原田泰審議委員

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原田さんの略歴(日銀Webより)


昭和49年 3月 東京大学農学部農業経済学科卒業
昭和49年 4月 経済企画庁入庁
平成 7年 6月 経済企画庁国民生活局国民生活調査課長
平成 9年 7月 経済企画庁調査局海外調査課長
平成10年 6月 経済企画庁物価局物価政策課長
平成11年 7月 大蔵省財政金融研究所次長
平成13年 1月 財務省財務総合政策研究所次長
平成14年 7月 内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官
平成16年 4月 (株)大和総研チーフエコノミスト
平成24年 4月 早稲田大学政治経済学術院教授
平成27年 3月26日 日本銀行政策委員会審議委員

平成27年3月26日に日本銀行政策委員会審議委員に就任
(前職:早稲田大学政治経済学術院教授)

2015/11/16「金懇挨拶だが良く見たら景気の回復が遅れているが雇用の堅調をアピールしているのに雇用が遅行指標と説明するという全く持って論理がおかしい説明があって事務方はちゃんと添削しろと思う件」
2015/11/13「会見もツッコミどころ満載で見るに耐えない」
2015/11/12「金懇デビュー戦から早速本格派の電波というかアホ丸出しというか」
2015/06/15「産経新聞でのインタビューでは超過準備の付利を無くすと貸出に回るという馬鹿発言をしているの??」
2015/06/05「ブルームバーグでのインタビューでも実務知識大丈夫かという発言が相次ぐ」
2015/03/30「就任会見は揚げ足取られないようにして説明したら何が何だか意味不明な馬鹿説明になっている件」
2015/03/27「就任会見だがジンバブエ理論への追及が無かった模様(速報)」


審議委員就任前

2015/03/26「というとで明日から就任」
2015/02/26「参議院では民主党の反対演説を受けて松田公太氏や猪木寛治氏が原田氏に反対とな」
2015/02/25「目出度く原田さん人事は衆議院で通過」
2015/02/06「原田先生と同様のリフレ派早稲田大学教授若田部先生も原田ジンバブエ理論を提唱と馬鹿かこいつら」
2015/02/05「日経事前リーク記事の情報漏れ調査で1日審議委員人事の提示が遅れるとな」
2015/02/04「なんと原田先生審議委員候補とな」

審議委員ノミネート前

2015/01/30「リフレ派の原田早大教授の馬鹿にさらに磨きがかかるとな」
2015/01/14「リフレ派の早稲田大学原田教授が珍理論」

2015/11/16

○原田審議委員講演ネタでうっかりスルーしていましたが

つーことで原田さんの金懇挨拶ですけれども、
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/data/ko151111a1.pdf

木曜日に(ノリノリで^^)ネタにした時に割愛しちゃいましたが良く良く見ると最後のまとめの所の話も大概であることに気が付いたので折角ですから補足。

『7.終わりに』という小見出しですけれどもね。

『以上述べたように、「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しています。』

どこがどう発揮しているのかと言いますと・・・・・・・

『消費税増税のマイナスのショックはありましたが、雇用は継続的に回復しています。アベノミクスの恩恵は地方には来ないと言われていましたが、すべての地域で有効求人倍率が上がっています。』

なんじゃそら。

『雇用は伸びても賃金は上がらないと言われてきましたが、時給は上がっています。』

全体がそうなんじゃないでしょ。

『賃金と雇用者数を掛け合わせた雇用者所得で見れば、実質でも上がっています。』

でも個別で実質所得上がっていないと意味ないし、世帯収入が上がったという話をするにしても現実問題に引き直して世帯主の所得だけで足りないから世帯主以外が非正規雇用に入るという形の場合にそれは本当に豊かになったと言えるのかと。

『企業の利益も上がっていますので、所得の全体は上がっています。』

それがトリクルダウンしてこないのが見込み違いだったんじゃないでしょうか。

『これが消費や投資などの支出に結び付けば、生産も回復します。ただし、残念ながら、所得は継続的に上昇しているのですが、消費と投資の回復は弱いままです。』

「残念ながら」じゃねーよ置物リフレ理論ではインフレ期待が上がって実施金利が下がったら消費や設備投資が出るって話で、そのインフレ期待を高める為に置物MB直線一気理論に基づいて長期国債馬鹿買入してるのに、肝心のメカニズムが2年半たってもワークしないだったら普通は置物リフレ理論のどこかに問題があってワークしないのだから別の方策を考えようという話にならないのですかねえ。

『当初考えていたように物価は上がっていませんが、物価だけ上がって雇用が増えていなかったら大失敗だと私は思います。』

インフレターゲットを設定してリフレ政策を実施したら勝手に他の物が良くなっていくというのが置物リフレ理論で、そのロジックで貴方も散々日銀の悪口言ってませんでしたっけ今更何を言ってるんでしょうかねえ。大体からして消費税分も含めれば雇用は増えても実質所得は昨年の落ちまで取り返していないでしょ、

『経済全体の需給が締まってくる中で、いずれ物価も上がってきます。本年度末には、消費者物価が2%に向けて上昇していることが確認できるでしょう。』

まあこれ自体は日銀の言う「需給ギャップが改善していき物価が上昇」という話をしているのと同じなのですが、こういう表現をされると全くの根拠レスにしか読めてこないというのが実に香ばしい。

『ただし、中国経済を中心とした新興国経済の一層の減速、アメリカの金利引き上げが思わぬショックをもたらす可能性、ヨーロッパの債務危機の再燃など、日本経済を失速させるリスクはあります。所得から支出への循環が断ち切られてしまい、雇用が悪化し、物価を基調的に上昇させるメカニズムが危うくなれば、躊躇なく追加の金融緩和を行うことが必要と私は考えています。』

と思うのなら今(10月)に追加緩和の提案するもんじゃないですかねえと思いつつ、最後のこの一文が大変に腰を抜かしてしまいました。

『特に、雇用が景気に遅れて変化する遅行指標であることにも注意する必要があります。』

・・・・・・・・・・・・お、おぅ。

えーっとすいません、(木曜も引用しましたように)この講演では「雇用が改善しているので物価が上昇していなくても大成功」という説明になっておりまして、雇用の改善を物凄い勢いでアピールしている(まあそれしかアピールするものが無いのだが)のですけれども、一方で景気の方は改善が今一歩であって、消費と生産の回復が弱いままという話をしている訳ですよね。

でもって雇用が遅行指標という話なのですが、遅行して自画自賛するほど改善している雇用に先行する筈の勢いで改善している経済はどちらにいらっしゃるのでしょうかと小一時間問い詰めたい訳で、遅行している方が先に強くなっていて肝心の経済に関しては改善遅れているという事象に関する説明をしているのですが、それであれば先行きは2%に向けて改善するというよりは雇用が伸び悩みになってきて「経済全体の需給が締まってくる中で、いずれ物価も上がってきます」とはならないのではないでしょうかと小一時間ではありますな。


とまあそういう事ですが、何と言いましてもこちらの講演では木曜にご紹介したように、「国債発行して財政規律が弛緩するなら造成をしても財政規律が弛緩する」というジンバブエ理論炸裂というか、財政当局に全面的に戦争を持ちかけたような素晴らしいご発言の部分でありまして、えーっと個人の見解というのは色々とあってしかるべきだと思いますが、日本銀行政策委員として言って良い事と悪い事というのがある筈でして、何ぼ何でも日銀の事務方でチェックした方が良いんじゃないのですかねえ(そういうのを弁えている人だったら大丈夫でしょうが何せジンバブエ理論ですから)とは思うのでした。


という先週の続きネタでした。

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2015/11/13

○本格派大先生の記者会見はツッコミどころが多くてお腹いっぱいな件について

昨日は会見のアップが妙に時間が掛かっていたようですが、これはやはり文字に起こすときに如何にマイルドにまとめるかというのに時間が掛かったんですね(妄想)!!!


会見はこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2015/kk1511b.pdf

なお金懇挨拶は昨日(アタクシがノリノリで^^)ネタにしましたが、念のためそちらから引用する場合はこちらのを引用しますよん
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/data/ko151111a1.pdf

#会見は大丈夫ですが挨拶はIEで開けるとコピペで不具合が生じますのでGoogleChrome推奨


・一つの質疑だけでもツッコミポイントが複数とはこれ如何に

昨日ネタにしました講演の方では

『「物価が上がっていないから金融緩和は失敗だ」という批判がありますが、もし、物価だけ上がって雇用が増えていなかったら大失敗と批判されているでしょう。雇用が増えているのですから大成功だと私は思います。』(金懇挨拶10ページより)

という説明をしていましたのでそら当然こういう質問が来ます罠。

『(問) 午前の講演で、今の政策について雇用が増えているので大成功だと思う、物価についてはいずれ上昇するので心配に及ばないというご発言がありまして、どちらかというと物価よりも雇用を重視されているような印象を受けたのですが、雇用が良い状況でいずれ2%に達するのであれば、多少2%の達成時期が遅れても大きな問題ではなく、追加緩和も必要ないと理解してよろしいでしょうか。』

『(答) まず、雇用を重視していますが、雇用が物価より大事だと考えているわけではありません。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

「物価が上がってないけど雇用が増えているから大成功!!」→「ということは物価よりも雇用を重視するんですね??」→「雇用が物価より大事とは考えていない」→(゚д゚)(゚д゚)(゚д゚)(゚д゚)(゚д゚)

いやあのああいえばこういうで言い逃れに終始しているんでしょうけれども、こういうのを時間差で話をして「経済状況の変化によってウェイトを置くものが変わってきますよ」とでも言うのならまだしも、午前中の話と午後の話に整合性が無いとかはいはいおじいちゃんお薬の時間ですよ満州の話はさっきも聞きましたからね状態にも程があるんですが・・・・・・・

『ただ、経済状況が良くならないのに物価だけ上がっているというのは良くないことで、雇用が良くなり、賃金も上がり、結果として物価が上がっていくということが望ましい経路だと考えています。』

えーっと、リフレ理論では期待インフレがデフレ期待状態から脱却して物価も上昇したらそれが引っ張って投資や消費が出て雇用も増えるので経済が良くなるという話だったと思いますが、いつのまに「経済が良くならないのに物価だけ上がる」という状況が発生するようになったのでしょうかと思いますし、「結果として物価が上がっていくということが望ましい経路」という説明もリフレ理論のまず物価と物価期待を上げることによってその他が好転する、という経路の逆の話ですよね。

つーことでですな、いきなりこの先生置物リフレ理論から思いっきり逃亡しているのですが、これは後の方で別のぶっ飛び質疑がありまして、そちらの方が分かりやすく表示されていましてまあ笑うしかないんですけど、良く良く見ると実質最初の質疑から(従来のジンバブエ先生の主張対比)トンデモナイ事を言っておられて最初からビリビリ来ます!!

更にこの続き。

『現在、物価が直近でマイナスになっているのは、石油価格下落の影響が大きいわけです。これは国民経済にとっては非常に良いことです。国民経済にとって良い状況で物価が短期的に下がっている、しかし石油価格下落の影響はいずれ剥落することが分かっています。』

ということはいずれ分かっている石油価格下落影響の剥落という悪影響にプリエンティブに対応して追加緩和を実施した方が宜しいのではないでしょうかねえ(ニヤニヤ)。

『分かっている中で、さらに物価を何としてでもすぐさま上げるために追加緩和をするということまでは必要ないのではないかと思います。』

石油価格下落の影響での物価下落は良い物価下落みたいな話をしだすと、じゃあ円安ドリブンの物価上昇は悪い物価上昇みたいな話になってしまう訳でして、そういう悪い物価上昇だの良い物価下落だのという話は無い、というのが置物リフレ理論における説明だった訳で、こういう説明をしている時点で本人が既にリフレ論からの転向状態が始まっているよねと思うの。

『現在、景気が良くなって物価が上がっていくという経路は、多少弱くはなっていますが続いていますので、その効果が顕れて、次第に物価が上がっていく、そして同時にエネルギー価格が物価を下げる効果も剥落していきますので、いずれ物価が2%に近付いているということを確認できると思います。そういうわけですので、現在の段階では追加緩和は必要ないのではないかということです。』

という事ですが、原油価格下落を良い物価下落という話をしている中でその裏が出た時に今度はそれが手前の物価を上げるにしても景気下押しに効くんじゃないかという考察が無いというのも手前味噌な理屈だわなと思います。まあこの手前味噌は別にジンバブエ先生というよりは日銀執行部の説明もそんなもんですから同じ話なんですけどね。

つーかそもそも景気が良い云々の部分は昨日ネタにしたように、講演での説明が弱いと言ってみたり回復していると言ってみたりでそもそもお前は何を言ってるんだ状態なのでなんだかねえという感じでもありますが。


・追加緩和の手段には言及無しというよりは言及できないということなんですね

『(問)(前半割愛)2つ目は、仮の話ですが、追加される場合の政策手段として、総裁は付利をいじられることは検討したこともないし、することもないとおっしゃっていますが、原田委員は大学にいらした時は撤廃を提唱されていらしたので、その考え方に変わりはないのか、確認させて下さい。』

微妙に斜め上の答えが返ってきていますが鑑賞しましょう。

『(答)(前半割愛)追加緩和ですが、これは、所得から支出、支出が物価を引き上げるというメカニズムが崩れるのであれば、躊躇なく追加緩和が必要だと申し上げています。それは政策委員会の多数のメンバーも同じ考えだと思います。追加緩和の手段を、具体的にここで議論するのは差し控えたいと思いますが、あらゆる手段があります。追加緩和に制約があると言っておられる方もいらっしゃいますが、私はそういう制約はないと考えています。』

と答えているのですが、質問は付利についての話だったのに付利の事を一言も触れないという時点でお察しな訳で、付利については今の枠組みでは現実的な政策オプションとして取るのが技術的に無理があるという事でそもそも(今の枠組みを前提にした場合、ですよ)検討課題にも上がっていないという空気を読んでだんまりという事なんでしょ。

でまあどこぞの本職の方が「こういう答えをするというのは要は手詰まりという事でしょ(意訳)」というレポートを出しておられましたが、まーそうでしょうなあとアタクシも思うのでした。


・消費増税についての説明を見て思う

中々こう笑えるなあと思ったのは消費増税の悪影響が大きいなら延期すべきじゃないのという質問に対する答えの部分(質問の引用は割愛します)。

『(答) まず、消費税増税ですが、これは政府が決定すべきことであって、それに対して日銀審議委員である私がコメントすることはありません。ただし、消費増税をすればその分だけ景気が悪くなることは確かであって、景気が悪化する分だけ物価の上昇を抑える影響があるということは事実です。政府としては、財政再建のために消費増税は必要であるという認識のもとに進めておられるわけですから、それに対して私としてコメントすることはないということです。』

というお答えをしているのですが、ジンバブエ大先生さっき講演でこういう話してましたよね。

『そもそも、金融政策で財政規律が弛緩するなら、増税しても同じです。国債を発行しやすくなれば使ってしまうというのなら、私は、増税して収入が増えれば使ってしまうだろうと思います。』(金懇挨拶10ページより)

・・・・・・・・まあ何ですな、物凄く好意的に解釈して差し上げますと(^^)、このジンバブエ大先生におかれましては元々のジンバブエ理論を本当は振り回したくてウズウズしているものの、そうは言っても与党審議委員として与党発言をしないといけないという立場を反映しているので、上記のような日銀としての公式見解的な発言が出てくるわけですな。

でもまあ元々のジンバブエ理論については特に引っ込める気も無いので、金懇挨拶の上記部分のような超越ジンバブエ理論が飛び出してくる訳で、そこの整理を全然つけないでスチャラカパーと話をしているから講演にしろ会見にしろ話に一貫性というか整合性というものが全然感じられない訳のわからん代物に出来上がっているのではないかとも思ったのですがどうでしょうかねえ。

