何たる平和な相場なんでしょうって感じです。
そして本日は2か月FBの入札です。だいぶ前に2か月FBの入札をやった時は退避資金が流入して無闇やたらと過熱して大変なことになりましたが、今回の2か月は9月中間期末越えの発行になりますので、まあそんなに過熱することもないでしょうし、そもそも退避資金が短いところにジャンジャン流入するような地合いでもございませんので、これまた安定した結果になりそうな感じ。0.35%くらいになるんじゃないですかねえ。GCレポレートが一時0.3%を堂々割り込みました(コールが0.21%とかまで下がった前後)が、まあここの所また0.3%台前半に戻っているようですので、それと期末越えという事を勘案すると、そんなにアフォのように買い捲る訳には行かないと思いますけどどうなんでしょ。
まあ今日から金融政策決定会合ですが、しばし材料無く淡々としたマーケット推移が予想されます。というか偶にはゆっくりしましょうや。
#うーむ、見事にねたが無いので世間話になってしまいました。そういや風邪はやっとのことでほぼ治りました、と思います。
2006/08/09
お題「寝坊したので雑談メモ」
数段構えの目覚まし網を見事クリアしてしまいましたorz
○踏み上げと書いたら入札ゲロゲロ
いやはや参りました。1.3クーポンにしたら実はニーズがありませんでしたって事なんでしょうが、5年入札でテールが4銭(1毛近く)流れるというのは久々に見た気が致します。
こうなりますといつものパターンですが、1.3クーポンの新発が業者の持ちになって、何故か1.4クーポンの既発にしか買いが入らずレポコストでゲロゲロになってしまうの巻になりそうな悪寒。しかもカレントが1.3なんで、相場が下がると1.4の方がカレントに近くなって1.4クーポンが益々買われるという誠に遺憾な展開になりそうですな。
結局「売り手がいない中でプロップと一部投資家の先回り買いが押し上げた」という相場だったんでしょうか、何かイマイチ釈然としませんがまあ結局は1.3クーポンの5年債にニーズは乏しかったということなのかなあ。何とも良く判らん。
○3か月FB入札ですが
短いところはまあ見事に平穏な状態が継続しております(月曜は入札でちょっと動きましたが)。2月中旬から散々ぱら振り回されたんだからちょっと休ませろという感じですが(笑)、そんな中で本日は3か月FBの入札。
まあ見事にこのあたりのゾーンはレートアンチェンジ攻撃ですし、イールドカーブもベッタリと平らに近くなっているので、特に波乱もなく入札を終わることでしょう。まあ0.365%−0.37%で入札やって引けてみたら0.36%くらいになるんじゃないかと思います。などと具体的な数字を言って見事に外すと兜町のユリ・ゲラー先生になってしまうので注意したいところです。
今回のFBは11月の金融決定会合前に償還が来ますが、実は次回の3か月FBが11月の金融政策決定会合越えになります。先日の水野審議委員の講演あたりを見てると「10月の展望レポートでやる気見せてから年内利上げでっせウッシッシ(超越的勝手なあたくしの解釈)」という空気も漂って来る今日この頃でございますので、11月会合越えにプレミアムが付くのかどうか注目したいところです。
・・・と書きましたが、まあプレミアムが付くのは「本当にヤバイ」って認識がかなり広がらないとそうは成らんのでして、そーゆー意味ではまあ来週からいきなり甘くなるのは考えにくいところではあります。9月にならないと意識してこないんじゃないかしらん。それまでに経済指標や株価が強ければの話ですが。
○FOMC
利上げしたので大穴予想大はずれでした。まああたくしとしては利上げして声明文で利上げ休止の方向性を出す(要するに材料出尽くし感と打ち止め感をだす)のもアリかなあと思ったのですけれども、決め打ちしない金融政策ということで、「利上げしないけど打ち止め感は出さない」という形になりましたわな。
http://www.federalreserve.gov/boarddocs/press/monetary/2006/20060808/
『Nonetheless, the Committee judges that some inflation risks remain. The
extent and timing of any additional firming that may be needed to address
these risks will depend on the evolution of the outlook for both inflation
and economic growth, as implied by incoming information.』
えーっと、まあ要するに(1)今後の金融政策の方向性は「引き締め」かか「現状維持」(2)経済物価情勢の様子次第ちゅう事ですか。これだと打ち止め感は出ませんわな。まあ打ち止め感出さないのがキモでもあるんで当然ちゃあ当然なんでしょうが。
ちなみに、エネルギー価格上昇に関しては微妙な評価になってまして、冒頭部分で景気の減速の原因の一つとしてエネルギー価格を上げておりますが、その次のパラグラフでは前月までと同様にエネルギー価格など商品価格の上昇に対してはインフレ圧力に繋がるものですって話をしておりまして、まあここの匙加減がムツカシイ(まあそうですけど)ですなあというのを窺わせてくれます。
それから、景気減速要因として冒頭(というか第2パラグラフですが)では『a
gradual cooling of the housing market and the lagged effects of increases
in interest rates and energy prices』ということで、金利引上げの効果が出ていますっていう認識にはなっておりますね。
