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2006/05/31
お題「まあ色々と小ネタです」
2日続けて東証1部売買代金が2兆円割れというのはぱっとしませんな。で、昨日は色々とあったので小ネタ並べ方式で。
○こりゃ当分無担保コールは乱高下でしょうか
昨日の無担保コール取引ですが、前日の供給オペレーションで安心感が出た事からあさいちから0.05%とか0.06%程度での落ち着いた展開でした。
そこに9時20分の即日オペ時間に即日本店手形買入が5000億円オファーされたので無担保コール取引レートはサクサクと低下。午前中には0.015%近辺まで低下した模様で、資金繰り着地が見えてきている午後は0.01%での取引が主流ということで無担保コール翌日物の加重平均金利は0.023%と前日の0.071%から急低下。
とは言え、オペの落札利回りは即日物もそうですが、資金不足時期にあたる6月1日、2日スタートの先日付物も足元金利と比較して妙に高い(平均落札利回りが軒並み0.07〜0.08%)ですし、GCレポ取引はT+3スタートで相変わらず0.08%程度と余り下がらん状態です。
まあ勝手に落札してる人たちの心理を推測するに、税揚げなどのイベントもあるので、「とりあえずオペで先に金を取っておこう」って発想が働くんジャマイカと。で、資金繰りが見えた時点で余った分を放出に回るのでコール翌日物だけ時間の経過と共に急落すると。で、こういうときって昔だったら誰かが逆張りしてショートファンディングにして一商売始めるのですけれども、如何せんこの金利水準ですから期待収益対比資金繰りが詰まった時のリスクの方がでかいという判断になりそうですな。
まあそんなことで無担保コールは豪快に下落しましたが、正直昨日即日オペ打たなくてもそんなに金利上らなかったと思うのですけど、念には念を入れたのでしょうか。何か急騰したり急落したり(そりゃまあレートの数字で見ればミクロの攻防ですけど、率で言ったら0.071%の次の日が0.023%って3分の1ですよ先生)と慌しくて疲れますなあ。
この調子だと「足元金利が低いので当座預金削減」→「足元金利上昇」→「とりあえず静観」→「足元金利急騰」→「大量供給」→「足元金利下落」→「更に追撃で供給」→「足元金利急落」→最初に戻るという楽しい展開が発生しそうな悪寒もしないでもないですが、まあこればっかりは参加者が慣れてこないとどうしようも無いでしょうな。
そんなわけで、一々動く無担保コール金利を見て皆様あまり驚かないようにしましょう。
○いやあのやはり結論が変なのですが・・・・
一昨日のドラめもんで「初夏なのに風雪」などというお題でどこぞの著名ストラテジスト様の「公定歩合先行引き上げ論」に呆れておりましたら、まあやはりそれはどうよという声が多かったんでしょうか補足説明のレポートが出てたらしいですな。
で、本来あたくしはWebに出てるのとか新聞媒体や情報ベンダーに出ている公開情報ものをネタにするというのが普段のスタンスですのでドラめもんクオリティとしては趣旨にあってないのですが、乗りかかった泥舟ですのでちょっと指摘しておきますね(^^)。
現在の日銀の金融政策(そういえば「日銀政策」って国会で連呼してた人がいましたなあ)の枠組みでは、無担保コール翌日物金利が誘導目標なのですが、その上限のメドとして補完貸付制度(ロンバートですな)の金利があってその金利が公定歩合として金利回廊を設定しているわけですな。現在の金利回廊は0%〜0.1%となるんでしょう。
で、まあ大先生のレポートによりますと、米国ではFF誘導目標が5%で公定歩合は6%と高めに設定しており、比較して考えると日本の0.1%は無坦コール翌日物誘導目標の「ゼロ近傍」に対して幅が狭すぎではなかろうかというご指摘。
んでもって、次回日銀が利上げをする時に金利回廊を拡大するとなると公定歩合の引き上げ幅が「無担保コール翌日物誘導金利の引き上げ幅+金利回廊の拡大幅」となって結果として公定歩合が大幅に引き上げられる事になりますよというお話。
そこまでの間の論理にもツッコミどころと申しますか、それは本末転倒しておられませんでしょうかってのが多数ありますが、まあそれは本日はスルーしておきましょう。金利回廊の幅がいつまでも0.1%である必要はどこにも無いというのは同意するんですが、じゃあ例えばゼロ金利の時に金利回廊が(今の米国のように)1%もあっていいんでしょうかというとそれはまた違うような気がしますが。で・・・結論がやっぱ妙。
その結論はと言いますと、日銀が上記した公定歩合の大幅引き上げを回避するために6月の決定会合で公定歩合を先行引き上げするというお話なんですが、別に大幅引き上げしたって良いじゃんとしか思えませんがねえ。先行引き上げなんかしたらそれこそ「利上げの準備」と取られて金利が跳ね上がるリスクがでかくて、それに対するリターンが次の利上げの時に公定歩合の引き上げ幅が同じ幅で済むってだけでは全く間尺に合わないですな。それよりも利上げの時に金利回廊の幅を広げて、その時に説明をきちんと尽くしてアフォな解説記事を書かれないようにすればよろしいのではないかと(全然違いますが、昨日の日経金融2面のレポ金利高止まりの話はポイントをうまく指摘してますのでご一読ありたし)思うのでありました。
「市場追随で金利回廊拡大」という怪電波は収まったようですが、まあ相変わらず結論に理屈をムリムリ引っ張っているので論理がグダグダになっていて実に香ばしいですな。途中のツッコミ所はもう面倒なので割愛しておきますね(笑)。
○何かまた燃料レポートの香りが
しかしまあ色々と金融政策に説明を尽くさないと(というか尽くしても)楽しい解釈が飛び出すのがニッポンクオリティなのですが、個人名論文で一々燃料を投下する日銀もどうかと思うぞ、ということで昨日はこんなのが。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/wp06e09.htm
お題は「スイス国民銀行の金融政策運営:2001〜2004年の経験」ってものですが、恐ろしいことに全文が英語ですのでとてもあたくし読む気起きません。よって上記URLにある要旨しかよんでません(おい)。
そこにはこんな記述が。
『第2に、SNBは、利下げ局面では、結果的に市場参加者の見通しに修正をせまるかたちで政策決定や情報発信を行った。一方、金融緩和の巻き戻し時には、時間をかけて、市場参加者が経済・金融環境の変化などを材料に利上げの可能性を十分に織り込むのを待ってから政策変更を実施した。こうした巻き戻し時の対応は、確率は小さいながらもディスインフレ傾向が再び強まった場合の損失はインフレ率が加速した場合の損失より大きいとの判断から、SNBが頑健な政策運営を行ったものと解釈できる。』
・・・・どう見ても地均し礼賛です。本当にありがとうございました。
#3か月FBは今日も甘そうですね
2006/05/30
お題「即日オペ1兆5千億円の周辺」
昨日は朝から株式市場に朗報と思ってたのですが、昼過ぎにどこぞの情報ベンダーを見たら某著名ストラテジスト様が「弱含みの株は絶好の押し目買い機会」と怪推奨を・・・・・・orz
短期市場が注目されているのは誠に結構なのですが、昨日槍玉に挙げたどこぞのアホウの「市場追随でロンバード引き上げ説」のような珍妙な解釈も飛び交うというのが困った状態ではございます。ちなみにそのアホウを飼っている会社は当たり前の如くセールスに同じ話をさせているようなのですが、勘弁してくれ。
さてまあ昨日も色々とありましたので備忘録代わりにメモメモしておきます。
○オペ催促チックな朝の動き
昨日はあさいちから無担保コール翌日物で0.10%のビットがしっかり入ってました。まあコストの面から言うと短資会社の手数料が0.02%ある(ちなみに双方から0.02%です。まあ短期金利上って市場も動いたんで、5年間のコストだだ流し状態からの脱却が見えて来ましたですねよかったですね>短資会社のみなさま)ので取り手のコストは0.12%でして、そりゃあなたロンバード借り入れした方が良いでしょうってレートなのですけれども、ここもとの足元資金需給の不透明感というか不安感があるんですよ大変ですよってメッセージ(というか悲鳴)をインターバンク市場が送りましたってお話でしょう。
インターバンクもヒーヒー言ってましたが、オープン(と今は言うのか??)市場も香ばしい状態になっておりまして、GCレポレートの上昇やTBFB(というかFB)の重さで現先金利が高止まり。当然ながらCPにも影響が来る訳でして、つい先日までは需給の悪いTBFBの現先利回りの方がCP現先利回りよりも高いという状況になっていましたが、企業資金需要の高まる5月末〜6月を控えましてさすがにCPの発行が増え需給が悪くなってきて、既発CP売切や現先レートが上昇。しかも昨日は月末スタートのCP発行が大量に実施される予定なので、インターバンクの状況とあわせるとエライコッチャになるかもしれませんなあという感じ。
まあそんなこんなで即日資金供給となったんでしょう。
○中々芸の細かい資金供給
即日オペが本店手形買入1兆5千億でしたが、まあ額として1兆円くらいやらないとインパクトを感じさせないなあというのもありますけど、まあ豪快に出しましたなあという印象を与えるのには十分でございます。これで「誘導目標金利がゼロ近傍なのに0.1%近くに足元金利が張り付くというのはケシカラン」というよくよく考えたら当たり前なのですが、まあそういう運営方針は示されましたということでしょう。
勿論ですが、期末期初のように瞬間的に資金需給が逼迫して金利が跳ねることは昔からあったので、その辺までムリムリに押さえるオペレーションまでやるのかどうかは判りません、というか今までは「過度な跳ね上がり防止」くらいしかやってませんので、今後もそうなんでしょう。あまり何でもかんでも押さえつけると今度はそれを当てにした薩摩守ただ乗り資金繰りを始める輩が出てきますんで。
午前中の即日オペは6月1日エンドで平均落札利回りが0.076%の最低落札利回りが0.060%と、まあこんなもんでしょうという結果になりまして、さすがにオペ前の0.1%ビットのようなものは無くなりましたが、とは言えまあ0.06%〜0.07%のビットは残っていたようですな。
午後も先日付スタートの資金供給オペを実施しまして、これが2本立てで各1兆円と債券市場の人も安心するようなオペの打ち方。さすがに1兆5千供給してから午後に2兆供給と聞くと「日銀は足元金利の上昇を別に容認してるわけじゃないですよ」ってのがインパクトとして伝わるでしょう。3兆5千億円ですからね。
足元金利上昇容認がどうのこうのという話ですけれども、まあ短期市場の中の人は「日銀が短期金利の上昇容認?はぁ?んな訳ねぇだろゴルァ!」と正しく解釈をするのですが、債券市場では昨日ご紹介したどうみても(自主規制)なレポートに見られますように、もっともらしくムチャクチャな解釈を流布する輩もおりますので、そういう所まで意識したんジャマイカと勝手に想像しますが、どうなんでしょうかね(もちろん公式見解では「そこまで考えてませんがな何をご冗談を」でしょうけど)。
で、まあこのオペのどこが芸が細かいかと申しますと、まず全部のオペを本店手形買入ということで全店オペ(即日は全店で打ったら時間的に間に合うのかどうか知らんが)を避けている点。特に地合いが悪い時は本店オペに比較して全店オペは落札金利が上がり易いという傾向があるので、折角オペを打っても肝心の落札金利が上昇してしまうと却って地合いの悪化という印象を与えて逆効果という事でそれを避けてます。
で、1本のロットを今回は1兆円だの1.5兆円だのとでかくしているのも上記した落札金利の跳ね上がり防止に寄与しますので、これもまたよく考えています。それに「1兆円の供給」って桁が変ると心理的にインパクトありますからね。
最後に芸の細かさを感じたのはこのオペ期間でして、即日オペが29日〜6月1日で3日間の供給。午後に打った先日付オペに関しても30日〜6月7日と6月1日〜6月9日の双方とも8日間。税揚げで財政大量揚げ超になる今週末を跨ぐ供給なのは3兆5千億円のうち実は2兆円。しかもお読みになっているうちに気が付いたと思いますが、先日付オペの1兆円2本のうちの1本は実は即日オペの減額ロール(なのでこの落札レートだけ高くなってます)なので3兆5千億円の供給に見えて実は2兆5千億円という事ですな。うーむ奥が深い。
で、この期間も1週間程度ということで、「供給して跳ね上がりは押さえるけれども、別に長い期間の資金供給して金利をムリムリさげませんので」という所でしょうな。まあそれが現在の金融政策のディレクティブに最も適切な運営ですので何の問題もないのですけど。
○CPレート上昇
まあ需給から言って当たり前と言えば当たり前なのですが。
昨日はご案内の通り月末スタートのCPがバカスカ発行されておりました。で、まあどうも1か月ものの最上位格で0.2%近辺で堂々発行されたようでして、前週末から見ると0.02%前後上昇したようなイメージですな。2か月ものや3か月ものも上昇してたようです。まあ明日入札が行われる6月5日発行9月4日償還の3か月FBのWI取引が0.31%あたりの気配になっていますのでレート上昇もやむなしですけど。
これから6月に掛けて企業の資金需要が割と出る時期だと思うのですが、足元の金利がこんな感じなのでまあしばらくは需給が悪くて金利は下がりにくいのではないかと勝手に思料しております。あんまり高止まりすると企業も発行抑えて銀行借り入れに回るかもしれませんが。
という訳で、本日は何の芸も無く短期市場のメモでございました。
2006/05/29
お題「勢いとは言えオソロシス」
株式市場に朗報です。今朝も心の中でツッコミを入れながら聞き流しているモーサテですが、月曜に毎週出てくる後追い理屈をやたら偉そうに垂れる某経済評論家のコーナーでとうとう出ましたよ。もう思いっきり「市場環境の流れは変った」だそうです。そしてその能書きに対する本村ゆっこさんの応対に何か「そんな景気の悪い話を今更するんじゃないよ」っていう冷ややかなもの物凄い勢いで感じたのはあたくしの考えすぎですかそうですか(笑)。
そんなことはともかく金曜日も短期などのゾーンが大荒れでしたが。
○一番売られたのは1か月?
