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2018/10/31
お題「超長期輪番封鎖とな/金融機関の配当政策に関するFSRの指摘から/置物日記日記をしようとしたがまだ始まらないという雑談」
一瞬物凄く良い話に見えますが・・・・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181031/k10011692261000.html
企業の44%「給与体系見直し」最低賃金引き上げや人手不足で
2018年10月31日 4時23分
『調査では最低賃金の引き上げに対して給与体系の見直しを行ったかどうか聞いたところ、「見直した」あるいは「見直しを検討している」と回答したのは4287社、率にして44%に上りました。これは2年前の調査と比べて9ポイント増加し、最低賃金の引き上げをきっかけに給与体系を見直し、正社員を含めて賃金を引き上げる企業が増えているとみられます。』(上記URL先より)
・・・・・・・って最賃並みしか払ってないって話じゃねえかよ。
『調査を行った帝国データバンクは「最低賃金の引き上げと深刻な人手不足を背景に、賃金を引き上げる動きが広がっている。一方で中小企業の中にはこれ以上の引き上げは難しいという声も多く、課題となっている」と分析しています。』(上記URL先より)
・・・・・・・お、おぅ。
〇オペカレンダーに何を期待しているのでしょうか・・・・・・・
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1XA2QI
東京外為市場ニュース2018年10月30日 / 15:17 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、長期金利0.115%に上昇
『 <15:12> 国債先物は反落、長期金利0.115%に上昇
長期国債先物は、反落して引けた。前日の海外市場で米債が下落した流れを引き継いで売りが先行。日経平均株価が上昇幅を拡大すると、短期筋の売りを誘った。一方で日銀の買い入れ手法見直し観測が浮上する中、31日公表の11月買入方針を見極めたいとする市場参加者が多く、売り込む地合いにはならなかった。現物債市場では、広いゾーンで金利が上昇した。中期と超長期を対象にした日銀オペで、応札倍率が前回を上回ったことから需給の緩みが意識された。』(上記URL先より)
つーことで昨日は株が上昇したのもありますけど、超長期の輪番で必殺ぶっこみにいった人がいたので長い所金利上昇(ただし先物は中々サガランチ会長)という図になった訳ですが、まー確かに輪番減額なり掛け算スキームでの回数減買入増での総額減額をするにしても、次にやるの超長期じゃろうなあ(特に超長期前半)というイメージはあります(来年度発行で市中消化が減額になるのが順当とみられる中、本年度減額を見送った20年はどう見ても発行減額対象だし)わなあとか考えると、20年外したい人というのもいるのかも知れませんけど、そんなにエイヤっと輪番封鎖する必要あるんかいなという気はせんでもない。
『長期国債先物中心限月12月限の大引けは、前営業日比9銭安の150円71銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比1bp上昇の0.115%。短期金融市場では、無担保コール翌日物はマイナス0.040─マイナス0.086%を中心に取引された。資金調達意欲が弱い状況が続いている。レポ(現金担保付債券貸借取引)GCT+1レートはマイナス0.175%とマイナス幅を拡大した。ユーロ円TIBOR(東京銀行間取引金利)3カ月物は0.050%と横ばい。日銀による国庫短期証券(TB)の買い入れは弱めの結果になった。ユーロ円3カ月金利先物は小動き。』(上記URL先より)
短国ちゃんが相変わらずで、先週末の入札ネタにしませんでしたが普通に▲30bp台という状況で、日銀の短国買入は週1000億円という絶賛買入縮小ペースではあるのですが、何せ3Mが強いのでどうにもこうにもという感じですが、むしろこっちの方をカレンダーの所で「市場動向を勘案して国庫短期証券の買入を行わない場合もある」くらい書いても良いんじゃネーノという気もしますが、まあ週に1000億円も買入やっていないのと同じようなもんですから、あえて公表文書で波風を立てることも無い、という判断であれば今回は初回の買入日が何日とかいうのを書くのを止めるくらいでございますかねえという感じです。
でもって話を戻すと、一応NHKと日経新聞のネット版を巡回しましたが本日の政策決定に関するスクープがぶち込まれている雰囲気も感じませんでしたので(なおモーサテはすっかり見なくなったので最近番組の構成が変わったとか人に聞いて初めて知るのだが、うっかり誰かさんとか誰かさんを朝っぱらから見て血圧をあげることも無いので誠に結構^^)まあ政策は何も無いのでしょうし、もはや2%達成時期が見通し期間中の向こう側に逝ってしまいましたので多少の見通しのズレやらリスクアセスメントの変更程度では政策変更をする気はない(そもそも論として効く追加緩和の手段がねえだろうよ)となっていますので、政策は知らんがなという所ですな。
ただ、さっき申し上げたように超長期輪番封鎖とか来るようですので、まあ17時の「紙」の方は何か変な期待はあるのかもしれませんけど、来週は米国中間選挙もあって(あたくしの根拠レスの霊感によれば雨公はどんな結果になっても「織り込み済み」とか言い出しそうですが)、まあ足元株が無駄に上がったり下がったりしている中、何も日銀が金融政策で目立つようなリスクを取る必要性は無いでしょ、と考えると思うので、オペに関しても今回はそこまで積極的なのは無くて、地味に「入札翌営業日の同ゾーンの輪番オペは回避する」というマイナーチェンジ(財政ファイナンス的なのを回避するためには重要な一歩だと思うので別に意味が小さいとは思っていません為念)をしてサラサラと行くんじゃないですかねえ(また11月末の所で株式市場が掉尾の一振モードになってきたら減額すれば良いのでは)とか思うので、なんか一部ドラスティックな期待(テールリスクとして警戒している、ってんだったら話は分かるけど)あるのかなあとちと疑問なのはあります。
#しかしベンダー見てると毎日輪番輪番輪番輪番と何とかストは他に仕事がないのかと思いますわ(毎日毎日やっているのは一部の人で輪番を過度に注目するのは本質的ではないという人もいますので念のため)
〇唐突ですがFSRネタで金融機関の配当政策に関する部分を鑑賞
以下引用は下記URL先の本文からです
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr181022a.pdf
まあ毎回色々と示唆に富むネタが多いのは『X.金融機関の財務基盤とリスクプロファイル』
という部分で、こちらは本文42ページ(PDFファイルだと47枚目になります、本文のページ+5がPDFファイルのページですな)以下の部分になりまして、ここを鑑賞すると色々と面白い(と申しますか、いずれにせよこの章だけでも読んでおくのが吉)のですが、本文47ページの『益出しと配当政策の動向』というコーナーが味わいがあります。
実際にはこの部分って前回のFSRでも指摘があったのですが、前回は説明を(意図的にかどうかは分からんですけど)端折り気味な部分があって、事実関係の説明をしているという感じだったのですが、今回は背景の説明を分かりやすくきっちりしているのが味わい深い。
ということで引用します。
『基礎的収益力に下押し圧力がかかるもとでも、金融機関が相応に高い水準の当期純利益を維持している背景には、景気拡大に伴う信用コストの低下に加え、有価証券の売却による益出しが大きく寄与していることを先に指摘した。』
『実際、当期純利益に占める有価証券売買損益の割合(益出し依存度)をみると、地域金融機関を中心に上昇傾向にあり、信用金庫は足もとで
4 割程度に達している(図表X-2-6)。』
ちなみに今日は時間の関係もありますし長くなるのでスルーしますが、その前のセクションに「収益力の差が出ています」という話があってその背景分析をしているのですが、これを読むとかなり泣けまして、要するに「当該銀行の営業基盤地域がパッとしないとパッとしない」「貸出利鞘が低い所と高い所できっちり分かれている」「有価証券利息配当金でも(貸出程ではないが)差が出ている」というような話なんですけど、総じてアカン所はさらにアカンがなとなっているというような悲しい話になっています。
『こうした有価証券の益出しとその後の再投資により、金融機関の保有する有価証券の簿価は切り上がってきている。』
ひたすら悲しい。
『このため、有価証券評価益を過去の平均的な益出し額で除した「益出し余力」は、株式相場の堅調さにもかかわらず、このところ低下している先もみられる(図表X-2-7)。
』
アイヤー。
『有価証券の含み益は、自己資本比率規制上、国内基準行では資本に算入されないが、信用コスト等の損失発生時に収益を補完する手段となるため、経済価値ベースでみると資本バッファーとして機能する面がある(図表X-1-3)。』
面もへったくれも無くどう見ても資本バッファーです本当にありがとうございました。
『金融機関が益出しを行ったとしても、それが当期純利益を経由し内部留保として蓄えられるのであれば、実質的な自己資本(経済価値ベース)に変化はない。しかし、益出しを原資とした当期純利益が株主への配当として社外に流出する場合には、経済価値ベースの自己資本は目減りすることになる。近年、株主還元に対する意識の高まりから、上場銀行においては、配当性向が上昇する先もみられる(図表X-2-8)。これは、当期純利益が減少しても、安定配当(1
株当たり配当額の安定化)を重視する金融機関が多いためである(図表X-2-9)。金融機関経営者は、地元企業など株主との関係や、配当の減少が経営状態の悪化のシグナルであると株主に受け取られる可能性などを懸念して、1
株当たり配当額の引き下げに消極的であるとみられる19。 』
とか何とかソフトに書いていますが、そもそも金融機関の配当性向上げろ云々ってのは海外とかの株主増えてきたりして、いろいろと株主がやかましくなったからというのはありまして(ちなみに前回のFSRでは背景説明は無いけど確か海外の持ち株比率が上がっている説明はあったが今回はスルーされているのが色々な配慮を感じる)・・・・・・・・
『一般に、企業が資本を有効活用してリターンを十分あげることができない場合には、株主に資本を返還することも一つの考え方である。この意味で、基礎的収益力の低下した金融機関が益出しを行い、配当や自己株式取得を通じて株主還元を行うこと事態に問題がある訳ではない。』
それは一般企業の話ですがな、という話が当然続きまして・・・・・・・・
『しかし、金融機関の金融仲介活動が幅広い経済活動を支えていること、経営悪化の影響範囲が広いことを踏まえると、金融機関は強いストレス耐性を備えておく必要がある。』
キタコレ!!!!!
『このため、益出しを原資とする安定配当の維持や自己株買いに際しては、自己資本の十分性に適切に注意を払う必要がある。実際、金融機関の中には、当期純利益が減少するもとでも、安定配当を維持する結果、内部留保の蓄積が進まず、自己資本比率が低下する先も見受けられる。今後、金融機関は、配当政策を含む収益配分のあり方について、基礎的収益力やストレス耐性を踏まえ、株主との対話を進めていくことが望ましい。』
という文章を先に入れておいてから、次に・・・・・・・・
『この間、株式市場からのプレッシャーに直面していない信用金庫では、基礎的収益力が低下するなか、配当率(普通出資配当額/普通出資額)を引き下げる動きに拡がりがみられるなど、低水準の配当性向が維持されている(図表X-2-10)。』
イイハナシダナー。
『信用金庫の場合、出資者の多くが同じ地域コミュニティーに住んでおり、地元経済を含め信用金庫を取り巻く経営環境の実情を把握していることから、配当率の引き下げに対しても?較的理解を得やすいためとみられる。』
ってまとめていますが、さっきの地方銀行の話の部分も「金融機関経営者は、地元企業など株主との関係や、配当の減少が経営状態の悪化のシグナルであると株主に受け取られる可能性などを懸念して、1
株当たり配当額の引き下げに消極的であるとみられる」ってそれ地元の話の部分は信金と同じじゃんということでして、これはもうどこからどう見てもそうじゃない株主の影響でんがなという話になる訳でございますな。
でまあそれ自体は株式上場しているんだからシャーナイナイというのはあるのですが、そうなって翻って考えた場合に、規制産業であり、経済システムの中で重要な役割を果たしている預金金融機関が株式上場している必要ってあるのかいなというような本源的な問題(上場によるガバナンスの透明化とかそっちの話は今回は措きます)も起きるんじゃないですかねえ、とかそんなことを思いながらこちらの部分を鑑賞したので、まあMPM前ですのでそんなネタをということで。
〇置物日記日記(まだイントロ)
例の置物日記なのですが、ねじり鉢巻きをして読むと色々と血圧が上昇するという事に気が付きまして、今のところは「適当に開けたページの前後を斜め読みする」を繰り返して、話の矛盾とか(手元に十分なネットアクセス環境がある時には)そのあたりの置物先生の講演やらニュースなどを確認したりして楽しんでいるのですが、どうもこの師匠、自分の著書の中でもブーメランがドンドン刺さるというのを芸風にしているようで、もしかしてこの人は純粋培養のアレなのではないかという思いを新たにするのでありました。
でまあまだちょぼちょぼしか見ていませんが、とりあえず何でもかんでも消費増税が悪いという話になっていまして、色々と(水面下では)反対したという話になっているのですが、おじいちゃんこんな話を水面上ではしてましたよねとかですね、
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2014/kk1402a.pdf
『(問) 先程、消費増税の影響について、リスクは低下しているという考えを聞かせていただきましたが、安倍政権はこの年末にかけて今度は
8%から 10%へ上げるかどうかを検討する考えです。現時点で副総裁のお考えとしては、リスクは低下しているので順調に予定通り上げるべきかとお考えなのかどうかを確認させて下さい。』
『(答) もともと昨年4月4 日に現在の政策を導入した時は、消費税の増税が
2段階で行われることは織り込み済みです。その場合には、この程度の金融緩和政策、量的金融緩和が必要だと思って打ち出したものです。その時の考えに今も変わりはありません。』(以上上記URL先の2014年2月6日宮崎金懇での記者会見より)
とか思いっきり言っているのは何なんですか、という背景説明自体は置物日記の頭の方にあるのですが、実際に金懇会見で思いっきりこのような話をしていた件とか、最初の金融緩和実施の時に10%までの増税を織り込んで実施しましたとかいうような「後から見たら都合の悪い話」は華麗にスルーしているのがもうねという感じです。
#本当はもうちょっとネタにしようとして置物日記に付箋入れて文字起こしとかしたのですが、前後のチェックとかするのが意外に手間暇かかるので今日はイントロだけということで、なお本日以降はMPMなのでたぶん次の置物日記日記は多少後ずれします
2018/10/30
お題「決定会合プレビュー雑談/ECB会見ネタ(その2)/超雑談で某書籍購入の巻」
ありゃまあもう出すのかよ。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181030/k10011690941000.html
外国人材受け入れ拡大 法改正めぐり激しい議論へ
2018年10月30日 4時47分
〇なんか仰々しくネタにするものでもないと思うのだが・・・・・・・・・・・
まあしばらく前に日経が調節懇談会前にネタにしたオペの手直し云々ですが、先週末にこういうのが出まして・・・・・・・・・・
https://www.asahi.com/articles/DA3S13742201.html
国債取引、活性化策を検討 日銀、30日から決定会合
2018年10月27日05時00分
『日本銀行は30〜31日に金融政策決定会合を開く。世界的に株式市場が動揺するなど経済の先行きは不透明だが、金融政策は「現状維持」として緩和策の効果を見守る方向だ。また、日銀が緩和で国債を買い占めているため、国債の取引が乏しくなっている事態に対応し、今後買い入れ方法の見直しを検討する。』(上記URL先より)
ということで朝日新聞がネタにしたと思ったら昨日の昼にはロイターが後追い。
https://jp.reuters.com/article/boj-market-operation-idJPKCN1N30EI
2018年10月29日 / 13:29
焦点:日銀オペ弾力化、国債入札翌日の買入後ずれも 金利自律形成促す
『[東京 29日 ロイター] - 日銀は市場機能の改善に向けて、国債買い入れオペレーションの一段の弾力化策を模索している。具体策として、国債入札日の翌日の当該年限の買い入れを翌々日以降に後ずれさせることが、有力な選択肢の1つに浮上しているようだ。複数の関係筋が明らかにした。』(上記URL先より、以下引用部分は同じロイター記事です)
ということですが、記事の方を拝読しますと(なお朝日は新聞自体が手元にないので内容はわからん)・・・・・・・・・
『日銀は7月31日の金融政策決定会合で、誘導目標を「ゼロ%程度」としている長期金利について「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動し得る」と一定の変動幅拡大を容認すると同時に、国債買い入れを「弾力的に実施する」ことを決めた。』
さいですな。
『その後の市場は、0.1%以下での推移となっていた長期金利が0.1%を上回る水準で取引されている。金利上昇を受けて投資家層の広がりが観測されるとともに、米金利や株価動向への反応も以前よりはみられるようになった。日銀内では市場機能の改善に、一定の効果があったとの認識が広がっている。』
???????
『ただ、国債買い入れ額が減少傾向にある中で、現在のオペは「市場を縛り過ぎている」(幹部)との声もある。このためオペの弾力化は、黒田東彦総裁が示した長期金利変動の許容幅であるゼロ%を中心とした上下0.2%程度の範囲内で、いかに市場の自律的な金利形成を促すかがポイントになる。』
そもそもファンダメンタルズに則した金利を形成したいというのとYCCというのが矛盾している訳でして、まあ不謹慎な例えですが猛烈DV男が嫁さんだか彼女さんだかに誕生日プレゼントをビックリマンチョコにしようかプロ野球チップスにしようかと言いながら俺って良い人とかアピっているようなもんで寝言は寝て言え以外の感想が沸かない。
『日銀内ではさまざまな方策が検討されているが、選択肢の1つとして国債入札日の翌日の当該年限の買い入れを翌々日以降にずらすことが浮上しているようだ。』(ここまで上記URL先ロイター記事より)
いやそれオペ実行部局の一存で出来る実務上の話で政策でも何でもないんですけど。
・・・・・・・・という訳で、何だか知らんがネタがないもんだから輪番輪番輪番とその話ばっかりという感じになっておりまして、政策の本質的な部分の話が出てこないですなあとは思うのですが、まあ今回の展望レポートって特に何か変わるようにも思えませんし、精々足元の金融市場の動きが高値波乱っぽくなっていますけど大丈夫でしょうかねえ程度の話で、これはこれで重要なポイントとはいえ、経済調査からアプローチして点検していくという展望レポートの性格上あまり馴染まないネタでもありますので「不透明感の拡大」とか「リスク点検の強化」というような話になり、ただちに政策に影響を与えるものではないでしょうな。
でもって17時に出る紙の方が目先の現生利益的には重要ということになりますが、一応短国買入で見せたメッセージっぽいものは「入札翌日に必ず国債買入を入れる訳ではないよ」ってことだったという話になる訳ですので、折角なので静かにその方式に移行させて進ぜろという感じでして、政策判断と全然関係ないレベルの話がこれだけ物凄い勢いでニュースネタにされるのはさすがに金融市場局に同情を禁じえません。
まあそんなことよりも社債CP買入と貸出支援関連を何とかして頂きたいんですが検討する雰囲気すらないというのは実に遺憾の極みに存じます。
〇ECB会見ネタの続き
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2018/html/ecb.is181025.en.html
PRESS CONFERENCE
Mario Draghi, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 25 October 2018
昨日申し上げましたように、この会見イタリア祭り状態になっていて、他の質疑が少ない(ので紙で読むと却って目立つ)のですが、イタリア以外ネタの方の積み残しをまずは。
・ちょこっす中途半端だったのでキャピタルキー質疑の追加
『I have two questions. You didn't discuss the reinvestments, but I was
wondering whether the Governing Council could at any stage consider a possibility
to change the capital key as the guiding principle of the APP, given the
APP is one of its tools.』
昨日引用した質問の後のほうに出てきた追加質問。再投資に関する議論はしていない、という質疑応答だったのですが・・・・・・・・・・
『Just given to the new capital key, if the GDP of a country grows it has
actually more APP so kind of a more easing policy. If the GDP of a country
shrinks actually it has - I won't say tightening - but less easing. That's
something to think about. I don't know if you're going to.(後半割愛)』
再度別の人が質問してまして、キャピタルキーの見直しによって理屈上はイタリア国債の保有比率を減らさないと行けなくなる筈で、この質問はイタリア問題への間接的な質問でもあります(なお後半はイタリア金融機関のスプレッド拡大に関する質問)。
『(前半割愛)Now, on the first point about the capital key, no, we haven't
discussed. I'd be surprised if we were to use a different concept other
than the capital key. We used that for a long time now with the asset purchases
and so I'd be surprised. But as I said, we haven't discussed that, but
you correctly say that there is a strange pro-cyclicality here between
the revision of the capital key and the economic situation of a country.
True, but these adjustments to the capital key happen every five years.
In a sense, it's just a country happens to have a lower GDP because of
a variety of reasons that may have nothing to do with cyclical stimulus.』
質問者はキャピタルキーが見直されたら国債の買入上限が変わるんだからそれによって緩和縮小とかの効果が出てこないかという話なのですが、国別の買入に関して当該特定国の景気に対して何らかの影響を与えるような政策として国債買入をしている訳ではない(域内全体のマクロでやっている)から質問のアプローチは論点としてずれてまっせという回答で、いやまあ確かにそういってしまえばその通りではあるんですが、現実問題としてキャピタルキーいっぱいいっぱいに買ってしまった後でAPPの拡大しなくなって、キャピタルキーが下がったらそれは緩和の縮小効果にならんかね、というのもまあ質問として話は分かるしイタリア問題だし、ということですが、まー「個別国のお助けオペをする訳ではありません」という建前論を振りかざすとこうなるのはその通り。
・中央銀行の独立性
しらっとこんな質疑も。
『(前半割愛)For my second question, both the European Central Bank and
the Federal Reserve seem to be coming under a lot of political pressure
to keep all of your monetary stimulus in place or provide more stimulus,
even. What would you say to the lawmakers that are really mounting on both
sides of the Atlantic quite a fierce challenge to your operational independence?』
イイシツモンダナー
『On the second question you had, what I would answer, I would answer that
central bank independence is a precious thing. It's precious because it's
essential for the credibility of the central banks. Credibility is essential
for effectiveness, so central bank independence in terms of how to comply
and deliver their mandates - which in our case is price stability - and
central bank independence in choosing the instruments that are more appropriate
or most appropriate to pursue this objective, is crucial for the effectiveness
of monetary policy.』
まあその通り。
『If one thinks about that, one would conclude that actually the legislators
themselves, often the very same people who are arguing for the central
banks to do this and that, should be the first ones to care about monetary
policy effectiveness and central banks reaching their goals, pursuing their
mandates.』
とはいえ日本いやなんでもないです。
でもってこの質疑が前座だったのかこんなのがECBのサイトにアップされとりますの。
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2018/html/ecb.sp181026.en.html
Central bank independence
First Lamfalussy Lecture by Mario Draghi, President of the ECB,
at the Banque Nationale de Belgique, Brussels, 26 October 2018
なお中身は読んでいないので読んだらネタにするかも知れないししないかもしれません。(以下は会見の引用に戻ります)
・イタリア大会なのですが全部引用していたらきりがないので・・・・・・・・・・
最初の方での質疑を見ると現状認識が分かります。現状認識と今やることに関してはほぼここの話の繰り返しになっているかなーとは思います(細かい話は色々あるけど)。
『(前半割愛)Second question is about Italy, as you can imagine. In the
past you said, “Look at the facts and not the words”, but the facts have
been coming in and then haven't been that good. There's a budget in breach
of EU rules; it's been rejected by the Commission. Now with facts on the
table, what is your assessment now?』
『(前半割愛)On Italy, you have to remember that Italy is a fiscal discussion,
so there wasn't much discussion about Italy. As a matter of fact, the Vice-President,
Dombrovskis, was there and basically, I asked him permission to quote him,
to quote what he said. He said, “Of course we have to observe and apply
fiscal rules but we're also seeking a dialogue”. I think that's what it
is, but then I could answer other questions about the facts.』
『Still again about Italy. I would like to refer to your recent statement
that the Italian situation was not posing any risks of contagion. My question
is whether you confirm this statement or whether it has changed.』
で、この後の答えが大演説になる。
『No, I didn't say there wasn’t any risk of contagion; I said at that
point in time there was no sign of contagion. It's different.』
一応現状に関しては「今EUとイタリア当局が話をしていて何とかなるものだとおもっていますああそう今の所問題の伝染みたいなことは観測されていませんよちなみにわしらはこの状況を見ていくしかない訳でその辺はEU委員会とイタリア政府頑張れ〜ってなもんですわ」という説明になっとりますな。
『Okay, let me also respond to the other part of the question I was asked before about; what are the facts?』
演説開始。
『First let me say, what's the context. The context of our discussion today
was, as I said before, the statement by the Vice-President of the Commission,
who said of course he has to apply fiscal rules but he's also seeking a
dialogue.』
あの予算案はアカンとEU委員会が言ったけどこれからも対話の余地を探るようだよ。
『The second point of context is what I said in the previous press conference
in the IMF, during the course of the IMF meetings, is that I'm personally
- and that's a personal perception so take it for what it's worth - I am
confident that an agreement will be found.』
何らかの合意に至るものだと信じていますよ。
『Now let me come to the facts. Interest rates have come up and are coming
up. That means the lending rates are going up still moderately, I should
say, for households and for firms. It means that households will have to
pay more for borrowing from banks and so do companies. Of course in the
case of companies that finance, fund themselves issuing bonds, the pass-through
from the capital markets to the bond market - to the corporate bond market
- is obviously faster. For them, the increase in borrowing rates has been
more marked and quicker. Now, all this likely means that it will have effects
on credit and ultimately on growth and, by the way, on the very same space
that is needed for fiscal expansion. In a sense, if the interest rates
keep on going up, the room that is available to expand the budget gets
smaller.』
イタリアの金利が上昇して社債金利も上がっているし、そのうち企業の借入コストにも跳ねてきて、その分投資余力が落ちることになりますし、それを埋めるための財政は必要だけど余地も限られますわな、とかなんとか。
『As I said, the increases in interest rates have been there now for a
while. We've analysed it both from surveys and through direct evidence;
these increasing rates. But these increasing rates are not so far - at
least banking rates - are not significant, or not material.』
とは言いましても銀行の金利とかそこまで盛大に上昇している訳ではない。
『However we have now the bank lending survey of this quarter. It does
say that basically, terms and conditions applied by Italian banks on new
loans to enterprises and households for house purchases, tightened.』
この前出た銀行サーベイ見るとイタ銀行の貸し出し条件はタイト化している。
『Terms and conditions - so not standards - terms and conditions tightened
in the third quarter of 2018, driven by a higher cost of funds and balance
sheet constraints.』
バランスシートの制約とファンディングコスト上昇で貸出条件はタイト化しているけどクレジットスタンダードがタイト化している訳ではない(=クレジットクランチの兆候はない)、だそうな。
『Now, what about the spillovers? Since the last time I spoke about this,
we have observed some increase in interest rates in some other countries,
or non-core countries, let's call them this way. Again it's not material
but it's been there. And so again the issue is: what's the cause of them;
because these countries themselves had specific idiosyncratic phenomena,
facts, events that may justify, and have been estimated to justify, some
increase in rates.』
特に他国に大きなスピルオーバーが起きている訳ではなく、現状での認識はイタリアの個別性の強い現象である。
『So far we reached I think the conclusion that it's kind of hard to distinguish.
There may be some spillovers but they are limited; that's the current assessment
and I will keep you posted as the situation will evolve.』
ただし、一部のノンコア国のスプレッド拡大なども若干起きていて、何もないという訳ではないので、状況については注意しています、というようなお話。
でもって物凄い勢いでこの後質疑があるのですが、拾うとしたらこれかなというのを一つだけ。
『As a follow-up to my colleague's question just now about OMT, Italian
politicians seem to have an expectation that if the spread rises too much,
the ECB will somehow intervene. That's why I wanted to ask the following:
in case the ECB in any future crisis surrounding Italy would - or any other
country - feel the need to intervene by purchasing sovereign debt of individual
member states, would the OMT programme really be the only available tool?
Or would there still be a way conceivable to do it outside the OMT programme?』
この前の方から出ているのでフォローアップとかになっていますが、いざとなった時のツールはOMTのようでして、
『Now, we are talking about the specific situation. What is available for
the ECB towards a specific country is OMT.』
ということで、
『The OMT, as you remember, is subject to having a programme with ESM and
is also subject to the assessment by the Governing Council of the ECB that
the undertaking of the OMT doesn't prejudge the monetary policy for the
whole of the euro area, but that's what's there. Our mandate, as I said
before, is a mandate towards price stability, not towards financing governments'
deficits or adhering to a fiscal dominance situation.』
ただし、財政従属の為にOMTを使うのではなく、あくまでも特定国の問題が波及したりして政策効果が出なくなることを予防する措置ですよというのはこの質問だけじゃなくて前の方から何回も説明していますが、全部引用すると長くなりそうなので一つだけ代表的なのを引用してみました。
〇税込み2700円の文鎮を査収する人柱はこのアタクシ(超余談)
さてハイパー余談の世界になりますが、昨日某書店にて「日銀日記 五年間のデフレとの戦い」(岩田規久男 筑摩書房)というのを絶賛査収して参りました。なお税込み2700円(外税表示なので表記は2500円ですが)となっております。
・・・・・・・・でまあ日記というか日付があってその時の話がある、という体裁になっているのですが、初日が2013年3月21日で、その日の2ページ目にあたる本文10ページから辞任発言の言い訳がおっぱじまっている(会見で質問が集中したから説明している体になっているけど)ので、いきなり笑ってしまいまして、その後超適当にページを開けてみたらその後も2年で2%達成しなくて何で辞任しないのかと国会で質問されているネタで言い訳をしているのがたまたま見つかる、という出オチにもほどがある楽しい物件なのですが、斜め読みしながらだとたぶん超ハイペースで読めると思うのですが、これちゃんとファクトチェックしながら読まないといかんかなと思ってねじり鉢巻きをした所で昨日は終わってしまいましたが(おいおい)、人柱として何故か麿の本よりも先に読んでみないと、と使命感(???)を新たにするのでした。
2018/10/29
お題「またブルームバーグのアレ記事だが影響はあまりない/ECB会見ネタ(その1)」
カモンベイビーダメリカ。
https://jp.reuters.com/article/ny-stock-us-idJPKCN1N02W0
2018年10月27日 / 07:04 /
S&Pが5月以来の安値、ハイテクやネット株の売り膨らむ
うーんこの。
〇また例の何とか砲だが為替が反応していたような気がしないでもない
ネタ無くも無理矢理作る日高砲(よし575きまった!)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-26/PH6QB06JIJUP01?srnd=cojp-v2
複数の日銀当局者、長期金利の上限は0.2%超を容認
日高正裕、藤岡徹、竹生悠子
2018年10月26日 14:05 JST 更新日時 2018年10月26日 16:46 JST
金曜の債券市場ですが、まさにこのニュースヘッドラインが出たところで債券先物スルーっと下がって10年は1甘の0.120%、20年は0.5甘の0.640%(先物は7銭安とか)になりまして、ナンヤソラと思っておりましたら上記のヘッドラインですよ。
ということですが、この見出しはどこからどう見てもブルームバーグお得意のアレ記事というのは明白なのではありますが、出来栄えを確認。
『複数の日本銀行当局者から、現行の金融緩和策で操作対象とする長期金利について、多くの市場関係者が想定している上下0.2%を超える変動幅を許容する意見が出ている。事情に詳しい複数の関係者への取材で明らかになった。』(上記URL先より、以下同様)
えーっとちょっと待てこれ主語は誰だよと思いますと、「0.2%を超える変動幅を許容する意見が出ている」というのがメインで、誰が言ってるのかと思うと、一瞬「複数の日銀関係者」が言っているように見えますが、「複数の日銀関係者が言っているということが関係者への取材で明らかになった」という毎度おなじみの「関係者」で安心のクオリティ。
『複数の関係者によると、日銀当局者の間では0.25%程度までは10年物国債利回りの上昇を容認するとの声が複数上がっている。一部の当局者は緩やかな金利の上昇を容認する一方で、日銀としては急激な変動は望んでおらず、ボラティリティー(変動率)の上昇を目指しているわけではないという。』
はあそうですか。
『日銀は7月の金融政策決定会合で、長期金利は「上下にある程度変動しうる」ことを決定。発表文に変動幅は明記せず、黒田東彦総裁が会見で、2016年9月の長短金利操作導入後の「おおむねプラス0.1%の幅から上下その倍程度」と明らかにした。長期金利の0%目標について、これまでも「程度の見方次第だが、四捨五入でいえばプラスマイナス0.4%と考えている人もいたかもしれない」とも述べた。』
ってナンジャソラと思ったら
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk180801a.htm/
『(問)今回、3つほどの柔軟化によって、いわば日銀の日々のオペレーションでの裁量が拡がるかと思います。例えば、長期金利でいえば総裁が先程おっしゃった±0.1%の倍程度ということになると、絶対値にして合計0.4%くらいになって、これは通常の金融政策決定会合で決めるような利上げ幅、ワンノッチを超える裁量が金融市場局に与えられます。こういったことで不透明性が高まるといったデメリットはお感じになられないでしょうか。』
『(答)そのようには全くみていません。これまでも、実はゼロ%程度といっても、程度の見方次第ですが、四捨五入でいえば±0.4%と考えている人もいたかもしれません。結果的には変動幅は非常に小さく、国債市場の機能がやや低下してきており、それを改善することは、長期的な金融緩和をしっかり継続するためにも必要だ、ということでやったわけです。不透明感という点では、むしろ減っていると思っています。』(以上7月31日の総裁記者会見より)
という質疑があったのですが、これはネタにしなかった質疑で、これ「-0.2〜+0.2」が幅で0.4%でそれは広いですよねって話であって、0%から±0.4%という質問じゃないのに何か勝手に黒田さんが誘導尋問(なのかもわからんが)に引っ掛かってるだけじゃんという奴ですわな。
『7月会合の議事要旨によると、一人の委員が「主要国の最近の長期金利の動きを参考にすると、わが国でもプラスマイナス0.25%程度の変動を許容することが適切である」と述べた。』
てな訳で記事は以下続くのですが、「今までの2倍」が0.20%とは限らん(そういえばアタクシもついこの前0.2じゃなくて0.25だって別に普通にあり得ると思いますがというのをこちらに書いていたと思うのですが)というのは普通に市場の中では考えられていて、0.20%が絶対な訳じゃない(そもそも当初の指値水準は0.11%で2倍なら0.22%ですが何か?)という認識でいると思いますし、議事要旨で誰か(鈴木さん?)がここの記事にあるように0.25%程度までの変動幅でどうよというのがあった(のが出ても別に市場は反応しなかったけど)というのも周知の事実で、もう火のない所に無理矢理放火している感の強い記事ですな、ということで・・・・・・・・・
ロイターさん。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1X62OJ
東京外為市場ニュース2018年10月26日 / 15:16 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、長期金利一時0.105%に低下
『<15:10> 国債先物は続伸、長期金利一時0.105%に低下
長期国債先物は続伸して引けた。前日の米国市場でリスクオフの流れが一服したことから売りが先行した。後場に日経平均株価が急落すると、プラス圏に浮上。乱高下する場面があったが、終盤にかけて買いが優勢になった。現物債市場も先物同様に株価に振られる展開になった。全ゾーンで前日の引け値を挟んで上下に激しい動きになった。日銀オペ結果は中期が強めで、長期は無難な範囲に収まった。』
『長期国債先物中心限月12月限の大引けは、前営業日比7銭高の150円72銭。一時150円77銭と中心限月の日中取引ベースで7月31日以来、約3カ月ぶりの水準に上昇した。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比横ばいの0.110%。一時0.105%と9月13日以来の低水準を付けた。』(上記URL先より)
ということで、さらっ「上下に激しい動き」とだけ流してネタにする辺りがチャーミングな訳ですが、さすがに円債市場ちゃんは「まーた日高砲か」ということであっさりと下げたものをきっちりと戻すという動きになりましたが、為替市場ではこのニュース出て円高に少し振れまして、それが株に効いたのかどうかは分かりませんが、為替の方はその後の株式市場のせいなのかこのニュースが効いたのかはさっぱりわかりませんけれども、円債ちゃっかり戻る中でドル円はやや円高のままになっていたのはナンジャラホイという感じではありました。
でまあ英文ヘッドラインってどうなっているのかよとみて確認しますと、
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-10-26/some-at-boj-are-said-to-see-10-year-yield-limit-higher-than-0-2
Some at BOJ See 10-Year Yield Limit Higher Than 0.2%
By Toru Fujioka , Masahiro Hidaka , and Yuko Takeo
2018年10月26日 14:05 JST Updated on 2018年10月26日 15:56 JST
(何故か日本語環境でブルームバーグの英語ニュース出すとタイムスタンプは日本語表記されるようで)
ということで題名が『Some at BOJ See 10-Year Yield Limit Higher Than 0.2%』ってなっていて、まあ日本語とは同じ書き方なのですが、日本語の題名みた時点で「いつもの”謎の関係者”か」という想像がつくので、その時点で読む方の頭に補正が入るのですが、これ見て中の記事(どうも記事全文読めるのは月に何本かとかそういう感じのようなので記事は引用しないです)を見ますと、日本語よりも印象が強いかなと思う物件に仕立てあがっております。もう毎度過ぎて何とも。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-10-28/boj-seen-standing-pat-amid-growing-focus-on-10-year-yield-range
BOJ to Maintain Policy Stance With Focus Growing on 10-Year Yield Range
By Toru Fujioka and Masahiro Hidaka
2018年10月29日 5:00 JST
ブルームバーグの行っている日銀政策サーベイの記事なんですけど、「With Focus
Growing on 10-Year Yield Range」ってお前が金曜に煽り記事書いとるだけやんと小一時間問い詰めたい訳でして、海外の投資家もいい加減に気が付けばいいのに、と思う今日この頃でございました。
〇うっかり八兵衛のECB会見ネタ(その1:除くイタリア祭り)
えーっとすいません、あまりにも注目してなかったので金曜の朝はECBネタだったの忘れて若田部副総裁講演ネタに全力を投下しておりましたすいませんすいません。
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2018/html/ecb.is181025.en.html
Mario Draghi, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 25 October 2018
・INTRODUCTORY STATEMENTは「景気のモメンタムは減速しているが大丈夫」という内容ですな
最初のINTRODUCTORY STATEMENTから少々。
『Based on our regular economic and monetary analyses, we decided to keep
the key ECB interest rates unchanged. We continue to expect them to remain
at their present levels at least through the summer of 2019, and in any
case for as long as necessary to ensure the continued sustained convergence
of inflation to levels that are below, but close to, 2% over the medium
term.』
『Regarding non-standard monetary policy measures, we will continue to
make net purchases under the asset purchase programme (APP) at the new
monthly pace of ユーロ15 billion until the end of December 2018. We anticipate
that, subject to incoming data confirming our medium-term inflation outlook,
we will then end net purchases. We intend to reinvest the principal payments
from maturing securities purchased under the APP for an extended period
of time after the end of our net asset purchases, and in any case for as
long as necessary to maintain favourable liquidity conditions and an ample
degree of monetary accommodation.』
政策に関する部分は前回と同じでして、資産買入の拡大は年末で終了してその後は償還分の再投資を継続、金利に関しては来年の夏までは今の今の水準を継続する。なお買入拡大を終了しても政策は緩和的であるし、物価目標の達成のためには引き続き緩和的な金融政策でのサポートが必要であるという基本認識に変化はないから。
『Incoming information, while somewhat weaker than expected, remains overall
consistent with an ongoing broad-based expansion of the euro area economy
and gradually rising inflation pressures.』
while somewhat weaker than expectedではあるが全体的にはユーロ圏経済は幅広く拡大して徐々に物価に上昇圧力だそうな。
『The underlying strength of the economy continues to support our confidence
that the sustained convergence of inflation to our aim will proceed and
will be maintained even after a gradual winding-down of our net asset purchases.
At the same time, uncertainties relating to protectionism, vulnerabilities
in emerging markets and financial market volatility remain prominent. Significant
monetary policy stimulus is still needed to support the further build-up
of domestic price pressures and headline inflation developments over the
medium term.』
今の経済の基調的な強さによって、我々の見通しであるところの物価目標への収斂は買入拡大を停止しても継続しますが、経済に関しては保護貿易主義、新興国市場の脆弱性、金融市場のボラティリティなどの不透明要因があります。よって金融緩和によって国内の中長期的な物価上昇圧力をサポートする必要があります。
『This support will continue to be provided by the net asset purchases
until the end of the year, by the sizeable stock of acquired assets and
the associated reinvestments, and by our enhanced forward guidance on the
key ECB interest rates. In any event, the Governing Council stands ready
to adjust all of its instruments as appropriate to ensure that inflation
continues to move towards the Governing Council’s inflation aim in a sustained
manner.』
でもって資産買入の拡大は年末で終了するけど、買入のストックと金利を維持するフォワードガイダンスが緩和的な環境を支えます、ああ必要な場合は必要な措置を取ります、ってまあここもとの話と同じトーンです。でもってその先の話に関しては経済の部分でさっきと同様に「足元予想より弱い」という話をするものの、先行きの話とかは不変モードになっていまして、リスク認識もバランスのままとなっています。
・リスク認識は下方にならんの??
ということで質疑応答ですが、まあ時期的に当然なのですがやたらめったらイタリアの質疑だらけでございまして、どこのイタリア祭りかというような状況になっております。でもってイタリア祭りがマジイタリア祭りになっておりまして、これを整理しながら出す分量調整が難しいので(マジ)、本日は「除くイタリア」部分を鑑賞ということで勘弁願いたく。
『Did you discuss downgrading your risk assessment to tilted to the downside?
What were the main arguments for and against in the discussion?(後半割愛)』
後半はイタリア何ですけどね(^^)。
『Let me answer the first question; it will require a little time.』
割と長尺の演説が入ります。
『By and large, the Governing Council discussions you've seen from the
introductory statement confirmed the balance of risks and of course didn't
take any decision on monetary policy.』
ステートメントで示したように認識はバランスのままです。
『There was acknowledgement of a somewhat weaker momentum, but in the midst
of most eurozone countries - which still have positive output gaps, and
slightly expansionary and sometimes in some cases pro-cyclical fiscal policies
in some countries. We're talking about a weaker momentum, not a downturn.
This is clearly certified by most survey indicators that have come out
since the last time we met.』
「a weaker momentum, not a downturn」だそうな。
『But these indicators remain above - and in some cases well above - historical
averages and certainly is certified by slower growth. Then the issue is:
what are the reasons behind this weaker momentum and these weaker survey
indicators?』
で?
『Here we go into a variety of explanations, one of which certainly is
country-specific factors; so-called idiosyncratic phenomena. Think about
the car sector in Germany. This is having quite a powerful effect for this
quarter but not next quarter.』
各国固有の状況があって、その状況ってのはワンオフのものなので今モメンタム弱いからといってダウンターンではないとな。
『The second is the export performance. Last time we discussed the export
performance saying that last year, 2017, had an extraordinary export performance.