#というわけでおもいっきり寝坊したので本日はこんなところで勘弁。
2006/08/08
お題「小ネタを少々」
今日はFOMCですが、インフレ指標の方がどうも気になるんで利上げするんじゃないのと市場予想の逆を予想してみましょう。さて今日は雑談少々。
○踏み上げですなあ(相場メモ)
昨日の債券市場は5年国債入札前だというのに見事な踏み上げ相場。まあアレですな、「利上げになって売られたところで買いたい」「10年入札で売られたところで買いたい」と言ってる間に相場にそれらしい押し目無く、段々買わない言い訳が無くなってきましたなあって感じではございます。
6〜7年ゾーンが強いようですが、まあ2年も0.8%割れたり、5年や10年も強いようで、全般的には戻り待ちの売りをこなしながらも買いがって感じなんじゃねえかって感じです。
短いところでは6か月TBの入札がありましたが、まあこちらは前週末に頑張って気配を甘くしたので、入札レベルは0.435%近辺になってくれましたが、前場の引けよりはちょっと強い結果に。前週末の売りが結構頑張った叩きだったということでしょうな。落札後堅調で0.42%まで買われたようです。
今週は水曜に3か月FB、木曜に2か月FBの入札が予定されてますが、この調子では3か月が0.36−0.37%で2ヶ月が0.35−0.36%などというような感じになっちゃうんですかね。さすがに11月の決定会合越えとかになったらもうちょっと警戒しても良いような気がするんですが、6ヶ月が0.45%に遠く届かない状況だととりあえずは気にならないぜって雰囲気になりそうな悪寒。
○これまたメモメモ
・我が国証券市場における不公正取引に対して英国金融サービス機構が行った処分について(証券取引等監視委員会)
→http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2006/2006/20060802.htm
ほうほうそうですか。しかしまあやっと今頃なんですね。まあ我が国では経済事犯に対する金銭的懲罰が甘い(以下いつもと同じ話)。
・総合職のキャリア採用の実施について(日本銀行)
→http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/recruit98.htm
去年も募集してた気が。「大学を卒業された35歳位までの方」を募集してるそうですけど、毎年のイベント化するんでしょうか?
・国内出張における航空運賃の支給に関する調査結果等(日本銀行)
→http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/un0608b.htm
総裁のファンドへの資金拠出問題でも思ったんですが、内部管理が性善説で運営しすぎですわな。そりゃまあ性善説でちゃんと機能するのが理想なんですけど。それにしても『実務のうえでは、事前に正規運賃(普通運賃または往復割引運賃をいう。以下同じ。)を支給する一方、事後的には出張者から領収書等の提出を求めない扱いとなっていた。』ってなってるんですが、それは随分鷹揚な企業でしたなあ。
○もうちょっと物の言い方を・・・・・
昨日はブルームバーグニュースでは自民党の山本幸三議員のインタビューが放送されてましたのでちと拝見(5分ほどです)しました。
いやまあ言いたいことの趣旨は判るんですが、山本先生その言い方はもうちょっと何とかならんのかと思うのですよね。てめえの言いたい事だけ言えば別に自分の意図する政策が実現してもしなくても結構というのであればそれでも良いのかもしれんけど・・・・
インタビュー記事のお題がどうなってたかと言いますと(7日15時49分配信)『自民・山本氏:追加利上げ観測は「全くばかげた話」−インタビュー』なんですけど、市場は時期がいつになるのかは別にして、追加利上げはまあどこかでやるでしょうって前提で動いている訳でして、このヘッドライン見せられますと「マーケットは馬鹿」と言われてるような印象を受けてしまうのはあたくしだけではありますまい。
で、件の部分なんですが、ゼロ金利解除が早すぎるという話の流れで追加利上げ観測について質問された時に答えているのですけれども、開口一番が確かに「全くばかげた話だと思う」でした。まあよくよく聞いて見ると、追加利上げに関して話をしている日銀政策委員に対して憤慨しているようでして、「市場を混乱させるのは、審議委員としては資格を疑わざるを得ない」というお話をしているのでありました。
記事中にはないですが「理屈も無しに上げるかもしれませんよと言ったらまともな運営にならない」という発言ですんで、まあどこぞの審議委員に対して言ってたんでしょうな(どこぞの審議委員は理屈立ててますが)。
・・・・とは記事およびインタビューをちゃんと最後まで読めば(聞けば)判るのですが、普通の市場参加者はヘッドラインをまず見て、興味があれば中の記事を見るわけですから、ヘッドラインでどう書かれるかというのはもうちょっと意識してくれないと、折角の主張も見てくれませんですぜ先生。
まあ5分ほどのインタビューを全部聞いてみましたが、正直言って無駄に攻撃的で、これじゃあ主張の内容を吟味する前に感情的反発が先に出てきますがなっていう内容ですわな。インタゲ導入論を唱えてるのは良いんですが、「日銀は責任を取りたくないから導入に反対する」とか言うのは言わずもがなの悪態でしょう。確かに大昔のゼロ金利解除強行も結局「当時は正しい判断だった」になってるから言いたい事も判るけど、今それを蒸し返しても話は前にすすまんでしょ。