金曜の債券、と言いますか短期市場は引き続き大騒ぎ。
債券の方ではあさいちから金先とかスワップとか2年がズタボロ。CPIの東京都区部が予想よりも良い数値だったというのはありますが、そこまで勢い良く売り込まなければいけないような衝撃の数字ってほどでもなかったと思うのですが。まあ朝からでございますし、売られっぷりが如何にもいつものスワップ市場主導の売りっぽい。
しかしまあ2年なんぞは連続火消し効果(?)で火曜日に0.7%割れまでやっておいて金曜は朝から0.8%台から下に叩きまくりという図でありまして、投資家の皆様幾らなんでも右往左往し過ぎなのではないかと存じますが、変に火消しをやり過ぎたからショートが駆逐されて反動の投げになったのかも知れませんぜ旦那さん。
1年の辺りとかもムチャクチャに動きまして、今までいろんなオトナの事情があったのか存じませんが、短期国債に比べてやたらと割高(いやまあ一応利付債の元利金取扱手数料見合いの部分がプレミアムとして存在するんですが)に値付けされていた1年ゾーンの既発利付債の利回りが一挙に修正されるの図。5毛甘とかやってますが、1年のTBは前日の0.485%から上昇して朝っぱらから0.51%オファーだったようですな。まああさいちが一番甘かったのでその後は少々持ち直したようですけど。
で、短期市場も何か大騒ぎ。
朝から無担保コール翌日物で0.10%の取り意向があったとかいう感じで、9時20分の即日供給も期待されたのですが(当日オペ実施前の予想ベースで4400億円不足になっていたので期待してる人もいたようで)オペ無しということでがっくしとなった取り手も0.10%でしっかり資金を取るわ、GCレポレートは0.1%台での堂々の推移とロンバード超えになってしまうわという状況になりました。
まあそんな状態ですし、6月頭の法人税大量揚げやこれからの夏季賞与資金需要なども睨んで資金需給がタイトになっていることもありまして、ターム物金利が物凄い勢いで上昇してしまいまして、金曜日に発行されたCPの1か月物などの金利は軒並み上昇しまして、最上位格でも0.15%以上に上昇。週初に最上位格のCP1か月もの金利が0.1%乗せになってこりゃまた上りましたなとか言ってたのが夢のような有様。体感的に一番金利が上昇したのは1か月なのではないかという感じですわな。こりゃ。
足元のGCレポ金利上昇で当然ながら現先レートも上昇しておりまして、保有してても逆鞘確定の人から順に短い債券やCPは全力投げ合戦になりますわな。3か月のFBとかも当然ながらゲロゲロになっておりまして、先週発行の390回債の居場所が0.28%(金曜に0.28%とか書いたのはWIの値段でした。陳謝致します)でWI取引(とうとう9月償還)は0.31%という有様です。
ちなみに午後になっても短期市場金利は下がらない状態でして、無担保コール翌日物で0.08%あたりのビットも散見される状況だったようですな。いやはやこりゃビックリです。
本日はスポット渡しが31日になりますので、CPの発行がどうせ多いものと思料されますが、ここもとの金利急上昇局面で「そんなに高いなら金イラネ」と頑張っていた発行サイドがどの辺りまでの金利上昇を耐えるのかとか、運用サイドが本当にカラッケツなんでしょうかそんな事も無いんじゃネーノとかどっちも???でありますので、その動向が見られることになるでしょう。
3か月のFBが0.31%とは(WI取引ですが)ちとやり過ぎなのではないかと思うのですが、今の「目標誘導金利がゼロ近傍なのに現先レートが0.1%」っていうのを見せ付けられると足元金利が0.25%に引き上げになった後の現先レートがもう少し高くなるという仮定を置きたくなるのも判らんでも無い。あたくしとしてはこの上昇は(1)資金繰りに慣れない人たちが右往左往している(2)誘導目標が「ゼロ近傍」という曖昧な数字になっている(3)そもそも当座預金残高を一方的に削減する過程なので足元資金の需給が逼迫しやすい(金利政策に移行した後のほうが調節をやり易くなる)というような複合要因だと思うので、政策変更後にはこのスプレッド縮小すると思うんですけどね。
しかしワケワカランのは2年とかの売りですな。1年近辺とかにも売りが出てたよう(そうじゃないと値付け修正しない)ですけど。
○初夏なのに風雪
金曜日に風雪注意報をだしたのですが、案の定ヨタレポートが散見されておりました。典型的な珍説に関して一応否定コメントを、ってお前は日銀かと言われそうですが(苦笑)。
金曜に見た珍説の中で一番トンデモだとある意味感心したのは「市場金利上昇を容認する形でゼロ金利解除前にロンバード金利の引き上げを行うかもしれない」という代物。しかも本人大真面目に論じているようなのがキングオソロシス。
日銀の金融政策は金利誘導政策に移行しておりますので、市場の金利が上昇したからそれに併せて容認するというのは政策ロジックから言って有り得ません。量的緩和政策の時の建前は市場金利の変動を容認しつつ量を潤沢に供給でしたが、この珍説を唱えるお方はどうもその辺をご理解しておられないのではないかと思料。知らないのならストラテジストとしての能力が甚だしく欠如しておられますし、知ってて書いているのであれば風雪のルル(仮称)ではございませんでしょうかねえ。
だいたいからして日銀による補完貸付の金利って金融政策決定会合議決事項だと思うんで、通常の政策委員会でしらっと対応する訳にもいかず、そんだけの為に一々議決するかなあと思います。と、ここまで書いて気が付いたのですが、補完貸付制度の担当部局はプルーデンス(昔の信用機構局、今の名前忘れた)なんでしらっと対応できるのかもしれないです。念の為付け加えておきます(運用の趣旨から言ったら政策決定会合議決事項になるとおもうんですけど)。
確かこの先生は水野審議委員が選任された時に「財務省陰謀論」を唱えて市場の失笑を買っていたような記憶が思いっきりあるのですが、んな事は有り得ないのは木曜にご紹介した政策決定会合における財務省出席者の発言を見れば自明でございまして、まあ寝言は寝てから言って頂きますと甚だ幸いでございます。
○ところで関連余談(金利回廊とオペ刻み幅の話)
ちと関連するけど別のお話になりますが、じゃあ金利回廊がコールレート目標引き上げ後も0.1%のレンジなのかというとそれはまた難しい話。この回廊の幅も金利の絶対水準が違えば違ってくるという方が合理的(0%の時の0.1%と5%の時の0.1%では全然インパクトが違う)でしょうが、次に引き上げる時はコール目標がたぶん0.25%になるんでしょうけど、そこでいきなり回廊の幅を拡大すると次の利上げへのやる気満々みたいに取られる危険性があると思う(例えば回廊の幅を0.25%にいきなり拡大するとかインパクトのあることをした場合ね)ので、まあ取扱は慎重にしたほうが良いかと思いますが。
もうちょっと脱線しますと3月末に日経が思いっきり外れ観測記事を書いていたオペ金利の刻み幅縮小ですけれども、まあ足元金利も上昇してるのでやり時のようにも見えますが、これまたこのタイミングでうっかり実施すると市場金利上昇容認と思いっきり取られそうですし、まあそんな事くらい日銀の中の人たちは先刻ご承知だと思いますので、これもやるなら無担保コール誘導目標金利の引き上げ後に実施する事になるんでしょうな。
ではでは。
2006/05/26
お題「ちと早い気がしますが岩盤到達」
岩盤云々は本石町日記さんの表現を拝借しております。こちらのエントリーに解説がありまして、本石町日記さんの見立てに同意するものであります。よってこちらをご参照ありたし→http://hongokucho.exblog.jp/4796203/
・・・・だと話が終わってしまいますのであたくしなりに能書きを垂れる事と致したく存じます。
○まあ概況をつらつらと
一昨日はCPの発行レートがまたまた上昇。24日の駄文で書きました足元のGCレポレート上昇がモロに響いてきまして、どう考えても政策金利がゼロの筈の6月中盤エンドの最上格CPでも発行利回りがさっくり0.1%以上の図になりました。6月半ばのエンドで0.13%だの0.15%だのというレートでロンバートより高いとはこりゃまたって感じではございました。で、一昨日の引けの時点でGCレポレートが0.1%まで到達した雰囲気。
そんな状況になった上に、24日の駄文でも触れたように、GCがロンバードより高くなっても理屈はおかしくないという説が(確かにそう言ってしまえばそうですが、幾らなんでもそれはちょっとやり過ぎのような気がする)浸透するわ、24日締めて見るとロンバード貸出が1000億円新規実行になっている(ということは誰かが借りたということ)わという事で、雰囲気は朝から良くありませんでした。
で、25日は朝っぱらからコールには取り上がりがあるわ、現先レートも上昇するわなところに来て、背景がさっぱり判りませんがスワップ発だと思われる2年債の叩き(朝からいきなり3毛甘)やら金先ヘロヘロ(しかし6月限が引けてみたら4.5ティック下落ってそりゃ何よ)で極悪の雰囲気だったところで、やっと打って下さいました即日オペ。
即日オペオファーでいきなり債券先物は戻っておりましたが、肝心のオペ結果を見ると落札利回りは平均0.081%だわ(最低は0.073%)5000億円のオペレーションに対する応札が即日スタートのオペレーションだ゙というのに2兆5246億円もあるわでその応札の多さと落札レートの高さに地合いの極悪さが露呈されてまたビックリという毎度お馴染みのパターンで更にレート上昇。
午後には資金不足日の30日にスタートする本店手形買入オペがオファーされたのですが、この結果がまた頭痛モノの数字でして、5月30日スタート6月6日エンドというショートタームでしたが、これまた5000億円のオペに対して応札総額は3兆5442億円と益々増殖。落札利回りの方がもっと酷くて平均0.114%で最低が0.109%とロンバート貸出レベルを超える利回りともうダメダメ状態。その札の状況だと0.12%とかで応札した輩もいたわけでしょう。おまいらロンバート使えよ。
という訳で、もうだめぽ状態になって前日0.25%での入札になっておいおい状態だった3か月FBが0.28%ヒット(←追記訂正です。0.28%ヒットしたのはWI取引でして、390回債の出合いは0.26%の後0.255%でした。大変に失礼しました。まあ金曜にはなおのこと売られまくってましたけど)されたり、2年カレントがまた0.8%になってみたりと悲惨な状態(さすがに安値からは盛り返しましたが)となった後であります引け後のGCレポ取引では30日スタートの翌日物取引が堂々0.1%からさて幾らでしょうかねえ状態になっておったようで、甚だ遺憾の限りでございます。いやはや。
・・・・とまあ現象なら書けるのですが、さてその背景は一体全体何なんでしょうかねえ。
○さっぱり事情は判らんが色々と考えてみる
まあ妙に早い気はしますが岩盤に到達しちゃいましたなあというのが上記の短期金利上昇の根底にあるのは確定と致しまして。
朝からスワップだの金先だの2年だのが売られていたのはまた面妖な話で、こっちはこっちで金融政策に絡む思惑でもあったのかもしれませんが、まあ朝っぱらから売り売りだったので、海外なのか銀行ALMなのか知りませんが、まあ何をやってるんだか。
何と申しますか、海外勢やら銀行ALMやらが振り回す主戦場では金融政策に関する思惑も極端から極端に振れる傾向があるのではないかといいたくなる状況で、5月に入ってからは「6月利上げで今後も継続して利上げか」→「火消しと株安を受けて今度は7月の利上げも難しい」→「何だか要因判らんですがまた早期利上げ?」というような感じでぶれる事ぶれる事。
で、デンと構えたいのですけど何せ参加してる人も時価会計に洗われておりますので、「これはアホだろう」と思っても皆が集団脱走状態になっているときに一人で向っても押し流されて時価会計でやられ発生の図。よほどタイミング(と参戦時のポジション量コントロール)を考えないとこういう極端に振れるマーケットでは逆張りは順張り集団レミングに押し潰されるのが関の山。なかなか難しいですな。
こっちの動きが良く判らんかったのですが気になるところです。
さてまあその岩盤到達ですが、12兆ちょっとで到達とは随分早い気もしますが、資金繰りにバッファーを確保しながら動く人たちが多いとか、どうせ大して金利付かないからブタ積みしておきましょうっていう余裕資金も結構多かったということでございましょう。いやしかしこうなると福井総裁の先日の6−7兆円発言は結果としてお笑いになっちゃいましたな。だから判りやすく答弁しようというのは判るんですが、具体的な数字への言及ってのは止めとけって感じです。
まあこのちと高めの水準にある岩盤ですけど、これだけ金利が上昇すると偉い人から「あー、金利水準がこれだけあるようだが資金繰りは効率的にやっているのかねチミチミ」などという声が飛んでくることも想定されますので(^^)、そうなりますとこの岩盤の水準も徐々に下がってくるのでは無いかと思料されます。
と、冒頭でご紹介した本石町日記さんのエントリーの見たてと同じ話になってしまいました。
○まあ厳しいのは来週一杯までですかねえ
来週の金曜日は税揚げ日に当たりまして大幅な財政揚げ超。決算納税とか夏季賞与資金とかの法人資金需要も高まる時期になりますので、まあ来週一杯は資金繰りに関しては結構保守的に動かざるを得ないという話になりますので、とりあえずこれ以上ガンガン金利上昇するってのも無茶ですけど、じゃあ金利が下がるかというとそれは中々厳しいかなあという感じ。
まあ税揚げ超えたら少しは落ち着くかと思うのですが、そうは言っても金融政策決定会合日を控えると先日付スタートの取引が縮小するでしょうし、そんな事を言ってるうちに6月20日の国債大量償還日(なので資金の出入りが巨大になって資金繰りが大変になる)がやってくるという誠に遺憾な日々は続きそうです。
まあさすがに連日0.1%以上のGC取引とかはやり過ぎだと思うが。
○風雪注意報
まあこういう短期金利の状況を見るとまたぞろ「利上げの準備だ」とか「短期金利の上昇容認」とか言って「政策金利早期上げ」とかいう輩が出てくる可能性が高いのですが、あくまでもこれはテクニカルな問題であって、短期金融市場の資金の取り手な皆さんが試運転中で不慣れな為に起きた現象であるとあたくしは認識しております。
でもまあそういうのがまた出てくるんだろうなあ。CPI次第かも知らんが。
2006/05/25
お題「なかなか楽しめる議事要旨(4月10、11日分)」
昨日の3か月FB、足元GCレートの絶賛上昇を受けて在庫にしにくい人たちが続出しちゃって0.25%まで金利上昇。前週比6BPでさすがに債券先物もビックリして下がってしまいましたな。
さて、総裁定例記者会見の前にまたまたネタが出てしまったのでそちらを先に。4月10、11日の金融政策決定会合議事要旨でして、やたら強気な金融経済月報の出た会合ですが、なかなか楽しめる内容でございます。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g060411.htm
○経済情勢の見立てに関しては総じて強気
『III.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』の辺り。
『経済情勢について、委員は、わが国の景気は着実に回復を続けているとの認識で一致した。多くの委員は、外需と内需、企業部門と家計部門がともに回復し、生産・所得・支出の好循環が働くもとで、景気は着実に回復を続けていく可能性が高いとの見方を述べた。』
まあ4月上旬でしたので、強気になっているのは当然でもあります。項目別に色々な話がございますが、一々並べていると長くなるのでまあ上記URL先を見て下さい。
で、まあ内容の本筋とはちと違いますが微妙に引っ掛かる所や、ニヤリとする応酬もございました。まずは物価見通しに関するある委員の指摘。
『ある委員は、このところプラス寄与の大きい帰属家賃の上昇傾向が続くと見込まれることなどを指摘し、物価の改善傾向は明確であると述べた。』
いやこういう話で局地的な個人的感覚を持ち出して反論するのは筋が良くないのは承知の上で敢えて反論しますと時々お話してるから皆さん耳タコかもしれない都市機構の賃貸住宅(いわゆつ公団住宅)の都心部物件の入居状況。東京都区部CPIでも帰属家賃が上昇傾向だと聞いてますが(ってちゃんとお前読めというお叱りを受けそうですが)、本当に家賃相場上昇してるのかよってのは少々疑問があるんですけど・・・・どういう統計の取り方してるんだろ。
まあそれはあたくしの勘違いであることを期待致しましてもうひとつはちょっとニヤリとした応酬でして、議事要旨での順序ではさっきの前になりますが個人消費に関して。
『また、ある委員は、高額商品の販売が好調であることを指摘し、株価上昇や配当の増加も影響していると考えられると述べた。一方、別のある委員は、高額品と安値品の二極化が進んでいることや、サービス支出の回復も特定の分野に限定されていることなどを指摘し、個人消費の回復は、底堅いものの力強いとは言えないとの見方を示した。』
あたくしとしては「別のある委員」に1票を投じたいですな。
○例によって例の如く当面の金融政策運営に関する検討は・・・・
まあ市場の人たちがまず最初に読むのは『IV.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』です、などと書くと市場の人間は結局ファンダメンタルズよりも日銀の一挙手一投足重視ですかと言われそうですが(まあ全面的に否定はしにくい^^)、経済状況の見立てや先行き見通しは金融経済月報で既に公表されているのでアウトラインは判っているからということで(^^)。
で、まあこちらの部分ですが、またまた何と申しますかツッコミ所の多い議事要旨で本業多忙でネタ検討の時間の少ない昨今のあたくしにとっては干天の慈雨(^^)。
○議事要旨公開が昨日でよかったですねえという部分
当座預金残高削減の短期金融市場への影響に関連して、頭の痛くなる指摘をしている人がいます。
『この間、別のひとりの委員は、市場では早期のゼロ金利政策解除観測が強まりつつあると指摘したうえで、あまりに早いペースでの当座預金残高の削減は、こうした思惑に拍車をかけるリスクがあると述べた。』
好意的に解釈すれば、だからこそ当座預金残高の削減ペースと先行きの金利変更はリンクしないという事を日銀として強調する必要があるって言ったんでしょう。というかそうであることを期待したい。そうじゃないなら何考えてそんな発言したのか訳判らんですな、お前はどういう理解になっているのだと小一時間。
○「物価安定の理解」はインタゲではありません、だそうです
まあとっくの昔にそういう話になってはいるのですが。
『何人かの委員は、一部に「中長期的な物価安定の理解」で示した物価上昇率を、先行きの政策変更のタイミングと直接結びつけて理解する向きがあると指摘した。これらの委員は、「中長期的な物価安定の理解」は、現時点において、各政策委員が金融政策運営の判断に当たって物価が安定していると理解する物価上昇率を示したものであり、インフレーション・ターゲットや物価安定の数値的定義とは異なるものであることについて理解を得る必要があると述べた。』
で、まあその先にも議論が続いておりますが、引用を始めると全部引用することになりそうなので上記部分だけ引用しました。結局鵺というかコウモリのような「理解」でございましたちゃんちゃんってところですな。
○ここの件が良く判らんのだが
何か難しそうな話をしているのですが、どうもこの政策委員さまにおかれましては中央銀行がインフレ期待(と書くと一般ピープル的な印象がアレなので、「物価安定期待」などと言い換えた方が吉なのかも・・・)の安定化を中央銀行として主導的に行うというのは否定的なんじゃないだろうかと読んでしまったのですが、ちと長いですけど引用します。
『ある委員は、わが国の場合、海外主要国に比べて過去の平均的な物価上昇率が低いため、物価が安定していると家計や企業が考える物価上昇率が低くなっているとの考え方について、「フォワード・ルッキングな期待形成を理解していない」との批判があることに言及した。』
『この委員は、わが国では、物価の安定に対する認識が過去の経験に即した形でバックワード・ルッキングに形成されている部分が少なくないとの実証分析を紹介したうえで、こうした期待形成から乖離した物価目標の設定は、インフレ誘導的であると受け止められるリスクがあると指摘した。そのうえで、この委員は、バックワード・ルッキングな期待形成は、経済構造の変化に伴って比較的短期間で変化する可能性があるため、定期的な見直しが重要であると述べた。』
それこそレジーム転換をしましょうかどうですかって論議なのではないかと思ったのですが。まあ現状維持で行きましょうって見解なんでしょう。反論らしきくだりが無いのは今回意見開陳モードだっただけなのか、誰もレジーム転換には興味ないのかは判断致しかねますな。
○情報発信は慎重に
『先行きの金融政策運営について、委員は、量的緩和政策解除時の公表文に示したとおり、経済がバランスのとれた持続的な成長過程をたどる中にあって、物価の上昇圧力が抑制された状況が続いていくと判断されるのであれば、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境を当面維持できる可能性が高いということについて、十分説明していくことが大切であるとの認識を共有した。』
まったくその通りでございますな。
『この点に関し、何人かの委員は、市場において金融政策の先行きに対する関心が高いことを踏まえ、情報発信には慎重を期する必要があると述べた。』
この話何度も言われているのに懲りない人がいるのは何故でしょう?