Now we're coming back to normal and so we had a decline in exports that
seems now is reflected in the current weaker momentum, but seems now to
have come to a halt.』
昨年の輸出が強すぎたのでその分で逆下駄履いていてモメンタムが下がったように見える、だそうな。
『Then of course we have trade uncertainties. We have the stalemate between
US and China, with Brexit, with Italy, with financial market volatility,
so a bunch of uncertainties. Then we have perhaps the one important part
of the explanation; it's simply that we're having growth returning to potential
after 2017, where it was clearly above potential.』
でもって先行きにはいろいろな不確実性があるので、さて今後の輸出をどう判断するかというと・・・・・・・
『It's not simple here to distinguish what is transitory from what is going
to be permanent, what is country specific from what is extended to the
whole of the euro area. What is actually having an impact on consumption
and investment and what is not having an impact. For one thing, we still
observe consumption; pretty strong, buoyed by an expanding employment,
an expanding labour market, rising wages and so business investment. Also
the emerging market economy situation seems to have stabilised somehow.』
一時的かそうじゃないかってのは見分けるの難しいですが、消費と投資の動向に注意していて、消費が雇用改善で強くて投資も強いし、新興国の状況も落ち着いてきているというのを見ています、とまあ自信ニキではある。
『All in all, the assessment of the Governing Council was, yes, there is
a weaker momentum. Yes, there are weaker survey data coming out and maybe
some more expected in the future. But is this enough of a change to make
us change the baseline scenario? The answer is no. These risks are not
being considered at this point in time enough to change the balance of
risks. Now, of course we'll have to see the projections in December and
that was also one other consideration. I will elaborate on inflation and
monetary policy later.(後半割愛)』
不透明要因はあるし、モメンタムが弱いのも事実ですが、だから見通しを下げるような状況かといえばそれはノーだそうでして、これが本当に自信満々ニキなのか(震え声)ってのが付く自信ニキなのかはイマイチよく分からんが、この次にネタにする物価の所を見ても割とこの人たち自信はあるんじゃネーノという感じはする。
・インフレに関して
ちょっと先に物価の質問。
『(前半割愛)My second question is on inflation. What is justifying your
confidence on inflation pressures given that core inflation rates have
actually disappointed several times this year and, as you've said, there
are certain geopolitical risks that seem to be increasing? At what point
do you worry that the wage and inflation pressures that we see are going
to be short lived?』
おうお前ら今年のコア物価指数何回もdisappointedだったじゃねえかよ何でそんなに自信ニキなんだよおう言ってみろよ、
という質問ですな。答えは割と長い。
『Let me answer first the second question. The discussion in the Governing Council showed that there isn't
much of a change in inflation, really.』
特にインフレに関する議論に変化はありませんが何か?
『When we look at surrounding developments, we see that negotiated wages
keep on going up. This is a very comforting sign because it means that
wage increases - which by the way in some core countries have been quite
significant - wage increases are going to stay. They are not temporary,
they are not drift determined but they are negotiated wages so they're
going to stay. They've been quite, in some countries, significant but in
general nominal wage growth is picking up.』
お賃金が上昇していることに関して結構な勢いで自信ニキ。
『The other thing is that the labour market keeps on expanding but it's
progressively, gradually tighter and tighter. The third thing is that capacity
utilisation rates in most countries are pretty high.』
労働需要が一段とタイトになっていることと、設備稼働率が極めて高くなっているのも自信ニキの根拠。
『Frankly, after all this assessment we have no sense that we should doubt
our confidence that inflation is gradually converging to our aim. But having
said that, we reaffirm the fact that our monetary policy needs to remain
accommodative and a considerable degree of monetary accommodation is still
needed. I see that there are lots of concerns - well, not lots; some concerns
about APP maybe ending at the end of this year.』
APP終了に関する世の中の懸念について最初「lots of concerns」と言ってから「well,
not lots; some concerns」と言い直しているのがワロタ。
『Let me tell you one thing that I've said on and on and on: even if it
were to end, monetary policy will remain very accommodative by the reinvestment,
especially the reinvestment of the considerable stock of assets that we
have in our balance sheet and our forward guidance about interest rates.』
『Let me read this about the introductory statement to the sentence. It
says, “This support will continue to be provided by the net asset purchases
until the end of the year, by the sizeable stock of acquired assets and
the associated reinvestments, and by our enhanced forward guidance on the
key ECB interest rates. In any event the Governing Council stands ready
to adjust all of its instruments as appropriate to ensure that inflation
continues to move towards the Governing Council's inflation aim in a sustained
manner”. That's what I can say about inflation.(後半割愛)』
「That's what I can say about inflation」ってナンジャソラという感じはしますが、APP拡大を止めても政策は緩和的なんだからそう懸念するもんじゃありませんですよ皆さん、ということで、自信ニキではあっても結局のところ緩和政策そのものをもっと縮小できるかというと、緩和政策があるから見通しがサポートされるみたいな説明なので、威勢は良いのですが出口政策を堂々行う程の自信はない、という事になるでしょうかね。
・キャピタルキーの変更に伴う資産買入の変化はアリやナシや
『Two questions, if I may. If I'm right, next year there will be a new
calculation of the capital key, with probably an increasing weight of Germany
and a decreasing weight of Italy. What consequences does it have for the
reinvestment programme next year?(後半割愛)』
キャピタルキーに関しても結局イタリア絡みですが一応先にネタにしておきます。
『(前半割愛)The first question is about the capital key. We haven't discussed
that in the meeting, but just keep in mind - and you are right -there's
a capital key readjustment at the beginning of the year. There's also another
capital key adjustment with Brexit, so that's also to be kept in mind.
But we haven't, basically, discussed any of them.』
来年キャピタルキーの再計算になった時に、APPでの買入内訳どうするの、という質問がこのほかにもあったのですけれども、上記のように結局全然検討していませんとか言いながら回答を避けた格好になっているので、まあ次も質問飛んでくるだろうなあという感じです。イタリアがアレなのであまり今回はそこをツッコミと微妙に機微に触れる可能性があるので避けたのか、それともまだ何にも計画していないのかはよくわからん。
2018/10/26
お題「若田部副総裁講演とな/FSRの不動産市場に関するBOXを鑑賞」
おう上がったり下がったり忙しいのう。
https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPL3N1X56IC?il=0
2018年10月26日 / 05:35 / 10分前更新
米国株式市場=反発、マイクロソフト主導でナスダックは3月以来の大幅高
ところで話は変わりますが、昨日の日経1面に出ていた給与のデジタルマネー払い云々なのですが、
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36868440U8A021C1MM8000/
デジタルマネーで給与 厚労省、来年にも解禁
【イブニングスクープ】経済 2018/10/24 18:00日本経済新聞 電子版
これって労働基準法の給与現金払いの原則を普通に逸脱する話で省令対応でやったらダメだろと思いますし、こういうので「キャッシュレス化の推進」とかするのって「意識高い系」の考えそうな話なんだが本末転倒感が強い話ですし、大体からして何で現金払いの原則になっているかといえば、玉置紙幣(大東島紙幣)みたいな悪例を出さないようにって話だろと思うんだが、最近の中央官庁は何か知らんが「先進的なことをしました!」ってのをやりたがって本来の原理原則を平気で踏み外してくるような事案が目立つような気がして甚だ懸念しているんですけど。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%9D%B1%E5%B3%B6%E7%B4%99%E5%B9%A3
大東島紙幣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
#といいながらネタ元がウィキペディアで申し訳ない
〇若田部副総裁の講演は基本的に論ずるに値しないのですが敢えてネタにしてみるの巻
ということで若田部副総裁の講演というのが出てきたんですけどね。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko181025a1.pdf
金融危機後の世界:変化する経済、経済学と中央銀行
慶應義塾大学経済学部・日本経済新聞社共催「ニッポンの革新力」シンポジウムでの基調講演
日本銀行副総裁 若田部 昌澄
2018年10月25日
・・・・・・・まずもって内容が薄っぺらのペラペラでして、ベンダーに何か出てるわ→じゃあ日銀のホームページ見るか→あったわ読んだろ!と斜め読みして多分2分くらいで読み終わってしまうという心に何も響かない講演でして、これなら言ってることはスットコドッコイにも程があったけど置物師匠の2013年の講演
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/ko131018a.htm/
「量的・質的金融緩和」の目的とその達成のメカニズム
中央大学経済研究所創立50周年記念公開講演会における講演
日本銀行副総裁 岩田 規久男 2013年10月18日
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/ko130828a.htm/
「量的・質的金融緩和」のトランスミッション・メカニズム -「第一の矢」の考え方-
京都商工会議所における講演
日本銀行副総裁 岩田 規久男 2013年8月28日
の方が中身は兎も角主義主張というのがあるのですけど、この若田部副総裁の講演には金融政策に関する自分自身の思う所とか思想とか主義主張とかいうのがまあ見事なまでに感じられませんし、話の内容も薄いですし、早稲田大学ってのはこれで教授が務まるのかよ結構な学校だなオイと思うのでありました。
などと申しておりましても生産性がございませんが、生産性はもとより無いという事を前提に以下ネタにしてみましたのでよろしくご査収のほどお願い申し上げますm(__)m
・前半は全く心に響かない文字の羅列があるのですけど
まずは最初の辺りから。『1.はじめに』ってところの最後に、
『本日の講演では、まず現在起きている経済社会の大きな変化について概観した後、経済学も変化していること、そして中央銀行の役割もまた変化していることについて述べたいと思います。お伝えしたいことは3つ、第1に、変化がカギであるということ、第2に、変化に対応して知識も変化することが大事だということ、第3に、変化にもかかわらず、あるいはだからこそ、基本を理解することが大事だということです。』
とありまして、いやー第2と第3って自分へのツッコミですかと思ってしまうのですが、まあそこは軽くスルーして次の『2.人類の進歩と課題』という部分なのですが、これはもう読むに値しない話が延々と続いているので引用しませんけど、まあそうは言いましても一度は目を通していただきたいとは思います。
・・・・・・でですね、まあアタクシも無学なのでこの部分の何がどう、というツッコミも出来かねますけれども、とにかく読んでいて心に響くものがありませんでして、これが置物師匠だと言ってることがスットコドッコイのトンチキであっても、本人の言いたいことがあってそれを伝えようってパッションというか何というかを感じるのですが、まー読んでてあんさん何を伝えたいのってのがさっぱり分からんのですが、これはきっとアタクシが無学なのが悪いという事にしておきましょう。
・エビデンスに基づく政策とは????
ということで次の『3.変化する経済学』という所に行く訳ですが、これがまた最初の方全然面白くないというか、だから何なの??という話が続いていまして、何ちゅうかこの講演思いっきりたくさん「誰がこう言っていますが」という話が延々と続くので、文末のリファレンスがいっぱいあるんですよね。でまあ別の某リフレ派審議委員先生などの場合だとリファレンスがリフレ一派の本ばっかりだったりするので、それよりはマシなのかも知れませんけど、「誰がこう言っている」のオンパレードで、だからあんさんはどうなのよという話が碌すっぽ出てこないので、まあ心に響かないんでしょうなあ(受け売り祭りにしか見えない)と思うのですが、本文5ページの最後の所になってやっと素材が登場します。引用しましょう。
『こうした経済学のデータ・サイエンス化、応用科学化に伴い、経済学の適用範囲は拡大しています。第1に政策への応用です。』
ほほう。
『「証拠に基づく政策立案(EBPM:evidence-based policy making)」という言葉がやっと日本でも流通するようになり、現在は政府においても、行政改革の一環としてその推進が謳われています。』
>証拠に基づく政策立案
>証拠に基づく政策立案
>証拠に基づく政策立案
・・・・・・・それはひょっとしてギャグで言っているのか(AA略)????
『政策を考えるうえできちんとした実証的根拠を求める動きであり、そうした証拠に基づいて便益と費用を比較衡量して政策決定に役立てる「費用便益革命」(Sunstein
[2018])が進行中です。』
>証拠に基づいて便益と費用を比較衡量して政策決定に役立てる
>証拠に基づいて便益と費用を比較衡量して政策決定に役立てる
>証拠に基づいて便益と費用を比較衡量して政策決定に役立てる
・・・・・・・それはひょっとして(以下略)
で、ちょっと飛ばして第2の話になりますが、
『第2に、経済学は政策現場において共通言語化しています。特に世界銀行、国際通貨基金(IMF)といった国際機関や、G20
会合、中央銀行では、少なくとも経済学がわからないと会話が通じません5。』
そういえば先日ジャクソンホールシンポジウムにお出かけになっていたと思いますが会話(以下自主規制)
でまあ更に先に行きますとですな、
『要約すると、経済学はますます実証的になり、そして役立っているといえます。』
とまたもそれはひょっとして(以下同文)が登場して、
『経済学者は、先ほど挙げた人類の直面する様々な課題に取り組んでいます。とはいえ、このように申し上げたからといって、経済学そのものに課題がないわけではありません。』
ということで以下話が続くのですが、マネタリーベース直線一気理論の課題の方を先に考えていただいた方が宜しいのではないかと存じます。
でもって次の所は『4.変化する中央銀行』なのですが、その中の後半の方に(ちなみに本文9ページに飛ぶ)、
『その後、世界の政策立案者たちは、残念ながらグローバル金融危機(引用者注:話の前段を全然引用していないのでいつの話かとなりますがこれはリーマンショックとかの話です)の発生を未然に防ぐことはできませんでしたが、発生後は迅速かつ大胆な政策対応を行い、世界大恐慌の再来を防ぎました9。インフレ目標を掲げた中央銀行は、金融危機の後でも深刻なデフレに陥ることを回避しました10。』
ってやっと置物っぽいのがあるのですが、お前は何を言っているんだくらいの感想しかないのですけど(ちなみにFEDがロンガーランのゴールということで明示的に「PCE物価指数で2%」ってのを正式に示したのは2012年1月のFOMCなんですけどね)、はあそうですか程度の話でありまして、まあここも読む話はマジでない。
・一番のオモシロ処は本文10ページ以降の所になります(なお本文全量は12ページになります)
ということで実質最終章(最後はまとめなので)ですが、ここはもう小見出しからいきなりウケる。
『5.金融経済教育の促進』
・・・・・・お、おぅ。
でまあ最初の所とかかなりどうでも良いのですが、この章の後半になります11ページの頭からが大変に楽しい。
『金融産業で働くかどうかにかかわらず、誰にも必要なのは金融経済に関するリテラシーです。』
ほほう。
『日本銀行には金融広報中央委員会の事務局が置かれており、副総裁として私はその委員を兼務しています(図表8)。この委員会はかつての貯蓄増強中央委員会、貯蓄広報中央委員会が
2001 年に名称を変えたもので、現在は金融経済情報の提供と金融経済学習の支援を2つの大きな目的として活動しています11。特に人生
100 年時代で資産形成の重要性はますます高まってきます。そうしたリテラシーに関する質問の一例をお示ししましょう(図表9)。』
ということでここで図表9を見ますと(この質問自体は金融広報中央委員会が以前行ったアンケート調査の質問なのでちゃんとしています、為念)、『金融リテラシー問題』というのがありますが、そこの最後の質問を見ますと・・・・・・・・
『Q5.金利が上がったら、通常、債券価格は上がるか、変化しないか、下がるか?
』
さて、ここで7月金融政策決定会合における「主な意見」の中にありました意見を読んでみましょう。
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2018/opi180731.htm/
『量的・質的金融緩和政策を実施していなければ、金融機関の貸出の増加も信用コストの低下もなく、債券や株式の売却益も小さくなった可能性がある。金利を上げても、為替も株価も債券価格も動かず、企業の借入れ意欲も低下せず、ただ運用金利だけが上昇すると期待する声もあるが、経済全体をみればそのようなことはありえない。』(7月金融政策決定会合主な意見から引用)
・・・・・・・えーっとですな、どこのどなたが仰せになっているのか存じませんが、「世の中には金利を上げても債券価格が動かないと期待する声がある」というような妄言なのか幻聴なのか存じませんが、そのようなお洒落なことを仰せになる政策委員様がおいでになるようですので、まずはこの方の金融リテラシーを教育されると宜しいのではないでしょうか。
しかしまあ何ですな、折角なのでこの「金融リテラシー問題」のQ6というのを考えてみましたが、その答えを皆さんで考えてみましょう。
金融リテラシー問題Q6(というのはアタクシが勝手に作っているので実際にはこの質問はありませんので念のため申し添えます):日銀当座預金残高が10%増えると予想物価上昇率はどうなるでしょう?
答えは以下の通りになります。
https://jp.reuters.com/article/tk0626409-iwata-comment-idJPTYE92305N20130304
ビジネス2013年3月4日 / 17:17 /
期待物価上昇率2%で15円円安、4000円株高へ=岩田学習院大教授
『次期日銀副総裁候補の岩田規久男・学習院大教授は4日、都内で講演し、金融緩和で金融機関の手元資金を示す当座預金を増やせば、期待物価上昇率が上昇、円安や株高につながるとの見解を強調した。具体的には、当座預金残高が10%増えると予想物価上昇率が0.44ポイント上昇し、期待物価上昇率が2%ポイント上がれば為替は15円の円安、日経平均株価は4000円上昇するとの見方を示した。』(上記URL先の2013年3月4日ロイターニュース記事より)
ちなみに2013年3月末の日銀当座預金残高はこちら
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jd130329.htm
当座預金残高 581,300
一昨日の日銀当座預金残高はこちら
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jd181024.htm
当座預金残高 3,945,000
つまりこの5年半で2013年3月末から見ますと当座預金残高は6.78倍になっていますので、578%増加しているという計算になりますので、これはもう予想物価上昇率は25.4%ですし、そうなると為替は190円ほど円安になっている筈なのです(日経平均は計算する気が起きない)が、「証拠に基づく政策立案」とか「証拠に基づいて便益と費用を比較衡量」という話は何処に行ったのでしょうかと小一時間問い詰めたい。
講演に戻りますと、さきほど引用した金融リテラシー問題に関する話のまとめとしましてこの章の結論がありまして、
『やはり経済学の基本的な知識は役に立つのですが、こうしたリテラシー問題の正答率を欧米と比較すると、わが国における金融リテラシーにはなお改善の余地があることが分かります(図表
10)。また、最近は消費者詐欺の手口が極めて巧妙になってきています。こうした詐欺被害の要因を分析し、予防策を考えるうえでも経済学の知見は役に立ちます(福原
[2017])12。』
とか実に心温まるまとめになっておりまして、我がポンニチにおかれましては消費者詐欺どころか金融政策詐欺が実施されているような気がするのは気のせいですよね!!!!!!!!
てなわけで全くと言っていいほど生産性の欠如したネタで誠に申し訳ございませんが、そういうようなネタなのでございました。
〇FSRのBOX鑑賞会続き:不動産市場に関して
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr181022a.pdf
BOX1を昨日鑑賞しましたので本日はBOX2なんぞを。レポートの87ページ(上記URLファイルのページでは92ページ目になります)。ネタは毎度の不動産市場。
『BOX2 最近の不動産市場の動向』
『不動産市場については、バブル期(1980年代後半から1990年代初頭)にみられたような全国的な過熱感は窺われないが、首都圏を中心とする都市圏と地方圏との間で需給逼迫感に格差が拡がっている(図表B2-1)。』
ほうほう。
『不動産市場の地域間格差の拡大はグローバルにみられる現象であり、不動産市場が金融システムに影響を与えるチャネルも過去とは変化してきている。』
うむ。
『すなわち、都市圏の不動産物件に需要が集中するなか、これらを対象とする投資ファンドなどへのエクスポージャーを通して、全国各地の経済主体がその居住地にかかわらず、都市圏の不動産市場の需給調整の影響を受けるようになってきている。』
『このため、不動産市場に全国的な過熱感がなくとも、都市圏の不動産市場の動向が金融システム全体に影響を与える可能性も考えられる。』
なるほど、と思ったのですが、ちょうどこの前デンマーク中銀の経済レポートを見ておりましたら、不動産市場に関する説明があって、「コペンハーゲンの価格が大きく上昇しており、それが郊外の物件にも影響を与えている」(なおデンマークの場合はLTVにタガをはめるなどの価格上昇抑制策(潰しに行っている訳ではない)が効いて価格上昇ペースが弱くなってきた、という説明になっていましたわ)
というような説明になっていて、そらまあ国の規模が違えば状況も違う罠と思いながらも、いろいろな波及のケースはあると思うのですが、まあこの部分言いたいことは分かるのですが、それを裏付けるような定量でも定性でも良いんですが、そういうのがあれば良かったのですが、イマイチこの記述部分の説得力が弱いなと思いました。
『国内の不動産市場参加者の間では、東京オリンピック後の国内景気を巡る不透明感などを背景に、不動産価格の高値警戒感が拡まっている(図表B2-2)。』
このネタに関しては定点観測状態で説明が何度も出ているので分かりやすいのですが、まあ実際はこの「高値警戒感」ってここしばらくずっとそうなんですよね。「警戒しながら保っております」って奴で。
『しかし、そうしたなかにあっても、首都圏を中心とする都市圏のオフィス価格の上昇傾向が続いている(図表B2-3)。』
ほうほう。
『大都市圏の不動産価格が地方圏と乖離するかたちで上昇を続けている背景には、@人口動態や経済活動の域間格差という実体要因に加え、A海外投資家の取引増加に伴って、東京と海外主要都市との間で不動産価格の連動性が高まっているという金融要因も影響している(図表B2-4)。』
『リーマンショック以降の国際主要都市におけるオフィス価格の推移をみると、まずニューヨークが上昇し、続いてロンドン、その後、東京やパリといった他の都市も上昇するといったかたちで、主要都市間で多少のラグを伴いつつも連動して上昇してきた様子が窺われる(図表B2-5)。』
図表 B2-5 『国際主要都市のオフィス価格 』 は2010年を100として計算していて、その起点が正しいのかどうなのかがよく分からんところではあるのですが、このグラフを見ると「おお東京も健闘してるじゃん!!」とか変なところで喜んでしまいます(喜んでいいのかどうかは知らんが)。
『海外投資家は、世界的に低金利環境が長期化するなかで、利回り追求のスタンスを強めており、近年は、その一環として、比較的利回りの高い不動産市場への投資を活発化させている。その際、海外投資家は、国際主要都市の商業用不動産を中心に、透明性や流動性の高さ、投資採算を比較考量しながら、投資対象を選別している。』
そうなのか。
『近年、わが国では取引データの整備や不動産関連企業の財務情報の開示が進むもとで、不動産市場の透明度が着実に改善してきている(図表B2-6)。』
この「透明度」って話も当局様大好きな意識高い系の話になるんですが、透明度が高いのが必ずしも社会的に幸福をもたらすのかということについては議論の余地があるのではないか、とか言ってしまうから経済学に無学な人間は困りますなあとか言われてしまうんでしょうけど、何でも市場オークションすれば良いというものではない、と市場の片隅で生息しながら市場の上りを頂いている(つもりになっている)アタクシがいうのは自己矛盾かもしれませんけれども、個別性の高い金融取引とか個別性の高い商業取引ってそういうもんじゃないのと思います。
すいません話が逸れました。
『また、投資採算について、代表的な指標であるイールド・スプレッド(物件利回り−国債金利)をみると、海外主要都市が緩やかな低下傾向にあるのに対し、東京はなお3%前後の水準を安定して維持している(図表B2-7)。こうした投資採算の相対的な高さも、長期安定的なインカム・リターンを望む海外投資家を中心に、東京への運用資金の流入を促しているとみられる。』
3%で安定して高いとか言われましてもとは思いますが、図表B2−7を見ますとまあそうですねと思う。
でもってあとアタクシ的に気持ち悪いのって、このページにある図表がB2−4〜7まで4枚あるんですが、この4枚の時間軸が全部違っていることでして、別に全部揃えれば良いというものではないと思うのですが、こういう風に全部の図表の時間軸(切り取っている期間)が違っていると「説明用に恣意的に切り取っているのではないか??」とか変な邪推をしてしまうので、改善の余地があるのではないかと思いました。何せリフレ一派の恣意的な時間軸切り取りグラフを何度も見せられておりますんで。
『近年は、不動産の長期保有を前提とする国内外の機関投資家層の厚みが徐々に増してきており、こうした市場構造の変化は不動産市場の安定化に寄与するとの見方がある。しかし、一方で、国内と海外の不動産市場の連動性の強まりは、ストレス発生時に市場を不安定化させる可能性がある。内外投資家のリスクアペタイトの急速な低下が都市圏の不動産市況の大幅悪化を招けば、不動産市場へのエクスポージャーを拡大させている金融機関の損失拡大を招き、金融システムに影響が及ぶと考えられる。』
というのが結論で、まあ仰る通りというか、要するに結論はここになるという話ですが、ちょっと気になったのは本文64ページの部分での記述で、
『また、近年、大幅に増加している不動産ファンド向け出資には(図表X-3-16)、海外投資家のプレゼンスが高い首都圏のオフィス、商業施設の占める割合が大きい(図表X-4-7)。海外市場で発生した負のショックが海外投資家の行動を経由して、わが国の不動産市場に影響を及ぼす可能性もある(BOX2)。』(これは本文64ページ)
ってあるのですが、不動産ファンド向け出資ってキャピタル狙いみたいなのもあると思いますが、基本的には私募リートみたいな利回り型の物だと思いますし、この部分って投資信託の市場リスクに関する話をしている部分ですので、なんかこの認識はちとズレていて、寧ろ貸出しの増加部分における不動産関連や不動産業関連のエクスポージャーに関してのリスクとして認識する話ではなかろうか、とそこも少々引っ掛かったというか、投資信託リスクの方で話をするのは強引じゃないの、と思いました。
2018/10/25
お題「調節懇に期待していたのでしょうかねえ・・・・/FSR鑑賞でGaRというお話/日銀レビューから」
おはぎゃあございます。
https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPL3N1X45P5?il=0
2018年10月25日 / 05:32 /
米国株式市場=ダウ急落608ドル安、年初来でマイナス 経済や企業業績への懸念強まる
とゆうかあの大統領があれだけ馬鹿踊りしているのに株価がホイホイ上がるのがアレということで、つーか2年前の今頃はトランプになったら大変なリスクとか言ってたのですからそこから見たら全然問題ない、ということにしておけば良いのではないでしょうか(ヤケクソ)。
〇どんだけ調節懇に期待していたんでしょうか・・・・・・・(−−;
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1X42HY
2018年10月24日 / 15:20 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、長期金利0.130%に低下
『<15:16> 国債先物は続伸、長期金利0.130%に低下
長期国債先物は続伸して引けた。前日の米債高を受けて買いが先行。日銀が23日夕方に開いた「市場調節に関する懇談会」で国債買い入れ手法の見直しについて、具体的な言及がなかったことや、日銀オペが想定通りに通告されたことで買いが優勢になった。後場はオペ結果で需給の引き締まりが意識されたことや日経平均株価が伸び悩んだことで、上値追いの展開になった。
現物債市場は長いゾーンを中心に強含みで推移した。先物同様に日銀オペ絡みの買いが優勢で実需が観測されていた。長期国債先物中心限月12月限の大引けは、前営業日比15銭高の150円44銭。一時150円45銭と中心限月として9月7日以来の高水準を付けた。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比1.5bp低い0.130%と10月2日以来の低水準になった。』(上記URL先より)
つーことで昨日は超長期元気にフラットニングするわ先物はホイホイ上がるわという事になりまして、おまいらどんだけ調節懇に期待していたんだよと小一時間問い詰めたくなるのですが、そらまああれだけ事前に毎日毎日何とかストの方々が盛り上げていたんですからそうなるわなとは思うのですが、それにしてもちょっと何だよその反応という感じではあります。
・・・・・・・なのですが、まあ茲許株式市場がこの状態ですし、債券市場が炭鉱のカナリアになって先行きの景気波乱を想定しだしてフォワードルッキングに債券価格の反発が始まった、ということにしておいて円債はフォワードルッキングに反応していました(キリリッ)ということにしておけば皆さんハッピーという事にしておけばよいのではないでしょうか。
つーかですね、10年0%って縛りがあるんですから、その縛りが外れて別の決定が上から降りて来ない限り、日銀のオペが自分から能動的に金利を上げに行く「ように見える」派手なことはできない訳でして、ただ今の政策を誤魔化し誤魔化し長く続けて問題の先送りを図りたい、という所でしょうから、そういう点では輪番は隙あらば減額したいんでしょうが、こんなに調節懇でなんとかかんとかとか事前に騒がれたら減らすものも減らせなくなるわお前らネタが無いから困ってるのはわかるけどいい加減静かにしろやと小一時間問い詰めたくなるんですけど、まあ輪番予定日の度に今日の減額はとかいうコメント出てくるの何なんでしょうかねえさすがに頭が痛いわ。
まあ本当はこんな感じで金利下がってきたところで減額チャンスではあるのですが、調節懇ネタでこれだけ大騒ぎされてしまうと月中の減額はやりにくいんじゃないですかねえとは思いますが、いずれにせよ今日は関係ないのでどうでも良いですな。
でもって調節懇の資料ですが、
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel181024b.pdf
まあ今までの話から逸脱するような物件は無いですな。
まーこうなってしまうのって輪番の上げ下げに関して日銀が考えていることと市場が考えていることが微妙にずれているのが背景にあって、でもってもっとそもそも論を言うと、今の政策枠組みが一体全体何をどうして2%達成をしようとしているのか、というロジックが崩壊しているから、こうなったらこうしていく、というのが(その場その場では合理的な説明をしますが)全然ロジック通っていなくて(そもそも量なのか金利なのかという話だって「金利だ」ってなっているのにオーバーシュートコミットメントはあるわ80兆円はあるわなのですから・・・・・)、だからこそ一々市場が勝手読みするのですし、もうちょっと言いますとロジックが途中で突然飛躍する(やることは全部やったといったのに追加緩和したり、やらないと言ってたマイナス金利を突如入れたり)のを何度も繰り返しているから、今行っている日銀の説明をそのまま真に受けていたらある日突然話が引っくり返されてエライ目に会うという経験を散々しているので、日銀の説明を説明通りに受け止めないで一々変な裏読みをしないといけない、とかそういうのが積もり積もっているから、たまたま今回の調節懇の事前の謎の思惑盛り上がりみたいなものに表れたという話でもあって、調節云々とか市場との対話云々というのじゃなくて、日銀の政策コミュニケーションそのものの問題がたまたまこういう形になったと思った方が良いのではないでしょうか、などと急にエラソーに言うのでありました。
#まあ米国株式おはぎゃーでその辺はすべて過去の話になりそうですが
〇ほほうと思ったがイマイチよく分からんものの無理矢理ネタにしてみる日銀レビュー
こんな日銀レビューが出ていまして、
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/rev18j07.htm/
銀行勘定の推計値を用いたBIS国際銀行統計の国際比較
全文はこちら
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/data/rev18j07.pdf
HTMLのページの方から。
『要旨』
『BIS国際銀行統計は、国際的に活動する銀行を通じた資金移動や与信動向を把握するため、BISと各国中央銀行が作成する統計である。そのうち、日本銀行がBISへ報告する本邦の計数には、銀行が委託者から信託をうけて資金の管理・運用を行う信託勘定の計数が含まれており、信託勘定の計数が含まれない他の主要国籍銀行の結果と比較する際にはこの点に留意する必要がある。』
なるほど。
『そこで本稿では、信託勘定の計数を含まない本邦の計数を推計した上で、主要国籍銀行との比較を試みた。』
ほほう。
『その結果、邦銀は近年、国際与信を拡大させているものの、他の主要国籍銀行との比較では、国際与信残高の対総資産残高比率はそれほど高くないこと、国際与信に占める米国向け与信の割合が高く、それに伴って通貨別では米ドル建ての割合の高いことが確認できた。』(ここまで要旨部分、本文のサマリー部分にも同じ記載があります)
ほうほうと思ったのだがだから何なのかがよく分からなかったので本文を読んでみたのですが、本文の結論部分を引用しますと・・・・・・・・・
『おわりに 』(これ以降は本文の方の最後の部分になります)
『BIS 国際銀行統計は、国際的に活動する銀行を通じた資金移動や与信動向を把握するための、基礎的な統計である。同統計では、信託勘定の計数の取扱いが国によって異なっており、本邦が銀行勘定と信託勘定を合わせた計数を報告している一方で、他の主要報告国は信託勘定を含めず銀行勘定のみの計数を報告している。このため、本統計を用いた国際比較をする際には、カバーされている取引の範囲の差を踏まえて行う必要がある。そこで本稿では、BIS
国際銀行統計の邦銀の結果を信託銀行の計数とそれ以外に分け、後者を邦銀全体の銀行勘定の推計値として国際比較を行うことを試みた。
』
本文の中の方にありますが、何でそうしているかというと信託勘定取引全体における信託銀行の占める割合が非常に高いのと、信託銀行内での銀行勘定の占める割合が非常に低いので、全体としての信託勘定取引ニアリーイコール信託銀行の勘定ということにして近似できるという話です。
『この推計値を用いて邦銀の国際与信の状況をみると、近年、邦銀は国際与信を拡大させてはいるものの、銀行部門の総資産に対する国際与信残高の比率は、他の主要国籍銀行の銀行ほどは高くない。』
『また、邦銀は国際与信残高の半分程度が米国向けであり、通貨も米ドル建ての割合の高いことが特徴である。』
ほうほうなるほど。
『また、米ドルの調達面に関して、BIS 国際銀行統計を用いて、クロスカレンシー調達額の動向を確認するために、各国銀行部門の米ドル建て対外債権に占める米ドル建て対外債権・債務残高の差の割合を確認した。』
ほう。
『それによると、邦銀の割合は、銀信合算の計数と比べて大幅に低下し、国際的に極端に高いわけではないほか、時系列的にみると、おおむね横ばいで推移している。
』
つまり信託勘定の方が伸びているということですな。
『BIS および各国中央銀行は、国際的な金融危機などの経験も踏まえながら、BIS
国際銀行統計の拡充を進めてきた。特に近年、対外債権の拡大する邦銀については、これまでの銀行部門を通じた国際的な資金移動や与信の動向について、内訳も含めて定量的な評価を可能とする同統計の重要度は増していると考えられる。』
書いているの市場局なんですがこれはプルーデンス方向に使うネタっぽいですの。でこれが日銀レビューになるというのも何なんでしょとは思うのだが・・・・・・・・
『日本銀行としては、引き続き、報告者負担等にも配慮しつつ、BIS と協働して統計の必要な整備・拡充に努めるとともに、日本分集計結果の利便性や有用性の向上に取り組んでいく所存である。』
「報告者負担等にも配慮しつつ、BIS と協働して統計の必要な整備・拡充に努める」という辺りに何か嫌な予感はしますがスルーしておきましょう。
〇FSRですがまずはBOXを鑑賞してみるの巻
ということなので概要ではなく本文の方になります。FSRの内容自体に関しては概要の方を見れば何となくは把握できるのですが、「今回力入れましたよ〜」ってアピっているのは本文の最後にあるBOXのところか、「今回新たにこのようなものをやりました」みたいな記述の部分でありまして、今回ですと最初の所に「こうした問題意識のもと、今回のレポートでは、次の3点に力点を置いた。」ってある3つなのですが、そのうちの最初の物が巻末のBOX1に反映されているのですな。
(全文)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr181022a.pdf
ということで(一応仕込んでみたので)とりあえずBOX1というのを鑑賞しようではありませんか。
レポート本文では84ページ以降になります(ファイルだと89ページ目)。
『BOX1 GDP at Riskによる金融脆弱性の定量的評価』
新しい分析キタコレということで。
『GDP at Risk(GaR)は、現在の金融脆弱性が先行きの実体経済にどの程度の変動リスクをもたらすかについて、定量的に評価するための分析手法である48。』
ほほう。
『具体的には、「金融ギャップを所与とした時の、将来のGDP成長率に関する条件付確率分布」を計測することにより、「先行きX年間の実質GDP成長率は、Y%の確率で、Z%以下に低下する可能性がある」というかたちで、景気変動のテールリスクを示すことができる(図表B1-1)。』
『いわば、GaR は「VaR のGDP 成長率版」である。』
ほっほー。
『金融脆弱性が実体経済に及ぼす影響について、GDP成長率の変動リスクという分かり易い尺度で示すことが可能であるため、GaRは、金融システムの有益なモニタリング・ツールとして、最近、国際機関(IMF)や海外中央銀行でも相次いで導入されている49。』
そーなんですね、ということで説明。
『先行きのGDP成長率の確率分布を計測するためには、分位点回帰という統計的手法を用いる。通常の最小二乗法に基づく回帰分析では、説明変数が被説明変数の「平均値」に与える影響を推定するのに対し、分位点回帰では、説明変数が被説明変数の50%点(メディアン)や5%点といった特定の分位点ごとに及ぼす影響を推定する。』
ここまでくると頭の弱いアタクシには苦しいので誰か教えてジェネラル。
『この分析手法を用いることにより、金融脆弱性の高まりが、通常では(GDP成長率のメディアン近傍では)景気にさほど大きな影響を及ぼさない一方、発生確率は小さいが(例えば、GDP成長率の下位5%点では)厳しい景気後退をもたらすことがある、といった評価が可能となる。』
やろうとしていることの意味は分かった。
『実際、先行き3年間の需給ギャップの変化幅(潜在成長率対比でみた先行き3年間のGDP成長率の近似値)と金融ギャップの関係を散布図にしてみると(図表B1-2)、需給ギャップの変化幅のメディアン近傍では、金融ギャップと明確な関係はみられないが、下位5%点では、金融ギャップのプラス幅拡大が需給ギャップに対し有意に負の影響を及ぼしている。通常の最小二乗法による回帰分析では、金融ギャップが拡大しても先行きの景気には影響を与えないとの評価になろうが、分位点回帰を用いれば、金融ギャップが先行きの景気に及ぼすテールリスクを定量的に評価することができるようになる。』
金融ギャップは普段は悪さをしないけど、成長が悪化してきた時に悪さをする、という「リスクが急に顕在化する」って第二の柱点検みたいな話ですね。
『ここでは、金融脆弱性が景気変動リスクに及ぼす影響を具体的にみるために、先行き3年間の需給ギャップの変化幅を、@足もとの景気のモメンタムを表す需給ギャップの変化幅のみに回帰した場合と、Aこれに金融脆弱性指標(日本の金融ギャップと米国の金融環境指数)も追加して回帰した場合を比較する50。』
ほう。
『それぞれの分位点回帰から得られた確率分布をみると(図表B1-3)、直近時点(2018年4〜6月)では、足もとの需給ギャップのみで予測した場合、先行きも需給ギャップがプラス方向に拡大する――先行き3年間も景気改善が持続する――確率が最も高くなっていることが確認できる。』
ほほう。
『これに対し、金融脆弱性指標も追加した場合、需給ギャップがプラス方向で拡大する可能性が最も高いという結果に変化はないが、その確率は低下する一方で、需給ギャップが大きく下振れるリスクが高まる結果となる51。』
キタコレ。
『実体経済指標に金融脆弱性指標も追加して景気変動リスクを計測すると、下方へのテールリスクが高まる傾向は、過去の金融ギャップのプラス局面(平成バブル期、および大いなる安定期)でも、同様に観察される(図表B1-3)。』
これは面白い。
『金融循環の拡張局面が続くと、景気の下方リスクが次第に高まっていくという傾向は、日本のみならず、多くの先進国・新興国において概ね共通して観察されるものである52。』
直線一気理論ではカバーできませんなあ。
『このように、GaRは、金融不均衡の蓄積に伴うテールリスクを、比較的簡単な手法で定量化する有用なツールであるが、幾つか留意すべき点もある。』
そらそうよ。
『第1は、金融脆弱性の高まりが景気の大きな下振れにつながるメカニズムを構造型で描写している訳ではない――すなわち、過去の関係を誘導型で描写している――という点である。』
確かにこれ過去そうだったという話で、因果関係を示しているものではないですもんね。なお因果関係と相関関係をごっちゃにすると「マネタリーベースを幾ら拡大するとインフレが幾ら上昇するので2%達成」という直線一気理論が導かれます。
『金融活動の過熱感の強まりに伴って、景気の下方リスクが高まるメカニズムに関しては、緩和的な資金調達環境下で拡大したバランスシートの調整圧力の影響が大きいと推察されるが、GaRはそうしたメカニズムを明示的にモデル化している訳ではない。このため、金融安定リスクの評価に際しては、GaRによる評価に加え、金融機関も含む各経済主体の行動を描写した構造モデルを分析したり、考査・モニタリングで得られた情報を活用して、総合的に判断していくことが望ましい。』
なるほど。
『第2は、利用可能な時系列データの制約である。ここでは、GaRを1983年以降のデータを用いて計測しているが、サンプル期間内におけるテール・イベントは、バブルの崩壊とリーマンショックに限られる。テール・イベントのサンプル数が少ないのは定義上やむを得ないことであるが、先行きのGDP成長率の確率分布を解釈するにあたっては、分位点回帰の分析結果の頑健性や安定性という観点から、幅をもってみる必要がある。』
ということで、本当は図表を見ながらこのネタを料理すると非常に面白いのでしょうが、今日は文章だけを駆け足で読んでしまったのでただの読書になってしまって誠に申し訳ないのですが、せっかくなのでこれ後日日銀レビュー形式で出してくれませんかねえ、と思います(もちろんこのままでも良いのかもしれませんが)。
2018/10/24
お題「FSRの冒頭部分から少々(FSRシリーズイントロということで)あとは世間話」
まあそう来るわな。
https://jp.reuters.com/article/italy-budget-eu-idJPKCN1MX2I2
2018年10月24日 / 01:59
欧州委、イタリア予算案を拒否 3週間以内の再提出求める
『[ストラスブール/ローマ 23日 ロイター] - 欧州連合(EU)の欧州委員会は23日、EU規則を「前例のない」形で破るものとして、イタリアの2019年度予算案を拒否した。同国が3週間以内に新たな案を示さなければ、処分も辞さない考えだ。』(上記URL先より)
こちらもまあそうだわな。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-23/PH1QRF6KLVRB01
トルコ大統領:カショギ氏の殺人、サウジで入念に計画された作戦
Onur Ant
2018年10月23日 19:43 JST
『エルドアン大統領は首都アンカラの議会で与党、公正発展党(AKP)の議員らに対し、「殺人が偶発的ではなく、計画された作戦の結果であったことを示す強力な証拠を手にしている」と語った。
「これは政治的殺人であり、この犯罪に他の協力者がいるならば、彼らも捜査の対象となるべきだ」と論じた。』(上記URL先より、以下同様)
と言いつつも、
『大統領はサウジのサルマン国王の関与は指摘せず、国王の誠実性についていかなる疑いも抱いていないと述べた。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子にも言及しなかった。』
というのが何ともアレですが。
〇調節懇のニュースは特にございませんでしたので一旦パス
まあ何ですな、債券市場の流動性がどうのこうのという問題に関して言えば、オペを大幅に減額してもプラマイ0.20%程度(なおアタクシは25寸止めまでは容認とみていますが20から25のうちのどこかまででは必ず止めに掛かる)で止めるという縛りがあり、そもそも論として物価方面からの2%物価目標達成の望みが市場の中の人たちに皆無オブ皆無という大変残念な状況にある中、「経済物価情勢を反映した金利上昇」というのはそう簡単に発生せず、日銀に対抗して0.2%を抜きに行くような売り仕掛けとかやる必要もなし、という状況になっておりますので、オペ減らしたから金利が上がってボラが出るというのも限定的な話ですし、本質的な話ではないという感じではあります。
ただまあ地味ではあるのですが、月末のオペ予定表の中でもし「入札の翌日に当該年限の輪番オペが行われない」ということになりますとこれはこれでアタクシはべき論として非常に良い傾向にあると思うのです。
元々は量の確保のために実施した訳ですが、当然ながら翌営業日に日銀が買入となりますと、入札時点で翌日の輪番にぶっこむことを前提にした応札というのが出てくる訳でして、そうなれば当然ながらその分だけ応札が強くなって、長期国債入札の価格形成に悪影響、って入札が強くなるから好影響とも言えますが、いずれにせよ日銀の買入によって国債入札の価格形成に変な影響を与える訳ですわな。
でもってそれが感極まったのってのは昔の(マイナス金利導入前の方が酷かった)短国市場でして、短国の場合は翌日の買入額がそこそこ大きいですし、短国なだけにそもそも他市場の影響で値動きをするってのはベーシススワップ絡み以外では動かないからポジションキープするリスクが長期債より小さいし、しかも短国市場は一定量の投資家が恒常的にニーズがある、となると、そらもう入札強くして短国買入で更に強い水準に持っていくというパワープレイが(ポジション力さえあれば)可能で、そんな時代に短国買入のレートが素っ頓狂な水準まで駆け上がる(もちろん駆け上がるためには海外の需要が強いような時に入れるものが持っていかれている、という前提もあるけど)ような事態があったりして大変だった訳ですな。
・・・・・・とかなんとかそういう思いでを考えますと、入札の翌日に輪番を行わないというのは、輪番オペのありかたとしての正常化路線、ということになる訳でして、これはこれでやっていること自体は地味なのですが、非常に大きな意義のあることで、少なくとも「翌日の輪番にぶつけるからヘーキヘーキ」という入札姿勢はやや抑制的になるかもしれませんね。
でもってかもしれません、というのは結局のところそれをやっても今の市場状況ではまあ翌日の相場が動かないだけなので結果同じじゃんとかいうことに当初なって、だったら今までと同じでいざとなったらこの辺りは輪番に放り込んでバランスとればいいや位の動きは続くんでしょうけれども、そうやって安心した所に入札翌日の朝のニューヨークでズドンとかいうのがやって来てナンジャソラーと悲痛な声がくるまでが債券市場の芸風となりますので、まあお楽しみにという感じですな。
まあ入札から輪番までの日程に時間を空けるというのは「入札における価格形成ファクターに輪番がいっちょ噛みしてこなくなる」ということなので、方向性としては正しいし、出口に出れるかどうかわからないけど、将来の買入縮小を考えた場合、ここらで「輪番に依拠した入札」というのを振り落としていかないと、とは思います。
正直他のよく言われるネタは知らん。それから債券先物のCTDが日銀にがっつり残高あるという状態がこれから続くのの流動性どうするんだという話はどうするんでしょうかね。
〇ということでFSRから少々(例によって例のごとくの事情があるので本日は簡単に)
(全文)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr181022a.pdf
(概要)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr181022b.pdf
ということで分析などが行われているのですが、このレポートで使っているフォントがMSデフォルトのテキストに落とし込むと文字化けする(日本語環境のMSデフォルトで使うの文字コードは普通はANSIだと思う)のですな。でもってこれ一旦MSワードに落とし込むと表示はちゃんとなっているように見えますが、テキストにコピペすると同じ結果になって、しかも「日」だの「金」だの「行」だの(他にもあるよ)という金融システムレポート的にどう見ても頻出する漢字が外字扱いになってしまいますので、これを全部手で補正しないといかんのですよ。
#手で補正しないで?のままにして皆さんの心眼を試すという趣味はない
よってFSRネタをやろうとしますと、下準備でテキストに落として文字化け手修正をするという作業がありまして、大量の文章をネタにしようとした場合、前日からの仕込みが必要になりますので、前日から仕込む暇と体力と意思がない場合、当日根性出すか今日のように世間話を中心にするか、というお話になりますので、オモシロフォントを使うの勘弁していただけませんかねえとか思ったりするのですが(ちなみにアタクシのMSワード10にここのテキスト落としてみたら「游明朝」というフォントであるとのお告げを賜ったんですがががががが。
という事でちょっとシェフさぼっておりまして仕込みがないので今日は今回のテーマに関連する部分から。
・「認識の共有化」をいちばんして欲しい方への共有は進んでいるのでしょうか????????