それにそこまで責任取れ取れ言うなら、ご自身が「ゼロ金利解除早すぎで11月か12月には景気腰折れ」っていうの外れたらあなた様は責任取るんでしょうかってお返ししたくなってしまうんですけどね(ちなみに景気の見たては山本先生ほどではないがあたくしも弱気なんですけどね、あっはっは)。まー日銀が議論に乗ってこないから苛立つってのも判るんですが、あまり攻撃的過ぎるのも如何なものかと存じますけど、はい。
・・・・うーむ、「オマエモナー」と言われそうな事を書いてしまった(^^)。
2006/08/07
お題「月曜は雑談」
拳闘を筋書きのあるドラマに仕立てた某テレビ局は長野県知事選挙結果報道で「残念ながら」ってそりゃ放送法違反になりゃあせんかねえ。免許剥(ry
○6か月TB入札ですが
ここの所手がかり材料が乏しいので平和な相場が続いておりましたが、金曜日の市場で話題になったのは6か月TBが突如売られたことですかな。
午後になって突然TB404回(1月15日償還)が前日比5毛くらい甘い0.4%台(前日まで0.37%)での出合いがございまして、結局引けも前日比5毛甘の0.42%と相成りました。
前日比やたら甘いところが叩かれるということでちと話題にされましたが、まあこれはそもそも今までのTB404回債の居場所が変だったとも言えます。3か月FBの利回りが0.35%〜0.36%という居場所で、1年TBの利回りが0.54%あたりの居場所で、6か月TBはさてどこでしょうとなりますと、次の利上げタイミングの読みが重要になる筈。これに関しては色々と意見は有るでしょうが、まあ年内か来年早々かってお話になっている状況だとすると、6か月TBの然るべき居場所が3か月と殆ど同じというのはさすがにやり過ぎだったんじゃないっすかねえ。
ということで、本日の6か月TB入札は0.43−0.45%位でやってくれるのかなあとホッと一息という感じ。大体からして2月償還になる訳でして、この辺の1か月の違いは結構でかいと思うんで、こんくらいでやってくれないと中々しんどいんじゃないかなあって感じです。まあ波乱にはならないと思いますが。
○景気強気のロジック研究(水野審議委員講演から)
ネタも無いので先週水曜の水野審議委員(18ページに及ぶ大作)から本日は水野さんが景気の先行きに対する見立てをどのように行っているかという辺りを読んでみる事と致したく。先日ご紹介した講演要旨の最初の部分、『1.景気判断のアップデート〜景気を牽引する設備投資〜』のあたりから。
『「展望レポート」で景気の下振れ要因として指摘した「在庫調整の可能性」については、4〜6月期の鉱工業生産の増勢は緩やかなものの、出荷と在庫のバランスは改善しているため、仮に年度後半以降に在庫調整が発生しても軽微なものにとどまる公算が高そうです。例えば、足許は増勢一服となっている電子・デバイスの生産は、新規生産ラインの稼動もあって、7〜9月期には再び増加する見込みです。液晶テレビや携帯電話向け需要の好調が持続しており、そうした需要に見合った動きとみております。』
『「展望レポート」で上振れ要因として指摘した「企業の投資行動の一段の積極化」が顕現化する可能性は、高まってきたのではないかとみています。すなわち、設備投資は、加速するとまでは言い切れませんが、増加モメンタムの持続と広がりがみえ、減速感はみられません。』
ということで、注目ポイントのその1としては設備投資ということになっております。この先の部分に記述があるのですが、参考としてあげている経済指標は当然ながら機械受注と日銀短観の設備投資計画ですね。で、この設備投資の増勢基調が継続するとどうなりますかっていうのがちょっと先にございます。
『日本銀行は、「展望レポート」の冒頭部分で「成長率の水準は、景気回復局面に入って既に4年以上経過する中で、今後景気は、成熟段階に入っていくと考えられるため、2006年度は2%台半ば、2007年度は2%程度と、潜在成長率近傍の水準に向けて徐々に減速する可能性が高い。」と記述しました。ただ、仮に設備投資の増勢が持続した場合、2007年度にかけての経済成長率の「見通し」を上方修正する可能性が高まってきます。』
で、先日ご紹介した「資産価格インフレ」や「消費者のインフレマインド懸念の高まり」という話になるのですな。
もうひとつ水野審議委員が注目しているのは雇用。まあ他の審議委員も言及してますけど。
『今後の金融政策運営は「Data Dependence」で行うつもりですが、これは、コアCPIインフレ率だけでなく、あらゆる経済・物価指標を注視することを意味します。』
『そうした中で、個人的には、一般職業紹介状況(特に有効求人倍率・常用雇用者数)、毎月勤労統計(特に所定内給与・常用雇用者数)、労働力調査(特に非農林雇用者数)など労働市場関連の統計に注目しています。景気回復の持続性をみる上では雇用・所得環境、物価のトレンドを見極める上では賃金動向を注目しています。』
『また、想定外の景気上振れ要因として、住宅関連統計にも注目しています。』
これはオモロイ。住宅関連に関しては利上げを受けて「金利先高感」→「金利が低いうちにローンを組まナイト」→「さて買いますか」ってお話になるんでしょうかね。何か人から話聞いてるとそういうマインドも起きてる感じですね。あたくしはどうも???ですけど。
まあそんなあたりを水野審議委員は見ているちゅう事ですが、基本的に日本経済の強気シナリオを組むとしたらこういう論理構成になるんでしょうねえっていう一連のお話ですな。
あともうひとつ挙げるとすれば、さっきもちらっと書きましたが「消費者のインフレマインド」って奴でして、こちらに関しては6月に日銀が行った消費者意識アンケート(とかいう名前の奴)で物価に関するアンケートをしてる部分があります。平均の数字は何か極端な答えが出ててあんまり当てにならないのですが、中央値を前回調査(3月)と比較しますとこんな感じ。