○財務省の心の叫び
『V.政府からの出席者の発言』の財務省出席者発言に思わず落涙。
『前回の金融政策決定会合では、当面の金融政策運営について、「物価の上昇圧力が抑制された状況が続いていくと判断されるのであれば、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が当面維持される可能性が高い」との考え方が、全員一致で決定されたものと承知している。』
『にもかかわらず、市場関係者の間では、今後連続的に利上げが実施されるとの思惑が生じ、その結果、中短期金利が上昇するなど、金融政策の先行きについて日本銀行の決定されたメッセージを市場が正しく理解していない節も窺われるところである。』
『日本銀行におかれては、この金融政策決定会合での決定に沿って、金融政策運営の考え方を市場や国民に丁寧に説明し、市場の安定に努めて頂きたいと考えている。』
早期利上げよりも今後の連続的な利上げ(しかも速いペースでの)への懸念が債券市場にとって重いテーマになっているという事を正しく把握しておられます。しかしこの発言趣旨は泣かせてくれます。一応「市場が正しく理解していない」という表現で日銀に配慮してるようですが、まあ本音はどうなんでしょうか。
○どう見ても円環性です。本当にありがとうございました。
円環性に関しては以前ご紹介しましたけど、要するに「自分の尾を追う犬(byブラインダー元FRB副議長)」と化した中央銀行の図ですな。ちょっと話戻りまして先ほどの「当面の金融政策運営〜」の部分にこんな論議がある訳です。
『何人かの委員は、新たな金融政策運営の枠組みは、量的緩和政策のもとでの「約束」に比べて明確性を欠いているとの批判についてコメントした。これらの委員は、金利政策のもとでの中央銀行と市場との対話は、これまでの「約束」のような一方通行のものとは異なり、市場金利を仲介項としたダイナミックなものに変わっていかなければならないとの見方を示した。』
まあとりあえずここまでは良いとしましょう。というか何で今回の議事要旨は「〜との批判について言及」ってのが2箇所もあるんでしょうか??この次のコメント。何となく福井総裁の言いそうなことなのですけど・・・・
『ある委員は、この点について、具体的には、(1)日本銀行が金融政策運営に対する基本的な考え方や経済・物価情勢に対する認識を示す一方、(2)市場参加者は、これらを踏まえたうえで自らの金利観に基づいて取引を行い、(3)日本銀行は、市場動向から重要な情報を汲み取っていくという相互関係が基本となっていくと敷衍した。』
どうみても円環性です。本当にありがとうございました。
・・・だとちょっと言い方キツイかもしれないけど、どうもこの相互関係は円環性に陥りそうな罠満載のように思えるのは杞憂ですかそうですか。
2006/05/24
お題「脊髄反射は恥の元/足元金利強いです」
慣例としてオフレコになっているFRB担当記者夕食会発言を物の見事に報道しかもセンセーショナルに書かれてしまったバーナンキ議長はまあ災難といえば災難ですが、まあ遺憾ながら脇は甘かったのではないかと。個人的飲み会の席であっても政策に関する発言は慎重に願いたいものでございますな。それが偉い人の宿命でしょう。
さて、昨日瞬間湯沸しポッポーとなって書いた総裁インタビュー関連記事ですが、肝心の本物をみたら日経節が全然炸裂していない事が判明しました。昨日書いたように正しく「3時間後には書いた事を後悔する」という素晴らしい結果に相成りました。誠に申し訳ございませんが、恥を晒すためにも元々のエントリーもログに残しておくとするか(勿論注釈付き)。モーサテに騙されたよ(←脊髄反射するあっしが間抜け)。
○どう見ても(ryです。本当にありがとうございました
日経経済新聞では今日も「薄れる6月(ゼロ金利)解除」観測というお題の記事が出ているようですが、もともと「当座預金残高が所要近辺に下がったら即解除」というロジックを持ち出して6月解除説を煽ったのはどこの誰でしたっけと思いを巡らせますと、昨日の総裁単独記者会見(実質的にインタビューでしょ)の記事もふがふがもごもごなのでしょうなあという感じですな。
さてその記者会見ですが、昨日の1面トップで並んでいるヘッドラインは『金利水準ゆっくり調整』(モーサテはそれしか言わなかったけど)『「超緩和」は先行きリスクに』ということで日経とは思えない両論併記(苦笑)。いつものヨタモード全開の時はもう物凄い勢いで利上げキャンペーンあるいは利下げ(はできないのでゼロ金利永久化ですか)キャンペーンでセンセーショナルな見出しを出すのですけど、この落ち着いた内容はらしからぬの巻ですなあ。
で、冷静になって考えて見ますと、テレビカメラが入って沢山の記者が色々な質問をする定例記者会見のような場所で言ってるのではなくて本件は単独インタビューなのですから、表に出す時はきちんとした形でだせますわなあということで、その想像が出来ずに湯沸しになったあたくし思いっきり赤面モードでございます(恥)。
その内容ですが、要するに今まで総裁が定例会見や講演などでお話している事と一緒でして、改めて新聞の1面で大きく書くほどの物では無い感が。まあ強いて意味を見つけるならば、今までの日銀あるいは福井総裁の出してきたメッセージを纏めてみましたって事はあるかと思います。
#しかしまあヨタ記事全開から一転してこの殊勝な記事は一体全体何なんでしょうかねえ。
この記事は当然ながらいつも良質の記事を書くことで高名な滝田編集委員が纏めているようでして、滝田さんのコラムというかまとめも1面にあるのですが、ここのコラムが少々アレな香りが致します。何せあなたコラムのお題が『市場味方に政策変更探る』ですよ先生そりゃ一体どういう事ですか。
市場の大方の予想を裏切って強引に地均しをおっぱじめて(そこまでして急ぐ必要があったのか疑問な)量的緩和解除の前倒しを行ったのは日銀様でございまして、量的緩和解除直後には某審議委員様が中立的な金利がどうこうとか言い出してみたりしてましたし、前のめり姿勢と取られても仕方のない態度を散々出してたのはどこの誰だったかと申し上げたい訳ですよ、ええ。
で、滝田編集委員さまのコラムの纏め部分が香ばしい。
『悩ましいのは、ゼロ金利を解除すると、市場が次の利上げを催促する点だ。』
別に政策当局が前のめりな姿勢を出さなきゃ誰も次の催促なんてしませんが何か????この「市場を味方に」ってのはこれから市場が成熟するから味方につけようって話なんですよきっと。いやあすばらしいなあ(棒読み)。
『日本ではインフレ圧力が比較的抑えられていることを念頭に、総裁はあえて「金利水準の調整はゆっくりと実施することができる」と語る。均衡点を探る市場とのつばぜり合いに向けた、総裁なりのヒントだろう。』
火消しサポートご苦労様ですが、これも落とし穴がありまして、会見ベースなどでは強調してないですけど、先日ご紹介した講演なんかでもグローバルなインフレ抑制のメカニズムが変化するリスクだとか懸念してたりしますし、そもそもこの「ゆっくりと実施」ってのはFRBの利上げプロセスで声明文にあった「measured
pace」を念頭に置いての表現ですけど、ペースはゆっくりでも金利引き上げ回数は判らんのでして、ゆっくり実施必ずしも利上げ全然しないという話ではないでしょうな。
それにしても何と申しますかアレな滝田さんのまとめ。これはどう見ても(以下自主規制)です。本当にありがとうございました。
○足元金利はまた堅調
昨日の債券市場も2年とか5年とかやたら堅調で金利絶賛低下していましたが、その一方で足元に関してはGCレポレートがやたら高止まり。当座預金残高が減ったとか、国債発行日要因だとかいう理由で金利が上ると中々下がらんという図には、短期市場参加者の寡占化に伴うパワーゲームが本格化してきているという香りがして誠に遺憾極まり無いのですがまあそれは兎も角。
GCレポレートは0.09%中心という状態になっていたようでして、もうすぐロンバートじゃねえかと言いたくなりますが、ロンバートの場合は担保掛目の問題があるので必ずしも0.1%がレポレートの上限ではないのではないかという理屈まで流布される始末で金利が下がる気配なし。
足元金利の誘導目標が「ゼロ近傍」というやや曖昧な数字になっているのも高止まりの原因なのかもしれませんなあとも思うのですが、無担保コール誘導目標金利から0.1%近く高い金利になるってのは幾らなんでもスプレッド付き過ぎじゃねえのかと思う次第です。まあ資金の出し手が出し手だから仕方ない面もありますけど。
SCレポレートもやっと普通の銘柄でプラス0.02%くらいまでは上昇してきたようですので、ややマシになったとは言え、GCとSCのスプレッドが7bpもあると証券会社の対顧ディーラーはコスト増要因で困りますなあという感じですね。
GCレポレートが0.09%とかまで上昇してるので、1か月ものとかの金利が引っ張られて上昇しておりまして、それに対して1年以上の金利は低下って図になっておりますので、他の外部環境を完全に無視しますと(笑)利上げをしたい人にとってはウハウハの展開になってますな(足元金利の上昇影響が軽減されて、中長期金利ののりしろが出来ているから)。まあどうでもいいですが。
本日の3か月FB入札はそんなわけで足元の現先やGC金利の影響を受ける(先週の入札の時は0.04−0.05%だったのが0.09%に上っている)ので、前回の0.2%割れから今回は0.22%近くまで金利上昇すると思いますが、そんな事情がありますので金利が上昇しても余り驚かないようにお願いします。
では。
2006/05/23
お題「過ぎたるは及ばざるが如し/GCレートまた上昇」
日経1面に福井総裁のインタビュー記事があるらしいので総裁記者会見ネタを変更して記事も見ないで瞬間湯沸しポッポーをするのでありました。モーサテで紹介された部分に脊髄反射で書いてますので、インタビュー内容を思いっきり勘違いして書いているかもしれないという不安がありますが、たまには勘弁ね。
#いつも瞬間湯沸しポッポーだろうってツッコミはしないように。
(追記:記事を見たら思いっきり不安が的中しました。詳しくは24日エントリーをご覧下さいなのですが、こりゃまたいきなり「日銀の見解をだだ流し記事」とはどういうことでしょうかねえ。よって火消しにはなっていない内容でありました。
○これ以上の火消しは逆方向の期待を煽ると思う
どうも日経の1面で福井総裁が火消しインタビューをやっているようです。内容を読んでない(モーサテでさらっと紹介されているだけなのを見ただけ)ので何とも言えませんが、ちと如何なものかと思いますけどね。
理由は2つありまして、1つ目はタイミング。インタビュー日程自体はもうちょっと前に決まってたと思うのですが、金融政策決定会合で火消しをして更にここで火消しをするという意図があって設定したと思うのですが、市況的には(株安進行が一番効いてるとは思うが)2週間前の6月利上げ懸念騒動は片付いてり、5年国債金利が1.5%近辺から1.3%近くまでと低下しております。イメージ的には年内3回弱の利上げを織り込むような状況から既にまあ年内精々2回っていう状況になっているのですが、ここで早期利上げ懸念の火消しをするのは最早火消しじゃなくて逆方向への火付けになってしまう懸念が大有り。まあ内容見て無いのでそんなに火消し内容じゃなかったらゴメンナサイなのですが、まあどうせ報道してるのが日経新聞なので、ヘッドラインの書き方がバイアス掛かりまくりでしょう。
火消しもやりすぎると今度は逆方向への期待を煽るわけでして、正直言ってその按配って難しい(今回のインタビューもタイミング決定したのはもうちょっと前でしょうから)とは思いますが、火消しと地均しの繰り返しみたいになると期待の安定化も市場との対話もあったもんじゃないと思います。変に逆方向の期待に火がつく前に株価が反転してくれりゃあ大丈夫でしょうけど、何か全然総悲観にならないですからねえ(苦笑)。地均しやり過ぎ→金利無駄に上昇→慌てて大いに火消し→金利無駄に低下→最初に戻るというマッチポンプ循環はある意味オモロイけど政策としては如何なのもかと。
で、まあ2つ目の理由は日経から怒られそうですが、敢えて書きますと「何も日経新聞単独インタビューすることはねえだろう」という所ですな。そもそも今回の6月解除観測騒動は日経金融の暇ネタみたいな記事で、あまり意味のある内容とは思えないものが海外市場で一人歩きしたのが元々の発端(まあ展望レポートが強気ガンガンだったというのもありますが、それで売られているのであれば連休の谷間にもうちょっと売られて然るべきでしたわな)でしたな。確かに日経の1面に出ればインパクトはでかいからそういう選択をしたのかもしれませんが、何も騒動の発端になった日経新聞で火消しをやるこたあねえだろうと思うんですが。
#まあその暇ネタ記事がさもありなんと思われるような動きを今までやらかしてきているというのもあるんですけど。
大体からして金融政策に関して訳のわからんヨタ記事や観測記事を出すのは日経新聞系列に目に付く(というか他の一般紙が全然この点をフォローしないから書く全国紙は日経新聞しかないという点では同情の余地は無いわけでもないが)訳でして、あたくしもしょっちゅう悪態をついているんですけど(一部には素晴らしい記事もあるんですけどね、為念)何だか脱力しちゃうよパトラッシュといったところでございますな。
ヨタ記事が余りにも目につく日経新聞に反省して頂く為にはこのインタビューを他所の新聞でやった方が吉だという発想をするのはあたくしの人間性に問題がありますかそうですか。
#などと好き放題書きましたが、肝心の記事を見ないでこんなに書いた自分を3時間後には後悔するのではないかと思料(笑)。
○GCレポレートまたまた上昇
先週は22日の国債発行日要因とかいう言い訳が発生したためにそれまでの0.04%近辺から0.06%近くまで上昇したGCレポレートですが、昨日は25日スタートの翌日物取引が25日の国債発行日要因という名目でまたまた上昇。0.08%−0.09%ともうちょっとでロンバートですけど良いんですかそれってレベルまで上昇。
言い訳が発生するたびに金利が上昇するという如何にもアヤシイ価格推移なのは資金の出し手が限られていてふがふがもごもごなのが要因なのではないかと思料されますが、それにしてもまあロンバード近くまでとは随分上ったもんでございます。
一方でTBFBやCPのレートを見てると足元はGCレートの上昇に引っ張られてやや上昇気味、というか6月償還や7月償還のFBなんかが重そうな感じでして(だからGCが上がり易いのだが)、人の懐具合は知りませんが、当座預金残高削減に伴って「ゼロ調達の資金潰しにFB購入だぜベイベー資金繰りのバッファーにもなるぜベイベー」っていうFB需要もだいぶ減退してるんでしょうなあという感じ。FBがちと重めの為にCPレートとFBレートのスプレッドは相変わらず縮小したままという感じ(先々週はFBレートが先行して上昇したので一時的に官民逆転状況が局地的に散見されましたが落ち着いたらさすがにそれは解消)ですな。
GCレートが上昇するとTBFBレートなどにも影響を与えるので、ターム物金利が高止まりする要因にもなりますし、GCレートの上昇にSCレポレートの上昇が中々追いつかない(SCレポで玉を放出する人は基本的に投資家で、現状はまだ金イラネ状態の人が多く、レートを上げてでも放出するインセンティブに乏しいかと)ので現物債のマーケットメイクをしている業者から見るとコストの上昇につながります(マーケットメイクするとどうしてもロングショートのグロスポジションが増えるので)のでちとしんどいでしょうな。まあ色々と影響が及んでくるわけです。
だからどうしたと言われると困りますが、コールレートの上昇がまだ大したことの無いうちに先行して随分上昇したレポレート、さすがに0.1%を超えるのはアホですので(ロンバートがあるから)これ以上はようやらんとは思いますけど、まあ火消しで長い金利が低下してますが、地味に足元はジワリ上昇という所でしょうな。
#で、総裁記者会見に関しては今日は書く時間なしなので後日。何か今回は妙に味がありそうですけど。
2006/05/22
お題「あとは気合の問題になっていますな」
先週末の決定会合は当然ながら現状維持。で、出た金融経済月報もまあ予想通りに先月の展望レポートの継続という形で強気の内容です。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0605.htm
○現状は同じなのですが
『わが国の景気は、着実に回復を続けている。』から始まる現状認識部分ですが、こちらに関しては4月分で入っていた短観に関する記述(業況感)が抜けているだけで表現はまったく同じです。引用してると量が長くなるので引用割愛。
○先行きは「拡大」で需給ギャップはゼロ近傍
既に報道されていますのでご存知とは思いますが、先行きの見通しが「回復」から「拡大」になりました。利上げする時にはさっきご紹介した現状の「回復」も「拡大」の表現になるんでしょうなあ。
(5月)『先行きについては、景気は緩やかに拡大していくとみられる。』
(4月)『先行きについても、景気は着実に回復を続けていくとみられる。』
ということで、回復じゃなくて拡大ということですから、あとは現状が「景気拡大局面」という認識になれば政策金利の引き上げ(調整って言い方になりそうな予感)を躊躇する理由は無いという理屈になりますな(本当に大丈夫かどうかは知らんが)。
ま、問題は先行きに連続利上げがあるのかどうかって話でして、どうも3月に量的緩和を頑張って解除した実績を踏まえると慎重な利上げじゃなくて積極的にやるんじゃネーノって不安が起きやすいわけでございますな。それはともかくとして先行き見通しの中身の部分には需給ギャップゼロ話が。
4月に『すなわち、各種の過剰は解消されてきており、企業の雇用不足感が強まるなど、経済活動の水準は高まっている。』という表現で強気のラッパが鳴りましたが、今月はと言いますとこんな感じ。
『すなわち、マクロ的な需給ギャップは、長く続いた供給超過状態が解消し、現在はゼロ近傍にあるとみられる。』
ま、展望レポートでも同じ話がございましたので、特に驚くには当たらないのですが、『各種の過剰は解消されてきており』ってのが4月中旬の金融経済月報で最初に出たと思ったら、4月末の展望レポートと今回では堂々「需給ギャップゼロ宣言」ということで、いやあずいぶんときゅうそくなけいきかくだいきょくめんですなあそりゃたいへんだあ(棒読み)。
で、このあとの内訳部分に関しては4月と同じ表現です。こちらも面倒なので引用割愛。
○需給ギャップが解消したからCPIも
物価の現状は同じですが、先行きに関しては当然ながら需給ギャップが解消してるから上昇って話を付け加えております。
(5月)『消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップが、今後は緩やかに需要超過方向に向かっていくとみられる中、プラス基調を続けていくと予想される。』
(4月)『消費者物価の前年比は、需給環境の緩やかな改善が続く中、若干の振れを伴いつつも、プラス基調を続けていくと予想される。』
どう見てもプラス方向一点張りです。本当にありがとうございました。
○小まとめ
まあ手を変え品を変え金利引き上げ方向の理屈が繰り出されるもんですなあという感じですが、展望レポートに引き続き「あとは気合の問題」という状態になっていますなあという所でしょう。今度はさすがに6月に利上げはやらないと思うんですが(やったら年内3回利上げのリスクシナリオが急速に意識されると思うんでそこまでやるかなあって思うのですが)。
○記者会見に関してメモメモ
記者会見に関しては例によって日銀が会見要旨をWebに公表してから改めて読んでみたいのですが、ニュースベンダーの記事を参考にして気が付いたところをメモメモ。
・潜在成長率上昇というお話
福井総裁は経済の先行きの判断上方修正に関してこんな話をしておりました(以下福井総裁の発言のソースは19日18時35分配信のブルームバーグニュース)。
『(景気の先行き見通しについて)「拡大」という言葉を使ったが、ますます成長率が上がるという意味ではなくて、成長率自身は成熟段階に入ったので、(1%台後半の潜在成長率に向けて)徐々に減速していくと想定できる』
するってぇと成長率は上らないけど実質金利は益々マイナスになるので、名目金利の調整が必要ですかそうですか。
・インフレ懸念の話