『金融システムレポートの目的』ってところから。
『日本銀行は、金融システムの安定性を評価するとともに、安定確保に向けた課題について関係者とのコミュニケーションを深めることを目的として、金融システムレポートを年
2 回公表している。このレポートでは、金融循環や金融機関のストレス耐性について定期的に評価するとともに、金融システムの潜在的な脆弱性についてマクロプルーデンスの視点から分析を行う。』
さいですな。
『マクロプルーデンスとは、金融システム全体の安定を確保するため、実体経済と金融資本市場、金融機関行動などの相互連関に留意しながら、金融システム全体のリスクを分析・評価し、それに基づいて制度設計・政策対応を図るという考え方である。』
そうですなあ、機能してるのかどうか知らんけど。
『本レポートの分析結果は、日本銀行の金融システムの安定確保のための施策立案や、考査・モニタリング等を通じた金融機関への指導・助言に活用している。また、国際的な規制・監督に関する議論にも役立てている。さらに、金融政策運営面でも、マクロ的な金融システムの安定性評価を、中長期的な視点も含めた経済・物価動向のリスク評価を行ううえで重要な要素の?つとしている。』
ということなのですが、「安定確保に向けた課題について関係者とのコミュニケーションを深めることを目的として」という意味で言いますと、ちょうどマイナス金利ぶっこんでから後に出てきたFSRの辺りから、「今の政策を長期化していった場合に金融システムに対してどのようなダメージがあるのか」という話を詳しくするようになって、「おーやるじゃん!」とか思って居った訳ですよ。
でもって今回に関しても、例えば1年前とか半年前の前回のとかと内容を比較する(基本この時は全文を比較するのですが、毎回同じ書き方をしている訳ではなくて、点検内容を毎回充実させてきているので、展望レポートのように毎回のを前回との違いで比較、というような単純比較はできないんで結構めんどいですけど)と、「前はオブラートに包んで説明していたので読む人が読むと分かるようになっていた」というような問題点指摘のうちのいくつかが、今回のレポートでは読めば一目瞭然という書き方に「進化」するというようなものが幾つかありまして(幾つか、の内容は追々参ります)、その結果として「パッと見ても色々な問題点が分かるようになっている」という物件に仕上がっています。
まあマイナス金利後に割と意欲的なのが出てきてから徐々にトーンアップしているという感じ(そらまあ低金利政策の弊害が累積するんだから当たり前ですが)になっておりまして、これはこれで結構なお話ではあるのですが、じゃあそれが政策に反映されてるのかよというと、昨日も一言だけ書きましたが、「リスクに見合っていない貸出金利」というのを問題視するんだったら、それが共有されていれば当然ながら「CP・社債買入」と「貸出支援関係のオペ」が当初の「過度なリスクプレミアムの圧縮」から変質して、「過剰な信用リスクテイクの発生」を促す役割を果たしていることが共有されるはずなんですよね。
然るに、この前も特に貸出支援関連の延長に関して大して突っ込んだ議論もなくどスルーで継続が決まっておりましたようにしか議事要旨では読めなかったですし、せっかく金融機構局金融システム調査課が渾身の分析を行っても、政策に反映される結果としては何も使われないんだったら渾身の分析やってないのと同じという悲しいことになってしまう訳でして、昔見た某競輪漫画で「結果の出ない努力は遊んでいるのと同じ」という言葉を読んでしまいましたが以下自主規制。
・今回の問題意識は「残された時間が短い」ですな
『2018 年 10 月号の特徴と問題意識』
『低金利環境が長期化する中で、金融脆弱性を的確に評価することが一層重要となっている。』
そらそうよ。
『銀行貸出を中心とする積極的な金融仲介活動は、実体経済の改善に寄与しているが、金融仲介過程で過度なリスクテイク行く動が広まると、先行きの実体経済に大きな調整圧力をもたらし得る。また、実体経済が大きく落ち込んだ場合(テールリスクが実現した時に)、金融機関が十分なストレス耐性を有していないと、金融仲介機能を維持することが困難になるため、実体経済を相乗的に悪化させる可能性がある。』
さいですな。
『こうした問題意識のもと、今回のレポートでは、次の3点に力点を置いた。第一に、マクロプルーデンスの視点から、実体経済悪化に関するテールリスクの定量的評価を行っている。具体的には、「GDP
at Risk」という最新の分析手法を用いて、金融脆弱性が実体経済に及ぼし得るリスクの「見える化」を進めた。』
これは割とおもろかったです。銀行ってストック商売だから、過去のストックが新しいストックに入れ替わるまでの期間があって、超越理不尽低金利のストックが効果を出してきて金融脆弱性が高まるまでの時間ってラグがあるのよね。だから先のシミュレーションをすると当然あばばばばーなものが出る、ということで、その分析結果は直観的にメイクセンスするものでした。
『第二に、最近の金融機関のリスクテイク行動やリスク管理の実態を踏まえて、リスクプロファイル(リスク量、金融機関間のばらつき)の計測の精緻化を行っている。特に、@信用リスク面では、金融機関が近年積極化させているミドルリスク企業向け貸出や海外貸出の実態について、A市場リスク面では、益出しの増加と株式投信等へのエクスポージャー拡大に伴う影響について、焦点を当てている。』
前回のFSRでもさらっと触れていた話をより明快に説明しています。
『第三に、金融機関による近年のリスクテイク行動の影響を金融マクロ計量モデルに織り込み、テールリスクに対する金融機関のストレス耐性に関して、より精緻な分析を行っている。財務が健全な企業に比べると、ミドルリスク企業のデフォルト率が実体経済の悪化によって非線形的に上昇することを考慮し、信用コストを計測した。
』
これも前回FSRを発展させた感じですな。
・・・・・・・・ということで、さっきも申し上げましたが、分析は非常によくなっているのですが、肝心の政策の方がとにかく地蔵にも程があって、すくなくとも金利云々ちゃうやろというCP社債貸出支援関連に関しての行動が何も見えないし議論の形跡も議事要旨に存在しないという状態で良い分析を見せられてもうーんこのとしか申し上げようがないのが悲しい(もちろん今の状況だとスタッフから進言してもリフレ3馬鹿が聞く耳も理解する知能も存在しないからどうしようもないというのは分かるんだけど何とかならんもんかね)。
2018/10/23
お題「日銀待ちでまた現物が超低調/麿が沈黙を破って登場の巻/FSRネタはイントロだけで勘弁」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181022-00000130-jij-pol
新卒一括採用、官民で見直し=70歳就労へ法整備指示―未来投資会議
10/22(月) 21:14配信
70まで働かないと飯が食えない社会ですね、わかります。
〇日銀待ち姿勢まさに極まるの巻ですなあ
昨日の債券市場ちゃん。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1X22FD
2018年10月22日 / 15:18 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小反落、指標10年352回債は取引不成立
キタコレな訳ですが、
『 <15:11> 国債先物は小反落、指標10年352回債は取引不成立
長期国債先物は小反落で引けた。朝方に強含む場面があったが、下落していた日経平均株価がプラス圏に浮上すると、戻り売りに押された。現物市場は閑散。日銀の国債買い入れ見直しの思惑が浮上する中、日銀が23日に開催する「市場調節に関する懇談会」を控えて、見送りムードが広がった。午前の取引では、2年、5年、10年、20年、30年、40年の主要な新発債の取引が成立しなかった。午後の取引でも超長期ゾーンがわずかに動意付いた程度で、投資家の動きは鈍かった。長期国債先物中心限月12月限の大引けは、前営業日比3銭安の150円19銭。指標10年352回債は取引が成立しなかった。』(上記URL先より)
とまあそういう訳で、昨日の債券市場ちゃんでは前場各カレント銘柄全部出合いなしで、先物の売買高も(前場の引けにかけてちょっと増えたのだが)5500枚くらいで、最近前場の方が売買高多いからこれは日中売買高1万枚割れかと乾いた絶望と共にワクワクしながら待機していたら結局11000枚には乗って取引終了の巻。現物は上記の通りで前場は全部のカレント出合いなしで後場やっと20年と40年が出合っただけの始末でもう草も生えない。
昨日は株式市場のほうでは下で始まったと思ったら上海株がオープニングからグイグイと上がって日本の前場引け後に3%上げかよとか思ってたら最後4%上げとかやっていて、毎度おなじみの「政策期待」とやらでひょっとしてそれはいつものやるやる詐欺ではないかという気もしますがまあそんなことはお構いなくホイホイと上がるもんだからジャパンの株式市場もホイホイ上昇とか(主体性が無いような気がしますがそれはそれとして)威勢よく下がったり上がったりしているのですが、そんなものは一切知らんがな(まあ米債もややナマコ相場になっているのですけど)というこの動きの無さ。
でもう上のロイターさんの記事にありますように今日の調節懇が無駄に注目されていますし、もうベンダーコメントとか見てると毎日毎日のように調節懇では何が想定されるだの、このようになったら早速買う/売るべきだだの、お前らそれしかいう事は無いんかいというくらいに何とかストの皆さん(皆さんというより特定の方々に偏っている気もしますが・・・・・)のコメントが動きのなくなってもしかして誰もいないんじゃないかという限界集落に放流されるの巻となっておりますわな。
まあアレです。実際問題としては物価がそう簡単に持続的に2%とはならん、というのが明確な中、政策の持続性を高めようと思ったらマイナス金利の撤回と国債買入の縮減を行っていかないと話にも何にもならなくて、そんなことくらいはさすがに日銀も先刻ご承知の話だと思うのですが、問題は政策委員会にどこぞの誰かが送り込んだ馬鹿がいることで発足当初大威張りして開始したマネタリーベース直線一気でインフレ期待が上がるという机上の空論というには机上の空論に失礼な置物理論を採用していることに関する反省の弁がない(その置物理論を正当化するために残しているのが「マネタリーベース拡大のオーバーシュート型コミットメント」ですな)ので、「やっていることは金利政策なのに理屈上は量の意味を重視した枠組みがそのまま残っている」という点で、最近ストック効果がどうしたとかスタッフペーパーを出しながら一生懸命煙幕は張っているものの、「80兆円」文言と「オーバーシュート型コミットメント」を残した状態だと国債買入の縮減が出来なくて、結局増やさないと行けなくなっているのがまずは問題。
それから、総括的検証をやった結果として「より長い期間の金利を下げることによって起こる生産や企業活動などの刺激効果と、年金基金などの運用利回りの低下によって発生する受益者の利益低下や企業年金などにおける負担増加のデメリットを比較衡量したら、金利を下げ過ぎるとメリットよりもデメリットの方が大きい」という結果になっているのにも関わらず、そこから後に入ってきたということで残存15年の金利を0.2%にしろとか面白提案しだす提案芸人が出てくるように、3馬鹿が金利上がるとぶーぶー言い出す(まあ「量より金利」に転向して金利も上がるとぶーぶー言うのも理屈としては分かるが、それを封じ込めるために総括的検証をしているんですけどねえ)んだろうなあというのもわかりますので、いろいろと日銀が「調節を工夫してどうにかする」というのも難しいですし、どのどうにかする範囲に関しても少なくとも外から見たら曖昧にしか見えないので、そうなると日銀の出方を常に見る、ということになってしまいますわな。
本当は「金利がここまで上がったら止めに掛かる」「そうじゃなければ基本は毎月減らしていく」とかビシッと決めてある程度機械的に淡々と減額をやってくれれば良いのですが、それもできない上に、先般のように月の半ばでいきなり球が飛んできたりすると、そら様子見地蔵になってしまうわけで、せめて「金利が上がった時の指値/臨時オペ」以外は月初にやったら動かしません、という風にしないといかんし、オペの上げ下げで市場にボラを出そう(と思っているのかどうかは知らんけど)とするのだけは止めた方が良いと思います。まあ今日何が出るかですが、MPMのディレクティブの範囲内でやることって高が知れているので、変に期待しない方が良いと思います。むしろ31日の方が注目なんじゃないの(MPMじゃない方な^^)。
〇麿沈黙を破って登場ですな
キタコレ!!!
https://jp.reuters.com/article/japan-ex-boj-shirakawa-idJPKCN1MW13K
2018年10月22日 / 18:06 /
日本経済が直面している問題の答えは金融政策にはない=白川前日銀総裁
『[東京 22日 ロイター] - 白川方明前日銀総裁(青山学院大学特別招聘教授)は22日、都内で講演し、日本経済が直面している問題の答えは金融政策にはないと述べた。白川氏は、日本経済の根本原因は、急速な高齢化や少子化に経済・社会が適合し切れていないことだと指摘。財政や日本経済の持続可能性に取り組むことが重要だと強調した。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、先般麿が沈黙を破って著書を出しまして、まあアタクシも当然のごとく書店で購入した訳ですが、これがまた分厚いので書店から自宅までえっちらおっちらもって帰るのがしんどいという位ですので、通勤電車の中でここを先途と読むという訳にもならず(寧ろ武器使用になり兼ねん)、寝転がって読んだりしていますが、まだ根を詰めて読んでない(適当に開いたページの前後を適当に読む形式で読み散らしている)のでまあ皆さんの感想でも聞きながら読みます。
#それよりもどう見ても資源の無駄遣いで論ずるに値しない置物本が出てくるみたいなので、皆様どうせ読みたくないでしょうからアタクシが鉄砲玉となって財布から2千何百円だか忘れましたが投下して人生の無駄時間を過ごして書評した方がネタになるでしょ(^^)
それはさておきまして更に麿。
『白川氏は、2013年1月に出した政府・日銀の共同声明について「日銀として譲ることのできない基本原理を政府との合意文書に明記、全て書き込んだ。(物価安定目標の)2%は、経済の改革が進むことが前提としている」と説明した。』
政府の責任の話はどう見てもスルーされていますなあ。しかも未だに「これから改革の成果を」ってお前らの改革のタイムラグは桃栗三年柿八年かと小一時間問い詰めたい。
『金融政策の出口議論については「金融政策の出口と言うのは適切ではない。金融政策それ自体というよりは、財政の持続可能性であり、日本経済の持続可能性。日本全体として持続可能性にしっかりと取り組むことが最大の出口戦略。金融政策の出口と言うと問題が矮小化する」と述べた。』
なるほど。
『現行の金融政策についての評価については「第3者として語る資格はない」とした。そのうえで、これまでに日銀が行った非伝統的な金融緩和政策は金融システム安定を守るという効果があった一方で、「問題がこれによって解決すると思ったとすれば最大のコスト」と指摘した。』
>問題がこれによって解決すると思ったとすれば最大のコスト
置物リフレ理論でインフレ期待が上がって2%インフレ達成できれば諸問題も同時に解決していくので目出度しめでたし、という理論を引っ提げて投入された置物先生はすっかり逃げ切っていますな。
なお、最近の著書の方でも今の政策について「第三者として語る資格は無いしそういう意図はこの書にはない」的な記述があったと思うのですが、確かに直接言及はしていませんが、どこからどう見てもディスってるだろうというのはまあそうなるわな、という感じではありますが、アタクシも全然読み切れていないのでまあそのうち機会があってネタがなかったらという所で。
〇FSRキタコレ(と言ってもまだ全巻きっちり読み込めている訳ではないので今日はメモだけ)
ご紹介ページと要旨
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr181022.htm/
概要(プレゼンテーション方式になっている奴です)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr181022b.pdf
全文(説明付きの詳細版)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr181022a.pdf
でまあ本来こっちのネタが本日のメインイベントだった筈なのですが、例によって例のごとく月曜日なので脳みその働きが悪く(ただの言い訳でいつも脳みその働きが悪い債券市場お達者クラブ会員ですが何か)きちんと読み込めていないので詳しいネタは明日以降で勘弁。
基本的にはたぶん真面目に「全文」の方を読んでいった方がお勧めで、概要は読んでも良いのですが(というか説明するなら概要のプレゼンテーションがベースになるんでしょうから)こちらだと記述部分でうーんこの部分どうなんだ、というのを読むときに該当する箇所の全文の方を読まないとイマイチよく分からん、というのがあったりしますので、最初から全文読んでそのあと「その中でどの辺をクローズアップしてるのかね」と思って概要を読んだ方が順番的に読みやすいです。
あと、全文の最後にBOXってのがありまして、これが今回の話題的な物件なのでそこも見るのがよろしいかと存じます。
などと言っているのに最初のHTMLの要旨を今日は引用してお茶を濁しておきます。
以下、上記URL先のうちHTMLページの方から引用します。
『2018年10月号の特徴と問題意識』に関しては、
『低金利環境が長期化する中で、金融脆弱性を的確に評価することが一層重要となっている。銀行貸出を中心とする積極的な金融仲介活動は、実体経済の改善に寄与しているが、金融仲介過程で過度なリスクテイク行動が広まると、先行きの実体経済に大きな調整圧力をもたらし得る。また、実体経済が大きく落ち込んだ場合(テールリスクが実現した時に)、金融機関が十分なストレス耐性を有していないと、金融仲介機能を維持することが困難になるため、実体経済を相乗的に悪化させる可能性がある。』
『こうした問題意識のもと、今回のレポートでは、次の3点に力点を置いた。第一に、マクロプルーデンスの視点から、実体経済悪化に関するテールリスクの定量的評価を行っている。具体的には、「GDP
at Risk」という最新の分析手法を用いて、金融脆弱性が実体経済に及ぼし得るリスクの「見える化」を進めた。第二に、最近の金融機関のリスクテイク行動やリスク管理の実態を踏まえて、リスクプロファイル(リスク量、金融機関間のばらつき)の計測の精緻化を行っている。特に、(1)信用リスク面では、金融機関が近年積極化させているミドルリスク企業向け貸出や海外貸出の実態について、(2)市場リスク面では、益出しの増加と株式投信等へのエクスポージャー拡大に伴う影響について、焦点を当てている。第三に、金融機関による近年のリスクテイク行動の影響を金融マクロ計量モデルに織り込み、テールリスクに対する金融機関のストレス耐性に関して、より精緻な分析を行っている。財務が健全な企業に比べると、ミドルリスク企業のデフォルト率が実体経済の悪化によって非線形的に上昇することを考慮し、信用コストを計測した。』
ということで、「GDP at Risk」とは不勉強にして存じませんでしたが、そんなマクプルシミュレーションがあるんですねと思いましたです。あと、市場リスクの所なんですが「(2)市場リスク面では、益出しの増加と株式投信等へのエクスポージャー拡大に伴う影響について、焦点を当てている。」とあるのですが、要旨や本文の記述をざっとみた感じだと、この辺のリスクに関しては投信の中身とかに関してまで突っ込んだレベルで見て分析しているのかどうかがイマイチ分からん(株式投信と言っても単純なインデックスがあるかと思えば配当取りのベータヘッジ型みたいなのもあるのでリスクエクスポージャーは一様ではない)な、とかまあそんなのを思いました。
でもって『要旨』
『金融仲介活動の動向』
『日本銀行の金融緩和を背景に、国内の金融仲介活動は銀行貸出を中心に引き続き積極的な状況にあり、景気の緩やかな拡大を支えている。国内貸出市場では、貸出金利が長期・短期ともに既往ボトム圏で推移し、残高は前年比2%程度のペースで増加している。特に、地域金融機関間の貸出競争が激化するなかで、中小企業向けの設備関連貸出が幅広い業種で増加している。CP・社債市場でも、発行レートがきわめて低い水準で推移するもとで、大企業による運転資金調達やリファイナンスのほか、M&A関連の資金調達の増加基調が続いている。』
『この間、金融機関の海外向け投融資は、世界経済の着実な成長を背景に増勢を維持しており、生保などの機関投資家も海外エクスポージャーを拡大させている。』
ほうほう。
『金融循環と潜在的な脆弱性』
『企業や家計の資金調達環境はきわめて緩和した状態にあるが、金融循環の面で、1980年代後半のバブル期にみられたような過熱感は窺われない。景気改善と低金利という良好なマクロ経済環境が長期化するなか、金融機関の貸出態度は積極化した状態が続いている。与信量の対GDP比をみると、ミドルリスク企業向けや不動産業向けの貸出増加を反映し上昇しており、トレンドからの乖離幅も時系列的にみて高めの水準にあるなど、金融循環の拡張局面が続いている。』
>トレンドからの乖離幅も時系列的にみて高めの水準にある
それは過熱というのではないでしょうか?????
『こうした金融面の動きは、足もとまでの景気拡大を支えており、先行きについても、短期的には実体経済の下振れリスクを抑制している。一方、やや長い目でみて、わが国経済の成長力が高まらない場合には、むしろバランスシート調整圧力として働くことで、経済に負のショックが発生した際の下押し圧力を強める方向に作用する可能性がある。金融機関や借入主体が過度に楽観的な見通しを前提に行動するようになると、マクロ経済環境が反転した際に予期せぬ損失を招くことになるためである。』
まあこの辺はまた概要本文見てから。
『国際金融環境に関しては、グローバルな債務残高の増加や利回り追求の動きが長期にわたり続いてきた。本邦金融機関による海外貸出は、全体として質の高いポートフォリオが維持されているが、最近では、海外金融機関との競争激化や外貨調達コストの高止まりを背景として、相対的にリスクのやや高い企業に与信を増やす動きがみられている。有価証券投資においても、やや長い目で見て高めの海外エクスポージャーを維持している。このため、米国の利上げや国際的な通商問題、新興国等の地政学的な不確実性の高まりが、新興国からの資本流出やリスク性資産の幅広いリプライシングを通じて、本邦金融市場や、金融機関に及ぼし得る影響については、引き続き注視する必要がある。』
と思うなら(特に後半の部分ね)マイナス金利政策止めろよ。
『金融システムの安定性』
『金融機関は、リーマンショックのようなテールイベントの発生に対して、資本と流動性の両面で相応の耐性を備えており、全体として、わが国の金融システムは安定性を維持していると判断される。もっとも、人口・企業数の継続的な減少や低金利環境の長期化に伴って、金融機関の基礎的収益力の低下が続いている。こうしたもとで、自己資本の増加ペースが、リスクアセットの拡大ペースに必ずしも見合わなくなっており、地域金融機関では、自己資本比率が緩やかな低下傾向にある。ストレス発生時でも、規制水準を上回る自己資本を確保できる点にこれまでと変化はないが、金融機関は、自己資本比率が大きく下振れしたり、当期純利益の赤字が継続する場合には、リスクテイク姿勢を慎重化させる傾向があることから、金融面から実体経済への下押し圧力が強まり易くなっている点には留意が必要である。金融機関の損失吸収力には相応のばらつきがあり、これとの対比でミドルリスク企業向けや不動産業向けの貸出、有価証券投資などで積極的にリスクテイクを行っている金融機関では、信用コストや有価証券関連の損失に伴う自己資本の下振れが大きくなる可能性がある。』
この辺は本文の方を見ながら話をしないと。ここではさらっと流しているだけです。
『マクロプルーデンスの視点からみた金融機関の課題』
『将来にわたって金融システムが安定性を維持していくためには、金融機関は基礎的収益力を高めていく必要があり、その表裏一体の関係として、企業部門における中長期的な成長期待の向上も不可欠である。企業自身の生産性改善や成長力強化に向けた政府の取り組みに加えて、金融機関による企業の課題解決支援が重要である。』
>金融機関による企業の課題解決支援が重要である
正直この意味はわからん、預金金融機関にそんなことまで期待する必要があるという事態が経済政策の失敗ではないかと思うのだが(やりたい金融機関がやるのは結構だが実業に慣れてない人たちがやる話じゃないし一歩間違えればどこぞのSさんみたいなことになり兼ねん)。
『金融機関はそのための取り組みを進めつつあるが、収益力の底上げとして結実するには、なお時間を要すると考えられる。こうした点を踏まえると、金融機関は貸出の収益性改善に加えて、非金利・役務収益の強化や抜本的な経営効率化を図っていくことが必要である。』
なお投信手数料が高いとか言っているいやなんでもないです。
『同時に、金融機関は、国内ミドルリスク貸出や不動産業向け貸出、海外貸出、有価証券投資など積極的にリスクテイクを進めている分野においてリスク対応力を強化していくことも重要である。特に、景気循環を均してみた信用リスク対比で貸出金利の低い、低採算貸出が増加していることも踏まえると、金融機関は、先行きのマクロ経済環境を念頭に置いて、引当の適切性を検証するとともに、リスクに応じた金利設定を行っていくことがより重要になっている。また、損失吸収力確保の観点から、資本政策のあり方や配当政策を含む収益配分、有価証券評価益の活用方針について、ストレス耐性を踏まえた適切性の検証を行っていくことも必要である。日本銀行は、考査・モニタリング等を通じてこれらの金融機関の取り組みを後押しするとともに、マクロプルーデンスの視点から、金融機関による多様なリスクテイクが金融システムに及ぼす影響について引き続き注視していく。また、本レポートで示した個別金融機関ごとのマクロ・ストレステストの結果なども踏まえ、金融機関との対話を強化し、ストレス耐性に関する認識の共有を深めていく方針である。』
実にいいことを言っているんですが、
>リスクに応じた金利設定を行っていくことがより重要になっている
って言うなら貸出支援関連のオペも歴史的使命は終わっているんだから今すぐ止めろ以外の感想が起きない。
#ということで本文は追々
2018/10/22
お題「今週は材料もそこそこな週ですので週初雑談ということで(いつも雑談じゃないかというツッコミは却下^^)」
でたな謎の手打ちモード。しかしこれを手打ちにするってトランプェ・・・・・
と思うけどトランプ的にはこういう強権おじさんの方がいやなんでもないです。
https://jp.reuters.com/article/saudi-khashoggi-idJPKCN1MU00L
2018年10月20日 / 09:25 /
サウジが不明記者の死亡認める 高官2人解任 米大統領「信用できる」
『トランプ米大統領は記者団に対し、この発表を「重要な一歩」と評価、発表は信用できると述べた。』(上記URL先より)
「信用できる」って・・・・・・・・・
あと別件で米債。
https://jp.reuters.com/article/idJPL3N1WZ5RB
2018年10月20日 / 06:10
米金融・債券市場=利回り上昇、イタリア懸念後退で安全需要減退
30年債 17時05分 3.3793% 前営業日終値 3.3580%
10年債 17時05分 3.1958% 前営業日終値 3.1750%
5年債 17時05分 3.0480% 前営業日終値 3.0240%
2年債 16時39分 2.9080% 前営業日終値 2.8740%
イタリア懸念ってまあ本質的には後退せんわなとは思うけど。
〇3M短国とな
一番利回り的に動くのが短国というのも何だかなあではありますが。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20181019.htm
(3)募入最低価格 100円07銭4厘5毛(募入最高利回り)(-0.2772%)
(4)募入最低価格における案分比率 71.0099%
(5)募入平均価格 100円07銭9厘7毛(募入平均利回り)(-0.2966%)
先週の3Mが▲29.43bp/▲27.16bpで1年が▲16.81bp/▲15.51bpとなっておりましたが、金曜の3Mも3Mらしく▲29.66bp/▲27.72bpと、3Mと1Yは需給が違うぞという残念だが当然の結果になっておりますな。
まー海外(というか為替絡み)のニーズがあって3Mに年末越えプレミアムが乗っかるうちはこでばっかりはもう如何ともし難しという所なのですが、その辺のニーズを差っ引けば本来1Y位の所に居る方が普通な訳ですが、従来って1Yは1Yでしっかり強くなっていたのは明らかに短国買入効果というものでして、短国買入で金利をどマイナスまで吊り上げる(というか押し下げるというか)必要が実はありませんという事でやっと買入へって本来の価格形成になってきてるのは(3Mは別世界なので仕方ないんですが)結構な話なので、ボンボン短国買入を減額して頂きたいものだと思います。
いちおうロイターさん。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1WZ1QU
2018年10月19日 / 12:48 /
〔マーケットアイ〕金利:3カ月物TB入札は落ち着いた結果、需給緩む可能性を指摘する声も
『<12:41> 3カ月物TB入札は落ち着いた結果、需給緩む可能性を指摘する声も
財務省が午後0時半に発表した新発3カ月物国庫短期証券(TB)の入札結果で、最高落札利回りはマイナス0.2772%、平均落札利回りはマイナス0.2966%と、前回(最高:マイナス0.2716%、平均:マイナス0.2943%)に比べて低下した。市場では「しっかりとした入札だが極端な落札利回りの低下はなく、落ち着いた結果だ。日銀オペの買い入れ額が減る状況で、入札が多いことから需給が緩む可能性が出てきている」(国内金融機関)との見方がある。』(上記URL先より)
まあ1年短国があの金利な訳で、日銀に打ち込むことを前提としない短国の価格というのは本来あの辺の位置にいる筈(日銀当座預金金利よりは低いけどそこまで極端に低くはならない)で、3Mはベーシス絡みとかのアレなのでシャーナイナイということなので、入札多いから需給が緩むかというとこれ海外次第なので入札が多いからどうのこうの関係ない希ガス。
〇雨宮副総裁講演はデジタル技術と金融のお話
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko181020a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko181020a.pdf
【講演】マネーの将来
日本金融学会2018年度秋季大会における特別講演
日本銀行副総裁 雨宮 正佳 2018年10月20日
・信用創造とベースマネーに関して
『中央銀行の登場と「二層構造」の成立』という所にこのような記述があるんですよね。
『このような中央銀行の登場により、マネーの供給という観点からは、中央銀行と民間銀行との「二層構造」が成立することになりました。この中で、中央銀行は銀行券と中央銀行預金からなる中央銀行通貨、すなわちベースマネーを一元的に供給し、民間銀行はこのベースマネーを核とする信用創造を通じて、預金通貨を供給してきました。』
でまあここの記述なんですが、前後の説明を見るとここの意味する事はわかるようになっているのですが、前後の文脈を見ないでこの部分を読むと、「中央銀行が本源的なマネーであるところのベースマネーというものを供給するから金融機関が信用創造を行う」という風に理解しちゃう方々が多くて、それがよくある誤解の「日銀当座預金に置いている資金が貸し出しに回るようにする」みたいな話になっちゃうんじゃないのかなーと思うのよ。
つまりですな、信用創造においては別に本源的なマネーが必要な訳ではなく、預金貸出業務を行う金融機関が貸出を実行するときって金融機関のバランスシートに貸出金が乗っかって、それに対応する負債が預金者の預金になるという金融機関内で完結する両建て取引が実行されているだけで、その間には本源的なマネーのようなものは無くていい訳ですよ。ただ、教科書的に(って実はアタクシ頭が悪いので経済学の教科書は高校の政治経済で頭が止まっているので勘弁)ベースマネーが本源的マネーでみたいな話になってしまうのってこういう記述(ここも教科書的な書き方だと思うの)があるからなんじゃろうなとか思うのでした。
この前後の文脈を読んでみると「中央銀行が一元的に供給するマネー」っていうのは「その中央銀行の域内で通用する通貨を一定のものにする」という機能で、その通貨の発行の際には民間や政府との取引によって発行が行われるっつー話をしているんですなこれがまた。
『マネーと情報処理』という所から読むと・・・・・・・
『情報処理の面からみると、マネーは、様々なモノやサービスの価値を共通の単位によって「価格」として抽象化し、効率的な価格メカニズムが機能することを可能としました。』
『そもそも「物価」という概念も、マネー抜きでは考えられないものです。すなわち、物々交換で登場する価値尺度は、例えば「米10kgに対して肉1Kg」といったように、個別のモノ同士の「相対価値」です。これに対し、あらゆる財やサービスの価値を全て単一の価値尺度で表示し、さらに、これらを集計するといったことも、マネーの出現によって可能となりました。』
つまり交換価値としての「マネー」である。
『このようなマネーの働きを通じた、取引に伴う情報処理の圧倒的な効率化こそが、人間が経済社会を構築できた原動力でした。歴史上のハイパーインフレが常に、経済の著しい機能不全を招いているのも、これが人々の「信用の連鎖」や「価格メカニズム」を壊し、情報処理を極端に非効率にするためと捉えることができます。』
信用の話はその前の所にあるのですがパス、というか説明的にここは要らんのとちゃいますかね。
『もっとも、出回っているマネーの種類や単位が複数にわたってしまうと、人々はこれらの信用力をいちいち評価しながら受入れの是非を判断したり、それぞれの間の換算レートについて合意する必要があり、これにより情報処理の効率性はかなり損なわれることになります。このような問題を克服したのが、銀行券の発行を一元的に担う、中央銀行の登場でした。』
何ちゅうかこれ「情報処理の効率性」とか(話の流れがそうなっているのだから仕方ないのですが)とかいうような変なバズワード使うんじゃなくて、単に「お金ってみんなで共通のものを使った方が便利だよとなったから中央政府の権力の元々お金を使うように中央銀行が出来ました」って話だと思うのだが、話をしているところが金融学会だからバズワード使って説明するのが仕様のようだ。
でもってさっきの『中央銀行の登場と「二層構造」の成立』になる。
『中央銀行が、銀行券の発行を一元的に任せられるだけの信用を備えるには、そのための制度的枠組みの確立など、数多くの条件を満たす必要があります。このため中央銀行は、これらを満たすことを可能とするような近代国民国家の成立後に誕生しており、その歴史は多くの場合、せいぜい200年弱に過ぎません。中には、スウェーデンのリクスバンクや英国のイングランド銀行のように、17世紀後半に誕生した比較的歴史の古いものもありますが、これらは当初は商業銀行的な色彩を強く有しており、その後、近代的な中央銀行に変貌を遂げたものです。』
『例えば、近代中央銀行のモデルとされるイングランド銀行が、銀行券の発行を一元的に担うようになったのは、1844年の「ピール銀行条例」の時であり、今から174年前のことです。』
でさっきのになる。
『このような中央銀行の登場により、マネーの供給という観点からは、中央銀行と民間銀行との「二層構造」が成立することになりました。この中で、中央銀行は銀行券と中央銀行預金からなる中央銀行通貨、すなわちベースマネーを一元的に供給し、民間銀行はこのベースマネーを核とする信用創造を通じて、預金通貨を供給してきました。』
そしてこの次の文ですが・・・・・・・・・
『この二層構造は、情報処理や資源配分などの面で様々なメリットを有しており、だからこそ、近代中央銀行の成立から僅か200年弱しか経っていないにもかかわらず、今日では殆どの国々がこの仕組みを採用するに至ったと考えられます。すなわち、中央銀行がベースマネーを一元的に発行することで、人々は、複数の通貨単位について、これらをいちいち評価し換算する負担から解放されます。一方で、民間銀行による信用仲介活動を通じて、経済への資金の配分は民間のイニシアチブを通じて行われることになります。』
『さらに、民間銀行の信用創造は、経済情勢などを反映した需要の変動に対応して行われるため、マネーの供給もある程度弾力的に調整されることになります。』
というこの説明。全く持って仰せの通りではあるのですが、これってつまり「中央銀行の機能としては域内の経済活動におけるマネーが一元的になることによって経済活動の利便性と効率性を高めるために中央銀行通貨を発行しております」、「なお経済活動に関しては民間金融機関の信用創造や信用仲介活動によって経済主体への資金配分が行われます」って話になりまして、実に仰せの通りの話が展開されている訳ですな。
つまりですよ、別に中央銀行が「本源的なマネーというもの」を供給するから通貨経済が進行していくわけではなくて、民間の経済活動の効率性や利便性を高めるためにはその経済域内で統一的な通貨(中央銀行預金と中央銀行通貨と預金通貨)があった方が便利なので中央銀行による通貨制度があって、そのためにマネーの供給が行われています、とまあそういう話になる訳でして、中央銀行のマネーの供給から経済システムが始まるわけではないということっすな。
ではあるのですが、経済の教科書(そんなに詳しくないのでアタクシの偏見成分が入る)だと、さっきの雨宮さんの講演で言う所の「この中で、中央銀行は銀行券と中央銀行預金からなる中央銀行通貨、すなわちベースマネーを一元的に供給し、民間銀行はこのベースマネーを核とする信用創造を通じて、預金通貨を供給してきました。」というさっき2回引用した部分を前後の文脈というベースラインをすっかり忘れて覚えてしまうせいか、「中央銀行がマネーを供給すれば民間の貸出が増える」だの「超過準備が貸し出しに回るような政策ガー」だのという話になり、挙句の果てにはマネタリーベース直線一気理論まで登場する、とまあそういうことになってしまっているのではないでしょうか、などと全然この講演の本旨と関係ないマクラの部分を読んで盛大に反応してしまいました。
まあこれ突き詰めると中央銀行の在り方がバジョット・ルールとかの方面に行ってしまうのであまり突き詰めない事にしておきます。
〇FSRと調節懇である
今週は本日がFSRで明日が調節懇ということでして、金融システムレポートに関しては「今のへっぽこ金融政策を長期化しやがっている弊害が金融機関の収益構造にどのように問題を起こしているか」という話をまあ突っ込んでいただきたい訳ですが、収益が悪化するのは自明の話なのでさておくとしても、問題というのに関してはできるだけフォワードルッキングなお話をして頂きたいと思うわけよ。
つまりですな、日本全国平均したらそうでもないけど、当然ながら地域差があって構造的にしんどいところだと預貸業務で稼げないとかいうのが構造的にありますよとか、金利が下がっていって金融機関の資産サイドにおける既往ストックが徐々に収益力悪化している、というようなこれまでの話に関しては特に前回とか前々回あたりに相当突っ込んでやっていたと思うのですが、今回はどの程度フォワードルッキングな話が出るのかというのを勝手に期待しています。
金融機関ってブローカーじゃないのですから、ストックの収益がアガランチ会長になってくると別の収益が上がるストックありませんかねーと探し回る訳で、じゃあその代替資産がどのような形で積みあがっているのか(もちろんその辺の分析は昔からしていますけど公表されているのは割とざっくりとした感じで、伝統的な金利リスクとか与信コストの増加というような面に関するフォワードルッキングなシミュレーションになっている)、その代替資産がどのような時にリスクとなり得るのか、というようなお話に関して、全部が全部大公開というのはそれはそれで問題かも知れませんが、伝統的な「金利上昇シナリオ」や「与信コスト増加シナリオ」だけではなく、代替資産に関してどのようなリスクが起こり得るのか、その規模はどのくらいか、などという話をそろそろ聞きたいもんだとは思いますが、今からそんな要望言っても今日出るものなので時すでにお寿司にも程がありますな。
ちなみに、FSRの別の読み方として考えられるのは、「本当にやばくなったら本当のことをぶっちゃけ難くなる」の法則というのがありまして、本当にやばいとなると「これはもうだめかもわからんね」というレポートを出してそれが切っ掛けで大爆発されても困りますので、急に警戒モードがトーンダウンしてきていて、えーっとなんか体感してるのと違うぞ、となったところが一番警戒が必要でして、各国その手のプルーデンスレポート出しているのですが、そういう意味で比較してみて回ると面白いと思うのですが中々あちこち見て回るほど余裕と頭脳が無いのが残念なところ。
でもって調節懇ですが、よくよく考えてみれば調節懇ってただの事務連絡とか意見交換会の筈でして、こんなのが注目材料とか言われる(まあ何とかストの皆さんが仕事ないから仕事づくりに注目材料にして毎日コメントして飯のタネにしているのではないかという気もだいぶするが)のも何なんでしょうなという所でして、まあ別に何か凄いのが出て金利が動く、というようなことはないんジャマイカと思いますし、日程公表を止めるならまあ事前に話あるかもしれませんけど、「入札の翌営業日にオペ入れるの止める」とか「回数もうちょこっす減らして1回の買入は増やしてそこまで強烈には減額しません」というような話って月末の「紙」で対応するだけの話ではありますし、それ以上の話になるとMPMマターの話になるから市場局がどうのこうのという話ではないような気がだいぶしますけど、まあこうやって調節がやたら注目されてしまうってのもナマコ相場なので致し方なしという所っすな。この調子で1年とか続いたらマジで廃村ですぜ円債村。
2018/10/19
お題「日銀支店長会議ネタ/今更のFOMC会見ネタ(その2)」
皆さん再来週は11月ですよ今年は何をしてましたか(吐血)。
〇支店長会議関連を少々
・総裁挨拶は基本的に展望レポート基本的見解の世界
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/siten1810.htm/(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/siten1807.htm/(前回)
まあ特段これというものも無いのですが折角出ているので一応ネタに。
『(1)わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。先行きについては、緩やかな拡大を続けると考えられる。』(今回)
『(1)わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。先行きについては、緩やかな拡大を続けると考えられる。』(前回)
展望レポート基本的見解の判断が同じなので同じと。
『(2)物価面をみると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%程度となっている。先行きについては、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(今回)
『(2)物価面をみると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっている。先行きについては、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。』(前回)
ここも展望レポートの基本的見解に沿っていますが、一応改めて確認することは、前回(支店長会議は7月ですが展望レポートはそのあとに出ているので、この時点で出ている直近の展望レポートは4月のもの)の所までは先行きの経済に対して「需給ギャップが改善する」という話になっていたのですが、7月展望レポートでは「需給ギャップがプラスの状態を続ける」となってきたので、今回の支店長挨拶でもこういう表現になっております。
つーことですので、先般ネタにした櫻井審議委員の金懇挨拶でもありましたが、実は7月のMPM以降のアプローチってダマテンで、これまでの「需要サイドを一層吹かすことによって物価上昇につなげる」というものから「需給ギャッププラスの状態をキープする(経済を吹かしに行かない)ことによって物価上昇につなげる」という話にしらっと変わっているというのを再確認できますな、とまあそんなお話です。
『(3)わが国の金融システムは、安定性を維持している。金融環境は、きわめて緩和した状態にある。』(今回)
『(3)わが国の金融システムは、安定性を維持している。金融環境は、きわめて緩和した状態にある。』(前回)
これは同じ。
『(4)金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。政策金利については、2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。今後とも、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』(今回)
『(4)金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』(前回)
これまた展望レポートや声明文の最終部分で示されている話なので特段新しく変わった話がある訳ではないのですが、とにかくなんだかんだとここの文章量が長くなっている、というのが今の金融政策枠組みのグダグダぶりをよく示していまして、金融政策に関する説明って(別に金融政策じゃなくてもそうだと思いますけど)、短い文章でビシッと説明をするのがよくて、文章がグダグダ長いというのはその時点でコミュニケーションポリシーとして如何なものかという話だし、グダグダしているだけに政策自体も何やりたいんだっけ状態に傍から見るとなってしまうということですわな、とまあそんなことをボケーっと思いながら挨拶を鑑賞するのでした。
・さくらレポートである
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer181018.htm/(今回)
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer180709.htm/(前回)
全文はこちらですが今回はパスして上記URL先の鏡に相当する部分の前後比較を行います。
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer181018.pdf(今回の全文)
『I.各地域の景気判断の概要』からですが、前回は「全地域判断据え置き」という何ともつまらん結果でしたがさて今回は・・・・・・・・・・・
『(1)各地域の景気の総括判断』
『各地域の景気の総括判断をみると、全ての地域で「拡大」または「回復」としているが、前回(2018年7月時点)と比較すると、北海道と中国では、地震や豪雨など自然災害の影響を踏まえ、判断を引き下げている。一方、近畿では、台風の影響がみられるとしているものの、「緩やかに拡大している」との判断に変更はないとしている。それ以外の6地域(東北、北陸、関東甲信越、東海、四国、九州・沖縄)では、前回の判断から変更はないとしている。』(今回)
これは災害の影響による下方修正ではあるが事実上の横這い認識ですな。
『こうした各地域の判断の背景には、海外経済の着実な成長に伴い、輸出が増加基調にある中で、労働需給が着実に引き締まりを続け、個人消費が緩やかに増加するなど、所得から支出への前向きな循環が続いていることが挙げられている。』(今回)
となっている文言に関しては前回も、『この背景をみると、海外経済の着実な成長に伴い、輸出が増加基調にある中で、労働需給が着実に引き締まりを続け、個人消費が改善するなど、所得から支出への前向きな循環が続いていることが挙げられている。』(前回)となっていて、展望レポートの基本的見解でこの辺が変わっていないのをそのまま反映した格好になっています。
なお、下方修正となっているところですけれど、
北海道
『基調としては緩やかに回復しているものの、北海道胆振東部地震の影響による下押し圧力がみられている』(今回)
『緩やかに回復している』(前回)
近畿(は下方修正していませんが)
『台風21号による経済活動面への影響がみられるものの、緩やかに拡大している』(今回)
『一部に地震の影響がみられるものの、緩やかに拡大している』(前回)
中国
『平成30年7月豪雨によりダメージを受けたものの、社会インフラの復旧等に伴い、豪雨の影響が低減する中で、基調としては緩やかに拡大している』(今回)
『緩やかに拡大している』(前回)
となっていて、「基調としては」と入れて前回と同じ判断になっているので(近畿はそもそも「基調としては」の逃げ口上すらない)、まあこれは現状時点では実際問題としての下方修正ではないというお話になりますわな。
・需要項目について
「公共投資」「設備投資」「個人消費」「住宅投資」「生産」「雇用・所得」に関して地域別に現状判断が示されているのですが、これを全部前回今回比較すると無駄に長くなるので、一応アタクシが目検で確認して前回と異なっている部分だけ抜粋します(アタクシの目検なのでぬけがあったらゴメンやで)。
「公共投資」:近畿が『下げ止まりつつある』→『下げ止まっている』、あとは同じ
「設備投資」:全部同じ
「個人消費」:北海道が今回『(観光については、悪化している)』と括弧書き追加、
四国が『持ち直している』→『着実に持ち直している』、あとは同じ
「住宅投資」:関東甲信越が『弱めの動きが続いている』→『横ばい圏内で推移している』、
近畿が『弱めの動きとなっている』→『持ち直し傾向にある』、
九州・沖縄が『熊本地震の復興需要が続く中、低金利環境等を背景に、高水準で推移している』→『低金利環境等を背景に、高水準で推移している』
と熊本地震云々の文言だけ削除、あと同じ
「生産」:北海道が『横ばい圏内の動きとなっている』→『基調としては緩やかに持ち直している』
関東甲信越が『増加基調にある』→『高水準横ばい圏内の動きとなっている』
近畿が『増加基調にある』→『一部に地震の影響がみられるものの、増加基調にある』
中国が『増加している』→『一部で豪雨の影響が残存するものの、基調としては増加している』、あとは同じ
「雇用・所得」:全部同じ
となっていまして、需要項目の中で豪雨の影響に関して触れている(北海道に関しては胆振地方地震の観光への影響の言及がある)部分はあれど、そのほかの部分ではしらっと上方修正(今回は住宅投資の所がしらっと強含みになっている)されていたりして、まあ基本的に強いトーンで終始していますね、ということになるのではないでしょうか。まあ本当はきちんと全文読まないといかんのでしょうが。
〇来週はFSRが月曜に出て火曜は調節懇と楽しみのネタが出る(調節懇は出ないかも知れんが)のでその前に・・・・・・・
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180926.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference
September 26, 2018
議事要旨も出てしまったので証文の出し遅れにも程がありますすいませんすいません。
・失業率がこんなに低いのに何でインフレにならんのかという質問
『HOWARD SCHNEIDER. Thanks. Howard Schneider with Reuters. Chair Powell,
I think-is this too good to be true? Because you’ve got four years here
of unemployment below 4 percent-very low, substantially below NAIRU, what
appears to be NAIRU-but no reaction of inflation there. And so I don’t
think that’s ever happened since the 1960s. Why do you think it’s going
to happen now? Or in the alternative, is this forecast for unemployment
just being driven by your confidence intervals to the extent that, well,
we don’t know what else to do, so just extend the lie out-line out until
something happens? 』
に対してのお答えですが、
『CHAIRMAN POWELL. No, you’re right. The Committee forecasts what they-what
they show, in general, is an economy where unemployment remains in the
high and middle 3s throughout the entire forecast period and inflation
remains very close to 2 percent. That is what the forecast shows.』
それはSEPでそう出ているわな。
『And that is based on our understanding of the way the inflation process
works now and on the fact that the inflation seems to be fairly nonreactive
to changes in slack-that is to say, a flat Phillips curve.』
スラックの変化に対して反応が少ない=フィリップスカーブがフラット化しているという現状認識だそうな。
『And it’s just-it’s a-it’s a world of strongly anchored inflation expectations.』
何でそうなっているかというとインフレ期待が「strongly anchored」だからです。というネタで、これってこの後に行わていた(10月頭の)パウエル講演でも示されていた認識ですな。
『And that’s not just our forecast, that’s many forecasts. So that is-that
is -that is the forecast. So you may ask-I mean, the sense is, what does
the longer-run natural rate of unemployment mean?』
貴方の質問は「じゃあロンガーランの自然失業率とは何ぞや」という話になりますわな。
『And so that really is a longer-run concept that we think the economy
will return to over the longer run. But, obviously, that longer run, you
know, isn’t-it’s not creating problems in the short run for that forecast.