1年前VS現在の物価上昇率の感覚・・・・・0.0%(前回0.0%)
1年後VS現在の物価上昇率の予想・・・+2.0%(前回0.0%)
5年後VS現在の物価上昇率の予想・・・+2.0%(前回+1.0%)
折に触れてこちらも引用されておりますが、まあ次回調査の数字も注目したいとは思います。
2006/08/04
お題「水野審議委員会見もやる気満々」
とりあえず利上げになって材料出尽くしまして、足元金利も下がりだしたということで緊張感が切れてしまったせいか、あたくし実は日曜から延々と風邪引いてまして(不摂生を市場のせいにするあたくし)咽喉から始まり只今鼻に移行しております(微熱はずっと)。うーげほげほげほ。
皆様におかれましても健康にご留意ありたい訳ですが、本日は水野審議委員の記者会見から少々。本当は講演が何せ18ページの大作なんで色々と水野さんの景気見立てのシナリオについて読んでみたいのですがお家の事情により本日も軽めに。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0608a.pdf
○ゼロ金利解除は量的緩和解除のプロセスの一つ
水野さんの会見要旨を他の人のものと比べると良く判ると思うんですが、この先生は質問に対する答えの部分がやたらめったら長いという特色がございます。そんな訳でメディア的な素材としては所謂オイシイ人でもあるんでしょうなあ。不規則発言に振り回されるディーラー(というかマーケットメーカーですが)としては困ったもんですけど(同じ理由で福井総裁も現物債券のマーケットメークをする人(顧客などの売買に対して自己ポジションで価格を呈示して商いをする人)にはあまり評判よろしく無いと思われ)。それはともかく。
実質的に最初の質疑応答の部分(2ページ目)で水野審議委員はしらっとこのようなお話をしております。
『私は、ゼロ金利解除は、基本的に量的緩和解除のプロセスの一つであり、ここでそのプロセスが終わったとの認識を持っています。』
水野審議委員は以前から「利上げも出来ない状況で量的緩和する意味なし」という趣旨の発言をされていた事があったと記憶していまして、この発言も今までの水野さんの主張に則したものですな。量的緩和解除時点での日銀(というか政策委員会というか)の説明とは異なるのですが。
で、まあ量的緩和解除して利上げしないのは日銀にとって意味がないという話はあたくしも以前申し上げてましたし、この話には違和感はございません。ございませんが、じゃあ日銀が量的緩和政策解除した時には次の利上げに関してプロセスの一つというような説明をして無い訳でして、その辺との整合性はどうなのよと申し上げたくなりますわな。
まあそう言われても困らないように「個人的見解」を連発してる(これも「私は」が入ってるし)のでしょうけど(苦笑)。
○会見でも市場水準に言及してますが
ゼロ金利解除の是非も問題ですが、こういう方がよっぽど問題では無いかと思うんですが如何なもんでしょう。上記回答の続き。
『長期債の利回りは、現在の日本経済の回復力等について過小評価しており、中短期債利回り、あるいはマネーマーケットの金利には、政策変更を受けてかなり動きが出てきたと感じています。』
ちなみに、別の質疑応答の中で短期市場にもコメント(5〜6ページ)。
『短期金融市場の安定のためにも、短期金融市場で金利観がある程度シェアされて、短期のイールドカーブがスティープ化された状態が良く、仮に日本銀行の景気判断が正しければ、もう少し短期のイールドカーブが立ってくるはずです。』
正直、具体的な水準やらイールドカーブの形状にまで「〜であるべき」みたいな言及をする意図が全くもって意味不明でございます。先生は市場をマニュピレートしたいんでしょうかって意地悪な質問したくなっちゃいますよマジで。
ちなみに、短期市場のイールドカーブでございますが、利上げ前には「利上げ後のGCレポレートが0.4%になってもおかしくない」とかいうような正直アフォじゃねえのかという話が広がってましたし、追加利上げペースに関しても現在市場が認識してるよりもペースが早いって認識でしたんで、イールドカーブも現在よりも立っていましたが、利上げによって一旦の材料が終了しましたのでイールドカーブはベタベタに寝ておりますわな。よってこの辺の話は何か勘違いしているような気がするんですけど。
『正確に言うと、マネーマーケットが正常に機能するには、短期のイールドカーブが正常に立ってくることが必要です。今のように次の一手に対して見方がかなり錯綜している中では、マネーマーケット機能の回復が阻害されるのは仕方がないと思っています。』
大体からして、参加者全員の相場観が揃ったら裁定機会がなくなるからマーケット機能せんのじゃないのかと思うんですが。見方が錯綜してこそのマーケットでしょ。うーん、何かこのくだりには物凄い違和感を受けますな。
○ま、何はともあれ利上げやる気満々ですな。
本日は早寝した癖に遅起きでしたので(理由は最初に書いたとおり)、他に何かいくつか水野さんの景況感が良く判るくだりとかあるんですが、時間の都合でパスして、やる気満々の一節をご紹介。
『金融政策運営については、10 月の展望レポートに向けて、まだ何を書くか考えている最中ですが、景気が順調に回復を続けるのであれば、次の一手に関する議論も考えていかなければならないと思っています。この場で、次はいつ動く、あるいは何かが決まっている、といったことを言うつもりはありませんが、本日の挨拶要旨の中の個人的な景気判断の部分を読んで頂ければ、私が考えていることはご理解頂けると思っています。』