先週月曜日の講演(火曜日にご紹介して、木曜に補足書きましたが)でも触れられていた「インフレ懸念」(!)ですが、世界経済の動向をどう読んでいるのかって質問の時にここぞとばかりにコメントしてますな。
『一方で、グローバル経済なので、末端の消費者物価指数が上がりにくい状況が続いているが、それでも、物価上昇圧力がじわじわと感じられるという状況になっている。従って、世界の中央銀行の金利政策は、極めて慎重だが、緩和の度合いを若干調整する方向で動いている』
だそうですが、FRBって現状中立金利に近いってステートメントになってたような気がするのですがまあそれはともかくとして、物価上昇圧力という直球を投げ出しましたなあという感じ。
ついこの前までは「物価が急激に上昇しにくい経済環境が続けば極めて低い金利の状況を継続できるでしょう」ってお話だったのですが、その話がいつの間にか華麗にスルーされだしたなあと思っていたらここへ来てインフレ懸念ですかそうですか。
・当座預金残高の話
当たり前ですが「6ー7兆円は数字の縛りではない」って話になっていました。今回は6−7兆円発言を捕らえて訳のわからんヨタ記事が出るという事も無かったから良かったんですが、真意を間違って報道されやすい表現は避けて頂きたいと切に願います。
『当座預金残高が何兆円になったら、ということで数字でこだわるのであれば、数字は全部お忘れください。要するに、将来、限りなく時間をかければ、所要準備額に近づいていくとはいえるだろうが、それ以前の段階で、過剰な流動性の吸収プロセスが概ね終わったと言える段階というのが何兆円になったら、というのは分からないと思う』
『われわれのターゲットはあくまで無担保コール翌日物金利でゼロ%近傍なので、それ(当座預金残高)をどんどん数字を低くすれば良いという調節はしない』
当然の発言でございます。でも本当は国会でその話をすれば一々今回説明する必要無かったんですけどね。国会答弁は鬼門ですな。
2006/05/19
お題「大してネタも無いので与太話雑談」
日本株はまだまだ総悲観には遠そうな感じだと見るとどうもこう如何なものかという状況ではございます。誠に困ったもんだ。
○短期市場メモ
ネタが無いので市場雑感。そういえば全然断りもなく短期市場雑感とか言ってますが、インターバンク市場の話は正直よー知らんので基本的にお話してるのはオープン市場という奴の話でございます。コール市場がインターバンクで、銀行以外(証券とか投資家)も参戦してくるその他の市場を一般にオープンと言うと思いますが、金融機関の資金偏在状況が変化した現在はそういう区分けをすることもどうなんでしょ。
短期国債市場は入札前と入札直後は大いに盛り上がるのですが、昨日はまあ当然のように平穏な相場。つーか業者間取引も閑散でしたが、総じて買いあがるような雰囲気はないけど下がったら買いが来そうな感じ。今のところは3か月で0.20%とか1年で0.5%とかになると在庫は捌けますなあウッシッシと逝った所でしょうか。当たり前ですがそういう状況ですから下叩き攻撃も観察されず。
とは言え、GCレポレートがまたまた上昇してまして、一昨日取引されていた22日スタート23日エンドのGCレポレートが国債発行日要因で0.04%からやや強含みという感じ。昨日は国債発行日要因が剥落するから下がるかなあと思っていたら何の事はない23日スタートの翌日物GCレポレートは上昇してしまいまして0.05%−0.06%と上昇。まあ背中にロンバートがあるのでそうガンガン金利が上昇することも無いと思うのですが。
まあちと気がかりなのは全店買入手形の7月19日エンドが平均落札0.124%の最低落札0.112%で、レートがしらっと上昇している所でしょうか。まあ6月の政策金利引き上げに関しては必ずしもノーケアーとは言えないということで。
○記者会見想定問答(^^)
ネタ無し業務多忙の折ですが、まあつらつらとしょうもない事を想像。
本日の決定会合の政策アクションについては当然ながら皆さんノーマーク。注目されるのは金融経済月報と記者会見ですが、月報の方は展望レポートの時点で利上げ体制磐石でございますのでそんなに驚倒するような内容は出てこないと思いますので、気になるのはやはり記者会見ということになります。
で、まあ誰かがどうせ先日の国会答弁の真意について質問をすると思う訳ですが、「当座預金残高6−7兆円」についての想定解答を勝手に考えてみるとこんな感じでしょうか(^^)。
当座預金残高の6−7兆円という数字を殊更にとらえて金融政策との関連性を論じるのであればそれは先日の国会での発言を誤って解釈している。答弁で言及したのは所要準備額の水準にほど近いところまでの残高引下げというのが趣旨であり、一定水準への引下げを意図しての発言ではない。
えーっと、こんな感じでどうでしょうか(^^)。
まあ先日の6−7兆円という数字に関しては「今の市場環境では(郵政公社預金がぶれる上に資金繰りのバッファーでブタ積みは残ると思われるので)そこまで当座預金を本当に落としたら大変なことになるからやらんでしょ」という事であまり材料にならなかったのですが(ならないのが当たり前)、まあ何せ我が国には金融政策に関してヨタ記事度の高いネタを投下するのを得意とする経済のクオリティペーパーがある訳でして(-_-)、当座預金残高と金融政策をリンクさせて変な観測記事を出す可能性も否定できません(つーか別件で既に書いてるし)。
そうするとその記事を読んだ海外投資家と言われる人が早速ネタにして動くのか仕掛けるのか知らんですが、妙な撹乱要因になっちゃったりするので、その某新聞社への啓蒙も必要かと存じますので本件については誰か質問してくれると良いなあと思うのでありました(笑)。
その他想定されるのは為替と株についてでしょうが、内心はともあれ、公式としては「金融政策は中長期の経済状況を見て物価の安定を目的に行う」ということになると思うので、そんなに配慮した発言が出るとは思われません。
とは申しましても実は気になるのは福井総裁発言がまたぞろ「サービス精神旺盛」モードになってきてないかというところ。量的緩和政策解除直後は別としてそのあとからの総裁発言は慎重に言葉を選んでいる感じはしていたのですが、月曜の火消し発言や火曜の火消し発言(早期利上げ観測に対して「極めてうがった見方」というフレーズを使うとか)にはどうもこうサービスフレーズ復活の香りが漂っておりまして、どうなんでしょうなあって感じです。
いやね、福井総裁のサービスフレーズって情報ベンダーでヘッドライン打たれると市場が過剰反応あるいは誤解しやすい要素が多々あるんで、余計な撹乱要因になるのよ。まあ動くのはオモロイけど、そういうもんじゃないですからねえ。
ま、総裁会見に注目ですな。
○埋め草メモ:経済財政諮問会議(5月10日)
与謝野大臣の会議レポートってのが先行して出るのですが。
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2006/0510/report.html
この最後の辺りに与謝野さんがこんなことを。
『総理からは、今までも、補助金、税源移譲、交付税のいずれの改革も難しいから、三位一体でやろうと言ってきた。ようやく芽が出てきたのだから、一体でやらなければならない。どうして権限が好きなのか。もともと「自治」省なのに、「中央集権」省と勘違いしている。国は権限を離そうとしないが、どうしてそんなに仕事が好きなのか。財政を含め、地域の特色が出るのは当たり前。といった発言がありました』
また与謝野VS竹中か!ということで議事要旨発表をワクワクしながら待っていた人も多かったかと存じますが、一昨日アップされておりましたな。(例によってPDFです)
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2006/0510/shimon-s.pdf
くだんの発言は最後の最後でございます。
#で、おしまいかよ!と言われそうですが、まあ自分用備忘録ということで。
2006/05/18
お題「市場雑談/これは「理解」の骨抜き作戦ですか?」
前もそんな話してましたと思いますが、小泉さん総裁選前に支持候補を表明ですかそうですか。最後に来て院政希望のようで実に香ばしい。まあ政治家らしいちゃあ政治家らしいのですけどね。
PPIで金利低下してCPIで金利急上昇とは米国もお忙しいところでございますが、まあ福井総裁の月曜の講演にある「低インフレと経済成長がいつまでも並存すると思ったらそれは如何なものか(思いっきり意訳^^)の図はまあ米国のお話っぽいですにゃ。日本の場合そこまでやるもんなのでしょうかって気は少々致しますけど。
さてここの所本業が多忙を極めているので短期市場の話と雑談を少々と先日の続きの雑感と逝ったところでご勘弁。
○6月利上げ懸念はさすがに後退ですか
昨日は3か月FBの入札が行われましたが、その結果はと申しますと先週金曜の3か月FBから利回りは低下。前回の平均落札利回りが実質0.205%(財務省発表の数字は経過日数を1日多く計算してるので市場での呼び値利回りと微妙にずれます。って言うか特殊利金無くなったんだから財務省発表の利回りは経過日数を片端入れにした方が良いんじゃネーノと思いますが)でしたが、昨日の平均落札利回りは0.193%と大体1BPの利回り低下。
この間、償還日が1週間長くなっている訳でして、その点を考えると利回りが上昇しても全くおかしくないのですが、0.20%のビットが確りでその買いを背に利回り低下ということで、これを見ると6月利上げのリスクシナリオはさすがに懸念後退といったところでしょう。
とは言いましても、昨日ご紹介した福井総裁国会答弁によりますと「あと数週間」で「当座預金残高6−7兆円」ということですから(実際問題としてはテクニカルな問題があって6−7兆円には下げられないと思いますが)、政策金利引き上げの前に足元金利というかレポや現先金利は上昇しやすくなるものと思料されますので、6月利上げが後退したから3か月ものをガンガン買うってわけにも逝かんのでしょうが。
まあ本当に考える時はもっと細かく考えますが、超イイカゲンにシナリオ作ると、保有期間3か月の間の現先利回りを手前の1ヶ月からそれぞれ0.05%、0.1%、0.3%と置いてそれを3か月で均すと0.15%。実際は政策金利が引き上げになった後に0.1%の逆鞘状態が(7月利上げだとして)1か月も続くというのはその前に鞘取れてるとしても運用サイドとしてはしんどいものがあるので、7月の利上げ観測があると中々そこまで金利低下はしにくいかとは思うんですが。
・・・つーか、6月利上げってのはリスクシナリオとしてあるかもしれないねってのは兎も角、ユーロ円金利先物の06年6月限の動きにみられた6月利上げ本気で1点張りみたいな人はさすがに短期市場にはいなかったものと思われます。よって6月利上げ懸念後退とか言われても「はあ?」って感じではあるのですが、まあそう言うしかございませんので、そういうことにしておきましょう。
#問題は連続的な利上げペースが速いんじゃないかという懸念なんですけどねえ。年内3回とかいう極端な話はさすがにやり過ぎでしょ(短期国債見てると年内3回なんて一度も織り込みに逝ってませんけどね、わはは)。
○月曜の総裁講演補足
何気に読んでて引っ掛かったのはコロンビア大学日本経済経営研究所の記念カンファレンス(長いよ)での講演の方でございました。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen/ko0605b.htm
火曜にちょっと引用した「いつまでもあるとおもうな経済のグローバル化の物価押し下げ効果」の先でして、上記URL先の目次の(新しい物価環境と金融政策)という所をクリックすると当該部分に飛ぶと思います。
中央銀行に対する新たな課題ということで第1にあったのが火曜にご紹介した部分ですが、第2の部分でしらっとこんなお話がございました。
『第2に、ただ今申し述べたリスクの把握という課題と関連しますが、物価の国内景気に対する感応度が低下しているということは、これまで慣れ親しんできた経済活動の「体温計」の感度が低下しているということも意味します。』
『そうなると、中長期的にみて物価の安定を実現するためには、当面の物価上昇率を政策運営のガイドポストとするだけでは不十分になってきます。より長い目でみて経済活動や物価の振幅を大きくしそうなリスクをできるだけ敏感に察知して、適切に対応することがいっそう重要になります。』
まあ目先の動きに一喜一憂しないという意味で言ってるとも取れますが、どうもあたくしこれを見るとインタゲ否定に読めてしまうんですがそれは意地が悪いからですかそうですか(笑)。
『実際、近年、先進各国の中央銀行が直面してきた課題は、必ずしもインフレやデフレの古典的なケースだけではありません。中央銀行は、資産価格の変動、金融システム不安、国際的な通貨危機、さらには地政学的な要因に基づく市場の不安定化など、実に様々な問題に対応してきました。』
はあそうですか。日本のデフレは古典的じゃないんですかそうですか。
『これらの問題は、一歩対処を誤れば、中長期的には経済活動ひいては物価の安定を阻害することになるからです。』
ええまあそりゃそうでございますが。
『短期的に物価の感応度が低下している分、中央銀行としては、こうした中長期的なリスクをしっかり見極めるとともに、それを国民や市場参加者に説得的に提示していく能力を磨かなければなりません。』
いやまあそれはそれで一つの見解としてそういう考えもございますなあって所ですが、そうなりますと先日出した「物価安定に関する理解」はありゃ何だったんでしょうかって話になるんですが、長期的な物価安定が中央銀行の任務としてあるというのは判りますからまあそういうものが出ても何ら不思議はないのですが、目先の物価に関して景気への感応度が低いって話をしらっとされてしまうと、あの「理解」はどういう位置づけになってしまうんでしょうかねえって思っちゃうんですが。
まあこの辺りもいざ突っ込もうとして書き物を始めると最近はめっきり書きながら色々と対抗する理屈が自分の頭の中で涌いてくるという現象が発生しておりまして(苦笑)、誠に遺憾極まりない今日この頃ではございます。とほほ。
#経済財政諮問会議の話を書く時間がなくなってしまった。残念!
2006/05/17
お題「火消しもほどほどに」
続きは明日と書きながら翌日になると話が変わるのがドラめもんクオリティでございますが(おい)、今朝の話題は福井総裁の国会答弁ということで。
昨日は参議院財政金融委員会で福井総裁の答弁があったようです。例によって例の如く国会での質疑応答が会議録としてアップされるのには少々時間がかかりますので、本日のソースはブルームバーグニュース16日11時19分配信のものからということで勘弁。後日要確認。
○あれれ、市場の金利見通しを参考にしたんじゃないの?
市場金利が上ってますがどうでしょうという質問が民主党の富岡委員から出まして(何か引っ掛け質問っぽいですが)、福井総裁はこんな話をしたそうな。
『極めて短い金利、あるいは中期ゾーンと言われているやや長い金利は、先行きの金融政策の読みを入れながら、市場金利がかなり動いていることは事実だ』
『恐らく実際に市場で資金を投入しながら、市場取引をしている本当の市場関係者は、ある程度先行きの政策金利の上昇を織り込み始めているとは思う』
『今、市場で実際に変動しているかなりの部分は、まだボラティリティ(過度の変動)というか、先行きが必ずしも読めない中で、いろいろな取引が交錯する中で金利が動いている。そういう意味で、非常に熟した市場条件の形成という段階には至っていない』
ええまあ一番ドタバタ動いてるのはスワップやらALMヘッジやらの玉飛び交うユーロ円金利先物でして、まあ過度の変動をしておりますが(笑)、ここのくだりを拝見しておりますと、市場の動きが成熟してませんとお叱りのようでございますな。ええそうですともしじょうとのたいわがうまくきのうしていませんですね(棒読み)。
で、まあそういう認識ならそういう認識でも結構ではございますが、そんなら先日の展望レポートで「各政策委員は、政策金利について市場金利に織り込まれたとみられる市場参加者の予想を参考にしつつ、上記の見通しを作成している。(皆さんご存知の脚注)」ということで市場参加者の予想とやらを参考にしたのは何だったのでございましょうかと小一時間。
しかも先物金利が参考になるとかいうレポートまで出しておいてその国会答弁は如何なものかと思いますが。「市場は特性として過剰に反応することもありますよえっへっへ」くらいの答弁にしておけば良いのに、どうしてそうサービス過剰答弁をするのでしょうかねえという所。
だいたいからしてボラティリティって用語は市場用語で使うときには上記のような使い方しませんわな。妙な使い方をすると市場が思わぬ反応をしでかすかも知れませんので一般的じゃない用語の利用は控えめに。
○投機的な動きですかそうですか
でまあその続きではこんなお話を。
『外国の金融市場でも、政策金利の変更に先立つ期間においては、実際の市場金利に確信を持って織り込む部分と、まだ確信が持てず、さまざまなボラティリティが入ってくる局面がある。日本は今まさにそういった状況にある』
そのボラティリティという言葉の使い方は物凄く意味不明です。
『これから展望リポートの内容が更に織り込まれ、実際にこれからの経済・物価じの推移を見ながら、より確信を持った織り込み方がなされる。つまり、市場が熟していく、そういった段階にこれからだんだん入っていく。今の市場を見て、何かボイスが発しておられる方はかなりスペキュレーション(投機)が入っていると思う』
ここのくだりも微妙に意味が判らんのですが、市場が日銀の連続的な政策金利変更を織り込みに逝ってしまってますなあとか言ってるあたくしも投機が入ってますかそうですか。
まあとりあえず市場の金利上昇観測を冷やしたいのは判るが、そもそもその金利上昇観測ってのは7−9月と予想されていた政策金利変更時期が6月になるかもしれないという話が出たってのは直接のきっかけかもしれませんが、根底には日銀(というか一部の審議委員)から中立金利がどうのこうのとか(最近そういう言い方は鳴りを潜めましたが)いうようなお話が伏線にあって、「6月に政策金利を上げるのならその先の金利引き上げパスも速いのではないか」って話になってるから金利上昇観測が強くなって2年とか5年とかが弱い訳でして、何と申しますか自分達で火付けをしといて火消しというマッチポンプは勘弁して欲しいですな。
そもそも論で言えば、4月の量的緩和政策解除でほぼコンセンサス状態になっていたのにジャストタイミング重視だか何だか知りませんが、気合満々で強引に地均しして3月に量的緩和政策の解除をしたという実績がありますので、そりゃまあ前のめりの姿勢が見られれば、先行きの金利引き上げが早くなるのではないかと市場は懸念する訳でして、まあ総裁のこのあたりの指摘も随分と虫の良い話ですなあという印象。
○何で数字をそうやって出すかねえ
当座預金残高の削減に関連して総裁答弁。
『当座預金残高はピークには30兆−35兆円あったが、3月に量的緩和政策を解除して以降、いわゆる準備預金制度に基づく所要準備額の水準にほど近いところ、つまり6、7兆円というところに下げていくプロセスを今進めている』
いやあの別に所要まで頑張って下げなくても金利政策は発動できますんで、その数字明言は止めてくれという感じなのですが、これは以前中曽金融市場局長もこの数字をわざわざ言ってしばらく妙な思惑が出たりしてましたけれども、短期市場的には10兆そこそこで十分に所要近くまで落ちているようなイメージ(詳しい理由と解説は本石町日記さんの最新エントリーをご覧下さい)なんで、数字一人歩きのリスクを考えるとそのような数字を出すのは如何なものかと。
『この過程では、短期金融市場にまったく波乱が見られない状況で進んでいる。この状況で行けば、あと数週間でほぼこの流動性を吸収するプロセスは完成すると思っている』
数週間で終わらせろという指令がでておりますが(苦笑)。
まあそれは兎も角として、短期金融市場というのをどこからどこまで意味するのかよー判らんのですが、まあ確かに翌日物コール市場は無風ですけど、先週3か月FBがいきなり金利大爆発したのはご案内の通りですんで、いやあのそれは何ちゅうか本当ですかって突っ込みたくなりますな。