ついでに言えば恐らく決定会合議事要旨に出ている木内さんへの意味不明反対理論(副作用は理論的にも実証的にも無い、とかいうような奴)も恐らくはジンバブエ先生によるもの(だって師匠だけの時に木内さん提案にこんなハチャメチャな反対意見無かったもん)ではなかろうかと拝察される所ではございまして、まあそういう所ではジンバブエキター状態でやっているんでしょうなあとも思うのでした。

でまあ更に話は脱線しますが、講演での上記ジンバブエ理論大炸裂部分の発言って今回の会見では惜しい事に誰もツッコミを入れていなかったのですが、これってあの「国債を中央銀行が買うと債務が消滅する」という純粋プリントマネーなジンバブエ理論の変形バージョンな訳でして、いくら発言が自由であると言いましても中銀の政策委員として言って良い事と悪い事というのがあるのではないでしょうかと思うのですけどねえ・・・・・・・・・・・・


・消費と物価の見通しの説明が最早何を言っているのか分からない件について

こんな質問も。

『(問)(前半割愛)次に、消費について、日銀の中心的な見通しは底堅いということですが、原田委員は、直近、懸念されるような動きがあるように思うと、あるいは消費と投資の回復は弱いままであると、おっしゃっています。それにもかかわらず、なぜ物価だけは、本年度末には2%に向けて上昇していることが確認できるとなるのか。ここの根拠というか、消費なり設備投資が弱いままなのに何で物価だけ上がるのでしょうか。過去は余りそういうことはなかったのではないかということでお伺いします。(後半割愛)』

申し訳なのだがこの答えが何を言っているのか全く理解できない、というかこれ文字にしている時にそれなりに(要旨だから)発言を丸めて結果がこの文字になっていると思いますので、実際に何を言ったんでしょとか考えるのも面白いですな(違)。

『(答)(前半割愛)消費は底堅いと言っているが、弱いのではないかというのは、それはどのくらい弱いのかという話です。確かに活発でないのは事実ですが、弱いながらも上昇が続いています。それは、消費についても投資についても、弱いながらも上昇が続いていて、その上昇が続けばいずれ物価にも影響してくるだろうということです。』

『それが余り強くないから物価上昇のモメンタムがなかなかみられないというのはその通りですが、エネルギーを除いた物価をみれば、徐々に上がっています。一方で、雇用と所得の関係が崩れていない以上、弱いながらも消費と投資は増えていって、結果的には物価の上昇に結びつく、ただ、それが後ろ倒しになるということです。(後半割愛)』

・・・・・・・・・・・何が何だかわからない。


・BEIについてはやはりツッコミを受けていましたが答えが呆れる

同じ質問の最後の部分ですけどね。

『(問)(前半割愛)最後に、物価がQQEによって成功裡に上がっているということを示す根拠として、BEIをここでは挙げられていますが、今年に入ってからはほぼBEIは右肩下がりになっています。これをどのように説明されるのか。先程も繰り返しましたが、今年度末に向けて物価目標2%に向けて上昇していることが確認できるという動きとは真っ向から反対方向の動きになっているわけですが、それをどのように解釈されているか。この3点をお願いします。』


『(答)(前半割愛)3番目は、QQEで物価が上がるというひとつの根拠として、BEIを挙げているが、そのBEIは直近下がっているではないかというご指摘です。皆様方に配付した私の講演内容に書いていますが、QQEの実施後、物価それ自体も上昇したし、BEIも上昇しました。ところが、QQEを拡大した直後はBEIが上がったが、その後は下がっているのはご指摘の通りです。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

『そこで、2014 年 10 月に「量的・質的金融緩和」の拡大をしたところ、再び、BEI、現実の物価(生鮮・エネルギーを除くベース)が上昇するようになっています。以上のことから、「量的・質的金融緩和」とその拡大は物価を上昇させる効果を持ち、現在、その効果が発現しているところだと認識できると思います。』(金懇挨拶6ページより)


という直近の説明は何だったんでしょうかというか、金懇ではウソついていたという事になると思うのですが大丈夫ですかとしか申し上げようがない。

『ただ、物価の予想は色々な指標でみるべきですし、またBEI自体が足許の物価の上昇率に影響されるということもあると思います。足許の物価上昇率がBEIにも反映して、結果としてそうなっているということも考えられます。一方、所得から物価へのメカニズムがある限り、いずれ物価は上がるということも確かなのではないかと思います。』

何という見苦しい説明。


・あっさり「期待」の効果が低いとか言い出すのは大丈夫かと

これは思いっきり昨日の時点で話題になっておりましたが、さっきの答えの続き。

『足許の物価と予想物価とどちらが大事かという話になりますが、私が日銀に参る前は、予想物価が大きく変化して現実の物価に大きく働きかけるという経路が強いと思っていましたが、その後の現実の物価の動きをみますと、やはり人々の予想というのは足許の物価の動きに引き摺られますので、予想物価自体が足許の物価に影響を受けます。ですので、予想物価と現実の物価が上がっていくのに時間がかかるということだと思います。』

「期待に働きかける政策」によってインフレ期待を引き上げる事が政策効果の起点という事になっていた(例えばこれの7ページ→http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130828a2.pdf)筈なのにあっさりとこういう話をするとかもう何だかねとしか申し上げようがない。

『前に私がデフレ脱却について編集した論文集を別の用があって読み直してみましたが、その中にも「予想物価は、過去の予想物価と足許の物価に影響される」という論文があり、この論文の通りだと思った次第です。』

思った次第ですじゃねーよ。


・貯蓄が出るには将来の期待が高まらないとまずいんじゃないのと思うのだが

『(問)(前半割愛)もう1点は、エネルギー価格が下がることで、やや長い目でみると、結局は消費を押し上げて、物価上昇につながると、プラスになっていくというようなお話なのですが、昨年来からずっと原油価格がかなり下がって、足許でも低いままです。果たして石油価格が下がることによって消費を押し上げる効果は実際に出ているのでしょうか、それともこれから出るのでしょうか、そのあたりについてもお考えをお聞かせ下さい。』

そんな難しい質問をしちゃダメですよ!!!

『(答)(前半割愛)それから、エネルギー価格の下落によって生じた所得がいつ出てくるのかということですが、実際問題として、例えば貯蓄率は上がっています。貯蓄率が上がっているということは、実質所得の増加分が支出に使われていないということですから、現在のところまだ一般的には出ていないということです。ただ、それがいつまでも続くということはないと思います。つまり、貯蓄率が無限に上がっていくことはないので、それはいつか出てくる。あるいは、貯蓄率の上昇が止まれば、所得が増えた分だけ必ず使われるので、それは出てくるということです。それは出てくるはずなので、目標達成時期が遅れたとしても、必ず2%を達成できるということを申し上げているわけです。』

えーっとそれは恒常所得の増加期待が足りないから出てこないのであって、そもそも恒常所得が増加する情勢になっていないからそういう環境を作りたいし、そのために何をすべきかみたいな話をするのなら政策担当者としての存在意義がある(黒田総裁はこの前の講演でも企業経営者に向かってお前ら何で投資や労働分配しないんだよという話を思いっきりしていましたね)のですが、この質疑も良く良く見ると上記のように「これからこうなる筈だ」的な話に終始していて、そもそも何で「こうなる筈」なのが思ったようにここまで来ていないのかという事に関する考察やら、その問題を取り除くために何が必要なのかというような考察が全く感じられないという点でスチャラカおじさんとしか申し上げようがないなあとか、まあそんなことを思うのでした。


#いかん思ったより長くなってしまった

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2015/11/12

お題「本格派の予感がしたあの大先生が想像以上の本格派だった件について」

ということで本日は本格派大先生のデビュー戦を鑑賞したいと存じますので、ドル円ベーシスがどうのだの短国3M入札がどうのだのという話や米国の講演ネタなどはスルーの見込み(^^)。


○これは色々と本格派の講演過ぎて頭がクラクラして参ります

本格派大先生の金懇デビュー戦はこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/data/ko151111a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 栃木県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──

ということで鑑賞した訳ですが、何が凄いと言って政策の話をする中で説明する基準が一つの講演の中でコロコロ変わってみるとか、批判にお答えするとか言いながらそんな批判は誰もしておらんがなという藁人形論法を繰り出してみたり、はたまたお得意のジンバブエ理論の変形バージョンを堂々登場させてみたりと、バラエティに富んだアレ振りでして、いやあの一応中央銀行としての体面というのがあると思うのでチェックは掛からんのかよと深く憂慮の念に堪えない所でございます。

では鑑賞開始。

・消費税の影響についての説明が自由自在すぎる件について

最初の2ページほどはどうでも良いので割愛しまして、3ページ目の『3.転換の結果、何が起こったか』という所の消費税の影響に関する説明が自由自在すぎるのです。

『まず、「量的・質的金融緩和」を実施した後、現在まで2年半余りの期間について、生産、消費、投資の動きを見ることにします。図表1を見ますと、2014 年 4 月の消費税増税の負のショックを除外して考えれば、投資については、直近弱さが見られるものの、基調的には拡大しています。一方、生産と消費には停滞が見られます。消費税増税前の駆け込みとその反動という動きがありますが、それを除いても、順調に回復とは言い難いものがあります。』

そもそも消費増税を前提に色々な政策をしているのに消費増税のショックを除外して考えるというのが謎ですがまあさておきまして、

『特に消費について見ますと、消費税増税の影響はかなり大きなものがあります。』

ほほう。

『消費総合指数――供給側の統計と需要側の統計を組み合わせた指数で、GDPベースの消費に近い――は、駆け込み前のピークをいまだ超えていません。』

>駆け込み前のピークをいまだ超えていません
>駆け込み前のピークをいまだ超えていません
>駆け込み前のピークをいまだ超えていません

・・・・・・・・・・???????

えーっとすいません、消費増税の影響は大きいというのの比較する前の所が駆け込み前のピークってそれ駆け込みのプラスを無視してマイナスが大きいから影響が大きいっていう話になると思うのですが大丈夫しょうかと思いますし、2013年4月の所から見たら消費総合指数の水準ってほぼ横ばいですから「消費税増税の影響はかなり大きい」という説明が訳分からんとしか申し上げようがないのですが。

『しかし、消費税を増税すれば、その分、家計の実質所得が減少しますから、消費が減るのは当然のことです。』

その前の駆け込み需要ピークと比較すればそら減るでしょうと思いますし、消費増税で実質所得が減るのでしたらコストプッシュの物価上昇でも実質所得は減るんチャウのと思いますが。

『肝心なのは、それにもかかわらず、トレンドとして実質消費が増大しているかどうかです。日本銀行の中心的な見方は、「消費は底堅い」ですが、直近、懸念される動きがあるように私は思います。生産についても同様の状況にあります。』

なおそれがどういう事かの説明は何となく最後にあるのですが詳しい説明ではありませんな。


・雇用は伸びていて賃金も上昇という話でも自由自在振りを発揮

次が『雇用は堅調に伸びている』という小見出しですがここはスルーして次の小見出しが『賃金も上昇している』であります。

『雇用は伸びても賃金は上がらないと言われてきましたが、図表4に見るように、賃金に雇用者数を掛けた雇用者所得で見れば上昇しています。』

・・・・・・・・・・???????

あのーすいません。雇用が伸びたら雇用者数伸びるんですから、賃金が上がらないどころか下手したら下がっても雇用者数×賃金の数値は上昇するんですけれども、この人は一体全体何に反論しているつもりなのでしょうか????????

いやですね、これが「雇用が伸びて賃金が上がらないという批判はありますが、社会全体の雇用者所得という意味では伸びている点に注目すべきであります」とか言うのならまだ話は分かるのですが、これじゃあ説明になっていないと思われる代物を堂々と出してくるところがさすがは本格派と感心する次第でございます。

なお、あまりにお洒落でクラクラ来たのは図表4の中の「実質雇用者所得」の線が2本あって、そのうち1本が「実質雇用者所得(消費税の影響を除く)」という最早何の意味があるのかさっぱり分からないものが挿入されている事でありましてですな、

『もちろん、実質で見れば雇用者所得も増加していませんでしたが、2014 年 4 月からの消費税増税の影響を除けば実質でも増加していました。』

・・・・・・・・・・???????

えーっと、さっきは消費増税の影響で消費がどうのこうのという話をしていたのですが、政策効果ガーという自画自賛モードに入ったら急に「消費増税を除く実質でも所得が増加」という話になるというのは自由自在すぎて何が何だかさっぱりワカランチ会長なのですがお前は何を言ってるんだと小一時間問い詰めたい。

『消費税増税の影響が剥落する2015年4月以降は、増加の傾向がより明らかになってきています。』

まあ2%の物価目標に対して全然整合的ではないけどな。

『なおここで、2015 年 6 月の数字が大きく落ち、7 月の戻りも大きくはなかったのですが、賞与の結果を調べたアンケート調査のすべてが前年比プラスであることを踏まえると違和感があります1。個人的には、毎月勤労統計調査にサンプル・バイアスがあったのではないかと思っています。』

なおこの先も全部毎勤についてはサンプルバイアスで片付けております。


・藁人形論法キタコレだわ論理のすり替えはあるわ最初の話と違うわと盛り沢山のコーナーキタコレ!

次の小見出しが『輸出は伸び悩んでいるが』なのですがここが序盤のハイライトです!!!!

『「量的・質的金融緩和」の導入後も、輸出が伸びないという批判がありましたが、従来から金融緩和に反対していた人は、金融を緩和すれば輸出が急増して貿易摩擦が再燃し、大変なことになると言っていました。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

そんな事言ってる奴はいねえだろうよ・・・・・・・・・・

円安で輸出ドリブンをドライバーとしたとして、狙っていたトリクルダウンの前に輸入物価上昇の悪影響の方が先に出ませんかというような批判はあったと思いますが、「貿易摩擦が再燃」ってそんな批判は(そらまあどこかのキワモノがしたのかも知れませんけれども普通の人は)してないだろという事で、これはどう見ても典型的な藁人形論法って奴ですな。

まあ藁人形論法は先程の一貫性の無い自由自在論法と共に置物リフレ一派の皆様が得意とする説明ではあるのですが、さすがは本格派のジンバブエ先生だけにどこぞの置物師匠のように日銀に入ってから新たに勉強したなどという事も無いようで大変に驚きの念に堪えない所ではございます。

『図表6に見るように、輸出があまり伸びなくて、景気が良くなっているのであれば、私としては、むしろ良いことと思います(今後の輸出動向については後述)。』

輸出が伸びないで景気が良くなるというのは良い事だとか言ってますが、そもそも円安で輸出企業中心に収益を回復させて景気のドライバーにしましょうというQQEの話と全然違うのですけれども何を言っているのでしょうか。


『日本は輸出主導で景気を拡大させてきたというイメージが強いのですが、過去の景気回復は必ずしも輸出主導だったわけではありません2。』

で、この脚注ですけれども、

『2 これは輸出主導をGDPに影響を与える純輸出が伸びているかどうかという基準で考えた場合です。』

という話で以下の説明があるのですが、GDPベースの純輸出がどうのという話ではなくて、QQE導入時のメカニズムとしては輸出企業を中心に収益を以下同文という狙いで話をしていたので、純輸出どうのこうのと言われましても何だか別の世界での論議をしているようで実にアレという感じですな。

でまあその説明があった後のまとめが、

『これは、金融緩和政策が、貿易摩擦など起こさずに景気を回復させることができることを示しています。』

と締めているのですが、そもそも貿易摩擦云々が藁人形論法な上に、最初の説明で生産と消費について『それ(消費増税前後の動き)を除いても、順調に回復とは言い難いものがあります。』という説明をしているのに、いつのまにか景気が回復している事になっているというこの話の飛躍は一体全体何なんでしょうかと小一時間問い詰めたい。



・BEIの推移の説明がどう見てもおかしい件について

その次の小見出しが『物価が上がっていないのは原油価格下落のため』ですが、そこの冒頭でも、

『現在、景気が腰折れするリスクがないわけではありませんが、以上述べましたように、今までのところ、景気は緩やかながらも回復しています。特に、雇用が継続的に改善しています。』

ということで生産と消費が弱くて設備投資もそんなに伸びている訳でもなく、おまけに輸出も伸びていないのに景気が回復とはナンジャソラという感じですが。

『しかし、日本銀行が目標とした2%の消費者物価上昇率はまったく達成できていないではないかというご批判もあると思います。確かに、図表7に見ますように、日本銀行が当面の目標としています消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)3は、9 月にはマイナス 0.1%となり、物価は上がっていないように見えます。しかし、それは世界的な原油価格下落によって、エネルギー価格が低下したことによるもので、エネルギーと生鮮を除いた物価を見ますと、着実に上昇しています。エネルギー価格は、いつまでも下落を続ける訳ではありませんので、やがてこの効果が剥落しますと、エネルギーを除かない物価も上昇していくはずです。』

というはいはい基調基調という感じですが、さっき『消費税を増税すれば、その分、家計の実質所得が減少しますから、消費が減るのは当然のことです。』という話をしていた訳で、ヘッドラインの物価が上昇して行って実質所得が下がったら消費が減らないのでしょうかという話は華麗にスルーしているのは順当ながらジンバブエクオリティ。


では次の小見出し『金融政策と物価の関係』に参りましょう。

『この間の金融政策と物価の関係を図表8で見てみたいと思います。図表には、現実の物価上昇率と、物価連動国債から計算できる予想物価上昇率(BEI)4を書いてあります。2012 年 12 月に第2次安倍政権が発足し、2013 年4 月に「量的・質的金融緩和」が行われたわけですが、それらとともにBEIが上昇し、現実の物価も上昇していることが分かります。』

念のため言っておくがBEIには消費増税の影響による物価上昇寄与も含まれるからな。

『その後、2014 年度になって、現実の物価(消費税の影響を除いたベース、生鮮を除くベース、生鮮・エネルギーを除くベース)、BEIがともに停滞するようになります。』

ふむ。

『そこで、2014 年 10 月に「量的・質的金融緩和」の拡大をしたところ、再び、BEI、現実の物価(生鮮・エネルギーを除くベース)が上昇するようになっています。以上のことから、「量的・質的金融緩和」とその拡大は物価を上昇させる効果を持ち、現在、その効果が発現しているところだと認識できると思います。』

・・・・・・・・・・・????????