今からもう10月の事が判るんですかさすがにちぎんしんぎいいんにばってきされるだけのゆうしゅうなえこのみすとのかたはちがいますなあ。などと棒読みで感心している場合ではなく、要するに水野さんやる気満々でございますということですわな。まあここまでブイブイ言ってるとかつての篠塚英子ちゃん状態になりそうな予感。既に一昨日や昨日の相場はそのあたりを示唆している気もするし、単に利上げ前に買わないで我慢してきた人たちの我慢がそろそろ限界に来てる需給問題なのかもしれませんけど。
#皆さんも風邪には注意しましょう。ずるずるごほごほ。
2006/08/03
お題「これは酷い(水野審議委員講演)」
昨日の水野審議委員講演、まあ案の定でしたが中央銀行のボードメンバーにあるまじき不見識なくだりはあるわ、タカ発言爆裂するわでもう何だかねえという感じでしたが、氏も今やネタ芸人というかイロモノ扱いになりつつあるようで、市場はろくに反応しなかったのはプギャーでございました。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen/ko0608a.htm
紙に印刷すると18枚になる大作でございまして、何か経済見通しは強気だわ、市場機能がどうのこうのという話はするわ、もう利上げしたくて仕方ないですなあというのは良く判りました。
で、これは酷いというか見識を疑う部分からご紹介。
○これは言うべきことではないと思いますが
『3.今後の金融政策運営』の後半のあたりでこんな暴言を。
『なお、最近の債券相場について簡単にコメントしたいと思います。国債イールドカーブの5年セクターまでは「金融政策の正常化」を意識した動きをみせています。一方、5年超のセクターでは、実質金利がマイナスという極めて緩和的な金融環境が将来修正される可能性があるにもかかわらず、私の想定以上に低い水準で推移しています。』
5年超の金利は低すぎると仰せであるとしか思えないお話でございますが、政策金利の操作をする中央銀行のボードメンバーがこんな具体的な発言して良いんでしょうかねえ。これはね、フツーのマーケットの人たちは「ふざけるな」とかなり憤激ですよ全く(お仲間の方はどうだか知りませんが)。
しかし少々疑問もあるんですけど、水野さんは政策金利のフォワードルッキングな調整が必要な理由として、『中期的に長期金利の乱高下を最小限に抑制する』ってのを根拠にしてるはず。で、ゼロ金利解除にも関わらず長期金利が安定的に推移しているのは、政策金利の調整が上手く行ってることの現れなんじゃないでしゅかにゃあ。
ま、どっちにしてもここまで市場に手を突っ込む発言は如何なものかというか、政策委員としての適格性に疑問を呈さざるを得ませんな。あとね、初めてマーケットから起用された人がこれだと、市場関係者ってのはこういうもんだと思われかねないのが口惜しいんですよ。
で、もっと香ばしいのはその前の方で水野さんこんな話をしているわけでして・・・・・
『もっとも、「金融政策の透明性向上」は、金融政策運営の「次の一手」を強く示唆することではありません。今後1年〜2年後の経済・物価情勢に関する本行の見通し、及び、金融政策運営の考え方をアップデートすることで、「説明責任」を果たしていきたいと思います。』
で、その結果が債券市場へのコメントですかそうですか。
○上ればバブル懸念、下がれば知らんぷり
さて、株式市場が今一歩アレでございます昨今ですが、その状況は金融政策判断に大きな影響は無いですよってお話をしておられます。『2.グローバルなマネー・フローの変化』の『(株式相場と金融政策)』って所でこんなお話を。
『今後、わが国における金利機能の復活は、国際市場間資金移動をさらに加速させ、相場の「水準調整」の規模と期間を増幅する可能性が高くなります。しかしながら、私は、株式市場のセンチメントに振り回されず、経済・物価情勢に応じて適切な金融政策運営を行うことが重要だと考えています。』
『わが国では、金融市場動向を眺めて、近い将来の金融政策運営へのインプリケーションが議論されることが多いと思います。特に、日本の金融市場参加者の間では、株価動向と金融政策をダイレクトにリンクさせる議論が少なくないようです。(長いので中間割愛)株価や長期金利など資産価格動向は注視していますが、動きそのものが金融政策運営に決定的な影響を与えるとの見方は誤りです。』
はあはあそうですか。ところで3月の講演では水野さんこんなことを仰せでしたが。
『2006年も世界経済は好調が予想される中、米国だけでなく主要国全体が「金融政策の正常化」を進めないと、素原材料価格や資産価格の行き過ぎた上昇などが、持続できないバブル的な上昇を続けるリスクがあります。(これまた中間割愛)1990年代初頭のバブル崩壊の経験から得られる最大の教訓は、資産価格から発せられる様々なシグナルを注視したうえで、「フォワード・ルッキングな金融政策運営」を行うことの重要性です。』(
3月13日滋賀県金融経済懇談会における水野審議委員挨拶要旨より)
何だかね、一つ一つの理屈は正しいのかも知らんが、政策金利を上げたいっていう結論が先にあるから、資産価格が上昇するとバブル懸念を持ち出して、下がると資産価格は一つのシグナルに過ぎないって言ってるようにしか思えんのですよ。今回の講演の中で水野さんこう仰ってるじゃないですか。
『長めの金利の安定にとっては、まず何よりも、市場参加者の経済・物価見通し、とりわけ中長期的な物価見通しが安定的に推移することが前提となります。そのうえで、そうしたシナリオの下での中央銀行の政策運営が市場参加者にとって予測しやすいものであること−やや難しい言い方をすれば、中央銀行の「政策反応関数」が外部にとってわかりやすいものであること−が重要であると考えられます。』
株が上ればバブル懸念、下がればセンチメントに振り回されませんではどう見ても政策反応関数とやらがさっぱり理解できません。本当にありがとうございました。