でね、何度も申し上げてますし、総裁も答弁で言ってますけど、当座預金残高の削減過程ってのは単に技術的な問題ですから、別に数週間で終わるとか何兆円になるとか言わん方が良いと思うわけですが。変に確定的な数字を出して説明をすると、その数字からずれた時に「何らかの意図があるのではないか」って受け止め方をして大仰に報道する某経済新聞の如き存在がある訳でして(−−)、短期市場は「ああテクニカルに調整したのね」と理解しても、他市場の人たちはそこまで判ってくれない=変な誤解が蔓延する危険があると思うんですよ。
具体的数字の言及は出来るだけ避けた方が吉かと。
○もっと勉強しましょう(これは質問者向け)
質問したのは民主党の富岡委員ですけど、質疑の中でこんな突っ込みをしていたようでございます。
『あと数週間で流動性の吸収が終わるということが、ゼロ金利の解除が6、7月に早まるという見方につながっている。市場の金利動向についてどのように見ているのか』
そもそも政策金利引き上げに関しては7月説も結構あった(あたくしもそうですが)と思う訳ですし、それ以前の問題として流動性の吸収が早く進んだから前倒しになるって話をするのは日経新聞くらいのもんでして(苦笑)、そういう質問をすると市場関係者から「アフォじゃのー」という認定になりますな。質問するならちゃんと勉強しましょうね(はあと)。
前のめり姿勢が目立つので先行きの金利引き上げパスが速くなるんじゃないかって懸念のが昨今の動きの根底になると思うんですが。
まあ質問者のことなどどうでもいいのですが、市場がどうのこうのって質問する人たちはとりあえずもうちょっと勉強してから質問を願いたいものでありますな。・・・・でもその勉強の素材が日経新聞だから仕方ないのかなあ(爆)。
2006/05/16
お題「どう見ても物価上昇懸念です。本当にありがとうございました」
昨日は福井総裁が2箇所で講演を行いました。で、債券市場も短期市場も講演そのものやその後の質疑応答にもそんなに反応してなかった(機械受注にちと反応してましたが)のですけれども、毎度お馴染みの如く海外市場の人が動く時間になりましてユーロ円金先がやや上昇(Liffeの方は商品市況あんど米債要因なのかこのせいなのか判らん)。
どうも質疑応答の場面で火消し発言をした(後述)事がガイジンの皆様に置かれましては評価されたんでしょう。と思ったら今朝のモーサテでもヘッドラインで「福井総裁が早期のゼロ金利解除を牽制」って言ってるから、まあ海外ではそんな受け止め方になっているんでしょうな。
しかし、講演要旨を最初に読んだあたくしはお題に書いてある通りの感想しかないわけですな。まあそもそも早期解除観測のヨタ報道をしたのが日経新聞(というか日経金融)な訳でして、まあニッケイのマッチポンプに海外勢が見事に騙されております。これが意図的なマッチポンプでガイジンマネーを日本で焼いていただく為の目的でもあれば神(それじゃあ意図的な風雪のルルか^^)ですが、どう見ても天然で報道しています。本当に(略
という訳で講演が2本ありますので、多分本日は概観で終わってしまうのではないかと思料。決して明日に向けてネタを温存しているわけではございませんので悪しからず(笑)。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen/ko0605a.htm
↑内外情勢調査会での講演
http://www.boj.or.jp/type/press/koen/ko0605b.htm
↑コロンビア大学日本経済経営研究所創立20周年カンファレンスでの講演
で、両方とも紙に打ち出すと5ページだの6ページだのとなるものでして、話がややこしくなるので内外情勢調査会の方を重点的に引用しつつなんちゃらカンファレンスをおまけに。
○物価上昇にバイアスの掛かった内容です
まず読んでて最初に思いっきり目に付いたのは『日本経済の現状と先行き』という所です。
『こうした現在の景気の特徴も踏まえますと、今後2年間のわが国の経済・物価情勢を展望した場合、最も蓋然性が高い見通しの骨格として、次の3つのポイントを指摘することが出来ると思います。』
ということでポイントを挙げているのですが、3つ目のポイントで目がゴシゴシでございます。
『3つ目のポイントは、景気が成熟化していく中で、生産性の伸びが鈍化するとともに、賃金が上がりやすくなり、物価に上昇圧力が働いていくとみられることです。』
物価上昇圧力。。。。。(゜д゜)
『景気回復初期の段階では、企業内に労働力や設備の余剰があり、それらの稼働率を上げることで生産性を引き上げることができましたが、景気の回復が続く中で、そうした余地は次第に乏しくなります。先程述べたように、既に経済全体の需給ギャップはゼロ近傍にあり、2007年度にかけて潜在成長率を上回る経済成長が続くと見込まれるもとで、今後需給ギャップは緩やかにプラス幅を拡大していくとみられます。』
『また、労働市場の需給が改善し、既に人手不足感が比較的幅広い分野でみられる中、賃金は緩やかな増加を続けていくと予想されます。このため、製品をひとつ作り出すための労働コスト、すなわちユニット・レーバー・コストは、賃金の上昇、生産性の伸びの鈍化の両面から上昇圧力を受けることになります。この先2007年度にかけて、ユニット・レーバー・コストの下落幅は縮小し、いずれ若干の上昇に転じていく可能性が高いと考えています。』
ということでして、この次の締めで目が丸くなります。
『これまで景気回復のもとでも物価が上がりにくかった原因の一つは、ユニット・レーバー・コストの低下が続いてきていることです。こうした条件が変化してくれば、物価はこれまでに比べ上がりやすくなると考えられます。こうしたもとで、消費者物価(除く生鮮食品)は、昨年11月以降前年比でプラスとなっていますが、先行きもプラス幅を次第に拡大し、2006年度には0%台半ば、2007年度には1%弱の伸び率になると予想しています。』
最後の結論の数字は兎も角、物価は上がりやすくなるですよ先生。
○上振れは懸念ですが下振れは大したことないようです
その次に経済の上振れと下振れ懸念を列挙しておりますが、下振れ懸念は大した事無いと言及しつつ、下振れの中に物価上昇の話がでているというのがこれまたポカーンでございます。
『景気の先行きに関する下振れ要因として、「展望レポート」では、世界経済の成長の下振れと、IT関連分野などでの在庫調整の可能性を挙げています。』
この次に思わず目がいくのは福井総裁はタカ派だという思い込みが激しいからですかそうですか(苦笑)。
『特に、世界経済については、高騰を続ける原油価格の動向やその影響に注意する必要があります。また、そのこととも関連して、「物価上昇圧力が抑制されるもとで、金融環境の安定が維持される」というこれまでの世界経済の成長を支えてきた構図に変化が生じるリスクもあると思います。』
これはどさくさに紛れて「グローバルな物価上昇リスク」に思いっきり言及していると読んでしまいましたが・・・・(゜Α゜)
『在庫調整については、景気が成熟化していくもとで、何らかのきっかけにより発生する可能性があることを認識しておくべきと思われます。もっとも、在庫調整が生じた場合でも、わが国企業が各種の過剰の調整を終え、収益力を回復していることを踏まえると、一部における在庫調整が景気全体へ深刻な悪影響を及ぼすような事態に至る可能性は小さいと考えられます。』
ということで、これを(やや意地悪く)読むと、グローバルな世界経済成長の下振れの時はグローバルな物価上昇を伴い、イット分野での在庫調整圧力は部分的で大した事ございませんということですからどっちにしても金融政策がここから緩和方向に矢印が逝くとは考えられないという風になりますけど。。。。
で、その次が上振れでして、まあここまで引用してると長くなりすぎなので割愛しますが、企業行動の「過度の積極化」に言及してますわな。
○で、物価の下振れ懸念は・・・・
その次に『物価情勢に関する上振れ・下振れ要因』なのですが、ここでの言及もまた物価上昇方面へのバイアスを強く感じさせてくれます。
『次に、物価の先行きに関する上振れ・下振れ要因としては、原油などの国際商品市況の動向のほか、景気の動き、すなわち需給ギャップの変化に対して、消費者物価がどの程度反応するか、ということが重要と考えています。』
ということで見通しを述べていますが、これってどう読んでも「この先は物価上昇ですよ上昇。下落?何ですかそれ?」としか読めないんですけど。
『先ほどの見通しでは、需給ギャップがプラスに転化しても、消費者物価の伸びが目立って高まることは想定していません。これは、近年、わが国だけでなく海外を含めて、需給ギャップの変化に対する物価上昇の感応度が低下傾向にあることを勘案したためです。(以下長いので中間割愛です)もっとも、今後、ユニット・レーバー・コストは上昇に転じることが見込まれます。また、需給ギャップがプラスに転化していく中で、いずれ、企業の価格設定行動の変化などによって、また、これに人々のインフレ予想の上昇を伴う形で、物価の経済に対する反応の度合いが強まり、物価が上振れることも考えられます。』
どう見ても上振れ懸念しかありません。本当にありがとうございました。
でね、割愛した部分なんですが、その中で述べている新興国の工業化による物価の抑制という話なんですが、もう一方の講演の中ではこんな言及がありまして、ここも結構「おお!」と思った訳ですが。
『第1に、経済のグローバル化がいつまでも物価押し下げ効果を持ち続ける保証はありません。実際、最終製品の価格下落により物価の上昇圧力が抑制される一方で、それと対照的な現象も顕著になっています。(長いのでまた中間割愛)こうしたグローバル化に伴う世界的な需要増加ということまで含めて考えると、実は、グローバル化が物価押し下げ要因になるのか、押し上げ要因になるのか、必ずしも確定的なことは言えません。これまでのところ、一次産品の価格上昇が、他の製品への波及やインフレ心理の高まりを通じて、各国の国内物価を大きく押し上げるには至っていません。しかし、世界全体の供給余力が次第に乏しくなっていけば、こうした好環境が気づかないうちに大きく変化しているというリスクには十分気をつけなくてはなりません。』(ということでこれはコロンビア大学研究所カンファレンス講演から)
ということで、まあ総じて物価上昇懸念全開講演な訳です。
○ところでいつの間に物価上昇懸念全開になってるの?
そんなわけで今般の2本の講演ですが(さすがに長くなるので引用は物価方面の部分で終了しておきます)、何のかんのと言いましても、ここの字面を見ていると物価上昇懸念全開モードにスイッチが入っているように見えてしまう訳です。
いやあのこの前まではどっちかというと金融緩和長期化の懸念という事で、資産価格のバブル懸念を中心にしてたように思えるのですが、何となく平均株価が伸び悩みになってくるわ、新興市場がヘロヘロになってくるわで、地価だって上昇してるの大都市の中心部だけでしょって話になって来たところで、すかさず今度は物価の上昇懸念の話がメインになるというのには感心しちゃいましたよ、うんうん。
物価に関して展望レポートの数字(来年度へ向けての政策金利引き上げを織り込んだ上でCPIが0.9%)からの上振れ懸念ばっか並んでいるということは、どう見ても「CPI0−2%が望ましい物価水準という理解」のレンジの上の方に逝く懸念全開ということですわな。いやはやそれでいいのかという気もしますが。
いつの間にか話がなし崩し的に変っているというのは福井日銀お得意のパターンですけどね。
○質疑応答は残らないので・・・・・
ブルームバーグニュースのヘッドラインを見ますと、福井総裁は質疑応答の部分では「経済・物価シナリオ通りなら急がずゆっくり金利調整」とか「流動性削減の時期(=当座預金残高を所要近辺までに引き下げる時期)とゼロ金利脱却はまったく別の問題」というような言及をしております。
で、後者に関してはモーサテでもその場面の画像付きで報道されていましたが、後者の件に関してはそもそも当たり前の話でありまして、「当座預金残高を所要に削減したら利上げ」とか「利上げへのパスは残高削減ペースで読み取れる」などとヨタを飛ばしていたのは日経新聞とモグリの日銀ウォッチャーだけでございますので、それを捕まえて「早期ゼロ金利解除を牽制」といわれても困ります。
でね、まあ前者に関しては公式見解がまあそうなっているからその範囲の話をしてるんですけど、先ほどから延々とご紹介した中にありますように、福井総裁的にはメインシナリオの中に結構物価上振れ懸念が含有されているものと考えられますので、どうもこの「ゆっくり」のペースについては気になる所であります。
総じて質疑応答では火消しを意識しているようなヘッドラインでしたが、講演でもこの手の場合は日銀のウェブサイトには記者会見としての発言が残らないので、まあ無茶な話をすれば別ですが、少々のサービス発言をしても後に残らないから心配ないぜってのは穿ちすぎですかそうですか(苦笑)。
まあアレだ、最初に講演要旨を読んでしまっているので質疑応答のヘッドライン見ても反応する気が起きなかったのですが、世界は広いので反応する人もいるっちゅうことですかな。
○ところで本件とはあまり関係ないですが・・・・
週初というのは色々なレポートを目にするのですが、その中で気になったのは「円高だから金利引き上げをしにくい」って議論。
現況のテーマは円高ちゅうよりはドル全面安だと思うわけですが、そのドル相場を支える為に金融政策で対応するという論議を持ち出す人には「プラザ合意」という文字を額に入れてお渡ししたいと思う訳でして、いやさすがにそれはどうかと思う次第で。確かに為替市場で介入しながら金利は引き上げってのも妙ではありますが、政策金利は基本的に国内要因でいじるっちゅうのが基本ではないかと思うんですが。
ちょっとドル円相場が円高に振れると物凄い勢いで騒ぐ人たちが政界財界にやたら多いので政治的マターとしてややこしいことになるというのは判らんでも無いですが、大体為替相場支えの為に無用に流動性をばら撒いたあとは碌な事が起きていないというのは何度かやっている筈なんですけど、本業がレポート書きの人でも円高で金利は上げられないという意見が堂々出てくるのはどんなもんなのかなあと思うのでありました。
じゃあお前はどう思うんだという話ですが、物価がそんなに威勢良く上る状況でもないし、政策金利をそう勢い込んで上げる必要は無いんジャマイカと思うんですが。上げるにしても1回上げるごとに半年以上は影響を見極めながらだと思うんですけどねえ。
#多分明日に続く
2006/05/15
お題「短期市場(TBFBとCP)雑談」
先週は大型連休明けで相場大荒れということで、体も頭も慣れない中で1週間の荒れ相場は正直疲れましたな。お蔭でこの週末はヘロヘロになっておりました。
#休み明けの頭を覚ますためにモーサテを見たら為替のコメントがドル安円高は始まったばかりですよ1ドル100円ですよ大変ですよというコメント。金曜の榊原某もそうですが、おまいらついこの前まで何言ってましたっけ。
○週2回目のFB入札は落ち着いた訳で
金曜日に実施された3か月(くらい)のFB入札。落札平均利回りが0.2%を超えましたって事で数字上はまた売られましたなあという感じになりますが、まあ実感としては必ずしも悪い入札ではなかったなあというお話をひとくさり。
金曜日は債券に関しては株安円高にしては重いですなあ(そもそも株安円高のネタが金利上昇懸念なんで当たり前と言えば当たり前ですが)という感じでしたが、短期はというとユーロ円金先の06年6月限がまたも反発してたり(つーかそこまでが売りすぎだったのですが)という感じでした。金曜に入札が行われた方の新発FBに関しては前回債とは異なり事前のショートメークもそんなに無かったようですし、償還は1週間延びて益々使いにくいということで水曜辺りには物凄い勢いで懸念されておりましたが、蓋を開けてみれば前場の引けレベルからそんなに悪化しないレベルでの入札になりました。
とは言っても前場に何故か0.195%とかで出合っていたりしてたのに入札はしっかり0.2%ってあたりに若干香ばしいものを感じますが。どうも事前先回り買いがあったらしいのですが、まあ4.4兆円も発行されるものを一人や二人(メガバンク除く^^)が先回り買いしてもショーが無いでしょという所ですか。まあ入札の時点では前場の出合いに関わらず(笑)、「0.2%〜0.22%の間なんじゃネーノ」って感じで入札をやっておりましたので、その点で言えば物凄く妥当な結果でした。
入札価格が流れなかった事もあるのですが、今回は応札の方も復活しておりまして、前回水曜日にはテールが3厘6毛流れるわ応札は11.2兆円ちょっとと低調だわと散々でしたが、金曜日はテールが2厘5毛と縮小し、応札も15.5兆円弱まで復活。しかも落札結果発表後のセカンダリーマーケットでは平均落札価格レベルまでは買いが結構あったようで、リアルマネー系の買いも3か月で0.2%乗せてくるとさすがに出現するというのが見えて来たというのは「これ以上の底抜け懸念の払拭」にはなったのかと思います。と言って別に上値を追うネタにはなりませんが。
まあアレだ。火曜の6か月TBが流れて(既発が0.12%とかやってたのにいきなり0.25%)水曜の3か月FBが流れて(前日の既発が0.09%に新発が0.10%なのにいきなり0.185%)と連日物凄い勢いで金利が上昇しちゃった訳でして、リアルマネーの人たちはあまりにも素早い勢いでの大荒れで対処しにくかったというのがあったのかと。おまけについこの前の4月最終週に入る辺りでは「7月解除の可能性も後退してるのかなあ」などという状況だったものがいきなり「6月解除ですよ大変ですよ連続利上げですよ」になってるのですから、まあちょっと待てということにもなったかと存じます。
でまあ金先も落ち着いて(あの水準を売る方が変なのですが)来たし、まあ良く考えたらこのレベルだったら6月解除してもまあチャラかちょっとやられか(どうなるかは今後の現先利回りに依存する)という事だからまあ買ってもバチは当たらないでしょうという判断もいい加減働いたという事でございましょうか。ケツの重い人たちですなあという気もしますが(笑)、金曜はセカンダリーの買いが久々にまともな感じでやってきたというところだそうなんで、まあ皆さんやっと登場しましたなあという所でございます。
とは言いましても、FBは毎週のように入札がある上に、当たり前ですが毎週のように償還日が先になるので、まあ6月解除どころか7月解除も無いですよって話になるとか、足元に金が入りまくって現先利回りが急低下するとか、何かインパクトのある話でも出ない限りは別に金利が反転低下するという変化は難しいのではないかと書くと金利が低下するのがドラめもんクオリティですがさて・・・・・・(笑)。
○官民金利接近というか下手したら逆転というか
物凄い勢いでTBFBの金利が上昇して需給もよくありませんなあという所なのですが、これに対してCPは別に需給も悪くなく、というかこんなに急に金利が上昇されると発行する方も二の足を踏んでしまうのでしょうか(苦笑)、CPの発行金利の上昇が短期国債に追いつかない状況がまだ続いておりますわな。3か月もののその他金融(は発行が多いので基本的にスプレッドが付きやすいです、ご参考までに)a-1格クラスで0.25%近辺というかまだ0.25%割れだったりするようなのですが(それでも週初から見ると5〜10BP近く上昇してますが)、短期国債の3か月ゾーンがご案内のように0.2%乗せですから金利格差が見た目では接近しているようになってますな。
現先利回りに関してもGCレポレートの上昇に引っ張られやすいTBFBの方が高いという状況になっておりまして、まさに需給恐るべしといった図になっております。まあGCレポレートに関しては金曜日には若干の低下を見せていたのでこちらも落ち着きを取り戻すとは思いますが。
大体からして金利水準があまり上がりすぎると「そんなら銀行から借りた方が安いぜベイベー」って事になりますんで、そういう意味では銀行貸出金利が上らない状態で市場金利上昇が起きると官民格差が何故か縮小するという怪奇現象が発生するのがCPクオリティでもございますが。
ま、今回の金利上昇は週前半という比較的CP発行の少ない時期に来ましたので、月末に掛けての動きに注目したいですな。
#てな訳で雑談で恐縮でございました
2006/05/12
お題「いやまあ雑談でご勘弁」
ミスター円先生のインタビューがあったのでモーサテ見てましたが、円高円高もう円高で介入ですよ大荒れですよってあたりまではほほうドテン円高論転換ですかお気楽ですなあくらいだったのですが、日銀が日経金融使って利上げキャンペーンという辺りに至って時間の無駄であることを確信(追記:まあ某審議委員だけはそんな発想あるかも知れんが、日銀の中では迷惑している向きが多いと思う)していつものようにブルームバーグテレビ(東京MXで放送中)に切り替えるのでありました。