これ図表8を見ながら確認して頂きたいのですが、2014年10月以降のどこがどうBEIが上昇するようになっているのか全く意味不明なのですが、まさかとは思いますがジンバブエ大先生はこの図表8のBEIのうち『BEI(旧物価連動国債) 』の方を見てBEIが上昇という話をしているのではないでしょうか??

旧物価連動国債というのは物国16回債以前の銘柄になりますが、一番残存が長い16回債の償還が2018年の6月でございますし、大体からして16回以前の物国に関しては流動性が皆無になっていて、そもそもその流動性皆無銘柄のBEIが上昇とか言われましてもそれは違うだろという話で、10年カレントで発行再開になって以降のBEI推移はどこからどう見ても相対的に流動性のある新物国の方を見るだろと思いますし、そちらの数値は追加緩和以降若干の上下はありますが、『再び、BEIが上昇するようになっています。』とは残念ながらいえるような状況ではないと思うのですが、ジンバブエ先生は何を見て上記のような指摘をされておられれるのでせうか??????????????(なおこの間に消費増税先送りというイベントもありましたのでそこらも勘案しないといけませんのでBEIでどうのこうのと単純に言うのはそもそも的を外す可能性がありますからねえ)

『なおここで、消費税が景気を下押しする効果を持ち、かつ、そのマイナス効果が物価にも下押し圧力をかけることを説明しておきたいと思います。消費税率の引き上げとは、家計の実質所得を減らして消費需要を減らすものですから、それ自体、物価を引き下げる効果があります。多くの議論では、このことが忘れられているように感じます。』

でまあ最初の方では『特に消費について見ますと、消費税増税の影響はかなり大きなものがあります。』という話をしていて、消費増税の影響が大きくて物価に下押し圧力を掛けるのは分かりました。

で、それはそれで分かったのですが、では何故直前で『エネルギーと生鮮を除いた物価を見ますと、着実に上昇しています。エネルギー価格は、いつまでも下落を続ける訳ではありませんので、やがてこの効果が剥落しますと、エネルギーを除かない物価も上昇していくはずです。』と説明出来るのかがさっぱり意味が分からないのですが、どちらかの説明がおかしいのか、足元での除くエネルギー生鮮の物価上昇が実は短期的なものでいずれはこれも下押し圧力に回るのかのいずれかなのではないでしょうかねえ。


・またも藁人形キタコレの金融政策論登場

次の小見出しの『なぜ金融を緩和しなかったのか』は藁人形論法が再度登場します。

『「量的・質的金融緩和」の結果、日本経済は好転し、デフレ脱却に向かっています。』

消費税は物価に下押し圧力を掛けるし、生産と消費が弱くて輸出は伸びないというのにそうなるというのが意味わかりませんというか自由自在にも程がありますがそこはスルーしまして。

『黒田総裁の下で思い切った金融緩和が実施されるまで、日本銀行は十分な金融緩和を躊躇っていたとの批判がありました。その理由として次のような様々なことが指摘されています。』

ほほう。

『金利がゼロになった以上、金融緩和することができない。量的緩和をしても日銀に当座預金が積み上がるだけで貸出は増えない。金利がゼロでは量的緩和をしても為替は動かない。為替が下がったとしたら通貨安競争になって大変だなどという議論がありました。


あのーすいません、非伝統的金融政策って名目ゼロ金利制約の中でどうやって追加の金融緩和効果を出すかという論点で色々と実施していた訳で、QQEの前にも時間軸だの包括緩和だの色々とやっている訳で、「不足していた」というのならまだ話は分かるのですが、できないは無いだろできないわと思いますし、通貨安競争云々はまさにQE2の時に大騒ぎしてた話だろと小一時間。

『しかし、量と質を通じた金融緩和はできました。貸出は増えていますし5、前述のように、円は下落し、かつ、通貨安競争は起こりませんでした6。』

単に米国の金融政策が正常化モードに入りだしたからで、欧州はせっせと金融緩和合戦に参加していましたが何か?

『また、金融緩和をすれば長期的には金利が上がり、大量の国債を抱えた一部の銀行が多額の含み損を抱えるのではないかと心配する向きもありました。もちろん、金利の上昇は、長い目でみれば銀行経営にはプラスですが、そうなる前に一時的に損失が拡大することが予想されます。しかし、私は、仮にそれが事実だとしても、金融緩和を先送りしたことは間違いだったと思います。このままデフレを続けていれば、銀行は貸出先がなく、ますます大量の国債を保有するしかなくなってくるからです。』

何か説明がハチャメチャなのですが、金利が上がって含み損云々というのはそれは金利の上がり方によるものであって、財政ファイナンスで財政インフレみたいな通貨の信認とか財政の信認という話で金利上昇するなら悲惨ですし、そうでなくて景気が回復して金利上昇するなら願ったりかなったりなのでありますから、そもそも「心配する向きもありました」という言説自体が超一面的な話であって、この辺の説明が藁人形論法満艦飾で実に本格派でありますなという所で。

『ノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のポール・クルーグマン教授は、1932 年という大不況の真っただ中でFRBが金融緊縮策をとった理由を、国債の金利が低すぎて利益を得ることができないと金融機関が不満を述べたからだという論文を紹介しています8。』

クルーグマンと言えば直近で
http://jp.wsj.com/articles/SB11021942449448864116004581346062400283544
クルーグマン氏、日銀のインフレ促進能力に自信失う
By PETER LANDERS 2015 年 11 月 10 日 07:11 JST

『経済学者のポール・クルーグマン氏は大胆な金融緩和を提唱し、日本銀行の政策に影響を与えてきたが、ここにきてインフレへの効果は限定的だとの見方を示した。』(上記URL先より)

というお前今までの話は何だったんだ日本関連で稼いだ金全部日本に寄付して日本海溝ドラム缶クルーズツアーにでも行ってきやがれというような記事が出てきた人ですね!!!!!!!

『そして、引締めの結果は、更なる不況の深化と銀行経営の困難だったのですから、一時的な狭い利益に執着した愚かな行為だったとしか言いようがありません。』

では現在どこの銀行の方が引締めを主張しておられるのかと小一時間問い詰めたいのですが、わざわざ「愚か」とか罵倒文言まで加えて諷する相手はどこにおられるのでしょうかねえ。


・政策メカニズムの説明が非常にコンパクトすぎる件について

次は小見出しというより見出しになりますが、『4.「量的・質的金融緩和」が景気を回復させるメカニズム 』という所になります。

『以上、「量的・質的金融緩和」政策が経済を緩やかながら回復させたことを見てきましたが、それはいかなるメカニズムによるのでしょうか。


ほうほう。

『「量的・質的金融緩和」には、長期の金利を引き下げ、また、予想物価上昇率を引き上げて実質金利を低下させる効果がありました。予想物価上昇率を引き上げるためのマネタリーベースの拡大というコミットがあり、マネタリーベースの拡大による広い意味でのポートフォリオリバランス効果、すなわち、株価の上昇、円安をもたらしました9。』

は?という感じですが・・・・・・・・・・・・

『図表9は、予想物価上昇率(BEI)と実質金利を示したものです。「量的・質的金融緩和」とともに、BEIが上昇しているのが分かります。』

さっきの図表8と同じで、BEIに関しては途中から頭打ちになって寧ろ最近下がっていますのでダウト。

『これは実質金利を低下させ、資産価格の上昇、為替の下落、設備投資と耐久財消費の拡大を通じた雇用と生産の拡大を招き、経済を回復させます。』

実質金利の低下はおもに名目金利の低下から来てるだろという話はさておき、「設備投資と耐久財消費の拡大を通じた雇用と生産の拡大を招き、経済を回復させます」って最初の所で消費と生産が弱いという話をしているのに何でこちらではこういう説明になるのかさっぱりわかりません。

その上更に酷いのは政策メカニズムの説明がこれで終了している事でして、おいおい何だそらとしか申し上げようがありません。

そしてこれでメカニズムの説明が終わって、次の「批判にお答えする」『5.金融緩和政策への批判に対してという小見出しの』部分がもっと凄まじいのですが・・・・・・・・・・・


・批判にお答えするコーナーのクオリティが更に本格的な件について

では参りましょう!

『以上見たように、「量的・質的金融緩和」は経済をなんとか回復させています。なぜそうなるかの理論的根拠もあります。にもかかわらず、金融緩和政策への批判は収まることがありません。』

「経済をなんとか回復させています」ってさっきから回復しなかったり回復したりなんとか回復したりと説明が自由自在ですが、それよりも理論的根拠というのがさっきのほんの11行(元の文書ベースで)で記述される上記の部分で、しかもBEIに関する説明がどう見てもおかしいのですけれども何がどう理論的根拠なのかさっぱり分かりませんが、こうやってどこぞのSTAP細胞の如く「理論的根拠はありまぁす」と言っただけで理論的根拠があることになるという話法には感心するしかございません。

『@「多くの人は景気回復の実感がない」という批判があります。確かに、景気が良くなったと感じている人は少ないものです。図表10は「1年前と比べて今の景気はどう変わりましたか」という問いに対する答えを見たものですが、良くなったという人は 10%くらいしかいません。しかし、これは過去のデータを見ると決して低い水準ではありません。リーマンショック前の一番高かったときでも 20%くらいしかいませんでした。しかも、途中で 2014年度の消費税増税がありましたから、実感が高まるまで時間がかかるのだろうと思います。』

図表10というのは日銀の経済意識アンケートで、この数字を出しただけで反論したことになっているのですが、何度も繰り返しますが最初の方で『生産と消費には停滞が見られます。消費税増税前の駆け込みとその反動という動きがありますが、それを除いても、順調に回復とは言い難いものがあります。』という説明をしている訳で、生産と消費が回復していないという事実そのものが「多くの人には景気回復の実感がない」という事ではないでしょうかねえと思いますし、消費増税の影響ガーの件はこれまた最初の所にあった図表1にあるように、単にその前後で駆け込みと反動があったものの、その前からみれば横ばい圏内で若干上がっているかもしれませんね程度の話で、何でもかんでも消費税のせいにするのが不当じゃないのとしか思えませんよね。

『次に、金融政策に関しての批判を上げますと、たとえば、A「金融をいくら緩和しても輸出が増えないではないか」という批判があります。確かに、「量的・質的金融緩和」導入後の当初は、輸出は低迷していました。しかし、これは、リーマンショック後の円高を放置したことによる生産基盤の海外移転が原因です。為替が円安になったからと言って、国内に生産を戻すには時間がかかるからです。リーマンショック直後、現在しているような金融緩和政策を取っていれば、このような状況は避けられたと思います。』

えーっとそれは過去の緩和が足りない批判として使うのであれば話は分かりますが、円安に振って輸出を伸ばそうという政策を実施したのに、それが思ったほどワークしないからと言っていきなり「生産基盤が海外に移ったかのが原因」とか言われましてもお前は何を言ってるんだという話であって、前提条件に変化が生じているならばそれに対応して適切な政策というものにも変化が生じるはずなのに、以前の前提条件を想定した政策効果の波及経路を元に政策を立案して空振りになっている件の言い訳にはならないと思いますので、これもまあ置物リフレ一派お得意の論理のすり替えでございますな。

『また、サービスの輸出の一部、海外からの観光収入が大きなものになっています。2012 年の海外からの観光収入は 1.2 兆円でしたが、2013 年には 1.5兆円、2014 年には 2.0 兆円弱、2015 年は 8 月までの累計で既に 2.0 兆円を上回っています。海外に移転してしまった生産基盤を国内に戻すには時間がかかりますが、観光はすぐに反応できる産業と言えるようです。ただし、ホテル不足も目立っており、継続的に観光客を呼び込むには、ホテルなどの追加的な投資が必要でしょう。』

海外からの観光振興でウマーというのは中長期的に取り組むとウマーだと思いますが、現在のこの額レベルで大効果がどうのこうのとか言われましても。

『また、2015 年以降、再び輸出が減少していますが、これは米国の一時的な景気足踏み、中国をはじめとする新興国経済の成長減速に依るものです。


円安に振ると通貨の面から日本の輸出競争力が上がるのですから海外が少々落ちても他のシェアを食ってウマーというのが円安に振って輸出振興という策のキモじゃないのですかねえ。



・中盤というか終盤のハイライトはジンバブエ理論大炸裂のここです!!!!!!

とまあ微妙な説明が続いておりますが今回のハイライト中のハイライトはジンバブエ理論の変形バージョンを堂々と爆裂させているこの箇所であります!!!!!!!!!!

『B「『量的・質的金融緩和』で国債を発行しやすくなり、財政規律が弛緩する」という批判もあります。しかし、金融政策の目的は、デフレマインドを払拭し、2%物価目標を達成し、それを通じて実体経済を改善、安定化することです。』

ほうほうそれでそれで???

『そもそも、金融政策で財政規律が弛緩するなら、増税しても同じです。』

ジンバブエキターーーーーーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!

これはまた珍理論にも程があるのだがこういう講演原稿をそのままパスさせるというのもさすがに如何な物かと思う。

『国債を発行しやすくなれば使ってしまうというのなら、私は、増税して収入が増えれば使ってしまうだろうと思います。』

えーっとすいません、それはつまり「国債は税収と同じ」ということで、「国債を中央銀行が買ったら債務が消滅する」というジンバブエも裸足で逃げ出す珍理論の変形バージョンということでしょうか。

財政健全化の為に歳入歳出のバランスを取りに行く、ということが国債発行と同じ扱いになるというその理屈がさっぱりわかりませんが、まあジンバブエ理論で「思います」って言うだけの事なのでしょうが、この審議委員を選んだのは誰だぁ(ガラッ)っと海原雄山が厨房に怒鳴り込んでくるレベルのアレでございまして、どうしてこんなスチャラカなアレが早稲田で教授やったり日銀の審議委員になったりするのかと考えますと世の中の不条理というものに深く思いを致さざるを得ませんな。

『財政は、政府と議会が責任を持って規律を維持するべきもので、金融政策とは関係がありません。』

えーっとすいません中央銀行が議会などから独立して通貨秩序の中心にいる意義って中銀による財政ファイナンスが安易に行われて財政規律が弛緩し、目先の経済が良くなっても中長期的に見て財政インフレを起こして経済に対して重大な問題を引き起こすという事を防ぐように制度的な担保を取る、ということだったと存じますが、説明はジンバブエ理論だわ、そもそも結論の所が批判に対する答えに全然なっていないわで、この先生は頭の中でどういうロジックを構成しているのかさっぱり分からないので頭を(以下自粛)。


・目標を全然達成していないのに大成功とはこれ如何に

その次も超理論が登場します!!!!