』
なんちゅう禅問答。
『Now let’s just admit that the inflation process has changed dramatically
from where it was in the 1960s to where it is now. It’s in a good place
now. We can’t take for granted that it will remain the way it is, and,
you know, we will be, of course, watching carefully. If inflation reacts
more strongly or more weakly to the strong economy, then we’ll adjust
policy appropriately.』
つーことで、(先日のパウエル講演でもそうでしたが)インフレ期待が強力にアンカーされているから経済のスラックやらギャップやらに対してインフレがノンリアクティブになっているという大変に結構な状態である、という説明で(ホンマカイナというツッコミをしたくなるけど)話をまとめていて、とは言え本当にそうなのかは実際に今後物価上昇圧力や下落圧力が掛かってくるかもしれないのでそれはそれでその数字を見ながら対応して行きますよ、というエライ実践的といえば実践的なのですが、長期均衡の数値がここにあってそれに対して現状がこうだから緩和的とか引き締め的とかそういう方向から入らないアプローチを志向している、というのが分かる感じがします。
『HOWARD SCHNEIDER. If I could follow up on that, what are you buying with interest rates?』
『CHAIRMAN POWELL. Well, interest rates, of course, have effects on growth,
have effects-I mean if-I guess the-your question was, what are you buying
with by raising interest rates? The question is, what would the economy
look like if you didn’t raise rates? It would look very different, I think,
if we didn’t raise rates.』
相手の質問を確認していますな。
『We’re always trying to, you know, work our way between the-sort of the two-the two problems we face.』
ほう。
『One is that if we move too quickly, we can, you know, snuff out a recovery
unnecessarily, and inflation falls short of its 2 percent target. Or if
we move too slowly, we have an economy that can overheat.』
利上げが速すぎるリスクと遅すぎるリスクを考えないといけません、だそうで結局利上げはするわけですが。
『So we’re-that-that’s happened through history. We don’t see any signs
of that now, but we’re always trying to navigate between those two shoals.
And we think that gradually, you know, raising interest rates is the way
that we kind of take both of those risks seriously.』
ということで、先般の講演でもそう感じましたし、昨日ネタにした議事要旨における中立金利に関する「中立金利は政策判断における数多くあるファクターの1つに過ぎない」という部分も踏まえまして考えると、パウエル流の金融正常化っていうのはおそらく「理論的なゴール地点というのをあらかじめ設定しないで経済の状況を見ながら利上げしていけるなら利上げする」となると思われますが、それだと最終的にはやや上げ過ぎになってしまうのでは無かろうかという気もだいぶする訳でして(金融政策の波及効果に時間的ラグがある中でバックワードルッキングに利上げ対応をするような話っぷりなので)、それって将来的にどうなのよという気がだいぶしますが、まあそれはそれとして目先に関しては利上げ継続(ただし貿易戦争次第)ということになるんでしょうな、とは思いました。
#と一人分の質疑応答をネタにしただけなのに時間切れという時間管理のあばばばばーでどうもすいません
2018/10/18
お題「9月FOMC議事要旨は結構強気に見えましたが・・・・・」
とは言っても寝起き斜め読みベースでございますけど(汗)
〇FOMC議事要旨の委員の議論部分を例によって拝読ですが
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20180926.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20180926.pdf
でもって毎度のように『Participants' Views on Current Conditions and the
Economic Outlook』を読むのですが、今回はここのケツからではなくて頑張って(というほどのものではないけど)頭から読んでみたら景気認識の所が結構強いんジャマイカという風に思った(個人の感想です)のでその辺から参ります。
4番目のパラグラフ(最初は「SEP作ったよ」で次は声明文の第一パラにあるのと同じ話で、その次がハリケーンフローレンスの話(結論は「被害は大きいけど全体の経済という意味では大影響という事もない」です)になっていました)から参ります。
・全体の景気に関しては強めの話だし構造的な改善の指摘まで出ている
てな訳で4パラ目から。
『Based on recent readings on spending, employment, and inflation, almost
all participants saw little change in their assessment of the economic
outlook, although a few of them judged that recent data pointed to a pace
of economic activity that was stronger than they had expected earlier this
year.』
基本は見方は同じと来てますが、数名(a few)の参加者は見通しよりも上振れて推移だそうな。
『Participants noted a number of favorable economic factors that were supporting
above-trend GDP growth; these included strong labor market conditions,
stimulative federal tax and spending policies, accommodative financial
conditions, solid household balance sheets, and continued high levels of
household and business confidence. A number of participants observed that
the stimulative effects of the changes in fiscal policy would likely diminish
over the next several years.』
強いファクターの話はまあこんなもんとしましてこの次には、
『A couple of participants commented that recent strong growth in GDP may
also be due in part to increases in the growth rate of the economy's productive
capacity.』
2名の見解ですが、「increases in the growth rate of the economy's productive
capacity.」とか来ているのがこれまた強い見解じゃなあと思うとこの先も威勢の良い見解が割とホイホイ出てくるのだ。
・家計に関しては貯蓄率の所の話がオモロイ
5パラ目になります。
『In their discussion of the household sector, participants generally characterized
consumption growth as strong, and they judged that robust increases in
disposable income, high levels of consumer confidence, and solid household
balance sheets had contributed to the strength in spending.』
この辺はいつも通りの話だがこの次に家計の貯蓄率が上がっているという話が出て来まして・・・・・・・・
『Several participants noted that the household saving rate had been revised
up significantly in the most recent estimates published by the Bureau of
Economic Activity.』
ほうほう。
『A few of those participants remarked that the upward revision in the
saving rate could be viewed as evidence of the strength of the financial
position of the household sector and could be a factor that would further
support solid expansion of consumption spending.』
貯蓄率が高いのは家計が防衛的になっている、というネタでよく言われていた筈なのに、ここに来て貯蓄率の上昇を「evidence
of the strength of the financial position of the household sector」とか言い出して将来の消費支出が一層強まるファクターかもしれないとか物凄い勢いでポジティブに解釈する数名(A
few)の委員がいるというこの部分はちとビックラしました。
『However, a couple of participants noted that the higher saving rate may
not be a precursor to higher future consumption growth. For example, the
higher saving rate may indicate some greater caution on the part of consumers,
greater inequality of income and wealth--which would imply a lower aggregate
propensity to spend--or changing consumer behavior in a low interest rate
environment.』
いやいやいやいやそれは家計の将来不安だったり、家計の富の偏在だったりが原因じゃないのかね、という指摘があってそっちの方が御尤も(というか大体今までのFEDはそういう解釈をしていた筈)だと思うのですけど、そっちを指摘しているのが2名(a
couple of)でして前者より少ないって何だそのポジティブトーンなFOMCは、という風に思ってまあこの辺りから「おい景気認識強いな」と思いっきり思う(個人の感想です)のでありまする。
『With regard to residential investment, a few participants noted weak
residential construction activity at the national or District level, which
was attributed in part to higher interest rates or supply constraints.』
住宅供給にも供給制約来てるとな。
・企業の投資の所はまあこんなもんでしょと思うがここにも供給制約の話が
6パラ目になります。
『Participants noted that business fixed investment had grown strongly
so far this year. A few commented that recent changes in federal tax policy
had likely bolstered investment spending. Contacts in most sectors remained
optimistic about their business prospects, and surveys of manufacturing
activity were broadly favorable.』
『Despite this optimism, a number of contacts cited factors that were causing
them to forego production or investment opportunities in some cases, including
labor shortages and uncertainty regarding trade policy.』
つーことでまあ企業投資については企業の先行き見通しが強気だからイケてるけど関税云々は懸念ですよね、というのは順当な話なんですが、この中にもしらっと「labor
shortages」も企業の投資を先送りする要因の1つに入れられていて、次の労働市場の所でもそうなのですが、供給制約の話が割とよく出てくるなあとか思うのでありました。
『In particular, tariffs on aluminum and steel were cited as reducing new
investment in the energy sector. Contacts also suggested that firms were
attempting to diversify the set of countries with which they trade--both
imports and exports--as a result of uncertainty over tariff policy. Contacts
in the agricultural industry reported that tariffs imposed by China had
resulted in lower crop prices, further depressing incomes in that sector,
although a new federal program was expected to offset some income losses.』
農業セクターでは中国輸入関税上昇でこっちの販売価格を下げないといけないから困るがなというのがあるのはいい感じでイヤミ(というかタリフの話しまくっていて散々イヤミを言ってる感はあります)ではございますな。
・労働市場に関しては労働コストの上昇への指摘
7パラ目。
『In their discussion of labor markets, participants generally agreed that
conditions continued to strengthen. Contacts in many Districts reported
tight labor markets, with difficulty finding qualified workers.』
でもって「qualified workers」確保のために何が起きてるかと言いますと・・・・・・・・
『In some cases, firms were coping with labor shortages by increasing salaries,
benefits, or workplace amenities in order to attract and retain workers.』
「workplace amenities」にちょっとニヤッとしました(^^)。
『Other business contacts facing labor shortages were responding by increasing training for less-qualified workers.』
(;∀;)イイハナシダナー
『For the economy overall, participants generally agreed that, on balance,
recent data suggested some acceleration in labor costs, but that wage growth
remained moderate by historical standards, which was due in part to tepid
productivity growth.』
賃金にさほど反映されていないけどそれ以上に労働コストは上がっているとの結論キタコレ。
・物価に関しては上昇圧力の高まりみたいな認識が示されているんですがががががが
8パラ目。
『Regarding inflation, participants noted that on a 12-month basis, both
overall inflation and inflation for items other than food and energy remained
near 2 percent. Indicators of longer-term inflation expectations were little
changed on balance. In general, participants viewed recent consumer price
developments as consistent with their expectation that inflation was on
a trajectory to achieve the Committee's symmetric 2 percent objective on
a sustained basis.』
この辺の認識は順当。2%達成でっせグヘヘヘヘという感じではありますが。
『Several participants commented that inflation may modestly exceed 2 percent
for a period of time. Reports from business contacts and surveys in a number
of Districts also indicated some firming in inflationary pressures. In
particular, some contacts indicated that input prices had been bolstered
by strong demand or import tariffs. Moreover, several participants reported
that firms in their Districts that were facing higher input prices because
of tariffs perceived that they had an increased ability to raise the prices
of their products.』
とまあこの辺物価上昇圧力が高まってきているという威勢の良い話が連発している辺りはほほーという感じです。
『A couple of participants emphasized that because inflation had run below
the Committee's 2 percent objective for the past several years, some measures
of trend inflation or longer-term inflation expectations were below levels
consistent with the 2 percent objective; these participants judged that
a modest increase in inflation expectations would be important for achieving
the inflation objective on a sustained basis.』
2名の指摘ではありますが、これまで物価が暫く2%目標を下回って推移していたので、トレンドインフレや一部の計測によるインフレ期待が2%よりも低くなっているから、緩やかにインフレ期待が上がることが重要であるとの指摘があって、さっきの物価上昇圧力云々の話をやや中和しています。、
・金融環境に関しては金融不均衡の指摘がきっちり記載されていますな
9パラ目。
『In their discussion of developments in financial markets, a number of
participants noted that financial conditions remained accommodative: The
rise in interest rates and appreciation of the dollar over the intermeeting
period had been offset by increases in equity prices, and broader measures
continued to point to accommodative financial conditions.』
金利上昇とドル高に関しては株高でオフセット、と来ていますので金利上昇からの株安が来るとこの辺どうなるの、というのは気になりますが、逆に言えば株がなんだかんだ言ってそんなにサガランチ会長ならば全然キニシナイという話でもありますな。
『Some participants commented about the continued growth in leveraged loans,
the loosening of terms and standards on these loans, or the growth of this
activity in the nonbank sector as reasons to remain mindful of vulnerabilities
and possible risks to financial stability.』
ということで数名(Some)のコメントですが、レバレッジローンの拡大および貸出基準の緩和や貸出期間の長期化、ノンバンクセクターによるこれらの動きは金融安定に対する脆弱性やリスクとなりうるので注意すべきと来ましたな。
・ああだこうだゆうてますがリスクは上下バランスですな
10パラ目。
『Participants commented on a number of risks and uncertainties associated
with their outlook for economic activity, the labor market, and inflation
over the medium term.』
ということで、
『Participants generally agreed that risks to the outlook appeared roughly balanced.』
だそうな。
『Some participants commented that trade policy developments remained a
source of uncertainty for the outlook for domestic growth and inflation.』
貿易戦争の動向はリスクだわな。
『The divergence between domestic and foreign economic growth prospects
and monetary policies was cited as presenting a downside risk because of
the potential for further strengthening of the U.S. dollar; some participants
noted that financial stresses in a few EMEs could pose additional risks
if they were to spread more broadly through the global economy and financial
markets.』
ここでもさっきと同様にドル高の問題を言っているのはチャーミングですな。米国一人勝ちという状態によって発生するドル高や、EM市場の問題などがリスクと。
『With regard to upside risks, participants variously noted that high consumer
confidence, accommodative financial conditions, or greater-than- expected
effects of fiscal stimulus could lead to stronger-than-expected economic
outcomes.』
アップサイドリスクキタコレ。
『Tightening resource utilization and an increasing ability of firms to
raise output prices were cited as factors that could lead to higher-than-expected
inflation, while lower-than-expected growth, a strengthening of the U.S.
dollar, or inflation expectations persistently running below 2 percent
were mentioned as risks that could lead to lower inflation.』
物価の方は上下両方の指摘があって、コスト(インプットコストと労働コスト)プッシュの物価上昇圧力に対してドル高やインフレ期待がまだ2%に届いていないと見られることが下のリスクとの指摘。
・イールドカーブのフラット化に関する議論がありました
11パラ目になるぞな。
『A few participants offered perspectives on the term structure of interest
rates and what a potential inversion of the yield curve might signal about
economic prospects in light of the historical regularity that an inverted
yield curve has often preceded the onset of recessions in the United States.』
ということでイールドカーブ形状のお話。
『On the one hand, an inverted yield curve could indicate an increased
risk of recession; on the other hand, the low level of term premiums in
recent years--reflecting, in part, central bank asset purchases--could
temper the reliability of the slope of the yield curve as an indicator
of future economic activity. In addition, the recent rise and possible
further increases in longer-term interest rates might diminish the likelihood
that the yield curve would invert in the near term.』
リセッション入りの兆候であるとの見方もあるし、以前と比べてタームプレミアムが縮小したり、中銀の資産買入によるストック効果があったりとかで構造が違っている可能性がある、と両論併記になっていますな。
本件に関しては先日サンフランシスコ連銀のスタッフペーパーでイールドカーブの形状がリセッション入りの警告なのかというようなのがあって、なんか謎の理屈を繰り出した挙句に「んなこたあない」という結論になっていた(今日は間に合わないので後日ネタにしますと思います)ように、どうもここもとはこのイールドカーブの形状からしてリセッション入りの可能性があるからアヒャヒャヒャヒャという話に直結させないというのがFOMC全体のトーンになっているようですな。
・ブラードさんも利上げオッケーだったんかね&文言ドロップの話はさらりと流す
12パラ目。
『In their consideration of monetary policy at this meeting, participants
generally judged that the economy was evolving about as anticipated, with
real economic activity rising at a strong rate, labor market conditions
continuing to strengthen, and inflation near the Committee's objective.』
ということで今回の政策決定(つまり利上げ)に関して。
『Based on their current assessments, all participants expressed the view
that it would be appropriate for the Committee to continue its gradual
approach to policy firming by raising the target range for the federal
funds rate 25 basis points at this meeting.』
「all participants」となっているのはほーと思いまして、票決の方は全員賛成でしたけど、そっちの場合は「members」になりますのでこれだとブラードさんも賛成(ちなみに最初の所の出席者にブラードさんの名前がきっちりある)となるのでほーという感じ。
『Almost all considered that it was also appropriate to revise the Committee's
postmeeting statement in order to remove the language stating that "the
stance of monetary policy remains accommodative."』
文言削除の件ですな。
『Participants discussed a number of reasons for removing the language
at this time, noting that the Committee would not be signaling a change
in the expected path for policy, particularly as the target range for the
federal funds rate announced after the Committee's meeting would still
be below all of the estimates of its longer-run level submitted in the
September SEP. In addition, waiting until the target range for the federal
funds rate had been increased further to remove the characterization of
the policy stance as "accommodative" could convey a false sense
of precision in light of the considerable uncertainty surrounding all estimates
of the neutral federal funds rate.』
「discussed a number of reasons」って書いている割にはここに出ている話が何となくフワッとした話だけのように見えるのは気のせいでしょうか。
・今後も徐々に利上げしますという辺りは普通の話ですが
13パラグラフ目になります。
『With regard to the outlook for monetary policy beyond this meeting, participants
generally anticipated that further gradual increases in the target range
for the federal funds rate would most likely be consistent with a sustained
economic expansion, strong labor market conditions, and inflation near
2 percent over the medium term.』
『This gradual approach would balance the risk of tightening monetary policy
too quickly, which could lead to an abrupt slowing in the economy and inflation
moving below the Committee's objective, against the risk of moving too
slowly, which could engender inflation persistently above the objective
and possibly contribute to a buildup of financial imbalances.』
まあ普通の話。強いて言えば「a buildup of financial imbalances」を避けるという観点が書かれているのがほほうという感じです。
・どの程度まで利上げをするのかという話は(SEPの通りに)割と高めの球が放られている感じですな
14パラグラフ目がキタコレである。
『Participants offered their views about how much additional policy firming
would likely be required for the Committee to sustainably achieve its objectives
of maximum employment and 2 percent inflation.』
「how much additional policy firming」の議論キタコレ!!!!
『A few participants expected that policy would need to become modestly
restrictive for a time and a number judged that it would be necessary to
temporarily raise the federal funds rate above their assessments of its
longer-run level in order to reduce the risk of a sustained overshooting
of the Committee's 2 percent inflation objective or the risk posed by significant
financial imbalances.』
数名(A few)は「modestly restrictive」が適切と来まして、
『A couple of participants indicated that they would not favor adopting
a restrictive policy stance in the absence of clear signs of an overheating
economy and rising inflation.』
2名の方は抑制的になるのはイクナイ、との主張でございますな。
・中立金利に関しては「政策判断に用いる多くのファクターのうちの1つに過ぎない」キタコレ
15パラグラフ目になります。
『Participants reaffirmed that adjustments to the path for the policy rate
would depend on their assessments of the evolution of the economic outlook
and risks to the outlook relative to the Committee's statutory objectives.』
ほうほう。
『Many of them noted that future adjustments to the target range for the
federal funds rate will depend on the evaluation of incoming information
and its implications for the economic outlook.』
今後の経済物価情勢と先行き見通しによって金利政策の先行きの調整は決めていく、というのはまあ当然ですがその次に中立金利の話が出てきます。
『In this context, estimates of the level of the neutral federal funds
rate would be only one among many factors that the Committee would consider
in making its policy decisions.』
ということでして、中立金利に関しては「数多くあるうちの一つのファクターにすぎません」と来まして、この辺りはパウエル流になってきたな(これがイエレンやバーナンキだったら中立金利に関してもっと掘り下げてくると思うので)と思います。
・政策フレームワークに関しては定期的に確認見直しを行いましょう
というのが最後の16パラでして、まあこれはそうですねという感じの話で締めています。
『Participants reaffirmed that adjustments to the path for the policy rate
would depend on their assessments of the evolution of the economic outlook
and risks to the outlook relative to the Committee's statutory objectives.
Many of them noted that future adjustments to the target range for the
federal funds rate will depend on the evaluation of incoming information
and its implications for the economic outlook. In this context, estimates
of the level of the neutral federal funds rate would be only one among
many factors that the Committee would consider in making its policy decisions.』
ということで本日は寝起きでFOMC議事要旨(いつもよりやや多めバージョン)でお送りしました。他のネタはパスな。
2018/10/17
お題「短国買入からオペ世間話という雑談ネタですいません」
何と申しますか・・・・・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181016/k10011673031000.html
消費増税 経験生かし万全措置を講じる考え 首相
2018年10月16日 18時46分
『消費税率の10%への引き上げをめぐって、安倍総理大臣は、記者団に対し、「先に3%引き上げた際の経験を生かしていきたい」と述べ、4年前に引き上げた際の、消費の冷え込みを繰り返さないために、万全の措置を講じる考えを強調しました。』(上記URL先より)
ということで住宅と車の減税してみたり色々ばらまいてみたりするってのをする位なら端から消費税上げなきゃ良いのにというか寧ろ消費税下げて法人税とかを上げろよと思うのだが、税率引き上げてバラマキをした方が利権(内務省検閲により削除されました)。
〇5年入札ではなくて概ね短国買入ネタからオペ雑談
ということで昨日は短国買入アリやナシやというのをちょっとだけ注目しておった訳ですが、
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of181016.htm
国庫短期証券買入 1,000 2018年10月17日
ということで短国買入実施で、今回も1000億円ということで申し訳程度の実施ということに相成りました。んでもってこちら↓
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/fm/juqp/index.htm/
日銀当座預金増減要因(見込み)
の『2018年10月 [XLSX 76KB]』にございますように、今月の日銀買入で保有している短国ちゃんの償還額が1兆9200億円となっていますので、まあこの調子で毎週1000億円ずつ購入していくと日銀の保有短国は華麗に減少してくださる訳なので、これはこれで結構な話なのですが、1000億円ぽっちだったらもう事務面倒だからパスしちゃいなよ!と言いたくなりますが、まあそこは一気に無くすと色々とややこしいのでとりあえず1000億円を続けておいて残高を一桁前半兆円まで下げて(もし全部3Mで入れば最終形は1兆3000億円になるが6Mや1Yも入るでしょうからね)そのうち無しになるとかいうようなフェードアウトを考えているのでしょうか。
・・・・・・・とまあそういうことになりますと、何で10月の予定表を出した時に短国買入の初回買入日を急に出したか、という話に関して、当初これは「暗黙の了解のレギュラー買入日を外すので、その時に誤解を招かないようにする」→「短国市場の需給が良くて金利が低止まり(という用語はない)しているこの機に2週目の短国買入を実施しないで短国買入のレギュラー化を止める」と思っていまして、(というかそういう駄文を書いたですな)まあ何となく市場もそう思う人が多かったと思うので、木曜は短国買入無しだなと思っていたら短国買入1000億円実施、となりまして????という感じでしたが、さらに3Mの落札利回りが低下したのを受けても1000億円という申し訳程度の短国買入は実施してきた、という結果になりましたな。
そうなりますと、これは「短国買入をいきなりイレギュラー化するのはさすがにインパクトがあるのでまずは毎週実施という線は崩さないで、1回の買入は(需給が良くて金利が低いこの隙に)1000億円に減額しましょ」という事ではあるのですが、ではなぜわざわざ1日ずらしたかという話になると、これはもう「入札翌日の買入をするのが暗黙の了解ではありません」というのを示すためにやりました、という解釈をするしかありませんな、という事になりますな(個人の感想です)。
まー昨日ネタにしたインドネシアでの黒田総裁インタビューにもありますように、既に「量の上げ下げ」は政策とは直接は関係ない(金利コントロールをするための道具として上げ下げが行われるという意味では関係ありますけど)という話に有耶無耶のうちに(正確にはYCC導入以降だましだまし形骸化して行ってる)なってしまいましたので、量的買入のターゲットがあった時のように「新発債が出たら民間投資家が買う前に日銀が買ってしまえヒャッハー(ただし当日買うと日銀引き受けという話になるので翌日)」とやる必要は無くなったし、むしろ新発長期国債の日銀引き受け類似行為は如何なものかという筋論から考えたら翌日にやるのは宜しくないという話になりますので、これで来月から輪番の日程(を出すのかどうかというネタもあるのだが後述)で入札翌日に当該ゾーンの輪番を入れない、というのが出ればそれはそれで面白いというか、量じゃないよ金利だよというのを示しながら量をもうちょっと減らせるようになるかも知れませんな。
#とかいってたら別に何もなかったりすると何のために短国いじったんだという話になるが
でまあ昨日の日経朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36511700V11C18A0EN2000/
国債オペ「見直し」観測 実施日や回数変更/予定非公開化
2018/10/15 21:08日本経済新聞 電子版
『日銀が金利変動など国債市場の活性化を狙って買い入れオペ(公開市場操作)のやり方を見直すとの思惑が債券市場で浮上している。金融緩和策を修正してから2カ月半が経過したが、市場機能は低い状態が続く。物価目標の達成が見えず、追加の政策修正には動きにくい。金融政策決定会合の議決が原則いらないオペの工夫は、市場機能を改善するための数少ない手段となっている。』(上記URL先より)
例によって有料会員向け文章の方が圧倒的に多いのですが、昨日の日経本紙を見ますと、その中で「日銀幹部」の発言として「市場が日銀のオペばかり見て動いているのは異常な状態(手元に本紙がないので意訳)」というのがあったと伝えられていますが、この「日銀幹部」先生、ギャグで言ってるんじゃ無かったらさすがにお前は何を言ってるんだという話で、オペで金利の動きをコントロールしようとしていますけれども、固定相場じゃないですよ、って言ってるんだから、そらどこでオペの弾が飛んでくるのかよく分からんという状態になっている中で日銀のオペしか見ないで相場が形成されるの当たり前じゃんと思うのですよ。オペをもっと物凄く減らしてからそういう事は言って頂きたいものですな(−−メ
でまあロイターの方での市場コメントでも同じネタが登場していまして・・・・・・・
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL3N1WW2I3
2018年10月16日 / 15:12 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小反落、日銀オペ運営見直し観測が浮上
『<15:08> 国債先物は小反落、日銀オペ運営見直し観測が浮上
長期国債先物は小反落で引けた。円高・株安の流れが一服したことで売りが優勢になった。ただ、日経平均株価が200円超の大幅反発する場面でも国債先物の下げは限定的で、感応度は鈍かった。
現物債市場で金利は小幅上昇した。先物安に連動したことや18日に20年債入札を控えていることが影響した。無難な結果に収まった5年債入札を材料視する動きは限られた。日銀が23日に開催する「市場調節に関する懇談会」を前に、国債買い入れ運営の見直し観測が浮上していることも買い手控えにつながったとの見方が出ていた。』(上記URL先より)
ということで、さっきの日経新聞16日朝刊の方ではオペの見直しとして「買入予定日の事前公表の廃止」とか「回数の調整(=減らす)」とか出ていましたが、元々買い入れ予定日の事前公表ってのも以前中期輪番の突如スキップからの金利急上昇からのインザマネーで指値オペ実施というオペ自作自演の大炎上の後に調節懇で示されたというのがあるので、これを戻すのも調節懇で出ますかそうですかという話ではありますけど、回数とかまで調節懇で出すんかいなというのはどうなんでしょうね。
ただまあ何ですな、今般長期金利の変動幅拡大容認というのをやったのですが、いきなり打った臨時輪番ですっかり市場の皆さんションボリーヌになってしまい、まあ冷静に考えてそんなに売り叩く玉も無いし、大体からして物価2%が見通せないのに出口という訳にもいかないし、政府はタオルを投げてくる雰囲気も無いし、となるとまーた無駄にダラダラ政策続くという見込みになりますから、そらまあ動くったって限界ある上にオペのタマの飛び方がイマイチ読みにくい(8月地蔵だったのに9月に急に積極的に減らすとか)ので、そら動くに動けんわという話になりますよね。
となりまして、まーここもとすっかりウゴカンチ会長な相場が戻ってきた訳ですが、しかもこれが「変動幅拡大容認したのにこれかよ」という話で、単に10年の位置がちょっとシフトしただけで、ウゴカンチ会長なのはウゴカンチ会長のまま。でもってまあ確かに輪番の日程を非公表にしていつ飛んでくるか分からんという状態にすれば、そらまあ予想が当たった外れたと言ってボラはちったあ出るかもしれませんし、入札の前後にオペが入るか入らんか出たとこ勝負でそれこそ壺振りでもして決められるようになったら入札がイベントリスク化するのでボラも出るでしょ、とは思いますけど、それって別に本質的な市場機能の回復ではなく、むしろ(引用元URL先には記載されていませんが昨日の日経本紙の方にあった)日銀幹部さんのいう「市場は日銀のオペばかり見ている状態」というのが一層顕著になってくるだけであって、それでボラが出たとか言って喜ぶものではないと思うんですよね。
#以前は日程出すの止めたらと思ったのですが、いざ変動幅拡大してこれだと日程の公表非公表に本質的な意味をあまり感じなくなってきたというのがありまして・・・・・・・・・・
あとたぶん巷間取りざたされているものとしては「超長期の買入バケットの一本化」とかいうのもあるようですが、これ「前日比利回り較差」方式で入札すると、基本的には対象年限の両端しか入らないということになる(今は日銀が買いすぎていて入れられるものが無いから主にカレントが入るけど)ので、保有銘柄の残存期間のコントロールが難しくなる気がするのでどうなんでしょという気はだいぶします。20年が需給上浮きやすくなるからそこの投資家ニッコリかも知れんけど。
その他幾つかあるようですがちょっと頭整理しないといけないのでとりあえずパス。まあいずれにせよ来週注目となりますと今週は動けませんなあ・・・・・・・・・・・・・
市場のレビューに戻りまして、
『長期国債先物中心限月12月限の大引けは、前営業日比4銭安の150円16銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は、前営業日比0.5bp上昇の0.145%。短期金融市場では、無担保コール翌日物はマイナス0.030─マイナス0.080%を中心に取引された。準備預金の積み明けで、金融機関の資金調達意欲は弱かった。レポ(現金担保付債券貸借取引)GCT+1レートはマイナス0.138%にマイナス幅を拡大。ユーロ円TIBOR(東京銀行間取引金利)3カ月物は0.050%の横ばい。ユーロ円3カ月金利先物は動意薄。日銀による国庫短期証券(TB)の買い入れは弱い結果で、1年物を中心に売却されたとの見方があった。』(上記URL先より)
ということで、短国買入は1年ものを入れに行くような感じになっていますが、3Mはベーシススワップ絡みで需要がウホウホとあるらしいので順当ですな、というか3Mってそっちの需要で需給が盛大にぶれます一方で、1Yとか6Mってその手の買いがそこまで無い(キャッシュ代替での買いはあるけど)ので、まあ今の需給ではそうなるんでしょうなということですかな。
〇総裁講演が出ていましたが時間がない(超大汗)
今日はそもそも論としてグーグルクローム先生のご機嫌が麗しくなく(ってかブラウザーが一々重いの何とかならんのか)手が遅くなってしまってネタがあまり消化できない(FOMC記者会見ネタェ・・・・・・)のですがこんなん出てましてね。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko181016a.htm/
【講演】
グローバル化と金融政策
BISアジア事務所開設20周年記念シンポジウムにおけるパネリスト・スピーチの邦訳
本文はこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko181016a.pdf
グローバル化と金融政策
BISアジア事務所開設20周年記念シンポジウムにおけるパネリスト・スピーチの邦訳
(2018年10月15日、香港)
まあ何かこうおお!というようなものがある訳でもないのですが、グローバル化の影響でインフレ率にもたらす影響がどうのこうのとありまして、
『第3に、グローバル化がインフレ率に及ぼす短期的な影響と長期的な影響を区別することが重要です。輸入物価の変動はインフレ率に短期的な影響しか与えませんし、インフレ率のトレンド的な動きに対するグローバルな要因の影響度が高まっているという実証結果はほとんどありません4。』
ほう。
『インフレ率のトレンドは、多くの国において、主に国内要因、とりわけ長期的なインフレ予想の影響を受けてきました。近い将来のインフレ予想はインフレ率の実績値に左右されますが、遠い将来のインフレ予想は結局のところ何らかのアンカー(錨)によって決められるとの考え方が一般的です。』
ほー。
『この最後の点は、金融政策が海外からのショックの波及という困難な状況にどう対応し得るか、という問いへの一つの答えにもつながります。』
はあ。
『すなわち、中央銀行による明確で信頼性の高いコミュニケーションが行われ、より強くアンカーされたインフレ予想を保つことが、海外からのショックの波及に対応する一つの方法になるということです。』
えーっとお前さんの所は明確で信頼性の高いコミュニケーションとやらでフォワードルッキングな期待形成がうまくいかないとかゆうとりませんでしたっけ??