○結局またもロスカット狙い撃ち攻撃だったのか
昨日のユーロ円金利先物は反発してました。まあ反発は結構なんですが、6月限が3bpとか戻って0.3%までマーク(その後また下がりましたが)しておりました。相変わらず6月利上げを全力で織り込みに行ってる価格ではございますが、まあ一昨日売ってた向きは何だったんでしょうかって感じではございます。
きっかけなのかどうか知りませんが、また毎度の海外レポートでBOJ幹部が日銀は利上げを急いでいないとコメントしたとか書かれてたので一旦売り方の利食いのタイミングになったという感じなのかなあと。しかしまあただのきっかけだとは思いますが人づてに聞く内容は日経のヨタ記事もビックリのヨタ記事のようでして、まあ何と申しますか、偽メールを大喜びで国会に持ち出すどこぞのアホウを笑えませんなあという所でしょうか。
・・・・まあアレです。結局海外で売り仕掛け(タイミング的に別に経済指標が出たわけでも無いのだからこんなのは仕掛けか展望レポートに相当遅れて反応したアホなのかでしょう)をかまして悪材料(今回だと6月利上げ前倒し話)を囃したてて銀行ALMのロスカット狙いに逝ったんでしょうなあという感じが致しますわな。2年0.8%(は一昨日ですが)はねえだろうとどこまでの利上げパス織り込んでるんだYO!って所ですな。
ま、毎度申し上げてますが、銀行様が沢山お抱えになっている中短期ゾーンばかりやたら動くのは銀行のポートが時価評価に晒されっぱなしであって、おまけにリスク管理がどうのこうのとうるさく小言を垂れる御当局様がいるので、立場上やたら直ぐに投げ踏みしたがるという行動様式に起因してるのではないかと勝手に想像してますけど、まあ仕掛ける方も当然ながらそのような構造的な問題点を重視して仕掛けてくるんでしょうなあなどとも思うのでありました。
なお、仕掛け云々の話は状況から勝手にあたくしが脳内妄想を全開にして行っている与太話でございますので、その点はお含み置きを願いたいです。
○悪態はちょっと聞こえたようですが
TIBORがバーチャルマーケットですなあという悪態が聞こえたのかどうか存じませんが(笑)、全銀協様ご公表のユーロ円TIBOR金利あたりを拝見致しますと、昨日はやっと上昇したようでございます。
・・・とは申しましても、12ヶ月ものがようやっと0.408%でございまして、昨日のロンドン11時のLIBOR円12ヶ月もの金利0.5425%(ちなみに10日は0.53%)から見るとエラク違います。で、来年4月20日償還のTB399回債(なので11ヶ月もの)はと言いますと昨日の引けでは0.425%近辺にいまして、まあどっちが実勢に近いのかは推して知るべし。
まあ日銀レビューによりますとそのあたりの問題点も十分に把握なさった上でユーロ円金利先物を参考になさるようでございますので、それほどなーばすになることもないんですよ。いやもうまったくもんだいはないんでしょうなあ(突如棒読み)。
#とは言え、いままでろくすっぽ動かしてなかったものをいきなり昨日の今日でレートを死ぬほど動かすわけにも行かないというのはあたくしも理解は致しますし同情は致しますが、まあネタにはしますよ。
○「円環性」の問題ネタで少々
先日ご紹介した本石町日記さんのエントリーでお話はまあだいたい尽くされているような気はしますが、一応あたくし用手控えメモ。
「円環性」の問題云々って本文見てもねえなあと思って読んでいたのですが、良く見たら最後の脚注の4番に記述がございました。実に迷文ですので残しておかナイト。
『経済のファンダメンタルズから乖離し得る市場の予想金利を経済見通しの前提にして、中央銀行が政策判断をするようになると、市場はそのことを織り込んで金利の予想を行うようになる可能性がある。この時、市場の金利予想は、ますますファンダメンタルズから乖離し、自己実現化するという「円環性」の問題が発生し得る。同問題の影響を断ち切るためには、中央銀行が常に、自らの情勢判断に基づきながら、ファンダメンタルズに沿った政策金利の経路を念頭において政策運営していくことが必要である。』
アラン・ブラインダー氏の言う「自分の尾を追う犬」の話でございます(えっとですな、この話は以前もご紹介しましたが、ブラインダーさんの講演を纏めた「金融政策の理論と実践」ちゅうのが河野龍太郎さんと前田栄治さんの訳で東洋経済新報社から出てるんで読むべし)が、ここの記述ではどう見ても市場の予想金利が勝手に間違える(『経済のファンダメンタルズから乖離し得る市場の予想金利』ってそういう意味でしょ)としか読めませんですな。
ええ、短期市場ってのは中央銀行のアクションに一番ビビットに反応するのでして、期間が長くなればなるほど経済ファンメタに反応するというのが一応教科書的な回答になります(ただし日本の場合は大手銀行が振り回すゾーンがビビットに反応するという説もありますけど、笑)し、基本的にはそういうもんでしょ。
それに地均しをしたがる中央銀行のボードメンバーがセットになりますと、そこから導き出されるインプリケーションは「日本銀行は自分達で市場に対して地均ししておいてその金利上昇を容認して利上げアクションをするんですかそうですか」とどうしてもなってしまいますわなあという所でおじゃります。
上記の記述にある「同問題の影響を断ち切るためには」って話ですが、「中央銀行が常に、自らの情勢判断に基づきながら、ファンダメンタルズに沿った政策金利の経路を念頭において政策運営していくことが必要である。」と小難しい事を書いてますが、それ以前のそもそも論として、「まずデフレを止めよ」じゃなかった「まず地均しを止めよ」でしょう。
政策を語るな、金利水準を語るな、景況感と景気見通しを語れと。
#微妙に切り口は違いますが、本石町日記さんの最新エントリーhttp://hongokucho.exblog.jp/4637891もご参照下さい。
2006/05/11
お題「いやあの何ですかこの水準は・・・」
日銀レビューをねじり鉢巻で料理などと言ってたら、気が付くと料理場の外が煙モクモク火がボーボーといった所で料理どころではございませんでしたというのが昨日の短期マーケットでございましたな。丸焦げ注意。
しかしFOMCで決め打ち声明文が出るわけ無く、今までずっと言ってるように「金融政策は今後の経済情勢次第」って話しか出ないの判りきった話だと思うんですが、何であれで米債瞬間大売られになるのか意味判らん。
○昨日の続きというか補足(日銀レビュー)
昨日威勢良くボロカスに書きました日銀レビュー。まあレビューをよくよく読みますと金先以外にもTBFBとかTIBOR(の現物)とかスワップとかも「総合的に勘案」っていう事は書いてはございます。で、確かに昔のようにTIBORがターム物取引の市場実勢に近く、短期金融取引(主にターム物取引とかCDとかCPとか)との裁定が効いている時代であればユーロ円金利先物の金利水準は指標として訳に立つ訳ですから、別に書いていることが理念的に間違えているとまでは申しません。(と一応フォロー)
ただね、現在の市場状況として(昨日申し上げたように)TIBORの金利がバーチャルマーケット状態になってしまっている訳で、その状況下でペーパーご紹介ページに堂々「先物が参考になる」ってのは短期とか債券の現場的には燃料になっちゃう訳ですよ。昨日のブルームバーグニュースの短期市場概況解説記事(16時40分配信)では『日銀からは「市場金利から先行きの金利見通しに関する情報を得るには先物金利が参考になる」との個人論文が発表されたことも嫌気され、市場追随で動く日銀を警戒した海外勢中心の売りが膨らんだ。』って書かれちゃいましたが、まあそれはさすがにちと執筆者カワイソスではございますけど、燃料効果オソロシスでもある訳ですな。
でまあ何でTIBORがこんなになっちゃったかと考えますと、何と言いましても銀行間のターム物取引の打ち合いというものが死滅状態になっている訳で、背景には量的緩和長期化とかインターバンクで信用リスクがどうのこうのとかうるさくなったとか大手銀行がマネーポジションからローンポジションになったとか色々とあるようですので、TIBORレートがバーチャルレートでケシカランと言ってるだけでは話が始まらんようではございますが。
とりあえずTIBORレートにそーゆー問題があるという理解の元に相場の方向性とかを見るというお話であれ(レビューを良く読むとそういう書き方をしているようですが)ば無問題なのでしょうが、一部の審議委員様に置かれましては金先「金利」の絶対水準を見て「市場は複数回の利上げを織り込み」と発言しているとしか思えないような人がいる訳でして、レビューとこのような動きをセットで考えちゃうとどうしても「金先金利の絶対水準を見て市場の金融政策織り込み度合いを判断するんですかそうですか」という印象を与えちゃいますわな。
まあアレだ、何というか公表タイミングは相変わらず間が悪かったですなあという感じですが、ついでにサマリーの書き方もちと配慮足りなかったんじゃネーノということにしておきます。
○いやあ0.2%まで逝っちゃいましたなあ(TBFBとかオペとか)
昨日あたくしは3か月FBに付きまして「幾らなんでも0.15%では止まると思うんですが」と書きましたが、物の見事にぶち抜けてしまう所がドラめもんクオリティ。肝心な所でこれだから我ながら情け無い所でございます(恥)。ということで昨日のお話を少々。
朝っぱらからこっそりと0.14%あたりの出合いがあったとか無かったとかだったようなのですが、金先やら2年やらが朝一からズタボロになっているのもあって買いの手引っ込みんぐ。
で、前場の終わりには、0.16%堂々オファーで入札迎えてしまいました。そして結果はご案内の通り。最低落札価格を市場呼び値の利回り(経過日数の計算を受渡日から償還までの片入れで行う)に換算すると0.202%に相当。しかもその価格での按分比率が8割以上とこれまた予想以上に入ったという印象。
だいたい0.2%だと幾らなんでも止まるでしょうと思うのでちょっとシャレで札を入れる人も存在する訳で、按分かかるにしてもそんなに厚い按分になるとは思わないでしょうからちょっとビックリの図では無かったかと思います。お蔭で上が重いの何の。結局昨日の引けは0.19%あたりというのが妥当なようです。
しかし6月に利上げって事が現実になったとして、実際に利上げが効力を発揮するのは6月16日以降になる訳ですから、今回のFB387回債が5月15日〜8月7日であることを勘案すると84日のうち前半32日は最悪でも0.1%(=ロンバード)上限だから少なくとも0.1%は取れる訳で(実際はもうちょっと取れますな)、その分を後半52日に按分すれば0.25%になってまあチャラ近辺というお話になりますわな。6月利上げを思いっきり織り込み価格になっているように見えますがそんなので良いんでしょうかねえ。
などという入札の後に全店手形買入が行われまして、こちらの期間は5月12日〜7月11日でございまして、この平均落札利回りが0.12%になってまた騒動になってましたが(ロンバードよりも高いので)、まあよく考えればFB落札した分のファンディングをこれでつけると(実際は発行日が15日なので直接使えないですが)、同じ理屈で考えると後半1か月を0.35%くらいでファンディングしてチャラという話になりますので、まあそう簡単に負けはせんわなという事で。
一方、一昨日に入札の行われた6か月TBはと申しますと、もはやマーケットがそれどころでは無いモードでしたが、どうも0.25%のあたりかちょっと甘い位の居場所に相変わらずいるようですので、そうなりますといつもの計算で3か月後スタートの3か月金利をエエカゲンに弾くと0.3%とかに(3M0.2%、6M0.25%で置く)なるようですので、まあここを見てると7月までの利上げは取りあえず織り込んだとして、さすがにその後またまた速攻利上げというのは幾らなんでもそりゃアレでしょうと言ってるように見えますな。
これで昨日6か月までズタボロになっていたら驚きでしたけど、まあそんな動きですんで、大懸案の金曜のFB入札あたりでひとまずピークになるんジャマイカとは思いますけど。
○しかし金先やら2年やらは何なんだと
昨日も売られて盛り上がっていたユーロ円金利先物2006年6月限ですが、昨日の清算価格は99.665(だか67だか忘れましたが)で利回り換算すると0.335%(だか0.33%)でございました。
この意味はSQ価格決定日でありますところの本年6月20日のユーロ円TIBOR3か月もの金利が0.335%となるでありましょうという事なのですが・・・・・売ってる人の頭の中身を疑いたくなるようなお値段でございますが、まあロスカッターが登場したり、ロスカッターを炙り出しに逝ったりしてるんでしょう。どういうマーケットなんだと小一時間問い詰めたいとはこの事でございます。だから金先は(以下暴言)。
で、2年とか3年とかも酷いものでして、朝っぱらから6甘だの7甘だのとかやってまして引けてみたらこのゾーン一番甘くて軒並み8甘。2年244回債が0.795%の引けとかやっとる訳ですが、5月1日の引けが0.64%だった訳で、実質1週間で16毛甘ですよ先生。
いやね、マーケットコンセンサスとして7−9月期には0.25%の利上げがあるでしょうよって話はあった筈でして、それが1か月や2か月前倒しになってどこがどう違うんですかって話でして、仮に9月利上げが3か月前倒しになったとしても0.25%の3か月分が2年の金利にどれだけ影響しますかって考えると0.25*3/24ですから0.03%ちょっとでしょ。何でそれが0.16%叩かれになるんだか・・・・・
ま、日銀の前のめり姿勢が嫌気されて利上げ経路のシナリオが大幅に書き換えられましたっていうのが後付け理屈になるのでしょうけれども、本当にお前らそうなのかと小一時間ですな。
そりゃまあ3か月は政策変更時期が1か月や2か月ずれたら直撃だから派手に動くのはまあ仕方無いですが、それ以上の勢いで2年や3年が動くのはもうアホかと馬鹿かという感じですなあ。大体反応するなら展望レポート出た時点で反応(以下いつも言ってることなので割愛^^)。
どうみてもまたお得意のロスカットです。本当にありがとうございました。
#そういえば3月15日の日経金融で「現在の金利水準は9月、来年2月、来夏のそれぞれ0.25%ずつの3回の利上げを織り込んでいる」「06年度新発5年国債の利回りは0.8−1.2%」って言ってたどこぞの偉い人は無事でしょうか。他人事ながら心配。
いやはや、金曜のFB入札まではこんな感じでしょうか・・・・
2006/05/10
お題「これは酷い手前味噌ですね/その他相場雑感」
えー昨日は朝っぱらから2年辺りのスワップとかやら中期から10年辺りへの入替などで中短期がボロボロ。どうも海外勢からのスワップなんかが出ていたとも聞かれますが、何故か日経金融新聞2面の毎度お馴染み「ポジション」欄での記事、というより「日銀は金利上昇を追認してて6月解除もありですよ大変ですよ(意訳)」というお題に海外のお方が反応したとも言われておりますが、記事内容を良く見ると何も書いて無いに等しい話でございますわな。
で、本日はその記事を斬りますかとでも思ったのですが、それよりも情け無いレポートが日銀方面から出ておりましたので、まあそっちに話が逝くのでありました。
○近来稀に見る手前味噌レポートですね
既に本石町日記先生がエントリーを上げておられる訳ですが。
http://hongokucho.exblog.jp/4616087
昨日の日銀レビューシリーズのお題は「経済見通しの作成における政策金利の前提」というまさに展望レポートの言い訳のようなものでございます。
(要旨)http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev06j09.htm
(本文、PDF)http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev06j09.pdf
で、まあ色々と書いてあるのですが、上記の要旨にもありますように
『実際に観察される市場金利から先行きの金利見通しに関する情報を得るには、先物金利が参考になる。』
という(まあ予想された事とは言え)衝撃の記述が。金先マーケットが主にスワップのヘッジと一部スペキュレーションの玉が飛び交う世界で、日銀の地均しに一番ビビットに反応する商品だとあたくしは思っているのですが、その地均し、と逝っちゃあアレですから「中央銀行のアクション」と言い換えても良いですが、まあその中央銀行が見せる政策への意図に反応しやすい市場が一番参考になるといってる訳ですな。そんな中央銀行はどう見てもアラン・ブラインダー氏の言う「自分の尾を追う犬」です。本当にありがとうございました。
でまあその辺りの論点からのツッコミは本石町日記さんの記事を読んで頂くと致しまして(と手抜き)、現物債やら短期金融商品やらの投資や売買をする人から見ると金先が一番参考につかえるってのが物凄い勢いで違和感がございますって話を別の論点から。
#なお、予めお断りしますが、以下の話は「金先金利を金融政策のリファレンスに使うのは如何なものか」という趣旨で展開されまして、先に申し上げますとオチは「現物金利と乖離してるでしょうこれは」って話になりますが、金先の機能まで否定する積りはございませんので念の為。と、書かないと金先市場関係者(と全銀協とTIFFE)の方が気を思いっきり悪くしそうな気がするので(汗)。よろしこです。
えーっとですな、さっきのPDFの方の5ページ目には主なターム物レートの特徴というコラムがありまして、そこでユーロ円金先を大絶賛しております。ユーロ円金先は『東京金融先物取引所に上場。市場参加者が多く、流動性は極めて高い。』だそうです。
で、その市場参加者に実際の投資マネーのヘッジはどのくらい入っているのですかと小一時間な訳ですよ。例えば短期国債とかCPとかでも良いのですが、現物債(または短期金融商品)の投資をする人やディーラーから見ると現物との相関が弱くてヘッジに使えませんわな(使っている人はヘッジという名目でスペキュレーションやってるようなもので、オマジナイ程度の効用しかありません)。リアルマネー系のヘッジ(売りだけじゃなくて買いだってありえますが)玉が入りにくいんですが、「市場参加者が多く」って・・・・・
債券先物(長期国債先物)の場合は商品設計上、現在のイールドカーブ体系だと7年ですが、受渡適格銘柄のうちどこかが最割安銘柄になるので、そのゾーンの現物債金利と相関するという特徴がございますわな(イールドカーブが思いっきり横になると最割安候補がドカドカ出現するのですけど、まあそこまで今は考えなくて良いでしょう)。ところがユーロ円金先でございますが、上記のコラムにもありますが、このへん(http://www.tfx.co.jp/products/ey.shtml)にもありますように、最終決済はSQ方式でリファレンスレートは全銀協発表のユーロ円TIBOR3か月ものでございますわな。
で、このTIBORが曲者(←北浜先生ではありません)。確かにこのユーロ円TIBOR(国内円TIBORが95年11月16日から、ユーロ円TIBORが1998年3月2日から)が公表された頃はLIBORが国内円の金利と思いっきり乖離するようになってきて、金先が現物の金利からあさっての方向に逝ってしまうのでコリャイカンという話があったというように記憶しておりますし、そもそもこの時代はリファレンスレートを出す大手銀行の多くがマネーポジション(短期金融市場で調達超)であったので、あまりとぼけたリファレンスレートを出していると他行から「じゃあお前そのレートで出すんだな」と攻撃を食らいかねないという時代でもありました(いやまあ一応TIBIDってのもある筈ですが)。
では今はどうなっているかというお話ですが、あたくしもろくすっぽ見て無いTIBORですが(笑)、全銀協のウェブサイトを見ると驚愕の事実が判明するのであります。
http://www.zenginkyo.or.jp/tibor/index.html
ここの一番下にあります「全銀協TIBORレート」ってのをクリックしますと、説明画面の下のほうに「今月のレート」というのと「履歴」っていうのがありますわな。どれを見てもまあ良いのですが、「履歴」をクリックして「2006年」即ち今年をクリックするとまたまたPDFファイルが出てまいりますので、その1月以降のTIBOR3か月のレート推移をご覧下さい。