『C「物価が上がっていないから金融緩和は失敗だ」という批判がありますが、もし、物価だけ上がって雇用が増えていなかったら大失敗と批判されているでしょう。雇用が増えているのですから大成功だと私は思います。』

いやあの物価目標を標榜してそれを達成させることによって経済を良くするという触れ込みなのに物価目標達成していないのに大成功だと言ったらそもそも物価目標を達成するという事に対する信認が毀損しますし、そうなったら期待に働きかける金融政策にならないと思いますが。

そもそも置物リフレ理論というのは「インフレ目標を達成すれば世の中が一変して景気は回復するし、色々な問題も解決に向かう」という話をしていた訳でして、「物価だけ上がって雇用が増えていなかったら」ということは置物リフレ理論的に発生しないものではないでしょうか????????

でまあ更に申し上げれば、雇用が増えているがら大成功と言いましても、賃金の伸びがパッとしないで実質賃金については触れていないというテイタラクなんですけどね!!!!

『物価は、雇用の拡大に伴う、需給ギャップの縮小、失業率の低下とともにいずれ上昇しますので、心配するには及びません。』

と言いながら2年の約束がどんどん伸びているんですけどねえ。


・スチャラカ理論キタコレ!!!!

その次の理論もスチャラカ理論過ぎて腰が抜けます。なおツッコミも大分疲れてきたので大体この辺で勘弁して頂きたいと存じます(^^)。

『D「今は良くても、そのうち大変なことが起きる」という批判もあります。』

そらそうよ。

『たとえば、「今のところ物価は上がらないのだが、そのうちハイパーインフレになる」、「金利が急騰して大変なことになる」、「日銀のバランスシートが毀損して通貨の信認が失われる」という批判があります。しかし、このような批判は、既に起きていることはうまくいっていて批判できないので、何か良くないことが起きるかもしれないという批判にすり替えているだけだと私は思います。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

いやもう目先良ければそれで良いというスチャラカにも程がある珍理論過ぎて最早ジンバブエ先生の思考回路の心配をしたくなるのですが、今が良ければ将来に問題を起こしても問題ないというスチャラカ理論だったらそらまあ国債何ぼでも発行して問題は無いでしょうし、将来の金融不均衡や財政規律の弛緩に対する懸念があるとか言っても蛙の面に小便だわなという話でありまして、なるほどジンバブエ理論の本質はこのような将来に対する無責任体質がその根本にあるんですなと非常に良く分かった次第でありまして、さすがの置物師匠ですらこんな無責任スチャラカ理論は繰り出してこないだろうと思いまするに、どんだけの本格派なアレを審議委員に引っ張って来たんだよと頭が無茶苦茶痛くなってくるわけでございます。

つーかですね、オッサンこの先の所で展望レポートの説明をしているのですが、展望レポートでは『2つの「柱」に基づく経済・物価情勢の点検』というのがあって、そのうちの第2の柱っていうのは今回の展望レポートでも『10 「物価安定の目標」のもとでの2つの「柱」による点検については、日本銀行「金融政策運営の枠組みのもとでの「物価安定の目標」について」(2013 年1月 22 日)参照。』と記載してあって、その2013年1月22日の文書には、

『第2の柱では、より長期的な視点を踏まえつつ、物価安定のもとでの持続的な経済成長を実現するとの観点から、金融政策運営に当たって重視すべき様々なリスクを点検する。とくに、発生の確率は必ずしも大きくないものの、発生した場合には経済・物価に大きな影響を与える可能性があるリスク要因として、金融面の不均衡について点検する。』(「金融政策運営の枠組みのもとでの「物価安定の目標」について」(2013年1月22日)から)

とありまして、より長期的な視点を踏まえてリスクがあるという議論をしている筈なのですが、まさかとは思いますがジンバブエ先生はその議論を「既に起きていることはうまくいっていて批判できないので、何か良くないことが起きるかもしれないという批判にすり替えているだけ」などという認識でみているのでしょうか、当然それはワタクシの杞憂であると存じますが、万万が一そういう視点で考えておられるのであれば、そもそも第二の柱に基づく点検をする能力が無いという事になりますが大丈夫なのでしょうか。


なお、以下『6.「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)について』という小見出しと『7.終わりに』という小見出しがあって、何か話が続いているようなのですが、パトラッシュ何だか疲れたよという感じになって来まして心なしか眠くなって参りましたのでこの辺で勘弁して頂きとう存じます。

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2015/06/15

○ジンバブエ審議委員のインタビューは産経の編集が台無しにしているような気がする件について

まあ産経電波浴シリーズとか以前は良くネタにしていましたが最近は見もしていなかったりしたのですがインタビューが出たと聞いて産経のサイトを訪問。

http://www.sankei.com/economy/news/150612/ecn1506120003-n1.html
【日銀・原田審議委員に聞く】「個人消費、今後は増える」 出口論は時期尚早
2015.6.12 05:00更新

『−−日銀は2%の物価上昇率目標の達成時期を「平成27年度を中心とする期間」から「28年度前半ごろ」に修正した』(上記URL先より、以下暫く同様)

『「大事なことは、2%に向かう物価上昇のメカニズムが維持されているかだ。直近の国内総生産(GDP)をみると企業の所得(利益)から設備投資への動きが明らかだ。個人消費は今ひとつだが、今後は増えるだろう」』

ということで、景気見通しに関しては普通に執行部ペースの話をしているように見えますし、「大事なことはメカニズムが維持されていること」というのは「基調」連呼の黒田執行部と同じ話なので、このスタンスだと原田さんの所から追加緩和が必要という話はあまり出てきそうもないですな。

なお余談になりますが野党の佐藤さんも同じく「基調」連呼だったりしていますが、そもそも論として「期限を区切ったリジッドな目標」と「ローリングターゲットとしてのフォーキャストターゲット」という金融政策運営のスタンスの盛大な違いがある訳で、ローリングターゲットの概念ならば「基調が堅調ならよろしい」という話はリーズナブルなのですが、期限を区切ってリジットに達成しようという話をしている人が基調の話をすると只の言い訳にしか聞こえないんですがそれは、という所ですな。


『−−国債の大量購入は限界が近づいているとの指摘もある』

『「物価上昇率がゼロの段階で、出口(緩和縮小)を語るのは時期尚早だ。(追加緩和には)さらに(資産を)買った方がいいのか、付利(銀行が日銀に預ける当座預金につく金利)の引き下げなど、いろんな方法がある。必要性が見えた段階で十分に議論して決めることだ」』

これ最初の「出口を」の部分が質問と全然かみ合っていないように見えるのですが、もしかしたら本紙の方には詳しいのがあるのかも知れないのですし、そもそも記事があまりにも短くし過ぎているので結局どういう答えをしているのかがさっぱり分からん。

ただ、執行部も野党審議委員も揃って「MBが効くといってMB拡大する政策やっているのに付利を下げたらMB拡大を阻害するから付利下げは無い」と言っている中でジンバブエ先生着任してからまだ理解していないのですかという悪寒もせんでもないし、まあ期待(?)されてブチ込まれたから何か追加緩和ネタで独自色出しておかないと期待に沿えないとか張り切っているのかもしれませんね!!!!


一つ飛ばしてこれはwww

『−−消費税の再増税は景気の重しとなる』

『「日銀の金融政策で景気がよくなり、税収も増えている。増税すれば景気がその分悪くなるのは当たり前で、『悪くなるけどやったんだ』と、政府に言っていただければ問題ない」』

「政府に言っていただければ問題ない」ってちょwwwwおまwwwwwwwという所で、そんな庭先論で政策論議するなよおいおいという感じですが、「景気が良くなったのは日銀の政策」といやあの消費増税前の駆け込みとかあったし、大体からして増税前に財政打ってただろとか、その辺は全部スルーして景気が良くなったのは日銀のおかげですとか本当にこの人経済何とかストやってたのかその分析はいかがなものかという感じではありますが、これだけ徹底的に「成果は日銀、問題は政府」という話をして「政府に言っていただければ問題ない」とか何がどう問題ないのかさっぱり分からん究極の庭先論をぶち込んでいただけるとは日銀としては心強い援軍でありますなあ(棒読み)という所で。


でまあそれはそれで良いのですが、一問一答以外に記事があったのでそちらも拝見。

http://www.sankei.com/economy/news/150612/ecn1506120002-n1.html
「物価2%に近づけば、追加緩和は不要」 日銀・原田審議委員インタビュー
2015.6.12 05:00更新

『就任後、原田氏が国内メディアのインタビューに応じたのは初めて。原田氏は「(物価上昇率が)2%に近づくことが見えるのであれば、さらにアクセルをふかすべきだとは思わない」と述べ、これ以上の追加緩和に慎重な立場を示した。』(上記UR先より、以下暫く同様)

いやまあ良いんですけど最初に出たのがブルームバーグでその次が電波浴で著名な産経新聞ってどうなのよという感想しか起きないのですけれどもまあそこはさておき。

『 原田氏は追加緩和の手段として、「付利(銀行が日銀に預ける当座預金につく金利)の引き下げなど、いろんな方法がある」と持論を展開した。』

さっきの記事通りですな。

『付利は金融機関が日銀に預ける当座預金のうち、払い戻しに備える最低金額を上回る分(超過準備)に0・1%の利息をつける仕組み。付利がつかなければ、銀行が超過準備を市中への貸し出しや投資に回すとみて、原田氏は「付利の引き下げは景気を刺激する」と語った。』

これインタビューの全体像がWeb版だとさっぱり分からないので、付利の説明部分が原田さんが言っているのか産経の編集が書いているのかが見えないのですけれども、「超過準備の水準」と「貸出や投資の水準」というのは思いっきり無関係の話で、「超過準備を減らして貸し出しに回す」というのは全くの間違え認識にも程がある(のだがそういや以前ECBだか欧州どこぞの国の中銀だかのどこかの高官が同じような発言をしてまして、まあ間違える輩は続出するのですけどね)のですががががが。

でですね、ここの部分に関しては産経の編集が説明しようとして書いてしまった内容である、と一応は信じたい部分ではあるのですが、まさかこれジンバブエ先生おん自らが説明していたら先生日銀入って何か月たってましたっけという話ではございますので、そういう状況ではないことを切に願いたいものでございまする。

まあしかし何ですな、こういう基本認識で大間違えの話をするお方が金融政策の手段について語るというのは何とかストの皆様でも平気でやらかしてくれますので、市場の人では無かったジンバブエ先生がそういう話をするのは不思議でもない(というかあのジンバブエ理論だけはさっぱり分からん)のですが、それにしてもこの記事見ると原田センセイ相変わらずの認識しかないのか、と一瞬勘違いしそうになる(というか勘違いじゃなくて産経の編集が原田センセの説明をそのまま書いているのだと悶絶モノですけれども)のでこれは編集仕事しろよとか思いますが、まあ電波浴シリーズとかが出てくる位の所ですから期待する方が間違いと。

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2015/06/05

○原田審議委員が金懇の前にブルームバーグのインタビューに登場とな

昨日の引け後位に出ていたと思いますが。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NPENM06JTSED01.html
原田日銀委員:円高は修正、「かなりいいところ」に来た可能性
2015/06/04 17:37 JST

『 (ブルームバーグ):日本銀行の原田泰審議委員は4日のブルームバーグのインタビューで、過去数年にわたり日本の製造業を苦しめてきた過度の円高は修正されたとの見方を示した。(途中割愛)原田氏は異常な円高は修正されたとの見方を示した上で、現状の為替円安について「いろんな産業が競争力を取り戻しているところを見ると、かなりいいところまできたのかもしれない」と述べた。』(上記URL先記事より、以下暫く同様)

というのが何故か「円高修正は良いところまできた」というのを円安けん制発言と解釈したのかヘッドラインが出てドル円が円高に振れてきまして、いやおまえそれは反応おかしいだろと思っていたら触れた分は戻ってきた感じでしたな。

でまあこの為替の話はまーどちらかというと本質の部分ではなくて、記事から読むべき部分と思われるのはこの辺ではないかというのを少々。


・追加緩和に関しては良く良く見れば追加緩和消極派に見えますよ

『原田氏は物価上昇率が2%に達するのは「16年度前半ごろ」という日銀の見通しについては、「経済にはいろいろなことが起こるので、実際には後ずれすることはあり得る」と述べた。ただし、失業率や需給ギャップが改善を続け、物価を上げる方向に向かっている限り、たとえ達成時期が後ずれしても追加緩和は必要ないとの見解を示した。』

今の執行部は「2年」と期限を切った大看板こそが重要でQQE政策における重要なポイントとしているのですが、話としては「基調が確り推移して2%が見通せるのなら追加緩和の必要はない」という説明になっていますよね。

・・・・・・・・となりますと、原田さんの主張って一歩踏み込むと「フォーキャストターゲット」方面に簡単に転びそうな説明になっていますなとゆーのがまた別の味わいがあります。記事のちょっと後ろの方に行くとこんな話があります。


・2年で2%に対するこだわり成分の低さは執行部と温度差があるのだ

『原田氏は「肝心なことは、2%に向かって上がっていくというメカニズムが続いているかどうかだ」と指摘。注目すべき点として、1)予想物価上昇率が下がらない、2)失業率や需給ギャップが順調に改善し、物価を上げる方向に向かっているかどうか、3)現実の物価が上昇に向かっているかどうか−を挙げた。』

ということで、「2年で」への拘りは無い様ですなと思われるのはその先で小見出しが『2%遅れても上昇軌道維持なら緩和必要ない』というブツになっております訳でして・・・・・・・・

『原田氏は「これら3つの指標がひどい状況になれば、『躊躇(ちゅうちょ)なくやる』ということになる」と言明。一方で、「この3つが崩れていなければ、物価は安定的に上がっていく経路にある。その経路にいることが一番大事だ」と述べた。問題は、3つの指標が微妙に悪化した場合だ。』

『その場合は、「よく考えるしかないが、物価がちゃんと上がっていくメカニズムが続いていれば、そんなに『躊躇なくやる』ということでなくてもいいのではないか」と指摘。2%達成が見通し通りに行かなくても、「安定した物価上昇が続くという期待がアンカーされていれば、3年超かかっても、それはそれでいいのではないか」としている。』

ということで、確か強力リフレ派で追加緩和ジャンジャンやれやという人が送り込まれたという触れ込みだったと思ったのですが、この主張ですと「達成時期が遅れても別に良いじゃないか」という話になっていて、「2年で2%」という期限を区切ったコミットメントを続けることに意味があるという主張を繰り広げている黒田岩田執行部からの距離がありますよね。

ちなみに、原田さんのこの主張を総合しますとポイントになるのは「2年を念頭に」の看板について拘っていないという所でして、そこからロジカルに話を展開していくと、実は佐藤さんや木内さんのサイドに寄る可能性も出てくるんじゃネーノとか思いますので、「当初の触れ込みで期待されていたのと別方向に動く可能性が小さいけれども存在しそう」というのは波乱要因になる可能性があります。


・金融調節実務についてはまだ勉強途上のようで

同じく上記URL先のブルームバーグ記事より。

『追加緩和の手段については、買い入れ対象資産として「国債残高は巨額なので、これは余地がある」と指摘。一方で、「指数連動型上場投資信託(ETF)は株式市場にあまり影響を与えるのもいかがなものかということもあるし、不動産投資信託(J−REIT)もそうだ。一般論で言えば制約がある」と述べた。』(引き続き上記URL先記事より、以下同様)