『もちろん、新興国の中央銀行が資本フローや為替レートの激しい変動の影響を相対的に受けやすく、より困難な状況に直面していることは承知しています。しかしながら、今月初めに公表されたIMFの
World Economic Outlook の中で示されているように5、新興国におけるインフレ予想のアンカー度合いは、この
20 年間で顕著に改善しています。また、アンカー度合いがさらに改善すれば、インフレ率の変動の持続性や為替レートの国内物価へのパススルーを弱めることなどを通じて、海外からのショックに対する経済の耐性を強められることも示されています。』
『ここで、アジア通貨危機の震源地であったタイの例に簡単に触れておきましょう。危機の後、タイでは、変動為替相場制とフレキシブルなインフレーション・ターゲティングの政策枠組みに移行し、金融政策が中央銀行によって独立して運営される法的な枠組みも確立しました。危機後の
20 年間を通じて、物価の安定という面では総じて優れた成果が上がり、近年では高インフレよりもむしろ低インフレの問題と格闘しています。
』
というお話がしらっとあったのですが、インフレ期待のアンカーがどうのこうのという話は、確かに新興国向けには結構な話なのですが、それお前の所はどうなってるんだという話になった時に墓穴を掘っているようにしか読めないのでもうちょっと話のネタを工夫した方が良いのではないかとは思いました。
#まあそういうパネルで話をさせられているんだから仕方ない面がありますが・・・・・・・・・
2018/10/16
お題「黒田総裁の外遊発言にツッコミ少々/短国買入どうするの/今更FOMC会見ネタ(しかもその1)」
https://jp.reuters.com/article/saudi-politics-dissident-report-idJPKCN1MP2F2
2018年10月16日 / 04:56
サウジ、失踪記者の死亡認める報告書を準備=CNN
『[ワシントン 15日 ロイター] - サウジアラビアの反政府記者ジャマル・カショギ氏がトルコで行方不明になった問題で、サウジ当局は、同氏に取り調べを行ったところ誤って死亡させたとする報告書を準備しているという。米CNNが15日、匿名の関係筋2人の話として伝えた。』(上記URL先より)
「取り調べを行ったところ誤って死亡させた」というのは言い訳になるのか?????
でもって米国市場ですが、
https://jp.reuters.com/article/idJPL3N1WV4RQ?il=0
2018年10月16日 / 05:06 /
米金融・債券市場=利回り上昇、乱高下一服との見方
https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPL3N1WV53E?il=0
2018年10月16日 / 05:31
米国株式市場=下落、ハイテク株に売り 金利上昇・企業業績巡る懸念で
株式市場が落ち着いたとみて金利が上がるとそれを見て株式市場が下落というお洒落なサイクルに入っていますな。
〇海外で口が緩む黒田総裁ですがバリ島ではどうだったでしょうか
・ブルームバーグインタビュー
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-14/PGLY4I6TTDS001
出口の兆候、国債利回り注視を−日銀の黒田総裁
竹生悠子、Kathleen Hays
2018年10月15日 6:24 JST 更新日時 2018年10月15日 11:44 JST
昨日は朝来たらこんなヘッドラインが出ていて(って朝のうちに気が付けよというツッコミはしないで頂きたい)、なんじゃこの謎のヘッドラインと思ったら・・・・・・・・・
『日本銀行の黒田東彦総裁は、長年に及ぶ金融緩和からの出口戦略開始の準備が整ったと示唆する最初の兆候は資産購入ではなく、国債利回りに表れるだろうと述べた。』(上記URL先より、以下同様)
何か一読して何を言いたいのかよく分からんのだが以下記事を読み進めてみるとこれは単に「国債買入のペース縮小は出口政策と関係ない」と言っているだけだと気が付く。
『黒田総裁はインドネシア・バリ島でブルームバーグ・テレビジョンのインタビューに英語で答えた。日銀が出口に向かうことを知らせる方法について問われ、「2%物価上昇率が達成されたり、達成が近づいたりした場合は当然、金利目標を変更することがありうる」と説明。「現時点では、物価上昇率は1%にすぎず、現行の長短金利水準で金利操作を継続する」とも述べた。』
そらそうだ。
『金利変更が出口戦略の開始の明確な合図になるとする黒田総裁の意図を確認する追加質問に対しては、「その通りだ」と話した。』
そらそうだ。でもって途中を飛ばして
『黒田総裁は出口を示唆する可能性がある兆候を探すなら国債購入額ではなく、イールドカーブコントロールに焦点を絞るべきだと指摘し、「イールドカーブコントロールだけだ」と発言。「国債購入額はもはや金融オペレーションのターゲットではない」と述べた。』
ということで、まあこれをそのまま文字通り解釈すると、「国債買入はバンバン減っても出口でも何でもありませんあくまでも金利ターゲットを達成するための道具ですから」というお話になって、まあ何とかスト方面からは、金利目標の引き上げ=出口政策示唆という事が明確に示されたので、出口の可能性が無ければ金利目標は上がらないというハードルの高さを示した、という講釈がいくつか出ていて、そらまあ今時点で言えば2%いつ行くのかワカランチ会長な状態な訳ですから、別に物価が行くことを理由にして出口政策の方向で金利が上がるとか考える必要はサラサラないのでそれはそうとも言えますが、だったら何で7月に「柔軟化」を行って金利ターゲットは変えていないけれども市場金利の方は実際には10年が恒常的に0.1%に乗った水準で推移させているのを放置プレイにしているのか、と考えますと、「金利が変わると出口戦略の明確な合図(=だから出口戦略になるまで金利を変えない)」という説明をしているけど実際の運用上金利上昇容認してるのはあれ何なんでしょという話になる(ちなみに日銀に聞くと「目標は変わっていません、あまりにも金利を固定化しすぎないように問題ない程度での振れを容認しているだけです」という答えが返ってくる見込み)のですけどね、
つーわけで、これは「金利をそう簡単に変えませんよ」というのはそらまあ現時点で当たり前の話であって、むしろこれって「国債買入バンバン減らすぜヒャッハー」という意味を取りに行った方が良いのではないかと思いますが、国債買入が減るから金利が上がるかというとこれがまたややこしい話で、追加緩和がどうのこうのとかいう置物一派の残滓が3体ほど転がっておりますところの日本銀行政策委員会としては(櫻井さんは置物一派かと思っていたらすっかり執行部の忠実な鉄砲玉になっている)「オペ減らして金利が上がりました」となると残滓どもが五月蠅いので、「海外経済などが好調で市場の金利が上がりました」とか「日本の物価先行きの期待から市場の金利が上がりました」ということにしたいでしょうということで、オペ減額ヒャッハーといって売り込むというのも早計ですし、まあ減額が見えているだけに余程の材料なら別でしょうけれども、多少のネタでは金利をバンバン買い進むというわけにもいかず、となりますとそらもうウゴカンチ会長相場になりますわなという所ですな、ナムナム。
・消費増税の影響が小さいんだったらフォワードガイダンスの文言は何なのかと小一時間問い詰めたい
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20181014-OYT1T50071.html
日銀総裁、消費増税「景気に大きな悪影響ない」
2018年10月14日 18時10分
『【ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)=山本貴徳】日本銀行の黒田東彦総裁は14日、消費税率10%への引き上げについて、「景気に大きな悪影響があるとは思わない」と述べた。飲食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率の導入などにより、家計の負担が抑制されるためだ。インドネシアで開かれた金融セミナーで述べた。黒田氏は、軽減税率のほか、増える税収の半分が教育無償化に使われることを挙げ、「悪影響は(5%から8%に引き上げた)前回増税時の4分の1になる」との試算を示した。』(上記URL先より)
>景気に大きな悪影響があるとは思わない
>景気に大きな悪影響があるとは思わない
>景気に大きな悪影響があるとは思わない
さてここで声明文のフォワードガイダンスを確認してみましょう。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180919a.pdf
項番5の一部になりますな。
『政策金利については、2019年 10 月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している(注3)。』(8月決定会合声明文より)
となっている訳ですが、景気に大きな影響があるとは思わないのに何で「消費税率引き上げの影響」という文言を含めたのかというのがもうグダグダにもほどがあるわというお話ではございますな。まあどうせ日銀に小一時間質問しても「消費税率引き上げというのは不確実性の具体的に分かりやすい例として出したもので、実際には様々な不確実性が消費税率引き上げ以外にもあって、不確実性が高いと見込まれる状態で軽々しく利上げをすることはない、というのを示した文言です」とか「消費税率引き上げの影響は前回ほど大きいとは考えていないので大きな悪影響があるとは思わないというのは事実。ただし前回は予想外に影響が大きかったように、今回も何らかの要因が重なって大きな影響になるかも知れないのでその点を不確実性として考えている」とか何とか想定問答の理屈が瞬間的にホイホイと浮かんでくるので小一時間問い詰めても何も出てこないのですけれども。
でまあ日銀の理屈(屁理屈)は理屈としましても、フォワードガイダンスの中で消費増税の影響というのを殊更に日銀は示している以上、こういう話をしらっとされてしまうとナンジャソラという話になりますので、そこはせめて「計算上は前回よりも影響が小さいとみられるが、消費者心理などへの影響が大きい可能性もあるので慎重に動向を見ていきたい」とか言っておけよと思うのですけれども、まあ黒田さんがそうは言わないキャラクターなので仕方ありませんな。
〇ところで今日は短国買入やるんかいの
昨日は輪番無し入札無しデーでして、前週および前々週同様に「3M入札の翌営業日(3Mの翌営業日に6Mをやったので前々週は6Mの翌営業日ですが)ではなくその次の営業日に短国買入」を踏襲して月曜の短国買入も行われませんでしたな。
でもって本日なのですが、昨日も申し上げましたように先週の3M短国ちゃんは益々強い結果になっておりまして、更に短国買入する意味あるのかという感じになっているのですが、また1000億円やるのか今回こそパスするのかというのはちょっとだけ気にしています。もしかしたら先週の場合は6Mがあったから買入をしたけれども、今回は3Mしかないから買入をパスして、1Y3Mと続く翌々営業日の23日の時に短国買入を実施するとか、そういうスケジュールでも考えているんですかねえ。
まーいずれにせよ短国買入自体MBの帳尻という意味も薄れているのですからバンバン削減して行っても何ら問題は無いので残高0を目標にしていただきたい(ディレクティブに短国買入の話は無いのだから0にしてもディレクティブ違反ではない)と思う次第。なおマイナス金利政策のせいで短期市場での純粋なキャッシュ運用という種族は滅亡してしまいまして、辛うじて制度上必要なこともあり生かされているのがMRFという状態になっておりまして、覆水盆に返らずとはよく言ったものであります。
あとオペといえば点数表が公開されましたな。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/data/rel181012b.pdf
金融市場調節取引におけるオファー停止、対象先除外等の措置について
〇いまさらジローなネタですがのんびりとFOMC後の会見でも鑑賞していこうかと(たぶんその1)
実はこの前(10/3)のパウエル講演で結構論点が出てしまっているような気がだいぶ漂っておりまして、なんか今更9月25日の会見ネタってどうなのという気は全力でするのですが、読んだものをお蔵入りさせるのも何なので俺様メモも兼ねて少々。
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180926.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference
September 26, 2018
・言語明瞭意味は明瞭な時と不明瞭な時があるという感じですかね
パウエル議長の会見、だいたいパウエルおじさんのパターンが確立されてきた感がありますが、質問に対して割とノリが良く言語明瞭に返すし、なんかその場で色々と考えてます感が思いっきり漂うのですが、意味に関しては明快に答えている時と明快だけど中身がない時に2分されるという感じに思ったのですがどうなんでしょ。
ということで最初の質問ですけど。
『NICK TIMIRAOS. Thank you. Nick Timiraos, the Wall Street Journal. Chair
Powell, given the lags of monetary policy, I want to know how you think
about ending the tightening cycle? How will you know when to stop? And
do you need to keep going until something in the economy breaks? 』
婉曲に中立金利水準の質問をしたとも読めますがその答えは、
『CHAIRMAN POWELL. So the tightening cycle, as you know, is a reflection
of the strength of the economy. And it’s almost three years now that we’ve
been gradually raising rates. And I think the fact that we have moved quite
gradually, in a way, allows us to carefully watch incoming data in the
real economy and in the financial markets to see how the economy is processing
higher interest rates. And the fact that we’re moving so gradually-I think
it-I think it limits the long and variable lags problem because, you know,
we’re being able to raise rates and then wait and see how the economy
absorbs these rate increases. And so far, the economy has performed very
well and very much in keeping with our expectations. 』
ということで、経済の強さを見ながらやっているが今の所はまだ緩和的という説明にとどめていて、ああでもないこうでもないと説明しているのですが、肝心の「どこで緩和をストップするのか」「政策が引き締めに転じたというのをどう判断するのか」という質問に対してはナマコのような答え(経済を見て判断)しか返って来ませんな。
・さほど政治圧力への質問は無かったのですが政治向きネタにはきっちり返す
その次。
『JIM PUZZANGHERA. Hi, Jim Puzzanghera from the L.A. Times. President Trump
has stated publicly he’s not thrilled with the interest rate hikes. His
comments didn’t appear to have any impact on you or your colleagues. Were
his comments discussed at your meeting? And do you have any concerns about
the effect of these types of comments on the perception of the Fed’s independence
and your monetary policy?』
もし今日あたりに会見が設定されていたらもっとバシバシ質問されていたかもしれませんね。
『CHAIRMAN POWELL. So we’ve been given a really important job to do on
behalf of the American people by Congress, and we’ve been given the tools
to do it, and my colleagues and I are focused exclusively on carrying
out that mission.』
こういう所は当たり前だがナマコ返答はしない。
『We consider the best thinking, the best theory, and the best evidence.
We have disparate points of view, which we debate extensively and come
to a perspective and try to set monetary policy to achieve maximum employment
in a context of price stability. That’s what we do. We don’t consider
political factors or things like that. And so that’s who we are, that’s
what we do, and that’s just the way it’s always going to be for us. 』
当然ちゃあ当然の答えですけれども、こちらの職分でベストを尽くしています、という答え。まあこの会見と関係はありませんが、置物一派の皆様におかれましては「We
consider the best thinking, the best theory, and the best evidence.」というのを額に飾って10万回くらい復唱して頂きまして、胸に手を当ててよく考えて頂きたいものだと思います。
・金融環境、社債スプレッドや株価に関して&利上げの最終レートに関して
その次の質問です。
『STEVE LIESMAN. Steve Liesman, CNBC. Thank you, Mr. Chairman. Can you
explain how-the stock market being at a near all-time high, corporate spreads
being very tight-how does the level of the market factor into your decisions
to raise interest rates? 』
利上げの際に金融市場の状況をどの位気にしていますかという良い質問だが、オ・スンファンの石直球という所でして、もう少し手加減をした方が良いのでは。
『Is there a concern on your part? And then, as sort of a second and related
part, can you tell us whathappens in 2020 and 2021 that-I know you can’t
tell us when you’re shaking your head [laughter]-that prompts-that prompts
you-the Fed to think that the rates need to still be above neutral in that
time period? Thank you. 』
後半がSEPのドットに関してですな。
『CHAIRMAN POWELL. Sure. So in terms of financial markets and monetary
policy, we-as we say in our statement every cycle, we do take financial
conditions into consideration because financial-broader financial conditions
do affect the broader economy, and they’re one of the many things that
we take into account. The part of it that we control, though, is what we
do with the federal funds rate and that has-that has effects out through,
you know, out through the full interest rate curve and into financial asset
prices generally. So the answer is, we take everything into account, but,
you know, broader financial conditions are just one of the things that
we take into account. 』
前半は一般的な答えでスルーしやがりましたな。説明自体は(画像をちゃんとみてないけど)相手の質問を尊重して答えているような言い方をしながらも一般的な説明で逃げるという割とうまいっつーかズルいっつーかな感じっすね。
『In terms of ’20 and ’21, why-your question was why the funds rate needs
to be above neutral? So you’re right.』
こんな感じで相手の質問を確認するのが前の人たちよりもかなり目立つのがパウエル流。
『Some of-some of the participants have mostly very modest overshoots of
their personal estimates of neutral a couple-three years out. You know,
it’s far out into the future. I think it’s hard to be confident that
that’s-that that’s the way things are going to be. What we’re going
to be doing as we-as we go through time is asking at every meeting whether
monetary policy is set to achieve our goals. And I think that that’s an
assessment of where policy will need to be some years down the road, and
I’ll leave it at that.』
ということで、中立よりもやや高い所まで金利引き上げをするとみているのはその通りです、という話をしているのですが、それに続いて「まあゆうても先の話はよー分からんから今から決め打ち致しかねるので今後変わっていくかもよ」という説明をしていまして、これはSEPにおけるドットチャートの在り方については、特に政策が中立に近くなってきた時には再考の余地があることを示しているようにも読み取れますな。
#全部やっていたら延々と終わらないのですが、まあこの調子で円債のネタも乏しいのでやっていきますこの人はこの人で会見に味があるな、と今の所は思っています(そんなに歴代詳しくないけどイエレンが一番真摯な感じがします)
2018/10/15
お題「櫻井さんの金懇会見は「隙あらばドクトリン変更」もあるかなあとは思うけど・・・・・(バイアス入りの個人の感想です)」
悪いことが起きる予感しかしない・・・・・・・・・
https://www.asahi.com/articles/ASLBF4WW2LBFUTFK007.html
片山さつき氏「地方創生は愛・感動、I can do」
2018年10月13日21時46分
〇櫻井審議委員会見である
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2018/kk181012a.pdf
最初の2ページくらいが延々と想定問答大会になっているのですが、そのあとからまいります。
・2013年ドクトリンからの変化に関する話をして頂けると大変に楽しくなりそうなのだが
『(問) 本日の懇談会の講演の中で、物価安定目標のみを重視して過大な需要超過を政策的に作り出すことは、金融システム上の不安定性を高める可能性があるというご指摘をされていると思います。これは、2%の物価目標の達成前でも、現在の極めて低い金利水準を引き上げるなり、緩和度合いを調整するべきだというお考えを示したという理解でよいでしょうか。』
まあ何ですな、この質問するなら「ここから調整」という話よりも「枠組み」という形で質問をして頂きたいとは思ったりするのよ。もちろん話の持って行き方が難しいのはそうなのですけど。
つまりですね、櫻井さんのいう「物価安定目標のみを重視して過大な需要超過を政策的に作り出すことは、金融システム上の不安定性を高める可能性がある」という指摘っていうのは、(金曜日も申し上げましたけれども)2013年のQQE導入時点でのアプローチとは異なる訳でして、アプローチが異なっているのに「QQE」の文言に相当する「量的質的金融緩和政策」という表示が適切なのか、QQE時点で重視していたマネタリーベースの大規模な拡大を示す「80兆円」文言やオーバーシュート型コミットメントが適切なのか、という方面でツッコミを入れて頂きたいなあ、とまあ思う訳ですが、そこで櫻井さんのお答え。
『(答) 現段階では、今回の講演でも述べさせて頂きましたが、7月の展望レポートでこれまでの物価動向を分析した結果、需給ギャップ以外の様々な構造的な要因や、履歴効果がかなり効いており、物価上昇に遅れが出ているのだろうと私は理解しています。』
もともと7月は「何で物価が上がらんのかという話をする」回という扱いになっていたのに、そこにフォワードガイダンスとオペの変動幅拡大(本来は解釈論で可能だったのですが指値を連発しちゃったのでこうなった)を入れる方が著名になってしまいましたが、どうも櫻井さんの金懇挨拶の説明と、こちらでの説明を見ますと、ドクトリンがしらっと変更になっているのを例によってダマテンでやっていて、しかも元々の2013年ドクトリンを廃止しないで新ドクトリンを屋上に屋を架すような形でぶっこんでいるからもはや何が何だか分からんという枠組みになっておりますな。
『2%の物価安定の目標の達成には、多少時間が掛かるということが確かなことになってきたわけです。早くに達成できればそれに越したことはないですが、想定していたよりは時間が掛かっています。このため、現在の需給ギャップがプラスになっている状況をなるべく維持して、その効果を待つということではないかと思います。』
これは(あとでも出てきますが)明らかに「物価目標の達成が遅れるというだけの理由では追加緩和をしない」という話ですな。
『時間が掛かるということをもって調整を早めるとか、そういう段階ではまだないと思います。今後、実体経済の動きや物価の動向をじっくりとみていくことが必要な状況なのではないかと考えています。』
・枠組み変更と聞くのも難しいので手を替えて質問が来たら思いっきり2013ドクトリンを否定する答弁が登場の巻
『(問) 講演の最後の方で、不確実性の下での金融政策は慎重に実行することが適当との指摘について、大変示唆に富むと語っていらっしゃいます。これは物価の伸び難い国内環境を考えれば、緩和政策はもう少し抑制的にやっていった方が良いのではないかということなのでしょうか。』
「もう少し抑制的に」ってのが中々味わいのある質問の仕方で良いですな。
『(答) 先程申し上げた通り、物価が2%に向かっていくという、例えば5年前から考えていたことでみると、そのときには考えられなかった不確実性、すなわち構造要因だとか、ヒステリシスの要因だとかが出てきて、物価上昇が遅れてきています。』
だったら2013ドクトリンの検証もした方が良いのでは、という話はさておきここから先の屁理屈展開が中々味わいがある。
『すなわち、金融政策と物価の関係にかなり不確実性が入ってきていると思います。』
>金融政策と物価の関係にかなり不確実性が入ってきていると思います
>金融政策と物価の関係にかなり不確実性が入ってきていると思います
>金融政策と物価の関係にかなり不確実性が入ってきていると思います
マネタリーベース直線一気理論の皆さんに置かれましてはこの説明に対する所感をお伺いしたい。
『不確実性が高くなってきている部分について考えてみると、金融政策と物価との関係には特に不確実性が出てきている一方で、例えば金融政策と需給ギャップとの関係には、それほど高い不確実性はないだろうと考えています。』
金融緩和は需給ギャップの改善には寄与したが、需給ギャップ改善から物価に繋がる波及経路に対して、適合的期待形成による履歴効果があり、構造要因があり、ということのようですが、ここでマネタリーベース置物直線一気理論の巨匠の示したポンチ絵を確認しましょう(しつこい)。
言うまでもありませんが6ページ目のスライド、PDFでは7枚目になります。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130828a2.pdf
「量的・質的金融緩和」のトランスミッション・メカニズム -「第一の矢」の考え方-京都商工会議所における講演
日本銀行副総裁 岩田 規久男
2013年8月28日
需給ギャップって物凄く中間の所に入っているのですが、ここからドクトリン変わったというのは(ダマテンで変えるとか落とし前付けに池やゴルァとかいうのはさておいて考えたとしても)それはそれで分かったのだが、QQEからの需給ギャップに繋がる道というのはどういうものなのか、その効果は何によって来ているのか、というのを改めて説明して頂きたいものだと思う訳ですよ。
すくなくとも(事実上骨抜きとはいえ)「日本銀行副総裁」がポンチ絵もとい図表までつかって説明していたルートって元々「予想インフレ率上昇」という図表の最初の部分でコケている訳でして、では予想インフレ率が上昇しないのに需給ギャップがなぜ改善しているのか、という話はきちんと説明していただきませんと、日銀副総裁様によるこの図表が公的に死んでいる訳ではないのですから、きちんと落とし前をつけていただきたいものだ、と斯様にアタクシは思うのでありまする。
『従って、政策効果に不確実性が高いものに関してあまり大胆な政策をとる必要はないだろうということです。』
>政策効果に不確実性が高いものに関してあまり大胆な政策をとる必要はないだろうということです
>政策効果に不確実性が高いものに関してあまり大胆な政策をとる必要はないだろうということです
>政策効果に不確実性が高いものに関してあまり大胆な政策をとる必要はないだろうということです
2%物価目標を早期に達成するために必要な大胆な金融政策を実施した、という話になっていた筈なのですが、これは思いっきり露骨に2013年ドクトリンを否定しておりますな、しかしこれだけ否定しているのにどの面下げて置物一派って置物理論で相変わらずやっているのかというか、これで政策委員会の会話が成立しうるのかと疑問に思ってしまいますな。
『現在でも実はかなり強い金融緩和政策を採っておりますので、これ以上強くする必要はなく、暫くは現在の緩和をしっかりと維持することによって、その動向を見守ることが大事だろうという趣旨です。』
当初はこの方リフレ派繋がりでノミネートされていた筈なのですが、この普通に普通の説明をするというのが何でこうなったのかというのは不思議ちゃんでして、どういう心境なのかお話をトックリとお伺いしたいですいやマジで。
でもってこの直後にこの質問ですがそらそうよという答えですけど、これはどう見てもリフレの方々とは一線を画しまくっているという答え。
『(問) 今言われた「大胆な政策をとる必要がない」というのは、今の時点で追加緩和をやる必要がないと、そういう理解でよろしいでしょうか。』
『(答) 現時点では、もちろん先行きの不確実性は抱えているのですが、実体経済は比較的順調に回復をしてきているということだと思いますので、これ以上に強い緩和をする必要があるかというと、現段階ではないだろうというのが今の考え方です。』
そらそうよ。
・金融不均衡とか副作用の蓄積に関する質疑はそらまああんまり答えんわな
次の質疑。
『(問) 講演の中で、やみくもに物価安定の目標を目指しても不均衡を高めるということを踏まえ、足もとでは需給ギャップのプラスを維持していく、と述べられています。この点について、例えば不均衡が高まったと判断できそうな状況――その判断も難しいとは思うのですけれども――において、金利とか量とか色々ある中で具体的に何をすべきだとお考えでしょうか。』
質問する方も質問が難しい金融不均衡論。
『(答) 不均衡の判断自体、大変難しいと思いますが、現在の需給ギャップはもちろん不均衡ではなく、かなり均衡状態に近いだろうと思っています。すなわち、需給ギャップ自体が推定値、計算値であり、多少の誤差はあるだろうと思っておりますので、ほぼプラスになっているといっても、大きなプラスとは考えていません。従って、今後不均衡が拡大するかということは、需給ギャップがそれ以上に大きく、過大になっていくことを懸念するかどうかということになります。現在はもちろんそういう状況にはないので、今後はその点を慎重にウォッチしていくということだろうと思います。』
そう来たか。
『不均衡が高まったときにどうするかといいますと、不均衡には2種類ありまして、上振れリスク――需給ギャップがかなり過大になっていく場合――もあれば、逆に下振れリスク――需給ギャップが小さくなってマイナスになる場合――もあるので、そのときの状況に応じて、政策の方向を考えていくということだと思います。そのときには、考え得る色々な手段の組み合わせを考えていけば良いと思っています。』
ということで金融面の不均衡という話は華麗にスルー。
よって後の方になりますが別の手からの質問が。
『(問) 本日の講演の中でも、今の金融緩和策の中での金融機関へのリスクに言及されていると思います。今の金融緩和のもとでも、金融機関が収益的に厳しくなっているというご認識はあると思いますが、その点、どこまでであれば耐えられるのか、どこまで長く続けられるとお考えですか。』
とりあえずマイナス金利撤回してもうちょっと金利を立たせないとリームーです(心の叫び)。
『(答) 現時点で、金融システムは、個別行の問題はともかくとして、一般論としていえば健全性は保たれていると基本的に思っています。もちろん、こうした金融情勢の下で、収益が上がりにくいのは事実でして、累積的な効果がたまってくるだろう、このままいけばそういう方向に進むと思います。』
いやいやいやそうのんびりしている場合でもないんだが。
『しかし、現時点では自己資本や流動性は十分にあり、喫緊の対応の必要性は全くなく、その点では安定性は保たれていると考えています。』
日銀の公式もこういう説明になっているのですが、そもそも論として預貸業務中心のビジネスモデルになっておりますところの金融機関というのは、ストック商売なのであって、ストックの上がりというのは過去からの累積によって現に存在する資産がストックなのでありますからして、その過去からの蓄積の上りがどうのこうのという話ですから、「喫緊の対応の必要性」が出るようなときってのは既に金融機関のストックがズタボロになっているということを意味しますので、そこで対応するとか言っても既にストックがズタボロになっているのがそう簡単に改善する訳ではなくて、物凄い時間が掛かることになるんですよね。
つまり、フロー商売だったりその場その場でトレーディング損益って話じゃないところで銀行のビジネスモデルって基本は回っているので、「問題が顕現化したとき」というのはそれはもう手の施しようがない位に悪化していますよという話だし、しかも外的ショックで不良資産がどどーんと発生みたいな急性じゃない中で慢性的に来るとなるとかなり厳しい状態になっているという事ではないか、とまあ思うのでありまして、FSRでどういう説明してくるのかわかりませんけど、「今の指標で大丈夫だから大丈夫」みたいな考え方以外のアプローチをお願いしたいですな。
『ただ、やはり、長くこういう状況が続くことを考えれば、収益が急激に改善することはなかなか考え難いですし、収益確保のためにある程度のリスクも抱えつつあると思いますので、その点も含めて、慎重にウォッチをしていくということが一番重要だろうと思います。モニタリングをしっかりとやっていくということだと思います。』
ということでよろしゅうに。
・目標達成の中長期化に関して
上記の質問にも関連しますが最後の所で。
『(問) 講演の最後のところで、時間を掛けて金融緩和を継続していくことが適当であると述べていますが、その前のところで、金融緩和を続けると金融とか経済の不均衡が蓄積されると述べており、「時間を掛けて」ということになりますと、一層副作用が累積されると思います。』
ですなあ。
『2%の物価安定の目標の達成に時間が掛かるということになると、目標達成に向けて緩和を続ければ、そこから副作用が生じますので、この際、2%という物価目標について、早期にではなく、中長期的な目標としていくということに関して、委員はどのようにお考えですか。』
ということで。
『(答) 2%の目標自体は、私は変える必要は全くないと今でも思っています。』
まあそう来るわな。
『目標達成に時間が掛かるということになりますと、副作用が生じてくるという問題はそのとおりであり、副作用と時間のバランスをしっかりと点検していくということが、金融緩和政策を続ける上で必要だと思います。』
ほほう。
『その点では、多少は今までと違う観点も入れながら、金融緩和を続けていくということだと思います。』
>多少は今までと違う観点も入れながら
>多少は今までと違う観点も入れながら
>多少は今までと違う観点も入れながら
しれっとドクトリン変更を示唆。
『基本はやはり、金融緩和政策を続けながら、2%の目標達成に向けて進んでいくということですが、物価変動プロセスに不確実性があることを踏まえると、目標達成時期がどのようになるかという予測が、なかなか今出来にくいということだろうと思います。当面現在の金融緩和政策を続けながら、副作用への目配りもきちんとしていくことが必要だろうと考えています。』
ということで、ドクトリン変更と言わずにどうやってドクトリンを変更するのか、みたいなインチキ臭いアレではあるのですが、まあそんなこと考えて執行部が鉄砲玉櫻井先生を投下してみました、という雰囲気は思いっきり感じることができました。
〇3MTDBとな(メモだけ)
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20181012.htm
(3)募入最低価格 100円07銭3厘0毛(募入最高利回り)(-0.2716%)
(4)募入最低価格における案分比率 40.2500%
(5)募入平均価格 100円07銭9厘1毛(募入平均利回り)(-0.2943%)
先週の3M787回が▲28.47bp/▲26.79bp、その前の3M786回が▲20.31bp/▲18.60bpという事で順調に金利が低下しているんですが、そうなると木曜に短国買入をやった意味がますます分からんということでして、やる必要がない短国買入何で入れたかね〜。
まあ輪番の上げ下げにしろ別に全部予告しろとは言わないのですが、なんかこう市場で「ここはさすがに来るだろう」みたいなもの(それを一般的に「織り込み済み」とかいう訳ですが)がある時にそこを外してみたり、市場があんまりケアーしていない時に奇襲減額してくるとか、いやそういうのでボラを出そうとしなくてもよいんですけど正直言って、とは思うのでありました。
#ということで市場ネタその他ネタ(短期市場サーベイが出ていたりFSBの仮想通貨ネタがでていたりと実は色々とある)をスルーして櫻井さん金懇会見ばっかでどうもすいません
2018/10/12
お題「櫻井審議委員金懇鑑賞/短国買入とな????」
えーっとですな、
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2018/03/01/kiji/20180301s00001173041000c.html
金本監督、“最強布陣”宣言「これまでのチームでは一番強い」
[ 2018年3月1日 05:30 ]
からの
https://www.asahi.com/articles/ASLBC3T85LBCPTQP006.html
阪神・金本監督が辞任 17年ぶり最下位「結果が全て」
2018年10月11日12時06分
とまあそういう風に展開したベースボール業界ですが、わが金融業界においては・・・・・・
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/ko141105a.htm/
2%の「物価安定の目標」の実現を確かなものに
きさらぎ会における講演
日本銀行総裁 黒田 東彦
2014年11月5日
『最後に昨年4月に言ったことをもう一度繰り返します。「物価安定の目標」を早期に実現するため「できることは何でもやる」。』(上記URL先より)
さてその後はどうなっているでしょうか・・・・・・・・・・・・・・?????
〇櫻井審議委員秋田金懇挨拶は誠に仰せの通りなのだがそれなら枠組みを見直せと小一時間
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/ko181011a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2018/data/ko181011a1.pdf
【挨拶】わが国の経済・物価情勢と金融政策 秋田県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 櫻井 眞 2018年10月11日
・後から出てきたのだがこれは微苦笑
ということで金懇挨拶なのですが、後から見たら最初の所にこんなのが。
『文中に一部誤りがありましたので、次のとおり訂正致しました(2018年10月11日):
2.内外経済の現状と先行き、(国内経済の先行き)の第2段落
(誤)2018年度に+1.6%となった後、
(正)2018年度に+1.5%となった後、』
事後なのはいただけませんが、このように数値の部分とかのチェックはちゃんと入っているというのが金懇挨拶の原稿である、ということは改めて確認できたのですけれども、それならそれでジンバブエ大先生の見るもアレな金懇挨拶に関してどうにかならんのかと思うわけで、「細かいことには正確だが大きなことは間違える」というポンニチクオリティを遺憾なく発揮しておられると思ってしまいました。そういや直近の金融財政事情か何だかにジンバブエ先生のゴミ文章が掲載されていましたがゴミを掲載すんなよと思ってしまいましたがな。
・鉄砲玉先生なので経済の話は割愛します
『日本銀行の櫻井でございます。本日は、秋田県の各界を代表する皆さまとの懇談の機会を賜りまして、誠にありがとうございます。また、皆さまには、日ごろより日本銀行秋田支店の業務運営に際して様々なご支援を頂いております。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。』
『本日は、皆さまから、当地経済に関するお話や、私どもの政策・業務運営についての忌憚のないご意見を承りたく存じます。まず、私から、国内外の経済動向や日本銀行の政策運営等について、私なりの見方も交えながらお話しさせて頂きます。』
ということで経済の話→物価の話→金融政策の話→さらに今後の金融政策の話、と続きますが、最初の所はすっ飛ばして物価の話から。
・物価が上がらん理由に「生産性の向上」を上げているという攻撃に出てきましたな
『3.物価の現状と先行き』の『現時点までの物価動向の変遷』ですけどね、
『続いて物価情勢についてお話しします。消費者物価(除く生鮮食品)は、前年比0%台後半の緩やかな伸びに止まっています(図表9)。消費者物価の上昇の遅れについては、単純な需要不足による物価上昇の遅れとは考えづらく、需要面以外の多様な要因が関係していると思います。』
『現状のわが国の物価を取り巻く環境について、1つの上昇要因と2つの抑制要因、合わせて3つの要因から整理してみます。』
ほほう。
『第1に、需給ギャップのプラス化に伴う物価押上げ圧力です。既に経済動向のパートで述べましたように、2017年以降、需給ギャップがプラスに転じ、足もとそのプラス幅は拡大しています。マクロでみた物価上昇圧力は確かに存在しています。』
『一方、第2の要因として、根強いデフレマインドに基づく物価下押し圧力が挙げられます。わが国経済における長期的なデフレの原因が、基本的に需要不足にあったことは明らかかと思います。需要の停滞に伴い、長期間に亘り需給ギャップのマイナス、すなわち、労働力や設備の過剰状態が長期化しました(前掲図表2)。こうした需要不足の状況が続いたことにより、企業部門では停滞する需要を奪い合うために、価格引き下げで対応しようとし(図表10)、そのために設備投資を抑制したほか、人件費等の固定費削減を進めました。これにより、マクロの供給力(潜在成長力)も低下しました。循環的な景気後退が、供給面への影響を通じて長期的な成長力を低下させる効果をヒステリシス(=履歴効果)と呼びますが、このヒステリシスがわが国経済に根深く定着したことで、企業の価格設定スタンスは慎重なものとなり、家計の値上げ許容度も低くなる、といった形でデフレマインドにも繋がっていると思われます。』
ここまではいつも通りですが、ここからが新境地(新たな屁理屈)の満蒙開拓団登場という風情でして・・・・・・
『さらに、新たに分かってきた第3の要因として、企業の供給面の対応で生産性が向上することで物価が抑制される効果があります。』
新しい屁理屈キタコレ!!!!!!!
『需給ギャップのプラス化により、企業部門が持つ既存の供給力では需要の増加に対応できなくなり、企業は、供給過剰のもとでは成り立っていた採算性の低いビジネスを取りやめ、省力化を企図した設備投資を推進するなど、生産性上昇に向けた積極的な対応を進めています。』
この分かったような分からんような理屈は何なのと思うわけで・・・・・・・・・・
「企業部門が持つ既存の供給力では需要の増加に対応できなくなり」→ここまではわかる
「供給過剰のもとでは成り立っていた採算性の低いビジネスを取りやめ」→???
「省力化を企図した設備投資を推進するなど、生産性上昇に向けた積極的な対応を進めています」→それで需要増加に対応できるの??
いやあの需要増加に対応するんだったら単に設備増強するって話だと思いますし、需給ギャップのプラスがどうのこうのって話が労働需給の話なのであれば話は何となくまだ分かるけど、その時だって本来は賃金が上がって調整されていくので、普通に物価上昇要因になるはずで、そうならないのは成長期待が無くて、労働需給が改善しているのが景気要因よりも人口要因が大きいからとかそういう話になるんでネーノという気がだいぶするんですけど何かよくわからん理屈だ。
でまあいままでも「非製造業を中心に企業の生産性向上の余地が大きいため物価が上がりにくい面がある」というような程度の断片で企業の生産性向上余地を物価上昇に絡めた説明をしていた部分はあったのですが、今回こういう形でまとまって説明が飛んでくるというのは初めてだったと思います(一応前回の展望レポート全文は確認していますが勘違いだったらスイマセン)ので、今回こういう新機軸を鉄砲玉先生が打ち出してきたということは、次回の展望レポートで気を付けよう物価は急に上がらないという屁理屈にまた一つ屁理屈が追加されるという事になるのではないでしょうか。
『このように、生産性を上昇させることで、販売価格に転嫁せずに乗り切っている面があります。この点については、後ほど改めて詳しくご説明します。』
へえ。
『まとめると、現時点における物価動向は、(1)プラスの需給ギャップ、(2)ヒステリシスに基づく根強いデフレマインド、(3)供給面の拡大に伴う生産性上昇、の3つの要因が複合的に影響しているものと考えられます。2017年以降、プラスの需給ギャップが実現する中で、企業部門の対応として、供給面の拡大がみられはじめたことで、当初想定していたよりも、物価上昇の見通しが下振れた面があるかと思います。』
需給ギャップがプラスになったら物価が上がると言っていたのに上がっていかないじゃないか、というツッコミに対する屁理屈である、というのが確認できると思います。
・先行き見通しはどうでも良いのだが一応引用
『物価の先行き』って奴です。
『3つの要因のうち、とくに供給面の拡大については、今後、生産性上昇による物価押し下げ効果がどの程度持続するか、正確に予測することは困難です。生産性上昇の効果が強ければ、ある程度の賃金上昇圧力は十分吸収することが可能で、このようなケースでは販売価格に転嫁されることなく物価上昇にはさらなる時間を要することになります。とはいえ、生産性上昇の余地は無限ではないので、物価抑制効果は徐々に減衰していくと予想しています。経済の緩やかな拡大を持続させ、需給ギャップをプラスに維持することで、物価も徐々に上昇率を高めていくと考えられます。実際に物価上昇がみられるようになれば、企業・家計が将来の物価上昇を期待する、すなわち期待インフレ率が上昇するようになり、デフレマインドが徐々に払しょくされ、最終的には「物価安定の目標」の達成に繋がると思われます。』
ここのポイントは「生産性上昇の効果が強ければ、ある程度の賃金上昇圧力は十分吸収することが可能で、このようなケースでは販売価格に転嫁されることなく物価上昇にはさらなる時間を要することになります。」ってところで、これはつまり次回の展望レポートで物価見通しが下振れする伏線を張っていますという話でしょうし、2%達成時期はとうの昔に出さなくなってしまいましたが、これだと更に先送りになりそうですね。
・金融政策の考え方がどこからどう見ても2013年当初と違うのに2013年当初の枠組みを残すのはどうなのよ
『4.金融政策』ですけど、現状の話はどうでも良いのでパスしてその先の『今後の金融政策』から。
『今後の金融政策は、基本的に「フォワードガイダンス」で示した金融緩和政策の枠組みに沿って進められることになります。』
インチキフォワードガイダンスの枠組みとな。
『当面は、金融システムの安定性や実体経済の状況とその変化にも十分注視しつつ、「物価安定の目標」の達成に向けて強力な金融緩和政策を継続することが適当であると考えます。』
で?
『そのうえで、政策の副作用の状況を不断に点検し、緩和効果と比較衡量しつつ、金融緩和政策の持続可能性を判断していくことが重要です。』
ほう。
『総需要が総供給を上回る良好なマクロ経済環境のもとで、「物価安定の目標」の達成を目指して、緩和的な金融環境を継続していくことは、金融・経済の両面で不均衡の蓄積に繋がるリスクがあり、これまで以上に広範な視点から政策の持続可能性を検討することが重要です。』
早期達成するからそういうのは気にしなくて良いんじゃなかったでしたっけ???