○中立的な政策金利が復活してます
『1.景気判断のアップデート〜景気を牽引する設備投資〜』の最後の部分で中立的な政策金利理論復活キタコレ。
『この場合(引用者注:水野さんの景気見立て通りに行った場合)、2006年度は景気回復のモメンタムは衰えず、1990年代の米国経済のように「高成長と低インフレ」が共存する理想的な景気回復局面が長期間にわたる可能性が出てきます。生産性の上昇はディスインフレ状況が持続する可能性を高めますが、むしろ、いわゆる「中立的な政策金利」と足許の政策金利の水準のギャップが拡大した状況を放置すると、資産価格インフレが発生するリスク、景気の上振れを通じたインフレ期待の高まり、が懸念されます。その結果、「ビハインド・ザ・カーブな金融政策運営」の度合いが強まることになりかねません。』
またぞろ復活してますな「中立的な政策金利」。3月の講演後の記者会見では具体的数値の話までしておられましたが、さて今回の講演&会見ではどうだったのか。手元にあるベンダーの報じる記者会見ではその質疑応答はなかったように見えますが、これは会見要旨のアップを待ちたいと思います。
○短期市場に関するコメントは何とも「???」ですわな
ということで、何せ18ページですのでツッコミたい所だらけなんですけれども、時間もござませんので(またこれか)、『5.構造変化した短期金融市場』のところに関して少々。
『わが国の景気回復局面は長期化する公算が高い中、「金融政策の正常化」の持続が意識される形で、緩やかに金利先高観が高まる状態が理想的だと考えています。』
ここでもそんな話してますなあ。まあ同じ悪態になるので悪態割愛。補完貸付に関して意味の判らん言及がございました。
『今後も、短期金融市場で金利先高感が強まる局面になった場合、補完貸付制度が頻繁に活用される可能性がありそうです。』
んなこたあねえのですが、ご本人もちょっと前の部分で補完貸付の金利についてこんな事言ってるのに気が付かないかね。
『また、補完貸付金利はあくまで、無担保コールレート(オーバーナイト物)などごく短期の金利について、その急激な飛び上がりを抑える機能を果たすものと考えられます。逆に言えば、これより長めの金利について、ロンバート金利が何らかの抑制的な役割を果たすといったことは、考えにくいように思います。』
そうですね、そうすると金利先高感があるからロンバートを使う人が出て来るってのは変じゃないですか?今日政策金利が変るってのなら物凄い勢いで使う人も出てくるかもしれませんが、それは通常は金利先高感とは言わないと思いますが如何なもんでしょう。
これね、あっしの勝手な想像で恐縮なんですけど、前半の頻繁に活用云々は補完貸付金利が高くて然るべきだっていうお話に繋がる(そうは言って無いけど)からそういう事を言ってまして、後半の金利水準云々は補完貸付金利が0.4%に留まったけど長めの金利は上って然るべきだって話をしたかった(同じくそうは言ってませんが)から、こんな話になったんじゃないかなあと思うんですけどね。何だかなあ。
まあこれ以外にも何だかなあというコメントがあるんですが、時間と量の関係で本日はこの辺で。
2006/08/02
お題「ネタもあまりないので昔のネタと雑談を」
ダメリカも利上げ観測が出たり引っ込んだりで大変でございますなあ。経済指標1本1本で大いに反応する状況でして、連銀の中の人が余計な事を言うから話がややこしくなるというのもありますが、あたくしはグリーンスパン前議長の決め打ち政策の呪縛だと思うんでバーナンキ議長に同情的。ちと就任前の事前評判が良かったのが逆に作用してるみたいですけど。
○フライング報道考察
Baatarismさんのブログで(http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20060731)先般のゼロ金利解除の際に朝日新聞が夕刊でフライングをしたという話題があることを知った(31日の夕刊フジに掲載されていたようですな→http://www.zakzak.co.jp/top/2006_07/t2006073108.html)ので、実はスルーしてたのですが、本件を蒸し返してみましょう。
なお、本件に関しての時間関係ですが、基本的な時間の前後関係などは間違ってないと思いますが、正確な○分というような時間に関しては当時のメモなどを参考にしておりますよって、若干のズレがあるかもしれません。為念。
この日はご存知のようにゼロ金利解除があったのですけれども、そんな中でフライングだか飛ばしだか知りませんが変なニュースが2本ありました。
・共同通信の巻
まず最初は共同通信でして、12時43分だか44分にフラッシュを打ちまして(他のベンダーは45分から46分に「共同がこう報道した」と報道)、その内容が「福井総裁がゼロ金利解除を提案した」というものでした。
まあこの時はゼロ金利解除をするでしょうって見方になってましたし、前回もこんな事があったので「またフライング(前回はNHK)か!」ってもんですが、当然ながら市場の人も「何で終わって無い会合の議事進行が報道されるのかね」というのが前回に続いて今回もということで呆れるのでありました。
で、この時間なのですが、例によって例の如く政府側が決定会合議決の前に協議(議決延長請求をするかどうか)をするために一旦会合を中断している時間帯でしたが、さすがに前回のフライングで文句出まくっていた(今回は「またか」感のほうが先にあった)ので財務省も日銀も神経使っていたと思うんですが・・・・・
個人的推測で申し上げれば、会合を中断する→政策変更の提案がある→それならゼロ金利解除以外ありえない→提案するのは議長という連想(まあ確かに外れはなさそうですが)から飛ばしたんじゃないのって思うんですが、真相は当事者しか知らんお話ではございます。でも飛ばすなら「決定会合が中断している」で止めておく(それ自体も報道していいのかという話があるけど)もんだと思いますけどね。