いやあの国債市場の流動性ってドンドン下がっているんですけど・・・・・・というのはともかく、ETFとREITの買入に関してはあまり拡大を言わない、というのはピュアなマネタリーベース直線一気理論からすると妥当ではあるのですが、これはリスク性資産の購入に対して慎重という事も言えますな。


『日銀は金融機関が保有する日銀当座預金の所要準備を上回る超過準備に対し、0.1%の金利を付している。金融市場では日銀の次の一手として付利引き下げが行われるとの見方もある。日銀は追加緩和が必要な際には、付利の引き下げや撤廃を含め、あらゆる手段を排除しない方針であることが複数の関係者への取材で5月15日に明らかになった。』

なお5月15日の記事というのは単にそこらの何とかストにコメント取って回っただけのマッチポンプ記事だろというツッコミは先般行った通りでありまする。

『原田氏は「付利については、今どうすべきか考えているわけではなく、あくまで一般論だが、付利をしていれば、それだけマネタリーベースの緩和効果は弱まる」と指摘。』

まあそれは仰せのとおり。

『「金融機関が国債を買えば、マネタリーベース、より正確には当座預金に置き換えられるが、0.1%でも金利が付いていれば、そこに預けておこうということになる。これが0%ならもう少し他の投資をしなければならない、ということになるので、ポートフォリオリバランス効果が強まる。マイナスであればさらにその効果が働くだろう」と語る。』

記事は原文ママでして、最初の「金融機関が」というのは「金融機関から」の誤植(または言い間違え)だと思いますのでそこはまあヨロシとしまして、金融機関から国債買っても0.10%の当座預金への交換が行われるだけでは意味があるのか的なお話をしているのですな原田先生。

でまあゆうとることはそこだけ見ると話として尤もらしいので、原田先生だけではなく多く主張される話ではあるのですが、そもそも「日銀が金融機関から国債を買う」と言いましても強制収容でもするのなら話は別ですが、建付けとしては金融機関に対して入札なりなんなりの方法で保有する国債を買いに行く、という行為をしている訳で、その際に必要なのは「金融機関が保有国債を売却するインセンティブ」でありまして、そもそも論として「売ってもメリット無いなら売らないよ」という事になってしまうと、肝心の超過準備が積みあがらないという事になりますし、マネタリーベースの拡大もバランスシートの拡大もできない事になります。

つまり、現在積みあがっている超過準備は補完当座預金制度の付利金利を前提にして積みあがっているものとなっているので、この数値を引き下げると長期国債の買入拡大が困難になるどころか、下手をしたら誰も国債買入に応じなくなって日銀保有国債の償還に伴いMBが縮小への道とかになりかねないんですけど大丈夫でしょうかと思いますし、マイナス金利を実施してソブリンQE始めた欧州が最初だけは金利が急速に下がって大効果に見えましたが最近どうなってるのとか参照にされた方がよろしいかと。


『買い入れ対象に地方債を加えることについては「可能性はあると思うが、ただ、それほど買えるものでもない」と指摘。さらに、「たくさん発行している県の地方債を買うとなると、たくさん借金している県が得をするのか、という話になる。これも難しい」としている。』

地方債市場って規模的にクレジット市場の中でもおまけみたいな感じだし売買もそんなにないと思うのですが、ちょっとここを見て思ったのは 「たくさん発行している県の地方債を買うとなると、たくさん借金している県が得をするのか、という話になる。」という部分でして、いやあの別に日銀が地方債買ってもそこの地方債務は消滅する訳ではなくて、期日になったら耳をそろえて社債権者に元利金お返ししないといけないから「得をする」とかそういうもんではないと思うのですけれども・・・・・・・・・・・・・・

日銀買入によって銘柄間格差が縮小する(もへったくれもこの運用難で格差は少ないけど)と財務状況が相対的に悪い発行体に有利になるかもという話はありますが、それは別に発行額が多いからお得になると言うものではないと思います。


『原田氏はこのように述べた上で、「これからもし物価がさらに下落するという状況になったときは、もちろん、あらゆる可能性を考慮してやるべきだ。どれを今やるべきか、どれを次にやるべきかを考えているわけではない」と述べた。』

ということで、付利下げのヘッドラインもブルームバーグらしく鬼の首を取ったかのように打たれていましたけれども、そもそも論としてその前にネタにした部分にありますように、原田さんの場合下手をすると現執行部よりも追加緩和に消極的なスタンスになり兼ねないという主張内容を展開されている訳で、そう考えますと付利下げとか地方債とかの部分はまーあまりそこで考えなくても良いと思いますよ。

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2015/03/30

○ジンバブエ先生の就任記者会見はクソ面白くも無いがは色々と不思議な件について

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2015/kk1503d.pdf

例の「日銀が国債を買うと統合政府の債務が消滅する」ジンバブエ理論に関する質疑のみを楽しみにしていたのにその質疑応答はツッコミ方にダメな上に追及を誰もしないとか当日会見に参加した面々揃って顔を洗って出直してこいとしか申し上げようがないのですが、それはそれとして色々と不思議な答えがあって会見要旨を眺めるのでありました。

・2年で2%についてはまあ予定通り2年を諦めているのはヘッドライン通り

最初の質問のうち抱負とかどうでもよいので後半から。

『(問)(前半割愛)2点目として、黒田総裁は、現在、物価上昇率を2年程度で2%に引き上げるという目標を掲げていらっしゃいます。脱デフレに向けて2年程度という期間にこだわるべきか否か、ご見解をお伺いします。』

『(答)(前半割愛)次に、2年で2%という目標をどれだけリジッドに考えるかについては、経済には様々なことが起き得るわけですから、2%という目標の数字と期間を両方ともリジッドに考えることはなかなか難しい、あるいはできないのではないかと思います。ただし、2%というコミットが重要であって、そのことによって現在の景気回復がありますので、それは重要だと思っています。同時に、例えば、原油価格が下がっているという日本経済にとってプラスの面で2%のインフレが達成できない、2年間で達成できない、ということであれば、それは大きな問題とすべきではないと思います。』

ということで2年で達成できなくても原因が原油価格の下げで中長期的に経済にプラス要因があって2年での達成が遅れるのだから問題はない、というのは話の筋としてはまあそうでしょうねえとは思いますが、百万回くらい申し上げたと思いますが、そもそもリフレ派の皆様はそのような要因を言い訳にして物価目標達成を短期間で行おうとしないことに対して散々っぱら罵倒レベルの批判を行って従来の執行部を追い出している、という経緯についての整合性につきましてご説明頂きたいのですが、そういう追加ツッコミをする記者は皆無という時点でやる気あんのかという所ではございますが、まあそういう事ですので2年ではないという話になりますな。


・為替円安の影響の話と自然失業率の話だが良く良く読んでみると説明が色々と変な件について

『(問)(前半割愛)もう1点お願いしたいのですが、同じインタビューの中で、為替相場でこれ以上円安が進んでも良いのだろうか、という質問に対して、完全雇用になるような為替レートがよいのではないか、ということをおっしゃっていて、完全雇用の失業率の水準は、直近の3.5%程度というよりは、2%くらいではないかという認識をされています。この点を改めてブレイクダウンしてお答え頂ければと思います。』

良く考えたら「完全雇用になるような為替レート」ってナンジャラホイというか、それなら最初から為替をバスケットなり単一通貨なりでペッグするような金融政策を実施すれば話は簡単な気がしますがまあそれはともかくとして原田さんの答え。

『(答)(前半割愛)2番目のご質問ですが、まず為替レートの水準について、具体的に、この水準が良いとか悪いとか言うことについては、お答えを差し控えたいと思います。』

だったら何故「完全雇用になる為替レート」というのがあるの???

『ただ、為替レートが上がった時と下がった時で、日本経済に対してどういう影響があるのかを一般的に申し上げれば、為替レートが安くなれば、当然、輸出企業は利益を得ますが、輸入企業は利益を得られません。また、輸入品と競争している企業も利益を得ます。』

おいずいぶん単純だな。

『その時に、日本経済全体として、雇用が良くなっているのであれば、それは、その水準の為替レートが、日本経済全体にとってプラスである可能性が高いということです。』

んーっとちょっと良くわからないのですが、企業収益の話からいきなり雇用に話が飛んでいるのだが、もし雇用が良くなるのがプラスというのであれば非製造業の方が雇用吸収力が高いのだから何も円安に振る必要が無いという話になりゃあしませんかと思いますし、大体からして為替レートから雇用に話が飛ぶのが話があまりにも飛躍してねえか???

『それから、以前に失業率について、3.5%が完全雇用ではなく2.5%くらいが完全雇用であるかもしれない、と申し上げました。それは、物価が上がっていない状況での失業率を完全雇用であるということはできないのではないかということです。』

これは金曜にも申し上げましたけれども、現状認識として「物価上昇が一時的要因で抑えられているに過ぎない」という認識をさっき示したのに、ここでの自然失業率推計においては「物価が上がっていない状況」と述べている訳で、物価が上がっていない状況なら追加緩和を今すぐにでも投下しないとダメという話になるのに(めんどいので引用割愛してますが)その前の説明の所では「今すぐ追加緩和は必要ない」としていまして、結局あなた様は物価動向に関して現状をどう見ているのかが全く持って不明としか申し上げようがありません。

ただまあこれまた金曜にも(というか毎度)申し上げておりますように、リフレ派の皆様ってその場その場で適当に都合の良い理屈と都合の良いデータ切り出しをしてきてその場だけでみた場合に尤もらしい説明をするという、一つ一つの説明には理屈が通っているが全体としての整合性が全く取れていない、というのを得意技としているとしか思えないという特性がありますので、こうやって整合性のない話をしてくるのはまあ仕様ではあるのですが、会見ではこういう整合性のないところについてお前らツッコミ入れろやと思う次第。

『もちろん、失業率が2.5%に近づく過程で――私は2.5%くらいが完全雇用の失業率ではないかと思っていますが――、物価がさらに上がる、2%を超えて上がるということが起きれば、「2.5%くらいが完全失業率ではないか」という私の推測が間違っていたということになります。中央銀行は、あくまでも、物価を主な目標として、日本経済の健全な発展に資するということですから、物価をまず第1に考えて――失業率が良くなった方が良いですが――、失業率を低くするために、物価の安定を犠牲にすることはあってはならないと思います。』

何か尤もらしい事を言ってるが、それって単に「自然失業率よりも実際の失業率が低い状態という状況を長期化するというのは金融政策を過剰に緩和した状態である」という話だし、そもそもデュアルマンデートで雇用の目標があった場合でも同じことでしょ。なんか話を大きくしようとして変なことを言っているなあと。


・この会見でやたら不思議なのは「大学の先生」を強調している部分なのですよ

でまあ次の質問の後半にジンバブエ理論への質問があるがその前半の質問に対して謎の答えが。

『(問) 2点お伺いします。1点目は、先程、今すぐ追加緩和が必要ということではないと言われましたが、今後の経済・物価情勢によっては追加緩和を検討せざるを得ない局面があり得ると思います。追加緩和の手段については、マネーを増やす観点から国債を中心に買うべきなのか、それとも金利が限界的に低下する中で、ETFやREIT等のリスク資産を買うこともあり得るのか、それともまた別の効果的な方法があり得るのか、現時点のお考えをお伺いします。(後半割愛)』

以前は国債中心という答えをしていましたが、今回の回答が非常にこう不可解。

『(答) 最初にご質問頂いた、どういうものを買った方がいいのかという具体的なオペレーションについては、私は部外の学者でしたので、今日の時点ではあまりお話しない方がよいと思います。』

学者????????

http://www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/bm_harada.htm/
政策委員会審議委員:原田泰(はらだゆたか)

基本的に原田さんって官庁エコノミストから民間シンクタンクのエコノミストというキャリアの方であるという風に理解しておりましたし、上記のご経歴を拝見するに大学のポストは最後の所の『平成24年 4月早稲田大学政治経済学術院教授』という所になりまして、基本的に学者プロパーちゃうやろと思うのですが、実はこの会見で「学者」とか「大学の先生」というような表現をここを含めて3回会見録に残しているのですよね。

でまあこの謎の「学者」連呼についてがひじょーにこう不可解でありまして、いやまあエコノミストでやってたから細かいオペレーションは知らんというのであれば分かるのですが、大和総研にも長く居たはずですし、大体からしてあんたつい2か月前にこんな話をしてたじゃないですか(いつの間にやら会員じゃないと全文読めない仕様になっていて朝日新聞にはガックリですよ)あの話は何だったのでしょうかねえと。

http://www.asahi.com/articles/ASGDS5TCMGDSULFA034.html
さらに金融緩和を、国債まだ買える 原田泰・早大教授
聞き手・福田直之 2015年1月21日11時34分

ということで「国債まだ買える」という話をしていたのは何かの虚言だったのかと小一時間ですよ。

『ただ、株やREIT等をどれだけ買えるかというと、ある程度の制約はあるのではないかと思います。』

大和総研にいた方とは思えないこの逃げ口上という所ですが、「学者」連呼の背景として「政策の具体論でゴリゴリ詰められると困るから逃げ口上として学者と言っておこう」というのがあるのかなあとか思うのですけれども、それにしても原田さんの経歴でしたら著名なお方ですので市場の中の人たちとしてはよーく存じ上げておりますので、この経歴で「学者」を連呼するというのはもしかしてエコノミスト稼業はアカポス持っている人からしたら一段格下であるというような妙な意識でも持っておられる(正直あの謎の教授肩書き的に特任教授的なサムシングを感じるのだが)のですかねえとか、まあ実にこう謎というか物凄い違和感がありますことよ、ということで。

『それは、これ以上買えないということではなく、要するに、昨日まで部外であった人間として、そうしたことについての十分な知識がないということです。』

十分な知識がないのに全国紙の「金融政策 私の視点」というインタビュー企画にホイホイと登場して、その場で十分な知識が無いのに「国債まだ買える」という話を吹いたという事なのでしょうかいやー面白いですね原田先生!!!!!

・・・・・・・・・・・・・・などとイヤミの一つでも申し上げたくなるわけですが、まあ要するに政策の具体論についてはフィージビリティがどうのこうのとか詰められた時に答えが無いから、「学者」だの「部外者」だのという言い訳を逃げ口上にしている訳でして、そう考えますとまあ政策具体論の所で残念ながら非常に弱いという事でしょうから、まー普通に執行部追認機関になるのがこのあたりの応答で読めるところではございますな、うんうん。


・ジンバブエ理論の質問はわざわざ本質を外すような答え方を誘導するとかマジ無能

先ほど引用した質問の後半である。

『(問)(前半割愛)もう1点は、今年1月のインタビューの中で、日銀の国債買入れは、国民の借金を減らすことになるとの趣旨の発言をされています。これは、日銀が国債を買い入れることによって、財政にも貢献できるという意味合いもあるのか、金融政策と財政の関係についてご所見を教えて下さい。』

もうちょっとストレートに「統合政府で国債が消滅するというのは一般的な複式簿記の考え方からして極めて不可解なので分かりやすく説明して頂けませんでしょうか」と聞けというところで、答えは案の定な本質外しである。

『(答)(前半割愛)2点目については、「量的・質的金融緩和」は、日本銀行が主として国債を買うこと――もちろんREITやETFも買いますが――ですので、緩和すれば、必ず国債は買うことになります。国債を買い入れること自体が金融政策であり、その金融政策によって結果的に財政状況が良くなるのは当然のことです。』

??????????????