『このうち金融面での不均衡については、副作用の発生経路は、低金利が継続するもとで、(1)金融機関の収益力が低下し、先行きの資本基盤が累積的に劣化すること、あるいは(2)収益確保のためにリスクテイクを進める中で、外部環境の変化に伴いそれが不良化して、経営体力が毀損することで、金融仲介機能が適切に発揮されなくなるリスクが考えられます。』
普通金融面の不均衡って言ったらほかに「長期間の金融緩和を前提にした資産市場における価格形成の歪み(というかバブル化)」が含まれると思いますがまあそれはそれとして。
『金融システムレポートに加え、考査、オフサイト・モニタリングなど複数のチャネルを通じて、金融システムにおけるリスク状況を点検するとともに、必要に応じて、金融機関に対し、こうしたリスクへの対応を促していきたいと考えています。金融政策面でも、こうした金融面の不均衡が蓄積するリスクを点検しつつ、適切に政策判断を行っていくことが大切です。』
早期達成とは??
『強力な金融緩和政策を慎重かつ粘り強く継続することで、マクロの金融・経済のバランスを崩さずに、プラスの需給ギャップを長く維持し、「物価安定の目標」を実現していくことが今後の方向性といえるかと思います。』
ということで、思いっきり「何が何でも早期達成」というのではない、というのはまあ今に始まったことではないのですが分かると思いますが、次のコーナーで更にその説明が続くのだ。
・これでは2013年当時のアプローチと全然違うんだが、という本論がこちら
『5.経済の供給面の変化と金融政策運営について』という所になる。
『先ほど、物価の上昇が遅れている背景について、経済の供給面の拡大にかかる要因を採り上げました。以下では、これまでのお話と重複する部分もありますが、やや長い目でみた日本経済の供給面の変化と、そうしたもとでの今後の金融政策のあり方について、改めて私なりの見方を整理してお話しします。』
つーことで最初が『経済の供給面の変化とその背景』。
『わが国経済の現状をマクロの需給面の視点からみると、過去5年半以上に亘る強力な金融緩和政策のもとでも、2016年前半までは需給ギャップがマイナス、すなわち需要が供給を下回る需要不足の状況が続いていました。2017年以降、ようやく需要不足が解消し、需給ギャップがプラスの状況が続いています。これは、経済全体の需要が供給を上回る、需要超過・供給不足の状態といえます。こうした状況のもとで、供給面においても緩やかな拡大が進んでいます。労働市場における女性や高齢者の活用や、省力化投資を中心とする設備投資の力強い拡大などをみても、こうした評価が裏付けられると思います。』
何かさっきから出ているこの説明には微妙な違和感を直観的に感じるのだが、おじちゃん頭良くないので何がどう変なのかは頭の良い人突っ込んで頂きたいんですが。
『物価動向のパートで既に述べた通り、こうした供給面の拡大は、短期的にみれば、厳しい競争環境に直面する企業が価格を抑制することに繋がる側面があります。一方、省力化投資は、IoTやAIの活用など、生産性向上や技術進歩を通じて、中長期的にはわが国の潜在成長力を高める方向に寄与し得るものです。』
つまり「この要因で物価が上がらないのは悪いことではない(キリッ)」という屁理屈でもありまして、物価が上がらないことに対しての前向きな申し開き攻撃ができる、というものであります屁理屈力恐るべし。
『こうした供給面の拡大が、わが国経済・物価に与える影響を見極めていく必要がありますが、それは時間がかかるプロセスとなります。』
>それは時間がかかるプロセスとなります
>それは時間がかかるプロセスとなります
>それは時間がかかるプロセスとなります
はいはい目標達成先送り先送り。
『すなわち、需要面の変化は、政策的な措置により比較的短時間で表れます。一方、供給面の変化は、原油価格の変動など外的ショックによって生じるものを除くと、投資の実行に時間を要することから、需要面の変化よりも長い時間がかかります。供給面の変化によって実体経済や物価が変化するのにも、需要面の変化よりも長い時間がかかるということになります。こうした時間のかかる経済の構造変化の状況を、様々な観点から点検していくことの重要性は、これまで以上に高まっていると思います。』
つまり物価が上がらなくてもその背景にあるのが供給面の拡大ならば問題ないということですか、なんか変な理屈な気がするんだけどなあ、だったら成長経済とかならどうなのとか???感は尽きない。
でもって本日のメインイベント小見出し『需給のバランスと金融政策』である。刮目して読むべし。
『次に、こうした経済の需給バランスが変化するもとで求められる金融政策のあり方についてお話しします。』
キタコレ!!
『単純な需要不足のもとでの金融緩和政策と、需給均衡がほぼ実現した状態のもとでの金融緩和政策では、同じ金融緩和政策という大きな枠組みのもとでも、その視点には変化が求められつつあるように思います。』
いきなりぶちかましております。
『現行の金融政策が目指している「物価安定の目標」は、あくまで需給の均衡と潜在成長率が達成されているもとで、実現されることが適切なのだということを、改めて強調したいと思います。』
実際には全く仰せの通りなのですが2013年にQQEをぶち込んだ時はそういうグラデュアルなアプローチではありませんでしたよね。完全に話が変わっていますがな。
『足もとの日本経済をこの視点から考えてみると、需給ギャップはプラス転化し、成長率も潜在成長率を上回って推移しています。しかし、「物価安定の目標」だけは実現できていません。』
つまりそれは今のアプローチが物価に関して言えば正しくて、2013年のアプローチは(金融市場に与えた効果とかは兎も角として)物価に対するアプローチとしてはやってみたものの結果出てないんだから適切なアプローチでは無かった、ということになりますよね。
『既に述べたように、物価の伸び悩みの原因は単純な需要不足にあるとは考えにくく、履歴効果に基づくデフレマインドが根強いことに加え、供給制約に直面して以降判明してきた、供給側の拡大による生産性の向上という要因もかなり影響しているのではないかと思います。』
マネタリーベースとコミットメントでインフレ期待に直接働きかけるというのも効いていなかったうえに、それ以外の強い要因もありました、ということでこれは好意的にみると2013年の置物リフレ理論が「残念ながら想定できていなかった部分があった」という形で撤退する布石の理論をぶち込んできた、とも言えそうですよね。
『このような新たな変化を金融緩和政策との関連で考えると、「物価安定の目標」の実現のためには、今後は従来以上に供給面の動向を注視して、需給ギャップがプラスの状態を維持すること、同時に金融システム上の安定性にも十分注意しながら慎重に金融緩和政策を継続していくことが適当であると思います。』
つまり・・・・・・・・・・
『「物価安定の目標」のみを重視し、その早期実現を図るため、やみくもに過大な需要超過を政策的に作り出すことは、たとえ可能であるとしても、マクロ経済の不均衡の拡大や金融システム上の不安定性を高める危険性があることを考慮すると、望ましくないと思います。』
キターーーーーーーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!∫dx
ということで、これは2013年ドクトリンの転換を思いっきり示していまして、しかも「新たな変化」ということにしておけば「あの時点で考えられた方策をやったものの、実際にやってみたらその方策を無効にするレベルの新たな変化があった。あの時点では最善策を行ったのだが、新たな変化が起きたので新たなドクトリンで進める」という風に、(まあどう見てもそんなの導入前から大合唱で指摘されていましたが、そこは知らんふりをして)2013年の考えは間違いでしたと直接言わないで、「新たな変化によって新たなアプローチ」という形にするという理屈を作ったな、という感じでございます。
でもってその次は最後になるのですが、
『現在のわが国の物価は、単純な需要不足によるものではなく、需給ギャップ、履歴効果、供給要因という3つの要因に左右される状況へと変化しています。このうち、履歴効果がいつ減衰するか、供給要因がどの程度物価上昇の抑制効果を持つか、という点について、判断や予測は難しくなっています。物価変動プロセスの不確実性は、足もとやや高まりつつあるというのが実情かと思います。そこで、不確実性と金融政策との関係について少し触れておくことにします。』
ということでその次の小見出し『不確実性の存在と金融政策』に参りますが、こちらでも2013年アプローチが否認されていまして・・・・・・・・・
『先進国において、均衡状態における物価水準にかかる不確実性の強まりが指摘されるようになってきています1。わが国でも、長期に亘る金融緩和政策に伴う需要喚起により、需給ギャップは既にプラスに転じていますが、実際の物価上昇には結びついておらず、「物価安定の目標」と実際の物価上昇率に大きな乖離がある状況といえます。物価変動プロセスに不確実性が存在している状況、すなわち、「どの程度経済を刺激すればどの程度物価が上昇するのか」という政策の感応度に不確実性があることが明らかになってきているといえます。これは、供給面の動きや履歴効果に起因する物価変動メカニズム自体の不確実性とも密接に関係していると思います。』
マネタリーベース直線一気理論ェ・・・・・・・・・・・・・・
『こうした不確実性のもとで金融政策をどう運営すべきかについて、「ある程度の慎重さを維持しつつ実行することが適当」であると指摘されています2,3。』
クソワロタ。
『わが国経済の現状に照らして考えると、大変示唆に富む考え方といえます。物価変動メカニズム自体に不確実性が存在することが明らかとなりつつあるだけに、当面は、現行のフォワードガイダンスの枠組みのもとで、慎重に副作用の状況にも目配りしつつ、時間をかけて金融緩和政策を継続していくことが適当であると思います。』
ということで、明らかにこれってQQE2013年バージョンのアプローチを思いっきり否定している内容になっていまして、だったら2013年バージョンの残滓となっている80兆円だのオーバーシュート型コミットメントの内容(コミットメントはしてもいいけどマネタリーベースじゃないだろ)とか、そもそも長期間実施することを前提にしていないマイナス金利政策とか、そういうのを枠組み変化させてほしいと思うし、そのためには2013年アプローチは(本当はどう見ても理屈倒れで失敗ですなのですがそういうと政治的に持たないので)当初の役割を終えたので新たなアプローチをする、という形で、まずは「2013年アプローチの終了」をきちんと宣言して頂かないと、この昭和の温泉旅館みたいな政策枠組みどうしようもないので、まあ何とかせえやと思いますし、もしかしたらこの「新たな展開」を使ってそういう理屈組んでくれないかな、とちょっとだけ期待する自分もいるのでした。
〇短国買入何故実施した???????
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of181011.htm
国庫短期証券買入 1,000 2018年10月12日
?????????????????
ということで昨日は短国買入がありましたが、アタクシも申し上げましたが世の中的にも昨日って「まあ別に短国買入やらないんじゃないの」ってな感じでしたので、正直何でやったのかさっぱり意味が分かりません。
いやね、今までだと「週1に実施」という暗黙の了解があったから実施しないとサプライズを招くのでアリバイで1000億円買入、というのはあったんですけれども、ご案内のように前回の買入を行う時にわざわざ通常のスケジュールを外した日程で実施します。とアナウンスして、短国市場の良好な需給を背景に額も少なく実施、とやりまして、その後の状況見ても3Mは相変わらず強いし、今週の時点で「こりゃ今週は短国買入無しだわ」がコンセンサスだったはずなのよ。
というように、市場がせっかく「短国買入削減して必ずしも週1でやらないし残高も減らしていくでしょ」と待ち構えている所に何で買入打つかな〜というところでして、この前の超長期輪番減額もそうなのですが、市場が減額を待ち構えている時に減額しないで変なところで不意打ちしてくるとか、短国買入の週1を止めるのかと思えば止めないとか、どうもこう市場とのリズムが合わない(感覚的な言い方ですいませんけれども市場って感覚的なものだと思うの)んですよね。
でまあもし6Mの結果を受けて需給が悪そうだから打つってんだったら5000億でも打てば良い訳で、売った額がアリバイオペの1000億円というのがなんともでして、昨日って打つなら5000とかだし、打たないなら打たない、とやった方がどう見ても何考えているのかが理解されやすいのに、物凄く中途半端なことをして「何をやりたいのかよく分からん」となっていると思うの。
・・・・・・・・ただ一つの可能性として考えるのは、かなりアタクシの妄想の世界になると思うのですけれども、「入札の翌営業日に買入を入れない」という新構造を作る布石だったらこれはこれで面白いと思うわけでして、つまりこの新構造は短国だけではなくて通常の長期国債輪番でもそのパターンをぶち込んでくる、となりますとこれは割と斬新なアプローチになるので、一応上の方で散々訳分らんと申し上げましたが、11月からの輪番で入札の翌営業日に当該ゾーンの輪番を行わないってのが発生したらそれはそれで中々の改革になりますな。
まあそもそも論として入札の翌日に当該ゾーンの輪番があるのが分かっていて、マーケットメーカーもそれを前提に入札で札入れを行うっていう状態は「日銀引受」とどこがどう違うのかとツッコミを飛ばしたくなる話でもありますので、本来は避けるべき話ではあるんですよね・・・・・・・・
ということで悪態はついたが一応判断保留の助という所です。ちょっと何だかな〜ではありますけど。
2018/10/11
お題「ドットチャートの今後の位置づけとかいう雑ネタ/短国買入パスでしたな/今日は櫻井さんの金懇ですよ!!」
あちゃー
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181010/k10011666071000.html
大量のネズミ 築地市場から拡散のおそれ 周辺地域は戦々恐々
2018年10月10日 17時05分
これはもう明治150年を記念して駆除ネズミのお買い上げ制度大復活で落語の「藪入り」の世界待ったなし(大嘘)。
〇米国金利を受けて米国株価が弱含むとな
そもそも利上げ織り込みが足りなかったので残念ながら順当な動きではあるのですが。
https://jp.reuters.com/article/idJPL4N1WQ57M?il=0
2018年10月11日 / 05:34
米金融・債券市場=長期債利回り上昇、好調な指標で利上げ観測強まる
30年債 3.3782% 前営業日終値 3.3690%
10年債 3.1931% 前営業日終値 3.2080%
5年債 3.0249% 前営業日終値 3.0570%
2年債 2.8565% 前営業日終値 2.8890%
『米金融・債券市場は長期債利回りが上昇した。堅調な経済指標を受け、向こう1年にわたって米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げが続くとの見方が強まった。米労働省が10日発表した9月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.2%上昇し、8月の予想外の落ち込みから持ち直した。食品とエネルギー、貿易サービスを除いた主要指数のコア物価は前月比0.4%上昇し、1月以来の大幅な伸びとなった。』
『USバンク・ウェルス・マネジメントの債券調査部門責任者、ビル・マーズ氏は、市場がしばらくFRBの利上げを過小評価してきたとし、「先週は価格に大きな修正があったが、ギャップはなお調整される必要がある。FRBが利上げ方針を弱めるより市場がキャッチアップを続ける公算が強い」と述べた。』(上記URL先より)
https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPL4N1WQ574?il=0
2018年10月11日 / 05:29
米国株式市場=ハイテク株主導で下落、米債利回り上昇でリスク回避の動き
『米国株式市場は下落して取引を終えた。S&P500総合は2月8日以来の大幅安となった。米債利回りの上昇を背景にリスク選好度が低下する中、ハイテク株が下げを主導した。』(上記URL先より)
・・・・・・・とまあ最初前置きマクラにしようとおもっていたのですが、ニュース引用があまりにも多くなったので話のネタにしてしまいましたが、まーこれ金利上昇ってことにはなっていますが、金利上昇→株が下がる→金利上昇を消す、という展開になってそこまで金利が上がってくれないという事にはなるのですが、ここから注目するのはFEDの高官が何を言い出すかという所ではないかと。
先般来申し上げているように、どうも今のFEDって資産市場のオーバーシュートが将来のバブル発生からの崩壊でろくでもなくことになって金融政策のツールをまたバカスカ使わなければならなくなる、というのをリスクとしてみていて、「利上げしているのにゴルディロックス相場だの何だの言って資産価格がホイホイ上がる(クレジットスプレッドが縮小する)」というのが懸念で、かと言ってあんまり無茶な短期金利の引き上げはしたくない(中立金利と思われるところが近いから)となれば、イールドカーブのロンガーエンドを立たせに行くのが一番効率が良いという話になるはずで、中立金利よりも利上げするかも〜的な発言っていうのは政策金利の先高観を出すことによってイールドカーブをもう少しスティープさせて資産バブルにならんようにしたい(まあ既にバブっているといえばそれまでですが、ガス抜きしながら鎮静化さるという考えでもあるんでしょうから)となりますな。
・・・・・・でですね、すっかり先入れ先出しになってしまって放置プレイになっておりますFOMC後の会見ネタ(早急にやります)なのですが、そちらの中での質疑で声明文における金融政策スタンスに関する「accommodative」に関連する質問があって、
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20180926.pdf
Transcript of Chairman Powell’s Press Conference
September 26, 2018
(FINALバージョンです)
こやつの14ページ目からになります。
『MICHAEL MCKEE. Mr. Chairman, Michael McKee, Bloomberg Radio and Television.
Financial conditions are still extremely loose by all the measures that
track that. The flow of funds shows the decline in short-term borrowing
other than in Treasuries. So I’m wondering if that suggests a change in
the way that tightening affects the economy. And along those lines, you
mentioned that you dropped the word “accommodative” doesn’t suggest
a change in policy. But if you’re dropping forward guidance in terms of
“accommodative,” does the dot plot really serve any purpose anymore if,
as you say, you can’t be confident out to 2021 what’s going to happen
with the economy? 』
ということでファイナンシャルコンディションに関する質問は兎も角として、後半の質問の方が(金融環境の緩和状態と絡めた話の持って行き方をしていますがそれはそれとして)、後半の質問の趣旨が「声明文で“accommodative”を今回削除したのは今の政策スタンスの変化を示すものではなくて、今後の政策を緩和的に行うのではないというフォワードガイダンスのような事だという事のようですが、そうなるとドットプロットの意味合いって無くなりませんですか?2021年のドットに確信度ってあるんですか???」というような中々良い質問をしている(と解釈しましたがそれで宜しいですかね)訳ですわ。
『CHAIRMAN POWELL. A couple questions in there.』
ちなみにこうやって整理してから答えるのがパウエル流。
『So the dot plot-I mean, I-it’s not new. I don’t think it’s a new point
that forecasts two and three out-two or three years out are fairly uncertain.』
そらそうなんだが。
『The dot plot is individual FOMC participants who are writing down their
individual views on the evolution of the economy and of appropriate monetary
policy. We don’t vote on that. These are individual forecasts.』
投票していませんそのまま出してますと。
『I think market participants generally find that interesting information,
and so it seems to me to be serving a purpose. I think the point with “accommodative”
was that its useful life was over. You know, we put that in the statement
in 2015, just when we lifted off, and the idea was to provide assurance
that we weren’t trying to slow down the economy, but, in fact, we were
still-interest rates were still going to be pushing to support economic
activity. Well, that-you know, that purpose has been well served, and the
language now doesn’t really say anything that’s important to the way
the Committee is thinking about policy going forward. That’s why that
came out. Did I get-did I get all of your ques-?』
ということですかさずMICHAEL MCKEE記者からファイナンシャルコンディションに関する認識についての答えを宜しゅうにというのが来て話が始まるのですが、そこはパス致します。
でもってですね、この話最初がドットチャートなのですがその後“accommodative”の文言になるので、ドットチャートの意味付けについての説明をしているのかしていないのか曖昧(直接はしていない、と解釈するのが普通だと思うけど)なのですが、「I
think the point with “accommodative” was that its useful life was over.」って言ってて、その意味合いとして「the
idea was to provide assurance that we weren’t trying to slow down the
economy,」などと言っている訳で、要するにこの辺りのコミュニケーションというのは出口政策というか金融正常化に向けた動きの中で、インフレが加速しないという環境にあった上に、フィリップスカーブの動向ってか雇用動向が物価に与える反応度合いとかが読みにくかった中でしたので、正常化路線を急ぐように見せた時にオーバーキルするリスクを懸念してあのようなコミュニケーションポリシーを組んだ、という説明をしている、という風に読めた訳ですなアタクシは。
そうなりますと、今後正常化という話になり、そのあとは経済物価情勢次第で微調整という局面になってくる(本当にそうなるのかオーバーシュートして引き締めてオーバーキルして緩和のドタバタになるのかは知らんけど)ので、数年先の政策ガイダンスを意味するようなドットプロットというのは出す必要はない、とパウエルさん思っていそうだな、とここの質疑を見て思った次第で、来年のSEPのどこかで政策が中立になったからこの先の政策は経済状況次第、よってドットプロット出す必要なし、とかそんなことになるんじゃないかなあと思いました。
〇短国買入パスしましたな&オペ雑談
昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of181010.htm
国債買入(残存期間1年以下) 500 2018年10月11日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,500 2018年10月11日
という訳で長期輪番は同額ですが、短国買入は華麗にパスとなりまして、まあ今日ワンチャンあるのですが、別にこのパスによって短国相場が崩れるとかそういう事は毛頭なかったようですので、これはもう短国買入フェードアウトに向けて着々と前進ちゅうことでよろしいのではないでしょうか、というか寧ろ残高0にして頂きたいんですけど正常化の一環で。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1WQ2CW
2018年10月10日 / 15:15 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小反発、30年債利回りが小幅低下
長い方はいつもの俺たちの地蔵相場なのでさておき、短期の市場後講釈がですな・・・・・・・・・・
『短期金融市場では、無担保コール翌日物はマイナス0.025─マイナス0.075%を中心に取引された。準備預金の積み期後半にかかったことで、資金調達意欲はやや強くなったが、中心レートのレンジは大きく変わっていない。レポ(現金担保付債券貸借取引)GCT+1レートはマイナス0.108%、ユーロ円TIBOR(東京銀行間取引金利)3カ月物は0.050%といずれも横ばい。ユーロ円3カ月金利先物は小動き。業者間取引で国庫短期証券(TB)は高安まちまち。』(上記URL先より)
ということで、短国買入が無かったことは話題にならん(この時間の前の記事を手繰ってもそうです)と、そもそも織り込み済みだったので無問題ということですな。
まあ何ですな、短国に関しては基本的に買入スルー続けて残高落としていって、新発3Mが▲10bpより金利が上がるような状況になったら買入をしていって、金利▲15だか▲20だかはよくわからんけど、まあ▲15位とかになったら買入止めてって感じで「短国金利をこの辺で」というスタンスにした方がMB目標自体が(オーバーシュート型コミットメントは残っているもののほかの目標は)なくなっていて、長短金利操作、という形になっているのだから政策建付けの趣旨にも即していると思います。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-09/PGB3HA6JTSE801
日銀オペ実施日を非公表化との見方が浮上、取引活性化へ「先祖帰り」
野沢茂樹
2018年10月10日 8:40 JST
あとまあ昨日はこんなの出ていましたけど、以前は非公表に戻すの検討に値する、とかおもっていましたし、まあ別に戻しても良いんじゃないのとは思っていたのですが、7月のMPMを受けて結局このナマコ地蔵相場になっているのを見ますに、問題は日程の公表がどうのこうの以前に買入が過大という話に尽きると思うようになっておりまして、寧ろ非公表によってしょうもないボラを作って市場活性化した気になってしまって、輪番減額をしなくなる方がアカンのではないか、という気が最近してきているのですが考えがまとまらないので書いてみただけ(書き出すとまとまらない物件が延々と垂れ流される予感がするのでパスします、時間も無いので)。
〇ところで皆さん今日は注目の金懇ですよ!!!!
http://www.boj.or.jp/announcements/calendar/index.htm/
公表予定
11(木)
8:50 ○ ● 預金種類別店頭表示金利の平均年利率等
8:50 ○ ● 貸出・預金動向(9月)
8:50 ○ ● 企業物価指数(9月)
10:30 ○ 【挨拶】櫻井審議委員(秋田)
16:30 ○ ● フェイルの発生状況(9月)
>【挨拶】櫻井審議委員(秋田)
>【挨拶】櫻井審議委員(秋田)
>【挨拶】櫻井審議委員(秋田)
・・・・・・・・・さあ!鉄砲玉大先生の金懇ですから、これはもう正座して待機するしかありませんよ!!!!!
#念のため申し上げますが、鉄砲玉というのは「執行部が言い出すと物議を醸すのでとりあえずヒラ審議委員を鉄砲玉にして瀬踏みをしてみる」って意味でございますので念のため、あるいは「炭鉱のカナリア」でも可愛くて良いんですけど、それだとおじいちゃん酸欠や有毒ガスで倒れちゃうから例えとしてあまりよろしくありませんな(^^)
2018/10/10
お題「市場雑談/生活意識アンケートは景況感と雇用の所の回答がアンバランスなのは気になった」
またこいつか。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-trump-idJPL4N1WP4Y7?il=0
2018年10月10日 / 05:39
トランプ大統領、FRBを再び批判 「利上げペース速過ぎる」
いつものFRB批判かよこのペースで速いとかお前は何をいってるんだと思ったら記事に吹いた。
『[ワシントン 9日 ロイター] - トランプ米大統領は9日、連邦準備理事会(FRB)の利上げペースは速過ぎるとし、FRBの政策をあらためて批判した。トランプ大統領は記者団に対し「現在ほど速いペースで利上げする必要はない。債務を返済したい」と述べた。』(上記URL先より)
このオッサンが債務を返済したいとかいうと物凄く胡散くさい以外の感想が起きない・・・・・・・・
〇市場関連メモ雑談
・貫禄のウゴカンチ会長
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1WP270
2018年10月9日 / 15:12
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が反落で引け、長期金利0.155%に上昇
『 <15:10> 国債先物が反落で引け、長期金利0.155%に上昇
国債先物中心限月12月限は前営業日比8銭安の150円01銭と反落して引けた。前週末米債安の流れを引き継ぎ、売りが先行。日経平均株価が大幅に下落すると、底堅く推移する場面もあったが、日銀の国債買い入れに対する不透明感から買い進む動きは見られず、上値の重い展開が続いた。現物市場は投資家の動意に乏しく閑散。11日の30年債入札を控えて持ち高調整の動きが入った。10年最長期国債利回り(長期金利)は同1bp高い0.155%に上昇した。』(上記URL先より、以下同様)
ということで上値が重いという表現ですが、米国金利が一段上昇したというのに円債ちゃん底堅いわという感じをむしろ受けたんですが、まあそこはイメージの違いということですが、先物に関しても日中売買枚数14745枚となっておりまして、さすがは貫禄のナマコ市場円債としか申し上げようがない相場で、市場機能って何でしたっけの世界であることは申し上げるまでもございません。
・短国買入アリやナシや(無しでは??)
ところで短国なんですけど。
昨日の6M
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20181009.htm
(3)募入最低価格 100円09銭1厘(募入最高利回り)(-0.1823%)
(4)募入最低価格における案分比率 97.8947%
(5)募入平均価格 100円10銭0厘(募入平均利回り)(-0.2003%)
という結果でしたが、金曜の3Mが
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20181005.htm
(3)募入最低価格 100円07銭2厘0毛(募入最高利回り)(-0.2679%)
(4)募入最低価格における案分比率 95.1250%
(5)募入平均価格 100円07銭6厘5毛(募入平均利回り)(-0.2847%)
ということで、その前の3Mもそうなのですが、年末越えのドル円ベーシスがおかしなことになっている影響がモロに短国に入って来ていて、3Mの所の金利が低くて、金曜とかは新発3M出た後ショートカバーの動きでけったいな利回りもついた(瞬間芸に留まったようですけれども)とかいう有様で、こちらの787回の売買参考統計値の平均音単利は本日付けの奴で▲33bpと中々お洒落な水準になっておりますな。
一方で直接ドル円ベーシスがおかしくなって影響を受けるの3Mなだけに、6M新発の788回は▲17.8bpなので普通のレートというか寧ろしょんぼりレートになっておりまして、さて通常ですと本日は短国買入をぶっこんできてもまったく違和感がない日になるのですけれども、これはこの前の輪番予定表でわざわざ「パターンを外しますよ」と言ってやってきた以上、スルーするとみる方が妥当のようにも思えます。というかこれさすがに市場も短国買入はスルー攻撃を加味してこのレートだと思いますけどどうなんでしょうかね。3Mと比べて見ると確かに6Mパッとしませんなとかなりますが、そもそもの水準が▲20だの▲18だのという時点でヤベー奴になっている訳ですし、金利操作の観点からしたら別に買入せんでもよかバイとは思うんですけどさてどうなるやら。
・BB引値ですかそうですか
と言っても既に試験公表とかで並行稼働状態になっていて、実質的には本番系が2本走っていた状態から昨日めでたく本番系移行ってなもんですわな。
http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/marketdata04.html
BB国債価格(引値)について
『BB国債価格(引値)(以下「引値」といいます。)は当社における取引情報を基に算出する当日午後3時時点の国債価格であり、当社の業者間取引における売買の基準価格です。国債全銘柄の価格を毎営業日午後4時に発表しています。当社では、引値の公正性、健全性及び継続性を確保するとともに、利用者の理解を深めるため、引値の算出方法及び諸手続き等に関する基本的な方針を示した「算出方針」を定めております。詳細につきましては「BB国債価格(引値)算出方針.pdf」をご参照ください。』
http://www.bb.jbts.co.jp/img/2018.10.9_BBhikene.pdf
BB国債価格(引値)算出方針
『第2章 算出方法』から少々引用します。
『1.算出方法の考え方
(1)算出方法の概要
発表の対象となる国債毎に、当社における取引状況や商品特性、その他の状況等を勘案し、個別に算出方法を定めています。また、引値の発表にあたっては、以下で定める算出方法に従い算出されたことを確認したうえで、発表します。
算出方法の概要は、次のとおりです。
@ 固定利付国債
当社における日中の取引情報からイールドカーブを作成し、当該イールドカーブから個々の銘柄の価格を算出します。』
もうちょっと細かい所に行きますと、『2.固定利付国債 』ってのが5ページ目にありまして、参照銘柄の板状況を使ってプロットしていってスプライン関数引いて更に実取引の状況や銘柄間格差などの補正を行って出します、というような一般的にそうですよねという出し方をしています、というお話になっております。
この制度変更によってどういう変化が起きるのか、というと多分あんまり起きないと思うのですが、実際どうなんでしょうかね(と割とイイカゲンなアタクシ)。
〇生活意識アンケートは回答がチグハグな気がしました
http://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki1810.htm/
http://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki1810.pdf
「生活意識に関するアンケート調査」(第75回<2018年9月調査>)の結果
本文PDFの『1.要旨』って方を少々拝読。
『1-1. 景況感等』の『1-1-1. 景況感』から。
『景況感のうち、現在(1年前対比)については、「良くなった」との回答が減少し、「悪くなった」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。先行き(1年後)については、「良くなる」との回答が増加したものの、「悪くなる」との回答も増加したことから、景況感D.I.は若干悪化した。なお、現在の景気水準については、「良い」、「どちらかと言えば、良い」との回答の合計が若干増加し、「悪い」、「どちらかと言えば、悪い」との回答の合計は若干減少した。』
『1-1-2. 景況判断の根拠』だと、
『景況判断の根拠については、「自分や家族の収入の状況から」との回答が最も多く、次いで「勤め先や自分の店の経営状況から」、「商店街、繁華街などの混み具合をみて」といった回答が多かった。』
とかなんとかなっているのですが・・・・・・・・・・・・・・・・・
『1-2. 暮らし向き、消費意識』『1-2-1. 現在の暮らし向き』に飛びますと、
『現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりがなくなってきた」との回答が減少したことから、暮らし向きD.I.は改善した。』
ってあって、これ本文PDFの方の図表を1-1-1と1-2-1のを見ますと、景況感の悪化拡大と、ゆとりがなくなってきた人の減少って割としっかりとした動きに見えるんですよね。しかも景況判断の根拠が収入状況っての一番多いのに何でこうなるというのが不思議ちゃん。
『1-2-2. 収入・支出』に行きます。
『収入については、実績(1年前対比)は、「減った」との回答が増加したことから、現在の収入D.I.はマイナス幅が拡大した。先行き(1年後)についても、「減る」との回答が増加したことから、1年後の収入D.I.はマイナス幅が拡大した。』
『支出については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が減少し、「減った」との回答が増加したことから、現在の支出D.I.はプラス幅が縮小した。先行き(1年後)は、「減らす」との回答が減少したことから、1年後の支出D.I.はマイナス幅が縮小した。』
・・・・・・・・・・orzorz
ということで、どうも収入減って景況感も微妙なのですが、支出の方は賢い支出でうまく回しているので暮らし向きに関してはゆとりがない状況を脱却していますので問題ありませんわよオーホッホッホ。
・・・・・・・・こうですか、わかりません(-_-メ
でもって支出の項目に関する質問が続きまして、
『1年前と比べて、支出を増やしたものについては、「食料品」との回答が最も多く、次いで「家電」、「保健医療サービス」が多かった。』
『1年前と比べて、支出を減らしたものについては、「外食」との回答が最も多く、次いで「衣服、履物類」、「旅行」が多かった。』
・・・・・・・・なるほど。
『今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視することは、「収入の増減」との回答が最も多く、次いで「今後の物価の動向」、「余暇・休暇の増減」といった回答が多かった。』
『商品やサービスを選ぶ際に特に重視することは、「価格が安い」との回答が最も多く、次いで、「安全性が高い」、「長く使える」、「信頼性が高い」、「機能が良い」といった回答が多かった。
』
ちなみに「今後の物価の動向」に関してはだんだんシェア下がっているのがお洒落です。
とまあここまで景況感と収入、消費に関するのを見ましたが、その次の『1-2-3.
雇用環境』になるとこれまた微妙に違いが。
『1年後を見た勤労者(注)の勤め先での雇用・処遇の不安については、「かなり感じる」との回答が減少し、「あまり感じない」との回答が増加したことから、雇用環境D.I.は改善した。
(注)勤労者:会社員・公務員(会社役員を含む)およびパート・アルバイトなど。』
・・・・・・・・これで何で最初の方の景況感とか、収入見通しの所とかがああいう回答になるんじゃ、というのは何か違和感があったりする。
あと物価に関しては毎度のような感じですけどまあ見る。
『1-3. 物価に対する実感』『1-3-1. 現在の物価』
『現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)との回答が減少した。1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.7%(前回:+4.6%)、中央値は+3.0%(前回:+3.0%)となった。
(注1)「あなたが購入する物やサービスの価格全体」と定義。
(注2)『上がった』は「かなり上がった」と「少し上がった」の合計。』
ちなみに過去3回のが図表になっていますので引用すると、
平均値 中央値
18/ 3月 + 5.8 % + 5.0 %
18/ 6月 + 4.6 % + 3.0 %
18/ 9月 + 4.7 % + 3.0 %
ということで何か上がっているけど中央値5%が復活しませんなあとは思いますが、これは実績値で期待値が重要ということで次をみる。
『1-3-2. 1年後の物価』
『1年後の物価については、『上がる』(注)との回答が減少した。1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.4%(前回:+4.4%)、中央値は+3.0%(前回:+3.0%)となった』
平均値 中央値
18/ 3月 + 4.5 % + 3.0 %
18/ 6月 + 4.4 % + 3.0 %
18/ 9月 + 4.4 % + 3.0 %
・・・・・・・・えーい問題は5年後じゃ5年後。
『1-3-3. 5年後の物価』
『5年後の物価(注1)については、『上がる』(注2)との回答が減少した。これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+3.9%(前回:+4.0%)、中央値は+2.0%(前回:+2.0%)となった。』
平均値 中央値
18/ 3月 + 4.0 % + 2.0 %
18/ 6月 + 4.0 % + 2.0 %
18/ 9月 + 3.9 % + 2.0 %
・・・・・・・・・お、おぅという感じですが、まあ救い(??)は上がるは全体では減ってますが、「かなり上がる」は増えていますので物価上昇の実感からの適合的期待形成がですなあ、と大本営モードになってみますが、まあ要するに今の調子でアンカーされまくっておりますなというところで、やはりインフレ期待の転換には時間が相応に掛かりまくる(または今の状況で良しとして屁理屈を盛大にこね回して過去の話を発展的解消というか転進というかをする)ということになりそうですな・・・・・・・・・・・
2018/10/09
お題「市場世間話メモとFED要人発言目メモ/パウエル議長講演から(その2)」
ほほう。
https://jp.reuters.com/article/brazil-election-idJPKCN1MI0DD
2018年10月8日 / 14:45 /
ブラジル大統領選、極右候補が46%の票獲得 左派と決選投票へ
『選挙管理当局によると、7日の第1回投票でボルソナロ氏は有効票の46.3%を獲得し、アダジ氏(29%)を大きく引き離したが、当選に必要な過半数には届かなかった。ボルソナロ氏は一国主義的な政策や反体制主義的な発言などから「ブラジルのトランプ」とも呼ばれる。』(上記URL先より)
〇金曜はあっさり金利が反発してくれましたがさて・・・・・・・・・
・正直謎の戻りを示しやがった金曜日
例によってロイターさんで勘弁。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1WL1IO
2018年10月5日 / 15:22 /
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反発、長期金利0.150%に低下
『<15:10> 国債先物は反発、長期金利0.150%に低下
長期国債先物は反発で引けた。前日に急落した反動に加え、日銀の国債買い入れオペを期待した短期筋が買いを先行させたことが上昇につながった。中盤以降も株安などを手掛かりに強含みで推移した。後場は日銀オペ結果を好感した買いが優勢となり、上昇幅を拡大した。現物債市場では、超長期ゾーンに押し目買いが入り、金利が低下した。中長期ゾーンも強含み。長期国債先物中心限月12月限の大引けは前営業日比13銭高の150円09銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比0.5bp低下の0.150%。』(上記URL先より)
・・・・・・・・ということで、金曜の債券市場ちゃんって米国の金利が上がったけど行ってこいでだいぶ戻ったので、という謎の理由で朝から確りだったのですが、輪番への期待で買い先行ってなっているのはナンジャソレという感じでして、木曜まで話を遡って考えますと、そういや木曜ってここもとの金利上昇(10年0.155%だの20年0.690%だの)を受けて臨時輪番でも入るんじゃネーノという思惑が(まあ普通に考えると無いのだが水準だけで言えば0.140〜0.145で臨時輪番が入ったのだから期待するのが居てもまあ極端に変な話ではない)あったらしくて、いったん木曜の後場って叩き料理をやった後に何となく値持ちしていて、結局14時に臨時輪番ありませんでしたな〜となってもう一度当日安値に売りにいった、というのがあったようですな、よー知らんけど。
てな感じでちょっとぶち込んでしまっていたところ、米債が思ったほど金利上昇しなかった、というイメージだったんでしょうなとは思いましたが、まさか土曜にあの地合いで輪番減額はしにくいし、増額はもっとしないでしょうと思われるところでございましたので、この「日銀の国債買い入れオペを期待した短期筋」ってのも何が何だかよく分からん(オペは同額実施だったのですが特に売られることも無かったし、別にヒャッハーと変われるほどのことも無かったと思うので、何の思惑なのかがさーっぱり分からん)のですが、まあとりあえず絶対水準が絶対水準なだけに、(本当は30年の1%、20年の0.7%が良いのだが)止まると絶対水準押し目買いバイヤーの買いもあって、しかもどうせずーっと我慢していた人が多いので、バイヤーさん試し買いするだけで買う人はそこそこ出て来そうですから止まるのか、しかし何でこんなところで止まるかね〜などと思っておりました次第。
ちなみに金曜の輪番オファーは、
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of181005.htm
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,800 2018年10月9日
国債買入(残存期間25年超) 500 2018年10月9日
国債買入(物価連動債) 250 2018年10月9日
超長期と物価連動で額は同額でぶっこんでいますので順当オブ順当という展開になっておりましたです。
・でもって雇用統計
米国様金曜の引けですけど。
https://jp.reuters.com/article/idJPL4N1WL3JD
2018年10月6日 / 06:08
米金融・債券市場=30年債利回り4年ぶり高水準、長短金利差拡大 雇用統計受け
30年債 17時05分 3.4054% 前営業日終値 3.3540%
10年債 17時05分 3.2328% 前営業日終値 3.1950%
5年債 17時05分 3.0727% 前営業日終値 3.0520%
2年債 17時05分 2.8891% 前営業日終値 2.8800%
『米金融・債券市場では国債利回りが上昇。30年債利回りが4年ぶり高水準に達するなど長期ゾーンの売りが膨らみ、イールドカーブはスティープ化した。朝方発表された9月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が13万4000人増と、市場予想の18万5000人増を下回ったものの、失業率は3.7%と、約49年ぶりの水準に改善。時間当たり平均賃金は前月比0.3%増、前年同月比2.8%増。30年債利回りは一時7ベーシスポイント(bp)上昇し、4年ぶり高水準の3.424%を付けた。指標10年債利回りも5.3bp上昇の3.248%。』(以上上記URL先より)
NFPに関しては以前のが上方修正されたとかいうのもあるようですが、基本的にインフレが盛大にコケるというようなものが出てこない限りにおいてそう簡単にFEDが正常化モードを止めることもないでしょうし、よほどとんでもないインフレ加速ニキみたいな賃金動向が出てこなければ利上げの今のペースが加速することもないでしょうから、雇用統計で急にギッコンバッタンやるというのもどうなんですかね、とは思ったりします。
・米国様に関しては「政策正常化の時のゴールになる金利」が何ぼですねんという話が
ウィリアム副議長
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-williams-idJPKCN1MF25G
2018年10月6日 / 01:43
利上げによる米景気減速はまだ先、金利見通し堅持=NY連銀総裁
『[5日 ロイター] - 米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は5日、利上げが米経済の減速を招くのはまだ先とし、米連邦準備理事会(FRB)が年内あと1回、来年は3回の利上げを実施することは妥当との認識を示した。ウィリアムズ総裁はブルームバーグとのインタビューで、フェデラルファンド(FF)金利が2019年末までに3.1%に達するとのFRB当局者の見通しに言及し、「見通しの中央値は妥当」と指摘。その上で、「人々が中立と考える(金利)水準に到達するまで、まだ長い道のりがある」と語った。』
『FRB当局者らは足元、中立金利を3%程度とみているが、ウィリアム総裁は「実際には分からない」と強調。中立金利が金利決定で重要な役割を果たす一方、「パズルの1ピースにすぎない」とし、「米内外の賃金の伸びやインフレ動向、雇用の伸び、国内総生産(GDP)を示す指標」などを注視していると述べた。』(上記URL先より)
ブルームバーグのインタビューなのでたぶん講演みたいに資料付きURLとかそういうのは無いと思われます(セントルイス連銀のページでちゃちゃっと調べただけでちゃんと探していないけど)ので、まあこのニュースだけで何かいうのもアレですけれども、だいたいここもとのFEDの発想と思われるものは示されているなあと。
つまりですね、まあアタクシが勝手に類推しているだけですけれども、ロンガーランの金利自体は3%くらいに置いているので、本当はあと3回か4回利上げしたらFFって3%絡みになってくるのですけれども、「中立金利が金利決定で重要な役割を果たす一方、「パズルの1ピースにすぎない」」ってしていますように、イエレンやバーナンキ時代との大きな違いって(パウエルさんが学者上がりじゃないからだと思うけど)中立金利に関してはあくまでも「話の上で説明しやすいから使っているだけであって、経済物価に対する中立的な金利を推計してその中立的な金利に対する上げ下げで金融緩和か引き締めかとか判断するというようなことは説明の上でしか考えていない」ってえことだと思うの。
でもって中立金利というのは事後的にしか分からなくて、それは金利を動かした結果として経済物価情勢がどう動いたかというのの結果を見て、あああの時の金利は緩和的でしたねとか引き締め的でしたねとか事後的に分かる、というお話であるので、FF金利正常化の最終着地点に関しても「今の所は3%ちょい上」という一定のイメージはあるけど、実際にそこまで上げても株式市場がゴルディロックスヒャッハーとかやっていて、クレジットとか不動産とかがホイホイとバブっていたらもっと利上げしてくるんでネーノと思いますし、まあ本当はそういう事をするとオーバーキルのリスクが高まるから、長期金利がある程度スティープしてFF金利をそこまで上げなくても引き締め効果が出てくれるというのがFEDとしてはオイチイのでしょうが、さてインフレ期待が盛り上がらない中における長期金利とは、というような話になると運営難しいのかも知れませんね。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-bostic-idJPKCN1MF2B8
2018年10月6日 / 03:23 /
FRB、中立的スタンスに向け利上げ継続すべき=アトランタ連銀総裁
『[5日 ロイター] - 米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は5日、連邦準備理事会(FRB)は利上げを継続し、金融政策を正常化させるべきとの見解を示した。ボスティック総裁は講演で、現在の状況は、金融政策スタンスを緩和的、もしくは抑制的いずれでもない状況にすべきであることを示唆しており、「そうした中立的なスタンスによって、自律的な経済成長が可能となる」と語った。』
『さらに、今年の堅調な米経済動向を踏まえると、総需要を過小評価していた可能性があるとし、「もしそうであるなら、景気過熱の可能性を考慮し、これまでの予想よりも速いペースでの利上げが必要となる可能性がある」と語った。』(以上上記URL先より)
ちなみに講演はこちらですが、
https://www.frbatlanta.org/news/speeches/2018/10/05-bostic-importance-of-early-economic-education.aspx
The Importance of Early Economic Education
Raphael Bostic
President and Chief Executive Officer
Federal Reserve Bank of Atlanta
57th Annual Financial Literacy and Economic Education Conference
National Council for Economic Education
Atlanta, Georgia
October 5, 2018
お題的には別の話で、上記記事になっているほど強気じゃないような気はするんですが、アトランタ連銀の場合最初に箇条書きのまとめがあって、その中で経済物価情勢に関するお話は、
・Bostic notes that the current economic growth picture looks bright, but
businesses appear to be exercising a healthy dose of restraint regarding
the outlook. Inflation is currently running very near the FOMC's price
stability target of 2 percent and appears poised to continue to do so.