・NHKの巻
さて次はまたNHKでございまして、こちらは決定会合が終了してから結果の公表が行われるまでの間にニュース速報をうちやがってくれたというもの。会合が13時31分に終了して結果公表は13時40分だったのですが、37分くらいにNHKのニュース速報テロップが打たれて「日銀が誘導金利を0.25%引き上げ」というのをまたもフライング。
こっちもまた何を考えて報道したのかよー判らんのですが、量的緩和解除の時と共にドッチラケ感が物凄い勢いで漂ってしまうのであります。さてこちらはどういう経路なのかは全く想像つかないですな。とりあえず結果発表前にニュース速報を打つというのはあたくし的には「金融政策決定に泥を塗った」というように思えるわけでして、共同通信と同様に報道機関としての姿勢如何なものかと。NHKに関しては前回も思いっきりやらかしているんですし、ちょっと功名を焦り過ぎなんじゃないかという気が致しますわな。
・朝日新聞の巻
と言っても本件実際に記事見て無いから存じませんが、フライングした上に誤報(全員一致で決定したのに賛成多数と報道)しているらしいのが実に香ばしいとしか申し上げようがございません。どのタイミングで記事を書いたのか存じません(そもそも夕刊に間に合う時間が何時だか知らん)が、決定会合の結果出る前に記事書いたんでしょう(結果が出てるのに間違えてたら単なる間抜け)から、前回が賛成多数だったから今回も賛成多数とでも思って書いたんでしょうかねえ。
んでまあ本件に関する朝日新聞社広報部の言い分がふるっているのですが、zakzakの上記URL先の記事によりますと『政策決定のプロセスを積極的に報じることはメディアの重要な使命だと考えています』だそうですがな。
ええまあ積極的に報じていただく姿勢は壮と致しますが、その手の内容で相場が動くんですから、誤報したら大変なことになるってことは当然お判りのことかと存じますが、その辺のご理解如何。
まあ飛ばし報道のネタ新聞でも売れれば勝ちだというのならそれはそれで経営方針ですから宜しいんじゃないですか。
以下相場雑談
○FB3か月入札ですが
本日のFB入札ですが、既発債のFB400回債およびその手前が0.35%だと言ってるのに何故か401回WIの引けは0.38%ということでして、どう見てもそのWIは安いです。本当に(ry
今回は11月償還になってしまいますが、今のところその辺りに関してはあまり気にしてないぜって感じ(そもそも6か月TBの既発債が0.37%ですし)ですので、まあ0.36%ちょっとくらいで落札して、0.355%くらいの引けになるんジャマイカというところではございますな。気になるのは水野さんの講演ですが・・・・
○今日は水野さんの講演&福井総裁の時事インタビュー
本日は水野審議委員の講演。利上げ後に妙に審議委員の講演が続くような気がするのはあたくしの気のせいだということにしまして、国内市場的には「また水野か!」と殆ど呆れられていると思われる(あたくしが思っているだけではありますまい)ので余程の事を言わないとサプライズにならない(逆に利上げしません何て言い出したらサプライズですな、笑)と思うのですが、水野講演→内容が海外ベンダーで物凄くタカ派報道される→海外で訳の判らんレポートが出る→海外売り仕掛け→バンクALMが機械的にぶん投げ→あぼーんというアホアホスパイラルが発生する方が怖いので、今日は兎も角それ以降の方が気になるかもしれませんな。ちょうど来週は5年の入札があって中短期売りやすいですし。
1日には時事通信が福井総裁インタビューを報道(インタビューしてたのは31日)してましたが、内容よく見て無いから何ともですが、聞いた話では「特に突飛な話はしてない」ということのようで。
ほんのちょっとだけ相場が反応したのは「年内利上げが無いとは一言も言ってませんが何か?(もちろん意訳)」という内容が報道された時ですが、瞬間的な反応に留まったという事で、市場は年内利上げ無しを決め打ちしている訳ではない(かと言って年内必ずあるとも思ってないでしょうが)というのが判る動きではございました。
#まあ本日はそんなところで雑談でございました。
2006/08/01
お題「日銀の金融市場レポート(の追録)」
金融市場局が出している金融市場レポートですが、これは毎度中々面白く読みやすいのでお勧めというわけで本日はこちらから少々。中は皆さん読んでください(おい
本日お勧めは金融市場レポートの追録版でして、お題は「量的緩和政策解除後の短期金融市場の動向」→http://www.boj.or.jp/type/ronbun/mkr/mkr0607b.pdf
日銀のサイトをご覧になると判りますが、新着情報としてアップされたのが追録の方が先というのは思わず微笑と言った所ですが、まあこっちをまず読めって事なんでしょう。
○まずは最初にまとめがあります
1ページ目にまとめがございます。現状分析に関してですが、前回金融市場レポートが出たときの追録で「量的緩和政策解除後の短期金融市場の課題」ってのが出てたときにはレポ市場の問題点(=資金出し手がやたら優位の世界という問題というか欠陥)に関してちと切り込み甘いようなって突っ込みをした記憶がございますが、今回はオペ先など約150社にアンケート調査をしたりとポイントを抑えた内容になっておりますな。9月くらいになったらこの続きの調査をするということでフォローアップすると面白そうですね。
んでまあそのまとめ部分なんですが、皆さんご存知のようにレポ市場がどうなっていくかが重要だっちゅうお話になりますわな。ポイントとして箇条書きに上げられている中で、この辺りに関してはご案内の通り。