『その経路として、「量的・質的金融緩和」によって景気が良くなるので税収が増え、結果的に財政赤字を減らすことは事実です。』

ジンバブエ理論と全然関係ない説明キタコレ。

『ただ、結果的に財政赤字が減っているからといって、財政を幾ら出しても良いという意味ではなく、むしろ、財政当局や国会が、財政の制約を判断することではないかと思います。』

ジンバブエ理論はどうなったのかという所ですが、この後ツッコミが無いというかそういう意味では全然違う質問に入る次の質問者も困ったもんだが質問に対する答えが面白いというか何というかである。


・緩和政策のプロコンの話を質問したら色々と斜め上な答えが返ってきている件について

次の質問である。

『(問) 現状の金融緩和について、コストや副作用について言及される審議委員の方がいらっしゃいますが、原田委員は何かコストとして感じていらっしゃることはあるのか、またあるとすれば、それはベネフィットとのバランスでどのように捉えていらっしゃるのか、お聞かせ下さい。』

質問がごく普通なのに答えが盛大に斜め上にかっ飛んでいるのが原田クオリティマジワロス。

『(答) 他の審議委員が副作用やコストと言っておられるのがどういう意味なのか、私には分からないので、そのことについてのコメントは差し控えたいと思いますが、』

> 他の審議委員が副作用やコストと言っておられるのがどういう意味なのか、私には分からない
> 他の審議委員が副作用やコストと言っておられるのがどういう意味なのか、私には分からない
> 他の審議委員が副作用やコストと言っておられるのがどういう意味なのか、私には分からない
> 他の審議委員が副作用やコストと言っておられるのがどういう意味なのか、私には分からない
> 他の審議委員が副作用やコストと言っておられるのがどういう意味なのか、私には分からない

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

あのーすいません、決定会合の議事要旨って公開されていてそこで副作用とかコストの指摘がありますし、審議委員の皆様の中でも副作用やコストについてこれまでも何度か金懇挨拶やら講演やらで指摘していて、それって思いっきり公開情報になっているのですけれども、「どういう意味何か分からない」とはこれはまた何を血迷っておられるのでしょうか?????

まさかとは思いますが、原田大先生様におかれましては何も知見が無いのに全国紙の「金融政策 私の視点」というコーナーに登場してご発言されたり、審議委員にノミネートされてからも全くこれらの文書をお読みにならないでいらっしゃるという事でしょうか???????

『あくまでも物価が2%程度で安定するように金融緩和をするのであって、それ以上に上がっても良いと考えているわけではありません。』

後の方でも同じようなのがあって、上がり過ぎないようにという説明をしているのですが、だったら直近でコアCPIがとうとうゼロ%(消費税の直接的な影響部分除く)となっているのも良くないという話になると思うのですが、そっちに関しては原油だから問題ないという説明の非対称性が良くわからん。

『当然、現在の緩和政策をやり過ぎればインフレになりますから、やり過ぎれば副作用があるというのは当たり前のことだと思います。しかし、現在の状況では、物価が目標以上に上がって、国民生活を脅かすようなことは考えられないのではないかと思います。』

えーっとすいません、「緩和政策のやり過ぎで必要以上のインフレ高進」というのは「副作用」ではなくて「金融緩和政策の失敗」でありまして、そらまあプロコン比較の中では「やり過ぎで物価が上がるリスク」というのもありますけれども、普通副作用のプロコンという話の場合は「効果だそうとしてやっている中で発生する余計なもの」という話なので、副作用の話について「やり過ぎれば物価が目標以上に上がって」で済ませるというこの雑っぷりは置物師匠を彷彿させるところで、後の方でも思いっきり師匠節が出ていたりして、まー今後は置物化待ったなしという所ですわな。

ということで、普通の質問なのに答えが盛大にかっ飛びモードという辺り、これからの調教もといご進講によってどうなっていくのかが今後楽しみであります(棒読み)。


・財政政策より金融政策という話

『(問) 2点お伺いします。もっと財政を出すべきだと言う方がいると思います。また、今、国債需給が逼迫しているので、国債も増発すれば良いのではないかと言う方もいます。原田委員の著書をみると、財政については割と健全化と言いますか、金融政策が効くのであれば、財政は出さなくて済むという考えと受け取れます。財政に対する考え方、国債を増発すべきか、減らすべきかについて、ご所見をお願いします。(後半割愛)』

別に国際需給がひっ迫しているから国債増発すればよいというのはちょっと変だろ・・・・・・・・・誰だこの質問したのは???という感じもしますがそれはさておき金融政策か財政政策かという話について。

『(答) 財政が効くかどうかですが、私は、いわゆる財政乗数はあまり大きくないのではないかと考えています。例えば、消費税増税に対して、公共事業の拡大によってそのショックをかなり和らげることができると多くの方は考えていたと思いますが、実際には、その和らげる効果は非常に小さかったのではないかと思います。』

ということなのですが、その一方でリフレ派の皆様におかれましては(この前の置物師匠のインタビュー記事らしきもの(朝日新聞のWebでは全文読めないのでさわりだけでしたが)にありますように)消費税増税が無茶苦茶効いて破壊力抜群だったので2%物価目標達成も遅れた的な話をしていたりする訳でして、財政乗数があまり大きくないというのであれば財政出す方も締める方も同じに効くもんじゃないのと思うのですけれども、自由自在理論ですなあと思うのでありました。

つーかですね、その理屈が正しいのであれば「乗数の少ない財政支出を削減してその分を原資にして消費減税を行えば効果はばつぐんだ!!」という事になると思うのでして、金融政策でどうのこうの言う前に財政支出削減と消費減税のセットを行う方が話が簡単じゃネーノと思う次第で、大規模金融緩和政策でアベノミスクスとかいうような迂遠な策を取るよりも即効性があるじゃああーりませんか(ニヤニヤ)。

まあ世の中そんな訳は無くて、師匠たちの理論って消費増税前の駆け込みは全部金融緩和の効果に含めて、消費増税の駆け込み反動部分は消費増税のせいにしてカウントしているというインチキなのですから世話は無いのですけどね。

『もし金融緩和だけをして財政政策をしなければ、財政状況は良くなります。財政状況が良くなるのは良いことだと思いますし、財政政策の効き方が小さく、かつ金融政策に効果があると分かったのですから、財政政策で無理やり景気を良くすることの必要性は低下しているのではないかと思います。(後半割愛)』

財政政策の効き方が小さいのに消費増税の悪影響は大きいとはこれ如何に?????????????


・2%達成時期に関しては徹底して答えをしないの巻

『(問) 今、2%の物価目標達成の一応見通しとして、「2015年度を中心とする期間」に2%に達するというのが日銀のコンセンサスの見方です。原田さんのこれまでのご発言からすると、この見通しよりもやや先の期間に2%達成の時期をご覧になっているのではないかと思うのですが、具体的にはいつ頃、この2%達成が可能であるとお考えなのか、お聞かせ下さい。さらに、そういう見通しに基づいて、どのような状況になれば追加緩和が必要だとお考えか、この2点をお願いします。』

『(答) 最初のご質問ですが、今まで大学の教師をやっておりました。』

先ほど申し上げた「学者」連呼の2回目がここで出ているのですが、大学の先生やってたの直近3年だけだろと思う訳ですし、というか記者会見の面々的にも金融政策に関心がある層にとっても、原田さんが「いままで大学の教師」とか言われると物凄い違和感があるのですけれども、政策具体論に突っ込まれないためのエクスキューズで説明しているのだろうなあとは思うのですが、こう連呼されるとなんか別の意味で気になってしまうのですけどねえ。

『大学の教師というのは、日々のデータについて、それほど詳しくみることはしていません。それから、日本銀行の方は、外部の方よりも、より多くの、我々の知らない情報も持っているのではないかと思います。』

置物師匠張りのエクスキューズキターーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーー!!!

という事ですので、あの置物師匠のテイタラクおよび置物師匠の以前の発言を写したかのようなエクスキューズ発言がのっけから登場するという時点で、「リフレ派の論客として議論をリードする原田さん」というのを想像するのは無理があるとしか申し上げようがなく、まあ置物師匠がもう一体増えたという事になるんでしょうなと思いますが、期待値をここまで下げてしまうと何か出てきたら思いっきり感心しちゃいそうな自分がいます(笑)。

『これから間もなく、金融政策決定会合もありますし、展望レポートもありますので、それまでに十分に勉強して、どういう時間や経路で経済が動いていくのかについては、その段階で私の考えをお示ししたいと思います。』

なお師匠は一応曲がりなりにも金融政策の波及ルートに関しては根拠薄弱な風が吹けば桶屋が儲かる理論であっても就任記者会見の時点でああでもないこうでもないと講釈を垂れていた訳ですが、そのあたりまあ見事に喋らないというのが世渡り上手と申しますか何と申しますか。

『2番目のご質問ですが、まず、物価が上がらずに人々のデフレマインドがさらに強くなるようなことがあれば、追加的な金融緩和も必要だろうと思います。その時には、先程、原油価格の低下が、長期的には物価を上昇させる要因でもあると申し上げましたが、そういう要因も発現せず、デフレマインドがさらに深まることがあれば、追加的な金融緩和は必要なのではないかと思います。』

既に執行部的なマインドという自由自在攻撃を使っていますし、まあ普通に執行部追認ですな。


・執行部追随なのはここでも

『(問) 去年の10月に追加緩和をした時、日銀の票が5対4に割れました。今後、原田審議委員としては、黒田総裁を支えていきたいと思っていらっしゃるのか、それとも──もちろんご自分のお考えも持っていらっしゃると思うので、それも考えて──、場合によっては反対という立場に回るということもあるとお考えになっているのか、その点についてお伺いできますでしょうか。』

まあ質問が下らないのですけどね。

『(答) あくまでも、物価安定を通じて日本経済の健全な発展に資するのが日本銀行の使命であり、私は、その使命を果たすために審議委員に任命されたと思っております。黒田総裁も当然そのように考えておられると思います。目標について、総裁と齟齬はないわけですから、結果的に総裁のお考えと一致することが多いだろうと思います。それは、誰それを支持するとか、支持しないということではなく、あくまでも物価の安定を通じて日本経済を良くする、そういう政策を続けることが大事だと思っています。また、そのために選ばれたという責任感を持って、仕事を進めていきたいと思います。』

ということで、まあ質疑自体はどうでもよいが、わざわざ執行部よりですという辺りが味わいがあります。


・シニョリッジの質疑だが質問の意味が????

『(問) 原田先生のシニョレッジに対する考え方を教えて下さい。日銀、財務省の場合は、お札の金額と製造原価の差がシニョレッジでなく、見合いの国債があるので、国債の利回り分がシニョレッジだという考え方をしていると思います。それが、国庫納付金になっているかと思います。先生の考えを改めてお聞かせ下さい。』

一応これはジンバブエ理論へのひっかけ質問だと思うのですが、あまりにも質問が細かすぎて何の為に質問したのかが良くわからん作りとなっているのは残念無念。

『(答) シニョレッジというのは、経済学で言うと、毎年毎年入ってくる国債の利回り分です。これを無限に足して、経済学で言う現在価値に直すと、国債の購入額と同じだということになります。ただ、これはあくまでも経済学的に考えてそうだと言っているだけであって、私は、昨日まで学者でしたから、この答えで十分だと思います。』

ぽかーん。時間の概念が無いんだが・・・・・・・・・・・

『しかし、今日からは、日本銀行の中の人間ですので、日本銀行の会計処理としてどう考えるかも必要です。そうすると、これは毎年毎年のフローで計上されるわけですから、毎年のシニョレッジは、ご質問の中でおっしゃった通りとなります。ただ、毎年毎年のシニョレッジを足して現在価値に直せば買った国債の金額になるということも正しいということになります。』

「計上されるわけですから」って政策論するんだったら無限時間の話だけじゃ足りないだろと思うので、学者だからどうのこうのというのは違うだとと思うのですが・・・・・・・・・・・・


ということで、特段炎上するような話は無かったし、ヘッドラインを正座して待っていた向き(アタクシのことですが)には拍子抜けではあったものの、テキストになったのを見ると色々と怪しげなサムシングが結構あるなあというデビュー戦ではありましたとさ。

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2015/03/27

○ジンバブエ先生ご到着だが会見はクソ面白くなかった模様

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2015/rel150326a.htm/
審議委員の発令について

ということで・・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NLT7W26K50YE01.html
原田委員:今すぐ緩和は必要ない、2年で2%達成「できない」
2015/03/26 19:57 JST

ヘッドラインを見たところシニョリッジがどうのこうのという答えがあったのでそこでジンバブエ理論についての質問があったようなのですが、追加緩和がどうのこうのとかいうような話よりも、原田ジンバブエ理論に関しては財政と金融の関係に関して根本的な部分にかかわる問題だろお前らもっと突っ込めよとしか申し上げようがない訳で、日銀記者クラブの面々は豆腐の角に頭をぶつけて下さいと。

でまあそれはともかくとして上記URLより。

『(ブルームバーグ):日本銀行の審議委員に就任した原田泰氏は26日夕、就任記者会見を行い、日銀が2年で2%の物価上昇率の達成を目指していることについて「目標の数字と目標の期間を両方ともリジットに考えることはなかなか難しい、できないのではないか」と述べた。追加緩和については今すぐ必要ではない、との見方を示した。 』(上記URLより、以下同様)

・・・・・・・・・えーっとあのすいません。そもそも置物師匠リフレ理論というのはMB拡大したら簡単に達成できるインフレ目標についてリジットに取り組まないでいる麿日銀が無能の極みなので俺たちにやらせれば上手く行くからちょっとその席空けろやという話だった筈なのですが、今更なんのツラ下げて白日銀ドクトリンみたいなことを言い出すんでしょうか大丈夫ですかという所ではあります。

『原田氏は一方で、「2%というコミットが重要であり、そのことによって現在の景気回復がある」と指摘。同時に、「原油価格が下がっているという日本経済にとってプラスの面で2%のインフレが2年間で達成できないということであれば、それは非常に大きな問題とするべきではないのではないか」と述べた。』

ということで、まあ2年の達成は端から放棄ということで、原油価格が下がっているのが要因だしそれは経済にプラスだから達成時期の遅れを問題にすべきではないとはこらまた白日銀っぽくて実に結構でございますなあ(棒読み)という所で。

しかしまあ何ですな、この先生同じ会見の中で・・・・・・・

『その上で、「現在、物価は上がっていない。物価が上がっていない状況での失業率を完全雇用の失業率ということはできない。私は2.5%くらいが完全雇用の失業率だと思っているが、そうなっていく過程で物価がさらに上がる、2%を超えて上がるということが起これば、その予測が間違っていたということになる」と語った。 』

という説明をしているのですが、先生さっき物価が足元で上がっていない要因に原油価格の動向という一時的要因を挙げていたのに、「今物価が上がっていないから完全雇用の失業率ではない」という結論が何でそう簡単に出てくるのかが意味不明でございまして、原油価格の動向という一時的特殊要因とやらを外して考えた場合にどの程度の物価にあるのかという事を考えたうえで、それでも物価が上がっていないから完全雇用ではない、というのであれば話の筋が通るのですけど、方や置物リフレ理論通りに物価が上がって居ない件に関しての説明では原油価格を一時的要因として除外するのに、完全失業率についての考察の時には原油価格要因を含めて説明するという自由自在な説明振りに頭がクラクラしてまいりますな。

いやまあ置物リフレ理論の皆様の得意技ではあるのですが、一つ一つの説明は一定の見解としてそれなりに説得力のある話にはなっているのですが、主張を全体として見た場合に全然整合性が取れていないというのがジャパンにおけるリフレ理論の凄まじいところでして、座学として一つのテーマについて話をするのならそれなりに面白い思考実験ではあるのですが、いざ政策に落とし込もうとすると、そもそも理論の全体像としての整合性が取れていないので、実際に落とし込むと色々なところに矛盾が生じる、とまあそういう状況なのが良く見える当該記事だったりしますが、会見テキストは今日出る筈なので更に鑑賞しようと思いますです、はい。

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2015/03/26

○宮尾審議委員退任→原田審議委員就任ですな

昨日は宮尾審議委員の任期が終了して本日原田先生が審議委員に就任となります。でまあ宮尾さんに関しましては最後の方に来て執行部追認機関状態になってしまった上に、ロジックの整合性がだいぶおかしくなってしまう(最後の講演での「中央銀行の国債買入でのシニョリッジで財政余地」というのは市中の学者が言うならああそうですかで終了ですが中央銀行のボードメンバーが認めるのは良くないでしょ特に財政真っ赤っ赤の日本では)という残念な展開になりましたが、まあ5年間お疲れ様でございましたので今後巻き返して下さい(棒読み)とゆーところで。