・Bostic says that in addition to data and econometric models, the Atlanta
Fed relies on an extensive network of business contacts to shape its thinking
about the regional economy.
・Bostic also observes that despite the recent pickup in household spending,
consumers are deferring large, irreversible expenditures.
ってなっていて、『Current economic outlook』の最後の所を見ると、
『In sum, the current economic growth picture looks bright, but businesses
in my district, at least, appear to be exercising a healthy dose of restraint
regarding the outlook. Inflation is currently running very near the FOMC's
price stability target of 2 percent and appears poised to continue to do
so.』
『Based on that assessment of the health of the economy and its likely
path forward, last week I voted with my colleagues on the FOMC to raise
the federal funds target range by 25 basis points to 2 to 2.25 percent.』
『Current conditions suggest, to me, that we ought to get to a policy stance
where our foot is neither on the gas pedal-what we call an accommodative
policy-nor on the brakes-what we call a restrictive policy. Such a neutral
policy position would allow the economy to stand on its own.』
ニュートラルにすべきとは言ってますが、記事になったのは質疑応答あたりなのかねとは思います。まあ文章に出ているのはそこまで強い話ではない気がする。
〇それはそれとして金曜にやりそこなったパウエル講演ネタを今更
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20181002a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/files/powell20181002a.pdf
October 02, 2018
Monetary Policy and Risk Management at a Time of Low Inflation and Low
Unemployment
Chairman Jerome H. Powell
At the "Revolution or Evolution? Reexamining Economic Paradigms"
60th Annual Meeting of the National Association for Business Economics,
Boston, Massachusetts
・今はウハウハですが今後のリスクはナンジャラホイという話で、だいたいすべて物価が何かで動き出す話に帰着されている模様
まずは木曜にネタにして途中で力尽きた『Is the Natural Rate of Unemployment
Lower Than Expected?』の部分と最後の『Conclusion』をば。
最初に『A third risk』ってあってナンジャラホイとなりますが、その前振りのところはちょっと前になります『A
Favorable Outlook, but What Could Go Wrong?』の所から受けています。今の見通しはもうバラ色で大勝利にもほどがあるのですが、では先行きリスクはナンジャラホイという話で、最初にあったのが「インフレ期待のアンカーが外れる」で次が「労働市場がタイトである状態、あるいは今後一段とタイトになった時に「フィリップスカーブの逆襲」が発生してインフレが加速すること」となっていまして、今の所どちらもその兆候はないけど当たり前だがちゃんと見ていくぞよ、という話をしていたのですな。ですから話の構成上前振りの部分を先に引用しておきます。
『But we still must face the cautionary advice to beware when forecasts
point to rarely seen outcomes. As a way of heeding this advice, the Committee
takes a risk management approach, which has three important parts: monitoring
risks; balancing risks, both upside and downside; and contingency planning
for surprises. Let me describe a few of the risks and how we are thinking
about them.』
でもって三番目のリスクは『Is the Natural Rate of Unemployment Lower Than Expected?』ということで。
『A third risk--in this case an upside risk--is that the natural rate of
unemployment could be even lower than current estimates. Some have argued
that the Fed should be removing policy accommodation much more slowly,
pushing the economy to see if the natural rate of unemployment is lower
still.』
うむ。
『Advocates of this view note that over the past several years of policy
normalization, the economy has continued to strengthen and unemployment
has fallen, but inflation has remained quiet. As I discussed in a recent
speech, many analysts have accounted for the lack of rising inflation pressure
by lowering their estimate of the natural rate.19』
こんなに雇用が強いのにインフレが上がらないのは構造失業率が低下していることに要因がある、という議論が多い。
『For example, since the start of 2016, the unemployment rate has fallen
about 1 percentage point, and estimates of the natural rate from four well-known
sources have fallen over that period between 0.3 percent and 0.7 percent
(figure 9).』
図表はPDFの方からも観れますがこちらでも。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/images/powell-fig9-20181002.png
『If the natural rate is now materially lower than we believe, that would
imply less upward pressure on inflation--the flip side of the "revenge
of the Phillips curve" risk. Our policy of gradual interest rate normalization
represents the FOMC's attempt to take both of these risks seriously.』
ほうほう。
『Removing accommodation too quickly could needlessly foreshorten the expansion.
Moving too slowly could risk rising inflation and inflation expectations.
Our path of gradually removing accommodation, while closely monitoring
the economy, is designed to balance these risks.』
つーことで、前半をすっ飛ばして話をしているので話の流れがアレですが、講演の方ではフィリップスカーブの傾きが平たんになっている、ということで経済のスラックに対するインフレ感応度が低い説明になっているのですが、実は構造失業率がもっと低いというのであれば、今後更に労働市場が改善する中で急にインフレキタコレになりますよね、というのもあって、まあそんなこんなの上下のリスクを踏まえて今のグラデュアルな利上げをしているんですよって説明になります。
『In wrapping up this discussion of risks to the favorable outlook, I should
emphasize that I have chosen to focus on three risks that are all associated
with the Phillips curve.』
ここまで述べた3つのリスクはすべてフィリップスカーブに関係するものである(キリッ)。
『There are, of course, myriad other risks. To name just a few, we must
consider the strength of economies abroad, the effects of ongoing trade
disputes, and financial stability issues. I hope my discussion of three
particular risks gives a sense of how we approach these issues.』
その他としては海外経済とか金融不均衡の問題とかもありますね、とさらっと入れる。
でもって最後の『Conclusion』を先に。
『Many of us have been looking back recently on the decade that has passed
since the depths of the financial crisis. In light of that experience,
I am glad to be able to stand here and say that the economy is strong,
unemployment is near 50-year lows, and inflation is roughly at our 2 percent
objective. The baseline outlook of forecasters inside and outside the Fed
is for more of the same.』
ただの大勝利宣言。
『This historically rare pairing of steady, low inflation and very low
unemployment is testament to the fact that we remain in extraordinary times.
Our ongoing policy of gradual interest rate normalization reflects our
efforts to balance the inevitable risks that come with extraordinary times,
so as to extend the current expansion, while maintaining maximum employment
and low and stable inflation.』
ただの決意表明。
・話の前半に戻ってフィリップスカーブが寝ている話
・・・・・・・ということでフィリップスカーブの話の所を見る。
まずは『A Simple Framework for Understanding Changes in the Jobs-Inflation Relationship』から。
『A natural starting point is the simplest form of a Phillips curve equation,
which posits that inflation this year is determined by some combination
of current labor market slack, inflation last year, and some other factors
that I will leave aside for this discussion (figure 4):7』
その次の所は式が出ているのですが、それはこちらを見てくんなまし。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/images/powell-fig4-20181002.png
『The value of B is often referred to as the slope of the Phillips curve.
With a larger value of B, any change in labor market slack translates into
a bigger change in inflation. As we say, as B increases, the Phillips curve
steepens.』
『The value of C determines inflation's persistence--that is, how long
any given change in inflation tends to linger. As the value of C increases,
higher inflation this year translates more into higher inflation next year.』
『A particularly nasty case arises when B and C are both large. In this
case, slack has a large effect on inflation, and that effect tends to be
very persistent. One implication of a large C is that, if a boom drives
inflation up, it will tend to stay up unless offset by a subsequent bust.8』
図が無いとBとかCとか言われてもアレですが、前年のインフレ率に対してスラック(=実際の失業率と自然失業率の差分)に何らかの掛け目を掛けたものが東燃のインフレ率になりますよとかそういう図表になっております(話を単純化しているタイムラグの話とかはスルーしているっぽい)。
でもって、
『Figure 5 shows regression estimates of B and C, computed over 20-year
samples starting with the sample from 1965 to 1984 and including each 20-year
sample through 2017. During the Great Inflation samples, the value of C
is near 1, meaning that higher inflation one year tended to translate almost
one-for-one into higher inflation the next. The Phillips curve is also
relatively steep in the Great Inflation samples, with 1 extra percentage
point of lower unemployment converting into roughly 1/2 percentage point
of higher inflation. Thus, the Great Inflation presented that nasty case
just described.』
この図表5というのが
https://www.federalreserve.gov/newsevents/images/powell-fig5-20181002.png
でして、こちらの左のグラフを見ますと、「フィリップスカーブの傾きがほとんどなくなっています」という分析結果になっている、とまあそういうお話。
『Fortunately, things changed. The estimates of both B and C fall in value
as the estimation sample shifts forward in time. In the most recent samples,
the Phillips curve is nearly flat, with B very near zero, and C is about
0.25, meaning that roughly one fourth of any rise or fall in inflation
carries forward. These results give numerical form to what we see in the
right-hand panel of figure 3, covering the recent period: Large and persistent
moves in the unemployment gap were associated with, at most, modest transitory
moves in inflation.』
図表3ってのはすっ飛ばしていた部分にあるのですが、
https://www.federalreserve.gov/newsevents/images/powell-fig3-20181002.png
要するに現状では雇用のスラックに対してインフレが反応しにくい状態(ふぃりぷすカーブがほとんどフラット)になっているので、多少の雇用過熱のオーバーシュートに対してもゆっくりと反応できますよ、という現状が「Fortunately」だそうな。
でもって次の小見出しが『What Led to the Changes in the Phillips curve?』である。
『These developments amount to a better world for households and businesses,
which no longer experience or even fear the scourge of high and volatile
inflation.』
何かニューエコノミーっぽい言い方でこれはこれで何か多少もにょる。
『To provide a sound basis for monetary policy, it is important to understand
what happened and why, so we can avoid a return to the bad old days of
the 1970s. Like many, I believe better monetary policy has played a central
role.9』
ただまあ話が70年代のような高インフレ時代に戻らないというような話になっている訳で、これ出た時に初期段階でインフレ懸念が低いというのをネタにして反応していた米国市場って何なんだと思ってしまう。
『To understand the mechanism, let us ask how central banks could, presumably
inadvertently, amplify and extend the duration of inflation's response
to labor market tightness. To do so, the central bank could persistently
ease the stance of monetary policy in response to an uptick in inflation.
No responsible central banker today would intentionally do this, but much
research suggests that during the Great Inflation, misunderstandings about
how the economy worked led the Fed effectively to behave in this manner.10』
『Some policymakers may have believed the misguided notion that accommodating
permanently higher inflation could purchase permanently higher employment.11
Other policymakers misperceived the level of the natural rate of unemployment,
which we now believe had shifted up markedly in the 1960s. With the higher
natural rate, the labor market was much tighter and provided much greater
upward pressure on inflation than policymakers realized in real time. As
a result, they were continually "behind the curve."12』
ビハインドになって対応が上下ともに遅れるのはイクナイという話だが・・・・・・・
『The channel through which monetary policy can amplify and extend inflation's
response to shocks becomes even stronger when we take account of expectations.
If people come to expect that upward blips in inflation will result in
ongoing higher inflation, they will build that view into wage and price
decisions. In this case, people's expectations become a force adding momentum
to inflation, and breaking inflation's momentum can require convincing
people to change their minds and behavior--never an easy task. Arguably,
this is why a federal funds rate near 20 percent--roughly 10 percent in
real terms??was required in the early 1980s to turn the tide on high inflation.
The cost, in the form of very high unemployment, is clear in the Great
Inflation figures. The Great Inflation taught us that a main task of monetary
policy is to keep inflation expectations anchored at some low level.』
インフレが上下(といってもここでの説明上ぶれのほうばっかりですけど)にぶれてアンカー外れると後の処理が大変ですよという話をしておりますので、最後のところが「The
Great Inflation taught us that a main task of monetary policy is to keep
inflation expectations anchored at some low level.」となる訳です。
『This idea is behind the adoption in recent decades of inflation targets,
such as the Fed's 2 percent objective, by central banks around the world.
When monetary policy tends to offset shocks to inflation, rather than amplifying
and extending them, and when people come to expect this policy response,
a surprise rise or fall in labor market tightness will naturally have smaller
and less persistent effects on inflation. Research suggests that this reasoning
can account for a good deal of the change in the Phillips curve relationship.13
It is also likely that many other factors have contributed to changes in
inflation dynamics over recent decades.』
『We do not fully understand the causes and implications of these changes,
which raises risk management issues that I will take up now.14』
ということで、そうは言いましてもさっきネタにした後半にありますように、パウエルFRBって別にベースに「自然利子率がこれだ」とか「自然失業率がこれだ」とかみたいな決定的な計数の置きとかは無くて、様子を見ながらやっていきますよっぽいのが思いっきり感じられるところですし、大体からしてこのフィリップスカーブの説明っていうのも結局事後的にしか分からないだけに、「金融政策これやりたい」の後付けに使われる可能性が高かったりするので、まあその辺は曲者じゃないのかね、と思ったりもしますが、全般的なトーンはここから先のインフレ加速を懸念しているようなトーンに見えましたので、ハト派ヒャッハーと反応していた米国市場の初期反応はどうも????ではありました、という引用大会でございました。
2018/10/05
お題「諸般の事情により本日は市場世間話で勘弁」
ほほう。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181005/k10011658841000.html
新国立競技場の整備 790億円程度の資金不足を見込む
2018年10月5日 3時59分
・・・・・・・・・(−_−メ
〇米国金利更に上昇でナマコに刺激キタコレ
まずは昨日の債券市場、と言っても例によってロイターさんの受け売り
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N1WK1GJ
2018年10月4日 / 15:21
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅反落、長期金利16年1月29日以来の0.155%に上昇
『<15:17> 国債先物は大幅反落、長期金利16年1月29日以来の0.155%に上昇
長期国債先物は大幅反落で引けた。米10年債利回りが2011年以来の高水準となった流れを引き継いで短期筋からの売り圧力が強まった。
現物債市場では長いゾーンを中心に金利に強い上昇圧力がかかった。20年債利回りは17年2月22日以来の0.690%、30年債利回りは16年2月24日以来の0.950%、40年債利回りは16年2月22日以来の1.115%と大幅に上昇した。先物同様に米債金利の上昇が材料視された。流動性供給(対象:残存15.5年超39年未満)入札が弱かったことも強く影響した。長期国債先物中心限月12月限の大引けは前営業日比21銭安の149円96銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は2016年1月29日以来の0.155%に上昇した。』(上記URL先より)
ということでナマコだ何だと毎度のように呪いの言葉を放っていたら米債が11毛とか金利上がって新値付けたのはさすがに効いたようで、昨日は取引序盤から先物150円の所にまた下がって10年0.145%(1毛甘)20年0.670%(1.5毛甘)とかやっておった訳ですが、時間の経過と共に後ろの方が段々弱くなってくるという展開。でまあそういう時に計ったように超長期対象の流動性供給入札とかが予定されていたりするのがチャーミングで、流動性供給入札のテールが1毛近く流れてしまって後場超長期一段安の巻。一応20年0.690%の所では一服しましたけど別に戻るパワーもなくという図になっておりまして、売買参考統計値の平均値単利ベース(5糸単位で丸めていますので念のため申し添えます)だと10年0.155%(2甘)、20年0.690%(3.5甘)、30年0.950%(3.5甘)、40年1.110%(3.5甘)で先物が21銭安ということで後ろが昨日もヘロヘロの巻という状況。
いやーさすがに米債が新値付けて金利上昇したら何ぼナマコでも反応するんですなとホッとはしましたが、先物とかやたら底堅いですなあ(チーペスト無いんだし売られてるの超長期方面だから先物でデルタ殺しに行っても気休めにしかならないのでそらそうよというのもあるけど)って感じですけど、20年0.7%はすぐ近くだし、30年の1%もだいぶ視野に入って来ましたので、さてどうなるのやらという感じではございますな。
しかしまあ何ですな、10年も0.1台後半ということで、昨日は一応14時に臨時輪番の可能性とかいう見方も無かったわけでは無いとは思いますが、基本的にこの金利上昇って「ファンダメンタルズに則った自然な金利上昇」って解釈になると思うんですが、それとも「海外金利の上昇に日本の金利がつられて上昇するのは不自然で投機的な動き」という扱いになるんでしょうか、というのは今日以降のオペを見ないと分からん、というのもよくよく考えたらしょうもない話でして、こんなの解釈次第の世界ですし、一定の基準が示されている訳でもない上に、そもそも一定の基準に則ってオペの出し入れをしているとは到底思えないので、結局出たとこ勝負、しかも日銀の輪番の出し入れという本来は金利形成のファンダメンタルズとかと関係ない筈だが日銀の買入のせいでこんなことになっているのでこれしか注目するものがないという物件に対する出たとこ勝負になるしかありませんなハーコリャコリャ。
・米債ェ・・・・・・・・・・・・・
https://jp.reuters.com/article/idJPL4N1WK3HB?il=0
2018年10月5日 / 04:41 / 2時間前更新
米金融・債券市場=売り継続、10年債利回り3.2%台と約7年ぶり高水準
『米金融・債券市場では前日に続き国債が売られ、10年債利回りは2011年5月以来の水準に上昇した。この日の取引で、5日発表の9月の米雇用統計が予想より力強くなるとの見方が出ていることを背景に10年債利回りは3.232%まで上昇。1日の上昇としては16年の米大統領選挙以来の大きさとなった。
前日はISM非製造業総合指数とADP全米雇用報告が堅調だったことで米国債の売りが触発され、利回りが大きく上昇。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(バンカメメリル)が集計する米国債価格を反映する指数は大きく下落し、1日としての下落は17年3月以来の大きさとなった。』(上記URL先より)
ということでここに来て急に金利上昇キタコレなのですが、そもそもFOMCでのドットチャートとかで今回の利上げ局面での金利を中立よりも高い所にもっていくでしょうとかいうドットチャートが出ていた訳ですし、マンデート達成ヒャッハーというSEPおよびパウエルのオープニングコメントになっていたわけで、何でFOMC出た時に「2021年のドットを見ると利上げ打ち止めが示唆されているからヒャッハー」とか言い出すのかと小一時間問い詰めたかったのですが、結局こうなるということでまあ市場の初期反応というのもあてにならんなという思いを深くする(とかドヤ顔で言っていると死亡フラグになるんですが)のでした。
でですね、まあ確かに雇用統計でお賃金の上昇が来たらインフレ懸念クルーというネタでたたき売りするのも分からんでもないのですが、今日ネタにする予定(とか思っていたのですが、今書いているこのあたりのネタを実はせっせと書いていたら手が滑って一回消してしまったので泣きながら書き直しをしていまして、そこまで間に合わないかもしれませんすいませんすいません連休中にネタにするかもしれないけど期待しないでください)だったパウエル議長の2日の講演の続き(というか前半)のフィリップスカーブに関する話とかでも、もしかして労働需給とインフレの関連性が弱まる的なお話をしていて(それが「インフレ懸念が低い」というのだけクローズアップされて市場が好感するという展開になっていたのですが)、雇用統計のお賃金に注目して、というのはもちろんお賃金上昇がホイホイ加速すればそらインフレ懸念ですから気にするのは順当なのですが、じゃあそうじゃなかったら安心だぜヒャッハーというのとも違う気がするのです。
と申しますのはですね、アタクシが勝手に思いまするに、パウエルさんはじめとしてFRBの見方って最近はインフレもさることながら資産価格(たぶん株式とかではなくてクレジットとか不動産関連とかそういう方面)のオーバーバリュエーションに対してナーバスになっていて、このままゴルディロックス相場ヒャッハーとかやっていると、オーバーバリュエーションが行き過ぎてバブル発生→崩壊となると、現状でまだ金利水準がこの程度だし、おまけに資産買入政策の後始末はまだ全然終わっていないという状況の中で、次にFRBの打つ手のコストが前回以上に掛かることになったらそらもうエライコッチャというような事を気にしていて、だからこそ正常化正常化とやっていっているんじゃないかなあとか思うの。
でまあこれまでは、正常化の中でオーバーキルすることは避けたいし、そうなったら何のための正常化だか分からなくなってしまうからってことで、前任前々任とかは色々なコミュニケーションを使って長期金利の急騰を止めていたし、今でも割とそんな感じで逆イールド懸念だの何だのとか長期金利に配慮したようなコミュニケーションは残っているのですが、まあよくよく考えてみれば短期金利ホイホイ上げても長期金利が全然上がらんと政策的には緩和が残ったままとなりますし、それによってゴルディロックス相場ヒャッハーとかやられたら正常化しているのにナンジャソラということになりますので、中立金利よりも高くしますよとか、そういうファイティングポーズを見せて長期金利がある程度上がるようにしないとアカンじゃろ、とか思っているのではないか、などと思う訳です。
というアタクシの愚感想は、FEDが割とここでBISビューちっくになっている、という前提を元にしていまして、一応そう考える根拠としては色々な高官発言ではあるのですが、はっきり言って推測の域を全然でない話なので、まあそういう発想でやっているんじゃないの、とアタクシが思っていますが皆様どうっすか?というような雑談モードなのでありましたです。はい。
・さて超長期輪番
ということで今日は超長期(とその他の何か)輪番でございますが、金利の事を無視すれば(笑)、為替も株価も絶好の輪番減額日和なのですけれども、まあさすがに昨日10年2毛金利上昇して新安値(金利の高値)をマークしているのにここで輪番減額とかやったらさすがに蛮勇過ぎるのでそれはないと(^^)。
でもって臨時輪番とか指値とかですけど、そらまあ10年金利0.3%とかは許容しないということになっておりますので(0.2なのか0.25なのかという議論はあると思う)、どこかで止めは入ると思いますし、指値って1回打つとその水準以外で入れることにやたら意味付けが生じてしまいますので(本人たちに意味付けなくても市場が思う)、まあ指値入れるよりは臨時輪番を入れてくるということになるでしょう(今日やるとは言ってない)。でもって入れるなら10年となるでしょうな。
ただまあ問題はさっき上の方でも申し上げましたように、そもそも「経済物価情勢に応じた自然な金利上昇」と「投機的な動きによる過大な値動きによって生じた金利上昇」というのの区別なんぞ恣意的にしかつけられない訳でして、なんだかんだと基準をつけようとしても最終的には運用の世界になってしまいますので、どこでこの球が飛んでくるのかさっぱり分からんということになりまして、まあ10年はここからの叩き料理とかやりにくいんでしょうなあ、くらいしか分からんですな・・・・・・・・・
#ということで、本来はこの続きに昨日ネタにしたパウエル講演の続きというお話が入る予定だったのですが、今日はPCのせいじゃなくてアタクシのうっかり八兵衛によってこいつぁうっかりだあ!と書いたものを半分消してしまって(半分で良かった・・・・・・)駄文再生機構(しかも再生しようとしたら趣旨は同じだけど再現性がないんですがががが)をやっておりましたので、単なるメモモードになってしまいまして誠に申し訳ございません
2018/10/04
お題「国債買入ペースの確認でも/パウエル講演より(その1)」
早速登場。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181003/k10011656861000.html
柴山文科相 教育勅語「使える分野十分ある」 野党から批判の声
2018年10月3日 19時38分
『柴山文部科学大臣は、2日の記者会見で、教育勅語についての見解を聞かれ、「アレンジしたりした形で使える分野は十分ある」などと述べました。これに対し、野党からは批判の声があがっています。』(上記URL先より)
「勅語をアレンジ」というこのパワーワード。そして記事中にある「普遍的な意味がある部分も」ってそりゃこういう理念を述べた中に1つも普遍的な価値に言及していないものを探す方が難しいじゃろ。
〇先月はしらっと買入が減っているので国債買入ペースのアップデートでも
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/index.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高
例によって例のごとくですが、こちらから直近の日銀保有長期国債残高の集計表を引っ張ってきて、日本証券業協会の公社債売買参考統計値から売買参考統計値の集計表をエクセルで引っ張ってきて、各銘柄毎の償還日を紐付けれるように加工してあとはソートとオートサム位を使ってヘコヘコ計算しただけなんですけどね。
9月末は半期末の影響か営業毎旬報告が出るのが若干遅いので、営業毎旬が出てから確認したかったんですがまあ見切り発車で。
・来年の国債増加ペースは29兆円ですかね
現在の買入ペースだと、月に6兆7500億円の買入(1年以下は超短い銘柄が入るので、勘定に入れず、変動利付国債は月500億円に平準化して計算してます)となりまして、来年(暦年)に償還が来る日銀保有長期国債が額面で51兆8249億円(ちなみに8月末の時も計算していたので確認したら8月の時よりも2217億円増えていました)となっております。
そうなりますと6兆7500億円の12カ月の間に償還が51兆8249億円ですので、来年の長期国債年間増加ペースは29兆1571億円という数字になりまして、80兆円とは何なのかと小一時間問い詰めたくなるのですが、そこは華麗にスルーするのが大人の事情という感じになっておりますな。
しかしこの30兆円弱という数字になった訳ですが、超長期輪番闇討ち減額を行ったので一旦生体反応を示した債券市場ちゃん、まだ超長期のカーブの後ろの所だけは日替わり踏み投げでもやっているのかどうか知りませんけれども、今週頭くらいまでは一応動いていたんですけれども、昨日くらいからだんだん生体反応がナマコ反応になってきている感がするところでございまして、ストック効果VSフロー効果に関してはよー分からんですけれども、まあ確かに現実問題としてはストックが効きすぎて相場のナマコ状態が著しいというようなイメージisある。
でもって、まあ前提条件が全然違うから一緒くたにして考えるのは乱暴なのですけれども、昨日来ちょろっと申し上げましたように短国市場って日銀買入で市場がおかしくなって(マイナス金利を導入する前からマイナスに突っ込んでいた商品)マイナス金利導入で定例的に短国を安定消化していたMMFが償還の刑になってしまうなど、短国の消化動向にも変化が生じてしまい、短国買入の残高が減っても市場機能っぽい感じにならない(まあ今は海外需要が著しいだけなのかもしれませんけど)という悲しい事実を見ると、このナマコ相場モードというのには悪い予感しか感じないんですよね・・・・・・・・・・・
・銀行券ルールェ・・・・・・・・・・
9月末の銀行券発券残高が営業毎旬見ないと分かりませんが、まあだいたい105兆円内外とかそんなもんでっしゃろという前提に置きますと、2027年が終わった段階、つまり2028年以降に償還を迎える日銀保有の国債残高が104兆4625億円という素敵な残高になっておりまして(8月末対比で2兆少々増えとる)、いやまあ正常化の際(正常化できるのかどうかは知らん)には保有国債を不胎化すれば良いという話ではありますけれども、不胎化するのにはコスト(超過準備付利)が掛かるんで、そのコストどんだけフローで掛かりますねんという話ですし、よくジンバブエ先生などの方々が「長期的に見れは通貨発行益があるから日銀の赤字を心配するのはアホウ」と仰せですが、通貨発行残高を大幅に超える資産購入を行っているという状況って、それは通貨発行益を先食いしまくっているということになりまして、しかも国債買入で期限が物凄く長いものを買っているという状態が続いたら、ドンドン先の通貨発行益を食いつぶして行っているという状態なんですけどねえ・・・・・・・・・・・
〇需給ギャップは調子が良いようですが
http://www.boj.or.jp/research/research_data/gap/index.htm/
需給ギャップと潜在成長率
図表とデータがありますが、図表ちゃんをみますと
http://www.boj.or.jp/research/research_data/gap/gap.pdf
おお結構じゃんとか思いつつ、しかしながら需給ギャップとの感応度があばばばばーということで、寧ろ何でこれで物価が上がらんのよ、ということになるんですかそうですか。
〇パウエル議長の講演
昨日の相場ネタになっていた奴なのですが今日は多分途中までになってしまうと思います(すいません)。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20181002a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/files/powell20181002a.pdf
October 02, 2018
Monetary Policy and Risk Management at a Time of Low Inflation and Low Unemployment
Chairman Jerome H. Powell
At the "Revolution or Evolution? Reexamining Economic Paradigms"
60th Annual Meeting of the National Association for Business Economics,
Boston, Massachusetts
題名とシンポジウムのお題がアタクシの心をウキウキさせるのですが変ですかそうでうですか。
・経済の現状についてはFOMC会見同様にもう大勝利モード
冒頭のマクラ部分からです。
『From the standpoint of our dual mandate, this is a remarkably positive outlook.』
「remarkably positive」頂きました。
『Indeed, I was asked at last week's press conference whether these forecasts
are too good to be true--a reasonable question!』
ワロタ。
『Since 1950, the U.S. economy has experienced periods of low, stable inflation
and periods of very low unemployment, but never both for such an extended
time as is seen in these forecasts.2 Standard economic thinking has long
offered an explanation for this: If unemployment were to remain this low
for this long, employers would be pushing up wages as they compete for
scarce workers, and rising labor costs would feed into more?rapid price
inflation faced by consumers.』
とここからお賃金の話。
『This dynamic between unemployment and inflation is known as a Phillips
curve relationship, and at times it can pose a fundamental tension between
the two sides of the Fed's mandate to promote maximum employment and price
stability. Recent low inflation and unemployment have some analysts asking,
"Is the Phillips curve dead?"3』
『Others argue that the Phillips curve still lurks in the background and
could reemerge at any time to exact revenge for low unemployment in the
form of high inflation.』
フィリップスカーブの有用性についての論点。
・ということで前半は失業と賃金の話ですがフィリップスカーブは生きているというのが基本観の模様
『My comments today have two main objectives. The first is to explain how
changes in the Phillips curve help account for the somewhat surprising
but broadly shared current forecasts of continued very low unemployment
with inflation near 2 percent. At the risk of spoiling the surprise, I
do not see it as likely that the Phillips curve is dead, or that it will
soon exact revenge.』
いずれお賃金が上がって来て物価が上がるでしょう、という認識でしたらそら利上げ継続するし、長期均衡水準よりも上のターミナルレートになるのも当然ですなと思います。まあそれよりはパウエルの場合、ターミナルレートが幾らかということを推計して金融政策を逆算していくのではなくて、経済物価のデータをバックワードルッキングしながら金利をアジャストしていくという感じになって、たぶん幾らとかいう決め打ちはしていなくて、経済物価指標や資産価格動向見ながら調子が良いままだったら利上げを継続してくるんじゃないかと思いますけど。
『What is more likely, in my view, is that many factors, including better
conduct of monetary policy over the past few decades, have greatly reduced,
but not eliminated, the effects that tight labor markets have on inflation.
However, no one fully understands the nature of these changes or the role
they play in the current context. Common sense suggests we should beware
when forecasts predict events seldom before observed in the economy.4』
『Thus, my second objective today is to explain, given this uncertainty
about the unemployment-inflation relationship, the important role that
risk management plays in setting monetary policy. I will explore the FOMC's
monitoring and balancing of risks as well as our contingency planning for
cases when risk becomes reality.』
つーことで、目先の現生利益的に関係が深いのは後半でして、フィリップスカーブは死んではいないけど背景とか事情とかよくわからんながら物価と賃金の関係に変化が生じているように見られる中で、ワシらのデュアルマンデート的な金融政策運営ってどうすればよろしいんですかねえ、という話がある訳ですな。
ということで、その次から、
『Historical Perspective on Jobs and Inflation』
『A Simple Framework for Understanding Changes in the Jobs-Inflation Relationship』
『What Led to the Changes in the Phillips curve?』
というのが続いているのですが、本日は華麗にパスしまして現生利益編の方から参ります(汗)。
・フィリップスカーブの話をぶっ飛ばして現生利益編
『A Favorable Outlook, but What Could Go Wrong?』という小見出しから。
『To set the stage, let us return to the situation facing the FOMC. The
baseline forecasts of most FOMC participants and a broad range of others
show unemployment remaining below 4 percent for an extended period, with
inflation steady near 2 percent.』
現状のFOMCメンバーの物価と失業率見通しですな。
『I have made the case that this forecast is not too good to be true and
does not signal the death of the Phillips curve.』
ほう。
『Instead, the outlook is consistent with evidence of a very flat Phillips
curve and inflation expectations anchored near 2 percent.』
フィリップスカーブがフラット化して2%のインフレ期待がアンカーされているという状態だからこそこうなるんです、だそうな。
『Could Inflation Expectations Become Unanchored?』という小見出しになります。
『First is the risk that inflation expectations might lose their anchor.』
うむ。
『We attribute a great deal of the stability of inflation in recent years
to the anchoring of longer-term inflation expectations. And we are aware
that it could be very costly if those expectations were to drift materially.』
ほうほうそれでそれで?