・・・・・えーっと、今年の1月以降のあたくしの駄文のログでも辿って頂ければお判りになりますし、もうちょっと簡潔にってのであれば財務省のウェブサイトに政府短期証券の落札結果が履歴として出てますんでその間の3か月FBの落札平均利回り(正確には価格)推移をご覧になられると宜しいかと思いますが、ご案内の通り、2月上旬までのんびりと「4月末くらいに量的緩和解除するけどゼロ金利は長期化するからねえ」とやってた市場は2月中旬の福井総裁記者会見のイケイケ発言から大騒ぎになりましたわな。あたくしも駄文で利回り4倍!とか10倍!とか書いてましたが。勿論この間にCPの利回りも急上昇しましたわな。その後実際に解除になってから低下傾向を辿り、4月はなお低下して5月直前から上昇となっている訳ですが。
で、ユーロ円TIBORの2月、3月あたりの金利推移をご覧頂きたいのですけどまあ見事にひたすら似たような数字が並んでおりますわな。これじゃあどう見ても(暴言につき自主規制)です。本当にありがとうございました。
という訳でございまして、現物債と申しますかリアルの短期金融商品の価格推移をちゃんと反映しているのかという点についてあたくしとしては疑問を出したくなりますレートが最終的な決済価格になる「金利先物」はそりゃまあ流動性はありますし、スワップなりのヘッジとかで売り買いしてる人はいますから方向性として値動きを参考にするのは良いのかもしれませんが、絶対水準に注目した「金利」としてのリファレンス機能に関して本当に参考になるんでしょうかって思う訳ですよ、ええ。
でも、このレポートによりますとどうも金先「金利」から導き出されるインプライドフォワードレートとかは『標準的な金利水準の予想』(←本文より)の参考になりますなあ(もちろんリスクプレミアムも反映されてるって話もしてますけど)と言ってるような気がしまして激しくガクガクブルブルなのでありました。
いやまあこのペーパーは久々にねじり鉢巻で料理したくなるような良質の燃料なんですが、あたくしの感覚的に申し上げて「金先金利が将来の市場の政策金利予想として使えますなあ」とか言うのは・・・・債券市場や短期金融市場に喧嘩売ってるような気がするんですけどねえ。金先使いの人は大喜びだと思いますけど。。。。。
○今日はFB3か月の入札ですなあ
という話をまた延々としたいのですが、時間が無いので簡潔になりますすいませんすいません。
昨日の6か月TBの落札利回りは平均で0.245%とかになっておいおいって感じでしたが、まあさすがにその近辺では買いも少しはあったようで、そこからなお下がるという事にはならなかったようです。しかしそれにしても前日までの前回債(要するに5ヶ月ものですな)が0.12%やそこらでやっていたのは一体全体何だったんですかという有様。これだから万年ショート銘柄は嫌いなんですけど(苦笑)。
今日はFBの入札ですが、今回債から償還が堂々8月に突入します。まあ益々買いにくくなる今日この頃というお話になりますが、昨日の駄文では6か月がどう見ても割高ですって話をしてたらいきなり居場所変更によって今度は3か月対比で6か月が割安に見える訳ですな(笑)。でもまあこの流れですので3か月の方が売られて(金利上昇して)鞘寄せの刑になる次第でして、昨日引け後のWI取引では今日の新発FBは堂々0.1%のオファーになっている模様。
4月の半ばに3か月のFBが7月の決定会合後のエンドになっても金利が下がり続けた為に後付け理屈のように「7月利上げの見方が後退してますわなあ」って話になった(米国の利上げ打ち止め観測が浮いたり沈んだりしたのも影響してますけど)のですが、まあこのあたりのレートを見てますと「7月利上げは確定的で、リスクシナリオは6月利上げ」って話になっているという感じですな。
7月は兎も角、3月から4月の金利形成状況を見てると6月利上げはノーケアーという感じでしたので、まあサプライズになってるという所でしょうか。とりあえずFBの3か月ものは6月利上げのリスクシナリオまで考えるって話になるとまあしょうがないのかなあという感じではあります。幾らなんでも0.15%より甘くはならんと思うが。。。。
しかしアレですな。反応するなら展望レポート見た時点で反応するもんだろうと思うのですが、展望レポートに記者会見出た時に金先は買い戻しで反応していたのは一体全体何だったんだと思うわけで、最近の相場は金融政策ネタに関してどうも古い蛍光灯のような反応をしますなあと感心するやら呆れるやらと言ったところです。
#と、テキトーに書き散らしただけで恐縮です。CPのレート上昇が追いつかずに官民逆転の香りが漂っているのが中々笑えるところでもあるのですがまた後日。
2006/05/09
お題「ネタも無いので雑談」
昨日の不正登記タイーホ云々を見てますと、どうもこう大きな流れというか底の方の流れに変化が起きているんじゃないかという気がするんですけど。最近の金融がらみの摘発事例なんかでもそうだけど・・
○TBFBとかCPとか
マニアな市場の話をマニアに。
昨日も相変わらず足元のTBやらFBやらは重苦しいようです。一頃アフォのように買われていた短めのTBFBにいつの間にやら玉が出てきているようでして、5月償還物とか6月償還もの、特に嫌われ者は6月5日償還という税揚げ週末越えにあたるFB377回あたりのようですが、まあ何だかそのあたりの在庫が増えているようですな。
4月の半ばには何でもかんでも0.01%から0.015%くらいだったんですが、どうも最近は5月償還物でも0.04%がオファーサイドという感じ(業者間売買とかでは皆さん辛抱良く不用意なオファービットを出さないので表に出てこないのですけれども)。どっちが先かというとアレですが、この重さのせいでGCレポレートやら現先レートなども0.04%近辺からイマイチ下げないというところです。
で、今週は6か月TB1回に3か月FB2回入札がありまして、このあたりの消化具合、といいましても6ヶ月は恐らく消化しちゃうと思うんですが、このあたりの捌き具合次第では足元の現先レートは下がりにくくなるかと勝手に思っております。
ちなみにこの前入札をやった7月31日エンドのFB386回債は入札の平均落札で0.034%だったのですが、昨日は辛抱良く気配が消えてますが、まあ0.07%が居所っぽいので引き続き利回り2倍攻撃のようです。足元のGCレートが0.04%なんだから仕方ないといえばそれまでだけど。
本日は6か月ものTBの入札がありますが、甚だ馬鹿馬鹿しい事に前回債が0.115%だの0.12%だのだというのに新発のWI取引は償還が1か月しか違わないのに0.2%近くでの気配。それだと「5か月後の1か月もの金利」が0.6%とかになってしまうという大変に素晴らしい価格形成何ですが(苦笑)、これは既発の6か月(というかもう5か月ものだが)の利回りがショートカバーでおかしい値付けになっているからですな。FB3か月が0.07%という所から引っ張ると3か月後の2か月もの金利が(本当は全部残存日数を計算しないといけないんですが、まあざっくり計算ですんで)0.2%割れということですから7月利上げがあり得ないという前提になりますわな。よってWIの方が適正。
まあそんな感じでTBFBはヘロヘロなんですが、何故かCPのレートが上昇していなかったのが昨日の不思議。まあ連休明けで寝ぼけているうちに新規発行があったのでついうっかり昔の水準で入札に参加したのかもしれませんが(笑)、5月償還もののa-1格(追記:a-1格と書いておりますが、所謂「その他金融」系とかではありません。短期a-1でも長期でA格以上AA格に近い方の銘柄群を指しますので、同格内でも実質格上ゾーンです)の新発CPで堂々0.04%とかそれ以下の金利とかで発行されたやに聞いておりますが、お前らそれはFBと同等かFBより低いだろうと小一時間。
とは申しましても、先ほどから延々と書いているFBの気配に関しても業者間スクリーンには全然出てこない(スクリーンではオファーとビットが離れまくりで、辛うじて日本相互証券の引値や公社債売買参考統計値が参考になる程度です)ので、まあ冷静に連休ボケから目をゴシゴシやる今日以降はこのねじれ現象もどっちかに鞘寄せされていくとは思いますが。
それにしても妙な所で官民レート逆転する訳で、相変わらずでございますが市場間の裁定機能が全然働いていないなあと感心するやら呆れるやらでございました。
○為替要因に反応しなかったようですが
昨日の債券市場は5年あたりから先物、10年ゾーンが下落したようでございますが、まあ見事に為替に反応しなかったの図。
ま、火曜日に入札がある時のお馴染みの得意技でもあるのですけれども、月曜日で派手派手に動く投資家の出撃体制が整っていない隙に相場水準を訂正しておいて捌き易い水準に相場を下げるというのもあったとは思いますので、そのあたりは実は微妙なんですが、まあ円高だからといって一々反応しないのはあたくし的にはそれはそうですなって感じです。
まあ米国の金融政策の先行き観測には相変わらず反応するのがいつもの通りという感じですけれども、その手の「国際協調」的な発想で金融政策の先読みをするのは(したくなるのですが)どうなのよって思う次第。為替市場がどうこうだから金融政策をいじれないとか、国際協調がどうのこうのだからってのは既にプラザ合意でその後の失敗の種あるいは地雷を思いっきり撒いたという悪事例があると思うんで、まあ同じことはよーやらんと思いますけど。
つーか国際協調という観点から言えば米国は中立金利への回帰というお題のサイクルの最終局面に入っている(欧州はインフレ懸念で騒いでますが)訳ですから、日本もとっとと中立金利って話になると考える方が話の筋が通りそうなもんですが、「米国の利上げ休止によって日本が利上げしにくくなる」とかいう理屈(というかレポート^^)が出てきたりするのには正直げんなりします(日本の中立金利はまだゼロ近傍だって論を立ててゼロ金利長期化の話をするならまだ判るが)。
ま、10年入札は2%近辺一旦は止まり所でしょうからそっちは正直何とでもなると思いますが、今週は2発予定されている3か月ものFBという思いっきり8月償還ものの需給動向が目先の利上げ時期の市場観測を見るのに良いのかなあと存じます。だいたい7月利上げで予想を置いてる人がまた多めになってきたとは思いますけど。
#ということでひたすら相場雑感でございました。昨日は正直寝ぼけ状態でしたが、今日から本格始動でございますな(^^)。
2006/05/08
お題「総裁記者会見(だいたいその2)」
連休で頭の中身が完全にOFFになっておりますので今朝はいつにも増して簡単になると思われます(汗)。
いやまあ連休ボケ頭でモーサテなんぞをみておりますが、マーケットコメンテーターとか逝って出てきてる人って多分本人の専門でも何でもないことにまで一言コメントさせられてある意味カワイソスですなあなどと思うわけで。日経新聞記事に対してコメントしてるんですが、思いっきり個別企業のミクロな話に一々コメント求めたって本当は「知らんがな」だと思うんですけど。しかし今日もコメント出てたけど、「団塊世代のリタイア後のセカンドハウスの需要が期待」っていう理屈ばかりはさっぱり判らん。
と頭の体操にひとくさり悪態をついてから総裁記者会見の続きを少々で勘弁。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0605a.htm
○それをするなら地均しするなと
既に本石町日記さんの所でエントリーが出てますけどあたくしも一応これはブックマークしておかナイト。
『かねてより申し上げていますが、市場は金融政策運営の場であると同時に、私どもにとっては鏡でもあります。今回は、その鏡としての部分を日本銀行として経済・物価の見通しを立てるにあたり利用させて頂いたということです。(中間割愛)見通しの作成にあたって具体的にどのような政策金利の径路を想定するかについては、他の様々な変数と同様、これはそれぞれの政策委員に委ねられています。従って、どの時期に何回の利上げを織り込んでいるかといった細部について前提を統一しているわけではありません。これは非常に大事な点であり、ご承知置き頂きたいと思います。なお、どのような前提であれ今回の方法による政策金利に関する想定は、あくまで市場金利を参考としたものです。鏡として利用させて頂いたものであり、各政策委員が望ましいと考える政策金利のパスではないという点は、明確にしておきたいと思います。』
それは判ったが、それならば具体的な金利の数字まで持ち出して金融政策のパスについて話をする審議委員を黙らせてから「市場は鏡」という発言をしろと。「ボクちゃん利上げしたいなあ」って言って市場金利が反応したのを見て「市場に催促されたから利上げしたんだよボクが能動的に上げたんじゃないよ」とか言い出し兼ねない危険なものをこの「市場は鏡」理論に感じますなあ。マッタクモウ。
しかしまあ「どの時期に何回の利上げを織り込んでいるかの細部について前提を統一していない」のに「今回の方法による政策金利に関する想定は、各政策委員が望ましいと考える政策金利のパスではない」と言い切れるのかどうか。何だか怪しさ抜群なんですけど。
でね、後のほうの質疑でもこんなコメントしてるんですが、そのヒトゴトっぷりは如何なものかと思うんですけど。
『今後、本当に日本経済がこの標準的な見通しに沿ってきちんと動くかどうかが非常に大事であり、そういう方向で動いていくのであれば、自然と、金利を調整した方がより望ましい経済の運航パスを確保できるという判断に、いつの日か至るだろうと思います。これは私どもが勝手に思っているだけではなく、市場は既に市場の見識で先行きの政策金利の変化を一応織り込んでいるという姿であり、その一部は今回の見通しを立てるにあたり、逆に鏡としてお借りしています。』
何だかねえ。結局のところ日銀(の政策委員)が火消ししたり火付けしたりしてるだけではないかと思う訳でして、何か実に定義の曖昧な「理解」公表でゼロ金利長期化を他市場に誤解させておいて足元に向ってはその後の某政策委員の講演で中立金利とか持ち出す有様のどこがどう「勝手に思っているだけではなく」なのかなあと思うのですけれども。はあ。
『この標準的な見通しとの対比で市場がさらに評価を加え市場金利の中へどのように織り込んでいくか、つれて市場が練れたものとなっていくかどうか。より練れた市場の姿と、私どものこれからの経済・物価情勢に関する判断の積み重ねとの間に自然に接点が出てくると、そこに望ましい政策径路が浮かび上がってくるのではないかと思っています。これからの市場との対話は、そういったダイナミックなものになっていくと思っています。』
どうもこの件を読むと、市場への「語りかけ」を通じて望ましい政策経路を織り込ませに逝きますとしか読めないのはあたくしの考えがひねくれているからですかそうですか(-_-メ)。
○ゼロ金利を解除しても金利は低水準ですかそうですか
これも最初の方の質疑。
【問】『展望レポートの最後のところで、「無担保コールレートを概ねゼロ%とする期間の後も、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が当面維持される可能性が高い」とありますが、この「後も」というところは、日銀がゼロ金利を解除した後、いわゆる利上げをした後も、その金利水準は極めて低いという認識を示されたという理解でよろしいのですか。』
【答】『3月の金融政策決定会合の公表文で発表した内容と、この点は変わっていません。現在、流動性を市場から回収中でありますが、回収が終わったからすぐゼロ金利が終わるわけではないことを申し上げました。その後の経済・物価情勢次第、つまり、しばらくゼロ金利が続く可能性があり、さらに、そのゼロ金利が終わった後も、極めて低い金利水準を背景とした緩和的な金融環境を続け得る可能性が高いという、お尋ねの通りのことを書いていると思って頂いて良いと思います。』
これはまあ「将来のゼロ金利解除は金融引き締めではない」という説明でもあるかと思います。ひところ「中立金利」という話が出てきて思いっきり話題になっておりましたが、さすがにその理屈はちと刺激的ということでここの所「中立金利」の話は引っ込めている観があります。でもまあ上記のような受け答えにもありますように「ゼロ金利を解除しても金融政策は緩和状況」というお話をしてますんで、この辺の受け答えを読むとどうも「とっとと利上げですよウェーハッハッハ」という風にしか思えないんですけど。
この次にこんな質問があります。まあそんな質問しても具体的な答えが返ってくる訳はございませんが(笑)。
【問】『「極めて低い金利水準」というのは、市場では解釈が分かれる表現だと思いますが、総裁としては、「こうだ」というような定義は示されませんか。』
【答】『名目金利の水準について「数字的に一定のレベルまでは極めて低い金利だ」という想定の仕方はしませんが、経済・物価の動きとの相対関係で、企業や家計が感ずる金融緩和感、その度合いがかなり深い金融緩和感が実態的に維持されているような金利や、その他の金融環境ということです。』
いやまあこの部分に関してもあたくしは「ゼロ金利はもう経済刺激的ですよ経済を無駄に過熱させるリスクがありますよ」ってつい読んでしまうのですが。まあ短期市場では一時後退してた7月利上げの見方がだいぶ復活してきたんで、まあそういう解釈になっているのかとは思いますけれども。
○政策金利は動くものでありますな
将来のリスクに関してダウンサイドリスクよりもアップサイドリスクが大きいってお話でもひとくさり質疑応答があったのですが、全部紹介してると量が多くなるのでいくつかピックアップ。
アップサイドリスクにウェイト掛けてませんかって質問に対してはこんなお話をしています(一部抜粋です)。
『つまり、経済はあくまで緩やかだが右肩上りという想定に立っています。その時に、一定の金利水準を前提とすると、時の経過と共に金利による経済に対する刺激効果は強まるということですので、それを念頭に置くと、すぐにではないが、少し将来や長い距離を置いて見た場合には、ダウンサイド・リスクよりもアップサイド・リスクの方が自然に念頭に置かれやすくなるであろうということです。』
で、「アップサイドのリスク・シナリオにおいて経済の振幅が大きくなると述べていますが、もう少し具体的なイメージを伺います。」って質問に対して経済が過熱して過剰な設備投資が起きるとその後の反動で調整が必要になりますよって話をしながらこんな話を。
『従って、そうしたことが起こりやすいのは、政策金利一定ということがあまりに守られすぎた結果として起こる場合があるわけなので、政策判断は慎重にしなければなりませんが、やはり適切なタイミングで適切なレベルに金利をセットしていかなければなりません。ダイナミックな経済を前提にする限りは、金融政策もそういう意味での機動性を失ってはならないというインプリケーションが含まれているところです。』
ということで「政策金利が一定だという考えは持たないでくれ」という話をしておりますわな。そりゃそうですけど、この点を強調しているということがイマイチ浸透してないような気も(他の市場には、ですが)。
まあ言葉を慎重に選びながら強気の話を丁寧にして、変に刺激的な物言いは避けているという所ではないかと思います。展望レポートが十分強気ですしね。
2006/05/02
お題「短期金利は上昇気味/総裁記者会見(その1)」
バーナンキ議長曰く、「先日の議会証言を市場は間違って解釈している」ってなニュースが朝から入っておりますが、毎度申し上げておりますように「インフレターゲット」的な発想に基づいて金融政策を読む場合は経済動向が重要になる訳で、「次の利上げ後様子見」というコメントは必ずしも利上げ終了を意味しないって当たり前だという事ですな。
まあアレだ、これまた毎度毎度言ってるから皆さん耳タコだと思いますが、海外投資家がどうのこうのって有り難がるけど自分の国の金融政策であっても所詮この程度の解釈しかしてない訳でして、まあ海外海外と有り難がるなという事ですな。ただののフカシとしか思えんメ○レーレポートとかで相変わらず円債が動くのを見ていると実に腹立たしいあたくしは国粋主義者ですかそうですか。
ま、しかし方向は決めうち発言は意味不明のグリーンスパンの後は大変ですな。それこそ市場のFedWatch機能が低下してますから正常化に向けては大変だということで、あれ?