原田先生の場合は何せ入口がジンバブエ理論炸裂ですからまあ逆に期待値というのもがゼロというかマイナスですし、非伝統的政策やっている中では金融政策論に深く技術論が絡んでくると思うのですが、技術論について1ミリもご理解がなさそうですので、追加緩和方向や出口における技術面において有効性のある具体的な政策提言が出来るとも思えず、結局の所執行部追認機関になるだけでしょうなあと。

とまあそんな訳で、期待値の高かった執行部追認機関→期待値の無い執行部追認機関という入れ替えになるのでとりあえず今回の審議委員交代での一番の注目材料は皆様もご案内の通りで就任記者会見でございまして、だいたいスケジュール的には辞令が交付されてから日銀に到着して夕方ごろに記者会見という段取りの筈ですが、当然ながら「日銀が国債を買うと統合政府の債務が消滅」というジンバブエも裸足で逃げ出す珍理論について記者の皆様からゴリゴリと突っ込んで頂きませんと、何のための記者会見なのかさっぱりわかりませんし、日銀記者クラブの皆様の存在意義を問われると存じますので一つ宜しくお願い致したく存じます。つーか質問しないんだったらおまいらちょっとその席俺に寄越せと。

しかしどう説明するのかがヒジョーに楽しみでして、唯一合理的な説明が可能なのは「事実上返済しなくて良い中央銀行債務」というアプローチになるのですが、それって銀行券発行残高と所要準備預金部分のことになり、マネーの量によってインフレの制御ができるという立場にあるリフレ派の皆様の理論を敷衍すると、日銀が購入する国債のうち統合政府から消滅させることが出来るのは銀行券発行残高と所要準備預金部分であり、この数値はある程度幅をもって可変な訳ですから、両者の規模を勘案するとリフレ派の皆様が散々罵っておられたいわゆる「銀行券ルール」が実に妥当性のあるルールである、という結論が導出されるという大変に素晴らしいブーメランブーメランになるのですので、まあそこまで会見で突っ込んで頂きたい(つーかロジカルに攻めたらそうなる筈ですけど)次第であります。

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2015/02/26

○デフレよりもハイパーインフレがマシとはこりゃ恐れ入りました

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS25H02_V20C15A2EAF000/
日銀審議委員に原田氏 国会、15機関58人を承認
2015/2/25 10:37

・・・・・・参議院では民主党の大久保先生の反対見解表明を受けて当初の賛成予定から反対に替わった議員さんなども出たよう(某議員のツイッターによると)ですが、まあ順当に原田大先生の審議委員就任が内定したようで何よりです(吐血)。

でまあその大先生ですが、ちょっと前にはこんな主張もしておられたようで。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3727
歴史に学ぶ インフレより怖いデフレの危険性
2014年05月15日(Thu)  原田 泰 (早稲田大学政治経済学部教授・東京財団上席研究員)

・・・・・・・なんか頭がクラクラするような説明でツッコミどころ満載なのですが、何が凄いって「デフレよりもハイパーインフレの方がマシ」との事でして、ああそうですか上流階級であらされます所の原田大先生様は中産階級がハイパーインフレで死滅して上流階級の肥やしになるべきだという事ですかさすがですなあと感心する事しきりでございますが、ハイパーインフレの害よりデフレの害の方が大きいというご高説まさしくジンバブエ理論でございますなという所で、就任記者会見以降で続々とツッコミどころがあって楽しそうですなあ(棒読み)というかこのウェッジでの大先生の投下している記事がこれ以外も色々と中々こう何と申しますかだったりしますな。

いやまあ同じリフレ派にしたってもう少し普通の話する人居なかったのかねとは思いますし、資産と負債の関係も分からないで日銀が国債買うと統合政府の債務が消滅とか言い出すのがそもそも大学の教授になれるという世の中が分からんぞなという所ではあるのですが、奇しくも某置物大先生が「日銀に入って理解が深まった」などとおめーの勉強の為に貴重な国費を使ってるのかよヴォケというような事案のパート2がこれから展開される事になるのでしょうなあと思うと俺にも勉強させろと申し上げたくなりますな(白目)。

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2015/02/25

ジンバブエキター!!
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS24H6I_U5A220C1PP8000/
衆院、日銀審議委員らの人事案可決
2015/2/24 19:36

『衆院は24日の本会議で、日銀審議委員に原田泰早大教授、預金保険機構理事長に三国谷勝範元金融庁長官を充てるなど、15機関58人の国会同意人事案を与党などの賛成多数で可決した。参院は25日に採決する。』(上記URLより)

ということで予算委員会は止まっていましたが議院運営委員会はやっていたようで、ついでに審議委員の場合所信表明みたいなのって会議録が出てこない筈なので惜しくもこの辺の内容が分からんというのが残念です。でもって審議委員就任が決まるとジンバブエ理論についての入れ知恵大会が日銀企画方面から入るので就任会見でジンバブエ理論について突っ込みを入れても企画様謹製の屁理屈しか聞けないのが実に残念なところです。

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2015/02/06

○原田先生に加えて若田部先生の珍理論コンボキタコレ!

原田先生に加えて若田部先生も「日銀が国債を買うと政府債務が消滅」という珍理論を展開していまして、都の西北方面には何か瘴気でも漂っているのではないかと申し上げたくなる次第なのでございますが早稲田の政経の経済出身の方のご見解をお伺いしたい。

http://www.asahi.com/articles/ASH1V5GGDH1VULFA024.html
日銀法改正でアベノミクス再起動 若田部昌澄・早大教授
聞き手・福田直之
2015年2月5日09時17分

・原田先生のジンバブエ理論と同じ話もあるのですがその前の話も大概にアレ

ということで色々とツッコミどころはあるのだが金融政策の効果に関する説明もかなりアレなので鑑賞しましょう。

『「日銀の金融緩和には基本的に賛成だ。日本経済によい影響をもたらしている。緩和でまず株や不動産といった資産価格が上昇する。人々が物価が上がると思うようになり、消費と投資が増える。そして輸出が増える。そうした経路が予想通りに来ている。就業者数が増えて、失業が減って、企業倒産件数が減っている。株高と円安は金融緩和の直接的な結果と言え、経済全体により影響を及ぼしている」』(上記URL先より、以下同様)

金融緩和の効果が前向きの循環として効いてきているとのご解釈ではあそうですかという所ですが・・・・・・

『「アベノミクス全体で見た場合、財政は3分の1、金融は3分の2を牽引(けんいん)していると思う。さすがに今、金融政策が効いていないというのは難しいだろう」』

・・・・・・・えーっとすいません、財政政策と金融政策での牽引が100%でしたら先ほど仰せになっておられました前向きの循環は働いていないと思いますけど。自律的な成長拡大サイクルに入っていないのであったら単なる一時的なカンフル剤あるいは未来から力を前借りしてくるドリンク剤みたいなもんで、その効果を捕まえて「効いた効いた」と言われましても、それは無いよりはマシ程度の話にしかならないと思いますけどねえ。


・物価は貨幣的な現象じゃなかったのでしょうか??????

しかしこの先生の説明の一番のアレは直線一気置物リフレ理論を擁護しようとしてものすごい勢いで過去のリフレ理論と全然違う話をしているところ。

『――日銀が掲げる2年程度で2%の物価上昇率を実現するという物価目標はどうご覧になっていますか。

 「達成するのはかなり怪しくなってきた。ただ、それは日銀自身だけではなく政府の問題が大きい。昨年4月の消費増税による景気低迷が大きな足かせになっているからだ。消費増税の影響で2015年度の成長率はマイナスになりそうだが、それがなければもっと良い数字になっていただろう」』

>それ(物価目標達成の遅れ)は日銀自身だけではなく政府の問題が大きい
>それ(物価目標達成の遅れ)は日銀自身だけではなく政府の問題が大きい
>それ(物価目標達成の遅れ)は日銀自身だけではなく政府の問題が大きい

・・・・・(;゚д゚)

えーっとすいません確か置物リフレ理論によりますと「物価は貨幣的現象であるから、物価は金融政策で対処する問題であり、他の要因を理由にしている(当時の)日銀は無能で屑であり、今すぐ置物リフレ理論を用いてインフレ目標を金融政策のみで達成すべし」だったと思いますけれども、実際にMB直線一気置物理論を投下して大口叩いた達成期限になったら消費増税ガーに政府の政策ガーですかそうですか。


・政府と日銀の共同文書の建付けも否定していますね!!!!

『「本当にコミットメント(公約)を強めたいのならば、元々のアベノミクスの基本文書である政府と日銀の共同声明を強化して、具体的に法律にしてしまうのが一つの方法だ。その次は、年来の課題となっている日銀法に物価目標を正式に入れ込む改正をすることだ」』

ご高説によりますと金融政策だけで達成できない場合もある物価目標なのですが、それを法的に義務付けるって無茶苦茶でござりますがな。

『「ただし、デフレ脱却には政府の責任が大きい。これらは安倍晋三首相が主導権を握って進めるべきだ。アベノミクスを再起動するときに、そういう『レジーム・チェンジ(体制転換)』的なことを強化する手立てが必要だ」』

えーっとすいません。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130122c.pdf
「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)」

を見ましてもデフレ脱却に関しては日銀の責務であり、政府の責務は持続的な経済成長をもたらす成長力の強化や構造改革、財政の長期的な持続可能性の構造構築ということになっておりますが、いつの間にデフレ脱却が政府の責任になったのでしょうか?????それに今申し上げましたけど、人の責任によって決まる物価目標の達成可能性に対してなんで日銀が法的に責任取るような制度を作らないといけないのでしょうか??????


・都の西北に漂う珍理論再び

なお他にもツッコミどころがあるような気がしますが、この後に本日は師匠会見というメインイベントがございますので適当に切り上げて早稲田大学政治経済学部に漂う瘴気もとい珍理論の説明を鑑賞しましょう!!!

『――国内総生産(GDP)比240%の政府債務残高は重荷になります。

「財政の話をするときに見過ごされている観点がある。日本政府が持っている資産から国債残高などの負債を差し引きすれば、純債務は13年度で490兆円。仮にこれまでと同じペースで増えたとすると、14年度は530兆円弱だ。』

なるほど。

『もちろん政府資産は全部は売れないとしても、巨額だし、売却やリースが可能なものも多額に上る。』

・・・・・・・・ここは一応好意的に解釈すると聞き手の人が変に端折っているから一瞬ビビるのですが、政府資産を削減して国債も削減しようという話のようです。もちろん余計な遊休状態になっている政府資産と国債の両建てを落とそうというのは分かりますが、政策遂行に必要な政府資産は売却とかリースとかできませんなと思いますけどまあここまでは良い。

『そのうえで、政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる。』

>政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる
>政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる
>政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる
>政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる
>政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2015/ac150131.htm/
営業毎旬報告(平成27年1月31日現在)

まあ確かに日銀はバランスシートに国債260兆円を持っていまして、日銀と政府を統合して考えてみれば政府の発行している国債残高とこの260兆円部分が両建てになっておりますので、それを落としても結構なのですが、そうなりますと日銀バランスシートの負債サイドにあります「日銀当座預金」と「銀行券」の部分(他もあるけど大きいのこれね)はどうなるのでしょうか????????????

この後の若田部大大大先生の説明だと「負債は270兆円弱」という説明をしておりますので、どうも(銀行券は還流しない限り永久負債という風に考えれば実質上は負債というより資本みたいなもんだとも言えますが)185兆円ほどあります所の当座預金に関しては踏み倒す以外に消滅させる方法はないのでして、つまり若田部大大大大大先生の理論は「民間保有資産の強制接収を行えば政府の債務が減ります」と言ってるのと同じなのですけど、窃盗現行犯タイーホとかチャチなレベルではない壮大な構想に思わず頭がクラクラしてしまいます。

一応そのあとを鑑賞しておきましょう。

『政府が利子を払う相手は日銀になるので、日銀はそれを納付金として国庫に納めるだけになる。そうすると負債は270兆円弱でGDPに対して57%ぐらいだ。だから、日本では財政破綻(はたん)が誇張されすぎている感じがする」』

ということで「負債は270兆円弱」と思いっきり仰せになっておりまして、結局のところ原田大審議委員候補者様の仰る「日銀はタダで国債を買っているので日銀が国債を買うと政府債務が消滅する」というジンバブエが裸足で逃げ出す珍理論と同じような話をしているのが分かると思います。

・・・・・・・ちなみに超余談になりますが、この若田部先生様の珍理論自体はゴミにも程がありますが、この論法で参考になるのは、いわゆる「銀行券ルール」には妥当性があるという話がこの論法から導かれる訳ですよ。つまり、統合政府という意味でみた場合に、発行銀行券の底溜り分を永久無利子負債として、見なしの資本的性格のものだと考えれば、日銀が発行銀行券の範囲内で保有する国債に関しては銀行券見合い部分なので、実質的には統合政府の純債務と考えなくても済むという話であり、それを超えて保有する分においては財政ファイナンス部分であって、統合政府の純債務の政府から日銀への付け替えにすぎないという話になると思いますがどうでしょうかね。

まあそんな余談はともかく、日銀当座預金を踏み倒さないとすると国道とかが日銀当座預金の見合いとして民間金融機関に譲渡されるとなるのかも知れませんが、そうなると民間金融機関は預金者などへの預金支払いの原資を賄うために国道に関所作って通行料を徴収するとか、戦国時代もビックリの群雄割拠の時代が到来するのかもしれませんね!!!!!!!!!1111

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2015/02/05

○日経新聞は別にどうでもいいことでリーク記事書くなと小一時間

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NJ8ATZ6K50Y001.html
政府:日銀人事の国会提示、5日に−事前報道で1日延期
更新日時: 2015/02/04 18:23 JST

『民主党の笠浩史衆院議運委理事は4日昼、ブルームバーグ・ニュースの取材に対し、「一部で日銀審議委員の後任が報じられた。情報漏えいの調査をして理事会に報告すべきだ、今日の提示は認められない」と主張したことを明らかにした。同氏によると、その後の調整の結果、与野党は5日午後12時30分から両院の議運理事会を開催し、日銀を含めた国会同意人事の提示を受けることで一致した。』(上記URLより、以下同様)

・・・・・・・・いやまあ正副総裁人事とかだったらそれなりに影響あるからハッスルしたくなると思いますけれども、執行部追認機関学者委員の後任人事なんぞ別に速報する程のものでもないのですから、日経新聞も報道しないでスルーしておけよと思う次第。

『日銀審議委員人事をめぐっては、民主党の野田佳彦政権下の2012年3月、一部報道で伊藤忠相談役の渡辺康平氏が候補として報じられたが、結局、提示されなかった経緯がある。』

ってやらかしの前科があって、事前報道ルールに関してはなくなったとはいえ、リーク報道が出ると必ずこういう話になるわけですから、別に急いで報道しなくても問題ないようなネタでリーク報道するなよとしか思えないですな。

いやまあ一瞬「提示見送り」のニュースを見て、あの珍理論に対して日銀審議委員としてふさわしくないという文脈でリストの差し替えという話になったのかと思いましたが、ただの手続き問題とは惜しいですけど、まあいずれにせよあのジンバブエも裸足で逃げ出す「日銀が国債を買うと債務が消滅」という珍理論を持った人が日銀の政策委員会の委員としてふさわしいと判断していること自体についての審議をきっちりとやっていただきたいと思いますし、大塚なにがしさんとか津村なにがしさんとかこういう時の為にいると思うので精々頑張っていただきたいものです。

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2015/02/04

○日銀審議員人事に馬鹿提示キタコレ!