『As you probably know from our public communications, we carefully monitor
survey- and market-based proxies for expectations, and we do not see evidence
of a material shift in longer-term expectations (figure 6). The survey
measures have been particularly steady for some time.15 The financial market-based
measures include both an expectations component and a volatile inflation
premium component, so they tend to move around much more than the surveys,
but we see no evidence of a material change in these measures, either.』
インフレ期待のアンカーが外れるとエライコッチャになるのだが現状そのようなものは観測されていないと。
『The risks to inflation expectations are, of course, two sided. Until
this summer, inflation had remained stubbornly below 2 percent for several
years. And major economies in much of the world have been struggling mainly
with disinflationary forces. Thus, we have been and will remain alert for
possible downward drift in expectations. Some argue the contrary case--that
by only gradually removing accommodation as the unemployment rate has fallen,
the FOMC may have fallen behind the curve, thereby risking an upward drift
in expectations.』
ということでインフレ期待のアンカー外れる話には両サイドからの指摘はあるのはあるけど・・・・・・
『From the standpoint of contingency planning, our course is clear: Resolutely
conduct policy consistent with the FOMC's symmetric 2 percent inflation
objective, and stand ready to act with authority if expectations drift
materially up or down.』
まあ簡単に言ってますけどそもそもそのインフレ期待って実際にすぐにわかるもんかいなというのはあるので、この辺りはまあインチキ臭いというか、こういうしかないのはその通りなので実際に試練に立たされた時にどういう動き方をするのやらという観はある(物価が上に振れた時にフォワードルッキングで対処するのかどうかが気になる)。
・たぶんここが市場でネタになったところ
次の小見出しが『Could Inflation Pressures Move up More than Expected in a Hot Economy?』である。
『A second risk is that labor market tightness or tightness in other parts
of the production chain might lead to higher inflation pressure than expected--the
"revenge of the Phillips curve" scenario.16』
お賃金とか上がりだして急にキタコレになるリスクについてだそうで。
『As I mentioned, the FOMC carefully monitors a wide array of early indicators
of inflation pressure to evaluate this risk. Wages and compensation data
are one important source of information. These measures have picked up
some recently, but in a way that is quite welcome.』
お賃金上がっているけど今は良い上がり方とな。
『Specifically, the rise in wages is broadly consistent with observed rates
of price inflation and labor productivity growth and therefore does not
point to an overheating labor market.』
ファンダメンタルズを反映した上昇になっているそうです。
『Further, higher wage growth alone need not be inflationary.』
ほう。
『The late 1990s episode of low unemployment saw wages rise faster than
inflation plus productivity growth without an appreciable rise in inflation.』
ほほう。
『Despite what shows up in the aggregate wage and compensation data, however,
I am sure that, like us, many of you are hearing widespread anecdotes about
labor shortages and increasing bottlenecks in production.』
単独での賃金上昇がインフレーしょなりーではないという話の続きのようですの。
『For example, as shown in figure 7, the words "shortage" and
"bottleneck" are increasingly appearing in the Beige Book, the
Federal Reserve's report summarizing discussions with our business contacts
around the country.17 The message we are hearing in our conversations is
supported by a wide range of more conventional measures.』
現状では労働不足が生産のボトルネックとか言われるようになっておりますそうな。
『For example, the survey of members of the National Federation of Independent
Business finds firms increasingly reporting that job openings are hard
to fill (figure 8). Further, these businesses now list "quality of
labor" as their most important problem, as opposed to the more typical
report of "poor sales."』
ということで、
『We review a wide variety of measures of this type, and these indicators
show what I think most business people see: an economy operating with limited
slack. Notice, however, that these measures are near levels that prevailed
in the late 1990s or early 2000s, a period when core inflation remained
under 2 percent.』
『While the late 1990s case proves that elevated values of these tightness
measures do not automatically translate into rising inflation, a single
episode provides only limited reassurance.』
つーことで、この部分が「インフレ圧力は乏しい」という形でベンダーに乗っかってゴルディロックスヒャッハーということになっているのですが、別に無警戒とかいうわけではなくて、これって「利上げをゆっくりやっていってもインフレ圧力が爆発しない」という説明をしているんじゃネーノというのはだいぶ思う。
『Thus, the FOMC takes seriously the possibility that tight markets for
labor or other inputs could provide greater upward pressure on inflation
than in the baseline outlook. Our best estimates, however, suggest that
so long as inflation expectations remain anchored, a modest steepening
of the Phillips curve would be unlikely to cause a significant rise in
inflation or demand a disruptive policy tightening.18』
『Once again, the key is the anchored expectations.』
ということで、アンカーが外れそうと思ったらプロアクティブに行動する(ただその判断は難しかろう)という姿勢はあるんですよね。
でもって最後に『Is the Natural Rate of Unemployment Lower Than Expected?』という小見出しがあるのですが、前半部分と一緒に明日で勘弁(単に時間切れ)ということで。
2018/10/03
お題「短観の企業物価見通しを無理矢理日銀に都合よく解釈してみる/短国買入/昨日ネタにしたストック効果の論文から雑談」
さて新内閣
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181002/k10011654971000.html
第4次安倍改造内閣 閣僚名簿を発表
2018年10月2日 14時07分
メンバー的に地雷になりそうなお方が何名かいらっしゃるような感じがするのですけれども、「お友達内閣」にして炎上したときのことはお忘れになったのかというそこはかとない不安がががががが。
〇企業の物価見通しェ・・・・・・・・・・・・・
http://www.boj.or.jp/statistics/tk/bukka/2016/tkc1809.pdf
1.販売価格の見通し(現在の水準と比較した変化率)
全規模合計 全 産 業
1年後 前回:0.7%→今回:0.8%
3年後 前回:1.2%→今回:1.3%
5年後 前回:1.5%→今回:1.5%
販売価格の見通しが全般的に上がっているから企業の価格設定行動が改善しているよ!やったね!日銀!!・・・・・・・って現象的には確かに1年後と3年後の販売価格の見通しは上がっているのですが、まあ遅々として歩みの鈍い足取りでして、前々回の販売価格判断がそれぞれ0.7、1.2、1.4なので、半年かけてそれぞれの数値が0.1ずつ上がりました、というような結果になっております。
でもってインフレ期待って言いましてもそもそもがふわっとした話で、実際にインフレ期待がビルトインされて出てくるものっていうのは「販売価格判断」というあたりや「定例給与の引き上げ動向」という話になる(・・・・・・って定例給与の引き上げってのは「生活給」という概念で考えて申し上げているのですが、まあ世の中的には最近って払う側は職能給みたいな理屈を持ってくるのでそれだと労働生産性が上がった分で昇給になるからインフレ期待あまり関係ないともいえるけど)のですが、企業の価格設定動向、という意味で言えば短観のこのデータをベースにすれば「半年間で0.1%上昇しました」とまあ非常に時間の掛かるお話でして、この調子で2%物価上昇を所与とした価格設定行動に持っていけるのってあと何年かかりますねんというお話ではあります。
が、まあ半年に0.1%だけど上がっているからよかったじゃないですか、2%行く前に次の景気後退が来て全部おじゃんになってしまうって気もしますけどね!!!!(白目)
2.物価全般の見通し(前年比)
全規模合計 全 産 業
1年後 前回:0.9%→今回:0.8%
3年後 前回:1.1%→今回:1.1%
5年後 前回:1.1%→今回:1.1%
・・・・・・・と販売価格判断を見てせっせとコメントしたというのに何ですかこの根性の無い物価見通しの推移は!!!という感じですが、これがまた前々回の数字がそれぞれ0.8、1.1、1.1でしたので、何のことはない要するにこの半年横ばいというお話。
ただまあ無理矢理日銀に都合の良さそうな屁理屈を回しますと、物価見通しが変わらない中で価格設定見通しに関してはじっくりではありますが上昇している訳でして、物価見通しというのが実際に企業の行動にどう影響するかはよくわからないですが、現実に行動として出てくる価格設定見通しの方が強くなっている訳ですから、これは企業の価格設定動向の強気化を示していて、インフレ期待が上がらなくても能動的に価格設定を引き上げるコースが見えてきた、といって喜ぶというのが無理矢理読むとそう読めないこともない。
ってまあ普通に読めば「今回も横ばいですな全然カワランチ会長ですなあ」でおしマイケルなのでございますががががが。
では念のため、もうすっかり日銀の方々が言わなくなりました「エコノミストや大企業などは目先の物価動向に一々反応するのでアカン、真のインフレ期待は中小企業や家計などの部門に現れる(キリッ)」という、単にアンケート当初に大きな数字が出ていたのがそのセクターだったというだけで都合の良い解釈をしたのではないか、などと下衆の皆様がツッコミをしそうな理屈を捏ねておられましたので、直近半年間(前々回短観以降)の中小企業製造業、非製造業の「物価全般の見通し」を確認してみましょう。
中小企業 製 造 業
1年後 前々回:1.0%→前回:1.0%→今回:1.0%
3年後 前々回:1.2%→前回:1.2%→今回:1.2%
5年後 前々回:1.3%→前回:1.3%→今回:1.3%
中小企業 非製造業
1年後 前々回:0.9%→前回:1.0%→今回:1.0%
3年後 前々回:1.2%→前回:1.2%→今回:1.2%
5年後 前々回:1.3%→前回:1.3%→今回:1.2%
おお、インフレきたいよ、まるであがらないとはなさけない・・・・・・・・・・・・・
ということで、まあさっきは無理矢理日銀に光明が出るような無理矢理解釈をしましたが、まあ「インフレ期待が腰折れしている訳ではない」というのはその通りなので、そういう意味からは追加緩和という文脈は出てこない(ただし早期達成というのが前面にでるようだと追加緩和になるけどそれは現在封印中)ということになりますね。
〇短国買入
従来パターンから日程を外した昨日の短国買入ですが、
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of181002.htm
国庫短期証券買入 1,000 2018年10月3日
ということでオファーが1000億円と最低ロットでのオファー来ました。
でまあそもそも先週の短国入札が・・・・・・・・・
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20180928.htm
(3)募入最低価格 100円05銭1厘0毛(募入最高利回り)(-0.1860%)
(4)募入最低価格における案分比率 11.3663%
(5)募入平均価格 100円05銭5厘7毛(募入平均利回り)(-0.2031%)
とかいう素敵な水準で(発行日は10/1で償還が1/9の年末越え)発行されていて、昨日の引けベースの売買参考統計値の平均値単利見るとこの銘柄である短国786回って-0.265%とかいう素敵な数字になっておりまして、ドル調達絡みだか何だか知りませんが見事なまでに物無し芳一状態になっておられるようですので、そらまあ買入せんでもええわ位の勢いという状態ですので、短国買入の絶好の減らし時ではあるのですな。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/index.htm/
日本銀行による国庫短期証券の銘柄別買入額
でもって今月に関しては、日銀保有銘柄の短国一覧から償還額面を計算しますと、10月の償還額ってそんなに多くなくて、1兆9166億円しかないので、元々ロールオーバーするだけでもそんなに買う必要はない(ちなみに短国買入の額面残高ですが9月末で13兆7551億円まで減少しているのですが、今回のように短国需要が出るとあっという間に▲20bpの世界に飛んでいってしまうような状態)し、大体からして直近の入札およびその後の状況からして短国ニーズあるんだから日銀が買ってしまう必要もなしということですな。
とまあそういう風に考えますと、今月から「いつものパターンでの買入ではないですよ」と宣言している以上、短国買入を月に4回律義に実行する必要もなくて、需給的にもその方が良い話という事になれば、短国買入についてはオファー額もそうですが、オファー回数もバサッと削減してきても何ら不思議はないですな。
まあそれによって例えば短国がクッソ重くなって▲8bpとかまで金利上昇するようになったらせっせと短国買入をすれば良いだけの話であって、来月だとまだ早いかもしれませんが、いずれ短国買入に関しては「短期市場および短期国債市場の動向を勘案し、金利が過度に上昇した場合は適宜買入を実施する」というような方針になって、原則買入は特に行わなくて、短国金利が上昇して、短い所の国債などの金利に悪影響(まあワシらにとっては好影響という気がしますが)を与える時に火消しをしますけど普段は知らんもんね、という風になっていくのかなあと思いますし、寧ろそうあるべきでしょと思うのでありまする。
〇例のストックビューとフロービューのレポートなんですが・・・・・・・・
時間がないので引用逃げみたいな感じになりますが。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18j09.pdf
日本における市場分断・特定期間選好仮説のDSGEモデルによる検証
―ストック効果とフロー効果の定量比較を中心に―
こちらなんですけど、モデルの概要というのを見るとうーんこのという感じがしましてですね、
本文6ページより。
『本稿のモデルは、ALSN (2004) と CCF (2012) の枠組みを用いつつ、これらのモデルで採用されている長期国債の取引費用についての定式化を変更したものである。経済は、家計部門、企業部門、政府部門から構成される。企業部門は標準的なニューケインジアン型のモデルの設定と同様である。一方で、家計部門と政府部門、とりわけ中央銀行についての定式化は標準的なモデルとは異なる。より具体的には、Smets
and Wouters (2007) のような標準的なニューケインジアン型の DSGE モデルと比較した場合、本稿のモデルは以下の
5 つの点で特徴がある。』
『1. 国債市場は、短期国債市場と長期国債市場からなり、長期国債の利回りは、短期国債の利回りである短期金利の期待値とターム・プレミアムの和からなる。定常状態において、ターム・プレミアムは、正の値を取る12。』
『2. 家計部門には、標準家計と長期運用家計が存在し、標準家計は短期国債と長期国債の双方に投資できる一方、長期運用家計は長期国債にのみ投資できる。もっとも、標準家計が長期国債を保有する際には取引費用を支払う必要があるが、長期運用家計が長期国債を保有する際には取引費用は発生しない。標準家計と長期運用家計の割合は、それぞれωと1-ωである。』
『3. ターム・プレミアムの大きさは、標準家計が長期国債を取引する際に支払う取引費用の関数となっている。この取引費用は、家計が保有する長期国債や預金の規模やその変化率の関数になっている。』
『4. 金融政策について、中央銀行は短期金利だけではなく、長期国債の買入れも操作変数として用いる。』
『5. 金融政策について、Laseen and Svensson (2011) や Del Negro et al. (2017)
と同様に、将来の短期金利に関する、予期された金融政策ショックが存在する。』
『ここで、1〜3 が市場分断・特定期間選好に関する設定となる。5 は、本稿の分析対象期間の多くが、日本において将来の短期金利に対するコミットメントが実施されていた時期であったことを踏まえた設定である。すなわち、ターム・プレミアムの変動と期待成分の変動をより正確に識別するためには、将来の短期金利に対するコミットメントによる短期金利予想の変動を明示的に考慮したモデルを選択する必要がある。』
『本稿のモデルは、3 と5 の点で CCF (2012) と異なる。3 について、CCF (2012)
では、取引費用は、家計が保有する長期国債の規模のみの関数となっている。また、CCF
(2012) では、5 のような予期された金融政策ショックを組み込んでいない。本節では、モデルのうち、上記の
5 点に関連する部分について説明する。モデルの包括的な説明については、補論
A を参照されたい。』
ということで補論Aとかまで突撃するとオワランチ会長になってしまいますが、これ見てて(まあそのあとにも説明があるのですが)思うのは、そもそも「タームプレミアム」の概念がこっち(市場)側にいる人間と違うわなと思います。というのはタームプレミアムって要するに流動性プレミアムと不確実性のプレミアムであって、それは将来の金融政策動向推計の不確実性に加えて、必要な流動性というのは時に変化しうるため、流動性プレミアムというのも上がったり下がったりするもんだと思うの。
然るに、こちらの分析だとタームプレミアムの大きさは「標準家計が長期国債を取引する際に支払う取引費用の関数となっている」までは良いとしても、「この取引費用は、家計が保有する長期国債や預金の規模やその変化率の関数」ってのがそれはどうなのと思う所ですし、大体からしてそういう前提を置いたら「財政部門が中央銀行の国債買入の増減にあわせて国債発行を伸縮する」以外の状況にあれば、中央銀行が保有する国債が増えればタームプレミアムが減るの自明みたいな世界になってしまうから、そらタームプレミアムの反映であるところの長期金利に関してはストック効果が効くという結論になるじゃろと思ってしまったのですが、アタクシは何せハクション大魔王なので字面を眺めて前提条件を詰めたらそうならないかねえとは思っても、具体的なデータ分析で実際どうなのよという話は知らんがなにも程がある程度には数字には弱いので誰かこの内容精査していただきたいんですがよろしくお願いします。
#諸般の事情で今日も簡単版のようですいません
2018/10/02
お題「日銀短観私家版チェック/国債買入のストック効果VSフロー効果のスタッフペーパーキタコレ」
おおジオシティーズよ・・・・・・・・・
https://info-geocities.yahoo.co.jp/close/index.html
『ジオシティーズに作成された技術関連のホームページは今でも多くの技術者の助けになっていると聞いています。現在も毎日のように更新されているホームページもあります。1990年代後半に作成された個人のホームページはその体裁やデザインも含めて、その時代のインターネット文化そのものです。Twitter上では「昔作成したホームページがジオシティーズに残っている、黒歴史だから早く消えて」というつぶやきも見かけます。長期にわたり更新されていないホームページについては、規約にのっとり削除することも可能でしたが、誰かが必要としているかもしれないページを削除するのは忍びなく、できるだけ残す方針を続けてきました。』
『インターネット上に残された多くの遺産や、現在も積み上げられている情報の蓄積が消えてしまうのはインターネットを愛するスタッフ一同としても残念な思いでいっぱいです。以下で代替サービスと引っ越し方法について説明いたします。1つでも多くのサイトが引っ越し先で公開を継続していただけますと幸いです。』(上記URL先より)
やむを得ないとは言え残念ではあります。
〇もはやまるで材料にならん日銀短観なのだがいつものように私家版チェック
http://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2016/tka1809.pdf
・先行きDIの達成度合い
(6月時点) (9月時点)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 +21→+21 +19→+19
製造業中堅企業 +20→+16 +15→+13
製造業中小企業 +14→+12 +14→+11
非製造業大企業 +24→+21 +22→+22
非製造業中堅企業 +20→+16 +18→+15
非製造業中小企業 +6→+5 +10→+5
前回6月短観ではこんなことを書いておりました。
前回は「改善止まる」で今回は製造業大企業を見ると頭打ち、ということになるのでまーそっちが報道ベースでは出ると思う(一般ニュースをちゃんと見てない、汗)のですけれども、「前回の見通しDIの達成度合い」という観点で見ますと全規模に渡って3月短観時点での見通しよりも良い数値になっております。
しかも今回は想定為替レートが前回の年度109.66が107.28になっていまして、概ね2円半円高に振れたのですが見通しDIよりも上振れという結果。まあだいたいDIのプラスが大きい時というのは、傾向として先行きDIは「堅め」に見るということで現状よりも弱めに出るのが普通なので、その点で言えば製造業大企業のDIが前回対比下がっているとは言いましても、見通しDIよりは良い数字になっていますし、それ以外の規模、非製造業では概ね前回DI対比横這いでの推移となっていますので、まあこんなもんちゃあこんなもんでしょう。ただ、今申し上げたように基本は先行きDIが堅めに出るはずのところで、大企業製造業の先行きDIが横ばいというのはいつもと違うパターンになっているので多少は気になります。(ここまで前回6月短観の時に書いた駄文)
でもって今回ですけれども、見てて多少唸ってしまったのは「前回見通しDIよりも今回のDIが製造業で下振れしている」という部分でして、ここまでずーっと「固めの先行き見通しDIに対して実際に出てくるDIはそんなに落ちない(どころか良くなる)」というのを継続していたのですけれども、そらまあ+20だとかいうようなDIの水準そのものが強いのでそらそうよということではあるのかも知れませんが、これは製造業ピークアウトの香りも仄かに漂う今日この頃って奴ではないかという気がせんでもないが、そういってただの踊り場だったというのも何度か見ているので別に決め打ちをする気はさらさら起きません。
・業種別計数で気になったこと(いつもの定点観測以外のネタ)
これまた前回6月短観ではこんなことを書いておりました。
・・・・・・ということで、アグリゲートしてみれば全体の数字自体はそんなに悪くはないと思いますけれども、一つ非常に気になったのは短観概要の鏡のページにある「業種別の計数」でして、今回非製造業で「小売」のDIがプラスマイナス0になっておりまして、非製造業の中でダントツに業種別DIが悪くなっています。
最近個人消費が弱めじゃないのかとか、先週末に開始となった夏物セールにピラニアの如く買い物ピープルが群がっておりまして、それまでおまいらどこにいたんだよ(バーゲン待ちで買い控えをしていたんでしょうけど)というような風情だった辺り(セールでも安くした分は売り上げ数量出れば良いのでしょうけれどもそこまでの買い控ェ・・・・・)するのと整合的なのが出てきたのにはちょっと唸るものがありました。(ここまで前回6月短観の時に書いた駄文)
でもってこちらの「小売」なんですけど、前回の現状DIが0で先行き見通しDIが+6だったのですが、今回の現状DIは+2にしか改善していなくて見込みより下振れの上、先行き見通しDIの方は+9と引き続き希望的観測モード(しかも希望的観測度合いが高まる)となっているのはこれまた唸らざるを得ませんな、ナムナム。
製造業では前回対比の落ち込みが盛大に来ているのは「繊維」「石油・石油石炭製品」「窯業・土石製品」という辺りですが、その中で石油石炭に関しては6月短観時点で落ちこみが予想されていて予想通りという風情なのですが、他は予想外に悪化という感じになっておりますな(予想通り悪化、はエネルギー関連で輸入価格の上昇がラグをもって効いてきているんでしょうか、よー知らんけど)。
・雇用判断DI(ここの数値はマイナスが大きい方が雇用情勢的には良い)
(6月時点) (9月時点)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 ▲16→▲17 ▲18→▲18
製造業中堅企業 ▲25→▲26 ▲27→▲28
製造業中小企業 ▲29→▲34 ▲32→▲35
非製造業大企業 ▲27→▲28 ▲29→▲30
非製造業中堅企業 ▲36→▲40 ▲36→▲41
非製造業中小企業 ▲39→▲45 ▲40→▲46
水準が超越マイナスなのは毎度の事で労働需給は逼迫しっぱなしで、前回はこの雇用判断DIのマイナスが何となくピークアウトしたんじゃネーノというような感じもしないでもなかったのですけれども、今回まーた不足感が拡大しておりまして、どんだけハイパー不足なのかと思うのですが、一方でアタクシの給与いや何でもないです急に目から汗が・・・・・・・・・・・
・販売価格判断(「上昇」-「下落」)
(6月時点) (9月時点)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 +5→+5 +7→+3
製造業中小企業 +5→+8 +5→+6
非製造業大企業 +5→+5 +7→+5
非製造業中小企業 +4→+3 +2→+4
仕入価格判断(「上昇」-「下落」)
(6月時点) (9月時点)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 +30→+24 +27→+23
製造業中小企業 +43→+44 +41→+43
非製造業大企業 +16→+16 +18→+17
非製造業中小企業 +29→+30 +26→+29
こちらは前回6月短観ではこんなことを書いておりました。
今回は販売価格判断DIが上がっていますが、それ以上に仕入価格判断DIの上がりの方が大きいというのがうーんという感じ(ただし割とその傾向はあるから過大評価するのは禁物だと思う)なのですが、それ以外に見ていてほほーと思ったのは大企業製造業の仕入価格判断DIが前回に引き続きしらっと上昇していることで、まあ大企業の段階まで仕入価格上昇の影響はおよんでいて、中小企業の仕入れ先をとっ捕まえて仕入価格を改善しようというのも限度があるちゅう話ですかなとは思いました。
とは言いましてもゼロ近辺でずっと安定していた販売価格判断がじりじり上がっている方を捕まえて日銀ニッコリでしょうかねえ、よくわからん。(ここまで前回6月短観の時に書いた駄文、誤字修正しました)
でもって今回なのですが、製造業大企業で販売価格判断が上がっているのに仕入価格判断が下がっていたり、製造業中小企業でも販売価格判断が横ばいで仕入価格判断が下がっているという中々素敵な事案が発生していますし、販売価格判断は非製造業中小企業を除いて横ばいから上昇しているのでこれは日銀ニッコリの展開・・・・・・になるんでしょうかねえ。
・需給判断DI
国内需給判断(「需要超過」-「供給超過」なのでプラスの方が強い)
(6月時点) (9月時点)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 ▲2→▲1 +1→▲1
製造業中小企業 ▲10→▲11 ▲9→▲12
海外需給判断(「需要超過」-「供給超過」なのでプラスの方が強い)
(6月時点) (9月時点)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 +4→+3 +4→+2
製造業中小企業 ▲3→▲4 ▲4→▲5
ここは大体横ばいなんですが、製造業大企業の国内需給判断が前回悪化したのが改善しているのでまあ良かったですねというところですが、昨年12月短観からの推移が▲1→+0→▲2→+1なのでまあ気にしなくても良さそう。
・金融商品取引業ェ・・・・・・・・&預金金融機関
(6月時点) (9月時点)
現状→9月予測 現状→12月予測
金融商品取引業 +17→+24 +4→+14
前回6月短観ではこんなことを書いておりましてですね、
12月短観の時は盛大に9月時点での先行き予測より上振れ、3月短観では12月時点での先行き見通し(+28予測だった)から下振れしたのですが、今回は前回時点で「ここから反転上昇」という見込みのところ、見事に逆転して改善幅縮小というのはワロタ。(ここまで前回6月短観の時に書いた駄文)
でまあ今回は6月時点での「今度こそ反転上昇」をあざ笑うように一段とDIのプラス幅が縮小となっておりますが、一方で直近株式市場の方はエッサホイサと上昇しているんですが今後どうなるのやら。
でもって前回あばばばばー感が漂っておりました預金金融機関ですけれども、
(6月時点) (9月時点)
現状→9月予測 現状→12月予測
銀行業 +5→▲1 +7→+6
協同組織金融業※ +5→+0 +2→+0
(※昨年12月短観までの「信用金庫・系統金融機関等」)
銀行業の現状判断DIと先行き判断DIはいったん落ちるの止まった(まさかとは思いますがアンケート回答に際して忖た・・・・・いやなんでもないです)のですが、協同組織金融業の方が下がっておりますな今回というところでありまして、うーんこのという感じです。
・・・・・とまあそんなところですが、何せ短観出ても1ミクロンも相場が反応しないというこのへっぽこ債券市場ではありまして、あたしゃ何のためにこのチェックしてるんだろうとか思ってしまいますが、前から延々とこの比較をしているだけにもはや意地になって短観の私家版チェックをするのでありました(--;
〇国債買入のストックビューVSフロービューの分析ペーパーキタコレ
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/wp18j09.htm/
日本における市場分断・特定期間選好仮説のDSGEモデルによる検証
―ストック効果とフロー効果の定量比較を中心に―
本文はこちら
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18j09.pdf
今回のは珍しく英文と同時に出ていまして、英文はこちら
http://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2018/wp18e16.htm/
Do Market Segmentation and Preferred Habitat Theories Hold in Japan? :
Quantifying Stock and Flow Effects of Bond Purchases
英文本文はこちら
http://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18e16.pdf
ちなみに動学的一般均衡モデルを使って云々と言いますと、先般こんなのが出ていましたけど
http://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2018/wp18e06.htm/
Natural Rate of Interest in Japan
-- Measuring its size and identifying drivers based on a DSGE model --
本文
http://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18e06.pdf
こちらは英文が3月に出て日本語版が出たのが6月だったりした奴ですな。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/wp18j03.htm/
わが国の自然利子率
―DSGEモデルに基づく水準の計測と決定要因の識別―
本文
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18j03.pdf
ということで英文じゃないので読めるぜヒャッハーと思いましたが、数学の出来なさではハクション大魔王といい勝負(古すぎてわかりませんかそうですか)のアタクシとしては数式を見ましても駄文のネタにできませんので(統計処理する際の前提条件が何かというのを理解すれば出てきた結果がどのように出てきたのかというのは理解できると開き直っておりますが頭の悪いのをそうやって開き直っているだけ)、要旨部分とか最初の方を鑑賞する程度しかネタにしません(一応読んではみているんですが解説をするのはちょっと・・・・・・)。
ということで要旨から(URL再掲します)、もちろん日本語の方から。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/wp18j09.htm/
『要旨』
『世界的金融危機以前の経済学では、「中央銀行の長期国債買入れは、長期金利に対して中立である」との見方が支配的であった。しかし、世界的金融危機を受けて主要中央銀行が大規模な長期国債買入れに踏み切る中で、国債市場における市場分断や特定期間選好の存在に着目し、「中央銀行の長期国債買入れが、ターム・プレミアムを通じて長期金利を押し下げる」との見方も増えている。』
さいですな。
『本稿では、市場分断・特定期間選好を明示的に組み込んだDSGEモデルを、1980年代から2017年までの日本のデータを用いて推計し、日本銀行による長期国債買入れがターム・プレミアム、ひいては経済・物価に与える影響について、それが買入れた長期国債残高(ストック効果)を通じたものか、各期買入れるフローの規模(フロー効果)を通じたものかという点を中心に、定量的に分析した。』
ほう。
『分析の結果は、以下の3点にまとめられる。(1)市場分断・特定期間選好は有意に存在し、日本銀行による長期国債買入れは、ターム・プレミアムの押し下げを通じて、経済・物価へ緩和効果をもたらした。(2)こうしたターム・プレミアム押し下げ効果は、日本銀行による量的・質的金融緩和の導入以降、顕著に強まっており、2017年末時点で50〜100bps程度となっている。(3)この押し下げ効果のうち9割以上がストック効果によるものであり、フロー効果の寄与は限定的である。』
ほうほう。
『本稿の分析は、長期国債買入れによるターム・プレミアム押し下げ効果について議論する際には、日本銀行が各期買入れるフローの大きさよりも、日本銀行が保有するストックの大きさの方が重要度が高いことを示唆する。』
ということで、例によってスタッフペーパーですので、『なお、本稿に示される内容や意見は、筆者たち個人に属するものであり、日本銀行および企画局の公式見解を示すものではない。』と最後にあるのですが、
>長期国債買入れによるターム・プレミアム押し下げ効果について議論する際には、日本銀行が各期買入れるフローの大きさよりも、日本銀行が保有するストックの大きさの方が重要度が高いことを示唆する
っていうのはこれは「ストック効果があるので日銀国債保有残高の拡大を行っていればフロー的に買入が減っても金利の押し下げ効果が出ますぜヒャッハー」と仰せになっておりまして、よーしパパ国債買入フローを減額しても問題ないぞーというお墨付きキタコレというネタで何とかストの皆さんがヒャッハーとレポートのネタにする、という姿が(てかもう出ているかも知れませんが)目に浮かびますな、うんうん。
でもって一応本文の冒頭もちょっと引用しますと(もしかしたらアタクシが何か操作を間違えたのかもしれないのですが、クロームからPDF落としたら何か本文のフォントが面白フォントになってしまった。コピペはちゃんとできるが印刷ジョブは掛けてないので実際にどうなっているのかはよくわからん)・・・・・・・・
本文です(URL再掲)
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18j09.pdf
本文最初の『1 はじめに』の3ページ目のあたりから引用します。
『もっとも、「量的緩和の問題点は、現実には効果が認められる一方で、理論的には効果が説明できないことである」(Bernanke、2014)
という評価に象徴されるように、長期国債買入れが長期金利を押し下げているとしても、そのメカニズムが全て明らかになっている訳ではない。』
『特に、長期国債買入れが、買入れた長期国債の残高(ストック効果) を通じて作用しているのか、あるいは各期買入れるフローの規模
(フロー効果) を通じて作用しているのかという点は、それぞれの政策的含意が異なるだけに重要な論点の
1 つである。』
『実際、金融資産の代替性が不完全であることを強調する理論に忠実に従うのであれば、長期金利を押し下げるのは、中央銀行によって市場から吸収されたストックの残高であり、市場から吸収されるスピードであるフローは固有の含意を持たない。しかし、実際にストック効果だけではなくフロー効果が存在することについては、D’Amico
and King(2013) など、既存の実証研究で指摘されている。また、BIS (2017) も「経済学者の間での一般的な見解は、資産価格に対して影響するのはその残高
(ストック) だというものである。他方で、残高の変動 (フロー) が影響する可能性もある」としており、この点についてのコンセンサスは、必ずしも形成されていないように見受けられる7。』
『こうした状況を踏まえ、本稿では、国債市場におけるターム・プレミアムを明示的に組み込んだ
DSGE モデルを構築・推計することを通じて、日本銀行による日本の長期国債の買入れが長期金利、ひいては経済・物価に与える影響について、それがストック効果によるものかフロー効果によるものかという点を中心に、定量的に分析する。分析に
DSGEモデルを用いることの最大の利点は、モデルが国債市場と財市場の双方を含んでいるため、両市場間の動態的な依存関係を描写できることである。』
『また、フォワード・ルッキングな経済主体の意思決定を明示的にモデル化するため、長期国債買入れの実績値やアナウンスメントが、経済主体の意思決定にどのように影響を与え、ターム・プレミアムなどの変数に作用するかという点についても分析できるという利点も大きい。このように推計された
DSGE モデルを用いて、長期国債買入れとターム・プレミアムや経済・物価の関係性について分析した研究は、現時点においては少なく、筆者たちの知る限り、米国のデータを用いた
Andr´es, L´opez-Salido, and Nelson (2004) (以下、ALSN) および Chen, C´urdia,
and Ferrero (2012)(以下、CCF) があるのみである8。』
『本稿で用いている DSGE モデルは、ALSN (2004) および CCF (2012) を拡張したものであり、長期と短期の国債市場間の裁定が不完全であること
(市場分断)9、家計が特定資産に対して効用を持つ結果、ターム・プレミアムが家計のバランスシートの規模や構成に依存すること
(特定期間選好)10の 2 点を許容しているという点で、Smets and Wouters(2007)
などの標準的な DSGE モデルとは異なっている。』
『特定期間選好が存在することは、中央銀行による長期国債買入れがターム・プレミアムを通じて長期金利に影響を与え得ることを意味しており、また、市場分断が存在することは、こうしたターム・プレミアムの変動が、短期金利変動とは独立に、マクロ経済に影響を与え得ることを意味している。』
『もっとも、市場分断や特定期間選好の存在を先験的に仮定している訳ではなく、1986
年から 2017 年までのマクロ経済変数の時系列を用いて、これらに関するパラメータを推計することで、存在自体も検証している。』
ということで、ひたすらコピペだけしてお前は何をやっているんだとツッコまれそうですが、まあ「ほーそうですか」以外の言葉が出てこない程度にしか脳みそがないので勘弁してつかあさい。
ちなみに、現場叩き上げおじさんのアタクシの感覚的なところとしてはあるところまではフロー効果が効いていて、どこかに閾値があって、その閾値を超えるとストック効果が思いっきり出てくるという割と非連続なイメージを持っていますが、例えば短国買入の場合は減額に減額しても全然市場が元に戻らないというのがあって、これは買入を拡大した時点と今とで前提条件が異なっている(マイナス金利の存在とマイナス金利の長期化による短期資金運用主体の市場構造が変化したこと)ので何とも言えないのですけれども、もしこの変化がマイナス金利による構造的な問題なのではなくて、市場が不可逆的に壊れてしまった結果だというのであれば、実は大問題ということになるような気もしますけれども、まあそもそも論として市場機能度事態の分析ができませんので効果(副作用?)の分析とかできる訳もなし、とかいつの間にか話が脱線しておりますが、そのように思うのでありました。
#引用増量マンでどうもすいません
2018/10/01
お題「台風の影響により本日は簡単版でご勘弁ということで(−−;」
https://www.nhk.or.jp/senkyo2/okinawa/
沖縄県知事選開票速報
接戦とか言われてたのにゼロ打ち当確が複数社から出ていたのにはビビったが、
エライ大差になっとるが正直タマの差が大きかった希ガス。
〇輪番日程表は短国日程表に謎のプレイが現る
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180928c.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について
・短国買入の柔軟化というか何というか
でこちらの2ページ目の短国買入がアレ。
『3.国庫短期証券の買入れ
金融市場調節の一環として行う国庫短期証券の買入れについては、金融市場に対する影響を考慮しながら1回当たりのオファー金額を決定する。
なお、10月初回の国庫短期証券の買入れは、現時点で、10月2日を予定している。』
これ8月末のだとこうなっていたんですな。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180831e.pdf
『3.国庫短期証券の買入れ
金融市場調節の一環として行う国庫短期証券の買入れについては、金融市場に対する影響を考慮しながら1回当たりのオファー金額を決定する。』(8月末公表の9月の予定表より)
ということで、今回短国買入に謎の初回日程指定が出ていたのですが、この1回目の日がこれまでのパターンと違っているんですよね。
国債決済T+1になってからは金曜に3Mの入札があって、基本的には月曜(月曜が祝日の場合は火曜)に短国買入が入るのがパターン(T+2の時は木曜が3Mの入札で金曜が短国買入)でして、9月の場合だと3、10、20、25に短国買入がオファーされていた(20日だけ変な曜日ですが、この週は月曜が祝日、火曜が1Yの入札、水曜がMPM結果発表日だったので短国買入を入れていない)のですが、10月2日というのは火曜日でして、別に1日の本日は短国の入札もMPMも無いので、普通に短国買入を入れてくるなら1日に打つはずなのですが、金曜の時点で「来週は火曜日に短国買入打つけんね」というお断りが入るの巻。
・・・・・・・まあ何ですな、先月の「入札の翌営業日の輪番は減額しないの不文律ブレイク攻撃」というのがありましたから、まあこれは順当に考えまして「短国買入に関しては毎週月曜に入れるという不文律をブレイクするんでそこんとこよろしく」というメッセージであると考えれば良いと思うわけですな。
ということですので、これは短国買入はもっと残高縮小していきますし、タイミングも一定しませんのでよろしく、ということであって、まあ短国が無茶苦茶重くなってその結果GC→コールと金利上昇圧力が相応に掛かるようなら買入を実施するんでしょうが、MB目標に関してはオーバーシュート型コミットメントをやっていればよいので、長期国債買入を普通にやっていればそっちは問題ないでしょうから(さすがに減らすにしたって限界がありますから)本来短国買入って別にやらんでもエエンちゃいますかと考えれば順当なのですが、お約束のままでオファー額を最低限にしていって減額するんじゃなくて買入そのものをスキップしながら減額していくというよく言えば柔軟化、悪態つけば読みにくい方法で来ましたなという所でありまする。
・超長期後半だけレンジ引き下げはまあ順当だと思われますが
でもって別紙の方に関してですが、
0−1年:100-1000、月2回(変更なし)
1−3年:2000-4000、月5回(変更なし)
3−5年:2500-4500、月5回(変更なし)
5−10年:3000-6000、月5回(変更なし)
10−25年:1500-2500、月5回(変更なし)
25−40年:100-1000、月5回(500-1500、月5回から変更)
物価連動国債:250、月2回(変更なし)
変動利付国債:1000、隔月1回(変更なし)
ということで、まあさすがに誰も予想していなかったと思いますが、6回→5回になった中期と長期の輪番はそのまま5回で継続となりまして、掛け算スキームでしらっと減額したものは元に戻さんというのは確認できました。でもって超長期ですけれども、闇討ち100億円減額で超長期の金利は(特に後ろが)ゲロっと上昇していますが、別に為替も株も無問題ですし、10年もさほど金利アガランチ会長で大勝利とは言え、ここで調子に乗って4回に更に攻めていくというのは攻めすぎということですが、25−40年に関してはレンジを減額後の現状追認型で下げてきましたな。
これ25−40の額を更に減額して1回400とか300とかになってくると、寧ろ10−40で輪番やった方が良いんじゃネーノという気もせんでもないのですが、そうなると輪番のゾーン切りの本来のパターンであるところの「ゾーンの一番手前か一番後ろが打ち込まれる」(前日引けからの利回り較差で入札する関係上、カーブが立つか寝るかで前日比一番入れやすいゾーンがどっちかになる、ただしカーブがうねった場合は話は別ですが)となって今度はその間になってしまう20年カレントが浮いてくる可能性が出てくるので割とそこは難しいのかも知れませんな(なお今は基本的にオフザランの需給が締まっていてカレントが入れやすいのでカレントが入っていくという状態になっているはずなので統合しても20年がそんなに浮かないのかも知れなくてそこは正直よー分からん)。
しかし8月何もしないと思ったら9月は結局3ゾーン実質的に減額(中期と長期は掛け算スキームなのでニュースワイヤー上は減額と言われていませんでしたが)するし、10月は短国買入もっと減らすもんねと来ていてやる気があるんだか無いんだかよくわからん運営ではありますな。
〇決定会合主な意見
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2018/opi180919.pdf
・ジンバブエ節登場
ジンバブエ先生のご高説を有難く拝読するのが楽しみの一つですが、今回はどうもこれなのではないかとジンバブエ研究家(今勝手に名乗った)のアタクシが思ったのですがさてどうでしょうか。
『(経済情勢)』のところの最後のほうです。
『効果的に成長を実現する手段は、利益が上がらない仕事を止めることであるが、これには雇用の問題が生じるため、金融緩和で労働需給を逼迫させることが成長に結びつく。実際に、時間当たりの労働生産性の上昇率は、量的・質的金融緩和のもとで高まっているが、新たな雇用者が労働経験の少ない人々や高齢者であることを踏まえると、真の労働生産性は数字以上に上昇していると考えられる。』
まず何でジンバブエ節だと思ったかというと、「効果的に成長を実現する手段は、利益が上がらない仕事を止めること」とかまた言い方が乱暴なのと、「金融緩和で労働需給を逼迫させることが成長に結びつく」と金融緩和の効果が飛躍していることだったりします。そもそも論として足元の労働需給ひっ迫のうち、人口動態によるものってどのくらいなのかとかいうのを考えないで金融緩和で労働需給ひっ迫って(そらまあFEDのマンデートがそうであるように教科書的な話としてはそうなのですが、日本の場合は人口動態の動向が従来の教科書的な想定を大きく超えているはずなんですよね)いうのを言われましてもとは思いますし、そもそも置物理論による金融緩和は期待に直接働きかける政策だったんじゃなかったんでしたっけと思うのですが。
あと後半の労働生産性云々の話は何か変な気がするが頭が悪いのでツッコミ不能。
ちなみにジンバブエ先生そのあとの『U.金融政策運営に関する意見』では、
『金融緩和効果が地方経済や中堅・中小企業、個人に行き届いていないとの見方があるが、地方の有効求人倍率や、中堅・中小企業の収益、雇用者報酬などはいずれも改善している。
』
というのがありまして、さっきのとこれを足すと260字になるのでちょうど良いのかな、と思いました。何か「〜との見方があるが」と来て後段に説明になっていない説明をするか、前段が藁人形論法かというのが仕様なのでまあこれかな、と思いました。何の役にも立たない分析ですけど。
・片岡さんの見解
『U.金融政策運営に関する意見』の方になりますけど。
『金融緩和効果は時間とともに減衰しうるため、「物価安定の目標」早期達成の観点からは、長期にわたって長短金利を一定水準前後に誘導するという戦略が有効なのか判然としない。むしろ、日本銀行は、追加緩和によって、政府とともに、企業や家計の前向きな行動変化を一段と後押しする必要がある。大規模な金融緩和が長期化することに伴う副作用を考慮すると、長期化にも限界があることから、金融政策の時間軸について政策委員の中で議論を深めておくべきではないか。』
追加緩和しろ、という話なので片岡さんと思われるのですが、「金融緩和効果が時間と共に減衰しうる」というのが「追加的な刺激効果」というのであればまあそうかもしれませんねとも思えますが、その発想ってどちらかと言うと量的緩和っぽいビューに見える訳で、今片岡さんが提案している「10年超の金利をもっと下げろ」っての何か追加緩和提案としてのポイントがずれていると思う。
確かに「早期達成の観点から」という意味では金利を長期に維持して云々というのはそれは早期達成じゃねえだろというのはその通りなのですが、まあ問題はマネタリーベース直線一気理論では全然話にならなかったという事実があって、そうするとそもそも論として「物価安定目標早期達成」という話をするのがもともと無理、ということではないかとは思いますけどね(インフレ期待がアンカーされていた事になっている欧米だってあれだけ時間かけたんですから)。
でもって片岡さんの意見の後半が中々味わいがあって、「大規模な金融緩和が長期化することに伴う副作用を考慮すると、長期化にも限界があることから、金融政策の時間軸について政策委員の中で議論を深めておくべきではないか。」ということで「長期化に限界がある」という説明をしていまして、全く仰せの通りでございますと思う訳で、長期化に限界あるとか副作用とかそういう認識の中で、早期達成する手段がないとなった場合にさて片岡さんどういう話をしだすのかなとか思ったり思わなかったり。
・その他金融政策運営に関して少々
『U.金融政策運営に関する意見』の他の意見を鑑賞。
『「物価安定の目標」の実現には時間がかかるものの、2%に向けたモメンタムは維持されていることから、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要である。』
『息長く経済の好循環を支えて、「物価安定の目標」の実現に資するべく、現在の金融政策方針を継続すべきである。
』
『現行の強力な金融緩和の効果と副作用を肌理細かく検討しつつ、きわめて緩和的な金融環境を息長く続けて行くことが必要である。』
この辺は主流派の「長くやっていきます」モード。
『前回会合で決定した「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」が金融市場に与える影響については、夏場の閑散期を挟んで2か月程しか経過していないことから、引き続き注視していく必要がある。』
これ先日の大阪での黒田総裁講演に出ていたのですが総裁の意見なのかと一瞬思ってしまいますが、金融市場に与える影響がどうのこうのとかそんなものに総裁が興味があるようにも思えないので、非常にこう不思議ちゃんな感覚を得ました。
『「枠組み強化」が、金融緩和の副作用への目配りも行いつつ、強力な金融緩和を粘り強く続けることをより明確にしたものであることを、引き続き丁寧に説明していくことが重要である。』
長期化を強調しすぎるのもよし悪し。
『経済の需給バランスが維持されていれば、市場機能維持の観点から、金融政策の柔軟化を将来的に検討する余地はある。もっとも、物価の不確実性を考慮すれば、金融面での不均衡など副作用の状況に十分注意しつつ、現行の政策を粘り強く、慎重に続けることが肝要である。』
しらっと「金融政策の柔軟化を将来的に検討する余地はある」という意見キタコレ。
次がさっき引用した片岡さんなので割愛しましてその次。
『政策運営にあたっては、経済・物価の下振れリスクへの備えが重要である。また、インフレ予想への働きかけについて、そもそも金融政策は、声明文の用語からして一般の家計や企業にとって分かりにくい面があるとの認識に立って、改善を続けていくべきである。』
・・・・・・・・・・・マネタリーベース直線一気理論は何処へ??????????????
でもってその次が推定ジンバブエ先生なのでパスして最後はこれ。
『企業では内部留保が過去最高水準となる中、資金需要は決して強いとはいえない状況にある。こうした状況を変えていくには、金融政策に加え、構造改革等の取組みにより企業に攻めの資金需要の創出を促すことも重要と考えられる。』
金融政策だけではリームーですという話ですが、よくよくこの主な意見見ていると「期待への直接的な働きかけ」というのはどう見ても失敗しているのにそこは与野党とも割と頑として認めていない(フォワードルッキングな期待形成のために2%達成の意思を強く示す、というのはQQEの最初から今までずっと生きている)のと、金融政策だけでは無理で他の政策との協調が必要、というのも正面からは絶対認めない(まあ認めると金融政策不要論にまで発展されるリスクがありますけど)というのは相変わらずだなあと思ったりするのでした。
〇そういや先日こんなのが出ていまして(日銀レビューシリーズ)
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/rev18j06.htm/
ドイツの構造改革
―経済成長・健全財政の両立と課題―
でもってこちらのHTMLにある要旨を見ますと・・・・・・・・・・
『近年のドイツでは、他のユーロ圏諸国よりも経済成長率が高く、同時に財政の健全化も進んでいる。これには、種々の構造改革、なかでも、2000年代前半を中心に実施された労働市場改革や年金改革の影響が背景にある。年金や失業保険の給付削減は、財政支出を抑制したほか、高齢者や失業者の就業意欲を引き上げた。雇用の促進・柔軟化策は、企業の採用意欲を高めたほか、求人・求職のマッチング機能を向上させた。こうした効果が相乗的に発揮されて、労働投入の拡大を軸とした経済成長と財政の健全化が実現したと考えられる。ただし、一連の構造改革は、国内で格差拡大を招いたほか、他のEU諸国からはドイツに対してEU全体に配慮した財政拡大を求める声があがっている。ドイツの構造改革の帰趨は、国内の経済・財政の先行きにとどまらず、EUの経済安定化や統合深化への影響の面でも注目される。』(要旨より)
とありまして、ドイツの構造改革大勝利とかシバキアゲな雰囲気が漂いそうですが、本文の方では・・・・・・
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/data/rev18j06.pdf
ドイツの構造改革
−経済成長・健全財政の両立と課題−
そんなに長くないのでさらっと読めますけど、前半はドイツの各種改革の話をしていますが、最後の方にあります部分が、要旨の最後の一文に該当するんですけど、本文最後の『構造改革がもたらした課題
』の中の『(EU の経済安定化・統合深化)』に、
『2000 年代後半以降、グローバル金融危機や欧州債務危機の 2 度にわたる経済危機を経て、ドイツの財政黒字を活用することによるユーロ圏の景気浮揚効果への期待が高まっており、IMF
や欧州委員会は、ドイツに対して歳出拡大を提言している22。こうした主張の背後には、ドイツの緊縮的な財政政策が、特にユーロ圏では為替チャネルを通じた調整が困難ななか、危機後の周縁国を中心とした経済停滞の一因となったとの考えがある。』(本文より)
とかしらっと「通貨統合によって構造改革の歪が周縁国に押し付けできましたな」という説明があるのがチャーミング。詳しくは後日ネタにするかもしれないししないかもしれません。