などという話は兎も角、短い所の金利が上ってますなあという話と総裁定例記者会見。
○GCレートは下がらないしFBレートは上昇するし・・・・
先週木曜にご紹介した短期金利の上昇は相変わらずの有様。昨日は主にGCレポ取引市場では9日スタートの翌日物が取引されていた訳ですが、0.04〜0.045%あたりでの取引が継続で、大型連休要因とか何とか言って上ってしまった金利は結局サガランチ会長。
特に昨日に関しては、6月9日エンドの国債買現先や、7月6日エンドの全店買入手形がオファーされていましたが、これよりも期間の短い既発FB(オペに入らないので諦めたのか?)が少々(500億とからしい)ブローカースクリーンで出合っていたらしく、そのレートも堂々0.04%という事でして、こりゃ現先やGCレートは下がりませんなあという雰囲気を強くしちゃいました。
おまけに当たり前ですがオペの落札金利も絶賛上昇しまして、世間様にも地合いの悪さが知れ渡るという結果。いやまあこれは単に市場の特殊性によるもの何ですが、お助けオペを打っている筈がお助けにならずに却って市場に燃料投下になってしまうのが皮肉なお話でございます。
3月末から4月に資金吸収オペを何度か実施してましたが、この時は毎度毎度アホのように低金利で決着してまして、その結果を見て「ああやっぱりそうか」となって諦めモードで踏み踏みになるというのもありましたが(苦笑)、まあ短期市場は思いっきり相対だし、債券市場と違ってカバーの為の業者間市場がそんなにある訳でもないので、正直不透明な世界だったりします。だからオモロイのですが。
特にマーケットが「ありゃりゃ」状態になってる時は参加者が苦しくなっているので、変にブローカースクリーンとかで出合わせないように我慢するんですが、オペは情け容赦なく結果が出る(当たり前ですけど)ので地合い確認できちゃいますわな(^^)。そう考えると売り買い両方向のオペが適当に打たれている状態だとターム物金利の動向が何となくわかって結構ともいえますにゃ。
と、話がちと逸れましたが、そんな訳で3か月のFBなんぞも当然のように売り売りになっちゃいまして先週の水曜日に平均0.032%で落札されてた新発3か月FBは0.065%−0.07%の気配となってしまいまして、「また利回り2倍か!」って感じですな。まあやること極端で困っちゃいますなあ。
その割には6か月ものTBの利回りが妙に下がらない状態。買い手が少々違うのと、そもそもこのゾーンに対応する代替投資物件が少ないので恒常的にショート気味で割高になりやすいのですが、昨日の居場所が0.1%−0.11%くらいらしく、単純に計算すると「3か月後の2か月ちょっと物(何せ償還が微妙に違うので話がややこしい。7月31日スタートの10月10日エンドだ要するに)金利が0.16%少々って話になるんだが、それは7月利上げの可能性0%で8月か9月利上げだと思わないとあり得ないレートなんですが。とは言えレポが非常にやりにくいしコスト高なので誰も向わないのが問題なのですけど。
さっきご紹介した5月償還物のFBの出合いもやや驚きモノでして、3か月の金利上昇もそのあたりが結構効いていると思われます(あとはひところ「7月解除の可能性後退」とか言ってたのが展望レポートで大復活したのもあるとおもうけど)。何せついこの前まで短いTBFBを買っている人のコメントとして「当座預金残高が減った時のシミュレーションの為に敢えて余資をFBで潰す(意訳、しかも新聞報道ベースですが)」とかあったので、この人たちが何かを勘違いして市場に玉を放出すると今までの逆回転になる訳ですからねえ。
だからこそそんなふざけた買いなんかするんじゃねえこのバチアタリは全く迷惑お前それでもプライマリーディーラーか天罰が下ればいいのになどとあたくしが悪態を延々つく訳ですが、笑。
などとダラダラと書いてしまいましたが、債券市場は昨日さっくり大上昇してたんで、その中で金利逆行高となっております短期の人たちは全然金利が下がっておらずということでございましたというお話でした。足元金利が動き出すと中期ゾーンくらいまでには影響が無いわけでもないとおもいますけどねえ。
○総裁記者会見(その1)
マニアな市場の話をマニアにして一人で勝手に盛り上がっているうちに気が付けば時間が無くなって来ましたので(アホです)、総裁記者会見に関しては2回シリーズで、というか今日は超簡単に。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0605a.htm
・よく考えたら3月解除の方が合理的だったんだよ!な、何だってー
またもどこぞの巨大掲示板用語を使ってしまったorzというのはともかくと致しまして、本石町日記さんの所でも指摘されていた(コメント欄に意味の判らん言いがかりをつけに来た変な人がいましたが、本石町さんの対処の仕方が秀逸なのでブログをお持ちの方は参考になると思います^^)のですが、展望レポートでの物価見通しに「市場の政策金利に関する予想を参考」という「市場は日銀の鏡じゃなくて手鏡(by本石町さんだったかそこのコメント氏)」に関してツッコミが。
『今回の展望レポートから、各政策委員は市場金利に織り込まれたとみられる市場参加者の政策金利に関する予想を参考にしながら、見通しを作成する方法に変更しました。これは考えてみればごく普通のことで、そうなるべくしてなったということです。見通しの前提となる他の長期金利あるいは株価等の金融変数は、先行きの経済・物価情勢やそのもとでの金融政策運営に関する市場の予想に基づいて形成されています。このため、政策金利についてだけ全く切り離して固定的な前提を置くこれまでの「先行き一定」とする方法よりも、政策金利についても前提となる金融変数に含まれている情報、つまり市場の情報を参考とする方法を採ったほうが、全体として整合性がとれ、適当と判断されました。』
まあ確かにその通りといえばその通りですし、先行きゼロのままで予想したらとんでもない上の数字になるという(ゼロ金利の刺激効果リスクを強調してるから)訳ですからそれもまた合理的ではあります(ってのは本石町日記でのコメント欄で指摘している人がいましたとネタバレ)が、よくよく考えたら量的緩和政策を継続中だったらば「ゼロ金利前提」というモノを出さざるを得なかったですし、4月28日解除だと市場金利が先行きの政策金利を織り込んでいないので前提条件としておく「将来の政策金利」の置きようが無いから展望レポートではやっぱり「ゼロ金利」が前提になって物凄い高い予想CPIが出てくる破目になったという事ですな(-_-メ)。
展望レポートのCPI予想数値を刺激的に高くしないためにも3月の量的緩和解除は必要だったんですよ、な、なんだってー(AA略)。
#ギャグの通じない人もいるので念の為。結論はギャグですからね
・またライトタイミングか!
福井総裁は日銀副総裁時代の「ジャストタイミング」発言(正確にはジャストタイミングは福井副総裁が言ったと連合の人が言ったという報道だったような記憶があるのですが、誰か覚えてます?)で債券先物を特別売り気配にして70銭だか1円だか忘れましたが暴落させたという武勇伝をお持ちです。その時ポジションを持っていた人はまず全員記憶が残っているかと思うのですが(とは言え細かいことは忘れられていて、「福井副総裁のジャストタイミング発言」しか覚えていない自分がいるのだが)、最近はジャストタイミングというと悪態をつかれることをお気になさっているのか(笑)、「ライトタイミング」というのを時折使用致します。しばらく言って無かった気もするのですがまた先日は登場。最後の質疑から。
『幸い、私どもが本日公表した標準シナリオでは、この先2年間、物価安定のもとでの持続的な成長というパスを確保し得る蓋然性が高いということですので、なおさらのこと、決して焦らずに臨みたい。しかし遅すぎてタイミングを逸して大きな景気の波を呼んでしまい、金融政策が過大な負担を背負わざるを得ないという状況には持っていきません。今後とも最もライト・タイミングで政策を行う、という一言に尽きると思います。決して焦ってはいけないが、安心して遅すぎてもいけないという難しさは、これからずっと続くと思います。』
はいはいジャストタイミングジャストタイミング(^^)。まあこの辺りだけではないのですが、一生懸命慎重な言い回しをしているように思えるのですが、その中からも「金利の正常化」とやらへの意欲満々なのを窺わせる部分が少々ございますが、時間切れのため後日。
ちなみにこの応答の前半部分では糊代論by水野審議委員について否定しておりますが、まあそりゃ当たり前で、金融政策の筋論としてあまりにも筋が悪すぎですから否定しますわな。
2006/05/01
お題「どうみてもゼロ金利早期解除です。本当に(略」
先週末は注目の展望レポート(本名は「経済・物価情勢の展望」)が出ました。市場のほうはといいますとさほど反応せずでして、おまけに引け後にユーロ圏のCPIが強い数字出てたんですが、金先は上昇ということで無難な反応。
まあ無難な反応でして、この展望レポートは読み方によってかなりどうとでも取れそうな書き方になっています。しかしまあ今までの日銀の動きから勘案するとこれはどう見てもゼロ金利早期解除です。本当にありがとうございました。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/tenbo/gor0604.htm
○需給ギャップはゼロですかそうですか
冒頭部分に思わず「おお!」となってしまうあたくし。これはまさに2000年の再来ではなかろうかということで。
『わが国経済は、着実に回復を続けている。(中間割愛ですが、項目別に景気の良いことが書いてます)このように内外需がともに着実な増加を続ける中で、2005年度の経済は、昨年10月の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)で示した見通しに比べて、上振れて推移した見込みである。この結果、マクロ的な需給ギャップは、長く続いた供給超過状態が解消し、現在はゼロ近傍にあるとみられる。』
需給ギャップがもうありませんですよゼロ金利解除ですよという声が聞こえそうなお話です。あまり詳しくは覚えてませんが2000年の時もこんな話になってたような気がする訳で、いやあやりますなあという所です。
○景気先行き見通しのメカニズム(メインシナリオ)について
先行きに関しても勿論強気なのですが、その背景にはこんな見立てがあるそうです。引用だけで手抜きですかそうですか。
『第1に、海外経済の拡大が続くことを背景に、輸出は増加を続けると予想される。』
『第2に、企業部門の好調が続くとみられる。企業収益は、2002年度から4年連続の増益となり、2006年度も売上高経常利益率はバブル期のピークを上回る水準を続けるとみられる(以下長いので省略)。』
『第3に、企業部門から家計部門への波及がより明確になってくるとみられる。企業部門の好調の影響は、雇用や賃金の増加に加え、配当の増加や株価の上昇を通じて、家計部門にも波及している。そうしたもとで、個人消費は、着実な増加を続けると予想される。住宅投資も、都心部などで地価が上昇に転じる中で、金利の底値感が台頭していることもあって、緩やかな増加基調を辿る可能性が高い。この結果、家計支出は、国内民間需要の主たる牽引役になっていくとともに、その堅調が企業部門にフィードバックして、前向きの循環メカニズムが維持されていくと考えられる。』
『第4に、極めて緩和的な金融環境が引き続き民間需要を後押しするとみられる。金融機関の貸出態度は積極化しており、民間の資金需要の下げ止まりとも相まって、民間銀行貸出は前年比プラス幅を拡大している。実質短期金利も低下している。中小企業設備投資や住宅投資の増加には、そうした金融環境も影響しているとみられる。』
○景気の上振れ、下振れ要因が並んでますが・・・・・
上記の4つが前提になっているそうな。このあたりの前提が崩れると話が変りますよって事にはなるんでしょう。で、物価の見通しの話を飛ばしてリスク要因に関してちょっと先で書いています。
『第1に、海外経済の動向である。見通しにおいては、わが国の主要貿易相手国が潜在成長率近傍の成長を続けることを前提にしており、それらの展開次第では、わが国の輸出や生産は上振れ・下振れいずれの可能性もある。』
ということで書いてるんですが、原油価格の話と米国、中国の話をしてるのですけれども、最後に中国をもってきて『見通し期間中の成長率が上振れる可能性がある。』で纏まっているのが「強気だよ強気」って声が聞こえてきそうな構成だとみるのはあたくしにバイアスが掛かっているからですかそうですか。
『第2に、在庫調整の可能性である。』ということで、IT部門の在庫調整に関して例示して書いているのですが、ここの部分の最後はどうまとめているかと言いますと、『もっとも、その場合でも、わが国企業が全体としては過剰雇用・設備の調整を終えており、企業収益も高水準であることは、景気全体への影響を緩和する要因として働くと考えられる。』だそうですよウェーハッハッハ。
『第3に、企業の投資行動の一段の積極化である。見通しにおいては、設備資が徐々に減速することを想定している。これは景気が次第に成熟化していくことに着目した想定であるが、企業の投資行動がより積極化する場合には、成長率が一時的に大きく上振れる反面、その後は資本ストックの過剰な積み上がりの反動が生じ、調整を余儀なくされる可能性もある。』
はいはい上振れ上振れ。で、この後にこんな事を書いているのにも思わず注目してしまうあたくしなのでございますが。
『また、最近における地価、株価等の資産価格の動きも民間需要を押し上げる方向に作用している。』
バブル懸念とは一言も書いてませんが、資産バブルが発生すると民間需要が過大に押し上げられる結果、バブルが潰れた場合に反動で民間需要が大きく落ち込むリスクがありますよ(確かにそりゃそうだが、問題は現状がバブルを懸念するほどの状況かという点でして)ってお話をしてますな。
『他方、金融市場において、経済の実態と整合的な価格形成が行われる場合には、景気の大きな振幅を抑える方向に作用すると考えられる。』
つまりアレだ。今の中長期金利上昇は経済の実態と整合的な価格形成だから景気の無用な過熱を抑える緩衝機能を果たしているんですな。まあ言いたい理屈も判らんでは無いが、そもそもその価格形成は地均しの結果生じたものではないかという気が思いっきりするんで、何か自画自賛の香りが漂ってくる俺様理論っぽい気がするんですけどねえ。
しかし書き方というのは面白いもので、リスク要因の説明をしながら最後には「まあそうは言っても」という感じでまとめていまして、まあよく出来た文章でございます。
○潜在成長率が上昇しているというお見立てだそうで
景気の上振れ、下振れ要因に関して書いている後に物価上昇率の上振れ、下振れの話をしてます。
『第1に、需給ギャップのプラス転化(需要超過)の影響である。』という書き出しから始まって、前半では世界的に需給ギャップに対するCPIの感応度低下の話をしているのですが、最後のまとめが当然ながらこうなるのでありました。
『もっとも、需給ギャップがゼロ近傍から徐々に需要超過に転化すると予想される中では、いずれかの時点で、予想インフレ率の切り上がりを伴いつつ、賃金・物価上昇率が上振れする可能性もある。』
はいはい物価上振れ物価上振れ。
『第2に、原油をはじめとする商品市況の動向には上下両方向に不確実性が大きい。』
前節では原油価格上昇に関連して景気への悪影響という話をしてますが、こっちでも述べているということは原油価格上昇は物価への上振れリスクもありますよという指摘なんでしょうか。
『第3に、潜在成長率の上昇の影響である。潜在成長率の上昇は、供給面からは、物価の押し下げ要因となる一方、需要面からは、将来所得に対する見方の上振れを通じて物価の押し上げ要因となり得る。』
ということでして、『わが国の潜在成長率は、様々な構造調整を経て、足もと上昇方向にあると考えられるが、その変化をリアルタイムで認識することは難しいだけに、この面からも不確実性が存在する。』だそうです。ほほう。
○金融政策運営の部分でもこんな事かいてますが
で、次の『(金融政策運営)』の部分ですが、重視すべきリスクのお話をしてまして、そこにもまた強気なお話がございますが・・・・・
『この間、より長期的な視点を踏まえつつ、確率は高くなくても発生した場合に生じるコストも意識しながら、金融政策運営という観点から重視すべきリスクを点検すると(第2の柱)、企業の収益率が改善し、物価情勢も一頃に比べ好転している状況下、金融政策面からの刺激効果は一段と強まる可能性がある。その場合には、現在、需給ギャップの水準がゼロ近傍にあることから、中長期的にみると、経済活動の振幅が大きくなり、ひいては物価上昇率も大きく変動するリスクは意識する必要がある。』
金融緩和の刺激効果が高くなったリスクキター!ですわな。
『一方、経済活動や物価上昇率が下振れした場合でも、金融システムの安定が回復し、設備、雇用、債務の過剰が解消されてきていることから、物価下落と景気悪化の悪循環が発生するリスクは小さくなっていると考えられる。
』
悪化リスクは小さいですキターー!という感じ。
いやまあ2000年の時から比べると確かにリスクが大きいとは思わないけど、読めば読むほど強気の部分が印象として強くなるのはあたくしが早期ゼロ金利解除を予想しているからですかそうですか。
○総じて申し上げますと・・・・・
結論として出てきている大勢見通しは無難に纏めてますが、中に書いてある文を見ますと、経済物価の上振れリスクといか、金融超緩和状態の長期化リスクという部分が(特に後者)目に付く次第でして、これだけ見てると極端に言えば5月にゼロ金利解除してもおかしくない位の進軍ラッパに見えます。まあさすがに5月はないでしょうが(苦笑)、あたくしの読み筋の本命7月どころか6月にゼロ金利解除しても何らおかしくはないという内容ではございますな。まあ現在の調子だと6月解除しても金利政策に持っていくのは何ら問題なさそうですな。足元金利もやっと動き出した(ただし大型連休要因の可能性もあります)ようだし。
記者会見でも興味深いコメントがあったようですが、こちらに関しては会見テキストが出てから明日にでも。