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NJ6MRS6JTSEF01.html
政府:日銀審議委員人事を4日午前に国会提示へ−関係者
更新日時: 2015/02/03 16:34 JST

ということで昨日こんなニュースが出ていまして、まあ若田部先生辺りですかそうですかとか思っておりましたが、何せ最近の学者審議委員というのは見事なまでに屁の突っ張りにもならない執行部翼賛機関でございますので、まあ宮尾さんが交代してもそんなに変わらんわなとは思いましたが、念のため今朝日経のサイトを見に逝ったらまさかの人選キタコレである。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF03H17_T00C15A2EE8000/?dg=1
日銀審議委員に原田氏起用へ 早大教授、リフレ派
2015/2/4 2:00 情報元 日本経済新聞 電子版

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

先日ネタにしたので単純にURLだけ置いておきますが・・・・・・・・・・

http://www.asahi.com/articles/ASGDS5TCMGDSULFA034.html
さらに金融緩和を、国債まだ買える 原田泰・早大教授
聞き手・福田直之 2015年1月21日11時34分

日銀に国債引受やれとか言っておきながらいざ副総裁にノミネートされると「あれは方便」とか言い出した置物大先生も大概でしたが、今度は「日銀が国債を買うと国の債務が消滅する」というような珍理論のオッサンがノミネートとかもうアホか馬鹿かとって感じですが、おそらくこのレベルの方ですと置物先生のように「例えばオペについても、外部にいたときは簡単だと思っていたが、実務はそのような簡単なものではないとわかった。」とか「日本銀行の実務に対する理解を深めつつある状況だ」とか面白発言がでるのか、それとも何も勉強しないでクソの役にも立たない提案をするのかのどちらかという事になるんでしょうなあとは思われます。まあしかしこれで学者が揃いも揃って馬鹿キター状態になると執行部としてはロボットがさらに増えてウハウハでしょうな。

しかしまあ何ですな、良く良く考えるとMB直線一気理論であるところの置物リフレ理論がその理論を超越するようなMB拡大しているのに「2年で2%」どころか「2年でゼロに逆戻り」だわ、インフレ期待は上がったということになっているけど最初に嬉々として持ち出していたBEIについてはだんまりだわとか、全然そのシミュレーション通りに逝かないという状態になっている訳で、そんな中で審議委員を受けるというのも中々こう大変ですなあとしか思えないところです。

で、日経渾身のリークは事前報道で馬鹿潰しに来たのかと一瞬思いましたが、良く考えたら事前報道があったら人事案受けないでござるのルールは廃止になっていたんでしたっけ。残念無念という所ですな。

まーいずれにせよ「日銀が国債を買うと国の債務が消滅する」という珍理論を唱える方をそのまますんなり通すようでは国会も何やってるんだと思いますので、就任の是非を問う国会審議の場では原田大先生の珍理論に関してきちんと吊るし上げをして頂きたいものだと思います。まあ最終的には与党が絶対多数だから通るでしょとは思いますが、ここまで突き抜けた珍理論を唱える方が講演とかでオモシロ話をして下さいますと円安に振れて物価目標達成でニッコリですね!!!!!!!!!!!!!!!!

#ということで就任前に毒電波を受信しておいてちょうどよかったですな(−−;

しかしまあリフレ派でももう少しマシなのいると思うのだがよりによって「日銀が国債を買うと国の債務が消滅する」という珍理論を平然と唱えるスカタンを選ぶとかどうしてそうなったとしか申し上げようがないですな。

なお先月受信した毒電波はこのへんとかこのへんにおいてあります。

ま、これだけ突き抜けたアレな方ですと多分屁の突っ張りにもならないと思う(結局実務を何もわかっていない人なので勉強して普通の方になるのか、何の勉強もしないでゴミ提案をするだけになるのか、執行部追認ロボットになるのか、という3択だと思いますので)のではあそうですかとだけ申し上げておきまして、ぜひ海外などでその「国債を中央銀行が購入すると債務が消滅する」という理論を吹聴していただきますと、もしかしたらジンバブエ中央銀行の総裁辺りにスカウトされるかも知れませんよ!!!!!1111

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2015/01/30

○この連載はおもろいのでオヌヌメ

http://www.asahi.com/topics/word/金融政策 私の視点.html
http://www.asahi.com/topics/word/%E9%87%91%E8%9E%8D%E6%94%BF%E7%AD%96%E3%80%80%E7%A7%81%E3%81%AE%E8%A6%96%E7%82%B9.html

同じなのですけど、朝日新聞デジタルで最近この連載がなかなか面白いのでオヌヌメであります。いろいろなのがあって面白いのですが今朝は軽く毒電波浴をしておきましょう!!!

この前もロイターで毒電波を放出しておられたので繰り返しみたいなもんですが。

http://www.asahi.com/articles/ASGDS5TCMGDSULFA034.html
さらに金融緩和を、国債まだ買える 原田泰・早大教授
聞き手・福田直之
2015年1月21日11時34分

いろいろとおかしいので月末の締めは電波浴で。

『――2013年春から2年程度で物価上昇率2%を目指す日本銀行の物価目標は、達成できるでしょうか。

 「2%まではなかなかいかないかもしれない。最終目標の雇用がよくなっているなら、そんなにこだわらなくてもいい。大事なのは景気が良くなることで、2%というのは金融政策でそのくらいにしたほうが雇用が良くなるという経験則があるからだ」』(直上のURL先のインタビュー記事より、以下同様)

えーっとすいません、リフレの皆さんは「2%物価目標達成で世の中がよくなる」という話をしていた筈で、そのような簡単な世界標準政策をやろうとしない日銀は無能の巣窟なので置物大先生が堂々と副総裁で乗り込んできたんじゃなかったでしたっけ??いつの間に最終目標が雇用になっているんでしょうか???

『――日銀も期限を定めず緩和すると言っていますが、それでは国債購入の際限がなくなりませんか。

 「さすがにいつかは2%の物価上昇を迎えるだろう。そのときに静かに金融緩和を縮小すればいい。2%の物価目標は金融緩和の行き過ぎを抑える歯止めにもなる」』

えーっとすいません、米国のTaperingトークでの市場の動きはご覧にならなかったのでしょうか???

『――金融緩和の結果、円安が進んでも、期待していたような輸出増につながっていません。

 「期待していた効果は出ていない。ただ、金融緩和に反対していた人たちは、円安になったら世界貿易戦争が起きると言っていたが起きていない。確かに私も輸出は増えると思っていて間違えたが金融緩和の反対派はもっと間違えている」』

ほうほう、大きく出ましたなあ。ああそれから最近の世界の金融政策の動向は「通貨安競争」とか市場で言われたりもしてますけどねえ。

『「効果が出ない主要な原因はリーマン・ショック後の日銀の対応だ。他の国がものすごい金融緩和をしていたのに、日本はしていなかったから円高になった。工場が海外に移転してしまって空洞化が進んだのが原因だ。もう一つの原因として、輸出先の海外の景気が良くないという点もある」』

えーっとすいません、そんな昔の政策が原因だったらそもそも円安にしても効かないという話になると思うのですが・・・・・・・・・

『「円安になって輸入品が高くなっているが、その輸入品を加工することで、従業員への賃金を上乗せして売るのだから、この分は円安による値上がり分より基本的に大きいはずなので問題はない」』

最早何を仰っているのかがさっぱりわかりませんが、この特集インタビュー記事を見ますと聞き手の方が原田大先生の説明を下手に端折った結果意味不明になったというような可能性は低いと思いますので、大先生の大先生理論が上記のようになっていると思われます。

『――仮に日銀が物価目標を達成して、国債を買う量を減らせば、日銀が持っている国債価格も理論的には含み損を抱えます。時価評価しないとはいえ、財務の健全性は大丈夫ですか。

 「日銀は国債をコストをかけずにただで買っている。10兆円分の国債を購入して、仮に2割損してももうけは8兆円ある。日銀の利益は国庫に渡ってきた。国債の価格が下がっても、財務省が埋めればそれでいいだけだ」』

大先生理論キタコレ!!

ということで、相変わらず日銀はタダで国債を買っている理論でこれで早大の教授が務まる世の中というのは一体全体どうなっているのかと思うし、このゼミの卒業生がいるのかどうか知らんが人生の貴重な時間をこのような電波浴で費やすとか不憫で不憫で。

『――仮に損を出したら、日銀の信認が傷つきませんか。

 「日銀のバランスシートが傷んだと思われても、信用が失われることはありえない。国はすでに1千兆円もの国債を発行して、バランスシートを傷めているのだから、日銀のバランスシートが傷もうが関係ない。制度上、日銀が財務省に補?(ほてん)を頼むのがいやというのはあるのかも
しれないが」

「円の信認は日本の経済力に対する信認であって、日銀の信認とは関係ない」』

・・・・・・・・・えーっとすいません、国債発行は借金なのでその時点ではただの債務で別にバランスシートは傷まない一方で損失というのはそのものズバリなのでバランスシートの資本の部が毀損する形になるのですが、国債をタダで買っている理論を先般拝読した時に複式簿記の基本がわかっていないのかと申し上げましたが、そもそも貸借対照表と損益計算書の区別もつかなくても早稲田大学では経済学の教授をやって、超ドマクロの話をしているだけならまあそれでも実害はなさそうですけど事もあろうに金融政策の話をしたり提言をしたりするとか、都の西北大丈夫か状態でございまして、今回もなかなかの電波浴を楽しむことができましたとさ。

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2015/01/14

○ロイターインタビューで電波浴

なおロイターが電波な訳では無くてインタビューでコメントしているのが電波なのですけどね。

http://jp.reuters.com/article/idJPKBN0KM0FA20150113
インタビュー:日銀は景気重視を、国債買入増も選択肢=早大教授
2015年 01月 13日 15:31 JST

・・・・・・マジでこれは頭沸いてるのかレベルにしか思えないのだが

『[東京 13日 ロイター] - 大胆な金融政策を主張するリフレ派の論客で知られる早稲田大学・政治経済学術院の原田泰教授はロイターの取材に応じ、金融政策は景気をよくするのが主眼で、物価目標はあくまで手段であり、現在のように原油安で物価動向が見えにくい局面では、景気をみて政策判断すればよいと指摘した。』(上記URLより、以下同様)

リフレ派ですかそうですかという所ですが、リフレな諸氏におかれましては2%物価目標を達成すれば景気が良くなって万々歳という説明をしていて、それをしようとしない日銀(当時)は屑の無能みたいな宣伝していました筈ですが、何時の間に「物価目標はあくまでも手段」となったのかさっぱり分かりかねますが、「物価動向が見えにくい局面では景気を見て政策判断」ってその「物価動向が見えにくい局面」というのはどうやって判断するのでしょうかねえそこに裁量を入れると良くないってのが「インフレ目標政策」だったんじゃないですかねえ。

なおご参考にこんなのがあるので「インフレ目標で全て上手く行くとなんてことは言ってませんが」とは言わせませんよ(^^)。
http://seesaawiki.jp/w/reflation/

まあその後も何だかなあというのが続きますが、白眉はこの辺りですかね。

『一方、国債買い入れの増額について「国民の借金を日銀が減らすことだ。誰も困らず公平である」とした。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
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えーっとあのすいません、国債を日銀が買ったら国の債務が消滅するとはこれまた斬新な話ですが、最近のリフレ派諸氏はそういう与太話をするのが仕様になっているのでしょうか会計とか分かっていますかとしか思えませんし、そんな認識で政策提言するとか変な葉っぱをキメてラリっている人にダンプカー運転させるようなもんですがなと小一時間。

この前も人が突っ込んでいるURLをご紹介した気がしますが、日銀が国債を購入すると、確かに統合政府の中で国債は減りますけれども、減った国債の分だけ日銀当座預金(=日銀の負債)が増えますので、それって単に国が国債発行して長期調達した資金を統合政府の中で短期調達に変換しているだけなんですけどね。

で、日銀当座預金の超過準備相当額への付利金利は10bpだし、いざとなったら付利しなければ調達金利がゼロになるじゃないかというツッコミがどうせ来るのでついでに説明しておきますと、そらまあゼロ金利政策を続ける内はそういう事になりますが、当然ながら国債買入を行って緩和政策を実施することによって、いずれかの時点で経済が上向いて物価安定目標が達成されるということになる(ならないのならそもそもそんな政策を実行する意味がないですよね)のですが、物価安定目標が達成された時には当然その物価目標に対する中立金利水準まで金利が上がっていくようにしないと今度は物価が上にオーバーシュートして望ましくないインフレになってしまうので、政策金利を上げる必要が生じる訳ですな。

で、ここで問題になるのが超過準備の存在でして、金融機関の予備的資金需要を大きく超える水準の超過準備の存在を放置しておきますと、短期市場金利が常に超過準備に付利をしていなければゼロ金利、付利していれば超過準備付利金利水準(あまりにも超過準備が多いと今のように超過準備付利金利を市場金利が平気で下回る事も起きますので)あるいはそれよりも下に突きぬけてしまい、上げないといけない政策金利を上げそこなって望ましくないインフレが発生する恐れが高まります。

となりますと、当たり前ですが国債買入を実施した見合いの日銀当座預金が、所要準備の範囲内に入っているなら兎も角、盛大に突き抜けている状態の中で物価安定目標が達成できるような状態になれば、超過準備部分に対して中立金利水準に向けて付利を行う必要がありますし、そうでないならば保有国債を売却して当座預金残高と保有国債の両建てを解消しないといけません。

てな訳で、日銀が国債購入してもそれは単に政府の長期調達を日銀が短期化しているだけで、短期化した結果として金融緩和政策が所期の効果を発揮して中立金利に向けて金融政策を正常化する必要が発生した場合、その時点で急に短期化した負債の利払い負担が顕在化するという話になる訳ですな。

・・・・・・まあ何ですな、基本的にあたくしの駄文の読者の皆様におかれましては先刻ご承知の助だとは存じますが、そういうことで『国債買い入れの増額について「国民の借金を日銀が減らすことだ。誰も困らず公平である」』とか基本的な事も踏まえないお方が『リフレ派の論客で知られる』人というのは何なんですかもしかして置物副総裁も同じ認識だったらどうしようとか不安になる今日この頃ではございますな。


『さらに「金融政策には経済を刺激する効果がある。財政政策の効果は小さいから、金融政策のみ実施して、財政発動をしなければ、金融政策の効果で税収が増大し、結果的に財政再建につながる」と主張した。』

これはまあリフレ派の皆様が現在の状況に立ち至る前には良く主張されていた話ですので、説明がここだけは一貫してますねと思いますが、最近のリフレ派の皆さんって「消費増税ガー」という話で今の問題を説明するのが仕様になっているように見受けられますし、ご説明のような感じですとリフレ金融政策を打ち込めば消費増税如き跳ね返すことが出来そうにしか見えないですし、そもそもこれだけの政策をやっておいて3%の消費増税に耐えられないのであれば、一体全体どの位の金融政策を打たないといけないのでしょうかと小一時間問い詰めたいですな。

『原田教授は「米国の代表的な金融論の教科書には、金利政策が効かない場合には量的緩和が有効と書かれている。教科書を理解していることが必要だ」との見解を示した。』

大体からしてゼロ金利制約になった時に非伝統的政策をするしかなくて、非伝統的政策が1から100まで全く効果が無いという人は普通居ないと思いますが、効果と副作用を天秤に掛けて意味が無いとか、毒にも薬にもならないような時間稼ぎにしかならない手段もあるとか、その手の話はあるでしょうし、そういう点を指摘しているだけなのに何で量的緩和が全部無効と言ってるような宣伝になるのか良くわかりませんですなあという所ですが、『教科書を理解していることが必要だ』と(キリッ)と締めているご本人がそもそも複式簿記の基本を理解していないとしか思えない『国債買い入れの増額について「国民の借金を日銀が減らすことだ。誰も困らず公平である」』(キリッ)と妄言をお述べになられるというのが実に味わいが深いので物は試しにツッコミを入れてみましたです。というかこんな先生が早大大学院で教鞭を取っておられるというのが早大の学生さんに不憫で不憫でと思いますがねえ。

#原田泰さんってこんなホームラン級の馬さん鹿さんではないと思っていたのですが・・・・・・・・

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