『量的緩和政策解除後の翌日物金利の動きをみても、日銀当座預金残高が相当程度減少した5
月以降、レポレートがいち早く上昇し、これが裁定を通じて円転レートや無担保コールレートなどに波及する形となった。ただ、レポレートが無担保コールレートなどに比べて高止まりする傾向が続くなど、レポ市場と無担保コール市場等との間の資金の流れ・裁定が、必ずしも円滑ではない面も窺われた。』
ここで債券市場の話を入れるとややこしくなるので入れなかったんだと思うのですが・・・・TB/FB市場で4月にアフォのようなキャッシュ潰し行為が行われ(何せ3か月FB0.02%だの2か月FB100円テイクーンだの)てその反動が5月大型連休直前から爆発したというお話とか、突如浮上した6月利上げ説によるFBレートの上昇から「FB購入/レポやオペでの調達」というトレードによるオペ金利、レポレートの上昇とかございましたな。それから円転レートに関しては「円転が回らなくなったからレポに調達が流れてレポが上昇した」と言ってた人もいましたな。まあそれはともかく。
『レポ市場と無担保コール市場等との間の資金の流れ・裁定が、必ずしも円滑ではない』・・・つーかだいぶ円滑じゃないのですが、何となく暗黙の了解でコール+5bpでGCレポが回っているかと存じます。そういう意味では裁定してるっちゃあ裁定してますな。インチキの香りがする「裁定」ですが(苦笑)。
で、今後の課題としては・・・・
『その際、市場間の資金の流れを一層円滑にし、より安定的な金利形成を実現していく観点からは、@クレジット・ラインの適切な設定・拡充などを通じて無担保取引を円滑化していくこと、Aより多くの市場参加者が有担保での取引体制を整えていくとともに、即日での取引を含め、レポや有担保コールといった有担保市場の流動性、効率性を高めていくことが、重要な課題となっているように思われる。』
ということで、歴史的に無担保市場の規模がでかい状態が長かったので有担市場をやっていくのに制度上のネックがございまして、今後は有担保市場の深みというか厚みを拡充する事が必要ですわなという話ですな。
でね、取引体制を整えていくという点ですが、「金利が上昇して裁定機会が出来れば市場参加者がクレジットラインとか設定して体制作るでしょう」っていうのも正論ではあるのですが、制度上のネックに関しては個別参加者が手当てすれば良いってもんでもありません。で、本来的にはそんなことまで日銀が口出す話じゃないんですが、まあ日銀も一枚噛んでいただくことになるんでしょうなあ、というかお願いします(苦笑)。
○レポ市場に関して
本レポートではレポ市場に関してページを割いて(10ページ中4ページ)説明しておりますが、内容は非常に良くできていると思います。市場の問題点として、まあ皆様もご存知のようにGCレポ市場での資金の出し手の広がりの乏しさについて指摘がございます。6ページ目のあたり。
『後述するように、地銀や機関投資家などは、レポでの取引体制を構築していない先も少なくないとされており、出し手が少ない一因となっている。また、出し手の約6
割を占める信託は、有価証券信託で受託した国債をSCで証券などに貸し出し、その際に受け入れた現金担保を今度はGCで当該証券等に対して再運用する事例が多い。(中間割愛)信託のGCにおける資金放出はSCとセットで約定されることが多く、相手先との間では、実態として資金的にニュートラルな債券交換に近い取引となっている。』
ということはどういう事かと申しますと、残りの資金の出し手でありますところの都市銀行(シェア約3割)が実質的な資金の出し手になってるということでございますな。信託は在庫調整(証券から見ればショートセールしたものの穴埋めと、ロングで余っているものの在庫ファイナンスがセットになっている)として機能というお話。そうなりますと・・・・
『(信託GCレポの)レート形成も、SCレポレートとGCレポレートのスプレッドに重点が置かれ、GCレポレートは市場実勢レートを受けて決められることが少なくないようである。こうしたこともあって、市場参加者の間では、資金の出し手の少なさが意識されやすくなっている可能性がある。』
ということでちょっと資金需給が締まると都銀がレート決め放題となっているという事を穏やかな表現で示しておりますという事ですわな(^^)。
で、まあこの辺りの話は紹介してると全文引用になってしまうので、途中は全部端折りまして(こら)、9ページ目に良い事が書いてあります。
『レポ市場におけるより円滑なレート形成を図っていく観点からは、レポ市場と無担保コールなど他の翌日物市場との間の裁定を働きやすくしていくことが必要と考えられる。そのためには、まず、より多くの市場参加者、とくに資金の出し手がレポなど有担保での取引体制を整え、有担保市場の厚みを増していくことが重要である。』
投信と生保の短期資金がレポ運用するようになると相当厚みが広がると思いますが、制度上のネックや、事務負担に信託銀行が対応できないといった問題があるようでして、まあこの辺りをどうにかしないといかんっちゅう所は相変わらずのようですな。
『また、即日での運用を指向する出し手の存在や取り手サイドのクレジット・ラインの制約などを前提にすると、「先日付・有担保」が中心のレポ市場と「即日・無担保」が中心の無担保コール市場の間を橋渡しする「即日・有担保」市場の拡大、例えばT+0レポ取引の拡大や有担保コール市場の活性化などが一つの鍵となってくる可能性がある。』
(紹介しませんでしたが)有担保コール市場の所であった担保掛目の問題をどうにかしないと中々ムツカシイところもあるかもしれません。今後の課題ですわな。
#本日は寝坊したのでこんなところで恐縮ですが、是非日銀のサイトへ行ってお読み下さいませ。